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Puella Historia: Valkyrie of Vik JP Text

Apr 24th, 2023 (edited)
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  1. FILENAME: text_519010-0.txt
  2. <1066年9月25日夏――>
  3. <イングランド スタンフォード・ブリッジ村>
  4. オルガ: はぁ…はぁ…はぁ…!
  5. イングランド兵: はあっ!
  6. オルガ: くっ…!
  7. イングランド兵: はっ!はっ!
  8. オルガ: うぐっ!
  9. オルガ: (や、やばい… 受けきれない…!)
  10. イングランド兵: うりゃぁーっ!
  11. エッベ: おらっ!
  12. オルガ: エッベ!
  13. エッベ: ここは俺が! お頭たちは退いてくれ!
  14. オルガ: でも…!
  15. エッベ: もうこの戦は負けだ! とにかく今は退却を!
  16. オルガ: …………!
  17. エッベ: 早く!
  18. オルガ: …くっ!
  19. オルガ: エッベ!死なないで!
  20. エッベ: そのつもりだよ…!
  21. イングランド兵: ふんっ!
  22. エッベ: うらぁっ!
  23. オルガ: ガンヒルト… ガンヒルトーっ!
  24. オルガ: どこ…どこにいるの!
  25. オルガ: (…ついに…こんなことに なってしまった…)
  26. オルガ: (ガンヒルト… みんな…ごめん…)
  27. オルガ: (あたしだ…あたしのせいだ…)
  28. オルガ: (すべての始まりは… あたしなんだ…!)
  29.  
  30. [From the opening sequence]
  31. 戦士たちを乗せた船は
  32. 姉妹に導かれて海を渡っていく
  33. [Title card] ピュエラ・ヒストリア ヴィークのワルキューレ編
  34.  
  35. FILENAME: text_519010-1_JSAqV.txt
  36. オルガ: …………
  37. オルガ: あたしの名前はオルガ
  38. オルガ: …話、聞いてくれる? ちょっと長くなるけど…
  39. オルガ: …ごめんね、なんか…
  40. オルガ: どうしても誰かに話したかったんだ…
  41. オルガ: …ありがとう…じゃあ…
  42. オルガ: あたしと妹のガンヒルトは…
  43. オルガ: 戦士団の首長の娘として生まれたの
  44. オルガ: 父上の名前はアルネ 結構、名の知れた戦士だった
  45. オルガ: …でも、ある日…
  46. アルネ: 「…ぐはっ…!」
  47. アルネ: 「…オルガ…ガンヒル…ト…」
  48. アルネ: 「不甲斐ない父を…許してくれ…」
  49. オルガ: 住んでいた集落が襲われ 父上はじめ一族は皆討たれて…
  50. オルガ: あたしたち姉妹は生け捕られて スレール(奴隷)となり…
  51. オルガ: ここ、イスヴィークに連れてこられたんだ…
  52. オルガ: …よっ…と!
  53. オルガ: ガンヒルトー! 荷物、ここに置いとくよ!
  54. ガンヒルト: わかったー
  55. オルガ: さて、と… 今日の仕事はこんなもんかな?
  56. ガンヒルト: うん、そうだね
  57. オルガ: じゃ…行ってこよっかなー
  58. ガンヒルト: またあのおじいさんのところ?
  59. オルガ: そ!だって、色んな神話を 知ってるんだもん!
  60. オルガ: 例えばさぁ… イズンって知ってる?
  61. ガンヒルト: さぁ…
  62. オルガ: アース神族って魔法のリンゴを 食べて永遠の若さを保っているの
  63. オルガ: イズンは そのリンゴの管理人なんだけど…
  64. オルガ: 悪戯好きの神様が現れて…
  65. ガンヒルト: ロキね
  66. オルガ: そう!そのロキがイズンを騙して リンゴごとさらっちゃったの!
  67. オルガ: イズンは無邪気で 騙されやすかったみたいなの…
  68. オルガ: そうしたらアース神族が歳を とり始めちゃってもう大変で…!
  69. ガンヒルト: 無邪気で騙されやすい、か…
  70. ガンヒルト: まるで姉さんみたい
  71. オルガ: …あのねぇ
  72. オルガ: あたしたちはスレールになっても挫けず 支え合いながら一生懸命、日々を送っていた
  73. オルガ: 幼い頃から神話の類が大好きだったあたしは イスヴィークで暮らすようになってからも 物知りな奴隷仲間のおじいさんから色々な 話を教えてもらい、それをガンヒルトに 語って聞かせていたんだ
  74. オルガ: ちょっとでも辛い日常を 忘れることができるように…
  75. 集落の戦士: …なんだぁ?オルガ 随分と楽しそうだな…うぃ~…
  76. オルガ: あ…いや、別に…
  77. ガンヒルト: (酔ってるな…)
  78. 集落の戦士: どうせまた神話でも 得意げに話してたんだろ、ん?
  79. 集落の戦士: そんなことばっかやってっから 言われんだよ
  80. 集落の戦士: 「夢見がちのオルガ」ってな…! がっはっはっ!
  81. オルガ: は、ははは…
  82. 集落の戦士: つーわけで、無駄話してねーで 母屋へ行って働け!
  83. オルガ: え…?
  84. 集落の戦士: 軽く飲んだら興が乗ってな これから本格的に宴をやる
  85. 集落の戦士: だから、さっさと準備しろ!
  86. オルガ: は、はいっ! ガンヒルト!
  87. ガンヒルト: …はい…
  88. オルガ: スレールは無暗に虐げられたりはしない
  89. オルガ: なぜなら、略奪した者にとって スレールは“財産”だから
  90. オルガ: かといって、必要以上に大事にされたりもしない
  91. オルガ: スレールはスレール…
  92. オルガ: その立場は、どこまでも変わらない…
  93. オルガ: …と、思っていた
  94. オルガ: この時点ではね…
  95.  
  96. FILENAME: text_519010-2_JSAqV.txt
  97. オルガ: ふぃ~…
  98. ガンヒルト: やっと終わったね…
  99. オルガ: 疲れた…
  100. オルガ: 暇だとさ、急に宴を 始めたりするよね、ここの連中…
  101. ガンヒルト: ホント、面倒くさい…
  102. オルガ: だね…
  103. ガンヒルト: …いつまでこんな 毎日が続くのかな…
  104. オルガ: …………
  105. ガンヒルト: …父上たちを殺した 連中にこき使われて…
  106. オルガ: …あたしたちの集落にも いたじゃない、スレール
  107. オルガ: こんな気持ちだったのかな…
  108. ガンヒルト: …………
  109. オルガ: 力の強い者が弱い者から 根こそぎ奪っていく…
  110. オルガ: それがこの世の常だからね…
  111. オルガ: 父上たちだって 各地で略奪はしてたんだ
  112. オルガ: で、今回はあたしたちが 奪われる方だった…
  113. ガンヒルト: …わかってるよ…
  114. オルガ: …でもね!ガンヒルト
  115. オルガ: あたしたちはそういうことを するのはやめようね!
  116. ガンヒルト: …ふふ! それもわかってるって
  117. ガンヒルト: もう、言うの何回目?
  118. オルガ: はは、ごめんごめん… しつこいね
  119. オルガ: でも、ホントにそう思うんだ
  120. オルガ: 奪って奪われてなんてことが ずっと続く世の中はダメだよ!
  121. オルガ: その連鎖を断ち切らないと…!
  122. ガンヒルト: そんなこと言ってても 私たち、スレールだけどね
  123. オルガ: 大丈夫だって! いつかは自由の身になれるって!
  124. ガンヒルト: どうやって?
  125. オルガ: 神々の導きがある!
  126. オルガ: …はず!
  127. ガンヒルト: …またそれだ
  128. オルガ: へへ…でも、そう信じようよ!
  129. オルガ: あたしたちを解き放ってくれれば …何かを捧げます!
  130. オルガ: だから、きっかけをください! …っていつもお願いしてるの
  131. オルガ: 今の状況が変わるような きっかけをさ…
  132. ガンヒルト: 何かって、そんな曖昧な 捧げもので聞き届けてくれる…?
  133. オルガ: 今は思いつかないけど… すんごいの捧げるから大丈夫!
  134. オルガ: そんで! 自由になったらさ…
  135. オルガ: 父上が持っていたような 大きな船を手に入れて…!
  136. ガンヒルト: ふたりで世界中を旅する!
  137. オルガ: そうそう!
  138. オルガ: まずはこの近海を 周ってからローマに行ったり…!
  139. オルガ: そうだ!昔、あたしたちの集落に 来たローマ帰りの商人がさ…
  140. オルガ: 砂ばっかりの国があるとか 言ってたよね!
  141. ガンヒルト: うん、言ってた!
  142. オルガ: 毎日毎日暑いらしいけど どんな感じなんだろう…!
  143. オルガ: あー、他にもどんな 国があるのかな…
  144. ガンヒルト: さあ…想像もつかないよ
  145. オルガ: 行ってみたいなぁ… 船に乗って…
  146. オルガ: 色んな…所へ…
  147. オルガ: …………
  148. ガンヒルト: ―ガンヒルト― (…寝たね)
  149. ガンヒルト: ―ガンヒルト― (今日もありがとう姉さん)
  150. ガンヒルト: ―ガンヒルト― (姉さんの話を聞くと 私は元気が出るんだよ…)
  151. ガンヒルト: ―ガンヒルト― (…私、真剣に思ってるからね)
  152. ガンヒルト: ―ガンヒルト― (姉さんの夢叶えてあげたいって…)
  153.  
  154. FILENAME: text_519010-3_JSAqV.txt
  155. オルガ: あの日も、あたしは一日の終わりに ガンヒルトと寝る前のおしゃべりをしていた
  156. オルガ: …でね、ヴォルっていう女神は とっても頭が良くて…
  157. ガンヒルト: …うん…
  158. オルガ: ヴォルの前では隠し事が できないって言われてるの!
  159. ガンヒルト: …………
  160. オルガ: …ありゃ?
  161. ガンヒルト: …………
  162. オルガ: ガンヒルト…寝ちゃった?
  163. ガンヒルト: …姉さん…
  164. オルガ: ん?起きてるの…?
  165. ガンヒルト: …………
  166. オルガ: …あ、寝言か…
  167. オルガ: (今日は珍しくガンヒルトが 先に寝ちゃった…)
  168. オルガ: (集中的に仕事を押しつけられて いたもんね…)
  169. オルガ: (ごめん、今夜もあたしの 話につき合わせちゃって…)
  170. オルガ: (でもね…心が休まるんだ ガンヒルトと話をしてると)
  171. オルガ: (だから…これからも…)
  172. オルガ: …お願いっ!
  173. オルガ: (…ということで…)
  174. オルガ: (明日はなんの話を しようかなーっ!)
  175. オルガ: (そうだ… この前の続きがいいな!)
  176. オルガ: (あたしたちが創る あたしたちだけの神話!)
  177. オルガ: (どこまで考えたっけ… あ、そうそう!)
  178. オルガ: (トールがロキと戦うんだけど オーディンがそれを仲裁して…)
  179. オルガ: (虹の橋を端から端まで走って どっちが早く着くかの勝負を…)
  180. オルガ: …んんっ!?
  181. オルガ: (…今、視界の端っこに 何かいたような…?)
  182. ???: …………
  183. オルガ: …えっ!?
  184. オルガ: 今の何!?今の何…!?
  185. ???: …………
  186. 集落の戦士: ぶはーっ! もー飲めねー!寝るぞー!
  187. オルガ: わあっ!
  188. ガンヒルト: …ふわっ! …な、なに?どうしたの…!?
  189. ???: …………!
  190. 集落の戦士: …ん~…どこだここは… 俺の寝床じゃ…ねーのか?
  191. オルガ: そ、そうだよ!違うよ!
  192. 集落の戦士: そうなのか?…おう…じゃあな!
  193. 集落の戦士: 俺の寝床はどこじゃーい!
  194. ガンヒルト: …ったく、なんなの あの酔っ払いは…!
  195. オルガ: …………
  196. オルガ: …あーっ!わ、わかった…! 今のはきっと…!
  197. ガンヒルト: …今の?あの男がなんなの?
  198. オルガ: “フィルギャ”だ!
  199. ガンヒルト: …フィルギャ?
  200. オルガ: 見ちゃったんだよ フィルギャを!
  201. ガンヒルト: …なんなの?フィルギャって…?
  202. オルガ: 精霊だよ!精霊!
  203. ガンヒルト: …今の飲んだくれが?
  204. オルガ: 違うって!
  205. オルガ: あいつの前に見たの! 白い獣を!
  206. オルガ: それがフィルギャ!
  207. ガンヒルト: はぁ…
  208. オルガ: 人の魂が動物の形になって この世に現れることがあるの!
  209. オルガ: それがフィルギャ!
  210. ガンヒルト: …んん~?じゃあ そのフィルギャを、姉さんが…
  211. オルガ: 見たの!ついさっき!
  212. オルガ: なんか可愛らしい動物だったから 元は女の子の魂かな…!?
  213. ガンヒルト: …そういうものなの…?
  214. オルガ: うん!あのね…
  215. オルガ: こんな耳で、こんな目で こーんな尻尾で!
  216. ガンヒルト: …ふふっ…ごめん よくわかんないや
  217. オルガ: と、とにかく出たんだよー!
  218. ガンヒルト: フィルギャって、いい精霊なの?
  219. オルガ: うん!守護の精霊だよ!
  220. オルガ: 危ないことが近いと 忠告してくれるんだ!
  221. オルガ: 例えばこんな話があって…!
  222. ???の声: 「…出てきた…」
  223. ???の声: 「ここからが本番…」
  224. ???の声: 「…ってところねぇ」
  225.  
  226. FILENAME: text_519010-4_JSAqV.txt
  227. ???の声: 「ここからが本番…」
  228. ???の声: 「…ってところねぇ」
  229. ひかる: …………
  230. アオ: フラグが立った…って感じだねぇ
  231. 樹里: キュゥべえが見えたってことは オルガの方が確率は高いな
  232. 結菜: 多分ねぇ
  233. ひかる: …そうっす、か…
  234. <数時間前…>
  235. 結菜: ここねぇ…
  236. 樹里: その、環いろはの概念っつーのは この村にあるのか?
  237. ねむ: 本に記された歴史をたどると
  238. ねむ: 集落の名称で 『イスヴォル』とあるからね
  239. アオ: ここ、『イスヴィーク』 じゃないの?
  240. ねむ: 名称に不一致があるけど 位置としてはここで確かだよ
  241. 結菜: 大丈夫なのぉ…?
  242. ねむ: 本の内容は全て把握済だからね ただ…
  243. ねむ: 一部の記載に不明瞭な ところがある
  244. ねむ: 完成する前にお姉さんが 倒れたのかもしれないね
  245. アオ: それって要はバグ? 解析とかできないの?
  246. ねむ: 本に宿されたウワサの僕では 解消のしようがないよ
  247. ねむ: 情報はほぼ出そろっているし こうして回収に踏み切っている
  248. ねむ: このまま続行しよう
  249. 樹里: …へいへい…
  250. アオ: でも、調査対象の情報からして 曖昧だからなぁ…
  251. ひかる: そうっすねぇ…整理すると…
  252. ひかる: まず「この村に住む姉妹」で…
  253. ひかる: 名前は「オルガとガンヒルト」…
  254. ひかる: で、「魔法少女がひとり生まれ 魔女を倒す」…って言われても
  255. ひかる: どっちが魔法少女になるのかも わからないっすからね…
  256. アオ: バグのせいで まさに“虫食い”だね…
  257. ねむ: とはいえ…
  258. ねむ: まず姉妹を追うことが必須なのは 間違いないはずだよ
  259. アオ: …まあ、確かに…
  260. 結菜: いずれかが環さんが追っていた 魔法少女ということね
  261. 樹里: うしっ、じゃあさっそく 姉妹とご対面といこうぜ
  262. ねむ: 注意しておくけど…
  263. 樹里: …んだよ?
  264. ねむ: 歴史的事象に 深く介入しないこと
  265. 樹里: …行く前に聞いたことじゃねーか しつけーぞ
  266. ねむ: 念のために言ったまでだよ
  267. 結菜: じゃあ、こちらも念のために 聞いておこうかしらぁ…
  268. 結菜: 自分たちではわからないけど 偽装はバッチリなんでしょぅ?
  269. ねむ: 外見や言語など 違和感がないようになっている
  270. アオ: 不思議だよね… なんにも変わった気がしないのに
  271. 結菜: であれば、手筈通りの アプローチでいくわよぉ…
  272. オルガ: これ持って、これ持って これと…これと…
  273. ガンヒルト: あとこれもね
  274. オルガ: お、ありがと!
  275. オルガ: …ん?あの人たち、誰? 見たことないけど…
  276. ガンヒルト: 旅の商人だって聞いたけど 売れそうな品を探してるんだって
  277. オルガ: へー!じゃあ、旅先の話とか 聞けるかな?
  278. ガンヒルト: どうだろう…
  279. オルガ: すみませーん!
  280. ガンヒルト: …早いなぁ…
  281. オルガ: あのあのあの!
  282. 結菜: なにかしらぁ?
  283. オルガ: 旅商人なの?
  284. 樹里: おう!
  285. オルガ: 旅先の話を聞かせてよ!
  286. 樹里: 旅先…?
  287. 樹里: …んじゃあ、神浜って…
  288. アオ: わっ!わっ!
  289. オルガ: カミ…なに?
  290. ひかる: なんでもないっすよ!
  291. ひかる: あー…じゃあ!イングランドの 情勢とかどうっすか…?
  292. オルガ: いいね!お願い!
  293. ひかる: え、えーっと…
  294. ひかる: …………
  295. 結菜: …どうしたのぉ?
  296. ひかる: …いや、あの子… 魔法少女に…なるっすかね…
  297. 樹里: キュゥべえを見かけたんだ
  298. 樹里: さっきは邪魔が入ったけど 狙ってるのは間違いねーだろ
  299. ひかる: …っすね…
  300. 樹里: …あー、おめーまさか 情が湧いたのか?
  301. ひかる: …話してみると、明るくて いい子だったんで…どうも…
  302. ねむ: 感情移入はほどほどにね
  303. ねむ: あくまで目的は…
  304. ひかる: それはわかってるっす!
  305. ひかる: 大丈夫っす! しっかりと仕事はするっす!
  306. ねむ: よろしく頼むよ
  307. ひかる: …………
  308. 結菜: …………
  309. オルガ: そう… ユナたちと会ってからしばらく後だったね…
  310. オルガ: “あのこと”が起きたのは…
  311.  
  312. FILENAME: text_519010-5_JSAqV.txt
  313. オルガ: そう… ユナたちと会ってからしばらく後だったね…
  314. オルガ: “あのこと”が起きたのは…
  315. オルガ: …………
  316. ガンヒルト: …あ、姉さん ここにいたんだ
  317. オルガ: …あ、うん…
  318. ガンヒルト: …どうしたの? 何かあった?
  319. オルガ: …あ、わかる?
  320. ガンヒルト: そりゃわかるよ あからさまだもん
  321. オルガ: へへ…だよね
  322. オルガ: 実はさ…言われたんだよ ラグナから
  323. ガンヒルト: ああ、あの世話焼きのおばさん?
  324. オルガ: 『あんたもガンヒルトも さっさと誰かとくっつきな』
  325. オルガ: 『で、家族を作るんだよ』 …って
  326. ガンヒルト: ええ!?
  327. オルガ: イスヴィークにもいくつか スレールの所帯があるでしょ
  328. オルガ: あたしらもそうなれって ことだよね
  329. オルガ: で、周りもみんな そう思ってんだって
  330. オルガ: スレールの女が生きるには それが妥当だから…
  331. ガンヒルト: そ、そんなこと…勝手に…!
  332. オルガ: 結婚して、家庭を持ったら ふたりで農作業してさ…
  333. オルガ: 収穫物を上納して 暮らしを保っていく…
  334. オルガ: …まあ、そんなとこかな
  335. ガンヒルト: 何言ってるの、姉さん! 夢は捨てちゃうの!?
  336. オルガ: …………
  337. ガンヒルト: 大丈夫だから! そんなことにはならないから!
  338. オルガ: ガンヒルト…
  339. ガンヒルト: いつかきっとあるよ! 神々の導きが!
  340. ガンヒルト: 船で海に出るんでしょ!? 色んな国を周りたいんでしょ!?
  341. オルガ: …う、うん!そうだよ!
  342. ガンヒルト: だとしたら、周囲が何を 言ってても…!
  343. オルガ: 気にしない! うん!気にしないよ!
  344. オルガ: ごめんごめん! あたしとしたことが!
  345. オルガ: 夢は実現しなきゃ! ふたりでね!
  346. ガンヒルト: …そうだよ!
  347. オルガ: よしっ! じゃー、残りの仕事を…!
  348. オルガ: …あれ? なんか向こうが騒がしくない…?
  349. ガンヒルト: …そうだね…?
  350.  
  351. FILENAME: text_519010-6_JSAqV.txt
  352. オルガ: …あれ? なんか向こうが騒がしくない…?
  353. ガンヒルト: …そうだね…?
  354. ひかる: うわぁっ!
  355. アオ: こ、これって どうなっちゃってるの…?
  356. 集落の戦士: ぐあっ!
  357. 老戦士: そら、行け!戦士たちよ!
  358. 戦士たち: うおりゃぁぁぁぁ!
  359. ねむ: 状況としては、ヴァイキングが ヴァイキングを襲撃しているね
  360. ひかる: な、なんでっすか…?
  361. ねむ: 僕にもわからないよ
  362. ねむ: ただ、争いの火種はこの時代 いくらでもあるからね
  363. 樹里: おおっ! こいつは燃える展開だな!
  364. 樹里: よーし、いっちょ 樹里サマも参戦を…!
  365. アオ: だめだよ! わたしたちの立場、忘れたの!?
  366. 樹里: んぐっ!
  367. 結菜: 一旦、距離を取って 様子を見るわよぉ
  368. 樹里: …だー、くそっ! つまんねーな…!
  369. ひかる: (オルガさん…!)
  370. オルガ: イスヴィークが… 襲撃されている…!?
  371. ガンヒルト: 一体…どこの戦士たち…!?
  372. 集落の戦士: ぐっ…!
  373. 集落の戦士: うぐっ…!
  374. オルガ: み、みんな殺されて…!
  375. ガンヒルト: …………
  376. ガンヒルト: (…この状況…)
  377. ガンヒルト: …よし…
  378. オルガ: ガンヒルト! どどっ、どうしよう…!?
  379. ガンヒルト: 姉さん、落ち着いて
  380. オルガ: 落ち着けって、でも…!
  381. ガンヒルト: この混乱、まさしく転機だよ
  382. オルガ: …転機?
  383. ガンヒルト: 今までの日常が一変した 変化の兆しだよ
  384. ガンヒルト: これこそまさに… 神々の導きじゃないかな
  385. オルガ: いやいや!あたしたちも 巻き込まれて命が…!
  386. ガンヒルト: 大丈夫!
  387. ガンヒルト: 姉さんの命は 私が必ず守るから…!
  388. オルガ: ガンヒルト…
  389. 老戦士: んん? なんだ、お前たちは…?
  390. オルガ: ひぃぃ!見つかった!
  391. 老戦士: ふん…まだガキか…
  392. 老戦士: 安心しろ、チビども 命までは取らねぇよ
  393. 老戦士: 今日からお前らは俺のスレールだ 名前はなんだ?
  394. オルガ: オ、オルガです!
  395. ガンヒルト: ガンヒルト…
  396. 老戦士: オルガにガンヒルトか よし…
  397. 老戦士: ん?…なにっ…? オルガにガンヒルトだと…!?
  398. オルガ: ひええっ!そ、そうですけど~!
  399. 老戦士: お前ら…まさか…!
  400. オルガ: ななな、なんですか~!?
  401.  
  402. FILENAME: text_519010-7_JSAqV.txt
  403. 老戦士: ん?…なにっ…? オルガにガンヒルトだと…!?
  404. オルガ: ひええっ!そ、そうですけど~!
  405. 老戦士: お前ら…まさか…!
  406. オルガ: ななな、なんですか~!?
  407. 老戦士: ち、父親の名前は…?
  408. ガンヒルト: アルネ…
  409. 老戦士: アルネ…! 『暁の戦士団』の…!?
  410. オルガ: …え? し、知ってるんですか…?
  411. 老戦士: つまり、お前らは… アルネの娘たちの…!
  412. 老戦士: オルガにガンヒルト! うおお!会いたかったぞー!
  413. オルガ: わぁっ!く、苦しい…!
  414. ガンヒルト: …むぐ…
  415. 老戦士: いやー! こんな巡り合わせがあるとは…!
  416. 老戦士: これはおそらくフレイヤの加護 あってのことだな!
  417. オルガ: あ、あの~… あなたはどなたなんですか…?
  418. 老戦士: …ん?…おお、そうか! 何も言ってなかったな!すまん!
  419. エッベ: 俺はブリンジャ―の息子 エッベだ
  420. エッベ: 昔、旅先の山中で不意に熊に 襲われたときがあってな
  421. エッベ: 背中を爪でガッツリよ まあ、どうにか倒したが…
  422. オルガ: (倒したんだ…)
  423. エッベ: さすがに血を流し過ぎてな
  424. エッベ: これでもう今生は終わりかと 思っていたところ…
  425. エッベ: たまたま通りがかった お前たちの父親に助けられた
  426. エッベ: 怪我が癒えるまで何から何まで 世話になって…その頃だ
  427. エッベ: 生まれたばかりのお前たちに 会ったのは
  428. オルガ: へっ!? あたしたちに、会ってる…!?
  429. エッベ: おうよ!その顔立ち、髪色… 間違いない!確信した!
  430. エッベ: 怪我が癒えた俺は郷里に 戻ることとなったが…
  431. エッベ: いつかアルネに恩は返すと 誓って別れたんだ
  432. エッベ: その後、紆余曲折あって自前の 戦士団を持つことになってな
  433. エッベ: そこで、戦士団ごとアルネの 傘下に入ろうと決めた
  434. エッベ: これでようやく恩を返せると…
  435. エッベ: …ところが、だ…
  436. ガンヒルト: 父上たちが殺された…
  437. エッベ: そうだ… 俺は愕然とし、そして後悔した…
  438. エッベ: だが、同時に誓ったこともある アルネの仇は俺が討つ、と…!
  439. オルガ: それでイスヴィークを…?
  440. エッベ: …いや、それはそうだが…
  441. エッベ: ここに来るまでに ちょっとした“流れ”があってよ
  442. オルガ: …流れ?
  443. エッベ: まずな、俺は情報ってやつを 集めるのが苦手なんだわ!
  444. オルガ: (…そんな堂々と…)
  445. エッベ: アルネを殺した奴らを捜したが
  446. エッベ: なんせ、集落皆殺しだったろ?
  447. エッベ: ところが、だ!
  448. エッベ: 一昨日、うちの本拠地で 酔って暴れた流れ者がいてな
  449. エッベ: そいつが『アルネを仕留めたのは 俺だ』とぬかしやがった
  450. エッベ: 聞き捨てならねーとそいつを 捕まえて洗いざらい喋らせた
  451. エッベ: で、そいつはイスヴィークに 居た奴だとわかり…
  452. エッベ: イスヴィークの連中こそが 捜している仇だと知ったのが…
  453. エッベ: 昨日ってわけだ!
  454. オルガ: 昨日…!?
  455. ガンヒルト: …………!
  456. エッベ: そうよ!俺はもう仇を討てるって 興奮して大急ぎで来たんだわ!
  457. エッベ: そうしたらお前らだ!はっはー! なんとも運がいいぜ!
  458. エッベ: …よし… 今こそ誓いを果たす時だ…
  459. エッベ: アルネの娘たちよ!
  460. オルガ: は、はい…!
  461. エッベ: 我ら『熊の爪の戦士団』 …お前らの配下となろう!
  462. オルガ: …………
  463. オルガ: …えええええーっ!?
  464. エッベ: 今後はお前らが頭だ! 頼むぞ!
  465. オルガ: そ、そんな急に言われても…!
  466. ガンヒルト: 姉さん!
  467. ガンヒルト: こんな奇跡、間違いないよ!
  468. ガンヒルト: これこそ『神々の導き』だ…!
  469. オルガ: …神々の…
  470. エッベ: おお、そうだそうだ!
  471. ガンヒルト: 受け入れるんだ! そうすれば…
  472. ガンヒルト: ここを抜け出すことが できるんだよ!
  473. オルガ: ガンヒルト…
  474. オルガ: …………
  475. オルガ: …わ、わかったよ…! その申し出…受け入れ…ます…
  476. ガンヒルト: 姉さん! もっと威勢よく!
  477. オルガ: う、受け入れよう!
  478. エッベ: 決まりだ! やったぜー!
  479. エッベ: おい!みんな! 集りやがれ!話がある!
  480. オルガ: …と、と、とんでもないことに なっちゃったなぁ~…
  481. ガンヒルト: いいんだ、姉さん 運命が動き始めたんだよ
  482. オルガ: これ…ホントにホント? 夢じゃないよね…?
  483. ガンヒルト: 夢じゃないよ、姉さん…それに…
  484. ガンヒルト: もう『夢見がちのオルガ』なんて 言わせないから…!
  485.  
  486. FILENAME: text_519010-8_JSAqV.txt
  487. オルガ: ある日突然、イスヴィークは襲撃され あたしたちはようやく自由を得たんだけど…
  488. オルガ: まだ対処しなきゃいけない問題があって…
  489. オルガ: ええっ?そんなすんなり戦士団の みんなは納得してくれたの…?
  490. エッベ: ああ、もちろんだ
  491. エッベ: いつかはアルネの配下に収まる 予定だと前から言ってたしな
  492. エッベ: そもそも、俺に逆らうやつなんざ うちにはいねぇよ
  493. オルガ: そ、そうなんだ…
  494. ガンヒルト: これで戦士団は掌握できたね
  495. ガンヒルト: ただ、問題が残ってる
  496. エッベ: 問題?なんだ?
  497. ガンヒルト: 実は今、イスヴィークの戦士団の 主力は略奪に出ている
  498. エッベ: …なんだとぉ!?
  499. オルガ: ああっ!そうだった…!
  500. エッベ: はっ…どうりでアルネを倒した 連中の割に手応えがなかった訳だ
  501. オルガ: 日数からして、おそらく今日 あたりに戻って来ちゃうよ…!
  502. ガンヒルト: 今からここを出れば…
  503. エッベ: そいつは筋が違う!俺たちは アルネの仇を討ちにきたんだ!
  504. エッベ: 主力を倒さないで帰ったら 意味がない!
  505. ガンヒルト: だよね…
  506. エッベ: ここで迎え撃ってやるぜ…!
  507. ガンヒルト: だったら策があるんだ
  508. エッベ: 策…?
  509. エッベ: …ふーむ、なるほど…
  510. エッベ: やってみる価値はあるな
  511. ガンヒルト: 姉さん、どう?
  512. オルガ: う、うん…まあ、その…
  513. ガンヒルト: …………
  514. オルガ: …い、いいと思うよ!
  515. ガンヒルト: よしっ!頭の許可が出た!
  516. オルガ: 頭って、いや、それは あたしたちふたりでしょ?
  517. ガンヒルト: 違うよ 姉さんが頭なんだ
  518. ガンヒルト: 一団を率いるのに指導者は ふたりもいらない
  519. ガンヒルト: それに、私は姉さんが上に 立ってくれないと嫌だ
  520. オルガ: 嫌だって、そんな…!
  521. ガンヒルト: お願い!姉さんが頭になって!
  522. オルガ: でも…!
  523. エッベ: ガンヒルトがそれでいいなら 俺に異存はないがな
  524. オルガ: うう…
  525. オルガ: …わ、わかったよ…
  526. ガンヒルト: ありがとう、姉さん!
  527. ガンヒルト: じゃあ、さっそく 迎撃の準備を始めるよ!
  528. エッベ: おっしゃ!
  529. オルガ: …………
  530.  
  531. FILENAME: text_519010-9_JSAqV.txt
  532. オルガ: ガンヒルトの推薦によってあたしは 『熊の爪の戦士団』の頭となり みんなの指揮を執ることになった
  533. オルガ: そして…
  534. 集落の戦士: 誰も出迎えにこないと思ったら…
  535. 集落の戦士: …なんだ…この有様は…!?
  536. 集落の戦士: おい!誰かいねーのか!
  537. オルガ: …………
  538. ガンヒルト: …………
  539. 集落の戦士: おお!おい、みんな! オルガとガンヒルトがいたぞ!
  540. 集落の戦士: お前ら! こいつは一体どうなって…
  541. ガンヒルト: 略奪に出た戦士たちは これで全員?
  542. 集落の戦士: ん?…まあ…うん そうだな、全員だ
  543. 集落の戦士: それより、他の連中は…
  544. ガンヒルト: 姉さん
  545. オルガ: …………
  546. ガンヒルト: …姉さん!
  547. オルガ: う、うん…!
  548. オルガ: …かかれ!
  549. エッベ: 行くぞオラー!
  550. 集落の戦士: な、なんだぁ!? こいつら…!
  551. エッベ: 喜べ!ヴァルハラへ送ってやる!
  552. オルガ: ガンヒルトの策は、集落に帰還した 戦士たちがひとまとめになったところで 隠れていたエッベたちが一気に包囲…
  553. オルガ: 退路を断って殲滅するというものだった
  554. 集落の戦士: オルガ…ガンヒルト… てめぇら…!
  555. ガンヒルト: …今まで散々世話になった…な!
  556. 集落の戦士: ぐはっ…!
  557. ガンヒルト: ふう…
  558. オルガ: ガ、ガンヒルト…
  559. ガンヒルト: 姉さん!後ろ!
  560. 集落の戦士: オルガーっ!
  561. オルガ: うわぁっ!
  562. 集落の戦士: う…くっ…
  563. エッベ: ほほう、やるじゃねーか!
  564. オルガ: …………
  565. ガンヒルト: 父上に一通り教わったし 密かに訓練もしてたしね
  566. ガンヒルト: こういう時のために 磨いてきたんだ…だよね、姉さん
  567. オルガ: …う、うん…
  568. ガンヒルト: …姉さん ようやく始まったんだよ
  569. ガンヒルト: これが最初の一歩… 夢の始まり…
  570. ガンヒルト: ふたりで実現させよう… 夜ごと語り合った未来を…!
  571. オルガ: …………
  572. オルガ: 今まで理解が追いつかないまま 状況に合わせて動いてきたけど…
  573. オルガ: ここにきて、あたしは今 とんでもないことをしているのでは ないかと思うようになっていた
  574. オルガ: 目の前でイスヴィークが燃えている…
  575. オルガ: こんなこと、あたしは…
  576. オルガ: 奪って奪われてなんてことが ずっと続く世の中はダメだよ!
  577. オルガ: その連鎖を断ち切らないと…!
  578. オルガ: …………
  579. ガンヒルト: …姉さん?
  580. ガンヒルト: そっか…傷つけあう世界は 嫌なんだよね…
  581. オルガ: …………
  582. ガンヒルト: 姉さんの優しい気持ち 私も大切にしたいとは思う…
  583. ガンヒルト: …だけど、やっぱり現実は こうなっちゃったよね
  584. ガンヒルト: エッベたちが来たことで 運命の扉は開いてしまった…
  585. ガンヒルト: そして事態は動き始め 自由を手に入れるために…
  586. ガンヒルト: 私たちはそれに便乗した
  587. オルガ: …………
  588. ガンヒルト: 受け入れよう?姉さん…
  589. ガンヒルト: そして、前進するしかない 神々が後押ししてくれたんだから
  590. ガンヒルト: もはやこの流れに 逆らうことはできないよ、姉さん
  591. オルガ: …………
  592. ガンヒルト: どうせ前進するなら 思い通りに生きてみようよ
  593. ガンヒルト: 姉さん…!
  594. オルガ: …………
  595. オルガ: (もう船は出てしまった…)
  596. オルガ: (降りることはできない… ましてや…)
  597. ガンヒルト: …………
  598. オルガ: (この子を置いてくことなんて できるわけがない…)
  599. オルガ: …そうだね、ガンヒルト…
  600. オルガ: 覚悟を…決めるよ…!
  601. ガンヒルト: …うん!
  602. オルガ: 奪い、奪われる連鎖から 抜け出ることを理想としていたのに…
  603. オルガ: あたしは結局、圧倒的な現実の前に その理想を捨てることになった…
  604. オルガ: ホント、あたしは『夢見がちのオルガ』 だったというわけだね…
  605.  
  606. FILENAME: text_519010-10_JSAqV.txt
  607. オルガ: 包囲作戦は成功し イスヴィークの戦士団は全滅した
  608. オルガ: あたしたちは集落自体も手に入れ ここを拠点とすることにして…
  609. オルガ: 過去を捨て去るために 名前も「イスヴォル」と改めた
  610. オルガ: そして、ガンヒルトはここから トールのような激しさを見せるようになった
  611. ガンヒルト: 私たちと同じスレールは全員 自由民にするんだ
  612. オルガ: それはいいね! 賛成!
  613. ガンヒルト: その代わり、イスヴォルの発展に 力を貸すことを約束してもらう
  614. オルガ: …そ、そうなんだ
  615. ガンヒルト: 農業も畜産も交易も もっと活発にしないと
  616. ガンヒルト: 今より豊かになって 戦士団を強くするんだから
  617. オルガ: え?今でも十分…
  618. ガンヒルト: 強いよ 確かに強い
  619. ガンヒルト: でも、まだ足りない…!
  620. ガンヒルト: 夢の実現を確かなものに するためには…
  621. ガンヒルト: 誰にも負けない強さを 手に入れないと…!
  622. ガンヒルト: 向かう所敵なしだったら 自由に航海できるでしょ?
  623. オルガ: …それはそうだけど…
  624. エッベ: おい、調べに行かせた 連中が戻ってきたぞ
  625. オルガ: …調べ…って、何を…?
  626. ガンヒルト: 周辺の勢力がどんなものかをね その情報は必要でしょ?
  627. オルガ: …まあ、確かに…
  628. ガンヒルト: で、どうだった?
  629. エッベ: ここで最近ひと騒動あったことは 徐々に知られ始めているようだ
  630. エッベ: で、近場の連中はあんたらが 頭に立ったことで相当舐めてる
  631. エッベ: 近々、襲ってくるかも しれないってよ
  632. ガンヒルト: どこから?
  633. エッベ: どこからも、だと
  634. オルガ: え…?
  635. エッベ: みーんなイスヴォルを的に かけてるってわけだ!ははーっ!
  636. オルガ: そんな…! ど、どうしよう…!
  637. ガンヒルト: だったら…今の内に こちらから仕掛けよう
  638. オルガ: …ええっ!? 仕掛けるって…
  639. ガンヒルト: 戦うんだよ、姉さん でないと、こちらがやられる
  640. オルガ: いや、でも、ちょっと前に ここで戦ったばかりで…!
  641. エッベ: うちの連中はやる気十分だぜ!
  642. オルガ: …そ、そうなの…!?
  643. ガンヒルト: ここを守るためには 攻めないと!
  644. ガンヒルト: 力を示せば、簡単に手出しは しなくなるはず!
  645. ガンヒルト: だから、今は戦い続けるんだ!
  646. オルガ: …………
  647. ガンヒルト: 私を信じて、姉さん!
  648. オルガ: わ、わかったよ…
  649. ガンヒルト: …ありがとう
  650. ガンヒルト: では出航の準備だ! 『熊の爪の戦士団』改め…
  651. ガンヒルト: 『姉妹の戦士団』よ!
  652. エッベ: おうよ!
  653. オルガ: …………
  654. オルガ: 結果として、ガンヒルトの策は ことごとく成功し、イスヴォルは大いに発展して その名を各地に轟かせることとなった
  655. オルガ: ガンヒルトはあくまであたしを立てるけど 時々、手に負えないくらい突っ走っていた
  656. オルガ: あたしはあたしで、必死になっている ガンヒルトを止めることに及び腰に なってしまっていた
  657. オルガ: というのも…
  658. ガンヒルト: 夢のためなんだよ、姉さん!
  659. オルガ: ガンヒルトはあたしのために やってくれているんだ…
  660. オルガ: そう思うと、どうにも強く言えなくて…
  661. オルガ: あの晩も、そのことで眠れないでいた…
  662. オルガ: …はぁ~…
  663. オルガ: (ガンヒルトは…)
  664. オルガ: …………
  665. オルガ: (今日もまだ何かやってるか…)
  666. オルガ: (最近、ゆっくり話も できていないなぁ…)
  667. オルガ: (どうしよう…何か…)
  668. オルガ: (怖いな…)
  669. オルガ: …ああ、ダメダメ!
  670. オルガ: (弱気になってどうするの!)
  671. オルガ: (覚悟は決めたはずでしょ…!)
  672. オルガ: …………
  673. オルガ: …えっ!?
  674. オルガ: フィルギャ…!? あの時の…
  675. オルガ: 待って!フィルギャ! 待ってよ!
  676.  
  677. FILENAME: text_519010-11_JSAqV.txt
  678. オルガ: …えっ!?
  679. オルガ: フィルギャ…!? あの時の…
  680. オルガ: 待って!フィルギャ! 待ってよ!
  681. オルガ: どこ…?どこ行ったの…!?
  682. オルガ: いた!ちょっと待って!
  683. 結菜: …追うわよぉ
  684. オルガ: …はぁ…はぁ…
  685. オルガ: (確か、この辺にいたはず…)
  686. 結菜: …………
  687. アオ: フィルギャ…って…
  688. ねむ: 北欧神話に出てくる精霊… 彼女が前に言ってた通りだよ
  689. アオ: だよね…
  690. ひかる: オルガさん…必死っすね…
  691. 樹里: 藁にもすがる…ってやつだろ
  692. アオ: 戦士団の頭に 祭り上げられて…
  693. アオ: 昔は背中に隠れがちだった 妹がグイグイ前に出て…
  694. アオ: あれよあれよの内に集落は 発展していって…
  695. ひかる: 心も不安定に… なるっすよね…
  696. 樹里: そのタイミングで、あいつは 再び姿を現しやがった…!
  697. 結菜: 機は熟した…って ところかしらねぇ…
  698. 結菜: …にしても…
  699. 結菜: 今日はちゃんと寝ずに 張り込んでくれたみたいねぇ
  700. 樹里: “今日も”だろ!
  701. アオ: わたしは見てたからね~ 1回うたた寝したところ~
  702. 樹里: あ、あの日は、慣れない生活で 疲れが溜まってたんだよ…!
  703. 結菜: …まあ、いいけどぉ…
  704. 樹里: …含みがあんなぁ…
  705. 結菜: …で、概念の方は?
  706. ねむ: より多く集まり続けているよ
  707. 結菜: よし…行くわよぉ
  708. ひかる: …………
  709. ひかる: (…魔法少女に なっちゃうんすね…)
  710. オルガ: どこに…フィルギャ!
  711. オルガ: …ん…?
  712. 戦士: …………
  713. オルガ: あれはうちの…
  714. 戦士: …………
  715. オルガ: …どうしたの…? こんな所で…
  716. 戦士: …………
  717. オルガ: (うっすらしか見えないけど… なんか、怖い顔してるような…)
  718. 戦士: …小娘が…
  719. 戦士: 首領だなんて…偉そうに…!
  720. オルガ: …え?
  721.  
  722. FILENAME: text_519010-12_JSAqV.txt
  723. 戦士: …小娘が…
  724. 戦士: 首領だなんて…偉そうに…!
  725. オルガ: …え?
  726. オルガ: うわっ! な、なにを…!
  727. 戦士: …………!
  728. オルガ: ちょちょっ…わーっ!
  729. 戦士: …………
  730. オルガ: や、やめろって! どうしたのさ!
  731. 戦士: …………! …………!
  732. オルガ: (う、裏切り…!? それとも…どこからかの刺客?)
  733. オルガ: (わ、わからない…! とにかく、武器もない今は…)
  734. オルガ: 逃げる!
  735. 戦士: …………
  736. オルガ: はぁ…はぁ…はぁ…
  737. オルガ: …追ってきて…ない…か…
  738. オルガ: どうにか逃げ切っ…
  739. オルガ: …へ? どこ…ここ…?
  740. オルガ: うわうわうわっ! 怖い怖い怖い!
  741. オルガ: (な、なんなんだ!? この奇妙な場所は…!?)
  742. オルガ: (イスヴォルの近くに こんなところあったっけ…?)
  743. オルガ: …いやいや! おかしい!これはおかしい!
  744. オルガ: (この世とは思えない…!)
  745. オルガ: …あっ!…
  746. オルガ: (もしかして、あたし…)
  747. オルガ: (死んでる…?)
  748. オルガ: (さっき襲われて… 殺されちゃってて…)
  749. オルガ: (あたしは武器も持たず 逃げ回って死んだ…)
  750. オルガ: だとしたら、ここは…
  751. オルガ: ヘ、ヘルヘイム…!?
  752. オルガ: …うわぁぁぁーっ!
  753. ねむ: ヘルヘイムとは…
  754. ねむ: 北欧神話における “死者の国”だね
  755. ねむ: 病死や戦わずして死んだ者たちが 送り込まれる世界
  756. ねむ: …と言われている
  757. 結菜: まあ、実際は 魔女の結界だけどねぇ
  758. アオ: さっき彼女を襲ってきた 戦士って…
  759. 樹里: 間違いねぇ 食らってるよ
  760. ひかる: 『魔女の口づけ』っすね…
  761. アオ: で、ここに追い立てられた…
  762. 樹里: でもよ、ここまで 色々見えてるっつーことは
  763. 結菜: やっぱり“素質アリ”って ことの証拠ねぇ…
  764. 樹里: んで、どうすんだ? 助けんのか?
  765. ひかる: 観察対象が消されたら マズいっすよ!
  766. ひかる: ここは助けた方がいいっす! そうっすよね!?
  767. 結菜: 冷酷かもしれないけど 記されている内容次第ねぇ…
  768. 結菜: ご意見、伺ってもいいかしらぁ?
  769. ねむ: …………
  770. ねむ: オルガがここで死ぬかどうかの 記載はないけど
  771. ねむ: ここで姿を現すのは 対象との過干渉になりかねないね
  772. ねむ: 限界まで見極めさせて欲しい
  773. ひかる: …うう…!
  774. オルガ: …あ…?
  775. …………
  776. オルガ: で、出た…
  777. オルガ: ヘルヘイムの…怪物だーっ!
  778. …………!
  779. オルガ: わーっ!
  780. 樹里: 出てきやがったな…
  781. ねむ: …………
  782. ひかる: 行くっす! もうさすがに…!
  783. 結菜: えぇ…
  784. 結菜: 私もそろそろ限界ねぇ…!
  785. 樹里: …へっ!さては 密かにジリジリしてやがったな?
  786. ひかる: じゃあ、早く…!
  787. アオ: 待って!
  788. ひかる: なんすか!
  789. アオ: …魔力を…感じる…!
  790. ???の声: 「危ない!」
  791. オルガ: …えっ!?
  792. …………!?
  793. ???の声: 「…どうしてこんなところにいるの…?」
  794. ガンヒルト: …姉さん!
  795. オルガ: …ガ…ガンヒル…ト?
  796.  
  797. FILENAME: text_519010-13_JSAqV.txt
  798. ???の声: 「…どうしてこんなところにいるの…?」
  799. ガンヒルト: …姉さん!
  800. オルガ: …ガ…ガンヒル…ト?
  801. アオ: …えー…!?
  802. 樹里: い、妹が魔法少女…!?
  803. 結菜: …どうやらそのようねぇ…
  804. ひかる: どうなってんすか…!? 魔法少女はオルガさんじゃ…
  805. 結菜: …そう思い込んでた…
  806. ひかる: …え?
  807. 結菜: おそらくだけど…
  808. 結菜: キュゥべえは最初 オルガを狙ってた…
  809. 結菜: だけど、アクシデントで一度引き その次はガンヒルトを狙った
  810. 結菜: で、彼女はいつの間にか キュゥべえと会って…
  811. 結菜: 契約を結んでいた
  812. 結菜: 今夜は改めてオルガを 口説きにきたのかしらねぇ…
  813. ひかる: いつの間にかって… ふたりはひかるたちで監視を…
  814. 結菜: 思い当たるフシ…あるでしょ?
  815. 樹里: ああん?
  816. 樹里: …あ…
  817. アオ: …あー!うたた寝してた日!
  818. 樹里: …………
  819. 樹里: …そうなのか?
  820. アオ: いや、聞かれても わかんないよ!
  821. ひかる: じゅ、樹里さん…
  822. 樹里: っつーか、これが 自然な成り行きってことだろ?
  823. 樹里: 観察対象がハッキリしたな
  824. アオ: 開き直ってる…!
  825. 結菜: …確かに、それはそうだけどぉ…
  826. 結菜: …釈然としないわねぇ…
  827. ガンヒルト: …魔女は出てこなかったか…
  828. オルガ: 魔女…!? どういうこと…!?
  829. オルガ: ねぇ!ガンヒルト! 説明してよ!
  830. ガンヒルト: …………
  831. ???の声: 「オルガ」
  832. オルガ: …え? 今、誰かあたしのこと呼んだ…?
  833. キュゥべえ: こうして話すのは 初めてだね
  834. オルガ: …………
  835. オルガ: …フィルギャ!? フィルギャがしゃべった!?
  836. キュゥべえ: ボクの名前はキュゥべえ
  837. ガンヒルト: くっ…!
  838. キュゥべえ: キミにお願いがあるんだ
  839. ガンヒルト: キュゥべえ! どうして現れた!
  840. ガンヒルト: 姉さんには関わるなと あれほど言ったのに…!
  841. オルガ: キュゥ…べえ…?
  842. ガンヒルト: 姉さん、帰ろう!
  843. ガンヒルト: 今日のことは 忘れるんだ!
  844. オルガ: え?え?
  845. ガンヒルト: さあ、早く!
  846. オルガ: ちょ、ちょっと待ってよ!
  847. オルガ: …無理だよ! いくらなんでも!
  848. ガンヒルト: …………
  849. オルガ: こ、こんなことを 忘れるだなんて…
  850. オルガ: ガンヒルトに言われたからって できるわけ…
  851. ガンヒルト: …………
  852. オルガ: …事情を、聞かせてよ…
  853. ガンヒルト: …姉さん…
  854. キュゥべえ: ボクから説明するよ
  855. ガンヒルト: お前は口をはさむな!
  856. オルガ: ガンヒルト…
  857. ガンヒルト: …わかった…
  858. ガンヒルト: 話すよ、姉さん…
  859.  
  860. FILENAME: text_519010-14_JSAqV.txt
  861. ガンヒルト: …わかった…
  862. ガンヒルト: 話すよ、姉さん…
  863. ガンヒルト: …………
  864. ガンヒルト: …こいつと会ったのは エッベたちと出会う前の日…
  865. オルガ: つまり…あの襲撃の…?
  866. ガンヒルト: …うん…
  867. オルガ: ガンヒルトの話はこうだった
  868. オルガ: あの日、いつものように話し疲れたあたしは ガンヒルトよりも先に寝てしまった
  869. オルガ: そして、やがてガンヒルトも寝ようとした所に 白い影が目の前をよぎった
  870. オルガ: あたしの時と同じ状況だったけど フィルギャを見たと思って興奮して話を始めて またいつの間にか寝てしまったあたしに対し…
  871. オルガ: ガンヒルトはあたしから話を聞いている分 その真相を確かめるために追跡をしたらしい
  872. オルガ: やがてひと気のない場所に入ると フィルギャ…ではなく、『キュゥべえ』と 名乗る白い獣は、人の言葉でガンヒルトに 語り掛けてきたという
  873. ガンヒルト: こいつは『契約をしたい』って 言いだした…
  874. ガンヒルト: 魔法少女ってやつになれば 何でも願い事をひとつ叶える…
  875. ガンヒルト: その代わり“ある存在”と 戦わないといけない
  876. ガンヒルト: それが“魔女”だ…って
  877. オルガ: あんた…それを承知したの!?
  878. ガンヒルト: …うん…
  879. オルガ: なんで!? そんな得体の知れない約束を…!
  880. ガンヒルト: …半信半疑だった… いや、ほぼ信じていなかった
  881. ガンヒルト: 願いがなんでも叶うなんて…
  882. ガンヒルト: …でも!もし本当だったら こんな好機はない…!
  883. ガンヒルト: もしかしたら これこそ姉さんが言っていた
  884. ガンヒルト: 『神々の導き』かも…って!
  885. オルガ: …え…
  886. エッベ: 我ら『熊の爪の戦士団』 …お前らの配下となろう!
  887. オルガ: …………
  888. オルガ: …えええええーっ!?
  889. エッベ: 今後はお前らが頭だ! 頼むぞ!
  890. オルガ: そ、そんな急に言われても…!
  891. ガンヒルト: 姉さん!
  892. ガンヒルト: こんな奇跡、間違いないよ!
  893. ガンヒルト: これこそ『神々の導き』だ…!
  894. オルガ: …神々の…
  895. オルガ: …あの時…
  896. オルガ: これが本当に 『神々の導き』だって…
  897. オルガ: 確信があって 言ったってこと…!?
  898. ガンヒルト: …そうだよ、姉さん
  899. ガンヒルト: だって、私が願ったことは…
  900. ガンヒルト: 『姉さんを首領とする 戦士団の結成』だったから…
  901.  
  902. FILENAME: text_519010-15_JSAqV.txt
  903. ガンヒルト: だって、私が願ったことは…
  904. ガンヒルト: 『姉さんを首領とする 戦士団の結成』だったから…
  905. オルガ: …な、なんで…
  906. オルガ: なんでそんなことを…!?
  907. ガンヒルト: 姉さんには夢がある…
  908. ガンヒルト: その夢は私にとっての 夢でもある…
  909. ガンヒルト: それは何度も 言ってきたよね、私
  910. オルガ: う、うん…
  911. ガンヒルト: だから、最初はそのことを 願おうと思ったんだ
  912. ガンヒルト: でも、もし叶ってしまったら 姉さんは喜ぶのかな?…って
  913. ガンヒルト: 夢を叶える過程がなければ きっと充実感は得られない…
  914. ガンヒルト: だからやめた それで代わりに願ったのが…
  915. オルガ: 戦士団の結成…? あたしを、首領とした…?
  916. ガンヒルト: 夢を実現するためには、もちろん 自由の身であることが前提…
  917. ガンヒルト: それに、世界を旅する上では 地盤や組織が必要になるはず…
  918. ガンヒルト: 夢をいきなり叶えず、かつ 夢へ走り出せる状態になる…
  919. ガンヒルト: そうやって考えた結果が 私の願いとなった
  920. ガンヒルト: 願った翌日、いきなり 私たちの身の回りに異変が起きた
  921. ガンヒルト: 私はそれで確信したの… 『願いは叶った』って
  922. オルガ: そんな…
  923. オルガ: …バカ! 何でそんな身勝手なことを…!
  924. ガンヒルト: …ごめんね…
  925. オルガ: あ、あんた! その魔法少女ってのになったら…
  926. オルガ: 戦わなきゃなんでしょ!? 魔女…ってやつと!
  927. オルガ: あんたひとりにそんなことを 押しつけて…あたしは…!
  928. ガンヒルト: いいんだよ、姉さん 姉さんの夢が私の…
  929. オルガ: よくないよ!
  930. オルガ: …フィルギャ!
  931. キュゥべえ: ボクのことかい?
  932. オルガ: あたしも魔法少女にしてよ!
  933. オルガ: ガンヒルトが犠牲になって 叶える夢なんて…!
  934. ガンヒルト: ダメだよ、姉さん!
  935. オルガ: どうして!
  936. ガンヒルト: それだけは姉さんでも 絶対に許すことはできない!
  937. ガンヒルト: 姉さんを魔法少女には …させない!
  938.  
  939. FILENAME: text_519010-16_JSAqV.txt
  940. ガンヒルト: それだけは姉さんでも 絶対に許すことはできない!
  941. ガンヒルト: 姉さんを魔法少女には …させない!
  942. オルガ: ガンヒルト…!?
  943. ガンヒルト: お願いだから、姉さん…
  944. ガンヒルト: …魔法少女は…
  945. ガンヒルト: 魔法少女は、“魔力”を消費して “魔法”を使い、魔女と戦う…
  946. ガンヒルト: でも、魔力は勝手に回復したり することはないんだ
  947. ガンヒルト: 魔女を倒して手に入れる 『グリーフシード』が必要になる
  948. オルガ: …何なの、それは…?
  949. ガンヒルト: 私もどういうものかは わからない…
  950. ガンヒルト: でも、それが必要なのは どうやら確実なの
  951. ガンヒルト: 魔女と戦い、グリーフシードを 手に入れて、魔力を回復…
  952. ガンヒルト: そしてまた魔女と戦う…
  953. ガンヒルト: これの繰り返しなんだよ ずっとね…!
  954. ガンヒルト: 姉さんがいつか話してくれた ヴァルハラでの毎日みたいだ…
  955. ガンヒルト: ヴァルハラではラグナロクに 向けて戦闘訓練を行う…
  956. ガンヒルト: 夜は宴を催し 翌日にはまた訓練…
  957. ガンヒルト: それを延々と繰り返す…
  958. ガンヒルト: たとえ訓練中に落命しようとも 日没には蘇る…
  959. ガンヒルト: そしてまた訓練に加わる…
  960. ガンヒルト: 似てるよね、なんだか…
  961. オルガ: そ、そんなことあんた いつやってたの…!?
  962. ガンヒルト: 絶対に姉さんに気づかれたく なかったから…
  963. ガンヒルト: 常に色んな手筈を整えて イスヴォルから出ていた…
  964. ガンヒルト: 姉さんどころか、イスヴォルの 誰にも気づかれてないはず…
  965. オルガ: …それを…ひとりで…
  966. オルガ: …わかった… じゃあ、あたしも…!
  967. ガンヒルト: だから姉さんには 魔法少女になってほしくないの!
  968. オルガ: ガンヒルト!
  969. ガンヒルト: こんなことするの 私だけで十分だよ!
  970. ガンヒルト: 実情を理解したからこそ 姉さんを魔法少女にしたくない
  971. ガンヒルト: 私の気持ち、わかって! 頼むから…!
  972. オルガ: 嫌だ!
  973. ガンヒルト: 姉さん!
  974. オルガ: …………
  975. ガンヒルト: …………
  976. ガンヒルト: …キュゥべえ…
  977. ガンヒルト: あんたが姉さんの前に 現れた理由はなんとなくわかる…
  978. ガンヒルト: 最近の私は 戦士団の強化にかかりきりで…
  979. ガンヒルト: 魔女退治にはあまり 積極的じゃない…
  980. ガンヒルト: だから、あんたは 新たな魔法少女がほしい…
  981. ガンヒルト: そこで、当初狙っていた 姉さんを改めて的にかけた…
  982. ガンヒルト: そんなとこでしょ?
  983. キュゥべえ: …………
  984. オルガ: だったら、こちらも 望むところだよ!
  985. オルガ: あたしを魔法少女に…!
  986. ガンヒルト: …はっ!
  987. キュゥべえ: …………!?
  988. オルガ: えっ!? ガ、ガンヒルト…!?
  989. オルガ: 殺したの…!? キュゥべえを…!
  990. ガンヒルト: これでもう、姉さんは 魔法少女になれない…
  991. ガンヒルト: 諦めて…お願い…
  992. オルガ: そんな…そんな…
  993. オルガ: なんで自分ばかり…! ガンヒルト…!
  994. ガンヒルト: …ごめん…
  995.  
  996. FILENAME: text_519010-17_JSAqV.txt
  997. ガンヒルト: これでもう、姉さんは 魔法少女になれない…
  998. ガンヒルト: 諦めて…お願い…
  999. オルガ: そんな…そんな…
  1000. オルガ: なんで自分ばかり…! ガンヒルト…!
  1001. ガンヒルト: …ごめん…
  1002. オルガ: あたしの夢はあんたの犠牲の 上で叶えるものじゃない!
  1003. オルガ: いつかあたしが、自分の力で…!
  1004. ガンヒルト: …『いつか』っていつなの!?
  1005. オルガ: …えっ…
  1006. ガンヒルト: 姉さんはそうやって 『いつか』って言うけど!
  1007. ガンヒルト: いつまでたってもスレールで 何もできなかったじゃない!
  1008. オルガ: …あ、あたしは…
  1009. ガンヒルト: 大きなことを語るけど それを実現しようとはしない!
  1010. オルガ: …そんな…そんなこと…
  1011. ガンヒルト: 本当は怖かったんでしょ… 行動に起こすのが…
  1012. オルガ: …………
  1013. ガンヒルト: …………
  1014. ガンヒルト: …でも、いいの…
  1015. ガンヒルト: 私は、姉さんの語る その『大きなこと』が好き…
  1016. ガンヒルト: スレールになって唯一の 生きる支えが姉さんの話だった…
  1017. ガンヒルト: だから、姉さんの夢 私も手伝いたかったの…
  1018. ガンヒルト: 魔法少女になったことに 後悔なんてしてない…
  1019. ガンヒルト: 私たちは…今から始まるんだよ!
  1020. オルガ: …………
  1021. ガンヒルト: 私のことを思ってくれるなら どうか気に病まないで
  1022. ガンヒルト: これは私自らが選んだ運命… 姉さんの夢、一緒に叶えさせて…
  1023. オルガ: …………
  1024. ガンヒルト: …それに、さ…
  1025. ガンヒルト: 魔法少女ってヴァルハラでの 毎日みたいって言ったでしょ?
  1026. ガンヒルト: この世でこんな経験を積んだら 私、行けるんじゃない?
  1027. ガンヒルト: 死んだ後、本当にヴァルハラへ!
  1028. ガンヒルト: その日が訪れたら、きっと ワルキューレが迎えにきてくれる
  1029. ガンヒルト: きっと…
  1030. オルガ: …………
  1031. オルガ: …ガンヒルト…
  1032. オルガ: ガンヒルトぉ…!
  1033. ガンヒルト: 泣かないで…姉さん…
  1034. 結菜: …………
  1035.  
  1036. FILENAME: text_519010-18_JSAqV.txt
  1037. 結菜: …………
  1038. アオ: …なんていうか…
  1039. アオ: 妹が姉の夢を 実現するために…
  1040. 樹里: 犠牲になった…ってとこだな
  1041. ひかる: そんな犠牲なんて言い方! ガンヒルトさんは…その…
  1042. 樹里: 魔法少女の行き着く先を考えりゃ 他に言いようがねーだろ
  1043. ひかる: …うっ…
  1044. 結菜: まあ、もし言い方を変えるなら…
  1045. 結菜: 『献身』…ねぇ
  1046. ひかる: …………
  1047. アオ: わたしならこんなハードモード 自分から飛び込めないと思う…
  1048. アオ: すごい…妹だね
  1049. 樹里: …ま、ある意味でな…
  1050. ひかる: …ゆ、結菜さん!
  1051. 結菜: …なぁに?
  1052. ひかる: ふたりの夢… 手伝えないっすかね?
  1053. 樹里: …はぁ~? お前、何を急に…
  1054. ひかる: き、きっとこの回収の旅は…!
  1055. ひかる: オルガさんの夢の果てが ゴールっすよ!
  1056. ひかる: そんな流れじゃないっすか?
  1057. 結菜: …………
  1058. ひかる: だったら、それを手伝えば こっちとしても…!
  1059. 結菜: …意味のないことよぉ
  1060. ひかる: …え…
  1061. 結菜: オルガとガンヒルトの夢は あの子たちだけのもの
  1062. 結菜: 他人が、しかも、生まれた時代も 違う私たちに…
  1063. 結菜: 関与する余地も、権利もない
  1064. 結菜: 私たちはそれを 承知しているはずよぉ…
  1065. ひかる: …うっ…
  1066. 樹里: …まあな
  1067. アオ: そう…だね…
  1068. ひかる: …じゃ、じゃあ!
  1069. ひかる: キュゥべえがオルガさんに 近づかないように…
  1070. ひかる: 見つけ次第、ことごとく ひかるたちで…!
  1071. ねむ: それは僕から止めさせてもらうよ
  1072. ねむ: 間接的な歴史干渉に なる可能性がある
  1073. ひかる: キュゥべえはキュゥべえ じゃないっすか!
  1074. ひかる: 歴史と関係なんか…!
  1075. ねむ: ないかもしれない
  1076. 樹里: あ?だったらいいだろ
  1077. ねむ: でも、関係があるかもしれない
  1078. ねむ: どちらの可能性もある以上 手を出すのは賢明じゃないよ
  1079. 結菜: 特に魔法少女の因果を背負う者は 歴史に影響するかもしれないわぁ
  1080. ねむ: …だね
  1081. ひかる: …う…うう…
  1082. ひかる: 結菜さんの知恵で なんとかなんないんすか…!?
  1083. 結菜: 私たちの目的は、あの姉妹と 交流することではない…
  1084. 結菜: あくまで、環さんの 概念を回収すること…
  1085. ひかる: …………
  1086. 結菜: それが果たせなければ 何も意味がない…
  1087. 樹里: 馬…おめーちょっと 肩入れしすぎだぞ
  1088. アオ: でも…わたしだって ひかるの気持ち、わかるよ…
  1089. 樹里: …まあ、ちったー…な
  1090. 結菜: 私もよぉ
  1091. ひかる: …結菜さん…
  1092. 結菜: いつも平静にあのふたりを 見ているわけじゃない…
  1093. 結菜: 姉妹の酷な人生の歩みを 見させられてるんだから…
  1094. 結菜: 私たち姉妹の前でねぇ…
  1095.  
  1096. FILENAME: text_519010-19_JSAqV.txt
  1097. 結菜: 私もよぉ
  1098. ひかる: …結菜さん…
  1099. 結菜: いつも平静にあのふたりを 見ているわけじゃない…
  1100. 結菜: 姉妹の酷な人生の歩みを 見させられてるんだから…
  1101. 結菜: 私たち姉妹の前でねぇ…
  1102. ひかる: …………
  1103. ひかる: …わかったっす…
  1104. ひかる: 腹を据えて見守り続けるっす! これからも…!
  1105. アオ: 二木市で争ってたときみたいに ドライにならないといけないね…
  1106. 樹里: 樹里サマたちがこの世界に来て 正解だったかもしれねーな
  1107. 結菜: イヤな経験ばかりが 役に立ってしまうわねぇ…
  1108. 樹里: この後はどうなることやら…
  1109. アオ: …ところでさ~… 気になることがあるんだけど…
  1110. 結菜: …なぁに?
  1111. アオ: 今までは彼女たちの行動で 色々と起きてたよね?
  1112. アオ: そんで、戦士団も大きくなって より影響力も増してきて…
  1113. 樹里: 影響力…って、何の?
  1114. アオ: 世間への、というか…
  1115. 結菜: 時代への…?
  1116. アオ: その辺、まるっとという感じ!
  1117. アオ: …だよね?
  1118. ひかる: そう言われると、まあ…
  1119. 結菜: で、何が気になるのぉ?
  1120. アオ: 周囲への影響力が強まるのなら 関わってくるのかな…?
  1121. アオ: その…歴史ってやつと
  1122. 結菜: つまり、あの子たち自身が 歴史と干渉してくるのでは…と?
  1123. アオ: そうそう!
  1124. アオ: それによっては、今まで以上に 距離感については…
  1125. 樹里: …まー、考える必要はあるわな
  1126. ねむ: ちょうどいい機会だから 少しこの時代について解説するよ
  1127. 結菜: 歴史の授業…ってわけぇ?
  1128. ねむ: そんなところだね 必要な知識だと思うから
  1129. アオ: お願い!
  1130. 樹里: う…勉強か…
  1131. ねむ: 要点だけ説明するよ
  1132. ねむ: 彼女たちのような戦士団… いわゆる“ヴァイキング”は…
  1133. ねむ: じきにいなくなっていく
  1134. アオ: えっ…!
  1135. 結菜: 私たちの生きてる時代を考えれば その結果があったのはわかる…
  1136. 結菜: でも、これからまさに起きる …ってことぉ?
  1137. ねむ: そう…
  1138. ねむ: いずれ大きな戦争が起きて 転換点を迎える
  1139. 結菜: 戦争…
  1140. ねむ: それが…
  1141. ねむ: 「スタンフォード・ブリッジの戦い…」
  1142.  
  1143. FILENAME: text_519010-20_JSAqV.txt
  1144. ねむ: いずれ大きな戦争が起きて 転換点を迎える
  1145. 結菜: 戦争…
  1146. ねむ: それが…
  1147. ねむ: 「スタンフォード・ブリッジの戦い…」
  1148. 結菜: …………
  1149. ねむ: もし、オルガとガンヒルトが 君の言う通り歴史と関わるなら…
  1150. ねむ: その戦争に足を踏み入れる 可能性はあるかもしれない
  1151. ひかる: …そう…っすか…
  1152. アオ: どんな戦争なの…?
  1153. ねむ: どこから話そうか…
  1154. ねむ: …うん、まずは…
  1155. オルガ: …………
  1156. ガンヒルト: 姉さん、この方針でいい?
  1157. オルガ: …うん…いいよ
  1158. ガンヒルト: …ありがとう…
  1159. ガンヒルト: じゃあ、進めて
  1160. エッベ: おう…
  1161. エッベ: …あのよ 余計なことかもしれないが…
  1162. ガンヒルト: …なに?
  1163. エッベ: お前ら…なんかあったか?
  1164. オルガ: …え?
  1165. ガンヒルト: …いや、別に
  1166. エッベ: …………
  1167. エッベ: …まあ、それならいいけどよ…
  1168. オルガ: …………
  1169. ガンヒルト: …大丈夫だよね、姉さん
  1170. ガンヒルト: わかって…くれたもんね
  1171. オルガ: …う、うん…
  1172. 結菜: …………
  1173. アオ: …明らかに…
  1174. アオ: ギクシャクしてるね…
  1175. 樹里: オルガがまだ心底 受け止め切れてねぇな…
  1176. 樹里: ガンヒルトに 起きちまったことを…
  1177. 結菜: …そうねぇ…
  1178. ひかる: …………
  1179. 樹里: …こっちも やられちまってるなぁ…
  1180. 結菜: …ひかる…
  1181. ひかる: …そりゃ…不安っすよ…
  1182. ひかる: “あの戦い”に、ふたりが 巻き込まれていくとしたら…
  1183. ひかる: 一体、どうなるんすか…
  1184. オルガ: あたしはガンヒルトへの負い目からか あの子との接し方が変わってしまった
  1185. オルガ: 一方のガンヒルトは、あたしにすべてを 打ち明けてから、より一層 戦士団を成長させることに躍起になっていた
  1186. オルガ: その熱中っぷりは凄まじく、時として 周囲を置き去りにして突き進むこともあった
  1187. オルガ: それでも姉妹の戦士団は名を上げ続け イスヴォルはますます発展した…
  1188. オルガ: 傍から見たらいい調子に 見えたかもしれないけど…
  1189. オルガ: あたしは嫌な予感がしていたんだ…
  1190. オルガ: 溜まりに溜まった災厄が 押し寄せてきそうな…予感が…
  1191. ガンヒルト: 姉さん!姉さん!
  1192. オルガ: ど、どうしたの…?
  1193. ガンヒルト: 動くんだよ…!
  1194. オルガ: え…?
  1195. ガンヒルト: 兵を起こすらしいんだ!
  1196. ガンヒルト: ハーラル王が…!
  1197. オルガ: あたしたちの船は…
  1198. オルガ: 進路を見失おうとしていた…
  1199. [Part 1 end]
  1200. ---
  1201. [Part 2 start]
  1202. FILENAME: text_519020-1_QIB0F.txt
  1203. <家族を殺され、スレール(奴隷)と なってしまった姉妹…>
  1204. <オルガ…>
  1205. <そして、ガンヒルト…>
  1206. <彼女たちは、かつて父親に助けられた 戦士・エッベの助力を得たことで スレールの身分から解放され その上、エッベとその戦士団の首領に据えられる という奇跡により人生が一変した>
  1207. <しかし…その『奇跡』には“裏”があった>
  1208. <一連の出来事は、すべてガンヒルトが キュゥべえと魔法少女の契約を交わした ことによる、対価としての『奇跡』だった>
  1209. <この契約により、仲の良かった姉妹の間に 溝が生じてしまった>
  1210. <そして、そんな姉妹の成り行きを 見守る、未来よりやって来た魔法少女たち…>
  1211. <彼女たちは、環いろはの概念を回収する という重要な使命を携えていた>
  1212. <干渉することで歴史に影響を及ぼさないために オルガたちへの直接的な接触を回避している 結菜たちであったが、お互いを思いやるがゆえの 姉妹のすれ違いに、心を痛めていた>
  1213. <そんな折、オルガたちのもとへある報せが…>
  1214. ガンヒルト: 姉さん!姉さん!
  1215. オルガ: ど、どうしたの…?
  1216. ガンヒルト: 動くんだよ…!
  1217. オルガ: え…?
  1218. ガンヒルト: 兵を起こすらしいんだ!
  1219. ガンヒルト: ハーラル王が…!
  1220. ねむ: 「ハーラル3世…」
  1221. ねむ: 「後の世で“苛烈王”と 呼ばれた王だね」
  1222. ねむ: 「彼は苦労の末にノルウェー王位に就き さらにデンマーク王位も狙う野心家だった」
  1223. ねむ: 「でも、長年にわたったデンマーク侵略も 軍事的には成功したものの 征服には至らなかった」
  1224. ねむ: 「で、この攻勢を弱めていた頃に現れたのが 元ノーザンブリア伯の トスティ・ゴドウィンソンだ」
  1225. ねむ: 「彼はイングランド国王となった ハロルド・ゴドウィンソンの弟で 兄の戴冠に異を唱えていた」
  1226. ねむ: 「そして…ハーラルに イングランド征服を持ち掛けた」
  1227. ねむ: 「ハーラルはこの話に乗って 大規模な遠征を計画…」
  1228. ねむ: 「今まさに準備の真っ最中だった」
  1229. オルガ: イングランドへの遠征…
  1230. ガンヒルト: そう!それで…
  1231. ガンヒルト: 私たちもこの遠征に加わろうよ!
  1232. オルガ: ええっ!?な、なんで…!?
  1233. ガンヒルト: ハーラルは強いって聞いている
  1234. ガンヒルト: 若い頃にはノルウェー王位の 争奪戦に敗れたけど…
  1235. ガンヒルト: 亡命先のキエフやビザンツでは 名将と謳われていたらしいんだ
  1236. ガンヒルト: そのハーラルが本気で イングランドを獲りに行く…
  1237. ガンヒルト: これはきっと、勝つよ…!
  1238. オルガ: だからって あたしたちが参戦する理由は…
  1239. ガンヒルト: だから参戦するんだよ!
  1240. ガンヒルト: この戦いの末席に加わって 武勲を立てれば…
  1241. ガンヒルト: きっとハーラルに近づけるはず…
  1242. ガンヒルト: そうすれば、今よりも もっと強大な力が手に入る…!
  1243. ガンヒルト: つまり、私たちは もっと自由になれる…!
  1244. オルガ: …………
  1245. ガンヒルト: 夢の実現は近いよ、姉さん!
  1246. ガンヒルト: この戦争で、きっと…!
  1247. オルガ: ガンヒルト!
  1248.  
  1249. FILENAME: text_519020-2_QIB0F.txt
  1250. ガンヒルト: 夢の実現は近いよ、姉さん!
  1251. ガンヒルト: この戦争で、きっと…!
  1252. オルガ: ガンヒルト!
  1253. ガンヒルト: …………!?
  1254. ガンヒルト: …ど、どうしたの…姉さん?
  1255. オルガ: …違うよ…
  1256. オルガ: やっぱり違うよ、ガンヒルト…
  1257. ガンヒルト: …姉さん…
  1258. オルガ: あたしはただ、船を出して 世界を周りたいって言っただけ…
  1259. オルガ: なのに、あんたはどうして 必要以上に力を求めるの!?
  1260. ガンヒルト: …………
  1261. オルガ: ハーラルに取り入るなんて 全然関係ないじゃない!
  1262. ガンヒルト: 関係あるよ!
  1263. オルガ: うっ…!
  1264. ガンヒルト: 船を出すって言うけど じゃあ、どんな船なの?
  1265. オルガ: そ、それは…父上が 乗っていたような…
  1266. ガンヒルト: 世界中を巡る船なんだよね? あの程度じゃダメだよ
  1267. ガンヒルト: どんな荒波にも嵐にも耐えられる ような強い船でないと…!
  1268. ガンヒルト: そんな船を建造するには元手が かかるし、人も技術も要る…
  1269. ガンヒルト: だから、まずは私たちに 富がなくてはならない…
  1270. ガンヒルト: その基盤がイスヴォル! ここだよ!
  1271. オルガ: …………
  1272. ガンヒルト: 私たちは豊かにならなきゃ いけないんだ…
  1273. ガンヒルト: でないと、夢を乗せた船なんて 作れっこない…
  1274. ガンヒルト: 豊かになるために必要な 力が戦士団…!
  1275. ガンヒルト: だから強化してきた!
  1276. ガンヒルト: そして…今回の話も まさしく好機なんだよ!
  1277. オルガ: …ガンヒルト…あたしは…
  1278. ガンヒルト: わかって…姉さん お願い…
  1279. ガンヒルト: うまくいくよ… 必ずうまくいく…
  1280. ガンヒルト: 私たちの夢は 明日にしかないんだから…
  1281. ガンヒルト: 振り返ったところで 何もないよ…
  1282. オルガ: …………
  1283. オルガ: …そう…かもね…
  1284. ガンヒルト: 姉さん…
  1285. オルガ: 今までもあんたの言う通りに やってきて全部成功した…
  1286. オルガ: そもそも、今の状況はあんたが 身を張って作り出したこと…
  1287. オルガ: 魔法少女になってね…
  1288. ガンヒルト: …………
  1289. オルガ: …わかった…従うよ
  1290. オルガ: 行こう…ハーラルのもとへ
  1291. ガンヒルト: …ありがとう…姉さん…
  1292. オルガ: こうしてあたしたちはハーラル王の イングランド遠征に参加すべく、動き始めた…
  1293.  
  1294. FILENAME: text_519020-3_QIB0F.txt
  1295. 戦士: ほ…っと!
  1296. エッベ: おう!さっさと積み込め! 早く行かねーと遅れちまうぞ!
  1297. エッベ: てめーら!イングランドで 大暴れだぞ!
  1298. 戦士: はっはー!いくぜー!
  1299. 結菜: …意気盛んねぇ
  1300. 樹里: これから戦争だ 血が騒ぐんだろうよ
  1301. 結菜: あなたはどうなのぉ?
  1302. 樹里: こっちは傍観者だろ 外野じゃテンション上がんねーよ
  1303. アオ: 結局、どれだけの人が ハーラル王に従うんだっけ?
  1304. ねむ: ハーラルの軍勢は およそ1万と言われている
  1305. ねむ: 軍船は200隻、あるいは 300隻という記録もあるね
  1306. アオ: オルガたちの船も その中に加わるのかな…
  1307. ひかる: …………
  1308. 結菜: …心配ぃ?
  1309. ひかる: 戦争っすからね…
  1310. 結菜: それでも私たちは…
  1311. ひかる: 見守るだけ…っすよね わかってるっす…
  1312. ひかる: …って、言ってるそばから 来ちゃったっす…!
  1313. オルガ: ユナ、ヒカル、ジュリ、アオ
  1314. ひかる: ど、どうもっす!
  1315. 結菜: …こんにちはぁ…
  1316. オルガ: 聞いたよ 一緒に来てくれるんだって?
  1317. 結菜: ええ
  1318. 結菜: 戦争は何かと物入りでしょぅ? 商売になるかと思ってぇ
  1319. オルガ: でも…危ない目に 遭うかもしれないよ…?
  1320. 結菜: それは覚悟の上よぉ
  1321. オルガ: …そう…
  1322. ひかる: …あ、あの!
  1323. オルガ: …ん?
  1324. ひかる: …初めて会った時みたいに…
  1325. ひかる: 何か話を…教えるっす! イングランドに行っても…!
  1326. 結菜: (ひかる…)
  1327. ひかる: イングランドには く、詳しいっすから…!
  1328. オルガ: …うん!ありがとう!
  1329. オルガ: イングランド行き…エッベたちは 腕が鳴るって楽しそうだけど…
  1330. オルガ: あたしは…
  1331. ひかる: …………
  1332. オルガ: …いや、違う違う…
  1333. オルガ: 遊びに行くわけじゃないけどさ! 楽しみができたよ
  1334. オルガ: …ゆっくり話を聞ける時間が 取れるといいなぁ…
  1335. ひかる: きっと…できるっすよ…!
  1336. オルガ: …そうだね! うん!楽しみにしてるよ!
  1337. ひかる: …………
  1338. 樹里: …お前、イングランドについて 詳しいの?
  1339. ひかる: …そ、それは、その… “先生”頼りというか…
  1340. ねむ: それ、僕のこと?
  1341. ひかる: あ、あはは!その通りっす…!
  1342. 結菜: …やっぱり…いい子ねぇ
  1343. アオ: …だね…
  1344. ひかる: …………
  1345. 樹里: だからこそ 見守り続けてやろうぜ
  1346. 樹里: とことんまでよ…
  1347. ひかる: …っす…
  1348. アオ: 記録を未来に残すことだけが オルガにできることだもんね…
  1349. 結菜: そうねぇ…
  1350. 結菜: …じゃあ、私たちもハーラル軍に 加わる準備をするわよぉ
  1351. 樹里: …おう
  1352. オルガ: 戦いの準備を滞りなく済ませた あたしたち『姉妹の戦士団』は…
  1353. ガンヒルト: 姉さん、いつでも…!
  1354. オルガ: うん…
  1355. オルガ: さあ、船を出すよ!
  1356. エッベ: おうよ!
  1357. 戦士: 櫓を持てー!
  1358. オルガ: イングランドへ足を踏み入れた ハーラルの軍勢と合流すべく イスヴォルを出航した
  1359. オルガ: そして…
  1360. ハーラル: …ん…よし…
  1361. ハーラル: で、次は?
  1362. ハーラル軍の戦士: えー…イスヴォルの オルガとガンヒルト…
  1363. ハーラル軍の戦士: 『姉妹の戦士団』です
  1364. ハーラル: よし、通せ
  1365. オルガ: …は、はじめまし…て…!
  1366. ガンヒルト: お初にお目にかかります
  1367. ガンヒルト: 姉のオルガ、並びにその妹の ガンヒルトでございます
  1368. ガンヒルト: この度はこちらの勝手な 申し入れにも関わらず
  1369. ガンヒルト: 軍の末席にお加えくださったこと 感謝いたします
  1370. ハーラル: なあに 味方は多いに越したことはない
  1371. ハーラル: 戦場での活躍 期待しているぞ
  1372. ハーラル: …ん
  1373. ハーラル軍の戦士: はっ…
  1374. ハーラル軍の戦士: 下がっていいぞ…次!
  1375. オルガ: あ、ありがとうございました…!
  1376. ガンヒルト: 失礼します…
  1377. オルガ: ふぃー… 緊張しちゃった…
  1378. ガンヒルト: …所詮は押しかけの戦士団…
  1379. ガンヒルト: 興味なしってとこね…
  1380. オルガ: う、うん… そんな感じだったね…
  1381. ガンヒルト: でも、大丈夫…見てて…
  1382. ガンヒルト: 戦いが始まったら 必ず振り向かせてみせるから…!
  1383. オルガ: …ガンヒルト…
  1384. オルガ: あたしはよく知らないし まさかとは思うけど…
  1385. オルガ: 魔法少女の力を 使うとかって…
  1386. ガンヒルト: それはあり得ないよ 安心して
  1387. ガンヒルト: あの力は魔女相手に 使うものだから
  1388. ガンヒルト: ただね…魔法少女になってから 私の身体の力がすごい増してるの
  1389. ガンヒルト: 今までは抑えていたけど この大事な戦いでは…
  1390. ガンヒルト: 全力を出すから…!
  1391. オルガ: む、無茶しないでね…!
  1392. ガンヒルト: …うん
  1393. 結菜: …………
  1394. 結菜: (あの口ぶり…)
  1395. 結菜: (まだガンヒルトに対して 距離を作ってるわねぇ…)
  1396. 結菜: …………
  1397.  
  1398. FILENAME: text_519020-4_QIB0F.txt
  1399. オルガ: イングランドでの戦い…
  1400. オルガ: 緒戦が行われたのは ヨーク郊外のフルフォードだった
  1401. オルガ: ハーラルたちを迎え撃つのは マーシア伯エドウィンと ノーザンブリア伯モーカの軍勢で…
  1402. エッベ: そらそらそらー! 行くぞーっ!
  1403. イングランド兵: がっ…!
  1404. エッベ: どうしたオラー!
  1405. エッベ: 俺をヴァルハラへ送れる 奴はいねーのか!?
  1406. イングランド兵: このぉ…!
  1407. エッベ: おう、来い…
  1408. ガンヒルト: はっ!
  1409. イングランド兵: …えっ…
  1410. エッベ: ガンヒルト!?
  1411. ガンヒルト: うらあっ!
  1412. イングランド兵: あうっ…!
  1413. イングランド兵: ぐえっ…
  1414. ガンヒルト: ふぅーっ…
  1415. エッベ: …おいおい、すげーな… こんな強かったか、お前…?
  1416. ガンヒルト: …いいから もっと倒すぞ!
  1417. エッベ: …へへ…おうよ!
  1418. オルガ: ガンヒルト―!
  1419. ガンヒルト: 姉さんは後方で備えていて! 護衛!頼んだよ!
  1420. 戦士: 任せとけ!
  1421. ガンヒルト: …行くぞー!
  1422. エッベ: うっしゃぁぁぁー!
  1423. オルガ: あ…
  1424. オルガ: …………
  1425. オルガ: 緒戦はハーラル軍の勝利で終わった
  1426. オルガ: そして、あたしたち姉妹の戦士団は この戦いにおいておびただしい戦果を挙げた
  1427. オルガ: とりわけガンヒルトは…
  1428. ハーラル: おお!姉妹の戦士団よ!
  1429. オルガ: は、はい!
  1430. ハーラル: …ガンヒルトは…お前か?
  1431. ガンヒルト: はっ…
  1432. ハーラル: そうか!聞いたぞ!
  1433. ハーラル: まるで軍神テュールが乗り移った かのような働きだったとか!
  1434. ハーラル: これでヨークも手に入った… よくやった!
  1435. ハーラル: 我らの侵攻を知ったハロルドは 今頃慌てているだろうな…ふっ!
  1436. ハーラル: 南にいる奴はここまで 北進するのに相当時間がかかる
  1437. ハーラル: その間、ゆっくり足場を 固めるとしよう
  1438. ハーラル: まずはしばし休んで英気を養え! 勇敢なる戦士たちよ!
  1439. ハーラル: …次なる戦いも期待しているぞ
  1440. オルガ: はい…!
  1441. ガンヒルト: はっ!
  1442. オルガ: …すごい、褒められたね
  1443. ガンヒルト: まだまだ…
  1444. ガンヒルト: もっと手柄を立てて 戦士団の名を上げなきゃ
  1445. ガンヒルト: そうなれば、首領の姉さんの 立場は必ずもっとよくなる
  1446. ガンヒルト: そしていずれは ハーラルの側に立つことも…
  1447. オルガ: …そんなことになっても あたし、何をすれば…
  1448. ガンヒルト: 大丈夫だから 私がどうにかする
  1449. ガンヒルト: 頑張ろう、姉さん
  1450. オルガ: …うん
  1451. ガンヒルト: じゃあ、私、やることがあるから 行くね
  1452. オルガ: わかった…
  1453. オルガ: …………
  1454. オルガ: …はぁ…
  1455. オルガ: (あんな大規模な戦闘… 初めてだった…)
  1456. オルガ: (なのに、ガンヒルトは ちっとも怖がらずに…)
  1457. ガンヒルト: うらあっ!
  1458. イングランド兵: あうっ…!
  1459. イングランド兵: ぐえっ…
  1460. オルガ: …………
  1461. オルガ: (凄かった…)
  1462. オルガ: (…いや、凄過ぎるんだよ…)
  1463. オルガ: (あれも魔法少女になって 手に入れた力だっていうの…?)
  1464. オルガ: (…怖い…とても…)
  1465. オルガ: …心配だよ、ガンヒルト…
  1466. オルガ: …え…
  1467. オルガ: …こ、ここは…確か…
  1468. オルガ: あの時と…同じ…!?
  1469. …………
  1470. オルガ: …わあぁぁっ!
  1471. オルガ: な、なに…!?なんなの…!?
  1472.  
  1473. FILENAME: text_519020-5_QIB0F.txt
  1474. …………
  1475. オルガ: …わあぁぁっ!
  1476. オルガ: な、なに…!?なんなの…!?
  1477. ひかる: 魔女っすよ!
  1478. 樹里: またかよ…
  1479. ねむ: どうもオルガを つけ狙っているフシがあるね…
  1480. アオ: ガンヒルトは…!?
  1481. 結菜: 近くにはいないわねぇ…
  1482. ひかる: …助けるべきっす!
  1483. 結菜: …………
  1484. 樹里: でもよぉ…
  1485. ひかる: ひかるがオルガさんのことを どう思ってるとか関係ないっす!
  1486. ひかる: 観察対象が命の危険に さらされてるっす!
  1487. ひかる: 今は戦う時っす!
  1488. 樹里: …むぅ…
  1489. 結菜: …で、見解は?
  1490. ねむ: …あの魔女は…
  1491. ねむ: 僕達の目的を達成する上で 障害となる存在、だね
  1492. ねむ: こうなれば、排除が妥当…
  1493. ねむ: ただし、オルガに自分たちの 正体を悟られないのが望ましいね
  1494. ひかる: やったっす! 了解っす!
  1495. 樹里: 要するに、邪魔なもんは 倒しゃーいいってことだな!
  1496. アオ: よーし!
  1497. 結菜: ふふ…
  1498. 結菜: だったら、ひかる
  1499. 結菜: あなた、遠隔でオルガを保護して 退避させて
  1500. ひかる: 任せるっす!
  1501. 結菜: アオは万が一に備えて オルガの近くにいて
  1502. 結菜: くれぐれも気づかれないように
  1503. アオ: おっけ~!
  1504. 結菜: 樹里は私と 魔女を叩くわよぉ…!
  1505. 樹里: へへ…ウェルダンにしてやんぜ!
  1506. …………!
  1507.  
  1508. FILENAME: text_519020-6_QIB0F.txt
  1509. 樹里: 燃えろこらぁ!
  1510. …………
  1511. 樹里: …ちっ!しぶてーなー!
  1512. 結菜: 一斉に仕掛けるわよぉ…!
  1513. 樹里: おうよ!
  1514. 結菜: それじゃぁ…
  1515. …………
  1516. 結菜: …えっ!?
  1517. 樹里: お、おい! どこ行きやがった!
  1518. 結菜: …退いたみたいねぇ…
  1519. 樹里: 捜そうぜ!
  1520. 結菜: それはダメ
  1521. 樹里: なんでだよ! 不完全燃焼なんだよ!
  1522. 結菜: こっちも思いの外 消耗してるんだから
  1523. 結菜: まずは退けたことで 良しとしましょぅ
  1524. 樹里: はぁ!?
  1525. 結菜: それよりも、ひかるとアオに 合流するのが先決よぉ
  1526. 結菜: オルガの様子が気になるわぁ
  1527. 樹里: ちっ…しゃーねーな!
  1528. 結菜: …どう?
  1529. ひかる: ああ、結菜さん!樹里さん!
  1530. アオ: 魔女は倒せたの!?
  1531. 樹里: 逃げられちまったよ
  1532. アオ: あ、そうなんだ…
  1533. アオ: それで結界が…
  1534. 結菜: で、オルガは?
  1535. ひかる: ひかる軍団で魔女の攻撃に 対応しつつ逃がしたっす!
  1536. ひかる: ひかるの魔法には 気づかれていないはずっすよ
  1537. アオ: それはわたしも保証する
  1538. アオ: 一心不乱に逃げてたしね
  1539. 結菜: わかったわぁ…
  1540. 結菜: となると、あとは…
  1541. オルガ: はぁ…はぁ…
  1542. オルガ: に、逃げ切れた…!?
  1543. ガンヒルト: 「…そこにいるの…姉さん?」
  1544. オルガ: ガンヒルト!
  1545. ガンヒルト: 大丈夫!?
  1546. オルガ: で、出たんだよ…!
  1547. オルガ: この前見たやつの もっとすごいやつ…
  1548. オルガ: 多分、魔女…って言うの? それが…出たの…!
  1549. ガンヒルト: …やっぱり…
  1550. オルガ: 気づいてたの…?
  1551. ガンヒルト: 魔女が出ると、ざわつくんだ 胸騒ぎというか…
  1552. ガンヒルト: それで、この辺を 見回ってたんだけど…
  1553. ガンヒルト: また姉さんが…
  1554. オルガ: ガンヒルト…
  1555. オルガ: やっぱりあんなのを 相手に戦うなんて…
  1556. ガンヒルト: …姉さん…
  1557. オルガ: ねぇ…どうにかしてやめようよ? 魔法少女とかいうの…
  1558. ガンヒルト: …私もできればそうしたい…
  1559. ガンヒルト: けど、今はその方法もわからない だったら…
  1560. ガンヒルト: やり続けるしかないの…
  1561. オルガ: …………
  1562. ガンヒルト: …大丈夫だから、私は ね?
  1563. オルガ: …でも、心配だよ…
  1564. ガンヒルト: …………
  1565. ガンヒルト: 姉さん…
  1566. ガンヒルト: ごめんね…
  1567. オルガ: ガンヒルトは後戻りできない… あたしは何もできない…
  1568. オルガ: …本当に辛い時期だった…
  1569. オルガ: 一方で、ヨークを落としたハーラル軍は このまま戦局を有利に進めていく…
  1570. オルガ: …と、あたしたちも思っていたけど…
  1571.  
  1572. FILENAME: text_519020-7_QIB0F.txt
  1573. ねむ: 「ハーラル軍は順調に進軍していた」
  1574. ねむ: 「…さて、攻め込まれた側の方…」
  1575. ねむ: 「つまり、イングランドの国王 ハロルド2世なんだけど…」
  1576. ねむ: 「ハーラル軍の侵攻時には 南部で別の敵に備えていたんだ」
  1577. ねむ: 「でも、ハーラルが攻め入って 来たという情報を聞いて…」
  1578. ねむ: 「ロンドンからヨークシャーまでを わずか4日間で移動してきたんだ」
  1579. ねむ: 「その距離300km 昼夜問わない行軍だったようだね」
  1580. ねむ: 「この電撃的な進軍スピードは ハーラルの予想を遥かに上回った」
  1581. ねむ: 「彼がそれを知った場所こそが…」
  1582. ねむ: 「スタンフォード・ブリッジ…」
  1583. ねむ: 「1066年9月25日のことだった…」
  1584. ハーラル: …今、何と言った…!?
  1585. ハーラルの側近: ハロルド軍が出現!
  1586. ハーラルの側近: 攻め込んで来る構えです!
  1587. ハーラル: ど、どういうことだ!?
  1588. ハーラル: 奴はまだ南の方で ノルマンディー公への備えを…!
  1589. ハーラルの側近: しかし、確かにあれは…!
  1590. ハーラル: バカな…バカなバカなバカな!
  1591. ハーラル: …ハロルドめぇぇぇ!
  1592. ねむ: 「こうしてスタンフォード・ブリッジの戦いは ハロルドが機先を制する形で始まった」
  1593. ねむ: 「やがて、戦支度が整ってなかった ハーラル軍は押され始め…」
  1594. ねむ: 「イングランド軍に包囲された」
  1595. ハーラル: くっ…こ、こんなところで…!
  1596. ハーラル: 俺は死なんぞぉぉぉぉ!
  1597. ガンヒルト: ハーラル様!
  1598. ハーラル: …お、おう!お前は…!
  1599. ガンヒルト: 姉妹の戦士団の…姉さん!
  1600. オルガ: オ、オルガです!
  1601. ガンヒルト: ガンヒルトでございます!
  1602. ガンヒルト: この場は我らが お引き受けいたします!
  1603. ガンヒルト: その間にお逃げください! そして、どうか復讐戦を…!
  1604. ハーラル: そ、そうか…! 助かったぞ…!
  1605. ガンヒルト: さあ!
  1606. ハーラル: うむ!行くぞ!
  1607. ハーラルの側近: はっ!
  1608. ガンヒルト: …………
  1609. オルガ: ガンヒルト! まずいよ、この状況!
  1610. エッベ: いたるところ敵だらけ… 相手には困らねぇなぁ!
  1611. ガンヒルト: ハーラルの退却を支援しながら 私たちもここを離脱するよ
  1612. ガンヒルト: これでハーラル共々生き残れたら 間違いなく大手柄…!
  1613. オルガ: それはそうだろうけど…!
  1614. ガンヒルト: ここが正念場だよ、姉さん!
  1615. ガンヒルト: 必ずこの窮地を切り抜けて さらなる力を手に入れるんだ…!
  1616. ガンヒルト: …うおぉぉぉぉぉぉ!
  1617. オルガ: ガンヒルト!
  1618.  
  1619. FILENAME: text_519020-8_QIB0F.txt
  1620. オルガ: ハーラルに退却を促し あたしたちはその背後を守った
  1621. オルガ: これでハーラルと共に生き残れば 間違いなく勲功第一…
  1622. オルガ: ガンヒルトはそう思って 戦っていたと思う…
  1623. ガンヒルト: はあああっ!
  1624. イングランド兵: ぐあっ!
  1625. エッベ: うらぁっ!
  1626. イングランド兵: うぐっ…!
  1627. オルガ: いりゃっ!
  1628. イングランド兵: ぬうぅ! …やられるかっ!
  1629. オルガ: うわっ!
  1630. ガンヒルト: …ふんっ!
  1631. イングランド兵: …がっ!
  1632. ガンヒルト: 姉さん!怪我は!?
  1633. オルガ: …い、今のところは…
  1634. エッベ: は、ははは! こいつは…
  1635. エッベ: …ヴァルハラへの扉が 開きそうだな…
  1636. ガンヒルト: ハーラルは!?
  1637. エッベ: 今、うちの連中が包囲網に 穴を開けようとしてる
  1638. エッベ: ちったぁ敵も少ないが それでも堅い…!
  1639. ガンヒルト: …でも、それしか手はない…!
  1640. ガンヒルト: 私たちも行こう!
  1641. ガンヒルト: こうなったら戦士団の 総力をぶつけてこじ開ける!
  1642. エッベ: …おう!
  1643. ガンヒルト: やろう、姉さん!
  1644. オルガ: う、うん!
  1645. 樹里: …おい!あのふたり 見つけたか!?
  1646. アオ: ダメ!いないよ! 大混戦で追い切れない…!
  1647. 結菜: しくじったわねぇ…! こうなることは知ってたのに…!
  1648. 結菜: あの子たちに張りつくのが 私たちの仕事なんだから!
  1649. 結菜: 必ず見つけるわよぉ!
  1650. ひかる: もちろんっす…!
  1651.  
  1652. FILENAME: text_519020-9_QIB0F.txt
  1653. オルガ: 進むことも退くこともできないまま…
  1654. オルガ: あたしたちはハーラルと共に 激戦の渦中にいた…
  1655. ハーラル: まだか! 突破できんのか!
  1656. ハーラルの側近: は、はい…いまだ…!
  1657. ハーラル: ぐうっ…!
  1658. ガンヒルト: ハーラル王!
  1659. ハーラル: …ガンヒルトか!
  1660. ガンヒルト: 後方は一旦蹴散らしました! これより突破口を!
  1661. ハーラル: た、頼んだぞ!
  1662. イングランド兵: うおおおおおお!
  1663. エッベ: ぬっ!?
  1664. エッベ: クソッ!前方に手間取り過ぎて また囲まれつつあるぞ…!
  1665. オルガ: はぁ…はぁ…はぁ…!
  1666. イングランド兵: はあっ!
  1667. オルガ: くっ…!
  1668. イングランド兵: はっ!はっ!
  1669. オルガ: うぐっ!
  1670. オルガ: (や、やばい… 受けきれない…!)
  1671. イングランド兵: うりゃぁーっ!
  1672. エッベ: おらっ!
  1673. オルガ: エッベ!
  1674. エッベ: ここは俺が! お頭たちは退いてくれ!
  1675. オルガ: でも…!
  1676. エッベ: もうこの戦は負けだ! とにかく今は退却を!
  1677. オルガ: …………!
  1678. エッベ: 早く!
  1679. オルガ: …くっ!
  1680. オルガ: エッベ!死なないで!
  1681. エッベ: そのつもりだよ…!
  1682. イングランド兵: ふんっ!
  1683. エッベ: うらぁっ!
  1684. エッベ: …行け!逃げ道を作れ!
  1685. ガンヒルト: …くっ…!
  1686. ガンヒルト: やるしかないよ、姉さん!
  1687. オルガ: …うわぁぁぁぁっ!
  1688. イングランド兵: がはっ…!
  1689. エッベ: へへ!いいじゃねぇか!
  1690. エッベ: そうだ!首領は強さを 見せねぇとな!
  1691. エッベ: おめーはやれる! この先も、俺たちを…!
  1692. イングランド兵: おうらっ!
  1693. エッベ: …けっ!
  1694. エッベ: 今、話の途中なんだ! 邪魔すんじゃ…
  1695. イングランド兵: うおおおおおっ!
  1696. エッベ: …んぐっ!
  1697. エッベ: ちっ…敵わねぇからって こいつら束できたか…
  1698. エッベ: …あーあ…
  1699. エッベ: …お、俺はここまで…だな…
  1700. エッベ: …逃げろ…よ…
  1701. オルガ: エッベ…!?
  1702. オルガ: ガンヒルト! エッベが!エッベが…!!
  1703. オルガ: …あれ…?ガンヒルト…?
  1704. オルガ: ガンヒルト… ガンヒルトーっ!
  1705. オルガ: どこ…どこにいるの!
  1706. オルガ: (…ついに…こんなことに なってしまった…)
  1707. オルガ: (ガンヒルト… みんな…ごめん…)
  1708. オルガ: (あたしだ…あたしのせいだ…)
  1709. オルガ: (すべての始まりは… あたしなんだ…!)
  1710. オルガ: あたしが…ガンヒルトに 夢なんて語らなければ…!
  1711. ガンヒルトの声: …夢…?
  1712. オルガ: …あ!ガンヒル…
  1713. オルガ: …ト…
  1714. ガンヒルトの声: 姉さんの夢があったから… 生きて…これたんだよ…
  1715. ガンヒルトの声: 私は…
  1716. オルガ: ガンヒル…ト…
  1717. オルガ: そ…そんな…!
  1718. オルガ: そこであたしが見たのは…
  1719. オルガ: いくつもの剣に体を貫かれた ガンヒルトの姿だった…
  1720.  
  1721. FILENAME: text_519020-10_QIB0F.txt
  1722. オルガ: あたしが…ガンヒルトに 夢なんて語らなければ…!
  1723. ガンヒルトの声: …夢…?
  1724. オルガ: …あ!ガンヒル…
  1725. オルガ: …ト…
  1726. ガンヒルトの声: 姉さんの夢があったから… 生きて…これたんだよ…
  1727. ガンヒルトの声: 私は…
  1728. オルガ: ガンヒル…ト…
  1729. オルガ: そ…そんな…!
  1730. オルガ: そこであたしが見たのは…
  1731. オルガ: いくつもの剣に体を貫かれた ガンヒルトの姿だった…
  1732. オルガ: ガ…
  1733. オルガ: ガンヒルトー!!
  1734. 結菜: …!?
  1735. 結菜: …みつけたわぁ!オルガと…
  1736. 結菜: …えっ!?
  1737. ひかる: ど、どこっすか…!?
  1738. ひかる: …あ…!
  1739. アオ: け、剣が…あんなに…!?
  1740. 樹里: 落ち着け よく見ろ
  1741. 樹里: ソウルジェムは砕けてねぇ …ってことは、だ
  1742. ひかる: そ、そうっす!ガンヒルトさんは 魔法少女だったっす…!
  1743. ひかる: ソウルジェムが無事なら まだ死ぬことはないっす!
  1744. 結菜: …………
  1745. 結菜: …だけど…
  1746. 結菜: 周りの方は…
  1747. ガンヒルト: 姉さん…私… 大丈夫だから…
  1748. オルガ: でも、こんなに刺されて…!
  1749. ガンヒルト: …ふ…ふふふ!平気なの… 平気なんだよ!姉さん!
  1750. ガンヒルト: 私、死なないから…!
  1751. ハーラル: …そ、その怪我で 動けるのか…!?
  1752. ガンヒルト: …はい!ハーラル王!
  1753. ガンヒルト: 実は私には不思議な力が 備わっているのです…!
  1754. ガンヒルト: 仔細は知りませんが、おそらく その力の恩恵がこれなのです!
  1755. ガンヒルト: 伏せておりましたが こうなったら仕方ありません
  1756. ガンヒルト: この力を用いて きっとこの包囲も…!
  1757. ハーラル: …ひ、ひぃぃぃ!
  1758. ガンヒルト: …ハーラル王?
  1759. ハーラル: お、お前、人なのか…!?
  1760. ガンヒルト: …私…ですか?
  1761. ハーラル: そのように刺されて 生きている人などおるまい!
  1762. ハーラル: な、何者なのだ、お前は…!
  1763. ガンヒルト: 私が…人であるか…と?
  1764. イングランド兵: うおおおっ!
  1765. ハーラル: …ぬっ!?
  1766. ガンヒルト: 危ない!
  1767. オルガ: 「ガンヒルト!」
  1768. ガンヒルト: …………
  1769. イングランド兵: ど、どうだ…!
  1770. ガンヒルト: …ふんっ!
  1771. イングランド兵: …げっ…
  1772. イングランド兵: な、なんで…
  1773. ガンヒルト: ご無事ですか、ハーラル王
  1774. ハーラル: …う、うわぁぁぁっ!
  1775. ハーラル: お前…どうして生きている…! なんで死なない!
  1776. ガンヒルト: ですから、私に宿った 力によるもので…
  1777. ハーラル: よ、寄るな!
  1778. ガンヒルト: …えっ…?
  1779. ハーラル: 寄るな寄るな!
  1780. ハーラル: そのような力… きっと呪いの類に違いない!
  1781. ひかる: …く、雲行きが怪しいっす…!
  1782. 結菜: マズい空気ねぇ…
  1783. ひかる: な、何かした方がいいっす! 助け船を出すっす!
  1784. 樹里: い、いや、そうは言っても 何をすれば…
  1785. ねむ: 手出し無用だよ
  1786. ひかる: なんでっすか!
  1787. ねむ: ハーラルの前に出るなんて 間違いなく過干渉だよ
  1788. ねむ: 彼はこの歴史的な戦いの 最重要人物なんだから
  1789. ひかる: そんなの…!
  1790. ねむ: いいんだ
  1791. ねむ: 今、この展開こそが 本に刻まれた内容だったんだ
  1792. 結菜: …え?
  1793. 結菜: …まさか…!?
  1794. ひかる: もう我慢できないっす!
  1795. 結菜: …待ちなさい!
  1796. ひかる: 結菜さんまで…!
  1797. 結菜: ひかる…!
  1798. 結菜: ここは私たちも… 試される場面よ
  1799. ひかる: 何を言ってるんすか…!?
  1800. ねむ: …………
  1801. ハーラル: もしや…我が軍がこのような 窮地に追い込まれたのも…
  1802. ハーラル: お前の呪いのせいでは ないのか…!?
  1803. ガンヒルト: …い、いや、そんなことは…!
  1804. ハーラル: 不死など…ヴァルハラにも 行けぬではないか!
  1805. ガンヒルト: …私が…ヴァルハラに… 行けない…?
  1806. ハーラル: …そうか…! わかったぞ…!
  1807. ハーラル: お前を滅すればよいのだ…!
  1808. ガンヒルト: …今、なんと…?
  1809. ハーラル: 呪われているお前こそが 災いのもと…!
  1810. ハーラル: ならば、お前を滅すれば 俺は生き延びる…!
  1811. オルガ: お、お待ちください! これには理由が…!
  1812. ハーラル: や、やれ! 姉妹共々…滅するのだ!
  1813. ハーラルの側近: し、しかし、滅するとは…!?
  1814. ハーラル: バラバラにしろ! 動けぬように切り刻め!
  1815. オルガ: やめてください! ハーラル王!
  1816. ガンヒルト: …………
  1817. ハーラル: やれーっ!
  1818. ハーラルの側近: …う、うおおおおおっ!
  1819. ガンヒルト: …があああああっ!
  1820. ハーラルの側近: …うっ…!
  1821. ガンヒルト: …ハーラル!
  1822. ガンヒルト: 姉さんを…姉さんを 殺そうとしたな…!
  1823. ハーラル: く、来るな…!
  1824. ガンヒルト: ここまで尽くしたのに…! 姉さんを…
  1825. ガンヒルト: 殺そうとしたなーっ!
  1826. ハーラル: んぐっ…!
  1827. ガンヒルト: …………
  1828. ガンヒルト: …お前の威勢も取り込んで 夢を…叶えるはずだった…
  1829. ガンヒルト: それが…どうして… こんな結果に…
  1830. ガンヒルト: 夢が…
  1831. ガンヒルト: 夢が…終わってしまう…
  1832. ガンヒルト: …うわあああああああっ!
  1833. オルガ: ガンヒルト!
  1834.  
  1835. FILENAME: text_519020-11_QIB0F.txt
  1836. ガンヒルト: 夢が…
  1837. ガンヒルト: 夢が…終わってしまう…
  1838. ガンヒルト: …うわあああああああっ!
  1839. オルガ: ガンヒルト!
  1840. ガンヒルト: うう…うあっ…!
  1841. オルガ: どうしたの…!? ガンヒルト!
  1842. 樹里: ソウルジェムが…!
  1843. アオ: 濁っていく…!
  1844. ひかる: ああ…!
  1845. 結菜: …………
  1846. ひかる: グ、グリーフシードっす! とにかくグリーフシードっす!
  1847. アオ: 確かに…今ならもしかして…!
  1848. ひかる: 急がないと…!
  1849. 結菜: …もう無理よぉ…
  1850. ひかる: 結菜さん! 急にどうしたんすか!
  1851. ひかる: なんで何もしようと しないんすか!
  1852. ひかる: 姉妹が… 壊れようとしているんすよ!
  1853. 結菜: …そう…
  1854. 結菜: 本に書いてあったんでしょ?
  1855. ひかる: …え…!?
  1856. ねむ: …………
  1857. ガンヒルト: …姉さん…どこにいるの…
  1858. オルガ: ここだよ!ガンヒルト!
  1859. ガンヒルト: 姉さん…ごめんなさい…
  1860. ガンヒルト: 私が…ハーラルを…
  1861. オルガ: ガンヒルト!ガンヒルト!
  1862. ガンヒルト: 私は…姉さんの夢を… 実現したくて…
  1863. ガンヒルト: この戦いに勝てば… それもきっと…って…
  1864. オルガ: ガンヒルト!しっかり!
  1865. ガンヒルト: …いや…違うか… そうじゃない…
  1866. ガンヒルト: 私…楽しくなってたんだ…
  1867. ガンヒルト: 戦士団が…集落が 大きくなっていくのが…
  1868. ガンヒルト: 姉さんの夢にかこつけて… 私は…私のやりたいように…
  1869. ガンヒルト: …うっ…!
  1870. オルガ: …ガンヒルト!?
  1871. ガンヒルト: 私…ちゃんと…
  1872. ガンヒルト: …ヴァルハラへ…行けるかな…?
  1873. オルガ: ガンヒルト!ガ…
  1874. 結菜: 離れなさい
  1875. オルガ: …えっ!?
  1876. オルガ: …あ、あんた…!? どうしてこんなところに…!?
  1877. 結菜: 行くわよぉ…
  1878. オルガ: ちょ、ちょっと待って…!
  1879. オルガ: ガンヒルト―!!
  1880. ガンヒルト: …ううううううああああああっ!
  1881.  
  1882. FILENAME: text_519020-12_QIB0F.txt
  1883. ガンヒルト: 私…ちゃんと…
  1884. ガンヒルト: …ヴァルハラへ…行けるかな…?
  1885. オルガ: ガンヒルト!ガ…
  1886. 結菜: 離れなさい
  1887. オルガ: …えっ!?
  1888. オルガ: …あ、あんた…!? どうしてこんなところに…!?
  1889. 結菜: 行くわよぉ…
  1890. オルガ: ちょ、ちょっと待って…!
  1891. オルガ: ガンヒルト―!!
  1892. ガンヒルト: …ううううううああああああっ!
  1893. オルガ: …………
  1894. オルガ: …う…うう…
  1895. オルガ: …ここは…
  1896. オルガ: …え…?…まさか…
  1897. 結菜: …結界ねぇ…
  1898. オルガ: 結界…?
  1899. オルガ: …ガンヒルト…? ガンヒルトは…!?
  1900. オルガ: ガンヒルト!ガンヒルトー!
  1901. アオ: いたっ!
  1902. 樹里: ひとまずは、無事みてーだな
  1903. ひかる: …………
  1904. オルガ: あ、あんたたち…
  1905. 結菜: …今からあなたにとって とても辛いことが起きるわぁ…
  1906. 結菜: 覚悟を…しておいて…
  1907. オルガ: 辛いこと…?
  1908. 結菜: …来る!
  1909. …………
  1910. オルガ: …あ、あれって、もしかして…
  1911. 結菜: 魔女…ねぇ
  1912. オルガ: こ、こんな時に…!
  1913. 結菜: こんな時だから 出てきたのよぉ…
  1914. オルガ: …え?
  1915. 結菜: あれは…
  1916. 結菜: ガンヒルト…だったものよぉ…
  1917.  
  1918. FILENAME: text_519020-13_QIB0F.txt
  1919. 結菜: あれは…
  1920. 結菜: ガンヒルト…だったものよぉ…
  1921. オルガ: …………
  1922. オルガ: …は…?
  1923. …………!
  1924. ひかる: うっ! 仕掛けてきそうっす!
  1925. …………!
  1926. 結菜: …くっ!
  1927. オルガ: うわっ!
  1928. 結菜: …大丈夫?
  1929. オルガ: …そ、その姿…!?
  1930. 結菜: みんなは?
  1931. 樹里: おう…
  1932. アオ: 問題ない…
  1933. ひかる: …っすけど…
  1934. 結菜: …私はこの子を連れて 一旦引くから…
  1935. 結菜: 足止め、よろしくねぇ
  1936. 樹里: おう…!
  1937. アオ: やってみる…!
  1938. ひかる: …………
  1939. 結菜: ひかる…あなたとの話は また後でねぇ…
  1940. ひかる: …っす…
  1941. 樹里: んじゃあ、樹里サマから 始めるぞー!
  1942. …………!?
  1943. 結菜: 距離を取るわよぉ…!
  1944. オルガ: え…?え…?
  1945. 結菜: …これだけ離れていれば…
  1946. 結菜: うん、大丈夫そうねぇ…
  1947. オルガ: …………
  1948. オルガ: …どうなってんの…?
  1949. 結菜: …………
  1950. オルガ: どうなってんの… なにもかも…
  1951. オルガ: …ねぇ …知ってるのなら教えて…
  1952. オルガ: ガンヒルトに… ガンヒルトに…
  1953. オルガ: 何が起きたの…!? ねえ!どうしちゃったの!
  1954. オルガ: あたしの妹は…!
  1955. 結菜: …………
  1956. 結菜: …さっき出てきたのは魔女
  1957. 結菜: ガンヒルトの… 魔法少女の成れの果て…
  1958. オルガ: 成れの…果て…?
  1959. 結菜: 魔法少女は内に穢れを溜め込む…
  1960. 結菜: そして、魔法を使ったりした 時にねぇ…一気に溢れ出す…
  1961. 結菜: やがてソウルジェムに 穢れが満ちた時…
  1962. 結菜: 魔法少女は魔女になる…
  1963. オルガ: …魔法少女が…魔女に…
  1964. 結菜: 魔女になったら もう元には戻れない…
  1965. 結菜: だから、ガンヒルトは…
  1966. オルガ: …………
  1967. オルガ: …うっ…うう…うっ…
  1968. 結菜: …………
  1969. オルガ: あ…あたしの…せいだ…!
  1970. オルガ: あたしが…つまらない夢を あの子に聞かせたばっかりに…!
  1971. オルガ: 生き方を… 狂わせてしまったんだ…!
  1972. オルガ: …ごめん…ガンヒルト… ごめんね…ううっ…
  1973. 結菜: …………
  1974. 結菜: …あなたが背負い込むことは ないと思うわぁ…
  1975. 結菜: 彼女は自分の意思で魔法少女に なると決めたんだからぁ
  1976. オルガ: で、でも…あたしが 語った夢を実現しようとして…!
  1977. 結菜: あくまでそれはきっかけで…
  1978. 結菜: やっぱり、最後にあったのは 自分の意思、でしょぉ
  1979. オルガ: …それは…! ううっ…!
  1980. 結菜: …あなたもぉ…
  1981. 結菜: 自分の意思をもって 運命と対峙してちょうだぃ…
  1982. 結菜: じゃあ…
  1983. オルガ: …ど、どこへ…!
  1984. オルガ: …え…あ、あれは…!?
  1985.  
  1986. FILENAME: text_519020-14_QIB0F.txt
  1987. …………!
  1988. アオ: うわっ!
  1989. 樹里: 怯んでんじゃねぇよ!
  1990. ひかる: …………
  1991. 樹里: おめーはもっと気合入れろ! こんくらいやりやがれ!
  1992. …………!
  1993. 樹里: …でねーと…
  1994. 樹里: なんか、よくねーよ… ガンヒルトに…
  1995. ひかる: …わかってるっす…
  1996. ひかる: …でも…
  1997. 結菜: お待たせぇ
  1998. 樹里: おう オルガは?
  1999. 結菜: こことは十分 離れた場所にいるわぁ
  2000. 樹里: うっし…
  2001. 樹里: じゃあ、やるか… 本腰入れてよ…!
  2002. 結菜: …待って…
  2003. 結菜: 私たちが戦う …べきなのかしらぁ?
  2004. 樹里: …はぁ?
  2005. 結菜: …私たちの目的は…
  2006. 結菜: オルガとガンヒルトを追って 環さんの概念を回収すること…
  2007. 樹里: 何をいまさら…
  2008. 結菜: 環さんは魔法少女を見守っていた
  2009. 結菜: そして、ガンヒルトが 魔法少女になった…
  2010. ひかる: …なんの確認っすか…?
  2011. 結菜: 私たちは、とにかく彼女たちに 干渉し過ぎないよう配慮したわぁ
  2012. 結菜: その人の人生は…運命は… その人だけのもの…
  2013. 結菜: 時代が違う私たちが 関わり過ぎてしまうと
  2014. 結菜: 何らかの影響を与えてしまう 可能性が高かった
  2015. 結菜: だから、基本的には 傍観に徹していた
  2016. 樹里: つべこべ言ってねーで 戦うぞ!
  2017. 結菜: 戦うのは…
  2018. 結菜: やっぱり、あの子よぉ
  2019. 樹里: …あの子…?
  2020. 結菜: ほらぁ…
  2021. オルガ: …………
  2022.  
  2023. FILENAME: text_519020-15_QIB0F.txt
  2024. オルガ: …………
  2025. ひかる: …ええっ!?
  2026. アオ: あれは…
  2027. 樹里: オルガ…!?
  2028. 結菜: …………
  2029. 結菜: キュゥべえと 契約したのねぇ…
  2030. オルガ: …うん…
  2031. 結菜: 何を…願ったの…?
  2032. オルガ: …………
  2033. オルガ: ガンヒルトを…
  2034. オルガ: ヴァルハラへ送り出せる 力が欲しい…って
  2035. 結菜: そう…
  2036. ねむ: …お姉さんの概念が急速に 集まりだしたということは…
  2037. オルガ: いくよ…ガンヒルト!
  2038. …………!
  2039. ひかる: オルガが魔法少女になって 概念が集まるからって
  2040. ひかる: 何がどうなってるんすか!
  2041. 結菜: 簡単な話よぉ
  2042. 結菜: 環さんが見守っていた魔法少女は オルガだった
  2043. 結菜: ただ、それだけ…
  2044. 樹里: はぁ!?
  2045. アオ: あっ…
  2046. アオ: でも、調査対象の情報からして 曖昧だからなぁ…
  2047. ひかる: そうっすねぇ…整理すると…
  2048. ひかる: まず「この村に住む姉妹」で…
  2049. ひかる: 名前は「オルガとガンヒルト」…
  2050. ひかる: で、「魔法少女がひとり生まれ 魔女を倒す」…って言われても
  2051. ひかる: どっちが魔法少女になるのかも わからないっすからね…
  2052. アオ: バグのせいで まさに“虫食い”だね…
  2053. アオ: た、確かに…!
  2054. 結菜: 『魔法少女が ひとり生まれ、魔女と戦う』
  2055. 結菜: まさに、今の状況ねぇ…
  2056. アオ: …そうか…!
  2057. アオ: 魔女と戦うために… ひとりの少女が契約した…!
  2058. 結菜: これなのよぉ…
  2059. 結菜: この姉妹の戦いこそが 本に書かれていたのよ
  2060. ひかる: …か、書かれていた…!?
  2061. ひかる: …虫食いは…?虫食いが どうのっていう話は…!?
  2062. 結菜: 私たちに対して 嘘をついていた…ってとこぉ?
  2063. ねむ: …………
  2064. ひかる: 嘘…? な、何を言ってるんすか!?
  2065. 結菜: …そろそろ 本当のところを教えてくれるぅ?
  2066. ねむ: …ふむ…
  2067. ねむ: それもそうだね もう最終局面だ
  2068. ひかる: え?…ちょ、ちょっと…
  2069. ねむ: 伝えた情報は確かに 本に書かれていた内容だ
  2070. ねむ: …しかし、僕の方で 意図的に“調整”したんだ
  2071. ねむ: 皆に対して、仔細までを 克明に伝えないようにね
  2072. 樹里: …なんだとぉ!?
  2073. アオ: そ、そんなことに何の意味が!?
  2074. ねむ: 今のこの状況…
  2075. ねむ: つまり、姉妹が相争う運命で あると最初から知ってたら?
  2076. ねむ: 皆はどういう行動に 出ていたかな…?
  2077. 結菜: …………
  2078. アオ: …それは…
  2079. 樹里: …いや、ちゃんとそこは…!
  2080. ひかる: …………
  2081. ねむ: …同時に…
  2082. ねむ: この時代での任務は最終的に 皆が適任だと考えた
  2083. ねむ: 二木市で固い絆を結び… 過酷な運命に抗う覚悟を決め…
  2084. ねむ: “姉妹”となった君達なら…
  2085. 結菜&樹里: …………
  2086. アオ&ひかる: …………
  2087. ねむ: 他の魔法少女たちには 任せられなかった
  2088. ねむ: しかし、念のための 保険はかけておきたかったんだ
  2089. ねむ: 今回の仕掛けは、僕の役目である “案内”だったんだよ
  2090. 結菜: …方便ねぇ…
  2091. ねむ: …………
  2092. 結菜: …でも…
  2093. 結菜: 事情はわかったわぁ
  2094. 結菜: そもそも、過干渉しないことは 同意しているしねぇ…
  2095. 樹里: …だな
  2096. アオ: うん…
  2097. ひかる: …………
  2098. 結菜: …どうなの、ひかる?
  2099. ひかる: …詳細を隠されていたことは 正直、怒ってるっす…
  2100. ひかる: でも、最初に言われたら 確かに…何かしてたと思うっす…
  2101. ひかる: だから… 受け入れるっす…
  2102. ひかる: 今、目の前で起きている 現実を…
  2103. …………!
  2104. オルガ: うりゃぁぁぁぁっ!
  2105.  
  2106. FILENAME: text_519020-16_QIB0F.txt
  2107. …………!
  2108. オルガ: うりゃぁぁぁぁっ!
  2109. オルガ: ぐっ…!
  2110. …………
  2111. オルガ: ガンヒルト…
  2112. オルガ: ガンヒルト…!
  2113. オルガ: (あたし…)
  2114. オルガ: (ダメな姉だったね…)
  2115. オルガ: (変なことばかり あんたに吹き込んだりして…)
  2116. オルガ: オーディンはヴァルハラという 館を持っているでしょ?
  2117. ガンヒルト: うん 昔、父上に教えてもらったよ
  2118. ガンヒルト: 戦って死んだ戦士が ヴァルハラに行くんだって
  2119. オルガ: そうそう!
  2120. オルガ: ヴァルハラに行ける戦士は 『エインヘリャル』と呼ばれて…
  2121. オルガ: 死んだ時、ワルキューレが 迎えに来るんだよ!
  2122. ガンヒルト: それも聞いたことがある
  2123. ガンヒルト: でも、ワルキューレって どんな人なの?
  2124. オルガ: 戦士団みたいにいっぱい いるらしいよ
  2125. オルガ: 馬に乗って天を駆けるんだって!
  2126. ガンヒルト: 天を…!へー!
  2127. ガンヒルト: いつか私も… 連れていってくれるかな…?
  2128. ガンヒルト: …あ、でも、戦士じゃないとね… 今のこの状況じゃ…
  2129. オルガ: だーかーらー! 神々の導きがあるって!
  2130. ガンヒルト: でた…!
  2131. オルガ: きっとあるから!
  2132. オルガ: 死に方だって 自由に選べるよ!
  2133. ガンヒルト: だといいけど…
  2134. オルガ: 姉さんを信じなさい!
  2135. ガンヒルト: ふふ…はいはい
  2136. …………!
  2137. オルガ: (あたしを信じた結果が…)
  2138. オルガ: (こんなことに…!)
  2139. オルガ: (だから…せめて…!)
  2140. ガンヒルト: 「いつか私も…」
  2141. ガンヒルト: 「連れていってくれるかな…?」
  2142. オルガ: 連れていってあげるよ…!
  2143. オルガ: あたしが…きっと…!
  2144.  
  2145. FILENAME: text_519020-17_QIB0F.txt
  2146. …………
  2147. …………!?
  2148. オルガ: …はぁ…はぁ…
  2149. 結菜: …………
  2150. 樹里: やったな…
  2151. アオ: うん…
  2152. ひかる: …終わった…っすね…
  2153. アオ: …って、うわぁっ!
  2154. ひかる: そうだったっす…! まだイングランドと…!
  2155. 結菜: 変身の解除を…!
  2156. ねむ: 慌てなくていいよ
  2157. ねむ: 偽装効果は続いている
  2158. 樹里: そ、そうなのか…?
  2159. ねむ: ただ…
  2160. イングランド兵: …嘘だろ…
  2161. イングランド兵: お、おい!あれを見ろ!
  2162. イングランド兵: 馬が空を飛んでる…!
  2163. イングランド兵: 乗っているのは誰だ…!?
  2164. ハーラル軍の戦士: …ワルキューレだ…
  2165. ハーラル軍の戦士: ワルキューレが 迎えにきてくれたんだ!
  2166. ハーラル軍の戦士: これでいつでも死ねる! さあ、かかってこい!
  2167. ハーラル軍の戦士: ヴァルハラだ! ヴァルハラへ行けるんだ!
  2168. イングランド兵: な、なんだこいつら!
  2169. イングランド兵: このぉ!
  2170. ハーラル軍の戦士: はっはー! どうした、そんなもんか!
  2171. ハーラル軍の戦士: 俺はエインヘリャルだぞ! もっとこいや!
  2172. オルガ: …………
  2173. アオ: あ、行っちゃった!
  2174. ねむ: 概念の回収はまだ途中だね
  2175. 結菜: 追うわよぉ!
  2176. 樹里: うしっ…!
  2177. ひかる: …とことんまでつき合わせて もらうっす…!
  2178. ねむ: 「…この戦いにおいて ハーラル3世は“戦死”とされ…」
  2179. ねむ: 「トスティ・ゴドウィンソンも戦死 イングランド軍の圧勝で終わった」
  2180. ねむ: 「ハーラル軍の壊滅的な敗北は…」
  2181. ねむ: 「ヴァイキングの時代が幕を引く 契機となったんだ…」
  2182.  
  2183. FILENAME: text_519020-18_QIB0F.txt
  2184. オルガ: 魔女となったガンヒルトを あたし自身の手で倒した後…
  2185. オルガ: あたしは、ただひたすらに彷徨い歩いた
  2186. オルガ: 止まったら…どうにか なってしまいそうな気がして…
  2187. オルガ: …………
  2188. オルガ: (ガンヒルト…)
  2189. ガンヒルト: 姉さん!
  2190. ガンヒルト: 姉さん…
  2191. ガンヒルト: 姉さん…!
  2192. オルガ: …ガンヒルト…
  2193. オルガ: 気がつくと、あたしは再び 戦場に舞い戻っていた…
  2194. オルガ: いや、“戦場だった所”か…
  2195. オルガ: そこには誰もおらず、ただ屍が転がっていた
  2196. オルガ: 後に聞いた話だけど…
  2197. オルガ: ハーラル王は300隻の船を 率いてイングランドに来た
  2198. オルガ: でも、敗残兵が逃走する際は 24隻しか残っていなかったとか…
  2199. オルガ: 人がたくさん、死んだ…
  2200. オルガ: そう思うと、あたしは膝から崩れ落ちた
  2201. オルガ: …うっ…ううっ…
  2202. オルガ: ガンヒルト… エッベ…みんな…!
  2203. オルガ: あたしだけが… 生き残ってしまったの…?
  2204. オルガ: …………
  2205. オルガ: 泣いていたあたしは 何者かに取り囲まれていた
  2206. オルガ: それは…
  2207. …………
  2208. オルガ: …そう…
  2209. オルガ: まだ戦えってのね…
  2210. オルガ: これが…魔法少女の運命… …ふふ…
  2211. オルガ: …でもね… 今は気分じゃないの…
  2212. オルガ: …好きにすれば…
  2213. …………
  2214. オルガ: (よかった… これであたしも終われる…)
  2215. オルガ: (もう十分戦った…)
  2216. オルガ: (あたしも…ヴァルハラへ…)
  2217. ???の声: 「なにやってるんすか!」
  2218. オルガ: …え?
  2219.  
  2220. FILENAME: text_519020-19_QIB0F.txt
  2221. オルガ: (もう十分戦った…)
  2222. オルガ: (あたしも…ヴァルハラへ…)
  2223. ???の声: 「なにやってるんすか!」
  2224. オルガ: …え?
  2225. オルガ: 誰…!?
  2226. ひかる: オルガさん! 自分っす!
  2227. オルガ: ヒカル…
  2228. 樹里: おらおらおら!
  2229. …………!?
  2230. 樹里: ぼさっとしてんな!
  2231. アオ: こっからどんどん 来ちゃうはずだからね~!
  2232. オルガ: ジュリ…アオ…
  2233. オルガ: そういえば…あんたたち…
  2234. オルガ: …………
  2235. オルガ: …魔法少女…?
  2236. 結菜: その通りよぉ
  2237. オルガ: ユナ…!
  2238. 結菜: ちょっと訳があって 一緒に居させてもらったのぉ
  2239. オルガ: 訳…?
  2240. 結菜: それを話している暇は 今ちょっとないんだけどぉ…!
  2241. …………!
  2242. 結菜: 生き残ったのなら…
  2243. 結菜: とことんまで生きてみなさい
  2244. オルガ: …生きる…
  2245. 結菜: いい?簡単に死なないこと
  2246. 結菜: あなたが命を長らえたのは 何か意味があるのよぉ
  2247. ひかる: そうっす!
  2248. オルガ: ヒカル…!?
  2249. ひかる: オルガさん!
  2250. ひかる: …申し訳ないっす…
  2251. オルガ: …な、なんで謝るの…?
  2252. ひかる: …でも…
  2253. ひかる: 立ち上がってほしいっす!
  2254. ひかる: つらくても…! 歯を食いしばって…!
  2255. アオ: まだゲームオーバーじゃない! コンティニューしようよ!
  2256. オルガ: …え?ゲーム…?
  2257. 樹里: そうだそうだ!
  2258. 樹里: そうしねーと、先に逝った 仲間にぶっ飛ばされんぞ!
  2259. 樹里: こんな風に…よっ!
  2260. オルガ: あぐっ!
  2261. オルガ: け、蹴られた…!?
  2262. 樹里: そのまま突っ走って 夢でもなんでも叶えてこい!
  2263. ひかる: 行くっす!
  2264. ひかる: 振り向かず、真っ直ぐに!
  2265. オルガ: …………
  2266. オルガ: …な、なんなんだよ! もぉぉぉぉぉぉ!
  2267. …………!
  2268. ひかる: …ふぅ~…
  2269. ねむ: どういうことかな?
  2270. 樹里: どうもこうもねーよ
  2271. 樹里: ヘタってたから 気合入れてやったんだ
  2272. ねむ: 今のは少々干渉が…
  2273. 結菜: 回収は終わったんでしょぅ?
  2274. アオ: だったら、あれくらい…ねぇ?
  2275. ひかる: 許容じゃないっすか?
  2276. ねむ: …………
  2277. ねむ: ま、確かに許容かな
  2278. 結菜: それよりも そろそろ前座が終わりそうよぉ
  2279. 結菜: オルガを追っかけてきそうなのが …出てくるんでしょぅ?
  2280. …………
  2281. 結菜: …ほらぁ
  2282. アオ: 来た来た!この前のだ…!
  2283. 樹里: へへ…今日こそは 丸焦げにしてやんよ…!
  2284. ひかる: だぁーっ!
  2285. 樹里: なっ!?お、おい!馬! 樹里サマより先に…!
  2286. ひかる: 今日のひかるは…
  2287. ひかる: 一味違うっす!
  2288.  
  2289. FILENAME: text_519020-20_QIB0F.txt
  2290. オルガ: ジュリに蹴飛ばされて…
  2291. オルガ: …いや、励まされたのかな…
  2292. オルガ: とにかく、あたしは真っ直ぐに走った…
  2293. オルガ: そして…
  2294. オルガ: …あ…
  2295. オルガ: 海に出た…
  2296. オルガ: …………
  2297. 結菜: 生き残ったのなら…
  2298. 結菜: とことんまで生きてみなさい
  2299. オルガ: …生きる…
  2300. 結菜: いい?簡単に死なないこと
  2301. 結菜: あなたが命を長らえたのは 何か意味があるのよぉ
  2302. オルガ: …………
  2303. オルガ: …海は…綺麗だね…
  2304. オルガ: …………
  2305. オルガ: (…ガンヒルト…ごめん…)
  2306. オルガ: (あたしだけ生き残って…)
  2307. オルガ: (あんたを送って もう死んでもいいと思ってた)
  2308. オルガ: けど…
  2309. オルガ: あたしが死んだら… あんた、怒りそうだよね…
  2310. オルガ: あれだけあたしの夢を 叶えるために頑張ってくれたし…
  2311. オルガ: それなのに、あたしが諦めて 死んじゃったら…ね…
  2312. オルガ: …………
  2313. オルガ: …ガンヒルト… やってみるね…あたし…
  2314. オルガ: できるだけ、生きてみるよ…
  2315. オルガ: そして、世界中を 見て回ってきて…
  2316. オルガ: いつかヴァルハラで 話してあげる…
  2317. オルガ: 昔みたいにさ…
  2318. オルガ: 「だから、もうちょっと待ってて…」
  2319. 結菜: …………
  2320. ねむ: もうこの時代でやることはないよ
  2321. ねむ: さあ、帰ろう
  2322. 結菜: …そうね…
  2323. 結菜: みんな、行くわよぉ
  2324. アオ: うん…
  2325. アオ: でも、大丈夫かな…?
  2326. 樹里: ま、心配ないだろ あの様子ならな
  2327. ひかる: 同感っす!
  2328. ひかる: もうしっかりと立ち上がって 夢の行方を追ってるっす!
  2329. ひかる: そうっすよね…
  2330. ひかる: 『夢見がちのオルガ』…さん!
  2331. オルガ: …………
  2332. オルガ: 風が…出てきたかな…
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