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May 5th, 2025
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  1. <ネットと中傷 第2部 10年以上戦う弁護士⑤>(全5回)
  2. 何者かに電話番号や住所を突き止められ、無言電話や身に覚えのない荷物が次々と届く。
  3. 「人間不信になった」
  4. 2019年、大学院生の石渡貴洋さんが激しい嫌がらせを受けるようになった。殺害予告までされ、自殺を考えたこともある。
  5. ◆「ウィキペディア」きっかけに実名を割り出され
  6. きっかけは、ネットなどで激しい中傷にさらされていた唐澤貴洋弁護士を心配したからだった。「客観的な情報があったほうがいいのではないか」
  7. 石渡さんはウィキペディアに、唐澤弁護士のページをつくろうとした。すると、「恒心教」を名乗る団体のメンバーに、ウィキペディアの利用者ページから名前などを特定された。
  8. 恒心教 唐澤弁護士を「尊師」とからかい、唐澤弁護士や関連する人物を攻撃する架空の宗教団体。唐澤弁護士がかつて構えていた事務所「恒心綜合法律事務所」から名付けたとみられる。2012年ごろから、唐澤弁護士を攻撃する特定のネット掲示板で嫌がらせのアイデアを出し合ったり、実際に嫌がらせをして報告し合ったりしている。唐澤弁護士らの名前をかたって学校や公的機関などに爆破予告をしたり、「けんま」と称して関係者宅に住居侵入をしたりして逮捕された「教徒」もいる。
  9. 「恒心教」からの被害を受けた石渡貴洋さん
  10. ◆次々とアカウントが乗っ取られ
  11. 1カ月後には、メールアドレスから、利用していた大手ポータルサイトのアカウントを乗っ取られそうになった。
  12. 石渡さんのもとには、不正ログインを伝えるメッセージが次々と届く。パスワードや、パスワードを忘れた際に本人確認を行うための「秘密の質問」の答えを手当たり次第に試しているようだった。
  13. 「恐ろしさを感じた」
  14. 乗っ取りを防ごうとしたがうまくいかず、このポータルサイトの運営会社にお願いしようにも問い合わせ先が見つからない。
  15. このため、石渡さんは警察に何度も出向き、警察から運営会社に連絡するよう頼んだが、取り合ってもらえなかった。
  16. そして、最終的にアカウントを乗っ取られ、メールサービスにも侵入された。
  17. ◆掲示板に情報をさらされ、警察は傍観…そして絶望
  18. これをきっかけに、同じメールアドレスでアカウントを開設していたさまざまなネットサービスにも入り込まれた。
  19. アダルトビデオの購入履歴も、掲示板にさらされた。石渡さんの不安は募る。
  20. 「親や友達にも見られてしまう。私生活に影響があるのでは」
  21. 警察はその後も全く取り合ってくれない。
  22. 「世界に絶望した」
  23. ショックを受けた石渡さんは電車の駅ホームの端に立ち、飛び込もうとした。
  24. ◆被害はその後も続く
  25. すんでのところで、自殺は思いとどまった。「生きて、何か社会に還元しなくてはいけないのではないか」
  26. しかし、その後も、石渡さんは恒心教から数々の嫌がらせを受けてきた。
  27. 個人情報の暴露。無言電話。自宅周辺でのストーカー的行為…。
  28. 当時、石渡さんが弁護士を目指している法科大学院生だったことを捉えてか、石渡さんの名をかたり、司法試験の合格者発表でにぎわう法務省前の掲示板での犯罪予告もされた。だから毎年、合格発表のたびに石渡さんの名前が取り沙汰される。
  29. 被害は減ってきてはいるものの、どこかでだれかが家族や友人にまで迷惑をかけているのではないかと、不安にさいなまれ続けている。
  30. ◆5年たっても侮辱動画の新作がアップされる
  31. そして2024年に、石渡さんの名前が題名になっている動画が、配信サービス「ニコニコ動画」に投稿されているのを見つけた。
  32. 石渡貴洋さんを侮辱する動画(石渡さんと唐澤貴洋弁護士以外の個人情報を加工しています)
  33. 「今度は何をされたんだ。どんな内容なのか」
  34. 恐る恐るクリックすると、叩き割られたノートパソコンの画像が表示され、アップテンポな音楽に合わせて、以前流出したアダルトビデオの購入履歴が次々と読み上げられた。
  35. ◆動画の投稿者を「刑事告訴」
  36. 投稿者のアカウントからは、唐澤貴洋弁護士が性的な言葉で侮辱される動画も見つけた。この連載1回目で紹介した動画だ。
  37. 恐れていた割には「くだらない動画」ではあった。
  38. しかし、動画を放置すれば、いずれまた石渡さんが話題になり、いったん下火になった攻撃が再燃する恐れもある。
  39. だから、石渡さんは毅然と対応するため近くの警察署に侮辱の疑いで刑事告訴した。投稿者は警察の捜査に対し、侮辱したことを認めているという。
  40. 石渡さんは心配する。「私や唐澤先生なら叩いても良いといった空気が醸成されてしまう。動画が削除されても、そのような空気感が醸成されれば戻らない」
  41. そのうえで、投稿者に呼び掛けた。
  42. 「問題の重要性をきちんと自覚し、謝罪してほしい」
  43. 〈連載終わり〉
  44.   ◇
  45. 東京新聞では「ネットと中傷」を巡る困り事や経験談、ご意見を募集しています。メールは[email protected]、郵便は〒100-8505(住所不要)東京新聞デジタル編集部「ネットと中傷 取材班」へ。
  46.  
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