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Anna/FKamui

a guest
Jun 27th, 2015
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  1. C:
  2.  
  3. Kamui: どうしたんですか、アンナさん。\nさっきはあんなに楽しそうにしていたのに。
  4. Anna: えっ、楽しそうにしていた?\n私が?
  5. Kamui: え?\n覚えてないんですか?さっきいろいろ商品を見せてくださって、\n私が「今は間に合ってます」と言ったら… 今度は高価な化粧品を私に握らせて…\n「出世払いでいいから」って言いましたよね?
  6. Anna: 私…\nそんなことしてないわよ?
  7. Kamui: いやいや、本当ですって… 私が断ったら、「利子はガロン王様の\nサインでいいから」って言って… そして「今日もじゃんじゃん稼ぐわよー!」\nって元気に言って去っていきましたよ?
  8. Anna: …どう考えても私っぽいけど… でもそれ…\nやっぱり私じゃないわ。
  9. Kamui: えっ?\nどういうことですか。
  10. Anna: 私の姉か妹ってこと。 私には姉妹がたくさんいるんだけど…みんな\n同じ名前で、同じ顔で、同じ商売をしてるの。姉妹たちは世界中にいるから、\nいつどこで出会ってもおかしくないのよ。
  11. Kamui: そんなことって…
  12. Anna: 今、私が悩んでいるのはこのことなの。顔が似ているのは仕方ないとして、\nどうして姉妹みんな同じ名前なのよ… この名前を変えて、個性を持ちたい。\nそれが私の悩みよ。
  13. Kamui: …そんなことがあるんですね…
  14.  
  15. B:
  16.  
  17. Kamui: アンナさん。\nまたそんな暗い顔をして… …って、ええと…あなたは\n私たちの軍のアンナさんですか? この間、名前のことで悩んでいた\nアンナさんで、間違いないですよね?
  18. Anna: そうよ。私はそのアンナ。\n安心して。
  19. Kamui: ああ、良かった。\nまた間違えたらどうしようかと思いました。
  20. Anna: わざわざ確認してくれてありがとうね。\nでも… はぁーあ…
  21. Kamui: どうしたんですか?\nそんな大きな溜め息をついて。
  22. Anna: 私が早く別のいい名前を思い付けば\nそんな確認もいらなくなるのにと思って。 でも、いい名前が思いつかないのよ…\nアンナに代わる、私だけのいい名前が… あなた、何かいい案ないかしら?\nあれば買い上げるわよ。|…いや、お金はちょっともったいないから、\nガロン王様のサインをもらってきてあげる。
  23. Kamui: いえ、お父様のサインなんて…\nぜんぜん要りませんね。 というかサインをお願いしても\n応じるとはとても思えないのですが…
  24. Anna: まあ…それもそうよね。 …はあーあ。ないかなあ。\n私という個性をちゃんと言い表している名前… なんかこう…\n私をビシッと言い表すようなものがいいわ。
  25. Kamui: アンナさんを\nビシッと言い表すようなもの… ええと…アンナ一号…\n押し売り姉さん…お金の申し子、とか…
  26. Anna: た、確かに私はそんな感じかもしれないけど、\n呼ばれて嫌な気持ちになりそうだわ。 そもそも私の姉妹もそんな感じだし…
  27. Kamui: でも、アンナさんのご両親は\n困らなかったんですかね。
  28. Anna: えっ?
  29. Kamui: 子どもたちがみんな同じ名前だと\nかなり不便な気がするんですけど…
  30. Anna: 確かに。\nその辺…どうなってたんだっけ… ちょっと真剣に思い出してみるわ。
  31. Kamui: はい。思い出したらぜひ教えてください。
  32.  
  33. A:
  34.  
  35. Kamui: アンナさん。\nどうしたんですか? 今日は表情がすごく明るいですね。
  36. Anna: やっぱり名前はアンナでいいかなーって\n思えるようになったの。
  37. Kamui: わぁ、それはよかったです。\nでも…どうして急に?
  38. Anna: あのあと、昔のことを思い出してみたの。\nまだ私が、姉妹たちと暮らしてた時のこと。 そしたら…\nすごいことに気付いちゃったのよ。 …昔、両親が「アンナ」って呼んだとき、\n返事をするアンナは一人だけだったの。
  39. Kamui: えっ?\nそれってどういうことなんですか?
  40. Anna: 両親が私たちの名前を呼ぶときの\n イントネーションが、みんな違ってたってこと。 「アンナ」っていう三文字なのに\n呼び方にいろんなバリエーションがあって… 私たちたくさんのアンナは\nその違いを聞き分けていたのよ。 実際にやってみた方が話が早いわね。 いろんなイントネーションで\n私の名前を呼んでみてくれる?
  41. Kamui: わかりました。 …アンナさん。
  42. Anna: …………
  43. Kamui: じゃあ今度は違う言い方で…\n アンナさん。
  44. Anna: ………… もっとこう…最後を上げて言ってみて。\n アンナの「ナ」を上げて言うの。
  45. Kamui: わ、わかりました。\n …アンナさん。
  46. Anna: そう、それ!\n それが私の「アンナ」なの! 私の場合のアンナは、お尻の部分…\n アンナの「ナ」がちょっと上がるのよ。 これこそ私をビシッと\n言い表した個性だと思うのよ。 確かに私は他のアンナに比べて\nお尻がちょっと上向きになっているの。
  47. Kamui: は、はあ。\n そうなんですか。
  48. Anna: 両親はもしかして、私の名前に… 「尻上がりの人生」って\n思いを込めたのかもしれないわ。 だから、アンナはアンナでも\n ちゃんと立派な個性がある。 そんなことを考えていたら、\n これからもアンナでいいって思えたの。 まあ、どうしてみんな「アンナ」なのか\nっていうのは謎のままだけど… どっちにしても\n、ありがとう。
  49. Kamui: とんでもない。\nよかったですね、アンナさん。
  50. Anna: こんな風に思えるようになったのは\nあなたのお陰よ。 お礼はガロン王様のサインでいいかしら?
  51. Kamui: …いえ、それは結構です。
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