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- FILENAME: text_326011-1.txt
- まばゆ: ようこそ舞台裏へ
- まばゆ: scene0魔法少女ストーリー 佐倉杏子さん編が
- まばゆ: まもなく始まります
- まばゆ: あ、ちなみに この舞台裏コーナーなんですが
- まばゆ: 映画のディスクについてくる オーディオコメンタリーとかと
- まばゆ: 似たような位置づけのやつです
- まばゆ: なので、この舞台裏というか 楽屋みたいな場所の設定とかは
- まばゆ: 考えても意味がないそうです…
- まばゆ: そうそう、それから このストーリーですけど
- まばゆ: scene0本編の 進行具合によっては
- まばゆ: ちょこっと先の話が 混じってくるって聞いてます
- まばゆ: まあ、クリティカルなネタバレは ないって話ですけど…
- まばゆ: あと今回はカメオ?…キャメオ? いわゆるチョイ役ってやつで
- まばゆ: なんか私も出てるみたいです
- まばゆ: 楽しみですね、私出演! …というか
- まばゆ: いったい いつ撮られてたんでしょう…?
- <見滝原市>
- 杏子: ………… …………
- 杏子: …ここも めぼしい反応はナシ
- 杏子: 今日は不発だな
- 杏子: 店にでも寄って帰るか
- CD3枚のお買い上げですね ありがとうございます
- あ…このCD、今は廃盤で 結構レアなんですよ
- 早乙女先生: そうなんですか?
- はい、これが最後の1枚です
- 早乙女先生: 全然詳しくなくて… たまたま手に取ったんですけどね
- 全盛期の演奏で、ヴァイオリンの 録音もすごくよくて
- 特に最後の、グノーの 「アヴェ・マリア」は
- 心に沁みる名演ですよ
- 杏子: …………
- ???の声: あら、詢子?
- ???の声: …ええ、そう いまCDを買ったところ
- 杏子: …ん?
- 早乙女先生: …詢子の言う通りね
- 早乙女先生: 傷ついたあの子の心に 向き合うには
- 早乙女先生: あの子がどんな曲を聴いて どんな曲を演奏してきたのか
- 早乙女先生: 知ろうとすることも必要よね
- 早乙女先生: …ええ、そう 教育者として
- 杏子: (学校の教師か? 誰かと電話してるみたいだな)
- 早乙女先生: やっぱり、持つべきものは親友ね 昨日は会えてよかったわ
- ピッ
- 杏子: ………… …………
- 杏子: はっ
- 杏子: …っと!
- Perfect!
- 杏子: フン
- 杏子: なんだい? 用があるなら出てきなよ
- トン…
- キュゥべえ: 今日は見滝原市の偵察かい?
- 杏子: そんなとこだね 収穫はなかったけど
- 杏子: 使い魔の気配もありゃしない マミのやつがはりきってんのかね
- キュゥべえ: いや、マミは今日 見滝原の市外に遠征しているよ
- 杏子: …は?
- 杏子: どういうことだ?
- 杏子: ふぅん…
- 杏子: 『いま見滝原では、ふたりの イレギュラーが暗躍していて…』
- 杏子: 『魔法少女の素質があるやつが 他に少なくともふたりいる、と』
- キュゥべえ: うん
- キュゥべえ: 「特に、そのうちのひとりは とてつもない素質を持っているよ」
- 杏子: へえ ライバル登場ってわけ?
- キュゥべえ: 気になるのかい?
- 杏子: 別に
- 杏子: ま、話は覚えとくよ
- FILENAME: text_326011-2.txt
- まどか: あれっ…?
- キュゥべえ: まどか、どうしたんだい?
- まどか: …なんだろ、あれ
- まどか: ちょっと見てくる
- まどか: えっ…これって!
- キュゥべえ: 使い魔の結界のようだね
- まどか: ど、どうしよう…?
- まどか: そうだ、さやかちゃんに 連絡して…
- ~~♪~~♪
- さやか: わかった、今からそっちへ行く!
- さやか: まどかはそこを離れて! 結界の側は危ないから
- まどか: う、うん… わかった
- さやか: 大丈夫、あとは正義の魔法少女 さやかちゃんにおまかせ!
- まどか: さやかちゃんが 来てくれるみたい!
- まどか: あ…あと、結界から 離れた方がいいって…
- キュゥべえ: だったら、表通りで さやかを待つことにしよう
- まどか: うん…!
- キュゥべえ: 使い魔が相手なら
- キュゥべえ: まだ魔法少女になったばかりの さやかでも
- キュゥべえ: 充分に対処できるはずだよ
- 杏子: ほっ
- 杏子: これで、終わ…
- 杏子: …!
- Game Over
- 杏子: なんだよ… せっかくいい調子だったのに
- 杏子: …………
- 杏子: (さっき感じた気配… 魔力だったよな?)
- 杏子: (…探ってみるか)
- 杏子: ………… …………
- 杏子: (魔女か使い魔… かなり近くにいるな)
- 杏子: …あった さっきの気配はこれだな
- 杏子: …………
- 杏子: …たいした魔力じゃない 使い魔の結界か
- 杏子: なら、用はないね
- 杏子: なっ…?
- 杏子: ――っ!?
- 杏子: くっ…!
- 杏子: 何だコイツ? ずいぶんと好戦的じゃないの
- 杏子: せっかく見逃してやろうと 思ってたのに
- 杏子: しつこく 絡んでくるんじゃねーっての!
- FILENAME: text_326011-3.txt
- 杏子: 次で…最後だ!
- 杏子: …ん?
- ………… …………
- 杏子: (あれは…)
- 杏子: (迷い込んじまったのか?)
- 杏子: チッ…こいつ!
- 杏子: ハアァッ!
- 杏子: …ふぅ
- 杏子: 使い魔を倒しちまうなんて…
- ………… …………
- 杏子: (結界にいた子か…)
- 杏子: (あたしが助けたみたいに なっちまった)
- 杏子: …………
- …ん…
- あれっ? ここって…
- 杏子: …気がついたか
- …えっと わたし、倒れてたの?
- 杏子: ああ…まぁな
- じゃあ、お姉ちゃんが 助けてくれたんだね
- 杏子: …………
- 杏子: (お姉ちゃん…か)
- 杏子: ………… …………
- 杏子: …いや、別に 助けたっていうか…
- ふふっ、ありがとう!
- 杏子: …………
- 杏子: 誰かと一緒だったのか?
- うん…その… おばあちゃんといたんだけど…
- 杏子: 迷子になっちまったのか
- あ、うん… どうしよう…
- 杏子: …………
- 杏子: 食うかい?
- あっ… 可愛いチョコレート!
- ありがと!
- お礼に、お姉ちゃんに これあげる
- 杏子: キャンディ…? いや、あたしは別に…
- りんご味といちご味 どっちがいい?
- 杏子: …………
- 杏子: …じゃ、林檎をもらうよ
- ???の声: しのんちゃん! しのんちゃ~ん!
- あ…おばあちゃんの声!
- 杏子: 表通りの方だな 連れてってやるよ
- …この子を見つけてくれて 本当にありがとうございました
- ほら、しのんもお礼を言って
- うんっ
- 杏子お姉ちゃん ありがとう!
- また会えるといいね!
- 杏子: ああ、そうだな
- 杏子: …………
- 杏子: (…この場所、前にも 来たことがある)
- 「――――!」
- 杏子: (そうか、あのときの…)
- 杏子: ………… …………
- キュゥべえの声: 「さやか、こっちだ!」
- さやかの声: 「遅くなってごめん! 使い魔はどこ!?」
- まどかの声: 「えっと、この建物の裏の方…」
- 杏子: …ん?
- 杏子: (キュゥべえと 話をしてるってことは…)
- 杏子: (こいつらも魔法少女か?)
- 杏子: 使い魔ならもう 退治しちまったよ
- さやか: えっ…? あんた誰?
- キュゥべえ: キミも来ていたのか 佐倉杏子
- さやか: 知ってるの、キュゥべえ?
- まどか: …もしかして あの子も魔法少女…?
- さやか: むっ…?
- FILENAME: text_326011-4.txt
- まどか: …もしかして あの子も魔法少女…?
- さやか: むっ…?
- 杏子: なるほどね
- 杏子: あんたらが キュゥべえの言ってた…
- 杏子: 『魔法少女の素質があるやつが 他に少なくともふたりいる、と』
- キュゥべえ: 「うん」
- キュゥべえ: 「特に、そのうちのひとりは とてつもない素質を持っているよ」
- 杏子: (魔法少女は右のやつだけだな なりたてのヒヨッコってとこか)
- 杏子: (たいして強くもなさそうだ …ってことは)
- 杏子: (『とてつもない素質の持ち主』 ってのは、こいつか)
- 杏子: …ったく、あんたらが モタモタしてるから
- 杏子: 見返りもねー使い魔を 狩る羽目になっちまった
- 杏子: あんた、ルーキーだろ?
- 杏子: こんなやつが守ってるようじゃ この町も終わりだね
- さやか: …言ってくれるじゃない
- 杏子: あ~あ、本当はあと何人か喰って グリーフシードを孕んだあとで
- 杏子: 狩りにきたかったんだけどな
- さやか: ハァ!?
- さやか: ちょっとあんた なんてこと言うのよ!
- まどか: さ、さやかちゃん…!
- 杏子: …………
- さやか: だってこいつ! グリーフシードを狩るために
- さやか: 誰か犠牲になればいいって… そう言ってんのよ!?
- まどか: で、でも…! 佐倉さんって
- まどか: さっき、あそこで おばあさんとお話してたよね
- 杏子: なんだ、見てたのか
- まどか: …うん…
- まどか: それで、迷子の女の子を 連れてきて…
- まどか: …ありがとう、って
- まどか: お礼を言われてた…よね…?
- さやか: へっ、そうなの?
- まどか: うん…違う、かな…?
- 杏子: チッ…
- 杏子: (聞かれてたのか…)
- キュゥべえ: もしかするとその子は
- キュゥべえ: 結界に迷い込んでいたんじゃ ないのかい?
- まどか: あっ、それって… 佐倉さんが助けたってこと?
- 杏子: ………… …まあ、偶然な
- さやか: なんだ…
- さやか: 口は悪いけど ちゃんと人助けしてるんじゃない
- 杏子: …………
- まどか: ねえ、でもそれって…
- まどか: 佐倉さんが 助けてくれなかったら
- まどか: その子は犠牲になってたかも しれないってこと?
- まどか: わたし、気づかなかった…
- さやか: まどかのせいじゃないよ
- さやか: あたしが駆けつけるのが 遅かったから…
- キュゥべえ: 確かに、結界の中に人がいると 知っていれば
- キュゥべえ: もっと違った対応を取ることは できただろうね
- まどか: うん…わたしが キュゥべえにお願いして
- まどか: 魔法少女になってたら その子も危ない目に遭わずに…
- 杏子: …おい 舐めてんじゃねぇぞ
- まどか: えっ…
- 杏子: 魔法少女になるってのは そんな生やさしいもんじゃない
- 杏子: 人助けなんて くだらねーお題目のために
- 杏子: 命を危険に晒すのは
- 杏子: どうしようもない バカのやることだよ
- さやか: えっ… それって矛盾してない?
- さやか: だってあんた 子どもを助けてくれたんでしょ?
- 杏子: だからそれは、偶然だって…
- さやか: 家族のいるところまで 送り届けてあげたみたいだし
- さやか: もしかして、照れ隠し?
- 杏子: …………
- 杏子: …チッ
- まどか: あっ…
- さやか: …変なヤツ
- キュゥべえ: ………… …………
- まばゆ: ヒヤヒヤしましたが… 何事もなく済みましたね
- ほむら: …そうね
- まばゆ: 佐倉さんがまた見滝原に来たら どうします?
- ほむら: そのまま泳がせておくだけよ
- まばゆ: …大丈夫です?
- ほむら: ええ、彼女も線引きは わきまえているはず
- ほむら: 手出しが必要な事態には ならないと思うわ
- 杏子: …ったく、助けるつもりなんて なかったのにな
- FILENAME: text_326012-1.txt
- <風見野市>
- 杏子: ………… …………
- 杏子: 人助けなんて くだらねーお題目のために
- 杏子: 命を危険に晒すのは
- 杏子: どうしようもない バカのやることだよ
- さやか: えっ… それって矛盾してない?
- さやか: だってあんた 子どもを助けてくれたんでしょ?
- 杏子: (…結果的にそうなっただけだ)
- 杏子: (誓いを破ったわけじゃない)
- さやか: もしかして、照れ隠し?
- 杏子: あー! 面白くねえ
- ザッ…
- マミの声: 何かあったのかしら?
- 杏子: …マミ?
- 杏子: あんたには関係ないよ
- マミ: 少しくらい話を聞かせてくれても いいんじゃないかしら?
- 杏子: …………
- マミ: …そう
- マミ: 使い魔から 女の子を守ってくれたのね
- 杏子: …だから、偶然だって!
- 杏子: だいたい あんたがちゃんとしてりゃ
- 杏子: あんなヒヨッコどもに 見滝原を任せて
- 杏子: 使い魔がのさばることも なかったはずだろ?
- マミ: …それって、今も
- マミ: 町のことを心配する気持ちが あるってことかしら?
- 杏子: 違うっての…
- 杏子: あたしはもう、人助けなんて くだらないことはやめたんだ
- 杏子: それがどんなに虚しくて 報われないことか
- 杏子: あんたも知ってるだろ?
- マミ: でも…
- 杏子: …………
- 杏子: 昔…あたしがあんたとのコンビを 解消した直後
- 杏子: 見滝原で、集団自殺騒ぎがあった
- 杏子: ちょうど今日、使い魔が出たのと 同じ場所でさ
- 杏子: あんたと組むのをやめたあたしは その日、ひとりで見滝原に行った
- 杏子: …そこであたしは見たんだ
- 杏子: 魔女の口づけを受けた連中が 集団自殺をしようとして
- 杏子: ひとりの警官が そいつらを止めようとしてた
- 「みなさん、危険です!」
- 杏子: 『でも逆に…』
- 杏子: 『警官は銃を奪われて死んだ』
- マミ: …………
- 杏子: …あたしが駆けつけたときには 一歩遅かったよ
- 杏子: 魔女はどうにか倒したけど あたりは死体の山だ
- 杏子: 事件のあと、町では…
- 杏子: 警官が市民を殺したっていう 噂が立っていた
- マミ: そんな…
- FILENAME: text_326012-2.txt
- 杏子: 本当は魔女の仕業だなんて 言ったところで
- 杏子: 誰も信じちゃくれないし
- 杏子: 真相を知ってるのは あたしだけだ
- マミ: …………
- 杏子: 誰かを助けようとして 文字通り命を懸けたのに
- 杏子: 誰ひとり救えなかったあげく 罪までおっ被せられて無駄死にだ
- 杏子: あの警官だって
- 杏子: 市民を助けようだなんて 余計な正義感に駆られなければ
- 杏子: 残された家族も 苦しまずに済んだろうにさ
- マミ: そんなことが…
- 杏子: 別に驚くようなことじゃない
- 杏子: 世の中は 理不尽なことであふれてる
- 杏子: あんたも知ってるだろ? この教会がどういう場所か
- マミ: 佐倉さん…
- 杏子: …ここは親父の教会だった
- 杏子: あたしが家族を 壊しちまうまではな
- 杏子: ………… …………
- 杏子: (モモ…)
- 杏子: 何が正義だ 何が人助けだよ
- 杏子: …親父は何も 間違っちゃいなかった
- 杏子: ただ、当たり前のことを
- 杏子: 正しいことを 話そうとしてただけだ
- 杏子: そんな父親のために お節介な願い事をして
- 杏子: 一緒にこの世界を 救うんだって意気込んでた
- 杏子: 娘とその家族はどうなった?
- マミ: …………
- 杏子: …だからあたしは、他人のために 魔法を使ったりしない
- 杏子: 決めたんだ
- 杏子: これからも 実入りのない人助けなんかに
- 杏子: 首を突っ込むつもりはないよ
- 杏子: じゃあね
- マミ: ―マミ― ………… …………
- マミ: ―マミ― あの、佐倉さん…
- マミ: ―マミ― 私じゃ、力になれないかもしれないけれど…
- 杏子: ―杏子― なら、放っておいてくんない?
- 杏子: ―杏子― …話は終わりだよ
- FILENAME: text_326012-3.txt
- <見滝原市>
- 杏子: あたしはもう、人助けなんて くだらないことはやめたんだ
- 杏子: それがどんなに虚しくて 報われないことか
- 杏子: あんたも知ってるだろ?
- 杏子: ………… …………
- ???の声: 杏子お姉ちゃん?
- 杏子: …ん?
- 杏子: しのん…
- 今日もここに来たの?
- 杏子: あ、あぁ…
- 杏子: (…あたしは)
- 杏子: (なんでまた ここに来ちまったんだ?)
- 杏子: あんたの方こそ どうしてここにいる?
- 杏子: まさか、また迷子に…
- 迷子じゃないよ
- …ごめんね 昨日は嘘をついたの
- ここへは、自分で来たんだ
- 杏子: …こんな路地裏へ何しに?
- へこんじゃったときは パパと会いにここへ来るの
- …パパは、ここで死んだの
- 杏子: …!
- 昨日ね、おばあちゃんと 表通りを歩いてたら
- パパの悪口が聞こえたの
- ここが、あの事件があった 場所だよって
- あれは集団自殺じゃない… 警察官が犯人だよって
- 杏子: …………
- 「みなさん、危険です!」
- 杏子: (この子は… あの警官の娘か!)
- うん…その… おばあちゃんといたんだけど…
- 杏子: 迷子になっちまったのか
- あ、うん… どうしよう…
- 杏子: はぐれて 迷子になったんじゃなくて
- 杏子: つらくなって 逃げ出したんだな?
- うん…
- 杏子: でも、お前は…
- 杏子: しのんは信じてるんだろ? 父親は潔白だって
- 杏子: みんなを守ろうとして 命を落としたんだって
- うん、でも…
- みんなが、そうじゃないって…
- ………… …………
- FILENAME: text_326012-4.txt
- 杏子: でも、お前は…
- 杏子: しのんは信じてるんだろ? 父親は潔白だって
- 杏子: みんなを守ろうとして 命を落としたんだって
- うん、でも…
- みんなが、そうじゃないって…
- ………… …………
- 杏子: …………
- 杏子: (あたしと同じ…)
- 杏子: あたしの親父は、教義にないことを説教して 信者を集めたあげく…
- 杏子: 最後は酒に溺れて一家心中した ろくでもない人間だって、世間は思ってる
- 杏子: でも…
- 杏子: (壊れちまう前の親父は…)
- 杏子: (ただ、正しいことを 言ってるだけだった)
- 杏子: みんなが…
- …え?
- 杏子: みんなが、そうじゃないって 言ったからって…
- 杏子: 家族が父親のことを 信じてやらなくて
- 杏子: 誰が信じてやるんだよ…!
- …………
- …うん そうだよね
- ママは…わたしが生まれて すぐに死んじゃったんだ
- だから、おばあちゃんと わたしだけは
- パパのこと、信じてあげなきゃ いけないよね
- …………
- 杏子: (…この歳で 母親も亡くしてるのか)
- 杏子: (“家族”だなんて言って)
- 杏子: (余計なことを 思い出させちまったな…)
- 杏子: ………… …人の噂なんて勝手なもんさ
- 杏子: 確かな証拠なんて 何もないんだろ?
- うん…
- ここで何があったのかも よくわかってないって…
- 杏子: (だろうな…)
- 杏子: (調べれば調べるほど わけがわからなくなってくる)
- 杏子: (魔女が原因の事件なんて そんなもんだ)
- 杏子: ………… …………
- 杏子: …なあ、しのん
- なぁに?
- 杏子: たとえば、こんな風に 考えてみたらどうだ?
- …?
- 杏子: この世の中には悪い魔女がいる
- 杏子: 人の眼には見えない 魔女がうじゃうじゃいて
- 杏子: 誰彼かまわず不幸にして
- 杏子: みんなが苦しむ様子を見て 陰であざ笑ってるんだ
- 悪い…魔女?
- 杏子: ああ
- 杏子: でも、そいつらが見えるのは ほんの一部の人間だけだ
- 杏子: お前の親父も 見えない魔女の仕組んだ悪さから
- 杏子: 町の連中を守ろうとして 死んじまったんだよ
- そうなの…かな…
- 杏子: でも、魔女が見えないやつらに こんな話をしても誰も信じない
- 杏子: 魔女が見える人間は 誰にも信じてもらえないから
- 杏子: …黙ってるしかない
- 杏子: そんなカラクリのおかげで 悪い魔女の存在は
- 杏子: 決して、世の中に 知られることがない
- …………
- 杏子おねえちゃん それって、もしかして…
- 全部、本当のことだったり… する…?
- 杏子: さあ… どうかな?
- 杏子: いろいろと、秘密にしなきゃ いけないことがあるんだよ
- えっ…
- ずるーい!
- 杏子: そうだな
- 杏子: 次、会ったときもお前が 親父のことを信じていられたら
- 杏子: もうひとつ、秘密を教えてやるよ
- ほんと…!?
- わかった…
- ありがとう、杏子お姉ちゃん!
- 杏子: よし、いい子だ
- …これって?
- 杏子: 腹が減ったら食いな
- ありがとう
- 杏子: じゃあな まっすぐ帰るんだぞ
- うん
- もう少し、パパとお話してから 帰るね
- 杏子: 自分が信じたモノを 最後まで信じればいい
- FILENAME: text_326013-1.txt
- 杏子: フッ
- 杏子: これで…
- 杏子: よし、っと…!
- Perfect!
- 杏子: へへっ いい感じじゃん
- 杏子: ちょっと休憩して もう1回やるか
- 杏子: いや…腹が減ってきたな なんか買って食うか
- 杏子: ここに来る途中に よさそうな店が…
- 杏子: …!
- 杏子: またかよ 昨日と同じ方向だぞ?
- 杏子: …って、まさか
- 杏子: じゃあな まっすぐ帰るんだぞ
- うん
- もう少し、パパとお話してから 帰るね
- 杏子: (…もう、帰ってるよな?)
- 杏子: ………… …………
- 杏子: (イヤな予感がする…!)
- ダッ
- 杏子: ………… …………
- 杏子: …やっぱり しのんがいた路地裏の方だ!
- 杏子: (なんでだ? さっきは気配もなかったのに…)
- 杏子: (どこか別の場所から 流れてきやがったのか)
- 杏子: …あれは!
- 杏子: しのん! …いるのか!?
- ………… …………
- 杏子: …しのん!
- 杏子: (目の焦点が合ってない…)
- タッ
- 杏子: ダメだ! しのん…!
- 杏子: ――っ!?
- 杏子: …なんだ、ここは?
- FILENAME: text_326013-2.txt
- 杏子: …しのん!
- 杏子: どこだ、クソ! なんも見えねぇ
- 杏子: (魔女じゃない… 使い魔の結界みたいだが)
- 杏子: (こんな目くらましに…!)
- 杏子: しのん!
- 杏子: (出口も入口もわからねぇ…)
- ………… …………
- 杏子: (早いとこ、しのんを見つけて 連れ戻さねぇと…)
- 杏子: (もしも、何かあったら…)
- 杏子: (あいつをひとりにした あたしのせいだ…!)
- 杏子: どこにいるんだ、しのん!
- 杏子: まるで迷路だな… どうなってやがる
- 杏子: 結界の主も姿を見せねぇし…
- 杏子: ――っ!?
- 杏子: くっ!
- 杏子: 使い魔め、やっとお出ましか!
- 杏子: おい、待ちやがれ!
- 杏子: …ん?
- …………
- 杏子: しのん!?
- 杏子: 大丈夫か!
- ダッ
- ………… …………
- 杏子: (血が…!)
- 杏子: おい、しっかりしろ!
- …………
- 杏子: (…ダメだ)
- 杏子: (まだ、かろうじて 息があるが…)
- 杏子: (こいつは、もう…)
- …杏子…お姉ちゃん?
- 杏子: …しのん!
- FILENAME: text_326013-3.txt
- …杏子…お姉ちゃん?
- 杏子: …しのん!
- きて…くれた…の?
- 杏子: …ああ
- 杏子: ………… …………
- 杏子: さっきの約束、覚えてるか?
- ………やく…そく?
- 杏子: そうだ、お前の親父のこと… まだ信じてるか?
- …うん
- 杏子: いい子だ
- 杏子: じゃあ もうひとつ秘密を教えてやる
- 杏子: あの“たとえ話”は 全部、本当のことなんだ
- 杏子: あたしには魔女の姿が見える そして、魔女と戦う使命を持つ
- 杏子: あたしら魔女を狩る者たちは…
- 杏子: …“魔法少女”って呼ばれてる
- …!
- 杏子: お前をここへ誘い込んだ罠も お前の親父が巻き込まれた事件も
- 杏子: 目に見えない、悪い魔女たちが 仕組んだことなんだ
- …パパ…も…?
- 杏子: ああ…
- 杏子: あたしは お前の親父の最期を見たんだ
- 「みなさん、危険です!」
- 杏子お姉ちゃんが… パパ…を…?
- 杏子: ああ
- 杏子: 誰がなんと言おうと お前の親父は立派な警官だった
- 杏子: あたしは知ってる
- そう…だったんだ…
- よかっ…た…
- 杏子: だから…
- 杏子: 父親のことを信じて 誇りに思ってくれ
- …………
- …うん!
- 杏子… …お姉ちゃん
- 杏子: なんだ?
- …あ… コホッ…
- 杏子: ――っ!?
- 杏子: …おいっ…!
- あ…りがと…
- 杏子: …しのん…っ!
- ………ね…
- カクッ
- ………… …………
- 杏子: 『…しのんっ!!』
- 杏子: ………… …………
- 杏子: …見つけたぞ
- 杏子: こそこそ逃げまわりやがって
- 杏子: (コイツのせいで しのんは…!)
- 杏子: …………
- 杏子: …だからあたしは、他人のために 魔法を使ったりしない
- 杏子: コイツをブチのめすのは…
- 杏子: “他人のため”に入らねえよな!
- FILENAME: text_326013-4.txt
- 杏子: ハァッ!
- 杏子: ………… …………
- 杏子: しのん…
- 杏子: あの子は行っちまった
- 杏子: 両親が待ってる、あの場所へ…
- 杏子: これからは、親子3人で
- 杏子: ずっと仲良く暮らすんだぞ
- 杏子: (遺体は結界ごと消えちまって どこにも残ってない)
- 杏子: (しのんが帰ってこないって 騒ぎになるのは)
- 杏子: (もう少しあとだ…)
- 杏子: (あの子が ひっそりと旅立ったことを)
- 杏子: (まだ、誰も知らない…)
- 杏子: (息子と…孫まで喪って… 可哀想にな)
- 杏子: ………… …………
- さやかの声: う~ん、おかしいなあ
- 杏子: ん…?
- さやか: 魔力反応…確かにあったのに 見失っちゃった…
- 杏子: ここにいた使い魔なら あたしが片づけたよ
- さやか: あ… あんた、昨日の…!
- さやか: ありがと!
- さやか: 人助けなんてくだらないとか
- さやか: 見返りのない狩りは したくないとか言ってたのに…
- さやか: きっちり使い魔も 退治してくれてるんじゃない
- さやか: あたしが不慣れなせいで 手間かけさせちゃったけど…
- さやか: あんた、いいヤツみたいだね!
- 杏子: …んなんじゃ…
- さやか: へっ?
- 杏子: …そんなんじゃねぇよ…
- 杏子: 人助けとか、誰かのためとか そんな理由じゃない
- 杏子: あたしが戦うのは…
- 杏子: あたし自身のためだ
- ザッ…
- さやか: …えっ、ちょっと!
- さやか: (…行っちゃった)
- さやか: …………
- さやか: …よくわかんないヤツ
- まばゆ: …………
- まばゆ: こんな結末、あんまりですよね…
- まばゆ: 悲しい物語が ひっそりと終わりを告げ
- まばゆ: 結末を見届けたのは 佐倉さんだけでした…
- まばゆ: あの子が最期の瞬間に 真実を知ることができたのが
- まばゆ: ただひとつの 救いかもしれません…
- まばゆ: ………… …………
- まばゆ: ところで、私と暁美さんの出演 マジで一瞬でしたね
- まばゆ: scene0本編や サイドストーリーの情報を
- まばゆ: 合わせて考えると
- まばゆ: だいたい、どのあたりのループか 見当がつく仕組みでしょうか…?
- まばゆ: …それともうひとつ、この おまけコーナー的に気になるのが
- まばゆ: 早乙女先生の動きです ほら、あのCDのこととか…
- まばゆ: 何か起きてますよね、あの日? …なんか、いろんなループで!
- まばゆ: つながりそうでつながらない… いや、つながってる気もします
- まばゆ: この件については そのうち誰かが真相を究明して
- まばゆ: 解決編みたいなお話に まとめてくれるんじゃないかと…
- まばゆ: それまで、いろいろと妄想しつつ ゆるりと待つことにしましょう
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