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Yu / Yuu MSS JP Text

Apr 22nd, 2024
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  1. FILENAME: text_339011-1.txt
  2. なぎさ: …………
  3. なぎさ: それにしても…
  4. なぎさ: …ふむむ…
  5. なぎさ: …………
  6. なぎさ: どうすれば…
  7. なぎさ: …ふむむ…
  8. <ここに、懊悩し彷徨する少女がひとり…>
  9. なぎさ: (「円環の理」から離れて…)
  10. なぎさ: (なぎさは自由を 満喫しているのです…!)
  11. なぎさ: (…だけど…自由を 突き通せば通すほど)
  12. なぎさ: (自由には際限がないのです)
  13. なぎさ: (持て余す自由を改革する…)
  14. なぎさ: (持続可能な SDGs自由目標とは…!)
  15. なぎさ: (これはなぎさの 模範的インテリジェンスが)
  16. なぎさ: (たどり着いた 哲学的悩みなのです!)
  17. なぎさ: (自分の脳みその小賢しさを 呪ってしまうのです…)
  18. なぎさ: …などと考えつつも!
  19. なぎさ: なぎさには 帰る気なんてないのです!
  20. なぎさ: (…というか…)
  21. なぎさ: (いまさら帰還するのは マズいのです…)
  22. なぎさ: (“あの問題”を 解決しないと…)
  23. なぎさ: …やれやれ…なのです…
  24. なぎさ: (まさに、自由の代償! …なのです)
  25. なぎさ: (…そう…自由…)
  26. なぎさ: (「円環の理」から離れて…)
  27. なぎさ: (なぎさは自由を 満喫しているのです…!)
  28. <そんな反復的葛藤に 陥っている少女のもとに…>
  29. <“それ”は現れた>
  30. なぎさ: ―なぎさ― …………
  31. なぎさ: ―なぎさ― …ん…?
  32. ユゥ: こんにちは! 久しぶりだね?
  33. なぎさ: …え…
  34. なぎさ: うわわわわわーっ!
  35. なぎさ: まま、魔女なのです! いつの間に!
  36. ユゥ: 魔女…? 魔女がいるの?どこにいるの?
  37. なぎさ: やい、魔女! なぎさを惑わすなら
  38. なぎさ: もっとクオリティを 上げてくるのです!
  39. ユゥ: うえぇ!? まさかワタシのこと!?
  40. ユゥ: ワタシって魔女だったの!?
  41. なぎさ: 覚悟なのです~!
  42. ユゥ: ごごご、誤解だよ!
  43. ユゥ: もしかしてワタシのこと… 忘れちゃった?
  44. なぎさ: …へ?
  45. ユゥ: あれ?違う? もしかして人違い…?
  46. ユゥ: 困ったナァ… あれ?別に困らないか…
  47. ユゥ: はじめまして!ワタシ、ユゥだよ あなたとおんなじ、魔法少女の
  48.  
  49. FILENAME: text_339011-2.txt
  50. ユゥ: はじめまして!ワタシ、ユゥだよ あなたとおんなじ、魔法少女の
  51. なぎさ: 魔法…少女!?
  52. ユゥ: そうだよ~ キュゥべえと契約した魔法少女!
  53. なぎさ: …………
  54. なぎさ: (そう言われると…)
  55. なぎさ: (魔女にしては会話が できているのです…)
  56. なぎさ: で、でも、その魔力は…
  57. ユゥ: 魔力?
  58. なぎさ: おかしいのです! 魔法少女がそんな…
  59. ユゥ: そんな?
  60. なぎさ: …まあ…見た目も怪物じみてるし
  61. なぎさ: (それに、この気配は あまりにも…)
  62. ユゥ: か、カイブツ!? ひどい!
  63. ユゥ: 人の容姿を 笑っちゃダメなんだよ?
  64. ユゥ: …………あれ?違ったかも? もしかして、褒めてくれた?
  65. なぎさ: …褒めてはいないのです
  66. ユゥ: 嬉しいなぁ… 新しいお友だちができちゃった
  67. なぎさ: 誰がいつ友だちになったのです!
  68. <両者の会話は難航を極めた>
  69. <しかし、最終的に>
  70. なぎさ: わ、わかったのです… 諦め…じゃなくて、認めるのです
  71. なぎさ: お前が魔法少女っぽいのは…
  72. ユゥ: あれ?魔法少女だって さっき言わなかった?
  73. ユゥ: やっぱ、言ってなかったかも…?
  74. ユゥ: はじめまして!ワタシ、ユゥだよ あなたとおんなじ、魔法少女の
  75. なぎさ: ああぁぁぁ! こいつ面倒くさいのです!
  76. なぎさ: 脳がくるくるするのです!
  77. ユゥ: 嬉しいなぁ…新しいお友だち!
  78. なぎさ: …でも…
  79. なぎさ: (興味深いのです…)
  80. なぎさ: (いえ…改めてこいつを 魔法少女だと妥協して見れば)
  81. なぎさ: (興味が湧かないヤツなんて いないと思うのです!)
  82. なぎさ: (一体、どうしたらこんな…?)
  83. なぎさ: (本当に… 魔法少女なのですか?)
  84. ユゥ: あなた、名前って…
  85. なぎさ: 名前?教えるような義理なんて なぎさにはないのです!
  86. ユゥ: そうそう、そうそう なぎさちゃん!
  87. なぎさ: …はっ! しまったのです…!
  88. ユゥ: ふふふ… やっぱりなぎさちゃんだ!
  89. なぎさ: (なんなのです… 掴みどころもないし)
  90. なぎさ: (やけにフレンドリー なのです!)
  91. なぎさ: (だいたい 今までのどのなぎさも)
  92. なぎさ: (こんな特異な魔法少女 見たこと…)
  93. なぎさ: …………
  94. なぎさ: (もしかして… もしかしてなのですが…)
  95. なぎさ: (“例の件”と 関わりがあるかも…)
  96. なぎさ: …えっと…ゆう?ユゥ?
  97. ユゥ: なぁに?
  98. なぎさ: なぎさは…しばらくユゥと 行動を共にするのです!
  99. ユゥ: え?
  100. なぎさ: 知りたくなったのです! ユゥが一体、何者なのかを!
  101. なぎさ: 自由ななぎさは思うがまま! 例え断っても…!
  102. ユゥ: うん、いいよ
  103. なぎさ: …軽いのです…
  104.  
  105. FILENAME: text_339011-3.txt
  106. <ユゥに興味が湧き、彼女と行動を 共にすることを決めたなぎさ…>
  107. なぎさ: …………
  108. ユゥ: ふふ~ん♪
  109. なぎさ: …ユゥ…
  110. ユゥ: なあに?
  111. なぎさ: たんとおちょくにゅうに… ユゥは一体何者なのです?
  112. ユゥ: ワタシはワタシだけど?
  113. なぎさ: むむ…
  114. なぎさ: (やはりこんな質問しても 意味はないのです…)
  115. なぎさ: …ん~、では、いつもは 何をしているのです?
  116. ユゥ: 魔法少女!
  117. なぎさ: それはわかっているのです!
  118. ユゥ: あとは…
  119. ユゥ: お仕事?
  120. なぎさ: …仕事?何の?
  121. ユゥ: ふふふ…これだよ
  122. なぎさ: ―なぎさ― …なんなのです、これは…? 名前が書いてあるのです
  123. ユゥ: ―ユゥ― リストだよ?
  124. なぎさ: ―なぎさ― なんの?
  125. ユゥ: ―ユゥ― 悪い人の?
  126. なぎさ: ―なぎさ― わる…? そんなもん何に使うのですか?
  127. なぎさ: …まさかと思うのですが…
  128. なぎさ: 魔法少女には
  129. なぎさ: たいほけんげんなんて ないのですよ?
  130. ユゥ: ??? このリストの使い方?
  131. ユゥ: 悪い人たちを、なくしちゃう?
  132. なぎさ: …なくしちゃう?
  133. ユゥ: そう それがお仕事
  134. ユゥ: だってワタシ、魔法少女だから
  135. なぎさ: …魔法少女だから 悪い人を…なくしちゃう?
  136. なぎさ: …魔女のことを 言ってるのですか?
  137. ユゥ: 魔女も悪い人
  138. ユゥ: 悪い人も悪い人
  139. ユゥ: ちゃんと両方とも なくしちゃうよ?
  140. なぎさ: …うーん…
  141. なぎさ: 悪は絶対許さないみたいな? 心意気の話なのですか?
  142. ユゥ: それでね… このリストに載ってる人
  143. ユゥ: ここら辺にいるみたいだし 今からなくしてくるんだ
  144. ユゥ: じゃあね~
  145. なぎさ: は?…え…?
  146. なぎさ: ちょ、ちょっと待て!
  147. なぎさ: あわわ…見失ったのです!
  148. なぎさ: ど、どこなのです! ユゥ!どこなのです!
  149. ???: 「だ、誰か!助けてくれ!」
  150. なぎさ: むむっ!
  151. ???: 「い、いやだ!来るな…来るな化け物!」
  152. なぎさ: 誰かの悲鳴…!
  153. なぎさ: その言い様… まさか…!
  154. なぎさ: …声は…こっちなのです!
  155. なぎさ: …ここ…なのです? 声は聞こえなくなったのですが…
  156. …………
  157. なぎさ: ふわっ! 誰なのです!?
  158. …………
  159. 化け…物…
  160. なぎさ: むああっ!
  161. なぎさ: …へ…? どうしたのです…?
  162. なぎさ: …わっ!
  163. なぎさ: 血が…!
  164. なぎさ: …………し
  165. なぎさ: 死んでるのです…!
  166.  
  167. FILENAME: text_339011-4.txt
  168. なぎさ: 人が…人が死んでるのです…! これは…これは一体…!
  169. ユゥ: あ、なぎさちゃ~ん
  170. なぎさ: …ユゥ!
  171. ユゥ: …ん?足元のは… あれ~?おかしいな…
  172. ユゥ: さっきあっちで ちゃんといっぱい刺したのに…
  173. ユゥ: なぎさちゃんが持ってきたの?
  174. なぎさ: い、いや…ここで倒れて…
  175. ユゥ: てことは、生きてたんだ! 失敗しちゃった…困ったナァ
  176. ユゥ: …でも、もう大丈夫か
  177. なぎさ: だいじょう…ぶ?
  178. ユゥ: 悪い人って悪い人なのに、すごく わがままで困っちゃうよね?
  179. なぎさ: …『悪い人』…
  180. ユゥ: そう、悪い人
  181. ユゥ: 悪い人をなくすのが 良い魔法少女なんだよ?
  182. なぎさ: なくすというのは…つまり…
  183. ユゥ: ちゃんとなくしたよ? ちゃんと、もうないよ?
  184. なぎさ: リストに書かれた人物を 殺すのが…お前の仕事…!?
  185. ユゥ: ちゃんとなくしちゃうよ ぜーんぶ
  186. なぎさ: ――っ!?
  187. なぎさ: …殺し屋! あるいは掃除屋!
  188. ユゥ: ん?
  189. なぎさ: 要するにそういう屋! そうだったのですか!
  190. なぎさ: と…とんでもない 化け物魔法少女なのです!
  191. ユゥ: ば、バケモノ…!? ひどい!そんな!ショック!
  192. ユゥ: ………… ま、いっか
  193. なぎさ: (…ど…)
  194. なぎさ: (どえらいことに なったのです!)
  195. なぎさ: (例の件がどうとか関係なく)
  196. なぎさ: (めちゃくちゃ ヤバい奴だったのです…!)
  197. なぎさ: (…へいわな しゃかいのためにも)
  198. なぎさ: (こいつの監視を 続けなきゃなのです)
  199. ユゥ: なぎさちゃん、どうかした?
  200. なぎさ: あ、あー、いえ…
  201. なぎさ: …こ、この死た…悪い人 どうするのです!?
  202. ユゥ: すぐに片づけちゃうよ? 欲しい?
  203. なぎさ: いらねーのです…
  204. なぎさ: でも片づけるって どうやって…?
  205. ユゥ: ふふふ!ほんとは 秘密だけど教えてあげるね!
  206. ユゥ: なぎさちゃんはお友だちだもん!
  207. なぎさ: あ、ありがとう、なのです はは…ははは…
  208. ユゥ: なぎさちゃんは、お友だち うれしいなぁ…
  209. ユゥ: なぎさちゃん一緒にいて楽しい子 だからもっとお話ししたいなぁ
  210.  
  211. FILENAME: text_339012-1.txt
  212. <なぎさが同行を続けているのも お構いなしにユゥは“お仕事”を続けていた>
  213. なぎさ: …………
  214. なぎさ: (ユゥは今、“お仕事”中…)
  215. なぎさ: (それをなぎさは ただ待っている…)
  216. なぎさ: (つまり、なぎさは今…)
  217. なぎさ: (人死にを 見過ごしているのです…)
  218. なぎさ: ゆゆしきじたいなのです
  219. なぎさ: (…まさか、なぎさまで逮捕 されたりしないのですよね?)
  220. なぎさ: (これ以上面倒ごとに 巻き込まれるのは勘弁なのです)
  221. なぎさ: (でも…ユゥについては 調査の途中ですが)
  222. なぎさ: (見た目はともかく 無差別に人を殺すような…)
  223. なぎさ: ともかく今は、ユゥを観察して…
  224. ユゥ: ふぅ… お待たせ~
  225. なぎさ: …終わったのですか?
  226. ユゥ: うん
  227. ユゥ: なくしてきたよ
  228. なぎさ: …変身前後のギャップ 相変わらずすごいのです…
  229. ユゥ: ?
  230. なぎさ: 化け物から人間に戻るのです
  231. ユゥ: ば、バケモノ!? まさかワタシ?ワタシのこと?
  232. なぎさ: …よく毎回、はじめて 聞きましたみたいな
  233. なぎさ: リアクションが 取れるもんなのです
  234. ユゥ: ひ、ひどい!ショック!
  235. ユゥ: …………あれ、違うかも? もしかして、褒めてたりする?
  236. なぎさ: 褒めてはいないのです
  237. ユゥ: ま、いっか
  238. なぎさ: (本気で驚いたり 悲しんだりはしてるのですが)
  239. なぎさ: (その直後には 元に戻ってしまう…)
  240. なぎさ: (まるで同じ場所を 周回してるみたいなのです…)
  241. なぎさ: (…それはそれとして…)
  242. なぎさ: ところで…ひとつ聞きたいのです
  243. ユゥ: なぁに?
  244. なぎさ: その仕事はいつまで 続けるのです?
  245. ユゥ: いつまで?
  246. ユゥ: リストがなくなるまでだよ?
  247. なぎさ: そのリストというのはどうやって 手に入れてるのですか?
  248. ユゥ: シィが書いてくれんだよ?
  249. なぎさ: シィ?
  250. ユゥ: うん シィがリストを書いてくれんの
  251. なぎさ: (シィという奴がユゥを利用して 人を殺させているのです?)
  252. なぎさ: もし、そのリストが間違っていて
  253. なぎさ: 悪人ではなく善人を なくしていたんだとしても
  254. なぎさ: それは 良いことになるのですか?
  255. ユゥ: うーん…悪い人の名前はちゃんと 確認してるから大丈夫なんだよ?
  256. ユゥ: …でも、世の中に 絶対だとかはないんだって
  257. ユゥ: なぎさちゃんは思ってんだよね?
  258. ユゥ: うんうん、わかるよ?
  259. ユゥ: でもね、悪い人がどんな人でも
  260. ユゥ: なくなるとシィにとって 良いことなのが
  261. ユゥ: 嘘になったりしないんだよ?
  262. なぎさ: お前が言っていることは
  263. なぎさ: もし、罪もない善人を なくしてしまっても
  264. なぎさ: シィという人間にとっては 良いことだから
  265. なぎさ: 仕事を続けるということですか?
  266. ユゥ: そうだよ?
  267. なぎさ: …やれやれなのです…
  268. <ユゥとなぎさの会話は大抵こんな感じで とりとめがない>
  269. <しかし、辛抱強く話をしていく内に 断片的ではあるが、少しずつ ユゥにまつわる情報を汲み取ることができた>
  270.  
  271. FILENAME: text_339012-2.txt
  272. なぎさ: ユゥはどうして、シィのために 仕事をするのですか?
  273. ユゥ: 魔法少女だからだよ?
  274. ユゥ: ワタシ、知ってんの 魔法少女っていうのは
  275. ユゥ: みんなを困らせる悪者を なくしちゃうような
  276. ユゥ: とっても良いことをする 存在なんだよ?
  277. ユゥ: あ、でも、シィは魔法少女のこと
  278. ユゥ: 願いにつられて騙された 可哀そうな人たちって言ってた
  279. ユゥ: どっちなんだろう? なぎさちゃんはどっちだと思う?
  280. なぎさ: そんなの…人によるのです
  281. なぎさ: なぎさは、なぎさのなりたい 魔法少女になるのです
  282. ユゥ: そっかー、そうだよね
  283. ユゥ: だからワタシも 良い魔法少女になんの
  284. ユゥ: 可哀そうな人たちって 何したらいいかよくわかんないし
  285. なぎさ: 良い魔法少女にだって ならなくたっていいのです
  286. なぎさ: そんなもの せめてお金でも貰わなくちゃ
  287. なぎさ: やってられないのです
  288. ユゥ: うーん…でもワタシ カラッポだから
  289. なぎさ: …ユゥは、何を願って 魔法少女になったのですか?
  290. ユゥ: 願い?
  291. ユゥ: なんだっけ?…なんだっけ? 困ったナァ、なんだっけ?
  292. ユゥ: 困ったナァ、困ったナァ…
  293. ユゥ: なぎさちゃんは 何をお願いしたの?
  294. なぎさ: ………… 忘れちゃったのです
  295. ユゥ: !!
  296. ユゥ: なぎさちゃんも ワタシとおんなじなんだね!
  297. ユゥ: うれしい!
  298. なぎさ: …ユゥは、大切だったものを 埋め合わせるために
  299. なぎさ: 良いことをしているのですか?
  300. ユゥ: …そうかな?そうなのかな? なぎさちゃんはそうなの?
  301. なぎさ: なぎさのことは聞いてないのです
  302. ユゥ: …ワタシ、きっとね ずっとずっと前にもう
  303. ユゥ: 大切なもの、どっかに 落っことしちゃったのかも?
  304. ユゥ: なぎさちゃんは 失くしちゃったの?
  305. ユゥ: それとも、壊しちゃったの?
  306. なぎさ: なぎさは… 忘れたもののことなんて
  307. なぎさ: いちいち覚えていたくないのです
  308. ユゥ: なぎさちゃんも忘れちゃったの? ワタシとおんなじだね!
  309. なぎさ: …………
  310. なぎさ: ユゥは、何を…いえ
  311. なぎさ: ユゥが忘れてしまった 大切なものは
  312. なぎさ: どんな感情と共にいたのですか?
  313. ユゥ: …どんなだろう?わかんない
  314. ユゥ: 困ったナァ、困ったナァ
  315. ユゥ: 困ったナァ…
  316. 絵本のページ: 岬から飛び降りた二人は 二度と浮かび上がってきませんでした オシマイ
  317. なぎさ: 失ったものは 二度と戻らないのです
  318. なぎさ: 無念や後悔のあるなしも関係なく
  319. なぎさ: (…ただ、失ったまま)
  320. なぎさ: もう戻らないなら
  321. なぎさ: 思い出す必要なんか ないのかもしれないのです
  322. ユゥ: …………
  323. ユゥ: 忘れちゃったもんってきっと ワタシのぜんぶだった
  324. ユゥ: それなのにワタシ 拾いあげたりしなかった
  325. 絵本のページ: すべてを失った女の子の最後のお願いは 自分のことを思い出せなくなるくらい 正気が保てなくなることでした オシマイ
  326. なぎさ: (ユゥの魔力に感じた違和感…)
  327. なぎさ: (魔力の根源は 感情エネルギーなのです)
  328. なぎさ: (そしてユゥにも感情はあるけど 連続性や脈略が全くないのです)
  329. なぎさ: (はじめは魔女の魔力かと 勘違いしたのですが)
  330. なぎさ: (ユゥの中に負の感情は 不自然なほど存在しない)
  331. なぎさ: (ユゥにある感情は、ただ未来へ つながることを拒絶している)
  332. なぎさ: (だからユゥの視点も会話も同じ 場所を堂々巡りしてるのです)
  333. なぎさ: 目的もなく良いことをしたって どこへも行けないのですよ
  334. なぎさ: ユゥは巨大な空っぽの周りを ぐるぐる回ってるだけなのです
  335. なぎさ: ユゥは、失ったものの代わりに どんな未来に行きたいのですか?
  336. ユゥ: みらい?
  337. ユゥ: …ワタシが?
  338. なぎさ: 選んだ行動の先には 未来がなくちゃいけないのです
  339. ユゥ: 未来?
  340. なぎさ: 人間はどんなに最悪でも最高でも
  341. なぎさ: 終わりの時間にベルが鳴って幕が 下がってきたりはしないのです
  342. なぎさ: 生きているだけで 未来へ続いちまうのです
  343. なぎさ: リストに従うお仕事だって
  344. なぎさ: 全人類をなくし尽くしたら そこで終わりなのです
  345. なぎさ: ユゥが行く未来にはきっともう リストはあっちゃくれないのです
  346. ユゥ: 未来…?ワタシだけ?ひとりで?
  347. なぎさ: ユゥがする良い行いは
  348. なぎさ: ユゥをどこへ連れて いくためのものなのですか?
  349. ユゥ: …ひとりぼっちはイヤ
  350. ユゥ: ひとりぼっちになっちゃうから オシマイは越えちゃいけないの
  351. なぎさ: 自分が自分である限り
  352. なぎさ: 美しいおしまいなんて 存在しないのです
  353. ユゥ: …………
  354. ユゥ: …あれ? ワタシって誰?
  355. なぎさ: ユゥなのです
  356. ユゥ: ユゥ…ああ、そうか そっか、あのね
  357. ユゥ: ユゥは、明日へ行けないよ?
  358. ユゥ: 行っちゃダメなんだよ?
  359. なぎさ: むむっ! 魔女の気配なのです!
  360. なぎさ: 魔女がいるからには 倒さないとなのです
  361. なぎさ: 魔法少女なのですから!
  362. ユゥ: …う~ん?
  363. なぎさ: …………
  364. なぎさ: なぎさがこんなに キメ散らかしているのに
  365. なぎさ: なにを寝ぼけているのですか!
  366. ユゥ: …やっぱさぁ…
  367. ユゥ: ワタシって誰なんだっけ?
  368. なぎさ: …お前の名前はユゥ 良いことをする魔法少女なのです
  369. なぎさ: 目覚ましついでに 一緒に魔女を退治するのです!
  370. ユゥ: 魔女?…どこ?
  371. なぎさ: 一緒に来るのですー!
  372.  
  373. FILENAME: text_339012-3.txt
  374. 目覚ましついでに 一緒に魔女を退治するのです!
  375. ユゥ: 魔女?…どこ?
  376. なぎさ: 一緒に来るのですー!
  377. <こうして魔女と対峙することになった なぎさとユゥだったが…>
  378. <結果としては勝利で終わった>
  379. <…しかし…>
  380. ユゥ: はぁ…
  381. ユゥ: 身体を動かしたら なんだかスッキリした~
  382. ユゥ: 誘ってくれてありがとう なぎさちゃん
  383. なぎさ: …う、うん…
  384. なぎさ: …………
  385. なぎさ: …あー、ちょっと確認したい ことがあるのです
  386. ユゥ: 確認?
  387. なぎさ: さっき、魔女の攻撃で… ユゥの腕…
  388. なぎさ: 千切れてた…ですか?
  389. ユゥ: うん、千切れたね?
  390. なぎさ: …そ、それで…
  391. なぎさ: 千切れた腕… また生えた…ですか?
  392. ユゥ: うん、生えたね?
  393. なぎさ: それ…普通…なのですか?
  394. ユゥ: うん、普通だね?
  395. なぎさ: そうなのですか…
  396. なぎさ: …………
  397. なぎさ: …飛び出た内臓とかも 投げつけてたのですが…
  398. なぎさ: それも、今は治って…?
  399. ユゥ: 治ってんよ?
  400. なぎさ: それ…普通…なのですか?
  401. ユゥ: うん、普通だね?
  402. なぎさ: (普通なわけないのです!)
  403. なぎさ: (再生した時、さして魔力も 感じなかったのです!)
  404. なぎさ: (自然と腕や内臓が生えた…? んなことあり得ないのです!)
  405. ユゥ: ?
  406. ユゥ: なぎさちゃんだって さっき戦ってたとき
  407. ユゥ: 魔法少女の服とか武器 出せてたよ?
  408. なぎさ: (…いや、そんなレベルで 済まされる話なのですか…?)
  409. なぎさ: (あの状態でまだ魔法少女…)
  410. なぎさ: (いえ…人間のままで いられるものなのですか?)
  411. なぎさ: …やっぱり…
  412. なぎさ: …ユゥは…おそらく…!
  413.  
  414. FILENAME: text_339012-4.txt
  415. なぎさ: …やっぱり…
  416. なぎさ: …ユゥは…おそらく…!
  417. なぎさ: (…「ホツレ」…!)
  418. なぎさ: (そうなのです…きっと ホツレなのです…!)
  419. なぎさ: (放っておくと最悪な未来へ 繋がってしまう“悪因”…!)
  420. なぎさ: (この宇宙にのみ突発的に現れた “悪因”の魔法少女…!)
  421. なぎさ: (…ホツレは確証がなくても 疑わしければ即座に対処…!)
  422. なぎさ: (それは、なぎさに与えられた “宿命”でもあるのです…!)
  423. <『ホツレ』は確かに未来に干渉する 悪性の因子である>
  424. <しかし、そのホツレが誕生する切っ掛けは 何者かが時空に干渉してしまったことによる>
  425. <その干渉している“何者”とは 現時点でまぎれもなく…>
  426. なぎさ: (ゆゆしきじたいなのです!)
  427. <百江なぎさ、その人であった>
  428. <ともかく彼女は 事の始まりが自分にあるということを 棚に上げて、ユゥの排除へと乗り出した>
  429. なぎさ: …きっと…
  430. なぎさ: 魔法少女であるユゥ自身が 壊滅的な未来へつながる悪因…
  431. なぎさ: そしてその根本は まず間違いなく…
  432. なぎさ: ユゥがやってる“良い行い”
  433. なぎさ: (でもユゥは、シィという 人物に利用されているだけ…)
  434. なぎさ: (ユゥもまた 被害者かもしれないのです…)
  435. なぎさ: (でも、実際に ユゥは人を殺して…)
  436. なぎさ: (…いや… どっちでもいいのです)
  437. なぎさ: (“悪因”に善悪は 関係ないのです)
  438. なぎさ: (シィとかいう奴のことは)
  439. なぎさ: (国家権力がそのうち どうにかしてくれるのです)
  440. なぎさ: (なぎさは、なぎさの 宿命の理由を)
  441. なぎさ: (倫理観なんかのせいに したくはないのです…)
  442. なぎさ: やるしか…ないのです
  443. なぎさ: なぎさは…ユゥの未来を…
  444. ユゥ: ふたりで戦うのはひとりで 戦うより簡単だからいいよねぇ
  445.  
  446. FILENAME: text_339013-1.txt
  447. なぎさ: …………
  448. なぎさ: …ユゥ…いるのですか?
  449. ユゥ: ―ユゥ― あ、なぎさちゃん
  450. ユゥ: ―ユゥ― 今日もワタシのお仕事 一緒に来てくれんの?
  451. なぎさ: ―なぎさ― ああ、行くのです うん、行くのです…
  452. なぎさ: ―なぎさ― ただ…
  453. ユゥ: ただ?
  454. なぎさ: 行く前に、やらなくちゃ いけないことができたのです
  455. ユゥ: お仕事よりも先に やんなきゃいけないの?
  456. なぎさ: そうなのです…
  457. なぎさ: これをやっておかないと 後々困るというか…
  458. なぎさ: そう…これはなぎさの “お仕事”なのです
  459. ユゥ: なぎさちゃんにも お仕事があったんだ~
  460. なぎさ: そ、そうなのです! お仕事なのです!
  461. なぎさ: それを…これから するのです…
  462. ユゥ: ふぅん…
  463. なぎさ: (ユゥは肉体を再生できる 文字通りの化け物…!)
  464. なぎさ: (変身前に不意を突いて 一方的に攻撃し続けるのです!)
  465. ユゥ: それ…ワタシも手伝える?
  466. なぎさ: あ、う、うん! 手伝えるのです!
  467. ユゥ: わぁ、嬉しい!
  468. ユゥ: なぎさちゃんにはいつも お仕事一緒に来てもらってるから
  469. ユゥ: ワタシもお返ししたいな~
  470. なぎさ: 詳しく説明したいので もっと、こっちに来るのです…
  471. ユゥ: …いいよ~
  472. なぎさ: …………
  473. なぎさ: (確実に仕留められる距離まで 近づけさせるのです…)
  474. ユゥ: ♪
  475. なぎさ: (あと…)
  476. ユゥ: ♪
  477. なぎさ: (もう少し…)
  478. なぎさ: …………
  479. なぎさ: …………
  480. なぎさ: ユゥは、ユゥがなくしちゃう 悪い人のことを
  481. なぎさ: 考えることはあるのですか?
  482. ユゥ: ?…悪い人のこと? たとえば、どんな?
  483. なぎさ: 悪い人とは、何が悪いことなのか
  484. なぎさ: なぜ絶対に悪いことをしていると リストで決められているのかです
  485. ユゥ: う~ん…あのね 悪いことっていうのは
  486. ユゥ: 誰かの大切なものを 理不尽に奪っちゃうことでね?
  487. ユゥ: それが他の人から見ても 悪いかどうかってのは
  488. ユゥ: ちょっと 別のことなのかもしんないの
  489. ユゥ: だから リストに載ってる悪い人も
  490. ユゥ: ほんとはワタシから見て 悪いだけなんだ
  491. なぎさ: …………
  492. なぎさ: …分かるのですよ なぎさも、そう思っているのです
  493. ユゥ: うんうん そうだよね?
  494. なぎさ: (…やっぱり)
  495. ユゥ: …………?
  496. なぎさ: (ユゥは…)
  497. なぎさ: (思い直したりしない)
  498.  
  499. FILENAME: text_339013-2.txt
  500. ユゥ: …………
  501. なぎさ: (…今!)
  502. なぎさ: …?
  503. ユゥ: ?
  504. なぎさ: えっ!?
  505. ユゥ: ?
  506. なぎさ: …い、いえ…その…!
  507. ユゥ: あれ?あれれ? ワタシもつられて変身しちゃった
  508. なぎさ: …………
  509. ユゥ: ふふふ 可笑しいね?
  510. なぎさ: (…なぎさは迷ったのですか?)
  511. なぎさ: (ユゥには敵意も悪意も 何もないから?)
  512. なぎさ: (それでも、何もないからって)
  513. なぎさ: (人を殺していい理由にハ ならないのデス)
  514. なぎさ: (人ヲ殺した猛獣を処分スル ことと変ワラないノです)
  515. なぎさ: (なぎさは人間ダカラ 人間のルールを…)
  516. なぎさ: (何モなくてモ 悪でスラなくたッテ)
  517. なぎさ: (ルールの外側にいル奴は 人を殺シタ奴は、絶対ニ悪人…)
  518. なぎさ: …………悪人?
  519. なぎさ: いえ…………ちがウのデス
  520. ユゥ: どうしたの?なぎさちゃん
  521. なぎさ: 本当ニ、悪イノハ
  522. なぎさ: ナギサタチニルールヲ 押シ付ケテ来タヤツラ…!
  523. なぎさ: 其ノセイデ、ナギサタチハ 何処ヘモ、行ケな…!
  524. なぎさ: …!?
  525. なぎさ: (違うのです!)
  526. なぎさ: (今なぎさのことは 関係ないのです!)
  527. なぎさ: (そもそもなんで… なんでこんな考えを?)
  528. なぎさ: (なぎさの思考が…!?)
  529. ユゥ: 大丈夫?なぎさちゃん?
  530. なぎさ: …な、何か…変なのです…!
  531. ユゥ: そういえば…
  532. ユゥ: なんでさっき変身したの? 驚かそうとしてたとか?
  533. なぎさ: ち、違うのです…! ユゥこそ…なぎさに…
  534. なぎさ: 何を…したの…です…
  535. なぎさ: …あっ…!
  536. なぎさ: この…感じ…
  537. なぎさ: 最初に…会った時…
  538. ユゥ: 「なぎさちゃん…? どうしちゃったの~?」
  539. なぎさ: 意識が…沈む…の…です…
  540. なぎさ: …………
  541. なぎさ: …あ…れ…?
  542. なぎさ: …ここは…?
  543. なぎさ: (見覚え…あるのです…)
  544. なぎさ: …病院…?
  545. なぎさ: …病院なのです!
  546. なぎさ: (…お母さんが入院していた…)
  547. なぎさ: …………
  548. なぎさ: …ど、どうしてここに!?
  549. なぎさ: なぎさは…今まで…
  550. なぎさ: あ、ユゥ!
  551. なぎさ: (なぎさはユゥのことを… それから、なぎさは…)
  552. なぎさ: …ユ、ユゥはどこなのです!
  553. なぎさ: ユゥ…どこ…? どこに…?
  554. なぎさ: ユゥ!どこなのです!
  555. ???: 誰…そこにいるのは?
  556. なぎさ: …え?
  557. ???: もしかして…なぎさ?
  558. なぎさ: あ、ああ…
  559. なぎさ: お…母さん…?
  560.  
  561. FILENAME: text_339013-3.txt
  562. なぎさ: お…母さん…?
  563. なぎさの母: やっぱり…なぎさだったのね
  564. なぎさの母: なにしてるの?
  565. なぎさの母: 騒がしくしないでって 言ってるでしょ?
  566. なぎさ: いえ、なぎさは、その…
  567. なぎさの母: またそうやって 迷惑をかけるの!?
  568. なぎさの母: どうしてそんな…!
  569. なぎさ: …………
  570. なぎさの母: ああもう! なんで言うことが聞けないの…!
  571. なぎさ: (…あれ…?)
  572. なぎさの母: どうして私ばっかり…! ううううう…!
  573. なぎさ: (…ユ、ユゥ!)
  574. なぎさ: (あれ…?声が… 出ないのです…!)
  575. なぎさの母: 最低…私の人生!なんでこんな!
  576. ユゥ: …困ってんの?
  577. なぎさの母: …ひっ!
  578. ユゥ: 大変だね?分かるよ? ワタシも、いっつもそう
  579. ユゥ: 困ったナァ…困ったナァ…って
  580. なぎさの母: ば、化け物!
  581. ユゥ: ば、バケモノ?ワタシのこと?
  582. なぎさの母: い、いや!化け物ぉぉぉぉ!
  583. ユゥ: どうしてこんな 酷いこと言うんだろ?
  584. ユゥ: ………… ま、いっか
  585. ユゥ: あのさ、困ってんでしょ?
  586. ユゥ: でも、もう大丈夫 なくしてあげるよ?
  587. なぎさの母: …なく…す?
  588. ユゥ: えい
  589. なぎさの母: …は…!
  590. なぎさの母: つ…角…角…角が おな…お腹に…?
  591. なぎさの母: ~~~~~~ッッ! 痛っ痛!?ぎぃぃぃぃぃぃ!
  592. なぎさ: (お母さん…!)
  593. なぎさ: (…お母さん…)
  594. なぎさ: …………
  595. なぎさ: …え…?
  596. なぎさ: 今…のは…?
  597. なぎさ: (…なぎさの…過去…?)
  598. なぎさ: (…いや…違うのです… あんな光景、見たことは…)
  599. なぎさ: (ただ、病院でお母さんに 起きたことは、確かに…)
  600. なぎさ: …何か…おかしいのです…
  601. ユゥ: なぎさちゃん?
  602. なぎさ: …ユゥ…
  603. ユゥ: 眠くなっちゃった? 夢とか見ちゃった?
  604. ユゥ: …やっぱり、なぎさちゃんも?
  605. なぎさ: …なぎさも…って どういうこと…なのです…?
  606. ユゥ: ワタシと一緒にいる人って 時々、おかしくなっちゃうんだ
  607. ユゥ: すぐそばで話しかけてんのに ぼんやりしちゃったり…
  608. ユゥ: で、なぎさちゃんも、今
  609. なぎさ: …………
  610. なぎさ: (…なぎさは… どうなっていたのです…!?)
  611. なぎさ: (…わからない… 記憶が…ごちゃごちゃに…!)
  612. なぎさ: …そうだ…
  613. なぎさ: …ユゥ…ひとつ 教えてほしいのです…
  614. ユゥ: ん?
  615. なぎさ: なぎさは…昔… ユゥと会ってるのですか…?
  616. ユゥ: わわ!思い出してくれた?
  617. ユゥ: うれしい!
  618. ユゥ: ひさしぶりだね!ユゥだよ! あなたとおんなじ、魔法少女の
  619. ユゥ: こんにちは! 久しぶりだね?
  620. ユゥ: …って
  621. なぎさ: …そう…なのですか…?
  622. なぎさ: (…まさか、やっぱり この宇宙のなぎさだけが…)
  623. なぎさ: ああ!もう! マズイのです!
  624. なぎさ: (頭の中がぐるぐる しているような感じ…!)
  625. なぎさ: (思考が…余計な感情が…)
  626. なぎさ: (不快なのです! とっても不快なのです!)
  627. なぎさ: うう…う…!
  628. なぎさ: …あ…
  629. なぎさ: …かすかに…感じるのです…
  630. ユゥ: なにを?
  631. なぎさ: …魔力…
  632. なぎさ: そうか…これは… ユゥの魔法…!?
  633. ユゥ: ワタシの魔法?
  634. なぎさ: ユゥが魔法を…魔法を 使ったのです?なぎさに…
  635. ユゥ: え、えぇ!?ワ、ワタシ 魔法なんて使ってないよ?
  636. ユゥ: 困ったナァ、困ったナァ なぎさちゃん気分悪いの?
  637. ユゥ: どどど、どうしよう?
  638. なぎさ: や、やめるのです! 近寄られると…
  639. なぎさ: (たぶんユゥは 嘘をついたりしないのです)
  640. なぎさ: (だとしたら、ユゥの 魔法は自動的に…!?)
  641. ユゥ: なぎさちゃん?
  642. なぎさ: あ、ああああああああ!
  643.  
  644. FILENAME: text_339013-4.txt
  645. なぎさの母: はっ…はっ…はっ…はっ…
  646. なぎさ: …お母さん!
  647. なぎさ: (…また、病院に…!?)
  648. ユゥ: ごめんね、なぎさちゃん…
  649. なぎさ: …ユゥ!
  650. ユゥ: ワタシ、気が利かないから なぎさちゃんの大切なものまで
  651. ユゥ: ワタシが全部 なくしちゃうとこだった
  652. ユゥ: でも間に合ってよかった なぎさちゃんの手で
  653. ユゥ: なぎさちゃんの 大事な人をなくしちゃおう?
  654. なぎさ: …な…何を言って…?
  655. ユゥ: もったいない気持ちもわかるけど
  656. ユゥ: 大事な人は、もう未来へは 連れていけないんだよ?
  657. ユゥ: なぎさちゃんが はやくなくさなきゃ
  658. ユゥ: 大事な人が 勝手になくなっちゃうよ?
  659. なぎさ: いい加減にするのです!
  660. なぎさ: なんでなぎさがこんなとこに 戻ってこなきゃいけないのです!
  661. ユゥ: ここが、なぎさちゃんの オシマイだからだよ?
  662. ユゥ: なぎさちゃんは大切だったものを 捨ててまで
  663. ユゥ: これ以上、どこへ行くの?
  664. なぎさ: …………
  665. なぎさの母: なぎさ
  666. なぎさの母: どこにいるの?
  667. なぎさの母: なぎさ
  668. なぎさの母: そこにいるんでしょ?
  669. なぎさの母: なぎさ…
  670. なぎさの母: 返事をして…
  671. なぎさ: …………
  672. なぎさの母: なぎさ…
  673. なぎさ: …………
  674. なぎさの母: なぎさ…
  675. …………
  676. …………
  677. …………
  678. なぎさ: …………
  679. なぎさ: …はっ!
  680. なぎさ: は…は…はぁ…………
  681. なぎさ: (なぎさは… どうしていたのです…?)
  682. なぎさ: …………
  683. ???: 「お願い」
  684. なぎさ: ――っ!?
  685. ???: 「ユゥを、殺して」
  686. なぎさ: だ、誰なのです?
  687. ???: 「ユゥを、殺して」
  688. なぎさ: いきなり物騒な奴なのです
  689. ???: 「物語はもう終わったのに」
  690. ???: 「私を置いて みんな未来へ行っちゃう」
  691. ???: 「お願い、ユゥを殺して」
  692. なぎさ: 言われなくても そうするつもりだったのですが
  693. なぎさ: 人から言われて やるのはごめんなのです
  694. なぎさ: それにこの感じ… お前、ユゥとそっくりなのです
  695. ???: 「私が見えてんなら」
  696. ???: 「あなたの物語も もう終わってんでしょ?」
  697. なぎさ: まさか…お前が ユゥを昨日に閉じ込めてる原因?
  698. ???: 「あなたも、自分自身の物語の オシマイを見たんでしょ?」
  699. なぎさ: …………
  700. ???: 「それなのにあなたはオシマイの 先まで行っちゃうの?」
  701. なぎさ: さっきからゴチャゴチャと…
  702. なぎさ: お化けにもデリカシーくらい あったほうがいいのですよ?
  703. なぎさ: なぎさはこんなところに 居続ける気はないのです
  704. ???: 「行かないでよ、行かないでよ」
  705. なぎさ: …お前には関係ないのです
  706. ???: 「せっかくオシマイになったのに 大事な人を置き去りにすんの?」
  707. なぎさ: なぎさには…もういらないのです
  708. ???: 「薄情者…」
  709. なぎさ: うるさいのです!
  710. なぎさ: 大事な人のために なぎさは自由になるのです!
  711. ???: 「裏切者…」
  712. なぎさ: 過去は変えられなくても なぎさが自由になればきっと…
  713. ???: 「嘘つき…」
  714. なぎさ: なぎさは おしまいだってその先だって
  715. なぎさ: 全部取り戻してやるのです! なぎさは明日に行くのです!
  716. なぎさ: お化けは昨日に 引きこもってやがれなのです!
  717. ???: 「可哀そうな子…」
  718. ???: 「あなたきっと 先へ進むためだったら」
  719. ???: 「自分の意思を なんだって通せちゃう…」
  720. ???: 「その意思が、私のユゥを 殺しますように…」
  721. なぎさ: …………
  722. なぎさ: (…あれは…夢…?)
  723. なぎさ: (…いやいや!こんな所で なぎさは寝てたのですか…?)
  724. なぎさ: なぎさは、今まで誰かと…
  725. なぎさ: (誰…誰…)
  726. なぎさ: (誰って…)
  727. なぎさ: …誰なのです…?
  728. なぎさ: (えーっと…名前は…)
  729. なぎさ: …ケイ…?
  730. なぎさ: (…いえ、違うのです…)
  731. なぎさ: (えーっと…えーっと…)
  732. <彼女は霞がかかった自分の記憶を相手に 懊悩し、そしてまた、彷徨する…>
  733. ユゥ: ワタシ、行かなきゃ…ん? あれ?どこ行かなきゃだっけ?
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