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London: Dead Mages Association

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Aug 1st, 2017
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  1. Mordred
  2. ……おまえなあ。
  3. 大人数ったって、おまえは戦力に数えられないだろーが。
  4.  
  5. Jekyll
  6. 魔術協会跡地の探索だよ?
  7. 碩学たる者、知的好奇心が疼かない訳がないじゃないか。
  8.  
  9. Jekyll
  10. それに、僕だっていざという時には役に立つさ。
  11. [#奥の手]もあるからね。
  12.  
  13. Jekyll
  14. それに、きっと君たちが守ってくれるだろう?
  15. 頼りにしてるよ。セイバー。
  16.  
  17. Mordred
  18. だーから、オレは守ったりなんかしねーっての。
  19. 勝手にしろ、ったく。
  20.  
  21. Dr. Roman
  22. さてと。早々に移動しなくちゃね。
  23. 大英博物館だから、リージェントパークエリアかな。
  24.  
  25. Dr. Roman
  26. ここからはそれなりに距離があるね。
  27. 連戦に次ぐ連戦を覚悟しないといけないな。
  28.  
  29. Dr. Roman
  30. ん?
  31. そういえば
  32.  
  33. Dr. Roman
  34. 魔術協会という組織は、ロンドン郊外とかに幾つかの
  35. 学術都市として存在しているんじゃなかった?
  36.  
  37. Jekyll
  38. それはそれ、ここはここだよ。
  39.  
  40. Jekyll
  41. ロンドン本部は協会発祥の地で、その後何百年かあと、
  42. 規模が大きくなったんで施設を増やしたんだ。
  43.  
  44. Jekyll
  45. それがロンドンを中心にして点在する各学術都市。
  46. 魔術協会・時計塔は心臓部分であるロンドンと、
  47.  
  48. Jekyll
  49. ロンドンを囲むように作られた複数の都市で
  50. 構成されているんだよ。
  51.  
  52. Jekyll
  53. ドクター、君、もしかして時計塔に来たことなかった?
  54.  
  55. Anderson
  56. なんだ。どうにも垢抜けないと思ったが、
  57. どこぞの田舎者か?
  58.  
  59. Dr. Roman
  60. う。い、いや違うんだよ?
  61.  
  62. Dr. Roman
  63. ちょっとロンドンには縁がなかったというか、
  64. 遠かったというか……
  65.  
  66. Dr. Roman
  67. で、でもロンドンの事情は知っていたとも!
  68. マリー所長だって魔術協会からの出向だったんだしね!
  69.  
  70. Mordred
  71. 無駄口はいい。
  72. さっさと
  73. ああ、言ってるそばからこれだ。
  74.  
  75. Mashu
  76. 機械作動音、多数!
  77. 先輩、ヘルタースケルターの出現と思われます!
  78.  
  79. Fou
  80. フォウ、フォーウ!
  81.  
  82. Dr. Roman
  83. さっそくのご登場か。
  84. まずは切り抜けて、リージェントパークへ急ぐんだ!
  85.  
  86. ?1:了解
  87.  
  88. ?2:切り抜ける!
  89.  
  90. ?!
  91.  
  92. Mashu
  93. はい、マスター!
  94.  
  95. ==
  96.  
  97. Shakespeare
  98. 大英帝国の象徴のひとつたる大英博物館!
  99. その、跡地
  100.  
  101. Shakespeare
  102. 嗚呼、なんと痛ましい光景なのでしょうか、
  103. 人類史の至宝の数々を納めたはずの大博物館のこの姿!
  104.  
  105. Shakespeare
  106. 吾輩は嘆息を禁じ得ません。
  107. 此処に納められていたのは世界と人類の歩みそのもの。
  108.  
  109. Shakespeare
  110. このような所行が許されるものでしょうか! 嗚呼!
  111. それは、かのアレクサンドリア図書館の焼却にも似て!
  112.  
  113. Shakespeare
  114. 実に、痛ましい
  115.  
  116. Shakespeare
  117. しかし、しかし。
  118. これもまた人の所行なのでしょう。
  119.  
  120. Shakespeare
  121. 愚かしさも痛ましさも、紛うことなき人の在りよう。
  122. [#神は、我々を人とするために欠点を与えるもの:You gods, will give us. Some faults to make us men.]。
  123.  
  124. Mordred
  125. ……前に来た時と様子は変わらないな。
  126. 瓦礫。廃墟。それだけだ。
  127.  
  128. Mordred
  129. ここを破壊したヤツは個人的な恨みもあったんだろうさ。
  130. 生存者は皆無だな。
  131.  
  132. Mashu
  133. ここが、大英博物館……その跡地。
  134. 画像データでのみ、偉容を目にしていましたが……
  135.  
  136. Mashu
  137. 建造物への破壊が行われていないロンドンで、
  138. ここだけが、こんな風に……
  139.  
  140. ?1:痛ましいね
  141.  
  142. ?2:廃墟は好きになれないな
  143.  
  144. ?!
  145.  
  146. Mashu
  147. はい、先輩……
  148. はい……
  149.  
  150. Anderson
  151. では肉体労働組。
  152. あー、特にセイバーとマシュ・キリエライト。
  153.  
  154. Mashu
  155. はい。
  156.  
  157. Mordred
  158. あ?
  159.  
  160. Anderson
  161. このあたりを掘り返してみてくれ。ジキル氏の話に
  162. よると、時計塔は地下にも広がっていたらしい。
  163.  
  164. Anderson
  165. いかに破壊が徹底的でも、地面はこの通り無事だ。
  166. であれば、我らが目指すべきは地下空間だ。
  167.  
  168. Anderson
  169. しかしあいにくと階段は瓦礫で埋まっている。
  170. であれば
  171. なあ?
  172.  
  173. Anderson
  174. サーヴァントの馬鹿力、その面目躍如というワケだ!
  175. さあ、ブルドーザーのように暴れまくるがいい!
  176.  
  177. Shakespeare
  178. 確かにその通り……! 哀しいかな、吾輩がペンより
  179. 重い物を持てば凄まじい魔力消費となりましょう!
  180.  
  181. Fou
  182. フォーウ…………。
  183.  
  184. Mordred
  185. …………。
  186.  
  187. Jekyll
  188. ぼ、僕は手伝うよ。うん。
  189. 物の役にも立たないだろうけど。
  190.  
  191. Dr. Roman
  192. やった! ボクのほうが今回は早い!
  193. 君たちのすぐ近くに魔力反応、それもかなりの数だよ!
  194.  
  195. Mordred
  196. ん……確かに、何かいるな。
  197. 何だこりゃ?
  198.  
  199. Dr. Roman
  200. 視界では周囲に何も見えないんだね?
  201. でも確かにいる。それに、ぐんぐん動いているから、
  202.  
  203. Dr. Roman
  204. 廃墟の中に散らばった魔術礼装と言う訳でもない。
  205. となれば回答はひとつだ!
  206.  
  207. Jekyll
  208. 地下からか!?
  209. セイバー、すまないが警戒を
  210.  
  211. Mordred
  212. マスター[#面:ヅラ]すんな!
  213. わかってる、出てくるならやるまでだ!
  214.  
  215. Mashu
  216. マスター、敵性存在が複数出現です!
  217. 魔力反応、高まっていきます
  218. 攻撃態勢と推測!
  219.  
  220. ?1:戦闘だ!
  221.  
  222. ?2:気を付けて!
  223.  
  224. ?!
  225.  
  226. Mashu
  227. はい、マスター。
  228. 戦闘開始します!
  229.  
  230. Shakespeare
  231. 此度は吾輩もお手伝いいたしましょう。
  232. 瓦礫の中に舞う盾の乙女
  233. 実に、想像力を刺激する!
  234.  
  235. ==
  236.  
  237. Mashu
  238. 戦闘終了です、先輩。
  239. お疲れさまでした。
  240.  
  241. Dr. Roman
  242. 周囲にヘルタースケルターはいないみたいだけど、
  243. 代わりに厄介なものが出て来たねえ……。
  244.  
  245. ?1:あの外観って……。
  246.  
  247. ?2:見覚えのある形だったね。
  248.  
  249. ?!
  250.  
  251. Mashu
  252. はい、先輩。敵性体の形状は
  253. ソーホーで遭遇した魔本に酷似していましたね。
  254.  
  255. Mashu
  256. ですが、あの時とは違って攻撃が通用しました。
  257. アンデルセンさんが名を与えることもなく、ごく単純に、
  258.  
  259. Mashu
  260. 通常の攻撃のみで対処が可能でした。
  261. 形状変化もなく……
  262.  
  263. Mordred
  264. 前に来た時は、あんなのいなかったぜ。
  265. ふわふわした本なんざ。
  266.  
  267. Jekyll
  268. いいかな。予想ではあるけど、あれは多分、
  269. 魔術書の類が変質してしまったものだと思うんだ。
  270.  
  271. Jekyll
  272. 地下の魔術協会に秘蔵されていたものが、
  273. 魔霧の影響を受けることでああなったのかも知れない。
  274.  
  275. Dr. Roman
  276. (あっ……。
  277. ボクも同じこと思ったんだけど先に言われた……)
  278.  
  279. Anderson
  280. ……本が群れを成して襲って来る、か。
  281.  
  282. Shakespeare
  283. ……悪夢、もしくは地獄の如き様相でしたな。
  284.  
  285. Anderson
  286. 馬鹿を言え。
  287. あんなものは、別にどうということも……
  288.  
  289. Anderson
  290. …………。
  291.  
  292. Shakespeare
  293. …………。
  294. ……。
  295.  
  296. Mordred
  297. ははっ、なんだよ作家ども。
  298. 今までみたいにぺらぺら喋らねーのか?
  299.  
  300. Anderson
  301. ……我慢しているだけだ。いいや、やめだ。やめ!
  302. ああ気持ち良かった! 最高の気分だ!
  303.  
  304. Mordred
  305. ん??
  306.  
  307. Shakespeare
  308. 本を灼く! それは有り得ざる行いに他なりません!
  309. 嗚呼、嘆かわしい……しかし、そこには一縷の甘美あり!
  310.  
  311. Shakespeare
  312. 決して行ってはならない悪行、許されざる蛮行!
  313. そこには哀しみしかないはずであるのに
  314.  
  315. Shakespeare
  316. 吾輩はこの瞬間にわずかに一縷、
  317. 背徳の甘美を感じざるを得ません! おお、神よ!
  318.  
  319. Anderson
  320. 俺以外の著者の作品など存在せずとも構わん。
  321. ああ、もっと言えば俺の著作さえも灼き尽くしたいぞ!
  322.  
  323. Anderson
  324. 本が世界になければ!
  325. 数多の名著を生涯で読みきれないと嘆くこともない!
  326.  
  327. Anderson
  328. 本が世界になければ!
  329. なんだこのゴミはいい加減にしろと憤ることもない!
  330.  
  331. Anderson
  332. 本が世界になければ!
  333. ついぞ俺が〆切に追われることもない!
  334.  
  335. Shakespeare
  336. なんと正直な御方か……!
  337. 嗚呼、しかし、しかしその言葉は吾輩の胸を打つ!
  338.  
  339. Fou
  340. フォ、フォーウ……。
  341.  
  342. Mordred
  343. な、なんだこいつら……。
  344.  
  345. Jekyll
  346. 何か凄いね……
  347. 本当に……
  348.  
  349. ?1:作家というのは歪んでいるんだなあ
  350.  
  351. ?2:作家というのは自己矛盾の生物なのかな…
  352.  
  353. ?!
  354.  
  355. Mashu
  356. と、ともかく、先輩。
  357. わたしたちの行く道はお陰ではっきりしましたね。
  358.  
  359. Mashu
  360. [#書籍:ブック]型の敵性体が出現した際に、
  361. 地下階層への入口が偶然にも形成されましたから
  362.  
  363. Dr. Roman
  364. そうだね。作家英霊たちが落ち着いたら、
  365. 早速、地下へ侵入だ!
  366.  
  367. Dr. Roman
  368. わくわくするなあ。
  369. 言わば、魔術協会の本部みたいなものだろうし。
  370.  
  371. Dr. Roman
  372. 一体どんな風になってるんだろうねえ。
  373. ああ、ボクもその場に行って目の当たりにしたいよ。
  374.  
  375. Mordred
  376. じゃ、おまえも来いよ。
  377. 声だけじゃなくて。
  378.  
  379. Dr. Roman
  380. ボ、ボクはその……ほら……
  381. 観測とかカルデアの維持とかいろいろあるからほら……
  382.  
  383. Dr. Roman
  384. よ、よーし!
  385. 引き続き観測がんばっちゃうぞー!
  386.  
  387. Fou
  388. フォーウ、キュキュ……。
  389.  
  390. ==
  391.  
  392. Jekyll
  393. …………まるで無限に続く[#迷宮:ダンジョン]、だな。
  394.  
  395. Anderson
  396. 暗いな。
  397.  
  398. Shakespeare
  399. 然り。更には、いやに空気も湿っていますな。
  400.  
  401. Mordred
  402. 魔術師の住処ってのはそういうもんだろ、
  403. 暗くてじめじめしたところが好きって相場が決まってる。
  404.  
  405. Mashu
  406. そうですか?
  407.  
  408. Fou
  409. キュー、キャーウ!
  410. フォーウ!!
  411.  
  412. Mordred
  413. ほら、小動物もそうだって言ってるぜ。
  414. ここはいかにも魔術師に相応しい、ってな。なー?
  415.  
  416. Fou
  417. キュー!
  418.  
  419. Mashu
  420. フォウさん?
  421. なんだか、興奮しているような……
  422.  
  423. ?1:何か感じるものがあるのかな?
  424.  
  425. Fou
  426. キュキュ……キャーウ……。
  427.  
  428. ?2:モードレッドに凄く同意してるんだね
  429.  
  430. Fou
  431. キュー、キャーウ!
  432. キュー!
  433.  
  434. Mashu
  435. そうなんですね。フォウさん、
  436. モードレッドさんに懐いたんでしょうか。
  437.  
  438. Fou
  439. フォーウ……。
  440.  
  441. ?!
  442.  
  443. Dr. Roman
  444. こうして暗い通路が続いてるのは、まあ、あれだよ、
  445. 瓦礫で塞がっていない通路を選んで歩いているからかな。
  446.  
  447. Dr. Roman
  448. 部屋への入口はどこもかしこも潰れていたり、
  449. 瓦礫で埋まっていたり……
  450.  
  451. Dr. Roman
  452. どうも、念入りに破壊された節があるな。
  453. 実際のところ、生き残りの魔術師さえいないんだ。
  454.  
  455. Dr. Roman
  456. この推測が確かなら、敵は
  457. 戦力をここへ送り込んだはずだ。それが
  458.  
  459. Mordred
  460. 今も残ってるかも知れない、ってか?
  461. それで合ってるみたいだぜ。
  462.  
  463. Fou
  464. フォウ!
  465.  
  466. Mashu
  467. 魔力反応、感知しました!
  468. 先輩、曲がり角の先に何かがいます!
  469.  
  470. ?1:戦闘だ!
  471.  
  472. ?2:閉鎖空間だから注意して!
  473.  
  474. ?!
  475.  
  476. Mashu
  477. 了解です、マスター!
  478.  
  479. Anderson
  480. やれやれ。
  481. 今回は特別に俺が助力してやろう。本当に特別だぞ。
  482.  
  483. ==
  484.  
  485. Jekyll
  486. ミスター・アンデルセン。
  487. この扉は
  488.  
  489. Anderson
  490. 魔力を感じるな。
  491. 間違いないだろう、魔術で守られた書庫への入口だ。
  492.  
  493. Anderson
  494. 瓦礫で塞がってもいないな。好都合だ。
  495. 俺の求める資料があればいいが、運次第ではある。
  496.  
  497. Anderson
  498. セイバー、マシュ・キリエライト。
  499. それに[%1]。
  500.  
  501. Anderson
  502. 俺とジキルは中へ入って資料を探す。
  503. 扉を守ってくれ。
  504.  
  505. ?1:了解
  506.  
  507. ?2:任せて!
  508.  
  509. ?!
  510.  
  511. Mashu
  512. はい、先輩。
  513.  
  514. Mordred
  515. さっさと見付けて戻って来いよ。
  516. いつ敵さんが駆け付けてくるかわかったものじゃ
  517.  
  518. Mordred
  519. っと、早速おいでなすったな。
  520. 空飛ぶ本に、ヘルタースケルターまでいるぞこりゃ。
  521.  
  522. Dr. Roman
  523. 動体反応多数!
  524. こ、これはあまり良くないぞ!
  525.  
  526. Dr. Roman
  527. 次から次へと殺到してくる感じだ、総数が読み切れない!
  528. アンデルセン、目当ての資料を見付けたら脱出だ!
  529.  
  530. Anderson
  531. あー……
  532. それはどうかな。これは困った。
  533.  
  534. Jekyll
  535. これは……確かに困ったね……
  536. 成る程、こういう仕掛けで魔術書を守ってるのか……
  537.  
  538. Mordred
  539. 何だ?
  540. もったいぶってないでさっさと言え!
  541.  
  542. Jekyll
  543. 蔵書に特殊な、しかも厳重な魔術が仕掛けられていて
  544. この部屋の外には持ち出せない! 扉をくぐれないんだ!
  545.  
  546. Anderson
  547. 幸運にも目当ての資料は幾つかあたりをつけた。
  548. だが、あー……これはなあ……
  549.  
  550. Anderson
  551. ……[#俺が読み終えるまで暫く待て]。
  552.  
  553. Mordred
  554. はあ!?
  555.  
  556. Shakespeare
  557. 片や、神秘の園の深奥にて知識を読み耽り!
  558. 片や、並み居る強敵を前に扉を守らんとする!
  559.  
  560. Shakespeare
  561. 片や、知の戦い!
  562. 片や、武の戦い!
  563.  
  564. Shakespeare
  565. なかなかにこれは、そう、まさしく
  566. 心躍る[#状況:シチュエーション]ではありますまいか!!
  567.  
  568. Shakespeare
  569. 嗚呼、吾輩はどちらにて立ち居振る舞うべきか!
  570. どちらの様子をこの目にし、本として記し残すべきか!
  571.  
  572. Mordred
  573. いいからおまえはこっちで戦え!
  574. 来るぞ!
  575.  
  576. Mashu
  577. …………防衛戦になります!
  578. マスター、指示を!
  579.  
  580. ==
  581.  
  582. Mordred
  583. 一通りは倒したか
  584. いや、待て、まだ来るか……!
  585.  
  586. Dr. Roman
  587. まだまだ来るとも!
  588. どうにも地形的に分が悪すぎる戦闘だねこれは!
  589.  
  590. Dr. Roman
  591. 敵は際限なくやってくる!
  592. 対して、こちらは一カ所を守り続けなきゃいけない!
  593.  
  594. Mashu
  595. 現状はともかく、長引けば危険です。
  596. マスター!
  597.  
  598. ?1:まだ退けない!
  599.  
  600. ?2:もう少しだけ踏ん張って!
  601.  
  602. ?!
  603.  
  604. Mashu
  605. ……了解しました、マスター。
  606. 戦闘継続します!
  607.  
  608. Anderson
  609. もう少しだけ頼むぞ、[%1]!
  610. 今、一番いいところだ。ここで退いては意味がない。
  611.  
  612. Shakespeare
  613. 多勢に無勢! まさに正義の戦いには相応しい
  614. [#状況:シチュエーション]ではありますが、しかし
  615.  
  616. Shakespeare
  617. 流石に数が多いと言わざるを得ませんね。
  618. 吾輩、そろそろ魔力が尽きます。実は尽きています。
  619.  
  620. Mordred
  621.  
  622. Jekyll
  623. ……ああもう、仕方ない。
  624. これはできれば避けておきたかったんだけどな。
  625.  
  626. Mordred
  627. は?
  628. おい、ジキルおまえ、何を通路に出てんだよ!
  629.  
  630. Mordred
  631. 魔術師崩れがどうにかなるかよ、
  632. さっさと書庫に戻ってろ!
  633.  
  634. Jekyll
  635. 言っただろ。
  636. 奥の手があるって。
  637.  
  638. Fou
  639. フォウ??
  640.  
  641. Mashu
  642. ジキルさん、それは
  643.  
  644. Jekyll
  645. 霊薬だよ。僕の[#特製]のね。
  646. これを、こうして……こういう風に……打ち込むと……
  647.  
  648. Dr. Roman
  649. な、何だ!?
  650. そこに奇妙な魔力反応が突然発生してるよ!?
  651.  
  652. Fou
  653. フォ
  654. ウ!!
  655. キャウ!
  656.  
  657. Jekyll
  658. ははッ
  659.  
  660. Jekyll
  661. ひひひ、ははははははははははははははッ!
  662. ひっさしぶりに表に出たぜェ! 俺様ちゃん参上ォ!!
  663.  
  664. Mordred
  665. はァ!?
  666.  
  667. Mashu
  668. ……!
  669. ……!?
  670.  
  671. ?1:誰?
  672.  
  673. ?2:ジキル……さん?
  674.  
  675. ?!
  676.  
  677. Mashu
  678. はい、ジキルさん……ヘンリー・ジキル氏です!
  679. ですが、これではまるで[#小説に在る通り]の変貌を……
  680.  
  681. Hyde
  682. 俺は[#ハイド]だ!!
  683. 気に入らねえ奴は殺す、邪魔な奴は殺す、殺す殺す殺す!
  684.  
  685. Hyde
  686. ひゃッはははははははははははははははははァ!
  687. 殺してやるぞォォ! ヘルタースケルターよォ!!
  688.  
  689. Mordred
  690. ……一目散に敵へ襲い掛かっていきやがった。
  691. まるでバーサーカーだな、やるじゃねーか!
  692.  
  693. Dr. Roman
  694. 霊薬による変貌か。なるほど、まさしくジキルとハイド!
  695. しかし物理的変容をもたらすなら、負荷も凄い筈だ!
  696.  
  697. Dr. Roman
  698. あんまり長時間は保たないと思うから、
  699. やっぱりアンデルセンは早く資料を読み切ってくれ!
  700.  
  701. Anderson
  702. 十二分にわかっている。
  703. そう急かすな。
  704.  
  705. Anderson
  706. 読書というものはだな、自分のペースで行うべきだ。
  707. そう、ひとり、こうして静かな部屋でゆっくりと
  708.  
  709. Anderson
  710. ん。静かではないな。
  711. 外の騒がしさがやけに聞こえてくる。
  712.  
  713. Mordred
  714. わかってねーじゃねーかっ!
  715. いいから急げ!
  716.  
  717. Mordred
  718. ……くそっ。盾ヤロウ、ジキルに続くぞ!
  719.  
  720. Mashu
  721. はいっ。
  722. 先輩!
  723.  
  724. ?1:連携を取りつつ、深追い禁物!
  725.  
  726. ?2:ハイドさんに深追いさせないように!
  727.  
  728. ?!
  729.  
  730. Mashu
  731. 了解、マスター! 戦闘を継続します!
  732.  
  733. ==
  734.  
  735. Mashu
  736. 敵性集団、撃破しました!
  737.  
  738. Jekyll
  739. ……終わった、か……
  740. ふう、僕はちょっと……もうこれ以上は無理だな……
  741.  
  742. Mordred
  743. お。元に戻ったな。
  744.  
  745. Jekyll
  746. 元に戻らない可能性もあったから、戻れて良かったよ。
  747. それで、アンデルセンの資料読解は
  748.  
  749. Anderson
  750. 完了だ。
  751. 目当ての資料はおおむね解読終了できた。
  752.  
  753. Anderson
  754. それに、幾つか興味深い本もあった。
  755. 個人的好奇心も充足したぞ。おまえたち、お手柄だ。
  756.  
  757. Mordred
  758. 個人的好奇心……?
  759.  
  760. Fou
  761. ……フォウ……。
  762. ……フォ……。
  763.  
  764. Dr. Roman
  765. なんて自由な男なんだ、アンデルセン……。
  766. その堂々たる生き様には感じ入るものがあるが、しかし。
  767.  
  768. Dr. Roman
  769. と、ともかく急いで離脱するんだ!
  770. まだまだ敵は殺到してくるぞ!
  771.  
  772. ?1:離脱だ、マシュ!
  773.  
  774. ?2:お疲れさま。戦闘終了だ
  775.  
  776. ?!
  777.  
  778. Mashu
  779. はい、先輩。
  780. ただちに地上へ帰還しましょう。
  781.  
  782. Anderson
  783. 改めて、ご苦労だった。
  784. アパルトメントに戻って結果を披露しよう。
  785.  
  786. Shakespeare
  787. よし、休息充分ですとも!
  788. さあ、吾輩も再び勇者たちの戦いに参戦いたしましょう!
  789.  
  790. Shakespeare
  791. おや?
  792. 皆さま、お帰りの準備ですかな?
  793.  
  794. Mordred
  795. そうだよ!
  796. さっさと帰るぞ!
  797.  
  798. Anderson
  799. と、言う訳で。だ
  800. 諸君らの尽力である疑問が解消された。
  801.  
  802. Anderson
  803. 改めて礼を言う。
  804. ありがとう、[%1]、マシュ、セイバー。
  805.  
  806. Mordred
  807. お、おう。
  808.  
  809. Anderson
  810. まあ、[#懐:ふところ]が寂しいので一ペンスの謝礼も出せないが、
  811. そこはこの考察で相殺してほしい。
  812.  
  813. Jekyll
  814. うん、楽しみだよミスター・アンデルセン。
  815. 体中の筋肉痛も気にならないぐらい。
  816.  
  817. Fou
  818. フォウ。
  819.  
  820. Anderson
  821. では。一刻も早く安静になるべきジキル氏の容体を
  822. 考慮して本題に入ろう。
  823.  
  824. Anderson
  825. 俺が気になったものは、
  826. そもそも“英霊”と“サーヴァント”の関係だ。
  827.  
  828. Anderson
  829. 英霊とは人類史における記録、成果だ。
  830.  
  831. Anderson
  832. それが実在のものであろうとなかろうと、
  833. 人類があるかぎり常に在り続けるものだ。
  834.  
  835. Anderson
  836. 一方、サーヴァントは違う。
  837. これは英霊を現実に“在る”ものとして扱うもの……
  838.  
  839. Anderson
  840. もともと在るのか無いのか判らないものに、
  841. クラスという器を与えて“現実のもの”にした使い魔だ。
  842.  
  843. Anderson
  844. だがジキル、そしてロマンとやら。
  845. そんな事が人間の、魔術師の力で可能なのか?
  846.  
  847. Anderson
  848. 英霊を使い魔にする
  849. なるほど、
  850. これは強力だ。最強の召喚術だろう。
  851.  
  852. Anderson
  853. だがそれは人間だけの力で扱える術式ではない。
  854. 可能だとしたら、それは
  855.  
  856. Dr. Roman
  857. 人間以上の存在。世界、あるいは神と呼ばれる、
  858. 超自然的な存在が行う[#権能:けんのう]だ、と言いたいのかな?
  859.  
  860. Anderson
  861. そうだ。英霊召喚は人間だけの力では行えない。
  862. そこには何か、必ず他の理由が
  863.  
  864. Anderson
  865. 他の後押しが必要なのでは、と俺は考えた。
  866.  
  867. Mashu
  868. ……あの。
  869. それが聖杯なのではないでしょうか?
  870.  
  871. Mashu
  872. 事実、これまで聖杯によって多くのサーヴァントが
  873. 召喚されました。
  874.  
  875. Anderson
  876. そうだ。おまえたちは七つの特異点と言った。
  877. 七つの聖杯が時代を狂わせていると。
  878.  
  879. Anderson
  880. 俺はそこで、ドクター・ロマンから
  881. 聖杯について話を聞き出した。
  882.  
  883. Anderson
  884. 英霊召喚を可能とする聖杯戦争とは何なのか。
  885. それはどういう経緯で作りあげられたものなのかと。
  886.  
  887. Dr. Roman
  888. うん。詳しい資料はないけど、発端は日本の地方都市だ。
  889. [%1][&君:ちゃん]。君たちが訪れた、あの炎上都市だよ。
  890.  
  891. Anderson
  892. その都市では聖杯の器を作りあげ、聖杯の力で英霊を
  893. 召喚し、サーヴァントとして競わせたという。
  894.  
  895. Anderson
  896. 俺が妙な引っかかりを覚えたのはそこだ。
  897. 英霊同士に戦わせる、というコンセプトに[#瑕:きず]がある。
  898.  
  899. Anderson
  900. これはどうも、もう一段階、裏がある。
  901. そう考えて魔術協会で資料を漁った。
  902.  
  903. Anderson
  904. 結果は読み通りだった。
  905.  
  906. Anderson
  907. 降霊儀式・英霊召喚とは、
  908. もともと七つの力を一つにぶつける儀式らしい。
  909.  
  910. Anderson
  911. 決して、呼びだした七騎の英霊同士で
  912. 競い合わせるものじゃない。
  913.  
  914. Anderson
  915. 『儀式・英霊召喚』と『儀式・聖杯戦争』は
  916. 同じシステムだが、違うジャンルのものだと言える。
  917.  
  918. Anderson
  919. 『聖杯戦争』は元にあった魔術を、人間が利己的に
  920. 使用できるようにアレンジしたものなのだろう。
  921.  
  922. Anderson
  923. 一方、その元になった『英霊召喚』は、
  924.  
  925. Anderson
  926. “一つの巨大な敵”に対して、
  927. “人類最強の七騎”を投入する用途の儀式だった。
  928.  
  929. Anderson
  930. それがフユキの聖杯戦争でねじ曲げられた部分だ。
  931.  
  932. ?1:……じゃあアンデルセンたちも?
  933.  
  934. Anderson
  935. ああ。もともと七つしかいないモノを参考にして
  936. 召喚された、それ以後の英霊
  937.  
  938. Anderson
  939. まあ、安価で使いやすい、
  940. 何にでも使える使い魔というコトさ。
  941.  
  942. ?2:……えっと、どういうコト?
  943.  
  944. Anderson
  945. ……儀式・聖杯戦争には手本になったものがある、
  946. という事だ、今はそれだけでいい。
  947.  
  948. ?!
  949.  
  950. Dr. Roman
  951. ふむふむ、なるほどなるほど!
  952. 興味深い考察だ。
  953.  
  954. Dr. Roman
  955. カルデアも一から英霊召喚システムを
  956. 作りあげる事はできなかった。
  957.  
  958. Dr. Roman
  959. フユキの儀式を解読、改良して安定させたけど、
  960. そのオリジナルがある事までは考慮していなかった。
  961.  
  962. Fou
  963. フォーウ!
  964.  
  965. Mashu
  966. はい、ドクター。
  967. これまでになかった観点からの指摘でした。
  968.  
  969. Mashu
  970. 聖杯戦争という魔術儀式に対する、根本からの疑問。
  971.  
  972. Mashu
  973. 本来の英霊の在り方は知っていたつもりです。
  974. ただ、あくまでそれは、知識としてであって
  975.  
  976. Mashu
  977. 今回の指摘のレベルにまでは至りませんでした。
  978. 流石ですね、アンデルセンさん。
  979.  
  980. Mashu
  981. これが、世界に名を残すほどの作家に備わった
  982. 研ぎ澄まされた観察眼、というものなのでしょうか。
  983.  
  984. ?1:そうかもしれない
  985.  
  986. ?2:俯瞰した視点っていうものかな
  987.  
  988. ?!
  989.  
  990. Mordred
  991. そんなご大層なもんかね。
  992. まー……そりゃいいんだが、なんつーかさ。
  993.  
  994. Mordred
  995. ヘルタースケルターの大量発生、って問題には
  996. さして影響ないよな。それって。
  997.  
  998. Mashu
  999. そ……
  1000. それ、は……
  1001.  
  1002. Dr. Roman
  1003. ……ま、まあそうなんだけどね。
  1004.  
  1005. Anderson
  1006. 当然だろう。
  1007. 俺は英霊召喚のシステムに引っかかりを覚えただけだ。
  1008.  
  1009. Anderson
  1010. 仮に、我々が一つのシステムによって
  1011. 呼びだされた通常の[#霊基:クラス]だとしたら
  1012.  
  1013. Anderson
  1014. このシステムの元になった原点の七つは、
  1015. いったいどれほどの霊基を与えられていたのかとな。
  1016.  
  1017. Anderson
  1018. ……で、似たようなことを考えた奴が他にもいた訳だ。
  1019.  
  1020. Anderson
  1021. このあたりの情報が、散逸して然るべき部分まで
  1022. ご丁寧に一カ所に集めてあったのは偶然とは思えん。
  1023.  
  1024. Anderson
  1025. 我々の訪れを予期して、
  1026. そうしておいた[#何者か]がいるんだろう。
  1027.  
  1028. Mashu
  1029. 何者か……?
  1030.  
  1031. Dr. Roman
  1032. 何だろう、時計塔の魔術師の生き残りかな。
  1033. それともサーヴァント?
  1034.  
  1035. Anderson
  1036. 魔術師とは思えないが、サーヴァントにしても
  1037. 理由が分からん。これは棚上げ事項だな。
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