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MagiReco Main Story Chapter 7 Episode 3 JP Text

Aug 10th, 2021 (edited)
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  1. FILENAME: text_102803-1_KPw7G.txt
  2. かごめ: 二木市に散らばっていく無数の魔力。 リィちゃんが私に伝えて来るのは 混乱しているユニオンと時女一族の様子で、 みんなプロミストブラッドに追われながら 必死に逃げているような状況だった。
  3. かごめ: 私もリヴィアさんたちピュエラケアの3人と一緒に いくつかの戦いを目撃したけれど、 どこか捕まえたネズミを弄ぶネコのように、 決定的な一撃を加えることなく 様子を見ているような気がした。
  4. かごめ: その印象は決して間違っていなかった。
  5. かごめ: みんなが集まっていく魔力を追いかけると ユニオンと時女一族が合流して 体勢を立て直そうとしていた。
  6. かごめ: だけど、その場所はみんなの墓標。 最後まで弄ばれてしまったユニオンと時女一族は、 プロミストブラッドの総攻撃を受けて 瓦礫の中に消えてしまった…。
  7. かごめ: こうして二木市で凄惨な状況が生まれる中、 一方の神浜市では その日の昼から十七夜さんたちが動いていた。
  8. 十七夜: ふむ…困ったな…
  9. みかげ: 何がこまったの? ミィが手伝ってあげよっか!
  10. 十七夜: それは、なかなかどうして 驚きの発想だな
  11. みかげ: ほんとー!?
  12. 十七夜: うむ、自分がなぜ調整屋に来たか まずはそれを振り返ってみよう
  13. みかげ: ミィと姉ちゃを守るため!
  14. みかげ: …あっ、 ミィ手伝えないね!
  15. 十七夜: 気付いてもらえて何よりだ
  16. 十七夜: それで八雲 避難するのは難しいか?
  17. 十七夜: クレセントハウスの方が 安全だと思うが
  18. みたま: そうねぇ…
  19. みたま: お客様も来てるし、 今日は雫ちゃんの調整もあるから
  20. みたま: それに、調整屋が襲われることは ほとんどないし平気よぉ
  21. 十七夜: なまじユニオンに肩入れしてると 明言しているのが怖いがな
  22. 十七夜: とはいえ、保澄君のこともある 避難は諦めた方が良さそうだな
  23. みたま: ええ、調整屋以外で変身するのは 都合が良くないからね
  24. みたま: それに、わたしよりも 優先した方が良い子がいるわよ?
  25. みかげ: なんだっけ、 あのマギウスって人たちだよね?
  26. みたま: ええ、プロミストブラッドは 特に彼女たちを恨んでいるわぁ…
  27. みたま: アリナは行方不明になってる手前 どうしようもないけど
  28. みたま: 灯花ちゃんとねむちゃんには 付いてあげた方がいいわ
  29. 十七夜: 守り手が桜子だけだからな
  30. みかげ: 姉ちゃのことならミィが守るから 安心してね、なぎたん
  31. 十七夜: うむ、安心したぞ
  32. ピロン♪
  33. ピロン♪
  34. 十七夜: …………八雲にも来たか?
  35. みたま: ええ、今夜いろはちゃんたちが 二木に向かうそうね
  36. 十七夜: あと少しで始まるのか…
  37. 十七夜: プロミストブラッドとの 最後の戦いが…
  38. 十七夜: ひとまず八雲とみかげは このまま調整屋で身を守れ
  39. 十七夜: マギウスのふたりは桜子と自分で クレセントハウスで守る
  40. 十七夜: 都にも避難を促してあるから いずれ来るはずだ
  41. みたま: そっちはよろしくね十七夜
  42. 十七夜: 八雲も調整屋を離れるな
  43. みたま: ええ、そうするわぁ
  44.  
  45. FILENAME: text_102803-2_KPw7G.txt
  46. ねむ: むふっ…
  47. ねむ: 何とも摩訶不思議な状況だね
  48. 万年桜のウワサ: |ウワサよりも不思議?|
  49. ねむ: ウワサと同等か超越するか 前代未聞だとは思うよ
  50. 万年桜のウワサ: |それは良いこと?|
  51. ねむ: 吉凶の判断は僕達の運命の歯車が どうはまるか次第かな
  52. 灯花: 二木市のはなしー?
  53. ねむ: そうだよ
  54. ねむ: プロミストブラッドが どう生きてきたのか
  55. ねむ: 佐鳥かごめから聞いた 彼女たちの背景を踏まえて
  56. ねむ: 二木市内の犯罪や事故の統計を 確認してきたんだ
  57. 灯花: それでそれで?
  58. ねむ: あるときを境に犯罪や事故の 件数は減少傾向になっているけど
  59. ねむ: 僕達が魔女を集めてからはさらに 低水準になったことが判明したよ
  60. 灯花: くふふっ
  61. 灯花: 人間社会が幸せになるほど 魔法少女が苦しむなんて
  62. 灯花: 宇宙を生かすためのギミックも 数字で見ると残酷だねー
  63. ねむ: 魔法少女の存在を知らない人々に とっては幸福の極みだろうけどね
  64. 灯花: で、わかったのはそれだけ? ぜーんぜん想定の範囲内だけど
  65. ねむ: いや、魔女が消えた分 グリーフシードも減ってるから
  66. ねむ: 10代女性の事故死や失踪が 当然のように増えてるよ
  67. ねむ: 犯罪や事件の総数が減少した分 際立っているはずなのに
  68. ねむ: 話題にすら上らないのは 摩訶不思議としか言えないね
  69. 灯花: 国家権力が隠そうとしてるとか!
  70. 灯花: あー、それなら最初から 数値として出さないにゃー…
  71. ねむ: その通りだよ
  72. 灯花: でも、その摩訶不思議が わかっただけでも
  73. 灯花: 佐鳥かごめから話を聞いたのは 正解だったねー
  74. 灯花: 宇宙の神秘に近付けるみたいで ワクワクしてくるよー
  75. ねむ: マギウスだったときと 同じような顔をしてるよ灯花
  76. ねむ: それで、灯花の成果はどうかな? 時女一族を調べてたはずだけど
  77. 灯花: そもそも文献が ぜんぜんないんだよにゃー…
  78. 灯花: 叔父様の売れなかった本が 参考になると思ったんだけど
  79. 灯花: どこにもなかったんだよ…
  80. ねむ: 収穫は無し? 奇々怪々なこともあるものだね
  81. 灯花: ううん
  82. 灯花: 原因はわからないけど 国と絡んでいるような集落を
  83. 灯花: 今まで隠し通せてたこと自体が すっごい不思議だし
  84. 灯花: 時女一族は面白い可能性を 示してくれてると思うよ
  85. ねむ: 可能性?
  86. 灯花: そう!
  87. 灯花: あの人たちって自分のことを 巫って言ってるでしょ?
  88. 灯花: それって、 すごい女性を指す言葉の裏側に
  89. 灯花: 魔法少女の存在が隠れているのを 示してると思うんだけど
  90. 灯花: 現代までに残っている似た言葉は ぜーんぜんないんだよねー
  91. 灯花: つまり、レアケースなんだよ
  92. ねむ: 確かに個人を指し示す言葉として 存在していたとしても
  93. ねむ: その人にあてた二つ名でしかなく 続くものはないかもしれないね
  94. 灯花: それって、人は歴史の中で 魔法少女を見てはいたんだけど
  95. 灯花: そのときだけ英雄視して 終わっていたともとれないかにゃ
  96. 灯花: 叔父様が海外へ調べに行ってた ジャンヌ・ダルクもそうだし
  97. 灯花: 日本だったら卑弥呼だって 当てはまるかもしれない
  98. ねむ: ふん…魔法少女は、 一般的な存在としてではなく
  99. ねむ: 特別な存在として 一時的に社会で認知されていた
  100. 灯花: そういうこと!
  101. 万年桜のウワサ: |なんだか、灯花とねむの話 神浜と同じだね|
  102. 灯花: んー、そうかもしれないにゃー
  103. ねむ: どうしてそう思ったのかな?
  104. 万年桜のウワサ: |私たちウワサを使って、 ねむがエネルギーを得てたとき|
  105. 万年桜のウワサ: |うわさとして実体があったのに それは都市伝説にとどまった|
  106. ねむ: …僕も意識してなかったけど、 普通に考えれば異常な状況だね
  107. 万年桜のウワサ: |それと前に聞いた神浜に伝わる 神子と呼ばれた女性の話がある|
  108. 灯花: ういが言ってたやつかな?
  109. ねむ: やちよお姉さんと鶴乃が出演した ドラマの話だっけ?
  110. 灯花: 確か七夕の特別ドラマで 神浜の古いお話だったよねー
  111. ねむ: …………調べてみようか
  112. ねむ: 中央図書館の歴史編纂室に行けば その女性がわかるかもしれないよ
  113. ねむ: ついでに神浜と二木の 比較もしてみたいね
  114. 万年桜のウワサ: |だめ|
  115. ねむ: え?
  116. 万年桜のウワサ: |今日、外は危険だって いろはとういが言ってたから|
  117. 灯花: …いやー違うよ桜子
  118. 万年桜のウワサ: |あれ、間違った?|
  119. 灯花: ういもお姉さまも 外は危険だって言ってるけど
  120. 灯花: それは桜子を頼りにしてるから よろしくねっていうことだよ
  121. 灯花: つまり桜子が守ってくれるなら 外には出てもいいってこと!
  122. 灯花: わたくしとねむも、 桜子をすっごく頼りにしてるよ!
  123. 万年桜のウワサ: |…………そう|
  124. 万年桜のウワサ: |♪|
  125. 万年桜のウワサ: |わかった、ちゃんと守るね|
  126. ねむ: 桜子の純真な心を利用して… 灯花は残酷で非道だよ
  127. 灯花: だって今日はパパ様と会うために 病院も行かなきゃいけないもん
  128. ~~♪~~♪
  129. ねむ: …あ、十七夜さんだ
  130. 灯花: にゃーもう、 タイミングわるーい…
  131.  
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  133. 十七夜: 中央図書館はすごいな
  134. 十七夜: 自習スペースだけでなく パソコンが使える場所もあるのか
  135. 灯花: 最近はフリーWi-Fiもあるし、 人によっては便利だと思うよー
  136. 十七夜: む、基本は図書資料を使う人が 使えるものか
  137. ねむ: 利用目的に応じて わけてあるみたいだね
  138. ねむ: 今日の僕達はセーフだよ
  139. ねむ: じゃあ、僕は七夕の話について 話を聞いてくるから
  140. 灯花: わたくしは 統計周りを調べておくねー
  141. ねむ: うん、よろしくお願いするよ
  142. 万年桜のウワサ: |私はねむに付いて行くね|
  143. 十七夜: 人口、事件、事故に関する統計は 自分の方でまとめてみたぞ
  144. 十七夜: その頭脳を通して、 この結果はどのように見える
  145. 灯花: うーん… 明確な統計はないけど
  146. 灯花: 人口に対する魔法少女の割合は 二木の方が神浜より多いかも
  147. 灯花: でも、ヒドい乖離じゃないかなー
  148. 灯花: あと気になるのは、神浜での 魔法少女が関わる事件や事故だね
  149. 灯花: 桜子の言う通り うわさは都市伝説止まりだし
  150. 灯花: 死者や失踪者が出ていた 東西が争っていたときについても
  151. 灯花: 規模の割には 騒ぎになってない気がする…
  152. 十七夜: 端的に言うと、魔法少女が関わる 事件や事故が大事にならないのは
  153. 十七夜: 二木だけに限られた話ではなく 神浜でも同様だということか
  154. 灯花: そういうことになるかにゃー
  155. 十七夜: 国家的な陰謀などと言い始めると それこそ都市伝説か…
  156. 灯花: 違うよ十七夜
  157. 十七夜: む?
  158. 灯花: 都市伝説なんてものじゃない
  159. 灯花: これはファンタジーとも言える 不思議で自然な状態なんだよ
  160. 十七夜: 何を言ってるのかよくわからん
  161. 灯花: 同じようなことは 人間の体でも起きてるよ
  162. 灯花: 問題があれば等しく臓器からは アラートを出して欲しいのに
  163. 灯花: 肝臓は沈黙の臓器って言われて、 何も異変を感じさせないからねー
  164. 十七夜: …つまり、魔法少女が関わる 異常な状況が無視されているのは
  165. 十七夜: むしろ正常ということか
  166. 灯花: 仮説だけどねー
  167. 万年桜のウワサ: |ただいま|
  168. ねむ: お待たせ、聞いてきたよ
  169. 灯花: うん、どうだったー?
  170. ねむ: 神浜に残っている少女の名前は 水名露と千鶴という2名
  171. ねむ: 僕達が想定していた通り やちよお姉さんが演じた役で
  172. ねむ: 彼女たちが手を取り合う姿から 七夕が連想されて
  173. ねむ: ひとつの物語として 残っているみたいだったよ
  174. 十七夜: 確か圧制に苦しむ民衆たちを 解放する物語だったか
  175. ねむ: その通りだよ
  176. 灯花: 時女一族の巫って言葉に繋がる 特徴とかはなかったのー?
  177. ねむ: 色々話を聞きたかったけど、 まずは参考資料のことで手一杯
  178. ねむ: そこから想定される仮説や見解に ついてまで辿り着けなかった
  179. 灯花: それじゃ意味ないよ
  180. ねむ: だから聞いてみるよ
  181. ねむ: ちょうど歴史に詳しい魔法少女が 知り合いにいるからね
  182. 十七夜: これから訪問するか?
  183. ねむ: ユニオンと関わりはないから 直接会うのはやめた方が良いよ
  184. 十七夜: 確かに、このタイミングだ 巻き込むかもしれんしな…
  185. 十七夜: では、次は 里見君の病院に向かうとしよう
  186. 十七夜: 日が暮れる前には全てを片付けて クレセントハウスに戻りたい
  187. 十七夜: あと桜子には 都の様子を見てきて欲しい
  188. 万年桜のウワサ: |灯花とねむがいるから嫌|
  189. ねむ: 僕達は平気だから 連れてきてくれると嬉しい
  190. 灯花: うん、こっちには 一応、十七夜がいるからねー
  191. 万年桜のウワサ: |…わかった|
  192. ねむ: それにしても、灯花の父親も いったい何の話だろうね
  193. 灯花: 実はわたくしも 聞いてないんだよにゃー
  194.  
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  196. 灯花の父: 悪いね灯花 わざわざ来てもらって
  197. 灯花: ううん、パパ様が忙しいのは わたくしわかってるから
  198. 灯花の父: それで、今日呼び出したのは 伝えたいことがあったからなんだ
  199. 灯花: …もしかして三輪みつね?
  200. 灯花: 最近、ねむと似たような症状で 入院してきたでしょー?
  201. 灯花の父: 彼女も魔法少女なのか?
  202. 灯花: ――っ!?
  203. 灯花の父: 珍しい顔をするね
  204. 灯花: だってパパ様、魔法少女なんて 絶対に信用しないはずなのに…
  205. 灯花: 叔父様のことだって、 最初にバカにしたのパパ様だよ?
  206. 灯花の父: 実は、話したかったのは そのことだ…
  207. 灯花の父: 私は太助の話を信じることにした
  208. 灯花: え、ほんとー!?
  209. 灯花の父: わざわざ選挙の応援演説を受けて 新市長に取り入ろうとしたのも
  210. 灯花の父: 太助を信用したからだよ
  211. 灯花の父: 本当に灯花たちの話が本当で 世間に露見する日がやってきたら
  212. 灯花の父: 灯花たちは間違いなく好奇の目に さらされてしまう
  213. 灯花の父: そんなときに、娘を守れる状況を 私は作っておきたかったんだ
  214. 灯花の父: 本当は黙っておくつもりだったが 那由他と手を取ったんだろう?
  215. 灯花: うん…
  216. 灯花: わたくしたち魔法少女のことを みんなに知ってもらうために
  217. 灯花: 社会の一部にするために 一緒にがんばろーって話してた
  218. 灯花の父: 魔法少女の宿命や背景を知れば 世間が変わることもある
  219. 灯花の父: だけど、それは同情を買って 優しさだけに繋がるとは限らない
  220. 灯花の父: 私たち大人に利用される恐れを 想定しておかないといけない
  221. 灯花: くふっ…
  222. 灯花: わたくしが魔法少女でもなく ただの天才だとしたら
  223. 灯花: 確かに沸き上がる知的好奇心には 耐えられないかもしれないね
  224. 灯花の父: それは大人も同じだよ
  225. 灯花: じゃあ、パパ様が悪い大人から わたくしを守ってくれるの…?
  226. 灯花の父: もちろん太助と一緒にね
  227. 灯花: ありがとうパパ様
  228. 灯花: これで、叔父様との対談で ちゃんと説得力も加えられて
  229. 灯花: パパ様たちが守ってくれるなら…
  230. 灯花: あ、それならパパ様は 叔父様の居場所を知ってるの!?
  231. 灯花: 那由他も探してるし、 わたくしも一緒に話したい!
  232. 灯花の父: 居場所は知ってるけど、 少しだけ待ってもらえるかな
  233. 灯花: まずは、パパ様たちが意見を すり合わせる必要があるもんね
  234. 灯花の父: そう、まずはふたりで 話し合う必要があるんだよ…
  235.  
  236. FILENAME: text_102803-5_KPw7G.txt
  237. 十七夜: ふむ、まだ都は学校か…
  238. 十七夜: 戦う意志が削がれている以上、 日暮れ前には避難して欲しいが…
  239. ねむ: 僕達がクレセントハウスに戻る際 待ち合わせてみたらどうかな
  240. 十七夜: その方が確かに安全だな 桜子に動いてもらって正解だった
  241. 万年桜のウワサ: |十七夜たち心配してるよ|
  242. 都 ひなの: わかってる
  243. 都 ひなの: 向こうも今は外にいるから 合流しようって話してるところだ
  244. 万年桜のウワサ: |灯花とねむと一緒に 帰れるならうれしい|
  245. 都 ひなの: ま、桜子はそうだよな
  246. 都 ひなの: …………
  247. 都 ひなの: 今日って十七夜が守ってるのは マギウスのふたりだけだよな
  248. 万年桜のウワサ: |うん、それで合ってるよ|
  249. 都 ひなの: 本当は桜子もそっちのふたりを 守ってやりたいんじゃないか?
  250. 万年桜のウワサ: |うん|
  251. 万年桜のウワサ: |でも、ひなのも心配だった|
  252. 万年桜のウワサ: |それに、ひなのもいなくなると 私は学校で頼れる人がいない|
  253. 万年桜のウワサ: |令と郁美が信頼してた人が いなくなるのは嫌|
  254. 都 ひなの: …………何やってんだろうな
  255. 都 ひなの: アタシはただでさえ 数少ない戦えるメンバーなのに 周りに心配をかけて 桜子にまで気を遣わせてる
  256. 都 ひなの: このままじゃアタシは 足手まといなんてものじゃない
  257. 都 ひなの: やれることを放棄して 周りを苦しめている大馬鹿者だ
  258. ~~♪~~♪
  259. 十七夜: …都?
  260. 十七夜: どうした、 今からクレセントハウスに行くか
  261. 都 ひなの: ごめん、アタシが悪かった
  262. 十七夜: 何の話だ…
  263. 都 ひなの: 今から自分の役目を果たす!
  264. 都 ひなの: クレセントハウスには行かず 雫のところへ向かうぞ
  265. 十七夜: なっ、急にどうした
  266. 都 ひなの: このままじゃ令にも郁美にも 顔向けができない
  267. 都 ひなの: だから、 アタシは今やれることをする
  268. 都 ひなの: 今回のやちよさんたちの作戦には 雫が必須だろ
  269. 都 ひなの: それなら十七夜がマギウスの ふたりを守って避難する間に
  270. 都 ひなの: アタシは雫を守って クレセントハウスに連れて行く
  271. 都 ひなの: それが 今できるアタシの役目だ!
  272. 十七夜: …安心したぞ都 その様子なら大丈夫そうだ
  273. 都 ひなの: だから悪いが 合流するのは少し遅くなるぞ
  274. 十七夜: うむ、保澄君を頼む
  275. 都 ひなの: あぁ!
  276. ねむ: 離れていても ひなのさんの声が聞こえたよ
  277. 十七夜: 保澄君を連れてくるつもりだ
  278. ねむ: 彼女は戦えるメンバーとして キモチに選抜されていないよ
  279. 十七夜: ルールを逸脱して攻められるのを 想定してのことだ
  280. 十七夜: む…それなら、 梓にも向かってもらうか
  281. ねむ: 確かにみふゆも攻撃対象だし 3人で纏まった方が戦えるね
  282. 十七夜: 善は急げだな
  283. ~~♪~~♪
  284. みふゆ: ――っ!?
  285. みふゆ: どうしました?
  286. 十七夜: アリナと画伯の調査はどうだ?
  287. みふゆ: 選抜外の子たちに 捜索を続けてもらっていますが
  288. みふゆ: まだ発見には至ってません…
  289. 十七夜: ふむ、画伯の方が心配だな…
  290. みふゆ: アリナはいいんですね
  291. 十七夜: 何があっても生きてそうだからな
  292. みふゆ: 状況の確認を したかったんですか?
  293. 十七夜: ゼロとは言えないが、 梓への依頼というのが本題だ
  294. みふゆ: なんでしょう?
  295. 十七夜: 都と一緒に 保澄君を守って欲しい
  296. みふゆ: え、ワタシは選抜外ですよ?
  297. 十七夜: それでも戦える相手が 来るかもしれん
  298. みふゆ: そっか、雫さんも選抜外だから 攻撃を受ける時点で戦える相手…
  299. 十七夜: うむ、そういうことだ 引き受けてくれるか
  300. みふゆ: 月夜さんと月咲さんも音信不通で 来る気配がないですし…
  301. みふゆ: わかりました
  302. みふゆ: おふたりが来たときのために、 鏡屋敷には代理を立てておくので
  303. みふゆ: ワタシは雫さんの方を優先します
  304. みふゆ: クレセントハウスでの 合流になりますが構いませんか?
  305. 十七夜: ああ、助かる
  306. 十七夜: ちなみに天音のふたりは 大丈夫なのか…?
  307. みふゆ: それが最近、 家の方がバタついてたみたいで
  308. みふゆ: 連絡が入ってこないのは、 その辺りが理由な気がします…
  309.  
  310. FILENAME: text_102803-6_KPw7G.txt
  311. 時雨: ねぇはぐむん… ぼくたち間違ってないよね…
  312. 時雨: 絶対に三輪さんに ちゃんと確認した方がいいよね…
  313. はぐむ: うん…じゃないと… 説明がつかないもん…
  314. 燦: ただ三輪の様子を見に行ったけど あれはほとんど再起不能よ
  315. ひめな: …マジで?
  316. 燦: 原因不明の下半身麻痺 ねむ様と同じような現象よ
  317. ミユリ: ですねですね… 緊急入院して原因も不明です…
  318. 時雨: そんな、三輪さん…
  319. はぐむ: でもねむ様の場合は ドッペルを多用したからだって
  320. ミユリ: 連続で使ったから、すごい きつかったのかもしれません…
  321. 燦: 魂への負荷が大きすぎた それは仮説でしかないけどね
  322. アレクサンドラ: ひめちゃん…
  323. 時雨: で、でもはぐむん…ぼく… なんか理屈が通らない気がする…
  324. はぐむ: 私もモヤモヤする… 体が動かなくなったとしても
  325. はぐむ: なんだか、ねむ様のときとは、 事情が違う気がする…
  326. 時雨: うん…
  327. 時雨: あ、あれって…
  328. 灯花: 待たせちゃってごめんねー
  329. ねむ: お父さんから話は聞けたかな?
  330. 灯花: もっちろん!
  331. 灯花: わたくしが思ってたより良い話で エンドルフィンが溢れてきたよー
  332. 灯花: くふふっ
  333. 十七夜: む…あのふたりは…
  334. はぐむ: 灯花様とねむ様…
  335. ねむ: ふたりとも久しぶりだね
  336. ねむ: ネオマギウスの解散後 特に変わりないかな
  337. はぐむ: は、はい…
  338. 時雨: あの、ぼくたち…
  339. ねむ: 把握してるよ お見舞いに来たんだよね
  340. 灯花: 三輪みつねっていう子が 入院したのは知ってるよー
  341. 灯花: ネオマギウスの崩壊で受けた ダメージが大きかったのかにゃ?
  342. ねむ: 僕と同じように 体の自由が失われる症状らしいね
  343. 時雨: う…だから、ちゃんと理由を 聞いてみないとって…
  344. ねむ: 僕の症状自体が未解明だけど、 魂をすり減らしたのが要因なら
  345. ねむ: どれだけ彼女に ドッペルを使わせたのか
  346. 灯花: もしも強制したとしたら、 それはただの虐待だからねー
  347. 時雨: 違う…! ぼくたちはそんな強制なんて…!
  348. はぐむ: …行こう、時雨ちゃん
  349. はぐむ: 私たちだってまずは ちゃんと調べてみないと…
  350. 時雨: うん…
  351. はぐむ: 失礼します
  352. 灯花: ドッペルの発現回数が少ないのに ねむと同じ症状が起きるとしたら
  353. 灯花: 何が原因だと思う?
  354. ねむ: 絶望の中にも度合があるなら とても重い絶望を味わったとか…
  355. 灯花: うーん…わたくしも同意見かな
  356. 時雨: 本当に三輪さん 心当りはないの…?
  357. はぐむ: うん、たくさんドッペルを 使っちゃったとか…
  358. はぐむ: 力を使ったのは、あのときだけ?
  359. 三輪 みつね: うん、だから私にも 理由がさっぱりわからなくてw
  360. 三輪 みつね: なんか魔法少女の バグみたいだよねーw
  361. はぐむ: 絶望や魔力の涸渇で ドッペルが出てくる以上は
  362. はぐむ: 何かしら影響が あったとは思うんだけど…
  363. 時雨: やっぱり時女一族と戦ったときに 連続で使ったからかな…
  364. 三輪 みつね: 私は自分でそう思ってる
  365. 三輪 みつね: それに急に負荷がかかって 起きたことだとしたら
  366. 三輪 みつね: 一時的なことかもしれないし 心配しなくたっていいよ
  367. 時雨: うん…
  368.  
  369. FILENAME: text_102803-7_KPw7G.txt
  370. ひめな: しぐりん、はぐりん おかえり!
  371. 燦: 三輪の様子はどうだった?
  372. ミユリ: やっぱりやっぱり まだ動けなさそうでしょうか…
  373. 時雨: うん…
  374. 時雨: ねむ様と同じような感じで 動けなさそうだった
  375. 燦: 連続でドッペルを使った負荷 それなら説明がつくけど
  376. ミユリ: でもでも、三輪はドッペルを 何度も使ってないですぅ
  377. はぐむ: 本人に聞いても 心当りはないそうですし…
  378. はぐむ: 一時的な症状かもしれないって 折り合いを付けてますけど
  379. ミユリ: ただ、気を張ってるだけですよ
  380. はぐむ: うん、私もそう思う
  381. アレクサンドラ: ひめちゃんがお願いをしたのも あのときだけですよね…?
  382. ひめな: うーん…
  383. ひめな: 柊ねむの場合は ドッペルの使いすぎなんだよね?
  384. ひめな: ぶっちゃけ力を使わせた数って あれぐらいなんだよねー
  385. アレクサンドラ: 時女一族相手に使ったときは 特に抵抗はなさそうでしたし
  386. ひめな: それな
  387. ひめな: だから余計に私チャンもイミフ…
  388. ひめな: でも、みわりんを追い詰めたのは 私チャンかもしれないんだよね…
  389. 燦: いえ、姫様じゃなかったとしても 想定できなかったこと
  390. 燦: 気に病むなって言うと 語弊があると思うけどね
  391. ひめな: あざお
  392. ひめな: ちょっと風に当たりながら もう少し考えてみる
  393. ひめな: さすがにこのまま謎にしてたら ヤバみが深すぎると思うし
  394. 燦: ええ
  395. ひめな: …そうは言ってもさ
  396. ひめな: やっぱりわからない…
  397. ひめな: あとひとつあるとしたら 神浜をひっかき回したぐらい…?
  398. ひめな: でも、ぶっちゃけ私チャンたち、 選挙とか気にする歳でもないし…
  399. ひめな: なんだろ…
  400. 「神浜市長選後もまだ 再投票を求めるデモが行われています」
  401. 「それに対して神浜市の選挙管理委員会は 再投票を行わない方針を表明しており 今回の選挙結果における西側と東側の対立は 今後も深まりそうな状況です」
  402. 三輪 みつね: …………
  403. 三輪 みつね: 私は取り返しのつかないことを…
  404.  
  405. FILENAME: text_102803-8_KPw7G.txt
  406. 保澄 雫: はい、ひなのさん コーヒー
  407. 都 ひなの: …うん、いい香りだ ありがとう
  408. 都 ひなの: わざわざ悪いな 豆まで持って来てくれて
  409. 保澄 雫: お礼を言うのはこっち
  410. 保澄 雫: まさかボディーガードに 来てくれるなんて思わなかった
  411. 都 ひなの: ここなら安全だと思うが 一応、保険はかけておくべきだろ
  412. 保澄 雫: プロミストブラッドは 私たちを恨んでるし
  413. 保澄 雫: また皆殺しにするような方法を 見つけててもおかしくないよね
  414. 都 ひなの: ああ…そんな気がする
  415. 保澄 雫: みふゆさんも来てくれるなんて なんだか悪いな
  416. 都 ひなの: それだけ今日は 重要な役割を担ってるってことだ
  417. 都 ひなの: 作戦の要になるんだろ?
  418. 保澄 雫: うん、私の力が結果を左右する…
  419. 保澄 雫: みたまさんには調整してもらって 魔力も回復させてあるから
  420. 保澄 雫: 本当にあとは本番だけ 失敗しないようにやりきるだけ
  421. ピロン♪
  422. 都 ひなの: …二木市で戦いが始まったぞ
  423. 保澄 雫: 緊張してきた…
  424. 都 ひなの: 応援してる
  425. 都 ひなの: 一瞬かもしれないが 生きて戻ってきてくれ
  426. 保澄 雫: うん
  427. ~~♪~~♪
  428. みふゆ: あっ…
  429. みふゆ: 月夜さん、大丈夫ですか!?
  430. 月夜: すみません、みふゆさん メッセージは読みました!
  431. みふゆ: はい、ワタシはもう 鏡屋敷を離れているので
  432. みふゆ: すみませんが今日 3人で探索するのは難しそうです
  433. 月夜: 実は私も、今日は探索に 参加できないのでございます
  434. みふゆ: 何かあったんですか…?
  435. 月夜: 実は母と祖母に 見つかったでございます…
  436. みふゆ: なにが… いえ、まさか…
  437. 月夜: はい、月咲ちゃんと 会っているのを知られてしまい
  438. 月夜: 軟禁されているので ございます
  439. みふゆ: どうして… 見つかったんですか…?
  440. 月夜: 私の母は西の人… そして父は東の人…
  441. 月夜: 離婚してふたりは、私たちを 一人っ子として育ててきましたが
  442. 月夜: 東西の関係が悪化してきた この時勢の影響で
  443. 月夜: 私たちふたりの関係が 気になっていたでございます
  444. みふゆ: じゃあ、何かを察して つけられていたとか…
  445. 月夜: その通りでございます…
  446. 月夜: そして連絡は恐らく 月咲ちゃんのお家にも…
  447. みふゆ: なんてこと…
  448. みふゆ: 今になって神浜の情勢が おふたりに影響するだなんて…
  449. 月夜: それでも今の状況で 家に籠ってられないでございます
  450. 月夜: ただ、ほとぼりが冷めるまでは
  451. みふゆ: ええ、身動きをとるのが 難しそうですね…
  452. 月夜: あ、祖母が来たので…!
  453. みふゆ: はい、また何かあったら連絡を
  454. 月夜: 失礼するでございます…
  455. みふゆ: (ワタシも西の…水名の人間… いずれ回ってくるかも…)
  456. みふゆ: これは…
  457. みふゆ: 雫さんの家の方…?
  458. みふゆ: これは避難させておいて 正解でしたね
  459. みふゆ: (あえて喫茶店に居るように 見せかけた方が良さそうですね)
  460.  
  461. FILENAME: text_102803-9_KPw7G.txt
  462. ピロン♪
  463. 月咲: …………
  464. 月咲: (月夜ちゃんの方で みふゆさんに連絡してくれた…)
  465. 月咲: はぁ…
  466. 月咲: (うちの天音家と月夜ちゃんの 明槻家が繋がってたなんて…)
  467. 月咲: (お父ちゃんは向こうからの 連絡だって言ってたから)
  468. 月咲: (いつか再会するだろうって 思ってたんだろうな…)
  469. 月咲: けど、何がダメなんだろう…
  470. 月咲: 身なりとか格式とか そんなことばっかり気にして!
  471. 月咲: もっと気楽にすればいいでしょ!?
  472. 月咲: こんなの ウチの方が息が詰まっちゃうよ!
  473. 月夜: 月咲ちゃんの気楽は ただ、粗野なだけでございます!
  474. 月夜: 私はお金を掛けて欲しいとか 言ってないでございます!
  475. 月咲: (生まれは同じでも 育ちは違う…)
  476. 月咲: (双子だって気付いてからも 互いの溝は埋められなかった…)
  477. 月咲: (それでもウチらは唯一の双子 だから一緒に居たいと思った…)
  478. 月咲: だめだ… 泣くつもりなんてないのに…
  479. ~~♪~~♪
  480. 月咲: 十七夜さん…
  481. 月咲: あの、もしもし どうしたんですか、急に…
  482. 十七夜: 事情を梓に聞いた 大事ないか心配になった
  483. 月咲: っ…どうしよう十七夜さん
  484. 十七夜: ほとぼりが冷めれば、 会っても支障はないだろう
  485. 十七夜: どうせ我々は魔法少女 夜中に町を徘徊する身だからな
  486. 月咲: でもバレる度に月夜ちゃんは お仕置きをうけるかも…
  487. 月咲: うちはお父ちゃんがまだ、 申し訳なさそうにしてるから平気
  488. 月咲: けどきっと、 明槻の家は無視してくれない…!
  489. 十七夜: 梓の家も含め、 水名の旧家は厳しいからな…
  490. 月咲: 月夜ちゃんに会いたいけど 絶対に苦しめちゃいますよね…
  491. 十七夜: 自分にはわからない…
  492. 十七夜: だが、この東西の確執ばかりは、 いつも自分たちに付きまとい
  493. 十七夜: いつまでもへばりついて 離れてくれないな…
  494. 月咲: なんだか、今なら わかるような気がします…
  495. 月咲: …東の魔法少女たちはみんな、 ウチと同じ気持ちのはずです…
  496. 月咲: …東の境遇からの解放は無理でも 魔女化の運命からは解放されたい
  497. 月咲: そのためには… マギウスにすがるしかない…
  498. 月咲: …たとえマギウスの手段が、 道に外れるものだとしても…!
  499. 月咲: ウチらがすがった解放が、 十七夜さんにとっての滅びだった
  500. 十七夜: ――っ!?
  501. みたま: 町に蔓延る歴史…
  502. みたま: そして、その歴史の上に定着した 現状の神浜の破壊…
  503. 十七夜: そうだ
  504. 十七夜: 歴史を破壊するためには
  505. 十七夜: 神浜そのものを一度、 徹底的に破壊しなければならない
  506. 十七夜: 確かにそうかもしれない…
  507. 十七夜: 西が抱いている東への印象に、 明確な理由はない…
  508. 十七夜: かつて理由があったとしても、 今は残されていない
  509. 十七夜: ただ脈々と我々を蔑むという 習わしだけが残されている…
  510. 月咲: そして今回は選挙という場でさえ イメージを利用されて
  511. 月咲: ウチと月夜ちゃんの関係にまで また割り込んできた…
  512. 月咲: その受け継がれてきた歴史を 壊すためにも
  513. 十七夜: そうだ、 自分は神浜の滅びを望んだ
  514. 十七夜: 八雲と同じように…
  515. 月咲: ウチ、ふたりのその気持ちが、 今なら痛いほどわかります…
  516.  
  517. FILENAME: text_102803-10_KPw7G.txt
  518. 十七夜: …………
  519. ねむ: 通話は終わったかな
  520. 十七夜: うむ
  521. 灯花: 心配してかけた電話のはずが ずいぶんと物騒な話だったね
  522. 灯花: くふっ
  523. 灯花: 十七夜は今も神浜の滅びを 望んでいるのかにゃー?
  524. 十七夜: 自分の親やさらに上の世代が ほざく分には何も思わん
  525. 灯花: それ、下の世代なら ワケが違うってことだよね?
  526. 十七夜: 自分たちですら憂慮している この神浜という町の状況を
  527. 十七夜: さらに未来を担う者たちが 受け継ぐような育ち方をしてれば
  528. 十七夜: それを絶望ではなく なんと言うべきだろうな
  529. 灯花: まー、理屈はわかるけどにゃー
  530. 十七夜: 里見君のように最初から 捻れている者が言う分には
  531. 十七夜: 何も思わんがな
  532. 灯花: えーひどい
  533. ねむ: …神浜の歴史について 聞いていた件だけど
  534. ねむ: 水名露と千鶴について 返事が届いたよ
  535. ねむ: むふっ
  536. ねむ: やっぱり以前に興味があって 調べてたらしい
  537. 灯花: こうしてピースが埋まる感じは ワクワクしてくるにゃー
  538. ねむ: それがよからぬ結果だとしても?
  539. 灯花: ポジティブでもネガティブでも 学術的探究心は潤うからねー
  540. 灯花: 最悪も快感だよ
  541. 十七夜: 内容を見せてもらっても良いか
  542. ねむ: もちろんだよ
  543. 確かに神浜に残されている文献には 水名露と千鶴という少女の名前が出てきます 彼女たちは戦国の世で“戦神子”と呼ばれており 水名氏による城攻めにおいて 大きな功績を挙げたことが伺えます
  544. ですが、女性の話となると 時勢的に残されているものが少なく 彼女たちの素性を知る手がかりというのは 水名美術館に残されている文献と 郷土資料館にある女性の日記のみです
  545. そこから判明しているのは以下の通り
  546. 1:最初に述べた通り“戦神子”と呼ばれる者で 領主の圧制から水名を解放した存在
  547. 2:何か流れ着いたものが切っ掛けとなって 両者は手を取り合うことになった
  548. 3:手を取り合ったものの圧制からの解放後に 水名露と千鶴は袂を分かっている
  549. ねむ: これは、とても興味深い情報だね
  550. 灯花: 時女の巫、神浜の戦神子
  551. 灯花: 本当に魔法少女たちは違う名前で 歴史の中に点在してたのかもね
  552. 十七夜: しかしこの露と千鶴については 虚しくなってくるな
  553. 十七夜: 自分も知っている物語は 手を取り合うことで大業を成す話
  554. 十七夜: だが、蓋を開いてみれば 後に別れているとは…
  555. ねむ: その方が七夕らしいよ
  556. ねむ: 年に1度だけ近付いては離れてを 繰り返す存在だからね
  557. 十七夜: …………近付いては離れる
  558. 十七夜: 先ほど話していたせいだと思うが 妙に重ねてしまうな
  559. 十七夜: 月夜君と月咲君のふたりに…
  560.  
  561. FILENAME: text_102803-11_KPw7G.txt
  562. 保澄 雫: (きっともうすぐ来る…)
  563. 保澄 雫: (画面に映ってるGPSの位置 少しずつ動いて集まっていく…)
  564. 保澄 雫: (合図があったらすぐに… すぐに向かわないと…)
  565. 都 ひなの: 落ち着け、深呼吸だ
  566. 保澄 雫: うん…
  567. 保澄 雫: すーーーー…
  568. 保澄 雫: はーーーー…
  569. みふゆ: ふたりとも聞こえますか!?
  570. 都 ひなの: おわっ!
  571. 保澄 雫: は、はいっ!
  572. みふゆ: プロミストブラッドのメンバーが 雫さんの実家に向かっています
  573. みふゆ: 数は3人
  574. みふゆ: 今はワタシの方で対応してるので ひなのさんはヘルプを!
  575. みふゆ: 本当に実家にいると思わせて 時間を稼ぎます!
  576. みふゆ: 雫さんはそのまま待機して 合図を待ってください!
  577. 都 ひなの: わかった!
  578. 保澄 雫: はい…!
  579. 都 ひなの: 本当に雫を狙ってきたか…
  580. 保澄 雫: ひなのさん
  581. 都 ひなの: 心配するな、お前はお前の仕事に 専念していれば大丈夫だ
  582. 保澄 雫: はい
  583. 都 ひなの: じゃあ、行ってくる
  584. 保澄 雫: (そう、今は自分の仕事を しっかりやり遂げないと…)
  585. 保澄 雫: 周りがおかしいわけでも 自分がおかしいわけでもない
  586. 保澄 雫: ただ私は、自分がパズルのピースとして うまくはまる場所を見つけられなくて 家でも学校でも同じように 周りのどこにも馴染めずに浮いてる気がしていた
  587. 保澄 雫: その人生は 自分の居場所を求める心の旅
  588. 保澄 雫: 自分が求めている居場所の形がわからないなら いつか目の前にあるものが消えるなら 今、自分が感じている愛おしいと思う人たちを 大切にしようって折り合いをつけてきた
  589. 保澄 雫: それなのに私は大切にするどころか 何ひとつとして守ることができなかったんだ
  590. 保澄 雫: (なんだろう、モヤモヤする…)
  591. 保澄 雫: あっ、いらっしゃいませ 団体のお客様ですか…!?
  592. 雫の声: お父さん、 ちょっと手伝ってくれる?
  593. ピロン♪
  594. 保澄 雫: あのとき、助けを求めるメッセージに 気付けなかった時点で 私は自分の大切な居場所を壊してしまった
  595. 保澄 雫: それでも…
  596. 保澄 雫: 私の家には みんなが過ごした居場所の痕跡が残っている
  597. 保澄 雫: そう思うと人が過ごした居場所の痕跡は 私の家以外にもあると思う
  598. 保澄 雫: まなかちゃんのウォールナッツにも
  599. 保澄 雫: 衣美里ちゃんの相談所にも
  600. 保澄 雫: 明日香さんの道場にも
  601. 保澄 雫: 私たちが通っている学校にだって
  602. 保澄 雫: きっとそうなり得るのは、 場所が問題なんじゃなくて
  603. 保澄 雫: 人と人との間に 結びつきがあるからかもしれない
  604. 保澄 雫: そう、誰かといることが大切…
  605. 保澄 雫: 令さん…郁美さん…
  606. 保澄 雫: 私はふたりにとって 心の居場所になれましたか…?
  607. しねぇえええッ!!
  608. みふゆ: ふっ、力技だけじゃ 当たりませんよ
  609. だから不意を突くのよ
  610. みふゆ: くっ!
  611. トドメ!!
  612. ゲホッ…くそっ誰だ!
  613. 都 ひなの: ヒヤッとしたぞ みふゆさん
  614. みふゆ: ありがとうございます
  615. みふゆ: こんなことだと詰めが甘いって やっちゃんに怒られますね
  616. 都 ひなの: しかし、選抜外のみふゆさんにも 攻撃ができるなんて…
  617. みふゆ: ギミックはわかりませんが こちらに来て正解でした
  618. 都 ひなの: 向こうの目的は雫か…
  619. みふゆ: いえ、それは偶然だったようで むしろワタシが標的でした…
  620. 都 ひなの: 最後にマギウスの翼の幹部は 殺しておこうってハラか
  621. みふゆ: そのようです
  622.  
  623. FILENAME: text_102803-12_KPw7G.txt
  624. 保澄 雫: …………
  625. 保澄 雫: ふぅ…
  626. 保澄 雫: (自分が誰かの居場所か…)
  627. 保澄 雫: (考えたこともなかったけど なんだか温かい気持ちになる…)
  628. 保澄 雫: …………
  629. 保澄 雫: (GPSのポイントが…)
  630. 保澄 雫: (集まった…!)
  631. ピロン♪
  632. 今!!
  633. 保澄 雫: ふぅ!
  634. 保澄 雫: この戦いが終わったら みんなにお帰りって言ってみよう
  635. ―取材記録― 煌里 ひかる
  636. ひかる: 「ひかるが考えてることなんて とってもシンプルっすよ」
  637. ひかる: 「いつも通り、結菜さんの馬として働く ただそれだけっすからね!」
  638. ひかる: 「ただ、この戦いが落ち着いて、 そのうち結菜さんの頭から ツノがなくなってくれるとうれしいっすよ」
  639. ひかる: 「別に結菜さんと一緒に 復讐を果たそうとするのは嫌いじゃないんすよ。 それに、殺したくないとかいう 生っちょろい話でもないんす」
  640. ひかる: 「ひかるは結菜さんに 平穏な心を取り戻して欲しいだけなんすよ」
  641. ひかる: 「苦しんでる顔や怒ってる顔を見てると ひかるの胸も苦しくなってくるし、 このまま恨みに駆られ続けてしまうと いつか消えてしまいそうで怖いんす」
  642. ひかる: 「もちろん結菜さんが消えるときは ひかるもお供するのが当然なんすけど、 ただ、もうちょっとだけ結菜さんたちと過ごす 学校生活を味わいたいっす」
  643. ひかる: 「そしていつか大人になったら、 魔法少女のこと以外でも結菜さんを支えられる ちゃんとした片腕になりたいっすね」
  644. ひかる: 「もしかしたら、そのためにはまず、 ひかるはさくやさんを目指さないと ダメなのかもしれないっす」
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