Not a member of Pastebin yet?
Sign Up,
it unlocks many cool features!
- FILENAME: text_311061-1.txt
- うい: あっ、始まるよ!
- 「秘密のヒロイン・ミミカル☆ミミコ! ホントは小学生だけど 変身すると大人のお姉さんになっちゃうの!」
- 「でも、このことは 誰にも言えない秘密なんだ!」
- みふゆ: お邪魔します
- みふゆ: …あら? ドラマを見てるんですか?
- やちよ: いらっしゃい
- やちよ: ドラマと言っても子ども向けの 変身ヒロインものだけどね
- フェリシア: オマエ、こういうのが 好きだったんだろ?
- みふゆ: やっちゃんから聞いたんですか?
- フェリシア: おう!
- フェリシア: だからさ、どんなもんか 見てやろーと思って!
- いろは: もう…見てやろうっていう 言い方はよくないよ
- うい: でも、みふゆさんが 好きだったものを知りたい
- うい: っていうのは本当だよね
- レナ: レナはこーゆー子どもっぽいのは 卒業したんだけど
- レナ: みんなが見てるから仕方なく…
- かえで: えぇ…? 結構ノリノリだったよ?
- レナ: はぁっ!? 適当なこと言わないで!
- さな: あの… テレビの音が聞こえません…
- ももこ: ごめんね、さなちゃん
- ももこ: ほら、レナもかえでも あんまり、うるさくするなよ…
- かえで: ふゆぅ…ごめんなさい
- レナ: ふんっ
- 鶴乃: まぁまぁ みんなで仲良く続きを見ようよ!
- 鶴乃: みふゆも一緒にさ!
- みふゆ: あ、そうですね せっかくですしご一緒します
- さな: あ、もう終わっちゃった…
- うい: 面白かったね!
- レナ: まぁ、悪くはなかったわね
- フェリシア: 面白くはあったけど…
- フェリシア: オレはデカゴンボールの方が やっぱ好きだな!
- いろは: 懐かしかったですか?
- みふゆ: うーん… 雰囲気は懐かしいですね
- みふゆ: でも、ワタシたちの頃は ミミコちゃんではなかったので
- やちよ: 私たちが小学生だった頃は 内緒のヒロインだったかしら…?
- みふゆ: “内緒のヒロイン ティピカル☆ティーナ”ですね
- みふゆ: よくマネしていました
- やちよ: えっ、まさかあの家で…? 怒られたんじゃない?
- いろは: そういえば、みふゆさんのお家 って厳しいんでしたね…
- みふゆ: …はい
- みふゆ: なので、魔法少女になった頃は
- みふゆ: 願いで得た自分の魔法で 自分に暗示をかけて
- みふゆ: 夢の世界で 憧れの自分に変身していたんです
- みふゆ: …………ふぅ…
- みふゆ: …世の悪を正すため
- みふゆ: 内緒のヒロイン マジカル☆みふゆ!
- みふゆ: 参上です!
- FILENAME: text_311061-2.txt
- みふゆ: …………ふぅ…
- みふゆ: …世の悪を正すため
- みふゆ: 内緒のヒロイン マジカル☆みふゆ!
- みふゆ: 参上です!
- みふゆ: …………
- みふゆ: わぁ!すごいです! 大人の姿になっちゃいました!
- みふゆ: うふふっ… これが夢の世界…
- みふゆ: ワタシだけの 自由な世界なんですね!
- みふゆ: 『魔法少女になったばかりの頃… お母様に怒られずに好きなことが 好きなだけできる夢の世界は ワタシにとって楽園だったんです』
- みふゆ: 『ちょっとだけ見たことがあった ティーナちゃんを 想像で補ってマネしてみたり』
- みふゆちゃん 今日の放課後、一緒に遊ぼう
- みふゆ: ワタシとですか?
- だってみふゆちゃんがいると すごく楽しいんだもん!
- みふゆ: そう言ってもらえると すごく嬉しいです…
- …あっ、でも 毎日お稽古があるんだっけ…?
- みふゆ: 今週からは大丈夫ですよ
- みふゆ: 前回の発表会で先生に とても褒めてもらえたので
- みふゆ: ご褒美として お稽古の時間が減ったんです
- すごーい! さすがみふゆちゃんだね!
- みふゆ: 『学校では みんなに頼りにされる人気者になったり…』
- みふゆ: 『小学生だったワタシが思いつくかぎりの “楽しくて素敵な日常”を詰め込みました』
- みふゆ: でも、それはいつまでも 続かなかったんです…
- いろは: どうしてですか…?
- みふゆ: 理由はいくつもあるんですが…
- みふゆ: ひとつずつ 順番に話していきましょうか
- 楽しいね、みふゆちゃん!
- みふゆ: はい、とっても楽しいです…!
- 次は何して遊ぶ?
- みふゆ: 次ですか…?
- みふゆ: えっと…
- みふゆ: (ブランコには もうたくさん乗ったし)
- みふゆ: (シーソーも 飽きちゃったから…)
- みふゆ: (でも、砂場は 遊び方がよくわからなくて)
- みふゆ: (うーん…普通の子は どんな遊びをするんでしょう?)
- みふゆ: 『“楽しくて素敵なこと”は すぐに底をついてしまったんです』
- みふゆ: 『だって、自由のない生活をしているワタシは 世間で流行っているものを なんとなく知っているだけで 具体的なことは知りませんでしたから…』
- みふゆ: 同じことを繰り返しても つまらないんですね…
- FILENAME: text_311061-3.txt
- みふゆ: 『夢の世界に 退屈さを覚えてきたある日…』
- みふゆの母: みふゆ
- みふゆ: …はい
- みふゆの母: 梓家の子女としての自覚を 持ちなさいと
- みふゆの母: 何度言われれば 理解できるのですか?
- みふゆ: 申し訳ありません、お母様…
- みふゆ: 『お稽古で失敗をしてしまい お母様に折檻されました』
- みふゆ: 『いつものことではあったのですが 何度経験しても 慣れることはありませんでしたね…』
- みふゆの母: はぁ…
- みふゆの母: 明日の朝まで 部屋で反省してきなさい
- みふゆ: …はい
- みふゆ: …………ぐす… うぅ…ぐすぐす…
- みふゆ: (お腹もすいちゃった…)
- みふゆ: 『誰かに慰めてもらえることもなく 悲しいままひとり泣くことしかできなかった ワタシは、夢の世界に逃げました』
- みふゆ: (…あ、これは 華道のお稽古で失敗したとき…)
- みふゆ: (夢でも 怒られてしまうんでしょうか?)
- みふゆ: (それは…嫌です)
- 梓さん
- みふゆ: …はい
- 素晴らしい作品ですね
- みふゆ: えっ…
- みふゆ: (同じ作品なのに…?)
- みふゆの母: みふゆ
- みふゆ: …はい
- みふゆの母: 華道の先生に褒められたそうね お母様もとても誇らしいわ
- みふゆ: …………
- みふゆの母: 今日のお夕飯は みふゆの好きなものにしましょう
- みふゆの母: 何がいいですか?
- みふゆ: え、えっと…
- みふゆの母: なんでもかまいませんよ
- みふゆ: ハ、ハンバーグが 食べてみたいです…
- みふゆ: (現実でこんなことを言ったら 怒られるけど…)
- みふゆの母: わかりました では、一緒に作りましょう
- みふゆ: は、はい…!
- みふゆ: 『このことがきっかけで ワタシが見る夢は変わりました』
- みふゆ: 『これまでは “楽しいこと”を詰め込んだものでしたが…』
- みふゆ: 『ここからは “現実の嫌なことを解決できる” 理想の自分を演じるようになったんです』
- ~♪~♪
- また同じところを 間違えていますよ
- みふゆ: も、申し訳ありません…
- ~♪~♪~♪
- 完璧ですね 次の曲に移りましょう
- みふゆ: はい!
- この問題、 わかる人はいませんか?
- …………
- 少し難しかったみたいですね この問題の解き方は…
- この問題、 わかる人はいませんか?
- みふゆ: はい!
- さすがみふゆちゃん! こんな難しい問題解けちゃうんだ
- みふゆ: うぅ…やっぱり怖い… こんなの無理です…
- みふゆ: 悪い敵さんは マジカル☆みふゆが許しません
- みふゆ: お母様に代わって折檻します!
- みふゆ: えいっ!
- みふゆ: 反省してくださいね!
- みふゆ: 『昼はなんでもできるスーパー小学生 夜は人知れず人々を守る変身ヒロイン …そんな自分を演じていました』
- FILENAME: text_311061-4.txt
- みふゆ: 『少し戻って…』
- みふゆ: 『やっちゃんと出会った直後のことも 話しておきましょうか』
- やちよ: 「でも」「だって」 「私には無理」?
- やちよ: そうやって都合よく 逃げられるなんて羨ましい
- みふゆ: あなたに 何がわかるんですか…!?
- やちよ: あなたみたいな泣き虫のこと なんてわかるわけないでしょ!
- みふゆ: ……………っ
- みふゆ: 『初めての魔女退治のとき 偶然やっちゃんと出会ったのですが すぐに仲良くなれたわけではなかったんです』
- みふゆ: 『やっちゃんは、泣いてばかりのワタシに 呆れちゃったんですよね…』
- やちよ: 「…あの頃は私も余裕がなかったから 今思えば大人げないわね」
- みふゆ: 『ふふ、お互い様ですね』
- みふゆ: 『なので、当時のワタシは やっちゃんも夢に登場させました』
- みふゆ: 大丈夫ですよ 落ち着いて戦いましょう
- やちよ: …う、うん
- みふゆ: 緊張しないで
- みふゆ: あなたにはマジカル☆みふゆが ついていますから
- みふゆ: さぁ、一緒に…!
- みふゆ&やちよ: やぁ!
- やちよ: す、すごい! 私でも倒せた!
- みふゆ: ねっ? 大丈夫だって言ったでしょ?
- やちよ: うん! ありがとう、お姉さん
- やちよ: これからも一緒に戦ってくれる?
- みふゆ: もちろんです!
- みふゆ: マジカル☆みふゆは 困っている人の味方ですから!
- かえで: …想像のやちよさん なんていうか、凄い違和感…
- みふゆ: 当時はやっちゃんの
- みふゆ: 名前すら知らなかったので 想像で補っていたんです…
- レナ: わ、笑っちゃ… 悪い…わよね…コ、コホン…
- やちよ: 無理にこらえるくらいなら 笑ってくれた方がマシよ
- やちよ: 昔、その話を聞いたときは 私も怒るより笑っちゃったし
- フェリシア: あはははっ!
- やちよ: でも、フェリシアは笑い過ぎ
- フェリシア: だ、だってよっ! ゴホゴホッ…!
- やちよ: むせるほど笑わなくたって いいじゃない!
- フェリシア: だって、全然ちげーし!
- みふゆ: あの時、仲良くなれなかった 魔法少女の子と仲良くなって
- みふゆ: 頼られる存在になるっていう 設定だったので…
- ももこ: つまり、その夢は みふゆさんの理想だったんだな
- みふゆ: はい
- みふゆ: 小学生だった頃のワタシにとって 自由な夢の世界は理想でした
- みふゆ: そして、大人になったら 自然とそうなれる
- みふゆ: …って思っていた 未来の姿でもあったんです
- 鶴乃: 理想であり、なれるはずの自分 まさに“夢”だね!
- みふゆ: そうですね まさに“夢”でした
- レナ: なんかいいわね… なりたい自分があるって…
- レナ: レナはそういうの 思い描けないし…
- フェリシア: えっ!
- フェリシア: デカゴンボールの世界に 飛び込んだりしないのか!?
- レナ: アンタのそれは ちょっと違うと思うけど
- フェリシア: でも、自由に 夢を見られるってことは
- フェリシア: マンガの世界だって 再現できるってことだろ?
- フェリシア: オレだったら、デカゴンボールの 世界で冒険するぞ!
- いろは: うーん、そういうのも ある意味では理想なのかな…?
- みふゆ: ふふ、そうですね
- みふゆ: 自由な発想で望むものを見るって 意味ではあっていると思います
- フェリシア: じゃあ、みふゆも たくさん冒険したんだな!
- みふゆ: …いえ、自分を慰めるための 夢を見ていたのは最初の頃だけで
- みふゆ: 今は、自分を慰めるための夢は 見ていないんです
- みふゆ: ふふ、夢の中でなら どんなヒロインにもなれる…
- みふゆ: 夢は自由ですから
- FILENAME: text_311062-1.txt
- みふゆ: マジカル☆みふゆ 新しい衣装でばっちり解決です!
- 私のワンちゃん、 見つけてくれてありがとう!
- みふゆ: いえいえ、困ったことがあったら いつでも呼んでくださいね!
- みふゆ: (現実では、 お手伝いすらできなかったけど)
- みふゆ: (夢の世界のワタシなら)
- みふゆ: (どんなことだって 解決できるんです!)
- みふゆ: 『辛い現実から逃れるように なんでもできる“理想の自分”を 夢の中で演じていた小学生のワタシ』
- みふゆの母: さすがはみふゆですね あなたは自慢の娘よ
- みふゆ: ありがとうございます、お母様!
- みふゆ: 『現実であった嫌なことを解決して お母様に怒られることなく たくさん褒められる存在になることで 自分を慰めていました』
- みふゆ: 『でも… それも長くは続かなかったんです』
- みふゆ: 『きっかけは…』
- みふゆ: 『現実でも やっちゃんと仲良くなったことでした』
- みふゆ: …はぁはぁ
- やちよ: 大丈夫?
- みふゆ: は、はい… やっちゃんが助けてくれたので…
- みふゆ: それより…足を引っ張って しまってごめんなさい
- みふゆ: ワタシがちゃんと 魔女に攻撃できていれば
- みふゆ: もっと早く倒せたのに…
- やちよ: …ふたりとも大きなケガが なかったんだから
- やちよ: 悪い結果じゃないんじゃないかな
- みふゆ: でも…
- やちよ: ほら、立って
- やちよ: くよくよしてても しかたないよ
- みふゆ: …はい
- みふゆ: 『やっちゃんと仲良くなれたことは とても嬉しかったんです』
- みふゆ: 『でも、同時に 夢の中では“理想”のワタシが やっちゃんを助けてあげられるのに』
- みふゆ: 『情けない“本当”のワタシは やっちゃんに助けられてばかりだという 現実を自覚していくことにも繋がりました』
- みふゆ: …………
- やちよ: みふゆ? どうしたの?
- みふゆ: い、いえ…! 帰りましょう…!
- みふゆ: (どうして現実のワタシは こんな風なんでしょう…?)
- みふゆ: (本当はもっとやっちゃんに 頼りにされたいのに…)
- みふゆ: (夢ならもっと…)
- みふゆ: やりましたね! ワタシたちの完璧な勝利です!
- やちよ: 私とみふゆが組めば どんな敵だって怖くないわ!
- みふゆ: (…夢なら頼りになる ワタシでいられるのに…)
- みふゆ: さぁ、やっちゃん! 次の敵を…
- みふゆ: あ、あれ…? 力が入らない?
- やちよ: 張り切り過ぎたみたいね
- やちよ: ほら、立って
- やちよ: 今日はもう帰って休みましょう?
- みふゆ: …………
- みふゆ: 『こんな風に現実とリンクして ちょっとずつ夢でも やっちゃんに助けられることが 増えていったんです』
- FILENAME: text_311062-2.txt
- やちよの祖母: あら、ふたりで 一緒に宿題をしているの?
- やちよ: うん その方が早く終わるから
- みふゆ: 遊ぶ時間を増やして 駄菓子屋さんに行きたいんです
- やちよ: …という割には、 手が止まってるけど
- みふゆ: うっ… ここの計算がわからなくて…
- やちよ: 算数の宿題? 見せて
- みふゆ: …これです わかりますか?
- やちよ: えっと…
- やちよ: あ、ここの分母 入れ替えてないんじゃない?
- みふゆ: えっと…あ、なるほど…
- やちよの祖母: あら、ふたりで 一緒に宿題をしているの?
- やちよ: うん その方が早く終わるから
- みふゆ: 遊ぶ時間を増やして 駄菓子屋さんに行きたいんです
- やちよ: …という割には、 手が止まってるけど
- みふゆ: (あれ…? これ現実とまったく同じ…)
- やちよ: …ああ、ここの計算が わからないのね
- やちよ: 手伝う?
- みふゆ: はい、お願いします
- みふゆ: (…夢でもやっちゃんは ワタシを助けてくれる…)
- みふゆ: (やっちゃんや やっちゃんのおばあちゃんは)
- みふゆ: (現実と同じでも嫌じゃない)
- みふゆ: (ワタシがやっちゃんを 助けるんじゃなくて)
- みふゆ: (こうやって助けてもらうのも 嫌じゃないです…)
- みふゆ: (嫌じゃないけど…)
- みふゆ: このときのワタシが 思い出したのは…
- みふゆ: かつてワタシが 想像で補って見ていた
- みふゆ: “理想を詰め込んだ夢”でした
- やちよ: す、すごい! 私でも倒せた!
- みふゆ: ねっ? 大丈夫だって言ったでしょ?
- やちよ: うん! ありがとう、お姉さん
- やちよ: これからも一緒に戦ってくれる?
- みふゆ: もちろんです!
- みふゆ: マジカル☆みふゆは 困っている人の味方ですから!
- みふゆ: 夢が現実に近づいてきたことで 耐えられなくなったんです
- みふゆ: 自分が救われたいがために
- みふゆ: 友だちを利用しているような 気がして…
- やちよ: たしか、私は気にしないって 話した覚えがあるんだけど…
- みふゆ: 間違ってませんよ
- みふゆ: あの時はワタシも 気持ちが軽くなりましたから
- みふゆ: ただ、それでも拭えない罪悪感を あの頃のワタシは覚えていた
- みふゆ: それは、事実なんです…
- レナ: …ちょっとわかるかも
- レナ: レナも、初めてかえでと 会った時のことを思い出すと
- レナ: 自分で自分が嫌になるし…
- かえで: レナちゃん、 最初私のこと嫌いだったもんね
- レナ: …………ふんっ…
- かえで: でも、気にしてないよ
- かえで: レナちゃんの嫌いは好きって 意味だから
- レナ: はっ!? 勝手なことを言わないでよ!
- ももこ: …話が脱線してるぞー
- レナ: と、ともかくレナが言いたいのは
- レナ: 自分の理想を誰かに 押しつけるのは違うって
- レナ: 後から気づいちゃって
- レナ: 自分が嫌になる気持ちなら わかるってこと…
- みふゆ: 当時のワタシは まさにそれでしたね
- みふゆ: 自分の見てきた理想の夢が とても悪いものに思えたんです
- みふゆ: そして、 自分の間違いに気づいたときから
- みふゆ: ワタシの夢には
- みふゆ: 実在する人たちが 登場しなくなっていったんです
- FILENAME: text_311062-3.txt
- みふゆ: ワタシの夢には
- みふゆ: 実在する人たちが 登場しなくなっていったんです
- みふゆ: …あのやっちゃんはいますか?
- やちよの祖母: やちよなら 今日は撮影に行っているわ
- みふゆ: 『最初に登場しなくなったのは やっちゃんでした』
- みふゆ: 『だって、やっちゃんは ワタシにとって初めてできた友だち…親友で 一番の理解者でしたから』
- みふゆ: 『それから…』
- みふゆ: あの、おばあちゃんは…?
- お買い物にでかけたよ
- みふゆ: 『やっちゃんのおばあちゃん』
- みふゆ: …誰も、いないんですか?
- みふゆ: 『みかづき荘に 下宿していたお姉さんたち』
- みふゆ: あ、あれ…? 今日は人が少ないですね…
- みふゆ: 『学校で ちょっと仲が良かった友だち』
- みふゆ: 今日も自習…?
- みふゆ: 『お稽古の先生より ずっと優しくしてくれた学校の先生たち…』
- みふゆ: …………
- みふゆ: 『少し厳しかったお稽古の先生 厳しかったお稽古の先生 とても厳しかったお稽古の先生』
- みふゆ: 『現実の世界でも ワタシに優しくしてくれた人から 夢に現れなくなったんです』
- みふゆ: 『きっと… 優しい人を夢の世界で歪めていることに 罪悪感があったんでしょうね』
- みふゆの母: みふゆ どうしたのですか?
- みふゆ: お母様…
- みふゆの母: 辛いことがあったのですね?
- みふゆの母: こっちにいらっしゃい お母様が抱きしめてあげます
- みふゆ: 『最後に残ったのは 優しいお母様だけでした』
- みふゆ: まぁ、そのお母様も…
- みふゆの母: 梓家の人間として 相応しい品格を持ちなさいと
- みふゆの母: 何度言えば理解できるのですか!
- みふゆの母: 恥を知りなさい!
- みふゆ: も、申し訳ありません…
- みふゆの母: はぁ…あなたみたいな子を 生んだことが
- みふゆの母: 私の生涯で一番の恥です
- みふゆ: お、お母様ぁ…
- みふゆ: ………… …………
- みふゆ: 『現実のお母様を思うとむなしくて』
- みふゆ: 『夢に登場させるのを やめてしまったんですが』
- FILENAME: text_311062-4.txt
- みふゆ: …そんなわけで
- みふゆ: 幼い頃のワタシは 夢を見るのをやめたんです
- やちよ: …………
- やちよ: 今の話は私も知らなかったわ…
- みふゆ: 誰にも話したことは ありませんでしたからね
- みふゆ: 正直、タイムカプセルを 開けるまで半ば忘れてましたし…
- やちよ: でも…夢を見なくなったのは 私が原因でもあるんでしょ…?
- やちよ: 知らなかったこととはいえ ごめんなさい…
- みふゆ: 謝らないでください…!
- みふゆ: やっちゃんは 夢を奪ったわけじゃなくて
- みふゆ: あのときのワタシを少し大人に 近づけてくれたんですから
- やちよ: えっ…?
- かえで: えっと… 理想に近づけたってこと…?
- みふゆ: いえ、“理想の大人”にではなく
- みふゆ: 人として成長できたという 意味です
- うい: …うーん? それってどう違うの…?
- みふゆ: 幼いワタシが理想としていたのは
- みふゆ: なんでもできて 頼りにされるワタシでした
- みふゆ: そのために、実在する人たちを 都合のいいように歪めて
- みふゆ: 頼りにされるワタシを 作っていたのですが
- みふゆ: やっちゃんに出会って、 それじゃダメだと気づいたんです
- うい: えっと…夢に頼るんじゃなくて
- うい: 現実を見るように なったってことかな…?
- みふゆ: そういう言い方もできますね
- いろは: あっ、現実と向き合えた…?
- みふゆ: はい
- みふゆ: まさにそういう成長だったと 今なら思います
- さな: つまり…夢を見なくなることが 大人になることなんですか…?
- みふゆ: いえ、それは違いますよ
- さな: でも…現実と向き合えたから 成長できたって…
- みふゆ: 現実と向き合って 現実の自分を受け入れても
- みふゆ: 夢を見ること… 理想を持つことはできるんです
- フェリシア: …なんかむずかしー話に なってきたな…
- みふゆ: 難しくはありませんよ
- みふゆ: 現実と向き合うことを知り それでも夢を見たからこそ
- みふゆ: 今のワタシがある というだけのことですから
- みふゆ: 幼いころに見た夢が現実に なることはなかったけれど…
- FILENAME: text_311063-1.txt
- みふゆの母: …久しぶりに 帰って来たと思ったら
- みふゆの母: その格好はなんですか
- みふゆの母: 服装の乱れは心の乱れ 何度も教えてきたはずです
- みふゆ: 申し訳ありません
- みふゆの母: だいたいろくに連絡もせず どういうつもりですか?
- みふゆの母: 家を出たことで 気が抜けているようですね
- みふゆ: ええ、申し訳ありません
- みふゆ: (…この人は相変わらずですね)
- みふゆ: (まぁ、その小言に頷くだけの ワタシも相変わらずですが)
- みふゆ: (…ふふ、そう相変わらずです ワタシは)
- みふゆ: (“理想の大人”とは かけ離れたままですね)
- みふゆ: 現実と向き合うことを知り それでも夢を見たからこそ
- みふゆ: 今のワタシがある というだけのことですから
- フェリシア: でも、マギウスの翼に 入って悪いことしてたよな
- みふゆ: うっ…痛いところを突きますね
- 鶴乃: まぁ、生きてれば 間違えることくらいあるから…
- みふゆ: はい、それも含めて ワタシの人生ですね…
- みふゆ: …そんな風に歩んできたワタシは
- みふゆ: 先ほど話した幼い頃のワタシが 思い描いていた“理想の大人”に
- みふゆ: なれていると思いますか?
- うい: えっ…? うーん…
- うい: わたしから見ればみふゆさんは 十分大人だと思うけど…
- さな: はい、頼りになりますし…
- フェリシア: ちょっとだらけてるけど やるときはやるしな
- フェリシア: まっ、 たっきゅーだいじゃないか?
- みふゆ: えっ…? 卓球台はどこから…?
- 鶴乃: えっと…あっ! きゅーだい…及第点ね!
- かえで: 私も頑張ってるって思うよ!
- レナ: ふんっ、だからかえでは お子さまなのよ
- かえで: えっ、なんで…!?
- レナ: “理想の大人”になれてたら こんな話しないでしょ
- レナ: なりたい自分になんて 簡単にはなれないんだから…
- かえで: たしかにそう、かも…?
- いろは: …私は少しわかるかも
- いろは: やりたいこととか はっきりすればするほど
- いろは: 遠く感じるというか…
- ももこ: そうそう
- ももこ: 子どもの頃に思っていたほど 大人にはなれないもんだよな…
- やちよ: みふゆに関して言えば 今も甘えん坊で泣き虫よね
- やちよ: 一人暮らしを始めてからは 私生活はだらけてるみたいだし
- みふゆ: 頼りにされる自分になりたい っていう気持ちはあるんですよ?
- みふゆ: でも、頼られ過ぎるのは ちょっと大変というか…
- フェリシア: つまり、理想の大人には なれてねぇってことじゃん!
- みふゆ: そうなりますね
- フェリシア: ダメじゃねぇか!
- 鶴乃: ダメではないよ!
- 鶴乃: 理想はいつでも そこにあるんだから!
- フェリシア: あ?
- みふゆ: ふふっ つまりですね…
- FILENAME: text_311063-2.txt
- 鶴乃: 理想はいつでも そこにあるんだから!
- フェリシア: あ?
- みふゆ: ふふっ つまりですね…
- みふゆ: ワタシの長いとは言えない 人生の中でさえ
- みふゆ: いろいろなことがありました
- みふゆ: 『大切な仲間を失い 知りたくもない真実を知ったこと』
- みふゆ: 『マギウスの翼に誘われて 彼女たちの計画に加担したこと』
- みふゆ: 『そして、今… キモチを巡る争いの中にいること』
- みふゆ: 他にもたくさん いろんなことがあって…
- みふゆ: その度に、間違えたり 失敗したりしました
- みふゆ: 『諦めたこともありましたし…』
- みふゆ: 『背伸びをしていたこともあります』
- みふゆ: 『…長い間 気持ちの整理をつけられずにいたことも』
- みふゆ: その中で“理想のワタシ”に 近づいたこともあれば
- みふゆ: すごく遠ざかってしまったことも あります
- うい: …今は?
- みふゆ: うーん… 微妙、ですかね?
- みふゆ: すっごく遠くはありませんが 近くもない、でしょうか…?
- かえで: …あの、もしかしてなんだけど みふゆさんって
- かえで: あんまり自分のこと 好きじゃないの…?
- みふゆ: えっ…? そう聞こえました?
- かえで: えっと…なんとなく…?
- さな: その…私も… 自己否定みたいに聞こえました…
- みふゆ: もしかして、失敗ばかりだったと 話したからでしょうか?
- さな: は、はい…
- みふゆ: ふふっ、 それは違いますよ
- みふゆ: ワタシの人生は 失敗や間違いもたくさんあります
- みふゆ: これは事実ですが… 自己否定ではないんです
- みふゆ: むしろ今となっては ワタシを肯定するものなんです
- さな: えっ…?
- FILENAME: text_311063-3.txt
- みふゆ: 今のワタシは、幼い頃のワタシが 思い描いたほど
- みふゆ: 完璧で頼りになれる存在には なれていません
- みふゆ: でも…
- みふゆ: 『こんなワタシでも 慕ってくれる後輩がいます』
- みふゆ: 長く魔法少女を やっている甲斐がありますね
- レナ: …でも、それ悪用したわよね
- みふゆ: …うっ、すみません
- みふゆ: そのことに関しては 弁解できません…
- ももこ: あー、まぁ… 掘り返してやるなよ
- みふゆ: …すみません ワタシの所業の善悪はともかく…
- みふゆ: 頼られたからには 応えようと努めてはきたんですよ
- いろは: 確かに、ユニオンのリーダーに なったとき
- いろは: 相談したら、話を聞いてくれて アドバイスもくれましたよね
- やちよ: そういえば、私だけじゃなく みふゆにも話を聞いていたわね
- いろは: 元々西側をまとめていたのは やちよさんとみふゆさんなので!
- 鶴乃: つまり、みふゆなりに 頑張ってるってことだよね
- 鶴乃: なりたい自分に追いつきたいから
- みふゆ: はい その通りになれなかったとしても
- みふゆ: それでも、“理想のワタシ”は いつだってそこにいますから
- フェリシア: …? そこってどこだ?
- みふゆ: うーん…今は 10歩先くらいでしょうか?
- フェリシア: えっ…? なんか見えてんのか?
- いろは: たぶんね、たとえ話だと思うよ?
- いろは: 理想の自分を追いかけてるって ことですよね
- みふゆ: はい
- みふゆ: そして、理想を持って 追いかけているからこそ
- みふゆ: ちょっとだけ理想に近いワタシで いられるんです
- レナ: うんうん その気持ち、レナはわかるわ…
- フェリシア: ホントかよ… オレ、頭こんがらがってきたぞ…
- うい: ちょっと難しいかも…
- うい: 大きくなれば 大人になれるわけじゃない
- うい: っていうのはわかったけど…
- かえで: ふゆぅ…なんだか… 大人になるって大変そう…
- さな: 理想を持っていれば
- さな: 理想通りになれなくても 近づける…?
- さな: それって… 辛くないんでしょうか…?
- みふゆ: …ふふっ
- みふゆ: (ふふっ…)
- みふゆ: (あっ、いけない…)
- みふゆ: (さっきのみなさんの顔を 思い出したらつい笑みが…)
- みふゆの母: 何がおかしいんですか?
- みふゆ: いえ、何も…
- みふゆ: (お母様のお小言を 聞き流せるようになったのも)
- みふゆ: (“理想のワタシ”に)
- みふゆ: (少しだけ近づいていると 思っていいでしょうか?)
- みふゆ: (あの頃、望んでいたように 認めてもらえてはいませんが)
- みふゆ: (それでも怯えるだけの ワタシではなくなりましたし)
- みふゆ: (…ふふっ)
- FILENAME: text_311063-4.txt
- みふゆ: はぁ~… やっと解放されましたね…
- みふゆ: ようやくお家に帰れます…
- みふゆ: (お母様にお小言をもらっても 怯えなくなった今のワタシを)
- みふゆ: (幼い頃のワタシが見たら…)
- みふゆ: えっと…お話はちゃんと 聞いた方がいいと思います
- みふゆ: …うーん、“大人ですね”とは 言ってくれなさそうですが
- みふゆ: 今のワタシから見れば これだって成長ですね
- みふゆ: …………あっ…
- うい: あのね…
- うい: せっかくだから理想の自分って どんな風か考えてみない?
- かえで: うん、いいよ!
- フェリシア: えぇ…めどくせー…
- さな: まぁまぁ、せっかくですし…
- みふゆ: …………
- みふゆ: さて、そろそろおいとましますね 実家に呼び出されているので…
- やちよ: ねぇ、みふゆ
- みふゆ: はい
- やちよ: やっぱり、あなた 理想のお姉さんになっているかも
- みふゆ: えっ…? そうですか…?
- みふゆ: どうして、急に…?
- チラ…
- みふゆ: …?
- やちよ: 時間ないんでしょ? 急ぎなさい
- みふゆ: えっ…?
- みふゆ: もしかして、やっちゃんが 言いたかったのは…
- やちよ: 「子どもの頃のみふゆが 今のみふゆを見たら どう感じるか考えてみたら?」
- みふゆ: …ということでしょうか?
- みふゆ: (深読みしすぎですかね…?)
- みふゆ: …………
- みふゆ: (うーん…今の自分と 昔の自分を客観的に…)
- みふゆ: …………
- みふゆ: わぁ! これが大人になったワタシ…
- みふゆ: すごく大人びて見えます…!
- みふゆ: えっと、 どんなことをしてるんですか?
- みふゆ: お稽古を頑張って お母様に認めてもらえたり
- みふゆ: 魔法少女として頑張って みんなに頼りにされていますか?
- みふゆ: (…ちょっと 心が痛くなってきましたね)
- みふゆ: (ただ…一見しただけだと 近づいて見えるかもしれません)
- みふゆ: (理想通りではなくても)
- みふゆ: (昔よりは強くなれたと 自分でも思いますし…)
- みふゆ: …………
- みふゆ: わぁ! これが大人になったワタシ…
- みふゆ: すごく大人びて見えます…!
- みふゆ: …たまには お夕飯くらい作りましょうか
- みふゆ: (今日はなんだか…)
- みふゆ: (幼い頃に憧れた)
- みふゆ: (“理想のお姉さん”に 背伸びしたい気分ですので)
- みふゆ: 理想を持つこと、それ自体が 理想に近づくことだと思うんです
Advertisement
Add Comment
Please, Sign In to add comment