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MagiReco Main Story Chapter 7 Episode 4 JP Text

Aug 10th, 2021 (edited)
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  1. FILENAME: text_102804-1_KPw7G.txt
  2. 結菜: さぁみんな! 彼女たちを潰しなさい!!
  3. 結菜: ―結菜― …………
  4. 結菜: ―結菜― 魔法少女である以上 ソウルジェムを砕かない限り死なない
  5. 結菜: ―結菜― 死の淵に立つ彼女たちを ひとりずつ消していきなさい
  6. 結菜: ―結菜― キモチの石を持っている人から順番に… それで私たちの勝利が確実なものになる…
  7. 月出里: ふんむんむむぅ…
  8. かごめ: いろはさん…! みんな…埋まっちゃった…!
  9. かごめ: 散らばった瓦礫を隠すように立ちこめる砂煙。 急ごしらえの墓標の下に、 ユニオンと時女一族は強制的に埋められていた。
  10. かごめ: 私は自分の息が詰まって 呼吸が浅くなるのを感じながら、 全てが終わったと思っていた。
  11. かごめ: この出来事が起きたのは 大きくふたつにグループが分かれようとしている 今からほんの少し前の話。 魔法少女たちが手を取り合う前に起きた 大きな出来事だった。
  12. 結菜: ようやく終わるのねぇ…
  13. 結菜: この反応… まさか、ウソでしょぅ…
  14. 樹里: 姉さんも感じたか…
  15. アオ: みんなダメージを受けてない… 魔力反応が変わってないよ…!!
  16. ひかる: うしろっす!!
  17. やちよ: みんな無事ね!?
  18. フェリシア: おう! かすり傷ひとつないぜ!
  19. ももこ: ふぅ、奇策がうまくはまったな
  20. 南津 涼子: こうなったら やることはただひとつ!
  21. 静香: ええ、プロミストブラッドに 引導を渡してやるわよ!
  22. いろは: みんな、お願いします!
  23. いろは: (ビルが崩れて コンクリートの塊が迫ってくる)
  24. 保澄 雫: はっ…ハァッ…
  25. いろは: 雫ちゃん!
  26. 保澄 雫: プロミストブラッドの背後に 空間を繋いで
  27. 保澄 雫: みんなが入ったら、 私はすぐ神浜に戻ります!
  28. いろは: ありがとう!
  29. いろは: 必ずみんな生きて帰るから 美味しいコーヒーを用意してて
  30. 保澄 雫: はい!
  31. 結菜: こんな芸当ができるのは ユニオンの中でただひとり…
  32. 結菜: (封じたつもりだったけど、 無事だったのねぇ…)
  33. 鈴鹿 さくや: 結菜、避けられない!
  34. 結菜: …やられたわぁ
  35.  
  36. FILENAME: text_102804-2_KPw7G.txt
  37. ァアッ!
  38. ここまで、きて…
  39. 鈴鹿 さくや: くそ、さすがに容赦ないね…
  40. ひかる: 結菜さん!
  41. ひかる: ウァアッ!
  42. 結菜: っ、まだよ、まだ…!
  43. すなお: チャンスは今しかありません! 攻撃の手は緩めずに!
  44. ちはる: 無力化するだけでいいからね!
  45. やちよ: 勝負をつけましょう!
  46.  
  47. FILENAME: text_102804-3_KPw7G.txt
  48. 樹里の声: ゲホッ…ッ… マジでフルパワーかよ…
  49. 樹里の声: らんか…無事か…
  50. らんかの声: あー、だめ… 死にそう…
  51. ひかるの声: …………
  52. アオの声: ひかる…ひかる…!
  53. ひかるの声: っす…
  54. ひかるの声: 命はあるっすけど 痛いっすねぇ…
  55. …………
  56. さくやの声: 結菜…ホームで負けた… さすがに心が折れそうだ…
  57. 結菜の声: グッ…く…!
  58. 結菜: 「ァァアアアアアアアッ!!」
  59. 鈴鹿 さくや: 結菜…
  60. 結菜: ハァ、ハァッ…!
  61. やちよ: もう勝負はついたわ
  62. 鶴乃: そっちが用意してた人たちだって 動けなくなってる
  63. 鶴乃: これ以上戦ったら そっちにも死人が出るよ!
  64. いろは: 終わりましょう 終わらせましょうよ紅晴さん!
  65. 結菜: ダマレッ!!
  66. いろは: ――っ!?
  67. 結菜: 他の誰がどういう気持ちでも 私から折れることはなぃ…
  68. 結菜: 折れるぐらいなら 死んだ方がマシよ!
  69. いろは: 紅晴さん…
  70. 静香: だけど、あなたにできることは もうないんじゃない?
  71. 静香: 本当に命を投げ出すだけなら、 ただの大馬鹿者よ
  72. 結菜: ふっ…
  73. 結菜: 策が奇策に破られるなら、 それを越えるのは圧倒的な力…
  74. 静香: 力…?
  75. 結菜: そぅ…
  76. アオ: それなら姉さまがキモチの石から 力を借りるのはどうかな~?
  77. アオ: 4つのキモチから力を借りたら 破壊の限りを尽くせるかも?
  78. アオ: クスクスッ
  79. ひかる: いやいや、 なに言ってんすかアオさん
  80. ひかる: アオさん自身もキモチに 乗っ取られてるんすよ!?
  81. ひかる: いくら4つのキモチを支配できる 感覚があったとしても
  82. ひかる: 力を借りるとなると 話は別っすよ!
  83. 結菜: 次女、三女 キモチの石を渡しなさぃ…
  84. ひかる: 結菜さん…それって…
  85. 樹里: お前、本気か…?
  86. 結菜: どうせ死ぬなら、 やれることをやって死ぬわぁ…
  87. アオ: …………いいよ
  88. ひかる: 三女さん!
  89. アオ: 長女として引っ張ってきた 姉さまがやるって言うなら
  90. アオ: どんな結果になろうとも わたしは姉さまのことを信じる
  91. ひかる: っ…す
  92. ひかる: わかったっす… ひかるも結菜さんの馬…
  93. ひかる: 信じ続けるのが役目っす!
  94. 樹里: いいのか…?
  95. 結菜: えぇ…
  96. 樹里: わかった、樹里サマも その最後の賭けに乗ってやるよ
  97. フェリシア: おい、ひとつの石にだって 乗っ取られるんだろ…?
  98. さな: はい、そんなの 賭けにもなってません…
  99. うい: お願い、やめて!
  100. うい: 本当にキモチにいいように 使われるだけになっちゃうよ!
  101. ひかる: それでも結菜さんが望むなら
  102. アオ: うん、失敗してもいいから
  103. 樹里: 暴れてこい
  104. 結菜: 受け取ったわぁ…
  105.  
  106. FILENAME: text_102804-4_KPw7G.txt
  107. 結菜: 4つの石が手元に集まると 私の魔力がキモチを包み込んで 支配していく感覚が伝わってくる
  108. 結菜: それだけじゃなぃ… 今までの蓄積した感情が まるで大地に根を生やして絡め取るように キモチの力を掴んで離さなぃ…
  109. 結菜: ほら、あなたたちから力を借りる手はずは これで整ったわぁ…
  110. ∵ン~ ̄ハァァ…ゥ
  111. 結菜: 私は敬うことを知っている 誰かを愛するということも…
  112. ∵フゥッ―ゥウ…ァァウ
  113. 結菜: そう、二木には尊敬する先輩と かわいい後輩たちがいて
  114. 結菜: 彼女たちのためであれば、 私はいくらでも身を捧げられる
  115. 結菜: キュゥべえの排除を進めたのも 樹里と対立してきたのも
  116. 結菜: みんなを想えばこそだった…
  117. ∵ワッ_ヒィヤ…
  118. 結菜: キュゥべえがいなくなって 魔女が減っても驚かなかった
  119. 結菜: 苦しくてもグリーフシードの やりくりはできたし
  120. 結菜: 辛くても良い思い出よぉ
  121. ∵キャ ̄ァアイイ―
  122. 結菜: そうね、仲間を殺した樹里が 離反したのは驚きだった
  123. 結菜: ただ、それよりも驚いたのは 町から魔女が姿を消したこと…
  124. ∵ガァア_アッ―!!
  125. 結菜: あなたの言う通り 樹里への怒りは大きかったわぁ…
  126. 結菜: 彼女が離反していなければ 争いはもう少し小さくて済んだ…
  127. ∵ゥウ…ァアアァアッ!!
  128. 結菜: ええ
  129. 結菜: それでも真実を知ったときの 神浜に対する怒りには及ばなぃ
  130. 結菜: どうやっても消えない 恨みの炎は絶え間なく燃えていて
  131. 結菜: その燃料は炎の向こう側にいる 仲間への深い悲しみだった…
  132. ∵ヒッ_ウゥ―グスッ…
  133. 結菜: ただ、仲間を導いていたのが 私自身である以上
  134. 結菜: その恨みも悲しみも、 自分に跳ね返ってくる…
  135. 結菜: 脳裏にこだまして重なる 仲間たちの断末魔は呪いのようで
  136. 結菜: ただ悔いて 謝るしかなかったわぁ…
  137. ∵フッ―ウゥ ̄ウワァン!
  138. 結菜: そう、私は陥れられた驚愕と 深い悲しみと怒りと共に
  139. 結菜: 生きなくちゃいけない
  140. 結菜: 仲間を愛して敬うために…!
  141. 結菜: だからお願い、力を貸して! ここで勝てたら全てがそろう…!
  142. 結菜: それは私にとって神浜への復讐を 果たすことだけじゃない!
  143. 結菜: あなたたちを自動浄化システムに 連れて行くことだってできるの!
  144. うい: だめ、力を借りたって… いい結果になんてならないよ!
  145. フェリシア: あの鬼のヤツさえ倒したら 石が全部手に入るんだろ!?
  146. フェリシア: ちゃっちゃと ドカンとやっちまおうぜ!
  147. ももこ: やちよさん、 フェリシアの言う通りだ!
  148. やちよ: ええ、みんな紅晴さんを狙って!
  149. すなお: ここは旭さん! いつものようにお願いします!
  150. 旭: 了解であります!
  151. 旭: 揺れて狙いが…!
  152. ちはる: これ…それどころじゃないような 気がするよぅ…
  153. 静香: まさか彼女本当に!?
  154. いろは: 4つのキモチから力を借りた…?
  155. 結菜: …………
  156. ひかる: 結菜さん…
  157. 結菜: 飲み込まれそうよ… 私の中で力が暴れてねぇ…
  158. 樹里: コントロールできるのか…?
  159. 結菜: 今ならまだ、ふふ… やれそうよぉ…
  160. アオ: 姉さま…
  161.  
  162. FILENAME: text_102804-5_KPw7G.txt
  163. かえで: レ、レナちゃん…
  164. かえで: これって本当に 魔法少女の魔力…だよね…?
  165. レナ: 当たり前でしょ… 紅晴結菜は魔法少女なんだし…
  166. かえで: でも、反応が違う なんかグチャグチャで…怖いよ…
  167. 鶴乃: レナ、かえで! みんなで一緒に距離をとろう!
  168. 鶴乃: あんなの暴力の塊だ!
  169. うい: 聞いてた話と違う… どうして体が崩れないの…
  170. いろは: 生きるのを諦めてない… 復讐を果たそうとする…
  171. いろは: ただ、その精神力の強さだけで もしかして紅晴さんは…
  172. 結菜: さぁ…死になさぁぃ…
  173.  
  174. FILENAME: text_102804-6_KPw7G.txt
  175. かごめ: ビルの上でユニオンとプロミストブラッドの 行く末を見守っていた私は、 このときのことを鮮明に覚えている。
  176. かごめ: リヴィアさんとヨヅルさんが目を見開き、 月出里ちゃんが小さく震えていて、 普段は何も言わないリィちゃんが、 何度も警戒するように訴えかけてきていたから。
  177. かごめ: 慌てて紅晴さんに何が起きているのかを リィちゃんに聞いてみると、 返ってきたのは、 “暴虐を纏ってます”という答え。
  178. かごめ: 人でも魔法少女でも魔女でもない。 だけど、その例えが的を射ていることを、 私も目の当たりすることになった。
  179. かごめ: なのに、このときの私はただ必死になっていて、 リィちゃんが止めるのも聞かずに、 みんなの前に飛び出すような真似をした。
  180. リヴィア: なんやあれ… ほんまに魔法少女かいな…
  181. 月出里: ふむんむ、ふむむ…
  182. ヨヅル: 先生、どうしましょうか
  183. ヨヅル: 自分を優先すれば 退くべきだと思いますし
  184. ヨヅル: 誰かを気遣ったとしても 退くのが最善だと思います
  185. リヴィア: せやな…
  186. リヴィア: さすがに巻き込まれたら ただでは済まされへん
  187. リヴィア: あれを相手に、かごめちゃんを 守りきれる自信なんてあれへんわ
  188. かごめ: 退くなら3人だけにしてください 私はこの場に残ります…
  189. リヴィア: なっ!?
  190. リヴィア: 自分な、今の話 ちゃんと聞いとったか!?
  191. かごめ: 聞いてました…
  192. かごめ: でも、私はこの争いを 記録する使命があります…
  193. かごめ: ここで退いたら死んだ人たちに 顔向けできません…
  194. かごめ: それに、私は弱いけど みんなを守って救いたいから…
  195. リヴィア: あっきれたわ…
  196. 月出里: ふんむむむ…
  197. ヨヅル: いっそ気絶させて連れ帰るのも 優しさかもしれませんね
  198. 月出里: ふんむむむ、ふむむんむ!
  199. ヨヅル: ですが、そうでもしないと、 彼女は聞いてくれません
  200. かごめ: …………
  201. リヴィア: いや、 私らもちょいと粘ろか…
  202. ヨヅル: 先生、本気ですか?
  203. リヴィア: ここは神浜ちゃう
  204. リヴィア: グリーフシードを持ってて かつ調整ができる私らがおらな
  205. リヴィア: みんな魔女になってしもて お陀仏かもしれへんで?
  206. ヨヅル: 調整屋としての役目… そういうことでしょうか?
  207. リヴィア: せやな
  208. 結菜: ハァアアアッ!!
  209. 静香: アァアアッ!
  210. 静香: グッ…!
  211. ちはる: ゥ…一撃一撃が重いよぅ…
  212. すなお: まるで地面に叩き付けられる… みたい、です…
  213. フェリシア: ここまで来て 逆転なんてさせるかよ!
  214. フェリシア: オマエのことはムカツクし、 ぜってーに負けてやらねーぞ!
  215. さな: フェリシアさん! ひとりじゃだめですよ…!
  216. いろは: 行こう、さなちゃん!
  217. さな: はいっ!
  218. フェリシア: 父ちゃん、母ちゃん、 クウシンサイ先生…オレに力を!
  219. 結菜: ――っ!?
  220. フェリシア: 目的も何もかも 忘れさせてやるぜーーーー!
  221. 結菜: 遅い、止まって見えるわぁ
  222. フェリシア: にゃにぃ!?
  223. 結菜: なっ!
  224. いろはの声: フェリシアちゃん今だよ!
  225. フェリシア: しゃあーーーーッ!
  226. 結菜: ムダよぉ…
  227. フェリシア: ぐなァアッ!
  228. いろは: ハンマーを振り下ろす前に…
  229. さな: っ、フェリシアさんを 受け止めます!!
  230. いろは: うしろで支えるよ!
  231. フェリシア: ぐぁっ!
  232. やちよ: フェリシア!
  233. 鶴乃: いろはちゃん!さな! 大丈夫!?
  234. ひかるの声: 「みんな、結菜さんのおかげで プロミストブラッドは形勢逆転すよ!」
  235. 樹里の声: 「テメェら、姉さんがキモチに潰されねぇように 頑張ってるっつーのによ ここでくたばっていいのか…ぁあ?」
  236. アオの声: 「諦めるのは早い…蛇の宮のみんな… 自動浄化システムを手に入れるよ…! まだ上に登れるチャンスだってある…」
  237. 「まだ、戦える…」
  238. 「ここは私たちのホーム」
  239. 「死んだみんなが見てる…」
  240. 「戦おう…最後のチャンスだ…」
  241. 結菜: 仕切り直しよぉ
  242.  
  243. FILENAME: text_102804-7_KPw7G.txt
  244. 鈴鹿 さくや: 完全に追い込まれたのに 本当に状況が逆転した…
  245. 智珠 らんか: 終わったかと思ったけど、 まだ頑張らないといけないか
  246. 鈴鹿 さくや: 盛り返すのが残念?
  247. 智珠 らんか: むしろ、そう顔に書いてあるのは アンタなんじゃないの?
  248. 鈴鹿 さくや: まさか、結菜が限界を超えるなら 私もとことんやれるよ
  249. 智珠 らんか: アタシも樹里が燃えてる限り 甘えは燃やして灰にするわ
  250. 南津 涼子: 敵の頭に近付くと危険だ! ちゃんと距離を取りな!
  251. ちはる: そ、そんなこと言われても、 一撃が暴風みたいなんだよぅ!
  252. かえで: 金棒にちょっと触れただけでも 体がバラバラになりそう…
  253. かえで: ねぇ、少し退こうよレナちゃん!
  254. レナ: でも、またみんなが バラバラになっちゃうわよ!
  255. ももこ: レナの言う通りバラけたら 次こそひとりずつ潰されるぞ…
  256. 樹里: おし、竜ケ崎はグリーフシードで 浄化は済んだだろうな!?
  257. 樹里: この二木では貴重な魔力の源だ あとは決死の覚悟でぶつかれ!
  258. ひかる: 虎屋町も遅れは取れないっす!
  259. ひかる: 樹里さんたちに続いて、 次こそ敵を打ち砕くっすよ!
  260. ももこ: ヤバい!来るぞ!
  261. それがもう来てるんだよね!
  262. ももこ: グッ
  263. このチャンスは逃さない 私たちの未来のためにも!!
  264. かえで: うゆぅ!!
  265. レナ: ももこ!かえで!
  266. 智珠 らんか: って心配する前に アタシらも決着をつけようよ
  267. レナ: らんか…! まだ、やる気なの!?
  268. 智珠 らんか: むしろ火が点いて、 何も怖くないぐらいだっての
  269. 南津 涼子: グッ、くぅっ…
  270. 南津 涼子: まずい、完全に本家たちと 切り離されちまった
  271. 鈴鹿 さくや: やり合うならサシの方が お互いにいいでしょ
  272. 南津 涼子: その目…本気か…
  273. 南津 涼子: 生き残るのは 結構骨が折れそうだなぁ…
  274. 智珠 らんか: チッ、せっかくソウルジェムを かすめたと思ったのに
  275. レナ: っ、ふぅ…はぁ…
  276. 智珠 らんか: 次ははずさないから…
  277.  
  278. FILENAME: text_102804-8_KPw7G.txt
  279. 智珠 らんか: う、らぁあッッ!!
  280. レナ: ひ…
  281. レナ: ぁあああッ!
  282. レナ: カッ…グ…
  283. 智珠 らんか: 1発もやり返してこないとか、 マジでなめてんの…?
  284. レナ: レナにはできないから…!
  285. 智珠 らんか: 何開き直ってんの!? じゃあこれで終わりだから!
  286. ももこ: ウァアアッ!
  287. レナ: ももこ…どうして!
  288. ももこ: なんでもクソもあるか… せめて…避けろよ、レナ…
  289. 智珠 らんか: …………
  290. 智珠 らんか: んじゃ、 あそこのゾンビゲームにしない?
  291. 智珠 らんか: スコアが高い方の勝ちだからね
  292. レナ: ゾンビ…!?
  293. レナ: …い、いーわよ やってやろうじゃない!
  294. 智珠 らんか: この邪魔くさい思い出と一緒に ふたりとも消えて
  295. 智珠 らんか: あとは何もかも忘れて 二木でアタシは生きるわ
  296. 智珠 らんか: っ…
  297. かえで: ふたりを殺すつもりなら わ、私だって鬼になるよ!
  298. かえで: それに、らんかちゃんにも 殺させたりしない
  299. かえで: 私も、私にとっても、 友だちだもん!
  300. 智珠 らんか: ほんと神浜の連中って 涙が出るぐらいムカツク…!
  301. 智珠 らんか: (それに、なんでこんなときに クソ陸上部の言葉を思い出す…)
  302. 智珠 らんか: (人となりを知ってる相手って、 こんなに殺しづらいんだ…)
  303. 南津 涼子: ぅ…
  304. 南津 涼子: はぁ…く…
  305. 鈴鹿 さくや: フラついてるよ…
  306. 鈴鹿 さくや: 目もあんまり…見えて、 ないんじゃない…?
  307. 南津 涼子: お互い、サマだろ…
  308. 南津 涼子: 母ちゃんにもらった自慢の体… 鈴鹿サンのせいで穴だらけだ…
  309. 鈴鹿 さくや: こっちも…南津サンに 自慢の足を折られちゃったよ…
  310. 鈴鹿 さくや: 立ってるだけで… 褒めてほしい、ね…
  311. 南津 涼子: 狙える場所はあと1ヶ所かな…
  312. 鈴鹿 さくや: そう、互いの命の結晶…
  313. 鈴鹿 さくや: ―さくや― さっきの熱意に免じてってわけじゃないけど… 今日このお店を出るまでは
  314. 鈴鹿 さくや: ―さくや― 私たち「普通の親友」にならない?
  315. 南津 涼子: ―涼子― いいのか!?
  316. 鈴鹿 さくや: ―さくや― うん、いいよ
  317. 南津 涼子: ―涼子― …この店を出るまでって 言ったよな…?
  318. 鈴鹿 さくや: ―さくや― うん、言ったけど… どうしたの、ニヤついて…
  319. ぐ~~~~
  320. 鈴鹿 さくや: ―さくや― なっ!?
  321. 南津 涼子: ―涼子― まだまだお腹は空いてるぞ!!
  322. 鈴鹿 さくや: この記憶と一緒に、 連れて行ってあげるよ!
  323. 南津 涼子: こっちのセリフだぁああああッ!!
  324. 旭: ぐぅぅ、ぁああ…!
  325. 南津 涼子: なにやってんだアンタ!
  326. 旭: 気付いた時点で飛び出した方が… 早かった、で、あります…!
  327. 鈴鹿 さくや: でしゃばるなぁああ!
  328. 旭: クッゥ…
  329. 南津 涼子: 嬉しいけど、悪いね… もう止められないんだ…
  330. 南津 涼子: 天国で待ってろ鈴鹿サン! これで、アタシは生き残った!
  331. うらら: キャッ、った…
  332. 鈴鹿 さくや: うららまで…!!
  333. うらら: ぅ…でしゃばってでも、 誰かの死は止めたいんよ…!
  334. 鈴鹿 さくや: だけど、これは決まってたこと
  335. 旭の声: 「お願いであります… 両者とも武器を下ろすであります…」
  336. 南津 涼子: そう、出会った時点で アタシらには決まってたことだ
  337. うららの声: 「これ以上、時計の針を… 進めないで欲しいんよ…」
  338. 涼子&さくや: 次に会ったら死ぬことは!!
  339. うらら: 「旭さん、また仮説が正しくなっていくんよ…」
  340. 旭: 「救いがなさすぎるでありますが… それゆえの諦念が我々の信じること…」
  341. うらら: 「それでも助けたかったんよ…」
  342. 旭: 「我もうららと同じ気持ちでありますよ…」
  343. 智珠 らんか: ァアアアアアアッ!!
  344. 智珠 らんか: くそっ、くそっ、くそっ!! なんで、できないんだ!!
  345. 智珠 らんか: っ、ごめん長女…お願い…!
  346. 結菜: ええ、代わりに消してあげるわぁ
  347. かごめ: はぁ…はぁ…そんな…
  348. リヴィア: ウソやろ…
  349. かごめ: みんなの様子を窺うために降りてきた私たち。 轟音と共に聞き覚えのある人の絶叫が 鋭く耳の奥を刺してきた。
  350. かごめ: 見上げると月に照らされて飛ばされる人の影…。 紅晴さんの一撃に飛ばされたももこさんたちが、 まるでほうきで掃かれたホコリのように、 舞っている姿だった…。
  351. かごめ: そして、このとき私はリィちゃんを通して感じた。 魔力の灯火が、また消えてしまったのを。
  352.  
  353. FILENAME: text_102804-9_KPw7G.txt
  354. 南津 涼子: …………
  355. ちはる: 涼子ちゃん!涼子ちゃん!
  356. 静香: 涼子も旭も なんのためにここまで…
  357. 静香: 私たちが折れたら、本気で 日の本を守る人がいなくなるわ…
  358. すなお: ――っ!?
  359. すなお: 大丈夫です、無事です! ソウルジェムは割れてません!
  360. すなお: ちゃると静香は涼子さんを 看ててください!
  361. ちはる: うん…
  362. ちはる: 静香ちゃん悪鬼の魂魄を使おう だいぶ濁ってきてるよぅ…
  363. 静香: そうね、放っておけないわ
  364. 旭: ひゅっ…ぜぇー…
  365. 青葉 ちか: 刺された場所が悪い… これじゃ上手く呼吸ができない…
  366. すなお: 手伝います…!
  367. 青葉 ちか: でも下手に治療できなさそうで、 魔力での回復に期待するしか…
  368. すなお: みたいですね…
  369. 旭: こうも捨て身にならなくとも 良かった…
  370. 旭: でしゃばり過ぎたであります…
  371. うらら: 旭さんはまだいいんよ… ウチは無意味だったんよ…
  372. うらら: 久しぶりに助けたいと思える いい人だったんよ…
  373. 智珠 らんか: はぁ…はぁ…
  374. 鈴鹿 さくや: …………
  375. 智珠 らんか: 一番長く結菜さんを支えてたのに 最初にくたばってどうすんの…
  376. 智珠 らんか: ダッサ…マジでダサい…
  377. 智珠 らんか: アタシってばマジでクソだ…!
  378. 智珠 らんか: なに日和ってんだアタシ! 次こそ絶対に時女の連中を!
  379. 樹里: 付き合うぜ
  380. 智珠 らんか: あっつ、なにすんのバカ! 顔が燃えるじゃない!
  381. 樹里: お前の涙は樹里サマが消してやる だから全力で死にに行け
  382. 樹里: ふたりだけうららを看て 他のヤツらはこっちに付いてこい
  383. 樹里: 姉さんに続いて蹂躙するぞ
  384. 青葉 ちか: プロミストブラッドが 近付いてくる…
  385. ちはる: これじゃあ、涼子ちゃんたちを 介抱してる間もないよぅ…
  386. いろは: はぁ、はぁ…
  387. いろは: ももこさん! レナちゃん!かえでちゃん!!
  388. レナ: ぅ…
  389. かえで: いろは、ちゃん…
  390. いろは: あぁ…よかったぁ… まだみんな息があるよ…
  391. レナ: おねがい、ももこを…
  392. やちよ: ええ、 いろは、こっちをお願い…
  393. やちよ: お腹の部分だけでも 先に塞いであげて…
  394. いろは: はい…!
  395. いろは: これで血だけでも止まれば…
  396. さな: 今は戦うより前に、 距離を取りませんか…?
  397. 鶴乃: さなの言う通り、みんなを担いで 撤退した方がいいよ…
  398. フェリシア: すっげぇ悔しいけどな…
  399. うい: みんな、急いで!
  400. うい: このキモチと混ざった感じ… 紅晴さんが近付いてくるよ!
  401. 結菜: 残念、もう来たわぁ…
  402. 結菜: 次はあなたたちも含めて 9人まるごと屠ってあげる
  403. やちよ: 恨みに駆られて欲を出しすぎよ
  404. やちよ: あなたの恨みを理解したとしても その暴力には屈しない
  405. やちよ: 復讐の念に囚われた時点で、 あなたは全てを不幸にするわ!
  406. やちよ: その前に私たちの力で、 ねじ伏せてみせる!!
  407. 結菜: …………っふふ
  408. やちよ: そんな全部受け止めて…!?
  409. フェリシア: まだまだオレたちが続くぜ!
  410. 鶴乃: そう、どれだけ同情できても 人の苦しみを求める人に
  411. 鶴乃: 誰かを笑顔にできる力なんて 宿らないはずだ!
  412. フェリシア: いっくぜーー!
  413. うい: どれだけ心が強くたって 本当なら体がもたないのに…
  414. うい: 嫌な予感がする…
  415. いろは: うん、だからこれは、 危険な力を止めるだけじゃない
  416. いろは: この危険なキモチの力を止めて、 紅晴さんも助けないと…
  417. さな: いろはさん 私たちもみんなに続いて…!
  418. いろは: うん、鶴乃ちゃんたちの タイミングに合わせよう!
  419. 結菜: 今まで苦戦してきた相手が、 手応えもなく散っていく…
  420. 結菜: こんなことなら地下鉄跡の戦いで 力を借りるべきだったわねぇ…
  421. 結菜: いえ、それでは8つの石を そろえることはできなかった…
  422. ∵ヒッ_ウゥ―ァアアア!!
  423. 結菜: っ…あと少しで あなたたちの仲間がそろう…
  424. 結菜: だから、まだ暴れてはだめ もう少しの辛抱よぉ…
  425.  
  426. FILENAME: text_102804-10_KPw7G.txt
  427. ひかる: 三女さんは次女さんたちの ヘルプに向かったっす!
  428. ひかる: ここは虎屋町のみんなで、 結菜さんとユニオンを倒すっすよ
  429. ひかる: キモチの石も自動浄化システムも ここで手に入れて
  430. ひかる: 二木が流した血に 意味を持たせてやるんす!
  431. 結菜: そう、みんな私に続きなさぃ…
  432. 結菜: 共に石を巡る戦いの終幕を 演じきってみせましょぅ
  433.  
  434. FILENAME: text_102804-11_KPw7G.txt
  435. やちよ: 「ぁあああッ!!」
  436. フェリシア: 「ぐぅううッ!!」
  437. 鶴乃: さな!ういちゃん! ししょーとフェリシアをお願い!
  438. 鶴乃: (わたしが攻撃を避けられたのも ただ、運が良かっただけだ…)
  439. うい: ツバメさんで受け止めます!
  440. さな: 私も盾で…!
  441. いろは: 後ろで支えるね!
  442. やちよ&フェリシア: 「うっ…!」 「にゃっく…!」
  443. 結菜: (今のうちに仕留める… 相手もキモチの力を使う前に…)
  444. 結菜: (終わるわよ、樹里、アオ、 ひかる、らんか、さくや…)
  445. 結菜: さくや、虎屋町のみんなを連れて こっちに来て!
  446. ひかる: ――っ!?
  447. ひかる: 結菜さん聞いてないんすか…!
  448. 結菜: さくやは樹里の方にいるの?
  449. ひかる: …時女の連中と戦って死んだっす
  450. 結菜: …………
  451. 結菜: ウソでしょぅ…
  452. 結菜: あと一歩のところまで来たのに…
  453. 結菜: ぐっ…ぁ…なんで… 急に体の自由が…
  454. 結菜: そう…心の隙を見つけて… 私の中に浸食してきたのねぇ…
  455. 結菜: ぐぅうぅ…
  456. 結菜: お願い、もう終わるから あと少し私の体を自由にして
  457. 結菜: ぁあッ!
  458. 結菜: ひかる…
  459. ひかる: すみません結菜さん…
  460. ひかる: 聞いた時点でひかるが ちゃんと伝えるべきだったっす…
  461. 結菜: ちがう、離れて…
  462. ひかる: え?
  463. 結菜: ぁああああッ!
  464. ひかる: い、ぐぁぁああああ!
  465. いろは: 紅晴さん…え… どうしてひかるちゃんを…
  466. うい: もしかして、キモチに
  467. ももこ: ゲホッ…ッ…たぶん…そうだ…
  468. レナ: ももこ…
  469. かえで: 無理しないで、ももこちゃん…!
  470. ももこ: 気をつけろ…マジで、 あのときの三女と…同じなら…
  471. ももこ: 見境…ない、ぞ…
  472. かえで: でも、なんだろ様子が…
  473. 結菜: ∵ヤメ_テ カッテニ_アヤツラナイデ ̄
  474. ぎゃぁああっ!
  475. 結菜: ∵ァアア! テキジャ―_ナイ ̄ノ!
  476. っァアッ!
  477. 樹里: おい、向こうで何があった…
  478. 智珠 らんか: 長女がいるはずだし、 今さら状況が変わるなんて…
  479. アオ: マズいよ…
  480. 智珠 らんか: 連絡…?
  481. アオ: 姉さまがキモチに 乗っ取られたって…
  482. 樹里: っ、何やってんだ! ここは放置して向かうぞ!
  483. アオ: う、うん
  484. 静香: 私たちも追いかけるわよ
  485. 静香: こっちの決着も付いてないし 環さんたちも心配だわ
  486. ちはる: うん、そうだね…
  487.  
  488. FILENAME: text_102804-12_KPw7G.txt
  489. リヴィア: それ以上は近付いたらあかん
  490. かごめ: でも…!
  491. ヨヅル: 遠目に見ても、あれはもはや 魔法少女と言って良いのか…
  492. 月出里: ふむむん、ふむっむむ ふんむんむむ、ふむむんむ!
  493. かごめ: それでも…私もいろはさんを見て 決めたんです…
  494. かごめ: みんなを守るんだって…
  495. 風の伝道師のウワサ: …………
  496. かごめ: ごめんねリィちゃん…
  497. かごめ: 迷惑をかけると思うけど、 私に力を貸して…
  498. かごめ: 行かないと…
  499. リヴィア: ちょい待ち!
  500. リヴィア: っ…ほんまにもう…
  501. リヴィア: (まぁええわ… せやったらやってみたらええ…)
  502. リヴィア: (結果的には、守るどころか 救ってくれるかもしれんしな…)
  503. 結菜: ∵クッ_ァアアッ!
  504. いろは: キャッ!
  505. いろは: っ…! だめ、全然歯が立たない…
  506. やちよ: 止めたくても ほとんど満身創痍…
  507. フェリシア: オレならまだ…!ぬぅ…
  508. 鶴乃: わたしもそう言いたいけど 体は限界だよ…
  509. ちはる: 今はみんなで力を合わせて 押えないと共倒れになっちゃうよ
  510. すなお: それ以前に涼子さんと旭さんを 抱えて戦うのは無理ですよ…
  511. ちはる: そうかもしれないけど でも、このままってわけにも…
  512. ちはる: うぅ、なんかモヤモヤするよぅ
  513. ちはる: 静香ちゃん…!
  514. 静香: …………
  515. やちよ: 私たちも負傷者を抱えたまま どこまで戦えるか…
  516. うい: ももこさんたちのケガが ひどいもんね…
  517. いろは: …………
  518. いろは: それなら、私は残るので みんなは神浜に戻ってください
  519. いろは: そこで体勢は立て直せるはずです
  520. うい: えっ…!?
  521. 鶴乃: いろはちゃん! 何言ってるの!?
  522. いろは: 私は全ての魔法少女を 救うつもりです
  523. いろは: 戦いを望む人は全力で止めて 救いを求める人は全力で助けます
  524. 鶴乃: ちょっと! この状況でもってこと!?
  525. 樹里: はぁ…ったくキモチってのは 慈悲もクソもねーのかよ…
  526. アオ: 体は操られてるけど、 まだ完全には乗っ取られてない…
  527. ひかる: 結菜さんダメっす! その人たちは関係ないんすよ!
  528. 結菜さん…お願い… 本当に私たち…死んでしまう…
  529. 結菜: (そんなの、わかってる! でも体が言うことを聞かなくて)
  530. 結菜: (あぁ… お願いだからやめて…!)
  531. 結菜: (彼女たちは、私が生かすべき 魔法少女なのよ!)
  532. かごめ: 「リィちゃんお願い! みんなを守ってあげて!!」
  533. 風の伝道師のウワサ: …………
  534. かごめ: ぅ…!
  535. かごめ: …………あ
  536. リヴィア: っ、言わんこっちゃない!!
  537. ヨヅル: 先生、いけません…! 彼女は普通の体なのに…!
  538. 月出里: ふむむんむむ
  539. リヴィア: ウワサの魔力が 多少支えてくれるやろ!
  540. いろは: かごめちゃん!!
  541. リヴィア: ちょうどええ! 少し治療したってくれ!
  542. リヴィア: グリーフシードやったら、 私が用意しとるから!
  543. いろは: わ、わかりました!
  544. 結菜: ∵ウ ̄ゥウ―!
  545. いろは: 紅晴さん!
  546. 静香: ちゃる…みんな…
  547. 静香: 私たちは神浜へは戻らない このまま紅晴結菜を止めるわよ
  548. すなお: 静香…
  549. 静香: 日の本を守る私たちが 生身の子にケガをさせてる
  550. 静香: あの捨て身の覚悟を前に退けば 時女一族として恥になるわ
  551.  
  552. FILENAME: text_102804-13_KPw7G.txt
  553. 結菜: ∵ハァ…ハァ…ゥゥ…
  554. 樹里: どこまでやれるかわかんねーけど これはこれで燃えるな
  555. アオ: ちょっと姉ちゃん… 本気で言ってる…?
  556. 樹里: こんな強い姉さんと やりあえるなんて最高じゃねーか
  557. ひかる: どうでもいいから、早く止めて 結菜さんを助けるんすよ!
  558. ちはる: 私たち時女一族も加わるよ!
  559. 静香: 日の本を守る刃として 彼女を止めるのもひとつの使命よ
  560. 鶴乃: ユニオンも加わるよ
  561. 鶴乃: さすがにいろはちゃんだけに 任せてられないからね
  562. うい: それにユニオンの目的も 世界中の魔法少女を救うこと
  563. やちよ: だから今は 私たちも紅晴さんを助けるわ
  564. フェリシア: その代わりオレらの戦いは もう終わりだからな!
  565.  
  566. FILENAME: text_102804-14_KPw7G.txt
  567. 結菜: あぁ… 体の自由が奪われるばかりか 目まで見えなくなってしまった…
  568. 結菜: 得体の知れない存在だからこそ キモチに心を許したつもりはなかったけれど 私が置かれている状況こそが現実ねぇ…
  569. 結菜: 完全にしてやられた… みんなの流した血を奪うどころか 最後の1滴まで搾り取られてしまぅ…
  570. 結菜: みんな、命を張ってくれて さくやも最後まで命を賭して戦ってくれたのに なんて無様なのかしらぁ…
  571. 鈴鹿 さくや: どんなに憎い相手でも…
  572. 鈴鹿 さくや: 人となりを知った相手にまで 手をかけたら…
  573. 鈴鹿 さくや: 結菜は…誰でも殺せるように なってしまうから…!
  574. 結菜: …………
  575. 鈴鹿 さくや: 昔の結菜が…そうだったように…
  576. 鈴鹿 さくや: 今の結菜に…その一線を 越えてほしくないんだ…!
  577. 鈴鹿 さくや: お願い、結菜… 心まで鬼にならないで…!
  578. 結菜: そう… 私に心の隙を作ったのはさくや…
  579. 結菜: 彼女が死んでまで 私の行動を止めたのなら
  580. 結菜: その遺志に報いて やり直すべきかしらぁ…
  581. 結菜: それなら、私はまだ…!
  582. 結菜: ――っ!?
  583. 結菜: ぐっ…
  584. 結菜: 浸食に耐えるだけで精一杯なのに これじゃ払いのけるなんて…
  585. 結菜: …………そぅ
  586. 結菜: あなたたちを支配するのは 最初から無理な条件だったのね…
  587. 結菜: 支配感なんてものは偽りで、 手のひらで踊らされただけ…
  588. 結菜: 私は誰も守れなぃ…救えなぃ…
  589. 結菜: 奪い返すことも恨みを返すことも なにもかもが成せなぃ…
  590. 結菜: …先輩
  591. 結菜: 私が先輩の教えを棄てて 守らなくなったからでしょうか…
  592. 結菜: そのせいで全てが 狂ってしまったのでしょうか…
  593. 結菜: 待っていてください すぐにグリーフシードを探しに…
  594. 「行かないで、結菜… 私を見届けてちょうだい…」
  595. 結菜: 従えません…!
  596. 結菜: 私には、まだあなたから 教えてもらうことが山ほどある…
  597. 「大丈夫…私たちの半年は濃かったわ… あなたの中に息づくぐらいにね…」
  598. 「だから思い出して… 私が必要な時は答えるわ… ちゃんと、あなたの心の中から…ね…」
  599. 結菜: っ!
  600. 結菜: お前たちに体は渡さなぃ!!
  601. 結菜: まずは視界からひとつずつ 返してもらうわよぉ!
  602. 結菜: ぁぁあああぁあああッ!!
  603. 結菜: (はっ…はぁ…あ…)
  604. 結菜: (これ…全部…私が…)
  605. 結菜: (っ、先輩…教えて… 私どうすれば…)
  606. 結菜: (先輩…!)
  607.  
  608. FILENAME: text_102804-15_KPw7G.txt
  609. 鶴乃: …………
  610. いろは: っ、紅晴…さん…
  611. うい: おねえ、ちゃん… だめ、いかないで…
  612. いろは: うい、みんなをお願いね… 私、追いかけないと…
  613. うい: みんなで戦って、ダメだった… もう、ムリだよ…
  614. うい: お姉ちゃん、このまま二木で、 魔女になっちゃう…
  615. いろは: 大丈夫、きっとみんな救える… 今までもなんとかなったから…
  616. いろは: それに今、一番苦しんでるのは きっと紅晴さん…
  617. いろは: だから、っ… お姉ちゃん、助けてくるね…
  618. うい: …必ず帰ってきて
  619. ひかる: …環、さん
  620. いろは: ひかるちゃん… 紅晴さんの所に行ってくるからね
  621. ひかる: ひかるたちが…神浜に何をしたか わかってるんす、か…
  622. ひかる: 本当に助けるつもりっすか… 死人に呪われる、っすよ…
  623. いろは: 大丈夫だよ、みんなを救えば 許してくれると思う
  624. ひかる: ほんと、バカっすね…
  625. いろは: え…
  626. ひかる: ひかるもバカになったんす… 結菜さん、カタコンベっすよ…
  627. いろは: ありがとう、ひかるちゃん
  628. 静香: 情けない… 紅晴結菜を止めることができなかった…
  629. 静香: やっぱり彼女は私とは全く似ていない たとえ仲間を想う心が同じだったとしても その恨みと復讐心から生まれた悪の思うがままに 全てを蹂躙するのは有り得ない
  630. 静香: 環さんは紅晴結菜を絶対に救うつもりだけど 彼女のような存在を増やさないために 人の根にある善の心が穢れないようにしないと また、同じことを繰り返してしまう
  631. 静香: それを解決するには…!
  632. 静香: っ…
  633. 静香: (私たち時女一族は、 人を変えてあげないといけない)
  634. 静香: (穢れる前に導かないと…)
  635. 燦: 私たちが人の上に立って 制御しようと思っているのは
  636. 燦: そうした悪の側面を 人々から剥がすためでもあるのよ
  637. 静香: ――っ!?
  638. 燦: 人と並び立って説得するのも 人の上に立って制御するのも
  639. 燦: 導く先は同じだと思わない?
  640. 燦: 人が性善であったとしても、 状況次第では悪に傾く
  641. 燦: 変えましょう時女の本家 私たちと一緒に
  642. 静香: まだ…ネオマギウスが、 利用できるかもしれないわね…
  643.  
  644. FILENAME: text_102804-16_KPw7G.txt
  645. かごめ: ぅ…く…
  646. リヴィア: あかんて、無理したら…!
  647. かごめ: みんな、は…
  648. ヨヅル: 佐鳥様が守られた方々は 無事ですよ
  649. 月出里: ふむ、ふむむ…
  650. ヨヅル: はい、環様の力で 佐鳥様のケガを処置したものの
  651. ヨヅル: 普通の人の体では致命傷です
  652. ヨヅル: 救急車の到着を待ってからの 移動になりますが
  653. ヨヅル: 命が持つかどうか…
  654. 月出里: ふんむっむ!ふんむっむ!
  655. 私たちの魔力で 少しでも延命になるなら…!
  656. 魔法少女でもない子を 死なせられないわ!
  657. こんな命の守られ方をして、 放っておけないわよ
  658. かごめ: …………
  659. リヴィア: あかん、かごめちゃん! しっかりし!
  660. リヴィア: かごめちゃんと 話をしてみてくれへんか…?
  661. リヴィア: キュゥべえ
  662. キュゥべえ: そうだね
  663. キュゥべえ: 彼女が願いを叶えるなら それで命は救われるはずだよ
  664. 月出里: ふむんむむ!?
  665. ヨヅル: キュゥべえはだいたいどこかに 潜んでるものですよ
  666. かごめ: キュゥべえ…
  667. キュゥべえ: 自分でもわかると思うけど キミの体はかなり危険な状態だ
  668. キュゥべえ: もちろん、このままだと その命は失われるかもしれない
  669. キュゥべえ: だけど、ボクと契約して 魔法少女になってくれるなら
  670. キュゥべえ: 願いを叶えることで キミの命を救うことができる
  671. かごめ: …魔法少女になれば 私は強靱な肉体が手に入る…
  672. かごめ: だからケガのことを願うのは きっと損になっちゃうよね
  673. キュゥべえ: それなら他の願いでも構わない
  674. キュゥべえ: ボクはキミの願いを なんでも叶えてあげられるからね
  675. かごめ: それなら、いろはさんと 紅晴さんを助けたい…
  676. キュゥべえ: 今、言ったことでも構わないよ 契約は成立するはずだ
  677. かごめ: …ううん、契約はしない
  678. かごめ: なんとかケガは耐えてみせるし
  679. かごめ: いろはさんが みんなを救うって信じてる
  680. かごめ: それに私が魔法少女になると 悲しむ人が沢山いるから
  681. 救急車が来た!
  682. だからまだ、願っちゃだめ!
  683. あなたは知ってるはずよ 魔法少女たちの苦しみを!
  684. キュゥべえ: …………
  685. リヴィア: (こいつらが出しゃばるんは さすが想定外やったな)
  686. ヨヅル: 先生、来ました!
  687. リヴィア: ほなら運ぼうか
  688. ピーポーピーポー
  689.  
  690. FILENAME: text_102804-17_KPw7G.txt
  691. 結菜: ∵ゥ―ァア_
  692. 結菜: (このままじゃ、また… のまれる…)
  693. 結菜: (私が…分解されていく…)
  694. 結菜: ∵グ_ゥ ̄セン、パイ―
  695. 結菜: (私はもう、 みんなを傷付けたく、ない…)
  696. 結菜: (どうすれば…)
  697. ……………………
  698. …………
  699. 結菜: 「憎まず、嫉まず、利己的にならず 何よりも誰かのためであり 世の平和と心の安寧を願い続ける」
  700. 結菜: (この言葉を棄てた時点で、 私は全てを棄ててたんですね…)
  701. 結菜: (わかりました…私も眠ります… みんなと…ここで…)
  702. 結菜: (ごめんなさい、さくや そっちに行ってしまうわぁ…)
  703. 結菜: 樹里…らんかと一緒にアオの心を 元に戻してあげてちょうだぃ…
  704. 結菜: アオ…後を追おうとするひかるを どうか止めてあげて…
  705. 結菜: ひかる…アオと一緒にどうか 次の世代の二木を作っていって…
  706. 結菜: ∵フッ!
  707. 結菜: ――っ!?
  708. 結菜: ∵グ、ゥ―ウバウナ ̄ ワタシガシヌ_ジユウ―マデ…!!
  709. いろはの声: 紅晴さんのことは… 絶対に死なせません…!
  710. 結菜: ――っ!?
  711. いろは: その恨みも怒りも全て 消えるものじゃないと思うけど
  712. いろは: 私たちに 向けられたものだと思うけど
  713. いろは: 二木の人が幸せになるっていう 紅晴さんが抱いている救いを
  714. いろは: 私は叶えたい… 一緒に背負っていくから…!
  715. 結菜: ∵ソウイッテ_カミハマハ―
  716. 結菜: ∵ヒトヲ―クルシメテ ̄ スクイヲ_―テニ_イレル…
  717. 結菜: ∵ソンナ ̄ヤツラニ― スクイヲ― ̄ユダネ―ラレナイ!
  718. 結菜: グッ…
  719. 結菜: (いいわ、キモチのあなたたちが 私を乗っ取って暴れるのはねぇ)
  720. 結菜: (その代わり… 目の前の女を殺してちょうだぃ)
  721.  
  722. FILENAME: text_102804-18_KPw7G.txt
  723. 結菜: ∵フッ…
  724. いろは: キャッ!!
  725. いろは: (少しかすめただけなのに…)
  726. 結菜: ∵ハァア_―ッ!!
  727. いろは: ――っ!?
  728. いろは: はぁっ…はぁ…
  729. いろは: (ひかるちゃんに 浄化してもらったのに…)
  730. 結菜: (くたばりなさぁぃ…)
  731. いろは: キャァアアッ!
  732. いろはの声: カハッ…ゥ…!
  733. 結菜: (あなたが消えるだけでも 心置きなく死ねるわぁ…)
  734. いろは: っ…
  735. いろは: フェリシアちゃん!!
  736. フェリシア: …いろは? どうしてここにいるんだよ…
  737. いろは: キモチに支配されちゃいけない 体を奪われちゃいけないよ!
  738. いろは: (あのときと同じように 私のキモチを通して繋がって…)
  739. いろは: (紅晴さんの心を解放する…!)
  740. いろは: ふっ!
  741. 結菜: (あなたまで私の中に 入り込もうとするのねぇ…!)
  742. いろは: ぐ…はい、れない…!
  743. いろは: まさか、まとってるキモチが 干渉する邪魔を…
  744. 結菜: ∵フフッ_―
  745. いろは: お願い、キモチのみんな 紅晴さんから離れて!
  746. いろは: ブレスレットに戻ってー!!
  747. 結菜: まさか…!
  748. いろは: やぁああああああッッ!!
  749.  
  750. FILENAME: text_102804-19_KPw7G.txt
  751. いろは: 深いところまでキモチの浸食を受けているせいか フェリシアちゃんのときとはまるで違う
  752. いろは: 紅晴さんを形作るいくつもの記憶が バラバラに分解されていくように見える
  753. いろは: 紅晴さんとひとつになった私も 例外じゃないみたい… 少しずつ自分の胸の奥に 知らない何かが浸食してくるのを感じる
  754. いろは: それでも助けるからね紅晴さん
  755. いろは: 必ず見つけてキモチから解放して 元の姿に戻すから…
  756. いろは: だからごめんね 見つけるためだとは言っても 過去を覗いてしまうと思う
  757. 樹里: ハッ、テメエが 新しいアイツの腰巾着か
  758. 樹里: 私にとっちゃ、新しいオモチャが 来てくれたもんだな
  759. 結菜: 噂通りの戦闘狂のようねぇ…
  760. 結菜: あなたの報復を恐れて 活動できない魔法少女もいるわぁ
  761. 結菜: ただでさえ危険に身を置く以上、 魔法少女は手を取り合うべきよぉ
  762. 樹里: ぁあ?
  763. 樹里: むしろ気に入らねえヤツや 強いヤツをぶん殴れる社会だろ
  764. 樹里: そんな最高の舞台を 自ら放棄するわけないっつーの
  765. キュゥべえ: ボクがどれだけ説明をしても 理解は得られないようだね
  766. キュゥべえ: できれば攻撃は やめてもらいたいんだけど
  767. 結菜: 個体数に限りがあるのは あなたの都合で論点が違うわぁ
  768. 結菜: 私たちが求めてるのは あなたの魔法少女勧誘停止よぉ
  769. 樹里: あぁ… 今日で竜ケ崎は虎屋町から離れる
  770. 樹里: テメエら! この“樹里サマ”に付いて来い!
  771. 結菜: 恨むわよ…樹里…
  772. 樹里: いいぜ、姉さん
  773. 樹里: “樹里サマ”は 今、テメエに楔を打った
  774. 樹里: それをブチ壊してくれ
  775. 樹里: そして次こそは私の ビョーキを受け止めてくれよ
  776. 隙を見せたな… みんなやれ!今だ!
  777. 結菜: 危ない!!
  778. っ…まにあわな…
  779. くらぇえええ!!
  780. グッ…ウ… すみま…せん…
  781. 残りは…紅晴結菜…
  782. いろは: 戦い…戦い…戦い… 数え切れない仲間たちの死を見届ける日々 平穏な魔法少女としての生活なんて ほとんど経験していない…
  783. いろは: これが魔法少女としての紅晴さんだから 心の中も凄惨な光景が広がっている…
  784. いろは: 奧に進もうとする度に… 1歩進もうとする度にぐにゃりと 誰かの肉の感触が足の裏から伝わってくるのも 風が鳴るように苦しむ声が聞こえてくるのも 全てが紅晴さんの心の姿なんだ…
  785. 「キャアアアアッ!!」
  786. 「グッ…ア…ぅ」
  787. 「やだ…いや…だぁ…」
  788. 「助けて…あげ…て」
  789. 「結菜さん…!!」
  790. アイツらは解放のために 各地から魔女を集めてた!
  791. 結菜: ――っ!?
  792. 他の地域の魔法少女が どうなるかなんて考えず
  793. ただ自分たちのために 魔女を集めていたのよ!
  794. アオ: …それで他の魔法少女は 納得してたの…?
  795. 真実は最後まで伏せられていたし 集まってたのは弱い子たちばかり
  796. 救われたいという気持ちが 先行してたと思う…
  797. それに、解放が成功すれば 魔女化を回避する力は広がる
  798. 自分たちが町に帰っても 問題はなかったはずだから…
  799. ひかる: じゃあ、今はどうなんすか…
  800. ひかる: この町も、二木市でも 今は魔女化しなくなったんすか…
  801. 何十万人もの犠牲を払うことと 凶悪な魔女が生まれるリスク
  802. それを知った他の魔法少女に 完全な解放は阻止されたわ…
  803. 鈴鹿 さくや: そんなに犠牲を… それじゃ虐殺だよ…
  804. ひかる: 仕方ないんすかね…
  805. でも、今も魔女化を避ける システムは、神浜にある
  806. 外で犠牲を払った私たちには なんの恩恵もない!
  807. 町を壊して、人を犠牲にして 魔法少女を犠牲にして!
  808. 得をしたのはアイツらだけよ!
  809. 結菜…!
  810. 私はやるせない… あまりにもやるせない…!!
  811. ――っ!?
  812. 鈴鹿 さくや: ちょっと、どうしたの…
  813. 結菜: これが殺意なのねぇ…
  814. 結菜: 「私は許せなかった」
  815. いろは: 紅晴さん…!?
  816. 結菜: 「なんとか均衡を保っていたのに それを壊して戦わざるを得ない状況を作って 殺し合いをさせたマギウスが許せなかった 何も気付かずに恩恵を受けて笑って過ごしている 神浜の魔法少女たちが許せなかった」
  817. いろは: っ…………
  818. 結菜: 「けど本当は、それまでに何も成せなかった自分に 一番腹を立てているのかもしれない…」
  819. いろは: そんなことない…
  820. いろは: 紅晴さんは自分にできることは 精一杯やってた…!
  821. 結菜: 「私が誰かの幸せを望んだところで 能力が及ばない時点でおこがましいのよぉ…」
  822. いろは: ちがうよ、誰だって 人の幸せを望んでいいんだよ…
  823. いろは: (紅晴さんの反応がある…)
  824.  
  825. FILENAME: text_102804-20_KPw7G.txt
  826. 結菜: 環いろはもバカねぇ…
  827. 結菜: 素直に私に殺されておけばいいものの このままだと私と同じように浸食されて バラバラにされるだけよぉ…
  828. 結菜: あなたが何者でどんな経験をしてきたなんて どうでもいいわぁ…
  829. 結菜: だけどせっかくなら、そうねぇ
  830. 結菜: あなたの存在を見つけ出して 魂ごと道連れにしてあげるわぁ…
  831. いろは: 「私の記憶は間違ってない… いたはずだよ…妹は…ういは…」
  832. 結菜: あなたもひとりの魔法少女 他の子たちと同じように 何か抱えて生きてはいたんでしょぅねぇ
  833. いろは: 私、妹のために…
  834. いろは: あの子の病気を治すために 魔法少女になったんです…!
  835. いろは: どうして忘れてたんだろ… こんな大切なこと
  836. ももこ: 忘れてたって…どういうこと… 長い間、離れて暮らしてるとか…
  837. いろは: いえ…ずっと一緒でした…
  838. いろは: この間まで、同じ屋根の下で 一緒に寝て、ご飯も食べてました
  839. いろは: でも、みんな消えてるんです… なかったことになってるんです…
  840. いろは: あの子がこの世界に居たことが…
  841. 灯花: 本当にわたくしのことを 探してたんだねー
  842. 灯花: ねむのことを探してるって 話は良く聞いてたんだけど
  843. 灯花: ちょっと驚いちゃったよ
  844. いろは: 灯花ちゃん… 本当に、覚えてないの…?
  845. いろは: ういのことも… 一緒に入院してたでしょ…?
  846. 灯花: 覚えてないもなにも、 最初から知らないよー
  847. 灯花: 言わなかったー?
  848. 灯花: 魔法少女より価値のない人を 先に使う方がいいでしょー?
  849. 灯花: 物事にはリスクは必要だから 使えるものは使わないと
  850. やちよ: 最初から、 この質問だけで良かったわ…
  851. いろは: …………
  852. 鶴乃: いろはちゃん…
  853. いろは: 記憶のことを置いておいても…
  854. いろは: 私の好きな灯花ちゃんや ねむちゃんだったとしても…
  855. いろは: それはね、それは、だめだよ…
  856. いろは: 信じたくない… 私が…私が捜してたのは…
  857. さな: いろはさん…!
  858. いろは: っ…さなちゃん… 本当にイブが…うい、なのかな…
  859. さな: …………
  860. いろは: そう、だよね… 万年桜は咲いちゃった…
  861. いろは: 『ういを捜しに来て、私以外に誰も覚えてなくて 私の妄想か真実かもわからないまま ただ、頑なに私の中だけにある記憶を信じて ようやくういを見つけられたのに…』
  862. いろは: 『このままイブを…ういを放置してたら… 神浜の人たちが…みんなの友だちや家族が… 死んじゃうかもしれない…』
  863. いろは: 『ワルプルギスの夜も来てる… 止めないと…私がういを止めないと… でも、それって殺すっていうこと…? ようやく会えたういを…私が…殺すの…?』
  864. 結菜: …あなたは、この悩みの果てに妹を助けつつ 神浜の人たちが解放の犠牲にならないように マギウスの計画を止めた この清々しい晴れ模様が成功を物語っているわぁ
  865. 結菜: だけど、1歩進む度に揺らめく水面は 悲しみを象徴するような大量の涙
  866. 結菜: 環いろはのものかもしれないけれど 彼女は自分の気持ちに反して 今も悲しみに暮れているということぉ…?
  867. 那由他: 「消えたパパを見つけて 魔法少女を救いたいんですの…」
  868. 結菜: え…この声は…
  869. みたま: 「このままだと またミィがいじめられるかもしれない!」
  870. 十七夜: 「東西の話については もう少し様子を見守って良いはずだ…」
  871. 静香: 「私は日の本の平和と安寧のためにも 巫が悪鬼になるのを避けたいのよ」
  872. 結菜: 「二木のみんなのためにも復讐を果たす 流した血は返してもらうわよぉ」
  873. 結菜: …まさか
  874. 結菜: ここを満たしてるのは… 環いろはではなく…誰かの涙…?
  875. いろは: 『私は小さな可能性を手繰り寄せて ういを助けて幸せをつかむことができた』
  876. いろは: 『だから、今度はみんなの番 みんなが生きて希望を叶えられるように 私はこの身を捧げたい』
  877. 結菜: …………
  878. 結菜: ウソでしょぅ…
  879. 結菜: みんなの涙を照らして あなたは本当に全てを救う気…!?
  880. 結菜: 深く憎むべき相手だとしても その人の救いを優先して
  881. 結菜: 世の平和と安寧を 願い続けているっていうこと!?
  882. 「憎まず、嫉まず、利己的にならず 何よりも誰かのためであり 世の平和と心の安寧を願い続ける」
  883. 「それが私が伝えられることよ、結菜」
  884. 結菜: 認めない、私は認めない! あなたが折れずに来たことを!
  885. 結菜: その清廉で高潔な想いに 一切の揺るぎがないことを!
  886.  
  887. FILENAME: text_102804-21_KPw7G.txt
  888. 結菜: 何がなんでも私を恨ませる!
  889. 結菜: その決意が偽物だって 気付かせてやる!
  890.  
  891. FILENAME: text_102804-22_KPw7G.txt
  892. 結菜: 消えろぉおおおッツ!!
  893. 結菜: はっ…はぁ…ふぅ…
  894. 結菜: 環さんの、ソウルジェム…
  895. 結菜: これを壊せば終わる…
  896. 結菜: ……………………
  897. 結菜: …………
  898. 結菜: 何度も傷付けて殺し続けても、 あなたは全く濁らないのねぇ…
  899. 結菜: 急所は本当に妹だけ…
  900. 結菜: 環ういをさらったときに、 素直に殺すべきだったわぁ…
  901. 結菜: いえ、 あれはさくやに止められた…
  902. 結菜: やっぱり私は最初から 復讐を果たせない宿命だった…
  903. 結菜: はぁ…悔しい…
  904. いろは: ここは…
  905. いろは: 紅晴さんのソウルジェム ひどい…何か黒くなってきて…
  906. いろは: キャッ
  907. いろは: そう、あなたたちが紅晴さんを 奪おうとしてるから…
  908. いろは: …あの、 ひとつだけ聞いてもいい…?
  909. いろは: もしかして、みんな本当は 争いたくないんじゃないかな…?
  910. いろは: 変なこと言ってごめんね
  911. いろは: でも、そうじゃないと私の訴えで ブレスレットに戻ってくれたのも
  912. いろは: 私と一緒にいるキモチが 私を乗っ取ろうとしないのも
  913. いろは: 説明できないような気がして…
  914. いろは: 他のみんながキモチのみんなを 道具のように見てるから
  915. いろは: 警戒してルールを作って 抵抗してたんじゃないかな…?
  916. いろは: もしも、そうだとしたら安心して
  917. いろは: 誰かの体を奪おうとしなくても、 自動浄化システムに届けるから
  918. いろは: ただ、イブに戻る話については 相談したいけど…
  919. ∵ウゥ―ヒッゥ
  920. いろは: っ…!
  921. いろは: 私もみんなとは争いたくないの
  922. ∵ワァン_ヒック ̄
  923. いろは: うん、あなたを消したりしないし 争うつもりもない
  924. いろは: 元々イブだっていうことは 私にとってはういと同じ
  925. いろは: これまで戦ってきたけれど、 お姉ちゃんが大切にする
  926. いろは: だから安心して 紅晴さんを解放して
  927. ∵グスッ_―ウゥ
  928. いろは: うん、ありがとう
  929. いろは: (キモチだって元を正せばうい)
  930. いろは: (攻撃されたり利用されるって 思うと、怖くて当然だよね…)
  931. いろは: ありがとう紅晴さん
  932. いろは: 紅晴さんの二木の魔法少女を 救いたいっていう想いが
  933. いろは: 大切なことに気付かせてくれたよ
  934. いろは: 仲間のために許されない罪を 重ねてきたと思う…
  935. いろは: だけど どれだけ血塗られていたとしても
  936. いろは: ちゃんと綺麗だよ、紅晴さん
  937. いろは: とりあえず、助かって良かったね…
  938. 結菜: …………
  939. 結菜: 本当、何をしてもされても揺るがない…
  940. 結菜: どこまでも綺麗でいられるあなたが 私は羨ましいわぁ…
  941. 結菜: ―結菜― あなたなら本当に救ってくれるかしらぁ 二木の魔法少女も一緒に
  942. いろは: ―いろは― ねぇ、紅晴さんの想いも 一緒に連れていってもいいかな…
  943. 結菜: ―結菜― 信用しても良いのかしらぁ…
  944. いろは: ―いろは― 信用してくれると嬉しいな…
  945. 結菜: …………生きてる
  946. いろは: …………生きてるね
  947. 結菜: 神浜への恨みは消えない… 死んだ者への悔いも…全て…
  948. 結菜: だけど、魂に触れて あなたの偽りのない想いを感じた
  949. 結菜: 今までのことを水には流さない
  950. 結菜: だけど、あなただけなら 信用してあげるわぁ…
  951. いろは: …ありがとう信じてくれて
  952. 結菜: 多くが救われる道を 選んだだけよぉ…
  953.  
  954. FILENAME: text_102804-23_KPw7G.txt
  955. 結菜: あなたたちを私たちが刻んだ 歴史に巻き込んだ上に
  956. 結菜: 血の誓いも果たせなかった自分が 不甲斐なくて恥ずかしぃ…
  957. 結菜: 付いてきてくれた仲間への 弁明の余地はどこにもないし
  958. 結菜: みんなを傷付けて殺しかけたのは 謝罪しても許されいと思うわぁ…
  959. 結菜: それでも私はここでみんなに 伝えなくちゃいけなぃ…
  960. 結菜: 「プロミストブラッドの活動はここまで 神浜への復讐劇は終わりにするわぁ」
  961. 私たちはもう 救われないんですか…
  962. ここまで苦しんで奪われて 何も手元には残らないのか…
  963. たとえ復讐が虚しくても構わない その虚しさすら今は欲しいのに…
  964. 結菜: 神浜の魔法少女たちの目的は 自動浄化システムを広げること
  965. 結菜: 世界中に広げる中で 私たちも救われるのを信じるわぁ
  966. 信じられるんですか…今さら
  967. 結菜: 神浜への恨みは消えないし、 彼女たちも信用できない
  968. は…?
  969. 結菜: それでも、 環いろはの魂に触れて
  970. 結菜: 愚直に理想を追う彼女だけは、 信じることにしたわぁ
  971. …………
  972. 樹里: ただ、樹里サマたちじゃ キモチをコントロールできねえ
  973. 樹里: 1体や2体ならともかく 4体でこのザマとあっちゃあ
  974. 樹里: 8体を掴んで支配するなんて 無理だっつーの
  975. アオ: たった1体だったのに わたしは乗っ取られたけど…
  976. 樹里: まだまだハートが弱いんだよ ニヒッ
  977. アオ: ひどいな~
  978. 結菜: ただ、樹里の言う通りよぉ
  979. 結菜: 4つ手に入れた支配感は偽りで 私はただ弄ばれて仲間を傷付けた
  980. 結菜: …もしもキュゥべえが キモチを理解していたとしたら
  981. 結菜: 戦いをけしかけられたときから アレに弄ばれたようなものねぇ
  982. ひかる: 何か裏があるのはわかってたっす
  983. ひかる: けど、話に乗った時点で ひかるたちは負けてたんすね…
  984. 結菜: ただ、まだ完敗じゃなぃ
  985. 結菜: 8つの石をそろえてどうなるか まだ秘めた可能性はあるわぁ
  986. ひかる: それって、ユニオンと時女一族と ひとつになるってことっすか?
  987. アオ: そっか、時女一族にとっても 争う理由がないなら
  988. 樹里: まぁ全部そろうっつーことだな
  989. 結菜: そう、解放への希望は 残されてるわぁ…
  990. 結菜: 後日そのときが来るまで、 このキモチの石は3人に預けるわ
  991. 樹里: また姉さんに殺されかけたら たまらねーからな
  992. アオ: リスク分散は大切だよね
  993. ひかる: これで良い方向に風向きが 変わるといいっすね
  994. 結菜: …魂に触れるような感じで 直接環さんを知ったけど
  995. 結菜: ひかるが彼女になびいた気持ちが 少しだけわかった気がするわぁ
  996. ひかる: ひかるは結菜さん一筋っす なびいてなんかないっすよ!
  997. いろは: あの、始発が動いたので そろそろ私たち神浜に戻ります!
  998. アオ: …………
  999. アオ: …わたしだけ直接殺してる
  1000. アオ: いまさら手を取り合って 許されるわけがない…
  1001. 結菜: 結局、空間結合は うまくできなかったのぉ?
  1002. いろは: はい、短い距離しか使えなくて 理由もわからないそうです
  1003. 結菜: じゃあ他の人たちは?
  1004. いろは: 鶴乃ちゃんとフェリシアちゃんと やちよさんは
  1005. いろは: ももこさんたちのケガが ひどいので先に連れて戻りました
  1006. いろは: 静香ちゃんたち時女一族も 旭さんと涼子さんのケガで…
  1007. 結菜: そぅ…
  1008. いろは: …あの、また今度さくやさんに 手を合わせに来てもいいですか?
  1009. うい: わたしも…
  1010. うい: 前に二木で助けてくれたのって、 さくやさんだったんでしょ…?
  1011. 結菜: ええ…
  1012. 結菜: 私の心も含めて、 多くを守ってくれたわぁ…
  1013. 結菜: 私に悼むような資格があるかも わからないけど…
  1014. 結菜: ふたりにはその資格があるし さくやも多くに悼まれるべきよ…
  1015. いろは: 優しい人だったと思います…
  1016. 結菜: …………
  1017. 結菜: それで、私は本当にキモチの石を 持っていてもいいのぉ?
  1018. さな: あの、いろはさん… 私もそれが気になってました…
  1019. 結菜: 今ならあなたに渡してもいいわぁ
  1020. いろは: …私からの信用している証です
  1021. 結菜: それでも4つは多すぎるから 私の分は渡しておくわぁ
  1022. 結菜: ふたつ持つのが危険なら 和泉十七夜に渡しておいて
  1023. いろは: 十七夜さんですか?
  1024. 結菜: 東を揺さぶったり 何度も彼女を殺そうとしたから
  1025. 結菜: その贖罪として
  1026. いろは: わかりました
  1027. いろは: じゃあ、ガーネットさん 少しだけ私に付き合ってね
  1028. うい: お姉ちゃん
  1029. うい: やちよさんたち、そろそろ神浜に 着きそうだって連絡きたよ
  1030. いろは: じゃあ急いで帰ろっか
  1031. うい: うん、始発に乗れないと 次まで時間があるみたいだから
  1032. 結菜: 今までごめんなさい、環さん あなたにだけなら謝れるわ
  1033. いろは: はい
  1034. いろは: いつか恨みの炎が消えるって 私は願ってます
  1035. 結菜: 今は無理だから消したフリをして また神浜に行くわぁ
  1036. いろは: それじゃあ、紅晴さん また神浜で
  1037. 結菜: ええ、さよなら
  1038. 結菜: …………
  1039. 樹里: それで、これからどうする姉さん 不満は噴出するぞ
  1040. ひかる: 仕方ない気もするんすけど…
  1041. 結菜: これから話し合いの時間を 設けましょぅ
  1042. 結菜: ただ、その前にひとつだけ みんなにお願いがあるわぁ…
  1043. ひかる: なんすか…?
  1044. 結菜: 少しだけでいいから、 さくやとふたりにさせて…
  1045. 樹里: …わかった
  1046. 樹里: らんか、一緒にみんなを連れて いったん出るぞ
  1047. 智珠 らんか: はいはい、みんな 話は後にしていったん出るわよ
  1048. 結菜: ……………………
  1049. 結菜: …………
  1050. 結菜: 本当なら私が死ぬべきなのに… ごめんなさい、さくや…
  1051. 結菜: それに最後までありがとう… 私を見捨てないでくれて…
  1052. 結菜: 本当はすぐにでも 追いかけてあげたいけど
  1053. 結菜: あなたは怒るだろうから 少しだけ時間をもらうわぁ…
  1054. 結菜: 二木のみんなと アオを助けてあげないとね
  1055.  
  1056. FILENAME: text_102804-24_KPw7G.txt
  1057. いろは: すみません遅くなっちゃって…
  1058. さな: 始発で出たんですけど 乗り換えに失敗しちゃいました…
  1059. 十七夜: うむ、気にするな ちょうど八雲の調整も終わった
  1060. いろは: あの、十七夜さん
  1061. 十七夜: む?
  1062. いろは: これ、紅晴さんから 謝罪の印だということです
  1063. 十七夜: そうか、話には聞いていたが 本当に和解したようだな
  1064. 十七夜: 相手の善意を無碍にもできんし 受け取っておこう
  1065. うい: ねえねえ、ももこさんたち ケガはもう大丈夫なの!?
  1066. みたま: ええ、出血はひどかったけど、 ソウルジェムも浄化できたし
  1067. みたま: じきに回復すると思うわぁ
  1068. みたま: いろはちゃんには悪いけど また傷を治してもらって良い?
  1069. いろは: はい、もちろんです
  1070. 保澄 雫: あの、みなさんごめんなさい
  1071. 保澄 雫: 本当は私が帰りも空間を繋いで 戻ってくる手はずだったのに…
  1072. いろは: みんな帰って来られたんだし 気にしないでいいよ
  1073. やちよ: それで、原因はわかったの?
  1074. 保澄 雫: みたまさんは魂の性質が変わって 影響がでたんじゃないのかって
  1075. やちよ: 魂の性質の変化?
  1076. みたま: そういう言葉を選んだだけで 確信があるわけじゃないのよぉ
  1077. みたま: でも、調整してみたときに いつもと違ってたのは本当よぉ?
  1078. 鶴乃: それで固有魔法が弱まった…?
  1079. 鶴乃: 雫ちゃんにとって 何か心当りってないの?
  1080. 保澄 雫: …あります
  1081. 保澄 雫: そう、誰かといることが大切…
  1082. 保澄 雫: 令さん…郁美さん…
  1083. 保澄 雫: 私はふたりにとって 心の居場所になれましたか…?
  1084. 保澄 雫: あのとき、居場所を求め続けてきた私の胸に ストンと納得できる答えが落ちてきて 隙間が全くないぐらいキレイにはまった
  1085. 保澄 雫: それは私が世界中どれだけ居場所を求めても 絶対に見つからないっていう残酷なもの だけど同時に私は誰かにとっての居場所だっていう どこか希望に満ちたものだった
  1086. 保澄 雫: 私は居場所を求めたいんじゃなくて 誰かの居場所になりたいんだって思ったとき ようやく私は胸を撫で下ろした
  1087. 保澄 雫: 遠回りして1周して戻って来た気もするけれど 誰かの居場所である私自身が私の居場所 それでいいと思ったから
  1088. 保澄 雫: 私は旅をする理由が なくなってしまったんです
  1089. 静香: 涼子のケガについては 和尚にちゃんと説明してくるわ
  1090. ちはる: うん、時女の家系だっていっても やっぱり驚いてたから…
  1091. 静香: えぇ、しっかり話してくるわ…
  1092. ちかの声: キャアッ!
  1093. 静香: なに、今の声
  1094. ちはる: ちかちゃんだよぅ!
  1095. 青葉 ちか: …………
  1096. 静香: どうしたの…?
  1097. すなお: 旭さんのケガを看ようと思って 服を脱がせてたんですけど…
  1098. 静香: ――っ!?
  1099. 静香: ちょっとなに… 体中古傷だらけじゃない…
  1100. ちはる: これ、山の中で動物と 格闘したときにできたとか…
  1101. 青葉 ちか: 違います…! 誰が、こんなひどいこと…
  1102. ちはる: 誰がって…
  1103. すなお: じゃあ、旭さんのケガは…
  1104. 青葉 ちか: 切創…裂創…擦過傷…熱傷… 銃創…刺傷…
  1105. 青葉 ちか: 多くは人にやられたものとしか 思えません…
  1106. 青葉 ちか: こんなむごいこと…誰が…
  1107. すなお: こういうことをするような分家が あると思いますか…?
  1108. 静香: そうだとしたら時女の本家として 放っておくことはできないわ
  1109. 静香: 旭の出身を調べましょう…
  1110. うらら: ったた…
  1111. 結菜: 良かった、目が覚めたようねぇ
  1112. うらら: 長女さん…!
  1113. うらら: ご、ごめんなんよ… ウチ…さくやさんのこと…
  1114. 結菜: うららは悪くないわぁ…
  1115. 結菜: むしろ、二木の子でもないのに ありがとぅ
  1116. うらら: ――っ!?
  1117. うらら: いつから、気付いてたんよ…
  1118. 結菜: 内偵のように入っているのは 最近になって気付いたわぁ
  1119. 結菜: だけど、どちらかと言うと 身を潜めているというか
  1120. 結菜: こっそり隠れてるみたいだから みんなで静観していたのよぉ…
  1121. うらら: うぅ、恥ずかしいんよ…
  1122. 結菜: だから、さくやを命を賭けて 守ろうとしたって聞いたときは
  1123. 結菜: 驚いたわぁ…
  1124. うらら: …この戦いは 他の戦いと違うんよ…
  1125. うらら: …死ぬ人の数が同じだとしても 絶望の度合が段違いなんよ…
  1126. 結菜: それがさくやを 守ってくれた理由?
  1127. うらら: ううん…
  1128. うらら: さくやさんは、普通に良い人で 助けたかっただけなんよ…
  1129. 結菜: それが聞けただけでも良かった
  1130. 結菜: …本当に彼女はいい人よねぇ 本当は私が死んだ方が良かった…
  1131. うらら: ――っ!?
  1132. うらら: 長女さんは死んだらダメなんよ 三女さんを助けて欲しいんよ…
  1133. 結菜: あの子が恐怖を取り戻すように 私が仕掛けるのも使命だって?
  1134. うらら: なんよ
  1135. 結菜: そう…そうね…
  1136. 結菜: まだ隠れていたかったら 二木に居ても構わないけど
  1137. 結菜: 出て行きたかったら 出て行っても構わないわよぉ
  1138. 結菜: じゃあ、お大事に
  1139. うらら: ウチらが何をしてるのか 詳しく聞かないのん…?
  1140. 結菜: 濁されている時点で、 言いたくないのはわかるものぉ
  1141. うらら: 長女さん… お世話になったんよ…
  1142. ―取材記録― 笠音 アオ
  1143. アオ: 「こっちはまだお通夜ムードなのに 聞きにくるタイミングが悪いよ~」
  1144. アオ: 「そっちとしては、 状況を確認したいっていう気持ちも あるのかもしれないけどね~」
  1145. アオ: 「…あ、やっぱりわかっちゃう? そう、なんだか最近ね 怖いとか悲しいとか負の感情みたいなのが 少しずつ薄くなってる気がするんだよね」
  1146. アオ: 「最初は強くなったんだと思ってたけど 周りが言ってる通りキモチに乗っ取られたのが 影響してるんだと思う…」
  1147. アオ: 「けどね、わたしはそれで構わない」
  1148. アオ: 「だって、もう誰にも虐められたくないし 搾取されるのだってイヤ…。 それなら自分の身を守るには 強くならないといけないでしょ?」
  1149. アオ: 「それだけじゃない。 二木の争いを引っ張ってきた 姉さまや姉ちゃんよりも強くなって たぶん頂上に行かないとだめ」
  1150. アオ: 「誰かが自分より上にいるだなんて 安心できないと思う」
  1151. アオ: 「…本当はそんなことしたくないよ?」
  1152. アオ: 「わたしだって本当は、 今のコミュ力があれば友だちもできるし たくさんメンバーを集めて みんなでゲームしたりしたいもん」
  1153. アオ: 「それでいつかプロゲーマーの集団を作ったら すっごく幸せだと思うからね~」
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