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Arc2 Main Story Chapter 9 JP Text

Mar 7th, 2022 (edited)
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  1. FILENAME: text_103001-1_km1wv.txt [Episode 1]
  2. 灯花: 佐鳥かごめ
  3. かごめ: はい!?
  4. 灯花: これだけは約束してくれるかにゃ
  5. かごめ: な、なに…?
  6. 灯花: 絶対に手記を止めないこと 多くの魔法少女に取材すること
  7. 灯花: 今まで通り、魔法少女たちから 手記に魔力を込めてもらうこと
  8. 灯花: それを命を落とすまで続けて
  9. かごめ: あのときの光景が頭から離れないまま、 灯花ちゃんが残した呪いのような言葉が、 怖じ気づいた私の心を何度も刺してくる。
  10. かごめ: 私が逃げないように、 魔法少女たちが生きる姿を写し取った私の手記に 新しい役割を与えて、楔を打ち込んだんだ。
  11. かごめ: その役割は何かわからないし 意識を失った彼女に聞くことはできないけど、 私は手記をまとめ続けようと思った。
  12. かごめ: いろはさん、ういちゃん、灯花ちゃん、ねむちゃん 4人の誰かひとりでも欠ければ 消えてしまうという桜子ちゃんが生きていて
  13. かごめ: その桜子ちゃんが 灯花ちゃんとねむちゃんの作戦は 成功したって言っていたから…。
  14. かごめ: その一方で、心を蝕むような出来事は、 いろはさんたちの方でも起きていた…。
  15. かごめ: ひとつは、キュゥべえによる “自動浄化システムの支配”が発覚したこと。
  16. かごめ: それによって被膜を失った神浜市は、 キュゥべえが入れる町に戻ったばかりか 魔法少女の穢れが回収されずに魔女になる、 普通の町になってしまった。
  17. かごめ: そしてもうひとつショックを受けたのは、 再び現れたネオマギウスに、 4人の魔法少女が付いていってしまったこと…。 あれから事態は悪化して波及していき、 他にも魔法少女が消えていることが判明した。
  18. かごめ: そのメンバーは、静香さんの境遇と同じように しきたりとして願いを叶えた分家の子たち。 そして、笠音さんがリーダーを務める 蛇の宮のメンバーの一部だった。
  19. かごめ: そして、神浜市の東に住む魔法少女たちには 十七夜さんからメッセージが届いていたみたいで 今回の身勝手な行動に関する謝罪と 宣戦布告が記されていたことから 誰も付いていく人はいないようだった。
  20. かごめ: こうした経過をたどる中で、 キュゥべえから自動浄化システムを 奪い返すために戦う機会は、 夢幻のように霧散してしまった…。
  21. かごめ: (でも、魔法少女だけが 問題を抱えてるわけじゃない…)
  22. うらら: うん、教授はもう 魔法少女を救うのは諦めてるんよ
  23. かごめ: ――っ!?
  24. うらら: かごめちゃんと会ったあとで
  25. うらら: 魔法少女を世間に広めることで 悲しい結末を迎えることを知って
  26. うらら: やめてしまったんよ…
  27. うらら: だから、かごめちゃんが ウチらの戦いをまとめてるのも
  28. うらら: 意味がないはずなんよ…
  29. かごめ: 悲しい結末ってなんだろう リィちゃん…
  30. いろは: 皆さんにキモチの石を返してから 特に異変ってありませんか?
  31. 結菜: えぇ、私は平気よぉ
  32. ひかる: 樹里さんも何もないって 言ってたっす
  33. ちはる: わたしも特に異変はなし! この通りピンピンしてるよ!
  34. さな: いろはさんに キモチの石を集めたときみたいに
  35. さな: 特に暴走しませんでしたね…
  36. 都 ひなの: 何もない分にはいいことだが、 少し拍子抜けだったな
  37. フェリシア: 前はキュゥべえが操ろうとして 暴走したんだろ?
  38. フェリシア: 失敗したから諦めたんじゃね?
  39. 鶴乃: 案外そうかも
  40. 鶴乃: わたしたちがブレスレットで キモチを押さえてる以上
  41. 鶴乃: 操るとしたら、キモチの石を 誰かに受け渡しする時だからね
  42. やちよ: すべてはキュゥべえによる支配が どれだけ影響を及ぼしてるかね…
  43. やちよ: キモチは、石を巡る争いに ルールを課して
  44. やちよ: 選抜された魔法少女だけで 戦うように仕向けていたけど
  45. やちよ: そのルールが失われてしまうと 被害に遭う子がまた増えるし…
  46. いろは: そうですね…
  47. いろは: キモチのルールは 消されてるかもしれませんね…
  48. 結菜: 悲観的になる必要なんてない むしろ都合がいいじゃなぃ
  49. 結菜: 数はこちらが勝っている上に 相手は寄せ集めの雑兵
  50. 結菜: 中に神浜市の連中もいるなら、 全力で食い散らかしてやるわぁ
  51. 結菜: ただ、目ざとくも漁夫の利を狙う 狡猾な相手である以上
  52. 結菜: 寝首をかかれる恐れも 十分あるけどね
  53. ひかる: それでも余裕がでるぐらい 数を増やせばいいんすよ!
  54. ひかる: アオさんや和泉を 連れ戻せば盤石っす!
  55. やちよ: 連れ戻すって、 さらっと難しいことを言うわね…
  56. やちよ: 迷いが混じっていたとはいえ、 十七夜には覚悟ができていたわ
  57. 都 ひなの: みたまも同じだ 積年の恨みが爆発したからな…
  58. ちはる: 静香ちゃんなら、 まだ説得できる気がするけど…
  59. すなお: 連絡がつきませんし、 接触する方法がわかりませんね…
  60. さな: なんだか、ネオマギウスの行動が 見えてこないです…
  61. さな: 私たちから仲間を奪っても 結局、数に差はありますし…
  62. フェリシア: もしかして、アイツら! なんかまだ悪巧みしてるんだろ!
  63. フェリシア: こう、なんかしんねーけど
  64. フェリシア: また、裏でコソコソ動いて 自動浄化システムを奪うとか!
  65. いろは: うーん、どうだろ…
  66. いろは: キュゥべえが言うには、 ういだけが制御できるって話だし
  67. やちよ: キモチの石を狙うつもりでも、 戦力差は覆せない
  68. やちよ: キモチのルールが消えていれば なおさらね
  69. ちはる: アッ、わかった!! ういちゃんをさらうつもりだ!!
  70. 鶴乃: あとは、自動浄化システムを 手に入れるよりも先に
  71. 鶴乃: 人に対して魔法少女の力を 見せつけるとか
  72. 鶴乃: なんたって魔法少女至上主義を 掲げてるわけだからね
  73. ちはる: ぉぉぉ… それも有り得そうだよぅ…
  74. すなお: 力を見せつける… 危険な香りがしてきますね…
  75. 都 ひなの: ああ、そっちが優先されるのも 納得できる…
  76. 結菜: ひとまずネオマギウスの出方が わからない以上
  77. 結菜: 動きを想定して、各々が準備を 進めることしかできないわねぇ
  78. 結菜: …環さんもお見舞いに行くのなら 今のうちに行っておきなさぃ
  79. いろは: 戦いが始まっちゃうと 行けなくなりますからね
  80. ピロン♪
  81. 結菜: …………
  82. 結菜: ひかる、らんか 次の休みに二木市に戻るわよぉ
  83. ひかる: 急にどうしたんすか
  84. 結菜: ユニオンと話して無駄な時間を 過ごすぐらいなら
  85. 結菜: 金銭面や学校のこともある手前 ホームで状態を整えましょぅ
  86. ひかる: なんか、ツンツンしてるっすね
  87. 結菜: …アオが二木市に戻ってきたって 連絡があったのよぉ…
  88. 結菜: 残ってるメンバーに監視するよう 連絡を返したわぁ…
  89. ひかる: それ…ネオマギウスが 動いたかもしれないっすね…
  90. ちはる: わたしたちも静香ちゃんの話を 集落に伝えておくべきかな…
  91. ちはる: ねぇ、すなおちゃん 静香ちゃんから返事ないよね…?
  92. すなお: はい…既読が付いているだけで 特に何もありませんね…
  93. すなお: 二葉さんに描いてもらった絵本を 読むように伝えたんですが…
  94. さな: すみません、本当はもう少し 早く描き上げたかったんですけど
  95. いろは: アイさんの絵本のあとで 2作目を描く話は聞いてたけど
  96. いろは: 静香ちゃんに描いてたんだね
  97. さな: はい、そうなんです
  98. すなお: 以前から静香は 悩むことが多かったんですけど
  99. すなお: 性善説を知ってから 妙に善悪に固執していて…
  100. さな: 静香さんの様子を聞いてから 少しずつ描いてたんです…
  101. すなお: はい…だから、今の静香には 必要なものだと思うのですが…
  102.  
  103. FILENAME: text_103001-2_km1wv.txt
  104. ひめな: とりま、神浜市の人たちに 魔法少女のことを伝えるにしても
  105. ひめな: 電波望遠鏡を手に入れなきゃだし 今の計画のままでいいんだよね?
  106. ひめな: …………
  107. ひめな: やっぱヒコ君的にも、 おけまるってことだよね
  108. 燦: どうだった、姫様
  109. ひめな: ん~
  110. ひめな: 今のところ順調なんだけど、 すぐには動けないって感じ?
  111. 燦: そうでしょうね
  112. 燦: 電波望遠鏡を手に入れるにしても 敵の数が多すぎるわ
  113. ひめな: とりま、大丈夫だって
  114. ひめな: プロミストブラッドは ショートカットを失ってるから
  115. ひめな: 通うだけでも生活に支障がでるし 金銭的にもヤバヤバなわけじゃん
  116. ひめな: そこにあの人たちが二木市に戻る 切っ掛けを作ったわけだから
  117. ひめな: ワンチャンいけるって
  118. ひめな: ヒコ君も戦力が削げるはずだって 言ってたからね★
  119. はぐむ: でも、それで電波望遠鏡を 奪うにしても
  120. はぐむ: 灯花様が管理していた以上、 セキュリティ対策は万全ですし
  121. はぐむ: 私たちの準備が終わるまでに 相手が嗅ぎつけちゃったら…
  122. 時雨: 先に押さえられちゃうよね…
  123. 時雨: すぐに動けないなら、 まだ隠れてたら良かったのに…
  124. 時雨: なんか堂々と出ちゃったし…
  125. ひめな: なぎりんにも言ったけど
  126. ひめな: ぶっちゃけ裏でコッソリ 成功させても意味がないんだって
  127. ひめな: やっぱ私チャンたちがすることに 抵抗して失敗してもらわないと
  128. ひめな: 向こうのメンタル的にも ポッキリ折れないわけじゃん?
  129. 時雨: そういうことなんだ… 怖いよ姫…
  130. ひめな: それに、プロミストブラッドの 動きを掴む段取りもできてるから
  131. ひめな: 戦う準備もよいちょまる!
  132. 時雨: え、そうなの…?
  133. ひめな: そうそう、ちゃーんと 先手を打ってるから安心して★
  134. ミユリ: さすがは姫様ですよねぇ
  135. ミユリ: これでこれで、ミユたちの目的は また一歩前に進むんですから!
  136. ミユリ: あぁ…ミユたちが魔法少女として 敬われるばかりか
  137. ミユリ: 神様になった燦様の足元に 人々が平伏すなんて
  138. ミユリ: ミユは想像しただけで、もうっ…
  139. 時雨: …?
  140. 燦: ミユ、待って
  141. ミユリ: へっ?
  142. 燦: 電波望遠鏡を使った作戦だけど 宮尾と安積は知らないわ
  143. ミユリ: えっ…
  144. ミユリ: ェエッ!?そうなんですか!? むしろどこまで知ってるんです!?
  145. 燦: 人々に魔法少女の存在を 知らせるところまでよ
  146. 燦: “そのあとで信じさせる方法を ふたりは知らないのよ”
  147. ミユリ: それ、足並みそろうんですか…
  148. 燦: 姫様が舵を切った過激なやり方に ふたりは付いてこられないわ
  149. 時雨: ねぇ、はぐむん
  150. 時雨: 成功すれば、魔法少女のことを みんな知ってくれるよね?
  151. はぐむ: うん、少しだけでも私たちを すごいって思ってくれるはずだよ
  152. 時雨: 魔女を倒してるのは ぼくたちだもんね
  153. はぐむ: 少しぐらい胸を張れると思うし 自分に自信が持てると思う
  154. ひめな: そんなの当たり前じゃん むしろもっと大胆に変わるよ
  155. ひめな: キャハッ★
  156. 静香: 私たちは時女一族としての 役割を果たすために
  157. 静香: 巫の存在を世間に周知して みんなを導かないといけないわ
  158. それはわかったのですが、 いいのですか本家
  159. あの姫君の話ですと、 被害は甚大なものになるかと…
  160. 静香: 構わないわ
  161. 静香: 悪が頭を務める神浜市の中には 多くの悪がはびこっている…
  162. 静香: だから場を整えるためにも、 まずは、その悪を葬る必要がある
  163. それで済むでしょうか
  164. 静香: 済まないようであれば 予定よりも早く藍家ひめなを討つ
  165. 静香: そして私たち時女一族が 人々を救う神となって
  166. 静香: 善の道を示すわ
  167. ひめな: ねえ、サーシャ… なんで既読も付けてくんないの?
  168. ひめな: 本当にやっちゃうよ…? もっと全力で止めてよ…ねぇ…
  169.  
  170. FILENAME: text_103001-3_km1wv.txt
  171. 時雨: はい、じいじ
  172. 時雨: 今日の朝ご飯は焼き鮭と 昨日の炊き込みご飯だって
  173. 時雨の母の声: 炊くときの水を変えたんだけど、 美味しかった…?
  174. 時雨: え、水… もしかして母…また…
  175. 時雨の祖父: だまされて買ったんじゃないよ 私が選んだから大丈夫だ
  176. 時雨: そっか、よかった…
  177. 時雨の母: お母さんが買っちゃうと まただまされちゃうからね
  178. 時雨の母: はい、準備ができたし 食べましょう
  179. みんな: いただきます
  180. 時雨: …はむっ、うん、美味しい
  181. 時雨の母: そう、良かったぁ
  182. 時雨の祖父: …………
  183. 時雨の祖父: なあ時雨、こんど欲しがってた Berry Piを買ってあげようか
  184. 時雨: え、いいの…!?
  185. 時雨の祖父: 前からマイコンボードを 欲しがってたし
  186. 時雨の祖父: 最近は調子が良さそうで、 どこか溌剌としてるからな
  187. 時雨の祖父: こういう時に何かを作ると いいものができるもんだ
  188. 時雨の祖父: せっかくだから挑戦してみなさい
  189. 時雨: え、じゃあ、じいじ! ぼくのプログラムも見てよ!
  190. 時雨の祖父: もちろん、構わないよ
  191. 時雨の母: 良かったね、時雨ちゃん
  192. 時雨: うんっ…!
  193. 時雨: (最近のぼくに良い波が来てる)
  194. 時雨: (はぐむんと一緒に ネオマギウスを維持しつづけて)
  195. 時雨: (姫や教官と再始動させて、 ここまで来て本当に良かった…)
  196. 時雨: これで魔法少女のことが広まったら ぼくたちが魔女を倒してるんだって大声で言える みんなよりちょっとスゴいんだぞって言って バカになんてされなくなる
  197. 時雨: あとちょっと、あと少しで姫が ぼくたちを引き上げてくれるんだ
  198. 時雨: (だけど、 みんなに知ってもらったあとで)
  199. 時雨: (どうやって 信じてもらうつもりなんだろ…)
  200. 時雨の母: 時雨ちゃん…!
  201. 時雨: えっ!?
  202. 時雨の母: 最近帰りが遅いけど、 気をつけてね…
  203. 時雨の祖父: そうだぞ、危険なことはするな みんな心配してるからな
  204. 時雨: うん…ごめん…
  205. はぐむ: ふぇええっ!?!? 役者ってあの役者ですか…!?
  206. はぐむ: 舞台の上で演技をする…?
  207. うちの演劇部では、 それを役者って言うのよ?
  208. はぐむ: (あぅぅ、バカにされてる…)
  209. はぐむ: そそ、それはそうなんですけど 本当に私が…ですか…?
  210. 相変わらずドジっ子ちゃんだけど 最近、いいんだよね安積
  211. 言葉で表現しにくいんだけど、 なんかキラキラしてる
  212. もしかして、恋してる? いや、まさかの彼氏とか!?
  213. はぐむ: 違います違います! 私なんて全然モテないですし
  214. はぐむ: キラキラなんて気のせいです! だから無理です!
  215. そう言わないでさ 検討してみてよ
  216. この話なんだけど、 どうしてもやってみたくてさ
  217. はぐむ: …………絵本ですか…?
  218. はぐむ: あ、これって 最近ネットで評判になってる…!
  219. そっ、これを原作にした本は 私が書くからさ
  220. 安積はカメの役をお願い!
  221. はぐむ: カメ…! あ、動物さんの絵本なんですね
  222. あとは鳥と虎が出てくるよ
  223. はぐむ: 衣装作り、難しそうだなぁ…
  224. ピロンッ♪
  225. あ、いいよ スマホ見ても
  226. はぐむ: ありがとうございます
  227. はぐむ: …………
  228. 時雨: 電波望遠鏡で話を広める方法は前に聞いたけど みんなに信じてもらえるのかな…? なんだか急に心配になってきて… どうするかって、はぐむんは姫から聞いてる?
  229. はぐむ: (…私も聞いてない、よね)
  230.  
  231. FILENAME: text_103001-4_km1wv.txt
  232. ミユリ: 燦様… 電波望遠鏡の作戦のことですが
  233. ミユリ: 本当に安積と宮尾に 教えなくていいんでしょうか…
  234. 燦: ふたりに対して秘密ができるのは 心苦しくもなるわよね…
  235. ミユリ: はい…ミユは正直、 不安を感じてしまいます…
  236. ミユリ: ミユたちはお互いのために、 無謀な夢を叶える仲間で
  237. ミユリ: みんなで心の傷を癒やすために 頑張る同志です
  238. ミユリ: 魔法少女至上主義を広めて ミユたちが認められて
  239. ミユリ: 抱えている想いを叶えようって 約束したはずなのに
  240. ミユリ: そこにふたりがいないのは…
  241. 燦: それでも“今の姫様のやり方”は ふたりにそぐわない…
  242. 燦: 世間に魔法少女を広めることが 私たちのスタートだったのに
  243. 燦: 最初から頂点に君臨することが スタートになってしまった
  244. 燦: それだけ“強引なやり方”に 変わってしまったから
  245. 燦: 安積と宮尾が知れば、 確実に姫様の元を離れるわ…
  246. ミユリ: 燦様は平気なんですか…?
  247. ミユリ: 姫様のやり方で、みんなが ミユたちのことを知ってくれて
  248. ミユリ: 燦様が神様だって認められて 火祭りを残せたとしても
  249. ミユリ: 青年会の人たちとの関係は崩れて 今までと変わりますよ…?
  250. 燦: 神浜市の人がどうなろうと 私には関係がない話だし、
  251. 燦: 青年会との関係が変わるのも 最初から覚悟をしていたわ
  252. 燦: それに姫様が青年会の人にも 手を伸ばすような悪神になるなら
  253. 燦: 私が人の盾となって みんなを守る善神になる
  254. 燦: 複数の神が共存している神話は いくらでもあるわけだし
  255. 燦: そのうちのひとりが 火祭りの神でもおかしくないわよ
  256. ミユリ: 確かに確かに! 日本の神様もたくさんいます!
  257. 燦: だから私は善神と悪神の 二柱で成り立つ支配でも構わない
  258. 燦: 姫様が変わらなければ、 考えなくていい悩みだったけどね
  259. ミユリ: …姫様はどうして急に 過激な方に舵を切ったんでしょう
  260. 燦: サーシャがいなくなって怖いのよ
  261. 燦: あの人は私たちと違って、 ただひとり姫様に手を差し出した
  262. 燦: 姫様にとっては、ヒコ様以外で 唯一甘えられる人だったからね…
  263. ~~♪
  264. ひめな: サーシャ…
  265. ~~♪
  266. ひめな: サーシャ…
  267. ~~♪
  268. ひめな: サーシャ…
  269. ひめな: でない…もういいや…
  270. ひめな: (…だけどもう、誰も失わない ヒコ君だけは絶対に奪わせない)
  271. ひめな: サーシャが悪いんだから… 一緒にいてくれないから…
  272. ひめな: (私チャンは大切な人が 離れないようにするんだよ…?)
  273.  
  274. FILENAME: text_103001-5_km1wv.txt
  275. ガチャ…
  276. ひめなの母: ひめな…!
  277. ひめなの母: あなた、ただいまぐらい 言いなさい
  278. ひめな: そ、ヒコ君的にもアリなら その子を動かそうと思うんだよね
  279. ひめな: 今さら心変わりなんてされたら 草生えるどころじゃないじゃん?
  280. ひめなの母: っ、やめなさいひめな!
  281. ひめな: は…? ちょっと待ってヒコ君
  282. ひめな: なんか言った?
  283. ひめなの母: やめなさいって言ったの
  284. ひめなの母: 大切な人が亡くなって 辛いのはわかるけど
  285. ひめなの母: そうやって記憶に残った 彼の姿にすがっちゃダメなのよ…
  286. ひめな: いやいや、マジでイミフ
  287. ひめな: 言ってんじゃん 記憶とかじゃなくて居るって
  288. ひめな: 私チャン、ヒコ君と話せるし 目を瞑れば姿だって浮かぶ
  289. ひめなの母: 言いたくないけど、 それは妄想で紛い物でしかない
  290. ひめなの母: 辛いことだけど受け入れて
  291. ひめなの母: “あなたの彼は死んだのよ”
  292. ひめな: “生きてる”!!
  293. ドンッ!!
  294. ひめなの母: ヒッ…!
  295. ひめな: あんたたちがそんなだから!
  296. ひめな: 私チャンはね、無理矢理にでも 信じてもらうしかないんだよ!!
  297. ひめな: ムカツク…ムカツク…ムカツク… みんなしてヒコ君を消そうとする
  298. ひめな: ヒコ君はここにいる… 私の中でしっかり生きてるのに…
  299. ひめなの話、聞いた?
  300. あのガリ勉の陰キャと 付き合ってたって
  301. しかも、そいつが死んで ぶっ壊れたらしいじゃん…?
  302. かわいそうなのはマジだけどさ 近付かない方がいいよね…
  303. 引くレベルで怖いもんね
  304. 亡くなった人が夢枕に立つとか 言うでしょ?
  305. 先生も同じような経験があるけど 少しずつ気持ちに整理がついて
  306. 落ち着いてくるから
  307. ひめなの母: 残りの学校生活は オンライン学習のある所にして
  308. ひめなの母: 基本は通学ができるように 近くまで引越しましょう
  309. ひめなの母: ひめなのせいじゃないわ 心に深い傷を負ったせいだもの
  310. ひめなの母: 少しずつになると思うけど、 受け入れられるわ…人の死は…
  311. ひめな: クソみたいなクラスメイトが ヒコ君を殺したんだ…
  312. ひめな: それを私チャンが救ったんだ…
  313. ひめな: それなのに、先生もママもみんな 信じようとしない…
  314. ひめな: そんなに殺したいの…? またヒコ君を殺したいの…?
  315. ひめな: 許せない…絶対に許せない… だったら私チャンがひっくり返す
  316. ひめな: 嫌でもこっちの言い分を聞かせて 首を縦に振らせたくしてやる
  317. ひめな: 世間の常識をひっくり返して…!
  318. ひめな: (だから、プロミストブラッドの 情報を早く寄越しなさい…)
  319. ひめな: (アンタだってもう、 こんな町にはうんざりでしょ…)
  320.  
  321. FILENAME: text_103001-6_km1wv.txt
  322. 月咲: はぁ…
  323. 月咲: (本当、月夜ちゃんとのことが お父ちゃんにバレてから)
  324. 月咲: (動きづらくなっちゃったな…)
  325. 月咲: さすがにこれ以上、 言う事を聞いてる場合じゃない…
  326. ピロン♪
  327. 月咲: 月夜ちゃん…
  328. 月咲ちゃん 今日も私と同じで家にいると思うので 聞いた話を送っておくでございます
  329. あとでユニオンのグループメッセージで 回ってくるとは思うのでございますが プロミストブラッドが次の休みに 二木市に戻るそうでございます
  330. 時女一族がいるとはいえ ネオマギウスが動き始めた以上は 私たちも家の都合に合わせている 場合ではございません
  331. なので、どこかで抜け出して ユニオンの力になった方が良さそうでございます 特に果てなしのミラーズの問題については 何も動けていないので…
  332. 月咲: …………
  333. タケ: 月咲ちゃーん
  334. 月咲: ――っ!?
  335. タケ: 月咲ちゃんが外に出られない話 おやっさんに抗議してみたよ
  336. 月咲: お父ちゃん、何か言ってた?
  337. タケ: 『俺も好きで言いつけてねえ ほとぼりが冷めるまで待て』って
  338. タケ: 取り付く島もなかったよ
  339. 月咲: ありがとう、タケさん お父ちゃんに話してくれて
  340. タケ: 家から出るなって 縛り付けられたりしたら
  341. タケ: 俺なら絶対にキレて 暴れまくってると思うから
  342. 月咲: ふふっ、なにそれ
  343. タケ: …そうやって笑ってくれるのも なんか久しぶりだしさ
  344. タケ: 工房の家事をしてくれてる 月咲ちゃんのためなんだ
  345. タケ: これぐらい 一肌脱いでもいいだろ?
  346. 月咲: ありがとう
  347. 月咲: 明日は協力してくれたお礼に 夕飯はタケさんの好物にするね
  348. タケ: おっ、マジで!? それだったら毎日でも手伝う!
  349. 月咲: えー、現金だなぁ
  350. 月咲: …………
  351. 月咲: 灯花さんとねむさんは いつも乱暴なやり方だったけど ウチらを救おうとしてくれた
  352. 月咲: 確かにマギウスの時は知的好奇心の方が 強かったのかもしれない
  353. 月咲: だけど、本気で魔法少女の解放を望んでいるから メッセージに書かれていた通り 捨て身で死にかけているんだと思う
  354. 月咲: そんなふたりと比べて ウチはいつでもおんぶに抱っこ 自分の力で救われようとはしていない…
  355. 月咲: だから、本当に救われたいなら 自分で動かないと…
  356. 月咲: 月夜ちゃんとウチを隔てる 東西の呪縛から解放されるためにも 自分で動かないと
  357. 月咲: タケさんにも あんまり頼っちゃいけないね
  358. タケ: 俺は頼られる分には 嬉しいけどね
  359.  
  360. FILENAME: text_103001-7_km1wv.txt
  361. うい: 灯花ちゃんとねむちゃんには 会えないの…?
  362. いろは: 面会謝絶だったから…
  363. みふゆ: ふたりの腕輪は、 本来なら死を与えるものです
  364. みふゆ: なんとかソウルジェムを避けて 生存はできたようですが…
  365. うい: そうだよね… 灯花ちゃんとねむちゃんの体は…
  366. みふゆ: 言いづらいことですが、 魔法少女だから生きてるとしか…
  367. みふゆ: 院長…灯花のお父様の顔を見れば それは十分にわかりました
  368. うい: ねえ、ふたりは助かるよね?
  369. いろは: 助かって欲しいし、 私だってそう信じてるけど…
  370. うい: けど…?
  371. いろは: 目が覚めない理由がわからないし 爆発のときに何をしたのか…
  372. みふゆ: ふたりがやろうとしたことは 成功したんですよね…?
  373. 万年桜のウワサ: |うん、体は無事じゃないけど 生きてるから成功|
  374. いろは: ふたりが気付いたこと、 ちゃんと聞いておけば良かった…
  375. いろは: 「プロミストブラッドと和解しようとした時から 灯花ちゃんとねむちゃんは 自分の命を犠牲にしても構わないようだった」
  376. いろは: 「マギウスの時に自分たちがしたことへの 罪滅ぼしもあったのかもしれないけど ふたりにとって自分の命は そこまで大切じゃなくなってたような気がする」
  377. ねむ: 僕達が何に気付いたのか
  378. ねむ: ヒントはもしかしたら 東西の問題がくれるかもしれない
  379. 灯花: ただ、他にも色々と調べないと 答えには結びつかない
  380. うい: 難しいこと言わないでよ…
  381. 灯花: くふっ
  382. 灯花: とりあえず、ういとお姉さまは 自分の思う最善を目指して
  383. いろは: それってみんなが救われるために ひとつになるっていうこと…?
  384. 灯花: ううん
  385. 灯花: ふたりが生き残ってくれたら オッケーっていうことだよ
  386. うい: わたしも秘密にされてたこと、 ちゃんと聞けば良かったな…
  387. いろは: でも、今となってはわからない だから生き残らないとね
  388. いろは: 灯花ちゃんとねむちゃんに 言われた通り
  389. 万年桜のウワサ: |ふたりが生きてたら 大丈夫だよ、うい|
  390. うい: うん…
  391. みふゆ: これから、ワタシは 灯花の部屋に行くんですが
  392. みふゆ: おふたりはどうしますか?
  393. うい: あ、行きます! でも、どうして?
  394. みふゆ: これです
  395. うい: 灯花ちゃんとねむちゃんの ソウルジェム
  396. みふゆ: こっそり誰かに壊されては いけませんので
  397. みふゆ: セキュリティがしっかりしている 灯花の部屋に保管して
  398. みふゆ: 定期的に浄化しようと 思ってたんです
  399. うい: 桜子ちゃんが持っておけば いいんじゃないの?
  400. 万年桜のウワサ: |一定以上の距離を離れると、 肉体がダメになるかもしれない|
  401. みふゆ: そういうことです
  402. みふゆ: ソウルジェムは ここに入れておきますので
  403. みふゆ: 時々、様子を見に来てください
  404. みふゆ: ワタシは家を抜け出せないときも ありますし
  405. みふゆ: アリナと瀬奈みことの件が ある以上は
  406. みふゆ: 果てなしのミラーズの調査を やめるわけにはいきません…
  407. いろは: 他のグループの人たちも含めて 再開するって話ですしね
  408. いろは: それなのに、 なんだかすみません…
  409. いろは: ふたりのために気を遣ってくれて ありがとうございます
  410. みふゆ: いえ、好きでやってることです 気にしないでください
  411. うい: じゃあね、灯花ちゃんねむちゃん また様子を見に来るね…
  412. うい: …………あれ?
  413. いろは: 何かあった?
  414. うい: 懐かしい 灯花ちゃんが書いた説明書だ
  415. いろは: 説明書?
  416. うい: 機械が苦手なねむちゃんのために 灯花ちゃんが書いた説明書だよ
  417. うい: ウェブ小説の更新の仕方とか 売り方とかプレゼントの仕方とか
  418. うい: 管理する方法について 色々と書いてあるんだよ
  419. うい: 結局、ねむちゃんが嫌がって ほとんど使ってなかったけどね
  420. みふゆ: 灯花が人にそこまでするなんて 珍しいですね
  421. うい: うーん
  422. うい: ねむちゃんの代わりにやるのが 面倒臭かったんだと思うよ
  423. みふゆ: …たぶん、それが正解ですね
  424. いろは: …あ、そっか
  425. うい: どうしたの、お姉ちゃん
  426. いろは: さなちゃんが描いた絵本だけど
  427. いろは: 静香ちゃんに見せたいって すなおちゃんが言ってたでしょ?
  428. いろは: プレゼントすれば 読んでくれないかな?
  429. いろは: メッセージアプリでも そういう機能ってあったよね?
  430. うい: あったと思う!
  431. いろは: 送ってみるかどうか すなおちゃんに聞いてみよう!
  432. うい: うんっ
  433.  
  434. FILENAME: text_103001-8_km1wv.txt
  435. ももこ: はぁ…はぁ…
  436. 御園 かりん: はぁ…ふぅ…
  437. ももこ: ふぅ…落ち着いてくれた? 説明した内容で納得してくれた?
  438. 御園 かりん: うん…
  439. かえで: 果てなしのミラーズのことなら、 他のグループの人も連れて
  440. かえで: みふゆさんたちが調べるから 焦らなくても大丈夫だよ
  441. 御園 かりん: でも…
  442. 智珠 らんか: でもじゃないっての! 何回説明すりゃわかんの!?
  443. 智珠 らんか: ああもう…!
  444. 智珠 らんか: こんな面倒になるなら 心配するんじゃなかった…
  445. レナ: 変に律義だから、 損な役回りになるんじゃない?
  446. 智珠 らんか: うるさい その舌、引っこ抜くよ
  447. レナ: こっわ…
  448. 樹里: なんだこれ 変なメンツで集まってんな
  449. 樹里: あぁ、ゲーセンに行くメンツを らんかが集めたっつーことか
  450. 智珠 らんか: 違う、色々あったの…
  451. ガラガラ…
  452. 智珠 らんか: あれ、放課後はここで部活って 聞いてたんだけどな
  453. 智珠 らんか: アリナってマギウスもいないし、 ヘコんで帰っちゃったかな…
  454. 智珠 らんか: (…御園かりんはユニオンだし 心配する必要もないんだけど)
  455. 智珠 らんか: (と、思ったらいた…)
  456. 智珠 らんか: アンタ大丈夫?
  457. 御園 かりん: えっ…?
  458. 智珠 らんか: いや、アリナってヤツが消えて ヘコんでると思ってさ
  459. 智珠 らんか: 一応、 心配しとこうと思っただけ
  460. 御園 かりん: 大丈夫なの
  461. 御園 かりん: だって、これからわたしが、 アリナ先輩を助けに行くから!
  462. 智珠 らんか: ふーん…ん? え、これからってひとりで?
  463. 御園 かりん: そうなの!
  464. 御園 かりん: 帰って来られたなら、 また行き来できるはずなの!
  465. 智珠 らんか: ちょ、いや、バカじゃないの!? 偶然戻ってきただけでしょ!
  466. 御園 かりん: でも、みんなが動かないなら わたしが行くしかないの!
  467. 智珠 らんか: ひとりで行ったら、 スイサイドルート一直線だって!
  468. 御園 かりん: はなすの!
  469. かえでの声: あーーーーー!
  470. 智珠 らんか: ――っ!?
  471. かえで: かりんちゃん大丈夫!?
  472. レナ: 白昼堂々、手を出すだなんて アンタどういうつもり!?
  473. 智珠 らんか: なに勘違いしてんのバカ!
  474. 智珠 らんか: コイツの暴走を 止めてるんだって!
  475. 智珠 らんか: というわけ…
  476. 樹里: あっはは、そりゃ災難だな
  477. 智珠 らんか: で、樹里は何しに来たの?
  478. 樹里: らんかとゲーセンに行こうと 思ったんだよ
  479. 樹里: 本当は時雨とはぐむを捕まえて
  480. 樹里: ネオマギウスの情報を 吐かせたかったんだけどな
  481. 樹里: どこを捜してもいねーんだよ
  482. 智珠 らんか: そういうこと…
  483. 御園 かりん: …………
  484. 樹里: おびえんなよ
  485. 樹里: らんかの言う通り、 ひとりで行けば死んで終わりだ
  486. 樹里: 本当に再会したきゃ我慢しろ
  487. 御園 かりん: …わかったの 無理をしても先輩は喜ばないの…
  488. 樹里: 前にウェルダンにしたのは謝るし 詫びにゲーム代はおごってやる
  489. 樹里: だから、その内側に溜めた鬱憤を 樹里サマと晴らしに行こうぜ
  490. 御園 かりん: そうするの…! おごってもらえるなら行くの!
  491. レナ: 肝が据わってるわね…
  492. 智珠 らんか: で、アンタたちはどうする? 一緒に来る?
  493. ももこ: あとで合流するよ
  494. ももこ: 十七夜さんがいなくなってから、 東の様子も見ないといけないしね
  495. 樹里: 大丈夫そうか?
  496. ももこ: 今のところ他に離反はないよ
  497. ももこ: 身勝手な滅びを望む行動だから、 追いかける必要はないって
  498. ももこ: 事前に十七夜さんと調整屋から 東の子に連絡があったらしいんだ
  499. かえで: みかげちゃんだけが 心配だよね…
  500. レナ: みたまさんの願いを自分の願いで 打ち消そうとしたわけだしね…
  501. 樹里: そっちには行かなくていいのか?
  502. レナ: もっと適任になりそうな子が、 一緒にいてくれてるからね
  503.  
  504. FILENAME: text_103001-9_km1wv.txt
  505. みかげ: …………
  506. 月出里: …………
  507. 月出里: ふっむむ、 ふむーむふむむんむむ…?
  508. みかげ: …うん
  509. みかげ: パパもママも心配してるし、 早く連れて帰らないと…
  510. 月出里: ふむむふんむむっむ ふむーふむーむふむんむむ…?
  511. みかげ: うん、姉ちゃが相手でも戦うよ
  512. みかげ: ミィが虐められないように 姉ちゃは守ってくれた
  513. みかげ: ミィが笑顔でいられるように ずっと笑顔だった
  514. みかげ: だから今度はミィの番
  515. みかげ: 姉ちゃを止めてね、 笑顔にしてあげるんだ
  516. みかげ: せめて、怒った顔はしないように なればいいな…って思ってる
  517. 月出里: ふむんむふむーむふむっむむ ふむむふむーむむ…?
  518. みかげ: …悩んでるのはね、 ミィが姉ちゃを許せるかどうか…
  519. みかげ: 姉ちゃと戦っちゃったら、 嫌いになるんじゃないかって…
  520. 月出里: …………
  521. 月出里: ミィちゃんは大丈夫 みたまさんを嫌いにはならないよ
  522. 月出里: きっと、嫌いになるより前にね 心配すると思う
  523. みかげ: どうして、そう言い切れるの…?
  524. 月出里: …じゃあ、ミィちゃん わたしの話を聞いてくれる…?
  525. みかげ: え、うん…?
  526. 月出里: 実はわたしね、 人を殺したことがあるんだ
  527. みかげ: え…
  528. 月出里: 本当だよ
  529. 月出里: それも相手はクラスメイトで ひとりやふたりじゃないの
  530. みかげ: どうしたのすーたん…
  531. みかげ: 急にわからないよ… 冗談で言ってるんだよね…
  532. 月出里: 言ったでしょ これは本当のことなんだよ
  533. 月出里: わたしは人を呪って それだけ重い罪を背負った
  534. みかげ: …どうして、そんな話…
  535. 月出里: ミィちゃんが付き合ってる相手は こんなヤツなんだって
  536. 月出里: 今、言うべきだと思ったから
  537. 月出里: わたし、ミィちゃんが思うほど 純粋じゃないし、汚れてるんだよ
  538. みかげ: でも、うそ、だよね…
  539. 月出里: 武器は猟銃とナイフ
  540. 月出里: みんなの血が床に溜まる様子は 今でもキレイに思い出せる
  541. みかげ: でも、そうだったとしても 絶対に理由があるはずだよ…!
  542. みかげ: 誰かを呪わないといけないぐらい 辛い気持ちがあったはずだよ…!
  543. みかげ: なかったとしても、 ミィが知ってるすーたんは優しい
  544. みかげ: もしも、実は今も怖くって 危険な人なんだとしても
  545. みかげ: ミィが一緒にいるから、 ミィがすーたんを優しくする!
  546. みかげ: それにミィは言ったよ すーたんの心は綺麗になるって!
  547. 月出里: ふふっ
  548. 月出里: ほら、ミィちゃんは大丈夫 嫌いになんてならないよ
  549. みかげ: え…
  550. 月出里: 嫌いとか怖いとかいう気持ちより
  551. 月出里: なんとかしなくちゃって 思うんだもん
  552. 月出里: だから大丈夫だよミィちゃん
  553. 月出里: ミィちゃんは みたまさんを嫌いにならない
  554. 月出里: だからわたしも本当のことを 打ち明けたんだからね
  555. みかげ: …ありがとう、すーたん
  556. 月出里: ふむんむふんむ…?
  557. みかげ: 嫌いじゃないよ
  558. みかげ: そんな優しいすーたんが ミィは大好きだよ
  559. みかげ: (それに、なゆたんも パパと一緒に湯国市に行って)
  560. みかげ: (何があったのか 向き合おうとしてるんだもん)
  561. みかげ: (ミィだって折れないよ)
  562. みかげ: ミィにはミィにできることをする
  563. ピロン♪
  564. ひめな: …………キャハッ★
  565. 燦: ようやく連絡があったみたいね
  566. ひめな: そういうこと
  567. ひめな: 覚悟を決めたみたいだから 丁重に迎えに行ってあげないとね
  568. 燦: こちらを逆に 罠にかけてる可能性はない?
  569. ひめな: 迎えに行ってみればわかるって
  570.  
  571. FILENAME: text_103001-10_km1wv.txt
  572. トントントントン
  573. 月咲: ―月咲― タケさん、台所にいたら あとでお父ちゃんに怒られちゃうよ?
  574. タケ: ―タケ― いやあ、俺の好物をせっかく作ってくれるなら その出来上がる様子を見ていたいじゃん
  575. 月咲: ―月咲― あの、割と本当にうっとうしいんだけど…
  576. タケ: ―タケ― 俺のことは空気だと思ってくれていいから 気にしないでよ
  577. 月咲: ―月咲― 面倒臭い人だなあ…
  578. 月咲: ―月咲― でも、本当に肉じゃがなんかで良かったの?
  579. タケ: ―タケ― 変に凝ったもん作るってなると 工房の奴ら全員分作らないとだめだし
  580. タケ: ―タケ― それだと月咲ちゃんも大変だからさ
  581. タケ: ―タケ― なら、一気に鍋で煮込めて 俺の好きな料理なら
  582. タケ: ―タケ― あれだよ、Win-Winじゃん
  583. 月咲: ―月咲― こっちのことも考えてくれてるんだ ありがとう
  584. 月咲: ―月咲― (っていうか本当にどっか行かないかな…)
  585. 月咲: ―月咲― (作り終わったら早く移動したいのに…)
  586. 月咲: ―月咲― ねえ、タケさん ちょっと調味料の買出しお願いできない?
  587. タケ: ―タケ― あぁ、多少薄くても俺はいいよ
  588. 月咲: ―月咲― (コイツ…)
  589. ~~♪~~♪
  590. タケ: ―タケ― あ、やべっ おやっさんから電話来た…
  591. 月咲: ―月咲― 早く戻りなよ
  592. タケ: ―タケ― じゃあ、あとで来るから!
  593. 月咲: ―月咲― もう来なくていいよ
  594. 月咲: (火は止めておいて 連絡だけ入れておこう…)
  595. 月咲: ごめんね、タケさん
  596. 月咲: 下手したらウチの最後の手料理 なんだから、味わってよね
  597. 月咲: …いるんでしょ?
  598. ひめな: 魔力を探知すればわかるじゃん
  599. ひめな: お仲間はいないみたいだし、 本当にひとりなんだ
  600. 月咲: うん…
  601. 月咲: プロミストブラッドは…
  602. ひめな: それならメッセージを読んだよ
  603. ひめな: あざお、明日になったら 二木市に戻るんだよね
  604. 月咲: …………
  605. ひめな: ま、ウソか本当かは 遠くから駅を張ればいいか
  606. ひめな: 他の駅も押さえてるから 変なことは考えないでね★
  607. 月咲: うん、考えてないよ
  608. ひめな: ぶっちゃけアンタの姉の方は 本当にいいわけ?
  609. ひめな: それに東の奴ら、 誰もこっちに付いてないよ?
  610. 月咲: たぶん、十七夜さんの感覚が わかるのはウチだけ
  611. 月咲: 双子だって言っても 水名の月夜ちゃんにはわからない
  612. 月咲: 本当に月夜ちゃんとふたりで、 この町から出て行くには
  613. 月咲: 歴史に束縛されている状況を 変えないといけないんだよ…
  614. 月咲: だから、歴史に刻まれるように ウチらが敵になればいい
  615. 月咲: そうすれば町を追い出されて、 出て行くきっかけになるから
  616. ひめな: なら、私チャンたちと一緒に、 畏怖される存在になろう
  617. ひめな: 大丈夫、人類よりも優れてる 魔法少女は追い出されない
  618. ひめな: 留まるのも出て行くのも、 自由になるはずだよ
  619. ひめな: キャハッ★
  620. 静香: 絵本…?
  621. 静香: こんなもの送ってきて、 すなおは何のつもりなのかしら…
  622. 静香: ふざけてるようなら、 私が目を覚まさせてあげないと
  623. 静香: 時女一族の本家として…!
  624. ―取材記録― 広江 ちはる
  625. ちはる: 「待ってました! いつか、わたしのところにも 取材に来ると思ってたんだよぅ」
  626. ちはる: 「だから、わたしが望んでいる未来は ちゃーんと考えてあるよ! っていうか最初から決まってるからね、えへへ」
  627. ちはる: 「なんたってわたしは、 事実は小説よりも奇なりって言われるような 等々力耕一をもしのぐ名探偵になって たくさんの悪事を暴いて解決するんだから!」
  628. ちはる: 「まぁ、将軍になるのも悪くないけど、 さすがに現代には幕府なんてないからね 現実的なところが探偵かなーって思ってる!」
  629. ちはる: 「あとはやっぱり時女一族のことだけど 心配してるけど心配してないっていうか… なんか大丈夫な気がする」
  630. ちはる: 「静香ちゃんとすなおちゃんがいて 他にもたくさんの仲間がいて 大変だとは思うんだけど、 イチから時女一族を作れる気がするんだよ」
  631. ちはる: 「だから望むなら一族のことよりも 自分の将来のことかなーって思ったんだ。 これから何が起きるのか 怖いけどワクワクするよねぇ」
  632.  
  633. FILENAME: text_103002-1_km1wv.txt [Episode 2]
  634. アルちゃん: <ネオマギウスの動き みんなわからないみたいだね>
  635. かごめ: 戦いを続けるって ひめなさんは言ったみたいだけど
  636. かごめ: あれから姿を隠して、 何をしてるかわからないって…
  637. かごめ: リィちゃんも 魔法少女の反応は感じない…?
  638. 風の伝道師のウワサ: …………
  639. かごめ: やっぱり、 神浜市にはいないのかな…
  640. リヴィア: ほんで、 うちに来たっちゅーわけか
  641. かごめ: はい、リヴィアさんなら 調整屋をしていて情報通だから
  642. かごめ: ネオマギウスについて 何か知ってるかと思ったんです
  643. リヴィア: 残念やけど、 藍家ひめなの居場所は知らんで
  644. 月出里: ふんむん、ふむんむんむ
  645. ヨヅル: ええ、行方をくらますために、 寄りつきませんでしたから
  646. ヨヅル: …と、噂をすれば影がさす
  647. リヴィア: ほんま、まさかの登場やな
  648. かごめ: リィちゃんも 感じ取ったみたいです…
  649. ひめな: こんちわー って、さとりんもいたんだ
  650. かごめ: は、はい、 ちょっと取材で…
  651. ヨヅル: 本日は何のご用件でしょうか
  652. ひめな: いや、調整屋に来る理由なんて ぶっちゃけひとつっしょ
  653. ひめな: これから戦いになるじゃん? だから調整して欲しいの
  654. リヴィア: ええんか、姫さん 行方をくらましとくんやったら
  655. リヴィア: 仲間にしたみたまを 頼った方がローリスクやろ
  656. ひめな: あの人に私チャンの中を 覗かれちゃう方がハイリスクなの
  657. ひめな: こっちが考えてることがバレて 裏切られでもしたらサガるじゃん
  658. ひめな: その点、リヴィアさんだったら 完全に中立ってわかってるし
  659. ひめな: こっちに来る方が ローリスクかなーって思ったの
  660. ひめな: ま、ヒコ君の受け売りだけどね
  661. リヴィア: 信用してくれてるんは、 素直に嬉しい話やな
  662. リヴィア: ほなら、取りあえず横になり 調整したるわ
  663. ひめな: おけまる★
  664. リヴィア: 力抜きや
  665. ひめな: うん
  666. ひめな: っ…!
  667. かごめ: 前にひめなさんが来たのは いつだったんですか?
  668. ヨヅル: 姿をくらます前だったので、 もうずいぶんと前だったはずです
  669. かごめ: その時からひめなさんは
  670. かごめ: ネオマギウスが力を付けるために 計画を進めてたんですか?
  671. 月出里: ふむーむふんむんむむふむー ふむんむんむ、ふむむんふむんむ
  672. 月出里: ふむ、ふむーむふむんむ ふむんむふむーむむふむんむ
  673. かごめ: え?
  674. ヨヅル: 先生に質問しながら、 計画は進めていたようですが
  675. ヨヅル: そこまで過激ではなかったと、 月出里は申しておりますね
  676. かごめ: あ、ありがとうございます
  677. リヴィア: ――っ!?
  678. ひめな: それじゃあ、ありがとね リヴィアさん
  679. リヴィア: かめへんよ ちゃんとお代はもろとるからな
  680. リヴィア: 気張りどころやろうし、 頑張るんやで
  681. ひめな: うん、あざお! またね
  682. リヴィア: ふぅ…
  683. ヨヅル: 先生、何か見えましたか?
  684. リヴィア: 姫さんの信用を裏切るけど 中立ではおれんくなった
  685. ヨヅル: は…?
  686. リヴィア: 計画は見えへんかったけど 意思は明確に見えた
  687. リヴィア: 月出里、私らの目的はなんや
  688. 月出里: ふむーむんむむ、ふむんむむ
  689. ヨヅル: 魔法少女を救うことだと 申しております
  690. リヴィア: せやな、正解や
  691. リヴィア: あの姫さん モロにそこから外れまくっとる
  692. リヴィア: このままやとラビの見てる 諦念に一直線やで…
  693. かごめ: …何が見えたんですか
  694. リヴィア: ヤバいのだけはわかるんやけど、 全容までは掴めへんかった…
  695. リヴィア: かごめちゃんには悪いけど、 教えられることはあれへん…
  696. リヴィア: 私らも、 これから調べるしかないわ…
  697.  
  698. FILENAME: text_103002-2_km1wv.txt
  699. ひめな: とりま、これでネオマギウスは 全員そろって、よいちょまるだね
  700. 燦: ええ、遅刻した人はゼロ “役割毎”に並んでもらってるわ
  701. 十七夜: 魔法少女たちとは 極力争わないという方針を
  702. 十七夜: 採用してくれて感謝する
  703. ひめな: いいんだよ、なぎりん★
  704. ひめな: な~んか、勘違いされてるような 気がするんだけど
  705. ひめな: 私チャンたちは魔法少女っていう 同類は傷付けたくないんだよね
  706. 時雨: うん、ぼくたちは 魔法少女至上主義者だから…
  707. はぐむ: 私たちだけじゃなくて、 みんなが救われて欲しいんです
  708. 十七夜: それを聞いて安心した
  709. みたま: ええ
  710. みたま: わたしたちが問題にしてるのは 魔法少女じゃなくて
  711. みたま: 神浜市に住む人と 積み重ねてきた歴史だから
  712. 静香: 私が問題にしているのも 神浜市にはびこる悪のことだけ
  713. 静香: 一族の巫たちを 切り捨てるつもりは毛頭ないわ
  714. 燦: ただ、戦いは避けられない 衝突があることは覚悟しておいて
  715. 燦: ユニオンは 和泉十七夜と八雲みたまを
  716. 燦: 時女一族は長である時女静香を 必ず連れ戻そうとする
  717. 燦: それに、私たちの計画を知れば、 間違いなく止めようとするわ
  718. 静香: わかってるわ
  719. 静香: 他の分家と相対することは 目に見えてたもの
  720. ひめな: そのリスクを飲んでくれてるなら 私チャン的にはおけまる★
  721. ひめな: あとは、これからの 動きについてなんだけど
  722. ひめな: 平日にはプロミストブラッドが 神浜市に戻って来るから
  723. ひめな: 休みのうちに戦いたいんだよね
  724. ひめな: それに、みかづき荘の潜伏先に 侵入してやりたいこともあるから
  725. ひめな: 休みで潜伏先に残ってるメンツを 外に出しておきたいんだよね
  726. ミユリ: それって最初から衝突の リスクがあるじゃないですか!
  727. ひめな: キャハッ★ まぁ、そゆこと
  728. ひめな: だから先に覚悟が聞けて 良かったって思ったの
  729. 時雨: でも、姫 潜伏先に侵入するのは難しそう…
  730. 時雨: 平日なら、授業の時間を狙えば 留守かもしれないけど…
  731. はぐむ: うん、休日だとみんなの スケジュール次第だもんね…
  732. 十七夜: ならば、追い出す役は 自分たちに任せて欲しい
  733. 十七夜: 七海たちに作戦の一環なのを 隠し通すのは難しいが
  734. 十七夜: 時間は十分に稼げるはずだ
  735. みたま: 相手には悟らせつつも ジワジワと浸食させていく
  736. みたま: それなら今の方針と合ってるし、 むしろ良いんじゃないかしら?
  737. ひめな: そ、ヒコ君の作戦はそういう内容 馬鹿のひとつ覚えに戦わない
  738. ひめな: だから相手が必死になってる間に こっそり成功させて終わらせよ
  739. ひめな: キャハッ★
  740.  
  741. FILENAME: text_103002-3_km1wv.txt
  742. やちよ: どうしても見えてこないわね ネオマギウスの動きが…
  743. 鶴乃: キモチの石よりも、 人を狙いそうな気がするけど
  744. 鶴乃: んー… 全然見当がつかないね…
  745. フェリシア: アジトになってた 神浜市民会館に行ってみようぜ
  746. 鶴乃: ももこたちが 先に確認したって言ってたよ
  747. やちよ: 魔力の反応が残っていて、 時女一族の誰かだったらしいけど
  748. やちよ: こちらの魔力を感知したら 相手も戻っては来ないでしょうね
  749. やちよ: 他に作戦の要になりそうで 姿を現しそうな所は…
  750. 鶴乃: 魔法少女至上主義を広めるなら、 やっぱり電波望遠鏡かな!?
  751. やちよ: マギウスにゆかりがあるものね
  752. フェリシア: じゃあ、そこじゃね?
  753. やちよ: 定期的に見回ってるけど そこも空振りよ
  754. やちよ: それに里見さん以外を感知すると ここの地下で警報が鳴るはずよ
  755. 鶴乃: PCルームにアラートが 来るようになってるからね
  756. 鶴乃: フェリシアが見てる東はどう?
  757. フェリシア: ももこたちと一緒に回ったけど、 別になーんもって感じだぞ
  758. フェリシア: あと、東のヤツらが落ち込んでて かわいそうだなーって思った
  759. 鶴乃: 十七夜とみたまの件は、 誰だってショックだもんね…
  760. やちよ: いよいよ動きが読めないわね
  761. ピロン♪
  762. やちよ: …………十七夜!?
  763. 鶴乃: ぉおっ!? なんてなんて!?
  764. フェリシア: 実は忍び込んでただけで、 なんか教えてくれるかもだぞ!
  765. やちよ: そんなまさか…!
  766. やちよ: …と思ったけどビンゴね
  767. フェリシア: マジかよ! やったじゃんやちよ!
  768. やちよ: 『ネオマギウスの目的と 今後の作戦を秘密裡に教える』
  769. やちよ: 『ただ、勘のいい敵ではあるので 有事を想定して動くように』
  770. やちよ: 待ち合わせ場所の地図と一緒に 送ってきた
  771. やちよ: 人気の多い場所だから、 戦う気はなさそうね
  772. フェリシア: これでオレたちの勝ちだな! ふんす!
  773. 鶴乃: ううん、メッセージと一緒に 情報を送ればいいのに
  774. 鶴乃: わざわざ会おうとしてるのは おかしい気がする…
  775. フェリシア: なんか、残しといたら やべーとかじゃねーのかよ
  776. 鶴乃: 秘密裡に教えるなら、 こっそり1対1でもいいはずだよ
  777. 鶴乃: それを有事を想定して 来いっていうのも気になる…
  778. やちよ: そうね…
  779. やちよ: 疑いたくはないけど、 十七夜は覚悟して向こうに付いた
  780. やちよ: 潜入するつもりなら、 私たちに言ってもいいはずよ
  781. やちよ: 半信半疑ではあるけど、 どちらかというと罠だと思うわ…
  782. 鶴乃: いろはちゃんとさなが 水徳寺に行ってるし
  783. 鶴乃: 一応、状況だけは連絡しておく?
  784. やちよ: そうね、お願い
  785. フェリシア: あ、それならこの話さ 鬼のヤツにも聞いてみようぜ!
  786. フェリシア: あいつケンカばっかしてるから こういうのわかるだろ
  787. やちよ: 正直、気は進まないけど 意見を聞いてみましょうか
  788.  
  789. FILENAME: text_103002-4_km1wv.txt
  790. 結菜: はぁ…
  791. 結菜: (環さんたちユニオンに加えて 時女一族とも手を結べば)
  792. 結菜: (キモチの石が全てそろって、 戦いが終わると思っていた…)
  793. 結菜: (その手前、ネオマギウスとの 延長戦はしんどいわねぇ…)
  794. 結菜: (樹里とらんかは神浜市に残って 状況を知らせてくれてるし)
  795. 結菜: (ひかるはアオの監視を 続けてくれてるけど…)
  796. ピロン♪
  797. 結菜: …やっぱり他のメンバーも 動きづらそうねぇ…
  798. 結菜: (家族と交渉してもらってるけど 動けるメンバーに限りがある…)
  799. 結菜: (中学生以下のメンバーは、 ほとんど動けなさそうねぇ…)
  800. 結菜: (わかってたけど、私が金銭面を カバーするのも限界があるし…)
  801. 結菜: 取りまとめる作業も含めて、 思ったよりキツイわねぇ…
  802. 鈴鹿 さくや: 結菜は他にやることがあるでしょ
  803. 鈴鹿 さくや: こんな事務処理なんて 私に任せてくれればいいからさ
  804. 鈴鹿 さくや: チームをまとめる方に専念してよ
  805. 鈴鹿 さくや: 結菜だって心は人間のままなんだ ひとりで抱え込む必要ないって
  806. 鈴鹿 さくや: 愚痴りたい時は愚痴りなよ
  807. 鈴鹿 さくや: リーダーは結菜だけどさ これでも私たち同い年なんだから
  808. ひかる: 結菜さん!
  809. 結菜: ――っ!?
  810. ひかる: な、何を泣いてるんすか!? 泣かされたんすか!?
  811. ひかる: ひかるがやっつけてくるっすよ!?
  812. 結菜: あくびをしただけよぉ
  813. ひかる: あぁ…忙しいっすもんね…
  814. 結菜: それでアオの方はどうだった?
  815. ひかる: とりあえず他のメンバーに バトンタッチしてきたんすけど
  816. ひかる: 特に変な動きはないっすね
  817. ひかる: ネオマギウスとして動いてると 思ってはいるんすけど…
  818. 結菜: 何を企んでるかわからない以上、 そのまま監視を続けて
  819. 結菜: 恐怖を失ったあの子を拘束しても 何も吐かないと思うから
  820. 結菜: このまま泳がせて、 ボロが出るのを待ちましょぅ
  821. ひかる: っす…!
  822. ピロン♪
  823. ひかる: ん?
  824. ひかる: まだみんなからの報告が 来てるんすか?
  825. 結菜: ええ…
  826. 結菜: …でもこれは、七海さんねぇ
  827. ひかる: 向こうで なんかあったんすかね?
  828. 結菜: 手を結んだからって さっそく頼ってくるだなんて
  829. 結菜: どういう神経を してるのかしらぁ…
  830. 結菜: …………
  831. 結菜: これは、 和泉十七夜からのメッセージ…
  832. ひかる: なんか文面からすると、 こっち寄りっぽいっすね…
  833. 結菜: …どうかしら、 不審な点が多いと思うわぁ…
  834. 結菜: 有事を想定して行動を促す部分は 動きの指示とも読める…
  835. 結菜: 明確には答えられないけど、 楽観的に見ない限りは「黒」ねぇ
  836. ひかる: そっすか…
  837. 結菜: ただ、ネオマギウスが動き出した これだけは間違いないこと
  838. 結菜: 私たちも気を引き締めないと
  839. ひかる: っす…………ん? なんすか、この雑誌…
  840. 結菜: 時間を見つけて読んでいたのよぉ
  841. ひかる: 「たまごサークル」 「ひよこサークル」
  842. ひかる: え…ん…?
  843. ひかる: ちょぉおおっ!? 結菜さん子どもできたんすか…!?
  844. 結菜: ――っ!?
  845. ひかる: だれっすか相手ぇ!
  846. 結菜: 子どもの感情の芽生えについて 調べてただけよぉ
  847. 結菜: ただ、それを買ったのは失敗 こっちの本が本命よぉ
  848. ひかる: 「知っておきたい 感情指数(EQ)の変化」
  849. ひかる: 急に難しくなったっすね…
  850.  
  851. FILENAME: text_103002-5_km1wv.txt
  852. いろは: それで、さなちゃんの絵本は 静香ちゃんに送れたんですか…?
  853. すなお: はい、購入した電子書籍を、 静香にメッセージで送りました…
  854. さな: 反応は…
  855. すなお: それが、何もなく…
  856. さな: 既読も付いてないんですか…?
  857. すなお: いえ、メッセージは開かれていて 絵本の受け取りも確認できました
  858. すなお: ですが、それからの反応は 何もありません…
  859. すなお: 改めて何度かメッセージを 送ってみたんですが…
  860. さな: …素人の私が描いた絵本ですし 心に響かなかったんですよ…
  861. さな: ありきたりな内容だと思いますし すなおさんの買いかぶりです…
  862. すなお: いえ、そんなことありません
  863. すなお: 私やちゃるが一緒にいれば、 きっと理解してくれたはずです…
  864. いろは: あの、さなちゃんの絵本って どんな内容なの?
  865. いろは: 私、話には聞いてるんだけど、 見せてもらったことがなくて…
  866. さな: それは、恥ずかしいので…
  867. いろは: アイさんをモチーフにした 絵本とは別なんだよね?
  868. さな: はい…
  869. いろは: 私は読んじゃだめ?
  870. さな: だ、だめです!
  871. さな: あの、本当に恥ずかしくて 死んじゃうかもしれません…!
  872. いろは: そんなに!? せめて、あらすじだけでも…
  873. さな: …私じゃ恥ずかしいので、 すなおさんから…
  874. すなお: え、私からですか…? 別に構いませんが…
  875. すなお: えっと、二葉さんの絵本ですが
  876. すなお: 「簡単に言うと善悪を問う話と言うよりかは “本当に苦しんでいる人は誰なのか” “本当に救うべき人は誰なのか” という点を伝えているお話だと思うんです」
  877. すなお: 「物語は、何をするにも遅くて 自分に自信が持てないカメさんが 村にやってきた 白いトリさんと出会うところから始まります」
  878. すなお: 「そのトリさんからカメさんは 自分の身の丈にあった優しさを示すだけで 人から必要とされることを知って 少しずつ自分にできることをしていきます」
  879. すなお: 「でも、そんな時 危ないトラさんがやってきて村の食べ物を 奪っていくようになったんです」
  880. すなお: 「それでも因果応報と言うのでしょうか トラさんは村人にとっちめられて とうとう捕まってしまいます」
  881. すなお: 「その様子を見ていたカメさんに トラさんは助けを求めますが 悪人を助ける気になれないカメさんは無視します」
  882. すなお: 「ところがトリさんはトラさんを助けると 助けられたトラさんは今までのことを謝って これから村のために働くことを誓います」
  883. すなお: 「その様子を見る中でカメさんは 自分が一番の悪人だったと気付いたのでした」
  884. すなお: と、こういうお話です
  885. いろは: …いいお話だと思うし、 私に隠す内容じゃないような…?
  886. さな: だ、だって…
  887. さな: カメは私で…トラは紅晴さん… トリはいろはさんなので…
  888. いろは: え、私なの…!?
  889. さな: はい…
  890. さな: いろはさんは、 キモチの石を巡る戦いは
  891. さな: みんなの救いを求める心から 来ているって言ってるし…
  892. さな: みんな色々食い違っていても、 尊い想いを抱えているから
  893. さな: 争いを憎んで人を憎まず みんなを救えたらって思ってる
  894. さな: だから、それを伝えられる 絵本ができたらなって…
  895. いろは: そ、そうだったんだ 嬉しいけど…
  896. いろは: 面と向かって言われると 恥ずかしいね…
  897. さな: ごめんなさい、 引いちゃいましたよね…
  898. いろは: そんなことないよ…! 私、本当に嬉しいよ…!
  899. いろは: さなちゃんが アイさんと同じぐらい
  900. いろは: 私の想いを大切にしてくれてる ってことだもん
  901. すなお: 私だって自分をモデルにした 絵本を描いてくれたら嬉しいです
  902. すなお: 想いが通じて良かったですね 二葉さん、ふふっ
  903. さな: はいっ…!
  904. すなお: あとは、この内容を静香が 素直に受け入れてくれたら…
  905. すなお: 自分がしていることも、 自分が救われる側なのも
  906. すなお: 気付いていないようですから
  907.  
  908. FILENAME: text_103002-6_km1wv.txt
  909. ピロン♪
  910. いろは: …やちよさんから
  911. やちよ: 十七夜からネオマギウスの動きを 秘密裡に教えるっていう連絡が入ったわ
  912. やちよ: 十中八九は罠だという見立てだけど 今は小さな情報でも掴みたいし 少人数だと奇襲にあってやられる恐れがあるから ももこたち3人も連れて 南凪にある待ち合わせのポイントに向かうわ
  913. やちよ: いろはと二葉さんは途中でういちゃんと合流して 私たちのあとに続いてちょうだい もしも私たちが罠にかかったとしても 十七夜を背後から突けるはずよ
  914. いろは: ごめんね、すなおちゃん
  915. いろは: 十七夜さんが動き始めたみたいで 私たち行かないと
  916. すなお: それは、ネオマギウスが動いた ということですよね
  917. すなお: 私たちも他の分家に連絡をとって 一族総出で向かいます
  918. いろは: ありがとう、すなおちゃん
  919. さな: この反応…すなおさん…
  920. すなお: はい、間違いありません…!
  921. ちはる: すなおちゃん! 静香ちゃんが近付いてるよ!
  922. さな: プロミストブラッドでも、 笠音さんが現れたみたいですし…
  923. ちはる: それ、ネオマギウスが本格的に 動いてるってことだよぅ…!!
  924. かごめの声: 「ごめんくださーい!」
  925. ちはる: かごめちゃん!
  926. かごめ: もしかして静香さんが 近付いてますか…!?
  927. ちはる: うん…!
  928. アルちゃん: <ひめなさんたちが 動き始めたんだね…>
  929. かごめ: そうみたい…
  930. いろは: それじゃあ、すなおちゃん ふたりで南凪に向かいますね
  931. すなお: はい、私たちはこのまま 静香を待ち受けます
  932. いろは: 説得、上手くいくといいですね
  933. すなお: 環さんと二葉さんの想い、 静香にも繋げておきますね
  934. いろは: 改めて言われると恥ずかしいな…
  935. さな: はい… でも、お願いします…
  936. すなお: 任せてください
  937.  
  938. FILENAME: text_103002-7_km1wv.txt
  939. ももこ: いろはちゃんからの連絡だと ネオマギウスは確実に動いてるな
  940. やちよ: 笠音アオに加えて、 時女さんまで動いたとなるとね
  941. やちよ: ただ、これで十七夜の黒が 確定したようなものだわ
  942. ももこ: アタシらに接触するタイミングが 悪すぎない限りね
  943. レナ&かえで: 「ももこちゃんじゃないし」 「ももこじゃないんだから」
  944. ももこ: おい、ひどいな…
  945. 鶴乃: でも、このタイミングなのは 気になるよね
  946. 鶴乃: プロミストブラッドがいないのを 狙ってきたとしか思えないよ
  947. ももこ: もしかして、 情報が漏れたってことか…?
  948. フェリシア: オレたちの中に、 裏切り者がいるってことじゃん!
  949. 鶴乃: 考えたくないけどね…
  950. フェリシア: 居るぞ…!
  951. 十七夜: 約束通り来てくれたようだな 十咎たちも一緒か
  952. ももこ: アンタに何をされるか わかったもんじゃないからな
  953. みたま: …十七夜、 いろはちゃんたちがいない
  954. 十七夜: 気を付けるに 越したことはなさそうだな…
  955. ももこ: なぁ、十七夜さん 情報をくれるだけなんだろ?
  956. ももこ: それなら変身を解いて こっちに来てくれよ
  957. 十七夜: もうわかってるだろ十咎 みんなを誘い出すための方便だ
  958. みたま: わたしたちはユニオンに戻る気は さらさらないわよ
  959. ももこ: アタシらが対立する理由は どこにもないのにか…
  960. みたま: ええ、魔法少女のみんなと 争いたくはないのよ
  961. みたま: でも、わたしと十七夜は決めたの どうせ滅びる運命なら
  962. みたま: みんなを苦しめる悪になって、 手を取り合うきっかけになるって
  963. 十七夜: 腐った神浜市の歴史を変えるには 皆の共通敵が必要だ
  964. ももこ: なに言ってるんだ! あとで自分が苦しむだけだろ!
  965. みたま: でも、わたしは自分で望んだのよ
  966. みたま: わたしの願いが巡り巡って、 どうせ神浜市を滅ぼすなら
  967. みたま: その滅びには 意味を残したいって…
  968. 十七夜: 人々に平等をもたらすためにも 戦わせてもらうぞ!
  969. ももこ: っ、あぶな…本気かよ…
  970. 十七夜: 今のはあくまで威嚇だ 八雲は本気でいくぞ
  971. みたま: ええ、いじってあげるわ
  972. フェリシア: ぐっ、な、急に苦しく…
  973. みたまの声: さあ、今のうちに倒しなさい!
  974. フェリシア: んなっ…
  975. 鶴乃: 油断なんてできない… みたまも十七夜も本気だよ…!
  976. やちよ: あなたたちはバカなの!? 近くに魔法少女以外もいるのに!
  977. 十七夜: 我々を知ってもらう 手間が省けるというものだろう
  978. やちよ: 魔法少女至上主義っていうのは 人に畏怖されるのが目的なの!?
  979. 十七夜: 自分には興味がないことだが、 それも辞さないということだろう
  980. やちよ: みんな、移動するわよ こんな所で戦えない
  981. フェリシア: っ、なぁやちよ! みたまが戦えるってことはさ…!
  982. やちよ: ええ、よく気付いたわね…
  983. やちよ: みたまたちの目的がキモチの石 以外なのかもしれないけど
  984. やちよ: キモチのルールは、 やっぱり消えてるかもしれない…
  985.  
  986. FILENAME: text_103002-8_km1wv.txt
  987. 十七夜: 想定通り、七海たちは ひと気のない方に向けて動いたな
  988. みたま: まっとうな魔法少女なら当然よ 被害を出せないもの
  989. みたま: だからこそ、人が多い場所なら 争わないだろうと考えてしまうし
  990. みたま: わたしたちは敵じゃないかもって わずかでも期待してしまう
  991. みたま: ももこは本当に そう思ってくれたみたいだけど…
  992. 十七夜: 全ては警戒させずに、 移動させるための布石
  993. 十七夜: この辺りで周りを気にせず 戦える場所は…
  994. 十七夜: (コンテナターミナルぐらいだ)
  995. やちよ: 本当に戦う気…? 戻ってくる気はないの…?
  996. 鶴乃: そうだよ!
  997. 鶴乃: わたしたち今まで 一緒に戦ってきた仲間なのに…!
  998. 十七夜: 魔法少女同士の問題であれば、 七海たちの元に帰れたが
  999. 十七夜: 我々にとっての問題は、 積年の恨みを湛えた神浜市にある
  1000. 十七夜: 滅びの覚悟を決めた以上、 そちらに戻る道は捨てたつもりだ
  1001. 鶴乃: ネオマギウスで何をするつもりか わからないけど
  1002. 鶴乃: 自分の家族や友だちが 悲しい想いをするんだよ…?
  1003. 十七夜: わかっているが、 滅びの“結果”は変わらない
  1004. やちよ: “結論”じゃないのね…
  1005. やちよ: あなたたちが敵になったのは 十分納得したわ
  1006. やちよ: 戦うことでしか 止められないということ…?
  1007. 十七夜: 話が早くて助かるぞ、七海
  1008. やちよ: じゃあ思う存分戦いましょう 本気でやりあうのは久しぶりね
  1009. 十七夜: そうだな
  1010. 十七夜: だが、自分たちは七海たちと 本気でやりあうつもりはないぞ
  1011. やちよ: どういうこと…?
  1012. みたま: 言葉の通りよ 魔法少女を苦しめたくはないの
  1013. レナ: ――っ!?
  1014. レナ: ちょっと、何よこの反応
  1015. かえで: 周りに反応がいくつもある これ、みたまさんの魔力…?
  1016. みたま: そうよ、ごめんなさい…
  1017. かえで: うゆぅ…!
  1018. レナ: な、何よこれ…
  1019. ももこ: ぐっ…ぁあ゙! 体の中、ひっかき回される…
  1020. みたま: わたしって 戦う時は布を使うでしょう?
  1021. みたま: だから、それを応用してね、 ここにいくつも仕掛けておいたの
  1022. みたま: どう?
  1023. みたま: ソウルジェムに直接干渉されたら 身動きが取れないでしょう
  1024. フェリシア: ぐぬぅぅぅぅう…! ぐぅ、力を入れてるつもりでも…
  1025. みたま: 神経を遮断したように 四肢が動かない
  1026. 鶴乃: 最初からこれが目的で…
  1027. みたま: わたしは戦闘要員じゃないから 油断してたでしょうけど
  1028. みたま: こういう使い方もあるの
  1029. みたま: でも、わかって 一番誰も傷付かない方法だから…
  1030. やちよ: くっ…
  1031. userName: モキュゥ…
  1032. やちよ: いろはが近付いてくるから、 状況を伝えて
  1033. userName: モキュ!
  1034. userName: モギュゥ!
  1035. 十七夜: これも頂戴する いい土産になるからな
  1036. 十七夜: 七海、自分たちは行く しばらくジッとしていてくれ
  1037. 十七夜: いくぞ、八雲
  1038. みたま: ええ
  1039. チンッ…
  1040. やちよ: (何かを落としていった…)
  1041. やちよ: …………
  1042. やちよ: (ソウルジェムを干渉されて 魔力の探知もできない…)
  1043.  
  1044. FILENAME: text_103002-9_km1wv.txt
  1045. ピロン♪
  1046. ひめな: 教官かな、 それともなぎりんかな?
  1047. 時雨: どっち…? ぼくたちが動く番…?
  1048. はぐむ: 私たちずっと ここで待機してるもんね…
  1049. 時雨: うん…
  1050. ひめな: だって、仕方なくなくない?
  1051. ひめな: 中で知らない人を検知したら 警報が鳴って
  1052. ひめな: クレセントハウスのパソコンにも 連絡が入って
  1053. ひめな: それで反応がなかったら、 スマホに転送されるんでしょ?
  1054. ひめな: そんなのヤバみが深いし、 パソコン壊すしかないじゃん
  1055. はぐむ: 時間を稼ぐためだし わかるんですけど…
  1056. 時雨: もどかしいよね…
  1057. ひめな: って、なぎりんじゃん
  1058. 時雨: ほんとに…!?
  1059. ひめな: しかもクレセントハウスの パソコン壊したって!
  1060. ひめな: それじゃあ、 さっそく侵入しちゃおっか
  1061. 時雨: うんっ…
  1062. ひめな: えっと、調整屋さんから もらったメモだとパスはこれだね
  1063. はぐむ: ウソじゃないですか…?
  1064. ひめな: ま、ワンチャンやってみてだよね
  1065. ぴ、ぽ、ぱ、ぴ、ぽ、ぱ、ぴ、ぷ、ぽ ぴ、ぱ、ぷ、ぽ、ぴ、ぴ、ぽ、ぷ、ぴ
  1066. ひめな: ケタ数多すぎでしょ…
  1067. カチャン…
  1068. ひめな: でも開いた
  1069. はぐむ: やりましたね…!
  1070. 時雨: みたまさん よくこんなの覚えてたね…
  1071. ひめな: 前はマギウスの翼と裏で繋がって 色々やってたみたいだからね
  1072. ひめな: 調整の時に保険をかける感覚で マギウスの秘密を掴んでたみたい
  1073. ひめな: 芸術家の人だけは よくわからないって言ってたけど
  1074. 時雨: アリナさんは…そうかも…
  1075. ひめな: 中に入ったら、どっちにしても 警報が鳴るって聞いてたけど…
  1076. 時雨: 鳴らないね…
  1077. はぐむ: こういう時に情報と違うことが 起きると怖いですよね…
  1078. 時雨: 灯花様のことだから セキュリティをアップデートして
  1079. 時雨: 顔認証とかのシステムで、 即アウトだと思ってた…
  1080. ひめな: んー… とりまポジティブにいっとく…?
  1081. はぐむ: そ、そうですね!
  1082. ひめな: とりあえずメモに沿って押したら システムが起動したっぽい
  1083. 時雨: でも、姫でも扱えるの…?
  1084. ひめな: もしも手こずって敵が来たら、 しぐりんとはぐりんで止めてね
  1085. ひめな: そのための要員なんだから
  1086. 時雨: えっ…!
  1087. はぐむ: が、頑張りますけど、 操作方法はわかるんですか…?
  1088. ひめな: とりま大丈夫そう
  1089. ひめな: マギウスにとっても、 わかりづらかったんじゃないかな
  1090. ひめな: なんかすごく触りやすく 改造されてるっぽい
  1091. 時雨: あ、ユーザーインターフェースは アップデートしてるんだ…
  1092. ひめな: よくわかんないけど、 そういうことかも?
  1093. 時雨: じゃあ、これで準備はできた…?
  1094. ひめな: そうだね
  1095. ひめな: 電波望遠鏡が手に入ったから あとは純美雨だけ
  1096. ひめな: あの人が持ってる 事実の認識を変える力を
  1097. ひめな: 私チャンの固有魔法を使って この機械に合成できれば
  1098. ひめな: 価値観だけじゃなく 息の吸い方だって変えられる
  1099. ひめな: つまり、パズルのピースは あとひとつってこと
  1100. ひめな: キャハッ★
  1101.  
  1102. FILENAME: text_103002-10_km1wv.txt
  1103. 燦: 見つけたわよ純美雨
  1104. ミユリ: ネオマギウスの未来のために ここで、とっ捕まるです!
  1105. 純 美雨: 妙な気配を感じると思て 準備をしておいて正解ヨ
  1106. 常盤 ななか: 美雨さん 穏便にやる必要はありませんね?
  1107. 純 美雨: そのためにわざわざ こんな所まで誘い込んだネ
  1108. ミユリ: なんとなんと! 燦様、ミユたちはまさか罠に…!
  1109. 燦: わかってて受けてるのよ こっちも派手にやりやすいからね
  1110. ミユリ: あぁ、今日も燦様は凛々しい… それだけでミユは…ミユは…
  1111. 夏目 かこ: あきらさん…向こうの子、 なんだか様子がおかしいです…
  1112. 志伸 あきら: 気をつけてかこちゃん 何をしてくるかわからないよ!
  1113. 燦: いいわよミユ トンでしまいなさい
  1114. ミユリ: …………
  1115. ミユリ: フゥ…
  1116.  
  1117. FILENAME: text_103002-11_km1wv.txt
  1118. 燦: (さて、向こうは私たちのことを 覚えてないはずだけど)
  1119. 燦: (危機感だけで対応するなんて、 あなどれないわね…)
  1120. 燦: (ただ…)
  1121. 燦: あなたたちの話の内容までは 聞こえなかったけど
  1122. 燦: 見たところ、認識への干渉か 事実を変える…とか
  1123. 燦: そんなところかしら?
  1124. 純 美雨: …なんのことネ
  1125. 燦: (電波に触れるだけで認識を 改竄させる機械を作るためにも)
  1126. 燦: (絶対に捕えないといけない…)
  1127. 純 美雨: 覚悟するネ!
  1128. 燦: (マズイ…!)
  1129. 純 美雨: 襲う理由すら消そうとしたけど 勘づかれたみたいヨ
  1130. 燦: 触れられないようにするのも やっかいね
  1131. 常盤 ななか: クッ…
  1132. 常盤 ななか: 奇抜な動きで 翻弄してくるようですが…
  1133. ミユリ: フゥッ…!
  1134. 常盤 ななか: 空中で姿勢を制御するには 難があるようですね!
  1135. ミユリ: グッ…
  1136. 常盤 ななか: さすがはあきらさんの弱点探知 鮮やかに決まりました
  1137. 志伸 あきら: ななかのセンスがいいからだよ わかってても狙えないからね
  1138. 燦: ミユ! っ、蜂の巣にしてあげるわ
  1139. 志伸 あきら: と、ここで両手をガトリングに 変化させた時が一番の隙だ!
  1140. 燦: 懐に!?
  1141. 志伸 あきら: これが本気の正拳突きだぁ!!
  1142. 燦: っ…
  1143. 夏目 かこ: このまま再現の力で、 もう一撃分の重みを与えます!
  1144. 志伸 あきら: ま、待って!
  1145. 夏目 かこ: えっ!?
  1146. 志伸 あきら: ウァア゙ッッ!!
  1147. 夏目 かこ: あきらさん!!
  1148. 燦: ふふっ、腕の骨が 折れたんじゃないかしら
  1149. 夏目 かこ: 今、なにが…?
  1150. 燦: 生き残るための絶対防衛能力 それが私の固有魔法
  1151. 燦: 分厚い鋼を殴ったかのように まるで手応えがなかったでしょう
  1152. 志伸 あきら: くそっ…
  1153. 夏目 かこ: ごめんなさい、あきらさん! 私のせいで余計にダメージが…!
  1154. 純 美雨: 数的に不利ネ! 一瞬でも事実を書き換えるヨ!
  1155. 常盤 ななか: 使い過ぎには気をつけて 消耗が激しいはずです
  1156. 常盤 ななか: なっ…!
  1157. ミユリ: フゥ…フゥ…
  1158. 常盤 ななか: クゥッ…ウソでしょぅ…
  1159. 純 美雨: コイツ、ゾンビか何かネ… 全然倒れる気配がないヨ…
  1160. 燦: だからこの子は秘密兵器であり、 私は倒れない戦闘教官であれる
  1161. 燦: 悪いけど、あなたたちと比べると 規格外なのよ
  1162. 常盤 ななか: ふ、数を用意して言ったところで まるで様にならない台詞ですね
  1163. 燦: 確かにそうね ちょっと格好悪かったわ
  1164. 燦: だけど、もう王手よ
  1165. 燦: ミユ、カンフーちゃんを 捕まえるわよ
  1166. 常盤 ななか: いえ、まだ光明はある…
  1167. 燦: グッ…!
  1168. 常盤 ななか: やはりあなたの固有魔法は 自動で発動しない
  1169. 常盤 ななか: 不意打ちには弱いみたいですね
  1170. 燦: 今の、どこから…
  1171. いろは: 大丈夫ですか、ななかさん! 
  1172. さな: 志伸さんは後ろに運んで 守りに入ります…!
  1173. いろは: お願いね、さなちゃん!
  1174. いろは: うい、私たちは ななかさんたちをサポートしよ!
  1175. うい: うんっ!
  1176.  
  1177. FILENAME: text_103002-12_km1wv.txt
  1178. 燦: 二葉さなが 志伸あきらを守っている以上
  1179. 燦: まともに動けるのは、 常盤ななかたち3名と環姉妹…
  1180. 夏目 かこ: この場を離れて人混みに出れば 逃げ切れるはずですが…
  1181. 常盤 ななか: あきらさんと美雨さんを守って 退くのはさすがに骨が折れますね
  1182. いろは: 私とういが前に出るので、 そのうちに移動してください!
  1183. 燦: 行かせてはダメよミユ
  1184. 燦: 彼女たちは最低限、 純美雨を逃がす気で守りに入るわ
  1185. 燦: あなたを避けて弾幕を張るから、 捕まえてちょうだい
  1186. ミユリ: ハイ…
  1187.  
  1188. FILENAME: text_103002-13_km1wv.txt
  1189. さな: 志伸さん大丈夫ですか…!?
  1190. 志伸 あきら: うん、足は動くからね…
  1191. 志伸 あきら: っ、危ない!かこちゃん! ガトリングがこっちを狙ってる!
  1192. 夏目 かこ: きゃぁッ!?
  1193. ミユリ: フゥ…
  1194. いろは: お願い、やめて!
  1195. いろは: 私たちは今、 争ってる場合じゃないんだよ!?
  1196. うい: そうだよ!
  1197. うい: 自動浄化システムを キュゥべえから取り戻さないと
  1198. うい: 魔法少女が救われなくなる…!
  1199. ミユリ: …………
  1200. いろは: っ、聞こえてない…!
  1201. いろは: せめて行かせないように 押さえないと…!
  1202. 燦: ミユ、そのまま 環姉妹を突破しなさい!
  1203. 燦: ――っ!?
  1204. 燦: クァッ…! 常盤ななかぁッ!
  1205. 常盤 ななか: 懐に入れた以上 私の間合いでの戦いになります
  1206. 常盤 ななか: 精密な射撃が難しく、 近接武器も持たないあなたには
  1207. 常盤 ななか: 苦手な間合いでしょう!
  1208. 燦: ウッ…!
  1209. 燦: はぁあああああッ!!
  1210. 常盤 ななか: フグッ!
  1211. 燦: 弾が出なくても 銃は立派な鈍器になるのよ
  1212. 燦: それに…
  1213. 純 美雨: そこをどくネェエッ!
  1214. 純 美雨: ふぅ、これで距離をとれそうヨ
  1215. 純 美雨: なっ…
  1216. 燦: こんな武器だけど、今となっては 精密射撃だって朝飯前よ
  1217. 燦: カンフーちゃんの足は潰した 何発か撃ち込んで連れて行くわ
  1218. 都 ひなの: ―ひなの― 南側で好き勝手やってくれるな
  1219. 都 ひなの: ―ひなの― ずいぶんと体は頑丈みたいだが 内側はどうだろうな
  1220. 燦: ―燦― な…
  1221. 都 ひなの: ―ひなの― コイツはアタシのとっておきだ
  1222. 燦: ―燦― 薬品…
  1223. 燦: ―燦― まずい…!
  1224. 燦: がっ…く…ミユ…!
  1225. 都 ひなの: やっかいな相手が残ってる上に まだ羽根も残ってる…
  1226. 都 ひなの: 致命傷を与えられない以上は ここで退かせてもらうぞ
  1227. 時雨: こ、これ、電波望遠鏡を使うのに セキュリティが解除できないよ…
  1228. 時雨: 虹彩をつかった生体認証なんて ぼくたちじゃ突破できないよ…
  1229. ひめな: 調整屋さんからもらったメモには 書いてなかったんだけどねー
  1230. はぐむ: やっぱり灯花様もセキュリティを アップデートしてたんですね
  1231. はぐむ: 彼ピさんは 何か言ってないんですか…?
  1232. ひめな: ぶっちゃけ難しいみたいだけど
  1233. ひめな: ワンチャン、赤外線写真を使って クリアできるかもって
  1234. はぐむ: それ、灯花様の目を撮影する 必要があるっていうことですか?
  1235. 時雨: もしかしてぼくたちで…?
  1236. ひめな: まさか
  1237. ひめな: ふたりとも里見灯花のことを 尊敬してるみたいだから
  1238. ひめな: 自爆したあとの姿なんて 見せたくないって
  1239. ひめな: だから、とりま教官に お願いしてみる
  1240. ひめな: その代わり、ふたりにも ひとつお願いしてもいい?
  1241. 時雨: なに…?
  1242. ひめな: みわりんを連れてきて
  1243. ひめな: セキュリティを突破するのに 改竄の固有魔法が必要になるかも
  1244. 時雨: だ、だめだよ姫!
  1245. はぐむ: そうですよ!
  1246. はぐむ: みつねちゃんの固有魔法は、 ドッペルを出さないと使えません
  1247. はぐむ: 今の神浜市で使わせるのは、 魔女になるのと同じことですよ!
  1248. ひめな: もち、わかってるって
  1249. ひめな: みわりんに 固有魔法は使わせないって
  1250. ひめな: 私チャンがみわりんの固有魔法を 合成して使うだけだから
  1251. 時雨: それで…うまくいくなら、 ぼくはいいけど…
  1252. 燦: …ええ、もう少ししたら 動けるようになるわ
  1253. 燦: だから、引き続き純美雨が 逃げた先を調べてちょうだい
  1254. それで私は引き続き何をすれば…
  1255. 燦: そのまま病院を見張ってて
  1256. 燦: 私はこのまま病院に行って、 灯花様の様子を見る予定だから
  1257. 燦: ユニオンの誰が来てるか なるべく様子を知っておきたい
  1258. それでしたら ひとつだけ情報があります
  1259. 燦: 何かあった…?
  1260. 今、病院の中には みふゆさんがいます
  1261. 燦: …いい話を聞いたわ
  1262.  
  1263. FILENAME: text_103002-14_km1wv.txt
  1264. 常盤 ななか: 無様なところを見せました
  1265. いろは: いえ、相手はマギウスの翼でも 屈指の実力者だったそうなので
  1266. いろは: 苦戦しても仕方ないです…
  1267. うい: わたしたちだって、 倒せそうになかったもんね
  1268. 常盤 ななか: 美雨さんやあきらさんも 鍛錬を怠っているわけではない
  1269. 常盤 ななか: それでも、彼女の実力は確実に 努力に裏打ちされたもの
  1270. 純 美雨: あの羽根たちが雑兵なら、 こっちのプライドはズタズタネ
  1271. 夏目 かこ: ほとんどふたりで 戦ってるようなものでしたしね…
  1272. 志伸 あきら: やちよさんと合流するなら そこで巻き返させてもらうよ
  1273. さな: 志伸さんのケガが一番重いので ムリはしないでくださいね…
  1274. いろは: ――っ!?
  1275. いろは: やちよさん…! みんな倒れてどうしたんですか!?
  1276. さな: いろはさん、 これ、みたまさんの魔力です…
  1277. やちよ: ええ、それ以上近付かないで
  1278. やちよ: ソウルジェムに直接干渉されて、 身動きが取れなくなるわ
  1279. さな: まさか調整の力で…
  1280. 鶴乃: ねえ、近くに何か転がってない?
  1281. 鶴乃: みたまと十七夜が 何か置いてったんだけど
  1282. 鶴乃: ソウルジェムに干渉されてるから 魔力を探れなくって…
  1283. うい: やちよさんたちの近く グリーフシードがあるよ!?
  1284. さな: これ、孵化しそうです…!
  1285. 鶴乃: ちょぉおッ!?!?
  1286. ももこ: マジか… 置き土産もセットかよ…!
  1287. レナ: 早くみたまさんの布を消して!
  1288. かえで: いろはちゃんお願い!
  1289. いろは: うん、すぐに! いけえッ!
  1290. やちよ: ありがとういろは、助かったわ
  1291. やちよ: ――っ!?
  1292. やちよ: 魔女が孵ってしまったわ…
  1293. ピロン♪
  1294. レナ: ちょ、ウソでしょ… レナたちの所だけじゃないの!?
  1295. かえで: 他の場所でも魔女が出たって みんなから連絡が来てるよ…!
  1296. やちよ: キモチのルールに縛られないなら
  1297. やちよ: 今まで戦えなかった人たちからも 力を借りられると思ってた
  1298. やちよ: だけど魔女を使ってまで、 そのメンバーを削ぐだなんて…
  1299. かえで: 魔女を相手にしなかったら みんなで戦えるけど
  1300. かえで: そんなに数がいるなら さすがに放っておけないよね…
  1301. レナ: 当たり前じゃない…
  1302. レナ: 人の命を犠牲にして 追いかけるって話になるし…
  1303. ももこ: こうまでして、ネオマギウスは 何を仕掛けようとしてるんだ…
  1304. 純 美雨: どういう目的だたのか、 ワタシを狙てるような気がしたヨ
  1305. 常盤 ななか: ええ、強い意思を感じましたね
  1306. レナ: レナたちが動きを封じられたのも 関係してるのかな…
  1307. 常盤 ななか: 何かひとつの目的に向けて、 同時に動いているのでしょう
  1308. いろは: 魔女が孵化しているのも、 みんなの足止めをするためなら
  1309. いろは: 私たちの足元で ネオマギウスが何かをしてる…
  1310. 鶴乃: …………
  1311. やちよ: 『ネオマギウスの目的と 今後の作戦を秘密裡に教える』
  1312. やちよ: 『ただ、勘のいい敵ではあるので 有事を想定して動くように』
  1313. やちよ: 待ち合わせ場所の地図と一緒に 送ってきた
  1314. 鶴乃: 秘密裡に教えるなら、 こっそり1対1でもいいはずだよ
  1315. 鶴乃: それを有事を想定して 来いっていうのも気になる…
  1316. 鶴乃: やられた… そういうことだったんだ…
  1317. いろは: 鶴乃ちゃん…?
  1318. 鶴乃: みたまも十七夜も ただ足止めしたんじゃない!
  1319. 鶴乃: 少なくとも、クレセントハウスを 空っぽにしたかったんだよ!
  1320. うい: ど、どうして!?
  1321. 鶴乃: それは帰らないとわからないけど 急いで確認しないと!
  1322. 鶴乃: 十七夜はキモチから選抜されて 戦えるメンバーだったから
  1323. 鶴乃: クレセントハウスへの入り方を 教えてもらってるはずだよ!
  1324. 夏目 かこ: それなら、魔女は私たちに任せて 皆さんは行ってください
  1325. フェリシア: かこっ! お前ケガしてるのにいいのかよ!
  1326. フェリシア: っていうか ユニオンを助けちゃダメだろ!?
  1327. 夏目 かこ: これはユニオンと関係ない
  1328. 夏目 かこ: 魔女が出てくるっていうのは、 神浜市の町にとっての危機になる
  1329. 夏目 かこ: だから私は、この町の人のために 戦うだけだよ
  1330. 常盤 ななか: かこさんの言う通りですね
  1331. 常盤 ななか: 魔女の件については話は別 ここは私たちに任せてください
  1332. フェリシア: …おう、わかった ありがとな!
  1333.  
  1334. FILENAME: text_103002-15_km1wv.txt
  1335. 常盤 ななか: あきらさんは無茶しないように
  1336. 志伸 あきら: 右腕はやられたけど、 まだ左腕が生きてるし平気だよ
  1337. 夏目 かこ: 他にも魔女がいると思いますし あとで調べましょう
  1338. 志伸 あきら: うん、そうだね 美雨はどうする?
  1339. 純 美雨: これが終わたら、 蒼海弊の仲間に頼んで船に乗るネ
  1340. 純 美雨: 距離を取るだけで、相手は 作戦に必要なパーツを失うヨ
  1341. 常盤 ななか: (あとは、環さんたちの拠点が どうなっているか…)
  1342. 常盤 ななか: (それ次第で 動きが変わりそうですね…)
  1343.  
  1344. FILENAME: text_103002-16_km1wv.txt
  1345. いろは: どう、変なところはあった…?
  1346. いろは: 何か仕掛けてそうな所は 先に見てきたんだけど…
  1347. さな: なので、私はみんなの部屋を 見たんですけど、特に何も…
  1348. うい: お風呂場と台所も、 なにもされてないみたいだった
  1349. ももこ: 地下も一通り見てきたけど、 変なところはなかった
  1350. レナ: まだフェリシアとやちよさんが 必死に調べてるけど
  1351. かえで: 何か触られたところとか、 なさそうだったよね…?
  1352. レナ: 別に盗んで得するものなんて ないだろうし
  1353. かえで: よくわからないね…
  1354. ―取材記録― 時女 静香
  1355. 静香: 「そうね、やっぱり私が望むことと言えば 日の本のために尽くして みんなが幸せな世の中を作ることよね」
  1356. 静香: 「神浜市に来てから色んな人を知って、 私が思っていたよりも 世の中に悪がはびこってるのは理解したけど、 それでも時女一族にできることは あると思ってるわ」
  1357. 静香: 「そのできることに私が気付いた時、 みんなは本家である私に付いてきてくれるから きっと力を合わせて上手くいくと思う」
  1358. 静香: 「ただ、私が間違っていたとしても 止めてくれないんじゃないかなって怖さも 少しはあるんだけどね」
  1359. 静香: 「もしもこの戦いが終わって、 時女一族としても目的に邁進するために 迷いなく動くことができるようになれば、 せっかく都会に来たんだから もっと世間に慣れていきたいわね」
  1360. 静香: 「そう、私ね時女一族のみんなを連れて て~まぱ~く、っていう所に 行ってみたいのよ!」
  1361.  
  1362. FILENAME: text_103003-1_km1wv.txt [Episode 3]
  1363. かごめ: ネオマギウスの動きが気になって、 ピュエラケアがいるケアトレーラーを訪ねた私。 すると、見計らったようにひめなさんが現れて、 雰囲気だけはつかむことができた。
  1364. かごめ: それは、ひめなさんが 「とても危険なことをしようとしている」という 曖昧な内容でしかなかった。
  1365. かごめ: だけど、ひめなさんを調整していた時、 リヴィアさんが顔色を変えて放った一言が、 曖昧な“危険”という言葉に現実味を帯びさせた。
  1366. かごめ: 『中立ではいられなくなった。 このままだと氷室さんが見ている諦念に 一直線である』
  1367. かごめ: 何を意味しているかはわからないけど、 ネオマギウスを追いかける術を無くした私は、 ひとまず時女一族の様子を見にいくことにした。
  1368. かごめ: 社会が知らず知らずに魔法少女を生むのなら、 社会に利用されて生まれたのが時女一族の巫。 純粋で無垢だった巫の静香さんは、 利用された上に、町に出てからは悪に影響されて その心を歪められてしまった…。
  1369. かごめ: 私の目を通して見る魔法少女たちはみんな、 なぜか見えない力でも働いてるかのように、 周りの影響で悪い方へと転がっていくばかり。
  1370. かごめ: 那由他さんのお父さんが 魔法少女を世間に知らせることを諦めた理由が、 みんなを結果的に苦しめることだとすれば、 取材を続ける私はそれを否定したい。
  1371. かごめ: だから私は、静香さんと時女一族が ひとつに戻ることを信じて、水徳寺を訪れていた。
  1372. すなお: …………
  1373. 静香: …………
  1374. ちはる: ネオマギウスをやめて 時女一族に戻ってきたの?
  1375. 静香: 逆よ、ちゃる
  1376. 静香: 本家である私の意見に反して、 みんなが時女一族をやめたのよ
  1377. 南津 涼子: この様子じゃあ、 静香のやつは何も変わってねぇな
  1378. 青葉 ちか: はい、戻って来たという感じでは ありませんね…
  1379. 静香: そう、改めて説得しに来たのよ みんなに付いて来て欲しいから…
  1380. すなお: もう返事はしたはずですよ
  1381. 静香: …どうしてわかってくれないの
  1382. 静香: 人を良き方向に導くためにも、 巫は上に立たないといけない
  1383. 静香: 最初こそ藍家ひめなが、 上に立つかもしれないけど
  1384. 静香: 彼女が神浜市以外の人々を 苦しめるなら
  1385. 静香: 私が藍家ひめなを倒して みんなを救ってあげればいい
  1386. 静香: そうすれば人々は巫のことを、 敬ってくれるようになるし
  1387. 静香: 私たちも人々の性善を生かす 善い行いができるようになるわ
  1388. すなお: …傲慢なんです
  1389. すなお: 私が時女一族でないのなら、 反対派として話しますが
  1390. すなお: みなさんは それでも構いませんか?
  1391. ちはる: うん、お願い
  1392. すなお: 静香は藍家ひめなを倒して 尊敬されようとしていますが
  1393. すなお: 問題はそこではなく、 人々との向き合い方なんです
  1394. すなお: 自分が理想とする人の形があり、 その型にはめるために上に立つ
  1395. すなお: そしてルールと恐怖によって 人を縛っていく…
  1396. すなお: それは、私たちを里の規則で縛り 操り続けていた神子柴と同じです
  1397. すなお: 理想とする型に 無理矢理はめこむルールを作り
  1398. すなお: そこに当てはまらない者たちは、 消していくんですから
  1399. ちはる: 静香ちゃんが言ってることも 理解してるんだよ…!?
  1400. ちはる: それでも、人の在り方は 押し付けることじゃないんだよ
  1401. ちはる: それに、きっと藍家ひめなは 静香ちゃんを利用してるよ
  1402. 静香: におうの…?
  1403. ちはる: それは…違うけど…
  1404. すなお: 悪意なんて持たず、 純粋な心で悪行を働ける人もいる
  1405. すなお: 彼女はそういう類いです
  1406. 静香: …理解してくれなくて残念だわ
  1407. すなお: 私も非常に残念です
  1408. すなお: 恨まれても構いません 来たからには帰しませんよ
  1409. ちはる: わたしも本家の目を覚ますって 決めたんだ…
  1410. ちはる: ネオマギウスには帰さない こっちに帰ってこさせる!
  1411.  
  1412. FILENAME: text_103003-2_km1wv.txt
  1413. 青葉 ちか: 私たちも続きましょう!
  1414. 南津 涼子: 静香、戻って来たら、 説教だけじゃすまさねぇからな
  1415. 静香: …………
  1416. 静香: 私は持ち場につくから、 ここからは任せるわ
  1417. はい、本家は先に行ってください
  1418. 長くは持たないと思いますが、 多少の時間は稼げます
  1419. すなお: 静香!!
  1420. 静香: じゃあね…
  1421.  
  1422. FILENAME: text_103003-3_km1wv.txt
  1423. …………
  1424. …………
  1425. 南津 涼子: ふぅ、とりあえず これで一丁上がりだなぁ
  1426. 南津 涼子: ただ、静香のやつは消えたか?
  1427. ちはる: うん、もう魔力を追えない所まで 移動してるみたいだよぅ…
  1428. すなお: すみません… 少し強く言い過ぎました…
  1429. ちはる: 変に静香ちゃんを 意固地にさせちゃったかなぁ…
  1430. 南津 涼子: あんぐらいビシッと言わねぇと 心にグッと入ってかねぇだろ
  1431. 南津 涼子: 半端に伝えるよりいい
  1432. ちはる: 戻ってこなかったけど…?
  1433. 南津 涼子: 気にするな んなもんは結果論ってもんだ
  1434. 南津 涼子: それより、ちょっとばかし 気になるんだが
  1435. ちはる: …なに?
  1436. 南津 涼子: ちはるたちが思う 時女一族の理想ってのは何だ?
  1437. 南津 涼子: 静香の言うことはわかるけど お前やすなおはどうなんだ
  1438. 南津 涼子: 否定はしてるけど、 理想の形ってのがわかんねぇ
  1439. ちはる: …わたしはね、 ヒーローみたいでありたいけど
  1440. ちはる: たぶん、無償の愛みたいなものに 共感してたと思うから
  1441. ちはる: 今のままでもいいんだよぅ
  1442. ちはる: 悪鬼を退治するっていう 勧善懲悪なところもいいけど
  1443. ちはる: どんな人であっても 分け隔てなく助けるからこそ
  1444. ちはる: 悪も救われたことを通して 善になるっていうか
  1445. ちはる: 無条件に人を信じてるところが なんだか輝いてたと思うし…
  1446. すなお: そうですね
  1447. すなお: わざわざ表に出て 人々を導く必要なんてない
  1448. すなお: 私たちは裏方として願いを叶え、 悪鬼を倒すということに徹して
  1449. すなお: 無条件にすべての人を救う
  1450. すなお: それが、本当に人の善を 信じるということだと思います
  1451. 南津 涼子: まぁ、昔の一族の人ってぇのは、 その辺りを理解してたってことだ
  1452. 南津 涼子: 水徳寺の和尚も、 本当に苦しんでるのは誰か
  1453. 南津 涼子: 大将のヤツにはちゃーんと 伝えてたはずなんだけどなぁ…
  1454. すなお: さなさんの絵本も、気付くための 切っ掛けだったんですけど
  1455. すなお: その本質を理解しないまま、 ここに来たんでしょうね…
  1456. 南津 涼子: それにしても 無条件に人を助く美しさねぇ
  1457. 青葉 ちか: 私はそんな純粋な輝きに 旭さんは惹かれてたと思います
  1458. 青葉 ちか: だから、 それを取り戻してもらうためにも
  1459. 青葉 ちか: 今は静香さんの場所を 調べましょう
  1460. ちはる: でも、魔力は追えないよ?
  1461. 青葉 ちか: 動物であれば、神浜市内だけでも かなりの数になるはずです
  1462. 青葉 ちか: 近くに居る鳥から近所の犬まで どんどん声をかけましょう
  1463. すなお: すみませんかごめさん 来て頂いて早々に…
  1464. かごめ: い、いえ…
  1465. アルちゃん: <あ、あのひとつだけ、 聞いてもいい…?>
  1466. すなお: はい、答えられることなら
  1467. アルちゃん: <静香さんと付いていった 分家の人たちって>
  1468. アルちゃん: <もしかして、時女一族の儀式で 願い事を叶えた人?>
  1469. すなお: …………
  1470. すなお: よく考えてみるとそうですね… どうしてわかったんですか?
  1471. アルちゃん: <自分で願いを叶えた人は、 理不尽でも願いが叶ってるから>
  1472. アルちゃん: <見返りがあったとか 自分で決めたことだからって>
  1473. アルちゃん: <今の状況に無理矢理納得して 戦う理由を作ることができる…>
  1474. アルちゃん: <でも、しきたりとかが理由で 誰かの願い事を叶えた人たちは>
  1475. アルちゃん: <自己責任なのは変わらなくても 見返りはひとつもないから>
  1476. アルちゃん: <自分を肯定するために、戦う 理由を探すしかないかなって>
  1477. アルちゃん: <静香さんを見てたら、 なんだかそう思ったんだ…>
  1478. かごめ: すみません、外野なのに 偉そうなことを言いました…
  1479. すなお: いえ、気付けなかった自分に ショックを受けていたんです…
  1480. すなお: 静香も出て行った分家の人も、 自分に意味を見出そうとして
  1481. すなお: 過激になっていったのかも しれませんね
  1482. ちはる: 特にわたしたち時女一族は、 人を信じられなくなったら
  1483. ちはる: 自分たちがなんでいるのかって 曖昧になっちゃうと思う
  1484. ちはる: それに、等々力耕一が言ってた
  1485. 等々力(ちはる): 人を助けるために事件を解決することは 人を信用していないとできない あまねく全ての事件を解決するということは 全ての人を信じるということなんだよ
  1486. ちはる: だから、さっきも言ったけど 無条件に人を信じることは
  1487. ちはる: 大切だと思う
  1488. すなお: 等々力耕一の精神が ちゃるを繋ぎ止めてたんですね…
  1489. ~~♪~~♪
  1490. ちはる: おわわっ!
  1491. ちはる: わっ? 静香ちゃんのお母さんだ…
  1492. かごめ: …………
  1493. かごめ: 他の人とは違って 自分で願いを叶えなかった静香さんには 巫として人を救うという誇りだけが戦う理由で それ以外に苦しい道のりから逃げる術がない
  1494. かごめ: だけどちはるさんの言う通り 助ける人すら信じられなくなったから 自分がいる意味というのがどんどん崩れていって 存在意義を生かし続けるために 過激になっていったのかもしれない
  1495. かごめ: 希望も絶望も 魔法少女として生まれた意味も生き方も 私たちは個人だけでは決められない
  1496. かごめ: 知らないところで周りの力に影響されているのが 魔法少女を追いかけていると見えてくる…
  1497.  
  1498. FILENAME: text_103003-4_km1wv.txt
  1499. ちはる: 静香ちゃんのお母さんからの電話 出た方がいいかな…
  1500. ちはる: まだ、静香ちゃんのこと 何も伝えてないけど…
  1501. すなお: …いつまでも 隠せることではないですし
  1502. すなお: ちゃんと電話に出て、 場合によっては説明しましょう
  1503. ちはる: うん…
  1504. ちはる: あの、もしもし…?
  1505. 静香の母: ちはるちゃん、 神浜市で何かあった…?
  1506. ちはる: えっ、どうして…?
  1507. 静香の母: 虫の知らせみたいなものよ なんだか嫌な予感がしてね…
  1508. 静香の母: 先に静香に電話したんだけど、 出てくれなかったから
  1509. 静香の母: 何かあったと思ったのよ
  1510. ちはる: …っ、ふっ、うぅ…
  1511. 静香の母: やっぱり何かあったのね… 説明してくれる?
  1512. 静香の母: 時女一族の巫でしょう 泣いてる場合じゃないのよね?
  1513. ちはる: ごめん…なさい…
  1514. ちはる: なんか、 声聞いたらホッとしちゃって…
  1515. 静香の母: 神浜市の巫たちと 手を取る話は聞いてたけど
  1516. 静香の母: あれから追い込まれてるの…? 誰か死んだ…?
  1517. ちはる: ううん…
  1518. ちはる: 静香ちゃんが分家の人を連れて 敵の方に行っちゃった…
  1519. ちはる: 人が悪に染まらないように、 巫が導く必要があるんだって…
  1520. ちはる: でも、わたしもすなおちゃんも それは違うと思って…
  1521. 静香の母: そう…やっぱりあの子は まだ争うつもりだったのね…
  1522. ちはる: ねえ、おばさん… わたしたちどうすればいいかな…
  1523. 静香の母: 本家に付いていけないなら、 戦って自分を変えるしかないわ
  1524. 静香の母: 私はどちらの味方でもない 誰が勝利しても文句はない
  1525. 静香の母: でも、勝つ気でいるのなら、 静香を変えるか殺しなさい
  1526. ちはる: え…
  1527. 静香の母: いざというときの覚悟も あの子には叩き込んでるわ
  1528. ちはるの母の声: 「ちょっと時女さん、電話貸して…!」
  1529. 静香の母の声: 「え、何よ広江さん…!大事な話を…!」
  1530. ちはるの母の声: 「いいから!」
  1531. ちはるの母: ちゃる
  1532. ちはる: お母さんっ!
  1533. ちはるの母: 時女さんは乱暴なことを言ってる けど、まずは相手のことを考えて
  1534. ちはるの母: 静香ちゃんだって あなたと同じぐらいの年頃よ
  1535. ちはるの母: あの子が一族の強い重圧の中でも 耐えられたのはね
  1536. ちはるの母: ひとりじゃなかったからよ
  1537. ちはるの母: 周りの子たちに支えられて ひとつになれていたからなのよ
  1538. ちはるの母: それを忘れないで
  1539. ちはる: うん…
  1540. ちはるの母: 曲がりなりにも 自分で生んだ子でしょう
  1541. ちはるの母: 簡単に殺してもいいなんて 言わないでください
  1542. 静香の母: だけど私たちはいつでも、 戦う準備をして生きてきた
  1543. 静香の母: 巫である静香なら尚更よ
  1544. ちはるの母: 理屈を作って簡単に失ってもいい 命なんてありませんよ
  1545. ちはるの母: 死んでもいいなんて 精神論や理屈なんかより
  1546. ちはるの母: もっと静香ちゃんに感じている 愛に対して素直になってください
  1547. 静香の母: …悪かったわ、ごめんなさい
  1548.  
  1549. FILENAME: text_103003-5_km1wv.txt
  1550. 静香: …………
  1551. 静香: 聞くところによると神浜市という町は ずいぶんと昔から悪に支配されているらしく 長く人々が苦しみを味わっている…
  1552. 静香: だから、和泉十七夜や八雲みたまが言う通り 滅びを与えるということは 日の本を守る私としては許せないことだけど 耐え続けてきた人たちにとっては 人々を変えるための最終手段なのかもしれない
  1553. 静香: だけど藍家ひめなは別格の存在だわ 本当にわかりやすく、私利私欲に従って 人々を支配するために害を成そうとしている上に 滅ぼすということに躊躇がない
  1554. 静香: もしも度が行きすぎるようであれば 私が彼女の首を取って人々に示さないと… 心優しき巫が導くから安心して欲しいって…
  1555. 静香: …それぐらいの分別はあっても、 私は、神子柴に似ているのかしら
  1556. 静香: どう思う…?
  1557. 時女集落の話を聞く限りですと、 似ていないと思います
  1558. 私たちは私欲を 満たそうとはしてませんから
  1559. 静香: そうよね…
  1560. 静香: ――っ!?
  1561. どうしましたか?
  1562. 静香: …………ううん、ただの鳥みたい
  1563. チュン、チュンチュン
  1564. 青葉 ちか: …そうですか、 ありがとうございます
  1565. すなお: 静香の場所はわかりましたか…?
  1566. 青葉 ちか: はい、正確とは言えませんが、 恐らく大丈夫だと思います
  1567. ちはる: じゃあ、さっそく 静香ちゃんを追いかけよう!
  1568. 南津 涼子: だな、善は急げだ!
  1569. ちはる: 「時女一族ファイトーーー!」
  1570. みんな: 「オー!!」
  1571.  
  1572. FILENAME: text_103003-6_km1wv.txt
  1573. 青葉 ちか: 静香さん、そこまで遠くには 行ってないようですね
  1574. 南津 涼子: みてぇだな
  1575. すなお: 静香もこちらの気配には 気付いてるはずです
  1576. ちはる: うん、わたしたちだけが 気付いてると思えないもんね
  1577. ちはる: 静香ちゃん!
  1578. 静香: やっぱり、あの鳥は ちかにお願いされて飛んでたのね
  1579. 青葉 ちか: 気付いていたんですか…
  1580. 静香: 山深い集落で生まれ育ったもの
  1581. 静香: 他にもいくつかの 動物の動きは感じてたわ
  1582. ちはる: それでも逃げなかったのは、 まだ話をする気があるから…?
  1583. すなお: いえ、私たちと相対することが、 求められているのでしょう…
  1584. 静香: さすがはすなおね その通りよ
  1585. 静香: ここで足止めをさせてもらうわ
  1586. 静香: 阻止!!
  1587. すなお: キャッ!
  1588. 青葉 ちか: な、何が起きたんですか…!?
  1589. ちはる: おりゃ!
  1590. ちはる: や、やっぱり…!
  1591. ちはる: わたしたちの周りに 見えない壁があるよぅ…!
  1592. すなお: 固有魔法を使ってでも 私たちを行かせないつもりですか
  1593. 静香: ええ、ネオマギウスの計画が 実行に移されるまではね
  1594. すなお: 分家に悪鬼の魂魄を使わせて 浄化してもらうようにすれば
  1595. すなお: 魂魄が尽きない限り、 私たちの足をとめられる…
  1596. 南津 涼子: いやぁ、大将も考えたねぇ
  1597. ちはる: …………
  1598. ちはるの母: 静香ちゃんだって あなたと同じぐらいの年頃よ
  1599. ちはるの母: あの子が一族の強い重圧の中でも 耐えられたのはね
  1600. ちはるの母: ひとりじゃなかったからよ
  1601. ちはるの母: 周りの子たちに支えられて ひとつになれていたからなのよ
  1602. ちはる: 涼子ちゃん! 周りの子から目を覚まさせよう!
  1603. ちはる: 魂魄を使えなくなるから 静香ちゃんの阻止が短くなるよ!
  1604. 南津 涼子: そりゃ名案だ 見えねぇ壁で隔てられてても
  1605. 南津 涼子: 声は十分届くからな
  1606. ちはる: うんっ!
  1607. 南津 涼子: それじゃあ、ここはあたしが ひとつ説教をくれてやるか!
  1608. 静香: 何をするつもり!?
  1609. 南津 涼子: 悪いが大将の出番はあとだ!
  1610. あ、あれ…? どうして私、座禅を組んでるの!?
  1611. こんなことができるのって…
  1612. った!
  1613. 南津 涼子: 教えをくれてやろうってのに、 さっそく私語ってのはよくねぇな
  1614. やっぱり、涼子…
  1615. 教えなんて私たちには…!
  1616. 南津 涼子: まぁ落ち着いて そんで呼吸を整えな
  1617. 「す~、は~…」
  1618. あれっ、なぜか言われた通りに!
  1619. 南津 涼子: ここはあくまで話をする場で 攻撃はできねえから安心しな
  1620. 無理矢理でも話を聞かせるわけね さっさと話しなさい
  1621. 私たちの考えは翻らないわ
  1622. 南津 涼子: 人が悪に染まらないように 自分たちが導く
  1623. 南津 涼子: それが善行だって?
  1624. じゃなかったら何だって言うの
  1625. 南津 涼子: 世間を知らねえって話だ
  1626. 私たちは里から降りてきて、 嫌というほど見てきたわ
  1627. 南津 涼子: これはあたしの感覚だけどな
  1628. 南津 涼子: 時女一族は神子柴のせいで 陰の奧にまで潜ったが
  1629. 南津 涼子: 過去はもうちょっと表にいた 存在だったはずなんだよ
  1630. 何が言いたいの…?
  1631. 南津 涼子: 時女一族は世間を知った上で、 巫として日の本を守り続けたんだ
  1632. 南津 涼子: 人の中にある善悪も理解した上で 愛おしいから守ったんだよ
  1633. ――っ!?
  1634. 南津 涼子: それに悪行がなきゃ善行もない 光と影と同じようなもんだ
  1635. 南津 涼子: つまりオマエらは人々を照らす 善の導き手になろうとしてるがな
  1636. 南津 涼子: 裏を返せば影を作ることにもなる 悪の導き手になるってことだ
  1637. 南津 涼子: 悪行を知らないと 善行は生まれない
  1638. …………
  1639.  
  1640. FILENAME: text_103003-7_km1wv.txt
  1641. もう、やめましょう 静香さん
  1642. 静香: な、何を言ってるの…? 何を言われたのよ!
  1643. …ハッとさせられたんです
  1644. 私たち時女一族の歴史は 神子柴に支配された歴史…
  1645. 時女集落に現れた神子柴によって 外との繋がりを絶たれ
  1646. 日の本のために何を願うかも 神子柴に任せることになっていた
  1647. だけど、それより前は、 世間の人々を知っていて
  1648. 一族は人の悪を理解した上で、 願いを叶えてたはずなんですよ…
  1649. 静香: ただ、過去と今では状況が違うわ
  1650. 私たちが善行を教えるのは、 悪行を教えるのと同じなんですよ
  1651. 光が見えれば闇も見えるんです
  1652. 静香: だから、闇を見させないために 私たちが導くのよ
  1653. 南津 涼子: そうすりゃ善悪の概念も 自分たちの思うがままだな…
  1654. すみません…静香さん…!
  1655. 私には時女一族が憎むべきものが 見えた気がします…!
  1656. 静香: くっ!
  1657. すなお: 壁が消えた…!
  1658. 静香: どうして今になって… 私が言うこともわかるでしょ…!?
  1659. すなお: わかります!けど!
  1660. すなお: このままだと人を導くのではなく 価値観を押し付けるだけになる!
  1661. ちはる: そうだよ…静香ちゃんは別に 神様になりたくないでしょ!?
  1662. 静香: …必要とあれば
  1663. ちはる: 静香ちゃん…!
  1664. 静香: うるさい!
  1665. ちはる: ぐっ…膝から力が…
  1666. すなお: あなた瞳合わせまで使って…!
  1667. すなお: …………
  1668. すなお: 私はもうあなたを… 静香を殺すしかないんですか…
  1669. パンッ
  1670. すなお: …ちゃる
  1671. ちはる: お母さんがおばさんから 電話を奪った気持ちがわかった
  1672. ちはる: みんな命が軽すぎるよ!
  1673. ちはる: わたしは出発した頃と同じように 3人一緒でいたいよぅ!
  1674. ちはる: もしも、ご先祖様が 善と悪を含めて人を愛したなら
  1675. ちはる: わたしはどんな静香ちゃんも すなおちゃんも愛したいよ!
  1676.  
  1677. FILENAME: text_103003-8_km1wv.txt
  1678. ちはる: わたしは出発した頃と同じように 3人一緒でいたいよぅ!
  1679. ちはる: もしも、ご先祖様が 善と悪を含めて人を愛したなら
  1680. ちはる: わたしはどんな静香ちゃんも すなおちゃんも愛したいよ!
  1681. 静香: ちゃる…
  1682. ちはる: 「初めて時女集落にたどり着いて 自分が一族の末裔だって知って よくわからないままでも自分に誇りを持って 巫として戦ってこれたのは 静香ちゃんがいてくれたおかげなんだよ!」
  1683. ちはる: 「それにわたしたちがまとまっていられたのは ずっと山で暮らしてきた分家の人と わたしみたいに町で暮らしてきた分家の人を 上手に束ねてくれてる すなおちゃんがいたおかげなんだよぅ!」
  1684. ちはる: 「誰が欠けたってわたしたち時女一族は 2本の足で立っていられない みんなで支え合うからこそ立っていられるし 戦うことだってできたんだ」
  1685. ちはる: だから戻って来て静香ちゃん! わたしたちは支え合える!
  1686. ちはる: こんな善悪に極端になって、 みんなを苦しめなくてもいい
  1687. ちはる: わたしたちで、 時女一族をやり直そうよ!
  1688. 静香: …………
  1689. 静香: 今さら…都合が良すぎる…
  1690. いろは: …………
  1691. レナ: ちょっと、のんきにスマホなんて 触ってる場合じゃないでしょ
  1692. レナ: まだ、十七夜さんたちが、 何をしたかもわからないのに…
  1693. いろは: あ、ごめんね ちはるちゃんに連絡してたの
  1694. いろは: 時女一族は大丈夫かなって…
  1695. レナ: あーごめん、そういうこと…
  1696. いろは: うん
  1697. 鶴乃: …なんか静香ちゃんってさ 前のわたしっぽいかもね
  1698. いろは: 前って、 何年か昔っていうこと?
  1699. 鶴乃: キレーションランドのうわさと 融合したときの話だよ
  1700. 鶴乃: あのときのわたしって、 全部ひとりで抱えてたでしょ?
  1701. 鶴乃: 静香ちゃんも 時女一族の本家でリーダーだから
  1702. 鶴乃: ひとりで一族のみんなを 引っ張ろうとして必死になって
  1703. 鶴乃: 無我夢中になってる間に 周りが見えなくなったのかもって
  1704. いろは: そっか…
  1705. いろは: (だとしたら、静香ちゃんには 仲間の心が必要なのかな…)
  1706. いろは: (静香ちゃんを支えるっていう みんなの愛情が…)
  1707. かごめ: …………
  1708. かごめ: ちはるさんが言う通り、時女一族は 静香さんのように世間と隔離された人たちと ちはるさんのように世間で生きる人たちの集まり だからこそ埋まらない溝がある
  1709. かごめ: 静香さんや世間と隔離されてきた分家の人は 他の魔法少女とは違って日の本に命を捧げていて 今の自分を否定することができない
  1710. かごめ: 日の本を守るという 使命感にがんじがらめにされている
  1711. かごめ: だけど、今はその呪縛から解かれようと しているように思う
  1712. かごめ: 願いを叶えた時から呪縛に囚われている魔法少女
  1713. かごめ: もしもここで静香さんたちが 自分たちをがんじがらめにしている歴史から 解放されるようなことがあれば
  1714. かごめ: それだけでも 宿命に囚われ続ける魔法少女にとって 救いになるような気がする
  1715. かごめ: ごめん、リィちゃん
  1716. かごめ: ちはるさんとすなおさんに 伝えて欲しいことがあるの…
  1717. 風の伝道師のウワサ: …………
  1718. 風の伝道師のウワサ: …………
  1719. ちはる: そうか、いろはちゃんと 紅晴さんのときと同じように…
  1720. すなお: はい、キモチの石を通じれば…
  1721. ちはる: うん、わたしたちの考えを 理解してくれるかも
  1722.  
  1723. FILENAME: text_103003-9_km1wv.txt
  1724. 樹里: ニヒッ
  1725. 樹里: 動きがあるから 羽根のヤツを追いかけてみたけど
  1726. 樹里: こりゃビンゴだな 本命はこの山かもしれねーぞ
  1727. 樹里: ここはひとつ殴り込んで ウェルダンにしてやるか…!
  1728. 智珠 らんか: ちょっとバカ言わないでよ
  1729. 智珠 らんか: キモチのルールがないってことは 羽根の奴ら全員が敵でしょ?
  1730. 樹里: ったりめーだっつーの
  1731. 智珠 らんか: あームリムリ、ムリ中のムリ
  1732. 智珠 らんか: この先に何人いると思ってんの? ふたりじゃ限界があるって
  1733. 樹里: んなこと言ってたら 一向に突破なんてできねーぞ
  1734. 樹里: 時女とユニオンの奴らも 足止め食らってんだろ?
  1735. 智珠 らんか: そして結菜さんたちは、 みんなで二木市に帰還中
  1736. 智珠 らんか: ふたりでどうにかなる数じゃない 自滅するならアタシは帰る
  1737. 樹里: ノリがわりーなー…
  1738. 樹里: つってもまぁ、 相手も上手いことやってるよな
  1739. 樹里: 神浜市の連中を止めるために 魔女まで使ってるんだからな
  1740. 智珠 らんか: だから、今は硬直してる前線を この北側に上げるしかないと思う
  1741. ~~♪~~♪
  1742. 智珠 らんか: だれ?
  1743. 樹里: こりゃ姉さんだな
  1744. 樹里: ん、どうした?
  1745. 結菜: 今から伝える場所に向かって 恐らく時女一族がいるわぁ
  1746. 樹里: そりゃつまり、一緒に戦って 前線を押し上げろってことか?
  1747. 結菜: いえ
  1748. 結菜: 広江さんと土岐さんがいるから キモチの石を渡して欲しいのよぉ
  1749. 樹里: あ?そりゃどういうことだ 樹里サマたちにとってリスクだぞ
  1750. 結菜: 環さんから連絡がきたのよぉ
  1751. 結菜: 今、時女静香を引き戻すには、 周りの想いが必要かもって
  1752. 結菜: あなたがもっているオパールは 敬愛を宿していたでしょぅ…?
  1753. 樹里: 一筋縄ではいかねーから キモチの力を借りるっつーことか
  1754. 樹里: 愛情が必要なのかは知らねーけど 妹みたいに乗っ取られねーか…?
  1755. 結菜: そのときはそのとき 広江さんと土岐さんの力不足よ
  1756. 樹里: ひとまず賭けるぐらいの価値は あるっつーことか
  1757. 樹里: 渡す相手が時女なのはシャクだが ま、わかったよ
  1758. 樹里: どうせここで攻めあぐねてても なんにもならねーし、行ってくる
  1759. 結菜: ええ、ありがとう
  1760. 樹里: 姉さん
  1761. 結菜: なに?
  1762. 樹里: こっちも裏をかかれてんだ さっさと戻って来い
  1763. 結菜: ゆっくりしてるつもりはないわぁ じゃあ頼むわねぇ
  1764. 智珠 らんか: 結菜さんはなんて?
  1765. 樹里: 樹里サマのキモチの石を 時女のヤツに渡せってさ
  1766. 智珠 らんか: はぁ?
  1767. 樹里: 説明はあとだ とりあえず向かうぞ
  1768.  
  1769. FILENAME: text_103003-10_km1wv.txt
  1770. ひめな: みわりんを連れてきて
  1771. ひめな: セキュリティを突破するのに 改竄の固有魔法が必要になるかも
  1772. 時雨: だ、だめだよ姫!
  1773. はぐむ: そうですよ!
  1774. はぐむ: みつねちゃんの固有魔法は、 ドッペルを出さないと使えません
  1775. はぐむ: 今の神浜市で使わせるのは、 魔女になるのと同じことですよ!
  1776. ひめな: もち、わかってるって
  1777. ひめな: みわりんに 固有魔法は使わせないって
  1778. ひめな: 私チャンがみわりんの固有魔法を 合成して使うだけだから
  1779. 時雨: …………
  1780. はぐむ: みつねちゃんのこと 気にしてる…?
  1781. 時雨: え、うん…
  1782. 時雨: 姫のことは信じてるけど、 やっぱり不安だなって…
  1783. はぐむ: 前にドッペルを出して以来、 足が動かなくなったままだもんね
  1784. 時雨: うん…
  1785. 時雨: そんなに何度も出してないのに あの状態だから
  1786. 時雨: いくら他のものに 能力を合成するって言っても
  1787. 時雨: 不安なのは変わらないよ…
  1788. はぐむ: 藍家さん自身も ちょっとピリ付いてるし
  1789. はぐむ: 急に不安なことが 多くなっちゃったね
  1790. 時雨: やっぱりサーシャさんが抜けて ショックなのかな…
  1791. はぐむ: だと思う…
  1792. はぐむ: あれから吹っ切れたみたいに 過激になってきたもん
  1793. 時雨: もう、はぐむん 過激とか言うと余計不安だよ…
  1794. はぐむ: あ、ごめんね
  1795. 時雨: でも、姫の気持ちもわかるよ
  1796. 時雨: ぼくだってはぐむんが 居なくなったら悲しいから…
  1797. はぐむ: ふふ、ありがとう
  1798. 時雨: はぐむんはぐむん!
  1799. はぐむ: うん、 教官とミユリちゃんがいるね
  1800. はぐむ: 病院に行って灯花様の写真を 撮ってくるみたいだから
  1801. はぐむ: 向かう先は一緒かもしれないよ
  1802. 燦: 近くの反応、 やっぱり宮尾と安積だったのね
  1803. 燦: 三輪に会いに行くところ?
  1804. 時雨: そうだけど、 教官、何やってるの…?
  1805. 時雨: 何これ…粉…?
  1806. ミユリ: そんなのは一目瞭然ですぅ!
  1807. ミユリ: 燦様が何をしてるかと言うと 今、おく、ふぐっ…
  1808. 燦: ミユ、これは秘密よ
  1809. 時雨: えぇ、露骨に隠された…!
  1810. 燦: 宮尾と安積に反対されるかも しれないからね
  1811. ミユリ: でもでも、 危険なことじゃありませんよ!?
  1812. ミユリ: 燦様が粉末を作っているのは 争わないための手段なんですから
  1813. 燦: まぁ、そういうことよ
  1814. 燦: どういう状況であったとしても、 知恵と努力は必要だから
  1815. 燦: さ、準備ができたわ
  1816. はぐむ: せっかくですし、 病院まで一緒に行きましょう
  1817. 燦: そうね
  1818. はぐむ: あの、教官
  1819. 燦: ん?
  1820. はぐむ: 電波望遠鏡を使って魔法少女を 世間に広めるっていう話ですが…
  1821. 燦: 何か不安?
  1822. はぐむ: いえ、とてもいいと思います
  1823. はぐむ: こうして魔法少女とも戦うことで 負けを認めさせるのも…
  1824. 燦: うん
  1825. はぐむ: ただ私、何かを隠されている そんな気がして…
  1826. 時雨: あの…ぼくも…!
  1827. 燦: …………
  1828. ミユリ: …………燦様
  1829. 燦: 姫様はね人の命運を掌握するため 本当に神になろうとしてるのよ
  1830. 燦: もちろん、私もね…
  1831.  
  1832. FILENAME: text_103003-11_km1wv.txt
  1833. 時雨: 三輪さーん
  1834. はぐむ: おじゃましまーす
  1835. 三輪 みつね: ハローハロー
  1836. はぐむ: 体調はどう? 特に辛いところはない?
  1837. 三輪 みつね: うん、全然w
  1838. 三輪 みつね: 本当に問題があるのって 足だけだから
  1839. 三輪 みつね: 次の検査で何も出ないようなら もう退院だってさ
  1840. はぐむ: 良かったって言うと 違うのかもしれないけど
  1841. はぐむ: とりあえず 退院できるのは良かったね
  1842. 時雨: うん、おめでとう
  1843. 三輪 みつね: ありがとうw
  1844. 三輪 みつね: いつもごめんね わざわざお見舞いに来てくれて
  1845. 時雨: あっ…実は今日、 それだけじゃなくて…
  1846. 時雨: 姫たちの作戦が動き始めたから 近況報告と…お願い…
  1847. 三輪 みつね: 今の私にできることなんて、 何もないよ?
  1848. 三輪 みつね: 本当、草生やすぐらい 何もできないんだからwww
  1849. 時雨: 今、電波望遠鏡を使って
  1850. 時雨: みんなに魔法少女のことを 広めようとしてるところなんだよ
  1851. 三輪 みつね: うん
  1852. 時雨: それでセキュリティを突破する ためにね
  1853. 時雨: 三輪さんの改竄能力が必要なんだ
  1854. 三輪 みつね: …ごめん、手伝えない
  1855. はぐむ: あの、穢れを溜めなくても、 藍家さんの合成能力を使えば
  1856. はぐむ: 一時的にみつねちゃんの能力を 移すことができるから
  1857. 時雨: それに、今ネオマギウスにはね 時女一族のリーダーもついてるし
  1858. 時雨: プロミストブラッドの三女もいる
  1859. 時雨: あと、東の十七夜さんと 調整屋のみたまさんもいるんだよ
  1860. はぐむ: うん、きっと成功させられるし、 魔法少女をみんな知ってくれる
  1861. はぐむ: そうすれば私たち魔法少女は みんなを救うヒーローになれる
  1862. はぐむ: みつねちゃんがSNSで 発信してた通りになるんだよ
  1863. 三輪 みつね: そうだね…
  1864. 三輪 みつね: 薄暗い部屋にこもってゲームをしてるのが 三輪みつねという私の一糸まとわない本当の姿で 明るく輝く魔法少女として ヒーローのように振る舞っているのは偽りの姿
  1865. 三輪 みつね: そうやって偽っている自分がイヤで 私は潤と一緒に偽りの自分を本当にするために 魔法少女としての活動を続けてきた
  1866. 三輪 みつね: 潤は急に海外に行って会えなくなっちゃったけど 戻ってくるまでに強くなろうって思ってた
  1867. 三輪 みつね: だけど、私は気付いちゃった… 藍家さんにお願いされたことを実行に移したとき 私は自分が後戻りできないことをしたと悟った
  1868. 三輪 みつね: だから…
  1869. 三輪 みつね: …私はヒーローになれないよ 藍家さんが何を成功させてもね…
  1870. 三輪 みつね: …私はもう“死んだ潤”にも 顔向けなんてとてもできない…
  1871. 時雨: ――っ!?
  1872. はぐむ: え、あの、みつねちゃん…? 潤ちゃんのことって…その…
  1873. 三輪 みつね: うん…思い出した…
  1874. 三輪 みつね: 藍家さんのお願いを実行して ヒーローになれないと思ったとき
  1875. 三輪 みつね: 自分にかけられていた魔法が 解けちゃったんだ…
  1876. 三輪 みつね: …藍家さんは 何も思ってないと思うけど
  1877. 三輪 みつね: それだけ、私のしたことは 人に許されることじゃなかった…
  1878. 時雨: え、っと…どういうこと…?
  1879. はぐむ: …ねむ様は魂をすり減らして、 足が動かなくなった…
  1880. 時雨: あ、うそ…もしかして、 そんなひどく絶望するぐらい…
  1881. はぐむ: ねぇ、藍家さんに 何をお願いされたの…!?
  1882. 三輪 みつね: …………
  1883. 三輪 みつね: 「神浜市長戦で 西側の候補の目的を改竄すること…」
  1884. はぐむ: うそ…
  1885. 三輪 みつね: …人のためになるんだって 浅い考えの私がバカだった…
  1886. 三輪 みつね: それこそ東の人たちと 時女一族のリーダーを揺さぶる
  1887. 三輪 みつね: ただ、それだけのために 神浜市を混乱させて
  1888. 三輪 みつね: 東の人たちを苦しめて、 多くの人生を奈落に落とした…!
  1889. 三輪 みつね: それで何が残ったって ネオマギウスが勝つ道筋だけ…
  1890. 時雨: それなら…
  1891. 時雨: で、でもはぐむん…ぼく… なんか理屈が通らない気がする…
  1892. はぐむ: 私もモヤモヤする… 体が動かなくなったとしても
  1893. 時雨: 三輪さんに感じてた あのときの違和感は正しかった…
  1894. 時雨: もっと早く言ってくれたら…
  1895. 三輪 みつね: …こんな軽蔑されるようなこと 言えるわけない…
  1896. 三輪 みつね: できるなら私は、 墓場まで持っていきたかった…
  1897. 時雨: …ごめん
  1898. 三輪 みつね: どこかで負ければって思ってた…
  1899. 三輪 みつね: けど、藍家さんはまだ動いてる 次に向けて動いてるんでしょ…?
  1900. 三輪 みつね: …あの人にとって 周りの人たちはみんな害悪だよ
  1901. 三輪 みつね: だから罪悪感がないし なんでもやろうとする…
  1902. 三輪 みつね: 自分だけが天辺にいればよくて、 他はどうでもいいんだよ
  1903. 三輪 みつね: お願い…
  1904. 三輪 みつね: 私の罪は地獄で償うから、 あの人を止めて…!
  1905. 三輪 みつね: ごめん…
  1906. はぐむ: ううん、取りあえず今は サーシャさんに聞いてみよう
  1907. はぐむ: たぶん教官もミユリちゃんも 知ってて何も言わないんだと思う
  1908. はぐむ: それなら、最後に頼れるのは サーシャさんだけだよ
  1909.  
  1910. FILENAME: text_103003-12_km1wv.txt
  1911. ミユリ: 燦様、どうでしたか?
  1912. 燦: さすがに無理ね… 集中治療室には入れないわ…
  1913. ミユリ: 灯花様の写真を撮るだなんて 夢のまた夢ですねぇ…
  1914. 燦: こうなると 三輪が必要不可欠になるわね
  1915. 燦: 何もせずに帰るのも癪だし、 やることはやって帰りましょう
  1916. ミユリ: ですねですね!
  1917. 燦: …………
  1918. みふゆの声: 灯花の部屋に入るにしても パスワードが変わってますよ
  1919. 燦: みふゆさん…
  1920. みふゆ: 久しぶりですね教官
  1921. みふゆ: 灯花とねむのソウルジェムを 破壊したかったんでしょうけど
  1922. みふゆ: 強行突破は無理ですよ 中には桜子さんもいますから
  1923. 燦: さすがは元マギウス 厳重な警戒態勢ね
  1924. みふゆ: 用が済んだなら帰ってください
  1925. ミユリ: ま、まだ用事は終わってません みふゆさんにも用があるんです
  1926. みふゆ: ワタシに?
  1927. 燦: はい、少し時間をくれませんか?
  1928. みふゆ: 病院で暴れないでくださいよ?
  1929. 燦: 当然じゃないですか 少し話をしたいだけです
  1930. みふゆ: それならワタシも話があります
  1931. 燦: 紅茶で良かったですか?
  1932. みふゆ: はい、ありがとうございます それで、話とはなんでしょうか?
  1933. 燦: はい、単刀直入に伺います ネオマギウスに来ませんか?
  1934. みふゆ: なっ…
  1935. みふゆ: ノーに決まってるじゃないですか 可能性はゼロですよ
  1936. 燦: 天音月咲はこちらにつきました
  1937. みふゆ: まさか…
  1938. 燦: プロミストブラッドの動向は そこから漏れたんです
  1939. みふゆ: …………
  1940. 燦: それに、マギウスのふたりに 恩があるんじゃないですか?
  1941. 燦: こうして病院に赴いてまで、 面倒を見るぐらいなんですから
  1942. みふゆ: 確かにそうですね…
  1943. 燦: 私たちはマギウスの思想である 魔法少女至上主義を継いでます
  1944. 燦: 灯花様とねむ様に恩を感じるなら こちらに付く理由になりませんか
  1945. みふゆ: 無理矢理すぎますよ まったく付く理由にはなりません
  1946. みふゆ: それにワタシはマギウスではなく 灯花とねむに感謝してるんです
  1947. 燦: つまり、今の彼女たちに… どういったワケで…?
  1948. みふゆ: ふたりがワタシに 夢を見させてくれたからですよ
  1949. 燦: 夢…?
  1950. みふゆ: 灯花とねむからは 大学の薬学部に入るために
  1951. みふゆ: 勉強を教えてもらっていたんです
  1952. みふゆ: それはマギウスの翼で活動する 資金を得るための代償でしたが
  1953. みふゆ: 同時にふつうの女の子のように 生活を送るための道筋でもあった
  1954. みふゆ: そう思うとワタシは、ふたりから 希望を与えられているのに
  1955. みふゆ: 何も返せていないように思えて、 とても悔しかったんです…
  1956. 燦: そうですか…
  1957. 燦: 私たちのところには、 来てくれそうにないですね
  1958. みふゆ: 灯花とねむのソウルジェムを 壊そうとした時点で有り得ません
  1959. 燦: では、次はみふゆさんの 話を聞かせてください
  1960. みふゆ: 同じですよ 教官もこちらに来ないかなと
  1961. 燦: 同じく可能性はゼロですね 条件次第ではありますが
  1962. みふゆ: なんですか?
  1963. 燦: ネオマギウスの目的を ユニオン側が受け継ぐことです
  1964. みふゆ: それだとユニオンが ネオマギウスの看板を掲げただけ
  1965. みふゆ: はぁ…不毛な話ですね…
  1966. みふゆ: …………
  1967. みふゆ: これは無理を承知で聞くのですが
  1968. 燦: はい
  1969. みふゆ: あなたたちネオマギウスは今、 何をしようとしてるんですか?
  1970. 燦: …ミユ、時間はどう?
  1971. ミユリ: 大丈夫だと思います
  1972. 燦: じゃあ、教えてあげるわ 梓みふゆ
  1973.  
  1974. FILENAME: text_103003-13_km1wv.txt
  1975. みふゆ: なっ…本気で言ってますか…?
  1976. 燦: 当然よ
  1977. みふゆ: バカ言わないでください!
  1978. ミユリ: 病院では静かにしないと いけませんよ
  1979. みふゆ: 冷静になっていられますか!
  1980. みふゆ: 自分が何を言ってるか… 正気ですか、神楽燦!
  1981. 燦: ええ、もちろんよ
  1982. みふゆ: 下手をすると 虐殺になりかねません…!!
  1983. みふゆ: な…なに…?
  1984. みふゆ: 視界が…ゆれ…
  1985. 燦: …………
  1986. 都 ひなの: ―ひなの― ずいぶんと体は頑丈みたいだが 内側はどうだろうな
  1987. 燦: ―燦― な…
  1988. 都 ひなの: ―ひなの― コイツはアタシのとっておきだ
  1989. 燦: ―燦― 薬品…
  1990. 燦: 学ばせてもらったわよ
  1991. 燦: とりあえず薬品を用意してくれた 羽根には礼を言わないと
  1992. 燦: ミユ
  1993. ミユリ: はい、燦様!
  1994. 燦: 宮尾と安積の 様子を見に行きましょう
  1995. 時雨: サーシャさんのメッセージ… 書いてあることって本当かな…
  1996. はぐむ: だって、この作戦が原因で サーシャさんが抜けたのなら…
  1997. はぐむ: 下らないウソだなんて思えない…
  1998. 時雨: だって、変だよ!
  1999. 時雨: ぼくたちは確かにみんなに 認めて欲しいって思ってるけど…
  2000. 時雨: その道筋なのかもしれないけど…
  2001. 時雨: …こんな、こんな未来 ぼくは求めてないよ…!!
  2002. はぐむ: うん…私だって学校の人たちを 殺したいわけじゃない…
  2003. 三輪 みつね: たぶん、良心の呵責なんてない… 当然だと思ってる…
  2004. 三輪 みつね: だけど、教官に止められてる… ふたりに言うことを…
  2005. はぐむ: …………
  2006. 樹里: 失敗や不幸があったときは 自分のせいにしとけよ
  2007. 樹里: 樹里サマも自分のやることを ビョーキのせいにするけどな
  2008. 樹里: 根っ子では自分のせいだって 思うようにしてる
  2009. 樹里: ネオマギウスの新しい仲間が どんなヤツかは知らねーけどな
  2010. 樹里: 自分にとって優しいヤツは危険だ 気付いたときには食われてるぞ
  2011. はぐむ: っ、逃げよう時雨ちゃん!
  2012. 時雨: はぐむん…
  2013. 時雨: うん…
  2014. 時雨: 三輪さんも一緒に行こう! ぼくたちが連れていくから…!
  2015. 三輪 みつね: うん…
  2016. 三輪 みつね: 教官とミユリちゃんが来る…
  2017. 三輪 みつね: 裏の非常階段なら…
  2018. 時雨: うん… 捕まって三輪さん…!
  2019. 三輪 みつね: ありがとう…
  2020. 三輪 みつね: ―みつね― きゃぁああッ!
  2021. 時雨: ―時雨― ちゃんと捕まってて、三輪さん…!
  2022. はぐむ: ―はぐむ― 何でもいいから今は教官たちと距離をとって 藍家さんを止める方法を考えないと…!
  2023. 時雨: ―時雨― それならユニオンに泣きつこう!
  2024. はぐむ: ―はぐむ― 大丈夫かな…?
  2025. 時雨: ―時雨― 格好悪くてもいいから 今は頼れる人に頼らないと…
  2026. 時雨: ―時雨― じゃないと手遅れになる…!
  2027. はぐむ: ―はぐむ― うん…そうだね…!
  2028. 燦: 宮尾と安積の反応が消えた…
  2029. ミユリ: 三輪もいませんし、 先に移動したのかもしれませんね
  2030. 燦: だといいけどね…
  2031. 灯花: 「えー、もしかして自分の目を使って 虹彩認証を突破しようとしちゃったのかにゃー? ぷぷーっ! そんなので突破なんて無理に決まってるよ」
  2032. 灯花: 「ちなみに赤外線写真で誤魔化せるような びみょーなシステムじゃないから 変な小細工は考えない方がいいと思うよ?」
  2033. 灯花: 「それより勝手に入ってきたことを謝って 早く警察の人たちのお世話になろう! この映像が再生された時点で通報済だからね!」
  2034. ひめな: …………
  2035. 灯花: 「なーんてウソでしたー はい、これが最後のチャンスだよ? 早く出るなら出てってよね じゃーばいばーい」
  2036. ひめな: …ここ何年かで いっちばんムカツク煽られかた…
  2037. ひめな: それにしても、やっぱ みわりんの能力は必須だなぁ…
  2038. ピロン♪
  2039. いろは: …………
  2040. うい: お姉ちゃん メッセージの音が鳴ったよ
  2041. うい: ちはるさんかな?
  2042. いろは: えっ、あっ、ごめんね
  2043. いろは: …………うそ…
  2044. うい: どうしたの…?
  2045. いろは: 月夜ちゃんからメッセージで、 月咲ちゃんと連絡がとれないって
  2046. いろは: 家にもいなくて 書き置きだけ残して行方不明…
  2047. うい: なんだか…みたまさんのときと 似てる気がする…
  2048. いろは: そう、なんだけど… それって考えたくないけど…
  2049. 鶴乃: プロミストブラッドが 二木市に帰る話が漏れたのも
  2050. 鶴乃: ネオマギウスが動けたのも …うん、合点がいっちゃうね…
  2051. フェリシアの声: 見つけたーーーーー!!
  2052. 鶴乃: うぉぉっ 今度はフェリシア!?
  2053. ももこ: ちょっとアタシらで見てくるよ
  2054. ももこ: どうしたんだよ 急にでっかい声出してさ
  2055. フェリシア: だから見つけたんだよ この家の中で何かしてた証拠!
  2056. やちよ: ええ、わかりづらかったけどね…
  2057. ももこ: 調整屋と十七夜さんは、 何をしてたんだ…?
  2058. やちよ: この部屋のパソコンを 壊したのよ…
  2059. ももこ: パソコン…?
  2060. やちよ: 里見さんが管理しているものに 何かがあればアラートが届く
  2061. やちよ: 里見さん自身、この部屋に こもることが多いから
  2062. やちよ: そう設定されていたんだけど
  2063. やちよ: 誰にもアラートが届かないよう パソコンが壊されていた
  2064. やちよ: 目立たないように 電源の部分だけ壊してるわ
  2065. フェリシア: つまりアイツら 灯花の何かを使うつもりなんだよ
  2066. やちよ: ネオマギウスの目的を考えれば おのずと想像はつくわ
  2067. ももこ: …魔法少女の存在を知らしめる 魔法少女至上主義を
  2068. やちよ: 純さんの能力を使って 植え付けたかったんでしょう
  2069. ももこ: 灯花が関わって拡散できるって なると…電波望遠鏡か…
  2070. やちよ: そう、鶴乃のカンが当たったわ
  2071. やちよ: かつて最悪の魔女を呼んだ 機材を使って
  2072. やちよ: 彼女たちは自分たちの思想を 神浜市に広げようとしている…
  2073. ―取材記録― 宮尾 時雨
  2074. 時雨: 「え、ぼくの話も聞くの…? いいよ別に…。 話したところで変わらないし…」
  2075. 時雨: 「魔力込めるだけでいいでしょ…?」
  2076. 時雨: 「…ダメなら、早く帰って欲しいし 話してもいいけど、あんまり見せないで。 あの…恥ずかしいから…」
  2077. 時雨: 「知ってると思うけど、 ぼくは魔法少女至上主義を広めたくて、 実はぼくたちがすごいんだぞって みんなに知って欲しい…」
  2078. 時雨: 「魔女と頑張って戦ってみんなを助けてるし 本当はバカにされたりするのは 違うと思うから…」
  2079. 時雨: 「うん、ぼくはただ、 すごいね、頑張ってるね、ありがとう って言って欲しいんだ」
  2080. 時雨: 「それに、ぼくはたくさんの人といるより ひとりでいる方が好きだから、 教室でひとりだからって、 バカにされなくなると嬉しいな…」
  2081.  
  2082. FILENAME: text_103004-1_km1wv.txt [Episode 4]
  2083. みふゆ: …………
  2084. ミユリ: 電波望遠鏡に着くまで、 目を覚ましそうにないですね
  2085. 燦: そうは言っても体は魔法少女
  2086. 燦: 私と同じように 回復が早い可能性だってあるわ
  2087. ミユリ: 燦様は固有魔法のおかげかと 思ってましたがぁ…
  2088. 燦: 確信が持てない以上、 目を覚ます前に連れていかないと
  2089. ~~♪~~♪
  2090. 燦: 和泉十七夜ね…
  2091. ミユリ: ミユにも姫様から電話ですぅ!
  2092. 燦: どうしたの?
  2093. 十七夜: 七海たちが こちらに移動してるようだ
  2094. 十七夜: どうも、我々の動きを察知して、 電波望遠鏡に向かってるらしい
  2095. 燦: 構わないわ 十分時間は稼げたはずよ
  2096. 十七夜: 一応、こちらでも 羽根たちを預かっている手前
  2097. 十七夜: なるべく足止めをして、 時間を稼げるようにする
  2098. 燦: わかったわ
  2099. 燦: 相手も交戦するのは不本意のはず 十分に時間は稼げるはずよ
  2100. 十七夜: 時女の本家は まだ突破されていないか
  2101. 燦: どちらかというと心配なのは そっちの方ね
  2102. 燦: 水徳寺に残った分家と 接触したって話は聞いたけど
  2103. 燦: あれから状況の報告がないわ
  2104. 十七夜: もしも何かありそうなら 教えてくれたらサポートする
  2105. 燦: ありがとう
  2106. 燦: ミユ、先を急ぎま
  2107. ミユリ: ェエエッ!?
  2108. 燦: ――っ!?
  2109. ミユリ: じゃあ、宮尾と安積は そっちに戻ってないんですか!?
  2110. ひめな: このまま、みわりんもいないのは ヤバヤバのヤバだからさ
  2111. ひめな: とりま、教官に 話を伝えてくんない?
  2112. ミユリ: わかりましたぁ!
  2113. 燦: 宮尾と安積が 電波望遠鏡に戻ってないって?
  2114. ミユリ: なんでわかったんですか!?
  2115. 燦: 病院での様子からして 少し違和感があったからね
  2116. 燦: 私たちより先に 病院を出ているはずだから
  2117. 燦: 有り得る話だと思ったのよ
  2118. ミユリ: どうしましょう…
  2119. 燦: ミユはみふゆさんを連れて、 先に電波望遠鏡に戻って
  2120. ミユリ: えっ!?
  2121. 燦: 私は和泉十七夜たちがいる所を 尋ねてからそっちに行くわ
  2122.  
  2123. FILENAME: text_103004-2_km1wv.txt
  2124. みたま: 追いつかれてしまったわね
  2125. 十七夜: 思ったより早かったな
  2126. ももこ: 神浜市の魔法少女たちは、 魔女の対応で大忙しだからね
  2127. ももこ: 人を取りまとめる必要もないし、 色んな手間が省けただけだ
  2128. 十七夜: ネオマギウスの姫君が 事前に準備をしていたおかげだな
  2129. みたま: グリーフシードが手に入るから
  2130. みたま: ドッペルが出せなくなった 神浜市では、都合が良いでしょ?
  2131. うい: そんなこと言わないで ふたりとも戻ってきてよ!
  2132. うい: わたしたちのこと 嫌いになっちゃったの…!?
  2133. みたま: …何とも思ってないわ でも、きっと今でも大好きよ…
  2134. 十七夜: うむ…
  2135. 十七夜: 自分も見切りを付けたとはいえ、 争いたくはない…
  2136. 十七夜: だが、目的のためには 衝突せざるを得ないこともある…
  2137. いろは: 神浜市を変えるための 必要悪になるって言うんですか
  2138. 十七夜: 博愛主義の環君には 心苦しいと思うが許してくれ
  2139. 十七夜: 恨むなら、今の神浜市を作った 歴史を恨んで欲しい…
  2140. いろは: 私だって誰かと衝突したり、 競争することは否定しないけど
  2141. いろは: だからって、人を無闇に傷付けて 命を奪うのは違うと思います…
  2142. みたま: いろはちゃんの考えはね、 人を信用しないとできないことよ
  2143. みたま: わたしと十七夜が溜め込んだ 不信感は黙っていても消えない
  2144. みたま: 声をあげたって変わらない
  2145. みたま: あとは何で訴えかけるかって 力しかないじゃない…
  2146. 鶴乃: 滅びの結果は変わらないから、 せめて意味を残すために…
  2147. やちよ: どうせ覚悟が揺るがないなら、 早く電波望遠鏡に行きましょう…
  2148. やちよ: ネオマギウスが利用するのは 間違いないんだから
  2149. 十七夜: 争いたくはないが、 争う理由はあることを忘れるな
  2150. 鶴乃: 足止めはするってこと…
  2151. フェリシア: んなーーー!
  2152. 鶴乃: フェリシア…
  2153. フェリシア: 俺は戦いたくねーぞ! だってみんな仲間じゃんか!
  2154. フェリシア: すんげーやだ! 胸の奥がグシャグシャする!
  2155. みたま: わたしたちだって同じよ
  2156. さな: せめて、何をしようとしてるか それだけ教えてください…!
  2157. うい: うん、もしかしたら 戦わなくていいかもしれないよ?
  2158. 十七夜: わかった 自分たちに答えられることならな
  2159. うい: じゃあ、 わたしから聞かせて!
  2160. うい: userNameを捕まえて、 どこに連れて行ったの?
  2161. 十七夜: もう土産として 藍家ひめなに渡したあとだ
  2162. うい: そんな…
  2163. いろは: な、何!? 急に近付いてくる反応が…
  2164. 時雨: は、はぁ… どうして、教官にバレた…
  2165. はぐむ: わ、わからないけど 動き方がバレバレだったのかも
  2166. 三輪 みつね: い、急いで急いで! すごい勢いで近付いてくる
  2167. 燦: 和泉十七夜!八雲みたま! その3人を止めなさい!
  2168. 燦: 三輪みつねを確保できるなら、 他ふたりはどうなってもいい!
  2169. 十七夜: ――っ!?
  2170. みたま: まさかここに来て離反!?
  2171. 十七夜: 相手があのふたりだ 作戦の真相を知ったらしいな
  2172. 燦: まだどこかに潜伏した方が 時間はしのげたっていうのに
  2173. 燦: 助けを求めに行く負け癖は、 何ひとつ変わらなかったようね
  2174. 時雨: きょ、教官…
  2175. はぐむ: っ、お願い環さん! 今までのことは謝るから助けて!
  2176. 時雨: うん…! ぼくたちのことはいいから!
  2177. 時雨: お願い、三輪さんだけは! 三輪さんだけは助けて!
  2178. 鶴乃: うぇええっ…?
  2179. 鶴乃: あのふたりが抜けるなんて、 よっぽどのことだよ…
  2180. いろは: うん、3人を助けよう! 話をちゃんと聞かないと!
  2181. みたま: 真っ向勝負になるわね いろはちゃん
  2182.  
  2183. FILENAME: text_103004-3_km1wv.txt
  2184. 燦: 三輪はこちらに寄越してもらう!
  2185. 時雨&はぐむ: 「うぁああっ!!」 「きゃぁあああッ!!」
  2186. 燦: 何も知らなかったと思った方が、 まだ前向きに協力できるわよ
  2187. 三輪 みつね: 何を言ってるの…? 今さら無理に決まってるよ…!
  2188. 燦: まぁ、痛いようにはしないわ 使うのはあなたの能力だけだから
  2189. 燦: 罪悪感で魔女になるのだけは、 気をつけなさい
  2190. うい: 時雨さん!はぐむさん! 今、みんなで助けるからね!
  2191. 燦: 頼んだわよ、和泉十七夜!
  2192. 十七夜: すまないが、 必要な人員を渡すわけにはいかん
  2193. うい: …十七夜さん
  2194. はぐむ: ごめんね、ういちゃん…
  2195. はぐむ: 私たちみんなに 助けてもらえる立場じゃないのに
  2196. 時雨: …三輪さん!
  2197. 三輪 みつね: 大丈夫… 簡単には利用されないよ…
  2198. 時雨: でも、このままじゃ…
  2199. 三輪 みつね: 電波望遠鏡に忍び込めたら、 何かできることもあるはず…
  2200. 三輪 みつね: 足は動かないけど、 魔法はまだ使えるからね
  2201. 時雨: 無理したらダメだよ!?
  2202. 三輪 みつね: お互いにね
  2203. 時雨: ぼくには、 ぼくのできることを…!
  2204. 時雨: っ、みんなにネオマギウスが 何をしようとしてるか教えるよ!
  2205. はぐむ: 時雨ちゃん…!
  2206. いろは: ――っ!?
  2207. みたま: はぁ…
  2208. フェリシア: 早く教えろ!
  2209. 時雨: 「姫たちは電波望遠鏡を使って 魔法少女の存在を広めようとしてるんだ」
  2210. 時雨: 「本当ならできないはずなんだけど マギウスも魔女を呼んでるから 無指向性のアンテナがあるのかもしれなくて…」
  2211. 時雨: 「って、そんな話は別によくて!」
  2212. 時雨: 「姫は魔法少女が人間より優れた存在で 逆らうと危険だって思わせようとしてるんだ」
  2213. 時雨: 「それも洗脳とか改竄で誤魔化すんじゃない 本能的に逆らえないように 恐怖で心をへし折って追い詰めようとしてる…!」
  2214. 時雨: 「これから発した電波を受けた人は “食べることも飲むこともできなくなる” 姫たちの一存で生命の維持すらも コントロールされることになる…!」
  2215. 時雨: 「学校の人たちも家族もみんな!みんな!」
  2216. 時雨: 「そして人間の意思で無理矢理ぼくたちに 頭を下げさせようとしてるんだ!」
  2217. 十七夜: ぐっ…!
  2218. やちよ: なんてことに手を貸してるの アンタってやつは…!
  2219. やちよ: 今からでも潜入してただけだと 言いなさい!早く言いなさい!
  2220. 十七夜: っ!
  2221. やちよ: ぐっ!
  2222. 十七夜: ケホッ、クッ… 悪いが七海、現実を受け入れろ…
  2223. やちよ: あなたの大切な家族は バイト先の人は、いいの…?
  2224. 十七夜: 心の整理はついた…
  2225. 鶴乃: いろはちゃん 他のみんなにも連絡しよう!
  2226. 鶴乃: 早く電波望遠鏡を抑えないと!
  2227. いろは: もう連絡を入れてます! 他の人も、みんなに伝えて!
  2228. うい: 魔女と天秤にかけるなんて 嫌だけど…でも…
  2229. いろは: ネオマギウスを食い止めないと 大惨事になっちゃう…!
  2230. ももこ: そこをどいてくれ調整屋…
  2231. みたま: イヤよ
  2232.  
  2233. FILENAME: text_103004-4_km1wv.txt
  2234. みたま: ようやく本気になってくれた みたいね、ももこ
  2235. みたま: どうせ計画が遂行されるまで あと少しなんだから
  2236. みたま: 無駄な争いはやめましょう
  2237. ももこ: 争いたくないのは こっちだって同じだっての
  2238. ももこ: でも見てられないだろ!
  2239. ももこ: アタシたちは、自分たちの 家族の命がかかってるんだ!
  2240. レナ: こんなの、 戦う以外にないじゃない…
  2241. …………
  2242. かえで: ももこちゃん、レナちゃん! 他の羽根たちも来たよ!
  2243.  
  2244. FILENAME: text_103004-5_km1wv.txt
  2245. ももこ: くそっ…
  2246. ももこ: 数ばっかり多いクセに、 時間ばっかり稼ぎやがって
  2247. レナ: なんだか、のらりくらり やり過ごされてる気がする…!
  2248. みたま: そう、わたしたちは 時間さえ稼げたらいいんだから
  2249. みたま: ゆっくりやらせてもらうわよ
  2250. かえで: うゆぅ、攻撃は強くないけど、 動きづらくしてくる…
  2251. みたま: それに、 かえでちゃんは優しいのよ
  2252. みたま: わたしたちの目的を知って、 本気で怒ってても
  2253. みたま: 魔力の反応でわかるわよ まだ、ためらいがあるって
  2254. レナ: そんなの当然じゃない!
  2255. レナ: レナたちは 調整してもらったりして
  2256. レナ: みたまさんの 世話になってきたんだから!
  2257. 十七夜: っ、はぁ…はぁ…
  2258. やちよ: さすが、やるわね…
  2259. 十七夜: 七海も… ふっ、変わらんな…
  2260. 十七夜: 全盛期を過ぎたというのは、 偽りのようだ…
  2261. やちよ: ふぅ…雑談は要らないわ…
  2262. やちよ: ユニオンのメンバーが来る前に 武器を収めて諦めなさい…
  2263. 十七夜: そのまま返そう
  2264. 十七夜: ユニオンのメンバーと言っても、 全員が連絡に気付くはずがない
  2265. 十七夜: それに、先ほどの三輪みつねが 電波望遠鏡に届けられて
  2266. 十七夜: 梓も捕えることに成功した
  2267. 十七夜: userNameもいるとなると キモチの石以外はそろっている
  2268. 十七夜: 手遅れだ
  2269. やちよ: みふゆが…!?
  2270. 十七夜: 保有している能力を考えれば、 純美雨の代用だろう
  2271. やちよ: っ、アンタたちは!
  2272. 十七夜: もう間に合わない! 諦めろ、七海!
  2273. やちよ: こうまで弄ばれて、 諦められるものですか!
  2274. いろは: 私たちで道を作ります!
  2275. 鶴乃: 一緒に突破口を作ろう! いろはちゃん!
  2276. いろは: うん!
  2277. いろは&鶴乃: 「いっけぇえええッ!!」 「ちゃらぁああッ!!」
  2278. 鶴乃: わたしといろはちゃんによる 最強の共同作業!
  2279. 鶴乃: ここから電波望遠鏡に行って! ししょー!
  2280. いろは: やちよさん、お願いします!
  2281. 十七夜: させん!
  2282. フェリシア: こっちだってさせねーぞ!
  2283. さな: 十七夜さんは ここで食い止めます…!
  2284. うい: 本当に実行されて 町のみんなが苦しんじゃうと
  2285. うい: きっと十七夜さんと みたまさんの心も苦しくなるよ!
  2286. うい: キャッ!
  2287. 私たちでここは押さえます!
  2288. 時雨: ぼくたちだって、 助けばかり求めてられない…!
  2289. はぐむ: うん、私たちが撒いた種なのに…
  2290. 十七夜: ならば、それを芽吹かせて 大輪の花を咲かせるのが自分だ
  2291. やちよ: 十七夜…!
  2292. 十七夜: そちらのチームワークには 恐れ入るが突破できる数ではない
  2293. ももこ: くそ…調整屋… 本当にお前はこれでいいのかよ…
  2294. みたま: 最善だと思ってるわ
  2295. ももこ: この町に住む万単位の人たちを 犠牲にすることがか…
  2296. みたま: 変な意地を張らなければ、 犠牲にはならないわ
  2297. みたま: 魔法少女に屈する気持ちになれば 飲食はできるみたいだからね
  2298. ももこ: 周りに恐怖の対象として見られて それからどうするんだよ…
  2299. みたま: ネオマギウスが キモチの石を全部集めて
  2300. みたま: userNameを使って 自動浄化システムを奪って
  2301. みたま: 彼女たちが求めている 理想の未来を作るだけよ
  2302. 十七夜: 感情がないuserNameは 自動浄化システムと繋がれる
  2303. 十七夜: それを応用して姫君は、 自動浄化システムを奪うために
  2304. 十七夜: userNameをハブとして 扱うつもりらしい
  2305. 十七夜: 自分としては、魔法少女の下に 平等な社会が残るのならば
  2306. 十七夜: 大いに結構な話だと思っている
  2307. やちよ: なっ…
  2308. 十七夜: あのキュゥべえからの 入れ知恵なのは、気になるがな
  2309. 鶴乃: でも、本当ってことだよね
  2310. やちよ: 私たちを争わせてエネルギーを 得ようって魂胆も見えてくるわ…
  2311. いろは: キュゥべえに利用されてるって 藍家さんは考えないんですか…?
  2312. 十七夜: 利用されても構わないと 考える性質ではないからな
  2313. 十七夜: 狡猾さでは 負けないつもりなのだろう
  2314. いろは: …………
  2315. 十七夜: とりあえずもう諦めてくれ
  2316. 十七夜: こうして教えたのも、 間に合わなくなった環君たちへの
  2317. 十七夜: せめてもの償いだ
  2318. いろは: (プロミストブラッドもいない 時女一族も足止めを食らってる)
  2319. いろは: (私たちも抜けられない…)
  2320. いろは: (魔女の対応をしてるメンバーが 動いてくれたら…)
  2321. いろは: 祈るしかないの…? 神浜市の命運がかかってるのに…
  2322. うい: …お姉ちゃん
  2323. いろは: 大丈夫、諦めたら終わりだもん きっと何か光明が見えるはずだよ
  2324.  
  2325. FILENAME: text_103004-6_km1wv.txt
  2326. すなお: うっ…!
  2327. ちか: だっ、大丈夫ですか!?
  2328. 南津 涼子: キモチの石を通して、静香の心と 繋がれなかったのか!?
  2329. ちはる: 一瞬繋がることはできたけど、 弾かれちゃったんだよぅ…
  2330. ちはる: わたしが持ってる キモチの石じゃダメなのかなぁ…
  2331. 静香: 付いて来た分家が離れたとしても 私は本家としての本懐を遂げる
  2332. 静香: 時女一族の長として、 善き道を阻むことは許さない
  2333. 静香: たとえ相手があなたたちでも
  2334. ちはる: うっ…また、瞳合わせ…
  2335. 南津 涼子: おいおい、 こっちにまで響いてるぞ…
  2336. すなお: どうして、頑なに壁を作って、 耳を傾けてくれないんですか…!
  2337. 樹里の声: コイツで確かめりゃ わかるかもしんねーぞ
  2338. すなお: あなたは…
  2339. 智珠 らんか: 環いろはが結菜さんを通して 連絡してきたわ
  2340. 樹里: 樹里サマのキモチの石を使って コイツを目覚めさせろってな
  2341. 樹里: ひとり残った本家を倒さねーのは まだ信用してるからだろ?
  2342. 樹里: ほら、さっさと受け取って 全力で叱ってやりな
  2343. すなお: ――っ!?
  2344. 樹里: 今の樹里サマにとっては 無用の長物にすぎねーんだよ
  2345. 樹里: もらっとけ
  2346. 智珠 らんか: その敬愛のキモチなら、 本家と繋がれるかもしれないよ
  2347. ちはる: あっ…
  2348. ちはるの母: 静香ちゃんだって あなたと同じぐらいの年頃よ
  2349. ちはるの母: あの子が一族の強い重圧の中でも 耐えられたのはね
  2350. ちはるの母: ひとりじゃなかったからよ
  2351. ちはるの母: 周りの子たちに支えられて ひとつになれていたからなのよ
  2352. ちはる: そっか…そっか…! ごめん、静香ちゃん!
  2353. 静香: いきなり何…?
  2354. 静香: そっちがキモチの力を使うなら 私も使わせてもらうわよ
  2355. ちはる: そうじゃなくて…!
  2356. ちはる: お母さんが言ってたのは、 分家を倒せって話じゃなくて
  2357. ちはる: わたしたちが静香ちゃんを 支えないとってことだったんだ…
  2358. 静香: …………
  2359. ちはる: わたし、支えてるつもりで、 本家だからって任せてた…
  2360. ちはる: 大切な一族の意思を決めることを 静香ちゃんに任せきりだった!
  2361. すなお: っ…
  2362. ちはる: わたしたちで、 時女一族をやり直そうよ!
  2363. 静香: …………
  2364. 静香: 今さら…都合が良すぎる…
  2365. すなお: 私たちは静香を支えず、 大切な決断を任せていた…
  2366. ちはる: ごめん、静香ちゃん…
  2367. 静香: 謝るなら、付いて来てよ 私に決断を仰いできたんだから!
  2368. ちはる: ぅ…
  2369. 青葉 ちか: 迷っちゃダメです ちはるさん
  2370. 青葉 ちか: 今、連絡が回ってきました
  2371. 青葉 ちか: ネオマギウスは本能的に人々が 魔法少女を畏怖するように
  2372. 青葉 ちか: 魔法少女が優位な存在だと 人々が認めない限り
  2373. 青葉 ちか: 食べることも飲むことも できない体にしようとしてます…
  2374. 南津 涼子: そのために電波望遠鏡を 使おうって腹だ
  2375. 南津 涼子: ちゃる、すなお 大将の目を覚まさせてやれ
  2376. 南津 涼子: こんな時女一族なら、 あたしは付いていけねぇ
  2377. ちはる: うん…任せてたのは謝る…
  2378. ちはる: だけど、過ちに気付いたら止める それも分家の役割なんだ!
  2379. すなお: ちゃる、静香に 私たちの愛情を届けましょう!
  2380. すなお: 今まで届けられなかった分 静香に寄り添いましょう
  2381. ちはる: そうだね、すなおちゃん!
  2382.  
  2383. FILENAME: text_103004-7_km1wv.txt
  2384. ちはる: ここ、静香ちゃんの心の中…? 本当に入れちゃった…
  2385. すなお: 環さんと、ちゃるのお母さんが 伝えてくれたことが
  2386. すなお: 正しかったということですね…
  2387. ちはる: わっぷ… すごい吹雪いてる…
  2388. ちはる: これが、今の静香ちゃんの、 心っていうこと…?
  2389. すなお: 静香!!
  2390. 静香: どんな手を打っても、 私の意思は変わらないわ…
  2391. すなお: すみません…
  2392. すなお: こんなに心が冷えてたのに、 私たちは何も気付かなくて…
  2393. 静香: 過ぎたことなんだからいいのよ ただ、私は自分の決めた道を行く
  2394. 静香: それは邪魔しないで
  2395. すなお: その道から戻すために、 静香に絵本を送ったんです…
  2396. すなお: 何も感じるところは ありませんでしたか…?
  2397. ちはる: あれは、さなちゃんが、 静香ちゃんに向けて描いたんだよ
  2398. ちはる: ちゃんとわたしたちの伝えたい 気持ちも添えて…!
  2399. 静香: だとしても、私に響くことは 何もなかったわ
  2400. すなお: 静香にとって人は、 悪になり得る因子を持つからこそ
  2401. すなお: 苦しみを与えることで 悪への道を断つべき存在
  2402. すなお: 絵本で何も響かなかったのは、 その認識のせいだと思います…
  2403. ちはる: そして何より、わたしたちが、 静香ちゃんを支えなかったから…
  2404. ちはる: こんな気持ちにさせたから…
  2405. すなお: はい、私たちがずっと本家という 静香に甘えてしまったから…
  2406. すなお: だから、私たちがすることを 素直に受け入れられなかった…
  2407. 静香: そこまで理解してるなら、 もういいじゃない…諦めてよ
  2408. すなお: いえ、諦めませんよ
  2409. すなお: 共に同じ道を歩むために、 もう一度、絵本の世界を通して
  2410. すなお: 自分の考えていることを、 見つめ直してもらいます!
  2411. ちはる: で、でもすなおちゃん!
  2412. ちはる: 静香ちゃんには 絵本の内容は響かなかったよ!?
  2413. 静香: …………
  2414. すなお: ちゃる、大切なものは、 物語の裏側にあるんですよ
  2415. すなお: だから静香にはいちど、 悪を演じてもらいましょう
  2416. ちはる: な、なに!?
  2417. 静香: すなお、何を見せる気!?
  2418. すなお: 見せるんじゃありません! 絵本の物語を演じるんです!
  2419. 静香: この格好って!
  2420. すなお: さあ、物語のはじまりです!
  2421.  
  2422. FILENAME: text_103004-8_km1wv.txt
  2423. すなお: 「それは、人間たちが暮らしている町から 遠く離れたところ 動物たちが生きている世界でのお話」
  2424. すなお: 「池のほとりで暮らすカメには悩みがありました それは何をするにも遅くて 誰の役にも立てないということ」
  2425. すなお: 「サカナのように早く泳いでものを運ぶことも イヌのように芸で楽しませることもできないので いつも悩んで自分の殻に閉じこもっていました」
  2426. ちはる: 「そんなある日、 遠い国から旅をしてきた白いトリが 町にやってきました」
  2427. ちはる: 「日なたぼっこをしていたカメは トリから温かい甲羅の上で羽を休ませて欲しいと お願いされると『いいよ』と応えました」
  2428. ちはる: 「トリに温かな甲羅をほめられると カメは胸の奥まで温かくなった気がしました」
  2429. すなお: 「トリの話はカメの知らないところで町に広まり 色々な話が聞こえてくるようになりました」
  2430. ちはる: 「ゾウが届かない高い所の物を取ってくれたり 迷子の子ネコのお家を空から探したり ブタさんの料理を宣伝したりと その優しさは評判で、カメの憧れになりました」
  2431. すなお: 「トリが羽を休めにカメの所に来たとき カメはトリに憧れていることを正直に伝えました すると、トリはカメに言いました」
  2432. ちはる: 「『私には何もないから みんなに優しくあろうと思ってるだけだよ』と」
  2433. ちはる&すなお: 「その物語の裏側では 森の中でこわーいトラが生活をしていました」
  2434. 静香の母: ゲホッ、ケホッ…っ… ごめんね、静香ばかりに働かせて
  2435. 静香: 母様は病気なんだから仕方ないわ 大丈夫、私は元気だから
  2436. ねえ、お姉ちゃん お腹が空いちゃった…
  2437. 静香: 夜まで我慢してちょうだい
  2438. どうして…?
  2439. 静香: 今年は食べ物が不作なのよ…
  2440. 静香: なんとかやりくりしてるけど もうすぐ冬も来るから…
  2441. 静香: 強い子だから、 もう少し我慢できるよね?
  2442. うん…
  2443. 静香の母: 私の薬はいいから、 食べ物を優先してちょうだい…
  2444. 静香: どちらも揃うように なんとかしてみせるわ
  2445. 静香: (だけど、 ないものはないのよね…)
  2446. 静香: (遠くまで足を延ばしても 結局食べ物なんてほとんど…)
  2447. 静香: ――っ!?
  2448. 静香: こんな所に町があったのね…
  2449. 静香: …みんな楽しそうにしてる
  2450. 静香: 美味しそうな香りがする…
  2451. ぐぅううぅ…
  2452. 静香: …だめよ 人様のご飯なんだから…
  2453. 静香: でも、狩りで仕留めた肉と 交換してくれるかも…
  2454. 静香の母: どうだった? 何か見つかった?
  2455. 静香: 木の実とかは 雀の涙だけど見つかったわ…
  2456. 静香: あとこれ、薬よ
  2457. 静香の母: どうやって買えたの?
  2458. 静香: 狩った生き物を町で売ったの
  2459. 静香: ただ、獲物も痩せてるから、 そんなお金にはならなかったけど
  2460. 静香の母: 近くに町なんてあったのね
  2461. 静香: 少し遠いけどね
  2462. 静香: あと、これ食べていいわよ
  2463. 本当に!?
  2464. 静香: うん、臨時収入があったからね
  2465. ありがとう、お姉ちゃん!
  2466.  
  2467. FILENAME: text_103004-9_km1wv.txt
  2468. すなお: 「“みんなに優しくあること” それを聞いてもカメはモヤモヤしていました 何をするにもノロマな自分は役に立てない その想いがずっと気分を沈めていたからです」
  2469. ちはる: 「それを知ったトリはカメの甲羅で休みながら 『今、私のために役立ってるよ』と言いました」
  2470. すなお: 「トリの優しさに触れながらカメは ひねくれずに少し前向きに考えようと思うと 少しだけ周りの人の幸せについて 考えるようになりました」
  2471. すなお: 「そして、お爺さんやお婆さんのための ノロノロタクシーをすることにしました ネズミのチューチュータクシーもありますが 早くて揺れのひどいネズミのタクシーは お年寄りには辛かったのです」
  2472. ちはる: 「それは町の中で大成功 カメはゆっくりとした自分でも役に立てるんだと ようやく自信を持てるようになり トリはそれを嬉しく思って眺めていました」
  2473. すなお: 「だけど、そんな平和な町で事件が起きました」
  2474. ちはる: 「山の中に住んでいると噂だったトラが 町の中に現れたと言うのです」
  2475. すなお: 「最初は山の中にいるやせっぽっちな生き物を 売りに来ていたようですが 最近になってとうとう牙を剥き 町の食べ物を奪っていくようになりました」
  2476. ちはる&すなお: 「どうしてトラは そんな罪を犯すようになったのでしょう」
  2477. 静香: これ、今日の分の薬だから
  2478. 静香の母: もういいのよ、静香 私は自分で長くないってわかる
  2479. 静香: そんなことないわ…
  2480. 静香の母: 自分の体のことは 自分がよくわかるから…
  2481. 静香: まだ、薪を売ればなんとかなるし 狩りだってうまくいってるから
  2482. 静香の母: じきに冬が来る…
  2483. お姉ちゃん 町から帰ってきたの!?
  2484. 静香: ふふ、そんな尻尾を振らなくても 今日もご飯ならあるから
  2485. うんっ
  2486. 雪だ!
  2487. 静香: うん、冬が来るね
  2488. 静香の母: …………
  2489. 母様、どうしちゃったの…?
  2490. どうして、 土の中に埋めちゃうの…?
  2491. 静香: 冬眠しちゃったからね、 ゆっくり眠らせてあげるのよ
  2492. 静香: 冬はこうして空気の方が ずっと冷たいからね
  2493. 静香: 土の中の方があったかいの
  2494. じゃあ私も入る!
  2495. 静香: あなたはこれから 私と一緒にお引っ越し
  2496. 静香: 春になったらまた、 母様に会いにきましょう
  2497. うん…
  2498. 静香: (十分蓄えたはずなのに、 “誰かに盗まれる”なんて…)
  2499. 静香: (静かに暮らしてただけなのに、 何をしたって言うの…)
  2500. 静香: まだ、町の近くの方が 過ごしやすいと思うから
  2501. …………
  2502. 静香: ねえ、目を開けて!
  2503. だいじょうぶ… 平気だよ、お姉ちゃん…
  2504. 静香: っ…このままじゃ
  2505. おなか、空いたねぇ…
  2506. 静香: はあ…はっ…はぁ…
  2507. 静香: 野菜だけじゃない 肉と卵もある…
  2508. 静香: これだけあれば、少しは… 少しは…!
  2509. 静香: (見つかって、 誰か突き飛ばしたけど…)
  2510. 静香: (大丈夫…たぶん、大丈夫…)
  2511. 静香: ――っ!?
  2512. ちはる: あっ…!
  2513. すなお: あなたが、噂の…トラ…
  2514.  
  2515. FILENAME: text_103004-10_km1wv.txt
  2516. すなお: 「カメとトリは 雪深い山の中から現れたトラと出会いました かごにはみんなが育てた野菜や 保存しておいたお肉や 暖かい鶏舎で産まれた卵を入れていました」
  2517. ちはる: 「驚きのあまりカメとトリは呆然として トラを見逃してしまいましたが そのあとでトラは町で働こうとしていました」
  2518. すなお: 「でも、どの動物たちも冬はヒマなようで トラにしてもらう仕事はありません」
  2519. ちはる: 「次第にトラは毎日のように現れると 少しずつ町からご飯をとるようになりました」
  2520. 静香: (また、とってしまった…)
  2521. 静香: どう、美味しい…?
  2522. うん、ありがとうお姉ちゃん お仕事は順調なの?
  2523. 静香: う、うん…春までは、 働かせてもらえるみたい
  2524. 良かったね
  2525. 静香: そうね、優しい人たちで 助かっちゃった
  2526. すなお: 「だけど、町の人たちは次第に ご飯がなくなってることに気付き始めると とうとうトラのせいだと気付きました」
  2527. ちはる: 「そしてついに捕まってしまったトラは 町の人たちにこっぴどく罰を与えられてしまい 体はボロボロで動けなくなってしまったのです」
  2528. すなお: 「まだまだ寒さが和らぐことのない冬のど真ん中 トラは町の中に置き去りにされると 雪に降られてこごえていました」
  2529. 静香: (私、このまま死ぬのかしら…)
  2530. 静香: (幼いあの子は働けない… ひとりで狩りだってできない…)
  2531. 静香: 情けないお姉ちゃんでごめんね…
  2532. すなお: …………
  2533. 静香: お願い…助けて…
  2534. 静香: 謝る、なんの言い訳もしない… 春には少しずつお返しする…
  2535. 静香: だから、その背中に乗せて、 暖かい所に運んで…
  2536. すなお: そんなことを言って、 また、ご飯を取るつもりですよね
  2537. すなお: 大ケガをした者はいないけど、 突き飛ばされたりした者もいた
  2538. すなお: 回復したら何をするか… 私はあなたを信じられません…
  2539. 静香: …そんなこと言わないで
  2540. すなお: そもそも悪人なんて、 救う必要あるんですか…?
  2541. すなお: 私は悪い人を救う必要は ないと思います…
  2542. すなお: 身から出た錆です…
  2543. 静香: っ…ぅ、ふぅッ…ぅ…
  2544.  
  2545. FILENAME: text_103004-11_km1wv.txt
  2546. すなお: 「寒空に放り出されたトラをカメは助けません 悪いことをしたトラは罰を与えられて当然 助けることに意味はないと思ったからです」
  2547. ちはる: 「すると、空からトリが現れました トラはトリにも同じように助けを求めると なんとトリはトラを助けようとしたのでした」
  2548. すなお: 「カメは驚いて声が出ませんでした トリがしていることを全く理解できませんでした 町の人たちが蓄えてきたものを取るのは どう考えても悪いことでしかないからです」
  2549. 静香: トリさん、私を温めてください…
  2550. 静香: このままでは私は こごえて死んでしまいます…
  2551. ちはる: うん、いいよ
  2552. ちはる: わたしはトラさんほど 体が大きくないけど
  2553. ちはる: 大きく翼を広げれば、 きっと良い羽毛布団になると思う
  2554. 静香: あぁ暖かい…ありがとう… ありがとうございます…
  2555. すなお: トリさんはどうして、 このトラを助けるんですか…
  2556. ちはる: わたしはわたしにできることを してるだけだよ
  2557. ちはる: わたしには何もないから ただ優しくしてるだけ
  2558. すなお: でも、悪いことをした相手に 優しくすることなんて…
  2559. ちはる: 悪いことっていうのはね、 苦しみから生まれるんだよ
  2560. ちはる: そして苦しみは 悲しみや怒りから生まれて
  2561. ちはる: また誰かを苦しめる
  2562. ちはる: それを止められるのはね 優しく癒やすことなんだよ
  2563. すなお: ――っ!?
  2564. すなお: 苦しみがあれば 悪いことをしないっていうことは
  2565. すなお: このトラが一番苦しんでいる そういうことですか…
  2566. ちはる: 最初から救いを求めてたのは トラさんだと思うよ
  2567. ちはる: だから、わたしは優しさをあげる 元は善い心を持ってると思うから
  2568. すなお: 「カメはトラを助けるトリを見ていると こごえるトラを無視しようとした自分が 町のご飯を取られてしまった恨みで 悪人になっていることに気付きました」
  2569. すなお: 「優しさを広げていけば癒やしを与えられる だけど、苦しみを与えていくと 悪いことばかりが生まれるんだと思いました」
  2570. ちはる: 「季節が変わって春になると トリは町を去ってゆき また来年に訪れることを誓いました」
  2571. すなお: 「その小さくなっていく姿を見ながら カメは次にトリが町を訪れるまでは トラと一緒に優しさを与えられるようになろう そう誓うのでした」
  2572.  
  2573. FILENAME: text_103004-12_km1wv.txt
  2574. 静香: …………
  2575. すなお: …………
  2576. ちはる: …………
  2577. 静香: …まさかあんな役を 演じさせられるなんてね…
  2578. すなお: …いかがでしたか?
  2579. 静香: すなおが演じてたカメ 要はあれが私ってことよね
  2580. すなお: …はい
  2581. 静香: とても自分が滑稽だわ
  2582. ちはる: じゃあ、さなちゃんの絵本 理解してくれた…!?
  2583. 静香: 裏側にいるトラを演じてね ようやく理解できた…
  2584. 静香: それに、和尚さんが私に 言いたかったことも
  2585. 水徳寺の住職: “善人なおもって往生を遂ぐ、 いわんや悪人をや”
  2586. 静香: えっ…?善人なお…? それって…
  2587. 静香: 善人でさえ救われるなら 当然悪人こそが救われる
  2588. 静香: ってことですか…?
  2589. 水徳寺の住職: そうじゃ
  2590. 静香: それって反対では ありませんか…?
  2591. 静香: 全然反対じゃなかった… 悪人こそが苦しんでる…
  2592. 静香: 対して私は、これが善行だって 言ってはばからない滑稽な善人…
  2593. 静香: 救われるのはどちらか聞かれても 言わずもがなって感じよね…
  2594. 静香: ごめんなさい、ふたりとも…
  2595. 静香: ううん、ふたりだけじゃない 一族のみんなに悪いことをしたわ
  2596. すなお: いえ、私たちもごめんなさい
  2597. ちはる: うん、本家だからって 静香ちゃんの決断に頼り過ぎてた
  2598. 静香: …もう私は一族の長として 降りた方がいいわよね
  2599. ちはる: えっ!?
  2600. 静香: だって私は悪人よ!?
  2601. 静香: 悪の根っ子を見ようとせず、 決めつけで押さえ込もうとした…
  2602. 静香: どの面を下げて 時女一族の長として立てばいいか
  2603. ちはる: だから、これからはちゃんと わたしたちで支えるよぅ…!
  2604. すなお: そうです、本家ひとりじゃない
  2605. すなお: 本当なら、集落を出たときから 私たちは3本柱だったはずです!
  2606. ちはる: 涼子ちゃんやちかちゃんも含めて もっと柱が増えてもいい
  2607. ちはる: わたしたちはみんなで 時女一族なんだから
  2608. 静香: …そっか
  2609. 静香: もう、私は自分ひとりで 一族を背負わなくてもいいのね
  2610. 静香: 変に期待されなくていいのね
  2611. ちはる: うん
  2612. すなお: はい
  2613. 静香: …よかった なんだかホッとしたわ…
  2614. ∵へ~ ̄ハイ_ええ!!
  2615. 静香: これは… 私が持っていたキモチ…
  2616. ちはる: 周りの期待に耐える静香ちゃんに 心の隙を見つけたのかも
  2617. すなお: だとしたら、このキモチを…!
  2618. 静香: ええ、押さえ付けないと!
  2619. 静香: つくづく私って格好悪いわ…
  2620.  
  2621. FILENAME: text_103004-13_km1wv.txt
  2622. 静香: 昔の時女一族の人たちは、 わかってたのかもしれないわね
  2623. ちはる: 何を?
  2624. 静香: 人間には善悪が混在してるけど、 結果良き方に流れるって…
  2625. 静香: だから裏で願いを叶えて、 悪鬼を倒すことだけに注力して
  2626. 静香: あとは人々がどうなるのかを 見守り続けてきた…
  2627. 静香: なんだかわかったわ
  2628. 静香: そうして何も触れずにいることが 人の性善を信じることなのよ
  2629. すなお: 今回の二葉さんのお話 実はモチーフがあるんですよ
  2630. 静香: 何か古いお話?
  2631. すなお: いえ、カメが二葉さんで、 トリが環さんだそうです
  2632. 静香: …ふふっ
  2633. 静香: そう言われるとわかるかも
  2634. 静香: 私は前から、環さんに 心のどこかで嫉妬してたから…
  2635. ちはる: いろはちゃんとは別の道を
  2636. ちはる: 一族の長として無意識に 探そうとしてたのかもね
  2637. 静香: そうね…
  2638. 静香: ―静香― 私はようやく手を取り合うっていうときに 許されないことをしてしまった…
  2639. 静香: ―静香― だけど、それでも安心して許されると思うのは
  2640. 静香: ―静香― 環さんが広げた想いの上に 私自身が乗ってしまったからだと思うわ
  2641. ちはる: ―ちはる― 神浜市の人たちだって大変だったのに プロミストブラッドとは手を取ろうとしてたし
  2642. すなお: ―すなお― 藍家さんのことについても 絶対に敵対しようって意思を感じませんよね
  2643. 静香: ―静香― 環さんは最初から争う気がないもの
  2644. 静香: ―静香― 私も含めて誰もが悲しんでいて 誰もが救いを求めてることに気付いてるから
  2645. 静香: ―静香― みんなをひっくるめて 救っちゃうつもりなのよ…きっと…
  2646. 静香: はっ…
  2647. 静香: 戻って、来た…?
  2648. ちか: よかった無事に目覚めました そちらはどうですか?
  2649. 南津 涼子: ちはるとすなおのふたりも、 元気に目覚めたぞ
  2650. すなお: はい、ご心配をおかけしました
  2651. ちはる: どこも悪いところはないよ!
  2652. 南津 涼子: んで、肝心の大将はどうだ
  2653. 静香: …………
  2654. 静香: 遅くなってしまったけど、 ようやく目が覚めたわ…
  2655. 静香: 自分が善行をしているっていう 根拠のない自信が恥ずかしい…
  2656. 南津 涼子: そいつは良かった
  2657. 南津 涼子: 悪かったな静香 これからはあたしも支える
  2658. 青葉 ちか: 私も時女一族のひとりとして、 一緒に支えさせてください
  2659. 静香: うん、ふたりともありがとう
  2660. 静香: ではさっそくだけど、 これから私たちは山に入るわ
  2661. 静香: ネオマギウスは聞いた通り 自分たちを恐れさせるために
  2662. 静香: 人が食事をすることですら、 操作しようとしてるわ
  2663. 静香: 私が言えた立場じゃないけど なんとしても食い止めましょう
  2664. みんな: オーーーっ!!
  2665. すなお: その前にソウルジェムの浄化を 夢の中でだいぶ穢れてますよ
  2666. 静香: ありがとう これからもよろしくね
  2667. すなお: はい
  2668. 風の伝道師のウワサ: …………
  2669. かごめ: そっか、静香さん ふたりの話を聞いてくれたんだ
  2670. 風の伝道師のウワサ: …………
  2671. かごめ: そうだね
  2672. かごめ: これからはみんなと一緒に決めて 歩いていけるといいと思う
  2673. 風の伝道師のウワサ: …………
  2674. かごめ: うん、すごく嬉しいよ
  2675. かごめ: 魔女になってしまうような 宿命じゃないけど
  2676. かごめ: 静香さんは時女一族の呪縛から 解放されたんだもん
  2677. かごめ: 魔法少女が何かから抜け出して 前を向いて進み始めるって
  2678. かごめ: それだけで 勇気が湧いてくることだと思う
  2679. かごめ: それに、魔法少女のことを広めることについて 及び腰になりかけていた私の心を 奮い立たせてくれた
  2680. かごめ: 時女一族は魔法少女を知った人たちに 利用されてしまったひとつの例だけど そこから這い上がってきたような姿を 見せてもらえたような気がしたから
  2681. かごめ: そして何より 今回は時女一族だけじゃなくて その事情を知ったいろはさんや大庭さんたちが 関わることで解決することができた
  2682. かごめ: そう、誰かの境遇を知るっていうことは 誰かに優しくする方法を探れるっていうことで 魔法少女にだって言えることだと思う
  2683.  
  2684. FILENAME: text_103004-14_km1wv.txt
  2685. さな: どうしよう… このまま睨み合いが続いても…
  2686. うい: うん、ネオマギウスの人は、 計画を進めちゃうよね…?
  2687. フェリシア: もう、正面から突破する気で ズガンとやるしかねーぞ
  2688. うい: でも、相手は…
  2689. さな: どこかで線を引かないと、 最悪の結果になっちゃうから…
  2690. ~~♪~~♪
  2691. さな: ――っ!?
  2692. いろは: 静香ちゃん!?
  2693. 静香: たくさん迷惑をかけたけど、 謝罪はあとにするわ
  2694. 静香: これから私たち時女一族は、 電波望遠鏡に行って計画を止める
  2695. 静香: 私たちが守りから外れたから、 すぐに到着する予定よ
  2696. いろは: 良かった、戻って来てくれたんだ ありがとう…本当に…
  2697. 静香: お礼を言うのは私の方よ
  2698. 静香: 二葉さんが伝えたかった、 環さんの心が私の胸に刺さったの
  2699. 静香: おかげで 巫に罪を着せずに済んだ
  2700. 静香: だから、藍家さんに 人を信じてもらうよりも前に
  2701. 静香: まずは争いの火種を消してくるわ
  2702. いろは: うん、私たちもなるべく早く 時女一族に追いつくから
  2703. いろは: みんな、 静香ちゃんが戻ってきたよ
  2704. いろは: これから 電波望遠鏡に向かうって!
  2705. いろは: さなちゃんが描いた絵本が、 ちゃんと通じたみたいだよ!
  2706. さな: 良かった…
  2707. さな: 絵本は 現実逃避なんかじゃなくて…
  2708. さな: 現実を懸命に生きる人たちに
  2709. さな: 何かのキッカケを 与えられるんじゃないかって
  2710. さな: そう、信じられるかもと思って…
  2711. さな: すなおさんに話を聞いて、 もう一度描いてみて良かった…
  2712. 鶴乃: うん、本気でやれば、 想いは通じるものだねっ!
  2713. 鶴乃: な、今度はテレパシー…?
  2714. 月夜: 「もうすぐ、ネオマギウスの手によって 人々を苦しめる危険な作戦が 実行されてしまうでございます」
  2715. 月夜: 「もしも環さんたちのメッセージに 気付いていないメンバーがいるようでしたら 私のテレパシーに気付き次第 電波望遠鏡に向かって欲しいでございます」
  2716. 月夜: 「彼女たちがしようとしていることは 魔女が手をくだすことよりも あまりにも醜悪で恐ろしいことでございます」
  2717. 月夜: 「月咲ちゃんとふたりそろっていない今 私の音の力で言葉を届けるにしても 範囲には限界があると思うのでございますが それでも気付いた方がいれば 電波望遠鏡に向かって欲しいでございます」
  2718. 鶴乃: 月夜ちゃんの声だ!
  2719. やちよ: これなら状況に気付く人も増える
  2720. やちよ: みんなが時女一族と合流すれば それなりの数になるはずよ
  2721. 十七夜: こうも土壇場で戦況が動くとはな
  2722. みたま: ただ、ネオマギウス側も 想定をしていないわけじゃない
  2723. 十七夜: うむ、笠音アオを二木市に置いて 紅晴結菜たちを張り付けているが
  2724. 十七夜: 当の本人は既に移動して、 電波望遠鏡を固めているはずだ
  2725. 結菜の声: それなら、固めている壁を 私たちの手で破壊しにいくわぁ…
  2726. みたま: まさか…
  2727. 結菜: アオを二木市に移動させることで
  2728. 結菜: あの子に私たちを 釘付けにしたかったんでしょぅ?
  2729. 結菜: だけど残念…
  2730. 結菜: あの子を元に戻すよりも先に こちらを止めることにしたわぁ
  2731. ひかる: ネオマギウスの思惑にはまるのも 癪に障るっすからね!
  2732. ももこ: そっちが操った戦力の差は、 これで埋まったんじゃないか?
  2733. レナ: むしろ、プロミストブラッドが 戻って来た分、レナたちが有利よ
  2734. 十七夜: 八雲、あの姫君に 状況を伝えた上で退くぞ
  2735. みたま: どうするの?
  2736. 十七夜: ここでは固める範囲が広すぎる
  2737. 十七夜: 電波望遠鏡付近まで退いた方が 時間は稼げるはずだ…
  2738.  
  2739. FILENAME: text_103004-15_km1wv.txt
  2740. 十七夜: 羽根たちも全員撤退!
  2741. みたま: 十七夜、連絡をとったけど、 向こうも実行直前よ
  2742. 十七夜: 二木市の三女もいる手前、 そこまで気張らなくて良さそうだ
  2743. かえで: 羽根たちが逃げていくよ!
  2744. ももこ: 電波望遠鏡に退いていくだけだ 見逃さず、案内してもらうぞ
  2745. やちよ: みんなもももこたちに続いて!
  2746. いろは: はいっ!
  2747.  
  2748. FILENAME: text_103004-16_km1wv.txt
  2749. 月夜: …………
  2750. 月夜: これでいいのでございます…
  2751. 月夜: (もしも月咲ちゃんが 私たちの未来のためを想って)
  2752. 月夜: (ネオマギウスに手を貸したなら 気持ちはわかるでございます…)
  2753. 月夜: (でも、東西の問題を変えるには もっと良い方法があるはず…)
  2754. 月夜: 月咲ちゃんが動いた以上は、 私も家に縛られてはいけない…
  2755. 月夜: (おばあ様や母様を恐れていては 子どものままでございます)
  2756. みかげの声: あーーー!
  2757. 月夜: ひゃっ!?
  2758. みかげ: ユニオンの水名の人だよね!?
  2759. 月夜: あなたは確か、 みたまさんの妹の…
  2760. みかげ: うん、ミィは八雲みかげ
  2761. みかげ: ねえ、お姉ちゃん お願いがあるんだけど
  2762. 月夜: な、なんでしょうか…
  2763. みかげ: 東西のみんなを仲直りさせて、 姉ちゃを安心させたいから
  2764. みかげ: そのお手伝いをして欲しい!
  2765. 月夜: と、唐突でございますね…
  2766. みかげ: ねえ、お願い!
  2767. みかげ: 姉ちゃをネオマギウスから 連れ戻したいの!
  2768. 月夜: …何かよくわかりませんが 連れ戻すという目的は同じ…
  2769. 月夜: 私も月咲ちゃんの件があるので、 詳しい話を聞きたいでございます
  2770. みふゆ: ここは…
  2771. みふゆ: まさか電波望遠鏡の中!?
  2772. 燦: ようやくお目覚めのようね
  2773. みふゆ: 教官!
  2774. 燦: 一服盛らせてもらったわ
  2775. みふゆ: っ、なんてことを
  2776. みふゆ: くっ…
  2777. 燦: まだ、体は動かせないでしょうね
  2778. 三輪 みつね: こうなったら…
  2779. ひめな: やめてよ、みわりん
  2780. ひめな: ここで電波望遠鏡を 壊すようなマネされたらさ
  2781. ひめな: 私チャン、みわりんの ソウルジェムを壊しちゃうよ…?
  2782. ひめな: みんなで痛みを分かち合った マイメン同士なんだからさ
  2783. ひめな: もっと仲良くやろうよ
  2784. 三輪 みつね: でも、人を翻弄して 傷付けることが正しいと思えない
  2785. 三輪 みつね: それは私にとって、みんなを救う ヒーローの条件じゃない…
  2786. ひめな: そんな条件は必要ないよ
  2787. ひめな: 人間は私たちより下なんだから
  2788. 三輪 みつね: 私は、魔法少女じゃなくて、 みんなを助けたかったの!
  2789. 三輪 みつね: っ…
  2790. 燦: 少し眠ってもらったわ
  2791. 燦: 敵がこちらに向かってるようだし さっさと始めましょう、姫様
  2792. ミユリ: ですです!
  2793. ミユリ: じゃないと、ここまでの仕込みが 意味をなくしますよぉ…!
  2794. ミユリ: 三輪の能力で セキュリティは既に解除済み!
  2795. ミユリ: あとは、みふゆさんの幻覚能力で 姫様の言葉を発信するだけです!
  2796. みふゆ: ワタシの能力はあくまで幻覚… 改竄や暗示ではありません…!
  2797. 燦: ホテルフェントホープでは、 自己暗示に使ったはずです
  2798. 燦: 自ら使えることは、 既に証明済みじゃないですか
  2799. 燦: 姫様、急ぎましょう
  2800. ひめな: ううん、まだやんない
  2801. 燦: なっ!?
  2802. ひめな: とりま、あなたの能力だけは 今のうちに頂いて
  2803. ひめな: この電波望遠鏡に付与するから
  2804. みふゆ: 体さえ動けば… あなたなんて…!!
  2805. ひめな: はい、これで付与はできたから これ以上は強がんないでよ
  2806. ミユリ: 電波に触れたら幻覚の影響を 受けるってことですけど
  2807. ミユリ: いつ実行するんですか?
  2808. ひめな: みーんなが近付いてくるなら、 ギリギリまで引っ張ろうよ
  2809. ひめな: 希望を与えれば絶望するでしょ? なら、それにならおうよ
  2810. ひめな: 相手がいけるって思ったときが、 実行のタイミングってね
  2811. ひめな: キャハッ★
  2812. 燦: 恐ろしいわね、姫様は…
  2813.  
  2814. FILENAME: text_103004-17_km1wv.txt
  2815. フェリシア: おっしゃ! ナイスだぞ、うい!
  2816. うい: う、うんっ これでみんな先に進めるよね?
  2817. いろは: 先に誰もいなかったら、 電波望遠鏡まで一直線だと思う!
  2818. 十七夜: 自分たちと残りの羽根たちが、 最後の障壁となるのを忘れるな
  2819. みたま: それに、ただ攻撃することだけが 戦いじゃないということもね
  2820. やちよ: 二度と同じ手は食わないわよ
  2821. 鶴乃: みたまの魔力はちゃんと調べて 仕掛けは先に潰したからね
  2822. 月咲: それでも手遅れだよ
  2823. 月咲: 月夜ちゃんが状況を知らせても、 結果はもう変わらない
  2824. いろは: ううん、そんなことはない
  2825. いろは: 「月夜ちゃんの声はしっかり届いて 結果を覆すためにみんながもう動いてる」
  2826. いろは: 「それも、私たちが思ってるよりも早く たくさんの人数で」
  2827. いろは: 「ネオマギウスが止められないぐらい 大きなうねりになって 電波望遠鏡に集まり始めた人の中には」
  2828. いろは: 「神浜市だけじゃなくて 時女一族やプロミストブラッドの 魔法少女もいる」
  2829. いろは: 「それはもう、ネオマギウスの計画を 覆せるほどになってるはずだよ」
  2830. 結菜: 魔法少女の天辺を目指すだなんて 夢のまた夢よぉ…アオ
  2831. アオ: 姉さまたちがそれを言うのは 変じゃないかな~?
  2832. アオ: みんなを支配できると思ったから あれだけ争ってたんでしょ?
  2833. アオ: それなら、ハードモードだけど、 クリアできるってことだよ
  2834. 結菜: 私だって争いは否定してきたわぁ 戦わざるを得なかっただけよぉ…
  2835. 結菜: 私がしてきたのは頂点を 目指すような戦いじゃなぃ…
  2836. 結菜: 生きるための戦いだった…
  2837. 樹里: 樹里サマはストレス発散だけどな
  2838. 結菜: 黙ってて
  2839. 樹里: 間違ってねーだろ!
  2840. アオ: ま、生きるための戦いだなんて わたしにはわかってたけどね
  2841. ひかる: じゃあ、戻ってきた方がいいっす ひかるたちは知ってるっすよ
  2842. ひかる: 殴れば殴り返される 殺せば殺される
  2843. ひかる: ずっと続けてきたんすから、 先が真っ暗なのはわかるっすよ!
  2844. アオ: でも暗闇を抜けた先には 一点の光がある
  2845. アオ: その光に向けて挑戦することは、 悪くないことじゃないかな?
  2846. アオ: 誰にも脅かされることがない 絶対的な存在になれるんだったら
  2847. ひかる: アオさんが折れるだけで、 二木市はまとまるんす
  2848. ひかる: 平和になるんすよ
  2849. アオ: そんな確約なんてないから、 有事の際に備えて頂点にいくの
  2850. ひかる: 争うのは怖くないんすか
  2851. アオ: な~んにも
  2852. アオ: どういうコマンドを入れて、 倒そうか考えてるぐらいだもん
  2853. アオ: クスッ
  2854. ひかる: …………
  2855. 結菜: 思い出させてあげるわ あなたに恐怖を
  2856. 樹里: だな、それも樹里サマたち姉の 立派な役割ってもんだ
  2857.  
  2858. FILENAME: text_103004-18_km1wv.txt
  2859. アオ: っく!
  2860. ひかる: 抜けたっす! 今のうちっすよ、結菜さん!
  2861. 結菜: 樹里! このまま電波望遠鏡を叩くわ!
  2862. 樹里: わかってるっての 炎はたんまり溜めてある!
  2863. アオ: えっ、恐怖を思い出させるとか 言ってなかった!?
  2864. ひかる: こっちの優先順位は ハナから電波望遠鏡の破壊っす
  2865. ひかる: その辺りがわからないなんて、 まだまだ赤ちゃんっすね
  2866. アオ: うわ、急にマウント取ってきて ムカツク!
  2867. すなお: 見えました! 大きな建物がありますよ!
  2868. ちはる: ここで合ってるよね 静香ちゃん!?
  2869. 静香: ええ、この中に入ると、 ウネウネした細い蛇がいて
  2870. 静香: ビカビカ光る機械が なんかたくさんあったはずよ!
  2871. ちはる: そう、前に入ったもんね! ウネウネしてるのはコードだよ!
  2872. 南津 涼子: しっかし、あの見た目じゃあ 簡単にぶっ壊せないな…
  2873. 青葉 ちか: でも、多くの魔法少女たちが 集まっているところです
  2874. 青葉 ちか: プロミストブラッドの方たちの 魔力反応もありましたし
  2875. ちはる: うん、いろはちゃんたちが 迫ってるのもわかる!
  2876. 都 ひなの: よし、抜けきったぞ このままアタシに付いてこい!
  2877. やちよ: 読心を使った戦い方はさすがね だけど相手が悪かったわ
  2878. 十七夜: なに…
  2879. やちよ: 過去に私たちは相対した仲よ
  2880. やちよ: あなたとの戦い方を 私はとてもよく知ってるわ
  2881. 十七夜: ぐっ
  2882. やちよ: みんな、一気に抜けていって!
  2883. いろは: 見えた! 他のみんなも集まってきてる!
  2884. かえで: すごい、私たちの状況がちゃんと みんなに届いたんだね
  2885. レナ: それに時女の本家もいる 目を覚ましたおかげで形勢逆転よ
  2886. ももこ: 鶴乃、フェリシア!
  2887. ももこ: ここはパワーが売りのアタシらで 思いっきり破壊してやろう
  2888. フェリシア: ドカンとやるのは得意だぜ!
  2889. 鶴乃: 損害賠償とか大丈夫かな!?
  2890. ももこ: 今、そんな話を持ち出すなよ!
  2891. 都 ひなの: そう、今は後先を考えないで 全力でぶつかるべきだ
  2892. 結菜: こっちの準備はできてるわ
  2893. 静香: 私も、今は償いと人々のために!
  2894. いろは: みんなで力を合わせて!
  2895. ひめな: っていうタイミングはおわり
  2896. いろは: ――っ!?
  2897. いろは: 藍家さん…!?
  2898. ひめな: 安心してよ、いろりん 電波望遠鏡の中は壊したから★
  2899. いろは: 何を…言ってるんですか…
  2900. ひめな: もう、電波は発信し終わったから 用済みだっていうこと
  2901. ひめな: あ、みふりんには感謝しておいて
  2902. ひめな: この人の固有魔法のおかげで 私チャンの作戦が成功したから
  2903. ひめな: キャハッ★
  2904. みふゆ: みなさん、すみません 止めることができませんでした…
  2905. 時雨: はぁ…はっ…姫… 本当にやっちゃったの…
  2906. はぐむ: っ…ふぅ…神浜市の人たちのこと 本当に殺す気なんですか…
  2907. ひめな: 私チャンたちが優位なのを 示すだけで、殺す気はないって
  2908. はぐむ: でも、みんな… 何も飲めないし食べられないって
  2909. ひめな: このままだとね
  2910. はぐむ: っ…
  2911. 燦: みんな、 やることは終えたから退くわ!
  2912. ミユリ: 宮尾、安積、戻ってくるなら 今のうちですよ…
  2913. 時雨: 戻れない…ぼくは…もう…
  2914. はぐむ: …私も
  2915. ミユリ: そうですか
  2916. かごめ: …っ、ほんとに、飲めない
  2917. いろは: かごめちゃん…!
  2918. かごめ: 自分で持っていたペットボトルに口を付けて 飲もうとすると、逆に吐きそうになる そんな症状を身をもって知ると ひめなさんのしたことが本当だってわかった
  2919. かごめ: この症状を自覚して、みんなが苦しみ始めてから ひめなさんは自分たちの存在を 明らかにするつもりなのかもしれない
  2920. かごめ: スマホで調べると人の体は4日ぐらいしか 水を飲まないと生きられないらしい
  2921. かごめ: つまり、私もこの町の人たちも 今、この時をもって 命のカウントダウンが始まったということだ…
  2922. リヴィア: あの姫さんをけしかけたんは やっぱアンタか
  2923. キュゥべえ: 別にボクは けしかけてなんかいない
  2924. キュゥべえ: ただ彼女が知りたがっていた 自動浄化システムを奪う方法を
  2925. キュゥべえ: 教えてあげただけだからね
  2926. リヴィア: それだけやないやろ
  2927. リヴィア: せやないと、魔女化が復活した この神浜市の中で
  2928. リヴィア: あんな大層なこと やってのけられへんはずや
  2929. キュゥべえ: 本当にボクは何もしてないよ
  2930. キュゥべえ: ただ彼女にいくつか質問されて 答えていっただけさ
  2931. キュゥべえ: 自動浄化システムの仕組みや 奪取する方法についてね
  2932. リヴィア: 当然、向こうには協力することを 約束させられたんとちゃうか?
  2933. キュゥべえ: ボクにとってもこれは実験だから 断る理由はないからね
  2934. リヴィア: どっちも抜け目がないわ
  2935. リヴィア: …アンタには言うておくわ
  2936. キュゥべえ: なんだい?
  2937. リヴィア: 私らの目的はあくまで 魔法少女たちの幸福なんや
  2938. リヴィア: アンタらがけったいなことを するようやったら
  2939. リヴィア: 私らはいつでも手を引くつもりや それだけは理解しとき
  2940. ―取材記録― 安積 はぐむ
  2941. はぐむ: 「はわわわ、時雨ちゃんに聞いたけど 本当にネオマギウスまで ちゃんと取材してるんですね…!」
  2942. はぐむ: 「あっ、大丈夫です。 ちゃんと時間を取らせないように、 私、事前に自分が望む未来っていうのを 用意してきましたから」
  2943. はぐむ: 「えっと、待ってくださいね あ…あ、これです!」
  2944. はぐむ: 「まだ迷ってるんですけど、 実は私、服飾のデザインとかスタイリストに なりたいなって思ってるんです」
  2945. はぐむ: 「魔法少女至上主義が叶って、 みんなにイジられなくなって もっと堂々として人と関われるようになれば 今より積極的に人と話せるかなって」
  2946. はぐむ: 「そうすればコミュ力もきっと上がるし、 そういう外でのお仕事も ちゃんと出来そうな気がするんです」
  2947. はぐむ: 「舞台の衣装を作るのも好きですけど やっぱりステキな人を着飾るのって ワクワクするから」
  2948. はぐむ: 「そのうち、藍家さんとか教官とか ミユリちゃんとか時雨ちゃんの コーディネートとかをしてみたいです」
  2949.  
  2950. FILENAME: text_103005-1_km1wv.txt [Episode 5]
  2951. うらら: …………
  2952. ラビ: …………
  2953. 那由他: …………
  2954. 太助: (みんな静かだが無理もないな… あんな光景を見せられては…)
  2955. 那由他: 思い出したくなくても、思い出してしまう
  2956. 那由他: 憎たらしい笑顔を浮かべる灯花を 思い出そうとしても 脳裏をかすめるのは、爆ぜたあとのむごい姿…
  2957. 那由他: 結局、灯花とねむという子が何をしたかったのか 私には何もわからないんですの…
  2958. 那由他: 第1段階が成功だなんて言われても 私の目に映るのは、死にかけているふたりの姿で 何が私たちの救いになるのかなんて 微塵もわからなかった
  2959. 那由他: 灯花…
  2960. 那由他: パパは止めようとしていたけど 本当にあなたは 魔法少女の話が広まると思ってるの?
  2961. 那由他: 本当に自分たちの行動が 魔法少女を救う道に繋がると思ってるの?
  2962. 那由他: あなたほど頭の良くない私にはわからないですの
  2963. 那由他: …………
  2964. ラビ: 里見灯花と柊ねむという ふたりの天才
  2965. ラビ: 彼女たちの行動が どういう不幸を招くかは未知数…
  2966. 旭: 我々の町ですらあのような状況で 救いがないであります…
  2967. 旭: もしも我々がしたこと以上に 抗おうとするなら
  2968. 旭: 比例して不幸も大きくなり、 諦念へ進むだけでありますよ…
  2969. 旭: ただ、今のところ最も危険なのは ネオマギウスであります
  2970. ラビ: 藍家ひめなの叶いそうもない 魔法少女を広める計画
  2971. ラビ: もしもそれが実現すれば 諦念への針がまたひとつ進む…
  2972. うらら: サーシャさん… 藍家ひめなの計画は本当なのん?
  2973. うらら: 何も食べられないし 飲めないようにするだなんて
  2974. うらら: 正気だと思えないんよ…
  2975. アレクサンドラ: …正気だから怖いんです
  2976. アレクサンドラ: 命の制限時間を与えた上で、 ジワジワと体感できる死の感覚…
  2977. アレクサンドラ: きっと誰もが真相を知れば、 魔法少女たちに怒りを覚えますが
  2978. アレクサンドラ: 恐らく興奮する人たちほど、 消耗して死に近付くのは早く
  2979. アレクサンドラ: 怒りなんてものは恐怖に変わって 魔法少女に救いを求めるでしょう
  2980. うらら: そんなの下手をすれば みんな死んじゃうってことなんよ
  2981. アレクサンドラ: だけど止められないから、 私も身を引くことにしました
  2982. ラビ: 私たちが何に肩入れをしても 結末は変わらない
  2983. 旭: そう、諦念へ進むかどうか 見守ることしかできない
  2984. ラビ: あとは私たちの想いが、 那由他に通じればいいけれど…
  2985. 旭: …時女一族の話を聞く限り 湯国市に行けば大丈夫であります
  2986. 旭: 魔法少女の姿を見るようになって 警戒してるはずでありますよ
  2987.  
  2988. FILENAME: text_103005-2_km1wv.txt
  2989. 那由他: やっと着いたんですの
  2990. 那由他: ただ、前にも来たばかりなので、 そこまで感動はないんですの
  2991. ラビ: 私も、すぐに再訪するとは 思ってもみませんでした
  2992. ラビ: それより気をつけてください
  2993. ラビ: 魔法少女の往来が増えた影響で、 町の学生の気が立っています
  2994. 那由他: あっ…
  2995. 那由他: あの、怯えなくても もう危険は特にないので
  2996. うそよ…
  2997. 私が倒れてたのだって あなたたちが…
  2998. 那由他: あ、あの 何か誤解をしてますの!
  2999. 那由他: 前に来たときも、 何か誤解されているようでしたの
  3000. 旭: 特に前よりも警戒されているのは 時女一族が来たせいであります
  3001. アレクサンドラ: そういえば、旭ちゃんの集落を 訪れたそうですね
  3002. 旭: その上、撲滅派の連中共に 襲われたそうであります
  3003. 旭: 本家が返り討ちにしたそうですが それだけ敵対心は倍増
  3004. 旭: 我々もうかうかしていたら、 危険でありますよ
  3005. 那由他: そ、そんな物騒な町だなんて、 知らなかったんですの…
  3006. ラビ: 全ては私のせいです…
  3007. 那由他: ラビさんの…?
  3008. 旭: 厳密に言えば 我々と言うのが正解であります…
  3009. アレクサンドラ: はい、私たちが魔法少女のことを 広めようとしたからです…
  3010. うらら: ウチも力を貸したせいで 最悪の結末になってしまったんよ
  3011. 那由他: もしかしてパパが 魔法少女を世間に知らせることで
  3012. 那由他: 逆に絶望を生むことになると 思ったのは
  3013. 那由他: この町での出来事が 原因ですの…?
  3014. 太助: そうだね、大きな要因だよ
  3015. 太助: ただ、すべてを話せば長くなるし ラビたちの話も必要になる
  3016. 太助: 宿についてから ゆっくりと話をしよう
  3017. 那由他: わかりましたの
  3018. 太助: ただ、その前に悪いが 立ち寄りたい場所があるんだ
  3019. 太助: この町にある大学なんだけど 那由他が来たと連絡があってね
  3020. 那由他: あ、はい パパの情報がないかと思って…
  3021. 太助: 准教授とは付き合いも長いから 挨拶をしておきたいんだ
  3022. 那由他: 私もお礼と謝罪をしたいですの
  3023. 那由他: 相談に伺った時は、 思わず泣いてしまったので…
  3024. 太助: ふ、そうか
  3025. 太助: 私は娘を泣かせるなと、 こっぴどく怒られるだろうな…
  3026. ラビ: では、ここからは 気を引き締めていきましょう
  3027. ラビ: 中心地なのでひと気が多いですが 少し外れると人もまばらです
  3028. ラビ: いつ襲われるか知れないので、 離れないようにしてください
  3029. 那由他: あっ!
  3030. ラビ: どうしました?
  3031. 那由他: でしたら安全なうちに お手洗いに行っておきたいですの
  3032. ラビ: …では、一度駅に戻りましょう
  3033.  
  3034. FILENAME: text_103005-3_km1wv.txt
  3035. アレクサンドラ: 時女一族の本家が 大きなショックを受けるほど
  3036. アレクサンドラ: また、この町の中は 荒れてしまってるんですね
  3037. 旭: 静香殿に聞いた限りだと、 我の周辺だけでありましたが…
  3038. うらら: ウチの元相方が今の撲滅派を 率いてリーダーになってるから
  3039. うらら: かなり顔が広いし 話が広まるのも早いはずなんよ
  3040. うらら: 変な人はいなかったのん…?
  3041. ラビ: 今のところは、 特に何の気配も感じないけど
  3042. ラビ: 那由他が出てきたら、 すぐに出発しよう
  3043. 太助: 戻ってこないね…
  3044. ラビ: おかしいですね…
  3045. ピロン♪
  3046. うらら: ――っ!?
  3047. うらら: …ウチの相方からなんよ
  3048. 最近、魔法少女が増えてるみたいだけど 裏でコソコソと何かやってるみたいね
  3049. 前にも三浦旭が住んでいる集落に 多くの魔法少女が集まっていたって話を 他のメンバーから聞いたわ
  3050. 私たちは多くの犠牲を出して なお私たちの前に姿をさらそうとする あなたたち魔法少女を許さない
  3051. 湯国市に新たな魔法少女を連れて来るような 状況が続くようであれば どうなるのか私たちが思い知らせてやる
  3052. うらら: ま、まずいんよ 那由他さん、もしかしたら…
  3053. 旭: これは、隙を突かれて さらわれた恐れがありますな…
  3054. ラビ: 普段、魔法少女との戦いで、 魔力の反応に頼り過ぎた…
  3055. 太助: また、元の状況に戻ってるのか… それで那由他は…!
  3056. ラビ: 連絡をしてきたということは、 相手も私たちと会いたがってます
  3057. ラビ: 拠点に変わりがなければ、 すぐに見つけられるはずです
  3058. ラビ: 教授は危険なので、 先に宿に戻っていてください
  3059. 那由他: あ、あの、これは どういうことですの!?
  3060. 那由他: どうして 私はさらわれたんですの!?
  3061. 那由他: それほど私もパパも すごい大金持ちじゃないですの!
  3062. くらら: そんな猿芝居はやめてくれる?
  3063. 那由他: えっ…?
  3064. くらら: 私たちが知りたいのは、 あなたたちが考えていることよ
  3065.  
  3066. FILENAME: text_103005-4_km1wv.txt
  3067. くらら: そんな猿芝居はやめてくれる?
  3068. 那由他: えっ…?
  3069. くらら: 私たちが知りたいのは、 あなたたちが考えていることよ
  3070. くらら: この町に魔法少女は何人いるの? 新しく何人連れてきたの?
  3071. 那由他: あの、ちょっと何か 勘違いされてるようですの
  3072. 那由他: 私はただこの町に誘われて、 来ただけで何も目的はないですの
  3073. 那由他: 強いて言えば、ラビさんたちから 話を聞くぐらいのもので…
  3074. くらら: ラビ…っていうことは、 うららとも関わりがあるのね…
  3075. くらら: ようやく湯国市からいなくなって 静かになったと思ったのに
  3076. くらら: 今度は何を考えてるの…?
  3077. 那由他: あの、ラビさんたちは皆さんに ご迷惑をかけたんですの…?
  3078. くらら: あなた、何も知らないんだ
  3079. くらら: この町の学生たちを殺してるわ 番組のスタッフも…みんな…
  3080. 那由他: そんなっ、有り得ないですの!
  3081. 俺は三浦と同じクラスなんだけど
  3082. うちの黒田と灰谷は アイツのせいで見事にやられたよ
  3083. 那由他: っ…!?
  3084. 灰谷は爆発の破片に巻き込まれて 死んじゃってさ
  3085. 灰谷に告白しようとしてた黒田は それでキレて三浦を責めたんだ
  3086. けど、その黒田も三浦たちと 和解しようとしたその日に壊れた
  3087. 何をされたのかしらねーけど、 今も心が戻って来ずに入院してる
  3088. 私は魔法少女は魔女から人を救う 良い人たちだって聞いてたから
  3089. 氷室さんの後輩だった 白金さんと一緒に活動してた
  3090. だけどあの人は、数少ない仲間の 白金さんですら裏切ったの
  3091. やっと氷室さんのためになるって すごく喜んでたのに
  3092. 無情にも氷室さんは、 白金さんを殺してしまったのよ…
  3093. 那由他: ウソですの… ラビさんが有り得ないんですの…
  3094. 私だって栗栖さんだけは、 違うって思ってた
  3095. みんなが魔法少女を嫌うから、 私も合わせてただけだったけど
  3096. あの人がみんなの身動きを 取れなくして殺したんだ
  3097. 合唱部の友だちもそれで 黒田さんと一緒に入院してる…
  3098. 那由他: 何かの間違いですの…
  3099. 那由他: 私たちは希望を願った存在 みんなを救う存在…!
  3100. くらら: そんな話は聞き飽きたわ!
  3101. くらら: あなたがどこまで知ってるかは わからないけどね
  3102. くらら: うららも含めた4人が この町から姿を消してたなら
  3103. くらら: 後ろめたいことがあるからだって 思わないの?
  3104. 那由他: ――っ!?
  3105. くらら: 黒田さんたちが魔法少女を責めた その結果でもあるけどね
  3106. 那由他: その人にラビさんたちは、 追い詰められたってことですの?
  3107. くらら: 最後は自主的に姿を消したわ
  3108. くらら: おかげで新しい魔法少女が 生まれることはなくなったし
  3109. くらら: 魔女化する人もいないから 町はずいぶんと平和になった
  3110. でも最近おかしいの
  3111. まるで魔女が増えたみたいに、 町ではまた事件や事故が増えてる
  3112. そこで戻って来たのが、 アイツら4人で
  3113. お前みたいな知らない顔が 混じってるなら危険だと思うだろ
  3114. 次に魔法少女が何をやらかすか 知れたものじゃないからな
  3115.  
  3116. FILENAME: text_103005-5_km1wv.txt
  3117. 那由他: 皆さん、まずは 落ち着いて欲しいんですの
  3118. 那由他: 魔法少女についてご存知なのは 私も承知しましたの
  3119. 那由他: ただ、先ほども言いましたが、 誤解がありますの…
  3120. 那由他: まず、魔法少女は皆さんを 傷付ける存在ではないんですの
  3121. 那由他: みんな願いを叶えた代償として 魔女と戦っていて
  3122. 那由他: そのおかげで、私たちが生活する 社会は平和を保ってるんですの
  3123. 平和を保つなんて 良い言い方をしてるけどな
  3124. お前たちは魔法少女でも魔女でも 俺たちに危害を加えるだろ!
  3125. 那由他: そんなっ! 絶対に有り得ませんの!
  3126. 那由他: 魔女と同じことをするだなんて、 私たちが逃れたい宿命ですの!
  3127. くらら: ほとんどの魔法少女たちが、 魔女になる事実を知らないからね
  3128. 那由他: そこまで知ってて…
  3129. くらら: なぜ恨むかと言うと、 それだけの仕打ちを受けたからよ
  3130. くらら: 私は忘れないわ 多くの死体が運ばれる現場を…
  3131. いいから オマエらの目的を話せって!
  3132. 那由他: っ!
  3133. 那由他: そうやって人の話を聞かないから 町で事件が増え始めたんですの
  3134. はぁっ!?
  3135. 那由他: 魔法少女がいない環境は、 魔女の天敵がいないのと同じ
  3136. 那由他: ラビさんたちの警告を聞かずに 追い出した報いなんですの!
  3137. いい気にならないでよ!?
  3138. ご高説はいいから 早く目的を言いなさい
  3139. 那由他: 私はただ…この町で パパの話を聞きに来ただけで
  3140. 娘に願いを叶えさせるなんて、 ろくな父親じゃないんでしょうね
  3141. 那由他: っ…
  3142. くらら: 最後に聞かせて あなたたちの目的はなに?
  3143. 那由他: 何も答えられなかったら…?
  3144. 昔のアイツらと同じ目に遭う
  3145. 那由他: アイツらってラビさん…!? いったい何をしたんですの!?
  3146. 「無視したり圧力をかけたりする 精神的な追い込みから 実際に痛みを与える肉体的な追い込み 前に過激な人たちがいたころは あの手この手で痛みを与えた」
  3147. くらら: 「私はあとで加入したから 詳しい話は知らないけど あなたが言っている氷室ラビって人も 陰惨なイジメを受けてたって」
  3148. 那由他: ひどい…
  3149. ラビの声: 那由他様!
  3150. 那由他: ――っ!?
  3151. ラビ: 泣いて…
  3152. ラビ: あなたたち… 彼女にいったい何をした…!!
  3153.  
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  3155. ラビ: 泣いて…
  3156. ラビ: あなたたち… 彼女にいったい何をした…!!
  3157. 那由他: やめてくださいラビさん! 何もおかしなことはないですの!
  3158. 那由他: ラビさんたちがされた仕打ちを 聞いて我慢できず…
  3159. ラビ: …………
  3160. 旭: ラビ、 那由他殿は無事でありますか
  3161. 旭: ――っ!? まさか撲滅派のメンバー…
  3162. アレクサンドラ: それにあの子… うららちゃんと相方だった…
  3163. うらら: そう、ディアボロで 一緒に大道芸をしてたんよ…
  3164. くらら: そして今はソロで活動して、 魔法少女の撲滅を目指してるわ
  3165. くらら: …また、こうして アンタには会いたくなかったわ
  3166. うらら: …………
  3167. くらら: …最近、事件や事故が 湯国市で増えてるんだけど
  3168. くらら: あなたたちの仕業?
  3169. 旭: 違うであります
  3170. 旭: 魔法少女という脅威が失せて、 魔女が集まっただけであります
  3171. 旭: 魔女からしたら何の懸念もなく 暴れられる環境であるゆえ
  3172. 事情はしらねーけど、 魔女もオマエらだろ…?
  3173. 魔法少女も魔女もいらないって 言われてるはずだ
  3174. それに知らない魔法少女が 最近現れて襲われたわ
  3175. ラビ: 時女の連中…
  3176. やっぱり知り合いだったのね
  3177. 何人殺せば気が済むの?
  3178. もう湯国市には関わらないって 約束すら守れないの?
  3179. ラビ: …………
  3180. アレクサンドラ: 私たちが知らない 魔法少女が世間には何人もいます
  3181. アレクサンドラ: それをすべて知った上で 食い止めるのは不可能な話です
  3182. 旭: ただ、時女一族のことを 我はよく知ってるであります…
  3183. ラビ: どうせ私たちはすぐに出ていく
  3184. ラビ: それでもなお、 その怒りが冷めやらないのなら
  3185. ラビ: 責め苦は私がうける 那由他様はどうか…
  3186. 覚悟はできてるんだろうな
  3187. 那由他: 意味がわからないんですの!
  3188. 那由他: どうして魔法少女だからって 罰を受けるんですの!?
  3189. 那由他: ラビさんたちは、 自分の故郷に帰ってきただけで
  3190. 那由他: 何も悪いことなんて…!
  3191. 旭: 実際に我らは多くを殺し、 多くを廃人にした
  3192. 旭: 本来なら生きて故郷の境を 跨いではいけないでありますよ…
  3193. 那由他: そんな…
  3194. うらら: とても重くて、 受け止めきれない過去の出来事が
  3195. うらら: 魔法少女を悪者にしてしまう
  3196. うらら: 湯国市はそういう町なんよ…
  3197. 那由他: だからって、私は認めませんの!
  3198. 那由他: 傷付けることが正しいなんて!
  3199. 那由他: ラビさんたちは私が守りますの
  3200. 那由他: 責め苦を受けようとするなら、 ラビさんたちを止めますの!
  3201. ラビ: やめなさい、那由他!
  3202.  
  3203. FILENAME: text_103005-7_km1wv.txt
  3204. 那由他: …ここは
  3205. 那由他: (どこかで 見たことがある気がしますの…)
  3206. 太助: 目が覚めたようだね
  3207. 那由他: パパ!
  3208. 太助: ラビ、みんなも 那由他が目を覚ましたよ
  3209. ラビ: 体の加減はいかがですか?
  3210. 那由他: え? 別におかしなところはないですの
  3211. 旭: 良かったでありますな
  3212. 旭: 乱暴に眠らせてしまったので、 心配してたのでありますよ
  3213. 那由他: 乱暴に…
  3214. 那由他: あっ! 山小屋での光景は夢では…
  3215. ラビ: ないですね 記憶されてることは事実かと
  3216. 那由他: では、学生にさらわれたのも、 聞かされたことも…
  3217. 那由他: それで、ここはどこですの?
  3218. アレクサンドラ: 大地のゆりかご 湯国温泉にある民宿です
  3219. 那由他: あ、前に泊まった宿ですの
  3220. アレクサンドラ: そして、ラビちゃんの実家です
  3221. 那由他: へぇ…
  3222. 那由他: ぇええええッ!?
  3223. ラビ: お恥ずかしながら
  3224. 那由他: じゃ、ありませんの! 料理の味が似てて当然でしたの!
  3225. 那由他: こうやって真相を明かされると つくづく実感しますの…
  3226. 那由他: 皆さん、私に色々な隠し事をして 私は独り相撲をしてたんだって…
  3227. うらら: あうう、それは謝るんよ…
  3228. うらら: でも、那由他さんを想う 教授の親心があったからなんよ
  3229. うらら: ウチらはそれに合わせて 隠してたんよ…
  3230. 那由他: …つまり、前に訪れたときに、 パパの予約が取り消されたのも
  3231. 那由他: ウソだったということですの?
  3232. 太助: そういうことになるね…
  3233. 那由他: …………
  3234. 太助: 「だけど那由他も覚えていると思うが 下巻を書き進むにつれて私は 少しずつ体調を崩して筆をとれなくなったんだ」
  3235. 太助: 「だから私は、なんとか書き上げたい一心で 湯国市に拠点を変えると 湯治をしながら続きをまとめることにした」
  3236. 那由他: “魔法少女 その希望と絶望”
  3237. 那由他: その下巻を書き進めていたのは この宿での話だったんですの…
  3238. 太助: 一部屋を書斎として借りてね 治療を進めながら書いていたんだ
  3239. 太助: 今まで海外を渡り歩いて 調べて来た資料も部屋にあるよ
  3240. 那由他: そうですの…あれ…?
  3241. 那由他: ここが湯国市で、ラビさんたちが この町の魔法少女なら…
  3242. 太助: 「するとその町では 少なくとも学生たちの間で 魔法少女が知られていたんだ」
  3243. 太助: 「それは正に、道半ばとはいえ 私が成し遂げたかったことが形になった姿」
  3244. 太助: 「だけどそれは 魔法少女にとっての生き地獄だった」
  3245. 那由他: 生き地獄を味わったのは、 もしかしてラビさんたちですの?
  3246.  
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  3248. 那由他: 生き地獄を味わったのは、 もしかしてラビさんたちですの?
  3249. ラビ: そうですね 那由他様のおっしゃる通りです
  3250. ラビ: ただ、その生き地獄も 受け入れることしかできない…
  3251. 那由他: まさか…
  3252. くらら: あなた、何も知らないんだ
  3253. くらら: この町の学生たちを殺してるわ 番組のスタッフも…みんな…
  3254. 那由他: あの方たちが言っていた話は 本当ということですの…?
  3255. 那由他: ラビさんたちが、この町の学生を 殺したっていうのは…
  3256. ラビ: 意図的ではないとはいえ、 結果的には殺したことになります
  3257. 旭: 魔法少女のことを 世間に知らせようとしたから
  3258. アレクサンドラ: はい、結論はまだ出ていませんが 今の私たちはそう考えています
  3259. 那由他: 魔法少女を世間に知らせると、 逆に絶望を生むことになる
  3260. 那由他: こちらに来る前に、 パパは確かにそう言いましたの…
  3261. 那由他: 皆さんにはいったい 何があったんですの…?
  3262. ラビ: 那由他様は、魔法少女の存在を なぜ広めたいと思ってますか?
  3263. 那由他: それは、 魔法少女を救うためですの
  3264. ラビ: どうやって救われるのですか?
  3265. 那由他: 「私たち魔法少女というのは 家族や環境など周辺にある社会が影響して 願いを叶える子が多いですの」
  3266. 那由他: 「だから、魔法少女の存在が知り渡れば 契約前に周りの人がストッパーになれますし それが難しかったとしても 契約をしないような社会のルールを 作れるかもしれませんの」
  3267. 那由他: 「…ただ、私はルールよりも 人が優しくなることで少女が救われることを 望んでると思いますの」
  3268. 那由他: 「人の行動や発言が不幸な状況や環境を作り出し 少女がそれを変えるために キュゥべえと契約して魔法少女になる割合は それなりにあると思いますから」
  3269. 那由他: 「ほとんどパパの受け売りですけど…」
  3270. ラビ: …私もほとんど同じですよ
  3271. ラビ: 「魔法少女が魔女になることを知ってから 得も言われぬ虚しさを感じ その正体は誰も魔法少女を知らないからだと 思ったんです」
  3272. ラビ: 「我思う故に我在りと 自己の存在は自己によって完結したとしても 社会に対して存在しているかどうかは 他者の認識があってこそ成立する」
  3273. ラビ: 「だから私も魔法少女の存在を知らせることで 自分たちの安寧を図ろうとしました」
  3274. ラビ: 「ですが、それでもたらされたのは 私たち魔法少女にとっての不幸であり 防げるようなことではなかったんです」
  3275. 那由他: 何があったんですの…?
  3276. ラビ: 最初は順調に魔法少女の存在を 良い者として広げられていた…
  3277. 旭: ただ、我の周辺から 不幸が始まったであります…
  3278. 旭: まずは守るべき我の学友が 魔女にやられたのであります…
  3279. 旭: その場には同じく別の学友がいて 我はふたりを守る約束をしていた
  3280. 旭: だが、ひとり死なせてしまい、 恨みを買うことになった
  3281. アレクサンドラ: それに、あのときの事故は、 多くの人たちを巻き込みました…
  3282. アレクサンドラ: 加えて、冬に起きた雪崩のときも 死者が多く出てましたので
  3283. アレクサンドラ: 私たちは、その責任も 背負うことになってしまいました
  3284. うらら: その上、魔法少女が魔女に なることもバレて
  3285. うらら: すべての事件や災害は魔法少女の せいにされるようになったんよ
  3286. 那由他: じゃあ、私を捕えた方たちの 怒りは…
  3287. うらら: そこまで的外れではないんよ…
  3288.  
  3289. FILENAME: text_103005-9_km1wv.txt
  3290. ラビ: かつては周りに期待をしていた
  3291. ラビ: 自分たちが背負う不幸を憐れんで 同情してくれると思っていた
  3292. ラビ: 何の解決にもならないけど、 他人の慰みすら欲しいと思うほど
  3293. ラビ: 魔女になるという背負った宿命が 私たちの心をさいなんだ…
  3294. ラビ: だけど憐れみと慰めを求めた 私たちに与えられたのは
  3295. ラビ: 周囲のほとばしる怒りだった
  3296. 旭: 我らのせいで湯国市の魔法少女は 責め苦を受け
  3297. 旭: 精神をすり減らした同胞たちは 日に日に数を減らしたであります
  3298. アレクサンドラ: 危機感を覚えた私たちは
  3299. アレクサンドラ: 関係のない魔法少女たちを助け、 これ以上魔女を増やさないために
  3300. アレクサンドラ: 自分たちに矛先を向けさせました
  3301. 旭: おかげで我は猟銃で撃たれもして 生傷だらけになったでありますよ
  3302. アレクサンドラ: 私もかつての仄暗い恋愛話を 掘り返されそうになったり
  3303. アレクサンドラ: 無理難題を部活で押し付けられて 途方に暮れていました
  3304. アレクサンドラ: 仲良くしていた人たちも変わって 人の豹変ぶりが怖かったです…
  3305. ラビ: 私には支えてくれる子がいたけど やっぱりイジメは受けた
  3306. ラビ: そんなときに教授が現れて、 私たちを支えてくれたんですよ
  3307. 那由他: パパが?
  3308. 太助: …すでに魔法少女を救うことを 諦めかけていたけど
  3309. 太助: 私が考えていることなんて 仮説に過ぎなかった
  3310. 太助: だから、私自身も縋る思いで 彼女たちを助けようと思ったんだ
  3311. うらら: ウチもその時は 魔法少女じゃなかったけど
  3312. うらら: 魔法少女には助けてもらって 救われた恩もあるし
  3313. うらら: できる限りのサポートをしようと 奮闘したんよ
  3314. 太助: そんなみんなの頑張りもあって、 信頼も回復してきたんだけどね
  3315. 那由他: この状況ですし、 ダメだったってことですの…?
  3316. 太助: …そうだね
  3317. 太助: 信頼回復に努める中で、 残っていた6人も3人になり
  3318. 太助: ラビ、旭、サーシャと 契約前のうららも含めて
  3319. 太助: 学生たちと手を取るために 頑張ってきた…
  3320. ラビ: でも…
  3321. ラビ: 結果的には私たちが手を下す形で みんなの精神を壊し
  3322. ラビ: こうして更に恨みを買って、 町を出ることになった…
  3323. 旭: なぜ、我々を追い詰めるかの如く 不幸ばかりがやってくるのか…
  3324. 旭: 見えないところから何者かに 射貫かれた気分であります…
  3325. アレクサンドラ: そう感じる度に
  3326. アレクサンドラ: 私たちでは何もできないという 諦念が胸の中に広がります…
  3327. 那由他: それが、魔法少女の話を 広めても意味がないという出来事
  3328. 那由他: 結果的に魔法少女を 絶望させるということですの…?
  3329. ラビ: はい…
  3330.  
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  3332. トントントン
  3333. 太助: はい
  3334. 那由他: …………
  3335. 太助: 寝たんじゃなかったのかい?
  3336. 那由他: ラビさんたちから聞いた話が 納得できなくて眠れないんですの
  3337. 太助: 偶然が重なった結果… やり方が悪かったのではないか…
  3338. 太助: 確かにあの話だけを聞けば、 そう思っても仕方がない
  3339. 那由他: 図星ですの…
  3340. 那由他: パパは今まで魔法少女を世間に 知らせることが大切だって
  3341. 那由他: ずっと信じて調査をしてきたのに どうして湯国での出来事だけで…
  3342. 太助: むしろ調査をしてきたからこその 結論と言えるかもしれないね…
  3343. 那由他: 調べてきたから…?
  3344. 太助: 魔法少女の存在は不自然なほど、 世間に広まらない
  3345. 太助: その話は覚えてるかい?
  3346. 那由他: はい
  3347. 那由他: 魔法少女が関わる事件や事故に 誰も違和感を持たないとか
  3348. 那由他: 魔法少女の件を秘密にするのが 普通になっているとか…
  3349. 那由他: 神浜市や二木市などを巡って 感じた話ですの…
  3350. 太助: うん、そうだね
  3351. 太助: 「そして、過去の歴史を調べていくと 周囲が違和感を持たないことへの疑問は さらに膨れていった」
  3352. 太助: 「那由他からキュゥべえの話を聞いた通り 魔法少女だと言われても不思議ではない人たちは 神話や英雄譚、伝説として語り継がれている」
  3353. 太助: 「ただ、その内容をどれだけ紐解いて 魔法少女だと思われる記述を見つけたとしても 個人の特別な話として描かれるばかりだった」
  3354. 太助: 「アラブでも南アジアでも南米でも それらは変わることなく」
  3355. 太助: 「主人公となる女性の輝かしい出来事のみ語られ 魔法少女という特別な人物が 私たちの周りにいるといった真実は 個人の話として綴られるだけで消えてしまう」
  3356. 太助: 「本を閉じて物語を終わらせるようにね」
  3357. 那由他: ラビさんたちの行動も 強制的に終了させられたと…?
  3358. 那由他: 魔法少女の存在を 知られないようにするために…
  3359. 那由他: だとしたら、何に…?
  3360. 太助: …宇宙の意思によってだよ
  3361. 那由他: え…?
  3362. 太助: 「魔法少女の存在を知られるということは 下手をすれば安心を生むことになる」
  3363. 太助: 「それは、希望と絶望の相転移によって 自身を維持する宇宙にとっては ひどくマイナスな出来事だと思わないかい?」
  3364. 那由他: それは、そうですけど… 宇宙そのものに意思があるなんて
  3365. 太助: 誰にも答えはないけど、 私たち人間は宇宙で生まれた
  3366. 太助: その母体である宇宙に 意思があってもおかしくはない
  3367. 太助: 「もしもそうであれば 人の体に免疫が備わっているように 宇宙にも免疫が備わっているかもしれない」
  3368. 太助: 「私たちの体に異変が生じたとき 無意識にそれを体が修復しているように 宇宙も異変が生じたときに 修復するような作用があるのかもしれない」
  3369. 那由他: それだと、みんなに魔法少女を 知らせる行為そのものが
  3370. 那由他: 宇宙にとって害悪なんですの…?
  3371. 太助: そうかもしれない…
  3372. 太助: 「魔法少女から得られるエネルギーがないと 宇宙はいずれ存続できなくなる それは宇宙にとっては病と同じなんだ」
  3373. 太助: 「すると宇宙に不利益を与えようとする私たちは 宇宙にとってはがん細胞のようなものだよ 見えない力で駆逐されてもおかしくはない…」
  3374. 那由他: そんな…
  3375. 太助: 「那由他、私たちが生き残るには この強大な宇宙の“自浄作用”と 戦わないといけないかもしれないんだ…」
  3376. 那由他: でも、でもそれは仮説ですの!
  3377. 太助: そう、仮説だね
  3378. 太助: 真実と言えるときは 来ないかもしれないよ…
  3379. 太助: だから、私はラビたちに託した
  3380. 那由他: 神浜市での戦いが 再び絶望を生むのかどうか…
  3381. 那由他: それも宇宙の意思によって…
  3382. 那由他: 限度を越えると “自浄作用”による不幸が始まる
  3383. 太助: そう、ラビたちが受けた理不尽が 神浜市でも起きるかもしれない
  3384. 太助: その時が私たちにとって 確信のときなんだ…
  3385. 太助: …………
  3386. 太助: (もっと怖いのは人だよ…)
  3387. 太助: (魔法少女の存在によって、 確かに文明は発展しただろう…)
  3388. 太助: (だけど、 人の心の構造は変わらない)
  3389. 太助: (内面は何も変わらずに 同じことを繰り返している…)
  3390. 太助: それは何千年何万年と時を経て まったく精神的な進化ができないまま 技術だけが向上しているということ
  3391. 太助: 今、ここで発展を止めないと いずれ魔法少女だけでなく人も滅びる
  3392. 太助: そろそろ私たち人類は 人類の精神性だけでは扱い切れない 未来に足を突っ込むことになる…
  3393. ―取材記録― 里見 那由他
  3394. 那由他: 「私の望む未来というのは、 当然、魔法少女が救われている未来ですの」
  3395. 那由他: 「魔法少女の話をみんなが知っていて、 魔女と戦う私たちを労ってくれて、 そもそも願いを叶えなくてはいけないという 状況を解決するために、 みんなが少し優しくなって生きている」
  3396. 那由他: 「そんな世の中になってくれることが、 魔法少女と人にとって 大きな救いになるような気がしますの」
  3397. 那由他: 「こうして取材をしてくださっているのも、 きっといつか皆に魔法少女を知ってもらう 切っ掛けになると思いますし、 パパがまとめている本の内容を補足するような 事実をまとめた手記になると思いますの」
  3398. 那由他: 「そのパパが 今は何を考えているのかわかりませんけど、 きっと雲隠れしていた理由はあるはず」
  3399. 那由他: 「もしも間違っていた時は正しますし 希望を持つ魔法少女として 喝を食らわしてやりますの!」
  3400. 那由他: 「あとは、なんというか… もしも神浜市で起きてることが終わったら、 ラビさんとは今までと同じように 関わっていきたいですの…」
  3401. 那由他: 「何があったのかは知らないですけど、 ほの暗いものを感じるので、 消えてしまいそうで不安になりますの…」
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