Vi_Vi

Kyoko (scene0 ver.) MSS JP Text

Nov 15th, 2023
139
0
Never
Not a member of Pastebin yet? Sign Up, it unlocks many cool features!
text 28.63 KB | None | 0 0
  1. FILENAME: text_326011-1.txt
  2. まばゆ: ようこそ舞台裏へ
  3. まばゆ: scene0魔法少女ストーリー 佐倉杏子さん編が
  4. まばゆ: まもなく始まります
  5. まばゆ: あ、ちなみに この舞台裏コーナーなんですが
  6. まばゆ: 映画のディスクについてくる オーディオコメンタリーとかと
  7. まばゆ: 似たような位置づけのやつです
  8. まばゆ: なので、この舞台裏というか 楽屋みたいな場所の設定とかは
  9. まばゆ: 考えても意味がないそうです…
  10. まばゆ: そうそう、それから このストーリーですけど
  11. まばゆ: scene0本編の 進行具合によっては
  12. まばゆ: ちょこっと先の話が 混じってくるって聞いてます
  13. まばゆ: まあ、クリティカルなネタバレは ないって話ですけど…
  14. まばゆ: あと今回はカメオ?…キャメオ? いわゆるチョイ役ってやつで
  15. まばゆ: なんか私も出てるみたいです
  16. まばゆ: 楽しみですね、私出演! …というか
  17. まばゆ: いったい いつ撮られてたんでしょう…?
  18. <見滝原市>
  19. 杏子: ………… …………
  20. 杏子: …ここも めぼしい反応はナシ
  21. 杏子: 今日は不発だな
  22. 杏子: 店にでも寄って帰るか
  23. CD3枚のお買い上げですね ありがとうございます
  24. あ…このCD、今は廃盤で 結構レアなんですよ
  25. 早乙女先生: そうなんですか?
  26. はい、これが最後の1枚です
  27. 早乙女先生: 全然詳しくなくて… たまたま手に取ったんですけどね
  28. 全盛期の演奏で、ヴァイオリンの 録音もすごくよくて
  29. 特に最後の、グノーの 「アヴェ・マリア」は
  30. 心に沁みる名演ですよ
  31. 杏子: …………
  32. ???の声: あら、詢子?
  33. ???の声: …ええ、そう いまCDを買ったところ
  34. 杏子: …ん?
  35. 早乙女先生: …詢子の言う通りね
  36. 早乙女先生: 傷ついたあの子の心に 向き合うには
  37. 早乙女先生: あの子がどんな曲を聴いて どんな曲を演奏してきたのか
  38. 早乙女先生: 知ろうとすることも必要よね
  39. 早乙女先生: …ええ、そう 教育者として
  40. 杏子: (学校の教師か? 誰かと電話してるみたいだな)
  41. 早乙女先生: やっぱり、持つべきものは親友ね 昨日は会えてよかったわ
  42. ピッ
  43. 杏子: ………… …………
  44. 杏子: はっ
  45. 杏子: …っと!
  46. Perfect!
  47. 杏子: フン
  48. 杏子: なんだい? 用があるなら出てきなよ
  49. トン…
  50. キュゥべえ: 今日は見滝原市の偵察かい?
  51. 杏子: そんなとこだね 収穫はなかったけど
  52. 杏子: 使い魔の気配もありゃしない マミのやつがはりきってんのかね
  53. キュゥべえ: いや、マミは今日 見滝原の市外に遠征しているよ
  54. 杏子: …は?
  55. 杏子: どういうことだ?
  56. 杏子: ふぅん…
  57. 杏子: 『いま見滝原では、ふたりの イレギュラーが暗躍していて…』
  58. 杏子: 『魔法少女の素質があるやつが 他に少なくともふたりいる、と』
  59. キュゥべえ: うん
  60. キュゥべえ: 「特に、そのうちのひとりは とてつもない素質を持っているよ」
  61. 杏子: へえ ライバル登場ってわけ?
  62. キュゥべえ: 気になるのかい?
  63. 杏子: 別に
  64. 杏子: ま、話は覚えとくよ
  65.  
  66. FILENAME: text_326011-2.txt
  67. まどか: あれっ…?
  68. キュゥべえ: まどか、どうしたんだい?
  69. まどか: …なんだろ、あれ
  70. まどか: ちょっと見てくる
  71. まどか: えっ…これって!
  72. キュゥべえ: 使い魔の結界のようだね
  73. まどか: ど、どうしよう…?
  74. まどか: そうだ、さやかちゃんに 連絡して…
  75. ~~♪~~♪
  76. さやか: わかった、今からそっちへ行く!
  77. さやか: まどかはそこを離れて! 結界の側は危ないから
  78. まどか: う、うん… わかった
  79. さやか: 大丈夫、あとは正義の魔法少女 さやかちゃんにおまかせ!
  80. まどか: さやかちゃんが 来てくれるみたい!
  81. まどか: あ…あと、結界から 離れた方がいいって…
  82. キュゥべえ: だったら、表通りで さやかを待つことにしよう
  83. まどか: うん…!
  84. キュゥべえ: 使い魔が相手なら
  85. キュゥべえ: まだ魔法少女になったばかりの さやかでも
  86. キュゥべえ: 充分に対処できるはずだよ
  87. 杏子: ほっ
  88. 杏子: これで、終わ…
  89. 杏子: …!
  90. Game Over
  91. 杏子: なんだよ… せっかくいい調子だったのに
  92. 杏子: …………
  93. 杏子: (さっき感じた気配… 魔力だったよな?)
  94. 杏子: (…探ってみるか)
  95. 杏子: ………… …………
  96. 杏子: (魔女か使い魔… かなり近くにいるな)
  97. 杏子: …あった さっきの気配はこれだな
  98. 杏子: …………
  99. 杏子: …たいした魔力じゃない 使い魔の結界か
  100. 杏子: なら、用はないね
  101. 杏子: なっ…?
  102. 杏子: ――っ!?
  103. 杏子: くっ…!
  104. 杏子: 何だコイツ? ずいぶんと好戦的じゃないの
  105. 杏子: せっかく見逃してやろうと 思ってたのに
  106. 杏子: しつこく 絡んでくるんじゃねーっての!
  107.  
  108. FILENAME: text_326011-3.txt
  109. 杏子: 次で…最後だ!
  110. 杏子: …ん?
  111. ………… …………
  112. 杏子: (あれは…)
  113. 杏子: (迷い込んじまったのか?)
  114. 杏子: チッ…こいつ!
  115. 杏子: ハアァッ!
  116. 杏子: …ふぅ
  117. 杏子: 使い魔を倒しちまうなんて…
  118. ………… …………
  119. 杏子: (結界にいた子か…)
  120. 杏子: (あたしが助けたみたいに なっちまった)
  121. 杏子: …………
  122. …ん…
  123. あれっ? ここって…
  124. 杏子: …気がついたか
  125. …えっと わたし、倒れてたの?
  126. 杏子: ああ…まぁな
  127. じゃあ、お姉ちゃんが 助けてくれたんだね
  128. 杏子: …………
  129. 杏子: (お姉ちゃん…か)
  130. 杏子: ………… …………
  131. 杏子: …いや、別に 助けたっていうか…
  132. ふふっ、ありがとう!
  133. 杏子: …………
  134. 杏子: 誰かと一緒だったのか?
  135. うん…その… おばあちゃんといたんだけど…
  136. 杏子: 迷子になっちまったのか
  137. あ、うん… どうしよう…
  138. 杏子: …………
  139. 杏子: 食うかい?
  140. あっ… 可愛いチョコレート!
  141. ありがと!
  142. お礼に、お姉ちゃんに これあげる
  143. 杏子: キャンディ…? いや、あたしは別に…
  144. りんご味といちご味 どっちがいい?
  145. 杏子: …………
  146. 杏子: …じゃ、林檎をもらうよ
  147. ???の声: しのんちゃん! しのんちゃ~ん!
  148. あ…おばあちゃんの声!
  149. 杏子: 表通りの方だな 連れてってやるよ
  150. …この子を見つけてくれて 本当にありがとうございました
  151. ほら、しのんもお礼を言って
  152. うんっ
  153. 杏子お姉ちゃん ありがとう!
  154. また会えるといいね!
  155. 杏子: ああ、そうだな
  156. 杏子: …………
  157. 杏子: (…この場所、前にも 来たことがある)
  158. 「――――!」
  159. 杏子: (そうか、あのときの…)
  160. 杏子: ………… …………
  161. キュゥべえの声: 「さやか、こっちだ!」
  162. さやかの声: 「遅くなってごめん! 使い魔はどこ!?」
  163. まどかの声: 「えっと、この建物の裏の方…」
  164. 杏子: …ん?
  165. 杏子: (キュゥべえと 話をしてるってことは…)
  166. 杏子: (こいつらも魔法少女か?)
  167. 杏子: 使い魔ならもう 退治しちまったよ
  168. さやか: えっ…? あんた誰?
  169. キュゥべえ: キミも来ていたのか 佐倉杏子
  170. さやか: 知ってるの、キュゥべえ?
  171. まどか: …もしかして あの子も魔法少女…?
  172. さやか: むっ…?
  173.  
  174. FILENAME: text_326011-4.txt
  175. まどか: …もしかして あの子も魔法少女…?
  176. さやか: むっ…?
  177. 杏子: なるほどね
  178. 杏子: あんたらが キュゥべえの言ってた…
  179. 杏子: 『魔法少女の素質があるやつが 他に少なくともふたりいる、と』
  180. キュゥべえ: 「うん」
  181. キュゥべえ: 「特に、そのうちのひとりは とてつもない素質を持っているよ」
  182. 杏子: (魔法少女は右のやつだけだな なりたてのヒヨッコってとこか)
  183. 杏子: (たいして強くもなさそうだ …ってことは)
  184. 杏子: (『とてつもない素質の持ち主』 ってのは、こいつか)
  185. 杏子: …ったく、あんたらが モタモタしてるから
  186. 杏子: 見返りもねー使い魔を 狩る羽目になっちまった
  187. 杏子: あんた、ルーキーだろ?
  188. 杏子: こんなやつが守ってるようじゃ この町も終わりだね
  189. さやか: …言ってくれるじゃない
  190. 杏子: あ~あ、本当はあと何人か喰って グリーフシードを孕んだあとで
  191. 杏子: 狩りにきたかったんだけどな
  192. さやか: ハァ!?
  193. さやか: ちょっとあんた なんてこと言うのよ!
  194. まどか: さ、さやかちゃん…!
  195. 杏子: …………
  196. さやか: だってこいつ! グリーフシードを狩るために
  197. さやか: 誰か犠牲になればいいって… そう言ってんのよ!?
  198. まどか: で、でも…! 佐倉さんって
  199. まどか: さっき、あそこで おばあさんとお話してたよね
  200. 杏子: なんだ、見てたのか
  201. まどか: …うん…
  202. まどか: それで、迷子の女の子を 連れてきて…
  203. まどか: …ありがとう、って
  204. まどか: お礼を言われてた…よね…?
  205. さやか: へっ、そうなの?
  206. まどか: うん…違う、かな…?
  207. 杏子: チッ…
  208. 杏子: (聞かれてたのか…)
  209. キュゥべえ: もしかするとその子は
  210. キュゥべえ: 結界に迷い込んでいたんじゃ ないのかい?
  211. まどか: あっ、それって… 佐倉さんが助けたってこと?
  212. 杏子: ………… …まあ、偶然な
  213. さやか: なんだ…
  214. さやか: 口は悪いけど ちゃんと人助けしてるんじゃない
  215. 杏子: …………
  216. まどか: ねえ、でもそれって…
  217. まどか: 佐倉さんが 助けてくれなかったら
  218. まどか: その子は犠牲になってたかも しれないってこと?
  219. まどか: わたし、気づかなかった…
  220. さやか: まどかのせいじゃないよ
  221. さやか: あたしが駆けつけるのが 遅かったから…
  222. キュゥべえ: 確かに、結界の中に人がいると 知っていれば
  223. キュゥべえ: もっと違った対応を取ることは できただろうね
  224. まどか: うん…わたしが キュゥべえにお願いして
  225. まどか: 魔法少女になってたら その子も危ない目に遭わずに…
  226. 杏子: …おい 舐めてんじゃねぇぞ
  227. まどか: えっ…
  228. 杏子: 魔法少女になるってのは そんな生やさしいもんじゃない
  229. 杏子: 人助けなんて くだらねーお題目のために
  230. 杏子: 命を危険に晒すのは
  231. 杏子: どうしようもない バカのやることだよ
  232. さやか: えっ… それって矛盾してない?
  233. さやか: だってあんた 子どもを助けてくれたんでしょ?
  234. 杏子: だからそれは、偶然だって…
  235. さやか: 家族のいるところまで 送り届けてあげたみたいだし
  236. さやか: もしかして、照れ隠し?
  237. 杏子: …………
  238. 杏子: …チッ
  239. まどか: あっ…
  240. さやか: …変なヤツ
  241. キュゥべえ: ………… …………
  242. まばゆ: ヒヤヒヤしましたが… 何事もなく済みましたね
  243. ほむら: …そうね
  244. まばゆ: 佐倉さんがまた見滝原に来たら どうします?
  245. ほむら: そのまま泳がせておくだけよ
  246. まばゆ: …大丈夫です?
  247. ほむら: ええ、彼女も線引きは わきまえているはず
  248. ほむら: 手出しが必要な事態には ならないと思うわ
  249. 杏子: …ったく、助けるつもりなんて なかったのにな
  250.  
  251. FILENAME: text_326012-1.txt
  252. <風見野市>
  253. 杏子: ………… …………
  254. 杏子: 人助けなんて くだらねーお題目のために
  255. 杏子: 命を危険に晒すのは
  256. 杏子: どうしようもない バカのやることだよ
  257. さやか: えっ… それって矛盾してない?
  258. さやか: だってあんた 子どもを助けてくれたんでしょ?
  259. 杏子: (…結果的にそうなっただけだ)
  260. 杏子: (誓いを破ったわけじゃない)
  261. さやか: もしかして、照れ隠し?
  262. 杏子: あー! 面白くねえ
  263. ザッ…
  264. マミの声: 何かあったのかしら?
  265. 杏子: …マミ?
  266. 杏子: あんたには関係ないよ
  267. マミ: 少しくらい話を聞かせてくれても いいんじゃないかしら?
  268. 杏子: …………
  269. マミ: …そう
  270. マミ: 使い魔から 女の子を守ってくれたのね
  271. 杏子: …だから、偶然だって!
  272. 杏子: だいたい あんたがちゃんとしてりゃ
  273. 杏子: あんなヒヨッコどもに 見滝原を任せて
  274. 杏子: 使い魔がのさばることも なかったはずだろ?
  275. マミ: …それって、今も
  276. マミ: 町のことを心配する気持ちが あるってことかしら?
  277. 杏子: 違うっての…
  278. 杏子: あたしはもう、人助けなんて くだらないことはやめたんだ
  279. 杏子: それがどんなに虚しくて 報われないことか
  280. 杏子: あんたも知ってるだろ?
  281. マミ: でも…
  282. 杏子: …………
  283. 杏子: 昔…あたしがあんたとのコンビを 解消した直後
  284. 杏子: 見滝原で、集団自殺騒ぎがあった
  285. 杏子: ちょうど今日、使い魔が出たのと 同じ場所でさ
  286. 杏子: あんたと組むのをやめたあたしは その日、ひとりで見滝原に行った
  287. 杏子: …そこであたしは見たんだ
  288. 杏子: 魔女の口づけを受けた連中が 集団自殺をしようとして
  289. 杏子: ひとりの警官が そいつらを止めようとしてた
  290. 「みなさん、危険です!」
  291. 杏子: 『でも逆に…』
  292. 杏子: 『警官は銃を奪われて死んだ』
  293. マミ: …………
  294. 杏子: …あたしが駆けつけたときには 一歩遅かったよ
  295. 杏子: 魔女はどうにか倒したけど あたりは死体の山だ
  296. 杏子: 事件のあと、町では…
  297. 杏子: 警官が市民を殺したっていう 噂が立っていた
  298. マミ: そんな…
  299.  
  300. FILENAME: text_326012-2.txt
  301. 杏子: 本当は魔女の仕業だなんて 言ったところで
  302. 杏子: 誰も信じちゃくれないし
  303. 杏子: 真相を知ってるのは あたしだけだ
  304. マミ: …………
  305. 杏子: 誰かを助けようとして 文字通り命を懸けたのに
  306. 杏子: 誰ひとり救えなかったあげく 罪までおっ被せられて無駄死にだ
  307. 杏子: あの警官だって
  308. 杏子: 市民を助けようだなんて 余計な正義感に駆られなければ
  309. 杏子: 残された家族も 苦しまずに済んだろうにさ
  310. マミ: そんなことが…
  311. 杏子: 別に驚くようなことじゃない
  312. 杏子: 世の中は 理不尽なことであふれてる
  313. 杏子: あんたも知ってるだろ? この教会がどういう場所か
  314. マミ: 佐倉さん…
  315. 杏子: …ここは親父の教会だった
  316. 杏子: あたしが家族を 壊しちまうまではな
  317. 杏子: ………… …………
  318. 杏子: (モモ…)
  319. 杏子: 何が正義だ 何が人助けだよ
  320. 杏子: …親父は何も 間違っちゃいなかった
  321. 杏子: ただ、当たり前のことを
  322. 杏子: 正しいことを 話そうとしてただけだ
  323. 杏子: そんな父親のために お節介な願い事をして
  324. 杏子: 一緒にこの世界を 救うんだって意気込んでた
  325. 杏子: 娘とその家族はどうなった?
  326. マミ: …………
  327. 杏子: …だからあたしは、他人のために 魔法を使ったりしない
  328. 杏子: 決めたんだ
  329. 杏子: これからも 実入りのない人助けなんかに
  330. 杏子: 首を突っ込むつもりはないよ
  331. 杏子: じゃあね
  332. マミ: ―マミ― ………… …………
  333. マミ: ―マミ― あの、佐倉さん…
  334. マミ: ―マミ― 私じゃ、力になれないかもしれないけれど…
  335. 杏子: ―杏子― なら、放っておいてくんない?
  336. 杏子: ―杏子― …話は終わりだよ
  337.  
  338. FILENAME: text_326012-3.txt
  339. <見滝原市>
  340. 杏子: あたしはもう、人助けなんて くだらないことはやめたんだ
  341. 杏子: それがどんなに虚しくて 報われないことか
  342. 杏子: あんたも知ってるだろ?
  343. 杏子: ………… …………
  344. ???の声: 杏子お姉ちゃん?
  345. 杏子: …ん?
  346. 杏子: しのん…
  347. 今日もここに来たの?
  348. 杏子: あ、あぁ…
  349. 杏子: (…あたしは)
  350. 杏子: (なんでまた ここに来ちまったんだ?)
  351. 杏子: あんたの方こそ どうしてここにいる?
  352. 杏子: まさか、また迷子に…
  353. 迷子じゃないよ
  354. …ごめんね 昨日は嘘をついたの
  355. ここへは、自分で来たんだ
  356. 杏子: …こんな路地裏へ何しに?
  357. へこんじゃったときは パパと会いにここへ来るの
  358. …パパは、ここで死んだの
  359. 杏子: …!
  360. 昨日ね、おばあちゃんと 表通りを歩いてたら
  361. パパの悪口が聞こえたの
  362. ここが、あの事件があった 場所だよって
  363. あれは集団自殺じゃない… 警察官が犯人だよって
  364. 杏子: …………
  365. 「みなさん、危険です!」
  366. 杏子: (この子は… あの警官の娘か!)
  367. うん…その… おばあちゃんといたんだけど…
  368. 杏子: 迷子になっちまったのか
  369. あ、うん… どうしよう…
  370. 杏子: はぐれて 迷子になったんじゃなくて
  371. 杏子: つらくなって 逃げ出したんだな?
  372. うん…
  373. 杏子: でも、お前は…
  374. 杏子: しのんは信じてるんだろ? 父親は潔白だって
  375. 杏子: みんなを守ろうとして 命を落としたんだって
  376. うん、でも…
  377. みんなが、そうじゃないって…
  378. ………… …………
  379.  
  380. FILENAME: text_326012-4.txt
  381. 杏子: でも、お前は…
  382. 杏子: しのんは信じてるんだろ? 父親は潔白だって
  383. 杏子: みんなを守ろうとして 命を落としたんだって
  384. うん、でも…
  385. みんなが、そうじゃないって…
  386. ………… …………
  387. 杏子: …………
  388. 杏子: (あたしと同じ…)
  389. 杏子: あたしの親父は、教義にないことを説教して 信者を集めたあげく…
  390. 杏子: 最後は酒に溺れて一家心中した ろくでもない人間だって、世間は思ってる
  391. 杏子: でも…
  392. 杏子: (壊れちまう前の親父は…)
  393. 杏子: (ただ、正しいことを 言ってるだけだった)
  394. 杏子: みんなが…
  395. …え?
  396. 杏子: みんなが、そうじゃないって 言ったからって…
  397. 杏子: 家族が父親のことを 信じてやらなくて
  398. 杏子: 誰が信じてやるんだよ…!
  399. …………
  400. …うん そうだよね
  401. ママは…わたしが生まれて すぐに死んじゃったんだ
  402. だから、おばあちゃんと わたしだけは
  403. パパのこと、信じてあげなきゃ いけないよね
  404. …………
  405. 杏子: (…この歳で 母親も亡くしてるのか)
  406. 杏子: (“家族”だなんて言って)
  407. 杏子: (余計なことを 思い出させちまったな…)
  408. 杏子: ………… …人の噂なんて勝手なもんさ
  409. 杏子: 確かな証拠なんて 何もないんだろ?
  410. うん…
  411. ここで何があったのかも よくわかってないって…
  412. 杏子: (だろうな…)
  413. 杏子: (調べれば調べるほど わけがわからなくなってくる)
  414. 杏子: (魔女が原因の事件なんて そんなもんだ)
  415. 杏子: ………… …………
  416. 杏子: …なあ、しのん
  417. なぁに?
  418. 杏子: たとえば、こんな風に 考えてみたらどうだ?
  419. …?
  420. 杏子: この世の中には悪い魔女がいる
  421. 杏子: 人の眼には見えない 魔女がうじゃうじゃいて
  422. 杏子: 誰彼かまわず不幸にして
  423. 杏子: みんなが苦しむ様子を見て 陰であざ笑ってるんだ
  424. 悪い…魔女?
  425. 杏子: ああ
  426. 杏子: でも、そいつらが見えるのは ほんの一部の人間だけだ
  427. 杏子: お前の親父も 見えない魔女の仕組んだ悪さから
  428. 杏子: 町の連中を守ろうとして 死んじまったんだよ
  429. そうなの…かな…
  430. 杏子: でも、魔女が見えないやつらに こんな話をしても誰も信じない
  431. 杏子: 魔女が見える人間は 誰にも信じてもらえないから
  432. 杏子: …黙ってるしかない
  433. 杏子: そんなカラクリのおかげで 悪い魔女の存在は
  434. 杏子: 決して、世の中に 知られることがない
  435. …………
  436. 杏子おねえちゃん それって、もしかして…
  437. 全部、本当のことだったり… する…?
  438. 杏子: さあ… どうかな?
  439. 杏子: いろいろと、秘密にしなきゃ いけないことがあるんだよ
  440. えっ…
  441. ずるーい!
  442. 杏子: そうだな
  443. 杏子: 次、会ったときもお前が 親父のことを信じていられたら
  444. 杏子: もうひとつ、秘密を教えてやるよ
  445. ほんと…!?
  446. わかった…
  447. ありがとう、杏子お姉ちゃん!
  448. 杏子: よし、いい子だ
  449. …これって?
  450. 杏子: 腹が減ったら食いな
  451. ありがとう
  452. 杏子: じゃあな まっすぐ帰るんだぞ
  453. うん
  454. もう少し、パパとお話してから 帰るね
  455. 杏子: 自分が信じたモノを 最後まで信じればいい
  456.  
  457. FILENAME: text_326013-1.txt
  458. 杏子: フッ
  459. 杏子: これで…
  460. 杏子: よし、っと…!
  461. Perfect!
  462. 杏子: へへっ いい感じじゃん
  463. 杏子: ちょっと休憩して もう1回やるか
  464. 杏子: いや…腹が減ってきたな なんか買って食うか
  465. 杏子: ここに来る途中に よさそうな店が…
  466. 杏子: …!
  467. 杏子: またかよ 昨日と同じ方向だぞ?
  468. 杏子: …って、まさか
  469. 杏子: じゃあな まっすぐ帰るんだぞ
  470. うん
  471. もう少し、パパとお話してから 帰るね
  472. 杏子: (…もう、帰ってるよな?)
  473. 杏子: ………… …………
  474. 杏子: (イヤな予感がする…!)
  475. ダッ
  476. 杏子: ………… …………
  477. 杏子: …やっぱり しのんがいた路地裏の方だ!
  478. 杏子: (なんでだ? さっきは気配もなかったのに…)
  479. 杏子: (どこか別の場所から 流れてきやがったのか)
  480. 杏子: …あれは!
  481. 杏子: しのん! …いるのか!?
  482. ………… …………
  483. 杏子: …しのん!
  484. 杏子: (目の焦点が合ってない…)
  485. タッ
  486. 杏子: ダメだ! しのん…!
  487. 杏子: ――っ!?
  488. 杏子: …なんだ、ここは?
  489.  
  490. FILENAME: text_326013-2.txt
  491. 杏子: …しのん!
  492. 杏子: どこだ、クソ! なんも見えねぇ
  493. 杏子: (魔女じゃない… 使い魔の結界みたいだが)
  494. 杏子: (こんな目くらましに…!)
  495. 杏子: しのん!
  496. 杏子: (出口も入口もわからねぇ…)
  497. ………… …………
  498. 杏子: (早いとこ、しのんを見つけて 連れ戻さねぇと…)
  499. 杏子: (もしも、何かあったら…)
  500. 杏子: (あいつをひとりにした あたしのせいだ…!)
  501. 杏子: どこにいるんだ、しのん!
  502. 杏子: まるで迷路だな… どうなってやがる
  503. 杏子: 結界の主も姿を見せねぇし…
  504. 杏子: ――っ!?
  505. 杏子: くっ!
  506. 杏子: 使い魔め、やっとお出ましか!
  507. 杏子: おい、待ちやがれ!
  508. 杏子: …ん?
  509. …………
  510. 杏子: しのん!?
  511. 杏子: 大丈夫か!
  512. ダッ
  513. ………… …………
  514. 杏子: (血が…!)
  515. 杏子: おい、しっかりしろ!
  516. …………
  517. 杏子: (…ダメだ)
  518. 杏子: (まだ、かろうじて 息があるが…)
  519. 杏子: (こいつは、もう…)
  520. …杏子…お姉ちゃん?
  521. 杏子: …しのん!
  522.  
  523. FILENAME: text_326013-3.txt
  524. …杏子…お姉ちゃん?
  525. 杏子: …しのん!
  526. きて…くれた…の?
  527. 杏子: …ああ
  528. 杏子: ………… …………
  529. 杏子: さっきの約束、覚えてるか?
  530. ………やく…そく?
  531. 杏子: そうだ、お前の親父のこと… まだ信じてるか?
  532. …うん
  533. 杏子: いい子だ
  534. 杏子: じゃあ もうひとつ秘密を教えてやる
  535. 杏子: あの“たとえ話”は 全部、本当のことなんだ
  536. 杏子: あたしには魔女の姿が見える そして、魔女と戦う使命を持つ
  537. 杏子: あたしら魔女を狩る者たちは…
  538. 杏子: …“魔法少女”って呼ばれてる
  539. …!
  540. 杏子: お前をここへ誘い込んだ罠も お前の親父が巻き込まれた事件も
  541. 杏子: 目に見えない、悪い魔女たちが 仕組んだことなんだ
  542. …パパ…も…?
  543. 杏子: ああ…
  544. 杏子: あたしは お前の親父の最期を見たんだ
  545. 「みなさん、危険です!」
  546. 杏子お姉ちゃんが… パパ…を…?
  547. 杏子: ああ
  548. 杏子: 誰がなんと言おうと お前の親父は立派な警官だった
  549. 杏子: あたしは知ってる
  550. そう…だったんだ…
  551. よかっ…た…
  552. 杏子: だから…
  553. 杏子: 父親のことを信じて 誇りに思ってくれ
  554. …………
  555. …うん!
  556. 杏子… …お姉ちゃん
  557. 杏子: なんだ?
  558. …あ… コホッ…
  559. 杏子: ――っ!?
  560. 杏子: …おいっ…!
  561. あ…りがと…
  562. 杏子: …しのん…っ!
  563. ………ね…
  564. カクッ
  565. ………… …………
  566. 杏子: 『…しのんっ!!』
  567. 杏子: ………… …………
  568. 杏子: …見つけたぞ
  569. 杏子: こそこそ逃げまわりやがって
  570. 杏子: (コイツのせいで しのんは…!)
  571. 杏子: …………
  572. 杏子: …だからあたしは、他人のために 魔法を使ったりしない
  573. 杏子: コイツをブチのめすのは…
  574. 杏子: “他人のため”に入らねえよな!
  575.  
  576. FILENAME: text_326013-4.txt
  577. 杏子: ハァッ!
  578. 杏子: ………… …………
  579. 杏子: しのん…
  580. 杏子: あの子は行っちまった
  581. 杏子: 両親が待ってる、あの場所へ…
  582. 杏子: これからは、親子3人で
  583. 杏子: ずっと仲良く暮らすんだぞ
  584. 杏子: (遺体は結界ごと消えちまって どこにも残ってない)
  585. 杏子: (しのんが帰ってこないって 騒ぎになるのは)
  586. 杏子: (もう少しあとだ…)
  587. 杏子: (あの子が ひっそりと旅立ったことを)
  588. 杏子: (まだ、誰も知らない…)
  589. 杏子: (息子と…孫まで喪って… 可哀想にな)
  590. 杏子: ………… …………
  591. さやかの声: う~ん、おかしいなあ
  592. 杏子: ん…?
  593. さやか: 魔力反応…確かにあったのに 見失っちゃった…
  594. 杏子: ここにいた使い魔なら あたしが片づけたよ
  595. さやか: あ… あんた、昨日の…!
  596. さやか: ありがと!
  597. さやか: 人助けなんてくだらないとか
  598. さやか: 見返りのない狩りは したくないとか言ってたのに…
  599. さやか: きっちり使い魔も 退治してくれてるんじゃない
  600. さやか: あたしが不慣れなせいで 手間かけさせちゃったけど…
  601. さやか: あんた、いいヤツみたいだね!
  602. 杏子: …んなんじゃ…
  603. さやか: へっ?
  604. 杏子: …そんなんじゃねぇよ…
  605. 杏子: 人助けとか、誰かのためとか そんな理由じゃない
  606. 杏子: あたしが戦うのは…
  607. 杏子: あたし自身のためだ
  608. ザッ…
  609. さやか: …えっ、ちょっと!
  610. さやか: (…行っちゃった)
  611. さやか: …………
  612. さやか: …よくわかんないヤツ
  613. まばゆ: …………
  614. まばゆ: こんな結末、あんまりですよね…
  615. まばゆ: 悲しい物語が ひっそりと終わりを告げ
  616. まばゆ: 結末を見届けたのは 佐倉さんだけでした…
  617. まばゆ: あの子が最期の瞬間に 真実を知ることができたのが
  618. まばゆ: ただひとつの 救いかもしれません…
  619. まばゆ: ………… …………
  620. まばゆ: ところで、私と暁美さんの出演 マジで一瞬でしたね
  621. まばゆ: scene0本編や サイドストーリーの情報を
  622. まばゆ: 合わせて考えると
  623. まばゆ: だいたい、どのあたりのループか 見当がつく仕組みでしょうか…?
  624. まばゆ: …それともうひとつ、この おまけコーナー的に気になるのが
  625. まばゆ: 早乙女先生の動きです ほら、あのCDのこととか…
  626. まばゆ: 何か起きてますよね、あの日? …なんか、いろんなループで!
  627. まばゆ: つながりそうでつながらない… いや、つながってる気もします
  628. まばゆ: この件については そのうち誰かが真相を究明して
  629. まばゆ: 解決編みたいなお話に まとめてくれるんじゃないかと…
  630. まばゆ: それまで、いろいろと妄想しつつ ゆるりと待つことにしましょう
Advertisement
Add Comment
Please, Sign In to add comment