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- FILENAME: text_102803-1_KPw7G.txt
- かごめ: 二木市に散らばっていく無数の魔力。 リィちゃんが私に伝えて来るのは 混乱しているユニオンと時女一族の様子で、 みんなプロミストブラッドに追われながら 必死に逃げているような状況だった。
- かごめ: 私もリヴィアさんたちピュエラケアの3人と一緒に いくつかの戦いを目撃したけれど、 どこか捕まえたネズミを弄ぶネコのように、 決定的な一撃を加えることなく 様子を見ているような気がした。
- かごめ: その印象は決して間違っていなかった。
- かごめ: みんなが集まっていく魔力を追いかけると ユニオンと時女一族が合流して 体勢を立て直そうとしていた。
- かごめ: だけど、その場所はみんなの墓標。 最後まで弄ばれてしまったユニオンと時女一族は、 プロミストブラッドの総攻撃を受けて 瓦礫の中に消えてしまった…。
- かごめ: こうして二木市で凄惨な状況が生まれる中、 一方の神浜市では その日の昼から十七夜さんたちが動いていた。
- 十七夜: ふむ…困ったな…
- みかげ: 何がこまったの? ミィが手伝ってあげよっか!
- 十七夜: それは、なかなかどうして 驚きの発想だな
- みかげ: ほんとー!?
- 十七夜: うむ、自分がなぜ調整屋に来たか まずはそれを振り返ってみよう
- みかげ: ミィと姉ちゃを守るため!
- みかげ: …あっ、 ミィ手伝えないね!
- 十七夜: 気付いてもらえて何よりだ
- 十七夜: それで八雲 避難するのは難しいか?
- 十七夜: クレセントハウスの方が 安全だと思うが
- みたま: そうねぇ…
- みたま: お客様も来てるし、 今日は雫ちゃんの調整もあるから
- みたま: それに、調整屋が襲われることは ほとんどないし平気よぉ
- 十七夜: なまじユニオンに肩入れしてると 明言しているのが怖いがな
- 十七夜: とはいえ、保澄君のこともある 避難は諦めた方が良さそうだな
- みたま: ええ、調整屋以外で変身するのは 都合が良くないからね
- みたま: それに、わたしよりも 優先した方が良い子がいるわよ?
- みかげ: なんだっけ、 あのマギウスって人たちだよね?
- みたま: ええ、プロミストブラッドは 特に彼女たちを恨んでいるわぁ…
- みたま: アリナは行方不明になってる手前 どうしようもないけど
- みたま: 灯花ちゃんとねむちゃんには 付いてあげた方がいいわ
- 十七夜: 守り手が桜子だけだからな
- みかげ: 姉ちゃのことならミィが守るから 安心してね、なぎたん
- 十七夜: うむ、安心したぞ
- ピロン♪
- ピロン♪
- 十七夜: …………八雲にも来たか?
- みたま: ええ、今夜いろはちゃんたちが 二木に向かうそうね
- 十七夜: あと少しで始まるのか…
- 十七夜: プロミストブラッドとの 最後の戦いが…
- 十七夜: ひとまず八雲とみかげは このまま調整屋で身を守れ
- 十七夜: マギウスのふたりは桜子と自分で クレセントハウスで守る
- 十七夜: 都にも避難を促してあるから いずれ来るはずだ
- みたま: そっちはよろしくね十七夜
- 十七夜: 八雲も調整屋を離れるな
- みたま: ええ、そうするわぁ
- FILENAME: text_102803-2_KPw7G.txt
- ねむ: むふっ…
- ねむ: 何とも摩訶不思議な状況だね
- 万年桜のウワサ: |ウワサよりも不思議?|
- ねむ: ウワサと同等か超越するか 前代未聞だとは思うよ
- 万年桜のウワサ: |それは良いこと?|
- ねむ: 吉凶の判断は僕達の運命の歯車が どうはまるか次第かな
- 灯花: 二木市のはなしー?
- ねむ: そうだよ
- ねむ: プロミストブラッドが どう生きてきたのか
- ねむ: 佐鳥かごめから聞いた 彼女たちの背景を踏まえて
- ねむ: 二木市内の犯罪や事故の統計を 確認してきたんだ
- 灯花: それでそれで?
- ねむ: あるときを境に犯罪や事故の 件数は減少傾向になっているけど
- ねむ: 僕達が魔女を集めてからはさらに 低水準になったことが判明したよ
- 灯花: くふふっ
- 灯花: 人間社会が幸せになるほど 魔法少女が苦しむなんて
- 灯花: 宇宙を生かすためのギミックも 数字で見ると残酷だねー
- ねむ: 魔法少女の存在を知らない人々に とっては幸福の極みだろうけどね
- 灯花: で、わかったのはそれだけ? ぜーんぜん想定の範囲内だけど
- ねむ: いや、魔女が消えた分 グリーフシードも減ってるから
- ねむ: 10代女性の事故死や失踪が 当然のように増えてるよ
- ねむ: 犯罪や事件の総数が減少した分 際立っているはずなのに
- ねむ: 話題にすら上らないのは 摩訶不思議としか言えないね
- 灯花: 国家権力が隠そうとしてるとか!
- 灯花: あー、それなら最初から 数値として出さないにゃー…
- ねむ: その通りだよ
- 灯花: でも、その摩訶不思議が わかっただけでも
- 灯花: 佐鳥かごめから話を聞いたのは 正解だったねー
- 灯花: 宇宙の神秘に近付けるみたいで ワクワクしてくるよー
- ねむ: マギウスだったときと 同じような顔をしてるよ灯花
- ねむ: それで、灯花の成果はどうかな? 時女一族を調べてたはずだけど
- 灯花: そもそも文献が ぜんぜんないんだよにゃー…
- 灯花: 叔父様の売れなかった本が 参考になると思ったんだけど
- 灯花: どこにもなかったんだよ…
- ねむ: 収穫は無し? 奇々怪々なこともあるものだね
- 灯花: ううん
- 灯花: 原因はわからないけど 国と絡んでいるような集落を
- 灯花: 今まで隠し通せてたこと自体が すっごい不思議だし
- 灯花: 時女一族は面白い可能性を 示してくれてると思うよ
- ねむ: 可能性?
- 灯花: そう!
- 灯花: あの人たちって自分のことを 巫って言ってるでしょ?
- 灯花: それって、 すごい女性を指す言葉の裏側に
- 灯花: 魔法少女の存在が隠れているのを 示してると思うんだけど
- 灯花: 現代までに残っている似た言葉は ぜーんぜんないんだよねー
- 灯花: つまり、レアケースなんだよ
- ねむ: 確かに個人を指し示す言葉として 存在していたとしても
- ねむ: その人にあてた二つ名でしかなく 続くものはないかもしれないね
- 灯花: それって、人は歴史の中で 魔法少女を見てはいたんだけど
- 灯花: そのときだけ英雄視して 終わっていたともとれないかにゃ
- 灯花: 叔父様が海外へ調べに行ってた ジャンヌ・ダルクもそうだし
- 灯花: 日本だったら卑弥呼だって 当てはまるかもしれない
- ねむ: ふん…魔法少女は、 一般的な存在としてではなく
- ねむ: 特別な存在として 一時的に社会で認知されていた
- 灯花: そういうこと!
- 万年桜のウワサ: |なんだか、灯花とねむの話 神浜と同じだね|
- 灯花: んー、そうかもしれないにゃー
- ねむ: どうしてそう思ったのかな?
- 万年桜のウワサ: |私たちウワサを使って、 ねむがエネルギーを得てたとき|
- 万年桜のウワサ: |うわさとして実体があったのに それは都市伝説にとどまった|
- ねむ: …僕も意識してなかったけど、 普通に考えれば異常な状況だね
- 万年桜のウワサ: |それと前に聞いた神浜に伝わる 神子と呼ばれた女性の話がある|
- 灯花: ういが言ってたやつかな?
- ねむ: やちよお姉さんと鶴乃が出演した ドラマの話だっけ?
- 灯花: 確か七夕の特別ドラマで 神浜の古いお話だったよねー
- ねむ: …………調べてみようか
- ねむ: 中央図書館の歴史編纂室に行けば その女性がわかるかもしれないよ
- ねむ: ついでに神浜と二木の 比較もしてみたいね
- 万年桜のウワサ: |だめ|
- ねむ: え?
- 万年桜のウワサ: |今日、外は危険だって いろはとういが言ってたから|
- 灯花: …いやー違うよ桜子
- 万年桜のウワサ: |あれ、間違った?|
- 灯花: ういもお姉さまも 外は危険だって言ってるけど
- 灯花: それは桜子を頼りにしてるから よろしくねっていうことだよ
- 灯花: つまり桜子が守ってくれるなら 外には出てもいいってこと!
- 灯花: わたくしとねむも、 桜子をすっごく頼りにしてるよ!
- 万年桜のウワサ: |…………そう|
- 万年桜のウワサ: |♪|
- 万年桜のウワサ: |わかった、ちゃんと守るね|
- ねむ: 桜子の純真な心を利用して… 灯花は残酷で非道だよ
- 灯花: だって今日はパパ様と会うために 病院も行かなきゃいけないもん
- ~~♪~~♪
- ねむ: …あ、十七夜さんだ
- 灯花: にゃーもう、 タイミングわるーい…
- FILENAME: text_102803-3_KPw7G.txt
- 十七夜: 中央図書館はすごいな
- 十七夜: 自習スペースだけでなく パソコンが使える場所もあるのか
- 灯花: 最近はフリーWi-Fiもあるし、 人によっては便利だと思うよー
- 十七夜: む、基本は図書資料を使う人が 使えるものか
- ねむ: 利用目的に応じて わけてあるみたいだね
- ねむ: 今日の僕達はセーフだよ
- ねむ: じゃあ、僕は七夕の話について 話を聞いてくるから
- 灯花: わたくしは 統計周りを調べておくねー
- ねむ: うん、よろしくお願いするよ
- 万年桜のウワサ: |私はねむに付いて行くね|
- 十七夜: 人口、事件、事故に関する統計は 自分の方でまとめてみたぞ
- 十七夜: その頭脳を通して、 この結果はどのように見える
- 灯花: うーん… 明確な統計はないけど
- 灯花: 人口に対する魔法少女の割合は 二木の方が神浜より多いかも
- 灯花: でも、ヒドい乖離じゃないかなー
- 灯花: あと気になるのは、神浜での 魔法少女が関わる事件や事故だね
- 灯花: 桜子の言う通り うわさは都市伝説止まりだし
- 灯花: 死者や失踪者が出ていた 東西が争っていたときについても
- 灯花: 規模の割には 騒ぎになってない気がする…
- 十七夜: 端的に言うと、魔法少女が関わる 事件や事故が大事にならないのは
- 十七夜: 二木だけに限られた話ではなく 神浜でも同様だということか
- 灯花: そういうことになるかにゃー
- 十七夜: 国家的な陰謀などと言い始めると それこそ都市伝説か…
- 灯花: 違うよ十七夜
- 十七夜: む?
- 灯花: 都市伝説なんてものじゃない
- 灯花: これはファンタジーとも言える 不思議で自然な状態なんだよ
- 十七夜: 何を言ってるのかよくわからん
- 灯花: 同じようなことは 人間の体でも起きてるよ
- 灯花: 問題があれば等しく臓器からは アラートを出して欲しいのに
- 灯花: 肝臓は沈黙の臓器って言われて、 何も異変を感じさせないからねー
- 十七夜: …つまり、魔法少女が関わる 異常な状況が無視されているのは
- 十七夜: むしろ正常ということか
- 灯花: 仮説だけどねー
- 万年桜のウワサ: |ただいま|
- ねむ: お待たせ、聞いてきたよ
- 灯花: うん、どうだったー?
- ねむ: 神浜に残っている少女の名前は 水名露と千鶴という2名
- ねむ: 僕達が想定していた通り やちよお姉さんが演じた役で
- ねむ: 彼女たちが手を取り合う姿から 七夕が連想されて
- ねむ: ひとつの物語として 残っているみたいだったよ
- 十七夜: 確か圧制に苦しむ民衆たちを 解放する物語だったか
- ねむ: その通りだよ
- 灯花: 時女一族の巫って言葉に繋がる 特徴とかはなかったのー?
- ねむ: 色々話を聞きたかったけど、 まずは参考資料のことで手一杯
- ねむ: そこから想定される仮説や見解に ついてまで辿り着けなかった
- 灯花: それじゃ意味ないよ
- ねむ: だから聞いてみるよ
- ねむ: ちょうど歴史に詳しい魔法少女が 知り合いにいるからね
- 十七夜: これから訪問するか?
- ねむ: ユニオンと関わりはないから 直接会うのはやめた方が良いよ
- 十七夜: 確かに、このタイミングだ 巻き込むかもしれんしな…
- 十七夜: では、次は 里見君の病院に向かうとしよう
- 十七夜: 日が暮れる前には全てを片付けて クレセントハウスに戻りたい
- 十七夜: あと桜子には 都の様子を見てきて欲しい
- 万年桜のウワサ: |灯花とねむがいるから嫌|
- ねむ: 僕達は平気だから 連れてきてくれると嬉しい
- 灯花: うん、こっちには 一応、十七夜がいるからねー
- 万年桜のウワサ: |…わかった|
- ねむ: それにしても、灯花の父親も いったい何の話だろうね
- 灯花: 実はわたくしも 聞いてないんだよにゃー
- FILENAME: text_102803-4_KPw7G.txt
- 灯花の父: 悪いね灯花 わざわざ来てもらって
- 灯花: ううん、パパ様が忙しいのは わたくしわかってるから
- 灯花の父: それで、今日呼び出したのは 伝えたいことがあったからなんだ
- 灯花: …もしかして三輪みつね?
- 灯花: 最近、ねむと似たような症状で 入院してきたでしょー?
- 灯花の父: 彼女も魔法少女なのか?
- 灯花: ――っ!?
- 灯花の父: 珍しい顔をするね
- 灯花: だってパパ様、魔法少女なんて 絶対に信用しないはずなのに…
- 灯花: 叔父様のことだって、 最初にバカにしたのパパ様だよ?
- 灯花の父: 実は、話したかったのは そのことだ…
- 灯花の父: 私は太助の話を信じることにした
- 灯花: え、ほんとー!?
- 灯花の父: わざわざ選挙の応援演説を受けて 新市長に取り入ろうとしたのも
- 灯花の父: 太助を信用したからだよ
- 灯花の父: 本当に灯花たちの話が本当で 世間に露見する日がやってきたら
- 灯花の父: 灯花たちは間違いなく好奇の目に さらされてしまう
- 灯花の父: そんなときに、娘を守れる状況を 私は作っておきたかったんだ
- 灯花の父: 本当は黙っておくつもりだったが 那由他と手を取ったんだろう?
- 灯花: うん…
- 灯花: わたくしたち魔法少女のことを みんなに知ってもらうために
- 灯花: 社会の一部にするために 一緒にがんばろーって話してた
- 灯花の父: 魔法少女の宿命や背景を知れば 世間が変わることもある
- 灯花の父: だけど、それは同情を買って 優しさだけに繋がるとは限らない
- 灯花の父: 私たち大人に利用される恐れを 想定しておかないといけない
- 灯花: くふっ…
- 灯花: わたくしが魔法少女でもなく ただの天才だとしたら
- 灯花: 確かに沸き上がる知的好奇心には 耐えられないかもしれないね
- 灯花の父: それは大人も同じだよ
- 灯花: じゃあ、パパ様が悪い大人から わたくしを守ってくれるの…?
- 灯花の父: もちろん太助と一緒にね
- 灯花: ありがとうパパ様
- 灯花: これで、叔父様との対談で ちゃんと説得力も加えられて
- 灯花: パパ様たちが守ってくれるなら…
- 灯花: あ、それならパパ様は 叔父様の居場所を知ってるの!?
- 灯花: 那由他も探してるし、 わたくしも一緒に話したい!
- 灯花の父: 居場所は知ってるけど、 少しだけ待ってもらえるかな
- 灯花: まずは、パパ様たちが意見を すり合わせる必要があるもんね
- 灯花の父: そう、まずはふたりで 話し合う必要があるんだよ…
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- 十七夜: ふむ、まだ都は学校か…
- 十七夜: 戦う意志が削がれている以上、 日暮れ前には避難して欲しいが…
- ねむ: 僕達がクレセントハウスに戻る際 待ち合わせてみたらどうかな
- 十七夜: その方が確かに安全だな 桜子に動いてもらって正解だった
- 万年桜のウワサ: |十七夜たち心配してるよ|
- 都 ひなの: わかってる
- 都 ひなの: 向こうも今は外にいるから 合流しようって話してるところだ
- 万年桜のウワサ: |灯花とねむと一緒に 帰れるならうれしい|
- 都 ひなの: ま、桜子はそうだよな
- 都 ひなの: …………
- 都 ひなの: 今日って十七夜が守ってるのは マギウスのふたりだけだよな
- 万年桜のウワサ: |うん、それで合ってるよ|
- 都 ひなの: 本当は桜子もそっちのふたりを 守ってやりたいんじゃないか?
- 万年桜のウワサ: |うん|
- 万年桜のウワサ: |でも、ひなのも心配だった|
- 万年桜のウワサ: |それに、ひなのもいなくなると 私は学校で頼れる人がいない|
- 万年桜のウワサ: |令と郁美が信頼してた人が いなくなるのは嫌|
- 都 ひなの: …………何やってんだろうな
- 都 ひなの: アタシはただでさえ 数少ない戦えるメンバーなのに 周りに心配をかけて 桜子にまで気を遣わせてる
- 都 ひなの: このままじゃアタシは 足手まといなんてものじゃない
- 都 ひなの: やれることを放棄して 周りを苦しめている大馬鹿者だ
- ~~♪~~♪
- 十七夜: …都?
- 十七夜: どうした、 今からクレセントハウスに行くか
- 都 ひなの: ごめん、アタシが悪かった
- 十七夜: 何の話だ…
- 都 ひなの: 今から自分の役目を果たす!
- 都 ひなの: クレセントハウスには行かず 雫のところへ向かうぞ
- 十七夜: なっ、急にどうした
- 都 ひなの: このままじゃ令にも郁美にも 顔向けができない
- 都 ひなの: だから、 アタシは今やれることをする
- 都 ひなの: 今回のやちよさんたちの作戦には 雫が必須だろ
- 都 ひなの: それなら十七夜がマギウスの ふたりを守って避難する間に
- 都 ひなの: アタシは雫を守って クレセントハウスに連れて行く
- 都 ひなの: それが 今できるアタシの役目だ!
- 十七夜: …安心したぞ都 その様子なら大丈夫そうだ
- 都 ひなの: だから悪いが 合流するのは少し遅くなるぞ
- 十七夜: うむ、保澄君を頼む
- 都 ひなの: あぁ!
- ねむ: 離れていても ひなのさんの声が聞こえたよ
- 十七夜: 保澄君を連れてくるつもりだ
- ねむ: 彼女は戦えるメンバーとして キモチに選抜されていないよ
- 十七夜: ルールを逸脱して攻められるのを 想定してのことだ
- 十七夜: む…それなら、 梓にも向かってもらうか
- ねむ: 確かにみふゆも攻撃対象だし 3人で纏まった方が戦えるね
- 十七夜: 善は急げだな
- ~~♪~~♪
- みふゆ: ――っ!?
- みふゆ: どうしました?
- 十七夜: アリナと画伯の調査はどうだ?
- みふゆ: 選抜外の子たちに 捜索を続けてもらっていますが
- みふゆ: まだ発見には至ってません…
- 十七夜: ふむ、画伯の方が心配だな…
- みふゆ: アリナはいいんですね
- 十七夜: 何があっても生きてそうだからな
- みふゆ: 状況の確認を したかったんですか?
- 十七夜: ゼロとは言えないが、 梓への依頼というのが本題だ
- みふゆ: なんでしょう?
- 十七夜: 都と一緒に 保澄君を守って欲しい
- みふゆ: え、ワタシは選抜外ですよ?
- 十七夜: それでも戦える相手が 来るかもしれん
- みふゆ: そっか、雫さんも選抜外だから 攻撃を受ける時点で戦える相手…
- 十七夜: うむ、そういうことだ 引き受けてくれるか
- みふゆ: 月夜さんと月咲さんも音信不通で 来る気配がないですし…
- みふゆ: わかりました
- みふゆ: おふたりが来たときのために、 鏡屋敷には代理を立てておくので
- みふゆ: ワタシは雫さんの方を優先します
- みふゆ: クレセントハウスでの 合流になりますが構いませんか?
- 十七夜: ああ、助かる
- 十七夜: ちなみに天音のふたりは 大丈夫なのか…?
- みふゆ: それが最近、 家の方がバタついてたみたいで
- みふゆ: 連絡が入ってこないのは、 その辺りが理由な気がします…
- FILENAME: text_102803-6_KPw7G.txt
- 時雨: ねぇはぐむん… ぼくたち間違ってないよね…
- 時雨: 絶対に三輪さんに ちゃんと確認した方がいいよね…
- はぐむ: うん…じゃないと… 説明がつかないもん…
- 燦: ただ三輪の様子を見に行ったけど あれはほとんど再起不能よ
- ひめな: …マジで?
- 燦: 原因不明の下半身麻痺 ねむ様と同じような現象よ
- ミユリ: ですねですね… 緊急入院して原因も不明です…
- 時雨: そんな、三輪さん…
- はぐむ: でもねむ様の場合は ドッペルを多用したからだって
- ミユリ: 連続で使ったから、すごい きつかったのかもしれません…
- 燦: 魂への負荷が大きすぎた それは仮説でしかないけどね
- アレクサンドラ: ひめちゃん…
- 時雨: で、でもはぐむん…ぼく… なんか理屈が通らない気がする…
- はぐむ: 私もモヤモヤする… 体が動かなくなったとしても
- はぐむ: なんだか、ねむ様のときとは、 事情が違う気がする…
- 時雨: うん…
- 時雨: あ、あれって…
- 灯花: 待たせちゃってごめんねー
- ねむ: お父さんから話は聞けたかな?
- 灯花: もっちろん!
- 灯花: わたくしが思ってたより良い話で エンドルフィンが溢れてきたよー
- 灯花: くふふっ
- 十七夜: む…あのふたりは…
- はぐむ: 灯花様とねむ様…
- ねむ: ふたりとも久しぶりだね
- ねむ: ネオマギウスの解散後 特に変わりないかな
- はぐむ: は、はい…
- 時雨: あの、ぼくたち…
- ねむ: 把握してるよ お見舞いに来たんだよね
- 灯花: 三輪みつねっていう子が 入院したのは知ってるよー
- 灯花: ネオマギウスの崩壊で受けた ダメージが大きかったのかにゃ?
- ねむ: 僕と同じように 体の自由が失われる症状らしいね
- 時雨: う…だから、ちゃんと理由を 聞いてみないとって…
- ねむ: 僕の症状自体が未解明だけど、 魂をすり減らしたのが要因なら
- ねむ: どれだけ彼女に ドッペルを使わせたのか
- 灯花: もしも強制したとしたら、 それはただの虐待だからねー
- 時雨: 違う…! ぼくたちはそんな強制なんて…!
- はぐむ: …行こう、時雨ちゃん
- はぐむ: 私たちだってまずは ちゃんと調べてみないと…
- 時雨: うん…
- はぐむ: 失礼します
- 灯花: ドッペルの発現回数が少ないのに ねむと同じ症状が起きるとしたら
- 灯花: 何が原因だと思う?
- ねむ: 絶望の中にも度合があるなら とても重い絶望を味わったとか…
- 灯花: うーん…わたくしも同意見かな
- 時雨: 本当に三輪さん 心当りはないの…?
- はぐむ: うん、たくさんドッペルを 使っちゃったとか…
- はぐむ: 力を使ったのは、あのときだけ?
- 三輪 みつね: うん、だから私にも 理由がさっぱりわからなくてw
- 三輪 みつね: なんか魔法少女の バグみたいだよねーw
- はぐむ: 絶望や魔力の涸渇で ドッペルが出てくる以上は
- はぐむ: 何かしら影響が あったとは思うんだけど…
- 時雨: やっぱり時女一族と戦ったときに 連続で使ったからかな…
- 三輪 みつね: 私は自分でそう思ってる
- 三輪 みつね: それに急に負荷がかかって 起きたことだとしたら
- 三輪 みつね: 一時的なことかもしれないし 心配しなくたっていいよ
- 時雨: うん…
- FILENAME: text_102803-7_KPw7G.txt
- ひめな: しぐりん、はぐりん おかえり!
- 燦: 三輪の様子はどうだった?
- ミユリ: やっぱりやっぱり まだ動けなさそうでしょうか…
- 時雨: うん…
- 時雨: ねむ様と同じような感じで 動けなさそうだった
- 燦: 連続でドッペルを使った負荷 それなら説明がつくけど
- ミユリ: でもでも、三輪はドッペルを 何度も使ってないですぅ
- はぐむ: 本人に聞いても 心当りはないそうですし…
- はぐむ: 一時的な症状かもしれないって 折り合いを付けてますけど
- ミユリ: ただ、気を張ってるだけですよ
- はぐむ: うん、私もそう思う
- アレクサンドラ: ひめちゃんがお願いをしたのも あのときだけですよね…?
- ひめな: うーん…
- ひめな: 柊ねむの場合は ドッペルの使いすぎなんだよね?
- ひめな: ぶっちゃけ力を使わせた数って あれぐらいなんだよねー
- アレクサンドラ: 時女一族相手に使ったときは 特に抵抗はなさそうでしたし
- ひめな: それな
- ひめな: だから余計に私チャンもイミフ…
- ひめな: でも、みわりんを追い詰めたのは 私チャンかもしれないんだよね…
- 燦: いえ、姫様じゃなかったとしても 想定できなかったこと
- 燦: 気に病むなって言うと 語弊があると思うけどね
- ひめな: あざお
- ひめな: ちょっと風に当たりながら もう少し考えてみる
- ひめな: さすがにこのまま謎にしてたら ヤバみが深すぎると思うし
- 燦: ええ
- ひめな: …そうは言ってもさ
- ひめな: やっぱりわからない…
- ひめな: あとひとつあるとしたら 神浜をひっかき回したぐらい…?
- ひめな: でも、ぶっちゃけ私チャンたち、 選挙とか気にする歳でもないし…
- ひめな: なんだろ…
- 「神浜市長選後もまだ 再投票を求めるデモが行われています」
- 「それに対して神浜市の選挙管理委員会は 再投票を行わない方針を表明しており 今回の選挙結果における西側と東側の対立は 今後も深まりそうな状況です」
- 三輪 みつね: …………
- 三輪 みつね: 私は取り返しのつかないことを…
- FILENAME: text_102803-8_KPw7G.txt
- 保澄 雫: はい、ひなのさん コーヒー
- 都 ひなの: …うん、いい香りだ ありがとう
- 都 ひなの: わざわざ悪いな 豆まで持って来てくれて
- 保澄 雫: お礼を言うのはこっち
- 保澄 雫: まさかボディーガードに 来てくれるなんて思わなかった
- 都 ひなの: ここなら安全だと思うが 一応、保険はかけておくべきだろ
- 保澄 雫: プロミストブラッドは 私たちを恨んでるし
- 保澄 雫: また皆殺しにするような方法を 見つけててもおかしくないよね
- 都 ひなの: ああ…そんな気がする
- 保澄 雫: みふゆさんも来てくれるなんて なんだか悪いな
- 都 ひなの: それだけ今日は 重要な役割を担ってるってことだ
- 都 ひなの: 作戦の要になるんだろ?
- 保澄 雫: うん、私の力が結果を左右する…
- 保澄 雫: みたまさんには調整してもらって 魔力も回復させてあるから
- 保澄 雫: 本当にあとは本番だけ 失敗しないようにやりきるだけ
- ピロン♪
- 都 ひなの: …二木市で戦いが始まったぞ
- 保澄 雫: 緊張してきた…
- 都 ひなの: 応援してる
- 都 ひなの: 一瞬かもしれないが 生きて戻ってきてくれ
- 保澄 雫: うん
- ~~♪~~♪
- みふゆ: あっ…
- みふゆ: 月夜さん、大丈夫ですか!?
- 月夜: すみません、みふゆさん メッセージは読みました!
- みふゆ: はい、ワタシはもう 鏡屋敷を離れているので
- みふゆ: すみませんが今日 3人で探索するのは難しそうです
- 月夜: 実は私も、今日は探索に 参加できないのでございます
- みふゆ: 何かあったんですか…?
- 月夜: 実は母と祖母に 見つかったでございます…
- みふゆ: なにが… いえ、まさか…
- 月夜: はい、月咲ちゃんと 会っているのを知られてしまい
- 月夜: 軟禁されているので ございます
- みふゆ: どうして… 見つかったんですか…?
- 月夜: 私の母は西の人… そして父は東の人…
- 月夜: 離婚してふたりは、私たちを 一人っ子として育ててきましたが
- 月夜: 東西の関係が悪化してきた この時勢の影響で
- 月夜: 私たちふたりの関係が 気になっていたでございます
- みふゆ: じゃあ、何かを察して つけられていたとか…
- 月夜: その通りでございます…
- 月夜: そして連絡は恐らく 月咲ちゃんのお家にも…
- みふゆ: なんてこと…
- みふゆ: 今になって神浜の情勢が おふたりに影響するだなんて…
- 月夜: それでも今の状況で 家に籠ってられないでございます
- 月夜: ただ、ほとぼりが冷めるまでは
- みふゆ: ええ、身動きをとるのが 難しそうですね…
- 月夜: あ、祖母が来たので…!
- みふゆ: はい、また何かあったら連絡を
- 月夜: 失礼するでございます…
- みふゆ: (ワタシも西の…水名の人間… いずれ回ってくるかも…)
- みふゆ: これは…
- みふゆ: 雫さんの家の方…?
- みふゆ: これは避難させておいて 正解でしたね
- みふゆ: (あえて喫茶店に居るように 見せかけた方が良さそうですね)
- FILENAME: text_102803-9_KPw7G.txt
- ピロン♪
- 月咲: …………
- 月咲: (月夜ちゃんの方で みふゆさんに連絡してくれた…)
- 月咲: はぁ…
- 月咲: (うちの天音家と月夜ちゃんの 明槻家が繋がってたなんて…)
- 月咲: (お父ちゃんは向こうからの 連絡だって言ってたから)
- 月咲: (いつか再会するだろうって 思ってたんだろうな…)
- 月咲: けど、何がダメなんだろう…
- 月咲: 身なりとか格式とか そんなことばっかり気にして!
- 月咲: もっと気楽にすればいいでしょ!?
- 月咲: こんなの ウチの方が息が詰まっちゃうよ!
- 月夜: 月咲ちゃんの気楽は ただ、粗野なだけでございます!
- 月夜: 私はお金を掛けて欲しいとか 言ってないでございます!
- 月咲: (生まれは同じでも 育ちは違う…)
- 月咲: (双子だって気付いてからも 互いの溝は埋められなかった…)
- 月咲: (それでもウチらは唯一の双子 だから一緒に居たいと思った…)
- 月咲: だめだ… 泣くつもりなんてないのに…
- ~~♪~~♪
- 月咲: 十七夜さん…
- 月咲: あの、もしもし どうしたんですか、急に…
- 十七夜: 事情を梓に聞いた 大事ないか心配になった
- 月咲: っ…どうしよう十七夜さん
- 十七夜: ほとぼりが冷めれば、 会っても支障はないだろう
- 十七夜: どうせ我々は魔法少女 夜中に町を徘徊する身だからな
- 月咲: でもバレる度に月夜ちゃんは お仕置きをうけるかも…
- 月咲: うちはお父ちゃんがまだ、 申し訳なさそうにしてるから平気
- 月咲: けどきっと、 明槻の家は無視してくれない…!
- 十七夜: 梓の家も含め、 水名の旧家は厳しいからな…
- 月咲: 月夜ちゃんに会いたいけど 絶対に苦しめちゃいますよね…
- 十七夜: 自分にはわからない…
- 十七夜: だが、この東西の確執ばかりは、 いつも自分たちに付きまとい
- 十七夜: いつまでもへばりついて 離れてくれないな…
- 月咲: なんだか、今なら わかるような気がします…
- 月咲: …東の魔法少女たちはみんな、 ウチと同じ気持ちのはずです…
- 月咲: …東の境遇からの解放は無理でも 魔女化の運命からは解放されたい
- 月咲: そのためには… マギウスにすがるしかない…
- 月咲: …たとえマギウスの手段が、 道に外れるものだとしても…!
- 月咲: ウチらがすがった解放が、 十七夜さんにとっての滅びだった
- 十七夜: ――っ!?
- みたま: 町に蔓延る歴史…
- みたま: そして、その歴史の上に定着した 現状の神浜の破壊…
- 十七夜: そうだ
- 十七夜: 歴史を破壊するためには
- 十七夜: 神浜そのものを一度、 徹底的に破壊しなければならない
- 十七夜: 確かにそうかもしれない…
- 十七夜: 西が抱いている東への印象に、 明確な理由はない…
- 十七夜: かつて理由があったとしても、 今は残されていない
- 十七夜: ただ脈々と我々を蔑むという 習わしだけが残されている…
- 月咲: そして今回は選挙という場でさえ イメージを利用されて
- 月咲: ウチと月夜ちゃんの関係にまで また割り込んできた…
- 月咲: その受け継がれてきた歴史を 壊すためにも
- 十七夜: そうだ、 自分は神浜の滅びを望んだ
- 十七夜: 八雲と同じように…
- 月咲: ウチ、ふたりのその気持ちが、 今なら痛いほどわかります…
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- 十七夜: …………
- ねむ: 通話は終わったかな
- 十七夜: うむ
- 灯花: 心配してかけた電話のはずが ずいぶんと物騒な話だったね
- 灯花: くふっ
- 灯花: 十七夜は今も神浜の滅びを 望んでいるのかにゃー?
- 十七夜: 自分の親やさらに上の世代が ほざく分には何も思わん
- 灯花: それ、下の世代なら ワケが違うってことだよね?
- 十七夜: 自分たちですら憂慮している この神浜という町の状況を
- 十七夜: さらに未来を担う者たちが 受け継ぐような育ち方をしてれば
- 十七夜: それを絶望ではなく なんと言うべきだろうな
- 灯花: まー、理屈はわかるけどにゃー
- 十七夜: 里見君のように最初から 捻れている者が言う分には
- 十七夜: 何も思わんがな
- 灯花: えーひどい
- ねむ: …神浜の歴史について 聞いていた件だけど
- ねむ: 水名露と千鶴について 返事が届いたよ
- ねむ: むふっ
- ねむ: やっぱり以前に興味があって 調べてたらしい
- 灯花: こうしてピースが埋まる感じは ワクワクしてくるにゃー
- ねむ: それがよからぬ結果だとしても?
- 灯花: ポジティブでもネガティブでも 学術的探究心は潤うからねー
- 灯花: 最悪も快感だよ
- 十七夜: 内容を見せてもらっても良いか
- ねむ: もちろんだよ
- 確かに神浜に残されている文献には 水名露と千鶴という少女の名前が出てきます 彼女たちは戦国の世で“戦神子”と呼ばれており 水名氏による城攻めにおいて 大きな功績を挙げたことが伺えます
- ですが、女性の話となると 時勢的に残されているものが少なく 彼女たちの素性を知る手がかりというのは 水名美術館に残されている文献と 郷土資料館にある女性の日記のみです
- そこから判明しているのは以下の通り
- 1:最初に述べた通り“戦神子”と呼ばれる者で 領主の圧制から水名を解放した存在
- 2:何か流れ着いたものが切っ掛けとなって 両者は手を取り合うことになった
- 3:手を取り合ったものの圧制からの解放後に 水名露と千鶴は袂を分かっている
- ねむ: これは、とても興味深い情報だね
- 灯花: 時女の巫、神浜の戦神子
- 灯花: 本当に魔法少女たちは違う名前で 歴史の中に点在してたのかもね
- 十七夜: しかしこの露と千鶴については 虚しくなってくるな
- 十七夜: 自分も知っている物語は 手を取り合うことで大業を成す話
- 十七夜: だが、蓋を開いてみれば 後に別れているとは…
- ねむ: その方が七夕らしいよ
- ねむ: 年に1度だけ近付いては離れてを 繰り返す存在だからね
- 十七夜: …………近付いては離れる
- 十七夜: 先ほど話していたせいだと思うが 妙に重ねてしまうな
- 十七夜: 月夜君と月咲君のふたりに…
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- 保澄 雫: (きっともうすぐ来る…)
- 保澄 雫: (画面に映ってるGPSの位置 少しずつ動いて集まっていく…)
- 保澄 雫: (合図があったらすぐに… すぐに向かわないと…)
- 都 ひなの: 落ち着け、深呼吸だ
- 保澄 雫: うん…
- 保澄 雫: すーーーー…
- 保澄 雫: はーーーー…
- みふゆ: ふたりとも聞こえますか!?
- 都 ひなの: おわっ!
- 保澄 雫: は、はいっ!
- みふゆ: プロミストブラッドのメンバーが 雫さんの実家に向かっています
- みふゆ: 数は3人
- みふゆ: 今はワタシの方で対応してるので ひなのさんはヘルプを!
- みふゆ: 本当に実家にいると思わせて 時間を稼ぎます!
- みふゆ: 雫さんはそのまま待機して 合図を待ってください!
- 都 ひなの: わかった!
- 保澄 雫: はい…!
- 都 ひなの: 本当に雫を狙ってきたか…
- 保澄 雫: ひなのさん
- 都 ひなの: 心配するな、お前はお前の仕事に 専念していれば大丈夫だ
- 保澄 雫: はい
- 都 ひなの: じゃあ、行ってくる
- 保澄 雫: (そう、今は自分の仕事を しっかりやり遂げないと…)
- 保澄 雫: 周りがおかしいわけでも 自分がおかしいわけでもない
- 保澄 雫: ただ私は、自分がパズルのピースとして うまくはまる場所を見つけられなくて 家でも学校でも同じように 周りのどこにも馴染めずに浮いてる気がしていた
- 保澄 雫: その人生は 自分の居場所を求める心の旅
- 保澄 雫: 自分が求めている居場所の形がわからないなら いつか目の前にあるものが消えるなら 今、自分が感じている愛おしいと思う人たちを 大切にしようって折り合いをつけてきた
- 保澄 雫: それなのに私は大切にするどころか 何ひとつとして守ることができなかったんだ
- 保澄 雫: (なんだろう、モヤモヤする…)
- 保澄 雫: あっ、いらっしゃいませ 団体のお客様ですか…!?
- 雫の声: お父さん、 ちょっと手伝ってくれる?
- ピロン♪
- 保澄 雫: あのとき、助けを求めるメッセージに 気付けなかった時点で 私は自分の大切な居場所を壊してしまった
- 保澄 雫: それでも…
- 保澄 雫: 私の家には みんなが過ごした居場所の痕跡が残っている
- 保澄 雫: そう思うと人が過ごした居場所の痕跡は 私の家以外にもあると思う
- 保澄 雫: まなかちゃんのウォールナッツにも
- 保澄 雫: 衣美里ちゃんの相談所にも
- 保澄 雫: 明日香さんの道場にも
- 保澄 雫: 私たちが通っている学校にだって
- 保澄 雫: きっとそうなり得るのは、 場所が問題なんじゃなくて
- 保澄 雫: 人と人との間に 結びつきがあるからかもしれない
- 保澄 雫: そう、誰かといることが大切…
- 保澄 雫: 令さん…郁美さん…
- 保澄 雫: 私はふたりにとって 心の居場所になれましたか…?
- しねぇえええッ!!
- みふゆ: ふっ、力技だけじゃ 当たりませんよ
- だから不意を突くのよ
- みふゆ: くっ!
- トドメ!!
- ゲホッ…くそっ誰だ!
- 都 ひなの: ヒヤッとしたぞ みふゆさん
- みふゆ: ありがとうございます
- みふゆ: こんなことだと詰めが甘いって やっちゃんに怒られますね
- 都 ひなの: しかし、選抜外のみふゆさんにも 攻撃ができるなんて…
- みふゆ: ギミックはわかりませんが こちらに来て正解でした
- 都 ひなの: 向こうの目的は雫か…
- みふゆ: いえ、それは偶然だったようで むしろワタシが標的でした…
- 都 ひなの: 最後にマギウスの翼の幹部は 殺しておこうってハラか
- みふゆ: そのようです
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- 保澄 雫: …………
- 保澄 雫: ふぅ…
- 保澄 雫: (自分が誰かの居場所か…)
- 保澄 雫: (考えたこともなかったけど なんだか温かい気持ちになる…)
- 保澄 雫: …………
- 保澄 雫: (GPSのポイントが…)
- 保澄 雫: (集まった…!)
- ピロン♪
- 今!!
- 保澄 雫: ふぅ!
- 保澄 雫: この戦いが終わったら みんなにお帰りって言ってみよう
- ―取材記録― 煌里 ひかる
- ひかる: 「ひかるが考えてることなんて とってもシンプルっすよ」
- ひかる: 「いつも通り、結菜さんの馬として働く ただそれだけっすからね!」
- ひかる: 「ただ、この戦いが落ち着いて、 そのうち結菜さんの頭から ツノがなくなってくれるとうれしいっすよ」
- ひかる: 「別に結菜さんと一緒に 復讐を果たそうとするのは嫌いじゃないんすよ。 それに、殺したくないとかいう 生っちょろい話でもないんす」
- ひかる: 「ひかるは結菜さんに 平穏な心を取り戻して欲しいだけなんすよ」
- ひかる: 「苦しんでる顔や怒ってる顔を見てると ひかるの胸も苦しくなってくるし、 このまま恨みに駆られ続けてしまうと いつか消えてしまいそうで怖いんす」
- ひかる: 「もちろん結菜さんが消えるときは ひかるもお供するのが当然なんすけど、 ただ、もうちょっとだけ結菜さんたちと過ごす 学校生活を味わいたいっす」
- ひかる: 「そしていつか大人になったら、 魔法少女のこと以外でも結菜さんを支えられる ちゃんとした片腕になりたいっすね」
- ひかる: 「もしかしたら、そのためにはまず、 ひかるはさくやさんを目指さないと ダメなのかもしれないっす」
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