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Puella Historia: Mirage of Alexandria JP Text

Mar 10th, 2023 (edited)
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  1. FILENAME: text_518610-0.txt
  2. <静寂に風が吹き 誰かの足跡を砂が消していく>
  3. <広大なる砂漠、地平は遥か遠く>
  4. <照りつける太陽の光が魂をも焦がしていく>
  5. <それでも人は砂漠を歩く>
  6. <どこかへ向かって…>
  7. <何かを求めて…>
  8. 静香: …ふぅ…
  9. 静香: どうやら到着…って、どこ…!?
  10. 南津 涼子: あー…こいつは砂漠のようだな
  11. 静香: 砂漠!噂には聞いてたけど… 本当に砂だらけ!
  12. ちはる: ひぃ~!暑い!
  13. 南津 涼子: しかし、壮観だなぁ…!
  14. 青葉 ちか: 確かに…!
  15. すなお: 見渡す限り…というやつですね!
  16. 静香: とはいえ、ただ砂漠…
  17. 静香: 時代を越えてきたっていう 実感がないけど…
  18. ねむ: 間違いなくやって来たんだよ
  19. ねむ: ここはいわゆる、古代エジプト と呼ばれた時代
  20. ねむ: それも末期…
  21. ねむ: クレオパトラ女王の治世だよ
  22. 南津 涼子: ビッグネームだな…
  23. ちはる: まさかそんな時代に 来ることができたなんて…!
  24. 青葉 ちか: ドキドキしちゃいます!…けど…
  25. 青葉 ちか: 遊びで来たわけじゃ ないですもんね…!
  26. すなお: そうです 私たちには目的が…!
  27. 静香: それにしても… クレオパトラ、か…
  28. 静香: …………
  29. 南津 涼子: ん? なんか、変な間があったな…?
  30. 静香: …………
  31. 青葉 ちか: …あ、もしかして…
  32. ちはる: クレオパトラと言われても、 いまいちピンときてない…?
  33. 静香: …ご明察
  34. 南津 涼子: え~!? かなりの有名人だぞ!?
  35. 静香: …まったく知らない…
  36. 南津 涼子: マジか…
  37. ねむ: その辺は追々説明するから まずは移動しよう
  38. ねむ: 少し歩くけど そう遠い距離ではないよ
  39. 静香: どこに向かうの?
  40. ねむ: プトレマイオス朝の首都…
  41. ねむ: アレクサンドリア
  42. 静香: …アレクサンドリア…
  43. 南津 涼子: …………
  44. 南津 涼子: …ピンときてないだろ?
  45. 静香: 時女一族、行動開始!
  46. ちはる: ごまかした!
  47. 南津 涼子: あ、待った その前に、ちょっと話が…
  48. 静香: …ん?
  49. ???: …………
  50. ???: …この感覚…
  51. ???: 何なの、一体…?
  52. <遥かなる時代を越えて…>
  53. <運命の輪が交錯しようとしている…>
  54.  
  55. [From the opening sequence]
  56. 砂漠の少女はその身を神に捧げた
  57. 砂漠の少女はその身を神の化身にも捧げた
  58. [Title card] ピュエラ・ヒストリア アレクサンドリアの蜃気楼編
  59.  
  60. FILENAME: text_518610-1_n5cdx.txt
  61. 南津 涼子: あっつ…
  62. ちはる: こっちであってるの?
  63. ねむ: 大丈夫
  64. ねむ: そのまま直進で
  65. 静香: …それで、今はどんな時代で どんな状況なの?
  66. ねむ: そうだね 説明しておくと…
  67. ねむ: 今は紀元前31年の7月
  68. 静香: それって… 江戸時代よりも前?
  69. ねむ: そんなレベルじゃないよ
  70. 青葉 ちか: “紀元前”ですから 西暦が始まる前ですよね
  71. ねむ: そう
  72. ねむ: 今いる場所は古代のエジプト
  73. ねむ: プトレマイオス朝が この地を治めている
  74. ねむ: その王…ここで呼ぶところの 「ファラオ」こそが…
  75. すなお: クレオパトラ女王…ですね
  76. 静香: なるほど…
  77. 静香: この地域で一番偉いのが その女王なのね…
  78. ねむ: その通りだよ
  79. ねむ: ただ、国内の情勢は かなり混沌としているんだ
  80. ねむ: 前年にローマ執政官が 王朝に宣戦布告しているからね
  81. 静香: 執政官…?
  82. ねむ: 政治的にも軍事的にも 古代ローマを仕切るトップだよ
  83. ねむ: 宣戦布告をした執政官の 名前はオクタウィアヌス
  84. ねむ: 一方で、クレオパトラに 味方している執政官もいるんだ
  85. ねむ: それがアントニウス
  86. すなお: …つまり… オクタウィアヌス対…
  87. すなお: クレオパトラ&アントニウス …という図式ですね
  88. ねむ: その通りだよ
  89. ちはる: でも、なんでアントニウスは クレオパトラの味方をしてるの?
  90. ねむ: 基本的なところを簡単に言うと 執政官同士の権力争いがあって…
  91. ねむ: アントニウスはエジプトの 国力を欲していたからだよ
  92. ねむ: ただ、その内実には別の理由も あったと言われているけどね
  93. 静香: 別の理由…?
  94. ねむ: 絶世の美女と名高い クレオパトラが籠絡した…とね
  95. 静香: …ん?どういうこと?
  96. 南津 涼子: つまり、だ…
  97. 南津 涼子: クレオパトラがアントニウスを 色仕掛けで落としたってことだよ
  98. 静香: …まあ!
  99. ねむ: ともかく、色々な事情が 折り重なって…
  100. ねむ: 今の緊張状態が生まれている ということだね
  101. 静香: …なるほど…
  102. 静香: それで、環さんは この時代で何を…?
  103. ねむ: 本の解析が難航していて断片的な 情報しか拾えてないけど…
  104. ねむ: お姉さんはクレオパトラの 周辺を窺ってたみたいだね
  105. ねむ: 可能性としては…
  106. ねむ: クレオパトラが魔法少女 という線もありえる
  107. ちはる: ええっ!?
  108. 青葉 ちか: そんなこと…!
  109. ねむ: 可能性としては捨てきれない
  110. ねむ: いずれにせよ、最初の 手がかりはクレオパトラなんだ
  111. ねむ: まずは彼女の調査から 始めた方がいい
  112. 静香: …そうね…
  113. 静香: 私たちの最大の目的は 環さんの概念の回収…
  114. 静香: まずは動かないと…!
  115. 南津 涼子: てことは、今向かっているのも…
  116. ねむ: もちろん、そのためだよ
  117. ねむ: さあ、着いた
  118. 静香: ここは…?
  119. ねむ: プトレマイオス朝の首都…
  120. ねむ: アレクサンドリアだよ
  121.  
  122. FILENAME: text_518610-2_n5cdx.txt
  123. ねむ: さあ、着いた
  124. 静香: ここは…?
  125. ねむ: プトレマイオス朝の首都…
  126. ねむ: アレクサンドリアだよ
  127. 静香: アレクサンドリア…
  128. 静香: …………
  129. 南津 涼子: 『…って、どこ?』 みたいな顔してんな
  130. 静香: …そ、その通りだけど みんなはわかってるの!?
  131. 南津 涼子: それは…
  132. 南津 涼子: …わからん!
  133. ちはる: んー…
  134. 青葉 ちか: まあ、確かに…
  135. すなお: あんまりわかってないですね…
  136. ねむ: アレクサンドリアはエジプトの 北に位置している町だよ
  137. ねむ: 地中海の沿岸にあって 貿易の中心地でもあるね
  138. ねむ: それに、学者や芸術家が たくさん集まっていて…
  139. ねむ: アレクサンドリア図書館が 建てられたことでも有名だね
  140. 静香: 図書館? 図書館が有名なの?
  141. ねむ: ただの図書館じゃないよ
  142. ねむ: 収められたパピルス文書は 70万巻とも言われ…
  143. 南津 涼子: …ん? なんか騒がしいな…?
  144. 民衆: 「ファラオだ! ファラオがお通りになられるぞ!」
  145. 民衆: 「沿岸の別荘地からの 帰りだそうよ」
  146. 民衆: 「聞いてないぜ、そんなこと… おい!その辺のもの片付けろ!」
  147. 民衆: 「馬車の邪魔になったら事だぞ!」
  148. 南津 涼子: …おいおい、聞いたか!?
  149. 静香: …ツイてるわね それとも、予定通りってこと?
  150. ねむ: いや、たまたまだよ これは幸先がいいね
  151. 青葉 ちか: じゃ、じゃあ…
  152. すなお: 女王との初接近、ですね…!
  153. ちはる: ひー!ドキドキだ…!
  154. 兵士: 道をあけろ! ファラオのお通りである!
  155. 兵士: 邪魔だ! どけどけ!
  156. ???の声: やめなさい…
  157. クレオパトラ: そう声を荒げないで 耳障りだから
  158. 兵士: こ、これは…失礼いたしました…
  159. 静香: あの人が…クレオパトラ!?
  160. ちはる: ふぁ~!
  161. ねむ: 彼女がそのようだね… クレオパトラ7世フィロパトル
  162. ねむ: エジプトとローマを繋ぐ女王だ
  163. 青葉 ちか: 顔は…布に隠れてわかりませんね
  164. ねむ: …うーん、あれだと 鼻の高さもわからない…かな
  165. 静香: …鼻?
  166. ねむ: …いや、気にしなくていいよ それよりも…
  167. 青葉 ちか: ここからでも感じますね… 雰囲気というか、オーラというか
  168. すなお: いえ、それだけじゃないですね…
  169. 南津 涼子: ああ…
  170. 静香: 感じるわね…
  171. 静香: 魔力を…
  172.  
  173. FILENAME: text_518610-3_n5cdx.txt
  174. <クレオパトラ女王の姿を見た静香たち…>
  175. <通りを過ぎる女王から 彼女たちは確かに“魔力”を感じた…>
  176. ちはる: ごめん! 遅くなっちゃった!
  177. 静香: 揃ったわね で、どうだった?町の様子は?
  178. 南津 涼子: 世情が世情なだけに ピリついてる感じはするが…
  179. 南津 涼子: とはいえ、特に大きい混乱が 起きそうって雰囲気でもねーかな
  180. ちはる: クレオパトラ女王の話も あちこちでされてたね
  181. ちはる: 結構、不満を言ってる人も いたけど…
  182. ちはる: 最後には『仕方ない』とか 『ファラオには従う』とか…
  183. 青葉 ちか: 私の方もそうで…
  184. 青葉 ちか: 結局は服従しているという 感じでした
  185. すなお: ローマの人とエジプトの人の間で 軋轢があるようですね
  186. すなお: ただ、あくまで水面下での 争いという印象です
  187. 静香: うん…私の方も大体同じ
  188. 静香: ひとつ言えるのが…
  189. 静香: どうも、魔法の“残り香” みたいなものを感じるの
  190. 静香: この町全体にね
  191. 南津 涼子: …だな
  192. すなお: ええ…
  193. ちはる: でも、すごいよね!
  194. ちはる: この格好でも怪しまれないし 言葉も通じちゃうし!
  195. 青葉 ちか: ねむちゃんの力 …ってことですよね!
  196. ねむ: そうだね
  197. ちはる: もしわたしが海外へ旅行する 機会があれば、ぜひ一緒に!
  198. ねむ: …………
  199. ねむ: …まあ、それはそれとして…
  200. ちはる: 流された!
  201. ねむ: おそらく、間違いないと思う
  202. ねむ: クレオパトラと魔法少女の間に 何らかの接点があるはず
  203. 静香: そういうことであれば 本腰を入れて調査しないと
  204. 南津 涼子: じゃ、ご挨拶といくか!
  205. ちはる: それはまだ早いよ!
  206. ちはる: まずは身辺の洗い出しから! これが捜査のセオリー!
  207. ちはる: 情報無しの手ぶらじゃ 真実に辿り着けないよ!
  208. 南津 涼子: う…一理あるな、ちくしょう…
  209. すなお: ですが、女王の身辺…ですか どのようなやり方で?
  210. 静香: だったら ご挨拶とまではいかないものの…
  211. 静香: お宅にはお邪魔させて もらおうかしら…ね
  212. クレオパトラ: …で、どうかしら?
  213. クレオパトラ: …民どもに不穏な動きはない?
  214. ???の声: はい
  215. クレオパトラ: …うふふ…
  216. クレオパトラ: 便利な力よねぇ…
  217. クレオパトラ: この力さえあれば 国内の治世は問題ないわ…
  218. クレオパトラ: あとは…ローマ
  219. クレオパトラ: いずれ、私の意のままに 操ってみせる…!
  220. クレオパトラ: …そう心得ておきなさい いい?エボニー
  221. エボニー: 承知、いたしました…
  222.  
  223. FILENAME: text_518610-4_n5cdx.txt
  224. <…クレオパトラが魔法少女…?>
  225. <その疑問の答えを探すべく 静香たちが取った行動は…>
  226. ちはる: シュタッ…と!
  227. 南津 涼子: 擬音を声に出さんでいい
  228. すなお: 潜入中ですよ!お静かに!
  229. 青葉 ちか: それにしても 大胆じゃないですか…?
  230. 青葉 ちか: 女王の宮殿に潜入するなんて…!
  231. 静香: 町中で女王の身辺調査なんて たかが知れてるわ
  232. 静香: それよりも 本丸で調べるのが一番…でしょ?
  233. ねむ: 僕も同意するよ
  234. 青葉 ちか: 見つかっちゃいませんかね…?
  235. 南津 涼子: あたしら魔法少女なら普通の 人間に見つからず行動できるだろ
  236. ちはる: もし気づく者がいるとすれば わたしの推理によると…
  237. すなお: 魔法少女…ですね
  238. ちはる: ああ!言いたかったのにぃ!
  239. 静香: そういうこと…
  240. 静香: じゃあ、さっそく 調べ上げるとしますか…
  241. ちはる: にしても…さすが女王の宮殿…
  242. ちはる: 飾ってあるものとか 超ゴージャスというか…!
  243. ???の声: 動くな!
  244. ちはる: ひえっ!
  245. 静香: お出迎えが早いわね…!
  246. エボニー: 見知らぬ顔ばかり… エジプトの民ですらないわね…?
  247. エボニー: 狙いはなに?盗み? それとも…ファラオか!
  248. 静香: どちらかというと…ファラオね
  249. エボニー: なにを…!
  250. エボニー: …ん…! こ、この感覚…!?
  251. エボニー: 知っている…あの時に感じた…
  252. 南津 涼子: あの時感じた…だ?
  253. エボニー: 私の力と…近い…?
  254. エボニー: まさか、お前らも 神との契約を…?
  255. すなお: …“契約”…!
  256. エボニー: …いずれにせよ ここはやるしかない…
  257. エボニー: それが…私の仕事!
  258. ちはる: ああっ!
  259. 青葉 ちか: この人、魔法少女!
  260. エボニー: …魔法少女?
  261. 南津 涼子: つーことは、早くも目的達成か!
  262. ねむ: いや、そうとも限らないよ
  263. 南津 涼子: なんでだよ?
  264. ねむ: お姉さんが注視していたのは あくまでクレオパトラ女王
  265. ねむ: 彼女の正体を見極めるまでは 真相を突き止めたとはいえないよ
  266. ねむ: この本が彼女を追いかけた 1冊かどうかはわからないからね
  267. ちはる: な、なるほど…
  268. 静香: …あなた、名前は?
  269. エボニー: 待って、先に聞かせて
  270. エボニー: …お前は神と契約したの?
  271. 静香: …神と…か…
  272. 静香: 確かに、巫として 契約はしたわ…
  273. 静香: あの時は、ね…
  274. エボニー: カンナギ…? なんだそれは…?
  275. エボニー: …ともかく、お前らはお前らの 神と契約したということね…
  276. エボニー: ならば名乗るわ… 私の名はエボニー!
  277. エボニー: メトの一族より遣わされた 女王を守る僕!
  278. すなお: “メトの一族”…?
  279. ちはる: なんか、親近感…?
  280. 静香: 面白い…では、こちらも 名乗らせてもらうわね!
  281. 南津 涼子: おいおい…!
  282. 静香: 私の名は時女静香! そして私たちは、時女一族!
  283. 静香: 故あって女王の身辺を 探りに来たわ!
  284. 青葉 ちか: な、なんて高らかに…!
  285. ちはる: こっそり来たはずだったよね…?
  286. エボニー: ―エボニー― 女王の身辺…!? なんと不届きな!
  287. エボニー: ―エボニー― おおかた、オクタウィアヌスの 手の者でしょうね!
  288. 静香: ―静香― いーえ、時女の者です!
  289. エボニー: ―エボニー― …トキメなどという部族は 聞いたこともないけど…
  290. エボニー: ―エボニー― もはや問答無用!
  291.  
  292. FILENAME: text_518610-5_n5cdx.txt
  293. エボニー: ―エボニー― 女王の身辺…!? なんと不届きな!
  294. エボニー: ―エボニー― おおかた、オクタウィアヌスの 手の者でしょうね!
  295. 静香: ―静香― いーえ、時女の者です!
  296. エボニー: ―エボニー― …トキメなどという部族は 聞いたこともないけど…
  297. エボニー: ―エボニー― もはや問答無用!
  298. エボニー: 全員まとめて ドゥアトに送ってやるわ!
  299. 静香: …待ちなさい!
  300. エボニー: …な!?
  301. 静香: …ドゥアトって何?
  302. エボニー: …はぁ!?
  303. ねむ: エジプト神話における 人が死後に向かう世界だね
  304. ちはる: …それって、つまり…
  305. ねむ: 平たく言うと 『あの世』…だね
  306. 青葉 ちか: ひぃ~!
  307. エボニー: ええい!訳のわからないことを ごちゃごちゃと!
  308. 静香: 訳がわからないことを言ったのは そっちでしょ!
  309. エボニー: 黙れ!
  310. 静香: …この匂い…! くっ!
  311. 南津 涼子: …え…身動きが…!
  312. ちはる: ふぇ…!?
  313. 青葉 ちか: ど、どうして…!?
  314. すなお: 身体が…言うことを…!
  315. 静香: みんな!
  316. エボニー: …んっ!? お前、どうして効かない…!
  317. 静香: 私の魔法は「阻止」…! つまり、こういう魔法なのよ…!
  318. 静香: あなたこそ、一体何を…!?
  319. エボニー: …こういう力だ…!
  320. 静香: くぅ…!押してくる…!
  321. エボニー: これで…効かないなんて…!
  322. 静香: (マズい…!)
  323. 静香: (一瞬でも気を緩めたら やられてしまう…!)
  324. エボニー: (攻め手を緩めたら やられてしまう…!)
  325. ねむ: この図式…
  326. ねむ: 手詰まりってやつだね…
  327. ねむ: あんまり魔力を消費するのは おススメできないよ
  328. 静香: わかってる!
  329. 静香: わかってる、けど…!
  330. エボニー: ぐっ…!
  331. 静香: (共倒れはマズい…!)
  332. 静香: (あの人の魔力が尽きてもみんな が今の状態のままだったら…)
  333. 静香: …こ、こうなったら…!
  334. 静香: …ちょっと待って!
  335. エボニー: …!?
  336. 静香: 提案があるの…!
  337. 静香: …お互い、同時に 矛を収めるっていうのはどう?
  338. エボニー: …え…!?
  339. 静香: このままじゃ埒が明かないわ!
  340. エボニー: うっ…!
  341. 静香: 私たちは撤退する! それで納得して!
  342. エボニー: 何を勝手なことを! そちらから押し入ったくせに!
  343. 静香: それは百も承知! あえての提案よ!
  344. エボニー: そもそも! そんな話、信じられないわ!
  345. 静香: これもあえて言うけど…
  346. 静香: 信じて!
  347. エボニー: なっ…!?
  348. 静香: 信じてもらうしかない! 決して嘘はつかないから!
  349. 静香: 時女一族の誇りにかけて!
  350. エボニー: …一族の…
  351. エボニー: …………
  352. エボニー: (確かにこのままでは 行き詰まるのは必至…)
  353. エボニー: (私が倒れたら、ファラオが…)
  354. エボニー: …わかったわ…
  355. 静香: …ありがとう…っていうのも なんか変だけど…
  356. 静香: とにかく、ありがとう… じゃあ、せーの…!
  357. エボニー: …………
  358. 静香: …………
  359. ねむ: …矛は収まった…みたいだね
  360. 静香: …みんなも解放してもらえる?
  361. 静香: それとも…
  362. エボニー: …約束は違えない…
  363. 南津 涼子: …くはっ…!
  364. ちはる: 動いた!
  365. すなお: よ、よかった…
  366. 青葉 ちか: で、でも、あの人…!
  367. 静香: みんな、退くわよ
  368. 南津 涼子: …えっ?
  369. ちはる: なんでまた…!?
  370. 静香: いいから!
  371. ちはる: あ、待って!
  372. 南津 涼子: ちっ!仕方ねーな…!
  373. すなお: は、はい!
  374. 青葉 ちか: ええ~!?
  375. エボニー: …………
  376. エボニー: (…追うべき?)
  377. エボニー: (…いや、宮殿を出ることは…)
  378. エボニー: …奴ら…一体…?
  379.  
  380. FILENAME: text_518610-6_n5cdx.txt
  381. <静香たちがクレオパトラの宮殿に 潜入した翌日…>
  382. 静香: では、やはりクレオパトラの 周辺で間違いないと?
  383. ねむ: 昨晩の潜入で、魂の器に 概念が回収されていたからね
  384. 南津 涼子: だったら確定だな
  385. ちはる: あとは、果たしてクレオパトラも 魔法少女かどうか…だね
  386. すなお: でも、調査範囲は広がりましたね
  387. 青葉 ちか: 確かに…
  388. 青葉 ちか: クレオパトラ女王と エボニーさん…でしたっけ
  389. 青葉 ちか: 両者を追う 必要がありますから…
  390. 南津 涼子: それはそうだけどよ そんな面倒なことでもないだろ
  391. 南津 涼子: あのエボニーって奴 確かこう言ってたよな
  392. エボニー: ならば名乗るわ… 私の名はエボニー!
  393. エボニー: メトの一族より遣わされた 女王を守る僕!
  394. 南津 涼子: つまり、クレオパトラの 周辺で仕えているってことだろ?
  395. 南津 涼子: だったら、クレオパトラを探れば 一緒に引っ掛かってくるわけだ
  396. 静香: それはそうね…
  397. 静香: ただ、“メトの一族”というのも 引っかかるわ
  398. ねむ: あの時の会話から察するに…
  399. ねむ: 魔法少女の 契約にも関わってきそうだね
  400. すなお: その線も追わないと 魔法少女は絞り切れませんね
  401. ちはる: エボニー、もしかしてだけど クレオパトラ…
  402. ちはる: さらに、他にも魔法少女がいる 可能性が…放ってはおけないかぁ
  403. 静香: …ともかく、改めて クレオパトラに探りを入れる
  404. 静香: 今度は少し距離を取ってね
  405. 静香: その上で、メトの一族の調査も 並行して行う…
  406. 南津 涼子: …まあ、そんなとこだな
  407. 南津 涼子: で、クレオパトラへのアプローチ 今度はどんな感じで行く?
  408. 静香: ちか、あなたの魔法で お願いできる?
  409. 青葉 ちか: 宮殿にはいっぱい鳥さんたちが 出入りしていましたからね…
  410. 青葉 ちか: 情報収集、頼んでみます!
  411. 静香: すなおはちかのサポートを
  412. すなお: かしこまりました!
  413. 静香: 涼子とちゃるは 私とメトの一族を追うわよ
  414. ちはる: 了解~!
  415. 南津 涼子: …“もう一手”、動かしとくか?
  416. 静香: うん…準備はしていて
  417. <静香たちは再び動き出した>
  418. <ちかが宮殿を訪れる鳥たちから情報を収集>
  419. <得られるネタは些細で断片的だが ともかくそれを静香たちにフィードバックさせ 町中での聞き込み精度に厚みを持たせていった>
  420. <このサイクルで地道に調べていった結果…>
  421. 青葉 ちか: あ、静香さん!
  422. 青葉 ちか: すなおさんから、有力な情報を 手に入れたって聞いて…!
  423. 静香: うん、ちょうどあなたを 呼びにいこうと思ってたところ
  424. 静香: メトの一族を知っているって 人をついに見つけたの…!
  425. 青葉 ちか: やりましたね!
  426. 南津 涼子: 今晩、接触する予定だ
  427. ちはる: いよいよだね…!
  428. 静香: さて…
  429. 静香: 鬼が出るか蛇が出るか…
  430.  
  431. FILENAME: text_518610-7_n5cdx.txt
  432. <地道な調査の末…>
  433. <メトの一族を知るという者と 接触できることになった静香たち>
  434. <一行は、その待ち合わせ場所へ…>
  435. ちはる: ここ…だよね?
  436. 静香: そのはずよ…
  437. 静香: 仲介役の人が連れて来る 段取りになってるんだけど…
  438. 青葉 ちか: その仲介役を知っているのは…
  439. 南津 涼子: あたしとすなおだけだ
  440. 青葉 ちか: で、その人はまだ…
  441. 南津 涼子: 姿は見えねぇな
  442. すなお: …ですが…
  443. ちはる: …ん?んん~!?
  444. ちはる: 何か、嫌な臭いがするけど…
  445. 南津 涼子: それって、悪者の、か…?
  446. 兵士: よお…
  447. 青葉 ちか: え!?兵隊…さん!?
  448. 静香: この人、仲介役?
  449. 南津 涼子: …いや、違うな
  450. すなお: ですね…
  451. 兵士: お目当ての奴は 待ってもこないぞ
  452. 兵士: なんせ、仕込みだからな
  453. 南津 涼子: …あらあら…
  454. 兵士: 囲め!
  455. 兵士たち: …………
  456. 静香: 取り囲まれた…!?
  457. 兵士: これ以上の詮索はさせんぞ…
  458. 兵士: この場で全員葬る…!
  459. 青葉 ちか: ど、どういうことでしょうか!?
  460. ねむ: クレオパトラの手の者が ここにいるということは…
  461. ちはる: メトの一族を探ることが女王の 不利益になる…ってこと!?
  462. 南津 涼子: …まあ、トラブルも ある程度織り込み済みだ
  463. すなお: 逆に、この人たちを捕まえて 詳しい情報を聞き出せますし…
  464. 静香: こちらにとっても好都合…!
  465. 兵士: …やれ!
  466. 兵士: うらぁ!
  467. 静香: はっ!
  468. 兵士: な、なんだ!? あの身のこなしは…!
  469. 静香: こういう荒事 そこそこ慣れていてね…
  470. ちはる: …そういうことなら!
  471. ちはる: わたしがまとめて お縄にしてやる~!
  472. 兵士: す、姿を変えた!?
  473. 静香: ちょっと! 人前で急に変身しないで!
  474. ちはる: こっちの方が手っ取り早く 終わらせられるから!
  475. 静香: そうかもしれないけど!
  476. ねむ: 気軽に人前で変身するのは あまりお勧めできないよ
  477. ちはる: …え…?
  478. ねむ: この場にいる人間以外で 目撃者がいたとしたら?
  479. ねむ: 変な噂が立つのは 僕達の行動を縛りかねない
  480. ちはる: …えーと…
  481. ちはる: こ、これは手品で変身したの! ね?手品だから!よろしく!
  482. 南津 涼子: 雑なフォロー…
  483. 兵士: こ、こんなこと…
  484. 兵士: メトの一族でもない者が どうしてできるんだ…!
  485. ちはる: …へ?
  486. ねむ: …どうやら、 そんなに影響は出ないかな
  487. ねむ: 魔法少女を 知っているみたいだから…
  488.  
  489. FILENAME: text_518610-8_n5cdx.txt
  490. <襲ってきた謎の一団を捕縛すべく 魔法少女に変身したちはる>
  491. <無暗に変身することを静香にたしなめられたが 襲撃者はその光景に見覚えがあるようで…>
  492. 兵士: は、話の通りだった…!
  493. 兵士: メトの一族でもない者が なぜそのような秘儀を…!?
  494. 南津 涼子: …ふ~ん…
  495. 南津 涼子: やっぱりなんか知ってるわけだ
  496. 南津 涼子: あのエボニーって魔法少女…
  497. 南津 涼子: で、そこからのメトの一族 そしてあんたら…
  498. 南津 涼子: 線は繋がってるもんな?
  499. 兵士: くっ…!
  500. 静香: …捕まえて、ちゃる
  501. ちはる: 了解!
  502. 兵士: うぐっ!
  503. 兵士: み、身動きが…!
  504. 兵士: この力…!やはり…!
  505. 南津 涼子: じゃあ、次はあたしだ
  506. 南津 涼子: あんたを特別な空間にご招待して じ~っくり話を聞かせてもらう…
  507. 南津 涼子: あたしには そんな力があってね…!
  508. 兵士: な、なにをする…!やめろ…!
  509. <涼子の魔法により特殊空間へと 幽閉された襲撃者…>
  510. <そこで長時間にわたる尋問を受けた末に…>
  511. 南津 涼子: …ふぅ…
  512. 兵士: はぁ…はぁ…はぁ…
  513. 静香: どうだった?
  514. 南津 涼子: まだ隠していることは ありそうだけど…
  515. 南津 涼子: とりあえず休憩がてら 途中報告すると…
  516. 南津 涼子: まず基本情報として、こいつは メトの一族ってやつだそうだ
  517. 南津 涼子: それに、他の兵士たちもな 宮殿に潜り込ませているんだと
  518. 青葉 ちか: ええっ!?
  519. 南津 涼子: で、宮殿内に断片的な メトの一族の情報を流したらしい
  520. 南津 涼子: もちろん、その名前は出さず 巧妙に、うすーく希釈した情報を
  521. すなお: …あ…もしかして…
  522. すなお: その情報って、ちかさんが話を 聞いた鳥さんたちからも…?
  523. 南津 涼子: おそらく
  524. 南津 涼子: どのような手段かは わからなかっただろうけど…
  525. 南津 涼子: あたしらがキャッチする可能性が あるとして撒いた情報だ
  526. 南津 涼子: 他にも、町中で拾ってきたのも こいつらのネタが紛れ込んでる
  527. 南津 涼子: そんな“餌”が積み重なった結果 まんまと釣り上げられちまった
  528. 南津 涼子: …ったくよー!チマチマした 罠を仕掛けやがって…!
  529. すなお: 慎重に身元を隠蔽しながら 私たちを誘い出したんですね…
  530. 青葉 ちか: 知らず知らずのうちに…!
  531. 静香: 他には?
  532. 南津 涼子: あいつが言い放った通り エボニーはメトの一族だ
  533. 南津 涼子: で、今回の一件はあいつから 報告を受けて一族が動いたそうだ
  534. 南津 涼子: ただ、一族の秘密を 守るとかじゃなくて…
  535. 南津 涼子: あくまで女王に近づく 不穏分子を抹殺するためらしい
  536. すなお: それだけ王朝への忠誠心が 強い一族、というわけですか?
  537. 南津 涼子: みたいだな
  538. 南津 涼子: 今のところは以上 さーて、第2Rといきますか
  539. 兵士: う…ぐ…
  540. 兵士: …くそぉっ!
  541. 兵士: あがっ…!
  542. ちはる: えっ!?
  543. 兵士: …………
  544. 南津 涼子: ど、どうしたんだ、急に…?
  545. 兵士: …………
  546. 兵士: …ふ……ふふふ…
  547. 兵士: …ふは!ふはは!ふふふふ!
  548. 青葉 ちか: え、ええええ~!?
  549.  
  550. FILENAME: text_518610-9_n5cdx.txt
  551. 兵士: …くそぉっ!
  552. 兵士: あがっ…!
  553. ちはる: えっ!?
  554. 兵士: …………
  555. 南津 涼子: ど、どうしたんだ、急に…?
  556. 兵士: …………
  557. 兵士: …ふ……ふふふ…
  558. 兵士: …ふは!ふはは!ふふふふ!
  559. 青葉 ちか: え、ええええ~!?
  560. 兵士: …ぶつぶつぶつ…
  561. すなお: な、なにかつぶやいてます…?
  562. 静香: なんなの、一体…!?
  563. 兵士: …自分を壊したんだよ…
  564. 南津 涼子: 壊した…だと!?
  565. 兵士: 奴の手にはめられた指輪には 仕込み針があってな…
  566. 兵士: それには「夢見の薬」が 塗られている
  567. 静香: 夢見の薬…!?
  568. 兵士: で、針を刺すとな そんなザマになっちまうんだ
  569. 兵士: 「目覚めの薬」を使わない限り ずっとこの状態だぜ…
  570. 南津 涼子: なんだと…!?
  571. 兵士: 薬はメトの一族の秘伝… 易々と手に入らない
  572. 兵士: どうする?お前ら…
  573. 兵士: こんなになっちまったこいつを 拘束し続けるのか?
  574. 兵士: それとも、殺しちまうか?
  575. 静香: …くっ…!
  576. 兵士: 殺したところで、だよなぁ~… 面倒事が増えるだけだ
  577. すなお: どうしてこんなことを…!
  578. 兵士: 俺たち一族は死と踊る…
  579. 兵士: ゆえに窮地に陥ったからといって 簡単に死を選ばない
  580. 兵士: 最後まで抗うが故に 編み出した術だ
  581. 兵士: その末での死なら、ドゥアトの 道行きも足が軽くなるというもの
  582. 兵士: 死を貴ぶからこそ 死を軽々しく扱わぬ
  583. 兵士: そうやって長い年月を 生き抜いてきたのだ…!
  584. 静香: ……!
  585. 兵士: わかったか!
  586. 兵士: お前らに我が一族の深奥に 触れる勇気があるか?
  587. 南津 涼子: …触れてやろうじゃねぇか!
  588. 南津 涼子: 話はてめーらに聞く!
  589. 兵士: はっ…
  590. 兵士: 手遅れだ
  591. 兵士: …うっ!
  592. 兵士: …くくく…
  593. 兵士: くははははは!
  594. 南津 涼子: こ、こいつらも…!
  595. 通りがかりの人: 「な、なんだなんだ…?」
  596. 南津 涼子: …ちっ!
  597. ちはる: わわっ!
  598. ちはる: ちょっとマズそうだよ…!
  599. 静香: くっ…!
  600.  
  601. FILENAME: text_518610-10_n5cdx.txt
  602. 通りがかりの人: 「な、なんだなんだ…?」
  603. 南津 涼子: …ちっ!
  604. ちはる: わわっ!
  605. ちはる: ちょっとマズそうだよ…!
  606. 静香: くっ…!
  607. すなお: 情報源がこの状態では 留まっていても…!
  608. 静香: …あー、もう!
  609. 静香: …撤退よ!撤退!
  610. ちはる: ひー…また砂漠に来ちゃった…
  611. すなお: 結構逃げちゃいましたね…
  612. 静香: …いいのよ
  613. 静香: もはや私たちはメトの一族に 目を付けられている…
  614. 静香: そう思って間違いないわ
  615. 静香: だったら、町に留まると また襲撃を受ける可能性もある
  616. 静香: そうなると、下手にこちらの 手の内をさらすことになるかも…
  617. 南津 涼子: うーん…
  618. 静香: であれば、ここは一旦 距離を取った方がいいでしょ
  619. 静香: それに、無用な騒ぎは 歴史に対しても…
  620. ねむ: あんまりよくはないね
  621. 静香: 現時点ではどう?
  622. ねむ: 収束の範囲内…と思いたいね
  623. 静香: そう…
  624. 青葉 ちか: と、ところで、あの…
  625. 静香: なに?
  626. 青葉 ちか: さっきの人たち、放っておいて よかったんでしょうか…?
  627. 南津 涼子: いずれ仲間が回収するだろ
  628. すなお: おそらく、それも計算の内かと…
  629. 青葉 ちか: そ、そうなんですか…?
  630. 南津 涼子: 言ってみりゃ、さっきのは 身体を張った駆け引きさ
  631. 南津 涼子: あんな薬を打って、リスクが ゼロってこともないだろうに…
  632. ちはる: だ、だよね… 完全に目が飛んでたもん…
  633. 静香: …でも、収穫もあるわね
  634. 静香: 脅しのつもり だったんでしょうけど…
  635. 静香: メトの一族の断片的な情報は 掴むことができた
  636. 静香: それに、エボニーという 魔法少女とも明確に線で繋がった
  637. 静香: さらに、その先には クレオパトラ女王まで…
  638. 南津 涼子: もっとその辺を探って あぶり出していけば…
  639. 南津 涼子: 最終的に、魔法少女は誰で 何人いるのか…
  640. 南津 涼子: 答えが見えてくる…ってわけだな
  641. すなお: ですね…!
  642. ねむ: いずれにせよ、事態の中心地は 宮殿にあるようだ
  643. ねむ: でも、そこからは物理的に どんどん離れてしまっている…
  644. ねむ: さて…どうする?
  645. 静香: …時間はかかるけど…
  646. 静香: 外堀で手がかりを 拾い上げていくしかないようね
  647. <一方、その宮殿内では…>
  648. 兵士: エボニー…
  649. エボニー: …どうだった?
  650. 兵士: 捕縛には失敗
  651. 兵士: 逆に夢見の薬を使うところ まで追い込まれたようだ
  652. エボニー: …そう…
  653. 兵士: 仲間は既に回収したが 連中の行方は掴めていない
  654. エボニー: …………
  655. エボニー: …再襲撃の可能性もあるわ
  656. エボニー: 宮殿内の警備は厳にと 仲間たちに伝えて
  657. 兵士: 承知…
  658. エボニー: …くっ…
  659. エボニー: (なんなの、あいつらは…)
  660. エボニー: (私と同じ契約を…?)
  661. エボニー: …知りたい…
  662. エボニー: (どのような者たちなのか…)
  663. エボニー: (私は知りたい…)
  664. <しばらく経っても、エボニーは静香たちの 消息を掴むことができないままだった>
  665. <彼女が晴れない胸の内を抱えつつも 月日は過ぎていく…>
  666. <するとやがて、プトレマイオス朝は 岐路にさしかかろうとしていた>
  667. <ローマからの情報に曰く…>
  668. <オクタウィアヌス軍に進発の動きあり、と…>
  669.  
  670. FILENAME: text_518610-11_n5cdx.txt
  671. <――オクタウィアヌス、動く――>
  672. <ローマとエジプトの間に さらなる緊張が走り始めたその頃…>
  673. <静香たちは…>
  674. ちはる: ひー…ひー…
  675. ちはる: 次の街、まだですかね…
  676. ねむ: この移動スピードだと…
  677. ねむ: あと3時間ってところだね
  678. ちはる: ひー!
  679. 南津 涼子: まったく…地道な旅だな…
  680. 青葉 ちか: でも、アレクサンドリア以外の 街を巡って情報を収集する…
  681. 青葉 ちか: それくらいしか、私たちには 有効な手段がないですからね…
  682. ちはる: それなんだけど…
  683. ちはる: もう一度、エボニーと直接 対峙するっていうのは…?
  684. 南津 涼子: 却下だな
  685. ちはる: やっぱダメ…?
  686. 南津 涼子: まず、また戦闘になった場合 静香以外は足手まといなだけ
  687. ちはる: うっ…!
  688. すなお: それに、あの薬を使われたら 元も子もないですからねぇ…
  689. 兵士: …………
  690. 南津 涼子: ど、どうしたんだ、急に…?
  691. 兵士: …………
  692. 兵士: …ふ……ふふふ…
  693. 兵士: …ふは!ふはは!ふふふふ!
  694. 青葉 ちか: え、ええええ~!?
  695. ちはる: だよね…
  696. 静香: でも…
  697. 静香: いずれ彼女とは再会する必要が あることも確かね
  698. ちはる: え?
  699. 静香: ただ、今はその時じゃない…
  700. 静香: それに、今の宮殿内は 大騒ぎの真っ最中だろうしね
  701. 南津 涼子: 戦争か…
  702. すなお: それが辿るべき歴史の必然 であることはわかりますが…
  703. 青葉 ちか: 嫌ですよね、戦争なんて…
  704. ねむ: かといって、決して 干渉することは許されない
  705. ねむ: やれることは 静観することのみ…
  706. ちはる: あのさ…結果ってやっぱり…
  707. ねむ: 教えた通り 覆ることはないよ
  708. ちはる: そう…
  709. 静香: いつの世も争いね…
  710. 静香: 私たちがいる、この過去も 私たちがいた、この先の未来も…
  711. 南津 涼子: やれやれ…
  712. 南津 涼子: …ん…?ラクダ…? 近づいてくるぞ…
  713. すなお: 1、2…3頭…
  714. ちはる: 人も乗ってるね…
  715. 静香: …ちか! 鳥に調べさせて!
  716. 青葉 ちか: は、はい!
  717. 青葉 ちか: えーっと…ハゲワシさん! そこのハゲワシさん!お願い!
  718. 青葉 ちか: …うん…え!?
  719. 青葉 ちか: 兵士の恰好をしているそうです!
  720. 南津 涼子: …もしかして、メトの一族か!?
  721. すなお: ついに嗅ぎつけられましたか…!
  722. 静香: 見つからないように移動して 目的の町へ入るわよ!
  723. ちはる: ひ、ひーっ!
  724. <そして、運命の決戦が始まる…>
  725. <紀元前31年9月2日…>
  726. <「アクティウムの海戦」の戦端が開かれた>
  727.  
  728. FILENAME: text_518610-12_n5cdx.txt
  729. エボニー: …あの頃、ローマの政争は…
  730. エボニー: アントニウスとオクタウィアヌス の直接対決となっていた
  731. エボニー: アントニウスが近づいたのは ファラオ、クレオパトラ様…
  732. エボニー: クレオパトラ様もまた アントニウスの力を利用していた
  733. エボニー: そんなクレオパトラ様に対し オクタウィアヌスが宣戦を布告…
  734. エボニー: ついに戦いが始まってしまった…
  735. クレオパトラ: ふん…
  736. クレオパトラ: 狙いはアントニウスであることは 火を見るよりも明らか
  737. クレオパトラ: それを、私に宣戦布告するなど 迂遠なことを…
  738. 兵士: アントニウス様は艦隊を アンブラキア湾へ集結させました
  739. クレオパトラ: ふむ…
  740. クレオパトラ: 我らも艦隊を出す! いそぎ編成せよ!
  741. 兵士: はっ!
  742. クレオパトラ: エボニー 戦場での護衛、頼むぞ
  743. エボニー: かしこまりました…
  744. エボニー: やがて両軍は アクティウム岬沖で激突した
  745. エボニー: 開戦当初、オクタウィアヌスは 劣勢を強いられていたものの…
  746. エボニー: 間もなく形勢は一気に傾いた
  747. エボニー: 目も当てられない惨状に クレオパトラ様は…
  748. クレオパトラ: ど、どういうこと…! 我が軍がこんなにも…!
  749. 兵士: このままでは危険です! 完全に包囲されています!
  750. クレオパトラ: …エ、エボニー! お前の力でどうにかせよ!
  751. エボニー: 恐れながら、このような乱戦状況 に加え広範囲となると効果は…!
  752. クレオパトラ: …ええい! 肝心な時に役に立たないとは!
  753. 兵士: 今なら包囲網に 若干の隙があります!
  754. 兵士: アレクサンドリアに戻り 捲土重来を…!
  755. クレオパトラ: そ、そうよ! そなたの言う通り!
  756. クレオパトラ: 退却せよ! アレクサンドリアへ向かえ!
  757. クレオパトラ: 私を守れ!ファラオを守るのだ!
  758. 兵士: はーっ!
  759. エボニー: …………
  760. エボニー: クレオパトラ様の離脱により 戦線は崩壊…
  761. エボニー: アクティウムでの戦いは 敗北に終わった…
  762. クレオパトラ: く…ぐぐぐ…!
  763. クレオパトラ: おのれオクタウィアヌス…! 忌々しい…!
  764. 兵士: 敵の勢いは増しています…
  765. 兵士: このままでは アレクサンドリアも…
  766. クレオパトラ: …くっ…
  767. クレオパトラ: こうなれば、やれる手段は すべてやるしかあるまい…
  768. クレオパトラ: まずは外交からぞ 停戦の糸口を探りなさい
  769. 兵士: は! …しかし、首都防衛の方は…
  770. クレオパトラ: それは私がアントニウスと 協議をします
  771. クレオパトラ: 至急、手筈を!
  772. 兵士: ははーっ!
  773. クレオパトラ: …エボニー 道中の警護、ぬかりなく
  774. エボニー: は…
  775. クレオパトラ: …いい、エボニー…
  776. クレオパトラ: あなたの命は私を 守るために使うの
  777. エボニー: …はい…
  778. クレオパトラ: あなたの力は私の栄華を 守るために使うの
  779. エボニー: …はい…
  780. クレオパトラ: あなたの人生は私のものなの!
  781. エボニー: …はい…
  782. クレオパトラ: こんな状況になったとて それをゆめゆめ忘れないこと
  783. クレオパトラ: いいわね…
  784. エボニー: …………
  785. エボニー: …はい…
  786. ???: よいか、エボニー
  787. ???: お前の命は 王朝へと捧げられるもの…
  788. ???: 王朝に生き、王朝に死せ
  789. ???: それが我ら一族の道…
  790. ???: お前が歩く道だ…
  791. ???: ゆめゆめ忘れるな…
  792. エボニー: 私の命は王朝に捧げられた…
  793. エボニー: それが宿命であるなら 間もなく燃え尽きるだろう…
  794. エボニー: なぜなら…
  795. エボニー: もはや王朝に 未来はないからだ…
  796.  
  797. FILENAME: text_518610-13_n5cdx.txt
  798. <アレクサンドリアに逃げ帰った クレオパトラは外交ルートを開くと…>
  799. <アントニウスのことは考えず オクタウィアヌスに恭順の意を示した>
  800. <しかし、停戦の条件が折り合わず失敗…>
  801. <すると、かつてのローマで権勢を誇った 終身独裁官・カエサルとの間に もうけた息子、カエサリオンを 国外へと逃亡させた>
  802. クレオパトラ: では、カエサリオンは無事に 出発したのね?
  803. 兵士: はい 教育係を随伴させ南へ
  804. クレオパトラ: …ふぅ… まずはよし…
  805. クレオパトラ: …それで、オクタウィアヌスは?
  806. 兵士: 既にこちらへ向けて 進軍中とのこと…
  807. クレオパトラ: …アントニウスは?
  808. 兵士: 残存勢力をまとめ 最終決戦に挑まれるそうです…
  809. クレオパトラ: …くっ…
  810. 兵士: それと アントニウス様のお耳に…
  811. クレオパトラ: 私がオクタウィアヌスに 接近したことが知れた…でしょ
  812. 兵士: は、はい!
  813. クレオパトラ: 把握してるわ…
  814. クレオパトラ: 今にもここへ乗り込んでくる 勢いだということもね…
  815. 兵士: 今はまだ軍備を整えることで 司令部に留まられていますが…
  816. クレオパトラ: いずれ来るわね…
  817. 兵士: 左様かと…
  818. クレオパトラ: …………
  819. クレオパトラ: 人払いを
  820. 兵士: はっ…
  821. クレオパトラ: エボニーは残りなさい
  822. エボニー: …承知しました
  823. クレオパトラ: …エボニー…
  824. クレオパトラ: 私がアントニウスを裏切り…
  825. クレオパトラ: オクタウィアヌスと和議を 結ぼうとしていたこと…
  826. クレオパトラ: 外聞が悪い事、甚だしいわよね?
  827. エボニー: …………
  828. クレオパトラ: 民衆からの支持に影響が出るわ
  829. クレオパトラ: オクタウィアヌスに従ってでも この王朝は残さないと…
  830. クレオパトラ: しかし、そもそも民が離れては 王朝も成り立たない…
  831. クレオパトラ: 外患の対処と同時に 内憂への配慮も必要…
  832. クレオパトラ: それはわかるわね?
  833. エボニー: はい…
  834. クレオパトラ: そのためにも、ちょっとした 芝居を上演する必要があるの…
  835. クレオパトラ: 筋はすでに 私が書いておいたから…
  836. クレオパトラ: あとは演出と実演のみ…
  837. クレオパトラ: そこで、あなたの出番よ
  838. エボニー: 私…ですか…?
  839. クレオパトラ: 先の海戦ではまったく役に 立たなかったあなたの力だけど…
  840. エボニー: …………
  841. クレオパトラ: こういう仕事には うってつけなのよね…
  842. クレオパトラ: いい?今から筋を説明するから よく聞きなさい
  843. クレオパトラ: そして、すぐに実行するの
  844. エボニー: …………
  845. エボニー: …はい、かしこまりました…
  846.  
  847. FILENAME: text_518610-14_n5cdx.txt
  848. <紀元前30年8月1日…>
  849. <アントニウスは自殺を図った>
  850. <彼は瀕死の状態でクレオパトラのもとへ 運び込まれ、今際の際で対面を果たした>
  851. クレオパトラ: おお!アントニー! な、なんということを…!
  852. アントニウス: …………
  853. クレオパトラ: そんな… もうすぐ死ぬだなんて…!
  854. クレオパトラ: 死んではなりませぬ!
  855. クレオパトラ: …え?酒をご所望ですか?
  856. クレオパトラ: 誰ぞ、酒を!
  857. エボニー: はい…
  858. 兵士: …おい、なんでアントニウス様は 自裁なんてことを…?
  859. 兵士: アントニウス様の 側近の話によると…
  860. 兵士: どうやらクレオパトラ様が自裁 されたという誤報を聞いたらしい
  861. 兵士: それで悲嘆のあまり… とのことだ
  862. 兵士: そんな発作的にか!? 裏どりもされずに…?
  863. 兵士: ああ、そうみたいだな…
  864. 兵士: 信じられん…
  865. エボニー: …………
  866. クレオパトラ: …ええっ?
  867. クレオパトラ: オクタウィアヌスに 慈悲を乞え、と!?
  868. クレオパトラ: そんなこと! できようはずが…!
  869. クレオパトラ: ああ、アントニー…! アントニー…!
  870. クレオパトラ: うっ…ううっ…
  871. クレオパトラ: …旅立たれてしまった…
  872. 兵士: …………
  873. エボニー: …………
  874. <果たして、この一連の悲劇は…>
  875. <クレオパトラによって仕組まれた 茶番に過ぎなかった>
  876. <あの夜…>
  877. クレオパトラ: いい?今から筋を説明するから よく聞きなさい
  878. クレオパトラ: そして、すぐに実行するの
  879. エボニー: …………
  880. エボニー: …はい、かしこまりました…
  881. クレオパトラ: 今からあなたは アントニウスのもとへ行きなさい
  882. クレオパトラ: そして、こう伝えるのです
  883. クレオパトラ: 私が自殺した、と
  884. エボニー: …え!?
  885. クレオパトラ: そう言っても 彼は簡単に信じないでしょうね
  886. クレオパトラ: そこであなたの力が必要なの
  887. クレオパトラ: あなたの“魅了”の力がね…
  888. エボニー: そ、それはどういう…?
  889. クレオパトラ: まず、私が自殺したとしっかり 信じ込ませる…
  890. クレオパトラ: しかも、とびきりの悲しみが 彼を襲うようにね…
  891. クレオパトラ: あなたの力を使えば 造作もないことでしょ?
  892. エボニー: う…は、はい…
  893. クレオパトラ: そして持たせるの…
  894. クレオパトラ: 彼に刃を…
  895. エボニー: …刃…
  896. クレオパトラ: そして、部下の見ている前で 自刃するよう仕込みなさい
  897. クレオパトラ: ただし、瀕死の状態で 留めること
  898. クレオパトラ: 私の目の前に辿り着く程度にね…
  899. エボニー: そんな…! そんなこと…!
  900. クレオパトラ: …逆らうっていうの!? この私に!
  901. クレオパトラ: お前は私の言うことを 聞いてればいいの!
  902. クレオパトラ: 口答えなんて 決して許されないのよ!
  903. クレオパトラ: 私の筋通りになれば、世間は これを美談と持て囃すはず!
  904. クレオパトラ: そうすれば、私の裏切りから 目をそらすこともできるの!
  905. エボニー: ク、クレオパトラ様…!
  906. クレオパトラ: やるのよ、エボニー!
  907. クレオパトラ: あなたはやるしかないの!
  908. エボニー: う…うう…!
  909. クレオパトラ: …わかったら さっさと行きなさい…
  910. クレオパトラ: 吉報を待ってるわ
  911. クレオパトラ: …あら、悲報、かしら…
  912. クレオパトラ: あはははは…!
  913. エボニー: …………
  914. エボニー: (これが…)
  915. エボニー: (これが私の命を捧げた ファラオのやること…?)
  916. エボニー: (今までも無理難題を 押し付けられてきたけど…)
  917. エボニー: (今回はあまりにも…!)
  918. エボニー: (あれほどの蜜月関係を結んだ アントニウスをかように…!)
  919. 兵士: …で?やるんだろ?
  920. エボニー: うっ…!
  921. 兵士: ファラオの言うことは 絶対服従なのだ…
  922. 兵士: それが我ら一族の掟…
  923. エボニー: …………
  924. エボニー: わ、わかっている…
  925. エボニー: (…しかし、私の人生とは 一体なんなのだ…)
  926. 兵士: それと… 例の侵入者たちだがな…
  927. 兵士: 性懲りもなくアレクサンドリアに 向かっているらしい
  928. エボニー: …なに!?
  929. 兵士: ここへまた現れる可能性は高い
  930. 兵士: ファラオを必ずお守りしろ いいな…
  931. エボニー: …奴らが、また…
  932. エボニー: (私と同じような力を持つ あの女が…)
  933.  
  934. FILENAME: text_518610-15_n5cdx.txt
  935. <アントニウスの死去から数日後…>
  936. ちはる: …………
  937. 南津 涼子: 今度は擬音なしだな
  938. ちはる: へへ…それほどでも…
  939. 南津 涼子: 別にほめてねーよ…
  940. 青葉 ちか: でも、以前と比べて 警備が緩いというか…
  941. すなお: それだけ状況がひっ迫している ということですかね…
  942. すなお: 守る兵士も減っているというか…
  943. 静香: しっ…! 誰か来る…!
  944. クレオパトラ: ふふふ…
  945. クレオパトラ: あは…あははは…!
  946. クレオパトラ: ここにいるの?アントニー?
  947. すなお: あの人…クレオパトラ!?
  948. クレオパトラ: どこなの~! 出てきてよ~!
  949. クレオパトラ: 私が裏切ったこと 怒ってるの~?
  950. クレオパトラ: それとも、あの筋が 気に入らなかったの~?
  951. クレオパトラ: …いいから出てきなさいよ!
  952. クレオパトラ: …うう…許して… あなたなら許してくれるわよね?
  953. 南津 涼子: …何を言ってるんだ…?
  954. すなお: ひどく錯乱してますね…
  955. ちはる: あと…お酒の匂い…?
  956. 静香: …魂の器は?
  957. ねむ: 反応なし
  958. 静香: ということは、やっぱり…
  959. エボニー: クレオパトラ様! こちらに来てはなりません!
  960. 青葉 ちか: エボニーさん…!
  961. 南津 涼子: 今はどうだ?
  962. ねむ: 反応…あり
  963. 南津 涼子: …決まりだな 本が追いかけているのはこっちだ
  964. ねむ: エジプト界隈の魔法少女も 今はあの子だけのようだね
  965. ねむ: これまで行ってきた調査からも まず間違いないはずだ
  966. 静香: …では、再会よ
  967. 静香: エボニー…
  968. エボニー: …………
  969. エボニー: …やっぱり来てたのね…
  970. クレオパトラ: アントニーが来たの? どこ!連れてきて!早く!
  971. エボニー: クレオパトラ様…
  972. エボニー: ご無礼を…
  973. クレオパトラ: うっ…
  974. エボニー: しばし 玉座にてお休みください…
  975. 静香: かいがいしいわね
  976. エボニー: …私の主君だから…
  977. 南津 涼子: なかなかの ご乱心だったようだけど?
  978. エボニー: …アントニウスが 死んだ日を境に…
  979. エボニー: 心が壊れてしまったのよ…
  980. エボニー: きっと、呪いね… アぺプに魅入られたのだわ…
  981. ちはる: アぺプ…?
  982. ねむ: エジプト神話の邪神だよ
  983. 南津 涼子: ふーん…でもよ ホントに呪いなんてあんの?
  984. エボニー: …え!?あなた、何を…!
  985. 南津 涼子: いやさ、あたしからすると こう見えんのよ
  986. 南津 涼子: 今のこの状況に耐えられなくて 精神の堤防が決壊した…みたいな
  987. 静香: だとしたら、それだけじゃないわ 今までやってきたことの累積…
  988. 静香: 膨大な心の負債から染み出た 罪の意識とかにも…
  989. エボニー: …………
  990. 静香: エボニー 私たちはあなたに用があるの
  991. エボニー: 私に…
  992. 静香: 話を聞いてもらえる?
  993. 静香: そして…あなたの 話も聞かせてもらえる?
  994. エボニー: …………
  995. エボニー: …そうか…
  996. エボニー: …私も密かに、お前たちと 話がしたいと思っていた
  997. 南津 涼子: おう!いいね! 話が早い!
  998. エボニー: …しかし…!
  999. 南津 涼子: なっ…!
  1000. 青葉 ちか: 体が…!
  1001. すなお: また魔法を…!?
  1002. ちはる: 話をするんじゃ… なかったの…!
  1003. 静香: くっ…!
  1004. エボニー: 私は私の仕事を 全うするしかないのよ…
  1005. エボニー: 歩んできた道は… もはや引き返せない!
  1006. [Part 1 end]
  1007. ---
  1008. [Part 2 start]
  1009. FILENAME: text_518620-1_0b1U9.txt
  1010. <時を越えていろはが追っていた魔法少女が エボニーであることを確定させた静香たち>
  1011. <しかし、彼女は対話を拒否し、 静香たちを襲った…!>
  1012. 南津 涼子: なっ…!
  1013. 青葉 ちか: 体が…!
  1014. すなお: また魔法を…!?
  1015. ちはる: 話をするんじゃ… なかったの…!
  1016. 静香: くっ…!
  1017. エボニー: 私は私の仕事を 全うするしかないのよ…
  1018. エボニー: 歩んできた道は… もはや引き返せない!
  1019. 静香: みんな…!
  1020. 南津 涼子: だ、だめだ…! 耐えようとしているけど…!
  1021. ちはる: 意識が飛ばされ…そう…!
  1022. エボニー: やはりお前だけには 私の力が効かないようね…
  1023. エボニー: しかし、この前とは違うわ!
  1024. エボニー: 決して退かない! 力が尽きようとも…!
  1025. エボニー: いや、もはやこの命… ここで使い切ってしまえば…!
  1026. 静香: 何を言ってるの…!
  1027. エボニー: はぁぁぁぁ!
  1028. 静香: (この勢い…! 魔力が尽きてしまうわ…!)
  1029. 静香: (そうなる前に…!)
  1030. 静香: 今よ!
  1031. ???: 了解であります
  1032. エボニー: うっ…!
  1033. 静香: ―静香― よしっ!
  1034. エボニー: ―エボニー― こ、香炉が…!
  1035. 南津 涼子: ―涼子― …解けた!
  1036. 静香: ちゃる!
  1037. ちはる: 捕まえた!
  1038. エボニー: あぐっ…!
  1039. 青葉 ちか: や、やりました!
  1040. すなお: 作戦成功ですね!
  1041. 静香: ふぅ~…
  1042. 静香: ご苦労様、旭
  1043. 旭: 任務完了でありますか
  1044. エボニー: ま、まだひとり…!?
  1045. 静香: 切り札は、ここぞという 時に出さないとね…
  1046. <時は戻り…>
  1047. <静香たちがこの時代に到着した頃…>
  1048. 静香: 時女一族、行動開始!
  1049. 南津 涼子: あ、待った その前に、ちょっと話が…
  1050. 静香: …ん?
  1051. 南津 涼子: いや、ここに行く前からよ 旭がさ…
  1052. 南津 涼子: あれ…? 旭?おーい、旭ー!
  1053. 旭: 遅れたでありますー!
  1054. 旭: ただいま現着したであります!
  1055. 南津 涼子: おお、来た来た
  1056. 南津 涼子: 旭がよ、別行動したいんだってさ
  1057. 静香: 別行動?
  1058. 旭: はい
  1059. 旭: 我を入れると、都合6人の 調査部隊となりますが…
  1060. 旭: ちと行動するには多いかと 思うのであります
  1061. ちはる: 5人も6人も大差ないんじゃ…?
  1062. 旭: 微妙にあるのであります!
  1063. 旭: 6人では多数決を取る時も 真っ二つになる可能性も!
  1064. 南津 涼子: そこ心配するのかよ…
  1065. 南津 涼子: …でも、まあ、確かに 意見が割れた時は面倒だな…
  1066. 旭: それに、ここは勝手のわからない 時代であります
  1067. 旭: 遊軍を待機させた方が いざ何か起きた時に…
  1068. 青葉 ちか: 助けてくれる…というわけですか
  1069. 旭: そうであります!
  1070. すなお: スーパーサブ、みたいな…
  1071. 旭: 遊軍であります!
  1072. すなお: あ、は、はい…
  1073. 南津 涼子: …どうする?
  1074. ねむ: 一聴に値する提案だと思うけど
  1075. 静香: うん…
  1076. 静香: 別行動する人材として 旭ほど適任はいないわね…
  1077. 旭: では…
  1078. 静香: そうしましょ
  1079. 静香: ただし、常につかず離れずの 距離にいること
  1080. 静香: それと、定時連絡だけはすること
  1081. 静香: 念じて話しかけてくるなり その手段は任せるわ
  1082. 旭: 了解であります!
  1083. 静香: 転ばぬ先の杖…
  1084. 静香: あなたの提案に 助けられたわ
  1085. 南津 涼子: 勲章モノだな!
  1086. 旭: 光栄であります!
  1087. 静香: …さて…
  1088. 静香: ゆっくりお話しましょうか
  1089. エボニー: …………
  1090.  
  1091. FILENAME: text_518620-2_0b1U9.txt
  1092. 静香: …さて…
  1093. 静香: ゆっくりお話しましょうか
  1094. エボニー: …………
  1095. 静香: まずは、私たちの話からね…
  1096. 静香: あなたも知っている通り 私たちはこの町を離れた…
  1097. 静香: そして、アレクサンドリア周辺の 街を訪ね歩きながら…
  1098. 静香: メトの一族の情報に絞って 聞き込みを重ねていた
  1099. 静香: クレオパトラ、あなた… そして…
  1100. 静香: あなたから出た メトの一族という名前
  1101. 静香: 最後に出た糸口を辿れば やがて遡って核心へ辿り着く
  1102. 静香: クレオパトラの調査が そもそも目的だったからね
  1103. エボニー: 調査…?
  1104. 静香: それがなんのためかは 追々話すとして…
  1105. 静香: 先に確認させてもらえる?
  1106. エボニー: …………
  1107. 静香: 私たちはギザにあった 朽ちかけた集落に辿り着いた
  1108. ちはる: すごかったね! ピラミッドにスフィンクス!
  1109. 南津 涼子: 脱線するな
  1110. ちはる: あ…ごめーん…
  1111. 静香: そこにいるという 老人の話を聞きにね
  1112. 静香: 情報によると、その老人はかつて メトの一族を密かに抜けたとか…
  1113. エボニー: …バカな! そんな者が…!
  1114. 静香: そう…私もほぼ疑っていた
  1115. 静香: なんせ、それまで散々に ガセ情報を掴んできたから
  1116. 静香: だから、その老人から 聞いた話の答え合わせをしたいの
  1117. エボニー: …答え…?
  1118. 静香: その老人は、こう語っていたわ…
  1119. 老人: 「この命、もはやいくばくもない…」
  1120. 老人: 「こうして逃げ隠れてきたが… あんたに伝えることで少しでも 葦の原野へ近づけんことを…」
  1121. 老人: 「…しかし…げに罪深きはメトの一族じゃ…」
  1122. 老人: 「なぜわしはあの一族に 生まれ落ちたのだ…神々よ!なぜだ!」
  1123. 静香: メトの一族は 怪しげな神を信奉している…
  1124. 静香: それは“白き獣の神”…
  1125. 静香: 自らを『キュゥべえ』と 名乗っている…と
  1126. エボニー: …うっ…!
  1127. エボニー: (知っているの!?)
  1128. エボニー: (私が契約した神のことを…!)
  1129.  
  1130. FILENAME: text_518620-3_0b1U9.txt
  1131. 静香: メトの一族は 怪しげな神を信奉している…
  1132. 静香: それは“白き獣の神”…
  1133. 静香: 自らを『キュゥべえ』と 名乗っている…と
  1134. エボニー: …うっ…!
  1135. エボニー: (知っているの!?)
  1136. エボニー: (私が契約した神のことを…!)
  1137. 南津 涼子: んで、こう言ってたぜ
  1138. 南津 涼子: メトの一族は、少女と神を 引き合わせて契約させる
  1139. 南津 涼子: 少女は契約の見返りとして 願いをひとつ叶えてもらえる
  1140. 南津 涼子: だが…
  1141. 南津 涼子: その願いはすべて一族の目的に 寄与するものに限られる…
  1142. エボニー: …………
  1143. 老人: 「その目的とは何か…」
  1144. 老人: 「それはな… 王朝の庇護を受ける…ということだ」
  1145. すなお: エジプトを支配する王朝の 繁栄を盤石にするための願い…
  1146. すなお: それを強制的に言わされていた…
  1147. すなお: しかも 今に始まったことじゃない…
  1148. すなお: ずっと昔から、歴代のファラオと 密かに繋がり、すり寄っていた…
  1149. すなお: …そう仰ってました
  1150. エボニー: …………
  1151. 青葉 ちか: さらに、契約した少女は力を得て 魔の神を倒す責務を課せられた…
  1152. 青葉 ちか: また、そうすることで 少女たちは力を永らえることも…
  1153. 青葉 ちか: ただ、メトの一族はそのこと だけに専従させることは許さず…
  1154. 青葉 ちか: 少女をファラオの側近として 王室に献上…
  1155. 青葉 ちか: 得た力をファラオのためだけに 使わせていた…
  1156. 青葉 ちか: …合ってますか?
  1157. エボニー: …くっ…!
  1158. 静香: つまり、メトの一族は…
  1159. 静香: 少女を白い獣の神と契約させ 王室繁栄の願いを叶えさせる
  1160. 静香: 少女は力を得て、魔の神を 打倒する使命を課されつつも…
  1161. 静香: メトの一族の意向によって 王室へと送り込まれ…
  1162. 静香: その力をファラオのためにのみ 行使させられてきた
  1163. 静香: それも、遥か昔からずっと…
  1164. エボニー: う…うう…!
  1165. 静香: 少女に人権はなく、人生はなく ただ命を王朝に捧げるのみ…
  1166. エボニー: …うう…ううう…!
  1167. 静香: あなたも、そうなんでしょ?
  1168. エボニー: …くぅっ…!
  1169. 南津 涼子: …あのじいさん、こんなことも 言ってたよな…
  1170. 老人: 「今のファラオ…クレオパトラ…」
  1171. 老人: 「あれはそもそも、カエサルや アントニウスを手玉に取れるような 美貌も頭脳も持っておらなんだ…」
  1172. 老人: 「すべては、捧げられてきた 少女たちの力だ…」
  1173. 老人: 「あの女は、まやかしのファラオだ…!」
  1174.  
  1175. FILENAME: text_518620-4_0b1U9.txt
  1176. 老人: 「今のファラオ…クレオパトラ…」
  1177. 老人: 「あれはそもそも、カエサルや アントニウスを手玉に取れるような 美貌も頭脳も持っておらなんだ…」
  1178. 老人: 「すべては、捧げられてきた 少女たちの力だ…」
  1179. 老人: 「あの女は、まやかしのファラオだ…!」
  1180. エボニー: …う…ううう…!
  1181. エボニー: そうよ! その通りよ!
  1182. 静香: …………
  1183. 南津 涼子: …てことは…
  1184. エボニー: お前たちが見つけた 老人の話…
  1185. エボニー: すべて本当よ… いたのね、一族を抜けた者が…
  1186. 静香: …やっと… 真相に手が届いたわね…
  1187. 青葉 ちか: そうなんですね… クレオパトラ女王って…
  1188. エボニー: あの方は…
  1189. クレオパトラ: …………
  1190. エボニー: 私よりも以前に仕えていた 少女たちの願いの化身…
  1191. エボニー: 幾人もの命を吸い上げて 形作られた…ファラオ…
  1192. 静香: そう…だったのね…
  1193. ねむ: これで疑問が明確に解消された
  1194. ねむ: だから、お姉さんは 監視していたんだね
  1195. ねむ: 彼女のもとに魔法少女たちが 寄越されてくるから…
  1196. 静香: あなたは何人目だったの?
  1197. エボニー: 知らない…
  1198. エボニー: 知ったところで関係ない…
  1199. エボニー: しょせんはファラオに 使い捨てられる命よ…
  1200. エボニー: ふふ…ふふふ… ようやく気づいた…
  1201. エボニー: …いや、違うわね…
  1202. エボニー: 今まで目を背けていた事実を 直視することができた…!
  1203. エボニー: 私はメトの一族に生まれ!
  1204. エボニー: ファラオに捧げられるために 育てられて!
  1205. エボニー: ファラオの命運と共に死する者!
  1206. エボニー: …なんて惨めな人生… …くやしい…
  1207. エボニー: 一族を抜けた老人の悔やむ 気持ちがわかるわ…
  1208. エボニー: どうしてあんな連中に 育てられてしまったの!
  1209. エボニー: どうしてあんな神と 契約をさせられてしまったの!
  1210. エボニー: …ふ…ふふふ…! もはや滑稽ですらあるわ…
  1211. エボニー: 笑うなら笑いなさい… この情けない生き様を…
  1212. 静香: …笑えないわ
  1213. エボニー: …そうか 笑えもしないか…
  1214. 静香: そうじゃない…
  1215. 静香: 私たちの人生で 笑えるわけがないの
  1216. エボニー: …え…?
  1217. 静香: 私も、その白き獣の神… キュゥべえと契約した…
  1218. 静香: それも、メトの一族と近い事情を 背景にしてね…
  1219. エボニー: そうなの、ね…!?
  1220. エボニー: やはり、お前たちの力も 白き獣の神から…!
  1221. 静香: かつて、名乗ったでしょ? 私たちは…
  1222. エボニー: …トキメ…一族…
  1223. 静香: その通り…
  1224. 静香: 私の名は時女静香…
  1225. 静香: 私は祖国を守護するために この身を捧げた…
  1226. 南津 涼子: 南津涼子 時女一族だ
  1227. ちはる: 広江ちはる 同じくだよ
  1228. すなお: 土岐すなおです 私も時女の者です
  1229. 青葉 ちか: 人の恐ろしさ…私も知ってます… 青葉ちかです…
  1230. 旭: 三浦旭であります 時女一族出身であります
  1231. エボニー: 皆、同じ一族…
  1232. 静香: 得た力は「魔法」と そして…
  1233. 静香: 力を得た少女は「かん…」 いや…「魔法少女」と呼ばれて…
  1234. エボニー: 魔法…少女…
  1235. エボニー: …ああ!確かに神も 『魔法少女』と言っていたわ…!
  1236. 南津 涼子: ちなみに、魔の神は 「魔女」って呼んでんだわ
  1237. エボニー: そ、そう!その呼び名だった…!
  1238. 静香: …エボニー
  1239. 静香: 私たちは「概念の欠片」を回収 するため、あなたを探していたの
  1240. エボニー: …概念の…欠片?
  1241. 静香: あなたと、あなたの時代をなぞる ことで回収できるとわかって…
  1242. エボニー: それは…お前…
  1243. エボニー: …いや、あなたたちにとって 大事なものなの…?
  1244. 静香: ええ、とても…
  1245. 静香: 私たちも魔法少女になったことで 様々な経験をしてきた…
  1246. 静香: そして、少し前に とんでもない争いの渦中にいたの
  1247. 静香: その争いを鎮めた人がいてね…
  1248. 静香: 今回の旅は、その人の恩義に 報いる旅でもあるの
  1249. 静香: …いや、人たち、かな…
  1250. エボニー: …?
  1251. エボニー: …ともかく、仔細までは 理解できないけど…
  1252. エボニー: おおよその事情はわかったわ…
  1253. 静香: …ただね…ここにきて 思ったことがあるの
  1254. 南津 涼子: …なんだぁ?
  1255. 静香: …おこがましい 物言いかもしれないけど…
  1256. 静香: …私はあなたを救いたい!
  1257.  
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  1259. 静香: …ただね…ここにきて 思ったことがあるの
  1260. 南津 涼子: …なんだぁ?
  1261. 静香: …おこがましい 物言いかもしれないけど…
  1262. 静香: …私はあなたを救いたい!
  1263. エボニー: 私を…救う…!?
  1264. 静香: そう…
  1265. 静香: このままクレオパトラの 命運と沈むあなたを…
  1266. 静香: 私は見過ごすことができない!
  1267. 静香: あなたは新しい道を 歩むべきだわ
  1268. 静香: 私たちも過去を背負いながら 再び進み始めた…
  1269. 静香: 偉そうなことを言うようだけど あなたにもそうであってほしい…
  1270. ねむ: それはどうだろうか
  1271. 静香: …………
  1272. ねむ: 君達の目的は お姉さんを助けること、だよね?
  1273. ねむ: 彼女ではない
  1274. エボニー: …え?さっきからだけど… もしかして…それから声が…?
  1275. ちはる: そうなんだけど… このことも後でね…!
  1276. ねむ: それに、彼女を助けることは 歴史の干渉になりかねない
  1277. ねむ: それはご法度だよ
  1278. 静香: 欠片は、回収しきれたの?
  1279. ねむ: それは…まだだね
  1280. 静香: だったら、この後も エボニーを追う必要がある、と
  1281. ねむ: …その通り
  1282. 静香: ところで、私たちは既に ここまで関わってしまった
  1283. 静香: それは歴史の干渉にならないの?
  1284. ねむ: お姉さんの監視対象を絞るための やむを得ない対応だったし…
  1285. ねむ: 歴史を改変するクリティカルな 行動はなかったと判断している
  1286. ねむ: ただ、今はこうして 事の真相を突き止めた
  1287. ねむ: もはや無理に干渉すべきではない 距離を置いて追うべきだ
  1288. 静香: こんなにも 話し込んでしまった上でも?
  1289. ねむ: 上でも、だよ 今が線を引くタイミングだ
  1290. 静香: じゃあ、質問
  1291. 静香: 環さんの本には 事の顛末が記されていたの?
  1292. ねむ: それがわかっていたら こんなことにはなってないよ
  1293. 静香: だったら、こういう可能性も あるんじゃないの?
  1294. 静香: エボニーと距離を取ることで 欠片を回収することができない…
  1295. 静香: …とか
  1296. 静香: むしろ、一緒にいることで 欠片は回収できる…
  1297. 静香: …とか
  1298. ねむ: …それは…
  1299. ねむ: 可能性を言われたら 否定できない
  1300. 静香: 彼女を救うことが歴史の干渉に 繋がらない可能性は?
  1301. ねむ: …さっきからずるい質問だね…
  1302. ねむ: それも否定できない
  1303. ねむ: …ところで、彼女の発言に みんな驚いてないみたいだけど?
  1304. 南津 涼子: いや…言い出しそー!って 感じだったからよ
  1305. ちはる: そうそう!
  1306. すなお: 私も思ってました
  1307. 青葉 ちか: というか、私も静香さんと 同意見です!
  1308. 旭: さもありなんと 思った次第であります!
  1309. ねむ: …やれやれ…
  1310. 静香: 歴史の大きな流れは 変わっていないんでしょ?
  1311. 静香: だったら、そこには 触れないようにすれば…!
  1312. ねむ: しかし…
  1313. 静香: それに!環さんだったら決して エボニーを放っておかない!
  1314. 静香: …私は、そう思うの…
  1315. ねむ: …………
  1316. ねむ: 可能性の枝葉は無限大に 広がっている…
  1317. ねむ: だけど、選ぶべきルートは 確率として無難な方のはず…
  1318. ねむ: なのに、あえてリスクを 拾う方に進むなんて…
  1319. ねむ: …でも、お姉さんなら…か…
  1320. ねむ: …………
  1321. 静香: …どう?
  1322. ねむ: 時女一族…困った人たちだ…
  1323. ねむ: わかったよ…
  1324. ねむ: 僕だけが反対しても 君達の意見は変らないだろうしね
  1325. ねむ: それに、リスクを取るのが 正解という可能性もある
  1326. 静香: …ありがとう!
  1327. ねむ: まったく…
  1328. 静香: エボニー!
  1329. エボニー: な、なにが、どうなって…
  1330. 静香: 細かいことは置いといて…
  1331. 静香: とにかく、ここが岐路なの
  1332. エボニー: …岐路…?
  1333. 静香: あなたが新たな人生を 歩んでいくかどうかの…!
  1334.  
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  1336. 静香: とにかく、ここが岐路なの
  1337. エボニー: …岐路…?
  1338. 静香: あなたが新たな人生を 歩んでいくかどうかの…!
  1339. エボニー: 私が…新しい人生を…
  1340. 静香: このままクレオパトラに 身命を捧げるのか…
  1341. 静香: それとも、これからの自分の ために身命を取り戻すのか…!
  1342. 静香: あなたの覚悟が必要なの!
  1343. エボニー: …………
  1344. 静香: あなた、自分で言ったでしょ?
  1345. エボニー: 私はメトの一族に生まれ!
  1346. エボニー: ファラオに捧げられるために 育てられて!
  1347. エボニー: ファラオの命運と共に死する者!
  1348. エボニー: …なんて惨めな人生… …くやしい…
  1349. 静香: 『惨めな人生』…
  1350. 静香: それでいいの?
  1351. 静香: そんな風に自分で 言い捨ててしまうような…
  1352. 静香: 悲しい生き方のままでいいの?
  1353. エボニー: …………
  1354. エボニー: …私は…
  1355. エボニー: どこかであの御方を 憐れんでいたんだ…
  1356. クレオパトラ: …う…うう…
  1357. クレオパトラ: …アントニー…アントニー…
  1358. エボニー: 歴代の贄…いや、魔法少女、か…
  1359. エボニー: 白き獣の神と契約した 魔法少女たちの願いは…
  1360. エボニー: すべて 「王朝の繁栄」だったそうよ
  1361. エボニー: だから今まで 王権を保つことができた…
  1362. エボニー: でも、クレオパトラ様は違った…
  1363. エボニー: 即位されてからメトの一族に 要望を出してきてね…
  1364. エボニー: まずは美貌… 次に多国籍の言語能力…
  1365. エボニー: 王朝の国庫を潤わせろだとか 街の発展だとかも…
  1366. エボニー: だから、クレオパトラ様の代で 多くの少女が犠牲になった…
  1367. 静香: …………
  1368. エボニー: …ふふ…私に至っては 「クレオパトラ様の栄華」よ…
  1369. エボニー: 願いを叶えすぎて 思いつかなかったみたいね
  1370. エボニー: だから、すごく適当…
  1371. エボニー: 曖昧な要望だったものだから 私も言ってることが曖昧で…
  1372. エボニー: 『歴史に名が残る栄華を!』とか 漠然としちゃってね…
  1373. ねむ: でも、クレオパトラは人類史 におけるビッグネームだし…
  1374. ねむ: ある意味、その願いは しっかりと叶ったみたいだね
  1375. エボニー: 結果がどうなろうと 関係ないわ…
  1376. エボニー: ともかく、クレオパトラ様は 魔法少女たちを散々利用した
  1377. エボニー: 私の力…魔法もね
  1378. 南津 涼子: あんたのは受けたけどさ 具体的にはどんな魔法なんだ?
  1379. エボニー: 香炉から出す香りで人を魅了し 意のままに操ることができる…
  1380. 南津 涼子: そういうやつか…!
  1381. 静香: 町の人にもかけてたのね
  1382. エボニー: ええ…主に王朝に叛意を 持つ人たちにね
  1383. 青葉 ちか: そうやって均衡を…
  1384. エボニー: それに、魔の神とも… あ、ええと…
  1385. 南津 涼子: 魔女
  1386. エボニー: …魔女とも戦ってきた
  1387. エボニー: そうしないと、身を保てない ことは伝え聞いていたから
  1388. エボニー: クレオパトラ様のために 昼夜問わず働きながらね…
  1389. ちはる: …辛かったよね…
  1390. エボニー: うん…
  1391. エボニー: 内心、わかっていたの
  1392. エボニー: こんな生き方 望んでいないのにって
  1393. エボニー: だけど、そう生きるのだと 一族によって教え込まれてきた…
  1394. エボニー: 他の生き方を想像することなんて できなかった…
  1395. エボニー: 憐れなクレオパトラ様…
  1396. エボニー: ある意味で、魔法の被害者でも あるこの御方から離れるなんて…
  1397. エボニー: それは自分自身の否定に なるのではという恐怖すら…
  1398. 静香: そんなことないわ!
  1399. 静香: 彼女から離れるのは 自分自身の否定じゃない!
  1400. 静香: 自分自身の回復なのよ…!
  1401. エボニー: …そうね…
  1402. エボニー: …今、ここが…
  1403. エボニー: 私の岐路…
  1404.  
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  1406. 静香: 彼女から離れるのは 自分自身の否定じゃない!
  1407. 静香: 自分自身の回復なのよ…!
  1408. エボニー: …そうね…
  1409. エボニー: …今、ここが…
  1410. エボニー: 私の岐路…
  1411. 静香: ええ、そうよ…
  1412. エボニー: …わかった…
  1413. エボニー: 覚悟は決めたわ…
  1414. 静香: エボニー…!
  1415. エボニー: ただし、最後に やることがあるから…
  1416. エボニー: みんな、物陰に隠れてもらえる?
  1417. 南津 涼子: おいおい 何をやろうって…
  1418. 静香: いいから
  1419. 南津 涼子: …ああ…
  1420. エボニー: …………
  1421. エボニー: …ファラオ、お目覚めを…
  1422. クレオパトラ: …ん…んん~…
  1423. クレオパトラ: エボニーか… アントニーはどこに?
  1424. エボニー: クレオパトラ様… お願いがあります…
  1425. クレオパトラ: …なに? お前が私に願いだと…?
  1426. エボニー: …暇を、頂戴したく…
  1427. クレオパトラ: 暇…?
  1428. クレオパトラ: 私から離れるというのか!? 許さないわ!そのようなことは!
  1429. クレオパトラ: 私の香炉の分際が…! 暇を取って、どこに行くのよ!
  1430. エボニー: 一族のもとへ…
  1431. クレオパトラ: …なに?メトの一族の…?
  1432. クレオパトラ: …おお、そうかそうか! 新たな贄を連れてくるのね!
  1433. クレオパトラ: ふふふ!ならばいいわ! 行くがいい!
  1434. クレオパトラ: 此度の願いは、そうね… オクタウィアヌスの死!これよ!
  1435. クレオパトラ: それで形勢は逆転するわ!
  1436. クレオパトラ: そうそう!なんでこの方法を 思いつかなかったのかしら!
  1437. エボニー: …………
  1438. クレオパトラ: いいこと!オクタウィアヌスに 確実なる死をもたらしなさい!
  1439. クレオパトラ: そうなれば… アントニーも喜ぶはず!
  1440. クレオパトラ: ローマは彼のもの! そして私のものに…!
  1441. エボニー: …ファラオ、夜も深くなりました どうぞ、ご寝所に…
  1442. クレオパトラ: ふふ…そうね… もう寝ないと…!
  1443. クレオパトラ: 部屋でアントニーが 待ってるわ…!
  1444. クレオパトラ: アントニー… ああ、アントニー…!
  1445. エボニー: …もういいわよ
  1446. 南津 涼子: あれは…確かに、憐れなもんだな 盛者必衰か…
  1447. 静香: これで気が済んだ?
  1448. エボニー: …ファラオに対しては、ね
  1449. 青葉 ちか: …え?何かまだあるような 口ぶりですけど…
  1450. エボニー: 一族にも決別を言い渡したいの
  1451. すなお: えっ?クレオパトラさんに言った のは方便じゃなかったと…!?
  1452. 旭: 本当にメトの一族と相対する のでありますか!?
  1453. エボニー: そのつもり…
  1454. 南津 涼子: いや、そんな わざわざこじれそうなことを…!
  1455. エボニー: 一族を無視しては 前へ進めないと思うの…
  1456. エボニー: 私が王宮を離れたら 必ず追手を放つはず…
  1457. エボニー: それだと、いつまでたっても 逃げ回ることになる
  1458. エボニー: 結局、彼らとの対峙は 避けて通れない…
  1459. 静香: …………
  1460. 静香: …いいわ…こうなったら とことんやりましょう
  1461. 静香: あなたのやりたいように…!
  1462. エボニー: ありがとう…
  1463. 南津 涼子: …かー、マジかよ…
  1464. 南津 涼子: タダじゃすまねーだろうな… 間違いなく…
  1465. 静香: いいから そうと決まれば出立よ!
  1466. 南津 涼子: へーい…
  1467. エボニー: …………
  1468. エボニー: ―エボニー― クレオパトラ様…
  1469. エボニー: ―エボニー― 以前もこうして空の玉座に向かい 膝をつきました…
  1470. エボニー: ―エボニー― しかし、あの時の心の内とは すっかり変わりました…
  1471. エボニー: ―エボニー― 私は行きます…クレオパトラ様…
  1472. 静香: …エボニー…
  1473. エボニー: …ごめんなさい さあ、行きましょう
  1474. 静香: …ええ!
  1475. 兵士: …エボニーめ…!
  1476.  
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  1478. <クレオパトラとの決別を果たし エボニーと静香たちはメトの一族のもとを 訪れようとしていた>
  1479. <しかし、その道行きは厳しく…>
  1480. ちはる: ひー…ひー…ひー…
  1481. ちはる: 相変わらず、砂漠はキツい…
  1482. 南津 涼子: どこにあんだよ… 一族の集落ってのは…
  1483. エボニー: そう簡単に辿り着ける ものではないの
  1484. エボニー: エジプトの中でも 人知れず生きてきた部族だから…
  1485. すなお: 易々と人目につくところには 住んでいないわけですね…
  1486. 青葉 ちか: ただ、なんだか、同じところを 何度も歩いているような…
  1487. エボニー: そういう道順なのよ
  1488. ちはる: ひー!なんでー!?
  1489. <そしてようやく 一行はメトの一族の本拠地へ辿り着いた>
  1490. エボニー: 着いた…!
  1491. 静香: ここが…!?
  1492. ちはる: つ、疲れた…
  1493. 青葉 ちか: …でも、なんだかひと気が ないような…
  1494. エボニー: 正確に言うと ここは『メトの聖地』
  1495. エボニー: 一族はそれぞれの役目があって 各地へ分散してるから…
  1496. エボニー: 基本的に一族の者たちが同じ所に 留まって暮らすことはないの
  1497. エボニー: ただ、ここは別…
  1498. エボニー: 聖地を守るために 一部の者が隠れ住んでいる
  1499. エボニー: 魔法少女候補の子たちも この地で教育を受けている
  1500. エボニー: いわば、私の故郷…
  1501. 静香: …あなたは、ここで…
  1502. ???の声: 来たか、エボニー…
  1503. エボニー: …長老…
  1504. 長老: 待っておったぞ…
  1505. 静香: この人は…?
  1506. エボニー: メトの一族を統べる長よ…
  1507. 静香: この人が…
  1508. 南津 涼子: 元締めってわけだ
  1509. ちはる: …あれ? 『待ってた』ってことは…
  1510. エボニー: 宮殿内の一族の者から 報せが届いたのですね
  1511. すなお: あの時も聞かれていたし 行動は全部筒抜け、ですか…
  1512. 長老: 造作もないことだ
  1513. エボニー: 承知の上です
  1514. エボニー: では、私の目的も…
  1515. 長老: ああ…
  1516. エボニー: …では、改めて…
  1517. 長老: 待て その前に話がある
  1518. エボニー: …なんでしょうか?
  1519. 長老: ファラオがオクタウィアヌスの 虜囚となった
  1520. エボニー: …え!?
  1521. エボニー: …そう、ですか…
  1522. 長老: ほう… さほど驚かぬか
  1523. 長老: 王朝の命運を見極めて おったということか
  1524. エボニー: …………
  1525. 長老: ファラオが捕らえられたのは お前のせいだ、エボニー
  1526. エボニー: …う…
  1527. 長老: お前が傍にいれば おめおめと敵の手に…!
  1528. 長老: …これで プトレマイオス王朝も潰えたわ…
  1529. 長老: なんと嘆かわしい… 我ら一族はどうなるのだ…
  1530. 長老: エボニー…責任をどう取るのだ!
  1531. 静香: 待って!
  1532. 静香: 王朝の命脈は とっくに尽きていたのよ!
  1533. 長老: …ぬう…
  1534. 静香: 歴代の王が…クレオパトラが… そしてあなたたちが!
  1535. 静香: 人の命を軽んじてきた末路よ! それが定めだったのよ!
  1536. エボニー: 静香…
  1537. 静香: だからこそ、もうエボニーを 解き放ってあげて…
  1538. 静香: 自由にさせてあげて!
  1539. 静香: すべてが変わる時なの…!
  1540. 長老: …………
  1541. 長老: …お前の一族は 我らと似通っておると聞く…
  1542. 長老: 今、どのような状況にあるのだ?
  1543. 静香: 新たな道を歩み始めているわ
  1544. 静香: 一族皆、勇気をもって!
  1545. 南津 涼子: おうよ!
  1546. ちはる: だね!
  1547. 青葉 ちか: そうです!
  1548. すなお: 頑張ってます!
  1549. 旭: 右に同じであります!
  1550. 長老: …そうか…
  1551. 長老: …………
  1552. 長老: …わかった…
  1553. 長老: エボニーよ お前を任から解き放つ
  1554. 長老: 好きにするがいい…
  1555. エボニー: 長老…!
  1556. ちはる: やったー!
  1557. 長老: …ただし…
  1558. 長老: 我ら一族は長きに渡り ファラオより恩を受けてきた
  1559. 長老: 最後に義理は通したい
  1560. 長老: ファラオと会ってくるのだ エボニー
  1561. エボニー: え…!?
  1562. 長老: 囚われの身ではあるが お前なら潜入は容易かろう
  1563. 長老: 一族を代表して、感謝と詫びを お伝えするのだ
  1564. 長老: それが王家への礼というもの
  1565. エボニー: …………
  1566. 長老: よいな
  1567. 静香: …どうするの?
  1568. エボニー: …………
  1569. エボニー: …わかりました…
  1570. エボニー: クレオパトラ様に 会ってまいります…
  1571.  
  1572. FILENAME: text_518620-9_0b1U9.txt
  1573. エボニー: …わかりました…
  1574. エボニー: クレオパトラ様に 会ってまいります…
  1575. <長老からの依頼を受け エボニーは一族の筋を通すべく 虜囚となったクレオパトラのもとに向かった>
  1576. <クレオパトラが幽閉されている館は 厳重な警備がなされていたが そこに潜入することなど 魔法少女にとっては造作もないことで…>
  1577. 南津 涼子: よっ…と
  1578. 南津 涼子: …この部屋で合ってんのか?
  1579. エボニー: 一族からの情報は確かなはず…
  1580. 静香: 随分静かだけど…
  1581. 青葉 ちか: 気配…は感じますね…
  1582. エボニー: クレオパトラ様…! クレオパトラ様はおられますか!
  1583. エボニー: エボニーが参りました! クレオパトラ様…!
  1584. クレオパトラの声: エボニー…?
  1585. クレオパトラ: おお、エボニー…! エボニーではないか!
  1586. エボニー: ク、クレオパトラ様…!?
  1587. ちはる: うわあぁっ!
  1588. すなお: 顔が…崩れている…!?
  1589. ねむ: どうやら魔法が 切れかかっているみたいだ
  1590. 静香: 魔法!?それって、つまり…
  1591. ねむ: おそらく、過去に仕えた 魔法少女の魔法じゃないかな
  1592. ねむ: その効力が 時限的なものだったんだろうね
  1593. エボニー: それを知らず、女王は魔法を かけさせ続け…
  1594. エボニー: 当の魔法少女は 既にもう…ということ…?
  1595. ねむ: この状態と過去を踏まえれば その結論が妥当だろうね
  1596. エボニー: …くっ!この御方は…!
  1597. クレオパトラ: エボニーよ! どこへ行っていたのです!
  1598. クレオパトラ: いつの間にか私のもとから いなくなって…!
  1599. クレオパトラ: 勝手を働くなど言語道断! なにをやってるの!
  1600. クレオパトラ: おかげで私は虜囚の身と なってしまったではないか!
  1601. エボニー: クレオパトラ様…! 落ち着かれてください!
  1602. クレオパトラ: 早く私を解放しなさい! 今すぐに!
  1603. クレオパトラ: 忌々しいオクタウィアヌスめ… ここを出たら必ずその命を…!
  1604. エボニー: クレオパトラ様! 私は今日、一族を代表して…!
  1605. クレオパトラ: そうだ…メトの一族は あなたが束ねなさい!
  1606. エボニー: ええっ…!?
  1607. クレオパトラ: あの老人 前から気に食わなかった…
  1608. クレオパトラ: もはや古き者は不要! あなたが新しい長よ!
  1609. クレオパトラ: そして、神への贄をどんどん 送り込みなさい!
  1610. クレオパトラ: 願いはまず 私に永遠の美しさを!
  1611. クレオパトラ: 次に我が息子、カエサリオンに 強大な力を与えるのです!
  1612. クレオパトラ: あ…そうよ! オクタウィアヌスも殺しなさい!
  1613. クレオパトラ: 贄の願いなら、簡単でしょ?
  1614. エボニー: …………
  1615. クレオパトラ: ふ、ふふふ…!
  1616. クレオパトラ: どうしてこんな簡単な手 思いつかなかったのかしら!
  1617. クレオパトラ: 贄よ…王朝への贄よ! 捧げるのです!もっと命を!
  1618. エボニー: …クレオパトラ様! あなたは、あなたは…!
  1619. クレオパトラ: 私の香炉よ! さあ、贄を連れて来るのです!
  1620. クレオパトラ: さすれば、我が王朝は 永遠に光輝き…!
  1621. クレオパトラ: …つづっ…!?
  1622. エボニー: …クレオパトラ様…?
  1623. クレオパトラ: …け…る…
  1624. エボニー: …ク、クレオパトラ様ーっ!
  1625.  
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  1627. クレオパトラ: 私の香炉よ! さあ、贄を連れて来るのです!
  1628. クレオパトラ: さすれば、我が王朝は 永遠に光輝き…!
  1629. クレオパトラ: …つづっ…!?
  1630. エボニー: …クレオパトラ様…?
  1631. クレオパトラ: …け…る…
  1632. エボニー: …ク、クレオパトラ様ーっ!
  1633. 静香: これは…!?
  1634. ちはる: ん!?…くんくん…
  1635. ちはる: そこだ!
  1636. 兵士: …くっ!
  1637. エボニー: お前は…一族の者か! どうしてここに…!?
  1638. 兵士: …ふ、ふふ…! いやあ、楽だったぜ…!
  1639. 兵士: お前さんがたのお陰で ここまで簡単に入り込めた
  1640. 兵士: 後をついてきゃ いいだけだったからな…!
  1641. エボニー: …まさか、お前か…!
  1642. エボニー: クレオパトラ様に何をした…!
  1643. 兵士: …クレオパトラ女王は!
  1644. 兵士: 偶然部屋に入り込んだ 蛇の毒で死んだ!
  1645. 兵士: …ということになったのだ
  1646. エボニー: 蛇の毒、だと…!?
  1647. エボニー: …腕に何か…!?
  1648. 兵士: 俺が刺した暗殺用の特製の針だ ああ…いい具合に撃ち込めたな
  1649. 兵士: で…そいつに仕込んであるのが 蛇の毒ってわけさ!
  1650. エボニー: …なんで…
  1651. エボニー: …なんでそんなことを!
  1652. ねむ: …この感じ…危ないな
  1653. ねむ: エボニーが急速に穢れを 溜め込み始めている
  1654. 静香: ええっ!?
  1655. ちはる: うそっ!?
  1656. 兵士: (…動ける?)
  1657. 兵士: (今だ…!)
  1658. ちはる: ああ、しまったー!
  1659. 静香: 放っておきなさい! 今はこっち!
  1660. 南津 涼子: やべーぞやべーぞ…! どうすんだよ!
  1661. ねむ: まだ器は満ちていない 回収は終わっていないんだ
  1662. ねむ: エボニーを魔女にしてはならない 本にはまだ続きがあるんだ
  1663. ねむ: ここで魔女になる 結末ではないんだ
  1664. 静香: …わかってる…!
  1665. ちはる: し、静香ちゃんの魔法で!
  1666. 静香: さっきからやってるけど 止まらない…!
  1667. 静香: ちゃるは!?
  1668. ちはる: …んん~!
  1669. ちはる: …ダメ…拘束も無理…!
  1670. 南津 涼子: あたしもダメだ!
  1671. 青葉 ちか: わ、私たちは…
  1672. 旭: この状況だと戦力外であります!
  1673. 静香: …そうだ、すなお!
  1674. すなお: やってます!
  1675. すなお: どうにか少しは穢れを 落ち着かせられていますが…
  1676. すなお: げ、限界が…!
  1677. 南津 涼子: だったら、グリーフシードで!
  1678. 静香: やってみる!
  1679. 静香: …ああ…!
  1680. すなお: すぐに穢れでいっぱいに…
  1681. ちはる: ど、どうしたら…!?
  1682. 静香: …姿は、まだ変わってない…
  1683. 静香: 今なら間に合うはず!
  1684. 静香: みんな、エボニーに呼びかけて!
  1685. 静香: 向こう側へ渡らせてはいけない! こっちへ引き戻すの!
  1686. 静香: 絶望を踏みとどまらせるの!
  1687. 静香: その上で もう一度グリーフシードを…!
  1688. 南津 涼子: …くそっ!やるしかねー! おい、エボニー!
  1689. ちはる: エボニーちゃん! それ以上はダメ―!
  1690. 旭: 耐えるのであります!
  1691. 青葉 ちか: 魔女になってしまいますよ!
  1692. すなお: いけません…エボニーさん!
  1693. 静香: 時女一族が あなたを魔女にさせない…!
  1694.  
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  1696. 南津 涼子: …くそっ!やるしかねー! おい、エボニー!
  1697. ちはる: エボニーちゃん! それ以上はダメ―!
  1698. 旭: 耐えるのであります!
  1699. 青葉 ちか: 魔女になってしまいますよ!
  1700. すなお: いけません…エボニーさん!
  1701. 静香: 時女一族が あなたを魔女にさせない…!
  1702. エボニー: う…うう…!
  1703. 静香: エボニー! 聞きなさい!
  1704. 静香: 突然の出来事で あなたは精神の均衡が崩れた!
  1705. 静香: 一度はあなたの人生を捧げた人が 目の前で殺されてしまったから…
  1706. エボニー: うぐ…!ううううー…!
  1707. 静香: 魔法少女は心を完全に 壊してしまうと魔女になる!
  1708. 静香: 魔の神になってしまうの!
  1709. エボニー: 魔の…くっ…!
  1710. 静香: そんなの…悔しくないの!?
  1711. 静香: 自分の人生を思うように 歩くこともできないまま…
  1712. 静香: あなた本来の生を まっとうできないままで!
  1713. 静香: 嫌でしょ!
  1714. エボニー: うう…!
  1715. 静香: だから、帰ってきて!
  1716. 静香: 生きるの! これからもあなたは!
  1717. 静香: 自由に!思うがままに!
  1718. エボニー: う…う…
  1719. エボニー: ああああああああああ!
  1720. すなお: …今!?
  1721. すなお: 静香!グリーフシードを渡して!
  1722. 静香: え、ええ!
  1723. すなお: これでどう…!?
  1724. すなお: …きゃああああっ!
  1725. 静香: すなお!
  1726. すなお: …はぁ…はぁ…はぁ…
  1727. エボニー: …………
  1728. すなお: か、帰ってこれた…みたい…
  1729. 静香: すなおー!
  1730. すなお: わ、私は平気… それよりも…
  1731. エボニー: くっ…ううっ…
  1732. ねむ: 精神が摩耗して 衰弱しているようだ
  1733. ちはる: …んん!?
  1734. ちはる: …な、なんか匂いが いっぱい近づいてきてる!
  1735. 静香: 異変に気づかれたようね…!
  1736. 静香: 私と涼子でエボニーを! ちゃるとちかですなおを!
  1737. 静香: 旭は周辺を警戒しつつ 殿(しんがり)を!
  1738. 南津 涼子: わかった!
  1739. 青葉 ちか: ちはるさん!
  1740. ちはる: うん!
  1741. 旭: 殿、お任せを!
  1742. 青葉 ちか: …あ、で、でも!
  1743. 青葉 ちか: クレオパトラさんは このままでいいんですか…?
  1744. ねむ: このままでいいよ それが一番だ
  1745. 青葉 ちか: え…!?
  1746. ねむ: クレオパトラは蛇の毒で 死亡したとされている
  1747. ねむ: 経緯はどうあれ 歴史に記された通りの結果…
  1748. ねむ: だから、このままでいいんだ
  1749. 静香: …わかったわ
  1750. 静香: 行くわよ!
  1751. <紀元前30年8月29日…>
  1752. <オクタウィアヌスに幽閉されていた クレオパトラ7世は厳重な監視下にも関わらず 自死したと伝わっている>
  1753. <その方法は、贈答品の果物に忍ばせていた 猛毒のコブラに自らを咬ませたというが…>
  1754. <真相は、定かではない…>
  1755.  
  1756. FILENAME: text_518620-12_0b1U9.txt
  1757. <クレオパトラの死から数日後…>
  1758. 長老: …で…
  1759. 長老: ファラオには会えたのか? エボニーよ
  1760. エボニー: …………
  1761. 静香: …どういうことか、説明を!
  1762. 長老: なんの説明だ?
  1763. 南津 涼子: クレオパトラを殺したことだよ!
  1764. ちはる: メトの一族の人が 手にかけたんでしょ!
  1765. 青葉 ちか: エボニーさんが 知っている顔だと!
  1766. 長老: さあな…
  1767. 長老: そんな用なら わしは去るぞ…
  1768. すなお: 動かない方がいいです
  1769. すなお: 遠くから私たちの仲間が あなたを狙っています
  1770. すなお: 命は取りませんが 勝手をすると痛い目を見ますよ
  1771. 長老: …………
  1772. 長老: やれやれ… 大人しそうな顔して言うことが…
  1773. エボニー: …話してもらえますよね、長老…
  1774. 長老: …ふぅ…
  1775. 長老: わかった! ああ、わかった!
  1776. 長老: 狙いはいくつかあった…
  1777. 長老: ひとつは、お前だ
  1778. エボニー: …私?
  1779. 長老: 我らは魔の神を生み出す 術を心得ておる
  1780. 長老: それは、贄の心を壊すこと
  1781. 静香: なっ…!?
  1782. すなお: で、では…
  1783. 長老: そう…
  1784. 長老: エボニーを敵中で魔の神に堕とす
  1785. 長老: 女王の死を目の前で 見せつけてな…
  1786. エボニー: ぐっ…!
  1787. 南津 涼子: …外道がっ…!
  1788. 長老: さすれば、ローマの連中に一泡 吹かせられると考えたのだが…
  1789. 長老: はぁ… まさか食い止めるとはなぁ…
  1790. エボニー: そんなことの…ために…!
  1791. 静香: なんて人…!
  1792. 長老: それから、用済みの ファラオの片付けでもあった
  1793. 青葉 ちか: 用済み…!?
  1794. 長老: 国外にはプトレマイオス15世 カエサリオン様がおられる
  1795. 長老: ならば、いつまでも クレオパトラに居てもらっては…
  1796. 長老: 有害、というものだろ?
  1797. ちはる: 酷い…!
  1798. 長老: そもそも!
  1799. 長老: 栄えあるエジプトの女王が 虜囚の辱めを受けるなど…
  1800. 長老: かつてのファラオたちに 申し訳が立たないというもの!
  1801. 長老: 名誉のための死を 我らがもたらしたのだ
  1802. 長老: むしろ女王には 感謝していただきたいくらいだ!
  1803. エボニー: くっ…!
  1804. 長老: …なあ、エボニーよ
  1805. 長老: 改めて カエサリオン様に仕えよ
  1806. エボニー: …なっ…!?
  1807. 長老: 一族の使命を再び果たすのだ…!
  1808.  
  1809. FILENAME: text_518620-13_0b1U9.txt
  1810. 長老: …なあ、エボニーよ
  1811. 長老: 改めて カエサリオン様に仕えよ
  1812. エボニー: …なっ…!?
  1813. 長老: 一族の使命を再び果たすのだ…!
  1814. 静香: あなたは…なんて…!
  1815. エボニー: もうたくさんよ!
  1816. 長老: …む…
  1817. 静香: エボニー…
  1818. エボニー: もう…もう本当に うんざり…!
  1819. エボニー: 私はもうメトの一族とは 完全に縁を断つ!
  1820. エボニー: 追うなら追うがいいわ! 火の粉は必ず払う!
  1821. エボニー: この…人でなし!
  1822. 南津 涼子: ははっ!
  1823. 静香: よく言ったわ、エボニー!
  1824. 長老: …………
  1825. 長老: …ふーむ… ならば新しい贄が必要だな
  1826. エボニー: なっ…!?
  1827. 長老: カエサリオン様が力をつければ そこに贄を送り込む
  1828. 長老: ローマがエジプトを支配するなら オクタウィアヌスに…
  1829. 長老: 肝要なのは 一族の命脈を保つこと
  1830. 長老: それだけだ…
  1831. エボニー: お前は…どこまでも…!
  1832. 長老: …ふはははは!はははは!
  1833. 南津 涼子: こんの野郎ー!
  1834. 長老: …は…
  1835. 南津 涼子: …な、なんだぁ、急に!?
  1836. ちはる: …わっ!こ、これ…!
  1837. ちはる: 魔女だ!魔女の反応だ…!
  1838. 静香: え?どこから…!?
  1839. ちはる: そこ!
  1840. エボニー: …長老から!?
  1841. 長老: …では、わしはこれで旅立つ
  1842. エボニー: ま、待て!
  1843. 長老: …メトの一族よ…
  1844. 長老: 永遠なれ…!
  1845. エボニー: ああっ!
  1846. 青葉 ちか: きゃあっ!
  1847. 静香: 岸壁に頭を打ちつけて…!?
  1848. エボニー: これは…どういうこと!?
  1849. 南津 涼子: この感じ… おそらく間違いねぇ…!
  1850. 静香: 魔女に魅入られたわね…
  1851. エボニー: 魔女に…!?
  1852. ねむ: それも、僕達と話している 隙を狙われたようだ
  1853. 旭: 警戒するであります!
  1854. エボニー: …………
  1855. エボニー: …報いよ…
  1856. 静香: …エボニー?
  1857. エボニー: さんざん魔法少女を 食い物にしてきた…
  1858. エボニー: 報いを受けたのよ!
  1859. エボニー: ドゥアトでアヌビスに心臓の 重さを計られるがいいわ…!
  1860. エボニー: 天秤はきっと傾くはずよ…!
  1861. 静香: …………
  1862. ねむ: みんな、心づもりを…
  1863. ねむ: 来るよ
  1864. 青葉 ちか: わわっ!
  1865. 南津 涼子: 魔女の結界…だ!
  1866. 静香: 引き込まれたわね…
  1867. ちはる: 急展開すぎるよー!
  1868. ねむ: …魔法少女たちの無念が 引き寄せてしまった…
  1869. ねむ: …そんなことはないか…
  1870. 南津 涼子: ちくしょう… 何で現れちゃうかね~…!
  1871. エボニー: …………
  1872. エボニー: …今、魔法少女たちの無念が 呼び寄せたって言ったわよね?
  1873. ねむ: …世迷言だよ
  1874. エボニー: その世迷言…
  1875. エボニー: 私は信じるわ!
  1876.  
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  1878. エボニー: …今、魔法少女たちの無念が 呼び寄せたって言ったわよね?
  1879. ねむ: …世迷言だよ
  1880. エボニー: その世迷言…
  1881. エボニー: 私は信じるわ!
  1882. ねむ: …………
  1883. エボニー: みんなの無念が長老を裁いた…
  1884. エボニー: 魔女となって…!
  1885. 静香: …そんな魔女とおそらく 戦うことになるわけだけど…
  1886. 静香: あなたは倒せるの? 相手が…
  1887. 静香: 犠牲となった魔法少女たちの 成れの果てだったとしても…
  1888. エボニー: …だからこそ、よ
  1889. エボニー: だからこそ、私が葬らないと…
  1890. エボニー: 悲劇の過去に終止符を打つ…
  1891. エボニー: 先達の魔法少女たちの苦しみを 解き放つ…!
  1892. エボニー: 彼女たちを葦の原野へ… 楽園アアルへ送り出すため…!
  1893. 静香: …そう…
  1894. 静香: …だったら、魔女と戦うことは 「儀式」なのかもね
  1895. エボニー: 儀式…
  1896. 静香: 魔法少女たちを弔うための…
  1897. 静香: そして、あなたが自分の人生を 歩むための…
  1898. 静香: 皆が前へ進むための 大事な儀式…!
  1899. 南津 涼子: …だったら! 手伝うっきゃねーな!
  1900. ちはる: うん!
  1901. 青葉 ちか: もちろんです!
  1902. すなお: やりましょう!
  1903. 静香: 旭!
  1904. 旭: 現着済みであります!
  1905. 静香: これから魔女に仕掛けるから 援護射撃をお願い!
  1906. 旭: 了解であります!
  1907. 静香: 旭の射撃が始まったら 一斉にかかるわよ!
  1908. 静香: いいわね?エボニー
  1909. エボニー: ええ!
  1910. 旭: ではこの儀式…
  1911. 旭: 我の一撃で幕開けであります!
  1912. 静香: 今よ!
  1913. エボニー: はぁぁぁぁぁぁ!
  1914.  
  1915. FILENAME: text_518620-15_0b1U9.txt
  1916. エボニー: や、やった…!
  1917. 静香: 終わった…
  1918. 南津 涼子: ナイス連携だったな!
  1919. ちはる: バッチリだね!
  1920. 青葉 ちか: やりました~…!
  1921. 旭: 勝利であります!
  1922. すなお: 素晴らしい射撃でしたよ!
  1923. 静香: エボニー…
  1924. エボニー: …………
  1925. エボニー: やっと…やっと一歩 踏み出せた気がするわ…
  1926. ねむ: …うん…
  1927. ねむ: 今、魂の器が満ちたようだ
  1928. ちはる: え!ってことは…
  1929. 旭: 任務完了なのでありますか!?
  1930. ねむ: そうなるね
  1931. ねむ: この旅は、ここが終着点だ
  1932. エボニー: 終着点…
  1933. 静香: …………
  1934. 静香: …エボニー あなたとはここでお別れみたい
  1935. エボニー: …そう、か…
  1936. 静香: 私があなたに会ったことは 何か運命のように思えるわ
  1937. 静香: 時女の私と、メトのあなたと…
  1938. エボニー: 私もそう思う…
  1939. エボニー: 神々のお導きね
  1940. ねむ: お姉さんの導き、かな
  1941. 静香: もう帰らなくては… 本来、私たちがいるべき時代へ…
  1942. 南津 涼子: …じゃあな 達者で生きてけよ…!
  1943. ちはる: あ!「宿無し探偵等々力耕一」の 話をするのを忘れてた!
  1944. エボニー: …トドロキ…?
  1945. 南津 涼子: ああ、いーのいーの! 忘れて!
  1946. ちはる: 忘れないで!
  1947. 青葉 ちか: お世話になりました エボニーさん!
  1948. 青葉 ちか: それと、この時代の鳥さんたち!
  1949. すなお: あなたには相当大変なことが 起きましたから…
  1950. すなお: まずは心を休めてくださいね
  1951. エボニー: わかったわ…
  1952. 旭: エジプトの魔法少女に 敬意を表するであります!
  1953. エボニー: そんな…ありがとう
  1954. 静香: 生きる場所は違っても…
  1955. 静香: お互い しっかり歩いていきましょう
  1956. 静香: 新しい道のりを…!
  1957. エボニー: 静香…!
  1958. 静香: さようなら…
  1959. 静香: …さようなら…
  1960. エボニー: …………
  1961. エボニー: …行ってしまった…
  1962. エボニー: (…これからは 本当の私の人生が始まる…)
  1963. エボニー: (…私の、人生…)
  1964. エボニー: …………
  1965. エボニー: (これからどうしよう…)
  1966. エボニー: (途方もない…)
  1967. エボニー: (まるで、この砂漠のよう…)
  1968. エボニー: …………
  1969. エボニー: …でも… 今はとにかく…
  1970. エボニー: 一歩ずつ、前へ…!
  1971. <静寂に風が吹き 彼女の足跡を砂が消していく>
  1972. <広大なる砂漠、地平は遥か遠く>
  1973. <照りつける太陽の光が魂をも焦がしていく>
  1974. <それでも彼女は砂漠を歩く>
  1975. <どこかへ向かって…>
  1976. <何かを求めて…>
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