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- FILENAME: text_420371-1.txt
- キュゥべえ: 魔女は、この世の中に 災厄を振りまく存在なんだ
- 常盤 ななか: …魔女…
- 常盤 ななか: 記憶ミュージアムによって 呼び起こされた、あの“出会い”の場面…
- 常盤 ななか: 「魔法少女」という存在が 私の運命を大きく変えました
- 常盤 ななか: 私の家が代々守って来た華道「華心流」は 父が病を得たことを契機に 高弟たちに乗っ取られてしまいました
- 常盤 ななか: 病床の父から呪詛のように 繰り返し言い聞かされてきたのは ただ一言
- 常盤 ななか: 『一門を取り戻せ』
- 常盤 ななか: もとより、私もそのつもりでしたが 当初はかなりの年月を費やす 長い道のりであると考えていました
- 常盤 ななか: しかし、キュゥべえさんとの 出会いによって、その道のりは 大幅に短縮されました
- 常盤 ななか: 魔法少女の契約を交わし 力を得た私は、高弟たちへの 復讐を始めたのです
- 常盤 ななか: ですが…
- ???: …………
- 常盤 ななか: 来てくれましたね 笹尾さん
- 笹尾: ななかさん……
- 常盤 ななか: 華心流の高弟の内
- 常盤 ななか: あなたが一番熱心に 父に師事していました
- 常盤 ななか: でも…あなたも他の高弟と 共に華心流を乗っ取った
- 笹尾: …………
- 常盤 ななか: 私はこれから あなた方、高弟たちに
- 常盤 ななか: 復讐をするつもりです
- 笹尾: …復讐…
- 笹尾: どのように されるのですか…?
- 常盤 ななか: 皆殺しです
- 笹尾: うっ…!?
- 常盤 ななか: …なんて、手荒な 真似はしませんよ
- 常盤 ななか: 方法はいくつか思案してますが まずはやることがあります
- 常盤 ななか: そのために、あなたを 呼び出したのです
- 笹尾: な、何をされるのですか…?
- 常盤 ななか: なぜ宗家を裏切ったのか
- 常盤 ななか: その仔細を聞かせてください
- 常盤 ななか: 私が事を始めるにしても まずはそこからです
- 常盤 ななか: それに…笹尾さん
- 常盤 ななか: あなたにも罪の意識が あるのではないですか?
- 笹尾: …………
- 常盤 ななか: こうして私の呼び出しに 応じているのがその証左
- 笹尾: ………… …ななかさん
- 笹尾: 復讐なんて やめた方が身のためです
- 笹尾: あなたはただの 15歳の少女です
- 笹尾: 華心流の看板があろうと なかろうとそれは同じ
- 笹尾: 私がこうしてやって来たのは あなたを憐れんでのこと
- 笹尾: もはや華心流は あなたの手には負えません
- 常盤 ななか: …笹尾さん
- 常盤 ななか: 確かに今までの私であれば 何の力も持っていませんでした
- 常盤 ななか: しかし…今は違います
- 常盤 ななか: 今は…
- FILENAME: text_420371-2.txt
- 常盤 ななか: 今の私には“力”がある
- 常盤 ななか: 魔法少女の契約を交わしたことで 手に入れた“力”が
- 常盤 ななか: 私はそれを徹底的に確認した
- 常盤 ななか: …ふぅ…
- 常盤 ななか: (間違いない…)
- 常盤 ななか: (契約して間もなく使い魔と 戦った時に初めて感じたけど…)
- 常盤 ななか: (こうして改めて確かめてみて 十分に理解できた)
- 常盤 ななか: (明らかに身体能力が 上がっている)
- 常盤 ななか: (いや、上がっているという レベルじゃない)
- 常盤 ななか: (人間の常識を超えている…)
- 常盤 ななか: (後で肉体自体の強度も 確認した方がいいわね)
- 常盤 ななか: …それと…
- 常盤 ななか: 変身したらどう変わるのか… それが肝心ね
- 常盤 ななか: 私の身体は、もはや常軌を逸している
- 常盤 ななか: 殺害という手法を取るならば 私の復讐は早々に終えられるかもしれない
- 常盤 ななか: しかし…それでは 私が納得できない
- 常盤 ななか: …笹尾さん
- 常盤 ななか: 確かに今までの私であれば 何の力も持っていませんでした
- 常盤 ななか: しかし…今は違います
- 常盤 ななか: 今は…
- 笹尾: …………
- 常盤 ななか: 詳しくは説明できませんが 私には“力”があるのです
- 常盤 ななか: あなた方を簡単に この世から消せる“力”が
- 常盤 ななか: ですが、そんな短絡的な 結末なんて望んでません
- 常盤 ななか: 私は私の身の上に起きた 出来事を十分に把握したいのです
- 常盤 ななか: あなたに来てもらったのは 話を聞くためです
- 常盤 ななか: 笹尾さん…あなたは 常盤家によく尽くしてくれました
- 常盤 ななか: それなのに、どうして 変節してしまったのか…
- 常盤 ななか: …教えてもらえますか?
- 笹尾: …ななかさん…
- 笹尾: なんらかの組織の助力を 得たのか、なんなのか…
- 笹尾: あなたの背景はわかりませんが 自信の程は十分感じました
- 笹尾: 幼い頃よりあなたを 知っています
- 笹尾: 賢く、常に冷静で 物事をよく見極めてらっしゃる
- 笹尾: 復讐ができるというお話… 本当なのでしょうね
- 笹尾: わかりました… お話します…
- 笹尾: 私がなぜ、宗家を… 常盤家を裏切ったのか…
- 常盤 ななか: …ありがとうございます 笹尾さん
- 常盤 ななか: 私が得たのは、単なる身体能力の 向上だけではありませんでした
- 常盤 ななか: …“真の敵を見極める力”…
- 常盤 ななか: それこそが魔法少女契約における 最大の収穫…
- 常盤 ななか: その能力が教えてくれているのです
- 常盤 ななか: 真の敵は、笹尾さんの もっと背後に潜んでいることを……
- FILENAME: text_420371-3.txt
- 常盤 ななか: 笹尾さんの話によると 華心流の最古参の弟子である谷渡さんが 首謀者となって常盤家に反旗を翻した とのことでした
- 常盤 ななか: それは彼が新たな家元を名乗り出したことから 想像はしていたことでした
- 常盤 ななか: ただ、笹尾さんが奇妙に感じたのは 高弟たちの多くが何も異を唱えず 賛同の意を示したことでした
- 笹尾: 私も当初は反対しました
- 笹尾: 私だけではありません 反対者の数は相当なものでした
- 笹尾: ですが…日を追うごとに 谷渡さんへの賛同が増えて……
- 笹尾: いつの間にか私も孤立してました
- 笹尾: 加えて、谷渡さんから執拗に 協力を求められまして…
- 笹尾: 時折…脅すようなことも 言われたんです…
- 常盤 ななか: どのような脅しを?
- 笹尾: 二度と華道に携われないように してやる、みたいな…
- 笹尾: ハッキリとそうは言わないんです ただ…間違いなく暗に…
- 笹尾: 終いには、身の危険も 感じるようなことまで…
- 笹尾: それで…私は折れました…
- 常盤 ななか: そうでしたか…
- 笹尾: 谷渡さん… あんな人ではなかったのに…
- 笹尾: 急すぎます… まったく人が変わって…
- 笹尾: それとも、今まで 本性を隠してきたのでしょうか?
- 常盤 ななか: …さて、どうでしょうか…
- 常盤 ななか: いずれにせよ、笹尾さんのお陰で やることが明確になりました
- 常盤 ななか: 事の発端は、谷渡さんで あるということ…
- 常盤 ななか: ならば、本人に 真意を問うまで…!
- 常盤 ななか: この時点では確信とまでは 至っていませんでしたが 可能性としては考えていました
- 常盤 ななか: 谷渡さんの、その先を…
- 谷渡: …………
- 常盤 ななか: 玄関も通らずに 押しかけて恐縮です
- 常盤 ななか: お久しぶりですね 谷渡さん
- 谷渡: …………
- 常盤 ななか: お話、できますか?
- 谷渡: …………
- 常盤 ななか: …………
- 常盤 ななか: …もう、まともに 会話もできない状態ですか…
- 谷渡: …………
- 常盤 ななか: 私はこの時点で、谷渡さんが 「魔女の口づけ」を受けて 魔女に操られている状態だと判断しました
- 常盤 ななか: ゆえに、真の敵は谷渡さんの 背後に潜む魔女…
- 常盤 ななか: しかしそれは、あくまで当時の 自分の推測であり 真相はもっと複雑でした
- 常盤 ななか: そもそも、魔女の口づけを受けた人間が まともな生活を送ることができるのか?
- 常盤 ななか: 知識と経験の浅さから、誤った認識による 推測で行動していました
- 常盤 ななか: 実際は、魔女の背後に隠れていた人物こそが すべての元凶だったのです
- 常盤 ななか: その事実に行き着くまで 多くの仲間の助力と 多くの時間が必要でした
- 常盤 ななか: ただ当時、最終的にもっとも 強く確信を得ていたことは…
- キュゥべえ: そしてキミは…
- 常盤 ななか: …………
- キュゥべえ: 『すべてを受け入れる』 と言ったね
- 常盤 ななか: ………… …はい
- 常盤 ななか: キュゥべえさんもまた 私の敵である、ということ……
- 常盤 ななか: そう…そのことに気づいた時が 私の復讐の本当の出発点だった
- 常盤 ななか: 記憶ミュージアムに入り そのことを改めて私は噛みしめた
- 常盤 ななか: だから…
- 常盤 ななか: 今の私になったのだ
- FILENAME: text_420371-4.txt
- 志伸 あきら: ふぁ~…
- 夏目 かこ: 素敵なお部屋ですね…!
- 純 美雨: わざわざこんな部屋 どうしたネ?
- 常盤 ななか: 皆さんとの久しぶりの 会合ですもの
- 常盤 ななか: ちょっと奮発してみました
- 志伸 あきら: さすがは華心流家元!
- 常盤 ななか: 襲名はまだ先ですわ
- 志伸 あきら: あ…そっか
- 純 美雨: ということは あっちの方のお金カ
- 夏目 かこ: あっちって…
- 志伸 あきら: もしかして、アレ? “サイドビジネス”のこと?
- 夏目 かこ: (それ…前にななかさんから 聞いたことがある…!)
- 夏目 かこ: (あまり詳細を教えてくれない すごく怪しいお仕事…!)
- 純 美雨: 随分儲けてる と聞いているヨ
- 志伸 あきら: その…何やってるかは 知らないけどさ…
- 志伸 あきら: 未成年の立ち回りにしては ちょーっとグレーな香りが…
- 純 美雨: グレーにしても濃い目ネ
- 常盤 ななか: やだ、人聞きが悪いですわ やましいことはしていませんよ
- 常盤 ななか: それに、言ったじゃないですか 華心流再建にはお金が必要で
- 常盤 ななか: 私としてはやむなく バイトのようなことを…
- 志伸 あきら: ななかの年齢でバイトは そもそも…
- 常盤 ななか: さ、ソフトドリンクも 用意しましたから、どうぞ~
- 志伸 あきら: …ちょっと~!
- 常盤 ななか: まずは再会に 乾杯といきませんか?
- 志伸 あきら: まったく…
- 夏目 かこ: は、はぁ…
- 純 美雨: ちょっと待つヨ
- 志伸 あきら: …え?
- 純 美雨: 旧知の間柄ネ 余計な前置きは不要ヨ
- 純 美雨: 単にホテルの一室で ワイワイするの、目的じゃないネ
- 純 美雨: 本当の用件 さっさと言うネ
- 志伸 あきら: …まあ…
- 夏目 かこ: …それはそう…ですよね…
- 常盤 ななか: …いやですわ せっかちなんですから~
- 常盤 ななか: …仕方ないですね では、本題を…
- 常盤 ななか: 私の知人がトラブルに遭いまして 皆さんのお力をお借りしたく…
- 志伸 あきら: トラブル…
- 純 美雨: まあ、想定内ヨ ついでに当てるネ
- 純 美雨: それ、サイドビジネス絡みの 話だと思うが、どうカ
- 常盤 ななか: まあ、ご明察!
- 純 美雨: やっぱりネ…
- 志伸 あきら: …ってことは、じゃあ…
- 純 美雨: ななかの儲け話に私たちを 利用する…そんなとこカ
- 夏目 かこ: え~!そうなんですか…?
- 常盤 ななか: …………
- 常盤 ななか: そんなことありませんわ これは立派な人助けです!
- 常盤 ななか: その人、本当に 困っているんです
- 常盤 ななか: ですが、私たちが協力して 事に臨めばきっと救えます!
- 常盤 ななか: それに、私がかつて、私欲で 嘘をついたこと、ありますか?
- 志伸 あきら: …それは…
- 夏目 かこ: ありませんね…
- 純 美雨: …………
- 常盤 ななか: でしたら、ここは皆さんの 慈悲の心をもって…
- 志伸 あきら: …わ、わかったよ!
- 夏目 かこ: はい、手伝います!
- 常盤 ななか: ありがとうございます! …美雨さんは?
- 純 美雨: …仕方ないネ…
- 常盤 ななか: よかったですわ!
- 純 美雨: …ただ!この件 ななかが儲けることは…
- 常盤 ななか: …未来の可能性として 否定はしませんわ
- 志伸 あきら: おい~!
- 常盤 ななか: うふふ!
- 常盤 ななか: 始まりは復讐でした
- 常盤 ななか: ですが、様々な苦難を経て 私はかけがえのないものを手に入れました
- 常盤 ななか: だから、自分の人生を 後悔することはありません
- 常盤 ななか: 歩んできた一歩一歩が 現在の私の居場所を作りました
- 常盤 ななか: これからも、この居場所を 私は大切に守っていきます
- 常盤 ななか: 仲間たちと共に…!
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