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From There to You JP Text

Feb 5th, 2024 (edited)
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  1. FILENAME: text_520810-0.txt
  2. 私たちは、この再開発計画に 断固として反対します!
  3. 大東団地が壊されれば、行き場の なくなる人がたくさん出ます!
  4. 理由はそれだけではありません!
  5. 伊吹 れいら: このチラシに書いてあります! 読んでください!
  6. <ここは神浜市大東区にある 「神浜大東団地」>
  7. 桑水 せいか: あ、はい、どうぞ… ありがとうございます
  8. <全15棟から構成され 敷地内に商業施設も併設されている 神浜市内でも屈指の巨大集合住宅である>
  9. 相野 みと: みなさーん!お願いしまーす!
  10. <しかし、今… この神浜大東団地がなくなろうとしている>
  11. 伊吹 れいら: …………
  12. 伊吹 れいら: (あまり受けとって もらえないな…)
  13. <一部の棟は築年数が50年近くとなっており 建物の老朽化は著しく 住民の減少、老齢化から空き部屋も 多く出始めていた>
  14. 桑水 せいか: (…再開発に対しての反対は やっぱりあまり熱が…)
  15. <そこで大東区は大手不動産開発会社と組み 神浜大東団地を取り壊して その跡地にオフィスビルを中心とした新たな ビジネスエリアを作ろうとしていた>
  16. 相野 みと: ん~! みなさん!お願いしますってば!
  17. <あくまで計画段階なので未確定ではあるものの 長く団地に住む高齢者たちはいち早く反応し 再開発反対運動を展開し始めた>
  18. <団地を愛する住民の少女・伊吹れいらは 親友で同じく住民の桑水せいか 元住民の相野みとに声をかけて この反対運動を手伝うことにした>
  19. 伊吹 れいら: せいか!みと! 商店街の方でも配ろう!
  20. 桑水 せいか: うん…
  21. 相野 みと: いこー!
  22. <こうした騒動のさなか…>
  23. <ある棟の老人が ひそやかな死を遂げた…>
  24.  
  25. [From the opening sequence]
  26. 眠り続けていた“想い”が蘇り
  27. 3人の少女たちを翻弄していく
  28. [Title card] 彼方より、あなたへ〜神浜大東団地の黄昏〜
  29.  
  30. FILENAME: text_520810-1_f0tcn.txt
  31. <ここは再開発反対派が 拠点としている団地内の集会所>
  32. <反対派リーダーにして8号棟の組合長でもある 大竹という老人が代表して借りている>
  33. <ここでは日々、反対運動の計画を練ったり 呼びかけで使うチラシの制作などを 行っており、れいらたちも手伝いとして 最近、頻繁に訪れていた>
  34. 大竹: そうだね…ここに「反対!」と 入れてもらえるかい?
  35. 桑水 せいか: わかりました…はい どうですか?
  36. 大竹: おお、いい感じの チラシになったね!
  37. 伊吹 れいら: それじゃあ、このデータを プリントアウトして…
  38. 相野 みと: コピーして 配ってくるね!
  39. 大竹: いやあ、本当に助かるよ…
  40. 大竹: 私のような年寄りは パソコンとかどうにも苦手で…
  41. 伊吹 れいら: いいんですよ! 任せてください!ね?
  42. 相野 みと: どーんと来い!です!
  43. 桑水 せいか: …………
  44. 桑水 せいか: (…私たちが手伝っても…)
  45. 桑水 せいか: (先行きは厳しいかな…)
  46. <せいかはこの反対運動が おそらくは成功しないと踏んでいた>
  47. <先日、ひょんなことから 団地の敷地内に縄文時代の土器が出土された これにより、再開発の計画は 一時的な延期を余儀なくされた>
  48. <それを好機と見て反対派はより一層 支持を得ようと躍起になっているのだが せいかは冷静に状況を分析していた>
  49. <どの棟も老朽化しているのは明らかで 何かしら有効な手を打たない限りは 建築物としての寿命が間もなく 尽きるであろうことは肌感覚としてわかる>
  50. <ひいては住民の安全にも関わってくる 大東団地は、既に曲がり角を 越えてしまっている… せいかはそう感じていた>
  51. 伊吹 れいら: 今度は3人で手分けして チラシを配らない?
  52. 相野 みと: 確かに…その方が効率的かも!
  53. 桑水 せいか: …そうだね
  54. <とはいえ、自分もこの団地に 愛着は持っているし、なにより れいらとみとが再開発には強く反対している>
  55. <なので、せいかは旗色が悪いとわかりながらも ふたりと共に反対運動を手伝っている>
  56. 桑水 せいか: (…再開発は行われるかも しれないけど…)
  57. 桑水 せいか: (やれるだけのことは やらないと…)
  58. 若者が手伝ってくれて ありがたいねぇ…
  59. 大竹: まったくだよ
  60. …こんなこと言うの 図々しいかもしれないけど…
  61. 大竹: ん?
  62. あの件でも手を 借りたらどう…?
  63. 大竹: あの件…っていうと… 清見さんの件かい?
  64. そう…
  65. 大竹: うーん… こんな若い子たちにかい?
  66. 伊吹 れいら: …あの…なんですか? 清見さん…?
  67. 大竹: ………… …いや…その…
  68. 大竹: 14号棟に清見さんっていう人が 住んでいてね
  69. 大竹: この団地ができて間もない頃に 引っ越してきて…
  70. 大竹: それからずーっと住んできた 古株の住人なんだが…
  71. 大竹: 先日、亡くなったんだ
  72. 大竹: 面識はあるかい?
  73. 伊吹 れいら: 清見さん…?いや…
  74. 桑水 せいか: 存じ上げないです…
  75. 相野 みと: 私も…
  76. 大竹: そうか…やっぱり、そうだろうね なんせ偏屈な人でね
  77. 大竹: ごくわずかの同じ古株住民としか 付き合いがなかった
  78. 大竹: それでね、その清見さんが…
  79. 大竹: 団地内のベンチで座りながら 亡くなっていたんだよ
  80. 伊吹 れいら: え…!?
  81. 大竹: ああ、いや、警察も調べたけど 事件性とかはないんだ
  82. 大竹: 座ったままポックリと 逝ったらしい
  83. 大竹: まあ、悪くない 最期だと思うよ…
  84. 伊吹 れいら: そう…なんですか…
  85. 大竹: で、だね 清見さんは身寄りがないんだ
  86. 大竹: ところが、持っていた財布から 遺言書が出てきたんだ
  87. 桑水 せいか: 財布から…ですか?
  88. 大竹: 小さく折りたたまれていてね 万が一のことを考えていたのかな
  89. 大竹: 内容はとてもシンプルだったが 私にとって少々…ううむ…
  90. 相野 みと: 大竹さんに何か 関りがあるんですか…?
  91. 大竹: 遺品や財産の処分を 私に一任すると書かれていたんだ
  92. 伊吹 れいら: ええっ!? なんでですか…?
  93. 大竹: さっきも言った通り、清見さんは ごくわずかの人付き合いはあった
  94. 大竹: そのひとりが…私なんだ
  95. 桑水 せいか: …いや、でも…だからって…
  96. 大竹: そうなんだよ…
  97. 大竹: まさか私を指名しているとは 思いもよらなかったし…
  98. 大竹: こう言うのもなんだが 正直、厄介事というかね…
  99. 大竹: だけど、遺言は遺言ということで 法的にはどうも私が相続人で…
  100. 大竹: だから、私も腹は括ったんだ 仕方ない、引き受けようと
  101. 大竹: とはいえ、業者に全部任せると お金の方が…なかなかね…
  102. 大竹: だもんで、ある程度自分で やろうと思ったけど、こっちが…
  103. 桑水 せいか: 再開発反対運動、ですね
  104. 大竹: そう…今が大事な時期だろ?
  105. 大竹: どうしても反対運動の方に 時間を割いてしまって
  106. 清見さんの遺品整理が なかなか進まなかったんだ
  107. 大竹: ここの仲間も 手伝ってくれたんだが
  108. 大竹: 私も含めて年寄りなもんだから 重い物とか厳しくて…
  109. 伊吹 れいら: …なるほど! じゃあ、私たちが…
  110. 大竹: 君たちみたいな若い女の子に 見知らぬ人の遺品整理の手伝いを
  111. 大竹: お願いするだなんて 甚だ申し訳ないことなんだが…
  112. 相野 みと: そんなこと!
  113. 伊吹 れいら: やりますよ、私たち!
  114. 桑水 せいか: はい、大丈夫です
  115. 大竹: はー、ありがたい! 本当に助かるよ!
  116. 大竹: …あ、でも親御さんに 話は通さないとだね
  117. 伊吹 れいら: それは私たちから説明します いいよね?
  118. 相野 みと: はーい!
  119. 桑水 せいか: うん
  120. 大竹: いや、重ね重ね 申し訳ないね…!
  121. <こうしてれいらたちは 清見老人の遺品整理を手伝うことになった>
  122. <これが、神浜大東団地の“過去”と 彼女たちが向き合うことになる端緒であった…>
  123.  
  124. FILENAME: text_520810-2_f0tcn.txt
  125. 大竹: さあ、どうぞ …私が言うのもなんだけどね
  126. 伊吹 れいら: お邪魔しま~す…
  127. 大竹: 衣類とかは処分できている 冷蔵庫のものとか食品関係もね
  128. 大竹: それと、水回りも大体終わってる 残りは家電や寝具、家具…
  129. 大竹: あと、押し入れとか 収納に入っているものだね
  130. 大竹: 数は多くないが、本やら雑誌やら 色々と…いや~、紙物は重くて…
  131. 相野 みと: 了解~!
  132. 大竹: ありがとうね…
  133. 桑水 せいか: あの…ちょっと伺っても よろしいですか?
  134. 大竹: なんだい?
  135. 桑水 せいか: 清見さんって どういう方だったんですか…?
  136. 桑水 せいか: すみません、何も知らないのも ちょっとアレかなと思って…
  137. 大竹: そうだよね 整理する物の持ち主だもんね
  138. 大竹: 私が知り得る限りのことは 説明させてもらうよ
  139. 桑水 せいか: ありがとうございます
  140. 大竹: …だけど、私も実のところ そこまで彼を知らないんだ
  141. 大竹: あまり自分のことを語らない 人だったんでねぇ
  142. 桑水 せいか: そうですか…
  143. 大竹: ともかく、前にも言った通り 非常に古株の住民だったんだ
  144. 大竹: 大東団地ができた直後くらいに 入居したみたいでね
  145. 大竹: 私は彼よりも少し 後にここへ越してきたんだが…
  146. 大竹: その頃には既に彼は ひとりで暮らしていた
  147. 大竹: しかしね、どうやら以前は 家族がいたらしいんだ
  148. 伊吹 れいら: 『いた』ってことは…
  149. 大竹: 離婚したそうだ ある日、ぼそっと教えてくれたよ
  150. 大竹: どういう事情があったのかまでは 教えてくれなかったけどね
  151. 大竹: 私もそれ以上は聞けなかった
  152. 桑水 せいか: …………
  153. 大竹: 日本の景気が 良くなっていくに従って
  154. 大竹: 団地住人の入れ替わりも 多くなった
  155. 大竹: でも、清見さんはずっと ここに住み続けていた
  156. 大竹: ひとりでね…
  157. 相野 みと: …ずっと、ひとり…
  158. 桑水 せいか: その、別れたご家族と連絡は…
  159. 大竹: いやぁ…さっぱり… 連絡先も全然わからないんだ
  160. 大竹: 昔、なんとなく 耳に入ってきた話では
  161. 大竹: 娘さんがいたとかいないとか… すまない、まったく定かでは…
  162. 伊吹 れいら: …あ…!
  163. 伊吹 れいら: …こういうの、あんまり なんというか…
  164. 伊吹 れいら: 失礼なことなのかも しれないんですけど…
  165. 伊吹 れいら: 遺品整理していたら わかってくるかも…?
  166. 大竹: …………
  167. 大竹: …そうだねぇ… それはそうかもしれんな…
  168. 大竹: 本やらの紙関係は まだ手をつけていないが…
  169. 大竹: その辺に情報はありそうだね
  170. 伊吹 れいら: …ただ、亡くなった方の私生活を 暴くような行為になるので…
  171. 大竹: いやいや、それで離れた奥さんの 連絡先や娘さんのことがわかれば
  172. 大竹: 清見さんが亡くなったことも 伝えることができる
  173. 大竹: …まあ、それをするかしないかは また別に考えるべきだが…
  174. 大竹: ともかく、知っておいていい 情報だとは思うよ、私は
  175. 伊吹 れいら: …そう、ですか
  176. 桑水 せいか: 私も同意見だよ、れいら
  177. 相野 みと: 私も!
  178. 伊吹 れいら: …うん!
  179. 大竹: さあ、では始めようか!
  180. <そして、清見老人の遺品整理が 始まり、間もなくすると…>
  181. 伊吹 れいら: …あ、これ…
  182.  
  183. FILENAME: text_520810-3_f0tcn.txt
  184. 伊吹 れいら: …あ、これ…
  185. 伊吹 れいら: アルバムとか…ノートとか…
  186. 大竹: おお!どれどれ ちょっと出してみよう
  187. 大竹: …あ~、このアルバム ほとんど写真がないな…
  188. 桑水 せいか: というか、風景ばかりで 人が全然写ってないですね…
  189. 相野 みと: 昔の団地…の写真かな?
  190. 伊吹 れいら: ノートにもほとんど 何も書かれていない…
  191. 伊吹 れいら: こっちは…
  192. 伊吹 れいら: …えっ!?
  193. 伊吹 れいら: (微妙だけど…この感じ…)
  194. 伊吹 れいら: (…魔力…!?)
  195. 伊吹 れいら: …………
  196. 伊吹 れいら: せいか、みと!
  197. 相野 みと: え!?どうしたの、急に?
  198. 伊吹 れいら: 私が今持っている本から 魔力を感じるの…微かに…
  199. 桑水 せいか: 魔力!?
  200. 伊吹 れいら: とりあえず、開いてみるね…
  201. 桑水 せいか: あ、待って! 大竹さんもいるし…!
  202. 伊吹 れいら: うっ…!
  203. ???: …本当に魔法が使えるだなんて…
  204. ???: おとぎ話みたい…!
  205. ???: すごい…すごい! すごすぎるよ!
  206. 伊吹 れいら: …え?…
  207. 伊吹 れいら: 今のは…
  208. 桑水 せいか: ちょっと! れいら、大丈夫!?
  209. 伊吹 れいら: あ…う、うん…
  210. 相野 みと: ホントに!? なんか、ボーっとしてるよ?
  211. 伊吹 れいら: …それは…
  212. 大竹: どうしたんだい? れいらちゃん
  213. 伊吹 れいら: …い、いや、その…
  214. 大竹: …それは…
  215. 大竹: …“日記”…かな?
  216. 伊吹 れいら: …日記…?
  217. 伊吹 れいら: ホントだ…
  218. 大竹: な、なんて書いてあるんだい!?
  219. 大竹: これは清見さんを知る上で 重要な手掛かりになるかも…!
  220. 伊吹 れいら: そ、そうですね…!
  221. 伊吹 れいら: えっと…
  222. 〇月×日 うれしいな、うれしいな こんなことが本当に起きるなんて まるで夢を見ているよう でもこれは現実なんだ
  223. 伊吹 れいら: …………
  224. 大竹: …う~ん、具体性に欠ける 内容だな…
  225. 大竹: ちょっと私に 読ませてもらえるかい?
  226. 伊吹 れいら: あ、どうぞ…
  227. 大竹: ふーむ…
  228. 大竹: …………
  229. 大竹: …う~ん… 筆跡は幼い…
  230. 大竹: やはり清見さんには子どもが いたのかもしれん
  231. 大竹: この日記だけでは断定できんがね
  232. 大竹: ただ、どれも曖昧な…というか ぼかしてるような書き方だな…
  233. 桑水 せいか: …誰かに見られてしまうかも しれないことを前提にしてる…?
  234. 大竹: …んん?どういうことだい?
  235. 桑水 せいか: つまり、ですね… あくまで推理ですけど…
  236. 桑水 せいか: 日記がどうしても誰かに 読まれてしまう可能性がある
  237. 桑水 せいか: だから、自分だけがわかるような 書き方にあえてしている…とか?
  238. 大竹: ほう!なるほど…
  239. 伊吹 れいら: …………
  240. 伊吹 れいら: …あの~…
  241. 伊吹 れいら: ちょっと、お願いが…
  242.  
  243. FILENAME: text_520810-4_f0tcn.txt
  244. みたま: …で…
  245. みたま: 大竹さんにお願いして 日記を借りた、と…
  246. 伊吹 れいら: はい
  247. みたま: あなた、他のページは 開いてないのね?
  248. 伊吹 れいら: あれ以上何かあったら さすがにマズいと思って…
  249. みたま: まあ、妥当な判断ね
  250. みたま: …う~ん…
  251. みたま: 確かにこの日記から 魔力を感じるわねぇ…
  252. 伊吹 れいら: どうですか? 調整屋さんなら何か…
  253. みたま: …いや、その程度しか わからないわ
  254. 桑水 せいか: 魔力がある…ということのみ?
  255. みたま: そうねぇ
  256. みたま: ただ…ちょっと あなたを見させてもらうわ
  257. 伊吹 れいら: え?私?
  258. みたま: いい?
  259. 伊吹 れいら: ど、どうぞ…
  260. みたま: …………
  261. みたま: …うん…やっぱりね
  262. 相野 みと: なにが『やっぱり』 なんですか!?
  263. みたま: おそらく、記憶の流入が あったんじゃないかしら?
  264. 伊吹 れいら: 記憶の…流入…?
  265. みたま: つまり、この日記には魔法により 誰かの記憶が収められていて…
  266. みたま: 魔力を感じることができる 魔法少女…
  267. みたま: つまり、れいらちゃんが 触ったことでその記憶を見た…
  268. みたま: あなたの中を探ってみたけど そういう痕跡があったの
  269. みたま: 何か有害な魔法というわけでも なさそうね
  270. みたま: 言ってみれば、この日記に 保存された映像データを見た…
  271. みたま: そんなところじゃないかしら
  272. 伊吹 れいら: じゃ、じゃあ! 清見さんの娘は魔法少女で…!
  273. 伊吹 れいら: その流入した記憶で 私が見た人こそ、その…!
  274. 桑水 せいか: 待って そう断定するのは早いかも
  275. 伊吹 れいら: …え?なんで…?
  276. 桑水 せいか: 確かに、この魔法をかけたのは 魔法少女だと私も思う
  277. 桑水 せいか: だけど、れいらが 見た人っていうのが
  278. 桑水 せいか: 清見さんの娘であるかどうかの 確証があるわけじゃない
  279. 桑水 せいか: そもそも、疑うわけじゃないけど まだれいらしか見てないのよ
  280. 伊吹 れいら: それは…確かに…
  281. みたま: ごもっともね~
  282. みたま: とりあえず、他のページも 調べてみたらどう?
  283. みたま: 何かあったら わたしがフォローするし
  284. 伊吹 れいら: …わかりました…!
  285. 桑水 せいか: 今度は私も
  286. 相野 みと: 私もだよ!
  287. 伊吹 れいら: うん…じゃあ、一緒に!
  288. ???: …本当に魔法が使えるだなんて…
  289. ???: おとぎ話みたい…!
  290. ???: すごい…すごい! すごすぎるよ!
  291. ???: 「え?見えたの?」
  292. ???: 見えたよ、見えた!
  293. ???: 記憶の封印、成功だよ、あつこ!
  294. 伊吹 れいら: …ん…
  295. 桑水 せいか: …これが… れいらに流入した…
  296. 相野 みと: 記憶、なんだね…!
  297. 伊吹 れいら: しかも、私が前に見たのは 途中までだったみたい…!
  298. 伊吹 れいら: あつこ…とか言ってたよね?
  299. 桑水 せいか: うん…!
  300. 相野 みと: その、あつこさんが もしかしたら清見さんの…?
  301. 伊吹 れいら: ほ、他のページも 見て大丈夫ですか…?
  302. みたま: 100%の保証はできないけど…
  303. 伊吹 れいら: ここまできたら やってみないことには…!
  304. みたま: そうなるわよね…
  305. 伊吹 れいら: じゃあ…!
  306. 伊吹 れいら: …………
  307. 伊吹 れいら: …あれ?
  308. 桑水 せいか: …うん?…
  309. 相野 みと: …ダメだね… 何も見えてこないや…
  310. 伊吹 れいら: あれだけだったの…?
  311. みたま: わたしにはわからないわ ただ、本人の魔法であれば
  312. みたま: 1回きりじゃなくて 何回か使ってるって考えた方が
  313. みたま: 自然だと思うわ
  314. 桑水 せいか: やっぱり、そうですよね…
  315. みたま: ええ…
  316. みたま: だから、続きがある可能性は 今も否めないわね
  317.  
  318. FILENAME: text_520810-5_f0tcn.txt
  319. みたま: だから、続きがある可能性は 今も否めないわね
  320. みたま: 確かに、この日記には 1つの記憶だけ
  321. みたま: だけど、きっと他にも 記憶は保存されていると思うわ
  322. 桑水 せいか: 他…ですか?
  323. みたま: この魔法は「物質」に 対して記憶を封印する類のもの
  324. みたま: …ってわたしは思うの れいらちゃんを診た感じね
  325. みたま: だから、探せばまだ 出てくるかもしれないわ
  326. 伊吹 れいら: そうですね…!
  327. 桑水 せいか: だけど、そうだとして どうやって探せば…
  328. みたま: 魔法に触れたあなたたちなら 探知もしやすくなっているはずよ
  329. みたま: 魔力パターンを実際に 知ってるわけだからね
  330. 相野 みと: おおっ!
  331. みたま: あとは、まあ…
  332. 伊吹 れいら: 『どこを探すか』…か~
  333. 相野 みと: 闇雲に探すのも大変だしね
  334. 桑水 せいか: いや、でも、やるんだったら しらみ潰しっていうのが確実よ
  335. 桑水 せいか: …でも、そもそも…
  336. 桑水 せいか: 調べる必要、ある…?
  337. 伊吹 れいら: …え? そりゃだって…
  338. 伊吹 れいら: せいかは気にならないの? 封印された記憶
  339. 桑水 せいか: 気になることは気になるけど…
  340. 伊吹 れいら: みとは?
  341. 相野 みと: まあ…私も…
  342. 伊吹 れいら: それに、清見さんの家族に 繋がるかもしれないんだよ?
  343. 桑水 せいか: …冷たい言い方するようだけど そこまで私たちが介入するべき?
  344. 桑水 せいか: なんか、よくわからない 話に首を突っ込んでる気がして…
  345. 伊吹 れいら: …そう…かもしれない…
  346. 伊吹 れいら: ただ、清見さんのことは もちろんなんだけど…
  347. 伊吹 れいら: 私、この件、どうしても 調べたい気持ちがあって…
  348. 桑水 せいか: …魔法少女の記憶、だから?
  349. 伊吹 れいら: うん…
  350. 伊吹 れいら: この団地には私たちの世代よりも もっと前から魔法少女がいて
  351. 伊吹 れいら: その人たちが 一体何をしていたのか…
  352. 伊吹 れいら: 私たちと同じように 魔女と戦ったんだろうね
  353. 伊吹 れいら: それに、同じような悩みだって あったかもしれない…
  354. 桑水 せいか: …………
  355. 相野 みと: …………
  356. 伊吹 れいら: 知ってどうするって言われれば それまでかもしれないけど…
  357. 伊吹 れいら: 理屈じゃないんだ… 気持ちが止められないの!
  358. 伊吹 れいら: だから、私からのお願い! 手伝ってよ!ね?
  359. 桑水 せいか: う~ん…
  360. 伊吹 れいら: みともさ!
  361. 相野 みと: …私は…うん…いいよ
  362. 相野 みと: れいら、こうなると 何がなんでもやり通すしね…!
  363. 桑水 せいか: …………
  364. 桑水 せいか: …わかった…私も…
  365. 伊吹 れいら: ありがとー!
  366. 相野 みと: …で、話は戻るけど どこから探すの?
  367. 伊吹 れいら: そうだねぇ…
  368. 伊吹 れいら: 日記から始まって… 次は…
  369. 伊吹 れいら: …あ…
  370. 伊吹 れいら: …そうか!
  371. 相野 みと: わっ! 急に日記を読みだして…!?
  372. 桑水 せいか: ど、どうしたの…?
  373. 伊吹 れいら: …あった!ここに行こう!
  374. 伊吹 れいら: 着いた!
  375. 相野 みと: 団地内の公園だけど 私たちが普段来ない方だよね
  376. 伊吹 れいら: そ!14号棟寄りの公園ね なぜ来たかというと…
  377. 〇月×日 いつもの公園でいつものメンツ よもやま話に花が咲く
  378. 変わらない空気に変わらない時間 このふたりといれば大丈夫
  379. 伊吹 れいら: …って書かれてるから!
  380. 桑水 せいか: 日記の内容を取っ掛かりに したっていうわけね
  381. 伊吹 れいら: そういうこと!
  382. 伊吹 れいら: …あ!ほらほら!
  383. 相野 みと: むずっときた!
  384. 桑水 せいか: 同じ魔力パターン…!?
  385. 伊吹 れいら: …あそこだよ、多分! あのベンチ!
  386.  
  387. FILENAME: text_520810-6_f0tcn.txt
  388. 相野 みと: むずっときた!
  389. 桑水 せいか: 同じ魔力パターン…!?
  390. 伊吹 れいら: …あそこだよ、多分! あのベンチ!
  391. 伊吹 れいら: 行ってみよう!
  392. 伊吹 れいら: よーし…じゃあ、触るよ?
  393. 相野 みと: う、うん!
  394. 桑水 せいか: …いいよ
  395. 伊吹 れいら: …せーの!
  396. ???: ついに私もなっちゃった… 魔法少女に!
  397. ???: これで3人とも契約したね!
  398. ???: ホント、すごいことだよ!
  399. ???: 小さい頃に見ていた紙芝居でさ 魔法使いが活躍するお話が…
  400. ???: 「『虹色の魔法使い』でしょ! 私、大好きだった!」
  401. ???: そうそう!
  402. ???: その魔法使いに 私たちが…ビックリ仰天だよ~!
  403. ???: あとでさ 一緒に早変わりしてみようよ!
  404. ???: 「いいね!やってみよう!」
  405. ???: 「…あのさ…」
  406. ???: なに?
  407. ???: 「私たちで守ろうね…」
  408. ???: 「魔女から、この団地を…」
  409. 伊吹 れいら: …み、見えた…?
  410. 相野 みと: …うん…!
  411. 桑水 せいか: 見えたわ…
  412. 伊吹 れいら: 正解じゃない…!?
  413. 伊吹 れいら: 日記に書かれている場所を 追っていけば記憶がある…!
  414. 伊吹 れいら: きっとそうだよ!
  415. 桑水 せいか: 待って、れいら それは…
  416. 相野 みと: …3人とも契約したって 言ってたよね…
  417. 相野 みと: あんな無邪気に…
  418. 伊吹 れいら: …あ…
  419. 伊吹 れいら: …そう…だったね…
  420. 桑水 せいか: …魔女から団地を 守るとも言ってたわ
  421. 桑水 せいか: 同じだね 私たちがやっていることと…
  422. 伊吹 れいら: …うん…
  423. 桑水 せいか: それと…
  424. 桑水 せいか: 小さい頃に見た紙芝居…とも 言ってたよね?
  425. 桑水 せいか: だから、この記憶、だいぶ昔の ものだっていうのは…
  426. 伊吹 れいら: 確かっぽいね!
  427. 桑水 せいか: 私たちが見た2つの記憶から…
  428. 桑水 せいか: まず、主観視点の人物が 「あつこ」って人かな
  429. 桑水 せいか: そのあつこさんには2人の 友だちがいて、皆で魔法少女に…
  430. 相野 みと: そして、魔女と戦っている…
  431. 桑水 せいか: そうね…
  432. 伊吹 れいら: …よし、次!次を探そう!
  433. 伊吹 れいら: えっと、日記には…
  434. 伊吹 れいら: …あっ、ここかな!?
  435.  
  436. FILENAME: text_520810-7_f0tcn.txt
  437. 〇月×日 14号棟の屋上から遠くを見る この方角の先には、あの湖がある
  438. あそこは私のお気に入りの場所なんだけど 湖の上の空だけ、なんだかどんよりしていて どこか恐ろしさを感じる
  439. 伊吹 れいら: …ここだね
  440. 桑水 せいか: うん、感じる…
  441. 相野 みと: あそこの手すりあたり…?
  442. 伊吹 れいら: だね…
  443. 伊吹 れいら: …いい?
  444. 桑水 せいか: うん…
  445. 相野 みと: …待って!
  446. 伊吹 れいら: どうしたの?
  447. 相野 みと: …なんだか、胸騒ぎがするの…
  448. 桑水 せいか: みとも? 実は、私も…
  449. 伊吹 れいら: …同じく…
  450. 伊吹 れいら: そ、それでも! 私は…!
  451. 桑水 せいか: わかってる
  452. 相野 みと: …大丈夫…
  453. 伊吹 れいら: …じゃ、じゃあ…
  454. 伊吹 れいら: …ん!
  455. あつこ: 「かずよちゃんは!?」
  456. ???: もうすぐ来ると思う! それにしても…
  457. ???: なんて禍々しい魔女なの…
  458. あつこ: 「か、勝てるかな…?」
  459. ???: やるしかないよ… 私たちが団地を守らないと…!
  460. ???: ま、まあ任せてよ!
  461. ???: 私が昨日観たお芝居みたいに ババッと斬り伏せちゃうから!
  462. あつこ: 「…ふふ!よっ!女剣士のたみえ!」
  463. たみえ: …あはは!
  464. たみえ: …ふぅ…
  465. たみえ: あつこ、記憶は残してくれてる?
  466. あつこ: 「うん」
  467. たみえ: …もし、私たちがあの魔女に 勝てなかったとしても…
  468. あつこ: 「たみちゃん!」
  469. たみえ: その可能性も考えおかないと!
  470. たみえ: …あつこの記憶が残っていれば また誰かが戦ってくれるかも…
  471. たみえ: 最悪でも、あの魔女を私が “漬物”にしちゃわないと…!
  472. あつこ: 「…………」
  473. たみえ: でも、まずは3人揃わないと 話にならないだろうね…
  474. たみえ: そうでなきゃ きっと対抗すらできない…!
  475. 伊吹 れいら: …………
  476. 桑水 せいか: …………
  477. 相野 みと: …魔女と…
  478. 伊吹 れいら: …うん… 戦う前の記憶だろうね…
  479. 桑水 せいか: 悲壮な覚悟を感じたわ…
  480. 伊吹 れいら: あつこさんと…たみえさん? どうなっちゃったんだろう…
  481. 相野 みと: …あつこさんの記憶って…
  482. 桑水 せいか: うん…
  483. 桑水 せいか: 最初は楽しい思い出の 記録みたいな印象だったけど…
  484. 桑水 せいか: どうもそれだけじゃ ないような感じね…
  485. 桑水 せいか: あと、気になったのは 『漬物』って言葉…
  486. 桑水 せいか: 額面通りに受け取って 推測すれば、おそらく…
  487. 伊吹 れいら: あ、待って! …感じない…?
  488. 相野 みと: …んん!ホントだ!
  489. 桑水 せいか: まだ他の記憶が、ここに…!?
  490. 伊吹 れいら: こっち…かな…?
  491. 相野 みと: …ここだ!この位置!
  492. 桑水 せいか: 何が…見えるの…!?
  493. あつこ: 「…あの場所に…」
  494. あつこ: 「あの…場所に…」
  495. 伊吹 れいら: …え…?
  496. 伊吹 れいら: …あの…場所…?
  497.  
  498. FILENAME: text_520810-8_f0tcn.txt
  499. <屋上で流れ込んできたあつこの記憶は れいらたちに大きな衝撃を与えた>
  500. <当初はこの調査に消極的だったせいかも 真相を究明したい気持ちが強くなり 日を跨いでからも記憶探しは続けられる>
  501. <…はずだったのだが…>
  502. 伊吹 れいら: あつこさんたちの身辺?
  503. 桑水 せいか: そう
  504. 桑水 せいか: 魔法で残された記憶だけじゃなく 実際に残っている足跡も調べるの
  505. 桑水 せいか: つまり 裏取り調査ってやつね
  506. 相野 みと: 刑事ドラマで聞いたことある!
  507. 伊吹 れいら: そっか…確かに必要だね
  508. 伊吹 れいら: じゃあ、どこから始める?
  509. 桑水 せいか: やっぱり、起点となっている 清見さんかな
  510. 桑水 せいか: 日記があったことから 清見さんに娘がいるかもと
  511. 桑水 せいか: 私たちは考えているけど それは正しいのかどうか
  512. 桑水 せいか: まずはこれをクリアにしよう
  513. 相野 みと: ボス、聞き込みですか? 張り込みですか?
  514. 桑水 せいか: あのね…
  515. 桑水 せいか: そもそも、聞き込みするにしても 対象がいないでしょ?
  516. 伊吹 れいら: 清見さんは孤独だったって 大竹さん、言ってたもんね…
  517. 桑水 せいか: だから、今の団地から 情報を得るという線は薄い…
  518. 桑水 せいか: 戸籍も私たちが 見ることなんてできないし…
  519. 相野 みと: …あれ?早くも手詰まり…!?
  520. 桑水 せいか: …だから…
  521. 桑水 せいか: 地道なやり方でいこう
  522. 伊吹 れいら: あの~…
  523. いくらその… 卒業アルバムの研究だっけ?
  524. そんな自由課題のためだからって 個人情報だからねぇ
  525. 外部の人には 貸出できないよ
  526. 伊吹 れいら: …そうですか…
  527. 桑水 せいか: では、清見という生徒に 心当たりは…?
  528. きよみ?さぁ~… 私は受け持ったことないね
  529. 桑水 せいか: …わかりました
  530. 桑水 せいか: 突然押しかけて あれこれ聞いてしまい
  531. 桑水 せいか: 申し訳ありませんでした
  532. はい、じゃあこれで
  533. …あ、課題のテーマ 変えた方がいいと思うよ
  534. 桑水 せいか: この学校も 正面突破は無理か…
  535. 相野 みと: 団地周辺の小中学校は もうここで行き尽くした?
  536. 伊吹 れいら: そうなるかな…
  537. 伊吹 れいら: かくなる上は! 夜中にこっそり侵入して…
  538. 相野 みと: なんかそれは ダメなんじゃない…?
  539. 伊吹 れいら: 泥棒するわけじゃないし!
  540. 桑水 せいか: どうしよう…
  541. 桑水 せいか: …………
  542. 桑水 せいか: …ええええーっ!?
  543. 伊吹 れいら: わっ!びっくりした…! どうしたの、突然!
  544. 桑水 せいか: あ、あれを見て!
  545. 相野 みと: あれって…?
  546. 桑水 せいか: だから、あれ!
  547. 伊吹 れいら: …んん~?
  548. 伊吹 れいら: …卒業制作の絵?
  549. 相野 みと: 『〇×〇×年度卒業』… 随分古いね
  550. 桑水 せいか: 絵を描いた生徒の名前が 添えられてるでしょ!?
  551. 桑水 せいか: そこ!
  552. 桑水 せいか: …「清見あつこ」…!
  553. 伊吹 れいら: 清見…?
  554. 伊吹 れいら: …えっ!?
  555. 相野 みと: …ホントだ!書かれてる!
  556. 桑水 せいか: あと、たみえとかずよも 捜して!
  557. 伊吹 れいら: …あったよ! 『和喜たみえ』!
  558. 相野 みと: 『久宝かずよ』も!
  559. 伊吹 れいら: やっぱり…3人は 実在した魔法少女だったんだ…!
  560. 桑水 せいか: うん!そう…
  561. 桑水 せいか: …………
  562. 桑水 せいか: (…いや…でも…)
  563.  
  564. FILENAME: text_520810-9_f0tcn.txt
  565. 伊吹 れいら: …ということで…
  566. 伊吹 れいら: 清見さんに娘さんはいた!
  567. 相野 みと: うんうん!
  568. 桑水 せいか: …………
  569. 桑水 せいか: ごめん、それは早いかも
  570. 桑水 せいか: 可能性はとっても高まったけど 確定までは至ってないと思う
  571. 伊吹 れいら: …え~!
  572. 桑水 せいか: たまたま同姓同名だった からかもしれないし
  573. 伊吹 れいら: そんなことあるかなぁ…?
  574. 桑水 せいか: 私はもっとこの裏取り調査を 続けるべきだと思う
  575. 桑水 せいか: 確定したと言えるまでね
  576. 伊吹 れいら: 待って待って!
  577. 伊吹 れいら: あのね、私、ずっと 気になっていることがあるの…
  578. 伊吹 れいら: ここで見たでしょ? 魔女と戦おうとしていた記憶
  579. 桑水 せいか: それって、今の話に関係ある?
  580. 伊吹 れいら: 関係なくはないよね? 記憶に関わることでもあるし
  581. 伊吹 れいら: あの3人を知る上では 重要な手がかりだと思う
  582. 桑水 せいか: …………
  583. 伊吹 れいら: …でね…
  584. たみえ: …あつこの記憶が残っていれば また誰かが戦ってくれるかも…
  585. たみえ: 最悪でも、あの魔女を私が “漬物”にしちゃわないと…!
  586. あつこ: 「…………」
  587. たみえ: でも、まずは3人揃わないと 話にならないだろうね…
  588. たみえ: そうでなきゃ きっと対抗すらできない…!
  589. 伊吹 れいら: あの『漬物』って言い方
  590. 伊吹 れいら: せいか 引っ掛かっていたでしょ?
  591. 桑水 せいか: …それは…そうだけど…
  592. 伊吹 れいら: 私もどういう意味か わかった気がする
  593. 相野 みと: …実は、私も…
  594. 伊吹 れいら: 『漬物』…つまり…
  595. 伊吹 れいら: 閉じ込めたとか封じ込めたって ことなんじゃないかな…どう?
  596. 桑水 せいか: …かもね ただ、あくまで推測だけど…
  597. 伊吹 れいら: だったら、まだ魔女は 倒されていなくて
  598. 伊吹 れいら: どこかで封じ込められている かもしれないってことでしょ?
  599. 桑水 せいか: あの3人が倒している 可能性もあるよ
  600. 伊吹 れいら: でも、せいかはその3人が 実在しているか
  601. 伊吹 れいら: 怪しんでいるんでしょ?
  602. 桑水 せいか: それを言ったら 魔女のことだって…!
  603. 伊吹 れいら: …せいか…ちょっと最近 ネガティブすぎるよ
  604. 桑水 せいか: …どういう意味
  605. 伊吹 れいら: 再開発の反対運動も なんかテンション低いし…
  606. 相野 みと: あ…ちょっと、れいら…
  607. 桑水 せいか: …あのね…
  608. 桑水 せいか: じゃあ、この際 ハッキリ言わせてもらうけど…
  609. 桑水 せいか: 再開発反対運動も 勝ち目はないよ
  610. 伊吹 れいら: …なにそれ…
  611. 相野 みと: せ、せいか…!
  612. 桑水 せいか: この団地、老朽化はしてるし 住んでる人も減ってる!
  613. 桑水 せいか: 今のままってわけには いかないとこまできてるよ!
  614. 伊吹 れいら: だから なくなってもいいってわけ!?
  615. 桑水 せいか: 違う!ただ反対するだけじゃ なくて別の方法を…!
  616. 伊吹 れいら: 『ただ反対する』って 言い方、ひどくない!?
  617. 伊吹 れいら: みんな団地を守ろうと 必死なのにさ!
  618. 桑水 せいか: 揚げ足取らないで! 私だってこの団地のこと…!
  619. 相野 みと: ス、ストップストップ!
  620. 伊吹 れいら: ―れいら― …むぅ~!…
  621. 桑水 せいか: ―せいか― …………
  622. 相野 みと: ―みと― あわわ…!
  623. 桑水 せいか: ―せいか― …もういいわ…
  624. 桑水 せいか: ―せいか― …とにかく、裏取りは 続けた方がいいと私は思うけど
  625. 伊吹 れいら: ―れいら― …私は魔女の方が気になるから
  626. 桑水 せいか: ―せいか― …そう
  627. 桑水 せいか: …じゃあね
  628. 伊吹 れいら: …私も帰る…
  629. 相野 みと: ちょ…!ふたりともー!
  630.  
  631. FILENAME: text_520810-10_f0tcn.txt
  632. 相野 みと: はぁぁぁぁ~…
  633. 相野 みと: (ふたりがあんな 喧嘩するなんて…)
  634. 相野 みと: (小さい頃にはあったけど 昔と今じゃ迫力が…)
  635. 相野 みと: (しかも、協力して調べなきゃ いけないタイミングで…)
  636. 相野 みと: …どうしよう…
  637. 相野 みと: はぁぁぁぁ~…
  638. ???: 「どうした?やけに深いため息だが」
  639. 相野 みと: …へっ!?
  640. 相野 みと: …あ!なぎたーん!
  641. 十七夜: 久しぶりだな、相野君
  642. 相野 みと: ホント、久しぶり~! うれし~!
  643. 十七夜: 自分も喜ばしいが… 先ほどは浮かない顔をしてたな?
  644. 相野 みと: …あ…
  645. 十七夜: 何かあったのか?
  646. 相野 みと: …うう…
  647. 相野 みと: …実はね!
  648. 十七夜: そうか…あのふたりが…
  649. 相野 みと: 私、ビックリしちゃって ただおろおろするだけで…
  650. 相野 みと: …こうなったら 私の心を繋げる魔法で…!
  651. 十七夜: それはどうかな
  652. 相野 みと: …………
  653. 相野 みと: …まあ、ダメだよね…
  654. 十七夜: 当人たちがもう一度話をして 解決すべき問題だろう
  655. 十七夜: 少し頭を冷やせば 落ち着くはずだ
  656. 十七夜: まずは時が経つのを待て
  657. 相野 みと: うん…
  658. 十七夜: …しかし… 過去の魔法少女の記憶か…
  659. 十七夜: 魔女の件も含め 自分も気になるな
  660. 十七夜: …どうだ?相野君 自分と組まないか?
  661. 相野 みと: え?どういうこと…?
  662. 十七夜: 君も伊吹君か桑水君のどちらかに ついてしまうのは…
  663. 相野 みと: …そ、それはちょっと…
  664. 十七夜: であれば、自分と組んで その記憶の調査をしよう
  665. 十七夜: なにはともあれ 真相究明が第一ではあるが
  666. 十七夜: 新たな材料が見つかれば それがきっかけとなって
  667. 十七夜: ふたりが近づく場面も 作れるかもしれないだろ?
  668. 相野 みと: …そ、そうだね!
  669. 十七夜: …あともうひとつ…
  670. 十七夜: 気になることがある
  671. <翌日…>
  672. 桑水 せいか: …………
  673. 桑水 せいか: …ふぅ…
  674. 桑水 せいか: (明らかに…)
  675. 桑水 せいか: (言いすぎちゃったぁぁぁ…!)
  676. 桑水 せいか: (知らない内にストレスを 溜めてたのかな…)
  677. 桑水 せいか: (もっと早く正直に自分の 考えを伝えるべきだったなぁ…)
  678. 桑水 せいか: (れいら…)
  679. 桑水 せいか: (謝らなくちゃ…)
  680. 桑水 せいか: …………
  681. 桑水 せいか: …ん!
  682. 桑水 せいか: (あった…)
  683. 桑水 せいか: (この調べ方も 言い出しにくかった…)
  684. 桑水 せいか: (ふたりに強いるのは ちょっと酷だったかもだし…)
  685. 桑水 せいか: (ひとりでよかったかも… せめてもの怪我の功名、かな…)
  686. 桑水 せいか: …………
  687. 桑水 せいか: (『大東区で行方不明と されている少女は…』)
  688. 桑水 せいか: (『久宝かずよ』…)
  689. 桑水 せいか: (こっちの記事には 『和喜たみえ』…)
  690. 桑水 せいか: (…そして…)
  691. 桑水 せいか: (『清見あつこ』…)
  692.  
  693. FILENAME: text_520820-1_6HXJQ.txt
  694. <神浜大東団地に再開発の嵐が吹き荒れる中 清見という老人が孤独な死を迎えた>
  695. <再開発反対運動に参加していた れいら、せいか、みとは リーダーの大竹から頼まれて 清見の遺品整理を手伝うことになった>
  696. <そこで見つかった日記に れいらが触れたことから 封印されていた記憶が再生され 過去の出来事が再生された>
  697. <これを端緒にれいらたちは 記憶を巡る調査を開始したが 目にする光景に翻弄され やがて仲たがいし、溝が生まれる>
  698. <それでも独自の目線で 調査を続けたせいかは ある事実に辿り着いた>
  699. 桑水 せいか: (『大東区で行方不明と されている少女は…』)
  700. 桑水 せいか: (『久宝かずよ』…)
  701. 桑水 せいか: (こっちの記事には 『和喜たみえ』…)
  702. 桑水 せいか: (…そして…)
  703. 桑水 せいか: (『清見あつこ』…)
  704. 桑水 せいか: …………
  705. 桑水 せいか: (このこと、れいらたちに…)
  706. 桑水 せいか: (でもその前に ちゃんとれいらに…)
  707. ピロン♪
  708. 桑水 せいか: …あ
  709. 桑水 せいか: (みとからメッセージ…)
  710. 桑水 せいか: …え?
  711. 桑水 せいか: (…十七夜さんと…?)
  712. 桑水 せいか: …そうだったんですか… それでふたりで…
  713. 相野 みと: うん…
  714. 桑水 せいか: みと…ごめんね…
  715. 桑水 せいか: 私がもっと落ち着いて れいらと話していたら…
  716. 相野 みと: 仲直りしてくれるよね?
  717. 桑水 せいか: もちろん! れいらに謝らなきゃ…
  718. 相野 みと: …よかった~!
  719. 十七夜: まずは前進、だな
  720. 相野 みと: はい!
  721. 桑水 せいか: …それで 連絡を受けたことなんですが…
  722. 十七夜: うむ…
  723. 十七夜: 自分は相野君の話を聞いて 少し腑に落ちないことがあってな
  724. 十七夜: 日記に書かれている場所に 記憶が封印されている…
  725. 十七夜: 伊吹君はそう考えたみたいだが それだと、どうも引っ掛かるのだ
  726. 十七夜: なぜ最初は場所ではなく日記に 記憶が封じ込められていたのか?
  727. 桑水 せいか: …あ、それは… なんとなく気にはなってました…
  728. 十七夜: そこで自分は こう仮説を立てた
  729. 十七夜: …記憶は日記だけに 封じられたのではなく
  730. 十七夜: あくまで「物」に隠されている…
  731. 桑水 せいか: 『物』…ですか
  732. 十七夜: つまり、日記に書かれた場所故に 記憶があるということではなく
  733. 十七夜: 例えば、屋上だったら フェンスでも手すりでも
  734. 十七夜: とにかく そこにある“物体”であれば
  735. 十七夜: 何でもいいのではないのだろうか …そう考えると
  736. 十七夜: 日記を追ってたどり着いたのは たまたま合ってただけ…
  737. 十七夜: ゆえに、丹念な魔力感知を行えば 日記に書かれている場所以外でも
  738. 十七夜: 記憶が見つかるのでは…とな
  739. 相野 みと: それでなぎたんが ここを見つけたの!
  740. 十七夜: 桑水君…深く集中して 魔力を感じてみてくれ
  741. 桑水 せいか: は、はい…
  742. 桑水 せいか: …………
  743. 桑水 せいか: …………
  744. 桑水 せいか: …あ!
  745. 桑水 せいか: 近くから…微かに…
  746. 十七夜: そう…それが…
  747. 十七夜: ここ… 11号棟5Fの階段の…
  748. 桑水 せいか: このタイルだ
  749. 桑水 せいか: こんな小さな1枚に… でも、魔力を感じます…!
  750. 十七夜: 自分たちは既に見ている
  751. 十七夜: さあ、桑水君 触れてみてくれ
  752. 桑水 せいか: はい…
  753. 桑水 せいか: …………!
  754. あつこ: 「は、早くたみちゃんに 追いつかないと!」
  755. あつこ: 「魔女が…!」
  756. かずよ: あつこ! あいつ…なんなの!?
  757. あつこ: 「わからない… でも、ハッキリしているのは…」
  758. あつこ: 「私たちと同じ…魔法少女!」
  759.  
  760. FILENAME: text_520820-2_6HXJQ.txt
  761. かずよ: あつこ! あいつ…なんなの!?
  762. あつこ: 「わからない… でも、ハッキリしているのは…」
  763. あつこ: 「私たちと同じ…魔法少女!」
  764. かずよ: あいつのせいで 足止めを食らって…
  765. あつこ: 「魔女の抑えにたみちゃんを 先に行かせたの、失敗だった…」
  766. かずよ: でも、魔女も 待ったなしだよ!
  767. ???: そうだね
  768. かずよ: …くっ!
  769. ???: なのに まだ追いかけっこするの?
  770. ???: 私はぜーんぜんいいけど
  771. あつこ: 「この…!」
  772. かずよ: 待って! ここは私が行く!
  773. あつこ: 「かずよちゃん! ふたりでやらないと!」
  774. かずよ: やっぱり魔女の方も 心配だよ!
  775. かずよ: 大丈夫…! こいつは私がどうにかする!
  776. ???: ふ~ん… 随分な自信じゃない
  777. かずよ: …この記憶 残してもらえる?
  778. あつこ: 「それは…了解 でも、この場は…!」
  779. ???: 記憶を残す魔法を使うんだ へー、見せてよ
  780. かずよ: 行って!
  781. あつこ: 「かずよちゃん!」
  782. かずよ: 早く!
  783. あつこ: 「…くっ!」
  784. あつこ: 「“魚”の前で待ってるから!」
  785. 桑水 せいか: …この記憶は…!?
  786. 十七夜: 君たちの調査で浮かんできた 魔法少女は3名…
  787. 十七夜: しかし、どうやら4人目も いたようだ…
  788. 十七夜: それも、かなりタチが悪いのが…
  789. 相野 みと: この後 どうなっちゃったんだろう…
  790. 桑水 せいか: …………
  791. 桑水 せいか: …実は、私の方でも わかったことが…
  792. 十七夜: ほう
  793. 相野 みと: え?何がわかったの!?
  794. 桑水 せいか: 私はやっぱり、判明した3人を もっと調べたかった…
  795. 桑水 せいか: それで、彼女たちの 卒業年度以降から出ている新聞を
  796. 桑水 せいか: 精査していったの
  797. 相野 みと: 新聞を? ん?どうして…?
  798. 十七夜: …そうか
  799. 十七夜: 死亡…いや、行方不明の 記事を追ったのかな?
  800. 桑水 せいか: はい…
  801. 相野 みと: え?
  802. 桑水 せいか: 魔法少女は死と隣り合わせ…
  803. 桑水 せいか: 魔女に負けたら 死体だって出てこない…
  804. 桑水 せいか: そうなると、行方不明 ということにされると思って…
  805. 相野 みと: でも、大変だったんじゃない? 言ってくれれば手伝ったのに!
  806. 桑水 せいか: この調べ方、ちょっと酷だから 言い出しにくかったの…
  807. 桑水 せいか: もしかしたら将来 自分も…って思っちゃうから…
  808. 相野 みと: …そう…か…
  809. 桑水 せいか: で…見つけたんです…
  810. 桑水 せいか: 和喜たみえさん、久宝かずよさん そして清見あつこさん…
  811. 桑水 せいか: それぞれの「神隠し事件」が…
  812. 相野 みと: …え…?
  813. 桑水 せいか: そのこととさっきの記憶が 結びつくのかはわからない…
  814. 桑水 せいか: ただ、3人がいなくなったのは 本当のこと…
  815. 桑水 せいか: その後、見つかったという記事も 出ていない…
  816. 相野 みと: …………
  817. 十七夜: …ううむ…
  818. 桑水 せいか: …もっと情報が欲しいですね
  819. 桑水 せいか: 他の記憶はどこに…
  820. 十七夜: 団地全体は一通り 魔力を調べてみたが
  821. 十七夜: 新たに見つけたのはここだけだ
  822. 桑水 せいか: そうですか…
  823. 十七夜: 捜索範囲を広げよう
  824. 十七夜: それと、伊吹君に連絡を…!
  825. 伊吹 れいら: …………
  826. 伊吹 れいら: …はぁ…
  827. 伊吹 れいら: (明らかに…)
  828. 伊吹 れいら: (言いすぎちゃったぁぁぁ…!)
  829. 伊吹 れいら: …………
  830. 伊吹 れいら: (うん!謝ろう!)
  831. 伊吹 れいら: (せいかと、あとみとにも 連絡してきちんと…)
  832. 伊吹 れいら: …あれ?…ん?…
  833. 伊吹 れいら: (スマホが…ない!?)
  834. 伊吹 れいら: …あーっ!
  835. 伊吹 れいら: (家で充電したまま 置いてきちゃった…!)
  836. 伊吹 れいら: (うう…ダメだな…私…)
  837. 伊吹 れいら: …………
  838. 伊吹 れいら: (だったら、謝る前に やっぱり…)
  839.  
  840. FILENAME: text_520820-3_6HXJQ.txt
  841. 伊吹 れいら: (だったら、謝る前に やっぱり…)
  842. 伊吹 れいら: (あのこと、調べておこう…)
  843. あつこ: 「…あの場所に…」
  844. あつこ: 「あの…場所に…」
  845. 伊吹 れいら: (『あの場所』…)
  846. 伊吹 れいら: (屋上で言ったわけだから おそらくここから見える場所…)
  847. 伊吹 れいら: (目線の方向を考えると それって…)
  848. 伊吹 れいら: …うん、たぶんそうだ…
  849. 伊吹 れいら: (そこに、きっと 何かがあるはず…!)
  850. 伊吹 れいら: (せいかに謝るのは それを調べてからにしよう)
  851. 伊吹 れいら: (何かわかったら 話もしやすい…よね)
  852. 伊吹 れいら: …よし!
  853. 桑水 せいか: …………
  854. 桑水 せいか: …ダメです れいらのスマホ、留守電に…
  855. 十七夜: …そうか
  856. 十七夜: …少し…心配だな
  857. 桑水 せいか: 私…だいぶ心配です…
  858. 桑水 せいか: れいら、魔女のこと、どうにか しなきゃって言ってたし…
  859. 相野 みと: そうだよそうだよ…!
  860. 相野 みと: 先にれいらを 捜しに行こうよ!
  861. 十七夜: 確かにその通りだな
  862. 相野 みと: じゃあ、3人で手分けして!
  863. 十七夜: それよりも… 相野君の魔法だ
  864. 相野 みと: …私の…
  865. 相野 みと: …そっか!
  866. 十七夜: 君の“心を繋ぐ魔法”で 伊吹君を追うんだ
  867. 相野 みと: や、やってみる!
  868. 相野 みと: …むむむ…
  869. 相野 みと: …え!?
  870. 桑水 せいか: どうしたの!?
  871. 相野 みと: れいらの心が…陰に覆われて…
  872. 相野 みと: …何か見える…!?
  873. 相野 みと: 「…湖…?」
  874. 相野 みと: …あっ!
  875. 相野 みと: …繋がりが…切れた…
  876. 桑水 せいか: れいら…!
  877. 十七夜: 今、『湖』と言ったな
  878. 相野 みと: う、うん!
  879. 十七夜: この辺で湖といえば 「東ノ湖」しかあるまい
  880. 十七夜: であれば、桑水君の水から水へ 移動する魔法が使えるな
  881. 桑水 せいか: わかりました!
  882. 相野 みと: これ!私の水筒のお水!
  883. 桑水 せいか: そこに撒いて!
  884. 十七夜: 君に掴まればいいか?
  885. 桑水 せいか: はい! さあ、みとも!
  886. 相野 みと: お願い!
  887. 桑水 せいか: …はっ!
  888. 桑水 せいか: …出れた!
  889. 十七夜: うむ… やはり東ノ湖だな
  890. 相野 みと: れいら、どこー!?
  891. 桑水 せいか: …あ、あそこ!
  892. 伊吹 れいら: …………
  893. 桑水 せいか: れいら!? どうして「浄化の炎」を…!?
  894. 十七夜: 伊吹君の固有魔法… それを湖に!?
  895. 相野 みと: な、なにやってるの!? れいらー!
  896.  
  897. FILENAME: text_520820-4_6HXJQ.txt
  898. 伊吹 れいら : …………
  899. 桑水 せいか: れいら!? どうして「浄化の炎」を…!?
  900. 十七夜: 伊吹君の固有魔法… それを湖に!?
  901. 相野 みと: な、なにやってるの!? れいらー!
  902. <この少し前…>
  903. 伊吹 れいら: …………
  904. 伊吹 れいら: …着いたけど…
  905. 伊吹 れいら: (魔女は…いないね…)
  906. 伊吹 れいら: (まあ…うん…)
  907. 伊吹 れいら: (とにかく! ここら辺をよく調べて…)
  908. 伊吹 れいら: …あれ?…
  909. 伊吹 れいら: (この感じ…)
  910. 伊吹 れいら: (記憶の魔法の…!?)
  911. 伊吹 れいら: (いや、でも、日記に 湖とかそういう記述は…)
  912. 伊吹 れいら: …どういうこと?…
  913. 伊吹 れいら: …………
  914. 伊吹 れいら: (…と、とにかくとにかく! よく調べなきゃ!)
  915. 伊吹 れいら: えーっと…
  916. 伊吹 れいら: …この辺だ…
  917. 伊吹 れいら: (…魚の銅像?)
  918. 伊吹 れいら: (こっちから強く感じる… たぶん、これだ…)
  919. 伊吹 れいら: …じゃあ…
  920. 伊吹 れいら: …うっ!?
  921. ???: 「…揺るがすんだ…」
  922. ???: 「湖面を激しく揺るがすんだ… お前の魔法をぶつけろ…」
  923. ???: 「檻を壊せ… 檻を壊せ…」
  924. ???: 「大東の町に闇をまき散らせ…!」
  925. 伊吹 れいら: (な、なにこれ…!)
  926. 伊吹 れいら: (記憶と一緒に 真っ黒な感情が…!)
  927. ???: 「揺るがせ…! 湖面にぶつけろ…!」
  928. ???: 「檻を壊せ! 闇を解放しろ!」
  929. 伊吹 れいら: ああああああ!
  930. ???: 「やれ!やるんだ!」
  931. ???: 「湖面を打て!」
  932. 伊吹 れいら: くあっ…!
  933. 伊吹 れいら: …………
  934. 伊吹 れいら: 湖面を…打つ…
  935. 伊吹 れいら: 闇を…解き放つ…
  936. 桑水 せいか: …出れた!
  937. 十七夜: うむ… やはり東ノ湖だな
  938. 相野 みと: れいら、どこー!?
  939. 桑水 せいか: …あ、あそこ!
  940. 伊吹 れいら: …………
  941. 桑水 せいか: れいら!? どうして「浄化の炎」を…!?
  942. 十七夜: 伊吹君の固有魔法… それを湖に!?
  943. 相野 みと: な、なにやってるの!? れいらー!
  944. 伊吹 れいら: …はぁぁぁぁぁっ!
  945. 桑水 せいか: れいら!
  946. 十七夜: くっ…!
  947. 十七夜: …今、湖から禍々しい魔力が 噴き出てきた…
  948. 十七夜: きっと…魔女だ
  949. 相野 みと: れいらは!?れいらは!?
  950.  
  951. FILENAME: text_520820-5_6HXJQ.txt
  952. 相野 みと: れいらは!?れいらは!?
  953. 桑水 せいか: …あそこ!倒れてる!
  954. 相野 みと: れいらー!
  955. 伊吹 れいら: …………
  956. 相野 みと: れいら!大丈夫!?れいら!
  957. 伊吹 れいら: …ん…んん~…
  958. 桑水 せいか: れいら!
  959. 相野 みと: れいらー!
  960. 伊吹 れいら: …あれ…?
  961. 伊吹 れいら: ふたりとも… 私、何を…
  962. 伊吹 れいら: …ここ…どこ…?
  963. 十七夜: 正気を失っていたようだな
  964. 伊吹 れいら: 十七夜さんまで…
  965. 桑水 せいか: れいら…
  966. 伊吹 れいら: …あ…そうか…
  967. 伊吹 れいら: ごめんね、せいか… あの時、酷いこと言って…
  968. 桑水 せいか: れいら…!
  969. 桑水 せいか: 私の方こそごめん! 言いすぎちゃったよね…
  970. 伊吹 れいら: …じゃあ…お互い様だね…へへ…
  971. 桑水 せいか: …うん…ふふ…
  972. 十七夜: どうだ、伊吹君 思い出してきたか?
  973. 伊吹 れいら: 思い出して…?
  974. 伊吹 れいら: …………
  975. 伊吹 れいら: …あーっ! そうだ!記憶だ!
  976. 相野 みと: れ、れいら!?
  977. 伊吹 れいら: わ、私、屋上で見た記憶から この湖が怪しいかなと思って
  978. 伊吹 れいら: 調べていたら 記憶の魔力反応があって!
  979. 伊吹 れいら: 感知したのが魚の銅像で 触ったら大変なことになって…!
  980. 十七夜: 大変なこととは?
  981. 伊吹 れいら: …記憶と一緒に 私の中に入ってきたの…
  982. 伊吹 れいら: すごく重たくて暗くて冷たい 感情が…
  983. 伊吹 れいら: それで命令してきて… 『湖面を魔法で打て』って…
  984. 伊吹 れいら: 私、全然抵抗できなかった…
  985. 十七夜: …ふむ…
  986. 十七夜: その記憶と共に入ってきた感情に 伊吹君は支配されてしまったか…
  987. 桑水 せいか: どういうことなんでしょうか…
  988. 相野 みと: これもあつこさんが…?
  989. 伊吹 れいら: いや、それは違うと思う…
  990. 伊吹 れいら: 今までの記憶とは性質が まったく異なっていたから…
  991. 十七夜: …罠、かもしれないな
  992. 伊吹 れいら: 罠?でも、誰が…?
  993. 十七夜: …まず君に、我々がここに至った 経緯を説明せねばなるまい
  994. 伊吹 れいら: …そんなことが…
  995. 伊吹 れいら: …十七夜さん ありがとうございます…!
  996. 伊吹 れいら: お手数をおかけして どうもすみません…
  997. 十七夜: いいんだ
  998. 十七夜: つまる所、この辺一帯に関わる 問題になっているようだからな…
  999. 桑水 せいか: それで、罠というのは…?
  1000. 十七夜: …我々が団地の階段で 見た記憶だが…
  1001. かずよ: 行って!
  1002. あつこ: 「かずよちゃん!」
  1003. かずよ: 早く!
  1004. あつこ: 「…くっ!」
  1005. あつこ: 「“魚”の前で待ってるから!」
  1006. 十七夜: あの時言っていた 『魚』とは…
  1007. 十七夜: おそらく、伊吹君が触ったという 魚の銅像のことだろう
  1008. 十七夜: あの会話は4人目の魔法少女も 聞いていた
  1009. 十七夜: 故に利用した可能性がある 理由も仔細も不明だがな
  1010. 相野 みと: なるほど~…
  1011. 十七夜: 伊吹君が触れた魚の銅像だが 湖畔のものかな?
  1012. 伊吹 れいら: はい、そうです
  1013. 十七夜: …ふむ…
  1014. 十七夜: 少し確かめたいことがある ついてきてくれ
  1015. 十七夜: 見たまえ
  1016. 伊吹 れいら: あ!こんなところにも 魚の銅像…!?
  1017. 相野 みと: 森の中に魚…??? なんでここに?
  1018. 十七夜: さあな 意図があるのかないのか…
  1019. 十七夜: しかし…ひっそりと落ち合ったり するには適している
  1020. 桑水 せいか: …じゃあ、彼女たちが言っていた 『魚』って…
  1021. 十七夜: こちらの方だと自分は思う その証拠に…
  1022. 十七夜: さあ、意識を集中して 魔力を感知してみたまえ
  1023. 伊吹 れいら: …………
  1024. 伊吹 れいら: …あっ!
  1025. 桑水 せいか: 今までと同じ感じ…!
  1026. 相野 みと: こっちに、あつこさんたちの 記憶が…!?
  1027. 十七夜: おそらくはな… では…
  1028. 十七夜: 覗いてみるとしようか
  1029.  
  1030. FILENAME: text_520820-6_6HXJQ.txt
  1031. あつこ: 「はぁ…はぁ…はぁ…!」
  1032. あつこ: 「たみちゃん!」
  1033. たみえ: あつこ!?
  1034. あつこ: 「魔女は…どうなってるの!?」
  1035. たみえ: 大丈夫! まだこの湖から動いていない
  1036. たみえ: 3人でかかれば きっとどうにか…
  1037. たみえ: …で、かずよは? まだ来てないの?
  1038. あつこ: 「それが! 襲われたの、私たち!」
  1039. たみえ: 襲われた…って、別の魔女に!?
  1040. あつこ: 「違うの!魔法少女なの!」
  1041. たみえ: …ええっ!? どうして!?
  1042. あつこ: 「わからないけど、突然… それで、かずよちゃんが残って…」
  1043. ???: おやおや、待ち合わせ?
  1044. あつこ: 「あ!…あいつだよ!」
  1045. たみえ: …あいつ…?
  1046. たみえ: …え…?
  1047. たみえ: あんた…団地に住んでる…?
  1048. あつこ: 「知ってるの!?」
  1049. たみえ: 昔、子ども会で 同じ班だったことがあるの
  1050. たみえ: 名前は…や…や…や…
  1051. たみえ: …だめだ、出てこない…
  1052. ???: 私は憶えてるけど 和喜たみえさ~ん
  1053. たみえ: …な、なんなのよ、もう!
  1054. たみえ: …あんたも魔法少女ってこと?
  1055. ???: そーいうこと
  1056. あつこ: 「なんで私たちの邪魔をするのよ!」
  1057. ???: あの湖の魔女を 倒そうとしているから
  1058. たみえ: はぁ? 魔女を倒すのが魔法少女でしょ!
  1059. ???: そうかもしれないけど…
  1060. ???: そうでないかもしれない
  1061. たみえ: …何を言ってるの?
  1062. ???: 湖の魔女は放っておきたくて
  1063. ???: 大東区を…神浜大東団地を 無茶苦茶にするまではね…
  1064. あつこ: 「無茶苦茶に…!?なんでよ!」
  1065. ???: なんでもなにもないわよ 私がそうしたいってだけ
  1066. ???: こんな掃き溜めみたいな町… 魔女にぶっ壊させるのよ!
  1067. ???: …あいつ、それをさせるのに うってつけだしさ!
  1068. ???: ぜーんぶ終わったら 私のクソみたいな人生も
  1069. ???: あいつに食わせてやろうかな~
  1070. たみえ: 訳が…わからない…!
  1071. ???: …はぁ…いいわよね あんたたちは能天気で
  1072. ???: そんなんで楽しそうに 生きていられるんだからさ~
  1073. ???: 羨ましかったよ、正直 子ども会のときからさ…
  1074. あつこ: 「たみちゃん、どうする…!?」
  1075. たみえ: こんな奴無視して 魔女をどうにか…
  1076. たみえ: かずよさえ来れば…!
  1077. ???: …ああ、その子なら 来ないわよ
  1078. ???: 私が始末したから
  1079. あつこ: 「…始末…?」
  1080. たみえ: ま、まさか…かずよを…
  1081. ???: ふふ!あの世行きね!
  1082. ???: …私、魔法少女の殺し方 知ってるからね~
  1083. あつこ: 「嘘だ!私たちを動揺させようと…!」
  1084. たみえ: そ、そうだよ!
  1085. ???: じゃあ、こんなのはどう?
  1086. たみえ: うわっ!
  1087. あつこ: 「こ、これは…かずよちゃんの 風を操る魔法…!?」
  1088. ???: 私はね、他人の魔法を 「保存」して使うことができるの
  1089. ???: だから、あの子の魔法 いただきました~
  1090. ???: …ってことで、信じてくれた? お友だちが死んだこと
  1091. たみえ: そ、そんなこと…!
  1092. あつこ: 「ダメだよ!惑わされちゃ!」
  1093. あつこ: 「あいつがかずよちゃんの 魔法を使えるからって」
  1094. あつこ: 「かずよちゃんが死んだって ことにはならないよ!」
  1095. たみえ: …そ、そうか!うん!
  1096. ???: …はぁ~…面倒くさいな…
  1097. あつこ: 「でも、かずよちゃんが ここにいないのは事実…」
  1098. あつこ: 「魔女は…」
  1099. たみえ: 私がやるしかないね
  1100. たみえ: 私が魔女を“漬物”にするから!
  1101. あつこ: 「…わかった!」
  1102. ???: 知ってる知ってる 封印する魔法でしょ?
  1103. ???: で、そっちは記憶を物に 刻み込む魔法
  1104. ???: どっちも私が 保存してあげるから…!
  1105. たみえ: まずはこいつをどうにかして 次に魔女へ…!
  1106. あつこ: 「うん!」
  1107. あつこ: 「…それと、この記憶…」
  1108. あつこ: 「かずよちゃんに…!」
  1109.  
  1110. FILENAME: text_520820-7_6HXJQ.txt
  1111. 伊吹 れいら: …………
  1112. 伊吹 れいら: あつこさんたち… どうなったんだろう…
  1113. 桑水 せいか: それについては わかったことがあるの
  1114. 伊吹 れいら: …え?
  1115. 伊吹 れいら: そんな…かずよさんも たみえさんも…あつこさんまで…
  1116. 相野 みと: やっぱり… あの魔法少女に…?
  1117. 十七夜: 今の時点の情報では なんともいえんな
  1118. 桑水 せいか: …整理させてください
  1119. 十七夜: そうだな 確認しよう
  1120. 桑水 せいか: 触れた記憶で出てきた 魔法少女は4名…
  1121. 桑水 せいか: 清見あつこ、和喜たみえ 久宝かずよ、そしてもうひとり…
  1122. 十七夜: 「妨害者」…という ところかな
  1123. 桑水 せいか: そうですね…
  1124. 桑水 せいか: そして、おそらくあつこさんが 記憶を刻み込む魔法少女
  1125. 桑水 せいか: たみえさんは 封じ込めができる魔法少女で
  1126. 桑水 せいか: かずよさんは風を操る魔法少女
  1127. 伊吹 れいら: その…妨害者…は魔法を 保存できちゃうんだよね
  1128. 桑水 せいか: うん…本当かどうかは わからないけど…
  1129. 十七夜: いや、おそらく本当だろう
  1130. 十七夜: 従って清見あつこの 魔法も保存したと見える
  1131. 十七夜: 故に、伊吹君に流れ込んだ 記憶は、妨害者のものでは…?
  1132. 相野 みと: そ、そうかも!
  1133. 桑水 せいか: …確かに…だから罠!?
  1134. 十七夜: うむ
  1135. 伊吹 れいら: え?どういうこと?
  1136. 桑水 せいか: おそらくだけど 魔女は封印できたんだよ
  1137. 桑水 せいか: いや、きっとそう…! だって…
  1138. 十七夜: 先ほど、湖から魔女らしき 魔力の気配が噴き出したからな
  1139. 桑水 せいか: 完全に推論になっちゃうけど…
  1140. 桑水 せいか: 妨害者はたみえさんを 止めることができなかった
  1141. 桑水 せいか: だから、その封印を解くために 罠を仕掛けた…
  1142. 相野 みと: …でも、やったことって湖面に 魔法をぶつけただけだったよね?
  1143. 相野 みと: それくらいなら 自分でもできるんじゃない…?
  1144. 桑水 せいか: それはその通り だけど実際、封印はされていた
  1145. 十七夜: 理由としては…
  1146. 十七夜: 自分ではできない事情があった… あるいは時間経過が必要だった…
  1147. 桑水 せいか: いずれも推論止まりですよね…
  1148. 十七夜: …まあ、この際、そこはあまり 重要ではない
  1149. 十七夜: そもそも、この銅像の罠は
  1150. 十七夜: 記憶を追っている魔法少女に 向けたものだろう
  1151. 十七夜: 手が込んでいる割に 偶発性に頼っているところがある
  1152. 十七夜: 思うに、妨害者は愉快犯タイプの 性格なんだろう
  1153. 十七夜: のろうがそろうがお構いなし ただやりたいことをやる…
  1154. 十七夜: …そういう手合い 心当たりがあるんじゃないか?
  1155. 伊吹 れいら: …あ…
  1156. 桑水 せいか: あります…ね…
  1157. 相野 みと: うん…
  1158. 十七夜: ともかく、魔女は封印されたが 3人は行方不明…
  1159. 十七夜: その魔女も、妨害者が残したと 思われる罠によって解放された…
  1160. 伊吹 れいら: …ごめんなさい…
  1161. 十七夜: これからやることで 挽回すればいい…つまり…
  1162. 十七夜: 魔女を倒す…!
  1163. 伊吹 れいら: …魔女を…
  1164. 桑水 せいか: そうだよ、れいら!
  1165. 相野 みと: で、でも私たちで 倒せるかな…
  1166. 相野 みと: あつこさんたちが 3人揃ってやっとって
  1167. 相野 みと: 言ってた相手だよ…
  1168. 十七夜: ふっ…それは問題ないだろう
  1169. 相野 みと: …え?
  1170.  
  1171. FILENAME: text_520820-8_6HXJQ.txt
  1172. 十七夜: ふっ…それは問題ないだろう
  1173. 相野 みと: …え?
  1174. 十七夜: 君たちは3人だ
  1175. 伊吹 れいら: …そ、それは確かに 頭数は同じですけど…
  1176. 十七夜: そうじゃない
  1177. 十七夜: 君たちは今の大東区の中でも とても強いチームだ
  1178. 十七夜: 心の奥底で通じ合う 素晴らしい連携ができる3人だ
  1179. 伊吹 れいら: 十七夜さん…
  1180. 十七夜: 自分も無論、同行するが 核となる戦力は君たちだ
  1181. 十七夜: 君たち3人組が 魔女を倒すんだ…!
  1182. 伊吹 れいら: …………
  1183. 伊吹 れいら: せいか、みと!
  1184. 桑水 せいか: やりましょう!
  1185. 相野 みと: うん!
  1186. 十七夜: …覚悟は決まったな では向かうとしよう
  1187. 十七夜: 四方を感知してみてくれ
  1188. 相野 みと: らじゃー!
  1189. 桑水 せいか: はい!
  1190. 伊吹 れいら: むむむむむ…
  1191. 伊吹 れいら: …………
  1192. 伊吹 れいら: …あ!感じるかも!
  1193. 十七夜: 本当か!?
  1194. 伊吹 れいら: さっき、妨害者の記憶に 触れたからかもしれないですが
  1195. 伊吹 れいら: あの記憶に似た 重苦しい気配が…
  1196. 伊吹 れいら: これは…ん?
  1197. 伊吹 れいら: …団地の方角!?
  1198. 十七夜: 団地か…ならば…
  1199. 桑水 せいか: 私ですね! みんな掴まって!
  1200. 桑水 せいか: 渡るよ!
  1201. 伊吹 れいら: こっち!
  1202. 桑水 せいか: 屋上…!
  1203. 相野 みと: …あっ!
  1204. 十七夜: 結界が生まれている…
  1205. 十七夜: 急ごう!
  1206. 桑水 せいか: …こ、これは…!
  1207. …………
  1208. 伊吹 れいら: 前に戦ったこと…あるやつ…!?
  1209. 相野 みと: で、でも、倒したよね…!?
  1210. 十七夜: この団地に巣食う上で まずは姿形を模したのやもな
  1211. 十七夜: 奴もまた、過去の記憶を 頼りにした…といったところか
  1212. 伊吹 れいら: 一度は戦って勝った相手… だったら!
  1213. 伊吹 れいら: ―れいら― 今度もきっと勝つ!
  1214. 桑水 せいか: ―せいか― あつこさんたちの想いを継いで 私たちがきっとこの魔女を…!
  1215. 相野 みと: ―みと― そんで! 神浜大東団地を守ろう!
  1216. みんな: ―みんな― はぁぁぁぁぁーっ!
  1217.  
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  1219. <過去より蘇った魔女は…>
  1220. …………
  1221. …………!?
  1222. 伊吹 れいら: やった…!
  1223. 桑水 せいか: 倒せた…
  1224. 相野 みと: …わぁぁぁい!
  1225. 十七夜: …うむ!
  1226. <現代の神浜大東団地を守る 魔法少女たちの活躍により 倒すことができた>
  1227. 伊吹 れいら: …………
  1228. 伊吹 れいら: …どうにか、なったね…
  1229. 伊吹 れいら: …はぁぁぁ~よかった!
  1230. 桑水 せいか: 手強い相手だったけどね…
  1231. 相野 みと: ホントに…
  1232. 相野 みと: それと…ふたりが 仲直りしてくれてよかったよ…
  1233. 伊吹 れいら: …ごめんね
  1234. 桑水 せいか: 私も…
  1235. 相野 みと: …まったく ビックリさせてくれちゃうなぁ!
  1236. 伊吹 れいら: …あはは!
  1237. 桑水 せいか: ふふ…!
  1238. 伊吹 れいら: …だけど…
  1239. 伊吹 れいら: ―れいら― 結局、まだあつこさんたちが どうなったのかは…
  1240. 桑水 せいか: ―せいか― わかってないね…
  1241. 相野 みと: ―みと― それと、あの妨害者も…
  1242. 伊吹 れいら: ―れいら― …あのさ…
  1243. 伊吹 れいら: ―れいら― まだ調べていこうよ 3人のことを
  1244. 桑水 せいか: ―せいか― 私もそう思ってた
  1245. 相野 みと: ―みと― だよね これじゃあ終われないよ…
  1246. 相野 みと: ―みと― なんだか、とっても 寂しい気持ちのままで…
  1247. <しかし、3人による調査は その後も芳しい結果は出せなかった>
  1248. <そんな折に…>
  1249. <団地の再開発計画に動きが出た>
  1250. 相野 みと: …ええーっ!
  1251. 伊吹 れいら: 再開発が…中止!?
  1252. 大竹: そうなんだよ!
  1253. 桑水 せいか: ど、どうしてまた…!?
  1254. 大竹: 不動産デベロッパー…? というのがあってだな…
  1255. 相野 みと: …でべ…ろっぱ?
  1256. 桑水 せいか: 土地とか町を 新たに開発する業者…ですよね?
  1257. 大竹: そうそう!
  1258. 大竹: で、その不動産デベロッパーが 大東区に申し入れをしてな
  1259. 大竹: この団地のリフォーム事業を 手がけることになったんだよ!
  1260. 大竹: 大東区としては破格の条件を 持ち出されたみたいで
  1261. 大竹: 当初予定していた会社から 乗り換えたようだね
  1262. 大竹: これで、神浜大東団地という ガワはそのままで…
  1263. 桑水 せいか: 中身は新しくなる… ということですね!
  1264. 大竹: 住居だけじゃなく、商店街や 公園にも手を入れるとか!
  1265. 大竹: きっと新しい入居者も 増えるに違いない!
  1266. 大竹: しかも、現在の入居者も 希望があれば
  1267. 大竹: なんと無償でリフォームを 行ってくれるそうだ!
  1268. 相野 みと: すごー!
  1269. 大竹: いやー、よかった!
  1270. 大竹: 再開発反対運動もこれで終わり! みんな、本当にありがとうね!
  1271. 伊吹 れいら: いえいえ! 嬉しいです!こんないい結果で!
  1272. 桑水 せいか: それにしても…随分と 太っ腹な業者さんですね
  1273. 桑水 せいか: 会社名は…?
  1274. 大竹: あ、名前は…
  1275. 大竹: 『和喜不動産』だよ
  1276. 桑水 せいか: …え!?
  1277. 伊吹 れいら: …わ…き…
  1278. 相野 みと: わき…わき…わきって…
  1279. 桑水 せいか: い、いやいや…まさか…
  1280. 大竹: 実は今日、ここにその 会長が来られるんだ
  1281. 大竹: どうだい?君たちも一緒に…
  1282. 和喜: 失礼します 和喜不動産の和喜と申します
  1283. 大竹: あ、これはこれは! 私、大竹と申します!
  1284. 和喜: あなたが…そうですか 大変でしたでしょう?
  1285. 大竹: いえいえそんな…
  1286. 和喜: …そちらのお嬢さんたちは?
  1287. 大竹: 反対運動を手伝ってくれた 団地の子どもたちです
  1288. 和喜: 団地の…
  1289. 伊吹 れいら: は、はじめまして…!
  1290. 桑水 せいか: こんにちは…
  1291. 相野 みと: …あ、私は元住民で…
  1292. 和喜: そう…ですか… 団地の…子どもたちが…
  1293. 和喜: う…ううっ…
  1294. 大竹: ど、どうされました…!?
  1295. 和喜: ………… いや…申し訳ない…
  1296. 和喜: …実はね…私… 昔この団地に住んでいたんですよ
  1297. 大竹: …え!? そうだったんですか…!?
  1298. 伊吹 れいら: (まさか…)
  1299. 桑水 せいか: (やっぱり…)
  1300. 相野 みと: (たみえさんの…!?)
  1301. 和喜: 当時私には娘もいた…
  1302. 和喜: それがちょうど 彼女たちくらいの年頃でね…
  1303. 和喜: しかし…ある日突然 行方不明になってしまった
  1304. 大竹: …なんと…
  1305. 和喜: 警察も、もちろん私も妻も 必死に捜しました…
  1306. 和喜: しかし、見つからない… 死体も出てこない…
  1307. 和喜: しかも、娘の友人ふたりも 同じく行方知れずに…
  1308. 伊吹 れいら: …………
  1309. 和喜: 神隠し事件として 騒がれもしましたが…
  1310. 和喜: 子どもの行方不明者は 今でも年間1000人ほどいます
  1311. 和喜: やがて娘の事件は風化し始め 団地でも話がされなくなり…
  1312. 大竹: そうですか… だから私も耳にしなかったのか…
  1313. 和喜: 私は娘との思い出が たくさん詰まったこの団地に
  1314. 和喜: 住み続けることが徐々に 苦痛となり、出て行きました…
  1315. 和喜: それからは仕事に没頭し 今の会社も立ち上げました
  1316. 桑水 せいか: でも…そういう事情がおありで どうして今回の手助けを…?
  1317. 和喜: …時期をほぼ同じくして 行方不明になった娘の友人…
  1318. 和喜: その父親はずっとこの団地に 住み続けましてね…
  1319. 和喜: 先日、亡くなりました ベンチに座ったまま逝ったとか…
  1320. 大竹: そ、それって 清見さんですか?
  1321. 和喜: ご存知でしたか… そうです…
  1322. 和喜: 彼は娘のあつこちゃんが いなくなった後…
  1323. 和喜: 不仲となった奥さんと 離縁してもここに残った
  1324. 和喜: 私と違い、死ぬまで… おそらく娘さんを待ち続けた…
  1325. 相野 みと: …………
  1326. 和喜: 娘を思い出すからと 連絡は絶っていたのですが…
  1327. 和喜: この団地の再開発計画を 耳にした流れで
  1328. 和喜: 彼の死も知りましてね…
  1329. 和喜: 私はなんともいえない 贖罪の気持ちに襲われたのです…
  1330. 和喜: 私は…逃げたんです… 辛い現実から…
  1331. 和喜: 団地を出てしばらくして、妻の 体調が悪くなり、他界しました…
  1332. 和喜: 娘が帰るべき家を捨てたと 彼女は後悔の念に苛まれたんです
  1333. 和喜: 当時は自分の中で否定しましたが やはりそれも私が悪いんです…
  1334. 和喜: 帰ってこようとこまいと 信じて待つべきだった…
  1335. 和喜: だからせめて、この団地は 守ろうと決心したんです
  1336. 和喜: なにをなげうっても この団地は…
  1337. 大竹: そうでしたか… そんな理由が…
  1338. 和喜: …この写真も清見さんに 渡すべきだった…
  1339. 伊吹 れいら: …写真?
  1340. 和喜: 娘宛に、清見さんのお嬢さん から送られてきたんです
  1341. 和喜: 娘が失踪した後に届いたので 何かの手がかりになるかと思い
  1342. 和喜: 私がずっと保管していたのです しかし…後悔先に立たずですが…
  1343. 和喜: 清見さんに譲るべきだった…
  1344. 和喜: 娘さんからの 最後の便りだったのに…
  1345. 伊吹 れいら: …あれ?… この感じって、もしかして…!?
  1346. 桑水 せいか: …だ、だよね?
  1347. 相野 みと: あの写真からだ…!
  1348.  
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  1350. 伊吹 れいら: あ、あの!
  1351. 和喜: …なんだい?
  1352. 伊吹 れいら: その写真… 見せてもらってもいいですか?
  1353. 和喜: …ああ、いいよ
  1354. 和喜: 写真自体は、この団地の 公園を映したもので
  1355. 和喜: 特にこれといったものでは ないんだが…
  1356. 和喜: 公園は娘たちが好きで よく集まっていた場所なんだ
  1357. 桑水 せいか: 手紙はなかったんですか?
  1358. 和喜: 写真だけだった…
  1359. 和喜: ただ、裏には一言…
  1360. 和喜: 「未来へ」と書かれていてね
  1361. 和喜: ほら
  1362. 伊吹 れいら: …じゃ、じゃあ…
  1363. 桑水 せいか: 拝見します…
  1364. 相野 みと: …き、緊張してきた…
  1365. 和喜: そんな…身構えなくても… はい
  1366. 伊吹 れいら: …………
  1367. 伊吹 れいら: …………!!
  1368. あつこ: 「見えていますか?」
  1369. あつこ: 「この写真に触れた魔法少女へ」
  1370. あつこ: 「私の名前は清見あつこ」
  1371. あつこ: 「あなたに 伝えたいことがあります」
  1372. <果たして、写真にはあつこの 記憶が刻み込まれていた>
  1373. <あつこは湖の魔女と妨害者との騒動について 簡潔に説明した>
  1374. <その上で…>
  1375. あつこ: 「たみちゃんは、どうにか魔女を封印したけど 力が尽きかけたところで あの魔法少女の手にかかって…」
  1376. あつこ: 「かずよちゃんも、おそらくは、もう…」
  1377. あつこ: 「恥ずかしながら、私はどうにか 逃げ延びることができました…」
  1378. あつこ: 「でも、このままではいられません 私はあの魔法少女を追います」
  1379. あつこ: 「あの子は、きっとまた大東区に… 大東団地に襲い掛かるはずです それを食い止めないと…」
  1380. あつこ: 「それに、何度か戦っている中で あの子の魔法の弱点も見つけました だから、勝機はあるはず…」
  1381. あつこ: 「だけど、もし私がダメだった時… そして、あの子がまだ災いを まき散らしているのであれば…」
  1382. あつこ: 「どうかあなたの手で 止めてもらえないでしょうか?」
  1383. あつこ: 「無茶なお願いは重々承知です だけど、私が倒れた後は 誰かに託すしかないのです」
  1384. あつこ: 「あの子が扱うのは『保存』の魔法 他人の魔法を自分のものにします」
  1385. あつこ: 「だけど、時間的な制限があります 一定時間が経つともう使えません」
  1386. あつこ: 「ただ、わかっているのはここまで… ごめんなさい…」
  1387. あつこ: 「…私は神浜大東団地が大好きです お父さん、お母さん、そしてみんなと 過ごす、楽しい団地の暮らしが…」
  1388. あつこ: 「お願いします…どうか…どうか…」
  1389. あつこ: 「神浜大東団地を守ってください…」
  1390. 伊吹 れいら: …………
  1391. 伊吹 れいら: …うっ…うっ…
  1392. 桑水 せいか: …………
  1393. 相野 みと: うわ~ん!
  1394. 和喜: ど、どうしたんだい? 君たちまで泣き出して…
  1395. 伊吹 れいら: 和喜さん…
  1396. 伊吹 れいら: ありがとうございます… 団地を残してくれて…
  1397. 桑水 せいか: 私たち、繋いでいきます… 昔の人たちの想いを…
  1398. 相野 みと: 元住人だけど、私も!
  1399. 和喜: …そうかい…はは…
  1400. 和喜: ありがとう… ありがとう…
  1401. <人はその場からいなくなっても 『何か』を残していく>
  1402. <そして残された者たちがその『何か』を 拾い上げて誰かと共有したり、手渡したり また新たなものを作り上げたりして 『何か』を残していく>
  1403. <その連続の先に見えてくるのが…>
  1404. <「未来」>
  1405. みたま: それはまた 大変だったわねぇ
  1406. 十七夜: ああ
  1407. みたま: いつの世にも 厄介な魔法少女っているのねぇ
  1408. 十七夜: まったくだな
  1409. みたま: やだやだ…
  1410. 十七夜: …で、今日はやはり…
  1411. 十七夜: マギアレコードの話か
  1412. みたま: …そう こっちも厄介でね…
  1413. みたま: …どうにも不安定なの…
  1414. みたま: おそらく、何らかのタイミングで 内部的には暴走しているのかも…
  1415. 十七夜: 暴走…!?なんと…
  1416. 十七夜: そうなると…
  1417. みたま: ええ…
  1418. みたま: 一時的にでもマギアレコードの 様子を見てきてもらわないとかも
  1419. みたま: いろはちゃんとういちゃんには…
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