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Oct 3rd, 2023 (edited)
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  1. FILENAME: text_902101-010.txt [Day 1]
  2. 光が差し込んで まぶたの裏に焼きついて
  3. 消える
  4. 今、残っているのは かすかな手触りだけ
  5. それもきっと いつか忘れ去られる
  6. ジリリリリリ!
  7. まばゆ: ふわぁあぁ…
  8. まばゆ: 朝…ですか…
  9. まばゆ: 朝…ですね…
  10. まばゆ: おやすみなさい…
  11. まばゆ: …………
  12. ジリリリリリ!
  13. まばゆ: うううう…わかりました わかりましたよ…ふわぁあ…
  14. まばゆ: 昨日の映画、殺人鬼が気になって 続編まで完走してしまいました…
  15. まばゆ: そのせいでしょうか? 妙な夢を見てしまったような…
  16. まばゆ: なんか…すごく… 泣いちゃった、ような…
  17. まばゆ: なんか…忘れてる…ような…
  18. まばゆ: そして…なぞのねむさ…
  19. まばゆ: くそねむい…ですよ…ふわぁ…
  20. ジリリリリリ!
  21. まばゆ: あー、はいはい、わかりましたよ 学校、学校…
  22. まばゆ: ビデオも返さないと、ですしね…
  23.  
  24. FILENAME: text_902101-020.txt
  25. まばゆ: (あー、だる…あー、つら… 朝の日差しが私の目を焼く…)
  26. まばゆ: (私のようなボッチ陰キャに 日々の登校はコクですよ)
  27. まばゆ: (さっさと教室に潜り込んで 机につっぷして爆睡したい…)
  28. マミの声: あ!
  29. まばゆ: (ん?)
  30. マミ: おはよう
  31. マミ: ねえ、 昨日借りた本なんだけれど…
  32. まばゆ: (巴マミさん… クラスメイト…でしたっけ?)
  33. まばゆ: (そうだった、はず、たぶん…)
  34. まばゆ: (といっても、時々お店に ケーキを買いに来るくらい)
  35. まばゆ: (クラスメイトと言っても 話した記憶もないですけど)
  36. まばゆ: (本の貸し借りができる お友だちがいて ようござんしたね)
  37. まばゆ: (ボッチの私には関係ないです)
  38. マミ: …………?
  39.  
  40. FILENAME: text_902101-030.txt
  41. まばゆ: (おはようございます)
  42. まばゆ: (おやすみなさい)
  43. まばゆ: (ううう…つくえ…つくえ…)
  44. まばゆ: (授業までの短い時間 私の眠気を受け止めてくれる)
  45. まばゆ: (最高だよ、机ちゃん… コタツちゃんの次に愛してる…)
  46. まばゆ: (あいして…)
  47. まばゆ: (あい…して…)
  48. ???: まばゆさん
  49. まばゆ: は、はいっ!!
  50. まばゆ: …………あれ?
  51. 先生: お、愛生 自分で立つなんて珍しいな
  52. 先生: じゃあ、この式を解きなさい
  53. まばゆ: え?今の声って…
  54. 先生: ほら、早く!
  55. まばゆ: あ、は…はい…
  56.  
  57. FILENAME: text_902101-040.txt
  58. まばゆ: はあぁ…
  59. まばゆ: (寝ぼけて返事するなんて はずかしい…)
  60. まばゆ: (でも…あの声 なんだったんでしょうか?)
  61. まばゆ: (夢の中で聞こえたのとは 違うと思うんですが…)
  62. まばゆ: (でも確かに、リアルな声とも ちょっと違っていたような…)
  63. まばゆ: …………
  64. まばゆ: …あれ?
  65. まばゆ: なんだろ なんか…忘れてる?
  66. 咲笑の声: あらあら? まばゆちゃん、どこに行くの?
  67. まばゆ: あ、咲笑さん
  68. 咲笑: 今日はお客さんがたくさんで 大忙しなのよぉ
  69. 咲笑: はやく、お手伝いしてくれると うれしいんだけど…
  70. まばゆ: はーい
  71. まばゆ: いらっしゃいませ
  72. まばゆ: ご注文は何になさいますか?
  73. ええと…ケーキセット 季節のタルトと、ブレンドを
  74. 私はシャルロットに…この カフェ・マキアートって…?
  75. まばゆ: あ、はい
  76. まばゆ: リクエストがあれば、 ご注文の絵を描いてお出しします
  77. もしかして、店員さんが やってくれるんですか?
  78. まばゆ: あ、私じゃなくて、店長が…
  79. ああ、そうなんですか
  80. えっと…それじゃあネコちゃん 描いてもらえますか?
  81. まばゆ: か、かしこまりました
  82. ねえねえ、ここの制服、ステキだね
  83. 店員さんも、ちっちゃくて かわいい
  84. いくつなんだろ?
  85. まばゆ: (うー、ちんちくりんで 悪かったですね)
  86. まばゆ: (私だって、好きで手伝ってる わけじゃないですよ)
  87. まばゆ: (でも、咲笑さんは私を 引き取ってくれた大切な人だし)
  88. まばゆ: (あと、ビデオレンタルで 金欠病なので、おこづかいが…)
  89. 咲笑: まばゆちゃん これ、奥の席にお願いね
  90. まばゆ: あ、はーい
  91. まばゆ: …って、あれ?咲笑さん?
  92. 咲笑: あらあら?ラテアートの 出来映えに感心しちゃった?
  93. まばゆ: 確かに超リアルです リアルですけど…
  94. まばゆ: これ、イヌ…ですよね? 注文はネコだったんですけど
  95. 咲笑: えっ?
  96. 咲笑: あ、あらあら、やだあ…うふふふふ…
  97. まばゆ: あ…笑ってごまかした
  98.  
  99. FILENAME: text_902101-050.txt
  100. 咲笑: まばゆちゃん、おつかれさま
  101. 咲笑: はいこれ お手伝いのお礼の、おこづかい
  102. まばゆ: どうも、ありがとうございます
  103. 咲笑: まばゆちゃんが手伝ってくれて 私ホントに助かるわぁ
  104. 咲笑: 最近忙しいから、他にも誰か 手伝ってくれると嬉しいなぁ…
  105. まばゆ: 私の知り合いとか アテにしないで下さいよ
  106. 咲笑: あれ? やっぱりだめ?
  107. まばゆ: ダメに決まってます!フツーに アルバイト募集してください!
  108. 咲笑: あらあら、うふふふふ
  109. まばゆ: もー、また笑って ごまかすんですから…
  110. 咲笑: 私は明日の仕込みがあるから 先に気をつけて帰っててねー
  111. まばゆ: はーい
  112. まばゆ: (咲笑さん、パティシエとしての 腕は一流なんですけど…)
  113. まばゆ: (それ以外は、テンでダメ)
  114. まばゆ: (私がお手伝いしてなかったら お店はどうなっていたことやら)
  115. まばゆ: (いや、私の保護者を引き受けて くれたのはありがたいですけど)
  116. まばゆ: (お手伝いでおこづかいをくれて 余ったケーキももらえるし…)
  117. まばゆ: 私って、結構ラッキーなのでは?
  118. まばゆ: (…ま、いいです)
  119. まばゆ: (さっさと ビデオを返しにいかないと…)
  120. まばゆ: …………
  121. まばゆ: あれ?
  122. まばゆ: 他になんか、忘れてましたっけ?
  123. まばゆ: …………
  124. まばゆ: (ま、いっか)
  125.  
  126. FILENAME: text_902101-060.txt
  127. まばゆ: ふふふ…今日も名作をたっぷり 借りることができましたよ
  128. まばゆ: 愛しいコタツちゃんで ぬくぬくしながら、映画を見る…
  129. まばゆ: ああ、なんてかけがえのない 時間なんでしょうか…
  130. まばゆ: でもその前に、明日が返却期限の 映画が…3本…トリロジー…
  131. まばゆ: まあ、名作過ぎて話の筋とか もちろん全部覚えてるんですけど
  132. まばゆ: 途中で寝落ちしてしまっても、 全然構わないんですけど
  133. まばゆ: でも、メインテーマが鳴り出すと
  134. まばゆ: ついテンションが激上がりして
  135. まばゆ: To Be Continued
  136. まばゆ: 今から見ると…うう、 睡眠時間、とれるでしょうか…?
  137. まばゆ: いや、しかし… 夜食のケーキも大量にあるし
  138. まばゆ: あっ! 手が滑って再生ボタンをポチ!
  139. まばゆ: 目覚ましがトーストを 焼き始めたぁ!ああ…!
  140. まばゆ: だめ、もう目が離せない…!
  141. まばゆ: お、おう…落雷まで 間に合え…間に合え…
  142. まばゆ: 間に合って…
  143. まばゆ: あ…あれ?
  144. まばゆ: 再生が止まった 故障!?故障ですか!?
  145. まばゆ: なんでよりによってここで! うううう…!
  146. まばゆ: こらー!うごけー!!
  147. バン!
  148. まばゆ: ――っ!?
  149. まばゆ: ぷ…プレイヤーを 叩いたら動いた!?
  150. まばゆ: すごい…マンガみたいだ…
  151. まばゆ: どれどれ、じゃあ続きを…
  152. まばゆ: …………
  153. まばゆ: また故障?
  154. バン!バン!
  155. まばゆ: こら、動け、動け動けー! 動け、動け、動いてー!
  156. まばゆ: おお、また動き出した…
  157. まばゆ: なんだろ?接触?ここを 触ってると再生が進みますね
  158. まばゆ: 良いところなんだから きっちり動いて下さいよぉ…
  159. まばゆ: 結局ノンストップで、 完走してしまいました…
  160. まばゆ: まあ、仕方ないですよね 面白かったですし
  161. まばゆ: プレイヤーも直ったみたいですし めでたしめでたし…
  162. まばゆ: って、あ、あれ?
  163. まばゆ: えっ?なになに?
  164. まばゆ: 3本見たから、6時間経ってる はずなのに…
  165. まばゆ: まだ5時間しか経ってない!?
  166. まばゆ: いやいや、こういうときって 時計の電池が切れてるだけで…
  167. まばゆ: …ち、違った 携帯も、同じ時間を指してる…
  168. まばゆ: …………
  169. まばゆ: ま、いっか
  170. まばゆ: 何の勘違いだか知らないですけど 時間が増えてラッキーですし
  171. まばゆ: 明日、寝坊しないように、 さっさと眠っちゃいましょう
  172. まばゆ: ふわぁあ…
  173.  
  174. FILENAME: text_902102-010.txt [Day 2]
  175. ジリリリリリ!
  176. まばゆ: ふわぁあぁ…
  177. まばゆ: 朝…ですか…
  178. まばゆ: 朝…ですね…
  179. まばゆ: おやすみなさい…
  180. まばゆ: …………
  181. ジリリリリリ!
  182. まばゆ: うううう…わかりました わかりましたよ…
  183. まばゆ: 最近は夜更かしばかりでしたし 久々にゆっくり眠れた気がします
  184. まばゆ: これなら授業中に眠って、 恥をかくこともなさそうですね
  185.  
  186. FILENAME: text_902102-020.txt
  187. 先生: それでは、抜き打ちテストを行う
  188. みんな: 「えええええええーっ!!」
  189. まばゆ: (うげ、やば)
  190. まばゆ: (全然、対策とか してないんですけど)
  191. まばゆ: (いや、でも、自分を 信じるんです、まばゆ!)
  192. まばゆ: (人並み以上に映画は見てますし 多少は歴史の知識が備わって…)
  193. まばゆ: (備わって…いなかった…)
  194. まばゆ: (自作農をテーマにした映画とか 見たことないですし…)
  195. まばゆ: (戦争映画なら得意ですけど! ベトナム戦争とか!)
  196. まばゆ: (空白だらけで、時間も余って… いっそ、寝ちゃいますかね…?)
  197. まばゆ: (ああ、寝るといえば…昨日の あの声、何だったんでしょう?)
  198. まばゆ: (何度思い返しても、 夢の声とは思えないですし…)
  199. まばゆ: (なんかこう、またどこかから 声が聞こえてこないですかねー)
  200. まばゆ: (それで、テストの答えを 教えてくれたり、しない?)
  201. まばゆ: (しない?しないですよねぇ?)
  202. まばゆ: …………あれ?
  203. まばゆ: (な…なんか、様子が…変?)
  204. まばゆ: (何の、音もしなくて… 誰も、ペンを動かしてない…?)
  205. まばゆ: (これって、どういう…)
  206. コロッ
  207. まばゆ: あ、やば…
  208. まばゆ: ――っ!?
  209. まばゆ: (う、うそ…)
  210. まばゆ: (空中に、鉛筆が浮かんでる!?)
  211. まばゆ: (いや…違う)
  212. まばゆ: (時計の針も、動いてない…)
  213. まばゆ: 時間が…止まってるんだ…!
  214.  
  215. FILENAME: text_902102-030.txt
  216. まばゆ: …………
  217. まばゆ: (テスト中のアレ なんだったんでしょう…?)
  218. まばゆ: (結局、止まったのは一瞬で…)
  219. まばゆ: (いつのまにか 時間が進んでましたし…)
  220. まばゆ: (ま、おかげでカンニング できたので大変助かりましたが)
  221. まばゆ: (ラッキー!)
  222. まばゆ: (って、なに「ラッキー」で 済ませてるんですか!)
  223. まばゆ: (時間が止まったんですよ! 時間が!)
  224. まばゆ: (カンニングとかで喜んでる場合 じゃないでしょう!)
  225. まばゆ: …………
  226. まばゆ: (っていうか…うーん 私、疲れてるんですかね…)
  227. まばゆ: (まさかこれも、夢の続きとか そういうオチじゃ…)
  228. まばゆ: 咲笑さん
  229. 咲笑: なあに、まばゆちゃん?
  230. まばゆ: ほっぺ、つねってくれませんか?
  231. 咲笑: えいっ
  232. まばゆ: いででででっ!
  233. まばゆ: ちゅ、ちゅうちょがなひ…
  234. 咲笑: やあっ、とりゃー!
  235. まばゆ: だだだ、だいじょうぶ! もう、だいじょうぶれすからぁ…
  236. まばゆ: はぁ…咲笑さん、やることが極端
  237. 咲笑: 今日は様子が変よ また夜更かししちゃった?
  238. まばゆ: そうじゃ、ないんですけど…
  239. まばゆ: あれ…?
  240. 咲笑: なに?
  241. まばゆ: 咲笑さん、あそこ…お店の入り口
  242. まばゆ: なんだろ、あの生き物… ネコ…じゃ、ないですよね?
  243. 咲笑: いつもの黒猫ちゃんかしら? エイミーって名前なのよ
  244. まばゆ: 違います、白いやつですよ
  245. まばゆ: って、ああ… いなくなっちゃいました
  246. 咲笑: まばゆちゃん 夜更かしもほどほどにね
  247. 咲笑: 私には白猫ちゃんなんて どこにも見えなかったわよ
  248. まばゆ: え…
  249. まばゆ: (あんなに目立ってたのに?)
  250. まばゆ: (咲笑さんが嘘つくはずないし もしかして…幻覚?)
  251. まばゆ: (時間が止まったり 見えないものが見えたり…)
  252. まばゆ: (私、本当に、休んだ方が いいのかも…)
  253. 咲笑の声: いらっしゃいませー
  254. まばゆ: いらっしゃいま…せ
  255. マミ: こんにちは
  256. まばゆ: (あ…)
  257. まばゆ: (クラスメイトの、巴マミさん)
  258. まばゆ: ええと…お食事ですか? お持ち帰りですか?
  259. マミ: ええ、持ち帰りでおねがいね
  260. まばゆ: (私に、気づいてない… ですかね)
  261. まばゆ: (まあ私、クラスでも存在感が 薄いボッチですし…)
  262. まばゆ: (気づかれたら 気づかれたで、説明が面倒…)
  263. マミ: …………
  264. まばゆ: …? どうしましたか?
  265. マミ: なんでもないわ
  266. マミ: レモンケーキと、ザッハトルテを もらえるかしら
  267. まばゆ: ありがとうございます
  268.  
  269. FILENAME: text_902102-050.txt
  270. まばゆ: ふぅ…今日も一日、 勤労に励んで偉いですね、私
  271. まばゆ: さぁて、お楽しみの映画タイム! 今日の獲物は…むふふふふ
  272. まばゆ: 総制作費、40億円! 指輪が繋ぐ恋の物語!
  273. まばゆ: いきなり予算を全面に出すの、 かなーり嫌な予感はしますが…
  274. まばゆ: そういうの、私大好物ですよ…と
  275. まばゆ: それでは、再生!
  276. まばゆ: うーん、ねむい…
  277. まばゆ: そして予想通りの、ボンヤリ感…
  278. まばゆ: そんな指輪を便利アイテムで 使われても、ピンとこない…
  279. まばゆ: あ、あれ…?
  280. まばゆ: 指輪といえば…
  281. まばゆ: 私も指輪…持ってましたね
  282. まばゆ: どこで買ったんでしたっけ? それとも、誰かにもらった?
  283. まばゆ: 思い出せない…
  284. まばゆ: うううう…
  285. まばゆ: 最近、ボーッとしすぎじゃ ないですか、私?
  286.  
  287. FILENAME: text_902103-040.txt [Day 3]
  288. まばゆ: (とまあ、そんなこんなで 妙な出来事があったものの…)
  289. まばゆ: (今日は時間が止まることもなく 変な夢も、妙な声もナシで)
  290. まばゆ: (いたって普通の時間が過ぎる お手伝いまばゆちゃんでした)
  291. まばゆ: (まあ…正直なんかないかって 期待してなくもなかったですが)
  292. まばゆ: (そんな映画みたいなこと 起こるわけがないですよね)
  293. まばゆ: (昨日のへんちくりんな白猫も 今日は姿が見えませんし…)
  294. まばゆ: …ん?
  295. エイミー: みゃーう
  296. まばゆ: エイミー!
  297. まばゆ: (お散歩の途中ですかね? お店の前でよく見るんですよね)
  298. まばゆ: (お仕事中じゃなかったら 遊んであげたいんですが…)
  299. まばゆ: (車が、暴走して… 突っ込んでくる!)
  300. まばゆ: (このままじゃ エイミーが轢かれちゃう!)
  301. まばゆ: あ…れ…?
  302. まばゆ: デジャヴ…? 私…これ、見たこと、ある…?
  303. まばゆ: 確か、この後…エイミー、だめ!
  304. 咲笑: まばゆちゃん? どうしたの?
  305. まばゆ: エイミーが、危ない!
  306. 咲笑: え…?
  307. ブロロロロロロ!
  308. まばゆ: (車が、暴走して… 突っ込んでくる!)
  309. まばゆ: (このままじゃ エイミーが轢かれちゃう!)
  310. まばゆ: (だめ…間に合わない…!)
  311. まばゆ: (もしも私が 時間を操れるなら…!)
  312. まばゆ: お願い、時間よ、止まって…!!
  313. キキー!
  314. ドーン!
  315. エイミー: 「フギャッ…」
  316. まばゆ: …………
  317. まばゆ: そ、そんな…
  318. まどか: エイミーっ!
  319. まどか: うそ…いや、いやだよ!
  320. まどか: そんな、どうして…エイミー いや、死なないで…!
  321. 咲笑: お嬢ちゃん、泣かないで 獣医さんに連れていきましょう
  322. まどか: え…あ、はい
  323. 咲笑: お嬢ちゃん、お名前は?
  324. まどか: わたし…まどか 鹿目まどかです
  325. 咲笑: 私は愛生咲笑 そこのケーキ屋さんの店長よ
  326. 咲笑: まどかちゃん、車を出して くるから、ちょっと待ってて
  327. まどか: は、はい!
  328. 咲笑: …ということでまばゆちゃん 店番お願いね!
  329. まばゆ: わ、わかりました
  330.  
  331. FILENAME: text_902103-050.txt
  332. まばゆ: エイミー…大丈夫、ですかね…
  333. まばゆ: 咲笑さんの話だと かなり危ない手術だって
  334. まばゆ: それにしても…はぁ…
  335. まばゆ: 時間よ、止まって…だなんて
  336. まばゆ: 我ながら…恥ずかしいことを 言ってしまいました…
  337. まばゆ: 時間が止まるわけ、ないのに
  338. まばゆ: いや、でも…エイミーを 助けたいと思ったのは、事実で…
  339. まばゆ: …………
  340. まばゆ: あの子は、鹿目まどか…さん? うちの学校の、制服でしたね
  341. まばゆ: 時々、エイミーに餌をあげてるの 見たような気もしますけど…
  342. まばゆ: エイミー、みんなに 好かれてましたもんね…
  343. まばゆ: 無事に…怪我が、治るといいなあ
  344. トントントン
  345. まばゆ: あ、はーい
  346. 咲笑: まばゆちゃん、お店ありがとうね 手術に時間がかかっちゃって…
  347. まばゆ: エイミーはどうなりましたか?
  348. 咲笑: ええと、それなんだけれど…
  349. 咲笑: 手術は…失敗したの
  350. 咲笑: 一度、心臓が止まって お医者さんも、もうだめだって
  351. まばゆ: そんな…
  352. 咲笑: 私もガッカリしちゃって 外で、ぼーっとしてたんだけどね
  353. 咲笑: その後、急に奇跡が起こったの!
  354. 咲笑: エイミーの心臓が動き出して 助かったのよ!
  355. まばゆ: 助かったんですか!?
  356. 咲笑: ええ、お医者さんも、こんなの 初めてだってビックリしてたわ
  357. まばゆ: ナントカ族の埋葬地に埋めたら 墓の下から蘇った、とか…?
  358. 咲笑: まばゆちゃん、また映画の話?
  359. まばゆ: ごめんなさい…
  360. まばゆ: いやいや、でも、そんな 奇跡みたいなことって…
  361. 咲笑: まばゆちゃんは、うれしくない?
  362. まばゆ: うれしいです! うれしいですけど…
  363. 咲笑: だったら、それでいいじゃない
  364. まばゆ: ええええ…
  365. 咲笑: 毎日ちゃんと生きてれば 神様がご褒美をくれるのよ!
  366. まばゆ: そ、そういうもんですかね…?
  367. 咲笑: そういうものなの! うふふふ
  368. 咲笑: 明日もお仕事、がんばろー!
  369. まばゆ: う、うーん…
  370.  
  371. FILENAME: text_902106-010.txt [Day 6]
  372. 先生: いいかみんな!10分後に この場所に集合だからな
  373. 先生: トイレなんかはちゃんと 済ませておくように!
  374. まばゆ: (あー、ダルい…)
  375. まばゆ: (毎年毎年、飽きもせずに 自動車工場見学なんて)
  376. まばゆ: (何が楽しいんですかねぇ)
  377. まばゆ: (ま、机にかじりついて勉強 してるよりはマシですけど…)
  378. まばゆ: (工場内を歩き回って もうクタクタですよ…)
  379. まばゆ: (コタツちゃん…愛するコタツ ちゃんの元にさっさと帰りたい)
  380. まばゆ: (っていうか、あー? なんかベンチないですか?)
  381. まばゆ: (いい加減、立ってるのも 疲れてしまいまし…)
  382. まばゆ: あ…あれ?
  383. まばゆ: (なんです、ここ… 暗い…っていうか、方向が…)
  384. まばゆ: (私…どっちから 来たんでしたっけ…)
  385. まばゆ: なんか… 向こうから、気配が…
  386. まばゆ: 何かが…
  387. まばゆ: きゃあああっ!!
  388. まばゆ: (ちょっ、なんですか!?)
  389. まばゆ: (足、引っ張られて…)
  390. まばゆ: うひゃああああああーっ!!
  391. まばゆ: うひゃあああ…あ…あ…あれ?
  392. さやか: えっと…大丈夫ですか?
  393. まばゆ: あ…え…いや…
  394. まばゆ: 大丈夫か大丈夫じゃないかと 言われれば…大丈夫なような…
  395. まばゆ: (って、コミュ障発動… 挙動不審ですよ、自分)
  396. さやか: もしかして道に迷った…とか?
  397. まばゆ: あ、はい、です
  398. さやか: やっぱり
  399. さやか: ここの工場、 なんだか妙に複雑なんですよねー
  400. さやか: あたしも前に迷ったことがあって
  401. さやか: だから今日は2度目の迷子です!
  402. まばゆ: そ、そうなんですか
  403. さやか: 同じ学校の、先輩…ですよね
  404. さやか: あたしは美樹さやかです あなたは?
  405. まばゆ: 愛生まばゆです
  406. さやか: 愛生センパイ よろしくお願いします
  407. まばゆ: (い、いきなりセンパイ呼び!)
  408. まばゆ: (なんかこう、落ち着かない…)
  409. さやか: で、集合場所は、たぶんむこう…
  410. まばゆ: わわわっ! な、なんか煙突が…
  411. さやか: こっちです!早く!
  412. ガッシャーン!!
  413.  
  414. FILENAME: text_902108-020.txt [Day 8]
  415. まばゆ: おっ!
  416. エイミー: …………
  417. まばゆ: エイミーがお店の前に…!
  418. まばゆ: にひひひひ…こんな時のために 抜かりはありません!
  419. まばゆ: エイミーちゃん、 カリカリですよー
  420. まばゆ: マグロ味の おいしいおいしいカリカリ…
  421. エイミー: みゃぅ?
  422. まばゆ: ほーれほれほれ、おいしいよー こっちに来て、ゆっくりおあがり
  423. ぷいっ
  424. まばゆ: え、エイミーちゃーん?
  425. まばゆ: おいしい、おいしい、 カリカリがここに…あれ…?
  426. スタスタ
  427. まばゆ: あ…
  428. まばゆ: 行っちゃった…
  429. まばゆ: な、なぜ…?
  430. まばゆ: カリカリまで用意したのに!
  431. 咲笑: それ、マグロ味じゃないかしら?
  432. まばゆ: あ…咲笑さん
  433. 咲笑: エイミーは、グルメなのよ あげるならチキン味じゃないと!
  434. まばゆ: な、そんなことが…!?
  435. 咲笑: ふふふ、パティシエ咲笑さんの 食の探究を甘く見ちゃだめよ
  436. まばゆ: はぁ…
  437. 咲笑: それにしてもエイミー ホントに元気になったわねえ
  438. 咲笑: 奇跡的な回復だわ うんうん!
  439. まばゆ: 奇跡…ですか
  440. 咲笑: さ、まばゆちゃん
  441. 咲笑: 今日もお店のお手伝い、 よろしくね
  442. まばゆ: あ、はーい
  443. まばゆ: ありがとうございましたー!
  444. まばゆ: ふぅ…今日はわりと のんびりできそうですかね
  445. 咲笑: そういえば、自動車工場の見学 大変だったって?
  446. まばゆ: え…ああ、聞いたんですか
  447. 咲笑: 整備不良で煙突が崩れるなんて… まばゆちゃんは、大丈夫だった?
  448. まばゆ: ええ、私は遠くにいましたから
  449. まばゆ: (ま、嘘ですけどね)
  450. まばゆ: (結果的に無事でしたし 咲笑さんに心配かけたくないし)
  451. 咲笑: 確か去年も 似たような事故があったのよね
  452. 咲笑: 生徒が行くんだから、安全には 気を遣って欲しいんだけど
  453. まばゆ: おっしゃるとおりで
  454. まばゆ: …ってあれ?咲笑さん?
  455. まばゆ: ケーキの注文 もう全部作り終わりました?
  456. 咲笑: あ…忘れてた!てへぺろ
  457. まばゆ: これだから咲笑さんは…
  458. 咲笑: まばゆちゃん 注文の詳細読み上げてくれる?
  459. 咲笑: 退院祝いの ケーキだったと思うけど
  460. まばゆ: はーい、ええと…
  461. まばゆ: ぎょう…び? あかつき…?
  462. 咲笑: え?なになに?
  463. まばゆ: 名字、読み方が わかんないですけど…
  464. まばゆ: 朝の「暁」に、 美しいの「美」
  465. まばゆ: で、名前がひらがなの「ほむら」 メッセージは…
  466. 「暁美ほむらちゃん 退院おめでとう」
  467.  
  468. FILENAME: text_902110-030.txt [Day 10]
  469. まばゆ: ふぅ…
  470. まばゆ: 授業をサボって貪る 惰眠は最高です…
  471. グラウンドの声: 位置について、よーい…
  472. パーン!
  473. まばゆ: グラウンドで、 体力測定ご苦労さまです…
  474. まばゆ: ぽかぽか陽気で こんなに風も気持ち良いのに
  475. まばゆ: 勉強だの体力測定だの やってられませんよぉ
  476. まばゆ: 出席日数は最低限!
  477. まばゆ: テストもギリギリ切り抜けて 学校を卒業!
  478. まばゆ: それが、私の、生き様です!
  479. まばゆ: …………
  480. まばゆ: しかし…
  481. まばゆ: 最近、本当に変ですね 身の回りで色んなことが起こって
  482. まばゆ: 今まで、こんなミョーなことが 起こった記憶なんて、ないのに
  483. まばゆ: 工場の事故に巻き込まれたりとか エイミーが生き返ったりとか
  484. まばゆ: 極めつけは時間停止ですけど それも全然意味不明だし…
  485. まばゆ: 時間が止まるっていっても 操作できなきゃ意味ないですよ
  486. まばゆ: はぁ…
  487. まばゆ: …………
  488. まばゆ: …いや、ネガティブは良くない もっと前向きに考えましょう
  489. まばゆ: 自在に操れようと操れまいと、 時間が止まるのはすごい!
  490. まばゆ: だからもし 次に時間が止まったら…
  491. まばゆ: 止まったら…
  492. まばゆ: 止まった…ら…?
  493. まばゆ: …………
  494. まばゆ: …カンニング、とか?
  495. まばゆ: いやいやいやいや…発想が貧困
  496. まばゆ: なんか…こう、もうちょっと あるんじゃないですかね、自分?
  497. まばゆ: 時間が止まったからこそ できること…えっと…
  498. まばゆ: 泥棒…とか?
  499. まばゆ: …………
  500. まばゆ: 私、時間が止まっても ろくなことをしないのでは!?
  501. グラウンドの声: きゃああああーっ!!
  502. まばゆ: …………?
  503. まばゆ: なんか、校庭から声が
  504. グラウンドの声: いたたたたた…
  505. グラウンドの声: 暁美さん、大丈夫!? 保健室、行く!?
  506. まばゆ: 身体測定…高跳びで、マットから 外れちゃったんですね
  507. まばゆ: でも、あの場所…高跳びなのに あんな遠くまで飛んでる?
  508. まばゆ: ずいぶん元気なもんですね
  509. まばゆ: 私にもその体力 分けて欲しいものですよ
  510.  
  511. FILENAME: text_902110-040.txt
  512. まばゆ: にひひひひ…大漁大漁
  513. まばゆ: まさかワゴンセールで、こんな 掘り出し物が見つかるなんて!
  514. まばゆ: じゃーん!一世を風靡した アイドル映画の金字塔!
  515. まばゆ: 帰ったら早速 尾道の情緒をたっぷり味わって…
  516. まばゆ: …………ん?
  517. さやか: くー!どこまでキャラ立て すれば済むんだあの転校生は!!
  518. さやか: 萌えか? そこが萌えなのか!?
  519. 仁美: まどかさん、本当に暁美さんと 初対面なのでしょうか?
  520. さやか: さーて、あやしいんじゃないの?
  521. さやか: 今日だって、あたしたちじゃなく あの転校生を選んだわけだし…
  522. さやか: うううっ、あたしたち、まどかに 捨てられたんだよぉ、仁美ぃ!
  523. 仁美: あー、はいはい、よしよし…
  524. まばゆ: (あれ…この前工場で会った…)
  525. まばゆ: (えっと…名前 なんでしたっけ?)
  526. まばゆ: (…覚えてない)
  527. まばゆ: (我ながら名前の記憶できなさに 呆れてしまいますね)
  528. まばゆ: (この前は彼女のおかげで 怪我をせずに済んだわけですし)
  529. まばゆ: (一応、声をかけますか)
  530. まばゆ: あ、あの…
  531. まばゆ: すいません…この間は、どうも
  532. さやか: …………
  533. まばゆ: ええと!自分、同じ学校の… 工場見学で、会った…
  534. さやか: …………
  535. まばゆ: (シカト!?)
  536. まばゆ: (いやまあ、確かに私 存在感薄いですけど!)
  537. まばゆ: (クラスでもいつも ボッチですけど!)
  538. まばゆ: (だからってそんな こんなあからさまに、無視…)
  539. まばゆ: じゃ…ない?
  540. まばゆ: 時間、止まってる!?
  541. まばゆ: (うん…周りの人も 動いてません)
  542. まばゆ: (やっぱり時間停止は 夢とか幻じゃ、なかった!)
  543. まばゆ: …しめしめ
  544. まばゆ: 待っていましたよ、この時を!!
  545. まばゆ: (ショッピングモールで時間が 止まるなんて、ラッキー!!)
  546. まばゆ: (屋上で脳内シミュレーション して良かった良かった…)
  547. まばゆ: (今、劇場で観ておきたい映画が いくつかあったんですよねえ)
  548. まばゆ: (しかも、ちょうど予告編 時間がまた進み出せば…)
  549. ブー
  550. まばゆ: (おっ!ナイスタイミング!)
  551.  
  552. FILENAME: text_902110-050.txt
  553. まばゆ: (1回分、席代が浮きましたよ! にひひひひ…!)
  554. まばゆ: (それにしても、大変素晴らしい 映画でした…)
  555. まばゆ: (B級っぽいサブタイトルで どうなるか不安でしたが)
  556. まばゆ: (船上のサスペンスが、あんな 哲学的なオチを迎えるとは…)
  557. 警備員: お嬢ちゃん、こっちに入らない!
  558. まばゆ: え…?
  559. まばゆ: (立入禁止のロープ?)
  560. まばゆ: あの、なにかあったんですか?
  561. 警備員: なんだ、気づかなかったのかい?
  562. 警備員: この店で、強盗事件があったんだ
  563. まばゆ: 強盗事件…?
  564. まばゆ: (担架で人が運ばれていく…)
  565. まばゆ: (私も、映画館に入らなかったら 危なかったかもですね)
  566. まばゆ: (時間が止まってくれて 助かりました)
  567.  
  568. FILENAME: text_902111-040.txt [Day 11]
  569. まばゆ: いらっしゃいませー
  570. まばゆ: …………
  571. まばゆ: (時間が止まる…うーむー)
  572. まばゆ: (何が何だかわかんなすぎて どうしようもないっていうか)
  573. まばゆ: (時間が止まるタイミングとかも 法則は思いつかないし…)
  574. まばゆ: (停止の長さもバラバラで 自然現象なのか、なんなのか…)
  575. まばゆ: (わかんないなら深く考えないで いっそ思いっきり楽しむとか?)
  576. まばゆ: …………
  577. 咲笑: まばゆちゃん、最近どうしたの?
  578. まばゆ: え?どうしたって?
  579. 咲笑: 心配事があるんじゃない?
  580. まばゆ: い、いやあ!全然!
  581. 咲笑: そうは見えないんだけどなあ…
  582. 咲笑: 確かにまばゆちゃんは 空想にふけりがちだけど
  583. 咲笑: 心配事があるんじゃない?
  584. まばゆ: い、いや、それは…
  585. まばゆ: (こ、困りました)
  586. まばゆ: (咲笑さんは、私の話を真剣に 聞いてくれるでしょうけど)
  587. まばゆ: (いきなり、時間が止まるんです って言われても…)
  588. まばゆ: (お医者さんに連れて行かれる 未来しか見えない!)
  589. まばゆ: (でも、無駄な心配は かけたくないし)
  590. まばゆ: (いったい、どう返事すれば…)
  591. まばゆ: …って、あれ?
  592. 咲笑: …………
  593. まばゆ: また、時間が止まってる…!?
  594. まばゆ: チャンス!!
  595. まばゆ: (この前映画を観たとき…)
  596. まばゆ: (6時間経ってるはずなのに 5時間しか過ぎてなくて…)
  597. まばゆ: (後で思い返したら、時間が 止まってたんじゃないかって)
  598. まばゆ: (確かあの時、途中で プレイヤーが停止したんですよ)
  599. まばゆ: (でも、手で触ることで 再生が再開された…)
  600. まばゆ: (もし、あれが偶然じゃなくて 停止した時間の法則なら…)
  601. エイミー: …………
  602. まばゆ: ふふふふ…エイミーちゃーん
  603. まばゆ: かわいいあなたに 実験台になってもらいますよぉ
  604. まばゆ: そーれ、タッチ!
  605. エイミー: ふにゃっ!?
  606. まばゆ: むふふふふ、やっとおさわり させてもらえました…
  607. エイミー: !?!?
  608. まばゆ: 驚いていますね 無理もありません
  609. まばゆ: 急に私が目の前に現れたように…
  610. エイミー: ふにゃーっ!!
  611. まばゆ: ああっ、ちょ、待って!
  612. まばゆ: やっと会えたのに、逃げたら…!
  613. エイミー: …………
  614. まばゆ: あ
  615. まばゆ: 止まった
  616. まばゆ: ってことは、やっぱり…
  617. まばゆ: 私が触っている間だけ 時間停止が解けるんだ
  618. 咲笑: …………
  619. まばゆ: 今、咲笑さんを触ったら
  620. まばゆ: 時間停止が解けて、私の悩みが 現実だってわかって…
  621. まばゆ: お医者さんに連れて行かれる ようなことは、なくなる…
  622. まばゆ: かも…しれない…かも…
  623. まばゆ: …………
  624. まばゆ: …いや
  625. まばゆ: やめておきましょう
  626. まばゆ: こんなの、知らせたところで 解決法があるわけでもなし…
  627. まばゆ: 余計な心配をかける必要は ないです
  628. まばゆ: …それよりも
  629. 咲笑: …………
  630. まばゆ: (前々から、 気になってたんですけど)
  631. まばゆ: (咲笑さんって、一体おいくつ なんでしょうか…)
  632. まばゆ: (海外でパティシエの武者修行を 長年してた…という設定なのに)
  633. まばゆ: (見た目…いや、 中身もですけど)
  634. まばゆ: だいぶお若いというか…
  635. まばゆ: …………
  636. まばゆ: 知りたい
  637. まばゆ: いや、でも、良くない
  638. まばゆ: 良くないのは、わかります わかりますが、し、しかしぃ…
  639. まばゆ: 今咲笑さんの荷物から、免許証を 抜き出せば、永遠の謎が解ける…
  640. 咲笑: 免許証が、どうしたの?
  641. まばゆ: ひぇっ!?
  642. まばゆ: い、いえ! なんでもないです!
  643. 咲笑: あら、そう?
  644. まばゆ: (あ、危ないところだった…!)
  645.  
  646. FILENAME: text_902113-010.txt [Day 13]
  647. まばゆ: ふわぁあぁあ…
  648. まばゆ: (う、美しい…)
  649. まばゆ: (こないだは、運良く1本分 席代が浮きましたからね…)
  650. まばゆ: (普段見ない、名画のリバイバル 上映にやってきたわけですが…)
  651. まばゆ: ふわぁあぁあ…
  652. まばゆ: (心地良すぎて…眠い…)
  653. まばゆ: (バツグンの音響も… 座り心地最高の席も…)
  654. まばゆ: (私を眠りに誘っています…)
  655. まばゆ: (いや、なけなしのお小遣いを つぎ込んだんです…)
  656. まばゆ: (眠るわけには、いきません)
  657. まばゆ: (眠るわけには…)
  658. まばゆ: (眠…る…わけ…には…)
  659. まばゆ: あ…あれ?
  660. まばゆ: (映画が、止まってる…)
  661. まばゆ: (映写機の故障…)
  662. まばゆ: (じゃ、ないですよね)
  663. まばゆ: (よりにもよって こんなところで…)
  664. まばゆ: (あ、始まった)
  665. まばゆ: (ふぅ…これでやっと 集中して映画が…)
  666. まばゆ: …………
  667. まばゆ: また…止まった…
  668. まばゆ: (なんか、集中できない… 一回今のうちに、お手洗いに…)
  669. まばゆ: …………!!
  670. まばゆ: (わ、私もしかして、 おちょくられてませんか!?)
  671. まばゆ: (い、いえ…集中です、集中)
  672. まばゆ: (余計なことは考えず、 ただ、映画の中身に集中を…)
  673. まばゆ: …………あー
  674. まばゆ: もう、いいです
  675. まばゆ: (余計なことは考えない… ただ、時の流れるままに…)
  676. まばゆ: (ひたすらスクリーンを 見つめながら…)
  677. まばゆ: (時が流れ出すのを、 じっと待つ…)
  678. まばゆ: (待つ…待つ…)
  679. まばゆ: !?
  680. まばゆ: (し、しまった…!)
  681. まばゆ: (つい、眠ってしまいました!)
  682. まばゆ: (もう、エンディング…ああ… 席代、損してしまったぁ…)
  683. まばゆ: とほほほほ…
  684.  
  685. FILENAME: text_902113-030.txt
  686. まばゆ: …………
  687. まばゆ: …………
  688. まばゆ: だ、だめだ…眠れない
  689. まばゆ: 昼に、映画館で眠ったのが まずかったんでしょうか…
  690. まばゆ: 今日に限って、レンタルビデオの ストックもない…
  691. まばゆ: まあ、テレビでも…
  692. カチッ
  693. まばゆ: あ、あれ…?
  694. まばゆ: 停止…してる…
  695. まばゆ: ってことは、もしかして…
  696. まばゆ: 雨粒が…止まってます やっぱり、時間が停止してる
  697. まばゆ: っていうか…
  698. まばゆ: 雨、めちゃくちゃウザいですね
  699. まばゆ: 上からなら、傘で防げますが 目の前で止まってると…冷たっ!
  700. まばゆ: 体に当たると流れ落ちる みたいですけど…
  701. まばゆ: …あれ?
  702. まばゆ: な、なんですか…あれ? 雨粒に、トンネルみたいなのが…
  703. まばゆ: 私が歩いてきた道と そっくりだ…
  704. まばゆ: …と、いうことは?
  705. まばゆ: まさか!?
  706. まばゆ: (この道が、誰かが雨の中を 移動した跡だとしたら…?)
  707. まばゆ: (私の他にも、止まった時間で 動くことができる人がいる!?)
  708. まばゆ: (雨粒のトンネルは この高架下で消えてますね)
  709. まばゆ: (このそばに、時間停止の中で 動ける、誰かが…?)
  710. まばゆ: (どんな人だろう?)
  711. まばゆ: (見つけたら、どんなふうに 声をかければ…)
  712. まばゆ: (うう…こんな時に ボッチでコミュ障の発作が…)
  713. まばゆ: あ、時間が…
  714. まばゆ: きゃぅっ!?
  715. まばゆ: …………
  716. まばゆ: (ば…ば、爆発…!?)
  717. まばゆ: (や、やばいやばいやばい)
  718. まばゆ: (こんな時間、こんな所にいたら 疑われてしまいますっ!!)
  719. まばゆ: (逃げなきゃ!)
  720.  
  721. FILENAME: text_902114-010.txt [Day 14]
  722. まばゆ: へ…へ…へっぷし!
  723. まばゆ: (ううう…雨の中 家を出るんじゃなかった…)
  724. まばゆ: (おかげで鼻が ぐずぐずですよ…もう)
  725. まばゆ: (しかし、それにしても…)
  726. ねーねー知ってる、爆弾騒ぎ?
  727. 工場のガスが漏れ出した ヤツじゃなくて?
  728. あー、それもあったけど
  729. それとは別に 高架下で爆発があったんだって
  730. うちの近くでさあ 音がうるさくて、目覚めちゃった
  731. え?マジでー!?
  732. まばゆ: (学校でも、結構な話題ですね)
  733. まばゆ: (爆発物… 一体誰が、何のために?)
  734. まばゆ: (っていうか爆弾を使ったの…)
  735. まばゆ: (状況的に、私が追いかけていた 人物なのでは?)
  736. まばゆ: …………こっわー
  737. まばゆ: (もう少し慎重になった方が よさそうですね…)
  738.  
  739. FILENAME: text_902114-020.txt
  740. 咲笑: ねえ、まばゆちゃん 今朝、爆弾騒ぎがあったってね
  741. 咲笑: 工場でガスが漏れ出したり 強盗事件で死傷者がでたり
  742. 咲笑: 最近、何かと物騒ねぇ
  743. まばゆ: ですね…
  744. 咲笑: ところでまばゆちゃん?
  745. まばゆ: なんですか、咲笑さん
  746. 咲笑: まばゆちゃん、今朝早く 外に出たりしてなかった?
  747. まばゆ: (ギクッ!)
  748. まばゆ: ちょっと眠れなかったので 気分転換にお散歩を…
  749. 咲笑: 雨の中を?
  750. まばゆ: たまには、そういうのも 悪くないかなーって…
  751. 咲笑: …………
  752. まばゆ: 咲笑さん…疑ってます? 私を疑ってますよね…?
  753. 咲笑: うん
  754. まばゆ: 頷いた! 力強く頷いた!
  755. 咲笑: まばゆちゃんはちょっと 凝り性なところがあるから…
  756. 咲笑: 保護者として預かる以上は ちゃんと話を聞いておかなきゃね
  757. まばゆ: はい…心配かけて、すみません
  758. まばゆ: でも、あの日外に出たのは 本当に偶然で…
  759. まばゆ: 私は、爆弾を仕掛けたりなんか してません!
  760. 咲笑: うん、わかったわ
  761. まばゆ: すぐわかられた!
  762. まばゆ: …あっさり信じて良いんですか?
  763. まばゆ: 自分でいうのもアレですけど 私結構あやしいと思うんですけど
  764. 咲笑: もちろん、信じるわよ
  765. 咲笑: だってまばゆちゃん 嘘をつくの下手だもの
  766. まばゆ: あ、それは確かに
  767. 咲笑: まばゆちゃんは、抜け目なく いつもズルしようとしてるけど…
  768. 咲笑: 他人に迷惑をかけるようなことは 絶対しない子よ
  769. まばゆ: は…はぁ
  770. まばゆ: ありがとうございます…
  771. まばゆ: (自分では、そういうつもりは 全くないんですけど…)
  772. まばゆ: (咲笑さんに笑顔で言われると 悪いことはできないなって…)
  773. まばゆ: …って、アレ?
  774. まばゆ: また…時間が、止まってる
  775. まばゆ: …ああ言われたら、さすがに 免許証は、覗き見できないな
  776. まばゆ: (しかし、こうやって中途半端に 時間が止まると困るんですよね)
  777. まばゆ: (いつ時間が流れ出すのかわかん なくて、手に余るっていうか…)
  778. まばゆ: …………
  779. まばゆ: うーん
  780. まばゆ: ラテアートの 練習でもするか
  781. まばゆ: 時間をかけて名ピアニストに… ってわけにはいかないですけど
  782. まばゆ: ちょっとした時間で練習するなら このくらいのことは…と!
  783. まばゆ: …………
  784. まばゆ: うーん…やっぱりうまくいかない
  785. まばゆ: っていうか、うっぷ… 失敗作、飲みすぎたかも
  786. 咲笑: あら?まばゆちゃん
  787. 咲笑: これは、かわいいネコちゃんね
  788. まばゆ: …………
  789. 咲笑: あっ、えっと…クマさんかしら?
  790. まばゆ: か、カバ…
  791. 咲笑: あらあら、そうだったのね うふふふふ…
  792. まばゆ: (とほほほ…)
  793. まばゆ: (やっぱり、下手ですよね)
  794. まばゆ: (練習したら いつか上手くなれるのかなあ…)
  795.  
  796. FILENAME: text_902114-030.txt
  797. まばゆ: ううう…おなかが、たぷたぷ…
  798. まばゆ: (カフェインで、今夜もまた 眠れなくなりそうな予感)
  799. まばゆ: (こうなったら、つまらなそうな B級映画を借りて、一気見…)
  800. まばゆ: あ…あれ?
  801. まばゆ: (なんか…あたりが、暗い?)
  802. まばゆ: (それに今、ちっちゃい 影が動いたような…)
  803. まばゆ: もしかして、エイミーかな?
  804. 杏子: 待てッ!
  805. まばゆ: !?
  806. まばゆ: (えっ、ちょ、ちょっと!)
  807. まばゆ: (虐待!? 動物虐待ですか!?)
  808. 杏子: だあああっ!!
  809. まばゆ: (だめですって!)
  810. まばゆ: (あの子は、どこですか?)
  811. まばゆ: (っていうか、ここは…どこ?)
  812. まばゆ: (こんな場所 この近くにありましたっけ…?)
  813. まばゆ: (自動車工場でも、こんな感じの 場所に迷い込んだような…)
  814. 杏子: トドメだっ!
  815. まばゆ: (あ…あれ?)
  816. まばゆ: (急に、公園に戻った…)
  817. 杏子: …ったく、手下ふぜいが 手間かけさせやがって
  818. 杏子: こっちはタダ働きで いいメーワクだっての、あむ…
  819. まばゆ: (あ…バームクーヘン 美味しそう…)
  820. まばゆ: (じゃなくて! なんか、槍? 振り回して、いったい…)
  821. 杏子: あのメカクレのコ ちゃんと逃げただろうな
  822. まばゆ: (え…メカクレのコ?)
  823. まばゆ: (あー、私のこと?)
  824. まばゆ: (…私、助けられたって ことですかね?)
  825. まばゆ: (野犬でもいたとか…? いやいや、まさか…)
  826. 杏子: にしてもマミのヤツ どうしちまったんだ?
  827. 杏子: 普段なら、あんなやつら、 のさばらせておくわけないのに
  828. 杏子: なーんか、ヤな感じだぜ
  829. まばゆ: ――っ!?
  830. まばゆ: と、跳んで、消えた…
  831.  
  832. FILENAME: text_902115-010.txt [Day 15]
  833. キーンコーンカーンコーン
  834. まばゆ: (昨日のアレ なんだったんでしょう?)
  835. まばゆ: (あの動き、ふつーの 人間じゃ有り得ないような…)
  836. マミ: 起立
  837. マミ: 礼
  838. マミ: 着席
  839. まばゆ: (マミって言ってましたよね)
  840. まばゆ: (ま、珍しい名前じゃないですし 巴さんのことなわけ、ないか…)
  841. マミ: …………
  842. まばゆ: (あ、あれ? こっちを意識してる?なんで?)
  843. まばゆ: (私、巴さんと教室では会話すら したことないはず…)
  844. まばゆ: (いや…もしかしたら 1回くらいはありましたか?)
  845. まばゆ: (クラスメイトだから おかしくはないですけど…)
  846. まばゆ: (――っ!? そ、そうか! クラスメイト!)
  847. まばゆ: (クラスメイトなら と、と、と、友だちとして…!)
  848. まばゆ: (ふ、普通に話しかけたって 問題ない、はず…はず…!)
  849. まばゆ: (友だち…友だち…)
  850. まばゆ: と、ともだち…トモ…ダチ…
  851. マミ: え…?
  852. まばゆ: あっ、あの…巴、マミ、さん?
  853. マミ: は、はい…?
  854. まばゆ: えっと、あの、あの、ですね…
  855. まばゆ: き、きのう、公園で… へんな子を見たんです
  856. マミ: は…はあ…
  857. まばゆ: マミ、って名前、言ってたから もしかしたら知り合いかも、って
  858. マミ: ええと…よくわからないけど、 その子は、どんな方なのかしら?
  859. まばゆ: なんか、その…えっと…
  860. まばゆ: 赤い変な服を着て、槍をブンブン 振り回して、バームクーヘンを…
  861. マミ: …………?
  862. まばゆ: いえ、ごめんなさい! なんでもないです!
  863. まばゆ: (不審!不審すぎますよ、私!)
  864. まばゆ: (赤い服で、槍で バームクーヘン!?)
  865. まばゆ: (そんな知り合いいるかって 意味わかんなすぎる!)
  866. まばゆ: (巴さんの怪訝な瞳が目に 焼きついて…恥ずかしいッ!!)
  867. まばゆ: (妙な気を起こすんじゃなかった ああ、さっさと家に帰って…)
  868. 先生: おーい愛生、どこに行く?
  869. まばゆ: へ?
  870. 先生: 今日は追試だぞ、教室に残れ
  871. まばゆ: あ…やば!忘れてた…!!
  872.  
  873. FILENAME: text_902115-030.txt
  874. まばゆ: (ううう…まずいまずいまずい)
  875. まばゆ: (ここで合格できないと 内申点に大ダメージが)
  876. まばゆ: (でも暗記していないのに 歴史上の人物なんて書けないし)
  877. まばゆ: (ああっ、こんな時に 時間が止まってくれたら…!)
  878. まばゆ: えっ!?
  879. まばゆ: (す…すごい! 本当に…時間が止まった!!)
  880. まばゆ: (ふふふふ…!日ごろの行い! 神様は私を見捨てなかった!)
  881. まばゆ: (どれどれ、他の人の答えは…)
  882. まばゆ: ――っ!? しまった!
  883. まばゆ: (テストが始まったばっかりで 誰も答案に手をつけてない…)
  884. まばゆ: (あと10分…あと10分遅れて 時間が止まってくれたら…!)
  885. まばゆ: (いや…しかし 諦めるにはまだ早いですよ!)
  886. まばゆ: (時間が止まったり、進んだり… 何回も繰り返したことだって!)
  887. まばゆ: (きっと、しばらく 待っていれば…!)
  888. まばゆ: (待っていれば…!)
  889. まばゆ: (待って…いる、のに…)
  890. まばゆ: (なかなか、時間が進みません)
  891. まばゆ: (じゃあ、教科書を取り出して 答えを探してしまえば…)
  892. まばゆ: (なんて手には 引っかかりませんよ!)
  893. まばゆ: (動き出した途端 時間が進むんでしょう!?)
  894. まばゆ: (ええ、わかってます わかってますとも)
  895. まばゆ: (「気をつけよう 教科書は急にしまえない」)
  896. まばゆ: (カンニングがバレたら 咲笑さんに迷惑をかけますから)
  897. まばゆ: (ここはじっと 我慢の子です!!)
  898. まばゆ: …………
  899. まばゆ: (時間、全然、進まない…)
  900. まばゆ: (考えてみれば今までも、何が きっかけで時間が進んでたのか)
  901. まばゆ: (もう二度と時間が進まない 可能性も、ないわけじゃない?)
  902. まばゆ: (いやいやいやいや…!)
  903. まばゆ: (そんなわけが…そんなわけ…)
  904. まばゆ: (これ…本当に、まずいかも…)
  905. まばゆ: (どれだけ時間が経ったのか… 時計も止まっちゃってますし)
  906. まばゆ: (と、というか…ですね…)
  907. まばゆ: …………
  908. まばゆ: (お手洗いに…行きたい…)
  909. まばゆ: (移動中に時間が進み出したら… 勝手に追試を放棄したことに…)
  910. まばゆ: (時間停止していなければ、 普通に先生に声かけできるのに)
  911. まばゆ: (でも、この状態じゃ… 呼びかけることも、できなくて)
  912. まばゆ: あああ…
  913. まばゆ: ううう…
  914. まばゆ: ひぇええ…
  915. まばゆ: (も、もう…限界…)
  916. まばゆ: (テスト結果と、人間の尊厳…)
  917. まばゆ: (守るべきは 人間の尊厳です…!)
  918. 先生: ん? どうした、愛生?
  919. まばゆ: お手洗いッ!
  920. まばゆ: お手洗いに行ってきます!
  921. 先生: お、おう、そうか
  922. まばゆ: (こんなのもう 耐えられないです!)
  923. まばゆ: (今まで、なんとなく 見過ごしてきましたが…)
  924. まばゆ: (この時間停止の原因を ちゃんと突き止めないと!!)
  925.  
  926. FILENAME: text_902122-050.txt [Day 22]
  927. まばゆ: はぁ…
  928. まばゆ: あれから、時間停止の原因を 探ろうとしたものの…
  929. まばゆ: 全然、わからない ヒントさえ見つかんない
  930. まばゆ: 時間停止のタイミングはバラバラ 強いていえば夕方から夜が多い?
  931. まばゆ: 曜日ごとの傾向もないし 停止時間も長かったり短かったり
  932. まばゆ: テストの後、あの時みたいに 長い停止はまだなくて…
  933. まばゆ: 止まった時間に閉じ込められずに 済んだのは、良かったですけど
  934. まばゆ: 自然現象か、人為的なものか それすらもわかんなくて…
  935. まばゆ: 結局、時間が止まって 良かったことといえば…
  936. まばゆ: ラテアートが上達した ことくらい…トホホホ…
  937. まばゆ: (あ、時間が進んだ…)
  938. 咲笑: あら、まばゆちゃん また練習してるの?
  939. 咲笑: まあ、かわいいキリンさん!
  940. まばゆ: へ…ヘビ、です…
  941. 咲笑: あ、あらぁ…? うふふふふ…
  942. まばゆ: (上達… してるつもりなんだけどなあ)
  943. まばゆ: はぁ…また、止まった
  944. まばゆ: やれやれ これはもう1杯、練習しろってこと…
  945. タッ、タッ、タッ、タッ…
  946. まばゆ: え…
  947. ???: あっちです!あの、工場!
  948. ???: ええ、先にいくわね!
  949. まばゆ: (あ…あれ?)
  950. まばゆ: (今、店の前を通ったのって…)
  951. まばゆ: っ!!
  952. まばゆ: (人影――走ってる!)
  953. まばゆ: (私の他にも、止まってる時間の 中で動ける人が、ふたり!)
  954. まばゆ: (私の他にも、いるんだ!)
  955. まばゆ: (追いかけなきゃ!!)
  956.  
  957. FILENAME: text_902122-060.txt
  958. まばゆ: はぁっ…はぁっ…はぁっ…
  959. まばゆ: (たぶん、このあたりだと… 思うんですけど)
  960. まばゆ: (女の子…でしたよね? こんな場所で、一体何を…?)
  961. まばゆ: (というか…見つけたら 私、どうしたらいいんですか?)
  962. まばゆ: (よく考えたら、相手は爆弾を 持ってるかもしれないのに…)
  963. まばゆ: (まさか、時間停止の力で爆弾を 仕掛ける、テロリストとか!?)
  964. まばゆ: シャレにならんですよ、それ…
  965. まばゆ: あ…
  966. まばゆ: (時間、また進んだ…)
  967. まばゆ: (逃げた方が…いい、かな…?)
  968. まばゆ: ひぇっ
  969. まばゆ: (まずい この感じ、前にも…)
  970. まばゆ: (逃げなきゃ! でも、出口は?)
  971. マミ: 佐倉さん
  972. 杏子: 遅かったじゃないか
  973. 杏子: 後輩を見殺しにするのかと 思ったよ
  974. マミ: 残念だわ
  975. マミ: あなた、本当に 変わってしまったのね
  976. 杏子: あたしの知ってる巴マミは こんな魔女をのさばらせない
  977. マミ: っ!
  978. まばゆ: (あれは、クラスメイトの 巴マミさんと…)
  979. まばゆ: (この前公園で助けてくれた …佐倉、さん?)
  980. まばゆ: (な、なんかいきなり 剣呑な雰囲気ですけど…!)
  981. まばゆ: (あと、あの奥にいる 影っぽいやつは…?)
  982. まどか: あ…ああっ!
  983. まばゆ: (あ!鹿目さん…でしたっけ? エイミーと病院に行った…)
  984. まばゆ: (黒い影に捕まってる!)
  985. マミ: …話は後ね
  986. マミ: 今はあなたに 構っている場合じゃない
  987. 杏子: 確かに
  988. 杏子: あんたを倒したところで ご褒美もらえるわけじゃないしね
  989. マミ: 行くわよ!
  990. 杏子: 言われなくても!
  991. マミ: たぁっ!
  992. 杏子: ふんっ!
  993. 杏子: でりゃああっ!!
  994. まどか: っ!!
  995. まばゆ: (あっ!佐倉さんの槍が 鹿目さんを切り離した!)
  996. まばゆ: (でも…!)
  997. 杏子: やれやれ、どうやらちょいと 怒らせちまったか
  998. 杏子: くぅっ!
  999. まばゆ: (反撃をくらって… このままじゃ危ないっ!)
  1000. マミの声: 佐倉さん!
  1001. 杏子: おうっ!
  1002. マミ: ティロ・フィナーレ!!
  1003. まばゆ: (すごい…相談もなかったのに 息の合ったコンビネーション)
  1004. まばゆ: (もしかしてあのふたり 仲間…なのかな?)
  1005. マミ: 佐倉さん、あなたが囮に なってくれたおかげで…
  1006. まどか: きゃっ
  1007. 杏子: グリーフシード、独り占め しようってわけ?
  1008. 杏子: あたしにも分け前 いただこうじゃないか
  1009. 杏子: ま、いっそ力尽くで奪っても いいんだけどね
  1010. まどか: そ、そんなの…
  1011. マミ: 相変わらず ずいぶん気が立ってるのね
  1012. マミ: できるだけ穏便に 済ませたかったんだけどなぁ
  1013. 杏子: あたしが先に駆けつけなきゃ こいつはとっくに死んでた
  1014. 杏子: 仲間に誘っといて、面倒も 見られないなんてどうかしてる
  1015. 杏子: マミ、あんたホントにヤキが 回っちまったんじゃないか?
  1016. マミ: …………
  1017. 杏子: あたしが果たした仕事には そのくらいの価値があるはずだよ
  1018. 杏子: さあ、そのグリーフシードを…
  1019. ほむらの声: やめて!
  1020. 杏子: !?
  1021. まどか: ほむらちゃん!
  1022. ほむら: それは、鹿目さんのために 必要なもの…
  1023. ほむら: あなたに横取りなんてさせない!
  1024. まばゆ: (他にも人が!?)
  1025. まばゆ: (あれ? 手に持ってるのって…)
  1026. まばゆ: (爆弾!?)
  1027. マミ: 暁美さん、早まっちゃダメよ
  1028. まどか: ほむらちゃん わたしは大丈夫だよ
  1029. ほむらの声: でも…!
  1030. 杏子: まだぞろぞろ、お友だちを 引き連れてやがんのか
  1031. マミ: ええ、そうよ それが私のやり方
  1032. 杏子: じゃあ、ちゃんと責任とりな
  1033. マミ: …………
  1034. 杏子: 今回のは貸しにしといてやるよ
  1035. 杏子: けど、次にまた こんなヌルい真似してたら
  1036. 杏子: この町ごと、あたしが奪ってやる
  1037. マミ: …ふぅ、行ったわね
  1038. ほむら: 鹿目さんっ!!
  1039. まどか: ほむらちゃん 心配かけてごめんね…
  1040. まばゆ: (何が…起こったんですか?)
  1041. まばゆ: (刃物で脅迫したり 爆弾で脅したり)
  1042. まばゆ: (あっという間に服も着替えて)
  1043. まばゆ: (魔女?魔法少女?)
  1044. まばゆ: (私、また… 夢でも、見てるんですか?)
  1045.  
  1046. FILENAME: text_902123-010.txt [Day 23]
  1047. ジリリリリリ!
  1048. まばゆ: ふわぁあぁ…
  1049. まばゆ: 夢…ですか…
  1050. まばゆ: 夢…ですよね…
  1051. まばゆ: 時間が止まって 魔法少女と魔女が戦って…
  1052. まばゆ: 魔法少女も 魔法少女と戦うとか…
  1053. まばゆ: しかも、ウチの学校の生徒が 魔法少女をしているとか…
  1054. まばゆ: そんなの…ゆめ…に、決まって…
  1055. カン!カン!
  1056. 咲笑: はい、まばゆちゃん、朝ですよー
  1057. 咲笑: 昨日はお店を抜けだして 門限までに帰ってこないなんて
  1058. 咲笑: 咲笑さんは、許しませんから!
  1059. 咲笑: 今日からちゃんと 規則正しい生活よ?
  1060. まばゆ: は、はーい…
  1061. まばゆ: (やっぱり…夢じゃなかった…)
  1062.  
  1063. FILENAME: text_902123-020.txt
  1064. 先生: 巴さん、続きを読んで
  1065. マミ: はい
  1066. マミ: 叢の中からは、暫く返辞が無かった
  1067. マミ: しのび泣きかと思われる 微かな声が…
  1068. マミ: 時々洩れるばかりである
  1069. マミ: ややあって、低い声が答えた
  1070. マミ: 「如何にも自分は 隴西の李徴である」と
  1071. まばゆ: (巴さん…間違いない クラスメイトは、魔法少女)
  1072. まばゆ: (昨晩は帰り道をつけて 自宅を確認したわけですが…)
  1073. まばゆ: (おかげでお手伝いを すっぽかしたわけですが…)
  1074. まばゆ: (門限オーバーで、咲笑さんに たっぷり絞られたわけですが…)
  1075. まばゆ: (ああ…ホント散々な夜でした)
  1076. まばゆ: (でも!)
  1077. マミ: ティロ・フィナーレ!!
  1078. 杏子: まだぞろぞろ、お友だちを 引き連れてやがんのか
  1079. まばゆ: (十分、収穫はありました)
  1080. まばゆ: (夢じゃなくて、彼女たちが 魔法少女だったとするならば…)
  1081. まばゆ: (私は、彼女たちの時間停止の 魔法に巻き込まれている!)
  1082. まばゆ: (ああ!なんて名推理!)
  1083. まばゆ: (私の時間停止の問題も 解決にグッと近づきました!)
  1084. まばゆ: (ただ、問題なのは…)
  1085. まどか: きゃっ
  1086. 杏子: グリーフシード、独り占め しようってわけ?
  1087. 杏子: あたしにも分け前 いただこうじゃないか
  1088. ほむら: あなたに横取りなんてさせない!
  1089. まばゆ: (なんか、ものすごーく 彼女たちが暴力的というか…)
  1090. まばゆ: (ヤクザ映画!?ってくらい バチバチでしたよね)
  1091. まばゆ: (声をかけても 味方になってくれるかどうか)
  1092. まばゆ: (街中で爆弾爆発させるような テロリスト紛いの人たちですよ)
  1093. まばゆ: (もし、正体を知ってるって 彼女たちに告げたら…)
  1094. まばゆ: (口封じすら、ありえます!!)
  1095. まばゆ: (ここは目一杯慎重に観察を…)
  1096. マミ: 己がすっかり人間でなくなって 了う前に…
  1097. マミ: 一つ頼んで置きたいことがある
  1098. 先生: よし、よく読めましたね
  1099. 先生: それじゃあ次は…愛生さん
  1100. まばゆ: は、は、はいっ!
  1101.  
  1102. FILENAME: text_902123-025.txt
  1103. マミ: …………
  1104. まどか: …………
  1105. ほむら: …………
  1106. まばゆ: (3人仲良く、お弁当ですか)
  1107. まばゆ: (対する私は、コンビニの サンドイッチでボッチ飯…)
  1108. まばゆ: (いや、そもそも対する必要 全然ないですけど)
  1109. まばゆ: (巴さんと他の2人は、学年が 違うし、部活も繋がりがない…)
  1110. まばゆ: (それなのに一緒に昼食をとると いうのは、やはり…)
  1111. まばゆ: (魔法少女仲間 ということですか)
  1112. まどか: …………
  1113. ほむら: …………
  1114. まばゆ: (しかし、何を話しているのか)
  1115. まばゆ: (読唇術でも使えたら 読み取れるのかもしれませんが)
  1116. まばゆ: (何にせよ距離が遠すぎて…)
  1117. マミ: …………
  1118. まばゆ: !?
  1119. まばゆ: (巴さんが、こっちを見た?)
  1120. まばゆ: (いや、私、ボッチ力には 謎の自信があります)
  1121. まばゆ: (あの距離から気配を 察知されるなんてそんなわけ…)
  1122. まばゆ: (ない…ですよね?)
  1123.  
  1124. FILENAME: text_902123-040.txt
  1125. まばゆ: (さて、いよいよ放課後です)
  1126. まばゆ: (今日、本当は咲笑さんの お手伝いがありますが…)
  1127. マミ: …………
  1128. まばゆ: (昨日のアレを見てしまった以上 お店の手伝いなんてしてられない)
  1129. まばゆ: (巴さんが一体何をしているのか 時間停止は彼女と関係あるのか)
  1130. まばゆ: (そして彼女は信頼に値するか)
  1131. まばゆ: (その正体、確かに この目で見極めてみせます!)
  1132. マミ: …………
  1133. まばゆ: (え、えっと…)
  1134. まばゆ: (なんで、こんな夜に、こんな ひと気のない場所に、ひとりで?)
  1135. まばゆ: (いやあの、正体を見極める… とか、意気込んでましたけど)
  1136. まばゆ: (気味悪いし、危なそうなんで そろそろ今日はお暇を…)
  1137. マミ: 逃げる気?
  1138. まばゆの声: ひぇっ!?
  1139. まばゆ: (い、今…私に?)
  1140. マミ: 教室からつけて来たのは わかっているのよ
  1141. まばゆ: (あ…や、やっぱり、バレてた)
  1142. マミ: 一度しか言わないからよく聞いて
  1143. マミ: 私にこれ以上、近づかないで
  1144. まばゆの声: え…
  1145. マミ: じゃないと
  1146. マミ: 私は、あなたを、殺すわ
  1147. まばゆ: ッ!?
  1148. まばゆ: (まずい、まずいまずい!)
  1149. まばゆ: (巴さんが、今… 私を、殺すって!?)
  1150. まばゆ: (いやいやいや、なんで!?)
  1151. まばゆ: (私が命を狙われるような ことを、いつ!?)
  1152. まばゆ: (わかんないです! わかんないですけど、でも…!)
  1153. まばゆ: (巴さんたちと関わったら 私は…!)
  1154. まばゆ: あ…あれ…?
  1155. まばゆ: この感じ…もしかしてまた…!?
  1156. まばゆ: え…いや、だめ…
  1157. まばゆ: だ、だれか…助けて、だれか…
  1158. まばゆ: だれかああぁぁーっ!!
  1159. まばゆ: ぁ…うそ…
  1160. まばゆ: いや、いや…
  1161. まばゆ: いやああああああああ……っ!!
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