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Dec 4th, 2023 (edited)
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  1. FILENAME: text_907101-010.txt [Day 1]
  2. ひび割れた
  3. 信頼は
  4. 心に刺さったままで
  5. ジリリリリリ!
  6. まばゆ: …………
  7. まばゆ: ひどい、目覚めですね…
  8.  
  9. FILENAME: text_907101-030.txt
  10. まばゆ: 前回は…すみませんでした
  11. ほむら: 謝ることはないわ
  12. ほむら: 後半の展開をフローチャートに 書き加えたのは無駄ではないし
  13. ほむら: 私だって、できれば美樹さやかを 排除したくはなかった
  14. まばゆ: それで…どうしますか?
  15. まばゆ: 次は、美樹さんの契約も 先回りで阻止することに…?
  16. ほむら: 考えていたのだけれど あまり現実的ではないわ
  17. ほむら: 何度も繰り返せば、キュゥべえの 先回りも可能だろうけれど…
  18. ほむら: できる限り、不幸になる まどかを見たくはない
  19. まばゆ: 同感ですけど それじゃあ私たちはどうすれば…
  20. ほむら: 難しく考えることはないわ
  21. ほむら: 前回と同じ方針でいきましょう
  22. まばゆ: 前回と…同じ?
  23.  
  24. FILENAME: text_907111-050.txt [Day 11]
  25. カランカラン
  26. さやか: ありがとうございましたー!
  27. さやか: ふぅー!終わった終わったぁ!
  28. 咲笑: うふふふふ、ありがとうね さやかちゃん
  29. 咲笑: あなたみたいな元気な子が 来てくれて助かるわぁ
  30. まばゆ: (構築したフローチャートが 無駄にならないように…)
  31. まばゆ: (なるべく 前の周と同じ行動をとる)
  32. まばゆ: (ってことで、無事に美樹さんを お手伝いに誘ったわけですが)
  33. さやか: で、まばゆセンパイ
  34. まばゆ: あ、はい
  35. さやか: なんであたしに 声かけたんですか?
  36. まばゆ: えっと…美樹さん お金に困ってそうだなって
  37. まばゆ: いつも、CD売り場で じーっと品定めしてますよね?
  38. さやか: あ…見られてました?
  39. まばゆ: クラシック、好きなんですよね?
  40. さやか: えへへへ、似合わないですよねー
  41. まばゆ: いやいや、人は見かけに よらぬもの、っていいますし
  42. さやか: あはははは…ですよねー
  43. まばゆ: (あ、やば…)
  44. まばゆ: (クラシックが似合わないって 肯定しちゃってるし、私)
  45. まばゆ: (なんとかこう…話題を… 前向きになれる、話題を…)
  46. まばゆ: あー、あの…美樹さん 映画って、見たりします?
  47. さやか: え、映画ですか? まあ、人並みには…かな
  48. さやか: まばゆセンパイは…
  49. まばゆ: はい、はい、大好物です
  50. まばゆ: 音楽のことはそんなに詳しく ないですけれども…
  51. まばゆ: 音楽をテーマにしてるのなら 結構観てますよ!
  52. まばゆ: 私のライブラリにも お気に入りがありましてね…
  53. まばゆ: 賞を総ナメにした モーツァルトの伝記映画で…
  54. さやか: あ、それ 話は聞いたことがあるかも
  55. まばゆ: あ、ご存じでしたか
  56. まばゆ: もし良かったら、今度 お貸ししましょうか?
  57. さやか: はい、ぜひ!!
  58.  
  59. FILENAME: text_907111-060.txt
  60. ほむら: なかなか上手くやっている みたいじゃない
  61. まばゆ: え、いや、まあ…
  62. ほむら: 少しはコミュニケーション スキルが上がったってことかしら
  63. まばゆ: と、とんでもない!
  64. まばゆ: そりゃまあ、前回何を失敗したか くらいは反省会しますし…
  65. まばゆ: 相手の好きなものがわかれば 多少はやりようもあるってもので
  66. まばゆ: どう返答すれば好感度が上がるか 攻略法も見えてくるってものです
  67. ほむら: …………
  68. まばゆ: え?なんです?
  69. ほむら: なんだか、ゲームの話みたいね
  70. まばゆ: !?
  71. まばゆ: なんか、その言い方が…
  72. ほむら: でも、好感度が上がれば 美樹さやかの苦しみは軽減される
  73. ほむら: あなたがまどかの代わりを 果たす…
  74. ほむら: それが、今回の方針よ
  75. まばゆ: な、なるほど…
  76. まばゆ: それじゃあ私、このまま 美樹さんルートの攻略ですか?
  77. ほむら: ファイト
  78. まばゆ: うううう…
  79.  
  80. FILENAME: text_907114-025.txt [Day 14]
  81. お会計お願いします
  82. さやか: …………
  83. あ、あの…
  84. さやか: …………
  85. すいませーん
  86. まばゆの声: あ、はいはい!今行きまーす!
  87. さやか: あ…
  88. まばゆ: お会計、千円ちょうどでーす
  89. チーン
  90. まばゆ: ありがとうございましたー
  91. カランカラン
  92. さやか: またお越し下さいませ…
  93. まばゆ: (美樹さん、元気がない…)
  94. まばゆ: (そういえば、前の周でも 似たような感じでしたね)
  95. まばゆ: (あ…あれ?確か暁美さんの フローチャートによれば…)
  96. まばゆ: (美樹さんは明後日 魔法少女になってるはずで…)
  97. まばゆ: (ってことは、この日に元気が なかったのって、もしかして…)
  98. さやか: あ、あの…映画、貸してくれて ありがとうございました!
  99. まばゆ: あっ、も、もう見たんですか!?
  100. さやか: はい、前から、興味あったんで
  101. まばゆ: いやーすごいですよねえこの映画
  102. まばゆ: モーツァルト役の役者さんは 映画のためにピアノを猛特訓
  103. まばゆ: 映っているのも吹き替えなし 本人の指の動きだっていいますし
  104. まばゆ: 音楽や考証も多少アラはあっても かなり忠実にやったみたいで
  105. まばゆ: 例えば室内のシーンは蝋燭の火 だけで映像を撮ろうとしたとか
  106. まばゆ: でも普通のレンズでは光量が 足りないわけですね、そこで…
  107. さやか: …………
  108. まばゆ: !?
  109. まばゆ: (わ、私 またやっちゃいました…?)
  110. まばゆ: (お、オタク特有の… 早口でまくし立てるヤツ…)
  111. まばゆ: (は、は…反省…)
  112. さやか: あの映画を見て、運命って 皮肉だなって、思ったんです
  113. まばゆ: 運命…ですか?
  114. さやか: 才能があっても、努力しても 幸せになれないって…
  115. さやか: そんなの、悲しすぎるなって
  116. さやか: 悪いヤツがひどい目に遭って がんばった人が報われる
  117. さやか: そういう話があっても いいと思うんですよね
  118. まばゆ: (おっと… 焦っちゃ駄目ですよ、私)
  119. まばゆ: (前回はここで自論を展開して 引かれちゃいましたからね)
  120. まばゆ: (もっとこう、美樹さんに 共感を得られるように…)
  121. まばゆ: その気持ち、よくわかります!
  122. まばゆ: 世の中、何もかも 理不尽すぎるんですよ
  123. さやか: まばゆセンパイ?
  124. まばゆ: いっそ、正義の味方みたいな人が いてくれたら…とか思います!
  125. さやか: 正義の味方…?あはは
  126. まばゆ: あ…あれ?
  127. まばゆ: 私もしや、ヒーロー映画の 見過ぎ…みたいな感じです?
  128. さやか: ううん、センパイらしくて いいと思いますよ?
  129. まばゆ: あ、ありがとうございます…
  130. まばゆ: (あれれ?あれれれ?)
  131. まばゆ: (美樹さん、別に正義の味方に なりたいわけじゃなかった…?)
  132. まばゆ: (あー、待ってそれじゃ…)
  133. まばゆ: (美樹さんって、何を願って キュゥべえと契約したんです?)
  134.  
  135. FILENAME: text_907115-025.txt [Day 15]
  136. ガラガラ…
  137. さやか: あっ
  138. 看護師: あら、上条くんのお見舞い?
  139. さやか: え、ええ…
  140. 看護師: ごめんなさいね
  141. 看護師: 診察の予定が繰り上がって 今ちょうどリハビリ室なの
  142. さやか: そうでしたか…どうも
  143. 看護師: よく来てくれるわよね、あの子
  144. 看護師: 助かるわ 難しい患者さんだしね
  145. 看護師: 励ましになってくれてると いいんだけど
  146. 看護師: 事故に遭う前は、天才少年 だったんでしょ、ヴァイオリンの
  147. 看護師: 歩けるようになったとしても 指の方はね…
  148. 看護師: もう二度と楽器を弾くなんて 無理でしょうね
  149. まばゆ: (お…おう、なるほど… そういうことですか?)
  150. まばゆ: (上条くん…名前は聞いていたのに まさか見逃すとは)
  151. まばゆ: (誰かの病気を治すなんて 一番わかりやすい願い…)
  152. まばゆ: (真っ先に、疑って 然るべきでした…)
  153. ???: おや?
  154. まばゆ: ひえっ
  155. まばゆ: きゅ…キュゥべえ!
  156. キュゥべえ: まばゆじゃないか
  157. キュゥべえ: こんなところで 何をしているんだい?
  158. まばゆ: なにをって、えっと… ちょっと、配達に…
  159. さやか: まばゆセンパイ?
  160. さやか: センパイも…キュゥべえと 話せるんですか!?
  161. まばゆ: (あ、やっべー)
  162.  
  163. FILENAME: text_907115-030.txt
  164. まどか: あれ?さやかちゃんに… 愛生さん?
  165. まばゆ: あ、どうもどうも
  166. まばゆ: ケーキの配達中 偶然会っちゃいまして
  167. まどか: いつもさやかちゃんが お世話になってます!
  168. まどか: あと、まかないのケーキも おすそわけしてもらってます!
  169. まどか: とってもおいしいです!
  170. まばゆ: ええ、そうでしょう?
  171. まばゆ: つい、夜中に摘んでしまいたく なりますよねぇ…
  172. まばゆ: と、適当に会話をこなしつつ…
  173. まばゆ: 暁美さん、バレちゃったの どうしましょう…?
  174. ほむら: どうする気?
  175. まばゆ: どうしますかね?
  176. ほむら: どうしようもないんじゃない?
  177. まばゆ: ですよねー
  178. ほむら: まあ…でも、かえって 好都合なんじゃないかしら
  179. まばゆ: え?
  180. ほむら: 前回、美樹さやかが敵対したのは あなたの嘘が決定打だった
  181. ほむら: どうせ仲間に引き込むつもりなら 自分の正体は明かすべきよ
  182. まばゆ: あー、なるほど…
  183. ほむら: そろそろ時間ね
  184. まばゆ: あ…はい、そっちの方は よろしくお願いします
  185. まばゆ: (さて…と 問題はこっちですが)
  186. キュゥべえ: …………
  187. まどか: え?さやかちゃん…
  188. まどか: 足元にいるのは…ネコ?
  189. キュゥべえ: はじめまして、鹿目まどか ボクの名前はキュゥべえ
  190. キュゥべえ: やっと会えたね
  191. まどか: やっと…?
  192. さやか: なんだかわかんないけど、今まで 近づけなかったんだって
  193. まどか: え、ええと…どういうこと?
  194. キュゥべえ: 大丈夫 ボクからの提案は単純さ
  195. キュゥべえ: ボクと契約して、魔法少女に なってほしいんだ
  196. まどか: 魔法少女…?
  197. まばゆ: (ま、それだけは何があっても 阻止させてもらいますけどね…)
  198.  
  199. FILENAME: text_907115-060.txt
  200. さやか: いやー、でもまさかセンパイが 魔法少女だったなんてなー
  201. まばゆ: すみません、隠したつもりは なかったんですけど…
  202. さやか: まー、こんなこと他の誰にも 言えないですよねー
  203. さやか: 言っても信じてもらえないし
  204. まばゆ: ですです
  205. さやか: ちなみにセンパイは 何を願ったんですか?
  206. まばゆ: え…
  207. さやか: 魔法少女になったんなら キュゥべえと契約したんじゃ?
  208. まばゆ: あー、えっと… そのはず、なんですけどね
  209. まばゆ: 私には、その時の記憶が なぜかなくて
  210. さやか: えー!?
  211. さやか: せっかくの契約なのに 何を願ったのか忘れたなんて
  212. さやか: それって、めっちゃもったいない
  213. まばゆ: あはははは… 私もそう思います
  214. まばゆ: 今願うなら、きっと、世界中の 映画を無料で観たいとか…
  215. まばゆ: そういう願いをすると 思うんですけど
  216. さやか: 確かに、センパイらしいかも
  217. まばゆ: でも…ちょっとだけ 心当たりがなくはないんですよね
  218. まばゆ: 私のお母さん、有名な占い師で 良く当たるって評判で…
  219. まばゆ: でもある日、自分の死期を 悟っちゃったんです
  220. さやか: 自分の死期を…?
  221. まばゆ: はい、未来に絶望して ずーっと落ち込んじゃって…
  222. まばゆ: でも、記憶の中だと 最後のお母さんは笑顔で…
  223. まばゆ: とっても、幸せそうだったんです だから…
  224. まばゆ: 私の願いは苦しみを取り除くこと だったのかも…って
  225. さやか: まばゆセンパイ…
  226. さやか: あなたは、大切な人のために 願いを使ったんですね…
  227. まばゆ: え?あー、想像ですよ、想像
  228. まばゆ: 契約したときの記憶は 自分にもないですし…
  229. まばゆ: (っていうか…なんで 記憶がないんだろ…)
  230. まばゆ: (謎すぎます)
  231. まばゆ: (自分で、自分の過去の 記憶を消した…とか?)
  232. まばゆ: (なんで?)
  233. さやか: まばゆセンパイ!
  234. まばゆ: あ…はい
  235. さやか: お話を聞かせてくれて ありがとうございましたっ!!
  236. まばゆ: は…はい…
  237.  
  238. FILENAME: text_907116-015.txt [Day 16]
  239. さやか: …………
  240. まばゆ: (やっぱり、病院に来ましたね)
  241. まばゆ: (美樹さんは、この日の夜に 魔法少女として現れました)
  242. まばゆ: (ならばきっとこの先 キュゥべえと契約をするはず…)
  243. さやか: 何を聴いているの?
  244. 恭介: 亜麻色の髪の乙女
  245. さやか: ああ、ドビュッシー? 素敵な曲だよね
  246. さやか: あたしってほら こんなだからさぁ
  247. さやか: クラシックなんて聴くがらじゃ ないだろって…
  248. さやか: みんなが思うみたいでさ
  249. さやか: あ、でも…最近、ケーキ屋さんの お手伝いをしてて…
  250. さやか: ケーキ屋さんのセンパイにも 見かけによらない…とか言われて
  251. さやか: でもさ、別にいいんだ
  252. さやか: 似合わなくっても、恭介が 聴くきっかけをくれたから…
  253. まばゆ: (やっぱり…)
  254. まばゆ: (美樹さんは 上条さんのことが…)
  255. 恭介: …さやかはさ
  256. さやか: なあに?
  257. 恭介: さやかは僕を いじめてるのかい?
  258. まばゆ: (は!?)
  259. 恭介: なんで今でもまだ 僕に音楽なんか聴かせるんだ?
  260. まばゆ: (はぁ!?)
  261. 恭介: 嫌がらせのつもりなのか?
  262. まばゆ: (はぁあああ!?)
  263. さやか: だって恭介、音楽好きだから
  264. 恭介: もう聴きたくなんかないんだよ!
  265. 恭介: 自分で弾けもしない曲 ただ聴いてるだけなんて
  266. 恭介: 僕は…僕は…!
  267. まばゆ: (機械粉砕!?)
  268. さやか: ああ!
  269. 恭介: 動かないんだ
  270. 恭介: もう痛みさえ感じない こんな手なんて…
  271. さやか: 大丈夫だよ きっと何とかなるよ
  272. さやか: 諦めなければきっといつか…
  273. 恭介: 諦めろって言われたのさ
  274. 恭介: もう演奏は諦めろってさ 先生から直々に言われたよ
  275. 恭介: 今の医学じゃ無理だって
  276. 恭介: 僕の手はもう二度と動かない
  277. 恭介: 奇跡か魔法でもない限り 治らない…
  278. さやか: あるよ!
  279. 恭介: え?
  280. さやか: 奇跡も魔法もあるんだよ
  281. キュゥべえ: …………
  282. まばゆ: (な…なるほど)
  283. まばゆ: (やはり美樹さん… 上条さんのために、契約を)
  284. まばゆ: (でも…)
  285. まばゆ: (う、ううううう…!!)
  286.  
  287. FILENAME: text_907116-017.txt
  288. さやか: 本当にどんな願いでも叶うんだね
  289. キュゥべえ: …………
  290. さやか: うん、や…
  291. まばゆの声: 待って下さい!
  292. さやか: え…
  293. キュゥべえ: まばゆ…?
  294. さやか: センパイ なんでこんなところに…
  295. まばゆ: あ、えと…ですね
  296. まばゆ: ごめんなさい、さっき配達中 会話が聞こえてきて…
  297. まばゆ: 契約…するんですか? お友だちの、手を治すために
  298. さやか: ちょっと…ううん
  299. さやか: かなり、迷ったんです
  300. さやか: 自分には、選択する力があって 目の前で、苦しんでいる人がいて
  301. さやか: だったら…迷うことなんて ないはずなのに…
  302. まばゆ: やっぱり…納得できて ないんじゃないですか?
  303. まばゆ: だって、さっき、美樹さん、 ひどいこと言われてましたよね?
  304. まばゆ: こんなに心配して、お見舞いに 来てくれてるのに、なのに…
  305. さやか: それも…聞かれちゃいました?
  306. さやか: ひどいですよね
  307. まばゆ: はい、ひどいと思います
  308. さやか: でもね…センパイ
  309. さやか: 恭介は…本当は あんなことは言わなかったんです
  310. さやか: いつもにこやかで、朗らかで 心から、音楽を愛して…
  311. さやか: 真剣に、ひたすら ヴァイオリンに打ち込んで…
  312. さやか: もしも、絶望が恭介を 変えてしまったなら…
  313. さやか: あたしは、彼に希望を与えて あげることができるんです
  314. さやか: またあの、あたしの好きな恭介を 取り戻すことができるんです…!
  315. まばゆ: 美樹さん…
  316. さやか: まばゆセンパイ?
  317. さやか: センパイも… そうだったんですよね?
  318. まばゆ: え…
  319. さやか: 大好きだった人が、 絶望して、苦しんでいたら…
  320. さやか: それをただ、見守るなんて 辛すぎる…!
  321. まばゆ: あ…
  322. まばゆ: (そうか…)
  323. まばゆの母: あなたたちの顔なんて見たくない
  324. まばゆの母: 私なんて、放っておいて!
  325. まばゆ: …………
  326. まばゆ: (まるで別人のように変わって しまった、お母さん…)
  327. まばゆ: (私にはそれが 何よりも辛かった)
  328. まばゆ: (元の姿に戻って欲しかった)
  329. まばゆ: (以前の笑顔が、見たかった)
  330. まばゆ: (もしかしてそれが私の願い だったのかも…?)
  331. キュゥべえ: まばゆ、キミの心配はわかるけど これはさやかの決断だ
  332. キュゥべえ: 彼女の気持ちを、尊重して あげるべきじゃないかな
  333. まばゆ: …そうですね
  334. まばゆ: 美樹さん、ごめんなさい 差し出がましいことを言いました
  335. まばゆ: それがあなたの願いなら…
  336. まばゆ: 魔法少女になって、一緒に 見滝原の平和を守りましょう!
  337. さやか: …はい、まばゆセンパイ!
  338. キュゥべえ: それじゃあ…いくよ
  339. さやかの声: 「ああっ!」
  340. キュゥべえ: さあ受け取るといい
  341. キュゥべえ: それがキミの運命だ
  342.  
  343. FILENAME: text_907116-020.txt
  344. さやか: 初めての魔女退治ですけど まばゆセンパイがいてくれて…
  345. さやか: 安心なような、そうでないよーな
  346. まばゆ: アハハハハ…
  347. ほむら: まばゆ 美樹さやかは契約したの?
  348. まばゆ: あ…はい
  349. ほむら: そう 残念だわ…
  350. まばゆ: (残念…?)
  351. まばゆ: (なんか、意外かも)
  352. まばゆ: (美樹さんが味方になるのは 私たちにもメリットなんじゃ…)
  353. まばゆ: でも、まあ、いいわ
  354. ほむら: あなたがサポートすることで 美樹さやかの負担は減る
  355. ほむら: 結果的に、まどかが契約をする 理由もなくなるはずよ
  356. ほむら: 次の魔女は、よろしくお願いね
  357. まばゆ: わかりました 美樹さんと一緒に、やってみます
  358. さやか: あ…こっちの方から反応が…
  359. まばゆ: 美樹さん ちょっと、いいですか?
  360. さやか: え…なんです、センパイ?
  361. まばゆ: 私の魔法を、お見せします
  362. まばゆ: ま、視るのは私なんですけど
  363. さやか: へ?
  364. まばゆ: 近づいてもらえます?
  365. さやか: 近づく…?
  366. まばゆ: そう
  367. まばゆ: 私が使うのは…
  368. まばゆ: 未来を視る魔法
  369. さやか: あ…
  370. さやか: え?なに、今の…
  371. まばゆ: …うん
  372. まばゆ: 今、あなたの未来を視ました 大丈夫、今日のあなたは勝てます
  373. まばゆ: ちなみに ラッキーミュージックは…
  374. さやか: 占い!?
  375. まばゆ: ヴァイオリン・ソナタ 第5番へ長調「春」です!
  376.  
  377. FILENAME: text_907116-030.txt
  378. さやか: いくよ
  379. さやか: 再生、開始――
  380. まばゆ: (音楽の調べは、美樹さんの 勝利へのステップ…)
  381. まばゆ: (私から、言葉の指示なんて 必要ないですね)
  382. まばゆ: (戦いに適切な音楽を伝えるのが 彼女を一番強くする方法!)
  383. さやか: でやあ――――ッ!!
  384. さやか: やりました、センパイ!
  385. さやか: ラッキーミュージック めっちゃ効きましたッ!
  386.  
  387. FILENAME: text_907118-010.txt [Day 18]
  388. さやか: ありがとうございましたー またのお越しをおまちしてまーす
  389. まばゆ: (あー、あった 前回もあった)
  390. まばゆ: (魔法少女になってハイなのかと 思ってましたが…)
  391. 咲笑: さやかちゃーん
  392. さやか: あ、はい!咲笑さん
  393. 咲笑: ご注文のケーキは、こういうので どうかしら?
  394. まばゆ: (願いが叶ったことを 喜んでたんですねぇ…)
  395. さやか: わかりました!トローネで お願いします!
  396. 咲笑: はいはい、まいどありー
  397. まばゆ: 上条さんの回復は 順調なんですね?
  398. さやか: おかげさまで
  399. さやか: 足のリハビリはまだなんですけど 手の方は、ちゃんと動けて…
  400. さやか: それで昨日 ヴァイオリンを演奏したんです
  401. さやか: その音色が、本当に、美しくて…
  402. さやか: あたし、自分の決断が間違って なかったんだなって
  403. さやか: 後押ししてくれて ありがとうございました!
  404. まばゆ: いえいえ、なんのなんの
  405. まばゆ: (美樹さん、まさに 幸せの絶頂…ですね)
  406. まばゆ: (この彼女が、たった4日で 別人みたいに落ち込む…)
  407. まばゆ: (前回はそれがきっかけで 鹿目さんが契約しました)
  408. まばゆ: (今回は、私がそばに いますから…)
  409. まばゆ: (その運命は 絶対に避けてみせますよ)
  410.  
  411. FILENAME: text_907122-010.txt [Day 22]
  412. さやか: それで、話ってなに?
  413. 仁美: 恋の相談ですわ
  414. まばゆ: (あ)
  415. 仁美: 私ね、前からさやかさんや まどかさんに…
  416. 仁美: 秘密にしてきたことがあるんです
  417. さやか: えっ…うん…
  418. 仁美: ずっと前から、私…
  419. 仁美: 上条恭介くんのこと お慕いしていましたの
  420. さやか: あっ…
  421. まばゆ: (あー…)
  422. さやか: そ、そうなんだ…
  423. さやか: あははは…まさか仁美がねぇ
  424. さやか: なんだ 恭介のヤツ、隅に置けないなぁ…
  425. 仁美: さやかさんは上条くんとは 幼馴染でしたわね
  426. さやか: まあ…その、腐れ縁て言うか なんて言うか…
  427. まばゆ: (あー…あー…あー…)
  428. 仁美: 本当にそれだけ…?
  429. 仁美: 私、決めたんですの もう、自分に嘘はつかないって
  430. 仁美: あなたはどうですか?
  431. 仁美: さやかさん、あなた自身の 本当の気持ちと向き合えますか?
  432. さやか: な、何の話をしてるのさ…
  433. 仁美: あなたは私の大切なお友だちですわ
  434. 仁美: だから抜け駆けも横取りする ようなこともしたくないんですの
  435. 仁美: 上条くんのことを見つめて いた時間は…
  436. 仁美: 私よりさやかさんのほうが 上ですわ
  437. 仁美: だからあなたには私の先を越す 権利があるべきです
  438. さやか: 仁美…
  439. 仁美: 私、明日の放課後に 上条くんに告白します
  440. 仁美: 丸1日だけお待ちしますわ
  441. 仁美: さやかさんは後悔なさらないよう 決めて下さい
  442. 仁美: 上条くんに気持ちを 伝えるべきかどうか
  443. さやか: あ、あたしは…
  444. さやか: …………
  445. まばゆ: (ああ、これが…)
  446.  
  447. FILENAME: text_907122-020.txt
  448. さやか: ありがとう…ございましたぁ…
  449. さやか: …………はぁ
  450. まばゆ: (この落ち込みの原因ですか)
  451. まばゆ: (密かに想いを寄せた相手が 親友とカブっていたなんて)
  452. まばゆ: (前周も急に落ち込んでましたが こういう理由だったんですね)
  453. まばゆ: (友情が信じられなく なっていたところに…)
  454. まばゆ: (私が魔法少女なのを 隠していたと知ったなら…)
  455. まばゆ: (激怒して当然ですね)
  456. まばゆ: (彼女の絶望を救ったのは 親友の鹿目さんの契約で…)
  457. まばゆ: (でも今回は、彼女を 魔法少女にはできない)
  458. まばゆ: (彼女を元気づけられるのは 私だけ、です)
  459. まばゆ: (でも…どう切り出せば?)
  460. まばゆ: (盗み聞きしてたなんてバレたら 逆効果、ですよねー…)
  461. まばゆ: (しかし…ううう…)
  462. さやか: まばゆセンパイ?
  463. まばゆ: あ、はい
  464. さやか: なんか、変ですけど… 大丈夫ですか?
  465. まばゆ: え?私が!?
  466. まばゆ: (逆に心配された!)
  467. まばゆ: いや…べ、別に、何も…
  468. さやか: …ふーん
  469. まばゆ: (あー、疑われてる…?)
  470. まばゆ: (なんか、ますます 切り出し辛くなってしまった…)
  471.  
  472. FILENAME: text_907122-030.txt
  473. まばゆ: (い、いや…でも!!)
  474. まばゆ: (でもでもでもでも!!)
  475. まばゆ: (鹿目さんだって、様子が おかしいって心配してたし…)
  476. まばゆ: (ここは…ここは…)
  477. まばゆ: (ト、ト、トトト…)
  478. まばゆ: (トモダチ…と、して…!!)
  479. さやか: まばゆセンパイ
  480. まばゆ: あっ、はいっ!
  481. さやか: センパイって、未来が 視えるんですよね?
  482. まばゆ: え、ええ…まあ
  483. さやか: それって別に、魔女との戦い だけじゃなくて…
  484. さやか: 普通の出来事も、視えますか?
  485. まばゆ: そうですね、あんまり やったことはないですけど
  486. さやか: それじゃあ、あの…
  487. さやか: 明日の今頃、あたしがどんな顔を しているのか、視られますか?
  488. 仁美: 丸1日だけお待ちしますわ
  489. まばゆ: (美樹さん…やっぱり…)
  490. まばゆ: (上条さんのことを 諦めきれないんだ…)
  491. まばゆ: 明日くらいなら なんとかなると思いますけど
  492. さやか: センパイ、お願いします!
  493. さやか: なんかこう、頭の中モヤモヤして 魔女退治に支障が出そうで
  494. まばゆ: お安い御用ですよ
  495. まばゆ: (そのくらいで 友情を保てるなら!)
  496. まばゆ: 一応、先に言っておきますけど
  497. まばゆ: 私が視た未来は、視たことが 織り込み済みの未来
  498. まばゆ: 未来は視た時点で確定する 運命を変えることはできない
  499. さやか: 前に聞いた話ですよね
  500. まばゆ: それで、問題ありませんね?
  501. さやか: …はい
  502. さやか: 結論を先延ばしするくらいなら…
  503. さやか: さっさと結果だけ見て、楽に…
  504. さやか: 楽に、なって…
  505. さやか: …………
  506. さやか: あー、すいません! ごめんなさい!
  507. さやか: ナシ!ナシ!今のナシで!
  508. まばゆ: え?
  509. さやか: いや、やっぱりいいです
  510. さやか: もう、迷ってる時点でアウト! っていうか…
  511. さやか: 他力本願はあたしに似合わない っていうか…
  512. さやか: 成功しても、失敗しても それはあたし!
  513. さやか: あたしの未来は、やっぱり 自分で掴まないと!
  514. まばゆ: (それって、つまり 告白するってことですよね?)
  515. まばゆ: それで本当に、いいんですね?
  516. さやか: はい!
  517. さやか: 後悔なんてしないって 決めましたから!
  518. まばゆ: …なら、もう何も言うことは ないです
  519. まばゆ: 自分の力で、未来を選んで下さい
  520.  
  521. FILENAME: text_907122-050.txt
  522. まばゆ: (うん…そうですよね)
  523. まばゆ: (美樹さんは、上条さんに 命懸けで奇跡を贈ったんです)
  524. まばゆ: (なら、後悔のないように…)
  525. まばゆ: (未来視なんかに頼らずに 自分の口で告白を…)
  526. さやか: さあ、来ましたよッ!
  527. まばゆ: 美樹さん!待って下さい!
  528. まばゆ: 未来視がまだ…
  529. さやか: 大丈夫ッ!!
  530. さやか: 今日はあたし、覚悟 決まっちゃってますからッ!!
  531. さやか: でやあああーッ!!
  532. さやか: くぅッ!
  533. さやか: なかなか、やるじゃない…ッ!
  534. まばゆ: 美樹さんッ!
  535. まばゆ: (だめ、この魔女は 美樹さんひとりじゃ倒せない)
  536. まばゆ: 暁美さん!暁美さん!!
  537. まばゆ: (…返事、ナシ)
  538. まばゆ: (ああっ、もうこんな時に 暁美さんはどこに…)
  539. さやか: がっ、あっ、あああ…!!
  540. まばゆ: 美樹さんッ!!
  541. まばゆ: (捕まっちゃった!)
  542. まばゆ: (どうします?どうしますか?)
  543. まばゆ: (魔法で使えるのは小さなハサミ それと…)
  544. まばゆ: (暁美さんに借りた銃と爆弾)
  545. まばゆ: (銃を使っても効かなそうだし)
  546. まばゆ: (でも、爆弾を投げたら…)
  547. キュゥべえ: まばゆ
  548. まばゆ: キュゥべえ?
  549. キュゥべえ: 早く、それを投げるんだ!
  550. まばゆ: で、でも…
  551. キュゥべえ: このままだとさやかがやられる!
  552. まばゆ: それは、わかりますけど…
  553. さやか: がっ、あ…あががが…
  554. まばゆ: 美樹さんッ!!
  555. キュゥべえ: 早く、もう時間が…!
  556. まばゆ: う、うううう…
  557. まばゆ: ごめんなさい、美樹さんッ!!
  558. まばゆ: あ…そんな…
  559. キュゥべえ: 心配は要らない
  560. キュゥべえ: そうだろ、さやか
  561. さやか: うん…
  562. まばゆ: あ…美樹さん!!
  563. さやか: あたしの身体の真ん中を 熱い塊が抜けて行ったけど…
  564. さやか: なんか、痛みはないみたい
  565. まばゆ: え…?
  566. さやか: それどころか、身体には 魔力が溢れてて…
  567. キュゥべえ: そうだよ、さやか
  568. キュゥべえ: キミは魔法少女になったんだ
  569. キュゥべえ: その身体は、もう人間の制約に 悩まされることはない
  570. さやか: そっか…そうなんだ…
  571. さやか: だったら、もう…
  572. さやか: こんなヤツに 負けるわけにはいかないッ!
  573. さやか: うおおおおッ!!
  574. さやか: でやあああッ!!
  575. まばゆ: (美樹さんの身体は無事で)
  576. まばゆ: (彼女の戦いは、魔女を 圧倒していました)
  577. まばゆ: (なのに、なぜか…)
  578. まばゆ: (私はその戦い方に 寒気を覚えていて…)
  579. さやか: これでえええッ!!
  580. さやか: 終わりだああああああああッ!!
  581. まばゆ: 美樹さんッ!大丈夫ですか!?
  582. さやか: え?なに?そんなに焦って…
  583. まばゆ: だって、ケガは…
  584. キュゥべえ: さやかを守るのは、癒しの祈りさ
  585. キュゥべえ: ソウルジェムさえ無事なら 爆弾程度なんでもない
  586. まばゆ: でも…
  587. さやか: 自分の痛みだって コントロールできるんだよ
  588. さやか: このくらいなんでもないって
  589. さやか: 今日は、これでおしまいだよね
  590. さやか: それじゃ、また明日
  591. まばゆ: あっ、ちょっと! グリーフシードは…
  592. まばゆ: …行っちゃった
  593.  
  594. FILENAME: text_907123-015.txt [Day 23]
  595. 仁美: おはようございます、まどかさん
  596. まどか: おはよう、仁美ちゃん
  597. まどか: 今日はさやかちゃん お休みだって
  598. 仁美: …ええ、そうですか
  599. まどか: 昨日の夜、寒かったもんね 風邪でもひいちゃったのかな?
  600. まばゆ: (美樹さん…お休みですか?)
  601. まばゆ: (昨日のダメージが 尾を引いているとか?)
  602. まばゆ: (いや、でも…)
  603. 仁美: …………
  604. まどか: 仁美ちゃん?
  605. 仁美: まどかさん
  606. 仁美: あなたには…やっぱり 話しておかなければなりませんね
  607. 仁美: さやかさんも、まどかさんも… 私の大切なお友だちですもの
  608. まどか: え…?
  609. 仁美: 私、今日…上条恭介くんに 告白しようと思っていますの
  610.  
  611. FILENAME: text_907123-038.txt
  612. 恭介: …………
  613. まばゆ: (魔性の男、上条恭介…!!)
  614. まばゆ: (友情を危機にさらしてまで 恋心を叶えようとする…)
  615. まばゆ: (なぜ人は、恋に迷い 恋に恋い焦がれるのか…!)
  616. まばゆ: (その一部始終は、しっかり 目撃しておかないと…)
  617. まばゆ: (いや、でも、本当に美樹さん 来ないつもりですか?)
  618. まばゆ: (昨日はあんなに 前向きだったのに…)
  619. まばゆ: (ってか、このままだとホントに 時間切れで…)
  620. まばゆ: (あっ!)
  621. 仁美: あの…
  622. 恭介: ん…志筑さん
  623. 仁美: よかったら 一緒に帰りませんか?
  624. 恭介: ん…ああ、いいよ
  625. まばゆ: (あああああっ!)
  626. まばゆ: (と、とうとう、タイムアップを 迎えてしまった…?)
  627. ほむら: まばゆ?聞こえる?
  628. まばゆ: あ、はい
  629. ほむら: 今すぐ歩道橋に来て
  630. ほむら: 美樹さやかの様子が おかしいわ
  631. まばゆ: え…
  632. まばゆ: 美樹さんがそこにいるんですか?
  633. ほむら: ええ、まどかが見つけたの
  634.  
  635. FILENAME: text_907123-039.txt
  636. まどか: …………
  637. さやか: …………
  638. まどか: さやかちゃん…大丈夫?
  639. さやか: …まどか
  640. まどか: 仁美ちゃん、今日 上条くんに告白するって…
  641. さやか: 恭介は、ただの幼馴染だよ
  642. まどか: ほんとに…?
  643. まどか: それが…ほんとの さやかちゃんの気持ちなの?
  644. さやか: …………
  645. さやか: あたし、魔法少女なんだ
  646. さやか: 魔女と戦って、叩かれたり 切られたり、突かれたり…
  647. さやか: 昨日なんて、おなかの中を 鉄の塊が貫通してさ
  648. さやか: なのに…体はピンピンしてる 痛みさえ、感じずに済むんだ…
  649. まどか: さやかちゃん…?
  650. さやか: キュゥべえは言ってた
  651. さやか: あたしの身体はもう 人間のものとは違うって
  652. さやか: 魂の入れ物… ただの器にしか過ぎないって
  653. さやか: あたし、もう… 人間じゃないんだよ?
  654. まどか: 違う!さやかちゃんは さやかちゃんだよ!
  655. さやか: それじゃあ、まどかはさ…
  656. さやか: 自分の恋人が、人間じゃない ものだったら、どうするの…?
  657. まどか: え…?
  658. さやか: 好きな人と結ばれて 家族になって、子どももできて…
  659. さやか: 普通の人間だったら 期待するよね?
  660. さやか: でも、あたしはもう無理なの
  661. さやか: だってあたしの身体は ゾンビみたいなものなんだもの…
  662. まどか: そんな…
  663. まばゆ: (そ…そっか)
  664. まばゆ: (この身体、むしろちょっと便利 くらいに思ってましたけど…)
  665. まばゆ: (もしも自分に 好きな人がいたら…)
  666. まどか: でも、さやかちゃんは…
  667. まどか: 上条くんのために 契約したんだよね…?
  668. さやか: まどか、やめて
  669. まどか: 上条くんのために 魔法少女になったのに…
  670. さやか: 違う、違うの…
  671. まどか: 自分の気持ちを隠さなきゃ ならないなんて、そんなの…
  672. さやか: あたしは、そんな…
  673. さやか: 誰かに振り向いて欲しくて 魔法少女になったんじゃないッ!
  674. まばゆ: 投げたっ!?
  675. まばゆ: え?投げたって、何を?
  676. まばゆ: たぶん…ソウルジェムを…
  677. ほむら: ――っ!?
  678. さやか: …………
  679. まどか: さやかちゃん!? 急に、どうしちゃったの?
  680. まばゆ: あ…美樹さん、倒れて…
  681. ほむら: まずい!行くわよ!
  682. まばゆ: え?行くって…
  683. ほむら: ソウルジェムを捜すの!
  684. ほむら: たぶん、トラックに乗って 離れてしまったんだわ!
  685. まばゆ: あ、そうかっ!
  686. まばゆ: (魔法少女の本体は ソウルジェム…)
  687. まばゆ: (あれがなくなると、美樹さんの 体は抜け殻になる…!)
  688. ほむら: どこ…どこに…
  689. まばゆ: だめ…見つからない!
  690. まばゆ: もし、トラックに乗ってるなら かなりの距離ができたはず…
  691. ほむら: ええ、そうね…くっ!
  692. ほむら: 手間取っている暇は、ない…
  693. まばゆ: 暁美さん!
  694. ほむら: 何?
  695. まばゆ: 未来視を使いましょう!
  696. ほむら: !
  697. ほむら: そうか、その手が…!
  698. まばゆ: (私が視るのは、 決定された未来…)
  699. まばゆ: (当てずっぽうに探すなんて 効率が悪いです)
  700. まばゆ: (絶対に見つかるか 絶対に見つからないか…)
  701. まばゆ: (この魔法で 結論を一気に視る!)
  702. まばゆ: 行きます!
  703. ほむら: ええ
  704. ほむら: どう!?
  705. まばゆ: 視えました!
  706. まばゆ: 美樹さんのソウルジェムは あの荷台の中です!
  707. ほむら: ふぅ…危ないところだったわ
  708. まばゆ: 美樹さんのソウルジェムですね 急いで、歩道橋に…
  709. ほむら: !?
  710. まばゆ: ソウルジェムが…消えた?
  711. ほむら: しまった…
  712. ほむら: また、やられた!!
  713. まばゆ: やられた…?
  714. まどか: さやかちゃんっ!!
  715. さやか: まど…か?
  716. さやか: どうして…?
  717. まどか: よかった…よかった…
  718. まどか: さやかちゃん 急に、倒れちゃって…
  719. まどか: 息もしてなくて それで、わたし…
  720. さやか: まどかも…契約、したの?
  721. まどか: うん、キュゥべえが さやかちゃんを助けられるって
  722. キュゥべえ: …………
  723. ほむら: あいつ…ッ! まどかをまた、騙して…!!
  724. ほむら: まどかが契約する必要なんて これっぽっちもない!
  725. ほむら: ソウルジェムを取り返せば いいだけだったのに…!!
  726. まばゆ: 暁美さん!落ち着いて!
  727. まばゆ: 「ウソはついてないよ」とか とぼけるに決まってますし…!
  728. ほむら: わかっているわ! わかっているけれど…!
  729. さやか: どうして…
  730. さやか: あたしのせいで まどかまで、なんで…
  731. まどか: わたしが、さやかちゃんを 救いたかったから
  732. さやか: でも…!
  733. まどか: 後悔なんて、ないよ
  734. さやか: ぁ…
  735. まどか: 一緒に、悪い魔女を倒そう さやかちゃん
  736. さやか: …うん
  737.  
  738. FILENAME: text_907123-060.txt
  739. ほむら: …………
  740. まばゆ: …………
  741. ほむら: さっきは、取り乱してしまって 悪かったわ
  742. まばゆ: …すみません
  743. まばゆ: 私が…もう少し先の未来を 視ていれば、鹿目さんは…
  744. ほむら: 悔いている時間はないわ 1秒たりとも無駄にはできない
  745. ほむら: このループで 私は美樹さやかに嫌われていない
  746. ほむら: ならば、協力して 戦う事もできる
  747. ほむら: ワルプルギスの夜に前周ほど 無様に負けることはないはずよ
  748. まばゆ: 暁美さん…
  749. ほむら: とりあえず、まどかに私を 友だちとして紹介してちょうだい
  750. ほむら: まだ私たちに やれることはあるわ
  751.  
  752. FILENAME: text_907132-020.txt [Day 32]
  753. さやか: あれが、ワルプルギスの夜!
  754. まどか: さやかちゃん…
  755. さやか: 大丈夫、あたしたちが 力を合わせればきっと…
  756. ほむら: そうよ
  757. ほむら: 今日のこの日のために 私たちは特訓してきたんだもの
  758. ほむら: ねえ、まばゆ
  759. まばゆ: は…はい!
  760. さやか: センパイ?今日の ラッキーミュージックは?
  761. まばゆ: モーツァルトの 「怒りの日」です
  762. さやか: いかにも、おあつらえ向き って感じだね
  763. さやか: それじゃあ…いざ!
  764. さやか: とりゃあああああッッ!!
  765. まどか: やああああッ!!
  766. ほむら: ッ!!
  767. まばゆ: (皆がワルプルギスの夜に 向かって一斉に攻撃する)
  768. まばゆ: (今朝の未来視で、私は結果を すでに知っています)
  769. まばゆ: (でも…)
  770. ほむら: 行くわよッ!
  771. さやか&まどか: はいっ!
  772. まどか: さやかちゃん、お願い!
  773. さやか: うおおおおおッッ!!
  774. まばゆ: (暁美さんは 少しも、手を抜かない)
  775. まばゆ: (まるで、未来の運命が覆ると 信じているかのように…)
  776. まばゆ: (私は考えてしまいます)
  777. まばゆ: (もし暁美さんが 未来を信じることをやめたら…)
  778. さやか: ぐああっ!!
  779. まどか: さやかちゃんッ!!
  780. まどか: きゃああっ!!
  781. ほむら: まどか…
  782. まばゆ: だめです!
  783. ほむら: まばゆ…
  784. まばゆ: これ以上は、近づけません
  785. まばゆ: 行きましょう、暁美さん
  786. ほむら: …………
  787. まばゆ: (同じ世界を繰り返している…)
  788. まばゆ: (私たちは、どんどん…)
  789. まばゆ: (失敗することに慣れていく)
  790. ほむら: さよなら…まどか
  791. まばゆ: さようなら、美樹さん
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