Advertisement
Not a member of Pastebin yet?
Sign Up,
it unlocks many cool features!
- C:
- Kamui: どうしたんですか、アンナさん。\nさっきはあんなに楽しそうにしていたのに。
- Anna: えっ、楽しそうにしていた?\n私が?
- Kamui: え?\n覚えてないんですか?さっきいろいろ商品を見せてくださって、\n私が「今は間に合ってます」と言ったら… 今度は高価な化粧品を私に握らせて…\n「出世払いでいいから」って言いましたよね?
- Anna: 私…\nそんなことしてないわよ?
- Kamui: いやいや、本当ですって… 私が断ったら、「利子はガロン王様の\nサインでいいから」って言って… そして「今日もじゃんじゃん稼ぐわよー!」\nって元気に言って去っていきましたよ?
- Anna: …どう考えても私っぽいけど… でもそれ…\nやっぱり私じゃないわ。
- Kamui: えっ?\nどういうことですか。
- Anna: 私の姉か妹ってこと。 私には姉妹がたくさんいるんだけど…みんな\n同じ名前で、同じ顔で、同じ商売をしてるの。姉妹たちは世界中にいるから、\nいつどこで出会ってもおかしくないのよ。
- Kamui: そんなことって…
- Anna: 今、私が悩んでいるのはこのことなの。顔が似ているのは仕方ないとして、\nどうして姉妹みんな同じ名前なのよ… この名前を変えて、個性を持ちたい。\nそれが私の悩みよ。
- Kamui: …そんなことがあるんですね…
- B:
- Kamui: アンナさん。\nまたそんな暗い顔をして… …って、ええと…あなたは\n私たちの軍のアンナさんですか? この間、名前のことで悩んでいた\nアンナさんで、間違いないですよね?
- Anna: そうよ。私はそのアンナ。\n安心して。
- Kamui: ああ、良かった。\nまた間違えたらどうしようかと思いました。
- Anna: わざわざ確認してくれてありがとうね。\nでも… はぁーあ…
- Kamui: どうしたんですか?\nそんな大きな溜め息をついて。
- Anna: 私が早く別のいい名前を思い付けば\nそんな確認もいらなくなるのにと思って。 でも、いい名前が思いつかないのよ…\nアンナに代わる、私だけのいい名前が… あなた、何かいい案ないかしら?\nあれば買い上げるわよ。|…いや、お金はちょっともったいないから、\nガロン王様のサインをもらってきてあげる。
- Kamui: いえ、お父様のサインなんて…\nぜんぜん要りませんね。 というかサインをお願いしても\n応じるとはとても思えないのですが…
- Anna: まあ…それもそうよね。 …はあーあ。ないかなあ。\n私という個性をちゃんと言い表している名前… なんかこう…\n私をビシッと言い表すようなものがいいわ。
- Kamui: アンナさんを\nビシッと言い表すようなもの… ええと…アンナ一号…\n押し売り姉さん…お金の申し子、とか…
- Anna: た、確かに私はそんな感じかもしれないけど、\n呼ばれて嫌な気持ちになりそうだわ。 そもそも私の姉妹もそんな感じだし…
- Kamui: でも、アンナさんのご両親は\n困らなかったんですかね。
- Anna: えっ?
- Kamui: 子どもたちがみんな同じ名前だと\nかなり不便な気がするんですけど…
- Anna: 確かに。\nその辺…どうなってたんだっけ… ちょっと真剣に思い出してみるわ。
- Kamui: はい。思い出したらぜひ教えてください。
- A:
- Kamui: アンナさん。\nどうしたんですか? 今日は表情がすごく明るいですね。
- Anna: やっぱり名前はアンナでいいかなーって\n思えるようになったの。
- Kamui: わぁ、それはよかったです。\nでも…どうして急に?
- Anna: あのあと、昔のことを思い出してみたの。\nまだ私が、姉妹たちと暮らしてた時のこと。 そしたら…\nすごいことに気付いちゃったのよ。 …昔、両親が「アンナ」って呼んだとき、\n返事をするアンナは一人だけだったの。
- Kamui: えっ?\nそれってどういうことなんですか?
- Anna: 両親が私たちの名前を呼ぶときの\n イントネーションが、みんな違ってたってこと。 「アンナ」っていう三文字なのに\n呼び方にいろんなバリエーションがあって… 私たちたくさんのアンナは\nその違いを聞き分けていたのよ。 実際にやってみた方が話が早いわね。 いろんなイントネーションで\n私の名前を呼んでみてくれる?
- Kamui: わかりました。 …アンナさん。
- Anna: …………
- Kamui: じゃあ今度は違う言い方で…\n アンナさん。
- Anna: ………… もっとこう…最後を上げて言ってみて。\n アンナの「ナ」を上げて言うの。
- Kamui: わ、わかりました。\n …アンナさん。
- Anna: そう、それ!\n それが私の「アンナ」なの! 私の場合のアンナは、お尻の部分…\n アンナの「ナ」がちょっと上がるのよ。 これこそ私をビシッと\n言い表した個性だと思うのよ。 確かに私は他のアンナに比べて\nお尻がちょっと上向きになっているの。
- Kamui: は、はあ。\n そうなんですか。
- Anna: 両親はもしかして、私の名前に… 「尻上がりの人生」って\n思いを込めたのかもしれないわ。 だから、アンナはアンナでも\n ちゃんと立派な個性がある。 そんなことを考えていたら、\n これからもアンナでいいって思えたの。 まあ、どうしてみんな「アンナ」なのか\nっていうのは謎のままだけど… どっちにしても\n、ありがとう。
- Kamui: とんでもない。\nよかったですね、アンナさん。
- Anna: こんな風に思えるようになったのは\nあなたのお陰よ。 お礼はガロン王様のサインでいいかしら?
- Kamui: …いえ、それは結構です。
Advertisement
Add Comment
Please, Sign In to add comment
Advertisement