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- FILENAME: text_519010-0.txt
- <1066年9月25日夏――>
- <イングランド スタンフォード・ブリッジ村>
- オルガ: はぁ…はぁ…はぁ…!
- イングランド兵: はあっ!
- オルガ: くっ…!
- イングランド兵: はっ!はっ!
- オルガ: うぐっ!
- オルガ: (や、やばい… 受けきれない…!)
- イングランド兵: うりゃぁーっ!
- エッベ: おらっ!
- オルガ: エッベ!
- エッベ: ここは俺が! お頭たちは退いてくれ!
- オルガ: でも…!
- エッベ: もうこの戦は負けだ! とにかく今は退却を!
- オルガ: …………!
- エッベ: 早く!
- オルガ: …くっ!
- オルガ: エッベ!死なないで!
- エッベ: そのつもりだよ…!
- イングランド兵: ふんっ!
- エッベ: うらぁっ!
- オルガ: ガンヒルト… ガンヒルトーっ!
- オルガ: どこ…どこにいるの!
- オルガ: (…ついに…こんなことに なってしまった…)
- オルガ: (ガンヒルト… みんな…ごめん…)
- オルガ: (あたしだ…あたしのせいだ…)
- オルガ: (すべての始まりは… あたしなんだ…!)
- [From the opening sequence]
- 戦士たちを乗せた船は
- 姉妹に導かれて海を渡っていく
- [Title card] ピュエラ・ヒストリア ヴィークのワルキューレ編
- FILENAME: text_519010-1_JSAqV.txt
- オルガ: …………
- オルガ: あたしの名前はオルガ
- オルガ: …話、聞いてくれる? ちょっと長くなるけど…
- オルガ: …ごめんね、なんか…
- オルガ: どうしても誰かに話したかったんだ…
- オルガ: …ありがとう…じゃあ…
- オルガ: あたしと妹のガンヒルトは…
- オルガ: 戦士団の首長の娘として生まれたの
- オルガ: 父上の名前はアルネ 結構、名の知れた戦士だった
- オルガ: …でも、ある日…
- アルネ: 「…ぐはっ…!」
- アルネ: 「…オルガ…ガンヒル…ト…」
- アルネ: 「不甲斐ない父を…許してくれ…」
- オルガ: 住んでいた集落が襲われ 父上はじめ一族は皆討たれて…
- オルガ: あたしたち姉妹は生け捕られて スレール(奴隷)となり…
- オルガ: ここ、イスヴィークに連れてこられたんだ…
- オルガ: …よっ…と!
- オルガ: ガンヒルトー! 荷物、ここに置いとくよ!
- ガンヒルト: わかったー
- オルガ: さて、と… 今日の仕事はこんなもんかな?
- ガンヒルト: うん、そうだね
- オルガ: じゃ…行ってこよっかなー
- ガンヒルト: またあのおじいさんのところ?
- オルガ: そ!だって、色んな神話を 知ってるんだもん!
- オルガ: 例えばさぁ… イズンって知ってる?
- ガンヒルト: さぁ…
- オルガ: アース神族って魔法のリンゴを 食べて永遠の若さを保っているの
- オルガ: イズンは そのリンゴの管理人なんだけど…
- オルガ: 悪戯好きの神様が現れて…
- ガンヒルト: ロキね
- オルガ: そう!そのロキがイズンを騙して リンゴごとさらっちゃったの!
- オルガ: イズンは無邪気で 騙されやすかったみたいなの…
- オルガ: そうしたらアース神族が歳を とり始めちゃってもう大変で…!
- ガンヒルト: 無邪気で騙されやすい、か…
- ガンヒルト: まるで姉さんみたい
- オルガ: …あのねぇ
- オルガ: あたしたちはスレールになっても挫けず 支え合いながら一生懸命、日々を送っていた
- オルガ: 幼い頃から神話の類が大好きだったあたしは イスヴィークで暮らすようになってからも 物知りな奴隷仲間のおじいさんから色々な 話を教えてもらい、それをガンヒルトに 語って聞かせていたんだ
- オルガ: ちょっとでも辛い日常を 忘れることができるように…
- 集落の戦士: …なんだぁ?オルガ 随分と楽しそうだな…うぃ~…
- オルガ: あ…いや、別に…
- ガンヒルト: (酔ってるな…)
- 集落の戦士: どうせまた神話でも 得意げに話してたんだろ、ん?
- 集落の戦士: そんなことばっかやってっから 言われんだよ
- 集落の戦士: 「夢見がちのオルガ」ってな…! がっはっはっ!
- オルガ: は、ははは…
- 集落の戦士: つーわけで、無駄話してねーで 母屋へ行って働け!
- オルガ: え…?
- 集落の戦士: 軽く飲んだら興が乗ってな これから本格的に宴をやる
- 集落の戦士: だから、さっさと準備しろ!
- オルガ: は、はいっ! ガンヒルト!
- ガンヒルト: …はい…
- オルガ: スレールは無暗に虐げられたりはしない
- オルガ: なぜなら、略奪した者にとって スレールは“財産”だから
- オルガ: かといって、必要以上に大事にされたりもしない
- オルガ: スレールはスレール…
- オルガ: その立場は、どこまでも変わらない…
- オルガ: …と、思っていた
- オルガ: この時点ではね…
- FILENAME: text_519010-2_JSAqV.txt
- オルガ: ふぃ~…
- ガンヒルト: やっと終わったね…
- オルガ: 疲れた…
- オルガ: 暇だとさ、急に宴を 始めたりするよね、ここの連中…
- ガンヒルト: ホント、面倒くさい…
- オルガ: だね…
- ガンヒルト: …いつまでこんな 毎日が続くのかな…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …父上たちを殺した 連中にこき使われて…
- オルガ: …あたしたちの集落にも いたじゃない、スレール
- オルガ: こんな気持ちだったのかな…
- ガンヒルト: …………
- オルガ: 力の強い者が弱い者から 根こそぎ奪っていく…
- オルガ: それがこの世の常だからね…
- オルガ: 父上たちだって 各地で略奪はしてたんだ
- オルガ: で、今回はあたしたちが 奪われる方だった…
- ガンヒルト: …わかってるよ…
- オルガ: …でもね!ガンヒルト
- オルガ: あたしたちはそういうことを するのはやめようね!
- ガンヒルト: …ふふ! それもわかってるって
- ガンヒルト: もう、言うの何回目?
- オルガ: はは、ごめんごめん… しつこいね
- オルガ: でも、ホントにそう思うんだ
- オルガ: 奪って奪われてなんてことが ずっと続く世の中はダメだよ!
- オルガ: その連鎖を断ち切らないと…!
- ガンヒルト: そんなこと言ってても 私たち、スレールだけどね
- オルガ: 大丈夫だって! いつかは自由の身になれるって!
- ガンヒルト: どうやって?
- オルガ: 神々の導きがある!
- オルガ: …はず!
- ガンヒルト: …またそれだ
- オルガ: へへ…でも、そう信じようよ!
- オルガ: あたしたちを解き放ってくれれば …何かを捧げます!
- オルガ: だから、きっかけをください! …っていつもお願いしてるの
- オルガ: 今の状況が変わるような きっかけをさ…
- ガンヒルト: 何かって、そんな曖昧な 捧げもので聞き届けてくれる…?
- オルガ: 今は思いつかないけど… すんごいの捧げるから大丈夫!
- オルガ: そんで! 自由になったらさ…
- オルガ: 父上が持っていたような 大きな船を手に入れて…!
- ガンヒルト: ふたりで世界中を旅する!
- オルガ: そうそう!
- オルガ: まずはこの近海を 周ってからローマに行ったり…!
- オルガ: そうだ!昔、あたしたちの集落に 来たローマ帰りの商人がさ…
- オルガ: 砂ばっかりの国があるとか 言ってたよね!
- ガンヒルト: うん、言ってた!
- オルガ: 毎日毎日暑いらしいけど どんな感じなんだろう…!
- オルガ: あー、他にもどんな 国があるのかな…
- ガンヒルト: さあ…想像もつかないよ
- オルガ: 行ってみたいなぁ… 船に乗って…
- オルガ: 色んな…所へ…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: ―ガンヒルト― (…寝たね)
- ガンヒルト: ―ガンヒルト― (今日もありがとう姉さん)
- ガンヒルト: ―ガンヒルト― (姉さんの話を聞くと 私は元気が出るんだよ…)
- ガンヒルト: ―ガンヒルト― (…私、真剣に思ってるからね)
- ガンヒルト: ―ガンヒルト― (姉さんの夢叶えてあげたいって…)
- FILENAME: text_519010-3_JSAqV.txt
- オルガ: あの日も、あたしは一日の終わりに ガンヒルトと寝る前のおしゃべりをしていた
- オルガ: …でね、ヴォルっていう女神は とっても頭が良くて…
- ガンヒルト: …うん…
- オルガ: ヴォルの前では隠し事が できないって言われてるの!
- ガンヒルト: …………
- オルガ: …ありゃ?
- ガンヒルト: …………
- オルガ: ガンヒルト…寝ちゃった?
- ガンヒルト: …姉さん…
- オルガ: ん?起きてるの…?
- ガンヒルト: …………
- オルガ: …あ、寝言か…
- オルガ: (今日は珍しくガンヒルトが 先に寝ちゃった…)
- オルガ: (集中的に仕事を押しつけられて いたもんね…)
- オルガ: (ごめん、今夜もあたしの 話につき合わせちゃって…)
- オルガ: (でもね…心が休まるんだ ガンヒルトと話をしてると)
- オルガ: (だから…これからも…)
- オルガ: …お願いっ!
- オルガ: (…ということで…)
- オルガ: (明日はなんの話を しようかなーっ!)
- オルガ: (そうだ… この前の続きがいいな!)
- オルガ: (あたしたちが創る あたしたちだけの神話!)
- オルガ: (どこまで考えたっけ… あ、そうそう!)
- オルガ: (トールがロキと戦うんだけど オーディンがそれを仲裁して…)
- オルガ: (虹の橋を端から端まで走って どっちが早く着くかの勝負を…)
- オルガ: …んんっ!?
- オルガ: (…今、視界の端っこに 何かいたような…?)
- ???: …………
- オルガ: …えっ!?
- オルガ: 今の何!?今の何…!?
- ???: …………
- 集落の戦士: ぶはーっ! もー飲めねー!寝るぞー!
- オルガ: わあっ!
- ガンヒルト: …ふわっ! …な、なに?どうしたの…!?
- ???: …………!
- 集落の戦士: …ん~…どこだここは… 俺の寝床じゃ…ねーのか?
- オルガ: そ、そうだよ!違うよ!
- 集落の戦士: そうなのか?…おう…じゃあな!
- 集落の戦士: 俺の寝床はどこじゃーい!
- ガンヒルト: …ったく、なんなの あの酔っ払いは…!
- オルガ: …………
- オルガ: …あーっ!わ、わかった…! 今のはきっと…!
- ガンヒルト: …今の?あの男がなんなの?
- オルガ: “フィルギャ”だ!
- ガンヒルト: …フィルギャ?
- オルガ: 見ちゃったんだよ フィルギャを!
- ガンヒルト: …なんなの?フィルギャって…?
- オルガ: 精霊だよ!精霊!
- ガンヒルト: …今の飲んだくれが?
- オルガ: 違うって!
- オルガ: あいつの前に見たの! 白い獣を!
- オルガ: それがフィルギャ!
- ガンヒルト: はぁ…
- オルガ: 人の魂が動物の形になって この世に現れることがあるの!
- オルガ: それがフィルギャ!
- ガンヒルト: …んん~?じゃあ そのフィルギャを、姉さんが…
- オルガ: 見たの!ついさっき!
- オルガ: なんか可愛らしい動物だったから 元は女の子の魂かな…!?
- ガンヒルト: …そういうものなの…?
- オルガ: うん!あのね…
- オルガ: こんな耳で、こんな目で こーんな尻尾で!
- ガンヒルト: …ふふっ…ごめん よくわかんないや
- オルガ: と、とにかく出たんだよー!
- ガンヒルト: フィルギャって、いい精霊なの?
- オルガ: うん!守護の精霊だよ!
- オルガ: 危ないことが近いと 忠告してくれるんだ!
- オルガ: 例えばこんな話があって…!
- ???の声: 「…出てきた…」
- ???の声: 「ここからが本番…」
- ???の声: 「…ってところねぇ」
- FILENAME: text_519010-4_JSAqV.txt
- ???の声: 「ここからが本番…」
- ???の声: 「…ってところねぇ」
- ひかる: …………
- アオ: フラグが立った…って感じだねぇ
- 樹里: キュゥべえが見えたってことは オルガの方が確率は高いな
- 結菜: 多分ねぇ
- ひかる: …そうっす、か…
- <数時間前…>
- 結菜: ここねぇ…
- 樹里: その、環いろはの概念っつーのは この村にあるのか?
- ねむ: 本に記された歴史をたどると
- ねむ: 集落の名称で 『イスヴォル』とあるからね
- アオ: ここ、『イスヴィーク』 じゃないの?
- ねむ: 名称に不一致があるけど 位置としてはここで確かだよ
- 結菜: 大丈夫なのぉ…?
- ねむ: 本の内容は全て把握済だからね ただ…
- ねむ: 一部の記載に不明瞭な ところがある
- ねむ: 完成する前にお姉さんが 倒れたのかもしれないね
- アオ: それって要はバグ? 解析とかできないの?
- ねむ: 本に宿されたウワサの僕では 解消のしようがないよ
- ねむ: 情報はほぼ出そろっているし こうして回収に踏み切っている
- ねむ: このまま続行しよう
- 樹里: …へいへい…
- アオ: でも、調査対象の情報からして 曖昧だからなぁ…
- ひかる: そうっすねぇ…整理すると…
- ひかる: まず「この村に住む姉妹」で…
- ひかる: 名前は「オルガとガンヒルト」…
- ひかる: で、「魔法少女がひとり生まれ 魔女を倒す」…って言われても
- ひかる: どっちが魔法少女になるのかも わからないっすからね…
- アオ: バグのせいで まさに“虫食い”だね…
- ねむ: とはいえ…
- ねむ: まず姉妹を追うことが必須なのは 間違いないはずだよ
- アオ: …まあ、確かに…
- 結菜: いずれかが環さんが追っていた 魔法少女ということね
- 樹里: うしっ、じゃあさっそく 姉妹とご対面といこうぜ
- ねむ: 注意しておくけど…
- 樹里: …んだよ?
- ねむ: 歴史的事象に 深く介入しないこと
- 樹里: …行く前に聞いたことじゃねーか しつけーぞ
- ねむ: 念のために言ったまでだよ
- 結菜: じゃあ、こちらも念のために 聞いておこうかしらぁ…
- 結菜: 自分たちではわからないけど 偽装はバッチリなんでしょぅ?
- ねむ: 外見や言語など 違和感がないようになっている
- アオ: 不思議だよね… なんにも変わった気がしないのに
- 結菜: であれば、手筈通りの アプローチでいくわよぉ…
- オルガ: これ持って、これ持って これと…これと…
- ガンヒルト: あとこれもね
- オルガ: お、ありがと!
- オルガ: …ん?あの人たち、誰? 見たことないけど…
- ガンヒルト: 旅の商人だって聞いたけど 売れそうな品を探してるんだって
- オルガ: へー!じゃあ、旅先の話とか 聞けるかな?
- ガンヒルト: どうだろう…
- オルガ: すみませーん!
- ガンヒルト: …早いなぁ…
- オルガ: あのあのあの!
- 結菜: なにかしらぁ?
- オルガ: 旅商人なの?
- 樹里: おう!
- オルガ: 旅先の話を聞かせてよ!
- 樹里: 旅先…?
- 樹里: …んじゃあ、神浜って…
- アオ: わっ!わっ!
- オルガ: カミ…なに?
- ひかる: なんでもないっすよ!
- ひかる: あー…じゃあ!イングランドの 情勢とかどうっすか…?
- オルガ: いいね!お願い!
- ひかる: え、えーっと…
- ひかる: …………
- 結菜: …どうしたのぉ?
- ひかる: …いや、あの子… 魔法少女に…なるっすかね…
- 樹里: キュゥべえを見かけたんだ
- 樹里: さっきは邪魔が入ったけど 狙ってるのは間違いねーだろ
- ひかる: …っすね…
- 樹里: …あー、おめーまさか 情が湧いたのか?
- ひかる: …話してみると、明るくて いい子だったんで…どうも…
- ねむ: 感情移入はほどほどにね
- ねむ: あくまで目的は…
- ひかる: それはわかってるっす!
- ひかる: 大丈夫っす! しっかりと仕事はするっす!
- ねむ: よろしく頼むよ
- ひかる: …………
- 結菜: …………
- オルガ: そう… ユナたちと会ってからしばらく後だったね…
- オルガ: “あのこと”が起きたのは…
- FILENAME: text_519010-5_JSAqV.txt
- オルガ: そう… ユナたちと会ってからしばらく後だったね…
- オルガ: “あのこと”が起きたのは…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …あ、姉さん ここにいたんだ
- オルガ: …あ、うん…
- ガンヒルト: …どうしたの? 何かあった?
- オルガ: …あ、わかる?
- ガンヒルト: そりゃわかるよ あからさまだもん
- オルガ: へへ…だよね
- オルガ: 実はさ…言われたんだよ ラグナから
- ガンヒルト: ああ、あの世話焼きのおばさん?
- オルガ: 『あんたもガンヒルトも さっさと誰かとくっつきな』
- オルガ: 『で、家族を作るんだよ』 …って
- ガンヒルト: ええ!?
- オルガ: イスヴィークにもいくつか スレールの所帯があるでしょ
- オルガ: あたしらもそうなれって ことだよね
- オルガ: で、周りもみんな そう思ってんだって
- オルガ: スレールの女が生きるには それが妥当だから…
- ガンヒルト: そ、そんなこと…勝手に…!
- オルガ: 結婚して、家庭を持ったら ふたりで農作業してさ…
- オルガ: 収穫物を上納して 暮らしを保っていく…
- オルガ: …まあ、そんなとこかな
- ガンヒルト: 何言ってるの、姉さん! 夢は捨てちゃうの!?
- オルガ: …………
- ガンヒルト: 大丈夫だから! そんなことにはならないから!
- オルガ: ガンヒルト…
- ガンヒルト: いつかきっとあるよ! 神々の導きが!
- ガンヒルト: 船で海に出るんでしょ!? 色んな国を周りたいんでしょ!?
- オルガ: …う、うん!そうだよ!
- ガンヒルト: だとしたら、周囲が何を 言ってても…!
- オルガ: 気にしない! うん!気にしないよ!
- オルガ: ごめんごめん! あたしとしたことが!
- オルガ: 夢は実現しなきゃ! ふたりでね!
- ガンヒルト: …そうだよ!
- オルガ: よしっ! じゃー、残りの仕事を…!
- オルガ: …あれ? なんか向こうが騒がしくない…?
- ガンヒルト: …そうだね…?
- FILENAME: text_519010-6_JSAqV.txt
- オルガ: …あれ? なんか向こうが騒がしくない…?
- ガンヒルト: …そうだね…?
- ひかる: うわぁっ!
- アオ: こ、これって どうなっちゃってるの…?
- 集落の戦士: ぐあっ!
- 老戦士: そら、行け!戦士たちよ!
- 戦士たち: うおりゃぁぁぁぁ!
- ねむ: 状況としては、ヴァイキングが ヴァイキングを襲撃しているね
- ひかる: な、なんでっすか…?
- ねむ: 僕にもわからないよ
- ねむ: ただ、争いの火種はこの時代 いくらでもあるからね
- 樹里: おおっ! こいつは燃える展開だな!
- 樹里: よーし、いっちょ 樹里サマも参戦を…!
- アオ: だめだよ! わたしたちの立場、忘れたの!?
- 樹里: んぐっ!
- 結菜: 一旦、距離を取って 様子を見るわよぉ
- 樹里: …だー、くそっ! つまんねーな…!
- ひかる: (オルガさん…!)
- オルガ: イスヴィークが… 襲撃されている…!?
- ガンヒルト: 一体…どこの戦士たち…!?
- 集落の戦士: ぐっ…!
- 集落の戦士: うぐっ…!
- オルガ: み、みんな殺されて…!
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: (…この状況…)
- ガンヒルト: …よし…
- オルガ: ガンヒルト! どどっ、どうしよう…!?
- ガンヒルト: 姉さん、落ち着いて
- オルガ: 落ち着けって、でも…!
- ガンヒルト: この混乱、まさしく転機だよ
- オルガ: …転機?
- ガンヒルト: 今までの日常が一変した 変化の兆しだよ
- ガンヒルト: これこそまさに… 神々の導きじゃないかな
- オルガ: いやいや!あたしたちも 巻き込まれて命が…!
- ガンヒルト: 大丈夫!
- ガンヒルト: 姉さんの命は 私が必ず守るから…!
- オルガ: ガンヒルト…
- 老戦士: んん? なんだ、お前たちは…?
- オルガ: ひぃぃ!見つかった!
- 老戦士: ふん…まだガキか…
- 老戦士: 安心しろ、チビども 命までは取らねぇよ
- 老戦士: 今日からお前らは俺のスレールだ 名前はなんだ?
- オルガ: オ、オルガです!
- ガンヒルト: ガンヒルト…
- 老戦士: オルガにガンヒルトか よし…
- 老戦士: ん?…なにっ…? オルガにガンヒルトだと…!?
- オルガ: ひええっ!そ、そうですけど~!
- 老戦士: お前ら…まさか…!
- オルガ: ななな、なんですか~!?
- FILENAME: text_519010-7_JSAqV.txt
- 老戦士: ん?…なにっ…? オルガにガンヒルトだと…!?
- オルガ: ひええっ!そ、そうですけど~!
- 老戦士: お前ら…まさか…!
- オルガ: ななな、なんですか~!?
- 老戦士: ち、父親の名前は…?
- ガンヒルト: アルネ…
- 老戦士: アルネ…! 『暁の戦士団』の…!?
- オルガ: …え? し、知ってるんですか…?
- 老戦士: つまり、お前らは… アルネの娘たちの…!
- 老戦士: オルガにガンヒルト! うおお!会いたかったぞー!
- オルガ: わぁっ!く、苦しい…!
- ガンヒルト: …むぐ…
- 老戦士: いやー! こんな巡り合わせがあるとは…!
- 老戦士: これはおそらくフレイヤの加護 あってのことだな!
- オルガ: あ、あの~… あなたはどなたなんですか…?
- 老戦士: …ん?…おお、そうか! 何も言ってなかったな!すまん!
- エッベ: 俺はブリンジャ―の息子 エッベだ
- エッベ: 昔、旅先の山中で不意に熊に 襲われたときがあってな
- エッベ: 背中を爪でガッツリよ まあ、どうにか倒したが…
- オルガ: (倒したんだ…)
- エッベ: さすがに血を流し過ぎてな
- エッベ: これでもう今生は終わりかと 思っていたところ…
- エッベ: たまたま通りがかった お前たちの父親に助けられた
- エッベ: 怪我が癒えるまで何から何まで 世話になって…その頃だ
- エッベ: 生まれたばかりのお前たちに 会ったのは
- オルガ: へっ!? あたしたちに、会ってる…!?
- エッベ: おうよ!その顔立ち、髪色… 間違いない!確信した!
- エッベ: 怪我が癒えた俺は郷里に 戻ることとなったが…
- エッベ: いつかアルネに恩は返すと 誓って別れたんだ
- エッベ: その後、紆余曲折あって自前の 戦士団を持つことになってな
- エッベ: そこで、戦士団ごとアルネの 傘下に入ろうと決めた
- エッベ: これでようやく恩を返せると…
- エッベ: …ところが、だ…
- ガンヒルト: 父上たちが殺された…
- エッベ: そうだ… 俺は愕然とし、そして後悔した…
- エッベ: だが、同時に誓ったこともある アルネの仇は俺が討つ、と…!
- オルガ: それでイスヴィークを…?
- エッベ: …いや、それはそうだが…
- エッベ: ここに来るまでに ちょっとした“流れ”があってよ
- オルガ: …流れ?
- エッベ: まずな、俺は情報ってやつを 集めるのが苦手なんだわ!
- オルガ: (…そんな堂々と…)
- エッベ: アルネを殺した奴らを捜したが
- エッベ: なんせ、集落皆殺しだったろ?
- エッベ: ところが、だ!
- エッベ: 一昨日、うちの本拠地で 酔って暴れた流れ者がいてな
- エッベ: そいつが『アルネを仕留めたのは 俺だ』とぬかしやがった
- エッベ: 聞き捨てならねーとそいつを 捕まえて洗いざらい喋らせた
- エッベ: で、そいつはイスヴィークに 居た奴だとわかり…
- エッベ: イスヴィークの連中こそが 捜している仇だと知ったのが…
- エッベ: 昨日ってわけだ!
- オルガ: 昨日…!?
- ガンヒルト: …………!
- エッベ: そうよ!俺はもう仇を討てるって 興奮して大急ぎで来たんだわ!
- エッベ: そうしたらお前らだ!はっはー! なんとも運がいいぜ!
- エッベ: …よし… 今こそ誓いを果たす時だ…
- エッベ: アルネの娘たちよ!
- オルガ: は、はい…!
- エッベ: 我ら『熊の爪の戦士団』 …お前らの配下となろう!
- オルガ: …………
- オルガ: …えええええーっ!?
- エッベ: 今後はお前らが頭だ! 頼むぞ!
- オルガ: そ、そんな急に言われても…!
- ガンヒルト: 姉さん!
- ガンヒルト: こんな奇跡、間違いないよ!
- ガンヒルト: これこそ『神々の導き』だ…!
- オルガ: …神々の…
- エッベ: おお、そうだそうだ!
- ガンヒルト: 受け入れるんだ! そうすれば…
- ガンヒルト: ここを抜け出すことが できるんだよ!
- オルガ: ガンヒルト…
- オルガ: …………
- オルガ: …わ、わかったよ…! その申し出…受け入れ…ます…
- ガンヒルト: 姉さん! もっと威勢よく!
- オルガ: う、受け入れよう!
- エッベ: 決まりだ! やったぜー!
- エッベ: おい!みんな! 集りやがれ!話がある!
- オルガ: …と、と、とんでもないことに なっちゃったなぁ~…
- ガンヒルト: いいんだ、姉さん 運命が動き始めたんだよ
- オルガ: これ…ホントにホント? 夢じゃないよね…?
- ガンヒルト: 夢じゃないよ、姉さん…それに…
- ガンヒルト: もう『夢見がちのオルガ』なんて 言わせないから…!
- FILENAME: text_519010-8_JSAqV.txt
- オルガ: ある日突然、イスヴィークは襲撃され あたしたちはようやく自由を得たんだけど…
- オルガ: まだ対処しなきゃいけない問題があって…
- オルガ: ええっ?そんなすんなり戦士団の みんなは納得してくれたの…?
- エッベ: ああ、もちろんだ
- エッベ: いつかはアルネの配下に収まる 予定だと前から言ってたしな
- エッベ: そもそも、俺に逆らうやつなんざ うちにはいねぇよ
- オルガ: そ、そうなんだ…
- ガンヒルト: これで戦士団は掌握できたね
- ガンヒルト: ただ、問題が残ってる
- エッベ: 問題?なんだ?
- ガンヒルト: 実は今、イスヴィークの戦士団の 主力は略奪に出ている
- エッベ: …なんだとぉ!?
- オルガ: ああっ!そうだった…!
- エッベ: はっ…どうりでアルネを倒した 連中の割に手応えがなかった訳だ
- オルガ: 日数からして、おそらく今日 あたりに戻って来ちゃうよ…!
- ガンヒルト: 今からここを出れば…
- エッベ: そいつは筋が違う!俺たちは アルネの仇を討ちにきたんだ!
- エッベ: 主力を倒さないで帰ったら 意味がない!
- ガンヒルト: だよね…
- エッベ: ここで迎え撃ってやるぜ…!
- ガンヒルト: だったら策があるんだ
- エッベ: 策…?
- エッベ: …ふーむ、なるほど…
- エッベ: やってみる価値はあるな
- ガンヒルト: 姉さん、どう?
- オルガ: う、うん…まあ、その…
- ガンヒルト: …………
- オルガ: …い、いいと思うよ!
- ガンヒルト: よしっ!頭の許可が出た!
- オルガ: 頭って、いや、それは あたしたちふたりでしょ?
- ガンヒルト: 違うよ 姉さんが頭なんだ
- ガンヒルト: 一団を率いるのに指導者は ふたりもいらない
- ガンヒルト: それに、私は姉さんが上に 立ってくれないと嫌だ
- オルガ: 嫌だって、そんな…!
- ガンヒルト: お願い!姉さんが頭になって!
- オルガ: でも…!
- エッベ: ガンヒルトがそれでいいなら 俺に異存はないがな
- オルガ: うう…
- オルガ: …わ、わかったよ…
- ガンヒルト: ありがとう、姉さん!
- ガンヒルト: じゃあ、さっそく 迎撃の準備を始めるよ!
- エッベ: おっしゃ!
- オルガ: …………
- FILENAME: text_519010-9_JSAqV.txt
- オルガ: ガンヒルトの推薦によってあたしは 『熊の爪の戦士団』の頭となり みんなの指揮を執ることになった
- オルガ: そして…
- 集落の戦士: 誰も出迎えにこないと思ったら…
- 集落の戦士: …なんだ…この有様は…!?
- 集落の戦士: おい!誰かいねーのか!
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …………
- 集落の戦士: おお!おい、みんな! オルガとガンヒルトがいたぞ!
- 集落の戦士: お前ら! こいつは一体どうなって…
- ガンヒルト: 略奪に出た戦士たちは これで全員?
- 集落の戦士: ん?…まあ…うん そうだな、全員だ
- 集落の戦士: それより、他の連中は…
- ガンヒルト: 姉さん
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …姉さん!
- オルガ: う、うん…!
- オルガ: …かかれ!
- エッベ: 行くぞオラー!
- 集落の戦士: な、なんだぁ!? こいつら…!
- エッベ: 喜べ!ヴァルハラへ送ってやる!
- オルガ: ガンヒルトの策は、集落に帰還した 戦士たちがひとまとめになったところで 隠れていたエッベたちが一気に包囲…
- オルガ: 退路を断って殲滅するというものだった
- 集落の戦士: オルガ…ガンヒルト… てめぇら…!
- ガンヒルト: …今まで散々世話になった…な!
- 集落の戦士: ぐはっ…!
- ガンヒルト: ふう…
- オルガ: ガ、ガンヒルト…
- ガンヒルト: 姉さん!後ろ!
- 集落の戦士: オルガーっ!
- オルガ: うわぁっ!
- 集落の戦士: う…くっ…
- エッベ: ほほう、やるじゃねーか!
- オルガ: …………
- ガンヒルト: 父上に一通り教わったし 密かに訓練もしてたしね
- ガンヒルト: こういう時のために 磨いてきたんだ…だよね、姉さん
- オルガ: …う、うん…
- ガンヒルト: …姉さん ようやく始まったんだよ
- ガンヒルト: これが最初の一歩… 夢の始まり…
- ガンヒルト: ふたりで実現させよう… 夜ごと語り合った未来を…!
- オルガ: …………
- オルガ: 今まで理解が追いつかないまま 状況に合わせて動いてきたけど…
- オルガ: ここにきて、あたしは今 とんでもないことをしているのでは ないかと思うようになっていた
- オルガ: 目の前でイスヴィークが燃えている…
- オルガ: こんなこと、あたしは…
- オルガ: 奪って奪われてなんてことが ずっと続く世の中はダメだよ!
- オルガ: その連鎖を断ち切らないと…!
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …姉さん?
- ガンヒルト: そっか…傷つけあう世界は 嫌なんだよね…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: 姉さんの優しい気持ち 私も大切にしたいとは思う…
- ガンヒルト: …だけど、やっぱり現実は こうなっちゃったよね
- ガンヒルト: エッベたちが来たことで 運命の扉は開いてしまった…
- ガンヒルト: そして事態は動き始め 自由を手に入れるために…
- ガンヒルト: 私たちはそれに便乗した
- オルガ: …………
- ガンヒルト: 受け入れよう?姉さん…
- ガンヒルト: そして、前進するしかない 神々が後押ししてくれたんだから
- ガンヒルト: もはやこの流れに 逆らうことはできないよ、姉さん
- オルガ: …………
- ガンヒルト: どうせ前進するなら 思い通りに生きてみようよ
- ガンヒルト: 姉さん…!
- オルガ: …………
- オルガ: (もう船は出てしまった…)
- オルガ: (降りることはできない… ましてや…)
- ガンヒルト: …………
- オルガ: (この子を置いてくことなんて できるわけがない…)
- オルガ: …そうだね、ガンヒルト…
- オルガ: 覚悟を…決めるよ…!
- ガンヒルト: …うん!
- オルガ: 奪い、奪われる連鎖から 抜け出ることを理想としていたのに…
- オルガ: あたしは結局、圧倒的な現実の前に その理想を捨てることになった…
- オルガ: ホント、あたしは『夢見がちのオルガ』 だったというわけだね…
- FILENAME: text_519010-10_JSAqV.txt
- オルガ: 包囲作戦は成功し イスヴィークの戦士団は全滅した
- オルガ: あたしたちは集落自体も手に入れ ここを拠点とすることにして…
- オルガ: 過去を捨て去るために 名前も「イスヴォル」と改めた
- オルガ: そして、ガンヒルトはここから トールのような激しさを見せるようになった
- ガンヒルト: 私たちと同じスレールは全員 自由民にするんだ
- オルガ: それはいいね! 賛成!
- ガンヒルト: その代わり、イスヴォルの発展に 力を貸すことを約束してもらう
- オルガ: …そ、そうなんだ
- ガンヒルト: 農業も畜産も交易も もっと活発にしないと
- ガンヒルト: 今より豊かになって 戦士団を強くするんだから
- オルガ: え?今でも十分…
- ガンヒルト: 強いよ 確かに強い
- ガンヒルト: でも、まだ足りない…!
- ガンヒルト: 夢の実現を確かなものに するためには…
- ガンヒルト: 誰にも負けない強さを 手に入れないと…!
- ガンヒルト: 向かう所敵なしだったら 自由に航海できるでしょ?
- オルガ: …それはそうだけど…
- エッベ: おい、調べに行かせた 連中が戻ってきたぞ
- オルガ: …調べ…って、何を…?
- ガンヒルト: 周辺の勢力がどんなものかをね その情報は必要でしょ?
- オルガ: …まあ、確かに…
- ガンヒルト: で、どうだった?
- エッベ: ここで最近ひと騒動あったことは 徐々に知られ始めているようだ
- エッベ: で、近場の連中はあんたらが 頭に立ったことで相当舐めてる
- エッベ: 近々、襲ってくるかも しれないってよ
- ガンヒルト: どこから?
- エッベ: どこからも、だと
- オルガ: え…?
- エッベ: みーんなイスヴォルを的に かけてるってわけだ!ははーっ!
- オルガ: そんな…! ど、どうしよう…!
- ガンヒルト: だったら…今の内に こちらから仕掛けよう
- オルガ: …ええっ!? 仕掛けるって…
- ガンヒルト: 戦うんだよ、姉さん でないと、こちらがやられる
- オルガ: いや、でも、ちょっと前に ここで戦ったばかりで…!
- エッベ: うちの連中はやる気十分だぜ!
- オルガ: …そ、そうなの…!?
- ガンヒルト: ここを守るためには 攻めないと!
- ガンヒルト: 力を示せば、簡単に手出しは しなくなるはず!
- ガンヒルト: だから、今は戦い続けるんだ!
- オルガ: …………
- ガンヒルト: 私を信じて、姉さん!
- オルガ: わ、わかったよ…
- ガンヒルト: …ありがとう
- ガンヒルト: では出航の準備だ! 『熊の爪の戦士団』改め…
- ガンヒルト: 『姉妹の戦士団』よ!
- エッベ: おうよ!
- オルガ: …………
- オルガ: 結果として、ガンヒルトの策は ことごとく成功し、イスヴォルは大いに発展して その名を各地に轟かせることとなった
- オルガ: ガンヒルトはあくまであたしを立てるけど 時々、手に負えないくらい突っ走っていた
- オルガ: あたしはあたしで、必死になっている ガンヒルトを止めることに及び腰に なってしまっていた
- オルガ: というのも…
- ガンヒルト: 夢のためなんだよ、姉さん!
- オルガ: ガンヒルトはあたしのために やってくれているんだ…
- オルガ: そう思うと、どうにも強く言えなくて…
- オルガ: あの晩も、そのことで眠れないでいた…
- オルガ: …はぁ~…
- オルガ: (ガンヒルトは…)
- オルガ: …………
- オルガ: (今日もまだ何かやってるか…)
- オルガ: (最近、ゆっくり話も できていないなぁ…)
- オルガ: (どうしよう…何か…)
- オルガ: (怖いな…)
- オルガ: …ああ、ダメダメ!
- オルガ: (弱気になってどうするの!)
- オルガ: (覚悟は決めたはずでしょ…!)
- オルガ: …………
- オルガ: …えっ!?
- オルガ: フィルギャ…!? あの時の…
- オルガ: 待って!フィルギャ! 待ってよ!
- FILENAME: text_519010-11_JSAqV.txt
- オルガ: …えっ!?
- オルガ: フィルギャ…!? あの時の…
- オルガ: 待って!フィルギャ! 待ってよ!
- オルガ: どこ…?どこ行ったの…!?
- オルガ: いた!ちょっと待って!
- 結菜: …追うわよぉ
- オルガ: …はぁ…はぁ…
- オルガ: (確か、この辺にいたはず…)
- 結菜: …………
- アオ: フィルギャ…って…
- ねむ: 北欧神話に出てくる精霊… 彼女が前に言ってた通りだよ
- アオ: だよね…
- ひかる: オルガさん…必死っすね…
- 樹里: 藁にもすがる…ってやつだろ
- アオ: 戦士団の頭に 祭り上げられて…
- アオ: 昔は背中に隠れがちだった 妹がグイグイ前に出て…
- アオ: あれよあれよの内に集落は 発展していって…
- ひかる: 心も不安定に… なるっすよね…
- 樹里: そのタイミングで、あいつは 再び姿を現しやがった…!
- 結菜: 機は熟した…って ところかしらねぇ…
- 結菜: …にしても…
- 結菜: 今日はちゃんと寝ずに 張り込んでくれたみたいねぇ
- 樹里: “今日も”だろ!
- アオ: わたしは見てたからね~ 1回うたた寝したところ~
- 樹里: あ、あの日は、慣れない生活で 疲れが溜まってたんだよ…!
- 結菜: …まあ、いいけどぉ…
- 樹里: …含みがあんなぁ…
- 結菜: …で、概念の方は?
- ねむ: より多く集まり続けているよ
- 結菜: よし…行くわよぉ
- ひかる: …………
- ひかる: (…魔法少女に なっちゃうんすね…)
- オルガ: どこに…フィルギャ!
- オルガ: …ん…?
- 戦士: …………
- オルガ: あれはうちの…
- 戦士: …………
- オルガ: …どうしたの…? こんな所で…
- 戦士: …………
- オルガ: (うっすらしか見えないけど… なんか、怖い顔してるような…)
- 戦士: …小娘が…
- 戦士: 首領だなんて…偉そうに…!
- オルガ: …え?
- FILENAME: text_519010-12_JSAqV.txt
- 戦士: …小娘が…
- 戦士: 首領だなんて…偉そうに…!
- オルガ: …え?
- オルガ: うわっ! な、なにを…!
- 戦士: …………!
- オルガ: ちょちょっ…わーっ!
- 戦士: …………
- オルガ: や、やめろって! どうしたのさ!
- 戦士: …………! …………!
- オルガ: (う、裏切り…!? それとも…どこからかの刺客?)
- オルガ: (わ、わからない…! とにかく、武器もない今は…)
- オルガ: 逃げる!
- 戦士: …………
- オルガ: はぁ…はぁ…はぁ…
- オルガ: …追ってきて…ない…か…
- オルガ: どうにか逃げ切っ…
- オルガ: …へ? どこ…ここ…?
- オルガ: うわうわうわっ! 怖い怖い怖い!
- オルガ: (な、なんなんだ!? この奇妙な場所は…!?)
- オルガ: (イスヴォルの近くに こんなところあったっけ…?)
- オルガ: …いやいや! おかしい!これはおかしい!
- オルガ: (この世とは思えない…!)
- オルガ: …あっ!…
- オルガ: (もしかして、あたし…)
- オルガ: (死んでる…?)
- オルガ: (さっき襲われて… 殺されちゃってて…)
- オルガ: (あたしは武器も持たず 逃げ回って死んだ…)
- オルガ: だとしたら、ここは…
- オルガ: ヘ、ヘルヘイム…!?
- オルガ: …うわぁぁぁーっ!
- ねむ: ヘルヘイムとは…
- ねむ: 北欧神話における “死者の国”だね
- ねむ: 病死や戦わずして死んだ者たちが 送り込まれる世界
- ねむ: …と言われている
- 結菜: まあ、実際は 魔女の結界だけどねぇ
- アオ: さっき彼女を襲ってきた 戦士って…
- 樹里: 間違いねぇ 食らってるよ
- ひかる: 『魔女の口づけ』っすね…
- アオ: で、ここに追い立てられた…
- 樹里: でもよ、ここまで 色々見えてるっつーことは
- 結菜: やっぱり“素質アリ”って ことの証拠ねぇ…
- 樹里: んで、どうすんだ? 助けんのか?
- ひかる: 観察対象が消されたら マズいっすよ!
- ひかる: ここは助けた方がいいっす! そうっすよね!?
- 結菜: 冷酷かもしれないけど 記されている内容次第ねぇ…
- 結菜: ご意見、伺ってもいいかしらぁ?
- ねむ: …………
- ねむ: オルガがここで死ぬかどうかの 記載はないけど
- ねむ: ここで姿を現すのは 対象との過干渉になりかねないね
- ねむ: 限界まで見極めさせて欲しい
- ひかる: …うう…!
- オルガ: …あ…?
- …………
- オルガ: で、出た…
- オルガ: ヘルヘイムの…怪物だーっ!
- …………!
- オルガ: わーっ!
- 樹里: 出てきやがったな…
- ねむ: …………
- ひかる: 行くっす! もうさすがに…!
- 結菜: えぇ…
- 結菜: 私もそろそろ限界ねぇ…!
- 樹里: …へっ!さては 密かにジリジリしてやがったな?
- ひかる: じゃあ、早く…!
- アオ: 待って!
- ひかる: なんすか!
- アオ: …魔力を…感じる…!
- ???の声: 「危ない!」
- オルガ: …えっ!?
- …………!?
- ???の声: 「…どうしてこんなところにいるの…?」
- ガンヒルト: …姉さん!
- オルガ: …ガ…ガンヒル…ト?
- FILENAME: text_519010-13_JSAqV.txt
- ???の声: 「…どうしてこんなところにいるの…?」
- ガンヒルト: …姉さん!
- オルガ: …ガ…ガンヒル…ト?
- アオ: …えー…!?
- 樹里: い、妹が魔法少女…!?
- 結菜: …どうやらそのようねぇ…
- ひかる: どうなってんすか…!? 魔法少女はオルガさんじゃ…
- 結菜: …そう思い込んでた…
- ひかる: …え?
- 結菜: おそらくだけど…
- 結菜: キュゥべえは最初 オルガを狙ってた…
- 結菜: だけど、アクシデントで一度引き その次はガンヒルトを狙った
- 結菜: で、彼女はいつの間にか キュゥべえと会って…
- 結菜: 契約を結んでいた
- 結菜: 今夜は改めてオルガを 口説きにきたのかしらねぇ…
- ひかる: いつの間にかって… ふたりはひかるたちで監視を…
- 結菜: 思い当たるフシ…あるでしょ?
- 樹里: ああん?
- 樹里: …あ…
- アオ: …あー!うたた寝してた日!
- 樹里: …………
- 樹里: …そうなのか?
- アオ: いや、聞かれても わかんないよ!
- ひかる: じゅ、樹里さん…
- 樹里: っつーか、これが 自然な成り行きってことだろ?
- 樹里: 観察対象がハッキリしたな
- アオ: 開き直ってる…!
- 結菜: …確かに、それはそうだけどぉ…
- 結菜: …釈然としないわねぇ…
- ガンヒルト: …魔女は出てこなかったか…
- オルガ: 魔女…!? どういうこと…!?
- オルガ: ねぇ!ガンヒルト! 説明してよ!
- ガンヒルト: …………
- ???の声: 「オルガ」
- オルガ: …え? 今、誰かあたしのこと呼んだ…?
- キュゥべえ: こうして話すのは 初めてだね
- オルガ: …………
- オルガ: …フィルギャ!? フィルギャがしゃべった!?
- キュゥべえ: ボクの名前はキュゥべえ
- ガンヒルト: くっ…!
- キュゥべえ: キミにお願いがあるんだ
- ガンヒルト: キュゥべえ! どうして現れた!
- ガンヒルト: 姉さんには関わるなと あれほど言ったのに…!
- オルガ: キュゥ…べえ…?
- ガンヒルト: 姉さん、帰ろう!
- ガンヒルト: 今日のことは 忘れるんだ!
- オルガ: え?え?
- ガンヒルト: さあ、早く!
- オルガ: ちょ、ちょっと待ってよ!
- オルガ: …無理だよ! いくらなんでも!
- ガンヒルト: …………
- オルガ: こ、こんなことを 忘れるだなんて…
- オルガ: ガンヒルトに言われたからって できるわけ…
- ガンヒルト: …………
- オルガ: …事情を、聞かせてよ…
- ガンヒルト: …姉さん…
- キュゥべえ: ボクから説明するよ
- ガンヒルト: お前は口をはさむな!
- オルガ: ガンヒルト…
- ガンヒルト: …わかった…
- ガンヒルト: 話すよ、姉さん…
- FILENAME: text_519010-14_JSAqV.txt
- ガンヒルト: …わかった…
- ガンヒルト: 話すよ、姉さん…
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …こいつと会ったのは エッベたちと出会う前の日…
- オルガ: つまり…あの襲撃の…?
- ガンヒルト: …うん…
- オルガ: ガンヒルトの話はこうだった
- オルガ: あの日、いつものように話し疲れたあたしは ガンヒルトよりも先に寝てしまった
- オルガ: そして、やがてガンヒルトも寝ようとした所に 白い影が目の前をよぎった
- オルガ: あたしの時と同じ状況だったけど フィルギャを見たと思って興奮して話を始めて またいつの間にか寝てしまったあたしに対し…
- オルガ: ガンヒルトはあたしから話を聞いている分 その真相を確かめるために追跡をしたらしい
- オルガ: やがてひと気のない場所に入ると フィルギャ…ではなく、『キュゥべえ』と 名乗る白い獣は、人の言葉でガンヒルトに 語り掛けてきたという
- ガンヒルト: こいつは『契約をしたい』って 言いだした…
- ガンヒルト: 魔法少女ってやつになれば 何でも願い事をひとつ叶える…
- ガンヒルト: その代わり“ある存在”と 戦わないといけない
- ガンヒルト: それが“魔女”だ…って
- オルガ: あんた…それを承知したの!?
- ガンヒルト: …うん…
- オルガ: なんで!? そんな得体の知れない約束を…!
- ガンヒルト: …半信半疑だった… いや、ほぼ信じていなかった
- ガンヒルト: 願いがなんでも叶うなんて…
- ガンヒルト: …でも!もし本当だったら こんな好機はない…!
- ガンヒルト: もしかしたら これこそ姉さんが言っていた
- ガンヒルト: 『神々の導き』かも…って!
- オルガ: …え…
- エッベ: 我ら『熊の爪の戦士団』 …お前らの配下となろう!
- オルガ: …………
- オルガ: …えええええーっ!?
- エッベ: 今後はお前らが頭だ! 頼むぞ!
- オルガ: そ、そんな急に言われても…!
- ガンヒルト: 姉さん!
- ガンヒルト: こんな奇跡、間違いないよ!
- ガンヒルト: これこそ『神々の導き』だ…!
- オルガ: …神々の…
- オルガ: …あの時…
- オルガ: これが本当に 『神々の導き』だって…
- オルガ: 確信があって 言ったってこと…!?
- ガンヒルト: …そうだよ、姉さん
- ガンヒルト: だって、私が願ったことは…
- ガンヒルト: 『姉さんを首領とする 戦士団の結成』だったから…
- FILENAME: text_519010-15_JSAqV.txt
- ガンヒルト: だって、私が願ったことは…
- ガンヒルト: 『姉さんを首領とする 戦士団の結成』だったから…
- オルガ: …な、なんで…
- オルガ: なんでそんなことを…!?
- ガンヒルト: 姉さんには夢がある…
- ガンヒルト: その夢は私にとっての 夢でもある…
- ガンヒルト: それは何度も 言ってきたよね、私
- オルガ: う、うん…
- ガンヒルト: だから、最初はそのことを 願おうと思ったんだ
- ガンヒルト: でも、もし叶ってしまったら 姉さんは喜ぶのかな?…って
- ガンヒルト: 夢を叶える過程がなければ きっと充実感は得られない…
- ガンヒルト: だからやめた それで代わりに願ったのが…
- オルガ: 戦士団の結成…? あたしを、首領とした…?
- ガンヒルト: 夢を実現するためには、もちろん 自由の身であることが前提…
- ガンヒルト: それに、世界を旅する上では 地盤や組織が必要になるはず…
- ガンヒルト: 夢をいきなり叶えず、かつ 夢へ走り出せる状態になる…
- ガンヒルト: そうやって考えた結果が 私の願いとなった
- ガンヒルト: 願った翌日、いきなり 私たちの身の回りに異変が起きた
- ガンヒルト: 私はそれで確信したの… 『願いは叶った』って
- オルガ: そんな…
- オルガ: …バカ! 何でそんな身勝手なことを…!
- ガンヒルト: …ごめんね…
- オルガ: あ、あんた! その魔法少女ってのになったら…
- オルガ: 戦わなきゃなんでしょ!? 魔女…ってやつと!
- オルガ: あんたひとりにそんなことを 押しつけて…あたしは…!
- ガンヒルト: いいんだよ、姉さん 姉さんの夢が私の…
- オルガ: よくないよ!
- オルガ: …フィルギャ!
- キュゥべえ: ボクのことかい?
- オルガ: あたしも魔法少女にしてよ!
- オルガ: ガンヒルトが犠牲になって 叶える夢なんて…!
- ガンヒルト: ダメだよ、姉さん!
- オルガ: どうして!
- ガンヒルト: それだけは姉さんでも 絶対に許すことはできない!
- ガンヒルト: 姉さんを魔法少女には …させない!
- FILENAME: text_519010-16_JSAqV.txt
- ガンヒルト: それだけは姉さんでも 絶対に許すことはできない!
- ガンヒルト: 姉さんを魔法少女には …させない!
- オルガ: ガンヒルト…!?
- ガンヒルト: お願いだから、姉さん…
- ガンヒルト: …魔法少女は…
- ガンヒルト: 魔法少女は、“魔力”を消費して “魔法”を使い、魔女と戦う…
- ガンヒルト: でも、魔力は勝手に回復したり することはないんだ
- ガンヒルト: 魔女を倒して手に入れる 『グリーフシード』が必要になる
- オルガ: …何なの、それは…?
- ガンヒルト: 私もどういうものかは わからない…
- ガンヒルト: でも、それが必要なのは どうやら確実なの
- ガンヒルト: 魔女と戦い、グリーフシードを 手に入れて、魔力を回復…
- ガンヒルト: そしてまた魔女と戦う…
- ガンヒルト: これの繰り返しなんだよ ずっとね…!
- ガンヒルト: 姉さんがいつか話してくれた ヴァルハラでの毎日みたいだ…
- ガンヒルト: ヴァルハラではラグナロクに 向けて戦闘訓練を行う…
- ガンヒルト: 夜は宴を催し 翌日にはまた訓練…
- ガンヒルト: それを延々と繰り返す…
- ガンヒルト: たとえ訓練中に落命しようとも 日没には蘇る…
- ガンヒルト: そしてまた訓練に加わる…
- ガンヒルト: 似てるよね、なんだか…
- オルガ: そ、そんなことあんた いつやってたの…!?
- ガンヒルト: 絶対に姉さんに気づかれたく なかったから…
- ガンヒルト: 常に色んな手筈を整えて イスヴォルから出ていた…
- ガンヒルト: 姉さんどころか、イスヴォルの 誰にも気づかれてないはず…
- オルガ: …それを…ひとりで…
- オルガ: …わかった… じゃあ、あたしも…!
- ガンヒルト: だから姉さんには 魔法少女になってほしくないの!
- オルガ: ガンヒルト!
- ガンヒルト: こんなことするの 私だけで十分だよ!
- ガンヒルト: 実情を理解したからこそ 姉さんを魔法少女にしたくない
- ガンヒルト: 私の気持ち、わかって! 頼むから…!
- オルガ: 嫌だ!
- ガンヒルト: 姉さん!
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …キュゥべえ…
- ガンヒルト: あんたが姉さんの前に 現れた理由はなんとなくわかる…
- ガンヒルト: 最近の私は 戦士団の強化にかかりきりで…
- ガンヒルト: 魔女退治にはあまり 積極的じゃない…
- ガンヒルト: だから、あんたは 新たな魔法少女がほしい…
- ガンヒルト: そこで、当初狙っていた 姉さんを改めて的にかけた…
- ガンヒルト: そんなとこでしょ?
- キュゥべえ: …………
- オルガ: だったら、こちらも 望むところだよ!
- オルガ: あたしを魔法少女に…!
- ガンヒルト: …はっ!
- キュゥべえ: …………!?
- オルガ: えっ!? ガ、ガンヒルト…!?
- オルガ: 殺したの…!? キュゥべえを…!
- ガンヒルト: これでもう、姉さんは 魔法少女になれない…
- ガンヒルト: 諦めて…お願い…
- オルガ: そんな…そんな…
- オルガ: なんで自分ばかり…! ガンヒルト…!
- ガンヒルト: …ごめん…
- FILENAME: text_519010-17_JSAqV.txt
- ガンヒルト: これでもう、姉さんは 魔法少女になれない…
- ガンヒルト: 諦めて…お願い…
- オルガ: そんな…そんな…
- オルガ: なんで自分ばかり…! ガンヒルト…!
- ガンヒルト: …ごめん…
- オルガ: あたしの夢はあんたの犠牲の 上で叶えるものじゃない!
- オルガ: いつかあたしが、自分の力で…!
- ガンヒルト: …『いつか』っていつなの!?
- オルガ: …えっ…
- ガンヒルト: 姉さんはそうやって 『いつか』って言うけど!
- ガンヒルト: いつまでたってもスレールで 何もできなかったじゃない!
- オルガ: …あ、あたしは…
- ガンヒルト: 大きなことを語るけど それを実現しようとはしない!
- オルガ: …そんな…そんなこと…
- ガンヒルト: 本当は怖かったんでしょ… 行動に起こすのが…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …でも、いいの…
- ガンヒルト: 私は、姉さんの語る その『大きなこと』が好き…
- ガンヒルト: スレールになって唯一の 生きる支えが姉さんの話だった…
- ガンヒルト: だから、姉さんの夢 私も手伝いたかったの…
- ガンヒルト: 魔法少女になったことに 後悔なんてしてない…
- ガンヒルト: 私たちは…今から始まるんだよ!
- オルガ: …………
- ガンヒルト: 私のことを思ってくれるなら どうか気に病まないで
- ガンヒルト: これは私自らが選んだ運命… 姉さんの夢、一緒に叶えさせて…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …それに、さ…
- ガンヒルト: 魔法少女ってヴァルハラでの 毎日みたいって言ったでしょ?
- ガンヒルト: この世でこんな経験を積んだら 私、行けるんじゃない?
- ガンヒルト: 死んだ後、本当にヴァルハラへ!
- ガンヒルト: その日が訪れたら、きっと ワルキューレが迎えにきてくれる
- ガンヒルト: きっと…
- オルガ: …………
- オルガ: …ガンヒルト…
- オルガ: ガンヒルトぉ…!
- ガンヒルト: 泣かないで…姉さん…
- 結菜: …………
- FILENAME: text_519010-18_JSAqV.txt
- 結菜: …………
- アオ: …なんていうか…
- アオ: 妹が姉の夢を 実現するために…
- 樹里: 犠牲になった…ってとこだな
- ひかる: そんな犠牲なんて言い方! ガンヒルトさんは…その…
- 樹里: 魔法少女の行き着く先を考えりゃ 他に言いようがねーだろ
- ひかる: …うっ…
- 結菜: まあ、もし言い方を変えるなら…
- 結菜: 『献身』…ねぇ
- ひかる: …………
- アオ: わたしならこんなハードモード 自分から飛び込めないと思う…
- アオ: すごい…妹だね
- 樹里: …ま、ある意味でな…
- ひかる: …ゆ、結菜さん!
- 結菜: …なぁに?
- ひかる: ふたりの夢… 手伝えないっすかね?
- 樹里: …はぁ~? お前、何を急に…
- ひかる: き、きっとこの回収の旅は…!
- ひかる: オルガさんの夢の果てが ゴールっすよ!
- ひかる: そんな流れじゃないっすか?
- 結菜: …………
- ひかる: だったら、それを手伝えば こっちとしても…!
- 結菜: …意味のないことよぉ
- ひかる: …え…
- 結菜: オルガとガンヒルトの夢は あの子たちだけのもの
- 結菜: 他人が、しかも、生まれた時代も 違う私たちに…
- 結菜: 関与する余地も、権利もない
- 結菜: 私たちはそれを 承知しているはずよぉ…
- ひかる: …うっ…
- 樹里: …まあな
- アオ: そう…だね…
- ひかる: …じゃ、じゃあ!
- ひかる: キュゥべえがオルガさんに 近づかないように…
- ひかる: 見つけ次第、ことごとく ひかるたちで…!
- ねむ: それは僕から止めさせてもらうよ
- ねむ: 間接的な歴史干渉に なる可能性がある
- ひかる: キュゥべえはキュゥべえ じゃないっすか!
- ひかる: 歴史と関係なんか…!
- ねむ: ないかもしれない
- 樹里: あ?だったらいいだろ
- ねむ: でも、関係があるかもしれない
- ねむ: どちらの可能性もある以上 手を出すのは賢明じゃないよ
- 結菜: 特に魔法少女の因果を背負う者は 歴史に影響するかもしれないわぁ
- ねむ: …だね
- ひかる: …う…うう…
- ひかる: 結菜さんの知恵で なんとかなんないんすか…!?
- 結菜: 私たちの目的は、あの姉妹と 交流することではない…
- 結菜: あくまで、環さんの 概念を回収すること…
- ひかる: …………
- 結菜: それが果たせなければ 何も意味がない…
- 樹里: 馬…おめーちょっと 肩入れしすぎだぞ
- アオ: でも…わたしだって ひかるの気持ち、わかるよ…
- 樹里: …まあ、ちったー…な
- 結菜: 私もよぉ
- ひかる: …結菜さん…
- 結菜: いつも平静にあのふたりを 見ているわけじゃない…
- 結菜: 姉妹の酷な人生の歩みを 見させられてるんだから…
- 結菜: 私たち姉妹の前でねぇ…
- FILENAME: text_519010-19_JSAqV.txt
- 結菜: 私もよぉ
- ひかる: …結菜さん…
- 結菜: いつも平静にあのふたりを 見ているわけじゃない…
- 結菜: 姉妹の酷な人生の歩みを 見させられてるんだから…
- 結菜: 私たち姉妹の前でねぇ…
- ひかる: …………
- ひかる: …わかったっす…
- ひかる: 腹を据えて見守り続けるっす! これからも…!
- アオ: 二木市で争ってたときみたいに ドライにならないといけないね…
- 樹里: 樹里サマたちがこの世界に来て 正解だったかもしれねーな
- 結菜: イヤな経験ばかりが 役に立ってしまうわねぇ…
- 樹里: この後はどうなることやら…
- アオ: …ところでさ~… 気になることがあるんだけど…
- 結菜: …なぁに?
- アオ: 今までは彼女たちの行動で 色々と起きてたよね?
- アオ: そんで、戦士団も大きくなって より影響力も増してきて…
- 樹里: 影響力…って、何の?
- アオ: 世間への、というか…
- 結菜: 時代への…?
- アオ: その辺、まるっとという感じ!
- アオ: …だよね?
- ひかる: そう言われると、まあ…
- 結菜: で、何が気になるのぉ?
- アオ: 周囲への影響力が強まるのなら 関わってくるのかな…?
- アオ: その…歴史ってやつと
- 結菜: つまり、あの子たち自身が 歴史と干渉してくるのでは…と?
- アオ: そうそう!
- アオ: それによっては、今まで以上に 距離感については…
- 樹里: …まー、考える必要はあるわな
- ねむ: ちょうどいい機会だから 少しこの時代について解説するよ
- 結菜: 歴史の授業…ってわけぇ?
- ねむ: そんなところだね 必要な知識だと思うから
- アオ: お願い!
- 樹里: う…勉強か…
- ねむ: 要点だけ説明するよ
- ねむ: 彼女たちのような戦士団… いわゆる“ヴァイキング”は…
- ねむ: じきにいなくなっていく
- アオ: えっ…!
- 結菜: 私たちの生きてる時代を考えれば その結果があったのはわかる…
- 結菜: でも、これからまさに起きる …ってことぉ?
- ねむ: そう…
- ねむ: いずれ大きな戦争が起きて 転換点を迎える
- 結菜: 戦争…
- ねむ: それが…
- ねむ: 「スタンフォード・ブリッジの戦い…」
- FILENAME: text_519010-20_JSAqV.txt
- ねむ: いずれ大きな戦争が起きて 転換点を迎える
- 結菜: 戦争…
- ねむ: それが…
- ねむ: 「スタンフォード・ブリッジの戦い…」
- 結菜: …………
- ねむ: もし、オルガとガンヒルトが 君の言う通り歴史と関わるなら…
- ねむ: その戦争に足を踏み入れる 可能性はあるかもしれない
- ひかる: …そう…っすか…
- アオ: どんな戦争なの…?
- ねむ: どこから話そうか…
- ねむ: …うん、まずは…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: 姉さん、この方針でいい?
- オルガ: …うん…いいよ
- ガンヒルト: …ありがとう…
- ガンヒルト: じゃあ、進めて
- エッベ: おう…
- エッベ: …あのよ 余計なことかもしれないが…
- ガンヒルト: …なに?
- エッベ: お前ら…なんかあったか?
- オルガ: …え?
- ガンヒルト: …いや、別に
- エッベ: …………
- エッベ: …まあ、それならいいけどよ…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …大丈夫だよね、姉さん
- ガンヒルト: わかって…くれたもんね
- オルガ: …う、うん…
- 結菜: …………
- アオ: …明らかに…
- アオ: ギクシャクしてるね…
- 樹里: オルガがまだ心底 受け止め切れてねぇな…
- 樹里: ガンヒルトに 起きちまったことを…
- 結菜: …そうねぇ…
- ひかる: …………
- 樹里: …こっちも やられちまってるなぁ…
- 結菜: …ひかる…
- ひかる: …そりゃ…不安っすよ…
- ひかる: “あの戦い”に、ふたりが 巻き込まれていくとしたら…
- ひかる: 一体、どうなるんすか…
- オルガ: あたしはガンヒルトへの負い目からか あの子との接し方が変わってしまった
- オルガ: 一方のガンヒルトは、あたしにすべてを 打ち明けてから、より一層 戦士団を成長させることに躍起になっていた
- オルガ: その熱中っぷりは凄まじく、時として 周囲を置き去りにして突き進むこともあった
- オルガ: それでも姉妹の戦士団は名を上げ続け イスヴォルはますます発展した…
- オルガ: 傍から見たらいい調子に 見えたかもしれないけど…
- オルガ: あたしは嫌な予感がしていたんだ…
- オルガ: 溜まりに溜まった災厄が 押し寄せてきそうな…予感が…
- ガンヒルト: 姉さん!姉さん!
- オルガ: ど、どうしたの…?
- ガンヒルト: 動くんだよ…!
- オルガ: え…?
- ガンヒルト: 兵を起こすらしいんだ!
- ガンヒルト: ハーラル王が…!
- オルガ: あたしたちの船は…
- オルガ: 進路を見失おうとしていた…
- [Part 1 end]
- ---
- [Part 2 start]
- FILENAME: text_519020-1_QIB0F.txt
- <家族を殺され、スレール(奴隷)と なってしまった姉妹…>
- <オルガ…>
- <そして、ガンヒルト…>
- <彼女たちは、かつて父親に助けられた 戦士・エッベの助力を得たことで スレールの身分から解放され その上、エッベとその戦士団の首領に据えられる という奇跡により人生が一変した>
- <しかし…その『奇跡』には“裏”があった>
- <一連の出来事は、すべてガンヒルトが キュゥべえと魔法少女の契約を交わした ことによる、対価としての『奇跡』だった>
- <この契約により、仲の良かった姉妹の間に 溝が生じてしまった>
- <そして、そんな姉妹の成り行きを 見守る、未来よりやって来た魔法少女たち…>
- <彼女たちは、環いろはの概念を回収する という重要な使命を携えていた>
- <干渉することで歴史に影響を及ぼさないために オルガたちへの直接的な接触を回避している 結菜たちであったが、お互いを思いやるがゆえの 姉妹のすれ違いに、心を痛めていた>
- <そんな折、オルガたちのもとへある報せが…>
- ガンヒルト: 姉さん!姉さん!
- オルガ: ど、どうしたの…?
- ガンヒルト: 動くんだよ…!
- オルガ: え…?
- ガンヒルト: 兵を起こすらしいんだ!
- ガンヒルト: ハーラル王が…!
- ねむ: 「ハーラル3世…」
- ねむ: 「後の世で“苛烈王”と 呼ばれた王だね」
- ねむ: 「彼は苦労の末にノルウェー王位に就き さらにデンマーク王位も狙う野心家だった」
- ねむ: 「でも、長年にわたったデンマーク侵略も 軍事的には成功したものの 征服には至らなかった」
- ねむ: 「で、この攻勢を弱めていた頃に現れたのが 元ノーザンブリア伯の トスティ・ゴドウィンソンだ」
- ねむ: 「彼はイングランド国王となった ハロルド・ゴドウィンソンの弟で 兄の戴冠に異を唱えていた」
- ねむ: 「そして…ハーラルに イングランド征服を持ち掛けた」
- ねむ: 「ハーラルはこの話に乗って 大規模な遠征を計画…」
- ねむ: 「今まさに準備の真っ最中だった」
- オルガ: イングランドへの遠征…
- ガンヒルト: そう!それで…
- ガンヒルト: 私たちもこの遠征に加わろうよ!
- オルガ: ええっ!?な、なんで…!?
- ガンヒルト: ハーラルは強いって聞いている
- ガンヒルト: 若い頃にはノルウェー王位の 争奪戦に敗れたけど…
- ガンヒルト: 亡命先のキエフやビザンツでは 名将と謳われていたらしいんだ
- ガンヒルト: そのハーラルが本気で イングランドを獲りに行く…
- ガンヒルト: これはきっと、勝つよ…!
- オルガ: だからって あたしたちが参戦する理由は…
- ガンヒルト: だから参戦するんだよ!
- ガンヒルト: この戦いの末席に加わって 武勲を立てれば…
- ガンヒルト: きっとハーラルに近づけるはず…
- ガンヒルト: そうすれば、今よりも もっと強大な力が手に入る…!
- ガンヒルト: つまり、私たちは もっと自由になれる…!
- オルガ: …………
- ガンヒルト: 夢の実現は近いよ、姉さん!
- ガンヒルト: この戦争で、きっと…!
- オルガ: ガンヒルト!
- FILENAME: text_519020-2_QIB0F.txt
- ガンヒルト: 夢の実現は近いよ、姉さん!
- ガンヒルト: この戦争で、きっと…!
- オルガ: ガンヒルト!
- ガンヒルト: …………!?
- ガンヒルト: …ど、どうしたの…姉さん?
- オルガ: …違うよ…
- オルガ: やっぱり違うよ、ガンヒルト…
- ガンヒルト: …姉さん…
- オルガ: あたしはただ、船を出して 世界を周りたいって言っただけ…
- オルガ: なのに、あんたはどうして 必要以上に力を求めるの!?
- ガンヒルト: …………
- オルガ: ハーラルに取り入るなんて 全然関係ないじゃない!
- ガンヒルト: 関係あるよ!
- オルガ: うっ…!
- ガンヒルト: 船を出すって言うけど じゃあ、どんな船なの?
- オルガ: そ、それは…父上が 乗っていたような…
- ガンヒルト: 世界中を巡る船なんだよね? あの程度じゃダメだよ
- ガンヒルト: どんな荒波にも嵐にも耐えられる ような強い船でないと…!
- ガンヒルト: そんな船を建造するには元手が かかるし、人も技術も要る…
- ガンヒルト: だから、まずは私たちに 富がなくてはならない…
- ガンヒルト: その基盤がイスヴォル! ここだよ!
- オルガ: …………
- ガンヒルト: 私たちは豊かにならなきゃ いけないんだ…
- ガンヒルト: でないと、夢を乗せた船なんて 作れっこない…
- ガンヒルト: 豊かになるために必要な 力が戦士団…!
- ガンヒルト: だから強化してきた!
- ガンヒルト: そして…今回の話も まさしく好機なんだよ!
- オルガ: …ガンヒルト…あたしは…
- ガンヒルト: わかって…姉さん お願い…
- ガンヒルト: うまくいくよ… 必ずうまくいく…
- ガンヒルト: 私たちの夢は 明日にしかないんだから…
- ガンヒルト: 振り返ったところで 何もないよ…
- オルガ: …………
- オルガ: …そう…かもね…
- ガンヒルト: 姉さん…
- オルガ: 今までもあんたの言う通りに やってきて全部成功した…
- オルガ: そもそも、今の状況はあんたが 身を張って作り出したこと…
- オルガ: 魔法少女になってね…
- ガンヒルト: …………
- オルガ: …わかった…従うよ
- オルガ: 行こう…ハーラルのもとへ
- ガンヒルト: …ありがとう…姉さん…
- オルガ: こうしてあたしたちはハーラル王の イングランド遠征に参加すべく、動き始めた…
- FILENAME: text_519020-3_QIB0F.txt
- 戦士: ほ…っと!
- エッベ: おう!さっさと積み込め! 早く行かねーと遅れちまうぞ!
- エッベ: てめーら!イングランドで 大暴れだぞ!
- 戦士: はっはー!いくぜー!
- 結菜: …意気盛んねぇ
- 樹里: これから戦争だ 血が騒ぐんだろうよ
- 結菜: あなたはどうなのぉ?
- 樹里: こっちは傍観者だろ 外野じゃテンション上がんねーよ
- アオ: 結局、どれだけの人が ハーラル王に従うんだっけ?
- ねむ: ハーラルの軍勢は およそ1万と言われている
- ねむ: 軍船は200隻、あるいは 300隻という記録もあるね
- アオ: オルガたちの船も その中に加わるのかな…
- ひかる: …………
- 結菜: …心配ぃ?
- ひかる: 戦争っすからね…
- 結菜: それでも私たちは…
- ひかる: 見守るだけ…っすよね わかってるっす…
- ひかる: …って、言ってるそばから 来ちゃったっす…!
- オルガ: ユナ、ヒカル、ジュリ、アオ
- ひかる: ど、どうもっす!
- 結菜: …こんにちはぁ…
- オルガ: 聞いたよ 一緒に来てくれるんだって?
- 結菜: ええ
- 結菜: 戦争は何かと物入りでしょぅ? 商売になるかと思ってぇ
- オルガ: でも…危ない目に 遭うかもしれないよ…?
- 結菜: それは覚悟の上よぉ
- オルガ: …そう…
- ひかる: …あ、あの!
- オルガ: …ん?
- ひかる: …初めて会った時みたいに…
- ひかる: 何か話を…教えるっす! イングランドに行っても…!
- 結菜: (ひかる…)
- ひかる: イングランドには く、詳しいっすから…!
- オルガ: …うん!ありがとう!
- オルガ: イングランド行き…エッベたちは 腕が鳴るって楽しそうだけど…
- オルガ: あたしは…
- ひかる: …………
- オルガ: …いや、違う違う…
- オルガ: 遊びに行くわけじゃないけどさ! 楽しみができたよ
- オルガ: …ゆっくり話を聞ける時間が 取れるといいなぁ…
- ひかる: きっと…できるっすよ…!
- オルガ: …そうだね! うん!楽しみにしてるよ!
- ひかる: …………
- 樹里: …お前、イングランドについて 詳しいの?
- ひかる: …そ、それは、その… “先生”頼りというか…
- ねむ: それ、僕のこと?
- ひかる: あ、あはは!その通りっす…!
- 結菜: …やっぱり…いい子ねぇ
- アオ: …だね…
- ひかる: …………
- 樹里: だからこそ 見守り続けてやろうぜ
- 樹里: とことんまでよ…
- ひかる: …っす…
- アオ: 記録を未来に残すことだけが オルガにできることだもんね…
- 結菜: そうねぇ…
- 結菜: …じゃあ、私たちもハーラル軍に 加わる準備をするわよぉ
- 樹里: …おう
- オルガ: 戦いの準備を滞りなく済ませた あたしたち『姉妹の戦士団』は…
- ガンヒルト: 姉さん、いつでも…!
- オルガ: うん…
- オルガ: さあ、船を出すよ!
- エッベ: おうよ!
- 戦士: 櫓を持てー!
- オルガ: イングランドへ足を踏み入れた ハーラルの軍勢と合流すべく イスヴォルを出航した
- オルガ: そして…
- ハーラル: …ん…よし…
- ハーラル: で、次は?
- ハーラル軍の戦士: えー…イスヴォルの オルガとガンヒルト…
- ハーラル軍の戦士: 『姉妹の戦士団』です
- ハーラル: よし、通せ
- オルガ: …は、はじめまし…て…!
- ガンヒルト: お初にお目にかかります
- ガンヒルト: 姉のオルガ、並びにその妹の ガンヒルトでございます
- ガンヒルト: この度はこちらの勝手な 申し入れにも関わらず
- ガンヒルト: 軍の末席にお加えくださったこと 感謝いたします
- ハーラル: なあに 味方は多いに越したことはない
- ハーラル: 戦場での活躍 期待しているぞ
- ハーラル: …ん
- ハーラル軍の戦士: はっ…
- ハーラル軍の戦士: 下がっていいぞ…次!
- オルガ: あ、ありがとうございました…!
- ガンヒルト: 失礼します…
- オルガ: ふぃー… 緊張しちゃった…
- ガンヒルト: …所詮は押しかけの戦士団…
- ガンヒルト: 興味なしってとこね…
- オルガ: う、うん… そんな感じだったね…
- ガンヒルト: でも、大丈夫…見てて…
- ガンヒルト: 戦いが始まったら 必ず振り向かせてみせるから…!
- オルガ: …ガンヒルト…
- オルガ: あたしはよく知らないし まさかとは思うけど…
- オルガ: 魔法少女の力を 使うとかって…
- ガンヒルト: それはあり得ないよ 安心して
- ガンヒルト: あの力は魔女相手に 使うものだから
- ガンヒルト: ただね…魔法少女になってから 私の身体の力がすごい増してるの
- ガンヒルト: 今までは抑えていたけど この大事な戦いでは…
- ガンヒルト: 全力を出すから…!
- オルガ: む、無茶しないでね…!
- ガンヒルト: …うん
- 結菜: …………
- 結菜: (あの口ぶり…)
- 結菜: (まだガンヒルトに対して 距離を作ってるわねぇ…)
- 結菜: …………
- FILENAME: text_519020-4_QIB0F.txt
- オルガ: イングランドでの戦い…
- オルガ: 緒戦が行われたのは ヨーク郊外のフルフォードだった
- オルガ: ハーラルたちを迎え撃つのは マーシア伯エドウィンと ノーザンブリア伯モーカの軍勢で…
- エッベ: そらそらそらー! 行くぞーっ!
- イングランド兵: がっ…!
- エッベ: どうしたオラー!
- エッベ: 俺をヴァルハラへ送れる 奴はいねーのか!?
- イングランド兵: このぉ…!
- エッベ: おう、来い…
- ガンヒルト: はっ!
- イングランド兵: …えっ…
- エッベ: ガンヒルト!?
- ガンヒルト: うらあっ!
- イングランド兵: あうっ…!
- イングランド兵: ぐえっ…
- ガンヒルト: ふぅーっ…
- エッベ: …おいおい、すげーな… こんな強かったか、お前…?
- ガンヒルト: …いいから もっと倒すぞ!
- エッベ: …へへ…おうよ!
- オルガ: ガンヒルト―!
- ガンヒルト: 姉さんは後方で備えていて! 護衛!頼んだよ!
- 戦士: 任せとけ!
- ガンヒルト: …行くぞー!
- エッベ: うっしゃぁぁぁー!
- オルガ: あ…
- オルガ: …………
- オルガ: 緒戦はハーラル軍の勝利で終わった
- オルガ: そして、あたしたち姉妹の戦士団は この戦いにおいておびただしい戦果を挙げた
- オルガ: とりわけガンヒルトは…
- ハーラル: おお!姉妹の戦士団よ!
- オルガ: は、はい!
- ハーラル: …ガンヒルトは…お前か?
- ガンヒルト: はっ…
- ハーラル: そうか!聞いたぞ!
- ハーラル: まるで軍神テュールが乗り移った かのような働きだったとか!
- ハーラル: これでヨークも手に入った… よくやった!
- ハーラル: 我らの侵攻を知ったハロルドは 今頃慌てているだろうな…ふっ!
- ハーラル: 南にいる奴はここまで 北進するのに相当時間がかかる
- ハーラル: その間、ゆっくり足場を 固めるとしよう
- ハーラル: まずはしばし休んで英気を養え! 勇敢なる戦士たちよ!
- ハーラル: …次なる戦いも期待しているぞ
- オルガ: はい…!
- ガンヒルト: はっ!
- オルガ: …すごい、褒められたね
- ガンヒルト: まだまだ…
- ガンヒルト: もっと手柄を立てて 戦士団の名を上げなきゃ
- ガンヒルト: そうなれば、首領の姉さんの 立場は必ずもっとよくなる
- ガンヒルト: そしていずれは ハーラルの側に立つことも…
- オルガ: …そんなことになっても あたし、何をすれば…
- ガンヒルト: 大丈夫だから 私がどうにかする
- ガンヒルト: 頑張ろう、姉さん
- オルガ: …うん
- ガンヒルト: じゃあ、私、やることがあるから 行くね
- オルガ: わかった…
- オルガ: …………
- オルガ: …はぁ…
- オルガ: (あんな大規模な戦闘… 初めてだった…)
- オルガ: (なのに、ガンヒルトは ちっとも怖がらずに…)
- ガンヒルト: うらあっ!
- イングランド兵: あうっ…!
- イングランド兵: ぐえっ…
- オルガ: …………
- オルガ: (凄かった…)
- オルガ: (…いや、凄過ぎるんだよ…)
- オルガ: (あれも魔法少女になって 手に入れた力だっていうの…?)
- オルガ: (…怖い…とても…)
- オルガ: …心配だよ、ガンヒルト…
- オルガ: …え…
- オルガ: …こ、ここは…確か…
- オルガ: あの時と…同じ…!?
- …………
- オルガ: …わあぁぁっ!
- オルガ: な、なに…!?なんなの…!?
- FILENAME: text_519020-5_QIB0F.txt
- …………
- オルガ: …わあぁぁっ!
- オルガ: な、なに…!?なんなの…!?
- ひかる: 魔女っすよ!
- 樹里: またかよ…
- ねむ: どうもオルガを つけ狙っているフシがあるね…
- アオ: ガンヒルトは…!?
- 結菜: 近くにはいないわねぇ…
- ひかる: …助けるべきっす!
- 結菜: …………
- 樹里: でもよぉ…
- ひかる: ひかるがオルガさんのことを どう思ってるとか関係ないっす!
- ひかる: 観察対象が命の危険に さらされてるっす!
- ひかる: 今は戦う時っす!
- 樹里: …むぅ…
- 結菜: …で、見解は?
- ねむ: …あの魔女は…
- ねむ: 僕達の目的を達成する上で 障害となる存在、だね
- ねむ: こうなれば、排除が妥当…
- ねむ: ただし、オルガに自分たちの 正体を悟られないのが望ましいね
- ひかる: やったっす! 了解っす!
- 樹里: 要するに、邪魔なもんは 倒しゃーいいってことだな!
- アオ: よーし!
- 結菜: ふふ…
- 結菜: だったら、ひかる
- 結菜: あなた、遠隔でオルガを保護して 退避させて
- ひかる: 任せるっす!
- 結菜: アオは万が一に備えて オルガの近くにいて
- 結菜: くれぐれも気づかれないように
- アオ: おっけ~!
- 結菜: 樹里は私と 魔女を叩くわよぉ…!
- 樹里: へへ…ウェルダンにしてやんぜ!
- …………!
- FILENAME: text_519020-6_QIB0F.txt
- 樹里: 燃えろこらぁ!
- …………
- 樹里: …ちっ!しぶてーなー!
- 結菜: 一斉に仕掛けるわよぉ…!
- 樹里: おうよ!
- 結菜: それじゃぁ…
- …………
- 結菜: …えっ!?
- 樹里: お、おい! どこ行きやがった!
- 結菜: …退いたみたいねぇ…
- 樹里: 捜そうぜ!
- 結菜: それはダメ
- 樹里: なんでだよ! 不完全燃焼なんだよ!
- 結菜: こっちも思いの外 消耗してるんだから
- 結菜: まずは退けたことで 良しとしましょぅ
- 樹里: はぁ!?
- 結菜: それよりも、ひかるとアオに 合流するのが先決よぉ
- 結菜: オルガの様子が気になるわぁ
- 樹里: ちっ…しゃーねーな!
- 結菜: …どう?
- ひかる: ああ、結菜さん!樹里さん!
- アオ: 魔女は倒せたの!?
- 樹里: 逃げられちまったよ
- アオ: あ、そうなんだ…
- アオ: それで結界が…
- 結菜: で、オルガは?
- ひかる: ひかる軍団で魔女の攻撃に 対応しつつ逃がしたっす!
- ひかる: ひかるの魔法には 気づかれていないはずっすよ
- アオ: それはわたしも保証する
- アオ: 一心不乱に逃げてたしね
- 結菜: わかったわぁ…
- 結菜: となると、あとは…
- オルガ: はぁ…はぁ…
- オルガ: に、逃げ切れた…!?
- ガンヒルト: 「…そこにいるの…姉さん?」
- オルガ: ガンヒルト!
- ガンヒルト: 大丈夫!?
- オルガ: で、出たんだよ…!
- オルガ: この前見たやつの もっとすごいやつ…
- オルガ: 多分、魔女…って言うの? それが…出たの…!
- ガンヒルト: …やっぱり…
- オルガ: 気づいてたの…?
- ガンヒルト: 魔女が出ると、ざわつくんだ 胸騒ぎというか…
- ガンヒルト: それで、この辺を 見回ってたんだけど…
- ガンヒルト: また姉さんが…
- オルガ: ガンヒルト…
- オルガ: やっぱりあんなのを 相手に戦うなんて…
- ガンヒルト: …姉さん…
- オルガ: ねぇ…どうにかしてやめようよ? 魔法少女とかいうの…
- ガンヒルト: …私もできればそうしたい…
- ガンヒルト: けど、今はその方法もわからない だったら…
- ガンヒルト: やり続けるしかないの…
- オルガ: …………
- ガンヒルト: …大丈夫だから、私は ね?
- オルガ: …でも、心配だよ…
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: 姉さん…
- ガンヒルト: ごめんね…
- オルガ: ガンヒルトは後戻りできない… あたしは何もできない…
- オルガ: …本当に辛い時期だった…
- オルガ: 一方で、ヨークを落としたハーラル軍は このまま戦局を有利に進めていく…
- オルガ: …と、あたしたちも思っていたけど…
- FILENAME: text_519020-7_QIB0F.txt
- ねむ: 「ハーラル軍は順調に進軍していた」
- ねむ: 「…さて、攻め込まれた側の方…」
- ねむ: 「つまり、イングランドの国王 ハロルド2世なんだけど…」
- ねむ: 「ハーラル軍の侵攻時には 南部で別の敵に備えていたんだ」
- ねむ: 「でも、ハーラルが攻め入って 来たという情報を聞いて…」
- ねむ: 「ロンドンからヨークシャーまでを わずか4日間で移動してきたんだ」
- ねむ: 「その距離300km 昼夜問わない行軍だったようだね」
- ねむ: 「この電撃的な進軍スピードは ハーラルの予想を遥かに上回った」
- ねむ: 「彼がそれを知った場所こそが…」
- ねむ: 「スタンフォード・ブリッジ…」
- ねむ: 「1066年9月25日のことだった…」
- ハーラル: …今、何と言った…!?
- ハーラルの側近: ハロルド軍が出現!
- ハーラルの側近: 攻め込んで来る構えです!
- ハーラル: ど、どういうことだ!?
- ハーラル: 奴はまだ南の方で ノルマンディー公への備えを…!
- ハーラルの側近: しかし、確かにあれは…!
- ハーラル: バカな…バカなバカなバカな!
- ハーラル: …ハロルドめぇぇぇ!
- ねむ: 「こうしてスタンフォード・ブリッジの戦いは ハロルドが機先を制する形で始まった」
- ねむ: 「やがて、戦支度が整ってなかった ハーラル軍は押され始め…」
- ねむ: 「イングランド軍に包囲された」
- ハーラル: くっ…こ、こんなところで…!
- ハーラル: 俺は死なんぞぉぉぉぉ!
- ガンヒルト: ハーラル様!
- ハーラル: …お、おう!お前は…!
- ガンヒルト: 姉妹の戦士団の…姉さん!
- オルガ: オ、オルガです!
- ガンヒルト: ガンヒルトでございます!
- ガンヒルト: この場は我らが お引き受けいたします!
- ガンヒルト: その間にお逃げください! そして、どうか復讐戦を…!
- ハーラル: そ、そうか…! 助かったぞ…!
- ガンヒルト: さあ!
- ハーラル: うむ!行くぞ!
- ハーラルの側近: はっ!
- ガンヒルト: …………
- オルガ: ガンヒルト! まずいよ、この状況!
- エッベ: いたるところ敵だらけ… 相手には困らねぇなぁ!
- ガンヒルト: ハーラルの退却を支援しながら 私たちもここを離脱するよ
- ガンヒルト: これでハーラル共々生き残れたら 間違いなく大手柄…!
- オルガ: それはそうだろうけど…!
- ガンヒルト: ここが正念場だよ、姉さん!
- ガンヒルト: 必ずこの窮地を切り抜けて さらなる力を手に入れるんだ…!
- ガンヒルト: …うおぉぉぉぉぉぉ!
- オルガ: ガンヒルト!
- FILENAME: text_519020-8_QIB0F.txt
- オルガ: ハーラルに退却を促し あたしたちはその背後を守った
- オルガ: これでハーラルと共に生き残れば 間違いなく勲功第一…
- オルガ: ガンヒルトはそう思って 戦っていたと思う…
- ガンヒルト: はあああっ!
- イングランド兵: ぐあっ!
- エッベ: うらぁっ!
- イングランド兵: うぐっ…!
- オルガ: いりゃっ!
- イングランド兵: ぬうぅ! …やられるかっ!
- オルガ: うわっ!
- ガンヒルト: …ふんっ!
- イングランド兵: …がっ!
- ガンヒルト: 姉さん!怪我は!?
- オルガ: …い、今のところは…
- エッベ: は、ははは! こいつは…
- エッベ: …ヴァルハラへの扉が 開きそうだな…
- ガンヒルト: ハーラルは!?
- エッベ: 今、うちの連中が包囲網に 穴を開けようとしてる
- エッベ: ちったぁ敵も少ないが それでも堅い…!
- ガンヒルト: …でも、それしか手はない…!
- ガンヒルト: 私たちも行こう!
- ガンヒルト: こうなったら戦士団の 総力をぶつけてこじ開ける!
- エッベ: …おう!
- ガンヒルト: やろう、姉さん!
- オルガ: う、うん!
- 樹里: …おい!あのふたり 見つけたか!?
- アオ: ダメ!いないよ! 大混戦で追い切れない…!
- 結菜: しくじったわねぇ…! こうなることは知ってたのに…!
- 結菜: あの子たちに張りつくのが 私たちの仕事なんだから!
- 結菜: 必ず見つけるわよぉ!
- ひかる: もちろんっす…!
- FILENAME: text_519020-9_QIB0F.txt
- オルガ: 進むことも退くこともできないまま…
- オルガ: あたしたちはハーラルと共に 激戦の渦中にいた…
- ハーラル: まだか! 突破できんのか!
- ハーラルの側近: は、はい…いまだ…!
- ハーラル: ぐうっ…!
- ガンヒルト: ハーラル王!
- ハーラル: …ガンヒルトか!
- ガンヒルト: 後方は一旦蹴散らしました! これより突破口を!
- ハーラル: た、頼んだぞ!
- イングランド兵: うおおおおおお!
- エッベ: ぬっ!?
- エッベ: クソッ!前方に手間取り過ぎて また囲まれつつあるぞ…!
- オルガ: はぁ…はぁ…はぁ…!
- イングランド兵: はあっ!
- オルガ: くっ…!
- イングランド兵: はっ!はっ!
- オルガ: うぐっ!
- オルガ: (や、やばい… 受けきれない…!)
- イングランド兵: うりゃぁーっ!
- エッベ: おらっ!
- オルガ: エッベ!
- エッベ: ここは俺が! お頭たちは退いてくれ!
- オルガ: でも…!
- エッベ: もうこの戦は負けだ! とにかく今は退却を!
- オルガ: …………!
- エッベ: 早く!
- オルガ: …くっ!
- オルガ: エッベ!死なないで!
- エッベ: そのつもりだよ…!
- イングランド兵: ふんっ!
- エッベ: うらぁっ!
- エッベ: …行け!逃げ道を作れ!
- ガンヒルト: …くっ…!
- ガンヒルト: やるしかないよ、姉さん!
- オルガ: …うわぁぁぁぁっ!
- イングランド兵: がはっ…!
- エッベ: へへ!いいじゃねぇか!
- エッベ: そうだ!首領は強さを 見せねぇとな!
- エッベ: おめーはやれる! この先も、俺たちを…!
- イングランド兵: おうらっ!
- エッベ: …けっ!
- エッベ: 今、話の途中なんだ! 邪魔すんじゃ…
- イングランド兵: うおおおおおっ!
- エッベ: …んぐっ!
- エッベ: ちっ…敵わねぇからって こいつら束できたか…
- エッベ: …あーあ…
- エッベ: …お、俺はここまで…だな…
- エッベ: …逃げろ…よ…
- オルガ: エッベ…!?
- オルガ: ガンヒルト! エッベが!エッベが…!!
- オルガ: …あれ…?ガンヒルト…?
- オルガ: ガンヒルト… ガンヒルトーっ!
- オルガ: どこ…どこにいるの!
- オルガ: (…ついに…こんなことに なってしまった…)
- オルガ: (ガンヒルト… みんな…ごめん…)
- オルガ: (あたしだ…あたしのせいだ…)
- オルガ: (すべての始まりは… あたしなんだ…!)
- オルガ: あたしが…ガンヒルトに 夢なんて語らなければ…!
- ガンヒルトの声: …夢…?
- オルガ: …あ!ガンヒル…
- オルガ: …ト…
- ガンヒルトの声: 姉さんの夢があったから… 生きて…これたんだよ…
- ガンヒルトの声: 私は…
- オルガ: ガンヒル…ト…
- オルガ: そ…そんな…!
- オルガ: そこであたしが見たのは…
- オルガ: いくつもの剣に体を貫かれた ガンヒルトの姿だった…
- FILENAME: text_519020-10_QIB0F.txt
- オルガ: あたしが…ガンヒルトに 夢なんて語らなければ…!
- ガンヒルトの声: …夢…?
- オルガ: …あ!ガンヒル…
- オルガ: …ト…
- ガンヒルトの声: 姉さんの夢があったから… 生きて…これたんだよ…
- ガンヒルトの声: 私は…
- オルガ: ガンヒル…ト…
- オルガ: そ…そんな…!
- オルガ: そこであたしが見たのは…
- オルガ: いくつもの剣に体を貫かれた ガンヒルトの姿だった…
- オルガ: ガ…
- オルガ: ガンヒルトー!!
- 結菜: …!?
- 結菜: …みつけたわぁ!オルガと…
- 結菜: …えっ!?
- ひかる: ど、どこっすか…!?
- ひかる: …あ…!
- アオ: け、剣が…あんなに…!?
- 樹里: 落ち着け よく見ろ
- 樹里: ソウルジェムは砕けてねぇ …ってことは、だ
- ひかる: そ、そうっす!ガンヒルトさんは 魔法少女だったっす…!
- ひかる: ソウルジェムが無事なら まだ死ぬことはないっす!
- 結菜: …………
- 結菜: …だけど…
- 結菜: 周りの方は…
- ガンヒルト: 姉さん…私… 大丈夫だから…
- オルガ: でも、こんなに刺されて…!
- ガンヒルト: …ふ…ふふふ!平気なの… 平気なんだよ!姉さん!
- ガンヒルト: 私、死なないから…!
- ハーラル: …そ、その怪我で 動けるのか…!?
- ガンヒルト: …はい!ハーラル王!
- ガンヒルト: 実は私には不思議な力が 備わっているのです…!
- ガンヒルト: 仔細は知りませんが、おそらく その力の恩恵がこれなのです!
- ガンヒルト: 伏せておりましたが こうなったら仕方ありません
- ガンヒルト: この力を用いて きっとこの包囲も…!
- ハーラル: …ひ、ひぃぃぃ!
- ガンヒルト: …ハーラル王?
- ハーラル: お、お前、人なのか…!?
- ガンヒルト: …私…ですか?
- ハーラル: そのように刺されて 生きている人などおるまい!
- ハーラル: な、何者なのだ、お前は…!
- ガンヒルト: 私が…人であるか…と?
- イングランド兵: うおおおっ!
- ハーラル: …ぬっ!?
- ガンヒルト: 危ない!
- オルガ: 「ガンヒルト!」
- ガンヒルト: …………
- イングランド兵: ど、どうだ…!
- ガンヒルト: …ふんっ!
- イングランド兵: …げっ…
- イングランド兵: な、なんで…
- ガンヒルト: ご無事ですか、ハーラル王
- ハーラル: …う、うわぁぁぁっ!
- ハーラル: お前…どうして生きている…! なんで死なない!
- ガンヒルト: ですから、私に宿った 力によるもので…
- ハーラル: よ、寄るな!
- ガンヒルト: …えっ…?
- ハーラル: 寄るな寄るな!
- ハーラル: そのような力… きっと呪いの類に違いない!
- ひかる: …く、雲行きが怪しいっす…!
- 結菜: マズい空気ねぇ…
- ひかる: な、何かした方がいいっす! 助け船を出すっす!
- 樹里: い、いや、そうは言っても 何をすれば…
- ねむ: 手出し無用だよ
- ひかる: なんでっすか!
- ねむ: ハーラルの前に出るなんて 間違いなく過干渉だよ
- ねむ: 彼はこの歴史的な戦いの 最重要人物なんだから
- ひかる: そんなの…!
- ねむ: いいんだ
- ねむ: 今、この展開こそが 本に刻まれた内容だったんだ
- 結菜: …え?
- 結菜: …まさか…!?
- ひかる: もう我慢できないっす!
- 結菜: …待ちなさい!
- ひかる: 結菜さんまで…!
- 結菜: ひかる…!
- 結菜: ここは私たちも… 試される場面よ
- ひかる: 何を言ってるんすか…!?
- ねむ: …………
- ハーラル: もしや…我が軍がこのような 窮地に追い込まれたのも…
- ハーラル: お前の呪いのせいでは ないのか…!?
- ガンヒルト: …い、いや、そんなことは…!
- ハーラル: 不死など…ヴァルハラにも 行けぬではないか!
- ガンヒルト: …私が…ヴァルハラに… 行けない…?
- ハーラル: …そうか…! わかったぞ…!
- ハーラル: お前を滅すればよいのだ…!
- ガンヒルト: …今、なんと…?
- ハーラル: 呪われているお前こそが 災いのもと…!
- ハーラル: ならば、お前を滅すれば 俺は生き延びる…!
- オルガ: お、お待ちください! これには理由が…!
- ハーラル: や、やれ! 姉妹共々…滅するのだ!
- ハーラルの側近: し、しかし、滅するとは…!?
- ハーラル: バラバラにしろ! 動けぬように切り刻め!
- オルガ: やめてください! ハーラル王!
- ガンヒルト: …………
- ハーラル: やれーっ!
- ハーラルの側近: …う、うおおおおおっ!
- ガンヒルト: …があああああっ!
- ハーラルの側近: …うっ…!
- ガンヒルト: …ハーラル!
- ガンヒルト: 姉さんを…姉さんを 殺そうとしたな…!
- ハーラル: く、来るな…!
- ガンヒルト: ここまで尽くしたのに…! 姉さんを…
- ガンヒルト: 殺そうとしたなーっ!
- ハーラル: んぐっ…!
- ガンヒルト: …………
- ガンヒルト: …お前の威勢も取り込んで 夢を…叶えるはずだった…
- ガンヒルト: それが…どうして… こんな結果に…
- ガンヒルト: 夢が…
- ガンヒルト: 夢が…終わってしまう…
- ガンヒルト: …うわあああああああっ!
- オルガ: ガンヒルト!
- FILENAME: text_519020-11_QIB0F.txt
- ガンヒルト: 夢が…
- ガンヒルト: 夢が…終わってしまう…
- ガンヒルト: …うわあああああああっ!
- オルガ: ガンヒルト!
- ガンヒルト: うう…うあっ…!
- オルガ: どうしたの…!? ガンヒルト!
- 樹里: ソウルジェムが…!
- アオ: 濁っていく…!
- ひかる: ああ…!
- 結菜: …………
- ひかる: グ、グリーフシードっす! とにかくグリーフシードっす!
- アオ: 確かに…今ならもしかして…!
- ひかる: 急がないと…!
- 結菜: …もう無理よぉ…
- ひかる: 結菜さん! 急にどうしたんすか!
- ひかる: なんで何もしようと しないんすか!
- ひかる: 姉妹が… 壊れようとしているんすよ!
- 結菜: …そう…
- 結菜: 本に書いてあったんでしょ?
- ひかる: …え…!?
- ねむ: …………
- ガンヒルト: …姉さん…どこにいるの…
- オルガ: ここだよ!ガンヒルト!
- ガンヒルト: 姉さん…ごめんなさい…
- ガンヒルト: 私が…ハーラルを…
- オルガ: ガンヒルト!ガンヒルト!
- ガンヒルト: 私は…姉さんの夢を… 実現したくて…
- ガンヒルト: この戦いに勝てば… それもきっと…って…
- オルガ: ガンヒルト!しっかり!
- ガンヒルト: …いや…違うか… そうじゃない…
- ガンヒルト: 私…楽しくなってたんだ…
- ガンヒルト: 戦士団が…集落が 大きくなっていくのが…
- ガンヒルト: 姉さんの夢にかこつけて… 私は…私のやりたいように…
- ガンヒルト: …うっ…!
- オルガ: …ガンヒルト!?
- ガンヒルト: 私…ちゃんと…
- ガンヒルト: …ヴァルハラへ…行けるかな…?
- オルガ: ガンヒルト!ガ…
- 結菜: 離れなさい
- オルガ: …えっ!?
- オルガ: …あ、あんた…!? どうしてこんなところに…!?
- 結菜: 行くわよぉ…
- オルガ: ちょ、ちょっと待って…!
- オルガ: ガンヒルト―!!
- ガンヒルト: …ううううううああああああっ!
- FILENAME: text_519020-12_QIB0F.txt
- ガンヒルト: 私…ちゃんと…
- ガンヒルト: …ヴァルハラへ…行けるかな…?
- オルガ: ガンヒルト!ガ…
- 結菜: 離れなさい
- オルガ: …えっ!?
- オルガ: …あ、あんた…!? どうしてこんなところに…!?
- 結菜: 行くわよぉ…
- オルガ: ちょ、ちょっと待って…!
- オルガ: ガンヒルト―!!
- ガンヒルト: …ううううううああああああっ!
- オルガ: …………
- オルガ: …う…うう…
- オルガ: …ここは…
- オルガ: …え…?…まさか…
- 結菜: …結界ねぇ…
- オルガ: 結界…?
- オルガ: …ガンヒルト…? ガンヒルトは…!?
- オルガ: ガンヒルト!ガンヒルトー!
- アオ: いたっ!
- 樹里: ひとまずは、無事みてーだな
- ひかる: …………
- オルガ: あ、あんたたち…
- 結菜: …今からあなたにとって とても辛いことが起きるわぁ…
- 結菜: 覚悟を…しておいて…
- オルガ: 辛いこと…?
- 結菜: …来る!
- …………
- オルガ: …あ、あれって、もしかして…
- 結菜: 魔女…ねぇ
- オルガ: こ、こんな時に…!
- 結菜: こんな時だから 出てきたのよぉ…
- オルガ: …え?
- 結菜: あれは…
- 結菜: ガンヒルト…だったものよぉ…
- FILENAME: text_519020-13_QIB0F.txt
- 結菜: あれは…
- 結菜: ガンヒルト…だったものよぉ…
- オルガ: …………
- オルガ: …は…?
- …………!
- ひかる: うっ! 仕掛けてきそうっす!
- …………!
- 結菜: …くっ!
- オルガ: うわっ!
- 結菜: …大丈夫?
- オルガ: …そ、その姿…!?
- 結菜: みんなは?
- 樹里: おう…
- アオ: 問題ない…
- ひかる: …っすけど…
- 結菜: …私はこの子を連れて 一旦引くから…
- 結菜: 足止め、よろしくねぇ
- 樹里: おう…!
- アオ: やってみる…!
- ひかる: …………
- 結菜: ひかる…あなたとの話は また後でねぇ…
- ひかる: …っす…
- 樹里: んじゃあ、樹里サマから 始めるぞー!
- …………!?
- 結菜: 距離を取るわよぉ…!
- オルガ: え…?え…?
- 結菜: …これだけ離れていれば…
- 結菜: うん、大丈夫そうねぇ…
- オルガ: …………
- オルガ: …どうなってんの…?
- 結菜: …………
- オルガ: どうなってんの… なにもかも…
- オルガ: …ねぇ …知ってるのなら教えて…
- オルガ: ガンヒルトに… ガンヒルトに…
- オルガ: 何が起きたの…!? ねえ!どうしちゃったの!
- オルガ: あたしの妹は…!
- 結菜: …………
- 結菜: …さっき出てきたのは魔女
- 結菜: ガンヒルトの… 魔法少女の成れの果て…
- オルガ: 成れの…果て…?
- 結菜: 魔法少女は内に穢れを溜め込む…
- 結菜: そして、魔法を使ったりした 時にねぇ…一気に溢れ出す…
- 結菜: やがてソウルジェムに 穢れが満ちた時…
- 結菜: 魔法少女は魔女になる…
- オルガ: …魔法少女が…魔女に…
- 結菜: 魔女になったら もう元には戻れない…
- 結菜: だから、ガンヒルトは…
- オルガ: …………
- オルガ: …うっ…うう…うっ…
- 結菜: …………
- オルガ: あ…あたしの…せいだ…!
- オルガ: あたしが…つまらない夢を あの子に聞かせたばっかりに…!
- オルガ: 生き方を… 狂わせてしまったんだ…!
- オルガ: …ごめん…ガンヒルト… ごめんね…ううっ…
- 結菜: …………
- 結菜: …あなたが背負い込むことは ないと思うわぁ…
- 結菜: 彼女は自分の意思で魔法少女に なると決めたんだからぁ
- オルガ: で、でも…あたしが 語った夢を実現しようとして…!
- 結菜: あくまでそれはきっかけで…
- 結菜: やっぱり、最後にあったのは 自分の意思、でしょぉ
- オルガ: …それは…! ううっ…!
- 結菜: …あなたもぉ…
- 結菜: 自分の意思をもって 運命と対峙してちょうだぃ…
- 結菜: じゃあ…
- オルガ: …ど、どこへ…!
- オルガ: …え…あ、あれは…!?
- FILENAME: text_519020-14_QIB0F.txt
- …………!
- アオ: うわっ!
- 樹里: 怯んでんじゃねぇよ!
- ひかる: …………
- 樹里: おめーはもっと気合入れろ! こんくらいやりやがれ!
- …………!
- 樹里: …でねーと…
- 樹里: なんか、よくねーよ… ガンヒルトに…
- ひかる: …わかってるっす…
- ひかる: …でも…
- 結菜: お待たせぇ
- 樹里: おう オルガは?
- 結菜: こことは十分 離れた場所にいるわぁ
- 樹里: うっし…
- 樹里: じゃあ、やるか… 本腰入れてよ…!
- 結菜: …待って…
- 結菜: 私たちが戦う …べきなのかしらぁ?
- 樹里: …はぁ?
- 結菜: …私たちの目的は…
- 結菜: オルガとガンヒルトを追って 環さんの概念を回収すること…
- 樹里: 何をいまさら…
- 結菜: 環さんは魔法少女を見守っていた
- 結菜: そして、ガンヒルトが 魔法少女になった…
- ひかる: …なんの確認っすか…?
- 結菜: 私たちは、とにかく彼女たちに 干渉し過ぎないよう配慮したわぁ
- 結菜: その人の人生は…運命は… その人だけのもの…
- 結菜: 時代が違う私たちが 関わり過ぎてしまうと
- 結菜: 何らかの影響を与えてしまう 可能性が高かった
- 結菜: だから、基本的には 傍観に徹していた
- 樹里: つべこべ言ってねーで 戦うぞ!
- 結菜: 戦うのは…
- 結菜: やっぱり、あの子よぉ
- 樹里: …あの子…?
- 結菜: ほらぁ…
- オルガ: …………
- FILENAME: text_519020-15_QIB0F.txt
- オルガ: …………
- ひかる: …ええっ!?
- アオ: あれは…
- 樹里: オルガ…!?
- 結菜: …………
- 結菜: キュゥべえと 契約したのねぇ…
- オルガ: …うん…
- 結菜: 何を…願ったの…?
- オルガ: …………
- オルガ: ガンヒルトを…
- オルガ: ヴァルハラへ送り出せる 力が欲しい…って
- 結菜: そう…
- ねむ: …お姉さんの概念が急速に 集まりだしたということは…
- オルガ: いくよ…ガンヒルト!
- …………!
- ひかる: オルガが魔法少女になって 概念が集まるからって
- ひかる: 何がどうなってるんすか!
- 結菜: 簡単な話よぉ
- 結菜: 環さんが見守っていた魔法少女は オルガだった
- 結菜: ただ、それだけ…
- 樹里: はぁ!?
- アオ: あっ…
- アオ: でも、調査対象の情報からして 曖昧だからなぁ…
- ひかる: そうっすねぇ…整理すると…
- ひかる: まず「この村に住む姉妹」で…
- ひかる: 名前は「オルガとガンヒルト」…
- ひかる: で、「魔法少女がひとり生まれ 魔女を倒す」…って言われても
- ひかる: どっちが魔法少女になるのかも わからないっすからね…
- アオ: バグのせいで まさに“虫食い”だね…
- アオ: た、確かに…!
- 結菜: 『魔法少女が ひとり生まれ、魔女と戦う』
- 結菜: まさに、今の状況ねぇ…
- アオ: …そうか…!
- アオ: 魔女と戦うために… ひとりの少女が契約した…!
- 結菜: これなのよぉ…
- 結菜: この姉妹の戦いこそが 本に書かれていたのよ
- ひかる: …か、書かれていた…!?
- ひかる: …虫食いは…?虫食いが どうのっていう話は…!?
- 結菜: 私たちに対して 嘘をついていた…ってとこぉ?
- ねむ: …………
- ひかる: 嘘…? な、何を言ってるんすか!?
- 結菜: …そろそろ 本当のところを教えてくれるぅ?
- ねむ: …ふむ…
- ねむ: それもそうだね もう最終局面だ
- ひかる: え?…ちょ、ちょっと…
- ねむ: 伝えた情報は確かに 本に書かれていた内容だ
- ねむ: …しかし、僕の方で 意図的に“調整”したんだ
- ねむ: 皆に対して、仔細までを 克明に伝えないようにね
- 樹里: …なんだとぉ!?
- アオ: そ、そんなことに何の意味が!?
- ねむ: 今のこの状況…
- ねむ: つまり、姉妹が相争う運命で あると最初から知ってたら?
- ねむ: 皆はどういう行動に 出ていたかな…?
- 結菜: …………
- アオ: …それは…
- 樹里: …いや、ちゃんとそこは…!
- ひかる: …………
- ねむ: …同時に…
- ねむ: この時代での任務は最終的に 皆が適任だと考えた
- ねむ: 二木市で固い絆を結び… 過酷な運命に抗う覚悟を決め…
- ねむ: “姉妹”となった君達なら…
- 結菜&樹里: …………
- アオ&ひかる: …………
- ねむ: 他の魔法少女たちには 任せられなかった
- ねむ: しかし、念のための 保険はかけておきたかったんだ
- ねむ: 今回の仕掛けは、僕の役目である “案内”だったんだよ
- 結菜: …方便ねぇ…
- ねむ: …………
- 結菜: …でも…
- 結菜: 事情はわかったわぁ
- 結菜: そもそも、過干渉しないことは 同意しているしねぇ…
- 樹里: …だな
- アオ: うん…
- ひかる: …………
- 結菜: …どうなの、ひかる?
- ひかる: …詳細を隠されていたことは 正直、怒ってるっす…
- ひかる: でも、最初に言われたら 確かに…何かしてたと思うっす…
- ひかる: だから… 受け入れるっす…
- ひかる: 今、目の前で起きている 現実を…
- …………!
- オルガ: うりゃぁぁぁぁっ!
- FILENAME: text_519020-16_QIB0F.txt
- …………!
- オルガ: うりゃぁぁぁぁっ!
- オルガ: ぐっ…!
- …………
- オルガ: ガンヒルト…
- オルガ: ガンヒルト…!
- オルガ: (あたし…)
- オルガ: (ダメな姉だったね…)
- オルガ: (変なことばかり あんたに吹き込んだりして…)
- オルガ: オーディンはヴァルハラという 館を持っているでしょ?
- ガンヒルト: うん 昔、父上に教えてもらったよ
- ガンヒルト: 戦って死んだ戦士が ヴァルハラに行くんだって
- オルガ: そうそう!
- オルガ: ヴァルハラに行ける戦士は 『エインヘリャル』と呼ばれて…
- オルガ: 死んだ時、ワルキューレが 迎えに来るんだよ!
- ガンヒルト: それも聞いたことがある
- ガンヒルト: でも、ワルキューレって どんな人なの?
- オルガ: 戦士団みたいにいっぱい いるらしいよ
- オルガ: 馬に乗って天を駆けるんだって!
- ガンヒルト: 天を…!へー!
- ガンヒルト: いつか私も… 連れていってくれるかな…?
- ガンヒルト: …あ、でも、戦士じゃないとね… 今のこの状況じゃ…
- オルガ: だーかーらー! 神々の導きがあるって!
- ガンヒルト: でた…!
- オルガ: きっとあるから!
- オルガ: 死に方だって 自由に選べるよ!
- ガンヒルト: だといいけど…
- オルガ: 姉さんを信じなさい!
- ガンヒルト: ふふ…はいはい
- …………!
- オルガ: (あたしを信じた結果が…)
- オルガ: (こんなことに…!)
- オルガ: (だから…せめて…!)
- ガンヒルト: 「いつか私も…」
- ガンヒルト: 「連れていってくれるかな…?」
- オルガ: 連れていってあげるよ…!
- オルガ: あたしが…きっと…!
- FILENAME: text_519020-17_QIB0F.txt
- …………
- …………!?
- オルガ: …はぁ…はぁ…
- 結菜: …………
- 樹里: やったな…
- アオ: うん…
- ひかる: …終わった…っすね…
- アオ: …って、うわぁっ!
- ひかる: そうだったっす…! まだイングランドと…!
- 結菜: 変身の解除を…!
- ねむ: 慌てなくていいよ
- ねむ: 偽装効果は続いている
- 樹里: そ、そうなのか…?
- ねむ: ただ…
- イングランド兵: …嘘だろ…
- イングランド兵: お、おい!あれを見ろ!
- イングランド兵: 馬が空を飛んでる…!
- イングランド兵: 乗っているのは誰だ…!?
- ハーラル軍の戦士: …ワルキューレだ…
- ハーラル軍の戦士: ワルキューレが 迎えにきてくれたんだ!
- ハーラル軍の戦士: これでいつでも死ねる! さあ、かかってこい!
- ハーラル軍の戦士: ヴァルハラだ! ヴァルハラへ行けるんだ!
- イングランド兵: な、なんだこいつら!
- イングランド兵: このぉ!
- ハーラル軍の戦士: はっはー! どうした、そんなもんか!
- ハーラル軍の戦士: 俺はエインヘリャルだぞ! もっとこいや!
- オルガ: …………
- アオ: あ、行っちゃった!
- ねむ: 概念の回収はまだ途中だね
- 結菜: 追うわよぉ!
- 樹里: うしっ…!
- ひかる: …とことんまでつき合わせて もらうっす…!
- ねむ: 「…この戦いにおいて ハーラル3世は“戦死”とされ…」
- ねむ: 「トスティ・ゴドウィンソンも戦死 イングランド軍の圧勝で終わった」
- ねむ: 「ハーラル軍の壊滅的な敗北は…」
- ねむ: 「ヴァイキングの時代が幕を引く 契機となったんだ…」
- FILENAME: text_519020-18_QIB0F.txt
- オルガ: 魔女となったガンヒルトを あたし自身の手で倒した後…
- オルガ: あたしは、ただひたすらに彷徨い歩いた
- オルガ: 止まったら…どうにか なってしまいそうな気がして…
- オルガ: …………
- オルガ: (ガンヒルト…)
- ガンヒルト: 姉さん!
- ガンヒルト: 姉さん…
- ガンヒルト: 姉さん…!
- オルガ: …ガンヒルト…
- オルガ: 気がつくと、あたしは再び 戦場に舞い戻っていた…
- オルガ: いや、“戦場だった所”か…
- オルガ: そこには誰もおらず、ただ屍が転がっていた
- オルガ: 後に聞いた話だけど…
- オルガ: ハーラル王は300隻の船を 率いてイングランドに来た
- オルガ: でも、敗残兵が逃走する際は 24隻しか残っていなかったとか…
- オルガ: 人がたくさん、死んだ…
- オルガ: そう思うと、あたしは膝から崩れ落ちた
- オルガ: …うっ…ううっ…
- オルガ: ガンヒルト… エッベ…みんな…!
- オルガ: あたしだけが… 生き残ってしまったの…?
- オルガ: …………
- オルガ: 泣いていたあたしは 何者かに取り囲まれていた
- オルガ: それは…
- …………
- オルガ: …そう…
- オルガ: まだ戦えってのね…
- オルガ: これが…魔法少女の運命… …ふふ…
- オルガ: …でもね… 今は気分じゃないの…
- オルガ: …好きにすれば…
- …………
- オルガ: (よかった… これであたしも終われる…)
- オルガ: (もう十分戦った…)
- オルガ: (あたしも…ヴァルハラへ…)
- ???の声: 「なにやってるんすか!」
- オルガ: …え?
- FILENAME: text_519020-19_QIB0F.txt
- オルガ: (もう十分戦った…)
- オルガ: (あたしも…ヴァルハラへ…)
- ???の声: 「なにやってるんすか!」
- オルガ: …え?
- オルガ: 誰…!?
- ひかる: オルガさん! 自分っす!
- オルガ: ヒカル…
- 樹里: おらおらおら!
- …………!?
- 樹里: ぼさっとしてんな!
- アオ: こっからどんどん 来ちゃうはずだからね~!
- オルガ: ジュリ…アオ…
- オルガ: そういえば…あんたたち…
- オルガ: …………
- オルガ: …魔法少女…?
- 結菜: その通りよぉ
- オルガ: ユナ…!
- 結菜: ちょっと訳があって 一緒に居させてもらったのぉ
- オルガ: 訳…?
- 結菜: それを話している暇は 今ちょっとないんだけどぉ…!
- …………!
- 結菜: 生き残ったのなら…
- 結菜: とことんまで生きてみなさい
- オルガ: …生きる…
- 結菜: いい?簡単に死なないこと
- 結菜: あなたが命を長らえたのは 何か意味があるのよぉ
- ひかる: そうっす!
- オルガ: ヒカル…!?
- ひかる: オルガさん!
- ひかる: …申し訳ないっす…
- オルガ: …な、なんで謝るの…?
- ひかる: …でも…
- ひかる: 立ち上がってほしいっす!
- ひかる: つらくても…! 歯を食いしばって…!
- アオ: まだゲームオーバーじゃない! コンティニューしようよ!
- オルガ: …え?ゲーム…?
- 樹里: そうだそうだ!
- 樹里: そうしねーと、先に逝った 仲間にぶっ飛ばされんぞ!
- 樹里: こんな風に…よっ!
- オルガ: あぐっ!
- オルガ: け、蹴られた…!?
- 樹里: そのまま突っ走って 夢でもなんでも叶えてこい!
- ひかる: 行くっす!
- ひかる: 振り向かず、真っ直ぐに!
- オルガ: …………
- オルガ: …な、なんなんだよ! もぉぉぉぉぉぉ!
- …………!
- ひかる: …ふぅ~…
- ねむ: どういうことかな?
- 樹里: どうもこうもねーよ
- 樹里: ヘタってたから 気合入れてやったんだ
- ねむ: 今のは少々干渉が…
- 結菜: 回収は終わったんでしょぅ?
- アオ: だったら、あれくらい…ねぇ?
- ひかる: 許容じゃないっすか?
- ねむ: …………
- ねむ: ま、確かに許容かな
- 結菜: それよりも そろそろ前座が終わりそうよぉ
- 結菜: オルガを追っかけてきそうなのが …出てくるんでしょぅ?
- …………
- 結菜: …ほらぁ
- アオ: 来た来た!この前のだ…!
- 樹里: へへ…今日こそは 丸焦げにしてやんよ…!
- ひかる: だぁーっ!
- 樹里: なっ!?お、おい!馬! 樹里サマより先に…!
- ひかる: 今日のひかるは…
- ひかる: 一味違うっす!
- FILENAME: text_519020-20_QIB0F.txt
- オルガ: ジュリに蹴飛ばされて…
- オルガ: …いや、励まされたのかな…
- オルガ: とにかく、あたしは真っ直ぐに走った…
- オルガ: そして…
- オルガ: …あ…
- オルガ: 海に出た…
- オルガ: …………
- 結菜: 生き残ったのなら…
- 結菜: とことんまで生きてみなさい
- オルガ: …生きる…
- 結菜: いい?簡単に死なないこと
- 結菜: あなたが命を長らえたのは 何か意味があるのよぉ
- オルガ: …………
- オルガ: …海は…綺麗だね…
- オルガ: …………
- オルガ: (…ガンヒルト…ごめん…)
- オルガ: (あたしだけ生き残って…)
- オルガ: (あんたを送って もう死んでもいいと思ってた)
- オルガ: けど…
- オルガ: あたしが死んだら… あんた、怒りそうだよね…
- オルガ: あれだけあたしの夢を 叶えるために頑張ってくれたし…
- オルガ: それなのに、あたしが諦めて 死んじゃったら…ね…
- オルガ: …………
- オルガ: …ガンヒルト… やってみるね…あたし…
- オルガ: できるだけ、生きてみるよ…
- オルガ: そして、世界中を 見て回ってきて…
- オルガ: いつかヴァルハラで 話してあげる…
- オルガ: 昔みたいにさ…
- オルガ: 「だから、もうちょっと待ってて…」
- 結菜: …………
- ねむ: もうこの時代でやることはないよ
- ねむ: さあ、帰ろう
- 結菜: …そうね…
- 結菜: みんな、行くわよぉ
- アオ: うん…
- アオ: でも、大丈夫かな…?
- 樹里: ま、心配ないだろ あの様子ならな
- ひかる: 同感っす!
- ひかる: もうしっかりと立ち上がって 夢の行方を追ってるっす!
- ひかる: そうっすよね…
- ひかる: 『夢見がちのオルガ』…さん!
- オルガ: …………
- オルガ: 風が…出てきたかな…
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