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- FILENAME: text_102804-1_KPw7G.txt
- 結菜: さぁみんな! 彼女たちを潰しなさい!!
- 結菜: ―結菜― …………
- 結菜: ―結菜― 魔法少女である以上 ソウルジェムを砕かない限り死なない
- 結菜: ―結菜― 死の淵に立つ彼女たちを ひとりずつ消していきなさい
- 結菜: ―結菜― キモチの石を持っている人から順番に… それで私たちの勝利が確実なものになる…
- 月出里: ふんむんむむぅ…
- かごめ: いろはさん…! みんな…埋まっちゃった…!
- かごめ: 散らばった瓦礫を隠すように立ちこめる砂煙。 急ごしらえの墓標の下に、 ユニオンと時女一族は強制的に埋められていた。
- かごめ: 私は自分の息が詰まって 呼吸が浅くなるのを感じながら、 全てが終わったと思っていた。
- かごめ: この出来事が起きたのは 大きくふたつにグループが分かれようとしている 今からほんの少し前の話。 魔法少女たちが手を取り合う前に起きた 大きな出来事だった。
- 結菜: ようやく終わるのねぇ…
- 結菜: この反応… まさか、ウソでしょぅ…
- 樹里: 姉さんも感じたか…
- アオ: みんなダメージを受けてない… 魔力反応が変わってないよ…!!
- ひかる: うしろっす!!
- やちよ: みんな無事ね!?
- フェリシア: おう! かすり傷ひとつないぜ!
- ももこ: ふぅ、奇策がうまくはまったな
- 南津 涼子: こうなったら やることはただひとつ!
- 静香: ええ、プロミストブラッドに 引導を渡してやるわよ!
- いろは: みんな、お願いします!
- いろは: (ビルが崩れて コンクリートの塊が迫ってくる)
- 保澄 雫: はっ…ハァッ…
- いろは: 雫ちゃん!
- 保澄 雫: プロミストブラッドの背後に 空間を繋いで
- 保澄 雫: みんなが入ったら、 私はすぐ神浜に戻ります!
- いろは: ありがとう!
- いろは: 必ずみんな生きて帰るから 美味しいコーヒーを用意してて
- 保澄 雫: はい!
- 結菜: こんな芸当ができるのは ユニオンの中でただひとり…
- 結菜: (封じたつもりだったけど、 無事だったのねぇ…)
- 鈴鹿 さくや: 結菜、避けられない!
- 結菜: …やられたわぁ
- FILENAME: text_102804-2_KPw7G.txt
- ァアッ!
- ここまで、きて…
- 鈴鹿 さくや: くそ、さすがに容赦ないね…
- ひかる: 結菜さん!
- ひかる: ウァアッ!
- 結菜: っ、まだよ、まだ…!
- すなお: チャンスは今しかありません! 攻撃の手は緩めずに!
- ちはる: 無力化するだけでいいからね!
- やちよ: 勝負をつけましょう!
- FILENAME: text_102804-3_KPw7G.txt
- 樹里の声: ゲホッ…ッ… マジでフルパワーかよ…
- 樹里の声: らんか…無事か…
- らんかの声: あー、だめ… 死にそう…
- ひかるの声: …………
- アオの声: ひかる…ひかる…!
- ひかるの声: っす…
- ひかるの声: 命はあるっすけど 痛いっすねぇ…
- …………
- さくやの声: 結菜…ホームで負けた… さすがに心が折れそうだ…
- 結菜の声: グッ…く…!
- 結菜: 「ァァアアアアアアアッ!!」
- 鈴鹿 さくや: 結菜…
- 結菜: ハァ、ハァッ…!
- やちよ: もう勝負はついたわ
- 鶴乃: そっちが用意してた人たちだって 動けなくなってる
- 鶴乃: これ以上戦ったら そっちにも死人が出るよ!
- いろは: 終わりましょう 終わらせましょうよ紅晴さん!
- 結菜: ダマレッ!!
- いろは: ――っ!?
- 結菜: 他の誰がどういう気持ちでも 私から折れることはなぃ…
- 結菜: 折れるぐらいなら 死んだ方がマシよ!
- いろは: 紅晴さん…
- 静香: だけど、あなたにできることは もうないんじゃない?
- 静香: 本当に命を投げ出すだけなら、 ただの大馬鹿者よ
- 結菜: ふっ…
- 結菜: 策が奇策に破られるなら、 それを越えるのは圧倒的な力…
- 静香: 力…?
- 結菜: そぅ…
- アオ: それなら姉さまがキモチの石から 力を借りるのはどうかな~?
- アオ: 4つのキモチから力を借りたら 破壊の限りを尽くせるかも?
- アオ: クスクスッ
- ひかる: いやいや、 なに言ってんすかアオさん
- ひかる: アオさん自身もキモチに 乗っ取られてるんすよ!?
- ひかる: いくら4つのキモチを支配できる 感覚があったとしても
- ひかる: 力を借りるとなると 話は別っすよ!
- 結菜: 次女、三女 キモチの石を渡しなさぃ…
- ひかる: 結菜さん…それって…
- 樹里: お前、本気か…?
- 結菜: どうせ死ぬなら、 やれることをやって死ぬわぁ…
- アオ: …………いいよ
- ひかる: 三女さん!
- アオ: 長女として引っ張ってきた 姉さまがやるって言うなら
- アオ: どんな結果になろうとも わたしは姉さまのことを信じる
- ひかる: っ…す
- ひかる: わかったっす… ひかるも結菜さんの馬…
- ひかる: 信じ続けるのが役目っす!
- 樹里: いいのか…?
- 結菜: えぇ…
- 樹里: わかった、樹里サマも その最後の賭けに乗ってやるよ
- フェリシア: おい、ひとつの石にだって 乗っ取られるんだろ…?
- さな: はい、そんなの 賭けにもなってません…
- うい: お願い、やめて!
- うい: 本当にキモチにいいように 使われるだけになっちゃうよ!
- ひかる: それでも結菜さんが望むなら
- アオ: うん、失敗してもいいから
- 樹里: 暴れてこい
- 結菜: 受け取ったわぁ…
- FILENAME: text_102804-4_KPw7G.txt
- 結菜: 4つの石が手元に集まると 私の魔力がキモチを包み込んで 支配していく感覚が伝わってくる
- 結菜: それだけじゃなぃ… 今までの蓄積した感情が まるで大地に根を生やして絡め取るように キモチの力を掴んで離さなぃ…
- 結菜: ほら、あなたたちから力を借りる手はずは これで整ったわぁ…
- ∵ン~ ̄ハァァ…ゥ
- 結菜: 私は敬うことを知っている 誰かを愛するということも…
- ∵フゥッ―ゥウ…ァァウ
- 結菜: そう、二木には尊敬する先輩と かわいい後輩たちがいて
- 結菜: 彼女たちのためであれば、 私はいくらでも身を捧げられる
- 結菜: キュゥべえの排除を進めたのも 樹里と対立してきたのも
- 結菜: みんなを想えばこそだった…
- ∵ワッ_ヒィヤ…
- 結菜: キュゥべえがいなくなって 魔女が減っても驚かなかった
- 結菜: 苦しくてもグリーフシードの やりくりはできたし
- 結菜: 辛くても良い思い出よぉ
- ∵キャ ̄ァアイイ―
- 結菜: そうね、仲間を殺した樹里が 離反したのは驚きだった
- 結菜: ただ、それよりも驚いたのは 町から魔女が姿を消したこと…
- ∵ガァア_アッ―!!
- 結菜: あなたの言う通り 樹里への怒りは大きかったわぁ…
- 結菜: 彼女が離反していなければ 争いはもう少し小さくて済んだ…
- ∵ゥウ…ァアアァアッ!!
- 結菜: ええ
- 結菜: それでも真実を知ったときの 神浜に対する怒りには及ばなぃ
- 結菜: どうやっても消えない 恨みの炎は絶え間なく燃えていて
- 結菜: その燃料は炎の向こう側にいる 仲間への深い悲しみだった…
- ∵ヒッ_ウゥ―グスッ…
- 結菜: ただ、仲間を導いていたのが 私自身である以上
- 結菜: その恨みも悲しみも、 自分に跳ね返ってくる…
- 結菜: 脳裏にこだまして重なる 仲間たちの断末魔は呪いのようで
- 結菜: ただ悔いて 謝るしかなかったわぁ…
- ∵フッ―ウゥ ̄ウワァン!
- 結菜: そう、私は陥れられた驚愕と 深い悲しみと怒りと共に
- 結菜: 生きなくちゃいけない
- 結菜: 仲間を愛して敬うために…!
- 結菜: だからお願い、力を貸して! ここで勝てたら全てがそろう…!
- 結菜: それは私にとって神浜への復讐を 果たすことだけじゃない!
- 結菜: あなたたちを自動浄化システムに 連れて行くことだってできるの!
- うい: だめ、力を借りたって… いい結果になんてならないよ!
- フェリシア: あの鬼のヤツさえ倒したら 石が全部手に入るんだろ!?
- フェリシア: ちゃっちゃと ドカンとやっちまおうぜ!
- ももこ: やちよさん、 フェリシアの言う通りだ!
- やちよ: ええ、みんな紅晴さんを狙って!
- すなお: ここは旭さん! いつものようにお願いします!
- 旭: 了解であります!
- 旭: 揺れて狙いが…!
- ちはる: これ…それどころじゃないような 気がするよぅ…
- 静香: まさか彼女本当に!?
- いろは: 4つのキモチから力を借りた…?
- 結菜: …………
- ひかる: 結菜さん…
- 結菜: 飲み込まれそうよ… 私の中で力が暴れてねぇ…
- 樹里: コントロールできるのか…?
- 結菜: 今ならまだ、ふふ… やれそうよぉ…
- アオ: 姉さま…
- FILENAME: text_102804-5_KPw7G.txt
- かえで: レ、レナちゃん…
- かえで: これって本当に 魔法少女の魔力…だよね…?
- レナ: 当たり前でしょ… 紅晴結菜は魔法少女なんだし…
- かえで: でも、反応が違う なんかグチャグチャで…怖いよ…
- 鶴乃: レナ、かえで! みんなで一緒に距離をとろう!
- 鶴乃: あんなの暴力の塊だ!
- うい: 聞いてた話と違う… どうして体が崩れないの…
- いろは: 生きるのを諦めてない… 復讐を果たそうとする…
- いろは: ただ、その精神力の強さだけで もしかして紅晴さんは…
- 結菜: さぁ…死になさぁぃ…
- FILENAME: text_102804-6_KPw7G.txt
- かごめ: ビルの上でユニオンとプロミストブラッドの 行く末を見守っていた私は、 このときのことを鮮明に覚えている。
- かごめ: リヴィアさんとヨヅルさんが目を見開き、 月出里ちゃんが小さく震えていて、 普段は何も言わないリィちゃんが、 何度も警戒するように訴えかけてきていたから。
- かごめ: 慌てて紅晴さんに何が起きているのかを リィちゃんに聞いてみると、 返ってきたのは、 “暴虐を纏ってます”という答え。
- かごめ: 人でも魔法少女でも魔女でもない。 だけど、その例えが的を射ていることを、 私も目の当たりすることになった。
- かごめ: なのに、このときの私はただ必死になっていて、 リィちゃんが止めるのも聞かずに、 みんなの前に飛び出すような真似をした。
- リヴィア: なんやあれ… ほんまに魔法少女かいな…
- 月出里: ふむんむ、ふむむ…
- ヨヅル: 先生、どうしましょうか
- ヨヅル: 自分を優先すれば 退くべきだと思いますし
- ヨヅル: 誰かを気遣ったとしても 退くのが最善だと思います
- リヴィア: せやな…
- リヴィア: さすがに巻き込まれたら ただでは済まされへん
- リヴィア: あれを相手に、かごめちゃんを 守りきれる自信なんてあれへんわ
- かごめ: 退くなら3人だけにしてください 私はこの場に残ります…
- リヴィア: なっ!?
- リヴィア: 自分な、今の話 ちゃんと聞いとったか!?
- かごめ: 聞いてました…
- かごめ: でも、私はこの争いを 記録する使命があります…
- かごめ: ここで退いたら死んだ人たちに 顔向けできません…
- かごめ: それに、私は弱いけど みんなを守って救いたいから…
- リヴィア: あっきれたわ…
- 月出里: ふんむむむ…
- ヨヅル: いっそ気絶させて連れ帰るのも 優しさかもしれませんね
- 月出里: ふんむむむ、ふむむんむ!
- ヨヅル: ですが、そうでもしないと、 彼女は聞いてくれません
- かごめ: …………
- リヴィア: いや、 私らもちょいと粘ろか…
- ヨヅル: 先生、本気ですか?
- リヴィア: ここは神浜ちゃう
- リヴィア: グリーフシードを持ってて かつ調整ができる私らがおらな
- リヴィア: みんな魔女になってしもて お陀仏かもしれへんで?
- ヨヅル: 調整屋としての役目… そういうことでしょうか?
- リヴィア: せやな
- 結菜: ハァアアアッ!!
- 静香: アァアアッ!
- 静香: グッ…!
- ちはる: ゥ…一撃一撃が重いよぅ…
- すなお: まるで地面に叩き付けられる… みたい、です…
- フェリシア: ここまで来て 逆転なんてさせるかよ!
- フェリシア: オマエのことはムカツクし、 ぜってーに負けてやらねーぞ!
- さな: フェリシアさん! ひとりじゃだめですよ…!
- いろは: 行こう、さなちゃん!
- さな: はいっ!
- フェリシア: 父ちゃん、母ちゃん、 クウシンサイ先生…オレに力を!
- 結菜: ――っ!?
- フェリシア: 目的も何もかも 忘れさせてやるぜーーーー!
- 結菜: 遅い、止まって見えるわぁ
- フェリシア: にゃにぃ!?
- 結菜: なっ!
- いろはの声: フェリシアちゃん今だよ!
- フェリシア: しゃあーーーーッ!
- 結菜: ムダよぉ…
- フェリシア: ぐなァアッ!
- いろは: ハンマーを振り下ろす前に…
- さな: っ、フェリシアさんを 受け止めます!!
- いろは: うしろで支えるよ!
- フェリシア: ぐぁっ!
- やちよ: フェリシア!
- 鶴乃: いろはちゃん!さな! 大丈夫!?
- ひかるの声: 「みんな、結菜さんのおかげで プロミストブラッドは形勢逆転すよ!」
- 樹里の声: 「テメェら、姉さんがキモチに潰されねぇように 頑張ってるっつーのによ ここでくたばっていいのか…ぁあ?」
- アオの声: 「諦めるのは早い…蛇の宮のみんな… 自動浄化システムを手に入れるよ…! まだ上に登れるチャンスだってある…」
- 「まだ、戦える…」
- 「ここは私たちのホーム」
- 「死んだみんなが見てる…」
- 「戦おう…最後のチャンスだ…」
- 結菜: 仕切り直しよぉ
- FILENAME: text_102804-7_KPw7G.txt
- 鈴鹿 さくや: 完全に追い込まれたのに 本当に状況が逆転した…
- 智珠 らんか: 終わったかと思ったけど、 まだ頑張らないといけないか
- 鈴鹿 さくや: 盛り返すのが残念?
- 智珠 らんか: むしろ、そう顔に書いてあるのは アンタなんじゃないの?
- 鈴鹿 さくや: まさか、結菜が限界を超えるなら 私もとことんやれるよ
- 智珠 らんか: アタシも樹里が燃えてる限り 甘えは燃やして灰にするわ
- 南津 涼子: 敵の頭に近付くと危険だ! ちゃんと距離を取りな!
- ちはる: そ、そんなこと言われても、 一撃が暴風みたいなんだよぅ!
- かえで: 金棒にちょっと触れただけでも 体がバラバラになりそう…
- かえで: ねぇ、少し退こうよレナちゃん!
- レナ: でも、またみんなが バラバラになっちゃうわよ!
- ももこ: レナの言う通りバラけたら 次こそひとりずつ潰されるぞ…
- 樹里: おし、竜ケ崎はグリーフシードで 浄化は済んだだろうな!?
- 樹里: この二木では貴重な魔力の源だ あとは決死の覚悟でぶつかれ!
- ひかる: 虎屋町も遅れは取れないっす!
- ひかる: 樹里さんたちに続いて、 次こそ敵を打ち砕くっすよ!
- ももこ: ヤバい!来るぞ!
- それがもう来てるんだよね!
- ももこ: グッ
- このチャンスは逃さない 私たちの未来のためにも!!
- かえで: うゆぅ!!
- レナ: ももこ!かえで!
- 智珠 らんか: って心配する前に アタシらも決着をつけようよ
- レナ: らんか…! まだ、やる気なの!?
- 智珠 らんか: むしろ火が点いて、 何も怖くないぐらいだっての
- 南津 涼子: グッ、くぅっ…
- 南津 涼子: まずい、完全に本家たちと 切り離されちまった
- 鈴鹿 さくや: やり合うならサシの方が お互いにいいでしょ
- 南津 涼子: その目…本気か…
- 南津 涼子: 生き残るのは 結構骨が折れそうだなぁ…
- 智珠 らんか: チッ、せっかくソウルジェムを かすめたと思ったのに
- レナ: っ、ふぅ…はぁ…
- 智珠 らんか: 次ははずさないから…
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- 智珠 らんか: う、らぁあッッ!!
- レナ: ひ…
- レナ: ぁあああッ!
- レナ: カッ…グ…
- 智珠 らんか: 1発もやり返してこないとか、 マジでなめてんの…?
- レナ: レナにはできないから…!
- 智珠 らんか: 何開き直ってんの!? じゃあこれで終わりだから!
- ももこ: ウァアアッ!
- レナ: ももこ…どうして!
- ももこ: なんでもクソもあるか… せめて…避けろよ、レナ…
- 智珠 らんか: …………
- 智珠 らんか: んじゃ、 あそこのゾンビゲームにしない?
- 智珠 らんか: スコアが高い方の勝ちだからね
- レナ: ゾンビ…!?
- レナ: …い、いーわよ やってやろうじゃない!
- 智珠 らんか: この邪魔くさい思い出と一緒に ふたりとも消えて
- 智珠 らんか: あとは何もかも忘れて 二木でアタシは生きるわ
- 智珠 らんか: っ…
- かえで: ふたりを殺すつもりなら わ、私だって鬼になるよ!
- かえで: それに、らんかちゃんにも 殺させたりしない
- かえで: 私も、私にとっても、 友だちだもん!
- 智珠 らんか: ほんと神浜の連中って 涙が出るぐらいムカツク…!
- 智珠 らんか: (それに、なんでこんなときに クソ陸上部の言葉を思い出す…)
- 智珠 らんか: (人となりを知ってる相手って、 こんなに殺しづらいんだ…)
- 南津 涼子: ぅ…
- 南津 涼子: はぁ…く…
- 鈴鹿 さくや: フラついてるよ…
- 鈴鹿 さくや: 目もあんまり…見えて、 ないんじゃない…?
- 南津 涼子: お互い、サマだろ…
- 南津 涼子: 母ちゃんにもらった自慢の体… 鈴鹿サンのせいで穴だらけだ…
- 鈴鹿 さくや: こっちも…南津サンに 自慢の足を折られちゃったよ…
- 鈴鹿 さくや: 立ってるだけで… 褒めてほしい、ね…
- 南津 涼子: 狙える場所はあと1ヶ所かな…
- 鈴鹿 さくや: そう、互いの命の結晶…
- 鈴鹿 さくや: ―さくや― さっきの熱意に免じてってわけじゃないけど… 今日このお店を出るまでは
- 鈴鹿 さくや: ―さくや― 私たち「普通の親友」にならない?
- 南津 涼子: ―涼子― いいのか!?
- 鈴鹿 さくや: ―さくや― うん、いいよ
- 南津 涼子: ―涼子― …この店を出るまでって 言ったよな…?
- 鈴鹿 さくや: ―さくや― うん、言ったけど… どうしたの、ニヤついて…
- ぐ~~~~
- 鈴鹿 さくや: ―さくや― なっ!?
- 南津 涼子: ―涼子― まだまだお腹は空いてるぞ!!
- 鈴鹿 さくや: この記憶と一緒に、 連れて行ってあげるよ!
- 南津 涼子: こっちのセリフだぁああああッ!!
- 旭: ぐぅぅ、ぁああ…!
- 南津 涼子: なにやってんだアンタ!
- 旭: 気付いた時点で飛び出した方が… 早かった、で、あります…!
- 鈴鹿 さくや: でしゃばるなぁああ!
- 旭: クッゥ…
- 南津 涼子: 嬉しいけど、悪いね… もう止められないんだ…
- 南津 涼子: 天国で待ってろ鈴鹿サン! これで、アタシは生き残った!
- うらら: キャッ、った…
- 鈴鹿 さくや: うららまで…!!
- うらら: ぅ…でしゃばってでも、 誰かの死は止めたいんよ…!
- 鈴鹿 さくや: だけど、これは決まってたこと
- 旭の声: 「お願いであります… 両者とも武器を下ろすであります…」
- 南津 涼子: そう、出会った時点で アタシらには決まってたことだ
- うららの声: 「これ以上、時計の針を… 進めないで欲しいんよ…」
- 涼子&さくや: 次に会ったら死ぬことは!!
- うらら: 「旭さん、また仮説が正しくなっていくんよ…」
- 旭: 「救いがなさすぎるでありますが… それゆえの諦念が我々の信じること…」
- うらら: 「それでも助けたかったんよ…」
- 旭: 「我もうららと同じ気持ちでありますよ…」
- 智珠 らんか: ァアアアアアアッ!!
- 智珠 らんか: くそっ、くそっ、くそっ!! なんで、できないんだ!!
- 智珠 らんか: っ、ごめん長女…お願い…!
- 結菜: ええ、代わりに消してあげるわぁ
- かごめ: はぁ…はぁ…そんな…
- リヴィア: ウソやろ…
- かごめ: みんなの様子を窺うために降りてきた私たち。 轟音と共に聞き覚えのある人の絶叫が 鋭く耳の奥を刺してきた。
- かごめ: 見上げると月に照らされて飛ばされる人の影…。 紅晴さんの一撃に飛ばされたももこさんたちが、 まるでほうきで掃かれたホコリのように、 舞っている姿だった…。
- かごめ: そして、このとき私はリィちゃんを通して感じた。 魔力の灯火が、また消えてしまったのを。
- FILENAME: text_102804-9_KPw7G.txt
- 南津 涼子: …………
- ちはる: 涼子ちゃん!涼子ちゃん!
- 静香: 涼子も旭も なんのためにここまで…
- 静香: 私たちが折れたら、本気で 日の本を守る人がいなくなるわ…
- すなお: ――っ!?
- すなお: 大丈夫です、無事です! ソウルジェムは割れてません!
- すなお: ちゃると静香は涼子さんを 看ててください!
- ちはる: うん…
- ちはる: 静香ちゃん悪鬼の魂魄を使おう だいぶ濁ってきてるよぅ…
- 静香: そうね、放っておけないわ
- 旭: ひゅっ…ぜぇー…
- 青葉 ちか: 刺された場所が悪い… これじゃ上手く呼吸ができない…
- すなお: 手伝います…!
- 青葉 ちか: でも下手に治療できなさそうで、 魔力での回復に期待するしか…
- すなお: みたいですね…
- 旭: こうも捨て身にならなくとも 良かった…
- 旭: でしゃばり過ぎたであります…
- うらら: 旭さんはまだいいんよ… ウチは無意味だったんよ…
- うらら: 久しぶりに助けたいと思える いい人だったんよ…
- 智珠 らんか: はぁ…はぁ…
- 鈴鹿 さくや: …………
- 智珠 らんか: 一番長く結菜さんを支えてたのに 最初にくたばってどうすんの…
- 智珠 らんか: ダッサ…マジでダサい…
- 智珠 らんか: アタシってばマジでクソだ…!
- 智珠 らんか: なに日和ってんだアタシ! 次こそ絶対に時女の連中を!
- 樹里: 付き合うぜ
- 智珠 らんか: あっつ、なにすんのバカ! 顔が燃えるじゃない!
- 樹里: お前の涙は樹里サマが消してやる だから全力で死にに行け
- 樹里: ふたりだけうららを看て 他のヤツらはこっちに付いてこい
- 樹里: 姉さんに続いて蹂躙するぞ
- 青葉 ちか: プロミストブラッドが 近付いてくる…
- ちはる: これじゃあ、涼子ちゃんたちを 介抱してる間もないよぅ…
- いろは: はぁ、はぁ…
- いろは: ももこさん! レナちゃん!かえでちゃん!!
- レナ: ぅ…
- かえで: いろは、ちゃん…
- いろは: あぁ…よかったぁ… まだみんな息があるよ…
- レナ: おねがい、ももこを…
- やちよ: ええ、 いろは、こっちをお願い…
- やちよ: お腹の部分だけでも 先に塞いであげて…
- いろは: はい…!
- いろは: これで血だけでも止まれば…
- さな: 今は戦うより前に、 距離を取りませんか…?
- 鶴乃: さなの言う通り、みんなを担いで 撤退した方がいいよ…
- フェリシア: すっげぇ悔しいけどな…
- うい: みんな、急いで!
- うい: このキモチと混ざった感じ… 紅晴さんが近付いてくるよ!
- 結菜: 残念、もう来たわぁ…
- 結菜: 次はあなたたちも含めて 9人まるごと屠ってあげる
- やちよ: 恨みに駆られて欲を出しすぎよ
- やちよ: あなたの恨みを理解したとしても その暴力には屈しない
- やちよ: 復讐の念に囚われた時点で、 あなたは全てを不幸にするわ!
- やちよ: その前に私たちの力で、 ねじ伏せてみせる!!
- 結菜: …………っふふ
- やちよ: そんな全部受け止めて…!?
- フェリシア: まだまだオレたちが続くぜ!
- 鶴乃: そう、どれだけ同情できても 人の苦しみを求める人に
- 鶴乃: 誰かを笑顔にできる力なんて 宿らないはずだ!
- フェリシア: いっくぜーー!
- うい: どれだけ心が強くたって 本当なら体がもたないのに…
- うい: 嫌な予感がする…
- いろは: うん、だからこれは、 危険な力を止めるだけじゃない
- いろは: この危険なキモチの力を止めて、 紅晴さんも助けないと…
- さな: いろはさん 私たちもみんなに続いて…!
- いろは: うん、鶴乃ちゃんたちの タイミングに合わせよう!
- 結菜: 今まで苦戦してきた相手が、 手応えもなく散っていく…
- 結菜: こんなことなら地下鉄跡の戦いで 力を借りるべきだったわねぇ…
- 結菜: いえ、それでは8つの石を そろえることはできなかった…
- ∵ヒッ_ウゥ―ァアアア!!
- 結菜: っ…あと少しで あなたたちの仲間がそろう…
- 結菜: だから、まだ暴れてはだめ もう少しの辛抱よぉ…
- FILENAME: text_102804-10_KPw7G.txt
- ひかる: 三女さんは次女さんたちの ヘルプに向かったっす!
- ひかる: ここは虎屋町のみんなで、 結菜さんとユニオンを倒すっすよ
- ひかる: キモチの石も自動浄化システムも ここで手に入れて
- ひかる: 二木が流した血に 意味を持たせてやるんす!
- 結菜: そう、みんな私に続きなさぃ…
- 結菜: 共に石を巡る戦いの終幕を 演じきってみせましょぅ
- FILENAME: text_102804-11_KPw7G.txt
- やちよ: 「ぁあああッ!!」
- フェリシア: 「ぐぅううッ!!」
- 鶴乃: さな!ういちゃん! ししょーとフェリシアをお願い!
- 鶴乃: (わたしが攻撃を避けられたのも ただ、運が良かっただけだ…)
- うい: ツバメさんで受け止めます!
- さな: 私も盾で…!
- いろは: 後ろで支えるね!
- やちよ&フェリシア: 「うっ…!」 「にゃっく…!」
- 結菜: (今のうちに仕留める… 相手もキモチの力を使う前に…)
- 結菜: (終わるわよ、樹里、アオ、 ひかる、らんか、さくや…)
- 結菜: さくや、虎屋町のみんなを連れて こっちに来て!
- ひかる: ――っ!?
- ひかる: 結菜さん聞いてないんすか…!
- 結菜: さくやは樹里の方にいるの?
- ひかる: …時女の連中と戦って死んだっす
- 結菜: …………
- 結菜: ウソでしょぅ…
- 結菜: あと一歩のところまで来たのに…
- 結菜: ぐっ…ぁ…なんで… 急に体の自由が…
- 結菜: そう…心の隙を見つけて… 私の中に浸食してきたのねぇ…
- 結菜: ぐぅうぅ…
- 結菜: お願い、もう終わるから あと少し私の体を自由にして
- 結菜: ぁあッ!
- 結菜: ひかる…
- ひかる: すみません結菜さん…
- ひかる: 聞いた時点でひかるが ちゃんと伝えるべきだったっす…
- 結菜: ちがう、離れて…
- ひかる: え?
- 結菜: ぁああああッ!
- ひかる: い、ぐぁぁああああ!
- いろは: 紅晴さん…え… どうしてひかるちゃんを…
- うい: もしかして、キモチに
- ももこ: ゲホッ…ッ…たぶん…そうだ…
- レナ: ももこ…
- かえで: 無理しないで、ももこちゃん…!
- ももこ: 気をつけろ…マジで、 あのときの三女と…同じなら…
- ももこ: 見境…ない、ぞ…
- かえで: でも、なんだろ様子が…
- 結菜: ∵ヤメ_テ カッテニ_アヤツラナイデ ̄
- ぎゃぁああっ!
- 結菜: ∵ァアア! テキジャ―_ナイ ̄ノ!
- っァアッ!
- 樹里: おい、向こうで何があった…
- 智珠 らんか: 長女がいるはずだし、 今さら状況が変わるなんて…
- アオ: マズいよ…
- 智珠 らんか: 連絡…?
- アオ: 姉さまがキモチに 乗っ取られたって…
- 樹里: っ、何やってんだ! ここは放置して向かうぞ!
- アオ: う、うん
- 静香: 私たちも追いかけるわよ
- 静香: こっちの決着も付いてないし 環さんたちも心配だわ
- ちはる: うん、そうだね…
- FILENAME: text_102804-12_KPw7G.txt
- リヴィア: それ以上は近付いたらあかん
- かごめ: でも…!
- ヨヅル: 遠目に見ても、あれはもはや 魔法少女と言って良いのか…
- 月出里: ふむむん、ふむっむむ ふんむんむむ、ふむむんむ!
- かごめ: それでも…私もいろはさんを見て 決めたんです…
- かごめ: みんなを守るんだって…
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: ごめんねリィちゃん…
- かごめ: 迷惑をかけると思うけど、 私に力を貸して…
- かごめ: 行かないと…
- リヴィア: ちょい待ち!
- リヴィア: っ…ほんまにもう…
- リヴィア: (まぁええわ… せやったらやってみたらええ…)
- リヴィア: (結果的には、守るどころか 救ってくれるかもしれんしな…)
- 結菜: ∵クッ_ァアアッ!
- いろは: キャッ!
- いろは: っ…! だめ、全然歯が立たない…
- やちよ: 止めたくても ほとんど満身創痍…
- フェリシア: オレならまだ…!ぬぅ…
- 鶴乃: わたしもそう言いたいけど 体は限界だよ…
- ちはる: 今はみんなで力を合わせて 押えないと共倒れになっちゃうよ
- すなお: それ以前に涼子さんと旭さんを 抱えて戦うのは無理ですよ…
- ちはる: そうかもしれないけど でも、このままってわけにも…
- ちはる: うぅ、なんかモヤモヤするよぅ
- ちはる: 静香ちゃん…!
- 静香: …………
- やちよ: 私たちも負傷者を抱えたまま どこまで戦えるか…
- うい: ももこさんたちのケガが ひどいもんね…
- いろは: …………
- いろは: それなら、私は残るので みんなは神浜に戻ってください
- いろは: そこで体勢は立て直せるはずです
- うい: えっ…!?
- 鶴乃: いろはちゃん! 何言ってるの!?
- いろは: 私は全ての魔法少女を 救うつもりです
- いろは: 戦いを望む人は全力で止めて 救いを求める人は全力で助けます
- 鶴乃: ちょっと! この状況でもってこと!?
- 樹里: はぁ…ったくキモチってのは 慈悲もクソもねーのかよ…
- アオ: 体は操られてるけど、 まだ完全には乗っ取られてない…
- ひかる: 結菜さんダメっす! その人たちは関係ないんすよ!
- 結菜さん…お願い… 本当に私たち…死んでしまう…
- 結菜: (そんなの、わかってる! でも体が言うことを聞かなくて)
- 結菜: (あぁ… お願いだからやめて…!)
- 結菜: (彼女たちは、私が生かすべき 魔法少女なのよ!)
- かごめ: 「リィちゃんお願い! みんなを守ってあげて!!」
- 風の伝道師のウワサ: …………
- かごめ: ぅ…!
- かごめ: …………あ
- リヴィア: っ、言わんこっちゃない!!
- ヨヅル: 先生、いけません…! 彼女は普通の体なのに…!
- 月出里: ふむむんむむ
- リヴィア: ウワサの魔力が 多少支えてくれるやろ!
- いろは: かごめちゃん!!
- リヴィア: ちょうどええ! 少し治療したってくれ!
- リヴィア: グリーフシードやったら、 私が用意しとるから!
- いろは: わ、わかりました!
- 結菜: ∵ウ ̄ゥウ―!
- いろは: 紅晴さん!
- 静香: ちゃる…みんな…
- 静香: 私たちは神浜へは戻らない このまま紅晴結菜を止めるわよ
- すなお: 静香…
- 静香: 日の本を守る私たちが 生身の子にケガをさせてる
- 静香: あの捨て身の覚悟を前に退けば 時女一族として恥になるわ
- FILENAME: text_102804-13_KPw7G.txt
- 結菜: ∵ハァ…ハァ…ゥゥ…
- 樹里: どこまでやれるかわかんねーけど これはこれで燃えるな
- アオ: ちょっと姉ちゃん… 本気で言ってる…?
- 樹里: こんな強い姉さんと やりあえるなんて最高じゃねーか
- ひかる: どうでもいいから、早く止めて 結菜さんを助けるんすよ!
- ちはる: 私たち時女一族も加わるよ!
- 静香: 日の本を守る刃として 彼女を止めるのもひとつの使命よ
- 鶴乃: ユニオンも加わるよ
- 鶴乃: さすがにいろはちゃんだけに 任せてられないからね
- うい: それにユニオンの目的も 世界中の魔法少女を救うこと
- やちよ: だから今は 私たちも紅晴さんを助けるわ
- フェリシア: その代わりオレらの戦いは もう終わりだからな!
- FILENAME: text_102804-14_KPw7G.txt
- 結菜: あぁ… 体の自由が奪われるばかりか 目まで見えなくなってしまった…
- 結菜: 得体の知れない存在だからこそ キモチに心を許したつもりはなかったけれど 私が置かれている状況こそが現実ねぇ…
- 結菜: 完全にしてやられた… みんなの流した血を奪うどころか 最後の1滴まで搾り取られてしまぅ…
- 結菜: みんな、命を張ってくれて さくやも最後まで命を賭して戦ってくれたのに なんて無様なのかしらぁ…
- 鈴鹿 さくや: どんなに憎い相手でも…
- 鈴鹿 さくや: 人となりを知った相手にまで 手をかけたら…
- 鈴鹿 さくや: 結菜は…誰でも殺せるように なってしまうから…!
- 結菜: …………
- 鈴鹿 さくや: 昔の結菜が…そうだったように…
- 鈴鹿 さくや: 今の結菜に…その一線を 越えてほしくないんだ…!
- 鈴鹿 さくや: お願い、結菜… 心まで鬼にならないで…!
- 結菜: そう… 私に心の隙を作ったのはさくや…
- 結菜: 彼女が死んでまで 私の行動を止めたのなら
- 結菜: その遺志に報いて やり直すべきかしらぁ…
- 結菜: それなら、私はまだ…!
- 結菜: ――っ!?
- 結菜: ぐっ…
- 結菜: 浸食に耐えるだけで精一杯なのに これじゃ払いのけるなんて…
- 結菜: …………そぅ
- 結菜: あなたたちを支配するのは 最初から無理な条件だったのね…
- 結菜: 支配感なんてものは偽りで、 手のひらで踊らされただけ…
- 結菜: 私は誰も守れなぃ…救えなぃ…
- 結菜: 奪い返すことも恨みを返すことも なにもかもが成せなぃ…
- 結菜: …先輩
- 結菜: 私が先輩の教えを棄てて 守らなくなったからでしょうか…
- 結菜: そのせいで全てが 狂ってしまったのでしょうか…
- 結菜: 待っていてください すぐにグリーフシードを探しに…
- 「行かないで、結菜… 私を見届けてちょうだい…」
- 結菜: 従えません…!
- 結菜: 私には、まだあなたから 教えてもらうことが山ほどある…
- 「大丈夫…私たちの半年は濃かったわ… あなたの中に息づくぐらいにね…」
- 「だから思い出して… 私が必要な時は答えるわ… ちゃんと、あなたの心の中から…ね…」
- 結菜: っ!
- 結菜: お前たちに体は渡さなぃ!!
- 結菜: まずは視界からひとつずつ 返してもらうわよぉ!
- 結菜: ぁぁあああぁあああッ!!
- 結菜: (はっ…はぁ…あ…)
- 結菜: (これ…全部…私が…)
- 結菜: (っ、先輩…教えて… 私どうすれば…)
- 結菜: (先輩…!)
- FILENAME: text_102804-15_KPw7G.txt
- 鶴乃: …………
- いろは: っ、紅晴…さん…
- うい: おねえ、ちゃん… だめ、いかないで…
- いろは: うい、みんなをお願いね… 私、追いかけないと…
- うい: みんなで戦って、ダメだった… もう、ムリだよ…
- うい: お姉ちゃん、このまま二木で、 魔女になっちゃう…
- いろは: 大丈夫、きっとみんな救える… 今までもなんとかなったから…
- いろは: それに今、一番苦しんでるのは きっと紅晴さん…
- いろは: だから、っ… お姉ちゃん、助けてくるね…
- うい: …必ず帰ってきて
- ひかる: …環、さん
- いろは: ひかるちゃん… 紅晴さんの所に行ってくるからね
- ひかる: ひかるたちが…神浜に何をしたか わかってるんす、か…
- ひかる: 本当に助けるつもりっすか… 死人に呪われる、っすよ…
- いろは: 大丈夫だよ、みんなを救えば 許してくれると思う
- ひかる: ほんと、バカっすね…
- いろは: え…
- ひかる: ひかるもバカになったんす… 結菜さん、カタコンベっすよ…
- いろは: ありがとう、ひかるちゃん
- 静香: 情けない… 紅晴結菜を止めることができなかった…
- 静香: やっぱり彼女は私とは全く似ていない たとえ仲間を想う心が同じだったとしても その恨みと復讐心から生まれた悪の思うがままに 全てを蹂躙するのは有り得ない
- 静香: 環さんは紅晴結菜を絶対に救うつもりだけど 彼女のような存在を増やさないために 人の根にある善の心が穢れないようにしないと また、同じことを繰り返してしまう
- 静香: それを解決するには…!
- 静香: っ…
- 静香: (私たち時女一族は、 人を変えてあげないといけない)
- 静香: (穢れる前に導かないと…)
- 燦: 私たちが人の上に立って 制御しようと思っているのは
- 燦: そうした悪の側面を 人々から剥がすためでもあるのよ
- 静香: ――っ!?
- 燦: 人と並び立って説得するのも 人の上に立って制御するのも
- 燦: 導く先は同じだと思わない?
- 燦: 人が性善であったとしても、 状況次第では悪に傾く
- 燦: 変えましょう時女の本家 私たちと一緒に
- 静香: まだ…ネオマギウスが、 利用できるかもしれないわね…
- FILENAME: text_102804-16_KPw7G.txt
- かごめ: ぅ…く…
- リヴィア: あかんて、無理したら…!
- かごめ: みんな、は…
- ヨヅル: 佐鳥様が守られた方々は 無事ですよ
- 月出里: ふむ、ふむむ…
- ヨヅル: はい、環様の力で 佐鳥様のケガを処置したものの
- ヨヅル: 普通の人の体では致命傷です
- ヨヅル: 救急車の到着を待ってからの 移動になりますが
- ヨヅル: 命が持つかどうか…
- 月出里: ふんむっむ!ふんむっむ!
- 私たちの魔力で 少しでも延命になるなら…!
- 魔法少女でもない子を 死なせられないわ!
- こんな命の守られ方をして、 放っておけないわよ
- かごめ: …………
- リヴィア: あかん、かごめちゃん! しっかりし!
- リヴィア: かごめちゃんと 話をしてみてくれへんか…?
- リヴィア: キュゥべえ
- キュゥべえ: そうだね
- キュゥべえ: 彼女が願いを叶えるなら それで命は救われるはずだよ
- 月出里: ふむんむむ!?
- ヨヅル: キュゥべえはだいたいどこかに 潜んでるものですよ
- かごめ: キュゥべえ…
- キュゥべえ: 自分でもわかると思うけど キミの体はかなり危険な状態だ
- キュゥべえ: もちろん、このままだと その命は失われるかもしれない
- キュゥべえ: だけど、ボクと契約して 魔法少女になってくれるなら
- キュゥべえ: 願いを叶えることで キミの命を救うことができる
- かごめ: …魔法少女になれば 私は強靱な肉体が手に入る…
- かごめ: だからケガのことを願うのは きっと損になっちゃうよね
- キュゥべえ: それなら他の願いでも構わない
- キュゥべえ: ボクはキミの願いを なんでも叶えてあげられるからね
- かごめ: それなら、いろはさんと 紅晴さんを助けたい…
- キュゥべえ: 今、言ったことでも構わないよ 契約は成立するはずだ
- かごめ: …ううん、契約はしない
- かごめ: なんとかケガは耐えてみせるし
- かごめ: いろはさんが みんなを救うって信じてる
- かごめ: それに私が魔法少女になると 悲しむ人が沢山いるから
- 救急車が来た!
- だからまだ、願っちゃだめ!
- あなたは知ってるはずよ 魔法少女たちの苦しみを!
- キュゥべえ: …………
- リヴィア: (こいつらが出しゃばるんは さすが想定外やったな)
- ヨヅル: 先生、来ました!
- リヴィア: ほなら運ぼうか
- ピーポーピーポー
- FILENAME: text_102804-17_KPw7G.txt
- 結菜: ∵ゥ―ァア_
- 結菜: (このままじゃ、また… のまれる…)
- 結菜: (私が…分解されていく…)
- 結菜: ∵グ_ゥ ̄セン、パイ―
- 結菜: (私はもう、 みんなを傷付けたく、ない…)
- 結菜: (どうすれば…)
- ……………………
- …………
- 結菜: 「憎まず、嫉まず、利己的にならず 何よりも誰かのためであり 世の平和と心の安寧を願い続ける」
- 結菜: (この言葉を棄てた時点で、 私は全てを棄ててたんですね…)
- 結菜: (わかりました…私も眠ります… みんなと…ここで…)
- 結菜: (ごめんなさい、さくや そっちに行ってしまうわぁ…)
- 結菜: 樹里…らんかと一緒にアオの心を 元に戻してあげてちょうだぃ…
- 結菜: アオ…後を追おうとするひかるを どうか止めてあげて…
- 結菜: ひかる…アオと一緒にどうか 次の世代の二木を作っていって…
- 結菜: ∵フッ!
- 結菜: ――っ!?
- 結菜: ∵グ、ゥ―ウバウナ ̄ ワタシガシヌ_ジユウ―マデ…!!
- いろはの声: 紅晴さんのことは… 絶対に死なせません…!
- 結菜: ――っ!?
- いろは: その恨みも怒りも全て 消えるものじゃないと思うけど
- いろは: 私たちに 向けられたものだと思うけど
- いろは: 二木の人が幸せになるっていう 紅晴さんが抱いている救いを
- いろは: 私は叶えたい… 一緒に背負っていくから…!
- 結菜: ∵ソウイッテ_カミハマハ―
- 結菜: ∵ヒトヲ―クルシメテ ̄ スクイヲ_―テニ_イレル…
- 結菜: ∵ソンナ ̄ヤツラニ― スクイヲ― ̄ユダネ―ラレナイ!
- 結菜: グッ…
- 結菜: (いいわ、キモチのあなたたちが 私を乗っ取って暴れるのはねぇ)
- 結菜: (その代わり… 目の前の女を殺してちょうだぃ)
- FILENAME: text_102804-18_KPw7G.txt
- 結菜: ∵フッ…
- いろは: キャッ!!
- いろは: (少しかすめただけなのに…)
- 結菜: ∵ハァア_―ッ!!
- いろは: ――っ!?
- いろは: はぁっ…はぁ…
- いろは: (ひかるちゃんに 浄化してもらったのに…)
- 結菜: (くたばりなさぁぃ…)
- いろは: キャァアアッ!
- いろはの声: カハッ…ゥ…!
- 結菜: (あなたが消えるだけでも 心置きなく死ねるわぁ…)
- いろは: っ…
- いろは: フェリシアちゃん!!
- フェリシア: …いろは? どうしてここにいるんだよ…
- いろは: キモチに支配されちゃいけない 体を奪われちゃいけないよ!
- いろは: (あのときと同じように 私のキモチを通して繋がって…)
- いろは: (紅晴さんの心を解放する…!)
- いろは: ふっ!
- 結菜: (あなたまで私の中に 入り込もうとするのねぇ…!)
- いろは: ぐ…はい、れない…!
- いろは: まさか、まとってるキモチが 干渉する邪魔を…
- 結菜: ∵フフッ_―
- いろは: お願い、キモチのみんな 紅晴さんから離れて!
- いろは: ブレスレットに戻ってー!!
- 結菜: まさか…!
- いろは: やぁああああああッッ!!
- FILENAME: text_102804-19_KPw7G.txt
- いろは: 深いところまでキモチの浸食を受けているせいか フェリシアちゃんのときとはまるで違う
- いろは: 紅晴さんを形作るいくつもの記憶が バラバラに分解されていくように見える
- いろは: 紅晴さんとひとつになった私も 例外じゃないみたい… 少しずつ自分の胸の奥に 知らない何かが浸食してくるのを感じる
- いろは: それでも助けるからね紅晴さん
- いろは: 必ず見つけてキモチから解放して 元の姿に戻すから…
- いろは: だからごめんね 見つけるためだとは言っても 過去を覗いてしまうと思う
- 樹里: ハッ、テメエが 新しいアイツの腰巾着か
- 樹里: 私にとっちゃ、新しいオモチャが 来てくれたもんだな
- 結菜: 噂通りの戦闘狂のようねぇ…
- 結菜: あなたの報復を恐れて 活動できない魔法少女もいるわぁ
- 結菜: ただでさえ危険に身を置く以上、 魔法少女は手を取り合うべきよぉ
- 樹里: ぁあ?
- 樹里: むしろ気に入らねえヤツや 強いヤツをぶん殴れる社会だろ
- 樹里: そんな最高の舞台を 自ら放棄するわけないっつーの
- キュゥべえ: ボクがどれだけ説明をしても 理解は得られないようだね
- キュゥべえ: できれば攻撃は やめてもらいたいんだけど
- 結菜: 個体数に限りがあるのは あなたの都合で論点が違うわぁ
- 結菜: 私たちが求めてるのは あなたの魔法少女勧誘停止よぉ
- 樹里: あぁ… 今日で竜ケ崎は虎屋町から離れる
- 樹里: テメエら! この“樹里サマ”に付いて来い!
- 結菜: 恨むわよ…樹里…
- 樹里: いいぜ、姉さん
- 樹里: “樹里サマ”は 今、テメエに楔を打った
- 樹里: それをブチ壊してくれ
- 樹里: そして次こそは私の ビョーキを受け止めてくれよ
- 隙を見せたな… みんなやれ!今だ!
- 結菜: 危ない!!
- っ…まにあわな…
- くらぇえええ!!
- グッ…ウ… すみま…せん…
- 残りは…紅晴結菜…
- いろは: 戦い…戦い…戦い… 数え切れない仲間たちの死を見届ける日々 平穏な魔法少女としての生活なんて ほとんど経験していない…
- いろは: これが魔法少女としての紅晴さんだから 心の中も凄惨な光景が広がっている…
- いろは: 奧に進もうとする度に… 1歩進もうとする度にぐにゃりと 誰かの肉の感触が足の裏から伝わってくるのも 風が鳴るように苦しむ声が聞こえてくるのも 全てが紅晴さんの心の姿なんだ…
- 「キャアアアアッ!!」
- 「グッ…ア…ぅ」
- 「やだ…いや…だぁ…」
- 「助けて…あげ…て」
- 「結菜さん…!!」
- アイツらは解放のために 各地から魔女を集めてた!
- 結菜: ――っ!?
- 他の地域の魔法少女が どうなるかなんて考えず
- ただ自分たちのために 魔女を集めていたのよ!
- アオ: …それで他の魔法少女は 納得してたの…?
- 真実は最後まで伏せられていたし 集まってたのは弱い子たちばかり
- 救われたいという気持ちが 先行してたと思う…
- それに、解放が成功すれば 魔女化を回避する力は広がる
- 自分たちが町に帰っても 問題はなかったはずだから…
- ひかる: じゃあ、今はどうなんすか…
- ひかる: この町も、二木市でも 今は魔女化しなくなったんすか…
- 何十万人もの犠牲を払うことと 凶悪な魔女が生まれるリスク
- それを知った他の魔法少女に 完全な解放は阻止されたわ…
- 鈴鹿 さくや: そんなに犠牲を… それじゃ虐殺だよ…
- ひかる: 仕方ないんすかね…
- でも、今も魔女化を避ける システムは、神浜にある
- 外で犠牲を払った私たちには なんの恩恵もない!
- 町を壊して、人を犠牲にして 魔法少女を犠牲にして!
- 得をしたのはアイツらだけよ!
- 結菜…!
- 私はやるせない… あまりにもやるせない…!!
- ――っ!?
- 鈴鹿 さくや: ちょっと、どうしたの…
- 結菜: これが殺意なのねぇ…
- 結菜: 「私は許せなかった」
- いろは: 紅晴さん…!?
- 結菜: 「なんとか均衡を保っていたのに それを壊して戦わざるを得ない状況を作って 殺し合いをさせたマギウスが許せなかった 何も気付かずに恩恵を受けて笑って過ごしている 神浜の魔法少女たちが許せなかった」
- いろは: っ…………
- 結菜: 「けど本当は、それまでに何も成せなかった自分に 一番腹を立てているのかもしれない…」
- いろは: そんなことない…
- いろは: 紅晴さんは自分にできることは 精一杯やってた…!
- 結菜: 「私が誰かの幸せを望んだところで 能力が及ばない時点でおこがましいのよぉ…」
- いろは: ちがうよ、誰だって 人の幸せを望んでいいんだよ…
- いろは: (紅晴さんの反応がある…)
- FILENAME: text_102804-20_KPw7G.txt
- 結菜: 環いろはもバカねぇ…
- 結菜: 素直に私に殺されておけばいいものの このままだと私と同じように浸食されて バラバラにされるだけよぉ…
- 結菜: あなたが何者でどんな経験をしてきたなんて どうでもいいわぁ…
- 結菜: だけどせっかくなら、そうねぇ
- 結菜: あなたの存在を見つけ出して 魂ごと道連れにしてあげるわぁ…
- いろは: 「私の記憶は間違ってない… いたはずだよ…妹は…ういは…」
- 結菜: あなたもひとりの魔法少女 他の子たちと同じように 何か抱えて生きてはいたんでしょぅねぇ
- いろは: 私、妹のために…
- いろは: あの子の病気を治すために 魔法少女になったんです…!
- いろは: どうして忘れてたんだろ… こんな大切なこと
- ももこ: 忘れてたって…どういうこと… 長い間、離れて暮らしてるとか…
- いろは: いえ…ずっと一緒でした…
- いろは: この間まで、同じ屋根の下で 一緒に寝て、ご飯も食べてました
- いろは: でも、みんな消えてるんです… なかったことになってるんです…
- いろは: あの子がこの世界に居たことが…
- 灯花: 本当にわたくしのことを 探してたんだねー
- 灯花: ねむのことを探してるって 話は良く聞いてたんだけど
- 灯花: ちょっと驚いちゃったよ
- いろは: 灯花ちゃん… 本当に、覚えてないの…?
- いろは: ういのことも… 一緒に入院してたでしょ…?
- 灯花: 覚えてないもなにも、 最初から知らないよー
- 灯花: 言わなかったー?
- 灯花: 魔法少女より価値のない人を 先に使う方がいいでしょー?
- 灯花: 物事にはリスクは必要だから 使えるものは使わないと
- やちよ: 最初から、 この質問だけで良かったわ…
- いろは: …………
- 鶴乃: いろはちゃん…
- いろは: 記憶のことを置いておいても…
- いろは: 私の好きな灯花ちゃんや ねむちゃんだったとしても…
- いろは: それはね、それは、だめだよ…
- いろは: 信じたくない… 私が…私が捜してたのは…
- さな: いろはさん…!
- いろは: っ…さなちゃん… 本当にイブが…うい、なのかな…
- さな: …………
- いろは: そう、だよね… 万年桜は咲いちゃった…
- いろは: 『ういを捜しに来て、私以外に誰も覚えてなくて 私の妄想か真実かもわからないまま ただ、頑なに私の中だけにある記憶を信じて ようやくういを見つけられたのに…』
- いろは: 『このままイブを…ういを放置してたら… 神浜の人たちが…みんなの友だちや家族が… 死んじゃうかもしれない…』
- いろは: 『ワルプルギスの夜も来てる… 止めないと…私がういを止めないと… でも、それって殺すっていうこと…? ようやく会えたういを…私が…殺すの…?』
- 結菜: …あなたは、この悩みの果てに妹を助けつつ 神浜の人たちが解放の犠牲にならないように マギウスの計画を止めた この清々しい晴れ模様が成功を物語っているわぁ
- 結菜: だけど、1歩進む度に揺らめく水面は 悲しみを象徴するような大量の涙
- 結菜: 環いろはのものかもしれないけれど 彼女は自分の気持ちに反して 今も悲しみに暮れているということぉ…?
- 那由他: 「消えたパパを見つけて 魔法少女を救いたいんですの…」
- 結菜: え…この声は…
- みたま: 「このままだと またミィがいじめられるかもしれない!」
- 十七夜: 「東西の話については もう少し様子を見守って良いはずだ…」
- 静香: 「私は日の本の平和と安寧のためにも 巫が悪鬼になるのを避けたいのよ」
- 結菜: 「二木のみんなのためにも復讐を果たす 流した血は返してもらうわよぉ」
- 結菜: …まさか
- 結菜: ここを満たしてるのは… 環いろはではなく…誰かの涙…?
- いろは: 『私は小さな可能性を手繰り寄せて ういを助けて幸せをつかむことができた』
- いろは: 『だから、今度はみんなの番 みんなが生きて希望を叶えられるように 私はこの身を捧げたい』
- 結菜: …………
- 結菜: ウソでしょぅ…
- 結菜: みんなの涙を照らして あなたは本当に全てを救う気…!?
- 結菜: 深く憎むべき相手だとしても その人の救いを優先して
- 結菜: 世の平和と安寧を 願い続けているっていうこと!?
- 「憎まず、嫉まず、利己的にならず 何よりも誰かのためであり 世の平和と心の安寧を願い続ける」
- 「それが私が伝えられることよ、結菜」
- 結菜: 認めない、私は認めない! あなたが折れずに来たことを!
- 結菜: その清廉で高潔な想いに 一切の揺るぎがないことを!
- FILENAME: text_102804-21_KPw7G.txt
- 結菜: 何がなんでも私を恨ませる!
- 結菜: その決意が偽物だって 気付かせてやる!
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- 結菜: 消えろぉおおおッツ!!
- 結菜: はっ…はぁ…ふぅ…
- 結菜: 環さんの、ソウルジェム…
- 結菜: これを壊せば終わる…
- 結菜: ……………………
- 結菜: …………
- 結菜: 何度も傷付けて殺し続けても、 あなたは全く濁らないのねぇ…
- 結菜: 急所は本当に妹だけ…
- 結菜: 環ういをさらったときに、 素直に殺すべきだったわぁ…
- 結菜: いえ、 あれはさくやに止められた…
- 結菜: やっぱり私は最初から 復讐を果たせない宿命だった…
- 結菜: はぁ…悔しい…
- いろは: ここは…
- いろは: 紅晴さんのソウルジェム ひどい…何か黒くなってきて…
- いろは: キャッ
- いろは: そう、あなたたちが紅晴さんを 奪おうとしてるから…
- いろは: …あの、 ひとつだけ聞いてもいい…?
- いろは: もしかして、みんな本当は 争いたくないんじゃないかな…?
- いろは: 変なこと言ってごめんね
- いろは: でも、そうじゃないと私の訴えで ブレスレットに戻ってくれたのも
- いろは: 私と一緒にいるキモチが 私を乗っ取ろうとしないのも
- いろは: 説明できないような気がして…
- いろは: 他のみんながキモチのみんなを 道具のように見てるから
- いろは: 警戒してルールを作って 抵抗してたんじゃないかな…?
- いろは: もしも、そうだとしたら安心して
- いろは: 誰かの体を奪おうとしなくても、 自動浄化システムに届けるから
- いろは: ただ、イブに戻る話については 相談したいけど…
- ∵ウゥ―ヒッゥ
- いろは: っ…!
- いろは: 私もみんなとは争いたくないの
- ∵ワァン_ヒック ̄
- いろは: うん、あなたを消したりしないし 争うつもりもない
- いろは: 元々イブだっていうことは 私にとってはういと同じ
- いろは: これまで戦ってきたけれど、 お姉ちゃんが大切にする
- いろは: だから安心して 紅晴さんを解放して
- ∵グスッ_―ウゥ
- いろは: うん、ありがとう
- いろは: (キモチだって元を正せばうい)
- いろは: (攻撃されたり利用されるって 思うと、怖くて当然だよね…)
- いろは: ありがとう紅晴さん
- いろは: 紅晴さんの二木の魔法少女を 救いたいっていう想いが
- いろは: 大切なことに気付かせてくれたよ
- いろは: 仲間のために許されない罪を 重ねてきたと思う…
- いろは: だけど どれだけ血塗られていたとしても
- いろは: ちゃんと綺麗だよ、紅晴さん
- いろは: とりあえず、助かって良かったね…
- 結菜: …………
- 結菜: 本当、何をしてもされても揺るがない…
- 結菜: どこまでも綺麗でいられるあなたが 私は羨ましいわぁ…
- 結菜: ―結菜― あなたなら本当に救ってくれるかしらぁ 二木の魔法少女も一緒に
- いろは: ―いろは― ねぇ、紅晴さんの想いも 一緒に連れていってもいいかな…
- 結菜: ―結菜― 信用しても良いのかしらぁ…
- いろは: ―いろは― 信用してくれると嬉しいな…
- 結菜: …………生きてる
- いろは: …………生きてるね
- 結菜: 神浜への恨みは消えない… 死んだ者への悔いも…全て…
- 結菜: だけど、魂に触れて あなたの偽りのない想いを感じた
- 結菜: 今までのことを水には流さない
- 結菜: だけど、あなただけなら 信用してあげるわぁ…
- いろは: …ありがとう信じてくれて
- 結菜: 多くが救われる道を 選んだだけよぉ…
- FILENAME: text_102804-23_KPw7G.txt
- 結菜: あなたたちを私たちが刻んだ 歴史に巻き込んだ上に
- 結菜: 血の誓いも果たせなかった自分が 不甲斐なくて恥ずかしぃ…
- 結菜: 付いてきてくれた仲間への 弁明の余地はどこにもないし
- 結菜: みんなを傷付けて殺しかけたのは 謝罪しても許されいと思うわぁ…
- 結菜: それでも私はここでみんなに 伝えなくちゃいけなぃ…
- 結菜: 「プロミストブラッドの活動はここまで 神浜への復讐劇は終わりにするわぁ」
- 私たちはもう 救われないんですか…
- ここまで苦しんで奪われて 何も手元には残らないのか…
- たとえ復讐が虚しくても構わない その虚しさすら今は欲しいのに…
- 結菜: 神浜の魔法少女たちの目的は 自動浄化システムを広げること
- 結菜: 世界中に広げる中で 私たちも救われるのを信じるわぁ
- 信じられるんですか…今さら
- 結菜: 神浜への恨みは消えないし、 彼女たちも信用できない
- は…?
- 結菜: それでも、 環いろはの魂に触れて
- 結菜: 愚直に理想を追う彼女だけは、 信じることにしたわぁ
- …………
- 樹里: ただ、樹里サマたちじゃ キモチをコントロールできねえ
- 樹里: 1体や2体ならともかく 4体でこのザマとあっちゃあ
- 樹里: 8体を掴んで支配するなんて 無理だっつーの
- アオ: たった1体だったのに わたしは乗っ取られたけど…
- 樹里: まだまだハートが弱いんだよ ニヒッ
- アオ: ひどいな~
- 結菜: ただ、樹里の言う通りよぉ
- 結菜: 4つ手に入れた支配感は偽りで 私はただ弄ばれて仲間を傷付けた
- 結菜: …もしもキュゥべえが キモチを理解していたとしたら
- 結菜: 戦いをけしかけられたときから アレに弄ばれたようなものねぇ
- ひかる: 何か裏があるのはわかってたっす
- ひかる: けど、話に乗った時点で ひかるたちは負けてたんすね…
- 結菜: ただ、まだ完敗じゃなぃ
- 結菜: 8つの石をそろえてどうなるか まだ秘めた可能性はあるわぁ
- ひかる: それって、ユニオンと時女一族と ひとつになるってことっすか?
- アオ: そっか、時女一族にとっても 争う理由がないなら
- 樹里: まぁ全部そろうっつーことだな
- 結菜: そう、解放への希望は 残されてるわぁ…
- 結菜: 後日そのときが来るまで、 このキモチの石は3人に預けるわ
- 樹里: また姉さんに殺されかけたら たまらねーからな
- アオ: リスク分散は大切だよね
- ひかる: これで良い方向に風向きが 変わるといいっすね
- 結菜: …魂に触れるような感じで 直接環さんを知ったけど
- 結菜: ひかるが彼女になびいた気持ちが 少しだけわかった気がするわぁ
- ひかる: ひかるは結菜さん一筋っす なびいてなんかないっすよ!
- いろは: あの、始発が動いたので そろそろ私たち神浜に戻ります!
- アオ: …………
- アオ: …わたしだけ直接殺してる
- アオ: いまさら手を取り合って 許されるわけがない…
- 結菜: 結局、空間結合は うまくできなかったのぉ?
- いろは: はい、短い距離しか使えなくて 理由もわからないそうです
- 結菜: じゃあ他の人たちは?
- いろは: 鶴乃ちゃんとフェリシアちゃんと やちよさんは
- いろは: ももこさんたちのケガが ひどいので先に連れて戻りました
- いろは: 静香ちゃんたち時女一族も 旭さんと涼子さんのケガで…
- 結菜: そぅ…
- いろは: …あの、また今度さくやさんに 手を合わせに来てもいいですか?
- うい: わたしも…
- うい: 前に二木で助けてくれたのって、 さくやさんだったんでしょ…?
- 結菜: ええ…
- 結菜: 私の心も含めて、 多くを守ってくれたわぁ…
- 結菜: 私に悼むような資格があるかも わからないけど…
- 結菜: ふたりにはその資格があるし さくやも多くに悼まれるべきよ…
- いろは: 優しい人だったと思います…
- 結菜: …………
- 結菜: それで、私は本当にキモチの石を 持っていてもいいのぉ?
- さな: あの、いろはさん… 私もそれが気になってました…
- 結菜: 今ならあなたに渡してもいいわぁ
- いろは: …私からの信用している証です
- 結菜: それでも4つは多すぎるから 私の分は渡しておくわぁ
- 結菜: ふたつ持つのが危険なら 和泉十七夜に渡しておいて
- いろは: 十七夜さんですか?
- 結菜: 東を揺さぶったり 何度も彼女を殺そうとしたから
- 結菜: その贖罪として
- いろは: わかりました
- いろは: じゃあ、ガーネットさん 少しだけ私に付き合ってね
- うい: お姉ちゃん
- うい: やちよさんたち、そろそろ神浜に 着きそうだって連絡きたよ
- いろは: じゃあ急いで帰ろっか
- うい: うん、始発に乗れないと 次まで時間があるみたいだから
- 結菜: 今までごめんなさい、環さん あなたにだけなら謝れるわ
- いろは: はい
- いろは: いつか恨みの炎が消えるって 私は願ってます
- 結菜: 今は無理だから消したフリをして また神浜に行くわぁ
- いろは: それじゃあ、紅晴さん また神浜で
- 結菜: ええ、さよなら
- 結菜: …………
- 樹里: それで、これからどうする姉さん 不満は噴出するぞ
- ひかる: 仕方ない気もするんすけど…
- 結菜: これから話し合いの時間を 設けましょぅ
- 結菜: ただ、その前にひとつだけ みんなにお願いがあるわぁ…
- ひかる: なんすか…?
- 結菜: 少しだけでいいから、 さくやとふたりにさせて…
- 樹里: …わかった
- 樹里: らんか、一緒にみんなを連れて いったん出るぞ
- 智珠 らんか: はいはい、みんな 話は後にしていったん出るわよ
- 結菜: ……………………
- 結菜: …………
- 結菜: 本当なら私が死ぬべきなのに… ごめんなさい、さくや…
- 結菜: それに最後までありがとう… 私を見捨てないでくれて…
- 結菜: 本当はすぐにでも 追いかけてあげたいけど
- 結菜: あなたは怒るだろうから 少しだけ時間をもらうわぁ…
- 結菜: 二木のみんなと アオを助けてあげないとね
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- いろは: すみません遅くなっちゃって…
- さな: 始発で出たんですけど 乗り換えに失敗しちゃいました…
- 十七夜: うむ、気にするな ちょうど八雲の調整も終わった
- いろは: あの、十七夜さん
- 十七夜: む?
- いろは: これ、紅晴さんから 謝罪の印だということです
- 十七夜: そうか、話には聞いていたが 本当に和解したようだな
- 十七夜: 相手の善意を無碍にもできんし 受け取っておこう
- うい: ねえねえ、ももこさんたち ケガはもう大丈夫なの!?
- みたま: ええ、出血はひどかったけど、 ソウルジェムも浄化できたし
- みたま: じきに回復すると思うわぁ
- みたま: いろはちゃんには悪いけど また傷を治してもらって良い?
- いろは: はい、もちろんです
- 保澄 雫: あの、みなさんごめんなさい
- 保澄 雫: 本当は私が帰りも空間を繋いで 戻ってくる手はずだったのに…
- いろは: みんな帰って来られたんだし 気にしないでいいよ
- やちよ: それで、原因はわかったの?
- 保澄 雫: みたまさんは魂の性質が変わって 影響がでたんじゃないのかって
- やちよ: 魂の性質の変化?
- みたま: そういう言葉を選んだだけで 確信があるわけじゃないのよぉ
- みたま: でも、調整してみたときに いつもと違ってたのは本当よぉ?
- 鶴乃: それで固有魔法が弱まった…?
- 鶴乃: 雫ちゃんにとって 何か心当りってないの?
- 保澄 雫: …あります
- 保澄 雫: そう、誰かといることが大切…
- 保澄 雫: 令さん…郁美さん…
- 保澄 雫: 私はふたりにとって 心の居場所になれましたか…?
- 保澄 雫: あのとき、居場所を求め続けてきた私の胸に ストンと納得できる答えが落ちてきて 隙間が全くないぐらいキレイにはまった
- 保澄 雫: それは私が世界中どれだけ居場所を求めても 絶対に見つからないっていう残酷なもの だけど同時に私は誰かにとっての居場所だっていう どこか希望に満ちたものだった
- 保澄 雫: 私は居場所を求めたいんじゃなくて 誰かの居場所になりたいんだって思ったとき ようやく私は胸を撫で下ろした
- 保澄 雫: 遠回りして1周して戻って来た気もするけれど 誰かの居場所である私自身が私の居場所 それでいいと思ったから
- 保澄 雫: 私は旅をする理由が なくなってしまったんです
- 静香: 涼子のケガについては 和尚にちゃんと説明してくるわ
- ちはる: うん、時女の家系だっていっても やっぱり驚いてたから…
- 静香: えぇ、しっかり話してくるわ…
- ちかの声: キャアッ!
- 静香: なに、今の声
- ちはる: ちかちゃんだよぅ!
- 青葉 ちか: …………
- 静香: どうしたの…?
- すなお: 旭さんのケガを看ようと思って 服を脱がせてたんですけど…
- 静香: ――っ!?
- 静香: ちょっとなに… 体中古傷だらけじゃない…
- ちはる: これ、山の中で動物と 格闘したときにできたとか…
- 青葉 ちか: 違います…! 誰が、こんなひどいこと…
- ちはる: 誰がって…
- すなお: じゃあ、旭さんのケガは…
- 青葉 ちか: 切創…裂創…擦過傷…熱傷… 銃創…刺傷…
- 青葉 ちか: 多くは人にやられたものとしか 思えません…
- 青葉 ちか: こんなむごいこと…誰が…
- すなお: こういうことをするような分家が あると思いますか…?
- 静香: そうだとしたら時女の本家として 放っておくことはできないわ
- 静香: 旭の出身を調べましょう…
- うらら: ったた…
- 結菜: 良かった、目が覚めたようねぇ
- うらら: 長女さん…!
- うらら: ご、ごめんなんよ… ウチ…さくやさんのこと…
- 結菜: うららは悪くないわぁ…
- 結菜: むしろ、二木の子でもないのに ありがとぅ
- うらら: ――っ!?
- うらら: いつから、気付いてたんよ…
- 結菜: 内偵のように入っているのは 最近になって気付いたわぁ
- 結菜: だけど、どちらかと言うと 身を潜めているというか
- 結菜: こっそり隠れてるみたいだから みんなで静観していたのよぉ…
- うらら: うぅ、恥ずかしいんよ…
- 結菜: だから、さくやを命を賭けて 守ろうとしたって聞いたときは
- 結菜: 驚いたわぁ…
- うらら: …この戦いは 他の戦いと違うんよ…
- うらら: …死ぬ人の数が同じだとしても 絶望の度合が段違いなんよ…
- 結菜: それがさくやを 守ってくれた理由?
- うらら: ううん…
- うらら: さくやさんは、普通に良い人で 助けたかっただけなんよ…
- 結菜: それが聞けただけでも良かった
- 結菜: …本当に彼女はいい人よねぇ 本当は私が死んだ方が良かった…
- うらら: ――っ!?
- うらら: 長女さんは死んだらダメなんよ 三女さんを助けて欲しいんよ…
- 結菜: あの子が恐怖を取り戻すように 私が仕掛けるのも使命だって?
- うらら: なんよ
- 結菜: そう…そうね…
- 結菜: まだ隠れていたかったら 二木に居ても構わないけど
- 結菜: 出て行きたかったら 出て行っても構わないわよぉ
- 結菜: じゃあ、お大事に
- うらら: ウチらが何をしてるのか 詳しく聞かないのん…?
- 結菜: 濁されている時点で、 言いたくないのはわかるものぉ
- うらら: 長女さん… お世話になったんよ…
- ―取材記録― 笠音 アオ
- アオ: 「こっちはまだお通夜ムードなのに 聞きにくるタイミングが悪いよ~」
- アオ: 「そっちとしては、 状況を確認したいっていう気持ちも あるのかもしれないけどね~」
- アオ: 「…あ、やっぱりわかっちゃう? そう、なんだか最近ね 怖いとか悲しいとか負の感情みたいなのが 少しずつ薄くなってる気がするんだよね」
- アオ: 「最初は強くなったんだと思ってたけど 周りが言ってる通りキモチに乗っ取られたのが 影響してるんだと思う…」
- アオ: 「けどね、わたしはそれで構わない」
- アオ: 「だって、もう誰にも虐められたくないし 搾取されるのだってイヤ…。 それなら自分の身を守るには 強くならないといけないでしょ?」
- アオ: 「それだけじゃない。 二木の争いを引っ張ってきた 姉さまや姉ちゃんよりも強くなって たぶん頂上に行かないとだめ」
- アオ: 「誰かが自分より上にいるだなんて 安心できないと思う」
- アオ: 「…本当はそんなことしたくないよ?」
- アオ: 「わたしだって本当は、 今のコミュ力があれば友だちもできるし たくさんメンバーを集めて みんなでゲームしたりしたいもん」
- アオ: 「それでいつかプロゲーマーの集団を作ったら すっごく幸せだと思うからね~」
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