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Asuka (New Year's Dragon God ver.) MSS JP Text

Jan 5th, 2024
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  1. FILENAME: text_311131-1.txt
  2. 竜城 明日香: 年末の恒例行事と言えば そう…特訓です!
  3. 竜城 明日香: ということで、これより 年末特訓を行います!
  4. みんな: 「おーっ!」
  5. 美凪 ささら: …で、始まったのはいいけど なんか、おかしくない?
  6. 阿見 莉愛: 竜城さんの様子よね いつにも増して変だわ…
  7. 木崎 衣美里: あすきゃんっていつも 斜め上だったりするけど
  8. 志伸 あきら: うん…さっきなんか
  9. 竜城 明日香: 次は腕立て伏せ20回です!
  10. 竜城 明日香: よーい、はじめ!
  11. 竜城 明日香: ふん、ふん、ふん…
  12. 美凪 ささら: ちょ、ちょっと明日香… 明日香っ!
  13. 竜城 明日香: へ?あ、はい なんでしょうか?
  14. 志伸 あきら: も、もう… 300回超えてるんだけど…
  15. 木崎 衣美里: ひぃ…あーし、これじゃあ ムキムキになっちゃうって!
  16. 竜城 明日香: え? そんな、いつの間に…?
  17. 阿見 莉愛: そのあとも…
  18. 竜城 明日香: 特訓に使う道具を 用意しますので、しばし!
  19. 阿見 莉愛: ええ、わかったわ ありがとう
  20. 竜城 明日香: 確か、こっちに…
  21. ドッターン
  22. 志伸 あきら: え、いま転んだ!? 大丈夫!?
  23. 美凪 ささら: 何もないところだったよね?
  24. 木崎 衣美里: あすきゃん無事ーっ!?
  25. 竜城 明日香: なんのこれし、きっ!?
  26. 阿見 莉愛: また転びましたわね…
  27. 志伸 あきら: なんか、あれだよね 違うタイプのボケというか
  28. 阿見 莉愛: 心配になるレベルのやつよね…
  29. 美凪 ささら: 今も、なぜか知らないけど 休憩中なのに百面相してるし
  30. 志伸 あきら: 挙動不審というか どうしちゃったんだろう…
  31. 木崎 衣美里: んー、いま昼前だし ワンチャン腹減ってんじゃね?
  32. 木崎 衣美里: 昼飯でも食べりゃ いつも通りに戻るっしょ!
  33. 美凪 ささら: だといいんだけど…
  34. 竜城 明日香: では、そろそろ昼食と いたしましょう!
  35. 竜城 明日香: 用意しますのでお待ちくださいね
  36. 木崎 衣美里: ほーい
  37. 竜城 明日香: お待たせいたしまし、た…っと
  38. ドシーン
  39. 阿見 莉愛: これは…!
  40. 志伸 あきら: こ、米俵!?
  41. 竜城 明日香: へ…あれ…
  42. 美凪 ささら: さすがに素材の味が すぎるってば!
  43. 木崎 衣美里: あはは!やべー!
  44. 美凪 ささら: 明日香、どうしちゃったの!? 今日ほんとに変だよ!
  45. 竜城 明日香: す、すみません… ご迷惑をおかけして…
  46. 志伸 あきら: それはいいけど何かあった? 心配だよ…
  47. 竜城 明日香: …実は、年明けに 親戚の集まりがあるのですが
  48. 竜城 明日香: その、以前に失敗をしていて 思い出すたび不安が…
  49. 阿見 莉愛: いったい、何が起きたのか 聞かせてもらっても?
  50. 竜城 明日香: はい…
  51.  
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  53. 竜城 明日香: それは、ひとつ前の お正月の話です…
  54. 竜城 明日香: あけましておめでとうございます 従姉妹さんは、元気ですか?
  55. 明日香の叔母: ええ、おかげさまでね ほら、あいさつできるかな?
  56. 明日香の従姉妹: こんにちは!
  57. 明日香の従姉妹の声: あーぶーぶー
  58. 竜城 明日香: その年は、まだ幼いふたりの従姉妹さんも うちへ新年のあいさつに来てくれたのですが…
  59. 明日香の母の声: 明日香ー、従姉妹ちゃんに お菓子を持ってきてくれる?
  60. 竜城 明日香: はい、ただいま!
  61. 竜城 明日香: お菓子は、これですね…
  62. 竜城 明日香: (…な、お菓子の数が… 足りない!?)
  63. 竜城 明日香: 従姉妹ふたりに対して、お菓子はひとつ… ケンカになってしまうと考えた私は 急いでお菓子を買いに走りました
  64. 竜城 明日香: はぁ…はぁ…お菓子… 買ってきました…
  65. 竜城 明日香: しかし…
  66. 明日香の母: 居ないと思ったら… 部屋に置いていなかった?
  67. 竜城 明日香: その、ひとつしかなかったので 追加で買いに…
  68. 明日香の母: ひとつでいいのよ?
  69. 明日香の母: 従姉妹ちゃん、まだお菓子が 食べられる年じゃないもの
  70. 明日香の従姉妹の声: あーぶ
  71. 竜城 明日香: はっ…私としたことが…
  72. 竜城 明日香: お菓子の数は、最初から合っていたのです 従姉妹のひとりがまだ離乳食の赤ちゃんなので お菓子はひとつだけで問題なく 赤ちゃん用は別に、用意がされていました
  73. 竜城 明日香: つまり、私は無駄足だった上に 正月から親類の前で恥をさらしてしまったのです
  74. 明日香の父: 確認をしてから動けと あれほど言っているだろうに
  75. 竜城 明日香: す、すみません…
  76. 明日香の叔母: まあまあ、赤ちゃんを 想ってのことなんだし
  77. 明日香の叔母: 明日香ちゃんが変わってなくて なんだか安心したわ
  78. ガハハ、ほんとに そそっかしいのは変わんねえな
  79. 竜城 明日香: な…な…
  80. 竜城 明日香: …このように年下の従姉妹の前で 大失態を犯したわけです
  81. 竜城 明日香: 完全に自分のそそっかしさが 引き起こした過ちですが…
  82. 竜城 明日香: くっ…思い出しただけでも恥… これは、もう自害するしか…
  83. 美凪 ささら: しないよ!
  84. 竜城 明日香: うぅ~…
  85. 竜城 明日香: こんな自分が師範ではバカにされ 果ては竜真流までもが笑われ…
  86. 竜城 明日香: 竜城家の面汚しです! やはり、自害を…!
  87. 美凪 ささら: だから!しない!
  88. 木崎 衣美里: てか、そんな気にすること?
  89. 木崎 衣美里: おっちょこちょいなのが あすきゃんのいいとこっつーかさ
  90. 志伸 あきら: あんまりフォローに なってない気がするけど…
  91. 志伸 あきら: まぁ、今回のは割とあれだよね 優しさゆえの失敗というか
  92. 木崎 衣美里: そう!それに、赤ちゃんなら もう覚えてないって!
  93. 竜城 明日香: 小さい頃の記憶というのは あとまでよく残るものです
  94. 竜城 明日香: 早めに汚名返上を するに越したことはありません
  95. 阿見 莉愛: それで、どうしようかと 気もそぞろになっていたわけね
  96. 竜城 明日香: …その通りです
  97. 竜城 明日香: 今年こそは、しっかり者の 年上として威厳を発揮したく!
  98. 木崎 衣美里: んじゃ、しっかり者になるために 特訓でもすりゃいいっつーこと?
  99. 竜城 明日香: …いえ、悩みはそれだけでなく
  100. 木崎 衣美里: ん?
  101. 竜城 明日香: 実は、お年玉をあげようかと 考えているのですが
  102. 竜城 明日香: 資金がない…という問題が
  103. 美凪 ささら: お年玉、もうあげるの?
  104. 阿見 莉愛: 家庭によるだろうけど 少々早くはないかしら?
  105. 木崎 衣美里: そそ、むしろまだ もらう側じゃね?
  106. 竜城 明日香: いえ、私も従兄弟殿のような 大人になりたいので
  107. 竜城 明日香: 高校生となった今 お年玉は絶対に必要なのです!
  108. 竜城 明日香: それに、変わった私を見せるには わかりやすいかと思い…!
  109. 志伸 あきら: 確かに、お年玉をあげるのって 大人になったって感じがあるかも
  110. 美凪 ささら: 通過儀礼…的なやつ?
  111. 竜城 明日香: ええ!
  112. 木崎 衣美里: ま、あすきゃんがそうしたいなら あーしらで手伝おっか!
  113. 木崎 衣美里: 名づけて…
  114. 木崎 衣美里: 「あすきゃんをしっかりさせよう! アンドお年玉費用も一緒に稼ぐぞ大作戦!」
  115. 阿見 莉愛: 長いわね…
  116.  
  117. FILENAME: text_311131-3.txt
  118. 美凪 ささら: それで、どうするの? 明日香の悩みは
  119. 美凪 ささら: 「年下の従姉妹にしっかりしたところを見せて 前回の汚名返上を果たし さらに、お年玉をあげることで 従兄弟さんみたいなかっこいい大人になりたい」
  120. 美凪 ささら: …ってことだけど
  121. 木崎 衣美里: んふふ~あーし、めっちゃいい話 知ってんだよね~
  122. 志伸 あきら: いい話?
  123. 木崎 衣美里: そ!あすきゃんを飴とムチで 教育してくれそうな人もね!
  124. 竜城 明日香: それはいったい…
  125. 竜城 明日香: …衣美里さんの紹介で 本日から働かせていただきます
  126. 竜城 明日香: 竜城明日香と申します 何卒よろしくお願いいたします
  127. 理子の父: ハハハ そんなにかしこまらなくても
  128. 理子の母: よろしくね、竜城さん
  129. 千秋 理子: よろしくお願いします!
  130. 竜城 明日香: それから、おふたりも
  131. 木崎 衣美里: まずね、バイトはりこっちの 千秋屋さんが募集してっから
  132. 木崎 衣美里: 多分、そこでいけると 思うんだよねー
  133. 竜城 明日香: 教育してくれそう…というのは
  134. 木崎 衣美里: しっかり者っつったら…まぁ
  135. 阿見 莉愛: そんなの私しかいなくってよ!
  136. 木崎 衣美里: あ、莉愛様は莉愛様だから 今回はちょっと違くて
  137. 阿見 莉愛: なんですって!?
  138. 木崎 衣美里: んで、あきらっちはトラブルが 寄ってくるからキビいじゃん
  139. 志伸 あきら: うん、むしろ面倒ごとが 多くなっちゃうかもだね…
  140. 木崎 衣美里: ささらんでもいいけど いつもと違う人がいいから~
  141. 美凪 ささら: うんうん
  142. 木崎 衣美里: ここは、あのふたりっしょ!
  143. 木崎 衣美里: みんなの聖母マリマリと 優等生お嬢様の紗枝ちん!
  144. 竜城 明日香: マリマリさんと 紗枝ちん…さん?
  145. 由貴 真里愛: 同世代の子を教育する経験なんて あまりないから不安だけど
  146. 由貴 真里愛: 明日香ちゃんがしっかり者に なれるよう、精一杯頑張るわ
  147. 由貴 真里愛: 今日はよろしくね
  148. 桐野 紗枝: わたしは、真里愛さんほど しっかり者じゃないけど…
  149. 桐野 紗枝: 役に立てるよう、頑張るから よろしくね、明日香ちゃん
  150. 竜城 明日香: 従兄弟殿のようなかっこいい 大人になれるよう
  151. 竜城 明日香: ご指導ご鞭撻のほど よろしくお願いいたします!
  152. 桐野 紗枝: ふふ、そんな かしこまらなくていいのに
  153. 由貴 真里愛: それより、従兄弟殿って…?
  154. 由貴 真里愛: お年玉をあげたい従姉妹ちゃん とは、違うのよね…?
  155. 竜城 明日香: はい!従兄弟殿は 尊敬する従兄弟殿です!
  156. 由貴 真里愛: う、うん…?
  157. 竜城 明日香: それでは、さっそく お仕事の内容を!
  158. 千秋 理子: はい、教えますね! まずは、ここにお弁当があって…
  159. 千秋 理子: こんな感じです! 大丈夫そうですか?
  160. 竜城 明日香: はい!とてもわかりやすい説明で 理子さん…本当に小学生ですか?
  161. 千秋 理子: えへへ、わかりやすかったなら よかったです!
  162. 理子の父: まあ、自分たちもいるから 何かわからないことがあれば…
  163. ピロンッ♪
  164. 理子の父: …ん?
  165. 理子の父: …大変だ
  166. 由貴 真里愛: どうかされたんですか?
  167. 理子の父: 今日、納品予定の食材が 道路の関係で届かないって…
  168. 理子の母: え、それって今日中に 仕込みしないといけない…?
  169. 理子の父: ああ、年始に予約されてる 大口のお客様のだ
  170. 理子の父: 今から取りに行ってくるから 悪いけど店のことは理子に…
  171. 千秋 理子: わたしも行く!
  172. 理子の父: ええ?
  173. 千秋 理子: わたしも一緒に仕込みをする 予定の食材だし…
  174. 千秋 理子: 行く!
  175. 理子の父: んー…じゃあ、紗枝ちゃん 申し訳ないけどお願いできる…?
  176. 理子の父: 店では何度も 働いてもらっているし
  177. 理子の父: 勝手もわかるだろうから 頼んじゃっても大丈夫かな?
  178. 理子の父: バイト代は奮発するから!
  179. 桐野 紗枝: あ、はい…任せてください!
  180. 理子の父: ありがとう、さっそく悪いけど あとのことはよろしく頼んだよ
  181. 理子の母: 何かあれば連絡してね すぐに対応するから
  182. 由貴 真里愛: ええ、みなさんお気をつけて…
  183. 竜城 明日香: い、行ってしまいました…
  184. 竜城 明日香: 紗枝さん、ここでよく 働いているんですか?
  185. 桐野 紗枝: …うん、社会勉強としてね 理子ちゃんとも仲がいいから
  186. 竜城 明日香: そうでしたか…にしても 少々不安です
  187. 竜城 明日香: 店主殿が いなくなってしまうとは…
  188. 桐野 紗枝: 大丈夫! わたしも真里愛さんもいるし
  189. 由貴 真里愛: ええ いっしょに頑張りましょう!
  190. 竜城 明日香: …はいっ
  191.  
  192. FILENAME: text_311131-4.txt
  193. 由貴 真里愛: じゃあ、さっそくお仕事を 始めていきましょうか!
  194. 竜城 明日香: では、私は配達に!
  195. 桐野 紗枝: ちょ、ちょっと待って? 今は配達するものないよ?
  196. 竜城 明日香: あぁ…そうでした 確認不足ですみません…
  197. 桐野 紗枝: ううん、大丈夫だよ
  198. 竜城 明日香: では、裏の掃除を…
  199. 桐野 紗枝: あ、まずは届いている物の 荷ほどきをお願いできる?
  200. 竜城 明日香: わかりました!
  201. 桐野 紗枝: (ほんとうに大丈夫なの? …彼女、心配なんだけど)
  202. 桐野 紗枝: (理子ちゃんの紹介で始めた アルバイト…)
  203. 桐野 紗枝: (今日も任せてもらえるくらい 信頼関係も築けてきたから)
  204. 桐野 紗枝: (何か粗相でもされて バイト先を失ったら困るのよ…)
  205. 桐野 紗枝: うちには、養わなきゃいけない弟や妹 騙されやすくて、すぐ借金背負う両親がいるから 私がしっかり稼がなきゃいけないし 今回の稼ぎによって、年始の弟たちに 美味しいものを食べさせられるかが懸かってる
  206. 桐野 紗枝: 竜城明日香ちゃんと言えば、水名女学園に所属し 竜真館という道場の娘でもある、本物のお嬢様 良家の娘を演じている、貧乏な私とは正反対
  207. 桐野 紗枝: 彼女と人脈を作ることはいつか成り上がるという 私の夢にもつながるはずだから 少し面倒だけど、頑張らなきゃいけない
  208. 桐野 紗枝: 彼女に恩を売り 何事もなくバイトを終えるのが 私のミッションね…
  209. 由貴 真里愛: (明日香ちゃん大丈夫かしら?)
  210. 由貴 真里愛: (少しそそっかしい…って話は 伝え聞いているけれど…)
  211. 由貴 真里愛: (なんだか、それより ひどく焦っているように見えて)
  212. 由貴 真里愛: (いろいろと、彼女が心配ね)
  213. 由貴 真里愛: (よしっ!)
  214. 由貴 真里愛: 明日香ちゃんを しっかり者にするのはもちろんだけど アルバイトも楽しかったって思えるように 頑張らなくっちゃいけないわね!
  215. 竜城 明日香: (理子さんも、真里愛さんも 紗枝さんも…)
  216. 竜城 明日香: (みなさんしっかりしていて 本当にすごいです…!)
  217. 竜城 明日香: (そんなすごい人に 教えてもらえて)
  218. 竜城 明日香: (アルバイトもできる機会が いただけたんですから…)
  219. 竜城 明日香: (ここでどれだけ成長できるかが 大事になってきますね!)
  220. 竜城 明日香: よし…! 私、頑張ります!
  221. 竜城 明日香: 私…変わってみせますから! 見ていてください!
  222.  
  223. FILENAME: text_311132-1.txt
  224. 由貴 真里愛: お客さんが来たみたいよ 明日香ちゃん
  225. 桐野 紗枝: わたしたちでフォローするから 対応してみてくれる?
  226. 竜城 明日香: は、はいっ! わかりました!
  227. 竜城 明日香: い、いらっしゃいませ!
  228. みかげ: あれ?今日はりこたん いないんだ?
  229. 竜城 明日香: はい、今は私たちで店番を
  230. みかげ: なーんだ、りこたんに 会いに来たんだけどなぁ
  231. 竜城 明日香: す、すみませんっ!
  232. みかげ: お姉さんが謝ることじゃないよ
  233. 桐野 紗枝: いらっしゃい、みかげちゃん
  234. みかげ: あ、紗枝たん今日もいたんだね お嬢様なのに金欠なの?
  235. 桐野 紗枝: ふふ、欲しいものがあるから 頑張って働いてるんだよ
  236. みかげ: ふーん、お金持ちも ザイセイナンになるんだね
  237. みかげ: じゃ、ミィはりこたんに会いに 来ただけだから、またね~
  238. みかげ: あ、良いお年を!だった!
  239. 竜城 明日香: ええ、良いお年を!
  240. 竜城 明日香: みたまさんの妹さん… しっかり者ですよね
  241. 竜城 明日香: 小学生なのに財政難なんて 難しい言葉を使ったり
  242. 竜城 明日香: やはり年上の姉妹がいると そうなるものなのでしょうか
  243. 由貴 真里愛: あれくらいの年の子は 急にませたりするから、ふふ
  244. 竜城 明日香: でも、私が小学生の頃なんて おつかいへ行けば財布を忘れ
  245. 竜城 明日香: 従兄弟殿が届けに来てくれる… なんてこともよくあったくらいで
  246. 竜城 明日香: あれ、そういえばあの頃 従兄弟殿の年齢って…
  247. 桐野 紗枝: ほら、感心してないで 手を動かそう?
  248. 竜城 明日香: ああ、すみません!
  249. 竜城 明日香: 裏でお弁当を 仕分けてきますね!
  250. 桐野 紗枝: ふぅ…
  251. 由貴 真里愛: あら、ため息なんて どうしたの、紗枝ちゃん
  252. 桐野 紗枝: あ、ごめんなさい つい…
  253. 桐野 紗枝: 明日香ちゃん、なんていうか ほんとうに大丈夫かな…って
  254. 由貴 真里愛: ふふ…確かに、言われた通り おっちょこちょいっぽいわよね
  255. 由貴 真里愛: だから、私たちでサポートしつつ 気長に見守りましょう?
  256. 桐野 紗枝: ええ、そうですね
  257. 桐野 紗枝: …あの、なんか やけに静かじゃないですか?
  258. 由貴 真里愛: そうね、彼女…裏で作業を すると言っていたけれど…
  259. 桐野 紗枝: …弟や妹が静かな時
  260. 由貴 真里愛: 学童の子たちが静かな時 それは…
  261. 真里愛&紗枝: 何かが起きているとき…!
  262. 由貴 真里愛: 大変…明日香ちゃんの身に 危険なことが…!?
  263. 竜城 明日香: あ、あの…
  264. 由貴 真里愛: ああ、良かった 無事だったみたいね
  265. 桐野 紗枝: …どうかしたの?
  266. 竜城 明日香: 申し訳ありません… やってしまいました…
  267. 由貴 真里愛: …何をかしら?
  268. 竜城 明日香: お弁当の上に紙が置いてあり
  269. 由貴 真里愛: ああ、どれが誰の注文かって 内容のふせんよね?
  270. 竜城 明日香: …あの、それが… 散らかっているように見えて…
  271. 桐野 紗枝: まさか…
  272. 竜城 明日香: 片づけてしまい…その…
  273. 竜城 明日香: ゴミ箱に入れる直前で… 名前が書いてあるのに気づき…
  274. 竜城 明日香: もっ、申し訳ございませんッ!
  275. 真里愛&紗枝: …………
  276.  
  277. FILENAME: text_311132-2.txt
  278. 竜城 明日香: もっ、申し訳ございませんッ!
  279. 真里愛&紗枝: …………
  280. 竜城 明日香: ここは、責任を取って…
  281. 由貴 真里愛: 大丈夫よ、理子ちゃんのご両親に 連絡をして確認すれば…
  282. 桐野 紗枝: いえ、それには及びません
  283. 桐野 紗枝: (これならリカバリーできる… ミスの事実は極力残したくない)
  284. 桐野 紗枝: 裏に、注文を受けたときの用紙が あるはずだから探してきます!
  285. 由貴 真里愛: 私も手伝うわ
  286. 竜城 明日香: あ、あの…私は…
  287. 桐野 紗枝: もし、予約のお客さんが来たら 時間稼ぎをお願い!
  288. 竜城 明日香: わ、わかりました…!
  289. 竜城 明日香: (私のせいで、おふたりに ご迷惑を…)
  290. 竜城 明日香: (ここは与えられた使命だけでも 果たし、汚名返上しなければ!)
  291. 月咲: こんにちは~
  292. 竜城 明日香: (さっそくお客様が 来てしまいました…!)
  293. 月咲: 今日は、年末大詰めの仕事だから 美味しいお弁当を…って
  294. 月咲: あれ、理子ちゃんじゃなくて 今日は、あなたなんだ?
  295. 竜城 明日香: (この方は、月夜先輩の 双子の妹さん…!)
  296. 月咲: ここでアルバイトしてるの? 水名の子でもバイトとかすんだね
  297. 竜城 明日香: (時間稼ぎをするには… そ、そうです!)
  298. 竜城 明日香: 月夜先輩! いらっしゃいませ!
  299. 月咲: え、ウチは月夜ちゃんじゃなくて 妹の月咲で…
  300. 月咲: …ていうか、神浜市の魔法少女で 今さらそこ間違える!?
  301. 月咲: ユニオンで散々 顔は合わせてるよね!?
  302. 竜城 明日香: 月夜先輩、お弁当を 買いに来たんですか?
  303. 竜城 明日香: ああ、今日は私ここで アルバイトをしていまして!
  304. 竜城 明日香: というのも、お年玉の 費用を稼ぐためにですね…
  305. 月咲: ちょっと!話聞いてる!? おーい!やっほー!?
  306. 竜城 明日香: (普段、粗忽者であることを 利用して時間稼ぎだなんて)
  307. 竜城 明日香: (屈辱…屈辱です!)
  308. 桐野 紗枝: お待たせしてすみません~
  309. 由貴 真里愛: こちら、竹工房さんの お弁当です
  310. 月咲: ああ、良かった 他の人は正気だ…
  311. 月咲: うん、確かに受け取ったよ
  312. 月咲: で、竜城明日香さん! ウチは月咲ね!いい?
  313. 竜城 明日香: は、はい…
  314. 月咲: じゃあ、また来るね! みんな良いお年を~!
  315. 桐野 紗枝: …ふぅ
  316. 由貴 真里愛: ナイスね、明日香ちゃん!
  317. 桐野 紗枝: お客さんが彼女だったから 良かったですけど…
  318. 桐野 紗枝: 正直、いつ彼女がキレるか ひやひやでしたね…
  319. 竜城 明日香: うぅ…
  320. 桐野 紗枝: でも、時間稼ぎとしては 及第点、助かったよ
  321. 桐野 紗枝: 普段の行いが功を奏した …って言うと、あれだけど
  322. 由貴 真里愛: 明日香ちゃんだからできた技ね ふふっ
  323. 竜城 明日香: 私としましては 大変不名誉なのですが…
  324. 由貴 真里愛: そう思うのなら、次は ミスのないようにしましょ?
  325. 由貴 真里愛: 整理整頓をしようという気持ちは 素晴らしかったんだから
  326. 由貴 真里愛: けど、それが本当に 捨てていいものかどうか…
  327. 由貴 真里愛: 一度、深呼吸をして 考えるのがいいかもしれないわ
  328. 竜城 明日香: 深呼吸…ですか
  329. 由貴 真里愛: ええ、何かをする前に 一度、吸って…吐いて…
  330. 竜城 明日香: 吸って…吐いて…
  331. 由貴 真里愛: そうすると、少し 気持ちが落ち着くでしょう?
  332. 竜城 明日香: …確かに、なんだか 黙想と似ていますね
  333. 桐野 紗枝: 黙想…って瞑想とか そういうの?
  334. 竜城 明日香: はい、稽古の前後に 行っているんです
  335. 由貴 真里愛: なら、明日香ちゃんは 得意かもね、深呼吸
  336. 桐野 紗枝: (さすが真里愛さん 乗せるのが上手いな…)
  337. 由貴 真里愛: じゃあ、深呼吸をしながら 次のお客さんを待ちましょう
  338. 竜城 明日香: はい!
  339. 竜城 明日香: すー…はぁ…
  340. 萌花の声: あ、あの!
  341. 竜城 明日香: はい、いらっしゃいませ!
  342. 恵 萌花: お弁当を お頼み申しますですぅ!
  343.  
  344. FILENAME: text_311132-3.txt
  345. 恵 萌花: お弁当を お頼み申しますですぅ!
  346. 竜城 明日香: あ、はいっ!
  347. 桐野 紗枝: (…また、濃いお客さんが…)
  348. 桐野 紗枝: (普段はそんなことないのに どうして今日に限って…?)
  349. 由貴 真里愛: (萌花ちゃん、なんだか というか…確実に)
  350. 由貴 真里愛: (普段と様子が違うけど 何かあったのかしら…?)
  351. 由貴 真里愛: ん?
  352. 由貴 真里愛: (…なるほど そういうこと)
  353. 竜城 明日香: え、えーっと…
  354. 由貴 真里愛: 明日香ちゃん 深呼吸して、ね?
  355. 竜城 明日香: は、はいっ! すー…はぁー…
  356. 竜城 明日香: ふぅ、ご注文をお伺いします
  357. 竜城 明日香: ありがとうございましたー!
  358. 恵 萌花: ありがとうございましたですます よいお年をですござる!
  359. 桐野 紗枝: (…語尾、渋滞してない?)
  360. 竜城 明日香: なんとかやり切りました… それにしてもあの方
  361. 竜城 明日香: とても丁寧でしっかりして いらっしゃいましたね
  362. 桐野 紗枝: (…あれが しっかりして見えてるんだ…)
  363. 由貴 真里愛: 少しのミスはあったけど この調子!いい感じよ!
  364. 竜城 明日香: はいっ!
  365. 十七夜: いいか?
  366. 竜城 明日香: あ、いらっしゃいませ!
  367. 十七夜: む、今日は知った顔が たくさんいるな
  368. 十七夜: 皆でバイトか それは楽しくて良さそうだ
  369. 十七夜: 自分もバイト先のメイドたちへ 弁当を買っていくところでな
  370. 十七夜: この時期は年末イベントやらで 多忙だから、精をつけねばと
  371. 十七夜: 特大ハンバーグ弁当を… もちろん、経費で落ちる
  372. 竜城 明日香: それで、ええと注文は?
  373. 十七夜: 言った通り特大ハンバーグ弁当だ
  374. 十七夜: 予約はしてあるから それを受け取りに来た、頼む
  375. 竜城 明日香: あ、あぁ、そうでしたか! すみません!
  376. 由貴 真里愛: 焦らなくていいわ 明日香ちゃん
  377. 桐野 紗枝: じゃあ、これを渡して?
  378. 竜城 明日香: はいっ!
  379. 竜城 明日香: あ、ありがとうございました!
  380. 十七夜: …釣りがないぞ?
  381. 竜城 明日香: す、すみません…
  382. 竜城 明日香: すぅ…はぁ… こちら、お釣りです!
  383. 十七夜: うむ、ありがとう …領収書も頼んだはずだが
  384. 竜城 明日香: 申し訳ありませんっ!
  385. 十七夜: そんなに急いでないから 焦らなくて大丈夫だ
  386. 竜城 明日香: こちら、領収書です
  387. 十七夜: うむ…宛名も問題ない これで完璧だな、ありがとう
  388. 十七夜: 年末で忙しいだろうが 良い年を迎えるよう祈ってる
  389. 竜城 明日香: 十七夜さんもっ 良いお年を!
  390. 竜城 明日香: ふぅ…なんとか やりきりました…
  391. 由貴 真里愛: …あら? このお弁当って…
  392. 桐野 紗枝: 持ち帰り忘れて…!
  393. 竜城 明日香: す、すぐに追いかけます!
  394. 由貴 真里愛: …十七夜さんでも ドジしたりするのねぇ、ふふ
  395. 由貴 真里愛: でも、明日香ちゃん 大丈夫かしら?
  396. 桐野 紗枝: …ええ、心配ですね
  397. 桐野 紗枝: (…私のバイトが今後も 問題なく続くかどうか、が)
  398. 桐野 紗枝: (というか、さすがに彼女 ドジを踏みすぎじゃない?)
  399. 桐野 紗枝: (衣美里ちゃんの紹介だし 神浜市の魔法少女だから)
  400. 桐野 紗枝: (ある程度、信頼して 手伝いには来てるけど…)
  401. 桐野 紗枝: (彼女が本気でやってるのか 正直疑わしいわ…)
  402. 桐野 紗枝: …はぁ
  403.  
  404. FILENAME: text_311132-4.txt
  405. 竜城 明日香: …ただいま戻りました
  406. 由貴 真里愛: おかえりなさい 無事に渡せた?
  407. 竜城 明日香: ええ、はい…それは
  408. 桐野 紗枝: …えっと、何かあった?
  409. 竜城 明日香: なんだか、みなさん すごいなあと思ったんです
  410. 竜城 明日香: 「理子さんは、小学生ながら お店の手伝いをされていますし」
  411. 竜城 明日香: 「みたまさんの妹さんも 話しなれている様子がなんだか 自分より大人に見えました」
  412. 竜城 明日香: 月咲さんも、十七夜さんも お仕事の一環で訪れていたり
  413. 竜城 明日香: とてもしっかりしている方 ばかりです
  414. 竜城 明日香: それなのに、私ときたら いつも通りの過ちばかり…
  415. 竜城 明日香: そそっかしさを直したくて ご協力いただいているのに
  416. 竜城 明日香: 目ぼしい成果も特に出せず 不甲斐ないことこの上ありません
  417. 竜城 明日香: 従兄弟殿のようになりたいなど 夢のまた夢…おこがましい限り
  418. 竜城 明日香: …かくなる上は 自害しかありません…!
  419. 由貴 真里愛: …………
  420. 由貴 真里愛: どうしてそんなことを言うの?
  421. 竜城 明日香: え、いや…責任を取るために… 自害せねばと…
  422. 由貴 真里愛: そういう言葉を使われると 私、悲しいわ…
  423. 竜城 明日香: …では…私はどうしたら…
  424. 由貴 真里愛: そんなの簡単よ!
  425. 由貴 真里愛: 自害なんて言わなくて済むよう 私が教育するわ!
  426. 竜城 明日香: ひぇ…
  427. 桐野 紗枝: (あぁ…真里愛さんが本気に これは大変ね、彼女)
  428. 由貴 真里愛: まずね、ずっと 聞きたかったんだけど…
  429. 竜城 明日香: は、はいっ!
  430. 由貴 真里愛: あなたの言う「従兄弟殿」 について知りたいの
  431. 竜城 明日香: …もしや、従兄弟殿に対し 恋情を…!?
  432. 由貴 真里愛: すぐに話が飛躍しちゃうのも 明日香ちゃんの直すべき点ね
  433. 由貴 真里愛: …そうじゃなくて、彼みたいに なりたいって言ってたでしょ?
  434. 由貴 真里愛: 従兄弟殿みたいに お年玉をあげたいって
  435. 由貴 真里愛: だから明日香ちゃんを突き動かす 理由を、聞いてみたいのよ
  436. 由貴 真里愛: 差し支えなければ…だけど
  437. 竜城 明日香: あぁ…失礼、そういえば まだ話していませんでしたか
  438. 桐野 紗枝: …うん、わたしも その話…聞かせてほしいな
  439. 桐野 紗枝: (彼女が本気かどうかも 気になっているところだし)
  440. 竜城 明日香: わかりました
  441. 竜城 明日香: 従兄弟殿の話をしようとすると 私の願いにも関わるのですが
  442. 竜城 明日香: 今回は、長くなってしまうので 割愛して話します
  443. 竜城 明日香: なぜ、私が従兄弟殿のように お年玉をあげたいと思ったか…
  444. 竜城 明日香: あれは、従兄弟殿が高校生に なった年のお正月のことです
  445. 竜城 明日香: くっ…この程度 へこたれるもんですか!
  446.  
  447. FILENAME: text_311133-1.txt
  448. 竜城 明日香: なぜ、私が従兄弟殿のように お年玉をあげたいと思ったか…
  449. 竜城 明日香: あれは、従兄弟殿が高校生に なった年のお正月のことです
  450. はい、明日香ちゃんお年玉 大事に使うんだよ
  451. 竜城 明日香: ありがとうございます!
  452. 明日香の母: じゃあ、お年玉は ちゃんと預かっておくわね
  453. 竜城 明日香: はい、母上! よろしくお願いします!
  454. 竜城 明日香: 我が家は、母上がお年玉を 管理してくれていました
  455. 竜城 明日香: 母上は、ちゃんと口座に預けてくれていたので 私が無駄づかいしてしまうよりも 貯金ができて良いと思っていましたし それで、納得してお金を預けていました
  456. 竜城 明日香: けれど…
  457. 明日香ちゃん、お年玉で 買うものは決まった?
  458. 竜城 明日香: いえ、私は母上に預けたので 特に買う予定はありませんっ
  459. えー、そうなんだ
  460. 竜城 明日香: みなさんは何か 決めているんですか?
  461. うん!今はやってるおもちゃ! これから買いに行こうと思って
  462. 明日香ちゃんもどうかなって 思ってたんだけど…
  463. お母さんに預けてるんじゃ 仕方ないよね
  464. 竜城 明日香: …はい
  465. 竜城 明日香: 納得してお年玉を預けていましたし それが正しいと思ってはいたものの 周囲の子がお年玉で何を買おうか…と 話してるのを聞いていると
  466. 竜城 明日香: なんだか、それが とっても羨ましく思えてしまったんです
  467. 竜城 明日香: だけど、そんな時…
  468. 明日香の従兄弟の声: 明日香、入っていいか?
  469. 竜城 明日香: …従兄弟殿! どうぞお入りください!
  470. 竜城 明日香: どうされたんですかっ?
  471. 明日香の従兄弟: 俺、高校生になったろ? …だから、これ
  472. 竜城 明日香: この封筒は…
  473. 竜城 明日香: お、お年玉ですかぁ!?
  474. 明日香の従兄弟: バイトを始めたからさ 明日香にやろうと思って
  475. 竜城 明日香: …いいんですか!? 私に、こんな…!
  476. 明日香の従兄弟: ああ、いいんだよ 俺も年上らしいことしたくてさ
  477. 竜城 明日香: ありがとうございます! さっそく母上に預け…
  478. 明日香の従兄弟: 待った! おばさんには内緒だ
  479. 竜城 明日香: え、でも…
  480. 明日香の従兄弟: いいから
  481. 明日香の従兄弟: それで、今から一緒に おもちゃ屋さんへ行こう
  482. 明日香の従兄弟: 明日香の好きなものを 買いに行くんだ
  483. 竜城 明日香: 従兄弟殿…! ありがとうございますっ!
  484. 竜城 明日香: その時の従兄弟殿は いつにも増して大人っぽく見えて
  485. 竜城 明日香: 私も、大きくなったら そうなりたいと思ったんです
  486. 竜城 明日香: そして、今年は私が高校生になり 最初のお正月です
  487. 竜城 明日香: だから…なんとしてでも 従姉妹さんにお年玉をあげて
  488. 竜城 明日香: 私も、従兄弟殿のように 大人になりたいんです
  489. 由貴 真里愛: そういうことだったの… とても素敵なお話ね
  490. 由貴 真里愛: 聞かせてくれてありがとう 明日香ちゃん
  491. 竜城 明日香: い、いえ…!
  492. 由貴 真里愛: よし、そういうことなら 私、もっと頑張るわ!
  493. 由貴 真里愛: 明日香ちゃんを素敵な 従兄弟さんに近づけるため!
  494. 桐野 紗枝: …わたしも
  495. 桐野 紗枝: そんな想いがあるなら 早く言ってくれればいいのに
  496. 桐野 紗枝: 本気なんだね、明日香ちゃん
  497. 竜城 明日香: ええ!
  498. 桐野 紗枝: (なら、私ももっと本気で 向き合わないとね)
  499. 桐野 紗枝: じゃあ、ここからは スパルタで行かせてもらうよ
  500. 竜城 明日香: へ?
  501. 桐野 紗枝: 覚悟はいい?
  502. 由貴 真里愛: ふふっ
  503.  
  504. FILENAME: text_311133-2.txt
  505. 桐野 紗枝: まず、明日香ちゃんの課題は そそっかしいところ…だよね?
  506. 竜城 明日香: はい、おっしゃる通りです 勘違いで迷惑をかけてきました…
  507. 桐野 紗枝: それなら、大事なのは 落ち着くこと…だけど
  508. 由貴 真里愛: それが簡単にできていたら 苦労はないわよね
  509. 竜城 明日香: いかにも…
  510. 桐野 紗枝: だから、落ち着くという行動を 細分化して考えてほしくて…
  511. 桐野 紗枝: 落ち着くには、まず 何をしたらいいと思う?
  512. 竜城 明日香: 教わったのは「深呼吸」 …ですよね?
  513. 由貴 真里愛: 正解! 覚えていて偉いわぁ
  514. 桐野 紗枝: 深呼吸したら 少しだけ落ち着けるよね
  515. 竜城 明日香: はい、それでもまだ 失敗はありますが…
  516. 桐野 紗枝: だから、そのあとに 確認を繰り返すの
  517. 竜城 明日香: 確認を…?
  518. 桐野 紗枝: うん、要は…
  519. 桐野 紗枝: 「深呼吸・落ち着く・確認・再確認」
  520. 桐野 紗枝: こういう手段を踏んでから動けば 勘違いとかは少なくなると思う
  521. 竜城 明日香: 行動前に考える…と 武道にも通ずる点がありそうです
  522. 桐野 紗枝: …そういえば、明日香ちゃんって 武道で同じようなミスはするの?
  523. 竜城 明日香: 言われてみれば 日常生活よりないですね
  524. 由貴 真里愛: なら、道場でできていることを 外でもできるようにする
  525. 由貴 真里愛: そう考えれば やりやすくなるんじゃない?
  526. 竜城 明日香: なるほど…
  527. 桐野 紗枝: じゃあ、これを踏まえて 実戦に移ってみようか
  528. 竜城 明日香: はい、お願いします!
  529. 竜城 明日香: いらっしゃいませ
  530. 枇々木 めぐる: 唐揚げ弁当を5つ お願いします!
  531. 竜城 明日香: はい、かしこまり…
  532. 枇々木 めぐる: あ!確認なんですが マヨネーズって入ってます?
  533. 枇々木 めぐる: 部員のみんなで年末特番を見つつ 食べようと思ってるんですが
  534. 枇々木 めぐる: マヨネーズがダメな先輩が いるので…
  535. 竜城 明日香: あ、えと…!
  536. 竜城 明日香: (…深呼吸!して 落ち着いて…)
  537. 竜城 明日香: (マヨネーズは入ってない はず…とメニューを見て確認し)
  538. 竜城 明日香: (もう一度現物を見て 確認…と)
  539. 竜城 明日香: はい、大丈夫です 入ってないですよ!
  540. 枇々木 めぐる: 良かったです~! ありがとうございます!
  541. 竜城 明日香: ふ、ふぅ~…
  542. 桐野 紗枝: お疲れ様! ずいぶん良くなったね
  543. 竜城 明日香: ええ、でもなんだか…
  544. 桐野 紗枝: ん?
  545. すみませーん
  546. 桐野 紗枝: あ、ちょっと対応してくるね
  547. 竜城 明日香: …………
  548. 由貴 真里愛: どうしたの? 明日香ちゃん?
  549. 竜城 明日香: その…自分でも ミスが減ったとは思うのですが
  550. 竜城 明日香: なんだか、緊張の連続で しんどい…というか
  551. 竜城 明日香: あ!気にしないでください! こんなのは甘えですよね!
  552. 竜城 明日香: しゃきっとしないとです!
  553. 竜城 明日香: みなさん完璧にされてるんです 私だって頑張らなければ!
  554. 由貴 真里愛: …………ねぇ、明日香ちゃん
  555. 竜城 明日香: はい?
  556. 由貴 真里愛: たぶんね、みんなそこまで 完璧じゃないと思うわよ?
  557. 竜城 明日香: いえ、でもおふたりとも 私から見たら完璧で…
  558. 由貴 真里愛: んー、そっかぁ
  559. 由貴 真里愛: 明日香ちゃんは大人っぽく なりたいのよね?
  560. 由貴 真里愛: それなら大事なのは 完璧であることじゃないのかも
  561. 竜城 明日香: どういうことでしょう?
  562. 竜城 明日香: 従兄弟殿は完璧です それは正しい大人の姿では?
  563. 由貴 真里愛: じゃあ、一度周りの子を 見てみるといいわ
  564. 由貴 真里愛: 落ち着いて物事を見る …その練習にもなりそうだから
  565. 竜城 明日香: …わかりました
  566. 由貴 真里愛: その間、お仕事は 私たちに任せてちょうだい
  567. 竜城 明日香: (周りをよく見る…)
  568. 竜城 明日香: 紗枝さんは、完璧な優等生のイメージです 衣美里さん曰く、面白いところもある …とのことですが
  569. 竜城 明日香: …ん? 紗枝さんの様子がいつもと違う…? 何かひとりで喋っているような… 教わった通り… 深呼吸してから、耳を澄ませてみましょう
  570. 桐野 紗枝: …チッ …何よ今の客
  571. 桐野 紗枝: どんな教育を受けてきたらお金を 叩きつけるなんてことができんの
  572. 桐野 紗枝: そっちがその気なら私だって小銭 投げつけたっていいんだけどマジ
  573. 桐野 紗枝: 店員がニコニコしてるからってさ お客様は神様だ?百年早いんだよ
  574. 竜城 明日香: わ…わ…
  575. 竜城 明日香: (聞かなかったことにした方が いいのかもしれません…)
  576. 竜城 明日香: 気を取り直して、真里愛さんを見てみましょう
  577. 竜城 明日香: 真里愛さんは笑顔で接客をしていて なんだか、年齢が近いはずなのに 私よりもずいぶん大人…というか 衣美里さんの言った聖母という印象さえあります
  578. 竜城 明日香: やはり、彼女に完璧でない場所なんて…
  579. 由貴 真里愛: きゃぁっ!
  580. 桐野 紗枝: どうしました!?
  581. 由貴 真里愛: くっ、くくくくもっ…くもっ!
  582. 桐野 紗枝: は? …あ、あぁ蜘蛛ですね
  583. 桐野 紗枝: 真里愛さん、蜘蛛ダメなんですね ふふ、知らなかったです
  584. 由貴 真里愛: い、いいからお願い その子、外に出してっ!
  585. 竜城 明日香: 真里愛さんにも苦手なものが しかも、あんな小さな蜘蛛を怖がって…
  586. 竜城 明日香: …………
  587.  
  588. FILENAME: text_311133-3.txt
  589. 竜城 明日香: (他の方も、見てみましょう)
  590. 十七夜: すまないが 弁当が足りなかった
  591. 由貴 真里愛: あら、ごめんなさい…
  592. 十七夜: いや違う、自分の注文が 間違えていた
  593. 十七夜: ひとつ追加で頼めるか
  594. 桐野 紗枝: それが…ちょっともう 残りがなくて…
  595. 月咲の声: すみませーん!
  596. 月咲: お弁当がひとつ多くて 返しに来たんですけど…
  597. 桐野 紗枝: 竹工房さんからの注文数と 渡した数は合ってるはずだけど…
  598. 月咲: え、ほんとっ!? ヤバ、どうしよう~…
  599. 十七夜: それなら…
  600. 月咲: これで、お父ちゃんに 叱られずに済むよ~
  601. 十七夜: 自分も助かった 困ったときはお互い様だな
  602. 竜城 明日香: (…あの十七夜さんでも ミスをするのですね…)
  603. みふゆ: ごめんくださ~い… お弁当をひとつ
  604. 由貴 真里愛: はい、ただいま…って みふゆさん、お疲れですか?
  605. みふゆ: ええ…受験勉強真っ最中でして ラストスパートで死にかけです…
  606. みふゆ: …あっ!
  607. 桐野 紗枝: どうかしましたか?
  608. みふゆ: …お財布を忘れてしまいました
  609. 竜城 明日香: (あの、みふゆさんが そんな初歩的な過ちを!?)
  610. 由貴 真里愛: あら、あそこにいるのって…
  611. みかげ: え~!年明けたら 福袋買おうよ~!
  612. みたま: そうは言ってもねぇ… ほら、何が出るかわからないし
  613. みかげ: それが楽しいんだよ!? も~!姉ちゃのわからずやー!
  614. 竜城 明日香: (大人っぽく振舞っていた彼女が 公衆の面前で駄々を…!?)
  615. すみません…
  616. 由貴 真里愛: あら、萌花ちゃんの お友だち?
  617. はい、モカちゃん係です 買い忘れがあったので追加を
  618. 由貴 真里愛: ふふ、もしかして萌花ちゃん おつかいの練習中だったかしら?
  619. はい、だけど失敗して 悲しんだらかわいそうなので
  620. 彼女には成功体験をたくさんして 笑顔でいてほしく!
  621. 竜城 明日香: あの…モカちゃん係って?
  622. 桐野 紗枝: 恵萌花さんを囲う会…かな
  623. 桐野 紗枝: おつかい練習をしていたから あんな緊張してたんだね
  624. 竜城 明日香: 緊張…?
  625. 恵 萌花: お弁当を お頼み申しますですぅ!
  626. 竜城 明日香: とても礼儀正しい方だと 思っていたのですが
  627. 竜城 明日香: あれは緊張した結果 …ということでしたか
  628. 竜城 明日香: …なんだか、みなさん 私が思っていたよりも
  629. 竜城 明日香: 完璧じゃない…というか 知らない一面があるみたいです
  630. 桐野 紗枝: そりゃあ、人間だもの 当たり前だよ
  631. 理子の父の声: ただいまー
  632. 桐野 紗枝: あ、戻ってきたみたいだね
  633. 竜城 明日香: お疲れ様です! …って、理子さんは…
  634. 理子の父: ああ、眠っちゃってね
  635. 竜城 明日香: こんな、普通の子どもらしい 一面もあったんですね
  636. 理子の父: まだ小学生だからなぁ
  637. 理子の母: 今日も、ついてくるって しつこかったでしょ?
  638. 理子の母: あれね、特番で見た ホラー映画に影響されたのよ
  639. 理子の母: 留守番中に両親が バケモノになって…みたいな
  640. 竜城 明日香: なんと…
  641. 理子の母: しっかり者に見えるだろうけど まだまだ子どもなんだよ
  642. 理子の母: 私たちも、しっかりした理子に 甘えていたことがあったけどね
  643. 竜城 明日香: …………
  644. 桐野 紗枝: ふぅ、なんとか無事に バイト終わりましたね
  645. 桐野 紗枝: (店長からは、さらに 信頼してもらえたし…)
  646. 桐野 紗枝: 明日香ちゃんもお年玉代を 稼げてよかったね
  647. 竜城 明日香: はい、みなさんのおかげです
  648. 由貴 真里愛: …それで、どうだった? 明日香ちゃん
  649. 由貴 真里愛: 何か、思うことはあった?
  650. 竜城 明日香: はい…みなさんの姿を 観察してみて気づきました
  651. 桐野 紗枝: (そんなことを!? え、変なところ見られてたり…)
  652. 竜城 明日香: みなさん、思っていたより 完璧じゃないんだなと
  653. 竜城 明日香: …それは、従兄弟殿もそうです
  654. 竜城 明日香: 思い返せば、従兄弟殿も 普通に怒られたりしていました
  655. 竜城 明日香: 尊敬することは変わりませんが 記憶を美化してたのは否めません
  656. 由貴 真里愛: しっかりするのも大事だけど みんな完璧なわけじゃないし
  657. 由貴 真里愛: 気を張りすぎても疲れちゃうから ほどほどでいいんじゃないかしら
  658. 由貴 真里愛: 明日香ちゃんは明日香ちゃんの 魅力があると思うし、ふふ
  659. 竜城 明日香: そういえば、衣美里さんも 言ってくれていました
  660. 木崎 衣美里: おっちょこちょいなのが あすきゃんのいいとこっつーかさ
  661. 桐野 紗枝: い、いや…直すべき箇所は 直した方がいいんじゃないかな?
  662. 竜城 明日香: それは、もちろんです!
  663. 竜城 明日香: ただ、しっかりしよう 大人っぽくなろう…と
  664. 竜城 明日香: 取り繕い過ぎるのも らしくないのかもしれません
  665. 竜城 明日香: なので 年始にある親戚の集いへは
  666. 竜城 明日香: 直すべきところは直しつつ ありのまま挑みます!
  667. 由貴 真里愛: ふふ、元気が戻ったようで 良かったわ
  668. 由貴 真里愛: ちょっと教え方が悪かったかもと 反省していたのよ
  669. 竜城 明日香: とんでもないです!
  670. 竜城 明日香: おふたりのおかげで 深呼吸することも覚えましたし
  671. 竜城 明日香: アルバイトも大変でしたが とっても楽しかったです
  672. 竜城 明日香: これなら、きっと大丈夫です!
  673. 桐野 紗枝: う、うん…でも明日香ちゃんは 詰めが甘いところがあるから
  674. 桐野 紗枝: 大丈夫と思っても 最後の確認を忘れずに…ね?
  675. 桐野 紗枝: ほら、せっかく働いたのに お年玉を忘れたりしたら大変!
  676. 竜城 明日香: ええ、わかりました!
  677. 桐野 紗枝: 最後の最後まで確認だよ? 大丈夫?
  678. 竜城 明日香: そんなに心配せずとも平気です
  679. 竜城 明日香: おふたりのおかげで 私は変わりましたので!
  680. 桐野 紗枝: (ほんとうに大丈夫…?)
  681.  
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  683. 竜城 明日香: いよいよ、集まりの前日です
  684. 竜城 明日香: 直すべきところは直しつつ ありのまま、大人な私を見せねば
  685. 竜城 明日香: 何度も確認はしましたが 念のため、もう一度確認を
  686. 竜城 明日香: では、一旦お札を ポチ袋から出して…と
  687. 竜城 明日香: 深呼吸をしてから確認すれば …うん、完璧ですね
  688. 竜城 明日香: 今日は早く眠り 明日に備えることとしましょう
  689. 竜城 明日香: あけましておめでとうございます 従姉妹さんたちは…
  690. 明日香の従姉妹: あけまして おめでとうございます!
  691. 明日香の従姉妹: ごじゃーましゅ
  692. 竜城 明日香: わ、こんなに大きく!? 1年というのは早いですね…
  693. 明日香の叔母: ふふ、明日香ちゃんもすっかり 親戚のお姉さんね
  694. 竜城 明日香: ええ、私ももう高校生なので!
  695. 明日香の母: 明日香、お菓子は…
  696. 竜城 明日香: もう用意してあります
  697. 明日香の父: 動きが早くて感心だな
  698. 竜城 明日香: …………
  699. 明日香の母: 明日香、どうしたの? そわそわして
  700. 竜城 明日香: あの、従姉妹さんたちに お渡ししたいものがあり…
  701. 明日香の従姉妹: なあにー?
  702. 竜城 明日香: こちら!
  703. 明日香の叔母: …あら、お年玉? いいのに、そんな…
  704. 明日香の母: もらってあげてくださいな
  705. 明日香の母: このためにアルバイトも していたんでしょ?
  706. 竜城 明日香: な…バレていましたか…
  707. 竜城 明日香: そんなに大きな額ではないですが どうか、こちらは貯金でなく
  708. 竜城 明日香: 従姉妹さんが求めるものを 買ってあげていただければ!
  709. 明日香の叔母: …それじゃあ お言葉に甘えて、ありがとう
  710. 明日香の従姉妹: ありがとう!
  711. 明日香の従姉妹: あーとー!
  712. 明日香の従姉妹: でも、おとしだま …ってなあにー?
  713. ガサゴソ
  714. 明日香の叔母: あ、コラ!目の前で 開けちゃ失礼でしょ!
  715. 明日香の従姉妹: あれぇ? なんにもはいってないよ?
  716. 明日香の従姉妹: ないないー?
  717. 竜城 明日香: ――っ!? そ、そんなバカな!
  718. 竜城 明日香: もしや、泥棒!? あ、いえ…深呼吸です
  719. 竜城 明日香: すー…はー…
  720. 竜城 明日香: あぁっ!
  721. 竜城 明日香: では、一旦お札を ポチ袋から出して…と
  722. 竜城 明日香: あのとき、袋から出して そのまま…
  723. 竜城 明日香: くっ…自害…
  724. 竜城 明日香: ではなく! 取ってきます!
  725. 竜城 明日香: はぁ…改めて こちらをどうぞ…
  726. 明日香の従姉妹: ………… きゃははは!
  727. 明日香の従姉妹: きゃっきゃ
  728. 竜城 明日香: え、あの…何を そんなに笑って…?
  729. 明日香の叔母: あー…バカにする意図は ないと思うんだけど…
  730. 明日香の叔母: 最近、疲れてる様子の人を 見るとこうやって喜ぶのよ
  731. 明日香の叔母: 子どものツボって ほんとにわからないわよね
  732. 竜城 明日香: …まぁ、笑ってくれるなら 私のそそっかしさも悪くは…
  733. 竜城 明日香: …いやいや! よくありません!
  734. 竜城 明日香: いくらありのままでも良い と言われても限度がありますよね
  735. 竜城 明日香: くぅ…またしても失態です! 自害…
  736. 竜城 明日香: は、しませんが反省です!
  737. 竜城 明日香: そして、見ていてください! もっと成長しますから!
  738. 竜城 明日香: 今年こそ… もっとしっかり者になります!
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