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- FILENAME: text_902101-010.txt [Day 1]
- 光が差し込んで まぶたの裏に焼きついて
- 消える
- 今、残っているのは かすかな手触りだけ
- それもきっと いつか忘れ去られる
- ジリリリリリ!
- まばゆ: ふわぁあぁ…
- まばゆ: 朝…ですか…
- まばゆ: 朝…ですね…
- まばゆ: おやすみなさい…
- まばゆ: …………
- ジリリリリリ!
- まばゆ: うううう…わかりました わかりましたよ…ふわぁあ…
- まばゆ: 昨日の映画、殺人鬼が気になって 続編まで完走してしまいました…
- まばゆ: そのせいでしょうか? 妙な夢を見てしまったような…
- まばゆ: なんか…すごく… 泣いちゃった、ような…
- まばゆ: なんか…忘れてる…ような…
- まばゆ: そして…なぞのねむさ…
- まばゆ: くそねむい…ですよ…ふわぁ…
- ジリリリリリ!
- まばゆ: あー、はいはい、わかりましたよ 学校、学校…
- まばゆ: ビデオも返さないと、ですしね…
- FILENAME: text_902101-020.txt
- まばゆ: (あー、だる…あー、つら… 朝の日差しが私の目を焼く…)
- まばゆ: (私のようなボッチ陰キャに 日々の登校はコクですよ)
- まばゆ: (さっさと教室に潜り込んで 机につっぷして爆睡したい…)
- マミの声: あ!
- まばゆ: (ん?)
- マミ: おはよう
- マミ: ねえ、 昨日借りた本なんだけれど…
- まばゆ: (巴マミさん… クラスメイト…でしたっけ?)
- まばゆ: (そうだった、はず、たぶん…)
- まばゆ: (といっても、時々お店に ケーキを買いに来るくらい)
- まばゆ: (クラスメイトと言っても 話した記憶もないですけど)
- まばゆ: (本の貸し借りができる お友だちがいて ようござんしたね)
- まばゆ: (ボッチの私には関係ないです)
- マミ: …………?
- FILENAME: text_902101-030.txt
- まばゆ: (おはようございます)
- まばゆ: (おやすみなさい)
- まばゆ: (ううう…つくえ…つくえ…)
- まばゆ: (授業までの短い時間 私の眠気を受け止めてくれる)
- まばゆ: (最高だよ、机ちゃん… コタツちゃんの次に愛してる…)
- まばゆ: (あいして…)
- まばゆ: (あい…して…)
- ???: まばゆさん
- まばゆ: は、はいっ!!
- まばゆ: …………あれ?
- 先生: お、愛生 自分で立つなんて珍しいな
- 先生: じゃあ、この式を解きなさい
- まばゆ: え?今の声って…
- 先生: ほら、早く!
- まばゆ: あ、は…はい…
- FILENAME: text_902101-040.txt
- まばゆ: はあぁ…
- まばゆ: (寝ぼけて返事するなんて はずかしい…)
- まばゆ: (でも…あの声 なんだったんでしょうか?)
- まばゆ: (夢の中で聞こえたのとは 違うと思うんですが…)
- まばゆ: (でも確かに、リアルな声とも ちょっと違っていたような…)
- まばゆ: …………
- まばゆ: …あれ?
- まばゆ: なんだろ なんか…忘れてる?
- 咲笑の声: あらあら? まばゆちゃん、どこに行くの?
- まばゆ: あ、咲笑さん
- 咲笑: 今日はお客さんがたくさんで 大忙しなのよぉ
- 咲笑: はやく、お手伝いしてくれると うれしいんだけど…
- まばゆ: はーい
- まばゆ: いらっしゃいませ
- まばゆ: ご注文は何になさいますか?
- ええと…ケーキセット 季節のタルトと、ブレンドを
- 私はシャルロットに…この カフェ・マキアートって…?
- まばゆ: あ、はい
- まばゆ: リクエストがあれば、 ご注文の絵を描いてお出しします
- もしかして、店員さんが やってくれるんですか?
- まばゆ: あ、私じゃなくて、店長が…
- ああ、そうなんですか
- えっと…それじゃあネコちゃん 描いてもらえますか?
- まばゆ: か、かしこまりました
- ねえねえ、ここの制服、ステキだね
- 店員さんも、ちっちゃくて かわいい
- いくつなんだろ?
- まばゆ: (うー、ちんちくりんで 悪かったですね)
- まばゆ: (私だって、好きで手伝ってる わけじゃないですよ)
- まばゆ: (でも、咲笑さんは私を 引き取ってくれた大切な人だし)
- まばゆ: (あと、ビデオレンタルで 金欠病なので、おこづかいが…)
- 咲笑: まばゆちゃん これ、奥の席にお願いね
- まばゆ: あ、はーい
- まばゆ: …って、あれ?咲笑さん?
- 咲笑: あらあら?ラテアートの 出来映えに感心しちゃった?
- まばゆ: 確かに超リアルです リアルですけど…
- まばゆ: これ、イヌ…ですよね? 注文はネコだったんですけど
- 咲笑: えっ?
- 咲笑: あ、あらあら、やだあ…うふふふふ…
- まばゆ: あ…笑ってごまかした
- FILENAME: text_902101-050.txt
- 咲笑: まばゆちゃん、おつかれさま
- 咲笑: はいこれ お手伝いのお礼の、おこづかい
- まばゆ: どうも、ありがとうございます
- 咲笑: まばゆちゃんが手伝ってくれて 私ホントに助かるわぁ
- 咲笑: 最近忙しいから、他にも誰か 手伝ってくれると嬉しいなぁ…
- まばゆ: 私の知り合いとか アテにしないで下さいよ
- 咲笑: あれ? やっぱりだめ?
- まばゆ: ダメに決まってます!フツーに アルバイト募集してください!
- 咲笑: あらあら、うふふふふ
- まばゆ: もー、また笑って ごまかすんですから…
- 咲笑: 私は明日の仕込みがあるから 先に気をつけて帰っててねー
- まばゆ: はーい
- まばゆ: (咲笑さん、パティシエとしての 腕は一流なんですけど…)
- まばゆ: (それ以外は、テンでダメ)
- まばゆ: (私がお手伝いしてなかったら お店はどうなっていたことやら)
- まばゆ: (いや、私の保護者を引き受けて くれたのはありがたいですけど)
- まばゆ: (お手伝いでおこづかいをくれて 余ったケーキももらえるし…)
- まばゆ: 私って、結構ラッキーなのでは?
- まばゆ: (…ま、いいです)
- まばゆ: (さっさと ビデオを返しにいかないと…)
- まばゆ: …………
- まばゆ: あれ?
- まばゆ: 他になんか、忘れてましたっけ?
- まばゆ: …………
- まばゆ: (ま、いっか)
- FILENAME: text_902101-060.txt
- まばゆ: ふふふ…今日も名作をたっぷり 借りることができましたよ
- まばゆ: 愛しいコタツちゃんで ぬくぬくしながら、映画を見る…
- まばゆ: ああ、なんてかけがえのない 時間なんでしょうか…
- まばゆ: でもその前に、明日が返却期限の 映画が…3本…トリロジー…
- まばゆ: まあ、名作過ぎて話の筋とか もちろん全部覚えてるんですけど
- まばゆ: 途中で寝落ちしてしまっても、 全然構わないんですけど
- まばゆ: でも、メインテーマが鳴り出すと
- まばゆ: ついテンションが激上がりして
- まばゆ: To Be Continued
- まばゆ: 今から見ると…うう、 睡眠時間、とれるでしょうか…?
- まばゆ: いや、しかし… 夜食のケーキも大量にあるし
- まばゆ: あっ! 手が滑って再生ボタンをポチ!
- まばゆ: 目覚ましがトーストを 焼き始めたぁ!ああ…!
- まばゆ: だめ、もう目が離せない…!
- まばゆ: お、おう…落雷まで 間に合え…間に合え…
- まばゆ: 間に合って…
- まばゆ: あ…あれ?
- まばゆ: 再生が止まった 故障!?故障ですか!?
- まばゆ: なんでよりによってここで! うううう…!
- まばゆ: こらー!うごけー!!
- バン!
- まばゆ: ――っ!?
- まばゆ: ぷ…プレイヤーを 叩いたら動いた!?
- まばゆ: すごい…マンガみたいだ…
- まばゆ: どれどれ、じゃあ続きを…
- まばゆ: …………
- まばゆ: また故障?
- バン!バン!
- まばゆ: こら、動け、動け動けー! 動け、動け、動いてー!
- まばゆ: おお、また動き出した…
- まばゆ: なんだろ?接触?ここを 触ってると再生が進みますね
- まばゆ: 良いところなんだから きっちり動いて下さいよぉ…
- まばゆ: 結局ノンストップで、 完走してしまいました…
- まばゆ: まあ、仕方ないですよね 面白かったですし
- まばゆ: プレイヤーも直ったみたいですし めでたしめでたし…
- まばゆ: って、あ、あれ?
- まばゆ: えっ?なになに?
- まばゆ: 3本見たから、6時間経ってる はずなのに…
- まばゆ: まだ5時間しか経ってない!?
- まばゆ: いやいや、こういうときって 時計の電池が切れてるだけで…
- まばゆ: …ち、違った 携帯も、同じ時間を指してる…
- まばゆ: …………
- まばゆ: ま、いっか
- まばゆ: 何の勘違いだか知らないですけど 時間が増えてラッキーですし
- まばゆ: 明日、寝坊しないように、 さっさと眠っちゃいましょう
- まばゆ: ふわぁあ…
- FILENAME: text_902102-010.txt [Day 2]
- ジリリリリリ!
- まばゆ: ふわぁあぁ…
- まばゆ: 朝…ですか…
- まばゆ: 朝…ですね…
- まばゆ: おやすみなさい…
- まばゆ: …………
- ジリリリリリ!
- まばゆ: うううう…わかりました わかりましたよ…
- まばゆ: 最近は夜更かしばかりでしたし 久々にゆっくり眠れた気がします
- まばゆ: これなら授業中に眠って、 恥をかくこともなさそうですね
- FILENAME: text_902102-020.txt
- 先生: それでは、抜き打ちテストを行う
- みんな: 「えええええええーっ!!」
- まばゆ: (うげ、やば)
- まばゆ: (全然、対策とか してないんですけど)
- まばゆ: (いや、でも、自分を 信じるんです、まばゆ!)
- まばゆ: (人並み以上に映画は見てますし 多少は歴史の知識が備わって…)
- まばゆ: (備わって…いなかった…)
- まばゆ: (自作農をテーマにした映画とか 見たことないですし…)
- まばゆ: (戦争映画なら得意ですけど! ベトナム戦争とか!)
- まばゆ: (空白だらけで、時間も余って… いっそ、寝ちゃいますかね…?)
- まばゆ: (ああ、寝るといえば…昨日の あの声、何だったんでしょう?)
- まばゆ: (何度思い返しても、 夢の声とは思えないですし…)
- まばゆ: (なんかこう、またどこかから 声が聞こえてこないですかねー)
- まばゆ: (それで、テストの答えを 教えてくれたり、しない?)
- まばゆ: (しない?しないですよねぇ?)
- まばゆ: …………あれ?
- まばゆ: (な…なんか、様子が…変?)
- まばゆ: (何の、音もしなくて… 誰も、ペンを動かしてない…?)
- まばゆ: (これって、どういう…)
- コロッ
- まばゆ: あ、やば…
- まばゆ: ――っ!?
- まばゆ: (う、うそ…)
- まばゆ: (空中に、鉛筆が浮かんでる!?)
- まばゆ: (いや…違う)
- まばゆ: (時計の針も、動いてない…)
- まばゆ: 時間が…止まってるんだ…!
- FILENAME: text_902102-030.txt
- まばゆ: …………
- まばゆ: (テスト中のアレ なんだったんでしょう…?)
- まばゆ: (結局、止まったのは一瞬で…)
- まばゆ: (いつのまにか 時間が進んでましたし…)
- まばゆ: (ま、おかげでカンニング できたので大変助かりましたが)
- まばゆ: (ラッキー!)
- まばゆ: (って、なに「ラッキー」で 済ませてるんですか!)
- まばゆ: (時間が止まったんですよ! 時間が!)
- まばゆ: (カンニングとかで喜んでる場合 じゃないでしょう!)
- まばゆ: …………
- まばゆ: (っていうか…うーん 私、疲れてるんですかね…)
- まばゆ: (まさかこれも、夢の続きとか そういうオチじゃ…)
- まばゆ: 咲笑さん
- 咲笑: なあに、まばゆちゃん?
- まばゆ: ほっぺ、つねってくれませんか?
- 咲笑: えいっ
- まばゆ: いででででっ!
- まばゆ: ちゅ、ちゅうちょがなひ…
- 咲笑: やあっ、とりゃー!
- まばゆ: だだだ、だいじょうぶ! もう、だいじょうぶれすからぁ…
- まばゆ: はぁ…咲笑さん、やることが極端
- 咲笑: 今日は様子が変よ また夜更かししちゃった?
- まばゆ: そうじゃ、ないんですけど…
- まばゆ: あれ…?
- 咲笑: なに?
- まばゆ: 咲笑さん、あそこ…お店の入り口
- まばゆ: なんだろ、あの生き物… ネコ…じゃ、ないですよね?
- 咲笑: いつもの黒猫ちゃんかしら? エイミーって名前なのよ
- まばゆ: 違います、白いやつですよ
- まばゆ: って、ああ… いなくなっちゃいました
- 咲笑: まばゆちゃん 夜更かしもほどほどにね
- 咲笑: 私には白猫ちゃんなんて どこにも見えなかったわよ
- まばゆ: え…
- まばゆ: (あんなに目立ってたのに?)
- まばゆ: (咲笑さんが嘘つくはずないし もしかして…幻覚?)
- まばゆ: (時間が止まったり 見えないものが見えたり…)
- まばゆ: (私、本当に、休んだ方が いいのかも…)
- 咲笑の声: いらっしゃいませー
- まばゆ: いらっしゃいま…せ
- マミ: こんにちは
- まばゆ: (あ…)
- まばゆ: (クラスメイトの、巴マミさん)
- まばゆ: ええと…お食事ですか? お持ち帰りですか?
- マミ: ええ、持ち帰りでおねがいね
- まばゆ: (私に、気づいてない… ですかね)
- まばゆ: (まあ私、クラスでも存在感が 薄いボッチですし…)
- まばゆ: (気づかれたら 気づかれたで、説明が面倒…)
- マミ: …………
- まばゆ: …? どうしましたか?
- マミ: なんでもないわ
- マミ: レモンケーキと、ザッハトルテを もらえるかしら
- まばゆ: ありがとうございます
- FILENAME: text_902102-050.txt
- まばゆ: ふぅ…今日も一日、 勤労に励んで偉いですね、私
- まばゆ: さぁて、お楽しみの映画タイム! 今日の獲物は…むふふふふ
- まばゆ: 総制作費、40億円! 指輪が繋ぐ恋の物語!
- まばゆ: いきなり予算を全面に出すの、 かなーり嫌な予感はしますが…
- まばゆ: そういうの、私大好物ですよ…と
- まばゆ: それでは、再生!
- まばゆ: うーん、ねむい…
- まばゆ: そして予想通りの、ボンヤリ感…
- まばゆ: そんな指輪を便利アイテムで 使われても、ピンとこない…
- まばゆ: あ、あれ…?
- まばゆ: 指輪といえば…
- まばゆ: 私も指輪…持ってましたね
- まばゆ: どこで買ったんでしたっけ? それとも、誰かにもらった?
- まばゆ: 思い出せない…
- まばゆ: うううう…
- まばゆ: 最近、ボーッとしすぎじゃ ないですか、私?
- FILENAME: text_902103-040.txt [Day 3]
- まばゆ: (とまあ、そんなこんなで 妙な出来事があったものの…)
- まばゆ: (今日は時間が止まることもなく 変な夢も、妙な声もナシで)
- まばゆ: (いたって普通の時間が過ぎる お手伝いまばゆちゃんでした)
- まばゆ: (まあ…正直なんかないかって 期待してなくもなかったですが)
- まばゆ: (そんな映画みたいなこと 起こるわけがないですよね)
- まばゆ: (昨日のへんちくりんな白猫も 今日は姿が見えませんし…)
- まばゆ: …ん?
- エイミー: みゃーう
- まばゆ: エイミー!
- まばゆ: (お散歩の途中ですかね? お店の前でよく見るんですよね)
- まばゆ: (お仕事中じゃなかったら 遊んであげたいんですが…)
- まばゆ: (車が、暴走して… 突っ込んでくる!)
- まばゆ: (このままじゃ エイミーが轢かれちゃう!)
- まばゆ: あ…れ…?
- まばゆ: デジャヴ…? 私…これ、見たこと、ある…?
- まばゆ: 確か、この後…エイミー、だめ!
- 咲笑: まばゆちゃん? どうしたの?
- まばゆ: エイミーが、危ない!
- 咲笑: え…?
- ブロロロロロロ!
- まばゆ: (車が、暴走して… 突っ込んでくる!)
- まばゆ: (このままじゃ エイミーが轢かれちゃう!)
- まばゆ: (だめ…間に合わない…!)
- まばゆ: (もしも私が 時間を操れるなら…!)
- まばゆ: お願い、時間よ、止まって…!!
- キキー!
- ドーン!
- エイミー: 「フギャッ…」
- まばゆ: …………
- まばゆ: そ、そんな…
- まどか: エイミーっ!
- まどか: うそ…いや、いやだよ!
- まどか: そんな、どうして…エイミー いや、死なないで…!
- 咲笑: お嬢ちゃん、泣かないで 獣医さんに連れていきましょう
- まどか: え…あ、はい
- 咲笑: お嬢ちゃん、お名前は?
- まどか: わたし…まどか 鹿目まどかです
- 咲笑: 私は愛生咲笑 そこのケーキ屋さんの店長よ
- 咲笑: まどかちゃん、車を出して くるから、ちょっと待ってて
- まどか: は、はい!
- 咲笑: …ということでまばゆちゃん 店番お願いね!
- まばゆ: わ、わかりました
- FILENAME: text_902103-050.txt
- まばゆ: エイミー…大丈夫、ですかね…
- まばゆ: 咲笑さんの話だと かなり危ない手術だって
- まばゆ: それにしても…はぁ…
- まばゆ: 時間よ、止まって…だなんて
- まばゆ: 我ながら…恥ずかしいことを 言ってしまいました…
- まばゆ: 時間が止まるわけ、ないのに
- まばゆ: いや、でも…エイミーを 助けたいと思ったのは、事実で…
- まばゆ: …………
- まばゆ: あの子は、鹿目まどか…さん? うちの学校の、制服でしたね
- まばゆ: 時々、エイミーに餌をあげてるの 見たような気もしますけど…
- まばゆ: エイミー、みんなに 好かれてましたもんね…
- まばゆ: 無事に…怪我が、治るといいなあ
- トントントン
- まばゆ: あ、はーい
- 咲笑: まばゆちゃん、お店ありがとうね 手術に時間がかかっちゃって…
- まばゆ: エイミーはどうなりましたか?
- 咲笑: ええと、それなんだけれど…
- 咲笑: 手術は…失敗したの
- 咲笑: 一度、心臓が止まって お医者さんも、もうだめだって
- まばゆ: そんな…
- 咲笑: 私もガッカリしちゃって 外で、ぼーっとしてたんだけどね
- 咲笑: その後、急に奇跡が起こったの!
- 咲笑: エイミーの心臓が動き出して 助かったのよ!
- まばゆ: 助かったんですか!?
- 咲笑: ええ、お医者さんも、こんなの 初めてだってビックリしてたわ
- まばゆ: ナントカ族の埋葬地に埋めたら 墓の下から蘇った、とか…?
- 咲笑: まばゆちゃん、また映画の話?
- まばゆ: ごめんなさい…
- まばゆ: いやいや、でも、そんな 奇跡みたいなことって…
- 咲笑: まばゆちゃんは、うれしくない?
- まばゆ: うれしいです! うれしいですけど…
- 咲笑: だったら、それでいいじゃない
- まばゆ: ええええ…
- 咲笑: 毎日ちゃんと生きてれば 神様がご褒美をくれるのよ!
- まばゆ: そ、そういうもんですかね…?
- 咲笑: そういうものなの! うふふふ
- 咲笑: 明日もお仕事、がんばろー!
- まばゆ: う、うーん…
- FILENAME: text_902106-010.txt [Day 6]
- 先生: いいかみんな!10分後に この場所に集合だからな
- 先生: トイレなんかはちゃんと 済ませておくように!
- まばゆ: (あー、ダルい…)
- まばゆ: (毎年毎年、飽きもせずに 自動車工場見学なんて)
- まばゆ: (何が楽しいんですかねぇ)
- まばゆ: (ま、机にかじりついて勉強 してるよりはマシですけど…)
- まばゆ: (工場内を歩き回って もうクタクタですよ…)
- まばゆ: (コタツちゃん…愛するコタツ ちゃんの元にさっさと帰りたい)
- まばゆ: (っていうか、あー? なんかベンチないですか?)
- まばゆ: (いい加減、立ってるのも 疲れてしまいまし…)
- まばゆ: あ…あれ?
- まばゆ: (なんです、ここ… 暗い…っていうか、方向が…)
- まばゆ: (私…どっちから 来たんでしたっけ…)
- まばゆ: なんか… 向こうから、気配が…
- まばゆ: 何かが…
- まばゆ: きゃあああっ!!
- まばゆ: (ちょっ、なんですか!?)
- まばゆ: (足、引っ張られて…)
- まばゆ: うひゃああああああーっ!!
- まばゆ: うひゃあああ…あ…あ…あれ?
- さやか: えっと…大丈夫ですか?
- まばゆ: あ…え…いや…
- まばゆ: 大丈夫か大丈夫じゃないかと 言われれば…大丈夫なような…
- まばゆ: (って、コミュ障発動… 挙動不審ですよ、自分)
- さやか: もしかして道に迷った…とか?
- まばゆ: あ、はい、です
- さやか: やっぱり
- さやか: ここの工場、 なんだか妙に複雑なんですよねー
- さやか: あたしも前に迷ったことがあって
- さやか: だから今日は2度目の迷子です!
- まばゆ: そ、そうなんですか
- さやか: 同じ学校の、先輩…ですよね
- さやか: あたしは美樹さやかです あなたは?
- まばゆ: 愛生まばゆです
- さやか: 愛生センパイ よろしくお願いします
- まばゆ: (い、いきなりセンパイ呼び!)
- まばゆ: (なんかこう、落ち着かない…)
- さやか: で、集合場所は、たぶんむこう…
- まばゆ: わわわっ! な、なんか煙突が…
- さやか: こっちです!早く!
- ガッシャーン!!
- FILENAME: text_902108-020.txt [Day 8]
- まばゆ: おっ!
- エイミー: …………
- まばゆ: エイミーがお店の前に…!
- まばゆ: にひひひひ…こんな時のために 抜かりはありません!
- まばゆ: エイミーちゃん、 カリカリですよー
- まばゆ: マグロ味の おいしいおいしいカリカリ…
- エイミー: みゃぅ?
- まばゆ: ほーれほれほれ、おいしいよー こっちに来て、ゆっくりおあがり
- ぷいっ
- まばゆ: え、エイミーちゃーん?
- まばゆ: おいしい、おいしい、 カリカリがここに…あれ…?
- スタスタ
- まばゆ: あ…
- まばゆ: 行っちゃった…
- まばゆ: な、なぜ…?
- まばゆ: カリカリまで用意したのに!
- 咲笑: それ、マグロ味じゃないかしら?
- まばゆ: あ…咲笑さん
- 咲笑: エイミーは、グルメなのよ あげるならチキン味じゃないと!
- まばゆ: な、そんなことが…!?
- 咲笑: ふふふ、パティシエ咲笑さんの 食の探究を甘く見ちゃだめよ
- まばゆ: はぁ…
- 咲笑: それにしてもエイミー ホントに元気になったわねえ
- 咲笑: 奇跡的な回復だわ うんうん!
- まばゆ: 奇跡…ですか
- 咲笑: さ、まばゆちゃん
- 咲笑: 今日もお店のお手伝い、 よろしくね
- まばゆ: あ、はーい
- まばゆ: ありがとうございましたー!
- まばゆ: ふぅ…今日はわりと のんびりできそうですかね
- 咲笑: そういえば、自動車工場の見学 大変だったって?
- まばゆ: え…ああ、聞いたんですか
- 咲笑: 整備不良で煙突が崩れるなんて… まばゆちゃんは、大丈夫だった?
- まばゆ: ええ、私は遠くにいましたから
- まばゆ: (ま、嘘ですけどね)
- まばゆ: (結果的に無事でしたし 咲笑さんに心配かけたくないし)
- 咲笑: 確か去年も 似たような事故があったのよね
- 咲笑: 生徒が行くんだから、安全には 気を遣って欲しいんだけど
- まばゆ: おっしゃるとおりで
- まばゆ: …ってあれ?咲笑さん?
- まばゆ: ケーキの注文 もう全部作り終わりました?
- 咲笑: あ…忘れてた!てへぺろ
- まばゆ: これだから咲笑さんは…
- 咲笑: まばゆちゃん 注文の詳細読み上げてくれる?
- 咲笑: 退院祝いの ケーキだったと思うけど
- まばゆ: はーい、ええと…
- まばゆ: ぎょう…び? あかつき…?
- 咲笑: え?なになに?
- まばゆ: 名字、読み方が わかんないですけど…
- まばゆ: 朝の「暁」に、 美しいの「美」
- まばゆ: で、名前がひらがなの「ほむら」 メッセージは…
- 「暁美ほむらちゃん 退院おめでとう」
- FILENAME: text_902110-030.txt [Day 10]
- まばゆ: ふぅ…
- まばゆ: 授業をサボって貪る 惰眠は最高です…
- グラウンドの声: 位置について、よーい…
- パーン!
- まばゆ: グラウンドで、 体力測定ご苦労さまです…
- まばゆ: ぽかぽか陽気で こんなに風も気持ち良いのに
- まばゆ: 勉強だの体力測定だの やってられませんよぉ
- まばゆ: 出席日数は最低限!
- まばゆ: テストもギリギリ切り抜けて 学校を卒業!
- まばゆ: それが、私の、生き様です!
- まばゆ: …………
- まばゆ: しかし…
- まばゆ: 最近、本当に変ですね 身の回りで色んなことが起こって
- まばゆ: 今まで、こんなミョーなことが 起こった記憶なんて、ないのに
- まばゆ: 工場の事故に巻き込まれたりとか エイミーが生き返ったりとか
- まばゆ: 極めつけは時間停止ですけど それも全然意味不明だし…
- まばゆ: 時間が止まるっていっても 操作できなきゃ意味ないですよ
- まばゆ: はぁ…
- まばゆ: …………
- まばゆ: …いや、ネガティブは良くない もっと前向きに考えましょう
- まばゆ: 自在に操れようと操れまいと、 時間が止まるのはすごい!
- まばゆ: だからもし 次に時間が止まったら…
- まばゆ: 止まったら…
- まばゆ: 止まった…ら…?
- まばゆ: …………
- まばゆ: …カンニング、とか?
- まばゆ: いやいやいやいや…発想が貧困
- まばゆ: なんか…こう、もうちょっと あるんじゃないですかね、自分?
- まばゆ: 時間が止まったからこそ できること…えっと…
- まばゆ: 泥棒…とか?
- まばゆ: …………
- まばゆ: 私、時間が止まっても ろくなことをしないのでは!?
- グラウンドの声: きゃああああーっ!!
- まばゆ: …………?
- まばゆ: なんか、校庭から声が
- グラウンドの声: いたたたたた…
- グラウンドの声: 暁美さん、大丈夫!? 保健室、行く!?
- まばゆ: 身体測定…高跳びで、マットから 外れちゃったんですね
- まばゆ: でも、あの場所…高跳びなのに あんな遠くまで飛んでる?
- まばゆ: ずいぶん元気なもんですね
- まばゆ: 私にもその体力 分けて欲しいものですよ
- FILENAME: text_902110-040.txt
- まばゆ: にひひひひ…大漁大漁
- まばゆ: まさかワゴンセールで、こんな 掘り出し物が見つかるなんて!
- まばゆ: じゃーん!一世を風靡した アイドル映画の金字塔!
- まばゆ: 帰ったら早速 尾道の情緒をたっぷり味わって…
- まばゆ: …………ん?
- さやか: くー!どこまでキャラ立て すれば済むんだあの転校生は!!
- さやか: 萌えか? そこが萌えなのか!?
- 仁美: まどかさん、本当に暁美さんと 初対面なのでしょうか?
- さやか: さーて、あやしいんじゃないの?
- さやか: 今日だって、あたしたちじゃなく あの転校生を選んだわけだし…
- さやか: うううっ、あたしたち、まどかに 捨てられたんだよぉ、仁美ぃ!
- 仁美: あー、はいはい、よしよし…
- まばゆ: (あれ…この前工場で会った…)
- まばゆ: (えっと…名前 なんでしたっけ?)
- まばゆ: (…覚えてない)
- まばゆ: (我ながら名前の記憶できなさに 呆れてしまいますね)
- まばゆ: (この前は彼女のおかげで 怪我をせずに済んだわけですし)
- まばゆ: (一応、声をかけますか)
- まばゆ: あ、あの…
- まばゆ: すいません…この間は、どうも
- さやか: …………
- まばゆ: ええと!自分、同じ学校の… 工場見学で、会った…
- さやか: …………
- まばゆ: (シカト!?)
- まばゆ: (いやまあ、確かに私 存在感薄いですけど!)
- まばゆ: (クラスでもいつも ボッチですけど!)
- まばゆ: (だからってそんな こんなあからさまに、無視…)
- まばゆ: じゃ…ない?
- まばゆ: 時間、止まってる!?
- まばゆ: (うん…周りの人も 動いてません)
- まばゆ: (やっぱり時間停止は 夢とか幻じゃ、なかった!)
- まばゆ: …しめしめ
- まばゆ: 待っていましたよ、この時を!!
- まばゆ: (ショッピングモールで時間が 止まるなんて、ラッキー!!)
- まばゆ: (屋上で脳内シミュレーション して良かった良かった…)
- まばゆ: (今、劇場で観ておきたい映画が いくつかあったんですよねえ)
- まばゆ: (しかも、ちょうど予告編 時間がまた進み出せば…)
- ブー
- まばゆ: (おっ!ナイスタイミング!)
- FILENAME: text_902110-050.txt
- まばゆ: (1回分、席代が浮きましたよ! にひひひひ…!)
- まばゆ: (それにしても、大変素晴らしい 映画でした…)
- まばゆ: (B級っぽいサブタイトルで どうなるか不安でしたが)
- まばゆ: (船上のサスペンスが、あんな 哲学的なオチを迎えるとは…)
- 警備員: お嬢ちゃん、こっちに入らない!
- まばゆ: え…?
- まばゆ: (立入禁止のロープ?)
- まばゆ: あの、なにかあったんですか?
- 警備員: なんだ、気づかなかったのかい?
- 警備員: この店で、強盗事件があったんだ
- まばゆ: 強盗事件…?
- まばゆ: (担架で人が運ばれていく…)
- まばゆ: (私も、映画館に入らなかったら 危なかったかもですね)
- まばゆ: (時間が止まってくれて 助かりました)
- FILENAME: text_902111-040.txt [Day 11]
- まばゆ: いらっしゃいませー
- まばゆ: …………
- まばゆ: (時間が止まる…うーむー)
- まばゆ: (何が何だかわかんなすぎて どうしようもないっていうか)
- まばゆ: (時間が止まるタイミングとかも 法則は思いつかないし…)
- まばゆ: (停止の長さもバラバラで 自然現象なのか、なんなのか…)
- まばゆ: (わかんないなら深く考えないで いっそ思いっきり楽しむとか?)
- まばゆ: …………
- 咲笑: まばゆちゃん、最近どうしたの?
- まばゆ: え?どうしたって?
- 咲笑: 心配事があるんじゃない?
- まばゆ: い、いやあ!全然!
- 咲笑: そうは見えないんだけどなあ…
- 咲笑: 確かにまばゆちゃんは 空想にふけりがちだけど
- 咲笑: 心配事があるんじゃない?
- まばゆ: い、いや、それは…
- まばゆ: (こ、困りました)
- まばゆ: (咲笑さんは、私の話を真剣に 聞いてくれるでしょうけど)
- まばゆ: (いきなり、時間が止まるんです って言われても…)
- まばゆ: (お医者さんに連れて行かれる 未来しか見えない!)
- まばゆ: (でも、無駄な心配は かけたくないし)
- まばゆ: (いったい、どう返事すれば…)
- まばゆ: …って、あれ?
- 咲笑: …………
- まばゆ: また、時間が止まってる…!?
- まばゆ: チャンス!!
- まばゆ: (この前映画を観たとき…)
- まばゆ: (6時間経ってるはずなのに 5時間しか過ぎてなくて…)
- まばゆ: (後で思い返したら、時間が 止まってたんじゃないかって)
- まばゆ: (確かあの時、途中で プレイヤーが停止したんですよ)
- まばゆ: (でも、手で触ることで 再生が再開された…)
- まばゆ: (もし、あれが偶然じゃなくて 停止した時間の法則なら…)
- エイミー: …………
- まばゆ: ふふふふ…エイミーちゃーん
- まばゆ: かわいいあなたに 実験台になってもらいますよぉ
- まばゆ: そーれ、タッチ!
- エイミー: ふにゃっ!?
- まばゆ: むふふふふ、やっとおさわり させてもらえました…
- エイミー: !?!?
- まばゆ: 驚いていますね 無理もありません
- まばゆ: 急に私が目の前に現れたように…
- エイミー: ふにゃーっ!!
- まばゆ: ああっ、ちょ、待って!
- まばゆ: やっと会えたのに、逃げたら…!
- エイミー: …………
- まばゆ: あ
- まばゆ: 止まった
- まばゆ: ってことは、やっぱり…
- まばゆ: 私が触っている間だけ 時間停止が解けるんだ
- 咲笑: …………
- まばゆ: 今、咲笑さんを触ったら
- まばゆ: 時間停止が解けて、私の悩みが 現実だってわかって…
- まばゆ: お医者さんに連れて行かれる ようなことは、なくなる…
- まばゆ: かも…しれない…かも…
- まばゆ: …………
- まばゆ: …いや
- まばゆ: やめておきましょう
- まばゆ: こんなの、知らせたところで 解決法があるわけでもなし…
- まばゆ: 余計な心配をかける必要は ないです
- まばゆ: …それよりも
- 咲笑: …………
- まばゆ: (前々から、 気になってたんですけど)
- まばゆ: (咲笑さんって、一体おいくつ なんでしょうか…)
- まばゆ: (海外でパティシエの武者修行を 長年してた…という設定なのに)
- まばゆ: (見た目…いや、 中身もですけど)
- まばゆ: だいぶお若いというか…
- まばゆ: …………
- まばゆ: 知りたい
- まばゆ: いや、でも、良くない
- まばゆ: 良くないのは、わかります わかりますが、し、しかしぃ…
- まばゆ: 今咲笑さんの荷物から、免許証を 抜き出せば、永遠の謎が解ける…
- 咲笑: 免許証が、どうしたの?
- まばゆ: ひぇっ!?
- まばゆ: い、いえ! なんでもないです!
- 咲笑: あら、そう?
- まばゆ: (あ、危ないところだった…!)
- FILENAME: text_902113-010.txt [Day 13]
- まばゆ: ふわぁあぁあ…
- まばゆ: (う、美しい…)
- まばゆ: (こないだは、運良く1本分 席代が浮きましたからね…)
- まばゆ: (普段見ない、名画のリバイバル 上映にやってきたわけですが…)
- まばゆ: ふわぁあぁあ…
- まばゆ: (心地良すぎて…眠い…)
- まばゆ: (バツグンの音響も… 座り心地最高の席も…)
- まばゆ: (私を眠りに誘っています…)
- まばゆ: (いや、なけなしのお小遣いを つぎ込んだんです…)
- まばゆ: (眠るわけには、いきません)
- まばゆ: (眠るわけには…)
- まばゆ: (眠…る…わけ…には…)
- まばゆ: あ…あれ?
- まばゆ: (映画が、止まってる…)
- まばゆ: (映写機の故障…)
- まばゆ: (じゃ、ないですよね)
- まばゆ: (よりにもよって こんなところで…)
- まばゆ: (あ、始まった)
- まばゆ: (ふぅ…これでやっと 集中して映画が…)
- まばゆ: …………
- まばゆ: また…止まった…
- まばゆ: (なんか、集中できない… 一回今のうちに、お手洗いに…)
- まばゆ: …………!!
- まばゆ: (わ、私もしかして、 おちょくられてませんか!?)
- まばゆ: (い、いえ…集中です、集中)
- まばゆ: (余計なことは考えず、 ただ、映画の中身に集中を…)
- まばゆ: …………あー
- まばゆ: もう、いいです
- まばゆ: (余計なことは考えない… ただ、時の流れるままに…)
- まばゆ: (ひたすらスクリーンを 見つめながら…)
- まばゆ: (時が流れ出すのを、 じっと待つ…)
- まばゆ: (待つ…待つ…)
- まばゆ: !?
- まばゆ: (し、しまった…!)
- まばゆ: (つい、眠ってしまいました!)
- まばゆ: (もう、エンディング…ああ… 席代、損してしまったぁ…)
- まばゆ: とほほほほ…
- FILENAME: text_902113-030.txt
- まばゆ: …………
- まばゆ: …………
- まばゆ: だ、だめだ…眠れない
- まばゆ: 昼に、映画館で眠ったのが まずかったんでしょうか…
- まばゆ: 今日に限って、レンタルビデオの ストックもない…
- まばゆ: まあ、テレビでも…
- カチッ
- まばゆ: あ、あれ…?
- まばゆ: 停止…してる…
- まばゆ: ってことは、もしかして…
- まばゆ: 雨粒が…止まってます やっぱり、時間が停止してる
- まばゆ: っていうか…
- まばゆ: 雨、めちゃくちゃウザいですね
- まばゆ: 上からなら、傘で防げますが 目の前で止まってると…冷たっ!
- まばゆ: 体に当たると流れ落ちる みたいですけど…
- まばゆ: …あれ?
- まばゆ: な、なんですか…あれ? 雨粒に、トンネルみたいなのが…
- まばゆ: 私が歩いてきた道と そっくりだ…
- まばゆ: …と、いうことは?
- まばゆ: まさか!?
- まばゆ: (この道が、誰かが雨の中を 移動した跡だとしたら…?)
- まばゆ: (私の他にも、止まった時間で 動くことができる人がいる!?)
- まばゆ: (雨粒のトンネルは この高架下で消えてますね)
- まばゆ: (このそばに、時間停止の中で 動ける、誰かが…?)
- まばゆ: (どんな人だろう?)
- まばゆ: (見つけたら、どんなふうに 声をかければ…)
- まばゆ: (うう…こんな時に ボッチでコミュ障の発作が…)
- まばゆ: あ、時間が…
- まばゆ: きゃぅっ!?
- まばゆ: …………
- まばゆ: (ば…ば、爆発…!?)
- まばゆ: (や、やばいやばいやばい)
- まばゆ: (こんな時間、こんな所にいたら 疑われてしまいますっ!!)
- まばゆ: (逃げなきゃ!)
- FILENAME: text_902114-010.txt [Day 14]
- まばゆ: へ…へ…へっぷし!
- まばゆ: (ううう…雨の中 家を出るんじゃなかった…)
- まばゆ: (おかげで鼻が ぐずぐずですよ…もう)
- まばゆ: (しかし、それにしても…)
- ねーねー知ってる、爆弾騒ぎ?
- 工場のガスが漏れ出した ヤツじゃなくて?
- あー、それもあったけど
- それとは別に 高架下で爆発があったんだって
- うちの近くでさあ 音がうるさくて、目覚めちゃった
- え?マジでー!?
- まばゆ: (学校でも、結構な話題ですね)
- まばゆ: (爆発物… 一体誰が、何のために?)
- まばゆ: (っていうか爆弾を使ったの…)
- まばゆ: (状況的に、私が追いかけていた 人物なのでは?)
- まばゆ: …………こっわー
- まばゆ: (もう少し慎重になった方が よさそうですね…)
- FILENAME: text_902114-020.txt
- 咲笑: ねえ、まばゆちゃん 今朝、爆弾騒ぎがあったってね
- 咲笑: 工場でガスが漏れ出したり 強盗事件で死傷者がでたり
- 咲笑: 最近、何かと物騒ねぇ
- まばゆ: ですね…
- 咲笑: ところでまばゆちゃん?
- まばゆ: なんですか、咲笑さん
- 咲笑: まばゆちゃん、今朝早く 外に出たりしてなかった?
- まばゆ: (ギクッ!)
- まばゆ: ちょっと眠れなかったので 気分転換にお散歩を…
- 咲笑: 雨の中を?
- まばゆ: たまには、そういうのも 悪くないかなーって…
- 咲笑: …………
- まばゆ: 咲笑さん…疑ってます? 私を疑ってますよね…?
- 咲笑: うん
- まばゆ: 頷いた! 力強く頷いた!
- 咲笑: まばゆちゃんはちょっと 凝り性なところがあるから…
- 咲笑: 保護者として預かる以上は ちゃんと話を聞いておかなきゃね
- まばゆ: はい…心配かけて、すみません
- まばゆ: でも、あの日外に出たのは 本当に偶然で…
- まばゆ: 私は、爆弾を仕掛けたりなんか してません!
- 咲笑: うん、わかったわ
- まばゆ: すぐわかられた!
- まばゆ: …あっさり信じて良いんですか?
- まばゆ: 自分でいうのもアレですけど 私結構あやしいと思うんですけど
- 咲笑: もちろん、信じるわよ
- 咲笑: だってまばゆちゃん 嘘をつくの下手だもの
- まばゆ: あ、それは確かに
- 咲笑: まばゆちゃんは、抜け目なく いつもズルしようとしてるけど…
- 咲笑: 他人に迷惑をかけるようなことは 絶対しない子よ
- まばゆ: は…はぁ
- まばゆ: ありがとうございます…
- まばゆ: (自分では、そういうつもりは 全くないんですけど…)
- まばゆ: (咲笑さんに笑顔で言われると 悪いことはできないなって…)
- まばゆ: …って、アレ?
- まばゆ: また…時間が、止まってる
- まばゆ: …ああ言われたら、さすがに 免許証は、覗き見できないな
- まばゆ: (しかし、こうやって中途半端に 時間が止まると困るんですよね)
- まばゆ: (いつ時間が流れ出すのかわかん なくて、手に余るっていうか…)
- まばゆ: …………
- まばゆ: うーん
- まばゆ: ラテアートの 練習でもするか
- まばゆ: 時間をかけて名ピアニストに… ってわけにはいかないですけど
- まばゆ: ちょっとした時間で練習するなら このくらいのことは…と!
- まばゆ: …………
- まばゆ: うーん…やっぱりうまくいかない
- まばゆ: っていうか、うっぷ… 失敗作、飲みすぎたかも
- 咲笑: あら?まばゆちゃん
- 咲笑: これは、かわいいネコちゃんね
- まばゆ: …………
- 咲笑: あっ、えっと…クマさんかしら?
- まばゆ: か、カバ…
- 咲笑: あらあら、そうだったのね うふふふふ…
- まばゆ: (とほほほ…)
- まばゆ: (やっぱり、下手ですよね)
- まばゆ: (練習したら いつか上手くなれるのかなあ…)
- FILENAME: text_902114-030.txt
- まばゆ: ううう…おなかが、たぷたぷ…
- まばゆ: (カフェインで、今夜もまた 眠れなくなりそうな予感)
- まばゆ: (こうなったら、つまらなそうな B級映画を借りて、一気見…)
- まばゆ: あ…あれ?
- まばゆ: (なんか…あたりが、暗い?)
- まばゆ: (それに今、ちっちゃい 影が動いたような…)
- まばゆ: もしかして、エイミーかな?
- 杏子: 待てッ!
- まばゆ: !?
- まばゆ: (えっ、ちょ、ちょっと!)
- まばゆ: (虐待!? 動物虐待ですか!?)
- 杏子: だあああっ!!
- まばゆ: (だめですって!)
- まばゆ: (あの子は、どこですか?)
- まばゆ: (っていうか、ここは…どこ?)
- まばゆ: (こんな場所 この近くにありましたっけ…?)
- まばゆ: (自動車工場でも、こんな感じの 場所に迷い込んだような…)
- 杏子: トドメだっ!
- まばゆ: (あ…あれ?)
- まばゆ: (急に、公園に戻った…)
- 杏子: …ったく、手下ふぜいが 手間かけさせやがって
- 杏子: こっちはタダ働きで いいメーワクだっての、あむ…
- まばゆ: (あ…バームクーヘン 美味しそう…)
- まばゆ: (じゃなくて! なんか、槍? 振り回して、いったい…)
- 杏子: あのメカクレのコ ちゃんと逃げただろうな
- まばゆ: (え…メカクレのコ?)
- まばゆ: (あー、私のこと?)
- まばゆ: (…私、助けられたって ことですかね?)
- まばゆ: (野犬でもいたとか…? いやいや、まさか…)
- 杏子: にしてもマミのヤツ どうしちまったんだ?
- 杏子: 普段なら、あんなやつら、 のさばらせておくわけないのに
- 杏子: なーんか、ヤな感じだぜ
- まばゆ: ――っ!?
- まばゆ: と、跳んで、消えた…
- FILENAME: text_902115-010.txt [Day 15]
- キーンコーンカーンコーン
- まばゆ: (昨日のアレ なんだったんでしょう?)
- まばゆ: (あの動き、ふつーの 人間じゃ有り得ないような…)
- マミ: 起立
- マミ: 礼
- マミ: 着席
- まばゆ: (マミって言ってましたよね)
- まばゆ: (ま、珍しい名前じゃないですし 巴さんのことなわけ、ないか…)
- マミ: …………
- まばゆ: (あ、あれ? こっちを意識してる?なんで?)
- まばゆ: (私、巴さんと教室では会話すら したことないはず…)
- まばゆ: (いや…もしかしたら 1回くらいはありましたか?)
- まばゆ: (クラスメイトだから おかしくはないですけど…)
- まばゆ: (――っ!? そ、そうか! クラスメイト!)
- まばゆ: (クラスメイトなら と、と、と、友だちとして…!)
- まばゆ: (ふ、普通に話しかけたって 問題ない、はず…はず…!)
- まばゆ: (友だち…友だち…)
- まばゆ: と、ともだち…トモ…ダチ…
- マミ: え…?
- まばゆ: あっ、あの…巴、マミ、さん?
- マミ: は、はい…?
- まばゆ: えっと、あの、あの、ですね…
- まばゆ: き、きのう、公園で… へんな子を見たんです
- マミ: は…はあ…
- まばゆ: マミ、って名前、言ってたから もしかしたら知り合いかも、って
- マミ: ええと…よくわからないけど、 その子は、どんな方なのかしら?
- まばゆ: なんか、その…えっと…
- まばゆ: 赤い変な服を着て、槍をブンブン 振り回して、バームクーヘンを…
- マミ: …………?
- まばゆ: いえ、ごめんなさい! なんでもないです!
- まばゆ: (不審!不審すぎますよ、私!)
- まばゆ: (赤い服で、槍で バームクーヘン!?)
- まばゆ: (そんな知り合いいるかって 意味わかんなすぎる!)
- まばゆ: (巴さんの怪訝な瞳が目に 焼きついて…恥ずかしいッ!!)
- まばゆ: (妙な気を起こすんじゃなかった ああ、さっさと家に帰って…)
- 先生: おーい愛生、どこに行く?
- まばゆ: へ?
- 先生: 今日は追試だぞ、教室に残れ
- まばゆ: あ…やば!忘れてた…!!
- FILENAME: text_902115-030.txt
- まばゆ: (ううう…まずいまずいまずい)
- まばゆ: (ここで合格できないと 内申点に大ダメージが)
- まばゆ: (でも暗記していないのに 歴史上の人物なんて書けないし)
- まばゆ: (ああっ、こんな時に 時間が止まってくれたら…!)
- まばゆ: えっ!?
- まばゆ: (す…すごい! 本当に…時間が止まった!!)
- まばゆ: (ふふふふ…!日ごろの行い! 神様は私を見捨てなかった!)
- まばゆ: (どれどれ、他の人の答えは…)
- まばゆ: ――っ!? しまった!
- まばゆ: (テストが始まったばっかりで 誰も答案に手をつけてない…)
- まばゆ: (あと10分…あと10分遅れて 時間が止まってくれたら…!)
- まばゆ: (いや…しかし 諦めるにはまだ早いですよ!)
- まばゆ: (時間が止まったり、進んだり… 何回も繰り返したことだって!)
- まばゆ: (きっと、しばらく 待っていれば…!)
- まばゆ: (待っていれば…!)
- まばゆ: (待って…いる、のに…)
- まばゆ: (なかなか、時間が進みません)
- まばゆ: (じゃあ、教科書を取り出して 答えを探してしまえば…)
- まばゆ: (なんて手には 引っかかりませんよ!)
- まばゆ: (動き出した途端 時間が進むんでしょう!?)
- まばゆ: (ええ、わかってます わかってますとも)
- まばゆ: (「気をつけよう 教科書は急にしまえない」)
- まばゆ: (カンニングがバレたら 咲笑さんに迷惑をかけますから)
- まばゆ: (ここはじっと 我慢の子です!!)
- まばゆ: …………
- まばゆ: (時間、全然、進まない…)
- まばゆ: (考えてみれば今までも、何が きっかけで時間が進んでたのか)
- まばゆ: (もう二度と時間が進まない 可能性も、ないわけじゃない?)
- まばゆ: (いやいやいやいや…!)
- まばゆ: (そんなわけが…そんなわけ…)
- まばゆ: (これ…本当に、まずいかも…)
- まばゆ: (どれだけ時間が経ったのか… 時計も止まっちゃってますし)
- まばゆ: (と、というか…ですね…)
- まばゆ: …………
- まばゆ: (お手洗いに…行きたい…)
- まばゆ: (移動中に時間が進み出したら… 勝手に追試を放棄したことに…)
- まばゆ: (時間停止していなければ、 普通に先生に声かけできるのに)
- まばゆ: (でも、この状態じゃ… 呼びかけることも、できなくて)
- まばゆ: あああ…
- まばゆ: ううう…
- まばゆ: ひぇええ…
- まばゆ: (も、もう…限界…)
- まばゆ: (テスト結果と、人間の尊厳…)
- まばゆ: (守るべきは 人間の尊厳です…!)
- 先生: ん? どうした、愛生?
- まばゆ: お手洗いッ!
- まばゆ: お手洗いに行ってきます!
- 先生: お、おう、そうか
- まばゆ: (こんなのもう 耐えられないです!)
- まばゆ: (今まで、なんとなく 見過ごしてきましたが…)
- まばゆ: (この時間停止の原因を ちゃんと突き止めないと!!)
- FILENAME: text_902122-050.txt [Day 22]
- まばゆ: はぁ…
- まばゆ: あれから、時間停止の原因を 探ろうとしたものの…
- まばゆ: 全然、わからない ヒントさえ見つかんない
- まばゆ: 時間停止のタイミングはバラバラ 強いていえば夕方から夜が多い?
- まばゆ: 曜日ごとの傾向もないし 停止時間も長かったり短かったり
- まばゆ: テストの後、あの時みたいに 長い停止はまだなくて…
- まばゆ: 止まった時間に閉じ込められずに 済んだのは、良かったですけど
- まばゆ: 自然現象か、人為的なものか それすらもわかんなくて…
- まばゆ: 結局、時間が止まって 良かったことといえば…
- まばゆ: ラテアートが上達した ことくらい…トホホホ…
- まばゆ: (あ、時間が進んだ…)
- 咲笑: あら、まばゆちゃん また練習してるの?
- 咲笑: まあ、かわいいキリンさん!
- まばゆ: へ…ヘビ、です…
- 咲笑: あ、あらぁ…? うふふふふ…
- まばゆ: (上達… してるつもりなんだけどなあ)
- まばゆ: はぁ…また、止まった
- まばゆ: やれやれ これはもう1杯、練習しろってこと…
- タッ、タッ、タッ、タッ…
- まばゆ: え…
- ???: あっちです!あの、工場!
- ???: ええ、先にいくわね!
- まばゆ: (あ…あれ?)
- まばゆ: (今、店の前を通ったのって…)
- まばゆ: っ!!
- まばゆ: (人影――走ってる!)
- まばゆ: (私の他にも、止まってる時間の 中で動ける人が、ふたり!)
- まばゆ: (私の他にも、いるんだ!)
- まばゆ: (追いかけなきゃ!!)
- FILENAME: text_902122-060.txt
- まばゆ: はぁっ…はぁっ…はぁっ…
- まばゆ: (たぶん、このあたりだと… 思うんですけど)
- まばゆ: (女の子…でしたよね? こんな場所で、一体何を…?)
- まばゆ: (というか…見つけたら 私、どうしたらいいんですか?)
- まばゆ: (よく考えたら、相手は爆弾を 持ってるかもしれないのに…)
- まばゆ: (まさか、時間停止の力で爆弾を 仕掛ける、テロリストとか!?)
- まばゆ: シャレにならんですよ、それ…
- まばゆ: あ…
- まばゆ: (時間、また進んだ…)
- まばゆ: (逃げた方が…いい、かな…?)
- まばゆ: ひぇっ
- まばゆ: (まずい この感じ、前にも…)
- まばゆ: (逃げなきゃ! でも、出口は?)
- マミ: 佐倉さん
- 杏子: 遅かったじゃないか
- 杏子: 後輩を見殺しにするのかと 思ったよ
- マミ: 残念だわ
- マミ: あなた、本当に 変わってしまったのね
- 杏子: あたしの知ってる巴マミは こんな魔女をのさばらせない
- マミ: っ!
- まばゆ: (あれは、クラスメイトの 巴マミさんと…)
- まばゆ: (この前公園で助けてくれた …佐倉、さん?)
- まばゆ: (な、なんかいきなり 剣呑な雰囲気ですけど…!)
- まばゆ: (あと、あの奥にいる 影っぽいやつは…?)
- まどか: あ…ああっ!
- まばゆ: (あ!鹿目さん…でしたっけ? エイミーと病院に行った…)
- まばゆ: (黒い影に捕まってる!)
- マミ: …話は後ね
- マミ: 今はあなたに 構っている場合じゃない
- 杏子: 確かに
- 杏子: あんたを倒したところで ご褒美もらえるわけじゃないしね
- マミ: 行くわよ!
- 杏子: 言われなくても!
- マミ: たぁっ!
- 杏子: ふんっ!
- 杏子: でりゃああっ!!
- まどか: っ!!
- まばゆ: (あっ!佐倉さんの槍が 鹿目さんを切り離した!)
- まばゆ: (でも…!)
- 杏子: やれやれ、どうやらちょいと 怒らせちまったか
- 杏子: くぅっ!
- まばゆ: (反撃をくらって… このままじゃ危ないっ!)
- マミの声: 佐倉さん!
- 杏子: おうっ!
- マミ: ティロ・フィナーレ!!
- まばゆ: (すごい…相談もなかったのに 息の合ったコンビネーション)
- まばゆ: (もしかしてあのふたり 仲間…なのかな?)
- マミ: 佐倉さん、あなたが囮に なってくれたおかげで…
- まどか: きゃっ
- 杏子: グリーフシード、独り占め しようってわけ?
- 杏子: あたしにも分け前 いただこうじゃないか
- 杏子: ま、いっそ力尽くで奪っても いいんだけどね
- まどか: そ、そんなの…
- マミ: 相変わらず ずいぶん気が立ってるのね
- マミ: できるだけ穏便に 済ませたかったんだけどなぁ
- 杏子: あたしが先に駆けつけなきゃ こいつはとっくに死んでた
- 杏子: 仲間に誘っといて、面倒も 見られないなんてどうかしてる
- 杏子: マミ、あんたホントにヤキが 回っちまったんじゃないか?
- マミ: …………
- 杏子: あたしが果たした仕事には そのくらいの価値があるはずだよ
- 杏子: さあ、そのグリーフシードを…
- ほむらの声: やめて!
- 杏子: !?
- まどか: ほむらちゃん!
- ほむら: それは、鹿目さんのために 必要なもの…
- ほむら: あなたに横取りなんてさせない!
- まばゆ: (他にも人が!?)
- まばゆ: (あれ? 手に持ってるのって…)
- まばゆ: (爆弾!?)
- マミ: 暁美さん、早まっちゃダメよ
- まどか: ほむらちゃん わたしは大丈夫だよ
- ほむらの声: でも…!
- 杏子: まだぞろぞろ、お友だちを 引き連れてやがんのか
- マミ: ええ、そうよ それが私のやり方
- 杏子: じゃあ、ちゃんと責任とりな
- マミ: …………
- 杏子: 今回のは貸しにしといてやるよ
- 杏子: けど、次にまた こんなヌルい真似してたら
- 杏子: この町ごと、あたしが奪ってやる
- マミ: …ふぅ、行ったわね
- ほむら: 鹿目さんっ!!
- まどか: ほむらちゃん 心配かけてごめんね…
- まばゆ: (何が…起こったんですか?)
- まばゆ: (刃物で脅迫したり 爆弾で脅したり)
- まばゆ: (あっという間に服も着替えて)
- まばゆ: (魔女?魔法少女?)
- まばゆ: (私、また… 夢でも、見てるんですか?)
- FILENAME: text_902123-010.txt [Day 23]
- ジリリリリリ!
- まばゆ: ふわぁあぁ…
- まばゆ: 夢…ですか…
- まばゆ: 夢…ですよね…
- まばゆ: 時間が止まって 魔法少女と魔女が戦って…
- まばゆ: 魔法少女も 魔法少女と戦うとか…
- まばゆ: しかも、ウチの学校の生徒が 魔法少女をしているとか…
- まばゆ: そんなの…ゆめ…に、決まって…
- カン!カン!
- 咲笑: はい、まばゆちゃん、朝ですよー
- 咲笑: 昨日はお店を抜けだして 門限までに帰ってこないなんて
- 咲笑: 咲笑さんは、許しませんから!
- 咲笑: 今日からちゃんと 規則正しい生活よ?
- まばゆ: は、はーい…
- まばゆ: (やっぱり…夢じゃなかった…)
- FILENAME: text_902123-020.txt
- 先生: 巴さん、続きを読んで
- マミ: はい
- マミ: 叢の中からは、暫く返辞が無かった
- マミ: しのび泣きかと思われる 微かな声が…
- マミ: 時々洩れるばかりである
- マミ: ややあって、低い声が答えた
- マミ: 「如何にも自分は 隴西の李徴である」と
- まばゆ: (巴さん…間違いない クラスメイトは、魔法少女)
- まばゆ: (昨晩は帰り道をつけて 自宅を確認したわけですが…)
- まばゆ: (おかげでお手伝いを すっぽかしたわけですが…)
- まばゆ: (門限オーバーで、咲笑さんに たっぷり絞られたわけですが…)
- まばゆ: (ああ…ホント散々な夜でした)
- まばゆ: (でも!)
- マミ: ティロ・フィナーレ!!
- 杏子: まだぞろぞろ、お友だちを 引き連れてやがんのか
- まばゆ: (十分、収穫はありました)
- まばゆ: (夢じゃなくて、彼女たちが 魔法少女だったとするならば…)
- まばゆ: (私は、彼女たちの時間停止の 魔法に巻き込まれている!)
- まばゆ: (ああ!なんて名推理!)
- まばゆ: (私の時間停止の問題も 解決にグッと近づきました!)
- まばゆ: (ただ、問題なのは…)
- まどか: きゃっ
- 杏子: グリーフシード、独り占め しようってわけ?
- 杏子: あたしにも分け前 いただこうじゃないか
- ほむら: あなたに横取りなんてさせない!
- まばゆ: (なんか、ものすごーく 彼女たちが暴力的というか…)
- まばゆ: (ヤクザ映画!?ってくらい バチバチでしたよね)
- まばゆ: (声をかけても 味方になってくれるかどうか)
- まばゆ: (街中で爆弾爆発させるような テロリスト紛いの人たちですよ)
- まばゆ: (もし、正体を知ってるって 彼女たちに告げたら…)
- まばゆ: (口封じすら、ありえます!!)
- まばゆ: (ここは目一杯慎重に観察を…)
- マミ: 己がすっかり人間でなくなって 了う前に…
- マミ: 一つ頼んで置きたいことがある
- 先生: よし、よく読めましたね
- 先生: それじゃあ次は…愛生さん
- まばゆ: は、は、はいっ!
- FILENAME: text_902123-025.txt
- マミ: …………
- まどか: …………
- ほむら: …………
- まばゆ: (3人仲良く、お弁当ですか)
- まばゆ: (対する私は、コンビニの サンドイッチでボッチ飯…)
- まばゆ: (いや、そもそも対する必要 全然ないですけど)
- まばゆ: (巴さんと他の2人は、学年が 違うし、部活も繋がりがない…)
- まばゆ: (それなのに一緒に昼食をとると いうのは、やはり…)
- まばゆ: (魔法少女仲間 ということですか)
- まどか: …………
- ほむら: …………
- まばゆ: (しかし、何を話しているのか)
- まばゆ: (読唇術でも使えたら 読み取れるのかもしれませんが)
- まばゆ: (何にせよ距離が遠すぎて…)
- マミ: …………
- まばゆ: !?
- まばゆ: (巴さんが、こっちを見た?)
- まばゆ: (いや、私、ボッチ力には 謎の自信があります)
- まばゆ: (あの距離から気配を 察知されるなんてそんなわけ…)
- まばゆ: (ない…ですよね?)
- FILENAME: text_902123-040.txt
- まばゆ: (さて、いよいよ放課後です)
- まばゆ: (今日、本当は咲笑さんの お手伝いがありますが…)
- マミ: …………
- まばゆ: (昨日のアレを見てしまった以上 お店の手伝いなんてしてられない)
- まばゆ: (巴さんが一体何をしているのか 時間停止は彼女と関係あるのか)
- まばゆ: (そして彼女は信頼に値するか)
- まばゆ: (その正体、確かに この目で見極めてみせます!)
- マミ: …………
- まばゆ: (え、えっと…)
- まばゆ: (なんで、こんな夜に、こんな ひと気のない場所に、ひとりで?)
- まばゆ: (いやあの、正体を見極める… とか、意気込んでましたけど)
- まばゆ: (気味悪いし、危なそうなんで そろそろ今日はお暇を…)
- マミ: 逃げる気?
- まばゆの声: ひぇっ!?
- まばゆ: (い、今…私に?)
- マミ: 教室からつけて来たのは わかっているのよ
- まばゆ: (あ…や、やっぱり、バレてた)
- マミ: 一度しか言わないからよく聞いて
- マミ: 私にこれ以上、近づかないで
- まばゆの声: え…
- マミ: じゃないと
- マミ: 私は、あなたを、殺すわ
- まばゆ: ッ!?
- まばゆ: (まずい、まずいまずい!)
- まばゆ: (巴さんが、今… 私を、殺すって!?)
- まばゆ: (いやいやいや、なんで!?)
- まばゆ: (私が命を狙われるような ことを、いつ!?)
- まばゆ: (わかんないです! わかんないですけど、でも…!)
- まばゆ: (巴さんたちと関わったら 私は…!)
- まばゆ: あ…あれ…?
- まばゆ: この感じ…もしかしてまた…!?
- まばゆ: え…いや、だめ…
- まばゆ: だ、だれか…助けて、だれか…
- まばゆ: だれかああぁぁーっ!!
- まばゆ: ぁ…うそ…
- まばゆ: いや、いや…
- まばゆ: いやああああああああ……っ!!
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