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- *Note: The devs moved the long intro scene to the "Modern / Present Day Kamihama" section of Puella Historia, so I moved it to that pastebin as well.
- FILENAME: text_518310-1_sw8iW.txt
- 露: 祖霊が宿りし神木よ… 子孫たる水名露は誓います…!
- 露: 相磨の国に災いを起こし、 民を奈落へ突き落とす妖魔を
- 露: 必ずやこの手で 討ち取るということを!
- 鶴乃: うわっと!
- さな: ぴゃっ、鶴乃さんあぶなっ…
- 鶴乃: えっ!?ぶつか…!
- 鶴乃: うう…鏡を通って 戦国時代にやってきたものの
- 鶴乃: 出入口の段差で躓くなんて…
- さな: 幸先が悪いですね…
- 鶴乃: ほんとだよー…
- 鶴乃: って、魂の器は壊れてない!?
- さな: あっ…
- さな: え、えっと…はい…! 傷も無いですし、大丈夫です…!
- ねむ: 魂の器は、お姉さんを救うために 必要不可欠な道具だよ
- ねむ: 僕が衝撃で簡単に破損するように 作ったと思われるのは心外だよ
- 鶴乃: そんな悪意のある発言を したつもりないけど…
- 鶴乃: 安心して持ち運べるってことは 理解できたよ
- ねむ: それは何より
- さな: ところで、あの…
- さな: いろはさんが来ていた時代って ここで合ってるんでしょうか…?
- さな: この時代の中で 崩れちゃったんですよね…?
- ねむ: まだお姉さんが集めた記録の 解析ができていないから
- ねむ: 読み取れない部分も 多分に含まれているけれど
- ねむ: 少なくとも、 場所と時代は間違ってないよ
- ねむ: 「およそ1540年ごろの戦国時代で この一帯は“相磨の国”と呼ばれてた頃だね」
- ねむ: 「この辺りの領主が手を取り合って戦い 水名正綱が水名の地に返り咲く少し前かな…」
- ねむ: 「ここにいる魔法少女は 戦神子と呼ばれた水名露と千鶴のふたり」
- ねむ: 「お姉さんはふたりの記録を得るために 空から様子を見ていたようだね…」
- さな: それなら… そのふたりを追いかければ…
- ねむ: お姉さんの概念を 回収できるかもしれないね
- 鶴乃: ん~なるほどね… ただ、どうやって捜そうか…
- さな: 神浜市の美術館か博物館に 何か資料がありましたよね…?
- 鶴乃: カササギがふたりを結んだ話とか 露の日記があったぐらいかな…
- さな: とりあえず魔力を探知しながら 歩いてみましょうか…?
- 鶴乃: それに、寝床になるような 拠点を作ることも考えないとね
- さな: あ、そうですね…
- ゴッ…
- さな: へ…? なんか…足元に…
- 鶴乃: ん…?
- 鶴乃: …………
- 鶴乃: ひぃぃぃ、人が倒れてるぅ!!
- さな: みみっ、ミイラ…!
- ねむ: いや、痩せ細った骸だよ
- 鶴乃: 冷静に言わないでよ! 事件だよ!事件!
- ねむ: いいや、事件じゃない この年は飢饉の真っ最中だからね
- 鶴乃: えっ…
- 鶴乃: そういうことぉ!?
- ガサッ
- さな: つ、鶴乃さん… 誰かが近くにいます…
- 鶴乃: ごめん、大きな声を出したから… 現地の人に警戒されたのかも…
- 農民の声: 「女の声だ!」
- 農民の声: 「こんな夜更けに居るってなると 戦神子の姫様かもしれない…! 勝てるような相手じゃあねえぞ!」
- 農民の声: ひるむな!
- 農民の声: オラたちだって戦がはじまりゃ 足軽として集う戦人よ!
- 農民の声: 一丸となって 水名のご神木を倒すぞ!
- 農民の声: オラたちの苦しみを 思いっきりわからせてやれぇ!
- 鶴乃: …………
- さな: 鶴乃さん…
- 鶴乃: なんだか… 穏やかじゃなさすぎるね…!!
- FILENAME: text_518310-2_sw8iW.txt
- 鶴乃: はっ、はっ、はぁ…
- さな: はぁ、はぁ… ま、まだ追って来てますか…?
- 農民の声: 「丘のご神木に向かってるぞ! やっぱり戦神子の姫様に違えねえ!」
- さな: ぴゃっ…!?
- さな: 追って来てますし、 なにか勘違いされてますよ…!
- 鶴乃: これ、どういう状況!?
- ねむ: 飢饉に苦しむ農民たちの 徳政を求めた蜂起じゃないかな
- 鶴乃: 首が回らないから 借金をチャラにしろってやつ!?
- ねむ: 概ねそんなところかな
- 鶴乃: なんてタイミング…
- 鶴乃: そうだ! うわさの力で解決できない!?
- ねむ: 佐鳥かごめに憑いている 風の伝道師のウワサと同様に
- ねむ: 出会う人物が友好的になる力は 持ち合わせているけど…
- 鶴乃: けど…!?
- ねむ: うわさの力が及ばないほど、 感情が高ぶっていれば意味はない
- さな: これ、魔女の反応です…! 感情の高ぶりってまさか…!
- ねむ: 口づけを受けた影響で 農民は蜂起したのかもしれないね
- 鶴乃: なら!
- 鶴乃: 奇しくも反応があるのは丘の上! 魔女を倒せば解決だ!
- 農民の声: 「まてぇ!」
- 鶴乃: ただ、そんな余裕もなさそう…
- 鶴乃: はぁ、ふぅ…
- 鶴乃: すごい大きい木… これが言ってたご神木かな?
- さな: 存在感があって、 神秘的なものを感じますね…
- ヒュンッ
- 鶴乃: ――っ!?
- 鶴乃: 矢まで飛んで来た…!?
- さな: 鶴乃さん、人影です…!
- 農民: 女…ふたりいたのか… それも水名の姫ではない…
- 農民: 変な服を着た…異国の女か?
- 農民: そんなことはどうでもいい 戦神子でないなら勝利は目前だ
- 農民: ああ、ご神木を切り倒せ!
- 農民たちの声: 「おぉぉおおおっ!!」
- さな: まだ、森の中に何人も…
- ねむ: 良くないね
- ねむ: 僕達が見つかったことで 話があらぬ方向に向かっている
- ねむ: ご神木が倒されると歴史が変わる 鶴乃とさなで守って欲しい
- 鶴乃: わかった! 最強の名にかけて守りきるよ!
- 鶴乃: さなは魔女を倒してきて!
- 鶴乃: わたしは この人たちを食い止めるから!
- さな: わかりました…! 急いで魔女を見つけます…!
- さな: あ、あれ… 魔女の反応が消えてますよ…!?
- 鶴乃: えっ?
- 露の声: 「みんな落ち着いて!!」
- 露: ふぅ…
- 露: みんなを凶行に走らせた妖魔は 私がこの手で討ち取ったわ
- 露: その刃、収めるなら今のうちよ
- 農民: 露姫様…
- 鶴乃: 目標発見!目標発見! いろはちゃんが追ってた子だ!
- さな: まさかこんなに早く…!
- 露: 誰か知らないけど…
- さな: ひゃい…!?
- 露: ご神木を守ってくれてありがとう あとは任せて
- 露: 妖魔の呪いが消えたから、 少しは気持ちが落ち着いたでしょ
- 農民: 落ち着くもんか…
- 農民: こちとら、妻や子どもを 質に入れる寸前なんだ…!!
- 露: 私たちも年貢高を改めたけど、 状況はもっと悲惨だったようね…
- 農民: 知ったところで、あんたたちは 必ず取り立てにやってくる
- 農民: それで野垂れ死ぬぐれぇなら 一矢報いてから死ぬ気だった…!
- 農民: 姫様…!
- 農民: 別に食わせてくれとはいわねえ けど今年は勘弁してくれ
- 農民: 姫さんに言っても仕方ねえのは 俺たちだってわかってる…!
- 農民: けど、どうか頼む…徳政を…
- 農民: じゃねえと来年が来たところで もう首がまわんねぇんだ…
- 露: 最近、主の“隅谷”が死んで 息子に家督が譲られたわ…
- 露: ただ、代替わりの徳政なんて…
- 農民: っ…どうにもなんねえなら 死ぬ前に暴れてやるさ
- 露: しかし!!
- 農民: ――っ!?
- 露: 水名の地名を冠する この水名露の名に誓って
- 露: 父、水名正綱を説得してみせます
- 露: ただ、私たちの力が及ぶのは、 いま治めている北養の地だけ…
- 露: この三郷の地に徳政が及ぶには 時間が必要だから
- 露: お願い…それまで耐え忍んで…
- FILENAME: text_518310-3_sw8iW.txt
- 鶴乃: みんな…帰っていった…
- さな: 命拾いしましたね…
- 露: で、あなたたちは何者なの?
- 露: ご神木を守ろうとしてくれたのは 感謝してるけど…
- 鶴乃: そ、そうですよね…
- 露: それに、あなたたちも 私と同じ戦神子でしょう?
- 鶴乃: どうして…かな…
- 露: こんな夜更けに 森の中を歩いてる上に
- 露: 武具を纏った農民たちと ふたりだけで対峙するだなんて
- 露: それぐらい力がないと 考えられないもの
- 露: それに、私と似た反応を感じるわ
- ねむ: もはや正直に話した方が 話は簡単に進みそうだね
- 露: 本の中から小さな人が…! これはまた奇想天外なものが…
- 鶴乃: うう…敵意はないみたいだし…
- 鶴乃: そうだね、 ちゃんと説明しよう
- 鶴乃: わたしは由比鶴乃
- 鶴乃: 隣にいるのが二葉さなで 本から出てきているのが柊ねむ
- 鶴乃: 実はわたしたち、 あなたに会いたかったんだよ
- 露: にわかには信じられないけど…
- 露: つまり、私の近くいることで、 大切な友人が救われるのね…
- 鶴乃: ウソはついてなくて 本当に本当のことだから…!
- さな: なのでお願いです… 姫の側に置いてくれませんか…?
- 露: …………
- さな: やっぱり神様みたいな 友だちの概念を回収するなんて…
- 鶴乃: 無茶苦茶な説明だよね… でも、わたしの幸運が役立てば…
- さな: お城の牢屋に入れられても、 彼女の側にいられるかも…
- 鶴乃: それは、前向きなようで 後ろ向きのような…
- 露: わかったわ ふたりの望みを叶えましょう
- 鶴乃: えっ!?信じてくれるの!?
- 露: ウソなの?
- 鶴乃: ほんとです!
- 露: ただ、私の力では足りないから 回り道をしていいかしら?
- 露: 説得しておきたい相手がいるのよ
- 鶴乃: お任せします!
- さな: まさかのまさかです…! 鶴乃さんの幸運の力でしょうか?
- ねむ: 僕のうわさの力も相まって 上手く話が進んだのかもしれない
- 鶴乃: この勢いに乗るっきゃないね!
- ねむ: その前に、さなが見えないことは 伝えておいた方がいいよ
- さな: わ、忘れてました…! 混乱させる前に言っておきます…
- 鶴乃: いやぁ、驚いた…
- さな: この時代にはあったんですね…
- ねむ: 近くに水徳寺があるということは 三郷は参京のことだったようだね
- カタッ…
- さな: ――っ!?
- 露: 玄雲、この方です…
- 玄雲: …………
- 鶴乃: あ、あの…!
- 玄雲: 気を張らなくても構わぬ 露より話は聞き及んでおるゆえな
- 鶴乃: はい…
- 玄雲: 私の名は玄雲 そなたが由比鶴乃殿でよろしいか
- 鶴乃: はい…!
- 露: 怖がらなくても平気よ 玄雲は目つきが悪いだけだから
- 玄雲: 何を言う 目つきは悪くはない
- 露: 悪いわよ
- 玄雲: むぅ…そうか… 言いたいことはあるが…
- 玄雲: まずは露より聞いた本題について 話さねばならんな
- 鶴乃: では、事情は すでに聞いてるんですね
- 玄雲: 失われた友を救うために 露の側に居たいと
- 鶴乃: その通りです…!
- 玄雲: うむ
- 玄雲: 阿弥陀様は失われるべきではない 命には慈悲をくださる
- 玄雲: ゆえに多くを救われた友であれば 必ずや救われるであろう
- 鶴乃: それはつまり…?
- 玄雲: 明日は露と共に 水名氏が治めている北養へ向かう
- 玄雲: 私が領主である正綱殿と話して 露の側仕えになれるよう計らおう
- 玄雲: それが狙いだろう、露
- 露: ええ、 察しが良くて助かるわ
- 鶴乃: 本当に何から何まで 感謝することしかできないよ!
- 露: ふふっ、今日はとりあえず寝て 明日への英気を養っておいて
- 鶴乃: うん、露姫様もありがとう
- FILENAME: text_518310-4_sw8iW.txt
- 鶴乃: へぇー
- 鶴乃: じゃあ、相磨の国の領主たちって 昔からこの辺りを治めてるんだ
- 露: 国司だとか守護だとか 多少の入れ替わりはあったけど
- 露: 国の中における武士の繋がりは 古くから続いているわ
- 露: 水名と水徳寺のようにね
- 露: ただ守護が隅谷になってからは 切り崩されちゃったけどね…
- 鶴乃: …殺されたってこと?
- 露: なかったとは言えないけど、 主な理由は縁組みよ
- 露: ―露― 中でも守護代の熊井はその筆頭
- 露: ―露― 今は京にいる隅谷に代わって 水名の城主を務めているわ
- 露: ―露― 他にも三郷、凪津、栄が 婚姻を重ねて隅谷の一門になった
- 鶴乃: ―鶴乃― じゃあ、露姫様も いつかは隅谷に嫁ぐつもりで?
- 露: ―露― まさか
- 露: ―露― 水名の地を奪った隅谷に この身を捧げるつもりはないわ
- 露: ―露― …父上が縁組みを断ったせいで 今でも外様扱いな上に
- 露: ―露― 北養なんて辺鄙な地に 飛ばされちゃったけどね…
- さな: なんだか、複雑ですね…
- ねむ: お姉さんの本にも 記載がないような部分だね
- さな: すみません… 私、状況が飲み込めなくて…
- 鶴乃: んー…例えるなら…
- 鶴乃: 仲の良かったクラスに すごい不良の転校生がやってきて
- 鶴乃: クラスメイトのみんなは その転校生に従うんだけど
- 鶴乃: 水名とか水徳寺って人たちは 反発心を持ち続けている…かな…
- さな: みんな仲良しだったのに バラバラになったんですね…
- ねむ: …鶴乃
- ねむ: ついでに大東あたりの話も、 聞いておいてくれないかな?
- 鶴乃: おっけー!
- 鶴乃: 東と西の戦神子の時代だし 聞いておいた方がいいよね
- 鶴乃: ちなみになんだけどさ 相磨の国に大東ってあるの?
- 玄雲: 鶴乃殿、軽々しく その名を口にしてはならんぞ
- 鶴乃: うぇっ…!? す、すみません…
- 玄雲: いや、知らぬのも当然ゆえ 説明しておくと
- 玄雲: 安泰の「泰」に悪党の「党」で 奴らは自らを泰党と名乗っておる
- 玄雲: 誰に従うこともない賊であり 不法な関所で金を奪うばかりか
- 玄雲: 寺や館に忍び込んで 金品を奪う行為を続けている
- 露: 貧しい人に分け与えているけど それは表向きの話
- 露: 裏では妖魔を操るような 血も涙もないような連中よ
- 鶴乃: 妖魔…?
- 露: 戦神子になる契約を交して 戦うことになった相手よ…
- 鶴乃: …ああ、なるほど
- 露: 泰党の連中はその妖魔を操って この飢饉も起こしているの
- 鶴乃: 昨日のご神木を狙っていた 農民の人たちも…
- 露: 元を正せば泰党のせいで 暴れていたようなものよ…
- 玄雲: そうした奇妙な相手なのでな
- 玄雲: 我々は何百年以上もの間、 対立を続けている
- 玄雲: 守護の隅谷も危ぶんではいるが 泰党の所在がわからぬ上に
- 玄雲: 頭領の万守山右衛門という男も 何者かわかっておらぬ
- 露: 困った話よね…
- 露: あ、館が近くなってきたわよ
- 玄雲: 鶴乃殿
- 鶴乃: はいっ
- 玄雲: 私と旧知の仲とはいえ、 正綱様は用心されるであろう
- 玄雲: 信用を得るための手段は 何かしら考えておいた方がいい
- 鶴乃: もうちょっと早く言ってよ…
- さな: 大丈夫ですよ、鶴乃さん…! ここは私に任せてください…!
- 正綱: なっ…
- 正綱: 扇が宙を舞っている!?
- 鶴乃: ふっ…んーーー… キエーーーーッ!
- 正綱: 今度は部屋の至るところから 音が鳴って…
- ガタッ
- 正綱: ひとりでに掛け軸が…!
- 鶴乃: ふぅ…どうでしょうか… この由比鶴乃の神通力は!
- 正綱: …玄雲はどう思う
- 玄雲: この不思議な力こそ戦神子の証
- 玄雲: ひとり妖魔と戦う姫様の側に 置くのが、吉とも出ております
- 玄雲: それに露姫様が仰ったとおり、 水名のご神木を守ったのはこの者
- 玄雲: 私自身も推挙する理由がなければ ここまで足は運びませぬ
- 正綱: …わかった
- 正綱: 由比鶴乃を露を守る護衛として 側で仕えさせることにしよう
- 鶴乃: ありがとうございます!
- ねむ: さなが見えないのを 上手く活用できたみたいだね
- さな: はい
- さな: 自分の特性を生かして 動き回ってみました…!
- 鶴乃: まあ、とりあえず!
- 露: これからよろしくね、鶴乃
- 鶴乃: こちらこそ!露姫様!
- FILENAME: text_518310-5_sw8iW.txt
- 鶴乃: ここが、露姫様の部屋?
- 露: 隣にあなたたちの部屋を 用意させたわ
- 露: ねむも含めると3人だと思うけど ひとつの部屋になってごめんね
- 露: これで、ご神木を守ってくれた お礼になってるかしら?
- 鶴乃: 野宿か廃屋を覚悟してたから、 今の待遇は十分すぎるぐらいだよ
- 露: ふふっ、良かった
- カササギの声: 「ガァ、グァーグァー」
- さな: ―さな― あ、トリさんを飼ってるんですね
- 露: ―露― カササギっていうの
- 露: ―露― 父が譲り受けたもので 日の本にはいない珍しい鳥なんですって
- さな: ―さな― 七夕のお話に出てきますよね 織姫と彦星のために橋渡しをするって…
- 露: ―露― そんな話も聞いたことがあるわね
- ねむ: これは歴史を追う鍵になるよ
- ねむ: 現代に残された資料の中にも カササギの話は出てくる
- 鶴乃: うん、戦神子であるふたりの絆は カササギのおかげで結ばれてるよ
- さな: これから、観察が必要ですね…
- 露: 本当はネコが好きなんだけど トリがいると飼いづらいのよね
- 露: そもそも、この飢饉のさなかだと ネコにあげるエサもないけどね…
- さな: そういえば…
- さな: 正綱様と玄雲さんは飢饉について 話を続けてるんでしょうか…?
- 露: ええ
- 露: 徳政を求める農民の蜂起に対して どう対応するかを話してると思う
- 露: 昨晩、玄雲にも伝えていたから
- 露: 徳政を進められるように 助け船を出してくれているはずよ
- さな: いい人ですね、玄雲さん
- 露: ええ、隅谷や熊井なんかより よっぽど民のことを憂いてるわ
- 鶴乃: だけど、この飢饉は徳政をしても その場しのぎだよね…?
- 鶴乃: さっき、妖魔が引き起こしてる って話をしてたから…
- 露: そう…厳密には泰党が 妖魔を操って起こしていること…
- 露: 根本的に解決するには 泰党を倒すしかないのよ…
- 鶴乃: 飢饉に徳政を求める農民の蜂起…
- 鶴乃: ゴタゴタの多い時代だけど とりあえず一歩進んだね
- 鶴乃: 元から露姫様を捜す気だったから 順調で良かったよ
- ねむ: 城で水名露の側で仕えるなんて 大躍進以外の言いようがないね
- さな: 器が光って…
- 鶴乃: いろはちゃんの概念が 回収された…?
- ねむ: うん、お姉さんを形作る概念で 間違いないはずだよ
- 鶴乃: よっし!
- 鶴乃: このまま歴史に従って、 いろはちゃんを助けよう…!
- さな: はいっ…!
- FILENAME: text_518310-6_sw8iW.txt
- 鶴乃: んー…
- 鶴乃: 何日経っても 代わり映えのしない日々…
- さな: ねむちゃんが言うには 過去は改竄されていないので
- さな: 自動的にいろはさんの概念は 回収されるみたいですけど…
- 鶴乃: 妖魔退治以外に何もできないのが もどかしいんだよー…
- 露: 最近、主の“隅谷”が死んで 息子に家督が譲られたわ…
- 露: ただ、代替わりの徳政なんて…
- 鶴乃: 徳政とか…飢饉周りのことで 手伝えば歴史への干渉になるし…
- 鶴乃: 身動きがとれない…!
- スッ…
- さな: あ、露姫様、お帰りなさい
- 露: 今日中に隅谷のところから 父が戻られるそうよ
- さな: じゃあ、代替わりの儀は 無事に終えたんですね…
- 露: ええ
- 露: 狡猾で恐ろしい父親から 度胸のない息子に家督が譲られて
- 露: 私たちとしては 動きやすくなって助かるわ
- 鶴乃: 一緒に徳政の話はしたのかな?
- 露: 新しいお館様は相磨の窮状を 直接見ていないから
- 露: 話したところで 首を縦に振るかどうか…
- 鶴乃: そっか…
- 露: 徳政で借金を破棄すれば 国の収入が失われて疲弊する
- 露: そこを諸国に狙われてしまえば 守るべき民を失ってしまうわ…
- 露: 借金を被る財源を得るために 他国の領地を奪う力もないから
- 露: 正直なところ 現実的な話でもないのよね…
- さな: 私たちにできるのは原因の泰党を 打ち破ることぐらいでしょうか…
- 鶴乃: それすらできないなら 妖魔を倒し続けることかなあ…
- 露: 被害を抑えるためにできるのは ふたりが言ったことぐらい…
- 露: ちなみに妖魔が原因と思われる 噂があるんだけど
- 露: ふたりとも これから手伝ってくれるかしら?
- 鶴乃: もちろんっ! でも、どんな噂なの?
- 露: どうも、 浜辺で妙な声がするんですって
- 鶴乃: 露姫様はこのもどかしい状況で 気持ちが沈んだりしない?
- 鶴乃: ずっと気が張り詰めてるからさ…
- 露: 私が我慢してることなんて 双六や短歌や幸若舞ぐらいなもの
- 露: 食事ができず苦しむ民と比べたら ご先祖様に怒られちゃうわ
- FILENAME: text_518310-7_sw8iW.txt
- さな: わぁ…海まで来たのは 初めてですね…
- 鶴乃: 水の透明度が…違う…!
- 露: 鶴乃の出身だと もっと濁った海なの?
- 鶴乃: 似たような場所なんだけどね
- 鶴乃: それで、ここが凪津だっけ? 漁が盛んなんだよね?
- 露: ええ、稲作とは違って 魚はちゃんと獲れているから
- 露: もしも妖魔がいるようであれば 影響のないように倒したいわ
- 露: それにしっかりと 居るようだし…
- さな: でも、反応がはっきりしません…
- 露: 二手に分かれて調べましょう そっちはふたりでいいわ
- 鶴乃: いや、わたしたち護衛なのに!
- 露: この辺りに慣れてない人が ひとりの方が心配でしょ
- 露: ただ、私の反応がわかる範囲で 迷わないようにしてね
- さな: 露姫様って割と御転婆ですよね…
- ねむ: 危機意識が低いのかもね
- 鶴乃: 魔法少女だからだと思うけど、 元から無鉄砲なのかもしれないね
- 露: この辺りから反応がしたような…
- 露: 反応が近いけど…ふたつに…?
- 露: そこっ!
- 千鶴: んなっ、誰だアンタ
- 露: 女の子…?
- 露: この辺りで妙な声が 聞こえるという噂があってね
- 露: 妖魔の類いかと思って来てみたの
- 露: ―露― 今、この地を襲っている凶作も妖魔の仕業 危険だから去りなさい
- 千鶴: ―千鶴― フッ、ハハッ
- 千鶴: ―千鶴― 関所を越えた東の神子を知らないなんざ 水名の神子も高が知れてるなぁ
- 露: ―露― まさかあなたも同じ…
- 千鶴: ―千鶴― そ、だから去るのはアンタの方だ 悪いが獲物はこっちがもらう
- 露: ―露― 今の民たちの状況を知ってるでしょう 同じ神子なら力を合わせましょう
- 千鶴: アタシが泰党だって言っても 手を組む気になるか?
- 露: 泰党…!?
- 露: 最初からわかっていれば 手を組むなんて言わないわ…!
- 千鶴: おいおい、身元を知った途端に ずいぶんと殺気を放つじゃねぇか
- 露: 妖魔を操って飢饉を起こす その張本人なんだから当然よ!
- 千鶴: ん?妖魔を操る?
- 千鶴: 変な妄想してんじゃねぇよ アタシらにそんなマネできるか
- 露: ここに姿を現したのは 妖魔を放つためなんでしょ…!?
- 千鶴: 西の様子を見に来て、 必要なら助けるつもりだった
- 千鶴: 妙な理由で泰党を嫌ってるけどな 民を救う想いは同じはずだろ?
- 露: …自分たちのせいで苦しむ人を 助けて善人面するなんて
- 露: 泰党は大がかりな 自作自演をするのね
- 千鶴: …面倒くせぇっつーかなんつーか
- 千鶴: その様子じゃあ 本当に忘れちまってんだな
- 千鶴: 親父から 水名は薄情だって聞いてたけど
- 千鶴: こりゃあ、違いねぇようだな
- 露: 逃がさないわよ!
- 千鶴: んだ、やるってのか? 年下だからって舐めんなよ?
- 露: 妖魔を消して、 民に謝罪して回ってもらうわ
- 千鶴: はぁ…
- 千鶴: アンタがお望みだって言うなら 一戦交えてやっても構わねぇ
- 千鶴: なんだ、この反応…!
- 露: 何か聞こえる…
- 千鶴: 誰だ、この声…!
- 露: しっ、何か伝えようとしてる…
- 巫: 「私とあなたとは生まれも立場も違っていて 決してこの地で認められる間柄ではなかった」
- 巫: 「でも、それで自分が悲しんだからと言って 一族を恨んだりはしません 私はみんなが自由に幸せな暮らしができるように この村を変えてみせます」
- 巫: 「だから生きていたら私のことを思い出して 私は今もここで待っているから…」
- 露: …………
- 千鶴: 消えた…
- 千鶴: 声はこの貝殻からか…
- 露: 『生まれも立ち場も違うけど…』
- 千鶴: 何を神のお告げみたいに 繰り返してんだよ
- 千鶴: 妙なもんに茶茶を入れられて 興醒めだ…
- 千鶴: 白けた アタシは帰るわ
- 露: 待ちなさい!
- 露: 私は、北養の領主 水名正綱の娘、水名露!
- 千鶴の声: 泰党の頭領、万守山右衛門の娘 千鶴だ!
- 露: …千鶴
- FILENAME: text_518310-8_sw8iW.txt
- ねむ: 無事に水名露が 千鶴と接触できて良かった
- 鶴乃: これで歴史通りってわけだね
- ねむ: その通りだよ
- ねむ: ただ、お互いの心証は 最悪も最悪みたいだけどね
- 鶴乃: それだよ!
- 鶴乃: 露姫様は泰党が 妖魔を操ってると思ってるし…
- さな: 仲良くなるのは まだ先のことみたいですね…
- カササギ: 「ガァ、グァーグァー」
- 鶴乃: うう、カササギ様カササギ様! 何卒ふたりを結んでくださいな!
- 鶴乃: そして、この国をひとつにして、 飢饉を乗り越える切っ掛けに…!
- さな: いろはさんの概念の回収には 必要な道ですからね…
- さな: あれ、でも飢饉ってそもそも このあとどうなるんでしょうか…
- ねむ: わかっているのは、 露と千鶴が民を救うということで
- ねむ: 具体的に飢饉がどうなったかは 不明だよ
- 鶴乃: いろはちゃんの本には 書かれてないの?
- ねむ: その時代がやってくるより前に お姉さんは戻って来たからね
- 鶴乃: …今は正綱様が持ち帰った話の 詳細を待つしかないんだね…
- 正綱: 隅谷の跡目については 争いもなく落ち着きそうだが
- 正綱: この乱世の中で、熊井の餌食に されぬか不安になるほど
- 正綱: 狡猾な先代とは違って お館様は臆病で怜悧でもない
- 水名の家臣: つまるところ徳政については…
- 正綱: 周りが対策を講じたとしても 許すほどの度量があるか…
- 正綱: …そもそも京で生まれ育った方
- 正綱: 既得権益を守るつもりはあれど 民を守るほどの愛着はない
- 露: …では、私たち北養の民たちに このまま生き地獄を味わえと
- 露: 蜂起した三郷の者たちも 苦しんで…!
- 正綱: 口を慎みなさい まだ、私が話している
- 露: …失礼しました
- 正綱: 安心しなさい、露
- 正綱: お館様がやらぬと言うのなら 我々は勝手にするまでだ
- 露: 父上…!?
- 正綱: 財源が失われることは承知の上で 水名からの借入分は破棄する
- 正綱: また、今年の年貢は 例年の1割のみ入れてもらう
- 水名の家臣: 隅谷へ我々から納める分は…
- 正綱: 水名の財を切り崩して 納められた1割があればよい
- 正綱: 1年ぐらいどうとでもなろう
- 正綱: 寺からの借入れについても 玄雲が何とかすると言っていた
- 露: では、三郷の者たちは…
- 正綱: うむ、領主からの借入れ分は 残ることになるが
- 正綱: 寺からの借入れ分がなくなれば 幾分マシになるだろう
- 正綱: …ただ、皆には苦労をかける
- 水名の家臣: これでまた、古くからの仲間にも 白い目を向けられるばかりか
- 水名の家臣: 家臣の中でも 万年外様となりそうですな…
- 正綱: 恨むか
- 水名の家臣: いえ、この地を守る矜持が伺える 賢明な判断と存じます
- 正綱: そう言ってもらえて何より
- 正綱: 家宝である群印が示すように 水名は古くから民を守ってきた
- 正綱: その矜持を捨てて 保身を図るほど
- 正綱: 私はまだ耄碌しておらんよ
- 露: だから、国全体での 徳政は叶わなかったんだけど
- 露: 水名と水徳寺は一丸となって 民の負担を減らすことにしたわ
- 鶴乃: これから大変かもしれないけど 一歩進んだっていう感じだね
- 露: 根元に妖魔がいる以上は、 一手だけ指したようなものよ…
- 鶴乃: でも、その一手がないと みんなはきっとひとつになれない
- さな: はい、これがきっかけになって みんなを救えるといいですね…!
- 露: そうね
- 露: 明日はさっそく 玄雲にお礼を言いに行かなくちゃ
- FILENAME: text_518310-9_sw8iW.txt
- 鶴乃: …………
- さな: 鶴乃さん、どうしましたか… 考え込んでるみたいですけど…
- 鶴乃: 何が正しいとか正解とか わからないもんだなーって
- さな: それって、 徳政の考え方とか…ですか…?
- 鶴乃: それもひとつかも
- 鶴乃: 水名と水徳寺の人たちは 周りの民を救おうとしているけど
- 鶴乃: お館様は保身が大事で 一門の人たちは何もしない…
- 鶴乃: でも、領地毎に事情は違うから 間違ってるとは言えないなって
- さな: 少し前までの私たちに 似てるような気もしますね…
- 鶴乃: そうだよね
- 鶴乃: 救いたい、救われたい気持ちは まったく同じなのに
- 鶴乃: それぞれ事情が違うから ぜんぜんひとつになれなくてね
- さな: はい…
- さな: …ユニオンにプロミストブラッド 時女一族にネオマギウス
- さな: そして午前0時のフォークロア…
- さな: みんな別の目的があって すれ違いながら衝突して…
- さな: ようやく、すべての魔法少女が 救われるようにって
- さな: ひとつになれましたからね
- 鶴乃: だから、露姫様の理想もさ 茨の道だよね
- さな: 私たちで助けになれるでしょうか
- 鶴乃: 歴史の通りに進めば 成功するはずだよ
- さな: そうですね
- 露: ありがとう玄雲 民のために身を削ってくれて
- 玄雲: 借入れを来年に繰り越しつつ 利子をなくしただけだ
- 玄雲: 水名のしたことには及ばない
- 露: 利子がないだけでも大きいわよ
- 露: それに、私たちが対応できるのは 北養の地に限られるけど
- 露: 水徳寺から借入れてる人は 各地に居るから多くが救われるわ
- 玄雲: …この三郷の地に生きる者は、 少なくとも溜飲を下げるだろうが
- 玄雲: この寺と関わりのない地域の者は まだ苦しんでるであろうな…
- 露: その人たちはどうなるの…?
- 玄雲: 他の土地に奪いに行くか 他の地へ逃散するか
- 玄雲: ご神木の件と同じように まとめ役となった長老なんぞは
- 玄雲: ただでは済まぬであろう…
- 露: いたたまれないわ…
- 僧の声: 「玄雲殿!」
- 玄雲: ――っ!?
- 玄雲: なんだ騒々しい…!
- さな: 急にお寺が慌ただしく…
- ねむ: 三郷の領主が動いたんだろうね
- さな: 何か知ってるんですか…?
- ねむ: 無理な徴税に耐えかねた農民が 他国に逃散した記録があってね
- ねむ: 多くの民が傷ついたらしい
- ねむ: 戦乱が続く世だったとしても 農民は大切にされるもの
- ねむ: よっぽど資質のない 領主なのかもしれないね
- 鶴乃: 救いたいのに、折り合わなくて それで殺し合いがあって…
- 鶴乃: いろはちゃんは、 それでもみんなを救ったんだ…
- さな: はい、それなら私たちも…
- ねむ: 止めること自体は構わないけど 将兵には手を出しちゃいけない
- さな: 食い止めること自体は 問題ないっていうことですか…?
- ねむ: そういうことになるね
- 露: 鶴乃!さな!
- さな: 三郷が徴税のために 兵を動かした話でしょうか…?
- 露: 話が早いわ
- 露: 他家の領地だとは言っても 私はそんなの許せない!
- 鶴乃: 一緒に行くよ!露姫様!
- 露: えっ!?
- 鶴乃: わたしたちで守ろう 三郷の人を…相磨の国の人を!
- 露: 私は、終わるまで寺に居るように 伝えたかったんだけど…
- FILENAME: text_518310-10_sw8iW.txt
- 露: ねえ、鶴乃、さな 本当に付いて来て良かったの?
- 鶴乃: わたしも暴挙は許せないし 民のみんなを守りたいからね
- 鶴乃: ふんふん!
- さな: それに私たちは露姫様の護衛… ぜひご一緒させてください…!
- 露: でも、これは私情よ
- 露: 私が怒りで行動しているだけで 褒められた行動ではないわ
- 露: 友だちのために生きる必要がある あなたたちを巻き込むのは…
- 露: だから私からは離れて、 水徳寺にいる方が賢明だわ
- 鶴乃: でも、露姫様の行動は みんなを救うためなんでしょ?
- 露: …ええ
- 鶴乃: それなら付いて行くよ
- 鶴乃: わたしはね、無謀だけど頑張って 多くを救おうとする露姫様に
- 鶴乃: 大好きな友だちの姿を見たんだ
- さな: その人は多くの人を救う代償に みんなの前から姿を消しました…
- さな: だから、私も誰かを救うときに 足踏みはしたくない…
- さな: それに露姫様のために 私たちも手伝いたいんです…!
- 露: …そこまで言われると、 止める理由は無くなっちゃう
- 露: 後悔しないでね
- 鶴乃&さな: 「うんっ!」 「はいっ!」
- ねむ: 覚悟した方がいいよ
- ねむ: 一向一揆の際は織田信長だって 万の民を殺している
- ねむ: タガの外れた武士は 恐ろしいからね
- キンッ、カッ、ドサッ
- 農民の声: 「ァアアッ!!」
- さな: う…もう、何人も…
- 鶴乃: 具足を付けてない農民まで… こんなの無差別だ…!!
- 女性の声: 「キャァアアッ!」
- 鶴乃: なっ! 子どもをさらって…!
- ねむ: お金になるという寸法かもね…
- 鶴乃: 最悪だ…
- 露: やめろ!
- 露: 私の名は北養の水名正綱の娘 戦神子の水名露!
- 露: 水徳寺に立ち寄った道すがら この地を通りかかった!
- 露: 民は我々を生かす命の要よ
- 露: それを不要に殺して回るとは、 仏も看過できない所業だわ!
- 露: いますぐ刃を収めて!
- 三郷の領主: 外様である水名の娘が 他家の領地で随分な言い草よ
- 三郷の領主: 領主として命じる 即刻、この場から立ち去れ!
- 露: …まさか 領主自らが出向いているとは…
- さな: 露姫様は必死になって 止めようとしてるのに…
- 鶴乃: うん…情けない… 人が倒れてるのを見ただけで…
- 鶴乃: すくんでる場合じゃない… 三郷の兵を止めるよ、さな!
- さな: はいっ…!
- FILENAME: text_518310-11_sw8iW.txt
- 三郷の兵: ええいっ!
- 鶴乃: 魔法少女に比べたら遅い これぐらいなら体当たりで!
- 三郷の兵: グッ!
- 鶴乃: よっし、こんな感じでいけば 下手に傷つけないで済む!
- さな: 私も盾なので、うまくやれば 傷つけずに無力化できそうです…
- さな: 近づいて…! 思いっきり盾でプレス…!
- 三郷の兵: [live2dName:live2d_0:effect_shake]な、急に重く…
- 三郷の兵: [live2dName:live2d_1:effect_shake]うわぁっ!
- 三郷の領主: あの圧倒的な武と 兵がひとりでに倒れる面妖な技…
- 三郷の領主: まさか、あの娘も戦神子か…!? 正綱め…何という駒を…
- 三郷の領主: やめさせろ、水名の娘!
- 露: 自国の民を傷つけるのをやめれば 私たちも手は出さないわ
- 三郷の領主: 言いたいことは理解できるが 必要なことだ、わかれ…!
- 露: わかりません!
- 三郷の領主: 水名が離反したと、 お館様に報告してもよいのだぞ!
- 三郷の領主: 我ら一門に対してお主らは外様
- 三郷の領主: 加えてお館様の意に背いて 私徳政まで行っている
- 三郷の領主: そんな一族を領主に据えるほど お館様は優しくはないぞ!
- 露: この国の各地を治めているのは 古くから根付いた豪族たち
- 露: 隅谷みたいな外から来た者と違い 民と苦楽を共にしてきた!
- 三郷の領主: ならばこそ刃を向けるなと 言うのであれば
- 三郷の領主: 私にも理解できるぞ、露姫
- 露: それなら、なぜ!
- 三郷の領主: この三郷を継いできたとはいえ 私も今となっては隅谷の一門
- 三郷の領主: 水名のように自由が許される 立場ではないのだ
- 三郷の領主: 隅谷に仕える身である我々は 年貢を納めねばならない
- 三郷の領主: 窮状を訴えて変わらぬ今、 涙して民から吸上げねばならん!
- 三郷の領主: 今は姫の理想と旧来の仲に免じて 見なかったことにしてやる
- 三郷の領主: だが、少しでも抵抗してみせろ 弱小の水名を沈ませるのは簡単だ
- 露: でも…!
- 三郷の領主: 隅谷の兵力は三万を超える 対して北養はせいぜい三千だろう
- 露: ――っ!?
- 三郷の領主: 己の民を生かせ!
- 露: 鶴乃、さな… もういいわ、ありがとう…
- 鶴乃: わたしたちで止められるような 簡単なものじゃなかったね…
- 露: 私が無理をすれば 北養の人に迷惑がかかる…
- 露: これ以上逆らうようであれば、 本当にただじゃ済まなくなる…
- さな: 隅谷っていう守護に考えを改めて もらうしかないんでしょうか…
- 露: 妖魔を操る泰党を破る方法を 考えた方が早いかもね…
- 鶴乃: あー…そこはできれば、 仲良くして欲しいけど…
- 鶴乃: ほっ?
- 鶴乃: っていうかそうだ! 仲良くなっちゃおうよ!
- 露: え…?
- 鶴乃: 大事な人って 傷つけたくはないものでしょ?
- 鶴乃: だから、泰党と仲良くなれば 妖魔を操るのをやめるかも!
- 露: 考えもしなかった
- 露: 相手を籠絡できれば 被害は最小限で済むわね
- ねむ: 考えたね
- 鶴乃: 泰党が妖魔を操ってるって 完全に信じちゃってるからね
- 鶴乃: いっそ、相手を知りに行くことが 手を結ぶ近道だと思ったんだよ
- さな: 千鶴さんに近づきつつ、 飢饉周りも解決させたいですね…
- さな: これ、魔法少女の反応…? 鶴乃さん…!
- 千鶴の声: 「ヒドい有様だな…」
- 千鶴: よお この間ぶりだな、水名露
- 露: 何しに来たの…千鶴…
- FILENAME: text_518310-12_sw8iW.txt
- 鶴乃: 露姫様…さっき言った通り 仲良くなれば妖魔の件だって…!
- 露: 解決できるって言うんでしょ!? わかってるわよ…!
- 千鶴: 西の奴らが暴れ出したって聞いて 様子を見に来たんだが
- 千鶴: 家族である民に刃を向けるなんざ 呆れちまって言葉も出ねえな
- 露: それには訳が…!
- 千鶴: 訳もクソもあるかよ こっから見える光景がすべてだろ
- 露: 私たちの意思は微塵もない! むしろ止めに入ってたんだから!
- 千鶴: それでこの有様だって言うなら 水名露ってのはそこまでだ
- 露: なっ…
- 千鶴: 多少は西の戦神子に期待してたが 買いかぶり過ぎたかな…
- さな: 今のうちに露姫様をなだめないと 話がこじれちゃいませんか…!?
- 鶴乃: おし!
- 鶴乃: いっそ、今の状況を利用して 千鶴ちゃんを引き込もう!
- さな: えっ、えっ どうするつもりですか…?
- 鶴乃: この惨状を解決するには わたしたちの力じゃ足りないから
- 鶴乃: 仲間になって助けてくれって 千鶴ちゃんにお願いするんだよ
- さな: この状況に苛立ってるようですし 気持ちは同じかもしれませんね…
- 鶴乃: うん、可能性は限りなく低いけど やれるだけやってみよう!
- 鶴乃: 聞いて千鶴ちゃん!
- 千鶴: あ?アンタ誰だ…
- 露: いいわ、鶴乃 私は彼女と手は結ばない!
- 鶴乃: ん、なんでぇ!?
- 露: こうも私に牙を剥いてくるなんて 千鶴に仲良くする気がない証拠よ
- 露: それに、この子は 妖魔を手駒として操る諸悪の根源
- 露: 何百年という時を越えて 打ち倒すべき相手に変わりないわ
- 鶴乃: そんなことないと思うけど…
- 千鶴: お前が泰党のことを 何と思ってるかは知らねぇよ
- 千鶴: けど、ハッキリした
- 千鶴: 泰党はテメエらに門戸を開かねぇ それが正解みてぇだ
- 鶴乃: 千鶴ちゃん…!
- 千鶴: この惨状にお前の意思がねぇなら 潰されてもいいから戦えばいい
- 千鶴: もしくは誰とも関わらないように 泰党と同じく門戸を閉じればいい
- 露: 簡単に言わないで
- 露: 三郷の彼らとも隅谷が来る前は 共に手を取り合えていたんだから
- 千鶴: 泰党だって同じなんだけどな なんならアタシらは盟友だ
- 露: 気持ち悪いウソを吐かないで!
- 千鶴: んじゃ、気持ち悪いアタシは ここから消え去りますよ
- 鶴乃: うぉぉぉ… 完全にしくじっちゃった…
- 鶴乃: わたし、歴史変えてない!? 未来変わったりしてないかな!?
- ねむ: 恐らく大丈夫だと思うよ まだ帳尻は合うはずだからね
- 露: 鶴乃、さな
- さな: は、はいっ!
- 露: 穴を掘るのを手伝ってくれる…?
- 露: 逃げた人は戻らないと思うから 死んだ人は弔ってあげたいの
- 鶴乃: うん…
- 露: ありがとう… ごめんね、こんなことをさせて…
- FILENAME: text_518310-13_sw8iW.txt
- 正綱: 三郷の徴税は終わったようだな…
- 水名の家臣: 一部逃散する者が現れたものの ほぼ食い止められた模様
- 水名の家臣: しかし、此度の徴収では足りず 三郷は私財を切り崩す様子です…
- 正綱: 逆さまに振っても出ないものを 叩いたところで何も変わらぬ
- 正綱: 今回ばかりは三郷の失策だな…
- 水名の家臣: 総体的に水名が 評価されるかもしれませんな
- 正綱: 喜べる話ではない 滅多なことは言うな
- 水名の家臣: 失礼…
- 露: あの、父上…
- 露: 三郷からは何か邪魔が入ったなど 話は上がっていませんか…?
- 正綱: いや、特には…
- 露: ――っ!?
- 正綱: 何か知ってるのか…?
- 露: い、いえ…
- 露: ひどい有様だと伺ったので、 周りも黙ってなかったのではと…
- 正綱: あったとしても、取り立てて 話すことでもなかったのだろう
- 正綱: 昼夜を問わずに飛び回る虫が、 火中に飛び込んできた…とか…
- 露: …………
- 正綱: 火が回って面倒になる前に、 冷や水を浴びせてくれたようだな
- 露: そう、みたいですね…
- さな: いろはさんの概念は ちゃんと戻って来てますけど
- さな: 露姫様と千鶴さんは どう仲良くなるんでしょうか…
- さな: 鶴乃さんって神浜市のドラマで 千鶴さんを演じてましたよね…?
- 鶴乃: だからって 史実の経緯なんて知らないよ!
- 鶴乃: 500年経った想像の千鶴と 本物の千鶴は全然違うんだから!
- さな: ですよね…すみません…
- 鶴乃: あぁ、声を荒げるつもりはなくて ただちょっと不安と言うか…
- さな: 刻々と時間は経ちますからね…
- さな: 魂の器にいろはさんの概念が 回収されているっていうことは
- さな: いろはさんがたどった歴史から 外れてないんですよね…?
- ねむ: そうだね
- ねむ: もしも、危機的状況になれば、 僕もすぐに伝えるよ
- ねむ: それに、お姉さんは何年も 旅していたわけじゃないから
- ねむ: 遠くない先の出来事で、 変化はあるんじゃないかな
- ねむ: 僕がお姉さんの記録を読む限り ふたりは手を取り合ってるからね
- さな: ―さな― 露姫様と千鶴さんを このカササギさんが結んでくれますよね…
- 鶴乃: ―鶴乃― カササギ様、カササギ様! どうかどうか、ふたりを結んでくださいませ!
- 鶴乃: ―鶴乃― 未来が変わってしまうのは どうしても避ける必要があるんです!!
- さな: このカササギさん あまり飛んだりもしませんし
- さな: もしかして、 体調が悪いのかもしれません…
- 鶴乃: たしかに! 英気を養う必要があるのかも!
- カタッ
- 鶴乃: ほら、カササギ様 たっぷりエサを用意しましたよ
- さな: 何か好物ってあるんでしょうか…
- 鶴乃: んー…現代だったら スマホで調べられるんだけどね…
- 露: なにしてるの?
- 鶴乃: おわぁっ!
- どてんっ!
- 鶴乃: うっ…たたぁ…
- 露: ちょっと…平気…? ふたりで籠を触ってたけど…
- さな: ええっと…
- さな: カササギさんの元気が出るように エサをあげようとしてまして…
- 露: えっ、元気がなかった…!?
- 鶴乃: と、言うよりも いつもよりさらに元気にって
- 鶴乃: こちらのカササギ様を…
- 鶴乃: カササギ様を…
- さな: カササギさん…
- ねむ: まさか…
- 露: ちょっと!!
- 露: 向こう!空! 逃げちゃってるじゃない!!
- 鶴乃: …………
- さな: …………
- 露: 固まってないでよ!
- 露: ねえ、初めに私はふたりに ちゃんと説明したはずよね!?
- 鶴乃: …はい
- 露: 父上にもらった大切な鳥で この国にいないって!
- さな: はい…
- 露: 信じられない…!! 由比鶴乃!出ていきなさい!
- 水名の家臣の声: 「何事ですか、姫様!」
- 露: ――っ!?
- 露: ご、ごめんなさい… 言いすぎてしまったわ…!
- 鶴乃: いえ、悪いのはわたしでして… カササギ様も露姫様も悪くは…
- 水名の家臣の声: 「姫様!」
- 露: 平気! 少しごたついただけ!
- 鶴乃: …………
- 露: 叫んだから、鳥を逃がしたのは 鶴乃だってバレてる…
- 露: 父上に知れたら ひとたまりもないわ…
- さな: どうすれば…
- 露: 抜け道を教えるから、 そこから水徳寺に避難して…
- ねむ: なんとか抜け出せたけど 困ったことになったよ
- 鶴乃: 露姫様と千鶴ちゃんを結ぶ カササギが…逃げちゃったよ…
- さな: どど…どうしましょう…
- さな: エサなんて あげなきゃ良かったです…
- 鶴乃: 身から溢れ出たサビ… 申し訳なさすぎる…
- FILENAME: text_518310-14_sw8iW.txt
- 鶴乃: 麗らかな昼下がり
- 鶴乃: 今日もお寺とお墓の掃除に励んだ わたしとさなは
- 鶴乃: 城に帰ることも許されず カササギを捜す毎日…
- さな: 悪あがきだと思ってましたけど 本当に見つかりませんね…
- さな: 時女一族のちかさんがいれば 動物の言葉がわかるので
- さな: 可能性はあったと思いますけど…
- 鶴乃: …いない人を当てにすると 虚しくなるからやめておこう…
- さな: すみません…
- 鶴乃: いえ、謝るのはわたしです…
- 鶴乃: いろはちゃんの概念は 回収されてるから
- 鶴乃: まだ本来の歴史から 大きく変わったわけじゃない…
- さな: 今ならまだ 軌道修正が可能なんですよね…?
- 鶴乃: うん…
- 玄雲: さしもの戦神子と言えど、 鳥1匹を探すのは難しいようだな
- さな: あ、玄雲さん…
- 鶴乃: 何か御用ですか?
- 玄雲: うむ、戦の準備に入るので、 これから少し慌ただしくなる
- 玄雲: すまないが承知してくれ
- 鶴乃: 戦…?
- 鶴乃: お寺も…!?
- 露: もう少し詳しく説明してあげてよ
- 玄雲: ふたりを巻き込むのは 露にとっても不本意であろう
- 露: その優しさは嬉しいけど、 ふたりには伝えても平気よ
- 露: せっかく立ち寄ったことだし 私から伝えるわ
- さな: それで、何があったんですか…?
- 露: 簡単に言うとね、 泰党攻めが決まったのよ
- さな: え…本当ですか…?
- 露: 偽りではないわ
- 露: 妖魔を使う危険な賊ということで 水徳寺の人が調べを進めていてね
- 露: ようやく泰党の里へ繋がる道を 見つけることができたんですって
- 露: これで、飢饉も終わりを迎えるわ
- 鶴乃: 水徳寺の人たちも戦いに出るのは 最初から関わってたからなんだ…
- 露: ちなみに、今回の戦いには もうひとつの目的があるのよ
- 鶴乃: 飢饉を終わらせる以外に…?
- 露: ええ、飢饉で起きている弊害も 合わせて解決するつもりよ
- 露: 泰党は何百年もの間 多くを殺して盗みを働いてきた
- 露: その際に奪った金品がね 保管されている可能性があるの
- 露: 今までの被害が少しでもあれば 徳政で失う財源を確保できるわ
- 鶴乃: でも、それって略奪じゃ…
- 露: 奪われた分を返してもらうだけ
- 露: それに、被害を減らすためにも 穏便に済ませるつもりよ
- 鶴乃: そっか…
- 鶴乃: 国全体の問題となると、 かなり大きな動きになる…?
- 露: 守護の隅谷が号令を出して 守護代の熊井を筆頭に集うから
- 露: 三郷も凪津も巧生も含めて ひとつの地域を叩くことになる
- 露: かなり大きな動きではあるけど 決着まで何刻もかからないはずよ
- さな: 露姫様も行くんですか…?
- 露: 東の戦神子が… 千鶴が向こうにいるからね
- 露: あれを止められるのは私だけよ
- 玄雲: 露、説明は済んだか
- 露: ええ、すぐ行くわ
- 露: あと、ごめんなさい
- 露: カササギの件は父上の怒りが 収まりそうになくて
- 露: まだ、城には戻れなさそう…
- 鶴乃: あぁ…うん… それは気にしないでいいよ…
- 鶴乃: ただ、ひとつ聞かせて
- 露: なに?
- 鶴乃: 千鶴ちゃんと遭ったらどうする?
- 露: …………
- 露: 殺したくはないわ
- 鶴乃: 殺したくはない…か…
- FILENAME: text_518310-15_sw8iW.txt
- 鶴乃: ねむ…
- ねむ: 何かな?
- 鶴乃: カササギが露と千鶴を結んだのは 本当にあった伝承なんだよね?
- ねむ: その通りだよ
- 鶴乃: このまま放置してたら おかしくなると思う…?
- ねむ: 難しい問題だね
- ねむ: 現代から過去に来た僕達に 何の変化もない以上は
- ねむ: 細かい歴史に差異が生じても 自動で修復される証拠だと思う
- ねむ: ただ、露と千鶴に関することは あまりに致命的過ぎる
- ねむ: タイムパラドクスが生じる前提で 動くべきだと思うよ
- さな: いろはさんが記録した内容からも 大きく外れますしね…
- ねむ: 修復できないほどの歪みなら、 僕達自身も消滅するよ
- 鶴乃: …ならば!
- さな: ぴゃっ!?
- ねむ: 最強さんは いったい何をするつもりかな…?
- 鶴乃: いっそのことわたしたちが ふたりを結ぶカササギになる!
- 鶴乃: つまり、仲良しにするための、 キューピッドになるんだよ!!
- ねむ: また突飛なことを…
- さな: でも私は いい考えだと思いました…!
- 鶴乃: よっし!
- さな: キューピッドとしてふたりを 会わせないといけませんね…
- さな: 会って欲しいって言っても 断られそうですけど…
- 鶴乃: 戦場なんだから、 偶然の邂逅を演じるしかないよ
- さな: でも、 どちらかが死ぬと取り返しが…
- 鶴乃: そこは大丈夫
- さな: …でしょうか?
- 鶴乃: こんな戦乱の世であっても 露姫様に殺す気はなさそうだもん
- さな: さっきも、殺したくはないって 言ってましたね…!
- 鶴乃: それにご神木を狙った農民たちも 軽いケガで済んでたからね
- 鶴乃: いや、待てよ… 千鶴ちゃんの方が殺す気なら…
- さな: むしろそちらの方が 心配ないような気がします…
- 鶴乃: そう?
- さな: 千鶴さんが現れたときは、 仲間を連れずにひとりきり…
- さな: 奇襲の機会もあったのに 普通に話しかけてきてますし
- さな: ただ、露姫様のことを 気にしてるとしか思えなくて…
- さな: それこそ、今回の戦いでは 状況が変わっているので
- さな: 希望的観測でしかないですけど…
- 鶴乃: わたしにだって 殺し合わない確信はないけど
- 鶴乃: 何もせずにふたりの関係が 修復不可能になるぐらいなら
- 鶴乃: ふたりを引き合わせて 何か起きることに期待したい!
- さな: それは、私もです…!
- 鶴乃: それならやってみよう! わたしたちも泰党攻めに参加だ!
- 三郷の領主: 熊井殿より合図があった! 弓隊、森の中の敵を炙り出せ!
- 三郷の領主: 炙り出して逃げてきた敵は 後方の隊で討ち取る!
- ぶぉおぉ~~~~
- FILENAME: text_518310-16_sw8iW.txt
- さな: はぁ…はぁ… もう、姿がどこにもありません…
- 鶴乃: でも、さっきまでみんなは この辺りに居たはずだよ
- 鶴乃: ほら、火を使ったあとがある
- さな: あ、馬の足跡もあります…
- 鶴乃: 土が飛んでる方向から推察すると 向かったのは森の中…
- さな: ひっ…
- 鶴乃: な、何これ…
- さな: どこを見ても人が倒れて… 皆さん…血が…
- 鶴乃: 誰か…! ぶ、無事ですかぁ…!?
- 鶴乃: …………
- さな: 返事…ありませんね…
- 鶴乃: …っ
- 鶴乃: 冷たい… 死んでる…よね…?
- 僧兵の声: 「う…逃げ、ろ…」
- 鶴乃: わぁっ!
- さな: この方… 水徳寺に居た方です…!
- 鶴乃: うん…見たことがある…
- 僧兵: この森は…作られた…迷路… 相手の、独壇場だ…
- 鶴乃: 他のみんなは…!?
- 僧兵: 隊列を整えるのもままならず… 森の中に散った…
- 僧兵: 耳を澄ましてみろ…
- ……………………
- …………
- キンッ…カッ…
- 「ハァアアアッ…!!」
- さな: 場所はわからないですけど たしかに声や音が聞こえます…
- 鶴乃: うん、わたしも聞こえた…
- 僧兵: 逃げろ…ここは地獄…
- 僧兵: ぐぅっ…!
- 鶴乃: ああっ…
- 泰党の兵: 迷い込んだが最後 女とて容赦はしねえぞ
- 鶴乃: くっ…
- 泰党の兵: かわした…!? なるほど新たな戦神子か…!
- 泰党の兵: 何百、何千と増えようが 何も変わらねえさ
- 鶴乃: さな!
- さな: 任せてください!
- さな: えいっ!
- 泰党の兵: がっ…
- さな: 大丈夫ですか、鶴乃さん…!
- 鶴乃: うん…
- 鶴乃: それにしても、 襲われて状況が見えてきたね…
- 鶴乃: この森の迷路が大きな兵力差を 完全に埋めてるみたいだ…
- さな: 早く露姫様たちを探さないと…!
- 鶴乃: ちょっと苦労しそうだけどね
- 鶴乃: 露姫様の反応があった
- さな: それにもうひとり、 この反応は千鶴さんですよ…!
- 鶴乃: 場所は離れてる…
- 鶴乃: キューピッドになるには、 別々に行動する必要があるね
- さな: それなら、私は千鶴さんの所へ…
- 鶴乃: わたしは露姫様の所へ行くよ
- 鶴乃: それでバラバラのふたりが 出会う状況を無理矢理作り出す
- さな: あとは鶴乃さんの幸運と 運命に任せるしかありませんね…
- 鶴乃: うん…!
- FILENAME: text_518310-17_sw8iW.txt
- ガキンッ!
- サクッ…
- 正綱: く…
- 山右衛門: どれだけ刀を無駄にするのか これ以上は戦っても無駄だ
- 正綱: 諦めてなるものか…
- 正綱: ようやく見つけた泰党の里… その頭領、万守山右衛門!
- 正綱: お主の首ひとつが 多くの民を救うことになるのだ!
- 正綱: ハァアッ!!
- 山右衛門: ヌンッ!
- パキンッ!
- 正綱: ――っ!?
- 山右衛門: これで脇差も使えんぞ
- 正綱: …理解ができん 貴様らの武具は頑丈すぎる…
- 山右衛門: テメエらには残されちゃいない 古の技術で作ってるからな
- 山右衛門: まあ、職人の魂を買いたたく 西のヤツには手に入らん代物だ
- 正綱: …買いたたく…?
- 山右衛門: 知らねえのか…?
- 山右衛門: 守護代の熊井が巧生の職人に 破格で武具を作らせてたんだよ
- 山右衛門: その武具を熊井のヤツは 水徳寺に隠してたから
- 山右衛門: 俺たちが盗みに入って 差額をちょうだいしたんだよ
- 正綱: 水徳寺が今回の派兵に 加わった理由が見えてきたが
- 正綱: 巧生の職人衆に 金をばらまいたのが貴様らとは…
- 山右衛門: あるべきところに返しただけだ
- 山右衛門: とまあ、土産話もそこそこにして そろそろ兵を退け、水名
- 正綱: …………
- 山右衛門: 昔は手を取り合ってたよしみで 見逃してやるっつってんだ
- 正綱: 手を…取り合っていた…? 馬鹿も休み休み言え…!!
- 山右衛門: 隅谷が守護として来るより ずーっと昔はそうだったろ
- 山右衛門: 俺たちは俺たちの仲間内で ひっそりと暮らしてえ
- 山右衛門: だからテメエら水名が表を守り 俺らが裏を守るはずだった
- 正綱: 馬鹿な…
- 山右衛門: 知らねえ間に仏さんなんてもんが この地にも迷い込んできて
- 山右衛門: テメエらが肉を食う俺らの祖先を 勝手に避けるようになったんだ
- 山右衛門: まぁ、 そんなしょうもねー理由だから
- 山右衛門: 世間から隔離されてる 俺たちしか覚えてねぇんだろうな
- 正綱: …聞かせてどうしたい
- 山右衛門: 昔のよしみを伝えただけだ 何の意図もねぇよ
- 山右衛門: 強いて言えることがあるなら 俺らのことは忘れて消えろ
- 正綱: ここには、お主の仲間が 他にも潜んでいるからか…
- 山右衛門: わかっているなら…
- 正綱: それでも、貴様ら泰党とは 何百年を越える因縁があるのだ
- 正綱: それだけではない
- 正綱: 相磨の国に生きる民のためにも 退くわけにはいかぬ
- 山右衛門: へ、飢饉の穴埋めをするために 俺たちの財を奪う気か
- 正綱: 奪うのではなく、返してもらう! これまで奪ったものをすべて!
- 山右衛門: …っ、まだそんな力が残ってたか だがな、袋の鼠だ!
- 泰党の兵: 水名正綱、その首もらった!
- 正綱: ここまでか…!
- 露: 大丈夫ですか、父上!
- 正綱: 露…!
- 山右衛門: 千鶴の言っていた西の戦神子か…
- FILENAME: text_518310-18_sw8iW.txt
- 千鶴: ひとまず片付いたか…
- 兵士の声: う…
- 千鶴: こうして生かしてばっかじゃ 親父に怒鳴られるんだろうなぁ…
- 千鶴: …………
- 千鶴: (水名露だってコイツらと同じ… 泰党のことを目の敵にしてる…)
- 千鶴: (だけど…)
- 千鶴: アイツは三郷の奴らが自国の民を傷つけるのを 止めようとしていたような気がする
- 千鶴: 感情的になって罵倒しちまったけど 話してみりゃ アタシらと近いのかもしんない
- 千鶴: そんな風に思ってたけど こうも攻めてくるなんてな…
- 千鶴: 勝手に期待を裏切られてばっかだ アタシってヤツは…
- 千鶴: はっ…
- 千鶴: くっ!
- 僧兵: 冥府で悔い改めよ!
- 千鶴: 何をだよ!
- 僧兵: グゥッ…!
- 千鶴: しまっ…刺さった…
- 玄雲の声: 殺生の意味を知らぬ童が 来るようなところでないぞ!
- 千鶴: うそだろ、いつの間に…!
- 玄雲: ぇえいッ!
- 千鶴: うぁあっ!
- 千鶴: ケホッ… お前…水徳寺の…
- 千鶴: 親父よりすげぇ力なんて…
- 玄雲: 奇跡を起こして生まれた戦神子も 童であればこの程度か
- 玄雲: ひとりで戦局を塗り替えるような 露ほどの力かと思っていたが
- 玄雲: 買いかぶっていたようだな 過去に逃がしたことが悔やまれる
- 千鶴: うるせえ!!
- 玄雲: ぬっ…
- 千鶴: 今回だって負けねぇよ ここで殺してやる!
- 玄雲: ならば、この身を差し出そう! さあ、心の臓を狙え!
- 千鶴: あ…っ…
- 玄雲: 実力ではなく、 覚悟の問題のようだな!
- 千鶴: うぁあッ…!!
- 玄雲: ここまでだ、娘
- 千鶴: 坊主が殺生なんていいのかよ 肉すら食わねえんだろ
- 玄雲: 悪辣な者たちを浄土へ導く それ故の殺生ならば許される
- 千鶴: けっ… どっちが悪人かわかんねぇや
- 千鶴: アタシたちは皆を生かすために 罪を背負ってるだけだからな
- 玄雲: 拙僧もまた同じく 救うために殺める者なり
- 千鶴: テメエの刃からは、 いやぁな臭いがしてんだよ
- 千鶴: このクソ坊主ーーー!!
- 露: 聞け!万守山右衛門!
- 露: 泰党が操る妖魔のせいで、 多くの者が餓えて命を落とした!
- 露: 人に向けるべき刃ではないが、 今ばかりはその頚木を解いて
- 露: その首、もらい受ける!
- 山右衛門: はぁ…はぁ… 千鶴とはちげぇ…
- 山右衛門: 腹の決まった戦神子ってのは 強えもんだな!
- 露: はぁああッ!
- ガィンッ!
- 鶴乃: 待って、露姫様!
- 露: 鶴乃!?裏切る気!? そこをどきなさい!
- 千鶴: なっ… お前は水名露と一緒に居た…
- 千鶴: なんで坊主を守ってやがる… 邪魔立てすんじゃねぇ!
- さな: まだです…!
- さな: まだ本気で殺し合うような 状況じゃないと思います…!!
- 千鶴: はぁっ!?
- 鶴乃: まだ、手を取り合える そんな最善の未来があるはず!
- 鶴乃: だから!
- さな: お願いです!!
- 鶴乃: わたしたちが道を作る!
- さな: なので…!
- 鶴乃&さな: 「千鶴ちゃんと一度会って話してきて!」 「露姫様と話し合ってきてください…!」
- FILENAME: text_518310-19_sw8iW.txt
- 露: 森の中に…道が…
- 鶴乃: 向こうにさながいて、 一緒に千鶴ちゃんもいるはずだよ
- 鶴乃: ふたりの場所は繋いだから あとは真っ直ぐ会いに向かって!
- 鶴乃: ぅ…
- 露: 鶴乃…!
- 鶴乃: わたしなら大丈夫 正綱様を守る力も残ってる…!
- 鶴乃: だから、早く!
- 露: …わかった
- 露: だけど、話し合いのためじゃなく あの子を片づけるために行くわ
- 露: 泰党に戦神子がいるのは 私たちにとって脅威になるもの
- 鶴乃: えぇぇ… どうして、そうなるのぉ…!
- 山右衛門: 援軍到着… 水名正綱の命運は尽きた!
- 鶴乃: 兵隊だって言っても気は抜けない 頑張りどころだぞ、わたし!
- 僧兵: ぬぐっ…!
- 僧兵: 玄雲殿、何者かに阻まれて 戦神子を追えませぬ…!
- 玄雲: むぅ…姿を消す妖術とは、 また面妖なことをする者が…
- さなの声: 私は露姫様や鶴乃さんと 一緒にいたもうひとりの戦神子…
- さなの声: 生きている普通の方々には 見えない存在なんです…
- さなの声: どうか、今は千鶴さんと露姫様の 成り行きを見守ってください…
- 僧兵: い、一瞬声が…! 霊や妖怪の…たぐいでは…!?
- 玄雲: うろたえるな…!
- 玄雲: …………
- 玄雲: 我々がここで成り行きを見守れば お主は手出しせん
- 玄雲: 合っておるか
- さなの声: はい、そうしていただけると 嬉しいです…
- 玄雲: …どうせ手も足も出ぬ相手だ そなたに従おう…
- 露: 泰党に戦神子がいるだけで 戦況は変わるかもしれない…!
- 露: だから、ここであなたを倒すわ 千鶴!
- 千鶴: 『本気で殺し合う状況じゃない』 って露の方が殺る気じゃねぇか!
- 千鶴: くそ、完全に乗せられた!
- 露: 妖魔を止めなさい!
- 千鶴: 妖魔妖魔ってうるせぇよ! 最初からアタシらは関係ねえ!
- 千鶴: なんなら、テメエらの方が 妖魔よりタチがわりぃだろ!
- 露: なんですって…!?
- 千鶴: 富を蓄えるだけ蓄えて、 民は見殺しなんだからなぁ!
- 露: 泰党だって、どれだけ人を 苦しめたと思ってるの!
- 千鶴: ちっ、 急所を狙うたぁ、本気だな…!
- 露: 先に狙ったのはあなたでしょ!?
- 露: 「あなたとぶつかると 感情が混ぜこぜになるみたいで嫌だわ…」
- 千鶴: 「アタシだって気持ち悪ぃよ!」
- 千鶴: 「けど、水名とは盟友だったって知って そこの姫様が戦神子だって知って なんか、仲良くなれる気がしてたんだ!」
- 露: 「盟友だなんて私は知らない!」
- 露: 「私が知る泰党は 関所で金品を巻き上げたりする狼藉者で 人々を苦しめる存在だということ!」
- 千鶴: 「言っとくが、アタシらは この地に生きるヤツらを裏切ったりしねえ」
- 千鶴: 「妖魔の側に堕ちたのはテメエらだ水名!」
- 露: 言ったわね…
- 千鶴: 言ったさ…
- 千鶴: だから、妖魔に堕ちたテメエを 潰してやるよ、水名露!!
- 露: 妖魔を操る者に言われたくないわ 千鶴!!
- FILENAME: text_518310-20_sw8iW.txt
- 千鶴: く…そ… 結構深く…刺さり…やがった…
- 露: あなたも…容赦ない…わね…
- コト…
- 千鶴: ―千鶴― その貝殻…あん時の… 持って帰ったのか…
- 露: ―露― 手放しちゃ…いけない気がして…
- 巫: 「私とあなたとは生まれも立場も違っていて 決してこの地で認められる間柄ではなかった」
- 巫: 「でも、それで自分が悲しんだからと言って 一族を恨んだりはしません 私はみんなが自由に幸せな暮らしができるように この村を変えてみせます」
- 巫: 「だから生きていたら私のことを思い出して 私は今もここで待っているから…」
- 露: ―露― どこかで…私とあなたのことかと思った… だけど泰党を…認めるわけにはいかなかった…
- 露: ―露― あなたの言葉や…怒りに触れて… 民を想う…私と同じ姿を見たとしても…
- 露: ―露― 父や…玄雲の言葉が… 間違っていたことに…なる…から…
- 千鶴: ―千鶴― …間違うことも…あんだろ…
- 千鶴: ―千鶴― それに…アタシだって…アンタだけは 違うって思ってる…
- 千鶴: ―千鶴― 三郷に殺された農民の墓… 作ってやってるとこ…見たからな…
- 露: ―露― そう…だったのね…
- 千鶴: ―千鶴― …これ、やるよ
- 露: ―露― 書状…?
- 千鶴: ―千鶴― 親父が…燃やそうとしたの…守ってた… アンタんとこの群印が…押されてる…
- 露: ―露― え…
- 千鶴: ―千鶴― アタシらが…ひとつだって…証拠だ… 露の親父に、見せろ…
- 千鶴: 「ダメだ…もう…声を出すのもつれぇ… 念話で限界だ…」
- 千鶴: 「血を流しすぎた…」
- 露: 「私たちは…妖魔でも…なんでもない… 同じ血が流れてる…人間なのね…」
- 露: 「泰党だからって…バケモノじゃない…」
- 千鶴: 「アタシを…なんだと思ってる…」
- 露: 「私と…同じかもしれない子…」
- 千鶴: 「なんだそりゃ…」
- 露: 「ふふっ…」
- ……………………
- …………
- 鶴乃: 露姫様!
- さな: 千鶴さん…!!
- 鶴乃: 出血がヒドい… さな…グリーフシードで…!
- 鶴乃: 間に合うかな…
- さな: はい…まだ息はあるので 大丈夫です…!!
- 露: …………
- 千鶴: …………
- 鶴乃: いやぁ、良かった! ふたりとも生きてるよお!
- さな: ただ、ここまで争ったなら…
- 鶴乃: ふたりが仲良くなるだなんて 夢のまた夢…
- 正綱の声: 「露ーーーー!!」
- 山右衛門の声: 「千鶴ーーーー!!」
- 鶴乃: まずい、泰党が退いたと思ったら そろって回収しに来た…
- さな: 鶴乃さん…
- さな: 私、千鶴さんに付いて行って 露姫様への誤解を解きます…
- さな: なので、2羽のカササギとして どこかで合流しましょう…
- 鶴乃: 向こうに潜入となると… うん、さなしかできない…
- 鶴乃: わかったけど、気をつけて…!
- さな: 普通の人には見えないので 大丈夫です…!
- 露: 戻ったわ、鶴乃
- 露: …っ、たた
- 鶴乃: ああ…まだ傷が癒えてないから 無茶しちゃ駄目だよ
- 露: 戦神子とは言っても、 回復するのに限界はあるわね
- 露: それより、千鶴から預かった 書状についてなんだけど…
- 鶴乃: 本物だった!?
- 露: ええ…
- 露: 私たちの家宝である群印と 完全に一致するものだったわ
- 鶴乃: それなら、泰党の山右衛門と 千鶴ちゃんの言ったことは本当で
- 鶴乃: 水名と水徳寺と泰党は昔… 手を取り合っていた…
- 露: あの子が…千鶴が… 西の戦神子である私を探って
- 露: また手を取り合う道を 探っていたのだとすれば
- 露: 本当に妖魔なんて 操ってないのかもしれない…
- 鶴乃: …泰党による義賊行為も 民を守るための行為だった…
- 露: かつての約束を忘れた私たちを 罰していたのかもしれないわね…
- [Part 1 end]
- ---
- [Part 2 start]
- FILENAME: symbol_518320-1_cyov4.txt
- 隅谷: 先の泰党との戦いであるが
- 隅谷: お主に一任したものの@敗戦して戻ったようだな
- 熊井: この熊井、お館様の前にて@言い訳は一切致しませぬ
- 隅谷: それで、私はどうすればいい…
- 隅谷: あれだけの兵力を送り出して@負けたともなれば
- 隅谷: 他国にあなどられるばかりか@家臣への示しもつかぬ…
- 隅谷: 父上が築かれてきたものが@崩れさるような思いだ…
- 熊井: ご安心くだされ
- 熊井: この熊井、@すでに手は打っておりますゆえ
- 熊井: お館様の威厳は必ずや@取り戻すことができるでしょう
- 隅谷: 次は期待しているぞ、熊井
- 熊井: ははぁっ
- 鶴乃: よしよし…順調順調…
- ねむ: カササギ役として動いたのが@功を奏しているようだね
- 鶴乃: ふたりが倒れてる姿を見たときは@『終わった』と思ったけど
- 鶴乃: 概念が回収される様子を見れば@歴史が歪まなかったのがわかるね
- バタンッ
- 露: 喜びなさい、鶴乃!
- 鶴乃: [chara:100301:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]わっ、ど、どうしたの!?
- 露: ようやく泰党と連絡が取れて、@相手の使者と話ができたのよ!
- 鶴乃: おっ、それでそれで!?
- 露: 父上は、あの書状の確認も兼ねて@山右衛門を城に招くことにしたわ
- 鶴乃: おおお!
- 鶴乃: さなが向こうで千鶴ちゃんを@説得してくれたおかげだね!
- 鶴乃: あれっ…でも大丈夫なの…?
- 鶴乃: 相手にとっては少数で@敵地に入ることになるけど…
- 露: 泰党の本拠地を知られるより、@都合がいいみたいよ
- 露: 千鶴も来るそうだから@きっとさなも戻ってくるし
- 露: 良かったわね、鶴乃
- 鶴乃: …うん、無事に再会できそうだよ
- 正綱: 幼き頃、おとぎ話のような過去を@祖父から聞いたことがあった…
- 正綱: 水名、水徳寺、泰党の長が集い、@ご神木の前で誓いを交したと…
- 正綱: この書状こそが証拠…@忘れていたことは我らの罪…
- 正綱: どうか…許して欲しい…
- 山右衛門: 何百年も昔の話だ@俺は廃れて当然だと思ってる
- 山右衛門: だから、そんな書状なんてもんは@捨てちまって
- 山右衛門: 泰党の仲間と父祖の地を守って@のんびり暮らすつもりだった
- 山右衛門: てめぇら武士とは違って@領地や権力に興味はねぇからな
- 正綱: 私も欲深くはないが
- 正綱: ともかく、そなたの娘が@その書状を生かし
- 正綱: 私の娘が我々を繋いでくれた
- 千鶴: …………
- 露: …………
- 山右衛門: だから手を組みてえって話か…?
- 千鶴: 親父…@ケンカ越しでいくなよ…!
- 正綱: 私も同盟を組む気はない
- 正綱: だが、互いに民を守るという@同じを意志を携えている
- 正綱: いずれは共に手を取り合い、@かつての国を取り戻すことを願う
- 千鶴: なんで今じゃダメなんだ…!
- 露: 飢饉の最中に侵攻した結果@どこの領地も疲弊している…
- 露: その中で泰党と手を結べば、@裏切り者として標的にされるわ…
- 山右衛門: 姫さんの言う通りだな
- 山右衛門: 水名が俺たちに肩入れすれば@瞬く間に疑いが生じる
- 千鶴: 難しい話はわかんねぇけど…@そういうことなんだな…
- 正綱: 故に、そなたと顔を合わせるのも@まずはこれきりとなろう
- 山右衛門: それは構わねえが、@俺たちも周りの様子は知りたい
- 正綱: それはこちらも同じ@使者は送り合うつもりだ
- 露: 父上、玄雲とのやりとりも@必要ではないでしょうか
- 露: 私たちは3つの柱となって@古来より国を支えていたはずです
- 正綱: 私は構わなかったのだが、@山右衛門殿は様子を見たいらしい
- 露: 何か理由が…?
- 山右衛門: 昔と比べて水徳寺は@えらく力を付けすぎてんだよ
- 露: しかし、彼らも徳政を進めて@民を救う道を探しておられます
- 山右衛門: 俺たちを妖魔使いだとかいって@吹聴してまわったのはどいつだ?
- 露: それは…
- 山右衛門: 嬢ちゃん、水徳寺の玄雲と@アンタの仲が良いのは知ってる
- 山右衛門: だがな、こっちの気持ちってのも@ちったあ考えてくれや
- 露: …失礼しました
- さな: 水名と泰党が@仲良くなれて良かったですね…!
- 鶴乃: わたしたちにとっては、@ふたつの意味で大成功だね!
- 露: ふたつの意味って?
- 鶴乃: タイムパラドクスの回避
- 露: なにそれ…
- 鶴乃: いいのいいの@こっちの話だから
- 千鶴: アタシとしても、早い内に@さなが戻ってくれて助かったよ
- 鶴乃: 助かったって、何かあったの…?
- さな: いえ、あの…
- さな: 周りから見えないこと自体は、@潜入する上で良かったんですが…
- 千鶴: メシを食う機会は逃すし@生活に支障きたしまくりなんだよ
- 千鶴: アタシは知らねえ戦神子の@面倒を見る義理なんてねえんだ
- さな: ごめんなさい…
- 千鶴: 露も自分の配下の面倒ぐらいは@自分で見ろよな
- 露: えっと…ごめんなさい…
- ねむ: うわさの力がなかったら@捨てられていたかもしれないね
- さな: 本当に…助かりました…
- 鶴乃: ちなみに食事のことだけど@泰党って飢饉の影響はないの?
- さな: 凶作ではあるみたいですが、@蓄えでしのげるそうです…
- さな: 隅谷たちが狙っていた財源も@あるみたいですよ…
- 鶴乃: 乗り越えるには十分ってことか
- さな: 1年や2年では潰れないって@千鶴さんは言ってました…
- ねむ: それにしても、2羽のカササギは@うまく役割を果たしたようだね
- 千鶴: なあ、この本ってなんだ?
- 露: 平家物語よ
- 露: 幸若舞が好きでね@元の話を知るために読んでるの
- 露: 千鶴も読んでみる?
- 千鶴: 字が読めねえからなあ@露が聞かせてくれよ
- 露: やだ、長いもの
- FILENAME: symbol_518320-2_cyov4.txt
- 鶴乃: 露姫様、お茶が入りましたよ
- さな: お茶菓子はありませんけど…
- 露: お菓子だなんて贅沢を言ったら@みんなに怒られちゃうわ
- 千鶴: 来たぞ、露!
- 露: [chara:104501:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
- 露: 来たじゃないわよ@どうして毎日正面から来ないのよ
- 千鶴: だって、開いてっからさ
- さな: もう少し見回りを増やさないと@危ないかもしれませんね…
- 露: こんな身軽に城壁を登る人なんて@泰党以外にいないわよ…
- 鶴乃: なんか、思ってたより@何倍も仲良くなっちゃってるね
- さな: 毎日のように来るとは@思いもしませんでしたね…
- 千鶴: しっかしなぁ…
- 千鶴: 米問屋に米がねぇどころか@置いてあんのは雑草ぐらい…
- 千鶴: 厳しい状況なのは知ってたけど@想像を超えてるな
- 露: これでも、今年分は免税して@借金も破棄したわ
- 露: 知らないところで中抜きをする@ヤツらだって排除したし
- 露: やれることはやってるから@他よりましなはずよ…
- 千鶴: 確かに三郷とかは悲惨だったな@目も当てられたもんじゃねぇ
- 千鶴: なあ、さっさとみんなを救おうぜ
- 露: 簡単に言うわね
- さな: まさか、千鶴さん…
- さな: 色んなお城から財を盗んで@大量にばらまくとか言うんじゃ…
- 千鶴: さすが、寝食を共にした仲だ!@アタシの考えがわかってる
- さな: わかってるじゃないです…@ダメですよ…
- 鶴乃: お天道様もビックリ仰天@混乱と破滅の未来しか見えないよ
- 千鶴: うーん、そうかぁ…?
- 露: 武で成せることに@限界はあるもの
- 露: 今は知で動いてることを@見守りましょう
- 露: 先の泰党攻めが失敗した以上@民たちの蜂起を止めるには
- 露: お館様である隅谷に@徳政を決断してもらわないと…
- 千鶴: けど、前に失敗したんだろ?
- 露: だから、玄雲が窮状を伝える文を@改めて送ったと言ってたわ…
- 露: 守護代の熊井も、現地を見るよう@隅谷に直訴しに向かってるから
- 露: それ次第になると思うわ
- 千鶴: ふーん…
- 千鶴: みみっちいのは好きじゃねえけど@露が言うなら待ってみっか
- さな: でも、話したところで@受け入れてくれるでしょうか…
- 鶴乃: うーん…前に聞いたときよりも@可能性はあるんじゃないかな…
- 鶴乃: 泰党攻めの号令をかけた影響で@隅谷の評判は落ちてるし…
- 露: それに守護代の熊井がいなければ@先の戦いは全滅していたって
- 露: 水徳寺と繋がりのある僧侶たちが@方々の領主に言ってるみたいよ
- 露: 発言力が高くなってる人の言葉は@無視できないはずだわ
- 千鶴: そういや、その熊井だけどさ@一門衆の家族を泰党から守るって
- 千鶴: 水名のでっけー城の中に集めて@匿ってるらしいな
- 露: そんなことまでしてたの?
- 千鶴: 露は外様だし戦神子だから@対象外だったんだろ
- 鶴乃: ただ、何もできずに城に戻ると@ちょっとモヤモヤするね…
- さな: いろはさんのたどった歴史から@外れてないのは救いですけど…
- 千鶴: なあ、これ読んでくれよ
- 露: えぇ、またぁ?
- 千鶴: そのうちアタシだって@幸若舞を見るかもしれねぇだろ
- 千鶴: だから、元の話を知りたいんだよ
- 露: 神社で催されるときもあるから@見る機会はあるかもしれないわね
- 露: ただ、読むにしても@何がいいかしら
- 露: 敦盛は…
- 千鶴: もう聞いた@木曽願書と那須与一も聞いたぞ
- 露: …じゃあ、いっそ大織冠とか
- 千鶴: なんか難しそうだな…
- 露: 竜神とか修羅が出てくる@宝珠を取り戻す話よ
- 千鶴: ありえねえ話だな…
- FILENAME: symbol_518320-3_cyov4.txt
- 露の声: 「か、かったい…!」
- 千鶴の声: [bgEffect:shakeLarge]「おい、露!いてーって!」
- 露の声: 「どうしたら、こんな髪が硬く…@あなた、イノシシか何かなの…!?」
- 千鶴の声: 「こんな丁寧にすいたことなんて@なかったんだよ!」
- 露: ―露―@あぁ、やっとくしが通り始めた…!@10本ぐらいダメにするかと思ったわ
- 千鶴: ―千鶴―@人をなんだと思ってんだよ…
- 露: ―露―@元がきれいなんだから@ちゃんと手入れをすればいいのに
- 千鶴: ―千鶴―@そもそも、きれいなのか
- 露: ―露―@ええ、艶のあるいい髪よ
- 千鶴: ―千鶴―@へへっ、そっか
- 千鶴: ―千鶴―@なぁ、またあとで話を聞かせてくれよ@今度は未来記ってやつ
- 露: ―露―@私が好きな話の1本ね
- 千鶴: ―千鶴―@どんな話なんだ?
- 露: ―露―@牛若丸が天狗の住む世界に行って@自分の未来を聞くって話
- 鶴乃: いやあ、仲良しだねえ
- さな: 本当の姉妹みたいですよね…
- さな: ただ、このあと神浜の一帯が、@水名を中心に統一されたとしても
- さな: ふたりは…
- 鶴乃: うん、争うことになる…
- ねむ: その歴史を無闇に変えようなんて@考えるのは愚の骨頂だよ
- 鶴乃: [chara:100301:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
- 鶴乃: わ、わかってるよ…!
- さな: …このあとふたりは@どうなってしまうんでしょう…
- ねむ: 水名と泰党は再び溝を深めて@袂を分かつことになる
- ねむ: 千鶴を信じられなくなった露は@魔女になるんだけど
- ねむ: のちに他の魔女に取り込まれて@千鶴も負けてしまうはずだよ…
- さな: 聞かなければ良かったです…
- 鶴乃: 歴史は変えられないからね…
- 千鶴: メシのことは仕方ねえけどさ@なんで争いって起きんのかなー
- 露: 土地があるとお米も増えて@領民を生かせるでしょ?
- 千鶴: こうして飢饉にでもなりゃ@奪い合って当然ってことか…
- 露: 人がもう少しだけ欲を捨てれば@争いも少しは減ると思うけどね
- 千鶴: そりゃあ都合のいい話だ
- 水名の家臣の声: 「姫様」
- 露: 入っていいわよ@どうしたの?
- 水名の家臣: 殿がお呼びでございます
- 露: 父上、どうなさいましたか
- 正綱: まあ座れ
- 露: はい
- 正綱: 先ほど文が届いてな@隅谷が戻ってくると書かれていた
- 正綱: さすがに領民の様子を見て@徳政の判断をするつもりらしい
- 正綱: 老獪な先代と比べると@臆病なうつけ者かと思っていたが
- 正綱: 少しは正しい判断ができるらしい
- 露: それは良い話ですね@胸をなで下ろしました
- 正綱: ただ、いい話だけではなくてな…
- 露: と、申しますと…?
- 正綱: うむ…
- 正綱: 巧生が水徳寺に連なる寺と共に@徴税を始めたらしい
- [bgEffect:shakeSmall]ガタッ!
- 露: 馬鹿な…!@水徳寺は真っ先に…!
- 正綱: 巧生は泰党から西に隣接する地@先日の報復を恐れているのだろう
- 正綱: 兵も傷付いてる以上@せめて軍備だけは整えばならん
- 露: つまり、徳政を出される前に@徴税してしまおうと…
- 正綱: うむ…
- 正綱: 一門の長とはいえ@今のお館様は代替わりした若造
- 正綱: 前回の失態が影響して@巧生のタガが外れたのだ
- 露: それは理解できます…@ですが寺は…どうして…
- 正綱: 理由はわからぬが、@今は事態を抑えることが先決
- 正綱: そこで、熊井は戦神子のお前に@出向いて欲しいらしい
- 露: 私に…?
- 正綱: どこも今は痛手を被ってるからな@一騎当千の者を充てたいのだろう
- 正綱: 水徳寺の玄雲も様子を探るために@兵を出すと言っている
- 正綱: 損な役回りとなって悪いが@行ってくれるか
- 露: もちろんです
- FILENAME: symbol_518320-4_cyov4.txt
- [bgEffect:shakeLarge]パカラッパカラッ!
- 巧生の将: すべてを取り立てる必要はない!@最悪、兵の確保でもかまわん!
- 鶴乃: ひぇえ…@三郷のときと同じようなことに…
- さな: あ、あの時以上に@みんな目が血走ってますよ…!
- 千鶴: こりゃあ、泰党のアタシが出ると@面倒なことになりそうだな
- さな: 一度、姿を隠してください…!
- 千鶴: ん、そうだな
- 鶴乃: 露姫様…!!
- 露: お待ちください!@これはいったい何事ですか!
- 巧生の将: お前は水名の戦神子か
- 巧生の将: 北養の外様には関係のないこと@我が領地の事に口を挟むな!
- 露: そうはいきません!@私は熊井様の命で参った次第!
- 露: 即刻、このような狼藉は@おやめください!
- 玄雲: 中には我ら水徳寺と関わりのある@僧侶もいると聞いておる
- 玄雲: いるようであれば、@即刻この場で名乗りでよ!
- 巧生の将: [chara:832700:effect_7001_attack02]そちらがひっかき回しておいて@何を戯れ言を申すか!
- 玄雲: ぬっ…正気か…!
- 巧生の将: 早く軍備を整えねば、@我々は泰党に皆殺しにされる!
- 巧生の将: [chara:832700:effect_7000_attack01]それを伝えに来たのは、@お主ら坊主ではないか!
- 玄雲: [chara:832900:effect_7000_attack01]いかん…!@落ち着かれよ!
- 巧生の将: ぐぅっ…!
- 僧兵: お待ちください、玄雲殿!
- 僧兵: その者が申し上げたことは@まことにございます!
- 玄雲: お前は…
- 露: 僧侶も徴税に加担してるのは@本当なの…?
- 僧兵: 滅相もございませぬ…!
- 僧兵: 我々は泰党の里を調べる中で@軍備を整える動きを知っただけ
- 僧兵: 巧生の方にお伝えしたものの@まさか暴れ始めるとは…
- 玄雲: では、寺の者たちは@加担していないということだな
- 僧兵: 左様にございます
- 露: 泰党が軍備を整えるって@あの僧侶の言う通りなの…?
- 千鶴: そりゃ、こっちだって@立て直しぐらいはするだろ
- 千鶴: けど、攻め込む気なんざ@親父はこれっぽっちもねぇ
- 千鶴: 露から言ってやってくれ
- 露: 私たちの関係が露呈するから@うかつに言えないわよ
- 千鶴: あぁ、そうだったな…
- 露: この問題は、巧生だけでなく@私たち全体で応じましょう
- 露: 本当に泰党が攻めてくるのならば@事前に援軍を呼べるはず
- 露: それに、戦神子が力を貸せば@巧生も百人力でしょう
- 巧生の将: そう申して、少しずつ巧生の地を@奪う腹だな…水名…
- 露: 何をおっしゃるのですか!
- 露: [chara:104500:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
- 露: そういう…
- 露: 鶴乃!さな!@彼らは妖魔の呪印を受けてるわ!
- 鶴乃: うぇえっ!?
- 露: 甲冑に隠れていて@まったく気づかなかったわ…
- 露: それに、妖気を探ると@ほんの少しだけ感じ取れる…
- 鶴乃: 露姫様!@妖魔はわたしたちで探すよ!
- さな: はい、その間に巧生の方たちを@なんとか押さえてください…!
- 露: わかったわ
- 鶴乃: 行こう、さな
- 露: ふぅ…
- 露: では、刃は収めていただき…
- 玄雲: いや、待て
- 露: 玄雲…?
- 玄雲: この者が申すには、巧生の中で@泰党の取引があるらしい
- 玄雲: それも、@武具を扱う大きなものだとか…
- 玄雲: まことであれば、@巧生の者たちの狼藉と合わせて
- 玄雲: 泰党の動きを@看過することはできん!
- 玄雲: 露、この場は任せた@私はヤツらの取引を封じる!
- 露: ちょっと、玄雲!
- 千鶴: マズイ!!@取引は本当だ!!
- 千鶴: このままだと勘違いされる!
- 露: 玄雲たちの先回りをして@あなたの父上を止めましょう!
- 千鶴: けど任されたって…!
- 露: 妖魔は鶴乃とさなで@なんとかしてくれるはず
- 露: この場は他の者たちに任せて@押さえておいてもらうわ!
- FILENAME: symbol_518320-5_cyov4.txt
- ねむ: …泰党に攻め込んで@隅谷の信頼が落ちる中…
- ねむ: 主を食うように台頭する熊井が@戦神子をひとりで使わす…
- ねむ: そして状況を知らせる僧侶…
- 鶴乃: その辺りの思惑って@本の中には書かれてないの…?
- ねむ: 魔法少女の話が中心だからね@詳細が見えてこないんだ
- さな: 鶴乃さん!@魔女の反応がありました!
- 鶴乃: ねむの思う通り@飢饉を利用した思惑を感じるけど
- 鶴乃: わたしたちにできるのは@いろはちゃんの概念の回収だけ…
- さな: 細かくわからない歴史については@手の出しようがないですよね…
- 鶴乃: だから、@やれることをするしかないよ…!
- 鶴乃: あれ…@神浜市でも戦った魔女…?
- さな: 結界の見た目も@同じような気がします…
- さな: まさか、こんな昔からいるような@魔女だったんでしょうか…
- 鶴乃: いやいや、そんな…@さすがに誰か倒してるはずだよ
- 鶴乃: でも、そうなると@わたしたちの時代から来たのかな
- さな: またパラドクスになる原因が…
- 鶴乃: …っと、言ってる間に
- 鶴乃: [chara:7201:effect_7000_attack01][se:8000_flame_01_s]向こうから来たよ!@ちゃらあっ!
- さな: [chara:7203:effect_7000_attack01][se:5010_shooting_06_vh]何度も戦ってる相手なので@動きはわかりそうです…!
- 鶴乃: 魔女…思ったよりあっさりと@最奥部に着いたみたいだね…
- さな: この使い魔の魔女って@まだ見たこともないですよね…
- 鶴乃: わたしも初めて見る
- 鶴乃: ただ…
- 鶴乃: [flashEffect:flashRed2][bgEffect:shakeLarge][chara:100300:effect_shake][chara:100400:effect_shake][se:3001_chara_damage]…っ、強い相手じゃないけどね
- 鶴乃: [chara:6221:effect_7001_attack02][se:8000_flame_01_s]それに、株分けの魔女だったら@倒されてきてるはずだよ!
- さな: はい、思ったよりも@早く解決しそうです…
- さな: それに、魔力の反応も@神浜市のものと少し違うので
- さな: ここで倒しても大丈夫そうです…
- 鶴乃: よし、じゃあふたりでいくよ!
- さな: はい、うまく連携がとれるように@頑張ります…!
- 鶴乃: (魔女の方は早く倒せそうだから@良かったけど…)
- 鶴乃: (引っかかるなぁ…)
- 鶴乃: (露姫様の顔色…@なんか妙に悪かった気がする…)
- FILENAME: symbol_518320-6_cyov4.txt
- 露: はぁ…はぁ…
- 露: …っ、本当にあなたの父上は@この辺りを通るの!?
- 千鶴: ああ、もうすぐ巧生の職人たちと@会う手はずになってる
- 千鶴: 今なら、接触手前で止められる!
- 千鶴: …いた!親父だ!
- 千鶴: 止まれ!止まれ!
- 山右衛門: 何奴だ!
- 山右衛門: なんだ、オメエか千鶴…@血相変えてどうした
- 千鶴: 職人との取引がバレた@進めば水徳寺の兵隊とぶつかる!
- 山右衛門: 取引は古くから@見つからねえ所でやってる
- 山右衛門: テメェの杞憂だろ、千鶴
- 露: いえ、水徳寺が間者を送り込んで@調べていたようです…
- 山右衛門: …………[wait:1.0][chara:832201:lipSynch_1]チッ…
- 山右衛門: 水名のお嬢ちゃんが言うなら@本当のことみてえだな…
- 千鶴: なっ、ひでぇ
- 山右衛門: しかし、困ったな…
- 山右衛門: 巧生の職人は古くは泰党の一員…
- 山右衛門: 関係を断たれちまうと、@外の状況が分かりづらくなる
- 山右衛門: その上、奴らが作る武具がねぇと@外とやりあうのも困る
- 千鶴: いや、今だけでいい
- 千鶴: バレなきゃいいんだから@1回退くだけだ
- パカラッ、パカラッ
- 露: 馬の足音が近づいてくる…
- 露: 千鶴、あなたは仲間たちと一緒に@今は泰党に戻って
- 露: 玄雲はこちらで対応するから
- 千鶴: わかった
- 千鶴: じゃあ、森の見張りだけを残して@アタシらは退くことにするぞ
- 露: ええ、お願い
- 山右衛門: 悪いな嬢ちゃん
- 露: …………
- 露: 気配が消えていく…@ちゃんと退いてくれたようね…
- 露: あとは…
- [bgEffect:shakeLarge]パカラッ、パカラッ
- 玄雲: む、露か…!@任せた巧生の者たちはどうした
- 露: 巧生は残してきた水名の者に@任せているわ
- 露: この辺りに妖魔の反応があって@優先させてもらったのよ
- 玄雲: む、そうか
- 玄雲: しかし、さすがは戦神子@我々よりも早い到着とはな
- 露: 例の泰党が取引をするって話も@この辺りだということ?
- 玄雲: そう聞いていたのだが…
- 玄雲: …………
- 玄雲: ふむ…@そのような気配はなさそうだ…
- 玄雲: この者が@早合点したのかもしれんな
- 僧兵: いや…ですが確かに…
- 僧兵: もしくは最初から妖魔を使って@巧生に暴動を起こすことが
- 僧兵: 向こうの狙いかもしれません
- 玄雲: なるほど
- 玄雲: ならば、露がこの辺りに居るのも@合点がいくというものだな
- 露: 妖魔によって暴動を起こすことが@目的だとすれば
- 露: 取引というウソを聞かされた彼は@間者だと露見していたのでは…
- 玄雲: であれば、@すでにこの者は殺されておる
- 玄雲: 恐らく、取引そのものは事実
- 玄雲: 妖魔による暴動は、@取引を隠す目くらましだろうな
- 玄雲: ぬっ、何やつだ!
- 泰党の兵: 聞いてりゃあ@好き勝手散々言いやがって!
- 露: 泰党の…!?
- 泰党の兵: 妖魔なんざこちとら@ひとつも知らねえことなんだ
- 泰党の兵: 妙な濡れ衣を着せられて@黙っていられるか!
- 玄雲: 潜んでいたか…!@露、こちらに来い…!
- 泰党の兵: まとめて相手してやるから@かかって来い、クソ坊主ども!
- FILENAME: symbol_518320-7_cyov4.txt
- 泰党の兵: [flashEffect:flashRed2][bgEffect:shakeLarge][chara:832801:effect_shake][surround:1045A04]ぐっ…
- 露: …ふぅ
- 泰党の兵: くっ、やられた奴は担げ!@退いてお頭に合流するぞ…!
- 玄雲: 行かさぬ!
- 露: 待って玄雲!@ここから先は千里地獄よ!
- 玄雲: …っ
- 玄雲: すまない…@柄にもなく頭に血が上った…
- 玄雲: 聞け、泰党の者どもよ!
- 泰党の兵: …何を聞くことがある
- 玄雲: 妖魔を扱う貴様らが滅されるのは@時間の問題だ
- 泰党の兵: そこまで自信があるなら@千里地獄に来い
- 泰党の兵: また、テメエらの仲間を@俺たちが皆殺しにしてやるからよ
- 玄雲: 下衆めが
- 露: ふぅ…
- 水名の兵士: 露姫様!
- 露: あなたは水名の…@何かあったの…!?
- 水名の兵士: 巧生の者たちが@落ち着きを取り戻しました!
- 露: 妖魔を倒したおかげね@良かったわ
- 玄雲: …一段落ついたところで悪いが@露に頼みがある
- 露: どうしたの、改まって
- 玄雲: 泰党の連中の武具を見る限り@修復もままならぬ様子
- 玄雲: 巧生の職人たちとの接触を断った@今こそが好機かもしれぬ
- 露: あなたまさか…
- 玄雲: 一介の僧が申すことではないが@泰党と決着をつけねばならぬ
- 玄雲: 熊井殿と連絡をとり、@隅谷殿が決断された暁には
- 玄雲: お主の力を借りるであろう
- 鶴乃: あぁ…どうしようどうしよう…
- 鶴乃: まさか、また泰党を攻める話が@持ち上がるなんて…
- さな: 本来の歴史から@またズレてきてますよね…
- ねむ: ひとまず合議に入れない僕達は@結論を待つしかないよ
- 露: 父上…どうかお願いします…@玄雲を止めてください…
- 玄雲: 以上が私からの訴えにございます
- 玄雲: 京より戻られて早々に@息つく暇もないとは思いますが
- 玄雲: 何卒、隅谷様におかれましては@心を鬼にして頂き
- 玄雲: 泰党を打ち砕くためのご裁断を@頂戴したく存じまする
- 隅谷: さて、いかがするべきか…@熊井はどう考える
- 熊井: お館様が相磨の地に戻られて@感じたままに従うのが良いかと
- 隅谷: …うむ
- 隅谷: 熊井から窮状を聞き@我が所領の荒れた姿を見たが
- 隅谷: もし、これが天罰ではなく@人の意思がもたらした惨状ならば
- 隅谷: さすがにこの地を預かる者として@黙っているわけにはいかん
- 熊井: ようおっしゃいました
- 隅谷: 熊井…
- 熊井: はっ…
- 隅谷: この場にそろうのは我が一門を@中心とした強者たちばかりである
- 隅谷: これよりそなたは軍奉行として@皆を取りまとめて策を講じよ
- 熊井: ならば、此度の戦@お館様が総大将になるべきかと
- 熊井: 先の戦いで傷付いた兵の士気も@高まるというものです
- 隅谷: わかった、言う通りにしよう
- 玄雲: 我々、水徳寺も@総力を挙げてお力添え致します
- 玄雲: 泰党あっては太平はなし
- 玄雲: ならば討った泰党共を浄土へ送り@世の安寧を築きましょう
- 正綱: お待ち願いたい
- 隅谷: な、なんじゃ、水名
- 隅谷: 普段からお前の独断は目に余る@今日ぐらいは大人しくせい…!
- 正綱: 日頃の無礼はお許し頂きたい…@ですが何卒、ひとつ疑問を…
- 隅谷: んん…申し上げてみよ…
- 正綱: 玄雲殿がなぜ妖魔を泰党が操ると@考えているのか理解できぬのです
- 正綱: 正直に申し上げて、@その様子を見た者はいないはず
- 玄雲: 正綱殿は@おかしなことを申される
- 玄雲: 泰党が妖魔を操るという話は@水名にも代々伝わっているはず
- 正綱: 代々…?@なにを申しておるのか…
- 玄雲: 泰党は周囲の領地を餌にして、@己を生かす存在であった
- 玄雲: ゆえに我ら水徳寺と水名は、@古より泰党を滅ぼさんとしていた
- 正綱: 餌というのはまさか…
- 玄雲: 妖魔を使役し、他人の命を代償に@永らえるのが泰党である
- 玄雲: 疑問が残るのであれば、@この文を見てみると良い…
- 正綱: …………
- 玄雲: 水名の群印が押された@我々の起請文である
- 露: …そんな
- 露: 私たちは泰党も含めて@手を取り合っていたはず…
- 露: だけど…水徳寺の起請文では@泰党は水名の敵…
- 露: 何が本当なの…
- 熊井: しかし、問題は千里地獄
- 熊井: あれを通らなくては@泰党の里に辿り着けないとなると
- 熊井: どこまで兵が付いてくるか…
- 玄雲: 心配には及びませぬ
- 玄雲: 我々で千里地獄を踏破する道は@見つけたも同然
- 玄雲: 攻めるための方策は@いつでもとれる状況にございます
- FILENAME: symbol_518320-8_cyov4.txt
- さな: あ、露姫様が戻って来ましたよ…
- 鶴乃: ほんとだ、泰党との件@どうなったか聞かないとね…
- 鶴乃: 表情が物語ってるね…
- 露: その水徳寺にあった書状のせいで@何も言えなくなったわ…
- 鶴乃: つまり書状は@本物だったということ…?
- 露: 少なくとも、押印された群印は@本物だったみたいよ
- さな: 泰党に伝わる書状もあって@両方とも本物だとしたら…
- 露: ご先祖様は二枚舌を使っていて@私はそれに翻弄されている…
- 鶴乃: どちらかが精巧に作られた@偽物だったとしたら
- 鶴乃: わたしたちは泰党か水徳寺に@躍らされてることになるのかぁ…
- 露: 鶴乃…さな…@私は何を信じればいいのかしら…
- 露: これじゃあ、水名の先祖も@千鶴も玄雲も信じられなくなる…
- ねむ: これは、気をつけた方がいいね
- ねむ: 露が玄雲に付けば、@歴史が変わる恐れがある…
- 鶴乃: …っ
- 露: 小さい頃から世話になってきて@親しいのは玄雲なの…
- 露: 私が好きな幸若舞や@題材となった物語だって
- 露: 彼に教えてもらって…@ふたりの大切な思い出がある…
- 露: だけど、千鶴のことだって@私は好きよ
- 露: あの子の笑顔の裏に@なにか思惑があると思いたくない
- 露: それに、本当の妹のようにね@感じるだけじゃない
- 露: 千鶴との間には、説明できない@神がかった縁を感じるの
- さな: 一度、気持ちを抜きにして、@怪しいのはどちらか考えるのは…
- 露: むりよ…
- 露: 千鶴を可愛いと思う気持ちを@私は無視できない
- 露: 密かに抱き続けていた@…彼への想いだって
- 鶴乃: うんっ…
- 鶴乃: だったらもう@いっそのこと感情に従おうよ
- さな: ぇっ!鶴乃さん…!?
- 鶴乃: 露姫様は誰に味方したいの!?
- 露: …私は
- 露: 私は…今は…@玄雲を信じたいのかも…しれない
- ねむ: まずいよ、最強さん
- 鶴乃: わかってるよ…@まだ、なんとかできる…!
- 鶴乃: だけど、それは最後に会ったのが@玄雲様だったからだと思う
- 露: …気持ちが引っ張られている?
- 鶴乃: そう
- 鶴乃: このままじゃ公平じゃないから、@千鶴ちゃんとも話そう
- 露: …………
- 千鶴: やっと見つけた
- 千鶴: 城に行ってもいねぇから@寺の方だと思って捜してたんだぞ
- 千鶴: この間は親父を止めてくれて@ありがとな、露
- 鶴乃: 露姫様、千鶴ちゃんと話すことが@あるんじゃないの…?
- 千鶴: あん?@なんの話をしてんだよ
- 露: 千鶴
- 千鶴: なんだよ、怖い顔して…
- 露: 私と戦って
- 千鶴: は?
- 鶴乃&さな: 「どゆこと!?」@「ええっ!?」
- 露: 鶴乃とさなは手出ししないで!
- 千鶴: 理由はわかんねえけど…
- 千鶴: うーん…
- 千鶴: やるか!
- さな: なんでそうなるんですか…!
- 千鶴: なんか露のヤツが@泣きそうな顔してっからな
- 千鶴: 暴れりゃ気分も晴れんだろ
- FILENAME: symbol_518320-9_cyov4.txt
- 露: ぐ…ふぅ…はぁ…
- 千鶴: …っつぅ…効いた…
- 鶴乃: ちょ、ちょっとふたりとも@本気でやりすぎだよ!
- さな: はい、これ以上の戦いを続けると@ふたりのケガが…!
- 千鶴: ダマれよ!@それでもやるんだろ!?
- 露: ええ、まだ…まだよ…!
- 露: [textBlack:私と千鶴との間には同じ血が流れている]
- 露: [textBlack:それは、紛う方もない人間の血で@彼の父親である山右衛門や泰党の人だって同じ]
- 露: [textBlack:妖魔なんて関係ない]
- 千鶴: [chara:104500:effect_7000_attack01][surround:1046A01]胴が空いたぞ…!
- 露: [chara:104500:effect_7001_attack02][surround:1046A02]クッ…ゥ!
- 露: [textBlack:玄雲と千鶴に覚える情の強さは同じぐらいで@持っている書状だって同じようなもの@だから、私の中に大きな迷いを生んでいた]
- 露: [textBlack:だけど…]
- 千鶴: ―千鶴―@まだスッキリしねぇ顔してんな…
- 千鶴: ―千鶴―@相磨の国の奴らを一緒に救おうってヤツが@そんなツラしてたら安心できねぇだろ
- 露: ―露―@一緒に…そう、一緒ね…
- 露: [textBlack:わかっていた…]
- 露: [textBlack:千鶴からは明るくて温かい希望を感じるけど@玄雲からは暗くて冷たい野望を感じる]
- 露: [textBlack:それを情で見えなくしていただけ]
- 露: [textBlack:巧生の徴税を抑えに行ったときには気づいてた@兵たちは妖魔の呪印を受けて暴れていたけど@僧侶たちは呪印もなく巧生の不安をあおっていた]
- 露: [textBlack:玄雲も含めて、誰も操られていない@彼らは本心でこの相磨の国を震撼させて@泰党を滅ぼしたいだけ]
- 露: [textBlack:ならば、私は…]
- 露: 決めた…
- 千鶴: おぉ…やっと終わりか…
- 露: 千鶴…@私はあなたのことを信じる…
- 鶴乃: 露姫様!
- さな: 良かったです…!
- 千鶴: 信用されてなかったとは@心外だけど
- 千鶴: まあ、迷いは消えたみたいだな
- 露: ええ、私は泰党につく
- 露: ともなれば、@事態は一刻を争う状況よ
- 千鶴: さっきからわかんねーよ…
- 露: 父上たちが隅谷を総大将にして@泰党を攻め落とそうとしてる
- 千鶴: な、またか!?@けど、こっちにゃ千里地獄が…
- 露: 水徳寺の間者がそちらにいて@すでに踏破されているわ
- 千鶴: ウソだろ…
- 千鶴: それが本当だとしたら@滅ぼされてもおかしくねぇ…
- 千鶴: …どうすりゃいい
- 露: もう、周りを説得して@どうにかなる状況じゃないわ…
- 露: 千里地獄の構造を変えるとか@できないの…?
- 千鶴: 無理だ…
- さな: 武具を使い物にならなくするのは@どうでしょうか…
- 露: 細工をする数が多すぎて@現実味がないわ…
- 千鶴: 現実味があるのはひとつだけ@玄雲を暗殺することだな
- 露: ――っ!?
- 千鶴: 忍び込むのはアタシの得意技さ@正直、やれるだけの自信はあるぞ
- 千鶴: それでも止まらねぇなら@熊井と隅谷の首もとってやる
- 露: …………
- 露: …わかった@あなたに任せるわ、千鶴
- 鶴乃: で、でも、千鶴ちゃんにだけ@任せられないし
- 鶴乃: わたしたちも泰党攻めを@止められる材料は調べようよ
- さな: そうですね…!@みんなで動いた方が良いですよ…
- さな: ね、露姫様…!
- 千鶴: まあ、そっちはそっちで@動いておいてくれてかまわねぇ
- 千鶴: けど、アタシの方が早かったら@その時は恨まないでくれよ
- 露: もちろん
- 露: 私たちはやれることをやるだけ
- 露: 身内も含めて怪しい点がないか@調べてみるわ
- FILENAME: symbol_518320-10_cyov4.txt
- 正綱: こちらとしては軍備が整うまで@あと10日ほど頂きたい
- 熊井: それぐらいの時間であれば@特に計画に揺らぎはあるまい
- 熊井: お主は北から泰党を攻める要@十分に備えておけ
- 正綱: はっ
- 正綱: して、此度の作戦は西と南を含む@3方面からの挟撃でよろしいか
- 熊井: うむ
- 熊井: ―熊井―@北の北養、西の巧生、南の凪津の@3方面から攻撃を仕掛ける
- 熊井: ―熊井―@事前の調べでは、山深いゆえに北の守りが薄く@西と南を厚く固めているらしい
- 熊井: ―熊井―@なので部隊の配置は@北は北養を治める水名の部隊
- 熊井: ―熊井―@西は主力であるお館様と私の部隊
- 熊井: ―熊井―@南を他で固める
- 熊井: ―熊井―@泰党の連中も@兵を分散させねばならないだろう
- 正綱: しかし、北はこちらのみか…
- 熊井: 案ずるな@調べの通りであれば問題はない
- 熊井: それに北養は山であるがゆえ@高台を押さえやすい
- 正綱: …また、攻め入る際の合図は@狼煙でよろしいか
- 熊井: うむ、そこは水名殿にお願いする
- 正綱: 承知つかまつった
- 隅谷: 此度の戦、水名に限って言えば@攻めあぐねると思っておったが
- 隅谷: 余の考え過ぎであろうか
- 正綱: 玄雲殿の話を受けて@考えを改めた次第にございます
- 隅谷: 己の足元がぬかるんでいては、@恐ろしくて仕方がない
- 隅谷: 決意を固めて挑んでくれることを@期待しておるぞ
- 正綱: はっ…
- 玄雲: 千里地獄から泰党の里へは1本道
- 玄雲: 他の道や山を突っ切ろうとも@たどり着くことはできませぬ
- 熊井: それで里への入口も@1箇所というのは少々解せんな
- 玄雲: 塞いでしまえば、泰党の連中も@外に出ることはかなわない
- 玄雲: 最大の防御をとったがゆえの@欠陥とも言えるでしょうな
- 熊井: ふむ、それで@周囲はどのようになっている
- 玄雲: 里への入口付近には@兵たちの運用がしやすいように
- 玄雲: 城で言うところの馬廻りのような@場所が開けておるようです
- 玄雲: 兵の機動力を上げれば@我々の不意は突けるでしょうが
- 熊井: うまく包囲できれば@まとめて片づけられるか
- 玄雲: 泰党の扱う武具が他より優れ@脅威的な身体能力があろうとも
- 玄雲: 彼らも我らと同じ人間@限界がございますからな
- 巧生の将: 各自、千里地獄にいる@敵の配置を確認しておくように
- 巧生の将: ここに記された場所に@敵が潜んでいる恐れがある
- 巧生の兵: 失礼つかまつる!
- 巧生の兵: こちら、熊井殿からの@書状にございます
- 巧生の将: ふむ…
- 巧生の将: …決行の日取りが定まった
- 巧生の将: 聞け
- 巧生の兵: はっ
- 巧生の将: 弓で仕掛けてから突入となる@これから隊列を指示する
- 千鶴: つーわけで、千里地獄の中身は@すっかりバレちまってる
- 千鶴: ただ、露たちのおかげで@向こうの話も筒抜けだけどな
- 山右衛門: 今の話が本当なら@俺たちはひとたまりもねぇな…
- 山右衛門: 千里地獄が意味を成さねぇと@いくら一人百殺の手練れとはいえ
- 山右衛門: いつかは限界が来る
- 山右衛門: 話は本当だろうな
- 千鶴: 本当だから状況を覆そうとして@アタシらが動いてんだろ
- 山右衛門: とは言っても坊主ひとり殺すのに@手間取ってるじゃねぇか
- 千鶴: 隅谷と熊井も狙ってみたけど@さすがにやつらの守りはかてぇし
- 千鶴: 坊主のヤツは隙がねぇんだよ…
- 山右衛門: こっちもひとり手練れを送ったが@失敗して戻ってきたしな
- 山右衛門: 加えて千鶴で難しいとなると@闇討ちに期待はできねぇか
- 千鶴: わりぃ…
- 山右衛門: 気にするな@俺たちは俺たちで限界まで抗う
- 千鶴: こっちは攻められる側だけど@一応、親父にも探りは入れてる
- 千鶴: けど、なにかたくらんでるとか@そういう素振りは一切ねえな
- さな: 私はなんとか三郷のお館には@忍び込めたんですけど…
- 鶴乃: わたしの聞き込みも含めて@特に何も怪しい点はなかったよね
- さな: はい…みんな飢饉でやられた分は@やり返すって感じでした…
- 千鶴: 露の親父は?
- 露: 何百年も横たわっていた問題を@腹を括って解決するって…
- 露: 私と同じで@迷いはあるみたいだけどね…
- 露: それでも、父上の立場を考えると@隅谷と熊井は無視できないわ
- 鶴乃: 造反すれば、水名家の露姫様まで@憂き目を見ることになるからね…
- 千鶴: で、あのクソ坊主の玄雲は…?
- 露: 水名が泰党攻めに@疑問をていした影響だと思うけど
- 露: 父上が呼ばれたとしても、@私は近づかせてもらえなくなった
- 千鶴: 下手に戦神子に暴れられたら@たまったもんじゃねぇしな
- 千鶴: ていうか、三郷の館に入れたなら@さなが坊主を狙えるだろ
- さな: えっ…!?
- 千鶴: …ウソだよ@汚れ仕事はアタシの役割だからな
- 鶴乃: ただ、千鶴ちゃんでも玄雲さんに@近づけないんでしょ…?
- 千鶴: 坊主だから見えてねえもんが@見えてるのかもしんねぇけどさ
- 千鶴: やけに勘が鋭いんだよ…
- 千鶴: 見えないように動いても@俊敏に動いても見抜かれてる
- 千鶴: 前の泰党攻めでも感じたが@アイツは化け物だよ
- 露: 何も野望に繋がる話はない@闇討ちも難しいとなると…
- さな: もう何もできない…ですか…?
- 鶴乃: 明日にはもう攻め込むはずだから@できることって言っても…
- 千鶴: 今夜が最後の機会なんだ@もう一度、水徳寺に行ってくる
- 露: 無理はしないで
- 千鶴: 自分の家の窮地でもあんだ@無理はするだろ
- FILENAME: symbol_518320-11_cyov4.txt
- 露: 三郷、栄、巧生、凪津…@それぞれが南で準備を進めてる…
- さな: 隅谷も泰党の西側に入りました…@本当に明日はじまるんですね…
- 鶴乃: 千里地獄が意味を成さない以上@数で押し切られる…
- ねむ: このまま泰党が滅びれば@大きく歴史が変わる
- ねむ: 千鶴が大将首を先に取るか
- ねむ: 天地をひっくり返すような@情報を持ち帰らない限りはね…
- 鶴乃: そんなこと言われなくても@わかってるよ…!
- さな: 露姫様のお父上は@まだ、城を出ていないんですね…
- 露: 泰党を討つべきかどうか@今も迷いがあるのかもしれない…
- 露: 狼煙は父上の役目だから、@出陣を引っ張るかもしれないわ…
- さな: その間に、千鶴さんが@何か得てくれるといいですけど…
- 露: それにしても…
- 露: 遅いわね…千鶴…
- ドックン…ドックン…
- 千鶴: (大将首がふたつだと思ったら@コイツらの話…本当か…!?)
- 千鶴: (だとしたら、かなり前から…)
- 熊井の声: 「それで――だか」
- 千鶴: (泰党攻めの作戦か…?)
- 玄雲の声: 「――送り込んだ――が」
- 玄雲の声: 「むっ!」
- 千鶴: (あっぶね…@あと少しで刺さってた…)
- 熊井: どうした
- 玄雲: いえ、天井裏に@ネズミの気配を感じたもので
- 熊井: 話を続けて良いか
- 玄雲: 失礼した
- 熊井の声: 「――――」
- 玄雲の声: 「――」
- 千鶴: (しっかり耳を澄ませろ…)
- ……………………
- …………
- …
- 千鶴: (はなから、それが目的で@隅谷を呼んだのか…)
- 千鶴: な、んだ…これ…煙…?
- 千鶴: 力が…
- 千鶴の声: [bgEffect:shakeLarge]ぐっ…
- 熊井: まさか本当にネズミが…
- 千鶴: 何、しやがる…
- 玄雲: 前から露たちとともに@私の側をうろついていたようだが
- 玄雲: 聞きたい話は聞かせてやった@これで満足か
- 千鶴: ああ、満足も…満足…@[chara:104600:lipSynch_0][wait:1.0][chara:104600:cheek_0][chara:104600:face_mtn_ex_020.exp3.json][chara:104600:lipSynch_1]みんなに教えりゃ、一大事、だ…
- 千鶴: 首をもらうつもり、だったが@今の話の、方が、収穫だ…
- 玄雲: 皆に教えるなど@叶うことがない虚しい話だ
- 千鶴: 殺すか…?
- 玄雲: うむ…@しかし、ただでは殺さぬ
- 玄雲: 水名のご神木の話は知っているか@露がよく参っているだろう
- 千鶴: それが…どうした…
- 玄雲: あれは、大願成就のために@人の命を食うてきたご神木でな
- 玄雲: 古くは水名も人身御供を行い@水徳寺の僧がその魂を鎮めていた
- 熊井: く…ふふっ…@愉快な案だな…玄雲殿…
- 千鶴: …え
- 玄雲: 贄を生き埋めにする牢は@今もご神木の下に残されておる
- 玄雲: 戦神子の魂なら贄には十分
- 千鶴: …やめろ…!
- 玄雲: しばらく身動きはできん@諦めろ
- 玄雲: それより良かったではないか
- 玄雲: お前の好きな露に参ってもらえる@またとない墓標となるぞ
- 千鶴: 下衆めぇ…!
- FILENAME: symbol_518320-12_cyov4.txt
- 鶴乃: ダメだ、遅すぎる…!
- 鶴乃: 千鶴ちゃん…@お寺で捕まったかもしれない…
- 露: 次は私が行く
- 露: この中で玄雲と話せるのは@私しかいない…
- 露: もし、千鶴に危害を加えていれば@ただじゃ済まさないわ
- 鶴乃: 落ち着いて、露姫様
- 鶴乃: 癇癪を起こして@玄雲を攻撃しちゃいけないよ
- 鶴乃: 水名の謀反になるかもしれない…
- 露: もちろん、耐えてみせるわ…
- 露: 鶴乃とさなは@状況を泰党の頭領に伝えて
- 露: 千里地獄の道だけなら@さなひとりでもわかるはずだけど
- 露: 相手には見えないでしょ?
- さな: では、さっそく行きましょうか@鶴乃さん
- 鶴乃: だね
- 鶴乃: 露姫様も気をつけて
- 露: ええ
- 玄雲: どうした、こんな夜更けに
- 露: 今日は招き入れてくれるのね
- 玄雲: 露ならば知っているであろう@明日は泰党を叩かねばならない
- 玄雲: その準備で会うようなひまが@なかったのだ
- 露: もう一度、考え直せないの…?@泰党は妖魔なんて使役してないわ
- 玄雲: 古よりの言葉を断じるか
- 露: そうよ@玄雲が信じるのは古い話だもの
- 露: 過去と現在は違うわ@話せばわかるかもしれない…!
- 玄雲: その甘さで飢饉を引き延ばせば@また多くの民が死ぬのだ!
- 露: …っ、わかったわ
- 露: ただ、ひとつだけ聞かせて
- 露: 今晩…何か異変はなかった…?@お寺で…何か…
- 玄雲: 最近、寺の周りをうろつく@ネズミがおってな
- 玄雲: 今夜、その1匹を始末した
- 露: …………
- 露: フゥー…フゥー…
- 玄雲: 幼い頃からの付き合いではあるが@そのような顔は初めて見るな
- 露: 怒りよ…その子は…@私の…私にとって…!
- 玄雲: 大局を見ろ!!
- 露: ――っ!?
- 玄雲: 今、私に手をかければ、@水名そのものが滅びるぞ…!
- 露: ふっ…う…くぅぅぅ…
- 玄雲: もう、ネズミが足元をすくえる@ような状況ではない…
- 玄雲: 終わればまた、好きな物語を@お前に聞かせてやる
- 露: もう、子どもじゃないわ…!
- 玄雲: …ゆるせ
- 鶴乃: それで、隅谷や熊井の動きを@止めようとしたんですけど
- 鶴乃: 仕掛け人がいる水徳寺に@千鶴ちゃんが入って…戻らず…
- 山右衛門: [chara:100300:effect_7000_attack01]ぐぅぅぅうアァアアッ!!
- 鶴乃: [chara:100300:effect_7002_damage01][se:3001_chara_damage][bgEffect:shakeSmall]ぐっ…
- 山右衛門: [flashEffect:flashWhite2][bgEffect:shakeLarge]どらぁあッ!!
- 鶴乃: [flashEffect:flashRed2][bgEffect:shakeLarge][chara:100300:effect_shake][se:3001_chara_damage]ァアッ!
- さな: 鶴乃さん…!
- 山右衛門: 使えるかどうかはわからねぇ
- 山右衛門: だがな、悪いが嬢ちゃん@人質になってもらう
- 鶴乃: ぅ、ケホッ…
- さな: こんな、ヒドい!
- ねむ: さな、冷静になろう
- ねむ: 万守山右衛門は@こちらの存在に気づいてない
- 鶴乃: そう…
- 鶴乃: 今、状況を伝えられるのは@さなしかいないんだよ…
- さな: でも、鶴乃さん…
- 鶴乃: 千鶴ちゃんのお父さんは@乱暴だけどわかってる
- 鶴乃: わたしを殺そうとはしないよ
- 鶴乃: だから、戻って@状況を露姫様に伝えて…
- さな: …わかりました
- FILENAME: symbol_518320-13_cyov4.txt
- 露: …………
- 露: (千鶴は本当にやられたの…?)
- 露: (でも、あの子だって@私と同じ戦神子…)
- 露: (いくら玄雲が強かったとしても@簡単にはやられたりしない…)
- 露: ただ…
- 露: 始末する必要があったということは@あの子は何かつかんだのかもしれない…
- 露: 父上!
- 正綱: これより出陣する@もうこれ以上の邪魔はするな
- 露: 此度の戦@出てはなりません!
- 正綱: わけを申せ
- 露: 千鶴が…泰党の娘が@水徳寺に探りを入れたあと
- 露: 捕らえられたか、@殺された可能性がございます
- 正綱: 露、お前はまだ@泰党の娘と会っていたのか…
- 露: 古に交された水名と泰党の約束@そして水徳寺との約束
- 露: 私も両者の間で揺れましたが@泰党を取る事にしました
- 正綱: それは、なにゆえだ
- 露: この飢饉で暴れる者たちの多くは@妖魔の呪印を受けていましたが
- 露: 水徳寺の者たちにはなかった
- 露: 彼らは本心で争いを起こしている@恐れがあります
- 正綱: そして探りを入れた結果@泰党の娘が消えたと
- 露: 左様にございます
- 正綱: よく分かった
- 露: 父上!
- 正綱: しかし、我々だけが@反旗を翻して何になる
- 露: ――っ!?
- 正綱: 世の理でも壊さぬ限り@我々に待ち受けるのは死のみ…
- 正綱: そればかりは、皆のためにも@避けねばならん
- 露: 私も真実のために死を招くことが@正義だとは思ってはいません…
- 正綱: ならば、私にできるのは@限界まで引き延ばすことだ
- 正綱: これから私は兵たちを連れて@北側から攻める段取りを進めるが
- 正綱: 露が真実を持ち帰れば@状況を覆すために動こう
- 正綱: 止めはせん
- 正綱: 戦神子として、この戦いの中に@潜む本当の妖魔を見つけよ
- 露: 承知しました
- 正綱: 頼りない父ですまない
- 露: 立場があります@気になさらないでください
- 熊井の兵: [chara:832800:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]はっ…
- 熊井の兵: 隅谷様がお見えになった!@熊井様もご一緒だ!
- 熊井: そう慌てずとも良い
- 隅谷: うむ、これより出陣する者たちを@激励しに参っただけのことだ
- 隅谷: 皆の者、@此度の戦は期待しておるぞ
- 熊井: お館様は家督を継がれて@初陣という晴れ舞台!
- 熊井: 我々の手で必ずや勝利をつかみ@ご期待に応えてみせよう
- 玄雲: 状況は整った…
- 玄雲: これより水徳寺は西より攻める@後方で陣をとり明朝に隊列を組む
- FILENAME: symbol_518320-14_cyov4.txt
- 露: はぁ…はぁ…
- 露: …………
- 露: (水徳寺の周辺も川も調べて@海まで来た…だけど…)
- 露: (千鶴の反応はない…)
- 露: 戦神子は簡単にやられない@それが思い違いなら…
- 露: …天の川
- 露: 織姫と彦星は離ればなれ…@綺麗だけど凶兆のようだわ…
- 露: やめて…@こんな時に隔てないでよ…
- 露: …………
- パサパサッ…
- 露: 「キャッ…!」
- 露: 今の…鳥…?
- 露: [chara:104500:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
- 露: うそ、あれって
- 露: 鶴乃たちが逃がした…@カササギ…
- 露: ま、待って!!
- 露: (そうだ…カササギは…)
- 露: (天の川で断たれた織姫と彦星を@繋いでくれる鳥…!)
- 露: ねえ!!お願い!!@私のことを案内して!!
- 露: 私と千鶴を繋げて!!@引き合わせて!!
- 露: お願いだから!!
- パサパサッ
- 露: 水徳寺の方へ向かった…?
- 露: 千鶴!@必ず助け出すから待ってて!
- 露: 私たちで飢饉を乗り越えて@新しい礎を築いて@相磨の国に太平をもたらすんだから!
- 露: ここ…?@千鶴はここにいるの…?
- 露: [chara:104500:effect_ef_adv_01][se:7201_detect_magic]微かに…感じる…
- 露: 下…
- 露: 木の下…!?
- 露の声: 千鶴…
- 露の声: 千鶴…!千鶴…!
- 千鶴の声: 「露…苦しい…」
- 露: 千鶴…!
- 千鶴の声: 「助けて…」
- 露: …………
- 露: 水名を支えてきたご神木…@根まで切らないといけない…
- 露: だけど…!
- 露: ふぅ…
- 露: 先ほどのカササギによる導きは@ご先祖様の導き…
- 露: ならば、水名のご神木を@切り倒してこそ意味がある…!
- 露: だから、大切な人を救うために…
- 露: 申し訳ございません…@ご先祖様…!!
- 露: 水名露!@全力で切らせて頂きます!
- 露: はぁあああああッッ!!
- 露: ―露―@千鶴!千鶴!
- 千鶴: ―千鶴―@つ、つゆ…
- 露: ―露―@まさか、ご神木の下に地下牢があるなんて…
- 露: ―露―@本当…無事で良かった…
- 千鶴: ―千鶴―@感動の再会なんて余裕はねぇ…
- 露: ―露―@…ここに閉じ込めたのは@玄雲ね…?
- 千鶴: ―千鶴―@ああ…いいから…@聞いたこと…全部話すぞ…
- 露: ―露―@お願い
- 露: ―露―@私は回復させながら話を聞くわ
- 千鶴: ―千鶴―@おう、ありがとな…
- FILENAME: symbol_518320-15_cyov4.txt
- 千鶴: ―千鶴―@もうわかってるだろうけどな@水徳寺の玄雲こそが妖魔みてぇなもんだ
- 玄雲: 最近、寺の周りをうろつく@ネズミがおってな
- 玄雲: 今夜、その1匹を始末した
- 露: ―露―@ええ…私も彼に会って確信したわ…
- 千鶴: ―千鶴―@ただ、元凶は玄雲だけじゃねぇ
- 露: ―露―@彼がなんとしても@泰党を滅ぼしたいだけじゃないの…?
- 千鶴: ―千鶴―@違う、守護代の熊井が絡んでる
- 露: ―露―@何が目的で…
- 千鶴: ―千鶴―@あのふたり…
- 千鶴: ―千鶴―@この戦いで守護の隅谷を殺すつもりだ
- 露: まさか熊井は@下克上でもするつもり…!?
- 露: でも、玄雲に何の意味が…
- 千鶴: アイツにとっちゃ泰党の消滅が…@累代の悲願だろ…
- 千鶴: それに、泰党の地の一部が@寺の領地になる…
- 千鶴: 「恐らく先代の隅谷が死んだのも@あのふたりが仕組んだことで違ぇねえ…」
- 千鶴: 「バカな若君が新たなお館様になってからは@両者そろって好き放題やってやがる…」
- 千鶴: 「まず、熊井と玄雲はな@凶作による窮状を隅谷に伝えるふりをして@正しい判断ができないようにしてたんだ」
- 千鶴: 「おかげで徳政を行った水徳寺が民の信頼を得て@隅谷は一門からも暗愚と揶揄された」
- 正綱: 隅谷の跡目については@争いもなく落ち着きそうだが
- 正綱: この乱世の中で、熊井の餌食に@されぬか不安になるほど
- 正綱: 狡猾な先代とは違って@お館様は臆病で怜悧でもない
- 水名の家臣: つまるところ徳政については…
- 正綱: 周りが対策を講じたとしても@許すほどの度量があるか…
- 正綱: 寺からの借入れについても@玄雲が何とかすると言っていた
- 露: では、三郷の者たちは…
- 正綱: うむ、領主からの借入れ分は@残ることになるが
- 正綱: 寺からの借入れ分がなくなれば@幾分マシになるだろう
- 千鶴: 「なんなら一門の中からは@お館様の言うことには逆らえないって@暴挙に出るヤツもいただろ…」
- 千鶴: 「それもふたりが裏で動いたから起きたこと@アイツらの仕込んだ毒は@間違い無く相磨の国を蝕んでたんだ…」
- 三郷の領主: この三郷を継いできたとはいえ@私も今となっては隅谷の一門
- 三郷の領主: 水名のように自由が許される@立場ではないのだ
- 三郷の領主: 隅谷に仕える身である我々は@年貢を納めねばならない
- 三郷の領主: 窮状を訴えて変わらぬ今、@涙して民から吸上げねばならん!
- 千鶴: 「こうして隅谷と一門の価値を落としながら@熊井は水徳寺からの話を受けて@隅谷の命という体でアタシら泰党を狙った」
- 千鶴: 「アイツらは他の領地から兵を削りつつ@隅谷の価値を貶めるために泰党攻めをさせたんだ」
- さな: ひっ…
- 鶴乃: な、何これ…
- さな: どこを見ても人が倒れて…@皆さん…血が…
- 鶴乃: 誰か…!@ぶ、無事ですかぁ…!?
- 正綱: いずれは共に手を取り合い、@かつての国を取り戻すことを願う
- 千鶴: なんで今じゃダメなんだ…!
- 露: 飢饉の最中に侵攻した結果@どこの領地も疲弊している…
- 露: その中で泰党と手を結べば、@裏切り者として標的にされるわ…
- 千鶴: 「こうして土壌ができたら最後の準備@熊井のヤツが泰党から一門を守るためって@城に人を集めたろ」
- 千鶴: そういや、その熊井だけどさ@一門衆の家族を泰党から守るって
- 千鶴: 水名のでっけー城の中に集めて@匿ってるらしいな
- 露: そんなことまでしてたの?
- 千鶴: 露は外様だし戦神子だから@対象外だったんだろ
- 千鶴: 「これで、熊井を裏切るやつが現れても@一門の血縁者は皆殺しっつー状況の完成だ」
- 千鶴: 「あとは、世継ぎのいないお館様が死ねば@娘をもらい受けて嫡男もいる熊井が@皆の頭として躍り出てくるって寸法だよ」
- 露: その殺害が…@2回目となる泰党攻め…?
- 千鶴: 納得できそうか…?
- 露: 実際、隅谷の信用は地に落ちて@飾りみたいなものよ
- 露: 急に熊井が現れて@牽引し始めたのは…全て…
- 千鶴: 天地返し
- 千鶴: 土を新しくすんだよ
- 露: そして玄雲は泰党を潰す大義と@土地への欲に飲まれた…
- 露: はぁ…
- 露: でも、今から事実を伝えて@状況を覆すだなんて…
- 千鶴: 馬は出せるか
- 露: それは…ええ…
- 千鶴: なら、できる@いや、賭けるって感じだな
- さな: [chara:100400:effect_ef_adv_01][se:7201_detect_magic]――っ!?
- 露: さな!
- さな: 露姫様!?
- さな: あ、大変です…!@鶴乃さんが泰党の里で捕まって…
- さな: 今、千鶴さんのお父さんと一緒に@砦の中にいるんです…!!
- 露: それなら、千鶴を連れて@泰党の里に戻ってくれるかしら
- さな: えっ…千鶴さん…?
- 千鶴: 心配かけたな
- さな: あっ、ああ…!@ご無事だったんですね…!?
- 千鶴: 詳しい話はまたにして、@とりあえず露に助けてもらった
- 千鶴: 泰党攻めの裏側については@玄雲と熊井から仕入れてきたぞ
- 露: それを泰党に伝えるにしても@先には兵が多いでしょ?
- 露: だからさなの力を使って、@気配を消して進んで欲しいの
- 千鶴: 往復させちまって悪いが@頼めるか
- さな: そういうことなら@私に任せてください…!
- 千鶴: それじゃあ、露
- 千鶴: 熊井と隅谷を除いた連中への連絡@お前に任せたぞ!
- 露: ええ、早馬で皆に知らせるわ!
- FILENAME: symbol_518320-16_cyov4.txt
- <北>
- 正綱: 露、お前に聞いたことは@すべて密書に記した
- 露: 早馬を出して頂き@ありがとうございました
- 正綱: 今頃は皆のところへ@届いているはずだ
- 正綱: あとは、三郷、巧生、凪津、栄@といった者たちが
- 正綱: どこまで熊井と玄雲の目論見を@信じてくれるかにかかっておる…
- 露: 彼らも古来より相磨の国を@支えてきた同郷の士
- 露: 我欲に溺れて民を巻き込んだ者を@共に倒せたらと思うのですが…
- 正綱: 皆の答えは@この戦の最後に出るはずだ
- 露: はい
- 正綱: では、始めるぞ
- 正綱: 準備は整った!@狼煙を上げて前へ出る!
- 正綱: 「弓隊構え!!」
- 正綱: 「放てぇえッ!!」
- [textBlack:熊井と水徳寺の玄雲が]@[textBlack:戦に乗じてお館様の殺害を目論んでいる。]@[textBlack:場所はこれより入る千里地獄である。]
- <西>
- 玄雲: 水名の狼煙が上がりましたぞ!
- 隅谷: 全軍進め!
- [bgEffect:shakeLarge]ぶぉぉおおおおっ
- [textBlack:経緯をこれより記すが、]@[textBlack:読めば私が乱心したと思うに違いないだろう。]@[textBlack:ゆえに、熊井と玄雲による狼藉については]@[textBlack:すぐに信じて頂こうとは考えていない。]
- 熊井: この戦い勝ったも同然@必ずや泰党を打ち払いましょう!
- 隅谷: うむ、若輩者の私を支えてくれて@助かるぞ、熊井
- 玄雲: …………
- [textBlack:もしも、此度の戦いが記した通りに運び]@[textBlack:お館様が窮地に立たされるようなことがあれば]@[textBlack:その時こそ、力になってもらいたい。]
- 玄雲: 我々は後方より援護に回る
- 玄雲: お主らは北と南へ@援軍として向かうのだ
- 僧兵: 承知つかまつった
- [textBlack:一介の外様の戯れ言とは思わずに]@[textBlack:何卒よろしくお願いつかまつる。]
- <南>
- 三郷の領主: 皆の者、進めー!
- [textBlack:まずは作戦の通り3方向からの挟撃による]@[textBlack:千里地獄への侵入。]
- [textBlack:我々は泰党にとって正面となる西こそが]@[textBlack:主力の集まる方角だと聞いているが、]@[textBlack:事実は異なり北と南が苦戦を強いられるだろう。]
- [textBlack:熊井と玄雲は承知の上で、]@[textBlack:己がいる西側に主力を固めているのだ。]
- 三郷の兵: [flashEffect:flashRed2][bgEffect:shakeLarge][chara:832800:effect_shake][se:3001_chara_damage]ぎぃあッ!
- 三郷の領主: 乱れて動くな!@ひとりずつ的になってるぞ!
- 三郷の領主: [chara:832900:effect_7000_attack01]っ!
- 泰党の兵: [chara:832900:effect_7001_attack02]民を狩った三郷の領主め…@今回はお前が食われる側だ…!
- 三郷の領主: [chara:832900:effect_7003_damage02][se:3001_chara_damage][bgEffect:shakeSmall]ぐぅっ!
- 三郷の領主: [chara:832801:effect_7001_attack02]なめるなぁあっ!
- 泰党の兵: [chara:832801:effect_7003_damage02][se:3001_chara_damage][bgEffect:shakeSmall]チッ、やりやがる…
- 三郷の領主: はぁ…ふぅ…
- 三郷の領主: コイツらの目を引きつけろ!@お館様に駒を回させるな!
- <泰党>
- 山右衛門: 俺もちったあ出てくるか
- 山右衛門: 嬢ちゃん、疑いは晴れた@あとは好きに動きな
- 鶴乃: ありがとうございます!
- 千鶴: 熊井と水徳寺の連中は、@北と南に損な役を押し付けて
- 千鶴: こっちの里に@真っ直ぐ進んで来る気だ…
- さな: だけど私たちは…
- 千鶴: わぁってるよ@成り行きを見守るしかねぇ
- ねむ: あれからお姉さんの概念は@回収されてるかな
- 鶴乃: ここ暫くは反応なしだね…
- ねむ: この戦いに勝って泰党と水名が@手を取り合うのを確定させないと
- ねむ: 歴史が変わるのかも…
- さな: 千鶴さんも露姫様も私たちも@正念場ですね…
- FILENAME: symbol_518320-17_cyov4.txt
- <北>
- 泰党の兵: もらった!
- 正綱: しまった…!
- 露: [chara:832801:effect_7000_attack01][surround:1045A01]父上!
- 泰党の兵: [chara:832801:effect_7002_damage01][surround:1045A04][bgEffect:shakeSmall]ぐっ…@戦神子が居ると分が悪い…
- 正綱: すまない、露
- 露: いえ、ご無事で何よりです
- 正綱: 今のところ泰党の配置は@密書に書いた通りか
- 露: はい、私たちが苦戦するのも@玄雲や熊井の考えるところかと
- 正綱: ならば、この折りに…
- [textBlack:順調な隅谷、熊井、水徳寺とは対照的に]@[textBlack:北と南を受け持つ我々は苦戦する。]
- [textBlack:そこに、水徳寺の兵が現れるはずだ。]@[textBlack:最初からそういう手はずだが、]@[textBlack:彼らは偶然を装って現れるだろう。]
- 僧兵: 水名殿!
- 正綱: お前は水徳寺の者か!
- 僧兵: はっ
- 僧兵: 我々が進む西側は敵兵が少なく@玄雲殿の命で参った次第
- 僧兵: 挟撃を成功させるために@我々も加勢いたす!
- 正綱: かたじけない!
- 露: 水名の戦神子としても@感謝します
- <南>
- 三郷の領主: 状況を報告しろ!
- 三郷の兵: 共に入られた凪津も@泰党に苦戦を強いられている様子
- 三郷の兵: 我々は先に向かった兵たちが@奇襲に遭って壊滅状態
- 三郷の兵: 早くも1割近くの兵を@失っています…
- 三郷の領主: 位置まではわかっていたが@まるでサルのような連中
- 三郷の領主: 普通の戦い方ではままならんな…
- 三郷の兵: また、増援も望めない状況で…
- 僧兵の声: 捜しましたぞ、三郷殿!
- 三郷の領主: [chara:832900:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
- 僧兵: ここは我らが加勢する!
- 三郷の領主: …………
- 僧兵: む、驚かせて済まない
- 三郷の領主: …いや、ご助力感謝いたす
- <西>
- 熊井: このまま進めば@泰党の里へ着くということか
- 玄雲: いかにも
- 玄雲: 千里地獄も迷路とはいえ@自らが迷えば本末転倒
- 玄雲: 加えて有事の際に起きる@やり取りなども想定すれば…
- 熊井: なるほど、自ずと正しい道は@単純なものになってゆく
- 玄雲: そういうことにございます
- ヒュッ…
- 玄雲: [flashEffect:flashWhite2]むっ!
- 熊井: 助かった!
- 山右衛門: オメエ本当に坊主か…?
- 山右衛門: うちでも戦神子の千鶴か@一部の手練れしか防げねえ技だ
- 玄雲: 日々精進している賜物だ
- 隅谷: お、お主が@万守山右衛門か…!
- 隅谷: お主らの狼藉は聞き及んでおる!
- 隅谷: 速やかに余に降伏し@この地を放棄せよ!
- 隅谷: さ、さもなくば、@この国を預かる者として
- 隅谷: その首をとらねばならない!
- 山右衛門: おうおう、何も知らねえガキが@飾り祭られて調子に乗ってやがる
- 隅谷: 無礼な…!!
- 熊井: 万守山右衛門!@決して降伏はせぬ構えだな
- 玄雲: 何百年も続く問題が@降伏で終わるのも癪というもの
- 山右衛門: おう
- 山右衛門: 俺も簡単に片づける気はねぇ@ここは通さねえからな
- FILENAME: symbol_518320-18_cyov4.txt
- <北>
- 僧兵: こちらは片付いた@水名の者たちは無事か!
- 水名の兵士: 皆が無事というわけにはいかぬが@水徳寺のおかげで大事は免れた
- 正綱: 進軍の遅れを取り戻す!@周囲への警戒は怠るな!
- 正綱: 露もいけるか
- 露: ええ、もちろんよ!
- 露: この反応…
- 鶴乃: 露姫様ー!
- さな: 遅れましたが戻りました…!
- 露: 鶴乃は捕まってたみたいだけど@特にケガはなさそうね
- 鶴乃: うん、おかげさまで!
- 露: それで、千鶴たちの動きは?
- 鶴乃: お父さんたちと一緒に@熊井と玄雲の方に向かったよ
- 露: 数が違い過ぎる以上、@退かざるを得ないでしょうね
- さな: 熊井や玄雲の立てた作戦通り、@侵攻は成功しそうです…
- 露: となれば、決着はやはり
- 鶴乃: うん、最後につけるしかないよ
- 露: 書にしたためた言葉…@皆は信じてくれるでしょうか…
- 正綱: 我らにできるのは討たれる覚悟@信を得られるかは天に任す
- 露: はい…
- 僧兵: しかし、水名の者たちは熊井殿に@助けられたと思った方が良い
- 僧兵: あの方の采配がなければ、@我らも駆けつけるのが遅くなった
- [textBlack:水徳寺の者たちは潜伏していた者から]@[textBlack:千里地獄について詳しく聞いているため、]@[textBlack:合流後の侵攻は順調に進むだろう。]
- [textBlack:だが、彼らは同時に熊井を持ち上げ]@[textBlack:隅谷を卑下するような言葉を並べるはず。]@[textBlack:その言葉に耳を傾けてはならない。]
- <南>
- 僧兵: 勝利をつかんでも、@相磨の武者に領地は与えない
- 僧兵: それが隅谷の腹の中らしい
- 僧兵: 武功に応じた恩賞を与えるべきと@熊井殿が説得しているようだが
- 僧兵: それでも@首を横に振るばかりだそうだ
- 三郷の領主: もしもそれが真実ならば、@熊井殿に被官するのが賢明だな
- ぶぉっぶぉおおおおおッ
- 三郷の領主: 熊井からの位置を知らせる合図…
- 三郷の領主: 皆の者、進めぇッ!@挟撃に移って泰党を落とす!
- <西>
- 山右衛門: はぁっ…はぁ…@チッ、奴らもしつけーな…
- 泰党の兵: 南より凪津と三郷の軍…@北からも水名が迫ってる…!
- 泰党の兵: あいつら千里地獄を破って@こっちを潰しに来てます…!!
- 山右衛門: うるせえ!わかってる!@いいからさっさと退きやがれ!
- 山右衛門: …っ
- 山右衛門: おい、千鶴…@本当にこれでいいんだろうな…
- 千鶴: 千里地獄のカラクリが@暴かれた時点でこっちは終わりだ
- 千鶴: 勘ぐる気持ちはわかるけど@ちったぁアタシを信じろよ、親父
- 山右衛門: わぁったよ
- 山右衛門: 退いた先に逆転の機会がある@その言葉を信じてやる
- [textBlack:勝ち目がないとみた泰党は退く。]
- [textBlack:その退いた先にあるのが]@[textBlack:泰党の里へと繋がる、唯一の入口である。]
- 隅谷の声: [bgEffect:shakeLarge]「皆の者止まれー!!」
- 隅谷: この先が泰党の里か
- 玄雲: いかにも
- 玄雲: 攻め入れば落ちたも同然@勝ち戦にございます
- 熊井: お館様@一斉にかかるよう皆への合図を!
- 隅谷: …………
- 山右衛門: …………
- 隅谷: 泰党の頭首、万守山右衛門に申す
- 隅谷: 里の者たちの命が惜しくば、@抵抗はせず私の下へ降るがよい
- 玄雲: この里の者たちは@妖魔を操る危険な者たち…!
- 玄雲: 生かしておけば後顧の憂いと…
- 隅谷: 我々を殺す気であれば、@既に十分な抵抗はしておるはず
- 山右衛門: 罠かもしれねえだろ@めでてえ坊ちゃんだな
- 隅谷: 本当に罠であれば言わぬだろう
- 山右衛門: ああ、ねえよ…なんもねぇ
- 山右衛門: わかった、偉いさんのテメエの@言う通りにしてやるよ
- 熊井: 降伏と受け取るが良いか
- 山右衛門: ああ…
- 山右衛門: ただし、俺以外の首はとるな
- 熊井: …………
- 隅谷: 約束しよう
- [textBlack:もし、頭首である山右衛門が降伏したら@決して玄雲と熊井から目を離してはらならない。]
- [textBlack:ひとつの合図が我らの主…@隅谷を殺そうとする…。]
- FILENAME: symbol_518320-19_cyov4.txt
- [textBlack:もし、頭首である山右衛門が降伏したら]@[textBlack:決して玄雲と熊井から目を離してはらならない。]
- [textBlack:ひとつの合図が我らの主…]@[textBlack:隅谷を殺そうとする…。]
- ググッ…
- [flashEffect:flashWhite1]ピュンッ…
- 露: 危ないっ!
- 隅谷: [chara:832302:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]なっ…矢だと…!?
- 熊井: くっ…
- 熊井: 降伏はすべて@お館様を殺すための虚言か
- 熊井: 皆の者!@泰党を皆殺しにせいッ!
- 隅谷: 演技だったのか…
- 玄雲: 水徳寺の者ども!@他の兵と共に泰党を倒す!
- 玄雲: 妖魔で穢れた者どもを@浄土へ逝けるよう引導を渡せ!
- 僧兵たち: オオッ!
- 三郷の領主: …………
- 熊井: 何を呆けておる…@それでも相磨の領主か!
- 玄雲: これは…@どうしたというのだ…
- 鶴乃: もしかして…
- さな: 私たちの賭けは…
- 露: ええ…
- 三郷の領主: 真偽を問われるのは、@そちらも同じようだな
- 正綱: 貴様らの策は露見しておる
- 玄雲: 策…何を寝ぼけたことを…
- 隅谷: これは、いったい何が起きて…
- ピュンッ
- 千鶴: リャアアッ!
- 隅谷: [chara:832302:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
- 千鶴: この矢もお前らクソ坊主の仲間が@隅谷を狙ってんだろうが
- 千鶴: 少なくとも泰党は矢を落とした@隅谷を殺す気は一切ねぇ!
- 玄雲: お前は…なぜ…!
- 千鶴: 助けられたに決まってるだろ@露とカササギのおかげだ
- 千鶴: 熊井と隅谷とテメエ以外はな、@これまでのことを知ってるぞ
- 露: そういうことよ
- 露: 泰党の地は寺のものにならないし@熊井の下克上も失敗
- 露: 玄雲…残念だわ…
- 玄雲: しかし、この娘が知らぬだけで@泰党が隅谷殿を狙われた…!
- 山右衛門: んじゃ、お仲間を@じっくり調べてみるか
- ぬぅっ…
- 山右衛門: そもそもコイツの武具には、@泰党の印が入ってねえ
- 千鶴: 泰党の武具は巧生の職人が作る@特別なもんだからな
- 山右衛門: 頑丈さは前に俺らを攻めたとき@身を持って知ってんだろ
- 山右衛門: 上から斬ってみりゃあ@本物かどうかは簡単にわかる
- 山右衛門: 斬って生きてりゃ仲間だが、@死んだら敵ってことだ
- く…
- 玄雲: 正綱殿も信じるのか
- 正綱: 空っぽになった水徳寺には@水名の者が調べに入っている…
- 正綱: 見つかって欲しくないものも@出てくるのではないか…
- 熊井: お主ら…
- 熊井: 城で預かっている者たちが@身内だとわかっておるのか…!
- 三郷の領主: 我ら三郷も栄も凪津も巧生も@命を握られているのは承知の上だ
- 三郷の領主: 水名殿のおかげで目が覚めた
- 正綱: 礼は戦神子の娘たちに@言って欲しいが
- 正綱: これが答えのようだ、熊井
- 正綱: お主らの我欲のために苦しめた@万人の民の命を思えば
- 正綱: どんな脅迫にも屈しはしない@それが相磨に根ざす武士の答えだ
- 熊井: ここで、怯んでたまるかぁあっ!
- 熊井: [chara:832901:effect_7003_damage02][se:3001_chara_damage][bgEffect:shakeSmall]うぐっ!
- 山右衛門: ここで首は取らねえ@あとでじっくりと話は聞いてやる
- 露: 熊井の反応で答えが出た…
- 玄雲: 愚かだな…
- 露: 玄雲も抵抗する…?
- 玄雲: これ以上の死者が出るのは望まん@私の処遇は水名に任せた
- 露: そう…
- 露: …っ、どうしてこんなこと!
- パシッ
- 玄雲: いつからか、寺にとっては@泰党を滅することが使命だった
- 玄雲: その志を遂げるため、@熊井の欲に乗っかったのだ
- 露: …何百年もたてば@きっと変わるものばかりよ…
- 露: だから私は千鶴を信じた@信じて良かったと思ってる…
- 玄雲: 私は過去に@呪われていたのかもしれん…
- 玄雲: 露…
- 玄雲: 地獄へ行く私とは会わぬよう@真っ当に生きてくれ
- 露: 勝手な事言わないでよ…
- 鶴乃: 露姫様…
- さな: これが、来るべき歴史…@そういうことですよね…?
- 鶴乃: やっぱり、@わかっててもキツイね…
- ねむ: 今までで一際大きい光…
- ねむ: この時代に散らばっていた概念は@すべて回収できたみたいだよ…
- さな: 私たちの長い旅も@ようやく終わりなんですね…
- 鶴乃: うん@お別れの時だね…
- FILENAME: symbol_518320-20_cyov4.txt
- 千鶴: ふーん
- 千鶴: じゃあ、あのクソ坊主は@殺されるわけじゃねえのか?
- さな: 水名側の嘆願もあったので、@これから判断されるそうです…
- 千鶴: 水名側って@あめーな、露も…
- 露: 甘いって言われても仕方ないわ@情があるもの…
- 露: ただ、良くても追放されて@会うことはもうないでしょうね
- 千鶴: …アタシにとっちゃ敵でも@露にとっては旧知の仲だもんな
- 千鶴: なんか悪いこと言った
- 鶴乃: はいはい、@もう暗い話は終わりにしよう
- 鶴乃: 今日は水名神社に行って@舞を見るんでしょ?
- 鶴乃: そういう時は楽しみに@笑っていかないと
- 露: ふふっ、そうね
- 千鶴: 物語は腐るほど叩き込んだし@楽しみにしてるよ
- 千鶴: お前らも見に行くんだろ?
- さな: …えっと、それは
- 露: あれ、行かないの?
- 鶴乃: …っていうかお別れかなぁって
- 露: …………
- 露: そう、お友だちが救われたのね
- 鶴乃: うん
- 露: ずっと慌ただしかったから@ふたりの目的を忘れてたわ
- 露: そうよね
- 露: ふたりが私の側にいたのは@友だちを救うためだった
- 鶴乃: ごめんね
- 鶴乃: 本当はもっと長く居たいし@ふたりを見ていたいけど
- さな: はい…留まる時間が長いほど@良くないとは思うので…
- 千鶴: 理由はわかんねーけどさ@もう1日ゆっくりできねえのか?
- 千鶴: 親父に頼んで別れの宴とかさ
- 露: ええ、私も父上に頼んで
- 鶴乃: ううん、引きずると良くない@思ったときにスパッと別れる
- さな: じゃないと@後ろ髪を引かれちゃうので…
- 露: そう…わかったわ
- 千鶴: 寂しくなるけど@また機会があれば寄ってくれよ
- 露: そうね@お客様として歓迎するわ
- 鶴乃: ありがとう、ふたりとも
- さな: また会うの、楽しみにしてます…
- 鶴乃: あっ…
- 露: な、なに?
- 鶴乃: 日記とかにわたしたちのことは@残さないでね
- 露: 良く分からないけど
- 露: 千鶴と仲良くなれたのも@ふたりのおかげだから
- 露: 天の川を繋いでくれた@カササギとして書いておくわ
- 鶴乃: それで、よろしく!
- 鶴乃: …………
- さな: …………
- ねむ: 未来は変わらないよ
- 鶴乃: 露姫様が魔女になる未来も…
- さな: 千鶴さんが魔女に@やられてしまうのも…
- 鶴乃: ねむは、それがわかってるのに@よく平気でいられるね
- ねむ: 僕も多少は重い心持ちだよ
- ねむ: ふたりが見に行った幸若舞に@未来記の話があったと思うけど
- 千鶴: ―千鶴―@なぁ、またあとで話を聞かせてくれよ@今度は未来記ってやつ
- 露: ―露―@私が好きな話の1本ね
- 千鶴: ―千鶴―@どんな話なんだ?
- 露: ―露―@牛若丸が天狗の住む世界に行って@自分の未来を聞くって話
- ねむ: 「あの物語には@頼朝と義経の出会いや平家を倒す@内容だけじゃなくてね」
- ねむ: 「頼朝と義経の別れまで描かれているんだよ」
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