“Saint Punch!” Running forward, she threw a fist at him. Since she had no experience at all in close-quarters combat, it was truly a haphazard attack, but no matter how little effort she put into it, her attacks always landed. And since anyone she struck would die, it didn’t matter how much momentum she had.

Yogiri touched her left hand. It was futile. The next moment she thought that, her body was twisting in intense pain. She was on both her knees, unable to breathe and staring at the ground. It was difficult to believe in that level of pain–it was something a girl who lived normally wouldn't experience.

“What?! Is that the Eight Extremities Fist?!”

“Dannoura called it the Dannoura Elbow. I learned self-defense.”

Completely baffled, Mei slowly raised her head. She could only tell that she had taken an elbow to the solar plexus by listening to their conversation.

“H-How...?” With the power of the gods behind her, she shouldn’t even have been able to feel pain, let alone take serious damage.

“Are you not going to kill her?”

“Well, an attack that feels like death didn't come from her.”

Mei had used the one power she currently had available to her: Prayer, the power of a Saint, allowing her every prayer to be answered by the gods. It was essentially the power to communicate with deities. The space where the gods sit appeared in her mind. As always, the white cat was there, but its appearance shocked her. It was lying flat on the ground, unmoving.

“God! What’s wrong?! What happened to my invincibility?!” she cried out in her head. “This is a violation of our contract!” Despite her desperate shouting, somewhere deep inside she understood that the white cat would never answer her again. “Hey! What am I supposed to do now?! What am I supposed to do if I lose my powers in a place like this?!”

She was in the depths of the Underworld, in the middle of a fight to the death. It was plain what would become of her if she lost her blessings now.

“What’s that...what’s going on?!” The black cat appeared, that other god who had fought the white cat when she first met them.

“I don’t know what’s happening!” she wailed in response. “I’ll take anything, just please, do something!”

“I understand. I will lend you my strength.” In an instant, the pain in her body vanished as the god’s power flooded through her, healing her injuries in an instant. She looked up at Yogiri.

“No more taking it easy! You can all just disappear!”

She no longer cared about making Hanakawa feel despair. She was far more concerned with getting back at Yogiri for the unbearable pain he’d caused her. All it would take was a flash of divine light, enough to erase everything in her sight. She would unleash it in every direction.

Still on her knees, she didn’t waste any time picking a target, interested only in annihilating everything around her. But, just as before, nothing happened.

The sight of two fallen cat bodies appeared in her mind. Like the white cat, the black one had fallen over, its eyes rolled back into its head.

“It’s really easy to deal with people like you, where the source of the power and the user are separate,” Yogiri remarked calmly.

“What? What...what did you do?” Her voice was hoarse with fear, her words dripping with desperation. She finally realized that the things happening in her head were because of Yogiri.

Mei didn’t know what to do, or if there even was something she could do. The brutal fact that she was now powerless was clear, and the reason for it was just as obvious. The anxiety and fear she felt was as if she had been stripped naked. Without her powers, she was merely an ordinary high school student. Being deep underground, locked in a fight to the death with her super-powered classmates, it wasn’t hard to imagine what her fate would be.

She knew she should beg for her life. She should ask these two for protection, beg that they take her with them. But nothing was more terrifying than Yogiri. She had thought the power of her gods was absolute, but this boy had slaughtered them without lifting a finger. She couldn’t bear to be near a monster like that.

“Ohhh? You aren’t going to kill her? I would have thought a man as merciless as you would have finished her in an instant.” Unsurprisingly, Hanakawa was trying to stir things up while Mei stood there, trembling with fear.

“It’s not like I want to go around killing people. I only do it when leaving them alive means they’ll kill me.”

“So, why not just kill their abilities? Everyone would be happier that way.”

“It was easy to do this time, so I tried it. Normally, powers like that are indivisible from their users, so you can't do something skillful like killing only their abilities.”

-Volume 4 pages 135 and 136

「聖女 パンチ！」 　 夜霧 へと 駆け より、 右 拳 を 振るう。 　 格闘技 など やっ た こと も ない 盟 の パンチ は 実に 適当 だ が、 どれほど やる気 の ない 一撃 だろ う と 絶対 に 当たるし、 当たれ ば 死ぬ の だ から 気合い を 入れる 必要 も ない。 　 夜霧 の 左手 が、 盟 の 手首 に 触れる。 　 無駄 な こと を。 　 そう 思っ た 次 の 瞬間、 盟 は 激痛 に 身 を よじっ て い た。 　 両膝 を つい た 状態 で、 息 が でき ない まま 地面 を 見つめ て いる。 　 それ は、 ごく 普通 に 生き て き た 少女 が 経験 し た こと の ない、 信じ がたい ほどの 苦痛 だっ た。 「ちょ っ！ 　 それ 八極 拳 で ござる よね？」 「壇ノ浦 エルボー って、 壇ノ浦 さん は 言っ て た けど。 護身術 を 習っ た ん だ」 　 わけ が わから ない まま、 よろよろ と 顔 を 上げる。 　 盟 が 鳩尾 に 肘 を 喰らっ た らしい と 気付い た のは、 夜霧 と 花川 の 会話 を 聞い てから だっ た。 「な、 なんで……」 　 神 の 力 によって どんな ダメージ も 受け付け ず、 痛み も 感じ ない はず だっ た。 「殺さ ない ん で ござる か？」 「まあ、 こっち が 死ぬ よう な 攻撃 を、 花 宮 さん からはさ れ て ないし」 　 盟 は 自ら が 持っ て いる 唯一 の 力、 祈願 を 使用 し た。 　 神 に 祈り、 願い を 届ける 聖女 の 力。 要は 神 と 対話 する こと の できる 能力 だ。脳裏 に 神 が 座する 空間 が 浮かび上がる。 　 いつも の よう に 白 猫 の 姿 が 見え て き た が、 盟 は 驚き に 動き を 止め た。 　 白 猫 の 四肢 に 力 は なく、 ただ だらり と 倒れ て ぴくり とも 動い て い なかっ た の だ。 『神様！ 　 どう なっ てる の!?　 無敵 の 力 は どう し た のよ！ 　 こんな の 契約 違反 じゃ ない！』 　 必死 に 呼びかける。 だが、 盟 は 心 の どこ かで わかっ て い た。 白 猫 は 二度と 返事 を し ない の だ と。 『ねえ！ 　 どう し たら いい の!?　 こんな ところ で、 力 が 使え なく なっ て どう し たら いい の!?』 　 魔界 の 奥底 での、 殺し合い の 最中。 ここ で 神 の 加護 を 失っ て しまえ ば どう なる かは 自明 だっ た。 『馬鹿 な…… これ は いったい……』 　 すると、 神 の 座 に 黒猫 が あらわれ た。 白 猫 と 争っ て い た こと の ある、 もう 一体 の 神 だ。 『何 が あっ た か なんて 知ら ない！ 　 あんた でも いい から とにかく なんと かし てよ！』 『…… 状況 は 把握 し た。 俺 が 力 を 貸そ う』 　 途端 に、 痛み が 消え去っ た。 神 の 力 が 身体 を 覆い、 あらゆる 傷 を 瞬時 に 癒 や し た の だ。 「もう 手加減 なんか し ない！ 　 あんた ら なんか 消え て なくなっ ちゃえ！」 　 花川 を 絶望 に 染め上げる など どう でも よく なっ て い た。 　 そんな こと よりも、 耐えがたい ほどの 痛み を 与え て き た、 高遠 夜霧 を 始末 し たく て 仕方 が ない。 　 全て を 消し 去る 神 の 閃光。盟 は、 それ を 全方位 に 放つ こと に し た。 膝 を つい た 姿勢 の まま、 目標 を 定める 手間 すら 惜しん で 全て を 殲滅 する。 　 だが。 　 やはり 何事 も 起こら なかっ た。 　 脳裏 に 浮かぶ のは、 二 体 の 猫 が 倒れ て いる 光景。 黒猫 も、 白 猫 と 同じ よう に 倒れ て、 白目 を 剝 い て いる の だ。 「あんた みたい に 力 の 発生 源 と 指示 者 が 分かれ てる と、 実に やり やすい」 　 夜霧 が 平然と そんな こと を 言う。 「…… なん なの…… なに を、 し た の……」 　 恐怖 に 声 が かすれる。 引き つっ た よう な その 言葉 は、 絶望 に 彩ら れ て い た。 　 ようやく 盟 は、 脳裏 に 浮かぶ 光景 を もたらし た のが 目 の 前 の 夜霧 だ と 気付い た の だ。 　 なに を どう すれ ば、 そんな こと が 可能 なのかは わから ない。 　 だが、 もう 盟 が なん の 力 も 使え ない こと は 厳然たる 事実 で あり、 それ が もたらす 現実 が ありあり と 思い 浮かん で くる。 　 丸裸 にさ れ た よう な 不安 と 恐怖 が 盟 を 包み込ん だ。 　 力 を 失っ た 盟 は、 なん の 取り柄 も ない ただ の 高校生 に すぎ ない。 そんな 存在 が、 地下 深く の 闇 の 中、 異能 を 用い た 殺し合い に 巻き込ま れる。 ただ で すむ とは とても 思え なかっ た。だから。 　 助け て くれ と 言う べき なの だろ う。 　 庇護 を 求め、 一緒 に 連れ て いっ て くれ と 懇願 す べき なの だろ う。 　 だが、 この 場 において、 何 よりも 恐ろしい のが この 夜霧 だっ た。 　 無敵 と 思え た 神 の 力 を あっさり と 打ち破り、 力 の 源 で あっ た 神 すら 屠る。 そんな バケモノ の そば になど、 とても い られる わけ が なかっ た の だ。 「あれ ぇ？ 　 殺さ ない ん で ござる か？ 　 無慈悲 な 高遠 殿 なら、 あっさり 殺す かと 思っ た の です が」 　 盟 が 恐怖 に 震え て いる と、 花川 が 余計 な こと を 言いだし た。 「別に 俺 は 無闇 に 殺し たい わけ じゃ ない。 殺さ ない と こっち が 殺さ れる から そう し てる だけ だ」 「なら、 力 だけ 殺す とか は どう な ん で ござろ う か。 みんな ハッピー に なれる 気 が する で ござる が」 「今回 はやり やすかっ た から そう し て み た。 普通 は 力 と それ を 行使 する 人間 って のは 不可分 だ から、 力 だけ 殺す なんて 器用 な こと は でき ない よ」

-Volume 4 pages 206-210