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Puella Historia: Battle Shamanesses of Kamihama JP Text

Jan 27th, 2023 (edited)
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  1. *Note: The devs moved the long intro scene to the "Modern / Present Day Kamihama" section of Puella Historia, so I moved it to that pastebin as well.
  2.  
  3. FILENAME: text_518310-1_sw8iW.txt
  4. 露: 祖霊が宿りし神木よ… 子孫たる水名露は誓います…!
  5. 露: 相磨の国に災いを起こし、 民を奈落へ突き落とす妖魔を
  6. 露: 必ずやこの手で 討ち取るということを!
  7. 鶴乃: うわっと!
  8. さな: ぴゃっ、鶴乃さんあぶなっ…
  9. 鶴乃: えっ!?ぶつか…!
  10. 鶴乃: うう…鏡を通って 戦国時代にやってきたものの
  11. 鶴乃: 出入口の段差で躓くなんて…
  12. さな: 幸先が悪いですね…
  13. 鶴乃: ほんとだよー…
  14. 鶴乃: って、魂の器は壊れてない!?
  15. さな: あっ…
  16. さな: え、えっと…はい…! 傷も無いですし、大丈夫です…!
  17. ねむ: 魂の器は、お姉さんを救うために 必要不可欠な道具だよ
  18. ねむ: 僕が衝撃で簡単に破損するように 作ったと思われるのは心外だよ
  19. 鶴乃: そんな悪意のある発言を したつもりないけど…
  20. 鶴乃: 安心して持ち運べるってことは 理解できたよ
  21. ねむ: それは何より
  22. さな: ところで、あの…
  23. さな: いろはさんが来ていた時代って ここで合ってるんでしょうか…?
  24. さな: この時代の中で 崩れちゃったんですよね…?
  25. ねむ: まだお姉さんが集めた記録の 解析ができていないから
  26. ねむ: 読み取れない部分も 多分に含まれているけれど
  27. ねむ: 少なくとも、 場所と時代は間違ってないよ
  28. ねむ: 「およそ1540年ごろの戦国時代で この一帯は“相磨の国”と呼ばれてた頃だね」
  29. ねむ: 「この辺りの領主が手を取り合って戦い 水名正綱が水名の地に返り咲く少し前かな…」
  30. ねむ: 「ここにいる魔法少女は 戦神子と呼ばれた水名露と千鶴のふたり」
  31. ねむ: 「お姉さんはふたりの記録を得るために 空から様子を見ていたようだね…」
  32. さな: それなら… そのふたりを追いかければ…
  33. ねむ: お姉さんの概念を 回収できるかもしれないね
  34. 鶴乃: ん~なるほどね… ただ、どうやって捜そうか…
  35. さな: 神浜市の美術館か博物館に 何か資料がありましたよね…?
  36. 鶴乃: カササギがふたりを結んだ話とか 露の日記があったぐらいかな…
  37. さな: とりあえず魔力を探知しながら 歩いてみましょうか…?
  38. 鶴乃: それに、寝床になるような 拠点を作ることも考えないとね
  39. さな: あ、そうですね…
  40. ゴッ…
  41. さな: へ…? なんか…足元に…
  42. 鶴乃: ん…?
  43. 鶴乃: …………
  44. 鶴乃: ひぃぃぃ、人が倒れてるぅ!!
  45. さな: みみっ、ミイラ…!
  46. ねむ: いや、痩せ細った骸だよ
  47. 鶴乃: 冷静に言わないでよ! 事件だよ!事件!
  48. ねむ: いいや、事件じゃない この年は飢饉の真っ最中だからね
  49. 鶴乃: えっ…
  50. 鶴乃: そういうことぉ!?
  51. ガサッ
  52. さな: つ、鶴乃さん… 誰かが近くにいます…
  53. 鶴乃: ごめん、大きな声を出したから… 現地の人に警戒されたのかも…
  54. 農民の声: 「女の声だ!」
  55. 農民の声: 「こんな夜更けに居るってなると 戦神子の姫様かもしれない…! 勝てるような相手じゃあねえぞ!」
  56. 農民の声: ひるむな!
  57. 農民の声: オラたちだって戦がはじまりゃ 足軽として集う戦人よ!
  58. 農民の声: 一丸となって 水名のご神木を倒すぞ!
  59. 農民の声: オラたちの苦しみを 思いっきりわからせてやれぇ!
  60. 鶴乃: …………
  61. さな: 鶴乃さん…
  62. 鶴乃: なんだか… 穏やかじゃなさすぎるね…!!
  63.  
  64. FILENAME: text_518310-2_sw8iW.txt
  65. 鶴乃: はっ、はっ、はぁ…
  66. さな: はぁ、はぁ… ま、まだ追って来てますか…?
  67. 農民の声: 「丘のご神木に向かってるぞ! やっぱり戦神子の姫様に違えねえ!」
  68. さな: ぴゃっ…!?
  69. さな: 追って来てますし、 なにか勘違いされてますよ…!
  70. 鶴乃: これ、どういう状況!?
  71. ねむ: 飢饉に苦しむ農民たちの 徳政を求めた蜂起じゃないかな
  72. 鶴乃: 首が回らないから 借金をチャラにしろってやつ!?
  73. ねむ: 概ねそんなところかな
  74. 鶴乃: なんてタイミング…
  75. 鶴乃: そうだ! うわさの力で解決できない!?
  76. ねむ: 佐鳥かごめに憑いている 風の伝道師のウワサと同様に
  77. ねむ: 出会う人物が友好的になる力は 持ち合わせているけど…
  78. 鶴乃: けど…!?
  79. ねむ: うわさの力が及ばないほど、 感情が高ぶっていれば意味はない
  80. さな: これ、魔女の反応です…! 感情の高ぶりってまさか…!
  81. ねむ: 口づけを受けた影響で 農民は蜂起したのかもしれないね
  82. 鶴乃: なら!
  83. 鶴乃: 奇しくも反応があるのは丘の上! 魔女を倒せば解決だ!
  84. 農民の声: 「まてぇ!」
  85. 鶴乃: ただ、そんな余裕もなさそう…
  86. 鶴乃: はぁ、ふぅ…
  87. 鶴乃: すごい大きい木… これが言ってたご神木かな?
  88. さな: 存在感があって、 神秘的なものを感じますね…
  89. ヒュンッ
  90. 鶴乃: ――っ!?
  91. 鶴乃: 矢まで飛んで来た…!?
  92. さな: 鶴乃さん、人影です…!
  93. 農民: 女…ふたりいたのか… それも水名の姫ではない…
  94. 農民: 変な服を着た…異国の女か?
  95. 農民: そんなことはどうでもいい 戦神子でないなら勝利は目前だ
  96. 農民: ああ、ご神木を切り倒せ!
  97. 農民たちの声: 「おぉぉおおおっ!!」
  98. さな: まだ、森の中に何人も…
  99. ねむ: 良くないね
  100. ねむ: 僕達が見つかったことで 話があらぬ方向に向かっている
  101. ねむ: ご神木が倒されると歴史が変わる 鶴乃とさなで守って欲しい
  102. 鶴乃: わかった! 最強の名にかけて守りきるよ!
  103. 鶴乃: さなは魔女を倒してきて!
  104. 鶴乃: わたしは この人たちを食い止めるから!
  105. さな: わかりました…! 急いで魔女を見つけます…!
  106. さな: あ、あれ… 魔女の反応が消えてますよ…!?
  107. 鶴乃: えっ?
  108. 露の声: 「みんな落ち着いて!!」
  109. 露: ふぅ…
  110. 露: みんなを凶行に走らせた妖魔は 私がこの手で討ち取ったわ
  111. 露: その刃、収めるなら今のうちよ
  112. 農民: 露姫様…
  113. 鶴乃: 目標発見!目標発見! いろはちゃんが追ってた子だ!
  114. さな: まさかこんなに早く…!
  115. 露: 誰か知らないけど…
  116. さな: ひゃい…!?
  117. 露: ご神木を守ってくれてありがとう あとは任せて
  118. 露: 妖魔の呪いが消えたから、 少しは気持ちが落ち着いたでしょ
  119. 農民: 落ち着くもんか…
  120. 農民: こちとら、妻や子どもを 質に入れる寸前なんだ…!!
  121. 露: 私たちも年貢高を改めたけど、 状況はもっと悲惨だったようね…
  122. 農民: 知ったところで、あんたたちは 必ず取り立てにやってくる
  123. 農民: それで野垂れ死ぬぐれぇなら 一矢報いてから死ぬ気だった…!
  124. 農民: 姫様…!
  125. 農民: 別に食わせてくれとはいわねえ けど今年は勘弁してくれ
  126. 農民: 姫さんに言っても仕方ねえのは 俺たちだってわかってる…!
  127. 農民: けど、どうか頼む…徳政を…
  128. 農民: じゃねえと来年が来たところで もう首がまわんねぇんだ…
  129. 露: 最近、主の“隅谷”が死んで 息子に家督が譲られたわ…
  130. 露: ただ、代替わりの徳政なんて…
  131. 農民: っ…どうにもなんねえなら 死ぬ前に暴れてやるさ
  132. 露: しかし!!
  133. 農民: ――っ!?
  134. 露: 水名の地名を冠する この水名露の名に誓って
  135. 露: 父、水名正綱を説得してみせます
  136. 露: ただ、私たちの力が及ぶのは、 いま治めている北養の地だけ…
  137. 露: この三郷の地に徳政が及ぶには 時間が必要だから
  138. 露: お願い…それまで耐え忍んで…
  139.  
  140. FILENAME: text_518310-3_sw8iW.txt
  141. 鶴乃: みんな…帰っていった…
  142. さな: 命拾いしましたね…
  143. 露: で、あなたたちは何者なの?
  144. 露: ご神木を守ろうとしてくれたのは 感謝してるけど…
  145. 鶴乃: そ、そうですよね…
  146. 露: それに、あなたたちも 私と同じ戦神子でしょう?
  147. 鶴乃: どうして…かな…
  148. 露: こんな夜更けに 森の中を歩いてる上に
  149. 露: 武具を纏った農民たちと ふたりだけで対峙するだなんて
  150. 露: それぐらい力がないと 考えられないもの
  151. 露: それに、私と似た反応を感じるわ
  152. ねむ: もはや正直に話した方が 話は簡単に進みそうだね
  153. 露: 本の中から小さな人が…! これはまた奇想天外なものが…
  154. 鶴乃: うう…敵意はないみたいだし…
  155. 鶴乃: そうだね、 ちゃんと説明しよう
  156. 鶴乃: わたしは由比鶴乃
  157. 鶴乃: 隣にいるのが二葉さなで 本から出てきているのが柊ねむ
  158. 鶴乃: 実はわたしたち、 あなたに会いたかったんだよ
  159. 露: にわかには信じられないけど…
  160. 露: つまり、私の近くいることで、 大切な友人が救われるのね…
  161. 鶴乃: ウソはついてなくて 本当に本当のことだから…!
  162. さな: なのでお願いです… 姫の側に置いてくれませんか…?
  163. 露: …………
  164. さな: やっぱり神様みたいな 友だちの概念を回収するなんて…
  165. 鶴乃: 無茶苦茶な説明だよね… でも、わたしの幸運が役立てば…
  166. さな: お城の牢屋に入れられても、 彼女の側にいられるかも…
  167. 鶴乃: それは、前向きなようで 後ろ向きのような…
  168. 露: わかったわ ふたりの望みを叶えましょう
  169. 鶴乃: えっ!?信じてくれるの!?
  170. 露: ウソなの?
  171. 鶴乃: ほんとです!
  172. 露: ただ、私の力では足りないから 回り道をしていいかしら?
  173. 露: 説得しておきたい相手がいるのよ
  174. 鶴乃: お任せします!
  175. さな: まさかのまさかです…! 鶴乃さんの幸運の力でしょうか?
  176. ねむ: 僕のうわさの力も相まって 上手く話が進んだのかもしれない
  177. 鶴乃: この勢いに乗るっきゃないね!
  178. ねむ: その前に、さなが見えないことは 伝えておいた方がいいよ
  179. さな: わ、忘れてました…! 混乱させる前に言っておきます…
  180. 鶴乃: いやぁ、驚いた…
  181. さな: この時代にはあったんですね…
  182. ねむ: 近くに水徳寺があるということは 三郷は参京のことだったようだね
  183. カタッ…
  184. さな: ――っ!?
  185. 露: 玄雲、この方です…
  186. 玄雲: …………
  187. 鶴乃: あ、あの…!
  188. 玄雲: 気を張らなくても構わぬ 露より話は聞き及んでおるゆえな
  189. 鶴乃: はい…
  190. 玄雲: 私の名は玄雲 そなたが由比鶴乃殿でよろしいか
  191. 鶴乃: はい…!
  192. 露: 怖がらなくても平気よ 玄雲は目つきが悪いだけだから
  193. 玄雲: 何を言う 目つきは悪くはない
  194. 露: 悪いわよ
  195. 玄雲: むぅ…そうか… 言いたいことはあるが…
  196. 玄雲: まずは露より聞いた本題について 話さねばならんな
  197. 鶴乃: では、事情は すでに聞いてるんですね
  198. 玄雲: 失われた友を救うために 露の側に居たいと
  199. 鶴乃: その通りです…!
  200. 玄雲: うむ
  201. 玄雲: 阿弥陀様は失われるべきではない 命には慈悲をくださる
  202. 玄雲: ゆえに多くを救われた友であれば 必ずや救われるであろう
  203. 鶴乃: それはつまり…?
  204. 玄雲: 明日は露と共に 水名氏が治めている北養へ向かう
  205. 玄雲: 私が領主である正綱殿と話して 露の側仕えになれるよう計らおう
  206. 玄雲: それが狙いだろう、露
  207. 露: ええ、 察しが良くて助かるわ
  208. 鶴乃: 本当に何から何まで 感謝することしかできないよ!
  209. 露: ふふっ、今日はとりあえず寝て 明日への英気を養っておいて
  210. 鶴乃: うん、露姫様もありがとう
  211.  
  212. FILENAME: text_518310-4_sw8iW.txt
  213. 鶴乃: へぇー
  214. 鶴乃: じゃあ、相磨の国の領主たちって 昔からこの辺りを治めてるんだ
  215. 露: 国司だとか守護だとか 多少の入れ替わりはあったけど
  216. 露: 国の中における武士の繋がりは 古くから続いているわ
  217. 露: 水名と水徳寺のようにね
  218. 露: ただ守護が隅谷になってからは 切り崩されちゃったけどね…
  219. 鶴乃: …殺されたってこと?
  220. 露: なかったとは言えないけど、 主な理由は縁組みよ
  221. 露: ―露― 中でも守護代の熊井はその筆頭
  222. 露: ―露― 今は京にいる隅谷に代わって 水名の城主を務めているわ
  223. 露: ―露― 他にも三郷、凪津、栄が 婚姻を重ねて隅谷の一門になった
  224. 鶴乃: ―鶴乃― じゃあ、露姫様も いつかは隅谷に嫁ぐつもりで?
  225. 露: ―露― まさか
  226. 露: ―露― 水名の地を奪った隅谷に この身を捧げるつもりはないわ
  227. 露: ―露― …父上が縁組みを断ったせいで 今でも外様扱いな上に
  228. 露: ―露― 北養なんて辺鄙な地に 飛ばされちゃったけどね…
  229. さな: なんだか、複雑ですね…
  230. ねむ: お姉さんの本にも 記載がないような部分だね
  231. さな: すみません… 私、状況が飲み込めなくて…
  232. 鶴乃: んー…例えるなら…
  233. 鶴乃: 仲の良かったクラスに すごい不良の転校生がやってきて
  234. 鶴乃: クラスメイトのみんなは その転校生に従うんだけど
  235. 鶴乃: 水名とか水徳寺って人たちは 反発心を持ち続けている…かな…
  236. さな: みんな仲良しだったのに バラバラになったんですね…
  237. ねむ: …鶴乃
  238. ねむ: ついでに大東あたりの話も、 聞いておいてくれないかな?
  239. 鶴乃: おっけー!
  240. 鶴乃: 東と西の戦神子の時代だし 聞いておいた方がいいよね
  241. 鶴乃: ちなみになんだけどさ 相磨の国に大東ってあるの?
  242. 玄雲: 鶴乃殿、軽々しく その名を口にしてはならんぞ
  243. 鶴乃: うぇっ…!? す、すみません…
  244. 玄雲: いや、知らぬのも当然ゆえ 説明しておくと
  245. 玄雲: 安泰の「泰」に悪党の「党」で 奴らは自らを泰党と名乗っておる
  246. 玄雲: 誰に従うこともない賊であり 不法な関所で金を奪うばかりか
  247. 玄雲: 寺や館に忍び込んで 金品を奪う行為を続けている
  248. 露: 貧しい人に分け与えているけど それは表向きの話
  249. 露: 裏では妖魔を操るような 血も涙もないような連中よ
  250. 鶴乃: 妖魔…?
  251. 露: 戦神子になる契約を交して 戦うことになった相手よ…
  252. 鶴乃: …ああ、なるほど
  253. 露: 泰党の連中はその妖魔を操って この飢饉も起こしているの
  254. 鶴乃: 昨日のご神木を狙っていた 農民の人たちも…
  255. 露: 元を正せば泰党のせいで 暴れていたようなものよ…
  256. 玄雲: そうした奇妙な相手なのでな
  257. 玄雲: 我々は何百年以上もの間、 対立を続けている
  258. 玄雲: 守護の隅谷も危ぶんではいるが 泰党の所在がわからぬ上に
  259. 玄雲: 頭領の万守山右衛門という男も 何者かわかっておらぬ
  260. 露: 困った話よね…
  261. 露: あ、館が近くなってきたわよ
  262. 玄雲: 鶴乃殿
  263. 鶴乃: はいっ
  264. 玄雲: 私と旧知の仲とはいえ、 正綱様は用心されるであろう
  265. 玄雲: 信用を得るための手段は 何かしら考えておいた方がいい
  266. 鶴乃: もうちょっと早く言ってよ…
  267. さな: 大丈夫ですよ、鶴乃さん…! ここは私に任せてください…!
  268. 正綱: なっ…
  269. 正綱: 扇が宙を舞っている!?
  270. 鶴乃: ふっ…んーーー… キエーーーーッ!
  271. 正綱: 今度は部屋の至るところから 音が鳴って…
  272. ガタッ
  273. 正綱: ひとりでに掛け軸が…!
  274. 鶴乃: ふぅ…どうでしょうか… この由比鶴乃の神通力は!
  275. 正綱: …玄雲はどう思う
  276. 玄雲: この不思議な力こそ戦神子の証
  277. 玄雲: ひとり妖魔と戦う姫様の側に 置くのが、吉とも出ております
  278. 玄雲: それに露姫様が仰ったとおり、 水名のご神木を守ったのはこの者
  279. 玄雲: 私自身も推挙する理由がなければ ここまで足は運びませぬ
  280. 正綱: …わかった
  281. 正綱: 由比鶴乃を露を守る護衛として 側で仕えさせることにしよう
  282. 鶴乃: ありがとうございます!
  283. ねむ: さなが見えないのを 上手く活用できたみたいだね
  284. さな: はい
  285. さな: 自分の特性を生かして 動き回ってみました…!
  286. 鶴乃: まあ、とりあえず!
  287. 露: これからよろしくね、鶴乃
  288. 鶴乃: こちらこそ!露姫様!
  289.  
  290. FILENAME: text_518310-5_sw8iW.txt
  291. 鶴乃: ここが、露姫様の部屋?
  292. 露: 隣にあなたたちの部屋を 用意させたわ
  293. 露: ねむも含めると3人だと思うけど ひとつの部屋になってごめんね
  294. 露: これで、ご神木を守ってくれた お礼になってるかしら?
  295. 鶴乃: 野宿か廃屋を覚悟してたから、 今の待遇は十分すぎるぐらいだよ
  296. 露: ふふっ、良かった
  297. カササギの声: 「ガァ、グァーグァー」
  298. さな: ―さな― あ、トリさんを飼ってるんですね
  299. 露: ―露― カササギっていうの
  300. 露: ―露― 父が譲り受けたもので 日の本にはいない珍しい鳥なんですって
  301. さな: ―さな― 七夕のお話に出てきますよね 織姫と彦星のために橋渡しをするって…
  302. 露: ―露― そんな話も聞いたことがあるわね
  303. ねむ: これは歴史を追う鍵になるよ
  304. ねむ: 現代に残された資料の中にも カササギの話は出てくる
  305. 鶴乃: うん、戦神子であるふたりの絆は カササギのおかげで結ばれてるよ
  306. さな: これから、観察が必要ですね…
  307. 露: 本当はネコが好きなんだけど トリがいると飼いづらいのよね
  308. 露: そもそも、この飢饉のさなかだと ネコにあげるエサもないけどね…
  309. さな: そういえば…
  310. さな: 正綱様と玄雲さんは飢饉について 話を続けてるんでしょうか…?
  311. 露: ええ
  312. 露: 徳政を求める農民の蜂起に対して どう対応するかを話してると思う
  313. 露: 昨晩、玄雲にも伝えていたから
  314. 露: 徳政を進められるように 助け船を出してくれているはずよ
  315. さな: いい人ですね、玄雲さん
  316. 露: ええ、隅谷や熊井なんかより よっぽど民のことを憂いてるわ
  317. 鶴乃: だけど、この飢饉は徳政をしても その場しのぎだよね…?
  318. 鶴乃: さっき、妖魔が引き起こしてる って話をしてたから…
  319. 露: そう…厳密には泰党が 妖魔を操って起こしていること…
  320. 露: 根本的に解決するには 泰党を倒すしかないのよ…
  321. 鶴乃: 飢饉に徳政を求める農民の蜂起…
  322. 鶴乃: ゴタゴタの多い時代だけど とりあえず一歩進んだね
  323. 鶴乃: 元から露姫様を捜す気だったから 順調で良かったよ
  324. ねむ: 城で水名露の側で仕えるなんて 大躍進以外の言いようがないね
  325. さな: 器が光って…
  326. 鶴乃: いろはちゃんの概念が 回収された…?
  327. ねむ: うん、お姉さんを形作る概念で 間違いないはずだよ
  328. 鶴乃: よっし!
  329. 鶴乃: このまま歴史に従って、 いろはちゃんを助けよう…!
  330. さな: はいっ…!
  331.  
  332. FILENAME: text_518310-6_sw8iW.txt
  333. 鶴乃: んー…
  334. 鶴乃: 何日経っても 代わり映えのしない日々…
  335. さな: ねむちゃんが言うには 過去は改竄されていないので
  336. さな: 自動的にいろはさんの概念は 回収されるみたいですけど…
  337. 鶴乃: 妖魔退治以外に何もできないのが もどかしいんだよー…
  338. 露: 最近、主の“隅谷”が死んで 息子に家督が譲られたわ…
  339. 露: ただ、代替わりの徳政なんて…
  340. 鶴乃: 徳政とか…飢饉周りのことで 手伝えば歴史への干渉になるし…
  341. 鶴乃: 身動きがとれない…!
  342. スッ…
  343. さな: あ、露姫様、お帰りなさい
  344. 露: 今日中に隅谷のところから 父が戻られるそうよ
  345. さな: じゃあ、代替わりの儀は 無事に終えたんですね…
  346. 露: ええ
  347. 露: 狡猾で恐ろしい父親から 度胸のない息子に家督が譲られて
  348. 露: 私たちとしては 動きやすくなって助かるわ
  349. 鶴乃: 一緒に徳政の話はしたのかな?
  350. 露: 新しいお館様は相磨の窮状を 直接見ていないから
  351. 露: 話したところで 首を縦に振るかどうか…
  352. 鶴乃: そっか…
  353. 露: 徳政で借金を破棄すれば 国の収入が失われて疲弊する
  354. 露: そこを諸国に狙われてしまえば 守るべき民を失ってしまうわ…
  355. 露: 借金を被る財源を得るために 他国の領地を奪う力もないから
  356. 露: 正直なところ 現実的な話でもないのよね…
  357. さな: 私たちにできるのは原因の泰党を 打ち破ることぐらいでしょうか…
  358. 鶴乃: それすらできないなら 妖魔を倒し続けることかなあ…
  359. 露: 被害を抑えるためにできるのは ふたりが言ったことぐらい…
  360. 露: ちなみに妖魔が原因と思われる 噂があるんだけど
  361. 露: ふたりとも これから手伝ってくれるかしら?
  362. 鶴乃: もちろんっ! でも、どんな噂なの?
  363. 露: どうも、 浜辺で妙な声がするんですって
  364. 鶴乃: 露姫様はこのもどかしい状況で 気持ちが沈んだりしない?
  365. 鶴乃: ずっと気が張り詰めてるからさ…
  366. 露: 私が我慢してることなんて 双六や短歌や幸若舞ぐらいなもの
  367. 露: 食事ができず苦しむ民と比べたら ご先祖様に怒られちゃうわ
  368.  
  369. FILENAME: text_518310-7_sw8iW.txt
  370. さな: わぁ…海まで来たのは 初めてですね…
  371. 鶴乃: 水の透明度が…違う…!
  372. 露: 鶴乃の出身だと もっと濁った海なの?
  373. 鶴乃: 似たような場所なんだけどね
  374. 鶴乃: それで、ここが凪津だっけ? 漁が盛んなんだよね?
  375. 露: ええ、稲作とは違って 魚はちゃんと獲れているから
  376. 露: もしも妖魔がいるようであれば 影響のないように倒したいわ
  377. 露: それにしっかりと 居るようだし…
  378. さな: でも、反応がはっきりしません…
  379. 露: 二手に分かれて調べましょう そっちはふたりでいいわ
  380. 鶴乃: いや、わたしたち護衛なのに!
  381. 露: この辺りに慣れてない人が ひとりの方が心配でしょ
  382. 露: ただ、私の反応がわかる範囲で 迷わないようにしてね
  383. さな: 露姫様って割と御転婆ですよね…
  384. ねむ: 危機意識が低いのかもね
  385. 鶴乃: 魔法少女だからだと思うけど、 元から無鉄砲なのかもしれないね
  386. 露: この辺りから反応がしたような…
  387. 露: 反応が近いけど…ふたつに…?
  388. 露: そこっ!
  389. 千鶴: んなっ、誰だアンタ
  390. 露: 女の子…?
  391. 露: この辺りで妙な声が 聞こえるという噂があってね
  392. 露: 妖魔の類いかと思って来てみたの
  393. 露: ―露― 今、この地を襲っている凶作も妖魔の仕業 危険だから去りなさい
  394. 千鶴: ―千鶴― フッ、ハハッ
  395. 千鶴: ―千鶴― 関所を越えた東の神子を知らないなんざ 水名の神子も高が知れてるなぁ
  396. 露: ―露― まさかあなたも同じ…
  397. 千鶴: ―千鶴― そ、だから去るのはアンタの方だ 悪いが獲物はこっちがもらう
  398. 露: ―露― 今の民たちの状況を知ってるでしょう 同じ神子なら力を合わせましょう
  399. 千鶴: アタシが泰党だって言っても 手を組む気になるか?
  400. 露: 泰党…!?
  401. 露: 最初からわかっていれば 手を組むなんて言わないわ…!
  402. 千鶴: おいおい、身元を知った途端に ずいぶんと殺気を放つじゃねぇか
  403. 露: 妖魔を操って飢饉を起こす その張本人なんだから当然よ!
  404. 千鶴: ん?妖魔を操る?
  405. 千鶴: 変な妄想してんじゃねぇよ アタシらにそんなマネできるか
  406. 露: ここに姿を現したのは 妖魔を放つためなんでしょ…!?
  407. 千鶴: 西の様子を見に来て、 必要なら助けるつもりだった
  408. 千鶴: 妙な理由で泰党を嫌ってるけどな 民を救う想いは同じはずだろ?
  409. 露: …自分たちのせいで苦しむ人を 助けて善人面するなんて
  410. 露: 泰党は大がかりな 自作自演をするのね
  411. 千鶴: …面倒くせぇっつーかなんつーか
  412. 千鶴: その様子じゃあ 本当に忘れちまってんだな
  413. 千鶴: 親父から 水名は薄情だって聞いてたけど
  414. 千鶴: こりゃあ、違いねぇようだな
  415. 露: 逃がさないわよ!
  416. 千鶴: んだ、やるってのか? 年下だからって舐めんなよ?
  417. 露: 妖魔を消して、 民に謝罪して回ってもらうわ
  418. 千鶴: はぁ…
  419. 千鶴: アンタがお望みだって言うなら 一戦交えてやっても構わねぇ
  420. 千鶴: なんだ、この反応…!
  421. 露: 何か聞こえる…
  422. 千鶴: 誰だ、この声…!
  423. 露: しっ、何か伝えようとしてる…
  424. 巫: 「私とあなたとは生まれも立場も違っていて 決してこの地で認められる間柄ではなかった」
  425. 巫: 「でも、それで自分が悲しんだからと言って 一族を恨んだりはしません 私はみんなが自由に幸せな暮らしができるように この村を変えてみせます」
  426. 巫: 「だから生きていたら私のことを思い出して 私は今もここで待っているから…」
  427. 露: …………
  428. 千鶴: 消えた…
  429. 千鶴: 声はこの貝殻からか…
  430. 露: 『生まれも立ち場も違うけど…』
  431. 千鶴: 何を神のお告げみたいに 繰り返してんだよ
  432. 千鶴: 妙なもんに茶茶を入れられて 興醒めだ…
  433. 千鶴: 白けた アタシは帰るわ
  434. 露: 待ちなさい!
  435. 露: 私は、北養の領主 水名正綱の娘、水名露!
  436. 千鶴の声: 泰党の頭領、万守山右衛門の娘 千鶴だ!
  437. 露: …千鶴
  438.  
  439. FILENAME: text_518310-8_sw8iW.txt
  440. ねむ: 無事に水名露が 千鶴と接触できて良かった
  441. 鶴乃: これで歴史通りってわけだね
  442. ねむ: その通りだよ
  443. ねむ: ただ、お互いの心証は 最悪も最悪みたいだけどね
  444. 鶴乃: それだよ!
  445. 鶴乃: 露姫様は泰党が 妖魔を操ってると思ってるし…
  446. さな: 仲良くなるのは まだ先のことみたいですね…
  447. カササギ: 「ガァ、グァーグァー」
  448. 鶴乃: うう、カササギ様カササギ様! 何卒ふたりを結んでくださいな!
  449. 鶴乃: そして、この国をひとつにして、 飢饉を乗り越える切っ掛けに…!
  450. さな: いろはさんの概念の回収には 必要な道ですからね…
  451. さな: あれ、でも飢饉ってそもそも このあとどうなるんでしょうか…
  452. ねむ: わかっているのは、 露と千鶴が民を救うということで
  453. ねむ: 具体的に飢饉がどうなったかは 不明だよ
  454. 鶴乃: いろはちゃんの本には 書かれてないの?
  455. ねむ: その時代がやってくるより前に お姉さんは戻って来たからね
  456. 鶴乃: …今は正綱様が持ち帰った話の 詳細を待つしかないんだね…
  457. 正綱: 隅谷の跡目については 争いもなく落ち着きそうだが
  458. 正綱: この乱世の中で、熊井の餌食に されぬか不安になるほど
  459. 正綱: 狡猾な先代とは違って お館様は臆病で怜悧でもない
  460. 水名の家臣: つまるところ徳政については…
  461. 正綱: 周りが対策を講じたとしても 許すほどの度量があるか…
  462. 正綱: …そもそも京で生まれ育った方
  463. 正綱: 既得権益を守るつもりはあれど 民を守るほどの愛着はない
  464. 露: …では、私たち北養の民たちに このまま生き地獄を味わえと
  465. 露: 蜂起した三郷の者たちも 苦しんで…!
  466. 正綱: 口を慎みなさい まだ、私が話している
  467. 露: …失礼しました
  468. 正綱: 安心しなさい、露
  469. 正綱: お館様がやらぬと言うのなら 我々は勝手にするまでだ
  470. 露: 父上…!?
  471. 正綱: 財源が失われることは承知の上で 水名からの借入分は破棄する
  472. 正綱: また、今年の年貢は 例年の1割のみ入れてもらう
  473. 水名の家臣: 隅谷へ我々から納める分は…
  474. 正綱: 水名の財を切り崩して 納められた1割があればよい
  475. 正綱: 1年ぐらいどうとでもなろう
  476. 正綱: 寺からの借入れについても 玄雲が何とかすると言っていた
  477. 露: では、三郷の者たちは…
  478. 正綱: うむ、領主からの借入れ分は 残ることになるが
  479. 正綱: 寺からの借入れ分がなくなれば 幾分マシになるだろう
  480. 正綱: …ただ、皆には苦労をかける
  481. 水名の家臣: これでまた、古くからの仲間にも 白い目を向けられるばかりか
  482. 水名の家臣: 家臣の中でも 万年外様となりそうですな…
  483. 正綱: 恨むか
  484. 水名の家臣: いえ、この地を守る矜持が伺える 賢明な判断と存じます
  485. 正綱: そう言ってもらえて何より
  486. 正綱: 家宝である群印が示すように 水名は古くから民を守ってきた
  487. 正綱: その矜持を捨てて 保身を図るほど
  488. 正綱: 私はまだ耄碌しておらんよ
  489. 露: だから、国全体での 徳政は叶わなかったんだけど
  490. 露: 水名と水徳寺は一丸となって 民の負担を減らすことにしたわ
  491. 鶴乃: これから大変かもしれないけど 一歩進んだっていう感じだね
  492. 露: 根元に妖魔がいる以上は、 一手だけ指したようなものよ…
  493. 鶴乃: でも、その一手がないと みんなはきっとひとつになれない
  494. さな: はい、これがきっかけになって みんなを救えるといいですね…!
  495. 露: そうね
  496. 露: 明日はさっそく 玄雲にお礼を言いに行かなくちゃ
  497.  
  498. FILENAME: text_518310-9_sw8iW.txt
  499. 鶴乃: …………
  500. さな: 鶴乃さん、どうしましたか… 考え込んでるみたいですけど…
  501. 鶴乃: 何が正しいとか正解とか わからないもんだなーって
  502. さな: それって、 徳政の考え方とか…ですか…?
  503. 鶴乃: それもひとつかも
  504. 鶴乃: 水名と水徳寺の人たちは 周りの民を救おうとしているけど
  505. 鶴乃: お館様は保身が大事で 一門の人たちは何もしない…
  506. 鶴乃: でも、領地毎に事情は違うから 間違ってるとは言えないなって
  507. さな: 少し前までの私たちに 似てるような気もしますね…
  508. 鶴乃: そうだよね
  509. 鶴乃: 救いたい、救われたい気持ちは まったく同じなのに
  510. 鶴乃: それぞれ事情が違うから ぜんぜんひとつになれなくてね
  511. さな: はい…
  512. さな: …ユニオンにプロミストブラッド 時女一族にネオマギウス
  513. さな: そして午前0時のフォークロア…
  514. さな: みんな別の目的があって すれ違いながら衝突して…
  515. さな: ようやく、すべての魔法少女が 救われるようにって
  516. さな: ひとつになれましたからね
  517. 鶴乃: だから、露姫様の理想もさ 茨の道だよね
  518. さな: 私たちで助けになれるでしょうか
  519. 鶴乃: 歴史の通りに進めば 成功するはずだよ
  520. さな: そうですね
  521. 露: ありがとう玄雲 民のために身を削ってくれて
  522. 玄雲: 借入れを来年に繰り越しつつ 利子をなくしただけだ
  523. 玄雲: 水名のしたことには及ばない
  524. 露: 利子がないだけでも大きいわよ
  525. 露: それに、私たちが対応できるのは 北養の地に限られるけど
  526. 露: 水徳寺から借入れてる人は 各地に居るから多くが救われるわ
  527. 玄雲: …この三郷の地に生きる者は、 少なくとも溜飲を下げるだろうが
  528. 玄雲: この寺と関わりのない地域の者は まだ苦しんでるであろうな…
  529. 露: その人たちはどうなるの…?
  530. 玄雲: 他の土地に奪いに行くか 他の地へ逃散するか
  531. 玄雲: ご神木の件と同じように まとめ役となった長老なんぞは
  532. 玄雲: ただでは済まぬであろう…
  533. 露: いたたまれないわ…
  534. 僧の声: 「玄雲殿!」
  535. 玄雲: ――っ!?
  536. 玄雲: なんだ騒々しい…!
  537. さな: 急にお寺が慌ただしく…
  538. ねむ: 三郷の領主が動いたんだろうね
  539. さな: 何か知ってるんですか…?
  540. ねむ: 無理な徴税に耐えかねた農民が 他国に逃散した記録があってね
  541. ねむ: 多くの民が傷ついたらしい
  542. ねむ: 戦乱が続く世だったとしても 農民は大切にされるもの
  543. ねむ: よっぽど資質のない 領主なのかもしれないね
  544. 鶴乃: 救いたいのに、折り合わなくて それで殺し合いがあって…
  545. 鶴乃: いろはちゃんは、 それでもみんなを救ったんだ…
  546. さな: はい、それなら私たちも…
  547. ねむ: 止めること自体は構わないけど 将兵には手を出しちゃいけない
  548. さな: 食い止めること自体は 問題ないっていうことですか…?
  549. ねむ: そういうことになるね
  550. 露: 鶴乃!さな!
  551. さな: 三郷が徴税のために 兵を動かした話でしょうか…?
  552. 露: 話が早いわ
  553. 露: 他家の領地だとは言っても 私はそんなの許せない!
  554. 鶴乃: 一緒に行くよ!露姫様!
  555. 露: えっ!?
  556. 鶴乃: わたしたちで守ろう 三郷の人を…相磨の国の人を!
  557. 露: 私は、終わるまで寺に居るように 伝えたかったんだけど…
  558.  
  559. FILENAME: text_518310-10_sw8iW.txt
  560. 露: ねえ、鶴乃、さな 本当に付いて来て良かったの?
  561. 鶴乃: わたしも暴挙は許せないし 民のみんなを守りたいからね
  562. 鶴乃: ふんふん!
  563. さな: それに私たちは露姫様の護衛… ぜひご一緒させてください…!
  564. 露: でも、これは私情よ
  565. 露: 私が怒りで行動しているだけで 褒められた行動ではないわ
  566. 露: 友だちのために生きる必要がある あなたたちを巻き込むのは…
  567. 露: だから私からは離れて、 水徳寺にいる方が賢明だわ
  568. 鶴乃: でも、露姫様の行動は みんなを救うためなんでしょ?
  569. 露: …ええ
  570. 鶴乃: それなら付いて行くよ
  571. 鶴乃: わたしはね、無謀だけど頑張って 多くを救おうとする露姫様に
  572. 鶴乃: 大好きな友だちの姿を見たんだ
  573. さな: その人は多くの人を救う代償に みんなの前から姿を消しました…
  574. さな: だから、私も誰かを救うときに 足踏みはしたくない…
  575. さな: それに露姫様のために 私たちも手伝いたいんです…!
  576. 露: …そこまで言われると、 止める理由は無くなっちゃう
  577. 露: 後悔しないでね
  578. 鶴乃&さな: 「うんっ!」 「はいっ!」
  579. ねむ: 覚悟した方がいいよ
  580. ねむ: 一向一揆の際は織田信長だって 万の民を殺している
  581. ねむ: タガの外れた武士は 恐ろしいからね
  582. キンッ、カッ、ドサッ
  583. 農民の声: 「ァアアッ!!」
  584. さな: う…もう、何人も…
  585. 鶴乃: 具足を付けてない農民まで… こんなの無差別だ…!!
  586. 女性の声: 「キャァアアッ!」
  587. 鶴乃: なっ! 子どもをさらって…!
  588. ねむ: お金になるという寸法かもね…
  589. 鶴乃: 最悪だ…
  590. 露: やめろ!
  591. 露: 私の名は北養の水名正綱の娘 戦神子の水名露!
  592. 露: 水徳寺に立ち寄った道すがら この地を通りかかった!
  593. 露: 民は我々を生かす命の要よ
  594. 露: それを不要に殺して回るとは、 仏も看過できない所業だわ!
  595. 露: いますぐ刃を収めて!
  596. 三郷の領主: 外様である水名の娘が 他家の領地で随分な言い草よ
  597. 三郷の領主: 領主として命じる 即刻、この場から立ち去れ!
  598. 露: …まさか 領主自らが出向いているとは…
  599. さな: 露姫様は必死になって 止めようとしてるのに…
  600. 鶴乃: うん…情けない… 人が倒れてるのを見ただけで…
  601. 鶴乃: すくんでる場合じゃない… 三郷の兵を止めるよ、さな!
  602. さな: はいっ…!
  603.  
  604. FILENAME: text_518310-11_sw8iW.txt
  605. 三郷の兵: ええいっ!
  606. 鶴乃: 魔法少女に比べたら遅い これぐらいなら体当たりで!
  607. 三郷の兵: グッ!
  608. 鶴乃: よっし、こんな感じでいけば 下手に傷つけないで済む!
  609. さな: 私も盾なので、うまくやれば 傷つけずに無力化できそうです…
  610. さな: 近づいて…! 思いっきり盾でプレス…!
  611. 三郷の兵: [live2dName:live2d_0:effect_shake]な、急に重く…
  612. 三郷の兵: [live2dName:live2d_1:effect_shake]うわぁっ!
  613. 三郷の領主: あの圧倒的な武と 兵がひとりでに倒れる面妖な技…
  614. 三郷の領主: まさか、あの娘も戦神子か…!? 正綱め…何という駒を…
  615. 三郷の領主: やめさせろ、水名の娘!
  616. 露: 自国の民を傷つけるのをやめれば 私たちも手は出さないわ
  617. 三郷の領主: 言いたいことは理解できるが 必要なことだ、わかれ…!
  618. 露: わかりません!
  619. 三郷の領主: 水名が離反したと、 お館様に報告してもよいのだぞ!
  620. 三郷の領主: 我ら一門に対してお主らは外様
  621. 三郷の領主: 加えてお館様の意に背いて 私徳政まで行っている
  622. 三郷の領主: そんな一族を領主に据えるほど お館様は優しくはないぞ!
  623. 露: この国の各地を治めているのは 古くから根付いた豪族たち
  624. 露: 隅谷みたいな外から来た者と違い 民と苦楽を共にしてきた!
  625. 三郷の領主: ならばこそ刃を向けるなと 言うのであれば
  626. 三郷の領主: 私にも理解できるぞ、露姫
  627. 露: それなら、なぜ!
  628. 三郷の領主: この三郷を継いできたとはいえ 私も今となっては隅谷の一門
  629. 三郷の領主: 水名のように自由が許される 立場ではないのだ
  630. 三郷の領主: 隅谷に仕える身である我々は 年貢を納めねばならない
  631. 三郷の領主: 窮状を訴えて変わらぬ今、 涙して民から吸上げねばならん!
  632. 三郷の領主: 今は姫の理想と旧来の仲に免じて 見なかったことにしてやる
  633. 三郷の領主: だが、少しでも抵抗してみせろ 弱小の水名を沈ませるのは簡単だ
  634. 露: でも…!
  635. 三郷の領主: 隅谷の兵力は三万を超える 対して北養はせいぜい三千だろう
  636. 露: ――っ!?
  637. 三郷の領主: 己の民を生かせ!
  638. 露: 鶴乃、さな… もういいわ、ありがとう…
  639. 鶴乃: わたしたちで止められるような 簡単なものじゃなかったね…
  640. 露: 私が無理をすれば 北養の人に迷惑がかかる…
  641. 露: これ以上逆らうようであれば、 本当にただじゃ済まなくなる…
  642. さな: 隅谷っていう守護に考えを改めて もらうしかないんでしょうか…
  643. 露: 妖魔を操る泰党を破る方法を 考えた方が早いかもね…
  644. 鶴乃: あー…そこはできれば、 仲良くして欲しいけど…
  645. 鶴乃: ほっ?
  646. 鶴乃: っていうかそうだ! 仲良くなっちゃおうよ!
  647. 露: え…?
  648. 鶴乃: 大事な人って 傷つけたくはないものでしょ?
  649. 鶴乃: だから、泰党と仲良くなれば 妖魔を操るのをやめるかも!
  650. 露: 考えもしなかった
  651. 露: 相手を籠絡できれば 被害は最小限で済むわね
  652. ねむ: 考えたね
  653. 鶴乃: 泰党が妖魔を操ってるって 完全に信じちゃってるからね
  654. 鶴乃: いっそ、相手を知りに行くことが 手を結ぶ近道だと思ったんだよ
  655. さな: 千鶴さんに近づきつつ、 飢饉周りも解決させたいですね…
  656. さな: これ、魔法少女の反応…? 鶴乃さん…!
  657. 千鶴の声: 「ヒドい有様だな…」
  658. 千鶴: よお この間ぶりだな、水名露
  659. 露: 何しに来たの…千鶴…
  660.  
  661. FILENAME: text_518310-12_sw8iW.txt
  662. 鶴乃: 露姫様…さっき言った通り 仲良くなれば妖魔の件だって…!
  663. 露: 解決できるって言うんでしょ!? わかってるわよ…!
  664. 千鶴: 西の奴らが暴れ出したって聞いて 様子を見に来たんだが
  665. 千鶴: 家族である民に刃を向けるなんざ 呆れちまって言葉も出ねえな
  666. 露: それには訳が…!
  667. 千鶴: 訳もクソもあるかよ こっから見える光景がすべてだろ
  668. 露: 私たちの意思は微塵もない! むしろ止めに入ってたんだから!
  669. 千鶴: それでこの有様だって言うなら 水名露ってのはそこまでだ
  670. 露: なっ…
  671. 千鶴: 多少は西の戦神子に期待してたが 買いかぶり過ぎたかな…
  672. さな: 今のうちに露姫様をなだめないと 話がこじれちゃいませんか…!?
  673. 鶴乃: おし!
  674. 鶴乃: いっそ、今の状況を利用して 千鶴ちゃんを引き込もう!
  675. さな: えっ、えっ どうするつもりですか…?
  676. 鶴乃: この惨状を解決するには わたしたちの力じゃ足りないから
  677. 鶴乃: 仲間になって助けてくれって 千鶴ちゃんにお願いするんだよ
  678. さな: この状況に苛立ってるようですし 気持ちは同じかもしれませんね…
  679. 鶴乃: うん、可能性は限りなく低いけど やれるだけやってみよう!
  680. 鶴乃: 聞いて千鶴ちゃん!
  681. 千鶴: あ?アンタ誰だ…
  682. 露: いいわ、鶴乃 私は彼女と手は結ばない!
  683. 鶴乃: ん、なんでぇ!?
  684. 露: こうも私に牙を剥いてくるなんて 千鶴に仲良くする気がない証拠よ
  685. 露: それに、この子は 妖魔を手駒として操る諸悪の根源
  686. 露: 何百年という時を越えて 打ち倒すべき相手に変わりないわ
  687. 鶴乃: そんなことないと思うけど…
  688. 千鶴: お前が泰党のことを 何と思ってるかは知らねぇよ
  689. 千鶴: けど、ハッキリした
  690. 千鶴: 泰党はテメエらに門戸を開かねぇ それが正解みてぇだ
  691. 鶴乃: 千鶴ちゃん…!
  692. 千鶴: この惨状にお前の意思がねぇなら 潰されてもいいから戦えばいい
  693. 千鶴: もしくは誰とも関わらないように 泰党と同じく門戸を閉じればいい
  694. 露: 簡単に言わないで
  695. 露: 三郷の彼らとも隅谷が来る前は 共に手を取り合えていたんだから
  696. 千鶴: 泰党だって同じなんだけどな なんならアタシらは盟友だ
  697. 露: 気持ち悪いウソを吐かないで!
  698. 千鶴: んじゃ、気持ち悪いアタシは ここから消え去りますよ
  699. 鶴乃: うぉぉぉ… 完全にしくじっちゃった…
  700. 鶴乃: わたし、歴史変えてない!? 未来変わったりしてないかな!?
  701. ねむ: 恐らく大丈夫だと思うよ まだ帳尻は合うはずだからね
  702. 露: 鶴乃、さな
  703. さな: は、はいっ!
  704. 露: 穴を掘るのを手伝ってくれる…?
  705. 露: 逃げた人は戻らないと思うから 死んだ人は弔ってあげたいの
  706. 鶴乃: うん…
  707. 露: ありがとう… ごめんね、こんなことをさせて…
  708.  
  709. FILENAME: text_518310-13_sw8iW.txt
  710. 正綱: 三郷の徴税は終わったようだな…
  711. 水名の家臣: 一部逃散する者が現れたものの ほぼ食い止められた模様
  712. 水名の家臣: しかし、此度の徴収では足りず 三郷は私財を切り崩す様子です…
  713. 正綱: 逆さまに振っても出ないものを 叩いたところで何も変わらぬ
  714. 正綱: 今回ばかりは三郷の失策だな…
  715. 水名の家臣: 総体的に水名が 評価されるかもしれませんな
  716. 正綱: 喜べる話ではない 滅多なことは言うな
  717. 水名の家臣: 失礼…
  718. 露: あの、父上…
  719. 露: 三郷からは何か邪魔が入ったなど 話は上がっていませんか…?
  720. 正綱: いや、特には…
  721. 露: ――っ!?
  722. 正綱: 何か知ってるのか…?
  723. 露: い、いえ…
  724. 露: ひどい有様だと伺ったので、 周りも黙ってなかったのではと…
  725. 正綱: あったとしても、取り立てて 話すことでもなかったのだろう
  726. 正綱: 昼夜を問わずに飛び回る虫が、 火中に飛び込んできた…とか…
  727. 露: …………
  728. 正綱: 火が回って面倒になる前に、 冷や水を浴びせてくれたようだな
  729. 露: そう、みたいですね…
  730. さな: いろはさんの概念は ちゃんと戻って来てますけど
  731. さな: 露姫様と千鶴さんは どう仲良くなるんでしょうか…
  732. さな: 鶴乃さんって神浜市のドラマで 千鶴さんを演じてましたよね…?
  733. 鶴乃: だからって 史実の経緯なんて知らないよ!
  734. 鶴乃: 500年経った想像の千鶴と 本物の千鶴は全然違うんだから!
  735. さな: ですよね…すみません…
  736. 鶴乃: あぁ、声を荒げるつもりはなくて ただちょっと不安と言うか…
  737. さな: 刻々と時間は経ちますからね…
  738. さな: 魂の器にいろはさんの概念が 回収されているっていうことは
  739. さな: いろはさんがたどった歴史から 外れてないんですよね…?
  740. ねむ: そうだね
  741. ねむ: もしも、危機的状況になれば、 僕もすぐに伝えるよ
  742. ねむ: それに、お姉さんは何年も 旅していたわけじゃないから
  743. ねむ: 遠くない先の出来事で、 変化はあるんじゃないかな
  744. ねむ: 僕がお姉さんの記録を読む限り ふたりは手を取り合ってるからね
  745. さな: ―さな― 露姫様と千鶴さんを このカササギさんが結んでくれますよね…
  746. 鶴乃: ―鶴乃― カササギ様、カササギ様! どうかどうか、ふたりを結んでくださいませ!
  747. 鶴乃: ―鶴乃― 未来が変わってしまうのは どうしても避ける必要があるんです!!
  748. さな: このカササギさん あまり飛んだりもしませんし
  749. さな: もしかして、 体調が悪いのかもしれません…
  750. 鶴乃: たしかに! 英気を養う必要があるのかも!
  751. カタッ
  752. 鶴乃: ほら、カササギ様 たっぷりエサを用意しましたよ
  753. さな: 何か好物ってあるんでしょうか…
  754. 鶴乃: んー…現代だったら スマホで調べられるんだけどね…
  755. 露: なにしてるの?
  756. 鶴乃: おわぁっ!
  757. どてんっ!
  758. 鶴乃: うっ…たたぁ…
  759. 露: ちょっと…平気…? ふたりで籠を触ってたけど…
  760. さな: ええっと…
  761. さな: カササギさんの元気が出るように エサをあげようとしてまして…
  762. 露: えっ、元気がなかった…!?
  763. 鶴乃: と、言うよりも いつもよりさらに元気にって
  764. 鶴乃: こちらのカササギ様を…
  765. 鶴乃: カササギ様を…
  766. さな: カササギさん…
  767. ねむ: まさか…
  768. 露: ちょっと!!
  769. 露: 向こう!空! 逃げちゃってるじゃない!!
  770. 鶴乃: …………
  771. さな: …………
  772. 露: 固まってないでよ!
  773. 露: ねえ、初めに私はふたりに ちゃんと説明したはずよね!?
  774. 鶴乃: …はい
  775. 露: 父上にもらった大切な鳥で この国にいないって!
  776. さな: はい…
  777. 露: 信じられない…!! 由比鶴乃!出ていきなさい!
  778. 水名の家臣の声: 「何事ですか、姫様!」
  779. 露: ――っ!?
  780. 露: ご、ごめんなさい… 言いすぎてしまったわ…!
  781. 鶴乃: いえ、悪いのはわたしでして… カササギ様も露姫様も悪くは…
  782. 水名の家臣の声: 「姫様!」
  783. 露: 平気! 少しごたついただけ!
  784. 鶴乃: …………
  785. 露: 叫んだから、鳥を逃がしたのは 鶴乃だってバレてる…
  786. 露: 父上に知れたら ひとたまりもないわ…
  787. さな: どうすれば…
  788. 露: 抜け道を教えるから、 そこから水徳寺に避難して…
  789. ねむ: なんとか抜け出せたけど 困ったことになったよ
  790. 鶴乃: 露姫様と千鶴ちゃんを結ぶ カササギが…逃げちゃったよ…
  791. さな: どど…どうしましょう…
  792. さな: エサなんて あげなきゃ良かったです…
  793. 鶴乃: 身から溢れ出たサビ… 申し訳なさすぎる…
  794.  
  795. FILENAME: text_518310-14_sw8iW.txt
  796. 鶴乃: 麗らかな昼下がり
  797. 鶴乃: 今日もお寺とお墓の掃除に励んだ わたしとさなは
  798. 鶴乃: 城に帰ることも許されず カササギを捜す毎日…
  799. さな: 悪あがきだと思ってましたけど 本当に見つかりませんね…
  800. さな: 時女一族のちかさんがいれば 動物の言葉がわかるので
  801. さな: 可能性はあったと思いますけど…
  802. 鶴乃: …いない人を当てにすると 虚しくなるからやめておこう…
  803. さな: すみません…
  804. 鶴乃: いえ、謝るのはわたしです…
  805. 鶴乃: いろはちゃんの概念は 回収されてるから
  806. 鶴乃: まだ本来の歴史から 大きく変わったわけじゃない…
  807. さな: 今ならまだ 軌道修正が可能なんですよね…?
  808. 鶴乃: うん…
  809. 玄雲: さしもの戦神子と言えど、 鳥1匹を探すのは難しいようだな
  810. さな: あ、玄雲さん…
  811. 鶴乃: 何か御用ですか?
  812. 玄雲: うむ、戦の準備に入るので、 これから少し慌ただしくなる
  813. 玄雲: すまないが承知してくれ
  814. 鶴乃: 戦…?
  815. 鶴乃: お寺も…!?
  816. 露: もう少し詳しく説明してあげてよ
  817. 玄雲: ふたりを巻き込むのは 露にとっても不本意であろう
  818. 露: その優しさは嬉しいけど、 ふたりには伝えても平気よ
  819. 露: せっかく立ち寄ったことだし 私から伝えるわ
  820. さな: それで、何があったんですか…?
  821. 露: 簡単に言うとね、 泰党攻めが決まったのよ
  822. さな: え…本当ですか…?
  823. 露: 偽りではないわ
  824. 露: 妖魔を使う危険な賊ということで 水徳寺の人が調べを進めていてね
  825. 露: ようやく泰党の里へ繋がる道を 見つけることができたんですって
  826. 露: これで、飢饉も終わりを迎えるわ
  827. 鶴乃: 水徳寺の人たちも戦いに出るのは 最初から関わってたからなんだ…
  828. 露: ちなみに、今回の戦いには もうひとつの目的があるのよ
  829. 鶴乃: 飢饉を終わらせる以外に…?
  830. 露: ええ、飢饉で起きている弊害も 合わせて解決するつもりよ
  831. 露: 泰党は何百年もの間 多くを殺して盗みを働いてきた
  832. 露: その際に奪った金品がね 保管されている可能性があるの
  833. 露: 今までの被害が少しでもあれば 徳政で失う財源を確保できるわ
  834. 鶴乃: でも、それって略奪じゃ…
  835. 露: 奪われた分を返してもらうだけ
  836. 露: それに、被害を減らすためにも 穏便に済ませるつもりよ
  837. 鶴乃: そっか…
  838. 鶴乃: 国全体の問題となると、 かなり大きな動きになる…?
  839. 露: 守護の隅谷が号令を出して 守護代の熊井を筆頭に集うから
  840. 露: 三郷も凪津も巧生も含めて ひとつの地域を叩くことになる
  841. 露: かなり大きな動きではあるけど 決着まで何刻もかからないはずよ
  842. さな: 露姫様も行くんですか…?
  843. 露: 東の戦神子が… 千鶴が向こうにいるからね
  844. 露: あれを止められるのは私だけよ
  845. 玄雲: 露、説明は済んだか
  846. 露: ええ、すぐ行くわ
  847. 露: あと、ごめんなさい
  848. 露: カササギの件は父上の怒りが 収まりそうになくて
  849. 露: まだ、城には戻れなさそう…
  850. 鶴乃: あぁ…うん… それは気にしないでいいよ…
  851. 鶴乃: ただ、ひとつ聞かせて
  852. 露: なに?
  853. 鶴乃: 千鶴ちゃんと遭ったらどうする?
  854. 露: …………
  855. 露: 殺したくはないわ
  856. 鶴乃: 殺したくはない…か…
  857.  
  858. FILENAME: text_518310-15_sw8iW.txt
  859. 鶴乃: ねむ…
  860. ねむ: 何かな?
  861. 鶴乃: カササギが露と千鶴を結んだのは 本当にあった伝承なんだよね?
  862. ねむ: その通りだよ
  863. 鶴乃: このまま放置してたら おかしくなると思う…?
  864. ねむ: 難しい問題だね
  865. ねむ: 現代から過去に来た僕達に 何の変化もない以上は
  866. ねむ: 細かい歴史に差異が生じても 自動で修復される証拠だと思う
  867. ねむ: ただ、露と千鶴に関することは あまりに致命的過ぎる
  868. ねむ: タイムパラドクスが生じる前提で 動くべきだと思うよ
  869. さな: いろはさんが記録した内容からも 大きく外れますしね…
  870. ねむ: 修復できないほどの歪みなら、 僕達自身も消滅するよ
  871. 鶴乃: …ならば!
  872. さな: ぴゃっ!?
  873. ねむ: 最強さんは いったい何をするつもりかな…?
  874. 鶴乃: いっそのことわたしたちが ふたりを結ぶカササギになる!
  875. 鶴乃: つまり、仲良しにするための、 キューピッドになるんだよ!!
  876. ねむ: また突飛なことを…
  877. さな: でも私は いい考えだと思いました…!
  878. 鶴乃: よっし!
  879. さな: キューピッドとしてふたりを 会わせないといけませんね…
  880. さな: 会って欲しいって言っても 断られそうですけど…
  881. 鶴乃: 戦場なんだから、 偶然の邂逅を演じるしかないよ
  882. さな: でも、 どちらかが死ぬと取り返しが…
  883. 鶴乃: そこは大丈夫
  884. さな: …でしょうか?
  885. 鶴乃: こんな戦乱の世であっても 露姫様に殺す気はなさそうだもん
  886. さな: さっきも、殺したくはないって 言ってましたね…!
  887. 鶴乃: それにご神木を狙った農民たちも 軽いケガで済んでたからね
  888. 鶴乃: いや、待てよ… 千鶴ちゃんの方が殺す気なら…
  889. さな: むしろそちらの方が 心配ないような気がします…
  890. 鶴乃: そう?
  891. さな: 千鶴さんが現れたときは、 仲間を連れずにひとりきり…
  892. さな: 奇襲の機会もあったのに 普通に話しかけてきてますし
  893. さな: ただ、露姫様のことを 気にしてるとしか思えなくて…
  894. さな: それこそ、今回の戦いでは 状況が変わっているので
  895. さな: 希望的観測でしかないですけど…
  896. 鶴乃: わたしにだって 殺し合わない確信はないけど
  897. 鶴乃: 何もせずにふたりの関係が 修復不可能になるぐらいなら
  898. 鶴乃: ふたりを引き合わせて 何か起きることに期待したい!
  899. さな: それは、私もです…!
  900. 鶴乃: それならやってみよう! わたしたちも泰党攻めに参加だ!
  901. 三郷の領主: 熊井殿より合図があった! 弓隊、森の中の敵を炙り出せ!
  902. 三郷の領主: 炙り出して逃げてきた敵は 後方の隊で討ち取る!
  903. ぶぉおぉ~~~~
  904.  
  905. FILENAME: text_518310-16_sw8iW.txt
  906. さな: はぁ…はぁ… もう、姿がどこにもありません…
  907. 鶴乃: でも、さっきまでみんなは この辺りに居たはずだよ
  908. 鶴乃: ほら、火を使ったあとがある
  909. さな: あ、馬の足跡もあります…
  910. 鶴乃: 土が飛んでる方向から推察すると 向かったのは森の中…
  911. さな: ひっ…
  912. 鶴乃: な、何これ…
  913. さな: どこを見ても人が倒れて… 皆さん…血が…
  914. 鶴乃: 誰か…! ぶ、無事ですかぁ…!?
  915. 鶴乃: …………
  916. さな: 返事…ありませんね…
  917. 鶴乃: …っ
  918. 鶴乃: 冷たい… 死んでる…よね…?
  919. 僧兵の声: 「う…逃げ、ろ…」
  920. 鶴乃: わぁっ!
  921. さな: この方… 水徳寺に居た方です…!
  922. 鶴乃: うん…見たことがある…
  923. 僧兵: この森は…作られた…迷路… 相手の、独壇場だ…
  924. 鶴乃: 他のみんなは…!?
  925. 僧兵: 隊列を整えるのもままならず… 森の中に散った…
  926. 僧兵: 耳を澄ましてみろ…
  927. ……………………
  928. …………
  929. キンッ…カッ…
  930. 「ハァアアアッ…!!」
  931. さな: 場所はわからないですけど たしかに声や音が聞こえます…
  932. 鶴乃: うん、わたしも聞こえた…
  933. 僧兵: 逃げろ…ここは地獄…
  934. 僧兵: ぐぅっ…!
  935. 鶴乃: ああっ…
  936. 泰党の兵: 迷い込んだが最後 女とて容赦はしねえぞ
  937. 鶴乃: くっ…
  938. 泰党の兵: かわした…!? なるほど新たな戦神子か…!
  939. 泰党の兵: 何百、何千と増えようが 何も変わらねえさ
  940. 鶴乃: さな!
  941. さな: 任せてください!
  942. さな: えいっ!
  943. 泰党の兵: がっ…
  944. さな: 大丈夫ですか、鶴乃さん…!
  945. 鶴乃: うん…
  946. 鶴乃: それにしても、 襲われて状況が見えてきたね…
  947. 鶴乃: この森の迷路が大きな兵力差を 完全に埋めてるみたいだ…
  948. さな: 早く露姫様たちを探さないと…!
  949. 鶴乃: ちょっと苦労しそうだけどね
  950. 鶴乃: 露姫様の反応があった
  951. さな: それにもうひとり、 この反応は千鶴さんですよ…!
  952. 鶴乃: 場所は離れてる…
  953. 鶴乃: キューピッドになるには、 別々に行動する必要があるね
  954. さな: それなら、私は千鶴さんの所へ…
  955. 鶴乃: わたしは露姫様の所へ行くよ
  956. 鶴乃: それでバラバラのふたりが 出会う状況を無理矢理作り出す
  957. さな: あとは鶴乃さんの幸運と 運命に任せるしかありませんね…
  958. 鶴乃: うん…!
  959.  
  960. FILENAME: text_518310-17_sw8iW.txt
  961. ガキンッ!
  962. サクッ…
  963. 正綱: く…
  964. 山右衛門: どれだけ刀を無駄にするのか これ以上は戦っても無駄だ
  965. 正綱: 諦めてなるものか…
  966. 正綱: ようやく見つけた泰党の里… その頭領、万守山右衛門!
  967. 正綱: お主の首ひとつが 多くの民を救うことになるのだ!
  968. 正綱: ハァアッ!!
  969. 山右衛門: ヌンッ!
  970. パキンッ!
  971. 正綱: ――っ!?
  972. 山右衛門: これで脇差も使えんぞ
  973. 正綱: …理解ができん 貴様らの武具は頑丈すぎる…
  974. 山右衛門: テメエらには残されちゃいない 古の技術で作ってるからな
  975. 山右衛門: まあ、職人の魂を買いたたく 西のヤツには手に入らん代物だ
  976. 正綱: …買いたたく…?
  977. 山右衛門: 知らねえのか…?
  978. 山右衛門: 守護代の熊井が巧生の職人に 破格で武具を作らせてたんだよ
  979. 山右衛門: その武具を熊井のヤツは 水徳寺に隠してたから
  980. 山右衛門: 俺たちが盗みに入って 差額をちょうだいしたんだよ
  981. 正綱: 水徳寺が今回の派兵に 加わった理由が見えてきたが
  982. 正綱: 巧生の職人衆に 金をばらまいたのが貴様らとは…
  983. 山右衛門: あるべきところに返しただけだ
  984. 山右衛門: とまあ、土産話もそこそこにして そろそろ兵を退け、水名
  985. 正綱: …………
  986. 山右衛門: 昔は手を取り合ってたよしみで 見逃してやるっつってんだ
  987. 正綱: 手を…取り合っていた…? 馬鹿も休み休み言え…!!
  988. 山右衛門: 隅谷が守護として来るより ずーっと昔はそうだったろ
  989. 山右衛門: 俺たちは俺たちの仲間内で ひっそりと暮らしてえ
  990. 山右衛門: だからテメエら水名が表を守り 俺らが裏を守るはずだった
  991. 正綱: 馬鹿な…
  992. 山右衛門: 知らねえ間に仏さんなんてもんが この地にも迷い込んできて
  993. 山右衛門: テメエらが肉を食う俺らの祖先を 勝手に避けるようになったんだ
  994. 山右衛門: まぁ、 そんなしょうもねー理由だから
  995. 山右衛門: 世間から隔離されてる 俺たちしか覚えてねぇんだろうな
  996. 正綱: …聞かせてどうしたい
  997. 山右衛門: 昔のよしみを伝えただけだ 何の意図もねぇよ
  998. 山右衛門: 強いて言えることがあるなら 俺らのことは忘れて消えろ
  999. 正綱: ここには、お主の仲間が 他にも潜んでいるからか…
  1000. 山右衛門: わかっているなら…
  1001. 正綱: それでも、貴様ら泰党とは 何百年を越える因縁があるのだ
  1002. 正綱: それだけではない
  1003. 正綱: 相磨の国に生きる民のためにも 退くわけにはいかぬ
  1004. 山右衛門: へ、飢饉の穴埋めをするために 俺たちの財を奪う気か
  1005. 正綱: 奪うのではなく、返してもらう! これまで奪ったものをすべて!
  1006. 山右衛門: …っ、まだそんな力が残ってたか だがな、袋の鼠だ!
  1007. 泰党の兵: 水名正綱、その首もらった!
  1008. 正綱: ここまでか…!
  1009. 露: 大丈夫ですか、父上!
  1010. 正綱: 露…!
  1011. 山右衛門: 千鶴の言っていた西の戦神子か…
  1012.  
  1013. FILENAME: text_518310-18_sw8iW.txt
  1014. 千鶴: ひとまず片付いたか…
  1015. 兵士の声: う…
  1016. 千鶴: こうして生かしてばっかじゃ 親父に怒鳴られるんだろうなぁ…
  1017. 千鶴: …………
  1018. 千鶴: (水名露だってコイツらと同じ… 泰党のことを目の敵にしてる…)
  1019. 千鶴: (だけど…)
  1020. 千鶴: アイツは三郷の奴らが自国の民を傷つけるのを 止めようとしていたような気がする
  1021. 千鶴: 感情的になって罵倒しちまったけど 話してみりゃ アタシらと近いのかもしんない
  1022. 千鶴: そんな風に思ってたけど こうも攻めてくるなんてな…
  1023. 千鶴: 勝手に期待を裏切られてばっかだ アタシってヤツは…
  1024. 千鶴: はっ…
  1025. 千鶴: くっ!
  1026. 僧兵: 冥府で悔い改めよ!
  1027. 千鶴: 何をだよ!
  1028. 僧兵: グゥッ…!
  1029. 千鶴: しまっ…刺さった…
  1030. 玄雲の声: 殺生の意味を知らぬ童が 来るようなところでないぞ!
  1031. 千鶴: うそだろ、いつの間に…!
  1032. 玄雲: ぇえいッ!
  1033. 千鶴: うぁあっ!
  1034. 千鶴: ケホッ… お前…水徳寺の…
  1035. 千鶴: 親父よりすげぇ力なんて…
  1036. 玄雲: 奇跡を起こして生まれた戦神子も 童であればこの程度か
  1037. 玄雲: ひとりで戦局を塗り替えるような 露ほどの力かと思っていたが
  1038. 玄雲: 買いかぶっていたようだな 過去に逃がしたことが悔やまれる
  1039. 千鶴: うるせえ!!
  1040. 玄雲: ぬっ…
  1041. 千鶴: 今回だって負けねぇよ ここで殺してやる!
  1042. 玄雲: ならば、この身を差し出そう! さあ、心の臓を狙え!
  1043. 千鶴: あ…っ…
  1044. 玄雲: 実力ではなく、 覚悟の問題のようだな!
  1045. 千鶴: うぁあッ…!!
  1046. 玄雲: ここまでだ、娘
  1047. 千鶴: 坊主が殺生なんていいのかよ 肉すら食わねえんだろ
  1048. 玄雲: 悪辣な者たちを浄土へ導く それ故の殺生ならば許される
  1049. 千鶴: けっ… どっちが悪人かわかんねぇや
  1050. 千鶴: アタシたちは皆を生かすために 罪を背負ってるだけだからな
  1051. 玄雲: 拙僧もまた同じく 救うために殺める者なり
  1052. 千鶴: テメエの刃からは、 いやぁな臭いがしてんだよ
  1053. 千鶴: このクソ坊主ーーー!!
  1054. 露: 聞け!万守山右衛門!
  1055. 露: 泰党が操る妖魔のせいで、 多くの者が餓えて命を落とした!
  1056. 露: 人に向けるべき刃ではないが、 今ばかりはその頚木を解いて
  1057. 露: その首、もらい受ける!
  1058. 山右衛門: はぁ…はぁ… 千鶴とはちげぇ…
  1059. 山右衛門: 腹の決まった戦神子ってのは 強えもんだな!
  1060. 露: はぁああッ!
  1061. ガィンッ!
  1062. 鶴乃: 待って、露姫様!
  1063. 露: 鶴乃!?裏切る気!? そこをどきなさい!
  1064. 千鶴: なっ… お前は水名露と一緒に居た…
  1065. 千鶴: なんで坊主を守ってやがる… 邪魔立てすんじゃねぇ!
  1066. さな: まだです…!
  1067. さな: まだ本気で殺し合うような 状況じゃないと思います…!!
  1068. 千鶴: はぁっ!?
  1069. 鶴乃: まだ、手を取り合える そんな最善の未来があるはず!
  1070. 鶴乃: だから!
  1071. さな: お願いです!!
  1072. 鶴乃: わたしたちが道を作る!
  1073. さな: なので…!
  1074. 鶴乃&さな: 「千鶴ちゃんと一度会って話してきて!」 「露姫様と話し合ってきてください…!」
  1075.  
  1076. FILENAME: text_518310-19_sw8iW.txt
  1077. 露: 森の中に…道が…
  1078. 鶴乃: 向こうにさながいて、 一緒に千鶴ちゃんもいるはずだよ
  1079. 鶴乃: ふたりの場所は繋いだから あとは真っ直ぐ会いに向かって!
  1080. 鶴乃: ぅ…
  1081. 露: 鶴乃…!
  1082. 鶴乃: わたしなら大丈夫 正綱様を守る力も残ってる…!
  1083. 鶴乃: だから、早く!
  1084. 露: …わかった
  1085. 露: だけど、話し合いのためじゃなく あの子を片づけるために行くわ
  1086. 露: 泰党に戦神子がいるのは 私たちにとって脅威になるもの
  1087. 鶴乃: えぇぇ… どうして、そうなるのぉ…!
  1088. 山右衛門: 援軍到着… 水名正綱の命運は尽きた!
  1089. 鶴乃: 兵隊だって言っても気は抜けない 頑張りどころだぞ、わたし!
  1090. 僧兵: ぬぐっ…!
  1091. 僧兵: 玄雲殿、何者かに阻まれて 戦神子を追えませぬ…!
  1092. 玄雲: むぅ…姿を消す妖術とは、 また面妖なことをする者が…
  1093. さなの声: 私は露姫様や鶴乃さんと 一緒にいたもうひとりの戦神子…
  1094. さなの声: 生きている普通の方々には 見えない存在なんです…
  1095. さなの声: どうか、今は千鶴さんと露姫様の 成り行きを見守ってください…
  1096. 僧兵: い、一瞬声が…! 霊や妖怪の…たぐいでは…!?
  1097. 玄雲: うろたえるな…!
  1098. 玄雲: …………
  1099. 玄雲: 我々がここで成り行きを見守れば お主は手出しせん
  1100. 玄雲: 合っておるか
  1101. さなの声: はい、そうしていただけると 嬉しいです…
  1102. 玄雲: …どうせ手も足も出ぬ相手だ そなたに従おう…
  1103. 露: 泰党に戦神子がいるだけで 戦況は変わるかもしれない…!
  1104. 露: だから、ここであなたを倒すわ 千鶴!
  1105. 千鶴: 『本気で殺し合う状況じゃない』 って露の方が殺る気じゃねぇか!
  1106. 千鶴: くそ、完全に乗せられた!
  1107. 露: 妖魔を止めなさい!
  1108. 千鶴: 妖魔妖魔ってうるせぇよ! 最初からアタシらは関係ねえ!
  1109. 千鶴: なんなら、テメエらの方が 妖魔よりタチがわりぃだろ!
  1110. 露: なんですって…!?
  1111. 千鶴: 富を蓄えるだけ蓄えて、 民は見殺しなんだからなぁ!
  1112. 露: 泰党だって、どれだけ人を 苦しめたと思ってるの!
  1113. 千鶴: ちっ、 急所を狙うたぁ、本気だな…!
  1114. 露: 先に狙ったのはあなたでしょ!?
  1115. 露: 「あなたとぶつかると 感情が混ぜこぜになるみたいで嫌だわ…」
  1116. 千鶴: 「アタシだって気持ち悪ぃよ!」
  1117. 千鶴: 「けど、水名とは盟友だったって知って そこの姫様が戦神子だって知って なんか、仲良くなれる気がしてたんだ!」
  1118. 露: 「盟友だなんて私は知らない!」
  1119. 露: 「私が知る泰党は 関所で金品を巻き上げたりする狼藉者で 人々を苦しめる存在だということ!」
  1120. 千鶴: 「言っとくが、アタシらは この地に生きるヤツらを裏切ったりしねえ」
  1121. 千鶴: 「妖魔の側に堕ちたのはテメエらだ水名!」
  1122. 露: 言ったわね…
  1123. 千鶴: 言ったさ…
  1124. 千鶴: だから、妖魔に堕ちたテメエを 潰してやるよ、水名露!!
  1125. 露: 妖魔を操る者に言われたくないわ 千鶴!!
  1126.  
  1127. FILENAME: text_518310-20_sw8iW.txt
  1128. 千鶴: く…そ… 結構深く…刺さり…やがった…
  1129. 露: あなたも…容赦ない…わね…
  1130. コト…
  1131. 千鶴: ―千鶴― その貝殻…あん時の… 持って帰ったのか…
  1132. 露: ―露― 手放しちゃ…いけない気がして…
  1133. 巫: 「私とあなたとは生まれも立場も違っていて 決してこの地で認められる間柄ではなかった」
  1134. 巫: 「でも、それで自分が悲しんだからと言って 一族を恨んだりはしません 私はみんなが自由に幸せな暮らしができるように この村を変えてみせます」
  1135. 巫: 「だから生きていたら私のことを思い出して 私は今もここで待っているから…」
  1136. 露: ―露― どこかで…私とあなたのことかと思った… だけど泰党を…認めるわけにはいかなかった…
  1137. 露: ―露― あなたの言葉や…怒りに触れて… 民を想う…私と同じ姿を見たとしても…
  1138. 露: ―露― 父や…玄雲の言葉が… 間違っていたことに…なる…から…
  1139. 千鶴: ―千鶴― …間違うことも…あんだろ…
  1140. 千鶴: ―千鶴― それに…アタシだって…アンタだけは 違うって思ってる…
  1141. 千鶴: ―千鶴― 三郷に殺された農民の墓… 作ってやってるとこ…見たからな…
  1142. 露: ―露― そう…だったのね…
  1143. 千鶴: ―千鶴― …これ、やるよ
  1144. 露: ―露― 書状…?
  1145. 千鶴: ―千鶴― 親父が…燃やそうとしたの…守ってた… アンタんとこの群印が…押されてる…
  1146. 露: ―露― え…
  1147. 千鶴: ―千鶴― アタシらが…ひとつだって…証拠だ… 露の親父に、見せろ…
  1148. 千鶴: 「ダメだ…もう…声を出すのもつれぇ… 念話で限界だ…」
  1149. 千鶴: 「血を流しすぎた…」
  1150. 露: 「私たちは…妖魔でも…なんでもない… 同じ血が流れてる…人間なのね…」
  1151. 露: 「泰党だからって…バケモノじゃない…」
  1152. 千鶴: 「アタシを…なんだと思ってる…」
  1153. 露: 「私と…同じかもしれない子…」
  1154. 千鶴: 「なんだそりゃ…」
  1155. 露: 「ふふっ…」
  1156. ……………………
  1157. …………
  1158. 鶴乃: 露姫様!
  1159. さな: 千鶴さん…!!
  1160. 鶴乃: 出血がヒドい… さな…グリーフシードで…!
  1161. 鶴乃: 間に合うかな…
  1162. さな: はい…まだ息はあるので 大丈夫です…!!
  1163. 露: …………
  1164. 千鶴: …………
  1165. 鶴乃: いやぁ、良かった! ふたりとも生きてるよお!
  1166. さな: ただ、ここまで争ったなら…
  1167. 鶴乃: ふたりが仲良くなるだなんて 夢のまた夢…
  1168. 正綱の声: 「露ーーーー!!」
  1169. 山右衛門の声: 「千鶴ーーーー!!」
  1170. 鶴乃: まずい、泰党が退いたと思ったら そろって回収しに来た…
  1171. さな: 鶴乃さん…
  1172. さな: 私、千鶴さんに付いて行って 露姫様への誤解を解きます…
  1173. さな: なので、2羽のカササギとして どこかで合流しましょう…
  1174. 鶴乃: 向こうに潜入となると… うん、さなしかできない…
  1175. 鶴乃: わかったけど、気をつけて…!
  1176. さな: 普通の人には見えないので 大丈夫です…!
  1177. 露: 戻ったわ、鶴乃
  1178. 露: …っ、たた
  1179. 鶴乃: ああ…まだ傷が癒えてないから 無茶しちゃ駄目だよ
  1180. 露: 戦神子とは言っても、 回復するのに限界はあるわね
  1181. 露: それより、千鶴から預かった 書状についてなんだけど…
  1182. 鶴乃: 本物だった!?
  1183. 露: ええ…
  1184. 露: 私たちの家宝である群印と 完全に一致するものだったわ
  1185. 鶴乃: それなら、泰党の山右衛門と 千鶴ちゃんの言ったことは本当で
  1186. 鶴乃: 水名と水徳寺と泰党は昔… 手を取り合っていた…
  1187. 露: あの子が…千鶴が… 西の戦神子である私を探って
  1188. 露: また手を取り合う道を 探っていたのだとすれば
  1189. 露: 本当に妖魔なんて 操ってないのかもしれない…
  1190. 鶴乃: …泰党による義賊行為も 民を守るための行為だった…
  1191. 露: かつての約束を忘れた私たちを 罰していたのかもしれないわね…
  1192. [Part 1 end]
  1193. ---
  1194. [Part 2 start]
  1195. FILENAME: symbol_518320-1_cyov4.txt
  1196. 隅谷: 先の泰党との戦いであるが
  1197. 隅谷: お主に一任したものの@敗戦して戻ったようだな
  1198. 熊井: この熊井、お館様の前にて@言い訳は一切致しませぬ
  1199. 隅谷: それで、私はどうすればいい…
  1200. 隅谷: あれだけの兵力を送り出して@負けたともなれば
  1201. 隅谷: 他国にあなどられるばかりか@家臣への示しもつかぬ…
  1202. 隅谷: 父上が築かれてきたものが@崩れさるような思いだ…
  1203. 熊井: ご安心くだされ
  1204. 熊井: この熊井、@すでに手は打っておりますゆえ
  1205. 熊井: お館様の威厳は必ずや@取り戻すことができるでしょう
  1206. 隅谷: 次は期待しているぞ、熊井
  1207. 熊井: ははぁっ
  1208. 鶴乃: よしよし…順調順調…
  1209. ねむ: カササギ役として動いたのが@功を奏しているようだね
  1210. 鶴乃: ふたりが倒れてる姿を見たときは@『終わった』と思ったけど
  1211. 鶴乃: 概念が回収される様子を見れば@歴史が歪まなかったのがわかるね
  1212. バタンッ
  1213. 露: 喜びなさい、鶴乃!
  1214. 鶴乃: [chara:100301:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]わっ、ど、どうしたの!?
  1215. 露: ようやく泰党と連絡が取れて、@相手の使者と話ができたのよ!
  1216. 鶴乃: おっ、それでそれで!?
  1217. 露: 父上は、あの書状の確認も兼ねて@山右衛門を城に招くことにしたわ
  1218. 鶴乃: おおお!
  1219. 鶴乃: さなが向こうで千鶴ちゃんを@説得してくれたおかげだね!
  1220. 鶴乃: あれっ…でも大丈夫なの…?
  1221. 鶴乃: 相手にとっては少数で@敵地に入ることになるけど…
  1222. 露: 泰党の本拠地を知られるより、@都合がいいみたいよ
  1223. 露: 千鶴も来るそうだから@きっとさなも戻ってくるし
  1224. 露: 良かったわね、鶴乃
  1225. 鶴乃: …うん、無事に再会できそうだよ
  1226. 正綱: 幼き頃、おとぎ話のような過去を@祖父から聞いたことがあった…
  1227. 正綱: 水名、水徳寺、泰党の長が集い、@ご神木の前で誓いを交したと…
  1228. 正綱: この書状こそが証拠…@忘れていたことは我らの罪…
  1229. 正綱: どうか…許して欲しい…
  1230. 山右衛門: 何百年も昔の話だ@俺は廃れて当然だと思ってる
  1231. 山右衛門: だから、そんな書状なんてもんは@捨てちまって
  1232. 山右衛門: 泰党の仲間と父祖の地を守って@のんびり暮らすつもりだった
  1233. 山右衛門: てめぇら武士とは違って@領地や権力に興味はねぇからな
  1234. 正綱: 私も欲深くはないが
  1235. 正綱: ともかく、そなたの娘が@その書状を生かし
  1236. 正綱: 私の娘が我々を繋いでくれた
  1237. 千鶴: …………
  1238. 露: …………
  1239. 山右衛門: だから手を組みてえって話か…?
  1240. 千鶴: 親父…@ケンカ越しでいくなよ…!
  1241. 正綱: 私も同盟を組む気はない
  1242. 正綱: だが、互いに民を守るという@同じを意志を携えている
  1243. 正綱: いずれは共に手を取り合い、@かつての国を取り戻すことを願う
  1244. 千鶴: なんで今じゃダメなんだ…!
  1245. 露: 飢饉の最中に侵攻した結果@どこの領地も疲弊している…
  1246. 露: その中で泰党と手を結べば、@裏切り者として標的にされるわ…
  1247. 山右衛門: 姫さんの言う通りだな
  1248. 山右衛門: 水名が俺たちに肩入れすれば@瞬く間に疑いが生じる
  1249. 千鶴: 難しい話はわかんねぇけど…@そういうことなんだな…
  1250. 正綱: 故に、そなたと顔を合わせるのも@まずはこれきりとなろう
  1251. 山右衛門: それは構わねえが、@俺たちも周りの様子は知りたい
  1252. 正綱: それはこちらも同じ@使者は送り合うつもりだ
  1253. 露: 父上、玄雲とのやりとりも@必要ではないでしょうか
  1254. 露: 私たちは3つの柱となって@古来より国を支えていたはずです
  1255. 正綱: 私は構わなかったのだが、@山右衛門殿は様子を見たいらしい
  1256. 露: 何か理由が…?
  1257. 山右衛門: 昔と比べて水徳寺は@えらく力を付けすぎてんだよ
  1258. 露: しかし、彼らも徳政を進めて@民を救う道を探しておられます
  1259. 山右衛門: 俺たちを妖魔使いだとかいって@吹聴してまわったのはどいつだ?
  1260. 露: それは…
  1261. 山右衛門: 嬢ちゃん、水徳寺の玄雲と@アンタの仲が良いのは知ってる
  1262. 山右衛門: だがな、こっちの気持ちってのも@ちったあ考えてくれや
  1263. 露: …失礼しました
  1264. さな: 水名と泰党が@仲良くなれて良かったですね…!
  1265. 鶴乃: わたしたちにとっては、@ふたつの意味で大成功だね!
  1266. 露: ふたつの意味って?
  1267. 鶴乃: タイムパラドクスの回避
  1268. 露: なにそれ…
  1269. 鶴乃: いいのいいの@こっちの話だから
  1270. 千鶴: アタシとしても、早い内に@さなが戻ってくれて助かったよ
  1271. 鶴乃: 助かったって、何かあったの…?
  1272. さな: いえ、あの…
  1273. さな: 周りから見えないこと自体は、@潜入する上で良かったんですが…
  1274. 千鶴: メシを食う機会は逃すし@生活に支障きたしまくりなんだよ
  1275. 千鶴: アタシは知らねえ戦神子の@面倒を見る義理なんてねえんだ
  1276. さな: ごめんなさい…
  1277. 千鶴: 露も自分の配下の面倒ぐらいは@自分で見ろよな
  1278. 露: えっと…ごめんなさい…
  1279. ねむ: うわさの力がなかったら@捨てられていたかもしれないね
  1280. さな: 本当に…助かりました…
  1281. 鶴乃: ちなみに食事のことだけど@泰党って飢饉の影響はないの?
  1282. さな: 凶作ではあるみたいですが、@蓄えでしのげるそうです…
  1283. さな: 隅谷たちが狙っていた財源も@あるみたいですよ…
  1284. 鶴乃: 乗り越えるには十分ってことか
  1285. さな: 1年や2年では潰れないって@千鶴さんは言ってました…
  1286. ねむ: それにしても、2羽のカササギは@うまく役割を果たしたようだね
  1287. 千鶴: なあ、この本ってなんだ?
  1288. 露: 平家物語よ
  1289. 露: 幸若舞が好きでね@元の話を知るために読んでるの
  1290. 露: 千鶴も読んでみる?
  1291. 千鶴: 字が読めねえからなあ@露が聞かせてくれよ
  1292. 露: やだ、長いもの
  1293.  
  1294. FILENAME: symbol_518320-2_cyov4.txt
  1295. 鶴乃: 露姫様、お茶が入りましたよ
  1296. さな: お茶菓子はありませんけど…
  1297. 露: お菓子だなんて贅沢を言ったら@みんなに怒られちゃうわ
  1298. 千鶴: 来たぞ、露!
  1299. 露: [chara:104501:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
  1300. 露: 来たじゃないわよ@どうして毎日正面から来ないのよ
  1301. 千鶴: だって、開いてっからさ
  1302. さな: もう少し見回りを増やさないと@危ないかもしれませんね…
  1303. 露: こんな身軽に城壁を登る人なんて@泰党以外にいないわよ…
  1304. 鶴乃: なんか、思ってたより@何倍も仲良くなっちゃってるね
  1305. さな: 毎日のように来るとは@思いもしませんでしたね…
  1306. 千鶴: しっかしなぁ…
  1307. 千鶴: 米問屋に米がねぇどころか@置いてあんのは雑草ぐらい…
  1308. 千鶴: 厳しい状況なのは知ってたけど@想像を超えてるな
  1309. 露: これでも、今年分は免税して@借金も破棄したわ
  1310. 露: 知らないところで中抜きをする@ヤツらだって排除したし
  1311. 露: やれることはやってるから@他よりましなはずよ…
  1312. 千鶴: 確かに三郷とかは悲惨だったな@目も当てられたもんじゃねぇ
  1313. 千鶴: なあ、さっさとみんなを救おうぜ
  1314. 露: 簡単に言うわね
  1315. さな: まさか、千鶴さん…
  1316. さな: 色んなお城から財を盗んで@大量にばらまくとか言うんじゃ…
  1317. 千鶴: さすが、寝食を共にした仲だ!@アタシの考えがわかってる
  1318. さな: わかってるじゃないです…@ダメですよ…
  1319. 鶴乃: お天道様もビックリ仰天@混乱と破滅の未来しか見えないよ
  1320. 千鶴: うーん、そうかぁ…?
  1321. 露: 武で成せることに@限界はあるもの
  1322. 露: 今は知で動いてることを@見守りましょう
  1323. 露: 先の泰党攻めが失敗した以上@民たちの蜂起を止めるには
  1324. 露: お館様である隅谷に@徳政を決断してもらわないと…
  1325. 千鶴: けど、前に失敗したんだろ?
  1326. 露: だから、玄雲が窮状を伝える文を@改めて送ったと言ってたわ…
  1327. 露: 守護代の熊井も、現地を見るよう@隅谷に直訴しに向かってるから
  1328. 露: それ次第になると思うわ
  1329. 千鶴: ふーん…
  1330. 千鶴: みみっちいのは好きじゃねえけど@露が言うなら待ってみっか
  1331. さな: でも、話したところで@受け入れてくれるでしょうか…
  1332. 鶴乃: うーん…前に聞いたときよりも@可能性はあるんじゃないかな…
  1333. 鶴乃: 泰党攻めの号令をかけた影響で@隅谷の評判は落ちてるし…
  1334. 露: それに守護代の熊井がいなければ@先の戦いは全滅していたって
  1335. 露: 水徳寺と繋がりのある僧侶たちが@方々の領主に言ってるみたいよ
  1336. 露: 発言力が高くなってる人の言葉は@無視できないはずだわ
  1337. 千鶴: そういや、その熊井だけどさ@一門衆の家族を泰党から守るって
  1338. 千鶴: 水名のでっけー城の中に集めて@匿ってるらしいな
  1339. 露: そんなことまでしてたの?
  1340. 千鶴: 露は外様だし戦神子だから@対象外だったんだろ
  1341. 鶴乃: ただ、何もできずに城に戻ると@ちょっとモヤモヤするね…
  1342. さな: いろはさんのたどった歴史から@外れてないのは救いですけど…
  1343. 千鶴: なあ、これ読んでくれよ
  1344. 露: えぇ、またぁ?
  1345. 千鶴: そのうちアタシだって@幸若舞を見るかもしれねぇだろ
  1346. 千鶴: だから、元の話を知りたいんだよ
  1347. 露: 神社で催されるときもあるから@見る機会はあるかもしれないわね
  1348. 露: ただ、読むにしても@何がいいかしら
  1349. 露: 敦盛は…
  1350. 千鶴: もう聞いた@木曽願書と那須与一も聞いたぞ
  1351. 露: …じゃあ、いっそ大織冠とか
  1352. 千鶴: なんか難しそうだな…
  1353. 露: 竜神とか修羅が出てくる@宝珠を取り戻す話よ
  1354. 千鶴: ありえねえ話だな…
  1355.  
  1356. FILENAME: symbol_518320-3_cyov4.txt
  1357. 露の声: 「か、かったい…!」
  1358. 千鶴の声: [bgEffect:shakeLarge]「おい、露!いてーって!」
  1359. 露の声: 「どうしたら、こんな髪が硬く…@あなた、イノシシか何かなの…!?」
  1360. 千鶴の声: 「こんな丁寧にすいたことなんて@なかったんだよ!」
  1361. 露: ―露―@あぁ、やっとくしが通り始めた…!@10本ぐらいダメにするかと思ったわ
  1362. 千鶴: ―千鶴―@人をなんだと思ってんだよ…
  1363. 露: ―露―@元がきれいなんだから@ちゃんと手入れをすればいいのに
  1364. 千鶴: ―千鶴―@そもそも、きれいなのか
  1365. 露: ―露―@ええ、艶のあるいい髪よ
  1366. 千鶴: ―千鶴―@へへっ、そっか
  1367. 千鶴: ―千鶴―@なぁ、またあとで話を聞かせてくれよ@今度は未来記ってやつ
  1368. 露: ―露―@私が好きな話の1本ね
  1369. 千鶴: ―千鶴―@どんな話なんだ?
  1370. 露: ―露―@牛若丸が天狗の住む世界に行って@自分の未来を聞くって話
  1371. 鶴乃: いやあ、仲良しだねえ
  1372. さな: 本当の姉妹みたいですよね…
  1373. さな: ただ、このあと神浜の一帯が、@水名を中心に統一されたとしても
  1374. さな: ふたりは…
  1375. 鶴乃: うん、争うことになる…
  1376. ねむ: その歴史を無闇に変えようなんて@考えるのは愚の骨頂だよ
  1377. 鶴乃: [chara:100301:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
  1378. 鶴乃: わ、わかってるよ…!
  1379. さな: …このあとふたりは@どうなってしまうんでしょう…
  1380. ねむ: 水名と泰党は再び溝を深めて@袂を分かつことになる
  1381. ねむ: 千鶴を信じられなくなった露は@魔女になるんだけど
  1382. ねむ: のちに他の魔女に取り込まれて@千鶴も負けてしまうはずだよ…
  1383. さな: 聞かなければ良かったです…
  1384. 鶴乃: 歴史は変えられないからね…
  1385. 千鶴: メシのことは仕方ねえけどさ@なんで争いって起きんのかなー
  1386. 露: 土地があるとお米も増えて@領民を生かせるでしょ?
  1387. 千鶴: こうして飢饉にでもなりゃ@奪い合って当然ってことか…
  1388. 露: 人がもう少しだけ欲を捨てれば@争いも少しは減ると思うけどね
  1389. 千鶴: そりゃあ都合のいい話だ
  1390. 水名の家臣の声: 「姫様」
  1391. 露: 入っていいわよ@どうしたの?
  1392. 水名の家臣: 殿がお呼びでございます
  1393. 露: 父上、どうなさいましたか
  1394. 正綱: まあ座れ
  1395. 露: はい
  1396. 正綱: 先ほど文が届いてな@隅谷が戻ってくると書かれていた
  1397. 正綱: さすがに領民の様子を見て@徳政の判断をするつもりらしい
  1398. 正綱: 老獪な先代と比べると@臆病なうつけ者かと思っていたが
  1399. 正綱: 少しは正しい判断ができるらしい
  1400. 露: それは良い話ですね@胸をなで下ろしました
  1401. 正綱: ただ、いい話だけではなくてな…
  1402. 露: と、申しますと…?
  1403. 正綱: うむ…
  1404. 正綱: 巧生が水徳寺に連なる寺と共に@徴税を始めたらしい
  1405. [bgEffect:shakeSmall]ガタッ!
  1406. 露: 馬鹿な…!@水徳寺は真っ先に…!
  1407. 正綱: 巧生は泰党から西に隣接する地@先日の報復を恐れているのだろう
  1408. 正綱: 兵も傷付いてる以上@せめて軍備だけは整えばならん
  1409. 露: つまり、徳政を出される前に@徴税してしまおうと…
  1410. 正綱: うむ…
  1411. 正綱: 一門の長とはいえ@今のお館様は代替わりした若造
  1412. 正綱: 前回の失態が影響して@巧生のタガが外れたのだ
  1413. 露: それは理解できます…@ですが寺は…どうして…
  1414. 正綱: 理由はわからぬが、@今は事態を抑えることが先決
  1415. 正綱: そこで、熊井は戦神子のお前に@出向いて欲しいらしい
  1416. 露: 私に…?
  1417. 正綱: どこも今は痛手を被ってるからな@一騎当千の者を充てたいのだろう
  1418. 正綱: 水徳寺の玄雲も様子を探るために@兵を出すと言っている
  1419. 正綱: 損な役回りとなって悪いが@行ってくれるか
  1420. 露: もちろんです
  1421.  
  1422. FILENAME: symbol_518320-4_cyov4.txt
  1423. [bgEffect:shakeLarge]パカラッパカラッ!
  1424. 巧生の将: すべてを取り立てる必要はない!@最悪、兵の確保でもかまわん!
  1425. 鶴乃: ひぇえ…@三郷のときと同じようなことに…
  1426. さな: あ、あの時以上に@みんな目が血走ってますよ…!
  1427. 千鶴: こりゃあ、泰党のアタシが出ると@面倒なことになりそうだな
  1428. さな: 一度、姿を隠してください…!
  1429. 千鶴: ん、そうだな
  1430. 鶴乃: 露姫様…!!
  1431. 露: お待ちください!@これはいったい何事ですか!
  1432. 巧生の将: お前は水名の戦神子か
  1433. 巧生の将: 北養の外様には関係のないこと@我が領地の事に口を挟むな!
  1434. 露: そうはいきません!@私は熊井様の命で参った次第!
  1435. 露: 即刻、このような狼藉は@おやめください!
  1436. 玄雲: 中には我ら水徳寺と関わりのある@僧侶もいると聞いておる
  1437. 玄雲: いるようであれば、@即刻この場で名乗りでよ!
  1438. 巧生の将: [chara:832700:effect_7001_attack02]そちらがひっかき回しておいて@何を戯れ言を申すか!
  1439. 玄雲: ぬっ…正気か…!
  1440. 巧生の将: 早く軍備を整えねば、@我々は泰党に皆殺しにされる!
  1441. 巧生の将: [chara:832700:effect_7000_attack01]それを伝えに来たのは、@お主ら坊主ではないか!
  1442. 玄雲: [chara:832900:effect_7000_attack01]いかん…!@落ち着かれよ!
  1443. 巧生の将: ぐぅっ…!
  1444. 僧兵: お待ちください、玄雲殿!
  1445. 僧兵: その者が申し上げたことは@まことにございます!
  1446. 玄雲: お前は…
  1447. 露: 僧侶も徴税に加担してるのは@本当なの…?
  1448. 僧兵: 滅相もございませぬ…!
  1449. 僧兵: 我々は泰党の里を調べる中で@軍備を整える動きを知っただけ
  1450. 僧兵: 巧生の方にお伝えしたものの@まさか暴れ始めるとは…
  1451. 玄雲: では、寺の者たちは@加担していないということだな
  1452. 僧兵: 左様にございます
  1453. 露: 泰党が軍備を整えるって@あの僧侶の言う通りなの…?
  1454. 千鶴: そりゃ、こっちだって@立て直しぐらいはするだろ
  1455. 千鶴: けど、攻め込む気なんざ@親父はこれっぽっちもねぇ
  1456. 千鶴: 露から言ってやってくれ
  1457. 露: 私たちの関係が露呈するから@うかつに言えないわよ
  1458. 千鶴: あぁ、そうだったな…
  1459. 露: この問題は、巧生だけでなく@私たち全体で応じましょう
  1460. 露: 本当に泰党が攻めてくるのならば@事前に援軍を呼べるはず
  1461. 露: それに、戦神子が力を貸せば@巧生も百人力でしょう
  1462. 巧生の将: そう申して、少しずつ巧生の地を@奪う腹だな…水名…
  1463. 露: 何をおっしゃるのですか!
  1464. 露: [chara:104500:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
  1465. 露: そういう…
  1466. 露: 鶴乃!さな!@彼らは妖魔の呪印を受けてるわ!
  1467. 鶴乃: うぇえっ!?
  1468. 露: 甲冑に隠れていて@まったく気づかなかったわ…
  1469. 露: それに、妖気を探ると@ほんの少しだけ感じ取れる…
  1470. 鶴乃: 露姫様!@妖魔はわたしたちで探すよ!
  1471. さな: はい、その間に巧生の方たちを@なんとか押さえてください…!
  1472. 露: わかったわ
  1473. 鶴乃: 行こう、さな
  1474. 露: ふぅ…
  1475. 露: では、刃は収めていただき…
  1476. 玄雲: いや、待て
  1477. 露: 玄雲…?
  1478. 玄雲: この者が申すには、巧生の中で@泰党の取引があるらしい
  1479. 玄雲: それも、@武具を扱う大きなものだとか…
  1480. 玄雲: まことであれば、@巧生の者たちの狼藉と合わせて
  1481. 玄雲: 泰党の動きを@看過することはできん!
  1482. 玄雲: 露、この場は任せた@私はヤツらの取引を封じる!
  1483. 露: ちょっと、玄雲!
  1484. 千鶴: マズイ!!@取引は本当だ!!
  1485. 千鶴: このままだと勘違いされる!
  1486. 露: 玄雲たちの先回りをして@あなたの父上を止めましょう!
  1487. 千鶴: けど任されたって…!
  1488. 露: 妖魔は鶴乃とさなで@なんとかしてくれるはず
  1489. 露: この場は他の者たちに任せて@押さえておいてもらうわ!
  1490.  
  1491. FILENAME: symbol_518320-5_cyov4.txt
  1492. ねむ: …泰党に攻め込んで@隅谷の信頼が落ちる中…
  1493. ねむ: 主を食うように台頭する熊井が@戦神子をひとりで使わす…
  1494. ねむ: そして状況を知らせる僧侶…
  1495. 鶴乃: その辺りの思惑って@本の中には書かれてないの…?
  1496. ねむ: 魔法少女の話が中心だからね@詳細が見えてこないんだ
  1497. さな: 鶴乃さん!@魔女の反応がありました!
  1498. 鶴乃: ねむの思う通り@飢饉を利用した思惑を感じるけど
  1499. 鶴乃: わたしたちにできるのは@いろはちゃんの概念の回収だけ…
  1500. さな: 細かくわからない歴史については@手の出しようがないですよね…
  1501. 鶴乃: だから、@やれることをするしかないよ…!
  1502. 鶴乃: あれ…@神浜市でも戦った魔女…?
  1503. さな: 結界の見た目も@同じような気がします…
  1504. さな: まさか、こんな昔からいるような@魔女だったんでしょうか…
  1505. 鶴乃: いやいや、そんな…@さすがに誰か倒してるはずだよ
  1506. 鶴乃: でも、そうなると@わたしたちの時代から来たのかな
  1507. さな: またパラドクスになる原因が…
  1508. 鶴乃: …っと、言ってる間に
  1509. 鶴乃: [chara:7201:effect_7000_attack01][se:8000_flame_01_s]向こうから来たよ!@ちゃらあっ!
  1510. さな: [chara:7203:effect_7000_attack01][se:5010_shooting_06_vh]何度も戦ってる相手なので@動きはわかりそうです…!
  1511. 鶴乃: 魔女…思ったよりあっさりと@最奥部に着いたみたいだね…
  1512. さな: この使い魔の魔女って@まだ見たこともないですよね…
  1513. 鶴乃: わたしも初めて見る
  1514. 鶴乃: ただ…
  1515. 鶴乃: [flashEffect:flashRed2][bgEffect:shakeLarge][chara:100300:effect_shake][chara:100400:effect_shake][se:3001_chara_damage]…っ、強い相手じゃないけどね
  1516. 鶴乃: [chara:6221:effect_7001_attack02][se:8000_flame_01_s]それに、株分けの魔女だったら@倒されてきてるはずだよ!
  1517. さな: はい、思ったよりも@早く解決しそうです…
  1518. さな: それに、魔力の反応も@神浜市のものと少し違うので
  1519. さな: ここで倒しても大丈夫そうです…
  1520. 鶴乃: よし、じゃあふたりでいくよ!
  1521. さな: はい、うまく連携がとれるように@頑張ります…!
  1522. 鶴乃: (魔女の方は早く倒せそうだから@良かったけど…)
  1523. 鶴乃: (引っかかるなぁ…)
  1524. 鶴乃: (露姫様の顔色…@なんか妙に悪かった気がする…)
  1525.  
  1526. FILENAME: symbol_518320-6_cyov4.txt
  1527. 露: はぁ…はぁ…
  1528. 露: …っ、本当にあなたの父上は@この辺りを通るの!?
  1529. 千鶴: ああ、もうすぐ巧生の職人たちと@会う手はずになってる
  1530. 千鶴: 今なら、接触手前で止められる!
  1531. 千鶴: …いた!親父だ!
  1532. 千鶴: 止まれ!止まれ!
  1533. 山右衛門: 何奴だ!
  1534. 山右衛門: なんだ、オメエか千鶴…@血相変えてどうした
  1535. 千鶴: 職人との取引がバレた@進めば水徳寺の兵隊とぶつかる!
  1536. 山右衛門: 取引は古くから@見つからねえ所でやってる
  1537. 山右衛門: テメェの杞憂だろ、千鶴
  1538. 露: いえ、水徳寺が間者を送り込んで@調べていたようです…
  1539. 山右衛門: …………[wait:1.0][chara:832201:lipSynch_1]チッ…
  1540. 山右衛門: 水名のお嬢ちゃんが言うなら@本当のことみてえだな…
  1541. 千鶴: なっ、ひでぇ
  1542. 山右衛門: しかし、困ったな…
  1543. 山右衛門: 巧生の職人は古くは泰党の一員…
  1544. 山右衛門: 関係を断たれちまうと、@外の状況が分かりづらくなる
  1545. 山右衛門: その上、奴らが作る武具がねぇと@外とやりあうのも困る
  1546. 千鶴: いや、今だけでいい
  1547. 千鶴: バレなきゃいいんだから@1回退くだけだ
  1548. パカラッ、パカラッ
  1549. 露: 馬の足音が近づいてくる…
  1550. 露: 千鶴、あなたは仲間たちと一緒に@今は泰党に戻って
  1551. 露: 玄雲はこちらで対応するから
  1552. 千鶴: わかった
  1553. 千鶴: じゃあ、森の見張りだけを残して@アタシらは退くことにするぞ
  1554. 露: ええ、お願い
  1555. 山右衛門: 悪いな嬢ちゃん
  1556. 露: …………
  1557. 露: 気配が消えていく…@ちゃんと退いてくれたようね…
  1558. 露: あとは…
  1559. [bgEffect:shakeLarge]パカラッ、パカラッ
  1560. 玄雲: む、露か…!@任せた巧生の者たちはどうした
  1561. 露: 巧生は残してきた水名の者に@任せているわ
  1562. 露: この辺りに妖魔の反応があって@優先させてもらったのよ
  1563. 玄雲: む、そうか
  1564. 玄雲: しかし、さすがは戦神子@我々よりも早い到着とはな
  1565. 露: 例の泰党が取引をするって話も@この辺りだということ?
  1566. 玄雲: そう聞いていたのだが…
  1567. 玄雲: …………
  1568. 玄雲: ふむ…@そのような気配はなさそうだ…
  1569. 玄雲: この者が@早合点したのかもしれんな
  1570. 僧兵: いや…ですが確かに…
  1571. 僧兵: もしくは最初から妖魔を使って@巧生に暴動を起こすことが
  1572. 僧兵: 向こうの狙いかもしれません
  1573. 玄雲: なるほど
  1574. 玄雲: ならば、露がこの辺りに居るのも@合点がいくというものだな
  1575. 露: 妖魔によって暴動を起こすことが@目的だとすれば
  1576. 露: 取引というウソを聞かされた彼は@間者だと露見していたのでは…
  1577. 玄雲: であれば、@すでにこの者は殺されておる
  1578. 玄雲: 恐らく、取引そのものは事実
  1579. 玄雲: 妖魔による暴動は、@取引を隠す目くらましだろうな
  1580. 玄雲: ぬっ、何やつだ!
  1581. 泰党の兵: 聞いてりゃあ@好き勝手散々言いやがって!
  1582. 露: 泰党の…!?
  1583. 泰党の兵: 妖魔なんざこちとら@ひとつも知らねえことなんだ
  1584. 泰党の兵: 妙な濡れ衣を着せられて@黙っていられるか!
  1585. 玄雲: 潜んでいたか…!@露、こちらに来い…!
  1586. 泰党の兵: まとめて相手してやるから@かかって来い、クソ坊主ども!
  1587.  
  1588. FILENAME: symbol_518320-7_cyov4.txt
  1589. 泰党の兵: [flashEffect:flashRed2][bgEffect:shakeLarge][chara:832801:effect_shake][surround:1045A04]ぐっ…
  1590. 露: …ふぅ
  1591. 泰党の兵: くっ、やられた奴は担げ!@退いてお頭に合流するぞ…!
  1592. 玄雲: 行かさぬ!
  1593. 露: 待って玄雲!@ここから先は千里地獄よ!
  1594. 玄雲: …っ
  1595. 玄雲: すまない…@柄にもなく頭に血が上った…
  1596. 玄雲: 聞け、泰党の者どもよ!
  1597. 泰党の兵: …何を聞くことがある
  1598. 玄雲: 妖魔を扱う貴様らが滅されるのは@時間の問題だ
  1599. 泰党の兵: そこまで自信があるなら@千里地獄に来い
  1600. 泰党の兵: また、テメエらの仲間を@俺たちが皆殺しにしてやるからよ
  1601. 玄雲: 下衆めが
  1602. 露: ふぅ…
  1603. 水名の兵士: 露姫様!
  1604. 露: あなたは水名の…@何かあったの…!?
  1605. 水名の兵士: 巧生の者たちが@落ち着きを取り戻しました!
  1606. 露: 妖魔を倒したおかげね@良かったわ
  1607. 玄雲: …一段落ついたところで悪いが@露に頼みがある
  1608. 露: どうしたの、改まって
  1609. 玄雲: 泰党の連中の武具を見る限り@修復もままならぬ様子
  1610. 玄雲: 巧生の職人たちとの接触を断った@今こそが好機かもしれぬ
  1611. 露: あなたまさか…
  1612. 玄雲: 一介の僧が申すことではないが@泰党と決着をつけねばならぬ
  1613. 玄雲: 熊井殿と連絡をとり、@隅谷殿が決断された暁には
  1614. 玄雲: お主の力を借りるであろう
  1615. 鶴乃: あぁ…どうしようどうしよう…
  1616. 鶴乃: まさか、また泰党を攻める話が@持ち上がるなんて…
  1617. さな: 本来の歴史から@またズレてきてますよね…
  1618. ねむ: ひとまず合議に入れない僕達は@結論を待つしかないよ
  1619. 露: 父上…どうかお願いします…@玄雲を止めてください…
  1620. 玄雲: 以上が私からの訴えにございます
  1621. 玄雲: 京より戻られて早々に@息つく暇もないとは思いますが
  1622. 玄雲: 何卒、隅谷様におかれましては@心を鬼にして頂き
  1623. 玄雲: 泰党を打ち砕くためのご裁断を@頂戴したく存じまする
  1624. 隅谷: さて、いかがするべきか…@熊井はどう考える
  1625. 熊井: お館様が相磨の地に戻られて@感じたままに従うのが良いかと
  1626. 隅谷: …うむ
  1627. 隅谷: 熊井から窮状を聞き@我が所領の荒れた姿を見たが
  1628. 隅谷: もし、これが天罰ではなく@人の意思がもたらした惨状ならば
  1629. 隅谷: さすがにこの地を預かる者として@黙っているわけにはいかん
  1630. 熊井: ようおっしゃいました
  1631. 隅谷: 熊井…
  1632. 熊井: はっ…
  1633. 隅谷: この場にそろうのは我が一門を@中心とした強者たちばかりである
  1634. 隅谷: これよりそなたは軍奉行として@皆を取りまとめて策を講じよ
  1635. 熊井: ならば、此度の戦@お館様が総大将になるべきかと
  1636. 熊井: 先の戦いで傷付いた兵の士気も@高まるというものです
  1637. 隅谷: わかった、言う通りにしよう
  1638. 玄雲: 我々、水徳寺も@総力を挙げてお力添え致します
  1639. 玄雲: 泰党あっては太平はなし
  1640. 玄雲: ならば討った泰党共を浄土へ送り@世の安寧を築きましょう
  1641. 正綱: お待ち願いたい
  1642. 隅谷: な、なんじゃ、水名
  1643. 隅谷: 普段からお前の独断は目に余る@今日ぐらいは大人しくせい…!
  1644. 正綱: 日頃の無礼はお許し頂きたい…@ですが何卒、ひとつ疑問を…
  1645. 隅谷: んん…申し上げてみよ…
  1646. 正綱: 玄雲殿がなぜ妖魔を泰党が操ると@考えているのか理解できぬのです
  1647. 正綱: 正直に申し上げて、@その様子を見た者はいないはず
  1648. 玄雲: 正綱殿は@おかしなことを申される
  1649. 玄雲: 泰党が妖魔を操るという話は@水名にも代々伝わっているはず
  1650. 正綱: 代々…?@なにを申しておるのか…
  1651. 玄雲: 泰党は周囲の領地を餌にして、@己を生かす存在であった
  1652. 玄雲: ゆえに我ら水徳寺と水名は、@古より泰党を滅ぼさんとしていた
  1653. 正綱: 餌というのはまさか…
  1654. 玄雲: 妖魔を使役し、他人の命を代償に@永らえるのが泰党である
  1655. 玄雲: 疑問が残るのであれば、@この文を見てみると良い…
  1656. 正綱: …………
  1657. 玄雲: 水名の群印が押された@我々の起請文である
  1658. 露: …そんな
  1659. 露: 私たちは泰党も含めて@手を取り合っていたはず…
  1660. 露: だけど…水徳寺の起請文では@泰党は水名の敵…
  1661. 露: 何が本当なの…
  1662. 熊井: しかし、問題は千里地獄
  1663. 熊井: あれを通らなくては@泰党の里に辿り着けないとなると
  1664. 熊井: どこまで兵が付いてくるか…
  1665. 玄雲: 心配には及びませぬ
  1666. 玄雲: 我々で千里地獄を踏破する道は@見つけたも同然
  1667. 玄雲: 攻めるための方策は@いつでもとれる状況にございます
  1668.  
  1669. FILENAME: symbol_518320-8_cyov4.txt
  1670. さな: あ、露姫様が戻って来ましたよ…
  1671. 鶴乃: ほんとだ、泰党との件@どうなったか聞かないとね…
  1672. 鶴乃: 表情が物語ってるね…
  1673. 露: その水徳寺にあった書状のせいで@何も言えなくなったわ…
  1674. 鶴乃: つまり書状は@本物だったということ…?
  1675. 露: 少なくとも、押印された群印は@本物だったみたいよ
  1676. さな: 泰党に伝わる書状もあって@両方とも本物だとしたら…
  1677. 露: ご先祖様は二枚舌を使っていて@私はそれに翻弄されている…
  1678. 鶴乃: どちらかが精巧に作られた@偽物だったとしたら
  1679. 鶴乃: わたしたちは泰党か水徳寺に@躍らされてることになるのかぁ…
  1680. 露: 鶴乃…さな…@私は何を信じればいいのかしら…
  1681. 露: これじゃあ、水名の先祖も@千鶴も玄雲も信じられなくなる…
  1682. ねむ: これは、気をつけた方がいいね
  1683. ねむ: 露が玄雲に付けば、@歴史が変わる恐れがある…
  1684. 鶴乃: …っ
  1685. 露: 小さい頃から世話になってきて@親しいのは玄雲なの…
  1686. 露: 私が好きな幸若舞や@題材となった物語だって
  1687. 露: 彼に教えてもらって…@ふたりの大切な思い出がある…
  1688. 露: だけど、千鶴のことだって@私は好きよ
  1689. 露: あの子の笑顔の裏に@なにか思惑があると思いたくない
  1690. 露: それに、本当の妹のようにね@感じるだけじゃない
  1691. 露: 千鶴との間には、説明できない@神がかった縁を感じるの
  1692. さな: 一度、気持ちを抜きにして、@怪しいのはどちらか考えるのは…
  1693. 露: むりよ…
  1694. 露: 千鶴を可愛いと思う気持ちを@私は無視できない
  1695. 露: 密かに抱き続けていた@…彼への想いだって
  1696. 鶴乃: うんっ…
  1697. 鶴乃: だったらもう@いっそのこと感情に従おうよ
  1698. さな: ぇっ!鶴乃さん…!?
  1699. 鶴乃: 露姫様は誰に味方したいの!?
  1700. 露: …私は
  1701. 露: 私は…今は…@玄雲を信じたいのかも…しれない
  1702. ねむ: まずいよ、最強さん
  1703. 鶴乃: わかってるよ…@まだ、なんとかできる…!
  1704. 鶴乃: だけど、それは最後に会ったのが@玄雲様だったからだと思う
  1705. 露: …気持ちが引っ張られている?
  1706. 鶴乃: そう
  1707. 鶴乃: このままじゃ公平じゃないから、@千鶴ちゃんとも話そう
  1708. 露: …………
  1709. 千鶴: やっと見つけた
  1710. 千鶴: 城に行ってもいねぇから@寺の方だと思って捜してたんだぞ
  1711. 千鶴: この間は親父を止めてくれて@ありがとな、露
  1712. 鶴乃: 露姫様、千鶴ちゃんと話すことが@あるんじゃないの…?
  1713. 千鶴: あん?@なんの話をしてんだよ
  1714. 露: 千鶴
  1715. 千鶴: なんだよ、怖い顔して…
  1716. 露: 私と戦って
  1717. 千鶴: は?
  1718. 鶴乃&さな: 「どゆこと!?」@「ええっ!?」
  1719. 露: 鶴乃とさなは手出ししないで!
  1720. 千鶴: 理由はわかんねえけど…
  1721. 千鶴: うーん…
  1722. 千鶴: やるか!
  1723. さな: なんでそうなるんですか…!
  1724. 千鶴: なんか露のヤツが@泣きそうな顔してっからな
  1725. 千鶴: 暴れりゃ気分も晴れんだろ
  1726.  
  1727. FILENAME: symbol_518320-9_cyov4.txt
  1728. 露: ぐ…ふぅ…はぁ…
  1729. 千鶴: …っつぅ…効いた…
  1730. 鶴乃: ちょ、ちょっとふたりとも@本気でやりすぎだよ!
  1731. さな: はい、これ以上の戦いを続けると@ふたりのケガが…!
  1732. 千鶴: ダマれよ!@それでもやるんだろ!?
  1733. 露: ええ、まだ…まだよ…!
  1734. 露: [textBlack:私と千鶴との間には同じ血が流れている]
  1735. 露: [textBlack:それは、紛う方もない人間の血で@彼の父親である山右衛門や泰党の人だって同じ]
  1736. 露: [textBlack:妖魔なんて関係ない]
  1737. 千鶴: [chara:104500:effect_7000_attack01][surround:1046A01]胴が空いたぞ…!
  1738. 露: [chara:104500:effect_7001_attack02][surround:1046A02]クッ…ゥ!
  1739. 露: [textBlack:玄雲と千鶴に覚える情の強さは同じぐらいで@持っている書状だって同じようなもの@だから、私の中に大きな迷いを生んでいた]
  1740. 露: [textBlack:だけど…]
  1741. 千鶴: ―千鶴―@まだスッキリしねぇ顔してんな…
  1742. 千鶴: ―千鶴―@相磨の国の奴らを一緒に救おうってヤツが@そんなツラしてたら安心できねぇだろ
  1743. 露: ―露―@一緒に…そう、一緒ね…
  1744. 露: [textBlack:わかっていた…]
  1745. 露: [textBlack:千鶴からは明るくて温かい希望を感じるけど@玄雲からは暗くて冷たい野望を感じる]
  1746. 露: [textBlack:それを情で見えなくしていただけ]
  1747. 露: [textBlack:巧生の徴税を抑えに行ったときには気づいてた@兵たちは妖魔の呪印を受けて暴れていたけど@僧侶たちは呪印もなく巧生の不安をあおっていた]
  1748. 露: [textBlack:玄雲も含めて、誰も操られていない@彼らは本心でこの相磨の国を震撼させて@泰党を滅ぼしたいだけ]
  1749. 露: [textBlack:ならば、私は…]
  1750. 露: 決めた…
  1751. 千鶴: おぉ…やっと終わりか…
  1752. 露: 千鶴…@私はあなたのことを信じる…
  1753. 鶴乃: 露姫様!
  1754. さな: 良かったです…!
  1755. 千鶴: 信用されてなかったとは@心外だけど
  1756. 千鶴: まあ、迷いは消えたみたいだな
  1757. 露: ええ、私は泰党につく
  1758. 露: ともなれば、@事態は一刻を争う状況よ
  1759. 千鶴: さっきからわかんねーよ…
  1760. 露: 父上たちが隅谷を総大将にして@泰党を攻め落とそうとしてる
  1761. 千鶴: な、またか!?@けど、こっちにゃ千里地獄が…
  1762. 露: 水徳寺の間者がそちらにいて@すでに踏破されているわ
  1763. 千鶴: ウソだろ…
  1764. 千鶴: それが本当だとしたら@滅ぼされてもおかしくねぇ…
  1765. 千鶴: …どうすりゃいい
  1766. 露: もう、周りを説得して@どうにかなる状況じゃないわ…
  1767. 露: 千里地獄の構造を変えるとか@できないの…?
  1768. 千鶴: 無理だ…
  1769. さな: 武具を使い物にならなくするのは@どうでしょうか…
  1770. 露: 細工をする数が多すぎて@現実味がないわ…
  1771. 千鶴: 現実味があるのはひとつだけ@玄雲を暗殺することだな
  1772. 露: ――っ!?
  1773. 千鶴: 忍び込むのはアタシの得意技さ@正直、やれるだけの自信はあるぞ
  1774. 千鶴: それでも止まらねぇなら@熊井と隅谷の首もとってやる
  1775. 露: …………
  1776. 露: …わかった@あなたに任せるわ、千鶴
  1777. 鶴乃: で、でも、千鶴ちゃんにだけ@任せられないし
  1778. 鶴乃: わたしたちも泰党攻めを@止められる材料は調べようよ
  1779. さな: そうですね…!@みんなで動いた方が良いですよ…
  1780. さな: ね、露姫様…!
  1781. 千鶴: まあ、そっちはそっちで@動いておいてくれてかまわねぇ
  1782. 千鶴: けど、アタシの方が早かったら@その時は恨まないでくれよ
  1783. 露: もちろん
  1784. 露: 私たちはやれることをやるだけ
  1785. 露: 身内も含めて怪しい点がないか@調べてみるわ
  1786.  
  1787. FILENAME: symbol_518320-10_cyov4.txt
  1788. 正綱: こちらとしては軍備が整うまで@あと10日ほど頂きたい
  1789. 熊井: それぐらいの時間であれば@特に計画に揺らぎはあるまい
  1790. 熊井: お主は北から泰党を攻める要@十分に備えておけ
  1791. 正綱: はっ
  1792. 正綱: して、此度の作戦は西と南を含む@3方面からの挟撃でよろしいか
  1793. 熊井: うむ
  1794. 熊井: ―熊井―@北の北養、西の巧生、南の凪津の@3方面から攻撃を仕掛ける
  1795. 熊井: ―熊井―@事前の調べでは、山深いゆえに北の守りが薄く@西と南を厚く固めているらしい
  1796. 熊井: ―熊井―@なので部隊の配置は@北は北養を治める水名の部隊
  1797. 熊井: ―熊井―@西は主力であるお館様と私の部隊
  1798. 熊井: ―熊井―@南を他で固める
  1799. 熊井: ―熊井―@泰党の連中も@兵を分散させねばならないだろう
  1800. 正綱: しかし、北はこちらのみか…
  1801. 熊井: 案ずるな@調べの通りであれば問題はない
  1802. 熊井: それに北養は山であるがゆえ@高台を押さえやすい
  1803. 正綱: …また、攻め入る際の合図は@狼煙でよろしいか
  1804. 熊井: うむ、そこは水名殿にお願いする
  1805. 正綱: 承知つかまつった
  1806. 隅谷: 此度の戦、水名に限って言えば@攻めあぐねると思っておったが
  1807. 隅谷: 余の考え過ぎであろうか
  1808. 正綱: 玄雲殿の話を受けて@考えを改めた次第にございます
  1809. 隅谷: 己の足元がぬかるんでいては、@恐ろしくて仕方がない
  1810. 隅谷: 決意を固めて挑んでくれることを@期待しておるぞ
  1811. 正綱: はっ…
  1812. 玄雲: 千里地獄から泰党の里へは1本道
  1813. 玄雲: 他の道や山を突っ切ろうとも@たどり着くことはできませぬ
  1814. 熊井: それで里への入口も@1箇所というのは少々解せんな
  1815. 玄雲: 塞いでしまえば、泰党の連中も@外に出ることはかなわない
  1816. 玄雲: 最大の防御をとったがゆえの@欠陥とも言えるでしょうな
  1817. 熊井: ふむ、それで@周囲はどのようになっている
  1818. 玄雲: 里への入口付近には@兵たちの運用がしやすいように
  1819. 玄雲: 城で言うところの馬廻りのような@場所が開けておるようです
  1820. 玄雲: 兵の機動力を上げれば@我々の不意は突けるでしょうが
  1821. 熊井: うまく包囲できれば@まとめて片づけられるか
  1822. 玄雲: 泰党の扱う武具が他より優れ@脅威的な身体能力があろうとも
  1823. 玄雲: 彼らも我らと同じ人間@限界がございますからな
  1824. 巧生の将: 各自、千里地獄にいる@敵の配置を確認しておくように
  1825. 巧生の将: ここに記された場所に@敵が潜んでいる恐れがある
  1826. 巧生の兵: 失礼つかまつる!
  1827. 巧生の兵: こちら、熊井殿からの@書状にございます
  1828. 巧生の将: ふむ…
  1829. 巧生の将: …決行の日取りが定まった
  1830. 巧生の将: 聞け
  1831. 巧生の兵: はっ
  1832. 巧生の将: 弓で仕掛けてから突入となる@これから隊列を指示する
  1833. 千鶴: つーわけで、千里地獄の中身は@すっかりバレちまってる
  1834. 千鶴: ただ、露たちのおかげで@向こうの話も筒抜けだけどな
  1835. 山右衛門: 今の話が本当なら@俺たちはひとたまりもねぇな…
  1836. 山右衛門: 千里地獄が意味を成さねぇと@いくら一人百殺の手練れとはいえ
  1837. 山右衛門: いつかは限界が来る
  1838. 山右衛門: 話は本当だろうな
  1839. 千鶴: 本当だから状況を覆そうとして@アタシらが動いてんだろ
  1840. 山右衛門: とは言っても坊主ひとり殺すのに@手間取ってるじゃねぇか
  1841. 千鶴: 隅谷と熊井も狙ってみたけど@さすがにやつらの守りはかてぇし
  1842. 千鶴: 坊主のヤツは隙がねぇんだよ…
  1843. 山右衛門: こっちもひとり手練れを送ったが@失敗して戻ってきたしな
  1844. 山右衛門: 加えて千鶴で難しいとなると@闇討ちに期待はできねぇか
  1845. 千鶴: わりぃ…
  1846. 山右衛門: 気にするな@俺たちは俺たちで限界まで抗う
  1847. 千鶴: こっちは攻められる側だけど@一応、親父にも探りは入れてる
  1848. 千鶴: けど、なにかたくらんでるとか@そういう素振りは一切ねえな
  1849. さな: 私はなんとか三郷のお館には@忍び込めたんですけど…
  1850. 鶴乃: わたしの聞き込みも含めて@特に何も怪しい点はなかったよね
  1851. さな: はい…みんな飢饉でやられた分は@やり返すって感じでした…
  1852. 千鶴: 露の親父は?
  1853. 露: 何百年も横たわっていた問題を@腹を括って解決するって…
  1854. 露: 私と同じで@迷いはあるみたいだけどね…
  1855. 露: それでも、父上の立場を考えると@隅谷と熊井は無視できないわ
  1856. 鶴乃: 造反すれば、水名家の露姫様まで@憂き目を見ることになるからね…
  1857. 千鶴: で、あのクソ坊主の玄雲は…?
  1858. 露: 水名が泰党攻めに@疑問をていした影響だと思うけど
  1859. 露: 父上が呼ばれたとしても、@私は近づかせてもらえなくなった
  1860. 千鶴: 下手に戦神子に暴れられたら@たまったもんじゃねぇしな
  1861. 千鶴: ていうか、三郷の館に入れたなら@さなが坊主を狙えるだろ
  1862. さな: えっ…!?
  1863. 千鶴: …ウソだよ@汚れ仕事はアタシの役割だからな
  1864. 鶴乃: ただ、千鶴ちゃんでも玄雲さんに@近づけないんでしょ…?
  1865. 千鶴: 坊主だから見えてねえもんが@見えてるのかもしんねぇけどさ
  1866. 千鶴: やけに勘が鋭いんだよ…
  1867. 千鶴: 見えないように動いても@俊敏に動いても見抜かれてる
  1868. 千鶴: 前の泰党攻めでも感じたが@アイツは化け物だよ
  1869. 露: 何も野望に繋がる話はない@闇討ちも難しいとなると…
  1870. さな: もう何もできない…ですか…?
  1871. 鶴乃: 明日にはもう攻め込むはずだから@できることって言っても…
  1872. 千鶴: 今夜が最後の機会なんだ@もう一度、水徳寺に行ってくる
  1873. 露: 無理はしないで
  1874. 千鶴: 自分の家の窮地でもあんだ@無理はするだろ
  1875.  
  1876. FILENAME: symbol_518320-11_cyov4.txt
  1877. 露: 三郷、栄、巧生、凪津…@それぞれが南で準備を進めてる…
  1878. さな: 隅谷も泰党の西側に入りました…@本当に明日はじまるんですね…
  1879. 鶴乃: 千里地獄が意味を成さない以上@数で押し切られる…
  1880. ねむ: このまま泰党が滅びれば@大きく歴史が変わる
  1881. ねむ: 千鶴が大将首を先に取るか
  1882. ねむ: 天地をひっくり返すような@情報を持ち帰らない限りはね…
  1883. 鶴乃: そんなこと言われなくても@わかってるよ…!
  1884. さな: 露姫様のお父上は@まだ、城を出ていないんですね…
  1885. 露: 泰党を討つべきかどうか@今も迷いがあるのかもしれない…
  1886. 露: 狼煙は父上の役目だから、@出陣を引っ張るかもしれないわ…
  1887. さな: その間に、千鶴さんが@何か得てくれるといいですけど…
  1888. 露: それにしても…
  1889. 露: 遅いわね…千鶴…
  1890. ドックン…ドックン…
  1891. 千鶴: (大将首がふたつだと思ったら@コイツらの話…本当か…!?)
  1892. 千鶴: (だとしたら、かなり前から…)
  1893. 熊井の声: 「それで――だか」
  1894. 千鶴: (泰党攻めの作戦か…?)
  1895. 玄雲の声: 「――送り込んだ――が」
  1896. 玄雲の声: 「むっ!」
  1897. 千鶴: (あっぶね…@あと少しで刺さってた…)
  1898. 熊井: どうした
  1899. 玄雲: いえ、天井裏に@ネズミの気配を感じたもので
  1900. 熊井: 話を続けて良いか
  1901. 玄雲: 失礼した
  1902. 熊井の声: 「――――」
  1903. 玄雲の声: 「――」
  1904. 千鶴: (しっかり耳を澄ませろ…)
  1905. ……………………
  1906. …………
  1907. 千鶴: (はなから、それが目的で@隅谷を呼んだのか…)
  1908. 千鶴: な、んだ…これ…煙…?
  1909. 千鶴: 力が…
  1910. 千鶴の声: [bgEffect:shakeLarge]ぐっ…
  1911. 熊井: まさか本当にネズミが…
  1912. 千鶴: 何、しやがる…
  1913. 玄雲: 前から露たちとともに@私の側をうろついていたようだが
  1914. 玄雲: 聞きたい話は聞かせてやった@これで満足か
  1915. 千鶴: ああ、満足も…満足…@[chara:104600:lipSynch_0][wait:1.0][chara:104600:cheek_0][chara:104600:face_mtn_ex_020.exp3.json][chara:104600:lipSynch_1]みんなに教えりゃ、一大事、だ…
  1916. 千鶴: 首をもらうつもり、だったが@今の話の、方が、収穫だ…
  1917. 玄雲: 皆に教えるなど@叶うことがない虚しい話だ
  1918. 千鶴: 殺すか…?
  1919. 玄雲: うむ…@しかし、ただでは殺さぬ
  1920. 玄雲: 水名のご神木の話は知っているか@露がよく参っているだろう
  1921. 千鶴: それが…どうした…
  1922. 玄雲: あれは、大願成就のために@人の命を食うてきたご神木でな
  1923. 玄雲: 古くは水名も人身御供を行い@水徳寺の僧がその魂を鎮めていた
  1924. 熊井: く…ふふっ…@愉快な案だな…玄雲殿…
  1925. 千鶴: …え
  1926. 玄雲: 贄を生き埋めにする牢は@今もご神木の下に残されておる
  1927. 玄雲: 戦神子の魂なら贄には十分
  1928. 千鶴: …やめろ…!
  1929. 玄雲: しばらく身動きはできん@諦めろ
  1930. 玄雲: それより良かったではないか
  1931. 玄雲: お前の好きな露に参ってもらえる@またとない墓標となるぞ
  1932. 千鶴: 下衆めぇ…!
  1933.  
  1934. FILENAME: symbol_518320-12_cyov4.txt
  1935. 鶴乃: ダメだ、遅すぎる…!
  1936. 鶴乃: 千鶴ちゃん…@お寺で捕まったかもしれない…
  1937. 露: 次は私が行く
  1938. 露: この中で玄雲と話せるのは@私しかいない…
  1939. 露: もし、千鶴に危害を加えていれば@ただじゃ済まさないわ
  1940. 鶴乃: 落ち着いて、露姫様
  1941. 鶴乃: 癇癪を起こして@玄雲を攻撃しちゃいけないよ
  1942. 鶴乃: 水名の謀反になるかもしれない…
  1943. 露: もちろん、耐えてみせるわ…
  1944. 露: 鶴乃とさなは@状況を泰党の頭領に伝えて
  1945. 露: 千里地獄の道だけなら@さなひとりでもわかるはずだけど
  1946. 露: 相手には見えないでしょ?
  1947. さな: では、さっそく行きましょうか@鶴乃さん
  1948. 鶴乃: だね
  1949. 鶴乃: 露姫様も気をつけて
  1950. 露: ええ
  1951. 玄雲: どうした、こんな夜更けに
  1952. 露: 今日は招き入れてくれるのね
  1953. 玄雲: 露ならば知っているであろう@明日は泰党を叩かねばならない
  1954. 玄雲: その準備で会うようなひまが@なかったのだ
  1955. 露: もう一度、考え直せないの…?@泰党は妖魔なんて使役してないわ
  1956. 玄雲: 古よりの言葉を断じるか
  1957. 露: そうよ@玄雲が信じるのは古い話だもの
  1958. 露: 過去と現在は違うわ@話せばわかるかもしれない…!
  1959. 玄雲: その甘さで飢饉を引き延ばせば@また多くの民が死ぬのだ!
  1960. 露: …っ、わかったわ
  1961. 露: ただ、ひとつだけ聞かせて
  1962. 露: 今晩…何か異変はなかった…?@お寺で…何か…
  1963. 玄雲: 最近、寺の周りをうろつく@ネズミがおってな
  1964. 玄雲: 今夜、その1匹を始末した
  1965. 露: …………
  1966. 露: フゥー…フゥー…
  1967. 玄雲: 幼い頃からの付き合いではあるが@そのような顔は初めて見るな
  1968. 露: 怒りよ…その子は…@私の…私にとって…!
  1969. 玄雲: 大局を見ろ!!
  1970. 露: ――っ!?
  1971. 玄雲: 今、私に手をかければ、@水名そのものが滅びるぞ…!
  1972. 露: ふっ…う…くぅぅぅ…
  1973. 玄雲: もう、ネズミが足元をすくえる@ような状況ではない…
  1974. 玄雲: 終わればまた、好きな物語を@お前に聞かせてやる
  1975. 露: もう、子どもじゃないわ…!
  1976. 玄雲: …ゆるせ
  1977. 鶴乃: それで、隅谷や熊井の動きを@止めようとしたんですけど
  1978. 鶴乃: 仕掛け人がいる水徳寺に@千鶴ちゃんが入って…戻らず…
  1979. 山右衛門: [chara:100300:effect_7000_attack01]ぐぅぅぅうアァアアッ!!
  1980. 鶴乃: [chara:100300:effect_7002_damage01][se:3001_chara_damage][bgEffect:shakeSmall]ぐっ…
  1981. 山右衛門: [flashEffect:flashWhite2][bgEffect:shakeLarge]どらぁあッ!!
  1982. 鶴乃: [flashEffect:flashRed2][bgEffect:shakeLarge][chara:100300:effect_shake][se:3001_chara_damage]ァアッ!
  1983. さな: 鶴乃さん…!
  1984. 山右衛門: 使えるかどうかはわからねぇ
  1985. 山右衛門: だがな、悪いが嬢ちゃん@人質になってもらう
  1986. 鶴乃: ぅ、ケホッ…
  1987. さな: こんな、ヒドい!
  1988. ねむ: さな、冷静になろう
  1989. ねむ: 万守山右衛門は@こちらの存在に気づいてない
  1990. 鶴乃: そう…
  1991. 鶴乃: 今、状況を伝えられるのは@さなしかいないんだよ…
  1992. さな: でも、鶴乃さん…
  1993. 鶴乃: 千鶴ちゃんのお父さんは@乱暴だけどわかってる
  1994. 鶴乃: わたしを殺そうとはしないよ
  1995. 鶴乃: だから、戻って@状況を露姫様に伝えて…
  1996. さな: …わかりました
  1997.  
  1998. FILENAME: symbol_518320-13_cyov4.txt
  1999. 露: …………
  2000. 露: (千鶴は本当にやられたの…?)
  2001. 露: (でも、あの子だって@私と同じ戦神子…)
  2002. 露: (いくら玄雲が強かったとしても@簡単にはやられたりしない…)
  2003. 露: ただ…
  2004. 露: 始末する必要があったということは@あの子は何かつかんだのかもしれない…
  2005. 露: 父上!
  2006. 正綱: これより出陣する@もうこれ以上の邪魔はするな
  2007. 露: 此度の戦@出てはなりません!
  2008. 正綱: わけを申せ
  2009. 露: 千鶴が…泰党の娘が@水徳寺に探りを入れたあと
  2010. 露: 捕らえられたか、@殺された可能性がございます
  2011. 正綱: 露、お前はまだ@泰党の娘と会っていたのか…
  2012. 露: 古に交された水名と泰党の約束@そして水徳寺との約束
  2013. 露: 私も両者の間で揺れましたが@泰党を取る事にしました
  2014. 正綱: それは、なにゆえだ
  2015. 露: この飢饉で暴れる者たちの多くは@妖魔の呪印を受けていましたが
  2016. 露: 水徳寺の者たちにはなかった
  2017. 露: 彼らは本心で争いを起こしている@恐れがあります
  2018. 正綱: そして探りを入れた結果@泰党の娘が消えたと
  2019. 露: 左様にございます
  2020. 正綱: よく分かった
  2021. 露: 父上!
  2022. 正綱: しかし、我々だけが@反旗を翻して何になる
  2023. 露: ――っ!?
  2024. 正綱: 世の理でも壊さぬ限り@我々に待ち受けるのは死のみ…
  2025. 正綱: そればかりは、皆のためにも@避けねばならん
  2026. 露: 私も真実のために死を招くことが@正義だとは思ってはいません…
  2027. 正綱: ならば、私にできるのは@限界まで引き延ばすことだ
  2028. 正綱: これから私は兵たちを連れて@北側から攻める段取りを進めるが
  2029. 正綱: 露が真実を持ち帰れば@状況を覆すために動こう
  2030. 正綱: 止めはせん
  2031. 正綱: 戦神子として、この戦いの中に@潜む本当の妖魔を見つけよ
  2032. 露: 承知しました
  2033. 正綱: 頼りない父ですまない
  2034. 露: 立場があります@気になさらないでください
  2035. 熊井の兵: [chara:832800:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]はっ…
  2036. 熊井の兵: 隅谷様がお見えになった!@熊井様もご一緒だ!
  2037. 熊井: そう慌てずとも良い
  2038. 隅谷: うむ、これより出陣する者たちを@激励しに参っただけのことだ
  2039. 隅谷: 皆の者、@此度の戦は期待しておるぞ
  2040. 熊井: お館様は家督を継がれて@初陣という晴れ舞台!
  2041. 熊井: 我々の手で必ずや勝利をつかみ@ご期待に応えてみせよう
  2042. 玄雲: 状況は整った…
  2043. 玄雲: これより水徳寺は西より攻める@後方で陣をとり明朝に隊列を組む
  2044.  
  2045. FILENAME: symbol_518320-14_cyov4.txt
  2046. 露: はぁ…はぁ…
  2047. 露: …………
  2048. 露: (水徳寺の周辺も川も調べて@海まで来た…だけど…)
  2049. 露: (千鶴の反応はない…)
  2050. 露: 戦神子は簡単にやられない@それが思い違いなら…
  2051. 露: …天の川
  2052. 露: 織姫と彦星は離ればなれ…@綺麗だけど凶兆のようだわ…
  2053. 露: やめて…@こんな時に隔てないでよ…
  2054. 露: …………
  2055. パサパサッ…
  2056. 露: 「キャッ…!」
  2057. 露: 今の…鳥…?
  2058. 露: [chara:104500:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
  2059. 露: うそ、あれって
  2060. 露: 鶴乃たちが逃がした…@カササギ…
  2061. 露: ま、待って!!
  2062. 露: (そうだ…カササギは…)
  2063. 露: (天の川で断たれた織姫と彦星を@繋いでくれる鳥…!)
  2064. 露: ねえ!!お願い!!@私のことを案内して!!
  2065. 露: 私と千鶴を繋げて!!@引き合わせて!!
  2066. 露: お願いだから!!
  2067. パサパサッ
  2068. 露: 水徳寺の方へ向かった…?
  2069. 露: 千鶴!@必ず助け出すから待ってて!
  2070. 露: 私たちで飢饉を乗り越えて@新しい礎を築いて@相磨の国に太平をもたらすんだから!
  2071. 露: ここ…?@千鶴はここにいるの…?
  2072. 露: [chara:104500:effect_ef_adv_01][se:7201_detect_magic]微かに…感じる…
  2073. 露: 下…
  2074. 露: 木の下…!?
  2075. 露の声: 千鶴…
  2076. 露の声: 千鶴…!千鶴…!
  2077. 千鶴の声: 「露…苦しい…」
  2078. 露: 千鶴…!
  2079. 千鶴の声: 「助けて…」
  2080. 露: …………
  2081. 露: 水名を支えてきたご神木…@根まで切らないといけない…
  2082. 露: だけど…!
  2083. 露: ふぅ…
  2084. 露: 先ほどのカササギによる導きは@ご先祖様の導き…
  2085. 露: ならば、水名のご神木を@切り倒してこそ意味がある…!
  2086. 露: だから、大切な人を救うために…
  2087. 露: 申し訳ございません…@ご先祖様…!!
  2088. 露: 水名露!@全力で切らせて頂きます!
  2089. 露: はぁあああああッッ!!
  2090. 露: ―露―@千鶴!千鶴!
  2091. 千鶴: ―千鶴―@つ、つゆ…
  2092. 露: ―露―@まさか、ご神木の下に地下牢があるなんて…
  2093. 露: ―露―@本当…無事で良かった…
  2094. 千鶴: ―千鶴―@感動の再会なんて余裕はねぇ…
  2095. 露: ―露―@…ここに閉じ込めたのは@玄雲ね…?
  2096. 千鶴: ―千鶴―@ああ…いいから…@聞いたこと…全部話すぞ…
  2097. 露: ―露―@お願い
  2098. 露: ―露―@私は回復させながら話を聞くわ
  2099. 千鶴: ―千鶴―@おう、ありがとな…
  2100.  
  2101. FILENAME: symbol_518320-15_cyov4.txt
  2102. 千鶴: ―千鶴―@もうわかってるだろうけどな@水徳寺の玄雲こそが妖魔みてぇなもんだ
  2103. 玄雲: 最近、寺の周りをうろつく@ネズミがおってな
  2104. 玄雲: 今夜、その1匹を始末した
  2105. 露: ―露―@ええ…私も彼に会って確信したわ…
  2106. 千鶴: ―千鶴―@ただ、元凶は玄雲だけじゃねぇ
  2107. 露: ―露―@彼がなんとしても@泰党を滅ぼしたいだけじゃないの…?
  2108. 千鶴: ―千鶴―@違う、守護代の熊井が絡んでる
  2109. 露: ―露―@何が目的で…
  2110. 千鶴: ―千鶴―@あのふたり…
  2111. 千鶴: ―千鶴―@この戦いで守護の隅谷を殺すつもりだ
  2112. 露: まさか熊井は@下克上でもするつもり…!?
  2113. 露: でも、玄雲に何の意味が…
  2114. 千鶴: アイツにとっちゃ泰党の消滅が…@累代の悲願だろ…
  2115. 千鶴: それに、泰党の地の一部が@寺の領地になる…
  2116. 千鶴: 「恐らく先代の隅谷が死んだのも@あのふたりが仕組んだことで違ぇねえ…」
  2117. 千鶴: 「バカな若君が新たなお館様になってからは@両者そろって好き放題やってやがる…」
  2118. 千鶴: 「まず、熊井と玄雲はな@凶作による窮状を隅谷に伝えるふりをして@正しい判断ができないようにしてたんだ」
  2119. 千鶴: 「おかげで徳政を行った水徳寺が民の信頼を得て@隅谷は一門からも暗愚と揶揄された」
  2120. 正綱: 隅谷の跡目については@争いもなく落ち着きそうだが
  2121. 正綱: この乱世の中で、熊井の餌食に@されぬか不安になるほど
  2122. 正綱: 狡猾な先代とは違って@お館様は臆病で怜悧でもない
  2123. 水名の家臣: つまるところ徳政については…
  2124. 正綱: 周りが対策を講じたとしても@許すほどの度量があるか…
  2125. 正綱: 寺からの借入れについても@玄雲が何とかすると言っていた
  2126. 露: では、三郷の者たちは…
  2127. 正綱: うむ、領主からの借入れ分は@残ることになるが
  2128. 正綱: 寺からの借入れ分がなくなれば@幾分マシになるだろう
  2129. 千鶴: 「なんなら一門の中からは@お館様の言うことには逆らえないって@暴挙に出るヤツもいただろ…」
  2130. 千鶴: 「それもふたりが裏で動いたから起きたこと@アイツらの仕込んだ毒は@間違い無く相磨の国を蝕んでたんだ…」
  2131. 三郷の領主: この三郷を継いできたとはいえ@私も今となっては隅谷の一門
  2132. 三郷の領主: 水名のように自由が許される@立場ではないのだ
  2133. 三郷の領主: 隅谷に仕える身である我々は@年貢を納めねばならない
  2134. 三郷の領主: 窮状を訴えて変わらぬ今、@涙して民から吸上げねばならん!
  2135. 千鶴: 「こうして隅谷と一門の価値を落としながら@熊井は水徳寺からの話を受けて@隅谷の命という体でアタシら泰党を狙った」
  2136. 千鶴: 「アイツらは他の領地から兵を削りつつ@隅谷の価値を貶めるために泰党攻めをさせたんだ」
  2137. さな: ひっ…
  2138. 鶴乃: な、何これ…
  2139. さな: どこを見ても人が倒れて…@皆さん…血が…
  2140. 鶴乃: 誰か…!@ぶ、無事ですかぁ…!?
  2141. 正綱: いずれは共に手を取り合い、@かつての国を取り戻すことを願う
  2142. 千鶴: なんで今じゃダメなんだ…!
  2143. 露: 飢饉の最中に侵攻した結果@どこの領地も疲弊している…
  2144. 露: その中で泰党と手を結べば、@裏切り者として標的にされるわ…
  2145. 千鶴: 「こうして土壌ができたら最後の準備@熊井のヤツが泰党から一門を守るためって@城に人を集めたろ」
  2146. 千鶴: そういや、その熊井だけどさ@一門衆の家族を泰党から守るって
  2147. 千鶴: 水名のでっけー城の中に集めて@匿ってるらしいな
  2148. 露: そんなことまでしてたの?
  2149. 千鶴: 露は外様だし戦神子だから@対象外だったんだろ
  2150. 千鶴: 「これで、熊井を裏切るやつが現れても@一門の血縁者は皆殺しっつー状況の完成だ」
  2151. 千鶴: 「あとは、世継ぎのいないお館様が死ねば@娘をもらい受けて嫡男もいる熊井が@皆の頭として躍り出てくるって寸法だよ」
  2152. 露: その殺害が…@2回目となる泰党攻め…?
  2153. 千鶴: 納得できそうか…?
  2154. 露: 実際、隅谷の信用は地に落ちて@飾りみたいなものよ
  2155. 露: 急に熊井が現れて@牽引し始めたのは…全て…
  2156. 千鶴: 天地返し
  2157. 千鶴: 土を新しくすんだよ
  2158. 露: そして玄雲は泰党を潰す大義と@土地への欲に飲まれた…
  2159. 露: はぁ…
  2160. 露: でも、今から事実を伝えて@状況を覆すだなんて…
  2161. 千鶴: 馬は出せるか
  2162. 露: それは…ええ…
  2163. 千鶴: なら、できる@いや、賭けるって感じだな
  2164. さな: [chara:100400:effect_ef_adv_01][se:7201_detect_magic]――っ!?
  2165. 露: さな!
  2166. さな: 露姫様!?
  2167. さな: あ、大変です…!@鶴乃さんが泰党の里で捕まって…
  2168. さな: 今、千鶴さんのお父さんと一緒に@砦の中にいるんです…!!
  2169. 露: それなら、千鶴を連れて@泰党の里に戻ってくれるかしら
  2170. さな: えっ…千鶴さん…?
  2171. 千鶴: 心配かけたな
  2172. さな: あっ、ああ…!@ご無事だったんですね…!?
  2173. 千鶴: 詳しい話はまたにして、@とりあえず露に助けてもらった
  2174. 千鶴: 泰党攻めの裏側については@玄雲と熊井から仕入れてきたぞ
  2175. 露: それを泰党に伝えるにしても@先には兵が多いでしょ?
  2176. 露: だからさなの力を使って、@気配を消して進んで欲しいの
  2177. 千鶴: 往復させちまって悪いが@頼めるか
  2178. さな: そういうことなら@私に任せてください…!
  2179. 千鶴: それじゃあ、露
  2180. 千鶴: 熊井と隅谷を除いた連中への連絡@お前に任せたぞ!
  2181. 露: ええ、早馬で皆に知らせるわ!
  2182.  
  2183. FILENAME: symbol_518320-16_cyov4.txt
  2184. <北>
  2185. 正綱: 露、お前に聞いたことは@すべて密書に記した
  2186. 露: 早馬を出して頂き@ありがとうございました
  2187. 正綱: 今頃は皆のところへ@届いているはずだ
  2188. 正綱: あとは、三郷、巧生、凪津、栄@といった者たちが
  2189. 正綱: どこまで熊井と玄雲の目論見を@信じてくれるかにかかっておる…
  2190. 露: 彼らも古来より相磨の国を@支えてきた同郷の士
  2191. 露: 我欲に溺れて民を巻き込んだ者を@共に倒せたらと思うのですが…
  2192. 正綱: 皆の答えは@この戦の最後に出るはずだ
  2193. 露: はい
  2194. 正綱: では、始めるぞ
  2195. 正綱: 準備は整った!@狼煙を上げて前へ出る!
  2196. 正綱: 「弓隊構え!!」
  2197. 正綱: 「放てぇえッ!!」
  2198. [textBlack:熊井と水徳寺の玄雲が]@[textBlack:戦に乗じてお館様の殺害を目論んでいる。]@[textBlack:場所はこれより入る千里地獄である。]
  2199. <西>
  2200. 玄雲: 水名の狼煙が上がりましたぞ!
  2201. 隅谷: 全軍進め!
  2202. [bgEffect:shakeLarge]ぶぉぉおおおおっ
  2203. [textBlack:経緯をこれより記すが、]@[textBlack:読めば私が乱心したと思うに違いないだろう。]@[textBlack:ゆえに、熊井と玄雲による狼藉については]@[textBlack:すぐに信じて頂こうとは考えていない。]
  2204. 熊井: この戦い勝ったも同然@必ずや泰党を打ち払いましょう!
  2205. 隅谷: うむ、若輩者の私を支えてくれて@助かるぞ、熊井
  2206. 玄雲: …………
  2207. [textBlack:もしも、此度の戦いが記した通りに運び]@[textBlack:お館様が窮地に立たされるようなことがあれば]@[textBlack:その時こそ、力になってもらいたい。]
  2208. 玄雲: 我々は後方より援護に回る
  2209. 玄雲: お主らは北と南へ@援軍として向かうのだ
  2210. 僧兵: 承知つかまつった
  2211. [textBlack:一介の外様の戯れ言とは思わずに]@[textBlack:何卒よろしくお願いつかまつる。]
  2212. <南>
  2213. 三郷の領主: 皆の者、進めー!
  2214. [textBlack:まずは作戦の通り3方向からの挟撃による]@[textBlack:千里地獄への侵入。]
  2215. [textBlack:我々は泰党にとって正面となる西こそが]@[textBlack:主力の集まる方角だと聞いているが、]@[textBlack:事実は異なり北と南が苦戦を強いられるだろう。]
  2216. [textBlack:熊井と玄雲は承知の上で、]@[textBlack:己がいる西側に主力を固めているのだ。]
  2217. 三郷の兵: [flashEffect:flashRed2][bgEffect:shakeLarge][chara:832800:effect_shake][se:3001_chara_damage]ぎぃあッ!
  2218. 三郷の領主: 乱れて動くな!@ひとりずつ的になってるぞ!
  2219. 三郷の領主: [chara:832900:effect_7000_attack01]っ!
  2220. 泰党の兵: [chara:832900:effect_7001_attack02]民を狩った三郷の領主め…@今回はお前が食われる側だ…!
  2221. 三郷の領主: [chara:832900:effect_7003_damage02][se:3001_chara_damage][bgEffect:shakeSmall]ぐぅっ!
  2222. 三郷の領主: [chara:832801:effect_7001_attack02]なめるなぁあっ!
  2223. 泰党の兵: [chara:832801:effect_7003_damage02][se:3001_chara_damage][bgEffect:shakeSmall]チッ、やりやがる…
  2224. 三郷の領主: はぁ…ふぅ…
  2225. 三郷の領主: コイツらの目を引きつけろ!@お館様に駒を回させるな!
  2226. <泰党>
  2227. 山右衛門: 俺もちったあ出てくるか
  2228. 山右衛門: 嬢ちゃん、疑いは晴れた@あとは好きに動きな
  2229. 鶴乃: ありがとうございます!
  2230. 千鶴: 熊井と水徳寺の連中は、@北と南に損な役を押し付けて
  2231. 千鶴: こっちの里に@真っ直ぐ進んで来る気だ…
  2232. さな: だけど私たちは…
  2233. 千鶴: わぁってるよ@成り行きを見守るしかねぇ
  2234. ねむ: あれからお姉さんの概念は@回収されてるかな
  2235. 鶴乃: ここ暫くは反応なしだね…
  2236. ねむ: この戦いに勝って泰党と水名が@手を取り合うのを確定させないと
  2237. ねむ: 歴史が変わるのかも…
  2238. さな: 千鶴さんも露姫様も私たちも@正念場ですね…
  2239.  
  2240. FILENAME: symbol_518320-17_cyov4.txt
  2241. <北>
  2242. 泰党の兵: もらった!
  2243. 正綱: しまった…!
  2244. 露: [chara:832801:effect_7000_attack01][surround:1045A01]父上!
  2245. 泰党の兵: [chara:832801:effect_7002_damage01][surround:1045A04][bgEffect:shakeSmall]ぐっ…@戦神子が居ると分が悪い…
  2246. 正綱: すまない、露
  2247. 露: いえ、ご無事で何よりです
  2248. 正綱: 今のところ泰党の配置は@密書に書いた通りか
  2249. 露: はい、私たちが苦戦するのも@玄雲や熊井の考えるところかと
  2250. 正綱: ならば、この折りに…
  2251. [textBlack:順調な隅谷、熊井、水徳寺とは対照的に]@[textBlack:北と南を受け持つ我々は苦戦する。]
  2252. [textBlack:そこに、水徳寺の兵が現れるはずだ。]@[textBlack:最初からそういう手はずだが、]@[textBlack:彼らは偶然を装って現れるだろう。]
  2253. 僧兵: 水名殿!
  2254. 正綱: お前は水徳寺の者か!
  2255. 僧兵: はっ
  2256. 僧兵: 我々が進む西側は敵兵が少なく@玄雲殿の命で参った次第
  2257. 僧兵: 挟撃を成功させるために@我々も加勢いたす!
  2258. 正綱: かたじけない!
  2259. 露: 水名の戦神子としても@感謝します
  2260. <南>
  2261. 三郷の領主: 状況を報告しろ!
  2262. 三郷の兵: 共に入られた凪津も@泰党に苦戦を強いられている様子
  2263. 三郷の兵: 我々は先に向かった兵たちが@奇襲に遭って壊滅状態
  2264. 三郷の兵: 早くも1割近くの兵を@失っています…
  2265. 三郷の領主: 位置まではわかっていたが@まるでサルのような連中
  2266. 三郷の領主: 普通の戦い方ではままならんな…
  2267. 三郷の兵: また、増援も望めない状況で…
  2268. 僧兵の声: 捜しましたぞ、三郷殿!
  2269. 三郷の領主: [chara:832900:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
  2270. 僧兵: ここは我らが加勢する!
  2271. 三郷の領主: …………
  2272. 僧兵: む、驚かせて済まない
  2273. 三郷の領主: …いや、ご助力感謝いたす
  2274. <西>
  2275. 熊井: このまま進めば@泰党の里へ着くということか
  2276. 玄雲: いかにも
  2277. 玄雲: 千里地獄も迷路とはいえ@自らが迷えば本末転倒
  2278. 玄雲: 加えて有事の際に起きる@やり取りなども想定すれば…
  2279. 熊井: なるほど、自ずと正しい道は@単純なものになってゆく
  2280. 玄雲: そういうことにございます
  2281. ヒュッ…
  2282. 玄雲: [flashEffect:flashWhite2]むっ!
  2283. 熊井: 助かった!
  2284. 山右衛門: オメエ本当に坊主か…?
  2285. 山右衛門: うちでも戦神子の千鶴か@一部の手練れしか防げねえ技だ
  2286. 玄雲: 日々精進している賜物だ
  2287. 隅谷: お、お主が@万守山右衛門か…!
  2288. 隅谷: お主らの狼藉は聞き及んでおる!
  2289. 隅谷: 速やかに余に降伏し@この地を放棄せよ!
  2290. 隅谷: さ、さもなくば、@この国を預かる者として
  2291. 隅谷: その首をとらねばならない!
  2292. 山右衛門: おうおう、何も知らねえガキが@飾り祭られて調子に乗ってやがる
  2293. 隅谷: 無礼な…!!
  2294. 熊井: 万守山右衛門!@決して降伏はせぬ構えだな
  2295. 玄雲: 何百年も続く問題が@降伏で終わるのも癪というもの
  2296. 山右衛門: おう
  2297. 山右衛門: 俺も簡単に片づける気はねぇ@ここは通さねえからな
  2298.  
  2299. FILENAME: symbol_518320-18_cyov4.txt
  2300. <北>
  2301. 僧兵: こちらは片付いた@水名の者たちは無事か!
  2302. 水名の兵士: 皆が無事というわけにはいかぬが@水徳寺のおかげで大事は免れた
  2303. 正綱: 進軍の遅れを取り戻す!@周囲への警戒は怠るな!
  2304. 正綱: 露もいけるか
  2305. 露: ええ、もちろんよ!
  2306. 露: この反応…
  2307. 鶴乃: 露姫様ー!
  2308. さな: 遅れましたが戻りました…!
  2309. 露: 鶴乃は捕まってたみたいだけど@特にケガはなさそうね
  2310. 鶴乃: うん、おかげさまで!
  2311. 露: それで、千鶴たちの動きは?
  2312. 鶴乃: お父さんたちと一緒に@熊井と玄雲の方に向かったよ
  2313. 露: 数が違い過ぎる以上、@退かざるを得ないでしょうね
  2314. さな: 熊井や玄雲の立てた作戦通り、@侵攻は成功しそうです…
  2315. 露: となれば、決着はやはり
  2316. 鶴乃: うん、最後につけるしかないよ
  2317. 露: 書にしたためた言葉…@皆は信じてくれるでしょうか…
  2318. 正綱: 我らにできるのは討たれる覚悟@信を得られるかは天に任す
  2319. 露: はい…
  2320. 僧兵: しかし、水名の者たちは熊井殿に@助けられたと思った方が良い
  2321. 僧兵: あの方の采配がなければ、@我らも駆けつけるのが遅くなった
  2322. [textBlack:水徳寺の者たちは潜伏していた者から]@[textBlack:千里地獄について詳しく聞いているため、]@[textBlack:合流後の侵攻は順調に進むだろう。]
  2323. [textBlack:だが、彼らは同時に熊井を持ち上げ]@[textBlack:隅谷を卑下するような言葉を並べるはず。]@[textBlack:その言葉に耳を傾けてはならない。]
  2324. <南>
  2325. 僧兵: 勝利をつかんでも、@相磨の武者に領地は与えない
  2326. 僧兵: それが隅谷の腹の中らしい
  2327. 僧兵: 武功に応じた恩賞を与えるべきと@熊井殿が説得しているようだが
  2328. 僧兵: それでも@首を横に振るばかりだそうだ
  2329. 三郷の領主: もしもそれが真実ならば、@熊井殿に被官するのが賢明だな
  2330. ぶぉっぶぉおおおおおッ
  2331. 三郷の領主: 熊井からの位置を知らせる合図…
  2332. 三郷の領主: 皆の者、進めぇッ!@挟撃に移って泰党を落とす!
  2333. <西>
  2334. 山右衛門: はぁっ…はぁ…@チッ、奴らもしつけーな…
  2335. 泰党の兵: 南より凪津と三郷の軍…@北からも水名が迫ってる…!
  2336. 泰党の兵: あいつら千里地獄を破って@こっちを潰しに来てます…!!
  2337. 山右衛門: うるせえ!わかってる!@いいからさっさと退きやがれ!
  2338. 山右衛門: …っ
  2339. 山右衛門: おい、千鶴…@本当にこれでいいんだろうな…
  2340. 千鶴: 千里地獄のカラクリが@暴かれた時点でこっちは終わりだ
  2341. 千鶴: 勘ぐる気持ちはわかるけど@ちったぁアタシを信じろよ、親父
  2342. 山右衛門: わぁったよ
  2343. 山右衛門: 退いた先に逆転の機会がある@その言葉を信じてやる
  2344. [textBlack:勝ち目がないとみた泰党は退く。]
  2345. [textBlack:その退いた先にあるのが]@[textBlack:泰党の里へと繋がる、唯一の入口である。]
  2346. 隅谷の声: [bgEffect:shakeLarge]「皆の者止まれー!!」
  2347. 隅谷: この先が泰党の里か
  2348. 玄雲: いかにも
  2349. 玄雲: 攻め入れば落ちたも同然@勝ち戦にございます
  2350. 熊井: お館様@一斉にかかるよう皆への合図を!
  2351. 隅谷: …………
  2352. 山右衛門: …………
  2353. 隅谷: 泰党の頭首、万守山右衛門に申す
  2354. 隅谷: 里の者たちの命が惜しくば、@抵抗はせず私の下へ降るがよい
  2355. 玄雲: この里の者たちは@妖魔を操る危険な者たち…!
  2356. 玄雲: 生かしておけば後顧の憂いと…
  2357. 隅谷: 我々を殺す気であれば、@既に十分な抵抗はしておるはず
  2358. 山右衛門: 罠かもしれねえだろ@めでてえ坊ちゃんだな
  2359. 隅谷: 本当に罠であれば言わぬだろう
  2360. 山右衛門: ああ、ねえよ…なんもねぇ
  2361. 山右衛門: わかった、偉いさんのテメエの@言う通りにしてやるよ
  2362. 熊井: 降伏と受け取るが良いか
  2363. 山右衛門: ああ…
  2364. 山右衛門: ただし、俺以外の首はとるな
  2365. 熊井: …………
  2366. 隅谷: 約束しよう
  2367. [textBlack:もし、頭首である山右衛門が降伏したら@決して玄雲と熊井から目を離してはらならない。]
  2368. [textBlack:ひとつの合図が我らの主…@隅谷を殺そうとする…。]
  2369.  
  2370. FILENAME: symbol_518320-19_cyov4.txt
  2371. [textBlack:もし、頭首である山右衛門が降伏したら]@[textBlack:決して玄雲と熊井から目を離してはらならない。]
  2372. [textBlack:ひとつの合図が我らの主…]@[textBlack:隅谷を殺そうとする…。]
  2373. ググッ…
  2374. [flashEffect:flashWhite1]ピュンッ…
  2375. 露: 危ないっ!
  2376. 隅谷: [chara:832302:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]なっ…矢だと…!?
  2377. 熊井: くっ…
  2378. 熊井: 降伏はすべて@お館様を殺すための虚言か
  2379. 熊井: 皆の者!@泰党を皆殺しにせいッ!
  2380. 隅谷: 演技だったのか…
  2381. 玄雲: 水徳寺の者ども!@他の兵と共に泰党を倒す!
  2382. 玄雲: 妖魔で穢れた者どもを@浄土へ逝けるよう引導を渡せ!
  2383. 僧兵たち: オオッ!
  2384. 三郷の領主: …………
  2385. 熊井: 何を呆けておる…@それでも相磨の領主か!
  2386. 玄雲: これは…@どうしたというのだ…
  2387. 鶴乃: もしかして…
  2388. さな: 私たちの賭けは…
  2389. 露: ええ…
  2390. 三郷の領主: 真偽を問われるのは、@そちらも同じようだな
  2391. 正綱: 貴様らの策は露見しておる
  2392. 玄雲: 策…何を寝ぼけたことを…
  2393. 隅谷: これは、いったい何が起きて…
  2394. ピュンッ
  2395. 千鶴: リャアアッ!
  2396. 隅谷: [chara:832302:effect_emotion_surprise_0][se:7226_shock]――っ!?
  2397. 千鶴: この矢もお前らクソ坊主の仲間が@隅谷を狙ってんだろうが
  2398. 千鶴: 少なくとも泰党は矢を落とした@隅谷を殺す気は一切ねぇ!
  2399. 玄雲: お前は…なぜ…!
  2400. 千鶴: 助けられたに決まってるだろ@露とカササギのおかげだ
  2401. 千鶴: 熊井と隅谷とテメエ以外はな、@これまでのことを知ってるぞ
  2402. 露: そういうことよ
  2403. 露: 泰党の地は寺のものにならないし@熊井の下克上も失敗
  2404. 露: 玄雲…残念だわ…
  2405. 玄雲: しかし、この娘が知らぬだけで@泰党が隅谷殿を狙われた…!
  2406. 山右衛門: んじゃ、お仲間を@じっくり調べてみるか
  2407. ぬぅっ…
  2408. 山右衛門: そもそもコイツの武具には、@泰党の印が入ってねえ
  2409. 千鶴: 泰党の武具は巧生の職人が作る@特別なもんだからな
  2410. 山右衛門: 頑丈さは前に俺らを攻めたとき@身を持って知ってんだろ
  2411. 山右衛門: 上から斬ってみりゃあ@本物かどうかは簡単にわかる
  2412. 山右衛門: 斬って生きてりゃ仲間だが、@死んだら敵ってことだ
  2413. く…
  2414. 玄雲: 正綱殿も信じるのか
  2415. 正綱: 空っぽになった水徳寺には@水名の者が調べに入っている…
  2416. 正綱: 見つかって欲しくないものも@出てくるのではないか…
  2417. 熊井: お主ら…
  2418. 熊井: 城で預かっている者たちが@身内だとわかっておるのか…!
  2419. 三郷の領主: 我ら三郷も栄も凪津も巧生も@命を握られているのは承知の上だ
  2420. 三郷の領主: 水名殿のおかげで目が覚めた
  2421. 正綱: 礼は戦神子の娘たちに@言って欲しいが
  2422. 正綱: これが答えのようだ、熊井
  2423. 正綱: お主らの我欲のために苦しめた@万人の民の命を思えば
  2424. 正綱: どんな脅迫にも屈しはしない@それが相磨に根ざす武士の答えだ
  2425. 熊井: ここで、怯んでたまるかぁあっ!
  2426. 熊井: [chara:832901:effect_7003_damage02][se:3001_chara_damage][bgEffect:shakeSmall]うぐっ!
  2427. 山右衛門: ここで首は取らねえ@あとでじっくりと話は聞いてやる
  2428. 露: 熊井の反応で答えが出た…
  2429. 玄雲: 愚かだな…
  2430. 露: 玄雲も抵抗する…?
  2431. 玄雲: これ以上の死者が出るのは望まん@私の処遇は水名に任せた
  2432. 露: そう…
  2433. 露: …っ、どうしてこんなこと!
  2434. パシッ
  2435. 玄雲: いつからか、寺にとっては@泰党を滅することが使命だった
  2436. 玄雲: その志を遂げるため、@熊井の欲に乗っかったのだ
  2437. 露: …何百年もたてば@きっと変わるものばかりよ…
  2438. 露: だから私は千鶴を信じた@信じて良かったと思ってる…
  2439. 玄雲: 私は過去に@呪われていたのかもしれん…
  2440. 玄雲: 露…
  2441. 玄雲: 地獄へ行く私とは会わぬよう@真っ当に生きてくれ
  2442. 露: 勝手な事言わないでよ…
  2443. 鶴乃: 露姫様…
  2444. さな: これが、来るべき歴史…@そういうことですよね…?
  2445. 鶴乃: やっぱり、@わかっててもキツイね…
  2446. ねむ: 今までで一際大きい光…
  2447. ねむ: この時代に散らばっていた概念は@すべて回収できたみたいだよ…
  2448. さな: 私たちの長い旅も@ようやく終わりなんですね…
  2449. 鶴乃: うん@お別れの時だね…
  2450.  
  2451. FILENAME: symbol_518320-20_cyov4.txt
  2452. 千鶴: ふーん
  2453. 千鶴: じゃあ、あのクソ坊主は@殺されるわけじゃねえのか?
  2454. さな: 水名側の嘆願もあったので、@これから判断されるそうです…
  2455. 千鶴: 水名側って@あめーな、露も…
  2456. 露: 甘いって言われても仕方ないわ@情があるもの…
  2457. 露: ただ、良くても追放されて@会うことはもうないでしょうね
  2458. 千鶴: …アタシにとっちゃ敵でも@露にとっては旧知の仲だもんな
  2459. 千鶴: なんか悪いこと言った
  2460. 鶴乃: はいはい、@もう暗い話は終わりにしよう
  2461. 鶴乃: 今日は水名神社に行って@舞を見るんでしょ?
  2462. 鶴乃: そういう時は楽しみに@笑っていかないと
  2463. 露: ふふっ、そうね
  2464. 千鶴: 物語は腐るほど叩き込んだし@楽しみにしてるよ
  2465. 千鶴: お前らも見に行くんだろ?
  2466. さな: …えっと、それは
  2467. 露: あれ、行かないの?
  2468. 鶴乃: …っていうかお別れかなぁって
  2469. 露: …………
  2470. 露: そう、お友だちが救われたのね
  2471. 鶴乃: うん
  2472. 露: ずっと慌ただしかったから@ふたりの目的を忘れてたわ
  2473. 露: そうよね
  2474. 露: ふたりが私の側にいたのは@友だちを救うためだった
  2475. 鶴乃: ごめんね
  2476. 鶴乃: 本当はもっと長く居たいし@ふたりを見ていたいけど
  2477. さな: はい…留まる時間が長いほど@良くないとは思うので…
  2478. 千鶴: 理由はわかんねーけどさ@もう1日ゆっくりできねえのか?
  2479. 千鶴: 親父に頼んで別れの宴とかさ
  2480. 露: ええ、私も父上に頼んで
  2481. 鶴乃: ううん、引きずると良くない@思ったときにスパッと別れる
  2482. さな: じゃないと@後ろ髪を引かれちゃうので…
  2483. 露: そう…わかったわ
  2484. 千鶴: 寂しくなるけど@また機会があれば寄ってくれよ
  2485. 露: そうね@お客様として歓迎するわ
  2486. 鶴乃: ありがとう、ふたりとも
  2487. さな: また会うの、楽しみにしてます…
  2488. 鶴乃: あっ…
  2489. 露: な、なに?
  2490. 鶴乃: 日記とかにわたしたちのことは@残さないでね
  2491. 露: 良く分からないけど
  2492. 露: 千鶴と仲良くなれたのも@ふたりのおかげだから
  2493. 露: 天の川を繋いでくれた@カササギとして書いておくわ
  2494. 鶴乃: それで、よろしく!
  2495. 鶴乃: …………
  2496. さな: …………
  2497. ねむ: 未来は変わらないよ
  2498. 鶴乃: 露姫様が魔女になる未来も…
  2499. さな: 千鶴さんが魔女に@やられてしまうのも…
  2500. 鶴乃: ねむは、それがわかってるのに@よく平気でいられるね
  2501. ねむ: 僕も多少は重い心持ちだよ
  2502. ねむ: ふたりが見に行った幸若舞に@未来記の話があったと思うけど
  2503. 千鶴: ―千鶴―@なぁ、またあとで話を聞かせてくれよ@今度は未来記ってやつ
  2504. 露: ―露―@私が好きな話の1本ね
  2505. 千鶴: ―千鶴―@どんな話なんだ?
  2506. 露: ―露―@牛若丸が天狗の住む世界に行って@自分の未来を聞くって話
  2507. ねむ: 「あの物語には@頼朝と義経の出会いや平家を倒す@内容だけじゃなくてね」
  2508. ねむ: 「頼朝と義経の別れまで描かれているんだよ」
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