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- (From the opening sequence in 517610-0)
- 顔を隠して 何者でもなくなったら
- 新たな恋の 予感を感じつつ…
- 闇色ハロウィンパーティー の始まりよ!
- [Title card] 闇色ハロウィンは恋の色!? ~繋げて・恋の東西最前線!~
- FILENAME: text_517610-1_5ewzo.txt
- ももこ: で、相談ってなんだ?
- みたま: 実は、神浜学生会議に 提案したいことがあるの
- みたま: 神浜学生会議
- みたま: それは、神浜市の学生たちが これからの神浜市のために 東西問題を考えて解決していこう っていう、有志の集まり
- みたま: 今は、神浜市の現状を踏まえて 西側の代表と東の代表をそれぞれ ももこと十七夜が任されているけど
- みたま: そういう意識を失くしていくことも わたしたちの課題のひとつでもあるわ
- みたま: ももこは学生会議の 西側の代表だから
- みたま: 先に意見を聞こうと思って
- ももこ: なるほど、 だから十七夜さんもいるんだな
- 十七夜: いや、代表だから 呼ばれたわけではないぞ
- 十七夜: 自分と八雲で考えたから 同席しているだけだ
- みたま: それで提案したい内容なんだけど ハロウィンに合わせて
- みたま: 学生会議主催のイベントを 開催したいの
- ももこ: そういえば もうすぐハロウィンだったな
- 十七夜: うむ、せっかくのイベントだから
- 十七夜: これを機会に学生会議で 活発な議論ができればと思ってな
- 十七夜: とりあえずテーマをふたつだけ 用意してみた
- みたま: ひとつめのテーマは “みんなで作る”よ
- みたま: 学生会議は発足したばかりだから
- みたま: ひとつのイベントを一緒に 作ることで
- みたま: お互いを知っていけたらと 思っているの
- ももこ: それいいな!
- ももこ: ちょうど親交を深める機会を 作りたかったところなんだ
- 十七夜: …それで、もうひとつのテーマ イベント自体のテーマなんだが…
- みたま: …………
- ももこ: ん、どうした?
- みたま: イベント全体のテーマは “何者でもなくなる”にしたいの
- 十七夜: 光明が見え始めたとはいえ 東西問題はまだまだ闇の中だ
- 十七夜: だから、あえて暗い雰囲気の中で 仮面を被って正体を失くすことで
- 十七夜: 何者でもない者として 出身を超えて交流する
- ももこ: アタシは いいアイデアだと思うけど
- ももこ: なんでふたりして暗い顔を…?
- みたま: この衣装を使いたいの…
- ももこ: それをハロウィンの衣装に…?
- みたま: …ええ、東西問題で 悲しみに囚われていた自分を
- みたま: 再現することで乗り越えた姿を みんなに見せたいと思って…
- 十七夜: 私情が過ぎるということは わかっている…
- 十七夜: だが、皆に対する感謝と
- 十七夜: 同じ過ちを繰り返さない という決意を伝える
- 十七夜: いい機会だと自分も思ってな…
- みたま: でも、魔法少女のみんなを
- みたま: 不愉快にさせてしまうかも っていう思いもあって…
- ももこ: じゃあ、ユニオンのみんなに 聞いてみるか!
- みたま: えっ…?でも、 そのために集まってもらうのは…
- ももこ: アプリの投票機能で聞くんだよ
- ももこ: 誰が入れたかわからないから 投票もしやすいだろうし
- 十七夜: …なるほど いい案かもしれない
- ももこ: …結果、出たよ
- みたま&十七夜: …………
- みたま: …反対は、1票だけ?
- 十七夜: コメントがついてるな
- やちよ: 反対に入れたけど 自虐じゃないなら賛成よ
- みたま: やちよさん…
- ももこ: って、ことは決まりだな!
- 十七夜: うむ…ありがたいことだ…
- ももこ: 感動してる場合じゃないぞ
- ももこ: ハロウィンまで1か月切ってるし 急いで準備しないと
- みたま: じゃあ、明日の学生会議の 集まりで提案して
- みたま: みんなから同意してもらえたら すぐ準備に入らないとねぇ
- 十七夜: イベントでやりたいことも 募らないといけないな…
- みたま: ふふっ… 忙しくなってきたわぁ~!
- FILENAME: text_517610-2_5ewzo.txt
- みたま: ももこに相談したあと… わたしたちは早速学生会議で ハロウィンイベントの開催を提案したの
- みたま: わたしたちの提案は受け入れられて みんな、たくさんのアイデアを出してくれたわ
- みたま: 音頭を取るのは、 発案者であるわたしと十七夜に決まって 代表のひとりであるももこは 今回は宣伝を担当してくれることになったの
- みたま: イベントの内容も固まったし 参京区にあるイイ感じの会場も借りられたわ
- みたま: そんなわたしたちが開催する ハロウィンイベントの名前は… 闇色ハロウィンパーティー!
- みたま: イベントに来てくれた人には 入口で“何者でもなくなるための仮面”と 交流用のお菓子を配って
- みたま: 交流スペースでお菓子を交換したり 軽食を楽しんでもらったりするの
- みたま: それから… 外には“常闇ツアー”
- みたま: 驚かす役のスタッフに こわぁ~い衣装を着てもらって お客様をおもてなしする ちょっとホラーな催し物も用意する予定
- みたま: 準備の班分けは 東西の子たちが 同じくらいの人数になるように割り振って
- みたま: これから当日までの約3週間 一緒に作業することで 親睦を深めながら進めていく予定
- みたま: 会場の設営は、 本番の3日前からよ
- みたま: それまでに、必要な物の手配や 会場に設置するものの作成
- みたま: 衣装の作成など 全部終わらせるからねぇ
- みんな: 「おーっ!」
- 十七夜: では、各班 軽く自己紹介をしたら作業開始だ
- 相野 みと: じゃあ、私から! みとだよー、よろしくねー!
- 相野 みと: 次、夏希ちゃん!
- 空穂 夏希: 参京院中学2年生の空穂夏希です よろしくお願いしまーす!
- ???: ふたりは知り合いなんですね
- 相野 みと: うんっ!
- 相野 みと: あとね、私、前は大東区の団地に 住んでたから
- 相野 みと: 弟くんのことも知ってるよー
- ???: 弟くん言うな 俺の方が先輩だぞ
- 相野 みと: それより自己紹介しないとー
- 和泉 壮月: 和泉壮月(いずみ そうげつ) 大東学院の中等部3年生…です
- 相野 みと: あとなぎたんの弟!
- 相野 みと: あなたは?
- えっとね…ぼくは、 工匠学舎の小学5年生で…
- ???: (最後は私かな…)
- ???: (男の子もいるし ちょっと緊張しちゃうなぁ…)
- 相野 みと: じゃあ、最後 お姉さんの番だね!
- 塩屋 晴海: は、はい…
- 塩屋 晴海: 塩屋晴海(しおや はるみ)と 申します
- 塩屋 晴海: 水名女学園の高等部1年生です よろしくお願いします…
- 和泉 壮月: …………
- 塩屋 晴海: …………えっと… 私、何か変…だった…かな?
- 和泉 壮月: あっ!ご、ごめん…! いや、ごめんなさい
- 和泉 壮月: その…き、緊張してるのかもって 思ってさ…いや、思ったんです…
- 塩屋 晴海: …えっ…あ、わかっちゃった…? ずっと女子校だったから…
- 和泉 壮月: そうなんだ…じゃなくて えっと…そうなんですね…!
- 和泉 壮月: でも、同じ人間だから そんな緊張しなくて大丈夫です
- 塩屋 晴海: …………ふふっ 気を遣ってくれてありがとう
- 塩屋 晴海: その…私だけ高校生だけど あまり気を遣わないで…?
- 塩屋 晴海: みんなもよかったら、 楽に話してくれたら嬉しいな
- 相野 みと: うんっ! わかったー!
- 空穂 夏希: …………
- 相野 みと: 夏希ちゃん…?
- 空穂 夏希: 頭の中のあいみが…
- 相野 みと: 頭の中にあいみさんがいるの…?
- 空穂 夏希: いないんだけど…
- 江利 あいみ: これは… 新たな恋の予感…!
- 空穂 夏希: …ううん、なんでもない
- 空穂 夏希: それより、自己紹介が終わったら 班長を決めるんだよね?
- 相野 みと: 立候補する人!
- 塩屋 晴海: (…一番年上だし やった方がいいのかな…?)
- 和泉 壮月: …俺やるよ
- 塩屋 晴海: いいの…?
- 和泉 壮月: おう
- 空穂 夏希: …………
- 江利 あいみ: うんうんっ! いいとこ見せたいんだね!
- 空穂 夏希: …うぅ、静まって…
- 相野 みと: …?
- 和泉 壮月: じゃあ、作業予定確認してくぞ
- 壮月: 「準備期間は全部で3週間だから… 今から約2週間はオブジェクト作りだな」
- 壮月: 「そんで会場の設営が3日前からだから… 更にその前々日に 作ったオブジェとかの梱包開始 同じ日に、合間を見て スタッフの衣装合わせも行う予定らしい」
- 壮月: 「常闇ツアーの驚かす役の衣装合わせは その翌日…設営の前日だな うちの班だと相野と空穂か…」
- 壮月: 「残りのメンバーはその間に “あした屋”に交流用のお菓子を 取りに行く…っと」
- 和泉 壮月: 会場設営に関しては、 また別途振り分けがあるらしい
- 空穂 夏希: 了解!
- 相野 みと: あした屋さんの場所わかる?
- 塩屋 晴海: 大丈夫だよ
- 塩屋 晴海: 小さい頃はお世話になったし 今は妹をよく迎えにいくから
- 和泉 壮月: 水名からだと近いもんな
- 和泉 壮月: 俺ん家からだと遠かったから 小さい頃は羨ましかった…
- 塩屋 晴海: 和泉くんも小さい頃は 通ってたの?
- 和泉 壮月: いや、遠いから ホントたまーになんだけどさ
- 和泉 壮月: あそこのバアさん、 口は悪いけど面倒見いいだろ?
- 和泉 壮月: だから…落ち着くっていうか… たまに行きたくなるんだよな
- 塩屋 晴海: ふふっ、わかるなぁ…
- 塩屋 晴海: 今回も協力してくれるし 優しいよね
- 塩屋 晴海: …って言ったら 怒られちゃうかな?
- 空穂 夏希: …………
- 江利 あいみ: 共通の話題で盛り上がって 親密度アップ!
- 相野 みと: 大丈夫…?
- 空穂 夏希: 友だちの影響って…怖いね…
- FILENAME: text_517610-3_5ewzo.txt
- みたま: 準備開始から1週間
- 和泉 壮月: 痛っ! やべぇ、血ィ出た…
- 塩屋 晴海: あっ、大変…これ、絆創膏 傷口を洗ったら貼ってね
- 和泉 壮月: …ありがと
- みたま: 準備は順調に進み…
- おいっ! こっち、数足らねぇぞ!!
- 塩屋 晴海: ――っ!?
- 和泉 壮月: 声でかすぎ、 ビックリしてるだろ
- あっ、悪ィ… 怒ってるわけじゃなねぇからな
- 塩屋 晴海: 私もビックリしちゃって ごめんね…
- 塩屋 晴海: 和泉くん、ありがとう
- 和泉 壮月: …いや別に、仲間同士なのに 誤解があったら嫌だからさ
- みたま: 学生会議では ある噂が流れ始めていたの
- 空穂 夏希: あいみたちの班でも 噂になってるんだ…
- 相野 みと: れいらの班やせいかの班でも…?
- 伊吹 れいら: うん、東西を超える恋だって 浮かれてる子もいるよ
- 桑水 せいか: …結構、期待されてるよね…
- 空穂 夏希: 一応、聞くけど あいみが広めてたり…?
- 江利 あいみ: してないよ!
- 江利 あいみ: ふたりの邪魔に なっちゃうかもしれないし…!
- 空穂 夏希: 邪魔って…?
- 江利 あいみ: キミたちの恋に東西問題が かかっているんだ!!
- 江利 あいみ: …なんて言われたら ふたりが困っちゃうでしょ?
- 空穂 夏希: あー…それは確かに…
- みたま: 流れていた噂の内容 それは…
- みたま: 壮月君と晴海ちゃんが いい雰囲気なんじゃないかってこと
- 相野 みと: あっ! 弟くんと晴海さんだー!
- 和泉 壮月: だから、弟くんは… もういいや
- 和泉 壮月: それより、帰るところなら 塩屋も一緒にいいか?
- 和泉 壮月: もう日が暮れるし ひとりだと危ないだろ?
- 空穂 夏希: 確かに… でも、私たち…
- 空穂 夏希: 魔女退治に 行くところなんだよね…
- 江利 あいみ: 魔法少女じゃない子を 連れてくのは危ないし…
- 桑水 せいか: それに…たぶんだけど…
- 伊吹 れいら: うん、ふたりとも まだ一緒にいたそうだね
- 相野 みと: それなら!
- 相野 みと: 私たち、まだ やらないといけないことあるから
- 相野 みと: 弟くん送ってあげなよ!
- 和泉 壮月: 俺…!?
- 塩屋 晴海: それは悪いよ…反対方向だし ひとりでも帰れるよ…?
- 相野 みと: 弟くんはそのつもりだったよね?
- 和泉 壮月: …………
- 相野 みと: うんっ! きまりだねー!
- 塩屋 晴海: いいの、かな…?
- 和泉 壮月: あした屋の話したら 寄りたくなったし…
- 和泉 壮月: だから、ちょうどいいよ
- 塩屋 晴海: …うん、ありがとう
- 江利 あいみ: あれでお互いの気持ちに 気づいてないなんて…
- 空穂 夏希: …それは、あいみが言うの? になっちゃうよ…
- 江利 あいみ: うっ…
- 塩屋 晴海: いっぱい買ったね
- 和泉 壮月: 懐かしくなっちゃって…
- 和泉 壮月: 塩の専門店、なんてあるんだな…
- 塩屋 晴海: ふふっ、 最初はびっくりするよね
- 塩屋 晴海: 私の家は、ずっと塩の売買で 生計を立ててきたから
- 塩屋 晴海: 両親も家業を続けていきたいって 思ったらしくて
- 塩屋 晴海: 今はいろんな種類の お塩をそろえてみたり
- 塩屋 晴海: 食用だけじゃなくて 美容商品も扱ったりしてるんだ
- 塩屋 晴海: お姉さんと仲良いんだね
- 和泉 壮月: 仲良いっていうか… たったひとりの姉だからな
- 塩屋 晴海: ふふふ、 兄弟姉妹がいるっていいよね
- 和泉 壮月: そういえば、妹がいるんだっけ
- 塩屋 晴海: うん、学生会議に 参加するきっかけは妹だったの
- 塩屋 晴海: 送ってくれてありがとう
- 和泉 壮月: 気にすんなよ 俺が自分で言い出したことだし
- 和泉 壮月: …じゃあ、俺はこれで
- 塩屋 晴海: うん、気をつけてね また明日
- 和泉 壮月: おうっ
- 塩屋 晴海: …………
- 塩屋 晴海: (もう少し お話したかったなぁ…)
- 塩屋 晴海: えっ…あ、あれ…
- 和泉 壮月: …………
- 十七夜: …………げつ?
- 和泉 壮月: (この絆創膏… 塩屋がくれたんだよな…)
- 十七夜: おい、ぼんやりしてどうした? 絆創膏を替えるんじゃないのか?
- 和泉 壮月: えっ… いや、このままでいいよ!
- 十七夜: …?
- 十七夜の父: こりゃ、春だな
- 十七夜: …今は秋だが 父さんまでどうしたんだ?
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- 十七夜: …ということが、 昨日あったのだがどう思う?
- 相野 みと: 春だよ!
- 伊吹 れいら: 春ですね…
- 桑水 せいか: …はい、春…です
- 十七夜: いや、 『春だ、春だ』と言うが秋だぞ
- 伊吹 れいら: そうじゃなくて、 “青春”ってことです…!
- 十七夜: 青春…?
- 桑水 せいか: つまり…その… 恋、してるのでは…?
- 十七夜: …恋? 自分の弟が?誰にだ?
- 相野 みと: 晴海さんに!
- 十七夜: …………なるほど、理解したぞ 自分に妹ができるということか
- 伊吹 れいら: 何段階かすっとんでません!?
- 十七夜: む…そ、そうか…
- 塩屋 晴海: あの…
- 十七夜: ――っ!?
- 塩屋 晴海: ご、ごめんなさい 驚かしてしまいましたか…?
- 十七夜: いや、どうした?
- 塩屋 晴海: 和泉さんに…その… ご相談があって…
- 十七夜: う、うむ… 場所を移すか
- 塩屋 晴海: 急に申し訳ありません…
- 塩屋 晴海: 和泉くん…えっと弟さんのことで 聞きたいことがあるんです…
- 十七夜: どちらも和泉でややこしいだろう 十七夜か、なぎたんと呼んでくれ
- 塩屋 晴海: なぎたん…?
- 塩屋 晴海: あっ、メイドカフェで 働いてらっしゃるんですよね
- 十七夜: 弟から聞いたのか
- 塩屋 晴海: はい、和泉くんから すごく人気があるって聞きました
- 十七夜: 弟のことも壮月でいいぞ
- 塩屋 晴海: えっ! い、いえ…そんなまだ早いです…
- 十七夜: そ、そうか…
- 十七夜: …なんというか こそばゆいな…
- 和泉 壮月: (塩屋と姉さん…?)
- 塩屋 晴海: それで、その…昨日家まで送って もらったお礼をしたいのですが…
- 塩屋 晴海: 和泉くんの好みがわからなくて
- 和泉 壮月: …何、やってるんだ?
- 和泉 壮月: (話してる内容は 聞こえねぇけど…)
- 和泉 壮月: (姉さんが、塩屋の髪に触れて)
- 和泉 壮月: ――っ!?
- 和泉 壮月: (な、なんか照れてる…!?)
- 十七夜: 発泡スチロールの欠片が ついていた
- 塩屋 晴海: 作業の準備をしていたから… やだ…はしたないところを…
- 和泉 壮月: …………
- 和泉 壮月: (まさか…いや…うっ… でも、みたまさんが…)
- みたま: なぎたんってば 女の子にもモテモテなのよぉ~♪
- 十七夜: そんなところで 突っ立って何をしている?
- 和泉 壮月: べ、別に…!
- 和泉 壮月: 姉さんこそ、 塩屋と何を話してたんだ…?
- 十七夜: む? そうだな…
- 十七夜: …彼女の気持ちを聞いていた と言えばいいか…
- 和泉 壮月: えっ…
- 十七夜: それより、早く中に入れ 準備することは山ほどあるぞ
- 和泉 壮月: …………
- 和泉 壮月: (ウソだろ… 実の姉が、ライバル…?)
- みたま: あはははっ! それで、わたしにねぇ~
- 和泉 壮月: 笑うことねぇだろ…
- みたま: だってぇ…ちょっと前まで あんなに小さかったのに
- みたま: もうっ 色気づいちゃってぇ~!
- バシッバシッ
- 和泉 壮月: いてっ! 背中叩くなよ!
- 晴海の妹: ミィちゃん、どうしたの?
- みかげ: 姉ちゃと壮月くんが話してるから 終わるのを待ってるの!
- 晴海の妹: ホントだ なんか楽しそうだね
- 和泉 壮月: それで…その… みたまさんはどう思う?
- みたま: どうってぇ… …………ふふ
- みたま: 十七夜がライバルなら 厳しいかもしれないわねぇ
- 塩屋 晴海: こんなところにいたの? そろそろ帰るよ
- 晴海の妹: お姉ちゃん!
- 塩屋 晴海: みかげちゃんも…
- みかげ: 姉ちゃ、待ってるの!
- 塩屋 晴海: みたまさんを…?
- 塩屋 晴海: (あれ、和泉くんと一緒…?)
- みたま: 女の子の気を引きたいなら もっと積極的にならないとぉ~
- みたま: 今のままじゃ 及第点もあげられないわよぉ
- 和泉 壮月: ぐっ…
- 塩屋 晴海: (和泉くん、もしかして みたまさんのこと…?)
- 塩屋 晴海: …みかげちゃん
- 塩屋 晴海: お姉さんと和泉くん って仲良い、の…?
- みかげ: 姉ちゃと壮月くん?
- みかげ: 昔から知ってるし 一緒に遊んだりしてたよ
- 塩屋 晴海: (もしかして…憧れの お姉さんだったりするのかな…)
- 塩屋 晴海: (男の子として見てほしいって 話をしていた、とか…?)
- 塩屋 晴海: (…みたまさんみたいに 素敵な人が)
- 塩屋 晴海: (和泉くんの好きな人なら 勝ち目なんて…)
- FILENAME: text_517610-5_5ewzo.txt
- 十七夜: こちらでの事前準備も 残り半分を切った
- みたま: 設営に向けて漏れがないように しっかり準備していきましょう!
- 壮月&晴海: …………
- 空穂 夏希: …なんていうか 様子がおかしくない…?
- 相野 みと: …そうだねー
- 相野 みと: 昨日、なぎたんに相談したときに 何かあったのかな…
- みかげ: 壮月くんも姉ちゃに 何か相談してたよ!
- 晴海の妹: それを見ちゃってから お姉ちゃんの様子がおかしいの
- 相野 みと: わぁっ!? びっくりした…!
- 空穂 夏希: …………
- 江利 あいみ: 気になるあの人が 別の女の子と親しげにしていたら
- 江利 あいみ: 焦っちゃう気持ち わかるなぁ~…
- 江利 あいみ: だって、恋する女の子にとって
- 江利 あいみ: 大好きなあの人は 世界で一番素敵な人だもん
- 江利 あいみ: 誰だって好きになっちゃうはず! …って思っちゃうでしょ?
- 空穂 夏希: …って、 あいみなら言いそう、かも?
- みかげ: あっ! テラピチにも書いてあったよ!
- 晴海の妹: それが恋の魔法…? なんだっけ?
- 空穂 夏希: たぶん…?
- みかげ: でも、姉ちゃたちは そういう関係じゃないと思うけど
- 空穂 夏希: 実際はそうじゃなくても 状況的に勘違いしちゃったとか?
- みかげ: そうなの…?
- みかげ: じゃあ、ミィが誤解だよって 教えてきてあげようか?
- 空穂 夏希: うーん…それって 逆にこじれちゃったりしない?
- 相野 みと: 弟くん、自分を塗装してるね
- 晴海の妹: …お姉ちゃんは、お墓を作る 発泡スチロールと見つめ合ってる
- みかげ: このままだと 作業にも影響しちゃいそう…
- 相野 みと: …でもぉ、出しゃばるのも よくないような…
- 晴海の妹: お姉ちゃんが嫌がるってこと…?
- 空穂 夏希: うん、繊細な問題だし…
- 空穂 夏希: だから、数日様子を見てみて ふたりの様子があのままなら
- 空穂 夏希: みたまさんたちに話を聞いてみる …で、いいかな?
- 晴海の妹: うん、お願いします!
- 十七夜: …お前、何をしてるんだ?
- 和泉 壮月: げっ!姉さん…
- 十七夜: 様子を見に来ただけなのに 『げっ!』とはなんだ
- 塩屋 晴海: あ、なぎたんさん お疲れ様です
- 和泉 壮月: なぎたんさん!?
- 塩屋 晴海: 和泉くんと和泉さんだと わかりにくいから
- 塩屋 晴海: そう呼んでいいって 言ってくれたの
- 十七夜: うむ 呼ばれ慣れているからな
- 和泉 壮月: (いつの間にか、姉さんの方が 仲良くなってる!?)
- 和泉 壮月: お、俺…! 姉さんには負けないからな!
- 十七夜: む?
- 十七夜: …………!
- 十七夜: うむ、いい心がけだな 受けて立とう
- 塩屋 晴海: (本当に仲が良いんだなぁ…)
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- 十七夜: 数日前から、壮月と塩屋君の 様子がおかしい…?
- みたま: それでわたしたちに 話を聞きたいの?
- 空穂 夏希: つまり、みたまさんは 恋愛相談に乗ってたんですね
- みたま: そうよぉ ホントにそれだけ
- 十七夜: なぜ、自分ではなく 八雲に相談したんだ?
- 伊吹 れいら: …失礼かもしれないんですけど 恋愛相談されて答えられます…?
- 十七夜: …………努力はする
- みかげ: ミィ、姉ちゃも向いてるとは 思えないな…絶対面白がるもん…
- みたま: 実際、面白がっちゃったから 否定はできないわね…
- みたま: ただ十七夜の性格を抜きにしても 相談しにくかったと思うわ…
- みたま: 十七夜のことを恋のライバルだと 思っているみたいだったし
- 十七夜: …………なぜだ?
- みたま: 晴海ちゃんとふたりで話している ところを見かけたらしいんだけど
- みたま: イチャイチャしているように 見えたみたい
- 十七夜: …?
- みたま: 髪に触ったりしてたって 言ってたわよ
- 十七夜: …髪?
- 十七夜: ああ…それは ゴミを取っていただけだ
- 江利 あいみ: 恋愛あるある勘違い!
- みたま: 他にも勘違いさせること 言ったんじゃないかしら…?
- 十七夜: うむ… 言ったのか…?
- 十七夜: ――っ!?
- 相野 みと: どうしたの?
- 十七夜: 数日前のことなのだが…
- 和泉 壮月: お、俺…! 姉さんには負けないからな!
- 十七夜: む?
- 十七夜: …………!
- 十七夜: うむ、いい心がけだな 受けて立とう
- 十七夜: …これはもしかして 恋のライバル宣言だったのか…?
- 桑水 せいか: …たぶん?
- 江利 あいみ: いや、間違いなく そうだと思いますけど…
- 十七夜: …やらかしたな
- 相野 みと: つまり…
- 相野 みと: 弟くんと晴海さんは 両想いだけど
- 相野 みと: 相手に、別に好きな人がいるって 勘違いしてるってことだよね?
- 伊吹 れいら: そうだね それでギクシャクしちゃってる…
- 相野 みと: そっかー… なら、まだよかったかも
- 桑水 せいか: えっ…?
- 相野 みと: 学生会議のみんなが ふたりに期待してたみたいだから
- 相野 みと: 周りの期待がプレッシャーに なっちゃったのかなって
- 相野 みと: ずっと心配してたの…
- 空穂 夏希: 周りが追い込んじゃうのは よくないもんね…
- 相野 みと: でも、勘違いしてるだけなら 私たちにできることもあるかも!
- 伊吹 れいら: …みとの魔法とか?
- 桑水 せいか: あっ…心を繋げる魔法
- 空穂 夏希: えっ!? それは反則じゃない!?
- 相野 みと: ダメ…?
- 空穂 夏希: だって、それはチアリーダーが 応援だけじゃなくて
- 空穂 夏希: グランドに 入ってくようなものだよ!
- 江利 あいみ: …例えはともかく 私もダメだと思う!
- 十七夜: …うむ 恋はよくわからんが
- 十七夜: 自分も魔法で 解決すべきではないと思うぞ
- 相野 みと: そっか…誤解を解くためとはいえ 近道しすぎるのも違うかも…
- みたま: ふたりの恋路は ふたりだけのものだものね
- みたま: 外野がお節介しすぎるのは 確かによくないかもしれないわ…
- みかげ: じゃあ、どうするの?
- みたま: そうねぇ…
- みたま: わたしたちにできることは 誤解を解くお手伝いをして
- みたま: あとは…
- みたま: やっぱりそっと 見守ることじゃないかしら?
- 十七夜: …うむ そうだな
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- みたま: わたしたちのイベントの進捗は 衣装作りに少し遅れはあるけれど おおむね順調に進んでいる
- みたま: むしろ、みんなが心配しているのは ふたりの恋の行方の方ね…
- 十七夜: 明日は、お菓子の調達と スタッフ以外の衣装合わせだ
- 十七夜: よって、今日中に 大まかな梱包を終わらせる
- みたま: 手が足りないところは 助けを回すから言ってちょうだい
- みたま: 協力して間に合わせましょう!
- みんな: 「おーっ!」
- 塩屋 晴海: すごいなぁ…
- 塩屋 晴海: (ふたりとも人前で あんなに堂々してられるなんて)
- 和泉 壮月: …………
- 相野 みと: 弟くん、なぎたんに 嫉妬してる…?
- 空穂 夏希: 晴海さんが見惚れてると 思ってるのかも…
- 塩屋 晴海: (…和泉くんは)
- 塩屋 晴海: (ああいうカッコイイ お姉さんが好きなのかな…?)
- 相野 みと: 晴海さん、今度は 落ち込んじゃったね…
- 空穂 夏希: …うん なんでかはわからないけど
- 空穂 夏希: 昨日打ち合わせた通りに やってみよう
- 相野 みと: ふたりっきりにするのが いーと思う!
- 空穂 夏希: ふたりっきり…?
- 伊吹 れいら: ふたりで話す時間を作って あげるのがいいってことかな?
- 相野 みと: そうっ!
- 伊吹 れいら: たしかに、コミュニケーションが 足りてないカンジあるもんね
- 相野 みと: 晴海さんと弟くんで 何か作業できたらいーよね!
- 空穂 夏希: うーん…作業は 班のみんなでやるし…
- みたま: じゃあ、夏希ちゃんたちには 他にまわってもらいましょうか
- 十七夜: 作業量を調整すれば問題ないな
- 空穂 夏希: えっ?責任者権限で…? それって職権乱用じゃ…
- 十七夜: 人手が足りないところへ ヘルプに回すだけだ
- みたま: …根本的な解決には ならないと思うけど…
- みたま: きっかけくらいになったら いいわねぇ
- 相野 みと: なぎたんが呼びに来るのを 待つんだよね
- 空穂 夏希: あっ!
- 十七夜: すまないが、針仕事に 人を貸してくれないだろうか?
- 矢宵 かのこ: スタッフ衣装の仕上げが まだ少し残っているの…
- 空穂 夏希: じゃあ、私が!
- 十七夜: 野球部のマネージャーは 針仕事もすると言っていたな
- 塩屋 晴海: あの、私も… 洋裁なら少しはできます
- みんな: えっ…
- 矢宵 かのこ: 少しだなんて! 晴海さん、すごく上手じゃない
- 十七夜: ちょ、ちょっと待ってくれ 自分は空穂君を…
- 塩屋 晴海: 私じゃダメですか…
- 十七夜: いや、 そういうわけではないんだが…
- 和泉 壮月: …………
- 矢宵 かのこ: 晴海さんの腕は私が保証するわ 同級生だからよく知ってるの
- 矢宵 かのこ: あっ、夏希も手伝ってね
- 空穂 夏希: あ、はい…
- 空穂 夏希: ご、ごめんなさい
- 空穂 夏希: かのこさんに 伝えてませんでした…!
- 相野 みと: なんか… さらに誤解されちゃったかな…?
- 相野 みと: なぎたんが来たら 手伝いに行ったー…みたいな…?
- 十七夜: …うむ 壮月の目はそう言っているな…
- 相野 みと: …えっと、こっちは 頑張ってフォローしておくね…!
- 相野 みと: えっとね…そのねー…うーん…
- 相野 みと: なぎたんが呼びに来たから 手伝いに行ったわけじゃないよ?
- 相野 みと: 晴海さん、 お裁縫が得意みたいだし…?
- 和泉 壮月: …みたいだな
- 和泉 壮月: 姉さんと違って 器用そうだもんな…
- 相野 みと: うーん…嫉妬と惚気…どっち…?
- 和泉 壮月: は、はぁっ!? どっちもちげーからな!
- 相野 みと: わぁー! 怒らせちゃった!
- 相野 みと: 励ましたいのに!
- FILENAME: text_517610-8_5ewzo.txt
- みかげ: 小学生組…改め お菓子部隊集合ー!
- みかげ: 中学生以上のお兄さんお姉さんは 集合しなくて大丈夫だよ
- みかげ: お菓子は小学生の なわばりだから!
- 行ってくるね
- 和泉 壮月: おう
- みと&壮月: …………
- みたま: ごめんさぁい ちょっと手を貸してほし、い…?
- 和泉 壮月: なんで疑問形なんだよ?
- みたま: えっとぉ~…
- みたま: どうして、みとちゃんと 壮月君だけなの…?
- 相野 みと: それが、晴海さん お裁縫得意みたいで…
- 相野 みと: なぎたんについて行っちゃった…
- みたま: 十七夜に…?
- みたま: まさか、 壮月君の機嫌が悪いのは…
- 相野 みと: さらに勘違い させちゃったからだと思う…
- みたま: あらまぁ… うーん、どうしましょう…
- 和泉 壮月: おーい、なんで固まったんだ? 用事があるんだろ?
- みたま: あー、それなんだけど…
- 御園 かりん: 小道具を直す人、 早く連れて来てなのー!
- 和泉 壮月: あれか
- みたま: わ、わたしが呼びにきたのは みとちゃんよ…!
- 和泉 壮月: 相野?
- みたま: ちょ、ちょっと繊細な作業だから
- 和泉 壮月: だったらなおさら 相野じゃねぇじゃん
- 相野 みと: それは失礼だよー!
- 相野 みと: 私、どんぐりで おままごとしたりするもん!
- 和泉 壮月: そういや、なんか細工してたな
- 和泉 壮月: でも、それなら俺だって 負けてないぞ
- 和泉 壮月: 団地の子どもたちに おもちゃ作ってやってるだろ?
- みたま: そういえば、ミィが昔 もらったって喜んでたわね
- 和泉 壮月: なっ! ちょっとした工作なら任せとけ
- かりんの声: はーやーくーなのー!
- 和泉 壮月: ほら、準備ギリギリなんだろ 遊んでないで行くぞ
- みたま: 押さないで!
- みたま: わ、わたしが 誘ったんじゃないのよ!
- 塩屋 晴海: …………
- 十七夜: 八雲はどうしたんだ…?
- 空穂 夏希: …たぶん、誤解されないように 言い訳したかったんだと思います
- 塩屋 晴海: …好きな人が困ってたら 助けたくなっちゃうもんね…
- 十七夜: 逆に誤解を招いたようだが…
- 空穂 夏希: …うーん、どーしよ…
- みんな: …はぁ
- 矢宵 かのこ: えっ、何どうしたの? 縫いにくいところあった?
- 空穂 夏希: そうじゃないんですけど…
- FILENAME: text_517610-9_5ewzo.txt
- みかげ: えぇ!? ふたりっきりにする作戦失敗!?
- みかげ: それどころか 誤解が深まっちゃったの?
- みたま: ミィにも手伝ってもらったのに ごめんねぇ…
- 空穂 夏希: ごめんなさい かのこさんに伝えてなくて…
- 十七夜: …いや 衣装の作成はギリギリだから
- 十七夜: こちらの事情で配慮してもらう 余裕はなかったかもしれん
- 十七夜: 当然だが、準備が優先だからな 自分も見通しが甘かった…
- みたま: こうなったら…誰もいない 倉庫に閉じ込めちゃう?
- 十七夜: 少女漫画の読み過ぎだ
- みたま: でも、ピンチで芽生える恋も あるじゃない?
- 相野 みと: 恋は芽生えてるよ
- 空穂 夏希: すれ違ってるだけですね…
- みたま: …そうだったわ わたし、焦ってるわね…
- 十七夜: うむ、自分たちが 障害になっているからな…
- みたま: 手助けするつもりなのに どうしてこうなるのかしら…
- ???: スタッフ組 みんな着替え終わったわよ
- みたま: えっと…
- 十七夜: すまないが、誰だ?
- 矢宵 かのこ: 私よ! 全然わからなかった?
- 相野 みと: うん…! ぱっと見わからなかった!
- 矢宵 かのこ: じゃあ、テーマ通りね!
- 矢宵 かのこ: 早く中に入って きっとビックリするわよ
- 相野 みと: わぁ… 誰が誰だか全然わかんない…
- みたま: ホントにねぇ…
- みたま: ふふ、“何者でもなくなる” っていうテーマ通りだわ
- 十七夜: 何者でもなくなった人々は 生まれも育ちも関係なく
- 十七夜: ただハロウィンの一夜を楽しむ…
- 空穂 夏希: だから、スタッフも 一見、誰だかわからない方がいい
- 空穂 夏希: …でしたね
- みたま: そうよぉ
- みたま: 何者でもないまま いろんな人と仲良くなるの
- 相野 みと: ハロウィンが終わっても 仲良くしてくれるといーね!
- みたま: …ええ
- 和泉 壮月: あっ、お疲れ これ、手伝ってたんだよな?
- 塩屋 晴海: あ、うん… お裁縫はちょっとできるから
- 塩屋 晴海: 小道具の方は大丈夫そう?
- 和泉 壮月: 見てたのか? だいたい直し終わったぜ
- 相野 みと: お互いに 誰だかわかってるみたい…!
- みたま: あらまぁ…
- 空穂 夏希: あいみなら…
- 夏希&あいみ: 愛の力だよっ!
- 空穂 夏希: って、うわぁああっ!? びっくりしたー…
- 江利 あいみ: わかってるじゃん、夏希! 恋バナいっぱいした成果?
- 空穂 夏希: …かも?
- みたま: でも、なんでわかったのかしら?
- 空穂 夏希: うーん…仕草とか?
- 相野 みと: ふたりとも 相手をよく見てるのかもねー…
- みたま: なるほどねぇ… 確かに愛の力かもねぇ
- 十七夜: …少しはっぱをかけてやれば
- 十七夜: あとは当人たちが うまくやるのかもしれないな
- みたま: じゃあ、もうちょっとだけ お節介してみましょうか
- FILENAME: text_517610-10_5ewzo.txt
- みたま: すれ違う壮月君と晴海ちゃんの恋を なんとかしたくて ふたりだけになれる機会を作ろうとしたけど
- みたま: 失敗…
- みたま: オブジェクトとかの資材の梱包を終えれば 会場の設営に移っちゃうから その前にお節介をすることにしたの
- みたま: つまり… 遠回しなことをせずに直接、背中を押したのよ
- みたま: そして、翌日 公民館での準備、最終日
- みかげ: みんな、ちゅうもーく!
- みかげ: お菓子部隊の隊長かつ あした屋2代目のミィだよ!
- 和泉 壮月: 自称2代目だろ…
- 塩屋 晴海: ふふっ、すごいよね
- 塩屋 晴海: あした屋を継ぐために 勉強中だって妹が言ってた
- みかげ: じゃあ、みんなはぐれないように ミィについて来てね
- みかげ: 壮月くんと晴海さんは 付き添いだから一番後ろね
- みんな: 「はーい!」
- 塩屋 晴海: じゃあ、私たちも行こっか
- 和泉 壮月: …おう
- 塩屋 晴海: 和泉くんはどんな駄菓子が好き?
- 和泉 壮月: 俺か…?
- 和泉 壮月: うーん、最近は 食わなくなったからなぁ…
- 塩屋 晴海: 子どもの頃 好きだったものでもいいよ?
- みたま: 晴海ちゃん、 もうストレートに聞いちゃうけど
- みたま: 壮月君のこと好きよね?
- 塩屋 晴海: えっ… き、気付いていたんですか…?
- 和泉 壮月: ガキの頃なら… たくさん入ってるやつ買ってた
- 和泉 壮月: なんか、得な気がしてさ…
- 塩屋 晴海: わかるかも… いっぱい入ってると嬉しいよね
- 和泉 壮月: そうそう! …けど、それでも物足りなくてさ
- 和泉 壮月: 変なところで鋭いのか 姉さんがわけてくれるんだよな
- 塩屋 晴海: いっぱい食べるんだ 今もそう?
- みたま: 本当は、そっと見守る つもりだったんだけど…
- みたま: 誤解させてしまっている みたいだから…
- 空穂 夏希: うん、私たちは応援してるって 伝えたかったの…!
- 塩屋 晴海: …!
- みたま: 誰かを好きになるって とても素敵なことだと思うわ
- みたま: だから、 その気持ちを大切にしてほしくて
- 和泉 壮月: どーだろ…? 男子なら普通くらい、か?
- 塩屋 晴海: ふふっ
- 和泉 壮月: ん? 俺、変なこと言ったか?
- 塩屋 晴海: ううん
- 塩屋 晴海: ただね、 いいなって思ったの
- 塩屋 晴海: (そう…)
- 塩屋 晴海: (和泉くんとこうやって 何気ないことを話す時間が)
- 塩屋 晴海: (すごくいいなって思ったの)
- 和泉 壮月: えっ…? そ、そっか…
- みかげの声: あぁーーーーっ!!
- 和泉 壮月: どうした!?
- みかげ: …ミィ、やっちゃった…
- みかげ: 姉ちゃから お金、預かってくるの忘れた…
- 和泉 壮月: はぁっ!?
- 塩屋 晴海: えっと…一度戻る?
- 和泉 壮月: 全員で戻るのは無駄だろ?
- 和泉 壮月: 塩屋はこいつら連れて 先に行っててくれ
- 和泉 壮月: 走って取ってくる
- 塩屋 晴海: で、でも 結構遠いよ…?
- 和泉 壮月: 大丈夫だって 体力には自信あるから
- 和泉 壮月: じゃっ、こっちは頼む!
- 塩屋 晴海: …行っちゃった
- 塩屋 晴海: (カッコイイなぁ、もう…)
- みかげ: ごめんね…
- 塩屋 晴海: 悲しい顔しないで 失敗なんて誰にでもあるんだから
- タッタッタッタッ…!
- 和泉 壮月: …………
- 十七夜: 壮月…その、なんだ…あれだ…
- 和泉 壮月: …どれだよ
- 十七夜: いや、うむ…
- 相野 みと: なぎたん! スッと言ってバン!だよ!!
- 十七夜: …うむ ひと言で言うとだな
- 十七夜: 誤解だ
- 和泉 壮月: 誤解…?
- 十七夜: 重要なのは自分自身の気持ちと 真実を見極める目だぞ
- 和泉 壮月: …もしかして、姉さんを ライバルだって思ったのは…
- 十七夜: どうしてもと懇願するなら 真実にしてやってもいいが
- 和泉 壮月: 望んでねぇよ!
- 和泉 壮月: …ははっ 下手な励まし方だよな!
- 和泉 壮月: (でもさ…)
- 塩屋 晴海: ただね、 いいなって思ったの
- 和泉 壮月: (俺もいいなって思ったよ 塩屋とただ話すだけの時間…)
- 和泉 壮月: そういうことなんだよなぁ
- みたま: みんなお疲れ様ぁ~! こっちでの準備は完了よ!
- 十七夜: 明日からは設営だ! 気を抜かず、共に頑張ろう!
- みんな: 「わぁああああっ!」
- 塩屋 晴海: みたまさん、夏希ちゃん 昨日は応援してくれてありがとう
- 塩屋 晴海: 私ね、ふたりのおかげで わかったの
- 塩屋 晴海: やっぱり、あの人が好きだって
- みたま&夏希: …!
- 塩屋 晴海: だから…
- 和泉 壮月: 姉さん、ありがとな… なんか気持ちを整理できた
- 十七夜: うむ
- 和泉 壮月: 相野もな
- 和泉 壮月: それでさ…
- 晴海&壮月: 「ハロウィンイベントが終わったら 告白してみようと思う…!」
- [Part 1 end]
- ---
- [Part 2 start]
- FILENAME: text_517620-1_zmbz5.txt
- 塩屋 晴海: 告白しようって決めてから 気持ちがふわふわしてる
- 塩屋 晴海: お夕食が終わって 家族でのんびりするだけの時間 いつものように妹が 話しているのに耳を傾けているだけなのに
- 塩屋 晴海: なんだかドキドキしている自分がいて 幸せなような緊張しているような 落ち着かない気持ちなの
- 晴海の妹: それでね、明日から 会場の準備をするんだよ!
- 晴海の母: ふふっ、 学生会議、楽しそうね
- 塩屋 晴海: うん、いい人ばっかりで 雰囲気もすごくいいの
- 晴海の父: そうか、いいことだな
- 晴海の妹: それに、お姉ちゃん 好きな人できたもんね
- 塩屋 晴海: ――っ!?
- 塩屋 晴海: ちょ、ちょっと…!
- 晴海の妹: だって、ホントのことだもん
- 晴海の父: …それは、学生会議で 出会った人か?
- 塩屋 晴海: …う、うん
- 晴海の母: 東の人?
- 塩屋 晴海: そうだけど…
- 塩屋 晴海: えっ、どうしたの?
- 晴海の両親: …………
- 晴海の母: 晴海の気持ちは 尊重してあげたいけどね…
- 塩屋 晴海: 東の人とは 付き合うなって言うの…?
- 塩屋 晴海: 私たちは今、そういう偏見を 失くそうとしているんだよ
- 晴海の父: ああ、わかっている 立派な活動だとも思っているよ
- 晴海の父: …だが、東の方と付き合うのは 今はまだ手放しで賛成できない
- 塩屋 晴海: どうして?
- 晴海の父: 周りはまだその流れに ついて来れていないだろ?
- 晴海の父: 東西の関係が改善してからなら 反対なんてしないんだが…
- 晴海の父: 今の関係を考えると、な…
- 塩屋 晴海: …!
- 晴海の母: つまりね…
- 晴海の母: お父さんとお母さんは 反対してるんじゃなくて
- 晴海の母: 心配しているのよ…
- 晴海の母: あなたたちが頑張っていることが 正しかったとしても
- 晴海の母: 理解してくれない人はいるし
- 晴海の母: それがきっかけで
- 晴海の母: これまで仲良くしていた人と 疎遠になるかもしれないわ…
- 塩屋 晴海: …………
- 晴海の父: 晴海は、家を継ぎたいって 言ってくれていたしな…
- 晴海の父: 東の方と縁付いて 店も継いでもらうとなると
- 晴海の父: 相当苦労する覚悟をしないと いけなくなる
- 晴海の母: 世知辛いけど お客様あっての商売だからね…
- 晴海の母: でも、お母さんたちとしては 応援してあげたいのは本当よ…
- 晴海の父: だが残念なことに 現実は理想とはまだ程遠い
- 晴海の父: それでもというなら 相応の覚悟が必要になるぞ
- 塩屋 晴海: …………
- 塩屋 晴海: (お父さんとお母さんが 言ってることは間違ってない)
- 塩屋 晴海: (…これまでは あまり実感がなかったけど)
- 塩屋 晴海: (東西問題を知ってから 振り返ってみれば…)
- 塩屋 晴海: (それがよくわかる…)
- 塩屋 晴海: (ただ好きだから… それだけじゃダメなのも…)
- 塩屋 晴海: ごめん… 部屋に戻るね…
- 晴海の妹: …お姉ちゃん!
- 晴海の妹: お父さんもお母さんも ひどいよ!
- 晴海の母: わかっているわ…
- 晴海の父: でも、いずれ直面するなら 早い方がいい…
- 晴海の母: ええ、外で傷つくよりもね…
- 晴海の妹: …………
- FILENAME: text_517620-2_zmbz5.txt
- 和泉 壮月: 昨日、告白する! …って決めたせいか 俺は浮かれているらしい
- 和泉 壮月: 仲の良いやつらにはすぐにわかったらしく 根掘り葉掘り聞かれる羽目になった…
- 和泉に好きな奴か!
- しかも水名のお嬢さんってのは 驚きだな
- 和泉 壮月: …うるせぇな いいだろ、別に…
- まっ、水名女学園の お嬢様に憧れる気持ちはわかるわ
- なんかいいもんな
- 和泉 壮月: …そういうので 好きになったわけじゃねぇからな
- わかってるって!
- 和泉が好きになったってことは いい子なんだろ
- たださぁ… 水名のお嬢様って憧れはあるけど
- 実際付き合うってなったら 大変だよな
- あーね…
- 和泉 壮月: なんでだよ
- だって、いろいろ言ってくる奴 絶対いるじゃん…
- 和泉はいい奴だけど
- 西側から見たら東のオレらなんて 全部同じに見えるだろーしなぁ…
- 和泉 壮月: だから、 偏見を失くそうとしてんだろ
- えっと…学生会議だっけ?
- でも、 始まったばっかりなんだろ?
- 一番、大変な時期じゃん
- 和泉 壮月: はぁ?周りに言われたからって 俺が負けると思うか?
- オマエはいーかもしんねぇけど 相手の子はどうなんだよ
- 和泉 壮月: えっ?
- 和泉だけの問題じゃねぇもん
- 相手の子だって 同じ目に遭うかもだろ
- 和泉 壮月: …………
- …あ、ごめん ちょっと言い過ぎた…
- うん、悪ぃ…
- 和泉 壮月: おまえたちは悪くねぇよ…
- 和泉 壮月: むしろ、俺がバカだった…
- 和泉 壮月: そーいうの考えず、 浮かれてたみたいだ…
- 和泉 壮月: …………
- 和泉 壮月: (周りの目、か…)
- 和泉 壮月: (塩屋が悪意にさらされたら 俺、守ってやれるのかな…)
- 和泉 壮月: (守ってやりたいけど 守りきれるのか…?)
- 十七夜: そんなところで 突っ立ってどうした?
- 和泉 壮月: …姉さん
- 和泉 壮月: …………
- 十七夜: …本当にどうした? 嫌なことでもあったのか?
- 和泉 壮月: 嫌なことはねぇよ…
- 和泉 壮月: なんていうか… 俺はまだガキだなって…
- 十七夜: …む?
- 十七夜: まだ中学生なのだから 子どもの範囲だろう?
- 和泉 壮月: ははっ…
- 和泉 壮月: なんか姉さんと話したら 元気出たわ
- 和泉 壮月: 早く行こーぜ! 今日は会場の設営だろ?
- 十七夜: …………
- FILENAME: text_517620-3_zmbz5.txt
- みたま: ここが交流会場よぉ~! 入口には受付を設置する予定なの
- みたま: 昨日終わらなかった 驚かす役の衣装合わせを
- みたま: 先にやっちゃってから 飾りつけになるわぁ!
- 十七夜: 内観担当者は
- 十七夜: 作業に入れるようになるまでは 外観の飾りつけの手伝いを頼む
- 矢宵 かのこ: 衣装関係の人だけ残って
- 矢宵 かのこ: 昨日、家で調整してきた 衣装の最終合わせをするから!
- 矢宵 かのこ: あ、晴海さんも手伝って もらっていい?
- 塩屋 晴海: …あっ、もちろん!
- 十七夜: 外観の飾りつけは 力仕事が多くなる
- 十七夜: 男子が中心の作業になるが
- 十七夜: 力に自信がある女子も もちろん大歓迎だ!
- みたま: 十七夜も外観担当だものねぇ
- 御園 かりん: 外観の飾りつけの総指揮は 引き続き
- 御園 かりん: デザインを担当した わたしがやるの!
- 御園 かりん: さっそく作業に… と言いたいところだけどまずは…
- 御園 かりん: 講義の合間を縫って
- 御園 かりん: 搬入と設置作業を 先にやっていてくれた
- 御園 かりん: 大学生組のみんなに 感謝の拍手なの!
- パチパチパチパチ!
- やちよ: 空いている時間を 有効活用しただけよ
- やちよ: じゃあ、あとのかじ取りは よろしくね
- 御園 かりん: 任せろなの!
- 和泉 壮月: …………
- 和泉 壮月: (…塩屋が嫌な目に遭ったら…)
- 十七夜: …作業を始めるが
- 和泉 壮月: …!
- 和泉 壮月: お、おう!
- 矢宵 かのこ: うんっ 完璧ね!
- 相野 みと: じゃーん!
- 空穂 夏希: おおっ、昨日より 動きやすくなった!
- 矢宵 かのこ: 装飾をずらして 布も足に絡まないようにしたの
- 空穂 夏希: ありがとうございます!
- 相野 みと: 晴海さんもありがとー! たくさん手伝ってくれたんだよね
- 塩屋 晴海: そんなことないよ 少しだけ、だから…
- 矢宵 かのこ: 謙遜しなくていいのに …っていうか、元気ないわね
- 塩屋 晴海: 昨日、寝るのが 遅くなっちゃって…
- 相野 みと: 悩み事…?
- 塩屋 晴海: ううん…本を読んでたら 時間を忘れちゃったの…
- 塩屋 晴海: (うそついちゃった…)
- 塩屋 晴海: (本当は時間を忘れたいから 本を読んでたんだけど…)
- 空穂 夏希: でも、大丈夫には見えないけど…
- 塩屋 晴海: 大丈夫…!
- 塩屋 晴海: それより、衣装をみんなに見せて 会場の準備に移らないと!
- 塩屋 晴海: 時間は待ってくれないよ?
- 相野 みと: …………うん
- 塩屋 晴海: (…ぼんやりしてる 場合じゃないのに)
- 塩屋 晴海: (今、大切なのは ハロウィンの準備なんだから…)
- 空穂 夏希: 外の準備も進んでるね
- 塩屋 晴海: うん
- 塩屋 晴海: (…和泉くんもいる)
- 伊勢崎 隼人: じゃあ、こっち持つから
- 和泉 壮月: はい せーので行きましょう
- 壮月&隼人: せーのっ!
- 塩屋 晴海: (…一緒に作業しているのは 中央学園の人、かな)
- 塩屋 晴海: …ここではみんな 仲良くできるのになぁ
- FILENAME: text_517620-4_zmbz5.txt
- こっち、ひとり助っ人頼む!
- 和泉 壮月: じゃあ、俺 次はあっち手伝ってきます
- 伊勢崎 隼人: あっちの段ボール 重めの資材が入ってるから
- 伊勢崎 隼人: 崩さないように気をつけて
- 和泉 壮月: はい!
- 和泉 壮月: うおっ…! 確かに重いな
- 和泉 壮月: 慎重に降ろして運ばねぇと…
- 和泉 壮月: (積みあがってる段ボールを 崩さないように取って…)
- 和泉 壮月: …ん?
- 和泉 壮月: (…塩屋? 衣装合わせ終わったのか)
- グラッ…
- 和泉 壮月: (あ、やべ… 段ボールのバランスが崩れ…)
- 和泉 壮月: (落ちてくる…!!)
- 十七夜: 「壮月!!」
- 十七夜: …くっ
- 和泉 壮月: 俺のこと庇って…
- 和泉 壮月: ごめん、姉さん…! 俺、ぼんやりしてて!
- 十七夜: 落ち着け 自分は無事だ
- 十七夜: お前は無事か?
- 和泉 壮月: …う、うん
- 十七夜: ならいい
- 十七夜: よっと… 崩れた段ボールは少ないな
- 十七夜: …………うむ 中の資材も大丈夫だ
- 塩屋 晴海: 和泉くん!! なぎたんさんも…!
- 十七夜: 大丈夫だ
- 十七夜: 少し段ボールが崩れただけで 自分たちも資材も大事ない
- 塩屋 晴海: …本当にケガはないんですか?
- 十七夜: うむ、自分は頑丈だからな
- 和泉 壮月: 俺も、大丈夫… 姉さんが助けてくれたから…
- 塩屋 晴海: よかったぁ…
- 和泉 壮月: …………
- 和泉 壮月: (よく、ねぇよ…)
- 和泉 壮月: (塩屋のこと守りたいとか 思っておきながら)
- 和泉 壮月: (ヘマして 姉さんに助けられるとか…)
- 和泉 壮月: (全然、よくねぇ…)
- 十七夜: 騒がせてすまなかった! 皆、作業に戻ってくれ!
- 和泉 壮月: …………
- 和泉 壮月: (現実は見えてないし みんなの足は引っ張るし…)
- 和泉 壮月: (俺、いいとこねぇな…)
- 和泉 壮月: (…だっせぇ)
- FILENAME: text_517620-5_zmbz5.txt
- 塩屋 晴海: (みかげちゃんと お話があるから先に帰ってて)
- 塩屋 晴海: (…って言ってたけど)
- 塩屋 晴海: (帰って来る気配がないし 迎えに行こうかな)
- 晴海の妹: お姉ちゃーん!
- 塩屋 晴海: あっ、よかった 帰って来た…
- みたま: こんにちは
- 塩屋 晴海: 送ってくれたんですね わざわざ申し訳ありません…
- みたま: 気にしないでぇ
- みたま: わたしも晴海ちゃんに 用事があったから
- 塩屋 晴海: 私に…?
- みたま: 実はね、妹さんから
- みたま: ご両親との間にあったことを 相談されたの
- 塩屋 晴海: …!
- みたま: 自分のせいでお姉ちゃんを 悲しませちゃったって
- 塩屋 晴海: …あの子にまで 心配かけてたなんて…
- みたま: もしよかったら
- みたま: 心に溜めてしまっていることを 聞かせて…?
- 塩屋 晴海: …………
- 塩屋 晴海: …ごめんなさい
- みたま: …じゃあ、わたしの話を 聞いてくれる?
- 塩屋 晴海: えっ…? いい、ですけど…
- みたま: …………
- みたま: …わたし、水名女学園に 通っていたときがあるの
- 塩屋 晴海: みたまさんが…?
- 塩屋 晴海: …………あ、もしかして…?
- みたま: そう…大東に出戻りした、ね 噂くらいは知ってるでしょ?
- 塩屋 晴海: …はい
- 塩屋 晴海: でも、明槻先輩… 部活の先輩なんですが
- 塩屋 晴海: 彼女から退学になった方に 非はなかったと聞きました
- みたま: …あのときは、わたし よくわからなくなっちゃって
- みたま: いろんなものを憎んだり恨んだり 呪ったりしてた…
- みたま: わたしが晴海ちゃんと お話したいと思ったのは
- みたま: 妹さんに 頼まれたからだけじゃなくて
- みたま: あのときのわたしみたいに なってほしくなかったからなの
- 塩屋 晴海: …………
- みたま: わたしには東西問題を 一気に解決する力なんてないけど
- みたま: 話を聞くことはできるわ
- みたま: 辛い気持ちや悲しい気持ち 恨み言だっていい
- みたま: 聞かせてくれたら 解決はできなくても寄り添うから
- 塩屋 晴海: 恥ずかしい、話ばかりですよ… 愚痴ばっかりかも…
- みたま: ええ、それでも聞きたいわ
- 塩屋 晴海: 私も… よく、わからないんです
- 塩屋 晴海: 私はただ… 彼のことが好きなだけなのに
- 塩屋 晴海: お父さんやお母さんの話を聞いて 冷や水を浴びた気持ちになって…
- 塩屋 晴海: 私のこの気持ちだって 間違っていないはずなのにって…
- みたま: …うん、わたしもどっちも 間違ってないと思うわ
- 塩屋 晴海: でも…
- 塩屋 晴海: “この恋を邪魔しないで”って 叫んでも届かないんです…
- 塩屋 晴海: そういう恋なんだって やっとわかっちゃって…
- 和泉 壮月: …………
- 和泉 壮月: 姉さん、いるんだろ?
- 十七夜: …む? なぜバレた?
- 和泉 壮月: 草に紛れてたつもりだろうけど 髪が見えてた
- 十七夜: …うむ、また失敗か 上手く隠れるのは難しいな
- 十七夜: まぁ、ちょうどいい そろそろ帰るぞ
- 和泉 壮月: なぁ、俺…彼女のこと 守ってやれると思うか?
- 十七夜: 昼間のことを気にしているのか?
- 十七夜: 失敗なら誰にでもある もう気に病むな
- 和泉 壮月: …それだけじゃなくてさ 悪意とか、そういう…やつから…
- 十七夜: …悪意から人を守ることは 容易ではない
- 十七夜: ひとりで背負おうとするのは 傲慢だと自分は学んだな
- 和泉 壮月: そっか…
- 和泉 壮月: …帰ろうぜ
- 十七夜: …守る、か
- みたま: あらぁ… 帰りを待っててくれたの?
- 十七夜: 塩屋君も心配だからな どうだった…?
- みたま: 理屈ではわかっていても 心から受け入れられるかは別よ…
- 十七夜: …うむ
- 十七夜: 現状をただ受け入れて さらに進むというのは難しい…
- みたま: まさにわたしたちが…
- みたま: 学生会議がしようとしていること …だものね
- みたま: …………あ…
- 十七夜: どうした?
- みたま: …わたしたちがしようと していることってつまり…
- 十七夜: …む なるほど…
- FILENAME: text_517620-6_zmbz5.txt
- みたま: 明日のリハーサルに 間に合わせるために
- みたま: 今日中に大まかに 仕上げちゃうわよぉ~!
- 十七夜: 日が暮れたら、 ライティングの調整もする予定だ
- 十七夜: 全体の雰囲気を把握するために 皆には衣装の着用をお願いしたい
- 和泉 壮月: (姉さんは、いつでも 冷静に見えるよな…)
- 和泉 壮月: (強くて… なんでも自分で解決できそうで)
- 和泉 壮月: (でも…)
- 和泉 壮月: (あの姉さんでさえ 心の中では悩みを抱えてた)
- 和泉 壮月: (姉さんは、生まれ育った町が 大好きで守りたいだけなのに)
- 和泉 壮月: (現実はついてこないから ひとりで抱え込んで…)
- 和泉 壮月: (失踪までした)
- 和泉 壮月: (そのときにたぶん 言えないようなこともしてる…)
- 和泉 壮月: (いつもニコニコしてる みたまさんだって…)
- 和泉 壮月: (心の内では ずっと傷を抱えてたみたいだし)
- 和泉 壮月: (俺は、気づかなくて ふたりの力にはなれなかった…)
- 和泉 壮月: (…もし、塩屋が 悩んだり傷つくことがあったら)
- 和泉 壮月: (気づいてやれるのかな…)
- 和泉 壮月: (何かして やれることがあるのか…?)
- 和泉 壮月: (できないなら隣にいたいなんて 言う資格ねぇよな…)
- 和泉 壮月: (俺なんてただ、迷惑に なるだけじゃないのか…?)
- 伊勢崎 隼人: 和泉くん、大丈夫…?
- 和泉 壮月: あ…伊勢崎さん すみません、ぼんやりしてて…
- 和泉 壮月: 昨日のヘマした分 取り返さないといけないのに
- 伊勢崎 隼人: 昨日のことは、 誰も気にしてないと思うよ
- 伊勢崎 隼人: 和泉くんたちに ケガがなかっただけで十分
- そうだぜ、暗い顔してると イケメンが台無しだぞ
- 和泉 壮月: イケメンじゃないんで…! からかわないでください!
- ははっ、元気が出たとこで 作業するぞ!
- 塔立てるらしいから気張れよ!
- 和泉 壮月: (ここのやつらは みんないーやつらだよな…)
- 和泉 壮月: (学生会議の外も こうだったら…)
- 和泉 壮月: (…ってこうじゃないから 神浜学生会議があるんだよな)
- 和泉 壮月: (誰かを恨んでも変わらねぇから 頑張ってる)
- 和泉 壮月: 少しずつ進むしかないって わかってても
- 和泉 壮月: やるせねぇよ…
- おーい! 和泉ー!
- 和泉 壮月: あっ、すみません すぐ行きます!
- 十七夜: …………
- みたま: みんなぁ、お疲れ様~!
- みたま: ライティングもいい感じだし 衣装も馴染んでいるわねぇ…
- 塩屋 晴海: …きれい
- 塩屋 晴海: …本当に誰が誰なのか わからないなぁ…
- 塩屋 晴海: (“何者でもなくなる”)
- 塩屋 晴海: (…ここでなら、私は)
- 塩屋 晴海: (“水名で生まれ育った 塩屋晴海”じゃなくて…)
- 塩屋 晴海: (仮面をつけてパーティーを 楽しむただひとりの人間)
- 塩屋 晴海: (誰でもないから 町のことも家のことも関係ない)
- 塩屋 晴海: (ここには私を悩ませるものは 何もないから…)
- 塩屋 晴海: (憂いもなくあの人と 一緒にいられる…かも)
- 塩屋 晴海: 私…本当に…
- 塩屋 晴海: “何者でもなければ” よかったのに…
- みたま: …………
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- 塩屋 晴海: 私…本当に…
- 塩屋 晴海: “何者でもなければ” よかったのに…
- 塩屋 晴海: (なんて… そんなこと叶うわけないのにね)
- 十七夜: ―十七夜― 悩めるお嬢さん
- みたま: ―みたま― その願い わたしたちが叶えましょう
- 塩屋 晴海: ―晴海― えっ… なぎたんさんとみたまさん…?
- ???: ―???― あらぁ わたしはみたまじゃないわぁ
- 常闇の淑女: ―常闇の淑女― 常闇の淑女よぉ♪
- ???: ―???― じ、自分は… 常闇の…仮面?…だ?
- 常闇の淑女: ―常闇の淑女― もうちょっとあるでしょぉ… 騎士とか
- 常闇の騎士: ―常闇の騎士― …む 失礼、常闇の騎士だ
- 常闇の淑女: わたしはベールを被ったわ
- 常闇の騎士: 自分も仮面を被ったぞ
- 塩屋 晴海: えっ…えっと…
- 常闇の淑女: だからねぇ…
- 常闇の淑女: 終わらないハロウィンに 連れて行ってあげる!
- 塩屋 晴海: あ…
- 塩屋 晴海: (もしかして、 常闇ツアーの練習…?)
- 常闇の淑女: さぁ、行きましょう? 永遠の闇に…
- 塩屋 晴海: はい…
- 塩屋 晴海: わぁ…外もすごいですね…
- 塩屋 晴海: (中の会場担当だったから 完成したところは初めて見る…)
- 塩屋 晴海: (…私たちが 作ったもののはずなのに)
- 塩屋 晴海: (ちょっと…怖い)
- 常闇の淑女: 素敵でしょう…?
- 常闇の淑女: 今日からあなたも ここの住人になるのよ
- 常闇の淑女: “何者でもない者”としてねぇ ふふ…
- 塩屋 晴海: 永遠に…?
- 常闇の淑女: そう…永遠に、よぉ…
- 常闇の騎士: だが、その目は まだ闇になれないだろう
- 常闇の騎士: しばらくは自分が君の手を引こう
- 塩屋 晴海: ありがとうございます なぎたんさん…
- 常闇の騎士: 自分はなぎたんではないぞ 常闇の騎士だ
- 塩屋 晴海: …あの、どこまで行くんですか?
- 常闇の騎士: どこまで? おかしなことを聞くな
- 常闇の淑女: ここは常闇…
- 常闇の淑女: どこまで行っても闇の中なら どこにも行かないのと同じよ…?
- 常闇の淑女: だって、それが…
- 常闇の淑女: 永遠に“何者でもなくなる” ということだもの
- 塩屋 晴海: …………
- 塩屋 晴海: (演出、だよね…?)
- FILENAME: text_517620-8_zmbz5.txt
- 和泉 壮月: 姉さんたちと…塩屋か…? 何やってんだ?
- 名もなき魔導士: いたよ、いたよ! 勇者様を発見だー!
- 和泉 壮月: はっ…!? 何事だ?
- 名もなき踊り子: さぁ、共に参りましょう
- 名もなき踊り子: 迷える少女が 常闇に囚われてしまう前に…
- 和泉 壮月: …常闇ツアーの練習か? でも、俺練習に付き合う気分じゃ
- 名もなき踊り子: 勇者様もまた常闇に 囚われかけている様子
- 名もなき魔導士: ならば我らが 背中を押すしかあるまーい!
- グイグイッ
- 和泉 壮月: だから、 俺以外に頼めって…!
- 名もなき魔導士: でも、あなたが 連れ戻さなくていいの?
- 名もなき魔導士: このままだとあの子は ずっと“何者でもない”ままだよ
- 名もなき踊り子: そして、永遠に闇の世界を 彷徨うことになるのです
- 和泉 壮月: …あの子って、塩屋のことか?
- 名もなき踊り子: ここでは名前は意味を持ちません
- 名もなき踊り子: 誰もが “何者でもない”のですから…
- 名もなき魔導士: さぁさぁ、不安はごもっとも
- 名もなき魔導士: でも、一歩を踏み出さなければ 永遠に闇の中…
- 名もなき踊り子: 共に助けに参りましょう
- 名もなき魔導士: 心を繋げに参りましょう!
- 和泉 壮月: …はぁ、わかった 付き合えばいいんだろ…
- 和泉 壮月: …で、どこにいるんだ?
- 名もなき魔導士: しーっ
- 名もなき魔導士: 見つかったらあなたも 引き込まれちゃうよ
- 名もなき踊り子: あぁ…いらっしゃいました そっとご覧くださいませ
- 常闇の淑女: 心配しないでぇ
- 常闇の淑女: ここでは誰もあなたの気持ちを 踏みにじったりしないわ
- 常闇の騎士: 闇は暗く深い
- 常闇の騎士: 故に悍ましいものが 照らし出されることはない
- 常闇の淑女: あなたは優しく 迎え入れられるの
- 塩屋 晴海: …………
- 和泉 壮月: …みんなが優しいなら それでもいいんじゃないか?
- 名もなき魔導士: でもね、誰とも繋がれないよ?
- 名もなき魔導士: 誰でもないから 誰とも心を繋げられない
- 常闇の淑女: 辛いことに 向き合う必要はないわぁ
- 常闇の淑女: 嫌なことから目を背けて
- 常闇の淑女: 世界を呪って恨んで 弱さに甘えていたっていいのよ
- 塩屋 晴海: …………
- 常闇の騎士: 何者でもなくなった君を 喜んで受け入れよう
- 塩屋 晴海: 私が私じゃなくなれば…
- 名もなき踊り子: 何者でないなら “あの子”は誰…?
- 名もなき踊り子: “あの子”が“あの子”で なくなってしまったら
- 名もなき踊り子: 寄せた想いは どこに行くのでしょう?
- 名もなき魔導士: 我らのように、永遠の闇へ 溶けて消えちゃうのかな?
- 名もなき者踊り子&名もなき魔導士: 「もう守れないね」
- 和泉 壮月: …!
- 常闇の淑女: さぁ、受け入れて 常闇の住人になりましょう
- 塩屋 晴海: …私を捨てて
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- 常闇の淑女: さぁ、受け入れて 常闇の住人になりましょう
- 塩屋 晴海: …私を捨てて
- 和泉 壮月: ちょっと待て!
- 和泉 壮月: 自分じゃなくなるとか 自分を捨てるとかやめろよ…!
- 和泉 壮月: 辛いんなら俺が守るから
- 塩屋 晴海: あ…
- 塩屋 晴海: (和泉、くん…)
- 塩屋 晴海: (…なんだか 夢を見ていたみたい)
- 和泉 壮月: それに…このままでもダメだろ
- 和泉 壮月: 学生会議のみんなは優しいし いいやつらばっかだけど
- 和泉 壮月: ここだけで完結してたら ダメだから
- 和泉 壮月: みんな集まったんだろ 変えてくためにさ…!
- 和泉 壮月: 出身とか育ちで 辛い思いしないために…
- 和泉 壮月: あぁっ!!もう自分でも 何言ってんのかわかんねぇけど!
- 塩屋 晴海: …ううん、 私には伝わったよ
- 塩屋 晴海: 私、やっぱり 終わらないハロウィンは嫌です
- 常闇の淑女: あらぁ… 現実は辛いだけよぉ
- 塩屋 晴海: …“私”の気持ちは “何者でもない”誰かじゃなくて
- 塩屋 晴海: “私”のものじゃないと ダメだから…
- 常闇の騎士: だが、外の世界は冷たい
- 常闇の騎士: 叩かれれば折れる 折れ曲がれば歪む
- 塩屋 晴海: 折れれば繋ぎ直します 曲がったら戻します
- 塩屋 晴海: 歪んだら正せばいい
- 塩屋 晴海: 私ひとりではできなくても
- 塩屋 晴海: 助けてくれる人が… 助けてくる人たちがいます
- 常闇の淑女: …本当にそうかしら?
- 塩屋 晴海: おふたりと一緒に この闇の中を歩いてわかりました
- 塩屋 晴海: 「常闇の世界を彩るたくさんのオブジェクト それらを映し出す微かな明かり …その中に潜むための衣装」
- 塩屋 晴海: 全部、みんなで少しずつ 時間をかけて作ったものです
- 塩屋 晴海: ひとりでは決して作れない
- 塩屋 晴海: でも、ひとりじゃなかったから 作り上げることができた…
- 塩屋 晴海: 私たちの活動と同じですね
- 和泉 壮月: …!
- 和泉 壮月: みんなで支え合って 励まし合って作り上げる…
- 塩屋 晴海: うん 私たちが作ろうとしてる未来にも
- 塩屋 晴海: ちょっとずつ 進んでいくしかないんだと思う
- 塩屋 晴海: 急いでも、逃げ出しても 作り出せないの
- 塩屋 晴海: だから、私に必要なのは 仲間に甘えることじゃなくて…
- 塩屋 晴海: 仲間と一緒に諦めない“強さ” 私自身に負けない心を持つこと
- 塩屋 晴海: そうですよね、常闇の淑女さん
- 常闇の淑女: …………ええ
- 和泉 壮月: …………
- 和泉 壮月: 俺も、わかったよ 守ってやれるかどうかじゃなくて
- 和泉 壮月: 必要なのは… 支え合い、励まし合って
- 和泉 壮月: 一緒に目的へ進んでいく そういう覚悟だったんだな
- 常闇の騎士: …うむ、 ひとりで抱えず、な
- 和泉 壮月: だからさっ、 俺と…
- 塩屋 晴海: 待って
- 塩屋 晴海: 私、今は何者でもないよ
- 塩屋 晴海: ハロウィンが終わるまでは 私は何者でもないままなの
- 和泉 壮月: …!
- 塩屋 晴海: それは、何者でもない 私が聞いていいことなの?
- 和泉 壮月: いや、俺もこの格好じゃ 何者でもないしな…
- 和泉 壮月: ハロウィンが 終わってからにするよ
- 塩屋 晴海: うん
- 御園 かりん: 常闇ツアー特別版大成功なの!
- 御園 かりん: …でも、ちょっと怖すぎたから 本番用に手直しするの…
- みたま: ふふ… ちょっと熱が入り過ぎたわね
- 十七夜: うむ、お節介が過ぎたかもしれん
- みたま: でも、 見ていられなかったんだものぉ…
- 空穂 夏希: 緊張したぁ…
- 江利 あいみ: でも、よかったよ! 本番もこの調子で頑張って!
- 相野 みと: 今回は、魔法を使わなくても 心を繋げられたかな?
- 桑水 せいか: うん、ばっちりだと思う
- 伊吹 れいら: お疲れ、みと!
- みたま: わたしたちも 持ち続けないといけないわね
- みたま: “自分に負けない強さ”
- 十七夜: うむ… この賑やかな仲間たちと共にな
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- みたま: さぁ、みんな ハロウィン本番よぉ~!
- ももこ: アタシら、宣伝部隊も 気合を入れて広報したからな
- ももこ: 忙しくなるぞ!
- 十七夜: これまでの準備を活かして 存分にもてなそう
- みんな: 「おーっ!!」
- ???: トリックオアトリート!
- ???: 闇色ハロウィンパーティーに ようこそ!
- ???: “何者でもない者”として パーティーを楽しんでもらうため
- ???: トリックとしてこちらの仮面を つけていただいております
- ???: こちらの交流用のお菓子と一緒に
- ???: 日常を忘れてパーティーを 楽しんでくださいね!
- ありがとう!
- ???: 常闇ツアーに参加ご希望の方は こちらに集まってください
- ???: 順番にご案内します!
- 常闇の淑女: 闇色ハロウィンパーティーの 常闇ツアーにようこそ…
- 常闇の淑女: これよりご案内しますは… 常闇の世界
- 常闇の淑女: 優しく甘ぁ~い 闇の世界でございます…
- 名もなき魔導士: このままだと闇に呑まれて 戻れなくなっちゃう!
- 名もなき魔導士: でもね、心配しないで ちょっとだけ助けてあげるから!
- 名もなき踊り子: 怖がる必要はございません…
- 名もなき踊り子: 己を強く持つこと… それだけで大丈夫なのです
- 常闇の騎士: …ふっ、ここまでたどり着くとは 余程強い心の持ち主なのか
- 常闇の騎士: それとも、貴様の采配か?
- 常闇の淑女: ふふっ… 強き心を闇に染めること…
- 常闇の淑女: それがわたしの使命だもの
- ???: …ふぅ
- ???: はい、よかったら飲んで
- ???: どーも 休憩か?
- ???: うん、 常闇ツアーはどう?
- ???: 姉さんが怖すぎて泣く子どもが 続出してる以外は問題ない
- ???: ふふっ… 迫真の演技だもんね
- ???: 受付や交流スペースはどうだ?
- ???: 問題はないけど…
- ???: 知らない人と積極的に 交流しようとする人は少ないかな
- ???: 一緒に来た人と楽しむ方が 気楽だろうし
- ???: 仕方ないとは思うけど…
- ???: まぁ、まだ1歩目だしな
- ???: うん、今回は同じ空間を 共有してもらうだけでも十分
- ???: …あのさ、姉さんが このイベント終わったら
- ???: 片づける前に常闇ツアーのとこ 開けといてくれるっていうから
- ???: 少し…時間もらってもいいか?
- ???: …うん、いいよ
- ???: お越しいただき ありがとうございました
- ???: お気をつけておかえりください
- …………
- みたま: 今の人たちが最後のお客様ね…
- 十七夜: うむ、終わった… いや終わってしまったな
- みたま: でも、もうひと仕事あるのよねぇ
- 十七夜: …む? トラブルでもあったか?
- みたま: あなたの弟の行く末を 見届けないとっ!
- 十七夜: …野次馬根性はよくないぞ
- みたま: そうじゃなくて 花を添えてあげるのよ
- みたま: 常闇はもう終わりなんだからぁ
- 和泉 壮月: …………
- みたま: いたわねぇ
- 十七夜: 何をするつもりだ?
- みたま: 待って、まだよぉ…
- 塩屋 晴海: お待たせ…
- 和泉 壮月: お、おう…
- みたま: 今ね
- 塩屋 晴海: ―晴海― …灯が…きれい…
- 和泉 壮月: ―壮月― (姉さんたちだな…)
- 和泉 壮月: ―壮月― …………あのさ… えっと…………
- 和泉 壮月: ―壮月― (くそっ…考えてきたのに 全部飛んだ…!)
- 和泉 壮月: ―壮月― その…好き、好き…だ!
- 和泉 壮月: ―壮月― 苦労も多いと思う けど、晴海さんのことが好きだから
- 和泉 壮月: ―壮月― …一緒に頑張っていきたい
- 塩屋 晴海: ―晴海― …わた、しも 私も壮月くんのことが好きだよ…
- 塩屋 晴海: ―晴海― 壮月くんがくじけることがあったら 私が支えるから
- 塩屋 晴海: ―晴海― 私がくじけちゃったときは 一番近くで壮月くんに支えてほしいの
- 塩屋 晴海: ―晴海― そういう関係に、なりたい!
- 十七夜: ―十七夜― …ここで何か言うのは野暮だろうか
- みたま: ―みたま― そうねぇ… 黙って泣いておきなさい
- みたま: ―みたま― (そう…“よかった”なんて 言葉すら野暮だわ…)
- みたま: ―みたま― (わたしたちも彼らも ここからよ…)
- みたま: ―みたま― (大きな大きな、小さな1歩目を 踏み出したばかりだもの)
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