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- FILENAME: text_339011-1.txt
- なぎさ: …………
- なぎさ: それにしても…
- なぎさ: …ふむむ…
- なぎさ: …………
- なぎさ: どうすれば…
- なぎさ: …ふむむ…
- <ここに、懊悩し彷徨する少女がひとり…>
- なぎさ: (「円環の理」から離れて…)
- なぎさ: (なぎさは自由を 満喫しているのです…!)
- なぎさ: (…だけど…自由を 突き通せば通すほど)
- なぎさ: (自由には際限がないのです)
- なぎさ: (持て余す自由を改革する…)
- なぎさ: (持続可能な SDGs自由目標とは…!)
- なぎさ: (これはなぎさの 模範的インテリジェンスが)
- なぎさ: (たどり着いた 哲学的悩みなのです!)
- なぎさ: (自分の脳みその小賢しさを 呪ってしまうのです…)
- なぎさ: …などと考えつつも!
- なぎさ: なぎさには 帰る気なんてないのです!
- なぎさ: (…というか…)
- なぎさ: (いまさら帰還するのは マズいのです…)
- なぎさ: (“あの問題”を 解決しないと…)
- なぎさ: …やれやれ…なのです…
- なぎさ: (まさに、自由の代償! …なのです)
- なぎさ: (…そう…自由…)
- なぎさ: (「円環の理」から離れて…)
- なぎさ: (なぎさは自由を 満喫しているのです…!)
- <そんな反復的葛藤に 陥っている少女のもとに…>
- <“それ”は現れた>
- なぎさ: ―なぎさ― …………
- なぎさ: ―なぎさ― …ん…?
- ユゥ: こんにちは! 久しぶりだね?
- なぎさ: …え…
- なぎさ: うわわわわわーっ!
- なぎさ: まま、魔女なのです! いつの間に!
- ユゥ: 魔女…? 魔女がいるの?どこにいるの?
- なぎさ: やい、魔女! なぎさを惑わすなら
- なぎさ: もっとクオリティを 上げてくるのです!
- ユゥ: うえぇ!? まさかワタシのこと!?
- ユゥ: ワタシって魔女だったの!?
- なぎさ: 覚悟なのです~!
- ユゥ: ごごご、誤解だよ!
- ユゥ: もしかしてワタシのこと… 忘れちゃった?
- なぎさ: …へ?
- ユゥ: あれ?違う? もしかして人違い…?
- ユゥ: 困ったナァ… あれ?別に困らないか…
- ユゥ: はじめまして!ワタシ、ユゥだよ あなたとおんなじ、魔法少女の
- FILENAME: text_339011-2.txt
- ユゥ: はじめまして!ワタシ、ユゥだよ あなたとおんなじ、魔法少女の
- なぎさ: 魔法…少女!?
- ユゥ: そうだよ~ キュゥべえと契約した魔法少女!
- なぎさ: …………
- なぎさ: (そう言われると…)
- なぎさ: (魔女にしては会話が できているのです…)
- なぎさ: で、でも、その魔力は…
- ユゥ: 魔力?
- なぎさ: おかしいのです! 魔法少女がそんな…
- ユゥ: そんな?
- なぎさ: …まあ…見た目も怪物じみてるし
- なぎさ: (それに、この気配は あまりにも…)
- ユゥ: か、カイブツ!? ひどい!
- ユゥ: 人の容姿を 笑っちゃダメなんだよ?
- ユゥ: …………あれ?違ったかも? もしかして、褒めてくれた?
- なぎさ: …褒めてはいないのです
- ユゥ: 嬉しいなぁ… 新しいお友だちができちゃった
- なぎさ: 誰がいつ友だちになったのです!
- <両者の会話は難航を極めた>
- <しかし、最終的に>
- なぎさ: わ、わかったのです… 諦め…じゃなくて、認めるのです
- なぎさ: お前が魔法少女っぽいのは…
- ユゥ: あれ?魔法少女だって さっき言わなかった?
- ユゥ: やっぱ、言ってなかったかも…?
- ユゥ: はじめまして!ワタシ、ユゥだよ あなたとおんなじ、魔法少女の
- なぎさ: ああぁぁぁ! こいつ面倒くさいのです!
- なぎさ: 脳がくるくるするのです!
- ユゥ: 嬉しいなぁ…新しいお友だち!
- なぎさ: …でも…
- なぎさ: (興味深いのです…)
- なぎさ: (いえ…改めてこいつを 魔法少女だと妥協して見れば)
- なぎさ: (興味が湧かないヤツなんて いないと思うのです!)
- なぎさ: (一体、どうしたらこんな…?)
- なぎさ: (本当に… 魔法少女なのですか?)
- ユゥ: あなた、名前って…
- なぎさ: 名前?教えるような義理なんて なぎさにはないのです!
- ユゥ: そうそう、そうそう なぎさちゃん!
- なぎさ: …はっ! しまったのです…!
- ユゥ: ふふふ… やっぱりなぎさちゃんだ!
- なぎさ: (なんなのです… 掴みどころもないし)
- なぎさ: (やけにフレンドリー なのです!)
- なぎさ: (だいたい 今までのどのなぎさも)
- なぎさ: (こんな特異な魔法少女 見たこと…)
- なぎさ: …………
- なぎさ: (もしかして… もしかしてなのですが…)
- なぎさ: (“例の件”と 関わりがあるかも…)
- なぎさ: …えっと…ゆう?ユゥ?
- ユゥ: なぁに?
- なぎさ: なぎさは…しばらくユゥと 行動を共にするのです!
- ユゥ: え?
- なぎさ: 知りたくなったのです! ユゥが一体、何者なのかを!
- なぎさ: 自由ななぎさは思うがまま! 例え断っても…!
- ユゥ: うん、いいよ
- なぎさ: …軽いのです…
- FILENAME: text_339011-3.txt
- <ユゥに興味が湧き、彼女と行動を 共にすることを決めたなぎさ…>
- なぎさ: …………
- ユゥ: ふふ~ん♪
- なぎさ: …ユゥ…
- ユゥ: なあに?
- なぎさ: たんとおちょくにゅうに… ユゥは一体何者なのです?
- ユゥ: ワタシはワタシだけど?
- なぎさ: むむ…
- なぎさ: (やはりこんな質問しても 意味はないのです…)
- なぎさ: …ん~、では、いつもは 何をしているのです?
- ユゥ: 魔法少女!
- なぎさ: それはわかっているのです!
- ユゥ: あとは…
- ユゥ: お仕事?
- なぎさ: …仕事?何の?
- ユゥ: ふふふ…これだよ
- なぎさ: ―なぎさ― …なんなのです、これは…? 名前が書いてあるのです
- ユゥ: ―ユゥ― リストだよ?
- なぎさ: ―なぎさ― なんの?
- ユゥ: ―ユゥ― 悪い人の?
- なぎさ: ―なぎさ― わる…? そんなもん何に使うのですか?
- なぎさ: …まさかと思うのですが…
- なぎさ: 魔法少女には
- なぎさ: たいほけんげんなんて ないのですよ?
- ユゥ: ??? このリストの使い方?
- ユゥ: 悪い人たちを、なくしちゃう?
- なぎさ: …なくしちゃう?
- ユゥ: そう それがお仕事
- ユゥ: だってワタシ、魔法少女だから
- なぎさ: …魔法少女だから 悪い人を…なくしちゃう?
- なぎさ: …魔女のことを 言ってるのですか?
- ユゥ: 魔女も悪い人
- ユゥ: 悪い人も悪い人
- ユゥ: ちゃんと両方とも なくしちゃうよ?
- なぎさ: …うーん…
- なぎさ: 悪は絶対許さないみたいな? 心意気の話なのですか?
- ユゥ: それでね… このリストに載ってる人
- ユゥ: ここら辺にいるみたいだし 今からなくしてくるんだ
- ユゥ: じゃあね~
- なぎさ: は?…え…?
- なぎさ: ちょ、ちょっと待て!
- なぎさ: あわわ…見失ったのです!
- なぎさ: ど、どこなのです! ユゥ!どこなのです!
- ???: 「だ、誰か!助けてくれ!」
- なぎさ: むむっ!
- ???: 「い、いやだ!来るな…来るな化け物!」
- なぎさ: 誰かの悲鳴…!
- なぎさ: その言い様… まさか…!
- なぎさ: …声は…こっちなのです!
- なぎさ: …ここ…なのです? 声は聞こえなくなったのですが…
- …………
- なぎさ: ふわっ! 誰なのです!?
- …………
- 化け…物…
- なぎさ: むああっ!
- なぎさ: …へ…? どうしたのです…?
- なぎさ: …わっ!
- なぎさ: 血が…!
- なぎさ: …………し
- なぎさ: 死んでるのです…!
- FILENAME: text_339011-4.txt
- なぎさ: 人が…人が死んでるのです…! これは…これは一体…!
- ユゥ: あ、なぎさちゃ~ん
- なぎさ: …ユゥ!
- ユゥ: …ん?足元のは… あれ~?おかしいな…
- ユゥ: さっきあっちで ちゃんといっぱい刺したのに…
- ユゥ: なぎさちゃんが持ってきたの?
- なぎさ: い、いや…ここで倒れて…
- ユゥ: てことは、生きてたんだ! 失敗しちゃった…困ったナァ
- ユゥ: …でも、もう大丈夫か
- なぎさ: だいじょう…ぶ?
- ユゥ: 悪い人って悪い人なのに、すごく わがままで困っちゃうよね?
- なぎさ: …『悪い人』…
- ユゥ: そう、悪い人
- ユゥ: 悪い人をなくすのが 良い魔法少女なんだよ?
- なぎさ: なくすというのは…つまり…
- ユゥ: ちゃんとなくしたよ? ちゃんと、もうないよ?
- なぎさ: リストに書かれた人物を 殺すのが…お前の仕事…!?
- ユゥ: ちゃんとなくしちゃうよ ぜーんぶ
- なぎさ: ――っ!?
- なぎさ: …殺し屋! あるいは掃除屋!
- ユゥ: ん?
- なぎさ: 要するにそういう屋! そうだったのですか!
- なぎさ: と…とんでもない 化け物魔法少女なのです!
- ユゥ: ば、バケモノ…!? ひどい!そんな!ショック!
- ユゥ: ………… ま、いっか
- なぎさ: (…ど…)
- なぎさ: (どえらいことに なったのです!)
- なぎさ: (例の件がどうとか関係なく)
- なぎさ: (めちゃくちゃ ヤバい奴だったのです…!)
- なぎさ: (…へいわな しゃかいのためにも)
- なぎさ: (こいつの監視を 続けなきゃなのです)
- ユゥ: なぎさちゃん、どうかした?
- なぎさ: あ、あー、いえ…
- なぎさ: …こ、この死た…悪い人 どうするのです!?
- ユゥ: すぐに片づけちゃうよ? 欲しい?
- なぎさ: いらねーのです…
- なぎさ: でも片づけるって どうやって…?
- ユゥ: ふふふ!ほんとは 秘密だけど教えてあげるね!
- ユゥ: なぎさちゃんはお友だちだもん!
- なぎさ: あ、ありがとう、なのです はは…ははは…
- ユゥ: なぎさちゃんは、お友だち うれしいなぁ…
- ユゥ: なぎさちゃん一緒にいて楽しい子 だからもっとお話ししたいなぁ
- FILENAME: text_339012-1.txt
- <なぎさが同行を続けているのも お構いなしにユゥは“お仕事”を続けていた>
- なぎさ: …………
- なぎさ: (ユゥは今、“お仕事”中…)
- なぎさ: (それをなぎさは ただ待っている…)
- なぎさ: (つまり、なぎさは今…)
- なぎさ: (人死にを 見過ごしているのです…)
- なぎさ: ゆゆしきじたいなのです
- なぎさ: (…まさか、なぎさまで逮捕 されたりしないのですよね?)
- なぎさ: (これ以上面倒ごとに 巻き込まれるのは勘弁なのです)
- なぎさ: (でも…ユゥについては 調査の途中ですが)
- なぎさ: (見た目はともかく 無差別に人を殺すような…)
- なぎさ: ともかく今は、ユゥを観察して…
- ユゥ: ふぅ… お待たせ~
- なぎさ: …終わったのですか?
- ユゥ: うん
- ユゥ: なくしてきたよ
- なぎさ: …変身前後のギャップ 相変わらずすごいのです…
- ユゥ: ?
- なぎさ: 化け物から人間に戻るのです
- ユゥ: ば、バケモノ!? まさかワタシ?ワタシのこと?
- なぎさ: …よく毎回、はじめて 聞きましたみたいな
- なぎさ: リアクションが 取れるもんなのです
- ユゥ: ひ、ひどい!ショック!
- ユゥ: …………あれ、違うかも? もしかして、褒めてたりする?
- なぎさ: 褒めてはいないのです
- ユゥ: ま、いっか
- なぎさ: (本気で驚いたり 悲しんだりはしてるのですが)
- なぎさ: (その直後には 元に戻ってしまう…)
- なぎさ: (まるで同じ場所を 周回してるみたいなのです…)
- なぎさ: (…それはそれとして…)
- なぎさ: ところで…ひとつ聞きたいのです
- ユゥ: なぁに?
- なぎさ: その仕事はいつまで 続けるのです?
- ユゥ: いつまで?
- ユゥ: リストがなくなるまでだよ?
- なぎさ: そのリストというのはどうやって 手に入れてるのですか?
- ユゥ: シィが書いてくれんだよ?
- なぎさ: シィ?
- ユゥ: うん シィがリストを書いてくれんの
- なぎさ: (シィという奴がユゥを利用して 人を殺させているのです?)
- なぎさ: もし、そのリストが間違っていて
- なぎさ: 悪人ではなく善人を なくしていたんだとしても
- なぎさ: それは 良いことになるのですか?
- ユゥ: うーん…悪い人の名前はちゃんと 確認してるから大丈夫なんだよ?
- ユゥ: …でも、世の中に 絶対だとかはないんだって
- ユゥ: なぎさちゃんは思ってんだよね?
- ユゥ: うんうん、わかるよ?
- ユゥ: でもね、悪い人がどんな人でも
- ユゥ: なくなるとシィにとって 良いことなのが
- ユゥ: 嘘になったりしないんだよ?
- なぎさ: お前が言っていることは
- なぎさ: もし、罪もない善人を なくしてしまっても
- なぎさ: シィという人間にとっては 良いことだから
- なぎさ: 仕事を続けるということですか?
- ユゥ: そうだよ?
- なぎさ: …やれやれなのです…
- <ユゥとなぎさの会話は大抵こんな感じで とりとめがない>
- <しかし、辛抱強く話をしていく内に 断片的ではあるが、少しずつ ユゥにまつわる情報を汲み取ることができた>
- FILENAME: text_339012-2.txt
- なぎさ: ユゥはどうして、シィのために 仕事をするのですか?
- ユゥ: 魔法少女だからだよ?
- ユゥ: ワタシ、知ってんの 魔法少女っていうのは
- ユゥ: みんなを困らせる悪者を なくしちゃうような
- ユゥ: とっても良いことをする 存在なんだよ?
- ユゥ: あ、でも、シィは魔法少女のこと
- ユゥ: 願いにつられて騙された 可哀そうな人たちって言ってた
- ユゥ: どっちなんだろう? なぎさちゃんはどっちだと思う?
- なぎさ: そんなの…人によるのです
- なぎさ: なぎさは、なぎさのなりたい 魔法少女になるのです
- ユゥ: そっかー、そうだよね
- ユゥ: だからワタシも 良い魔法少女になんの
- ユゥ: 可哀そうな人たちって 何したらいいかよくわかんないし
- なぎさ: 良い魔法少女にだって ならなくたっていいのです
- なぎさ: そんなもの せめてお金でも貰わなくちゃ
- なぎさ: やってられないのです
- ユゥ: うーん…でもワタシ カラッポだから
- なぎさ: …ユゥは、何を願って 魔法少女になったのですか?
- ユゥ: 願い?
- ユゥ: なんだっけ?…なんだっけ? 困ったナァ、なんだっけ?
- ユゥ: 困ったナァ、困ったナァ…
- ユゥ: なぎさちゃんは 何をお願いしたの?
- なぎさ: ………… 忘れちゃったのです
- ユゥ: !!
- ユゥ: なぎさちゃんも ワタシとおんなじなんだね!
- ユゥ: うれしい!
- なぎさ: …ユゥは、大切だったものを 埋め合わせるために
- なぎさ: 良いことをしているのですか?
- ユゥ: …そうかな?そうなのかな? なぎさちゃんはそうなの?
- なぎさ: なぎさのことは聞いてないのです
- ユゥ: …ワタシ、きっとね ずっとずっと前にもう
- ユゥ: 大切なもの、どっかに 落っことしちゃったのかも?
- ユゥ: なぎさちゃんは 失くしちゃったの?
- ユゥ: それとも、壊しちゃったの?
- なぎさ: なぎさは… 忘れたもののことなんて
- なぎさ: いちいち覚えていたくないのです
- ユゥ: なぎさちゃんも忘れちゃったの? ワタシとおんなじだね!
- なぎさ: …………
- なぎさ: ユゥは、何を…いえ
- なぎさ: ユゥが忘れてしまった 大切なものは
- なぎさ: どんな感情と共にいたのですか?
- ユゥ: …どんなだろう?わかんない
- ユゥ: 困ったナァ、困ったナァ
- ユゥ: 困ったナァ…
- 絵本のページ: 岬から飛び降りた二人は 二度と浮かび上がってきませんでした オシマイ
- なぎさ: 失ったものは 二度と戻らないのです
- なぎさ: 無念や後悔のあるなしも関係なく
- なぎさ: (…ただ、失ったまま)
- なぎさ: もう戻らないなら
- なぎさ: 思い出す必要なんか ないのかもしれないのです
- ユゥ: …………
- ユゥ: 忘れちゃったもんってきっと ワタシのぜんぶだった
- ユゥ: それなのにワタシ 拾いあげたりしなかった
- 絵本のページ: すべてを失った女の子の最後のお願いは 自分のことを思い出せなくなるくらい 正気が保てなくなることでした オシマイ
- なぎさ: (ユゥの魔力に感じた違和感…)
- なぎさ: (魔力の根源は 感情エネルギーなのです)
- なぎさ: (そしてユゥにも感情はあるけど 連続性や脈略が全くないのです)
- なぎさ: (はじめは魔女の魔力かと 勘違いしたのですが)
- なぎさ: (ユゥの中に負の感情は 不自然なほど存在しない)
- なぎさ: (ユゥにある感情は、ただ未来へ つながることを拒絶している)
- なぎさ: (だからユゥの視点も会話も同じ 場所を堂々巡りしてるのです)
- なぎさ: 目的もなく良いことをしたって どこへも行けないのですよ
- なぎさ: ユゥは巨大な空っぽの周りを ぐるぐる回ってるだけなのです
- なぎさ: ユゥは、失ったものの代わりに どんな未来に行きたいのですか?
- ユゥ: みらい?
- ユゥ: …ワタシが?
- なぎさ: 選んだ行動の先には 未来がなくちゃいけないのです
- ユゥ: 未来?
- なぎさ: 人間はどんなに最悪でも最高でも
- なぎさ: 終わりの時間にベルが鳴って幕が 下がってきたりはしないのです
- なぎさ: 生きているだけで 未来へ続いちまうのです
- なぎさ: リストに従うお仕事だって
- なぎさ: 全人類をなくし尽くしたら そこで終わりなのです
- なぎさ: ユゥが行く未来にはきっともう リストはあっちゃくれないのです
- ユゥ: 未来…?ワタシだけ?ひとりで?
- なぎさ: ユゥがする良い行いは
- なぎさ: ユゥをどこへ連れて いくためのものなのですか?
- ユゥ: …ひとりぼっちはイヤ
- ユゥ: ひとりぼっちになっちゃうから オシマイは越えちゃいけないの
- なぎさ: 自分が自分である限り
- なぎさ: 美しいおしまいなんて 存在しないのです
- ユゥ: …………
- ユゥ: …あれ? ワタシって誰?
- なぎさ: ユゥなのです
- ユゥ: ユゥ…ああ、そうか そっか、あのね
- ユゥ: ユゥは、明日へ行けないよ?
- ユゥ: 行っちゃダメなんだよ?
- なぎさ: むむっ! 魔女の気配なのです!
- なぎさ: 魔女がいるからには 倒さないとなのです
- なぎさ: 魔法少女なのですから!
- ユゥ: …う~ん?
- なぎさ: …………
- なぎさ: なぎさがこんなに キメ散らかしているのに
- なぎさ: なにを寝ぼけているのですか!
- ユゥ: …やっぱさぁ…
- ユゥ: ワタシって誰なんだっけ?
- なぎさ: …お前の名前はユゥ 良いことをする魔法少女なのです
- なぎさ: 目覚ましついでに 一緒に魔女を退治するのです!
- ユゥ: 魔女?…どこ?
- なぎさ: 一緒に来るのですー!
- FILENAME: text_339012-3.txt
- 目覚ましついでに 一緒に魔女を退治するのです!
- ユゥ: 魔女?…どこ?
- なぎさ: 一緒に来るのですー!
- <こうして魔女と対峙することになった なぎさとユゥだったが…>
- <結果としては勝利で終わった>
- <…しかし…>
- ユゥ: はぁ…
- ユゥ: 身体を動かしたら なんだかスッキリした~
- ユゥ: 誘ってくれてありがとう なぎさちゃん
- なぎさ: …う、うん…
- なぎさ: …………
- なぎさ: …あー、ちょっと確認したい ことがあるのです
- ユゥ: 確認?
- なぎさ: さっき、魔女の攻撃で… ユゥの腕…
- なぎさ: 千切れてた…ですか?
- ユゥ: うん、千切れたね?
- なぎさ: …そ、それで…
- なぎさ: 千切れた腕… また生えた…ですか?
- ユゥ: うん、生えたね?
- なぎさ: それ…普通…なのですか?
- ユゥ: うん、普通だね?
- なぎさ: そうなのですか…
- なぎさ: …………
- なぎさ: …飛び出た内臓とかも 投げつけてたのですが…
- なぎさ: それも、今は治って…?
- ユゥ: 治ってんよ?
- なぎさ: それ…普通…なのですか?
- ユゥ: うん、普通だね?
- なぎさ: (普通なわけないのです!)
- なぎさ: (再生した時、さして魔力も 感じなかったのです!)
- なぎさ: (自然と腕や内臓が生えた…? んなことあり得ないのです!)
- ユゥ: ?
- ユゥ: なぎさちゃんだって さっき戦ってたとき
- ユゥ: 魔法少女の服とか武器 出せてたよ?
- なぎさ: (…いや、そんなレベルで 済まされる話なのですか…?)
- なぎさ: (あの状態でまだ魔法少女…)
- なぎさ: (いえ…人間のままで いられるものなのですか?)
- なぎさ: …やっぱり…
- なぎさ: …ユゥは…おそらく…!
- FILENAME: text_339012-4.txt
- なぎさ: …やっぱり…
- なぎさ: …ユゥは…おそらく…!
- なぎさ: (…「ホツレ」…!)
- なぎさ: (そうなのです…きっと ホツレなのです…!)
- なぎさ: (放っておくと最悪な未来へ 繋がってしまう“悪因”…!)
- なぎさ: (この宇宙にのみ突発的に現れた “悪因”の魔法少女…!)
- なぎさ: (…ホツレは確証がなくても 疑わしければ即座に対処…!)
- なぎさ: (それは、なぎさに与えられた “宿命”でもあるのです…!)
- <『ホツレ』は確かに未来に干渉する 悪性の因子である>
- <しかし、そのホツレが誕生する切っ掛けは 何者かが時空に干渉してしまったことによる>
- <その干渉している“何者”とは 現時点でまぎれもなく…>
- なぎさ: (ゆゆしきじたいなのです!)
- <百江なぎさ、その人であった>
- <ともかく彼女は 事の始まりが自分にあるということを 棚に上げて、ユゥの排除へと乗り出した>
- なぎさ: …きっと…
- なぎさ: 魔法少女であるユゥ自身が 壊滅的な未来へつながる悪因…
- なぎさ: そしてその根本は まず間違いなく…
- なぎさ: ユゥがやってる“良い行い”
- なぎさ: (でもユゥは、シィという 人物に利用されているだけ…)
- なぎさ: (ユゥもまた 被害者かもしれないのです…)
- なぎさ: (でも、実際に ユゥは人を殺して…)
- なぎさ: (…いや… どっちでもいいのです)
- なぎさ: (“悪因”に善悪は 関係ないのです)
- なぎさ: (シィとかいう奴のことは)
- なぎさ: (国家権力がそのうち どうにかしてくれるのです)
- なぎさ: (なぎさは、なぎさの 宿命の理由を)
- なぎさ: (倫理観なんかのせいに したくはないのです…)
- なぎさ: やるしか…ないのです
- なぎさ: なぎさは…ユゥの未来を…
- ユゥ: ふたりで戦うのはひとりで 戦うより簡単だからいいよねぇ
- FILENAME: text_339013-1.txt
- なぎさ: …………
- なぎさ: …ユゥ…いるのですか?
- ユゥ: ―ユゥ― あ、なぎさちゃん
- ユゥ: ―ユゥ― 今日もワタシのお仕事 一緒に来てくれんの?
- なぎさ: ―なぎさ― ああ、行くのです うん、行くのです…
- なぎさ: ―なぎさ― ただ…
- ユゥ: ただ?
- なぎさ: 行く前に、やらなくちゃ いけないことができたのです
- ユゥ: お仕事よりも先に やんなきゃいけないの?
- なぎさ: そうなのです…
- なぎさ: これをやっておかないと 後々困るというか…
- なぎさ: そう…これはなぎさの “お仕事”なのです
- ユゥ: なぎさちゃんにも お仕事があったんだ~
- なぎさ: そ、そうなのです! お仕事なのです!
- なぎさ: それを…これから するのです…
- ユゥ: ふぅん…
- なぎさ: (ユゥは肉体を再生できる 文字通りの化け物…!)
- なぎさ: (変身前に不意を突いて 一方的に攻撃し続けるのです!)
- ユゥ: それ…ワタシも手伝える?
- なぎさ: あ、う、うん! 手伝えるのです!
- ユゥ: わぁ、嬉しい!
- ユゥ: なぎさちゃんにはいつも お仕事一緒に来てもらってるから
- ユゥ: ワタシもお返ししたいな~
- なぎさ: 詳しく説明したいので もっと、こっちに来るのです…
- ユゥ: …いいよ~
- なぎさ: …………
- なぎさ: (確実に仕留められる距離まで 近づけさせるのです…)
- ユゥ: ♪
- なぎさ: (あと…)
- ユゥ: ♪
- なぎさ: (もう少し…)
- なぎさ: …………
- なぎさ: …………
- なぎさ: ユゥは、ユゥがなくしちゃう 悪い人のことを
- なぎさ: 考えることはあるのですか?
- ユゥ: ?…悪い人のこと? たとえば、どんな?
- なぎさ: 悪い人とは、何が悪いことなのか
- なぎさ: なぜ絶対に悪いことをしていると リストで決められているのかです
- ユゥ: う~ん…あのね 悪いことっていうのは
- ユゥ: 誰かの大切なものを 理不尽に奪っちゃうことでね?
- ユゥ: それが他の人から見ても 悪いかどうかってのは
- ユゥ: ちょっと 別のことなのかもしんないの
- ユゥ: だから リストに載ってる悪い人も
- ユゥ: ほんとはワタシから見て 悪いだけなんだ
- なぎさ: …………
- なぎさ: …分かるのですよ なぎさも、そう思っているのです
- ユゥ: うんうん そうだよね?
- なぎさ: (…やっぱり)
- ユゥ: …………?
- なぎさ: (ユゥは…)
- なぎさ: (思い直したりしない)
- FILENAME: text_339013-2.txt
- ユゥ: …………
- なぎさ: (…今!)
- なぎさ: …?
- ユゥ: ?
- なぎさ: えっ!?
- ユゥ: ?
- なぎさ: …い、いえ…その…!
- ユゥ: あれ?あれれ? ワタシもつられて変身しちゃった
- なぎさ: …………
- ユゥ: ふふふ 可笑しいね?
- なぎさ: (…なぎさは迷ったのですか?)
- なぎさ: (ユゥには敵意も悪意も 何もないから?)
- なぎさ: (それでも、何もないからって)
- なぎさ: (人を殺していい理由にハ ならないのデス)
- なぎさ: (人ヲ殺した猛獣を処分スル ことと変ワラないノです)
- なぎさ: (なぎさは人間ダカラ 人間のルールを…)
- なぎさ: (何モなくてモ 悪でスラなくたッテ)
- なぎさ: (ルールの外側にいル奴は 人を殺シタ奴は、絶対ニ悪人…)
- なぎさ: …………悪人?
- なぎさ: いえ…………ちがウのデス
- ユゥ: どうしたの?なぎさちゃん
- なぎさ: 本当ニ、悪イノハ
- なぎさ: ナギサタチニルールヲ 押シ付ケテ来タヤツラ…!
- なぎさ: 其ノセイデ、ナギサタチハ 何処ヘモ、行ケな…!
- なぎさ: …!?
- なぎさ: (違うのです!)
- なぎさ: (今なぎさのことは 関係ないのです!)
- なぎさ: (そもそもなんで… なんでこんな考えを?)
- なぎさ: (なぎさの思考が…!?)
- ユゥ: 大丈夫?なぎさちゃん?
- なぎさ: …な、何か…変なのです…!
- ユゥ: そういえば…
- ユゥ: なんでさっき変身したの? 驚かそうとしてたとか?
- なぎさ: ち、違うのです…! ユゥこそ…なぎさに…
- なぎさ: 何を…したの…です…
- なぎさ: …あっ…!
- なぎさ: この…感じ…
- なぎさ: 最初に…会った時…
- ユゥ: 「なぎさちゃん…? どうしちゃったの~?」
- なぎさ: 意識が…沈む…の…です…
- なぎさ: …………
- なぎさ: …あ…れ…?
- なぎさ: …ここは…?
- なぎさ: (見覚え…あるのです…)
- なぎさ: …病院…?
- なぎさ: …病院なのです!
- なぎさ: (…お母さんが入院していた…)
- なぎさ: …………
- なぎさ: …ど、どうしてここに!?
- なぎさ: なぎさは…今まで…
- なぎさ: あ、ユゥ!
- なぎさ: (なぎさはユゥのことを… それから、なぎさは…)
- なぎさ: …ユ、ユゥはどこなのです!
- なぎさ: ユゥ…どこ…? どこに…?
- なぎさ: ユゥ!どこなのです!
- ???: 誰…そこにいるのは?
- なぎさ: …え?
- ???: もしかして…なぎさ?
- なぎさ: あ、ああ…
- なぎさ: お…母さん…?
- FILENAME: text_339013-3.txt
- なぎさ: お…母さん…?
- なぎさの母: やっぱり…なぎさだったのね
- なぎさの母: なにしてるの?
- なぎさの母: 騒がしくしないでって 言ってるでしょ?
- なぎさ: いえ、なぎさは、その…
- なぎさの母: またそうやって 迷惑をかけるの!?
- なぎさの母: どうしてそんな…!
- なぎさ: …………
- なぎさの母: ああもう! なんで言うことが聞けないの…!
- なぎさ: (…あれ…?)
- なぎさの母: どうして私ばっかり…! ううううう…!
- なぎさ: (…ユ、ユゥ!)
- なぎさ: (あれ…?声が… 出ないのです…!)
- なぎさの母: 最低…私の人生!なんでこんな!
- ユゥ: …困ってんの?
- なぎさの母: …ひっ!
- ユゥ: 大変だね?分かるよ? ワタシも、いっつもそう
- ユゥ: 困ったナァ…困ったナァ…って
- なぎさの母: ば、化け物!
- ユゥ: ば、バケモノ?ワタシのこと?
- なぎさの母: い、いや!化け物ぉぉぉぉ!
- ユゥ: どうしてこんな 酷いこと言うんだろ?
- ユゥ: ………… ま、いっか
- ユゥ: あのさ、困ってんでしょ?
- ユゥ: でも、もう大丈夫 なくしてあげるよ?
- なぎさの母: …なく…す?
- ユゥ: えい
- なぎさの母: …は…!
- なぎさの母: つ…角…角…角が おな…お腹に…?
- なぎさの母: ~~~~~~ッッ! 痛っ痛!?ぎぃぃぃぃぃぃ!
- なぎさ: (お母さん…!)
- なぎさ: (…お母さん…)
- なぎさ: …………
- なぎさ: …え…?
- なぎさ: 今…のは…?
- なぎさ: (…なぎさの…過去…?)
- なぎさ: (…いや…違うのです… あんな光景、見たことは…)
- なぎさ: (ただ、病院でお母さんに 起きたことは、確かに…)
- なぎさ: …何か…おかしいのです…
- ユゥ: なぎさちゃん?
- なぎさ: …ユゥ…
- ユゥ: 眠くなっちゃった? 夢とか見ちゃった?
- ユゥ: …やっぱり、なぎさちゃんも?
- なぎさ: …なぎさも…って どういうこと…なのです…?
- ユゥ: ワタシと一緒にいる人って 時々、おかしくなっちゃうんだ
- ユゥ: すぐそばで話しかけてんのに ぼんやりしちゃったり…
- ユゥ: で、なぎさちゃんも、今
- なぎさ: …………
- なぎさ: (…なぎさは… どうなっていたのです…!?)
- なぎさ: (…わからない… 記憶が…ごちゃごちゃに…!)
- なぎさ: …そうだ…
- なぎさ: …ユゥ…ひとつ 教えてほしいのです…
- ユゥ: ん?
- なぎさ: なぎさは…昔… ユゥと会ってるのですか…?
- ユゥ: わわ!思い出してくれた?
- ユゥ: うれしい!
- ユゥ: ひさしぶりだね!ユゥだよ! あなたとおんなじ、魔法少女の
- ユゥ: こんにちは! 久しぶりだね?
- ユゥ: …って
- なぎさ: …そう…なのですか…?
- なぎさ: (…まさか、やっぱり この宇宙のなぎさだけが…)
- なぎさ: ああ!もう! マズイのです!
- なぎさ: (頭の中がぐるぐる しているような感じ…!)
- なぎさ: (思考が…余計な感情が…)
- なぎさ: (不快なのです! とっても不快なのです!)
- なぎさ: うう…う…!
- なぎさ: …あ…
- なぎさ: …かすかに…感じるのです…
- ユゥ: なにを?
- なぎさ: …魔力…
- なぎさ: そうか…これは… ユゥの魔法…!?
- ユゥ: ワタシの魔法?
- なぎさ: ユゥが魔法を…魔法を 使ったのです?なぎさに…
- ユゥ: え、えぇ!?ワ、ワタシ 魔法なんて使ってないよ?
- ユゥ: 困ったナァ、困ったナァ なぎさちゃん気分悪いの?
- ユゥ: どどど、どうしよう?
- なぎさ: や、やめるのです! 近寄られると…
- なぎさ: (たぶんユゥは 嘘をついたりしないのです)
- なぎさ: (だとしたら、ユゥの 魔法は自動的に…!?)
- ユゥ: なぎさちゃん?
- なぎさ: あ、ああああああああ!
- FILENAME: text_339013-4.txt
- なぎさの母: はっ…はっ…はっ…はっ…
- なぎさ: …お母さん!
- なぎさ: (…また、病院に…!?)
- ユゥ: ごめんね、なぎさちゃん…
- なぎさ: …ユゥ!
- ユゥ: ワタシ、気が利かないから なぎさちゃんの大切なものまで
- ユゥ: ワタシが全部 なくしちゃうとこだった
- ユゥ: でも間に合ってよかった なぎさちゃんの手で
- ユゥ: なぎさちゃんの 大事な人をなくしちゃおう?
- なぎさ: …な…何を言って…?
- ユゥ: もったいない気持ちもわかるけど
- ユゥ: 大事な人は、もう未来へは 連れていけないんだよ?
- ユゥ: なぎさちゃんが はやくなくさなきゃ
- ユゥ: 大事な人が 勝手になくなっちゃうよ?
- なぎさ: いい加減にするのです!
- なぎさ: なんでなぎさがこんなとこに 戻ってこなきゃいけないのです!
- ユゥ: ここが、なぎさちゃんの オシマイだからだよ?
- ユゥ: なぎさちゃんは大切だったものを 捨ててまで
- ユゥ: これ以上、どこへ行くの?
- なぎさ: …………
- なぎさの母: なぎさ
- なぎさの母: どこにいるの?
- なぎさの母: なぎさ
- なぎさの母: そこにいるんでしょ?
- なぎさの母: なぎさ…
- なぎさの母: 返事をして…
- なぎさ: …………
- なぎさの母: なぎさ…
- なぎさ: …………
- なぎさの母: なぎさ…
- …………
- …………
- …………
- なぎさ: …………
- なぎさ: …はっ!
- なぎさ: は…は…はぁ…………
- なぎさ: (なぎさは… どうしていたのです…?)
- なぎさ: …………
- ???: 「お願い」
- なぎさ: ――っ!?
- ???: 「ユゥを、殺して」
- なぎさ: だ、誰なのです?
- ???: 「ユゥを、殺して」
- なぎさ: いきなり物騒な奴なのです
- ???: 「物語はもう終わったのに」
- ???: 「私を置いて みんな未来へ行っちゃう」
- ???: 「お願い、ユゥを殺して」
- なぎさ: 言われなくても そうするつもりだったのですが
- なぎさ: 人から言われて やるのはごめんなのです
- なぎさ: それにこの感じ… お前、ユゥとそっくりなのです
- ???: 「私が見えてんなら」
- ???: 「あなたの物語も もう終わってんでしょ?」
- なぎさ: まさか…お前が ユゥを昨日に閉じ込めてる原因?
- ???: 「あなたも、自分自身の物語の オシマイを見たんでしょ?」
- なぎさ: …………
- ???: 「それなのにあなたはオシマイの 先まで行っちゃうの?」
- なぎさ: さっきからゴチャゴチャと…
- なぎさ: お化けにもデリカシーくらい あったほうがいいのですよ?
- なぎさ: なぎさはこんなところに 居続ける気はないのです
- ???: 「行かないでよ、行かないでよ」
- なぎさ: …お前には関係ないのです
- ???: 「せっかくオシマイになったのに 大事な人を置き去りにすんの?」
- なぎさ: なぎさには…もういらないのです
- ???: 「薄情者…」
- なぎさ: うるさいのです!
- なぎさ: 大事な人のために なぎさは自由になるのです!
- ???: 「裏切者…」
- なぎさ: 過去は変えられなくても なぎさが自由になればきっと…
- ???: 「嘘つき…」
- なぎさ: なぎさは おしまいだってその先だって
- なぎさ: 全部取り戻してやるのです! なぎさは明日に行くのです!
- なぎさ: お化けは昨日に 引きこもってやがれなのです!
- ???: 「可哀そうな子…」
- ???: 「あなたきっと 先へ進むためだったら」
- ???: 「自分の意思を なんだって通せちゃう…」
- ???: 「その意思が、私のユゥを 殺しますように…」
- なぎさ: …………
- なぎさ: (…あれは…夢…?)
- なぎさ: (…いやいや!こんな所で なぎさは寝てたのですか…?)
- なぎさ: なぎさは、今まで誰かと…
- なぎさ: (誰…誰…)
- なぎさ: (誰って…)
- なぎさ: …誰なのです…?
- なぎさ: (えーっと…名前は…)
- なぎさ: …ケイ…?
- なぎさ: (…いえ、違うのです…)
- なぎさ: (えーっと…えーっと…)
- <彼女は霞がかかった自分の記憶を相手に 懊悩し、そしてまた、彷徨する…>
- ユゥ: ワタシ、行かなきゃ…ん? あれ?どこ行かなきゃだっけ?
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