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- <海>
- <生命が始まったと言われる命の原点で 今でも変わらずそばにある大きな存在>
- <温かい南の海と冷たい北の海で何かが起きても 海にとっては近くで起きたことと変わらない 体に何かが触れたように全てを感じ取っている>
- <だから、この海にまつわる3つの出来事も 全て海は知っているかもしれない>
- 梢 麻友: やちよさん、よければ これも見てください
- やちよ: …貝殻?
- 梢 麻友: はい、実在の露さんが最後まで 大切にしていたものだそうです
- ももこ: …いや、知りたいんだ
- ももこ: おとぎ話でも村の伝承でもない あの子の本当の記憶を…
- みたま: 過去を知っても 何も変えられないわ
- さやか: あ…!
- さやか: (やさしい声… 海の方から…)
- さやか: これが、波間の声…?
- <離れた場所で起きていた3つの出来事は 連なっている1つの物語>
- <海がはるか過去の出来事を覚えていたとすれば この物語を生みだした ある時代の物語を思い出すだろう>
- 巫: ―巫― (あの方に届いて欲しい私の声…)
- 巫: ―巫― (多くを語るほど声を残す力は弱くなるけど)
- 巫: ―巫― (それでもどうか この“貝殻”に想いを込めさせて…)
- <始まりは悲恋にさいなまれた巫の記憶>
- <巫という立場のせいで叶わぬ船乗りへの恋心と 優しい希望を詰められたその貝殻は 彼女の切なる想いを託されて海に流された>
- 巫: どうかあの方に届いて 巫の因縁を越えられますように…
- <だが、彼女の想いを託された貝殻は 虚しくも思い人には届かず ただ生まれや立場を越えたいという言葉を乗せて 海の中を彷徨い続けた…>
- <昼の海を…>
- <夕の海を…>
- <夜の海を…>
- <灘にのまれて揉まれ続け>
- <海中を漂いながら…>
- <そして漂い続けた貝殻は かつて神浜に生きていた ふたりの少女を結ぶことになる>
- <ひとりの少女の名前は“水名露”>
- <もうひとりの少女の名前は“千鶴”>
- 千鶴: ―千鶴― んなっ、誰だアンタ
- 露: ―露― この辺りで妙な声が聞こえるという噂があってね 妖魔の類いかと思って来てみたの
- 露: ―露― 今、この地を襲っている凶作も妖魔の仕業 危険だから去りなさい
- 千鶴: ―千鶴― フッ、ハハッ
- 千鶴: ―千鶴― 関所を越えた東の神子を知らないなんざ 水名の神子も高が知れてるなぁ
- 露: ―露― まさかあなたも同じ…
- 千鶴: ―千鶴― そ、だから去るのはアンタの方だ 悪いが獲物はこっちがもらう
- 露: ―露― 今の民たちの状況を知ってるでしょう 同じ神子なら力を合わせましょう
- <当時の神浜と言えば東西の間に関所が設けられ 互いが睨み合っていた時代 千鶴も他の者と同様に城下の人々を嫌っていた>
- <だが、魔力の込められた貝殻を見つけ その声を聞いたことが切っ掛けで 西と東にいたふたりの物語は動き始めた>
- 千鶴: ―千鶴― 誰だ、この声…!
- 露: ―露― しっ、何か伝えようとしてる…
- 巫: 「私とあなたとは生まれも立場も違っていて 決してこの地で認められる間柄ではなかった」
- 巫: 「でも、それで自分が悲しんだからと言って 一族を恨んだりはしません 私はみんなが自由に幸せな暮らしができるように この村を変えてみせます」
- 巫: 「だから生きていたら私のことを思い出して 私は今もここで待っているから…」
- <込められていた声と想いは まったく自分たちには関係がない>
- <それでも露と千鶴には どこか他人事のようには思えなかった>
- <関所で分断されているふたり 手を取り合うこともできない間柄 人々は不自由で飢餓に苦しみ 変えるには国も人も変わらないといけなかった>
- <ひとりの少女の悲恋を通して ふたりの少女が武器を下ろして小さく笑んだ>
- <それは今の暦では8月… 古い暦では7月… 奇しくも七夕に近い頃で…>
- <東と西が長い時を経て手を結ぶ前に起きた 神浜における出来事だった>
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