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- FILENAME: text_310491-1.txt
- <今は昔、北欧にて屈強な 戦士たちが一団を組んで暴れていた時代…>
- <ノルウェーのある地域に 『イスヴィーク』という集落があった>
- <そこには、スレール(奴隷)として 暮らす姉妹がいた>
- オルガ: それじゃあ、次の仕事に 取り掛かろうか!
- ガンヒルト: その前に、姉さん あっちを片づけておいた方が…
- オルガ: ああ、そうか! うっかりしてた…
- オルガ: ありがとう、ガンヒルト!
- <姉はオルガ、妹はガンヒルト>
- <辛い境遇にありながらも ふたりは支え合い、懸命に生き抜いていた>
- <オルガは神々の伝説をよく好み 今までに多くの逸話を仕入れてきた>
- <それをガンヒルトに聞かせるのが 日課のようになっており、ガンヒルトもまた その時間を楽しみにしていた>
- ガンヒルト: じゃあ、アース神族と ヴァン神族では…
- オルガ: 住んでいる世界が違うの!
- オルガ: アース神族はアースガルズで ヴァン神族はヴァナヘイム!
- ガンヒルト: へー、そうなんだ
- ガンヒルト: 神々の世界っていっぱい あるんだね
- オルガ: そうだよ~!
- オルガ: ムスペルヘイムなんて めちゃくちゃ暑いんだから
- オルガ: 逆にニヴルヘイムは 酷寒の氷の世界…!
- ガンヒルト: どのくらい暑かったり 寒かったりするんだろう…
- オルガ: 想像もつかないね…
- オルガ: …あ、そうだ、それと…
- オルガ: オルガンヘイム!
- ガンヒルト: それはどんな世界?
- オルガ: ふふ~ん…
- オルガ: あたしとガンヒルトの 住む世界だよ!
- ガンヒルト: …え?どういうこと…?
- オルガ: あたしが考えたの!
- ガンヒルト: …なーんだ!あはは!
- オルガ: やっぱり、暑すぎたり 寒すぎたりするのは嫌だよね~
- ガンヒルト: うんうん!
- オルガ: だから、ちょうどいい感じの 気候の世界ね!
- オルガ: 食べ物もいっぱいあって 蜂蜜もたくさんとれて…
- オルガ: パンにバターもたっぷり 塗れる世界にしよう!
- ガンヒルト: それ最高…!
- オルガ: でしょー!
- <姉の自分がしっかりしなくては 妹を守れない…>
- <そのためにもオルガは 努めて明るく振舞っていた>
- <また、そうでもしないと…>
- <陰鬱な過去に自分が押しつぶされて しまうと感じていたから…>
- FILENAME: text_310491-2.txt
- <オルガとガンヒルトの父親は そこそこ名の知れた首長だった>
- <姉妹は幼い頃から何不自由ない暮らしを 送っていたのだが…>
- <それを一変させたのが イスヴィークの戦士団の襲来だった>
- <父、母、一族郎党を殺され 姉妹はスレールとして自由を奪われた>
- <つまり、ふたりは仇のもとで 働かされ、生きていたのだった>
- オルガ: よいしょ…っと…
- 集落の戦士: …………
- 集落の戦士: …おっと
- オルガ: わっ!
- 集落の戦士: おい、オルガ! てめー、何やってんだ!
- オルガ: す、すみません!
- 集落の戦士: ん~?これは今日の 宴で使う杯か?
- オルガ: …そうです…
- 集落の戦士: なんで地面に ぶちまけてんだコラァ!
- オルガ: ごめんなさい!
- ガンヒルト: 姉さん!どうしたの!?
- 集落の戦士: オルガがヘマしたんだよ 杯を落としやがって…!
- ガンヒルト: …くっ…!
- ガンヒルト: (どうせこいつが 何かしたんだ…!)
- ガンヒルト: (そうやっていつも 私たちに嫌がらせを…!)
- ガンヒルト: …きっとあんたが…!
- 集落の戦士: あん?今何か…
- オルガ: どうか許してください!
- ガンヒルト: …姉さん!?
- オルガ: 本当にあたしはいつも ドジばっかりで…
- オルガ: 今度から気をつけます! はい!
- 集落の戦士: …おう、そうか
- 集落の戦士: しっかりやれよ、まったく!
- オルガ: …ふぅ~…
- ガンヒルト: 姉さん…!
- オルガ: いや、いーのいーの! 仕方ないよ…
- ガンヒルト: あいつ…何かにつけて 嫌がらせしてきて…!
- オルガ: 昔、父上と因縁が あったみたいだね…
- ガンヒルト: そうなの!?
- オルガ: 喧嘩なのか、飲み比べなのか よくわからないけど…
- オルガ: 父上を討っても、あたしらを 見ると思い出すんだってさ
- オルガ: その時のことを…
- ガンヒルト: …なんなの…!
- オルガ: だから、逆らわない方がいい 我慢して、ガンヒルト
- ガンヒルト: でも…!
- オルガ: 何されるかわからないよ
- オルガ: スレールは無暗に乱暴は されないのが常だけど…
- オルガ: あいつの場合はわからない…
- オルガ: …それに!あたしは へっちゃらだから!
- ガンヒルト: …姉さん…
- オルガ: …明日も明後日も、その先も 生きていこう、ガンヒルト
- ガンヒルト: …うん…
- FILENAME: text_310491-3.txt
- オルガ: …ふぇ~… 怒られたなぁ…
- ガンヒルト: 大変だったね、姉さん…
- オルガ: 今日は全部しっかりあたしが 悪かったからね…
- オルガ: まあそれに、あのおっさんの 理不尽ないじめに比べたら…
- オルガ: 余裕!…ってな感じよ!
- ガンヒルト: …強いな、姉さんは
- オルガ: いやいや、それほどでも!
- ガンヒルト: ふふ…!
- ガンヒルト: …姉さん…
- オルガ: ん?なあに?
- ガンヒルト: “あの夢”を実現できたら…
- ガンヒルト: きっと姉さんはいつまでも 語り継がれる人になるよ
- オルガ: “あの夢”…って、いつも あたしが言っているやつ?
- ガンヒルト: そう!
- ガンヒルト: 船に乗って、色んな国を 巡るっていう…!
- オルガ: …ふっふっふっ…
- オルガ: きっとそうなるかな! がっはっはー!
- オルガ: あまたの海を駆け巡る 大商人・オルガ!
- オルガ: 風のように進む船に乗って どこまでも行くんだ!
- オルガ: そんで!見たこともない 珍しいお宝を手に入れる!
- オルガ: …もちろん、ガンヒルトと 一緒にね!
- ガンヒルト: …うん!
- ガンヒルト: …でも…今のままじゃそれも…
- オルガ: もう~、またその話?
- オルガ: 大丈夫だって! いつかきっと…
- ガンヒルト: 神々の導き…でしょ
- オルガ: そういうこと!
- オルガ: 神々があたしたちを 海へと連れて行ってくれる…
- オルガ: それを信じてさ…!
- ガンヒルト: 姉さん…
- ガンヒルト: …脱走、しない?
- オルガ: …え!?
- FILENAME: text_310491-4.txt
- ガンヒルト: 姉さん…
- ガンヒルト: …脱走、しない?
- オルガ: …え!?
- ガンヒルト: 私たちが自由になるには 脱走するしかないよ!
- ガンヒルト: そうでもしないと いつまで経っても…!
- オルガ: …ダメ!それはダメ!
- ガンヒルト: だって!
- オルガ: 見つかったらどうなるか わかっているでしょ!?
- ガンヒルト: …………
- オルガ: とんでもない責め苦を 受けることになる…
- オルガ: ヘタしたら 殺されちゃうよ…
- オルガ: お願い、ガンヒルト… 無茶なことはしないで…
- オルガ: あたしはともかくとして あんたが酷い目に遭うなんて…
- オルガ: 考えただけでも…
- ガンヒルト: …ごめん…
- オルガ: 今は耐えよう、ね?
- オルガ: スレールから解放される 機会がくるかもしれない…
- ガンヒルト: …そんなの、本当にあるかな?
- オルガ: だから、それこそが 神々の導きなんだよ!
- オルガ: きっとくる! そう信じれば、きっと…!
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …わかった…
- オルガ: …今日はもう寝ようか
- ガンヒルト: そうだね…
- ガンヒルト: …また、明日…
- オルガ: うん…
- オルガ: また明日…
- オルガ: (…やっぱり…)
- オルガ: (いつまでもガンヒルトに 希望を持たせ続けないと…)
- オルガ: (あたしの他愛のない話でも この子の支えになるのなら…)
- オルガ: (…そして…)
- オルガ: 夢は語り続けていれば本当になる …といいんだけどなぁ…
- FILENAME: text_310492-1.txt
- <いつものようにイスヴィークで 懸命に働いているオルガとガンヒルト…>
- <ただ、今日は集落の様子が少し違っていた>
- オルガ: …静かだね
- ガンヒルト: うん 男たちが出払うとね
- オルガ: 略奪か…
- オルガ: 昔、父上たちが船を出した後も こんな感じだったよね
- ガンヒルト: …まあ、ここの連中は向かった 先で全滅でもすればいいけど…
- オルガ: ちょっと…聞かれるとマズいよ
- ガンヒルト: …ごめん…
- オルガ: …そもそも…
- オルガ: 略奪なんてやめればいいのに…
- ガンヒルト: …………
- オルガ: 奪って奪われて…
- オルガ: その先にいるのが あたしたちなんだから…
- ガンヒルト: …姉さん…
- オルガ: まあ、わかってるよ?
- オルガ: あたしたちは昔から そうやって生きてきた
- オルガ: でも、そんなこと いつまでやらないといけないの?
- オルガ: あたしはそんなことしないで 商売をもっと盛んにさ…
- ガンヒルト: …姉さん…
- オルガ: いや、ガンヒルトは こう言いたいんでしょ?
- オルガ: じゃあ、いつ変わるんだって それはね…
- ガンヒルト: そうじゃなくて、姉さん!
- オルガ: …ん? どうしたの?
- ガンヒルト: あれ…狼…じゃない?
- オルガ: …へ?
- ガンヒルト: ほら、あっち…!
- オルガ: …………
- オルガ: …ホントだ…
- ガンヒルト: こっち向いてない…?
- オルガ: ホントだ…
- ガンヒルト: ちょっと…近づいてない…!?
- オルガ: …ホントだーっ!
- FILENAME: text_310492-2.txt
- オルガ: お、狼だよ、狼!
- ガンヒルト: どうしよう!
- オルガ: とにかく!…そ~っと逃げるよ
- ガンヒルト: うん…
- オルガ: 狼、集落に入ってきちゃったよ…
- ガンヒルト: どうしてここに…! こんなこと…!
- オルガ: 今までなかったけど…!
- ガンヒルト: 食べ物が狙い…? それとも迷って出てきた…?
- オルガ: それはともかく 逃げて逃げて!
- 狼: 「グウウウ…!」
- オルガ: ダメだ…まだ来るよ!
- ガンヒルト: 見て!あそこの小屋! 逃げ込もう!
- オルガ: …うん!
- オルガ: …あんただけね!
- ガンヒルト: …え?
- オルガ: 行って!
- ガンヒルト: わっ!
- オルガ: ほ、ほら、こっち!
- ガンヒルト: ね、姉さん!?
- オルガ: ひぃぃぃぃ!
- 狼: 「ガウッ!ガウッ!」
- オルガ: (あ、あたし…)
- ガンヒルト: …強いな、姉さんは
- オルガ: いやいや、それほどでも!
- ガンヒルト: ふふ…!
- オルガ: (本当はそんなに… 強くないんだよ…)
- オルガ: (だけど…!)
- オルガ: (あんたを守るためなら…!)
- オルガ: …頑張れ…るんだー!
- 狼: 「ガウーッ!」
- オルガ: …でも、もう無理かも…!
- ???の声: 「こっちに来て!」
- オルガ: …この声…!?
- ガンヒルト: 姉さん!こっち!
- オルガ: ガンヒルト!?
- FILENAME: text_310492-3.txt
- 狼: 「ガウーッ!」
- オルガ: …でも、もう無理かも…!
- ???の声: 「こっちに来て!」
- オルガ: …この声…!?
- ガンヒルト: 姉さん!こっち!
- オルガ: ガンヒルト!?
- オルガ: いや、ちょっと…!
- ガンヒルト: そこら辺の音が出そうなものを 叩いて!
- オルガ: お、音…!?
- ガンヒルト: いくよっ!
- ガンガンガン!
- 狼: 「グ…グ…ウウ…」
- ガンヒルト: 続いて…
- ガンヒルト: わーっ!わーっ!
- ガンヒルト: ほら、姉さんも!
- オルガ: へ!?
- ガンヒルト: 声を出して!
- オルガ: う、うん!
- オルガ: うわーっ!うわあああっ!
- 狼: 「…クウーン…」
- オルガ: …に、逃げた…
- ガンヒルト: …よ、よかった~…
- オルガ: 狼…どうしたの…?
- ガンヒルト: さっき思い出したの
- ガンヒルト: 昔、父上の知り合いで 狩りが上手な人がいたでしょ?
- オルガ: …あ…そういえば…
- ガンヒルト: 一度しか会ってないけど その時話をしたの
- ガンヒルト: で、教えてもらったのが 『狼は大きな音に怯む』ってこと
- オルガ: それで…!
- ガンヒルト: 話だけだから 半信半疑ではあったけど…
- ガンヒルト: 本当だったんだね…
- オルガ: そうだったんだ…
- オルガ: いやー、助かったね! ありがとう!
- ガンヒルト: …そうじゃないでしょ!
- オルガ: ええっ!?
- FILENAME: text_310492-4.txt
- オルガ: いやー、助かったね! ありがとう!
- ガンヒルト: …そうじゃないでしょ!
- オルガ: ええっ!?
- ガンヒルト: なんでさっき私だけ 小屋に突き飛ばしたの!
- オルガ: …あ…
- オルガ: …いやぁ…小屋にふたりで 逃げ込んでも…
- オルガ: 万が一、中に入られたら 追い詰められちゃうでしょ?
- オルガ: だから…
- ガンヒルト: 私に無茶はするなって 言ってたけど…
- ガンヒルト: だったら、姉さんも 無茶はしないでよ!
- オルガ: ガンヒルト…
- オルガ: …ごめんね…
- ガンヒルト: 姉さんが死んじゃったら… 私…私…!
- オルガ: ああ、泣かないで! 悪かったから…
- ガンヒルト: う…うう…
- オルガ: 勝手な真似しちゃったね…
- オルガ: これからはガンヒルトに 聞いてからやるよ
- ガンヒルト: そんなの! 許すわけないでしょ!
- オルガ: え、そう…? あはは…!
- ガンヒルト: …もうっ!
- ガンヒルト: …ふふっ…!
- オルガ: それにしても… 狼を退散させるなんて…!
- オルガ: やったね!
- ガンヒルト: …どうにかだけどね
- オルガ: ははっ!
- オルガ: (やっぱり、さすが ガンヒルトだな…)
- オルガ: (咄嗟の機転…この子は 頭の出来がいいや!)
- オルガ: (ガンヒルトとなら… きっと、生き抜いていける…!)
- オルガ: (これからも…!)
- オルガ: ガンヒルト、すごいや…!ふたり で力を合わせるって、いいね…!
- FILENAME: text_310493-1.txt
- <狼騒動があってからしばらく後…>
- オルガ: それにしても…
- オルガ: すごかったねー、狼!
- ガンヒルト: またその話~?
- オルガ: 何回でもしたくなるよ!
- オルガ: だって、ふたりで 狼を追い払ったんだよ?
- オルガ: なかなかできる ことじゃないと思うけどな~!
- ガンヒルト: …まあ、滅多にない 経験だったのは確かだよね
- オルガ: でしょ~!
- ガンヒルト: …でも…
- ガンヒルト: ひとりで囮になるなんて もうホントに…!
- オルガ: それはゴメンって!
- ガンヒルト: 二度とやらせないから!
- オルガ: しないしない! だからそこは勘弁…
- オルガ: …ん…?
- ガンヒルト: …どうしたの?
- オルガ: …何か…物音が聞こえたような…
- ガンヒルト: え?どこから…?
- オルガ: …外…かな…?
- ガンヒルト: 外…?
- ガンヒルト: 結構、夜も深いけど…
- オルガ: …もしかして…
- オルガ: …いや、そんなことないか…
- オルガ: …でも、また…
- ガンヒルト: 何を…言ってるの?
- オルガ: つ、つまり、ね…
- オルガ: また、狼が 出てきちゃった、とか…?
- ガンヒルト: …まさか!
- ガンヒルト: …でも、あの日から そんなにまだ経ってない…
- ガンヒルト: 確かに、あり得るかも…!?
- オルガ: …………
- オルガ: …覗いて…みる?
- ガンヒルト: …え…
- オルガ: もし狼だったら… このままだとここに…
- ガンヒルト: 下手したら 来ちゃうかも…だね…
- オルガ: …と、とりあえず軽く…
- ガンヒルト: わ、わかった…
- オルガ: …音がしたのは…
- オルガ: 多分…
- オルガ: …あ!
- ガンヒルト: な、なに…?
- オルガ: あ、あれは…?
- FILENAME: text_310493-2.txt
- オルガ: …音がしたのは…
- オルガ: 多分…
- オルガ: …あ!
- ガンヒルト: な、なに…?
- オルガ: あ、あれは…?
- …………
- オルガ: 見たことない顔…だね
- ガンヒルト: 誰だろう…?
- ガンヒルト: でも…こんな夜中に コソコソとしているあたり…
- オルガ: 盗賊…!?
- ガンヒルト: あるいは…
- ガンヒルト: ここを襲おうとしている連中の 斥候かも…
- オルガ: 斥候!? まさかそんな…!
- ガンヒルト: ここの連中なら 考えられるよ
- ガンヒルト: 方々で恨みを 買ってそうだもの…
- オルガ: …それは否めないね…
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …見なかったことにしよう
- オルガ: …え?なんで…!?
- ガンヒルト: イスヴィークがどうなろうと 関係ないよ、私たちには
- ガンヒルト: むしろ、混乱が起きてくれたら それこそ好機かも…
- オルガ: 好機…?
- ガンヒルト: 脱走の、だよ
- オルガ: …あんた、またそんなこと!
- ガンヒルト: これは無茶な話じゃないよ!
- ガンヒルト: 盗賊だったら 盗まれていい気味だと思うし…
- ガンヒルト: どこかの戦士団だったら いずれ襲撃があるはず…
- ガンヒルト: そうなれば、どうとでもなるよ!
- ガンヒルト: 襲ってきたやつらに 捕まったことにするとか!
- ガンヒルト: 襲ってきた方が負けても 戦闘中に逃げ出す隙はきっと…!
- オルガ: ま、待って待って! そんな上手くいくとは…!
- ガンヒルト: 限らないかもしれないけど やってみないことには…!
- オルガ: ガンヒルト…!
- オルガ: …あ…
- ガンヒルト: 姉さん!
- オルガ: ま、待った!
- オルガ: 月明かりで見えるけど… あの男…
- オルガ: こっち…来てる…!?
- ガンヒルト: …ホントだ…!
- オルガ: 気づかれちゃったんだ…!
- ガンヒルト: 熱くなって つい声が大きくなったか…
- オルガ: に、逃げよう…!
- ガンヒルト: 待って!下手に逃げると 追いつかれたら…きっと…
- オルガ: …殺され…る?
- ガンヒルト: うん…
- ガンヒルト: ここは隠れていた方がいいかも…
- オルガ: …………
- オルガ: …あ、そうだ…
- オルガ: 良い手があるじゃない…!
- FILENAME: text_310493-3.txt
- オルガ: …あ、そうだ…
- オルガ: 良い手があるじゃない…!
- ガンヒルト: …良い手って…何?
- オルガ: …“狼”だよ…!
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …まさか…
- オルガ: 今度はひとりじゃ やらないから!
- オルガ: ふたりでやろう!
- ガンヒルト: …で、でも… もしかしたら脱走が…
- オルガ: そんなこと言ってる余裕は もうないよ!ほら、来ちゃうよ!
- オルガ: さあ!
- ガンヒルト: …う~…
- ガンヒルト: …仕方ない、か…
- オルガ: じゃあ…
- ガンヒルト: うん…
- オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
- うっ!?
- オルガ: 走るよ!
- ガンヒルト: わかった!
- オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
- こ、このっ!待てっ!
- オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
- な、なんだお前ら!
- 集落の戦士: 「…んだよ、夜中に…」
- 集落の戦士: 「どうしたどうした…?」
- しまった…!
- オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
- ちくしょう!
- 集落の戦士: 「…ああん、なんだあいつ? 走ってるのは誰だ…?」
- オルガ: 怪しい人!
- オルガ: この辺をウロウロしてたんだ!
- 集落の戦士: 「…んだとぉ!?待てこらー!」
- オルガ: …………
- オルガ: …う~、ドキドキした…!
- ガンヒルト: …はぁ…
- オルガ: …ガンヒルト…
- オルガ: …これは神々の導きじゃないよ
- ガンヒルト: …姉さん
- オルガ: だって、こんな結果でしょ? だったら違う
- オルガ: 本当の導きなら…
- オルガ: あたしたち、今頃、船の上だよ きっと…!
- ガンヒルト: …ふふっ…
- ガンヒルト: …ま、そうかもね…!
- オルガ: ね!そういうこと!
- ガンヒルト: ふふ…ふふふ!
- オルガ: あはは!
- <この騒動からしばらくの月日が経ち…>
- <オルガとガンヒルトは…>
- FILENAME: text_310493-4.txt
- オルガ: …………
- オルガ: お、狼だよ、狼!
- ガンヒルト: どうしよう!
- オルガ: とにかく!…そ~っと逃げるよ
- ガンヒルト: うん…
- オルガ: …………
- オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
- こ、このっ!待てっ!
- オルガ&ガンヒルト: わーっ!わーっ!わーっ!
- な、なんだお前ら!
- オルガ: …………
- オルガ: オルガンヘイム!
- ガンヒルト: それはどんな世界?
- オルガ: ふふ~ん…
- オルガ: あたしとガンヒルトの 住む世界だよ!
- ガンヒルト: …え?どういうこと…?
- オルガ: あたしが考えたの!
- ガンヒルト: …なーんだ!あはは!
- オルガ: …………
- オルガ: (大変な毎日だったけど…)
- オルガ: (全部が大切な思い出に なっちゃった…)
- オルガ: …ガンヒルト…
- オルガ: …………
- オルガ: (…あたしは生きるよ…)
- オルガ: (明日も明後日も…その先も!)
- オルガ: …でも…
- オルガ: どうしてこうなっちゃったんだろうね、ガンヒルト…
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