Vi_Vi

Shizuka Tokime (First Sunrise of the Year ver.) MSS JP Text

Dec 31st, 2021
31
0
Never
Not a member of Pastebin yet? Sign Up, it unlocks many cool features!
text 37.04 KB | None | 0 0
  1. FILENAME: text_311251-1.txt
  2. 南津 涼子: えっ!?
  3. 南津 涼子: 霧峰村だと 年越しそばを食わないのか!?
  4. 静香: ええ、そういう習慣がなくて 私はいただいたことがないわね
  5. 南津 涼子: …………
  6. 静香: …そんなに驚くこと?
  7. 南津 涼子: 年越しそばを食べないと
  8. 南津 涼子: 1年が終わったって 感じがしないからな…
  9. 青葉 ちか: あっ… ちょっとわかります…!
  10. 青葉 ちか: 1年の締めですもんね
  11. 旭: 特別で… 普段よりおいしく感じますな
  12. 静香: へぇ、みんなにそう言われると 気になってくるわ…
  13. 南津 涼子: 作ってもらえばいーじゃねぇか
  14. 静香: うーん… でも、集落のみんなも忙しいし…
  15. 旭: じゃあ、自分で作るのは どうでありますか?
  16. 静香: 自分で? おそばを?
  17. 旭: そば打ち体験に参加すれば 教えてもらえるかと
  18. 青葉 ちか: 野生の鴨の肉を煮込んで 添えるとおいしいですよね
  19. 静香: 野生の…? ってことは狩るところから?
  20. 旭: いやいや…
  21. 旭: 鴨の調達から始める体験会は 聞いたことがないであります
  22. 静香: そ、そうなのね… びっくりした
  23. 南津 涼子: 話を戻すと…
  24. 南津 涼子: 作るだけじゃなくてお土産に そば粉を持たせてくれたりするな
  25. 静香: へぇ、お土産まで…!
  26. 静香: いまからでも参加できる体験会を 探してみようかしら…
  27. 南津 涼子: おっ、いいね!
  28. ちはるの声: おまたせー! 着替え終わったよ!
  29. ちはる: じゃーん! どう?新しい晴着!
  30. すなお: えっと…注目されると 恥ずかしいですね…
  31. 静香: 恥ずかしがる必要なんてないわ ふたりとも素敵よ!
  32. ちはる: えへへ、でしょ?
  33. ちはる: お父さんとお母さんがね 選んでくれたんだ…!
  34. すなお: ありがとうございます 私も新調してもらったんです…
  35. 青葉 ちか: とても可愛いですね 帽子もよくお似合いです…!
  36. すなお: よかった…
  37. すなお: 着物に合っているか不安で
  38. すなお: 合わせるか 最後まで迷ったんです…
  39. 旭: レースと相まって 華やかでありますな!
  40. 南津 涼子: ははっ! いい正月になりそうだな
  41. 南津 涼子: あたしも本家の集落に お邪魔したくなってきた…
  42. ちはる: わたしたちは大歓迎だよ!
  43. 南津 涼子: …気持ちだけありがたく もらっておくよ
  44. 南津 涼子: 寺の手伝いがあるからな
  45. ちはる: 残念…
  46. 旭: ところで静香殿は…?
  47. 静香: 私?
  48. 青葉 ちか: 晴着ですよ
  49. 静香: ないわよ
  50. 青葉 ちか: えっ…? あっ、すみません…
  51. 静香: えっ!? 謝る必要はないわよ
  52. 静香: 晴着ではないけど とっておきの衣装があるんだから
  53. 南津 涼子: とっておき? それは見てみたいね
  54. 静香: じゃあ、実家から送ってもらうわ 楽しみにしてて!
  55.  
  56. FILENAME: text_311251-2.txt
  57. <翌日…>
  58. すなお: 静香、集落から 荷物が届いていますよ
  59. ちはる: さっそく、昨日言ってた衣装を 送ってくれたのかな?
  60. 静香: そうみたいね
  61. 南津 涼子: おっ、じゃあ 着替えてきてくれるのか?
  62. 静香: ええ、ちょっと待ってて!
  63. 青葉 ちか: ところで…
  64. 青葉 ちか: とっておきって なんの衣装なんでしょう…?
  65. すなお: 集落で元旦に行う 儀式の衣装だそうですよ
  66. 旭: 儀式…?
  67. ちはる: わたしも詳しくは 知らないんだけど…
  68. ちはる: 災厄を封じて 初日の出を迎える伝統の儀式
  69. ちはる: …らしいよ?
  70. 南津 涼子: ふーん… よくわかんねぇけど…
  71. 南津 涼子: 時女の集落にとっては 大切な儀式ってことか?
  72. すなお: たぶん、そうですね
  73. すなお: 私とちゃるも 参加は初めてなので…
  74. 青葉 ちか: えっ…そうなんですか?
  75. すなお: はい 毎年やるわけでもないらしく…
  76. ちはる: しかも、今年は神子柴が いなくなって初めての儀式だから
  77. ちはる: 不安もあるんだよね…
  78. すなお: 取り仕切っていたのは 神子柴と舞人たちだったらしく
  79. すなお: 正しいやり方を 調べるところからなんです
  80. 南津 涼子: 神子柴と舞人っていうと…
  81. 南津 涼子: 巫を食いモノにしてきた連中と その取り巻きだったか?
  82. ちはる: そうっ!
  83. すなお: はぁ…いなくなったらなったで 面倒事があるなんて…
  84. 旭: 大変でありますな…
  85. 静香の声: う、うそでしょ…!?
  86. ちはる: 静香ちゃんの声!?
  87. すなお: 何か、あったんでしょうか…?
  88. ちはる: あっ! 静香ちゃん、大丈夫?
  89. すなお: 何があったんですか…?
  90. 静香: えっとね… その…衣装が…
  91. 青葉 ちか: 衣装が…?
  92. 静香: つんつるてんに…
  93. ちはる: つんつる…何?
  94. 静香: つんつるてん…
  95. 旭: 丈が短くなって着れなくなった という意味でありますな
  96. 静香: そう…
  97. みんな: ええっ!?
  98. 南津 涼子: 大変じゃねぇか!
  99. 静香: そうなのよ!
  100. 静香: これじゃあ、 儀式なんてできない…
  101. 静香: なんとかしなくちゃ…
  102. 静香: そば打ち体験どころじゃないわ!
  103. ちはる: そば打ち…?
  104. 南津 涼子: いまはそれどころじゃないだろ
  105. 静香: そうね…どうしよう…
  106. 青葉 ちか: とりあえず、 落ち着きましょう…!
  107.  
  108. FILENAME: text_311251-3.txt
  109. 静香: …ふぅ 取り乱してごめんなさい
  110. ちはる: ううん
  111. ちはる: 落ち着いたなら 衣装をなんとかしなきゃだよね
  112. 静香: ええ… どうしましょう…
  113. 静香: つんつるてんになってるなんて 思いもしなかったわ…
  114. 南津 涼子: 集落に 直せるやつはいないのか?
  115. 静香: 儀式は、 神子柴たちが管理していたの…
  116. 静香: 神子柴に従っていた舞人たちも もういないし、難しいわね…
  117. 旭: であれば…着物屋さんに頼むのは どうでありますか?
  118. 静香: 着物屋さん…?
  119. 旭: 水名区であれば
  120. 旭: 着物の仕立てや直しをしてくれる 着物屋さんもあるかと
  121. 静香: 専門家に任せるってことね いい考えだわ!
  122. 青葉 ちか: あれ…神浜の着物屋さん…?
  123. 静香: 心当たりがあるの?
  124. 青葉 ちか: はい、えっと…………
  125. 青葉 ちか: すみません 思い出せないです…
  126. ちはる: 仕方ないね 手当たり次第に電話してみる?
  127. すなお: …………
  128. 南津 涼子: どうした?
  129. すなお: …年末ですし、時期が 悪いかもしれないと思いまして…
  130. 涼子: …ああ、どこも忙しいよな
  131. すなお: 仮に受け付けてくれても 儀式に間に合うかどうか…
  132. 南津 涼子: …………
  133. 南津 涼子: 考えるより、行動だ!
  134. 南津 涼子: まずは片っ端から 聞いてみるしかないな
  135. すなお: そうですね…!
  136. 静香: …ダメだわ
  137. ちはる: こっちも全滅だよぅ…
  138. 旭: 年末の忙しさを なめていたであります…
  139. 静香: …こうなったら もうムリヤリ着るしかないわ
  140. すなお: えっ… それは、大丈夫なんですか?
  141. 静香: …………
  142. 静香: 肩がパツパツで 裾も膝までしかなくて足りないし
  143. 静香: 足だって太ももが4分の3… 半分以上見えてしまうけど…
  144. 静香: 着れないことはない…わね?
  145. すなお: それは大丈夫じゃないです…!
  146. ちはる: 儀式のときに 事件が起きる予感しかない…!
  147. 静香: でも、この衣装じゃないと ダメなのよ…
  148. 青葉 ちか: うぅ…私たちに直せる技術が あればよかったんですが…
  149. 静香: 自分たちで直す…?
  150.  
  151. FILENAME: text_311251-4.txt
  152. 青葉 ちか: うぅ…私たちに直せる技術が あればよかったんですが…
  153. 静香: 自分たちで直す…?
  154. 静香: あっ!
  155. ちはる: どうしたの?
  156. 静香: 確か神浜市には、 いろんな巫…
  157. 静香: 魔法少女たちの衣装を 変えてくれる人がいる、って
  158. 静香: 聞いたことがあるわ
  159. すなお: 衣装を…?
  160. 静香: そう、神浜の魔法少女たちが よくお世話になっているらしいの
  161. 青葉 ちか: 衣装を変えるって…
  162. 青葉 ちか: 魔法少女用の衣装を作ってくれる ってことでしょうか?
  163. 旭: おそらく そうでしょうな
  164. ちはる: …ってことは、その人も 魔法少女だよね?
  165. すなお: デザイナーの 魔法少女でしょうか?
  166. 静香: でざいなー…?
  167. 木崎 衣美里: かのちんのデザインセンスは…
  168. 木崎 衣美里: とにかく激ヤバ! マジ、パネェから!!
  169. 木崎 衣美里: 神浜の魔法少女みんなが、 ヤバいって言ってんの!
  170. 木崎 衣美里: しずしずも 今度見せてもらいなよ!
  171. 静香: ――っ!?
  172. 静香: そうだわ! きっと矢宵さんよ!
  173. ちはる: 矢宵さんって… かのこちゃん?工場の?
  174. 静香: そう!
  175. 静香: 私が自分の願いのことで 悩んでいるときに
  176. 静香: お世話になった矢宵さん!
  177. 静香: 服飾でざいなー志望で
  178. 静香: 神浜の魔法少女みんなが
  179. 静香: 口を揃えてすごいって言ってる せんすの持ち主らしいわ
  180. 青葉 ちか: 全員が絶賛…!?
  181. 旭: でしたら、実績は十分ですな
  182. 旭: さぞかし ハイセンスな方なのでしょう
  183. 静香: 会いに行こうと思うんだけど まだ学校にいるかしら?
  184. 南津 涼子: …部活や委員会に入ってるとか 用事があれば残ってるかもな
  185. 静香: …行ってみないとわからないわね
  186. 静香: うん、行動あるのみ! とりあえず行ってみるわ!
  187. 静香: 帰宅しているようなら 工場の方を訪ねてみればいいもの
  188. ちはる: わたしも一緒に行くよ!
  189. すなお: 私も行きます
  190. 静香: 迷子にならないか心配してるの? 大丈夫よ
  191. すなお: でも…
  192. 静香: それに、みんなには ちゃんとした衣装を見てほしいの
  193. ちはる: …うーん、静香ちゃんが そう言うなら…
  194. すなお: 本当に大丈夫ですか?
  195. 静香: 大丈夫! それじゃあ、行ってきます!
  196. ちはる: 気を付けてね!
  197. すなお: 迷ったら電話くださいね 迎えにいきますから
  198. 南津 涼子: そんなに心配しなくても 大丈夫だろ、子どもじゃないだし
  199. すなお: それはわかってるんですけど… それだけじゃなくて…
  200. 南津 涼子: ん?
  201. ちはる: 静香ちゃんって、ひとりで なんでも抱えちゃうでしょ?
  202. ちはる: わたしたちも 力になりたんだよぅ…
  203. 青葉 ちか: …たまには甘えてほしい ということですね
  204. ちはる: そうそう!
  205. 旭: では、静香殿のために
  206. 旭: 我々にできることをするのは どうでありますか?
  207. ちはる: 静香ちゃんのために できることって…?
  208. 旭: …………
  209. 旭: ふむ、こんなのは どうでありましょうか?
  210. 静香: 確か…服のことならこの人! っていう魔法少女がいるらしいの
  211.  
  212. FILENAME: text_311252-1.txt
  213. 静香: …………
  214. 静香: (学校に行けば会えるかもって 思ったけど…人が多いわ…)
  215. 静香: (考えが甘かったかも…)
  216. さな: …あの、静香さん…?
  217. さな: こんなところで どうしたんですか…?
  218. 静香: 二葉さん…!
  219. 若菜 つむぎ: さなの友だち?
  220. 胡桃 まなか: …というか、 時女の本家の方ですよね
  221. 胡桃 まなか: 何か、ご用ですか?
  222. 静香: 実は、矢宵さんに会いたくて…
  223. 若菜 つむぎ: かのこ先輩に?
  224. 静香: 服飾のことで相談したいの
  225. まなか&さな: えっ…?
  226. 若菜 つむぎ: かのこ先輩連れてきたよ
  227. 矢宵 かのこ: どうも
  228. 矢宵 かのこ: それで私に用事って?
  229. 静香: 儀式で使う衣装のお直しを お願いしたいの…
  230. 矢宵 かのこ: 儀式衣装のお直し…?
  231. まなか&さな: …………
  232. 胡桃 まなか: 大丈夫なんですか…? 勘違いか…騙されてませんか…?
  233. さな: さ、さぁ… でも、静香さんの希望なので…
  234. 静香: …急で申し訳ないのだけれど お願いできないかしら…?
  235. 矢宵 かのこ: うーん…和装は あんまりやったことないのよね…
  236. 静香: そこをなんとか…!
  237. 静香: 矢宵さんの“はいせんす”に お任せしたいの!
  238. 矢宵 かのこ: ハイセンス…!!
  239. 胡桃 まなか: (何か間違って 伝わっているような…)
  240. 胡桃 まなか: (だいたいお直しに ハイセンスは必要ないのでは?)
  241. 静香: 矢宵さん以外いないの! お願いします…!
  242. 矢宵 かのこ: …………
  243. 矢宵 かのこ: ま、まぁ…そうね… 私ほどっていうとなかなか…
  244. 静香: 引き受けてくれる…?
  245. 矢宵 かのこ: ええ、もちろん!
  246. 矢宵 かのこ: ここまで言われたら 引き受けないわけにはいかないわ
  247. 矢宵 かのこ: ハイセンスな私に任せて!
  248. 静香: ありがとう…!
  249. さな: 大丈夫でしょうか…?
  250. 胡桃 まなか: …見なかったことにもできますが
  251. 胡桃 まなか: 放っておいたら気になって 今夜は眠れなくなりそうです…
  252. 若菜 つむぎ: 私はきのこ…じゃなくて かのこ先輩のセンス好きだよ
  253. 若菜 つむぎ: おいしそうで!
  254. 胡桃 まなか: つむぎさんはそうでしょうね…
  255. さな: …………
  256. 矢宵 かのこ: お直しか… まずは現物を見てみたいけど
  257. 矢宵 かのこ: 学校でやるのは難しいわね
  258. 胡桃 まなか: それなら、場所は まなかがお貸ししますよ
  259. 胡桃 まなか: お店の端っこでよければですが
  260. 胡桃 まなか: (やっぱり 放っておけませんし…)
  261. 矢宵 かのこ: 机が借りられるだけで十分よ 助かるわ
  262. 若菜 つむぎ: ウォールナッツだよね 私も一緒に行きたい!
  263. さな: わ、私も…
  264. 静香: みんな…
  265. 矢宵 かのこ: じゃあ、移動しましょう!
  266.  
  267. FILENAME: text_311252-2.txt
  268. 胡桃 まなか: すみません…
  269. 胡桃 まなか: ちょっと他に用事が できてしまって見張り…
  270. 胡桃 まなか: ではなく…
  271. 胡桃 まなか: お手伝いはできませんが
  272. 胡桃 まなか: 自由に使っていただいて 大丈夫なので…
  273. 矢宵 かのこ: 大丈夫よ! 任せて!
  274. 胡桃 まなか: …それが一番心配なんですが…
  275. 矢宵 かのこ: えっ…? 何か言った?
  276. 胡桃 まなか: いえ…
  277. 胡桃 まなか: 何かあれば呼んでくださいね! さなさん…!
  278. 胡桃 まなか: さなさんだけが頼りですから…
  279. さな: は、はい…
  280. 若菜 つむぎ: なんの用事だろう?
  281. さな: …お店のことでは なさそうでしたね…
  282. 若菜 つむぎ: 来る途中、どこかから 連絡来たみたいだけどそれかな?
  283. 矢宵 かのこ: それより… いまはやることがあるわよ
  284. 若菜 つむぎ: あっ、そうだった!
  285. 若菜 つむぎ: 静香さん…静香さん?
  286. 静香: ――っ!?
  287. 静香: ご、ごめんなさい
  288. 静香: れすとらんって 何度来ても慣れなくて…
  289. 若菜 つむぎ: わかります…! 何度来てもそわそわしますよね
  290. 静香: えっ! 若菜さんも?
  291. 矢宵 かのこ: つむぎのそわそわは 別のそわそわじゃないかしら
  292. さな: …おいしいそうな匂いに そわそわしてるんですよね…
  293. 若菜 つむぎ: えへへ…
  294. 矢宵 かのこ: っと…話が脱線したわ!
  295. 矢宵 かのこ: いまは衣装のお直しに 集中しないと…!
  296. 静香: あっ…! そ、そうね…
  297. 静香: えっと… これがその衣装なんだけど…
  298. ゴソゴソ…
  299. 矢宵 かのこ: 着物、とは結構違うのね…
  300. 静香: 直せそう…?
  301. 矢宵 かのこ: …私じゃないとダメなのよね?
  302. 静香: ええ…他に頼れる人はいないわ
  303. 矢宵 かのこ: じゃあ、やるしかないわ
  304. 矢宵 かのこ: 私のセンスを 信じてくれた人のためだもの!
  305. 静香: 矢宵さん…!
  306. さな: (…心配だけど)
  307. さな: (矢宵さんじゃないと やっぱりダメなんだ…)
  308. 矢宵 かのこ: それに和裁も基礎までだけど 授業でもやったし!
  309. 若菜 つむぎ: わぁ、高等部になると 和裁やらされるのホントなんだ…
  310. さな: 一応、元はお嬢様学校ですから…
  311. 静香: へぇ、すごいのね
  312. 若菜 つむぎ: それでどうやるの?
  313. 矢宵 かのこ: 着物の基本的なお直しだと 縫込みが多ければ…
  314. 若菜 つむぎ: ぬ、ぬい…?
  315. 矢宵 かのこ: …えっと、 難しいことを抜きにすると
  316. 矢宵 かのこ: 着物って丈を直すときは 胴周り…
  317. 矢宵 かのこ: 帯で隠れる部分で 調整することが多いの
  318. 矢宵 かのこ: 解いて縫い代を出したり 布を足したりね
  319. 静香: な、なるほど…?
  320. 矢宵 かのこ: でも、静香ちゃんの衣装は それが難しいのよね…
  321. 静香: そ、そんなぁ… 直せないってこと…?
  322. 矢宵 かのこ: 普通の方法では、ね
  323. 静香: えっ…?
  324. 矢宵 かのこ: 他でもない私のセンスを 頼ってもらったのよ
  325. 矢宵 かのこ: ここは創意工夫で乗り切る!
  326. さな: …えっ
  327. 若菜 つむぎ: おおっ! かのこ先輩かっこいい!
  328. 静香: な、なるほど…! 頼もしいわ!
  329. 矢宵 かのこ: 上着や袴の裾に つぎ足す方向で考えてみましょう
  330. 静香&つむぎ: おーっ!
  331. さな: …大丈夫、でしょうか…?
  332.  
  333. FILENAME: text_311252-3.txt
  334. 静香: でも、つぎ足すって どうするの?
  335. 静香: 布を足すのかしら…?
  336. 矢宵 かのこ: 上着の裾には柄があるから 下手につぎ足すのはダメね…
  337. 矢宵 かのこ: 洋服ならレースでごまかすことも できるんだけど…
  338. 静香: れーす…
  339. 静香: そういえば、すなおの晴着にも れーすが付いていたわ
  340. 静香: 可愛くてみんなに好評だったの!
  341. 矢宵 かのこ: 静香ちゃんがいいなら 取り入れてみる?
  342. 静香: そうね 布を足すよりいいかも…
  343. さな: …………
  344. さな: (なんだか… いい感じに進んでる…?)
  345. さな: (矢宵さんのこと… 誤解…していたのかも…)
  346. さな: (静香さんも喜んでるし 私も…お役に立たなきゃ…)
  347. さな: あの…レースといっても 柄はいろいろありますけど…
  348. 若菜 つむぎ: うん、白が多いけど いろんな色を使ってるのもあるよ
  349. 静香: そ、そうなの…? 詳しくないのよね…
  350. 矢宵 かのこ: おススメの柄があるわよ
  351. さな: 矢宵さんのおススメは…その…
  352. 矢宵 かのこ: 衣装を直す前に
  353. 矢宵 かのこ: 紙に図案を起こして 修正案をまとめましょうか
  354. 矢宵 かのこ: よし、ベースはできた!
  355. 静香: これは…儀式の衣装を着た私? 上手いものね…
  356. 矢宵 かのこ: 手放しに褒められると 照れるわね…
  357. 矢宵 かのこ: さっそくレースを書き足すわ
  358. カリカリ…
  359. さな: …えっ…!
  360. 静香: わぁ!色とりどり!
  361. 若菜 つむぎ: きのこだ! おいしそう!
  362. さな: (やっぱり…好評…?)
  363. さな: (みんな…盛り上がっているし… いいデザイン…なのかも…?)
  364. 矢宵 かのこ: ポイントはこのうにょうにょ、よ
  365. 矢宵 かのこ: 「前に水着のデザインで高評価を受けたんだけど たぶん、テーマ性だけじゃなくて うにょうにょ感が受けたと思うのよね」
  366. 矢宵 かのこ: だからきのこレースの中に
  367. 矢宵 かのこ: うにょっとしたえのきを 混ぜてみたの!
  368. 静香: へぇ、それが都会風なのね…
  369. さな: えっと…言われてみれば そんな気も…してきました…
  370. 若菜 つむぎ: わっ!?
  371. 静香: な、何…?
  372. 若菜 つむぎ: この服…虫に食べられてる!
  373. 静香: えっ…
  374. 静香: ほ、本当だわ…! よく見ると虫食いが…!
  375. 矢宵 かのこ: 管理が甘かったのかしら…?
  376. 静香: (神子柴がいなくなってから 慌ただしくて…)
  377. 静香: (衣装まで 目が届かなかったのね…)
  378. 静香: それもひとつじゃないなんて… これも塞がないと…
  379. 矢宵 かのこ: うーん、全部縫って塞ぐとなると 結構、時間がかかりそう…
  380. 若菜 つむぎ: アップリケは? 簡単に付けられるのあるよね?
  381. 静香: あっぷ…? それは何?
  382. 矢宵 かのこ: ああ、持ってるわよ これとか
  383. 若菜 つむぎ: オムライスだ! おいしそう!
  384. 静香: 金色で太陽みたい! 刺繍で作るのかしら?
  385. 矢宵 かのこ: 刺繍だったりフェルトだったり いろいろあるわよ
  386. 矢宵 かのこ: 見た目も素材もね
  387. 矢宵 かのこ: 他にも、ほら
  388. 若菜 つむぎ: おお、いろいろ出てきた!
  389. さな: 持ち歩いてるんですね…
  390. さな: (デザイナー志望だけあって… 本格的…かも…!)
  391. 静香: これは…どれにするか迷うわね… どれも可愛いわ
  392. 若菜 つむぎ: いっぱい食べられちゃってるし
  393. 若菜 つむぎ: いろんなアップリケを 貼ってもいいかもしれません!
  394. 静香: いいわね
  395. 矢宵 かのこ: …袴のレースは決まったけど 上着のレースはどうしよう
  396. 矢宵 かのこ: 同じだと芸がないし…
  397. 矢宵 かのこ: さなはどう思う?
  398. さな: えっと…えっと…
  399. さな: (そうだ… 私も意見を出さなくちゃ…!)
  400. さな: (でも…どうしよう… 全然思いつかない…)
  401. 若菜 つむぎ: さなの好きなものとかでも いいんじゃない?
  402. さな: ――っ!?
  403. さな: あ、あの…! ねこさんのレースは
  404. さな: どうでしょうか…?
  405. 静香: ねこ…? そういうレースもあるの?
  406. 矢宵 かのこ: あるわよ ちょっと書き加えてみるわね
  407. 静香: ――っ!?
  408. 静香: 強そう!
  409. さな: (よかった… お役に立てた…)
  410. 矢宵 かのこ: 襟もとにも足してみる? もっと強そうになるわ
  411. 静香: わっ、すごいわね…
  412. 若菜 つむぎ: 強そうにしたいなら
  413. 若菜 つむぎ: 背中に「TOKIME」って 入れるのはどうですか?
  414. 矢宵 かのこ: こうね…
  415. さな: …………
  416. さな: (…あれ? これでいいんだっけ…?)
  417. さな: (…いい、んだよね…?)
  418.  
  419. FILENAME: text_311252-4.txt
  420. 矢宵 かのこ: よし! 完成ね!
  421. 静香: ―静香― すごいわ… これが現代風なのね
  422. 矢宵 かのこ: ―かのこ― ええ、これが時代の最先端よ
  423. 若菜 つむぎ: ―つむぎ― みんなで意見を 出し合ったかいがあったね!
  424. さな: ―さな― ……………あれ…?
  425. さな: (な、なんかスゴイものが 出来上がってるような…?)
  426. 静香: はいからって色々なものが 混ざっていて楽しいのね
  427. 若菜 つむぎ: かのこ先輩のデザインは 特に面白いんですよ!
  428. 矢宵 かのこ: そう言ってくれるのは つむぎくらいよ
  429. 静香: そうなの…? こんなに賑やかな仕上がりなのに
  430. さな: (静香さんには好評だし… これで…正解、なんだよね…?)
  431. 矢宵 かのこ: さぁ、デザインは決まったし 実際に手直しするのは後日ね
  432. 矢宵 かのこ: 儀式までには 間に合うようにするわ
  433. 静香: ええ、よろしくね
  434. 矢宵 かのこ: 材料をそろえないといけないから 今日は失礼するわ
  435. 胡桃 まなか: お任せしててすみません…
  436. 胡桃 まなか: こっちの用事は終わったんですが どうですか…?
  437. 静香: でざいんは決まったわよ!
  438. 胡桃 まなか: えっ…早いですね
  439. 胡桃 まなか: だから矢宵先輩 帰ちゃったんですか?
  440. さな: えっと…あれ…?
  441. 胡桃 まなか: さなさん!? どうしたんですか?
  442. 胡桃 まなか: 何を信じていいかわからないって 顔をしてますけど!?
  443. 若菜 つむぎ: えっ…! さな、どうしたの?大丈夫?
  444. さな: あぅ…えっと…その…わ、私… もしかしたら…大きな間違いを…
  445. 胡桃 まなか: さなさんが混乱するようなことを したんですか?
  446. 胡桃 まなか: 洗脳が解けたときみたいな 表情になってますけど!!
  447. 静香: えぇ…? でざいんを決めていただけよ…?
  448. 胡桃 まなか: …………
  449. 胡桃 まなか: ちょっとその図案見せて…
  450. 胡桃 まなか: ヒッ…!?
  451. 胡桃 まなか: ―まなか― な、なんですかコレ!?
  452. 若菜 つむぎ: ―つむぎ― 衣装の修正案だよー!
  453. 胡桃 まなか: ―まなか― なんの儀式をさせるつもりですか?
  454. 胡桃 まなか: ―まなか― 呪いの儀式ですか? 邪神でも呼ぶんですか!?
  455. 静香: ―静香― の、呪い…? 邪神って…?
  456. 胡桃 まなか: あの人、何考えてるんですか!?
  457. 胡桃 まなか: なんて邪悪なものを… いや、いつもですけど!
  458. 静香: えっ… 邪悪なの…?
  459. 胡桃 まなか: 図案止まりでよかったです…!
  460. 若菜 つむぎ: まなか、さすがにヒドイよ!
  461. 若菜 つむぎ: みんな一生懸命 考えたのに…
  462. 胡桃 まなか: その一生懸命の方向を 間違えてるんです…!
  463. 静香: …そんなにダメかしら?
  464. 胡桃 まなか: ダメ、です…! 一度、頭を冷やしてください
  465. 胡桃 まなか: さなさんがいながら… 何故、こんなことに…
  466. さな: ごめんなさい…
  467. さな: みなさん楽しそうで…
  468. さな: 私の方が間違ってるのかもって 思ってしまったんです…
  469. 胡桃 まなか: さなさんのせいじゃなくて メンバーが悪かったんですね…
  470. 静香: う、うーん…?
  471. 胡桃 まなか: 混乱してますね…
  472. 胡桃 まなか: これをどうするかは あとで考えるとして…
  473. 胡桃 まなか: 気持ちを切り替えるために 食事にしましょう…!
  474. 静香: は、はい…
  475. 静香: 元の衣装とは全然違うけど、 これが現代風ってことよね?
  476.  
  477. FILENAME: text_311253-1.txt
  478. 静香: ごちそうさまでした
  479. 静香: 洋食もいいものね すごくおいしかったわ!
  480. 胡桃 まなか: そう言ってもらえると まなかも作った甲斐があります
  481. 若菜 つむぎ: えへへ まなかの料理おいしいよね!
  482. さな: はい…私も大好きです…
  483. 胡桃 まなか: ふたりも落ち着きましたね
  484. 胡桃 まなか: では…正気に戻ったところで これを見てください
  485. 胡桃 まなか: ―まなか― どうですか?
  486. 静香: ―静香― …………
  487. 静香: ―静香― ………… …………その…
  488. 静香: ―静香― は、派手…ね?
  489. 胡桃 まなか: 気を使わなくていいですから…
  490. 静香: でも、矢宵さんたちは
  491. 静香: なんとかしようって 頑張ってくれたのよ…
  492. 静香: 悪気があったわけじゃ…
  493. 胡桃 まなか: …悪気がないのも まなかにもわかります
  494. 胡桃 まなか: みなさん、善意だったでしょう
  495. 静香: だったら、 問題ないと思うんだけど…
  496. 胡桃 まなか: …じゃあ、この衣装で 儀式を行えますか…?
  497. 静香: うっ…冷静になってみると…
  498. 胡桃 まなか: …とにかくこれをどうするか 考えましょう
  499. 静香: …わかったわ
  500. 静香: この修正案はやめて 別の方法を考えるってことよね
  501. 胡桃 まなか: そうです
  502. 静香: 矢宵さんには あとで謝っておかないと…
  503. 胡桃 まなか: さて、どうしましょうか…
  504. 若菜 つむぎ: 着物屋さんはダメなの?
  505. 静香: …電話であたってみたけど どこも年末で忙しいみたいで
  506. 若菜 つむぎ: あっ、そっかー…
  507. さな: 着物屋さん…
  508. さな: あの…みふゆさんにも 聞いてみましたか…?
  509. 胡桃 まなか: そうです! その手がありました!
  510. 胡桃 まなか: …っていうか、なんで最初に それを言わないんですか!
  511. さな: …矢宵さんのハイセンスが 必要なんだって思ってしまって…
  512. 静香: …ねぇ、 どうして梓さんが出てくるの?
  513. さな: ご実家が 老舗の呉服屋さんなんです…
  514. 若菜 つむぎ: コネを使おうってことだねー!
  515. 胡桃 まなか: 言い方!
  516. 静香: …………
  517. 青葉 ちか: あれ…神浜の着物屋さん…?
  518. 静香: ああ…!
  519. 静香: (ちかの心当たりは きっと梓さんだったんだわ…)
  520. みふゆ: 心当たりをあたってみたのですが 頼みの職人さんがご病気で…
  521. みふゆ: 大晦日に間に合わせるのは ちょっと…
  522. 静香: そうよね…
  523. みふゆ: お力になれず申し訳ありません
  524. みふゆ: あの…この際ですし…
  525. みふゆ: みたまさんを頼ってみるのは どうでしょう?
  526. 静香: 調整屋さん?
  527. 若菜 つむぎ: 調整で変身したときの格好を 水着にしてくれるんだっけ?
  528. 静香: 水着…!? 水着にされても困るわ…
  529. 胡桃 まなか: 微妙に話を脱線させるの やめてください!
  530. 胡桃 まなか: 水着以外にも いろいろ調整してくれます…!
  531. 静香: えっ… もしかして
  532. 静香: 魔法少女たちの 衣装を変えてくれる人って…
  533. 静香: 調整屋さんのことだったの!?
  534.  
  535. FILENAME: text_311253-2.txt
  536. 静香: …神浜市に、魔法少女の 衣装のことならお任せ!
  537. 静香: …っていう人がいるとは 聞いていたのよ…
  538. 静香: でも、調整屋さんのことだとは 思わなくて…
  539. 胡桃 まなか: つまり、ヒントはあったのに
  540. 胡桃 まなか: 間違って矢宵さんを 頼っちゃったんですね…
  541. 静香: …そうみたいね
  542. 胡桃 まなか: せめて誰かが梓先輩を 思い出していれば…
  543. 静香: ご迷惑おかけしたわね…
  544. さな: いえ… 解決しそうでよかったです…
  545. 若菜 つむぎ: ところでまなかは どこに行ってたの?
  546. 胡桃 まなか: …それは いまはちょっと…
  547. 若菜 つむぎ: えぇ…?
  548. 静香: 秘密ってことかしら?
  549. 胡桃 まなか: そうですね
  550. 胡桃 まなか: でも、静香さんには あとでわかると思いますよ
  551. 静香: …?
  552. みたま: なるほどねぇ…
  553. みたま: ふふっ…まさか、かのこさんと 勘違いされるなんてぇ…
  554. 静香: うろ覚えだったので…
  555. みたま: ふふっ…
  556. 静香: うぅ…
  557. 矢宵 かのこ: えっ…!? か、勘違い!?
  558. 静香: 本当にごめんなさい…
  559. 静香: (矢宵さんにも ご迷惑をかけちゃったわ…)
  560. 静香: えっと… それで、お願いできるかしら?
  561. みたま: ええ、任せて!
  562. みたま: ただし お代はいただくけどねぇ
  563. 静香: もちろん、 お礼はきちんとするつもりよ
  564. みたま: あら、ふたつ返事… その潔さは好きよぉ
  565. みたま: じゃあ、準備するわね
  566. みたま: うん、いい感じよぉ… そのままリラックスしてぇ…
  567. 静香: …………
  568. みたま: どんな衣装なのか しっかりイメージしてね
  569. みたま: 今回は衣装が決まっているし
  570. みたま: 静香ちゃんのイメージに 合わせて調整するから
  571. 静香: …はい
  572. みたま: さぁ、思い浮かべて…
  573. 静香: …………
  574. 静香: (ち、違うわ… こっちじゃなくて…集中…)
  575. 静香: ………… …………
  576. 静香: 災厄を封じた盃を鎮めるための儀式…
  577. 静香: その儀式を行うために 時女の集落に代々受け継いできた
  578. 静香: 伝統ある衣装…
  579. 静香: 神子柴がずっと取り仕切ってきたけど これからは、私たち時女一族だけで 行わなければならない…
  580. 静香: 集落の平穏… 日の本の平和…
  581. 静香: 無事に新しい年を… 初日の出を迎えるための儀式…
  582. 静香: 私が守っていくべきもののひとつ…
  583. みたま: …………
  584. みたま: …行くわよ
  585. みたま: そのまましっかり イメージしていてね…
  586.  
  587. FILENAME: text_311253-3.txt
  588. 静香: …………
  589. 静香: あっ…
  590. みたま: うんっ! 調整は問題なさそうねぇ
  591. 静香: (…なんだか 不思議な気分…)
  592. 静香: (さっきまでとは 違う自分だってわかる…)
  593. みたま: 奥に鏡があるから 見てみる?
  594. 静香: …はい
  595. みたま: はぁい! どうかしらぁ?
  596. 静香: ―静香― わぁ…! 想像通りだわ
  597. 静香: ―静香― 本当に巫の姿を変えられるのね… すごいわ…
  598. みたま: ―みたま― 細かいところも大丈夫そう?
  599. 静香: ―静香― ええ! 装飾もばっちりよ!
  600. 静香: …………
  601. 静香: (正装だと気が引き締まる っていうけど本当ね…)
  602. 静香: (こうして、伝統ある衣装を 身にまとってみると)
  603. 静香: (一族を背負って立っているんだ って改めて感じるわ…)
  604. 静香: (…ううん 一族だけじゃない…)
  605. 静香: (日の本の平和…未来… 人々の生活…)
  606. 静香: (たくさんの守るべきもの…)
  607. 静香: (そういった全てを 背負ってるんだって感じる…)
  608. 静香: 調整屋さん、ありがとう
  609. 静香: おかげで初心に立ち返れたわ
  610. みたま: お役に立てたならよかったわぁ
  611. みたま: 無事に儀式ができて いいお正月になるといいわねぇ
  612. 静香: ええ!
  613.  
  614. FILENAME: text_311253-4.txt
  615. 静香: ただいま戻りました!
  616. ちはる: おかえり!
  617. すなお: どうでした…?
  618. 静香: ばっちりよ
  619. 南津 涼子: おっ、よかったな!
  620. 青葉 ちか: 直した衣装、 ぜひ見てみたいです
  621. 旭: 着替えてくるでありますか?
  622. 静香: その必要はないわ
  623. ちはる&すなお: えっ?
  624. 静香: どうかしら?
  625. ちはる&すなお: …………
  626. みんな: おおおおっ!?
  627. ちはる: 巫の衣装が変わってる!?
  628. すなお: うまくいったんですね
  629. 静香: 話すと長くなるんだけど 調整屋さんの力なの…
  630. ちはる: みたまさんの…?
  631. 青葉 ちか: デザイナー志望の方に お願いしたんじゃ…?
  632. 静香: それが勘違いだったのよ…
  633. 南津 涼子: なっははは! なるほどな!
  634. 静香: そこまで笑わなくても いいじゃない…
  635. 旭: 何はともあれ… 上手くいってよかったであります
  636. ちはる: そっかぁ、それでまなかちゃん 心配そうだったんだね
  637. 静香: えっ? 胡桃さんと会っていたの?いつ?
  638. すなお: 静香のすぐあとですよ 相談に乗ってもらったんです
  639. 静香: 相談…? どういうこと?
  640. すなお: プレゼントの準備です
  641. ちはる: だから、静香ちゃんには 内緒だったんだよね
  642. 静香: ぷれぜんと… 贈り物?
  643. ちはる: えへへ
  644. ちはる: 年越しそばの打ち方を 習ってきたんだよぅ…!
  645. 静香: ――っ!?
  646. 静香: えっ、なんで…!
  647. ちはる: 静香ちゃんって いつもひとりで頑張ってて
  648. ちはる: わたしたちに 全然甘えてくれないから
  649. ちはる: たまには、 わたしたちが甘やかすためだよぅ
  650. すなお: なので、私とちゃるで そば打ち体験に行ってきたんです
  651. ちはる: まなかちゃんに相談して そば打ち体験させてくれる
  652. ちはる: おそば屋さんを 紹介してもらったんだ!
  653. すなお: しっかり習ってきたので 楽しみにしていてください
  654. ちはる: 集落に帰ったときに ふるまうからね!
  655. 静香: ふたりとも… ありがとう
  656. 静香: 今日はいろんな人に 助けられてばっかりだわ
  657. 静香: …………
  658. 静香の母: もう… ちょっと落ち着きなさい
  659. 静香: だって…楽しみなんだもの
  660. 静香: 大晦日に年越しそばを 食べるのは初めてなのよ?
  661. 静香の母: まったく…
  662. 静香の母: まぁ、儀式前の腹ごしらえには もってこいかもね
  663. すなお: 打ちたてのおそばですよ!
  664. 静香: 待ってました!
  665. ちはる: 味には自信があるよ!
  666. 静香: ふたりが私のために 作ってくれただけで嬉しいわ
  667. 静香: もう食べていい?
  668. すなお: はい 熱いので気を付けてくださいね
  669. 静香: いただきます!
  670. つつっ…
  671. 静香: んん~! おいしい!
  672. すなお: ふふっ…
  673. ちはる: よかった!
  674. 静香: すごく幸せ…
  675. 静香: こうやって、1年を締めて 新しい年に備えるのね…
  676. 静香: …うん
  677. 静香: きっと新しい年は いい年にしてみせるわ!
  678. 静香: ちゃる、すなお… 素敵なぷれぜんとをありがとう!
Add Comment
Please, Sign In to add comment