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- FILENAME: text_515710-0.txt
- かごめ: 「それでさっきの…」
- かごめ: 「ハッピーエンドの話なんですけど」
- 杏子: …ん?
- 杏子: ハッピーエンド?
- かごめ: はい…
- Day 1 ‐ 佐倉杏子の夢
- 杏子: (ハッピーエンドの話って なんだよ…?)
- 杏子: …ていうか
- 杏子: なんであたし、ここにいるんだ?
- うい: あ、そこからまた 話した方がいいかな?
- 杏子: …悪い、頼む
- うい: あのね、かごめさんから お願いされたの
- うい: 杏子さんを紹介してほしいって
- かごめ: うん…
- かごめ: 私、魔法少女の記録を纏めてて 取材させてもらいたくて…
- 杏子: 取材…?
- 杏子: (そういや そんな話をしていたような)
- 杏子: でも、なんであたしに?
- かごめ: えっ…と、それは…
- アルちゃん: <風見野市の魔法少女って聞いて 興味を持ったんだよね?>
- かごめ: うん…それに まだできるうちに
- かごめ: なるべくたくさんの記録を 纏めておきたいから…
- アルちゃん: <今日を含めて、あと3日で 世界は終わっちゃうもんね…>
- 杏子: は?
- 杏子: あと3日で… 世界が終わる?
- うい: うん… そうなんだよね
- 杏子: (なんか変だ… こいつは夢か何かか?)
- 杏子: どう思う、モモ?
- モモ: …………
- FILENAME: text_515710-1_N5rbj.txt
- 杏子: 世界が… あと3日で終わる…
- かごめ: はい
- アルちゃん: <正確に言うと あと3日以内に、だよね?>
- アルちゃん: <誰かがあの呪文を口にすれば その瞬間、世界は終わっちゃう>
- 杏子: なんだよ、その呪文って
- うい: みんな知ってるはずだよ? 目をつぶってみて
- うい: 自然とその言葉が 浮かんでくるはずだから!
- 杏子: …本当かよ?
- 杏子: …………
- おしまい
- うい: …どうだった?
- 杏子: …4文字の、あの言葉か
- うい: うん…
- かごめ: 誰もその呪文を口にしなければ
- かごめ: 世界はあと3日間だけ 続いてくれるそうです
- 杏子: どのみち終わっちまうのかよ?
- かごめ: それは…避けられないみたいで…
- うい: でもね、まだ世界が 終わっていないっていうことは
- うい: 世界中の人がその言葉を 口にしてないってことだよね
- うい: それって すごいことじゃないかな!?
- アルちゃん: <だから、最後の3日間を>
- アルちゃん: <ハッピーエンドを 迎えられるように>
- アルちゃん: <みんなでがんばろうねって話を していたところだったの>
- 杏子: そういうことか…
- 杏子: (にしても妙な話だよな… こいつは、やっぱし夢だ)
- うい: わたし…最近、さなさんの 絵本作りを手伝ってるんだけど
- うい: ハッピーエンドを考えるのって
- うい: とっても大変なんだって わかったの
- かごめ: …そうなんだ?
- 杏子: まあ、そうだろうね
- 杏子: 最後に愛と勇気が勝つ ストーリーなんて
- 杏子: 現実にそうそう 転がってるもんじゃない
- 杏子: だから、ありきたりな ハッピーエンドなんて
- 杏子: いかにも作り話って感じに 見えちまうだろうしさ
- うい: うん…ねむちゃんも前に 同じようなことを言ってた
- うい: あっ…かごめさん、ごめんね
- うい: 杏子さんの取材なのに わたしばっかりしゃべっちゃって
- かごめ: …でも、よかった 杏子さんが怖い人じゃなくて
- アルちゃん: <いろはさんや見滝原の子たちが 言ってた通りだったね>
- 杏子: あいつら、あたしのことを なんて言ってたんだ?
- かごめ: えっ…と…
- かごめ: 最初はちょっと 怖いかもしれないけど…
- かごめ: 困ってる人を見たら 放っておけない優しい人だよって
- 杏子: なっ!?
- 杏子: あいつら、あたしのこと そんな風に思ってたのかよ…
- 杏子: 別に優しくなんかないっての
- かごめ: え…そうなんだ?
- 胡桃 まなか: そんなことはありません!
- 胡桃 まなか: 佐倉さんは食べ物だって とても大切にされますし!
- 杏子: おわっ いきなり出てくんな!
- 胡桃 まなか: デザートをお持ちしました
- 杏子: なんだ… 驚かせんなよ
- 杏子: …………
- 杏子: (優しい人だよ、か…)
- 杏子: (こいつらは これまであたしが)
- 杏子: (どんな風に生きてきたかも 知らないし)
- 杏子: (まどかたちが知ってるのも 最近のあたしだけだ…)
- 杏子: …確かに最近のあたしは 優しすぎたかもしれないな
- モモ: …………
- 杏子: モモもそう思うのか?
- 胡桃 まなか: ん…?
- 胡桃 まなか: それって…その… どなた様でしょう
- 杏子: モモのことか? あたしの妹だよ
- うい: えっと…
- うい: …かごめさんの アルちゃんみたいな感じかな?
- 杏子: 何言ってんだ?
- 杏子: それはそうと…さっき デザートって言ったよな?
- 胡桃 まなか: はい、こちらの林檎など いかがでしょう?
- 胡桃 まなか: よろしければ この場でお剥きしますが
- 杏子: お、いいねえ
- 杏子: でも、あたしは このままの方が好みだな
- 胡桃 まなか: 丸かじりですか?
- 杏子: そう! それじゃさっそく…
- かぷっ
- 杏子: ――っ!?
- 杏子: 店は…? どこだよ…ここ?
- FILENAME: text_515710-2_N5rbj.txt
- まどか: 杏子ちゃん、危ない!
- 杏子: …え?
- 杏子: 魔女…!
- 杏子: (林檎をかじったと思ったら 急に目の前が真っ暗になって)
- 杏子: (今度は魔女の結界に…?)
- 杏子: (まだ夢が続いてんのか?)
- ほむら: 巴さん、見つけました!
- ほむら: 結界に迷い込んだ 子どもたちです!
- マミ: …5人、6人…送迎バスの 運転手さんを入れて7人ね
- 杏子: (ああ、そうだ… 思い出してきたぞ)
- 杏子: (誰も乗ってない 幼稚園のバスが停まってて)
- 杏子: (なんかおかしいって あたりを探ったら)
- 杏子: (魔女がいたんだっけな…)
- マミ: ハッ!
- マミ: 足場は確保したわ 暁美さん、子どもたちをお願い!
- ほむら: は、はい!
- なぎさ: なぎさも手伝うのです!
- 杏子: (厄介だな… 結界に地面がないから)
- 杏子: (マミのリボンを足場にしないと 立つ場所もねぇ)
- まどか: 使い魔はわたしが!
- マミ: 頼んだわ!
- マミ: 佐倉さんと美樹さんは 近づいて魔女を倒して!
- マミ: 私がリボンで橋をかけるから
- 杏子: こっちから近づかなくても
- 杏子: マミなら一発で仕留められるだろ 例のでっかい銃でさ
- さやか: 子どもたちを巻き込んじゃったら どうするのよ
- さやか: それに、マミさんは みんなの足場の確保で忙しいの!
- 杏子: …近づいて倒すなら あたしらが向いてるってことか
- さやか: そういうこと じゃ、いくよ!
- 杏子: チッ… 仕方ねぇな!
- FILENAME: text_515710-3_N5rbj.txt
- なぎさ: 子どもたちを 1ヶ所に集めたのです!
- ほむら: 結界が解けて 空中に投げ出されても
- ほむら: ここなら、巴さんのリボンが クッションになって安全です
- さやか: 杏子、いくよ!
- 杏子: まかせろ あたしが魔女の動きを縛る!
- さやか: ナイス、杏子! これで…とどめだぁーーっ!
- 杏子: (…? この気配…なんだ?)
- 杏子: ヤベぇ まだ人がいたのか!
- さやか: えっ?
- まどか: さやかちゃん、止まって!
- まどか: 魔女を倒したら、あの人たちが 落っこちちゃう!
- 杏子: いや、そのまま突っ込め! チャンスは今しかない!
- 杏子: ふたりはあたしが受け止める!
- さやか: …わかった 頼んだよ、杏子!
- さやか: やああーーっ!
- なぎさ: やったのです!
- まどか: 杏子ちゃんは…?
- ドカドカッ
- …………
- 杏子: いってて… 結構、重いぞ
- まどか: よかった、杏子ちゃん!
- マミ: ふふ、間に合わないと思ったら 手を貸すつもりだったけど
- 杏子: …で、どうすんだよ? そっちの子たちは
- マミ: そうね…運転手さんの具合が 急に悪くなって
- マミ: 私たちに救急車を頼んでから 気を失ったことにしましょうか?
- さやか: …子どもたちは待ってる間に 寝ちゃったってことで!
- マミ: それじゃ、救急車を呼ぶわね
- なぎさ: …でも残念なのです せっかくたくさんの人を助けても
- なぎさ: あと3日で、世界は 終わってしまうのです
- 杏子: (またこの話題か… まさか、夢じゃないのか…?)
- まどか: ううん、無駄じゃないよ!
- さやか: そうそう、笑って世界の終わりを 迎えるために
- さやか: みんなであと3日 生きたいじゃない!
- まどか: うん、最後の日まで みんなを魔女から守って
- まどか: 世界の終わりを ハッピーエンドにしないとね!
- 杏子: (ハッピーエンド、か…)
- 杏子: (現実はそんなに 甘くないよな…)
- ほむら: あさってになれば 世界が終わっちゃうんだね…
- ほむら: 世界最後の日も、この町を パトロールして終わるのかな
- マミ: 実は私… 神浜市に遠征したいのよね
- まどか: 神浜市、ですか?
- マミ: 最近、かなり強い魔女が現れて みんな手を焼いているらしいのよ
- マミ: 詳しい話を聞いてみると
- マミ: 以前、私たちがこの見滝原市で 倒した魔女みたいで…
- まどか: じゃあ、今度現れたのは 使い魔が成長したやつですよね?
- まどか: この町の使い魔が迷い込んで あっちで成長したってこと…?
- さやか: 神浜まで結構遠いけど そんなことってあるの?
- まどか: あれっ…でも前にも 同じようなことがなかった?
- さやか: そうだっけ?
- まどか: 神浜市に逃げた魔女を追って… 株分けのミラーズに乗り込んで
- まどか: ………… …ごめん、気のせいだったかも
- さやか: 既視感ってやつだね、きっと
- ほむら: でも確かに、ミラーズを通った 可能性はあると思います
- まどか: もし、そうだとすると…
- まどか: それって、見逃した わたしたちのせいですよね…?
- マミ: ええ、そんな気がしているの
- マミ: 放っておくと 最後の心残りになると思うわ
- まどか: じゃあ、世界最後の日は 神浜へ行きましょう!
- まどか: 杏子ちゃんも行くよね?
- 杏子: …ん…あたしも?
- まどか: …あ、もしかして 用事で無理とか?
- マミ: 今日はこうして来てくれてるけど
- マミ: 佐倉さんが普段見回っているのは 風見野市だもの
- マミ: 見滝原市の魔女ということなら 佐倉さんに責任はないわ
- まどか: あ…そうですね!
- 杏子: …………
- 杏子: (別に、魔女退治につきあうのが イヤってわけじゃない…ただ)
- 杏子: (まどかはあたしも行くって 疑ってなかったけど)
- 杏子: (前はそんな風に 思われてなかったよな…?)
- 杏子: (かごめも言ってたな…)
- 杏子: (困ってる人を見たら 放っておけない優しい人だとか)
- 杏子: (あたしって、いつから こんなに甘くなったんだろう?)
- 杏子: (さっきだって…)
- …………
- 杏子: (…あのふたりのことを 迷わず助けたし)
- 杏子: (『もう二度と、他人のために 魔法を使ったりしない』…)
- 杏子: (そう心に誓ったはずなのに)
- モモ: …………
- 杏子: …モモは人助けできてうれしい? ならいいけどさ
- ほむら: …?
- ピーポーピーポー
- 杏子: やっと救急車が来たか
- マミ: 事情の説明は 佐倉さんにお願いしていいかしら
- 杏子: えぇ!?…あたしが?
- さやか: …あたしたち これから学校なんだよね
- まどか: ごめん、杏子ちゃん!
- なぎさ: なぎさは杏子につきあうのです!
- ピーポーピーポー
- 杏子: ふぅ… なんとかごまかせたな
- 杏子: あ…忘れてた あとひと組いたんだった!
- …サチオさん! 無事だったのね!
- シマコさん! ああ、これは運命…!
- 杏子: …よくわかんねぇけど あっちは大丈夫そうだな!
- モモ: …………
- 杏子: さて、と…ひと仕事終えたら 腹が減っちまった
- かぷっ
- FILENAME: text_515710-4_N5rbj.txt
- Day 2 ‐ 佐倉杏子の夢
- 杏子: …よっと!
- 杏子: これで…
- 杏子: フィニッシュ!
- Perfect!
- 杏子: よし!
- ???の声: …わっ…
- ???の声: すごいね あの子、パーフェクトだよ!
- 杏子: ん? この声…
- 五十鈴 れん: …ぁ… 佐倉…さん?
- 綾野 梨花: あっはは 知り合いだったね
- 杏子: アンタらも ゲーセンとか来るんだな
- 五十鈴 れん: …ぁ…クレーンゲームの …ぬいぐるみが欲しくて…
- 五十鈴 れん: …梨花ちゃんに 一緒に来てもらったんです…
- 綾野 梨花: てゆーかさ 杏子っちはなんでここに?
- 綾野 梨花: ゲーセンだったら 地元にもあるっしょ?
- 杏子: 買い食いのついでだよ
- 杏子: そこの商店街のたい焼きが 美味いんだよな
- 五十鈴 れん: …それで…神浜市まで…?
- 綾野 梨花: 世界が終わる前の日に たい焼きかー!
- 綾野 梨花: それはそれで味があるかもね!
- 杏子: アンタらは? ぬいぐるみは手に入ったのか?
- 五十鈴 れん: …はぃ…梨花ちゃんに 手伝ってもらって…
- 五十鈴 れん: …欲しいものは手に入ったので
- 五十鈴 れん: …このあとは、明日の 魔女退治の相談をしようって…
- 綾野 梨花: なんだか、すごく強い魔女が 暴れてるらしいんだよね
- 杏子: もしかしてそれって…
- 杏子: 見滝原の方から 来たって噂のヤツ?
- 綾野 梨花: そう、それ! そいつを退治しようって話!
- 綾野 梨花: 杏子っちも協力してくれない?
- 杏子: うーん…
- 杏子: 世界が終わるその日まで 魔女退治か
- 五十鈴 れん: …はぃ…
- 五十鈴 れん: …これ以上、その魔女に 呪いを振り撒かせたくなくて…
- 杏子: (確かマミたちも、明日 そいつを探しに来るんだっけ?)
- 杏子: 呪いどころか…
- 杏子: それだけ成長するまでに 犠牲者もかなり出てるだろうな
- 五十鈴 れん: …………
- 杏子: (マミたちは平気だろうけど…)
- 杏子: (こいつらふたりだけだと 危なっかしいな…)
- モモ: …………
- 杏子: …一緒に行って 助けてあげてほしいって?
- 綾野 梨花: …あっ、ごめん! 今まで気づかなかった
- 綾野 梨花: 杏子っちの妹?
- 杏子: そう、モモっていうんだ!
- 杏子: 人が来るとすぐ 隠れちまうんだよな
- 綾野 梨花: 人見知りなのかな? 可愛いね!
- 五十鈴 れん: …ぇ…
- 五十鈴 れん: …梨花ちゃん…その子…
- 綾野 梨花: ん、どうかした?
- 五十鈴 れん: …ぅ、ううん…
- 杏子: モモが言うなら 協力してもいいけど
- 杏子: いや、タダ働きなんて 性に合わないし…
- 杏子: グリーフシードだって 誰のものになるんだ?
- 綾野 梨花: グリーフシードをどうするかは
- 綾野 梨花: とどめを刺した人が決める、で いいよ!
- 杏子: …お、わかりやすくていいね! 共同戦線はそうじゃないとな!
- 杏子: ―杏子― それじゃ、交渉成立ってことで!
- 杏子: ―杏子― よろしくね
- 綾野 梨花: このあとはどうすんの?
- 杏子: 特に用事は…
- 杏子: ――っ!?
- 五十鈴 れん: 梨花ちゃん!
- 綾野 梨花: うん、すぐ近くだよ!
- 杏子: …たいした魔力を感じねぇ 使い魔の結界だな
- 杏子: 探してた魔女じゃなさそうだ
- 五十鈴 れん: …でも… 誰かが危ない目に遭う前に…
- 五十鈴 れん: 行こう、梨花ちゃん
- 綾野 梨花: そうだね!
- 杏子: お、おい!
- 杏子: あいつらはそうだったな…
- 杏子: グリーフシードを落とさない 使い魔でも関係なしだ
- モモ: …………
- 杏子: …わかったよ、モモ あたしも手伝えばいいんだろ?
- FILENAME: text_515710-5_N5rbj.txt
- 綾野 梨花: れんちゃん、いたよっ!
- 五十鈴 れん: …うんっ…!
- 杏子: おい、ちょっと待て
- さな: …あっ…
- 春名 このみ: あれっ…?
- 杏子: 使い魔1匹相手に 何人出張ってきてんだよ…
- さな: 近くにいたら 魔力を感じたので…
- 春名 このみ: …私も 放っておけないかなって
- 杏子: ほんとにお人好しばっかりだな!
- FILENAME: text_515710-6_N5rbj.txt
- 杏子: はあっ!
- 杏子: ふぅ… 無駄に疲れただけだったな
- 春名 このみ: そうでもないみたい …ほら?
- 僕はいったい何を…
- …はっ…? シマコさん!
- …サチオさん! よかった、目が覚めた!
- 杏子: おい…また このあいだのふたりかよ…!
- 春名 このみ: あれっ、知ってる人なの?
- 私たち、どうしちゃったんだろう
- 春名 このみ: ふたりで倒れていたところを 佐倉さんが助けてくれたんですよ
- 杏子: なっ…? 何を言い出すんだよ!?
- 春名 このみ: 佐倉さんと知り合いみたいだから
- 春名 このみ: そういうことに しておいた方が早いかなって
- 杏子: いやいや 知り合いとかじゃなくてさ
- 杏子: 結界に迷い込んだトコを 2回続けて助けただけだって
- 春名 このみ: ごめん、そうだったんだ…
- …佐倉さんとおっしゃるのですね 前にお見かけしたような
- 杏子: あー、昨日 見滝原でな…
- あっ…そうでした! もしかすると、あのときも
- 今日と同じように 助けていただいたのですか?
- 杏子: いや… まあ、その…
- …本当に ありがとうございました!
- 杏子: やっと行ったか…
- 杏子: 苦手なんだよ 人助けで感謝されるとかさ
- 五十鈴 れん: …ふふっ…
- 綾野 梨花: …あ、そうだ! 人助けって言えば…
- 綾野 梨花: ふたりも明日の魔女退治に 協力してくれない?
- 春名 このみ: 明日の…?
- さな: …魔女退治…ですか?
- 春名 このみ: …うん、いいかもね! 世界最後の日に、大物魔女退治!
- さな: えっと…私でよければ…
- さな: …ここで会ったのも 何かの縁かもしれませんし…
- 綾野 梨花: さなちゃんはどうして この近くにいたの?
- さな: それは、その… 猫さんと女の子を探して…
- 五十鈴 れん: …猫と…女の子?
- さな: あ…!
- さな: あの子たちです…!
- さな: 驚かせないように そっと…
- 春名 このみ: …その子猫ちゃん どうしたの?
- お姉ちゃん猫が… 連れて行かれちゃったの
- 杏子: お姉ちゃん猫?
- さな: お母さん猫は死んじゃって…
- さな: ここに2匹で住みついてた みたいなんです
- さな: あの子が心配して 毎日見に来てたんですけど…
- …通りすがりの人が 保護していったんだって
- でも、お姉ちゃん猫にしか 気づかなかったみたいで…
- 杏子: …妹猫だけが残されたってことか
- うん…
- 春名 このみ: まだ小さいし… 1匹じゃ生きていけないよね?
- 綾野 梨花: さなちゃんは… それが気になって来たんだね
- さな: …はい…
- さな: でも私…普通の人には 姿が見えないから…
- さな: 声をかけてあげることも できなくて…
- 杏子: そいつも悪気は なかったんだろうけど…
- 杏子: まさか、もう1匹いるとは 思わなかったんだろうな
- 春名 このみ: 姉妹一緒に保護してあげられれば よかったのにね…
- …………
- モモ: …………
- 杏子: …なんとかして あげられないかって?
- 綾野 梨花: そうだよね…
- 杏子: でもな、モモ…
- 杏子: 親切にすることが いい結果になる保証はないんだよ
- 春名 このみ: …その子は?
- 杏子: モモ あたしの妹だ
- さな: へえ…!
- 春名 このみ: そうだったんだ
- 五十鈴 れん: …ぁの…モモさんって… そこにいる…の?
- 綾野 梨花: そうだよ? さっき紹介されたでしょ?
- 五十鈴 れん: 佐倉さんが… 大事そうに持ってる…
- 五十鈴 れん: …人形の…こと?
- 春名 このみ: …人形…?
- 綾野 梨花: なんのこと?
- モモ: …………
- 春名 このみ: そうだね、モモちゃん!
- 春名 このみ: …確かに、いまの話みたいに
- 春名 このみ: 誰かの親切が仇になることも あるかもしれないけど…
- 春名 このみ: 頼りのお姉ちゃん猫も いなくなっちゃって
- 春名 このみ: まだひとりじゃ生きていけない 小さな子猫なんだから
- 春名 このみ: モモちゃんが放っておけないのは 自然な気持ちだと思うよ
- 杏子: そりゃ、できるもんなら
- 杏子: 誰かが妹猫を飼ってやるのが 一番いいんだろうけどさ…
- モモ: …………
- えっ…うちで飼って あげられないかって?
- パパとママに話してみたけど 無理って言われたの…
- モモ: …………
- そうだよね… あきらめちゃだめだよね
- 飼い主になってくれる人 また、探してみる!
- さな: …あ…
- 春名 このみ: それが一番だよね 優しい人、見つかるといいね!
- うんっ…!
- 綾野 梨花: モモちゃんもよかったね!
- モモ: …………
- 杏子: ………… …………
- かぷっ
- FILENAME: text_515710-7_N5rbj.txt
- 杏子: あたしとモモの妙な夢が、まだ続いてる
- 杏子: 仕組みはよくわかんねぇけど 林檎をかじると、次の夢に進むんだ
- 杏子: 世界の終わりがどうとか 意味がわからないとこもあるけど
- 杏子: いま夢で見てることは 実際に一度あったことみたいに感じる…
- 杏子: 次に見るのは、いったいどんな夢なんだ?
- 杏子: …………
- 杏子: ここは…
- 杏子: 親父の教会…!
- キュゥべえ: その通り キミが生まれ育った場所さ
- 杏子: キュゥべえ…!
- 杏子: テメェまで、世界の終わりとか 言い出すんじゃねーだろうな?
- キュゥべえ: だとしたらどうなるんだい?
- 杏子: アンタは本物の キュゥべえじゃない
- 杏子: あたしの夢が作り出した ニセモノってことになる
- キュゥべえ: そうだね、ボクはキミの夢の 登場人物にすぎない
- 杏子: あっさり認めやがったな…
- 杏子: じゃあ、この夢はなんなんだ?
- 杏子: 夢が生んだ存在なら 答えられるだろ?
- キュゥべえ: その理屈は、まったく 筋が通っていないと思うけど
- キュゥべえ: いくつかの事実を 指摘することはできる
- 杏子: それはなんだ?
- キュゥべえ: 一連の夢は、この数日の
- キュゥべえ: キミ自身の経験を 反映したものだということ
- キュゥべえ: そしてキミはその夢を
- キュゥべえ: 元になったできごとが起きた順に 見ているということだよ
- 杏子: …?
- 杏子: つまり、あたしは現実に かごめをういに紹介されて
- 杏子: マミやれんと会ったあとに ここに来たってことか?
- 杏子: なんで親父の教会に…?
- キュゥべえ: 思い出せないのかい? だったらボクには答えられない
- キュゥべえ: ここに来たのは キミの意志によるものだ
- キュゥべえ: その理由は キミ自身にしかわからない
- 杏子: 自分で思い出せってことか…
- 杏子: …………
- 杏子: (…そうだ)
- 杏子: (何か決定的なできごとが あったわけじゃない)
- 杏子: (柄にもなく人助けのために 魔法を使ったり)
- 杏子: (それでまどかたちに 優しいヤツだと思われてたり)
- 杏子: (お人好しな連中の魔女退治を 手伝う約束をしちまったり…)
- 杏子: (そんな些細なことが 続くうちに)
- 杏子: (なんだか最近、あたしが)
- 杏子: (あたしらしくなくなってきてる ような気がして…)
- 杏子: (…それで、一度 ここに帰ろうと思ったんだ)
- 杏子: (『もう二度と、他人のために 魔法を使ったりしない』…)
- 杏子: (そう心に誓ったときの あの気持ちを思い出すために…)
- モモ: …………
- 杏子: ああ、そうだな
- 杏子: 誰かの親切が仇になった あの姉妹猫の話もキツかったな
- 杏子: …おかげでまた 思い出しちまった
- 杏子: あたしが親父のために 奇跡を祈ったせいで
- 杏子: 家族が壊れたことを…
- 杏子: あたしと…モモだけを残して…
- キュゥべえ: …………
- 杏子: ――っ!? 違う!
- 杏子: モモもそう思うのか?
- 胡桃 まなか: ん…?
- 胡桃 まなか: それって…その… どなた様でしょう
- 杏子: モモは…もう…
- モモ: …………
- 杏子: (死んでるはずだ…!)
- キュゥべえ: …思い出したようだね
- FILENAME: text_515710-8_N5rbj.txt
- 杏子: ―杏子― あたしもモモも、世間一般から見れば 決して幸せだったわけじゃない
- 杏子: ―杏子― それでも家族4人で暮らしてた頃… あたしとモモは、笑顔だった
- 杏子: ―杏子― 親父は優しい人だった そして、正直すぎる人だった
- 杏子: ―杏子― 『新しい時代を救うには新しい信仰が必要だ』 そんなことを言い出して
- 杏子: ―杏子― 教義にないことまで説教しはじめた親父のために あたしはキュゥべえに祈った
- 杏子: ―杏子― …みんなが親父の話を 真面目に聞いてくれますように、って
- 杏子: ―杏子― 途端に、教会には信者が押しかけて 親父の話を熱心に聞いてくれるようになった
- 杏子: でも、親父はそんなインチキを 望んじゃいなかったんだ
- モモ: …………
- 杏子: …そのカラクリを知って 親父は心を病んじまった
- 杏子: 最後は家族を道連れに無理心中さ あたしひとりを置き去りにしてね
- 杏子: …そのとき心に誓ったんだよ
- 杏子: 『もう二度と、他人のために 魔法を使ったりしない』ってね
- 杏子: それまで得意だった 眩惑の魔法が使えなくなったのも
- 杏子: その頃だったな…
- モモ: …………
- 杏子: モモ…
- 杏子: オマエはまだ小さくて 何の罪もなかったんだ…
- 杏子: ひとりぼっちじゃ生きていけない あの子猫と同じように
- 杏子: 誰かが…
- 杏子: あたしが守ってやらないと いけなかったのに…
- 杏子: …………
- 杏子: …それにしても
- 杏子: なんであたしは こんな夢を見てるんだ?
- キュゥべえ: それはボクにもわからない
- 杏子: 少なくともこの夢は 過去に経験したことの再現で
- 杏子: いま現実に起きてることじゃ ないんだよね?
- キュゥべえ: そうだね、正確には 現実の1日前のできごとだ
- キュゥべえ: キミの夢は 現実の2日前から始まって
- キュゥべえ: 佐倉杏子の3日間を 追体験する形で進んでいる
- 杏子: 現実の時間…
- 杏子: つまり、今のあたしから見て 1日後に何が起きるんだ?
- キュゥべえ: 世界が終わるはずだよ
- 杏子: またそれか…
- キュゥべえ: 言っただろう? ボクはキミの夢が生んだ存在だ
- キュゥべえ: 現実の世界で 何が起きてるかは知りようがない
- 杏子: そもそも世界の終わりって なんなんだよ?
- キュゥべえ: 宇宙全体のエネルギーが枯渇して エントロピーに呑まれることさ
- キュゥべえ: ボクたちはそれを覆すために エネルギーを回収してきたけれど
- キュゥべえ: どうやら、ボクたちには それを止められそうもない
- 杏子: アンタらも 世界を終わらせないために
- 杏子: あがいているってことか…?
- キュゥべえ: キミたちだってそうだろう?
- キュゥべえ: 世界を終わらせるあの呪文を 口にしていないということは
- キュゥべえ: キミを含めた人類すべてが
- キュゥべえ: ハッピーエンドへの希望を 持ち続けているということだ
- 杏子: …………
- ガタン
- キュゥべえ: どこへ行くんだい?
- 杏子: …さあね
- モモ: …………
- 杏子: (これが夢だとして…)
- 杏子: (現実では何が起きてるんだ?)
- 杏子: (次の日は確か、魔女退治に つきあう約束をしたはずだよな)
- 杏子: ………… …………
- 杏子: (いつのまにか、あたしは 自分の誓いを破ってた)
- 杏子: (親父のために 奇跡を祈ったせいで)
- 杏子: (家族を壊したってのに)
- 杏子: (結局また、他人のために 魔法を使っちまってるし)
- 杏子: (お節介を焼いてまわって)
- 杏子: (お人好したちと魔女退治にも 結局、行くことになって…)
- 杏子: …………
- 杏子: (ハッピーエンド、か…)
- 杏子: (最後に愛と勇気が勝つ ストーリーなんて)
- 杏子: (あるわけないって思ってても)
- 杏子: (結局、あたしも)
- 杏子: (誰かを助けられるかもなんて 甘っちょろい希望を)
- 杏子: (まだ捨ててない、って ことなのか?)
- モモ: …………
- 杏子: …………
- さやか: あっ、杏子!
- 杏子: ―杏子― ………… …………
- さやか: ―さやか― ちょっと、杏子ってば!
- 杏子: ―杏子― …………
- さやか: ―さやか― …気づいて、ない?
- 杏子: ―杏子― モモ…
- さやか: ―さやか― いったい、どうしたのよ…
- FILENAME: text_515710-9_N5rbj.txt
- Day 3 ‐ 現実の神浜市
- 五十鈴 れん: …………
- 五十鈴 れん: (…ゃっぱり…変… 4人とも来ないなんて…)
- 五十鈴 れん: (魔女退治の約束… 今日のはず…だよね?)
- 五十鈴 れん: (…梨花ちゃんからも メッセージの返事、ないし…)
- 五十鈴 れん: (…何か…あったのかも…)
- 五十鈴 れん: ………… …………
- 五十鈴 れん: ――っ!?
- 五十鈴 れん: …魔女…! 近くに…いる…
- 五十鈴 れん: …梨花ちゃんたち… そっちに向かったのかも…!
- 五十鈴 れん: …ぁ…
- まどか: あれっ?
- マミ: あなたも魔女の反応を 追ってきたのかしら?
- 五十鈴 れん: …はぃ…
- マミ: 私たちもそうなのよ
- マミ: 見滝原市の魔女が こっちで暴れてると聞いて
- マミ: 魔力の反応を探していたら ここに行き着いたの
- ほむら: …魔女は近くにいます
- ほむら: かなり強い魔力反応です 危険な魔女に成長しています
- 五十鈴 れん: …ぇっ…と…
- 五十鈴 れん: …私も…私たちも たぶん同じ魔女を探してて…
- さやか: 何か事情がありそうだね
- マミ: …佐倉さんたちと一緒に 魔女退治の約束をしていた…?
- さやか: あいつ、あたしたちの誘いには 乗らなかったのに…
- 五十鈴 れん: …私たち、最初… ふたりで行こうとしてたから
- 五十鈴 れん: 放っておけなかったのかも…
- まどか: …でも、まだ来てないんだよね?
- まどか: 杏子ちゃんだけじゃなくて 他の子も…
- マミ: おかしいわね、4人とも 連絡が取れないだなんて…
- ほむら: もしかして…早めに着いた4人が 危険な気配に気づいて
- ほむら: 魔女の結界を確かめに行ったけど そこで緊急事態が起きたとか…?
- さやか: ありそうだね
- マミ: まずはその結界を見つけましょう
- まどか: …あれだよ!
- さやか: すごい魔力! …ちょっと身震いしてきた
- マミ: …前に戦ったときとは桁違いね
- マミ: 私が結界に乗り込んで 様子を探ってくるわ
- マミ: 鹿目さんは環さんたちに このことを伝えて
- マミ: 美樹さんは 私と一緒に来てくれるかしら?
- 五十鈴 れん: …ぁの…私も…!
- マミ: ダメよ、あの魔女は 厄介な攻撃をしてくるの
- マミ: 半端な人数で乗り込んだら 離脱もできなくなるわ
- マミ: まずは偵察だけして戻るの
- マミ: すでに4人の行方が わからなくなってるんだから
- マミ: 様子を探った上で 周到な準備が必要よ
- 五十鈴 れん: …わかりました…
- さやか: …友だちが心配だろうけど ここはあたしたちにまかせて!
- 五十鈴 れん: お願い…します
- マミ: それじゃ、美樹さん 行くわよ!
- さやか: はいっ!
- マミ: 魔女は… どこかしら?
- さやか: マミさん、あれ!
- 春名 このみ: …………
- さやか: このみさん、しっかり!
- 春名 このみ: …あ…
- 春名 このみ: さやかちゃん…? …ハッ
- 春名 このみ: そうだ、大変なの! 佐倉さんたちが…!
- マミ: 話はあとにしましょう 美樹さん、準備して
- マミ: 結界の主の登場よ
- FILENAME: text_515710-10_N5rbj.txt
- マミ: ――っ!?
- さやか: マミさんっ!
- マミ: 大丈夫、でも ここは退きましょう
- マミ: これ以上は消耗するだけよ
- さやか: 前に戦ったときは あっさり倒せたのに…
- マミ: 攻撃が完璧に防がれてしまうわ
- マミ: まるで、こちらの動きが 全部読まれているみたい
- さやか: …神浜市の子たちが てこずっているだけありますね
- マミ: まずは春名さんだけでも 連れて脱出しないと…!
- まどか: えっ…杏子ちゃんたちも みんな魔女につかまってる…?
- 春名 このみ: うん、そうなの…
- 春名 このみ: 私が待ち合わせ場所に着くと 女の子が子猫を探していたの
- まどか: 子猫…ですか?
- 春名 このみ: うん、近くの路地裏に 住み着いてる子猫
- 春名 このみ: 今日も、その子が様子を 見にきたらしいんだけど…
- ほむら: …いつもの路地裏にいなかった?
- 春名 このみ: うん、そのうち佐倉さんたちも 待ち合わせ場所に来て
- 春名 このみ: 一緒に近くを 探していたんだけど…
- さな: あれは…!
- 杏子: なんだ、この魔力…!
- 杏子: 探してた大物魔女らしいな …かなり危険なヤツだぞ
- 春名 このみ: 連れ戻さなきゃ!
- あっ、待って!
- さな&梨花: ――っ!?
- さな: …助けないと…!
- 綾野 梨花: うん!
- 春名 このみ: 私も…!
- 杏子: ………… …………
- 杏子: チッ…仕方ねぇ!
- 春名 このみ: …私は、結界に入ってすぐ 使い魔たちにつかまって
- 春名 このみ: さやかちゃんたちに 助けられるまで
- 春名 このみ: 夢を見ていたの…
- まどか: …夢?
- 春名 このみ: うん… 世界があと3日で終わる夢
- 春名 このみ: おとといから始まって
- 春名 このみ: 今日までの3日間に 実際にあったことを
- 春名 このみ: なぞっていくような夢だったな…
- 五十鈴 れん: …じゃあ、梨花ちゃんたちも…
- 春名 このみ: うん…同じようにつかまって 夢を見せられてるんだと思う
- さやか: 記憶や心を読んで あたしたちを惑わせてくる…?
- マミ: そんな感じがするわ
- マミ: 前に戦ったときもそうだったけど 心を探られる感じがしたのよね
- マミ: さっきは攻撃を先読みされて 完璧に防がれてしまったわ
- ほむら: 前に戦ったとき以上ですね…
- さやか: 結界につかまってるのは 女の子と子猫…
- さやか: それから杏子とさなちゃんと 梨花さんかぁ
- 五十鈴 れん: …どうしよぅ…
- マミ: 環さんたちとも連携して みんなで魔女を叩くしかないわね
- マミ: ただ… さっきと同じように攻めても
- マミ: 完璧に防がれてしまうけれど
- ほむら: はい…ただ人数を増やしても 同じことの繰り返しになるかも…
- まどか: 何か方法を考えないとね
- マミ: さいわい、少しだけ 時間の余裕はありそうに思えるわ
- マミ: つかまっていた春名さんも 直接攻撃された様子はないし
- 春名 このみ: うん…なんともない ソウルジェムも濁ってないし
- まどか: どうしてだろう?
- ほむら: 積極的に攻撃しない魔女もいる …物理的にも、精神的にも
- ほむら: 以前の鏡の魔女がそうだったし
- マミ: 単に閉じこめて
- マミ: 相手の衰弱を待っているのかも しれないわね
- さやか: それはそれでキツイけど…
- さやか: 対策を練る時間が 少しはあるってことだね
- ほむら: ただ、考えるにしても… もう少し情報が必要です
- マミ: そうね…
- マミ: さっきの夢の話… もっと詳しく聞きたいわね
- FILENAME: text_515710-11_N5rbj.txt
- マミ: 世界があと3日で終わるけど…
- マミ: 誰かが「おしまい」と口にすれば いますぐ終わらせることもできる
- まどか: …不思議な夢ですね
- 春名 このみ: うん…
- 春名 このみ: 夢の場面そのものはね
- 春名 このみ: この3日間の実際にあったことが 再現されてる感じなんだけど
- 春名 このみ: いろんなところが変わっていたの
- 春名 このみ: もうすぐ世界が終わっちゃうけど
- 春名 このみ: みんなで ハッピーエンドにしよう!…とか
- 春名 このみ: 現実にはありえないことを みんな話してた
- まどか: 本当に「おしまい」って言ったら どうなるのかな…?
- さやか: 魔女に見せられる夢だからね… ロクなことにならなさそうだよね
- マミ: 悪い夢に心が押し潰されて
- マミ: その人の世界が 終わってしまうのかもね
- ほむら: 夢の中に佐倉さんたちは 出てきたんでしょうか?
- 春名 このみ: 出てきたよ!
- 春名 このみ: 昨日、れんちゃんたちと 会ったときの夢にみんないたよ
- 五十鈴 れん: …ぁ… …子猫を見つけたときのこと…?
- 春名 このみ: うん!…あ、でも
- 春名 このみ: 佐倉さんの妹さんも夢にいたな… 本当は会ってないはずなのに
- ほむら: えっ…
- 春名 このみ: 名前はモモちゃんだった
- ほむら: あの…春名さんは
- ほむら: 佐倉さんから妹さんの話を 聞いたことがあるんですか?
- 春名 このみ: ううん だから不思議なの
- ほむら: (…この時間軸でもたぶん)
- ほむら: (佐倉さんは家族のことを 誰かに話してはいないはず)
- ほむら: (なのに、妹さんが 春名さんの夢に出てきた…?)
- 春名 このみ: あ、もうひとつ変なのが…
- 春名 このみ: 夢の中で、れんちゃんだけはね モモちゃんが見えてなかったの…
- 五十鈴 れん: …ぇ…?
- 春名 このみ: というか…モモちゃんのことが
- 春名 このみ: 人形の姿に見えるようなことを 言ってたかも…
- まどか: れんちゃんは心あたり、ある…?
- 五十鈴 れん: 私は…その夢… 見ていないので…
- まどか: あ、そっか ずっと結界の外にいたんだもんね
- ほむら: …夢の中で妹さんのことを
- ほむら: 認識できていたのは 誰でしょうか?
- 春名 このみ: 佐倉さん、梨花ちゃん さなちゃん
- 春名 このみ: …それから、女の子と私かな?
- ほむら: …みんな、あの魔女の結界に つかまっている人ですね
- まどか&さやか: …!
- ほむら: 全員が、会ったこともないはずの 佐倉さんの妹さんを認識している
- マミ: 佐倉さんと… 夢を共有しているってこと?
- ほむら: 確証はありませんけど… そうかもしれません
- ほむら: 鍵を握っているのは 佐倉さんなのかも…
- れん&このみ: ………… …………
- いろはの声: …ごめんなさい! 遅くなりました!
- うい: みんなが 結界につかまってるって…?
- さやか: …どうも、そうみたい
- いろは: さなちゃんにも連絡取れないし… みんなの推測通りだと思う
- 五十鈴 れん: …早く…助けに行きたいけど…
- ほむら: 闇雲に飛び込んだら
- ほむら: 犠牲者が増えるだけに なってしまいます
- さやか: でも、これっていう案も なかなか浮かばないよね…
- マミ: ………… …………
- ピロン♪
- うい: あ…メッセージ …かごめさんから?
- うい: 『何かできることは ありませんか?』…って
- いろは: かごめちゃんって、確か今
- いろは: なぎさちゃんと 一緒じゃなかった?
- うい: うん…確か風見野市で 取材させてもらってるはず
- 春名 このみ: えっ、風見野?
- いろは: …今日は杏子ちゃんのかわりに
- いろは: なぎさちゃんが風見野市を パトロールしてるって聞いたけど
- さやか: 用事ができたとか言ってたけど そういうことだったのね…
- マミ: …そうだわ! ふたりに連絡を取ってみましょう
- マミ: 頼みたいことがあるの
- うい: …なぎさちゃんと かごめさんに?
- マミ: そうよ
- ほむら: 何か考えがあるんですね
- マミ: ええ、試せることは 全部試さないとね
- いろは: やちよさんやみんなにも 協力してもらいます…!
- まどか: ありがとう、いろはちゃん!
- マミ: 佐倉さんたち… どうか、無事でいて
- 杏子: ………… …………
- (Part 1 end)
- -----
- (Part 2 start)
- FILENAME: text_515720-1_EO4Zi.txt
- まどか: えっ キュゥべえに知恵を借りる…?
- マミ: そう、神浜市の外にいる なぎさちゃんたちなら
- マミ: キュゥべえと 話をすることができるでしょ?
- まどか: そっか、キュゥべえに相談すれば
- まどか: 魔女との戦い方の ヒントが見つかるかも…!
- さやか: …なぎさにまかせるのは ちょっと心配だけどね
- いろは: かごめちゃんも一緒だったのは ちょうどよかったかも
- ~~♪~~♪
- いろは: …あ!
- うい: かごめさんからだよ!
- いろは: かごめちゃんたちの声… みんなにも聞こえるようにするね
- いろは: はい、いろはです! かごめちゃん?
- なぎさ: もぉぉおお~ 大変だったのです!
- さやか: …って、なぎさじゃないの
- かごめ: あ…スマホは私のですけど
- かごめ: なぎさちゃんが 話したいって言うので…
- なぎさ: とにかく大変だったのです!
- なぎさ: こんなときにかぎって
- なぎさ: なかなかキュゥべえが 見つからなくて
- なぎさ: ほとんど迷子に なっていたのです!
- マミ: ごめんなさいね、無理言って
- うい: でも、キュゥべえちゃんを ちゃんと見つけてくれたんだよね
- なぎさ: もちろんなのです
- なぎさ: 廃墟みたいな教会で やっと見つけたのです!
- ほむら: (風見野市にある 廃墟みたいな…教会?)
- ほむら: (それって、佐倉さんの…)
- いろは: それで、事情は伝えてくれた?
- なぎさ: はい、かごめが丁寧に 説明してくれたのです!
- さやか: そこは他人まかせなんだ…
- いろは: …キュゥべえはなんて?
- かごめ: はい… みんなの推測通り
- かごめ: 今度の魔女は心に作用する魔法を 得意としていて
- かごめ: このみさんも、魔女に心を 覗かれていたんじゃないかって
- さやか: 手あたりしだいに人をつかまえて どうしようっていうわけ?
- かごめ: 仮に、生きた人間をただ 集めているだけだとしても
- かごめ: 犠牲者はいすれ衰弱して 死んでしまうだろう、って…
- さやか: 結局、攻撃されるのと 変わらないってことじゃない…
- まどか: 何か他に、気づいたこととかは ないのかな?
- かごめ: えっ、と…
- キュゥべえ: ただ今回のケースでは 以前キミたちが戦ったときとは
- キュゥべえ: 明らかに異なる点が あるように思えるけどね
- キュゥべえ: 春名このみの夢を 奇妙な形にねじ曲げたのは
- キュゥべえ: 本当に魔女の魔法なのかい?
- かごめ: …だって
- うい: 夢を見せていたのは 魔女じゃないかもってこと…?
- いろは: 魔女じゃないとすれば 他の誰かが…?
- マミ: ――っ!? わかったわ!
- マミ: 春名さんに不思議な夢を 見せていたのは
- マミ: 佐倉さんの眩惑の魔法よ!
- 春名 このみ: えっ
- 五十鈴 れん: …佐倉…さんの?
- FILENAME: text_515720-2_EO4Zi.txt
- まどか: 杏子ちゃんの…
- さやか: 眩惑の…魔法?
- マミ: ええ… みんなは知らないと思うけれど
- マミ: 佐倉さんは以前 眩惑の魔法を得意としていたの
- マミ: 佐倉さんが魔法少女になって 間もなかった頃の話よ
- まどか: そうだったんだ…
- さやか: あたしも知らなかった
- マミ: 当然よ
- マミ: あなたたちの前では 使ったことがないもの
- 春名 このみ: でも、佐倉さんの魔法とは かぎらないんじゃ…?
- ほむら: いえ、つかまった人たちがみんな
- ほむら: 佐倉さんの妹さんの 幻影を見たのだとすると…
- ほむら: 眩惑の魔法をかけたのは 佐倉さんの可能性が高いです
- うい: かごめさん!
- うい: 今のお話、キュゥべえちゃんに 聞いてみてくれないかな?
- かごめ: はい…!
- キュゥべえ: …なるほど 眩惑の魔法か
- キュゥべえ: 確かに 従来のデータから判断すると
- キュゥべえ: あの魔女は 心を覗き見ることはしても
- キュゥべえ: わざわざ夢を 改変するようなことはしない
- キュゥべえ: 佐倉杏子が眩惑の魔法を使って 他人の夢に干渉し
- キュゥべえ: 夢を共有する相手に、妹の幻影を 本物と信じ込ませるうちに
- キュゥべえ: 自分自身もそう信じ込んだ… という可能性はあり得るね
- さやか: …ちょっと待って
- さやか: それって全部 杏子のせいだって言いたいの?
- なぎさ: …というよりも
- なぎさ: その力を魔女に利用されている… ということみたいなのです
- マミ: 確かにそう考えると説明がつくわ
- マミ: 使えなくなったはずの 彼女本来の魔法が
- マミ: どうして急に発動したのかは わからないけれど…
- 五十鈴 れん: …だとしたら…どうやって… あの魔女と戦えばいぃ…?
- さやか: 前に戦ったときは あっさり倒せたんだけどね
- まどか: 倒したのはさやかちゃんだったね
- マミ: あのときと、何が違うのかしら?
- かごめ: …………
- かごめ: キュゥべえはどう思う…?
- キュゥべえ: あの魔女と戦う方法かい? 簡単なことさ
- キュゥべえ: 佐倉杏子がつかまったことで
- キュゥべえ: 魔女本来の攻撃に 彼女の魔法が加わったとしても
- キュゥべえ: いずれも精神に
- キュゥべえ: 直接作用するタイプの 魔法であることは間違いない
- キュゥべえ: つまり、心が空っぽの相手には 干渉することもできない
- なぎさ: …えっ?
- かごめ: それって…何も考えずに 戦えばいいってこと?
- キュゥべえ: そういうことになるね
- なぎさ: それを早く言うのです!
- キュゥべえ: キミたちが聞かなかったから 答えなかっただけだよ
- ほむら: …何も考えなければいい?
- さやか: じゃあ、前にあたしが 同じ魔女を倒せた理由って
- さやか: …あたしが何も 考えてなかったからってこと?
- マミ: あれこれ策をめぐらすよりも
- マミ: 速攻で叩くのが 最も有効ということね
- さやか: …でもさ、杏子は なんでつかまっちゃったの?
- さやか: 杏子だって 何も考えてなさそうなのに…
- ほむら: …そうでしょうか?
- マミ: そんなことはないと思うわ
- さやか: 確かに…そうなのかも
- さやか: (あたし、杏子のこと 何も知らなかったのかもね…)
- マミ: …あとは私たちしだいね
- うい: なぎさちゃんとかごめさんも ありがとう!
- なぎさ: どういたしましてなのです!
- ピッ
- アルちゃん: <うまくいくといいね>
- かごめ: そうだね、アルちゃん
- かごめ: …キュゥべえも協力してくれる?
- キュゥべえ: 現在、佐倉杏子が置かれている 状況は確かに興味深い
- キュゥべえ: キミたちが彼女の情報を 提供してくれるなら
- キュゥべえ: それと引き換えに
- キュゥべえ: ボクにわかることを 教えてあげてもかまわないよ
- FILENAME: text_515720-3_EO4Zi.txt
- マミ: みんな、準備はいい?
- まどか&ほむら: はいっ!
- さやか: まかせて!
- 五十鈴 れん: …がんばります…!
- 春名 このみ: ほんとに5人だけで大丈夫?
- いろは: 危険を感じたら すぐに引き揚げてください
- いろは: わたしたちも ここに控えていますので…!
- うい: いざっていうときは
- うい: やちよさんたちも 駆けつけてくれるって!
- マミ: ありがとう
- マミ: さっき戦ったときは
- マミ: 攻撃をすべて 防がれてしまったけど…
- さやか: キュゥべえのおかげで 対策がわかったから、もう大丈夫
- ほむら: 事前に決めた通りに動いて 速攻で倒す、ですね
- マミ: 油断できる相手ではないけれど…
- マミ: うまく連携を決めるには このくらいの人数が一番よ
- マミ: …ただ、私たちは一度 戦ったことがある魔女だけど
- マミ: 五十鈴さんは 初めての相手になるわね
- まどか: 気をつけて、無理はしないでね
- 五十鈴 れん: …ぁりがとう…ございます
- マミ: それじゃ… 行くわよ!
- まどか: マミさんと杏子ちゃんって…
- まどか: ずっと前から 知り合いだったんですよね?
- マミ: そうよ
- マミ: 佐倉さんが魔法少女になって すぐの頃からね
- まどか: 眩惑…でしたっけ? 相手を惑わす魔法ってこと?
- マミ: そうね、本来は そういう戦いが得意だったの
- さやか: 普段はガンガン攻めていく イメージだったから
- さやか: なんか意外な感じ
- ほむら: …………
- マミ: 今の戦い方は あとで身につけたものなの
- マミ: …生き残るためにね
- まどか: …それって?
- マミ: いろいろあってね しばらく会ってなかったんだけど
- マミ: 出会った頃の佐倉さんは もっと素直で優しい子だったの
- マミ: でも…
- マミ: ………… …………
- まどか: マミさん…
- マミ: ごめんなさい いろいろと思い出してしまって
- さやか: …………
- 五十鈴 れん: …ぁ…
- 五十鈴 れん: …あの子…!
- まどか: みんなが追いかけてたっていう 子猫だよね?
- 五十鈴 れん: …はぃ…!
- まどか: 案内してくれてる…?
- ほむら: 追いかけよう!
- FILENAME: text_515720-4_EO4Zi.txt
- まどか: こっちだよ!
- さやか: 子猫って… 足、速いね…
- マミ: 待ってくれてる…?
- ほむら: そうみたいです
- 五十鈴 れん: …ぁ、あれ…!
- まどか: さなちゃん!
- さやか: よかった、無事だね
- まどか: ありがとう!
- まどか: さなちゃんのところまで 案内してくれたんだね
- マミ: 二葉さん、しっかり…!
- さな: …………
- さな: …あ
- マミ: 気がついたかしら?
- さな: …そうなんですか あの子がまだこの結界に…
- さな: 綾野さんと、佐倉さんも…
- …………
- さな: 飼い主を見つけてあげたいって はりきってたのに
- さな: 魔女につかまっちゃうなんて…
- マミ: 二葉さん、教えて
- マミ: 女の子と子猫を追って 結界に入ったあと
- マミ: いったい何があったのかしら?
- さな: えっ、と…
- さな&梨花: ――っ!?
- 杏子の声: おい、無事か!
- さな: 佐倉さん…!
- 杏子: こいつはあたしがやる! 女の子と子猫はまかせた
- 綾野 梨花: …りょうかいっ! あたしはあの子を!
- さな: …じゃ、じゃあ… 私は猫さんを…
- 杏子: …………
- 杏子: 『もう二度と、他人のために 魔法を使ったりしない』…
- 杏子: …誓ったはずだったのにな
- 杏子: なんだ…?
- 杏子: …? 心を…探られて…!
- 杏子: ――っ!?
- さやか: 『もう二度と、他人のために 魔法を使ったりしない』…?
- さな: はい…そう聞こえました
- ほむら: 佐倉さんの…主義… みたいなものだと思う
- さやか: …なのに子猫は 放っておけなかったんだね
- マミ: 本当は優しい子だから 自分勝手にもなりきれない
- マミ: そんな心の迷いを突かれて
- マミ: 魔女につかまってしまったのね
- さやか: はい…
- さやか: ちょっと様子が おかしかったですからね
- まどか: いつもの杏子ちゃんなら 迷わず倒せたかもしれないのに
- 五十鈴 れん: …ぁの…
- 五十鈴 れん: …ここにいるあいだは… ずっと、夢を…?
- さな: …はい 不思議な夢で
- さな: …もうすぐ世界が 終わるっていうんです
- ほむら: …佐倉さんは妹さんを 連れていましたか?
- さな: …え、あ…はい どうしてわかったんですか?
- マミ: 春名さんも同じ夢を見たのよ
- マミ: 佐倉さんの魔法が 夢に作用してるみたいなの
- さな: もし、夢の中で…
- さな: 世界を終わらせる 呪文を口にしたら…
- さな: いったい どうなっていたんでしょう…?
- ほむら: 自分の心が壊れてしまう…?
- さやか: もしそうなったら、今こうして 無事に話はできていなかったよね
- 五十鈴 れん: …女の子は…大丈夫でしょうか
- 五十鈴 れん: …佐倉さんも…梨花ちゃんも…
- マミ: いつまで耐えられるか わからない以上
- マミ: のんびりはしていられないわね
- まどか: あの…さなちゃんは 猫ちゃんを追いかけて…
- まどか: 梨花さんは女の子を助けに 向かったんだよね?
- さな: はい…そうです
- さな: 私は、途中で猫さんとも はぐれてしまったんですけど…
- まどか: 梨花さんはどうなんだろう?
- まどか: もしかして、女の子と一緒に いるかも…?
- まどか: まさか… どこにいるか知ってるとか?
- まどか: 追いかけましょう!
- マミ: ええ!
- FILENAME: text_515720-5_EO4Zi.txt
- Day 3 ‐ 佐倉杏子の夢
- 杏子: ………… …………
- 杏子: …ん…?
- ???: …………
- 杏子: (こいつは…)
- 杏子: (あたしか?)
- ???: …………
- 杏子: (泣いてるのか…?)
- モモ: …………
- 杏子: モモ…!
- ???: …ごめん
- 杏子: …?
- ???: …ごめん、モモ 守ってあげられなくて
- ???: 父さん、母さん ごめんね…
- ???: 勝手なお願いをして 家族を壊しちゃって
- 杏子: ――っ!?
- 杏子: (こいつは… 過去のあたしだ)
- 杏子: (親父と一緒に 世界を救うんだって)
- 杏子: (本気で思ってた頃のあたし)
- 杏子: (最後に愛と勇気が勝つ ストーリーを…)
- 杏子: (ハッピーエンドを 信じていた自分)
- 杏子: (その想いが裏切られて… 得意の魔法も使えなくなって)
- 杏子: (世界に絶望していた 過去のあたし自身だ…)
- ???: こんな結末しか 迎えられないんだったら
- ???: この世界なんて もう…!
- 杏子: (そうだ…あたしは 世界に絶望してた)
- 杏子: (何もかも終わらせたいと 思ってた)
- 杏子: だから、あたしは…
- 杏子: こいつを切り捨てたんだ
- 杏子: (…甘っちょろいままじゃ 生きていけなかった)
- 杏子: (ハッピーエンドなんて 絵空事だ)
- 杏子: (奇跡を祈れば 相応の呪いが降りかかる)
- 杏子: (希望と絶望の差し引きは ゼロなんだって言い続けないと)
- 杏子: (今日を生き抜けない)
- 杏子: (それが現実だって 自分に言い聞かせて…)
- 杏子: (心の奥深くに、もうひとりの あたしをしまいこんだ)
- モモ: …………
- 杏子: なんだ? …モモ
- ???: ………… …………
- 杏子: (妙だ…)
- 杏子: (もうひとりの あたしの様子が…)
- ???: …!
- 杏子: なんだ…!?
- 杏子: ―杏子― こいつは…
- 杏子: ―杏子― あたしの…ドッペル…!?
- Day 3 ‐ 魔女の結界
- ふたり: ………… …………
- まどか: いたよ!
- 五十鈴 れん: 梨花ちゃん…!
- マミ: ――っ!?
- ほむら: 待って! 近くに…
- さやか: 出たわね! 作戦通りにいくわよ!
- まどか: うん!
- マミ: 今度は負けないわよ!
- FILENAME: text_515720-6_EO4Zi.txt
- 五十鈴 れん: …ぇいっ…!
- まどか: 今だよ、マミさん!
- マミ: これで決めるわ
- マミ: ティロ・フィナーレ!
- マミ: えっ…? …うそ…!
- まどか: そんな…!
- さやか: また防がれちゃったの?
- ほむら: いえ…直撃していました 無傷じゃないはずです
- ほむら: ただ…
- マミ: まったく効いた様子がないわ
- マミ: これまでの魔女とは くらべものにならない…!
- さやか: 作戦通りでも 歯が立たないってことですか?
- さやか: じゃあ…どうしたら
- 五十鈴 れん: …ぁあっ…!!
- ほむら: ――っ!?
- まどか: ほむらちゃん!
- マミ: まずいわ! 作戦は失敗よ
- マミ: ここを脱出しないと
- さな: ………… …………
- まどか: さなちゃん、しっかり!
- さな: …はっ?
- さな: …私、いま… 何を…?
- マミ: 眩惑の魔法にかかっていたの
- マミ: この魔女の異常な強さの 秘密がわかったわ
- マミ: 佐倉さんの魔力を取り込んで 自分の力を増しているのよ
- まどか: …きゃっ…
- マミ: おかしい…
- マミ: 確かに眩惑の魔法だけど… 何かが違うわ
- マミ: 魔女に似た、もっと禍々しい力 …でも、あの魔女のものでもない
- マミ: いったいどういうこと…?
- まどか: マミさん! みんなを連れて脱出しましょう!
- マミ: わかったわ、私が隙を作る
- さな: …あ、綾野さんたちも…
- まどか: あれっ…
- まどか: どこ…? 見失っちゃった!
- マミ: …!
- マミ: …悔しいけど、退くしかないわ 次のチャンスに賭けましょう
- 五十鈴 れん: …梨花…ちゃん…
- Day 3 ‐ 現実の風見野市
- ピッ
- キュゥべえ: 神浜市からの連絡かい?
- かごめ: …うん
- かごめ: まどかさんたちの作戦 失敗しちゃったって…
- キュゥべえ: なるほど、攻撃は命中したけれど 歯が立たなかったわけだ
- キュゥべえ: どうやらその魔女は
- キュゥべえ: 予想以上に 成長していたみたいだね
- かごめ: マミさんの話だと…
- かごめ: 杏子さんの魔力を取り込んで さらに強くなって
- かごめ: 眩惑の魔法も使ってきたって…
- キュゥべえ: それは本当かい? 佐倉杏子がいくら強くても
- キュゥべえ: 魔法少女ひとりの魔力だけで そこまで強くなるはずが…
- かごめ: …魔女に似た力を感じたって マミさんは言ってたけど…
- キュゥべえ: なるほど
- キュゥべえ: 魔女が取り込んだのは 杏子の力じゃない
- キュゥべえ: 佐倉杏子のドッペルの力だ
- かごめ: ええっ…?
- キュゥべえ: 事件が起きているのは神浜市だ ソウルジェムが絶望に染まれば
- キュゥべえ: 佐倉杏子は魔女にならず ドッペルが発現する
- キュゥべえ: 杏子が魔女に 取り込まれているとしたら
- キュゥべえ: 魔女はドッペルの力を 利用できると考えられる
- かごめ: あ…
- かごめ: 魔女が眩惑の魔法を使えたのも
- かごめ: 杏子さんが使えない魔法も ドッペルなら使えるから…?
- なぎさ: そういうことだったのですか!
- キュゥべえ: 眩惑だけじゃないよ
- かごめ: えっ…!?
- キュゥべえ: 魔女は杏子のドッペルから
- キュゥべえ: あらゆる力を引き出して 利用しているはずだ
- キュゥべえ: 魔女が眩惑の魔法を駆使し
- キュゥべえ: おまけに想像を超えるほど 強くなってしまったのは
- キュゥべえ: それが理由だろうね
- かごめ: えっと…じゃあ、あの魔女は
- かごめ: …魔女とドッペルの両方を 合わせたぐらい強くなってる…?
- なぎさ: 洒落にならないのです!
- キュゥべえ: そういう状況だとすれば マミたちが苦戦するのも頷ける
- キュゥべえ: 杏子ほどの魔法少女なら ドッペルも強力だろうからね
- かごめ: それじゃ…どうしたら…
- キュゥべえ: ドッペルは魔女ではなく あくまで魔法少女の一部だ
- キュゥべえ: まだ佐倉杏子に残っている 正常な意識が
- キュゥべえ: ドッペルの制御を 奪い返すことができれば
- キュゥべえ: 魔女も、杏子が取り込まれる前の 強さに戻るだろうけど…
- なぎさ: そんなことができるのですか?
- キュゥべえ: 理論的には可能だ
- キュゥべえ: でも、実際には ドッペルの発現中は
- キュゥべえ: ほとんどの魔法少女が ドッペルに制御を奪われている
- かごめ: …制御できずに、ドッペルに 振り回されるってこと…?
- なぎさ: …なんとかならないのですか!
- キュゥべえ: ドッペルについてはまだ 解明できていない謎が多い
- キュゥべえ: ボクたちもこれ以上 どうすることもできないよ
- かごめ: そんな…
- コツン…
- ???の声: あの… すみません
- かごめ: …?
- FILENAME: text_515720-7_EO4Zi.txt
- Day 3 ‐ 佐倉杏子の夢
- 杏子: ………… …………
- ???: …………
- 杏子: (あいつが… もうひとりのあたしが)
- 杏子: (人の姿に戻ってる…)
- 杏子: (さっきの魔女みたいな姿… ドッペル…ってやつだよな)
- 杏子: (誰かが言ってたな…)
- 杏子: (ドッペルは 絶望したときに現れる自分)
- 杏子: (もうひとりのあたし…)
- 杏子: (あたしが切り捨てたあたし…)
- 杏子: …………
- ???: あたしには、何も残ってない
- 杏子: …?
- ???: 何もかもなくしてしまった 自分で捨ててしまった
- ???: だから… あたしには何も残っていないの
- 杏子: ――っ!?
- 杏子: (モモが…消えちまった…!)
- ???: あたしが自分で 捨ててしまったから…
- 杏子: 違う、捨てたんじゃない!
- 杏子: あたしは他人の都合を知りもせず 家族を不幸にしてしまった
- 杏子: だから決めたんだ!
- 杏子: もうあんな間違いは 二度と犯さないって!
- ???: 父さんは壊れて 母さんとモモを連れて行った…
- ???: あたしがあたしを捨てたのは…
- ???: あたしが願いで 余計なことをしたから?
- ???: 父さんがあたしのことを 嫌いになったから?
- ???: だからあたしは あたしを捨ててしまったの?
- ???: あたしの大切な妹も 捨ててしまったの?
- 杏子: 今のあたしには…関係ない
- 杏子: 捨てられたって言うんなら それでいいよ
- 杏子: …そう、捨てたんだよ うっとうしい思い出は!
- ???: ………… …………
- ???: 間違えたから、目を背けるんだね
- ???: そんなの…
- ???: 父さんの最後と同じじゃない
- 杏子: …!
- 杏子: ――っ!?
- 杏子: (心に…何かが入ってくる…!)
- 杏子: (あたしの心が… あいつに塗り替えられていく…)
- 杏子: …………
- 杏子: あたしの願いのせいで…親父は壊れちまった…
- 杏子: あたしが間違えたから?
- 杏子: でも、言ったじゃないか… 間違えたら謝らなきゃいけないって そうすれば、いつかきっと許してくれるって
- 杏子: あたしは誰に謝ればいい? 誰が許してくれる?
- 杏子: あのときの言葉は、嘘だったのかよ?
- 杏子: (結局、親父は)
- 杏子: (全部なかったことに したかったのかな?)
- 杏子: (あたしたちとの思い出も)
- 杏子: (幸せだった時間も…)
- 杏子: …なかったことになんて してほしくなかった
- 杏子: …………
- 杏子: (…声が聞こえる)
- 杏子: (いつか…誰かと 交わした言葉が…)
- 杏子: 『なんであたしを助けたんだよ …ったく、余計なことしやがって!』
- マミ: 「もしもこの先、あなたを助けたことで 不幸になったり ちょっとだけ後悔することになったって」
- マミ: 「今あなたの力になれた喜びは 嘘になったりしないわ」
- 杏子: 『…後悔、してねぇのか?』
- さやか: 「恭介の腕が治ったとき あたし、本当にうれしかったんだ あんなにうれしかったの、人生で初めてかも」
- さやか: 「だからいいんだ あのときのことを忘れなかったら この先も後悔なんてしない」
- 杏子: (そんなのは結局 自己満足だ…)
- 杏子: (人助けの気持ちが 本当に最悪の結果を招いても)
- 杏子: (まだ同じことが言えるわけ?)
- 杏子: …………
- 杏子: 結局…
- 杏子: あたしは、怖いんだ… 同じ間違いを繰り返すのが
- 杏子: 誰かを助けようとして ひどい結末を迎えるのが
- 杏子: あたしがどうあがいても ハッピーエンドは訪れないし
- 杏子: 放っておいたって もうすぐ世界は終わる…
- 杏子: どんなに人助けしたって 親父はあたしを許してくれない
- 杏子: 叶わない希望を持ち続けたって ただ苦しいだけだ
- 杏子: だったら、いますぐ あたし自身の言葉で終わらせるよ
- 杏子: 『これで、おしまいだね』
- ???の夢
- 杏子: …………
- 杏子: ん…?
- 杏子: (まだ夢が続いてる…?)
- 杏子: (世界が終わったんじゃ なかったのか…?)
- 猫ちゃんを飼ってくれる人 見つかるといいな…!
- 杏子: (昨日、結界で助けた子か…)
- 杏子: (あたしがあの子を助けて 帰ったあとの続きみたいだな)
- 杏子: (ということは…)
- 杏子: (これは、あたしの夢じゃない… あの子が見てる夢か?)
- モモ: …………
- 杏子: …なんだ、モモ?
- モモ: …………
- 杏子: …そうか、やっぱりあの子の夢に 入り込んだんだな
- モモ: …………
- 杏子: …ん、あっちを見ろって?
- 杏子: (…あれは、あたしが助けた 例のふたりか)
- ねえ、サチオさん さっき、私たちを助けてくれた子
- 佐倉杏子さんって言ったわよね
- もしかすると…
- うん、さっきは 聞きそびれてしまったけど
- 間違いない… 佐倉先生の娘さんだ
- 杏子: ――っ!?
- 杏子: (親父を…知ってる!?)
- FILENAME: text_515720-8_EO4Zi.txt
- Day 3 ‐ 現実の風見野市
- コツン…
- ???の声: あの… すみません
- かごめ: …?
- なぎさ: あ…
- なぎさ: サチオとシマコなのです!
- かごめ: えっ…?
- アルちゃん: <なぎさちゃん お知り合いなの?>
- あっ…あなたは確か
- 佐倉杏子さんと一緒に 私たちを助けてくれた…?
- なぎさ: 百江なぎさなのです!
- この教会で会えるなんて… なんて偶然!
- やっぱり来てよかったわね サチオさん
- そうだね、きっと亡くなった 佐倉先生のお導きだよ
- なぎさ: あの…なんのことでしょう? 佐倉先生とは…?
- えっ…ご存じないのですか?
- ここはかつて
- 佐倉先生が説教をなさっていた 教会なんですが…
- かごめ: あの…もしかして… 佐倉先生って…
- かごめ: 杏子さんの…お父さん…とか?
- キュゥべえ: そうだよ 知らずにここに来たのかい?
- キュゥべえ: ここは杏子の父親の教会だ 今は荒れ果てているけどね
- かごめ: (そうだったんだ…)
- 佐倉先生には杏子さんという 娘さんがいらっしゃいました
- なぎささんと一緒に 私たちを助けてくれたその方で
- 間違いないと思います
- 佐倉先生はここで 説教を毎日なさっていました
- 僕たちはそれを 聞きにきていたんです
- 私たち、結婚に反対されていて… 周りに味方はいませんでした
- でも、佐倉先生の言葉に救われて 生きていく力をもらったんです
- でもその後、佐倉先生は 教会に顔を出さなくなって…
- ある日、佐倉先生が 亡くなったと聞いたんです
- かごめ: …………
- 僕たちは再び 道しるべを失いました
- それから、不運が重なって… ふたりで死のうとしたんです
- かごめ: え…
- 2日前、見滝原市で 昨日は、いま住んでいる神浜市で
- でも、2回とも杏子さんに 助けられてしまって…
- なぎさ: ただ結界に迷い込んだだけじゃ なかったのですか…
- 結界?
- かごめ: な、なんでもないです!
- …杏子さんのお名前を聞いてすぐ 佐倉先生の娘さんとわかりました
- なぎさ: すごい偶然なのです
- ええ、運命だと思いましたよ
- だからもう決して 死のうなんて思いません
- その決意を新たにするために ふたりでここに来たんです
- かごめ: そうだったんですね…
- 佐倉先生ならきっと
- 私たちの結婚を 祝福してくれるかなと思って…
- かごめ: あ…おめでとうございます!
- ありがとう やっと心が決まりました
- ささやかでも、幸せな家庭を 築いていこうと思います
- 猫も飼いたいわね
- かごめ: ん…?
- なぎさ: 猫?
- 話におつきあいいただき ありがとうございました!
- 杏子さんに よろしくお伝えください
- ???の夢
- 杏子: …………
- 杏子: (親父を知ってるふたり…)
- 杏子: (偶然助けたふたりが まさか親父の信者だったなんて)
- …あの子が、先生の娘さんの 杏子さんだとすると
- 佐倉先生の言葉に希望をもらって 辛い日々を乗り越えた僕たちが
- 佐倉先生の娘さんに また命を救われたことになる…
- 運命よね、きっと
- もう、死のうなんて考えるなって そう言ってくれてるんだよ
- 亡くなった佐倉先生が…
- ええ
- これからは 生きることを考えましょう
- そうだね、僕たちふたりで ずっと一緒に…
- えっ…それって
- うん、結婚しよう シマコさん
- サチオさん…!
- 明日、このことを ふたりで佐倉先生に報告しよう
- あの、風見野市の教会で
- …はい!
- 杏子: …!
- 杏子: (…親父の説教を聞いて 救われた人たちがいた)
- 杏子: (あたしの願いがきっかけで… 親父の話を聞いて)
- 杏子: (生きる希望を 抱いた人たちが…)
- 杏子: ………… …………
- 杏子: (親父の言葉は… ちゃんと届いてた)
- 杏子: (小さな救いもあった)
- 杏子: (悪いことばかりじゃ なかったんだ…!)
- モモ: …………
- 杏子: …どうした、モモ?
- 杏子: …このまま世界を 終わらせていいのかって?
- 杏子: ………… …………
- Day 3 ‐ 現実の風見野市
- ~~♪~~♪
- かごめ: あれ、ほむらさんから?
- ほむら: こちらがちょっと 慌ただしくなってきたので
- ほむら: 私から報告しようと思って…
- かごめ: あ…私たちからも 報告があるんです
- FILENAME: text_515720-9_EO4Zi.txt
- ほむら: 佐倉さんのお父さんに 救われた人たちがいた…?
- かごめ: …そうなんです
- ほむら: つまり、佐倉さんが 偶然助けたおふたりは
- ほむら: 亡くなったお父さんの 信者だった…ということですよね
- かごめ: はい…
- かごめ: 杏子さんにお渡しして、って 連絡先ももらいました
- かごめ: 直接お礼がしたいからって…
- ほむら: …………
- ほむら: (佐倉さんの願いによって お父さんの話を聞いたことで)
- ほむら: (その結果 救われた人たちがいる…)
- ほむら: (そして佐倉さんが 魔法少女としてふたりを助けて)
- ほむら: (ふたりはもう一度救われた…)
- ほむら: 佐倉さんのしてきたことは
- ほむら: 無駄じゃなかったって 伝えたいけど…
- かごめ: はい…杏子さんは今 魔女の結界の中です…
- ほむら: ………… …………
- かごめ: それと、いま話すことでは ないかもしれないんですけど…
- ほむら: え…何?
- かごめ: 実は、子猫を飼ってくれる人が 見つかりました
- ほむら: えっ…?
- かごめ: そのおふたり… サチオさんとシマコさんです
- かごめ: でも…
- かごめ: 女の子も子猫も まだ結界の中なんですよね…?
- ほむら: はい…綾野さんも…
- かごめ: …………
- なぎさ: マミがついていながら どうなっているのですか!
- ほむら: ごめん…私も戦ったけど まるで歯が立たなくて…
- かごめ: お怪我は大丈夫なんですか?
- ほむら: はい…それはなんとか
- ほむら: …………
- かごめ: 小さな偶然が重なって せっかく見えてきた幸せな結末も
- かごめ: みんなを救い出せなければ 最悪の結末に変わってしまう…
- なぎさ: なんとかならないのですか! キュゥべえ
- キュゥべえ: さっきも言ったと思うけど
- キュゥべえ: 佐倉杏子のドッペルは現在 魔女の制御下にある
- キュゥべえ: その力を取り込んだ魔女を 倒すには
- キュゥべえ: それを上回る力で倒すか
- キュゥべえ: 佐倉杏子自身が、ドッペルの 制御を奪い返すしかない
- かごめ: いま…やちよさんたちも 現地に向かってるみたい
- キュゥべえ: 力で対抗するわけだね
- かごめ: 倒せなかったとしても…
- かごめ: つかまってる子たちを 助け出せるといいんだけど…
- なぎさ: それに、杏子を見つけて 結界から連れ出せれば
- なぎさ: 魔女の力を弱めることが できるかもしれないのです
- キュゥべえ: ドッペルの力が 魔女に取り込まれているとすれば
- キュゥべえ: 杏子が他の子と同じように 放置されているとは考えにくい
- かごめ: 杏子さんが… 自分で脱出できる可能性は…?
- キュゥべえ: その可能性は低いだろうね
- キュゥべえ: そのためには、彼女は 自分自身に打ち勝つ必要がある
- かごめ: 自分自身…? …どういうこと?
- キュゥべえ: ドッペルはおそらく、杏子自身の 潜在意識が拒絶した過去の自分だ
- かごめ: えっ…?
- キュゥべえ: ドッペルが眩惑の魔法を使うのが その何よりの証拠だよ
- キュゥべえ: 杏子の潜在意識は 過去の自分を切り捨てたことで
- キュゥべえ: 眩惑の魔法を使えなくなった
- キュゥべえ: 切り捨てた方がいまの杏子 切り捨てられた方がドッペル
- キュゥべえ: 能力自体は失われていないけど
- キュゥべえ: 眩惑の魔法を引き出せるのは “過去の杏子”だけってことだよ
- なぎさ: では、現在の杏子が過去の杏子に 勝てばいいのですか?
- キュゥべえ: そういうことさ
- キュゥべえ: ただしドッペルに 制御を完全に奪われたら
- キュゥべえ: 脱出は永遠に不可能になる
- キュゥべえ: それが彼女にとっての “世界の終わり”だろうね
- キュゥべえ: 逆に言うと、彼女が奇跡的に ドッペルから主導権を奪えば
- キュゥべえ: 魔女の結界を内側から
- キュゥべえ: 食い破ることも できるかもしれないけどね
- かごめ: 内側から…食い破る? それって…?
- ほむら: ドッペルの制御を奪えれば 結界を内側から食い破れる…?
- かごめ: はい…魔法少女のまま
- かごめ: ドッペルの強大な力を手に入れて 意のままに操る…
- かごめ: 結界の内部からそれができれば…
- かごめ: 強大な魔女を、結界ごと 消し飛ばせるかもしれない、って
- ほむら: そんなことが…
- かごめ: はい…でも、それは 本当に奇跡的なことみたいで
- かごめ: ドッペルの発現中に、ただ 意識を保つのとは違うそうです
- かごめ: 暴走するドッペルを乗りこなせる 魔法少女はいるけど
- かごめ: 主導権を魔法少女が持ったまま… という例は…過去にも…
- かごめ: …………
- ほむら: そこまでしないと…
- ほむら: ドッペルの制御を 魔女から奪うことはできない…?
- かごめ: …みたいです
- キュゥべえ: それは、すべてを 杏子に託すということだ
- キュゥべえ: 解決のための手段とは とても呼べないね
- かごめ: …って
- ほむら: ありがとう、佐鳥さん
- ほむら: (打つ手は…もう…)
- ほむら: ………… …………
- ザッ…
- やちよ: 待たせたわね
- 鶴乃: 助っ人が必要みたいだね
- マミ: …はい お願いします
- マミ: (佐倉さん…このまま 終わってしまうつもり?)
- マミ: (そんな結末を あなたは望んでいないはずよ)
- FILENAME: text_515720-10_EO4Zi.txt
- Day 3 ‐ 世界の終わりの夢
- 杏子: …………
- 杏子: (ここは…?)
- ???: あたしは世界の終わりを選んだ
- ???: だから すべてとお別れするために
- ???: ここに来たの
- ダッ
- 杏子: (欄干の上に…! 飛び降りる気か!?)
- 杏子: よせ!
- ???: どうして止めるの? あたしはもう捨てられたのに…
- ???: もう… 「おしまい」じゃなかったの?
- 杏子: 聞いてくれ! 親父の言葉は届いてた!
- 杏子: あたしの願いは
- 杏子: 取り返しがつかないくらい ひどい結果に終わったけど
- 杏子: …でも、それだけじゃ なかったんだ!
- 杏子: 親父の言葉が 心の支えになった人たちだって…
- 杏子: 確かにいたんだよ!
- ???: …だから今度は あたしを助けるの?
- ???: 助けるのは もうやめたんじゃなかったの?
- ???: 心に誓ったんじゃなかったの?
- ???: 小さな救いがあったからって 誓いを破るなんて
- ???: あたしの決意は その程度のものだったの?
- 杏子: それは…
- 杏子: ………… …………
- ???: 大丈夫… これ以上、責めたりしない
- ???: …これで… さよならだから
- 杏子: モモ… あたしはまた、誰も救えないのか?
- 杏子: 妹も、家族も… 絶望した自分自身さえ…
- 杏子: 誰かを助ける、助けないなんて くだらない言葉に縛られて
- 杏子: ………… …………
- 杏子: チクショウ!
- 杏子: 捨てられた子猫を助けるのに 理由がいるかよ!
- ???: なんで助けたの?
- ???: あたしは あたしを捨てたんじゃないの?
- 杏子: …捨ててなんかない! 捨てたりなんかしない!
- ???: …?
- 杏子: …あたしは生きてるからさ
- 杏子: アンタのことも ちょっと古くなっちゃって
- 杏子: もしかしてこのまま…
- 杏子: 忘れたまま生きていけるかも なんて思ってた
- ???: …………
- 杏子: でも、そうじゃないんだ
- 杏子: 忘れようとしていた過去も 今と同じくらいあたし自身なんだ
- 杏子: 幸せだった頃のことや 人を救えてうれしかったことまで
- 杏子: なかったことにしたくない
- 杏子: だから、また思い出すよ
- 杏子: 大切なモモのことも お人好しな父さんのことも
- 杏子: 優しかった母さんのこともさ
- 杏子: あの頃、ひとりでも多くの誰かを 助けたいって思ったことだって
- 杏子: 嘘じゃない 本当にそう思ってた
- 杏子: 今だって…
- 杏子: だから…
- ???: …………
- 杏子: あたしはもう あたしを捨てたりしない…!
- ???: ………… …………
- 杏子: …?
- 杏子: モモの声が聞こえる…
- 杏子: あの子たちも…助けてあげて?
- 杏子: ハッピーエンドを迎えさせてあげて…って?
- 杏子: …………
- 杏子: わかったよ、モモ
- Day 3 ‐ 現実の神浜市
- マミ: これ以上は待てない… 結界に突入するわ
- いろは: はいっ…!
- まどか&ほむら: …………
- まどか&ほむら: ――っ!?
- ほむら: な、何…?
- まどか: 結界の中… すごい魔力だよ!
- マミ: 結界が…消えた?
- ドサッ
- 綾野 梨花: …………
- 五十鈴 れん: 梨花ちゃんっ…!
- やちよ: これは…
- 春名 このみ: …えっと…?
- 春名 このみ: これって… どういうこと?
- いろは: 何が起きてるの…?
- さやか: ………… …………
- さやか: 杏子…
- さやか: ――っ!?
- さやか: あれは…!
- マミ: ―マミ― 佐倉…さん…?
- さやか: ―さやか― 何、あの姿?
- ほむら: ―ほむら― すごい魔力です… あの姿は、もしかして…
- ほむら: ―ほむら― ドッペルの力を…自分のものに?
- あっ…!
- さな: みんな無事に 出られたんですね…!
- 五十鈴 れん: 佐倉さん…!
- 春名 このみ: ふふふっ…
- うい: よかった…!
- さやか: やるじゃん、杏子!
- 杏子: …………
- 杏子: (父さん、母さん、モモ…)
- 杏子: (思い出は、また少しだけ 胸の奥にしまっておくけど…)
- 杏子: (でも絶対に 忘れたりなんてしない…!)
- 杏子: (そして、次に 目を開けるときは…)
- 杏子: (また、いつものあたしだ!)
- マミ: …佐倉さん どこも異常はない?
- 杏子: 大丈夫だ、心配すんな
- さやか: 人助けのことで 少し悩んでたらしいけど…
- さやか: 最後に残った子たちも ちゃんと助けてくれたんだね
- マミ: みんなを救った気分は どうかしら?
- 杏子: …うん、悪くないね
- さやか: あれ? ちょっと素直になった?
- 杏子: さあ? どこも変わったつもりはないよ
- 杏子: 食いたいときには食うし 助けたいときには助ける
- 杏子: あたしは、あたしの したいようにするだけさ!
- おしまい
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