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- Mordred
- ……おまえなあ。
- 大人数ったって、おまえは戦力に数えられないだろーが。
- Jekyll
- 魔術協会跡地の探索だよ?
- 碩学たる者、知的好奇心が疼かない訳がないじゃないか。
- Jekyll
- それに、僕だっていざという時には役に立つさ。
- [#奥の手]もあるからね。
- Jekyll
- それに、きっと君たちが守ってくれるだろう?
- 頼りにしてるよ。セイバー。
- Mordred
- だーから、オレは守ったりなんかしねーっての。
- 勝手にしろ、ったく。
- Dr. Roman
- さてと。早々に移動しなくちゃね。
- 大英博物館だから、リージェントパークエリアかな。
- Dr. Roman
- ここからはそれなりに距離があるね。
- 連戦に次ぐ連戦を覚悟しないといけないな。
- Dr. Roman
- ん?
- そういえば
- Dr. Roman
- 魔術協会という組織は、ロンドン郊外とかに幾つかの
- 学術都市として存在しているんじゃなかった?
- Jekyll
- それはそれ、ここはここだよ。
- Jekyll
- ロンドン本部は協会発祥の地で、その後何百年かあと、
- 規模が大きくなったんで施設を増やしたんだ。
- Jekyll
- それがロンドンを中心にして点在する各学術都市。
- 魔術協会・時計塔は心臓部分であるロンドンと、
- Jekyll
- ロンドンを囲むように作られた複数の都市で
- 構成されているんだよ。
- Jekyll
- ドクター、君、もしかして時計塔に来たことなかった?
- Anderson
- なんだ。どうにも垢抜けないと思ったが、
- どこぞの田舎者か?
- Dr. Roman
- う。い、いや違うんだよ?
- Dr. Roman
- ちょっとロンドンには縁がなかったというか、
- 遠かったというか……
- Dr. Roman
- で、でもロンドンの事情は知っていたとも!
- マリー所長だって魔術協会からの出向だったんだしね!
- Mordred
- 無駄口はいい。
- さっさと
- ああ、言ってるそばからこれだ。
- Mashu
- 機械作動音、多数!
- 先輩、ヘルタースケルターの出現と思われます!
- Fou
- フォウ、フォーウ!
- Dr. Roman
- さっそくのご登場か。
- まずは切り抜けて、リージェントパークへ急ぐんだ!
- ?1:了解
- ?2:切り抜ける!
- ?!
- Mashu
- はい、マスター!
- ==
- Shakespeare
- 大英帝国の象徴のひとつたる大英博物館!
- その、跡地
- Shakespeare
- 嗚呼、なんと痛ましい光景なのでしょうか、
- 人類史の至宝の数々を納めたはずの大博物館のこの姿!
- Shakespeare
- 吾輩は嘆息を禁じ得ません。
- 此処に納められていたのは世界と人類の歩みそのもの。
- Shakespeare
- このような所行が許されるものでしょうか! 嗚呼!
- それは、かのアレクサンドリア図書館の焼却にも似て!
- Shakespeare
- 実に、痛ましい
- Shakespeare
- しかし、しかし。
- これもまた人の所行なのでしょう。
- Shakespeare
- 愚かしさも痛ましさも、紛うことなき人の在りよう。
- [#神は、我々を人とするために欠点を与えるもの:You gods, will give us. Some faults to make us men.]。
- Mordred
- ……前に来た時と様子は変わらないな。
- 瓦礫。廃墟。それだけだ。
- Mordred
- ここを破壊したヤツは個人的な恨みもあったんだろうさ。
- 生存者は皆無だな。
- Mashu
- ここが、大英博物館……その跡地。
- 画像データでのみ、偉容を目にしていましたが……
- Mashu
- 建造物への破壊が行われていないロンドンで、
- ここだけが、こんな風に……
- ?1:痛ましいね
- ?2:廃墟は好きになれないな
- ?!
- Mashu
- はい、先輩……
- はい……
- Anderson
- では肉体労働組。
- あー、特にセイバーとマシュ・キリエライト。
- Mashu
- はい。
- Mordred
- あ?
- Anderson
- このあたりを掘り返してみてくれ。ジキル氏の話に
- よると、時計塔は地下にも広がっていたらしい。
- Anderson
- いかに破壊が徹底的でも、地面はこの通り無事だ。
- であれば、我らが目指すべきは地下空間だ。
- Anderson
- しかしあいにくと階段は瓦礫で埋まっている。
- であれば
- なあ?
- Anderson
- サーヴァントの馬鹿力、その面目躍如というワケだ!
- さあ、ブルドーザーのように暴れまくるがいい!
- Shakespeare
- 確かにその通り……! 哀しいかな、吾輩がペンより
- 重い物を持てば凄まじい魔力消費となりましょう!
- Fou
- フォーウ…………。
- Mordred
- …………。
- Jekyll
- ぼ、僕は手伝うよ。うん。
- 物の役にも立たないだろうけど。
- Dr. Roman
- やった! ボクのほうが今回は早い!
- 君たちのすぐ近くに魔力反応、それもかなりの数だよ!
- Mordred
- ん……確かに、何かいるな。
- 何だこりゃ?
- Dr. Roman
- 視界では周囲に何も見えないんだね?
- でも確かにいる。それに、ぐんぐん動いているから、
- Dr. Roman
- 廃墟の中に散らばった魔術礼装と言う訳でもない。
- となれば回答はひとつだ!
- Jekyll
- 地下からか!?
- セイバー、すまないが警戒を
- Mordred
- マスター[#面:ヅラ]すんな!
- わかってる、出てくるならやるまでだ!
- Mashu
- マスター、敵性存在が複数出現です!
- 魔力反応、高まっていきます
- 攻撃態勢と推測!
- ?1:戦闘だ!
- ?2:気を付けて!
- ?!
- Mashu
- はい、マスター。
- 戦闘開始します!
- Shakespeare
- 此度は吾輩もお手伝いいたしましょう。
- 瓦礫の中に舞う盾の乙女
- 実に、想像力を刺激する!
- ==
- Mashu
- 戦闘終了です、先輩。
- お疲れさまでした。
- Dr. Roman
- 周囲にヘルタースケルターはいないみたいだけど、
- 代わりに厄介なものが出て来たねえ……。
- ?1:あの外観って……。
- ?2:見覚えのある形だったね。
- ?!
- Mashu
- はい、先輩。敵性体の形状は
- ソーホーで遭遇した魔本に酷似していましたね。
- Mashu
- ですが、あの時とは違って攻撃が通用しました。
- アンデルセンさんが名を与えることもなく、ごく単純に、
- Mashu
- 通常の攻撃のみで対処が可能でした。
- 形状変化もなく……
- Mordred
- 前に来た時は、あんなのいなかったぜ。
- ふわふわした本なんざ。
- Jekyll
- いいかな。予想ではあるけど、あれは多分、
- 魔術書の類が変質してしまったものだと思うんだ。
- Jekyll
- 地下の魔術協会に秘蔵されていたものが、
- 魔霧の影響を受けることでああなったのかも知れない。
- Dr. Roman
- (あっ……。
- ボクも同じこと思ったんだけど先に言われた……)
- Anderson
- ……本が群れを成して襲って来る、か。
- Shakespeare
- ……悪夢、もしくは地獄の如き様相でしたな。
- Anderson
- 馬鹿を言え。
- あんなものは、別にどうということも……
- Anderson
- …………。
- Shakespeare
- …………。
- ……。
- Mordred
- ははっ、なんだよ作家ども。
- 今までみたいにぺらぺら喋らねーのか?
- Anderson
- ……我慢しているだけだ。いいや、やめだ。やめ!
- ああ気持ち良かった! 最高の気分だ!
- Mordred
- ん??
- Shakespeare
- 本を灼く! それは有り得ざる行いに他なりません!
- 嗚呼、嘆かわしい……しかし、そこには一縷の甘美あり!
- Shakespeare
- 決して行ってはならない悪行、許されざる蛮行!
- そこには哀しみしかないはずであるのに
- Shakespeare
- 吾輩はこの瞬間にわずかに一縷、
- 背徳の甘美を感じざるを得ません! おお、神よ!
- Anderson
- 俺以外の著者の作品など存在せずとも構わん。
- ああ、もっと言えば俺の著作さえも灼き尽くしたいぞ!
- Anderson
- 本が世界になければ!
- 数多の名著を生涯で読みきれないと嘆くこともない!
- Anderson
- 本が世界になければ!
- なんだこのゴミはいい加減にしろと憤ることもない!
- Anderson
- 本が世界になければ!
- ついぞ俺が〆切に追われることもない!
- Shakespeare
- なんと正直な御方か……!
- 嗚呼、しかし、しかしその言葉は吾輩の胸を打つ!
- Fou
- フォ、フォーウ……。
- Mordred
- な、なんだこいつら……。
- Jekyll
- 何か凄いね……
- 本当に……
- ?1:作家というのは歪んでいるんだなあ
- ?2:作家というのは自己矛盾の生物なのかな…
- ?!
- Mashu
- と、ともかく、先輩。
- わたしたちの行く道はお陰ではっきりしましたね。
- Mashu
- [#書籍:ブック]型の敵性体が出現した際に、
- 地下階層への入口が偶然にも形成されましたから
- Dr. Roman
- そうだね。作家英霊たちが落ち着いたら、
- 早速、地下へ侵入だ!
- Dr. Roman
- わくわくするなあ。
- 言わば、魔術協会の本部みたいなものだろうし。
- Dr. Roman
- 一体どんな風になってるんだろうねえ。
- ああ、ボクもその場に行って目の当たりにしたいよ。
- Mordred
- じゃ、おまえも来いよ。
- 声だけじゃなくて。
- Dr. Roman
- ボ、ボクはその……ほら……
- 観測とかカルデアの維持とかいろいろあるからほら……
- Dr. Roman
- よ、よーし!
- 引き続き観測がんばっちゃうぞー!
- Fou
- フォーウ、キュキュ……。
- ==
- Jekyll
- …………まるで無限に続く[#迷宮:ダンジョン]、だな。
- Anderson
- 暗いな。
- Shakespeare
- 然り。更には、いやに空気も湿っていますな。
- Mordred
- 魔術師の住処ってのはそういうもんだろ、
- 暗くてじめじめしたところが好きって相場が決まってる。
- Mashu
- そうですか?
- Fou
- キュー、キャーウ!
- フォーウ!!
- Mordred
- ほら、小動物もそうだって言ってるぜ。
- ここはいかにも魔術師に相応しい、ってな。なー?
- Fou
- キュー!
- Mashu
- フォウさん?
- なんだか、興奮しているような……
- ?1:何か感じるものがあるのかな?
- Fou
- キュキュ……キャーウ……。
- ?2:モードレッドに凄く同意してるんだね
- Fou
- キュー、キャーウ!
- キュー!
- Mashu
- そうなんですね。フォウさん、
- モードレッドさんに懐いたんでしょうか。
- Fou
- フォーウ……。
- ?!
- Dr. Roman
- こうして暗い通路が続いてるのは、まあ、あれだよ、
- 瓦礫で塞がっていない通路を選んで歩いているからかな。
- Dr. Roman
- 部屋への入口はどこもかしこも潰れていたり、
- 瓦礫で埋まっていたり……
- Dr. Roman
- どうも、念入りに破壊された節があるな。
- 実際のところ、生き残りの魔術師さえいないんだ。
- Dr. Roman
- この推測が確かなら、敵は
- 戦力をここへ送り込んだはずだ。それが
- Mordred
- 今も残ってるかも知れない、ってか?
- それで合ってるみたいだぜ。
- Fou
- フォウ!
- Mashu
- 魔力反応、感知しました!
- 先輩、曲がり角の先に何かがいます!
- ?1:戦闘だ!
- ?2:閉鎖空間だから注意して!
- ?!
- Mashu
- 了解です、マスター!
- Anderson
- やれやれ。
- 今回は特別に俺が助力してやろう。本当に特別だぞ。
- ==
- Jekyll
- ミスター・アンデルセン。
- この扉は
- Anderson
- 魔力を感じるな。
- 間違いないだろう、魔術で守られた書庫への入口だ。
- Anderson
- 瓦礫で塞がってもいないな。好都合だ。
- 俺の求める資料があればいいが、運次第ではある。
- Anderson
- セイバー、マシュ・キリエライト。
- それに[%1]。
- Anderson
- 俺とジキルは中へ入って資料を探す。
- 扉を守ってくれ。
- ?1:了解
- ?2:任せて!
- ?!
- Mashu
- はい、先輩。
- Mordred
- さっさと見付けて戻って来いよ。
- いつ敵さんが駆け付けてくるかわかったものじゃ
- Mordred
- っと、早速おいでなすったな。
- 空飛ぶ本に、ヘルタースケルターまでいるぞこりゃ。
- Dr. Roman
- 動体反応多数!
- こ、これはあまり良くないぞ!
- Dr. Roman
- 次から次へと殺到してくる感じだ、総数が読み切れない!
- アンデルセン、目当ての資料を見付けたら脱出だ!
- Anderson
- あー……
- それはどうかな。これは困った。
- Jekyll
- これは……確かに困ったね……
- 成る程、こういう仕掛けで魔術書を守ってるのか……
- Mordred
- 何だ?
- もったいぶってないでさっさと言え!
- Jekyll
- 蔵書に特殊な、しかも厳重な魔術が仕掛けられていて
- この部屋の外には持ち出せない! 扉をくぐれないんだ!
- Anderson
- 幸運にも目当ての資料は幾つかあたりをつけた。
- だが、あー……これはなあ……
- Anderson
- ……[#俺が読み終えるまで暫く待て]。
- Mordred
- はあ!?
- Shakespeare
- 片や、神秘の園の深奥にて知識を読み耽り!
- 片や、並み居る強敵を前に扉を守らんとする!
- Shakespeare
- 片や、知の戦い!
- 片や、武の戦い!
- Shakespeare
- なかなかにこれは、そう、まさしく
- 心躍る[#状況:シチュエーション]ではありますまいか!!
- Shakespeare
- 嗚呼、吾輩はどちらにて立ち居振る舞うべきか!
- どちらの様子をこの目にし、本として記し残すべきか!
- Mordred
- いいからおまえはこっちで戦え!
- 来るぞ!
- Mashu
- …………防衛戦になります!
- マスター、指示を!
- ==
- Mordred
- 一通りは倒したか
- いや、待て、まだ来るか……!
- Dr. Roman
- まだまだ来るとも!
- どうにも地形的に分が悪すぎる戦闘だねこれは!
- Dr. Roman
- 敵は際限なくやってくる!
- 対して、こちらは一カ所を守り続けなきゃいけない!
- Mashu
- 現状はともかく、長引けば危険です。
- マスター!
- ?1:まだ退けない!
- ?2:もう少しだけ踏ん張って!
- ?!
- Mashu
- ……了解しました、マスター。
- 戦闘継続します!
- Anderson
- もう少しだけ頼むぞ、[%1]!
- 今、一番いいところだ。ここで退いては意味がない。
- Shakespeare
- 多勢に無勢! まさに正義の戦いには相応しい
- [#状況:シチュエーション]ではありますが、しかし
- Shakespeare
- 流石に数が多いと言わざるを得ませんね。
- 吾輩、そろそろ魔力が尽きます。実は尽きています。
- Mordred
- な
- Jekyll
- ……ああもう、仕方ない。
- これはできれば避けておきたかったんだけどな。
- Mordred
- は?
- おい、ジキルおまえ、何を通路に出てんだよ!
- Mordred
- 魔術師崩れがどうにかなるかよ、
- さっさと書庫に戻ってろ!
- Jekyll
- 言っただろ。
- 奥の手があるって。
- Fou
- フォウ??
- Mashu
- ジキルさん、それは
- Jekyll
- 霊薬だよ。僕の[#特製]のね。
- これを、こうして……こういう風に……打ち込むと……
- Dr. Roman
- な、何だ!?
- そこに奇妙な魔力反応が突然発生してるよ!?
- Fou
- フォ
- ウ!!
- キャウ!
- Jekyll
- ははッ
- Jekyll
- ひひひ、ははははははははははははははッ!
- ひっさしぶりに表に出たぜェ! 俺様ちゃん参上ォ!!
- Mordred
- はァ!?
- Mashu
- ……!
- ……!?
- ?1:誰?
- ?2:ジキル……さん?
- ?!
- Mashu
- はい、ジキルさん……ヘンリー・ジキル氏です!
- ですが、これではまるで[#小説に在る通り]の変貌を……
- Hyde
- 俺は[#ハイド]だ!!
- 気に入らねえ奴は殺す、邪魔な奴は殺す、殺す殺す殺す!
- Hyde
- ひゃッはははははははははははははははははァ!
- 殺してやるぞォォ! ヘルタースケルターよォ!!
- Mordred
- ……一目散に敵へ襲い掛かっていきやがった。
- まるでバーサーカーだな、やるじゃねーか!
- Dr. Roman
- 霊薬による変貌か。なるほど、まさしくジキルとハイド!
- しかし物理的変容をもたらすなら、負荷も凄い筈だ!
- Dr. Roman
- あんまり長時間は保たないと思うから、
- やっぱりアンデルセンは早く資料を読み切ってくれ!
- Anderson
- 十二分にわかっている。
- そう急かすな。
- Anderson
- 読書というものはだな、自分のペースで行うべきだ。
- そう、ひとり、こうして静かな部屋でゆっくりと
- Anderson
- ん。静かではないな。
- 外の騒がしさがやけに聞こえてくる。
- Mordred
- わかってねーじゃねーかっ!
- いいから急げ!
- Mordred
- ……くそっ。盾ヤロウ、ジキルに続くぞ!
- Mashu
- はいっ。
- 先輩!
- ?1:連携を取りつつ、深追い禁物!
- ?2:ハイドさんに深追いさせないように!
- ?!
- Mashu
- 了解、マスター! 戦闘を継続します!
- ==
- Mashu
- 敵性集団、撃破しました!
- Jekyll
- ……終わった、か……
- ふう、僕はちょっと……もうこれ以上は無理だな……
- Mordred
- お。元に戻ったな。
- Jekyll
- 元に戻らない可能性もあったから、戻れて良かったよ。
- それで、アンデルセンの資料読解は
- Anderson
- 完了だ。
- 目当ての資料はおおむね解読終了できた。
- Anderson
- それに、幾つか興味深い本もあった。
- 個人的好奇心も充足したぞ。おまえたち、お手柄だ。
- Mordred
- 個人的好奇心……?
- Fou
- ……フォウ……。
- ……フォ……。
- Dr. Roman
- なんて自由な男なんだ、アンデルセン……。
- その堂々たる生き様には感じ入るものがあるが、しかし。
- Dr. Roman
- と、ともかく急いで離脱するんだ!
- まだまだ敵は殺到してくるぞ!
- ?1:離脱だ、マシュ!
- ?2:お疲れさま。戦闘終了だ
- ?!
- Mashu
- はい、先輩。
- ただちに地上へ帰還しましょう。
- Anderson
- 改めて、ご苦労だった。
- アパルトメントに戻って結果を披露しよう。
- Shakespeare
- よし、休息充分ですとも!
- さあ、吾輩も再び勇者たちの戦いに参戦いたしましょう!
- Shakespeare
- おや?
- 皆さま、お帰りの準備ですかな?
- Mordred
- そうだよ!
- さっさと帰るぞ!
- Anderson
- と、言う訳で。だ
- 諸君らの尽力である疑問が解消された。
- Anderson
- 改めて礼を言う。
- ありがとう、[%1]、マシュ、セイバー。
- Mordred
- お、おう。
- Anderson
- まあ、[#懐:ふところ]が寂しいので一ペンスの謝礼も出せないが、
- そこはこの考察で相殺してほしい。
- Jekyll
- うん、楽しみだよミスター・アンデルセン。
- 体中の筋肉痛も気にならないぐらい。
- Fou
- フォウ。
- Anderson
- では。一刻も早く安静になるべきジキル氏の容体を
- 考慮して本題に入ろう。
- Anderson
- 俺が気になったものは、
- そもそも“英霊”と“サーヴァント”の関係だ。
- Anderson
- 英霊とは人類史における記録、成果だ。
- Anderson
- それが実在のものであろうとなかろうと、
- 人類があるかぎり常に在り続けるものだ。
- Anderson
- 一方、サーヴァントは違う。
- これは英霊を現実に“在る”ものとして扱うもの……
- Anderson
- もともと在るのか無いのか判らないものに、
- クラスという器を与えて“現実のもの”にした使い魔だ。
- Anderson
- だがジキル、そしてロマンとやら。
- そんな事が人間の、魔術師の力で可能なのか?
- Anderson
- 英霊を使い魔にする
- なるほど、
- これは強力だ。最強の召喚術だろう。
- Anderson
- だがそれは人間だけの力で扱える術式ではない。
- 可能だとしたら、それは
- Dr. Roman
- 人間以上の存在。世界、あるいは神と呼ばれる、
- 超自然的な存在が行う[#権能:けんのう]だ、と言いたいのかな?
- Anderson
- そうだ。英霊召喚は人間だけの力では行えない。
- そこには何か、必ず他の理由が
- Anderson
- 他の後押しが必要なのでは、と俺は考えた。
- Mashu
- ……あの。
- それが聖杯なのではないでしょうか?
- Mashu
- 事実、これまで聖杯によって多くのサーヴァントが
- 召喚されました。
- Anderson
- そうだ。おまえたちは七つの特異点と言った。
- 七つの聖杯が時代を狂わせていると。
- Anderson
- 俺はそこで、ドクター・ロマンから
- 聖杯について話を聞き出した。
- Anderson
- 英霊召喚を可能とする聖杯戦争とは何なのか。
- それはどういう経緯で作りあげられたものなのかと。
- Dr. Roman
- うん。詳しい資料はないけど、発端は日本の地方都市だ。
- [%1][&君:ちゃん]。君たちが訪れた、あの炎上都市だよ。
- Anderson
- その都市では聖杯の器を作りあげ、聖杯の力で英霊を
- 召喚し、サーヴァントとして競わせたという。
- Anderson
- 俺が妙な引っかかりを覚えたのはそこだ。
- 英霊同士に戦わせる、というコンセプトに[#瑕:きず]がある。
- Anderson
- これはどうも、もう一段階、裏がある。
- そう考えて魔術協会で資料を漁った。
- Anderson
- 結果は読み通りだった。
- Anderson
- 降霊儀式・英霊召喚とは、
- もともと七つの力を一つにぶつける儀式らしい。
- Anderson
- 決して、呼びだした七騎の英霊同士で
- 競い合わせるものじゃない。
- Anderson
- 『儀式・英霊召喚』と『儀式・聖杯戦争』は
- 同じシステムだが、違うジャンルのものだと言える。
- Anderson
- 『聖杯戦争』は元にあった魔術を、人間が利己的に
- 使用できるようにアレンジしたものなのだろう。
- Anderson
- 一方、その元になった『英霊召喚』は、
- Anderson
- “一つの巨大な敵”に対して、
- “人類最強の七騎”を投入する用途の儀式だった。
- Anderson
- それがフユキの聖杯戦争でねじ曲げられた部分だ。
- ?1:……じゃあアンデルセンたちも?
- Anderson
- ああ。もともと七つしかいないモノを参考にして
- 召喚された、それ以後の英霊
- Anderson
- まあ、安価で使いやすい、
- 何にでも使える使い魔というコトさ。
- ?2:……えっと、どういうコト?
- Anderson
- ……儀式・聖杯戦争には手本になったものがある、
- という事だ、今はそれだけでいい。
- ?!
- Dr. Roman
- ふむふむ、なるほどなるほど!
- 興味深い考察だ。
- Dr. Roman
- カルデアも一から英霊召喚システムを
- 作りあげる事はできなかった。
- Dr. Roman
- フユキの儀式を解読、改良して安定させたけど、
- そのオリジナルがある事までは考慮していなかった。
- Fou
- フォーウ!
- Mashu
- はい、ドクター。
- これまでになかった観点からの指摘でした。
- Mashu
- 聖杯戦争という魔術儀式に対する、根本からの疑問。
- Mashu
- 本来の英霊の在り方は知っていたつもりです。
- ただ、あくまでそれは、知識としてであって
- Mashu
- 今回の指摘のレベルにまでは至りませんでした。
- 流石ですね、アンデルセンさん。
- Mashu
- これが、世界に名を残すほどの作家に備わった
- 研ぎ澄まされた観察眼、というものなのでしょうか。
- ?1:そうかもしれない
- ?2:俯瞰した視点っていうものかな
- ?!
- Mordred
- そんなご大層なもんかね。
- まー……そりゃいいんだが、なんつーかさ。
- Mordred
- ヘルタースケルターの大量発生、って問題には
- さして影響ないよな。それって。
- Mashu
- そ……
- それ、は……
- Dr. Roman
- ……ま、まあそうなんだけどね。
- Anderson
- 当然だろう。
- 俺は英霊召喚のシステムに引っかかりを覚えただけだ。
- Anderson
- 仮に、我々が一つのシステムによって
- 呼びだされた通常の[#霊基:クラス]だとしたら
- Anderson
- このシステムの元になった原点の七つは、
- いったいどれほどの霊基を与えられていたのかとな。
- Anderson
- ……で、似たようなことを考えた奴が他にもいた訳だ。
- Anderson
- このあたりの情報が、散逸して然るべき部分まで
- ご丁寧に一カ所に集めてあったのは偶然とは思えん。
- Anderson
- 我々の訪れを予期して、
- そうしておいた[#何者か]がいるんだろう。
- Mashu
- 何者か……?
- Dr. Roman
- 何だろう、時計塔の魔術師の生き残りかな。
- それともサーヴァント?
- Anderson
- 魔術師とは思えないが、サーヴァントにしても
- 理由が分からん。これは棚上げ事項だな。
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