Vi_Vi

Olga MSS JP Text

Apr 24th, 2023
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  1. FILENAME: text_310491-1.txt
  2. <今は昔、北欧にて屈強な 戦士たちが一団を組んで暴れていた時代…>
  3. <ノルウェーのある地域に 『イスヴィーク』という集落があった>
  4. <そこには、スレール(奴隷)として 暮らす姉妹がいた>
  5. オルガ: それじゃあ、次の仕事に 取り掛かろうか!
  6. ガンヒルト: その前に、姉さん あっちを片づけておいた方が…
  7. オルガ: ああ、そうか! うっかりしてた…
  8. オルガ: ありがとう、ガンヒルト!
  9. <姉はオルガ、妹はガンヒルト>
  10. <辛い境遇にありながらも ふたりは支え合い、懸命に生き抜いていた>
  11. <オルガは神々の伝説をよく好み 今までに多くの逸話を仕入れてきた>
  12. <それをガンヒルトに聞かせるのが 日課のようになっており、ガンヒルトもまた その時間を楽しみにしていた>
  13. ガンヒルト: じゃあ、アース神族と ヴァン神族では…
  14. オルガ: 住んでいる世界が違うの!
  15. オルガ: アース神族はアースガルズで ヴァン神族はヴァナヘイム!
  16. ガンヒルト: へー、そうなんだ
  17. ガンヒルト: 神々の世界っていっぱい あるんだね
  18. オルガ: そうだよ~!
  19. オルガ: ムスペルヘイムなんて めちゃくちゃ暑いんだから
  20. オルガ: 逆にニヴルヘイムは 酷寒の氷の世界…!
  21. ガンヒルト: どのくらい暑かったり 寒かったりするんだろう…
  22. オルガ: 想像もつかないね…
  23. オルガ: …あ、そうだ、それと…
  24. オルガ: オルガンヘイム!
  25. ガンヒルト: それはどんな世界?
  26. オルガ: ふふ~ん…
  27. オルガ: あたしとガンヒルトの 住む世界だよ!
  28. ガンヒルト: …え?どういうこと…?
  29. オルガ: あたしが考えたの!
  30. ガンヒルト: …なーんだ!あはは!
  31. オルガ: やっぱり、暑すぎたり 寒すぎたりするのは嫌だよね~
  32. ガンヒルト: うんうん!
  33. オルガ: だから、ちょうどいい感じの 気候の世界ね!
  34. オルガ: 食べ物もいっぱいあって 蜂蜜もたくさんとれて…
  35. オルガ: パンにバターもたっぷり 塗れる世界にしよう!
  36. ガンヒルト: それ最高…!
  37. オルガ: でしょー!
  38. <姉の自分がしっかりしなくては 妹を守れない…>
  39. <そのためにもオルガは 努めて明るく振舞っていた>
  40. <また、そうでもしないと…>
  41. <陰鬱な過去に自分が押しつぶされて しまうと感じていたから…>
  42.  
  43. FILENAME: text_310491-2.txt
  44. <オルガとガンヒルトの父親は そこそこ名の知れた首長だった>
  45. <姉妹は幼い頃から何不自由ない暮らしを 送っていたのだが…>
  46. <それを一変させたのが イスヴィークの戦士団の襲来だった>
  47. <父、母、一族郎党を殺され 姉妹はスレールとして自由を奪われた>
  48. <つまり、ふたりは仇のもとで 働かされ、生きていたのだった>
  49. オルガ: よいしょ…っと…
  50. 集落の戦士: …………
  51. 集落の戦士: …おっと
  52. オルガ: わっ!
  53. 集落の戦士: おい、オルガ! てめー、何やってんだ!
  54. オルガ: す、すみません!
  55. 集落の戦士: ん~?これは今日の 宴で使う杯か?
  56. オルガ: …そうです…
  57. 集落の戦士: なんで地面に ぶちまけてんだコラァ!
  58. オルガ: ごめんなさい!
  59. ガンヒルト: 姉さん!どうしたの!?
  60. 集落の戦士: オルガがヘマしたんだよ 杯を落としやがって…!
  61. ガンヒルト: …くっ…!
  62. ガンヒルト: (どうせこいつが 何かしたんだ…!)
  63. ガンヒルト: (そうやっていつも 私たちに嫌がらせを…!)
  64. ガンヒルト: …きっとあんたが…!
  65. 集落の戦士: あん?今何か…
  66. オルガ: どうか許してください!
  67. ガンヒルト: …姉さん!?
  68. オルガ: 本当にあたしはいつも ドジばっかりで…
  69. オルガ: 今度から気をつけます! はい!
  70. 集落の戦士: …おう、そうか
  71. 集落の戦士: しっかりやれよ、まったく!
  72. オルガ: …ふぅ~…
  73. ガンヒルト: 姉さん…!
  74. オルガ: いや、いーのいーの! 仕方ないよ…
  75. ガンヒルト: あいつ…何かにつけて 嫌がらせしてきて…!
  76. オルガ: 昔、父上と因縁が あったみたいだね…
  77. ガンヒルト: そうなの!?
  78. オルガ: 喧嘩なのか、飲み比べなのか よくわからないけど…
  79. オルガ: 父上を討っても、あたしらを 見ると思い出すんだってさ
  80. オルガ: その時のことを…
  81. ガンヒルト: …なんなの…!
  82. オルガ: だから、逆らわない方がいい 我慢して、ガンヒルト
  83. ガンヒルト: でも…!
  84. オルガ: 何されるかわからないよ
  85. オルガ: スレールは無暗に乱暴は されないのが常だけど…
  86. オルガ: あいつの場合はわからない…
  87. オルガ: …それに!あたしは へっちゃらだから!
  88. ガンヒルト: …姉さん…
  89. オルガ: …明日も明後日も、その先も 生きていこう、ガンヒルト
  90. ガンヒルト: …うん…
  91.  
  92. FILENAME: text_310491-3.txt
  93. オルガ: …ふぇ~… 怒られたなぁ…
  94. ガンヒルト: 大変だったね、姉さん…
  95. オルガ: 今日は全部しっかりあたしが 悪かったからね…
  96. オルガ: まあそれに、あのおっさんの 理不尽ないじめに比べたら…
  97. オルガ: 余裕!…ってな感じよ!
  98. ガンヒルト: …強いな、姉さんは
  99. オルガ: いやいや、それほどでも!
  100. ガンヒルト: ふふ…!
  101. ガンヒルト: …姉さん…
  102. オルガ: ん?なあに?
  103. ガンヒルト: “あの夢”を実現できたら…
  104. ガンヒルト: きっと姉さんはいつまでも 語り継がれる人になるよ
  105. オルガ: “あの夢”…って、いつも あたしが言っているやつ?
  106. ガンヒルト: そう!
  107. ガンヒルト: 船に乗って、色んな国を 巡るっていう…!
  108. オルガ: …ふっふっふっ…
  109. オルガ: きっとそうなるかな! がっはっはー!
  110. オルガ: あまたの海を駆け巡る 大商人・オルガ!
  111. オルガ: 風のように進む船に乗って どこまでも行くんだ!
  112. オルガ: そんで!見たこともない 珍しいお宝を手に入れる!
  113. オルガ: …もちろん、ガンヒルトと 一緒にね!
  114. ガンヒルト: …うん!
  115. ガンヒルト: …でも…今のままじゃそれも…
  116. オルガ: もう~、またその話?
  117. オルガ: 大丈夫だって! いつかきっと…
  118. ガンヒルト: 神々の導き…でしょ
  119. オルガ: そういうこと!
  120. オルガ: 神々があたしたちを 海へと連れて行ってくれる…
  121. オルガ: それを信じてさ…!
  122. ガンヒルト: 姉さん…
  123. ガンヒルト: …脱走、しない?
  124. オルガ: …え!?
  125.  
  126. FILENAME: text_310491-4.txt
  127. ガンヒルト: 姉さん…
  128. ガンヒルト: …脱走、しない?
  129. オルガ: …え!?
  130. ガンヒルト: 私たちが自由になるには 脱走するしかないよ!
  131. ガンヒルト: そうでもしないと いつまで経っても…!
  132. オルガ: …ダメ!それはダメ!
  133. ガンヒルト: だって!
  134. オルガ: 見つかったらどうなるか わかっているでしょ!?
  135. ガンヒルト: …………
  136. オルガ: とんでもない責め苦を 受けることになる…
  137. オルガ: ヘタしたら 殺されちゃうよ…
  138. オルガ: お願い、ガンヒルト… 無茶なことはしないで…
  139. オルガ: あたしはともかくとして あんたが酷い目に遭うなんて…
  140. オルガ: 考えただけでも…
  141. ガンヒルト: …ごめん…
  142. オルガ: 今は耐えよう、ね?
  143. オルガ: スレールから解放される 機会がくるかもしれない…
  144. ガンヒルト: …そんなの、本当にあるかな?
  145. オルガ: だから、それこそが 神々の導きなんだよ!
  146. オルガ: きっとくる! そう信じれば、きっと…!
  147. ガンヒルト: …………
  148. ガンヒルト: …わかった…
  149. オルガ: …今日はもう寝ようか
  150. ガンヒルト: そうだね…
  151. ガンヒルト: …また、明日…
  152. オルガ: うん…
  153. オルガ: また明日…
  154. オルガ: (…やっぱり…)
  155. オルガ: (いつまでもガンヒルトに 希望を持たせ続けないと…)
  156. オルガ: (あたしの他愛のない話でも この子の支えになるのなら…)
  157. オルガ: (…そして…)
  158. オルガ: 夢は語り続けていれば本当になる …といいんだけどなぁ…
  159.  
  160. FILENAME: text_310492-1.txt
  161. <いつものようにイスヴィークで 懸命に働いているオルガとガンヒルト…>
  162. <ただ、今日は集落の様子が少し違っていた>
  163. オルガ: …静かだね
  164. ガンヒルト: うん 男たちが出払うとね
  165. オルガ: 略奪か…
  166. オルガ: 昔、父上たちが船を出した後も こんな感じだったよね
  167. ガンヒルト: …まあ、ここの連中は向かった 先で全滅でもすればいいけど…
  168. オルガ: ちょっと…聞かれるとマズいよ
  169. ガンヒルト: …ごめん…
  170. オルガ: …そもそも…
  171. オルガ: 略奪なんてやめればいいのに…
  172. ガンヒルト: …………
  173. オルガ: 奪って奪われて…
  174. オルガ: その先にいるのが あたしたちなんだから…
  175. ガンヒルト: …姉さん…
  176. オルガ: まあ、わかってるよ?
  177. オルガ: あたしたちは昔から そうやって生きてきた
  178. オルガ: でも、そんなこと いつまでやらないといけないの?
  179. オルガ: あたしはそんなことしないで 商売をもっと盛んにさ…
  180. ガンヒルト: …姉さん…
  181. オルガ: いや、ガンヒルトは こう言いたいんでしょ?
  182. オルガ: じゃあ、いつ変わるんだって それはね…
  183. ガンヒルト: そうじゃなくて、姉さん!
  184. オルガ: …ん? どうしたの?
  185. ガンヒルト: あれ…狼…じゃない?
  186. オルガ: …へ?
  187. ガンヒルト: ほら、あっち…!
  188. オルガ: …………
  189. オルガ: …ホントだ…
  190. ガンヒルト: こっち向いてない…?
  191. オルガ: ホントだ…
  192. ガンヒルト: ちょっと…近づいてない…!?
  193. オルガ: …ホントだーっ!
  194.  
  195. FILENAME: text_310492-2.txt
  196. オルガ: お、狼だよ、狼!
  197. ガンヒルト: どうしよう!
  198. オルガ: とにかく!…そ~っと逃げるよ
  199. ガンヒルト: うん…
  200. オルガ: 狼、集落に入ってきちゃったよ…
  201. ガンヒルト: どうしてここに…! こんなこと…!
  202. オルガ: 今までなかったけど…!
  203. ガンヒルト: 食べ物が狙い…? それとも迷って出てきた…?
  204. オルガ: それはともかく 逃げて逃げて!
  205. 狼: 「グウウウ…!」
  206. オルガ: ダメだ…まだ来るよ!
  207. ガンヒルト: 見て!あそこの小屋! 逃げ込もう!
  208. オルガ: …うん!
  209. オルガ: …あんただけね!
  210. ガンヒルト: …え?
  211. オルガ: 行って!
  212. ガンヒルト: わっ!
  213. オルガ: ほ、ほら、こっち!
  214. ガンヒルト: ね、姉さん!?
  215. オルガ: ひぃぃぃぃ!
  216. 狼: 「ガウッ!ガウッ!」
  217. オルガ: (あ、あたし…)
  218. ガンヒルト: …強いな、姉さんは
  219. オルガ: いやいや、それほどでも!
  220. ガンヒルト: ふふ…!
  221. オルガ: (本当はそんなに… 強くないんだよ…)
  222. オルガ: (だけど…!)
  223. オルガ: (あんたを守るためなら…!)
  224. オルガ: …頑張れ…るんだー!
  225. 狼: 「ガウーッ!」
  226. オルガ: …でも、もう無理かも…!
  227. ???の声: 「こっちに来て!」
  228. オルガ: …この声…!?
  229. ガンヒルト: 姉さん!こっち!
  230. オルガ: ガンヒルト!?
  231.  
  232. FILENAME: text_310492-3.txt
  233. 狼: 「ガウーッ!」
  234. オルガ: …でも、もう無理かも…!
  235. ???の声: 「こっちに来て!」
  236. オルガ: …この声…!?
  237. ガンヒルト: 姉さん!こっち!
  238. オルガ: ガンヒルト!?
  239. オルガ: いや、ちょっと…!
  240. ガンヒルト: そこら辺の音が出そうなものを 叩いて!
  241. オルガ: お、音…!?
  242. ガンヒルト: いくよっ!
  243. ガンガンガン!
  244. 狼: 「グ…グ…ウウ…」
  245. ガンヒルト: 続いて…
  246. ガンヒルト: わーっ!わーっ!
  247. ガンヒルト: ほら、姉さんも!
  248. オルガ: へ!?
  249. ガンヒルト: 声を出して!
  250. オルガ: う、うん!
  251. オルガ: うわーっ!うわあああっ!
  252. 狼: 「…クウーン…」
  253. オルガ: …に、逃げた…
  254. ガンヒルト: …よ、よかった~…
  255. オルガ: 狼…どうしたの…?
  256. ガンヒルト: さっき思い出したの
  257. ガンヒルト: 昔、父上の知り合いで 狩りが上手な人がいたでしょ?
  258. オルガ: …あ…そういえば…
  259. ガンヒルト: 一度しか会ってないけど その時話をしたの
  260. ガンヒルト: で、教えてもらったのが 『狼は大きな音に怯む』ってこと
  261. オルガ: それで…!
  262. ガンヒルト: 話だけだから 半信半疑ではあったけど…
  263. ガンヒルト: 本当だったんだね…
  264. オルガ: そうだったんだ…
  265. オルガ: いやー、助かったね! ありがとう!
  266. ガンヒルト: …そうじゃないでしょ!
  267. オルガ: ええっ!?
  268.  
  269. FILENAME: text_310492-4.txt
  270. オルガ: いやー、助かったね! ありがとう!
  271. ガンヒルト: …そうじゃないでしょ!
  272. オルガ: ええっ!?
  273. ガンヒルト: なんでさっき私だけ 小屋に突き飛ばしたの!
  274. オルガ: …あ…
  275. オルガ: …いやぁ…小屋にふたりで 逃げ込んでも…
  276. オルガ: 万が一、中に入られたら 追い詰められちゃうでしょ?
  277. オルガ: だから…
  278. ガンヒルト: 私に無茶はするなって 言ってたけど…
  279. ガンヒルト: だったら、姉さんも 無茶はしないでよ!
  280. オルガ: ガンヒルト…
  281. オルガ: …ごめんね…
  282. ガンヒルト: 姉さんが死んじゃったら… 私…私…!
  283. オルガ: ああ、泣かないで! 悪かったから…
  284. ガンヒルト: う…うう…
  285. オルガ: 勝手な真似しちゃったね…
  286. オルガ: これからはガンヒルトに 聞いてからやるよ
  287. ガンヒルト: そんなの! 許すわけないでしょ!
  288. オルガ: え、そう…? あはは…!
  289. ガンヒルト: …もうっ!
  290. ガンヒルト: …ふふっ…!
  291. オルガ: それにしても… 狼を退散させるなんて…!
  292. オルガ: やったね!
  293. ガンヒルト: …どうにかだけどね
  294. オルガ: ははっ!
  295. オルガ: (やっぱり、さすが ガンヒルトだな…)
  296. オルガ: (咄嗟の機転…この子は 頭の出来がいいや!)
  297. オルガ: (ガンヒルトとなら… きっと、生き抜いていける…!)
  298. オルガ: (これからも…!)
  299. オルガ: ガンヒルト、すごいや…!ふたり で力を合わせるって、いいね…!
  300.  
  301. FILENAME: text_310493-1.txt
  302. <狼騒動があってからしばらく後…>
  303. オルガ: それにしても…
  304. オルガ: すごかったねー、狼!
  305. ガンヒルト: またその話~?
  306. オルガ: 何回でもしたくなるよ!
  307. オルガ: だって、ふたりで 狼を追い払ったんだよ?
  308. オルガ: なかなかできる ことじゃないと思うけどな~!
  309. ガンヒルト: …まあ、滅多にない 経験だったのは確かだよね
  310. オルガ: でしょ~!
  311. ガンヒルト: …でも…
  312. ガンヒルト: ひとりで囮になるなんて もうホントに…!
  313. オルガ: それはゴメンって!
  314. ガンヒルト: 二度とやらせないから!
  315. オルガ: しないしない! だからそこは勘弁…
  316. オルガ: …ん…?
  317. ガンヒルト: …どうしたの?
  318. オルガ: …何か…物音が聞こえたような…
  319. ガンヒルト: え?どこから…?
  320. オルガ: …外…かな…?
  321. ガンヒルト: 外…?
  322. ガンヒルト: 結構、夜も深いけど…
  323. オルガ: …もしかして…
  324. オルガ: …いや、そんなことないか…
  325. オルガ: …でも、また…
  326. ガンヒルト: 何を…言ってるの?
  327. オルガ: つ、つまり、ね…
  328. オルガ: また、狼が 出てきちゃった、とか…?
  329. ガンヒルト: …まさか!
  330. ガンヒルト: …でも、あの日から そんなにまだ経ってない…
  331. ガンヒルト: 確かに、あり得るかも…!?
  332. オルガ: …………
  333. オルガ: …覗いて…みる?
  334. ガンヒルト: …え…
  335. オルガ: もし狼だったら… このままだとここに…
  336. ガンヒルト: 下手したら 来ちゃうかも…だね…
  337. オルガ: …と、とりあえず軽く…
  338. ガンヒルト: わ、わかった…
  339. オルガ: …音がしたのは…
  340. オルガ: 多分…
  341. オルガ: …あ!
  342. ガンヒルト: な、なに…?
  343. オルガ: あ、あれは…?
  344.  
  345. FILENAME: text_310493-2.txt
  346. オルガ: …音がしたのは…
  347. オルガ: 多分…
  348. オルガ: …あ!
  349. ガンヒルト: な、なに…?
  350. オルガ: あ、あれは…?
  351. …………
  352. オルガ: 見たことない顔…だね
  353. ガンヒルト: 誰だろう…?
  354. ガンヒルト: でも…こんな夜中に コソコソとしているあたり…
  355. オルガ: 盗賊…!?
  356. ガンヒルト: あるいは…
  357. ガンヒルト: ここを襲おうとしている連中の 斥候かも…
  358. オルガ: 斥候!? まさかそんな…!
  359. ガンヒルト: ここの連中なら 考えられるよ
  360. ガンヒルト: 方々で恨みを 買ってそうだもの…
  361. オルガ: …それは否めないね…
  362. ガンヒルト: …………
  363. ガンヒルト: …見なかったことにしよう
  364. オルガ: …え?なんで…!?
  365. ガンヒルト: イスヴィークがどうなろうと 関係ないよ、私たちには
  366. ガンヒルト: むしろ、混乱が起きてくれたら それこそ好機かも…
  367. オルガ: 好機…?
  368. ガンヒルト: 脱走の、だよ
  369. オルガ: …あんた、またそんなこと!
  370. ガンヒルト: これは無茶な話じゃないよ!
  371. ガンヒルト: 盗賊だったら 盗まれていい気味だと思うし…
  372. ガンヒルト: どこかの戦士団だったら いずれ襲撃があるはず…
  373. ガンヒルト: そうなれば、どうとでもなるよ!
  374. ガンヒルト: 襲ってきたやつらに 捕まったことにするとか!
  375. ガンヒルト: 襲ってきた方が負けても 戦闘中に逃げ出す隙はきっと…!
  376. オルガ: ま、待って待って! そんな上手くいくとは…!
  377. ガンヒルト: 限らないかもしれないけど やってみないことには…!
  378. オルガ: ガンヒルト…!
  379. オルガ: …あ…
  380. ガンヒルト: 姉さん!
  381. オルガ: ま、待った!
  382. オルガ: 月明かりで見えるけど… あの男…
  383. オルガ: こっち…来てる…!?
  384. ガンヒルト: …ホントだ…!
  385. オルガ: 気づかれちゃったんだ…!
  386. ガンヒルト: 熱くなって つい声が大きくなったか…
  387. オルガ: に、逃げよう…!
  388. ガンヒルト: 待って!下手に逃げると 追いつかれたら…きっと…
  389. オルガ: …殺され…る?
  390. ガンヒルト: うん…
  391. ガンヒルト: ここは隠れていた方がいいかも…
  392. オルガ: …………
  393. オルガ: …あ、そうだ…
  394. オルガ: 良い手があるじゃない…!
  395.  
  396. FILENAME: text_310493-3.txt
  397. オルガ: …あ、そうだ…
  398. オルガ: 良い手があるじゃない…!
  399. ガンヒルト: …良い手って…何?
  400. オルガ: …“狼”だよ…!
  401. ガンヒルト: …………
  402. ガンヒルト: …まさか…
  403. オルガ: 今度はひとりじゃ やらないから!
  404. オルガ: ふたりでやろう!
  405. ガンヒルト: …で、でも… もしかしたら脱走が…
  406. オルガ: そんなこと言ってる余裕は もうないよ!ほら、来ちゃうよ!
  407. オルガ: さあ!
  408. ガンヒルト: …う~…
  409. ガンヒルト: …仕方ない、か…
  410. オルガ: じゃあ…
  411. ガンヒルト: うん…
  412. オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
  413. うっ!?
  414. オルガ: 走るよ!
  415. ガンヒルト: わかった!
  416. オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
  417. こ、このっ!待てっ!
  418. オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
  419. な、なんだお前ら!
  420. 集落の戦士: 「…んだよ、夜中に…」
  421. 集落の戦士: 「どうしたどうした…?」
  422. しまった…!
  423. オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
  424. ちくしょう!
  425. 集落の戦士: 「…ああん、なんだあいつ? 走ってるのは誰だ…?」
  426. オルガ: 怪しい人!
  427. オルガ: この辺をウロウロしてたんだ!
  428. 集落の戦士: 「…んだとぉ!?待てこらー!」
  429. オルガ: …………
  430. オルガ: …う~、ドキドキした…!
  431. ガンヒルト: …はぁ…
  432. オルガ: …ガンヒルト…
  433. オルガ: …これは神々の導きじゃないよ
  434. ガンヒルト: …姉さん
  435. オルガ: だって、こんな結果でしょ? だったら違う
  436. オルガ: 本当の導きなら…
  437. オルガ: あたしたち、今頃、船の上だよ きっと…!
  438. ガンヒルト: …ふふっ…
  439. ガンヒルト: …ま、そうかもね…!
  440. オルガ: ね!そういうこと!
  441. ガンヒルト: ふふ…ふふふ!
  442. オルガ: あはは!
  443. <この騒動からしばらくの月日が経ち…>
  444. <オルガとガンヒルトは…>
  445.  
  446. FILENAME: text_310493-4.txt
  447. オルガ: …………
  448. オルガ: お、狼だよ、狼!
  449. ガンヒルト: どうしよう!
  450. オルガ: とにかく!…そ~っと逃げるよ
  451. ガンヒルト: うん…
  452. オルガ: …………
  453. オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
  454. こ、このっ!待てっ!
  455. オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
  456. な、なんだお前ら!
  457. オルガ: …………
  458. オルガ: オルガンヘイム!
  459. ガンヒルト: それはどんな世界?
  460. オルガ: ふふ~ん…
  461. オルガ: あたしとガンヒルトの 住む世界だよ!
  462. ガンヒルト: …え?どういうこと…?
  463. オルガ: あたしが考えたの!
  464. ガンヒルト: …なーんだ!あはは!
  465. オルガ: …………
  466. オルガ: (大変な毎日だったけど…)
  467. オルガ: (全部が大切な思い出に なっちゃった…)
  468. オルガ: …ガンヒルト…
  469. オルガ: …………
  470. オルガ: (…あたしは生きるよ…)
  471. オルガ: (明日も明後日も…その先も!)
  472. オルガ: …でも…
  473. オルガ: どうしてこうなっちゃったんだろうね、ガンヒルト…
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