Not a member of Pastebin yet?
Sign Up,
it unlocks many cool features!
- StH Developer Interview Translation 「完全攻略ガイド」
- pp. 156-159
- Original
- 「牧物3」開発スタッフインタビュー
- 「今までとは違う楽しみ方をしてください!!」
- ビクターインタラクティブソフトウェア
- 和田康宏/宮越節子/山楯知巳
- <b>どんどん増えていくという傾向に歯止めをかけたかった</b>
- ー今回の「牧場物語3」は、3Dになったということも関係していると思いますが、これまでのものとは違いますね。特に期間が1年になりましたよね。
- 和田:これには、いろいろ替否両論もあったんです。ずーっとダラダラとのんびりやりたいという人も、依然として多いんです。ただ、プロデューサーの立場から言うと放っておくと際限なく増えていく方向性が嫌だったんです。例えばNINTENDO64版では牛が10頭飼えたのが、「ハーベストムーン」になると、20頭になった。じゃあ、次は30頭になるの、っていうね。そういうことに非常に納得がいかなくて、それに対する反発みたいなものから、ちょっと思い切って、そういう部分は逆に薄くしてみたんです。
- ー最初に「ハーベストムーン」と違う新しい部分にしようと思ったのも、そこですか?
- 宮越:それはやっぱり大きかったと思います。何もしなくても日々過ごしていける、という楽しみもあるんですが、今回は限られた時間の中で、どう暮らしていくか、ということを狙ってみました。
- 和田:村も本当はもっと狭いつもりだったんです。実際移動するエリアの数も少ないですし。でも、3Dにしてみたら、めちゃめちゃ広く感じる……というか、遠いんですよ(笑)。
- ーそういう変化を加えつつも「牧場物語」シリーズの世界を構築していくうえで、絶対にはずしちゃいけない、守らなければいけない部分というのはどういうものですか?
- 山楯:まずほのぼの感は、絶対にはずせないですよね。
- ーそれははずせませんね。
- 宮越:具体的には、まず人や動物と触れ合っている感覚ですね。シミュレーションみたいにカーソルで動かすのではなく、実際に触るとか、渡すとかそういう部分はやっぱり残しておかないと、という気持ちはありました。
- <b>最初の目的はおじいちゃんの借金返済だった……!?</b>
- ーさて、牛などの数は減りましたが、9種類のエンディングがあるシナリオは今までで一番多いんじゃないですか?
- 山楯:けっこう多いですね。バリエーション的にもかなり違いますし。メッセージなどシナリオを構成する部分はかなりぶ厚くなっていると思います。
- ーで、ゲームの目的となる「村を救う」という考え方は、どこから出てきたんですか?
- 和田:やっぱり1年という期限からですよね。それで、まぁ、実はですね、最初は借金を返すというのもあったんですよ(笑)。
- ーえ、おじいちゃんのですか?(笑)
- 和田:ええ、そういう話もあったんです。でも、それは絶対だめだよって(笑)。まあ、それはそうですよね、借金返すためだけに1年働き続けるんじゃ、話が暗くなってしまいますからね。当たり前の話ですけど(笑)。
- 宮越:それからいろいろ考えましたね。とにかく、1年という制限をつけるために。
- 和田:本当にいろいろとあり、二転三転したうえで、やっと……という感じで出たのがレジャーランドの建設だよね。
- ーじゃあ、その救う方法を9通り考えるのも苦労したでしょうね?
- 宮越:ええ、しましたね。だからNINTENDO64版をプレイしたことのある人は、どっかで聞いたことがあると思うような話も、いくつかあります。青い羽の話もエピソード的に引っぱってきて、受け継がれているものもあるんですよ。あまりにもアイデアが出なくて、最後に「ああ、これはもうあの話のここをひねって作るしかない」とか思って(笑)。
- 和田:でも、あれはかえって前作とかをプレイしていた人にとっては、うれしいことだと思うよ。前作をやっていた人にはわかる隠しエピソードだと思ってくれれば、ね。本当は後付けなんですが(笑)。何か深いなって。
- 宮越:たしかそうですね。今初めて、スーパーファミコン版から続く青い羽の謎が明らかになる、という(笑)。
- ーちなみに、ベストな解決法っていうのは、それぞれどのプランだと思っていますか?
- 和田:話のプロットはすべて宮越が作っているんですが、僕が好きなのは3つあります。笛と馬と釣りですね。方法として自分がやっている気がするんですよ。ただね、馬が納得いかないんです。
- ーそれは最初に乗れないからですか?
- 和田:そうです。最後のレースは自分の手で勝たせたかったね(笑)。あれは、最後までくやしかった。いろいろと事情があってできなかったんです。
- ー宮越さんはどうですか?ご自分で考えられた9つの救済プランのうち、これがベストだと思ったのは?
- 宮越:1つではないんですが、ケーキを作る話と、幻の魚を釣る話……実はこの2つの物語を同時並行してやっていくと、すごくいい感じになるんですよ(笑)。
- 和田:クロスして?
- 宮越:ええ。すごく現実的な方法で村を救おうとする、おしゃまな女の子ケティに対して、男のロマンで、もしかしたら幻の魚が釣れたら大丈夫なんじゃないか、みたいな感じでいくシンとの会話とのクロスが。うん、ちょっといい感じなんですよ。
- 和田:ケティは一応ね、シンとはラブラブでいい雰囲気なんだけど「もう、だから男はだめよね」という感じで、けなげにケーキを作る。それに対してシンは、「もう女はうるせーな、めんどくせーな」って言いながら、オレは幻の魚を釣るっていう。そんな感じ……。
- ーたしかにシンクロしていて面白いですね。
- 宮越:ええ。できてから見て、これは面白い感じになったな、と思いました。
- ーちなみに、シナリオを考えられた宮越さんとして、最後まで苦労したというのは、どの話ですか?
- 宮越:うーん、そうですね。いろいろ時間的な制約で、作り上げるのに足りなかったな、というのは、シロちゃんの……テンの話ですね。もうちょっとふくらませたかったのですが、時間的に短くなってしまって……。
- ー山楯さんはどうですか?
- 山楯:私も和田さんと同じで、笛の話のように自分でプレイする物語のほうが、やってて楽しいですし、自分でどうにかした、という感じが出ますよね。
- 和田:それは大きいよね、本当に。
- <b>幻と終わった、あの名作の感動的シーンの再現</b>
- ーところで、プレイステーション2対応ということで、プログラム的な苦労というなは、どこらへんでしたか?
- 山楯:やっぱり3Dへの対応、特にカメラですね。変なところに置いちゃうと、操作しづらいですし。
- 和田:ただ、はじめて3Dに挑戦したわりにはよくまとまったと思います。たしかにできなかったことも多いんですけどね。
- 宮越:驚いたのは、手をつなぐという動きが、3Dだとものすごく難しいんだそうです。
- 和田:今回、少し宮越の立場を代弁していうなら、彼女が当初思っていたことの10分の1も実現していないんですよ。あと、メッセージなんかも膨大な量を用意してあるんですが、見た目だと、あんまりむくわれていないんですよ。ちょっとしか遊ばないと本当に単調に見えちゃって。
- 宮越:なかなかこれが……。場所や時間で、ものすごく変えているんですが、逆にそれがアダになってるんです。
- 和田:つまりプレイする人の行動バターンって、意外と決まっていて、同じ時間に同じ場所でしか会わないから、同じことを話しているようにしか思われないんですよ。せっかく個性的なキャラクターを登場されているんだから、見てほしいよね。
- ーそのキャラクターですが、考えられたのは、やはり宮越さんですか?
- 宮越:ええ、そうです。
- ーすぐに思いつかれましたか?
- 宮越:ええと、そうですね。全部一新して、今までにいなかったキャラを考えたんですが、なかにはちょっと無理があるキャラもいましたね。例えば、最初は別荘のお嬢様のディアは、脚が悪い設定にしようという話だったんですよ。
- 和田:僕がそれ、ものすごい好きで、(「アルプスの少女」の)クララのイメージだったんです(笑)。で、イベントもジーナが手伝って、「立って、お嬢さん!」から始まって、最後に「立った、お嬢さんが立ったー!」という……、そういうのを絶対やろうよって、言ってたんですが……。
- 宮越:車椅子が無理だったんですよ(笑)。
- 和田:そしたら、途端にイヤな娘に(笑)。
- ー二転三転したようなキャラは?
- 和田:ティムかな?彼も最初は主人公の恋のライバル。それも一番手になる予定だったんですよ。ところが、上がってきた絵を見ると子供になっていたので、じゃあ子供でいこうということになりました。
- <b>前作のイメージを引きずったため、ライラは不人気に</b>
- ースタッフ内のキャラクターの人気はどうですか?
- 宮越:ライラが不人気ですよね。
- 和田:嫌われてるね。みんなカンにさわるって言ってます。ただ、これは期待の裏返しなんですよ。実は前作にリリアという養鶏場のお母さんがいたんですが、そのキャラが一番人気で、落としたい人妻ナンバーワンだったんです(笑)。それで、絵柄でいうと、彼女がその生まれ変わりになるという期待があったのに、しゃべり始めたら違うと(笑)。それで余計に、みんなイヤになったみたいです。
- 宮越:彼女の動きのモーションをつけた人間が、ライラの腰をくねくねさせる動きを見てると、腹が立ってくると言っていたくらいですからね(笑)。
- ーそれもまたかわいそうな話ですね(笑)。じゃあ、一番人気は?
- 和田:女性キャラは分かれるよね。男性キャラはどうだろ?僕はハヤトかな?
- 山楯:シンが面白くていいですよ。
- 宮越:その2人はたぶん一番人気ですね。
- ーあと人間以外ではどうですか?女神様とかコロボックルズとかの。
- 宮越:女神様は人気ですね、そういえば。
- ー最初のほうのセリフには笑いましたよ。「ちなみに私は野菜が好き」なんて、暗に要求してるのかなって。女神なのに(笑)。
- 宮越:あれは狙ってました(笑)。
- 山楯:ずうずうしいんだよね(笑)。
- 宮越:そう、女神様のクセに、庶民的……。
- 和田:僕はコロボックルズがわりと好きですね。あのテーマ曲がかかると、またこいつら面倒なこと持ってきたな、と(笑)。コロボックルズのモーションは関節が少ないんで、ちゃんとした動きではないんですが、3人が交互にピョンピョン飛んだりするシーンでは、すごいカワイらしさが出てて、好きですね。
- 宮越:けっこう女神様とのかけ合いなんかも面白いですよね。
- ーそれでは、最後に、ファンの方々へのメッセージをお願いします。
- 和田:これまでとはまったく違う「牧場物語」ができました。今度の牧場もぜひ楽しんでください。そして、全部の物語を見てください。9種類全部見れば、きっといいことがあります。ちょっと……ですが。
- 宮越:本当に今までと違った楽しみ方をしてほしいですね。
- 和田:あとはセリフをいろいろ見て、と(笑)。
- 宮越:あ、それはたしかに(笑)。
- 山楯:仕事ばかりではなく、たまにはほのぼのと遊んでみていただきたいですね。
- ーそういうことを、ゲーム中でも誰かが言ってましたよね(笑)。忙しい中、ありがとうございました。きっと次回作も出ることと思いますので、期待しています。
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- PROFILES
- チーフプロデューサー・和田康宏
- 田舎生まれの田舎育ち。都会にあこがれ上京するも逆に田舎のすばらしさを痛感し、このシリーズを始めるきっかけとなった。子供はぜひ田舎で育てたいと思っている。「単純こそ最強」と信じている。
- 企画/シナリオ・宮越節子
- 独特のほのぼの感とふわふわとしたファジーさが持ち味。どことなく人を幸せにさせる「牧場」シリーズのテイストはすべて彼女が生み出したといっても過言ではない。趣味は絵を描くこと。
- メインプログラム・山楯知巳
- 超ロジカル。超極端。頭の中のすべてが0と1で構成される、生まれながらのスーパープログラマー。と思えばロボットに人の愛情が芽生えたような底なしの優しさをあわせ持つ。なかなか奥の深い人間。
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- PICTURE CAPTION
- スタッフの勝手な思い込みから、不人気ナンバーワンのキャラになってしまった、かわいそうな花屋のライラ。
- Translation
- "Harvest Moon 3" Development Staff Interview
- "Have fun like never before!!"
- Victor Interactive Software
- Yasuhiro Wada/Setsuko Miyakoshi/Tomomi Yamatate
Add Comment
Please, Sign In to add comment