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Arc 2 Main Story Chapter 11 JP Text

Jul 11th, 2022 (edited)
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  1. FILENAME: text_103201-1_7xz7k.txt [Episode 1]
  2. いろは: 『私はみんなが生きられる世界を作りたい』
  3. いろは: 『今、神浜にいる魔法少女たちは 願いも、境遇も、目的も、全部違ってる』
  4. いろは: 『だけど、その根本をたどっていけば 悲しみや苦しみから逃れようとする 救われたい気持ちがポツンと残っていて それは希望を持っているからだって思ったの』
  5. いろは: 『そんな尊い想いを私は大切にしたいし みんなに叶えて欲しい』
  6. いろは: 『だから、私が戦うとしたら 争いを求める人たちを止めるためだと思う』
  7. いろは: 『命を奪い合うような争いは 誰かが救われる未来も、希望を叶える未来も 全て奪ってしまうから』
  8. いろは: あれからみんなの支えがあって 私たちは違った想いを抱えながらも 手を取り合うことができた
  9. いろは: でも、今までの戦いで 大切な人たちを失ったのは本当のこと…
  10. いろは: 振り返るほど 本当にみんなの尊い想いを大切にできたのか わからなくなってしまう
  11. いろは: それは、今も眠り続けている 灯花ちゃんとねむちゃんのことを考えると 余計に強くなっていって
  12. いろは: 偉そうなことを言うだけで 結局なにもできてないような気がする…
  13. ピロン♪
  14. いろは: はっ…
  15. ラビ: 神浜マギアユニオン、プロミストブラッド 時女一族、ネオマギウスの皆さまへ
  16. ラビ: 先般の会合でお伝えした通り 本日は9:00より 午前0時のフォークロアと湯国市について 私と里見教授よりお伝えさせていただきます
  17. ラビ: 場所は変わらず神浜水族館です お越しの際は、正面ではなく裏手にある 海洋生物研究所が入口になりますので ご注意ください
  18. いろは: …言い出しっぺの私が、 弱気になってちゃいけないよね
  19. いろは: 今の状況を 心の底から喜べなかったとしても
  20. いろは: 悲しんじゃいけない…
  21. いろは: (それに今は次を考えないと…)
  22. いろは: (どうやって自動浄化システムを キュゥべえから取り返すか…)
  23. キュゥべえ: 佐鳥かごめ
  24. キュゥべえ: キミの魔法少女の存在を広めたい という想いは変わらないんだね
  25. かごめ: うん…
  26. かごめ: 願う前から魔女になるまで 魔法少女と人が関わり続ける以上
  27. かごめ: どれだけ失敗していたとしても 広めるべきだと思う…
  28. かごめ: 魔法少女たちが願いを叶える前に 苦しんでいたことを知って
  29. かごめ: どんな宿命を抱えながら 魔女と戦ってきたかを知れば
  30. かごめ: 人はみんな少しだけ優しくなって 変わるような気がする
  31. かごめ: 今、神浜市でひとつになってる 魔法少女たちを見てたらね
  32. かごめ: そんな未来を信じてもいいって そう思えるの
  33. キュゥべえ: だけど、キミたちが話していた 宇宙の意思はどうするんだい?
  34. キュゥべえ: 本当に自浄作用なんてものが 働いてしまったら
  35. キュゥべえ: 今度こそ湯国市で起きたような 惨事じゃ済まされない
  36. キュゥべえ: 佐鳥かごめ、 キミが決めたことで
  37. キュゥべえ: 多くの人たちが命を落とす未来が 訪れるかもしれないよ?
  38. かごめ: 私は、午前0時のフォークロアが 見始めた幸せな未来を信じる
  39. いろはの声: お待たせ、かごめちゃん
  40. いろは: やちよさんたち 少し遅れるみたいだから
  41. いろは: …っ、キュゥべえ!?
  42. いろは: ま、待って!
  43. キュゥべえ: …………
  44. キュゥべえ: キミの言いたいことは わかってるよ、環いろは
  45. いろは: それなら、私たちに返して 自動浄化システムを…
  46. キュゥべえ: 悪いけど、それはできない
  47. いろは: お互いの意見を合わせて、 うまくまとめられない…?
  48. キュゥべえ: キミたちが魔女になるのを 拒む以上、相容れることはないよ
  49. キュゥべえ: じゃあね、環いろは
  50. いろは: せっかく居たから聞いてみたけど やっぱりダメだったみたい…
  51. かごめ: …自動浄化システムの コントロールを掌握される前に
  52. かごめ: なんとか取り戻せると いいですね…
  53. いろは: うん…
  54. いろは: 今はとりあえず 気を取り直して水族館に行こっか
  55. かごめ: …………
  56. かごめ: 今まで記してきた手記…
  57. かごめ: 次にまとめる時は当然だけど これから起きることは終わってる
  58. かごめ: 無事に自動浄化システムは手に入るのか 魔法少女たちはどうなってるのか 私自身はどうなってるのか
  59. かごめ: わからないけど、この緊張感は何だか 良い感覚じゃない気がする…
  60. 都 ひなの: …っし、そろそろ行くか
  61. 都 ひなの: ありがとうな 今日は来てくれて
  62. アオ: わたしがお礼を言われる 筋合いなんてないよ…
  63. アオ: 正直、謝る以外に 言葉なんて出てこないけど
  64. アオ: それでも、その一言だけでも 言えるようになって良かった…
  65. すなお: 読経、終わったんですね
  66. ちはる: ここで聞いてたりするのかな
  67. 南津 涼子: さくやの菩提寺は別だろ? あたしの自己満だ自己満
  68. ちはる: えぇ、そんなのいいの…?
  69. 南津 涼子: いいんだよ 相手を偲ぶ想いがあってこそだ
  70.  
  71. FILENAME: text_103201-2_7xz7k.txt
  72. 太助: 「…ここまでが諦念に至るまでの経緯だ」
  73. 太助: 「私は魔法少女を救うために過去を追った結果 救える方法はないという恐れに支配された」
  74. 太助: 「その上、学生と魔法少女たちの間で起きた 湯国市での凄惨な事件に関わる中で ラビたちと共に諦念に至ってしまったんだ…」
  75. 那由他: 「いえ、本当はパパもラビさんたちも 完全には諦めてなかったんですの」
  76. 那由他: 「だから、みんなは神浜市での戦いの行く末を 見続けていたんですの 本当は救われるんじゃないかって…」
  77. 那由他: 「そしたら本当に奇跡が起きて パパとラビさんたちは希望を見出した」
  78. ラビ: はい…そうですね…
  79. ラビ: 「誰しもが、かつての私たちと同様に 魔法少女の存在を広めようとしていたので」
  80. ラビ: 「神浜市における魔法少女たちの衝突は 宇宙の意思が引き起こした自浄作用の影響であり 多くの方が亡くなると思っていました」
  81. ラビ: 「ですが予想は外れて犠牲は極めて少なかった」
  82. ラビ: 「ネオマギウスとの戦いでは多くの死者が出ると 踏んでいたものの、そうはならなかった」
  83. ラビ: 「私たちの前で起きた戦いの結末は 希望を信じて未来へと歩む勇気になったんです」
  84. ラビ: 「そして、私たち自身も 潜伏していたグループの方たちと共に 夢を追いかけたくなったんです…」
  85. かえで: 身を護るためなのはわかるけど 少し釈然としないかも…
  86. レナ: ま、虫が良すぎる話よね
  87. さな: 特にネオマギウスが ここまで大きくならなければ
  88. さな: 神浜市の人たちを巻き込む事態に なりませんでしたし…
  89. ひめな: それは私チャンが悪いんだって!
  90. ひめな: 計画は全部、私チャンとヒコ君で 決めてたんだから!
  91. アレクサンドラ: そんな、ひめちゃんだけが 悪いわけじゃありません…!
  92. 太助: 正直なところ、 本を正せば原因を作ったのは私だ
  93. 太助: 絶望する前に消すことが 魔法少女にできる唯一の救いだと
  94. 太助: 希望を見失った考えに至ったのが すべての始まりだったんだ…
  95. ラビ: ひとりで謝らないでください
  96. 旭: 我々もその考えに賛同して、 傍観していた者であります
  97. うらら: そうなんよ、教授ひとりだけが 背負う必要なんてないんよ
  98. 太助: 私は君たちを惑わせた大人だ
  99. 太助: 本来であれば、 頭を下げるだけでは済まないんだ
  100. 太助: ただ、言えた立場でないことは 重々承知しているが
  101. 太助: これだけはお願いしたい
  102. 太助: 「違う年代、違う地域、違う文化を持つ者が 手を取り合おうとしている神浜市の状況は 希有なんてものではない奇跡だ」
  103. 太助: 「過去に生きた魔法少女を調べても いまを生きる魔法少女と言葉を交わしても テリトリーひとつを守るために争っているのが 魔法少女たちの現状なんだ…」
  104. 太助: 「だから、どうか希望を取り戻したラビたちと 手を取り合って歩んで欲しい」
  105. 太助: 「思想を歪ませてしまった悪い大人のエゴだが どうか…お願いする…」
  106. 那由他: 私からも、お願いしますの…!
  107. やちよ: …それなら約束してください
  108. やちよ: 代わりに私たちを知る大人として 最後まで味方でいるって
  109. 太助: ああ
  110. 太助: 必ず魔法少女の実態を知らせる 書籍を完成させて
  111. 太助: 魔法少女と世間が支え合える 一助となることを誓うよ
  112. 那由他: 私もパパが折れないように しっかりサポートをしますの
  113. やちよ: それだけやってくれたら大丈夫
  114. やちよ: 私は異論なく手を取り合えるわ
  115. うい: それに誰とも争わずに 未来への希望を残すのが
  116. うい: お姉ちゃんの望みだもんね
  117. いろは: うん
  118. いろは: 誰かを傷つけようとしない限り 戦う理由はありません
  119. いろは: 神浜マギアユニオンとしては 皆さんが来るのは歓迎です
  120. フェリシア: 確かに怪しいところはあるけど オレは仲良くできるぞ!
  121. 鶴乃: というわけで
  122. 鶴乃: こっちは歓迎パーティーも やる勢いだけど他はどう?
  123. ひめな: そんなの決まってるじゃん
  124. ひめな: 私チャンのマイメンを 裏切ることなんてできないって★
  125. 静香: 元をたどれば旭も分家の出身
  126. 静香: 戻ってきた挨拶も済ませてるから 今さら手を離したりしないわ
  127. 結菜: 身を挺して二木市の魔法少女を 守ろうとしてくれたおかげで
  128. 結菜: 幹部以下のメンバーも うららを受け入れてくれたわぁ
  129. 那由他: 問題なく収拾がつきそうで 良かったですの、ラビさん
  130. ラビ: …那由他様 これからもよろしくお願いします
  131. 那由他: もちろんですの
  132.  
  133. FILENAME: text_103201-3_7xz7k.txt
  134. リヴィア: お、みんな集まってるって 聞いたから来てみたけど
  135. リヴィア: グループのリーダー陣以外にも ぎょうさんおるみたいやな
  136. いろは: あ、リヴィアさん 先日はありがとうございました
  137. リヴィア: なんや、急に礼なんて 姫さんの仕掛けを壊したからか?
  138. いろは: はい、おかげさまで たくさんの命が救われました…
  139. リヴィア: 魔法少女を助けるんが調整屋やし 当然のことをしただけやで
  140. リヴィア: ちゅーか、その件はもうええよ
  141. リヴィア: 色んな子から感謝されて お腹いっぱいやし
  142. リヴィア: 姫さんになんて、 泣いて詫びられてしもたからな
  143. ひめな: だって、ネオマギウスのみんなを 殺してたかもしれないし
  144. ひめな: それを無理に止めようとして 死にかけたんでしょ?
  145. ひめな: ていうか、こんな所に来てて ぶっちゃけ大丈夫なの?
  146. リヴィア: うちには優秀な助手が ふたりもおるから平気やったよ
  147. リヴィア: それに、目的もあれへんのに、 こんな所けーへんて
  148. いろは: 午前0時のフォークロアの話なら もう終わっちゃいましたけど…
  149. リヴィア: あー、ちゃうちゃう 今回はみたまと十七夜の件や
  150. いろは: あの、ふたりはまだ 連絡すらつかない状況で…
  151. リヴィア: 動いてたんはユニオンだけちゃう 私らかて同じや
  152. リヴィア: な、月出里
  153. 月出里: 「ふむっ!」
  154. 月出里: 「ふむんむふむむむ、ふんむんむむ ふむむむ、ふんむふむむ」
  155. 月出里: 「ふむん、ふむんむふむむ ふっむむむふむんむむ ふんむむふむんむむ、ふむんふむんむ」
  156. 月出里: 「ふむむっむふんむ ふむんふむんむむむ、ふむむっむふむんむ ふむんむむ、ふんむんふむんむむ」
  157. 月出里: 「ふむん、ふむんむ ふむんむんむ、ふーむふむむふむんむ ふむんむむんむむふむんむむむん」
  158. 月出里: 「ふむんむふむんむんむむふむむ ふむんむむふんむんむむふむんむふむむむむ」
  159. フェリシア: お…?お?
  160. さな: つまり…?
  161. ヨヅル: 和泉様とみたまさんの居場所を 絞ることができたので
  162. ヨヅル: 皆さまが抱くふたりへの想いを 私たちに託してくれませんか?
  163. ヨヅル: 想いは言葉と違って 偽ることができませんので
  164. ヨヅル: ふたりを連れ戻すための役割を 十分果たしてくれるはずなんです
  165. ヨヅル: よろしければ先生の ソウルジェムに触れていただき
  166. ヨヅル: 心の声で想いを唱えながら 魔力を付与してください
  167. ヨヅル: そうすれば言葉の裏にある想いも しっかり受け止められますから
  168. ヨヅル: といったことを 月出里は申しておりました
  169. 月出里: ふむっ!
  170. リヴィア: ちゅーわけで、 お願いでけへんやろか?
  171. リヴィア: あんたらもキモチの石が 8つそろわんと困るやろ?
  172. みかげ: ミィも!ミィも一緒に行く!
  173. ももこ: ああ!
  174. ももこ: 調整屋と十七夜さんのことだろ アタシも一緒に連れて行ってくれ
  175. リヴィア: あんたらふたりにできることは もう全部やってもうとる
  176. リヴィア: 悪いけど、最後は光やのうて 闇が必要なんや
  177. リヴィア: 私に任せてくれへんか
  178. ももこ: でも…!
  179. リヴィア: 大丈夫や 一皮むかせて帰ってこさすから
  180. ももこ: …わかった、頼むよ
  181. リヴィア: ありがとう、アンタの想いは ちゃんと受け取ったで
  182. リヴィア: 他のみんなもよろしく頼むわ!
  183. フェリシア: んじゃオレも!
  184. さな: 私も…!
  185. うい: お姉ちゃん、わたしたちも一緒に 届けてもらおう
  186. いろは: うんっ
  187. いろは: すみません、仕掛けの一件から 頼りきりになっちゃって
  188. リヴィア: お礼はお客さんとして 対価をくれたらかめへんよ
  189. ラビ: では、午前0時のフォークロア 定例報告を始めよう
  190. 旭: …とは言っても、報告することは ないと思うであります
  191. うらら: 事態は丸く収まったんよ!
  192. アレクサンドラ: そうですね、うふふっ♪
  193. アレクサンドラ: ただ、自動浄化システムの件は、 問題として残りますが…
  194. うらら: そうだったんよ キュゥべえがコアになってるんよ
  195. 旭: キモチの石をそろえないと、 奪い返すこともできない
  196. 旭: 和泉殿と八雲殿を連れ戻せるかに かかってるでありますな…
  197. ラビ: 過度に期待はしたくないけど、 希望を持って待つのもいいと思う
  198. 太助: そうだね 今は追い風が吹いている
  199. ラビ: 教授は待つだけじゃなくて やることがあるはずです
  200. うらら: 教授も一緒に戦うのん!?
  201. 太助: まさか、私の個人的なことだよ
  202. 太助: 兄さんに呼ばれていてね、 もう一度精密検査をしにいくんだ
  203. うらら: えっ!?病気なのん!?
  204. 太助: 軟禁してでも調べようとしたのは 冗談じゃなかったみたいだ
  205. 太助: でも大丈夫 そんな重い話にはならないよ
  206. 太助: 兄さんが大げさなだけだ
  207.  
  208. FILENAME: text_103201-4_7xz7k.txt
  209. カンカンカンカンカン!
  210. 那由他: おかしいですの 今日は休日なのに朝が早いですの
  211. 那由他: いまもフライパンを叩く音が、 頭の中で響いてますの
  212. ラビ: 休みだから怠惰になるのではなく むしろ自分を律するべきです
  213. ラビ: 休日をどう過ごすかが、 平日の自分の価値を決めますから
  214. 那由他: なんか、意識高すぎですの… 前より仕事に身が入ってますの…
  215. ラビ: せっかく得られた未来ですからね 多少は高揚もします
  216. ラビ: 朝食はオートミールと ヨーグルトで構いませんか?
  217. 那由他: ふぁぁ~
  218. ラビ: まだ、眠いんですか…?
  219. 那由他: 昨日は夜更かしをしてたから 仕方ないんですの
  220. ラビ: 寝る前にスマホばかり見てると 寝つきが悪くなるのは当然ですよ
  221. 那由他: 決めつけないで欲しいんですの ちょっと待ってるんですの!
  222. ダッダッダッダッダッダッダッダッ!
  223. ラビ: ふっ…
  224. ダッダッダッダッダッダッダッダッ!
  225. 那由他: コレを作ってたんですの!
  226. ラビ: これは、バッジですか…?
  227. 那由他: そう、お守りみたいなものですの
  228. ラビ: レジンで固めてあるんですね
  229. ラビ: もしかして、描いてあるのは 私たちでしょうか?
  230. 那由他: そうですの
  231. 那由他: 私とラビさんとみかげさんの パパ捜索隊の3人なんですの!
  232. ラビ: みかげさんから頂いた 捜索隊バッジがあるというのに
  233. 那由他: そうじゃないですの 3人を入れたかったんですの
  234. 那由他: 今回のパパとラビさんが抱える 問題を通して気づいたんですの
  235. ラビ: …と言いますと?
  236. 那由他: 実はパパもラビさんも 心が弱いって
  237. ラビ: いささか失礼ですね
  238. 那由他: だから、もしもつらくなった時は バッジを見て欲しいんですの
  239. 那由他: 私もみかげさんも ラビさんと一緒にいますの!
  240. ラビ: 私たちの諦念の件については、 片づいたと思ってます
  241. ラビ: 心配なさらなくても…
  242. 那由他: でも、いなくなるかもしれない
  243. ラビ: ――っ!?
  244. 那由他: ママがいなくなって パパがいなくなって
  245. 那由他: そのパパは戻って来たけど、 入院するって言ってて…
  246. 那由他: その上ラビさんまで いなくなったら…私は…
  247. ラビ: …………失礼しました
  248. ラビ: バッジ自体はとても嬉しいです お世辞でもなく、本心です
  249. ラビ: ありがとうございます
  250. 那由他: はい…
  251. ラビ: ただ、教授も体調については 心配ないと言っていました
  252. ラビ: 今日は病院に行くことですし、 きちんと様子を窺いましょう
  253. 那由他: はい…
  254. みかげの声: なーーーゆーーーたーーーん!!
  255. ラビ: ほら、みかげさんも来ましたよ
  256. いろは: それじゃあ行ってきます
  257. やちよ: 里見メディカルセンターには みふゆもいると思うわ
  258. いろは: 一緒に受付で手続きを済ませて 中に入るようにしますね
  259. やちよ: 里見さんと柊さんだけど
  260. やちよ: せめてテレパシーだけでも、 通じたらいいわね…
  261. やちよ: 体が動かないだけで、 意識は戻ってるかもしれないし…
  262. うい: うん
  263. うい: 体はだいぶ治ったって 聞いたから、試してみる
  264.  
  265. FILENAME: text_103201-5_7xz7k.txt
  266. みふゆの声: あ、いろはさーん、ういさーん
  267. いろは: こっちです、みふゆさーん
  268. みふゆ: すみません、遅れてしまって…
  269. いろは: いえ、果てなしのミラーズの 再調査だったんですよね?
  270. いろは: 以前と様子は変わってましたか?
  271. みふゆ: 特に変わった様子は ありませんでした
  272. みふゆ: ですが、調査中に判明したことが 長引く原因になってまして…
  273. いろは: なにかあったんですか…?
  274. みふゆ: あとでまとめて報告しようと 思っていたのですが…
  275. みふゆ: 実はかりんさんが 行方不明になったみたいなんです
  276. いろは: かりんちゃんが!?
  277. うい: 果てなしのミラーズに 勝手に入っちゃったの!?
  278. みふゆ: 果てなしのミラーズで コピーから聞いた話だったので
  279. みふゆ: まったく 信じてなかったのですが…
  280. みふゆ: 実際に栄区に住む魔法少女が 本人の家を訪ねてみたところ
  281. みふゆ: 本当に行方が わからなくなっていたそうです…
  282. みふゆ: 彼女の場合、前例がないわけでは ないのですが…
  283. うい: じゃあ、果てなしのミラーズを 担当してたみんなはいま…
  284. みふゆ: 必死に捜してます…
  285. みふゆ: ただ、ターミナルまで潜っても 反応がないので
  286. みふゆ: いずれ限界が訪れそうです…
  287. いろは: あの、私たちもこれから 手伝いましょうか…?
  288. みふゆ: 心配しなくても大丈夫ですよ ありがとうございます
  289. 万年桜のウワサ: |いろは、うい|
  290. いろは: わっ、さ、桜子ちゃん いつの間にいたの!?
  291. 万年桜のウワサ: |ふたりの反応があったから、 降りてきた|
  292. 万年桜のウワサ: |灯花とねむに会いに来た?|
  293. いろは: うん、状況が大きく変わったから 説明しておきたかったの
  294. 万年桜のウワサ: |ふたりともすごく喜ぶよ|
  295. 万年桜のウワサ: |♪|
  296. うい: テレパシーで報告してる間に 起きてくれるかな…
  297. いろは: 久しぶりに ふたりの声が聞きたいね
  298. うい: うん…
  299. うい: たくさんお話したけど、 やっぱり起きてくれないね…
  300. いろは: うん、考えてたことだけど テレパシーにも反応しなかった…
  301. うい: ねえ、桜子ちゃん 本当にふたりとも大丈夫なの…?
  302. 万年桜のウワサ: |もう体はなんの異常もないって 灯花の父親が話してたよ|
  303. うい: 灯花ちゃんのお父さんは ここの院長さんだし…
  304. いろは: うん、ウソだとは思えないね
  305. 万年桜のウワサ: |外傷は完治、内臓も正常 血液も異常な値を示してない|
  306. 万年桜のウワサ: |CTによる検査結果や脳波も 異常は見られないみたい|
  307. いろは: じゃああと残されてるのは…
  308. みふゆ: 魂…ソウルジェム…? いえ、そんなはずは…
  309. みふゆ: 傷ひとつありませんし 定期的に浄化もしています…
  310. 万年桜のウワサ: |様子を見守るしかない|
  311. みふゆ: そのようですね…
  312. うい: …………
  313. うい: 自爆しちゃう時に、 何かしたのかな…
  314. いろは: 何かって…?
  315. うい: わからないけど…
  316. みふゆ: もしも真実であれば一言ぐらい 相談して欲しかったですね…
  317. みふゆ: ワタシじゃ頼りないかも しれないですけど
  318. みふゆ: 自分たちにだって 未来はあるんですから…
  319.  
  320. FILENAME: text_103201-6_7xz7k.txt
  321. 万年桜のウワサ: |また、近いうちに来る?|
  322. うい: うん、灯花ちゃんとねむちゃんが 目を覚ますかもしれないもん
  323. うい: お姉ちゃん、いいよね?
  324. いろは: 私も定期的に通ってるから、 気にしなくてもいいよ
  325. 万年桜のウワサ: |それまで私はずっとふたりを 守ってるから|
  326. いろは: ありがとう、桜子ちゃん
  327. 万年桜のウワサ: |♪|
  328. みふゆ: あら、向こうにいるのは、 午前0時のフォークロアの…
  329. みふゆ: みかげさんもいるようですし お話しておきましょうか
  330. いろは: そうですね
  331. 那由他: えっ、うっ、おぉ…
  332. 太助: 那由他、そんな泣かないで 検査するだけだから
  333. 灯花の父: そう、心配しなくていい 念のためだ
  334. 那由他: ご、ごめんな…さ…ぅ…
  335. 太助: さっきまでは落ち着いてたのに 急にどうしたんだ…?
  336. 那由他: 急に、ぅ、悪い想像を、ぅ、 してしまって…
  337. 那由他: 涙が、ぅ、 止まらなくなったんでずの
  338. いろは: あの、こんにち…
  339. いろは: ――っ!?
  340. いろは: だだっ、大丈夫ですか…!?
  341. 那由他: ふぅぅう…
  342. ラビ: すみませんお騒がせして… 教授が入院するもので…
  343. 太助: とは言っても、 検査をするだけなんだけど…
  344. 灯花の父: 泣くぐらいなら励ましてやれ 太助も時間がないから行くぞ
  345. 灯花の父: ここからは担当医が変わるから 引き継いだら私は行く
  346. 太助: ああ、ごめん兄さん じゃあ那由他、行くからね
  347. 那由他: ぶ、ぶじを、祈ってますのぉ…
  348. 那由他: …………
  349. ラビ: 大丈夫ですよ 教授はあれでタフですから
  350. 那由他: わ、わかってますの…!
  351. みかげ: それになゆたん! ミィを見習った方がいいよ!
  352. みかげ: 姉ちゃが帰ってこないのに、 こんなに元気なんだから!
  353. 那由他: 強いですのぉ…
  354. ラビ: ほら、ハンカチを使って、 座って落ち着いてください
  355. 那由他: わかりましたの…
  356. ラビ: すみません ちゃんと挨拶もできずに
  357. いろは: そんな、ぜんぜん…!
  358. うい: すっごく泣いてたけど 大丈夫…?
  359. ラビ: じきに落ち着きます
  360. みかげ: 今日はみんなも 病院に来てたんだね
  361. うい: うん、灯花ちゃんとねむちゃんの お見舞いに
  362. みふゆ: それで、みかげさんの姿を 見かけましたので
  363. みふゆ: 少しお話を 伝えておこうかと
  364. みかげ: ミィ?
  365. みかげ: じゃあ、ピュエラケアの人たちは 姉ちゃたちの所に向かったんだ
  366. みふゆ: はい、今朝方に準備が整ったので 出発したそうです
  367. みかげ: …………
  368. いろは: 大丈夫だよみかげちゃん リヴィアさんは信用できると思う
  369. いろは: 調整屋の人にしかできないことも あると思うから
  370. いろは: 私たちは自分たちに できることをして待ってよう
  371. みかげ: うんっ
  372. みかげ: きっと姉ちゃもなぎたんも 元気に帰って来るし
  373. みかげ: ミィたちは自動浄化システムを どうにかしないとだもんね
  374. いろは: そう
  375. いろは: やれることを進めないとね
  376. キュゥべえ: ―キュゥべえ― userNameが戻ってきたのは ボクが代わりにコアになったからだよ
  377. フェリシア: ―フェリシア― マジかよ…
  378. フェリシア: ―フェリシア― じゃあ、めっちゃ前からオマエが 自動浄化システムの中にいたってことか!?
  379. さな: ―さな― そして、前からずっとコアとして 何かを“していた”…?
  380. キュゥべえ: ―キュゥべえ― その認識で間違いないよ
  381. キュゥべえ: ―キュゥべえ― ドッペル化という現象で効率的にエネルギーを 回収できるか調べる必要があったからね
  382. キュゥべえ: ―キュゥべえ― どうしても自動浄化システムを解析して コントロール下に置きたかったんだ
  383. キュゥべえ: ―キュゥべえ― だけどコアになった当初は維持するのが精一杯で 一切のコントロールができなかった
  384. いろは: キュゥべえが自動浄化システムを 制御できるようになる前に
  385. いろは: なんとか取り戻さないと…
  386.  
  387. FILENAME: text_103201-7_7xz7k.txt
  388. …………
  389. 私だけが…この村に戻って… 彼らを恨んで…
  390. ………… …………
  391. ヨヅル: みたまさんの記憶で見たという 巫のいた海岸についてですが
  392. ヨヅル: 本当に和泉様と一緒に いるのでしょうか?
  393. 月出里: ふんむんむんむ、ふむんむんむ ふむっむんむむ、ふむんむむ?
  394. 月出里: ふっむふんむむむ ふんむむふむっむんむむ
  395. ヨヅル: 一緒に藍家様の仕掛けを 押さえている時に見たものなら
  396. ヨヅル: みんなが必死だったので、 正確に捉えきれてないのでは…
  397. ヨヅル: と、月出里が申しております
  398. リヴィア: 言っとることはわかる やけど問題あれへんと思うで
  399. リヴィア: 「死ぬ気やったみたまの中に見えた 理想の死に場所やからな」
  400. リヴィア: 「ももこちゃんらと遊びに行った海辺で 叶わん恋をしとった巫の記憶を見て」
  401. リヴィア: 「その巫が集落の人らを恨んで 魔女になってまうところまで見とる」
  402. リヴィア: 悲しみに満たされたみたまは、 死ぬならそこやと思とる…
  403. 月出里: ふむんむふんむんふむんむ ふむんふっむふむんむ…?
  404. ヨヅル: みたまさんも恨みを抱えて 魔女になっていくから?
  405. ヨヅル: そう月出里が申しております
  406. リヴィア: あの子の悲しみは 町への恨みになっとるからな…
  407. リヴィア: 海辺におったかつての巫を 少しダブらせとるんかもしれん
  408. リヴィア: やけど、一緒に死んでやるって ももこちゃんに言われて
  409. リヴィア: 救われとるあの子もおるから、 思い出の場所を選んだんかもな
  410. リヴィア: 素直に助けを求めたらええのに… 人間、素直なんはええよ
  411. ヨヅル: では、素直ついでに質問を
  412. リヴィア: ん?
  413. ヨヅル: あの仕掛けを防ぐとき、 私と月出里も一緒でした
  414. ヨヅル: 先生がみたまさんの中を 不意に覗いてしまったのと同様に
  415. ヨヅル: 私と月出里も 先生の中を見ているんです
  416. リヴィア: 確かにせやろうな
  417. ヨヅル: 先生の目的を教えてください この戦いに調整屋として来た意味
  418. ヨヅル: その果てに 何を求めているのかを
  419. リヴィア: …………
  420. リヴィア: 見えたんやったら知ってるやろ
  421. ヨヅル: 実力が足りず、真意までは つかめませんでした
  422. 月出里: ふむん、ふむんむんむ ふむんむふむむん
  423. ヨヅル: 先生の口から聞きたいと、 月出里も申してますよ
  424. リヴィア: さよか
  425. リヴィア: ええよ、もう隠す事ちゃうし 私の口から教えたるわ
  426.  
  427. FILENAME: text_103201-8_7xz7k.txt
  428. リヴィア: 私の目的はな、 世界中の魔法少女を救うことや
  429. 月出里: ふっむむ…
  430. ヨヅル: はい、それは私も月出里も 知っていることです
  431. ヨヅル: ただ、先生の中が見えた時、 キュゥべえの姿がありました
  432. ヨヅル: それも、願いなどは関係なく、 先生の中で大きな存在として…
  433. ヨヅル: その光景が正しかったのかどうか 答え合わせがしたいんです
  434. 月出里: ふむんむむ、ふむんむん
  435. リヴィア: せやな…
  436. リヴィア: 私にとってキュゥべえは、 どえらい重要な存在や
  437. リヴィア: なんせ私は
  438. リヴィア: 「キュゥべえの目的を果たすことで 魔法少女を救おうとしとるんやから…」
  439. 月出里: ふっむむ
  440. ヨヅル: 私たちが見た通りなんですね
  441. リヴィア: 宇宙を維持するために必要な エネルギーを回収する
  442. リヴィア: そのノルマっちゅうのを キュゥべえは持っとるんや
  443. リヴィア: せやから、私はそのノルマを 達成させたることで
  444. リヴィア: 魔法少女の存在を、 用無しにしたろうと思たんや
  445. 月出里: ふむ、ふむっむ ふむんむふむんむんむ
  446. ヨヅル: 月出里の言う通り それは途方もない話…
  447. ヨヅル: 何人もの少女たちを犠牲にして ようやく成り立つ方法ですよね?
  448. リヴィア: やから、かごめちゃんと 神浜市に注目したんや
  449. リヴィア: 「魔法少女を取材する普通の少女なんて 今まで聞いたこともあれへんかった」
  450. リヴィア: 「それに色んな地域の魔法少女たちが 何十人も入り乱れて衝突するなんて動きも 初めて聞くような現象やったし ドッペルなんて話も初めて聞いた」
  451. リヴィア: やけど、できると思った
  452. リヴィア: 「ひとつは死なへんように魔法少女を助けつつ 争いを激化させてドッペル化を促す」
  453. リヴィア: 「繰り返しエネルギーを得られる環境やったら 回収効率が上がるかもしれへんし その考えはキュゥべえとも合致しとった」
  454. リヴィア: 「もうひとつはかごめちゃんを成長させて 抱える因果を育て続けるということ」
  455. リヴィア: 「あの子が繋がっとる関係を広げていって 途方もない力をつけさせた時 莫大なエネルギーを生み出す魔法少女になる それもキュゥべえの意見と合致しとった」
  456. ヨヅル: つまり、佐鳥様を魔女にすれば ノルマの達成に大きく近づく
  457. ヨヅル: しかしそれは、相手を想うという 先生のマニュアルに沿って言えば
  458. ヨヅル: 優しさにあたらないと 思うのですが…
  459. リヴィア: やから、ドッペル化を促すために 争わせる方に専念したんや
  460. リヴィア: せやけど、ドッペル化やと十分な エネルギーが得られんかったから
  461. リヴィア: 犠牲がひとりで済む方法に 注力せざるを得んかったんや
  462. 月出里: ふむ、ふむんむんむ ふむっむふむんむ…
  463. ヨヅル: ええ、佐鳥かごめの保護は、 未来のエサとするためですね
  464. リヴィア: まぁ…そういうこっちゃ…
  465. リヴィア: やから、こうやってみたまたちを 連れ戻そうとしとるんかて
  466. リヴィア: かごめちゃんが願いを叶える 土壌を作る一環でしかあれへん
  467. 月出里: ふんむんむ…
  468. ヨヅル: 先生が出した答えなのであれば それが最善なのでしょう
  469. リヴィア: いや、最善はいろはちゃんや
  470. リヴィア: 自動浄化システムを奪い返して 世界を覆ってしまう
  471. リヴィア: ほんでキュゥべえを入れんくして ドッペル化もできるんやったら
  472. リヴィア: それが最高ちゃうか?
  473. 月出里: ふむん、ふんむむふっむむ ふむんむむ?
  474. ヨヅル: なぜ、そちらを手伝わないか そう伺ってます
  475. リヴィア: みたまと十七夜を連れ戻すのは 一応、手伝う一環にもなるやろ
  476. リヴィア: それに、私が本気で手伝われへん 理由は“わかっとるやろ”
  477. リヴィア: 言うとくで
  478. リヴィア: 「私は宇宙のために生きることしかでけへん」
  479. リヴィア: 「ヨヅルと月出里に優しくしとるのも あんたらのためちゃう 全部は宇宙のためなんや」
  480. ヨヅル: 先生の中を覗いた今となっては 理解しています
  481. 月出里: ふむ
  482.  
  483. FILENAME: text_103201-9_7xz7k.txt
  484. 十七夜: 八雲、自分たちは姫君の仕掛けを 破壊しに行こう
  485. みたま: ええ、今のわたしたちには、 それぐらいしかできないからね
  486. 鶴乃: わたしたちと 一緒に来てくれないの?
  487. みたま: 他に片づけておくことがあるから
  488. 十七夜: それに、今は由比君たちと共に 肩を並べて歩けない
  489. 十七夜: やはり、あの時の感覚は 正しかった…
  490. 十七夜: ―十七夜― そうだ…
  491. 十七夜: ―十七夜― 自分が東西のことで悲しみを蓄えてきたように 多くの者たちが、この件で悲しんできた…
  492. 十七夜: ―十七夜― それなのに、自分は己の悲嘆に従って 他の者が抱えている悲嘆を無視してしまった…
  493. みたま: ええ…どんな得られた喜びも… 悲しみに塗り替えられる…
  494. みかげ: ―みかげ― それでも、滅びを与える姉ちゃは つらそうだよ?
  495. みかげ: ―みかげ― だったら つらい方には行かない方がいいよ
  496. みかげ: ―みかげ― そのときが来たら そのときに考えればいいんだよ
  497. ももこ: ―ももこ― そう、本当に滅びる時になったらさ アタシも一緒になって必死にあがくからさ
  498. みたま: ダメ…
  499. みたま: ミィの言葉が、ももこの言葉が… みんなの言葉が塗りつぶされる…
  500. 十七夜: キモチに囚われぬように悲しみを 魂に取り込んだ結果か…
  501. 十七夜: ふっ…
  502. 十七夜: 元々、姫君の仕掛けを止めて 散らすつもりの命だった…
  503. 十七夜: 皆に迷惑をかけることなく、 魔女になるのなら構わない…
  504. 十七夜: 八雲は、 ここが良かったんだろう…?
  505. みたま: ええ…
  506. みたま: かつていた巫が恨みに囚われて 魔女になったところだから…
  507. みたま: 同じように恨みから逃れられず 死に行くわたしたちにはお似合い
  508. みたま: ただ、キモチの石だけは、 どうにかして渡さないと…
  509. 十七夜: …キモチよ 自分たちが力尽きたあとは
  510. 十七夜: 環君や七海のところへ 行ってくれないだろうか…
  511. 十七夜: 魔女になった自分と八雲を 食らってもらっても構わない
  512. 十七夜: 残った身体を自由に使っても 構わない
  513. 十七夜: だから、どうかあの白ダヌキに すべてを奪われてしまう前に…
  514.  
  515. FILENAME: text_103201-10_7xz7k.txt
  516. 十七夜: …………
  517. みたま: …………
  518. リヴィア: おった!おったで!
  519. リヴィア: せやけどあかん…
  520. リヴィア: たぶんあの様子やと 限界が近いはずや
  521. ヨヅル: 先にグリーフシードを用意します
  522. 月出里: ふむ、ふむんむふむっむむんむ ふんむむふんむんふむんむむ
  523. ヨヅル: ふたり同時に調整するかと 月出里が申してます
  524. リヴィア: ああ、その方がええ
  525. リヴィア: さっさと浄化を済ましたら 調整に入る
  526. リヴィア: 段取りを踏まんと危険やけど 時間があれへん
  527. リヴィア: さっさと繋がるで!
  528. ヨヅル: はい
  529. 月出里: ふむ!
  530. リヴィア: …っ、まだ果てるには早いで!
  531. ヨヅル: これは、ふたりが悲しみを魂に 取り込んだ結果でしょうか
  532. リヴィア: せやろな
  533. リヴィア: そのせいで、どんな喜びも、 悲しみに上塗りされるんやろ…
  534. 月出里: ふむん、ふむんむふむんむんむ!
  535. ヨヅル: そうですね、早く集めた想いを おふたりに伝えましょう
  536. リヴィア: ま、完治とはならんくても、 寛解ぐらいにはなるやろ!
  537. れいら: ―れいら― ほんと、選挙の件も滅びの件も迷惑 勝手に暴れて私たちを貶めないで欲しい
  538. 梨花: ―梨花― マギウスの翼にグリーフシードを横流ししてたし ほんとクズなことしかしないじゃん
  539. ななか: ―ななか― いつまでひっかき回すつもりですか ずっと皆が笑顔でいると思わないことです
  540. こころ: ―こころ― 人の弔い方で悩んでた人が滅びを提唱するなんて 最低としか言えないよね
  541. 萌花: ―萌花― 謝って許されることなんですか…? 私だったら自分で死んじゃうと思います…
  542. 理子: ―理子― すぐに暴力を振るうような人は嫌いです 優しい人だと思ってたのに、すごく悲しいです…
  543. まなか: ―まなか― 腐ってしまって肥料にもならないようなら もう焼却して捨てるしかありません
  544. ひなの: ―ひなの― せめて楽に死ぬことを許してやるから この薬品を使え
  545. 十七夜: 「そう、これが現実 皆が我々に思っている本音の塊だ」
  546. みたま: 「どの道、わたしたちが生きて戻ったところで みんなは苦しむだけ」
  547. みたま: 「それなら、ここで力尽きるのが わたしたちにとって正解なのかもしれないわねぇ」
  548. みたま: 「これは…」
  549. 十七夜: 「違う、そんなまさか… いま見ている光景はまやかしだ…!」
  550. 十七夜: 「自分は…これほど光を浴びていいほどの行いは していないはずだ…」
  551. ひなの: ―ひなの― これまで力になれなかったことを 悪いと思ってる
  552. 梨花: ―梨花― あたしらって安全圏でのほほんとしちゃってさ 正直、ちゃんと考えてなかったのかも
  553. まなか: ―まなか― いつも一緒に楽しくしていたから 表面ばかり見ていた自分が恥ずかしくなります
  554. ななか: ―ななか― 一概にほめることもできませんが 自ら散るような選択をする必要はありません
  555. 萌花: ―萌花― 調整屋さんは頼りになるから これからも力になってくれると嬉しいなー
  556. こころ: ―こころ― 魔法少女って自分のことで手一杯だから みんなのことを考えてくれるふたりは大切だよ
  557. 理子: ―理子― 十七夜お姉さんは東の魔法少女の中では 目標のひとつなんですよ
  558. れいら: ―れいら― ふたりには背負わせてばっかりだったから もう少し大人になったら力になりたい
  559. みふゆ: ―みふゆ― ふたりがいなかったらここまで魔法少女は 生き残っていませんでした
  560. みふゆ: ―みふゆ― またかつて手を取り合った時と同じように 力を合わせていきましょう
  561. みふゆ: ―やちよ― 十七夜に周りのことを考えたのかと尋ねたのは むしろあなたが一番周りを考えている人だからよ
  562. みふゆ: ―やちよ― 今一度、仲間の目に映る本当の自分に気づいたら きっと戻ってこられるようになるはず
  563. みふゆ: ―いろは― 十七夜さんとみたまさんが平和を望むのであれば みんなで一緒に愚か者になっちゃいましょう
  564. みふゆ: ―いろは― 私たちが受け止めます 私たちは愚かなくらいでちょうどいいんです
  565. 十七夜: ―十七夜― あの時と同じような繋がり合う感覚を…
  566. みたま: ―みたま― みんなとひとつになれるような感覚を…
  567. 十七夜&みたま: ―十七夜&みたま― もう一度、味わいたい…
  568.  
  569. FILENAME: text_103201-11_7xz7k.txt
  570. ドサッ…
  571. ヨヅル: 皆さんから集めた想いは、 ふたりに光を見せたようですね
  572. リヴィア: なんとか侵食しとる悲しみからは 解放されたみたいやからなぁ…
  573. リヴィア: せやけど、まだ問題は残っとる…
  574. 月出里: ふむむふっむむう、ふんむむむ ふむふむんむむ
  575. ヨヅル: 月出里が言う通り、 残った根が気になりますね
  576. リヴィア: みたまが無理矢理調整して、 自分の魂に取り込んだ悲しみや
  577. リヴィア: キモチに利用されへんように、 ひとつになったんやろうけど
  578. リヴィア: 元の悲しみが強すぎて、 自分たちが囚われてしもうとる
  579. ヨヅル: では、今は解放されても…
  580. リヴィア: いずれ悲しみの根に囚われて 魔女になるしかないやろうなぁ
  581. 月出里: ふむん、むんむんむふむん?
  582. リヴィア: 救う方法か?
  583. 月出里: ふむっ
  584. リヴィア: この子らふたりの被害者意識を 薄めてやるしかないやろな
  585. 月出里: ふん?
  586. リヴィア: ふたりはみかげちゃんの作戦で 自分の間違いに気づいたし
  587. リヴィア: 東西に関わる他の子らの 苦しみにも気づけたと思う
  588. リヴィア: せやけど神浜市内の苦しみしか 知らんふたりはな
  589. リヴィア: 狭い視野の中でしか苦しみを 比較でけへんのや
  590. 月出里: ふむん、ふんむんむ…?
  591. リヴィア: やから、諸刃の剣やけど 他人の不幸をもっと見せたる
  592. ヨヅル: それは、逆効果では…?
  593. リヴィア: 明るい未来を見せるだけなんが 人を救う方法ちゃうで
  594. リヴィア: 他人の不幸を蜜にするヤツは ただのクズでしかないけど
  595. リヴィア: その不幸を通して、自分を 客観的に見られるようになったら
  596. リヴィア: 人は自分の重い悲しみを 糧にできるように成長できるし
  597. リヴィア: しがみつかんでもようなる
  598. リヴィア: 要は、でっかいと思ってる地球も 宇宙を知ればちっぽけになるし
  599. リヴィア: 他の人の境遇を知れば、 ちゃう視点で己が見えるんや
  600. ヨヅル: 魂が取り込んで離さない悲しみも 小さく見えれば手放すと
  601. リヴィア: ご明察やな
  602. 月出里: ふむん、ふむんふむむむんむ?
  603. ヨヅル: 何を見せれば良いのでしょうか
  604. リヴィア: 簡単や
  605. リヴィア: ヨヅルの過去を見せたり 月出里の過去を見せたり
  606. 月出里&ヨヅル: ――っ!?
  607. リヴィア: ほんで、あんたらが見て吐いた 私の過去を見せたらええねん
  608.  
  609. FILENAME: text_103201-12_7xz7k.txt
  610. リヴィア: みたま…十七夜… あんたらを助けるために見せたるわ…
  611. リヴィア: たぶん、私の過去をひとつ知るだけで いくつもの悲しみと苦しみを 味わうことができるはずやからな
  612. リヴィア: 最初の記憶までさかのぼってみても 母親の顔なんて覚えてへん
  613. リヴィア: 私は潮の香りがする町に立つアパートの中で 仕事と遊びであんまり帰ってけーへんおとんと ふたりで暮らしとった
  614. リヴィア: 別に、そこまで不幸やなんて思ってへんかった
  615. リヴィア: 言うたらメシの金はくれるし 勉強しとったらちゃんとほめてくれる
  616. リヴィア: あの時は友だちと遊ぶより 図書館に通ってる方が多かったんやけど
  617. リヴィア: おかげで割と博識やったから 周りが自分に優しくしてくれておもろかった
  618. リヴィア: それに、学校かて問題あれへん 見た目が他の子とちゃうくても クラスメイトは普通に接してくれるから あの頃が一番楽しかったんちゃうかな
  619. リヴィア: せやから、あん時の問題言うたら 貧乏やったっていうことぐらいなんやけど 幸せやった分、不幸になった時の落差は えらいもんやったわ
  620. リヴィア: ウソやん… せんせ、ホンマにおとんなん!?
  621. リヴィア: たったひとつのことで急転直下や
  622. リヴィア: 仕事でプレス機に潰されたおとんは 見られたもんちゃう
  623. リヴィア: 結局死に顔も見られへんかったから 最後に残ったおとんの顔の記憶は 死ぬ3日前に帰ってきた時の 酔っ払ったツラんなった
  624. リヴィア: 酔ったおとんは甘えん坊になって 私にも甘くなるからやな 頭に残ったんが可愛い顔で良かったと思とる
  625. リヴィア: やけど、そっからはもう最悪や
  626. リヴィア: ひとりになったから施設に入って 母親が見つかったっちゅーから会いに行ったら 言葉の通じひんおばはんがおる
  627. リヴィア: 血が繋がってるんは不思議とわかったけど 今さら知らん外国に行く気にもなれへんから 悩んだけど、結局帰ってもろたわ
  628. リヴィア: ただ、そのあとの仕打ちを考えたら 外国に飛んどった方が良かったんかもしれん 私はな、自分の通ってた学校や土地に えらい恵まれてたって痛感することになったんや
  629. こいつ、せっかく国に帰れたのに 母親にまで断られたらしいで
  630. なんや、 もう帰ったと思ってたわ
  631. リヴィア: …っ!
  632. がっ…!
  633. リヴィア: 毎回ムカツクねん! 私は残るって決めたんやボケ!
  634. なにしてんの!
  635. リヴィアが殴ってきたんや!
  636. どうせ発端はアンタやろ! 見え透いたウソつかんでええ!
  637. リヴィア以外でてき!
  638. ほんまにもう…
  639. リヴィア: センセ、説教はいらん
  640. リヴィア: ええからアイツら 私に殺させたってくれへん?
  641. あとで自分が苦しむだけやで
  642. リヴィア: やったら、私はアイツらに ずっと苦しめられなアカンの?
  643. リヴィア: おどけてバカにするだけちゃう
  644. リヴィア: 人のメシ取ったりもするし 見えへんところで暴力も振るう
  645. リヴィア: なんなん?
  646. リヴィア: 人を不幸にするだけなんやったら 別に死んだってええやんか
  647. リヴィア あの子らかて苦しんどんねん
  648. ここで訳アリなんが 自分だけちゃうって知ってるやろ
  649. みんないっちょ前に 強がっとるけど、外では泣いとる
  650. せやから堪忍したって
  651. リヴィア: それで、さらに見下せる外国人の 私がおるから当たるって?
  652. リヴィア: それでサンドバッグになれって? センセ、アホやろ
  653. リヴィア: アンタが人権捨てた発言 しくさってどないすんねんな
  654. リヴィア: ようわかった
  655. リヴィア: アンタにとっても私は、 なぐさみになっとるってことやな
  656. リヴィア: そっから、一発センセを殴って逃げだした
  657. リヴィア: ほんまは殺したろうと思ったんやけど なんかペチャンコになったおとんを思い出して 殺意が消えてしもたんや
  658.  
  659. FILENAME: text_103201-13_7xz7k.txt
  660. リヴィア: 言うて行くあてもあれへんからって たどり着いたんは 同じような子らの集まる繁華街やった
  661. リヴィア: それまではずっと自分ばっか 不幸やと思ってたけど 色々抱えてる子とつるんでる間に 他にも不幸の種って転がってるもんやなって なんや知らんけど、少しだけ世間に寛容になれた
  662. ほんまに、チョロい仕事やったわ
  663. 伝言の書かれた紙を 待ってる人に渡すだけやもん
  664. リヴィア: 私もそういうのやったけど、 割とヤバいやつもあるから
  665. リヴィア: 気をつけた方がええんちゃう?
  666. やっぱいま、安全でおいしいのは 店のキャッチちゃう?
  667. 単価はそんなに高くないんやけど 店に案内するだけやし
  668. リヴィア: なんや、自分らが疑似餌になる っちゅーことかいな
  669. ぎじえ?
  670. リヴィア: 釣りのルアーとか 食いもんに似せたニセモンのこと
  671. あっはは、この書き込みって、 まさにそれやろ!
  672. 店に入ったら全然違う女の子 って当たり前やろ!
  673. …っくく、お腹いたぁ
  674. リヴィア: まぁ、こんな感じで世間を舐めてかかってたけど 実際はやっぱ世知辛いもんやった
  675. ちょっとええか
  676. あれ、あんたこの間の人やん
  677. ちゃんと言ってたヤツに 紙を渡してきたからお金…
  678. ざけんな、ドアホ!
  679. クァッ!
  680. リヴィア: ちょ、ちょっと、な、なに…
  681. 渡す相手間違っとんねん
  682. やっぱ頭の悪いガキを使うと リスクが高すぎるわ
  683. …………
  684. うっ!
  685. 逃げようとすんな
  686. お前ら、ヤバいと思ったら、 すぐにチンコロするやろ
  687. せやから悪いけどな、 その口、封じさせてもらうわ
  688. リヴィア: あかん…
  689. リヴィア: あかんあかん… ほんまにやるヤツの顔や…
  690. 待てやおい!
  691. リヴィア: 追いつかれる…
  692. キミ!こっち! 今なら見えへんはずや!
  693. リヴィア: 助けてもろた時は九死に一生を得たと思った 捨てる神あれば拾う神ありやった
  694. リヴィア: 路地の向こうからさっきまで肩を並べてた子の 叫び声を聞きながら 私はそれでもホッとしてる自分に嫌悪した
  695. リヴィア: せやからな、その気のええ兄さんが 保護してくれてからすぐに 私にも罰がくだることになってもうた
  696. ガチャッ
  697. あ、こっちです
  698. リヴィア: (よかった…けど… 補導されてもしゃあないよな…)
  699. リヴィア: (いまは警察の世話になるんが 身を護るにはええはずや…)
  700. リヴィア: すんません…お世話になります…
  701. はい、どうも警察です
  702. リヴィア: ――っ!?
  703. 兄貴、これで3人全員やろ?
  704. ああ、さっさと天国に案内したれ
  705.  
  706. FILENAME: text_103201-14_7xz7k.txt
  707. リヴィア: おとんが死んで施設を飛び出して 自由を手に入れたと思ったら捕まって ほんま、あの時の私は自分に訪れる不幸の連鎖を 呪い倒しとった
  708. リヴィア: なんで自分ばっか…なんで自分ばっか… なんでなん?なんでなん? なんでなんで?って
  709. リヴィア: 自分の境遇を呪ってるところで ひとつの答えをくれたんが、あの女やった
  710. すんません、失礼します
  711. リヴィア: あの、他のふたりは…
  712. 私がしゃべってええ言うまで 口は開いたらアカン
  713. リヴィア: はい
  714. パシッ
  715. リヴィア: …った!
  716. アカン言うたやろ
  717. リヴィア: …………
  718. まあ、顔もスタイルも合格点やな
  719. IQのテストも基本科目もええし 運動能力もかなり高いな
  720. あの子らの目に狂いはあれへん 1本包んだらなあかん
  721. リヴィア: …………
  722. アンタ、自分はなんでこんなに 不幸なんやって思っとるやろ
  723. コクッ
  724. そう、しゃべられへんなら頷く 頭のええ反応や
  725. こっからは口で返事してかまへん
  726. あんたが不幸な理由をな ひとつ教えたる
  727. リヴィア: …なんですか
  728. 人は生まれたときから 善人で生きた方がええか
  729. 悪人で生きた方がええかがな 決まっとるんや
  730. 善人の中で悪人は生きられへん 悪人の中で善人は生きられへん
  731. かつてはあんたも善人の中で 生きてきたかもしれへんけどな
  732. 戻られへんところまで ひっくり返ってしもたんや
  733. アンタが吐いた過去の話は、 聞かせてもろたけど
  734. おとんが死ぬ前は 良い子の方がえらかったやろ
  735. リヴィア: …はい、頭のいい子とか 運動ができる子とか
  736. リヴィア: 私も本が好きやから、 それでみんなほめてくれた
  737. やけど、住む世界が変わったやろ
  738. リヴィア: …はい
  739. どんなやつがえらかった
  740. リヴィア: …私をいじめる子 力と言葉でねじ伏せる子…
  741. この町に来てからはどないや
  742. リヴィア: 力を持ってる大人たち それも暴力的な力を持ってる…
  743. リヴィア: 悪い…やつ…
  744. つまり地獄に落ちたアンタは もう悪にならな生きられへん
  745. これから生きていくアンタへ ババアからの教えやと思っとき
  746. あんたら3人とも 新しく雇われるんやから
  747. リヴィア: えっ…どこに?
  748. 場所は教えられへん
  749. せやけど、才能のあるアンタは 特別なところに送られる
  750. 知り合いが常にサーカスの団員を 欲しがってるんやけどな
  751. アンタの身体能力と頭脳があれば たぶん満足してくれるはずや
  752. リヴィア: 他のふたりは…?
  753. 他はなんの能力もあれへん やから別のところや
  754. リヴィア: その場所も教えてくれへんの…?
  755. 生まれた時から絶対にひとつは 才能を持って生まれてくる
  756. それを活かせるところや ほなら、あんたも出発する時間や
  757. リヴィア: …まさか、伝言を渡すところから
  758. リヴィア: 最初から私らを仕入れるために…
  759. 頭がええのはけっこうやけど、 能ある鷹は爪隠すもんやで
  760. リヴィア: ………… 私はいくらで雇われるん…?
  761. 家畜はな 自分の値段を気にせんもんや
  762. リヴィア: 私はヒトですらないんか!
  763.  
  764. FILENAME: text_103201-15_7xz7k.txt
  765. リヴィア: 目隠しをされて眠らされたあと 私が目を覚ました時におったんは もはや自分の故郷ちゃうかった
  766. リヴィア: 風景を見る限りやと 自然に囲まれてて、どこおるかわからへん もしかしたら日本かもしれへん
  767. リヴィア: せやけど、窓から入る空気の香りが なんか違う国におるような気持ちにさせた
  768. リヴィア: 私はすぐに劇団の中で マジックやイリュージョンの練習をし始めて 私のルーツがある国から来たっちゅう子が パートナーになった
  769. リヴィア: それに稽古を通して 他の国の人とも仲良くなっていったんや
  770. あれっ、このイリュージョンって 胴体が切れてないと駄目だよね?
  771. リヴィア: あかん、鏡の角度の問題やな もっかい基礎からチャレンジしよ
  772. うん、そうだね
  773. よっ、1、2、3、4っと
  774. リヴィア: ヤバッ、全部キャッチしたやん
  775. こんなの序の口だって
  776. これを巨大な一輪車に乗って やれって話なんだからさ
  777. リヴィア: ほんまえげつないな…
  778. リヴィア: 最初のうちは和気藹々としとって 自分の立場を忘れるぐらい平和やった
  779. リヴィア: それに、知り合った人らの話を聞いとったら 繁華街で出会ったふたりのとき以上に 世界の不幸が自分の中に染み渡ってきて
  780. リヴィア: 自分の境遇に対する怒りや憎悪が薄れて 俯瞰して見られるようになってきた
  781. …うん、知らない人にさらわれて ここまで来たけど
  782. いつか、紛争で別れちゃった 家族を捜すつもり
  783. リヴィア: ここの団長もちゃんと稼いだら 報酬をくれる言うてるし
  784. リヴィア: 再会した時に孝行できたらええな
  785. 俺の場合は自分の家が裏社会に 属してることも知らなかった
  786. どうせ帰ったところで、 跡形もなくなってるだろうから
  787. ここを抜けたら悠々自適に 暮らしてみるって感じかなぁ
  788. リヴィア: ああ、私もそっち寄りかもしれん 帰るとこあれへんからな
  789. リヴィア: 夢を語りながら練習をする日々
  790. リヴィア: やけど安全への配慮が足りへんからか ようケガ人が出て、人の出入りが激しかった
  791. リヴィア: ケガの程度によったら配置換えもあるもんやから 仲良くなってもしばらくしたらお別れがくる
  792. リヴィア: そんな日々が続くと 私もいつかは無口になって 誰ともつるまんくなってしもたんや
  793. リヴィア: そして、ケガをする順番は 例外なく私にも訪れてきたんや…
  794. リヴィア: あっ…ぐ…足、足が…!
  795. リヴィア: 体に傷がつかないイリュージョンの練習中に 誤って剣が足を貫通
  796. リヴィア: 私は劇団がひいきにしとる病院に運ばれると そのまま治療をしてもらって ケガが治ってからはリハビリに励んだ
  797. リヴィア: (あかん、やっぱり 前と同じようにはいかへんな…)
  798. リヴィア: (微妙にふくらはぎが硬い… 引っ張られる感じがする…)
  799. リヴィア: 言うてリハビリは終わりやし まいったなぁ…
  800. リヴィア: 私もついに配置換えか
  801. リヴィア: 思ったより稼げへんかったな…
  802. リヴィア: (予想通り連絡がきとる… 翌日、事務所で内容を通達ね…)
  803. リヴィア: …………
  804. いつか、紛争で別れちゃった 家族を捜すつもり
  805. ここを抜けたら悠々自適に 暮らしてみるって感じかなぁ
  806. リヴィア: 最初のパートナーに 会えるかもしれへんな
  807. リヴィア: せやけど、そんな期待は あっさりと打ち砕かれてしもた
  808. リヴィア: 団長のおる事務所に行って聞いたのは 間違い無く配置を変える話で 翌日、その部署の施設に移動するという内容
  809. リヴィア: そんなむちゃくちゃでかい劇団でもないのに 施設ってなんやねんと思いながら 話を聞いてたんやけど 一瞬、団長が席を外した時に見えてしもたんや
  810. リヴィア: 自分がまた 知らん施設に運ばれるって証拠をな…
  811. リヴィア: 私は団長が悪趣味で 見えるようにしたんやと今では思とるけど それは正解やった
  812. リヴィア: ウソやろ…
  813. リヴィア: なんか全部どうでもよくなって 私は自分の電池が切れてしもたんや
  814.  
  815. FILENAME: text_103201-16_7xz7k.txt
  816. リヴィア: 自分がこれからどうなるのか まったく考えられへんかった
  817. リヴィア: せやけど、私は戻りたくなったんや モノやのうて、ヒトに戻りたいって思ったんや
  818. リヴィア: もう、殺されてもかめへんから 明日の朝が来たら 運び出されるよりも前に逃げようって決めた
  819. リヴィア: ただ、そんな気持ちを見通すかのように 私は深い眠りにつかされて 目を覚ました時にいたのは病院やった
  820. リヴィア: ちゃうな 厳密に言うたら病院やった場所や
  821. リヴィア: は…は…はぁ…
  822. リヴィア: (何するつもりやったんや どこに売るつもりやねん…)
  823. リヴィア: ――っ!?
  824. リヴィア: (あかん、私を捜しとる… どっか隠れてやりすごさな…)
  825. リヴィア: …っ、やっぱ足が変に突っ張る 最悪やな…
  826. リヴィア: …はぁ、ここなら大丈夫やろ
  827. ――――!!
  828. リヴィア: (何語で喋ってるんかも わからへんな…)
  829. リヴィア: ――っ!?
  830. リヴィア: なんや、このにおい…
  831. リヴィア: ゔッ!?
  832. リヴィア: あ…あ…
  833. いつか、紛争で別れちゃった 家族を捜すつもり
  834. ここを抜けたら悠々自適に 暮らしてみるって感じかなぁ
  835. リヴィア: 面影はどこにも残ってへんのに 目の前に積み上がった屍の中から ふたりが私を見てるような気がした
  836. リヴィア: 窪んだ眼窩の奧から 遣り切れない悔しさを湛えた視線が 私に注がれとるみたいやった
  837. リヴィア: なんで…みんな…どないしたん…
  838. リヴィア: 他の人たちもそう
  839. リヴィア: 今まで私が配置換えだと思って見送ってきた 同じ劇団で同じような不遇から 集められてきたモノたちやった…
  840. リヴィア: 気づいたら、モノのように自分を分け与えて 棄てられたヒトの群れが 私を見ながら「生きろ」って言っとった
  841. リヴィア: 絶対に抜け出したる…
  842. リヴィア: みんなが生きられへんかった分 絶対に生きぬいたる…
  843. リヴィア: ほんで、コイツらの悪事を暴いて みんなもヒトに戻したる…!
  844. ――――!!
  845. リヴィア: 日本語でしゃべれやボケ! 絶対に捕まらへんからな!
  846. リヴィア: はっ…はぁ…ここまで来たら…
  847. パンッ!
  848. リヴィア: ――っ!?
  849. リヴィア: ァアアアッ…!!
  850. リヴィア: (ただでさえ、足、悪いのに… なんてやつ…)
  851. ――――!!
  852. リヴィア: は…はぁ…
  853. リヴィア: (流れ弾か…気づいてへん…)
  854. リヴィア: (もうちょい、もうちょいだけ 誰か、おるところに…)
  855.  
  856. FILENAME: text_103201-17_7xz7k.txt
  857. リヴィア: ただでさえ足が悪いのに それに加えて血まで流してしもた私は 遠くまで逃げようと思っとったけど ほとんど動けんくて倒れてしもた
  858. リヴィア: 体に力が入らへんくて みんなの前で決めた覚悟に従って頑張りたいのに 腕も足も「もうええよ」って言ってるみたいに ピクリともしてくれへん
  859. リヴィア: なあ、助けて…助けてや おとん…なぁ…
  860. リヴィア: 頭を預ける先がなくて冷たさが堪えた時に 急におとんの膝の温もりが懐かしくなったんや 酔っ払ったおとんが仕事から帰ってきて いっぱい甘やかしてくれるんや
  861. リヴィア: やけど、心の中ではもう そんなん叶わんことはとっくにわかってて なんとか生きたいとも思ってる
  862. リヴィア: ただ為す術もないままに 私は1歩ずつ死の淵に歩んでいくしかなかった
  863. リヴィア: (どうやったら 生きられたんやろか…)
  864. どんなやつがえらかった
  865. リヴィア: …私をいじめる子 力と言葉でねじ伏せる子…
  866. この町に来てからはどないや
  867. リヴィア: 力を持ってる大人たち それも暴力的な力を持ってる…
  868. リヴィア: 悪い…やつ…
  869. つまり地獄に落ちたアンタは もう悪にならな生きられへん
  870. これから生きていくアンタへ ババアからの教えやと思っとき
  871. リヴィア: せやな…
  872. リヴィア: やけど、悪くなられへんから 私は死ぬんやな
  873. リヴィア: ―リヴィア― 幻覚まで見えてきた… ほんま終わりやわ…
  874. キュゥべえ: ―キュゥべえ― どうやら助けが必要そうだね
  875. リヴィア: ―リヴィア― なんて生き物…?
  876. キュゥべえ: ―キュゥべえ― ボクの名前はキュゥべえ
  877. キュゥべえ: ―キュゥべえ― リヴィア・メディロス
  878. キュゥべえ: ―キュゥべえ― キミにはボクと契約して 魔法少女になって欲しいんだ
  879. キュゥべえ: ―キュゥべえ― もしも契約をしてくれるなら なんでもひとつ願いを叶えてあげるよ
  880. キュゥべえ: ―キュゥべえ― キミが願えば、いまのケガだって 治癒させることができるんだ
  881. リヴィア: ―リヴィア― それがほんまなら頼むわ
  882. キュゥべえ: ―キュゥべえ― 交渉成立だね キミの願いは…
  883. リヴィア: ―リヴィア― 「私を悪そのものにしたってや」
  884. リヴィア: うっ…はぁ…はぁ…
  885. ヨヅル: 先生の負荷が大きすぎます これ以上はやめましょう
  886. リヴィア: あかん、まだや…!
  887. 月出里: ふむ… ふむんむんむ、ふむんむんむ…!
  888. リヴィア: 見てみ…
  889. みたま: ぅ…ぁあっ…
  890. 十七夜: くっ…ぅ…
  891. リヴィア: ええ感じや
  892. リヴィア: 精神に絡みついてた悲しみが、 少しずつ離れてきとるし
  893. リヴィア: みたまと十七夜も、自分で 悲しみから解放されようとしとる
  894. ヨヅル: 色んな悲しみの世界を知って、 俯瞰できるようになった…
  895. リヴィア: ふぅ… それまで、あとちょっとやな…!
  896. リヴィア: せやから、 最後の仕上げに入るで…!
  897.  
  898. FILENAME: text_103202-1_7xz7k.txt [Episode 2]
  899. リヴィア: 願いを叶えたあとは病院らしき施設を壊して 次は劇団やと思ってたけど 眠らされて移送されてきた手前 その劇団の場所は、ぜんぜんわからへんかった
  900. リヴィア: 木々が生い茂る山を越えてわかったんは 自分がおるんは日本の島っていうことやった
  901. リヴィア: 集落に出たら普通に日本人がおったから 病院の話を訴えてみたけど 周りの人は困惑するばっかやった
  902. リヴィア: それから、せめて警察に話そうと思って 島と本州を結ぶ定期連絡船に乗ったんやけど そのまま補導されてしもて あれよあれよという間に新しい施設に移された
  903. リヴィア: 現実味がなさすぎる
  904. リヴィア: なんなら夢ちゃうか…? んなわけあるかいな…
  905. リヴィア: (私らを最初に捕まえた男は もう収監されとるらしいけど)
  906. リヴィア: (あのババアは死んだ言うてた)
  907. リヴィア: (どうにもこうにも 劇団にまで繋がらへんな…)
  908. リヴィア: はぁ…
  909. リヴィア: なんやねんな
  910. リヴィア: 戻って来たら来たで 結局こういう扱いなんか…
  911. こんにちは
  912. リヴィア: あ?
  913. あなた、リヴィアさん? すぐにわかったわ
  914. リヴィア: そりゃこんな見てくれやからな 姉さんは誰なん
  915. あ、名刺を渡すわね
  916. リヴィア: NPO法人路地裏キッズサポート って、なんやうさんくさ…
  917. あなたみたいに 社会の闇に揉まれた少年少女を
  918. 支援するための団体よ
  919. リヴィア: 間に合ってるわ ひとりでようやります
  920. ようならないわよ!
  921. リヴィア: 急に昔の日常に戻って来て 現実味がない時に現れたんがあの人やった
  922. リヴィア: 出会った時からほんまにグイグイ来て 絶対に私を離さへんつもりやった
  923. まずは目つきから変えないと やっていけなさそうね
  924. リヴィア: 目つき?
  925. 自分でも気づいてないけど 修羅場を潜った目をしてるわ
  926. ここの職員と子どもたちは それにビビってるんでしょ
  927. リヴィア: そんな目してる?
  928. してるしてる
  929. リヴィア: ほんなら、あんたはどうなん
  930. リヴィア: それでビビらんてことは、 荒波に揉まれてきたんかいな
  931. ズバリその通り
  932. リヴィア: 戻って来てからずっと世間とずれてる
  933. リヴィア: そんなフワフワとした感覚の中で この世界と私を繋ぎ止めるためにやってきた
  934. リヴィア: いま思えばあの人は 私にとってそんな人やったんかもしれん
  935.  
  936. FILENAME: text_103202-2_7xz7k.txt
  937. 私だって取り戻せたからいける 学力は追いつけるものだよ
  938. ほら、教材も持って来たからさ
  939. ドサッ
  940. リヴィア: うわ、ほんまめんどくさ…
  941. リヴィア: 聞くと彼女はかつて非行少女やったみたいで 私と同じように家出して 繁華街とかでたむろってたらしい
  942. リヴィア: なんやかつての状況が似とるせいか あんとき一緒に捕まったふたりに 雰囲気が似とるせいかわからへんけど
  943. リヴィア: 私にとっては久しぶりに 素直に話せるような相手になってった
  944. 彼の方からグイグイ来るから 付き合ってみたんだけど
  945. なんか不安なんだよね
  946. 私だってほめられた 人生を送ってきたわけじゃない
  947. けど相手は優秀で一流大学から 一流企業に入ってるわけ
  948. 正直釣り合わないと思わない?
  949. リヴィア: …こんな私にようしてるんやし 十分ほめられた人生やろ
  950. リヴィア: センセが言うとったんやで 過去やのうて未来を見ろて
  951. リヴィア: そっくりそのまんま いまのセンセに返したるわ
  952. 確かに…自分のことになると 全然見えなくなるんだよね
  953. リヴィア: なあ、ええから勉強しようや いま社会の時間やろ!?
  954. 恋愛だって社会でしょ
  955. リヴィア: うるさいわ!
  956. あ、そうだ
  957. リヴィア: 今度はなんなん…?
  958. リヴィア、頭いいからさ、 年下の子の勉強見てくれない?
  959. リヴィア: はぁ?
  960. 私だけじゃ手が回らなくて、 助手が欲しかったんだよねー
  961. リヴィア: …まぁ、ヒマやしええけど…
  962. リヴィア: 自分でも知らん間にセンセに心を開いてた せやから、意味のわからんお願いも 聞くようになってた
  963. リヴィア: 普段から話すのはセンセだけやったから 私の人間関係を広げたかったんやと思う
  964. リヴィア: 実際、センセが受け持ってる子に会って 勉強を教えてみたんやけど そんなに悪くないし楽しい時間やった
  965. リヴィア: せやけど、これが切っ掛けで私は 自分のあることに気づくことになったんや
  966. リヴィア: うそやろ…
  967. あの子、自傷で入院したみたい
  968. 最近良くなってきてたし、 安心してたんだけどなぁ…
  969. リヴィア: 問題やって言ってた家族に 会うてしもたんか…?
  970. そ、向こうから接触してきて、 フラッシュバックしたんだと思う
  971. リヴィア: やりきれへんな…
  972. リヴィア: この一件だけやなくて 新しい施設に移ってきてからこの時まで 同じように誰かが不幸になる事例を 積み重ねた結果
  973. リヴィア: 私の頭の中には ひとつの可能性がよぎっとった
  974. リヴィア: それは、私が誰かに対して優しくしたり 誰かのために行動したら…
  975. リヴィア: その人にとって 悪いことが起きるってことやった
  976. リヴィア: 魔女との戦いでも同じやった…
  977. 魔力の調整ありがとう これで魔女を倒せると思う
  978. リヴィア: ええよ
  979. リヴィア: うまく戦われへん分は サポートだけでもせーへんと
  980. リヴィア: お飯食い上げになってまうからな そん代わり頼むで
  981. グリーフシードを 1回使わせる約束でしょ?
  982. リヴィア: あの頃は物に魔力を調整するという 調整屋の基礎が出来上がってきた頃で いつもみんなのためやと思って サポートを続けとった
  983. リヴィア: やけど…
  984. …………
  985. リヴィア: そんな、相打ち…? これあんたのグリーフシードやで
  986. …………
  987. リヴィア: これまでに同じことは何度もあった 相手への想いが強いほど 起きる不幸も最悪へ近づいていく
  988. リヴィア: 目の前にある魔法少女の亡骸が それを物語ってて この一件を通して私は自分の固有魔法を確信した
  989. リヴィア: 悪そのものになることを願った私は “誰かのためにした行動で相手を不幸にする力” を手に入れたんや
  990. リヴィア: 親切な顔をして人を不幸に突き落とす かつて自分が見てきた クソみたいな大人たちと同じことをしとった
  991.  
  992. FILENAME: text_103202-3_7xz7k.txt
  993. 人は生まれたときから 善人で生きた方がええか
  994. 悪人で生きた方がええかがな 決まっとるんや
  995. 善人の中で悪人は生きられへん 悪人の中で善人は生きられへん
  996. かつてはあんたも善人の中で 生きてきたかもしれへんけどな
  997. 戻られへんところまで ひっくり返ってしもたんや
  998. リヴィア: せやけど戻って来てしもた
  999. リヴィア: 生き抜くために悪になったはずやのに また、生きられへん世界になってしもた
  1000. リヴィア: やから私は、あの人との関係を もっと簡素でドライなものにしようと思った 必要以上のことはせえへんし プライベートでもつきあったりせん
  1001. リヴィア: ましてや優しくするやなんてこと 絶対にしたらあかんかった
  1002. うん、高認合格おめでとう!
  1003. リヴィア: ありがとうございます
  1004. だけどいいの? このままアルバイトするって…
  1005. リヴィア: いったんこの施設は出てしもて、 ひとりで暮らそうかなって
  1006. なんかわからないけど
  1007. ある時からリヴィア、 距離を取るようになったよね
  1008. リヴィア: …気のせいやろ
  1009. いつも通り話したりもするし、 何か手伝ったりもしてくれるけど
  1010. 私だけじゃなくて人から 距離を取ろうとしてる
  1011. リヴィア: …………
  1012. リヴィア: 元々人間はあんま好きちゃうから 適度に距離をとっとるだけや
  1013. リヴィア: センセ…これ以上は 踏み込まんといてくれる?
  1014. わかった…
  1015. 引っ越しは来月だっけ
  1016. リヴィア: やね、もう部屋も決めてしもたし あとは荷物をまとめるだけや
  1017. これ、私の住所を書いておくから 良かったら連絡ちょうだい
  1018. そっちの引っ越し先も知りたいし
  1019. リヴィア: 気が向いたら送るわ
  1020. 私にとってね リヴィアは特別なんだ
  1021. リヴィア: なんや急に気持ち悪い…
  1022. この仕事を始めてから、 最初に担当した子だったから
  1023. ごめん、こんな個人的なことを 話しても仕方ないのにね
  1024. リヴィア: ほんまは慰めたかったし 今までありがとうぐらいの言葉はかけたかった
  1025. リヴィア: せやけど、相手の心に寄り添うほど 次にどんな心をえぐる状況が センセに訪れるかわからへん
  1026. リヴィア: せやからなるべく寄り添うことなく むしろ冷たく接することが 私にとってセンセへの優しさやった
  1027. リヴィア: その後は何の連絡をすることもなく 引っ越してからも センセとは連絡を取ろうとせんかった
  1028. リヴィア: コンビニとかで仕事をして 少しずつ洗練させていった調整の力で 魔法少女をサポートする日々
  1029. リヴィア: 善人の世界で悪人になんてなりたないから 善意も悪意もなく淡々と過ごしてると どちらにも振れない人生ってのは なんとも無味乾燥なもんやと思ったわ
  1030.  
  1031. FILENAME: text_103202-4_7xz7k.txt
  1032. リヴィア: 私がアパートに移り住んでからしばらくして 自分の後見人をしとる人から連絡があった
  1033. リヴィア: センセが今度結婚式を挙げるっちゅう話で こっちの住所を気にしとったんも 招待状を送りたかったのが理由やったらしい
  1034. リヴィア: (たぶん、あんときに言ってた 一流の兄ちゃんなんやろな…)
  1035. リヴィア: (ようのろけとったし…)
  1036. リヴィア: …………
  1037. リヴィア: (私が結婚の足枷やったんかな)
  1038. リヴィア: (ほんで独り立ちしたから、 ようやく区切りをつけたんかも)
  1039. リヴィア: …………
  1040. リヴィア: (センセが結婚できんかったのも 魔法のせいなんやったとしたら)
  1041. リヴィア: (もう既に影響はでとる…)
  1042. リヴィア: あの時の私は本心ではめっちゃ行きたかった お世話になったセンセの幸せな姿を 見送りたい気持ちでいっぱいやったんや
  1043. リヴィア: せやから都合良く考えてたと思う
  1044. リヴィア: もう既に不幸の効果は出てるから 自分が行っても平気やろって
  1045. リヴィア: この時の私もそう思ったからこそ 式には出んことにして 代わりにコッソリ見届けようと思った
  1046. リヴィア: チャペルの近くにおるセンセの花嫁姿は ホンマにきれいやった
  1047. リヴィア: もしもこの幸せな瞬間を私のために 引き延ばしてしもてたんやったとしたら ほんまに申し訳ない気持ちやった
  1048. リヴィア: それに、死んでしもた私の心を 人の幸せで喜べるようにしてくれたことに 感謝の気持ちしかなかった
  1049. リヴィア: センセの幸せな姿を眺める私の脳裏には 劇団で殺されてしもた仲間の姿が浮かんでた みんなに「私はちゃんと生きてるで」って 言えると思った
  1050. リヴィア: あ…
  1051. リヴィア: センセ、こっちに気づきよった…
  1052. リヴィア: ちょっ、そんな跳ねたらあかん ドレスのすそ踏んでまうって
  1053. リヴィア: (でも、そんぐらい私が来て 嬉しいっちゅうことか…)
  1054. リヴィア: …っ、胸がいっぱいや
  1055. リヴィア: センセ、あとは自分のために 幸せに生きたってや
  1056. ドッ!
  1057. リヴィア: は…?
  1058. ――――!!
  1059. リヴィア: …………
  1060. リヴィア: なんや、これ…
  1061. リヴィア: あの瞬間は永遠とも思えるぐらいの スローモーションでまぶたの裏に焼きついてる
  1062. リヴィア: あんな巨大なもんが世の中にあるんかってぐらい 大きなトラクターのタイヤが 道路から弾丸のように飛んで来た
  1063. リヴィア: ほんでそれは弾けるような笑顔を見せるセンセに 容赦無く突っ込んで不幸を与えた
  1064. リヴィア: きりもみするように宙を舞う純白のドレスが モノのように木々の中に突っ込む様子を あぜんと見ていると 目の前に小さな輪っかが転がってきた
  1065. リヴィア: センセの結婚指輪が私に訴えとった
  1066. リヴィア: お前が来たからこうなったんやって
  1067. リヴィア: 「死ぬほど嬉しかったって…?笑われへんて…」
  1068. リヴィア: ほんま、ちょっとした自分への 甘えすらも許されへんのか
  1069. リヴィア: なんや、この生きづらさは…
  1070. キュゥべえ: やあ、リヴィア
  1071. キュゥべえ: ずいぶんとソウルジェムに 穢れが溜まっているようだね
  1072. リヴィア: ほんまに… この気分を表してるみたいや…
  1073. リヴィア: このまんまやと真っ黒に 染まってしまうやろうなぁ
  1074. キュゥべえ: ボクとしてはそのまま 魔女になっても構わないけど
  1075. リヴィア: えらい前に、この目で見たわ
  1076. リヴィア: 願いを叶えた代償に 魔女と戦ったところで
  1077. リヴィア: 結局自分が魔女になるんやったら 人生まったく救いがない上に
  1078. リヴィア: なんも残すことも成すこともなく 呪いを散らすだけやな…
  1079. キュゥべえ: そんなことはないさ
  1080. キュゥべえ: キミたちは魔女になる時 膨大なエネルギーを発生させる
  1081. リヴィア: はぁ?
  1082. キュゥべえ: そしてボクたちは そのエネルギーを回収して
  1083. キュゥべえ: 宇宙を維持するために 利用するわけだから
  1084. キュゥべえ: キミは間接的とはいえ、 何かを残せてると言えるはずだよ
  1085. リヴィア: つまりアンタは宇宙を残すために 魔法少女を作っとったんか
  1086. リヴィア: 私が魔女になりそうなんを 見越したかのように出てきたキュゥべえは 淡々と宇宙を残すことについて話しとった
  1087. リヴィア: その時、私の頭の中を満たしてたんは 人の魂をよう利用してくれたなっていう 恨むような気持ちと 希望を見出したような晴れやかな気持ち
  1088. リヴィア: 自分の一挙手一投足が人を不幸にせん生き方を 見つけたからこそ 目を覚ますような清々しさが脳を支配しとった
  1089. キュゥべえ: どうしたんだい、リヴィア
  1090. リヴィア: 決めた
  1091. リヴィア: 私はこれからアンタのため 宇宙のために生きるわ
  1092. リヴィア: 魔法少女が宇宙を維持するエネルギーのために 存在しているのであれば そのノルマを達成すればええ話やし
  1093. リヴィア: これから自分が生きるすべての行動が キュゥべえや宇宙のためになれば 誰に優しくしても、跳ね返ってくる先は コイツになるから平気やと思った
  1094. リヴィア: それでキュゥべえが滅びるんやったら御の字やし 魔法少女たちもこのクソみたいな宿命から 解放されることになれば 自分の人生にもなんか意味があると思った
  1095. リヴィア: 私は死んだ人の分まで生きて その人たちの分まで救う
  1096. リヴィア: 私以外にも不幸な子らが 世の中にはごまんとおるからな
  1097. リヴィア: やから、アンタのために戦うわ
  1098. リヴィア: ほんならいずれ みんな救われてくれるやろ
  1099. キュゥべえ: …………
  1100.  
  1101. FILENAME: text_103202-5_7xz7k.txt
  1102. みたま: ―みたま― まるで自分が経験してきたかのように 先生の記憶がつぶさに流れてくる
  1103. 十七夜: ―十七夜― 共に繁華街で生き抜いた友は恐らく どこかで潰されてしまった
  1104. みたま: ―みたま― 劇団の仲間たちは死して屍となった
  1105. 十七夜: ―十七夜― さらわれる前に過ごした家族の記憶とともに
  1106. みたま: ―みたま― 裏社会に潰された記憶とともに
  1107. 十七夜: ―十七夜― 紛争に翻弄された記憶とともに
  1108. みたま: ―みたま― 民族のぶつかり合いで見た血の記憶とともに…
  1109. 十七夜: ―十七夜― 世界の不幸を俯瞰して見た彼女は 自分の境遇に飲まれずに生きようとした
  1110. みたま: ―みたま― だけど善人が生きる世界に戻った先生は 前以上に生きづらい時を過ごすことになった
  1111. 十七夜: ―十七夜― それでも悲しみを内に溜めて憎悪とせずに 糧にして冷静に解決しようとしている
  1112. みたま: ―みたま― 先生は糧にしろと言うのですか 堕ちた自分たちを新たにするために
  1113. リヴィアの声: 「そういうこっちゃ」
  1114. リヴィアの声: 「どんな味付けにしても構わへんから はよう可哀相やと思とる自分を引きずり出して そのまま食ってしもうたれ」
  1115. みたま: ―みたま― でも、どれだけ俯瞰しても、 神浜市を滅ぼすわたしは消えない
  1116. みたま: ―みたま― それに、この悲しみを食らったら わたし自身を失うのと同じよ
  1117. 十七夜: ―十七夜― …確かに、そうかもしれんな
  1118. 十七夜: ―十七夜― しかし八雲 存外、そうではないかもしれん
  1119. みたま: ―みたま― 十七夜…?
  1120. 十七夜: ―十七夜― 我々は、自分の中にある悲しみに 満たされた神浜市を滅ぼすんだ
  1121. 十七夜: ―十七夜― そして次は、共に歩みたい 神浜市と共に生きる
  1122. みたま: ―みたま― ミィたちが繋いでくれた 神浜市と一緒に…?
  1123. 十七夜: ―十七夜― そう、そのためにも我々は、 古い我々を食らわなくてはならん
  1124. みたま: ―みたま― …そして自分たちの糧にするのね
  1125. 十七夜: ―十七夜― うむ、未来のためにも 悲しみに囚われるのはここまでだ
  1126. みたま: ―みたま― …わかったわ
  1127. みたま: ―みたま― ミィが繋いでくれた明日のために わたしも過去を食らうわ
  1128. 十七夜: さあ、かかってこい、 恨みに駆られ目を閉ざした自分よ
  1129. みたま: わたしは自分に巣食う 神浜市を滅ぼして、先に向かうわ
  1130.  
  1131. FILENAME: text_103202-6_7xz7k.txt
  1132. 月出里: ふむむっ!?
  1133. リヴィア: 魔力の反応が変わった 冷たさがのうなったみたいやな
  1134. リヴィア: さ、これで十七夜とみたまが 悲しみを手放したわけやけどな
  1135. ヨヅル: それを取り込もうと 悲嘆のキモチが現れますね
  1136. リヴィア: そういうこっちゃ
  1137. ∵グスッ_フゥ―!!
  1138. リヴィア: さっそく出てきよったな
  1139. リヴィア: 月出里!
  1140. リヴィア: もう目を覚ますはずやから 十七夜とみたまを起こし!
  1141. 月出里: ふむっ!
  1142. 月出里: ふむむっ!ふむむっ!
  1143. 十七夜: は…自分は…
  1144. みたま: ちゃんと覚えてるわ…
  1145. 十七夜: うむ…
  1146. ∵グゥ_ゥ ̄ォォ―!!
  1147. 十七夜: ――っ!?
  1148. 十七夜: 見てきたものに 浸ってるヒマはないらしい
  1149. みたま: ええ、まずは先生たちと一緒に キモチを押さえ込みましょう
  1150. ヨヅル: …この様子だと 魔力の消耗は問題なさそうですね
  1151. ヨヅル: 事前に浄化をしておいたのが 功を奏したようです
  1152. 月出里: ふんむむふむむっむ、 ふむふむんむ、ふんむむむんむむ
  1153. ヨヅル: そう、リスクを想定した気遣いは ノートにもメモしてあります
  1154. ヨヅル: 優しくできない先生だからこそ 得られた知見かもしれません
  1155. リヴィア: 余計なこと言わんでええねん
  1156. リヴィア: しっかし、心なしか スッキリした顔になったなあ
  1157. みたま: それだけ、自分の感情に 支配されていたんだと思います
  1158. みたま: ありがとうございます…
  1159. 十七夜: それに、自分の過ちに気づけた
  1160. リヴィア: アンタは感情に囚われとっても 高潔やと思ってたけどな
  1161. 十七夜: 環君は皆の幸せを望んで、 悲しみを生む行為を否定していた
  1162. 十七夜: 自分は神浜市の幸せを望んで 悲しみを生む行為を肯定してきた
  1163. 十七夜: その差が大きいことを 多くの悲しみを見て思い知った
  1164. 十七夜: 自分と環君は似ていると思ったが 失礼な勘違いだったようだな
  1165. みたま: 悲しみを武器にすること自体が 大きな過ちだったのよ…
  1166. リヴィア: せやったら、糧にしたいま やることは決まっとるやろ?
  1167. みたま: はい、神浜市に戻って、 キモチの石を届けてきます
  1168. リヴィア: うん、さっさと行ってき
  1169. みたま: 一緒に戻らないんですか?
  1170. リヴィア: あんたらのために どんだけ精神力を削ったか
  1171. リヴィア: しばらく休ませたってや
  1172. みたま: ごめんなさい
  1173. リヴィア: 謝るぐらいなら急ぎ
  1174. リヴィア: キュゥべえに先手を取られたら 終わりやろ
  1175. みたま: では…
  1176. 十七夜: うむ、感謝はいずれ しっかりとさせてもらう
  1177. リヴィア: はぁ…
  1178. ドサッ
  1179. 月出里: ふむんむん!
  1180. ヨヅル: 大丈夫ではなさそうですね
  1181. リヴィアの声: 魔力の問題ちゃう 目一杯思い出してつらなった…
  1182. ヨヅル: 結局、先生が私たちに対して 優しくするのはなぜですか?
  1183. リヴィア: え、いまそれ聞くん?
  1184. ヨヅル: すみません、 間違いましたか…?
  1185. リヴィア: もうちょい体調を 気遣って欲しかったけど
  1186. リヴィア: ちゅーか答えは知っとるやろ
  1187. リヴィア: みんな…宇宙のためや…
  1188. みたま: ねえ十七夜…
  1189. 十七夜: む?
  1190. みたま: 確かにあの海で巫は 人々を恨んで魔女になったけど
  1191. みたま: 実は最後は救われているの
  1192. 十七夜: …誰かが救ってくれるのを 望んでいたのかもしれない
  1193. 十七夜: そう言いたいのか
  1194. みたま: ええ、そして本当は みんなと生きたかったんだと思う
  1195. みたま: だから、自分の願いのことで もう気に病んだりしない
  1196. みたま: わたしの中で神浜市は 一度滅ぼしたことにして
  1197. みたま: これからは生きて贖罪をしながら 神浜市の未来を作るわ
  1198. 十七夜: 自分も共に歩ませてもらう
  1199. 十七夜: 皆が繋いでくれた神浜市の未来を 無駄にしないように
  1200.  
  1201. FILENAME: text_103202-7_7xz7k.txt
  1202. うい: はい、おかわりの紅茶
  1203. うい: 落ち着く香りがするって わたしとお姉ちゃんのおすすめ!
  1204. さな: はい、頭を抱えてる時こそ、 いちどリラックスしてください…
  1205. 結菜: ありがとぅ、ういちゃん 気遣いができてえらいわねぇ
  1206. 静香: 二葉さんもありがとう 確かに頭が沸騰しそうだわ…
  1207. ひめな: あ、ごめん! とりま砂糖いっぱい欲しい!
  1208. うい: えっと、一杯?いっぱい?
  1209. かごめ: あ、あの、フェリシアさん
  1210. かごめ: お菓子、勝手に持って行ったら やちよさんに怒られませんか?
  1211. フェリシア: みんな菓子食って話してるなら オレだって食っていいだろ
  1212. かごめ: フェリシアさんもみんなの話に 加わればいいだけでは…
  1213. フェリシア: だって、ネオマギウスのヤツと 一緒とか、なんかイヤだろ
  1214. フェリシア: 灯花たちみたいに罰もなんも うけてねーし
  1215. かごめ: それならプロミストブラッドの 人たちも同じですし
  1216. かごめ: 今回はグループ同士が 対等に手を取り合ってるんです
  1217. かごめ: 罰を受ければいいっていう、 簡単な話じゃないですよ…
  1218. 鶴乃: そう!
  1219. かごめ: ひゃっ!?
  1220. 鶴乃: どこのグループも本音を言えば 恨みつらみがあるんだから
  1221. 鶴乃: いまはお互いを信じて 一緒に頑張るのがベスト!
  1222. かごめ: キュゥべえに 先を越されるって考えると
  1223. かごめ: 罰を気にしてるような状況じゃ ないですしね
  1224. 鶴乃: うん、それもある!
  1225. ひめな: なんか向こう 私チャンのことで揉めてる?
  1226. 結菜: 私のことも関係ありそうねぇ
  1227. やちよ: フェリシアは鶴乃がなんとか してくれるから平気よ
  1228. やちよ: それよりも、十七夜たちが 戻って来なかった場合が問題よ…
  1229. いろは: 自動浄化システムの代用品は 作れそうにないですからね…
  1230. やちよ: 里見さんと柊さんがいないと、 突飛な案も出なさそうだし…
  1231. 静香: みんなの固有魔法を組み合わせる 方法だと難しいのよね…?
  1232. いろは: ういの回収能力はあっても、 範囲を決める被膜が難しいです
  1233. いろは: それをできるのはどうしても アリナさんになるので…
  1234. 結菜: 部分的には再現できたとしても、 ういちゃんに負担を強いてしまぅ
  1235. いろは: はい、その負担は未知数なので、 下手をすれば魔女になるかも…
  1236. ひめな: ぶっちゃけさ、キュゥべえに 自動浄化システムを取られた上に
  1237. ひめな: 疑似的に再現もできなかったら とりまどうなんの?
  1238. ひめな: ワンチャン、私チャンたちが バトる可能性もアリ寄りのアリ?
  1239. いろは: …………
  1240. 結菜: …………
  1241. 静香: …………
  1242. 結菜: 藍家さんとしてはどうなのぉ?
  1243. やちよ: ずるい、探りを入れたわね
  1244. 結菜: なんのことかしらぁ
  1245. ひめな: んー、ヒコ君的にはどう?
  1246. ひめな: うん…うん… まぁ、私チャン的にも同じかな…
  1247. 結菜: なんて言ってるのぉ?
  1248. ひめな: ないものを欲しがっても、 ぶっちゃけ意味ないじゃんって
  1249. ひめな: それに過激な魔法少女至上主義は 否定されちゃったけど
  1250. ひめな: 私チャンたちが戦ってることを みんなに知ってもらうって話は
  1251. ひめな: 他のグループ的にも おけまるなわけでしょ?
  1252. ひめな: それなら戦う理由もないし 仲良くするのはとりまオッケー
  1253. 結菜: そうねぇ…
  1254. 結菜: ないものをねだったところで、 ただの駄々っ子でしかなぃ
  1255. 結菜: 神浜市の魔法少女に 恨みを晴らしたい子はいても
  1256. 結菜: その不毛さも味わってるから 二木市に帰るでしょぅねぇ
  1257. 静香: 時女一族はいつだって 敵対するつもりは毛頭ないわ!
  1258. 静香: 魔女を倒すみんなが自然と 日の本を支えている!
  1259. 静香: それで十分よ!
  1260. 結菜: …シンプルねぇ
  1261. いろは: はぁ…みんなに衝突するような 意思がなくて良かったです…
  1262. ひめな: 今の奇跡的な状況を捨てる方が ヤバみが深すぎるからね
  1263. いろは: それに私はこうして肩を並べて みんなと悩めてるのが嬉しいです
  1264. いろは: 一緒に未来を見ている証拠だから
  1265. ひめな: だったら、あのふたりが 戻らなかった時の話はやめてさ
  1266. ひめな: 自動浄化システムを取り戻した あとの話をしようよ
  1267. やちよ: それじゃなんのために リーダーたちが集まったのか…
  1268. ひめな: 幸せな未来を語るためだって
  1269. やちよ: うーん…わかるけど… なんか、調子が狂っちゃうわ…
  1270. ピロン♪
  1271. いろは: …………
  1272. いろは: あ…
  1273. やちよ: 誰から?
  1274. いろは: 十七夜さんから…
  1275. いろは: あ、みたまさんと一緒に 戻って来るそうです!!
  1276. ひめな: ほら、やっぱりいけるって いい波乗ってんじゃん!
  1277. うい: やったねお姉ちゃん
  1278. うい: ピュエラケアのみんなが 成功したっていうことだよね?
  1279. いろは: うん、そうみたい!
  1280. 静香: これで8つの石が全部そろう…!
  1281. 結菜: キュゥべえに先を越される前に 動いた方がいいわねぇ
  1282. やちよ: ええ
  1283. やちよ: ふたりと合流したら、 今後の動きをすぐに決めましょう
  1284. みふゆ: それでは、かりんさんの行方は つかめませんでしたか…
  1285. 月咲: みふゆさんも ダメだったんですね…
  1286. みふゆ: ですが、そもそも結界内の様子が おかしい気がします
  1287. 月夜: そうなんでございますよ
  1288. 月夜: コピーの姿が見当たらなくて、 あまりにも無防備でございました
  1289. 月咲: ウチの方も同じだよ
  1290. 月咲: 見かけても戦う意思が ないみたいで…
  1291. みふゆ: 何が起きてるんでしょうか…
  1292.  
  1293. FILENAME: text_103202-8_7xz7k.txt
  1294. ひめな: それで、これから駅にふたりを 迎えに行くのはいいとして
  1295. ひめな: とりま聞いてみたいんだけどさ
  1296. いろは: えっ、何の話?
  1297. ひめな: さっきしようとしてたじゃん
  1298. ひめな: 自動浄化システムを取り戻した あとの幸せな未来の話
  1299. ひめな: いろりんは何か 未来を描いてたりすんの?
  1300. いろは: うーん…漠然としたイメージが あるぐらいかなぁ…
  1301. いろは: 魔法少女であることの 心配事が今よりも少なくなって
  1302. いろは: 将来の夢を叶えられるぐらい 生きられるようになって
  1303. いろは: 私たちが背負う宿命や 願った理由を伝えていってね
  1304. いろは: 私たちも周りのみんなも 少しずつ優しくなればって思う
  1305. いろは: んー、だからなんだろう
  1306. いろは: いまのつらいを解消しながら 未来のつらいを作らないように
  1307. いろは: みんなが優しくなれる種を 少しずつ撒いていく…?
  1308. いろは: そういうことが、 できたらいいのかな…?
  1309. かごめ: 前に話してた未来を潰すような 争いを無くすのと一緒にですか?
  1310. いろは: うん
  1311. いろは: 争いはないけど、思いやりが たくさんある未来にしたいのかも
  1312. かごめ: いろはさんらしいです
  1313. いろは: え、そ、そうかな…?
  1314. いろは: ちなみに、藍家さんは どんな未来を描いてるの?
  1315. ひめな: んー、ヒコ君との関係を 認めさせるのは大前提として
  1316. ひめな: まあ、楽しくやれてたら 私チャンとしてはおけまるかな
  1317. ひめな: ただ、魔法少女至上主義は広める もちろん前よりマイルドにね
  1318. やちよ: マイルドって言われても この間食い止めたばかりだから…
  1319. さな: はい、なんか笑えないですね…
  1320. 鶴乃: 言い方もマイルドな方向に 変えられたらいいんだけどね
  1321. ひめな: もう、階級構造とか考えてないし ほんと認めてくれたらいいの
  1322. さな: それは彼ピさんのためですか…?
  1323. ひめな: それはもちろんだけど、 羽根ちゃんのためでもあるよね
  1324. さな: あ…
  1325. ひめな: いろりんたちがしてることって 優しく聞こえるけどさ
  1326. ひめな: 実はハードルが高くて、 どちゃクソ、マッチョなんだよ
  1327. ひめな: だから付いて行けずに 悶々と羽根になってきた子たちを
  1328. ひめな: 私チャンたちが 面倒みてあげるってこと★
  1329. いろは: 理想論って、灯花ちゃんたちにも 言われるぐらいだし…そっか…
  1330. いろは: 考えたこともなかったかも…
  1331. 結菜: あなたのことだから 強制なんてしないでしょうけど
  1332. 結菜: 聞く人は身構えるものよぉ
  1333. やちよ: プロミストブラッドは うまくいったあと、どうするの?
  1334. 結菜: このまま争いのない二木市が 永遠に続けばいいと思うわぁ
  1335. 結菜: だから、私は根本的にね、 環さんと思想は近いのよぉ
  1336. フェリシア: ウソだ!
  1337. フェリシア: だってお前オレに 魔法でヒドいことしただろ!
  1338. 結菜: 記憶のことはごめんなさぃ
  1339. 結菜: 今度、高い牛肉を持っていくから それで許してちょうだぃ…
  1340. フェリシア: いろは、コイツはもう大丈夫だ ちゃんと“かいしん”してるぞ
  1341. 鶴乃: もうフェリシアの扱い方が わかってる…!
  1342. うい: あとは静香さんにも 聞かないとだよね
  1343. ひめな: お、ういういわかってるね というわけで本家はどうなの?
  1344. 静香: 日の本の平和と繁栄! 以上よ!
  1345. 静香: もちろんだからといって 暴力に訴えかけないわよ!?
  1346. 静香: というか、もう一族としては 裏で支えるつもりだから
  1347. うい: 縁の下の力持ちだ
  1348. 静香: そういうこと!
  1349. かごめ: …………
  1350. かごめ: みんながバラバラに見ていた未来が 今となっては同じところを見ている気がする
  1351. かごめ: 未来を見る視線が1本の光の筋だとしたら これまでは4本の筋が 交差してぶつかっていたけど
  1352. かごめ: 今は4つの光が同じところを照らすことで はっきりとしなかった未来が くっきり見えるようになった気がする
  1353. いろは: あ、いま十七夜さんから また連絡があったんですけど
  1354. いろは: 思ったよりも早く着くそうです
  1355. かごめ: 氷室さんも那由他さんとの 用事が早く終わったみたいで
  1356. かごめ: そろそろ、みかげちゃんと 合流するみたいですね
  1357. やちよ: じゃあ、3人には十七夜たちと 合流してもらって
  1358. やちよ: キモチの石を集める場所は、 先に決めちゃいましょうか
  1359. 鶴乃: はい!
  1360. 鶴乃: それなら立入禁止区域になってる 中立地帯がいいと思います!
  1361. 結菜: ピュエラケアと合流したあとなら 有事の際に備えられるからねぇ
  1362. 鶴乃: そういうこと!
  1363. いろは: 確かに、出張調整屋が 近くにあった方が良さそうですね
  1364. いろは: 神浜マギアユニオンとプロミストブラッド 時女一族とネオマギウスの皆さんに連絡です
  1365. いろは: 十七夜さんとみたまさんから連絡があって 神浜市に戻ってくることがわかりました
  1366. いろは: そこで、急ではありますが、 キュゥべえから自動浄化システムを取り返すため キモチの石を1ヶ所に集めることにしました
  1367. いろは: 場所は出張調整屋のある中央区の立入禁止区域 今回の争いで中立地帯となっていた場所です
  1368. いろは: キュゥべえに先を越されないために 一刻を争う状況なので 人が集まっていなかったとしても 全てのキモチの石がそろい次第、始めます
  1369. いろは: 都合が合わずに参加できない方には 申し訳ないのですが、よろしくお願いします
  1370. みかげ: 姉ちゃ!
  1371. みたま: ただいま、ミィ
  1372. 十七夜: 心配をかけたな…
  1373. みかげ: 本当だよ ミィがどれだけ心配したか
  1374. みかげ: 姉ぢぁも…なぎだんも… ふ…ぅ…ゥゥウ…
  1375. みかげ: 「姉ぢゃーーーーーーー!!」
  1376. みたま: もう、前までのわたしじゃない だから安心して、ミィ
  1377. みかげ: 「もう、どごにもいっじゃ だべだがらあー!」
  1378. みたま: うん…
  1379. 那由他: ほんと、無事で良かったですの
  1380. ラビ: もらい泣きしてますよ
  1381. 那由他: ラビさんもですの
  1382. ラビ: …ほんとですね
  1383.  
  1384. FILENAME: text_103202-9_7xz7k.txt
  1385. いろは: すごい…
  1386. いろは: こんな短時間でみんな…
  1387. 都 ひなの: そりゃあそうだろう
  1388. 都 ひなの: 各グループ何十人っていう 魔法少女が関わってきたんだ
  1389. 都 ひなの: それだけ重要っていうことだ
  1390. 那由他: そして期待されていて 奇跡的ということなんですの
  1391. みかげ: ずっと戦ってきたのに 同じ未来を見てるんだもんね
  1392. いろは: みかげちゃん、那由他ちゃん ふたりが居るっていうことは…
  1393. 十七夜: 心配をかけたな、環君
  1394. みたま: 本当に謝っても謝りきれない また、罪を重ねてしまったわね…
  1395. やちよ: みんな事情はわかってる
  1396. やちよ: あなたたちと同じような人生を 歩んでいたとしたら
  1397. やちよ: 誰しも同じように 堕ちていたかもしれない
  1398. 鶴乃: むしろそこから戻って来たことを 誇っていいと思うよ
  1399. みふゆ: はい、また前と同じように 手を取り合って歩みましょう
  1400. うい: おかえりなさい!
  1401. さな: 帰ってきてくれて嬉しいです…!
  1402. フェリシア: また一緒にがんばろーぜ!
  1403. いろは: はい、私たちみんなで 幸せな未来に歩んでいきましょう
  1404. みたま: ありがとう、みんな
  1405. 十七夜: うむ、感謝する
  1406. うい: お姉ちゃん これで全員集まったよね
  1407. いろは: うん、キモチの石は8つ 私たちの前に集まったよ
  1408. いろは: どう、うい 何か変な感じはしない?
  1409. うい: うん…
  1410. うい: キモチの石が集まっても、 前みたいな違和感はないよ
  1411. うい: それにキモチ同士が集まって 反応してるせいかな…
  1412. うい: 自動浄化システムの位置が わかる気がする…
  1413. いろは: それって、こことは違う場所?
  1414. うい: ううん、ここだよ
  1415. いろは: ここ?
  1416. うい: うーん、どう言えばいいんだろ…
  1417. うい: 穢れを吸い取る範囲が全部ね 自動浄化システムそのものなの
  1418. うい: だから、キモチの石が集まった 今だったら
  1419. うい: どこでも、自動浄化システムの 入口が見つけられるよ
  1420. いろは: それじゃあ、キュゥべえから 取り戻すのもあと少しで…
  1421. いろは: …………
  1422. いろは: ふぅ…
  1423. いろは: それでは、良ければ私に キモチの石を預けてください
  1424. みたま: どうぞ、 受け取っていろはちゃん
  1425. 十七夜: うむ
  1426. 十七夜: 魔法少女たちの未来のために どうか役立てて欲しい
  1427. いろは: はい
  1428. いろは: みんなが幸せになれる未来を 一緒に作っていきましょう
  1429. 樹里: 地元に籠もってたらできなかった 面白い経験が色々できた
  1430. 樹里: しんどいことも多かったけど 楽しくやらせてもらったぜ
  1431. アオ: 大切な命を奪って キモチにやられて…
  1432. アオ: 迷惑かけてばかりだったけど、 もう同じような人は作らないよ
  1433. アオ: 姉さまや姉ちゃんたちと一緒に 新しい二木市にしていく
  1434. 結菜: だから私たちの想いを託すわぁ この石と一緒にねぇ
  1435. 結菜: これで少しだけはさくやの想いに 報いることができたかしらぁ…
  1436. いろは: 救いの輪を広げていくんですから きっと喜んでくれてると思います
  1437. ちはる: 大庭さんに返してもらったけど、 またすぐに渡せて良かったよ
  1438. ちはる: この恐怖の石や悲嘆の石が 強くならない世界になればいいね
  1439. 静香: 環さんが言っていた救いがあって 希望を叶えられる未来
  1440. 静香: そのために人の心が 優しくなれる世界を作れるなら
  1441. 静香: 私も日の本を支える者として これからも力になるわ
  1442. いろは: うん、きっとできると思う この瞬間こそ未来への希望だから
  1443. 時雨: あれ、ぼくたちは キモチの石を持ってないんだっけ
  1444. はぐむ: 藍家さんが全部 最後に取るつもりだったからね
  1445. 燦: これからはネオマギウスも 彼女たちと共に歩むの?
  1446. ひめな: そ、ただヒコ君が言ってた
  1447. ひめな: 羽根もいるから、同じように 前にならうんじゃなくて
  1448. ひめな: ツッコミ役として 存在してる方がいいって
  1449. ミユリ: なんか、わかるような 気がしますぅ
  1450. すなお: 静香とちゃると3人で集落を出て 都会は本当に探り探りで…
  1451. すなお: 長かったですけど、 ようやくひとつになりました…
  1452. 南津 涼子: 世間知らずばっかが集まって、 よくもまぁ生き残れたもんだよ
  1453. 青葉 ちか: ふふっ、そうしたひとつひとつが 私たちにとっての奇跡ですね
  1454. 智珠 らんか: なんかもう、うまく行きすぎると 怖いんだよね…
  1455. 智珠 らんか: どんでん返しのラスボスとかさ…
  1456. レナ: ちょっと、イイカンジなのに 変なフラグ立てないでよ
  1457. ももこ: おい、なんかキモチの石が…!
  1458. かえで: いろはちゃんを囲んでるよ!?
  1459. レナ: ほら、らんかのせいで!
  1460. 智珠 らんか: いや、冗談だったのに! やめてよ!
  1461. いろは: 大丈夫
  1462. いろは: キモチが私たちに力を貸す前にね みんなに話を聞きたいんだって
  1463.  
  1464. FILENAME: text_103202-10_7xz7k.txt
  1465. ∵くすくす_ ̄あはっ!
  1466. いろは: 最初に出会った時から 私はあなたを届けるつもりだよ
  1467. うい: わたしもそう
  1468. うい: ちゃんとみんなをイブとして ひとつに戻すつもり
  1469. いろは: だから心配しないで…
  1470. いろは: あなたたちが 強大な力を持っていたとしても
  1471. いろは: それに喜んでうぬぼれて、 悪いことになんて使わない
  1472. いろは: キモチのみんなを消そうなんて 考えたりしないから…
  1473. うい: だから一緒に行こう
  1474. いろは: 紡がれる未来を喜び合おう
  1475. うい: みんなはイブの一部だけど わたしの一部でもあるからね
  1476. うい: きっと一緒に歩めるよ
  1477.  
  1478. FILENAME: text_103202-11_7xz7k.txt
  1479. ∵キィ ̄ヤァアア―アッ!!
  1480. みふゆ: 心配しなくても平気ですよ
  1481. みふゆ: 今さら何が起きて驚いたとしても 裏切ったりはしませんから
  1482. 鶴乃: うん、これまでが 驚きっぱなしの戦いだったからね
  1483. みふゆ: ワタシたちも様々な経験を通して 強くなってきたんです
  1484. やちよ: だから安心して私たちと いろはに付いてきて
  1485. やちよ: あなたたちと私たちが手を取れば 優しい未来が待っているから
  1486. 鶴乃: そうっ!
  1487. 鶴乃: むしろキモチのみんなが驚く 未来を見せちゃうよ!
  1488.  
  1489. FILENAME: text_103202-12_7xz7k.txt
  1490. ∵ヌゥゥ―ッ_アグゥ!!
  1491. フェリシア: 父ちゃんと母ちゃんのことは 思い出してキツかったけど
  1492. フェリシア: それでもオレは自分のことを 嫌いになったりなんてしねえ
  1493. フェリシア: 恵みをあたえねーとっていう 役目があるからな!
  1494. さな: 私だってもう 自分を嫌悪なんてしませんよ…
  1495. さな: 絵本を通して、私なんかでも 役立てる人間だって思えて
  1496. さな: これから胸を張って 生きられる自信になったんです…
  1497. さな: だから、もう自分のことを 嫌いになんてなりません…
  1498.  
  1499. FILENAME: text_103202-13_7xz7k.txt
  1500. ∵ウゥ、グ、ヌァアアアッ!!
  1501. ももこ: アタシが怒りに囚われるなんて 有り得ないよ、大丈夫
  1502. レナ: ていうか、東西のことで これだけひっかき回されても
  1503. レナ: みたまさんと十七夜さんを 受け入れてんのよ?
  1504. レナ: レナたちの心の広さはね 太平洋ぐらいあるんだから
  1505. かえで: そっかレナちゃんの心も 広いってことになるんだ…
  1506. レナ: なにか文句あるわけ?
  1507. かえで: ほらぁ、すぐ怒る…
  1508. かえで: みんなが太平洋なら レナちゃんは琵琶湖ぐらいだよ
  1509. ∵ヌゥ_ゥ
  1510. ももこ: あ、キモチが笑った
  1511.  
  1512. FILENAME: text_103202-14_7xz7k.txt
  1513. ∵ゥゥ_ゥ―アァアアッ_!!
  1514. 十七夜: お前が心配するのももっともだ
  1515. 十七夜: この神浜市において悲しみの 象徴たるお前が強敵だったのは
  1516. 十七夜: それだけ町に散らばる悲しみが どの感情よりも多かったからだ…
  1517. みたま: 実際にわたしたちも悲しみを あなたに取られないようにして
  1518. みたま: 自分に取り込んだ結果 悲しみに囚われてしまったけど
  1519. みたま: 今はその悲しみも食べ尽くして 自分たちの糧にしたわ
  1520. 十七夜: だから安心して欲しい 自分たちは悲しみに屈しない
  1521. 十七夜: もしも新たな悲しみが現れるなら それを自分たちが食らってやる
  1522.  
  1523. FILENAME: text_103202-15_7xz7k.txt
  1524. ∵ヒッ_―ィィ!!
  1525. アオ: うん、今ではわかる 恐怖がないのが一番怖いって
  1526. ひかる: ほんと、アオさんは恐怖を求める マシンみたいだったっす
  1527. 樹里: 人間何かが欠けてるヤツってのは こえーからなぁ、ニヒッ
  1528. 結菜: だから、これからの私たちは 感情も人も欠けさせないわぁ…
  1529. 結菜: もちろんかつてのように、 力で支配するなんてもってのほか
  1530. 樹里: 恐怖で支配するのが、 一番楽だったんだけどなぁ
  1531. アオ: ダメだよママ! あっ!
  1532. 樹里: アッハハ! 娘に言われたら仕方ねーよ
  1533. ひかる: 恐怖に運命を左右されるのは、 終わりってことっすね
  1534.  
  1535. FILENAME: text_103202-16_7xz7k.txt
  1536. ∵へ~ ̄ハイ_ええ
  1537. 静香: ええ、もうひとりで背負わない みんなと一緒に歩いて行くわ
  1538. すなお: 私も本家としての期待に 押しつぶされそうな静香の心に
  1539. すなお: 気づくことができなかった分 これからは寄り添って生きます
  1540. ちはる: 本家だけじゃなくて分家と一緒に 未来を作るのが時女一族!
  1541. ちはる: だもんね!
  1542. 青葉 ちか: むしろこれからの私たちに 乞う御期待ですね
  1543. 南津 涼子: そりゃあ少し、 ハードルが上がっちまうなぁ
  1544. 静香: そんなことないわ
  1545. 静香: 日の本を支える刃として 鋼のような絆を結ぶのは当然よ
  1546.  
  1547. FILENAME: text_103202-17_7xz7k.txt
  1548. ∵ッ…ン~ ̄_ハ…!!
  1549. ひめな: キモチに言われなくても、 私チャンは愛でいっぱいだから
  1550. ひめな: これからはラブ&ピースで 未来を支えて行くよ、キャハッ★
  1551. 時雨: でも、あの、支える方法が 愛の暴力みたいなのは要らない…
  1552. はぐむ: うんうん、それにみんなに内緒も 愛がないから禁止ですよ…!
  1553. ミユリ: これはこれは、先に予防線を 張られちゃいましたよ姫様!
  1554. 燦: ふふっ、いつものやり方が 使えなくなったわね
  1555. ひめな: 別に気にしてないし 真のマイメンだから当然でしょ?
  1556. ひめな: 隠し事はせずに 肩を並べていかないとさ
  1557. ひめな: 愛して敬うのは無理みが深いって 私チャン気づいたから★
  1558.  
  1559. FILENAME: text_103202-18_7xz7k.txt
  1560. いろは: ひとつひとつの感情と向き合って 私たちは乗り越えて来たと思う
  1561. いろは: だから…!
  1562. ――――
  1563. いろは: 「うん、これから私たちが目指すのは みんなが魔法少女のことを知って 契約しようとする少女の数が減っていく未来」
  1564. いろは: 「ゼロにはできないかもしれないけど 人の心が少しでも優しくなれば 願いを叶える理由がなくなって減っていく」
  1565. いろは: 「その優しさは何千年何万年とかけても 変わらなかった人の心の変化で 私たち魔法少女を救うだけじゃなくて 未来の人を沢山救えると思うの」
  1566. いろは: 「だから、宇宙の意思が邪魔をする話もあるけど 私たちはここまで来た奇跡を信じて進みたい」
  1567. いろは: 「みんなをヒドい目に遭わせたりしないし 必ず一緒に未来へ連れて行くから」
  1568. いろは: お願い、力を貸して!
  1569. いろは: ありがとうみんな 信じてくれて
  1570. うい: お姉ちゃん 自動浄化システムの入口がわかる
  1571. やちよ: キモチを手に入れたいろはと 元々イブだったういちゃん
  1572. やちよ: ふたりで行ってらっしゃい
  1573. userName: モッキュ!
  1574. 鶴乃: そうだね!
  1575. 鶴乃: userNameも 連れて行ってあげないと!
  1576. うい: あと、キモチの石の数だけ 入れると思うから
  1577. うい: グループのリーダーみんなで 一緒に行こうよ
  1578. いろは: そうだね
  1579. いろは: 私たちがみんなで 手にするものだと思うので
  1580. いろは: それにかごめちゃんも!
  1581. いろは: 私たちのことを最後まで 近くで見ていて欲しい
  1582. かごめ: ―かごめ― わ、わかりました…!
  1583. かごめ: ―かごめ― なんだか場違いな気もしますけど すごく嬉しいです…!
  1584. 静香: ―静香― 私もよ、環さん
  1585. 静香: ―静香― 一族を代表して立ち会えることを とても嬉しく思うわ
  1586. 結菜: ―結菜― ふふっ、これもひとつの節目 いい晴れの日になりそうねぇ
  1587. ラビ: ―ラビ― そして私にとっては最後の観測 何もないことを祈るばかりです
  1588. ひめな: ―ひめな― ていうか、一緒の方が絵になるし ぶっちゃけアリだよね
  1589.  
  1590. FILENAME: text_103202-19_7xz7k.txt
  1591. かごめ: あ、あれ…?
  1592. いろは: ここが、 自動浄化システムの中…?
  1593. 静香: なんだか透明な部屋の中に 入ったような感じ…
  1594. 静香: え? どうしてちゃるがいるの?
  1595. 静香: ねえ、ちゃる
  1596. 静香: ――っ!? ななな、手がすり抜けたわ!?
  1597. かごめ: 外と同じように見えるけど、 違ってるみたいです…
  1598. いろは: うん、そこに居るように 見えるだけみたい
  1599. 結菜: 魔女の結界が現実と干渉しない 別の空間になっているように
  1600. 結菜: 自動浄化システムの空間も 同じなのかもしれないわねぇ
  1601. ラビ: 部分的に作られた もうひとつの世界…?
  1602. 結菜: 恐らくねぇ
  1603. いろは: どれぐらい広いんだろう…
  1604. いろは: 魔力を保有してないはずなので 狭いと思ってたんですけど…
  1605. ラビ: 魔力の流れのようなものは 感じるけど
  1606. ラビ: どこへ繋がっているのか…
  1607. うい: コアになってる部分ならわかるよ ねっ、userName
  1608. userName: モキュッ!
  1609. ラビ: 案内してもらっていい?
  1610. userName: モキュキュイ!
  1611. かごめ: キュゥべえは いないみたいですね
  1612. 結菜: あれもまだ自動浄化システムは 掌握できていないはず
  1613. 静香: それなら不在の今が、 奪い返す最高の機会ってわけね!
  1614. うい: うん、あの繭になってる部分が 魔力の集中してる部分だよ
  1615. ひめな: その小さなキュゥべえと いろりんでコアになるんだよね?
  1616. いろは: うん、そうだよ
  1617. userName: モッキュ!
  1618. ひめな: それなら、おけまる!
  1619. ひめな: 自動浄化システムは 環ういの概念なんだから
  1620. ひめな: そのキュゥべえをハブにするのを 忘れちゃだめだからね
  1621. いろは: ありがとう、藍家さん
  1622. ひめな: それじゃあ、私チャンたちは ここで見守るからね
  1623. ラビ: はい、 無事に終わることを祈ります
  1624. いろは: ありがとう
  1625. いろは: それじゃあ、 userNameいくよ
  1626. いろは: 一緒に自動浄化システムと ひとつになろう
  1627. userName: モキュゥ!
  1628. いろは: 『キャァアッ!?』
  1629. userName: 「モギュ!?」
  1630. かごめ: いろはさん!?
  1631. うい: お姉ちゃん!
  1632. キュゥべえ: どうやら うまくいったようだね
  1633. うい: キュゥべえ…
  1634. 結菜: まさか、最初から誘い込んで…
  1635. 静香: 久兵衛様の罠っていうこと…!?
  1636. キュゥべえ: 罠でもなんでもないよ
  1637. キュゥべえ: 環いろはたちが望んだ通り
  1638. キュゥべえ: この自動浄化システムの コアになってもらうんだよ
  1639. キュゥべえ: 違いがあるとすれば、 ボクが一緒ということだけさ
  1640. 静香: その違いがあれば すべてがひっくり返るわよ!
  1641. ひめな: やっぱり食えないなぁ どういうつもり?
  1642. キュゥべえ: 藍家ひめなに教えた方法は ボクも実践するつもりだった
  1643. キュゥべえ: 自動浄化システムを完全に コントロールできるようにして
  1644. キュゥべえ: キモチというエネルギーまで 取り戻そうとしても
  1645. キュゥべえ: 感情を持たないボクだけでは 限界があるからね
  1646. ひめな: それで、こっちがキモチを従えて 来るのを待ってたわけだ
  1647. キュゥべえ: その通りだよ
  1648. キュゥべえ: 「自動浄化システムという概念と繋がったボクと キモチという膨大なエネルギーを 支配する環いろは」
  1649. キュゥべえ: 「その両者を環ういとしての性質を持つ userNameがハブとしてつなぐことで ボクは自動浄化システムをコントロールしつつ キモチも支配することが可能になるんだ」
  1650. キュゥべえ: 「つまり、これでボクは 自動浄化システムという概念だけでなく イブという強大な魔女そのものを 手に入れたことになった」
  1651. キュゥべえ: 「キミたちのおかげで 自動浄化システムを完全にコントロール できるようになるまでの時間は 飛躍的に短縮できたよ」
  1652. 結菜: 環さん!
  1653. キュゥべえ: 呼びかけても無駄だよ 紅晴結菜
  1654. キュゥべえ: 環いろはもuserNameも すでに意識はないはずだ
  1655. ラビ: なら、ここで救えばいい
  1656. キュゥべえ: キミも環いろはに 協力するなんて驚いたよ
  1657. キュゥべえ: 最後までこの戦いを 眺めていると思ったんだけどね
  1658. ラビ: 私はもはや傍観者ではない
  1659. ラビ: 見せられた希望を 守るだけの意思はある
  1660. 結菜: ええ、しょせん この場にいるのは1匹
  1661. 結菜: すぐに片づけましょぅ
  1662. ひめな: 私チャンたちが付いてきたのは 運の尽きって感じだよね★
  1663. 静香: ええ、久兵衛様とは言っても、 未来に暗雲をもたらすのであれば
  1664. 静香: ここは退いてもらいます
  1665. キュゥべえ: いまのボクは自動浄化システムを 部分的にコントロールできる
  1666. キュゥべえ: 完全にコントロール下に置くまで ボクも抵抗させてもらうよ
  1667.  
  1668. FILENAME: text_103202-20_7xz7k.txt
  1669. チュメチュチュビャン!
  1670. 静香: っ、ムダに数が多いわ!
  1671. 結菜: 1体が強くなかったとしても、 塵も積もれば山となる…
  1672. うい: でも、大丈夫だよ
  1673. ラビ: 何か感じる?
  1674. うい: うん
  1675. うい: わたしたちも諦めてないけど キモチも諦めてない
  1676.  
  1677. FILENAME: text_103202-21_7xz7k.txt
  1678. いろは: …………
  1679. いろは: …………
  1680. いろは: 全部聞いてたよ キュゥべえ
  1681. いろは: 私とuserNameを捕らえて 利用する気だったみたいだけど
  1682. いろは: 私たちを信じてくれたキモチまで 操るのは無理だった
  1683. キュゥべえ: そのようだね
  1684. キュゥべえ: キモチは環いろはから離れないと 抵抗できないと思ってたから
  1685. キュゥべえ: 内側から破壊するだけの力を 放つのは想定外だったよ
  1686. いろは: 想定の範囲外はまだまだ続くよ
  1687. 結菜: 使い魔は私たちが相手するから 環さんは今のうちに!
  1688. 静香: ええ、今のうちよ!
  1689. キュゥべえ: もしコアになろうとしてるなら やめた方がいい
  1690. キュゥべえ: ただでさえキモチの膨大な力の 影響を受けているんだ
  1691. キュゥべえ: その上、自動浄化システムと 繋がろうとするなんて
  1692. キュゥべえ: ハブを使ったとしても キミの自我は消えるかもしれない
  1693. キュゥべえ: それでもキミはコアになるのかい 環いろは
  1694. キュゥべえ: ギュッ!
  1695. ひめな: そうやって惑わすこと言わない ほら、いろりんやっちゃいな
  1696. ラビ: ええ
  1697. ラビ: 言葉というまやかしに騙されず 自分が信じる未来へ
  1698. いろは: うん、何と言われても 私はやるよ
  1699. いろは: userName!!
  1700. userName: モッキュ!
  1701. いろは: 自動浄化システムを取り返そう そして世界に広げよう
  1702. いろは: 私たちみんなで 世界の魔法少女を救う!
  1703. みこと: ほら、アリナちゃん 次の歴史を覗きに行こう
  1704. みこと: 私たちは誰だって救われない
  1705. みこと: 人は悲しみで終わるように できているの
  1706. みこと: 希望が絶望で終焉を迎えるのは、 人にとっては摂理なんだよ
  1707.  
  1708. FILENAME: text_103203-1_7xz7k.txt [Episode 3]
  1709. 御園 かりん: …………
  1710. カツン…
  1711. 御園 かりん: …っ、誰なの!?
  1712. …………
  1713. 御園 かりん: こ、こんなので怖がってるような 場合じゃないの
  1714. アリナ: アリナ・グレイ改心計画に 付き合う約束はナッシング
  1715. 御園 かりん: どういう意味?
  1716. アリナ: アリナは瀬奈みことの 進化計画に付き合ってみるワケ
  1717. アリナ: アッハハハハ!!
  1718. 御園 かりん: そんな!
  1719. 御園 かりん: え、え… アリナ先輩…
  1720. 御園 かりん: アリナ先輩!!
  1721. 御園 かりん: 絶対に改心させるために 頑張らなくちゃいけないの
  1722. 御園 かりん: それが我…
  1723. 御園 かりん: 希望への道を切り開く魔法少女 マジカルかりんだから!
  1724. 御園 かりん: ワッハッハッハー
  1725. 御園 かりん: 「ハッハッハー」
  1726. 御園 かりん: 「ハッハッハー」
  1727. 御園 かりん: …………
  1728. 御園 かりん: (なんか変なの…)
  1729. 御園 かりん: (前まではコピーが出てきたのに 今回は一度も出会ってないの…)
  1730. 御園 かりん: き、きっとわたしの改心計画を みんな応援してくれてるの
  1731. 御園 かりん: …隠し部屋まできちゃったの
  1732. 御園 かりん: (本当に誰も出てこない…)
  1733. 御園 かりん: (ここも、時間や空間に繋がる 鏡がたくさんあるから)
  1734. 御園 かりん: (どんな魔女が出てくるか わからないって話だったけど…)
  1735. 御園 かりん: (ただ、鏡がたくさん 浮いてるだけなの…)
  1736. ぐぅうううぅう、きゅるるん
  1737. 御園 かりん: お腹空いたの…
  1738. かえで?: かりんちゃん
  1739. 御園 かりん: うわぁっ、でで、でたの!
  1740. かえで?: 私はコピーか本物か どっちだと思う?
  1741. 御園 かりん: コ、コピーなの…
  1742. 御園 かりん: いま、かえでちゃんは、 ネオマギウスと戦って大変なの…
  1743. かえで?: そう、大正解! 私はコピーのかえでだよ
  1744. 御園 かりん: わたしを倒しに来たの?
  1745. かえで?: ううん、話したいことがあったの
  1746. 御園 かりん: なんなの?
  1747. かえで?: まず、ネオマギウスとの戦いは もう終わったあとで
  1748. かえで?: みんながかりんちゃんのことを 捜してるっていうこと
  1749. かえで?: もうひとつは、ここまで誰も あなたを邪魔しなかったのは
  1750. かえで?: この果てなしのミラーズの主が あなたを待っていたから
  1751. かえで?: これからあなたは みんなのところに帰ってもいいし
  1752. かえで?: 主とアリナ・グレイに会って、 旅を続けるのも構わない
  1753. かえで?: あなたの意思次第になるけど、 どうする?
  1754. 御園 かりん: えっと…こわいけど…
  1755. 御園 かりん: こわいけど、会うことにするの!
  1756. 御園 かりん: ここで帰っちゃったら、二度と アリナ先輩に会えない気がするの
  1757. かえで?: じゃあ、主に伝えてくるね
  1758. 御園 かりん: …消えちゃったの
  1759. 御園 かりん: ――っ!?
  1760. 御園 かりん: な、なんなの!?
  1761. 御園 かりん: ここは… なんか気持ち悪いの…
  1762. 御園 かりん: あ…
  1763. 御園 かりん: 「アリナ先輩…」
  1764.  
  1765. FILENAME: text_103203-2_7xz7k.txt
  1766. 御園 かりん: アリナ先輩…! ようやく見つけたの…!
  1767. アリナ: ぐっ…
  1768. アリナ: いきなりハグしてくるとか 苦しいんですケド…!
  1769. 御園 かりん: どこを旅してきたの!?
  1770. 御園 かりん: さっき、かえでちゃんの コピーが出てきて言われたの
  1771. 御園 かりん: このまま先輩と一緒に 旅を続けても構わないって…!
  1772. アリナ: ふーん…?
  1773. 御園 かりん: もしも、先輩の中にいる人が 言ってることなら、旅はやめるの
  1774. 御園 かりん: 絶対に先輩は改心できるから
  1775. 御園 かりん: 進化計画なんかに乗って 滅びの実現を進めちゃだめなの!
  1776. アリナ: だけど、もう色んなヒストリーを トラベルしたあとなんだヨネ
  1777. アリナ: しかもそれで理解したワケ
  1778. アリナ: アリナのセンシビリティーは 正しいって
  1779. 御園 かりん: せんしびりてぃー?
  1780. アリナ: “人は滅びたがってる”っていう 感覚のこと
  1781. 御園 かりん: ――っ!?
  1782. アリナ: ホント、この鏡の魔女の結界は アメイジング
  1783. アリナ: 色んなヒストリーのイベントを 見ることができたんだケド
  1784. アリナ: どの時代も人は自滅して 悲しむようにできてたんだヨネ
  1785. アリナ: 何年経ってもグループスーサイド 一直線で、ホント笑えるワケ
  1786. 御園 かりん: その感想は瀬奈みことの 進化計画のせいなの!
  1787. 御園 かりん: アリナ先輩は改心して…!
  1788. アリナ: シャラップ
  1789. アリナ: いまはマギウスの時とは違うから ビューティフルな滅びの実現は
  1790. アリナ: 最初からインポッシブルだと 思ってるワケ
  1791. 御園 かりん: 無理だと思ってるの!?
  1792. 御園 かりん: じゃあ、諦めて わたしと一緒に帰るの!?
  1793. みこと: そうさせないために、 私があなたを呼ぶことにしたの
  1794. 御園 かりん: あなた、瀬奈みこと…
  1795. 御園 かりん: おかしいの… どうしてわたしにも見えるの…?
  1796. みこと: ここは魔女にほど近い 結界の中でも深い場所だから
  1797. みこと: アリナちゃんの中にいる私が 薄らと見えているのかもね
  1798. 御園 かりん: 先輩を帰して欲しいの…
  1799. みこと: やだぁ
  1800. みこと: その言い方だと 私が無理矢理さらったみたい
  1801. みこと: 私の進化計画に付き合ったのは アリナちゃんの意思なんだからね
  1802. 御園 かりん: どうやったら帰してくれるの…?
  1803. みこと: 簡単だよ
  1804. みこと: 私とアリナちゃんと一緒に もう一度、歴史の旅をしましょっ
  1805. みこと: そして最後まで見終わったあとで あなたの感想を聞かせて欲しいの
  1806. みこと: アリナちゃんが、あなたのことを 気にしてるみたいだから
  1807. 御園 かりん: どうしてなの…?
  1808. みこと: それだけアリナちゃんにとって あなたは面白いっていうこと
  1809. みこと: もしも、あなたの感想を聞いて アリナちゃんが心変わりすれば
  1810. みこと: その時はアリナちゃんを 返してあげるね
  1811. みこと: んふふっ
  1812. みこと: 断れば、ここで終わりだけど どうする?
  1813. 御園 かりん: わ、わかったの…!
  1814. 御園 かりん: わたしがアリナ先輩を助けて、 世界を滅びから救ってみせるの!
  1815. みこと: すっごく良い意気込み!
  1816. みこと: じゃあ、さっそく準備はいい?
  1817. 御園 かりん: ど、どうなるの…?
  1818. みこと: 鏡が繋がっている歴史の光景が あなたにも見えるはず
  1819. アリナ: だから、フールガールの コメントを聞かせて欲しいワケ
  1820. アリナ: 人には滅び以外の終焉があるか
  1821.  
  1822. FILENAME: text_103203-3_7xz7k.txt
  1823. みこと: 「私たちには見える」
  1824. みこと: 「幾千、幾万の年を巡っても変わらない 人間を巡る滅びの連鎖が…」
  1825. みこと: 「どれだけ喜びを得てもたどり着くのは悲しみ 希望を叶えても訪れるのは絶望」
  1826. みこと: 「それはね、人間の歴史を見ていればわかるよ だって人間自身が望んでることなんだから」
  1827. みこと: 「最初に鏡が映すのは 悪意をもって人間が滅ぼし合う様子」
  1828. みこと: 「利権や力に溺れて他者を軽んじるようになる あまりに醜い人間の姿」
  1829. アリナ: フールガールには何が見える?
  1830. 御園 かりん: みんなが暮らしてるの…
  1831. 御園 かりん: 美味しそうな料理を作ってて、 あ、羊さんがいるの…
  1832. 御園 かりん: 自然の中で楽しそうにしてるの 滅びそうになんてないの
  1833. アリナ: だけどそれはフェイク
  1834. アリナ: みんな人間だから、 許されないワケ
  1835. 御園 かりん: へ…?
  1836. 御園 かりん: な、なんかいっぱい お馬さんが来たの…!
  1837. 御園 かりん: 槍を持った人たちもいっぱい…!
  1838. 御園 かりん: な、何をしに来たの…?
  1839. アリナ: そんなの決まってるんですケド
  1840. アリナ: ジェノサイドだヨネ
  1841. 御園 かりん: ひぁあああッ!!
  1842. 御園 かりん: ややっ、やめるの! どうして、そんなことするの!
  1843. アリナ: バッドな人たちじゃないケド 邪魔だったんだヨネ
  1844. アリナ: ビリーブするものが違ってるカラ 面倒になる前に殺すワケ
  1845. アリナ: 要はリスクヘッジのために、 人を殺してるんだヨネ
  1846. 御園 かりん: どうして…意味がわからないの…
  1847. アリナ: 確かなのは、人は害意をもって 人を滅ぼそうとするワケ
  1848. みこと: 「んー、次に鏡に映すのは何にしようかな?」
  1849. みこと: 「さっきは悪意の話をしたから~んふふっ」
  1850. みこと: 「善意をもって人間が滅ぼし合う様子かな」
  1851. 御園 かりん: また、怖いのはイヤなの…
  1852. アリナ: アナタがギブアップするなら 滅びの未来は変わらないんだケド
  1853. 御園 かりん: だめなの、ちゃんと自分で見て アリナ先輩を変えてみせるの…!
  1854. 御園 かりん: …今度も平和なの わたしぐらいの年の子がいるの
  1855. 御園 かりん: みんなお屋敷で、 大切に面倒を見てもらってるの
  1856. 御園 かりん: それに、よくわからないけど 儀式の練習もしてるの
  1857. アリナ: シュア
  1858. アリナ: このチルドレンは、国の人たちと ゴッドのために生きてるワケ
  1859. アリナ: マザーやファザーにとっては すごく名誉なことだヨネ
  1860. 御園 かりん: はぁ…
  1861. 御園 かりん: 今回は誰も攻めてこないし、 誰も殺されたりしないの
  1862. アリナ: ノー
  1863. アリナ: みんなに訪れるのは 滅びなんだからデスだヨネ
  1864. 御園 かりん: ――っ!?
  1865. 御園 かりん: あ、おかしいの…
  1866. 御園 かりん: 何人か選ばれたと思ったら、 なにか食べさせられて
  1867. 御園 かりん: お酒なんて飲んじゃだめなの! ほら、フワフワしちゃうの!
  1868. 御園 かりん: ――っ!?
  1869. 御園 かりん: そんな状態で山に登ったら 倒れちゃうに決まってるの…
  1870. 御園 かりん: 寒いし戻った方がいいの…
  1871. アリナ: だけど、彼女たちはみんな、 この時のために育てられたワケ
  1872. 御園 かりん: それって山登り…?
  1873. アリナ: サクリファイスになるためだヨネ
  1874. 御園 かりん: どういう意味なの…?
  1875. アリナ: みんなはゴッドのために生きてる …いわゆる、生贄ってワケ
  1876. 御園 かりん: あ…
  1877. 御園 かりん: う、やめ、首絞めたら ほんとに、死んじゃうの…!
  1878.  
  1879. FILENAME: text_103203-4_7xz7k.txt
  1880. みこと: 「幾千、幾万の年を巡っても変わらない 人間を巡る滅びの連鎖」
  1881. みこと: 「人間は悪意と善意をもって 自分たちを傷つけて滅びようとする」
  1882. みこと: 「これまでいくつも無意識に死にゆく 人間の姿を見せてきたけれど 次はどんな滅びへの一例を見たいかな?」
  1883. みこと: 「そうだ、どれだけ救おうとしても 人間は救いようがないっていうことを 見せてあげるのがいいのかも」
  1884. みこと: 「だから、これから鏡が映すのは 救いの道を得ても人々は滅ぼし合う様子」
  1885. 御園 かりん: アリナ先輩わかったの わたし、もう見たくないの…
  1886. アリナ: ノープロブレム
  1887. アリナ: これから見るものは怖くないから 安心して見られるはずだヨネ
  1888. 御園 かりん: いまも平和な様子が見えてるけど さっきもそれにダマされたの…
  1889. 御園 かりん: ほら…神様を信じただけで、 女の人が殺されそうになってるの
  1890. 御園 かりん: お母さんに殺されかけてるの… 婚約者まで一緒になってるの…
  1891. 御園 かりん: あ、あれっ…? でも平気そうなの…
  1892. アリナ: そ、彼女は平気なワケ
  1893. アリナ: 火あぶりにされようとしても うまくエスケープしてるし
  1894. アリナ: ビーストたちのエサにされようと しても生き残ってるんだヨネ
  1895. 御園 かりん: むしろ、動物さんたちが この人を守ろうとしてるの
  1896. 御園 かりん: 奇跡でいっぱいなの!
  1897. アリナ: そ、だからみんなリスペクトして 彼女のいる場所に来たワケ
  1898. 御園 かりん: 殺されようとした分、 愛する教えを説いてるの
  1899. 御園 かりん: この人の話を聞けば みんな優しくなれるはずなの!
  1900. アリナ: だけど教えなんて意味がないワケ 結局いつか人間は争うカラ
  1901. 御園 かりん: 変なの…みんな戦うのは 怖いはずなのに…どうして…?
  1902. 御園 かりん: 誰かを愛する大切さは、 次の世代にも伝わってるのに…
  1903. アリナ: “自己”と“他者”っていう コンセプトがある限り
  1904. アリナ: 人間は排する意思を消せない ウォーは続くんだヨネ
  1905. みこと: 「そしてね…人間は人間の根源すら否定するの」
  1906. みこと: ほら、見て 勇敢な女性が戦ってるでしょ
  1907. 御園 かりん: うん…
  1908. みこと: 彼女はとても聡明で力強くて 他の息子たちより素晴らしかった
  1909. みこと: だから王様になったのに 女の人だからって舐められた
  1910. 御園 かりん: それは、いまでもあると思うの
  1911. 御園 かりん: 昔はもっとひどかったって 聞いたことがあるの…
  1912. みこと: そう、人は最初からね 性別を否定するようにできてるの
  1913. アリナ: 人間…ううん生物をひっくるめて 性別はネセサリーなワケ
  1914. みこと: なのに、この人は男の格好をして 男のように振る舞った
  1915. アリナ: その上、男と女という性が 引き金になって
  1916. アリナ: 争いと共にキルされたってワケ
  1917. みこと: 「人は無意識に争いを求めていて それが滅びに繋がっているのかもしれない」
  1918. みこと: 「だけど、争いを求めてるかなんて どうでもいいの」
  1919. みこと: 「だって人間は生まれた時から 性別っていう命の根源に差をつけて否定する」
  1920. みこと: 「自分たちが生まれくるシステムそのものを 理由に滅びようとしているんだから」
  1921. みこと: 「見せて欲しければもっと見せてあげる 例をあげればうんざりするぐらい 枚挙にいとまがないから」
  1922.  
  1923. FILENAME: text_103203-5_7xz7k.txt
  1924. みこと: どうだった?
  1925. みこと: 歴史を実際に覗いてみると、 考えが変わったんじゃない?
  1926. みこと: 私やアリナちゃんと 通じ合える気がしなかった?
  1927. みこと: んふふっ
  1928. 御園 かりん: それは…
  1929. アリナ: アリナをアナタと 一緒にしないで欲しいんですケド
  1930. アリナ: アナタはただのグラッジ いわゆる私怨で滅ぼしたいだけ
  1931. アリナ: でもアリナは違う
  1932. アリナ: 人が無意識に欲してるものを アートとしてプレゼントするワケ
  1933. アリナ: 滅びっていう方角が同じなだけで マインドも一緒にしないでヨネ
  1934. みこと: あらもう、つれないなぁ
  1935. みこと: だけど、昔の光景を見たおかげで かりんちゃんもわかったよね?
  1936. みこと: 人はどうせ滅びるって
  1937. 御園 かりん: わたしは…
  1938. アリナ: アリナは瀬奈みことの 誘導がナッシングな状態で
  1939. アリナ: フールガールの言葉を ヒアリングしたいんですケド
  1940. アリナ: アリナ的に滅びの理由を これ以上見せられても
  1941. アリナ: 前みたいなパワーが 湧いてこないんだヨネ
  1942. アリナ: かと言って別に他の魔法少女を ヘルプする気もないワケ
  1943. 御園 かりん: わたしは歴史の光景を いくつも見せられて
  1944. 御園 かりん: アリナ先輩が言ってたことは 本当なのかもって思ったの…
  1945. 御園 かりん: けど、まだ信じられないの…
  1946. 御園 かりん: どんな希望も絶望に向かう…
  1947. 御園 かりん: 人間自体がそうで… どれだけ喜びがあっても滅びる…
  1948. 御園 かりん: ううん、自滅しようとしてる…
  1949. 御園 かりん: その実感がぜんぜんなくて…
  1950. みこと: それなら、実感できそうな歴史を かりんちゃんに見せてあげる
  1951. 御園 かりん: そんなの…あるの…?
  1952. みこと: もちろんっ
  1953. みこと: 「私たちは喜びを得ても悲しみで終わる いくら希望を得ても絶望で終わる 生き物が産まれて死ぬのと同じように 私たちは滅びに向かうサイクルに囚われている」
  1954. みこと: 「それに抗うように人間は 歴史の中で滅びに向かう道を潰していくけど それを補うかのように 新しく滅びる道を作ってしまうの」
  1955. みこと: 「神浜市でも同じこと」
  1956. みこと: 「これは東で死んだ私も巻き込まれた 神浜市の人たちを何百年にもわたって 悲しみに突き落としてきた過去のお話」
  1957. みこと: 「私たちも自然と滅びへと導かれるように 悲しみの連鎖に巻き込まれているんだよ」
  1958.  
  1959. FILENAME: text_103203-6_7xz7k.txt
  1960. みこと: 「鏡に映し出されるのは まだ戦乱の最中で混迷を極めていた 何百年も昔の出来事」
  1961. みこと: 「この頃は神浜の地でも争いが続いていて 土豪である水名氏による謀反も その代表的な出来事のひとつだったの」
  1962. みこと: 「当時の領主に仕えていた彼は 不作と圧政にあえぐ民衆たちと共に挙兵すると 古くから排斥してきた東の賊と手を組み 自ら領主へと返り咲いた」
  1963. みこと: 「それは東と西にとって 信じられないような奇跡だったんだけどね」
  1964. みこと: 「実は、奇跡を生んだ立て役者は 西の水名露と東の千鶴という ふたりの戦神子と呼ばれる魔法少女だったの」
  1965. みこと: 「だけどそれはね…」
  1966. 千鶴: へぇ、 コイツはずいぶんな賑わいだな
  1967. 千鶴: あんな荒れ果てた城下も 治めるヤツで変わるもんだねぇ
  1968. 露: ふふっ、私の父上が治めてる以上 当然のことだと思うわ
  1969. 千鶴: おいおい
  1970. 千鶴: すべてがオッサンの おかげじゃあないだろ?
  1971. 露: もちろんわかってるわ
  1972. 露: 父上も家臣も領民のみんなも 渾然一体となって頑張った
  1973. 露: そんな水名の様子をご覧になって 神様も歓迎してくれてるのよ
  1974. 露: じゃないと、 こんな豊作は考えられないわ
  1975. 千鶴: ちゃんと米問屋に米があるなんて 初めて見たぐらいだからな
  1976. 千鶴: 今まであったのはせいぜい 木の根っ子か雑草ぐらいだろ
  1977. 露: もう、失礼ね
  1978. 千鶴: ハッ、事実だろ?
  1979. 千鶴: …って噂をしていたら、 問屋のジジイが手招きしてる
  1980. 千鶴: ちょっくら行ってくる
  1981. 露: あ、ちょっと千鶴!
  1982. 露: 浮かれっちゃって、もう
  1983. 露: …………
  1984. 露: (ううん、私も千鶴と同じだ…)
  1985. 「なんだぁ、えらいべっぴんなお嬢さんが 町んなか歩いてんなぁ」
  1986. 「よそから来たアンタは知らないだろうね 彼女は水名の地を治める殿様の娘さんだよ」
  1987. 「はぇっ!?そりゃまた無防備な… こんな仏もいねえような世の中だ… その辺にいる悪党にさらわれちまうぞ」
  1988. 「あっはは、そりゃあ返り討ちに遭うだろうね」
  1989. 「女だけど剣の使い手ってことかい?」
  1990. 「戦神子って聞いたことあるだろ?」
  1991. 「ふたりの戦神子、西の水名露と東の千鶴って 言えば、この国で知らない者はいないね なんたって殿様たちと一緒に平和を築いた 立て役者なんだからさあ」
  1992. 千鶴: はい、露も食べなよ
  1993. 露: ――っ!?
  1994. 千鶴: ほら、ニヤついてないで、 さっさと受け取れよ
  1995. 露: あぶり餅…?
  1996. 千鶴: ジジイがくれた
  1997. 露: …ねえ、千鶴 私たちがつかんだのはこれかも
  1998. 千鶴: いや、別にあぶり餅のために 戦ったつもりはねぇぞ
  1999. 露: ううん、人が持つ心の余裕 それを私たちは手に入れたのよ
  2000. 千鶴: ん、まぁ言われてみれば そうかもしれねぇな
  2001. 露: だからもうひと踏ん張りして 頑張りましょう
  2002. 千鶴: アタシらの存在を広めて、 水名を守るんだろ?
  2003. 露: ええ
  2004. 露: ふたりの戦神子が守る地を 攻めようとするヤツはいないわ
  2005. 露: あとは、千鶴のお父さんが 受け入れてくれたらいいけど…
  2006. 千鶴: そっちの家臣になるって話か?
  2007. 千鶴: 知行地として土地が守られるなら 親父だって文句はねぇだろうよ
  2008.  
  2009. FILENAME: text_103203-7_7xz7k.txt
  2010. 千鶴の父: グゥゥ…ァアアッ!!
  2011. 頭、落ち着いてください!
  2012. 千鶴の父: おお!?
  2013. 千鶴の父: 貴様はむしろこの内容で よく冷静でいられたもんだな
  2014. 千鶴の父: 一族を愚弄されたのと変わらん!
  2015. 千鶴: おい、外でみんな怯えてんぞ なにそんな怒ってんだよ
  2016. 千鶴の父: こいつが原因だ
  2017. 千鶴: 書状って… ああ、露んとこの親父からだろ?
  2018. 千鶴: ちゃんと土地はくれるんだろ? 今日、露が言ってた
  2019. 千鶴の父: その条件が問題だ
  2020. 千鶴: どういうことだよ
  2021. 千鶴: アタシ、字なんて読めねえから 教えてくれよ
  2022. 千鶴の父: …………
  2023. では、私から…
  2024. まずは戦での武功を讃えて 家臣として迎え入れたいとの由
  2025. 千鶴: うん…露からも聞いた…
  2026. また治めている地の領主として、 知行を認めるが…
  2027. 千鶴: うん…
  2028. ただし向こう3年は俸禄をとり、 城下から城に仕えることとする
  2029. また、同様に配下も迎え入れるが 詳細は追って沙汰すると…
  2030. 千鶴: な…
  2031. 千鶴の父: 要は3年、俺たちは全員 別々になって生きろってこった
  2032. 千鶴の父: 水名の野郎…腹の底では俺たちを 一切信用してねえ
  2033. 千鶴: いや、きっと何か考えが…
  2034. 千鶴の父: ああ、透けて見える
  2035. 千鶴の父: ヤツは築き上げてきた 俺たちの信頼関係を切り崩して
  2036. 千鶴の父: 骨抜きにしようとしてやがる
  2037. 千鶴: なんのために…
  2038. 千鶴の父: 謀反を防ぐためだろうよ 肝っ玉の小せえヤツだ
  2039. 千鶴の父: あぶく銭で仲間と土地を失って 老いさらばえるぐらいなら
  2040. 千鶴の父: 今まで通り関所で儲けた方が よっぽどマシだ
  2041. 千鶴: 親父、変な気は起こすなよ…
  2042. 千鶴: こうやって手を取り合うのに、 どれだけ時間がかかったか…
  2043. 千鶴の父: 台無しにしたのは水名の野郎だ
  2044. 千鶴: 親父!
  2045. 露: その内容はまことですか!? 信じられない…
  2046. 露: 父上は水名の地を取られて、 その眼を曇らせておいでです
  2047. 露の父: 滅多なことを言うな、露
  2048. 露の父: 元々、野卑な東の連中に 信を置いたことは一切ない
  2049. 露: では、元から千鶴たちを 利用なさるおつもりで…
  2050. 露の父: 目の前に銭をぶら下げれば 飛びついて取ろうとする連中だ
  2051. 露の父: これ以上、簡単に戦力とできる 者たちもおらぬだろう
  2052. 露: 私たちと彼らは同じです!
  2053. 露: 水名が水名の地を取り戻すため、 生きる民のために戦った
  2054. 露: 彼らも父祖の地を守り抜いて 胸を張って生きたかったのです
  2055. 露の父: だから今回は知行地として 彼らに故郷を与えると約束した
  2056. 露: ですが、それまでの間に 東の方々は散り散りに…
  2057. 露の父: この地に平和を与えるためには、 ふたりが力を持ってはならん
  2058. 露の父: わかってくれ露…
  2059. ただいま、報告がありました
  2060. 露の父: どうだ…
  2061. 使者は返事を持たずに帰城 書状は切られたとのことです
  2062. 露: ――っ!?
  2063. 露の父: これが答えだ
  2064.  
  2065. FILENAME: text_103203-8_7xz7k.txt
  2066. 千鶴: アタシが露を通して、 向こうの親父を説得してくる
  2067. 千鶴の父: いいから手出しすんな!
  2068. 千鶴の父: 水名の書状を切ってる 向こうも黙っちゃいねぇはずだ
  2069. 千鶴: それでもだ!
  2070. 千鶴: アタシだってずっと水名の連中と 仲が悪かったのは知ってるさ
  2071. 千鶴: でも、だからこそ…!
  2072. 千鶴: 西と東が手を結べた今ってのは 歓迎することだろ…!
  2073. 千鶴: 仲が良かったヤツらを 埋めなくていいし
  2074. 千鶴: ジジイ、ババアになるまでの夢を 語ってもいいんだ!
  2075. 千鶴の父: オメエはガキすぎるんだ千鶴
  2076. 千鶴の父: 世の中には命より価値あるものが ごまんとあるんだよ
  2077. 千鶴の父: 命のために命を狩るのは常識だ
  2078. 千鶴の父: 動物に対しても人に対しても 俺達が常にしてきたことだろ
  2079. 千鶴: 人と動物を一緒にすんな…
  2080. 千鶴: アタシは今ある奇跡を露と守る 親父はまだしゃしゃり出んな
  2081. 千鶴: こっちで切った書状の話って…
  2082. 露: もう終わった話よ 使者が斬られなくて良かったわ
  2083. 千鶴: 本当にごめん…
  2084. 露: …東の事情については、 私から家臣の耳に入れてあるけど
  2085. 露: 戦神子だとはいえ、 理解してもらうのは難しかったわ
  2086. 露: ただ、不作と戦争の影響で、 私たちの国は疲弊してるからね
  2087. 露: 国力の回復に努めたい家臣が 多数だったのが救いだったわ
  2088. 露: とは言え、この件で買った恨みは 簡単には返せないと思う
  2089. 露: それに父上と繋がりの深い者ほど 千鶴たちを狙っているから
  2090. 露: 油断はできない状況よ…
  2091. 千鶴: それでも構わねえよ 戦にならなかったのが救いだ…
  2092. 露: そっちの父上は、 今も怒りが冷めやらない…?
  2093. 千鶴: 少しでも変な動きがあれば、 血の雨を降らすって…
  2094. 露: やっぱり言葉の圧力が うちの父上より強いわね…
  2095. 千鶴: でも、処遇を改めるって 話を伝えてからは落ち着いてるよ
  2096. 千鶴: 一応、親父の堪忍袋も 次の書状まではもつみたい
  2097. 露: それなら耐えて欲しいわね
  2098. 露: 女が出しゃばるなって 父上には怒られっぱなしだけど
  2099. 露: 年寄や勘定頭とも話をしながら 説得を続けてるから
  2100. 千鶴: ありがとう
  2101. 露: …………
  2102. 露: 流れ着いていた貝殻から 初めて声を聞いたのがここ…
  2103. 千鶴: 露とはここで初めて出会って、 一緒に声を聞いて
  2104. 千鶴: 他人事じゃねえ気がするっつって 東西をひとつにしたんだよな
  2105. 「私とあなたとは生まれも立場も違っていて 決してこの地で認められる間柄ではなかった」
  2106. 「でも、それで自分が悲しんだからと言って 一族を恨んだりはしません 私はみんなが自由に幸せな暮らしができるように この村を変えてみせます」
  2107. 「だから生きていたら私のことを思い出して 私は今もここで待っているから…」
  2108. 露: そう、不思議な巡り合わせで、 絶望の中から希望が芽生えたのよ
  2109. 露: だから、父上たちの意思で 潰させはしない
  2110. 千鶴: だなっ
  2111. 露の声: 「キャアッ!!」
  2112. 露: …………
  2113. 露の父: 出合え! 賊が侵入している!
  2114. …………
  2115. 露の父: …ひとりやられたか まさか夜に忍び込むとはな…
  2116. 露: …これは
  2117. 露の父: あえて胸に刃を突き立てて 証拠を残したのだろう
  2118. 露の父: …………
  2119. 露の父: この紋様 東のもので間違いなさそうだ…
  2120. 露: …………
  2121.  
  2122. FILENAME: text_103203-9_7xz7k.txt
  2123. 露: では、父上…
  2124. 露: 東との交渉に自ら出向く話は、 受けてくださるのですね…
  2125. 露の父: 地盤を盤石にするためにも、 彼らには出ていってもらうが
  2126. 露の父: 代わりに、その地で得た益を 彼らに分配する旨を伝える
  2127. 露: それでは、千鶴たちの一族は…
  2128. 露の父: 彼らの一族を 平和裡に弱体化させるのは
  2129. 露の父: 腹の中で 毒蛇を飼い続けるも同然だからだ
  2130. 露: それは…承知しております…
  2131. 露の父: ゆえに多少の威厳を失ってでも、 この事態を抑えようとしている
  2132. 千鶴: 意味がわかんねぇ! なんで断るんだよ親父!
  2133. 千鶴: 3年後には戻って来られるし 実入りは悪くならねぇ!
  2134. 千鶴: 四散した一族を連れ戻しても、 将来養える金があるじゃねぇか!
  2135. 千鶴の父: アイツの手に己の運命を 握られてるのが気にいらねえ…!
  2136. 千鶴の父: 俺たちにも父祖の地を治めてきた 男としての意地ってもんがある
  2137. 千鶴の父: この双肩にはなぁ、歴代の怨霊が 乗っかってんだガキッ!!
  2138. 千鶴: …っ!
  2139. 千鶴: なんでみんな戦装束で…!
  2140. 千鶴の父: 「俺たちを滅ぼそうとする水名を滅ぼせ! ひとつになるなんて淡い夢は もはや潰えたも同然!」
  2141. 千鶴の父: 「行くぞぉ!」
  2142. 千鶴: まさか親父、最初から…!
  2143. 千鶴の父: 今度は俺たちが下剋上する番だ
  2144. 千鶴の父: 勝利した暁には、 良い着物でも買ってやる
  2145. 千鶴: せっかくみんなで力を合わせて 勝利を掴んだのに…
  2146. 千鶴: 東と西がひとつになれたのに…
  2147. 千鶴の父: それを潰そうとしたのは、 水名の奴だ
  2148. 千鶴の父: 千鶴、お前も戦神子として 俺達の戦列に加われ
  2149. 千鶴: もう、だめなのかな…
  2150. 千鶴の父: そう、分別をつける時だ
  2151. 千鶴: そっか…わかった…
  2152. 露の父: 東との交渉は決裂…
  2153. 露の父: 最初から決めていたかのように ヤツらは兵をこちらに向けてきた
  2154. 露: …………
  2155. 露の父: 暗殺の件も含めて、 この戦を求めたのは東の人間だ
  2156. 露の父: 露、戦神子として出陣せよ
  2157. 露: …お断りいたします
  2158. 露の父: なにゆえに父の言葉を聞かぬ
  2159. 露: 不作と圧政を加えて、 苦渋を味わってきた水名は
  2160. 露: 稀にみる豊作で豊かに見えようと その実は疲弊しきっております
  2161. 露: 今、私が戦神子として出陣し、 目立つ内乱を引き起こせば
  2162. 露: 水名の地は他国に奪われてしまい 父上の理想は夢幻となるでしょう
  2163. 露の父: ふたりの戦神子が手を取ることが この地を守り続けるとな
  2164. 露: 父上と千鶴の父上が どれだけ争いを繰り広げようと
  2165. 露: 私と千鶴は手を切らない
  2166. 露: それが今できる水名を守るための 最良の決断だと存じます
  2167. 千鶴: 水名城から軍勢が…!?
  2168. 千鶴の父: それだけじゃねぇな 他の領地からも集まってやがる
  2169. 千鶴の父: 水名の野郎、この時を見越して 近隣の仲間を呼んでやがったか
  2170.  
  2171. FILENAME: text_103203-10_7xz7k.txt
  2172. 露: ―露― どうしてあなたが戦列に加わってるの…!?
  2173. 千鶴: ―千鶴― フリでもいいから入っとかねぇと 面倒臭いからだよ
  2174. 露: ―露― 私も体裁を保つためにいるだけだから 良かったわ、本気じゃないみたいで…
  2175. 露: ―露― それにしても東はどういうつもりなの…?
  2176. 露: ―露― 書状を切っただけでなく 城に忍び込んで父まで闇討ちしようとするなんて
  2177. 千鶴: ―千鶴― アタシにだってわかんねぇよ…
  2178. 千鶴: ―千鶴― 親父が一族の絆を大事にしてるのはわかるけど 仲間を戦場に出してまで死なせちまう
  2179. 千鶴: ―千鶴― 正直アタシは矛盾してるって思ってるよ…
  2180. 千鶴: ―千鶴― それでも戦うことが命以上に大切なことだと 親父のヤツは思ってんだ
  2181. 露: ―露― 私の父上だって今後の水名の未来を憂いて 先に手を打とうとしてるだけ…
  2182. 露: ―露― だけど、それで誰かにとって命より大切なものを 奪うのは間違ってると思うわ
  2183. 千鶴: ―千鶴― せっかく希望を見出して救われたのに なんで親父たちの都合で引き裂かれるんだよ…
  2184. 千鶴: ―千鶴― 遣る瀬ねぇよ…
  2185. 露: ごめんなさい、千鶴
  2186. 露: 私、心のどこかであなたが 裏切ったのではと思ってたわ…
  2187. 千鶴: ひっでぇなぁ そんなわけないだろ
  2188. 露: そうよね…
  2189. 露: 悪いことが続いて、 疑心暗鬼になってたみたい
  2190. 露: 許して、千鶴
  2191. 千鶴: 別に怒ってねぇよ
  2192. 千鶴: それにアタシは徹頭徹尾 水名じゃなくて露の味方だ
  2193. 露: 千鶴
  2194. 千鶴: だからひとつ考えがあるんだ
  2195. 露: なに?
  2196. 千鶴: 今回はアタシらが衝突して、 兵を引かせるように仕向けよう
  2197. 千鶴: それでも親父たちが信念に従って 繰り返しぶつかるようであれば
  2198. 千鶴: 今度はアタシたちも 自分たちの信念に従おうぜ
  2199. 露: つまり…
  2200. 露: 父上を裏切るということ?
  2201. 千鶴: そう、東と西の戦神子ってのは、 一騎当千の強さを誇る
  2202. 千鶴: そんなアタシらが手を組めば、 親父たちも敵いっこないだろ
  2203. 露: 私たちで東と西を繋ぎ続ける 楔となるということね
  2204. 千鶴: どう?
  2205. 露: ええ、いいわね
  2206. 千鶴: それじゃあ、さっそく 今日の戦を終わらせるか
  2207. 露: 私たちの力をぶつけあって…!
  2208. 千鶴: 兵を吹き飛ばして 撤退させる!!
  2209. 露&千鶴: 「はぁああああぁああッ!!」
  2210. 千鶴の父: おい、千鶴 変なことは考えてねぇだろうな
  2211. 千鶴: 別に考えてねぇよ
  2212. 千鶴: 親父に言われた通りにしてるし もう吹っ切っちまったよ
  2213. 千鶴の父: …………
  2214. 千鶴の父: いるか…
  2215. ここに…
  2216. 千鶴の父: 手に入れた鉄砲を用意しろ ここで使うことにする
  2217. 千鶴の父: また邪魔をされたら かなわんからな
  2218. 露の父: なに…
  2219. 露の父: 東の方から和議の申し入れだと
  2220. 戦に続く戦でございますゆえ、 将兵も疲弊しています
  2221. 露の父: 条件は…?
  2222. 先だって示した 我々の提案を飲むとのこと
  2223. 露の父: …場所はこちらで決める
  2224.  
  2225. FILENAME: text_103203-11_7xz7k.txt
  2226. 露: 改めて和議の場を設けるだなんて どういうつもりかしら
  2227. 千鶴: あれから小競り合いが 何度かあったけど
  2228. 千鶴: さすがに両方とも疲れてきて 目が覚めてきたんじゃねぇか?
  2229. 露: このまま私たちが裏切ることに ならなければいいんだけどね
  2230. 千鶴の父: こんなところで話し合うような 内容じゃないと思うが…
  2231. 露の父: 城の内部が割れているのは、 先の暗殺で承知している
  2232. 露の父: 日々、様相を変える町の中こそ 今の水名にとっては砦になる
  2233. 千鶴の父: 城の改修にも金がかかるし、 言わんとしてることはわかる
  2234. 露の父: それで、今回の和議の場であるが 我々の提案を飲むということだな
  2235. 千鶴の父: あとで反乱を起こさねぇように 牙を抜こうって魂胆は見えてる
  2236. 千鶴の父: それでも娘の言う通り、 西と手を組めた状況は奇跡だ
  2237. 千鶴の父: 得られた未来への希望を捨てて 仲間を死なせるぐれぇなら
  2238. 千鶴の父: そっちと組むのも 悪くないと思った
  2239. 露の父: ふ、私も娘に言われたよ お互い娘には弱いようだ
  2240. 千鶴の父: 似た者同士仲良くできそうだ
  2241. 露の父: ならば、先に伝えた内容を記した 書状を用意してある
  2242. 露の父: 共に血判を押そうではないか
  2243. 露の父: 私は信を違わぬと誓い、 仁と義をもってそなたと接する
  2244. 千鶴の父: では俺は忠誠を誓おう
  2245. 「東より3隊の軍勢が迫っている模様! その数およそ1万!」
  2246. 露: やっぱり内乱に乗じて 攻めてくる奴らが現れた…
  2247. 千鶴: でも、外に向けて戦神子の力を 示すまたとない機会
  2248. 露: そうね
  2249. 露: 手を結んだ私たちに敵わないって この手で示してやりましょう
  2250. 露: 来た…!
  2251. 千鶴: ――っ!?
  2252. 千鶴: うそ、相手の軍勢の中に、 東のみんながいる…!?
  2253. 露: そんなまさか…! 他国と裏で手を結んでた…!?
  2254. はぁあああッ!!
  2255. 千鶴: ぐっ…!
  2256. 姫様…お父上が討たれました…
  2257. 露: えっ…
  2258. 東の連中は城下を抜けましたが、 現在も町は混乱…
  2259. ここで食い止めなければ、 水名は総崩れとなるでしょう…
  2260. 露: うそ、うそよ…!
  2261. 露の父: …………
  2262. 千鶴の父: 血判なんざテメエのだけで 十分だ
  2263. 千鶴の父: こちとら一人百殺の手練ればかり 自陣を活かせると思うなよ
  2264. 「千鶴、早くこっちの軍勢に加われ!」
  2265. 「頭が城内をひっかき回してる間に攻めれば 短時間で落とせる」
  2266. 「姫、城内に忍び込んだ賊を一掃するために 家臣と兵で一体となって奮戦しております」
  2267. 「いまは皆に姫の声が必要です 何卒、私と共に城へと戻られて 皆を奮い立たせる言葉を」
  2268. 皆の者、我々はまだ戦える!
  2269. 水名城主が娘にして戦神子の 水名露様が戻られた!
  2270. 西からの援軍がたどり着くまで なんとかこの場をしのぎ…
  2271. グッ…!?
  2272. 小賢しい家臣の首は我がとった! 者ども!なだれ込め!
  2273. 露: 最初から… こういう腹づもりで…
  2274. 千鶴: 露…
  2275. 露: 知らないうちに 他国と手まで結んで…!
  2276. 露: ―露― やっぱりダマしていたの…? ねぇ…千鶴…東は…あなたたちは…!
  2277. 千鶴: ―千鶴― アタシは関係ねぇよ! 全部、親父のせいだ…!
  2278. 千鶴: ―千鶴― こうなったらアタシは金輪際 親父とは縁を切る!
  2279. 千鶴: ―千鶴― だから、露!
  2280. 千鶴: ―千鶴― これからアタシらの味方はアタシらだけだ! みんなに力を見せつけてやろう!
  2281. 露: ―露― 前に言ってた話…
  2282. 千鶴: ―千鶴― そうだ!
  2283. 露: ―露― だけど、なるべく人は巻き込みたくない
  2284. 千鶴: ―千鶴― だから前と同じように、アタシらの攻撃を ぶつけあった衝撃を利用してやりゃいい
  2285. 千鶴: ―千鶴― 漁夫の利を得ようとした 知らねえ国の連中たちもビビるはずだ
  2286. 千鶴: ―千鶴― ただ、それでも引かねぇ場合は
  2287. 露: ―露― うん、わかってる
  2288. 千鶴: ―千鶴― んじゃあ、行くぞぉ!
  2289. 露: ―露― ええ!
  2290. ターーーーンッ!!
  2291. 露: うっ!?
  2292. 露: あ…
  2293. 千鶴: うそだろ…もう止まらねぇ!
  2294. 千鶴の父: そう、盟友が邪魔な時は 自分で排除するもんだ
  2295.  
  2296. FILENAME: text_103203-12_7xz7k.txt
  2297. 千鶴: 露…!露…!
  2298. 千鶴: ちがう、アタシのせいじゃない…
  2299. 千鶴: どっかにうちの鉄砲持ちが 隠れてやがったんだ…!
  2300. 露: もう…いい…
  2301. 千鶴: え…
  2302. 露: 水名の手伝いをして、 城を取り戻した時から…
  2303. 露: ずっと自分たちが利を得ようと 時を見計らってたんでしょう…
  2304. 千鶴: 違うよ…
  2305. 露: じゃあ、どうして他国の軍勢に あなたたちが加わってるのよ…
  2306. 千鶴: それは…
  2307. 露: どうして父上は殺されて、 私まで死にかけてるのよ…
  2308. 露: 私…あなたのことを… 本当の妹のように思ってたのに…
  2309. 千鶴: アタシにとっても露は 姉ちゃんだよ…
  2310. 千鶴: 姉ちゃんで、憧れで…
  2311. 千鶴: ただ殺すために 強くなるんじゃなくて
  2312. 千鶴: 信念を持って戦おうとする露に アタシは惹かれてたんだ
  2313. 露: …もう、全部言い訳に聞こえる
  2314. 千鶴: あ、露の宝石が濁って…
  2315. 千鶴: 待ってて、鬼を探してくる…!
  2316. 千鶴: 露…?
  2317. 露: もう、私はひとりで守る… ひとりで水名の地を守る…
  2318. 千鶴: なに言ってんの…無理だよ…
  2319. 露: この恨みと呪いで祟ってやる 東の連中をずっと…未来永劫…
  2320. 千鶴: やめろよ露… そんな怨霊みたいなこと…
  2321. 露: あなたは妹だから助けるけど、 他はみんな許さない…
  2322. 露: 手を取り合うぐらいなら、 東の人間を恨む象徴として
  2323. 露: 水名城に根を…はる…
  2324. 千鶴: おかしいよ…露! しっかりしろって…!
  2325. 露: ごめん、千鶴…無理… 私はもう、何も信じられない…
  2326. 千鶴: なんだよこれ… なんだよこれぇええええッ!!
  2327.  
  2328. FILENAME: text_103203-13_7xz7k.txt
  2329. 御園 かりん: …………
  2330. 御園 かりん: みんなが苦しんでた東西の話って これが始まりだったの…?
  2331. アリナ: もっと昔からあった出来事だから これだけがルーツじゃないワケ
  2332. アリナ: むしろ大事なのは、ハピネスが サッドネスになったことだヨネ
  2333. みこと: そう、アリナちゃん大正解っ
  2334. みこと: 喜びは悲しみになって 希望は絶望になっていく
  2335. みこと: それは世界中で共通してることで 最後には滅びへ向かっていく
  2336. みこと: 私たちが生きた神浜市だって 同じだったでしょ?
  2337. みこと: 有史以前から東西はいがみ合い お互いに滅ぼしあってきた
  2338. みこと: その絶望から露と千鶴は 希望の光を見出してきたけれど
  2339. みこと: こうして最後は絶望に堕ちて 悲しみで終わっていくの
  2340. 御園 かりん: その悲しみはずっと続いて… なぎたんたちも苦しめてた…
  2341. みこと: そう、何百年もね
  2342. みこと: 「そして、時代を積み重ねて時間を重ねる度に 人類は滅びるための進化を続けている」
  2343. みこと: 「平和な状況が続いていたとしても 少し危機感を覚えたり、未来を憂慮したり 自分たちの権利を欲しくなったり 数え切れない理由の中で悲しみと絶望を生むの」
  2344. みこと: 「石斧やナイフは火薬になって核になり ネットワークっていう新たな世界の創造によって 遠隔でも人を傷つけられるようになった」
  2345. みこと: 「みんな希望や喜びで終わることはない 常に終わるのは絶望や悲しみなのに それらを生み出す環境を人間は際限なく整える」
  2346. みこと: 「それってやっぱり 人間が無意識に滅びたがっているからこそ 成せる業なんだよ」
  2347. 御園 かりん: 神浜市で起きてたことも、 人が人を否定するから起きる…?
  2348. みこと: 世界規模でみれば小さい話だけど 人を否定しあって自滅する
  2349. みこと: そんな滅びの精神は見えるよね
  2350. 御園 かりん: どうやったら変えられるの… みんなを救えるの…?
  2351. アリナ: アッハハ
  2352. アリナ: 救われたいからこそ 滅びをリクエストしてるワケ
  2353. 御園 かりん: え…?
  2354. アリナ: ハッピーもサッドにするし ホープもディスペアーにする
  2355. アリナ: そんな自分たちのアクションに 耐えられないから
  2356. アリナ: 自分たちをリセットして 進化前にカムバックしたいワケ
  2357. アリナ: 生き物としてまっとうに ライブしたいカラ
  2358. みこと: んふふっ その考えも面白いね
  2359. みこと: そっか、人はみんな一度滅んで 根源からやり直したいんだ
  2360. アリナ: 原点回帰して 命のルネサンスを求めるワケ
  2361. 御園 かりん: でも、やっぱりわたしには 先輩たちの話がわからないの…
  2362.  
  2363. FILENAME: text_103203-14_7xz7k.txt
  2364. 御園 かりん: でも、やっぱりわたしには 先輩たちの話がわからないの…
  2365. みこと: あら?
  2366. アリナ: アッハハッ
  2367. アリナ: そう、フールガールは アリナたちとは違うブレイン
  2368. アリナ: どう思ったのか ヒアリングさせてヨネ
  2369. 御園 かりん: んと…先輩たちが言うように、 人は絶望で終わるのかもしれない
  2370. 御園 かりん: だけど、きりんちゃんのお話では みんな希望を求めてるし
  2371. 御園 かりん: ちゃんとハッピーで終わるお話が いっぱいあるの
  2372. みこと: きりんちゃん?
  2373. アリナ: フールガールの好きなコミック マジカルきりんだヨネ
  2374. 御園 かりん: そうなの!
  2375. 御園 かりん: マジカルきりんだけじゃなくて
  2376. 御園 かりん: 他のアニメにもマンガにも 映画にも絵本にも
  2377. 御園 かりん: 希望を見つけるためのお話は いーっぱいあるの!
  2378. 御園 かりん: それにみんなが夢中になれるのは きっと希望を求めてるからなの!
  2379. アリナ: 滅びは求めてない?
  2380. 御園 かりん: んー…怖いマンガもあるから… 求めてるかもしれないの…
  2381. アリナ: ハッキリしないんですケド
  2382. 御園 かりん: ハッキリしないものなの! ハッキリしないのが人間なの!
  2383. 御園 かりん: バラバラでグチャグチャだから 色んなお話があるの!
  2384. 御園 かりん: 白黒なんてないの! グレーが人間なの!
  2385. 御園 かりん: メイビーだけど…
  2386. 御園 かりん: あ、東西の話も今は違うの!
  2387. 御園 かりん: かえでちゃんからメッセージが 届いてたけど
  2388. 御園 かりん: またひとつになろうとしてるの
  2389. 御園 かりん: それって絶望だった状況に 希望の光を与えることだと思うし
  2390. 御園 かりん: サッドネスがハピネスになる 流れだと思うの!
  2391. 御園 かりん: 露ちゃんと千鶴ちゃんの夢が、 実現しようとしてるの!
  2392. アリナ: アッハハハ! やっぱりアナタはファニーだヨネ
  2393. アリナ: アリナ的にグレーなんてアイデア なかったワケ
  2394. みこと: んー、濁された感じもするけど それもひとつの答えかも?
  2395. 御園 かりん: じゃあ、滅びの話は終わりなの
  2396. 御園 かりん: アリナ先輩も改心して、 これから良い人になるの!
  2397. みこと: でも、私は滅ぼしたいんだよね
  2398. みこと: アリナちゃんも言ってたけど 個人的な恨みがあるから
  2399. 御園 かりん: ひどい理由なの…!
  2400. みこと: だから実験してみない?
  2401. 御園 かりん: 実験…?
  2402. みこと: 希望が絶望で終わるのか それとも絶望が希望で終わるのか
  2403. みこと: 今の神浜市の状況はね、 それを観察するにはいい状況なの
  2404. みこと: グレーゾーンにいる今のままだと
  2405. みこと: アリナちゃんもモヤモヤして 答えを出せないと思うから
  2406. みこと: 救われて終わるかどうか 私と一緒に見てみよう
  2407. みこと: んふふっ
  2408. いろは: うん、何と言われても 私はやるよ
  2409. いろは: userName!!
  2410. userName: モッキュ!
  2411. いろは: 自動浄化システムを取り返そう そして世界に広げよう
  2412. いろは: 私たちみんなで 世界の魔法少女を救う!
  2413. かごめ: (これでみんなが救われる…)
  2414. かごめ: (魔法少女の希望に満ちた明日が 訪れるようになるんだ…)
  2415. みこと: それじゃあ、答え合わせの はじまり~はじまり~
  2416.  
  2417. FILENAME: text_103204-1_7xz7k.txt [Episode 4]
  2418. 灯花の父: 太助 まだ検査は続いてるのか?
  2419. 太助: 次は腹部のエコーって言われたよ 本当にくまなく調べるんだね
  2420. 灯花の父: 何年もフラついて人間ドックの ひとつもしてないんだろう
  2421. 灯花の父: これでも心配してるんだ 調べられるうちに調べておけ
  2422. 太助: 兄さんは私を心配するような 人間だったかな
  2423. 灯花の父: 当然だろう 出来は悪くても弟だからな
  2424. 灯花の父: 面倒臭がってないで、 最後までしっかり受けておけ
  2425. 灯花の父: 那由他たちも今頃は 正念場を迎えているんだろう
  2426. 太助: そうだね…
  2427. 太助: 早ければ今日中に、 魔法少女を取り巻く環境が変わる
  2428. 太助: 魔女になるという宿命から 解き放たれて
  2429. 太助: 自由を得られるかもしれない
  2430. 灯花の父: それでもお前は、魔法少女の話を 書籍として世に出すつもりか
  2431. 太助: 魔法少女のためだけじゃない
  2432. 太助: 人間そのものが優しくなるために 必要だと思うからね
  2433. 灯花の父: そうか…
  2434. 灯花の父: …市長の件でふりだしに戻ったが まだ私も協力するつもりだ
  2435. 太助: ありがとう
  2436. 灯花の父: 今日はうまくいくといいな
  2437. 太助: ああ、朝から祈りっぱなしだよ
  2438. ひめな: じゃあ、捨てるねヒコ君
  2439. ひめな: みんなを殺す仕掛けはもう、 私チャンには必要ないものだから
  2440. みこと: それじゃあ、使わせてもらうね 絶望から希望は生まれるのかな?
  2441. いろは: えっ…?
  2442. うい: みんな…どうしたの…?
  2443. 結菜: 今まで、結界の向こう側で 普通に動いてたはず…
  2444. 静香: なんだか、糸が切れたみたいに みんなパタッて…
  2445. ひめな: い、イミフなんだけど… みんな死んでないよね…?
  2446. ラビ: まさか… いえ、有り得るとしたら…
  2447. ラビ: ここは自動浄化システムを 支配しているキュゥべえの空間…
  2448. ラビ: あなたが見せている幻では…?
  2449. キュゥべえ: ボクは別に幻なんて見せてないよ この光景は間違いなく現実だ
  2450. 静香: そんな… ちゃる…すなお…!
  2451. いろは: だ、大丈夫です…! みんな生きてますよ…!
  2452. いろは: ほら、 よく見たら呼吸はしてます…
  2453. うい: でも、お姉ちゃん みんな苦しそうにしてる…
  2454. 静香: ケガはなさそうだけど 意識がない…
  2455. 静香: まるで夢を見てうなされてる ように見えるわ…
  2456. ひめな: 夢…
  2457. 結菜: 思い当たる節があるようねぇ…
  2458. ひめな: あ、あるけど、絶対に有り得ない 私チャンは関係ない…
  2459. 結菜: 説明してくれるかしらぁ…
  2460. ひめな: …前の戦いで用意してた、 予備の仕掛けが
  2461. ひめな: 悪夢を見せて魔女になるように 促すものだったんだよね…
  2462. 結菜: 正に合致してるじゃなぃ…
  2463. ひめな: だけど絶対に違う!
  2464. ひめな: 私チャンがサーシャや ネオマギウスのみんなを
  2465. ひめな: 巻き込むはずないじゃん!
  2466. ひめな: それに、私チャンのスマホは 海に捨てたはずなのに…!
  2467.  
  2468. FILENAME: text_103204-2_7xz7k.txt
  2469. いろは: まだ、みんなが魔女になった わけじゃない…!
  2470. いろは: 助ける方法だってあります…!
  2471. ひめな: でも、魔女になるのに…!
  2472. いろは: 私だって急にみんなが倒れて、 本当はすごく怖いんです…!
  2473. いろは: それでも、まだ希望はある…
  2474. いろは: 自動浄化システムを得られたら 魔女ではなくドッペルになります
  2475. 静香: そうね、環さんの言う通りよ まだみんなを助けられるわ
  2476. ひめな: 私チャンの仕掛けだとしたら、 魔女になるまで目覚めないけど…
  2477. 結菜: ドッペルを出すなら生きられる 解決する時間を稼げるわぁ
  2478. ラビ: はい、その時間内で解決できれば 万事問題はありません
  2479. うい: お姉ちゃん! またツバメさんたちが来るよ!
  2480. いろは: 突っ切るよ、userName
  2481. userName: モキュッ!
  2482.  
  2483. FILENAME: text_103204-3_7xz7k.txt
  2484. userName: モギュッ!?
  2485. うい: お、お姉ちゃん コアの部分が消えちゃったよ!?
  2486. いろは: そんな、どうして…!?
  2487. キュゥべえ: コアをこのままさらし続けたり するはずがないじゃないか
  2488. キュゥべえ: 環いろはの捕獲に失敗した以上、 移動させてもらったよ
  2489. いろは: これじゃあ、 またコアを探さないと…
  2490. キュゥべえ: コアを捜している間にも
  2491. キュゥべえ: 結界の外にいる 魔法少女たちのソウルジェムは
  2492. キュゥべえ: 悪夢で呪いに 染まりきってしまうだろうね
  2493. いろは: …でも
  2494. キュゥべえ: 迷う必要なんかないはずだよ 環いろは
  2495. いろは: 何が言いたいの…?
  2496. キュゥべえ: 目の前で多くの魔法少女が 希望を失おうとしている以上
  2497. キュゥべえ: キミが優先するべきことは 決まっているはずだ
  2498. 静香: くっ…! 久兵衛様がこんな下郎だなんて…
  2499. 結菜: 何を今さら言ってるのかしらぁ…
  2500. いろは: でも、キュゥべえの言う通り、 みんなを放っておけない…
  2501. うい: コアもすぐに見つかるとは 限らないから
  2502. うい: わたしたちで助けられるか 試してみようよ…!
  2503. いろは: ただ、私たちが持ってる能力じゃ みんなを起こすことなんて…
  2504. いろは: せめて目を覚まさせるような 魔法が使えたらいいんだけど…
  2505. かごめ: 認識系の魔法であれば、 みつねさんやみふゆさんですか?
  2506. 静香: 確かに魔法少女の固有魔法で 目覚めさせられたらいいけど…
  2507. ひめな: 私チャンの仕掛けのせいなら、 ぶっちゃけ難しいと思う…
  2508. ひめな: 神浜市にいる魔法少女 みんなに影響があるはずだから…
  2509. 静香: いっそ叩き起こすのは…?
  2510. ひめな: やるなら調整屋さんに頼んで 相手の精神と繋がるか
  2511. ひめな: キモチの石を保有する人同士で 繋がり合うことだと思うけど
  2512. ひめな: 眠ってる人にキモチの石を 渡すことなんてできないし
  2513. ひめな: ピュエラケアの人が戻ってきて ひとりずつ対応してたら
  2514. ひめな: 間に合わないから、 無理みが深いと思う…
  2515. 結菜: つまり、私たちの仲間もみんな 神浜市に集まっている以上
  2516. かごめ: ここにいる私たちの力で どうにかするしかないんですね…
  2517. いろは: それでも一度、 みんなに連絡してみます…!
  2518. かごめ: (私の願いなら…)
  2519. かごめ: (でも、今ここで叶えたら…)
  2520.  
  2521. FILENAME: text_103204-4_7xz7k.txt
  2522. いろは: …………
  2523. いろは: 魔法少女たちみんなにメッセージを送ったけど 返って来る様子がないどころか 誰かが読んだっていう既読の文字すら付かない
  2524. いろは: きっと神浜市にいる魔法少女はみんな ここにいない子たちも含めて 悪い夢の世界に入ってるんだと思う…
  2525. いろは: 魔法少女の力を使えるとしても 私たちだけの力しかない
  2526. いろは: キュゥべえが隠したコアを見つけようとしても その間にみんなが魔女になって 手遅れになるかもしれない
  2527. いろは: でも、だからって考えあぐねて 答えも出ないぐらいなら 何もしないよりコアを捜した方が良かったかも…
  2528. いろは: ダメだ…
  2529. いろは: 考えようとするほど焦っちゃう… 焦るほど、どうしてこんなことになったのかって 要らないことを考えちゃう
  2530. いろは: 藍家さんのせいじゃない… キュゥべえも関係ないって言ってた… それなら…この状況を招いたのは何…?
  2531. いろは: どうしてみんなが魔女になりかけてるの…?
  2532. いろは: …………
  2533. いろは: (やっぱり…私は…)
  2534. いろは: 偉そうなことを言うだけで 結局なにもできてないような気がする…
  2535. いろは: でも…
  2536. いろは: 魔法少女であることの 心配事が今よりも少なくなって
  2537. いろは: 将来の夢を叶えられるぐらい 生きられるようになって
  2538. いろは: 私たちが背負う宿命や 願った理由を伝えていってね
  2539. いろは: 私たちも周りのみんなも 少しずつ優しくなればって思う
  2540. いろは: んー、だからなんだろう
  2541. いろは: いまのつらいを解消しながら 未来のつらいを作らないように
  2542. いろは: みんなが優しくなれる種を 少しずつ撒いていく…?
  2543. いろは: そういうことが、 できたらいいのかな…?
  2544. ひめな: いろりんたちがしてることって 優しく聞こえるけどさ
  2545. ひめな: 実はハードルが高くて、 どちゃクソ、マッチョなんだよ
  2546. ひめな: だから付いて行けずに 悶々と羽根になってきた子たちを
  2547. ひめな: 私チャンたちが 面倒みてあげるってこと★
  2548. 結菜: このまま争いのない二木市が 永遠に続けばいいと思うわぁ
  2549. 結菜: だから、私は根本的にね、 環さんと思想は近いのよぉ
  2550. 静香: 日の本の平和と繁栄! 以上よ!
  2551. 静香: もちろんだからといって 暴力に訴えかけないわよ!?
  2552. 静香: というか、もう一族としては 裏で支えるつもりだから
  2553. いろは: (あぁ、私は弱いなぁ…)
  2554. いろは: (みんなが悪夢を見ていて、 魔女になるかもしれないって)
  2555. いろは: (まだ、救える可能性があるのに ダメかもって決めつけて…)
  2556. いろは: こうして覚悟も半端だから、 私は何も守れないんだ…
  2557. いろは: ごめんなさい… やちよさん、鶴乃ちゃん、 フェリシアちゃん、さなちゃん みんな…
  2558. いろは: やってみよう…
  2559. うい: お姉ちゃん…?
  2560. 静香: 環さん 何か思い付いたの?
  2561. いろは: うん…
  2562. いろは: ここにはね、 イブのコアだったういがいて
  2563. いろは: イブの体だったキモチが そろっていて
  2564. いろは: みんなを繋ぐハブになれる userNameがいる
  2565. いろは: つまり自動浄化システム以外の イブのすべてがある以上
  2566. いろは: 私たちの方がキュゥべえよりも 圧倒的にイブに近いはずなんです
  2567. いろは: だから、うい
  2568. いろは: userNameを通して、 私とキモチに繋がってみて
  2569. いろは: みんなでひとつになって、 よりイブに近くなれば…
  2570. うい: あ、移動させられたコアの位置が すぐにわかるかもしれない!
  2571. ひめな: キモチの魔力って ただでさえヤバみが深いけど
  2572. ひめな: ホントに繋がっちゃって平気…?
  2573. 結菜: ういちゃんへの負担が心配ねぇ
  2574. 静香: 私でよければ支えになるけど 力になれるかしら…
  2575. いろは: キモチは元々ういと同じだから、 一番相性が良いはずなんです
  2576. いろは: だから、誰かの力は借りずに チャレンジした方がいいと思う
  2577. 結菜: キモチの石を持っている 環さん自身への影響はぁ…?
  2578. いろは: もう、そんなことを 言ってる場合じゃありません
  2579. いろは: 覚悟を決めて、 やるしかないんです
  2580. いろは: 二の足を踏んでる間に みんなの絶望が訪れてしまうから
  2581. いろは: その前に希望を紡ぐんです!
  2582. 結菜: わかった 私はあなたの言葉を信じるわぁ
  2583. いろは: いいかな、うい…
  2584. うい: もちろんだよ、お姉ちゃん
  2585. うい: みんなを助けるためだもん 怖がっていられないよね
  2586. いろは: じゃあ、繋がるよ
  2587. いろは: キモチのみんなもお願い!
  2588. いろは: コアを見つけるために 力を貸して!!
  2589. いろは: …………
  2590. 静香: 変ね… 何も起きてないわよ…?
  2591. いろは: あれっ… キモチから反応が返ってこない…
  2592.  
  2593. FILENAME: text_103204-5_7xz7k.txt
  2594. ラビ: …………
  2595. みんな: …………
  2596. ラビ: やはり見逃してはくれない…
  2597. ラビ: 私たちが気を緩めた時に限って 背中から貫いてくる…
  2598. 那由他&みかげ: …………
  2599. ラビ: 那由他様、みかげさん…
  2600. ラビ: アァ…
  2601. ラビ: 私たちが撲滅派の人たちと 手を取ろうとした時と同じだ…
  2602. ラビ: 教授の言った通り やってきてしまった…
  2603. ラビ: ―ラビ― まだ、まだ増えてる…
  2604. アレクサンドラ: ―アレクサンドラ― 旭ちゃんが呼べるのは死んだ人たちだけじゃ
  2605. 旭: ―旭― 間違い無くそうであります…!
  2606. ラビ: ―ラビ― 早く止めないと…!
  2607. ラビ: ―ラビ― 普通の人は、心と体のどちらが壊れても おかしくない!
  2608. 旭: ―旭― しかし、どうやって止めれば…!
  2609. アレクサンドラ: ―アレクサンドラ― 擁護派の人たちの姿も増えてる…
  2610. ラビ: ―ラビ― まさか…これは…!
  2611. 白金: 氷室先輩
  2612. ラビ: 白金!?
  2613. 白金: バスが転落して炎上しました
  2614. ラビ: …なにを…そんな冗談…
  2615. 白金: 残念ながら本当です 多くの人が亡くなり…私も…
  2616. ラビ: そう、何人もの学生が死に、 心も打ち砕かれた…
  2617. ラビ: そしてまた…
  2618. アレクサンドラ: 私はひめちゃんのマイメンだから
  2619. 旭: 我は時女一族と共に真っすぐ 生きる未来を望んだであります
  2620. うらら: ウチは結菜さんたちが生きてる 未来を望んだんよ
  2621. ラビ: そして、私は那由他様や みかげさんたちと共に過ごす
  2622. ラビ: 変わらない日々を望んだ…
  2623. ラビ: あぁ…あぁ…
  2624. ラビ: 結局、私たちが希望を持つほど 敵わない存在によって 翻弄され続け、苦しみ続けるのか
  2625. ラビ: ならば、我々の救いというのは この苦しみから逃れること
  2626. ラビ: やはり、滅びしかないということ…
  2627. いろは: キャッ!!
  2628. うい: お姉ちゃん!
  2629. いろは: どうして…?
  2630. うい: キモチのブレスレットが はずれちゃった…?
  2631. ラビ: …………
  2632. いろは: 氷室さんの腕に着いた…
  2633. ラビ: キモチは私の想いと同調して 移動してきたみたい
  2634. いろは: それってどういうことですか…? 私たちは同じ想いですよね…?
  2635. ラビ: 諦念…
  2636. ラビ: 何をやっても宇宙に弄ばれる 魔法少女の宿命に対する諦念…
  2637. いろは: 私たちは救われない… いまもそう思ってるんですか…?
  2638. いろは: だけど、それは前の話で 希望を持つことができたって…!
  2639. ラビ: それは私にとっても キモチにとってもまやかしだった
  2640. ラビ: 魔法少女の存在を広められるか… 最後は本当に救われるか…
  2641. ラビ: そのことは私だけではなく、 キモチもずっと気にしていた
  2642. ラビ: だけど結末はこの通り…
  2643. ラビ: 大好きな人たちが 大好きだった人たちになるのを
  2644. ラビ: ただ見つめるだけ…
  2645. いろは: そうならないように、 私たちは諦めちゃいけないんです
  2646. ラビ: だけど、私もキモチも諦めた
  2647. ラビ: キモチは環さんと一緒に居れば、 宇宙の意思に翻弄されるから
  2648. ラビ: 私と一緒にいた方が 生きられると思っている
  2649. ラビ: だからね、環さん
  2650. ラビ: ここからは私の番…
  2651. ラビ: 諦念のもと、 すべての魔法少女を片づける
  2652.  
  2653. FILENAME: text_103204-6_7xz7k.txt
  2654. いろは: ぅ…
  2655. いろは: 周りの空気に触れているだけで 肌がすりむけそう…
  2656. うい: うん… ピリピリして痛い…
  2657. うい: でも、怖いけど、さがらないよ…
  2658. うい: 自動浄化システムもキモチも 全部わたしが生んだものだから
  2659. うい: 魔法少女を救うまで 最後まで向き合うって決めたの
  2660. いろは: お姉ちゃんもだよ 最後まで一緒に向き合おう
  2661. いろは: 氷室さんとも…
  2662. ラビ: さあ、掃除を始めないと… 悲しみを片づけて回らないと…
  2663. いろは: 魔法少女を消して回るつもりなら 私が行かせはしません
  2664. 静香: ええ、日の本を守る刃たちを あなたの一存で折らせはしないわ
  2665. ひめな: 宇宙のせいにして諦めて こっちの希望まで奪わないでよ
  2666. いろは: そもそも氷室さんは、 どうするつもりなんですか…
  2667. いろは: 宇宙の意思が 本当に存在していたとしたら
  2668. いろは: 自動浄化システムを手に入れて 何をするつもりなんですか…
  2669. ラビ: 単純なこと
  2670. ラビ: 被膜を使って世界を包み込んで キュゥべえの侵入を防ぐ
  2671. ラビ: その上で回収の力を利用して、 魔法少女たちを救う
  2672. いろは: それって…
  2673. いろは: ドッペル化を広げようとしてる 私たちと、同じ目的じゃ…?
  2674. ラビ: いえ…
  2675. ラビ: 穢れ以外もすべて吸い上げる 魔法少女の魔力も何もかも
  2676. いろは: ――っ!?
  2677. ラビ: 悲しみや絶望を味わう前に 世界の魔法少女たちはいなくなる
  2678. ラビ: きっと、眠るかのように 魔法少女たちの人生は幕を閉じる
  2679. ラビ: それは、外で悪夢に苦しんでいる 魔法少女たちも救うことになる
  2680. いろは: 待ってください! 確かにそうかもしれない…
  2681. いろは: だけど、魔女になりかけてる人 以外も含まれるんですよね…?
  2682. いろは: それって、みんなを無差別に 殺すのと同じじゃないですか…
  2683. ラビ: そう、魔法少女になった時点で 安楽死させるのが一番幸せ
  2684. いろは: ごめんなさい つらい気持ちは理解できます…
  2685. いろは: それに、行き着いた結論も 理解できないわけじゃない…
  2686. いろは: でも、それでも 自分から殺したらダメです
  2687. いろは: 魔法少女の結末は悲しみや 絶望で満たされているんだって
  2688. いろは: 認めることになる…
  2689. ラビ: だけど、つかめる光の筋すら 見えなくなった
  2690. ラビ: だから、光をつかもうとする 虚しさからも解放しないと
  2691. ラビ: フッ…
  2692. いろは: ァアッ!
  2693. いろは: ウッ!!
  2694. ういの声: お姉ちゃん!
  2695. 静香: 環さん…!?
  2696. 静香: そんな…ウソでしょ… 軽く触れたぐらいよ…?
  2697. ひめな: 1体ですらヤバみの深いキモチが フルセットなわけだし…?
  2698. ひめな: とりまピンチっていうのは わかるよね…
  2699. 結菜: でも…おかしいわぁ…
  2700. 静香: ええ、私も思ったわ…
  2701. 静香: ひとつでも危険なキモチ… それが8つも…
  2702. 結菜: 私も4つで限界を超えた…
  2703. 静香: 魔力の量が違うから 体が持たないはずよね…?
  2704. ひめな: 器が壊れる的な…?
  2705. 静香: そう、的なやつ
  2706. ラビ: あなたたちを片づけたら コアを探しに行って
  2707. ラビ: 私が自動浄化システムと ひとつになる
  2708. ラビ: あなたを使って
  2709. userName: モギュっ…
  2710. 静香: 怖じ気づいてられない
  2711. 静香: 時女の本家として この局面は乗り切ってみせないと
  2712. ひめな: 向こうの体に限界がくる タイムリミットまで頑張れば
  2713. ひめな: 私チャンたちの勝ち確?
  2714. 結菜: いえ、そうはならないかも…
  2715. ひめな: どうして…?
  2716. 結菜: キモチと氷室さんの想いが 同調し合っているのであれば
  2717. 結菜: どちらかが支配しようとしている わけじゃなぃ…
  2718. 静香: なるほどね…
  2719. 静香: それに、力を借りるような 優劣の関係でもない
  2720. ひめな: 私チャン的に ちょっとイミフなんだけど…
  2721. 結菜: 氷室さんとキモチはお互いを マイメンだと思ってるのよぉ
  2722.  
  2723. FILENAME: text_103204-7_7xz7k.txt
  2724. 結菜: キモチに影響されると、 声は聞こえていたとしても
  2725. 結菜: ちゃんと言葉が 心に届かなくなってしまう…
  2726. 結菜: だから私の時と同じように、 心に直接、繋がる必要があるわぁ
  2727. 静香: 私もちゃるとすなおに 心の中で助けてもらったけど
  2728. 静香: あの時と同じような状況に 持っていかないといけないのね
  2729. ひめな: それってどうすんの?
  2730. 静香: 確かちゃるたちは、 キモチの石を使ってたはずよ
  2731. ひめな: それ、8つとも相手が持ってるし 詰んでるんだけど…
  2732. 結菜: だから、氷室さんから 小さなキュゥべえを取り返して
  2733. 結菜: 環さんたちに託すのよぉ
  2734. ひめな: ワンチャン、ハブを利用して 繋がってもらうっていうことね
  2735. 結菜: そう、唯一残された選択肢よぉ…
  2736. うい: わたしはどうすればいい…?
  2737. 結菜: キモチや自動浄化システムと 結びつきのあるあなたを失えば
  2738. 結菜: 魔法少女の命運は尽きる
  2739. 結菜: 必ず生かすから、環さんの側で 彼女を守ってあげてぇ
  2740. うい: わかった… 気をつけてね紅晴さん…
  2741.  
  2742. FILENAME: text_103204-8_7xz7k.txt
  2743. いろは: はっ…
  2744. うい: おねぇちゃん…!
  2745. いろは: うい…私は…
  2746. いろは: あっ、氷室さんは…!? 紅晴さんたちは!?
  2747. うい: わたしたちを守って…みんな…
  2748. いろは: え…
  2749. 静香: そんな、死んだみたいに… 言わないでくれる…
  2750. いろは: 静香ちゃん…!
  2751. ひめな: マジで、ちょっと戦っただけで 体中がバキバキ…
  2752. 結菜: 魔力を消費するより前に、 体を壊された感じねぇ…
  2753. 結菜: 情けないわぁ…
  2754. いろは: みんな、まさか氷室さんに…?
  2755. 静香: えぇ…
  2756. 静香: 3人で相手をして、 どうにかなる相手じゃなかった…
  2757. 静香: けど、あなたたちを 守りきれて良かったわ…
  2758. 静香: ただuserNameのことは ごめんなさい…
  2759. うい: 自動浄化システムを取られる前に 返してもらえば大丈夫だよ
  2760. うい: だから、そんな謝らないで…
  2761. 結菜: どうか氷室さんと繋がって、 彼女の心を救ってあげて…
  2762. 結菜: 彼女とキモチを切り離せば
  2763. 結菜: 自動浄化システムを取り戻す きっかけになるはず…
  2764. 結菜: それができるのは、 馬鹿がつくぐらい他人の心を尊ぶ
  2765. 結菜: あなたぐらいよぉ…環さん…
  2766. ひめな: うん…
  2767. ひめな: 私チャンなら無理みが深いけど、 いろりんならおけまる
  2768. ひめな: ワンチャンいけるって…!
  2769. 静香: それでも、申し訳ないわ…
  2770. 静香: 環さんだけに頼ることに なるだなんて…
  2771. 静香: ――っ!?
  2772. 静香: ちょっと、何やってるの…
  2773. いろは: 体を治してます
  2774. いろは: 私もせっかく手を取り合えたのに ひとりで向かうなんて悔しい
  2775. いろは: まだ、一緒に立ち向かえるなら みんなで氷室さんを救いたい
  2776. いろは: そして、手を取り合って、 倒れたみんなを助けましょう
  2777. 静香: 環さん…ありがとう…
  2778. 静香: そういうあなたらしいところに 私は嫉妬してしまうわ
  2779. いろは: え…?
  2780. 結菜: 時女さんの気持ちはわかるけど 環さんは深く考えなくていいわぁ
  2781. いろは: は、はい…
  2782. いろは: それで、うい… 氷室さんの様子はどうだった…?
  2783. うい: なんだか会話はできてたけど、 少しズレてるような感じだった…
  2784. うい: もう、魔法少女を消すことしか 考えてないみたいで…
  2785. いろは: そうなんだ…
  2786. いろは: 氷室さんは どっちに向かったかわかる…?
  2787. うい: うん
  2788. うい: 結界が壊れそうになって 弾き出されちゃったんだけど
  2789. うい: それからコアの位置を探って 北養区の方に移動していったよ…
  2790. うい: うん…
  2791. うい: キモチの魔力がすごく強いから ハッキリとわかるよ
  2792. いろは: …………
  2793. 静香: 私の阻止がどこまで効いてるか わからないけど
  2794. 静香: 多少はコアを探すのを 妨害できてるかもしれないわ…
  2795. ひめな: それならとりま 時間ももったいないしさ
  2796. ひめな: いろりんの回復魔法が 移動しながらでもおけまるなら
  2797. ひめな: 動けるぐらいになった時点で さっさと移動しちゃお
  2798. いろは: はい、私は大丈夫です
  2799. 結菜: 魔力の方は平気ぃ?
  2800. いろは: ネオマギウスがばらまいた魔女の グリーフシードがあるので
  2801. 結菜: 怪我の功名ねぇ…
  2802. ひめな: ちなみに、ひとつぐらい ワンチャン使えるなら
  2803. ひめな: 借りたい固有魔法があるから 使っていい?
  2804. いろは: はい、もちろんです
  2805. ひめな: あざまる!
  2806. ひめな: それじゃあヒコ君 借りる魔法を考えよっか
  2807. いろは: …かごめちゃんは大丈夫?
  2808. いろは: 私たちはこれから氷室さんを 助けにいくけど…
  2809. かごめ: はい、もちろんです
  2810. かごめ: リィちゃんと一緒に 最後まで見届けさせてください
  2811.  
  2812. FILENAME: text_103204-9_7xz7k.txt
  2813. かごめ: 何十人もいる魔法少女たちが 一斉に倒れるだなんて誰が想像しただろう
  2814. かごめ: あと少しで自動浄化システムを キュゥべえから取り返して 被膜が神浜市どころか世界中に広がって
  2815. かごめ: 魔法少女は魔女化という宿命から 解放されるはずだった
  2816. かごめ: それなのに今 神浜市にいる魔法少女たちはみんな 悪夢の中で少しずつ魔女へと近づいている
  2817. かごめ: これは氷室さんが言っていたように 魔法少女の存在を広めようとする私たちへの 宇宙の自浄作用なのかな
  2818. かごめ: きっと、宇宙の意思を確認していた 氷室さんにとっては心の折れる出来事だったはず
  2819. かごめ: だけど、いろはさんたちは折れていない むしろ折れた氷室さんの心を癒やそうとしている
  2820. かごめ: (衝動に駆られちゃいけない…)
  2821. かごめ: (命も願いもひとつなんだ…)
  2822. かごめ: だから私は信じようと思う みんなが氷室さんを救い 他の魔法少女も救うっていうことを
  2823. 結菜: 氷室さんと繋がるイメージは なんとかできそぅ?
  2824. いろは: はい
  2825. いろは: userNameを取り戻す 必要はありますけど
  2826. いろは: ういも含めて3人そろえば うまく繋がれそうな気がします
  2827. いろは: 誰もキモチの石を持ってないので 本当にできるか不安ですけど
  2828. いろは: ここまできたら ぶっつけ本番です!
  2829. 結菜: ごめんなさぃ 無茶をさせてしまうわねぇ
  2830. うい: いまできること全力でやる それだけだよね
  2831. いろは: うん、残された時間も 少ないはずだから
  2832. いろは: ただ、繋がるにしても 足止めだけは必要になります
  2833. いろは: そちらは お願いしてもいいですか?
  2834. ひめな: とりまヒコ君が厳選した魔法を 合成してきたから、よいちょまる
  2835. ひめな: 博物館で戦った時みたいに 合成と使用が一緒じゃないから
  2836. ひめな: 魔力の消耗も抑えられるし ワンチャンいけそうって感じ?
  2837. 静香: 動きを止めて… その隙に環さんたちが繋がる…
  2838. 静香: ひとつでも間違えれば、 さっきみたいに一撃でやられる…
  2839. 静香: 本当に1回切りの賭けね
  2840. うい: 氷室さんが勝てば、 みんな吸い込まれて消されちゃう
  2841. いろは: うん、失敗は許されない…
  2842.  
  2843. FILENAME: text_103204-10_7xz7k.txt
  2844. リヴィア: はぁ…
  2845. 月出里: ふむんむん…
  2846. ヨヅル: 辺りを見てきましたが、 亡くなっている方はいません
  2847. ヨヅル: ただ、神浜マギアユニオン プロミストブラッド、時女一族…
  2848. ヨヅル: 及び、ネオマギウスと 午前0時のフォークロアの方は
  2849. リヴィア: 皆まで言わんでええ わかっとる
  2850. リヴィア: 私らが知っとる魔法少女は みんな悪夢の中におるわ
  2851. 月出里: ふむんふむむむふむむっむん…
  2852. ヨヅル: 藍家ひめなの仕掛けっぽいと 月出里は申してますが
  2853. リヴィア: 私かて思ったけどやな、 さすがに状況的に説明できひん
  2854. リヴィア: 姫さんは自分で仕掛けを 壊しとるし
  2855. リヴィア: 私かて調整の過程で、 その光景はしっかり見とる…
  2856. ヨヅル: であれば説明がつきませんね
  2857. リヴィア: せやから怖いんや…
  2858. ピロン♪
  2859. ヨヅル: どなたからですか?
  2860. リヴィア: 結菜ちゃんからや
  2861. リヴィア: 私らが遅れて戻ってくるから 無事やと思ったみたいやけど…
  2862. リヴィア: …はぁ
  2863. リヴィア: 運良く活動できとるんは 各グループのリーダーだけかいな
  2864. リヴィア: それに困ったわ…
  2865. リヴィア: みんなのことをお願いしますって 書かれたところでなぁ…
  2866. 月出里: ふむんむふむむむ…?
  2867. ヨヅル: そうですね
  2868. ヨヅル: できる事があるとすれば、 綺麗に寝かせることや
  2869. ヨヅル: 定期的な浄化かもしれません
  2870. ヨヅル: 幸いネオマギウスの魔女と 戦っていた魔法少女もいますし
  2871. ヨヅル: 手持ちのグリーフシードの数に 困ることもないでしょう
  2872. リヴィア: せやけど、使い過ぎに注意やで 魔女が孵ったら大変や
  2873. 月出里: ふんむんむ、ふんむーふむ ふむんむむ?
  2874. ヨヅル: キュゥべえに回収してもらおうと 月出里が提案しておりますが
  2875. リヴィア: 魔女のオンパレードになったら エネルギーが得られる
  2876. リヴィア: それを目前にして、 私らの手伝いなんてせんやろ
  2877. リヴィア: …しかし、つらいな
  2878. リヴィア: ようやっと仲良く 手ぇ繋げたと思ったらこれや…
  2879. リヴィア: ほんまにかなわん…
  2880. リヴィア: どんだけ頑張ったら私らは 救われるんやろな…
  2881.  
  2882. FILENAME: text_103204-11_7xz7k.txt
  2883. ラビ: …………
  2884. いろは: 見つけた…!
  2885. うい: まだコアの位置は 見つけられてないみたいだよ!
  2886. ひめな: 静香ちゃんの阻止っぷり 半端ないじゃん
  2887. 結菜: 気転を利かせてくれた おかげねぇ
  2888. いろは: また、結界の入口を見つけられて しまう前に
  2889. うい: わたしたちで氷室さんを救おう お姉ちゃん
  2890. いろは: そうだね!
  2891.  
  2892. FILENAME: text_103204-12_7xz7k.txt
  2893. いろは: ――っ!?
  2894. ラビ: すべてを吸い上げて無にするから 邪魔をしないで
  2895. 結菜: 対象変更!!
  2896. ラビ: クッ…
  2897. 結菜: 環さん退いて!
  2898. うい: お姉ちゃん、大丈夫!?
  2899. いろは: うん…
  2900. いろは: たぶん、氷室さんは 私たちの目的に気づいてる…
  2901. いろは: だから狙ってくるのかも…
  2902. userName: モキュ!モッキュ!
  2903. いろは: 心配しなくても、まだ機会はある 次のチャンスを待とう
  2904. 結菜: ここは乱撃でけん制… 隙を作る…!
  2905. 結菜: ――っ!?
  2906. 結菜: (背後…!?)
  2907. 静香: ぶーめらんってやつが 戻って来てる!
  2908. 結菜: そういうこと…くっ…
  2909. 結菜: …礼を言うわ
  2910. 結菜: あのままだと 真っ二つだったかもしれないわぁ
  2911. 静香: 遠くに投げてるのが見えたのよ
  2912. 結菜: だけど派手に動いたおかげで
  2913. 結菜: 氷室さんの意識を こちらに向けられたわぁ…
  2914. ラビ: すぐに、 あなたたちも吸い上げる…
  2915. 結菜: いま!
  2916. ラビ: ぐっ!?
  2917. 結菜: 時女さん、攻撃を逸らせたわぁ!
  2918. 静香: ええ、いくわよ!
  2919. 静香: 時女一心流 旋風鎌鼬 (せんぷうかまいたち)!!
  2920. ラビ: ガッ…!
  2921. 静香: からの、瞳合わせ!!
  2922. ラビ: なにも、響かない…
  2923. 結菜: まずい、効いてないわぁ…
  2924. 静香: とりあえず阻止!!
  2925. ラビ: はぁああッ!!
  2926. 静香: …生きてる?
  2927. 結菜: えぇ…だけどムリねぇ…
  2928. 結菜: 環さんに回復してもらった分は また削られたわぁ…
  2929. 静香: こちらも同じく…
  2930. 結菜: …っ、悔しいわねぇ…
  2931. ひめな: なんか、一緒に命をかけてると みんなマイメンって感じ
  2932. ひめな: 作ってくれたワンチャンは 絶対に無駄にしないから!
  2933. ひめな: 裏でこっそりと動いてた分、 情報を集めておいてよかった
  2934. ひめな: ぶっちゃけ、ここで役立つなんて 考えてもみなかったからね
  2935. ラビ: ――っ!?
  2936. ひめな: あなたの大切そうなお友だちの 力でねじ伏せてあげる
  2937. ひめな: 里見那由他の戦意喪失
  2938. ラビ: ア…
  2939. ひめな: お母さんの性格を変えた影響で 身に付けた魔法なのかも
  2940. ラビ: ま、だ…
  2941. ひめな: 八雲みかげの肉体崩壊
  2942. ラビ: ぅぅっ…!?
  2943. ひめな: 姉の根底を否定したからこその 人を壊してしまう力
  2944. ひめな: これまで使わなかったのは、 あの子の優しさかもね
  2945. ひめな: あなたも、見習ってさ もう少し優しくなっちゃえば?
  2946. ラビ: なったところで待っているのは、 途方もない…悲しみ…!
  2947. ひめな: サーシャのリラックス効果
  2948. ラビ: ぁ…ぐ
  2949. ひめな: こうやって穏やかな日々の方が 湯国の人らもいいんじゃない?
  2950. ひめな: というわけで動けない間に 取り戻すチャンスだよ!
  2951. ひめな: いろりん!
  2952. いろは: ありがとう、藍家さん!
  2953. いろは: userName!! 私とういに飛び込んできて!
  2954. userName: モッキュキューイ!!
  2955. うい: お姉ちゃん、手を重ねよう!
  2956. いろは: うん!
  2957. いろは: userNameは 重ねた手の上に乗って!
  2958. userName: キュイ!
  2959. いろは: …お願い、氷室さん 私たちと最後まで抗おう!
  2960. いろは: 悲しみで終わらせず、 希望で必ず終わらせるために!
  2961. うい: だから、力を貸して!
  2962. うい: 自動浄化システムを使って 魔法少女を救うだけじゃない
  2963. うい: 眠ってるみんなも救うために!
  2964. userName: モッキュウ!
  2965. ラビ: …………
  2966.  
  2967. FILENAME: text_103204-13_7xz7k.txt
  2968. ラビ: まさか、私の心の中に…
  2969. userName: モキュイ!
  2970. ラビ: そう…キモチとのハブになれる あなたを通して…
  2971. いろは: いた…見つけた…! 氷室さん、考え直してください!
  2972. うい: 外での話って聞こえてた!?
  2973. ラビ: ええ
  2974. ラビ: いまなら倒れた魔法少女たちを 救えるかもしれないと
  2975. いろは: みんなが魔女になって喜ぶのは キュゥべえだけです…だから!
  2976. ラビ: それでも構わない
  2977. いろは: ――っ!?
  2978. ラビ: 邪魔な魔法少女を消す駒として 私が都合の良い存在でも
  2979. ラビ: 何も思いはしない
  2980. いろは: どうして…!? 氷室さんの大切な人もいるのに!
  2981. ラビ: 私とキュゥべえにとって あなたたちは共通の敵だから
  2982. いろは: 敵…?
  2983. ラビ: 魔法少女の存在を世間に広める
  2984. ラビ: それで魔法少女にとって 安心する世の中ができれば
  2985. ラビ: 希望と絶望の振り幅は 狭まるという結果になってしまう
  2986. ラビ: それは、魔女になる時に得られる エネルギーの量が減るのと同じで
  2987. ラビ: キュゥべえにとっては 歓迎できるような状況ではない
  2988. うい: それはキュゥべえの話で 氷室さんとは関係ない話だよ!
  2989. いろは: 違う、あるんだよ…
  2990. いろは: 魔法少女の存在を広めると、 今みたいにみんなが倒れるから…
  2991. うい: …それって宇宙のせいで…?
  2992. ラビ: そう、広めようとする行為は、 結果的に私たち自身を殺す
  2993. ラビ: それなら自動浄化システムを 手に入れられなかったとしても
  2994. ラビ: あなたたちの行為を防ぐことで、 未来の魔法少女たちは救われる
  2995. いろは: だからって今の魔法少女たちを 勝手に殺さないでください…!
  2996. ラビ: …………
  2997. いろは: やちよさんも鶴乃ちゃんも フェリシアちゃんもさなちゃんも
  2998. いろは: 他のみんなだってまだ生きてる! もちろん旭ちゃんや栗栖さんも!
  2999. いろは: それなのに、勝手に殺して 不幸にならないでください…!
  3000. ラビ: この状況から再起できるような 希望があるとでも…?
  3001. いろは: 理屈がなかったとしても 希望と奇跡を信じる
  3002. いろは: それが願いで状況を変えた 私たち魔法少女じゃないですか…
  3003. いろは: なっ…
  3004. ラビ: じゃあ、このつかんだ手を通して 私に憑いたキモチをあげる
  3005. いろは: え…
  3006. ラビ: これは力の争いではなく、 想いを巡る争い
  3007. ラビ: それなら私と同調するキモチを、 あなたの想いでねじ伏せてみせて
  3008. いろは: キモチを差し出すのは、 挑戦状ということですか…?
  3009. ラビ: そう
  3010. ラビ: 絶望や悲しみで終わるのか 希望や喜びで終わるのか
  3011. ラビ: 諦念にまみれて あなたを信頼していない私から
  3012. ラビ: キモチを奪ってでも 耐えられたなら
  3013. ラビ: その奇跡を前に あなたを認めることを約束する
  3014. うい: キモチは魔力の塊なんだよ!?
  3015. うい: そんなの、力で争ってるのと 全然変わらない!
  3016. うい: お姉ちゃんが絶対にもたないよ!
  3017. いろは: でも、殴り合うよりも 心で向き合う方が全然いいと思う
  3018. いろは: うい、userName お願い力を貸して
  3019. いろは: 信頼されていない以上は ハブのuserNameが必要で
  3020. いろは: 安定させるには元々イブだった ういが必要になると思うから
  3021. うい: …………
  3022. いろは: 危険なのはわかってる
  3023. いろは: だけどこれは争うんじゃない 向き合うことだから…
  3024. うい: うん…わかった… お姉ちゃんと一緒に苦しむ…!
  3025. userName: モキュっ…!
  3026. いろは: それじゃあ、手を重ねて
  3027. ラビ: さあ、受け取って
  3028. いろは: くっ…!ぅう…!?
  3029. うい: あぁッ!
  3030. userName: モギュゥっ…!
  3031. ラビ: ほら、どう足掻いたところで キモチも諦念の底
  3032. ラビ: あなたの意思とは同調しない
  3033. いろは: それでも…変えて…みせる… 想いを覆して…みせる…!
  3034. いろは: じゃないと… あまりにも悲し過ぎるもん…
  3035. ラビ: もしも、あなたが潰れるのなら、 最初に回収して救ってあげる
  3036. いろは: ううぅぅううッ!
  3037. ラビ: 痛みも苦しみもないなら、 その方がよっぽど救われるはず
  3038.  
  3039. FILENAME: text_103204-14_7xz7k.txt
  3040. いろは: あ、く…
  3041. いろは: はぁ…はぁ… だめかもしれないけど…やる…
  3042. うい: わたし、も…
  3043. うい: やりかたは間違ったけど… 灯花ちゃんと、ねむちゃんは…
  3044. うい: 魔法少女を助けるために イブを作ったんだもん…!!
  3045. いろは: そう、だね…
  3046. いろは: ふたりの意思を生かすためにも 挫けちゃいけない、ね…
  3047. ラビ: どうして…
  3048. ラビ: 魔法少女は救われないのに… 宇宙に殺されるだけなのに…
  3049. ラビ: だから抵抗なんてせずに諦めて 私がやることに付いてきて…
  3050. いろは: できま、せん…
  3051. いろは: 救うために殺すなんて ねじ曲がった、考えを…!
  3052. いろは: このまま通しちゃいけない…!
  3053. ラビ: それなら考えてみて…
  3054. ラビ: 魔法少女の存在が広まらなければ 宇宙によって殺されることはない
  3055. ラビ: ソウルジェムの真相を知らずに 魔女の真相を知らずに
  3056. ラビ: 魔女と戦う苦しみを知らずに 魔法少女は永遠の眠りにつく…
  3057. ラビ: それが一瞬であれば不幸はない
  3058. ラビ: キュゥべえを防ぐ被膜があれば、 契約する子もいなくなる
  3059. ラビ: 最後には環いろはが望む未来と 同じ光景に帰結するはず
  3060. いろは: …そうかもしれません
  3061. いろは: でも、誰かの人生の終わりを… 他人が、決めちゃいけなぃ…
  3062. いろは: それに、私は寄り添うべき 氷室さんの想いが、わからない…
  3063. ラビ: 魔法少女を救おうとした結果、 関わった人たちが不幸になる…!
  3064. ラビ: いまも苦しむ魔法少女たちを見て あなたは何も思わないの!?
  3065. ラビ: 結局、悪夢のような仕打ちを 受けるぐらいなら
  3066. ラビ: 諦めた方がいい…!
  3067. いろは: それは、わかるんですけど…!
  3068. いろは: たぶん、氷室さんは 自分にウソを吐いてますよ…!
  3069. ラビ: いえ、これは本心
  3070. いろは: 本当に、諦めてる人は… 戦おうとしません…
  3071. ラビ: ――っ!?
  3072. いろは: みんなを、苦しまないように 死なせようとするのは…
  3073. いろは: 少しは助けたいっていう想いが 氷室さんに…残ってるからです…
  3074. いろは: それに…諦めたくないから、 氷室さんは神浜市に来たはず…
  3075. ラビ: 違う…今の私は…
  3076. いろは: 諦めてる人は…戦いません…!
  3077. いろは: 戦うのは… 望む結末が…あるから、です…!
  3078. いろは: 苦しんでも…痛くても… 死にそうでも…
  3079. いろは: もがいている人たちは…みんな…
  3080. いろは: 目指している希望が…! 心に宿っているはずなんです…!
  3081. いろは: それは氷室さんの胸の中にも 宿ってますよ!
  3082. カチ…カチン…
  3083. ラビ: あ…
  3084. 那由他: 今回のパパとラビさんが抱える 問題を通して気づいたんですの
  3085. ラビ: …と言いますと?
  3086. 那由他: 実はパパもラビさんも 心が弱いって!
  3087. ラビ: いささか失礼ですね
  3088. 那由他: だから、もしもつらくなった時は バッジを見て欲しいんですの
  3089. 那由他: 私もみかげさんも ラビさんと一緒にいますの!
  3090. うい: 苦しまなかったとしてもね
  3091. うい: わたしは誰かがいなくなるのは さみしいと思うよ…?
  3092. いろは: うん…
  3093. いろは: だから、氷室さんが言うような 誰かを消すようなことは
  3094. いろは: 絶対に手伝えない…
  3095. いろは: でも、その中にある 救いたい気持ちには寄り添える
  3096. いろは: あるでしょ?
  3097. いろは: もっと、救いたいものが… もっと、残したいものが…
  3098. ラビ: …………
  3099.  
  3100. FILENAME: text_103204-15_7xz7k.txt
  3101. アレクサンドラ: ただいま戻りました♪
  3102. ラビ: おかえり
  3103. ラビ: ネオマギウスの藍家ひめなは だいぶ落ち着いた?
  3104. アレクサンドラ: はい
  3105. アレクサンドラ: ヒコ君との思い出の公園に行って ちゃんと頭の中で本人と話して
  3106. アレクサンドラ: いずれ関係を認めてもらおうって 結論に至ってからは平気そうです
  3107. ラビ: 彼女の影響で時計の針が ゼロになると思っていたけど…
  3108. アレクサンドラ: 何事もなくて良かったです♪
  3109. アレクサンドラ: 羽根のみんなも含めて、 仲良くやれてるみたいですし
  3110. アレクサンドラ: うふふっ♪
  3111. 旭: もはやサーシャは ネオマギウスの人でありますな
  3112. うらら: そう言ったら旭さんも 時女一族の人なんよ
  3113. 旭: 我は最初から時女一族の分家 何も変わってないでありますよ
  3114. 旭: それに、うららの方こそ どうなんでありますか
  3115. 旭: 心はプロミストブラッドと 共にあるようであります
  3116. うらら: ウチは結菜さんたちの人柄が 好きなだけなんよ
  3117. うらら: 忠誠心みたいな濃いぃ感覚は 持ってないんよ
  3118. ラビ: 何はともあれ、居場所ができる ということは良いこと
  3119. ラビ: 午前0時のフォークロアは、 諦念と悲しみにまみれたグループ
  3120. ラビ: それに、 付き合いが長いわけでもないから
  3121. ラビ: 抜けたければ、 いつ抜けて行っても構わない
  3122. 旭: さみしいことを言うでありますな
  3123. 旭: もしかしてラビは すねてるのでありますか?
  3124. うらら: 可愛いんよラビさん
  3125. ラビ: え、そんなつもりは…
  3126. アレクサンドラ: ふふ♪
  3127. アレクサンドラ: 神浜市に来たばかりの頃とは 逆になってますね
  3128. ラビ: 意味がわからない…
  3129. アレクサンドラ: 那由他ちゃんたちとの関係を見て 羨ましかったんです
  3130. アレクサンドラ: ラビちゃんにフォークロア以外の 居場所ができちゃったって
  3131. ラビ: …知らなかった
  3132. うらら: だから、フォークロアがあって みんなも他の居場所があって
  3133. うらら: これでちょうど良い気がするんよ
  3134. 旭: それに、かつての苦しみを 分かち合った仲間であります
  3135. 旭: 我々は我々で繋がっているのが 最良でありますよ
  3136. ラビ: そうか…
  3137. ラビ: …………
  3138. 旭: 急に考え込んだであります
  3139. ラビ: …私たちだけがグループを繋ぐ 架け橋になれるのだなと…
  3140. ラビ: このまま平和裡に戦いが終わり
  3141. ラビ: 自動浄化システムによって 魔女にならない世になったあと
  3142. ラビ: 私たちのような存在にこそ 意味が生まれるのかもしれない
  3143. ラビ: なんとなくそう思った
  3144. 旭: このまま諦念に終わらず 希望が残ればいいでありますな
  3145. アレクサンドラ: せっかくここまで繋がれたのは 奇跡ですからね♪
  3146. うらら: ちょっとぐらいウチらだって 喜べる時が欲しいんよ!
  3147. ラビ: そう…少しだけ… 前を見てもいいのかもしれない…
  3148. ラビ: 私も…本当は… 前を向いて進みたい…
  3149. ラビ: 本当は諦めたくない…
  3150. ラビ: 那由他や教授たちと一緒に、 希望を見ていたい…!
  3151. いろは: 見ていていいんです だから最後にあがきましょう
  3152. うい: わたしたちと一緒に 未来を掴み取ろうよ!
  3153. カチ…カチン…
  3154. ラビ: ――っ!?
  3155. ラビ: そう…
  3156. ラビ: あなたも私が未来へ進むのを 促してくれるのか…
  3157. ラビ: ぐ…くぁああッ…!!
  3158. いろは: ウゥッ…
  3159. うい: お姉ちゃん…! 氷室…さん…!
  3160. userName: モギュゥゥ…
  3161. いろは: 氷室さんの想いが…変わって… キモチが、あらがってる…
  3162. ラビ: 環、さん…お願い…!
  3163. いろは: 大丈夫…死なない…
  3164. いろは: 死にたくなるぐらい苦しくても…
  3165. いろは: 私が、氷室さんから…剥がして… キモチを…受け入れる…!
  3166.  
  3167. FILENAME: text_103204-16_7xz7k.txt
  3168. いろは: キモチのみんな…! まだ魔法少女は死んでない…!
  3169. いろは: どれだけつらい状況でも まだ、生きてるの…!
  3170. いろは: だから、宇宙なんかに怯えないで 最後に力を貸して!
  3171. いろは: 救いを求めていた魔法少女たちが ひとつになった今だからこそ
  3172. いろは: 私は証明したいの!
  3173. いろは: 希望から絶望が生まれる結末 じゃなくて
  3174. いろは: 絶望から希望が生まれる結末も あるんだっていうことを!
  3175. いろは: 私がみんなを絶対に魔女になんか させないから!
  3176.  
  3177. FILENAME: text_103204-17_7xz7k.txt
  3178. いろは: はぁ…ぅ…ふぅ…
  3179. いろは: 良かった… 苦しみが消えていく…
  3180. いろは: キモチのみんなが わかってくれたのかな…
  3181. うい: ふふっ、それこそ、 抵抗するのを諦めたみたいだよ
  3182. いろは: え、どうして…?
  3183. うい: わたしとuserNameも お姉ちゃんに協力してたでしょ?
  3184. うい: 手を重ねて繋がり合ってたから これ以上、ムリをされると
  3185. うい: わたしとuserNameも 危なかったんだって
  3186. いろは: そっか…
  3187. いろは: ふたりがいなくなっちゃうと キモチも戻れなくなるもんね
  3188. うい: うん、そういうことみたい
  3189. いろは: うん…
  3190. いろは: キモチの力がひとつずつ 私に流れ込んでくる…
  3191. うい: これで、キモチのみんなも ひとつになれるね
  3192. userName: モッ、モキュ…!?
  3193. うい: あれ…
  3194. うい: なんだかキモチが糸みたいに
  3195. うい: わたしたちもお姉ちゃんに 縫いつけられてくみたい
  3196. いろは: なんだろう、不思議な感じ
  3197. いろは: これが真に信頼しあって ひとつになる感覚なのかな…
  3198. ラビ: ―ラビ― 環さん、大丈夫?
  3199. ラビ: ―ラビ― その姿って私と同じで キモチに影響されてるんじゃ…
  3200. いろは: ―いろは― そうなんだけど、大丈夫だと思う
  3201. いろは: ―いろは― キモチのみんなが 悪さをしてるわけじゃないから
  3202. いろは: ―いろは― たぶん、キモチの力が流れてきて ういとuserNameも一緒だったから
  3203. いろは: ―いろは― 一時的に力が溶け合った結果だと思う
  3204. ラビ: ―ラビ― でも、戻らなくても危険ではなさそう
  3205. いろは: ―いろは― ええっ…
  3206. ラビ: ―ラビ― だって私が見てきた何よりも 優しさに満ちてるような気がするから…
  3207. ラビ: ―ラビ― …あなたは恐ろしくも不思議な人
  3208. ラビ: ―ラビ― 学んだ知識でもなければ、才能でもない ただ計り知れない綺麗な心の器がある
  3209. ラビ: ―ラビ― あなたを強くして周りが惹かれるのは その器で私たちの涙を受け止めるからだろう
  3210. いろは: ―いろは― 私は世間知らずだし、ただの頑固者だよ ただ悲しいのが嫌なだけで…
  3211. ラビ: ―ラビ― それでいいと思うから あなたが全てのキモチを持って証明して欲しい
  3212. ラビ: ―ラビ― 希望で終わる未来を
  3213. いろは: ―いろは― そうだね
  3214. かごめ: いろはさん…!いろはさん…!
  3215. いろは: ん…ぅ…あ… ういとuserNameは!?
  3216. いろは: 溶けてない!?
  3217. かごめ: え、とけ…?
  3218. うい: ピンピンしてるよお姉ちゃん
  3219. userName: モキュッ!
  3220. いろは: はぁ…よかったぁ…
  3221. ラビ: その様子だと大丈夫そう
  3222. いろは: 氷室さん
  3223. いろは: はい、暴走もしないですし、 ちゃんと落ち着いてます
  3224. いろは: 他のみんなは…?
  3225. かごめ: …ひめなさんは魔力がギリギリで
  3226. かごめ: 紅晴さんと静香さんは、 まだ回復に時間がかかりそうです
  3227. ひめな: そーいうわけだから… ラビりんは責任とって…!
  3228. 結菜: そう、ここから先は… 任せたわぁ…
  3229. 静香: 自動浄化システムを奪って、 私たちの未来を作って…
  3230. ラビ: 私は皆さんの足を引っ張った上 すべての魔法少女を殺そうとした
  3231. ラビ: それに対して言える言葉は、 何もありませんが…
  3232. ラビ: 殺そうとした分だけ生かします
  3233. ラビ: 生かせる未来を残してきます
  3234. いろは: うん
  3235. いろは: 希望が繋がったいまの状況が 最善だって思うようにして
  3236. いろは: 私たちでやれることをやろう
  3237. うい: …………
  3238. 灯花: 今起きてる状況も“あの仮説”に 含めていい気がする!
  3239. ねむ: 佐鳥かごめから聞いた 二木や時女の話と類似してるしね
  3240. うい: あの仮説?
  3241. ねむ: まだ調査が進んでないから、 僕と灯花との間での秘密だよ
  3242. うい: えーそうなの…?
  3243. 灯花: ういの悲しい顔は見たくないけど こればかりは我慢して
  3244. うい: じゃあいつになったら 教えてくれる?
  3245. ねむ: 前に僕と灯花が考えてることを秘密にして どこかで説明する約束だったよね 端的に言うと魔法少女の話を広めるために 僕と灯花は自分の命を使おうと思っている
  3246. ねむ: 諦念を語る人たちの手前、詳細は語れないけど 成功すれば万年桜は生きているはずだ つまり僕達は命を使うけれども 実質死んでない状態になる
  3247. ねむ: だけど僕と灯花の計画はふたりで完結しない 佐鳥かごめとお姉さんとうい 3人の力が必須になるんだ
  3248. ねむ: だから約束して欲しい 必ずそのときがやってくるまで生きていて欲しい 僕と灯花の命を賭けた最大の賭けは その条件が成立して初めて成功に向かう
  3249. かごめ: ういちゃん…?
  3250. うい: かごめさん…
  3251. うい: 灯花ちゃんとねむちゃんはきっと 気づいてたんだと思う
  3252. うい: 午前0時のフォークロアの人が 心配していた宇宙のこと…
  3253. かごめ: え…?
  3254. うい: それに、わたしが気づくことも わかってたのかも…
  3255. かごめ: 灯花ちゃんとねむちゃんの目的が わかったの…?
  3256. うい: ふたりがしようとしてることは わからないけど…
  3257. うい: それでも、なんとなくわかる…
  3258. うい: キモチも自動浄化システムも 元はイブだったわたし…
  3259. うい: お姉ちゃんがuserNameと 一緒に取り戻したとしても
  3260. うい: それじゃ、ダメかも…
  3261. かごめ: でも、キュゥべえができるって 言ったっていうことは
  3262. うい: できると思うけど
  3263. うい: 絶対に大丈夫だって思える方法に しないとだめなんだよ
  3264. かごめ: それって、ういちゃん…
  3265. うい: うん、わたし決めたよ
  3266. うい: わたしがコアになって 自動浄化システムとひとつになる
  3267.  
  3268. FILENAME: text_103205-1_7xz7k.txt [Episode 5]
  3269. いろは: 魔法少女はたった3人だけど それでもやれる
  3270. うい: わたしたちが残ったことに きっと意味があるんだよ
  3271. いろは: うん、だから大丈夫 自動浄化システムを取り戻そう
  3272. ラビ: ええ、必ず…
  3273. かごめ: いろはさんは自分の決めた覚悟に対して 何もできていないって悩んでたみたいだけど ちゃんと氷室さんの心に火を点けて 今もみんなを助けるために進み続けている
  3274. かごめ: ういちゃんも灯花ちゃんとねむちゃんの 考えに気づいて覚悟を決めたみたい そして自分の手で未来を切り開くために 自動浄化システムのコアになろうとしている
  3275. かごめ: それなら、私も…
  3276. 灯花: これだけは約束してくれるかにゃ
  3277. かごめ: な、なに…?
  3278. 灯花: 絶対に手記を止めないこと 多くの魔法少女に取材すること
  3279. 灯花: 今まで通り、魔法少女たちから 手記に魔力を込めてもらうこと
  3280. 灯花: それを命を落とすまで続けて
  3281. うい: うん、わたし決めたよ
  3282. うい: わたしがコアになって 自動浄化システムとひとつになる
  3283. かごめ: (ようやく見えた…)
  3284. 御園 かりん: 勝訴なの!
  3285. 御園 かりん: 人は滅んだりしないし 悲しみや絶望で終わったりしない
  3286. 御園 かりん: 環先輩たちは耐えて、 自動浄化システムに入ったの!
  3287. みこと: ひめなちゃんのスマホを使って せっかく演出してみたのにぃ…
  3288. アリナ: 捨てられた時間とリンクするとか アメイジングだったケド
  3289. アリナ: 意味はなかったみたいだヨネ
  3290. アリナ: だけど、これで アナタとしては本気なワケ?
  3291. 御園 かりん: ちょっと、アリナ先輩!?
  3292. アリナ: 今回の環いろはたちの行動は さすがにゾックゾクしたケド
  3293. アリナ: アリナ的には ちょっと物足りないワケ
  3294. みこと: じゃあ、アリナちゃん 私に私を渡してくれる?
  3295. みこと: この先にいる鏡の魔女はね まだ不完全なの
  3296. みこと: 魔女になる時にこうして人格を 分離させちゃったから
  3297. アリナ: つまり、アリナがアナタを魔女に プレゼントすればいいワケ?
  3298. みこと: そう
  3299. みこと: そしたら本当の私ができあがって 最高の滅びを見せてあげられる
  3300. アリナ: アハッ、オッケー
  3301. 御園 かりん: じゃないの! 意味がわからないの!
  3302. アリナ: フールガール
  3303. アリナ: サクセスするかは わからないカラ
  3304. アリナ: あなたとひとつ プロミスを交わしてアゲル
  3305. 御園 かりん: な、なんの、約束なの…?
  3306. アリナ: 瀬奈みことが神浜市を 滅ぼすことにサクセスすれば
  3307. アリナ: アリナはサッドネスで終わる 人間の未来を信じて
  3308. アリナ: これからも滅びを追求するワケ
  3309. アリナ: だけどサクセスしなければ ハピネスで終わる未来を信じて
  3310. アリナ: アナタの改心計画にのってアゲル
  3311. 御園 かりん: えっと、変なのおかしいの!
  3312. 御園 かりん: そもそも、滅ぼすかどうかが 条件なのはおかしいの!
  3313. アリナ: だけど、もう決めたカラ
  3314. みこと: じゃあ、アリナちゃん 魔女の所に案内してあげるね
  3315. みこと: そしてかりんちゃんは…?
  3316. アリナ: バトルのフィナーレまで オーディエンスでオーケー
  3317. みこと: じゃあ、出て行ってもらうね
  3318. 御園 かりん: そんな、アリナ先輩!
  3319. アリナ: バイバイ、御園かりん 結果を楽しみにしててヨネ
  3320.  
  3321. FILENAME: text_103205-2_7xz7k.txt
  3322. いろは: キュゥべえ…
  3323. キュゥべえ: キミならいずれ またここに来ると思っていたよ
  3324. キュゥべえ: 環いろは
  3325. いろは: あなたが氷室さんとキモチを 利用してたから時間がかかったの
  3326. キュゥべえ: ボクとしては、氷室ラビが 残った魔法少女を倒して
  3327. キュゥべえ: ひとりで来ることを 期待していたけどね
  3328. ラビ: 私は最後に 賭けてみることにした
  3329. ラビ: 倒れた魔法少女たちがみんな 再び立ち上がることに
  3330. いろは: そう、私たちは最後まで 希望を諦めたりなんてしない
  3331. いろは: だから、自動浄化システムを 返してもらうよキュゥべえ
  3332. キュゥべえ: …………
  3333. うい: …お姉ちゃん ここからはわたしに行かせて
  3334. うい: ずっと怖かったけど、 わたしがコアになる
  3335. いろは: えっ…
  3336. うい: それを灯花ちゃんとねむちゃんも 望んでるってわかったから
  3337. いろは: でも、また暴走なんてしたら
  3338. うい: わたし、契約したばっかりの 魔法少女じゃないよ?
  3339. うい: お姉ちゃんやみんなのおかげで 心も体も強くなったんだから
  3340. うい: だから、お姉ちゃん わたしを信じて
  3341. いろは: わかった
  3342. いろは: キモチは私が持ってるから 自動浄化システムは任せるね
  3343. うい: うん
  3344. うい: そこをどいて、キュゥべえ
  3345. キュゥべえ: 確かにキミの存在は脅威だ
  3346. ラビ: …何か余裕を感じる?
  3347. ラビ: キュゥべえ… あなた…また何かした…?
  3348. キュゥべえ: いいや、ボクは前からずっと コアで在り続けていた
  3349. キュゥべえ: 先ほどと違うことがあるとすれば ひとつだけ
  3350. キュゥべえ: 「ボクが自動浄化システムを 完全にコントロールできるようなった ということだね」
  3351. ラビ: なっ…
  3352. いろは: うそ…
  3353. キュゥべえ: 氷室ラビではなく環いろはが キモチを連れてきたのは
  3354. キュゥべえ: ボクにとって誤算だったけど
  3355. キュゥべえ: 氷室ラビが 時間を稼いでくれたおかげで
  3356. キュゥべえ: ようやく制御することが できたんだ
  3357. キュゥべえ: 環いろはとuserNameを 確保できたのも大きかった
  3358. キュゥべえ: 短時間ではあるけど、 調べることができたからね
  3359. いろは: そんな、あの時に…
  3360. いろは: あと、制御って…! もしかしてキモチのみんなも…?
  3361. キュゥべえ: ブレスレットを離れた瞬間に ボクの支配下に置かれる
  3362. キュゥべえ: イブと同じように ひとつに戻ることはできないけど
  3363. キュゥべえ: 使い魔のように使役することは 可能になるかもしれないね
  3364. キュゥべえ: それに、この自動浄化システムを 移動させることもできるはずだ
  3365. キュゥべえ: すぐには無理だろうけど、 しばらく実験させてもらうよ
  3366. ラビ: それじゃあ… 那由他やみかげさんは…
  3367. ラビ: それに他の方たちも…!
  3368. キュゥべえ: 彼女たちから、より効率良く エネルギーを回収するためにも
  3369. キュゥべえ: ボクはドッペルによる魔女化の 回避を、実行するつもりはない
  3370. キュゥべえ: でも、それが魔法少女にとって 本来の役目なんだ
  3371. キュゥべえ: キミたち魔法少女の犠牲は、 この星や宇宙といった
  3372. キュゥべえ: すべての未来を 救うことになるからね
  3373. うい: 違う!
  3374. うい: わたしたちは そんなこと望んでない!
  3375. うい: みんなが生きてて夢を追いかけて 未来を見続けていられる
  3376. うい: そんな日々が欲しいから、 頑張ってたの!
  3377. いろは: うい、何をするつもり!?
  3378. ラビ: まさか、キュゥべえを…
  3379. うい: ここが自動浄化システムのコアで キュゥべえが目の前に居るなら
  3380. うい: キュゥべえを倒して わたしが今すぐコアになる!
  3381.  
  3382. FILENAME: text_103205-3_7xz7k.txt
  3383. うい: はぁ…ふぅ…倒した…?
  3384. いろは: うい、何か変わったところは? なんだか妙な感じがして…
  3385. ラビ: ええ…
  3386. ラビ: 奪い返されるというのに キュゥべえには余裕が感じられた
  3387. いろは: まさか、私が閉じ込められた時と 同じように罠だったんじゃ…
  3388. うい: ううん、別になんともない…
  3389. ラビ: それは、むしろ安心できない
  3390. ラビ: あなたが、キュゥべえを倒して コアになったのであれば
  3391. ラビ: 何かしら異変があっていいはず…
  3392. うい: あ…そっか…
  3393. キュゥべえの声: コアになるのは諦めた方がいいよ
  3394. うい: キュゥべえ…!
  3395. いろは: 別の個体…?
  3396. いろは: でもコアのキュゥべえはさっき 倒したはずで…
  3397. うい: それでも、自動浄化システムの コアになれなかった…?
  3398. キュゥべえ: キミたち人類とボクは 同じじゃないからね
  3399. キュゥべえ: キミたちは個体ひとつひとつに 固執しているようだけど
  3400. キュゥべえ: ボクたちはすべての個体を通して ひとつのキュゥべえなんだ
  3401. キュゥべえ: だから個体をひとつ失っても 問題ないっていうことだよ
  3402. うい: それ、どういうこと…?
  3403. いろは: つまり、キュゥべえがコアとして 完全に一体になった時点で
  3404. いろは: 世界中…もしかしたら宇宙にいる すべてのキュゥべえを消さないと
  3405. いろは: 自動浄化システムを 取り返すことはできなくなった?
  3406. キュゥべえ: 範囲に限界はあるから ボクにもハッキリとは言えないよ
  3407. キュゥべえ: だけど、その可能性は十分に あるかもしれないね
  3408. うい: 世界…宇宙なんて… とてもじゃないけどムリだよ…
  3409. ラビの声: 危ない…!
  3410. うい: キャッ!
  3411. うい: ありがとう…
  3412. ラビ: 環ういまで捕獲しようなんて 油断も隙もない…
  3413. キュゥべえ: 環うい本人がいれば、安定した システムの運用が可能なんだ
  3414. キュゥべえ: それに環いろはからキモチを 取り戻した時に
  3415. キュゥべえ: 環ういというパーツさえあれば 肉体を維持することだってできる
  3416. ラビ: そんな、理屈を 聞きたかったわけじゃない…!
  3417. うい: …氷室さん
  3418. ラビ: 結局、私たちは最後まで翻弄され 絶望に堕ちるしかないのか…
  3419. いろは: 諦めない…何か…何かきっと…
  3420. いろは: やちよさんなら… 鶴乃ちゃんならどうする…?
  3421. いろは: 灯花ちゃんとねむちゃんなら…
  3422. いろは: ……………………
  3423. いろは: …………
  3424. いろは: ダメ…何もでてこない…
  3425. ラビ: 宇宙を相手になんてできない…
  3426. うい: やだよ、ここまで みんなで頑張ってきたのに…
  3427. かごめ: …………
  3428. かごめ: …うん、行くねリィちゃん
  3429. かごめ: アルちゃんも、 私を最後まで守って…
  3430.  
  3431. FILENAME: text_103205-4_7xz7k.txt
  3432. かごめ: たぶん私は他の子たちよりも 少しだけ強い因果を背負っていて だからキュゥべえも 私に何度も契約を迫ってきたんだと思う
  3433. かごめ: 願いはひとつだけ できることや叶い方だって千差万別
  3434. かごめ: 願い事って言われると色々と思い描くけど みんなに取材をして良かったと思う
  3435. かごめ: “魔法少女同士の争いを止めて”
  3436. かごめ: 魔法少女が争わなくなるだけで グリーフシードの数は変わらないから意味がない
  3437. かごめ: “魔法少女の存在を世間に広めて欲しい”
  3438. かごめ: 湯国市と同じでヒドい目に遭うかもしれないし 大人に利用されるかもしれないから 段階を踏まないと怖い結果になるのが見える
  3439. かごめ: “みんなの命を助けて欲しい” “氷室さんを助けて欲しい” “私自身が自動浄化システムのコアになる”
  3440. かごめ: 魔法少女のことを知っているほど 願いの数はたくさん出てくる
  3441. かごめ: だけど、様々なリスクが頭の中をよぎって 本当に願って良いのかわからなくなって ずっと自分の中で覚悟ができないままだった
  3442. かごめ: それに、取材をするみんなが 魔法少女になって欲しそうじゃなかったから…
  3443. かごめ: それでも私はいま ようやく自分の願いがわかった
  3444. 今も目を閉じれば聞こえて来る!
  3445. 結菜: 私の前で消えて行った 魔法少女たちの断末魔が…!
  3446. 結菜: だから、だから私たちは 自動浄化システムを頂くのよぉ…
  3447. 結菜: 私たちの血で作られたものを 贖罪の証としてねぇ
  3448. かごめ: そう、みんなが望んでいたものを 生かさないといけない
  3449. ちはる: 久兵衛様に相談したら 神浜のことを教えてくれたんだよ
  3450. ちはる: 魔女にならない不思議な力、 自動浄化システムがあるって
  3451. すなお: ただ、それが奪うことになるとは 思いませんでしたけど…
  3452. 静香: でも私は 魔女にならない力が欲しい
  3453. 静香: それがあれば、安心して私たちは 日の本のために戦えるから
  3454. かごめ: 魔法少女たちの命を生かせるものが いま目の前にあるんだから
  3455. はぐむ: 魔法少女が人類の上に立つ そんな組織を作るんです…
  3456. はぐむ: みんなが馬鹿にされずに 認められるような社会にして
  3457. はぐむ: 平穏に生きられるように…
  3458. はぐむ: その、ためにも 手に入れないといけない…
  3459. 時雨: …………
  3460. 時雨: きっと手に入れたら 魔法少女が付いてきてくれる
  3461. かごめ: それは魔法少女のみんなに希望を与えて 知ってもらえる機会だって与えられる
  3462. いろは: 『神浜に来た魔法少女はみんな 未来への希望を持っているからこそ 救いを求めて戦っている』
  3463. いろは: 『その希望は魔法少女にとって 等しく尊くて大切なもののはずなのに 今の私たちは誰かの希望を奪いながら 自分の希望を叶えようとしている…』
  3464. いろは: 『だから私は 誰かの希望も救いも否定しないで ひとつひとつ叶えられるように “みんなが生きられる世界を作りたい”』
  3465. かごめ: そして何より、争いのない未来を作って…!
  3466. ラビ: 私も…本当は… 前を向いて進みたい…
  3467. ラビ: 本当は諦めたくない…
  3468. ラビ: 那由他や教授たちと一緒に、 希望を見ていたい…!
  3469. かごめ: 悲しみや絶望では終わらない 希望を残し続けることができる!
  3470. かごめ: みんなが傷つきながら紡いだ奇跡を残せるのは 私しかいないから この命をかけて希望の架け橋を築く!
  3471. かごめ: キュゥべえ、 私は魔法少女になる
  3472. かごめ: だから願いを叶えて!
  3473. キュゥべえ: ――っ!!
  3474. かごめ: 私はね…
  3475. かごめ: 「キュゥべえ、あなたたちを 未来永劫、自動浄化システムに 干渉できなくする力が欲しい!」
  3476.  
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  3478. かごめ: 「キュゥべえ、あなたたちを 未来永劫、自動浄化システムに 干渉できなくする力が欲しい!」
  3479. いろは: かごめちゃん!?
  3480. うい: そんな、契約しちゃったら 同じ宿命を背負うのに!
  3481. かごめ: いいの、私は信じてるから
  3482. かごめ: 自動浄化システムを得たあとで 魔法少女の未来は良くなるって
  3483. キュゥべえ: まさか、キミはこうなることを 予想してたのかい?
  3484. キュゥべえ: だけど、その願いで ボクを排除したところで
  3485. キュゥべえ: 環ういが自動浄化システムを 制御しきれるとは限らない
  3486. キュゥべえ: この状況を覆すことなんて できないかもしれないのに
  3487. キュゥべえ: キミはそんな不確かな 可能性のために
  3488. キュゥべえ: その魂を差し出すというのかい?
  3489. かごめ: あなたの言葉は 最初から私には必要ないよ
  3490. かごめ: 必要なのはひとつだけ
  3491. かごめ: あなたに私の願いを 叶えてもらうことだから!
  3492. キュゥべえ: キミの願いは叶ったよ 佐鳥かごめ
  3493. アルちゃん: <全部、ちゃんと聞いてたよ かごめちゃん!>
  3494. かごめ: ふぇあっ!? アルちゃんがしゃべった!?
  3495. アルちゃん: <私とかごめちゃんは 一心同体なんだから当然>
  3496. アルちゃん: <ほら、早く私たちで 魔法少女のみんなを助けよう!>
  3497. かごめ: うん!
  3498. かごめ&アルちゃん: みんなの希望が詰まった この自動浄化システムを
  3499. かごめ&アルちゃん: 返してもらうよ、キュゥべえ!!
  3500. キュゥべえ: キュッ!
  3501. かごめ: ういちゃん、今のうちに!
  3502. うい: うんっ!
  3503. うい: つながったかも… なんともないよ…大丈夫…
  3504. うい: ――っ!?
  3505. いろは: うい、どうしたの?
  3506. うい: わかる…
  3507. うい: 神浜市の中から 干渉してくる力がある…!
  3508. かごめ: 大丈夫だよ、ういちゃん 私に任せて
  3509. かごめ: 干渉できなくなってるから 放っておいても平気だと思うけど
  3510. かごめ: 最後まで邪魔をするつもりなら 私の力で食い止めないと!
  3511. いろは&うい: ありがとう、かごめちゃん! ありがとう、かごめさん!
  3512. かごめ: 任せてください!
  3513. かごめ: キュゥべえの位置がわかる
  3514. アルちゃん: <かごめちゃん>
  3515. アルちゃん: <私も頑張っちゃうから 町の真ん中へ飛んでいこう>
  3516. かごめ: えっ、どういうこと?
  3517. アルちゃん: <つまり、こういうこと!>
  3518. かごめの声: 「きゃぁああッ!」
  3519. アルちゃん: <こうして空から私たちの力で 一掃しちゃうの>
  3520. アルちゃん: <世界中のキュゥべえが いなくなるわけじゃないけど>
  3521. かごめ: そうだね、少しの間は 大人しくしてくれるかも
  3522. アルちゃん: <それじゃあ、いくよ!>
  3523. かごめ: うんっ、せーの!
  3524. かごめ: ―かごめ― いっけぇえええええええッ!!
  3525. アルちゃん: ―アルちゃん― <私の葉っぱがキュゥべえを見つけ出して そのまま潰しちゃうよ!>
  3526. かごめ: ―かごめ― アルちゃんの作戦大成功だよ
  3527. かごめ: ―かごめ― 自動浄化システムへの干渉が 抑えられていくのを感じる気がする!
  3528. かごめ: ―かごめ― …ねえ、アルちゃん 私の願いは間違ってなかったかな?
  3529. かごめ: ―かごめ― ちゃんと魔法少女の未来のために使えたと思う?
  3530. アルちゃん: ―アルちゃん― <かごめちゃん自身が出した答えなら きっと間違いじゃないし正解だと思うよ>
  3531. かごめ: ―かごめ― 本当に?
  3532. アルちゃん: ―アルちゃん― <だって最近、かごめちゃんは私に頼らず 自分でしゃべってたでしょ?>
  3533. かごめ: ―かごめ― え?
  3534. アルちゃん: ―アルちゃん― <気づかなかったなら一番いいと思う ちゃんと自分の言葉で話せてたんだよ>
  3535. アルちゃん: ―アルちゃん― <成長したね>
  3536. かごめ: お願い…私も変わりたいの… 臆病で誰かに守られる私から…
  3537. かごめ: 転校してきて、孤独で… 泣いてばかりで
  3538. かごめ: 手を差し伸べられるのを 待ってるだけの私から…!
  3539. かごめ: だから私は誰かのための 佐鳥かごめになりたい…!
  3540. かごめ: 私を魔女から助けてくれた いろはさんたち
  3541. かごめ: 魔法少女のために!!
  3542. かごめ: そっか…ようやく私は あの時の思いを果たせたのかも
  3543. みこと: さあ、ここから奧に入ると いよいよ私の私室だよ
  3544. アリナ: そこでアナタの記憶を返せば オッケーってことだヨネ
  3545. みこと: そう、滅びを見せてあげる
  3546. みこと: タイミングもいいみたいだし、 本当に実現できるかも
  3547. みこと: んふふっ
  3548. アリナ: マーベラスな ショーになるってワケ?
  3549. みこと: そう、だって 私が私に帰る喜びだけじゃなくて
  3550. みこと: 大切な人に裏切られちゃった 怒りも持ってるみたいだから
  3551. かごめ: なに…これ…
  3552. かごめ: 紙…?
  3553. 誓約ショ ワタシハ、魔ホウ少ジョヲ 滅ボスコトヲ、誓イマ、ス ナマエ:________
  3554. かごめ: 私、知らないよ… 魔法少女なんて、知らない…!
  3555. 誓約ショ ワタシハ、魔ホウ少ジョヲ 滅ボスコトヲ、誓イマ、ス ナマエ:________
  3556. かごめ: ほんとだよ! 何も知らないの!
  3557. 菫wp*斬翫Лq!!
  3558. かごめ: ヒッ…
  3559. かごめ: なに…? 書けばいいの…?
  3560. かごめ: ここに、 私の名前を書けば…
  3561. かごめ: これは、始まり
  3562. かごめ: 私と魔法少女を結び付ける出来事で 誰かのための佐鳥かごめになるまでの 物語の始まり
  3563. かごめ: いま、ここで伝えられる 魔法少女たちが望む未来は残り5つ
  3564. かごめ: 紹介できなかったものもあるけれど 私たちは希望を携えながら 未来へ行くのを夢見続けている
  3565. ―取材記録― 篠目 ヨヅル
  3566. ヨヅル: 「将来のことを尋ねられると困りますね。 調整を学ばせてもらうだけで精一杯ですし 私自身が普通に生活を送るだけの自信が まだありませんので…」
  3567. ヨヅル: 「失ってしまったものは仕方ないとはいえ 誰かを思いやる心を取り戻せば、 私は再び苦悶の末に魔女になってしまうので、 なんとか迷惑をかけずに生きる術を 身に付けざるを得ないのです」
  3568. ヨヅル: 「ですが、メモに頼るなと先生に言われてから 感覚で判断するように努めていたところ、 最近は優しくするタイミングを 掴めるようになった気がするんです」
  3569. ヨヅル: 「例えば月出里の腕に虫がとまったとしても、 普段の私であれば何とも思いません。 噛まれて痛いのを知っていても何も思いません」
  3570. ヨヅル: 「それでも、相手にマイナスの結果を生むと 先が読めるようになれば、 それを食い止めるようにすればいいと 気づいたんです」
  3571. ヨヅル: 「だから、道半ばではありますが、 もう少しだけでも自身の感覚を磨いて、 改めて堂々と生きられたらと思います」
  3572. ヨヅル: 「…そう、これこそが小さいことであっても、 今の私にとっては将来の目標です。 きっと先生や月出里に対しても、 最初の恩返しになると思いますので」
  3573. ヨヅル: 「あとは、もしも優しさが理解できれば 改めて母の気持ちと向き合いたいですね。 私が産まれた時の思いと 彼女が死んだ時の思いを照らし合わせたい…」
  3574. ―取材記録― 佐和 月出里
  3575. こちらの文章は、同席してもらった ヨヅルさんに翻訳してもらったものです
  3576. 月出里: 「こんなこと言ったらリヴィアさんに 怒られちゃうかもしれないけど わたしは、自分の未来のことなんて 望んでもいい存在じゃないと思ってるの」
  3577. 月出里: 「わたしの願い事のせいで 亡くなった子は多いし、 失われちゃった命はもう 取り戻すことはできないから」
  3578. 月出里: 「願い事ができたとしても叶えないと思う。 キュゥべえと関わってるとわかるもん。 摂理を捻じ曲げるような願い事をすると、 幸せな結果にはならないって…」
  3579. 月出里: 「だからね、できるのはこれからの事だけ。 マイナスをゼロにはできないけど、 それだけ良い人になるだけ」
  3580. 月出里: 「本当だったら初めてできた友だちの ミィちゃんとはもっと仲良くしたい。 わたしがどんな過去を背負ってても きっと更生できるって待ってくれるから」
  3581. 月出里: 「…ヨヅルに対してもリヴィアさんに 対してもそうなんだけど…ふとした時に 自分の周りには断崖絶壁があって 誰の手も取れない気がするの」
  3582. 月出里: 「それはたぶん、罪の崖… 良いことをたくさんしても埋まらない…」
  3583. 月出里: 「でも、全部は埋めなくてもいいから 大切な人のそばには届くように 少しだけでも埋められたらいいなって 最近はそう思うの」
  3584. ―取材記録― 栗栖 アレクサンドラ
  3585. アレクサンドラ: 「あらあら、わざわざ私の家まで 訪ねて頂いてありがとうございます♪」
  3586. アレクサンドラ: 「事前に話は伺っていたので、 お茶菓子を用意しておきました。 良ければ一緒に食べましょう。 ふふっ♪」
  3587. アレクサンドラ: 「とは言ってもですね、 噂はかねがね聞いていたので、 もう私の中では答えを用意してるんです」
  3588. アレクサンドラ: 「本当にシンプルで当然の答えですけど 私たちが恐れている結末にならず、 魔法少女が救われますようにって…」
  3589. アレクサンドラ: 「まずはそれが叶わない限り、 私は自分の未来を描けそうにありません」
  3590. アレクサンドラ: 「つらかったけど楽しかった声楽も ずっと続けてきたハープの演奏も 自分の未来を決める勉強でさえ、 今は何もかもが味気ないんです…」
  3591. アレクサンドラ: 「せめて救われなかったとしても、 それでも努力をする私の姿を見て 病気の子たちや他の不遇な子たちが 奮い立つようなことができればいいって 思ったりもするんですけど」
  3592. アレクサンドラ: 「魔法少女なんて誰も知らないでしょ? だからね、この自分の不幸を 誰かに役立てることすら 今の私にはできないと思うんです…」
  3593. アレクサンドラ: 「願いを叶えている手前、 贅沢なことを言うなって言われそうですが、 たとえ救われなかったとしても 私たちのことを広めるのは、 十分に意味があることなのかもしれませんね」
  3594. アレクサンドラ: 「ふふっ、だから応援してますね♪」
  3595. アレクサンドラ: 「あなたのしていることが 不幸なままでも未来を作れるような 意味を持つかもしれませんから」
  3596. ―取材記録― 有愛 うらら
  3597. うらら: 「うーん、望むことって言われると すっごく難しいんよ…」
  3598. うらら: 「二木市の近くに引っ越してきたから、 このままプロミストブラッドの一員として 一緒に活動するのもありなんだけど」
  3599. うらら: 「やっぱり正式なメンバーじゃなくて どこかファンみたいな気持ちなんよ。 だからちょっと違う気がするんよ」
  3600. うらら: 「でも、そうなるとウチは また芸能の活動をして 家計を支えられるようになりたいんよ」
  3601. うらら: 「活動をやめたのは 親も納得してくれてるけど それでも、やっぱりウチとしては お家の役に立っていたいんよ」
  3602. うらら: 「それに、もう一度舞台に立てるなら 嫌われていてもいいから、 くららとはまた舞台に立ちたいんよ」
  3603. うらら: 「でも、まだムリな気がするから… あ、そうなんよ」
  3604. うらら: 「もしも魔法少女がもう少しだけでも 生きられるようになったら、 ウチはディアボロ以外の技能も磨いて ひとりでも芸能活動を続けたいんよ」
  3605. うらら: 「そして大人になった時に、 もう一度くららとちゃんと話をしたい。 心がお互いに変わってたら、 今度は通じ合えるかもしれないんよ」
  3606. うらら: 「その時はまたふたりでタッグを組んで、 最高の大道芸をみんなに見せたいんよ!」
  3607. ―取材記録― 氷室 ラビ
  3608. ラビ: 「自分には未来があるかどうか。 本当に救われるのかどうか。 その自問を続けながら 戦いの経過を見守る私たちに、 未来の話を尋ねるだなんて滑稽だ」
  3609. ラビ: 「…すみません 気遣いながら尋ねてくださったのに、 失礼な物言いになってしまいました」
  3610. ラビ: 「余命1年を宣告された人に 10年後の話を聞くようなものですからね」
  3611. ラビ: 「…ええ、だからといって 何もないというわけではありません。 むしろ、未来を考えるからこそ 私たちは苦しいんです」
  3612. ラビ: 「私も母が切り盛りする宿を継ぎたいですし 祖父が私のために作ってくれた野菜を もっと広めたいとも思っています。 それに父が集めた蔵書を読みながら、 理解を深めるために大学へも進みたい…」
  3613. ラビ: 「そう、夢が多いほど、望むことが多いほど 残された時間などないという悲しみは 心をえぐり取るように蝕んでくるものです」
  3614. ラビ: 「それでも未来にしがみつこうとするのが 私たち人間なのかもしれませんね」
  3615. ラビ: 「そもそも時間という概念の理解が 死の恐怖や未来への羨望などを生みだして そのための行動を引き起こす」
  3616. ラビ: 「社会なんて言葉が生まれたのも 人が人を殺したり危害を加えるのも 人が時間というものを理解しているから 焦りなどといった感情に紐付いて 生まれてきたものなんです」
  3617. ラビ: 「だからこそ、何もないかもしれない私は すべてを諦めていてもおかしくない。 何も行動を起こさないのが普通なんです」
  3618. ラビ: 「だけど、私は庭先で家庭菜園をしている。 それだけで答えはでているんです」
  3619. ラビ: 「私はまだ未来が欲しいって…」
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