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Konoha & Hazuki MSS JP text

Apr 30th, 2021 (edited)
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  1. 335031-1
  2. みんな: いただきます!
  3. 三栗 あやめ: んん~、おいしい!
  4. 遊佐 葉月: それはよかった
  5. 静海 このは: また腕をあげたわね…
  6. 静海 このは: たまには代わるわよ? いつもいつもだと大変でしょう?
  7. 三栗 あやめ: げっ…!
  8. 遊佐 葉月: い、いやぁ…アタシの場合 趣味みたいなところもあるから!
  9. 三栗 あやめ: そ、それよりさ! コレ、見てよ!
  10. 静海 このは: …指人形?
  11. 遊佐 葉月: わっ、3体も! また面白いものを拾ってきたね
  12. 三栗 あやめ: かっこいいでしょ!
  13. 静海 このは: そうね…この子、 キリっとしててかっこいいわ
  14. 三栗 あやめ: へっへーん! このは、わかってる!
  15. 三栗 あやめ: それ、一番かっけぇから アヤメって名前にしたんだ
  16. 静海 このは: へぇ、他の子は?
  17. 三栗 あやめ: カコとふぇりしあ!
  18. 静海 このは: …そうなの
  19. 遊佐 葉月: かこちゃんたちと 遊んでる時に見つけたから?
  20. 三栗 あやめ: そうそう! 河川敷に落ちてたんだよ
  21. 静海 このは: 河川敷…
  22. 静海 このは: 川に入ってないわよね? もし流されでもしたら…
  23. 三栗 あやめ: ダイジョーブ! 危ないことはしないから!
  24. 三栗 あやめ: かこもそういうの ちょっとうるさいし…
  25. 遊佐 葉月: しっかりしてるもんねぇ
  26. 静海 このは: なら、いいけど…
  27. 三栗 あやめ: あっ、そうだ!
  28. 三栗 あやめ: 来週、かこん家で合宿する って話になったんだけど
  29. 静海 このは: ――っ!?
  30. 三栗 あやめ: 行ってもいい?
  31. 静海 このは: それって お泊まりするってことよね…
  32. 静海 このは: よそのお家でお泊まりは 初めてだけどちゃんと眠れるの?
  33. 三栗 あやめ: 大丈夫だと思うよ
  34. 静海 このは: それにお泊まりの準備も…
  35. 静海 このは: いえ、準備は手伝えるけど
  36. 静海 このは: 帰って来る時に自分で 荷物をまとめられる?
  37. 三栗 あやめ: た、たぶん…
  38. 静海 このは: たぶんじゃダメよ
  39. 三栗 あやめ: …行っちゃダメ?
  40. 静海 このは: ダメとは言わないけど 心配で…
  41. 三栗 あやめ: …そうだよね
  42. 遊佐 葉月: 来週まで時間あるし
  43. 遊佐 葉月: 今日から荷物を詰める 練習をするのはどうかな?
  44. 三栗 あやめ: 練習…
  45. 遊佐 葉月: 頑張れそう?
  46. 三栗 あやめ: うんっ、あちし頑張るよ!
  47. 静海 このは: …………
  48. 遊佐 葉月: あやめもやる気だし…
  49. 遊佐 葉月: 何よりもう中学生なんだから 一度くらい、いいんじゃない?
  50. 遊佐 葉月: マギウスの騒動も終わって 神浜の町も落ち着いて来たし
  51. 静海 このは: …そうね
  52. 静海 このは: お世話になりますってご挨拶して 食事の片づけを手伝ったりして…
  53. 静海 このは: かこさんのお家の人に ご迷惑をかけないようにできる?
  54. 三栗 あやめ: できる!
  55. 静海 このは: あと、夜更かしはしないように 歯磨きもちゃんとして…
  56. 静海 このは: あっ、お菓子の食べ過ぎもダメよ もちろんジュースもね
  57. 三栗 あやめ: うん! 約束するよ
  58. 遊佐 葉月: つまり、お泊まり 行ってもいいってことだね?
  59. 静海 このは: …ええ
  60. 三栗 あやめ: やった! ありがと、このは!葉月!
  61. 三栗 あやめ: おやすみなさーい!
  62. 遊佐 葉月: はい、おやすみ
  63. 静海 このは: おやすみなさい
  64. 遊佐 葉月: …ねぇ、このは
  65. 静海 このは: なに?
  66. 遊佐 葉月: あやめに対して過保護なのは いまに始まったことじゃないけど
  67. 遊佐 葉月: そろそろ適切な距離感を 覚えるのも必要だと思うよ…?
  68. 静海 このは: …………
  69. 遊佐 葉月: いますぐにとは 言わないけどさぁ…
  70. 遊佐 葉月: あやめも中学生だし… 自立したくなる頃だよ
  71. 静海 このは: …………… ……………
  72. 遊佐 葉月: (あー、これは 聞き入れてもらえないかなぁ…)
  73. 静海 このは: …わかってるわ
  74. 遊佐 葉月: …ん?
  75. 静海 このは: 自分でもわかってるの…
  76. 遊佐 葉月: …………
  77.  
  78.  
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  80. 静海 このは: 自分でもわかってるの…
  81. 遊佐 葉月: …………
  82. 静海 このは: あやめに干渉し過ぎてるって わかってるわ…
  83. 静海 このは: ―このは― 院長先生からこのネックレスを もらった時のこと覚えてる?
  84. 遊佐 葉月: ―葉月― 覚えてるよ
  85. 遊佐 葉月: ―葉月― 院長先生が、アタシとこのは あやめにおそろいで作ってくれた
  86. 静海 このは: ―このは― そう…
  87. 静海 このは: ―このは― あやめのことを任されて
  88. 静海 このは: ―このは― おそろいのネックレスを もらった時に思ったの…
  89. 静海 このは: ―このは― 一番お姉さんの私が ふたりを守らなきゃって…
  90. 静海 このは: ―このは― 大切な家族だと思えたから…
  91. 遊佐 葉月: …………
  92. 静海 このは: でもね、心配するのと 干渉し過ぎるのが別なのは
  93. 静海 このは: 私もわかってる…
  94. 遊佐 葉月: …うん 正直言うと…
  95. 遊佐 葉月: いまのこのはって 子離れできない親だよね
  96. 静海 このは: うっ…
  97. 静海 このは: …自覚はあったけど 言葉にされると痛いわね…
  98. 遊佐 葉月: 自覚があってよかった
  99. 静海 このは: …“あやめ断ち”しなきゃ っていう気持ちもあるのよ…
  100. 静海 このは: …踏み切れないだけで
  101. 遊佐 葉月: …………
  102. 遊佐 葉月: このはってさ… 趣味ないよね
  103. 静海 このは: えっ…趣味? どうして、いま?
  104. 遊佐 葉月: アタシが思うに…
  105. 遊佐 葉月: このはってあやめに 比重を置きすぎなんだよ
  106. 遊佐 葉月: あやめのことばっかりだから
  107. 遊佐 葉月: ちょっとしたことでも 気をもんじゃうんじゃない?
  108. 静海 このは: …確かに
  109. 遊佐 葉月: だから、趣味とか好きなこととか 熱中できるものを他に見つければ
  110. 遊佐 葉月: 少しは落ち着くかもね
  111. 静海 このは: …なるほど
  112. 静海 このは: 興味の先を分散させるのは いい考えかもしれないわね
  113. 遊佐 葉月: おっ! 何やってみたい?
  114. 静海 このは: …買い物の時に ポイントを大量に集める
  115. 静海 このは: 投資の勉強ももっとしないとね お金があるに越したことはないし
  116. 遊佐 葉月: …いや、そういう 生活のためのものじゃなくて
  117. 遊佐 葉月: ただ楽しみたいことだよ
  118. 静海 このは: えぇ…? そう言われても…
  119. 遊佐 葉月: 思い浮かばない?
  120. 静海 このは: 思い浮かばないわね…
  121. 遊佐 葉月: 別になんでもいいんだけど…
  122. 静海 このは: 興味のないことに お金をかけたくはないし…
  123. 遊佐 葉月: じゃあさ 一緒にお散歩とかどう?
  124. 静海 このは: お散歩…?
  125. 遊佐 葉月: お手軽に始められて お金もかからないよ
  126. 静海 このは: うーん…
  127. 遊佐 葉月: アタシさ、頑張って早朝のお散歩 はじめようと思ってたんだよね
  128. 遊佐 葉月: アタシに付き合うつもりで ねっ、どうかな?
  129. 静海 このは: …それなら やってみようかしら…
  130. 遊佐 葉月: よしっ!
  131. 遊佐 葉月: じゃあ、明日の朝 学校に行く前にちょっと歩こう!
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  135. 遊佐 葉月: んん~ いい朝だねー
  136. 静海 このは: …お散歩はいいけど どこに行くかは決めてるの?
  137. 遊佐 葉月: 決めてないよ
  138. 静海 このは: えっ? 目的もなく歩くの?
  139. 遊佐 葉月: うん
  140. 静海 このは: 全然、なんの目的もなく?
  141. 遊佐 葉月: うん
  142. 静海 このは: …………
  143. 遊佐 葉月: まぁ、しいて言うなら あやめが起きる前に帰る、かな?
  144. 静海 このは: うそでしょ…? それになんの意味があるの?
  145. 遊佐 葉月: 息抜きに意味なんてないよ 難しく考えなくてオッケー!
  146. 遊佐 葉月: さぁ、行くよー
  147. 静海 このは: …………
  148. 静海 このは: …この道って ここに繋がっていたのね
  149. 遊佐 葉月: 知らなかったでしょ?
  150. 静海 このは: ええ…
  151. 静海 このは: ん?あのお店は… おもちゃ屋さん?
  152. 遊佐 葉月: みたいだね… アタシも知らなかったなぁ
  153. 静海 このは: あやめに教えたら喜ぶかしら?
  154. 遊佐 葉月: まぁ、喜ぶだろうね…
  155. 静海 このは: あっ…
  156. 静海 このは: (ついあやめのことを…)
  157. 遊佐 葉月: ねぇ、自販機で ジュース買って一休みしない?
  158. 静海 このは: いいわね
  159. 静海 このは: (流してくれた…)
  160. 静海 このは: (あやめは喜びそうだけど 私にはちょっと甘過ぎるかも)
  161. 静海 このは: (って、またあやめのことを 考えてる…)
  162. 遊佐 葉月: うわっ、すっぱい!
  163. 静海 このは: …ジュース、交換する?
  164. 遊佐 葉月: いいの? やった!
  165. このは&葉月: んっ…!
  166. 静海 このは: ホントすっぱい…!
  167. 遊佐 葉月: こっちは甘々だ…!
  168. このは&葉月: …………
  169. このは&葉月: ふふっ…
  170. 静海 このは: すっぱいってわかってて 買ったんでしょ?
  171. 遊佐 葉月: 疲れた時にはすっぱいものがいい っていうからさ
  172. 遊佐 葉月: ちょっとすっぱ過ぎたけど…
  173. 遊佐 葉月: このはだって、甘いって わかってて買ったんでしょ?
  174. 静海 このは: 疲れた時は、甘いものがいい っていうもの
  175. 遊佐 葉月: あははっ、 同じこと考えてる
  176. 静海 このは: …ん? 何かしら、コレ?
  177. 遊佐 葉月: なんだろう… どんぐりと…なんかの木の実?
  178. 静海 このは: いまって時期じゃないわよね? 子どもが置いて行ったのかしら?
  179. 遊佐 葉月: キレイに並んでるしそうかも おもしろいものみつけたね
  180. 静海 このは: …ふふ、確かに予想外なものを みつけるのは楽しいかも
  181. 静海 このは: あやめが 色々拾ってくる気持ちが…
  182. 静海 このは: …なんでもない
  183. 静海 このは: (またやっちゃった…)
  184. 遊佐 葉月: ごちそうさまでした それっ!
  185. カランッ!
  186. 遊佐 葉月: ナイスシュート!
  187. 静海 このは: ちょっと…ごみ箱に 投げ入れるなんて行儀が悪いわよ
  188. 遊佐 葉月: でも、上手に入ったでしょ?
  189. 遊佐 葉月: 飲み終わったらやってみなよ 結構難しいから
  190. 静海 このは: …………
  191. カンッ…ポト…
  192. 静海 このは: (外れた…)
  193. 遊佐 葉月: 惜しかったね 外れたら拾って捨てるっと…
  194. カラン…
  195. 静海 このは: …………ふふっ
  196. 静海 このは: (なんだか、 普通の女子高生になったみたい)
  197. 静海 このは: (…ずっと生きるのに必死で こういう時間ってなかったもの)
  198. 静海 このは: (歩いている人、日光浴してる人 運動している人、読書してる人)
  199. 静海 このは: (趣味を楽しむ人の日常 私が目を向けなかったもの…)
  200. 静海 このは: …葉月 連れ出してくれてありがとう
  201. 静海 このは: 最初は、意味もなく 歩き回ることに抵抗があったけど
  202. 静海 このは: いまは新鮮に感じる…
  203. 遊佐 葉月: それはよかった
  204. 静海 このは: (結局私って、狭い世界に 閉じこもってばかりなのよね)
  205. 静海 このは: (慣れた世界に安心して 外の世界に触れようとしない)
  206. 静海 このは: (もっと外の世界に 触れてみるべきなのかも…)
  207. 遊佐 葉月: 明日、休みだし ハイキング行ってみない?
  208. 静海 このは: ハイキング…?
  209. 遊佐 葉月: さっき木の実に 興味持ってたでしょ?
  210. 遊佐 葉月: 山ならいろんな植物が見られるよ
  211. 静海 このは: …植物に 興味があるわけじゃないけど
  212. 遊佐 葉月: まぁまぁ、とっかかりは大事だよ
  213.  
  214.  
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  216. こんにちは
  217. 遊佐 葉月: こんにちは
  218. 静海 このは: こ、こんにちは…
  219. 静海 このは: …ふぅ…
  220. 遊佐 葉月: まだ慣れない?
  221. 遊佐 葉月: 登山やハイキングだと すれ違った時の挨拶は基本だよ?
  222. 静海 このは: ハイキングなんて ほとんど来たことないもの…
  223. 静海 このは: 服装もこれでいいのか不安だし…
  224. 遊佐 葉月: 大丈夫、大丈夫! 軽いハイキングコースだから
  225. 遊佐 葉月: それより、普段触れることのない 自然を堪能してよ
  226. 静海 このは: …うん
  227. 遊佐 葉月: よしっ!
  228. 遊佐 葉月: ――っ!?
  229. 静海 このは: ん?
  230. 遊佐 葉月: きゃぁああっ!? 虫!でかい虫が肩にっ…!?
  231. 静海 このは: …ああ
  232. ポイッ
  233. 静海 このは: ほら、いなくなったわよ
  234. 遊佐 葉月: あ、ありがとう…
  235. 静海 このは: いつもはここまで 驚かないのに…
  236. 遊佐 葉月: ホントにね…
  237. 静海 このは: …?
  238. 遊佐 葉月: アレかな… アタシだってお姉ちゃんだし…
  239. 遊佐 葉月: あやめには、かっこ悪いとこ 見せたくないのかも…
  240. 静海 このは: …ふふっ、なるほどね 今日は、甘えてもいいわよ?
  241. 遊佐 葉月: …ぅ… からかわないでよ…
  242. 静海 このは: ふふふ…
  243. 遊佐 葉月: ほら、アタシのことはいいから ハイキング、楽しんでよ
  244. 静海 このは: はいはい
  245. 静海 このは: はぁ… 自然の中って気持ちいいのね…
  246. 遊佐 葉月: でしょ?
  247. 遊佐 葉月: これで虫がいなければ 最高なんだけど…
  248. 静海 このは: ふふっ
  249. 静海 このは: …あら?
  250. 遊佐 葉月: どうしたの?
  251. 静海 このは: 見たことない花が咲いてる
  252. 遊佐 葉月: ホントだ… アタシも初めて見る
  253. 静海 このは: 可愛いわね…
  254. 遊佐 葉月: 写真撮っておけば?
  255. 静海 このは: 写真? どうして?
  256. 遊佐 葉月: どうしてって… 気に入ったんでしょ?
  257. 遊佐 葉月: スマホのカメラで撮っておけば あとで見返せるよ
  258. 遊佐 葉月: お散歩の時に気になったものを 写真に撮る人もいるし
  259. 静海 このは: …お散歩しながら 写真を撮る…
  260. 静海 このは: なるほど… 趣味ってカンジがするわね
  261. 遊佐 葉月: でしょ? 撮ってみなよ
  262. 静海 このは: そうね
  263. パシャッ
  264. 静海 このは: …せっかくだし、ちゃんとした カメラを用意しようかしら
  265. 遊佐 葉月: いいじゃん 趣味ってカンジ!
  266. 静海 このは: いいものを買えば あやめの成長記録用にも…
  267. 静海 このは: あっ…
  268. 静海 このは: (また、やってしまった…)
  269. 静海 このは: (あやめ断ちするって 決めたんだから)
  270. 静海 このは: (なんでもあやめに 繋げないようにしないと…)
  271. 遊佐 葉月: あはは… 色々用途があるのはいいことだよ
  272. 静海 このは: 趣味用よ、趣味用…!
  273. 遊佐 葉月: わかってるって
  274. 静海 このは: これもあやめのため… 頑張らないといけないのよね…!
  275.  
  276.  
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  278. 三栗 あやめ: いただきます!
  279. 静海 このは: あっ、ちょっと待って!
  280. 静海 このは: 食べる前に 写真を撮っておきたいの
  281. 三栗 あやめ: えっ、今日も?
  282. 三栗 あやめ: 最近、このは ずっとカメラ持ってんね
  283. 遊佐 葉月: 楽しそうでいいでしょ?
  284. 三栗 あやめ: そーだね!
  285. パシャッ
  286. 三栗 あやめ: ん? いま、あちし撮った?
  287. 静海 このは: ――っ!?
  288. 静海 このは: (あっ… 笑顔が可愛かったからつい…)
  289. 三栗 あやめ: 撮るなら撮るって言ってよ! ポーズ決めるからさ
  290. 遊佐 葉月: はいはい あやめを撮るのは後にして
  291. 遊佐 葉月: 撮らないなら食べちゃうよ? 冷めちゃうし
  292. 静海 このは: ごめんなさい… もう1枚だけ…!
  293. パシャッ
  294. 静海 このは: …うん、きれいに撮れたわ
  295. 三栗 あやめ: じゃあ、改めて いただきまーす!
  296. 遊佐 葉月: いただきます
  297. 三栗 あやめ: ねぇねぇ、 ちょっと相談なんだけどさ
  298. 三栗 あやめ: 着替えの予備って必要だと思う?
  299. 静海 このは: 着替え…?
  300. 三栗 あやめ: フェリシアが『持ってけ』って やちよに言われたんだって
  301. 遊佐 葉月: ああ、合宿の準備のことか もう明日だもんね
  302. 静海 このは: (明日…)
  303. 遊佐 葉月: うーん… 1泊だしなくてもいいと思うよ
  304. 静海 このは: (いえ、必要でしょう…)
  305. 静海 このは: (もし、ケンカでもして 服を汚してしまったら…)
  306. 静海 このは: (って…ダメダメ…ここは あやめの自立のために我慢)
  307. 三栗 あやめ: このははどう思う?
  308. 静海 このは: (我慢…我慢…我慢よ…)
  309. 静海 このは: (せめて1着… できれば3着予備を…)
  310. 三栗 あやめ: …このは? おーい、このは?
  311. 静海 このは: (あやめに呼ばれている 幻聴まで聞こえてきた…)
  312. 静海 このは: (我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢 我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢)
  313. 三栗 あやめ: …ねぇ、葉月 このはなんか変だよ…
  314. 遊佐 葉月: …疲れて眠いのかもね
  315. 三栗 あやめ: えっ、これ寝てんの!? 寝てないよね!?ご飯中だよ?
  316. 遊佐 葉月: それより、やっぱり1着くらい 予備があってもいいかも
  317. 三栗 あやめ: そう…? じゃあ、後で入れとこっと
  318. 静海 このは: (写真のデータ整理に集中… データ整理に集中するのよ…)
  319. 遊佐 葉月: (このは… 頑張ってこらえてる)
  320. 遊佐 葉月: (でも、あやめを気にしてるの バレバレなんだよね…)
  321. 三栗 あやめ: マンガよし!ゲームよしっ! お菓子とおこづかいもよし!!
  322. 静海 このは: (遊ぶものばっかり…)
  323. 静海 このは: (夕食の時に話してた 着替えはちゃんと入れたの…?)
  324. 三栗 あやめ: …ん?このは? 何か用?
  325. 静海 このは: (ダメダメ… 干渉しないって決めたじゃない)
  326. 三栗 あやめ: …うーん …なんか変
  327. 三栗 あやめ: …………
  328. 三栗 あやめ: とりあえず、着替えも入れたし 準備は終わりだな
  329. 静海 このは: (あやめ…歯ブラシ 歯ブラシ入れてないわ…)
  330. 静海 このは: (床に置いたままになってる)
  331. 静海 このは: (でも、ここで私が言ったら あやめのためにならない…)
  332. 静海 このは: (自分で気付くのよ…!)
  333. 三栗 あやめ: ねぇ、このは
  334. 静海 このは: ――っ!?
  335. 静海 このは: ど、どうしたの?
  336. 三栗 あやめ: 最近なんか変だけど 大丈夫?
  337. 静海 このは: そんなことないと思うけど…
  338. 三栗 あやめ: そうかな…
  339. 三栗 あやめ: あちし、 いつものこのはが好きだよ
  340. 三栗 あやめ: だから、いつものこのはでいてね
  341. 静海 このは: (いつもの私が好き…)
  342. 三栗 あやめ: って、いっけねぇ 歯ブラシ落ちてるじゃん!
  343. ゴソゴソ…
  344. 三栗 あやめ: 今度こそよし!
  345. 三栗 あやめ: じゃあ、 このはも葉月もおやすみ!
  346. 遊佐 葉月: はーい、おやすみ
  347. 静海 このは: …ええ
  348. このは&葉月: …………
  349. 静海 このは: 嬉しいけど…ダメ… ダメなのよ…ダメ…よね…?
  350. 遊佐 葉月: (あやめは、干渉されることを 嫌がってないし)
  351. 遊佐 葉月: (このはは、あやめ離れに 苦しんでる…)
  352. 遊佐 葉月: (…距離感を覚えた方が ふたりのためだと思ったけど)
  353. 遊佐 葉月: (アタシが間違ってたのかな…)
  354. このは&葉月: …はぁ…
  355. 静海 このは: …………
  356. 静海 このは: (す、少しだけ…)
  357. 静海 このは: (あやめもいつもの私がいいって 言ってたし、少しだけ…!)
  358.  
  359.  
  360. 335032-2
  361. 三栗 あやめ: じゃあ、いってきまーす!
  362. 遊佐 葉月: かこちゃんのお家の人に 挨拶忘れないでね
  363. 三栗 あやめ: ダイジョーブ! お菓子もちゃんと持ったよ!
  364. 遊佐 葉月: よしっ! 気を付けていってらっしゃい
  365. 静海 このは: …いってらっしゃい
  366. 静海 このは: …………
  367. 静海 このは: …私も出かけて来るわ 今日も写真を撮らないと…
  368. 遊佐 葉月: ちょっと待って
  369. 静海 このは: …何?
  370. 遊佐 葉月: まさかと思うけど…
  371. 遊佐 葉月: あやめの 後を付けたりしないよね?
  372. 静海 このは: …………
  373. 静海 このは: …まさか
  374. 遊佐 葉月: いまの間は何?
  375. 静海 このは: お散歩しながら写真を撮るだけよ 最近の日課だから…
  376. 遊佐 葉月: ふーん… アタシも一緒に行ってもいい?
  377. 静海 このは: …ええ
  378. 三栗 あやめ: こんにちはー!
  379. こんにちは、あやめちゃん 今日も元気ね
  380. 三栗 あやめ: 今日は合宿だからね!
  381. 遊佐 葉月: ―葉月― …このは
  382. 静海 このは: ―このは― 偶然よ、偶然…
  383. 静海 このは: ―このは― 気の向くまま歩いていたら たまたまあやめがいただけ
  384. 遊佐 葉月: ―葉月― …………
  385. 三栗 あやめ: おっ、何だこれ? 牛っぽい石…?
  386. 三栗 あやめ: フェリシアに 自慢してやろーっと!
  387. 遊佐 葉月: ―葉月― …ねぇ
  388. 静海 このは: ―このは― こっちに 撮りたいものがあったのよ
  389. 遊佐 葉月: ―葉月― …その割に シャッター切ってないよね
  390. お嬢ちゃん
  391. 三栗 あやめ: …あちしのこと?
  392. 静海 このは: ――っ!?
  393. 静海 このは: ふ、不審者!!
  394. 遊佐 葉月: ちょっと待って まだわからないから…!
  395. 静海 このは: でも、 誘拐犯かもしれないわ…!
  396. 静海 このは: あやめは可愛いから 目をつけられても不思議じゃない
  397. 遊佐 葉月: 話が飛躍し過ぎだよ…!
  398. この指人形、落としてない?
  399. 三栗 あやめ: あっ、カコ!
  400. 三栗 あやめ: ありがとっ!
  401. 遊佐 葉月: ほら…心配し過ぎだって…
  402. 静海 このは: …いまのは早とちりだったけど わからないじゃない…
  403. 静海 このは: (それに…あやめだって いつもの私が好きって…)
  404. 静海 このは: (だから…少しだけ もう少し見守るだけ…)
  405. 静海 このは: さぁ、追いかけるわよ
  406. 遊佐 葉月: …やっぱり、 あやめの後つけてるじゃん…
  407.  
  408.  
  409. 335032-3
  410. 三栗 あやめ: あちしさぁ、さっき すんごいいいもの拾ったんだ
  411. 三栗 あやめ: 見たい?
  412. 夏目 かこ: すんごいいいもの…?
  413. フェリシア: とか言って… どーせ、またガラクタだろ?
  414. 三栗 あやめ: あっ、言ったな!
  415. 三栗 あやめ: もうフェリシアには 見せてやんねー!
  416. フェリシア: 別にガラクタに きょーみないからな
  417. 夏目 かこ: もう、ふたりとも 会ってすぐケンカしないで…
  418. 三栗 あやめ: ふっふーん! それよりかこ、この石見てよ
  419. 夏目 かこ: 石…?
  420. 夏目 かこ: わぁっ、牛さんみたい…! あやめちゃん、よく見つけたね
  421. 三栗 あやめ: でしょでしょ?
  422. フェリシア: う、牛!? オレも見たい!
  423. 三栗 あやめ: フェリシアは ガラクタには興味ねぇーんだろ?
  424. フェリシア: ぐっ… そ、そうだぞ…!
  425. 夏目 かこ: …でも あやめちゃん、本当は…
  426. 夏目 かこ: フェリシアちゃんに見せたくて 拾って来たんでしょう?
  427. 三栗 あやめ: …………まぁね…
  428. 夏目 かこ: フェリシアちゃんだって 本当は見たいんだよね?
  429. フェリシア: …オレが悪かったよ、ごめん 謝るから見せてくれ
  430. 三栗 あやめ: 仕方ないなぁ… ほら!
  431. フェリシア: うぉおおっ!! マジで牛だ!すげー!
  432. 三栗 あやめ: ふふーん! すんごいいいものでしょ?
  433. 夏目 かこ: ふふっ
  434. 静海 このは: …………楽しそうね…
  435. 静海 このは: (家にいる時とは また違った笑顔だわ…)
  436. 遊佐 葉月: そりゃあ、仲の良い友だちと 遊んでるんだからね
  437. 遊佐 葉月: 大丈夫そうだし そろそろ帰らない?
  438. 静海 このは: …………
  439. 静海 このは: (院長先生…私は… 先生にお世話係を頼まれて…)
  440. 静海 このは: (…わかってるわ)
  441. 静海 このは: (私は、あやめのお姉さんだけど 親じゃない…)
  442. 静海 このは: (心配し過ぎるのも 干渉し過ぎるのもよくない…)
  443. 静海 このは: (でも… 心配なものは心配なのよ…!)
  444. 三栗 あやめ: …ん?
  445. フェリシア: どうした?
  446. 三栗 あやめ: なんか…見られてる気がする…
  447. 夏目 かこ: えっ…!? 不審者だったらどうしよう…
  448. 遊佐 葉月: ――っ!?
  449. 遊佐 葉月: バレたかも…!
  450. 遊佐 葉月: もう行こう、このは!
  451. 静海 このは: …わかったわ…
  452. 静海 このは: …………
  453. 遊佐 葉月: …………
  454. 遊佐 葉月: あー、その… あんまり落ち込まないでよ
  455. 遊佐 葉月: あやめが友だちと うまくやってるのはいいことだし
  456. 静海 このは: …………
  457. 遊佐 葉月: …無理矢理引っ張ってきたのは アタシが悪かったけどさ…
  458. 静海 このは: 葉月
  459. 遊佐 葉月: はい…!
  460. 静海 このは: 私、今度こそ “あやめ断ち”をするわ!
  461. 遊佐 葉月: …………
  462. 遊佐 葉月: はっ…?
  463. 遊佐 葉月: えっ、ちょっと! どこ行くつもり!?
  464.  
  465.  
  466. 335032-4
  467. 静海 このは: 突然申し訳ありません…
  468. 静海 このは: 修行をさせて いただきたいのですが…!
  469. 水徳寺の住職: …う、うむ? 修行ですかな…?
  470. 静海 このは: はい!
  471. 水徳寺の住職: …若いお嬢さんが珍しいのぅ
  472. 水徳寺の住職: 仏門に入りたいということで よろしいか?
  473. 静海 このは: いえ… あやめ断ちをしたいんです…!
  474. 水徳寺の住職: あやめ…なんですと?
  475. 遊佐 葉月: ――っ!?
  476. 遊佐 葉月: (な、何やってんのぉー!?)
  477. 静海 このは: 煩悩を消したいんです…!
  478. 静海 このは: 私、あやめ…妹のやることに 干渉し過ぎてしまうんです…
  479. 静海 このは: いつも、妹のことが 気になってしまって…
  480. 静海 このは: このままだとその子のためにも ならないんじゃないかって思って
  481. 静海 このは: だから、修行をしてあやめ… 妹断ちをしたいんです…!
  482. 水徳寺の住職: …ふむ
  483. 静海 このは: お願いします…!
  484. 遊佐 葉月: ちょ、ちょっとこのは! いきなり何やってんの!
  485. 静海 このは: だって、もうこれしかないわ!
  486. 遊佐 葉月: いや、突拍子がなさすぎるよ…!
  487. 遊佐 葉月: それに迷惑だから!
  488. 遊佐 葉月: (アタシのせいかな…?)
  489. 遊佐 葉月: (このはが、あやめのことを 心配するのは仕方ないこと…)
  490. 遊佐 葉月: (なのに、アタシが 干渉し過ぎるなって…)
  491. 遊佐 葉月: (無理にやめさせようとして 苦しめたから…)
  492. 遊佐 葉月: (こんなことに…!)
  493. 遊佐 葉月: 住職さん… 申し訳ありません
  494. 遊佐 葉月: ちゃんと説得して 連れて帰りますので…!
  495. 水徳寺の住職: …………
  496. 水徳寺の住職: いや、 これも仏の縁というもの…
  497. 水徳寺の住職: 普段はやっておらんのだが…
  498. 水徳寺の住職: 体験という形で 坐禅でも組んでみますか?
  499. 遊佐 葉月: …えっ、いいんですか?
  500. 水徳寺の住職: 頼っていただいたのに 無下にもできますまい
  501. 静海 このは: ぜひ、お願いします!
  502. 水徳寺の住職: ははっ、熱心でよろしい
  503. 水徳寺の住職: お嬢さんはどうなさいますかな?
  504. 遊佐 葉月: アタシは…
  505. 水徳寺の住職: 心に迷いがあるなら…
  506. 水徳寺の住職: 自分を見つめ直す機会にも なりましょう
  507. 遊佐 葉月: …………
  508. 遊佐 葉月: よろしくお願いします…
  509. 水徳寺の住職: うむ…
  510. 遊佐 葉月: うーん…これでいい …はずなんだけどなぁ…
  511.  
  512.  
  513. 335033-1
  514. 静海 このは: …………
  515. 遊佐 葉月: …………
  516. 静海 このは: ………… …………
  517. 静海 このは: ………… …………
  518. 静海 このは: ………… …………
  519. 静海 このは: (ダメよ…あやめのことばかり… 思い浮かべないようにしなきゃ)
  520. スッ…
  521. 静海 このは: (あっ…警策…)
  522. パシーーーン…
  523. スッ…
  524. 静海 このは: …………
  525. 遊佐 葉月: ………… …………
  526. 静海 このは: (葉月はずっと集中してる…)
  527. 静海 このは: (葉月も私も 育ってきた環境は同じ…)
  528. 静海 このは: (なのに、どうして私ばかり こんなに心配症なのかしら…)
  529. 静海 このは: (…また雑念が…)
  530. 水徳寺の住職: 坐禅を組む中で 様々な思いが浮かぶでしょう
  531. 静海 このは: それを消せばいいんですね?
  532. 水徳寺の住職: いえいえ…
  533. 水徳寺の住職: 浮かぶものを消そうとするのも また無心とは言えぬこと…
  534. 水徳寺の住職: 浮かぶものは浮かぶままに なさるがよろしい
  535. 水徳寺の住職: 身と息が整えば おのずと心も整うものです
  536. 静海 このは: …?
  537. 静海 このは: (浮かぶものは浮かぶまま…)
  538. 静海 このは: …あやめ
  539. 静海 このは: 葉月…
  540. 静海 このは: ふたりとも 私の大切な家族…
  541. 静海 このは: つつじの家で出会って姉妹になった 血は繋がらなくても それ以上のもので繋がっている私の妹たち…
  542. 静海 このは: 互いを頼りに生きてきた 家族で仲間…
  543. 静海 このは: それは確かなこと…
  544. 静海 このは: それは葉月もあやめも同じはず…
  545. 静海 このは: 同じはずなのに… 自分でもどうしてここまで 心配してしまうのかわからない…
  546. 静海 このは: 家族なんだから当たり前… そう片付けてしまいたいけど… きっとそれだけじゃない…
  547. 静海 このは: その奥に まだ私自身が自覚していない理由がある そんな気がしている…
  548. 静海 このは: …突然押しかけたのに ありがとうございました
  549. 水徳寺の住職: なんのなんの、 助けになったのなら何よりじゃ
  550. 静海 このは: あの、ご迷惑でなければ お礼をしたいのですが…
  551. 静海 このは: えっと…お掃除とか
  552. 遊佐 葉月: あっ、アタシも…
  553. 水徳寺の住職: それはありがたい お願いしましょうかな
  554. サッサッ…
  555. 遊佐 葉月: ねぇ、このは…
  556. 遊佐 葉月: アタシ、坐禅を体験して 思ったんだけど…
  557. 遊佐 葉月: やっぱり、家族を心配するのって 普通のことだよね…
  558. 静海 このは: …………
  559. 遊佐 葉月: だからさ…いままで通りの このはでいてよ…
  560. 遊佐 葉月: アタシが間違ってた …ごめん
  561. 静海 このは: 謝る必要はないわ…
  562. 静海 このは: 私も坐禅を体験させてもらって 思ったの…
  563. 静海 このは: やっぱり私は… 心配し過ぎなんだって…
  564. 遊佐 葉月: …でも…
  565. 静海 このは: …………
  566. 遊佐 葉月: …………
  567. うぅ…ぐすっ… お父さん…お母さん…
  568. 静海 このは: …ん?
  569. 遊佐 葉月: …納骨に来たみたいだね
  570. 静海 このは: …………
  571. 「社長に続いて 奥さんまで亡くなってしまうなんてなぁ…」
  572. 「あの子どうするのよ… 引き取ってくれる親族もいないんでしょ?」
  573. 「社長の娘とはいえ… 元社員が面倒を見る義理はないだろ 施設に行くんだろうな」
  574. 静海 このは: 『お前が生まれるまでは 何もかもが上手くいっていた』 それが死んだ父の口癖だった…
  575. 静海 このは: 温かな家庭ではなかった…と思う 恵まれた環境かと聞かれたら頷けない
  576. 静海 このは: それでも私を生んだ父と母は 家族だった…
  577. 静海 このは: 頼っていい存在… 私が居ていい場所だった
  578. 院長: あなたが静海このはさんね! ようこそ、つつじの家へ!
  579. 静海 このは: 引き取られた先で 私は家族の温かさを知った
  580. 静海 このは: その大切な場所も… もう戻れないところになってしまった
  581. 静海 このは: 温かさを教えてくれた人ももういない
  582. 静海 このは: 私の家族… そして居場所は…
  583. 静海 このは: …………
  584. 静海 このは: (そっか…そうね… 簡単なことだったわ…)
  585.  
  586.  
  587. 335033-2
  588. 静海 このは: (そっか…そうね… 簡単なことだったわ…)
  589. 静海 このは: (私は… 居場所を失うのが怖かった)
  590. 静海 このは: (またひとりになってしまうのが 怖かった…)
  591. 静海 このは: (だから、家族に… 葉月とあやめにしがみついた)
  592. 静海 このは: (あの子たちが いなくなってしまわないように)
  593. 静海 このは: (私から離れて いってしまわないように…)
  594. 静海 このは: (私には… ふたりしかいないから…)
  595. 静海 このは: (でも…)
  596. フェリシア: うぉおおっ!! マジで牛だ!すげー!
  597. 三栗 あやめ: ふふーん! すんごいいいものでしょ?
  598. 夏目 かこ: ふふっ
  599. 静海 このは: (ふたりは違う)
  600. 静海 このは: (外で友人を作って 家族以外の居場所も見つけた…)
  601. 静海 このは: (怖いからって)
  602. 静海 このは: (もう、家族だけに しがみついてはいられないのね)
  603. 静海 このは: (私のためにも… 何よりふたりのためにも…)
  604. 静海 このは: …このは、大丈夫 ええ、大丈夫よ…
  605. 静海 このは: (いまこそ… 自分を変えないといけない)
  606. 静海 このは: ねぇ、葉月
  607. 静海 このは: やっぱり、私… あやめに干渉するのはやめるわ
  608. 遊佐 葉月: …………
  609. 静海 このは: …喜んでくれないの?
  610. 遊佐 葉月: …そんなことないよ
  611. 静海 このは: じゃあ、応援しててね
  612. 遊佐 葉月: …うん
  613. 静海 このは: さて、お掃除終わったって 住職さんに報告しましょう
  614. 遊佐 葉月: …………
  615. 遊佐 葉月: アタシも気付いたんだよ
  616. 遊佐 葉月: アタシは心配性なこのはに 安心してたんだ…
  617. 遊佐 葉月: 血の繋がらないアタシたち姉妹を繋ぐものは 共有してきた時間、経験… そして、互いを想う心…
  618. 遊佐 葉月: このはの心配性は 世間一般から見れば少し行き過ぎている
  619. 遊佐 葉月: でも、このはが変わろうとして 気付いてしまった
  620. 遊佐 葉月: “干渉し過ぎだ”って言いながら アタシは、そこにアタシたちの絆を見ていた
  621. 遊佐 葉月: “家族なんだから心配するのは当たり前”
  622. 遊佐 葉月: アタシはこのはが心配してくれることに 甘えて安心していたんだ…
  623. 遊佐 葉月: それが…その心配こそが 3人が家族である証だから…
  624. 遊佐 葉月: でも、今更…言えないよね…
  625. このは&葉月: ただいま…
  626. 三栗 あやめ: あっ、おかえり!
  627. 静海 このは: えっ…!? あやめ!?
  628. 遊佐 葉月: …合宿じゃなかったの?
  629.  
  630.  
  631. 335033-3
  632. このは&葉月: ただいま…
  633. 三栗 あやめ: あっ、おかえり!
  634. 静海 このは: えっ…!? あやめ!?
  635. 遊佐 葉月: …合宿じゃなかったの?
  636. 三栗 あやめ: 合宿だよ
  637. 三栗 あやめ: でも、その前に 忘れてたことがあってさ
  638. 静海 このは: …忘れものがあったの?
  639. 三栗 あやめ: そっ! はいコレ!
  640. 静海 このは: …コレは
  641. 遊佐 葉月: 指人形?
  642. 三栗 あやめ: うん! アヤメだよ
  643. 三栗 あやめ: 寂しかったら コイツをあちしだと思ってね!
  644. このは&葉月: …………
  645. 静海 このは: (あやめ…)
  646. 静海 このは: (周りの人に気を配れるし 自分で自分のことを決められる)
  647. 静海 このは: (ずっと私たちが支えてきたと 思ってたけど…)
  648. 静海 このは: (もう必要ないのね…)
  649. 静海 このは: ありがとう…
  650. 三栗 あやめ: えっ!? このは、いつもと違くない!?
  651. 静海 このは: そ、そう…?
  652. 三栗 あやめ: うん、最近変だよ
  653. 静海 このは: そんなことないわ…
  654. 三栗 あやめ: …あちし、かこん家に もう行くけど大丈夫?
  655. 静海 このは: …ええ
  656. 静海 このは: (我慢…我慢よ…)
  657. 三栗 あやめ: じゃあ、いってくるね
  658. 静海 このは: いってらっしゃい 気を付けてね…
  659. 静海 このは: ご飯の時に、ケンカして
  660. 静海 このは: かこさんたちに 迷惑かけないようにするのよ
  661. 静海 このは: それと…あっ
  662. 静海 このは: (つい、また…)
  663. 三栗 あやめ: それと?
  664. 静海 このは: …寝る前に歯を磨くこと 夜更かしもし過ぎないで
  665. 静海 このは: まくら投げとかして 暴れるのもダメよ
  666. 静海 このは: 朝はちゃんと起きて お布団はちゃんとたたむこと
  667. 静海 このは: それから…
  668. 三栗 あやめ: あははっ! やっといつもこのはだ!
  669. 静海 このは: …………
  670. 遊佐 葉月: あはは… 元通りだね
  671. 遊佐 葉月: うん…元のこのはだ…
  672.  
  673.  
  674. 335033-4
  675. 静海 このは: ご迷惑おかけしますが どうぞよろしくお願いします
  676. 遊佐 葉月: よろしくお願いします
  677. かこの父: こちらこそ 責任を持ってお預かりします
  678. フェリシア: こういうの過保護 っていうんだろ?
  679. 三栗 あやめ: 悪いかよっ!
  680. フェリシア: 悪いとは言ってねぇーだろ!
  681. 夏目 かこ: もうっ…
  682. 夏目 かこ: でも、やちよさんからも お電話あったって聞いたよ
  683. フェリシア: げっ、マジかよ…
  684. 三栗 あやめ: フェリシアんとこも 過保護じゃん!
  685. フェリシア: あー!うるせー!!
  686. 遊佐 葉月: じゃあね、あやめ アタシたちは帰るから楽しんで
  687. 静海 このは: 楽しむのはいいけど… 羽目を外したらダメよ
  688. 三栗 あやめ: わかってるって! じゃーねっ!
  689. 遊佐 葉月: かこちゃんの家まで付いてくとか アタシも過保護かなぁ…
  690. 静海 このは: そうね… 私も葉月も過保護かも…
  691. 遊佐 葉月: まぁ、悪いことではない …っていまは思うよ
  692. 静海 このは: …………
  693. 静海 このは: でもね、ずっと同じでは いられないこともわかったわ
  694. 遊佐 葉月: えっ…?
  695. 静海 このは: 私たちはこれから どんどん大人になっていく…
  696. 静海 このは: 子どものままじゃないの
  697. 遊佐 葉月: …そうだね
  698. 静海 このは: それって…
  699. 静海 このは: 自分の意志で“どうしたいか”を 決められるってことなんだと思う
  700. 遊佐 葉月: …………
  701. 静海 このは: 自分のことは自分で対処できる 年齢になってしまったのね…
  702. 静海 このは: 葉月も…あやめも
  703. 遊佐 葉月: …うん
  704. 静海 このは: だからね ふたりの世話係は卒業
  705. 遊佐 葉月: …そっか
  706. 遊佐 葉月: …………うん
  707. 静海 このは: どうしたの?
  708. 遊佐 葉月: 嬉しいんだけどさ…
  709. 遊佐 葉月: でも、やっぱり寂しいかも…
  710. 遊佐 葉月: あはは… アタシってワガママだね
  711. 遊佐 葉月: 自分でもちょっと意外…
  712. 静海 このは: いいわよ 甘えても
  713. 遊佐 葉月: えっ…
  714. 静海 このは: お世話係は卒業だけど 家族なのは変わらないわ
  715. 静海 このは: 私はずっとふたりの… 葉月たちのお姉さんだから
  716. 静海 このは: 甘えたい時は甘えなさい
  717. 遊佐 葉月: …………はぁ… お姉ちゃんには敵わないなぁ…
  718. 静海 このは: ふふふ
  719. 遊佐 葉月: このは、 いつもありがとう
  720. 遊佐 葉月: それと… これからもよろしく
  721. 静海 このは: うん
  722. 静海 このは: 葉月とあやめは、 私が最後まで守り抜くわ…!
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