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- FILENAME: text_103201-1_7xz7k.txt [Episode 1]
- いろは: 『私はみんなが生きられる世界を作りたい』
- いろは: 『今、神浜にいる魔法少女たちは 願いも、境遇も、目的も、全部違ってる』
- いろは: 『だけど、その根本をたどっていけば 悲しみや苦しみから逃れようとする 救われたい気持ちがポツンと残っていて それは希望を持っているからだって思ったの』
- いろは: 『そんな尊い想いを私は大切にしたいし みんなに叶えて欲しい』
- いろは: 『だから、私が戦うとしたら 争いを求める人たちを止めるためだと思う』
- いろは: 『命を奪い合うような争いは 誰かが救われる未来も、希望を叶える未来も 全て奪ってしまうから』
- いろは: あれからみんなの支えがあって 私たちは違った想いを抱えながらも 手を取り合うことができた
- いろは: でも、今までの戦いで 大切な人たちを失ったのは本当のこと…
- いろは: 振り返るほど 本当にみんなの尊い想いを大切にできたのか わからなくなってしまう
- いろは: それは、今も眠り続けている 灯花ちゃんとねむちゃんのことを考えると 余計に強くなっていって
- いろは: 偉そうなことを言うだけで 結局なにもできてないような気がする…
- ピロン♪
- いろは: はっ…
- ラビ: 神浜マギアユニオン、プロミストブラッド 時女一族、ネオマギウスの皆さまへ
- ラビ: 先般の会合でお伝えした通り 本日は9:00より 午前0時のフォークロアと湯国市について 私と里見教授よりお伝えさせていただきます
- ラビ: 場所は変わらず神浜水族館です お越しの際は、正面ではなく裏手にある 海洋生物研究所が入口になりますので ご注意ください
- いろは: …言い出しっぺの私が、 弱気になってちゃいけないよね
- いろは: 今の状況を 心の底から喜べなかったとしても
- いろは: 悲しんじゃいけない…
- いろは: (それに今は次を考えないと…)
- いろは: (どうやって自動浄化システムを キュゥべえから取り返すか…)
- キュゥべえ: 佐鳥かごめ
- キュゥべえ: キミの魔法少女の存在を広めたい という想いは変わらないんだね
- かごめ: うん…
- かごめ: 願う前から魔女になるまで 魔法少女と人が関わり続ける以上
- かごめ: どれだけ失敗していたとしても 広めるべきだと思う…
- かごめ: 魔法少女たちが願いを叶える前に 苦しんでいたことを知って
- かごめ: どんな宿命を抱えながら 魔女と戦ってきたかを知れば
- かごめ: 人はみんな少しだけ優しくなって 変わるような気がする
- かごめ: 今、神浜市でひとつになってる 魔法少女たちを見てたらね
- かごめ: そんな未来を信じてもいいって そう思えるの
- キュゥべえ: だけど、キミたちが話していた 宇宙の意思はどうするんだい?
- キュゥべえ: 本当に自浄作用なんてものが 働いてしまったら
- キュゥべえ: 今度こそ湯国市で起きたような 惨事じゃ済まされない
- キュゥべえ: 佐鳥かごめ、 キミが決めたことで
- キュゥべえ: 多くの人たちが命を落とす未来が 訪れるかもしれないよ?
- かごめ: 私は、午前0時のフォークロアが 見始めた幸せな未来を信じる
- いろはの声: お待たせ、かごめちゃん
- いろは: やちよさんたち 少し遅れるみたいだから
- いろは: …っ、キュゥべえ!?
- いろは: ま、待って!
- キュゥべえ: …………
- キュゥべえ: キミの言いたいことは わかってるよ、環いろは
- いろは: それなら、私たちに返して 自動浄化システムを…
- キュゥべえ: 悪いけど、それはできない
- いろは: お互いの意見を合わせて、 うまくまとめられない…?
- キュゥべえ: キミたちが魔女になるのを 拒む以上、相容れることはないよ
- キュゥべえ: じゃあね、環いろは
- いろは: せっかく居たから聞いてみたけど やっぱりダメだったみたい…
- かごめ: …自動浄化システムの コントロールを掌握される前に
- かごめ: なんとか取り戻せると いいですね…
- いろは: うん…
- いろは: 今はとりあえず 気を取り直して水族館に行こっか
- かごめ: …………
- かごめ: 今まで記してきた手記…
- かごめ: 次にまとめる時は当然だけど これから起きることは終わってる
- かごめ: 無事に自動浄化システムは手に入るのか 魔法少女たちはどうなってるのか 私自身はどうなってるのか
- かごめ: わからないけど、この緊張感は何だか 良い感覚じゃない気がする…
- 都 ひなの: …っし、そろそろ行くか
- 都 ひなの: ありがとうな 今日は来てくれて
- アオ: わたしがお礼を言われる 筋合いなんてないよ…
- アオ: 正直、謝る以外に 言葉なんて出てこないけど
- アオ: それでも、その一言だけでも 言えるようになって良かった…
- すなお: 読経、終わったんですね
- ちはる: ここで聞いてたりするのかな
- 南津 涼子: さくやの菩提寺は別だろ? あたしの自己満だ自己満
- ちはる: えぇ、そんなのいいの…?
- 南津 涼子: いいんだよ 相手を偲ぶ想いがあってこそだ
- FILENAME: text_103201-2_7xz7k.txt
- 太助: 「…ここまでが諦念に至るまでの経緯だ」
- 太助: 「私は魔法少女を救うために過去を追った結果 救える方法はないという恐れに支配された」
- 太助: 「その上、学生と魔法少女たちの間で起きた 湯国市での凄惨な事件に関わる中で ラビたちと共に諦念に至ってしまったんだ…」
- 那由他: 「いえ、本当はパパもラビさんたちも 完全には諦めてなかったんですの」
- 那由他: 「だから、みんなは神浜市での戦いの行く末を 見続けていたんですの 本当は救われるんじゃないかって…」
- 那由他: 「そしたら本当に奇跡が起きて パパとラビさんたちは希望を見出した」
- ラビ: はい…そうですね…
- ラビ: 「誰しもが、かつての私たちと同様に 魔法少女の存在を広めようとしていたので」
- ラビ: 「神浜市における魔法少女たちの衝突は 宇宙の意思が引き起こした自浄作用の影響であり 多くの方が亡くなると思っていました」
- ラビ: 「ですが予想は外れて犠牲は極めて少なかった」
- ラビ: 「ネオマギウスとの戦いでは多くの死者が出ると 踏んでいたものの、そうはならなかった」
- ラビ: 「私たちの前で起きた戦いの結末は 希望を信じて未来へと歩む勇気になったんです」
- ラビ: 「そして、私たち自身も 潜伏していたグループの方たちと共に 夢を追いかけたくなったんです…」
- かえで: 身を護るためなのはわかるけど 少し釈然としないかも…
- レナ: ま、虫が良すぎる話よね
- さな: 特にネオマギウスが ここまで大きくならなければ
- さな: 神浜市の人たちを巻き込む事態に なりませんでしたし…
- ひめな: それは私チャンが悪いんだって!
- ひめな: 計画は全部、私チャンとヒコ君で 決めてたんだから!
- アレクサンドラ: そんな、ひめちゃんだけが 悪いわけじゃありません…!
- 太助: 正直なところ、 本を正せば原因を作ったのは私だ
- 太助: 絶望する前に消すことが 魔法少女にできる唯一の救いだと
- 太助: 希望を見失った考えに至ったのが すべての始まりだったんだ…
- ラビ: ひとりで謝らないでください
- 旭: 我々もその考えに賛同して、 傍観していた者であります
- うらら: そうなんよ、教授ひとりだけが 背負う必要なんてないんよ
- 太助: 私は君たちを惑わせた大人だ
- 太助: 本来であれば、 頭を下げるだけでは済まないんだ
- 太助: ただ、言えた立場でないことは 重々承知しているが
- 太助: これだけはお願いしたい
- 太助: 「違う年代、違う地域、違う文化を持つ者が 手を取り合おうとしている神浜市の状況は 希有なんてものではない奇跡だ」
- 太助: 「過去に生きた魔法少女を調べても いまを生きる魔法少女と言葉を交わしても テリトリーひとつを守るために争っているのが 魔法少女たちの現状なんだ…」
- 太助: 「だから、どうか希望を取り戻したラビたちと 手を取り合って歩んで欲しい」
- 太助: 「思想を歪ませてしまった悪い大人のエゴだが どうか…お願いする…」
- 那由他: 私からも、お願いしますの…!
- やちよ: …それなら約束してください
- やちよ: 代わりに私たちを知る大人として 最後まで味方でいるって
- 太助: ああ
- 太助: 必ず魔法少女の実態を知らせる 書籍を完成させて
- 太助: 魔法少女と世間が支え合える 一助となることを誓うよ
- 那由他: 私もパパが折れないように しっかりサポートをしますの
- やちよ: それだけやってくれたら大丈夫
- やちよ: 私は異論なく手を取り合えるわ
- うい: それに誰とも争わずに 未来への希望を残すのが
- うい: お姉ちゃんの望みだもんね
- いろは: うん
- いろは: 誰かを傷つけようとしない限り 戦う理由はありません
- いろは: 神浜マギアユニオンとしては 皆さんが来るのは歓迎です
- フェリシア: 確かに怪しいところはあるけど オレは仲良くできるぞ!
- 鶴乃: というわけで
- 鶴乃: こっちは歓迎パーティーも やる勢いだけど他はどう?
- ひめな: そんなの決まってるじゃん
- ひめな: 私チャンのマイメンを 裏切ることなんてできないって★
- 静香: 元をたどれば旭も分家の出身
- 静香: 戻ってきた挨拶も済ませてるから 今さら手を離したりしないわ
- 結菜: 身を挺して二木市の魔法少女を 守ろうとしてくれたおかげで
- 結菜: 幹部以下のメンバーも うららを受け入れてくれたわぁ
- 那由他: 問題なく収拾がつきそうで 良かったですの、ラビさん
- ラビ: …那由他様 これからもよろしくお願いします
- 那由他: もちろんですの
- FILENAME: text_103201-3_7xz7k.txt
- リヴィア: お、みんな集まってるって 聞いたから来てみたけど
- リヴィア: グループのリーダー陣以外にも ぎょうさんおるみたいやな
- いろは: あ、リヴィアさん 先日はありがとうございました
- リヴィア: なんや、急に礼なんて 姫さんの仕掛けを壊したからか?
- いろは: はい、おかげさまで たくさんの命が救われました…
- リヴィア: 魔法少女を助けるんが調整屋やし 当然のことをしただけやで
- リヴィア: ちゅーか、その件はもうええよ
- リヴィア: 色んな子から感謝されて お腹いっぱいやし
- リヴィア: 姫さんになんて、 泣いて詫びられてしもたからな
- ひめな: だって、ネオマギウスのみんなを 殺してたかもしれないし
- ひめな: それを無理に止めようとして 死にかけたんでしょ?
- ひめな: ていうか、こんな所に来てて ぶっちゃけ大丈夫なの?
- リヴィア: うちには優秀な助手が ふたりもおるから平気やったよ
- リヴィア: それに、目的もあれへんのに、 こんな所けーへんて
- いろは: 午前0時のフォークロアの話なら もう終わっちゃいましたけど…
- リヴィア: あー、ちゃうちゃう 今回はみたまと十七夜の件や
- いろは: あの、ふたりはまだ 連絡すらつかない状況で…
- リヴィア: 動いてたんはユニオンだけちゃう 私らかて同じや
- リヴィア: な、月出里
- 月出里: 「ふむっ!」
- 月出里: 「ふむんむふむむむ、ふんむんむむ ふむむむ、ふんむふむむ」
- 月出里: 「ふむん、ふむんむふむむ ふっむむむふむんむむ ふんむむふむんむむ、ふむんふむんむ」
- 月出里: 「ふむむっむふんむ ふむんふむんむむむ、ふむむっむふむんむ ふむんむむ、ふんむんふむんむむ」
- 月出里: 「ふむん、ふむんむ ふむんむんむ、ふーむふむむふむんむ ふむんむむんむむふむんむむむん」
- 月出里: 「ふむんむふむんむんむむふむむ ふむんむむふんむんむむふむんむふむむむむ」
- フェリシア: お…?お?
- さな: つまり…?
- ヨヅル: 和泉様とみたまさんの居場所を 絞ることができたので
- ヨヅル: 皆さまが抱くふたりへの想いを 私たちに託してくれませんか?
- ヨヅル: 想いは言葉と違って 偽ることができませんので
- ヨヅル: ふたりを連れ戻すための役割を 十分果たしてくれるはずなんです
- ヨヅル: よろしければ先生の ソウルジェムに触れていただき
- ヨヅル: 心の声で想いを唱えながら 魔力を付与してください
- ヨヅル: そうすれば言葉の裏にある想いも しっかり受け止められますから
- ヨヅル: といったことを 月出里は申しておりました
- 月出里: ふむっ!
- リヴィア: ちゅーわけで、 お願いでけへんやろか?
- リヴィア: あんたらもキモチの石が 8つそろわんと困るやろ?
- みかげ: ミィも!ミィも一緒に行く!
- ももこ: ああ!
- ももこ: 調整屋と十七夜さんのことだろ アタシも一緒に連れて行ってくれ
- リヴィア: あんたらふたりにできることは もう全部やってもうとる
- リヴィア: 悪いけど、最後は光やのうて 闇が必要なんや
- リヴィア: 私に任せてくれへんか
- ももこ: でも…!
- リヴィア: 大丈夫や 一皮むかせて帰ってこさすから
- ももこ: …わかった、頼むよ
- リヴィア: ありがとう、アンタの想いは ちゃんと受け取ったで
- リヴィア: 他のみんなもよろしく頼むわ!
- フェリシア: んじゃオレも!
- さな: 私も…!
- うい: お姉ちゃん、わたしたちも一緒に 届けてもらおう
- いろは: うんっ
- いろは: すみません、仕掛けの一件から 頼りきりになっちゃって
- リヴィア: お礼はお客さんとして 対価をくれたらかめへんよ
- ラビ: では、午前0時のフォークロア 定例報告を始めよう
- 旭: …とは言っても、報告することは ないと思うであります
- うらら: 事態は丸く収まったんよ!
- アレクサンドラ: そうですね、うふふっ♪
- アレクサンドラ: ただ、自動浄化システムの件は、 問題として残りますが…
- うらら: そうだったんよ キュゥべえがコアになってるんよ
- 旭: キモチの石をそろえないと、 奪い返すこともできない
- 旭: 和泉殿と八雲殿を連れ戻せるかに かかってるでありますな…
- ラビ: 過度に期待はしたくないけど、 希望を持って待つのもいいと思う
- 太助: そうだね 今は追い風が吹いている
- ラビ: 教授は待つだけじゃなくて やることがあるはずです
- うらら: 教授も一緒に戦うのん!?
- 太助: まさか、私の個人的なことだよ
- 太助: 兄さんに呼ばれていてね、 もう一度精密検査をしにいくんだ
- うらら: えっ!?病気なのん!?
- 太助: 軟禁してでも調べようとしたのは 冗談じゃなかったみたいだ
- 太助: でも大丈夫 そんな重い話にはならないよ
- 太助: 兄さんが大げさなだけだ
- FILENAME: text_103201-4_7xz7k.txt
- カンカンカンカンカン!
- 那由他: おかしいですの 今日は休日なのに朝が早いですの
- 那由他: いまもフライパンを叩く音が、 頭の中で響いてますの
- ラビ: 休みだから怠惰になるのではなく むしろ自分を律するべきです
- ラビ: 休日をどう過ごすかが、 平日の自分の価値を決めますから
- 那由他: なんか、意識高すぎですの… 前より仕事に身が入ってますの…
- ラビ: せっかく得られた未来ですからね 多少は高揚もします
- ラビ: 朝食はオートミールと ヨーグルトで構いませんか?
- 那由他: ふぁぁ~
- ラビ: まだ、眠いんですか…?
- 那由他: 昨日は夜更かしをしてたから 仕方ないんですの
- ラビ: 寝る前にスマホばかり見てると 寝つきが悪くなるのは当然ですよ
- 那由他: 決めつけないで欲しいんですの ちょっと待ってるんですの!
- ダッダッダッダッダッダッダッダッ!
- ラビ: ふっ…
- ダッダッダッダッダッダッダッダッ!
- 那由他: コレを作ってたんですの!
- ラビ: これは、バッジですか…?
- 那由他: そう、お守りみたいなものですの
- ラビ: レジンで固めてあるんですね
- ラビ: もしかして、描いてあるのは 私たちでしょうか?
- 那由他: そうですの
- 那由他: 私とラビさんとみかげさんの パパ捜索隊の3人なんですの!
- ラビ: みかげさんから頂いた 捜索隊バッジがあるというのに
- 那由他: そうじゃないですの 3人を入れたかったんですの
- 那由他: 今回のパパとラビさんが抱える 問題を通して気づいたんですの
- ラビ: …と言いますと?
- 那由他: 実はパパもラビさんも 心が弱いって
- ラビ: いささか失礼ですね
- 那由他: だから、もしもつらくなった時は バッジを見て欲しいんですの
- 那由他: 私もみかげさんも ラビさんと一緒にいますの!
- ラビ: 私たちの諦念の件については、 片づいたと思ってます
- ラビ: 心配なさらなくても…
- 那由他: でも、いなくなるかもしれない
- ラビ: ――っ!?
- 那由他: ママがいなくなって パパがいなくなって
- 那由他: そのパパは戻って来たけど、 入院するって言ってて…
- 那由他: その上ラビさんまで いなくなったら…私は…
- ラビ: …………失礼しました
- ラビ: バッジ自体はとても嬉しいです お世辞でもなく、本心です
- ラビ: ありがとうございます
- 那由他: はい…
- ラビ: ただ、教授も体調については 心配ないと言っていました
- ラビ: 今日は病院に行くことですし、 きちんと様子を窺いましょう
- 那由他: はい…
- みかげの声: なーーーゆーーーたーーーん!!
- ラビ: ほら、みかげさんも来ましたよ
- いろは: それじゃあ行ってきます
- やちよ: 里見メディカルセンターには みふゆもいると思うわ
- いろは: 一緒に受付で手続きを済ませて 中に入るようにしますね
- やちよ: 里見さんと柊さんだけど
- やちよ: せめてテレパシーだけでも、 通じたらいいわね…
- やちよ: 体が動かないだけで、 意識は戻ってるかもしれないし…
- うい: うん
- うい: 体はだいぶ治ったって 聞いたから、試してみる
- FILENAME: text_103201-5_7xz7k.txt
- みふゆの声: あ、いろはさーん、ういさーん
- いろは: こっちです、みふゆさーん
- みふゆ: すみません、遅れてしまって…
- いろは: いえ、果てなしのミラーズの 再調査だったんですよね?
- いろは: 以前と様子は変わってましたか?
- みふゆ: 特に変わった様子は ありませんでした
- みふゆ: ですが、調査中に判明したことが 長引く原因になってまして…
- いろは: なにかあったんですか…?
- みふゆ: あとでまとめて報告しようと 思っていたのですが…
- みふゆ: 実はかりんさんが 行方不明になったみたいなんです
- いろは: かりんちゃんが!?
- うい: 果てなしのミラーズに 勝手に入っちゃったの!?
- みふゆ: 果てなしのミラーズで コピーから聞いた話だったので
- みふゆ: まったく 信じてなかったのですが…
- みふゆ: 実際に栄区に住む魔法少女が 本人の家を訪ねてみたところ
- みふゆ: 本当に行方が わからなくなっていたそうです…
- みふゆ: 彼女の場合、前例がないわけでは ないのですが…
- うい: じゃあ、果てなしのミラーズを 担当してたみんなはいま…
- みふゆ: 必死に捜してます…
- みふゆ: ただ、ターミナルまで潜っても 反応がないので
- みふゆ: いずれ限界が訪れそうです…
- いろは: あの、私たちもこれから 手伝いましょうか…?
- みふゆ: 心配しなくても大丈夫ですよ ありがとうございます
- 万年桜のウワサ: |いろは、うい|
- いろは: わっ、さ、桜子ちゃん いつの間にいたの!?
- 万年桜のウワサ: |ふたりの反応があったから、 降りてきた|
- 万年桜のウワサ: |灯花とねむに会いに来た?|
- いろは: うん、状況が大きく変わったから 説明しておきたかったの
- 万年桜のウワサ: |ふたりともすごく喜ぶよ|
- 万年桜のウワサ: |♪|
- うい: テレパシーで報告してる間に 起きてくれるかな…
- いろは: 久しぶりに ふたりの声が聞きたいね
- うい: うん…
- うい: たくさんお話したけど、 やっぱり起きてくれないね…
- いろは: うん、考えてたことだけど テレパシーにも反応しなかった…
- うい: ねえ、桜子ちゃん 本当にふたりとも大丈夫なの…?
- 万年桜のウワサ: |もう体はなんの異常もないって 灯花の父親が話してたよ|
- うい: 灯花ちゃんのお父さんは ここの院長さんだし…
- いろは: うん、ウソだとは思えないね
- 万年桜のウワサ: |外傷は完治、内臓も正常 血液も異常な値を示してない|
- 万年桜のウワサ: |CTによる検査結果や脳波も 異常は見られないみたい|
- いろは: じゃああと残されてるのは…
- みふゆ: 魂…ソウルジェム…? いえ、そんなはずは…
- みふゆ: 傷ひとつありませんし 定期的に浄化もしています…
- 万年桜のウワサ: |様子を見守るしかない|
- みふゆ: そのようですね…
- うい: …………
- うい: 自爆しちゃう時に、 何かしたのかな…
- いろは: 何かって…?
- うい: わからないけど…
- みふゆ: もしも真実であれば一言ぐらい 相談して欲しかったですね…
- みふゆ: ワタシじゃ頼りないかも しれないですけど
- みふゆ: 自分たちにだって 未来はあるんですから…
- FILENAME: text_103201-6_7xz7k.txt
- 万年桜のウワサ: |また、近いうちに来る?|
- うい: うん、灯花ちゃんとねむちゃんが 目を覚ますかもしれないもん
- うい: お姉ちゃん、いいよね?
- いろは: 私も定期的に通ってるから、 気にしなくてもいいよ
- 万年桜のウワサ: |それまで私はずっとふたりを 守ってるから|
- いろは: ありがとう、桜子ちゃん
- 万年桜のウワサ: |♪|
- みふゆ: あら、向こうにいるのは、 午前0時のフォークロアの…
- みふゆ: みかげさんもいるようですし お話しておきましょうか
- いろは: そうですね
- 那由他: えっ、うっ、おぉ…
- 太助: 那由他、そんな泣かないで 検査するだけだから
- 灯花の父: そう、心配しなくていい 念のためだ
- 那由他: ご、ごめんな…さ…ぅ…
- 太助: さっきまでは落ち着いてたのに 急にどうしたんだ…?
- 那由他: 急に、ぅ、悪い想像を、ぅ、 してしまって…
- 那由他: 涙が、ぅ、 止まらなくなったんでずの
- いろは: あの、こんにち…
- いろは: ――っ!?
- いろは: だだっ、大丈夫ですか…!?
- 那由他: ふぅぅう…
- ラビ: すみませんお騒がせして… 教授が入院するもので…
- 太助: とは言っても、 検査をするだけなんだけど…
- 灯花の父: 泣くぐらいなら励ましてやれ 太助も時間がないから行くぞ
- 灯花の父: ここからは担当医が変わるから 引き継いだら私は行く
- 太助: ああ、ごめん兄さん じゃあ那由他、行くからね
- 那由他: ぶ、ぶじを、祈ってますのぉ…
- 那由他: …………
- ラビ: 大丈夫ですよ 教授はあれでタフですから
- 那由他: わ、わかってますの…!
- みかげ: それになゆたん! ミィを見習った方がいいよ!
- みかげ: 姉ちゃが帰ってこないのに、 こんなに元気なんだから!
- 那由他: 強いですのぉ…
- ラビ: ほら、ハンカチを使って、 座って落ち着いてください
- 那由他: わかりましたの…
- ラビ: すみません ちゃんと挨拶もできずに
- いろは: そんな、ぜんぜん…!
- うい: すっごく泣いてたけど 大丈夫…?
- ラビ: じきに落ち着きます
- みかげ: 今日はみんなも 病院に来てたんだね
- うい: うん、灯花ちゃんとねむちゃんの お見舞いに
- みふゆ: それで、みかげさんの姿を 見かけましたので
- みふゆ: 少しお話を 伝えておこうかと
- みかげ: ミィ?
- みかげ: じゃあ、ピュエラケアの人たちは 姉ちゃたちの所に向かったんだ
- みふゆ: はい、今朝方に準備が整ったので 出発したそうです
- みかげ: …………
- いろは: 大丈夫だよみかげちゃん リヴィアさんは信用できると思う
- いろは: 調整屋の人にしかできないことも あると思うから
- いろは: 私たちは自分たちに できることをして待ってよう
- みかげ: うんっ
- みかげ: きっと姉ちゃもなぎたんも 元気に帰って来るし
- みかげ: ミィたちは自動浄化システムを どうにかしないとだもんね
- いろは: そう
- いろは: やれることを進めないとね
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― userNameが戻ってきたのは ボクが代わりにコアになったからだよ
- フェリシア: ―フェリシア― マジかよ…
- フェリシア: ―フェリシア― じゃあ、めっちゃ前からオマエが 自動浄化システムの中にいたってことか!?
- さな: ―さな― そして、前からずっとコアとして 何かを“していた”…?
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― その認識で間違いないよ
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― ドッペル化という現象で効率的にエネルギーを 回収できるか調べる必要があったからね
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― どうしても自動浄化システムを解析して コントロール下に置きたかったんだ
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― だけどコアになった当初は維持するのが精一杯で 一切のコントロールができなかった
- いろは: キュゥべえが自動浄化システムを 制御できるようになる前に
- いろは: なんとか取り戻さないと…
- FILENAME: text_103201-7_7xz7k.txt
- …………
- 私だけが…この村に戻って… 彼らを恨んで…
- ………… …………
- ヨヅル: みたまさんの記憶で見たという 巫のいた海岸についてですが
- ヨヅル: 本当に和泉様と一緒に いるのでしょうか?
- 月出里: ふんむんむんむ、ふむんむんむ ふむっむんむむ、ふむんむむ?
- 月出里: ふっむふんむむむ ふんむむふむっむんむむ
- ヨヅル: 一緒に藍家様の仕掛けを 押さえている時に見たものなら
- ヨヅル: みんなが必死だったので、 正確に捉えきれてないのでは…
- ヨヅル: と、月出里が申しております
- リヴィア: 言っとることはわかる やけど問題あれへんと思うで
- リヴィア: 「死ぬ気やったみたまの中に見えた 理想の死に場所やからな」
- リヴィア: 「ももこちゃんらと遊びに行った海辺で 叶わん恋をしとった巫の記憶を見て」
- リヴィア: 「その巫が集落の人らを恨んで 魔女になってまうところまで見とる」
- リヴィア: 悲しみに満たされたみたまは、 死ぬならそこやと思とる…
- 月出里: ふむんむふんむんふむんむ ふむんふっむふむんむ…?
- ヨヅル: みたまさんも恨みを抱えて 魔女になっていくから?
- ヨヅル: そう月出里が申しております
- リヴィア: あの子の悲しみは 町への恨みになっとるからな…
- リヴィア: 海辺におったかつての巫を 少しダブらせとるんかもしれん
- リヴィア: やけど、一緒に死んでやるって ももこちゃんに言われて
- リヴィア: 救われとるあの子もおるから、 思い出の場所を選んだんかもな
- リヴィア: 素直に助けを求めたらええのに… 人間、素直なんはええよ
- ヨヅル: では、素直ついでに質問を
- リヴィア: ん?
- ヨヅル: あの仕掛けを防ぐとき、 私と月出里も一緒でした
- ヨヅル: 先生がみたまさんの中を 不意に覗いてしまったのと同様に
- ヨヅル: 私と月出里も 先生の中を見ているんです
- リヴィア: 確かにせやろうな
- ヨヅル: 先生の目的を教えてください この戦いに調整屋として来た意味
- ヨヅル: その果てに 何を求めているのかを
- リヴィア: …………
- リヴィア: 見えたんやったら知ってるやろ
- ヨヅル: 実力が足りず、真意までは つかめませんでした
- 月出里: ふむん、ふむんむんむ ふむんむふむむん
- ヨヅル: 先生の口から聞きたいと、 月出里も申してますよ
- リヴィア: さよか
- リヴィア: ええよ、もう隠す事ちゃうし 私の口から教えたるわ
- FILENAME: text_103201-8_7xz7k.txt
- リヴィア: 私の目的はな、 世界中の魔法少女を救うことや
- 月出里: ふっむむ…
- ヨヅル: はい、それは私も月出里も 知っていることです
- ヨヅル: ただ、先生の中が見えた時、 キュゥべえの姿がありました
- ヨヅル: それも、願いなどは関係なく、 先生の中で大きな存在として…
- ヨヅル: その光景が正しかったのかどうか 答え合わせがしたいんです
- 月出里: ふむんむむ、ふむんむん
- リヴィア: せやな…
- リヴィア: 私にとってキュゥべえは、 どえらい重要な存在や
- リヴィア: なんせ私は
- リヴィア: 「キュゥべえの目的を果たすことで 魔法少女を救おうとしとるんやから…」
- 月出里: ふっむむ
- ヨヅル: 私たちが見た通りなんですね
- リヴィア: 宇宙を維持するために必要な エネルギーを回収する
- リヴィア: そのノルマっちゅうのを キュゥべえは持っとるんや
- リヴィア: せやから、私はそのノルマを 達成させたることで
- リヴィア: 魔法少女の存在を、 用無しにしたろうと思たんや
- 月出里: ふむ、ふむっむ ふむんむふむんむんむ
- ヨヅル: 月出里の言う通り それは途方もない話…
- ヨヅル: 何人もの少女たちを犠牲にして ようやく成り立つ方法ですよね?
- リヴィア: やから、かごめちゃんと 神浜市に注目したんや
- リヴィア: 「魔法少女を取材する普通の少女なんて 今まで聞いたこともあれへんかった」
- リヴィア: 「それに色んな地域の魔法少女たちが 何十人も入り乱れて衝突するなんて動きも 初めて聞くような現象やったし ドッペルなんて話も初めて聞いた」
- リヴィア: やけど、できると思った
- リヴィア: 「ひとつは死なへんように魔法少女を助けつつ 争いを激化させてドッペル化を促す」
- リヴィア: 「繰り返しエネルギーを得られる環境やったら 回収効率が上がるかもしれへんし その考えはキュゥべえとも合致しとった」
- リヴィア: 「もうひとつはかごめちゃんを成長させて 抱える因果を育て続けるということ」
- リヴィア: 「あの子が繋がっとる関係を広げていって 途方もない力をつけさせた時 莫大なエネルギーを生み出す魔法少女になる それもキュゥべえの意見と合致しとった」
- ヨヅル: つまり、佐鳥様を魔女にすれば ノルマの達成に大きく近づく
- ヨヅル: しかしそれは、相手を想うという 先生のマニュアルに沿って言えば
- ヨヅル: 優しさにあたらないと 思うのですが…
- リヴィア: やから、ドッペル化を促すために 争わせる方に専念したんや
- リヴィア: せやけど、ドッペル化やと十分な エネルギーが得られんかったから
- リヴィア: 犠牲がひとりで済む方法に 注力せざるを得んかったんや
- 月出里: ふむ、ふむんむんむ ふむっむふむんむ…
- ヨヅル: ええ、佐鳥かごめの保護は、 未来のエサとするためですね
- リヴィア: まぁ…そういうこっちゃ…
- リヴィア: やから、こうやってみたまたちを 連れ戻そうとしとるんかて
- リヴィア: かごめちゃんが願いを叶える 土壌を作る一環でしかあれへん
- 月出里: ふんむんむ…
- ヨヅル: 先生が出した答えなのであれば それが最善なのでしょう
- リヴィア: いや、最善はいろはちゃんや
- リヴィア: 自動浄化システムを奪い返して 世界を覆ってしまう
- リヴィア: ほんでキュゥべえを入れんくして ドッペル化もできるんやったら
- リヴィア: それが最高ちゃうか?
- 月出里: ふむん、ふんむむふっむむ ふむんむむ?
- ヨヅル: なぜ、そちらを手伝わないか そう伺ってます
- リヴィア: みたまと十七夜を連れ戻すのは 一応、手伝う一環にもなるやろ
- リヴィア: それに、私が本気で手伝われへん 理由は“わかっとるやろ”
- リヴィア: 言うとくで
- リヴィア: 「私は宇宙のために生きることしかでけへん」
- リヴィア: 「ヨヅルと月出里に優しくしとるのも あんたらのためちゃう 全部は宇宙のためなんや」
- ヨヅル: 先生の中を覗いた今となっては 理解しています
- 月出里: ふむ
- FILENAME: text_103201-9_7xz7k.txt
- 十七夜: 八雲、自分たちは姫君の仕掛けを 破壊しに行こう
- みたま: ええ、今のわたしたちには、 それぐらいしかできないからね
- 鶴乃: わたしたちと 一緒に来てくれないの?
- みたま: 他に片づけておくことがあるから
- 十七夜: それに、今は由比君たちと共に 肩を並べて歩けない
- 十七夜: やはり、あの時の感覚は 正しかった…
- 十七夜: ―十七夜― そうだ…
- 十七夜: ―十七夜― 自分が東西のことで悲しみを蓄えてきたように 多くの者たちが、この件で悲しんできた…
- 十七夜: ―十七夜― それなのに、自分は己の悲嘆に従って 他の者が抱えている悲嘆を無視してしまった…
- みたま: ええ…どんな得られた喜びも… 悲しみに塗り替えられる…
- みかげ: ―みかげ― それでも、滅びを与える姉ちゃは つらそうだよ?
- みかげ: ―みかげ― だったら つらい方には行かない方がいいよ
- みかげ: ―みかげ― そのときが来たら そのときに考えればいいんだよ
- ももこ: ―ももこ― そう、本当に滅びる時になったらさ アタシも一緒になって必死にあがくからさ
- みたま: ダメ…
- みたま: ミィの言葉が、ももこの言葉が… みんなの言葉が塗りつぶされる…
- 十七夜: キモチに囚われぬように悲しみを 魂に取り込んだ結果か…
- 十七夜: ふっ…
- 十七夜: 元々、姫君の仕掛けを止めて 散らすつもりの命だった…
- 十七夜: 皆に迷惑をかけることなく、 魔女になるのなら構わない…
- 十七夜: 八雲は、 ここが良かったんだろう…?
- みたま: ええ…
- みたま: かつていた巫が恨みに囚われて 魔女になったところだから…
- みたま: 同じように恨みから逃れられず 死に行くわたしたちにはお似合い
- みたま: ただ、キモチの石だけは、 どうにかして渡さないと…
- 十七夜: …キモチよ 自分たちが力尽きたあとは
- 十七夜: 環君や七海のところへ 行ってくれないだろうか…
- 十七夜: 魔女になった自分と八雲を 食らってもらっても構わない
- 十七夜: 残った身体を自由に使っても 構わない
- 十七夜: だから、どうかあの白ダヌキに すべてを奪われてしまう前に…
- FILENAME: text_103201-10_7xz7k.txt
- 十七夜: …………
- みたま: …………
- リヴィア: おった!おったで!
- リヴィア: せやけどあかん…
- リヴィア: たぶんあの様子やと 限界が近いはずや
- ヨヅル: 先にグリーフシードを用意します
- 月出里: ふむ、ふむんむふむっむむんむ ふんむむふんむんふむんむむ
- ヨヅル: ふたり同時に調整するかと 月出里が申してます
- リヴィア: ああ、その方がええ
- リヴィア: さっさと浄化を済ましたら 調整に入る
- リヴィア: 段取りを踏まんと危険やけど 時間があれへん
- リヴィア: さっさと繋がるで!
- ヨヅル: はい
- 月出里: ふむ!
- リヴィア: …っ、まだ果てるには早いで!
- ヨヅル: これは、ふたりが悲しみを魂に 取り込んだ結果でしょうか
- リヴィア: せやろな
- リヴィア: そのせいで、どんな喜びも、 悲しみに上塗りされるんやろ…
- 月出里: ふむん、ふむんむふむんむんむ!
- ヨヅル: そうですね、早く集めた想いを おふたりに伝えましょう
- リヴィア: ま、完治とはならんくても、 寛解ぐらいにはなるやろ!
- れいら: ―れいら― ほんと、選挙の件も滅びの件も迷惑 勝手に暴れて私たちを貶めないで欲しい
- 梨花: ―梨花― マギウスの翼にグリーフシードを横流ししてたし ほんとクズなことしかしないじゃん
- ななか: ―ななか― いつまでひっかき回すつもりですか ずっと皆が笑顔でいると思わないことです
- こころ: ―こころ― 人の弔い方で悩んでた人が滅びを提唱するなんて 最低としか言えないよね
- 萌花: ―萌花― 謝って許されることなんですか…? 私だったら自分で死んじゃうと思います…
- 理子: ―理子― すぐに暴力を振るうような人は嫌いです 優しい人だと思ってたのに、すごく悲しいです…
- まなか: ―まなか― 腐ってしまって肥料にもならないようなら もう焼却して捨てるしかありません
- ひなの: ―ひなの― せめて楽に死ぬことを許してやるから この薬品を使え
- 十七夜: 「そう、これが現実 皆が我々に思っている本音の塊だ」
- みたま: 「どの道、わたしたちが生きて戻ったところで みんなは苦しむだけ」
- みたま: 「それなら、ここで力尽きるのが わたしたちにとって正解なのかもしれないわねぇ」
- みたま: 「これは…」
- 十七夜: 「違う、そんなまさか… いま見ている光景はまやかしだ…!」
- 十七夜: 「自分は…これほど光を浴びていいほどの行いは していないはずだ…」
- ひなの: ―ひなの― これまで力になれなかったことを 悪いと思ってる
- 梨花: ―梨花― あたしらって安全圏でのほほんとしちゃってさ 正直、ちゃんと考えてなかったのかも
- まなか: ―まなか― いつも一緒に楽しくしていたから 表面ばかり見ていた自分が恥ずかしくなります
- ななか: ―ななか― 一概にほめることもできませんが 自ら散るような選択をする必要はありません
- 萌花: ―萌花― 調整屋さんは頼りになるから これからも力になってくれると嬉しいなー
- こころ: ―こころ― 魔法少女って自分のことで手一杯だから みんなのことを考えてくれるふたりは大切だよ
- 理子: ―理子― 十七夜お姉さんは東の魔法少女の中では 目標のひとつなんですよ
- れいら: ―れいら― ふたりには背負わせてばっかりだったから もう少し大人になったら力になりたい
- みふゆ: ―みふゆ― ふたりがいなかったらここまで魔法少女は 生き残っていませんでした
- みふゆ: ―みふゆ― またかつて手を取り合った時と同じように 力を合わせていきましょう
- みふゆ: ―やちよ― 十七夜に周りのことを考えたのかと尋ねたのは むしろあなたが一番周りを考えている人だからよ
- みふゆ: ―やちよ― 今一度、仲間の目に映る本当の自分に気づいたら きっと戻ってこられるようになるはず
- みふゆ: ―いろは― 十七夜さんとみたまさんが平和を望むのであれば みんなで一緒に愚か者になっちゃいましょう
- みふゆ: ―いろは― 私たちが受け止めます 私たちは愚かなくらいでちょうどいいんです
- 十七夜: ―十七夜― あの時と同じような繋がり合う感覚を…
- みたま: ―みたま― みんなとひとつになれるような感覚を…
- 十七夜&みたま: ―十七夜&みたま― もう一度、味わいたい…
- FILENAME: text_103201-11_7xz7k.txt
- ドサッ…
- ヨヅル: 皆さんから集めた想いは、 ふたりに光を見せたようですね
- リヴィア: なんとか侵食しとる悲しみからは 解放されたみたいやからなぁ…
- リヴィア: せやけど、まだ問題は残っとる…
- 月出里: ふむむふっむむう、ふんむむむ ふむふむんむむ
- ヨヅル: 月出里が言う通り、 残った根が気になりますね
- リヴィア: みたまが無理矢理調整して、 自分の魂に取り込んだ悲しみや
- リヴィア: キモチに利用されへんように、 ひとつになったんやろうけど
- リヴィア: 元の悲しみが強すぎて、 自分たちが囚われてしもうとる
- ヨヅル: では、今は解放されても…
- リヴィア: いずれ悲しみの根に囚われて 魔女になるしかないやろうなぁ
- 月出里: ふむん、むんむんむふむん?
- リヴィア: 救う方法か?
- 月出里: ふむっ
- リヴィア: この子らふたりの被害者意識を 薄めてやるしかないやろな
- 月出里: ふん?
- リヴィア: ふたりはみかげちゃんの作戦で 自分の間違いに気づいたし
- リヴィア: 東西に関わる他の子らの 苦しみにも気づけたと思う
- リヴィア: せやけど神浜市内の苦しみしか 知らんふたりはな
- リヴィア: 狭い視野の中でしか苦しみを 比較でけへんのや
- 月出里: ふむん、ふんむんむ…?
- リヴィア: やから、諸刃の剣やけど 他人の不幸をもっと見せたる
- ヨヅル: それは、逆効果では…?
- リヴィア: 明るい未来を見せるだけなんが 人を救う方法ちゃうで
- リヴィア: 他人の不幸を蜜にするヤツは ただのクズでしかないけど
- リヴィア: その不幸を通して、自分を 客観的に見られるようになったら
- リヴィア: 人は自分の重い悲しみを 糧にできるように成長できるし
- リヴィア: しがみつかんでもようなる
- リヴィア: 要は、でっかいと思ってる地球も 宇宙を知ればちっぽけになるし
- リヴィア: 他の人の境遇を知れば、 ちゃう視点で己が見えるんや
- ヨヅル: 魂が取り込んで離さない悲しみも 小さく見えれば手放すと
- リヴィア: ご明察やな
- 月出里: ふむん、ふむんふむむむんむ?
- ヨヅル: 何を見せれば良いのでしょうか
- リヴィア: 簡単や
- リヴィア: ヨヅルの過去を見せたり 月出里の過去を見せたり
- 月出里&ヨヅル: ――っ!?
- リヴィア: ほんで、あんたらが見て吐いた 私の過去を見せたらええねん
- FILENAME: text_103201-12_7xz7k.txt
- リヴィア: みたま…十七夜… あんたらを助けるために見せたるわ…
- リヴィア: たぶん、私の過去をひとつ知るだけで いくつもの悲しみと苦しみを 味わうことができるはずやからな
- リヴィア: 最初の記憶までさかのぼってみても 母親の顔なんて覚えてへん
- リヴィア: 私は潮の香りがする町に立つアパートの中で 仕事と遊びであんまり帰ってけーへんおとんと ふたりで暮らしとった
- リヴィア: 別に、そこまで不幸やなんて思ってへんかった
- リヴィア: 言うたらメシの金はくれるし 勉強しとったらちゃんとほめてくれる
- リヴィア: あの時は友だちと遊ぶより 図書館に通ってる方が多かったんやけど
- リヴィア: おかげで割と博識やったから 周りが自分に優しくしてくれておもろかった
- リヴィア: それに、学校かて問題あれへん 見た目が他の子とちゃうくても クラスメイトは普通に接してくれるから あの頃が一番楽しかったんちゃうかな
- リヴィア: せやから、あん時の問題言うたら 貧乏やったっていうことぐらいなんやけど 幸せやった分、不幸になった時の落差は えらいもんやったわ
- リヴィア: ウソやん… せんせ、ホンマにおとんなん!?
- リヴィア: たったひとつのことで急転直下や
- リヴィア: 仕事でプレス機に潰されたおとんは 見られたもんちゃう
- リヴィア: 結局死に顔も見られへんかったから 最後に残ったおとんの顔の記憶は 死ぬ3日前に帰ってきた時の 酔っ払ったツラんなった
- リヴィア: 酔ったおとんは甘えん坊になって 私にも甘くなるからやな 頭に残ったんが可愛い顔で良かったと思とる
- リヴィア: やけど、そっからはもう最悪や
- リヴィア: ひとりになったから施設に入って 母親が見つかったっちゅーから会いに行ったら 言葉の通じひんおばはんがおる
- リヴィア: 血が繋がってるんは不思議とわかったけど 今さら知らん外国に行く気にもなれへんから 悩んだけど、結局帰ってもろたわ
- リヴィア: ただ、そのあとの仕打ちを考えたら 外国に飛んどった方が良かったんかもしれん 私はな、自分の通ってた学校や土地に えらい恵まれてたって痛感することになったんや
- こいつ、せっかく国に帰れたのに 母親にまで断られたらしいで
- なんや、 もう帰ったと思ってたわ
- リヴィア: …っ!
- がっ…!
- リヴィア: 毎回ムカツクねん! 私は残るって決めたんやボケ!
- なにしてんの!
- リヴィアが殴ってきたんや!
- どうせ発端はアンタやろ! 見え透いたウソつかんでええ!
- リヴィア以外でてき!
- ほんまにもう…
- リヴィア: センセ、説教はいらん
- リヴィア: ええからアイツら 私に殺させたってくれへん?
- あとで自分が苦しむだけやで
- リヴィア: やったら、私はアイツらに ずっと苦しめられなアカンの?
- リヴィア: おどけてバカにするだけちゃう
- リヴィア: 人のメシ取ったりもするし 見えへんところで暴力も振るう
- リヴィア: なんなん?
- リヴィア: 人を不幸にするだけなんやったら 別に死んだってええやんか
- リヴィア あの子らかて苦しんどんねん
- ここで訳アリなんが 自分だけちゃうって知ってるやろ
- みんないっちょ前に 強がっとるけど、外では泣いとる
- せやから堪忍したって
- リヴィア: それで、さらに見下せる外国人の 私がおるから当たるって?
- リヴィア: それでサンドバッグになれって? センセ、アホやろ
- リヴィア: アンタが人権捨てた発言 しくさってどないすんねんな
- リヴィア: ようわかった
- リヴィア: アンタにとっても私は、 なぐさみになっとるってことやな
- リヴィア: そっから、一発センセを殴って逃げだした
- リヴィア: ほんまは殺したろうと思ったんやけど なんかペチャンコになったおとんを思い出して 殺意が消えてしもたんや
- FILENAME: text_103201-13_7xz7k.txt
- リヴィア: 言うて行くあてもあれへんからって たどり着いたんは 同じような子らの集まる繁華街やった
- リヴィア: それまではずっと自分ばっか 不幸やと思ってたけど 色々抱えてる子とつるんでる間に 他にも不幸の種って転がってるもんやなって なんや知らんけど、少しだけ世間に寛容になれた
- ほんまに、チョロい仕事やったわ
- 伝言の書かれた紙を 待ってる人に渡すだけやもん
- リヴィア: 私もそういうのやったけど、 割とヤバいやつもあるから
- リヴィア: 気をつけた方がええんちゃう?
- やっぱいま、安全でおいしいのは 店のキャッチちゃう?
- 単価はそんなに高くないんやけど 店に案内するだけやし
- リヴィア: なんや、自分らが疑似餌になる っちゅーことかいな
- ぎじえ?
- リヴィア: 釣りのルアーとか 食いもんに似せたニセモンのこと
- あっはは、この書き込みって、 まさにそれやろ!
- 店に入ったら全然違う女の子 って当たり前やろ!
- …っくく、お腹いたぁ
- リヴィア: まぁ、こんな感じで世間を舐めてかかってたけど 実際はやっぱ世知辛いもんやった
- ちょっとええか
- あれ、あんたこの間の人やん
- ちゃんと言ってたヤツに 紙を渡してきたからお金…
- ざけんな、ドアホ!
- クァッ!
- リヴィア: ちょ、ちょっと、な、なに…
- 渡す相手間違っとんねん
- やっぱ頭の悪いガキを使うと リスクが高すぎるわ
- …………
- うっ!
- 逃げようとすんな
- お前ら、ヤバいと思ったら、 すぐにチンコロするやろ
- せやから悪いけどな、 その口、封じさせてもらうわ
- リヴィア: あかん…
- リヴィア: あかんあかん… ほんまにやるヤツの顔や…
- 待てやおい!
- リヴィア: 追いつかれる…
- キミ!こっち! 今なら見えへんはずや!
- リヴィア: 助けてもろた時は九死に一生を得たと思った 捨てる神あれば拾う神ありやった
- リヴィア: 路地の向こうからさっきまで肩を並べてた子の 叫び声を聞きながら 私はそれでもホッとしてる自分に嫌悪した
- リヴィア: せやからな、その気のええ兄さんが 保護してくれてからすぐに 私にも罰がくだることになってもうた
- ガチャッ
- あ、こっちです
- リヴィア: (よかった…けど… 補導されてもしゃあないよな…)
- リヴィア: (いまは警察の世話になるんが 身を護るにはええはずや…)
- リヴィア: すんません…お世話になります…
- はい、どうも警察です
- リヴィア: ――っ!?
- 兄貴、これで3人全員やろ?
- ああ、さっさと天国に案内したれ
- FILENAME: text_103201-14_7xz7k.txt
- リヴィア: おとんが死んで施設を飛び出して 自由を手に入れたと思ったら捕まって ほんま、あの時の私は自分に訪れる不幸の連鎖を 呪い倒しとった
- リヴィア: なんで自分ばっか…なんで自分ばっか… なんでなん?なんでなん? なんでなんで?って
- リヴィア: 自分の境遇を呪ってるところで ひとつの答えをくれたんが、あの女やった
- すんません、失礼します
- リヴィア: あの、他のふたりは…
- 私がしゃべってええ言うまで 口は開いたらアカン
- リヴィア: はい
- パシッ
- リヴィア: …った!
- アカン言うたやろ
- リヴィア: …………
- まあ、顔もスタイルも合格点やな
- IQのテストも基本科目もええし 運動能力もかなり高いな
- あの子らの目に狂いはあれへん 1本包んだらなあかん
- リヴィア: …………
- アンタ、自分はなんでこんなに 不幸なんやって思っとるやろ
- コクッ
- そう、しゃべられへんなら頷く 頭のええ反応や
- こっからは口で返事してかまへん
- あんたが不幸な理由をな ひとつ教えたる
- リヴィア: …なんですか
- 人は生まれたときから 善人で生きた方がええか
- 悪人で生きた方がええかがな 決まっとるんや
- 善人の中で悪人は生きられへん 悪人の中で善人は生きられへん
- かつてはあんたも善人の中で 生きてきたかもしれへんけどな
- 戻られへんところまで ひっくり返ってしもたんや
- アンタが吐いた過去の話は、 聞かせてもろたけど
- おとんが死ぬ前は 良い子の方がえらかったやろ
- リヴィア: …はい、頭のいい子とか 運動ができる子とか
- リヴィア: 私も本が好きやから、 それでみんなほめてくれた
- やけど、住む世界が変わったやろ
- リヴィア: …はい
- どんなやつがえらかった
- リヴィア: …私をいじめる子 力と言葉でねじ伏せる子…
- この町に来てからはどないや
- リヴィア: 力を持ってる大人たち それも暴力的な力を持ってる…
- リヴィア: 悪い…やつ…
- つまり地獄に落ちたアンタは もう悪にならな生きられへん
- これから生きていくアンタへ ババアからの教えやと思っとき
- あんたら3人とも 新しく雇われるんやから
- リヴィア: えっ…どこに?
- 場所は教えられへん
- せやけど、才能のあるアンタは 特別なところに送られる
- 知り合いが常にサーカスの団員を 欲しがってるんやけどな
- アンタの身体能力と頭脳があれば たぶん満足してくれるはずや
- リヴィア: 他のふたりは…?
- 他はなんの能力もあれへん やから別のところや
- リヴィア: その場所も教えてくれへんの…?
- 生まれた時から絶対にひとつは 才能を持って生まれてくる
- それを活かせるところや ほなら、あんたも出発する時間や
- リヴィア: …まさか、伝言を渡すところから
- リヴィア: 最初から私らを仕入れるために…
- 頭がええのはけっこうやけど、 能ある鷹は爪隠すもんやで
- リヴィア: ………… 私はいくらで雇われるん…?
- 家畜はな 自分の値段を気にせんもんや
- リヴィア: 私はヒトですらないんか!
- FILENAME: text_103201-15_7xz7k.txt
- リヴィア: 目隠しをされて眠らされたあと 私が目を覚ました時におったんは もはや自分の故郷ちゃうかった
- リヴィア: 風景を見る限りやと 自然に囲まれてて、どこおるかわからへん もしかしたら日本かもしれへん
- リヴィア: せやけど、窓から入る空気の香りが なんか違う国におるような気持ちにさせた
- リヴィア: 私はすぐに劇団の中で マジックやイリュージョンの練習をし始めて 私のルーツがある国から来たっちゅう子が パートナーになった
- リヴィア: それに稽古を通して 他の国の人とも仲良くなっていったんや
- あれっ、このイリュージョンって 胴体が切れてないと駄目だよね?
- リヴィア: あかん、鏡の角度の問題やな もっかい基礎からチャレンジしよ
- うん、そうだね
- よっ、1、2、3、4っと
- リヴィア: ヤバッ、全部キャッチしたやん
- こんなの序の口だって
- これを巨大な一輪車に乗って やれって話なんだからさ
- リヴィア: ほんまえげつないな…
- リヴィア: 最初のうちは和気藹々としとって 自分の立場を忘れるぐらい平和やった
- リヴィア: それに、知り合った人らの話を聞いとったら 繁華街で出会ったふたりのとき以上に 世界の不幸が自分の中に染み渡ってきて
- リヴィア: 自分の境遇に対する怒りや憎悪が薄れて 俯瞰して見られるようになってきた
- …うん、知らない人にさらわれて ここまで来たけど
- いつか、紛争で別れちゃった 家族を捜すつもり
- リヴィア: ここの団長もちゃんと稼いだら 報酬をくれる言うてるし
- リヴィア: 再会した時に孝行できたらええな
- 俺の場合は自分の家が裏社会に 属してることも知らなかった
- どうせ帰ったところで、 跡形もなくなってるだろうから
- ここを抜けたら悠々自適に 暮らしてみるって感じかなぁ
- リヴィア: ああ、私もそっち寄りかもしれん 帰るとこあれへんからな
- リヴィア: 夢を語りながら練習をする日々
- リヴィア: やけど安全への配慮が足りへんからか ようケガ人が出て、人の出入りが激しかった
- リヴィア: ケガの程度によったら配置換えもあるもんやから 仲良くなってもしばらくしたらお別れがくる
- リヴィア: そんな日々が続くと 私もいつかは無口になって 誰ともつるまんくなってしもたんや
- リヴィア: そして、ケガをする順番は 例外なく私にも訪れてきたんや…
- リヴィア: あっ…ぐ…足、足が…!
- リヴィア: 体に傷がつかないイリュージョンの練習中に 誤って剣が足を貫通
- リヴィア: 私は劇団がひいきにしとる病院に運ばれると そのまま治療をしてもらって ケガが治ってからはリハビリに励んだ
- リヴィア: (あかん、やっぱり 前と同じようにはいかへんな…)
- リヴィア: (微妙にふくらはぎが硬い… 引っ張られる感じがする…)
- リヴィア: 言うてリハビリは終わりやし まいったなぁ…
- リヴィア: 私もついに配置換えか
- リヴィア: 思ったより稼げへんかったな…
- リヴィア: (予想通り連絡がきとる… 翌日、事務所で内容を通達ね…)
- リヴィア: …………
- いつか、紛争で別れちゃった 家族を捜すつもり
- ここを抜けたら悠々自適に 暮らしてみるって感じかなぁ
- リヴィア: 最初のパートナーに 会えるかもしれへんな
- リヴィア: せやけど、そんな期待は あっさりと打ち砕かれてしもた
- リヴィア: 団長のおる事務所に行って聞いたのは 間違い無く配置を変える話で 翌日、その部署の施設に移動するという内容
- リヴィア: そんなむちゃくちゃでかい劇団でもないのに 施設ってなんやねんと思いながら 話を聞いてたんやけど 一瞬、団長が席を外した時に見えてしもたんや
- リヴィア: 自分がまた 知らん施設に運ばれるって証拠をな…
- リヴィア: 私は団長が悪趣味で 見えるようにしたんやと今では思とるけど それは正解やった
- リヴィア: ウソやろ…
- リヴィア: なんか全部どうでもよくなって 私は自分の電池が切れてしもたんや
- FILENAME: text_103201-16_7xz7k.txt
- リヴィア: 自分がこれからどうなるのか まったく考えられへんかった
- リヴィア: せやけど、私は戻りたくなったんや モノやのうて、ヒトに戻りたいって思ったんや
- リヴィア: もう、殺されてもかめへんから 明日の朝が来たら 運び出されるよりも前に逃げようって決めた
- リヴィア: ただ、そんな気持ちを見通すかのように 私は深い眠りにつかされて 目を覚ました時にいたのは病院やった
- リヴィア: ちゃうな 厳密に言うたら病院やった場所や
- リヴィア: は…は…はぁ…
- リヴィア: (何するつもりやったんや どこに売るつもりやねん…)
- リヴィア: ――っ!?
- リヴィア: (あかん、私を捜しとる… どっか隠れてやりすごさな…)
- リヴィア: …っ、やっぱ足が変に突っ張る 最悪やな…
- リヴィア: …はぁ、ここなら大丈夫やろ
- ――――!!
- リヴィア: (何語で喋ってるんかも わからへんな…)
- リヴィア: ――っ!?
- リヴィア: なんや、このにおい…
- リヴィア: ゔッ!?
- リヴィア: あ…あ…
- いつか、紛争で別れちゃった 家族を捜すつもり
- ここを抜けたら悠々自適に 暮らしてみるって感じかなぁ
- リヴィア: 面影はどこにも残ってへんのに 目の前に積み上がった屍の中から ふたりが私を見てるような気がした
- リヴィア: 窪んだ眼窩の奧から 遣り切れない悔しさを湛えた視線が 私に注がれとるみたいやった
- リヴィア: なんで…みんな…どないしたん…
- リヴィア: 他の人たちもそう
- リヴィア: 今まで私が配置換えだと思って見送ってきた 同じ劇団で同じような不遇から 集められてきたモノたちやった…
- リヴィア: 気づいたら、モノのように自分を分け与えて 棄てられたヒトの群れが 私を見ながら「生きろ」って言っとった
- リヴィア: 絶対に抜け出したる…
- リヴィア: みんなが生きられへんかった分 絶対に生きぬいたる…
- リヴィア: ほんで、コイツらの悪事を暴いて みんなもヒトに戻したる…!
- ――――!!
- リヴィア: 日本語でしゃべれやボケ! 絶対に捕まらへんからな!
- リヴィア: はっ…はぁ…ここまで来たら…
- パンッ!
- リヴィア: ――っ!?
- リヴィア: ァアアアッ…!!
- リヴィア: (ただでさえ、足、悪いのに… なんてやつ…)
- ――――!!
- リヴィア: は…はぁ…
- リヴィア: (流れ弾か…気づいてへん…)
- リヴィア: (もうちょい、もうちょいだけ 誰か、おるところに…)
- FILENAME: text_103201-17_7xz7k.txt
- リヴィア: ただでさえ足が悪いのに それに加えて血まで流してしもた私は 遠くまで逃げようと思っとったけど ほとんど動けんくて倒れてしもた
- リヴィア: 体に力が入らへんくて みんなの前で決めた覚悟に従って頑張りたいのに 腕も足も「もうええよ」って言ってるみたいに ピクリともしてくれへん
- リヴィア: なあ、助けて…助けてや おとん…なぁ…
- リヴィア: 頭を預ける先がなくて冷たさが堪えた時に 急におとんの膝の温もりが懐かしくなったんや 酔っ払ったおとんが仕事から帰ってきて いっぱい甘やかしてくれるんや
- リヴィア: やけど、心の中ではもう そんなん叶わんことはとっくにわかってて なんとか生きたいとも思ってる
- リヴィア: ただ為す術もないままに 私は1歩ずつ死の淵に歩んでいくしかなかった
- リヴィア: (どうやったら 生きられたんやろか…)
- どんなやつがえらかった
- リヴィア: …私をいじめる子 力と言葉でねじ伏せる子…
- この町に来てからはどないや
- リヴィア: 力を持ってる大人たち それも暴力的な力を持ってる…
- リヴィア: 悪い…やつ…
- つまり地獄に落ちたアンタは もう悪にならな生きられへん
- これから生きていくアンタへ ババアからの教えやと思っとき
- リヴィア: せやな…
- リヴィア: やけど、悪くなられへんから 私は死ぬんやな
- リヴィア: ―リヴィア― 幻覚まで見えてきた… ほんま終わりやわ…
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― どうやら助けが必要そうだね
- リヴィア: ―リヴィア― なんて生き物…?
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― ボクの名前はキュゥべえ
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― リヴィア・メディロス
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― キミにはボクと契約して 魔法少女になって欲しいんだ
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― もしも契約をしてくれるなら なんでもひとつ願いを叶えてあげるよ
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― キミが願えば、いまのケガだって 治癒させることができるんだ
- リヴィア: ―リヴィア― それがほんまなら頼むわ
- キュゥべえ: ―キュゥべえ― 交渉成立だね キミの願いは…
- リヴィア: ―リヴィア― 「私を悪そのものにしたってや」
- リヴィア: うっ…はぁ…はぁ…
- ヨヅル: 先生の負荷が大きすぎます これ以上はやめましょう
- リヴィア: あかん、まだや…!
- 月出里: ふむ… ふむんむんむ、ふむんむんむ…!
- リヴィア: 見てみ…
- みたま: ぅ…ぁあっ…
- 十七夜: くっ…ぅ…
- リヴィア: ええ感じや
- リヴィア: 精神に絡みついてた悲しみが、 少しずつ離れてきとるし
- リヴィア: みたまと十七夜も、自分で 悲しみから解放されようとしとる
- ヨヅル: 色んな悲しみの世界を知って、 俯瞰できるようになった…
- リヴィア: ふぅ… それまで、あとちょっとやな…!
- リヴィア: せやから、 最後の仕上げに入るで…!
- FILENAME: text_103202-1_7xz7k.txt [Episode 2]
- リヴィア: 願いを叶えたあとは病院らしき施設を壊して 次は劇団やと思ってたけど 眠らされて移送されてきた手前 その劇団の場所は、ぜんぜんわからへんかった
- リヴィア: 木々が生い茂る山を越えてわかったんは 自分がおるんは日本の島っていうことやった
- リヴィア: 集落に出たら普通に日本人がおったから 病院の話を訴えてみたけど 周りの人は困惑するばっかやった
- リヴィア: それから、せめて警察に話そうと思って 島と本州を結ぶ定期連絡船に乗ったんやけど そのまま補導されてしもて あれよあれよという間に新しい施設に移された
- リヴィア: 現実味がなさすぎる
- リヴィア: なんなら夢ちゃうか…? んなわけあるかいな…
- リヴィア: (私らを最初に捕まえた男は もう収監されとるらしいけど)
- リヴィア: (あのババアは死んだ言うてた)
- リヴィア: (どうにもこうにも 劇団にまで繋がらへんな…)
- リヴィア: はぁ…
- リヴィア: なんやねんな
- リヴィア: 戻って来たら来たで 結局こういう扱いなんか…
- こんにちは
- リヴィア: あ?
- あなた、リヴィアさん? すぐにわかったわ
- リヴィア: そりゃこんな見てくれやからな 姉さんは誰なん
- あ、名刺を渡すわね
- リヴィア: NPO法人路地裏キッズサポート って、なんやうさんくさ…
- あなたみたいに 社会の闇に揉まれた少年少女を
- 支援するための団体よ
- リヴィア: 間に合ってるわ ひとりでようやります
- ようならないわよ!
- リヴィア: 急に昔の日常に戻って来て 現実味がない時に現れたんがあの人やった
- リヴィア: 出会った時からほんまにグイグイ来て 絶対に私を離さへんつもりやった
- まずは目つきから変えないと やっていけなさそうね
- リヴィア: 目つき?
- 自分でも気づいてないけど 修羅場を潜った目をしてるわ
- ここの職員と子どもたちは それにビビってるんでしょ
- リヴィア: そんな目してる?
- してるしてる
- リヴィア: ほんなら、あんたはどうなん
- リヴィア: それでビビらんてことは、 荒波に揉まれてきたんかいな
- ズバリその通り
- リヴィア: 戻って来てからずっと世間とずれてる
- リヴィア: そんなフワフワとした感覚の中で この世界と私を繋ぎ止めるためにやってきた
- リヴィア: いま思えばあの人は 私にとってそんな人やったんかもしれん
- FILENAME: text_103202-2_7xz7k.txt
- 私だって取り戻せたからいける 学力は追いつけるものだよ
- ほら、教材も持って来たからさ
- ドサッ
- リヴィア: うわ、ほんまめんどくさ…
- リヴィア: 聞くと彼女はかつて非行少女やったみたいで 私と同じように家出して 繁華街とかでたむろってたらしい
- リヴィア: なんやかつての状況が似とるせいか あんとき一緒に捕まったふたりに 雰囲気が似とるせいかわからへんけど
- リヴィア: 私にとっては久しぶりに 素直に話せるような相手になってった
- 彼の方からグイグイ来るから 付き合ってみたんだけど
- なんか不安なんだよね
- 私だってほめられた 人生を送ってきたわけじゃない
- けど相手は優秀で一流大学から 一流企業に入ってるわけ
- 正直釣り合わないと思わない?
- リヴィア: …こんな私にようしてるんやし 十分ほめられた人生やろ
- リヴィア: センセが言うとったんやで 過去やのうて未来を見ろて
- リヴィア: そっくりそのまんま いまのセンセに返したるわ
- 確かに…自分のことになると 全然見えなくなるんだよね
- リヴィア: なあ、ええから勉強しようや いま社会の時間やろ!?
- 恋愛だって社会でしょ
- リヴィア: うるさいわ!
- あ、そうだ
- リヴィア: 今度はなんなん…?
- リヴィア、頭いいからさ、 年下の子の勉強見てくれない?
- リヴィア: はぁ?
- 私だけじゃ手が回らなくて、 助手が欲しかったんだよねー
- リヴィア: …まぁ、ヒマやしええけど…
- リヴィア: 自分でも知らん間にセンセに心を開いてた せやから、意味のわからんお願いも 聞くようになってた
- リヴィア: 普段から話すのはセンセだけやったから 私の人間関係を広げたかったんやと思う
- リヴィア: 実際、センセが受け持ってる子に会って 勉強を教えてみたんやけど そんなに悪くないし楽しい時間やった
- リヴィア: せやけど、これが切っ掛けで私は 自分のあることに気づくことになったんや
- リヴィア: うそやろ…
- あの子、自傷で入院したみたい
- 最近良くなってきてたし、 安心してたんだけどなぁ…
- リヴィア: 問題やって言ってた家族に 会うてしもたんか…?
- そ、向こうから接触してきて、 フラッシュバックしたんだと思う
- リヴィア: やりきれへんな…
- リヴィア: この一件だけやなくて 新しい施設に移ってきてからこの時まで 同じように誰かが不幸になる事例を 積み重ねた結果
- リヴィア: 私の頭の中には ひとつの可能性がよぎっとった
- リヴィア: それは、私が誰かに対して優しくしたり 誰かのために行動したら…
- リヴィア: その人にとって 悪いことが起きるってことやった
- リヴィア: 魔女との戦いでも同じやった…
- 魔力の調整ありがとう これで魔女を倒せると思う
- リヴィア: ええよ
- リヴィア: うまく戦われへん分は サポートだけでもせーへんと
- リヴィア: お飯食い上げになってまうからな そん代わり頼むで
- グリーフシードを 1回使わせる約束でしょ?
- リヴィア: あの頃は物に魔力を調整するという 調整屋の基礎が出来上がってきた頃で いつもみんなのためやと思って サポートを続けとった
- リヴィア: やけど…
- …………
- リヴィア: そんな、相打ち…? これあんたのグリーフシードやで
- …………
- リヴィア: これまでに同じことは何度もあった 相手への想いが強いほど 起きる不幸も最悪へ近づいていく
- リヴィア: 目の前にある魔法少女の亡骸が それを物語ってて この一件を通して私は自分の固有魔法を確信した
- リヴィア: 悪そのものになることを願った私は “誰かのためにした行動で相手を不幸にする力” を手に入れたんや
- リヴィア: 親切な顔をして人を不幸に突き落とす かつて自分が見てきた クソみたいな大人たちと同じことをしとった
- FILENAME: text_103202-3_7xz7k.txt
- 人は生まれたときから 善人で生きた方がええか
- 悪人で生きた方がええかがな 決まっとるんや
- 善人の中で悪人は生きられへん 悪人の中で善人は生きられへん
- かつてはあんたも善人の中で 生きてきたかもしれへんけどな
- 戻られへんところまで ひっくり返ってしもたんや
- リヴィア: せやけど戻って来てしもた
- リヴィア: 生き抜くために悪になったはずやのに また、生きられへん世界になってしもた
- リヴィア: やから私は、あの人との関係を もっと簡素でドライなものにしようと思った 必要以上のことはせえへんし プライベートでもつきあったりせん
- リヴィア: ましてや優しくするやなんてこと 絶対にしたらあかんかった
- うん、高認合格おめでとう!
- リヴィア: ありがとうございます
- だけどいいの? このままアルバイトするって…
- リヴィア: いったんこの施設は出てしもて、 ひとりで暮らそうかなって
- なんかわからないけど
- ある時からリヴィア、 距離を取るようになったよね
- リヴィア: …気のせいやろ
- いつも通り話したりもするし、 何か手伝ったりもしてくれるけど
- 私だけじゃなくて人から 距離を取ろうとしてる
- リヴィア: …………
- リヴィア: 元々人間はあんま好きちゃうから 適度に距離をとっとるだけや
- リヴィア: センセ…これ以上は 踏み込まんといてくれる?
- わかった…
- 引っ越しは来月だっけ
- リヴィア: やね、もう部屋も決めてしもたし あとは荷物をまとめるだけや
- これ、私の住所を書いておくから 良かったら連絡ちょうだい
- そっちの引っ越し先も知りたいし
- リヴィア: 気が向いたら送るわ
- 私にとってね リヴィアは特別なんだ
- リヴィア: なんや急に気持ち悪い…
- この仕事を始めてから、 最初に担当した子だったから
- ごめん、こんな個人的なことを 話しても仕方ないのにね
- リヴィア: ほんまは慰めたかったし 今までありがとうぐらいの言葉はかけたかった
- リヴィア: せやけど、相手の心に寄り添うほど 次にどんな心をえぐる状況が センセに訪れるかわからへん
- リヴィア: せやからなるべく寄り添うことなく むしろ冷たく接することが 私にとってセンセへの優しさやった
- リヴィア: その後は何の連絡をすることもなく 引っ越してからも センセとは連絡を取ろうとせんかった
- リヴィア: コンビニとかで仕事をして 少しずつ洗練させていった調整の力で 魔法少女をサポートする日々
- リヴィア: 善人の世界で悪人になんてなりたないから 善意も悪意もなく淡々と過ごしてると どちらにも振れない人生ってのは なんとも無味乾燥なもんやと思ったわ
- FILENAME: text_103202-4_7xz7k.txt
- リヴィア: 私がアパートに移り住んでからしばらくして 自分の後見人をしとる人から連絡があった
- リヴィア: センセが今度結婚式を挙げるっちゅう話で こっちの住所を気にしとったんも 招待状を送りたかったのが理由やったらしい
- リヴィア: (たぶん、あんときに言ってた 一流の兄ちゃんなんやろな…)
- リヴィア: (ようのろけとったし…)
- リヴィア: …………
- リヴィア: (私が結婚の足枷やったんかな)
- リヴィア: (ほんで独り立ちしたから、 ようやく区切りをつけたんかも)
- リヴィア: …………
- リヴィア: (センセが結婚できんかったのも 魔法のせいなんやったとしたら)
- リヴィア: (もう既に影響はでとる…)
- リヴィア: あの時の私は本心ではめっちゃ行きたかった お世話になったセンセの幸せな姿を 見送りたい気持ちでいっぱいやったんや
- リヴィア: せやから都合良く考えてたと思う
- リヴィア: もう既に不幸の効果は出てるから 自分が行っても平気やろって
- リヴィア: この時の私もそう思ったからこそ 式には出んことにして 代わりにコッソリ見届けようと思った
- リヴィア: チャペルの近くにおるセンセの花嫁姿は ホンマにきれいやった
- リヴィア: もしもこの幸せな瞬間を私のために 引き延ばしてしもてたんやったとしたら ほんまに申し訳ない気持ちやった
- リヴィア: それに、死んでしもた私の心を 人の幸せで喜べるようにしてくれたことに 感謝の気持ちしかなかった
- リヴィア: センセの幸せな姿を眺める私の脳裏には 劇団で殺されてしもた仲間の姿が浮かんでた みんなに「私はちゃんと生きてるで」って 言えると思った
- リヴィア: あ…
- リヴィア: センセ、こっちに気づきよった…
- リヴィア: ちょっ、そんな跳ねたらあかん ドレスのすそ踏んでまうって
- リヴィア: (でも、そんぐらい私が来て 嬉しいっちゅうことか…)
- リヴィア: …っ、胸がいっぱいや
- リヴィア: センセ、あとは自分のために 幸せに生きたってや
- ドッ!
- リヴィア: は…?
- ――――!!
- リヴィア: …………
- リヴィア: なんや、これ…
- リヴィア: あの瞬間は永遠とも思えるぐらいの スローモーションでまぶたの裏に焼きついてる
- リヴィア: あんな巨大なもんが世の中にあるんかってぐらい 大きなトラクターのタイヤが 道路から弾丸のように飛んで来た
- リヴィア: ほんでそれは弾けるような笑顔を見せるセンセに 容赦無く突っ込んで不幸を与えた
- リヴィア: きりもみするように宙を舞う純白のドレスが モノのように木々の中に突っ込む様子を あぜんと見ていると 目の前に小さな輪っかが転がってきた
- リヴィア: センセの結婚指輪が私に訴えとった
- リヴィア: お前が来たからこうなったんやって
- リヴィア: 「死ぬほど嬉しかったって…?笑われへんて…」
- リヴィア: ほんま、ちょっとした自分への 甘えすらも許されへんのか
- リヴィア: なんや、この生きづらさは…
- キュゥべえ: やあ、リヴィア
- キュゥべえ: ずいぶんとソウルジェムに 穢れが溜まっているようだね
- リヴィア: ほんまに… この気分を表してるみたいや…
- リヴィア: このまんまやと真っ黒に 染まってしまうやろうなぁ
- キュゥべえ: ボクとしてはそのまま 魔女になっても構わないけど
- リヴィア: えらい前に、この目で見たわ
- リヴィア: 願いを叶えた代償に 魔女と戦ったところで
- リヴィア: 結局自分が魔女になるんやったら 人生まったく救いがない上に
- リヴィア: なんも残すことも成すこともなく 呪いを散らすだけやな…
- キュゥべえ: そんなことはないさ
- キュゥべえ: キミたちは魔女になる時 膨大なエネルギーを発生させる
- リヴィア: はぁ?
- キュゥべえ: そしてボクたちは そのエネルギーを回収して
- キュゥべえ: 宇宙を維持するために 利用するわけだから
- キュゥべえ: キミは間接的とはいえ、 何かを残せてると言えるはずだよ
- リヴィア: つまりアンタは宇宙を残すために 魔法少女を作っとったんか
- リヴィア: 私が魔女になりそうなんを 見越したかのように出てきたキュゥべえは 淡々と宇宙を残すことについて話しとった
- リヴィア: その時、私の頭の中を満たしてたんは 人の魂をよう利用してくれたなっていう 恨むような気持ちと 希望を見出したような晴れやかな気持ち
- リヴィア: 自分の一挙手一投足が人を不幸にせん生き方を 見つけたからこそ 目を覚ますような清々しさが脳を支配しとった
- キュゥべえ: どうしたんだい、リヴィア
- リヴィア: 決めた
- リヴィア: 私はこれからアンタのため 宇宙のために生きるわ
- リヴィア: 魔法少女が宇宙を維持するエネルギーのために 存在しているのであれば そのノルマを達成すればええ話やし
- リヴィア: これから自分が生きるすべての行動が キュゥべえや宇宙のためになれば 誰に優しくしても、跳ね返ってくる先は コイツになるから平気やと思った
- リヴィア: それでキュゥべえが滅びるんやったら御の字やし 魔法少女たちもこのクソみたいな宿命から 解放されることになれば 自分の人生にもなんか意味があると思った
- リヴィア: 私は死んだ人の分まで生きて その人たちの分まで救う
- リヴィア: 私以外にも不幸な子らが 世の中にはごまんとおるからな
- リヴィア: やから、アンタのために戦うわ
- リヴィア: ほんならいずれ みんな救われてくれるやろ
- キュゥべえ: …………
- FILENAME: text_103202-5_7xz7k.txt
- みたま: ―みたま― まるで自分が経験してきたかのように 先生の記憶がつぶさに流れてくる
- 十七夜: ―十七夜― 共に繁華街で生き抜いた友は恐らく どこかで潰されてしまった
- みたま: ―みたま― 劇団の仲間たちは死して屍となった
- 十七夜: ―十七夜― さらわれる前に過ごした家族の記憶とともに
- みたま: ―みたま― 裏社会に潰された記憶とともに
- 十七夜: ―十七夜― 紛争に翻弄された記憶とともに
- みたま: ―みたま― 民族のぶつかり合いで見た血の記憶とともに…
- 十七夜: ―十七夜― 世界の不幸を俯瞰して見た彼女は 自分の境遇に飲まれずに生きようとした
- みたま: ―みたま― だけど善人が生きる世界に戻った先生は 前以上に生きづらい時を過ごすことになった
- 十七夜: ―十七夜― それでも悲しみを内に溜めて憎悪とせずに 糧にして冷静に解決しようとしている
- みたま: ―みたま― 先生は糧にしろと言うのですか 堕ちた自分たちを新たにするために
- リヴィアの声: 「そういうこっちゃ」
- リヴィアの声: 「どんな味付けにしても構わへんから はよう可哀相やと思とる自分を引きずり出して そのまま食ってしもうたれ」
- みたま: ―みたま― でも、どれだけ俯瞰しても、 神浜市を滅ぼすわたしは消えない
- みたま: ―みたま― それに、この悲しみを食らったら わたし自身を失うのと同じよ
- 十七夜: ―十七夜― …確かに、そうかもしれんな
- 十七夜: ―十七夜― しかし八雲 存外、そうではないかもしれん
- みたま: ―みたま― 十七夜…?
- 十七夜: ―十七夜― 我々は、自分の中にある悲しみに 満たされた神浜市を滅ぼすんだ
- 十七夜: ―十七夜― そして次は、共に歩みたい 神浜市と共に生きる
- みたま: ―みたま― ミィたちが繋いでくれた 神浜市と一緒に…?
- 十七夜: ―十七夜― そう、そのためにも我々は、 古い我々を食らわなくてはならん
- みたま: ―みたま― …そして自分たちの糧にするのね
- 十七夜: ―十七夜― うむ、未来のためにも 悲しみに囚われるのはここまでだ
- みたま: ―みたま― …わかったわ
- みたま: ―みたま― ミィが繋いでくれた明日のために わたしも過去を食らうわ
- 十七夜: さあ、かかってこい、 恨みに駆られ目を閉ざした自分よ
- みたま: わたしは自分に巣食う 神浜市を滅ぼして、先に向かうわ
- FILENAME: text_103202-6_7xz7k.txt
- 月出里: ふむむっ!?
- リヴィア: 魔力の反応が変わった 冷たさがのうなったみたいやな
- リヴィア: さ、これで十七夜とみたまが 悲しみを手放したわけやけどな
- ヨヅル: それを取り込もうと 悲嘆のキモチが現れますね
- リヴィア: そういうこっちゃ
- ∵グスッ_フゥ―!!
- リヴィア: さっそく出てきよったな
- リヴィア: 月出里!
- リヴィア: もう目を覚ますはずやから 十七夜とみたまを起こし!
- 月出里: ふむっ!
- 月出里: ふむむっ!ふむむっ!
- 十七夜: は…自分は…
- みたま: ちゃんと覚えてるわ…
- 十七夜: うむ…
- ∵グゥ_ゥ ̄ォォ―!!
- 十七夜: ――っ!?
- 十七夜: 見てきたものに 浸ってるヒマはないらしい
- みたま: ええ、まずは先生たちと一緒に キモチを押さえ込みましょう
- ヨヅル: …この様子だと 魔力の消耗は問題なさそうですね
- ヨヅル: 事前に浄化をしておいたのが 功を奏したようです
- 月出里: ふんむむふむむっむ、 ふむふむんむ、ふんむむむんむむ
- ヨヅル: そう、リスクを想定した気遣いは ノートにもメモしてあります
- ヨヅル: 優しくできない先生だからこそ 得られた知見かもしれません
- リヴィア: 余計なこと言わんでええねん
- リヴィア: しっかし、心なしか スッキリした顔になったなあ
- みたま: それだけ、自分の感情に 支配されていたんだと思います
- みたま: ありがとうございます…
- 十七夜: それに、自分の過ちに気づけた
- リヴィア: アンタは感情に囚われとっても 高潔やと思ってたけどな
- 十七夜: 環君は皆の幸せを望んで、 悲しみを生む行為を否定していた
- 十七夜: 自分は神浜市の幸せを望んで 悲しみを生む行為を肯定してきた
- 十七夜: その差が大きいことを 多くの悲しみを見て思い知った
- 十七夜: 自分と環君は似ていると思ったが 失礼な勘違いだったようだな
- みたま: 悲しみを武器にすること自体が 大きな過ちだったのよ…
- リヴィア: せやったら、糧にしたいま やることは決まっとるやろ?
- みたま: はい、神浜市に戻って、 キモチの石を届けてきます
- リヴィア: うん、さっさと行ってき
- みたま: 一緒に戻らないんですか?
- リヴィア: あんたらのために どんだけ精神力を削ったか
- リヴィア: しばらく休ませたってや
- みたま: ごめんなさい
- リヴィア: 謝るぐらいなら急ぎ
- リヴィア: キュゥべえに先手を取られたら 終わりやろ
- みたま: では…
- 十七夜: うむ、感謝はいずれ しっかりとさせてもらう
- リヴィア: はぁ…
- ドサッ
- 月出里: ふむんむん!
- ヨヅル: 大丈夫ではなさそうですね
- リヴィアの声: 魔力の問題ちゃう 目一杯思い出してつらなった…
- ヨヅル: 結局、先生が私たちに対して 優しくするのはなぜですか?
- リヴィア: え、いまそれ聞くん?
- ヨヅル: すみません、 間違いましたか…?
- リヴィア: もうちょい体調を 気遣って欲しかったけど
- リヴィア: ちゅーか答えは知っとるやろ
- リヴィア: みんな…宇宙のためや…
- みたま: ねえ十七夜…
- 十七夜: む?
- みたま: 確かにあの海で巫は 人々を恨んで魔女になったけど
- みたま: 実は最後は救われているの
- 十七夜: …誰かが救ってくれるのを 望んでいたのかもしれない
- 十七夜: そう言いたいのか
- みたま: ええ、そして本当は みんなと生きたかったんだと思う
- みたま: だから、自分の願いのことで もう気に病んだりしない
- みたま: わたしの中で神浜市は 一度滅ぼしたことにして
- みたま: これからは生きて贖罪をしながら 神浜市の未来を作るわ
- 十七夜: 自分も共に歩ませてもらう
- 十七夜: 皆が繋いでくれた神浜市の未来を 無駄にしないように
- FILENAME: text_103202-7_7xz7k.txt
- うい: はい、おかわりの紅茶
- うい: 落ち着く香りがするって わたしとお姉ちゃんのおすすめ!
- さな: はい、頭を抱えてる時こそ、 いちどリラックスしてください…
- 結菜: ありがとぅ、ういちゃん 気遣いができてえらいわねぇ
- 静香: 二葉さんもありがとう 確かに頭が沸騰しそうだわ…
- ひめな: あ、ごめん! とりま砂糖いっぱい欲しい!
- うい: えっと、一杯?いっぱい?
- かごめ: あ、あの、フェリシアさん
- かごめ: お菓子、勝手に持って行ったら やちよさんに怒られませんか?
- フェリシア: みんな菓子食って話してるなら オレだって食っていいだろ
- かごめ: フェリシアさんもみんなの話に 加わればいいだけでは…
- フェリシア: だって、ネオマギウスのヤツと 一緒とか、なんかイヤだろ
- フェリシア: 灯花たちみたいに罰もなんも うけてねーし
- かごめ: それならプロミストブラッドの 人たちも同じですし
- かごめ: 今回はグループ同士が 対等に手を取り合ってるんです
- かごめ: 罰を受ければいいっていう、 簡単な話じゃないですよ…
- 鶴乃: そう!
- かごめ: ひゃっ!?
- 鶴乃: どこのグループも本音を言えば 恨みつらみがあるんだから
- 鶴乃: いまはお互いを信じて 一緒に頑張るのがベスト!
- かごめ: キュゥべえに 先を越されるって考えると
- かごめ: 罰を気にしてるような状況じゃ ないですしね
- 鶴乃: うん、それもある!
- ひめな: なんか向こう 私チャンのことで揉めてる?
- 結菜: 私のことも関係ありそうねぇ
- やちよ: フェリシアは鶴乃がなんとか してくれるから平気よ
- やちよ: それよりも、十七夜たちが 戻って来なかった場合が問題よ…
- いろは: 自動浄化システムの代用品は 作れそうにないですからね…
- やちよ: 里見さんと柊さんがいないと、 突飛な案も出なさそうだし…
- 静香: みんなの固有魔法を組み合わせる 方法だと難しいのよね…?
- いろは: ういの回収能力はあっても、 範囲を決める被膜が難しいです
- いろは: それをできるのはどうしても アリナさんになるので…
- 結菜: 部分的には再現できたとしても、 ういちゃんに負担を強いてしまぅ
- いろは: はい、その負担は未知数なので、 下手をすれば魔女になるかも…
- ひめな: ぶっちゃけさ、キュゥべえに 自動浄化システムを取られた上に
- ひめな: 疑似的に再現もできなかったら とりまどうなんの?
- ひめな: ワンチャン、私チャンたちが バトる可能性もアリ寄りのアリ?
- いろは: …………
- 結菜: …………
- 静香: …………
- 結菜: 藍家さんとしてはどうなのぉ?
- やちよ: ずるい、探りを入れたわね
- 結菜: なんのことかしらぁ
- ひめな: んー、ヒコ君的にはどう?
- ひめな: うん…うん… まぁ、私チャン的にも同じかな…
- 結菜: なんて言ってるのぉ?
- ひめな: ないものを欲しがっても、 ぶっちゃけ意味ないじゃんって
- ひめな: それに過激な魔法少女至上主義は 否定されちゃったけど
- ひめな: 私チャンたちが戦ってることを みんなに知ってもらうって話は
- ひめな: 他のグループ的にも おけまるなわけでしょ?
- ひめな: それなら戦う理由もないし 仲良くするのはとりまオッケー
- 結菜: そうねぇ…
- 結菜: ないものをねだったところで、 ただの駄々っ子でしかなぃ
- 結菜: 神浜市の魔法少女に 恨みを晴らしたい子はいても
- 結菜: その不毛さも味わってるから 二木市に帰るでしょぅねぇ
- 静香: 時女一族はいつだって 敵対するつもりは毛頭ないわ!
- 静香: 魔女を倒すみんなが自然と 日の本を支えている!
- 静香: それで十分よ!
- 結菜: …シンプルねぇ
- いろは: はぁ…みんなに衝突するような 意思がなくて良かったです…
- ひめな: 今の奇跡的な状況を捨てる方が ヤバみが深すぎるからね
- いろは: それに私はこうして肩を並べて みんなと悩めてるのが嬉しいです
- いろは: 一緒に未来を見ている証拠だから
- ひめな: だったら、あのふたりが 戻らなかった時の話はやめてさ
- ひめな: 自動浄化システムを取り戻した あとの話をしようよ
- やちよ: それじゃなんのために リーダーたちが集まったのか…
- ひめな: 幸せな未来を語るためだって
- やちよ: うーん…わかるけど… なんか、調子が狂っちゃうわ…
- ピロン♪
- いろは: …………
- いろは: あ…
- やちよ: 誰から?
- いろは: 十七夜さんから…
- いろは: あ、みたまさんと一緒に 戻って来るそうです!!
- ひめな: ほら、やっぱりいけるって いい波乗ってんじゃん!
- うい: やったねお姉ちゃん
- うい: ピュエラケアのみんなが 成功したっていうことだよね?
- いろは: うん、そうみたい!
- 静香: これで8つの石が全部そろう…!
- 結菜: キュゥべえに先を越される前に 動いた方がいいわねぇ
- やちよ: ええ
- やちよ: ふたりと合流したら、 今後の動きをすぐに決めましょう
- みふゆ: それでは、かりんさんの行方は つかめませんでしたか…
- 月咲: みふゆさんも ダメだったんですね…
- みふゆ: ですが、そもそも結界内の様子が おかしい気がします
- 月夜: そうなんでございますよ
- 月夜: コピーの姿が見当たらなくて、 あまりにも無防備でございました
- 月咲: ウチの方も同じだよ
- 月咲: 見かけても戦う意思が ないみたいで…
- みふゆ: 何が起きてるんでしょうか…
- FILENAME: text_103202-8_7xz7k.txt
- ひめな: それで、これから駅にふたりを 迎えに行くのはいいとして
- ひめな: とりま聞いてみたいんだけどさ
- いろは: えっ、何の話?
- ひめな: さっきしようとしてたじゃん
- ひめな: 自動浄化システムを取り戻した あとの幸せな未来の話
- ひめな: いろりんは何か 未来を描いてたりすんの?
- いろは: うーん…漠然としたイメージが あるぐらいかなぁ…
- いろは: 魔法少女であることの 心配事が今よりも少なくなって
- いろは: 将来の夢を叶えられるぐらい 生きられるようになって
- いろは: 私たちが背負う宿命や 願った理由を伝えていってね
- いろは: 私たちも周りのみんなも 少しずつ優しくなればって思う
- いろは: んー、だからなんだろう
- いろは: いまのつらいを解消しながら 未来のつらいを作らないように
- いろは: みんなが優しくなれる種を 少しずつ撒いていく…?
- いろは: そういうことが、 できたらいいのかな…?
- かごめ: 前に話してた未来を潰すような 争いを無くすのと一緒にですか?
- いろは: うん
- いろは: 争いはないけど、思いやりが たくさんある未来にしたいのかも
- かごめ: いろはさんらしいです
- いろは: え、そ、そうかな…?
- いろは: ちなみに、藍家さんは どんな未来を描いてるの?
- ひめな: んー、ヒコ君との関係を 認めさせるのは大前提として
- ひめな: まあ、楽しくやれてたら 私チャンとしてはおけまるかな
- ひめな: ただ、魔法少女至上主義は広める もちろん前よりマイルドにね
- やちよ: マイルドって言われても この間食い止めたばかりだから…
- さな: はい、なんか笑えないですね…
- 鶴乃: 言い方もマイルドな方向に 変えられたらいいんだけどね
- ひめな: もう、階級構造とか考えてないし ほんと認めてくれたらいいの
- さな: それは彼ピさんのためですか…?
- ひめな: それはもちろんだけど、 羽根ちゃんのためでもあるよね
- さな: あ…
- ひめな: いろりんたちがしてることって 優しく聞こえるけどさ
- ひめな: 実はハードルが高くて、 どちゃクソ、マッチョなんだよ
- ひめな: だから付いて行けずに 悶々と羽根になってきた子たちを
- ひめな: 私チャンたちが 面倒みてあげるってこと★
- いろは: 理想論って、灯花ちゃんたちにも 言われるぐらいだし…そっか…
- いろは: 考えたこともなかったかも…
- 結菜: あなたのことだから 強制なんてしないでしょうけど
- 結菜: 聞く人は身構えるものよぉ
- やちよ: プロミストブラッドは うまくいったあと、どうするの?
- 結菜: このまま争いのない二木市が 永遠に続けばいいと思うわぁ
- 結菜: だから、私は根本的にね、 環さんと思想は近いのよぉ
- フェリシア: ウソだ!
- フェリシア: だってお前オレに 魔法でヒドいことしただろ!
- 結菜: 記憶のことはごめんなさぃ
- 結菜: 今度、高い牛肉を持っていくから それで許してちょうだぃ…
- フェリシア: いろは、コイツはもう大丈夫だ ちゃんと“かいしん”してるぞ
- 鶴乃: もうフェリシアの扱い方が わかってる…!
- うい: あとは静香さんにも 聞かないとだよね
- ひめな: お、ういういわかってるね というわけで本家はどうなの?
- 静香: 日の本の平和と繁栄! 以上よ!
- 静香: もちろんだからといって 暴力に訴えかけないわよ!?
- 静香: というか、もう一族としては 裏で支えるつもりだから
- うい: 縁の下の力持ちだ
- 静香: そういうこと!
- かごめ: …………
- かごめ: みんながバラバラに見ていた未来が 今となっては同じところを見ている気がする
- かごめ: 未来を見る視線が1本の光の筋だとしたら これまでは4本の筋が 交差してぶつかっていたけど
- かごめ: 今は4つの光が同じところを照らすことで はっきりとしなかった未来が くっきり見えるようになった気がする
- いろは: あ、いま十七夜さんから また連絡があったんですけど
- いろは: 思ったよりも早く着くそうです
- かごめ: 氷室さんも那由他さんとの 用事が早く終わったみたいで
- かごめ: そろそろ、みかげちゃんと 合流するみたいですね
- やちよ: じゃあ、3人には十七夜たちと 合流してもらって
- やちよ: キモチの石を集める場所は、 先に決めちゃいましょうか
- 鶴乃: はい!
- 鶴乃: それなら立入禁止区域になってる 中立地帯がいいと思います!
- 結菜: ピュエラケアと合流したあとなら 有事の際に備えられるからねぇ
- 鶴乃: そういうこと!
- いろは: 確かに、出張調整屋が 近くにあった方が良さそうですね
- いろは: 神浜マギアユニオンとプロミストブラッド 時女一族とネオマギウスの皆さんに連絡です
- いろは: 十七夜さんとみたまさんから連絡があって 神浜市に戻ってくることがわかりました
- いろは: そこで、急ではありますが、 キュゥべえから自動浄化システムを取り返すため キモチの石を1ヶ所に集めることにしました
- いろは: 場所は出張調整屋のある中央区の立入禁止区域 今回の争いで中立地帯となっていた場所です
- いろは: キュゥべえに先を越されないために 一刻を争う状況なので 人が集まっていなかったとしても 全てのキモチの石がそろい次第、始めます
- いろは: 都合が合わずに参加できない方には 申し訳ないのですが、よろしくお願いします
- みかげ: 姉ちゃ!
- みたま: ただいま、ミィ
- 十七夜: 心配をかけたな…
- みかげ: 本当だよ ミィがどれだけ心配したか
- みかげ: 姉ぢぁも…なぎだんも… ふ…ぅ…ゥゥウ…
- みかげ: 「姉ぢゃーーーーーーー!!」
- みたま: もう、前までのわたしじゃない だから安心して、ミィ
- みかげ: 「もう、どごにもいっじゃ だべだがらあー!」
- みたま: うん…
- 那由他: ほんと、無事で良かったですの
- ラビ: もらい泣きしてますよ
- 那由他: ラビさんもですの
- ラビ: …ほんとですね
- FILENAME: text_103202-9_7xz7k.txt
- いろは: すごい…
- いろは: こんな短時間でみんな…
- 都 ひなの: そりゃあそうだろう
- 都 ひなの: 各グループ何十人っていう 魔法少女が関わってきたんだ
- 都 ひなの: それだけ重要っていうことだ
- 那由他: そして期待されていて 奇跡的ということなんですの
- みかげ: ずっと戦ってきたのに 同じ未来を見てるんだもんね
- いろは: みかげちゃん、那由他ちゃん ふたりが居るっていうことは…
- 十七夜: 心配をかけたな、環君
- みたま: 本当に謝っても謝りきれない また、罪を重ねてしまったわね…
- やちよ: みんな事情はわかってる
- やちよ: あなたたちと同じような人生を 歩んでいたとしたら
- やちよ: 誰しも同じように 堕ちていたかもしれない
- 鶴乃: むしろそこから戻って来たことを 誇っていいと思うよ
- みふゆ: はい、また前と同じように 手を取り合って歩みましょう
- うい: おかえりなさい!
- さな: 帰ってきてくれて嬉しいです…!
- フェリシア: また一緒にがんばろーぜ!
- いろは: はい、私たちみんなで 幸せな未来に歩んでいきましょう
- みたま: ありがとう、みんな
- 十七夜: うむ、感謝する
- うい: お姉ちゃん これで全員集まったよね
- いろは: うん、キモチの石は8つ 私たちの前に集まったよ
- いろは: どう、うい 何か変な感じはしない?
- うい: うん…
- うい: キモチの石が集まっても、 前みたいな違和感はないよ
- うい: それにキモチ同士が集まって 反応してるせいかな…
- うい: 自動浄化システムの位置が わかる気がする…
- いろは: それって、こことは違う場所?
- うい: ううん、ここだよ
- いろは: ここ?
- うい: うーん、どう言えばいいんだろ…
- うい: 穢れを吸い取る範囲が全部ね 自動浄化システムそのものなの
- うい: だから、キモチの石が集まった 今だったら
- うい: どこでも、自動浄化システムの 入口が見つけられるよ
- いろは: それじゃあ、キュゥべえから 取り戻すのもあと少しで…
- いろは: …………
- いろは: ふぅ…
- いろは: それでは、良ければ私に キモチの石を預けてください
- みたま: どうぞ、 受け取っていろはちゃん
- 十七夜: うむ
- 十七夜: 魔法少女たちの未来のために どうか役立てて欲しい
- いろは: はい
- いろは: みんなが幸せになれる未来を 一緒に作っていきましょう
- 樹里: 地元に籠もってたらできなかった 面白い経験が色々できた
- 樹里: しんどいことも多かったけど 楽しくやらせてもらったぜ
- アオ: 大切な命を奪って キモチにやられて…
- アオ: 迷惑かけてばかりだったけど、 もう同じような人は作らないよ
- アオ: 姉さまや姉ちゃんたちと一緒に 新しい二木市にしていく
- 結菜: だから私たちの想いを託すわぁ この石と一緒にねぇ
- 結菜: これで少しだけはさくやの想いに 報いることができたかしらぁ…
- いろは: 救いの輪を広げていくんですから きっと喜んでくれてると思います
- ちはる: 大庭さんに返してもらったけど、 またすぐに渡せて良かったよ
- ちはる: この恐怖の石や悲嘆の石が 強くならない世界になればいいね
- 静香: 環さんが言っていた救いがあって 希望を叶えられる未来
- 静香: そのために人の心が 優しくなれる世界を作れるなら
- 静香: 私も日の本を支える者として これからも力になるわ
- いろは: うん、きっとできると思う この瞬間こそ未来への希望だから
- 時雨: あれ、ぼくたちは キモチの石を持ってないんだっけ
- はぐむ: 藍家さんが全部 最後に取るつもりだったからね
- 燦: これからはネオマギウスも 彼女たちと共に歩むの?
- ひめな: そ、ただヒコ君が言ってた
- ひめな: 羽根もいるから、同じように 前にならうんじゃなくて
- ひめな: ツッコミ役として 存在してる方がいいって
- ミユリ: なんか、わかるような 気がしますぅ
- すなお: 静香とちゃると3人で集落を出て 都会は本当に探り探りで…
- すなお: 長かったですけど、 ようやくひとつになりました…
- 南津 涼子: 世間知らずばっかが集まって、 よくもまぁ生き残れたもんだよ
- 青葉 ちか: ふふっ、そうしたひとつひとつが 私たちにとっての奇跡ですね
- 智珠 らんか: なんかもう、うまく行きすぎると 怖いんだよね…
- 智珠 らんか: どんでん返しのラスボスとかさ…
- レナ: ちょっと、イイカンジなのに 変なフラグ立てないでよ
- ももこ: おい、なんかキモチの石が…!
- かえで: いろはちゃんを囲んでるよ!?
- レナ: ほら、らんかのせいで!
- 智珠 らんか: いや、冗談だったのに! やめてよ!
- いろは: 大丈夫
- いろは: キモチが私たちに力を貸す前にね みんなに話を聞きたいんだって
- FILENAME: text_103202-10_7xz7k.txt
- ∵くすくす_ ̄あはっ!
- いろは: 最初に出会った時から 私はあなたを届けるつもりだよ
- うい: わたしもそう
- うい: ちゃんとみんなをイブとして ひとつに戻すつもり
- いろは: だから心配しないで…
- いろは: あなたたちが 強大な力を持っていたとしても
- いろは: それに喜んでうぬぼれて、 悪いことになんて使わない
- いろは: キモチのみんなを消そうなんて 考えたりしないから…
- うい: だから一緒に行こう
- いろは: 紡がれる未来を喜び合おう
- うい: みんなはイブの一部だけど わたしの一部でもあるからね
- うい: きっと一緒に歩めるよ
- FILENAME: text_103202-11_7xz7k.txt
- ∵キィ ̄ヤァアア―アッ!!
- みふゆ: 心配しなくても平気ですよ
- みふゆ: 今さら何が起きて驚いたとしても 裏切ったりはしませんから
- 鶴乃: うん、これまでが 驚きっぱなしの戦いだったからね
- みふゆ: ワタシたちも様々な経験を通して 強くなってきたんです
- やちよ: だから安心して私たちと いろはに付いてきて
- やちよ: あなたたちと私たちが手を取れば 優しい未来が待っているから
- 鶴乃: そうっ!
- 鶴乃: むしろキモチのみんなが驚く 未来を見せちゃうよ!
- FILENAME: text_103202-12_7xz7k.txt
- ∵ヌゥゥ―ッ_アグゥ!!
- フェリシア: 父ちゃんと母ちゃんのことは 思い出してキツかったけど
- フェリシア: それでもオレは自分のことを 嫌いになったりなんてしねえ
- フェリシア: 恵みをあたえねーとっていう 役目があるからな!
- さな: 私だってもう 自分を嫌悪なんてしませんよ…
- さな: 絵本を通して、私なんかでも 役立てる人間だって思えて
- さな: これから胸を張って 生きられる自信になったんです…
- さな: だから、もう自分のことを 嫌いになんてなりません…
- FILENAME: text_103202-13_7xz7k.txt
- ∵ウゥ、グ、ヌァアアアッ!!
- ももこ: アタシが怒りに囚われるなんて 有り得ないよ、大丈夫
- レナ: ていうか、東西のことで これだけひっかき回されても
- レナ: みたまさんと十七夜さんを 受け入れてんのよ?
- レナ: レナたちの心の広さはね 太平洋ぐらいあるんだから
- かえで: そっかレナちゃんの心も 広いってことになるんだ…
- レナ: なにか文句あるわけ?
- かえで: ほらぁ、すぐ怒る…
- かえで: みんなが太平洋なら レナちゃんは琵琶湖ぐらいだよ
- ∵ヌゥ_ゥ
- ももこ: あ、キモチが笑った
- FILENAME: text_103202-14_7xz7k.txt
- ∵ゥゥ_ゥ―アァアアッ_!!
- 十七夜: お前が心配するのももっともだ
- 十七夜: この神浜市において悲しみの 象徴たるお前が強敵だったのは
- 十七夜: それだけ町に散らばる悲しみが どの感情よりも多かったからだ…
- みたま: 実際にわたしたちも悲しみを あなたに取られないようにして
- みたま: 自分に取り込んだ結果 悲しみに囚われてしまったけど
- みたま: 今はその悲しみも食べ尽くして 自分たちの糧にしたわ
- 十七夜: だから安心して欲しい 自分たちは悲しみに屈しない
- 十七夜: もしも新たな悲しみが現れるなら それを自分たちが食らってやる
- FILENAME: text_103202-15_7xz7k.txt
- ∵ヒッ_―ィィ!!
- アオ: うん、今ではわかる 恐怖がないのが一番怖いって
- ひかる: ほんと、アオさんは恐怖を求める マシンみたいだったっす
- 樹里: 人間何かが欠けてるヤツってのは こえーからなぁ、ニヒッ
- 結菜: だから、これからの私たちは 感情も人も欠けさせないわぁ…
- 結菜: もちろんかつてのように、 力で支配するなんてもってのほか
- 樹里: 恐怖で支配するのが、 一番楽だったんだけどなぁ
- アオ: ダメだよママ! あっ!
- 樹里: アッハハ! 娘に言われたら仕方ねーよ
- ひかる: 恐怖に運命を左右されるのは、 終わりってことっすね
- FILENAME: text_103202-16_7xz7k.txt
- ∵へ~ ̄ハイ_ええ
- 静香: ええ、もうひとりで背負わない みんなと一緒に歩いて行くわ
- すなお: 私も本家としての期待に 押しつぶされそうな静香の心に
- すなお: 気づくことができなかった分 これからは寄り添って生きます
- ちはる: 本家だけじゃなくて分家と一緒に 未来を作るのが時女一族!
- ちはる: だもんね!
- 青葉 ちか: むしろこれからの私たちに 乞う御期待ですね
- 南津 涼子: そりゃあ少し、 ハードルが上がっちまうなぁ
- 静香: そんなことないわ
- 静香: 日の本を支える刃として 鋼のような絆を結ぶのは当然よ
- FILENAME: text_103202-17_7xz7k.txt
- ∵ッ…ン~ ̄_ハ…!!
- ひめな: キモチに言われなくても、 私チャンは愛でいっぱいだから
- ひめな: これからはラブ&ピースで 未来を支えて行くよ、キャハッ★
- 時雨: でも、あの、支える方法が 愛の暴力みたいなのは要らない…
- はぐむ: うんうん、それにみんなに内緒も 愛がないから禁止ですよ…!
- ミユリ: これはこれは、先に予防線を 張られちゃいましたよ姫様!
- 燦: ふふっ、いつものやり方が 使えなくなったわね
- ひめな: 別に気にしてないし 真のマイメンだから当然でしょ?
- ひめな: 隠し事はせずに 肩を並べていかないとさ
- ひめな: 愛して敬うのは無理みが深いって 私チャン気づいたから★
- FILENAME: text_103202-18_7xz7k.txt
- いろは: ひとつひとつの感情と向き合って 私たちは乗り越えて来たと思う
- いろは: だから…!
- ――――
- いろは: 「うん、これから私たちが目指すのは みんなが魔法少女のことを知って 契約しようとする少女の数が減っていく未来」
- いろは: 「ゼロにはできないかもしれないけど 人の心が少しでも優しくなれば 願いを叶える理由がなくなって減っていく」
- いろは: 「その優しさは何千年何万年とかけても 変わらなかった人の心の変化で 私たち魔法少女を救うだけじゃなくて 未来の人を沢山救えると思うの」
- いろは: 「だから、宇宙の意思が邪魔をする話もあるけど 私たちはここまで来た奇跡を信じて進みたい」
- いろは: 「みんなをヒドい目に遭わせたりしないし 必ず一緒に未来へ連れて行くから」
- いろは: お願い、力を貸して!
- いろは: ありがとうみんな 信じてくれて
- うい: お姉ちゃん 自動浄化システムの入口がわかる
- やちよ: キモチを手に入れたいろはと 元々イブだったういちゃん
- やちよ: ふたりで行ってらっしゃい
- userName: モッキュ!
- 鶴乃: そうだね!
- 鶴乃: userNameも 連れて行ってあげないと!
- うい: あと、キモチの石の数だけ 入れると思うから
- うい: グループのリーダーみんなで 一緒に行こうよ
- いろは: そうだね
- いろは: 私たちがみんなで 手にするものだと思うので
- いろは: それにかごめちゃんも!
- いろは: 私たちのことを最後まで 近くで見ていて欲しい
- かごめ: ―かごめ― わ、わかりました…!
- かごめ: ―かごめ― なんだか場違いな気もしますけど すごく嬉しいです…!
- 静香: ―静香― 私もよ、環さん
- 静香: ―静香― 一族を代表して立ち会えることを とても嬉しく思うわ
- 結菜: ―結菜― ふふっ、これもひとつの節目 いい晴れの日になりそうねぇ
- ラビ: ―ラビ― そして私にとっては最後の観測 何もないことを祈るばかりです
- ひめな: ―ひめな― ていうか、一緒の方が絵になるし ぶっちゃけアリだよね
- FILENAME: text_103202-19_7xz7k.txt
- かごめ: あ、あれ…?
- いろは: ここが、 自動浄化システムの中…?
- 静香: なんだか透明な部屋の中に 入ったような感じ…
- 静香: え? どうしてちゃるがいるの?
- 静香: ねえ、ちゃる
- 静香: ――っ!? ななな、手がすり抜けたわ!?
- かごめ: 外と同じように見えるけど、 違ってるみたいです…
- いろは: うん、そこに居るように 見えるだけみたい
- 結菜: 魔女の結界が現実と干渉しない 別の空間になっているように
- 結菜: 自動浄化システムの空間も 同じなのかもしれないわねぇ
- ラビ: 部分的に作られた もうひとつの世界…?
- 結菜: 恐らくねぇ
- いろは: どれぐらい広いんだろう…
- いろは: 魔力を保有してないはずなので 狭いと思ってたんですけど…
- ラビ: 魔力の流れのようなものは 感じるけど
- ラビ: どこへ繋がっているのか…
- うい: コアになってる部分ならわかるよ ねっ、userName
- userName: モキュッ!
- ラビ: 案内してもらっていい?
- userName: モキュキュイ!
- かごめ: キュゥべえは いないみたいですね
- 結菜: あれもまだ自動浄化システムは 掌握できていないはず
- 静香: それなら不在の今が、 奪い返す最高の機会ってわけね!
- うい: うん、あの繭になってる部分が 魔力の集中してる部分だよ
- ひめな: その小さなキュゥべえと いろりんでコアになるんだよね?
- いろは: うん、そうだよ
- userName: モッキュ!
- ひめな: それなら、おけまる!
- ひめな: 自動浄化システムは 環ういの概念なんだから
- ひめな: そのキュゥべえをハブにするのを 忘れちゃだめだからね
- いろは: ありがとう、藍家さん
- ひめな: それじゃあ、私チャンたちは ここで見守るからね
- ラビ: はい、 無事に終わることを祈ります
- いろは: ありがとう
- いろは: それじゃあ、 userNameいくよ
- いろは: 一緒に自動浄化システムと ひとつになろう
- userName: モキュゥ!
- いろは: 『キャァアッ!?』
- userName: 「モギュ!?」
- かごめ: いろはさん!?
- うい: お姉ちゃん!
- キュゥべえ: どうやら うまくいったようだね
- うい: キュゥべえ…
- 結菜: まさか、最初から誘い込んで…
- 静香: 久兵衛様の罠っていうこと…!?
- キュゥべえ: 罠でもなんでもないよ
- キュゥべえ: 環いろはたちが望んだ通り
- キュゥべえ: この自動浄化システムの コアになってもらうんだよ
- キュゥべえ: 違いがあるとすれば、 ボクが一緒ということだけさ
- 静香: その違いがあれば すべてがひっくり返るわよ!
- ひめな: やっぱり食えないなぁ どういうつもり?
- キュゥべえ: 藍家ひめなに教えた方法は ボクも実践するつもりだった
- キュゥべえ: 自動浄化システムを完全に コントロールできるようにして
- キュゥべえ: キモチというエネルギーまで 取り戻そうとしても
- キュゥべえ: 感情を持たないボクだけでは 限界があるからね
- ひめな: それで、こっちがキモチを従えて 来るのを待ってたわけだ
- キュゥべえ: その通りだよ
- キュゥべえ: 「自動浄化システムという概念と繋がったボクと キモチという膨大なエネルギーを 支配する環いろは」
- キュゥべえ: 「その両者を環ういとしての性質を持つ userNameがハブとしてつなぐことで ボクは自動浄化システムをコントロールしつつ キモチも支配することが可能になるんだ」
- キュゥべえ: 「つまり、これでボクは 自動浄化システムという概念だけでなく イブという強大な魔女そのものを 手に入れたことになった」
- キュゥべえ: 「キミたちのおかげで 自動浄化システムを完全にコントロール できるようになるまでの時間は 飛躍的に短縮できたよ」
- 結菜: 環さん!
- キュゥべえ: 呼びかけても無駄だよ 紅晴結菜
- キュゥべえ: 環いろはもuserNameも すでに意識はないはずだ
- ラビ: なら、ここで救えばいい
- キュゥべえ: キミも環いろはに 協力するなんて驚いたよ
- キュゥべえ: 最後までこの戦いを 眺めていると思ったんだけどね
- ラビ: 私はもはや傍観者ではない
- ラビ: 見せられた希望を 守るだけの意思はある
- 結菜: ええ、しょせん この場にいるのは1匹
- 結菜: すぐに片づけましょぅ
- ひめな: 私チャンたちが付いてきたのは 運の尽きって感じだよね★
- 静香: ええ、久兵衛様とは言っても、 未来に暗雲をもたらすのであれば
- 静香: ここは退いてもらいます
- キュゥべえ: いまのボクは自動浄化システムを 部分的にコントロールできる
- キュゥべえ: 完全にコントロール下に置くまで ボクも抵抗させてもらうよ
- FILENAME: text_103202-20_7xz7k.txt
- チュメチュチュビャン!
- 静香: っ、ムダに数が多いわ!
- 結菜: 1体が強くなかったとしても、 塵も積もれば山となる…
- うい: でも、大丈夫だよ
- ラビ: 何か感じる?
- うい: うん
- うい: わたしたちも諦めてないけど キモチも諦めてない
- FILENAME: text_103202-21_7xz7k.txt
- いろは: …………
- いろは: …………
- いろは: 全部聞いてたよ キュゥべえ
- いろは: 私とuserNameを捕らえて 利用する気だったみたいだけど
- いろは: 私たちを信じてくれたキモチまで 操るのは無理だった
- キュゥべえ: そのようだね
- キュゥべえ: キモチは環いろはから離れないと 抵抗できないと思ってたから
- キュゥべえ: 内側から破壊するだけの力を 放つのは想定外だったよ
- いろは: 想定の範囲外はまだまだ続くよ
- 結菜: 使い魔は私たちが相手するから 環さんは今のうちに!
- 静香: ええ、今のうちよ!
- キュゥべえ: もしコアになろうとしてるなら やめた方がいい
- キュゥべえ: ただでさえキモチの膨大な力の 影響を受けているんだ
- キュゥべえ: その上、自動浄化システムと 繋がろうとするなんて
- キュゥべえ: ハブを使ったとしても キミの自我は消えるかもしれない
- キュゥべえ: それでもキミはコアになるのかい 環いろは
- キュゥべえ: ギュッ!
- ひめな: そうやって惑わすこと言わない ほら、いろりんやっちゃいな
- ラビ: ええ
- ラビ: 言葉というまやかしに騙されず 自分が信じる未来へ
- いろは: うん、何と言われても 私はやるよ
- いろは: userName!!
- userName: モッキュ!
- いろは: 自動浄化システムを取り返そう そして世界に広げよう
- いろは: 私たちみんなで 世界の魔法少女を救う!
- みこと: ほら、アリナちゃん 次の歴史を覗きに行こう
- みこと: 私たちは誰だって救われない
- みこと: 人は悲しみで終わるように できているの
- みこと: 希望が絶望で終焉を迎えるのは、 人にとっては摂理なんだよ
- FILENAME: text_103203-1_7xz7k.txt [Episode 3]
- 御園 かりん: …………
- カツン…
- 御園 かりん: …っ、誰なの!?
- …………
- 御園 かりん: こ、こんなので怖がってるような 場合じゃないの
- アリナ: アリナ・グレイ改心計画に 付き合う約束はナッシング
- 御園 かりん: どういう意味?
- アリナ: アリナは瀬奈みことの 進化計画に付き合ってみるワケ
- アリナ: アッハハハハ!!
- 御園 かりん: そんな!
- 御園 かりん: え、え… アリナ先輩…
- 御園 かりん: アリナ先輩!!
- 御園 かりん: 絶対に改心させるために 頑張らなくちゃいけないの
- 御園 かりん: それが我…
- 御園 かりん: 希望への道を切り開く魔法少女 マジカルかりんだから!
- 御園 かりん: ワッハッハッハー
- 御園 かりん: 「ハッハッハー」
- 御園 かりん: 「ハッハッハー」
- 御園 かりん: …………
- 御園 かりん: (なんか変なの…)
- 御園 かりん: (前まではコピーが出てきたのに 今回は一度も出会ってないの…)
- 御園 かりん: き、きっとわたしの改心計画を みんな応援してくれてるの
- 御園 かりん: …隠し部屋まできちゃったの
- 御園 かりん: (本当に誰も出てこない…)
- 御園 かりん: (ここも、時間や空間に繋がる 鏡がたくさんあるから)
- 御園 かりん: (どんな魔女が出てくるか わからないって話だったけど…)
- 御園 かりん: (ただ、鏡がたくさん 浮いてるだけなの…)
- ぐぅうううぅう、きゅるるん
- 御園 かりん: お腹空いたの…
- かえで?: かりんちゃん
- 御園 かりん: うわぁっ、でで、でたの!
- かえで?: 私はコピーか本物か どっちだと思う?
- 御園 かりん: コ、コピーなの…
- 御園 かりん: いま、かえでちゃんは、 ネオマギウスと戦って大変なの…
- かえで?: そう、大正解! 私はコピーのかえでだよ
- 御園 かりん: わたしを倒しに来たの?
- かえで?: ううん、話したいことがあったの
- 御園 かりん: なんなの?
- かえで?: まず、ネオマギウスとの戦いは もう終わったあとで
- かえで?: みんながかりんちゃんのことを 捜してるっていうこと
- かえで?: もうひとつは、ここまで誰も あなたを邪魔しなかったのは
- かえで?: この果てなしのミラーズの主が あなたを待っていたから
- かえで?: これからあなたは みんなのところに帰ってもいいし
- かえで?: 主とアリナ・グレイに会って、 旅を続けるのも構わない
- かえで?: あなたの意思次第になるけど、 どうする?
- 御園 かりん: えっと…こわいけど…
- 御園 かりん: こわいけど、会うことにするの!
- 御園 かりん: ここで帰っちゃったら、二度と アリナ先輩に会えない気がするの
- かえで?: じゃあ、主に伝えてくるね
- 御園 かりん: …消えちゃったの
- 御園 かりん: ――っ!?
- 御園 かりん: な、なんなの!?
- 御園 かりん: ここは… なんか気持ち悪いの…
- 御園 かりん: あ…
- 御園 かりん: 「アリナ先輩…」
- FILENAME: text_103203-2_7xz7k.txt
- 御園 かりん: アリナ先輩…! ようやく見つけたの…!
- アリナ: ぐっ…
- アリナ: いきなりハグしてくるとか 苦しいんですケド…!
- 御園 かりん: どこを旅してきたの!?
- 御園 かりん: さっき、かえでちゃんの コピーが出てきて言われたの
- 御園 かりん: このまま先輩と一緒に 旅を続けても構わないって…!
- アリナ: ふーん…?
- 御園 かりん: もしも、先輩の中にいる人が 言ってることなら、旅はやめるの
- 御園 かりん: 絶対に先輩は改心できるから
- 御園 かりん: 進化計画なんかに乗って 滅びの実現を進めちゃだめなの!
- アリナ: だけど、もう色んなヒストリーを トラベルしたあとなんだヨネ
- アリナ: しかもそれで理解したワケ
- アリナ: アリナのセンシビリティーは 正しいって
- 御園 かりん: せんしびりてぃー?
- アリナ: “人は滅びたがってる”っていう 感覚のこと
- 御園 かりん: ――っ!?
- アリナ: ホント、この鏡の魔女の結界は アメイジング
- アリナ: 色んなヒストリーのイベントを 見ることができたんだケド
- アリナ: どの時代も人は自滅して 悲しむようにできてたんだヨネ
- アリナ: 何年経ってもグループスーサイド 一直線で、ホント笑えるワケ
- 御園 かりん: その感想は瀬奈みことの 進化計画のせいなの!
- 御園 かりん: アリナ先輩は改心して…!
- アリナ: シャラップ
- アリナ: いまはマギウスの時とは違うから ビューティフルな滅びの実現は
- アリナ: 最初からインポッシブルだと 思ってるワケ
- 御園 かりん: 無理だと思ってるの!?
- 御園 かりん: じゃあ、諦めて わたしと一緒に帰るの!?
- みこと: そうさせないために、 私があなたを呼ぶことにしたの
- 御園 かりん: あなた、瀬奈みこと…
- 御園 かりん: おかしいの… どうしてわたしにも見えるの…?
- みこと: ここは魔女にほど近い 結界の中でも深い場所だから
- みこと: アリナちゃんの中にいる私が 薄らと見えているのかもね
- 御園 かりん: 先輩を帰して欲しいの…
- みこと: やだぁ
- みこと: その言い方だと 私が無理矢理さらったみたい
- みこと: 私の進化計画に付き合ったのは アリナちゃんの意思なんだからね
- 御園 かりん: どうやったら帰してくれるの…?
- みこと: 簡単だよ
- みこと: 私とアリナちゃんと一緒に もう一度、歴史の旅をしましょっ
- みこと: そして最後まで見終わったあとで あなたの感想を聞かせて欲しいの
- みこと: アリナちゃんが、あなたのことを 気にしてるみたいだから
- 御園 かりん: どうしてなの…?
- みこと: それだけアリナちゃんにとって あなたは面白いっていうこと
- みこと: もしも、あなたの感想を聞いて アリナちゃんが心変わりすれば
- みこと: その時はアリナちゃんを 返してあげるね
- みこと: んふふっ
- みこと: 断れば、ここで終わりだけど どうする?
- 御園 かりん: わ、わかったの…!
- 御園 かりん: わたしがアリナ先輩を助けて、 世界を滅びから救ってみせるの!
- みこと: すっごく良い意気込み!
- みこと: じゃあ、さっそく準備はいい?
- 御園 かりん: ど、どうなるの…?
- みこと: 鏡が繋がっている歴史の光景が あなたにも見えるはず
- アリナ: だから、フールガールの コメントを聞かせて欲しいワケ
- アリナ: 人には滅び以外の終焉があるか
- FILENAME: text_103203-3_7xz7k.txt
- みこと: 「私たちには見える」
- みこと: 「幾千、幾万の年を巡っても変わらない 人間を巡る滅びの連鎖が…」
- みこと: 「どれだけ喜びを得てもたどり着くのは悲しみ 希望を叶えても訪れるのは絶望」
- みこと: 「それはね、人間の歴史を見ていればわかるよ だって人間自身が望んでることなんだから」
- みこと: 「最初に鏡が映すのは 悪意をもって人間が滅ぼし合う様子」
- みこと: 「利権や力に溺れて他者を軽んじるようになる あまりに醜い人間の姿」
- アリナ: フールガールには何が見える?
- 御園 かりん: みんなが暮らしてるの…
- 御園 かりん: 美味しそうな料理を作ってて、 あ、羊さんがいるの…
- 御園 かりん: 自然の中で楽しそうにしてるの 滅びそうになんてないの
- アリナ: だけどそれはフェイク
- アリナ: みんな人間だから、 許されないワケ
- 御園 かりん: へ…?
- 御園 かりん: な、なんかいっぱい お馬さんが来たの…!
- 御園 かりん: 槍を持った人たちもいっぱい…!
- 御園 かりん: な、何をしに来たの…?
- アリナ: そんなの決まってるんですケド
- アリナ: ジェノサイドだヨネ
- 御園 かりん: ひぁあああッ!!
- 御園 かりん: ややっ、やめるの! どうして、そんなことするの!
- アリナ: バッドな人たちじゃないケド 邪魔だったんだヨネ
- アリナ: ビリーブするものが違ってるカラ 面倒になる前に殺すワケ
- アリナ: 要はリスクヘッジのために、 人を殺してるんだヨネ
- 御園 かりん: どうして…意味がわからないの…
- アリナ: 確かなのは、人は害意をもって 人を滅ぼそうとするワケ
- みこと: 「んー、次に鏡に映すのは何にしようかな?」
- みこと: 「さっきは悪意の話をしたから~んふふっ」
- みこと: 「善意をもって人間が滅ぼし合う様子かな」
- 御園 かりん: また、怖いのはイヤなの…
- アリナ: アナタがギブアップするなら 滅びの未来は変わらないんだケド
- 御園 かりん: だめなの、ちゃんと自分で見て アリナ先輩を変えてみせるの…!
- 御園 かりん: …今度も平和なの わたしぐらいの年の子がいるの
- 御園 かりん: みんなお屋敷で、 大切に面倒を見てもらってるの
- 御園 かりん: それに、よくわからないけど 儀式の練習もしてるの
- アリナ: シュア
- アリナ: このチルドレンは、国の人たちと ゴッドのために生きてるワケ
- アリナ: マザーやファザーにとっては すごく名誉なことだヨネ
- 御園 かりん: はぁ…
- 御園 かりん: 今回は誰も攻めてこないし、 誰も殺されたりしないの
- アリナ: ノー
- アリナ: みんなに訪れるのは 滅びなんだからデスだヨネ
- 御園 かりん: ――っ!?
- 御園 かりん: あ、おかしいの…
- 御園 かりん: 何人か選ばれたと思ったら、 なにか食べさせられて
- 御園 かりん: お酒なんて飲んじゃだめなの! ほら、フワフワしちゃうの!
- 御園 かりん: ――っ!?
- 御園 かりん: そんな状態で山に登ったら 倒れちゃうに決まってるの…
- 御園 かりん: 寒いし戻った方がいいの…
- アリナ: だけど、彼女たちはみんな、 この時のために育てられたワケ
- 御園 かりん: それって山登り…?
- アリナ: サクリファイスになるためだヨネ
- 御園 かりん: どういう意味なの…?
- アリナ: みんなはゴッドのために生きてる …いわゆる、生贄ってワケ
- 御園 かりん: あ…
- 御園 かりん: う、やめ、首絞めたら ほんとに、死んじゃうの…!
- FILENAME: text_103203-4_7xz7k.txt
- みこと: 「幾千、幾万の年を巡っても変わらない 人間を巡る滅びの連鎖」
- みこと: 「人間は悪意と善意をもって 自分たちを傷つけて滅びようとする」
- みこと: 「これまでいくつも無意識に死にゆく 人間の姿を見せてきたけれど 次はどんな滅びへの一例を見たいかな?」
- みこと: 「そうだ、どれだけ救おうとしても 人間は救いようがないっていうことを 見せてあげるのがいいのかも」
- みこと: 「だから、これから鏡が映すのは 救いの道を得ても人々は滅ぼし合う様子」
- 御園 かりん: アリナ先輩わかったの わたし、もう見たくないの…
- アリナ: ノープロブレム
- アリナ: これから見るものは怖くないから 安心して見られるはずだヨネ
- 御園 かりん: いまも平和な様子が見えてるけど さっきもそれにダマされたの…
- 御園 かりん: ほら…神様を信じただけで、 女の人が殺されそうになってるの
- 御園 かりん: お母さんに殺されかけてるの… 婚約者まで一緒になってるの…
- 御園 かりん: あ、あれっ…? でも平気そうなの…
- アリナ: そ、彼女は平気なワケ
- アリナ: 火あぶりにされようとしても うまくエスケープしてるし
- アリナ: ビーストたちのエサにされようと しても生き残ってるんだヨネ
- 御園 かりん: むしろ、動物さんたちが この人を守ろうとしてるの
- 御園 かりん: 奇跡でいっぱいなの!
- アリナ: そ、だからみんなリスペクトして 彼女のいる場所に来たワケ
- 御園 かりん: 殺されようとした分、 愛する教えを説いてるの
- 御園 かりん: この人の話を聞けば みんな優しくなれるはずなの!
- アリナ: だけど教えなんて意味がないワケ 結局いつか人間は争うカラ
- 御園 かりん: 変なの…みんな戦うのは 怖いはずなのに…どうして…?
- 御園 かりん: 誰かを愛する大切さは、 次の世代にも伝わってるのに…
- アリナ: “自己”と“他者”っていう コンセプトがある限り
- アリナ: 人間は排する意思を消せない ウォーは続くんだヨネ
- みこと: 「そしてね…人間は人間の根源すら否定するの」
- みこと: ほら、見て 勇敢な女性が戦ってるでしょ
- 御園 かりん: うん…
- みこと: 彼女はとても聡明で力強くて 他の息子たちより素晴らしかった
- みこと: だから王様になったのに 女の人だからって舐められた
- 御園 かりん: それは、いまでもあると思うの
- 御園 かりん: 昔はもっとひどかったって 聞いたことがあるの…
- みこと: そう、人は最初からね 性別を否定するようにできてるの
- アリナ: 人間…ううん生物をひっくるめて 性別はネセサリーなワケ
- みこと: なのに、この人は男の格好をして 男のように振る舞った
- アリナ: その上、男と女という性が 引き金になって
- アリナ: 争いと共にキルされたってワケ
- みこと: 「人は無意識に争いを求めていて それが滅びに繋がっているのかもしれない」
- みこと: 「だけど、争いを求めてるかなんて どうでもいいの」
- みこと: 「だって人間は生まれた時から 性別っていう命の根源に差をつけて否定する」
- みこと: 「自分たちが生まれくるシステムそのものを 理由に滅びようとしているんだから」
- みこと: 「見せて欲しければもっと見せてあげる 例をあげればうんざりするぐらい 枚挙にいとまがないから」
- FILENAME: text_103203-5_7xz7k.txt
- みこと: どうだった?
- みこと: 歴史を実際に覗いてみると、 考えが変わったんじゃない?
- みこと: 私やアリナちゃんと 通じ合える気がしなかった?
- みこと: んふふっ
- 御園 かりん: それは…
- アリナ: アリナをアナタと 一緒にしないで欲しいんですケド
- アリナ: アナタはただのグラッジ いわゆる私怨で滅ぼしたいだけ
- アリナ: でもアリナは違う
- アリナ: 人が無意識に欲してるものを アートとしてプレゼントするワケ
- アリナ: 滅びっていう方角が同じなだけで マインドも一緒にしないでヨネ
- みこと: あらもう、つれないなぁ
- みこと: だけど、昔の光景を見たおかげで かりんちゃんもわかったよね?
- みこと: 人はどうせ滅びるって
- 御園 かりん: わたしは…
- アリナ: アリナは瀬奈みことの 誘導がナッシングな状態で
- アリナ: フールガールの言葉を ヒアリングしたいんですケド
- アリナ: アリナ的に滅びの理由を これ以上見せられても
- アリナ: 前みたいなパワーが 湧いてこないんだヨネ
- アリナ: かと言って別に他の魔法少女を ヘルプする気もないワケ
- 御園 かりん: わたしは歴史の光景を いくつも見せられて
- 御園 かりん: アリナ先輩が言ってたことは 本当なのかもって思ったの…
- 御園 かりん: けど、まだ信じられないの…
- 御園 かりん: どんな希望も絶望に向かう…
- 御園 かりん: 人間自体がそうで… どれだけ喜びがあっても滅びる…
- 御園 かりん: ううん、自滅しようとしてる…
- 御園 かりん: その実感がぜんぜんなくて…
- みこと: それなら、実感できそうな歴史を かりんちゃんに見せてあげる
- 御園 かりん: そんなの…あるの…?
- みこと: もちろんっ
- みこと: 「私たちは喜びを得ても悲しみで終わる いくら希望を得ても絶望で終わる 生き物が産まれて死ぬのと同じように 私たちは滅びに向かうサイクルに囚われている」
- みこと: 「それに抗うように人間は 歴史の中で滅びに向かう道を潰していくけど それを補うかのように 新しく滅びる道を作ってしまうの」
- みこと: 「神浜市でも同じこと」
- みこと: 「これは東で死んだ私も巻き込まれた 神浜市の人たちを何百年にもわたって 悲しみに突き落としてきた過去のお話」
- みこと: 「私たちも自然と滅びへと導かれるように 悲しみの連鎖に巻き込まれているんだよ」
- FILENAME: text_103203-6_7xz7k.txt
- みこと: 「鏡に映し出されるのは まだ戦乱の最中で混迷を極めていた 何百年も昔の出来事」
- みこと: 「この頃は神浜の地でも争いが続いていて 土豪である水名氏による謀反も その代表的な出来事のひとつだったの」
- みこと: 「当時の領主に仕えていた彼は 不作と圧政にあえぐ民衆たちと共に挙兵すると 古くから排斥してきた東の賊と手を組み 自ら領主へと返り咲いた」
- みこと: 「それは東と西にとって 信じられないような奇跡だったんだけどね」
- みこと: 「実は、奇跡を生んだ立て役者は 西の水名露と東の千鶴という ふたりの戦神子と呼ばれる魔法少女だったの」
- みこと: 「だけどそれはね…」
- 千鶴: へぇ、 コイツはずいぶんな賑わいだな
- 千鶴: あんな荒れ果てた城下も 治めるヤツで変わるもんだねぇ
- 露: ふふっ、私の父上が治めてる以上 当然のことだと思うわ
- 千鶴: おいおい
- 千鶴: すべてがオッサンの おかげじゃあないだろ?
- 露: もちろんわかってるわ
- 露: 父上も家臣も領民のみんなも 渾然一体となって頑張った
- 露: そんな水名の様子をご覧になって 神様も歓迎してくれてるのよ
- 露: じゃないと、 こんな豊作は考えられないわ
- 千鶴: ちゃんと米問屋に米があるなんて 初めて見たぐらいだからな
- 千鶴: 今まであったのはせいぜい 木の根っ子か雑草ぐらいだろ
- 露: もう、失礼ね
- 千鶴: ハッ、事実だろ?
- 千鶴: …って噂をしていたら、 問屋のジジイが手招きしてる
- 千鶴: ちょっくら行ってくる
- 露: あ、ちょっと千鶴!
- 露: 浮かれっちゃって、もう
- 露: …………
- 露: (ううん、私も千鶴と同じだ…)
- 「なんだぁ、えらいべっぴんなお嬢さんが 町んなか歩いてんなぁ」
- 「よそから来たアンタは知らないだろうね 彼女は水名の地を治める殿様の娘さんだよ」
- 「はぇっ!?そりゃまた無防備な… こんな仏もいねえような世の中だ… その辺にいる悪党にさらわれちまうぞ」
- 「あっはは、そりゃあ返り討ちに遭うだろうね」
- 「女だけど剣の使い手ってことかい?」
- 「戦神子って聞いたことあるだろ?」
- 「ふたりの戦神子、西の水名露と東の千鶴って 言えば、この国で知らない者はいないね なんたって殿様たちと一緒に平和を築いた 立て役者なんだからさあ」
- 千鶴: はい、露も食べなよ
- 露: ――っ!?
- 千鶴: ほら、ニヤついてないで、 さっさと受け取れよ
- 露: あぶり餅…?
- 千鶴: ジジイがくれた
- 露: …ねえ、千鶴 私たちがつかんだのはこれかも
- 千鶴: いや、別にあぶり餅のために 戦ったつもりはねぇぞ
- 露: ううん、人が持つ心の余裕 それを私たちは手に入れたのよ
- 千鶴: ん、まぁ言われてみれば そうかもしれねぇな
- 露: だからもうひと踏ん張りして 頑張りましょう
- 千鶴: アタシらの存在を広めて、 水名を守るんだろ?
- 露: ええ
- 露: ふたりの戦神子が守る地を 攻めようとするヤツはいないわ
- 露: あとは、千鶴のお父さんが 受け入れてくれたらいいけど…
- 千鶴: そっちの家臣になるって話か?
- 千鶴: 知行地として土地が守られるなら 親父だって文句はねぇだろうよ
- FILENAME: text_103203-7_7xz7k.txt
- 千鶴の父: グゥゥ…ァアアッ!!
- 頭、落ち着いてください!
- 千鶴の父: おお!?
- 千鶴の父: 貴様はむしろこの内容で よく冷静でいられたもんだな
- 千鶴の父: 一族を愚弄されたのと変わらん!
- 千鶴: おい、外でみんな怯えてんぞ なにそんな怒ってんだよ
- 千鶴の父: こいつが原因だ
- 千鶴: 書状って… ああ、露んとこの親父からだろ?
- 千鶴: ちゃんと土地はくれるんだろ? 今日、露が言ってた
- 千鶴の父: その条件が問題だ
- 千鶴: どういうことだよ
- 千鶴: アタシ、字なんて読めねえから 教えてくれよ
- 千鶴の父: …………
- では、私から…
- まずは戦での武功を讃えて 家臣として迎え入れたいとの由
- 千鶴: うん…露からも聞いた…
- また治めている地の領主として、 知行を認めるが…
- 千鶴: うん…
- ただし向こう3年は俸禄をとり、 城下から城に仕えることとする
- また、同様に配下も迎え入れるが 詳細は追って沙汰すると…
- 千鶴: な…
- 千鶴の父: 要は3年、俺たちは全員 別々になって生きろってこった
- 千鶴の父: 水名の野郎…腹の底では俺たちを 一切信用してねえ
- 千鶴: いや、きっと何か考えが…
- 千鶴の父: ああ、透けて見える
- 千鶴の父: ヤツは築き上げてきた 俺たちの信頼関係を切り崩して
- 千鶴の父: 骨抜きにしようとしてやがる
- 千鶴: なんのために…
- 千鶴の父: 謀反を防ぐためだろうよ 肝っ玉の小せえヤツだ
- 千鶴の父: あぶく銭で仲間と土地を失って 老いさらばえるぐらいなら
- 千鶴の父: 今まで通り関所で儲けた方が よっぽどマシだ
- 千鶴: 親父、変な気は起こすなよ…
- 千鶴: こうやって手を取り合うのに、 どれだけ時間がかかったか…
- 千鶴の父: 台無しにしたのは水名の野郎だ
- 千鶴: 親父!
- 露: その内容はまことですか!? 信じられない…
- 露: 父上は水名の地を取られて、 その眼を曇らせておいでです
- 露の父: 滅多なことを言うな、露
- 露の父: 元々、野卑な東の連中に 信を置いたことは一切ない
- 露: では、元から千鶴たちを 利用なさるおつもりで…
- 露の父: 目の前に銭をぶら下げれば 飛びついて取ろうとする連中だ
- 露の父: これ以上、簡単に戦力とできる 者たちもおらぬだろう
- 露: 私たちと彼らは同じです!
- 露: 水名が水名の地を取り戻すため、 生きる民のために戦った
- 露: 彼らも父祖の地を守り抜いて 胸を張って生きたかったのです
- 露の父: だから今回は知行地として 彼らに故郷を与えると約束した
- 露: ですが、それまでの間に 東の方々は散り散りに…
- 露の父: この地に平和を与えるためには、 ふたりが力を持ってはならん
- 露の父: わかってくれ露…
- ただいま、報告がありました
- 露の父: どうだ…
- 使者は返事を持たずに帰城 書状は切られたとのことです
- 露: ――っ!?
- 露の父: これが答えだ
- FILENAME: text_103203-8_7xz7k.txt
- 千鶴: アタシが露を通して、 向こうの親父を説得してくる
- 千鶴の父: いいから手出しすんな!
- 千鶴の父: 水名の書状を切ってる 向こうも黙っちゃいねぇはずだ
- 千鶴: それでもだ!
- 千鶴: アタシだってずっと水名の連中と 仲が悪かったのは知ってるさ
- 千鶴: でも、だからこそ…!
- 千鶴: 西と東が手を結べた今ってのは 歓迎することだろ…!
- 千鶴: 仲が良かったヤツらを 埋めなくていいし
- 千鶴: ジジイ、ババアになるまでの夢を 語ってもいいんだ!
- 千鶴の父: オメエはガキすぎるんだ千鶴
- 千鶴の父: 世の中には命より価値あるものが ごまんとあるんだよ
- 千鶴の父: 命のために命を狩るのは常識だ
- 千鶴の父: 動物に対しても人に対しても 俺達が常にしてきたことだろ
- 千鶴: 人と動物を一緒にすんな…
- 千鶴: アタシは今ある奇跡を露と守る 親父はまだしゃしゃり出んな
- 千鶴: こっちで切った書状の話って…
- 露: もう終わった話よ 使者が斬られなくて良かったわ
- 千鶴: 本当にごめん…
- 露: …東の事情については、 私から家臣の耳に入れてあるけど
- 露: 戦神子だとはいえ、 理解してもらうのは難しかったわ
- 露: ただ、不作と戦争の影響で、 私たちの国は疲弊してるからね
- 露: 国力の回復に努めたい家臣が 多数だったのが救いだったわ
- 露: とは言え、この件で買った恨みは 簡単には返せないと思う
- 露: それに父上と繋がりの深い者ほど 千鶴たちを狙っているから
- 露: 油断はできない状況よ…
- 千鶴: それでも構わねえよ 戦にならなかったのが救いだ…
- 露: そっちの父上は、 今も怒りが冷めやらない…?
- 千鶴: 少しでも変な動きがあれば、 血の雨を降らすって…
- 露: やっぱり言葉の圧力が うちの父上より強いわね…
- 千鶴: でも、処遇を改めるって 話を伝えてからは落ち着いてるよ
- 千鶴: 一応、親父の堪忍袋も 次の書状まではもつみたい
- 露: それなら耐えて欲しいわね
- 露: 女が出しゃばるなって 父上には怒られっぱなしだけど
- 露: 年寄や勘定頭とも話をしながら 説得を続けてるから
- 千鶴: ありがとう
- 露: …………
- 露: 流れ着いていた貝殻から 初めて声を聞いたのがここ…
- 千鶴: 露とはここで初めて出会って、 一緒に声を聞いて
- 千鶴: 他人事じゃねえ気がするっつって 東西をひとつにしたんだよな
- 「私とあなたとは生まれも立場も違っていて 決してこの地で認められる間柄ではなかった」
- 「でも、それで自分が悲しんだからと言って 一族を恨んだりはしません 私はみんなが自由に幸せな暮らしができるように この村を変えてみせます」
- 「だから生きていたら私のことを思い出して 私は今もここで待っているから…」
- 露: そう、不思議な巡り合わせで、 絶望の中から希望が芽生えたのよ
- 露: だから、父上たちの意思で 潰させはしない
- 千鶴: だなっ
- 露の声: 「キャアッ!!」
- 露: …………
- 露の父: 出合え! 賊が侵入している!
- …………
- 露の父: …ひとりやられたか まさか夜に忍び込むとはな…
- 露: …これは
- 露の父: あえて胸に刃を突き立てて 証拠を残したのだろう
- 露の父: …………
- 露の父: この紋様 東のもので間違いなさそうだ…
- 露: …………
- FILENAME: text_103203-9_7xz7k.txt
- 露: では、父上…
- 露: 東との交渉に自ら出向く話は、 受けてくださるのですね…
- 露の父: 地盤を盤石にするためにも、 彼らには出ていってもらうが
- 露の父: 代わりに、その地で得た益を 彼らに分配する旨を伝える
- 露: それでは、千鶴たちの一族は…
- 露の父: 彼らの一族を 平和裡に弱体化させるのは
- 露の父: 腹の中で 毒蛇を飼い続けるも同然だからだ
- 露: それは…承知しております…
- 露の父: ゆえに多少の威厳を失ってでも、 この事態を抑えようとしている
- 千鶴: 意味がわかんねぇ! なんで断るんだよ親父!
- 千鶴: 3年後には戻って来られるし 実入りは悪くならねぇ!
- 千鶴: 四散した一族を連れ戻しても、 将来養える金があるじゃねぇか!
- 千鶴の父: アイツの手に己の運命を 握られてるのが気にいらねえ…!
- 千鶴の父: 俺たちにも父祖の地を治めてきた 男としての意地ってもんがある
- 千鶴の父: この双肩にはなぁ、歴代の怨霊が 乗っかってんだガキッ!!
- 千鶴: …っ!
- 千鶴: なんでみんな戦装束で…!
- 千鶴の父: 「俺たちを滅ぼそうとする水名を滅ぼせ! ひとつになるなんて淡い夢は もはや潰えたも同然!」
- 千鶴の父: 「行くぞぉ!」
- 千鶴: まさか親父、最初から…!
- 千鶴の父: 今度は俺たちが下剋上する番だ
- 千鶴の父: 勝利した暁には、 良い着物でも買ってやる
- 千鶴: せっかくみんなで力を合わせて 勝利を掴んだのに…
- 千鶴: 東と西がひとつになれたのに…
- 千鶴の父: それを潰そうとしたのは、 水名の奴だ
- 千鶴の父: 千鶴、お前も戦神子として 俺達の戦列に加われ
- 千鶴: もう、だめなのかな…
- 千鶴の父: そう、分別をつける時だ
- 千鶴: そっか…わかった…
- 露の父: 東との交渉は決裂…
- 露の父: 最初から決めていたかのように ヤツらは兵をこちらに向けてきた
- 露: …………
- 露の父: 暗殺の件も含めて、 この戦を求めたのは東の人間だ
- 露の父: 露、戦神子として出陣せよ
- 露: …お断りいたします
- 露の父: なにゆえに父の言葉を聞かぬ
- 露: 不作と圧政を加えて、 苦渋を味わってきた水名は
- 露: 稀にみる豊作で豊かに見えようと その実は疲弊しきっております
- 露: 今、私が戦神子として出陣し、 目立つ内乱を引き起こせば
- 露: 水名の地は他国に奪われてしまい 父上の理想は夢幻となるでしょう
- 露の父: ふたりの戦神子が手を取ることが この地を守り続けるとな
- 露: 父上と千鶴の父上が どれだけ争いを繰り広げようと
- 露: 私と千鶴は手を切らない
- 露: それが今できる水名を守るための 最良の決断だと存じます
- 千鶴: 水名城から軍勢が…!?
- 千鶴の父: それだけじゃねぇな 他の領地からも集まってやがる
- 千鶴の父: 水名の野郎、この時を見越して 近隣の仲間を呼んでやがったか
- FILENAME: text_103203-10_7xz7k.txt
- 露: ―露― どうしてあなたが戦列に加わってるの…!?
- 千鶴: ―千鶴― フリでもいいから入っとかねぇと 面倒臭いからだよ
- 露: ―露― 私も体裁を保つためにいるだけだから 良かったわ、本気じゃないみたいで…
- 露: ―露― それにしても東はどういうつもりなの…?
- 露: ―露― 書状を切っただけでなく 城に忍び込んで父まで闇討ちしようとするなんて
- 千鶴: ―千鶴― アタシにだってわかんねぇよ…
- 千鶴: ―千鶴― 親父が一族の絆を大事にしてるのはわかるけど 仲間を戦場に出してまで死なせちまう
- 千鶴: ―千鶴― 正直アタシは矛盾してるって思ってるよ…
- 千鶴: ―千鶴― それでも戦うことが命以上に大切なことだと 親父のヤツは思ってんだ
- 露: ―露― 私の父上だって今後の水名の未来を憂いて 先に手を打とうとしてるだけ…
- 露: ―露― だけど、それで誰かにとって命より大切なものを 奪うのは間違ってると思うわ
- 千鶴: ―千鶴― せっかく希望を見出して救われたのに なんで親父たちの都合で引き裂かれるんだよ…
- 千鶴: ―千鶴― 遣る瀬ねぇよ…
- 露: ごめんなさい、千鶴
- 露: 私、心のどこかであなたが 裏切ったのではと思ってたわ…
- 千鶴: ひっでぇなぁ そんなわけないだろ
- 露: そうよね…
- 露: 悪いことが続いて、 疑心暗鬼になってたみたい
- 露: 許して、千鶴
- 千鶴: 別に怒ってねぇよ
- 千鶴: それにアタシは徹頭徹尾 水名じゃなくて露の味方だ
- 露: 千鶴
- 千鶴: だからひとつ考えがあるんだ
- 露: なに?
- 千鶴: 今回はアタシらが衝突して、 兵を引かせるように仕向けよう
- 千鶴: それでも親父たちが信念に従って 繰り返しぶつかるようであれば
- 千鶴: 今度はアタシたちも 自分たちの信念に従おうぜ
- 露: つまり…
- 露: 父上を裏切るということ?
- 千鶴: そう、東と西の戦神子ってのは、 一騎当千の強さを誇る
- 千鶴: そんなアタシらが手を組めば、 親父たちも敵いっこないだろ
- 露: 私たちで東と西を繋ぎ続ける 楔となるということね
- 千鶴: どう?
- 露: ええ、いいわね
- 千鶴: それじゃあ、さっそく 今日の戦を終わらせるか
- 露: 私たちの力をぶつけあって…!
- 千鶴: 兵を吹き飛ばして 撤退させる!!
- 露&千鶴: 「はぁああああぁああッ!!」
- 千鶴の父: おい、千鶴 変なことは考えてねぇだろうな
- 千鶴: 別に考えてねぇよ
- 千鶴: 親父に言われた通りにしてるし もう吹っ切っちまったよ
- 千鶴の父: …………
- 千鶴の父: いるか…
- ここに…
- 千鶴の父: 手に入れた鉄砲を用意しろ ここで使うことにする
- 千鶴の父: また邪魔をされたら かなわんからな
- 露の父: なに…
- 露の父: 東の方から和議の申し入れだと
- 戦に続く戦でございますゆえ、 将兵も疲弊しています
- 露の父: 条件は…?
- 先だって示した 我々の提案を飲むとのこと
- 露の父: …場所はこちらで決める
- FILENAME: text_103203-11_7xz7k.txt
- 露: 改めて和議の場を設けるだなんて どういうつもりかしら
- 千鶴: あれから小競り合いが 何度かあったけど
- 千鶴: さすがに両方とも疲れてきて 目が覚めてきたんじゃねぇか?
- 露: このまま私たちが裏切ることに ならなければいいんだけどね
- 千鶴の父: こんなところで話し合うような 内容じゃないと思うが…
- 露の父: 城の内部が割れているのは、 先の暗殺で承知している
- 露の父: 日々、様相を変える町の中こそ 今の水名にとっては砦になる
- 千鶴の父: 城の改修にも金がかかるし、 言わんとしてることはわかる
- 露の父: それで、今回の和議の場であるが 我々の提案を飲むということだな
- 千鶴の父: あとで反乱を起こさねぇように 牙を抜こうって魂胆は見えてる
- 千鶴の父: それでも娘の言う通り、 西と手を組めた状況は奇跡だ
- 千鶴の父: 得られた未来への希望を捨てて 仲間を死なせるぐれぇなら
- 千鶴の父: そっちと組むのも 悪くないと思った
- 露の父: ふ、私も娘に言われたよ お互い娘には弱いようだ
- 千鶴の父: 似た者同士仲良くできそうだ
- 露の父: ならば、先に伝えた内容を記した 書状を用意してある
- 露の父: 共に血判を押そうではないか
- 露の父: 私は信を違わぬと誓い、 仁と義をもってそなたと接する
- 千鶴の父: では俺は忠誠を誓おう
- 「東より3隊の軍勢が迫っている模様! その数およそ1万!」
- 露: やっぱり内乱に乗じて 攻めてくる奴らが現れた…
- 千鶴: でも、外に向けて戦神子の力を 示すまたとない機会
- 露: そうね
- 露: 手を結んだ私たちに敵わないって この手で示してやりましょう
- 露: 来た…!
- 千鶴: ――っ!?
- 千鶴: うそ、相手の軍勢の中に、 東のみんながいる…!?
- 露: そんなまさか…! 他国と裏で手を結んでた…!?
- はぁあああッ!!
- 千鶴: ぐっ…!
- 姫様…お父上が討たれました…
- 露: えっ…
- 東の連中は城下を抜けましたが、 現在も町は混乱…
- ここで食い止めなければ、 水名は総崩れとなるでしょう…
- 露: うそ、うそよ…!
- 露の父: …………
- 千鶴の父: 血判なんざテメエのだけで 十分だ
- 千鶴の父: こちとら一人百殺の手練ればかり 自陣を活かせると思うなよ
- 「千鶴、早くこっちの軍勢に加われ!」
- 「頭が城内をひっかき回してる間に攻めれば 短時間で落とせる」
- 「姫、城内に忍び込んだ賊を一掃するために 家臣と兵で一体となって奮戦しております」
- 「いまは皆に姫の声が必要です 何卒、私と共に城へと戻られて 皆を奮い立たせる言葉を」
- 皆の者、我々はまだ戦える!
- 水名城主が娘にして戦神子の 水名露様が戻られた!
- 西からの援軍がたどり着くまで なんとかこの場をしのぎ…
- グッ…!?
- 小賢しい家臣の首は我がとった! 者ども!なだれ込め!
- 露: 最初から… こういう腹づもりで…
- 千鶴: 露…
- 露: 知らないうちに 他国と手まで結んで…!
- 露: ―露― やっぱりダマしていたの…? ねぇ…千鶴…東は…あなたたちは…!
- 千鶴: ―千鶴― アタシは関係ねぇよ! 全部、親父のせいだ…!
- 千鶴: ―千鶴― こうなったらアタシは金輪際 親父とは縁を切る!
- 千鶴: ―千鶴― だから、露!
- 千鶴: ―千鶴― これからアタシらの味方はアタシらだけだ! みんなに力を見せつけてやろう!
- 露: ―露― 前に言ってた話…
- 千鶴: ―千鶴― そうだ!
- 露: ―露― だけど、なるべく人は巻き込みたくない
- 千鶴: ―千鶴― だから前と同じように、アタシらの攻撃を ぶつけあった衝撃を利用してやりゃいい
- 千鶴: ―千鶴― 漁夫の利を得ようとした 知らねえ国の連中たちもビビるはずだ
- 千鶴: ―千鶴― ただ、それでも引かねぇ場合は
- 露: ―露― うん、わかってる
- 千鶴: ―千鶴― んじゃあ、行くぞぉ!
- 露: ―露― ええ!
- ターーーーンッ!!
- 露: うっ!?
- 露: あ…
- 千鶴: うそだろ…もう止まらねぇ!
- 千鶴の父: そう、盟友が邪魔な時は 自分で排除するもんだ
- FILENAME: text_103203-12_7xz7k.txt
- 千鶴: 露…!露…!
- 千鶴: ちがう、アタシのせいじゃない…
- 千鶴: どっかにうちの鉄砲持ちが 隠れてやがったんだ…!
- 露: もう…いい…
- 千鶴: え…
- 露: 水名の手伝いをして、 城を取り戻した時から…
- 露: ずっと自分たちが利を得ようと 時を見計らってたんでしょう…
- 千鶴: 違うよ…
- 露: じゃあ、どうして他国の軍勢に あなたたちが加わってるのよ…
- 千鶴: それは…
- 露: どうして父上は殺されて、 私まで死にかけてるのよ…
- 露: 私…あなたのことを… 本当の妹のように思ってたのに…
- 千鶴: アタシにとっても露は 姉ちゃんだよ…
- 千鶴: 姉ちゃんで、憧れで…
- 千鶴: ただ殺すために 強くなるんじゃなくて
- 千鶴: 信念を持って戦おうとする露に アタシは惹かれてたんだ
- 露: …もう、全部言い訳に聞こえる
- 千鶴: あ、露の宝石が濁って…
- 千鶴: 待ってて、鬼を探してくる…!
- 千鶴: 露…?
- 露: もう、私はひとりで守る… ひとりで水名の地を守る…
- 千鶴: なに言ってんの…無理だよ…
- 露: この恨みと呪いで祟ってやる 東の連中をずっと…未来永劫…
- 千鶴: やめろよ露… そんな怨霊みたいなこと…
- 露: あなたは妹だから助けるけど、 他はみんな許さない…
- 露: 手を取り合うぐらいなら、 東の人間を恨む象徴として
- 露: 水名城に根を…はる…
- 千鶴: おかしいよ…露! しっかりしろって…!
- 露: ごめん、千鶴…無理… 私はもう、何も信じられない…
- 千鶴: なんだよこれ… なんだよこれぇええええッ!!
- FILENAME: text_103203-13_7xz7k.txt
- 御園 かりん: …………
- 御園 かりん: みんなが苦しんでた東西の話って これが始まりだったの…?
- アリナ: もっと昔からあった出来事だから これだけがルーツじゃないワケ
- アリナ: むしろ大事なのは、ハピネスが サッドネスになったことだヨネ
- みこと: そう、アリナちゃん大正解っ
- みこと: 喜びは悲しみになって 希望は絶望になっていく
- みこと: それは世界中で共通してることで 最後には滅びへ向かっていく
- みこと: 私たちが生きた神浜市だって 同じだったでしょ?
- みこと: 有史以前から東西はいがみ合い お互いに滅ぼしあってきた
- みこと: その絶望から露と千鶴は 希望の光を見出してきたけれど
- みこと: こうして最後は絶望に堕ちて 悲しみで終わっていくの
- 御園 かりん: その悲しみはずっと続いて… なぎたんたちも苦しめてた…
- みこと: そう、何百年もね
- みこと: 「そして、時代を積み重ねて時間を重ねる度に 人類は滅びるための進化を続けている」
- みこと: 「平和な状況が続いていたとしても 少し危機感を覚えたり、未来を憂慮したり 自分たちの権利を欲しくなったり 数え切れない理由の中で悲しみと絶望を生むの」
- みこと: 「石斧やナイフは火薬になって核になり ネットワークっていう新たな世界の創造によって 遠隔でも人を傷つけられるようになった」
- みこと: 「みんな希望や喜びで終わることはない 常に終わるのは絶望や悲しみなのに それらを生み出す環境を人間は際限なく整える」
- みこと: 「それってやっぱり 人間が無意識に滅びたがっているからこそ 成せる業なんだよ」
- 御園 かりん: 神浜市で起きてたことも、 人が人を否定するから起きる…?
- みこと: 世界規模でみれば小さい話だけど 人を否定しあって自滅する
- みこと: そんな滅びの精神は見えるよね
- 御園 かりん: どうやったら変えられるの… みんなを救えるの…?
- アリナ: アッハハ
- アリナ: 救われたいからこそ 滅びをリクエストしてるワケ
- 御園 かりん: え…?
- アリナ: ハッピーもサッドにするし ホープもディスペアーにする
- アリナ: そんな自分たちのアクションに 耐えられないから
- アリナ: 自分たちをリセットして 進化前にカムバックしたいワケ
- アリナ: 生き物としてまっとうに ライブしたいカラ
- みこと: んふふっ その考えも面白いね
- みこと: そっか、人はみんな一度滅んで 根源からやり直したいんだ
- アリナ: 原点回帰して 命のルネサンスを求めるワケ
- 御園 かりん: でも、やっぱりわたしには 先輩たちの話がわからないの…
- FILENAME: text_103203-14_7xz7k.txt
- 御園 かりん: でも、やっぱりわたしには 先輩たちの話がわからないの…
- みこと: あら?
- アリナ: アッハハッ
- アリナ: そう、フールガールは アリナたちとは違うブレイン
- アリナ: どう思ったのか ヒアリングさせてヨネ
- 御園 かりん: んと…先輩たちが言うように、 人は絶望で終わるのかもしれない
- 御園 かりん: だけど、きりんちゃんのお話では みんな希望を求めてるし
- 御園 かりん: ちゃんとハッピーで終わるお話が いっぱいあるの
- みこと: きりんちゃん?
- アリナ: フールガールの好きなコミック マジカルきりんだヨネ
- 御園 かりん: そうなの!
- 御園 かりん: マジカルきりんだけじゃなくて
- 御園 かりん: 他のアニメにもマンガにも 映画にも絵本にも
- 御園 かりん: 希望を見つけるためのお話は いーっぱいあるの!
- 御園 かりん: それにみんなが夢中になれるのは きっと希望を求めてるからなの!
- アリナ: 滅びは求めてない?
- 御園 かりん: んー…怖いマンガもあるから… 求めてるかもしれないの…
- アリナ: ハッキリしないんですケド
- 御園 かりん: ハッキリしないものなの! ハッキリしないのが人間なの!
- 御園 かりん: バラバラでグチャグチャだから 色んなお話があるの!
- 御園 かりん: 白黒なんてないの! グレーが人間なの!
- 御園 かりん: メイビーだけど…
- 御園 かりん: あ、東西の話も今は違うの!
- 御園 かりん: かえでちゃんからメッセージが 届いてたけど
- 御園 かりん: またひとつになろうとしてるの
- 御園 かりん: それって絶望だった状況に 希望の光を与えることだと思うし
- 御園 かりん: サッドネスがハピネスになる 流れだと思うの!
- 御園 かりん: 露ちゃんと千鶴ちゃんの夢が、 実現しようとしてるの!
- アリナ: アッハハハ! やっぱりアナタはファニーだヨネ
- アリナ: アリナ的にグレーなんてアイデア なかったワケ
- みこと: んー、濁された感じもするけど それもひとつの答えかも?
- 御園 かりん: じゃあ、滅びの話は終わりなの
- 御園 かりん: アリナ先輩も改心して、 これから良い人になるの!
- みこと: でも、私は滅ぼしたいんだよね
- みこと: アリナちゃんも言ってたけど 個人的な恨みがあるから
- 御園 かりん: ひどい理由なの…!
- みこと: だから実験してみない?
- 御園 かりん: 実験…?
- みこと: 希望が絶望で終わるのか それとも絶望が希望で終わるのか
- みこと: 今の神浜市の状況はね、 それを観察するにはいい状況なの
- みこと: グレーゾーンにいる今のままだと
- みこと: アリナちゃんもモヤモヤして 答えを出せないと思うから
- みこと: 救われて終わるかどうか 私と一緒に見てみよう
- みこと: んふふっ
- いろは: うん、何と言われても 私はやるよ
- いろは: userName!!
- userName: モッキュ!
- いろは: 自動浄化システムを取り返そう そして世界に広げよう
- いろは: 私たちみんなで 世界の魔法少女を救う!
- かごめ: (これでみんなが救われる…)
- かごめ: (魔法少女の希望に満ちた明日が 訪れるようになるんだ…)
- みこと: それじゃあ、答え合わせの はじまり~はじまり~
- FILENAME: text_103204-1_7xz7k.txt [Episode 4]
- 灯花の父: 太助 まだ検査は続いてるのか?
- 太助: 次は腹部のエコーって言われたよ 本当にくまなく調べるんだね
- 灯花の父: 何年もフラついて人間ドックの ひとつもしてないんだろう
- 灯花の父: これでも心配してるんだ 調べられるうちに調べておけ
- 太助: 兄さんは私を心配するような 人間だったかな
- 灯花の父: 当然だろう 出来は悪くても弟だからな
- 灯花の父: 面倒臭がってないで、 最後までしっかり受けておけ
- 灯花の父: 那由他たちも今頃は 正念場を迎えているんだろう
- 太助: そうだね…
- 太助: 早ければ今日中に、 魔法少女を取り巻く環境が変わる
- 太助: 魔女になるという宿命から 解き放たれて
- 太助: 自由を得られるかもしれない
- 灯花の父: それでもお前は、魔法少女の話を 書籍として世に出すつもりか
- 太助: 魔法少女のためだけじゃない
- 太助: 人間そのものが優しくなるために 必要だと思うからね
- 灯花の父: そうか…
- 灯花の父: …市長の件でふりだしに戻ったが まだ私も協力するつもりだ
- 太助: ありがとう
- 灯花の父: 今日はうまくいくといいな
- 太助: ああ、朝から祈りっぱなしだよ
- ひめな: じゃあ、捨てるねヒコ君
- ひめな: みんなを殺す仕掛けはもう、 私チャンには必要ないものだから
- みこと: それじゃあ、使わせてもらうね 絶望から希望は生まれるのかな?
- いろは: えっ…?
- うい: みんな…どうしたの…?
- 結菜: 今まで、結界の向こう側で 普通に動いてたはず…
- 静香: なんだか、糸が切れたみたいに みんなパタッて…
- ひめな: い、イミフなんだけど… みんな死んでないよね…?
- ラビ: まさか… いえ、有り得るとしたら…
- ラビ: ここは自動浄化システムを 支配しているキュゥべえの空間…
- ラビ: あなたが見せている幻では…?
- キュゥべえ: ボクは別に幻なんて見せてないよ この光景は間違いなく現実だ
- 静香: そんな… ちゃる…すなお…!
- いろは: だ、大丈夫です…! みんな生きてますよ…!
- いろは: ほら、 よく見たら呼吸はしてます…
- うい: でも、お姉ちゃん みんな苦しそうにしてる…
- 静香: ケガはなさそうだけど 意識がない…
- 静香: まるで夢を見てうなされてる ように見えるわ…
- ひめな: 夢…
- 結菜: 思い当たる節があるようねぇ…
- ひめな: あ、あるけど、絶対に有り得ない 私チャンは関係ない…
- 結菜: 説明してくれるかしらぁ…
- ひめな: …前の戦いで用意してた、 予備の仕掛けが
- ひめな: 悪夢を見せて魔女になるように 促すものだったんだよね…
- 結菜: 正に合致してるじゃなぃ…
- ひめな: だけど絶対に違う!
- ひめな: 私チャンがサーシャや ネオマギウスのみんなを
- ひめな: 巻き込むはずないじゃん!
- ひめな: それに、私チャンのスマホは 海に捨てたはずなのに…!
- FILENAME: text_103204-2_7xz7k.txt
- いろは: まだ、みんなが魔女になった わけじゃない…!
- いろは: 助ける方法だってあります…!
- ひめな: でも、魔女になるのに…!
- いろは: 私だって急にみんなが倒れて、 本当はすごく怖いんです…!
- いろは: それでも、まだ希望はある…
- いろは: 自動浄化システムを得られたら 魔女ではなくドッペルになります
- 静香: そうね、環さんの言う通りよ まだみんなを助けられるわ
- ひめな: 私チャンの仕掛けだとしたら、 魔女になるまで目覚めないけど…
- 結菜: ドッペルを出すなら生きられる 解決する時間を稼げるわぁ
- ラビ: はい、その時間内で解決できれば 万事問題はありません
- うい: お姉ちゃん! またツバメさんたちが来るよ!
- いろは: 突っ切るよ、userName
- userName: モキュッ!
- FILENAME: text_103204-3_7xz7k.txt
- userName: モギュッ!?
- うい: お、お姉ちゃん コアの部分が消えちゃったよ!?
- いろは: そんな、どうして…!?
- キュゥべえ: コアをこのままさらし続けたり するはずがないじゃないか
- キュゥべえ: 環いろはの捕獲に失敗した以上、 移動させてもらったよ
- いろは: これじゃあ、 またコアを探さないと…
- キュゥべえ: コアを捜している間にも
- キュゥべえ: 結界の外にいる 魔法少女たちのソウルジェムは
- キュゥべえ: 悪夢で呪いに 染まりきってしまうだろうね
- いろは: …でも
- キュゥべえ: 迷う必要なんかないはずだよ 環いろは
- いろは: 何が言いたいの…?
- キュゥべえ: 目の前で多くの魔法少女が 希望を失おうとしている以上
- キュゥべえ: キミが優先するべきことは 決まっているはずだ
- 静香: くっ…! 久兵衛様がこんな下郎だなんて…
- 結菜: 何を今さら言ってるのかしらぁ…
- いろは: でも、キュゥべえの言う通り、 みんなを放っておけない…
- うい: コアもすぐに見つかるとは 限らないから
- うい: わたしたちで助けられるか 試してみようよ…!
- いろは: ただ、私たちが持ってる能力じゃ みんなを起こすことなんて…
- いろは: せめて目を覚まさせるような 魔法が使えたらいいんだけど…
- かごめ: 認識系の魔法であれば、 みつねさんやみふゆさんですか?
- 静香: 確かに魔法少女の固有魔法で 目覚めさせられたらいいけど…
- ひめな: 私チャンの仕掛けのせいなら、 ぶっちゃけ難しいと思う…
- ひめな: 神浜市にいる魔法少女 みんなに影響があるはずだから…
- 静香: いっそ叩き起こすのは…?
- ひめな: やるなら調整屋さんに頼んで 相手の精神と繋がるか
- ひめな: キモチの石を保有する人同士で 繋がり合うことだと思うけど
- ひめな: 眠ってる人にキモチの石を 渡すことなんてできないし
- ひめな: ピュエラケアの人が戻ってきて ひとりずつ対応してたら
- ひめな: 間に合わないから、 無理みが深いと思う…
- 結菜: つまり、私たちの仲間もみんな 神浜市に集まっている以上
- かごめ: ここにいる私たちの力で どうにかするしかないんですね…
- いろは: それでも一度、 みんなに連絡してみます…!
- かごめ: (私の願いなら…)
- かごめ: (でも、今ここで叶えたら…)
- FILENAME: text_103204-4_7xz7k.txt
- いろは: …………
- いろは: 魔法少女たちみんなにメッセージを送ったけど 返って来る様子がないどころか 誰かが読んだっていう既読の文字すら付かない
- いろは: きっと神浜市にいる魔法少女はみんな ここにいない子たちも含めて 悪い夢の世界に入ってるんだと思う…
- いろは: 魔法少女の力を使えるとしても 私たちだけの力しかない
- いろは: キュゥべえが隠したコアを見つけようとしても その間にみんなが魔女になって 手遅れになるかもしれない
- いろは: でも、だからって考えあぐねて 答えも出ないぐらいなら 何もしないよりコアを捜した方が良かったかも…
- いろは: ダメだ…
- いろは: 考えようとするほど焦っちゃう… 焦るほど、どうしてこんなことになったのかって 要らないことを考えちゃう
- いろは: 藍家さんのせいじゃない… キュゥべえも関係ないって言ってた… それなら…この状況を招いたのは何…?
- いろは: どうしてみんなが魔女になりかけてるの…?
- いろは: …………
- いろは: (やっぱり…私は…)
- いろは: 偉そうなことを言うだけで 結局なにもできてないような気がする…
- いろは: でも…
- いろは: 魔法少女であることの 心配事が今よりも少なくなって
- いろは: 将来の夢を叶えられるぐらい 生きられるようになって
- いろは: 私たちが背負う宿命や 願った理由を伝えていってね
- いろは: 私たちも周りのみんなも 少しずつ優しくなればって思う
- いろは: んー、だからなんだろう
- いろは: いまのつらいを解消しながら 未来のつらいを作らないように
- いろは: みんなが優しくなれる種を 少しずつ撒いていく…?
- いろは: そういうことが、 できたらいいのかな…?
- ひめな: いろりんたちがしてることって 優しく聞こえるけどさ
- ひめな: 実はハードルが高くて、 どちゃクソ、マッチョなんだよ
- ひめな: だから付いて行けずに 悶々と羽根になってきた子たちを
- ひめな: 私チャンたちが 面倒みてあげるってこと★
- 結菜: このまま争いのない二木市が 永遠に続けばいいと思うわぁ
- 結菜: だから、私は根本的にね、 環さんと思想は近いのよぉ
- 静香: 日の本の平和と繁栄! 以上よ!
- 静香: もちろんだからといって 暴力に訴えかけないわよ!?
- 静香: というか、もう一族としては 裏で支えるつもりだから
- いろは: (あぁ、私は弱いなぁ…)
- いろは: (みんなが悪夢を見ていて、 魔女になるかもしれないって)
- いろは: (まだ、救える可能性があるのに ダメかもって決めつけて…)
- いろは: こうして覚悟も半端だから、 私は何も守れないんだ…
- いろは: ごめんなさい… やちよさん、鶴乃ちゃん、 フェリシアちゃん、さなちゃん みんな…
- いろは: やってみよう…
- うい: お姉ちゃん…?
- 静香: 環さん 何か思い付いたの?
- いろは: うん…
- いろは: ここにはね、 イブのコアだったういがいて
- いろは: イブの体だったキモチが そろっていて
- いろは: みんなを繋ぐハブになれる userNameがいる
- いろは: つまり自動浄化システム以外の イブのすべてがある以上
- いろは: 私たちの方がキュゥべえよりも 圧倒的にイブに近いはずなんです
- いろは: だから、うい
- いろは: userNameを通して、 私とキモチに繋がってみて
- いろは: みんなでひとつになって、 よりイブに近くなれば…
- うい: あ、移動させられたコアの位置が すぐにわかるかもしれない!
- ひめな: キモチの魔力って ただでさえヤバみが深いけど
- ひめな: ホントに繋がっちゃって平気…?
- 結菜: ういちゃんへの負担が心配ねぇ
- 静香: 私でよければ支えになるけど 力になれるかしら…
- いろは: キモチは元々ういと同じだから、 一番相性が良いはずなんです
- いろは: だから、誰かの力は借りずに チャレンジした方がいいと思う
- 結菜: キモチの石を持っている 環さん自身への影響はぁ…?
- いろは: もう、そんなことを 言ってる場合じゃありません
- いろは: 覚悟を決めて、 やるしかないんです
- いろは: 二の足を踏んでる間に みんなの絶望が訪れてしまうから
- いろは: その前に希望を紡ぐんです!
- 結菜: わかった 私はあなたの言葉を信じるわぁ
- いろは: いいかな、うい…
- うい: もちろんだよ、お姉ちゃん
- うい: みんなを助けるためだもん 怖がっていられないよね
- いろは: じゃあ、繋がるよ
- いろは: キモチのみんなもお願い!
- いろは: コアを見つけるために 力を貸して!!
- いろは: …………
- 静香: 変ね… 何も起きてないわよ…?
- いろは: あれっ… キモチから反応が返ってこない…
- FILENAME: text_103204-5_7xz7k.txt
- ラビ: …………
- みんな: …………
- ラビ: やはり見逃してはくれない…
- ラビ: 私たちが気を緩めた時に限って 背中から貫いてくる…
- 那由他&みかげ: …………
- ラビ: 那由他様、みかげさん…
- ラビ: アァ…
- ラビ: 私たちが撲滅派の人たちと 手を取ろうとした時と同じだ…
- ラビ: 教授の言った通り やってきてしまった…
- ラビ: ―ラビ― まだ、まだ増えてる…
- アレクサンドラ: ―アレクサンドラ― 旭ちゃんが呼べるのは死んだ人たちだけじゃ
- 旭: ―旭― 間違い無くそうであります…!
- ラビ: ―ラビ― 早く止めないと…!
- ラビ: ―ラビ― 普通の人は、心と体のどちらが壊れても おかしくない!
- 旭: ―旭― しかし、どうやって止めれば…!
- アレクサンドラ: ―アレクサンドラ― 擁護派の人たちの姿も増えてる…
- ラビ: ―ラビ― まさか…これは…!
- 白金: 氷室先輩
- ラビ: 白金!?
- 白金: バスが転落して炎上しました
- ラビ: …なにを…そんな冗談…
- 白金: 残念ながら本当です 多くの人が亡くなり…私も…
- ラビ: そう、何人もの学生が死に、 心も打ち砕かれた…
- ラビ: そしてまた…
- アレクサンドラ: 私はひめちゃんのマイメンだから
- 旭: 我は時女一族と共に真っすぐ 生きる未来を望んだであります
- うらら: ウチは結菜さんたちが生きてる 未来を望んだんよ
- ラビ: そして、私は那由他様や みかげさんたちと共に過ごす
- ラビ: 変わらない日々を望んだ…
- ラビ: あぁ…あぁ…
- ラビ: 結局、私たちが希望を持つほど 敵わない存在によって 翻弄され続け、苦しみ続けるのか
- ラビ: ならば、我々の救いというのは この苦しみから逃れること
- ラビ: やはり、滅びしかないということ…
- いろは: キャッ!!
- うい: お姉ちゃん!
- いろは: どうして…?
- うい: キモチのブレスレットが はずれちゃった…?
- ラビ: …………
- いろは: 氷室さんの腕に着いた…
- ラビ: キモチは私の想いと同調して 移動してきたみたい
- いろは: それってどういうことですか…? 私たちは同じ想いですよね…?
- ラビ: 諦念…
- ラビ: 何をやっても宇宙に弄ばれる 魔法少女の宿命に対する諦念…
- いろは: 私たちは救われない… いまもそう思ってるんですか…?
- いろは: だけど、それは前の話で 希望を持つことができたって…!
- ラビ: それは私にとっても キモチにとってもまやかしだった
- ラビ: 魔法少女の存在を広められるか… 最後は本当に救われるか…
- ラビ: そのことは私だけではなく、 キモチもずっと気にしていた
- ラビ: だけど結末はこの通り…
- ラビ: 大好きな人たちが 大好きだった人たちになるのを
- ラビ: ただ見つめるだけ…
- いろは: そうならないように、 私たちは諦めちゃいけないんです
- ラビ: だけど、私もキモチも諦めた
- ラビ: キモチは環さんと一緒に居れば、 宇宙の意思に翻弄されるから
- ラビ: 私と一緒にいた方が 生きられると思っている
- ラビ: だからね、環さん
- ラビ: ここからは私の番…
- ラビ: 諦念のもと、 すべての魔法少女を片づける
- FILENAME: text_103204-6_7xz7k.txt
- いろは: ぅ…
- いろは: 周りの空気に触れているだけで 肌がすりむけそう…
- うい: うん… ピリピリして痛い…
- うい: でも、怖いけど、さがらないよ…
- うい: 自動浄化システムもキモチも 全部わたしが生んだものだから
- うい: 魔法少女を救うまで 最後まで向き合うって決めたの
- いろは: お姉ちゃんもだよ 最後まで一緒に向き合おう
- いろは: 氷室さんとも…
- ラビ: さあ、掃除を始めないと… 悲しみを片づけて回らないと…
- いろは: 魔法少女を消して回るつもりなら 私が行かせはしません
- 静香: ええ、日の本を守る刃たちを あなたの一存で折らせはしないわ
- ひめな: 宇宙のせいにして諦めて こっちの希望まで奪わないでよ
- いろは: そもそも氷室さんは、 どうするつもりなんですか…
- いろは: 宇宙の意思が 本当に存在していたとしたら
- いろは: 自動浄化システムを手に入れて 何をするつもりなんですか…
- ラビ: 単純なこと
- ラビ: 被膜を使って世界を包み込んで キュゥべえの侵入を防ぐ
- ラビ: その上で回収の力を利用して、 魔法少女たちを救う
- いろは: それって…
- いろは: ドッペル化を広げようとしてる 私たちと、同じ目的じゃ…?
- ラビ: いえ…
- ラビ: 穢れ以外もすべて吸い上げる 魔法少女の魔力も何もかも
- いろは: ――っ!?
- ラビ: 悲しみや絶望を味わう前に 世界の魔法少女たちはいなくなる
- ラビ: きっと、眠るかのように 魔法少女たちの人生は幕を閉じる
- ラビ: それは、外で悪夢に苦しんでいる 魔法少女たちも救うことになる
- いろは: 待ってください! 確かにそうかもしれない…
- いろは: だけど、魔女になりかけてる人 以外も含まれるんですよね…?
- いろは: それって、みんなを無差別に 殺すのと同じじゃないですか…
- ラビ: そう、魔法少女になった時点で 安楽死させるのが一番幸せ
- いろは: ごめんなさい つらい気持ちは理解できます…
- いろは: それに、行き着いた結論も 理解できないわけじゃない…
- いろは: でも、それでも 自分から殺したらダメです
- いろは: 魔法少女の結末は悲しみや 絶望で満たされているんだって
- いろは: 認めることになる…
- ラビ: だけど、つかめる光の筋すら 見えなくなった
- ラビ: だから、光をつかもうとする 虚しさからも解放しないと
- ラビ: フッ…
- いろは: ァアッ!
- いろは: ウッ!!
- ういの声: お姉ちゃん!
- 静香: 環さん…!?
- 静香: そんな…ウソでしょ… 軽く触れたぐらいよ…?
- ひめな: 1体ですらヤバみの深いキモチが フルセットなわけだし…?
- ひめな: とりまピンチっていうのは わかるよね…
- 結菜: でも…おかしいわぁ…
- 静香: ええ、私も思ったわ…
- 静香: ひとつでも危険なキモチ… それが8つも…
- 結菜: 私も4つで限界を超えた…
- 静香: 魔力の量が違うから 体が持たないはずよね…?
- ひめな: 器が壊れる的な…?
- 静香: そう、的なやつ
- ラビ: あなたたちを片づけたら コアを探しに行って
- ラビ: 私が自動浄化システムと ひとつになる
- ラビ: あなたを使って
- userName: モギュっ…
- 静香: 怖じ気づいてられない
- 静香: 時女の本家として この局面は乗り切ってみせないと
- ひめな: 向こうの体に限界がくる タイムリミットまで頑張れば
- ひめな: 私チャンたちの勝ち確?
- 結菜: いえ、そうはならないかも…
- ひめな: どうして…?
- 結菜: キモチと氷室さんの想いが 同調し合っているのであれば
- 結菜: どちらかが支配しようとしている わけじゃなぃ…
- 静香: なるほどね…
- 静香: それに、力を借りるような 優劣の関係でもない
- ひめな: 私チャン的に ちょっとイミフなんだけど…
- 結菜: 氷室さんとキモチはお互いを マイメンだと思ってるのよぉ
- FILENAME: text_103204-7_7xz7k.txt
- 結菜: キモチに影響されると、 声は聞こえていたとしても
- 結菜: ちゃんと言葉が 心に届かなくなってしまう…
- 結菜: だから私の時と同じように、 心に直接、繋がる必要があるわぁ
- 静香: 私もちゃるとすなおに 心の中で助けてもらったけど
- 静香: あの時と同じような状況に 持っていかないといけないのね
- ひめな: それってどうすんの?
- 静香: 確かちゃるたちは、 キモチの石を使ってたはずよ
- ひめな: それ、8つとも相手が持ってるし 詰んでるんだけど…
- 結菜: だから、氷室さんから 小さなキュゥべえを取り返して
- 結菜: 環さんたちに託すのよぉ
- ひめな: ワンチャン、ハブを利用して 繋がってもらうっていうことね
- 結菜: そう、唯一残された選択肢よぉ…
- うい: わたしはどうすればいい…?
- 結菜: キモチや自動浄化システムと 結びつきのあるあなたを失えば
- 結菜: 魔法少女の命運は尽きる
- 結菜: 必ず生かすから、環さんの側で 彼女を守ってあげてぇ
- うい: わかった… 気をつけてね紅晴さん…
- FILENAME: text_103204-8_7xz7k.txt
- いろは: はっ…
- うい: おねぇちゃん…!
- いろは: うい…私は…
- いろは: あっ、氷室さんは…!? 紅晴さんたちは!?
- うい: わたしたちを守って…みんな…
- いろは: え…
- 静香: そんな、死んだみたいに… 言わないでくれる…
- いろは: 静香ちゃん…!
- ひめな: マジで、ちょっと戦っただけで 体中がバキバキ…
- 結菜: 魔力を消費するより前に、 体を壊された感じねぇ…
- 結菜: 情けないわぁ…
- いろは: みんな、まさか氷室さんに…?
- 静香: えぇ…
- 静香: 3人で相手をして、 どうにかなる相手じゃなかった…
- 静香: けど、あなたたちを 守りきれて良かったわ…
- 静香: ただuserNameのことは ごめんなさい…
- うい: 自動浄化システムを取られる前に 返してもらえば大丈夫だよ
- うい: だから、そんな謝らないで…
- 結菜: どうか氷室さんと繋がって、 彼女の心を救ってあげて…
- 結菜: 彼女とキモチを切り離せば
- 結菜: 自動浄化システムを取り戻す きっかけになるはず…
- 結菜: それができるのは、 馬鹿がつくぐらい他人の心を尊ぶ
- 結菜: あなたぐらいよぉ…環さん…
- ひめな: うん…
- ひめな: 私チャンなら無理みが深いけど、 いろりんならおけまる
- ひめな: ワンチャンいけるって…!
- 静香: それでも、申し訳ないわ…
- 静香: 環さんだけに頼ることに なるだなんて…
- 静香: ――っ!?
- 静香: ちょっと、何やってるの…
- いろは: 体を治してます
- いろは: 私もせっかく手を取り合えたのに ひとりで向かうなんて悔しい
- いろは: まだ、一緒に立ち向かえるなら みんなで氷室さんを救いたい
- いろは: そして、手を取り合って、 倒れたみんなを助けましょう
- 静香: 環さん…ありがとう…
- 静香: そういうあなたらしいところに 私は嫉妬してしまうわ
- いろは: え…?
- 結菜: 時女さんの気持ちはわかるけど 環さんは深く考えなくていいわぁ
- いろは: は、はい…
- いろは: それで、うい… 氷室さんの様子はどうだった…?
- うい: なんだか会話はできてたけど、 少しズレてるような感じだった…
- うい: もう、魔法少女を消すことしか 考えてないみたいで…
- いろは: そうなんだ…
- いろは: 氷室さんは どっちに向かったかわかる…?
- うい: うん
- うい: 結界が壊れそうになって 弾き出されちゃったんだけど
- うい: それからコアの位置を探って 北養区の方に移動していったよ…
- うい: うん…
- うい: キモチの魔力がすごく強いから ハッキリとわかるよ
- いろは: …………
- 静香: 私の阻止がどこまで効いてるか わからないけど
- 静香: 多少はコアを探すのを 妨害できてるかもしれないわ…
- ひめな: それならとりま 時間ももったいないしさ
- ひめな: いろりんの回復魔法が 移動しながらでもおけまるなら
- ひめな: 動けるぐらいになった時点で さっさと移動しちゃお
- いろは: はい、私は大丈夫です
- 結菜: 魔力の方は平気ぃ?
- いろは: ネオマギウスがばらまいた魔女の グリーフシードがあるので
- 結菜: 怪我の功名ねぇ…
- ひめな: ちなみに、ひとつぐらい ワンチャン使えるなら
- ひめな: 借りたい固有魔法があるから 使っていい?
- いろは: はい、もちろんです
- ひめな: あざまる!
- ひめな: それじゃあヒコ君 借りる魔法を考えよっか
- いろは: …かごめちゃんは大丈夫?
- いろは: 私たちはこれから氷室さんを 助けにいくけど…
- かごめ: はい、もちろんです
- かごめ: リィちゃんと一緒に 最後まで見届けさせてください
- FILENAME: text_103204-9_7xz7k.txt
- かごめ: 何十人もいる魔法少女たちが 一斉に倒れるだなんて誰が想像しただろう
- かごめ: あと少しで自動浄化システムを キュゥべえから取り返して 被膜が神浜市どころか世界中に広がって
- かごめ: 魔法少女は魔女化という宿命から 解放されるはずだった
- かごめ: それなのに今 神浜市にいる魔法少女たちはみんな 悪夢の中で少しずつ魔女へと近づいている
- かごめ: これは氷室さんが言っていたように 魔法少女の存在を広めようとする私たちへの 宇宙の自浄作用なのかな
- かごめ: きっと、宇宙の意思を確認していた 氷室さんにとっては心の折れる出来事だったはず
- かごめ: だけど、いろはさんたちは折れていない むしろ折れた氷室さんの心を癒やそうとしている
- かごめ: (衝動に駆られちゃいけない…)
- かごめ: (命も願いもひとつなんだ…)
- かごめ: だから私は信じようと思う みんなが氷室さんを救い 他の魔法少女も救うっていうことを
- 結菜: 氷室さんと繋がるイメージは なんとかできそぅ?
- いろは: はい
- いろは: userNameを取り戻す 必要はありますけど
- いろは: ういも含めて3人そろえば うまく繋がれそうな気がします
- いろは: 誰もキモチの石を持ってないので 本当にできるか不安ですけど
- いろは: ここまできたら ぶっつけ本番です!
- 結菜: ごめんなさぃ 無茶をさせてしまうわねぇ
- うい: いまできること全力でやる それだけだよね
- いろは: うん、残された時間も 少ないはずだから
- いろは: ただ、繋がるにしても 足止めだけは必要になります
- いろは: そちらは お願いしてもいいですか?
- ひめな: とりまヒコ君が厳選した魔法を 合成してきたから、よいちょまる
- ひめな: 博物館で戦った時みたいに 合成と使用が一緒じゃないから
- ひめな: 魔力の消耗も抑えられるし ワンチャンいけそうって感じ?
- 静香: 動きを止めて… その隙に環さんたちが繋がる…
- 静香: ひとつでも間違えれば、 さっきみたいに一撃でやられる…
- 静香: 本当に1回切りの賭けね
- うい: 氷室さんが勝てば、 みんな吸い込まれて消されちゃう
- いろは: うん、失敗は許されない…
- FILENAME: text_103204-10_7xz7k.txt
- リヴィア: はぁ…
- 月出里: ふむんむん…
- ヨヅル: 辺りを見てきましたが、 亡くなっている方はいません
- ヨヅル: ただ、神浜マギアユニオン プロミストブラッド、時女一族…
- ヨヅル: 及び、ネオマギウスと 午前0時のフォークロアの方は
- リヴィア: 皆まで言わんでええ わかっとる
- リヴィア: 私らが知っとる魔法少女は みんな悪夢の中におるわ
- 月出里: ふむんふむむむふむむっむん…
- ヨヅル: 藍家ひめなの仕掛けっぽいと 月出里は申してますが
- リヴィア: 私かて思ったけどやな、 さすがに状況的に説明できひん
- リヴィア: 姫さんは自分で仕掛けを 壊しとるし
- リヴィア: 私かて調整の過程で、 その光景はしっかり見とる…
- ヨヅル: であれば説明がつきませんね
- リヴィア: せやから怖いんや…
- ピロン♪
- ヨヅル: どなたからですか?
- リヴィア: 結菜ちゃんからや
- リヴィア: 私らが遅れて戻ってくるから 無事やと思ったみたいやけど…
- リヴィア: …はぁ
- リヴィア: 運良く活動できとるんは 各グループのリーダーだけかいな
- リヴィア: それに困ったわ…
- リヴィア: みんなのことをお願いしますって 書かれたところでなぁ…
- 月出里: ふむんむふむむむ…?
- ヨヅル: そうですね
- ヨヅル: できる事があるとすれば、 綺麗に寝かせることや
- ヨヅル: 定期的な浄化かもしれません
- ヨヅル: 幸いネオマギウスの魔女と 戦っていた魔法少女もいますし
- ヨヅル: 手持ちのグリーフシードの数に 困ることもないでしょう
- リヴィア: せやけど、使い過ぎに注意やで 魔女が孵ったら大変や
- 月出里: ふんむんむ、ふんむーふむ ふむんむむ?
- ヨヅル: キュゥべえに回収してもらおうと 月出里が提案しておりますが
- リヴィア: 魔女のオンパレードになったら エネルギーが得られる
- リヴィア: それを目前にして、 私らの手伝いなんてせんやろ
- リヴィア: …しかし、つらいな
- リヴィア: ようやっと仲良く 手ぇ繋げたと思ったらこれや…
- リヴィア: ほんまにかなわん…
- リヴィア: どんだけ頑張ったら私らは 救われるんやろな…
- FILENAME: text_103204-11_7xz7k.txt
- ラビ: …………
- いろは: 見つけた…!
- うい: まだコアの位置は 見つけられてないみたいだよ!
- ひめな: 静香ちゃんの阻止っぷり 半端ないじゃん
- 結菜: 気転を利かせてくれた おかげねぇ
- いろは: また、結界の入口を見つけられて しまう前に
- うい: わたしたちで氷室さんを救おう お姉ちゃん
- いろは: そうだね!
- FILENAME: text_103204-12_7xz7k.txt
- いろは: ――っ!?
- ラビ: すべてを吸い上げて無にするから 邪魔をしないで
- 結菜: 対象変更!!
- ラビ: クッ…
- 結菜: 環さん退いて!
- うい: お姉ちゃん、大丈夫!?
- いろは: うん…
- いろは: たぶん、氷室さんは 私たちの目的に気づいてる…
- いろは: だから狙ってくるのかも…
- userName: モキュ!モッキュ!
- いろは: 心配しなくても、まだ機会はある 次のチャンスを待とう
- 結菜: ここは乱撃でけん制… 隙を作る…!
- 結菜: ――っ!?
- 結菜: (背後…!?)
- 静香: ぶーめらんってやつが 戻って来てる!
- 結菜: そういうこと…くっ…
- 結菜: …礼を言うわ
- 結菜: あのままだと 真っ二つだったかもしれないわぁ
- 静香: 遠くに投げてるのが見えたのよ
- 結菜: だけど派手に動いたおかげで
- 結菜: 氷室さんの意識を こちらに向けられたわぁ…
- ラビ: すぐに、 あなたたちも吸い上げる…
- 結菜: いま!
- ラビ: ぐっ!?
- 結菜: 時女さん、攻撃を逸らせたわぁ!
- 静香: ええ、いくわよ!
- 静香: 時女一心流 旋風鎌鼬 (せんぷうかまいたち)!!
- ラビ: ガッ…!
- 静香: からの、瞳合わせ!!
- ラビ: なにも、響かない…
- 結菜: まずい、効いてないわぁ…
- 静香: とりあえず阻止!!
- ラビ: はぁああッ!!
- 静香: …生きてる?
- 結菜: えぇ…だけどムリねぇ…
- 結菜: 環さんに回復してもらった分は また削られたわぁ…
- 静香: こちらも同じく…
- 結菜: …っ、悔しいわねぇ…
- ひめな: なんか、一緒に命をかけてると みんなマイメンって感じ
- ひめな: 作ってくれたワンチャンは 絶対に無駄にしないから!
- ひめな: 裏でこっそりと動いてた分、 情報を集めておいてよかった
- ひめな: ぶっちゃけ、ここで役立つなんて 考えてもみなかったからね
- ラビ: ――っ!?
- ひめな: あなたの大切そうなお友だちの 力でねじ伏せてあげる
- ひめな: 里見那由他の戦意喪失
- ラビ: ア…
- ひめな: お母さんの性格を変えた影響で 身に付けた魔法なのかも
- ラビ: ま、だ…
- ひめな: 八雲みかげの肉体崩壊
- ラビ: ぅぅっ…!?
- ひめな: 姉の根底を否定したからこその 人を壊してしまう力
- ひめな: これまで使わなかったのは、 あの子の優しさかもね
- ひめな: あなたも、見習ってさ もう少し優しくなっちゃえば?
- ラビ: なったところで待っているのは、 途方もない…悲しみ…!
- ひめな: サーシャのリラックス効果
- ラビ: ぁ…ぐ
- ひめな: こうやって穏やかな日々の方が 湯国の人らもいいんじゃない?
- ひめな: というわけで動けない間に 取り戻すチャンスだよ!
- ひめな: いろりん!
- いろは: ありがとう、藍家さん!
- いろは: userName!! 私とういに飛び込んできて!
- userName: モッキュキューイ!!
- うい: お姉ちゃん、手を重ねよう!
- いろは: うん!
- いろは: userNameは 重ねた手の上に乗って!
- userName: キュイ!
- いろは: …お願い、氷室さん 私たちと最後まで抗おう!
- いろは: 悲しみで終わらせず、 希望で必ず終わらせるために!
- うい: だから、力を貸して!
- うい: 自動浄化システムを使って 魔法少女を救うだけじゃない
- うい: 眠ってるみんなも救うために!
- userName: モッキュウ!
- ラビ: …………
- FILENAME: text_103204-13_7xz7k.txt
- ラビ: まさか、私の心の中に…
- userName: モキュイ!
- ラビ: そう…キモチとのハブになれる あなたを通して…
- いろは: いた…見つけた…! 氷室さん、考え直してください!
- うい: 外での話って聞こえてた!?
- ラビ: ええ
- ラビ: いまなら倒れた魔法少女たちを 救えるかもしれないと
- いろは: みんなが魔女になって喜ぶのは キュゥべえだけです…だから!
- ラビ: それでも構わない
- いろは: ――っ!?
- ラビ: 邪魔な魔法少女を消す駒として 私が都合の良い存在でも
- ラビ: 何も思いはしない
- いろは: どうして…!? 氷室さんの大切な人もいるのに!
- ラビ: 私とキュゥべえにとって あなたたちは共通の敵だから
- いろは: 敵…?
- ラビ: 魔法少女の存在を世間に広める
- ラビ: それで魔法少女にとって 安心する世の中ができれば
- ラビ: 希望と絶望の振り幅は 狭まるという結果になってしまう
- ラビ: それは、魔女になる時に得られる エネルギーの量が減るのと同じで
- ラビ: キュゥべえにとっては 歓迎できるような状況ではない
- うい: それはキュゥべえの話で 氷室さんとは関係ない話だよ!
- いろは: 違う、あるんだよ…
- いろは: 魔法少女の存在を広めると、 今みたいにみんなが倒れるから…
- うい: …それって宇宙のせいで…?
- ラビ: そう、広めようとする行為は、 結果的に私たち自身を殺す
- ラビ: それなら自動浄化システムを 手に入れられなかったとしても
- ラビ: あなたたちの行為を防ぐことで、 未来の魔法少女たちは救われる
- いろは: だからって今の魔法少女たちを 勝手に殺さないでください…!
- ラビ: …………
- いろは: やちよさんも鶴乃ちゃんも フェリシアちゃんもさなちゃんも
- いろは: 他のみんなだってまだ生きてる! もちろん旭ちゃんや栗栖さんも!
- いろは: それなのに、勝手に殺して 不幸にならないでください…!
- ラビ: この状況から再起できるような 希望があるとでも…?
- いろは: 理屈がなかったとしても 希望と奇跡を信じる
- いろは: それが願いで状況を変えた 私たち魔法少女じゃないですか…
- いろは: なっ…
- ラビ: じゃあ、このつかんだ手を通して 私に憑いたキモチをあげる
- いろは: え…
- ラビ: これは力の争いではなく、 想いを巡る争い
- ラビ: それなら私と同調するキモチを、 あなたの想いでねじ伏せてみせて
- いろは: キモチを差し出すのは、 挑戦状ということですか…?
- ラビ: そう
- ラビ: 絶望や悲しみで終わるのか 希望や喜びで終わるのか
- ラビ: 諦念にまみれて あなたを信頼していない私から
- ラビ: キモチを奪ってでも 耐えられたなら
- ラビ: その奇跡を前に あなたを認めることを約束する
- うい: キモチは魔力の塊なんだよ!?
- うい: そんなの、力で争ってるのと 全然変わらない!
- うい: お姉ちゃんが絶対にもたないよ!
- いろは: でも、殴り合うよりも 心で向き合う方が全然いいと思う
- いろは: うい、userName お願い力を貸して
- いろは: 信頼されていない以上は ハブのuserNameが必要で
- いろは: 安定させるには元々イブだった ういが必要になると思うから
- うい: …………
- いろは: 危険なのはわかってる
- いろは: だけどこれは争うんじゃない 向き合うことだから…
- うい: うん…わかった… お姉ちゃんと一緒に苦しむ…!
- userName: モキュっ…!
- いろは: それじゃあ、手を重ねて
- ラビ: さあ、受け取って
- いろは: くっ…!ぅう…!?
- うい: あぁッ!
- userName: モギュゥっ…!
- ラビ: ほら、どう足掻いたところで キモチも諦念の底
- ラビ: あなたの意思とは同調しない
- いろは: それでも…変えて…みせる… 想いを覆して…みせる…!
- いろは: じゃないと… あまりにも悲し過ぎるもん…
- ラビ: もしも、あなたが潰れるのなら、 最初に回収して救ってあげる
- いろは: ううぅぅううッ!
- ラビ: 痛みも苦しみもないなら、 その方がよっぽど救われるはず
- FILENAME: text_103204-14_7xz7k.txt
- いろは: あ、く…
- いろは: はぁ…はぁ… だめかもしれないけど…やる…
- うい: わたし、も…
- うい: やりかたは間違ったけど… 灯花ちゃんと、ねむちゃんは…
- うい: 魔法少女を助けるために イブを作ったんだもん…!!
- いろは: そう、だね…
- いろは: ふたりの意思を生かすためにも 挫けちゃいけない、ね…
- ラビ: どうして…
- ラビ: 魔法少女は救われないのに… 宇宙に殺されるだけなのに…
- ラビ: だから抵抗なんてせずに諦めて 私がやることに付いてきて…
- いろは: できま、せん…
- いろは: 救うために殺すなんて ねじ曲がった、考えを…!
- いろは: このまま通しちゃいけない…!
- ラビ: それなら考えてみて…
- ラビ: 魔法少女の存在が広まらなければ 宇宙によって殺されることはない
- ラビ: ソウルジェムの真相を知らずに 魔女の真相を知らずに
- ラビ: 魔女と戦う苦しみを知らずに 魔法少女は永遠の眠りにつく…
- ラビ: それが一瞬であれば不幸はない
- ラビ: キュゥべえを防ぐ被膜があれば、 契約する子もいなくなる
- ラビ: 最後には環いろはが望む未来と 同じ光景に帰結するはず
- いろは: …そうかもしれません
- いろは: でも、誰かの人生の終わりを… 他人が、決めちゃいけなぃ…
- いろは: それに、私は寄り添うべき 氷室さんの想いが、わからない…
- ラビ: 魔法少女を救おうとした結果、 関わった人たちが不幸になる…!
- ラビ: いまも苦しむ魔法少女たちを見て あなたは何も思わないの!?
- ラビ: 結局、悪夢のような仕打ちを 受けるぐらいなら
- ラビ: 諦めた方がいい…!
- いろは: それは、わかるんですけど…!
- いろは: たぶん、氷室さんは 自分にウソを吐いてますよ…!
- ラビ: いえ、これは本心
- いろは: 本当に、諦めてる人は… 戦おうとしません…
- ラビ: ――っ!?
- いろは: みんなを、苦しまないように 死なせようとするのは…
- いろは: 少しは助けたいっていう想いが 氷室さんに…残ってるからです…
- いろは: それに…諦めたくないから、 氷室さんは神浜市に来たはず…
- ラビ: 違う…今の私は…
- いろは: 諦めてる人は…戦いません…!
- いろは: 戦うのは… 望む結末が…あるから、です…!
- いろは: 苦しんでも…痛くても… 死にそうでも…
- いろは: もがいている人たちは…みんな…
- いろは: 目指している希望が…! 心に宿っているはずなんです…!
- いろは: それは氷室さんの胸の中にも 宿ってますよ!
- カチ…カチン…
- ラビ: あ…
- 那由他: 今回のパパとラビさんが抱える 問題を通して気づいたんですの
- ラビ: …と言いますと?
- 那由他: 実はパパもラビさんも 心が弱いって!
- ラビ: いささか失礼ですね
- 那由他: だから、もしもつらくなった時は バッジを見て欲しいんですの
- 那由他: 私もみかげさんも ラビさんと一緒にいますの!
- うい: 苦しまなかったとしてもね
- うい: わたしは誰かがいなくなるのは さみしいと思うよ…?
- いろは: うん…
- いろは: だから、氷室さんが言うような 誰かを消すようなことは
- いろは: 絶対に手伝えない…
- いろは: でも、その中にある 救いたい気持ちには寄り添える
- いろは: あるでしょ?
- いろは: もっと、救いたいものが… もっと、残したいものが…
- ラビ: …………
- FILENAME: text_103204-15_7xz7k.txt
- アレクサンドラ: ただいま戻りました♪
- ラビ: おかえり
- ラビ: ネオマギウスの藍家ひめなは だいぶ落ち着いた?
- アレクサンドラ: はい
- アレクサンドラ: ヒコ君との思い出の公園に行って ちゃんと頭の中で本人と話して
- アレクサンドラ: いずれ関係を認めてもらおうって 結論に至ってからは平気そうです
- ラビ: 彼女の影響で時計の針が ゼロになると思っていたけど…
- アレクサンドラ: 何事もなくて良かったです♪
- アレクサンドラ: 羽根のみんなも含めて、 仲良くやれてるみたいですし
- アレクサンドラ: うふふっ♪
- 旭: もはやサーシャは ネオマギウスの人でありますな
- うらら: そう言ったら旭さんも 時女一族の人なんよ
- 旭: 我は最初から時女一族の分家 何も変わってないでありますよ
- 旭: それに、うららの方こそ どうなんでありますか
- 旭: 心はプロミストブラッドと 共にあるようであります
- うらら: ウチは結菜さんたちの人柄が 好きなだけなんよ
- うらら: 忠誠心みたいな濃いぃ感覚は 持ってないんよ
- ラビ: 何はともあれ、居場所ができる ということは良いこと
- ラビ: 午前0時のフォークロアは、 諦念と悲しみにまみれたグループ
- ラビ: それに、 付き合いが長いわけでもないから
- ラビ: 抜けたければ、 いつ抜けて行っても構わない
- 旭: さみしいことを言うでありますな
- 旭: もしかしてラビは すねてるのでありますか?
- うらら: 可愛いんよラビさん
- ラビ: え、そんなつもりは…
- アレクサンドラ: ふふ♪
- アレクサンドラ: 神浜市に来たばかりの頃とは 逆になってますね
- ラビ: 意味がわからない…
- アレクサンドラ: 那由他ちゃんたちとの関係を見て 羨ましかったんです
- アレクサンドラ: ラビちゃんにフォークロア以外の 居場所ができちゃったって
- ラビ: …知らなかった
- うらら: だから、フォークロアがあって みんなも他の居場所があって
- うらら: これでちょうど良い気がするんよ
- 旭: それに、かつての苦しみを 分かち合った仲間であります
- 旭: 我々は我々で繋がっているのが 最良でありますよ
- ラビ: そうか…
- ラビ: …………
- 旭: 急に考え込んだであります
- ラビ: …私たちだけがグループを繋ぐ 架け橋になれるのだなと…
- ラビ: このまま平和裡に戦いが終わり
- ラビ: 自動浄化システムによって 魔女にならない世になったあと
- ラビ: 私たちのような存在にこそ 意味が生まれるのかもしれない
- ラビ: なんとなくそう思った
- 旭: このまま諦念に終わらず 希望が残ればいいでありますな
- アレクサンドラ: せっかくここまで繋がれたのは 奇跡ですからね♪
- うらら: ちょっとぐらいウチらだって 喜べる時が欲しいんよ!
- ラビ: そう…少しだけ… 前を見てもいいのかもしれない…
- ラビ: 私も…本当は… 前を向いて進みたい…
- ラビ: 本当は諦めたくない…
- ラビ: 那由他や教授たちと一緒に、 希望を見ていたい…!
- いろは: 見ていていいんです だから最後にあがきましょう
- うい: わたしたちと一緒に 未来を掴み取ろうよ!
- カチ…カチン…
- ラビ: ――っ!?
- ラビ: そう…
- ラビ: あなたも私が未来へ進むのを 促してくれるのか…
- ラビ: ぐ…くぁああッ…!!
- いろは: ウゥッ…
- うい: お姉ちゃん…! 氷室…さん…!
- userName: モギュゥゥ…
- いろは: 氷室さんの想いが…変わって… キモチが、あらがってる…
- ラビ: 環、さん…お願い…!
- いろは: 大丈夫…死なない…
- いろは: 死にたくなるぐらい苦しくても…
- いろは: 私が、氷室さんから…剥がして… キモチを…受け入れる…!
- FILENAME: text_103204-16_7xz7k.txt
- いろは: キモチのみんな…! まだ魔法少女は死んでない…!
- いろは: どれだけつらい状況でも まだ、生きてるの…!
- いろは: だから、宇宙なんかに怯えないで 最後に力を貸して!
- いろは: 救いを求めていた魔法少女たちが ひとつになった今だからこそ
- いろは: 私は証明したいの!
- いろは: 希望から絶望が生まれる結末 じゃなくて
- いろは: 絶望から希望が生まれる結末も あるんだっていうことを!
- いろは: 私がみんなを絶対に魔女になんか させないから!
- FILENAME: text_103204-17_7xz7k.txt
- いろは: はぁ…ぅ…ふぅ…
- いろは: 良かった… 苦しみが消えていく…
- いろは: キモチのみんなが わかってくれたのかな…
- うい: ふふっ、それこそ、 抵抗するのを諦めたみたいだよ
- いろは: え、どうして…?
- うい: わたしとuserNameも お姉ちゃんに協力してたでしょ?
- うい: 手を重ねて繋がり合ってたから これ以上、ムリをされると
- うい: わたしとuserNameも 危なかったんだって
- いろは: そっか…
- いろは: ふたりがいなくなっちゃうと キモチも戻れなくなるもんね
- うい: うん、そういうことみたい
- いろは: うん…
- いろは: キモチの力がひとつずつ 私に流れ込んでくる…
- うい: これで、キモチのみんなも ひとつになれるね
- userName: モッ、モキュ…!?
- うい: あれ…
- うい: なんだかキモチが糸みたいに
- うい: わたしたちもお姉ちゃんに 縫いつけられてくみたい
- いろは: なんだろう、不思議な感じ
- いろは: これが真に信頼しあって ひとつになる感覚なのかな…
- ラビ: ―ラビ― 環さん、大丈夫?
- ラビ: ―ラビ― その姿って私と同じで キモチに影響されてるんじゃ…
- いろは: ―いろは― そうなんだけど、大丈夫だと思う
- いろは: ―いろは― キモチのみんなが 悪さをしてるわけじゃないから
- いろは: ―いろは― たぶん、キモチの力が流れてきて ういとuserNameも一緒だったから
- いろは: ―いろは― 一時的に力が溶け合った結果だと思う
- ラビ: ―ラビ― でも、戻らなくても危険ではなさそう
- いろは: ―いろは― ええっ…
- ラビ: ―ラビ― だって私が見てきた何よりも 優しさに満ちてるような気がするから…
- ラビ: ―ラビ― …あなたは恐ろしくも不思議な人
- ラビ: ―ラビ― 学んだ知識でもなければ、才能でもない ただ計り知れない綺麗な心の器がある
- ラビ: ―ラビ― あなたを強くして周りが惹かれるのは その器で私たちの涙を受け止めるからだろう
- いろは: ―いろは― 私は世間知らずだし、ただの頑固者だよ ただ悲しいのが嫌なだけで…
- ラビ: ―ラビ― それでいいと思うから あなたが全てのキモチを持って証明して欲しい
- ラビ: ―ラビ― 希望で終わる未来を
- いろは: ―いろは― そうだね
- かごめ: いろはさん…!いろはさん…!
- いろは: ん…ぅ…あ… ういとuserNameは!?
- いろは: 溶けてない!?
- かごめ: え、とけ…?
- うい: ピンピンしてるよお姉ちゃん
- userName: モキュッ!
- いろは: はぁ…よかったぁ…
- ラビ: その様子だと大丈夫そう
- いろは: 氷室さん
- いろは: はい、暴走もしないですし、 ちゃんと落ち着いてます
- いろは: 他のみんなは…?
- かごめ: …ひめなさんは魔力がギリギリで
- かごめ: 紅晴さんと静香さんは、 まだ回復に時間がかかりそうです
- ひめな: そーいうわけだから… ラビりんは責任とって…!
- 結菜: そう、ここから先は… 任せたわぁ…
- 静香: 自動浄化システムを奪って、 私たちの未来を作って…
- ラビ: 私は皆さんの足を引っ張った上 すべての魔法少女を殺そうとした
- ラビ: それに対して言える言葉は、 何もありませんが…
- ラビ: 殺そうとした分だけ生かします
- ラビ: 生かせる未来を残してきます
- いろは: うん
- いろは: 希望が繋がったいまの状況が 最善だって思うようにして
- いろは: 私たちでやれることをやろう
- うい: …………
- 灯花: 今起きてる状況も“あの仮説”に 含めていい気がする!
- ねむ: 佐鳥かごめから聞いた 二木や時女の話と類似してるしね
- うい: あの仮説?
- ねむ: まだ調査が進んでないから、 僕と灯花との間での秘密だよ
- うい: えーそうなの…?
- 灯花: ういの悲しい顔は見たくないけど こればかりは我慢して
- うい: じゃあいつになったら 教えてくれる?
- ねむ: 前に僕と灯花が考えてることを秘密にして どこかで説明する約束だったよね 端的に言うと魔法少女の話を広めるために 僕と灯花は自分の命を使おうと思っている
- ねむ: 諦念を語る人たちの手前、詳細は語れないけど 成功すれば万年桜は生きているはずだ つまり僕達は命を使うけれども 実質死んでない状態になる
- ねむ: だけど僕と灯花の計画はふたりで完結しない 佐鳥かごめとお姉さんとうい 3人の力が必須になるんだ
- ねむ: だから約束して欲しい 必ずそのときがやってくるまで生きていて欲しい 僕と灯花の命を賭けた最大の賭けは その条件が成立して初めて成功に向かう
- かごめ: ういちゃん…?
- うい: かごめさん…
- うい: 灯花ちゃんとねむちゃんはきっと 気づいてたんだと思う
- うい: 午前0時のフォークロアの人が 心配していた宇宙のこと…
- かごめ: え…?
- うい: それに、わたしが気づくことも わかってたのかも…
- かごめ: 灯花ちゃんとねむちゃんの目的が わかったの…?
- うい: ふたりがしようとしてることは わからないけど…
- うい: それでも、なんとなくわかる…
- うい: キモチも自動浄化システムも 元はイブだったわたし…
- うい: お姉ちゃんがuserNameと 一緒に取り戻したとしても
- うい: それじゃ、ダメかも…
- かごめ: でも、キュゥべえができるって 言ったっていうことは
- うい: できると思うけど
- うい: 絶対に大丈夫だって思える方法に しないとだめなんだよ
- かごめ: それって、ういちゃん…
- うい: うん、わたし決めたよ
- うい: わたしがコアになって 自動浄化システムとひとつになる
- FILENAME: text_103205-1_7xz7k.txt [Episode 5]
- いろは: 魔法少女はたった3人だけど それでもやれる
- うい: わたしたちが残ったことに きっと意味があるんだよ
- いろは: うん、だから大丈夫 自動浄化システムを取り戻そう
- ラビ: ええ、必ず…
- かごめ: いろはさんは自分の決めた覚悟に対して 何もできていないって悩んでたみたいだけど ちゃんと氷室さんの心に火を点けて 今もみんなを助けるために進み続けている
- かごめ: ういちゃんも灯花ちゃんとねむちゃんの 考えに気づいて覚悟を決めたみたい そして自分の手で未来を切り開くために 自動浄化システムのコアになろうとしている
- かごめ: それなら、私も…
- 灯花: これだけは約束してくれるかにゃ
- かごめ: な、なに…?
- 灯花: 絶対に手記を止めないこと 多くの魔法少女に取材すること
- 灯花: 今まで通り、魔法少女たちから 手記に魔力を込めてもらうこと
- 灯花: それを命を落とすまで続けて
- うい: うん、わたし決めたよ
- うい: わたしがコアになって 自動浄化システムとひとつになる
- かごめ: (ようやく見えた…)
- 御園 かりん: 勝訴なの!
- 御園 かりん: 人は滅んだりしないし 悲しみや絶望で終わったりしない
- 御園 かりん: 環先輩たちは耐えて、 自動浄化システムに入ったの!
- みこと: ひめなちゃんのスマホを使って せっかく演出してみたのにぃ…
- アリナ: 捨てられた時間とリンクするとか アメイジングだったケド
- アリナ: 意味はなかったみたいだヨネ
- アリナ: だけど、これで アナタとしては本気なワケ?
- 御園 かりん: ちょっと、アリナ先輩!?
- アリナ: 今回の環いろはたちの行動は さすがにゾックゾクしたケド
- アリナ: アリナ的には ちょっと物足りないワケ
- みこと: じゃあ、アリナちゃん 私に私を渡してくれる?
- みこと: この先にいる鏡の魔女はね まだ不完全なの
- みこと: 魔女になる時にこうして人格を 分離させちゃったから
- アリナ: つまり、アリナがアナタを魔女に プレゼントすればいいワケ?
- みこと: そう
- みこと: そしたら本当の私ができあがって 最高の滅びを見せてあげられる
- アリナ: アハッ、オッケー
- 御園 かりん: じゃないの! 意味がわからないの!
- アリナ: フールガール
- アリナ: サクセスするかは わからないカラ
- アリナ: あなたとひとつ プロミスを交わしてアゲル
- 御園 かりん: な、なんの、約束なの…?
- アリナ: 瀬奈みことが神浜市を 滅ぼすことにサクセスすれば
- アリナ: アリナはサッドネスで終わる 人間の未来を信じて
- アリナ: これからも滅びを追求するワケ
- アリナ: だけどサクセスしなければ ハピネスで終わる未来を信じて
- アリナ: アナタの改心計画にのってアゲル
- 御園 かりん: えっと、変なのおかしいの!
- 御園 かりん: そもそも、滅ぼすかどうかが 条件なのはおかしいの!
- アリナ: だけど、もう決めたカラ
- みこと: じゃあ、アリナちゃん 魔女の所に案内してあげるね
- みこと: そしてかりんちゃんは…?
- アリナ: バトルのフィナーレまで オーディエンスでオーケー
- みこと: じゃあ、出て行ってもらうね
- 御園 かりん: そんな、アリナ先輩!
- アリナ: バイバイ、御園かりん 結果を楽しみにしててヨネ
- FILENAME: text_103205-2_7xz7k.txt
- いろは: キュゥべえ…
- キュゥべえ: キミならいずれ またここに来ると思っていたよ
- キュゥべえ: 環いろは
- いろは: あなたが氷室さんとキモチを 利用してたから時間がかかったの
- キュゥべえ: ボクとしては、氷室ラビが 残った魔法少女を倒して
- キュゥべえ: ひとりで来ることを 期待していたけどね
- ラビ: 私は最後に 賭けてみることにした
- ラビ: 倒れた魔法少女たちがみんな 再び立ち上がることに
- いろは: そう、私たちは最後まで 希望を諦めたりなんてしない
- いろは: だから、自動浄化システムを 返してもらうよキュゥべえ
- キュゥべえ: …………
- うい: …お姉ちゃん ここからはわたしに行かせて
- うい: ずっと怖かったけど、 わたしがコアになる
- いろは: えっ…
- うい: それを灯花ちゃんとねむちゃんも 望んでるってわかったから
- いろは: でも、また暴走なんてしたら
- うい: わたし、契約したばっかりの 魔法少女じゃないよ?
- うい: お姉ちゃんやみんなのおかげで 心も体も強くなったんだから
- うい: だから、お姉ちゃん わたしを信じて
- いろは: わかった
- いろは: キモチは私が持ってるから 自動浄化システムは任せるね
- うい: うん
- うい: そこをどいて、キュゥべえ
- キュゥべえ: 確かにキミの存在は脅威だ
- ラビ: …何か余裕を感じる?
- ラビ: キュゥべえ… あなた…また何かした…?
- キュゥべえ: いいや、ボクは前からずっと コアで在り続けていた
- キュゥべえ: 先ほどと違うことがあるとすれば ひとつだけ
- キュゥべえ: 「ボクが自動浄化システムを 完全にコントロールできるようなった ということだね」
- ラビ: なっ…
- いろは: うそ…
- キュゥべえ: 氷室ラビではなく環いろはが キモチを連れてきたのは
- キュゥべえ: ボクにとって誤算だったけど
- キュゥべえ: 氷室ラビが 時間を稼いでくれたおかげで
- キュゥべえ: ようやく制御することが できたんだ
- キュゥべえ: 環いろはとuserNameを 確保できたのも大きかった
- キュゥべえ: 短時間ではあるけど、 調べることができたからね
- いろは: そんな、あの時に…
- いろは: あと、制御って…! もしかしてキモチのみんなも…?
- キュゥべえ: ブレスレットを離れた瞬間に ボクの支配下に置かれる
- キュゥべえ: イブと同じように ひとつに戻ることはできないけど
- キュゥべえ: 使い魔のように使役することは 可能になるかもしれないね
- キュゥべえ: それに、この自動浄化システムを 移動させることもできるはずだ
- キュゥべえ: すぐには無理だろうけど、 しばらく実験させてもらうよ
- ラビ: それじゃあ… 那由他やみかげさんは…
- ラビ: それに他の方たちも…!
- キュゥべえ: 彼女たちから、より効率良く エネルギーを回収するためにも
- キュゥべえ: ボクはドッペルによる魔女化の 回避を、実行するつもりはない
- キュゥべえ: でも、それが魔法少女にとって 本来の役目なんだ
- キュゥべえ: キミたち魔法少女の犠牲は、 この星や宇宙といった
- キュゥべえ: すべての未来を 救うことになるからね
- うい: 違う!
- うい: わたしたちは そんなこと望んでない!
- うい: みんなが生きてて夢を追いかけて 未来を見続けていられる
- うい: そんな日々が欲しいから、 頑張ってたの!
- いろは: うい、何をするつもり!?
- ラビ: まさか、キュゥべえを…
- うい: ここが自動浄化システムのコアで キュゥべえが目の前に居るなら
- うい: キュゥべえを倒して わたしが今すぐコアになる!
- FILENAME: text_103205-3_7xz7k.txt
- うい: はぁ…ふぅ…倒した…?
- いろは: うい、何か変わったところは? なんだか妙な感じがして…
- ラビ: ええ…
- ラビ: 奪い返されるというのに キュゥべえには余裕が感じられた
- いろは: まさか、私が閉じ込められた時と 同じように罠だったんじゃ…
- うい: ううん、別になんともない…
- ラビ: それは、むしろ安心できない
- ラビ: あなたが、キュゥべえを倒して コアになったのであれば
- ラビ: 何かしら異変があっていいはず…
- うい: あ…そっか…
- キュゥべえの声: コアになるのは諦めた方がいいよ
- うい: キュゥべえ…!
- いろは: 別の個体…?
- いろは: でもコアのキュゥべえはさっき 倒したはずで…
- うい: それでも、自動浄化システムの コアになれなかった…?
- キュゥべえ: キミたち人類とボクは 同じじゃないからね
- キュゥべえ: キミたちは個体ひとつひとつに 固執しているようだけど
- キュゥべえ: ボクたちはすべての個体を通して ひとつのキュゥべえなんだ
- キュゥべえ: だから個体をひとつ失っても 問題ないっていうことだよ
- うい: それ、どういうこと…?
- いろは: つまり、キュゥべえがコアとして 完全に一体になった時点で
- いろは: 世界中…もしかしたら宇宙にいる すべてのキュゥべえを消さないと
- いろは: 自動浄化システムを 取り返すことはできなくなった?
- キュゥべえ: 範囲に限界はあるから ボクにもハッキリとは言えないよ
- キュゥべえ: だけど、その可能性は十分に あるかもしれないね
- うい: 世界…宇宙なんて… とてもじゃないけどムリだよ…
- ラビの声: 危ない…!
- うい: キャッ!
- うい: ありがとう…
- ラビ: 環ういまで捕獲しようなんて 油断も隙もない…
- キュゥべえ: 環うい本人がいれば、安定した システムの運用が可能なんだ
- キュゥべえ: それに環いろはからキモチを 取り戻した時に
- キュゥべえ: 環ういというパーツさえあれば 肉体を維持することだってできる
- ラビ: そんな、理屈を 聞きたかったわけじゃない…!
- うい: …氷室さん
- ラビ: 結局、私たちは最後まで翻弄され 絶望に堕ちるしかないのか…
- いろは: 諦めない…何か…何かきっと…
- いろは: やちよさんなら… 鶴乃ちゃんならどうする…?
- いろは: 灯花ちゃんとねむちゃんなら…
- いろは: ……………………
- いろは: …………
- いろは: ダメ…何もでてこない…
- ラビ: 宇宙を相手になんてできない…
- うい: やだよ、ここまで みんなで頑張ってきたのに…
- かごめ: …………
- かごめ: …うん、行くねリィちゃん
- かごめ: アルちゃんも、 私を最後まで守って…
- FILENAME: text_103205-4_7xz7k.txt
- かごめ: たぶん私は他の子たちよりも 少しだけ強い因果を背負っていて だからキュゥべえも 私に何度も契約を迫ってきたんだと思う
- かごめ: 願いはひとつだけ できることや叶い方だって千差万別
- かごめ: 願い事って言われると色々と思い描くけど みんなに取材をして良かったと思う
- かごめ: “魔法少女同士の争いを止めて”
- かごめ: 魔法少女が争わなくなるだけで グリーフシードの数は変わらないから意味がない
- かごめ: “魔法少女の存在を世間に広めて欲しい”
- かごめ: 湯国市と同じでヒドい目に遭うかもしれないし 大人に利用されるかもしれないから 段階を踏まないと怖い結果になるのが見える
- かごめ: “みんなの命を助けて欲しい” “氷室さんを助けて欲しい” “私自身が自動浄化システムのコアになる”
- かごめ: 魔法少女のことを知っているほど 願いの数はたくさん出てくる
- かごめ: だけど、様々なリスクが頭の中をよぎって 本当に願って良いのかわからなくなって ずっと自分の中で覚悟ができないままだった
- かごめ: それに、取材をするみんなが 魔法少女になって欲しそうじゃなかったから…
- かごめ: それでも私はいま ようやく自分の願いがわかった
- 今も目を閉じれば聞こえて来る!
- 結菜: 私の前で消えて行った 魔法少女たちの断末魔が…!
- 結菜: だから、だから私たちは 自動浄化システムを頂くのよぉ…
- 結菜: 私たちの血で作られたものを 贖罪の証としてねぇ
- かごめ: そう、みんなが望んでいたものを 生かさないといけない
- ちはる: 久兵衛様に相談したら 神浜のことを教えてくれたんだよ
- ちはる: 魔女にならない不思議な力、 自動浄化システムがあるって
- すなお: ただ、それが奪うことになるとは 思いませんでしたけど…
- 静香: でも私は 魔女にならない力が欲しい
- 静香: それがあれば、安心して私たちは 日の本のために戦えるから
- かごめ: 魔法少女たちの命を生かせるものが いま目の前にあるんだから
- はぐむ: 魔法少女が人類の上に立つ そんな組織を作るんです…
- はぐむ: みんなが馬鹿にされずに 認められるような社会にして
- はぐむ: 平穏に生きられるように…
- はぐむ: その、ためにも 手に入れないといけない…
- 時雨: …………
- 時雨: きっと手に入れたら 魔法少女が付いてきてくれる
- かごめ: それは魔法少女のみんなに希望を与えて 知ってもらえる機会だって与えられる
- いろは: 『神浜に来た魔法少女はみんな 未来への希望を持っているからこそ 救いを求めて戦っている』
- いろは: 『その希望は魔法少女にとって 等しく尊くて大切なもののはずなのに 今の私たちは誰かの希望を奪いながら 自分の希望を叶えようとしている…』
- いろは: 『だから私は 誰かの希望も救いも否定しないで ひとつひとつ叶えられるように “みんなが生きられる世界を作りたい”』
- かごめ: そして何より、争いのない未来を作って…!
- ラビ: 私も…本当は… 前を向いて進みたい…
- ラビ: 本当は諦めたくない…
- ラビ: 那由他や教授たちと一緒に、 希望を見ていたい…!
- かごめ: 悲しみや絶望では終わらない 希望を残し続けることができる!
- かごめ: みんなが傷つきながら紡いだ奇跡を残せるのは 私しかいないから この命をかけて希望の架け橋を築く!
- かごめ: キュゥべえ、 私は魔法少女になる
- かごめ: だから願いを叶えて!
- キュゥべえ: ――っ!!
- かごめ: 私はね…
- かごめ: 「キュゥべえ、あなたたちを 未来永劫、自動浄化システムに 干渉できなくする力が欲しい!」
- FILENAME: text_103205-5_7xz7k.txt
- かごめ: 「キュゥべえ、あなたたちを 未来永劫、自動浄化システムに 干渉できなくする力が欲しい!」
- いろは: かごめちゃん!?
- うい: そんな、契約しちゃったら 同じ宿命を背負うのに!
- かごめ: いいの、私は信じてるから
- かごめ: 自動浄化システムを得たあとで 魔法少女の未来は良くなるって
- キュゥべえ: まさか、キミはこうなることを 予想してたのかい?
- キュゥべえ: だけど、その願いで ボクを排除したところで
- キュゥべえ: 環ういが自動浄化システムを 制御しきれるとは限らない
- キュゥべえ: この状況を覆すことなんて できないかもしれないのに
- キュゥべえ: キミはそんな不確かな 可能性のために
- キュゥべえ: その魂を差し出すというのかい?
- かごめ: あなたの言葉は 最初から私には必要ないよ
- かごめ: 必要なのはひとつだけ
- かごめ: あなたに私の願いを 叶えてもらうことだから!
- キュゥべえ: キミの願いは叶ったよ 佐鳥かごめ
- アルちゃん: <全部、ちゃんと聞いてたよ かごめちゃん!>
- かごめ: ふぇあっ!? アルちゃんがしゃべった!?
- アルちゃん: <私とかごめちゃんは 一心同体なんだから当然>
- アルちゃん: <ほら、早く私たちで 魔法少女のみんなを助けよう!>
- かごめ: うん!
- かごめ&アルちゃん: みんなの希望が詰まった この自動浄化システムを
- かごめ&アルちゃん: 返してもらうよ、キュゥべえ!!
- キュゥべえ: キュッ!
- かごめ: ういちゃん、今のうちに!
- うい: うんっ!
- うい: つながったかも… なんともないよ…大丈夫…
- うい: ――っ!?
- いろは: うい、どうしたの?
- うい: わかる…
- うい: 神浜市の中から 干渉してくる力がある…!
- かごめ: 大丈夫だよ、ういちゃん 私に任せて
- かごめ: 干渉できなくなってるから 放っておいても平気だと思うけど
- かごめ: 最後まで邪魔をするつもりなら 私の力で食い止めないと!
- いろは&うい: ありがとう、かごめちゃん! ありがとう、かごめさん!
- かごめ: 任せてください!
- かごめ: キュゥべえの位置がわかる
- アルちゃん: <かごめちゃん>
- アルちゃん: <私も頑張っちゃうから 町の真ん中へ飛んでいこう>
- かごめ: えっ、どういうこと?
- アルちゃん: <つまり、こういうこと!>
- かごめの声: 「きゃぁああッ!」
- アルちゃん: <こうして空から私たちの力で 一掃しちゃうの>
- アルちゃん: <世界中のキュゥべえが いなくなるわけじゃないけど>
- かごめ: そうだね、少しの間は 大人しくしてくれるかも
- アルちゃん: <それじゃあ、いくよ!>
- かごめ: うんっ、せーの!
- かごめ: ―かごめ― いっけぇえええええええッ!!
- アルちゃん: ―アルちゃん― <私の葉っぱがキュゥべえを見つけ出して そのまま潰しちゃうよ!>
- かごめ: ―かごめ― アルちゃんの作戦大成功だよ
- かごめ: ―かごめ― 自動浄化システムへの干渉が 抑えられていくのを感じる気がする!
- かごめ: ―かごめ― …ねえ、アルちゃん 私の願いは間違ってなかったかな?
- かごめ: ―かごめ― ちゃんと魔法少女の未来のために使えたと思う?
- アルちゃん: ―アルちゃん― <かごめちゃん自身が出した答えなら きっと間違いじゃないし正解だと思うよ>
- かごめ: ―かごめ― 本当に?
- アルちゃん: ―アルちゃん― <だって最近、かごめちゃんは私に頼らず 自分でしゃべってたでしょ?>
- かごめ: ―かごめ― え?
- アルちゃん: ―アルちゃん― <気づかなかったなら一番いいと思う ちゃんと自分の言葉で話せてたんだよ>
- アルちゃん: ―アルちゃん― <成長したね>
- かごめ: お願い…私も変わりたいの… 臆病で誰かに守られる私から…
- かごめ: 転校してきて、孤独で… 泣いてばかりで
- かごめ: 手を差し伸べられるのを 待ってるだけの私から…!
- かごめ: だから私は誰かのための 佐鳥かごめになりたい…!
- かごめ: 私を魔女から助けてくれた いろはさんたち
- かごめ: 魔法少女のために!!
- かごめ: そっか…ようやく私は あの時の思いを果たせたのかも
- みこと: さあ、ここから奧に入ると いよいよ私の私室だよ
- アリナ: そこでアナタの記憶を返せば オッケーってことだヨネ
- みこと: そう、滅びを見せてあげる
- みこと: タイミングもいいみたいだし、 本当に実現できるかも
- みこと: んふふっ
- アリナ: マーベラスな ショーになるってワケ?
- みこと: そう、だって 私が私に帰る喜びだけじゃなくて
- みこと: 大切な人に裏切られちゃった 怒りも持ってるみたいだから
- かごめ: なに…これ…
- かごめ: 紙…?
- 誓約ショ ワタシハ、魔ホウ少ジョヲ 滅ボスコトヲ、誓イマ、ス ナマエ:________
- かごめ: 私、知らないよ… 魔法少女なんて、知らない…!
- 誓約ショ ワタシハ、魔ホウ少ジョヲ 滅ボスコトヲ、誓イマ、ス ナマエ:________
- かごめ: ほんとだよ! 何も知らないの!
- 菫wp*斬翫Лq!!
- かごめ: ヒッ…
- かごめ: なに…? 書けばいいの…?
- かごめ: ここに、 私の名前を書けば…
- かごめ: これは、始まり
- かごめ: 私と魔法少女を結び付ける出来事で 誰かのための佐鳥かごめになるまでの 物語の始まり
- かごめ: いま、ここで伝えられる 魔法少女たちが望む未来は残り5つ
- かごめ: 紹介できなかったものもあるけれど 私たちは希望を携えながら 未来へ行くのを夢見続けている
- ―取材記録― 篠目 ヨヅル
- ヨヅル: 「将来のことを尋ねられると困りますね。 調整を学ばせてもらうだけで精一杯ですし 私自身が普通に生活を送るだけの自信が まだありませんので…」
- ヨヅル: 「失ってしまったものは仕方ないとはいえ 誰かを思いやる心を取り戻せば、 私は再び苦悶の末に魔女になってしまうので、 なんとか迷惑をかけずに生きる術を 身に付けざるを得ないのです」
- ヨヅル: 「ですが、メモに頼るなと先生に言われてから 感覚で判断するように努めていたところ、 最近は優しくするタイミングを 掴めるようになった気がするんです」
- ヨヅル: 「例えば月出里の腕に虫がとまったとしても、 普段の私であれば何とも思いません。 噛まれて痛いのを知っていても何も思いません」
- ヨヅル: 「それでも、相手にマイナスの結果を生むと 先が読めるようになれば、 それを食い止めるようにすればいいと 気づいたんです」
- ヨヅル: 「だから、道半ばではありますが、 もう少しだけでも自身の感覚を磨いて、 改めて堂々と生きられたらと思います」
- ヨヅル: 「…そう、これこそが小さいことであっても、 今の私にとっては将来の目標です。 きっと先生や月出里に対しても、 最初の恩返しになると思いますので」
- ヨヅル: 「あとは、もしも優しさが理解できれば 改めて母の気持ちと向き合いたいですね。 私が産まれた時の思いと 彼女が死んだ時の思いを照らし合わせたい…」
- ―取材記録― 佐和 月出里
- こちらの文章は、同席してもらった ヨヅルさんに翻訳してもらったものです
- 月出里: 「こんなこと言ったらリヴィアさんに 怒られちゃうかもしれないけど わたしは、自分の未来のことなんて 望んでもいい存在じゃないと思ってるの」
- 月出里: 「わたしの願い事のせいで 亡くなった子は多いし、 失われちゃった命はもう 取り戻すことはできないから」
- 月出里: 「願い事ができたとしても叶えないと思う。 キュゥべえと関わってるとわかるもん。 摂理を捻じ曲げるような願い事をすると、 幸せな結果にはならないって…」
- 月出里: 「だからね、できるのはこれからの事だけ。 マイナスをゼロにはできないけど、 それだけ良い人になるだけ」
- 月出里: 「本当だったら初めてできた友だちの ミィちゃんとはもっと仲良くしたい。 わたしがどんな過去を背負ってても きっと更生できるって待ってくれるから」
- 月出里: 「…ヨヅルに対してもリヴィアさんに 対してもそうなんだけど…ふとした時に 自分の周りには断崖絶壁があって 誰の手も取れない気がするの」
- 月出里: 「それはたぶん、罪の崖… 良いことをたくさんしても埋まらない…」
- 月出里: 「でも、全部は埋めなくてもいいから 大切な人のそばには届くように 少しだけでも埋められたらいいなって 最近はそう思うの」
- ―取材記録― 栗栖 アレクサンドラ
- アレクサンドラ: 「あらあら、わざわざ私の家まで 訪ねて頂いてありがとうございます♪」
- アレクサンドラ: 「事前に話は伺っていたので、 お茶菓子を用意しておきました。 良ければ一緒に食べましょう。 ふふっ♪」
- アレクサンドラ: 「とは言ってもですね、 噂はかねがね聞いていたので、 もう私の中では答えを用意してるんです」
- アレクサンドラ: 「本当にシンプルで当然の答えですけど 私たちが恐れている結末にならず、 魔法少女が救われますようにって…」
- アレクサンドラ: 「まずはそれが叶わない限り、 私は自分の未来を描けそうにありません」
- アレクサンドラ: 「つらかったけど楽しかった声楽も ずっと続けてきたハープの演奏も 自分の未来を決める勉強でさえ、 今は何もかもが味気ないんです…」
- アレクサンドラ: 「せめて救われなかったとしても、 それでも努力をする私の姿を見て 病気の子たちや他の不遇な子たちが 奮い立つようなことができればいいって 思ったりもするんですけど」
- アレクサンドラ: 「魔法少女なんて誰も知らないでしょ? だからね、この自分の不幸を 誰かに役立てることすら 今の私にはできないと思うんです…」
- アレクサンドラ: 「願いを叶えている手前、 贅沢なことを言うなって言われそうですが、 たとえ救われなかったとしても 私たちのことを広めるのは、 十分に意味があることなのかもしれませんね」
- アレクサンドラ: 「ふふっ、だから応援してますね♪」
- アレクサンドラ: 「あなたのしていることが 不幸なままでも未来を作れるような 意味を持つかもしれませんから」
- ―取材記録― 有愛 うらら
- うらら: 「うーん、望むことって言われると すっごく難しいんよ…」
- うらら: 「二木市の近くに引っ越してきたから、 このままプロミストブラッドの一員として 一緒に活動するのもありなんだけど」
- うらら: 「やっぱり正式なメンバーじゃなくて どこかファンみたいな気持ちなんよ。 だからちょっと違う気がするんよ」
- うらら: 「でも、そうなるとウチは また芸能の活動をして 家計を支えられるようになりたいんよ」
- うらら: 「活動をやめたのは 親も納得してくれてるけど それでも、やっぱりウチとしては お家の役に立っていたいんよ」
- うらら: 「それに、もう一度舞台に立てるなら 嫌われていてもいいから、 くららとはまた舞台に立ちたいんよ」
- うらら: 「でも、まだムリな気がするから… あ、そうなんよ」
- うらら: 「もしも魔法少女がもう少しだけでも 生きられるようになったら、 ウチはディアボロ以外の技能も磨いて ひとりでも芸能活動を続けたいんよ」
- うらら: 「そして大人になった時に、 もう一度くららとちゃんと話をしたい。 心がお互いに変わってたら、 今度は通じ合えるかもしれないんよ」
- うらら: 「その時はまたふたりでタッグを組んで、 最高の大道芸をみんなに見せたいんよ!」
- ―取材記録― 氷室 ラビ
- ラビ: 「自分には未来があるかどうか。 本当に救われるのかどうか。 その自問を続けながら 戦いの経過を見守る私たちに、 未来の話を尋ねるだなんて滑稽だ」
- ラビ: 「…すみません 気遣いながら尋ねてくださったのに、 失礼な物言いになってしまいました」
- ラビ: 「余命1年を宣告された人に 10年後の話を聞くようなものですからね」
- ラビ: 「…ええ、だからといって 何もないというわけではありません。 むしろ、未来を考えるからこそ 私たちは苦しいんです」
- ラビ: 「私も母が切り盛りする宿を継ぎたいですし 祖父が私のために作ってくれた野菜を もっと広めたいとも思っています。 それに父が集めた蔵書を読みながら、 理解を深めるために大学へも進みたい…」
- ラビ: 「そう、夢が多いほど、望むことが多いほど 残された時間などないという悲しみは 心をえぐり取るように蝕んでくるものです」
- ラビ: 「それでも未来にしがみつこうとするのが 私たち人間なのかもしれませんね」
- ラビ: 「そもそも時間という概念の理解が 死の恐怖や未来への羨望などを生みだして そのための行動を引き起こす」
- ラビ: 「社会なんて言葉が生まれたのも 人が人を殺したり危害を加えるのも 人が時間というものを理解しているから 焦りなどといった感情に紐付いて 生まれてきたものなんです」
- ラビ: 「だからこそ、何もないかもしれない私は すべてを諦めていてもおかしくない。 何も行動を起こさないのが普通なんです」
- ラビ: 「だけど、私は庭先で家庭菜園をしている。 それだけで答えはでているんです」
- ラビ: 「私はまだ未来が欲しいって…」
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