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- FILENAME: text_103001-1_km1wv.txt [Episode 1]
- 灯花: 佐鳥かごめ
- かごめ: はい!?
- 灯花: これだけは約束してくれるかにゃ
- かごめ: な、なに…?
- 灯花: 絶対に手記を止めないこと 多くの魔法少女に取材すること
- 灯花: 今まで通り、魔法少女たちから 手記に魔力を込めてもらうこと
- 灯花: それを命を落とすまで続けて
- かごめ: あのときの光景が頭から離れないまま、 灯花ちゃんが残した呪いのような言葉が、 怖じ気づいた私の心を何度も刺してくる。
- かごめ: 私が逃げないように、 魔法少女たちが生きる姿を写し取った私の手記に 新しい役割を与えて、楔を打ち込んだんだ。
- かごめ: その役割は何かわからないし 意識を失った彼女に聞くことはできないけど、 私は手記をまとめ続けようと思った。
- かごめ: いろはさん、ういちゃん、灯花ちゃん、ねむちゃん 4人の誰かひとりでも欠ければ 消えてしまうという桜子ちゃんが生きていて
- かごめ: その桜子ちゃんが 灯花ちゃんとねむちゃんの作戦は 成功したって言っていたから…。
- かごめ: その一方で、心を蝕むような出来事は、 いろはさんたちの方でも起きていた…。
- かごめ: ひとつは、キュゥべえによる “自動浄化システムの支配”が発覚したこと。
- かごめ: それによって被膜を失った神浜市は、 キュゥべえが入れる町に戻ったばかりか 魔法少女の穢れが回収されずに魔女になる、 普通の町になってしまった。
- かごめ: そしてもうひとつショックを受けたのは、 再び現れたネオマギウスに、 4人の魔法少女が付いていってしまったこと…。 あれから事態は悪化して波及していき、 他にも魔法少女が消えていることが判明した。
- かごめ: そのメンバーは、静香さんの境遇と同じように しきたりとして願いを叶えた分家の子たち。 そして、笠音さんがリーダーを務める 蛇の宮のメンバーの一部だった。
- かごめ: そして、神浜市の東に住む魔法少女たちには 十七夜さんからメッセージが届いていたみたいで 今回の身勝手な行動に関する謝罪と 宣戦布告が記されていたことから 誰も付いていく人はいないようだった。
- かごめ: こうした経過をたどる中で、 キュゥべえから自動浄化システムを 奪い返すために戦う機会は、 夢幻のように霧散してしまった…。
- かごめ: (でも、魔法少女だけが 問題を抱えてるわけじゃない…)
- うらら: うん、教授はもう 魔法少女を救うのは諦めてるんよ
- かごめ: ――っ!?
- うらら: かごめちゃんと会ったあとで
- うらら: 魔法少女を世間に広めることで 悲しい結末を迎えることを知って
- うらら: やめてしまったんよ…
- うらら: だから、かごめちゃんが ウチらの戦いをまとめてるのも
- うらら: 意味がないはずなんよ…
- かごめ: 悲しい結末ってなんだろう リィちゃん…
- いろは: 皆さんにキモチの石を返してから 特に異変ってありませんか?
- 結菜: えぇ、私は平気よぉ
- ひかる: 樹里さんも何もないって 言ってたっす
- ちはる: わたしも特に異変はなし! この通りピンピンしてるよ!
- さな: いろはさんに キモチの石を集めたときみたいに
- さな: 特に暴走しませんでしたね…
- 都 ひなの: 何もない分にはいいことだが、 少し拍子抜けだったな
- フェリシア: 前はキュゥべえが操ろうとして 暴走したんだろ?
- フェリシア: 失敗したから諦めたんじゃね?
- 鶴乃: 案外そうかも
- 鶴乃: わたしたちがブレスレットで キモチを押さえてる以上
- 鶴乃: 操るとしたら、キモチの石を 誰かに受け渡しする時だからね
- やちよ: すべてはキュゥべえによる支配が どれだけ影響を及ぼしてるかね…
- やちよ: キモチは、石を巡る争いに ルールを課して
- やちよ: 選抜された魔法少女だけで 戦うように仕向けていたけど
- やちよ: そのルールが失われてしまうと 被害に遭う子がまた増えるし…
- いろは: そうですね…
- いろは: キモチのルールは 消されてるかもしれませんね…
- 結菜: 悲観的になる必要なんてない むしろ都合がいいじゃなぃ
- 結菜: 数はこちらが勝っている上に 相手は寄せ集めの雑兵
- 結菜: 中に神浜市の連中もいるなら、 全力で食い散らかしてやるわぁ
- 結菜: ただ、目ざとくも漁夫の利を狙う 狡猾な相手である以上
- 結菜: 寝首をかかれる恐れも 十分あるけどね
- ひかる: それでも余裕がでるぐらい 数を増やせばいいんすよ!
- ひかる: アオさんや和泉を 連れ戻せば盤石っす!
- やちよ: 連れ戻すって、 さらっと難しいことを言うわね…
- やちよ: 迷いが混じっていたとはいえ、 十七夜には覚悟ができていたわ
- 都 ひなの: みたまも同じだ 積年の恨みが爆発したからな…
- ちはる: 静香ちゃんなら、 まだ説得できる気がするけど…
- すなお: 連絡がつきませんし、 接触する方法がわかりませんね…
- さな: なんだか、ネオマギウスの行動が 見えてこないです…
- さな: 私たちから仲間を奪っても 結局、数に差はありますし…
- フェリシア: もしかして、アイツら! なんかまだ悪巧みしてるんだろ!
- フェリシア: こう、なんかしんねーけど
- フェリシア: また、裏でコソコソ動いて 自動浄化システムを奪うとか!
- いろは: うーん、どうだろ…
- いろは: キュゥべえが言うには、 ういだけが制御できるって話だし
- やちよ: キモチの石を狙うつもりでも、 戦力差は覆せない
- やちよ: キモチのルールが消えていれば なおさらね
- ちはる: アッ、わかった!! ういちゃんをさらうつもりだ!!
- 鶴乃: あとは、自動浄化システムを 手に入れるよりも先に
- 鶴乃: 人に対して魔法少女の力を 見せつけるとか
- 鶴乃: なんたって魔法少女至上主義を 掲げてるわけだからね
- ちはる: ぉぉぉ… それも有り得そうだよぅ…
- すなお: 力を見せつける… 危険な香りがしてきますね…
- 都 ひなの: ああ、そっちが優先されるのも 納得できる…
- 結菜: ひとまずネオマギウスの出方が わからない以上
- 結菜: 動きを想定して、各々が準備を 進めることしかできないわねぇ
- 結菜: …環さんもお見舞いに行くのなら 今のうちに行っておきなさぃ
- いろは: 戦いが始まっちゃうと 行けなくなりますからね
- ピロン♪
- 結菜: …………
- 結菜: ひかる、らんか 次の休みに二木市に戻るわよぉ
- ひかる: 急にどうしたんすか
- 結菜: ユニオンと話して無駄な時間を 過ごすぐらいなら
- 結菜: 金銭面や学校のこともある手前 ホームで状態を整えましょぅ
- ひかる: なんか、ツンツンしてるっすね
- 結菜: …アオが二木市に戻ってきたって 連絡があったのよぉ…
- 結菜: 残ってるメンバーに監視するよう 連絡を返したわぁ…
- ひかる: それ…ネオマギウスが 動いたかもしれないっすね…
- ちはる: わたしたちも静香ちゃんの話を 集落に伝えておくべきかな…
- ちはる: ねぇ、すなおちゃん 静香ちゃんから返事ないよね…?
- すなお: はい…既読が付いているだけで 特に何もありませんね…
- すなお: 二葉さんに描いてもらった絵本を 読むように伝えたんですが…
- さな: すみません、本当はもう少し 早く描き上げたかったんですけど
- いろは: アイさんの絵本のあとで 2作目を描く話は聞いてたけど
- いろは: 静香ちゃんに描いてたんだね
- さな: はい、そうなんです
- すなお: 以前から静香は 悩むことが多かったんですけど
- すなお: 性善説を知ってから 妙に善悪に固執していて…
- さな: 静香さんの様子を聞いてから 少しずつ描いてたんです…
- すなお: はい…だから、今の静香には 必要なものだと思うのですが…
- FILENAME: text_103001-2_km1wv.txt
- ひめな: とりま、神浜市の人たちに 魔法少女のことを伝えるにしても
- ひめな: 電波望遠鏡を手に入れなきゃだし 今の計画のままでいいんだよね?
- ひめな: …………
- ひめな: やっぱヒコ君的にも、 おけまるってことだよね
- 燦: どうだった、姫様
- ひめな: ん~
- ひめな: 今のところ順調なんだけど、 すぐには動けないって感じ?
- 燦: そうでしょうね
- 燦: 電波望遠鏡を手に入れるにしても 敵の数が多すぎるわ
- ひめな: とりま、大丈夫だって
- ひめな: プロミストブラッドは ショートカットを失ってるから
- ひめな: 通うだけでも生活に支障がでるし 金銭的にもヤバヤバなわけじゃん
- ひめな: そこにあの人たちが二木市に戻る 切っ掛けを作ったわけだから
- ひめな: ワンチャンいけるって
- ひめな: ヒコ君も戦力が削げるはずだって 言ってたからね★
- はぐむ: でも、それで電波望遠鏡を 奪うにしても
- はぐむ: 灯花様が管理していた以上、 セキュリティ対策は万全ですし
- はぐむ: 私たちの準備が終わるまでに 相手が嗅ぎつけちゃったら…
- 時雨: 先に押さえられちゃうよね…
- 時雨: すぐに動けないなら、 まだ隠れてたら良かったのに…
- 時雨: なんか堂々と出ちゃったし…
- ひめな: なぎりんにも言ったけど
- ひめな: ぶっちゃけ裏でコッソリ 成功させても意味がないんだって
- ひめな: やっぱ私チャンたちがすることに 抵抗して失敗してもらわないと
- ひめな: 向こうのメンタル的にも ポッキリ折れないわけじゃん?
- 時雨: そういうことなんだ… 怖いよ姫…
- ひめな: それに、プロミストブラッドの 動きを掴む段取りもできてるから
- ひめな: 戦う準備もよいちょまる!
- 時雨: え、そうなの…?
- ひめな: そうそう、ちゃーんと 先手を打ってるから安心して★
- ミユリ: さすがは姫様ですよねぇ
- ミユリ: これでこれで、ミユたちの目的は また一歩前に進むんですから!
- ミユリ: あぁ…ミユたちが魔法少女として 敬われるばかりか
- ミユリ: 神様になった燦様の足元に 人々が平伏すなんて
- ミユリ: ミユは想像しただけで、もうっ…
- 時雨: …?
- 燦: ミユ、待って
- ミユリ: へっ?
- 燦: 電波望遠鏡を使った作戦だけど 宮尾と安積は知らないわ
- ミユリ: えっ…
- ミユリ: ェエッ!?そうなんですか!? むしろどこまで知ってるんです!?
- 燦: 人々に魔法少女の存在を 知らせるところまでよ
- 燦: “そのあとで信じさせる方法を ふたりは知らないのよ”
- ミユリ: それ、足並みそろうんですか…
- 燦: 姫様が舵を切った過激なやり方に ふたりは付いてこられないわ
- 時雨: ねぇ、はぐむん
- 時雨: 成功すれば、魔法少女のことを みんな知ってくれるよね?
- はぐむ: うん、少しだけでも私たちを すごいって思ってくれるはずだよ
- 時雨: 魔女を倒してるのは ぼくたちだもんね
- はぐむ: 少しぐらい胸を張れると思うし 自分に自信が持てると思う
- ひめな: そんなの当たり前じゃん むしろもっと大胆に変わるよ
- ひめな: キャハッ★
- 静香: 私たちは時女一族としての 役割を果たすために
- 静香: 巫の存在を世間に周知して みんなを導かないといけないわ
- それはわかったのですが、 いいのですか本家
- あの姫君の話ですと、 被害は甚大なものになるかと…
- 静香: 構わないわ
- 静香: 悪が頭を務める神浜市の中には 多くの悪がはびこっている…
- 静香: だから場を整えるためにも、 まずは、その悪を葬る必要がある
- それで済むでしょうか
- 静香: 済まないようであれば 予定よりも早く藍家ひめなを討つ
- 静香: そして私たち時女一族が 人々を救う神となって
- 静香: 善の道を示すわ
- ひめな: ねえ、サーシャ… なんで既読も付けてくんないの?
- ひめな: 本当にやっちゃうよ…? もっと全力で止めてよ…ねぇ…
- FILENAME: text_103001-3_km1wv.txt
- 時雨: はい、じいじ
- 時雨: 今日の朝ご飯は焼き鮭と 昨日の炊き込みご飯だって
- 時雨の母の声: 炊くときの水を変えたんだけど、 美味しかった…?
- 時雨: え、水… もしかして母…また…
- 時雨の祖父: だまされて買ったんじゃないよ 私が選んだから大丈夫だ
- 時雨: そっか、よかった…
- 時雨の母: お母さんが買っちゃうと まただまされちゃうからね
- 時雨の母: はい、準備ができたし 食べましょう
- みんな: いただきます
- 時雨: …はむっ、うん、美味しい
- 時雨の母: そう、良かったぁ
- 時雨の祖父: …………
- 時雨の祖父: なあ時雨、こんど欲しがってた Berry Piを買ってあげようか
- 時雨: え、いいの…!?
- 時雨の祖父: 前からマイコンボードを 欲しがってたし
- 時雨の祖父: 最近は調子が良さそうで、 どこか溌剌としてるからな
- 時雨の祖父: こういう時に何かを作ると いいものができるもんだ
- 時雨の祖父: せっかくだから挑戦してみなさい
- 時雨: え、じゃあ、じいじ! ぼくのプログラムも見てよ!
- 時雨の祖父: もちろん、構わないよ
- 時雨の母: 良かったね、時雨ちゃん
- 時雨: うんっ…!
- 時雨: (最近のぼくに良い波が来てる)
- 時雨: (はぐむんと一緒に ネオマギウスを維持しつづけて)
- 時雨: (姫や教官と再始動させて、 ここまで来て本当に良かった…)
- 時雨: これで魔法少女のことが広まったら ぼくたちが魔女を倒してるんだって大声で言える みんなよりちょっとスゴいんだぞって言って バカになんてされなくなる
- 時雨: あとちょっと、あと少しで姫が ぼくたちを引き上げてくれるんだ
- 時雨: (だけど、 みんなに知ってもらったあとで)
- 時雨: (どうやって 信じてもらうつもりなんだろ…)
- 時雨の母: 時雨ちゃん…!
- 時雨: えっ!?
- 時雨の母: 最近帰りが遅いけど、 気をつけてね…
- 時雨の祖父: そうだぞ、危険なことはするな みんな心配してるからな
- 時雨: うん…ごめん…
- はぐむ: ふぇええっ!?!? 役者ってあの役者ですか…!?
- はぐむ: 舞台の上で演技をする…?
- うちの演劇部では、 それを役者って言うのよ?
- はぐむ: (あぅぅ、バカにされてる…)
- はぐむ: そそ、それはそうなんですけど 本当に私が…ですか…?
- 相変わらずドジっ子ちゃんだけど 最近、いいんだよね安積
- 言葉で表現しにくいんだけど、 なんかキラキラしてる
- もしかして、恋してる? いや、まさかの彼氏とか!?
- はぐむ: 違います違います! 私なんて全然モテないですし
- はぐむ: キラキラなんて気のせいです! だから無理です!
- そう言わないでさ 検討してみてよ
- この話なんだけど、 どうしてもやってみたくてさ
- はぐむ: …………絵本ですか…?
- はぐむ: あ、これって 最近ネットで評判になってる…!
- そっ、これを原作にした本は 私が書くからさ
- 安積はカメの役をお願い!
- はぐむ: カメ…! あ、動物さんの絵本なんですね
- あとは鳥と虎が出てくるよ
- はぐむ: 衣装作り、難しそうだなぁ…
- ピロンッ♪
- あ、いいよ スマホ見ても
- はぐむ: ありがとうございます
- はぐむ: …………
- 時雨: 電波望遠鏡で話を広める方法は前に聞いたけど みんなに信じてもらえるのかな…? なんだか急に心配になってきて… どうするかって、はぐむんは姫から聞いてる?
- はぐむ: (…私も聞いてない、よね)
- FILENAME: text_103001-4_km1wv.txt
- ミユリ: 燦様… 電波望遠鏡の作戦のことですが
- ミユリ: 本当に安積と宮尾に 教えなくていいんでしょうか…
- 燦: ふたりに対して秘密ができるのは 心苦しくもなるわよね…
- ミユリ: はい…ミユは正直、 不安を感じてしまいます…
- ミユリ: ミユたちはお互いのために、 無謀な夢を叶える仲間で
- ミユリ: みんなで心の傷を癒やすために 頑張る同志です
- ミユリ: 魔法少女至上主義を広めて ミユたちが認められて
- ミユリ: 抱えている想いを叶えようって 約束したはずなのに
- ミユリ: そこにふたりがいないのは…
- 燦: それでも“今の姫様のやり方”は ふたりにそぐわない…
- 燦: 世間に魔法少女を広めることが 私たちのスタートだったのに
- 燦: 最初から頂点に君臨することが スタートになってしまった
- 燦: それだけ“強引なやり方”に 変わってしまったから
- 燦: 安積と宮尾が知れば、 確実に姫様の元を離れるわ…
- ミユリ: 燦様は平気なんですか…?
- ミユリ: 姫様のやり方で、みんなが ミユたちのことを知ってくれて
- ミユリ: 燦様が神様だって認められて 火祭りを残せたとしても
- ミユリ: 青年会の人たちとの関係は崩れて 今までと変わりますよ…?
- 燦: 神浜市の人がどうなろうと 私には関係がない話だし、
- 燦: 青年会との関係が変わるのも 最初から覚悟をしていたわ
- 燦: それに姫様が青年会の人にも 手を伸ばすような悪神になるなら
- 燦: 私が人の盾となって みんなを守る善神になる
- 燦: 複数の神が共存している神話は いくらでもあるわけだし
- 燦: そのうちのひとりが 火祭りの神でもおかしくないわよ
- ミユリ: 確かに確かに! 日本の神様もたくさんいます!
- 燦: だから私は善神と悪神の 二柱で成り立つ支配でも構わない
- 燦: 姫様が変わらなければ、 考えなくていい悩みだったけどね
- ミユリ: …姫様はどうして急に 過激な方に舵を切ったんでしょう
- 燦: サーシャがいなくなって怖いのよ
- 燦: あの人は私たちと違って、 ただひとり姫様に手を差し出した
- 燦: 姫様にとっては、ヒコ様以外で 唯一甘えられる人だったからね…
- ~~♪
- ひめな: サーシャ…
- ~~♪
- ひめな: サーシャ…
- ~~♪
- ひめな: サーシャ…
- ひめな: でない…もういいや…
- ひめな: (…だけどもう、誰も失わない ヒコ君だけは絶対に奪わせない)
- ひめな: サーシャが悪いんだから… 一緒にいてくれないから…
- ひめな: (私チャンは大切な人が 離れないようにするんだよ…?)
- FILENAME: text_103001-5_km1wv.txt
- ガチャ…
- ひめなの母: ひめな…!
- ひめなの母: あなた、ただいまぐらい 言いなさい
- ひめな: そ、ヒコ君的にもアリなら その子を動かそうと思うんだよね
- ひめな: 今さら心変わりなんてされたら 草生えるどころじゃないじゃん?
- ひめなの母: っ、やめなさいひめな!
- ひめな: は…? ちょっと待ってヒコ君
- ひめな: なんか言った?
- ひめなの母: やめなさいって言ったの
- ひめなの母: 大切な人が亡くなって 辛いのはわかるけど
- ひめなの母: そうやって記憶に残った 彼の姿にすがっちゃダメなのよ…
- ひめな: いやいや、マジでイミフ
- ひめな: 言ってんじゃん 記憶とかじゃなくて居るって
- ひめな: 私チャン、ヒコ君と話せるし 目を瞑れば姿だって浮かぶ
- ひめなの母: 言いたくないけど、 それは妄想で紛い物でしかない
- ひめなの母: 辛いことだけど受け入れて
- ひめなの母: “あなたの彼は死んだのよ”
- ひめな: “生きてる”!!
- ドンッ!!
- ひめなの母: ヒッ…!
- ひめな: あんたたちがそんなだから!
- ひめな: 私チャンはね、無理矢理にでも 信じてもらうしかないんだよ!!
- ひめな: ムカツク…ムカツク…ムカツク… みんなしてヒコ君を消そうとする
- ひめな: ヒコ君はここにいる… 私の中でしっかり生きてるのに…
- ひめなの話、聞いた?
- あのガリ勉の陰キャと 付き合ってたって
- しかも、そいつが死んで ぶっ壊れたらしいじゃん…?
- かわいそうなのはマジだけどさ 近付かない方がいいよね…
- 引くレベルで怖いもんね
- 亡くなった人が夢枕に立つとか 言うでしょ?
- 先生も同じような経験があるけど 少しずつ気持ちに整理がついて
- 落ち着いてくるから
- ひめなの母: 残りの学校生活は オンライン学習のある所にして
- ひめなの母: 基本は通学ができるように 近くまで引越しましょう
- ひめなの母: ひめなのせいじゃないわ 心に深い傷を負ったせいだもの
- ひめなの母: 少しずつになると思うけど、 受け入れられるわ…人の死は…
- ひめな: クソみたいなクラスメイトが ヒコ君を殺したんだ…
- ひめな: それを私チャンが救ったんだ…
- ひめな: それなのに、先生もママもみんな 信じようとしない…
- ひめな: そんなに殺したいの…? またヒコ君を殺したいの…?
- ひめな: 許せない…絶対に許せない… だったら私チャンがひっくり返す
- ひめな: 嫌でもこっちの言い分を聞かせて 首を縦に振らせたくしてやる
- ひめな: 世間の常識をひっくり返して…!
- ひめな: (だから、プロミストブラッドの 情報を早く寄越しなさい…)
- ひめな: (アンタだってもう、 こんな町にはうんざりでしょ…)
- FILENAME: text_103001-6_km1wv.txt
- 月咲: はぁ…
- 月咲: (本当、月夜ちゃんとのことが お父ちゃんにバレてから)
- 月咲: (動きづらくなっちゃったな…)
- 月咲: さすがにこれ以上、 言う事を聞いてる場合じゃない…
- ピロン♪
- 月咲: 月夜ちゃん…
- 月咲ちゃん 今日も私と同じで家にいると思うので 聞いた話を送っておくでございます
- あとでユニオンのグループメッセージで 回ってくるとは思うのでございますが プロミストブラッドが次の休みに 二木市に戻るそうでございます
- 時女一族がいるとはいえ ネオマギウスが動き始めた以上は 私たちも家の都合に合わせている 場合ではございません
- なので、どこかで抜け出して ユニオンの力になった方が良さそうでございます 特に果てなしのミラーズの問題については 何も動けていないので…
- 月咲: …………
- タケ: 月咲ちゃーん
- 月咲: ――っ!?
- タケ: 月咲ちゃんが外に出られない話 おやっさんに抗議してみたよ
- 月咲: お父ちゃん、何か言ってた?
- タケ: 『俺も好きで言いつけてねえ ほとぼりが冷めるまで待て』って
- タケ: 取り付く島もなかったよ
- 月咲: ありがとう、タケさん お父ちゃんに話してくれて
- タケ: 家から出るなって 縛り付けられたりしたら
- タケ: 俺なら絶対にキレて 暴れまくってると思うから
- 月咲: ふふっ、なにそれ
- タケ: …そうやって笑ってくれるのも なんか久しぶりだしさ
- タケ: 工房の家事をしてくれてる 月咲ちゃんのためなんだ
- タケ: これぐらい 一肌脱いでもいいだろ?
- 月咲: ありがとう
- 月咲: 明日は協力してくれたお礼に 夕飯はタケさんの好物にするね
- タケ: おっ、マジで!? それだったら毎日でも手伝う!
- 月咲: えー、現金だなぁ
- 月咲: …………
- 月咲: 灯花さんとねむさんは いつも乱暴なやり方だったけど ウチらを救おうとしてくれた
- 月咲: 確かにマギウスの時は知的好奇心の方が 強かったのかもしれない
- 月咲: だけど、本気で魔法少女の解放を望んでいるから メッセージに書かれていた通り 捨て身で死にかけているんだと思う
- 月咲: そんなふたりと比べて ウチはいつでもおんぶに抱っこ 自分の力で救われようとはしていない…
- 月咲: だから、本当に救われたいなら 自分で動かないと…
- 月咲: 月夜ちゃんとウチを隔てる 東西の呪縛から解放されるためにも 自分で動かないと
- 月咲: タケさんにも あんまり頼っちゃいけないね
- タケ: 俺は頼られる分には 嬉しいけどね
- FILENAME: text_103001-7_km1wv.txt
- うい: 灯花ちゃんとねむちゃんには 会えないの…?
- いろは: 面会謝絶だったから…
- みふゆ: ふたりの腕輪は、 本来なら死を与えるものです
- みふゆ: なんとかソウルジェムを避けて 生存はできたようですが…
- うい: そうだよね… 灯花ちゃんとねむちゃんの体は…
- みふゆ: 言いづらいことですが、 魔法少女だから生きてるとしか…
- みふゆ: 院長…灯花のお父様の顔を見れば それは十分にわかりました
- うい: ねえ、ふたりは助かるよね?
- いろは: 助かって欲しいし、 私だってそう信じてるけど…
- うい: けど…?
- いろは: 目が覚めない理由がわからないし 爆発のときに何をしたのか…
- みふゆ: ふたりがやろうとしたことは 成功したんですよね…?
- 万年桜のウワサ: |うん、体は無事じゃないけど 生きてるから成功|
- いろは: ふたりが気付いたこと、 ちゃんと聞いておけば良かった…
- いろは: 「プロミストブラッドと和解しようとした時から 灯花ちゃんとねむちゃんは 自分の命を犠牲にしても構わないようだった」
- いろは: 「マギウスの時に自分たちがしたことへの 罪滅ぼしもあったのかもしれないけど ふたりにとって自分の命は そこまで大切じゃなくなってたような気がする」
- ねむ: 僕達が何に気付いたのか
- ねむ: ヒントはもしかしたら 東西の問題がくれるかもしれない
- 灯花: ただ、他にも色々と調べないと 答えには結びつかない
- うい: 難しいこと言わないでよ…
- 灯花: くふっ
- 灯花: とりあえず、ういとお姉さまは 自分の思う最善を目指して
- いろは: それってみんなが救われるために ひとつになるっていうこと…?
- 灯花: ううん
- 灯花: ふたりが生き残ってくれたら オッケーっていうことだよ
- うい: わたしも秘密にされてたこと、 ちゃんと聞けば良かったな…
- いろは: でも、今となってはわからない だから生き残らないとね
- いろは: 灯花ちゃんとねむちゃんに 言われた通り
- 万年桜のウワサ: |ふたりが生きてたら 大丈夫だよ、うい|
- うい: うん…
- みふゆ: これから、ワタシは 灯花の部屋に行くんですが
- みふゆ: おふたりはどうしますか?
- うい: あ、行きます! でも、どうして?
- みふゆ: これです
- うい: 灯花ちゃんとねむちゃんの ソウルジェム
- みふゆ: こっそり誰かに壊されては いけませんので
- みふゆ: セキュリティがしっかりしている 灯花の部屋に保管して
- みふゆ: 定期的に浄化しようと 思ってたんです
- うい: 桜子ちゃんが持っておけば いいんじゃないの?
- 万年桜のウワサ: |一定以上の距離を離れると、 肉体がダメになるかもしれない|
- みふゆ: そういうことです
- みふゆ: ソウルジェムは ここに入れておきますので
- みふゆ: 時々、様子を見に来てください
- みふゆ: ワタシは家を抜け出せないときも ありますし
- みふゆ: アリナと瀬奈みことの件が ある以上は
- みふゆ: 果てなしのミラーズの調査を やめるわけにはいきません…
- いろは: 他のグループの人たちも含めて 再開するって話ですしね
- いろは: それなのに、 なんだかすみません…
- いろは: ふたりのために気を遣ってくれて ありがとうございます
- みふゆ: いえ、好きでやってることです 気にしないでください
- うい: じゃあね、灯花ちゃんねむちゃん また様子を見に来るね…
- うい: …………あれ?
- いろは: 何かあった?
- うい: 懐かしい 灯花ちゃんが書いた説明書だ
- いろは: 説明書?
- うい: 機械が苦手なねむちゃんのために 灯花ちゃんが書いた説明書だよ
- うい: ウェブ小説の更新の仕方とか 売り方とかプレゼントの仕方とか
- うい: 管理する方法について 色々と書いてあるんだよ
- うい: 結局、ねむちゃんが嫌がって ほとんど使ってなかったけどね
- みふゆ: 灯花が人にそこまでするなんて 珍しいですね
- うい: うーん
- うい: ねむちゃんの代わりにやるのが 面倒臭かったんだと思うよ
- みふゆ: …たぶん、それが正解ですね
- いろは: …あ、そっか
- うい: どうしたの、お姉ちゃん
- いろは: さなちゃんが描いた絵本だけど
- いろは: 静香ちゃんに見せたいって すなおちゃんが言ってたでしょ?
- いろは: プレゼントすれば 読んでくれないかな?
- いろは: メッセージアプリでも そういう機能ってあったよね?
- うい: あったと思う!
- いろは: 送ってみるかどうか すなおちゃんに聞いてみよう!
- うい: うんっ
- FILENAME: text_103001-8_km1wv.txt
- ももこ: はぁ…はぁ…
- 御園 かりん: はぁ…ふぅ…
- ももこ: ふぅ…落ち着いてくれた? 説明した内容で納得してくれた?
- 御園 かりん: うん…
- かえで: 果てなしのミラーズのことなら、 他のグループの人も連れて
- かえで: みふゆさんたちが調べるから 焦らなくても大丈夫だよ
- 御園 かりん: でも…
- 智珠 らんか: でもじゃないっての! 何回説明すりゃわかんの!?
- 智珠 らんか: ああもう…!
- 智珠 らんか: こんな面倒になるなら 心配するんじゃなかった…
- レナ: 変に律義だから、 損な役回りになるんじゃない?
- 智珠 らんか: うるさい その舌、引っこ抜くよ
- レナ: こっわ…
- 樹里: なんだこれ 変なメンツで集まってんな
- 樹里: あぁ、ゲーセンに行くメンツを らんかが集めたっつーことか
- 智珠 らんか: 違う、色々あったの…
- ガラガラ…
- 智珠 らんか: あれ、放課後はここで部活って 聞いてたんだけどな
- 智珠 らんか: アリナってマギウスもいないし、 ヘコんで帰っちゃったかな…
- 智珠 らんか: (…御園かりんはユニオンだし 心配する必要もないんだけど)
- 智珠 らんか: (と、思ったらいた…)
- 智珠 らんか: アンタ大丈夫?
- 御園 かりん: えっ…?
- 智珠 らんか: いや、アリナってヤツが消えて ヘコんでると思ってさ
- 智珠 らんか: 一応、 心配しとこうと思っただけ
- 御園 かりん: 大丈夫なの
- 御園 かりん: だって、これからわたしが、 アリナ先輩を助けに行くから!
- 智珠 らんか: ふーん…ん? え、これからってひとりで?
- 御園 かりん: そうなの!
- 御園 かりん: 帰って来られたなら、 また行き来できるはずなの!
- 智珠 らんか: ちょ、いや、バカじゃないの!? 偶然戻ってきただけでしょ!
- 御園 かりん: でも、みんなが動かないなら わたしが行くしかないの!
- 智珠 らんか: ひとりで行ったら、 スイサイドルート一直線だって!
- 御園 かりん: はなすの!
- かえでの声: あーーーーー!
- 智珠 らんか: ――っ!?
- かえで: かりんちゃん大丈夫!?
- レナ: 白昼堂々、手を出すだなんて アンタどういうつもり!?
- 智珠 らんか: なに勘違いしてんのバカ!
- 智珠 らんか: コイツの暴走を 止めてるんだって!
- 智珠 らんか: というわけ…
- 樹里: あっはは、そりゃ災難だな
- 智珠 らんか: で、樹里は何しに来たの?
- 樹里: らんかとゲーセンに行こうと 思ったんだよ
- 樹里: 本当は時雨とはぐむを捕まえて
- 樹里: ネオマギウスの情報を 吐かせたかったんだけどな
- 樹里: どこを捜してもいねーんだよ
- 智珠 らんか: そういうこと…
- 御園 かりん: …………
- 樹里: おびえんなよ
- 樹里: らんかの言う通り、 ひとりで行けば死んで終わりだ
- 樹里: 本当に再会したきゃ我慢しろ
- 御園 かりん: …わかったの 無理をしても先輩は喜ばないの…
- 樹里: 前にウェルダンにしたのは謝るし 詫びにゲーム代はおごってやる
- 樹里: だから、その内側に溜めた鬱憤を 樹里サマと晴らしに行こうぜ
- 御園 かりん: そうするの…! おごってもらえるなら行くの!
- レナ: 肝が据わってるわね…
- 智珠 らんか: で、アンタたちはどうする? 一緒に来る?
- ももこ: あとで合流するよ
- ももこ: 十七夜さんがいなくなってから、 東の様子も見ないといけないしね
- 樹里: 大丈夫そうか?
- ももこ: 今のところ他に離反はないよ
- ももこ: 身勝手な滅びを望む行動だから、 追いかける必要はないって
- ももこ: 事前に十七夜さんと調整屋から 東の子に連絡があったらしいんだ
- かえで: みかげちゃんだけが 心配だよね…
- レナ: みたまさんの願いを自分の願いで 打ち消そうとしたわけだしね…
- 樹里: そっちには行かなくていいのか?
- レナ: もっと適任になりそうな子が、 一緒にいてくれてるからね
- FILENAME: text_103001-9_km1wv.txt
- みかげ: …………
- 月出里: …………
- 月出里: ふっむむ、 ふむーむふむむんむむ…?
- みかげ: …うん
- みかげ: パパもママも心配してるし、 早く連れて帰らないと…
- 月出里: ふむむふんむむっむ ふむーふむーむふむんむむ…?
- みかげ: うん、姉ちゃが相手でも戦うよ
- みかげ: ミィが虐められないように 姉ちゃは守ってくれた
- みかげ: ミィが笑顔でいられるように ずっと笑顔だった
- みかげ: だから今度はミィの番
- みかげ: 姉ちゃを止めてね、 笑顔にしてあげるんだ
- みかげ: せめて、怒った顔はしないように なればいいな…って思ってる
- 月出里: ふむんむふむーむふむっむむ ふむむふむーむむ…?
- みかげ: …悩んでるのはね、 ミィが姉ちゃを許せるかどうか…
- みかげ: 姉ちゃと戦っちゃったら、 嫌いになるんじゃないかって…
- 月出里: …………
- 月出里: ミィちゃんは大丈夫 みたまさんを嫌いにはならないよ
- 月出里: きっと、嫌いになるより前にね 心配すると思う
- みかげ: どうして、そう言い切れるの…?
- 月出里: …じゃあ、ミィちゃん わたしの話を聞いてくれる…?
- みかげ: え、うん…?
- 月出里: 実はわたしね、 人を殺したことがあるんだ
- みかげ: え…
- 月出里: 本当だよ
- 月出里: それも相手はクラスメイトで ひとりやふたりじゃないの
- みかげ: どうしたのすーたん…
- みかげ: 急にわからないよ… 冗談で言ってるんだよね…
- 月出里: 言ったでしょ これは本当のことなんだよ
- 月出里: わたしは人を呪って それだけ重い罪を背負った
- みかげ: …どうして、そんな話…
- 月出里: ミィちゃんが付き合ってる相手は こんなヤツなんだって
- 月出里: 今、言うべきだと思ったから
- 月出里: わたし、ミィちゃんが思うほど 純粋じゃないし、汚れてるんだよ
- みかげ: でも、うそ、だよね…
- 月出里: 武器は猟銃とナイフ
- 月出里: みんなの血が床に溜まる様子は 今でもキレイに思い出せる
- みかげ: でも、そうだったとしても 絶対に理由があるはずだよ…!
- みかげ: 誰かを呪わないといけないぐらい 辛い気持ちがあったはずだよ…!
- みかげ: なかったとしても、 ミィが知ってるすーたんは優しい
- みかげ: もしも、実は今も怖くって 危険な人なんだとしても
- みかげ: ミィが一緒にいるから、 ミィがすーたんを優しくする!
- みかげ: それにミィは言ったよ すーたんの心は綺麗になるって!
- 月出里: ふふっ
- 月出里: ほら、ミィちゃんは大丈夫 嫌いになんてならないよ
- みかげ: え…
- 月出里: 嫌いとか怖いとかいう気持ちより
- 月出里: なんとかしなくちゃって 思うんだもん
- 月出里: だから大丈夫だよミィちゃん
- 月出里: ミィちゃんは みたまさんを嫌いにならない
- 月出里: だからわたしも本当のことを 打ち明けたんだからね
- みかげ: …ありがとう、すーたん
- 月出里: ふむんむふんむ…?
- みかげ: 嫌いじゃないよ
- みかげ: そんな優しいすーたんが ミィは大好きだよ
- みかげ: (それに、なゆたんも パパと一緒に湯国市に行って)
- みかげ: (何があったのか 向き合おうとしてるんだもん)
- みかげ: (ミィだって折れないよ)
- みかげ: ミィにはミィにできることをする
- ピロン♪
- ひめな: …………キャハッ★
- 燦: ようやく連絡があったみたいね
- ひめな: そういうこと
- ひめな: 覚悟を決めたみたいだから 丁重に迎えに行ってあげないとね
- 燦: こちらを逆に 罠にかけてる可能性はない?
- ひめな: 迎えに行ってみればわかるって
- FILENAME: text_103001-10_km1wv.txt
- トントントントン
- 月咲: ―月咲― タケさん、台所にいたら あとでお父ちゃんに怒られちゃうよ?
- タケ: ―タケ― いやあ、俺の好物をせっかく作ってくれるなら その出来上がる様子を見ていたいじゃん
- 月咲: ―月咲― あの、割と本当にうっとうしいんだけど…
- タケ: ―タケ― 俺のことは空気だと思ってくれていいから 気にしないでよ
- 月咲: ―月咲― 面倒臭い人だなあ…
- 月咲: ―月咲― でも、本当に肉じゃがなんかで良かったの?
- タケ: ―タケ― 変に凝ったもん作るってなると 工房の奴ら全員分作らないとだめだし
- タケ: ―タケ― それだと月咲ちゃんも大変だからさ
- タケ: ―タケ― なら、一気に鍋で煮込めて 俺の好きな料理なら
- タケ: ―タケ― あれだよ、Win-Winじゃん
- 月咲: ―月咲― こっちのことも考えてくれてるんだ ありがとう
- 月咲: ―月咲― (っていうか本当にどっか行かないかな…)
- 月咲: ―月咲― (作り終わったら早く移動したいのに…)
- 月咲: ―月咲― ねえ、タケさん ちょっと調味料の買出しお願いできない?
- タケ: ―タケ― あぁ、多少薄くても俺はいいよ
- 月咲: ―月咲― (コイツ…)
- ~~♪~~♪
- タケ: ―タケ― あ、やべっ おやっさんから電話来た…
- 月咲: ―月咲― 早く戻りなよ
- タケ: ―タケ― じゃあ、あとで来るから!
- 月咲: ―月咲― もう来なくていいよ
- 月咲: (火は止めておいて 連絡だけ入れておこう…)
- 月咲: ごめんね、タケさん
- 月咲: 下手したらウチの最後の手料理 なんだから、味わってよね
- 月咲: …いるんでしょ?
- ひめな: 魔力を探知すればわかるじゃん
- ひめな: お仲間はいないみたいだし、 本当にひとりなんだ
- 月咲: うん…
- 月咲: プロミストブラッドは…
- ひめな: それならメッセージを読んだよ
- ひめな: あざお、明日になったら 二木市に戻るんだよね
- 月咲: …………
- ひめな: ま、ウソか本当かは 遠くから駅を張ればいいか
- ひめな: 他の駅も押さえてるから 変なことは考えないでね★
- 月咲: うん、考えてないよ
- ひめな: ぶっちゃけアンタの姉の方は 本当にいいわけ?
- ひめな: それに東の奴ら、 誰もこっちに付いてないよ?
- 月咲: たぶん、十七夜さんの感覚が わかるのはウチだけ
- 月咲: 双子だって言っても 水名の月夜ちゃんにはわからない
- 月咲: 本当に月夜ちゃんとふたりで、 この町から出て行くには
- 月咲: 歴史に束縛されている状況を 変えないといけないんだよ…
- 月咲: だから、歴史に刻まれるように ウチらが敵になればいい
- 月咲: そうすれば町を追い出されて、 出て行くきっかけになるから
- ひめな: なら、私チャンたちと一緒に、 畏怖される存在になろう
- ひめな: 大丈夫、人類よりも優れてる 魔法少女は追い出されない
- ひめな: 留まるのも出て行くのも、 自由になるはずだよ
- ひめな: キャハッ★
- 静香: 絵本…?
- 静香: こんなもの送ってきて、 すなおは何のつもりなのかしら…
- 静香: ふざけてるようなら、 私が目を覚まさせてあげないと
- 静香: 時女一族の本家として…!
- ―取材記録― 広江 ちはる
- ちはる: 「待ってました! いつか、わたしのところにも 取材に来ると思ってたんだよぅ」
- ちはる: 「だから、わたしが望んでいる未来は ちゃーんと考えてあるよ! っていうか最初から決まってるからね、えへへ」
- ちはる: 「なんたってわたしは、 事実は小説よりも奇なりって言われるような 等々力耕一をもしのぐ名探偵になって たくさんの悪事を暴いて解決するんだから!」
- ちはる: 「まぁ、将軍になるのも悪くないけど、 さすがに現代には幕府なんてないからね 現実的なところが探偵かなーって思ってる!」
- ちはる: 「あとはやっぱり時女一族のことだけど 心配してるけど心配してないっていうか… なんか大丈夫な気がする」
- ちはる: 「静香ちゃんとすなおちゃんがいて 他にもたくさんの仲間がいて 大変だとは思うんだけど、 イチから時女一族を作れる気がするんだよ」
- ちはる: 「だから望むなら一族のことよりも 自分の将来のことかなーって思ったんだ。 これから何が起きるのか 怖いけどワクワクするよねぇ」
- FILENAME: text_103002-1_km1wv.txt [Episode 2]
- アルちゃん: <ネオマギウスの動き みんなわからないみたいだね>
- かごめ: 戦いを続けるって ひめなさんは言ったみたいだけど
- かごめ: あれから姿を隠して、 何をしてるかわからないって…
- かごめ: リィちゃんも 魔法少女の反応は感じない…?
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: やっぱり、 神浜市にはいないのかな…
- リヴィア: ほんで、 うちに来たっちゅーわけか
- かごめ: はい、リヴィアさんなら 調整屋をしていて情報通だから
- かごめ: ネオマギウスについて 何か知ってるかと思ったんです
- リヴィア: 残念やけど、 藍家ひめなの居場所は知らんで
- 月出里: ふんむん、ふむんむんむ
- ヨヅル: ええ、行方をくらますために、 寄りつきませんでしたから
- ヨヅル: …と、噂をすれば影がさす
- リヴィア: ほんま、まさかの登場やな
- かごめ: リィちゃんも 感じ取ったみたいです…
- ひめな: こんちわー って、さとりんもいたんだ
- かごめ: は、はい、 ちょっと取材で…
- ヨヅル: 本日は何のご用件でしょうか
- ひめな: いや、調整屋に来る理由なんて ぶっちゃけひとつっしょ
- ひめな: これから戦いになるじゃん? だから調整して欲しいの
- リヴィア: ええんか、姫さん 行方をくらましとくんやったら
- リヴィア: 仲間にしたみたまを 頼った方がローリスクやろ
- ひめな: あの人に私チャンの中を 覗かれちゃう方がハイリスクなの
- ひめな: こっちが考えてることがバレて 裏切られでもしたらサガるじゃん
- ひめな: その点、リヴィアさんだったら 完全に中立ってわかってるし
- ひめな: こっちに来る方が ローリスクかなーって思ったの
- ひめな: ま、ヒコ君の受け売りだけどね
- リヴィア: 信用してくれてるんは、 素直に嬉しい話やな
- リヴィア: ほなら、取りあえず横になり 調整したるわ
- ひめな: おけまる★
- リヴィア: 力抜きや
- ひめな: うん
- ひめな: っ…!
- かごめ: 前にひめなさんが来たのは いつだったんですか?
- ヨヅル: 姿をくらます前だったので、 もうずいぶんと前だったはずです
- かごめ: その時からひめなさんは
- かごめ: ネオマギウスが力を付けるために 計画を進めてたんですか?
- 月出里: ふむーむふんむんむむふむー ふむんむんむ、ふむむんふむんむ
- 月出里: ふむ、ふむーむふむんむ ふむんむふむーむむふむんむ
- かごめ: え?
- ヨヅル: 先生に質問しながら、 計画は進めていたようですが
- ヨヅル: そこまで過激ではなかったと、 月出里は申しておりますね
- かごめ: あ、ありがとうございます
- リヴィア: ――っ!?
- ひめな: それじゃあ、ありがとね リヴィアさん
- リヴィア: かめへんよ ちゃんとお代はもろとるからな
- リヴィア: 気張りどころやろうし、 頑張るんやで
- ひめな: うん、あざお! またね
- リヴィア: ふぅ…
- ヨヅル: 先生、何か見えましたか?
- リヴィア: 姫さんの信用を裏切るけど 中立ではおれんくなった
- ヨヅル: は…?
- リヴィア: 計画は見えへんかったけど 意思は明確に見えた
- リヴィア: 月出里、私らの目的はなんや
- 月出里: ふむーむんむむ、ふむんむむ
- ヨヅル: 魔法少女を救うことだと 申しております
- リヴィア: せやな、正解や
- リヴィア: あの姫さん モロにそこから外れまくっとる
- リヴィア: このままやとラビの見てる 諦念に一直線やで…
- かごめ: …何が見えたんですか
- リヴィア: ヤバいのだけはわかるんやけど、 全容までは掴めへんかった…
- リヴィア: かごめちゃんには悪いけど、 教えられることはあれへん…
- リヴィア: 私らも、 これから調べるしかないわ…
- FILENAME: text_103002-2_km1wv.txt
- ひめな: とりま、これでネオマギウスは 全員そろって、よいちょまるだね
- 燦: ええ、遅刻した人はゼロ “役割毎”に並んでもらってるわ
- 十七夜: 魔法少女たちとは 極力争わないという方針を
- 十七夜: 採用してくれて感謝する
- ひめな: いいんだよ、なぎりん★
- ひめな: な~んか、勘違いされてるような 気がするんだけど
- ひめな: 私チャンたちは魔法少女っていう 同類は傷付けたくないんだよね
- 時雨: うん、ぼくたちは 魔法少女至上主義者だから…
- はぐむ: 私たちだけじゃなくて、 みんなが救われて欲しいんです
- 十七夜: それを聞いて安心した
- みたま: ええ
- みたま: わたしたちが問題にしてるのは 魔法少女じゃなくて
- みたま: 神浜市に住む人と 積み重ねてきた歴史だから
- 静香: 私が問題にしているのも 神浜市にはびこる悪のことだけ
- 静香: 一族の巫たちを 切り捨てるつもりは毛頭ないわ
- 燦: ただ、戦いは避けられない 衝突があることは覚悟しておいて
- 燦: ユニオンは 和泉十七夜と八雲みたまを
- 燦: 時女一族は長である時女静香を 必ず連れ戻そうとする
- 燦: それに、私たちの計画を知れば、 間違いなく止めようとするわ
- 静香: わかってるわ
- 静香: 他の分家と相対することは 目に見えてたもの
- ひめな: そのリスクを飲んでくれてるなら 私チャン的にはおけまる★
- ひめな: あとは、これからの 動きについてなんだけど
- ひめな: 平日にはプロミストブラッドが 神浜市に戻って来るから
- ひめな: 休みのうちに戦いたいんだよね
- ひめな: それに、みかづき荘の潜伏先に 侵入してやりたいこともあるから
- ひめな: 休みで潜伏先に残ってるメンツを 外に出しておきたいんだよね
- ミユリ: それって最初から衝突の リスクがあるじゃないですか!
- ひめな: キャハッ★ まぁ、そゆこと
- ひめな: だから先に覚悟が聞けて 良かったって思ったの
- 時雨: でも、姫 潜伏先に侵入するのは難しそう…
- 時雨: 平日なら、授業の時間を狙えば 留守かもしれないけど…
- はぐむ: うん、休日だとみんなの スケジュール次第だもんね…
- 十七夜: ならば、追い出す役は 自分たちに任せて欲しい
- 十七夜: 七海たちに作戦の一環なのを 隠し通すのは難しいが
- 十七夜: 時間は十分に稼げるはずだ
- みたま: 相手には悟らせつつも ジワジワと浸食させていく
- みたま: それなら今の方針と合ってるし、 むしろ良いんじゃないかしら?
- ひめな: そ、ヒコ君の作戦はそういう内容 馬鹿のひとつ覚えに戦わない
- ひめな: だから相手が必死になってる間に こっそり成功させて終わらせよ
- ひめな: キャハッ★
- FILENAME: text_103002-3_km1wv.txt
- やちよ: どうしても見えてこないわね ネオマギウスの動きが…
- 鶴乃: キモチの石よりも、 人を狙いそうな気がするけど
- 鶴乃: んー… 全然見当がつかないね…
- フェリシア: アジトになってた 神浜市民会館に行ってみようぜ
- 鶴乃: ももこたちが 先に確認したって言ってたよ
- やちよ: 魔力の反応が残っていて、 時女一族の誰かだったらしいけど
- やちよ: こちらの魔力を感知したら 相手も戻っては来ないでしょうね
- やちよ: 他に作戦の要になりそうで 姿を現しそうな所は…
- 鶴乃: 魔法少女至上主義を広めるなら、 やっぱり電波望遠鏡かな!?
- やちよ: マギウスにゆかりがあるものね
- フェリシア: じゃあ、そこじゃね?
- やちよ: 定期的に見回ってるけど そこも空振りよ
- やちよ: それに里見さん以外を感知すると ここの地下で警報が鳴るはずよ
- 鶴乃: PCルームにアラートが 来るようになってるからね
- 鶴乃: フェリシアが見てる東はどう?
- フェリシア: ももこたちと一緒に回ったけど、 別になーんもって感じだぞ
- フェリシア: あと、東のヤツらが落ち込んでて かわいそうだなーって思った
- 鶴乃: 十七夜とみたまの件は、 誰だってショックだもんね…
- やちよ: いよいよ動きが読めないわね
- ピロン♪
- やちよ: …………十七夜!?
- 鶴乃: ぉおっ!? なんてなんて!?
- フェリシア: 実は忍び込んでただけで、 なんか教えてくれるかもだぞ!
- やちよ: そんなまさか…!
- やちよ: …と思ったけどビンゴね
- フェリシア: マジかよ! やったじゃんやちよ!
- やちよ: 『ネオマギウスの目的と 今後の作戦を秘密裡に教える』
- やちよ: 『ただ、勘のいい敵ではあるので 有事を想定して動くように』
- やちよ: 待ち合わせ場所の地図と一緒に 送ってきた
- やちよ: 人気の多い場所だから、 戦う気はなさそうね
- フェリシア: これでオレたちの勝ちだな! ふんす!
- 鶴乃: ううん、メッセージと一緒に 情報を送ればいいのに
- 鶴乃: わざわざ会おうとしてるのは おかしい気がする…
- フェリシア: なんか、残しといたら やべーとかじゃねーのかよ
- 鶴乃: 秘密裡に教えるなら、 こっそり1対1でもいいはずだよ
- 鶴乃: それを有事を想定して 来いっていうのも気になる…
- やちよ: そうね…
- やちよ: 疑いたくはないけど、 十七夜は覚悟して向こうに付いた
- やちよ: 潜入するつもりなら、 私たちに言ってもいいはずよ
- やちよ: 半信半疑ではあるけど、 どちらかというと罠だと思うわ…
- 鶴乃: いろはちゃんとさなが 水徳寺に行ってるし
- 鶴乃: 一応、状況だけは連絡しておく?
- やちよ: そうね、お願い
- フェリシア: あ、それならこの話さ 鬼のヤツにも聞いてみようぜ!
- フェリシア: あいつケンカばっかしてるから こういうのわかるだろ
- やちよ: 正直、気は進まないけど 意見を聞いてみましょうか
- FILENAME: text_103002-4_km1wv.txt
- 結菜: はぁ…
- 結菜: (環さんたちユニオンに加えて 時女一族とも手を結べば)
- 結菜: (キモチの石が全てそろって、 戦いが終わると思っていた…)
- 結菜: (その手前、ネオマギウスとの 延長戦はしんどいわねぇ…)
- 結菜: (樹里とらんかは神浜市に残って 状況を知らせてくれてるし)
- 結菜: (ひかるはアオの監視を 続けてくれてるけど…)
- ピロン♪
- 結菜: …やっぱり他のメンバーも 動きづらそうねぇ…
- 結菜: (家族と交渉してもらってるけど 動けるメンバーに限りがある…)
- 結菜: (中学生以下のメンバーは、 ほとんど動けなさそうねぇ…)
- 結菜: (わかってたけど、私が金銭面を カバーするのも限界があるし…)
- 結菜: 取りまとめる作業も含めて、 思ったよりキツイわねぇ…
- 鈴鹿 さくや: 結菜は他にやることがあるでしょ
- 鈴鹿 さくや: こんな事務処理なんて 私に任せてくれればいいからさ
- 鈴鹿 さくや: チームをまとめる方に専念してよ
- 鈴鹿 さくや: 結菜だって心は人間のままなんだ ひとりで抱え込む必要ないって
- 鈴鹿 さくや: 愚痴りたい時は愚痴りなよ
- 鈴鹿 さくや: リーダーは結菜だけどさ これでも私たち同い年なんだから
- ひかる: 結菜さん!
- 結菜: ――っ!?
- ひかる: な、何を泣いてるんすか!? 泣かされたんすか!?
- ひかる: ひかるがやっつけてくるっすよ!?
- 結菜: あくびをしただけよぉ
- ひかる: あぁ…忙しいっすもんね…
- 結菜: それでアオの方はどうだった?
- ひかる: とりあえず他のメンバーに バトンタッチしてきたんすけど
- ひかる: 特に変な動きはないっすね
- ひかる: ネオマギウスとして動いてると 思ってはいるんすけど…
- 結菜: 何を企んでるかわからない以上、 そのまま監視を続けて
- 結菜: 恐怖を失ったあの子を拘束しても 何も吐かないと思うから
- 結菜: このまま泳がせて、 ボロが出るのを待ちましょぅ
- ひかる: っす…!
- ピロン♪
- ひかる: ん?
- ひかる: まだみんなからの報告が 来てるんすか?
- 結菜: ええ…
- 結菜: …でもこれは、七海さんねぇ
- ひかる: 向こうで なんかあったんすかね?
- 結菜: 手を結んだからって さっそく頼ってくるだなんて
- 結菜: どういう神経を してるのかしらぁ…
- 結菜: …………
- 結菜: これは、 和泉十七夜からのメッセージ…
- ひかる: なんか文面からすると、 こっち寄りっぽいっすね…
- 結菜: …どうかしら、 不審な点が多いと思うわぁ…
- 結菜: 有事を想定して行動を促す部分は 動きの指示とも読める…
- 結菜: 明確には答えられないけど、 楽観的に見ない限りは「黒」ねぇ
- ひかる: そっすか…
- 結菜: ただ、ネオマギウスが動き出した これだけは間違いないこと
- 結菜: 私たちも気を引き締めないと
- ひかる: っす…………ん? なんすか、この雑誌…
- 結菜: 時間を見つけて読んでいたのよぉ
- ひかる: 「たまごサークル」 「ひよこサークル」
- ひかる: え…ん…?
- ひかる: ちょぉおおっ!? 結菜さん子どもできたんすか…!?
- 結菜: ――っ!?
- ひかる: だれっすか相手ぇ!
- 結菜: 子どもの感情の芽生えについて 調べてただけよぉ
- 結菜: ただ、それを買ったのは失敗 こっちの本が本命よぉ
- ひかる: 「知っておきたい 感情指数(EQ)の変化」
- ひかる: 急に難しくなったっすね…
- FILENAME: text_103002-5_km1wv.txt
- いろは: それで、さなちゃんの絵本は 静香ちゃんに送れたんですか…?
- すなお: はい、購入した電子書籍を、 静香にメッセージで送りました…
- さな: 反応は…
- すなお: それが、何もなく…
- さな: 既読も付いてないんですか…?
- すなお: いえ、メッセージは開かれていて 絵本の受け取りも確認できました
- すなお: ですが、それからの反応は 何もありません…
- すなお: 改めて何度かメッセージを 送ってみたんですが…
- さな: …素人の私が描いた絵本ですし 心に響かなかったんですよ…
- さな: ありきたりな内容だと思いますし すなおさんの買いかぶりです…
- すなお: いえ、そんなことありません
- すなお: 私やちゃるが一緒にいれば、 きっと理解してくれたはずです…
- いろは: あの、さなちゃんの絵本って どんな内容なの?
- いろは: 私、話には聞いてるんだけど、 見せてもらったことがなくて…
- さな: それは、恥ずかしいので…
- いろは: アイさんをモチーフにした 絵本とは別なんだよね?
- さな: はい…
- いろは: 私は読んじゃだめ?
- さな: だ、だめです!
- さな: あの、本当に恥ずかしくて 死んじゃうかもしれません…!
- いろは: そんなに!? せめて、あらすじだけでも…
- さな: …私じゃ恥ずかしいので、 すなおさんから…
- すなお: え、私からですか…? 別に構いませんが…
- すなお: えっと、二葉さんの絵本ですが
- すなお: 「簡単に言うと善悪を問う話と言うよりかは “本当に苦しんでいる人は誰なのか” “本当に救うべき人は誰なのか” という点を伝えているお話だと思うんです」
- すなお: 「物語は、何をするにも遅くて 自分に自信が持てないカメさんが 村にやってきた 白いトリさんと出会うところから始まります」
- すなお: 「そのトリさんからカメさんは 自分の身の丈にあった優しさを示すだけで 人から必要とされることを知って 少しずつ自分にできることをしていきます」
- すなお: 「でも、そんな時 危ないトラさんがやってきて村の食べ物を 奪っていくようになったんです」
- すなお: 「それでも因果応報と言うのでしょうか トラさんは村人にとっちめられて とうとう捕まってしまいます」
- すなお: 「その様子を見ていたカメさんに トラさんは助けを求めますが 悪人を助ける気になれないカメさんは無視します」
- すなお: 「ところがトリさんはトラさんを助けると 助けられたトラさんは今までのことを謝って これから村のために働くことを誓います」
- すなお: 「その様子を見る中でカメさんは 自分が一番の悪人だったと気付いたのでした」
- すなお: と、こういうお話です
- いろは: …いいお話だと思うし、 私に隠す内容じゃないような…?
- さな: だ、だって…
- さな: カメは私で…トラは紅晴さん… トリはいろはさんなので…
- いろは: え、私なの…!?
- さな: はい…
- さな: いろはさんは、 キモチの石を巡る戦いは
- さな: みんなの救いを求める心から 来ているって言ってるし…
- さな: みんな色々食い違っていても、 尊い想いを抱えているから
- さな: 争いを憎んで人を憎まず みんなを救えたらって思ってる
- さな: だから、それを伝えられる 絵本ができたらなって…
- いろは: そ、そうだったんだ 嬉しいけど…
- いろは: 面と向かって言われると 恥ずかしいね…
- さな: ごめんなさい、 引いちゃいましたよね…
- いろは: そんなことないよ…! 私、本当に嬉しいよ…!
- いろは: さなちゃんが アイさんと同じぐらい
- いろは: 私の想いを大切にしてくれてる ってことだもん
- すなお: 私だって自分をモデルにした 絵本を描いてくれたら嬉しいです
- すなお: 想いが通じて良かったですね 二葉さん、ふふっ
- さな: はいっ…!
- すなお: あとは、この内容を静香が 素直に受け入れてくれたら…
- すなお: 自分がしていることも、 自分が救われる側なのも
- すなお: 気付いていないようですから
- FILENAME: text_103002-6_km1wv.txt
- ピロン♪
- いろは: …やちよさんから
- やちよ: 十七夜からネオマギウスの動きを 秘密裡に教えるっていう連絡が入ったわ
- やちよ: 十中八九は罠だという見立てだけど 今は小さな情報でも掴みたいし 少人数だと奇襲にあってやられる恐れがあるから ももこたち3人も連れて 南凪にある待ち合わせのポイントに向かうわ
- やちよ: いろはと二葉さんは途中でういちゃんと合流して 私たちのあとに続いてちょうだい もしも私たちが罠にかかったとしても 十七夜を背後から突けるはずよ
- いろは: ごめんね、すなおちゃん
- いろは: 十七夜さんが動き始めたみたいで 私たち行かないと
- すなお: それは、ネオマギウスが動いた ということですよね
- すなお: 私たちも他の分家に連絡をとって 一族総出で向かいます
- いろは: ありがとう、すなおちゃん
- さな: この反応…すなおさん…
- すなお: はい、間違いありません…!
- ちはる: すなおちゃん! 静香ちゃんが近付いてるよ!
- さな: プロミストブラッドでも、 笠音さんが現れたみたいですし…
- ちはる: それ、ネオマギウスが本格的に 動いてるってことだよぅ…!!
- かごめの声: 「ごめんくださーい!」
- ちはる: かごめちゃん!
- かごめ: もしかして静香さんが 近付いてますか…!?
- ちはる: うん…!
- アルちゃん: <ひめなさんたちが 動き始めたんだね…>
- かごめ: そうみたい…
- いろは: それじゃあ、すなおちゃん ふたりで南凪に向かいますね
- すなお: はい、私たちはこのまま 静香を待ち受けます
- いろは: 説得、上手くいくといいですね
- すなお: 環さんと二葉さんの想い、 静香にも繋げておきますね
- いろは: 改めて言われると恥ずかしいな…
- さな: はい… でも、お願いします…
- すなお: 任せてください
- FILENAME: text_103002-7_km1wv.txt
- ももこ: いろはちゃんからの連絡だと ネオマギウスは確実に動いてるな
- やちよ: 笠音アオに加えて、 時女さんまで動いたとなるとね
- やちよ: ただ、これで十七夜の黒が 確定したようなものだわ
- ももこ: アタシらに接触するタイミングが 悪すぎない限りね
- レナ&かえで: 「ももこちゃんじゃないし」 「ももこじゃないんだから」
- ももこ: おい、ひどいな…
- 鶴乃: でも、このタイミングなのは 気になるよね
- 鶴乃: プロミストブラッドがいないのを 狙ってきたとしか思えないよ
- ももこ: もしかして、 情報が漏れたってことか…?
- フェリシア: オレたちの中に、 裏切り者がいるってことじゃん!
- 鶴乃: 考えたくないけどね…
- フェリシア: 居るぞ…!
- 十七夜: 約束通り来てくれたようだな 十咎たちも一緒か
- ももこ: アンタに何をされるか わかったもんじゃないからな
- みたま: …十七夜、 いろはちゃんたちがいない
- 十七夜: 気を付けるに 越したことはなさそうだな…
- ももこ: なぁ、十七夜さん 情報をくれるだけなんだろ?
- ももこ: それなら変身を解いて こっちに来てくれよ
- 十七夜: もうわかってるだろ十咎 みんなを誘い出すための方便だ
- みたま: わたしたちはユニオンに戻る気は さらさらないわよ
- ももこ: アタシらが対立する理由は どこにもないのにか…
- みたま: ええ、魔法少女のみんなと 争いたくはないのよ
- みたま: でも、わたしと十七夜は決めたの どうせ滅びる運命なら
- みたま: みんなを苦しめる悪になって、 手を取り合うきっかけになるって
- 十七夜: 腐った神浜市の歴史を変えるには 皆の共通敵が必要だ
- ももこ: なに言ってるんだ! あとで自分が苦しむだけだろ!
- みたま: でも、わたしは自分で望んだのよ
- みたま: わたしの願いが巡り巡って、 どうせ神浜市を滅ぼすなら
- みたま: その滅びには 意味を残したいって…
- 十七夜: 人々に平等をもたらすためにも 戦わせてもらうぞ!
- ももこ: っ、あぶな…本気かよ…
- 十七夜: 今のはあくまで威嚇だ 八雲は本気でいくぞ
- みたま: ええ、いじってあげるわ
- フェリシア: ぐっ、な、急に苦しく…
- みたまの声: さあ、今のうちに倒しなさい!
- フェリシア: んなっ…
- 鶴乃: 油断なんてできない… みたまも十七夜も本気だよ…!
- やちよ: あなたたちはバカなの!? 近くに魔法少女以外もいるのに!
- 十七夜: 我々を知ってもらう 手間が省けるというものだろう
- やちよ: 魔法少女至上主義っていうのは 人に畏怖されるのが目的なの!?
- 十七夜: 自分には興味がないことだが、 それも辞さないということだろう
- やちよ: みんな、移動するわよ こんな所で戦えない
- フェリシア: っ、なぁやちよ! みたまが戦えるってことはさ…!
- やちよ: ええ、よく気付いたわね…
- やちよ: みたまたちの目的がキモチの石 以外なのかもしれないけど
- やちよ: キモチのルールは、 やっぱり消えてるかもしれない…
- FILENAME: text_103002-8_km1wv.txt
- 十七夜: 想定通り、七海たちは ひと気のない方に向けて動いたな
- みたま: まっとうな魔法少女なら当然よ 被害を出せないもの
- みたま: だからこそ、人が多い場所なら 争わないだろうと考えてしまうし
- みたま: わたしたちは敵じゃないかもって わずかでも期待してしまう
- みたま: ももこは本当に そう思ってくれたみたいだけど…
- 十七夜: 全ては警戒させずに、 移動させるための布石
- 十七夜: この辺りで周りを気にせず 戦える場所は…
- 十七夜: (コンテナターミナルぐらいだ)
- やちよ: 本当に戦う気…? 戻ってくる気はないの…?
- 鶴乃: そうだよ!
- 鶴乃: わたしたち今まで 一緒に戦ってきた仲間なのに…!
- 十七夜: 魔法少女同士の問題であれば、 七海たちの元に帰れたが
- 十七夜: 我々にとっての問題は、 積年の恨みを湛えた神浜市にある
- 十七夜: 滅びの覚悟を決めた以上、 そちらに戻る道は捨てたつもりだ
- 鶴乃: ネオマギウスで何をするつもりか わからないけど
- 鶴乃: 自分の家族や友だちが 悲しい想いをするんだよ…?
- 十七夜: わかっているが、 滅びの“結果”は変わらない
- やちよ: “結論”じゃないのね…
- やちよ: あなたたちが敵になったのは 十分納得したわ
- やちよ: 戦うことでしか 止められないということ…?
- 十七夜: 話が早くて助かるぞ、七海
- やちよ: じゃあ思う存分戦いましょう 本気でやりあうのは久しぶりね
- 十七夜: そうだな
- 十七夜: だが、自分たちは七海たちと 本気でやりあうつもりはないぞ
- やちよ: どういうこと…?
- みたま: 言葉の通りよ 魔法少女を苦しめたくはないの
- レナ: ――っ!?
- レナ: ちょっと、何よこの反応
- かえで: 周りに反応がいくつもある これ、みたまさんの魔力…?
- みたま: そうよ、ごめんなさい…
- かえで: うゆぅ…!
- レナ: な、何よこれ…
- ももこ: ぐっ…ぁあ゙! 体の中、ひっかき回される…
- みたま: わたしって 戦う時は布を使うでしょう?
- みたま: だから、それを応用してね、 ここにいくつも仕掛けておいたの
- みたま: どう?
- みたま: ソウルジェムに直接干渉されたら 身動きが取れないでしょう
- フェリシア: ぐぬぅぅぅぅう…! ぐぅ、力を入れてるつもりでも…
- みたま: 神経を遮断したように 四肢が動かない
- 鶴乃: 最初からこれが目的で…
- みたま: わたしは戦闘要員じゃないから 油断してたでしょうけど
- みたま: こういう使い方もあるの
- みたま: でも、わかって 一番誰も傷付かない方法だから…
- やちよ: くっ…
- userName: モキュゥ…
- やちよ: いろはが近付いてくるから、 状況を伝えて
- userName: モキュ!
- userName: モギュゥ!
- 十七夜: これも頂戴する いい土産になるからな
- 十七夜: 七海、自分たちは行く しばらくジッとしていてくれ
- 十七夜: いくぞ、八雲
- みたま: ええ
- チンッ…
- やちよ: (何かを落としていった…)
- やちよ: …………
- やちよ: (ソウルジェムを干渉されて 魔力の探知もできない…)
- FILENAME: text_103002-9_km1wv.txt
- ピロン♪
- ひめな: 教官かな、 それともなぎりんかな?
- 時雨: どっち…? ぼくたちが動く番…?
- はぐむ: 私たちずっと ここで待機してるもんね…
- 時雨: うん…
- ひめな: だって、仕方なくなくない?
- ひめな: 中で知らない人を検知したら 警報が鳴って
- ひめな: クレセントハウスのパソコンにも 連絡が入って
- ひめな: それで反応がなかったら、 スマホに転送されるんでしょ?
- ひめな: そんなのヤバみが深いし、 パソコン壊すしかないじゃん
- はぐむ: 時間を稼ぐためだし わかるんですけど…
- 時雨: もどかしいよね…
- ひめな: って、なぎりんじゃん
- 時雨: ほんとに…!?
- ひめな: しかもクレセントハウスの パソコン壊したって!
- ひめな: それじゃあ、 さっそく侵入しちゃおっか
- 時雨: うんっ…
- ひめな: えっと、調整屋さんから もらったメモだとパスはこれだね
- はぐむ: ウソじゃないですか…?
- ひめな: ま、ワンチャンやってみてだよね
- ぴ、ぽ、ぱ、ぴ、ぽ、ぱ、ぴ、ぷ、ぽ ぴ、ぱ、ぷ、ぽ、ぴ、ぴ、ぽ、ぷ、ぴ
- ひめな: ケタ数多すぎでしょ…
- カチャン…
- ひめな: でも開いた
- はぐむ: やりましたね…!
- 時雨: みたまさん よくこんなの覚えてたね…
- ひめな: 前はマギウスの翼と裏で繋がって 色々やってたみたいだからね
- ひめな: 調整の時に保険をかける感覚で マギウスの秘密を掴んでたみたい
- ひめな: 芸術家の人だけは よくわからないって言ってたけど
- 時雨: アリナさんは…そうかも…
- ひめな: 中に入ったら、どっちにしても 警報が鳴るって聞いてたけど…
- 時雨: 鳴らないね…
- はぐむ: こういう時に情報と違うことが 起きると怖いですよね…
- 時雨: 灯花様のことだから セキュリティをアップデートして
- 時雨: 顔認証とかのシステムで、 即アウトだと思ってた…
- ひめな: んー… とりまポジティブにいっとく…?
- はぐむ: そ、そうですね!
- ひめな: とりあえずメモに沿って押したら システムが起動したっぽい
- 時雨: でも、姫でも扱えるの…?
- ひめな: もしも手こずって敵が来たら、 しぐりんとはぐりんで止めてね
- ひめな: そのための要員なんだから
- 時雨: えっ…!
- はぐむ: が、頑張りますけど、 操作方法はわかるんですか…?
- ひめな: とりま大丈夫そう
- ひめな: マギウスにとっても、 わかりづらかったんじゃないかな
- ひめな: なんかすごく触りやすく 改造されてるっぽい
- 時雨: あ、ユーザーインターフェースは アップデートしてるんだ…
- ひめな: よくわかんないけど、 そういうことかも?
- 時雨: じゃあ、これで準備はできた…?
- ひめな: そうだね
- ひめな: 電波望遠鏡が手に入ったから あとは純美雨だけ
- ひめな: あの人が持ってる 事実の認識を変える力を
- ひめな: 私チャンの固有魔法を使って この機械に合成できれば
- ひめな: 価値観だけじゃなく 息の吸い方だって変えられる
- ひめな: つまり、パズルのピースは あとひとつってこと
- ひめな: キャハッ★
- FILENAME: text_103002-10_km1wv.txt
- 燦: 見つけたわよ純美雨
- ミユリ: ネオマギウスの未来のために ここで、とっ捕まるです!
- 純 美雨: 妙な気配を感じると思て 準備をしておいて正解ヨ
- 常盤 ななか: 美雨さん 穏便にやる必要はありませんね?
- 純 美雨: そのためにわざわざ こんな所まで誘い込んだネ
- ミユリ: なんとなんと! 燦様、ミユたちはまさか罠に…!
- 燦: わかってて受けてるのよ こっちも派手にやりやすいからね
- ミユリ: あぁ、今日も燦様は凛々しい… それだけでミユは…ミユは…
- 夏目 かこ: あきらさん…向こうの子、 なんだか様子がおかしいです…
- 志伸 あきら: 気をつけてかこちゃん 何をしてくるかわからないよ!
- 燦: いいわよミユ トンでしまいなさい
- ミユリ: …………
- ミユリ: フゥ…
- FILENAME: text_103002-11_km1wv.txt
- 燦: (さて、向こうは私たちのことを 覚えてないはずだけど)
- 燦: (危機感だけで対応するなんて、 あなどれないわね…)
- 燦: (ただ…)
- 燦: あなたたちの話の内容までは 聞こえなかったけど
- 燦: 見たところ、認識への干渉か 事実を変える…とか
- 燦: そんなところかしら?
- 純 美雨: …なんのことネ
- 燦: (電波に触れるだけで認識を 改竄させる機械を作るためにも)
- 燦: (絶対に捕えないといけない…)
- 純 美雨: 覚悟するネ!
- 燦: (マズイ…!)
- 純 美雨: 襲う理由すら消そうとしたけど 勘づかれたみたいヨ
- 燦: 触れられないようにするのも やっかいね
- 常盤 ななか: クッ…
- 常盤 ななか: 奇抜な動きで 翻弄してくるようですが…
- ミユリ: フゥッ…!
- 常盤 ななか: 空中で姿勢を制御するには 難があるようですね!
- ミユリ: グッ…
- 常盤 ななか: さすがはあきらさんの弱点探知 鮮やかに決まりました
- 志伸 あきら: ななかのセンスがいいからだよ わかってても狙えないからね
- 燦: ミユ! っ、蜂の巣にしてあげるわ
- 志伸 あきら: と、ここで両手をガトリングに 変化させた時が一番の隙だ!
- 燦: 懐に!?
- 志伸 あきら: これが本気の正拳突きだぁ!!
- 燦: っ…
- 夏目 かこ: このまま再現の力で、 もう一撃分の重みを与えます!
- 志伸 あきら: ま、待って!
- 夏目 かこ: えっ!?
- 志伸 あきら: ウァア゙ッッ!!
- 夏目 かこ: あきらさん!!
- 燦: ふふっ、腕の骨が 折れたんじゃないかしら
- 夏目 かこ: 今、なにが…?
- 燦: 生き残るための絶対防衛能力 それが私の固有魔法
- 燦: 分厚い鋼を殴ったかのように まるで手応えがなかったでしょう
- 志伸 あきら: くそっ…
- 夏目 かこ: ごめんなさい、あきらさん! 私のせいで余計にダメージが…!
- 純 美雨: 数的に不利ネ! 一瞬でも事実を書き換えるヨ!
- 常盤 ななか: 使い過ぎには気をつけて 消耗が激しいはずです
- 常盤 ななか: なっ…!
- ミユリ: フゥ…フゥ…
- 常盤 ななか: クゥッ…ウソでしょぅ…
- 純 美雨: コイツ、ゾンビか何かネ… 全然倒れる気配がないヨ…
- 燦: だからこの子は秘密兵器であり、 私は倒れない戦闘教官であれる
- 燦: 悪いけど、あなたたちと比べると 規格外なのよ
- 常盤 ななか: ふ、数を用意して言ったところで まるで様にならない台詞ですね
- 燦: 確かにそうね ちょっと格好悪かったわ
- 燦: だけど、もう王手よ
- 燦: ミユ、カンフーちゃんを 捕まえるわよ
- 常盤 ななか: いえ、まだ光明はある…
- 燦: グッ…!
- 常盤 ななか: やはりあなたの固有魔法は 自動で発動しない
- 常盤 ななか: 不意打ちには弱いみたいですね
- 燦: 今の、どこから…
- いろは: 大丈夫ですか、ななかさん!
- さな: 志伸さんは後ろに運んで 守りに入ります…!
- いろは: お願いね、さなちゃん!
- いろは: うい、私たちは ななかさんたちをサポートしよ!
- うい: うんっ!
- FILENAME: text_103002-12_km1wv.txt
- 燦: 二葉さなが 志伸あきらを守っている以上
- 燦: まともに動けるのは、 常盤ななかたち3名と環姉妹…
- 夏目 かこ: この場を離れて人混みに出れば 逃げ切れるはずですが…
- 常盤 ななか: あきらさんと美雨さんを守って 退くのはさすがに骨が折れますね
- いろは: 私とういが前に出るので、 そのうちに移動してください!
- 燦: 行かせてはダメよミユ
- 燦: 彼女たちは最低限、 純美雨を逃がす気で守りに入るわ
- 燦: あなたを避けて弾幕を張るから、 捕まえてちょうだい
- ミユリ: ハイ…
- FILENAME: text_103002-13_km1wv.txt
- さな: 志伸さん大丈夫ですか…!?
- 志伸 あきら: うん、足は動くからね…
- 志伸 あきら: っ、危ない!かこちゃん! ガトリングがこっちを狙ってる!
- 夏目 かこ: きゃぁッ!?
- ミユリ: フゥ…
- いろは: お願い、やめて!
- いろは: 私たちは今、 争ってる場合じゃないんだよ!?
- うい: そうだよ!
- うい: 自動浄化システムを キュゥべえから取り戻さないと
- うい: 魔法少女が救われなくなる…!
- ミユリ: …………
- いろは: っ、聞こえてない…!
- いろは: せめて行かせないように 押さえないと…!
- 燦: ミユ、そのまま 環姉妹を突破しなさい!
- 燦: ――っ!?
- 燦: クァッ…! 常盤ななかぁッ!
- 常盤 ななか: 懐に入れた以上 私の間合いでの戦いになります
- 常盤 ななか: 精密な射撃が難しく、 近接武器も持たないあなたには
- 常盤 ななか: 苦手な間合いでしょう!
- 燦: ウッ…!
- 燦: はぁあああああッ!!
- 常盤 ななか: フグッ!
- 燦: 弾が出なくても 銃は立派な鈍器になるのよ
- 燦: それに…
- 純 美雨: そこをどくネェエッ!
- 純 美雨: ふぅ、これで距離をとれそうヨ
- 純 美雨: なっ…
- 燦: こんな武器だけど、今となっては 精密射撃だって朝飯前よ
- 燦: カンフーちゃんの足は潰した 何発か撃ち込んで連れて行くわ
- 都 ひなの: ―ひなの― 南側で好き勝手やってくれるな
- 都 ひなの: ―ひなの― ずいぶんと体は頑丈みたいだが 内側はどうだろうな
- 燦: ―燦― な…
- 都 ひなの: ―ひなの― コイツはアタシのとっておきだ
- 燦: ―燦― 薬品…
- 燦: ―燦― まずい…!
- 燦: がっ…く…ミユ…!
- 都 ひなの: やっかいな相手が残ってる上に まだ羽根も残ってる…
- 都 ひなの: 致命傷を与えられない以上は ここで退かせてもらうぞ
- 時雨: こ、これ、電波望遠鏡を使うのに セキュリティが解除できないよ…
- 時雨: 虹彩をつかった生体認証なんて ぼくたちじゃ突破できないよ…
- ひめな: 調整屋さんからもらったメモには 書いてなかったんだけどねー
- はぐむ: やっぱり灯花様もセキュリティを アップデートしてたんですね
- はぐむ: 彼ピさんは 何か言ってないんですか…?
- ひめな: ぶっちゃけ難しいみたいだけど
- ひめな: ワンチャン、赤外線写真を使って クリアできるかもって
- はぐむ: それ、灯花様の目を撮影する 必要があるっていうことですか?
- 時雨: もしかしてぼくたちで…?
- ひめな: まさか
- ひめな: ふたりとも里見灯花のことを 尊敬してるみたいだから
- ひめな: 自爆したあとの姿なんて 見せたくないって
- ひめな: だから、とりま教官に お願いしてみる
- ひめな: その代わり、ふたりにも ひとつお願いしてもいい?
- 時雨: なに…?
- ひめな: みわりんを連れてきて
- ひめな: セキュリティを突破するのに 改竄の固有魔法が必要になるかも
- 時雨: だ、だめだよ姫!
- はぐむ: そうですよ!
- はぐむ: みつねちゃんの固有魔法は、 ドッペルを出さないと使えません
- はぐむ: 今の神浜市で使わせるのは、 魔女になるのと同じことですよ!
- ひめな: もち、わかってるって
- ひめな: みわりんに 固有魔法は使わせないって
- ひめな: 私チャンがみわりんの固有魔法を 合成して使うだけだから
- 時雨: それで…うまくいくなら、 ぼくはいいけど…
- 燦: …ええ、もう少ししたら 動けるようになるわ
- 燦: だから、引き続き純美雨が 逃げた先を調べてちょうだい
- それで私は引き続き何をすれば…
- 燦: そのまま病院を見張ってて
- 燦: 私はこのまま病院に行って、 灯花様の様子を見る予定だから
- 燦: ユニオンの誰が来てるか なるべく様子を知っておきたい
- それでしたら ひとつだけ情報があります
- 燦: 何かあった…?
- 今、病院の中には みふゆさんがいます
- 燦: …いい話を聞いたわ
- FILENAME: text_103002-14_km1wv.txt
- 常盤 ななか: 無様なところを見せました
- いろは: いえ、相手はマギウスの翼でも 屈指の実力者だったそうなので
- いろは: 苦戦しても仕方ないです…
- うい: わたしたちだって、 倒せそうになかったもんね
- 常盤 ななか: 美雨さんやあきらさんも 鍛錬を怠っているわけではない
- 常盤 ななか: それでも、彼女の実力は確実に 努力に裏打ちされたもの
- 純 美雨: あの羽根たちが雑兵なら、 こっちのプライドはズタズタネ
- 夏目 かこ: ほとんどふたりで 戦ってるようなものでしたしね…
- 志伸 あきら: やちよさんと合流するなら そこで巻き返させてもらうよ
- さな: 志伸さんのケガが一番重いので ムリはしないでくださいね…
- いろは: ――っ!?
- いろは: やちよさん…! みんな倒れてどうしたんですか!?
- さな: いろはさん、 これ、みたまさんの魔力です…
- やちよ: ええ、それ以上近付かないで
- やちよ: ソウルジェムに直接干渉されて、 身動きが取れなくなるわ
- さな: まさか調整の力で…
- 鶴乃: ねえ、近くに何か転がってない?
- 鶴乃: みたまと十七夜が 何か置いてったんだけど
- 鶴乃: ソウルジェムに干渉されてるから 魔力を探れなくって…
- うい: やちよさんたちの近く グリーフシードがあるよ!?
- さな: これ、孵化しそうです…!
- 鶴乃: ちょぉおッ!?!?
- ももこ: マジか… 置き土産もセットかよ…!
- レナ: 早くみたまさんの布を消して!
- かえで: いろはちゃんお願い!
- いろは: うん、すぐに! いけえッ!
- やちよ: ありがとういろは、助かったわ
- やちよ: ――っ!?
- やちよ: 魔女が孵ってしまったわ…
- ピロン♪
- レナ: ちょ、ウソでしょ… レナたちの所だけじゃないの!?
- かえで: 他の場所でも魔女が出たって みんなから連絡が来てるよ…!
- やちよ: キモチのルールに縛られないなら
- やちよ: 今まで戦えなかった人たちからも 力を借りられると思ってた
- やちよ: だけど魔女を使ってまで、 そのメンバーを削ぐだなんて…
- かえで: 魔女を相手にしなかったら みんなで戦えるけど
- かえで: そんなに数がいるなら さすがに放っておけないよね…
- レナ: 当たり前じゃない…
- レナ: 人の命を犠牲にして 追いかけるって話になるし…
- ももこ: こうまでして、ネオマギウスは 何を仕掛けようとしてるんだ…
- 純 美雨: どういう目的だたのか、 ワタシを狙てるような気がしたヨ
- 常盤 ななか: ええ、強い意思を感じましたね
- レナ: レナたちが動きを封じられたのも 関係してるのかな…
- 常盤 ななか: 何かひとつの目的に向けて、 同時に動いているのでしょう
- いろは: 魔女が孵化しているのも、 みんなの足止めをするためなら
- いろは: 私たちの足元で ネオマギウスが何かをしてる…
- 鶴乃: …………
- やちよ: 『ネオマギウスの目的と 今後の作戦を秘密裡に教える』
- やちよ: 『ただ、勘のいい敵ではあるので 有事を想定して動くように』
- やちよ: 待ち合わせ場所の地図と一緒に 送ってきた
- 鶴乃: 秘密裡に教えるなら、 こっそり1対1でもいいはずだよ
- 鶴乃: それを有事を想定して 来いっていうのも気になる…
- 鶴乃: やられた… そういうことだったんだ…
- いろは: 鶴乃ちゃん…?
- 鶴乃: みたまも十七夜も ただ足止めしたんじゃない!
- 鶴乃: 少なくとも、クレセントハウスを 空っぽにしたかったんだよ!
- うい: ど、どうして!?
- 鶴乃: それは帰らないとわからないけど 急いで確認しないと!
- 鶴乃: 十七夜はキモチから選抜されて 戦えるメンバーだったから
- 鶴乃: クレセントハウスへの入り方を 教えてもらってるはずだよ!
- 夏目 かこ: それなら、魔女は私たちに任せて 皆さんは行ってください
- フェリシア: かこっ! お前ケガしてるのにいいのかよ!
- フェリシア: っていうか ユニオンを助けちゃダメだろ!?
- 夏目 かこ: これはユニオンと関係ない
- 夏目 かこ: 魔女が出てくるっていうのは、 神浜市の町にとっての危機になる
- 夏目 かこ: だから私は、この町の人のために 戦うだけだよ
- 常盤 ななか: かこさんの言う通りですね
- 常盤 ななか: 魔女の件については話は別 ここは私たちに任せてください
- フェリシア: …おう、わかった ありがとな!
- FILENAME: text_103002-15_km1wv.txt
- 常盤 ななか: あきらさんは無茶しないように
- 志伸 あきら: 右腕はやられたけど、 まだ左腕が生きてるし平気だよ
- 夏目 かこ: 他にも魔女がいると思いますし あとで調べましょう
- 志伸 あきら: うん、そうだね 美雨はどうする?
- 純 美雨: これが終わたら、 蒼海弊の仲間に頼んで船に乗るネ
- 純 美雨: 距離を取るだけで、相手は 作戦に必要なパーツを失うヨ
- 常盤 ななか: (あとは、環さんたちの拠点が どうなっているか…)
- 常盤 ななか: (それ次第で 動きが変わりそうですね…)
- FILENAME: text_103002-16_km1wv.txt
- いろは: どう、変なところはあった…?
- いろは: 何か仕掛けてそうな所は 先に見てきたんだけど…
- さな: なので、私はみんなの部屋を 見たんですけど、特に何も…
- うい: お風呂場と台所も、 なにもされてないみたいだった
- ももこ: 地下も一通り見てきたけど、 変なところはなかった
- レナ: まだフェリシアとやちよさんが 必死に調べてるけど
- かえで: 何か触られたところとか、 なさそうだったよね…?
- レナ: 別に盗んで得するものなんて ないだろうし
- かえで: よくわからないね…
- ―取材記録― 時女 静香
- 静香: 「そうね、やっぱり私が望むことと言えば 日の本のために尽くして みんなが幸せな世の中を作ることよね」
- 静香: 「神浜市に来てから色んな人を知って、 私が思っていたよりも 世の中に悪がはびこってるのは理解したけど、 それでも時女一族にできることは あると思ってるわ」
- 静香: 「そのできることに私が気付いた時、 みんなは本家である私に付いてきてくれるから きっと力を合わせて上手くいくと思う」
- 静香: 「ただ、私が間違っていたとしても 止めてくれないんじゃないかなって怖さも 少しはあるんだけどね」
- 静香: 「もしもこの戦いが終わって、 時女一族としても目的に邁進するために 迷いなく動くことができるようになれば、 せっかく都会に来たんだから もっと世間に慣れていきたいわね」
- 静香: 「そう、私ね時女一族のみんなを連れて て~まぱ~く、っていう所に 行ってみたいのよ!」
- FILENAME: text_103003-1_km1wv.txt [Episode 3]
- かごめ: ネオマギウスの動きが気になって、 ピュエラケアがいるケアトレーラーを訪ねた私。 すると、見計らったようにひめなさんが現れて、 雰囲気だけはつかむことができた。
- かごめ: それは、ひめなさんが 「とても危険なことをしようとしている」という 曖昧な内容でしかなかった。
- かごめ: だけど、ひめなさんを調整していた時、 リヴィアさんが顔色を変えて放った一言が、 曖昧な“危険”という言葉に現実味を帯びさせた。
- かごめ: 『中立ではいられなくなった。 このままだと氷室さんが見ている諦念に 一直線である』
- かごめ: 何を意味しているかはわからないけど、 ネオマギウスを追いかける術を無くした私は、 ひとまず時女一族の様子を見にいくことにした。
- かごめ: 社会が知らず知らずに魔法少女を生むのなら、 社会に利用されて生まれたのが時女一族の巫。 純粋で無垢だった巫の静香さんは、 利用された上に、町に出てからは悪に影響されて その心を歪められてしまった…。
- かごめ: 私の目を通して見る魔法少女たちはみんな、 なぜか見えない力でも働いてるかのように、 周りの影響で悪い方へと転がっていくばかり。
- かごめ: 那由他さんのお父さんが 魔法少女を世間に知らせることを諦めた理由が、 みんなを結果的に苦しめることだとすれば、 取材を続ける私はそれを否定したい。
- かごめ: だから私は、静香さんと時女一族が ひとつに戻ることを信じて、水徳寺を訪れていた。
- すなお: …………
- 静香: …………
- ちはる: ネオマギウスをやめて 時女一族に戻ってきたの?
- 静香: 逆よ、ちゃる
- 静香: 本家である私の意見に反して、 みんなが時女一族をやめたのよ
- 南津 涼子: この様子じゃあ、 静香のやつは何も変わってねぇな
- 青葉 ちか: はい、戻って来たという感じでは ありませんね…
- 静香: そう、改めて説得しに来たのよ みんなに付いて来て欲しいから…
- すなお: もう返事はしたはずですよ
- 静香: …どうしてわかってくれないの
- 静香: 人を良き方向に導くためにも、 巫は上に立たないといけない
- 静香: 最初こそ藍家ひめなが、 上に立つかもしれないけど
- 静香: 彼女が神浜市以外の人々を 苦しめるなら
- 静香: 私が藍家ひめなを倒して みんなを救ってあげればいい
- 静香: そうすれば人々は巫のことを、 敬ってくれるようになるし
- 静香: 私たちも人々の性善を生かす 善い行いができるようになるわ
- すなお: …傲慢なんです
- すなお: 私が時女一族でないのなら、 反対派として話しますが
- すなお: みなさんは それでも構いませんか?
- ちはる: うん、お願い
- すなお: 静香は藍家ひめなを倒して 尊敬されようとしていますが
- すなお: 問題はそこではなく、 人々との向き合い方なんです
- すなお: 自分が理想とする人の形があり、 その型にはめるために上に立つ
- すなお: そしてルールと恐怖によって 人を縛っていく…
- すなお: それは、私たちを里の規則で縛り 操り続けていた神子柴と同じです
- すなお: 理想とする型に 無理矢理はめこむルールを作り
- すなお: そこに当てはまらない者たちは、 消していくんですから
- ちはる: 静香ちゃんが言ってることも 理解してるんだよ…!?
- ちはる: それでも、人の在り方は 押し付けることじゃないんだよ
- ちはる: それに、きっと藍家ひめなは 静香ちゃんを利用してるよ
- 静香: におうの…?
- ちはる: それは…違うけど…
- すなお: 悪意なんて持たず、 純粋な心で悪行を働ける人もいる
- すなお: 彼女はそういう類いです
- 静香: …理解してくれなくて残念だわ
- すなお: 私も非常に残念です
- すなお: 恨まれても構いません 来たからには帰しませんよ
- ちはる: わたしも本家の目を覚ますって 決めたんだ…
- ちはる: ネオマギウスには帰さない こっちに帰ってこさせる!
- FILENAME: text_103003-2_km1wv.txt
- 青葉 ちか: 私たちも続きましょう!
- 南津 涼子: 静香、戻って来たら、 説教だけじゃすまさねぇからな
- 静香: …………
- 静香: 私は持ち場につくから、 ここからは任せるわ
- はい、本家は先に行ってください
- 長くは持たないと思いますが、 多少の時間は稼げます
- すなお: 静香!!
- 静香: じゃあね…
- FILENAME: text_103003-3_km1wv.txt
- …………
- …………
- 南津 涼子: ふぅ、とりあえず これで一丁上がりだなぁ
- 南津 涼子: ただ、静香のやつは消えたか?
- ちはる: うん、もう魔力を追えない所まで 移動してるみたいだよぅ…
- すなお: すみません… 少し強く言い過ぎました…
- ちはる: 変に静香ちゃんを 意固地にさせちゃったかなぁ…
- 南津 涼子: あんぐらいビシッと言わねぇと 心にグッと入ってかねぇだろ
- 南津 涼子: 半端に伝えるよりいい
- ちはる: 戻ってこなかったけど…?
- 南津 涼子: 気にするな んなもんは結果論ってもんだ
- 南津 涼子: それより、ちょっとばかし 気になるんだが
- ちはる: …なに?
- 南津 涼子: ちはるたちが思う 時女一族の理想ってのは何だ?
- 南津 涼子: 静香の言うことはわかるけど お前やすなおはどうなんだ
- 南津 涼子: 否定はしてるけど、 理想の形ってのがわかんねぇ
- ちはる: …わたしはね、 ヒーローみたいでありたいけど
- ちはる: たぶん、無償の愛みたいなものに 共感してたと思うから
- ちはる: 今のままでもいいんだよぅ
- ちはる: 悪鬼を退治するっていう 勧善懲悪なところもいいけど
- ちはる: どんな人であっても 分け隔てなく助けるからこそ
- ちはる: 悪も救われたことを通して 善になるっていうか
- ちはる: 無条件に人を信じてるところが なんだか輝いてたと思うし…
- すなお: そうですね
- すなお: わざわざ表に出て 人々を導く必要なんてない
- すなお: 私たちは裏方として願いを叶え、 悪鬼を倒すということに徹して
- すなお: 無条件にすべての人を救う
- すなお: それが、本当に人の善を 信じるということだと思います
- 南津 涼子: まぁ、昔の一族の人ってぇのは、 その辺りを理解してたってことだ
- 南津 涼子: 水徳寺の和尚も、 本当に苦しんでるのは誰か
- 南津 涼子: 大将のヤツにはちゃーんと 伝えてたはずなんだけどなぁ…
- すなお: さなさんの絵本も、気付くための 切っ掛けだったんですけど
- すなお: その本質を理解しないまま、 ここに来たんでしょうね…
- 南津 涼子: それにしても 無条件に人を助く美しさねぇ
- 青葉 ちか: 私はそんな純粋な輝きに 旭さんは惹かれてたと思います
- 青葉 ちか: だから、 それを取り戻してもらうためにも
- 青葉 ちか: 今は静香さんの場所を 調べましょう
- ちはる: でも、魔力は追えないよ?
- 青葉 ちか: 動物であれば、神浜市内だけでも かなりの数になるはずです
- 青葉 ちか: 近くに居る鳥から近所の犬まで どんどん声をかけましょう
- すなお: すみませんかごめさん 来て頂いて早々に…
- かごめ: い、いえ…
- アルちゃん: <あ、あのひとつだけ、 聞いてもいい…?>
- すなお: はい、答えられることなら
- アルちゃん: <静香さんと付いていった 分家の人たちって>
- アルちゃん: <もしかして、時女一族の儀式で 願い事を叶えた人?>
- すなお: …………
- すなお: よく考えてみるとそうですね… どうしてわかったんですか?
- アルちゃん: <自分で願いを叶えた人は、 理不尽でも願いが叶ってるから>
- アルちゃん: <見返りがあったとか 自分で決めたことだからって>
- アルちゃん: <今の状況に無理矢理納得して 戦う理由を作ることができる…>
- アルちゃん: <でも、しきたりとかが理由で 誰かの願い事を叶えた人たちは>
- アルちゃん: <自己責任なのは変わらなくても 見返りはひとつもないから>
- アルちゃん: <自分を肯定するために、戦う 理由を探すしかないかなって>
- アルちゃん: <静香さんを見てたら、 なんだかそう思ったんだ…>
- かごめ: すみません、外野なのに 偉そうなことを言いました…
- すなお: いえ、気付けなかった自分に ショックを受けていたんです…
- すなお: 静香も出て行った分家の人も、 自分に意味を見出そうとして
- すなお: 過激になっていったのかも しれませんね
- ちはる: 特にわたしたち時女一族は、 人を信じられなくなったら
- ちはる: 自分たちがなんでいるのかって 曖昧になっちゃうと思う
- ちはる: それに、等々力耕一が言ってた
- 等々力(ちはる): 人を助けるために事件を解決することは 人を信用していないとできない あまねく全ての事件を解決するということは 全ての人を信じるということなんだよ
- ちはる: だから、さっきも言ったけど 無条件に人を信じることは
- ちはる: 大切だと思う
- すなお: 等々力耕一の精神が ちゃるを繋ぎ止めてたんですね…
- ~~♪~~♪
- ちはる: おわわっ!
- ちはる: わっ? 静香ちゃんのお母さんだ…
- かごめ: …………
- かごめ: 他の人とは違って 自分で願いを叶えなかった静香さんには 巫として人を救うという誇りだけが戦う理由で それ以外に苦しい道のりから逃げる術がない
- かごめ: だけどちはるさんの言う通り 助ける人すら信じられなくなったから 自分がいる意味というのがどんどん崩れていって 存在意義を生かし続けるために 過激になっていったのかもしれない
- かごめ: 希望も絶望も 魔法少女として生まれた意味も生き方も 私たちは個人だけでは決められない
- かごめ: 知らないところで周りの力に影響されているのが 魔法少女を追いかけていると見えてくる…
- FILENAME: text_103003-4_km1wv.txt
- ちはる: 静香ちゃんのお母さんからの電話 出た方がいいかな…
- ちはる: まだ、静香ちゃんのこと 何も伝えてないけど…
- すなお: …いつまでも 隠せることではないですし
- すなお: ちゃんと電話に出て、 場合によっては説明しましょう
- ちはる: うん…
- ちはる: あの、もしもし…?
- 静香の母: ちはるちゃん、 神浜市で何かあった…?
- ちはる: えっ、どうして…?
- 静香の母: 虫の知らせみたいなものよ なんだか嫌な予感がしてね…
- 静香の母: 先に静香に電話したんだけど、 出てくれなかったから
- 静香の母: 何かあったと思ったのよ
- ちはる: …っ、ふっ、うぅ…
- 静香の母: やっぱり何かあったのね… 説明してくれる?
- 静香の母: 時女一族の巫でしょう 泣いてる場合じゃないのよね?
- ちはる: ごめん…なさい…
- ちはる: なんか、 声聞いたらホッとしちゃって…
- 静香の母: 神浜市の巫たちと 手を取る話は聞いてたけど
- 静香の母: あれから追い込まれてるの…? 誰か死んだ…?
- ちはる: ううん…
- ちはる: 静香ちゃんが分家の人を連れて 敵の方に行っちゃった…
- ちはる: 人が悪に染まらないように、 巫が導く必要があるんだって…
- ちはる: でも、わたしもすなおちゃんも それは違うと思って…
- 静香の母: そう…やっぱりあの子は まだ争うつもりだったのね…
- ちはる: ねえ、おばさん… わたしたちどうすればいいかな…
- 静香の母: 本家に付いていけないなら、 戦って自分を変えるしかないわ
- 静香の母: 私はどちらの味方でもない 誰が勝利しても文句はない
- 静香の母: でも、勝つ気でいるのなら、 静香を変えるか殺しなさい
- ちはる: え…
- 静香の母: いざというときの覚悟も あの子には叩き込んでるわ
- ちはるの母の声: 「ちょっと時女さん、電話貸して…!」
- 静香の母の声: 「え、何よ広江さん…!大事な話を…!」
- ちはるの母の声: 「いいから!」
- ちはるの母: ちゃる
- ちはる: お母さんっ!
- ちはるの母: 時女さんは乱暴なことを言ってる けど、まずは相手のことを考えて
- ちはるの母: 静香ちゃんだって あなたと同じぐらいの年頃よ
- ちはるの母: あの子が一族の強い重圧の中でも 耐えられたのはね
- ちはるの母: ひとりじゃなかったからよ
- ちはるの母: 周りの子たちに支えられて ひとつになれていたからなのよ
- ちはるの母: それを忘れないで
- ちはる: うん…
- ちはるの母: 曲がりなりにも 自分で生んだ子でしょう
- ちはるの母: 簡単に殺してもいいなんて 言わないでください
- 静香の母: だけど私たちはいつでも、 戦う準備をして生きてきた
- 静香の母: 巫である静香なら尚更よ
- ちはるの母: 理屈を作って簡単に失ってもいい 命なんてありませんよ
- ちはるの母: 死んでもいいなんて 精神論や理屈なんかより
- ちはるの母: もっと静香ちゃんに感じている 愛に対して素直になってください
- 静香の母: …悪かったわ、ごめんなさい
- FILENAME: text_103003-5_km1wv.txt
- 静香: …………
- 静香: 聞くところによると神浜市という町は ずいぶんと昔から悪に支配されているらしく 長く人々が苦しみを味わっている…
- 静香: だから、和泉十七夜や八雲みたまが言う通り 滅びを与えるということは 日の本を守る私としては許せないことだけど 耐え続けてきた人たちにとっては 人々を変えるための最終手段なのかもしれない
- 静香: だけど藍家ひめなは別格の存在だわ 本当にわかりやすく、私利私欲に従って 人々を支配するために害を成そうとしている上に 滅ぼすということに躊躇がない
- 静香: もしも度が行きすぎるようであれば 私が彼女の首を取って人々に示さないと… 心優しき巫が導くから安心して欲しいって…
- 静香: …それぐらいの分別はあっても、 私は、神子柴に似ているのかしら
- 静香: どう思う…?
- 時女集落の話を聞く限りですと、 似ていないと思います
- 私たちは私欲を 満たそうとはしてませんから
- 静香: そうよね…
- 静香: ――っ!?
- どうしましたか?
- 静香: …………ううん、ただの鳥みたい
- チュン、チュンチュン
- 青葉 ちか: …そうですか、 ありがとうございます
- すなお: 静香の場所はわかりましたか…?
- 青葉 ちか: はい、正確とは言えませんが、 恐らく大丈夫だと思います
- ちはる: じゃあ、さっそく 静香ちゃんを追いかけよう!
- 南津 涼子: だな、善は急げだ!
- ちはる: 「時女一族ファイトーーー!」
- みんな: 「オー!!」
- FILENAME: text_103003-6_km1wv.txt
- 青葉 ちか: 静香さん、そこまで遠くには 行ってないようですね
- 南津 涼子: みてぇだな
- すなお: 静香もこちらの気配には 気付いてるはずです
- ちはる: うん、わたしたちだけが 気付いてると思えないもんね
- ちはる: 静香ちゃん!
- 静香: やっぱり、あの鳥は ちかにお願いされて飛んでたのね
- 青葉 ちか: 気付いていたんですか…
- 静香: 山深い集落で生まれ育ったもの
- 静香: 他にもいくつかの 動物の動きは感じてたわ
- ちはる: それでも逃げなかったのは、 まだ話をする気があるから…?
- すなお: いえ、私たちと相対することが、 求められているのでしょう…
- 静香: さすがはすなおね その通りよ
- 静香: ここで足止めをさせてもらうわ
- 静香: 阻止!!
- すなお: キャッ!
- 青葉 ちか: な、何が起きたんですか…!?
- ちはる: おりゃ!
- ちはる: や、やっぱり…!
- ちはる: わたしたちの周りに 見えない壁があるよぅ…!
- すなお: 固有魔法を使ってでも 私たちを行かせないつもりですか
- 静香: ええ、ネオマギウスの計画が 実行に移されるまではね
- すなお: 分家に悪鬼の魂魄を使わせて 浄化してもらうようにすれば
- すなお: 魂魄が尽きない限り、 私たちの足をとめられる…
- 南津 涼子: いやぁ、大将も考えたねぇ
- ちはる: …………
- ちはるの母: 静香ちゃんだって あなたと同じぐらいの年頃よ
- ちはるの母: あの子が一族の強い重圧の中でも 耐えられたのはね
- ちはるの母: ひとりじゃなかったからよ
- ちはるの母: 周りの子たちに支えられて ひとつになれていたからなのよ
- ちはる: 涼子ちゃん! 周りの子から目を覚まさせよう!
- ちはる: 魂魄を使えなくなるから 静香ちゃんの阻止が短くなるよ!
- 南津 涼子: そりゃ名案だ 見えねぇ壁で隔てられてても
- 南津 涼子: 声は十分届くからな
- ちはる: うんっ!
- 南津 涼子: それじゃあ、ここはあたしが ひとつ説教をくれてやるか!
- 静香: 何をするつもり!?
- 南津 涼子: 悪いが大将の出番はあとだ!
- あ、あれ…? どうして私、座禅を組んでるの!?
- こんなことができるのって…
- った!
- 南津 涼子: 教えをくれてやろうってのに、 さっそく私語ってのはよくねぇな
- やっぱり、涼子…
- 教えなんて私たちには…!
- 南津 涼子: まぁ落ち着いて そんで呼吸を整えな
- 「す~、は~…」
- あれっ、なぜか言われた通りに!
- 南津 涼子: ここはあくまで話をする場で 攻撃はできねえから安心しな
- 無理矢理でも話を聞かせるわけね さっさと話しなさい
- 私たちの考えは翻らないわ
- 南津 涼子: 人が悪に染まらないように 自分たちが導く
- 南津 涼子: それが善行だって?
- じゃなかったら何だって言うの
- 南津 涼子: 世間を知らねえって話だ
- 私たちは里から降りてきて、 嫌というほど見てきたわ
- 南津 涼子: これはあたしの感覚だけどな
- 南津 涼子: 時女一族は神子柴のせいで 陰の奧にまで潜ったが
- 南津 涼子: 過去はもうちょっと表にいた 存在だったはずなんだよ
- 何が言いたいの…?
- 南津 涼子: 時女一族は世間を知った上で、 巫として日の本を守り続けたんだ
- 南津 涼子: 人の中にある善悪も理解した上で 愛おしいから守ったんだよ
- ――っ!?
- 南津 涼子: それに悪行がなきゃ善行もない 光と影と同じようなもんだ
- 南津 涼子: つまりオマエらは人々を照らす 善の導き手になろうとしてるがな
- 南津 涼子: 裏を返せば影を作ることにもなる 悪の導き手になるってことだ
- 南津 涼子: 悪行を知らないと 善行は生まれない
- …………
- FILENAME: text_103003-7_km1wv.txt
- もう、やめましょう 静香さん
- 静香: な、何を言ってるの…? 何を言われたのよ!
- …ハッとさせられたんです
- 私たち時女一族の歴史は 神子柴に支配された歴史…
- 時女集落に現れた神子柴によって 外との繋がりを絶たれ
- 日の本のために何を願うかも 神子柴に任せることになっていた
- だけど、それより前は、 世間の人々を知っていて
- 一族は人の悪を理解した上で、 願いを叶えてたはずなんですよ…
- 静香: ただ、過去と今では状況が違うわ
- 私たちが善行を教えるのは、 悪行を教えるのと同じなんですよ
- 光が見えれば闇も見えるんです
- 静香: だから、闇を見させないために 私たちが導くのよ
- 南津 涼子: そうすりゃ善悪の概念も 自分たちの思うがままだな…
- すみません…静香さん…!
- 私には時女一族が憎むべきものが 見えた気がします…!
- 静香: くっ!
- すなお: 壁が消えた…!
- 静香: どうして今になって… 私が言うこともわかるでしょ…!?
- すなお: わかります!けど!
- すなお: このままだと人を導くのではなく 価値観を押し付けるだけになる!
- ちはる: そうだよ…静香ちゃんは別に 神様になりたくないでしょ!?
- 静香: …必要とあれば
- ちはる: 静香ちゃん…!
- 静香: うるさい!
- ちはる: ぐっ…膝から力が…
- すなお: あなた瞳合わせまで使って…!
- すなお: …………
- すなお: 私はもうあなたを… 静香を殺すしかないんですか…
- パンッ
- すなお: …ちゃる
- ちはる: お母さんがおばさんから 電話を奪った気持ちがわかった
- ちはる: みんな命が軽すぎるよ!
- ちはる: わたしは出発した頃と同じように 3人一緒でいたいよぅ!
- ちはる: もしも、ご先祖様が 善と悪を含めて人を愛したなら
- ちはる: わたしはどんな静香ちゃんも すなおちゃんも愛したいよ!
- FILENAME: text_103003-8_km1wv.txt
- ちはる: わたしは出発した頃と同じように 3人一緒でいたいよぅ!
- ちはる: もしも、ご先祖様が 善と悪を含めて人を愛したなら
- ちはる: わたしはどんな静香ちゃんも すなおちゃんも愛したいよ!
- 静香: ちゃる…
- ちはる: 「初めて時女集落にたどり着いて 自分が一族の末裔だって知って よくわからないままでも自分に誇りを持って 巫として戦ってこれたのは 静香ちゃんがいてくれたおかげなんだよ!」
- ちはる: 「それにわたしたちがまとまっていられたのは ずっと山で暮らしてきた分家の人と わたしみたいに町で暮らしてきた分家の人を 上手に束ねてくれてる すなおちゃんがいたおかげなんだよぅ!」
- ちはる: 「誰が欠けたってわたしたち時女一族は 2本の足で立っていられない みんなで支え合うからこそ立っていられるし 戦うことだってできたんだ」
- ちはる: だから戻って来て静香ちゃん! わたしたちは支え合える!
- ちはる: こんな善悪に極端になって、 みんなを苦しめなくてもいい
- ちはる: わたしたちで、 時女一族をやり直そうよ!
- 静香: …………
- 静香: 今さら…都合が良すぎる…
- いろは: …………
- レナ: ちょっと、のんきにスマホなんて 触ってる場合じゃないでしょ
- レナ: まだ、十七夜さんたちが、 何をしたかもわからないのに…
- いろは: あ、ごめんね ちはるちゃんに連絡してたの
- いろは: 時女一族は大丈夫かなって…
- レナ: あーごめん、そういうこと…
- いろは: うん
- 鶴乃: …なんか静香ちゃんってさ 前のわたしっぽいかもね
- いろは: 前って、 何年か昔っていうこと?
- 鶴乃: キレーションランドのうわさと 融合したときの話だよ
- 鶴乃: あのときのわたしって、 全部ひとりで抱えてたでしょ?
- 鶴乃: 静香ちゃんも 時女一族の本家でリーダーだから
- 鶴乃: ひとりで一族のみんなを 引っ張ろうとして必死になって
- 鶴乃: 無我夢中になってる間に 周りが見えなくなったのかもって
- いろは: そっか…
- いろは: (だとしたら、静香ちゃんには 仲間の心が必要なのかな…)
- いろは: (静香ちゃんを支えるっていう みんなの愛情が…)
- かごめ: …………
- かごめ: ちはるさんが言う通り、時女一族は 静香さんのように世間と隔離された人たちと ちはるさんのように世間で生きる人たちの集まり だからこそ埋まらない溝がある
- かごめ: 静香さんや世間と隔離されてきた分家の人は 他の魔法少女とは違って日の本に命を捧げていて 今の自分を否定することができない
- かごめ: 日の本を守るという 使命感にがんじがらめにされている
- かごめ: だけど、今はその呪縛から解かれようと しているように思う
- かごめ: 願いを叶えた時から呪縛に囚われている魔法少女
- かごめ: もしもここで静香さんたちが 自分たちをがんじがらめにしている歴史から 解放されるようなことがあれば
- かごめ: それだけでも 宿命に囚われ続ける魔法少女にとって 救いになるような気がする
- かごめ: ごめん、リィちゃん
- かごめ: ちはるさんとすなおさんに 伝えて欲しいことがあるの…
- 風の伝道師のウワサ: …………
- 風の伝道師のウワサ: …………
- ちはる: そうか、いろはちゃんと 紅晴さんのときと同じように…
- すなお: はい、キモチの石を通じれば…
- ちはる: うん、わたしたちの考えを 理解してくれるかも
- FILENAME: text_103003-9_km1wv.txt
- 樹里: ニヒッ
- 樹里: 動きがあるから 羽根のヤツを追いかけてみたけど
- 樹里: こりゃビンゴだな 本命はこの山かもしれねーぞ
- 樹里: ここはひとつ殴り込んで ウェルダンにしてやるか…!
- 智珠 らんか: ちょっとバカ言わないでよ
- 智珠 らんか: キモチのルールがないってことは 羽根の奴ら全員が敵でしょ?
- 樹里: ったりめーだっつーの
- 智珠 らんか: あームリムリ、ムリ中のムリ
- 智珠 らんか: この先に何人いると思ってんの? ふたりじゃ限界があるって
- 樹里: んなこと言ってたら 一向に突破なんてできねーぞ
- 樹里: 時女とユニオンの奴らも 足止め食らってんだろ?
- 智珠 らんか: そして結菜さんたちは、 みんなで二木市に帰還中
- 智珠 らんか: ふたりでどうにかなる数じゃない 自滅するならアタシは帰る
- 樹里: ノリがわりーなー…
- 樹里: つってもまぁ、 相手も上手いことやってるよな
- 樹里: 神浜市の連中を止めるために 魔女まで使ってるんだからな
- 智珠 らんか: だから、今は硬直してる前線を この北側に上げるしかないと思う
- ~~♪~~♪
- 智珠 らんか: だれ?
- 樹里: こりゃ姉さんだな
- 樹里: ん、どうした?
- 結菜: 今から伝える場所に向かって 恐らく時女一族がいるわぁ
- 樹里: そりゃつまり、一緒に戦って 前線を押し上げろってことか?
- 結菜: いえ
- 結菜: 広江さんと土岐さんがいるから キモチの石を渡して欲しいのよぉ
- 樹里: あ?そりゃどういうことだ 樹里サマたちにとってリスクだぞ
- 結菜: 環さんから連絡がきたのよぉ
- 結菜: 今、時女静香を引き戻すには、 周りの想いが必要かもって
- 結菜: あなたがもっているオパールは 敬愛を宿していたでしょぅ…?
- 樹里: 一筋縄ではいかねーから キモチの力を借りるっつーことか
- 樹里: 愛情が必要なのかは知らねーけど 妹みたいに乗っ取られねーか…?
- 結菜: そのときはそのとき 広江さんと土岐さんの力不足よ
- 樹里: ひとまず賭けるぐらいの価値は あるっつーことか
- 樹里: 渡す相手が時女なのはシャクだが ま、わかったよ
- 樹里: どうせここで攻めあぐねてても なんにもならねーし、行ってくる
- 結菜: ええ、ありがとう
- 樹里: 姉さん
- 結菜: なに?
- 樹里: こっちも裏をかかれてんだ さっさと戻って来い
- 結菜: ゆっくりしてるつもりはないわぁ じゃあ頼むわねぇ
- 智珠 らんか: 結菜さんはなんて?
- 樹里: 樹里サマのキモチの石を 時女のヤツに渡せってさ
- 智珠 らんか: はぁ?
- 樹里: 説明はあとだ とりあえず向かうぞ
- FILENAME: text_103003-10_km1wv.txt
- ひめな: みわりんを連れてきて
- ひめな: セキュリティを突破するのに 改竄の固有魔法が必要になるかも
- 時雨: だ、だめだよ姫!
- はぐむ: そうですよ!
- はぐむ: みつねちゃんの固有魔法は、 ドッペルを出さないと使えません
- はぐむ: 今の神浜市で使わせるのは、 魔女になるのと同じことですよ!
- ひめな: もち、わかってるって
- ひめな: みわりんに 固有魔法は使わせないって
- ひめな: 私チャンがみわりんの固有魔法を 合成して使うだけだから
- 時雨: …………
- はぐむ: みつねちゃんのこと 気にしてる…?
- 時雨: え、うん…
- 時雨: 姫のことは信じてるけど、 やっぱり不安だなって…
- はぐむ: 前にドッペルを出して以来、 足が動かなくなったままだもんね
- 時雨: うん…
- 時雨: そんなに何度も出してないのに あの状態だから
- 時雨: いくら他のものに 能力を合成するって言っても
- 時雨: 不安なのは変わらないよ…
- はぐむ: 藍家さん自身も ちょっとピリ付いてるし
- はぐむ: 急に不安なことが 多くなっちゃったね
- 時雨: やっぱりサーシャさんが抜けて ショックなのかな…
- はぐむ: だと思う…
- はぐむ: あれから吹っ切れたみたいに 過激になってきたもん
- 時雨: もう、はぐむん 過激とか言うと余計不安だよ…
- はぐむ: あ、ごめんね
- 時雨: でも、姫の気持ちもわかるよ
- 時雨: ぼくだってはぐむんが 居なくなったら悲しいから…
- はぐむ: ふふ、ありがとう
- 時雨: はぐむんはぐむん!
- はぐむ: うん、 教官とミユリちゃんがいるね
- はぐむ: 病院に行って灯花様の写真を 撮ってくるみたいだから
- はぐむ: 向かう先は一緒かもしれないよ
- 燦: 近くの反応、 やっぱり宮尾と安積だったのね
- 燦: 三輪に会いに行くところ?
- 時雨: そうだけど、 教官、何やってるの…?
- 時雨: 何これ…粉…?
- ミユリ: そんなのは一目瞭然ですぅ!
- ミユリ: 燦様が何をしてるかと言うと 今、おく、ふぐっ…
- 燦: ミユ、これは秘密よ
- 時雨: えぇ、露骨に隠された…!
- 燦: 宮尾と安積に反対されるかも しれないからね
- ミユリ: でもでも、 危険なことじゃありませんよ!?
- ミユリ: 燦様が粉末を作っているのは 争わないための手段なんですから
- 燦: まぁ、そういうことよ
- 燦: どういう状況であったとしても、 知恵と努力は必要だから
- 燦: さ、準備ができたわ
- はぐむ: せっかくですし、 病院まで一緒に行きましょう
- 燦: そうね
- はぐむ: あの、教官
- 燦: ん?
- はぐむ: 電波望遠鏡を使って魔法少女を 世間に広めるっていう話ですが…
- 燦: 何か不安?
- はぐむ: いえ、とてもいいと思います
- はぐむ: こうして魔法少女とも戦うことで 負けを認めさせるのも…
- 燦: うん
- はぐむ: ただ私、何かを隠されている そんな気がして…
- 時雨: あの…ぼくも…!
- 燦: …………
- ミユリ: …………燦様
- 燦: 姫様はね人の命運を掌握するため 本当に神になろうとしてるのよ
- 燦: もちろん、私もね…
- FILENAME: text_103003-11_km1wv.txt
- 時雨: 三輪さーん
- はぐむ: おじゃましまーす
- 三輪 みつね: ハローハロー
- はぐむ: 体調はどう? 特に辛いところはない?
- 三輪 みつね: うん、全然w
- 三輪 みつね: 本当に問題があるのって 足だけだから
- 三輪 みつね: 次の検査で何も出ないようなら もう退院だってさ
- はぐむ: 良かったって言うと 違うのかもしれないけど
- はぐむ: とりあえず 退院できるのは良かったね
- 時雨: うん、おめでとう
- 三輪 みつね: ありがとうw
- 三輪 みつね: いつもごめんね わざわざお見舞いに来てくれて
- 時雨: あっ…実は今日、 それだけじゃなくて…
- 時雨: 姫たちの作戦が動き始めたから 近況報告と…お願い…
- 三輪 みつね: 今の私にできることなんて、 何もないよ?
- 三輪 みつね: 本当、草生やすぐらい 何もできないんだからwww
- 時雨: 今、電波望遠鏡を使って
- 時雨: みんなに魔法少女のことを 広めようとしてるところなんだよ
- 三輪 みつね: うん
- 時雨: それでセキュリティを突破する ためにね
- 時雨: 三輪さんの改竄能力が必要なんだ
- 三輪 みつね: …ごめん、手伝えない
- はぐむ: あの、穢れを溜めなくても、 藍家さんの合成能力を使えば
- はぐむ: 一時的にみつねちゃんの能力を 移すことができるから
- 時雨: それに、今ネオマギウスにはね 時女一族のリーダーもついてるし
- 時雨: プロミストブラッドの三女もいる
- 時雨: あと、東の十七夜さんと 調整屋のみたまさんもいるんだよ
- はぐむ: うん、きっと成功させられるし、 魔法少女をみんな知ってくれる
- はぐむ: そうすれば私たち魔法少女は みんなを救うヒーローになれる
- はぐむ: みつねちゃんがSNSで 発信してた通りになるんだよ
- 三輪 みつね: そうだね…
- 三輪 みつね: 薄暗い部屋にこもってゲームをしてるのが 三輪みつねという私の一糸まとわない本当の姿で 明るく輝く魔法少女として ヒーローのように振る舞っているのは偽りの姿
- 三輪 みつね: そうやって偽っている自分がイヤで 私は潤と一緒に偽りの自分を本当にするために 魔法少女としての活動を続けてきた
- 三輪 みつね: 潤は急に海外に行って会えなくなっちゃったけど 戻ってくるまでに強くなろうって思ってた
- 三輪 みつね: だけど、私は気付いちゃった… 藍家さんにお願いされたことを実行に移したとき 私は自分が後戻りできないことをしたと悟った
- 三輪 みつね: だから…
- 三輪 みつね: …私はヒーローになれないよ 藍家さんが何を成功させてもね…
- 三輪 みつね: …私はもう“死んだ潤”にも 顔向けなんてとてもできない…
- 時雨: ――っ!?
- はぐむ: え、あの、みつねちゃん…? 潤ちゃんのことって…その…
- 三輪 みつね: うん…思い出した…
- 三輪 みつね: 藍家さんのお願いを実行して ヒーローになれないと思ったとき
- 三輪 みつね: 自分にかけられていた魔法が 解けちゃったんだ…
- 三輪 みつね: …藍家さんは 何も思ってないと思うけど
- 三輪 みつね: それだけ、私のしたことは 人に許されることじゃなかった…
- 時雨: え、っと…どういうこと…?
- はぐむ: …ねむ様は魂をすり減らして、 足が動かなくなった…
- 時雨: あ、うそ…もしかして、 そんなひどく絶望するぐらい…
- はぐむ: ねぇ、藍家さんに 何をお願いされたの…!?
- 三輪 みつね: …………
- 三輪 みつね: 「神浜市長戦で 西側の候補の目的を改竄すること…」
- はぐむ: うそ…
- 三輪 みつね: …人のためになるんだって 浅い考えの私がバカだった…
- 三輪 みつね: それこそ東の人たちと 時女一族のリーダーを揺さぶる
- 三輪 みつね: ただ、それだけのために 神浜市を混乱させて
- 三輪 みつね: 東の人たちを苦しめて、 多くの人生を奈落に落とした…!
- 三輪 みつね: それで何が残ったって ネオマギウスが勝つ道筋だけ…
- 時雨: それなら…
- 時雨: で、でもはぐむん…ぼく… なんか理屈が通らない気がする…
- はぐむ: 私もモヤモヤする… 体が動かなくなったとしても
- 時雨: 三輪さんに感じてた あのときの違和感は正しかった…
- 時雨: もっと早く言ってくれたら…
- 三輪 みつね: …こんな軽蔑されるようなこと 言えるわけない…
- 三輪 みつね: できるなら私は、 墓場まで持っていきたかった…
- 時雨: …ごめん
- 三輪 みつね: どこかで負ければって思ってた…
- 三輪 みつね: けど、藍家さんはまだ動いてる 次に向けて動いてるんでしょ…?
- 三輪 みつね: …あの人にとって 周りの人たちはみんな害悪だよ
- 三輪 みつね: だから罪悪感がないし なんでもやろうとする…
- 三輪 みつね: 自分だけが天辺にいればよくて、 他はどうでもいいんだよ
- 三輪 みつね: お願い…
- 三輪 みつね: 私の罪は地獄で償うから、 あの人を止めて…!
- 三輪 みつね: ごめん…
- はぐむ: ううん、取りあえず今は サーシャさんに聞いてみよう
- はぐむ: たぶん教官もミユリちゃんも 知ってて何も言わないんだと思う
- はぐむ: それなら、最後に頼れるのは サーシャさんだけだよ
- FILENAME: text_103003-12_km1wv.txt
- ミユリ: 燦様、どうでしたか?
- 燦: さすがに無理ね… 集中治療室には入れないわ…
- ミユリ: 灯花様の写真を撮るだなんて 夢のまた夢ですねぇ…
- 燦: こうなると 三輪が必要不可欠になるわね
- 燦: 何もせずに帰るのも癪だし、 やることはやって帰りましょう
- ミユリ: ですねですね!
- 燦: …………
- みふゆの声: 灯花の部屋に入るにしても パスワードが変わってますよ
- 燦: みふゆさん…
- みふゆ: 久しぶりですね教官
- みふゆ: 灯花とねむのソウルジェムを 破壊したかったんでしょうけど
- みふゆ: 強行突破は無理ですよ 中には桜子さんもいますから
- 燦: さすがは元マギウス 厳重な警戒態勢ね
- みふゆ: 用が済んだなら帰ってください
- ミユリ: ま、まだ用事は終わってません みふゆさんにも用があるんです
- みふゆ: ワタシに?
- 燦: はい、少し時間をくれませんか?
- みふゆ: 病院で暴れないでくださいよ?
- 燦: 当然じゃないですか 少し話をしたいだけです
- みふゆ: それならワタシも話があります
- 燦: 紅茶で良かったですか?
- みふゆ: はい、ありがとうございます それで、話とはなんでしょうか?
- 燦: はい、単刀直入に伺います ネオマギウスに来ませんか?
- みふゆ: なっ…
- みふゆ: ノーに決まってるじゃないですか 可能性はゼロですよ
- 燦: 天音月咲はこちらにつきました
- みふゆ: まさか…
- 燦: プロミストブラッドの動向は そこから漏れたんです
- みふゆ: …………
- 燦: それに、マギウスのふたりに 恩があるんじゃないですか?
- 燦: こうして病院に赴いてまで、 面倒を見るぐらいなんですから
- みふゆ: 確かにそうですね…
- 燦: 私たちはマギウスの思想である 魔法少女至上主義を継いでます
- 燦: 灯花様とねむ様に恩を感じるなら こちらに付く理由になりませんか
- みふゆ: 無理矢理すぎますよ まったく付く理由にはなりません
- みふゆ: それにワタシはマギウスではなく 灯花とねむに感謝してるんです
- 燦: つまり、今の彼女たちに… どういったワケで…?
- みふゆ: ふたりがワタシに 夢を見させてくれたからですよ
- 燦: 夢…?
- みふゆ: 灯花とねむからは 大学の薬学部に入るために
- みふゆ: 勉強を教えてもらっていたんです
- みふゆ: それはマギウスの翼で活動する 資金を得るための代償でしたが
- みふゆ: 同時にふつうの女の子のように 生活を送るための道筋でもあった
- みふゆ: そう思うとワタシは、ふたりから 希望を与えられているのに
- みふゆ: 何も返せていないように思えて、 とても悔しかったんです…
- 燦: そうですか…
- 燦: 私たちのところには、 来てくれそうにないですね
- みふゆ: 灯花とねむのソウルジェムを 壊そうとした時点で有り得ません
- 燦: では、次はみふゆさんの 話を聞かせてください
- みふゆ: 同じですよ 教官もこちらに来ないかなと
- 燦: 同じく可能性はゼロですね 条件次第ではありますが
- みふゆ: なんですか?
- 燦: ネオマギウスの目的を ユニオン側が受け継ぐことです
- みふゆ: それだとユニオンが ネオマギウスの看板を掲げただけ
- みふゆ: はぁ…不毛な話ですね…
- みふゆ: …………
- みふゆ: これは無理を承知で聞くのですが
- 燦: はい
- みふゆ: あなたたちネオマギウスは今、 何をしようとしてるんですか?
- 燦: …ミユ、時間はどう?
- ミユリ: 大丈夫だと思います
- 燦: じゃあ、教えてあげるわ 梓みふゆ
- FILENAME: text_103003-13_km1wv.txt
- みふゆ: なっ…本気で言ってますか…?
- 燦: 当然よ
- みふゆ: バカ言わないでください!
- ミユリ: 病院では静かにしないと いけませんよ
- みふゆ: 冷静になっていられますか!
- みふゆ: 自分が何を言ってるか… 正気ですか、神楽燦!
- 燦: ええ、もちろんよ
- みふゆ: 下手をすると 虐殺になりかねません…!!
- みふゆ: な…なに…?
- みふゆ: 視界が…ゆれ…
- 燦: …………
- 都 ひなの: ―ひなの― ずいぶんと体は頑丈みたいだが 内側はどうだろうな
- 燦: ―燦― な…
- 都 ひなの: ―ひなの― コイツはアタシのとっておきだ
- 燦: ―燦― 薬品…
- 燦: 学ばせてもらったわよ
- 燦: とりあえず薬品を用意してくれた 羽根には礼を言わないと
- 燦: ミユ
- ミユリ: はい、燦様!
- 燦: 宮尾と安積の 様子を見に行きましょう
- 時雨: サーシャさんのメッセージ… 書いてあることって本当かな…
- はぐむ: だって、この作戦が原因で サーシャさんが抜けたのなら…
- はぐむ: 下らないウソだなんて思えない…
- 時雨: だって、変だよ!
- 時雨: ぼくたちは確かにみんなに 認めて欲しいって思ってるけど…
- 時雨: その道筋なのかもしれないけど…
- 時雨: …こんな、こんな未来 ぼくは求めてないよ…!!
- はぐむ: うん…私だって学校の人たちを 殺したいわけじゃない…
- 三輪 みつね: たぶん、良心の呵責なんてない… 当然だと思ってる…
- 三輪 みつね: だけど、教官に止められてる… ふたりに言うことを…
- はぐむ: …………
- 樹里: 失敗や不幸があったときは 自分のせいにしとけよ
- 樹里: 樹里サマも自分のやることを ビョーキのせいにするけどな
- 樹里: 根っ子では自分のせいだって 思うようにしてる
- 樹里: ネオマギウスの新しい仲間が どんなヤツかは知らねーけどな
- 樹里: 自分にとって優しいヤツは危険だ 気付いたときには食われてるぞ
- はぐむ: っ、逃げよう時雨ちゃん!
- 時雨: はぐむん…
- 時雨: うん…
- 時雨: 三輪さんも一緒に行こう! ぼくたちが連れていくから…!
- 三輪 みつね: うん…
- 三輪 みつね: 教官とミユリちゃんが来る…
- 三輪 みつね: 裏の非常階段なら…
- 時雨: うん… 捕まって三輪さん…!
- 三輪 みつね: ありがとう…
- 三輪 みつね: ―みつね― きゃぁああッ!
- 時雨: ―時雨― ちゃんと捕まってて、三輪さん…!
- はぐむ: ―はぐむ― 何でもいいから今は教官たちと距離をとって 藍家さんを止める方法を考えないと…!
- 時雨: ―時雨― それならユニオンに泣きつこう!
- はぐむ: ―はぐむ― 大丈夫かな…?
- 時雨: ―時雨― 格好悪くてもいいから 今は頼れる人に頼らないと…
- 時雨: ―時雨― じゃないと手遅れになる…!
- はぐむ: ―はぐむ― うん…そうだね…!
- 燦: 宮尾と安積の反応が消えた…
- ミユリ: 三輪もいませんし、 先に移動したのかもしれませんね
- 燦: だといいけどね…
- 灯花: 「えー、もしかして自分の目を使って 虹彩認証を突破しようとしちゃったのかにゃー? ぷぷーっ! そんなので突破なんて無理に決まってるよ」
- 灯花: 「ちなみに赤外線写真で誤魔化せるような びみょーなシステムじゃないから 変な小細工は考えない方がいいと思うよ?」
- 灯花: 「それより勝手に入ってきたことを謝って 早く警察の人たちのお世話になろう! この映像が再生された時点で通報済だからね!」
- ひめな: …………
- 灯花: 「なーんてウソでしたー はい、これが最後のチャンスだよ? 早く出るなら出てってよね じゃーばいばーい」
- ひめな: …ここ何年かで いっちばんムカツク煽られかた…
- ひめな: それにしても、やっぱ みわりんの能力は必須だなぁ…
- ピロン♪
- いろは: …………
- うい: お姉ちゃん メッセージの音が鳴ったよ
- うい: ちはるさんかな?
- いろは: えっ、あっ、ごめんね
- いろは: …………うそ…
- うい: どうしたの…?
- いろは: 月夜ちゃんからメッセージで、 月咲ちゃんと連絡がとれないって
- いろは: 家にもいなくて 書き置きだけ残して行方不明…
- うい: なんだか…みたまさんのときと 似てる気がする…
- いろは: そう、なんだけど… それって考えたくないけど…
- 鶴乃: プロミストブラッドが 二木市に帰る話が漏れたのも
- 鶴乃: ネオマギウスが動けたのも …うん、合点がいっちゃうね…
- フェリシアの声: 見つけたーーーーー!!
- 鶴乃: うぉぉっ 今度はフェリシア!?
- ももこ: ちょっとアタシらで見てくるよ
- ももこ: どうしたんだよ 急にでっかい声出してさ
- フェリシア: だから見つけたんだよ この家の中で何かしてた証拠!
- やちよ: ええ、わかりづらかったけどね…
- ももこ: 調整屋と十七夜さんは、 何をしてたんだ…?
- やちよ: この部屋のパソコンを 壊したのよ…
- ももこ: パソコン…?
- やちよ: 里見さんが管理しているものに 何かがあればアラートが届く
- やちよ: 里見さん自身、この部屋に こもることが多いから
- やちよ: そう設定されていたんだけど
- やちよ: 誰にもアラートが届かないよう パソコンが壊されていた
- やちよ: 目立たないように 電源の部分だけ壊してるわ
- フェリシア: つまりアイツら 灯花の何かを使うつもりなんだよ
- やちよ: ネオマギウスの目的を考えれば おのずと想像はつくわ
- ももこ: …魔法少女の存在を知らしめる 魔法少女至上主義を
- やちよ: 純さんの能力を使って 植え付けたかったんでしょう
- ももこ: 灯花が関わって拡散できるって なると…電波望遠鏡か…
- やちよ: そう、鶴乃のカンが当たったわ
- やちよ: かつて最悪の魔女を呼んだ 機材を使って
- やちよ: 彼女たちは自分たちの思想を 神浜市に広げようとしている…
- ―取材記録― 宮尾 時雨
- 時雨: 「え、ぼくの話も聞くの…? いいよ別に…。 話したところで変わらないし…」
- 時雨: 「魔力込めるだけでいいでしょ…?」
- 時雨: 「…ダメなら、早く帰って欲しいし 話してもいいけど、あんまり見せないで。 あの…恥ずかしいから…」
- 時雨: 「知ってると思うけど、 ぼくは魔法少女至上主義を広めたくて、 実はぼくたちがすごいんだぞって みんなに知って欲しい…」
- 時雨: 「魔女と頑張って戦ってみんなを助けてるし 本当はバカにされたりするのは 違うと思うから…」
- 時雨: 「うん、ぼくはただ、 すごいね、頑張ってるね、ありがとう って言って欲しいんだ」
- 時雨: 「それに、ぼくはたくさんの人といるより ひとりでいる方が好きだから、 教室でひとりだからって、 バカにされなくなると嬉しいな…」
- FILENAME: text_103004-1_km1wv.txt [Episode 4]
- みふゆ: …………
- ミユリ: 電波望遠鏡に着くまで、 目を覚ましそうにないですね
- 燦: そうは言っても体は魔法少女
- 燦: 私と同じように 回復が早い可能性だってあるわ
- ミユリ: 燦様は固有魔法のおかげかと 思ってましたがぁ…
- 燦: 確信が持てない以上、 目を覚ます前に連れていかないと
- ~~♪~~♪
- 燦: 和泉十七夜ね…
- ミユリ: ミユにも姫様から電話ですぅ!
- 燦: どうしたの?
- 十七夜: 七海たちが こちらに移動してるようだ
- 十七夜: どうも、我々の動きを察知して、 電波望遠鏡に向かってるらしい
- 燦: 構わないわ 十分時間は稼げたはずよ
- 十七夜: 一応、こちらでも 羽根たちを預かっている手前
- 十七夜: なるべく足止めをして、 時間を稼げるようにする
- 燦: わかったわ
- 燦: 相手も交戦するのは不本意のはず 十分に時間は稼げるはずよ
- 十七夜: 時女の本家は まだ突破されていないか
- 燦: どちらかというと心配なのは そっちの方ね
- 燦: 水徳寺に残った分家と 接触したって話は聞いたけど
- 燦: あれから状況の報告がないわ
- 十七夜: もしも何かありそうなら 教えてくれたらサポートする
- 燦: ありがとう
- 燦: ミユ、先を急ぎま
- ミユリ: ェエエッ!?
- 燦: ――っ!?
- ミユリ: じゃあ、宮尾と安積は そっちに戻ってないんですか!?
- ひめな: このまま、みわりんもいないのは ヤバヤバのヤバだからさ
- ひめな: とりま、教官に 話を伝えてくんない?
- ミユリ: わかりましたぁ!
- 燦: 宮尾と安積が 電波望遠鏡に戻ってないって?
- ミユリ: なんでわかったんですか!?
- 燦: 病院での様子からして 少し違和感があったからね
- 燦: 私たちより先に 病院を出ているはずだから
- 燦: 有り得る話だと思ったのよ
- ミユリ: どうしましょう…
- 燦: ミユはみふゆさんを連れて、 先に電波望遠鏡に戻って
- ミユリ: えっ!?
- 燦: 私は和泉十七夜たちがいる所を 尋ねてからそっちに行くわ
- FILENAME: text_103004-2_km1wv.txt
- みたま: 追いつかれてしまったわね
- 十七夜: 思ったより早かったな
- ももこ: 神浜市の魔法少女たちは、 魔女の対応で大忙しだからね
- ももこ: 人を取りまとめる必要もないし、 色んな手間が省けただけだ
- 十七夜: ネオマギウスの姫君が 事前に準備をしていたおかげだな
- みたま: グリーフシードが手に入るから
- みたま: ドッペルが出せなくなった 神浜市では、都合が良いでしょ?
- うい: そんなこと言わないで ふたりとも戻ってきてよ!
- うい: わたしたちのこと 嫌いになっちゃったの…!?
- みたま: …何とも思ってないわ でも、きっと今でも大好きよ…
- 十七夜: うむ…
- 十七夜: 自分も見切りを付けたとはいえ、 争いたくはない…
- 十七夜: だが、目的のためには 衝突せざるを得ないこともある…
- いろは: 神浜市を変えるための 必要悪になるって言うんですか
- 十七夜: 博愛主義の環君には 心苦しいと思うが許してくれ
- 十七夜: 恨むなら、今の神浜市を作った 歴史を恨んで欲しい…
- いろは: 私だって誰かと衝突したり、 競争することは否定しないけど
- いろは: だからって、人を無闇に傷付けて 命を奪うのは違うと思います…
- みたま: いろはちゃんの考えはね、 人を信用しないとできないことよ
- みたま: わたしと十七夜が溜め込んだ 不信感は黙っていても消えない
- みたま: 声をあげたって変わらない
- みたま: あとは何で訴えかけるかって 力しかないじゃない…
- 鶴乃: 滅びの結果は変わらないから、 せめて意味を残すために…
- やちよ: どうせ覚悟が揺るがないなら、 早く電波望遠鏡に行きましょう…
- やちよ: ネオマギウスが利用するのは 間違いないんだから
- 十七夜: 争いたくはないが、 争う理由はあることを忘れるな
- 鶴乃: 足止めはするってこと…
- フェリシア: んなーーー!
- 鶴乃: フェリシア…
- フェリシア: 俺は戦いたくねーぞ! だってみんな仲間じゃんか!
- フェリシア: すんげーやだ! 胸の奥がグシャグシャする!
- みたま: わたしたちだって同じよ
- さな: せめて、何をしようとしてるか それだけ教えてください…!
- うい: うん、もしかしたら 戦わなくていいかもしれないよ?
- 十七夜: わかった 自分たちに答えられることならな
- うい: じゃあ、 わたしから聞かせて!
- うい: userNameを捕まえて、 どこに連れて行ったの?
- 十七夜: もう土産として 藍家ひめなに渡したあとだ
- うい: そんな…
- いろは: な、何!? 急に近付いてくる反応が…
- 時雨: は、はぁ… どうして、教官にバレた…
- はぐむ: わ、わからないけど 動き方がバレバレだったのかも
- 三輪 みつね: い、急いで急いで! すごい勢いで近付いてくる
- 燦: 和泉十七夜!八雲みたま! その3人を止めなさい!
- 燦: 三輪みつねを確保できるなら、 他ふたりはどうなってもいい!
- 十七夜: ――っ!?
- みたま: まさかここに来て離反!?
- 十七夜: 相手があのふたりだ 作戦の真相を知ったらしいな
- 燦: まだどこかに潜伏した方が 時間はしのげたっていうのに
- 燦: 助けを求めに行く負け癖は、 何ひとつ変わらなかったようね
- 時雨: きょ、教官…
- はぐむ: っ、お願い環さん! 今までのことは謝るから助けて!
- 時雨: うん…! ぼくたちのことはいいから!
- 時雨: お願い、三輪さんだけは! 三輪さんだけは助けて!
- 鶴乃: うぇええっ…?
- 鶴乃: あのふたりが抜けるなんて、 よっぽどのことだよ…
- いろは: うん、3人を助けよう! 話をちゃんと聞かないと!
- みたま: 真っ向勝負になるわね いろはちゃん
- FILENAME: text_103004-3_km1wv.txt
- 燦: 三輪はこちらに寄越してもらう!
- 時雨&はぐむ: 「うぁああっ!!」 「きゃぁあああッ!!」
- 燦: 何も知らなかったと思った方が、 まだ前向きに協力できるわよ
- 三輪 みつね: 何を言ってるの…? 今さら無理に決まってるよ…!
- 燦: まぁ、痛いようにはしないわ 使うのはあなたの能力だけだから
- 燦: 罪悪感で魔女になるのだけは、 気をつけなさい
- うい: 時雨さん!はぐむさん! 今、みんなで助けるからね!
- 燦: 頼んだわよ、和泉十七夜!
- 十七夜: すまないが、 必要な人員を渡すわけにはいかん
- うい: …十七夜さん
- はぐむ: ごめんね、ういちゃん…
- はぐむ: 私たちみんなに 助けてもらえる立場じゃないのに
- 時雨: …三輪さん!
- 三輪 みつね: 大丈夫… 簡単には利用されないよ…
- 時雨: でも、このままじゃ…
- 三輪 みつね: 電波望遠鏡に忍び込めたら、 何かできることもあるはず…
- 三輪 みつね: 足は動かないけど、 魔法はまだ使えるからね
- 時雨: 無理したらダメだよ!?
- 三輪 みつね: お互いにね
- 時雨: ぼくには、 ぼくのできることを…!
- 時雨: っ、みんなにネオマギウスが 何をしようとしてるか教えるよ!
- はぐむ: 時雨ちゃん…!
- いろは: ――っ!?
- みたま: はぁ…
- フェリシア: 早く教えろ!
- 時雨: 「姫たちは電波望遠鏡を使って 魔法少女の存在を広めようとしてるんだ」
- 時雨: 「本当ならできないはずなんだけど マギウスも魔女を呼んでるから 無指向性のアンテナがあるのかもしれなくて…」
- 時雨: 「って、そんな話は別によくて!」
- 時雨: 「姫は魔法少女が人間より優れた存在で 逆らうと危険だって思わせようとしてるんだ」
- 時雨: 「それも洗脳とか改竄で誤魔化すんじゃない 本能的に逆らえないように 恐怖で心をへし折って追い詰めようとしてる…!」
- 時雨: 「これから発した電波を受けた人は “食べることも飲むこともできなくなる” 姫たちの一存で生命の維持すらも コントロールされることになる…!」
- 時雨: 「学校の人たちも家族もみんな!みんな!」
- 時雨: 「そして人間の意思で無理矢理ぼくたちに 頭を下げさせようとしてるんだ!」
- 十七夜: ぐっ…!
- やちよ: なんてことに手を貸してるの アンタってやつは…!
- やちよ: 今からでも潜入してただけだと 言いなさい!早く言いなさい!
- 十七夜: っ!
- やちよ: ぐっ!
- 十七夜: ケホッ、クッ… 悪いが七海、現実を受け入れろ…
- やちよ: あなたの大切な家族は バイト先の人は、いいの…?
- 十七夜: 心の整理はついた…
- 鶴乃: いろはちゃん 他のみんなにも連絡しよう!
- 鶴乃: 早く電波望遠鏡を抑えないと!
- いろは: もう連絡を入れてます! 他の人も、みんなに伝えて!
- うい: 魔女と天秤にかけるなんて 嫌だけど…でも…
- いろは: ネオマギウスを食い止めないと 大惨事になっちゃう…!
- ももこ: そこをどいてくれ調整屋…
- みたま: イヤよ
- FILENAME: text_103004-4_km1wv.txt
- みたま: ようやく本気になってくれた みたいね、ももこ
- みたま: どうせ計画が遂行されるまで あと少しなんだから
- みたま: 無駄な争いはやめましょう
- ももこ: 争いたくないのは こっちだって同じだっての
- ももこ: でも見てられないだろ!
- ももこ: アタシたちは、自分たちの 家族の命がかかってるんだ!
- レナ: こんなの、 戦う以外にないじゃない…
- …………
- かえで: ももこちゃん、レナちゃん! 他の羽根たちも来たよ!
- FILENAME: text_103004-5_km1wv.txt
- ももこ: くそっ…
- ももこ: 数ばっかり多いクセに、 時間ばっかり稼ぎやがって
- レナ: なんだか、のらりくらり やり過ごされてる気がする…!
- みたま: そう、わたしたちは 時間さえ稼げたらいいんだから
- みたま: ゆっくりやらせてもらうわよ
- かえで: うゆぅ、攻撃は強くないけど、 動きづらくしてくる…
- みたま: それに、 かえでちゃんは優しいのよ
- みたま: わたしたちの目的を知って、 本気で怒ってても
- みたま: 魔力の反応でわかるわよ まだ、ためらいがあるって
- レナ: そんなの当然じゃない!
- レナ: レナたちは 調整してもらったりして
- レナ: みたまさんの 世話になってきたんだから!
- 十七夜: っ、はぁ…はぁ…
- やちよ: さすが、やるわね…
- 十七夜: 七海も… ふっ、変わらんな…
- 十七夜: 全盛期を過ぎたというのは、 偽りのようだ…
- やちよ: ふぅ…雑談は要らないわ…
- やちよ: ユニオンのメンバーが来る前に 武器を収めて諦めなさい…
- 十七夜: そのまま返そう
- 十七夜: ユニオンのメンバーと言っても、 全員が連絡に気付くはずがない
- 十七夜: それに、先ほどの三輪みつねが 電波望遠鏡に届けられて
- 十七夜: 梓も捕えることに成功した
- 十七夜: userNameもいるとなると キモチの石以外はそろっている
- 十七夜: 手遅れだ
- やちよ: みふゆが…!?
- 十七夜: 保有している能力を考えれば、 純美雨の代用だろう
- やちよ: っ、アンタたちは!
- 十七夜: もう間に合わない! 諦めろ、七海!
- やちよ: こうまで弄ばれて、 諦められるものですか!
- いろは: 私たちで道を作ります!
- 鶴乃: 一緒に突破口を作ろう! いろはちゃん!
- いろは: うん!
- いろは&鶴乃: 「いっけぇえええッ!!」 「ちゃらぁああッ!!」
- 鶴乃: わたしといろはちゃんによる 最強の共同作業!
- 鶴乃: ここから電波望遠鏡に行って! ししょー!
- いろは: やちよさん、お願いします!
- 十七夜: させん!
- フェリシア: こっちだってさせねーぞ!
- さな: 十七夜さんは ここで食い止めます…!
- うい: 本当に実行されて 町のみんなが苦しんじゃうと
- うい: きっと十七夜さんと みたまさんの心も苦しくなるよ!
- うい: キャッ!
- 私たちでここは押さえます!
- 時雨: ぼくたちだって、 助けばかり求めてられない…!
- はぐむ: うん、私たちが撒いた種なのに…
- 十七夜: ならば、それを芽吹かせて 大輪の花を咲かせるのが自分だ
- やちよ: 十七夜…!
- 十七夜: そちらのチームワークには 恐れ入るが突破できる数ではない
- ももこ: くそ…調整屋… 本当にお前はこれでいいのかよ…
- みたま: 最善だと思ってるわ
- ももこ: この町に住む万単位の人たちを 犠牲にすることがか…
- みたま: 変な意地を張らなければ、 犠牲にはならないわ
- みたま: 魔法少女に屈する気持ちになれば 飲食はできるみたいだからね
- ももこ: 周りに恐怖の対象として見られて それからどうするんだよ…
- みたま: ネオマギウスが キモチの石を全部集めて
- みたま: userNameを使って 自動浄化システムを奪って
- みたま: 彼女たちが求めている 理想の未来を作るだけよ
- 十七夜: 感情がないuserNameは 自動浄化システムと繋がれる
- 十七夜: それを応用して姫君は、 自動浄化システムを奪うために
- 十七夜: userNameをハブとして 扱うつもりらしい
- 十七夜: 自分としては、魔法少女の下に 平等な社会が残るのならば
- 十七夜: 大いに結構な話だと思っている
- やちよ: なっ…
- 十七夜: あのキュゥべえからの 入れ知恵なのは、気になるがな
- 鶴乃: でも、本当ってことだよね
- やちよ: 私たちを争わせてエネルギーを 得ようって魂胆も見えてくるわ…
- いろは: キュゥべえに利用されてるって 藍家さんは考えないんですか…?
- 十七夜: 利用されても構わないと 考える性質ではないからな
- 十七夜: 狡猾さでは 負けないつもりなのだろう
- いろは: …………
- 十七夜: とりあえずもう諦めてくれ
- 十七夜: こうして教えたのも、 間に合わなくなった環君たちへの
- 十七夜: せめてもの償いだ
- いろは: (プロミストブラッドもいない 時女一族も足止めを食らってる)
- いろは: (私たちも抜けられない…)
- いろは: (魔女の対応をしてるメンバーが 動いてくれたら…)
- いろは: 祈るしかないの…? 神浜市の命運がかかってるのに…
- うい: …お姉ちゃん
- いろは: 大丈夫、諦めたら終わりだもん きっと何か光明が見えるはずだよ
- FILENAME: text_103004-6_km1wv.txt
- すなお: うっ…!
- ちか: だっ、大丈夫ですか!?
- 南津 涼子: キモチの石を通して、静香の心と 繋がれなかったのか!?
- ちはる: 一瞬繋がることはできたけど、 弾かれちゃったんだよぅ…
- ちはる: わたしが持ってる キモチの石じゃダメなのかなぁ…
- 静香: 付いて来た分家が離れたとしても 私は本家としての本懐を遂げる
- 静香: 時女一族の長として、 善き道を阻むことは許さない
- 静香: たとえ相手があなたたちでも
- ちはる: うっ…また、瞳合わせ…
- 南津 涼子: おいおい、 こっちにまで響いてるぞ…
- すなお: どうして、頑なに壁を作って、 耳を傾けてくれないんですか…!
- 樹里の声: コイツで確かめりゃ わかるかもしんねーぞ
- すなお: あなたは…
- 智珠 らんか: 環いろはが結菜さんを通して 連絡してきたわ
- 樹里: 樹里サマのキモチの石を使って コイツを目覚めさせろってな
- 樹里: ひとり残った本家を倒さねーのは まだ信用してるからだろ?
- 樹里: ほら、さっさと受け取って 全力で叱ってやりな
- すなお: ――っ!?
- 樹里: 今の樹里サマにとっては 無用の長物にすぎねーんだよ
- 樹里: もらっとけ
- 智珠 らんか: その敬愛のキモチなら、 本家と繋がれるかもしれないよ
- ちはる: あっ…
- ちはるの母: 静香ちゃんだって あなたと同じぐらいの年頃よ
- ちはるの母: あの子が一族の強い重圧の中でも 耐えられたのはね
- ちはるの母: ひとりじゃなかったからよ
- ちはるの母: 周りの子たちに支えられて ひとつになれていたからなのよ
- ちはる: そっか…そっか…! ごめん、静香ちゃん!
- 静香: いきなり何…?
- 静香: そっちがキモチの力を使うなら 私も使わせてもらうわよ
- ちはる: そうじゃなくて…!
- ちはる: お母さんが言ってたのは、 分家を倒せって話じゃなくて
- ちはる: わたしたちが静香ちゃんを 支えないとってことだったんだ…
- 静香: …………
- ちはる: わたし、支えてるつもりで、 本家だからって任せてた…
- ちはる: 大切な一族の意思を決めることを 静香ちゃんに任せきりだった!
- すなお: っ…
- ちはる: わたしたちで、 時女一族をやり直そうよ!
- 静香: …………
- 静香: 今さら…都合が良すぎる…
- すなお: 私たちは静香を支えず、 大切な決断を任せていた…
- ちはる: ごめん、静香ちゃん…
- 静香: 謝るなら、付いて来てよ 私に決断を仰いできたんだから!
- ちはる: ぅ…
- 青葉 ちか: 迷っちゃダメです ちはるさん
- 青葉 ちか: 今、連絡が回ってきました
- 青葉 ちか: ネオマギウスは本能的に人々が 魔法少女を畏怖するように
- 青葉 ちか: 魔法少女が優位な存在だと 人々が認めない限り
- 青葉 ちか: 食べることも飲むことも できない体にしようとしてます…
- 南津 涼子: そのために電波望遠鏡を 使おうって腹だ
- 南津 涼子: ちゃる、すなお 大将の目を覚まさせてやれ
- 南津 涼子: こんな時女一族なら、 あたしは付いていけねぇ
- ちはる: うん…任せてたのは謝る…
- ちはる: だけど、過ちに気付いたら止める それも分家の役割なんだ!
- すなお: ちゃる、静香に 私たちの愛情を届けましょう!
- すなお: 今まで届けられなかった分 静香に寄り添いましょう
- ちはる: そうだね、すなおちゃん!
- FILENAME: text_103004-7_km1wv.txt
- ちはる: ここ、静香ちゃんの心の中…? 本当に入れちゃった…
- すなお: 環さんと、ちゃるのお母さんが 伝えてくれたことが
- すなお: 正しかったということですね…
- ちはる: わっぷ… すごい吹雪いてる…
- ちはる: これが、今の静香ちゃんの、 心っていうこと…?
- すなお: 静香!!
- 静香: どんな手を打っても、 私の意思は変わらないわ…
- すなお: すみません…
- すなお: こんなに心が冷えてたのに、 私たちは何も気付かなくて…
- 静香: 過ぎたことなんだからいいのよ ただ、私は自分の決めた道を行く
- 静香: それは邪魔しないで
- すなお: その道から戻すために、 静香に絵本を送ったんです…
- すなお: 何も感じるところは ありませんでしたか…?
- ちはる: あれは、さなちゃんが、 静香ちゃんに向けて描いたんだよ
- ちはる: ちゃんとわたしたちの伝えたい 気持ちも添えて…!
- 静香: だとしても、私に響くことは 何もなかったわ
- すなお: 静香にとって人は、 悪になり得る因子を持つからこそ
- すなお: 苦しみを与えることで 悪への道を断つべき存在
- すなお: 絵本で何も響かなかったのは、 その認識のせいだと思います…
- ちはる: そして何より、わたしたちが、 静香ちゃんを支えなかったから…
- ちはる: こんな気持ちにさせたから…
- すなお: はい、私たちがずっと本家という 静香に甘えてしまったから…
- すなお: だから、私たちがすることを 素直に受け入れられなかった…
- 静香: そこまで理解してるなら、 もういいじゃない…諦めてよ
- すなお: いえ、諦めませんよ
- すなお: 共に同じ道を歩むために、 もう一度、絵本の世界を通して
- すなお: 自分の考えていることを、 見つめ直してもらいます!
- ちはる: で、でもすなおちゃん!
- ちはる: 静香ちゃんには 絵本の内容は響かなかったよ!?
- 静香: …………
- すなお: ちゃる、大切なものは、 物語の裏側にあるんですよ
- すなお: だから静香にはいちど、 悪を演じてもらいましょう
- ちはる: な、なに!?
- 静香: すなお、何を見せる気!?
- すなお: 見せるんじゃありません! 絵本の物語を演じるんです!
- 静香: この格好って!
- すなお: さあ、物語のはじまりです!
- FILENAME: text_103004-8_km1wv.txt
- すなお: 「それは、人間たちが暮らしている町から 遠く離れたところ 動物たちが生きている世界でのお話」
- すなお: 「池のほとりで暮らすカメには悩みがありました それは何をするにも遅くて 誰の役にも立てないということ」
- すなお: 「サカナのように早く泳いでものを運ぶことも イヌのように芸で楽しませることもできないので いつも悩んで自分の殻に閉じこもっていました」
- ちはる: 「そんなある日、 遠い国から旅をしてきた白いトリが 町にやってきました」
- ちはる: 「日なたぼっこをしていたカメは トリから温かい甲羅の上で羽を休ませて欲しいと お願いされると『いいよ』と応えました」
- ちはる: 「トリに温かな甲羅をほめられると カメは胸の奥まで温かくなった気がしました」
- すなお: 「トリの話はカメの知らないところで町に広まり 色々な話が聞こえてくるようになりました」
- ちはる: 「ゾウが届かない高い所の物を取ってくれたり 迷子の子ネコのお家を空から探したり ブタさんの料理を宣伝したりと その優しさは評判で、カメの憧れになりました」
- すなお: 「トリが羽を休めにカメの所に来たとき カメはトリに憧れていることを正直に伝えました すると、トリはカメに言いました」
- ちはる: 「『私には何もないから みんなに優しくあろうと思ってるだけだよ』と」
- ちはる&すなお: 「その物語の裏側では 森の中でこわーいトラが生活をしていました」
- 静香の母: ゲホッ、ケホッ…っ… ごめんね、静香ばかりに働かせて
- 静香: 母様は病気なんだから仕方ないわ 大丈夫、私は元気だから
- ねえ、お姉ちゃん お腹が空いちゃった…
- 静香: 夜まで我慢してちょうだい
- どうして…?
- 静香: 今年は食べ物が不作なのよ…
- 静香: なんとかやりくりしてるけど もうすぐ冬も来るから…
- 静香: 強い子だから、 もう少し我慢できるよね?
- うん…
- 静香の母: 私の薬はいいから、 食べ物を優先してちょうだい…
- 静香: どちらも揃うように なんとかしてみせるわ
- 静香: (だけど、 ないものはないのよね…)
- 静香: (遠くまで足を延ばしても 結局食べ物なんてほとんど…)
- 静香: ――っ!?
- 静香: こんな所に町があったのね…
- 静香: …みんな楽しそうにしてる
- 静香: 美味しそうな香りがする…
- ぐぅううぅ…
- 静香: …だめよ 人様のご飯なんだから…
- 静香: でも、狩りで仕留めた肉と 交換してくれるかも…
- 静香の母: どうだった? 何か見つかった?
- 静香: 木の実とかは 雀の涙だけど見つかったわ…
- 静香: あとこれ、薬よ
- 静香の母: どうやって買えたの?
- 静香: 狩った生き物を町で売ったの
- 静香: ただ、獲物も痩せてるから、 そんなお金にはならなかったけど
- 静香の母: 近くに町なんてあったのね
- 静香: 少し遠いけどね
- 静香: あと、これ食べていいわよ
- 本当に!?
- 静香: うん、臨時収入があったからね
- ありがとう、お姉ちゃん!
- FILENAME: text_103004-9_km1wv.txt
- すなお: 「“みんなに優しくあること” それを聞いてもカメはモヤモヤしていました 何をするにもノロマな自分は役に立てない その想いがずっと気分を沈めていたからです」
- ちはる: 「それを知ったトリはカメの甲羅で休みながら 『今、私のために役立ってるよ』と言いました」
- すなお: 「トリの優しさに触れながらカメは ひねくれずに少し前向きに考えようと思うと 少しだけ周りの人の幸せについて 考えるようになりました」
- すなお: 「そして、お爺さんやお婆さんのための ノロノロタクシーをすることにしました ネズミのチューチュータクシーもありますが 早くて揺れのひどいネズミのタクシーは お年寄りには辛かったのです」
- ちはる: 「それは町の中で大成功 カメはゆっくりとした自分でも役に立てるんだと ようやく自信を持てるようになり トリはそれを嬉しく思って眺めていました」
- すなお: 「だけど、そんな平和な町で事件が起きました」
- ちはる: 「山の中に住んでいると噂だったトラが 町の中に現れたと言うのです」
- すなお: 「最初は山の中にいるやせっぽっちな生き物を 売りに来ていたようですが 最近になってとうとう牙を剥き 町の食べ物を奪っていくようになりました」
- ちはる&すなお: 「どうしてトラは そんな罪を犯すようになったのでしょう」
- 静香: これ、今日の分の薬だから
- 静香の母: もういいのよ、静香 私は自分で長くないってわかる
- 静香: そんなことないわ…
- 静香の母: 自分の体のことは 自分がよくわかるから…
- 静香: まだ、薪を売ればなんとかなるし 狩りだってうまくいってるから
- 静香の母: じきに冬が来る…
- お姉ちゃん 町から帰ってきたの!?
- 静香: ふふ、そんな尻尾を振らなくても 今日もご飯ならあるから
- うんっ
- 雪だ!
- 静香: うん、冬が来るね
- 静香の母: …………
- 母様、どうしちゃったの…?
- どうして、 土の中に埋めちゃうの…?
- 静香: 冬眠しちゃったからね、 ゆっくり眠らせてあげるのよ
- 静香: 冬はこうして空気の方が ずっと冷たいからね
- 静香: 土の中の方があったかいの
- じゃあ私も入る!
- 静香: あなたはこれから 私と一緒にお引っ越し
- 静香: 春になったらまた、 母様に会いにきましょう
- うん…
- 静香: (十分蓄えたはずなのに、 “誰かに盗まれる”なんて…)
- 静香: (静かに暮らしてただけなのに、 何をしたって言うの…)
- 静香: まだ、町の近くの方が 過ごしやすいと思うから
- …………
- 静香: ねえ、目を開けて!
- だいじょうぶ… 平気だよ、お姉ちゃん…
- 静香: っ…このままじゃ
- おなか、空いたねぇ…
- 静香: はあ…はっ…はぁ…
- 静香: 野菜だけじゃない 肉と卵もある…
- 静香: これだけあれば、少しは… 少しは…!
- 静香: (見つかって、 誰か突き飛ばしたけど…)
- 静香: (大丈夫…たぶん、大丈夫…)
- 静香: ――っ!?
- ちはる: あっ…!
- すなお: あなたが、噂の…トラ…
- FILENAME: text_103004-10_km1wv.txt
- すなお: 「カメとトリは 雪深い山の中から現れたトラと出会いました かごにはみんなが育てた野菜や 保存しておいたお肉や 暖かい鶏舎で産まれた卵を入れていました」
- ちはる: 「驚きのあまりカメとトリは呆然として トラを見逃してしまいましたが そのあとでトラは町で働こうとしていました」
- すなお: 「でも、どの動物たちも冬はヒマなようで トラにしてもらう仕事はありません」
- ちはる: 「次第にトラは毎日のように現れると 少しずつ町からご飯をとるようになりました」
- 静香: (また、とってしまった…)
- 静香: どう、美味しい…?
- うん、ありがとうお姉ちゃん お仕事は順調なの?
- 静香: う、うん…春までは、 働かせてもらえるみたい
- 良かったね
- 静香: そうね、優しい人たちで 助かっちゃった
- すなお: 「だけど、町の人たちは次第に ご飯がなくなってることに気付き始めると とうとうトラのせいだと気付きました」
- ちはる: 「そしてついに捕まってしまったトラは 町の人たちにこっぴどく罰を与えられてしまい 体はボロボロで動けなくなってしまったのです」
- すなお: 「まだまだ寒さが和らぐことのない冬のど真ん中 トラは町の中に置き去りにされると 雪に降られてこごえていました」
- 静香: (私、このまま死ぬのかしら…)
- 静香: (幼いあの子は働けない… ひとりで狩りだってできない…)
- 静香: 情けないお姉ちゃんでごめんね…
- すなお: …………
- 静香: お願い…助けて…
- 静香: 謝る、なんの言い訳もしない… 春には少しずつお返しする…
- 静香: だから、その背中に乗せて、 暖かい所に運んで…
- すなお: そんなことを言って、 また、ご飯を取るつもりですよね
- すなお: 大ケガをした者はいないけど、 突き飛ばされたりした者もいた
- すなお: 回復したら何をするか… 私はあなたを信じられません…
- 静香: …そんなこと言わないで
- すなお: そもそも悪人なんて、 救う必要あるんですか…?
- すなお: 私は悪い人を救う必要は ないと思います…
- すなお: 身から出た錆です…
- 静香: っ…ぅ、ふぅッ…ぅ…
- FILENAME: text_103004-11_km1wv.txt
- すなお: 「寒空に放り出されたトラをカメは助けません 悪いことをしたトラは罰を与えられて当然 助けることに意味はないと思ったからです」
- ちはる: 「すると、空からトリが現れました トラはトリにも同じように助けを求めると なんとトリはトラを助けようとしたのでした」
- すなお: 「カメは驚いて声が出ませんでした トリがしていることを全く理解できませんでした 町の人たちが蓄えてきたものを取るのは どう考えても悪いことでしかないからです」
- 静香: トリさん、私を温めてください…
- 静香: このままでは私は こごえて死んでしまいます…
- ちはる: うん、いいよ
- ちはる: わたしはトラさんほど 体が大きくないけど
- ちはる: 大きく翼を広げれば、 きっと良い羽毛布団になると思う
- 静香: あぁ暖かい…ありがとう… ありがとうございます…
- すなお: トリさんはどうして、 このトラを助けるんですか…
- ちはる: わたしはわたしにできることを してるだけだよ
- ちはる: わたしには何もないから ただ優しくしてるだけ
- すなお: でも、悪いことをした相手に 優しくすることなんて…
- ちはる: 悪いことっていうのはね、 苦しみから生まれるんだよ
- ちはる: そして苦しみは 悲しみや怒りから生まれて
- ちはる: また誰かを苦しめる
- ちはる: それを止められるのはね 優しく癒やすことなんだよ
- すなお: ――っ!?
- すなお: 苦しみがあれば 悪いことをしないっていうことは
- すなお: このトラが一番苦しんでいる そういうことですか…
- ちはる: 最初から救いを求めてたのは トラさんだと思うよ
- ちはる: だから、わたしは優しさをあげる 元は善い心を持ってると思うから
- すなお: 「カメはトラを助けるトリを見ていると こごえるトラを無視しようとした自分が 町のご飯を取られてしまった恨みで 悪人になっていることに気付きました」
- すなお: 「優しさを広げていけば癒やしを与えられる だけど、苦しみを与えていくと 悪いことばかりが生まれるんだと思いました」
- ちはる: 「季節が変わって春になると トリは町を去ってゆき また来年に訪れることを誓いました」
- すなお: 「その小さくなっていく姿を見ながら カメは次にトリが町を訪れるまでは トラと一緒に優しさを与えられるようになろう そう誓うのでした」
- FILENAME: text_103004-12_km1wv.txt
- 静香: …………
- すなお: …………
- ちはる: …………
- 静香: …まさかあんな役を 演じさせられるなんてね…
- すなお: …いかがでしたか?
- 静香: すなおが演じてたカメ 要はあれが私ってことよね
- すなお: …はい
- 静香: とても自分が滑稽だわ
- ちはる: じゃあ、さなちゃんの絵本 理解してくれた…!?
- 静香: 裏側にいるトラを演じてね ようやく理解できた…
- 静香: それに、和尚さんが私に 言いたかったことも
- 水徳寺の住職: “善人なおもって往生を遂ぐ、 いわんや悪人をや”
- 静香: えっ…?善人なお…? それって…
- 静香: 善人でさえ救われるなら 当然悪人こそが救われる
- 静香: ってことですか…?
- 水徳寺の住職: そうじゃ
- 静香: それって反対では ありませんか…?
- 静香: 全然反対じゃなかった… 悪人こそが苦しんでる…
- 静香: 対して私は、これが善行だって 言ってはばからない滑稽な善人…
- 静香: 救われるのはどちらか聞かれても 言わずもがなって感じよね…
- 静香: ごめんなさい、ふたりとも…
- 静香: ううん、ふたりだけじゃない 一族のみんなに悪いことをしたわ
- すなお: いえ、私たちもごめんなさい
- ちはる: うん、本家だからって 静香ちゃんの決断に頼り過ぎてた
- 静香: …もう私は一族の長として 降りた方がいいわよね
- ちはる: えっ!?
- 静香: だって私は悪人よ!?
- 静香: 悪の根っ子を見ようとせず、 決めつけで押さえ込もうとした…
- 静香: どの面を下げて 時女一族の長として立てばいいか
- ちはる: だから、これからはちゃんと わたしたちで支えるよぅ…!
- すなお: そうです、本家ひとりじゃない
- すなお: 本当なら、集落を出たときから 私たちは3本柱だったはずです!
- ちはる: 涼子ちゃんやちかちゃんも含めて もっと柱が増えてもいい
- ちはる: わたしたちはみんなで 時女一族なんだから
- 静香: …そっか
- 静香: もう、私は自分ひとりで 一族を背負わなくてもいいのね
- 静香: 変に期待されなくていいのね
- ちはる: うん
- すなお: はい
- 静香: …よかった なんだかホッとしたわ…
- ∵へ~ ̄ハイ_ええ!!
- 静香: これは… 私が持っていたキモチ…
- ちはる: 周りの期待に耐える静香ちゃんに 心の隙を見つけたのかも
- すなお: だとしたら、このキモチを…!
- 静香: ええ、押さえ付けないと!
- 静香: つくづく私って格好悪いわ…
- FILENAME: text_103004-13_km1wv.txt
- 静香: 昔の時女一族の人たちは、 わかってたのかもしれないわね
- ちはる: 何を?
- 静香: 人間には善悪が混在してるけど、 結果良き方に流れるって…
- 静香: だから裏で願いを叶えて、 悪鬼を倒すことだけに注力して
- 静香: あとは人々がどうなるのかを 見守り続けてきた…
- 静香: なんだかわかったわ
- 静香: そうして何も触れずにいることが 人の性善を信じることなのよ
- すなお: 今回の二葉さんのお話 実はモチーフがあるんですよ
- 静香: 何か古いお話?
- すなお: いえ、カメが二葉さんで、 トリが環さんだそうです
- 静香: …ふふっ
- 静香: そう言われるとわかるかも
- 静香: 私は前から、環さんに 心のどこかで嫉妬してたから…
- ちはる: いろはちゃんとは別の道を
- ちはる: 一族の長として無意識に 探そうとしてたのかもね
- 静香: そうね…
- 静香: ―静香― 私はようやく手を取り合うっていうときに 許されないことをしてしまった…
- 静香: ―静香― だけど、それでも安心して許されると思うのは
- 静香: ―静香― 環さんが広げた想いの上に 私自身が乗ってしまったからだと思うわ
- ちはる: ―ちはる― 神浜市の人たちだって大変だったのに プロミストブラッドとは手を取ろうとしてたし
- すなお: ―すなお― 藍家さんのことについても 絶対に敵対しようって意思を感じませんよね
- 静香: ―静香― 環さんは最初から争う気がないもの
- 静香: ―静香― 私も含めて誰もが悲しんでいて 誰もが救いを求めてることに気付いてるから
- 静香: ―静香― みんなをひっくるめて 救っちゃうつもりなのよ…きっと…
- 静香: はっ…
- 静香: 戻って、来た…?
- ちか: よかった無事に目覚めました そちらはどうですか?
- 南津 涼子: ちはるとすなおのふたりも、 元気に目覚めたぞ
- すなお: はい、ご心配をおかけしました
- ちはる: どこも悪いところはないよ!
- 南津 涼子: んで、肝心の大将はどうだ
- 静香: …………
- 静香: 遅くなってしまったけど、 ようやく目が覚めたわ…
- 静香: 自分が善行をしているっていう 根拠のない自信が恥ずかしい…
- 南津 涼子: そいつは良かった
- 南津 涼子: 悪かったな静香 これからはあたしも支える
- 青葉 ちか: 私も時女一族のひとりとして、 一緒に支えさせてください
- 静香: うん、ふたりともありがとう
- 静香: ではさっそくだけど、 これから私たちは山に入るわ
- 静香: ネオマギウスは聞いた通り 自分たちを恐れさせるために
- 静香: 人が食事をすることですら、 操作しようとしてるわ
- 静香: 私が言えた立場じゃないけど なんとしても食い止めましょう
- みんな: オーーーっ!!
- すなお: その前にソウルジェムの浄化を 夢の中でだいぶ穢れてますよ
- 静香: ありがとう これからもよろしくね
- すなお: はい
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: そっか、静香さん ふたりの話を聞いてくれたんだ
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: そうだね
- かごめ: これからはみんなと一緒に決めて 歩いていけるといいと思う
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: うん、すごく嬉しいよ
- かごめ: 魔女になってしまうような 宿命じゃないけど
- かごめ: 静香さんは時女一族の呪縛から 解放されたんだもん
- かごめ: 魔法少女が何かから抜け出して 前を向いて進み始めるって
- かごめ: それだけで 勇気が湧いてくることだと思う
- かごめ: それに、魔法少女のことを広めることについて 及び腰になりかけていた私の心を 奮い立たせてくれた
- かごめ: 時女一族は魔法少女を知った人たちに 利用されてしまったひとつの例だけど そこから這い上がってきたような姿を 見せてもらえたような気がしたから
- かごめ: そして何より 今回は時女一族だけじゃなくて その事情を知ったいろはさんや大庭さんたちが 関わることで解決することができた
- かごめ: そう、誰かの境遇を知るっていうことは 誰かに優しくする方法を探れるっていうことで 魔法少女にだって言えることだと思う
- FILENAME: text_103004-14_km1wv.txt
- さな: どうしよう… このまま睨み合いが続いても…
- うい: うん、ネオマギウスの人は、 計画を進めちゃうよね…?
- フェリシア: もう、正面から突破する気で ズガンとやるしかねーぞ
- うい: でも、相手は…
- さな: どこかで線を引かないと、 最悪の結果になっちゃうから…
- ~~♪~~♪
- さな: ――っ!?
- いろは: 静香ちゃん!?
- 静香: たくさん迷惑をかけたけど、 謝罪はあとにするわ
- 静香: これから私たち時女一族は、 電波望遠鏡に行って計画を止める
- 静香: 私たちが守りから外れたから、 すぐに到着する予定よ
- いろは: 良かった、戻って来てくれたんだ ありがとう…本当に…
- 静香: お礼を言うのは私の方よ
- 静香: 二葉さんが伝えたかった、 環さんの心が私の胸に刺さったの
- 静香: おかげで 巫に罪を着せずに済んだ
- 静香: だから、藍家さんに 人を信じてもらうよりも前に
- 静香: まずは争いの火種を消してくるわ
- いろは: うん、私たちもなるべく早く 時女一族に追いつくから
- いろは: みんな、 静香ちゃんが戻ってきたよ
- いろは: これから 電波望遠鏡に向かうって!
- いろは: さなちゃんが描いた絵本が、 ちゃんと通じたみたいだよ!
- さな: 良かった…
- さな: 絵本は 現実逃避なんかじゃなくて…
- さな: 現実を懸命に生きる人たちに
- さな: 何かのキッカケを 与えられるんじゃないかって
- さな: そう、信じられるかもと思って…
- さな: すなおさんに話を聞いて、 もう一度描いてみて良かった…
- 鶴乃: うん、本気でやれば、 想いは通じるものだねっ!
- 鶴乃: な、今度はテレパシー…?
- 月夜: 「もうすぐ、ネオマギウスの手によって 人々を苦しめる危険な作戦が 実行されてしまうでございます」
- 月夜: 「もしも環さんたちのメッセージに 気付いていないメンバーがいるようでしたら 私のテレパシーに気付き次第 電波望遠鏡に向かって欲しいでございます」
- 月夜: 「彼女たちがしようとしていることは 魔女が手をくだすことよりも あまりにも醜悪で恐ろしいことでございます」
- 月夜: 「月咲ちゃんとふたりそろっていない今 私の音の力で言葉を届けるにしても 範囲には限界があると思うのでございますが それでも気付いた方がいれば 電波望遠鏡に向かって欲しいでございます」
- 鶴乃: 月夜ちゃんの声だ!
- やちよ: これなら状況に気付く人も増える
- やちよ: みんなが時女一族と合流すれば それなりの数になるはずよ
- 十七夜: こうも土壇場で戦況が動くとはな
- みたま: ただ、ネオマギウス側も 想定をしていないわけじゃない
- 十七夜: うむ、笠音アオを二木市に置いて 紅晴結菜たちを張り付けているが
- 十七夜: 当の本人は既に移動して、 電波望遠鏡を固めているはずだ
- 結菜の声: それなら、固めている壁を 私たちの手で破壊しにいくわぁ…
- みたま: まさか…
- 結菜: アオを二木市に移動させることで
- 結菜: あの子に私たちを 釘付けにしたかったんでしょぅ?
- 結菜: だけど残念…
- 結菜: あの子を元に戻すよりも先に こちらを止めることにしたわぁ
- ひかる: ネオマギウスの思惑にはまるのも 癪に障るっすからね!
- ももこ: そっちが操った戦力の差は、 これで埋まったんじゃないか?
- レナ: むしろ、プロミストブラッドが 戻って来た分、レナたちが有利よ
- 十七夜: 八雲、あの姫君に 状況を伝えた上で退くぞ
- みたま: どうするの?
- 十七夜: ここでは固める範囲が広すぎる
- 十七夜: 電波望遠鏡付近まで退いた方が 時間は稼げるはずだ…
- FILENAME: text_103004-15_km1wv.txt
- 十七夜: 羽根たちも全員撤退!
- みたま: 十七夜、連絡をとったけど、 向こうも実行直前よ
- 十七夜: 二木市の三女もいる手前、 そこまで気張らなくて良さそうだ
- かえで: 羽根たちが逃げていくよ!
- ももこ: 電波望遠鏡に退いていくだけだ 見逃さず、案内してもらうぞ
- やちよ: みんなもももこたちに続いて!
- いろは: はいっ!
- FILENAME: text_103004-16_km1wv.txt
- 月夜: …………
- 月夜: これでいいのでございます…
- 月夜: (もしも月咲ちゃんが 私たちの未来のためを想って)
- 月夜: (ネオマギウスに手を貸したなら 気持ちはわかるでございます…)
- 月夜: (でも、東西の問題を変えるには もっと良い方法があるはず…)
- 月夜: 月咲ちゃんが動いた以上は、 私も家に縛られてはいけない…
- 月夜: (おばあ様や母様を恐れていては 子どものままでございます)
- みかげの声: あーーー!
- 月夜: ひゃっ!?
- みかげ: ユニオンの水名の人だよね!?
- 月夜: あなたは確か、 みたまさんの妹の…
- みかげ: うん、ミィは八雲みかげ
- みかげ: ねえ、お姉ちゃん お願いがあるんだけど
- 月夜: な、なんでしょうか…
- みかげ: 東西のみんなを仲直りさせて、 姉ちゃを安心させたいから
- みかげ: そのお手伝いをして欲しい!
- 月夜: と、唐突でございますね…
- みかげ: ねえ、お願い!
- みかげ: 姉ちゃをネオマギウスから 連れ戻したいの!
- 月夜: …何かよくわかりませんが 連れ戻すという目的は同じ…
- 月夜: 私も月咲ちゃんの件があるので、 詳しい話を聞きたいでございます
- みふゆ: ここは…
- みふゆ: まさか電波望遠鏡の中!?
- 燦: ようやくお目覚めのようね
- みふゆ: 教官!
- 燦: 一服盛らせてもらったわ
- みふゆ: っ、なんてことを
- みふゆ: くっ…
- 燦: まだ、体は動かせないでしょうね
- 三輪 みつね: こうなったら…
- ひめな: やめてよ、みわりん
- ひめな: ここで電波望遠鏡を 壊すようなマネされたらさ
- ひめな: 私チャン、みわりんの ソウルジェムを壊しちゃうよ…?
- ひめな: みんなで痛みを分かち合った マイメン同士なんだからさ
- ひめな: もっと仲良くやろうよ
- 三輪 みつね: でも、人を翻弄して 傷付けることが正しいと思えない
- 三輪 みつね: それは私にとって、みんなを救う ヒーローの条件じゃない…
- ひめな: そんな条件は必要ないよ
- ひめな: 人間は私たちより下なんだから
- 三輪 みつね: 私は、魔法少女じゃなくて、 みんなを助けたかったの!
- 三輪 みつね: っ…
- 燦: 少し眠ってもらったわ
- 燦: 敵がこちらに向かってるようだし さっさと始めましょう、姫様
- ミユリ: ですです!
- ミユリ: じゃないと、ここまでの仕込みが 意味をなくしますよぉ…!
- ミユリ: 三輪の能力で セキュリティは既に解除済み!
- ミユリ: あとは、みふゆさんの幻覚能力で 姫様の言葉を発信するだけです!
- みふゆ: ワタシの能力はあくまで幻覚… 改竄や暗示ではありません…!
- 燦: ホテルフェントホープでは、 自己暗示に使ったはずです
- 燦: 自ら使えることは、 既に証明済みじゃないですか
- 燦: 姫様、急ぎましょう
- ひめな: ううん、まだやんない
- 燦: なっ!?
- ひめな: とりま、あなたの能力だけは 今のうちに頂いて
- ひめな: この電波望遠鏡に付与するから
- みふゆ: 体さえ動けば… あなたなんて…!!
- ひめな: はい、これで付与はできたから これ以上は強がんないでよ
- ミユリ: 電波に触れたら幻覚の影響を 受けるってことですけど
- ミユリ: いつ実行するんですか?
- ひめな: みーんなが近付いてくるなら、 ギリギリまで引っ張ろうよ
- ひめな: 希望を与えれば絶望するでしょ? なら、それにならおうよ
- ひめな: 相手がいけるって思ったときが、 実行のタイミングってね
- ひめな: キャハッ★
- 燦: 恐ろしいわね、姫様は…
- FILENAME: text_103004-17_km1wv.txt
- フェリシア: おっしゃ! ナイスだぞ、うい!
- うい: う、うんっ これでみんな先に進めるよね?
- いろは: 先に誰もいなかったら、 電波望遠鏡まで一直線だと思う!
- 十七夜: 自分たちと残りの羽根たちが、 最後の障壁となるのを忘れるな
- みたま: それに、ただ攻撃することだけが 戦いじゃないということもね
- やちよ: 二度と同じ手は食わないわよ
- 鶴乃: みたまの魔力はちゃんと調べて 仕掛けは先に潰したからね
- 月咲: それでも手遅れだよ
- 月咲: 月夜ちゃんが状況を知らせても、 結果はもう変わらない
- いろは: ううん、そんなことはない
- いろは: 「月夜ちゃんの声はしっかり届いて 結果を覆すためにみんながもう動いてる」
- いろは: 「それも、私たちが思ってるよりも早く たくさんの人数で」
- いろは: 「ネオマギウスが止められないぐらい 大きなうねりになって 電波望遠鏡に集まり始めた人の中には」
- いろは: 「神浜市だけじゃなくて 時女一族やプロミストブラッドの 魔法少女もいる」
- いろは: 「それはもう、ネオマギウスの計画を 覆せるほどになってるはずだよ」
- 結菜: 魔法少女の天辺を目指すだなんて 夢のまた夢よぉ…アオ
- アオ: 姉さまたちがそれを言うのは 変じゃないかな~?
- アオ: みんなを支配できると思ったから あれだけ争ってたんでしょ?
- アオ: それなら、ハードモードだけど、 クリアできるってことだよ
- 結菜: 私だって争いは否定してきたわぁ 戦わざるを得なかっただけよぉ…
- 結菜: 私がしてきたのは頂点を 目指すような戦いじゃなぃ…
- 結菜: 生きるための戦いだった…
- 樹里: 樹里サマはストレス発散だけどな
- 結菜: 黙ってて
- 樹里: 間違ってねーだろ!
- アオ: ま、生きるための戦いだなんて わたしにはわかってたけどね
- ひかる: じゃあ、戻ってきた方がいいっす ひかるたちは知ってるっすよ
- ひかる: 殴れば殴り返される 殺せば殺される
- ひかる: ずっと続けてきたんすから、 先が真っ暗なのはわかるっすよ!
- アオ: でも暗闇を抜けた先には 一点の光がある
- アオ: その光に向けて挑戦することは、 悪くないことじゃないかな?
- アオ: 誰にも脅かされることがない 絶対的な存在になれるんだったら
- ひかる: アオさんが折れるだけで、 二木市はまとまるんす
- ひかる: 平和になるんすよ
- アオ: そんな確約なんてないから、 有事の際に備えて頂点にいくの
- ひかる: 争うのは怖くないんすか
- アオ: な~んにも
- アオ: どういうコマンドを入れて、 倒そうか考えてるぐらいだもん
- アオ: クスッ
- ひかる: …………
- 結菜: 思い出させてあげるわ あなたに恐怖を
- 樹里: だな、それも樹里サマたち姉の 立派な役割ってもんだ
- FILENAME: text_103004-18_km1wv.txt
- アオ: っく!
- ひかる: 抜けたっす! 今のうちっすよ、結菜さん!
- 結菜: 樹里! このまま電波望遠鏡を叩くわ!
- 樹里: わかってるっての 炎はたんまり溜めてある!
- アオ: えっ、恐怖を思い出させるとか 言ってなかった!?
- ひかる: こっちの優先順位は ハナから電波望遠鏡の破壊っす
- ひかる: その辺りがわからないなんて、 まだまだ赤ちゃんっすね
- アオ: うわ、急にマウント取ってきて ムカツク!
- すなお: 見えました! 大きな建物がありますよ!
- ちはる: ここで合ってるよね 静香ちゃん!?
- 静香: ええ、この中に入ると、 ウネウネした細い蛇がいて
- 静香: ビカビカ光る機械が なんかたくさんあったはずよ!
- ちはる: そう、前に入ったもんね! ウネウネしてるのはコードだよ!
- 南津 涼子: しっかし、あの見た目じゃあ 簡単にぶっ壊せないな…
- 青葉 ちか: でも、多くの魔法少女たちが 集まっているところです
- 青葉 ちか: プロミストブラッドの方たちの 魔力反応もありましたし
- ちはる: うん、いろはちゃんたちが 迫ってるのもわかる!
- 都 ひなの: よし、抜けきったぞ このままアタシに付いてこい!
- やちよ: 読心を使った戦い方はさすがね だけど相手が悪かったわ
- 十七夜: なに…
- やちよ: 過去に私たちは相対した仲よ
- やちよ: あなたとの戦い方を 私はとてもよく知ってるわ
- 十七夜: ぐっ
- やちよ: みんな、一気に抜けていって!
- いろは: 見えた! 他のみんなも集まってきてる!
- かえで: すごい、私たちの状況がちゃんと みんなに届いたんだね
- レナ: それに時女の本家もいる 目を覚ましたおかげで形勢逆転よ
- ももこ: 鶴乃、フェリシア!
- ももこ: ここはパワーが売りのアタシらで 思いっきり破壊してやろう
- フェリシア: ドカンとやるのは得意だぜ!
- 鶴乃: 損害賠償とか大丈夫かな!?
- ももこ: 今、そんな話を持ち出すなよ!
- 都 ひなの: そう、今は後先を考えないで 全力でぶつかるべきだ
- 結菜: こっちの準備はできてるわ
- 静香: 私も、今は償いと人々のために!
- いろは: みんなで力を合わせて!
- ひめな: っていうタイミングはおわり
- いろは: ――っ!?
- いろは: 藍家さん…!?
- ひめな: 安心してよ、いろりん 電波望遠鏡の中は壊したから★
- いろは: 何を…言ってるんですか…
- ひめな: もう、電波は発信し終わったから 用済みだっていうこと
- ひめな: あ、みふりんには感謝しておいて
- ひめな: この人の固有魔法のおかげで 私チャンの作戦が成功したから
- ひめな: キャハッ★
- みふゆ: みなさん、すみません 止めることができませんでした…
- 時雨: はぁ…はっ…姫… 本当にやっちゃったの…
- はぐむ: っ…ふぅ…神浜市の人たちのこと 本当に殺す気なんですか…
- ひめな: 私チャンたちが優位なのを 示すだけで、殺す気はないって
- はぐむ: でも、みんな… 何も飲めないし食べられないって
- ひめな: このままだとね
- はぐむ: っ…
- 燦: みんな、 やることは終えたから退くわ!
- ミユリ: 宮尾、安積、戻ってくるなら 今のうちですよ…
- 時雨: 戻れない…ぼくは…もう…
- はぐむ: …私も
- ミユリ: そうですか
- かごめ: …っ、ほんとに、飲めない
- いろは: かごめちゃん…!
- かごめ: 自分で持っていたペットボトルに口を付けて 飲もうとすると、逆に吐きそうになる そんな症状を身をもって知ると ひめなさんのしたことが本当だってわかった
- かごめ: この症状を自覚して、みんなが苦しみ始めてから ひめなさんは自分たちの存在を 明らかにするつもりなのかもしれない
- かごめ: スマホで調べると人の体は4日ぐらいしか 水を飲まないと生きられないらしい
- かごめ: つまり、私もこの町の人たちも 今、この時をもって 命のカウントダウンが始まったということだ…
- リヴィア: あの姫さんをけしかけたんは やっぱアンタか
- キュゥべえ: 別にボクは けしかけてなんかいない
- キュゥべえ: ただ彼女が知りたがっていた 自動浄化システムを奪う方法を
- キュゥべえ: 教えてあげただけだからね
- リヴィア: それだけやないやろ
- リヴィア: せやないと、魔女化が復活した この神浜市の中で
- リヴィア: あんな大層なこと やってのけられへんはずや
- キュゥべえ: 本当にボクは何もしてないよ
- キュゥべえ: ただ彼女にいくつか質問されて 答えていっただけさ
- キュゥべえ: 自動浄化システムの仕組みや 奪取する方法についてね
- リヴィア: 当然、向こうには協力することを 約束させられたんとちゃうか?
- キュゥべえ: ボクにとってもこれは実験だから 断る理由はないからね
- リヴィア: どっちも抜け目がないわ
- リヴィア: …アンタには言うておくわ
- キュゥべえ: なんだい?
- リヴィア: 私らの目的はあくまで 魔法少女たちの幸福なんや
- リヴィア: アンタらがけったいなことを するようやったら
- リヴィア: 私らはいつでも手を引くつもりや それだけは理解しとき
- ―取材記録― 安積 はぐむ
- はぐむ: 「はわわわ、時雨ちゃんに聞いたけど 本当にネオマギウスまで ちゃんと取材してるんですね…!」
- はぐむ: 「あっ、大丈夫です。 ちゃんと時間を取らせないように、 私、事前に自分が望む未来っていうのを 用意してきましたから」
- はぐむ: 「えっと、待ってくださいね あ…あ、これです!」
- はぐむ: 「まだ迷ってるんですけど、 実は私、服飾のデザインとかスタイリストに なりたいなって思ってるんです」
- はぐむ: 「魔法少女至上主義が叶って、 みんなにイジられなくなって もっと堂々として人と関われるようになれば 今より積極的に人と話せるかなって」
- はぐむ: 「そうすればコミュ力もきっと上がるし、 そういう外でのお仕事も ちゃんと出来そうな気がするんです」
- はぐむ: 「舞台の衣装を作るのも好きですけど やっぱりステキな人を着飾るのって ワクワクするから」
- はぐむ: 「そのうち、藍家さんとか教官とか ミユリちゃんとか時雨ちゃんの コーディネートとかをしてみたいです」
- FILENAME: text_103005-1_km1wv.txt [Episode 5]
- うらら: …………
- ラビ: …………
- 那由他: …………
- 太助: (みんな静かだが無理もないな… あんな光景を見せられては…)
- 那由他: 思い出したくなくても、思い出してしまう
- 那由他: 憎たらしい笑顔を浮かべる灯花を 思い出そうとしても 脳裏をかすめるのは、爆ぜたあとのむごい姿…
- 那由他: 結局、灯花とねむという子が何をしたかったのか 私には何もわからないんですの…
- 那由他: 第1段階が成功だなんて言われても 私の目に映るのは、死にかけているふたりの姿で 何が私たちの救いになるのかなんて 微塵もわからなかった
- 那由他: 灯花…
- 那由他: パパは止めようとしていたけど 本当にあなたは 魔法少女の話が広まると思ってるの?
- 那由他: 本当に自分たちの行動が 魔法少女を救う道に繋がると思ってるの?
- 那由他: あなたほど頭の良くない私にはわからないですの
- 那由他: …………
- ラビ: 里見灯花と柊ねむという ふたりの天才
- ラビ: 彼女たちの行動が どういう不幸を招くかは未知数…
- 旭: 我々の町ですらあのような状況で 救いがないであります…
- 旭: もしも我々がしたこと以上に 抗おうとするなら
- 旭: 比例して不幸も大きくなり、 諦念へ進むだけでありますよ…
- 旭: ただ、今のところ最も危険なのは ネオマギウスであります
- ラビ: 藍家ひめなの叶いそうもない 魔法少女を広める計画
- ラビ: もしもそれが実現すれば 諦念への針がまたひとつ進む…
- うらら: サーシャさん… 藍家ひめなの計画は本当なのん?
- うらら: 何も食べられないし 飲めないようにするだなんて
- うらら: 正気だと思えないんよ…
- アレクサンドラ: …正気だから怖いんです
- アレクサンドラ: 命の制限時間を与えた上で、 ジワジワと体感できる死の感覚…
- アレクサンドラ: きっと誰もが真相を知れば、 魔法少女たちに怒りを覚えますが
- アレクサンドラ: 恐らく興奮する人たちほど、 消耗して死に近付くのは早く
- アレクサンドラ: 怒りなんてものは恐怖に変わって 魔法少女に救いを求めるでしょう
- うらら: そんなの下手をすれば みんな死んじゃうってことなんよ
- アレクサンドラ: だけど止められないから、 私も身を引くことにしました
- ラビ: 私たちが何に肩入れをしても 結末は変わらない
- 旭: そう、諦念へ進むかどうか 見守ることしかできない
- ラビ: あとは私たちの想いが、 那由他に通じればいいけれど…
- 旭: …時女一族の話を聞く限り 湯国市に行けば大丈夫であります
- 旭: 魔法少女の姿を見るようになって 警戒してるはずでありますよ
- FILENAME: text_103005-2_km1wv.txt
- 那由他: やっと着いたんですの
- 那由他: ただ、前にも来たばかりなので、 そこまで感動はないんですの
- ラビ: 私も、すぐに再訪するとは 思ってもみませんでした
- ラビ: それより気をつけてください
- ラビ: 魔法少女の往来が増えた影響で、 町の学生の気が立っています
- 那由他: あっ…
- 那由他: あの、怯えなくても もう危険は特にないので
- うそよ…
- 私が倒れてたのだって あなたたちが…
- 那由他: あ、あの 何か誤解をしてますの!
- 那由他: 前に来たときも、 何か誤解されているようでしたの
- 旭: 特に前よりも警戒されているのは 時女一族が来たせいであります
- アレクサンドラ: そういえば、旭ちゃんの集落を 訪れたそうですね
- 旭: その上、撲滅派の連中共に 襲われたそうであります
- 旭: 本家が返り討ちにしたそうですが それだけ敵対心は倍増
- 旭: 我々もうかうかしていたら、 危険でありますよ
- 那由他: そ、そんな物騒な町だなんて、 知らなかったんですの…
- ラビ: 全ては私のせいです…
- 那由他: ラビさんの…?
- 旭: 厳密に言えば 我々と言うのが正解であります…
- アレクサンドラ: はい、私たちが魔法少女のことを 広めようとしたからです…
- うらら: ウチも力を貸したせいで 最悪の結末になってしまったんよ
- 那由他: もしかしてパパが 魔法少女を世間に知らせることで
- 那由他: 逆に絶望を生むことになると 思ったのは
- 那由他: この町での出来事が 原因ですの…?
- 太助: そうだね、大きな要因だよ
- 太助: ただ、すべてを話せば長くなるし ラビたちの話も必要になる
- 太助: 宿についてから ゆっくりと話をしよう
- 那由他: わかりましたの
- 太助: ただ、その前に悪いが 立ち寄りたい場所があるんだ
- 太助: この町にある大学なんだけど 那由他が来たと連絡があってね
- 那由他: あ、はい パパの情報がないかと思って…
- 太助: 准教授とは付き合いも長いから 挨拶をしておきたいんだ
- 那由他: 私もお礼と謝罪をしたいですの
- 那由他: 相談に伺った時は、 思わず泣いてしまったので…
- 太助: ふ、そうか
- 太助: 私は娘を泣かせるなと、 こっぴどく怒られるだろうな…
- ラビ: では、ここからは 気を引き締めていきましょう
- ラビ: 中心地なのでひと気が多いですが 少し外れると人もまばらです
- ラビ: いつ襲われるか知れないので、 離れないようにしてください
- 那由他: あっ!
- ラビ: どうしました?
- 那由他: でしたら安全なうちに お手洗いに行っておきたいですの
- ラビ: …では、一度駅に戻りましょう
- FILENAME: text_103005-3_km1wv.txt
- アレクサンドラ: 時女一族の本家が 大きなショックを受けるほど
- アレクサンドラ: また、この町の中は 荒れてしまってるんですね
- 旭: 静香殿に聞いた限りだと、 我の周辺だけでありましたが…
- うらら: ウチの元相方が今の撲滅派を 率いてリーダーになってるから
- うらら: かなり顔が広いし 話が広まるのも早いはずなんよ
- うらら: 変な人はいなかったのん…?
- ラビ: 今のところは、 特に何の気配も感じないけど
- ラビ: 那由他が出てきたら、 すぐに出発しよう
- 太助: 戻ってこないね…
- ラビ: おかしいですね…
- ピロン♪
- うらら: ――っ!?
- うらら: …ウチの相方からなんよ
- 最近、魔法少女が増えてるみたいだけど 裏でコソコソと何かやってるみたいね
- 前にも三浦旭が住んでいる集落に 多くの魔法少女が集まっていたって話を 他のメンバーから聞いたわ
- 私たちは多くの犠牲を出して なお私たちの前に姿をさらそうとする あなたたち魔法少女を許さない
- 湯国市に新たな魔法少女を連れて来るような 状況が続くようであれば どうなるのか私たちが思い知らせてやる
- うらら: ま、まずいんよ 那由他さん、もしかしたら…
- 旭: これは、隙を突かれて さらわれた恐れがありますな…
- ラビ: 普段、魔法少女との戦いで、 魔力の反応に頼り過ぎた…
- 太助: また、元の状況に戻ってるのか… それで那由他は…!
- ラビ: 連絡をしてきたということは、 相手も私たちと会いたがってます
- ラビ: 拠点に変わりがなければ、 すぐに見つけられるはずです
- ラビ: 教授は危険なので、 先に宿に戻っていてください
- 那由他: あ、あの、これは どういうことですの!?
- 那由他: どうして 私はさらわれたんですの!?
- 那由他: それほど私もパパも すごい大金持ちじゃないですの!
- くらら: そんな猿芝居はやめてくれる?
- 那由他: えっ…?
- くらら: 私たちが知りたいのは、 あなたたちが考えていることよ
- FILENAME: text_103005-4_km1wv.txt
- くらら: そんな猿芝居はやめてくれる?
- 那由他: えっ…?
- くらら: 私たちが知りたいのは、 あなたたちが考えていることよ
- くらら: この町に魔法少女は何人いるの? 新しく何人連れてきたの?
- 那由他: あの、ちょっと何か 勘違いされてるようですの
- 那由他: 私はただこの町に誘われて、 来ただけで何も目的はないですの
- 那由他: 強いて言えば、ラビさんたちから 話を聞くぐらいのもので…
- くらら: ラビ…っていうことは、 うららとも関わりがあるのね…
- くらら: ようやく湯国市からいなくなって 静かになったと思ったのに
- くらら: 今度は何を考えてるの…?
- 那由他: あの、ラビさんたちは皆さんに ご迷惑をかけたんですの…?
- くらら: あなた、何も知らないんだ
- くらら: この町の学生たちを殺してるわ 番組のスタッフも…みんな…
- 那由他: そんなっ、有り得ないですの!
- 俺は三浦と同じクラスなんだけど
- うちの黒田と灰谷は アイツのせいで見事にやられたよ
- 那由他: っ…!?
- 灰谷は爆発の破片に巻き込まれて 死んじゃってさ
- 灰谷に告白しようとしてた黒田は それでキレて三浦を責めたんだ
- けど、その黒田も三浦たちと 和解しようとしたその日に壊れた
- 何をされたのかしらねーけど、 今も心が戻って来ずに入院してる
- 私は魔法少女は魔女から人を救う 良い人たちだって聞いてたから
- 氷室さんの後輩だった 白金さんと一緒に活動してた
- だけどあの人は、数少ない仲間の 白金さんですら裏切ったの
- やっと氷室さんのためになるって すごく喜んでたのに
- 無情にも氷室さんは、 白金さんを殺してしまったのよ…
- 那由他: ウソですの… ラビさんが有り得ないんですの…
- 私だって栗栖さんだけは、 違うって思ってた
- みんなが魔法少女を嫌うから、 私も合わせてただけだったけど
- あの人がみんなの身動きを 取れなくして殺したんだ
- 合唱部の友だちもそれで 黒田さんと一緒に入院してる…
- 那由他: 何かの間違いですの…
- 那由他: 私たちは希望を願った存在 みんなを救う存在…!
- くらら: そんな話は聞き飽きたわ!
- くらら: あなたがどこまで知ってるかは わからないけどね
- くらら: うららも含めた4人が この町から姿を消してたなら
- くらら: 後ろめたいことがあるからだって 思わないの?
- 那由他: ――っ!?
- くらら: 黒田さんたちが魔法少女を責めた その結果でもあるけどね
- 那由他: その人にラビさんたちは、 追い詰められたってことですの?
- くらら: 最後は自主的に姿を消したわ
- くらら: おかげで新しい魔法少女が 生まれることはなくなったし
- くらら: 魔女化する人もいないから 町はずいぶんと平和になった
- でも最近おかしいの
- まるで魔女が増えたみたいに、 町ではまた事件や事故が増えてる
- そこで戻って来たのが、 アイツら4人で
- お前みたいな知らない顔が 混じってるなら危険だと思うだろ
- 次に魔法少女が何をやらかすか 知れたものじゃないからな
- FILENAME: text_103005-5_km1wv.txt
- 那由他: 皆さん、まずは 落ち着いて欲しいんですの
- 那由他: 魔法少女についてご存知なのは 私も承知しましたの
- 那由他: ただ、先ほども言いましたが、 誤解がありますの…
- 那由他: まず、魔法少女は皆さんを 傷付ける存在ではないんですの
- 那由他: みんな願いを叶えた代償として 魔女と戦っていて
- 那由他: そのおかげで、私たちが生活する 社会は平和を保ってるんですの
- 平和を保つなんて 良い言い方をしてるけどな
- お前たちは魔法少女でも魔女でも 俺たちに危害を加えるだろ!
- 那由他: そんなっ! 絶対に有り得ませんの!
- 那由他: 魔女と同じことをするだなんて、 私たちが逃れたい宿命ですの!
- くらら: ほとんどの魔法少女たちが、 魔女になる事実を知らないからね
- 那由他: そこまで知ってて…
- くらら: なぜ恨むかと言うと、 それだけの仕打ちを受けたからよ
- くらら: 私は忘れないわ 多くの死体が運ばれる現場を…
- いいから オマエらの目的を話せって!
- 那由他: っ!
- 那由他: そうやって人の話を聞かないから 町で事件が増え始めたんですの
- はぁっ!?
- 那由他: 魔法少女がいない環境は、 魔女の天敵がいないのと同じ
- 那由他: ラビさんたちの警告を聞かずに 追い出した報いなんですの!
- いい気にならないでよ!?
- ご高説はいいから 早く目的を言いなさい
- 那由他: 私はただ…この町で パパの話を聞きに来ただけで
- 娘に願いを叶えさせるなんて、 ろくな父親じゃないんでしょうね
- 那由他: っ…
- くらら: 最後に聞かせて あなたたちの目的はなに?
- 那由他: 何も答えられなかったら…?
- 昔のアイツらと同じ目に遭う
- 那由他: アイツらってラビさん…!? いったい何をしたんですの!?
- 「無視したり圧力をかけたりする 精神的な追い込みから 実際に痛みを与える肉体的な追い込み 前に過激な人たちがいたころは あの手この手で痛みを与えた」
- くらら: 「私はあとで加入したから 詳しい話は知らないけど あなたが言っている氷室ラビって人も 陰惨なイジメを受けてたって」
- 那由他: ひどい…
- ラビの声: 那由他様!
- 那由他: ――っ!?
- ラビ: 泣いて…
- ラビ: あなたたち… 彼女にいったい何をした…!!
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- ラビ: 泣いて…
- ラビ: あなたたち… 彼女にいったい何をした…!!
- 那由他: やめてくださいラビさん! 何もおかしなことはないですの!
- 那由他: ラビさんたちがされた仕打ちを 聞いて我慢できず…
- ラビ: …………
- 旭: ラビ、 那由他殿は無事でありますか
- 旭: ――っ!? まさか撲滅派のメンバー…
- アレクサンドラ: それにあの子… うららちゃんと相方だった…
- うらら: そう、ディアボロで 一緒に大道芸をしてたんよ…
- くらら: そして今はソロで活動して、 魔法少女の撲滅を目指してるわ
- くらら: …また、こうして アンタには会いたくなかったわ
- うらら: …………
- くらら: …最近、事件や事故が 湯国市で増えてるんだけど
- くらら: あなたたちの仕業?
- 旭: 違うであります
- 旭: 魔法少女という脅威が失せて、 魔女が集まっただけであります
- 旭: 魔女からしたら何の懸念もなく 暴れられる環境であるゆえ
- 事情はしらねーけど、 魔女もオマエらだろ…?
- 魔法少女も魔女もいらないって 言われてるはずだ
- それに知らない魔法少女が 最近現れて襲われたわ
- ラビ: 時女の連中…
- やっぱり知り合いだったのね
- 何人殺せば気が済むの?
- もう湯国市には関わらないって 約束すら守れないの?
- ラビ: …………
- アレクサンドラ: 私たちが知らない 魔法少女が世間には何人もいます
- アレクサンドラ: それをすべて知った上で 食い止めるのは不可能な話です
- 旭: ただ、時女一族のことを 我はよく知ってるであります…
- ラビ: どうせ私たちはすぐに出ていく
- ラビ: それでもなお、 その怒りが冷めやらないのなら
- ラビ: 責め苦は私がうける 那由他様はどうか…
- 覚悟はできてるんだろうな
- 那由他: 意味がわからないんですの!
- 那由他: どうして魔法少女だからって 罰を受けるんですの!?
- 那由他: ラビさんたちは、 自分の故郷に帰ってきただけで
- 那由他: 何も悪いことなんて…!
- 旭: 実際に我らは多くを殺し、 多くを廃人にした
- 旭: 本来なら生きて故郷の境を 跨いではいけないでありますよ…
- 那由他: そんな…
- うらら: とても重くて、 受け止めきれない過去の出来事が
- うらら: 魔法少女を悪者にしてしまう
- うらら: 湯国市はそういう町なんよ…
- 那由他: だからって、私は認めませんの!
- 那由他: 傷付けることが正しいなんて!
- 那由他: ラビさんたちは私が守りますの
- 那由他: 責め苦を受けようとするなら、 ラビさんたちを止めますの!
- ラビ: やめなさい、那由他!
- FILENAME: text_103005-7_km1wv.txt
- 那由他: …ここは
- 那由他: (どこかで 見たことがある気がしますの…)
- 太助: 目が覚めたようだね
- 那由他: パパ!
- 太助: ラビ、みんなも 那由他が目を覚ましたよ
- ラビ: 体の加減はいかがですか?
- 那由他: え? 別におかしなところはないですの
- 旭: 良かったでありますな
- 旭: 乱暴に眠らせてしまったので、 心配してたのでありますよ
- 那由他: 乱暴に…
- 那由他: あっ! 山小屋での光景は夢では…
- ラビ: ないですね 記憶されてることは事実かと
- 那由他: では、学生にさらわれたのも、 聞かされたことも…
- 那由他: それで、ここはどこですの?
- アレクサンドラ: 大地のゆりかご 湯国温泉にある民宿です
- 那由他: あ、前に泊まった宿ですの
- アレクサンドラ: そして、ラビちゃんの実家です
- 那由他: へぇ…
- 那由他: ぇええええッ!?
- ラビ: お恥ずかしながら
- 那由他: じゃ、ありませんの! 料理の味が似てて当然でしたの!
- 那由他: こうやって真相を明かされると つくづく実感しますの…
- 那由他: 皆さん、私に色々な隠し事をして 私は独り相撲をしてたんだって…
- うらら: あうう、それは謝るんよ…
- うらら: でも、那由他さんを想う 教授の親心があったからなんよ
- うらら: ウチらはそれに合わせて 隠してたんよ…
- 那由他: …つまり、前に訪れたときに、 パパの予約が取り消されたのも
- 那由他: ウソだったということですの?
- 太助: そういうことになるね…
- 那由他: …………
- 太助: 「だけど那由他も覚えていると思うが 下巻を書き進むにつれて私は 少しずつ体調を崩して筆をとれなくなったんだ」
- 太助: 「だから私は、なんとか書き上げたい一心で 湯国市に拠点を変えると 湯治をしながら続きをまとめることにした」
- 那由他: “魔法少女 その希望と絶望”
- 那由他: その下巻を書き進めていたのは この宿での話だったんですの…
- 太助: 一部屋を書斎として借りてね 治療を進めながら書いていたんだ
- 太助: 今まで海外を渡り歩いて 調べて来た資料も部屋にあるよ
- 那由他: そうですの…あれ…?
- 那由他: ここが湯国市で、ラビさんたちが この町の魔法少女なら…
- 太助: 「するとその町では 少なくとも学生たちの間で 魔法少女が知られていたんだ」
- 太助: 「それは正に、道半ばとはいえ 私が成し遂げたかったことが形になった姿」
- 太助: 「だけどそれは 魔法少女にとっての生き地獄だった」
- 那由他: 生き地獄を味わったのは、 もしかしてラビさんたちですの?
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- 那由他: 生き地獄を味わったのは、 もしかしてラビさんたちですの?
- ラビ: そうですね 那由他様のおっしゃる通りです
- ラビ: ただ、その生き地獄も 受け入れることしかできない…
- 那由他: まさか…
- くらら: あなた、何も知らないんだ
- くらら: この町の学生たちを殺してるわ 番組のスタッフも…みんな…
- 那由他: あの方たちが言っていた話は 本当ということですの…?
- 那由他: ラビさんたちが、この町の学生を 殺したっていうのは…
- ラビ: 意図的ではないとはいえ、 結果的には殺したことになります
- 旭: 魔法少女のことを 世間に知らせようとしたから
- アレクサンドラ: はい、結論はまだ出ていませんが 今の私たちはそう考えています
- 那由他: 魔法少女を世間に知らせると、 逆に絶望を生むことになる
- 那由他: こちらに来る前に、 パパは確かにそう言いましたの…
- 那由他: 皆さんにはいったい 何があったんですの…?
- ラビ: 那由他様は、魔法少女の存在を なぜ広めたいと思ってますか?
- 那由他: それは、 魔法少女を救うためですの
- ラビ: どうやって救われるのですか?
- 那由他: 「私たち魔法少女というのは 家族や環境など周辺にある社会が影響して 願いを叶える子が多いですの」
- 那由他: 「だから、魔法少女の存在が知り渡れば 契約前に周りの人がストッパーになれますし それが難しかったとしても 契約をしないような社会のルールを 作れるかもしれませんの」
- 那由他: 「…ただ、私はルールよりも 人が優しくなることで少女が救われることを 望んでると思いますの」
- 那由他: 「人の行動や発言が不幸な状況や環境を作り出し 少女がそれを変えるために キュゥべえと契約して魔法少女になる割合は それなりにあると思いますから」
- 那由他: 「ほとんどパパの受け売りですけど…」
- ラビ: …私もほとんど同じですよ
- ラビ: 「魔法少女が魔女になることを知ってから 得も言われぬ虚しさを感じ その正体は誰も魔法少女を知らないからだと 思ったんです」
- ラビ: 「我思う故に我在りと 自己の存在は自己によって完結したとしても 社会に対して存在しているかどうかは 他者の認識があってこそ成立する」
- ラビ: 「だから私も魔法少女の存在を知らせることで 自分たちの安寧を図ろうとしました」
- ラビ: 「ですが、それでもたらされたのは 私たち魔法少女にとっての不幸であり 防げるようなことではなかったんです」
- 那由他: 何があったんですの…?
- ラビ: 最初は順調に魔法少女の存在を 良い者として広げられていた…
- 旭: ただ、我の周辺から 不幸が始まったであります…
- 旭: まずは守るべき我の学友が 魔女にやられたのであります…
- 旭: その場には同じく別の学友がいて 我はふたりを守る約束をしていた
- 旭: だが、ひとり死なせてしまい、 恨みを買うことになった
- アレクサンドラ: それに、あのときの事故は、 多くの人たちを巻き込みました…
- アレクサンドラ: 加えて、冬に起きた雪崩のときも 死者が多く出てましたので
- アレクサンドラ: 私たちは、その責任も 背負うことになってしまいました
- うらら: その上、魔法少女が魔女に なることもバレて
- うらら: すべての事件や災害は魔法少女の せいにされるようになったんよ
- 那由他: じゃあ、私を捕えた方たちの 怒りは…
- うらら: そこまで的外れではないんよ…
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- ラビ: かつては周りに期待をしていた
- ラビ: 自分たちが背負う不幸を憐れんで 同情してくれると思っていた
- ラビ: 何の解決にもならないけど、 他人の慰みすら欲しいと思うほど
- ラビ: 魔女になるという背負った宿命が 私たちの心をさいなんだ…
- ラビ: だけど憐れみと慰めを求めた 私たちに与えられたのは
- ラビ: 周囲のほとばしる怒りだった
- 旭: 我らのせいで湯国市の魔法少女は 責め苦を受け
- 旭: 精神をすり減らした同胞たちは 日に日に数を減らしたであります
- アレクサンドラ: 危機感を覚えた私たちは
- アレクサンドラ: 関係のない魔法少女たちを助け、 これ以上魔女を増やさないために
- アレクサンドラ: 自分たちに矛先を向けさせました
- 旭: おかげで我は猟銃で撃たれもして 生傷だらけになったでありますよ
- アレクサンドラ: 私もかつての仄暗い恋愛話を 掘り返されそうになったり
- アレクサンドラ: 無理難題を部活で押し付けられて 途方に暮れていました
- アレクサンドラ: 仲良くしていた人たちも変わって 人の豹変ぶりが怖かったです…
- ラビ: 私には支えてくれる子がいたけど やっぱりイジメは受けた
- ラビ: そんなときに教授が現れて、 私たちを支えてくれたんですよ
- 那由他: パパが?
- 太助: …すでに魔法少女を救うことを 諦めかけていたけど
- 太助: 私が考えていることなんて 仮説に過ぎなかった
- 太助: だから、私自身も縋る思いで 彼女たちを助けようと思ったんだ
- うらら: ウチもその時は 魔法少女じゃなかったけど
- うらら: 魔法少女には助けてもらって 救われた恩もあるし
- うらら: できる限りのサポートをしようと 奮闘したんよ
- 太助: そんなみんなの頑張りもあって、 信頼も回復してきたんだけどね
- 那由他: この状況ですし、 ダメだったってことですの…?
- 太助: …そうだね
- 太助: 信頼回復に努める中で、 残っていた6人も3人になり
- 太助: ラビ、旭、サーシャと 契約前のうららも含めて
- 太助: 学生たちと手を取るために 頑張ってきた…
- ラビ: でも…
- ラビ: 結果的には私たちが手を下す形で みんなの精神を壊し
- ラビ: こうして更に恨みを買って、 町を出ることになった…
- 旭: なぜ、我々を追い詰めるかの如く 不幸ばかりがやってくるのか…
- 旭: 見えないところから何者かに 射貫かれた気分であります…
- アレクサンドラ: そう感じる度に
- アレクサンドラ: 私たちでは何もできないという 諦念が胸の中に広がります…
- 那由他: それが、魔法少女の話を 広めても意味がないという出来事
- 那由他: 結果的に魔法少女を 絶望させるということですの…?
- ラビ: はい…
- FILENAME: text_103005-10_km1wv.txt
- トントントン
- 太助: はい
- 那由他: …………
- 太助: 寝たんじゃなかったのかい?
- 那由他: ラビさんたちから聞いた話が 納得できなくて眠れないんですの
- 太助: 偶然が重なった結果… やり方が悪かったのではないか…
- 太助: 確かにあの話だけを聞けば、 そう思っても仕方がない
- 那由他: 図星ですの…
- 那由他: パパは今まで魔法少女を世間に 知らせることが大切だって
- 那由他: ずっと信じて調査をしてきたのに どうして湯国での出来事だけで…
- 太助: むしろ調査をしてきたからこその 結論と言えるかもしれないね…
- 那由他: 調べてきたから…?
- 太助: 魔法少女の存在は不自然なほど、 世間に広まらない
- 太助: その話は覚えてるかい?
- 那由他: はい
- 那由他: 魔法少女が関わる事件や事故に 誰も違和感を持たないとか
- 那由他: 魔法少女の件を秘密にするのが 普通になっているとか…
- 那由他: 神浜市や二木市などを巡って 感じた話ですの…
- 太助: うん、そうだね
- 太助: 「そして、過去の歴史を調べていくと 周囲が違和感を持たないことへの疑問は さらに膨れていった」
- 太助: 「那由他からキュゥべえの話を聞いた通り 魔法少女だと言われても不思議ではない人たちは 神話や英雄譚、伝説として語り継がれている」
- 太助: 「ただ、その内容をどれだけ紐解いて 魔法少女だと思われる記述を見つけたとしても 個人の特別な話として描かれるばかりだった」
- 太助: 「アラブでも南アジアでも南米でも それらは変わることなく」
- 太助: 「主人公となる女性の輝かしい出来事のみ語られ 魔法少女という特別な人物が 私たちの周りにいるといった真実は 個人の話として綴られるだけで消えてしまう」
- 太助: 「本を閉じて物語を終わらせるようにね」
- 那由他: ラビさんたちの行動も 強制的に終了させられたと…?
- 那由他: 魔法少女の存在を 知られないようにするために…
- 那由他: だとしたら、何に…?
- 太助: …宇宙の意思によってだよ
- 那由他: え…?
- 太助: 「魔法少女の存在を知られるということは 下手をすれば安心を生むことになる」
- 太助: 「それは、希望と絶望の相転移によって 自身を維持する宇宙にとっては ひどくマイナスな出来事だと思わないかい?」
- 那由他: それは、そうですけど… 宇宙そのものに意思があるなんて
- 太助: 誰にも答えはないけど、 私たち人間は宇宙で生まれた
- 太助: その母体である宇宙に 意思があってもおかしくはない
- 太助: 「もしもそうであれば 人の体に免疫が備わっているように 宇宙にも免疫が備わっているかもしれない」
- 太助: 「私たちの体に異変が生じたとき 無意識にそれを体が修復しているように 宇宙も異変が生じたときに 修復するような作用があるのかもしれない」
- 那由他: それだと、みんなに魔法少女を 知らせる行為そのものが
- 那由他: 宇宙にとって害悪なんですの…?
- 太助: そうかもしれない…
- 太助: 「魔法少女から得られるエネルギーがないと 宇宙はいずれ存続できなくなる それは宇宙にとっては病と同じなんだ」
- 太助: 「すると宇宙に不利益を与えようとする私たちは 宇宙にとってはがん細胞のようなものだよ 見えない力で駆逐されてもおかしくはない…」
- 那由他: そんな…
- 太助: 「那由他、私たちが生き残るには この強大な宇宙の“自浄作用”と 戦わないといけないかもしれないんだ…」
- 那由他: でも、でもそれは仮説ですの!
- 太助: そう、仮説だね
- 太助: 真実と言えるときは 来ないかもしれないよ…
- 太助: だから、私はラビたちに託した
- 那由他: 神浜市での戦いが 再び絶望を生むのかどうか…
- 那由他: それも宇宙の意思によって…
- 那由他: 限度を越えると “自浄作用”による不幸が始まる
- 太助: そう、ラビたちが受けた理不尽が 神浜市でも起きるかもしれない
- 太助: その時が私たちにとって 確信のときなんだ…
- 太助: …………
- 太助: (もっと怖いのは人だよ…)
- 太助: (魔法少女の存在によって、 確かに文明は発展しただろう…)
- 太助: (だけど、 人の心の構造は変わらない)
- 太助: (内面は何も変わらずに 同じことを繰り返している…)
- 太助: それは何千年何万年と時を経て まったく精神的な進化ができないまま 技術だけが向上しているということ
- 太助: 今、ここで発展を止めないと いずれ魔法少女だけでなく人も滅びる
- 太助: そろそろ私たち人類は 人類の精神性だけでは扱い切れない 未来に足を突っ込むことになる…
- ―取材記録― 里見 那由他
- 那由他: 「私の望む未来というのは、 当然、魔法少女が救われている未来ですの」
- 那由他: 「魔法少女の話をみんなが知っていて、 魔女と戦う私たちを労ってくれて、 そもそも願いを叶えなくてはいけないという 状況を解決するために、 みんなが少し優しくなって生きている」
- 那由他: 「そんな世の中になってくれることが、 魔法少女と人にとって 大きな救いになるような気がしますの」
- 那由他: 「こうして取材をしてくださっているのも、 きっといつか皆に魔法少女を知ってもらう 切っ掛けになると思いますし、 パパがまとめている本の内容を補足するような 事実をまとめた手記になると思いますの」
- 那由他: 「そのパパが 今は何を考えているのかわかりませんけど、 きっと雲隠れしていた理由はあるはず」
- 那由他: 「もしも間違っていた時は正しますし 希望を持つ魔法少女として 喝を食らわしてやりますの!」
- 那由他: 「あとは、なんというか… もしも神浜市で起きてることが終わったら、 ラビさんとは今までと同じように 関わっていきたいですの…」
- 那由他: 「何があったのかは知らないですけど、 ほの暗いものを感じるので、 消えてしまいそうで不安になりますの…」
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