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- 20XX年○月▲日、産恒新聞の記者である私は森公高内閣が打ち出した新たな公共事業の現場を取材した。
- 晩婚化によって不妊が身近な問題になりつつある中、恵まれない夫婦に精子を提供するプロジェクトと言うと聴こえはいいが、果たして森政権の意図は何であろうか?今回の取材を通してその謎を解き明かすべく、私は胸を躍らせ現場へ向かった。
- 早速申し入れをすべくHPに掲載されたオフィスに向かった私は、まずその異様な光景に度肝を抜かれてしまった。暗く殺風景な部屋の中に一人の男が座っている、場所を間違えたのではないかと思ったが、GPSは正確にこの場所を指している。
- 「逃げろ!」と直感が訴えかけるが、ここで引いては記者の名が廃る。私は勇気を出してその部屋に足を踏み入れた。
- 「どちら様ですか?」とその男が話しかけてくる。恐る恐る取材を申し込んだのだが意外にも「ではついて来りゅ、来りゅよ!」と快諾してくれた。
- 会計士 唐澤洋と名乗る男が最初に向かったのは、彼の息子だという弁護士の事務所であった。独身だというその弁護士は小太りで身長が低く、所々に見え隠れする白髪からは哀愁が漂っている。
- 「経費削減に訪問型システムを採用した」という情報は仕入れていたので、てっきり回収作業をするのかと思っていたが、直後に目を疑う光景が私の前に広がった。
- 弁護士が服を脱ぎ、男の肛門に魔羅を挿入し始めたのだ!男も抵抗する事無く、余りの驚きに体が固まって動けない私をよそに行為は発展し、事務所に2人の中年の喘ぎ声がこだまする。やがて弁護士が絶叫と共にビクビク痙攣し、行為は終わった。
- 唖然とした私に、「次に行きゅ、行きゅよ!」と半裸になった男が語りかけてくる。今更引き返す事などできず、私は男について行く事しかできなかった。
- 次に男が向かったのは、兆海道から出稼ぎに来ているという青年のもとだった。前の弁護士とは打って変わって非常に背が高くがっちりとした印象を受けたが、青年の部屋には何かのキャラクターと思われる画像が散乱しており、異臭が漂っていた。
- 男がズボンを下ろすと、また同じ光景が広がった。青年は常に「初霜、弄るぞ」などといった意味不明な言葉や奇声を発しており、正直かなり恐怖を覚えた。
- 行為は10分足らずで終わり、慣れというのは恐ろしく今度は促されなくてもその場を発つ事ができた。
- 一体何回この光景を見ればよいのかと不安になったが、男はこの日午後から用事があるとの事で、次が最後だと告げた。私はこの不幸中の幸いに胸をなでおろした。
- そうして向かったのは、教育コンサルタントを名乗る無職の老人のもとだった。老人は元々一流企業で働き2世代を支えるサラリーマンだったが精神疾患の発症が原因で家族から見放され、現在は国から支援を受けて暮らしているとの事だった。
- 当たり前のように行為が始まったが、老人は前二者とは違って目が座っておらず常に奇声と何者かへの怒声を発していた。老人がこちらに目を向け「しだからしだはだしだよりしだりこしだんかしだしだだだだだだあああ」と叫んだ瞬間、「殺される!」と感じた私は部屋を飛び出した。その後はよく覚えておらず、気が付いたら自宅で布団を被っていた。
- 数日後今回の件を総括していると、森政権の意図が見えて来た。
- ーー長らく仕事が来ないのか閑散とした事務所でシワだらけのスーツに輝きを失ったバッジを付けていたあの弁護士。
- ーー将来への希望を失い濁った眼をしていたあの青年。
- ーーやり場のない怒りをあちらこちらにぶつける老人。
- 「精子バンク」などというのは名ばかりで、実態は経済の低迷に伴って増える独身層に希望を抱かせ、不満を解消させることで政権を安定させるための欺瞞でしかなかったのだ。
- しかし私は今回の件を告発する気にはなれない。なぜなら安月給で独身である私の心を癒してくれるのは彼だけだからだ。これまでの政権は甘い言葉で誘惑するだけで何もしてくれなかったが、彼は私の心を癒し、身体でも心でも私と交わってくれる。たとえ精子が彼の中で死に絶えようと、私は彼の肛門に希望を託す。今日も、明日も、その先もずっと。
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