Vi_Vi

Mitsuru Inami Wants to be "Normal" JP Text

Sep 11th, 2023 (edited)
168
0
Never
Not a member of Pastebin yet? Sign Up, it unlocks many cool features!
text 57.85 KB | None | 0 0
  1. [From the opening sequence in 520010-0]
  2. 彼女の望みは いつもただひとつ...
  3. それは
  4. 「普通」に生きること
  5. [Pic of her] ← 31歳
  6. [Title card] 「普通」でありたい伊並満
  7.  
  8. FILENAME: text_520010-1_ABe8j.txt
  9. 結菜: アオ、不戦勝が嫌って言うなら、 戦う条件を与えるわぁ
  10. アオ: いいよ、聞いてあげる
  11. 結菜: 生まれた時からやりなおして、 私たちと一緒に過ごしましょぅ
  12. 結菜: それでもまだ、私たちと戦って 天辺に行きたいって言うなら
  13. 結菜: 私たちは止めはしないから、 試してみないかしらぁ
  14. アオ: …………
  15. アオ: …いいよ、やってみる じゃないと自殺する気でしょ?
  16. 結菜: えぇ
  17. アオ: その代わり約束は守ってよね
  18. 結菜: もちろんよぉ
  19. 結菜: もしもあなたの気持ちが 変わらないなら
  20. 結菜: 最後に遊んであげるわぁ…
  21. アオ: じゃあ、3人とも わたしのそばに近づいてきて
  22. アオ: 「これから、わたし自身の過去を さかのぼっていくから…」
  23. 結菜: そして時は巻き戻り、やがて進み始め…
  24. アオ: ほっ!
  25. ひかる: うわっ!?えぐいっす! そのコンボ!
  26. アオ: もっといくよ~! ほらほら~!
  27. ひかる: ひえっ!
  28. 結菜: いつまでゲームしてるのぉ ご飯できてるわよぉ
  29. アオ: はい勝ち~!
  30. ひかる: くぅ~…
  31. アオ: ご飯、ご飯~!
  32. ひかる: ま、またあとで一勝負!
  33. アオ: いいよ!
  34. 結菜: ダメよぉ 宿題がまだなんだからぁ
  35. アオ: …あ、そうだった…
  36. 樹里: ただいま~っと
  37. 結菜: おかえりぃ
  38. 樹里: 姉さん、わりぃな 夕飯用意してもらって
  39. 結菜: 仕事、立て込んでいるんだから 仕方ないわよぉ
  40. 樹里: いや、そっちだって 忙しいのによ…
  41. 結菜: いいから、食べましょぅ
  42. アオ: いただきまーす
  43. ひかる: いただきますっす!
  44. 樹里: あ、馬! また紛れ込みやがって…
  45. 結菜: …………
  46. 結菜: 生まれ直したアオをキモチから守り通す 生活を始めてもう10年…
  47. 結菜: 彼女が14歳になるまでの戦いだから あと数年無事に過ごせればゴールとなる
  48. 結菜: これはあくまでかりそめの暮らしだけど 生きていくこと自体はどこまでもリアルで 悩みも苦労も付きまとってくる
  49. ひかる: いやー、美味しいっす!
  50. 結菜: …無職のこの子はちょっと特殊だけど…
  51. 樹里: それにしても、今日はマジで 忙しかったぜ…あー疲れた
  52. アオ: ママ、毎日大変だね…
  53. 樹里: あ?…ん… いや、どーってことねーよ!
  54. ひかる: さすがっす!
  55. 樹里: おめーは ちったー働け!
  56. ひかる: うっ!?藪蛇だったっす…
  57. 結菜: 樹里はバイクや自動車の 整備工場で働いている
  58. 結菜: しかし、このところ人手不足で 仕事量が増えているという
  59. 結菜: それに従って残業も多くなってきた 今日はまだ普通に帰れた方だろう…
  60. 結菜: 私も私で…
  61. 樹里: 姉さんはどうなんだよ
  62. 結菜: …まあまあねぇ
  63. 樹里: …とか言って、この後も 家で仕事すんじゃねーの?
  64. 結菜: …そうよぉ
  65. 樹里: やっぱり…
  66. 結菜: 私は現在、市役所に市長の 秘書として勤めている
  67. 結菜: 二木市長を父に持つ私は、それなりに 市長周辺の事情には知見があり この世界で自然と選んだ職だった
  68. 結菜: ただ、自分の仕事もキャリアを積むに 従って広範囲に及ぶようになり 樹里同様に多忙な日々を送っていた
  69. 結菜: そのため、アオの面倒はひかるが 見てはくれているものの 家の仕事がおろそかになりがちで 目下、それが課題となっていた
  70. 結菜: そこで私は、ある提案をしてみた
  71. 結菜: …ちょうどみんな 集まっているし、いい機会だわぁ
  72. 結菜: 聞いてもらいたい話があるのぉ
  73. アオ: なになに?
  74. ひかる: どこか遊びにいくっすか!
  75. 結菜: …ハウスキーパーを 雇おうと思うのよぉ
  76. 樹里: ハウスキーパー…?
  77. ひかる: 家事代行…ってやつっすか?
  78. 結菜: そうよぉ…
  79. 結菜: 私はここに至るまでの事情を皆に説明した
  80. 結菜: ひかるはともかく、樹里は反対するかと 思っていたけど、自身の最近の事情も あったことから、案外素直に賛成してくれた
  81. 結菜: アオに至っては…
  82. アオ: どんな人が来るんだろう… ドキドキするね…!
  83. 結菜: 家人の同意を得て、私は本格的に ハウスキーパーを捜し…
  84. 結菜: そして遂に…
  85. ???の声: 「失礼します…」
  86. 結菜: どうぞぉ
  87. ひかる: 来たっす!
  88. 樹里: なんで馬も顔合わせすんだよ…
  89. アオ: わくわく…!
  90. 伊並 満: 自分、伊並満と申します…
  91. 伊並 満: よろしく…お願いします
  92.  
  93. FILENAME: text_520010-2_ABe8j.txt
  94. 伊並 満: 自分、伊並満と申します…
  95. 伊並 満: よろしく…お願いします
  96. 結菜: よろしくねぇ 私は紅晴結菜
  97. 樹里: 大庭樹里だ
  98. アオ: 笠音アオだよ!
  99. ひかる: 煌里ひかるっす!
  100. 樹里: こいつだけ 近所の知り合いだから
  101. ひかる: そうっすけど 家族みたいなもんっすよぉ!
  102. 伊並 満: あ、あの…み、み、皆様
  103. 伊並 満: 不束者ではありますが ご指導、ご鞭撻のほど何卒…!
  104. 結菜: そんな堅い挨拶はいいわよぉ
  105. 樹里: …つーか…ちょっと姉さん…
  106. 結菜: なによぉ
  107. 樹里: 大丈夫か?あんなにおどおどして 頼りねーったらありゃしねーぞ
  108. 結菜: あなたの無言の圧力でも 感じ取ったんじゃないのぉ?
  109. 樹里: んなことしてねーよ!
  110. 結菜: …でも、まあ…
  111. 結菜: 確かに心配なところは あるわねぇ…
  112. 結菜: …とはいえ、まずはお手並みを 拝見してみましょうよぉ
  113. 伊並 満: あ、あの~…
  114. 結菜: ごめんなさぃ なんでもないのよぉ
  115. 伊並 満: …こ、こちら、自分の経歴書と なっております
  116. 結菜: うん…伺っている通りねぇ…
  117. 伊並 満: それで、業務の内容ですが…
  118. 結菜: お願いしたいのは 掃除、洗濯、食事の用意
  119. 結菜: いわゆる家事全般ねぇ
  120. 結菜: アオのことは基本的に ひかるが面倒を見るけどぉ
  121. ひかる: はいっす!
  122. 結菜: あなたにもサポートは してほしいと思ってるわぁ
  123. 伊並 満: わ、わかりました…!
  124. 結菜: では早速お願いしてもぉ…?
  125. 伊並 満: は、はいっ! では、掃除から…
  126. 伊並 満: 掃除道具は…?
  127. 結菜: ここよぉ
  128. 伊並 満: かしこまりました…!
  129. 樹里: …おお
  130. 結菜: うんうん…
  131. ひかる: テキパキと動くっすねぇ…!
  132. アオ: ひかるちゃんと全然違うね
  133. ひかる: …そ、そんなことないっすよ ひかるも本気を出せば…
  134. 伊並 満: ひとまず、居間の片づけは 終わりました
  135. 伊並 満: 掃除機をお借りします
  136. 結菜: …どぉ?
  137. 樹里: …ま…
  138. 樹里: いいんじゃねーの?
  139. 結菜: …同感
  140. 樹里: …おし、仕事に戻るぜ
  141. 結菜: 私もぉ
  142. ひかる: アオちゃんはひかると…!
  143. 結菜: 宿題ねぇ~
  144. ひかる: …うっ!
  145. アオ: は~い…
  146. 結菜: こうして私たちの生活に変化が起きた
  147. 結菜: そう、“変化”が…
  148.  
  149. FILENAME: text_520010-3_ABe8j.txt
  150. 結菜: 伊並さんが私たちの家に来てから 数日が経過した…
  151. 樹里: 帰ったぜ~
  152. 樹里: 今日は思ってたより 早く上がれてよ…
  153. 樹里: …あん?
  154. 樹里: 誰もいねーのか…
  155. 樹里: (姉さんは仕事だよな)
  156. 樹里: (アオは…)
  157. 樹里: …ん?
  158. 樹里: (メモ…アオの字だな)
  159. 樹里: …………
  160. 樹里: (…やっぱり馬の ところに行ってんな)
  161. 樹里: (で、伊並さんは…)
  162. 樹里: (…買い物用のバッグが ねーってことは…だな)
  163. 樹里: (つまり…)
  164. 樹里: 今、家には樹里サマのみ…
  165. 樹里: …………
  166. 樹里: (チャーンス!)
  167. 樹里: ふふふ…
  168. 樹里: (樹里サマのクローゼットの 奥に密かに隠した…)
  169. 樹里: (秘蔵のカワイイお菓子!)
  170. 樹里: …あむっ!
  171. 樹里: …うん…うん…
  172. 樹里: …うめーなー…!
  173. 樹里: (機械いじりに興味があったから 就職した今の勤め先だが…)
  174. 樹里: (よくよく考えれば…)
  175. 樹里: (火気厳禁!)
  176. 樹里: (あの四文字見てるだけで ストレスが溜まる日々…)
  177. 樹里: (仕事は好きだがあれだけは どうもなぁ~…)
  178. 樹里: (そのストレス解消として 見出した方法がこの…)
  179. 樹里: (カワイイお菓子を見つけては 噛み砕いて食べること!)
  180. 樹里: (しかも、それを密かに …っていうのがポイントだ)
  181. 樹里: (ただ、こんな妙とこ 見られでもしたら…)
  182. 樹里: (樹里サマのイメージが ちょっとまあアレだから…)
  183. 樹里: …ん?
  184. 樹里: …んごっ!
  185. 伊並 満: …あ!あ!
  186. 樹里: ごほっ!ごほっ!
  187. 伊並 満: お、お水、どうぞ!
  188. 樹里: …ごくっ…ごくっ…
  189. 樹里: …ふーっ…わりーな…
  190. 樹里: …って、いつからそこに!
  191. 伊並 満: すみません!
  192. 伊並 満: 大庭様が美味しそうに お菓子を頬張られていた時から…
  193. 伊並 満: 随分と可愛らしいお菓子で…
  194. 樹里: おおーい!
  195. 伊並 満: ひっ!
  196. 樹里: このこと…誰にも 言うんじゃねーぞ!
  197. 伊並 満: ひえぇぇ…
  198. 樹里: …ああ、いや… 待て、別に脅してるわけじゃ…
  199. 伊並 満: ううっ…
  200. 樹里: …このこと、黙ってて くんねーかなぁ?ん?
  201. 伊並 満: …あの…自分、やましいところは なにも、その…
  202. 樹里: 黙っててくれるよな?
  203. 伊並 満: そ、それはもちろん…はい!
  204. 樹里: …よーし…
  205. 樹里: 約束だかんな! 頼むぜ!
  206. 伊並 満: は、はいーっ!
  207. 樹里: …………
  208. 樹里: (…かーっ!なんてこった…)
  209.  
  210. FILENAME: text_520010-4_ABe8j.txt
  211. 結菜: 伊並さんが私たちの家に来てから 1か月が経過した…
  212. ひかる: お邪魔するっすー!
  213. ひかる: …って…
  214. ひかる: (誰もいないっすよね~…)
  215. ひかる: (結菜さんと樹里さんは仕事で アオちゃんは学校…)
  216. ひかる: (そして、ここ最近の調査だと 伊並さんはこの時間帯…)
  217. ひかる: (夕飯の買い物に出てる!)
  218. ひかる: (つまり…)
  219. ひかる: 今、家にはひかるのみっす…
  220. ひかる: …………
  221. ひかる: (チャーンスっす!)
  222. ひかる: ふふふ…
  223. ひかる: (ひかるが提案して作成に こぎつけた思い出アルバム!)
  224. ひかる: (ここには大人になった 結菜さんの写真が満載…!)
  225. ひかる: (さらに!持参したひかる秘蔵の 結菜さん写真コレクション!)
  226. ひかる: (これを結菜さんの住んでいる 家でじっくりと鑑賞する…)
  227. ひかる: (はぁ~…沁みるっす… 大人結菜さんの魅力が…)
  228. ひかる: (この鑑賞会、本当は表立って 堂々とやりたいっすけど…)
  229. ひかる: (結菜さんが嫌がるから こんな秘密の個人開催に…)
  230. ひかる: (…まあ、個人だろうがバレたら 怒られると思うっすけど…)
  231. ひかる: (これはもはや芸術鑑賞の 領域に入ってるっすから…)
  232. ひかる: (つまりこれはある意味で 芸術的な活動という…)
  233. ひかる: …ぶわっ!
  234. 伊並 満: …あ!あ!
  235. ひかる: あば、あばばばば!
  236. ひかる: わっ!…し、しまったっす!
  237. ひかる: (持ち込んだひかる所蔵の 写真をぶちまけたっす…!)
  238. 伊並 満: ああ、紅晴様のお写真が 散らかって…はい、どうぞ
  239. ひかる: …あ、ありがとうっす…
  240. ひかる: …って、いつからそこに!
  241. 伊並 満: 煌里様がうっとりとしたお顔で アルバムを見られている時から…
  242. 伊並 満: ですが、どうして紅晴様の お写真を四方に置かれて…
  243. ひかる: そそそそれはあれっす!
  244. ひかる: …おまじないっす!
  245. 伊並 満: おまじない…?
  246. ひかる: 家内安全商売繁盛健康第一の おまじないっす!
  247. 伊並 満: …健康第一…?
  248. ひかる: とにかく!
  249. ひかる: …このことは内緒にして もらいたいっす!
  250. 伊並 満: ああ!そんな、困ります! 頭を下げられましても…!
  251. ひかる: 内緒でお願いっす~!
  252. 伊並 満: わ、わかりました…! わかりましたから…!
  253. アオ: ただいま~…
  254. 伊並 満: …あ
  255. アオ: …ん? なにしてんの?
  256. ひかる: うわわっ!
  257. 伊並 満: ああ、煌里様! お写真が…!
  258. アオ: …写真~?
  259. アオ: …あ、お母さんの写真だ どうしたの、これ?
  260. ひかる: そ、それはっすね…
  261. 結菜: ただいまぁ
  262. ひかる: …なぁっ!
  263. 樹里: こっちも帰ったぜ ちょうどそこで一緒に…
  264. 樹里: …あ?どうした、馬…?
  265. ひかる: …あ、あわわ…あわ…
  266.  
  267. FILENAME: text_520010-5_ABe8j.txt
  268. 結菜: ただいまぁ
  269. ひかる: …なぁっ!
  270. 樹里: こっちも帰ったぜ ちょうどそこで一緒に…
  271. 樹里: …あ?どうした、馬…?
  272. ひかる: …あ、あわわ…あわ…
  273. アオ: ほら、これ お母さんの写真
  274. 結菜: あらぁ…
  275. 結菜: …ひかる…
  276. ひかる: こ、これには事情が~!
  277. 結菜: あのねぇ… 言ったわよねぇ…!
  278. ひかる: な、なので、あくまで こっそりとっす!こっそりと!
  279. ひかる: 誰もいない時を見計らっての 鑑賞だったっす~!
  280. 樹里: それをこの家に来て やるってのがなぁ…
  281. ひかる: アルバムはここにあるんで 仕方ないっすよ~!
  282. 樹里: 『仕方ない』ってなんだよ!
  283. ひかる: ああ…ひかるの密やかな趣味が…
  284. 結菜: それをよりにもよって アオに見つかるなんてぇ…
  285. ひかる: アオちゃんじゃないっす… 伊並さんっす…
  286. 結菜: え?そうなのぉ?
  287. ひかる: はい…いつの間にか 背後に立たれていて…
  288. 樹里: …!?
  289. 樹里: (いつの間にか…背後に!?)
  290. アオ: …あっ!
  291. 結菜: …なにが『あっ!』なのぉ?
  292. アオ: え?…いや…別にその~
  293. 結菜: あからさまに焦ってるわねぇ…
  294. 結菜: 何か隠し事でもぉ?
  295. アオ: そんな…はは…
  296. 結菜: どうなのぉ?
  297. アオ: …………
  298. 結菜: ど・う・な・のぉ?
  299. アオ: …わた…わたし…
  300. アオ: 宿題サボってゲームしてるとこ 伊並さんに見られたの…!
  301. アオ: それで、黙っててって お願いして…
  302. ひかる: い、一緒っすね!ひかると!
  303. 結菜: …はぁ…やれやれねぇ…
  304. 樹里: あ、あの、アレだな…! なんというか、つまり…!
  305. 結菜: …なんで急にあなたまで 焦りだしているのよぉ…?
  306. 樹里: 焦ってないけど、アレだよ! 伊並さん、なんなんだ!?
  307. 樹里: こっそりと目撃しちゃいやすい タチだったりするわけか?
  308. 結菜: こっそり…?え、なにぃ…?
  309. 樹里: だ、だから!
  310. 樹里: …あれ?伊並さんは?
  311. 結菜: …そう言えば…
  312. ひかる: さっきまでいたっすよね…?
  313. アオ: おかしいなぁ…
  314. 伊並 満: …ここです…
  315. アオ: わぁぁぁっ!
  316. 樹里: ビックリした~!
  317. ひかる: これっすよ、さっきも!
  318. 伊並 満: 申し訳ありません…
  319. 結菜: …伊並さん、あなた…
  320. 伊並 満: 自分…
  321. 伊並 満: 空気みたいな存在なんで…
  322. 結菜: …………
  323.  
  324. FILENAME: text_520010-6_ABe8j.txt
  325. 樹里: …で…
  326. 樹里: なんだよ、話って わざわざこんなとこ集めてよ…
  327. ひかる: あの~、アオちゃんは…?
  328. 結菜: …まだ学校よぉ
  329. 結菜: ひとまず私たちだけで 話すべき内容だからぁ
  330. 樹里: …っていうと?
  331. 結菜: 伊並さんのことよぉ…
  332. 樹里: …………
  333. ひかる: いや、昨日の件は本当に 反省しているっす…
  334. 結菜: その話じゃなくて…
  335. 結菜: 彼女…気になるのよねぇ…
  336. 樹里: …ん~、まああれだけ 気配を消せるってのは…
  337. ひかる: なかなかっすよねぇ…
  338. ひかる: …あれ?樹里さんって伊並さんに ぬるっと近寄られたことって…
  339. 樹里: …あ…い、いや! そう聞いたからだっつーの!
  340. 樹里: じ、実際、そうなんだろ…?
  341. ひかる: ええ、それはもう!
  342. 樹里: (ふー…あぶねー…)
  343. 結菜: まさにそれよぉ
  344. 結菜: 今の私たちの状況… 常に警戒は怠れない…でしょぉ?
  345. 樹里: …そうだな…
  346. 樹里: アオが生まれ直して、そこから 樹里サマたちで14年間育てる…
  347. 樹里: …キモチから守りながら…
  348. 樹里: この日常自体が 異常だからな…
  349. 結菜: だから、何か引っ掛かったら 即、身構える…
  350. ひかる: それが伊並さんのこと…って わけっすか…?
  351. 結菜: ええ…
  352. 結菜: だから、今日はこの場に 伊並さんも呼び出したのぉ…
  353. 樹里: そうなのか!?
  354. 結菜: まずはじっくりと 話を聞こうと思ってねぇ
  355. ひかる: まさか… もういるとかっすか…!?
  356. 結菜: 彼女との待ち合わせ時間は もう少し後にしてあるわぁ
  357. 結菜: 時間通りに来るならば まだいないはずよぉ…
  358. ひかる: …そうっすか
  359. 結菜: あなたの今の動揺っぷりが 自然と表しているかもねぇ
  360. 結菜: 彼女への…警戒心を
  361. ひかる: そ、それは昨日 あんなことがあったから…!
  362. 樹里: 確かに意図的に気配を 消せるっていうのはすごいけど…
  363. 樹里: 仮に樹里サマたち…いや、アオを 狙っているとしても…
  364. 樹里: わざわざ実行して 手の内を見せるか…?
  365. 結菜: どんなことであろうと、異変の 一端を感じたらすぐに対応よぉ
  366. ひかる: でも、これからすることって 伊並さんと話す…っすよね?
  367. ひかる: なんでこの場所なんすか? 別に家でも…
  368. 結菜: 万が一を考えてねぇ
  369. 樹里: まさか、姉さん…
  370. 結菜: やり合うかもしれないでしょぉ 彼女と…
  371. ひかる: うっ…! そんなこと…!?
  372. 結菜: 一寸先は闇よぉ…
  373. 伊並 満: 皆さん…
  374. 結菜: …!?
  375. 樹里: …えっ!?
  376. ひかる: 伊並さん…!
  377. 伊並 満: あ…こ、こんにちは…!
  378. 伊並 満: も、もしかして お待たせしてしまいました…!?
  379. 結菜: …時間通りよぉ
  380. 伊並 満: よかった…
  381. 結菜: …………
  382. 結菜: (この感覚…)
  383. 結菜: (どこかで…!?)
  384.  
  385. FILENAME: text_520010-7_ABe8j.txt
  386. 伊並 満: あ、あの…今日のお話って…
  387. 結菜: それはねぇ…
  388. 伊並 満: 自分が、こっそりと人の後ろに 立ってたりすることですか…?
  389. 結菜: …まあ そのことも含まれるけどぉ…
  390. 伊並 満: …勘弁してください! わざとじゃないんです!
  391. 結菜: …………
  392. 伊並 満: 自分、どうにも存在感が 薄いというか…
  393. 伊並 満: いや、むしろないというか…
  394. 伊並 満: 昔からこうなんです… どうにも気づいてもらえなくて…
  395. 伊並 満: 今後、注意しますので 先日からの件はどうかご容赦を!
  396. 結菜: …あのねぇ、伊並さん 私が聞きたいのはぁ…
  397. 伊並 満: すみません!仕事は どうか続けさせてください!
  398. 樹里: (な、なんか圧が…)
  399. ひかる: (すごいっす…)
  400. 伊並 満: お願いします!お願いします!
  401. 結菜: …!
  402. 樹里: (こいつは…!)
  403. ひかる: (魔女っす…!)
  404. 伊並 満: …………
  405. 伊並 満: えっと…それで…
  406. 結菜: …そう…ねぇ…
  407. 伊並 満: も、もう、大丈夫でしょうか…?
  408. 結菜: …え?
  409. 伊並 満: なんと言いますか、その…
  410. 伊並 満: そろそろ、夕飯の 準備などがありますので…
  411. 伊並 満: 買い物に行かせていただいて よろしいでしょうか…?
  412. 結菜: …………
  413. 結菜: …いいわよぉ
  414. 結菜: 呼び出しちゃって 悪かったわねぇ
  415. 伊並 満: い、いえ、そんな… では…!
  416. 樹里: …なんだぁ?急に…
  417. ひかる: でも、好都合っすね 魔女から遠ざかって…
  418. ひかる: …あれ?
  419. 樹里: 魔女の反応が…動き出した!?
  420. 結菜: …………
  421. 結菜: …とにかく、やることは 変わらないわぁ
  422. 結菜: この世界に起こる異変は 根こそぎ排除する…
  423. 結菜: すべてアオのため…
  424. 樹里: …だな
  425. ひかる: 了解っす!
  426.  
  427. FILENAME: text_520010-8_ABe8j.txt
  428. 結菜: 私たちは魔女を追った…
  429. 結菜: その果てに見たのは…
  430. ひかる: ここら辺じゃないっすか?
  431. 結菜: …っぽいわねぇ
  432. 樹里: …え?お、おい! あそこ!
  433. 結菜: …伊並さん!?
  434. 伊並 満: …え?
  435. 伊並 満: …ななな…なんでここに!?
  436. 伊並 満: …あ、マズい… 捕捉された…
  437. 伊並 満: どうしよう…! 自分が戦うしかないの…!?
  438. 結菜: 伊並さん…!
  439. 伊並 満: …どうしよう…普通じゃないって 思われちゃう…どうしよう…
  440. 結菜: …え?普通…?
  441. 伊並 満: あ、あのですね!これは 自分にとって普通なんです!
  442. 伊並 満: 日常茶飯事の普通のことで!
  443. 伊並 満: ここ、結界と言いまして 魔女というのが作ってます!
  444. 伊並 満: で、魔女は人間を襲うんですけど 多分、自分が狙われてるんです!
  445. 結菜: …………
  446. 伊並 満: ど、どうも自分を 仕留めきれないせいか…
  447. 伊並 満: し、しつこいんですよ! 困っちゃいますね、はは!
  448. 伊並 満: こういう変わった魔女も いるもんだなぁーって!
  449. 樹里: …………
  450. 伊並 満: …あっ、そうか… こ、これでどうでしょうか!
  451. 伊並 満: 自分、魔法少女っていうのを やってまして…
  452. 伊並 満: …いや、年齢的に少女って おかしいのは承知してます!
  453. 伊並 満: ただ、若い頃からなんだかんだで やり続けてまして…
  454. 伊並 満: だから! これが“普通”なんです!
  455. 伊並 満: 自分にとっての 当たり前になってまして…!
  456. 伊並 満: 今の説明で おわかりいただけましたよね…?
  457. 伊並 満: 自分が普通だってこと…!
  458. ひかる: …あ、あの~…
  459. 結菜: …私たちも…いいわねぇ?
  460. 樹里: ああ…
  461. ひかる: そうっすね…
  462. 伊並 満: …………
  463. 伊並 満: …えええええええええええ!
  464. ……………
  465. 結菜: …細かい話は後でねぇ
  466. 伊並 満: へ?へ?へ? よくわかりませんが…は、はい!
  467. 樹里: うっしゃあ! 久々に暴れるかぁ…!
  468. ひかる: …来そうっす!
  469. …………!
  470. ひかる: …あれ?
  471. 樹里: 樹里サマたちをスルーして…?
  472. 結菜: …伊並さん!
  473. 伊並 満: ああ、やっぱり自分です~!
  474. …………!
  475. 伊並 満: ひぇっ!
  476. 樹里: …攻撃が逸れた!?
  477. ひかる: こっちに着弾しそうっす!
  478. 結菜: くっ…!
  479. 樹里: …んんんのやろおぉぉぉ!
  480. 樹里: ウェルダンにしてやる! おらぁっ!
  481. …………!?
  482. 樹里: ああん?逃げやがったのか!? クソッ!
  483. 伊並 満: ひー…ひー…ひー…
  484. 結菜: …魔女はともかく…
  485. 結菜: 本題はここからよぉ…
  486.  
  487. FILENAME: text_520010-9_ABe8j.txt
  488. 結菜: …じゃあ…
  489. 結菜: お互いのこと 話しましょうかぁ?
  490. 伊並 満: は、はい…是非!
  491. 結菜: 伊並さんは改めて自身の事情を話した
  492. 結菜: 伊並さんはとにかく、小さい頃から 『普通の暮らしがしたい』と望んでいたようで キュゥべえと出会い、そのことを願ったそうだ
  493. 結菜: 以来、彼女は彼女なりの普通の暮らしを 手に入れはしたが、魔法少女としての暮らしも 始まってしまい、それで苦労してきたという
  494. 伊並 満: 魔法少女になってから数年は 自分の能力がわかってなくて…
  495. 伊並 満: なんせ、基本的に 逃げ回っていましたから…
  496. 伊並 満: でも、なぜか時々、魔女が勝手に やられちゃったりしてて…
  497. 伊並 満: それで、グリーフシードも どうにか手に入ったりして…
  498. 結菜: そして、ようやく彼女が 理解した自身の能力というのが…
  499. 伊並 満: 無意識での回避といいますか…
  500. 伊並 満: 自分には攻撃が当たらず 逸れていってしまうんです
  501. 樹里: なっ…!?
  502. ひかる: ホントっすか!?
  503. 伊並 満: はい…
  504. 結菜: それでさっきも…
  505. 樹里: なぜかこっちが被弾して… てんめぇ~!
  506. 伊並 満: す、すみませ~ん! どうしようもないんです!
  507. 伊並 満: 勝手に発動する能力なんです!
  508. 結菜: じゃあ、もしかして 気配を消すこともぉ…!?
  509. 伊並 満: …あ、そっちは関係ないです
  510. ひかる: そ、そうなんすか!? じゃあ、天然というか…
  511. 伊並 満: ええ…
  512. 結菜: 伊並さんは母親から徹底的に 『目立つな』『せめて人並みでいろ』という 教育を受けてきたらしい
  513. 結菜: そのせいで決して前に出過ぎず 後ろに下がり過ぎず、浮き過ぎず沈み過ぎず とにかく中庸であろうと努めてきた
  514. 結菜: その結果、人としての存在感を 極力薄めることが自然体となったそうだ
  515. 伊並 満: 自分…ゴミみたいなものなんで…
  516. ひかる: そんな… 卑下しないでくださいっす!
  517. ひかる: だったら、無職のひかるも なかなかのものというか…
  518. 伊並 満: いえ、自分です… 間違いなくクズです…
  519. ひかる: ひかるっす… 社会のダニっす…
  520. 樹里: あーもうやめろ! 辛気臭い!
  521. 結菜: …あれぇ…?
  522. 樹里: …なんだよ
  523. 結菜: …待ってぇ…もしかしてぇ… 伊並さん…!
  524. 伊並 満: は、はい!
  525. 結菜: あなたぁ…
  526. 結菜: 二木市にいたこと、あるぅ…?
  527. 伊並 満: …え?なんでそのことを…?
  528. 伊並 満: 確かに、親の仕事の都合で 少しだけ住んでたことが…
  529. 伊並 満: …ん?…あれ?
  530. 伊並 満: …うわあああああああ!
  531. 樹里: なんだなんだ、おい!?
  532. 結菜: やっぱり…
  533. 結菜: 覚えてなぃ? “幽霊の魔法少女”の話…
  534. 樹里: 幽霊の…?
  535. 樹里: …ああ、思い出した!
  536. 樹里: 二木市でバチバチに やり合ってた頃、原因不明で…
  537. 樹里: …あれ…?
  538. ひかる: ひかるも覚えてるっす!
  539. ひかる: 戦っている最中に 原因不明で倒されることから
  540. ひかる: 幽霊みたいに立ち回る 魔法少女がいるんじゃないかって
  541. ひかる: 市内で都市伝説になってた 話っすよね
  542. 結菜: 不意に死角から 攻撃が飛んできてぇ…
  543. 結菜: 私たちも樹里たちも…
  544. 樹里: なぜかボロボロにされた 経験があるなぁ…
  545. 樹里: もしかして… あれもてめーの仕業かぁ!
  546. 伊並 満: お、思い出しました…! 虎屋町と竜ケ崎のぉぉぉ~!
  547. 樹里: まさか今まで バックレてたってことか…!
  548. 伊並 満: なななないです!ないです!
  549. 伊並 満: 自分、つらい記憶は頑張って 忘れるようにしてまして!
  550. 伊並 満: 二木市の頃は大変だったので それはもう努力して…!
  551. 伊並 満: それに、先ほども説明した通り 自分の能力は意図せずに~!
  552. 樹里: あん時の借り…ここで~!
  553. 結菜: …はぁ…まあ、昔のことよぉ いいじゃない、樹里
  554. 樹里: …ぐぬぅううう~!
  555. ひかる: そ、そうっすよ… 伊並さんの事情も考えて…
  556. 樹里: くぅうううぁあ!
  557. 樹里: …けっ!わーったよ! 水に流してやらぁ…
  558. 伊並 満: あ、ありがとうございます…!
  559. 結菜: それにしても、妙な導きねぇ… こんな形で再会するなんて…
  560. 結菜: (この世界って…まったく どうなってるの…?)
  561. 伊並 満: 本当に…奇跡的な導きです…!
  562. 伊並 満: まさか同じ魔法少女の皆さんが 暮らす家で働けるなんて…
  563. 伊並 満: これで気持ち的にはより普通の 暮らしが送れそうな気がします!
  564. 伊並 満: これからも、どうぞよろしく…
  565. 結菜: …そのことなんだけどぉ…
  566. 伊並 満: …え?
  567.  
  568. FILENAME: text_520010-10_ABe8j.txt
  569. 伊並 満: これからも、どうぞよろしく…
  570. 結菜: …そのことなんだけどぉ…
  571. 伊並 満: …え?
  572. 結菜: ごめんなさい…伊並さんには 辞めていただくわぁ…
  573. 樹里: …マジか!?
  574. 伊並 満: …………
  575. 伊並 満: …辞め…て…?
  576. 結菜: そうよぉ…
  577. ひかる: いいんす…か…?
  578. 樹里: お、おい!
  579. 結菜: なによぉ さっきまで怒ってたくせにぃ
  580. 樹里: それは…それというか…!
  581. 結菜: …後で説明するからぁ 聞けば納得すると思うわぁ
  582. 樹里: …はあ?
  583. 結菜: じゃあ、派遣元には 電話しておくからぁ…
  584. 伊並 満: ちょ、ちょっと待ってください!
  585. 伊並 満: 魔法少女同士の方が きっとそちらのご都合も…!
  586. 結菜: じゃあ…
  587. 樹里: …ったく…わりぃな
  588. ひかる: 待ってくださいっす!
  589. 伊並 満: どうか… どうか考え直してください!
  590. 伊並 満: 皆さんと…皆さんと…
  591. 伊並 満: 普通に暮らしたいだけなんです!
  592. 結菜: …………
  593. 樹里: なあ、おい!
  594. 樹里: そろそろ理由を教えろよ! スッキリしねーじゃねーか!
  595. ひかる: ひかるにも是非!
  596. 結菜: …頃合かしらねぇ…
  597. 結菜: じゃあ、3人で向き合ってぇ
  598. 樹里: …なんでだよ
  599. 結菜: 伊並さん対策よぉ お互いの背後を警戒するのぉ
  600. ひかる: つけている…ってことっすか?
  601. 結菜: 可能性はあるでしょぅ ほらぁ
  602. 樹里: お、おう…
  603. 結菜: …理由なんて簡単でしょぉ
  604. 結菜: あんな危なっかしい ハウスキーパーが
  605. 結菜: アオの側にいられたら 困るのよぉ
  606. 樹里: …あ…
  607. ひかる: それは…ごもっともっす…
  608. 結菜: 今の私たちにとって 一番重要なのはアオなのぉ
  609. 結菜: 伊並さんみたいな魔法少女が 近くにいたら…
  610. 結菜: 何が起こるかわかったもんじゃ ないでしょぉ
  611. 樹里: だったら、ちゃんと 理由を説明してやれば…
  612. 結菜: 下手に交渉して 食い下がられても大変よぉ
  613. 結菜: こういう時はスパッと!
  614. 結菜: それなりの理由は 派遣元に言えばいいわぁ
  615. 結菜: とにかく、アオが第一…
  616. 樹里: …そうだな…
  617. ひかる: …ただ、そのアオちゃん…
  618. ひかる: 伊並さんに 結構なついてたっすからねぇ…
  619. アオ: ええええー! 伊並さん、辞めちゃうの…!!
  620. アオ: どうしてどうしてどうしてー!
  621. 結菜: 大人の事情よぉ…
  622. アオ: なにそれ…わけわかんないよー!
  623. 結菜: ごめんねぇ…
  624. アオ: やだやだやだー!
  625. ひかる: し、仕方ないんすよ~!
  626. 樹里: 落ち着けって!
  627. 結菜: …お願いねぇ 私、電話するからぁ
  628. アオ: やだよー!
  629. 結菜: ………… …あ、もしもしぃ?
  630. 満の派遣元: 「はい…カームヘルプでございます…」
  631. 結菜: インターネットで契約した 紅晴という者ですけどぉ…
  632. 満の派遣元: 「ありがとうございます…」
  633. 結菜: 今日付けで契約を 解除したくてぇ…
  634. 満の派遣元: 「承知しました…」
  635. 満の派遣元: 「では、弊社から派遣した者の 名前を伺えますか?」
  636. 結菜: 伊並満さんですぅ
  637. 満の派遣元: 「伊並…満…ですね…」
  638. 満の派遣元: 「申し訳ございません… その者との契約は解除できません」
  639. 結菜: …えっ? なんでですかぁ…?
  640. 満の派遣元: 「その者とは今後も契約を 続けていただければと思います」
  641. 結菜: いや、ちょっと待ってください どうしてなんですか…!?
  642. 満の派遣元: 「どうしてって…」
  643. 伊並 満: お願いしますよ、紅晴さん…
  644. 結菜: …え…まさか…
  645. 結菜: …伊並さん? 伊並さんなのぉ…?
  646. 伊並 満: そうですよ…
  647. 伊並 満: この会社、自分しかいないんで… ははは…
  648. 伊並 満: とにかく、契約は続けてください どうかお願いします…
  649. 伊並 満: …え?…ダメなんですか…
  650. 伊並 満: そうですか…
  651. 伊並 満: でも…
  652. 伊並 満: 明日以降も伺いますんで…
  653. 結菜: ちょ、ちょっと! 伊並さん!
  654. 結菜: (切られた…)
  655. 結菜: (これからも…ここに来る!?)
  656. 結菜: 彼女のその言葉は…
  657. 結菜: まさしく実行されることになった…
  658. [Part 1 end]
  659. ---
  660. [Part 2 start]
  661. FILENAME: text_520020-1_76qnC.txt
  662. 結菜: 伊並満…
  663. 結菜: 溢れていた家事を手伝ってもらうために 私が雇ったハウスキーパー…
  664. 結菜: しかしその正体は、無意識の内に 受ける攻撃を逸らすことができる能力により 31歳となる今まで生き延びてきた 魔法少女だった…
  665. 結菜: 私はアオの身辺を危惧し、 彼女との契約を切ろうとしたのだけど…
  666. 伊並 満: とにかく、契約は続けてください どうかお願いします…
  667. 伊並 満: …え?…ダメなんですか…
  668. 伊並 満: そうですか…
  669. 伊並 満: でも…
  670. 伊並 満: 明日以降も伺いますんで…
  671. 結菜: ちょ、ちょっと! 伊並さん!
  672. 結菜: (切られた…)
  673. 結菜: (これからも…ここに来る!?)
  674. 結菜: 事態は思わぬ方向へ転がり始めていた…
  675. 結菜: …………
  676. アオ: 伊並さん、やめちゃったの!?
  677. 結菜: え、ええ…
  678. アオ: …ううううう~!
  679. アオ: お母さんのバカ~!
  680. ひかる: ああ、アオちゃーん!
  681. 樹里: 当分すねてるだろうな…
  682. 結菜: …………
  683. 樹里: …どうしたんだよ 険しい顔して…
  684. 結菜: …困ったことになったかも…
  685. 樹里: …あ?
  686. 樹里: これからも来るだぁ…?
  687. ひかる: な、なんすか、それ…?
  688. 結菜: …脅し? …でも何の…?
  689. ひかる: これからも来て… 何をするんすか…?
  690. 樹里: 気味がわりぃなぁ…
  691. 結菜: …ひかる 今まで以上にアオの身辺を…
  692. ひかる: 任せてくださいっす…!
  693. 結菜: 私たちも、なるべく早く家に…!
  694. 樹里: ああ…
  695. 結菜: (伊並満…)
  696. 結菜: (何を仕掛けてくるの…!?)
  697.  
  698. FILENAME: text_520020-2_76qnC.txt
  699. 結菜: 伊並さんとの電話の翌日…
  700. 結菜: 異変はさっそく起きた
  701. 結菜: ただいまぁ…
  702. 樹里: おう
  703. ひかる: いただいてるっす!
  704. アオ: …ふん! おかえり…!
  705. ひかる: アオちゃん…あはは…
  706. 結菜: …あらぁ?
  707. 結菜: …ご飯…樹里が作ったのぉ?
  708. 樹里: …は?なんでだよ 姉さんだろ?
  709. 結菜: …私がぁ? 今帰って来たのよぉ…?
  710. 樹里: いや、一旦帰ってきて メシ作ってまた出たんだろ?
  711. 樹里: そこのメモに書いてあったぜ
  712. 結菜: …え?
  713. 結菜: (…何…これ…?)
  714. 結菜: (…どういうこと…一体…?)
  715. 伊並 満: 明日以降も伺いますんで…
  716. 結菜: …まさか…
  717. 樹里: お、おい…どうしたんだよ…
  718. アオ: ごちそーさま…
  719. 結菜: アオ…
  720. アオ: …ふーんだ!
  721. 結菜: …………
  722. ひかる: あの~、結菜さん…?
  723. 結菜: この食事…私は作ってない…
  724. 樹里: …お、おい… 樹里サマでもねーぞ…
  725. ひかる: ひ、ひかるには こんなご飯作れないっす…!
  726. 結菜: …まさか…
  727. 結菜: 伊並…さん…!?
  728. 樹里: …嘘だろ…?
  729. ひかる: ご飯を…なんで…?
  730. 結菜: …毒…とか…?
  731. 樹里: …魔法少女相手にか?
  732. ひかる: …え…もしかして 標的は…
  733. 結菜: …アオ!?
  734. 樹里: …やばい…!
  735. ひかる: そんな…!
  736. 結菜: …!?
  737. 結菜: 電話…この番号…!
  738. 結菜: …もしもし…
  739. 伊並 満: 「こんばんは、紅晴様…」
  740. 結菜: 伊並さん…!
  741. 伊並 満: 「お食事、満足いただけましたか?」
  742. 伊並 満: 「すみません、作り置きのものを 持ち込んだんですが…」
  743. 結菜: …メモまで残して…
  744. 伊並 満: 「はい…」
  745. 伊並 満: 「自分、一旦そちらへ帰りまして また出て行きましたから…」
  746. 結菜: あなた…まさかあの食事に 変なものを入れたり…!
  747. 伊並 満: 「変なもの…?そんなこといたしませんよ!」
  748. 伊並 満: 「誠心誠意、作らせていただきました」
  749. 伊並 満: 「ではまた…明日」
  750. 結菜: …くっ…!
  751. 樹里: …ふぅ…アオは大丈夫そうだ
  752. ひかる: ケロッとしてたっす…
  753. 結菜: …今、伊並さんから 電話があったわぁ…
  754. 樹里: …んだとぉ!?
  755. 結菜: 変なものは入れてないってぇ…
  756. ひかる: そ、そんなこと 信じられないっす…けど…
  757. 結菜: 今のところ アオは無事なのよねぇ…?
  758. 樹里: あ、ああ…
  759. ひかる: じゃ、じゃあ… 伊並さん、嘘は言ってないって…
  760. 結菜: ことなのかどうか わからないけどぉ…
  761. 結菜: アオに妙な心配させたくないから 今は様子を見ましょう…
  762. 樹里: …なんなんだよ、ちくしょう!
  763. 結菜: どういうことなの…伊並さん…?
  764.  
  765. FILENAME: text_520020-3_76qnC.txt
  766. 結菜: …………
  767. 結菜: …ダメ… こちらからの電話には出ない…
  768. 樹里: 今日もやられたぞ!
  769. 樹里: 帰ったらリビングが 綺麗に掃除されてやがった…
  770. ひかる: 昨日は洗濯っす…
  771. 樹里: アオにはどうにか 誤魔化しちゃいるが…
  772. 樹里: 気持ちわりーったら ありゃしねーよ!
  773. ひかる: そもそも、どうやって 侵入しているんすかね…
  774. 結菜: 鍵は渡してないのにねぇ…
  775. 樹里: …馬!まさかお前の合鍵 取られてたりとか…!
  776. ひかる: 持ってるっすよ!
  777. ひかる: でなきゃ、どうやってひかるは この家に入れるんすか!
  778. 樹里: …だよな…
  779. ひかる: …アオちゃんも同様っす 渡してはいないそうっす
  780. 結菜: …設置した監視カメラにも?
  781. ひかる: 全然映ってないっす…
  782. 結菜: …参ったわね…
  783. 樹里: とりあえず、鍵を変えるか…
  784. 結菜: 鍵を渡してないのに 侵入してくる相手よぉ
  785. 結菜: 鍵を変えたところで どうかしらねぇ…
  786. 樹里: …くそっ…
  787. ひかる: 訳がわからないっす…
  788. ひかる: …実は今も、いたりして…
  789. 結菜: …!?
  790. 結菜: …………
  791. 樹里: や、やめろよ… 急に振り返ったりして…
  792. 樹里: 誰もいねーだろ…誰も…
  793. ひかる: そう…っすよね…
  794. 樹里: …馬、コラ! 変なこと言うんじゃねーよ!
  795. ひかる: ご、ごめんなさいっす!
  796. 樹里: …ちっ!
  797. 樹里: 息苦しい気分だぜ… まったくよぉ…
  798. 結菜: (…考えなきゃ…)
  799. 結菜: (何か…打開策を…!)
  800.  
  801. FILENAME: text_520020-4_76qnC.txt
  802. 結菜: …………
  803. 樹里: …っていう感じで この部屋を封鎖すんだよ
  804. 結菜: …ダメねぇ
  805. 結菜: 私たちの生活そのものに 支障をきたしてしまうわぁ
  806. 樹里: …ぐむむむ…
  807. ひかる: アオちゃん、眠ったようっす
  808. 結菜: …そう
  809. ひかる: いいアイデア、出たっすか?
  810. 樹里: お前がアオの様子見に行った 程度の短時間で浮かぶかよ…
  811. 樹里: そもそも行き詰ってたんだ 『三人寄れば~』…
  812. 結菜: 『文殊の知恵』
  813. 樹里: それだ それだったのにこのザマだ…
  814. 結菜: …はぁ…
  815. ひかる: ふむう~… どうすればいいっすかねぇ…
  816. 結菜: 私たちはこの後も伊並さんへの 対策を話し合ったけど これだという案は出てこなかった
  817. 結菜: やがて夜も深くなり 私たちはまどろみ始めた…
  818. 結菜: そして私は、昔の夢を見た…
  819. 結菜: どうも変ねぇ…
  820. 何が…ですか?
  821. 結菜: …いや、なんとなく なんだけどぉ…
  822. 結菜: 違和感があるのよぉ…
  823. 違和感…?
  824. 結菜: これは…緊張…?
  825. 結菜: その緊張がこの場の空気に 違和感を与えている…?
  826. 結菜: その発信源はぁ…
  827. 結菜: …はっ!
  828. 結菜: …………
  829. 結菜: (今のは…)
  830. 結菜: (まだ樹里たちと 争っていた頃の…)
  831. 結菜: …“違和感”…!?
  832. 結菜: (あの頃の私は常に神経を 尖らせていた…)
  833. 結菜: (隙を見せないように… 常に先手を取れるように…)
  834. 結菜: (だからあの時、感じられた… 何者かが発する違和感に…)
  835. 結菜: (…そうだ…きっとそうだ…)
  836. 結菜: (当時、その違和感を発していた 人物というのが…)
  837. 結菜: …………
  838. 結菜: …伊並さん、あなたねぇ いるんでしょ?
  839. 結菜: 全力で集中したら 今も感じ取れたわぁ
  840. 結菜: あの時と同じように…
  841. 伊並 満: そう…ですか…
  842. 伊並 満: …嬉しいです…
  843.  
  844. FILENAME: text_520020-5_76qnC.txt
  845. 結菜: …嬉しい?
  846. 伊並 満: はい…
  847. 伊並 満: 自分の存在を感じてくれる人… 今まで誰もいませんでした
  848. 伊並 満: 紅晴様のような方がいらっしゃる この家は、やはり素敵です…!
  849. 伊並 満: 改めてお願いします… この家で働かせてください!
  850. 結菜: …今の時点で不法侵入なんだけど そのこと、わかってるぅ…?
  851. 伊並 満: …契約は続いてますから…
  852. 結菜: あなたが一方的に 続けてるの!
  853. 樹里: …ん…うるせえな…
  854. ひかる: ふぁ~…寝落ちしてたっす…
  855. 樹里: …ああっ!?
  856. ひかる: …えええーっ! …こ、これ…夢…っすか?
  857. 結菜: 本物よぉ…
  858. 結菜: 勝手に入ってきたところを ついに捉えたのぉ…
  859. 伊並 満: いえ、だから 勝手ではなく契約が…
  860. 樹里: 契約だぁ…? 姉さんが打ち切ったろうが!
  861. 伊並 満: 契約破棄だなんて 普通じゃないこと…!
  862. 伊並 満: …あってはいけないんです…
  863. ひかる: …普通じゃ…ない…?
  864. 伊並 満: そうです… そんなことダメなんです…
  865. 伊並 満: 自分の契約は続いてます… 続いているんです…
  866. 伊並 満: だからお食事も用意しました 掃除も、洗濯も…
  867. 伊並 満: この家に皆さんがいて 自分が家事をして…
  868. 伊並 満: そして自分も、あなたも あなたもあなたも!
  869. 伊並 満: みんな魔法少女だなんて… とても安心できます…
  870. 伊並 満: 魔法少女である自分の生活も ここでは本当に普通…!
  871. 伊並 満: だから ここに居させてください…
  872. 伊並 満: いや、居るのが普通ですよね? ね?ね?
  873. 樹里: こいつ…何言ってんだ…?
  874. ひかる: 普通じゃないっす…!
  875. 伊並 満: …え? 今、なんて言いました?
  876. ひかる: ふ、普通じゃないっす!
  877. 伊並 満: …は?何言ってるんですか…?
  878. ひかる: …え…
  879. 伊並 満: 自分、普通ですよ?当たり前です 普通に決まってます、そうです
  880. 伊並 満: だって、自分が魔法少女になる 時の願いだってそうだったんです
  881. 伊並 満: 『すべて普通になりたい』って ほら、自分、普通でしょ?
  882. 伊並 満: なのにどうして普通じゃないって 言っちゃうんですか?
  883. 伊並 満: そっちがどうかしてます そっちが普通じゃないです
  884. 伊並 満: 自分は普通です、本当に普通です 本当に間違いなく普通なんです
  885. ひかる: ひ…ひぃ~…
  886. 結菜: 伊並さん!
  887. 伊並 満: …はい
  888. 結菜: あなたとは契約できないわ!
  889. 伊並 満: …………
  890. 伊並 満: …どうしてなんですかぁぁぁ!
  891. 結菜: 今のこの状況が…!
  892. アオ: …うるさいよぉ… 眠れないからぁ…
  893. 結菜: …アオ!?
  894.  
  895. FILENAME: text_520020-6_76qnC.txt
  896. アオ: …うるさいよぉ… 眠れないからぁ…
  897. 結菜: …アオ!?
  898. 樹里: …なっ!?こいつは…!
  899. ひかる: 見覚えある結界っす…!
  900. アオ: …うわぁ、何これ?
  901. 伊並 満: …………
  902. 伊並 満: …これは夢ですよ
  903. アオ: …夢?
  904. …………
  905. 樹里: げっ…!出てきやがった!
  906. ひかる: やっぱりこの前の…!
  907. アオ: …あはは、何あれ~
  908. アオ: …そっか~、これ夢か~ だからあんな変なの出てくるんだ
  909. 伊並 満: そうですよ… あの変なのが何かしてきても…
  910. …………!
  911. 結菜: …くっ…!
  912. 伊並 満: 自分の傍にいてくれれば 平気ですからね…
  913. アオ: ふ~ん… 伊並さん、すごいね~…
  914. 樹里: てめぇ!アオから離れろ!
  915. 結菜: 待って!
  916. 樹里: んだよ!
  917. 結菜: …こうなってしまったからには 仕方ないわぁ…
  918. 結菜: 伊並さんの近くにいるのが 安全なのは確かだし…
  919. 結菜: 夢と勘違いしている内に ケリをつけた方がいい…!
  920. 樹里: …ぐっ!
  921. ひかる: …この状況だと やむを得ないっすね…
  922. 結菜: まずは魔女を倒して 結界を解除するわよぉ…!
  923. 樹里: …やるしかねーか!
  924. ひかる: なる早っすね…!
  925. 結菜: …伊並さん… こんなこと言いたくないけど…
  926. 結菜: アオを頼んだわよぉ…!
  927. 伊並 満: …はい!お任せください!
  928.  
  929. FILENAME: text_520020-7_76qnC.txt
  930. …………!
  931. 樹里: このぉ!こいつ…!
  932. ひかる: 伊並さん狙いで こっちは眼中にないっすよ!
  933. 結菜: まともに相手されないと 攻めにくい上に…
  934. ひかる: はーっ!
  935. ひかる: …あ、しまったっす…
  936. 伊並 満: …あら…
  937. ひかる: あだっ!
  938. 結菜: …伊並さんに攻撃が逸れると こっちに流れてくることもぉ…
  939. 樹里: …お!だったらあいつに向けて 集中攻撃すんのはどうだ!?
  940. 樹里: そうしたら魔女にも当たるかも…
  941. 結菜: 当たるかもしれないけど こっちも危ないでしょぉ…
  942. 樹里: …うっ…そうか…
  943. ひかる: 厄介な戦いっすね~…
  944. 結菜: …ただ、手はあるわぁ…!
  945. 結菜: 伊並さん! あなたも魔女に攻撃を!
  946. 結菜: そうすれば挟撃になって きっと倒せるはず!
  947. 樹里: …む!
  948. ひかる: 確かに…!
  949. 結菜: こちらと呼吸を合わせて…!
  950. 伊並 満: …いやぁ…自分 そういうの無理なんで…
  951. ひかる: …へ?
  952. 結菜: なぜ…!?
  953. 伊並 満: こ、攻撃だなんて…今まで 一度もしたことないです…
  954. 樹里: …て、てめー! だったらどうして生き残った!
  955. 伊並 満: 前にも言いましたよね…?
  956. 伊並 満: 気がついたら魔女が勝手に 倒されてたりしてたって…
  957. 伊並 満: 本当に自分 何もしてないんです…
  958. 伊並 満: だ、だって、攻撃とか そんなことしたら…
  959. 伊並 満: 目立っちゃうじゃないですか…!
  960. ひかる: …ええ!? いや、目立つとかそんな…
  961. 伊並 満: 目立ったら普通じゃないんです…
  962. 伊並 満: 普通でいたいんです…! 自分はとにかく普通が…
  963. アオ: …普通~…?
  964. 伊並 満: そうです、普通です 笠音様も普通が一番…
  965. アオ: …普通ってなぁに?
  966. 伊並 満: …え…?
  967.  
  968. FILENAME: text_520020-8_76qnC.txt
  969. …………!
  970. 樹里: なろ~! ちょこまかと…!
  971. ひかる: マズいっす…! ズルズルっすよ!
  972. 樹里: 消耗戦になってるな… このままじゃ持たねぇ…!
  973. ひかる: …あ…
  974. ひかる: 伊並さんの魔力も 無限じゃないっすよね…
  975. 樹里: そりゃそうだろ…
  976. 樹里: …って、そうか!ヤバい…!
  977. ひかる: あの絶対防御も 魔力がつきたら終わりっすよ…!
  978. 樹里: 早く…早く倒さねーと…!
  979. 樹里: 姉さん!どうする!?
  980. 樹里: …おい、姉さん!
  981. 結菜: …………
  982. ひかる: どうしたんすか!?
  983. 結菜: …あの人の…気配が変わった…?
  984. ひかる: あの人…?伊並さんすか?
  985. 結菜: …魔女、しばらくお願い やっぱりあの人が鍵だわぁ…!
  986. 樹里: ちょ、ちょい!
  987. ひかる: 結菜さん!?
  988. アオ: …普通ってなぁに?
  989. 伊並 満: …え…?
  990. アオ: …ん…だから 普通ってなんなのかなって
  991. 伊並 満: 普通は…普通ですよ? 目立たないように大人しく…
  992. アオ: 何もしないってこと?
  993. 伊並 満: な、何もしないというか 何かはするんですけど、その…
  994. アオ: …よくわかんない…
  995. 伊並 満: …うっ…
  996. アオ: 普通ってなんなんだろう… …ふぁ~…むにゃ…
  997. 伊並 満: な、波風立てないのが 一番なんですよ…!
  998. 伊並 満: ほら!『出る杭は打たれる』って 言うじゃないですか!
  999. 伊並 満: じっとしているのがいいんです! そうすれば嵐が来てもいずれ…
  1000. アオ: でも、困っている人がいたら 何かしてあげたいけどなぁ~…
  1001. アオ: じっとしているだけじゃ その人、困っているままでしょ?
  1002. 伊並 満: …そ、それは…
  1003. アオ: わたし、伊並さんが困っていたら 助けてあげたいよ?
  1004. 伊並 満: …か、笠音様…
  1005. アオ: …う~ん…ダメだ… やっぱり眠いや…
  1006. アオ: …す~…す~…
  1007. 伊並 満: …………
  1008. 伊並 満: …ち、違うんですよ、ははは…
  1009. 伊並 満: 普通であるのがいいんです… 普通でいないとダメなんです…!
  1010. 伊並 満: だって…自分は母親から そう言われてきたんですから!
  1011. 伊並 満: 『お前みたいなのは普通にしてて やっと生きられる』って!
  1012. 伊並 満: 自分、そういう奴なんですよ… だから普通でいないと…
  1013. 伊並 満: 生きられないんです… うう…自分は…普通でないと…
  1014. 結菜: 伊並さん…
  1015. 伊並 満: …紅晴…さん…
  1016.  
  1017. FILENAME: text_520020-9_76qnC.txt
  1018. 結菜: 伊並さん…
  1019. 伊並 満: …紅晴…さん…
  1020. 結菜: あなたの契約を切ったのは アオのためなのよぉ…
  1021. 伊並 満: …笠音様の…
  1022. 結菜: 私たちにとって 一番大事なのはアオ…
  1023. 結菜: 魔女を連れてきてしまうような あなたがいると…
  1024. 結菜: アオを危険にさらすことになる …実際、こうだしねぇ
  1025. 結菜: それはわかってもらえる…?
  1026. 伊並 満: …………
  1027. 結菜: …あなた 普通にこだわっているのねぇ
  1028. 結菜: そんなに普通でいたいのぉ?
  1029. 伊並 満: …はい…
  1030. 結菜: …あなたの願い…
  1031. 結菜: 『すべて普通でありたい』 …だったわよねぇ
  1032. 伊並 満: ええ…
  1033. 結菜: そうね… 確かに叶ったんじゃない?
  1034. 結菜: その願いのおかげで…
  1035. 結菜: あなたのやること、考えることは すべて“普通”になった…
  1036. 結菜: ただし…あくまであなたの 基準の中で…
  1037. 伊並 満: …え…
  1038. 結菜: あなたが何をしても、あなたの 中ではすべて普通になる…
  1039. 結菜: 大方、そういうことで 願いは結実したのよぉ…
  1040. 結菜: だって、“普通”なんて 絶対的な定義がないものぉ
  1041. 伊並 満: …そ、そんなこと!
  1042. 結菜: …まあいいわぁ そう考えるなら逆に
  1043. 結菜: あなたにはあなたの“普通”が あっていいわけだしねぇ…
  1044. 結菜: …でもね、ひとつだけ 言わせてもらえるぅ?
  1045. 伊並 満: …何ですか…?
  1046. 結菜: 魔法少女である限り…
  1047. 結菜: 魔女を倒さないと“普通”には 生きられないのよ…!
  1048. 伊並 満: …うっ…!
  1049. 結菜: だってそうでしょ? 魔女を倒すのが魔法少女の宿業…
  1050. 結菜: グリーフシードがなければ 生きることさえできない…!
  1051. 結菜: あなたがここまで生き残ったのは ハッキリ言って奇跡よ…!
  1052. 結菜: 得た能力もね…!
  1053. 伊並 満: じ、自分はただ普通に…!
  1054. 結菜: でも、その奇跡ももう終わり…
  1055. 結菜: このまま何もしなかったらね…!
  1056. 伊並 満: …お、終わり…
  1057. 結菜: 今、この戦いは妙な 捻じれ方をしているわぁ…
  1058. 結菜: 終わりが見えないまま、私たちも 限界を迎えようとしている…
  1059. 伊並 満: い、いや、まだ 手持ちのグリーフシードが…!
  1060. 結菜: それだって限りがあるでしょ!?
  1061. 結菜: あの魔女がしばらくしたら 手を引く保証でもあるの!?
  1062. 伊並 満: …それは…
  1063. 結菜: …戦うのよぉ…
  1064. 結菜: あなたが戦えば、きっと決着を つけることができる…!
  1065. 結菜: 戦えば…また生き残れる!
  1066. 結菜: お願い…ろくに説明もしないで 契約を切った非礼は詫びるから…
  1067. 結菜: 立ち上がって…! そして魔女を倒して…
  1068. 結菜: アオを…助けて…!
  1069. 伊並 満: …笠音様を…
  1070. アオ: でも、困っている人がいたら 何かしてあげたいけどなぁ~…
  1071. アオ: じっとしているだけじゃ その人、困っているままでしょ?
  1072. 伊並 満: …………
  1073. 伊並 満: …戦わないと…
  1074. 伊並 満: …生き残れないんですよね…
  1075. 伊並 満: 自分も…皆さんも…
  1076. 結菜: …そうよ
  1077. …………!
  1078. 樹里: くそっ!もうギリだぜ…!
  1079. ひかる: 結菜さん! どうすれば…!
  1080. 伊並 満: 皆さん… 自分の近くに来てください…
  1081. 樹里: …あんだぁ!?
  1082. 結菜: いいから、早く!
  1083. ひかる: は、はいっす! 樹里さんも!
  1084. 樹里: …んだよもう!…行くよ!
  1085. …………!
  1086. 結菜: …逸れた…!
  1087. 伊並 満: 戦わないと生き残れない… 戦わないと助けられない…
  1088. 伊並 満: 戦わないと…普通でいられない!
  1089. 伊並 満: うわあああああああああぁぁぁ!
  1090.  
  1091. FILENAME: text_520020-10_76qnC.txt
  1092. …………
  1093. …………!?
  1094. 伊並 満: はぁ…はぁ…はぁ…
  1095. 結菜: …終わったぁ…
  1096. ひかる: 危なかったっす…
  1097. 樹里: …ふん…
  1098. 樹里: …さっきの なかなかだったじゃねーか…
  1099. 伊並 満: …い、いえ…
  1100. 伊並 満: …普通ですよ…
  1101. 結菜: こうして一連の騒動は幕を下ろした…
  1102. 結菜: …………
  1103. 樹里: …部屋に連れてったぜ
  1104. 結菜: どうだったぁ?
  1105. ひかる: ビックリするくらいグッスリっす
  1106. 樹里: 鈍感なんだか大物なんだか…
  1107. 結菜: …ふふっ…
  1108. 樹里: …ところでよ…
  1109. 樹里: 本当にあんなこと言って よかったのか?あいつに…
  1110. 結菜: …………
  1111. 伊並 満: …自分、行きます… ご迷惑をおかけしました…
  1112. 結菜: …これからどうするのぉ?
  1113. 伊並 満: …自分の生き方 見つめ直そうかと思います…
  1114. 伊並 満: でも、自分を変えたいとか そういうことじゃなくて…
  1115. 伊並 満: …とにかく、もっとしっかりと 自分自身と向き合ってみます
  1116. 伊並 満: ただ、そうしたいと 今は思うんです…
  1117. 結菜: …そう…
  1118. 伊並 満: …あ、家事代行は続けたいかと… 自分、この仕事好きなんで…
  1119. 結菜: …だったら、たまに うちもお願いしようかしらねぇ…
  1120. 伊並 満: …え!?
  1121. 樹里: おい!
  1122. ひかる: いいんすか…!?
  1123. 結菜: あくまで、たまによぉ
  1124. 結菜: (…それに…この人はもう 大丈夫だと思うし…)
  1125. 結菜: (むしろ、何かあった時は 強力な味方になる…)
  1126. 結菜: (…我ながら打算的で 嫌な考えだけどねぇ…)
  1127. 伊並 満: あ、ありがとうございます…! 是非、お願いします…!
  1128. 結菜: ええ
  1129. 樹里: …ったく、知らねーぞ…
  1130. ひかる: ま、まあ、いいっすかね!
  1131. 伊並 満: …では…
  1132. 結菜: …うーん…
  1133. 結菜: …多分ねぇ
  1134. 樹里: なんだかなぁ…
  1135. 樹里: …ま、ああ言っちまうのも…
  1136. 樹里: 姉さんの“普通”かね…
  1137. 伊並 満: …………
  1138. 伊並 満: 「…普通…」
  1139. 伊並 満: 「…普通…」
  1140. 伊並 満: 「…普通なのが…」
  1141. 伊並 満: 「…普通…」
  1142. 伊並 満: …………
  1143. 伊並 満: …何言ってんだろ…
  1144. 伊並 満: …………
  1145. 伊並 満: …行こう…
  1146. <「伊並満は“普通”に生きたい」>
  1147. <終>
  1148. アオ: うむむむ…
  1149. アオ: …あーもうわかんなーい! 宿題むずいよー!
  1150. ひかる: 頑張るっすよ、アオちゃん!
  1151. アオ: …あー、お腹も空いた…
  1152. ひかる: ひかるが何か作るっすか?
  1153. アオ: …………
  1154. アオ: …伊並さんのご飯 また食べたいなぁ~
  1155. ひかる: スルーしないでほしいっす!
  1156. アオ: ねー、伊並さん また来るんでしょー?
  1157. アオ: いつなのー?
  1158. ひかる: さあ~…
  1159. アオ: 会いたいな~、伊並さんに…
  1160. ひかる: あ!そういえば棚の奥の奥の奥に カワイイお菓子を見つけたんす!
  1161. ひかる: 宿題終わったら それを食べるっすよ!
  1162. アオ: ホント!? じゃあ頑張っちゃおーっと!
  1163. ひかる: …現金っすね~…
  1164. アオ: ふんふふんふふ~ん!
Add Comment
Please, Sign In to add comment