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- FILENAME: text_520810-0.txt
- 私たちは、この再開発計画に 断固として反対します!
- 大東団地が壊されれば、行き場の なくなる人がたくさん出ます!
- 理由はそれだけではありません!
- 伊吹 れいら: このチラシに書いてあります! 読んでください!
- <ここは神浜市大東区にある 「神浜大東団地」>
- 桑水 せいか: あ、はい、どうぞ… ありがとうございます
- <全15棟から構成され 敷地内に商業施設も併設されている 神浜市内でも屈指の巨大集合住宅である>
- 相野 みと: みなさーん!お願いしまーす!
- <しかし、今… この神浜大東団地がなくなろうとしている>
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: (あまり受けとって もらえないな…)
- <一部の棟は築年数が50年近くとなっており 建物の老朽化は著しく 住民の減少、老齢化から空き部屋も 多く出始めていた>
- 桑水 せいか: (…再開発に対しての反対は やっぱりあまり熱が…)
- <そこで大東区は大手不動産開発会社と組み 神浜大東団地を取り壊して その跡地にオフィスビルを中心とした新たな ビジネスエリアを作ろうとしていた>
- 相野 みと: ん~! みなさん!お願いしますってば!
- <あくまで計画段階なので未確定ではあるものの 長く団地に住む高齢者たちはいち早く反応し 再開発反対運動を展開し始めた>
- <団地を愛する住民の少女・伊吹れいらは 親友で同じく住民の桑水せいか 元住民の相野みとに声をかけて この反対運動を手伝うことにした>
- 伊吹 れいら: せいか!みと! 商店街の方でも配ろう!
- 桑水 せいか: うん…
- 相野 みと: いこー!
- <こうした騒動のさなか…>
- <ある棟の老人が ひそやかな死を遂げた…>
- [From the opening sequence]
- 眠り続けていた“想い”が蘇り
- 3人の少女たちを翻弄していく
- [Title card] 彼方より、あなたへ〜神浜大東団地の黄昏〜
- FILENAME: text_520810-1_f0tcn.txt
- <ここは再開発反対派が 拠点としている団地内の集会所>
- <反対派リーダーにして8号棟の組合長でもある 大竹という老人が代表して借りている>
- <ここでは日々、反対運動の計画を練ったり 呼びかけで使うチラシの制作などを 行っており、れいらたちも手伝いとして 最近、頻繁に訪れていた>
- 大竹: そうだね…ここに「反対!」と 入れてもらえるかい?
- 桑水 せいか: わかりました…はい どうですか?
- 大竹: おお、いい感じの チラシになったね!
- 伊吹 れいら: それじゃあ、このデータを プリントアウトして…
- 相野 みと: コピーして 配ってくるね!
- 大竹: いやあ、本当に助かるよ…
- 大竹: 私のような年寄りは パソコンとかどうにも苦手で…
- 伊吹 れいら: いいんですよ! 任せてください!ね?
- 相野 みと: どーんと来い!です!
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: (…私たちが手伝っても…)
- 桑水 せいか: (先行きは厳しいかな…)
- <せいかはこの反対運動が おそらくは成功しないと踏んでいた>
- <先日、ひょんなことから 団地の敷地内に縄文時代の土器が出土された これにより、再開発の計画は 一時的な延期を余儀なくされた>
- <それを好機と見て反対派はより一層 支持を得ようと躍起になっているのだが せいかは冷静に状況を分析していた>
- <どの棟も老朽化しているのは明らかで 何かしら有効な手を打たない限りは 建築物としての寿命が間もなく 尽きるであろうことは肌感覚としてわかる>
- <ひいては住民の安全にも関わってくる 大東団地は、既に曲がり角を 越えてしまっている… せいかはそう感じていた>
- 伊吹 れいら: 今度は3人で手分けして チラシを配らない?
- 相野 みと: 確かに…その方が効率的かも!
- 桑水 せいか: …そうだね
- <とはいえ、自分もこの団地に 愛着は持っているし、なにより れいらとみとが再開発には強く反対している>
- <なので、せいかは旗色が悪いとわかりながらも ふたりと共に反対運動を手伝っている>
- 桑水 せいか: (…再開発は行われるかも しれないけど…)
- 桑水 せいか: (やれるだけのことは やらないと…)
- 若者が手伝ってくれて ありがたいねぇ…
- 大竹: まったくだよ
- …こんなこと言うの 図々しいかもしれないけど…
- 大竹: ん?
- あの件でも手を 借りたらどう…?
- 大竹: あの件…っていうと… 清見さんの件かい?
- そう…
- 大竹: うーん… こんな若い子たちにかい?
- 伊吹 れいら: …あの…なんですか? 清見さん…?
- 大竹: ………… …いや…その…
- 大竹: 14号棟に清見さんっていう人が 住んでいてね
- 大竹: この団地ができて間もない頃に 引っ越してきて…
- 大竹: それからずーっと住んできた 古株の住人なんだが…
- 大竹: 先日、亡くなったんだ
- 大竹: 面識はあるかい?
- 伊吹 れいら: 清見さん…?いや…
- 桑水 せいか: 存じ上げないです…
- 相野 みと: 私も…
- 大竹: そうか…やっぱり、そうだろうね なんせ偏屈な人でね
- 大竹: ごくわずかの同じ古株住民としか 付き合いがなかった
- 大竹: それでね、その清見さんが…
- 大竹: 団地内のベンチで座りながら 亡くなっていたんだよ
- 伊吹 れいら: え…!?
- 大竹: ああ、いや、警察も調べたけど 事件性とかはないんだ
- 大竹: 座ったままポックリと 逝ったらしい
- 大竹: まあ、悪くない 最期だと思うよ…
- 伊吹 れいら: そう…なんですか…
- 大竹: で、だね 清見さんは身寄りがないんだ
- 大竹: ところが、持っていた財布から 遺言書が出てきたんだ
- 桑水 せいか: 財布から…ですか?
- 大竹: 小さく折りたたまれていてね 万が一のことを考えていたのかな
- 大竹: 内容はとてもシンプルだったが 私にとって少々…ううむ…
- 相野 みと: 大竹さんに何か 関りがあるんですか…?
- 大竹: 遺品や財産の処分を 私に一任すると書かれていたんだ
- 伊吹 れいら: ええっ!? なんでですか…?
- 大竹: さっきも言った通り、清見さんは ごくわずかの人付き合いはあった
- 大竹: そのひとりが…私なんだ
- 桑水 せいか: …いや、でも…だからって…
- 大竹: そうなんだよ…
- 大竹: まさか私を指名しているとは 思いもよらなかったし…
- 大竹: こう言うのもなんだが 正直、厄介事というかね…
- 大竹: だけど、遺言は遺言ということで 法的にはどうも私が相続人で…
- 大竹: だから、私も腹は括ったんだ 仕方ない、引き受けようと
- 大竹: とはいえ、業者に全部任せると お金の方が…なかなかね…
- 大竹: だもんで、ある程度自分で やろうと思ったけど、こっちが…
- 桑水 せいか: 再開発反対運動、ですね
- 大竹: そう…今が大事な時期だろ?
- 大竹: どうしても反対運動の方に 時間を割いてしまって
- 清見さんの遺品整理が なかなか進まなかったんだ
- 大竹: ここの仲間も 手伝ってくれたんだが
- 大竹: 私も含めて年寄りなもんだから 重い物とか厳しくて…
- 伊吹 れいら: …なるほど! じゃあ、私たちが…
- 大竹: 君たちみたいな若い女の子に 見知らぬ人の遺品整理の手伝いを
- 大竹: お願いするだなんて 甚だ申し訳ないことなんだが…
- 相野 みと: そんなこと!
- 伊吹 れいら: やりますよ、私たち!
- 桑水 せいか: はい、大丈夫です
- 大竹: はー、ありがたい! 本当に助かるよ!
- 大竹: …あ、でも親御さんに 話は通さないとだね
- 伊吹 れいら: それは私たちから説明します いいよね?
- 相野 みと: はーい!
- 桑水 せいか: うん
- 大竹: いや、重ね重ね 申し訳ないね…!
- <こうしてれいらたちは 清見老人の遺品整理を手伝うことになった>
- <これが、神浜大東団地の“過去”と 彼女たちが向き合うことになる端緒であった…>
- FILENAME: text_520810-2_f0tcn.txt
- 大竹: さあ、どうぞ …私が言うのもなんだけどね
- 伊吹 れいら: お邪魔しま~す…
- 大竹: 衣類とかは処分できている 冷蔵庫のものとか食品関係もね
- 大竹: それと、水回りも大体終わってる 残りは家電や寝具、家具…
- 大竹: あと、押し入れとか 収納に入っているものだね
- 大竹: 数は多くないが、本やら雑誌やら 色々と…いや~、紙物は重くて…
- 相野 みと: 了解~!
- 大竹: ありがとうね…
- 桑水 せいか: あの…ちょっと伺っても よろしいですか?
- 大竹: なんだい?
- 桑水 せいか: 清見さんって どういう方だったんですか…?
- 桑水 せいか: すみません、何も知らないのも ちょっとアレかなと思って…
- 大竹: そうだよね 整理する物の持ち主だもんね
- 大竹: 私が知り得る限りのことは 説明させてもらうよ
- 桑水 せいか: ありがとうございます
- 大竹: …だけど、私も実のところ そこまで彼を知らないんだ
- 大竹: あまり自分のことを語らない 人だったんでねぇ
- 桑水 せいか: そうですか…
- 大竹: ともかく、前にも言った通り 非常に古株の住民だったんだ
- 大竹: 大東団地ができた直後くらいに 入居したみたいでね
- 大竹: 私は彼よりも少し 後にここへ越してきたんだが…
- 大竹: その頃には既に彼は ひとりで暮らしていた
- 大竹: しかしね、どうやら以前は 家族がいたらしいんだ
- 伊吹 れいら: 『いた』ってことは…
- 大竹: 離婚したそうだ ある日、ぼそっと教えてくれたよ
- 大竹: どういう事情があったのかまでは 教えてくれなかったけどね
- 大竹: 私もそれ以上は聞けなかった
- 桑水 せいか: …………
- 大竹: 日本の景気が 良くなっていくに従って
- 大竹: 団地住人の入れ替わりも 多くなった
- 大竹: でも、清見さんはずっと ここに住み続けていた
- 大竹: ひとりでね…
- 相野 みと: …ずっと、ひとり…
- 桑水 せいか: その、別れたご家族と連絡は…
- 大竹: いやぁ…さっぱり… 連絡先も全然わからないんだ
- 大竹: 昔、なんとなく 耳に入ってきた話では
- 大竹: 娘さんがいたとかいないとか… すまない、まったく定かでは…
- 伊吹 れいら: …あ…!
- 伊吹 れいら: …こういうの、あんまり なんというか…
- 伊吹 れいら: 失礼なことなのかも しれないんですけど…
- 伊吹 れいら: 遺品整理していたら わかってくるかも…?
- 大竹: …………
- 大竹: …そうだねぇ… それはそうかもしれんな…
- 大竹: 本やらの紙関係は まだ手をつけていないが…
- 大竹: その辺に情報はありそうだね
- 伊吹 れいら: …ただ、亡くなった方の私生活を 暴くような行為になるので…
- 大竹: いやいや、それで離れた奥さんの 連絡先や娘さんのことがわかれば
- 大竹: 清見さんが亡くなったことも 伝えることができる
- 大竹: …まあ、それをするかしないかは また別に考えるべきだが…
- 大竹: ともかく、知っておいていい 情報だとは思うよ、私は
- 伊吹 れいら: …そう、ですか
- 桑水 せいか: 私も同意見だよ、れいら
- 相野 みと: 私も!
- 伊吹 れいら: …うん!
- 大竹: さあ、では始めようか!
- <そして、清見老人の遺品整理が 始まり、間もなくすると…>
- 伊吹 れいら: …あ、これ…
- FILENAME: text_520810-3_f0tcn.txt
- 伊吹 れいら: …あ、これ…
- 伊吹 れいら: アルバムとか…ノートとか…
- 大竹: おお!どれどれ ちょっと出してみよう
- 大竹: …あ~、このアルバム ほとんど写真がないな…
- 桑水 せいか: というか、風景ばかりで 人が全然写ってないですね…
- 相野 みと: 昔の団地…の写真かな?
- 伊吹 れいら: ノートにもほとんど 何も書かれていない…
- 伊吹 れいら: こっちは…
- 伊吹 れいら: …えっ!?
- 伊吹 れいら: (微妙だけど…この感じ…)
- 伊吹 れいら: (…魔力…!?)
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: せいか、みと!
- 相野 みと: え!?どうしたの、急に?
- 伊吹 れいら: 私が今持っている本から 魔力を感じるの…微かに…
- 桑水 せいか: 魔力!?
- 伊吹 れいら: とりあえず、開いてみるね…
- 桑水 せいか: あ、待って! 大竹さんもいるし…!
- 伊吹 れいら: うっ…!
- ???: …本当に魔法が使えるだなんて…
- ???: おとぎ話みたい…!
- ???: すごい…すごい! すごすぎるよ!
- 伊吹 れいら: …え?…
- 伊吹 れいら: 今のは…
- 桑水 せいか: ちょっと! れいら、大丈夫!?
- 伊吹 れいら: あ…う、うん…
- 相野 みと: ホントに!? なんか、ボーっとしてるよ?
- 伊吹 れいら: …それは…
- 大竹: どうしたんだい? れいらちゃん
- 伊吹 れいら: …い、いや、その…
- 大竹: …それは…
- 大竹: …“日記”…かな?
- 伊吹 れいら: …日記…?
- 伊吹 れいら: ホントだ…
- 大竹: な、なんて書いてあるんだい!?
- 大竹: これは清見さんを知る上で 重要な手掛かりになるかも…!
- 伊吹 れいら: そ、そうですね…!
- 伊吹 れいら: えっと…
- 〇月×日 うれしいな、うれしいな こんなことが本当に起きるなんて まるで夢を見ているよう でもこれは現実なんだ
- 伊吹 れいら: …………
- 大竹: …う~ん、具体性に欠ける 内容だな…
- 大竹: ちょっと私に 読ませてもらえるかい?
- 伊吹 れいら: あ、どうぞ…
- 大竹: ふーむ…
- 大竹: …………
- 大竹: …う~ん… 筆跡は幼い…
- 大竹: やはり清見さんには子どもが いたのかもしれん
- 大竹: この日記だけでは断定できんがね
- 大竹: ただ、どれも曖昧な…というか ぼかしてるような書き方だな…
- 桑水 せいか: …誰かに見られてしまうかも しれないことを前提にしてる…?
- 大竹: …んん?どういうことだい?
- 桑水 せいか: つまり、ですね… あくまで推理ですけど…
- 桑水 せいか: 日記がどうしても誰かに 読まれてしまう可能性がある
- 桑水 せいか: だから、自分だけがわかるような 書き方にあえてしている…とか?
- 大竹: ほう!なるほど…
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …あの~…
- 伊吹 れいら: ちょっと、お願いが…
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- みたま: …で…
- みたま: 大竹さんにお願いして 日記を借りた、と…
- 伊吹 れいら: はい
- みたま: あなた、他のページは 開いてないのね?
- 伊吹 れいら: あれ以上何かあったら さすがにマズいと思って…
- みたま: まあ、妥当な判断ね
- みたま: …う~ん…
- みたま: 確かにこの日記から 魔力を感じるわねぇ…
- 伊吹 れいら: どうですか? 調整屋さんなら何か…
- みたま: …いや、その程度しか わからないわ
- 桑水 せいか: 魔力がある…ということのみ?
- みたま: そうねぇ
- みたま: ただ…ちょっと あなたを見させてもらうわ
- 伊吹 れいら: え?私?
- みたま: いい?
- 伊吹 れいら: ど、どうぞ…
- みたま: …………
- みたま: …うん…やっぱりね
- 相野 みと: なにが『やっぱり』 なんですか!?
- みたま: おそらく、記憶の流入が あったんじゃないかしら?
- 伊吹 れいら: 記憶の…流入…?
- みたま: つまり、この日記には魔法により 誰かの記憶が収められていて…
- みたま: 魔力を感じることができる 魔法少女…
- みたま: つまり、れいらちゃんが 触ったことでその記憶を見た…
- みたま: あなたの中を探ってみたけど そういう痕跡があったの
- みたま: 何か有害な魔法というわけでも なさそうね
- みたま: 言ってみれば、この日記に 保存された映像データを見た…
- みたま: そんなところじゃないかしら
- 伊吹 れいら: じゃ、じゃあ! 清見さんの娘は魔法少女で…!
- 伊吹 れいら: その流入した記憶で 私が見た人こそ、その…!
- 桑水 せいか: 待って そう断定するのは早いかも
- 伊吹 れいら: …え?なんで…?
- 桑水 せいか: 確かに、この魔法をかけたのは 魔法少女だと私も思う
- 桑水 せいか: だけど、れいらが 見た人っていうのが
- 桑水 せいか: 清見さんの娘であるかどうかの 確証があるわけじゃない
- 桑水 せいか: そもそも、疑うわけじゃないけど まだれいらしか見てないのよ
- 伊吹 れいら: それは…確かに…
- みたま: ごもっともね~
- みたま: とりあえず、他のページも 調べてみたらどう?
- みたま: 何かあったら わたしがフォローするし
- 伊吹 れいら: …わかりました…!
- 桑水 せいか: 今度は私も
- 相野 みと: 私もだよ!
- 伊吹 れいら: うん…じゃあ、一緒に!
- ???: …本当に魔法が使えるだなんて…
- ???: おとぎ話みたい…!
- ???: すごい…すごい! すごすぎるよ!
- ???: 「え?見えたの?」
- ???: 見えたよ、見えた!
- ???: 記憶の封印、成功だよ、あつこ!
- 伊吹 れいら: …ん…
- 桑水 せいか: …これが… れいらに流入した…
- 相野 みと: 記憶、なんだね…!
- 伊吹 れいら: しかも、私が前に見たのは 途中までだったみたい…!
- 伊吹 れいら: あつこ…とか言ってたよね?
- 桑水 せいか: うん…!
- 相野 みと: その、あつこさんが もしかしたら清見さんの…?
- 伊吹 れいら: ほ、他のページも 見て大丈夫ですか…?
- みたま: 100%の保証はできないけど…
- 伊吹 れいら: ここまできたら やってみないことには…!
- みたま: そうなるわよね…
- 伊吹 れいら: じゃあ…!
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …あれ?
- 桑水 せいか: …うん?…
- 相野 みと: …ダメだね… 何も見えてこないや…
- 伊吹 れいら: あれだけだったの…?
- みたま: わたしにはわからないわ ただ、本人の魔法であれば
- みたま: 1回きりじゃなくて 何回か使ってるって考えた方が
- みたま: 自然だと思うわ
- 桑水 せいか: やっぱり、そうですよね…
- みたま: ええ…
- みたま: だから、続きがある可能性は 今も否めないわね
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- みたま: だから、続きがある可能性は 今も否めないわね
- みたま: 確かに、この日記には 1つの記憶だけ
- みたま: だけど、きっと他にも 記憶は保存されていると思うわ
- 桑水 せいか: 他…ですか?
- みたま: この魔法は「物質」に 対して記憶を封印する類のもの
- みたま: …ってわたしは思うの れいらちゃんを診た感じね
- みたま: だから、探せばまだ 出てくるかもしれないわ
- 伊吹 れいら: そうですね…!
- 桑水 せいか: だけど、そうだとして どうやって探せば…
- みたま: 魔法に触れたあなたたちなら 探知もしやすくなっているはずよ
- みたま: 魔力パターンを実際に 知ってるわけだからね
- 相野 みと: おおっ!
- みたま: あとは、まあ…
- 伊吹 れいら: 『どこを探すか』…か~
- 相野 みと: 闇雲に探すのも大変だしね
- 桑水 せいか: いや、でも、やるんだったら しらみ潰しっていうのが確実よ
- 桑水 せいか: …でも、そもそも…
- 桑水 せいか: 調べる必要、ある…?
- 伊吹 れいら: …え? そりゃだって…
- 伊吹 れいら: せいかは気にならないの? 封印された記憶
- 桑水 せいか: 気になることは気になるけど…
- 伊吹 れいら: みとは?
- 相野 みと: まあ…私も…
- 伊吹 れいら: それに、清見さんの家族に 繋がるかもしれないんだよ?
- 桑水 せいか: …冷たい言い方するようだけど そこまで私たちが介入するべき?
- 桑水 せいか: なんか、よくわからない 話に首を突っ込んでる気がして…
- 伊吹 れいら: …そう…かもしれない…
- 伊吹 れいら: ただ、清見さんのことは もちろんなんだけど…
- 伊吹 れいら: 私、この件、どうしても 調べたい気持ちがあって…
- 桑水 せいか: …魔法少女の記憶、だから?
- 伊吹 れいら: うん…
- 伊吹 れいら: この団地には私たちの世代よりも もっと前から魔法少女がいて
- 伊吹 れいら: その人たちが 一体何をしていたのか…
- 伊吹 れいら: 私たちと同じように 魔女と戦ったんだろうね
- 伊吹 れいら: それに、同じような悩みだって あったかもしれない…
- 桑水 せいか: …………
- 相野 みと: …………
- 伊吹 れいら: 知ってどうするって言われれば それまでかもしれないけど…
- 伊吹 れいら: 理屈じゃないんだ… 気持ちが止められないの!
- 伊吹 れいら: だから、私からのお願い! 手伝ってよ!ね?
- 桑水 せいか: う~ん…
- 伊吹 れいら: みともさ!
- 相野 みと: …私は…うん…いいよ
- 相野 みと: れいら、こうなると 何がなんでもやり通すしね…!
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: …わかった…私も…
- 伊吹 れいら: ありがとー!
- 相野 みと: …で、話は戻るけど どこから探すの?
- 伊吹 れいら: そうだねぇ…
- 伊吹 れいら: 日記から始まって… 次は…
- 伊吹 れいら: …あ…
- 伊吹 れいら: …そうか!
- 相野 みと: わっ! 急に日記を読みだして…!?
- 桑水 せいか: ど、どうしたの…?
- 伊吹 れいら: …あった!ここに行こう!
- 伊吹 れいら: 着いた!
- 相野 みと: 団地内の公園だけど 私たちが普段来ない方だよね
- 伊吹 れいら: そ!14号棟寄りの公園ね なぜ来たかというと…
- 〇月×日 いつもの公園でいつものメンツ よもやま話に花が咲く
- 変わらない空気に変わらない時間 このふたりといれば大丈夫
- 伊吹 れいら: …って書かれてるから!
- 桑水 せいか: 日記の内容を取っ掛かりに したっていうわけね
- 伊吹 れいら: そういうこと!
- 伊吹 れいら: …あ!ほらほら!
- 相野 みと: むずっときた!
- 桑水 せいか: 同じ魔力パターン…!?
- 伊吹 れいら: …あそこだよ、多分! あのベンチ!
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- 相野 みと: むずっときた!
- 桑水 せいか: 同じ魔力パターン…!?
- 伊吹 れいら: …あそこだよ、多分! あのベンチ!
- 伊吹 れいら: 行ってみよう!
- 伊吹 れいら: よーし…じゃあ、触るよ?
- 相野 みと: う、うん!
- 桑水 せいか: …いいよ
- 伊吹 れいら: …せーの!
- ???: ついに私もなっちゃった… 魔法少女に!
- ???: これで3人とも契約したね!
- ???: ホント、すごいことだよ!
- ???: 小さい頃に見ていた紙芝居でさ 魔法使いが活躍するお話が…
- ???: 「『虹色の魔法使い』でしょ! 私、大好きだった!」
- ???: そうそう!
- ???: その魔法使いに 私たちが…ビックリ仰天だよ~!
- ???: あとでさ 一緒に早変わりしてみようよ!
- ???: 「いいね!やってみよう!」
- ???: 「…あのさ…」
- ???: なに?
- ???: 「私たちで守ろうね…」
- ???: 「魔女から、この団地を…」
- 伊吹 れいら: …み、見えた…?
- 相野 みと: …うん…!
- 桑水 せいか: 見えたわ…
- 伊吹 れいら: 正解じゃない…!?
- 伊吹 れいら: 日記に書かれている場所を 追っていけば記憶がある…!
- 伊吹 れいら: きっとそうだよ!
- 桑水 せいか: 待って、れいら それは…
- 相野 みと: …3人とも契約したって 言ってたよね…
- 相野 みと: あんな無邪気に…
- 伊吹 れいら: …あ…
- 伊吹 れいら: …そう…だったね…
- 桑水 せいか: …魔女から団地を 守るとも言ってたわ
- 桑水 せいか: 同じだね 私たちがやっていることと…
- 伊吹 れいら: …うん…
- 桑水 せいか: それと…
- 桑水 せいか: 小さい頃に見た紙芝居…とも 言ってたよね?
- 桑水 せいか: だから、この記憶、だいぶ昔の ものだっていうのは…
- 伊吹 れいら: 確かっぽいね!
- 桑水 せいか: 私たちが見た2つの記憶から…
- 桑水 せいか: まず、主観視点の人物が 「あつこ」って人かな
- 桑水 せいか: そのあつこさんには2人の 友だちがいて、皆で魔法少女に…
- 相野 みと: そして、魔女と戦っている…
- 桑水 せいか: そうね…
- 伊吹 れいら: …よし、次!次を探そう!
- 伊吹 れいら: えっと、日記には…
- 伊吹 れいら: …あっ、ここかな!?
- FILENAME: text_520810-7_f0tcn.txt
- 〇月×日 14号棟の屋上から遠くを見る この方角の先には、あの湖がある
- あそこは私のお気に入りの場所なんだけど 湖の上の空だけ、なんだかどんよりしていて どこか恐ろしさを感じる
- 伊吹 れいら: …ここだね
- 桑水 せいか: うん、感じる…
- 相野 みと: あそこの手すりあたり…?
- 伊吹 れいら: だね…
- 伊吹 れいら: …いい?
- 桑水 せいか: うん…
- 相野 みと: …待って!
- 伊吹 れいら: どうしたの?
- 相野 みと: …なんだか、胸騒ぎがするの…
- 桑水 せいか: みとも? 実は、私も…
- 伊吹 れいら: …同じく…
- 伊吹 れいら: そ、それでも! 私は…!
- 桑水 せいか: わかってる
- 相野 みと: …大丈夫…
- 伊吹 れいら: …じゃ、じゃあ…
- 伊吹 れいら: …ん!
- あつこ: 「かずよちゃんは!?」
- ???: もうすぐ来ると思う! それにしても…
- ???: なんて禍々しい魔女なの…
- あつこ: 「か、勝てるかな…?」
- ???: やるしかないよ… 私たちが団地を守らないと…!
- ???: ま、まあ任せてよ!
- ???: 私が昨日観たお芝居みたいに ババッと斬り伏せちゃうから!
- あつこ: 「…ふふ!よっ!女剣士のたみえ!」
- たみえ: …あはは!
- たみえ: …ふぅ…
- たみえ: あつこ、記憶は残してくれてる?
- あつこ: 「うん」
- たみえ: …もし、私たちがあの魔女に 勝てなかったとしても…
- あつこ: 「たみちゃん!」
- たみえ: その可能性も考えおかないと!
- たみえ: …あつこの記憶が残っていれば また誰かが戦ってくれるかも…
- たみえ: 最悪でも、あの魔女を私が “漬物”にしちゃわないと…!
- あつこ: 「…………」
- たみえ: でも、まずは3人揃わないと 話にならないだろうね…
- たみえ: そうでなきゃ きっと対抗すらできない…!
- 伊吹 れいら: …………
- 桑水 せいか: …………
- 相野 みと: …魔女と…
- 伊吹 れいら: …うん… 戦う前の記憶だろうね…
- 桑水 せいか: 悲壮な覚悟を感じたわ…
- 伊吹 れいら: あつこさんと…たみえさん? どうなっちゃったんだろう…
- 相野 みと: …あつこさんの記憶って…
- 桑水 せいか: うん…
- 桑水 せいか: 最初は楽しい思い出の 記録みたいな印象だったけど…
- 桑水 せいか: どうもそれだけじゃ ないような感じね…
- 桑水 せいか: あと、気になったのは 『漬物』って言葉…
- 桑水 せいか: 額面通りに受け取って 推測すれば、おそらく…
- 伊吹 れいら: あ、待って! …感じない…?
- 相野 みと: …んん!ホントだ!
- 桑水 せいか: まだ他の記憶が、ここに…!?
- 伊吹 れいら: こっち…かな…?
- 相野 みと: …ここだ!この位置!
- 桑水 せいか: 何が…見えるの…!?
- あつこ: 「…あの場所に…」
- あつこ: 「あの…場所に…」
- 伊吹 れいら: …え…?
- 伊吹 れいら: …あの…場所…?
- FILENAME: text_520810-8_f0tcn.txt
- <屋上で流れ込んできたあつこの記憶は れいらたちに大きな衝撃を与えた>
- <当初はこの調査に消極的だったせいかも 真相を究明したい気持ちが強くなり 日を跨いでからも記憶探しは続けられる>
- <…はずだったのだが…>
- 伊吹 れいら: あつこさんたちの身辺?
- 桑水 せいか: そう
- 桑水 せいか: 魔法で残された記憶だけじゃなく 実際に残っている足跡も調べるの
- 桑水 せいか: つまり 裏取り調査ってやつね
- 相野 みと: 刑事ドラマで聞いたことある!
- 伊吹 れいら: そっか…確かに必要だね
- 伊吹 れいら: じゃあ、どこから始める?
- 桑水 せいか: やっぱり、起点となっている 清見さんかな
- 桑水 せいか: 日記があったことから 清見さんに娘がいるかもと
- 桑水 せいか: 私たちは考えているけど それは正しいのかどうか
- 桑水 せいか: まずはこれをクリアにしよう
- 相野 みと: ボス、聞き込みですか? 張り込みですか?
- 桑水 せいか: あのね…
- 桑水 せいか: そもそも、聞き込みするにしても 対象がいないでしょ?
- 伊吹 れいら: 清見さんは孤独だったって 大竹さん、言ってたもんね…
- 桑水 せいか: だから、今の団地から 情報を得るという線は薄い…
- 桑水 せいか: 戸籍も私たちが 見ることなんてできないし…
- 相野 みと: …あれ?早くも手詰まり…!?
- 桑水 せいか: …だから…
- 桑水 せいか: 地道なやり方でいこう
- 伊吹 れいら: あの~…
- いくらその… 卒業アルバムの研究だっけ?
- そんな自由課題のためだからって 個人情報だからねぇ
- 外部の人には 貸出できないよ
- 伊吹 れいら: …そうですか…
- 桑水 せいか: では、清見という生徒に 心当たりは…?
- きよみ?さぁ~… 私は受け持ったことないね
- 桑水 せいか: …わかりました
- 桑水 せいか: 突然押しかけて あれこれ聞いてしまい
- 桑水 せいか: 申し訳ありませんでした
- はい、じゃあこれで
- …あ、課題のテーマ 変えた方がいいと思うよ
- 桑水 せいか: この学校も 正面突破は無理か…
- 相野 みと: 団地周辺の小中学校は もうここで行き尽くした?
- 伊吹 れいら: そうなるかな…
- 伊吹 れいら: かくなる上は! 夜中にこっそり侵入して…
- 相野 みと: なんかそれは ダメなんじゃない…?
- 伊吹 れいら: 泥棒するわけじゃないし!
- 桑水 せいか: どうしよう…
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: …ええええーっ!?
- 伊吹 れいら: わっ!びっくりした…! どうしたの、突然!
- 桑水 せいか: あ、あれを見て!
- 相野 みと: あれって…?
- 桑水 せいか: だから、あれ!
- 伊吹 れいら: …んん~?
- 伊吹 れいら: …卒業制作の絵?
- 相野 みと: 『〇×〇×年度卒業』… 随分古いね
- 桑水 せいか: 絵を描いた生徒の名前が 添えられてるでしょ!?
- 桑水 せいか: そこ!
- 桑水 せいか: …「清見あつこ」…!
- 伊吹 れいら: 清見…?
- 伊吹 れいら: …えっ!?
- 相野 みと: …ホントだ!書かれてる!
- 桑水 せいか: あと、たみえとかずよも 捜して!
- 伊吹 れいら: …あったよ! 『和喜たみえ』!
- 相野 みと: 『久宝かずよ』も!
- 伊吹 れいら: やっぱり…3人は 実在した魔法少女だったんだ…!
- 桑水 せいか: うん!そう…
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: (…いや…でも…)
- FILENAME: text_520810-9_f0tcn.txt
- 伊吹 れいら: …ということで…
- 伊吹 れいら: 清見さんに娘さんはいた!
- 相野 みと: うんうん!
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: ごめん、それは早いかも
- 桑水 せいか: 可能性はとっても高まったけど 確定までは至ってないと思う
- 伊吹 れいら: …え~!
- 桑水 せいか: たまたま同姓同名だった からかもしれないし
- 伊吹 れいら: そんなことあるかなぁ…?
- 桑水 せいか: 私はもっとこの裏取り調査を 続けるべきだと思う
- 桑水 せいか: 確定したと言えるまでね
- 伊吹 れいら: 待って待って!
- 伊吹 れいら: あのね、私、ずっと 気になっていることがあるの…
- 伊吹 れいら: ここで見たでしょ? 魔女と戦おうとしていた記憶
- 桑水 せいか: それって、今の話に関係ある?
- 伊吹 れいら: 関係なくはないよね? 記憶に関わることでもあるし
- 伊吹 れいら: あの3人を知る上では 重要な手がかりだと思う
- 桑水 せいか: …………
- 伊吹 れいら: …でね…
- たみえ: …あつこの記憶が残っていれば また誰かが戦ってくれるかも…
- たみえ: 最悪でも、あの魔女を私が “漬物”にしちゃわないと…!
- あつこ: 「…………」
- たみえ: でも、まずは3人揃わないと 話にならないだろうね…
- たみえ: そうでなきゃ きっと対抗すらできない…!
- 伊吹 れいら: あの『漬物』って言い方
- 伊吹 れいら: せいか 引っ掛かっていたでしょ?
- 桑水 せいか: …それは…そうだけど…
- 伊吹 れいら: 私もどういう意味か わかった気がする
- 相野 みと: …実は、私も…
- 伊吹 れいら: 『漬物』…つまり…
- 伊吹 れいら: 閉じ込めたとか封じ込めたって ことなんじゃないかな…どう?
- 桑水 せいか: …かもね ただ、あくまで推測だけど…
- 伊吹 れいら: だったら、まだ魔女は 倒されていなくて
- 伊吹 れいら: どこかで封じ込められている かもしれないってことでしょ?
- 桑水 せいか: あの3人が倒している 可能性もあるよ
- 伊吹 れいら: でも、せいかはその3人が 実在しているか
- 伊吹 れいら: 怪しんでいるんでしょ?
- 桑水 せいか: それを言ったら 魔女のことだって…!
- 伊吹 れいら: …せいか…ちょっと最近 ネガティブすぎるよ
- 桑水 せいか: …どういう意味
- 伊吹 れいら: 再開発の反対運動も なんかテンション低いし…
- 相野 みと: あ…ちょっと、れいら…
- 桑水 せいか: …あのね…
- 桑水 せいか: じゃあ、この際 ハッキリ言わせてもらうけど…
- 桑水 せいか: 再開発反対運動も 勝ち目はないよ
- 伊吹 れいら: …なにそれ…
- 相野 みと: せ、せいか…!
- 桑水 せいか: この団地、老朽化はしてるし 住んでる人も減ってる!
- 桑水 せいか: 今のままってわけには いかないとこまできてるよ!
- 伊吹 れいら: だから なくなってもいいってわけ!?
- 桑水 せいか: 違う!ただ反対するだけじゃ なくて別の方法を…!
- 伊吹 れいら: 『ただ反対する』って 言い方、ひどくない!?
- 伊吹 れいら: みんな団地を守ろうと 必死なのにさ!
- 桑水 せいか: 揚げ足取らないで! 私だってこの団地のこと…!
- 相野 みと: ス、ストップストップ!
- 伊吹 れいら: ―れいら― …むぅ~!…
- 桑水 せいか: ―せいか― …………
- 相野 みと: ―みと― あわわ…!
- 桑水 せいか: ―せいか― …もういいわ…
- 桑水 せいか: ―せいか― …とにかく、裏取りは 続けた方がいいと私は思うけど
- 伊吹 れいら: ―れいら― …私は魔女の方が気になるから
- 桑水 せいか: ―せいか― …そう
- 桑水 せいか: …じゃあね
- 伊吹 れいら: …私も帰る…
- 相野 みと: ちょ…!ふたりともー!
- FILENAME: text_520810-10_f0tcn.txt
- 相野 みと: はぁぁぁぁ~…
- 相野 みと: (ふたりがあんな 喧嘩するなんて…)
- 相野 みと: (小さい頃にはあったけど 昔と今じゃ迫力が…)
- 相野 みと: (しかも、協力して調べなきゃ いけないタイミングで…)
- 相野 みと: …どうしよう…
- 相野 みと: はぁぁぁぁ~…
- ???: 「どうした?やけに深いため息だが」
- 相野 みと: …へっ!?
- 相野 みと: …あ!なぎたーん!
- 十七夜: 久しぶりだな、相野君
- 相野 みと: ホント、久しぶり~! うれし~!
- 十七夜: 自分も喜ばしいが… 先ほどは浮かない顔をしてたな?
- 相野 みと: …あ…
- 十七夜: 何かあったのか?
- 相野 みと: …うう…
- 相野 みと: …実はね!
- 十七夜: そうか…あのふたりが…
- 相野 みと: 私、ビックリしちゃって ただおろおろするだけで…
- 相野 みと: …こうなったら 私の心を繋げる魔法で…!
- 十七夜: それはどうかな
- 相野 みと: …………
- 相野 みと: …まあ、ダメだよね…
- 十七夜: 当人たちがもう一度話をして 解決すべき問題だろう
- 十七夜: 少し頭を冷やせば 落ち着くはずだ
- 十七夜: まずは時が経つのを待て
- 相野 みと: うん…
- 十七夜: …しかし… 過去の魔法少女の記憶か…
- 十七夜: 魔女の件も含め 自分も気になるな
- 十七夜: …どうだ?相野君 自分と組まないか?
- 相野 みと: え?どういうこと…?
- 十七夜: 君も伊吹君か桑水君のどちらかに ついてしまうのは…
- 相野 みと: …そ、それはちょっと…
- 十七夜: であれば、自分と組んで その記憶の調査をしよう
- 十七夜: なにはともあれ 真相究明が第一ではあるが
- 十七夜: 新たな材料が見つかれば それがきっかけとなって
- 十七夜: ふたりが近づく場面も 作れるかもしれないだろ?
- 相野 みと: …そ、そうだね!
- 十七夜: …あともうひとつ…
- 十七夜: 気になることがある
- <翌日…>
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: …ふぅ…
- 桑水 せいか: (明らかに…)
- 桑水 せいか: (言いすぎちゃったぁぁぁ…!)
- 桑水 せいか: (知らない内にストレスを 溜めてたのかな…)
- 桑水 せいか: (もっと早く正直に自分の 考えを伝えるべきだったなぁ…)
- 桑水 せいか: (れいら…)
- 桑水 せいか: (謝らなくちゃ…)
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: …ん!
- 桑水 せいか: (あった…)
- 桑水 せいか: (この調べ方も 言い出しにくかった…)
- 桑水 せいか: (ふたりに強いるのは ちょっと酷だったかもだし…)
- 桑水 せいか: (ひとりでよかったかも… せめてもの怪我の功名、かな…)
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: (『大東区で行方不明と されている少女は…』)
- 桑水 せいか: (『久宝かずよ』…)
- 桑水 せいか: (こっちの記事には 『和喜たみえ』…)
- 桑水 せいか: (…そして…)
- 桑水 せいか: (『清見あつこ』…)
- FILENAME: text_520820-1_6HXJQ.txt
- <神浜大東団地に再開発の嵐が吹き荒れる中 清見という老人が孤独な死を迎えた>
- <再開発反対運動に参加していた れいら、せいか、みとは リーダーの大竹から頼まれて 清見の遺品整理を手伝うことになった>
- <そこで見つかった日記に れいらが触れたことから 封印されていた記憶が再生され 過去の出来事が再生された>
- <これを端緒にれいらたちは 記憶を巡る調査を開始したが 目にする光景に翻弄され やがて仲たがいし、溝が生まれる>
- <それでも独自の目線で 調査を続けたせいかは ある事実に辿り着いた>
- 桑水 せいか: (『大東区で行方不明と されている少女は…』)
- 桑水 せいか: (『久宝かずよ』…)
- 桑水 せいか: (こっちの記事には 『和喜たみえ』…)
- 桑水 せいか: (…そして…)
- 桑水 せいか: (『清見あつこ』…)
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: (このこと、れいらたちに…)
- 桑水 せいか: (でもその前に ちゃんとれいらに…)
- ピロン♪
- 桑水 せいか: …あ
- 桑水 せいか: (みとからメッセージ…)
- 桑水 せいか: …え?
- 桑水 せいか: (…十七夜さんと…?)
- 桑水 せいか: …そうだったんですか… それでふたりで…
- 相野 みと: うん…
- 桑水 せいか: みと…ごめんね…
- 桑水 せいか: 私がもっと落ち着いて れいらと話していたら…
- 相野 みと: 仲直りしてくれるよね?
- 桑水 せいか: もちろん! れいらに謝らなきゃ…
- 相野 みと: …よかった~!
- 十七夜: まずは前進、だな
- 相野 みと: はい!
- 桑水 せいか: …それで 連絡を受けたことなんですが…
- 十七夜: うむ…
- 十七夜: 自分は相野君の話を聞いて 少し腑に落ちないことがあってな
- 十七夜: 日記に書かれている場所に 記憶が封印されている…
- 十七夜: 伊吹君はそう考えたみたいだが それだと、どうも引っ掛かるのだ
- 十七夜: なぜ最初は場所ではなく日記に 記憶が封じ込められていたのか?
- 桑水 せいか: …あ、それは… なんとなく気にはなってました…
- 十七夜: そこで自分は こう仮説を立てた
- 十七夜: …記憶は日記だけに 封じられたのではなく
- 十七夜: あくまで「物」に隠されている…
- 桑水 せいか: 『物』…ですか
- 十七夜: つまり、日記に書かれた場所故に 記憶があるということではなく
- 十七夜: 例えば、屋上だったら フェンスでも手すりでも
- 十七夜: とにかく そこにある“物体”であれば
- 十七夜: 何でもいいのではないのだろうか …そう考えると
- 十七夜: 日記を追ってたどり着いたのは たまたま合ってただけ…
- 十七夜: ゆえに、丹念な魔力感知を行えば 日記に書かれている場所以外でも
- 十七夜: 記憶が見つかるのでは…とな
- 相野 みと: それでなぎたんが ここを見つけたの!
- 十七夜: 桑水君…深く集中して 魔力を感じてみてくれ
- 桑水 せいか: は、はい…
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: …あ!
- 桑水 せいか: 近くから…微かに…
- 十七夜: そう…それが…
- 十七夜: ここ… 11号棟5Fの階段の…
- 桑水 せいか: このタイルだ
- 桑水 せいか: こんな小さな1枚に… でも、魔力を感じます…!
- 十七夜: 自分たちは既に見ている
- 十七夜: さあ、桑水君 触れてみてくれ
- 桑水 せいか: はい…
- 桑水 せいか: …………!
- あつこ: 「は、早くたみちゃんに 追いつかないと!」
- あつこ: 「魔女が…!」
- かずよ: あつこ! あいつ…なんなの!?
- あつこ: 「わからない… でも、ハッキリしているのは…」
- あつこ: 「私たちと同じ…魔法少女!」
- FILENAME: text_520820-2_6HXJQ.txt
- かずよ: あつこ! あいつ…なんなの!?
- あつこ: 「わからない… でも、ハッキリしているのは…」
- あつこ: 「私たちと同じ…魔法少女!」
- かずよ: あいつのせいで 足止めを食らって…
- あつこ: 「魔女の抑えにたみちゃんを 先に行かせたの、失敗だった…」
- かずよ: でも、魔女も 待ったなしだよ!
- ???: そうだね
- かずよ: …くっ!
- ???: なのに まだ追いかけっこするの?
- ???: 私はぜーんぜんいいけど
- あつこ: 「この…!」
- かずよ: 待って! ここは私が行く!
- あつこ: 「かずよちゃん! ふたりでやらないと!」
- かずよ: やっぱり魔女の方も 心配だよ!
- かずよ: 大丈夫…! こいつは私がどうにかする!
- ???: ふ~ん… 随分な自信じゃない
- かずよ: …この記憶 残してもらえる?
- あつこ: 「それは…了解 でも、この場は…!」
- ???: 記憶を残す魔法を使うんだ へー、見せてよ
- かずよ: 行って!
- あつこ: 「かずよちゃん!」
- かずよ: 早く!
- あつこ: 「…くっ!」
- あつこ: 「“魚”の前で待ってるから!」
- 桑水 せいか: …この記憶は…!?
- 十七夜: 君たちの調査で浮かんできた 魔法少女は3名…
- 十七夜: しかし、どうやら4人目も いたようだ…
- 十七夜: それも、かなりタチが悪いのが…
- 相野 みと: この後 どうなっちゃったんだろう…
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: …実は、私の方でも わかったことが…
- 十七夜: ほう
- 相野 みと: え?何がわかったの!?
- 桑水 せいか: 私はやっぱり、判明した3人を もっと調べたかった…
- 桑水 せいか: それで、彼女たちの 卒業年度以降から出ている新聞を
- 桑水 せいか: 精査していったの
- 相野 みと: 新聞を? ん?どうして…?
- 十七夜: …そうか
- 十七夜: 死亡…いや、行方不明の 記事を追ったのかな?
- 桑水 せいか: はい…
- 相野 みと: え?
- 桑水 せいか: 魔法少女は死と隣り合わせ…
- 桑水 せいか: 魔女に負けたら 死体だって出てこない…
- 桑水 せいか: そうなると、行方不明 ということにされると思って…
- 相野 みと: でも、大変だったんじゃない? 言ってくれれば手伝ったのに!
- 桑水 せいか: この調べ方、ちょっと酷だから 言い出しにくかったの…
- 桑水 せいか: もしかしたら将来 自分も…って思っちゃうから…
- 相野 みと: …そう…か…
- 桑水 せいか: で…見つけたんです…
- 桑水 せいか: 和喜たみえさん、久宝かずよさん そして清見あつこさん…
- 桑水 せいか: それぞれの「神隠し事件」が…
- 相野 みと: …え…?
- 桑水 せいか: そのこととさっきの記憶が 結びつくのかはわからない…
- 桑水 せいか: ただ、3人がいなくなったのは 本当のこと…
- 桑水 せいか: その後、見つかったという記事も 出ていない…
- 相野 みと: …………
- 十七夜: …ううむ…
- 桑水 せいか: …もっと情報が欲しいですね
- 桑水 せいか: 他の記憶はどこに…
- 十七夜: 団地全体は一通り 魔力を調べてみたが
- 十七夜: 新たに見つけたのはここだけだ
- 桑水 せいか: そうですか…
- 十七夜: 捜索範囲を広げよう
- 十七夜: それと、伊吹君に連絡を…!
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …はぁ…
- 伊吹 れいら: (明らかに…)
- 伊吹 れいら: (言いすぎちゃったぁぁぁ…!)
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: (うん!謝ろう!)
- 伊吹 れいら: (せいかと、あとみとにも 連絡してきちんと…)
- 伊吹 れいら: …あれ?…ん?…
- 伊吹 れいら: (スマホが…ない!?)
- 伊吹 れいら: …あーっ!
- 伊吹 れいら: (家で充電したまま 置いてきちゃった…!)
- 伊吹 れいら: (うう…ダメだな…私…)
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: (だったら、謝る前に やっぱり…)
- FILENAME: text_520820-3_6HXJQ.txt
- 伊吹 れいら: (だったら、謝る前に やっぱり…)
- 伊吹 れいら: (あのこと、調べておこう…)
- あつこ: 「…あの場所に…」
- あつこ: 「あの…場所に…」
- 伊吹 れいら: (『あの場所』…)
- 伊吹 れいら: (屋上で言ったわけだから おそらくここから見える場所…)
- 伊吹 れいら: (目線の方向を考えると それって…)
- 伊吹 れいら: …うん、たぶんそうだ…
- 伊吹 れいら: (そこに、きっと 何かがあるはず…!)
- 伊吹 れいら: (せいかに謝るのは それを調べてからにしよう)
- 伊吹 れいら: (何かわかったら 話もしやすい…よね)
- 伊吹 れいら: …よし!
- 桑水 せいか: …………
- 桑水 せいか: …ダメです れいらのスマホ、留守電に…
- 十七夜: …そうか
- 十七夜: …少し…心配だな
- 桑水 せいか: 私…だいぶ心配です…
- 桑水 せいか: れいら、魔女のこと、どうにか しなきゃって言ってたし…
- 相野 みと: そうだよそうだよ…!
- 相野 みと: 先にれいらを 捜しに行こうよ!
- 十七夜: 確かにその通りだな
- 相野 みと: じゃあ、3人で手分けして!
- 十七夜: それよりも… 相野君の魔法だ
- 相野 みと: …私の…
- 相野 みと: …そっか!
- 十七夜: 君の“心を繋ぐ魔法”で 伊吹君を追うんだ
- 相野 みと: や、やってみる!
- 相野 みと: …むむむ…
- 相野 みと: …え!?
- 桑水 せいか: どうしたの!?
- 相野 みと: れいらの心が…陰に覆われて…
- 相野 みと: …何か見える…!?
- 相野 みと: 「…湖…?」
- 相野 みと: …あっ!
- 相野 みと: …繋がりが…切れた…
- 桑水 せいか: れいら…!
- 十七夜: 今、『湖』と言ったな
- 相野 みと: う、うん!
- 十七夜: この辺で湖といえば 「東ノ湖」しかあるまい
- 十七夜: であれば、桑水君の水から水へ 移動する魔法が使えるな
- 桑水 せいか: わかりました!
- 相野 みと: これ!私の水筒のお水!
- 桑水 せいか: そこに撒いて!
- 十七夜: 君に掴まればいいか?
- 桑水 せいか: はい! さあ、みとも!
- 相野 みと: お願い!
- 桑水 せいか: …はっ!
- 桑水 せいか: …出れた!
- 十七夜: うむ… やはり東ノ湖だな
- 相野 みと: れいら、どこー!?
- 桑水 せいか: …あ、あそこ!
- 伊吹 れいら: …………
- 桑水 せいか: れいら!? どうして「浄化の炎」を…!?
- 十七夜: 伊吹君の固有魔法… それを湖に!?
- 相野 みと: な、なにやってるの!? れいらー!
- FILENAME: text_520820-4_6HXJQ.txt
- 伊吹 れいら : …………
- 桑水 せいか: れいら!? どうして「浄化の炎」を…!?
- 十七夜: 伊吹君の固有魔法… それを湖に!?
- 相野 みと: な、なにやってるの!? れいらー!
- <この少し前…>
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …着いたけど…
- 伊吹 れいら: (魔女は…いないね…)
- 伊吹 れいら: (まあ…うん…)
- 伊吹 れいら: (とにかく! ここら辺をよく調べて…)
- 伊吹 れいら: …あれ?…
- 伊吹 れいら: (この感じ…)
- 伊吹 れいら: (記憶の魔法の…!?)
- 伊吹 れいら: (いや、でも、日記に 湖とかそういう記述は…)
- 伊吹 れいら: …どういうこと?…
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: (…と、とにかくとにかく! よく調べなきゃ!)
- 伊吹 れいら: えーっと…
- 伊吹 れいら: …この辺だ…
- 伊吹 れいら: (…魚の銅像?)
- 伊吹 れいら: (こっちから強く感じる… たぶん、これだ…)
- 伊吹 れいら: …じゃあ…
- 伊吹 れいら: …うっ!?
- ???: 「…揺るがすんだ…」
- ???: 「湖面を激しく揺るがすんだ… お前の魔法をぶつけろ…」
- ???: 「檻を壊せ… 檻を壊せ…」
- ???: 「大東の町に闇をまき散らせ…!」
- 伊吹 れいら: (な、なにこれ…!)
- 伊吹 れいら: (記憶と一緒に 真っ黒な感情が…!)
- ???: 「揺るがせ…! 湖面にぶつけろ…!」
- ???: 「檻を壊せ! 闇を解放しろ!」
- 伊吹 れいら: ああああああ!
- ???: 「やれ!やるんだ!」
- ???: 「湖面を打て!」
- 伊吹 れいら: くあっ…!
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: 湖面を…打つ…
- 伊吹 れいら: 闇を…解き放つ…
- 桑水 せいか: …出れた!
- 十七夜: うむ… やはり東ノ湖だな
- 相野 みと: れいら、どこー!?
- 桑水 せいか: …あ、あそこ!
- 伊吹 れいら: …………
- 桑水 せいか: れいら!? どうして「浄化の炎」を…!?
- 十七夜: 伊吹君の固有魔法… それを湖に!?
- 相野 みと: な、なにやってるの!? れいらー!
- 伊吹 れいら: …はぁぁぁぁぁっ!
- 桑水 せいか: れいら!
- 十七夜: くっ…!
- 十七夜: …今、湖から禍々しい魔力が 噴き出てきた…
- 十七夜: きっと…魔女だ
- 相野 みと: れいらは!?れいらは!?
- FILENAME: text_520820-5_6HXJQ.txt
- 相野 みと: れいらは!?れいらは!?
- 桑水 せいか: …あそこ!倒れてる!
- 相野 みと: れいらー!
- 伊吹 れいら: …………
- 相野 みと: れいら!大丈夫!?れいら!
- 伊吹 れいら: …ん…んん~…
- 桑水 せいか: れいら!
- 相野 みと: れいらー!
- 伊吹 れいら: …あれ…?
- 伊吹 れいら: ふたりとも… 私、何を…
- 伊吹 れいら: …ここ…どこ…?
- 十七夜: 正気を失っていたようだな
- 伊吹 れいら: 十七夜さんまで…
- 桑水 せいか: れいら…
- 伊吹 れいら: …あ…そうか…
- 伊吹 れいら: ごめんね、せいか… あの時、酷いこと言って…
- 桑水 せいか: れいら…!
- 桑水 せいか: 私の方こそごめん! 言いすぎちゃったよね…
- 伊吹 れいら: …じゃあ…お互い様だね…へへ…
- 桑水 せいか: …うん…ふふ…
- 十七夜: どうだ、伊吹君 思い出してきたか?
- 伊吹 れいら: 思い出して…?
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …あーっ! そうだ!記憶だ!
- 相野 みと: れ、れいら!?
- 伊吹 れいら: わ、私、屋上で見た記憶から この湖が怪しいかなと思って
- 伊吹 れいら: 調べていたら 記憶の魔力反応があって!
- 伊吹 れいら: 感知したのが魚の銅像で 触ったら大変なことになって…!
- 十七夜: 大変なこととは?
- 伊吹 れいら: …記憶と一緒に 私の中に入ってきたの…
- 伊吹 れいら: すごく重たくて暗くて冷たい 感情が…
- 伊吹 れいら: それで命令してきて… 『湖面を魔法で打て』って…
- 伊吹 れいら: 私、全然抵抗できなかった…
- 十七夜: …ふむ…
- 十七夜: その記憶と共に入ってきた感情に 伊吹君は支配されてしまったか…
- 桑水 せいか: どういうことなんでしょうか…
- 相野 みと: これもあつこさんが…?
- 伊吹 れいら: いや、それは違うと思う…
- 伊吹 れいら: 今までの記憶とは性質が まったく異なっていたから…
- 十七夜: …罠、かもしれないな
- 伊吹 れいら: 罠?でも、誰が…?
- 十七夜: …まず君に、我々がここに至った 経緯を説明せねばなるまい
- 伊吹 れいら: …そんなことが…
- 伊吹 れいら: …十七夜さん ありがとうございます…!
- 伊吹 れいら: お手数をおかけして どうもすみません…
- 十七夜: いいんだ
- 十七夜: つまる所、この辺一帯に関わる 問題になっているようだからな…
- 桑水 せいか: それで、罠というのは…?
- 十七夜: …我々が団地の階段で 見た記憶だが…
- かずよ: 行って!
- あつこ: 「かずよちゃん!」
- かずよ: 早く!
- あつこ: 「…くっ!」
- あつこ: 「“魚”の前で待ってるから!」
- 十七夜: あの時言っていた 『魚』とは…
- 十七夜: おそらく、伊吹君が触ったという 魚の銅像のことだろう
- 十七夜: あの会話は4人目の魔法少女も 聞いていた
- 十七夜: 故に利用した可能性がある 理由も仔細も不明だがな
- 相野 みと: なるほど~…
- 十七夜: 伊吹君が触れた魚の銅像だが 湖畔のものかな?
- 伊吹 れいら: はい、そうです
- 十七夜: …ふむ…
- 十七夜: 少し確かめたいことがある ついてきてくれ
- 十七夜: 見たまえ
- 伊吹 れいら: あ!こんなところにも 魚の銅像…!?
- 相野 みと: 森の中に魚…??? なんでここに?
- 十七夜: さあな 意図があるのかないのか…
- 十七夜: しかし…ひっそりと落ち合ったり するには適している
- 桑水 せいか: …じゃあ、彼女たちが言っていた 『魚』って…
- 十七夜: こちらの方だと自分は思う その証拠に…
- 十七夜: さあ、意識を集中して 魔力を感知してみたまえ
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …あっ!
- 桑水 せいか: 今までと同じ感じ…!
- 相野 みと: こっちに、あつこさんたちの 記憶が…!?
- 十七夜: おそらくはな… では…
- 十七夜: 覗いてみるとしようか
- FILENAME: text_520820-6_6HXJQ.txt
- あつこ: 「はぁ…はぁ…はぁ…!」
- あつこ: 「たみちゃん!」
- たみえ: あつこ!?
- あつこ: 「魔女は…どうなってるの!?」
- たみえ: 大丈夫! まだこの湖から動いていない
- たみえ: 3人でかかれば きっとどうにか…
- たみえ: …で、かずよは? まだ来てないの?
- あつこ: 「それが! 襲われたの、私たち!」
- たみえ: 襲われた…って、別の魔女に!?
- あつこ: 「違うの!魔法少女なの!」
- たみえ: …ええっ!? どうして!?
- あつこ: 「わからないけど、突然… それで、かずよちゃんが残って…」
- ???: おやおや、待ち合わせ?
- あつこ: 「あ!…あいつだよ!」
- たみえ: …あいつ…?
- たみえ: …え…?
- たみえ: あんた…団地に住んでる…?
- あつこ: 「知ってるの!?」
- たみえ: 昔、子ども会で 同じ班だったことがあるの
- たみえ: 名前は…や…や…や…
- たみえ: …だめだ、出てこない…
- ???: 私は憶えてるけど 和喜たみえさ~ん
- たみえ: …な、なんなのよ、もう!
- たみえ: …あんたも魔法少女ってこと?
- ???: そーいうこと
- あつこ: 「なんで私たちの邪魔をするのよ!」
- ???: あの湖の魔女を 倒そうとしているから
- たみえ: はぁ? 魔女を倒すのが魔法少女でしょ!
- ???: そうかもしれないけど…
- ???: そうでないかもしれない
- たみえ: …何を言ってるの?
- ???: 湖の魔女は放っておきたくて
- ???: 大東区を…神浜大東団地を 無茶苦茶にするまではね…
- あつこ: 「無茶苦茶に…!?なんでよ!」
- ???: なんでもなにもないわよ 私がそうしたいってだけ
- ???: こんな掃き溜めみたいな町… 魔女にぶっ壊させるのよ!
- ???: …あいつ、それをさせるのに うってつけだしさ!
- ???: ぜーんぶ終わったら 私のクソみたいな人生も
- ???: あいつに食わせてやろうかな~
- たみえ: 訳が…わからない…!
- ???: …はぁ…いいわよね あんたたちは能天気で
- ???: そんなんで楽しそうに 生きていられるんだからさ~
- ???: 羨ましかったよ、正直 子ども会のときからさ…
- あつこ: 「たみちゃん、どうする…!?」
- たみえ: こんな奴無視して 魔女をどうにか…
- たみえ: かずよさえ来れば…!
- ???: …ああ、その子なら 来ないわよ
- ???: 私が始末したから
- あつこ: 「…始末…?」
- たみえ: ま、まさか…かずよを…
- ???: ふふ!あの世行きね!
- ???: …私、魔法少女の殺し方 知ってるからね~
- あつこ: 「嘘だ!私たちを動揺させようと…!」
- たみえ: そ、そうだよ!
- ???: じゃあ、こんなのはどう?
- たみえ: うわっ!
- あつこ: 「こ、これは…かずよちゃんの 風を操る魔法…!?」
- ???: 私はね、他人の魔法を 「保存」して使うことができるの
- ???: だから、あの子の魔法 いただきました~
- ???: …ってことで、信じてくれた? お友だちが死んだこと
- たみえ: そ、そんなこと…!
- あつこ: 「ダメだよ!惑わされちゃ!」
- あつこ: 「あいつがかずよちゃんの 魔法を使えるからって」
- あつこ: 「かずよちゃんが死んだって ことにはならないよ!」
- たみえ: …そ、そうか!うん!
- ???: …はぁ~…面倒くさいな…
- あつこ: 「でも、かずよちゃんが ここにいないのは事実…」
- あつこ: 「魔女は…」
- たみえ: 私がやるしかないね
- たみえ: 私が魔女を“漬物”にするから!
- あつこ: 「…わかった!」
- ???: 知ってる知ってる 封印する魔法でしょ?
- ???: で、そっちは記憶を物に 刻み込む魔法
- ???: どっちも私が 保存してあげるから…!
- たみえ: まずはこいつをどうにかして 次に魔女へ…!
- あつこ: 「うん!」
- あつこ: 「…それと、この記憶…」
- あつこ: 「かずよちゃんに…!」
- FILENAME: text_520820-7_6HXJQ.txt
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: あつこさんたち… どうなったんだろう…
- 桑水 せいか: それについては わかったことがあるの
- 伊吹 れいら: …え?
- 伊吹 れいら: そんな…かずよさんも たみえさんも…あつこさんまで…
- 相野 みと: やっぱり… あの魔法少女に…?
- 十七夜: 今の時点の情報では なんともいえんな
- 桑水 せいか: …整理させてください
- 十七夜: そうだな 確認しよう
- 桑水 せいか: 触れた記憶で出てきた 魔法少女は4名…
- 桑水 せいか: 清見あつこ、和喜たみえ 久宝かずよ、そしてもうひとり…
- 十七夜: 「妨害者」…という ところかな
- 桑水 せいか: そうですね…
- 桑水 せいか: そして、おそらくあつこさんが 記憶を刻み込む魔法少女
- 桑水 せいか: たみえさんは 封じ込めができる魔法少女で
- 桑水 せいか: かずよさんは風を操る魔法少女
- 伊吹 れいら: その…妨害者…は魔法を 保存できちゃうんだよね
- 桑水 せいか: うん…本当かどうかは わからないけど…
- 十七夜: いや、おそらく本当だろう
- 十七夜: 従って清見あつこの 魔法も保存したと見える
- 十七夜: 故に、伊吹君に流れ込んだ 記憶は、妨害者のものでは…?
- 相野 みと: そ、そうかも!
- 桑水 せいか: …確かに…だから罠!?
- 十七夜: うむ
- 伊吹 れいら: え?どういうこと?
- 桑水 せいか: おそらくだけど 魔女は封印できたんだよ
- 桑水 せいか: いや、きっとそう…! だって…
- 十七夜: 先ほど、湖から魔女らしき 魔力の気配が噴き出したからな
- 桑水 せいか: 完全に推論になっちゃうけど…
- 桑水 せいか: 妨害者はたみえさんを 止めることができなかった
- 桑水 せいか: だから、その封印を解くために 罠を仕掛けた…
- 相野 みと: …でも、やったことって湖面に 魔法をぶつけただけだったよね?
- 相野 みと: それくらいなら 自分でもできるんじゃない…?
- 桑水 せいか: それはその通り だけど実際、封印はされていた
- 十七夜: 理由としては…
- 十七夜: 自分ではできない事情があった… あるいは時間経過が必要だった…
- 桑水 せいか: いずれも推論止まりですよね…
- 十七夜: …まあ、この際、そこはあまり 重要ではない
- 十七夜: そもそも、この銅像の罠は
- 十七夜: 記憶を追っている魔法少女に 向けたものだろう
- 十七夜: 手が込んでいる割に 偶発性に頼っているところがある
- 十七夜: 思うに、妨害者は愉快犯タイプの 性格なんだろう
- 十七夜: のろうがそろうがお構いなし ただやりたいことをやる…
- 十七夜: …そういう手合い 心当たりがあるんじゃないか?
- 伊吹 れいら: …あ…
- 桑水 せいか: あります…ね…
- 相野 みと: うん…
- 十七夜: ともかく、魔女は封印されたが 3人は行方不明…
- 十七夜: その魔女も、妨害者が残したと 思われる罠によって解放された…
- 伊吹 れいら: …ごめんなさい…
- 十七夜: これからやることで 挽回すればいい…つまり…
- 十七夜: 魔女を倒す…!
- 伊吹 れいら: …魔女を…
- 桑水 せいか: そうだよ、れいら!
- 相野 みと: で、でも私たちで 倒せるかな…
- 相野 みと: あつこさんたちが 3人揃ってやっとって
- 相野 みと: 言ってた相手だよ…
- 十七夜: ふっ…それは問題ないだろう
- 相野 みと: …え?
- FILENAME: text_520820-8_6HXJQ.txt
- 十七夜: ふっ…それは問題ないだろう
- 相野 みと: …え?
- 十七夜: 君たちは3人だ
- 伊吹 れいら: …そ、それは確かに 頭数は同じですけど…
- 十七夜: そうじゃない
- 十七夜: 君たちは今の大東区の中でも とても強いチームだ
- 十七夜: 心の奥底で通じ合う 素晴らしい連携ができる3人だ
- 伊吹 れいら: 十七夜さん…
- 十七夜: 自分も無論、同行するが 核となる戦力は君たちだ
- 十七夜: 君たち3人組が 魔女を倒すんだ…!
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: せいか、みと!
- 桑水 せいか: やりましょう!
- 相野 みと: うん!
- 十七夜: …覚悟は決まったな では向かうとしよう
- 十七夜: 四方を感知してみてくれ
- 相野 みと: らじゃー!
- 桑水 せいか: はい!
- 伊吹 れいら: むむむむむ…
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …あ!感じるかも!
- 十七夜: 本当か!?
- 伊吹 れいら: さっき、妨害者の記憶に 触れたからかもしれないですが
- 伊吹 れいら: あの記憶に似た 重苦しい気配が…
- 伊吹 れいら: これは…ん?
- 伊吹 れいら: …団地の方角!?
- 十七夜: 団地か…ならば…
- 桑水 せいか: 私ですね! みんな掴まって!
- 桑水 せいか: 渡るよ!
- 伊吹 れいら: こっち!
- 桑水 せいか: 屋上…!
- 相野 みと: …あっ!
- 十七夜: 結界が生まれている…
- 十七夜: 急ごう!
- 桑水 せいか: …こ、これは…!
- …………
- 伊吹 れいら: 前に戦ったこと…あるやつ…!?
- 相野 みと: で、でも、倒したよね…!?
- 十七夜: この団地に巣食う上で まずは姿形を模したのやもな
- 十七夜: 奴もまた、過去の記憶を 頼りにした…といったところか
- 伊吹 れいら: 一度は戦って勝った相手… だったら!
- 伊吹 れいら: ―れいら― 今度もきっと勝つ!
- 桑水 せいか: ―せいか― あつこさんたちの想いを継いで 私たちがきっとこの魔女を…!
- 相野 みと: ―みと― そんで! 神浜大東団地を守ろう!
- みんな: ―みんな― はぁぁぁぁぁーっ!
- FILENAME: text_520820-9_6HXJQ.txt
- <過去より蘇った魔女は…>
- …………
- …………!?
- 伊吹 れいら: やった…!
- 桑水 せいか: 倒せた…
- 相野 みと: …わぁぁぁい!
- 十七夜: …うむ!
- <現代の神浜大東団地を守る 魔法少女たちの活躍により 倒すことができた>
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …どうにか、なったね…
- 伊吹 れいら: …はぁぁぁ~よかった!
- 桑水 せいか: 手強い相手だったけどね…
- 相野 みと: ホントに…
- 相野 みと: それと…ふたりが 仲直りしてくれてよかったよ…
- 伊吹 れいら: …ごめんね
- 桑水 せいか: 私も…
- 相野 みと: …まったく ビックリさせてくれちゃうなぁ!
- 伊吹 れいら: …あはは!
- 桑水 せいか: ふふ…!
- 伊吹 れいら: …だけど…
- 伊吹 れいら: ―れいら― 結局、まだあつこさんたちが どうなったのかは…
- 桑水 せいか: ―せいか― わかってないね…
- 相野 みと: ―みと― それと、あの妨害者も…
- 伊吹 れいら: ―れいら― …あのさ…
- 伊吹 れいら: ―れいら― まだ調べていこうよ 3人のことを
- 桑水 せいか: ―せいか― 私もそう思ってた
- 相野 みと: ―みと― だよね これじゃあ終われないよ…
- 相野 みと: ―みと― なんだか、とっても 寂しい気持ちのままで…
- <しかし、3人による調査は その後も芳しい結果は出せなかった>
- <そんな折に…>
- <団地の再開発計画に動きが出た>
- 相野 みと: …ええーっ!
- 伊吹 れいら: 再開発が…中止!?
- 大竹: そうなんだよ!
- 桑水 せいか: ど、どうしてまた…!?
- 大竹: 不動産デベロッパー…? というのがあってだな…
- 相野 みと: …でべ…ろっぱ?
- 桑水 せいか: 土地とか町を 新たに開発する業者…ですよね?
- 大竹: そうそう!
- 大竹: で、その不動産デベロッパーが 大東区に申し入れをしてな
- 大竹: この団地のリフォーム事業を 手がけることになったんだよ!
- 大竹: 大東区としては破格の条件を 持ち出されたみたいで
- 大竹: 当初予定していた会社から 乗り換えたようだね
- 大竹: これで、神浜大東団地という ガワはそのままで…
- 桑水 せいか: 中身は新しくなる… ということですね!
- 大竹: 住居だけじゃなく、商店街や 公園にも手を入れるとか!
- 大竹: きっと新しい入居者も 増えるに違いない!
- 大竹: しかも、現在の入居者も 希望があれば
- 大竹: なんと無償でリフォームを 行ってくれるそうだ!
- 相野 みと: すごー!
- 大竹: いやー、よかった!
- 大竹: 再開発反対運動もこれで終わり! みんな、本当にありがとうね!
- 伊吹 れいら: いえいえ! 嬉しいです!こんないい結果で!
- 桑水 せいか: それにしても…随分と 太っ腹な業者さんですね
- 桑水 せいか: 会社名は…?
- 大竹: あ、名前は…
- 大竹: 『和喜不動産』だよ
- 桑水 せいか: …え!?
- 伊吹 れいら: …わ…き…
- 相野 みと: わき…わき…わきって…
- 桑水 せいか: い、いやいや…まさか…
- 大竹: 実は今日、ここにその 会長が来られるんだ
- 大竹: どうだい?君たちも一緒に…
- 和喜: 失礼します 和喜不動産の和喜と申します
- 大竹: あ、これはこれは! 私、大竹と申します!
- 和喜: あなたが…そうですか 大変でしたでしょう?
- 大竹: いえいえそんな…
- 和喜: …そちらのお嬢さんたちは?
- 大竹: 反対運動を手伝ってくれた 団地の子どもたちです
- 和喜: 団地の…
- 伊吹 れいら: は、はじめまして…!
- 桑水 せいか: こんにちは…
- 相野 みと: …あ、私は元住民で…
- 和喜: そう…ですか… 団地の…子どもたちが…
- 和喜: う…ううっ…
- 大竹: ど、どうされました…!?
- 和喜: ………… いや…申し訳ない…
- 和喜: …実はね…私… 昔この団地に住んでいたんですよ
- 大竹: …え!? そうだったんですか…!?
- 伊吹 れいら: (まさか…)
- 桑水 せいか: (やっぱり…)
- 相野 みと: (たみえさんの…!?)
- 和喜: 当時私には娘もいた…
- 和喜: それがちょうど 彼女たちくらいの年頃でね…
- 和喜: しかし…ある日突然 行方不明になってしまった
- 大竹: …なんと…
- 和喜: 警察も、もちろん私も妻も 必死に捜しました…
- 和喜: しかし、見つからない… 死体も出てこない…
- 和喜: しかも、娘の友人ふたりも 同じく行方知れずに…
- 伊吹 れいら: …………
- 和喜: 神隠し事件として 騒がれもしましたが…
- 和喜: 子どもの行方不明者は 今でも年間1000人ほどいます
- 和喜: やがて娘の事件は風化し始め 団地でも話がされなくなり…
- 大竹: そうですか… だから私も耳にしなかったのか…
- 和喜: 私は娘との思い出が たくさん詰まったこの団地に
- 和喜: 住み続けることが徐々に 苦痛となり、出て行きました…
- 和喜: それからは仕事に没頭し 今の会社も立ち上げました
- 桑水 せいか: でも…そういう事情がおありで どうして今回の手助けを…?
- 和喜: …時期をほぼ同じくして 行方不明になった娘の友人…
- 和喜: その父親はずっとこの団地に 住み続けましてね…
- 和喜: 先日、亡くなりました ベンチに座ったまま逝ったとか…
- 大竹: そ、それって 清見さんですか?
- 和喜: ご存知でしたか… そうです…
- 和喜: 彼は娘のあつこちゃんが いなくなった後…
- 和喜: 不仲となった奥さんと 離縁してもここに残った
- 和喜: 私と違い、死ぬまで… おそらく娘さんを待ち続けた…
- 相野 みと: …………
- 和喜: 娘を思い出すからと 連絡は絶っていたのですが…
- 和喜: この団地の再開発計画を 耳にした流れで
- 和喜: 彼の死も知りましてね…
- 和喜: 私はなんともいえない 贖罪の気持ちに襲われたのです…
- 和喜: 私は…逃げたんです… 辛い現実から…
- 和喜: 団地を出てしばらくして、妻の 体調が悪くなり、他界しました…
- 和喜: 娘が帰るべき家を捨てたと 彼女は後悔の念に苛まれたんです
- 和喜: 当時は自分の中で否定しましたが やはりそれも私が悪いんです…
- 和喜: 帰ってこようとこまいと 信じて待つべきだった…
- 和喜: だからせめて、この団地は 守ろうと決心したんです
- 和喜: なにをなげうっても この団地は…
- 大竹: そうでしたか… そんな理由が…
- 和喜: …この写真も清見さんに 渡すべきだった…
- 伊吹 れいら: …写真?
- 和喜: 娘宛に、清見さんのお嬢さん から送られてきたんです
- 和喜: 娘が失踪した後に届いたので 何かの手がかりになるかと思い
- 和喜: 私がずっと保管していたのです しかし…後悔先に立たずですが…
- 和喜: 清見さんに譲るべきだった…
- 和喜: 娘さんからの 最後の便りだったのに…
- 伊吹 れいら: …あれ?… この感じって、もしかして…!?
- 桑水 せいか: …だ、だよね?
- 相野 みと: あの写真からだ…!
- FILENAME: text_520820-10_6HXJQ.txt
- 伊吹 れいら: あ、あの!
- 和喜: …なんだい?
- 伊吹 れいら: その写真… 見せてもらってもいいですか?
- 和喜: …ああ、いいよ
- 和喜: 写真自体は、この団地の 公園を映したもので
- 和喜: 特にこれといったものでは ないんだが…
- 和喜: 公園は娘たちが好きで よく集まっていた場所なんだ
- 桑水 せいか: 手紙はなかったんですか?
- 和喜: 写真だけだった…
- 和喜: ただ、裏には一言…
- 和喜: 「未来へ」と書かれていてね
- 和喜: ほら
- 伊吹 れいら: …じゃ、じゃあ…
- 桑水 せいか: 拝見します…
- 相野 みと: …き、緊張してきた…
- 和喜: そんな…身構えなくても… はい
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …………!!
- あつこ: 「見えていますか?」
- あつこ: 「この写真に触れた魔法少女へ」
- あつこ: 「私の名前は清見あつこ」
- あつこ: 「あなたに 伝えたいことがあります」
- <果たして、写真にはあつこの 記憶が刻み込まれていた>
- <あつこは湖の魔女と妨害者との騒動について 簡潔に説明した>
- <その上で…>
- あつこ: 「たみちゃんは、どうにか魔女を封印したけど 力が尽きかけたところで あの魔法少女の手にかかって…」
- あつこ: 「かずよちゃんも、おそらくは、もう…」
- あつこ: 「恥ずかしながら、私はどうにか 逃げ延びることができました…」
- あつこ: 「でも、このままではいられません 私はあの魔法少女を追います」
- あつこ: 「あの子は、きっとまた大東区に… 大東団地に襲い掛かるはずです それを食い止めないと…」
- あつこ: 「それに、何度か戦っている中で あの子の魔法の弱点も見つけました だから、勝機はあるはず…」
- あつこ: 「だけど、もし私がダメだった時… そして、あの子がまだ災いを まき散らしているのであれば…」
- あつこ: 「どうかあなたの手で 止めてもらえないでしょうか?」
- あつこ: 「無茶なお願いは重々承知です だけど、私が倒れた後は 誰かに託すしかないのです」
- あつこ: 「あの子が扱うのは『保存』の魔法 他人の魔法を自分のものにします」
- あつこ: 「だけど、時間的な制限があります 一定時間が経つともう使えません」
- あつこ: 「ただ、わかっているのはここまで… ごめんなさい…」
- あつこ: 「…私は神浜大東団地が大好きです お父さん、お母さん、そしてみんなと 過ごす、楽しい団地の暮らしが…」
- あつこ: 「お願いします…どうか…どうか…」
- あつこ: 「神浜大東団地を守ってください…」
- 伊吹 れいら: …………
- 伊吹 れいら: …うっ…うっ…
- 桑水 せいか: …………
- 相野 みと: うわ~ん!
- 和喜: ど、どうしたんだい? 君たちまで泣き出して…
- 伊吹 れいら: 和喜さん…
- 伊吹 れいら: ありがとうございます… 団地を残してくれて…
- 桑水 せいか: 私たち、繋いでいきます… 昔の人たちの想いを…
- 相野 みと: 元住人だけど、私も!
- 和喜: …そうかい…はは…
- 和喜: ありがとう… ありがとう…
- <人はその場からいなくなっても 『何か』を残していく>
- <そして残された者たちがその『何か』を 拾い上げて誰かと共有したり、手渡したり また新たなものを作り上げたりして 『何か』を残していく>
- <その連続の先に見えてくるのが…>
- <「未来」>
- みたま: それはまた 大変だったわねぇ
- 十七夜: ああ
- みたま: いつの世にも 厄介な魔法少女っているのねぇ
- 十七夜: まったくだな
- みたま: やだやだ…
- 十七夜: …で、今日はやはり…
- 十七夜: マギアレコードの話か
- みたま: …そう こっちも厄介でね…
- みたま: …どうにも不安定なの…
- みたま: おそらく、何らかのタイミングで 内部的には暴走しているのかも…
- 十七夜: 暴走…!?なんと…
- 十七夜: そうなると…
- みたま: ええ…
- みたま: 一時的にでもマギアレコードの 様子を見てきてもらわないとかも
- みたま: いろはちゃんとういちゃんには…
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