Vi_Vi

Tsuyu Mizuna MSS JP Text

Jan 27th, 2023
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  1. FILENAME: text_310451-1.txt
  2. 玄雲: そうか、幸若舞を見て 敦盛を気に入ったか
  3. 露: 心にしみたって言った方が 正しいかも
  4. 露: 昔も今も争いは無くならないし 翻弄される人も世も儚いなって…
  5. 玄雲: ふむ
  6. 玄雲: 息子を亡くした熊谷直実が 16歳という年頃の敦盛を殺す
  7. 玄雲: その無情さというものは、 戦につきもの
  8. 玄雲: だからこそ、武家の者たちは この話に惹かれるのかもしれんな
  9. 露: そうかも
  10. 露: 自分が直実と同じ立場に なるかもしれないしね
  11. 露: そう言えば…
  12. 露: 「人間五十年 下天のうちを比ぶれば 夢幻の如くなり」
  13. 露: ってあるけれど、 50年って短くないわよね?
  14. 露: 下天って何?
  15. 玄雲: 良い質問だな
  16. 玄雲: 下天とは仏教の天上世界で 最下位に位置する所だ
  17. 玄雲: 1日経つのに50年かかる
  18. 露: ええっ!?
  19. 玄雲: その上、そこに生きる者たちは 500歳まで生きる
  20. 露: え…1日が50年で500歳… 10日で死ぬっていうこと…?
  21. 玄雲: いや、 500を50で割るのではない
  22. 玄雲: 50年で1日だから それを364日繰り返すことで
  23. 玄雲: ようやく下天にとって 1年となる
  24. 露: ちょ、ちょっと待って それで1つ歳をとるの…?
  25. 玄雲: うむ ゆえに50年を364回で1歳
  26. 玄雲: うるう月を含めて500歳まで 生きるという計算をすると
  27. 玄雲: 下天の者は我々の世界で表すと 912万年生きるということだ
  28. 露: ごめん、もう意味がわからない
  29. 露: あ、でもそっか 言われてみてわかったかも
  30. 露: 「人間五十年 下天のうちを比ぶれば 夢幻の如くなり」
  31. 露: 確かに向こうの世界の人にしたら 50年なんて夢幻のようなものね
  32. 玄雲: そういうことだ
  33. 水名の家臣: 姫様、そろそろ城に戻りませぬと 正綱様が心配されます
  34. 露: ほんと、日が暮れてきてる
  35. 露: じゃあ、帰りに水名のご神木に お参りしてから帰りましょう
  36. 水名の家臣: 日が暮れますぞ!
  37. 玄雲: 露、あまり困らせてやるな
  38. 露: そうね 今日はまっすぐ帰るわ
  39. 水名の家臣: そうして頂けると有り難い…!
  40. 玄雲: あと、頻繁に寺に顔を出すのも やめておいた方が良い
  41. 玄雲: さすがに女人が入れぬ所までは 入れてはいないものの
  42. 玄雲: 他の僧たちに見られるのも… その、心配だからな…
  43. 露: 気をつけるわ
  44. 玄雲: 深刻に考えておらぬ声色だ
  45. 露: ふふっ、気をつけるって 言ってるでしょ
  46. 露: さあ、今度は玄雲に どの話を解説してもらおうかしら
  47. 水名の家臣の声: 「――――」
  48. 露: ん…?
  49. 露: 何か騒がしい…
  50. 露: 何かしら…
  51. 水名の家臣の声: 「さすがに水徳寺の近くとは言っても あの丘は古くから水名家の…」
  52. 水名の家臣の声: 「神社を建立するのは水名の威光を 完全に潰すためであろう でないとご神木を切るなどという話は…」
  53. 水名の家臣の声: 「隅谷殿は老獪なやり方に長けておられる 息子の代になれば楽かもしれんが あの方が生きておられる間は肩身が狭いな」
  54. 露: …………私たちのご神木が…
  55.  
  56. FILENAME: text_310451-2.txt
  57. 水名の家臣: 姫様、落ち着いてください!
  58. 露: 落ち着いていられないわ!
  59. 露: あなたは悔しくないの!? 水名のご神木が切られるなんて!
  60. 露: それも水名に無断で!
  61. 水名の家臣: 殿!姫様を止めてください!
  62. 正綱: どうしたものか…
  63. 水名の家臣: とのぉ!!
  64. 露: 誰か私の薙刀を持ってきて! ひとりでも戦ってやる!
  65. 正綱: それはいかん…!
  66. 水名の家臣: そうです!止めてください! 姫様はやると言ったらやります!
  67. 正綱: 露!少し冷静になれ!
  68. 正綱: 力では敵わない相手である以上 我々には策が必要だ!
  69. 正綱: お前の浅はかな行動で、 家を潰すつもりか!
  70. 露: …っ!
  71. 露: …ごめんなさい 確かに冷静さを欠いていたわ…
  72. 正綱: 私も今宵は 皆と共に今後の方策を考える
  73. 正綱: お前も部屋で 頭を冷やしておきなさい
  74. 露: …………
  75. 露: …それなら父上! ひとつ相談させて欲しいわ…!
  76. 正綱: 何かあるのなら言ってみろ
  77. 露: 隅谷に噂を流したいの
  78. 玄雲: 露かと思えば、今日は正綱殿か 最近は水名の客が多い
  79. 正綱: 古くからの間柄ではないか そう固いことを言うな
  80. 玄雲: 用件はわかっておる ご神木のことであろう
  81. 正綱: 耳聡いな
  82. 玄雲: この寺の側で起きていること 聞きたくなくても聞こえるものだ
  83. 正綱: 知っているなら話は早い
  84. 正綱: 水徳寺の説得で お館様を止められないか
  85. 玄雲: また難しい話だな…
  86. 玄雲: 隅谷殿からの支援もある手前 あまり恩を仇で返すのも…
  87. 正綱: …では、せめて 噂を流すことはできないか
  88. 玄雲: 噂…?
  89. 正綱: うむ
  90. 正綱: 最近の隅谷は年をとって 妙に信心深くなっている様子…
  91. 正綱: 神罰といった話であれば 信じるやもしれん
  92. 玄雲: ないものを真実として伝えるのも 気が引けるが…
  93. 玄雲: ちなみにどういった話だ
  94. 正綱: 木を倒せば水名が祭る神から 罰を受け、祖霊の祟りを受ける
  95. 正綱: ゆえに外から来た隅谷殿こそ 土地の神をあがめるべきだと…
  96. 玄雲: ふむ…露の考えか…?
  97. 正綱: よくわかったな
  98. 玄雲: 色々と物語を聞かせておるからな 似たような話を思い出した
  99. 玄雲: しかし、噂として流すのであれば 悪くはなさそうだ
  100. 正綱: では…
  101. 玄雲: 祖霊の祟りというのは 水名の姫ということにしよう
  102. 正綱: それは良い
  103. 正綱: 水名家の姫は気性が荒いだけに お館様を翻弄してくれそうだ
  104. 玄雲: ふっ…
  105. 玄雲: 隅谷殿には伝えておくので 少々時間をいただきたい
  106. 正綱: 無論だ 何卒、よろしくお頼み申す…
  107. 露: つまり、噂は伝えたけど
  108. 露: 隅谷はいまだに ご神木を切り倒すつもりだと
  109. 水名の家臣: そのようで…
  110. 露: わかったわ
  111. 露: では、私も水名家の娘として 恥じぬように戦うまで
  112. 水名の家臣: おやめください! お家を潰すおつもりですか!
  113. 露: ご神木という象徴を失えば 我々の魂の炎は消えたも同然
  114. 露: むざむざと黙って彼らに 殺されるぐらいなら
  115. 露: 私は誇りと共に散ってみせるわ!
  116. 水名の家臣: なりません!
  117.  
  118. FILENAME: text_310451-3.txt
  119. 正綱: ひとりで飛び出したところで 何の成果も得られまい
  120. 露: …………
  121. 正綱: わかってくれ、露
  122. 正綱: お前は自分ひとりだけなら 殺されても構わないと思うだろう
  123. 正綱: だが、曲がりなりにも水名の姫 その一挙手一投足の影響は大きい
  124. 正綱: それに、娘を想う 父の気持ちも考えてくれ
  125. 露: わかってる もう、いいわ…
  126. 正綱: …ひとりで隅谷の所には行くな
  127. 正綱: お前が飛び出さないように 見張りもつけてある
  128. 正綱: 下手なことは考えるでない
  129. 露: さすがに私だって ひとりで敵陣に行かないわよ…
  130. 露: …もう、水名のご神木は 守れないのかしら…
  131. 露: 水名を支えた先祖の皆さま 大変申し訳ございません
  132. 露: 私たちには祖霊を守るだけの 力すらないようです…
  133. ???の声: ご神木を守りたいのなら ボクがその願いを叶えてあげるよ
  134. 露: だ、だれ!?
  135. キュゥべえ: ボクの名前はキュゥべえ
  136. キュゥべえ: 水名露、キミにはボクと契約して 戦神子になって欲しいんだ
  137. 露: この獣はいったい…
  138. 露: それより、戦神子って…
  139. キュゥべえ: 妖魔と戦う使命を課された 者たちのことさ
  140. キュゥべえ: キミも聞いたことがあるはずだよ
  141. 露: ええ…ずいぶん昔のことだけど、 玄雲が話してくれた…
  142. 露: 人を奈落へ導く妖魔と戦う存在で 昔は、この相磨の国にいたって…
  143. キュゥべえ: キミには、 戦神子になる素質がある
  144. 露: …っ
  145. キュゥべえ: 水名露
  146. キュゥべえ: ボクがキミの願いを なんでもひとつ叶える代わりに
  147. キュゥべえ: 戦神子になって 妖魔と戦ってくれないかな?
  148. キュゥべえ: 今のキミにとっては 決して悪い条件じゃないはずだよ
  149. 露: …その話、信じていいのね?
  150. キュゥべえ: もちろんさ
  151. 露: それなら、お願い
  152. 露: 水徳寺の近くにある丘に 私たち水名家のご神木があるの
  153. 露: 「そのご神木が 隅谷に切られないように守って」
  154. 露: すごい… これが妖魔と戦うために得た力
  155. 露: 具足を身に付けているのに とても体が軽いわ…!
  156. キュゥべえ: 魔力で肉体が強化されて、 妖魔と戦えるようになったんだよ
  157. 露: それって とても強いっていうこと?
  158. キュゥべえ: そういうことだよ
  159. キュゥべえ: 今のキミなら、普通の人間には 太刀打ちできないだろうね
  160. 露: ふっ、戦神子と呼ばれるゆえんが なんとなく理解できたわ
  161. 露: ただ、願いが叶ったかどうかは この目で見ないと信用できない…
  162. 露: 隅谷の行動が押さえられているか この目で確かめに行くわ
  163. 露: 仲間を連れて出ようとしてる… 本当に叶ってるのかしら…
  164. 露: 荷はのこぎりや斧だから やはり実行するつもりなのね
  165. 露: 願いの件はどうなったのやら…
  166. 隅谷の声: 「な、ワシに刃を向けるか!!」
  167. 露: (え、ちょっと 何が起きているの…!?)
  168. 露: まさか、家人の裏切り…
  169. 露: …っ、憎い相手だけど この状況、利用できるかも…!
  170.  
  171. FILENAME: text_310451-4.txt
  172. 露: それじゃあご神木の件は…!
  173. 正綱: 本当に切られずに済むと…
  174. 玄雲: どういうわけか、 隅谷殿が水名の祖霊を信じてな
  175. 露: ふふっ
  176. 玄雲: 何か知っておる風だな
  177. 正綱: 露、なにをやった… 下手を打てばただごとでは済まん
  178. 露: えっと…
  179. 露: まずはどこから話すのが いいのかしら…
  180. 正綱: 順を追って話せ
  181. 露: …わかったわ
  182. 露: 信じられないと思うけど、 実は私、戦神子になったのよ
  183. 正綱: 戦神子…?
  184. 玄雲: まことか…!
  185. 露: ええ、幼い頃に 玄雲から聞いたお話の通りだった
  186. 露: 誰にも負けないような力を得て 妖魔と戦う役割を背負う代わりに
  187. 露: ひとつだけ 願いを叶えてもらったの
  188. 玄雲: それが…
  189. 露: うん…ご神木を守ること…
  190. 玄雲: それで隅谷殿は 急に祖霊の存在を信じるように…
  191. 露: あ、少しだけ 続きがあるんだけど…
  192. 正綱: 申してみよ
  193. 露: 私、願いが叶ったって言われても まったく信じられなくて…
  194. 正綱: それで、家人に影響を与えた 妖魔を倒したことで
  195. 正綱: 隅谷殿を救ったことになったと…
  196. 露: でも、暗がりだったから 私のことは分からなかったはずよ
  197. 玄雲: いや、むしろその方が 合点がいった
  198. 露: 隅谷が祖霊の祟りを信じたこと?
  199. 玄雲: 実は隅谷殿が信じているのは 水名の姫の祟りではないのだ
  200. 露: じゃあ…なに?
  201. 玄雲: 水名の姫の「救い」だ
  202. 玄雲: 申しておったぞ
  203. 玄雲: 祖霊の姫に祟られるどころか 救われたとな
  204. 露: じゃあ、私が隅谷を助けたから ご神木も守られたのね
  205. 玄雲: そういうことになる
  206. 正綱: 願いが叶ったと言うべきか 自ら解決したと言うべきか…
  207. 玄雲: 因縁というものは どう繋がるかわからないものだな
  208. 露: ふふっ
  209. 玄雲: 何を笑っておるのか…
  210. 玄雲: …帰る前に 露に確認をしておきたい
  211. 露: 何?
  212. 玄雲: まだ、露が戦神子というのが にわかには信じられん
  213. 玄雲: 寺に伝わる話の通り 姿を変えてみせてくれないか
  214. 露: これで信用できる?
  215. 玄雲: …うむ、信用した
  216. 玄雲: 水名はこれだけで百人力
  217. 玄雲: もしも相対する者が現れたら 大変であろうな
  218. 露: 不吉なこと言わないで
  219. 露: そんな時が来ないことを 私は祈ってるわ
  220. 露: まさか私が亡霊を討つとは 思わなかったわ
  221.  
  222. FILENAME: text_310452-1.txt
  223. 千鶴: いったん戦が 落ち着いてるって言っても
  224. 千鶴: 食い物の問題は 解決したわけじゃねぇんだよな
  225. 露: 豊作になったわけじゃないもの
  226. 露: それに、他から米を買い取っても 民へは行き届かないから…
  227. 千鶴: 来年も続いたらどうなるんだ?
  228. 露: さあ…
  229. 露: 各地で領地を広げようとする 機運が高まるかもしれないわね…
  230. 千鶴: 露としては 他国と争うのは嫌なんだろ?
  231. 露: 当然じゃない
  232. 露: 今のうちに港を拡張して 貿易に乗り出すとか
  233. 露: 万事に備える方法を 模索するべきだと思ってるわ
  234. 千鶴: 最近は水名が 主導権を握り始めてるんだろ?
  235. 千鶴: 家督を継いだ隅谷の息子を消して 返り咲けばいいじゃん
  236. 千鶴: それなら、露のやりたい方法で 国も纏まるだろ
  237. 露: 隅谷は絶対に立場を放棄しないし 水名は謀反を起こす気はないの
  238. 露: 水名が信頼を得ていて 発言力があったとしても
  239. 露: 外様の私たちが裏切れば あっという間にやられるわ…
  240. 千鶴: けど、米が無いから土地を奪う って考えが嫌なんだろ?
  241. 露: ええ
  242. 千鶴: その意見をぶつけたらさ わかってくれんじゃねーか?
  243. 露: 正しい言葉を振りかざすことが 正しいとは限らないの
  244. 千鶴: …めんどくせーな
  245. 千鶴: んで、今日も毛見ってやつか?
  246. 露: ううん、稲の出来高については 見当がついてるから
  247. 露: 今日は最終的な収穫量が どんな様子か見ておこうかなって
  248. 露: あと、貸し付けた種籾の返済は 必要ないって伝えておくの
  249. 千鶴: ふーん
  250. 「――――!!」
  251. 「―!!」
  252. 千鶴: おい、なんか物々しいな
  253. 露: 様子が変だわ 急いで見に行きましょう…!
  254.  
  255. FILENAME: text_310452-2.txt
  256. 千鶴: あっはは!すげえ!
  257. 千鶴: 農民が具足つけて ののしりあってんぞ!
  258. 露: 笑ってられないわよ! 大事よ!
  259. 水名の農民: この書状が お前は偽物だと言うか!
  260. 外の農民: なら、お前はオラたちの書状が にせもんだって言うのか!
  261. 水名の農民: なんべんも言ってっけどな
  262. 水名の農民: この水源は何世代も前から 俺たちが使ってきたもんだ!
  263. 水名の農民: 爺ちゃん、ひい爺ちゃん そのまた爺ちゃんだってそうだ
  264. 水名の農民: それを急に自分たちのもんだと? 馬鹿も休み休み言え!
  265. 外の農民: こっちはオメエらに貸してんだ! それを返してもらって何が悪い!
  266. 外の農民: 言う事を聞かねえなら わかってんだろうな!
  267. 水名の農民: わかってるって何がだ! あ!?
  268. 外の農民: 実力行使ってことだ! お!?
  269. 露: 待って待って待って!
  270. 水名の農民: 娘っ子がなんの用だ! 大人の話に入ってくんじゃねえ!
  271. 外の農民: しかもなんだオメエ 随分と上等なもんを着てやがる
  272. 外の農民: 汚れひとつ知らねえ どっかの商人の娘かあ?
  273. 露: 北養領主、水名正綱の娘 水名露よ
  274. 農民たち: ――っ!?
  275. 水名の農民: 露姫様ーーー!?
  276. 水名の農民: いや、どこかでお見かけした ご尊顔だと思いました…!
  277. 露: 変な気の遣い方しないで ちょっと、こそばゆいから…
  278. 露: それで、争っている事情を 聞かせてもらっても構わない?
  279. 露: それで、領有権を示す書状が 2枚あるけど食い違っていると…
  280. 水名の農民: そう、うちはずいぶん昔に 滝を使うことを許されてるんです
  281. 水名の農民: なのに、コイツら外のヤツらが 急に出て来やがって…
  282. 外の農民: これだって正式なもんだ!
  283. 露: …明らかに 最近書いたものよね…?
  284. 千鶴: うちにも群印の押された書が 置いてあったけどさ
  285. 千鶴: こんな汚い字じゃなかったぞ
  286. 露: 正式なものだとすれば、 筆の立つ者が書かないとね…
  287. 外の農民: ただ、それで偽物だって言っても どうやって証明する気だ
  288. 千鶴: おい、コイツ面倒くせーな
  289. 千鶴: 書いたヤツがいるなら その領主かなんかに聞いちまえ
  290. 露: うーん…
  291. 千鶴: 悩むところか…?
  292. 露: いえ、相手はこの凶作の中で 水不足を解消したいだけなのよ…
  293. 露: 本人もバレるのは承知の上で 無茶な話をしてるわ…
  294. 千鶴: これも凶作の弊害ってことかよ
  295. 露: それに、下手に私たちが出ると、 相手の領主も好機と受け取るかも
  296. 露: この農民の言葉に乗っかって 侵攻でもしてきたらたまらないわ
  297. 千鶴: 無茶苦茶だな
  298. 外の農民: 姫さんにも証明ができないなら 話は終わりそうにねえな
  299. 水名の農民: 実力行使で奪う気か…?
  300. 外の農民: いや、こうなったら神様に どちらの土地か決めてもらう
  301. 露: え、ちょっと、まさか!
  302. 外の農民: すべては鉄火起請で決めよう
  303. 露: 最初からそれが目的だったのね…
  304.  
  305. FILENAME: text_310452-3.txt
  306. 外の農民: 鉄火起請を受けるか否か どちらだ
  307. 外の農民: こちらは俺が村を代表して 神前に誓いを立てさせてもらう
  308. 水名の農民: ぐ…ぬぅ…
  309. 千鶴: ここまで言われたら お前が出るべきなんじゃねぇか?
  310. 水名の農民: なっ…でも…
  311. 露: 悩む必要はないわ
  312. 露: 北養の領主の娘たる私が 神前に誓いを立てるべきだもの
  313. 水名の農民: しかし、姫様…!
  314. 露: 私は戦神子なんだから 気にしないで
  315. 水名の農民: 申し訳、ございませぬ…!
  316. 露: それで、 日取りはいつにしましょうか
  317. 外の農民: 7日後でいかがか
  318. 露: わかったわ
  319. 千鶴: なあ、なんで露が あの農民の代わりをするんだよ
  320. 千鶴: アイツらで誓い合わせて 神に決めてもらったらいいだろ?
  321. 露: あなた、鉄火起請って 何をするかわかって言ってる?
  322. 千鶴: …いや?
  323. 露: でしょうね…
  324. 露: 内容を知れば、彼が及び腰に なった理由もわかるわ
  325. 千鶴: ふん…?
  326. 露: そもそも鉄火起請っていうのは 危険を伴う裁判なの
  327. 露: まずは誓約を交した起請文を 手のひらに広げるんだけど
  328. 露: 加えてその上に 焼けて赤くなった鉄を乗せるの
  329. 千鶴: はあっ!? バカだろそれ…
  330. 露: で、両者は鉄を手に乗せたまま 神前まで運んでいって
  331. 露: 火傷の程度が軽かった人が 真実を述べていると判断されるの
  332. 千鶴: …くっだらねー
  333. 千鶴: あの農民が尻込みするわけだよ
  334. 千鶴: それに、 露が引き受けた理由もわかった
  335. 千鶴: 露の戦神子としての力があれば ケガの程度も軽いだろうしな
  336. 露: そう
  337. 露: 彼の手が二度と使えなくなるのを 見てるわけにはいかないもの
  338. 千鶴: 水名の農民も安心だな
  339. 露: だけど、私は自分が勝つだけで 終わらせるつもりはないわ
  340. 千鶴: いや、終わるだろ
  341. 露: もう一歩、 踏み込んでみるつもりよ
  342. 正綱: なるほど… 所領の境界を巡る問題か
  343. 露: はい…
  344. 露: それでご相談なのですが、 父上にも動いて頂けないかと
  345. 正綱: 隣国とは付き合いもある
  346. 正綱: 妙なことをしない限りは 軋轢を生むこともないとは思うが
  347. 正綱: 露は何を望んでいるんだ
  348. 露: 凶作なのは向こうも同じ
  349. 露: その状況を確認しつつ ひとつ提案して頂きたいのです
  350.  
  351. FILENAME: text_310452-4.txt
  352. 水名の役人: 神に真偽を問う前に尋ねるが
  353. 水名の役人: 両名ともに精進し 潔斎してきたことに相違ないか
  354. 露: はい
  355. 外の農民: はい
  356. 外の役人: では、先だって決めた通り 水名露より真偽を問うてもらう
  357. 外の役人: 覚悟はよろしいか
  358. 露: いつでも大丈夫です
  359. 外の役人: では、こちらに…
  360. 外の役人: 手を前に出して
  361. サッ
  362. 外の役人: ここに広げたるは 神への誓いを記した牛王宝印
  363. 外の役人: 上に熱した鉄を乗せるので 神前まで運ぶように
  364. 露: …覚悟はできております
  365. 外の役人: では…!
  366. 露: ふっ…
  367. ジュゥゥウウ…
  368. 外の役人: な、なにぃ…!? 周りが蒸気に包まれて…!
  369. 水名の役人: ま、まるで 露姫様の手を守るようだ…!
  370. 露: ふぅぅぅぅ…
  371. 露: まだ…まだ…!
  372. 露: あと…すこし…
  373. 露: ここ…!
  374. ドスッ
  375. 露: さあ、運びきったわよ それに手はこの通り
  376. 外の役人: 無傷とは… このような面妖なことが…!
  377. 外の農民: ぐっ…ぬ…
  378. 水名の役人: では、次はそちらの番
  379. 水名の役人: 改めて問うが 本当に神に誓いを立てて行うか…
  380. 外の農民: …………
  381. 露: 尋ねる必要はないわ
  382. 露: 私は目の前で彼が苦しむ姿を 見たいわけじゃないもの
  383. 外の農民: これが戦神子…
  384. 外の農民: 神の御業とも言える力を見て オラにできることはねえ…
  385. 外の農民: そちらの姫さんが 前に仰った通り書状は偽物…
  386. 外の農民: 神に問う必要はねえ 俺を手打にしてくだせえ…!
  387. 露: 認めてくれてありがとう だけど、手打になんてしないわ
  388. 露: 凶作なのは私たちのところも あなたのところも同じ
  389. 露: だからね、先に父上に頼んで そちらの領主と話してもらったわ
  390. 露: なので、これは形だけよ
  391. 外の役人: 水名殿と話をつけて 滝からの水路を作ることにした
  392. 水名の役人: 我々もすべての水を 使うわけではないゆえ
  393. 水名の役人: 潤沢に水があると判断したときは そちらに流すことにいたした
  394. 水名の役人: ただし、見返りもなく 差し出すわけにもいかぬゆえ
  395. 水名の役人: いくらか都合はつけて頂く
  396. 外の役人: 無論でございます
  397. 外の農民: 申し訳ない…
  398. 水名の農民: 凶作で喘ぎ苦しむのはお互い様 露姫様に礼を言ってくれ
  399. 外の農民: 感謝してもしきれない… このご恩忘れはいたしませぬ…
  400. 露: 私に雨を降らせる力はないから 人にお願いすることしかできない
  401. 露: それでも、誰かを救えたのなら 私は嬉しく思うわ
  402. 露: これからは無謀なことはしないで ちゃんと訴えかけてね
  403. 千鶴: 遠くから見てたけどさ 鉄火起請をする必要あったか?
  404. 露: 戦神子の神がかった力を見せる それが戦いの抑止力にもなるのよ
  405. 露: だからやって正解
  406. 千鶴: 計算ずくかよ
  407. 露: ふふっ、一応ね
  408. 露: 戦神子になってなければ、 鉄火起請なんてやらないわ
  409.  
  410. FILENAME: text_310453-1.txt
  411. 露: はぁ…良かった…
  412. 露: まさか親からはぐれてたなんて 思いもしなかったわ
  413. 千鶴: 母ちゃんも見つかったし 無事に解決ってところだな
  414. 露: ほんと、夢見の悪いことに ならなくてホッとしたわ
  415. 千鶴: けどさぁ
  416. 露: ん?
  417. 千鶴: こんなに手厚くみんなのことを 守ろうとしてたら
  418. 千鶴: さすがに露の身が持たねぇだろ 少しは気を抜けよ
  419. 露: 別に気を張ってるつもりは ないんだけど…
  420. 露: それにほら、千鶴が一緒なら 心強いじゃない?
  421. 露: 私と同じで守る側なんだから
  422. 千鶴: …………
  423. 千鶴: …そもそも露はワガママだ!
  424. 露: な、何よ急に… 今日はずいぶん突っかかるわね…
  425. 千鶴: そりゃそうだろ
  426. 千鶴: ご神木を守るために願いを叶えて 民を守るために休まず動いて
  427. 千鶴: 揚げ句の果てには鉄火起請の 代役なんてやりやがって
  428. 千鶴: いつかぶっ倒れるぞ
  429. 露: 考えたこともなかった…
  430. 露: だけど、体は平気よ ほら、ピンピンしてるもの
  431. 千鶴: じゃあ、もしも世の中の全部が 窮地に陥ったらどうすんだ…?
  432. 千鶴: どれかひとつしか守れないなら 露は何を選ぶんだよ
  433. 露: そんなこと言われても…
  434. 露: …………
  435. 露: そうだっ
  436. 千鶴: お、決まったか?
  437. 露: この世の中のすべてよ! ほら、これでひとつになった
  438. 千鶴: とんちを効かせりゃいいって 問題じゃねぇんだよ…
  439. 正綱の声: 「露、入るぞ」
  440. 露: ええ、どうぞ
  441. 正綱: むっ…今日も来てたのか…
  442. 千鶴: おう、世話んなってるぞ
  443. 正綱: 見回りを増やしたはずなんだが 千鶴ちゃんには突破されるな…
  444. 千鶴: へへっ それが得意技だからな
  445. 正綱: こちらとしては 笑える問題じゃないんだよ…
  446. 露: それで、どうしたの?
  447. 正綱: おお、そうだ
  448. 正綱: 先ほど水名神社の禰宜が来て 話していたのだが
  449. 正綱: 今度お前の好きな舞の一座を 招くと言ってたぞ
  450. 露: えっ! ちょっと、本当に!?
  451. 正綱: 興味があれば ぜひ来て欲しいとのことだ
  452. 露: 当たり前じゃない!
  453. 露: そう、こういう舞の伝統も 守っていかないと駄目ね
  454. 千鶴: うーわ また守るものが増えた…
  455. 正綱: ん?
  456.  
  457. FILENAME: text_310453-2.txt
  458. 「ガヤガヤ…」
  459. 千鶴: へぇ、けっこう人が集まってる
  460. 露: つらい日々を生きていれば 息も抜きたくなるものよ
  461. 千鶴: ま、娯楽ってそんなもんか
  462. 露: どうしよう…楽しみになりすぎて 呼吸が乱れてきちゃった…
  463. 千鶴: どんだけ楽しみなんだよ
  464. 露: 千鶴は楽しみじゃなかった?
  465. 千鶴: 楽しみだけど、露ほどじゃない
  466. 露: ふーん…?
  467. 千鶴: なんだよ…
  468. 露: 最近何かあった…? しばらく様子がおかしいわ
  469. 露: つんけんしちゃってる
  470. 千鶴: んなことねーよ…
  471. 千鶴: それで、 今日の演目って何なんだ?
  472. 露: 夜討曾我があるって聞いたわ
  473. 千鶴: どこの誰だそれ
  474. 露: 前に聞かせたじゃない 兄弟による父の仇討ちの話
  475. 千鶴: …あ、あれか
  476. 千鶴: なんか話が入り組んでて すっげーわかりにくかったんだよ
  477. 露: その入り組んだ部分を理解すると 胸にグッと来るものがあるのよ
  478. 露: 兄の十郎祐成と弟の五郎時宗が 仇の工藤祐経と館で話して
  479. 露: 父の河津祐泰の死が自分とは 無関係だと言われた悔しさたるや
  480. 露: もうっ!
  481. 千鶴: うわっ…
  482. 露: だけど、そこから畠山や和田 北条の後押しがあったり
  483. 露: 恋人の妹の助けがあったりして いよいよ工藤を仕留めて十番切!
  484. 露: 今は亡き祖父の仇敵頼朝を討ち 名を残そうと決め
  485. 露: 我を討てと名乗りをあげる!
  486. 露: 「伊東が孫で河津がふたりの子 十郎祐成と五郎時宗ここにあり!!」
  487. 千鶴: おい、全部聞いちまうよ! とまれとまれ!
  488. 露: あっ!
  489. 露: ご、ごめんなさい 柄になく熱くなっちゃったわ
  490. 露: でも、舞台で見てみると またひと味違うから
  491. 露: 一緒に楽しみましょう
  492. 露: …………
  493. 露: はぁ… まだ胸の奥に余韻が残ってる…
  494. 露: このちょっとした恍惚とする感覚 どう言葉で表せばいいのかしら…
  495. 露: ねえ、千鶴
  496. 露: あら、千鶴?
  497. 露: 反応が…ない…
  498. 露: …………
  499. 露: 泰党の人、近くにいるでしょ? 千鶴を見張ってたわよね?
  500. 泰党の家臣: …うむ
  501. 露: どこに行ったの…?
  502. 泰党の家臣: 恥ずかしい話ではあるが…
  503. 泰党の家臣: 私も見失ってしまい 途方に暮れていたところだ…
  504. 露: まあ、泰党で一番の手練れだし…
  505. 露: 見つからないように 帰っちゃったのかしら…
  506. 露: 父上
  507. 正綱: ん、どうした?
  508. 露: 千鶴って今日 城に来たかどうかわかる…?
  509. 正綱: 元が神出鬼没すぎて 来てるかどうかもわからない
  510. 正綱: 情けない話だが 私に聞くだけ無駄だ
  511. 露: 困ったわ…
  512. 正綱: 捜しているのか?
  513. 露: 急に消えてしまったのよ…
  514.  
  515. FILENAME: text_310453-3.txt
  516. 露: ふぅ…
  517. 露: あまり眠れなかった…
  518. 露: (私、熱が入り過ぎて、 少し気持ち悪かったかしら…)
  519. 露: (城下の様子を見回りつつ 反省しよう…)
  520. 露: この辺りに妖魔の反応はない… 大丈夫そうね
  521. 露: …………
  522. 千鶴: …そもそも露はワガママだ!
  523. 露: な、何よ急に… 今日はずいぶん突っかかるわね…
  524. 千鶴: そりゃそうだろ
  525. 千鶴: ご神木を守るために願いを叶えて 民を守るために休まず動いて
  526. 千鶴: 揚げ句の果てには鉄火起請の 代役なんてやりやがって
  527. 千鶴: いつかぶっ倒れるぞ
  528. 露: (私のことを心配していたのに 適当に流しちゃったから)
  529. 露: (怒るのも無理ないかも…)
  530. 露: (本気で怒ってたらどうしよう)
  531. 露: 何なら許してくれるかしら
  532. 露: 甘いものが好きな印象はないし かわいいものをあげても似合わないような… 食べ物ならなんでもいい…? そもそもあげる食べ物なんて…
  533. 露: そう言えば 読み書きを学びたいって言ってたわ 私が付きっきりで教えたら 喜んでくれるかしら
  534. 露: でも、勉強は嫌いな気がする…
  535. 水名の家臣: 姫、見つけました…!
  536. 露: な、ど、どうしたの…?
  537. 水名の家臣: 水名神社で騒動が起きていて、 どうも人々の様子がおかしいと…
  538. 露: まさか、妖魔…
  539. 水名の家臣: その恐れがある手前 どうか向かって頂きたく…!
  540. 露: ええ、本当に妖魔だとしたら 私と千鶴しか対応できないわ!
  541. 露: 何が起きているの!?
  542. 水名の兵: どうも旅の一座が 集団での自決を図ろうとした様子
  543. 露: なんですって!?
  544. 露: 暴れている者たちは…
  545. 露: …………
  546. 露: やっぱり、妖魔の呪印がある
  547. 露: いる…!
  548. 水名の兵: やはり妖魔の仕業で…
  549. 露: ええ、すぐに倒してくるから、 もう少し粘って!
  550. 露: 一座のみんなを 傷つけちゃいけないわよ!
  551. 水名の兵: はっ!
  552. 露: (昨日は妖魔の反応なんて どこにもなかったのに…)
  553. 露: はぁ…はぁ…
  554. 露: 思ったより結界が広い…
  555. 露: この反応…
  556. 千鶴: おおっ、露! 来てくれたんだな!
  557. 露: まさか千鶴… あなた1日中妖魔と!?
  558. 千鶴: ああ! 1日中妖魔退治だ!
  559. 千鶴: ほら、早く助けに来いよ!
  560. 露: …ごめんなさい千鶴
  561. 千鶴: あ…?
  562. 露: 舞にひとりで浮かれて あなただけが妖魔に気づいて…
  563. 露: 私…私… 自分が恥ずかしい…
  564. 千鶴: え、ああ…いいから…! 早く手伝えって!
  565. 露: うん、待たせてごめんなさい 一緒に倒しましょう!
  566.  
  567. FILENAME: text_310453-4.txt
  568. 露: たおれろーーーー!!
  569. 露: ―露― これで妖魔は滅したわ
  570. 露: ―露― じきに結界も消えていくはずよ…
  571. 千鶴: ようやく倒せたか…
  572. 露: 本当にあなたには 謝ることしかできない…
  573. 露: いえ、何かお詫びをしないと
  574. 露: 甘いものがいい? 何か食べ物?
  575. 露: 文字を習いたかったら いつでも読み方から書き方まで
  576. 千鶴: いや、いいよ 露が来てくれたらそれで…
  577. 露: …そう?
  578. 千鶴: ああ…
  579. 千鶴: それに、謝らなきゃなんねぇの アタシも一緒だから…
  580. 露: どうして…?
  581. 千鶴: いや、だって勝手に消えたのは わざとだったから…
  582. 露: え…?
  583. 千鶴: そんで色んなところを転々として 妖魔を倒してまわってた…
  584. 露: それなら、水名神社の騒動は 昨日からじゃなかったのね
  585. 露: てっきり私は、昨日から 同じ妖魔と戦ってたのかと…
  586. 露: それより、どうして 急に消えて心配なんてかけたの!
  587. 千鶴: …………
  588. 露: 私、気を損なうようなことした?
  589. 千鶴: いや…
  590. 露: じゃあどうして…
  591. 千鶴: …露に探して欲しかったから
  592. 露: …………よくわからないわ
  593. 千鶴: だってさ…
  594. 千鶴: 露は守りたいものばっかだろ
  595. 露: えっ、ええ…
  596. 千鶴: アタシは強いから大丈夫だって 言ってくれるけど
  597. 千鶴: それは嬉しいけど…さ!
  598. 千鶴: 別に露におんぶに抱っことか イヤだけど…!
  599. 千鶴: けど、なんか…
  600. 千鶴: アタシのことを守ったりとか そういうのねーのかなって…
  601. 露: ――っ!?
  602. 露: …あの、それってつまり
  603. 千鶴: …………
  604. 露: 私が色んなものを守ろうとして ヤキモチ焼いてたの…?
  605. 千鶴: …………
  606. 露: ふ、ふふっ
  607. 千鶴: ――っ!?
  608. 露: なぁにそれ、可愛いわね~
  609. 千鶴: おいヤメロ!
  610. 露: 構って欲しかったんでちゅかぁ?
  611. 千鶴: ぶっ殺してやる!!
  612. 露: あはは、ごめんなさい でも嬉しいわ
  613. 露: そこまで慕ってくれてるなんて 思いもしなかったから
  614. 千鶴: ああそうかよ…
  615. 露: 今回は私自身も反省してるから 今後はお互い気をつけましょ
  616. 露: 千鶴も、私に思うことがあれば 素直に言って
  617. 千鶴: ん、泰党のヤツにも迷惑を かけたと思うし
  618. 千鶴: 今後は気をつけるよ…
  619. 露: これからもよろしくね
  620. 千鶴: こちらこそ、よろしくな
  621. 露: 妖魔を使って試すだなんて、 千鶴は子どもなんだから
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