primadog

TBS Draft 0: Episode 3A

Jan 22nd, 2013
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  1. ==Part A==
  2.  
  3. 口恭介の病室
  4. ベッドをリクライニングさせて座っている恭介と、介添用の椅子に腰掛けているさやか。
  5. さやか「はい、これ」
  6. 見舞いに来たさやかから、ヴァイオリンのCDを手渡される恭介。驚きに目を見開く。
  7. 恭介「うわ、凄い...これネットでも手に入らない廃盤だよ!」
  8. さやか「そ、そうなんだ...たまたま寄ったお店で見かけたんで、買ってみたんだけど」
  9. ベッドサイドのテーブルには、他にもCDのケースが積み上げられている。すべてさやかが買ってきたものである。
  10. 恭介「いつも、本当にありがとう。さやかはレアなCDを見つける天才だね」
  11. さやか「はは、そんな...う、運がいいだけだよ。きっと」
  12. 照れてはにかむさやか。
  13. 恭介はさっそくケースを開けて、CDをポータブルプレーヤーにセットする。
  14. 恭介「この人の演奏は、本当に凄いんだ。さやかも聴いてみる?」
  15. ヘッドホンの片方だけを嵌めて、もう一方をさやかに差し出す恭介。
  16. さやか「ぃ、いいのかな...」
  17. 恭介「本当はスピーカーで聴かせたいんだけど、病院だしね」
  18. コードの長さの都合で、やや身を寄せ合う姿勢になるこ人。内心で照れまくるさやか。
  19. だが曲が始まると、優しい旋律に心が和まされる。
  20. 優しい旋律に浸るさやか。
  21. × × ×
  22. さやか幼少期の記憶。
  23. ヴァイオリンの発表会で颯爽と演奏をしている恭介と、その姿に目を奪われているさやか。
  24. × × ×
  25. ふと目を開けるるさやか。隣で恭介が静かに泣いているのに気付く。
  26. ベッドの上でカなく投げ出された恭介の左腕。無惨な手術跡。
  27. もう二度と演奏のできなくなった指が、演奏の記憶を迪って震えている。
  28. やるせない想いに、胸が痛くなるきゃか。
  29.  
  30. 口夜の公園(異界化中)
  31. 炸裂するマミの必殺技。
  32. 悲鳴を上げて消滅していく魔女。
  33. それを固唾を呑んで見守るまどかとさやか。
  34. 結界は解かれ、周囲はもとの公園の景色に一一反る。マミも変身を解除。ほっと安堵するギャラリー二人。
  35. さやか「やっぱマミさんの魔女退治は何度見てもカツコいいね~」
  36. マミ「もう。見せ物じゃないのよ。危ないことしてる、って意誠は忘れないでおいてほしいわ」
  37. さやか「いえーす」
  38. 手にした護身用パットを掲げ上げるさやか。
  39. そこへ、周囲を探していたキユゥベえが戻ってくる。
  40. キユウべえ「グリーフシードは持つてなかったみたいだ。空振りだね」
  41. まどか「ぇ、また?」
  42. さやか「なんかここんとこハズレばっかりじゃない?」
  43. マミ「そういうものよ。だからって魔女を放っておくわけにもいかないし。ーーさ、行きましょ」
  44. × × ×
  45. 静寂を取り戻した夜の公園を、並んで歩くマミ、さやか、まどかとキユゥベえ。
  46. マミ「二人とも、何か願い事は見つかった?」
  47. さやか「う~ん、まどかは?」
  48. まどか「う~ん...」
  49. 困り果てる二人に、苦笑するマミ。
  50. マミ「まあ、そういうものよね。いざ考えろって言われたら」
  51. まどか「マミさんは、どんな願い事をしたんですか?」
  52. まどかが訊いた途端、マミの表情が陰る。やや慌てるまどか。
  53. まどか「いや、あの、どうしても聞きたいってわけじゃなくて、ちょっと気になった、っていうか、その...」
  54. マミ「ううん、いいの。別に隠すほどのことでもないし」
  55. 遠い眼差しで追憶するマミ。
  56. マミ「私の場合はーー」
  57. × × ×
  58. マミの回想。高速道路での大規模な事故。
  59. 潰れた車に閉じ込められて瀕死のマミが、手を差し伸べたその先に、キュウベえの姿がある。
  60. マミoff「ーー考えている余裕さえ、なかったってだけ」
  61. × × ×
  62. 再び現代。夜の公園。マミが語った過去に、ややショックを受けている二人。
  63. マミ「ーー後悔してるわけじゃないのよ。今の生き方も、あそこで死んじゃうよりは余程良かったと思ってる」
  64. マミ「でもね、ちゃんと選択の余地がある子には、きちんと考えた上で決めてほしいの。私にできなかったことだからこそ、ね」
  65. 意を決して、質問をぶつける気になるきゃか。
  66. さやか「ねえ、マミさん...願い事って、自分のための事柄でなきゃ駄目なのかな?」
  67. マミ「え?」
  68. さやか「たとえばーーたとえばの話なんだけどさ。あたしなんかより、よほど困ってる人がいて、その人のために願い事をするのはーー」
  69. まどか「それって...上条くんのこと?」
  70. さやか「た、例え話だって言ってるじゃんか!」
  71. 慌てるさやかを余所に、冷静に頷くキユウベえ。
  72. キュゥベえ「べつに契約者自身が願い事の対象になる必然性はないんだけどね。前例もないわけじゃないし」
  73. マミ「...でも、あまり感心できた話じゃないわ」
  74. やや険しい声で異論を挿むマミ。
  75. マミ「他の人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと。ーー美樹さん、あなたは彼に夢を叶えてほしいの? それとも彼の夢を叶えた恩人になりたいの?」
  76. さやか「...」
  77. マミの言い様に、さすがに憮然と押し黙るさやか。狼狽えるまどか。
  78. まどか「マミさんーー」
  79. マミ「同じようでも全然違うことよ。これ」
  80. さやか「...その言い方は、ちょっと酷いと思う」
  81. マミ「ごめんね。でも今のうちに言っておかないと。そこを履き違えたまま先に進んだら、あなた、きっと後悔するから」
  82. さやか「...」
  83. さやか、しばし押し黙って考え込んでから、深呼吸し、頷く。
  84. さやか「...そうだね。あたしの考えがけかった。ごめん」
  85. さっぱりと謝罪するさやかに、安堵するまどか。マミも笑顔を返す。
  86. マミ「やっぱり、難しい事柄よね。焦って決めるべきじゃないわ」
  87. キユゥベえ「僕としては、早ければ早いほどいいんだけど」
  88. ぼやくキユウベえの頭を小突くマミ。
  89. マミ「駄目ょ。女の子を急かす男は嫌われるぞ」
  90. 笑うマミとさやか。まどかも釣られて笑、つものの、その胸の内はやや複雑。
  91.  
  92. 口まどかの部屋
  93. 就寝間際、パジャマに着替えてベッドの上でごろごろしているまどか。傍らににはキュゥベえ。
  94. 公園でのさやかとマミの問答を思い出し、溜息をつくまどか。
  95. まどか「...やっぱり、簡単なことじゃないんだよね...」
  96. キユウベえ「僕の立場で急かすわけにはいかないしね。助言するのもルール違反だし」
  97. まどか「ただ、なりたいってだけじゃ、駄目なのかな...」
  98. ノートの落書きの変身プランを眺めるまどか。華麗に戦うマミを思い出し、その姿に自分を重ねて妄想する。
  99. キユウベえ「まどかは力そのものに憧れているのかい?」
  100. まどか「ゃ、そんなんじゃなくて...う~ん、そうなのかな? 私ってどんくさいし、何の取り柄もないし、だからマミさんみたいに絡好良くて素敵な人になれたら、それだけでもう充分に幸せなんだけど...」
  101. キユウベえ「まどかが魔法少女になれば、マミよりずっと強くなれるよ」
  102. まどか「へ?」
  103. 思わぬ言葉に、狐につままれたかのようなまどか。
  104. キユウベえ「もちろん、どんな願い事で契約をするかにもよるけれど...まどかが生み出すかもしれないソウルジエムの大きさは、僕にも測定しきれない。これだけの素質を持つ子と出会ったのは初めてだ」
  105. まどか「はは...何言ってるのよ、もう。嘘でしょ」
  106. キユウベえ「いやーー」
  107. そこに扉をノックする音。
  108. 知久「まどか、起きてるか?」
  109. まどか「うん?どしたの?」
  110. 知久「ママが帰ってきたんだが...ちょっと手伝ってくれないかな」
  111.  
  112. 口鹿自家玄関
  113. 上がり框で、泥酔した詢子が潰れている。
  114. まどか「あー、またか...まったくもう」
  115. やや呆れ気味に苦笑いするまどか。
  116. 詢子「み、水...」
  117. 既に用意してあったコップの水を詢子に飲ませる知久。
  118. 知久「ともかくベッドまで運んで、着替えさせないと。ほら、そっち持ってくれ」
  119. まどかと知久、二人がかりで詢子を肩に担いで、寝室まで引っ張っていく。
  120. 詢子「ぐえええ...このスダレハゲ...呑みたきや手酌でやってろつつうの...」
  121. 譫言のように愚痴を漏らす詢子。
  122.  
  123. 口両親の寝室
  124. 布団にくるまり、安らかな寝息を立てている詢子。
  125. 一仕事終えた知久とまどか、ほっと一息。
  126. 知久「ココアでも入れようか?」
  127. まどか「うん、お願い」
  128.  
  129. ロダイニングキッチン
  130. 寝間着姿にガウンを羽織り、テーブルで差し向かいに座ってホットココアを啜る二人。
  131. まどか「うちで飲むときはちゃんと加減するのに...なんで外だとあんなに酔っぱらっちゃうかなあ。平気なうちに帰ってくればいいのに」
  132. 知久「会社勤めだと、飲むのも仕事のうちうて場合があるからね。残業だと思えば抜け出せないさ」
  133. まどか「嫌にならないのかな、そういうの...」
  134. 知久「嫌になることもあるだろうね。でもそれよりもっと頻繁に、働いてて良かったと思うことの方が多いのさ」
  135. いまいち納得できず、頬杖をつくまどか。
  136. まどか「なんでママは、あんなに仕事が好きなのかな。昔からこの仕事に就くのが夢だったーーなんて、ないよね?」
  137. 知久「ママは仕事が好きなんじゃなくて、頑張るのが好きなのさ」
  138. まどか「...?」
  139. 知久「嫌なことも辛いこともいっぱいあるだろうけど、それを乗リ越えたときの満足感が、ママにとっては最高の宝物なのさ。
  140. そういう意味で、今の難しくて大変な仕事は、とてもやり甲斐があるんだろうね」
  141. まどか「ママは...満足なのかな、それで」
  142. 知久「そりゃ、会社勤めが夢だったわけじゃないだろうけどさ。それでもママは、理想と思っていた生き方を通してる。そんな風にして叶える夢もあるんだよ」
  143. まどか「...生き方そのものを、夢にするの?」
  144. 知久「どう思うかは人それぞれだろうけどーー僕はね、ママのそういうところが大好きだ。尊敬できるし、自慢できる。素晴らしい人だってね」
  145. まどか「...うん」
  146. 父の笑顔に、表情を和ませるまどか。
  147.  
  148. <bg>
  149. 口夜の学校
  150. 校庭の真ん中に漫然と作んでいるマミ。
  151. その前に、闇の奥からほむらが現れる。間合いを挿んで対峙するこ人。
  152. マミ「わざわざこんな時間に呼び出して、何の用?」
  153. ほむら「鹿目まどかと美樹さやか...あの二人をいつまで連れ回す気?」
  154. はなから冷ややかな面持ちで喧嘩腰のほむら。
  155. ほむら「分かっているの?あなたは無関係な一般人を危険に巻き込んでいる」
  156. マミ「彼女たちはキユゥベえに選ばれたのよ。もう無関係じゃないわ」
  157. ほむら「選ばれただけで契約は済ませていない。その先の選択に、あなたが干渉するべきじゃない。ーーなのに、あなたは二人を魔法少女に誘導している」
  158. マミ「それが面白くないわけ?」
  159. ほむら「ええ。迷惑よ。...特に鹿目まどか」
  160. マミ、ほむらの真意を見透かした(と勘違いして)日を細める。
  161. マミ「ふうん...そう、あなたも気付いてたのね、あの子の素質に」
  162. ほむらの眼差しがさらに険しくなる。
  163. ほむら「彼女だけは、契約させるわけにはいかない」
  164. マミ「自分より強い相手は邪魔者ってわけ?いじめられつ子の発想ね」
  165. 内心でかっとなるほむらだが、一旦目を閉じて気持ちを静める。
  166. ほむら「...ひとつの街に、魔法少女は一人で充分よ。今ここに二人いるだけでも多すぎる」
  167. マミ「同意しかねる言葉だけれど、あなたの前だと頷きたくなるわ」
  168. ほむら「あなたは戦いに向いてない。身を退くべきよ」
  169. マミ「勝手なこと言わないで。今日までこの街を守ってきたのは私ょ。そして、これからも」
  170. 両者の間に緊張が走る。一触即発の危機。
  171. マミ「...はっきりしたみたいね。お互い、どうあっても相容れそうにない」
  172. ほむら「あなたとは戦いたくないのだけれど」
  173. マミ「なら二度と会うことがないよう努力して」
  174. ほむらの側にこの場で仕掛けてくる意図がないと判断したマミは、踵を返す。
  175. マミ「話し合いだけで事が済むのは、きっと今夜で最後だろうから」
  176. 捨て台詞を残して去っていくマミ。ほむらは事態が思うように進まないことに苛立ち、歯噛みする。
  177. ほむら「...」
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