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Little Bird's Star JP Text

Mar 28th, 2022 (edited)
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  1. FILENAME: text_516010-0.txt
  2. 黒江: あの日、私は神浜市に向かっていた
  3. 黒江: ある噂を確かめるために…
  4. 黒江: (“神浜市に行けば 魔法少女は救われる”、か…)
  5. 黒江: (神浜市では、いったい 何が起きてるんだろう…)
  6. 黒江: …ふぅ
  7. 黒江: (少し緊張する…)
  8. 黒江: ――っ!?
  9. 黒江: 魔女の反応… どこで…!?
  10. いろは: くっ…! 全然当たらない…!?
  11. 黒江: 電車の外に結界が…!?
  12. 黒江: (あ…もう誰か戦ってる…)
  13. 黒江: …………
  14. 黒江: 見殺しにはできない…
  15. 黒江: 怖いけど… 助けないと…!
  16. 黒江: (あそこの窓から飛び降りれば 結界に入れそう…!)
  17. ガラッ
  18. 黒江: っ…………
  19. 黒江: (やっぱり、怖い…)
  20. グラッ…!
  21. 黒江: あ…! 落ちる…!!
  22. 黒江: あ…!
  23. ドサッ
  24. 黒江: いっ、たぁ…
  25. 黒江: …………あ…
  26. 黒江: (魔女の反応が… どんどん遠くなっていく…)
  27. 黒江: (…私、ホッとしてる…)
  28. 黒江: …………最低だ…
  29. 黒江: 逃げるつもりはなかったけど… きっと私が行っても あそこにいた魔法少女を助けるなんて できなかったと思う
  30. 黒江: そもそも誰かを助けられるくらい 私が魔法少女として強かったなら “神浜市に行けば、魔法少女は救われる” なんて噂を確かめる必要はなかったし…
  31. 黒江: …私、本当に救われるのかな…
  32.  
  33. (from the opening sequence images)
  34. 「魔法少女になんてなるんじゃなかった。
  35. 願いなんて、叶わなければよかった・・・」
  36. Little Bird's Star
  37.  
  38.  
  39. FILENAME: text_516010-1_GKU3X.txt
  40. みんな: …す、すみませんでした…
  41. 白羽根: 調整屋から荷物を運ぶ途中で 尾行されるなんて…
  42. 白羽根: マギウスの翼の訓練は 何度か受けているはずよね?
  43. 黒江: 一応…
  44. 白羽根: フェントホープの場所が バレたらまずいことになるわ
  45. 白羽根: 今後はくれぐれも注意しなさい
  46. 黒江: はい… 失礼します…
  47. 黒羽根: 怒られちゃったね…
  48. 黒江: 少し訓練したくらいで
  49. 黒江: 白羽根の人みたいに、 うまく戦えるはずないのに…
  50. 黒羽根: それくらいできてたら マギウスの翼に入ってないしね…
  51. 黒羽根: これでうわさを守れって 指示されでもしたら
  52. 黒羽根: とてもじゃないけど無理だよ…
  53. 黒羽根: 相手は“七海やちよ”かも しれないもんね…
  54. 黒江: 誰だっけ…
  55. 黒羽根: みふゆさんとも渡り合える 大ベテランの魔法少女だよ
  56. 黒羽根: うわさを消して回ってるって この間、話題になったじゃん!
  57. 黒江: あ、あぁ…あの人か…
  58. 黒羽根: 住む世界が違うよねえ
  59. 黒江: 私たちみたいな弱い魔法少女が いることなんて、知らなさそう
  60. 黒羽根: 言えてる…
  61. 黒羽根: 私なんか、みふゆさんに 誘ってもらってなかったら
  62. 黒羽根: いまごろ魔女になってたと思う…
  63. 黒羽根: 私もだよ…
  64. 黒江: …私もマギウスの翼に入ったのは 梓さんがきっかけ
  65. 黒江: 「神浜市に行けば、魔法少女は救われる」
  66. 黒江: って噂を確かめに来たら 偶然会ったんだ…
  67. ドサッ
  68. 黒江: いっ、たぁ…
  69. 黒江: …………あ…
  70. 黒江: (魔女の反応が… どんどん遠くなっていく…)
  71. 黒江: (…私、ホッとしてる…)
  72. 黒江: …………最低だ…
  73. みふゆの声: 大丈夫ですか!?
  74. 黒江: ――っ!?
  75. みふゆ: 魔女の気配を追っていたら
  76. みふゆ: あなたが空から落ちてきたので 驚きましたよ…
  77. みふゆ: 魔法少女のようですが… ケガはありませんか?
  78. 黒江: あ…はい…
  79. 黒江: …あの、あなたは 神浜市の魔法少女…ですよね?
  80. みふゆ: ええ、そうですが…
  81. 黒江: 私、宝崎市から来たんです…
  82. 黒江: 神浜市に来れば、魔法少女は 救われるって噂を聞いて…
  83. みふゆ: …………!
  84. みふゆ: それならお話しましょう
  85. みふゆ: ワタシたち、マギウスの翼が 目指す魔法少女の解放について…
  86. 黒江: マギウスの翼に 誘ってもらえたのはよかったけど
  87. 黒江: 私たち、役に立ってるのかな…
  88. 黒羽根: ううん、全然だと思う…
  89. 黒羽根: せめて魔女と戦えるくらい 強かったらなぁ…
  90. 黒羽根: 私たちじゃ、魔女にやられてる 人を助けるどころか
  91. 黒羽根: 戦う魔法少女のサポートだって 無理だしね…
  92. 黒江: そうだね…
  93. みふゆの声: ちょっとねむ! 話は終わってませんよ!
  94. 黒江: …梓さん? それと…
  95. ねむ: 少し話せるかな?
  96. 黒羽根: …え、ねむ様…!?
  97. みふゆ: ワタシの話も少しは 聞いてください
  98. ねむ: いまはうわさのことが最優先だ 異論は認めないよ
  99. みふゆ: …………
  100. 黒江: あの…どうかしたんですか?
  101. ねむ: 君達に手伝ってほしいことが あって、お願いしに来たんだよ
  102. 黒江: 私たちじゃ役に立たないと 思いますけど…
  103. ねむ: 黒羽根の君達にしか できないことなんだ
  104. 黒羽根: 私でも役に立てるなら… 手伝わせてほしいです…!
  105. 黒羽根: 私も…!
  106. ねむ: 君はどうかな?
  107. 黒江: 自信は、ないですけど… 本当にやれることがあるなら…
  108. ねむ: 助かるよ
  109. ねむ: 詳しくは説明するけれど 君達にはうわさを調査してもらう
  110. みふゆ: …………
  111.  
  112. FILENAME: text_516010-2_GKU3X.txt
  113. ねむ: 調査してもらうのは 新しいうわさ
  114. ねむ: 「やっかみカワードのうわさ」だ
  115. 黒江: うわさは人間の感情エネルギーを 集めるものって聞きましたけど…
  116. 黒江: それ、大丈夫なんですか…? 人が死んじゃったりとか…
  117. ねむ: 「昔、境遇を嘆いて自死した者が 怨霊になって生者を呪った」
  118. ねむ: という都市伝説を うわさの元にしているから
  119. ねむ: 感情を発露した者は 呪いの影響で気絶するけれど
  120. ねむ: 命を奪われることはないよ
  121. 黒江: それなら…いい、のかな…
  122. ねむ: 君達、黒羽根には
  123. ねむ: うわさが内容通りに発生するか 調査してほしいんだ
  124. 黒羽根: 私たちだけで 務まるでしょうか…
  125. ねむ: うわさの出現場所が特殊だから 調査には僕も同行するよ
  126. みふゆ: …………
  127. ねむ: それじゃあ早速出かけよう
  128. みふゆ: …あの、みなさん どうか気をつけて
  129. 黒江: …? はい…
  130. ガヤガヤガヤ…
  131. 黒江: …………
  132. 黒江: (…こんな町中で 本当にうわさが出現するのかな)
  133. でさー、この間の配信 最後まで見ちゃったんだよね
  134. マジ!? 6時間くらいやってたのに!?
  135. あーあ、部活だるいなぁ…
  136. 仮病つかって休んじゃえば?
  137. 黒江: …………
  138. 黒江: (魔法少女になる前なら、私も こんな会話してたのかな…)
  139. 黒江: …………
  140. 黒江: …………
  141. 黒江: (…もう、思い出せないな…)
  142. ねむ: なかなかうわさの出現が 確認できないね…
  143. 黒江: すみません…
  144. ねむ: ふむ…学生が多い場所なら
  145. ねむ: うわさを出現させやすいと 思ったんだけれど
  146. ねむ: 僕の見当違いだったかな…
  147. 黒江: …………
  148. 黒江: (魔法少女になったのに 魔女とも戦えないどころか)
  149. 黒江: (ちょっとした任務も まともにこなせないなんて…)
  150. 黒江: やっぱり私たちが役に立つなんて 無理なんだ…
  151. 黒羽根: うん…
  152. 黒羽根: あの、ねむ様… すみません…
  153. 黒羽根: この後、習い事があるので 帰ってもいいですか…?
  154. 黒江: …………
  155. 黒羽根: 私も…家が遠いので
  156. 黒羽根: そろそろ神浜市を出ないと 親に心配されてしまいます…
  157. ねむ: そういうことなら構わないよ ご苦労さま
  158. 黒江: …………
  159. ねむ: 君はまだ大丈夫かな?
  160. 黒江: あ、はい…何もないですし 帰りが遅くなっても平気です
  161. 黒江: …………
  162. 黒江: (なんだ… 私が思ってるよりみんなは)
  163. 黒江: (魔法少女になっても 普通の生活を送れてるんだ…)
  164. 黒江: (私と一緒だと思ってたのに)
  165. 黒江: (普通でいられなくなったのは 私だけなのかも…)
  166. 黒江: …いいな、みんなは…
  167. ねむ: これは…!
  168. 黒羽根たち: きゃあああっ!!
  169. 黒江: ――っ!?
  170. 黒江: 何が起きたの…?
  171.  
  172. FILENAME: text_516010-3_GKU3X.txt
  173. 黒江: 何が起きたの…?
  174. ねむ: うわさの内容通り機能している
  175. ねむ: …成功だ
  176. 黒江: わ…!
  177. 黒江: …………あれ? 元に戻ってる…
  178. 黒江: …そうだ! あの子たちは…!?
  179. 黒江: だ、大丈夫…!? 何があったの…!?
  180. 黒羽根たち: …………
  181. 黒江: …気を失ってる…
  182. ねむ: 僕が他の羽根たちを 応援に呼ぶから
  183. ねむ: 君はここで彼女たちを 介抱してくれるかな
  184. 黒江: それは構わないですけど…
  185. 黒江: 一体何が起きたんですか? 私にはさっぱりで…
  186. ねむ: やっかみカワードのうわさが 出現したんだよ
  187. 黒江: さっきの気配が…?
  188. 黒江: じゃあこの子たちは… 呪いの影響で気絶しちゃった…?
  189. ねむ: そういうことになるね
  190. ねむ: 出現条件も問題ないようだし 周囲に与える影響も検証できた
  191. ねむ: 今日のところは 調査を完了にしよう
  192. 黒江: え、でも… 本当に問題ないんですか?
  193. 黒江: 何もしてないこの子たちが ウワサに襲われたのに…
  194. ねむ: 少し休めば回復するだろうし 大きな問題ではないよ
  195. ねむ: それに、黒羽根ふたりがしばらく 動けないとしても
  196. ねむ: 組織的な影響は微々たるものだよ
  197. 黒江: …はい…
  198. 黒江: (ただでさえ私たち黒羽根は 役に立ってないし…)
  199. ねむ: …そうだ、明日以降は 神浜市内をくまなく回って
  200. ねむ: 市内全域でうわさが出現するかを 調査しておいてほしい
  201. 黒江: …え、調査は完了って 言いませんでしたっけ…?
  202. ねむ: 今日のところは、 と言ったはずだよ
  203. 黒江: 無理ですよ…!
  204. 黒江: 私、うわさのことなんか 何もわからないのに…
  205. ねむ: 知識がなくても 調査には問題ないよ
  206. ねむ: それから、もし邪魔者が現れたら うわさを保護してほしい
  207. 黒羽根: これでうわさを守れって 指示されでもしたら
  208. 黒羽根: とてもじゃないけど無理だよ…
  209. 黒羽根: 相手は“七海やちよ”かも しれないもんね…
  210. 黒江: 冗談ですよね…?
  211. 黒江: 私、魔女を倒すのも怖いのに…
  212. 黒江: 他の魔法少女からうわさを 守り切れる自信なんてないです…
  213. ねむ: それでも、君には適性がある 問題ないよ
  214. 黒江: ええ…
  215. 黒江: (適性って何なの…?)
  216. ねむ: ただ、ひとりじゃ不安だろうから 白羽根たちを呼んでおくよ
  217. ねむ: 困ったことがあったら 頼るといい
  218. ねむ: それじゃ、僕は用事があるから 後のことは頼んだよ
  219. 黒江: あ…!?
  220. 黒江: …行っちゃった…
  221. 黒羽根たち: …………
  222. 黒江: はぁ…どうしよう
  223.  
  224. FILENAME: text_516010-4_GKU3X.txt
  225. <翌日>
  226. コンコン
  227. 黒江: あ、はい…
  228. 月咲: 失礼しまーす
  229. 月夜: ねむ様から
  230. 月夜: うわさを保護するお役目を 頼まれた黒羽根でございますね
  231. 黒江: はい… そうみたいです…
  232. 月咲: 今日からウチらが一緒だから 気になることがあれば相談してね
  233. 黒江: ありがとうございます…
  234. 月夜: …あまり気が乗らないで ございますか?
  235. 黒江: というより…わからないこと ばかりで混乱してて…
  236. 月咲: ほらほら!しっかりして!
  237. 月咲: ねむ様に託されたんだから お役目はしっかり果たそう!
  238. 黒江: うぅ…
  239. 月夜: 私たちがサポートするので 大丈夫でございますよ
  240. 黒江: …………はい…
  241. 黒江: (やっぱり白羽根の人は 自信があって頼もしいな…)
  242. 月咲: それで、うわさの調査には どこに行けばいいの?
  243. 黒江: えっと、私にもよく わからなくて…
  244. 黒江: 学生が多い場所のほうが うわさを出現させやすいって
  245. 黒江: 柊さんが話してたんですけど
  246. 黒江: 昨日うわさが出たのは ひと気のない場所だったし…
  247. 月咲: そうなんだ…?
  248. 月夜: 他に手がかりもないですし まずはねむ様の言う通り
  249. 月夜: 学校がある地域を中心に 調査するでございますよ
  250. 月咲: それがいいかもね
  251. 月咲: じゃ、しゅっぱーつ!
  252. 黒江: あ、はい…!
  253. ガヤガヤガヤ…
  254. 黒江: …………
  255. 月咲: どうだった?
  256. 黒江: うわさの出現は 確認できなかったです…
  257. 月夜: 学生が多い以外にも 何か条件があるのでしょうか…
  258. 月咲: まだわからないね…
  259. 月咲: ねぇ、昨日はほかに どの辺りを調査したの?
  260. 黒江: 栄区のこの辺りだけです…
  261. 月咲: じゃあ、他の場所にも 行ってみようよ!
  262. 月咲: 何かわかるかもしれないよ
  263. 黒江: そう、ですね…
  264. 黒江: …………
  265. 黒江: (本当に神浜市全域で あのうわさが出現するなら)
  266. 黒江: (危険じゃないのかな…)
  267. 黒江: (昨日の黒羽根のふたりも あんなことになっちゃったし…)
  268. 黒江: (間接的でも、私がみんなを 苦しめるみたいでイヤだな…)
  269. 月夜: 何か気になることがある でございますか?
  270. 黒江: あ、いえ… 行きましょうか…
  271. …………
  272. 黒江: あれ…? 人通りが少ない…?
  273. 月夜: この地域の学校は、自家用車や スクールバスでの登校が多いので
  274. 月夜: 人通りが少ないのでございます…
  275. 黒江: そうなんですね…
  276. 黒江: すみません、神浜市のこと まだあまりわかってなくて…
  277. 月咲: 神浜市外から来てるなら 仕方ないよ
  278. 月咲: 少し調べたら 次の場所に行ってみよう!
  279. 黒江: はい…
  280. 黒江: …あ
  281. うちの猫を捜してます 些細な情報でも構いません 電話してください
  282. 黒江: (迷い猫のポスター…)
  283. 黒江: (猫だったら、私でも 見つけられるのかな…)
  284. 月夜&月咲: ――っ!?
  285. 月夜: 大変でございます、月咲ちゃん!
  286. 月咲: うん、まずいよ月夜ちゃん…!
  287. 黒江: え、え…? どうかしたんですか…?
  288. 月咲: 七海やちよとその仲間たちが 近くにいるんだよ!
  289. 黒羽根: みふゆさんとも渡り合える 大ベテランの魔法少女だよ
  290. 黒羽根: うわさを消して回ってるって この間、話題になったじゃん!
  291. ねむ: それから、もし邪魔者が現れたら うわさを保護してほしい
  292. 黒江: 冗談ですよね…?
  293. 黒江: (うわさを消す、 あの七海やちよが…!?)
  294. 黒江: (どうしよう… 大変なことになっちゃった…)
  295. 月夜: 厄介なことになる前に 逃げるでございます!
  296. 黒江: は、はい…!
  297.  
  298. FILENAME: text_516010-5_GKU3X.txt
  299. 月夜: 急ぐでございますよ!
  300. 黒江: わ、わかってますけど…!
  301. 黒江: (これ以上 速く走れないよ…!)
  302. 黒江: あっ!
  303. 月咲: 大丈夫!?
  304. 黒江: いたた… 木の根っこに引っかかって…
  305. やちよの声: 追いついたわよ、笛姉妹…!
  306. 月咲: あ…
  307. 月夜: 七海やちよ…!
  308. 黒江: (あの人が…)
  309. やちよ: あなたたちに聞きたいことが 山ほどあるのよ
  310. いろは: お願いします 少しだけ時間をもらえませんか?
  311. 黒江: (…あ、電車で見た子…! 神浜市の魔法少女だったんだ…)
  312. いろは: 柊ねむちゃんのこと… 知っていたら教えてほしいんです
  313. 黒江: ――っ!?
  314. 月咲: 何を聞かれても 答える気なんてないよ!
  315. 月夜: それに私たちは忙しいので 邪魔しないでほしいでございます
  316. フェリシア: まーた悪だくみしてんのかよ
  317. 月夜: ち、違うでございますよ!
  318. 黒江: (隠しきれてない…)
  319. さな: 悪だくみじゃなかったとしても
  320. さな: マギウスの翼のやることなら 見過ごせません…
  321. 鶴乃: うん、 全力で止めさせてもらうよ!
  322. 月夜: 無礼なうえに暴力で解決なんて はしたないでございます…!
  323. 月咲: でも、そっちがその気なら…
  324. バッ!
  325. 月咲: 受けて立つよ!
  326. 黒江: (…いまのって、 私もやる場面だった…!?)
  327. バッ!
  328. 月咲: あれ、ローブ脱いじゃったの!?
  329. 黒江: 脱がなくて よかったんですか…!?
  330. 鶴乃: その隙もらったー!!
  331. 黒江: わわっ!?
  332. 月咲: ウチらも仕掛けよう!
  333. 月夜: はい、月咲ちゃん!
  334. ~~♪
  335. やちよ: あなたたちの狙いは読めてるわ!
  336. やちよ: 鶴乃、フェリシア!
  337. 鶴乃: 任せてししょー!
  338. 鶴乃&フェリシア: 「っちゃらあああ!」 「うおりゃあああ!」
  339. 月夜&月咲: 「きゃあああっ!?」
  340. 月咲: ―月咲― いったたぁ…
  341. 黒江: ―黒江― え、えぇぇ…!?
  342. 黒江: ―黒江― (白羽根のふたりがやられちゃってる…!?)
  343. 月夜: ―月夜― まずいことになったでございます…!
  344. 月咲: ―月咲― どうしよう… 大ピンチだよ…!
  345. 月夜: こうなったら… 取るべき策はひとつでございます
  346. 月咲: 撤退だね!
  347. 月夜: ねー!
  348. 月夜: さぁ、あなたも 行くでございますよ!
  349. 黒江: …………えっ!?
  350. 鶴乃: 逃がさないよ!
  351. 黒江: …………
  352. 黒江: (逃げ遅れちゃった…)
  353. やちよ: …さて、ひとまずあなたから 話を聞かせてもらうわよ
  354. 黒江: (七海やちよ…!)
  355. いろは: あの、柊ねむちゃんって子を 知りませんか…?
  356. 黒江: …知らない、わからない…
  357. やちよ: じゃあ北養区にいた目的は何?
  358. 黒江: …本当に何も知らないんです! 私は黒羽根で、下っ端だし…
  359. やちよ: 何も知らないのに 言われたことには従うの?
  360. やちよ: 意思はないの?
  361. 黒江: だって…私は…
  362. 黒江: (ただ救われたいだけだから…)
  363. 黒江: (私だって七海やちよみたいに もっと強い魔法少女だったら)
  364. 黒江: (マギウスの翼にだって 入ってない…)
  365. 黒江: 私なんかと次元が違う人に わかるわけないですよ…
  366. 黒江: ――っ!?
  367. 黒江: (何これ…私…!?)
  368. やちよ: 分身…!?
  369. やちよ: いえ、この気配は… ウワサ…!?
  370. やちよ: くっ…!
  371. いろは: 消えた…?
  372. やちよ: まさか黒羽根がウワサを 操れるなんてね…
  373. 黒江: ご、誤解です…! 私は何も知らなくて…!
  374. やちよ: 白々しいわね…
  375. 黒江: ほ…本当なんです…!
  376. 黒江: (私… どうなってしまったの…?)
  377.  
  378. FILENAME: text_516010-6_GKU3X.txt
  379. 鶴乃: ごめん、ししょー… 天音姉妹を逃がしちゃった…
  380. やちよ: そう…仕方ないわね…
  381. 鶴乃: 迷いがなかったし、意外と この辺りの地形に詳しいのかも?
  382. フェリシア: オレたちが最初に追いつけたのは コイツがどんくさかったからか?
  383. 黒江: う…
  384. 黒江: (私…白羽根のふたりの 足手まといになってたんだ…)
  385. 鶴乃: その子には、柊さんのことは 聞いてみたの?
  386. やちよ: それどころじゃないわ… ウワサを操って襲ってきたのよ
  387. 鶴乃: え!?
  388. 黒江: 違います…! 私は本当に何もしてません…
  389. いろは: …………
  390. いろは: やちよさん、これから どうしますか…?
  391. やちよ: …キャンセルするわけにも いかないし
  392. やちよ: 予定通り向かいましょう
  393. さな: この人はどうするんですか…?
  394. やちよ: とりあえず監視しつつ 私たちと行動してもらうわ
  395. 黒江: え…!?
  396. 鶴乃: ウワサのこともあるし 仕方ないね…
  397. フェリシア: だからってなんでコイツと キャンプすることになんだよ!
  398. フェリシア: オレはぜってーヤダ!
  399. やちよ: ひとまず同行させるだけだから 我慢しなさい
  400. 黒江: キャンプって…?
  401. いろは: あ、この先に新しく開業した キャンプ場があるんです
  402. いろは: やちよさんのマネージャーさんに 紹介してもらって
  403. いろは: 1泊2日で無料キャンプ体験を させてもらうんですよ
  404. 黒江: えっと…マネージャーって…?
  405. いろは: やちよさんは事務所に所属して モデルさんをやってるんです
  406. やちよ: 環さん… そこまで説明しなくていいわよ…
  407. 鶴乃: とうちゃーく!
  408. やちよ: オーナーに挨拶してくるから 環さんたちはここにいて
  409. いろは: わかりました
  410. 黒江: …………
  411. 黒江: えっと…天音さんたち… 私です…黒江です…
  412. 黒江: 聞こえたら返事してください…
  413. 黒江: …………
  414. 黒江: (ダメ、か…)
  415. いろは: …あの~…
  416. 黒江: ――っ!?
  417. いろは: …私、環いろはって言います お名前を教えてくれませんか?
  418. 黒江: …………言いたくない… 私に構わないで…
  419. いろは: あ…
  420. フェリシア: やな感じだな、オマエ!
  421. 鶴乃: フェリシアだって知らない人に 監視されたら怖いしイヤでしょ?
  422. 鶴乃: それと一緒だよ
  423. 黒江: …………
  424. いろは: …………あのっ
  425. いろは: よかったら 一緒にキャンプしませんか?
  426. 黒江: …え?
  427. さな: い、いろはさん… ちょっと急すぎるんじゃ…?
  428. いろは: あ、ごめんね…
  429. いろは: でも、同じ魔法少女だし 少しは打ち解けられたらって…
  430. 黒江: …………
  431. いろは: それに、キャンプは 普段の日常を忘れられる環境で
  432. いろは: 自分を見つめ直すのに いいらしいので
  433. いろは: マギウスの翼にいることを 考え直すきっかけになればなって
  434. いろは: マギウスの翼は 危険な組織だと思うから…
  435. 黒江: …あなたには関係ないでしょ
  436. いろは: …すみません… きっと事情があるんですよね…
  437. 黒江: …………
  438. やちよ: 戻ったわよ
  439. いろは: おかえりなさい、やちよさん
  440. やちよ: オーナーに許可をもらえたから
  441. やちよ: あなたには日帰りで、 キャンプ体験に参加してもらうわ
  442. 黒江: …え!?
  443. やちよ: このまま解放して、町中で ウワサを出されても困るもの
  444. やちよ: 事情を話すまでは 付き合ってもらうわよ
  445. いろは: あの…楽しんでもらえるように サポートしますね…!
  446. 黒江: (全然嬉しくない…)
  447.  
  448. FILENAME: text_516010-7_GKU3X.txt
  449. オーナー: みなさん、今日が初めての キャンプ体験だと伺いました
  450. オーナー: 山での過ごし方や オリエンテーションについて
  451. オーナー: 順に説明していきますね
  452. みんな: お願いします
  453. 黒江: …………
  454. 黒江: (私、何してるんだろ…)
  455. 月咲: あー!? いたー!
  456. 黒江: ――っ!?
  457. 月夜: 連絡がつかなかったので もしやと思い戻ってみれば…
  458. 月夜: 七海やちよたちに 捕まっていたのでございますね…
  459. 月咲: ごめん、ウチらが 置いていっちゃったから…
  460. 黒江: いえ…でも、助けてもらえると 嬉しいんですけど…
  461. 月咲: このまま挑んでも、今度は ウチらまで捕まっちゃうよ…
  462. 黒江: 確かにそうかも…
  463. 月咲: かと言って、すぐにはいい作戦が 思いつかないし…
  464. 月夜: 一度、戻って ねむ様に相談するでございますよ
  465. 月夜: ここは山奥で 電話も繋がらないでございますし
  466. 月咲: そうだね…
  467. 月咲: 不安だと思うけど待ってて! なるべく早く戻るから!
  468. 黒江: …わかりました…
  469. 黒江: …………
  470. 黒江: (白羽根の行動を 邪魔したくないし)
  471. 黒江: (余計なことはしないように 気をつけよう…)
  472. いろは: …あの、聞こえてました?
  473. 黒江: えっ!?
  474. フェリシア: ボーっとすんなよな
  475. 黒江: あ、うん…
  476. やちよ: …………
  477. いろは: あ、えっと…
  478. いろは: これからテントを張ったり 昼食の準備をしたりするので
  479. いろは: 手伝ってもらえませんか?
  480. 黒江: …どうして私が…
  481. 鶴乃: 働かざる者食うべからず!だよ!
  482. 黒江: …私、別に食べたいなんて 言ってない…
  483. ぐー
  484. 黒江: …………
  485. さな: えっと、いまの…
  486. フェリシア: オレもばっちり聞こえたぞ!
  487. いろは: その… せっかくのキャンプですし…!
  488. いろは: 少しだけで構わないので 手伝ってもらえませんか…?
  489. 黒江: …でも…………
  490. 黒江: (知り合いでもないのに 共同作業なんて気まずい…)
  491. いろは: …あ、すみません この状況じゃ気まずいですよね…
  492. いろは: …私とふたりで薪拾いに行くのも ダメですか…?
  493. 黒江: …………
  494. やちよ: …環さん、甘やかすのは あまり感心しないわ
  495. いろは: でも、もう少し話せるように 打ち解けたいですし…
  496. 黒江: …………
  497. 黒江: …わかった
  498. いろは: …………! ありがとうございます…!
  499. 黒江: (余計なことはしないつもり だったけど)
  500. 黒江: (この人とふたりきりなら 逃げるチャンスがあるかも…)
  501.  
  502. FILENAME: text_516010-8_GKU3X.txt
  503. いろは: …この辺で 薪を探しましょうか
  504. 黒江: …ふたりだけじゃ、たくさんは 拾えなさそうだけど…
  505. いろは: あ、大きい薪はもうあるので
  506. いろは: 火を起こすときの火種にするのに 乾いた小枝を拾うんです
  507. 黒江: …そうなんだ 詳しいんだね
  508. いろは: いえ、さっきオーナーさんが 話してた内容そのままですけど…
  509. 黒江: …………
  510. 黒江: (聞いてなかった…)
  511. いろは: えっと… とりあえず探しましょうか
  512. 黒江: …うん…
  513. いろは: …………
  514. いろは: …あの、まだお名前は 教えてもらえないですか…?
  515. 黒江: …………
  516. いろは: …す、すみません…
  517. 黒江: (どうしよう、 気まずい…)
  518. いろは: …………
  519. いろは: …こんなふうに小枝を拾うなんて 小学生以来かもしれません
  520. いろは: 懐かしい…
  521. 黒江: …………
  522. 黒江: (…適当に話したほうが 気まずさが紛れるし)
  523. 黒江: (隙も作れるかも…)
  524. 黒江: …私も、久しぶりだと思う…
  525. いろは: …………!
  526. 黒江: …あ、あそこに落ちてる枝 ちょうど良さそう…
  527. いろは: 私、拾ってきますね!
  528. 黒江: (よし…逃げるなら、いま…!)
  529. いろはの声: きゃあっ!?
  530. 黒江: ――っ!?
  531. いろは: と、取ってください!! 腕に毛虫…毛虫がっ…!
  532. 黒江: …………
  533. パシッ
  534. 黒江: …はい、落ちたよ
  535. いろは: …あ、ありがとうございます…
  536. いろは: すみません、取り乱しちゃって…
  537. 黒江: ううん… 私もびっくりすると思うし…
  538. いろは: うぅ…恥ずかしいです…
  539. 黒江: (七海やちよと違って、この子は 普通の子なんだ…)
  540. 黒江: …………
  541. 黒江: …私、黒江
  542. いろは: え…、あ…!
  543. いろは: 改めて… 私は環いろはです
  544. いろは: よろしくお願いします 黒江さん…!
  545. 黒江: (結局、逃げそびれた…)
  546. オーナー: おや、おかえりなさい いい薪を拾えたみたいですね
  547. いろは: はい、黒江さんのおかげで
  548. 黒江: …たまたまです…
  549. フェリシアの声: あーもう! なんでこのテント倒れんだよ!
  550. やちよ: おかしいわね… 説明書通りに組み立ててるのに…
  551. フェリシア: なら、そんなの読まずに シュババっと組み立てよーぜ!
  552. フェリシア: テントなんて釘をズガンって 打てばオーケーだろ!
  553. さな: ええ…そうなんでしょうか…?
  554. 鶴乃: もしかして、ししょーって 説明書とか苦手だったりする?
  555. やちよ: 違うわよ…!
  556. やちよ: そう…この説明書のイラストが わかりづらいだけ…!
  557. 黒江: (完璧で隙がなさそうに 見えたけど)
  558. 黒江: (七海やちよにも 苦手なことってあるんだ…)
  559. オーナー: そろそろ助け船を出したほうが いいかな…?
  560. 黒江: …………
  561. いろは: 黒江さん…?
  562. 黒江: …インナーテントが裏返しだから 説明書の絵と違ってるんだと思う
  563. やちよ: え…あ、本当だわ…
  564. 黒江: あと、テントを張るときは 川からはなるべく遠ざけて
  565. 黒江: 地面にペグが刺さらないなら 別の場所を探してもいいから
  566. 鶴乃: お、おぉぉ…?
  567. いろは: …黒江さん、 慣れてるんですね…?
  568. 黒江: 前に、教わったことがあるから…
  569. 黒江: (マギウスの翼の特訓合宿で 野外宿泊させられたし…)
  570. 黒江: (あのときは、大量の炊き出しも 強制的にやらされたっけ…)
  571. さな: なんだか意外です…
  572. フェリシア: だな! 見直したぞ、くろえ
  573. 黒江: 呼び捨て…
  574. フェリシア: だってお前の名前、 くろえなんだろ?
  575. 黒江: まぁ、いいけど…
  576. 黒江: …………
  577. 黒江: (…まさかマギウスの翼での 経験が役に立つなんて…)
  578. いろは: テント、完成しましたね!
  579. やちよ: 黒江さんのおかげね… 助かったわ
  580. 黒江: あ、いえ…
  581. やちよ: さて、環さんたちの薪で 火を起こして
  582. やちよ: 昼食を作りましょ
  583. いろは: 黒江さんも 手伝ってくれますか…?
  584. 黒江: (白羽根のふたりが戻ってくる 気配もないし…)
  585. 黒江: …うん
  586.  
  587. FILENAME: text_516010-9_GKU3X.txt
  588. 黒江: 串に刺す食材は 野菜と肉で分けたほうがいいけど
  589. 黒江: 見栄え重視なら 野菜と肉交互でもいいと思う
  590. 鶴乃: へ~! 詳しいね、黒江!
  591. 黒江: また呼び捨て…
  592. やちよ: バーベキューも手慣れてるなんて 思わなかったわ…
  593. 鶴乃: うん!こんなに器用なら 万々歳でも即戦力になるよ!
  594. やちよ: お店でこんなに大量の食材を さばくときがあるの?
  595. 鶴乃: ちょ! ひどいよししょー!
  596. フェリシア: 今度、みかづき荘でもやろーぜ! バーベキュー!
  597. さな: フェリシアさんは… お肉を食べたいだけじゃ…?
  598. フェリシア: おう! 肉だけでいいぞ!
  599. いろは: バーベキューをやるときは 黒江さんも招待しますね
  600. 黒江: 私はお肉より、たこ焼きのほうが いいな…
  601. いろは: ふふっ、たこ焼きパーティーでも いいですよ
  602. 黒江: え、いいの?
  603. いろは: はいっ
  604. 黒江: …………
  605. 黒江: (いけない…私、この人たちに 監視されてるのに)
  606. 黒江: (うっかりしてると、雰囲気に 引っ張られそうになる…)
  607. いろは: そろそろ串を焼いていこっか
  608. さな: そうですね…
  609. みんな: ごちそうさまでした!
  610. 鶴乃: 外で食べるって 最高に気持ちいいね!
  611. フェリシア: 肉もうまかったしな!
  612. 黒江: わ…!?
  613. いろは: 大丈夫ですか?
  614. 黒江: あ、うん… びっくりしただけ…
  615. 逃げるなよ! ごはんやるって言ってるのにさ
  616. 私、こっちから行くから 捕まえて!
  617. あっ、待てー!
  618. 黒江: (怖がってるみたいだし、 追いかけない方がいいのに…)
  619. 黒江: …………
  620. 黒江: (…私が注意したって 聞いてくれるはずないか…)
  621. 黒江: (…あれ、そういえばあの猫 どこかで見たような…)
  622. やちよ: しまった、忘れてたわ…
  623. 鶴乃: ん?なになに?
  624. やちよ: オーナーから聞いたんだけど
  625. やちよ: この近くにある滝の水を飲むと 幸運が訪れるらしいのよ
  626. さな: いわゆるパワースポットですね…
  627. やちよ: ええ、食後にその水で お茶を淹れたかったんだけれど
  628. やちよ: すっかり忘れてたわ…
  629. 黒江: …私が汲んできますよ
  630. いろは: え、黒江さんが!?
  631. 黒江: お昼、ごちそうしてもらったし…
  632. やちよ: …逃げるつもりなら やめたほうがいいわよ
  633. 黒江: あ…はい…
  634. 黒江: (…バレバレだった…)
  635. いろは: じゃあ、また私と行きませんか?
  636. 黒江: うん…
  637. いろは: やちよさん、 この水筒を借りていきますね
  638. やちよ: ええ、お願いするわ
  639. 黒江: (バレてる手前、逃げようと してもうまくいかないだろうし)
  640. 黒江: (白羽根の人たちが 助けてくれるまで)
  641. 黒江: (トラブルを起こさないように 気をつけないと…)
  642.  
  643. FILENAME: text_516010-10_GKU3X.txt
  644. 黒江: …………あのさ…
  645. いろは: ど、どうかしましたか…!?
  646. 黒江: さっきから同じところを 歩いてない…?
  647. いろは: …………
  648. 黒江: 道に迷ってるよね、これ…?
  649. いろは: …………すみません…
  650. 黒江: 責めてるわけじゃないけど…
  651. いろは: …やちよさんに手書きの地図を もらってきたんですけど
  652. いろは: いまどこを歩いてるのか わからなくなっちゃって…
  653. 黒江: …それなら一度、 キャンプ場に戻る道を見つけて
  654. 黒江: 最初からやり直す…?
  655. いろは: うーん…でも結構歩いてきて 黒江さんも疲れてると思うし…
  656. いろは: 私ひとりでキャンプ場に戻って 滝までの道を聞いてくるので
  657. いろは: 黒江さんは ここで待っててください!
  658. 黒江: え、え…!?
  659. 黒江: (道に迷ってる人が キャンプ場に戻れるの…?)
  660. 黒江: 待って…! 私も行くよ…!
  661. 黒江: ハァ…ハァ…!
  662. 黒江: …どうしよう あの子を見失っちゃった…
  663. 大丈夫?
  664. 黒江: ――っ!?
  665. あ、びっくりさせちゃった?
  666. 黒江: …かなり…
  667. ごめんなさい
  668. パワースポットの滝に 行きたいのかと思って…
  669. この辺りで迷ってる人って 大体そうだから
  670. 黒江: …詳しいんですね
  671. 何度も来てるからね
  672. ここからならすぐに着くわよ ほら、こっちに来て
  673. はい、到着! 水の容器は持ってきてる?
  674. 黒江: あ…水筒を持ってた子と はぐれちゃって…
  675. あら、そうだったの?
  676. じゃあこのペットボトルを使って 1本多く持ってきたから
  677. 黒江: …どうも
  678. 黒江: (…本当にお世話好きな人 なんだな…)
  679. コポポポ…
  680. 黒江: …………
  681. 黒江: (…監視役のあの子とはぐれた 時点で逃げればよかった)
  682. 黒江: (あの子もいないのに 水を汲む必要もなかったし…)
  683. さて、道に出るところまで送るわ
  684. 黒江: …ありがとうございます
  685. 黒江: あの…迷ってる人にはいつも 声をかけてるんですか?
  686. ええ、そうよ
  687. 黒江: …すごいですね
  688. 黒江: (私なんか、魔法少女になっても 誰も助けられないのに…)
  689. 道案内しただけで大げさよ
  690. 私だって、悩みがなければ あそこには行かないわ
  691. 黒江: …行けば解決するような悩み なんですか…?
  692. ふふ、疑うのはわかるわ
  693. 黒江: え、あ…すみません… そういうつもりじゃ…
  694. …あなたの言う通り、あそこに 行っても何も解決しないし
  695. 滝の水を飲んだって 幸運は訪れないわ
  696. 黒江: え…
  697. だけどね、私にとってあの場所は 気持ちをリセットして
  698. もう一度やれるだけやってみよう って思える力をくれるの
  699. だから私にとっては、確かに あそこはパワースポットなのよ
  700. 黒江: …………
  701. 黒江: (マギウスの翼に入れば 全部解決する…)
  702. 黒江: (そう思い込んで 何もしてないのは私だ…)
  703. 黒江: (でも、私には何もできないし どうしたらいいかもわからない)
  704. 黒江: 私にも、自分で前を向ける力が あればよかったのに…
  705. 黒江: また…!?
  706. きゃああ!?
  707. 黒江: あ…あぁ…
  708. …………
  709. 黒江: これ…本当に私のせいなの…?
  710. 黒江: (私は誰かを救うどころか 傷つけてる…!?)
  711. いろはの声: 黒江さん!!
  712. 黒江: ――っ!?
  713. いろは: 良かった、見つかった…!
  714. いろは: さっき、一瞬ですけど こっちからウワサの気配がして…
  715. いろは: え… その人、どうしたんですか…!?
  716. 黒江: 違う…! 本当に、違うから…!
  717. 黒江: (どうしたらいいの… 私は…私は…!)
  718. 黒江: …っ、助けて… 環、さん…
  719.  
  720. [Part 1 end]
  721. ----
  722. [Part 2 start]
  723.  
  724. FILENAME: text_516020-1_e1M3z.txt
  725. 黒江: (どうすればいいの… 私は…私は…!)
  726. 黒江: …っ、助けて… 環、さん…
  727. いろは: …………!
  728. いろは: ま、まずは落ち着きましょう…!
  729. いろは: この方も運ばないと いけないですし…!
  730. …………
  731. 黒江: そうだよね…
  732. 黒江: 私が背負うから、キャンプ場まで 案内をお願いしていい…?
  733. いろは: やちよさんたちの魔力反応を 手繰れば、できると思います…!
  734. 黒江: …よいしょっと…
  735. 黒江: …………
  736. 黒江: (…本当に私のせいで、 うわさが人を襲ってるなら)
  737. 黒江: (どうすればいいの…?)
  738. 黒羽根: 相手は“七海やちよ”かも しれないもんね…
  739. 黒江: 誰だっけ…
  740. 黒羽根: みふゆさんとも渡り合える 大ベテランの魔法少女だよ
  741. 黒羽根: うわさを消して回ってるって この間、話題になったじゃん!
  742. 黒江: (そうだ…七海やちよたちなら きっとうわさを消せる…)
  743. 黒江: (だけど…このまま環さんが 七海やちよに全て話せば)
  744. 黒江: (うわさを消す前に、 私が消されちゃうかも…)
  745. ぶるっ…
  746. いろは: …黒江さん、大丈夫ですか?
  747. 黒江: あ、あぁ…うん…
  748. 黒江: …………
  749. 黒江: (環さんに、つい助けてって 言っちゃったけど…)
  750. 黒江: (羽根としては、うわさを 消すわけにはいかない…)
  751. 黒江: (でも私のせいでうわさの被害が 増えるのも嫌だし…)
  752. 黒江: (私…どうすればいいの…?)
  753. 鶴乃: え、じゃあその人 突然倒れちゃったの!?
  754. いろは: そうみたいです…
  755. やちよ: …さっき、一瞬だったけど うわさの気配を感じた
  756. やちよ: その人が倒れたのは
  757. やちよ: あなたとうわさが 関係してるんじゃないの?
  758. 黒江: …………
  759. いろは: わかりません…
  760. いろは: でも、黒江さんのせいじゃないと 思います
  761. 黒江: (環さんが…私をかばった…?)
  762. やちよ: …その結論はまだ早いわよ
  763. やちよ: ひとまず、キャンプ場の管理棟に 倒れた人を運びましょう
  764. さな: ここのテントよりは 安静にさせてあげられますしね…
  765. 鶴乃: わたしとフェリシアで 連れて行くよ!
  766. フェリシア: よっし、任せろ!
  767. 黒江: …………
  768. 月咲: 戻ったよ!
  769. 黒江: ――っ!?
  770. 月夜: ねむ様に相談してきた でございます
  771. 月夜: あなたは七海やちよたちと このまま行動するでございます
  772. 黒江: …え!?
  773. 月咲: ねむ様が言うには
  774. 月咲: やっかみカワードのうわさは あなたに憑いてるんだって
  775. 黒江: 憑いてるって、 おばけみたいな…?
  776. 月咲: ごめん、詳しいことは ウチらもわからないんだ…
  777. 月夜: とにかくねむ様は、検証のため
  778. 月夜: 七海やちよたちと行動することが 最善と判断されたのでございます
  779. 黒江: この状況で、まだ検証を続ける ってことですか…?
  780. 月咲: ねむ様がそれを望んでるから…
  781. 月咲: …ほらっ、何かあれば ウチらもフォローするし!
  782. 月咲: だからあとはよろしくね!
  783. 黒江: あっ…
  784. 黒江: (…人がうわさに襲われてるのは やっぱり私のせいなんだ…)
  785. 黒江: (やめさせたいけど)
  786. 黒江: (うわさを消すのは マギウスの翼の活動に反するし)
  787. 黒江: (もし追い出されでもしたら それこそ困る…)
  788. いろは: さなちゃん、黒江さん! 手を貸してもらえますか!?
  789. さな: わかりました…!
  790. 黒江: …うん…
  791.  
  792. FILENAME: text_516020-2_e1M3z.txt
  793. いろは: さっきの女性の方、 目が覚めたそうですよ
  794. いろは: 倒れる前後の記憶は曖昧らしい ですけど、怪我はないみたいです
  795. 黒江: そっか…
  796. 黒江: (悪いことしちゃったな…)
  797. やちよ: それで、うわさのことだけど
  798. やちよ: これ以上あなたを監視していても らちが明かないし
  799. やちよ: 被害が増えるだけなら うわさは消させてもらうわ
  800. 黒江: …私はマギウスの翼だから
  801. 黒江: うわさを消すなんてできない って思ってます…
  802. やちよ: あなたの意思は関係ないわ
  803. 黒江: …………
  804. いろは: でも、どうやるんですか…?
  805. いろは: どうしたらうわさが出てくるかも わからないのに…
  806. やちよ: 一度は出てきたんだもの 何かしら方法はあるはずよ
  807. いろは: …まさか黒江さんを 攻撃することはないですよね…?
  808. 黒江: ――っ!?
  809. やちよ: 私だって気は進まないけれど 場合によっては…
  810. 黒江: …………
  811. いろは: もう少しだけでも 様子を見守りませんか…!?
  812. いろは: うわさが出てくる条件が わかるかもしれないですし…!
  813. やちよ: 環さん…
  814. 黒江: …もういいよ
  815. 黒江: どうしてそこまでして かばってくれるの…?
  816. いろは: だって、悪いのは 黒江さんじゃなくて
  817. いろは: うわさだと思うし…
  818. いろは: いずれはうわさも消せたら って思いますけど
  819. いろは: それよりも、まず 「うわさを消したくない」
  820. いろは: っていう黒江さんの考えを 変えてほしいから…
  821. やちよ: …………はぁ…
  822. やちよ: 私もむやみに黒江さんを 傷つけたいわけじゃないわ…
  823. やちよ: …このあとは オリエンテーションもあるし
  824. やちよ: その時間にじっくり考えて もらってかまわないわ
  825. いろは: やちよさん…!
  826. やちよ: だけど、少しでも怪しいところが あれば容赦はしない
  827. やちよ: これが最後のチャンスだと 思いなさい
  828. 黒江: …………
  829. いろは: …出しゃばったことを言って すみません…
  830. いろは: でも…黒江さんが 私たちから逃げなかったのも
  831. いろは: 助けを求めてくれたのも
  832. いろは: うわさを消したいから なんじゃないかって思ったから…
  833. 黒江: …そんなわけないよ…
  834. いろは: …黒江さんが うわさを消すって言ってくれたら
  835. いろは: 私は…黒江さんの味方になります
  836. いろは: だから… あとで答えを聞かせてくださいね
  837. 黒江: …………
  838. やちよ: オリエンテーションは このペアで始めるわ
  839. 鶴乃: 内容はスタンプラリーで…
  840. 鶴乃: 順路は、各ペアに渡されてる 地図を見ればいいんだよね
  841. フェリシア: 一番にクリアしよーぜ!鶴乃!
  842. 鶴乃: え、でもタイムは競わないよ?
  843. フェリシア: にゃっ!?
  844. やちよ: 5か所のスタンプを集める中で ペアの相手と20個ずつ質問して
  845. やちよ: お互いの交流を深めるのが 目的だからね
  846. さな: 20個って、結構ありますよね…
  847. やちよ: 色々と教えてもらうから よろしくね、二葉さん
  848. さな: は、はい…! こちらこそ…
  849. やちよ: それじゃ、スタンプラリー開始よ
  850. みんな: おー!
  851. 黒江: …………
  852. いろは: …………
  853. 黒江: (うわさを消しちゃったら)
  854. 黒江: (マギウスの翼の人たちに 怒られちゃう)
  855. いろは: …あ、最初のスタンプ台 あれじゃないですか?
  856. 黒江: …うん
  857. いろは: 私がスタンプ押してくるので 黒江さんのカードも預かりますよ
  858. 黒江: …うん
  859. 黒江: (でも、本当にそれで いいのかな?)
  860. 黒江: (人を傷つけておいて… 救われたいなんて…)
  861. いろは: …………
  862. いろは: …やっぱり、迷惑でしたよね…
  863. 黒江: え…
  864. いろは: 無理に誘っちゃってすみません
  865. いろは: 黒江さんが今後を考えられる 時間にしたかったんですけど
  866. いろは: 私が一緒だと集中できないし 気分も塞ぎますよね…
  867. 黒江: …………
  868. 黒江: (周りに気を遣いすぎたり その結果ネガティブになったり)
  869. 黒江: (…もしかして、 環さんって私に似てるのかも)
  870. 黒江: …私には、そんなに気を 遣ってくれなくていいから…
  871. 黒江: とりあえず回ろう スタンプラリー…
  872.  
  873. FILENAME: text_516020-3_e1M3z.txt
  874. ポンッ
  875. いろは: これでふたつ目のポイントを クリアですね
  876. 黒江: …スタンプが集まってくると なんか嬉しいかも…
  877. いろは: ふふっ
  878. いろは: …あ、そういえば質問を 忘れてました…
  879. 黒江: お互いに20個ずつしないと いけないんだっけ
  880. いろは: えっと…黒江さんの出身とか 聞いてもいいですか…?
  881. 黒江: …宝崎市
  882. いろは: ――っ!? 私もなんです…!
  883. 黒江: そうなんだ
  884. いろは: てっきり黒江さんは 神浜市の方なんだと思ってました
  885. いろは: …あ、私は事情があって 最近神浜市に引っ越したんです
  886. 黒江: 噂を聞いたから…とか?
  887. いろは: いえ、別の事情なんですけど…
  888. いろは: …その、黒江さんの言う噂って もしかして…
  889. いろは: “神浜市に行けば 魔法少女は救われる”…ですか?
  890. 黒江: 環さんも知ってるんだ
  891. いろは: 私も人に聞いただけですけど…
  892. 黒江: …そうなんだ
  893. 黒江: じゃあ環さんが 引っ越してきた理由は?
  894. いろは: …妹の行方がわからなくて 手がかりを探すために来たんです
  895. 黒江: …立ち入ったこと 聞いちゃってごめん…
  896. 黒江: 早く見つかるといいね
  897. いろは: ありがとうございます…
  898. 黒江: …あ、分かれ道だけど どっちに行く?
  899. いろは: それじゃあ、せーので 同時に言いませんか?
  900. 黒江: いいけど…
  901. いろは: せーのっ
  902. 黒江&いろは: 右!
  903. いろは: あ、揃いましたね
  904. 黒江: うん… 右のルートから行ってみよう
  905. ポンッ
  906. いろは: 3つ目のポイントも クリアですね
  907. 黒江: …環さんって、スタンプの押し方 きれいだよね
  908. いろは: 黒江さんこそ
  909. いろは: 向きも揃ってますし すごく几帳面じゃないですか
  910. 黒江: 普段はそこまでじゃないんだけど 揃えたくなっちゃうんだよね…
  911. いろは: あ、わかります…
  912. いろは: 誰に見せるわけじゃないのに なんだか気になるんですよね
  913. 黒江: 次のスタンプ台の場所は… あれ、ここって…
  914. いろは: キャンプ場…みたいですね
  915. ポンッ
  916. いろは: まさかここに4つ目の スタンプ台があったなんて…
  917. 黒江: 意外だったね
  918. いろは: スタンプは残り1つですけど… 質問も残り1つになりましたね
  919. 黒江: あ、いつのまにか 結構話してたんだ…
  920. いろは: うーん、最後の質問は…
  921. 黒江: マギウスの翼のこと以外がいいな
  922. いろは: そ…そうですよね…
  923. いろは: それじゃあ…黒江さんが 将来なりたいものは何ですか?
  924. 黒江: …………
  925. いろは: …す、すみませんっ 答えづらかったら変えます…!
  926. 黒江: …ううん、いざ聞かれると 自分でもわからないなって…
  927. 黒江: 環さんはどうなの?
  928. いろは: …すみません、聞いておいて 私もまだ決めてなくて…
  929. 黒江: …そっか
  930. いろは: …なんだか私たち、似てますね
  931. 黒江: え…?
  932. いろは: …す、すみません!
  933. 黒江: あ、怒ったんじゃないよ ただ、意外で…
  934. 黒江: (私もそう思ってたから…)
  935. いろは: 同じ宝崎市出身の魔法少女で ちょっとしたこだわりがあって…
  936. いろは: 将来の夢も曖昧だったりして…
  937. いろは: …って、思ったんですけど これだけでしたね…
  938. 黒江: あと…周りに気を遣いすぎて ネガティブになりがちだし…
  939. いろは: え…!
  940. 黒江: うん…結構あると思う 似てるところ…
  941. やちよの声: あら… 意外とみんな早く揃ったわね
  942. いろは: え…やちよさんとさなちゃん… 鶴乃ちゃんたちも…
  943. 鶴乃: お疲れさまーいろはちゃん! 5か所回るの、結構大変だったね
  944. 黒江: 私たち…ここで 4か所目なんですけど…
  945. フェリシア: え、遅くねえ?
  946. さな: 私たちはもう終わりましたよ…
  947. いろは: えっ、そうなの…!?
  948. 黒江: ゆっくりしすぎたのかな…
  949. いろは: 早く5か所目に行きましょう…!
  950.  
  951. FILENAME: text_516020-4_e1M3z.txt
  952. いろは: これで最後のスタンプ…
  953. ポンッ
  954. 黒江: やっと全部集まったね
  955. いろは: はい!
  956. いろは: やちよさんたちを待たせてますし 早くキャンプ場に戻らないと…
  957. 黒江: このあとも何か予定が あるんだっけ
  958. いろは: 次は夕食の準備ですよ
  959. 黒江: 食べてばっかりだね
  960. いろは: あはは…そうかもしれません
  961. 黒江: …私は日帰り参加なんだよね?
  962. いろは: あ…はい…
  963. いろは: …その、黒江さんが うわさを消すって決めてくれて
  964. いろは: 一緒に倒せたら、いつでも 解放してあげられるんですけど…
  965. 黒江: …でも私はマギウスの翼だし…
  966. いろは: でも…!
  967. いろは: ――っ!?
  968. 黒江: え、魔女…!? こんなところにも出るの…!?
  969. いろは: 黒江さん、警戒してください!
  970. 縺[]豌玲戟*蟇昴x溘!!
  971. 黒江: …………!
  972. いろは: 一緒に戦ってもらえますか!?
  973. 黒江: う、うん…
  974. 黒江: でも…神浜市の魔女は強いから 私じゃ役に立てないかも…
  975. いろは: 私も強くないんです… だからふたりで頑張りましょう
  976. いろは: 気配を探知したら
  977. いろは: やちよさんたちも 助けに来てくれるはずです…!
  978. 黒江: それまで持ちこたえないとね…
  979. 黒江: わっ!?
  980. いろは: 動きが速い…!
  981. いろは: 黒江さん、一度離れてください! 私が攻撃して隙を作ります!
  982. 黒江: それってもしかして… 私がとどめを刺すの…!?
  983. 黒江: ひっ…
  984. 黒江: (本気で言ってるのかな? こんな強い魔女…)
  985. いろはの声: 黒江さん!! 右に大きく跳んでください!
  986. 黒江: あ…!
  987. いろは: ふっ!!
  988. ヮ]窶ヲ繧a庶!?
  989. いろは: このまま決めます…!
  990. いろは: やああっ!!
  991. 黒江: …………
  992. いろは: 大丈夫ですか、黒江さん!?
  993. 黒江: あ… …うん…
  994. いろは: 良かったぁ…
  995. 黒江: ごめん… 私、おとりにしかなれなかった…
  996. いろは: 謝らないでください!
  997. いろは: 黒江さんのおかげで 勝てたんですから
  998. 黒江: そうかな… 環さんが強かったからだよ…
  999. 黒江: (環さんは私と似てて なんとなくホッとしてた)
  1000. 黒江: (私みたいな人は他にもいるんだ って思えたから…)
  1001. 黒江: (だけど、それは私の勘違いで… 環さんは私とは違ってた)
  1002. 黒江: (魔法少女の役目を投げ出さずに ひとりでも戦ってる…)
  1003. 黒江: (怖くて逃げだすような私とは 全然違うんだ…)
  1004.  
  1005. FILENAME: text_516020-5_e1M3z.txt
  1006. 黒江: …………
  1007. いろは: 黒江さん…? もしかしてケガしたとか…?
  1008. 黒江: …ううん
  1009. 黒江: 環さんが強かったから なんかびっくりしたっていうか…
  1010. いろは: 強くなんてないですよ
  1011. いろは: 神浜市の魔女とも 一応戦えるようになったのは
  1012. いろは: みたまさんや、やちよさん… 色んな人のおかげなんです
  1013. いろは: 支えてくれる人がいなかったら
  1014. いろは: 妹を捜すのも 途中で諦めてたかもしれません…
  1015. 黒江: (…私も マギウスの翼がなかったら)
  1016. 黒江: (全部投げ出して とっくに魔女になってた…)
  1017. 黒江: (やっぱりマギウスには 感謝しなきゃいけないのかも…)
  1018. いろは: ひとりじゃ何もできない自分が 情けなくて
  1019. いろは: 嫌になったこともあります…
  1020. 黒江: …………
  1021. いろは: でも、いまは… 妹が戻ってきたときに
  1022. いろは: 少しでも頼られるお姉ちゃんに なっていたいって思うんです…
  1023. 黒江: …………!
  1024. 黒江: (やっぱり環さんは… 私とは全然違う…)
  1025. 黒江: (私にないものを たくさん持ってる…)
  1026. いろは: すみません、私ばかり 話してしまって…
  1027. 黒江: …ううん…………
  1028. 黒江: 私は、周りに支えてもらっても 無理だった…
  1029. 黒江: ひとりだと使い魔を倒すのが限界
  1030. 黒江: 魔女退治では、他の魔法少女を サポートするしかできないし…
  1031. 黒江: それすら怖くて できないことだってあった…
  1032. いろは: 命を落とすかもしれないのに 怖くないわけがないです…!
  1033. いろは: それに、ひとりで魔女を倒すのは 大変なことなのに
  1034. いろは: 黒江さんが負い目を感じること ないですよ…!
  1035. 黒江: …あなたにはわからないよ…
  1036. いろは: え…
  1037. 黒江: (ただ自分が救われるために 神浜市へ来ただけの私を)
  1038. 黒江: (妹さんを捜すために 神浜市へ来た環さんが)
  1039. 黒江: (理解できるわけない…)
  1040. 黒江: …ごめん、何でもない
  1041. 黒江: 助けてくれてありがとう…
  1042. 黒江: 帰ろう、キャンプ場に
  1043. いろは: あ…はい…
  1044. 黒江: …………
  1045. 黒江: (こんな私を 誰かが理解してくれるわけない)
  1046. 黒江: (そんなの当たり前なのに…)
  1047. 黒江: (なんでこんなに悲しいの…)
  1048.  
  1049. FILENAME: text_516020-6_e1M3z.txt
  1050. 鶴乃: いろはちゃん! 大丈夫だった!?
  1051. いろは: うん、展望台に現れた魔女は 黒江さんと倒したよ
  1052. 黒江: …倒したのは環さんで 私は役に立ちませんでしたけど…
  1053. 鶴乃: …どうかしたの?
  1054. 黒江: 何がですか
  1055. 鶴乃: ううん、なんだか雰囲気が 違った気がしたから…
  1056. 黒江: …………
  1057. 黒江: 少し、ひとりになっても いいですか…
  1058. やちよ: …私たちの目が届くところでなら 構わないわ
  1059. 黒江: どうも…
  1060. フェリシア: あんなヤツほっといて 夕飯の準備してくれよいろは!
  1061. いろは: あ、うん…
  1062. さな: 黒江さんのことは 私が見ておきます…
  1063. いろは: お願いね、さなちゃん…
  1064. 黒江: …………
  1065. いろは: …なんだか私たち、似てますね
  1066. いろは: 同じ宝崎市出身の魔法少女で ちょっとしたこだわりがあって…
  1067. いろは: 将来の夢も曖昧だったりして…
  1068. いろは: …って、思ったんですけど これだけでしたね…
  1069. 黒江: あと…周りに気を遣いすぎて ネガティブになりがちだし…
  1070. いろは: え…!
  1071. 黒江: うん…結構あると思う 似てるところ…
  1072. いろは: ひとりじゃ何もできない自分が 情けなくて
  1073. いろは: 嫌になったこともあります…
  1074. いろは: でも、いまは… 妹が戻ってきたときに
  1075. いろは: 少しでも頼られるお姉ちゃんに なっていたいって思うんです…
  1076. 黒江: (環さんは、誰かに救って もらおうなんて考えてないし)
  1077. 黒江: (怖くても逃げ出したりしない)
  1078. 黒江: (何もなくて諦めてる私とは 何もかもが違う…)
  1079. 黒江: …………
  1080. 黒江: 願いを叶えて魔法少女になったけど 弱くてひとりじゃ魔女も倒せなくて 魔法少女をやめたかった
  1081. 黒江: だけどやめられないし 魔女と戦うのも、死ぬのも怖い… 誰の役にも立てないまま、惨めだった…
  1082. 黒江: それでも何とかして救われたかったから マギウスの翼に入った
  1083. 黒江: 黒羽根としてただ活動しているときは 何もわからなかったのに ここに来たら、急に色んなことが見え始めた
  1084. 黒江: もうとっくに諦めてたはずなのに 私にはまだ憧れる気持ちがあった でもきっと無理だからって周りを羨んでた
  1085. いろは: それじゃあ…黒江さんが 将来なりたいものは何ですか?
  1086. 黒江: …………
  1087. 黒江: 私が、なりたいもの…
  1088. 黒江: (普通でいられなくなったのは 私だけなのかも…)
  1089. 黒江: …いいな、みんなは…
  1090. 黒江: (私だって七海やちよみたいに もっと強い魔法少女だったら)
  1091. 黒江: (マギウスの翼にだって 入ってない…)
  1092. 黒江: 私なんかと次元が違う人に わかるわけないですよ…
  1093. 黒江: (でも、私には何もできないし どうしたらいいかもわからない)
  1094. 黒江: 私にも、自分で前を向ける力が あればよかったのに…
  1095. いろは: それじゃあ…黒江さんが 将来なりたいものは何ですか?
  1096. 黒江: (環さんの言うように、 自分を見つめ直してみても)
  1097. 黒江: (惨めな気持ちになるだけで なりたいものはわからない…)
  1098. 黒江: だけど…そっか…
  1099. 黒江: なりたいものなんてなかったんだ
  1100. 黒江: 誰かを羨んだり妬んだりはしても
  1101. 黒江: 私は…なりたいものがない
  1102. …………
  1103. 黒江: きゃっ!?
  1104. いろは: 黒江さん!!
  1105. フェリシア: なんだありゃ!?
  1106. やちよ: ウワサが暴走してるの…!?
  1107. 鶴乃: よくわからないけど 黒江が狙われてるみたいだよ!
  1108. さな: 早く倒さないと危険です…!
  1109. いろは: 黒江さん、 ウワサを倒しましょう!
  1110. 黒江: …………
  1111. いろは: 黒江さん!!
  1112. 黒江: どうしよう環さん
  1113. 黒江: 私、どうすればいいの? 誰になったらいいの?
  1114. 黒江: 強い魔法少女? マギウスの翼の裏切りもの?
  1115. 黒江: 無理だよそんなこと 私、誰にもなれないよ
  1116. いろは: ちがうよ黒江さん
  1117. いろは: 黒江さんが誰かになる必要なんて ない!
  1118. いろは: だから、私に黒江さんのことを 教えて!
  1119. いろは: 強くないあなたを
  1120. いろは: マギウスの翼じゃないあなたを
  1121. いろは: 魔法少女じゃない あなたのことを!
  1122. 黒江: どうしよう環さん… どうすればいいの?
  1123. いろは: 私に、あなたを分けてください!
  1124. 黒江: 私にはそんなもの…
  1125. いろは: 黒江さんは、何になりたくない? 何がこわい?
  1126. 黒江: 私は…………
  1127.  
  1128. FILENAME: text_516020-7_e1M3z.txt
  1129. 鶴乃: ちゃらああ!
  1130. さな: っ…受け止めました…!
  1131. やちよ: いまよ、環さん!黒江さん!
  1132. いろは: はい!
  1133. 黒江: (私は…)
  1134. 黒江: (私でなくなってしまうことが こわい)
  1135. いろは: 行きましょう黒江さん!
  1136. いろは: 黒江さんじゃない黒江さんを、 私たちでやっつけましょう
  1137. 黒江: うん…!
  1138. 黒江&いろは: やあああッ!!
  1139. 黒江: はぁ…はぁ…っ、ふぅ…
  1140. 黒江: ウワサは…?
  1141. いろは: 消せました… 消せましたよ、黒江さん!
  1142. 黒江: …………!
  1143. やちよ: 黒江さんがウワサを倒すって 決めてくれたおかげかしら
  1144. 黒江: …本当にそうかも
  1145. 鶴乃: ほっ? というと…?
  1146. 黒江: 「やっかみカワードのうわさ」 って言ううわさがあって…
  1147. 黒江: 人の感情エネルギーを奪ったり 呪いで気絶させるうわさが
  1148. 黒江: 私に憑いてたみたい…
  1149. フェリシア: オマエ、うわさに 呪われてたのか!?
  1150. 黒江: そ、そういうことに なるのかな…?
  1151. やちよ: でも、うわさに 憑かれてただけで
  1152. やちよ: 黒江さんの意思では 操れなかったんでしょう?
  1153. さな: 何か出現する条件が あったんでしょうか…
  1154. 黒江: それは、たぶん…
  1155. 黒江: 「うわさに憑かれてる私が 誰かを羨んだとき」…
  1156. 鶴乃: あ!
  1157. 鶴乃: だから 「やっかみカワードのうわさ」!
  1158. 黒江: 合ってるかは わからないですけど…
  1159. さな: …ただ、さっきのウワサは 黒江さんを狙ってましたし
  1160. さな: 暴走してるみたいでしたよね…?
  1161. いろは: もしかして黒江さん…
  1162. いろは: うわさの内容を否定したんじゃ ないでしょうか…?
  1163. 黒江: そうなのかな…?
  1164. いろは: 誰かのことじゃなくて
  1165. いろは: 黒江さんが自分のことを 考えられたから
  1166. いろは: ウワサが姿を現して 倒せたんだと思います
  1167. 黒江: 私のこと…?
  1168. フェリシア: …あ!! そういえばオレの夕飯は!?
  1169. 鶴乃: 確か食材を全部煮込み終わって
  1170. 鶴乃: カレールウを溶かしてる 途中だったよね?
  1171. やちよ: まずい… 鍋を火にかけっぱなしだわ!
  1172. フェリシア: いま助けるぞ!カレー!!
  1173. 黒江: …………ぷっ…
  1174. 月咲: ちょっと!?
  1175. 黒江: ――っ!?
  1176. 月咲: うわさ、消しちゃったの!?
  1177. 黒江: あ…えっと… すみません…
  1178. 月夜: またしても大失態でございます…
  1179. 月咲: うぅ…また怒られちゃうよぅ…
  1180. 月夜: ですが報告しないわけにも いかないでございますし…
  1181. 月咲: そうだね…
  1182. 月咲: また置いて行って悪いけど ウチらは先に戻ってるよ!
  1183. 月夜: 頃合いを見て、ここから 脱出しておくでございますよ!
  1184. 黒江: あ、はい…!
  1185. 黒江: (うわさを消しちゃったの、 やっぱりまずかったよね…)
  1186. 黒江: (でも…)
  1187. 黒江: (どうしてかな… 全然、後悔してない…)
  1188.  
  1189. FILENAME: text_516020-8_e1M3z.txt
  1190. 黒江: それじゃ、私はこれで…
  1191. いろは: あの、黒江さん…!
  1192. 黒江: 何…?
  1193. いろは: もう少しだけ話せませんか…?
  1194. いろは: 黒江さんをもっと知りたくて… ダメでしょうか…?
  1195. 黒江: …………
  1196. やちよ: ふたりに汲んできてもらった 滝の水もまだ飲めてないし
  1197. やちよ: お茶を1杯飲むくらいは ゆっくりしていったら?
  1198. やちよ: 幸運が訪れるかもしれないわよ
  1199. 黒江: …言われてみたらそうですね わかりました
  1200. いろは: ありがとうございます…!
  1201. 黒江: …七海…さんって、 あんなふうに笑うんだね
  1202. 黒江: もっと冷たい人かと思ってた
  1203. いろは: やちよさんは すごく優しい人ですよ
  1204. いろは: 私たちや他の魔法少女のことも いつも考えてくれてますから
  1205. 黒江: そうなんだ… 外見とか噂だけじゃわからないね
  1206. いろは: …あの、黒江さん マギウスの翼に戻るんですよね
  1207. 黒江: うん
  1208. いろは: 魔法少女の解放を目指して 活動してるみたいですけど
  1209. いろは: 私は…マギウスの翼のやり方は 正しくないと思ってます…
  1210. 黒江: …それでも、私が 他にやれることないし
  1211. 黒江: マギウスの翼をやめる気はないの
  1212. いろは: でも…!
  1213. 黒江: 私、弱いから…
  1214. 黒江: マギウスの翼にいれば、いつかは 解放されるって考えるだけで
  1215. 黒江: すごく安心できる…
  1216. いろは: そうですか…
  1217. いろは: …………わかりました
  1218. 黒江: え、いいの…?
  1219. いろは: マギウスの翼は、黒江さんの 「希望」なんですよね?
  1220. いろは: それなら奪うなんて できないですから…
  1221. いろは: 情けないですけど、私もひとりで 妹を捜せてるわけじゃないし…
  1222. いろは: 正しいとかじゃなくたって
  1223. いろは: 誰かといることの方が 大事なときもあるんだと思います
  1224. 黒江: …………
  1225. 黒江: 環さんのそういうところ… やっぱり安心する
  1226. いろは: ええ…どういう意味ですか…?
  1227. 黒江: ―黒江― あのさ、将来なりたいものは何かって 質問してくれたでしょ?
  1228. いろは: ―いろは― はい
  1229. 黒江: ―黒江― 少し考えててね まだ曖昧なんだけど…
  1230. 黒江: ―黒江― …環さんみたいになれたらって思う
  1231. いろは: ―いろは― わ、私ですか…!?
  1232. 黒江: ―黒江― うん…
  1233. 黒江: ―黒江― 環さんは… 早く妹さんが見つかるといいね
  1234. いろは: ―いろは― ありがとうございます…
  1235. いろは: ―いろは― …今日は黒江さんに会えてよかったです
  1236. 黒江: ―黒江― …私も
  1237. 黒江: ―黒江― …幸運を見つけられた気がする
  1238. 待てー!
  1239. 黒江: いたっ…!
  1240. いろは: 黒江さん…!?
  1241. 黒江: うぅ…また…?
  1242. 黒江: (あ、昼間の子たちだ…)
  1243. おーい、こっち来いよー!
  1244. 怖くないから~!
  1245. 黒江: …………
  1246. 黒江: (…私なんかが注意しても 聞いてくれないだろうな…)
  1247. 黒江: (ってすぐに諦めるのは 違うよね…)
  1248. いろは: え、黒江さん…?
  1249. 黒江: …あの
  1250. ん? なに、お姉ちゃん
  1251. 黒江: あなたたちが この猫と同じ状況だったら…
  1252. 黒江: たとえば…そう 知らない大人たちに囲まれて
  1253. 黒江: 可愛いねとか、ご飯をあげるって 追い回されたとしたらどう…?
  1254. …ちょっと怖い
  1255. 黒江: だよね… 私もそう思った
  1256. 黒江: 可愛いし、構いたくなるけど… 放っておいてあげようよ
  1257. 黒江: この子は幼いけど 自分の意思があると思うから
  1258. …わかった
  1259. 黒江: …………はぁ… 緊張した…
  1260. いろは: その子猫のこと 気にかけてたんですね
  1261. 黒江: うん…昼間も追われてたから…
  1262. ニャー
  1263. 黒江: …………やっぱりどこかで 見たような気がするけど…
  1264. うちの猫を捜してます 些細な情報でも構いません 電話してください
  1265. 黒江: あ…!
  1266. 黒江: ポスターに載ってた 迷い猫…!?
  1267.  
  1268. FILENAME: text_516020-9_e1M3z.txt
  1269. やちよ: その猫のことは頼んだわ
  1270. 黒江: はい 帰りがけ、飼い主に届けてきます
  1271. フェリシア: 羽根のヤツでも いいところあるんだな
  1272. さな: フェリシアさんっ… 失礼ですよ…?
  1273. 鶴乃: そーだよ
  1274. 鶴乃: マギウスの翼に入ってる イコール悪者じゃないんだから
  1275. やちよ: 次に会うときは、 敵同士じゃないといいけれど…
  1276. 黒江: それは… わかりません
  1277. やちよ: そう…マギウスの翼を やめる気はないのね
  1278. 黒江: 理解してもらえないのは わかってます…
  1279. やちよ: ええ、理解できないわ
  1280. やちよ: 救われるために誰かを 傷つけるのは違うと思うから
  1281. 黒江: …………
  1282. やちよ: ただ…誰だって怖くて、不安で 迷うことだってあるし
  1283. やちよ: 正しくないものに すがってしまうときもある
  1284. やちよ: だから、ひとりで 思い詰めないようにね
  1285. 黒江: あ… ありがとう…ございます…
  1286. いろは: あの…よかったら、連絡先を 交換しませんか?
  1287. いろは: お友だちとして またお話しできたら嬉しいです…
  1288. 黒江: …………
  1289. 黒江: …今日、スマホ 忘れてきたから…
  1290. 鶴乃: え、でも何度か スマホを見てなかった!?
  1291. 黒江: …さよなら!
  1292. 黒江: ハァ…ハァ…
  1293. 黒江: (…別に追われてないのに 走ってきちゃった…)
  1294. 黒江: はぁ…………
  1295. ニャー?
  1296. 黒江: …もう少しで君の家に着くから 待っててくれる?
  1297. ニャー
  1298. 黒江: …いい子だね
  1299. 黒江: この猫で間違いないですか…?
  1300. るーちゃん…! るーちゃんだ!
  1301. ありがとう!
  1302. 黒江: ――っ!?
  1303. 本当にありがとう! るーちゃんを見つけてくれて…
  1304. 黒江: …………
  1305. 黒江: (私、この人を 助けられたってことだよね…?)
  1306. 黒江: (私でも できることがあったんだ…)
  1307. あ、そうだ お礼を…!
  1308. 黒江: …いいえ、いりません
  1309. でもそういうわけには…!
  1310. 黒江: もう、十分もらいましたから
  1311.  
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  1313. ねむ: 白羽根から報告は受けているよ
  1314. ねむ: ご苦労さま 今日は大変だったようだね
  1315. みふゆ: 無茶をさせてしまって 本当にすみませんでした…
  1316. 黒江: はぁ…
  1317. 黒江: …あの、うわさを消したこと 咎めないんですか…?
  1318. ねむ: 今回は複雑な事情があったからね 十把一絡げに咎められないよ
  1319. 黒江: …?
  1320. ねむ: 君には、うわさが憑いたとだけ 伝えていたけれど
  1321. ねむ: やっかみカワードのうわさは
  1322. ねむ: 現状に不満を持つ者の姿を借りて 出現するうわさだったんだ
  1323. 黒江: ――っ!?
  1324. ねむ: うわさの内容としては…
  1325. アラもう聞いた?誰から聞いた? やっかみカワードのそのウワサ
  1326. 夢も理想もあるけれど ひとりじゃなんにもできなくて 他人が引いたレールに乗ってる 意気地なしの臆病者!
  1327. いつかは憧れそのものになりたいけど なれっこないって諦めてる アンビバレントな変わり者なのに 嫉妬だけは1人前に強いからサァ大変!
  1328. 妬まれたら最後、呪われて 気絶させられちゃうから厄介だって 神浜市のエリートの間ではもっぱらのウワサ
  1329. ヤッカミキンシー!
  1330. ねむ: といったところだね
  1331. 黒江: …だから私が誰かを羨むと
  1332. 黒江: 私の姿をしたウワサが 勝手に現れたんですね…
  1333. ねむ: そうだよ
  1334. ねむ: 昨日の調査で、学生の多い場所に 行ってもらったのも
  1335. ねむ: 普通の学生生活を送れる 同世代への妬みを引き出すため
  1336. ねむ: 比較的早くに適性のある君を 見つけられてよかったよ、むふっ
  1337. 黒江: (私たち黒羽根は、マギウスには 替えのきく駒でしかないんだ…)
  1338. みふゆ: 結果的に利用する形になって すみません…
  1339. 黒江: …いえ…
  1340. 黒江: (私だって、救われるために マギウスの翼を利用してるし…)
  1341. ねむ: 七海やちよたちとの遭遇は 想定外だったけど
  1342. ねむ: 最悪、彼女たちがいれば
  1343. ねむ: うわさが事故を起こしても 処理できると判断した
  1344. ねむ: だから君を彼女たちのもとに 留めたんだよ
  1345. 黒江: でも、結果的には うわさを消してしまいました…
  1346. ねむ: 残念ではあるけれど 気に病む必要はないよ
  1347. ねむ: うわさを失った以上に 大きな成果を得られたからね
  1348. 黒江: …?
  1349. ねむ: うわさを特定の人物へ憑依させる 可能性を探れそうなんだ
  1350. ねむ: 今後がますます楽しみだよ
  1351. みふゆ: …検証は結構ですが
  1352. みふゆ: 今後、勝手に羽根の子たちを 利用するのはやめてください
  1353. みふゆ: 彼女たちは実験動物では ないんですよ
  1354. ねむ: むぅ…
  1355. ねむ: …気分を害された 僕はこれで失礼するよ
  1356. 黒江: …え、いまのって すねたんですか…?
  1357. みふゆ: そうですね…マギウスと言えど、 まだまだ子どもですから…
  1358. 黒江: (完璧に見えてもそうじゃない… 知らないことばっかりだな…)
  1359. みふゆ: 明日からは通常の任務に 戻ってもらっていいですからね
  1360. みふゆ: 本当に今日は遅くまで ありがとうございました
  1361. 黒江: それじゃ…失礼します
  1362. ガチャ…
  1363. 黒江: …………
  1364. 黒江: はぁ…疲れたな…
  1365. 黒江: (色んな人に会って 色んなことがあったし)
  1366. 黒江: (魔法少女になってから、 一番長い1日だったかも…)
  1367. 黒江: …………
  1368. いろは: それじゃあ…黒江さんが 将来なりたいものは何ですか?
  1369. 黒江: ―黒江― まだ曖昧なんだけど…
  1370. 黒江: ―黒江― …環さんみたいになれたらって思う
  1371. 本当にありがとう! るーちゃんを見つけてくれて…
  1372. 黒江: …………
  1373. 黒江: (私にできることを 少しずつでも続けて)
  1374. 黒江: (いつか環さんみたいに なりたいな…)
  1375. 黒江: …また、会えるといいな…
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