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- FILENAME: text_339021-1.txt
- …よし…
- ブツは確認した 金の方は…
- ちょっと待て!
- ど、どうした…!?
- …そこにいるのは誰だ!
- シィ: …………
- …なんだぁ?…ガキ?
- こんなとこで 何してんだ、あぁ?
- シィ: …なにやら危なっかしいものを 取り引きしていたようね
- シィ: あなたたち、悪い人で 間違いないわね
- てめぇ…
- 何もんだ!
- シィ: わたしはシィ…
- シィ: 魔法少女、シィ!
- ま、魔法少女だと!?
- 魔法少女ってのは 魔女を相手にしてるんじゃ…
- シィ: よく知っているわね 確かにそうよ…普通はね
- シィ: でも、わたしは違う…
- シィ: わたしは魔女だけじゃなく 悪そのものを許さない!
- シィ: すべてを救う 例外的魔法少女なのよ!
- な、なんだと…!?
- …ケッ!なにが魔法少女だ! たんなるガキじゃねぇか!
- ぶちころがしてやる!
- シィ: ふっ…
- シィ: 変身!
- なっ!その姿は…!
- シィ: これが魔法少女のわたし…
- シィ: さあ!観念なさい!
- こんのぉ…!
- シィ: ミラクルアーム!
- ぐべえ!
- シィ: 奇跡の平手で あなたも反省なさい
- う…うぅ…
- …待ってくれ! まだ奥歯が治療中なんだ!
- FILENAME: text_339021-2.txt
- シィ: あなたも反省なさい
- う…うぅ…
- …待ってくれ! まだ奥歯が治療中なんだ!
- あと実家の犬が妊娠してるんだ!
- シィ: 往生際が悪いわね! 覚悟なさい!
- お、俺は…
- 俺は悪だ!
- シィ: …は?
- 悪、悪、悪 あくなきまでに悪
- 悪からして すべからくに悪でして
- この世の罪悪を 我が一身に煮詰め候
- シィ: な、なにを言ってるの…?
- 悪の華咲く季節柄 恐々謹言あらあらかしこ
- 悪である俺、わたくし 拙者が思うことには
- 悪は悪ゆえに悪なり 悪鬼悪魔悪代官も悪なり
- 悪うららにして 天気晴朗、快活な一日
- 悪と悪の両天秤を 担いで走る灰色の街
- シィ: さっきから… なんなのよ!もう!
- 悪を狩るそなたは 一体何者なのだろうか?
- シィ: 魔法少女よ!
- 魔法少女は悪なりや?
- シィ: すべてを救う者よ!
- 救済とは何か?
- シィ: 悪を倒すのが救済よ!
- では悪とは… わたしとは何か?
- シィ: 悪は…
- 貴方にとって 悪とは何か?
- シィ: わたしに… とっての…悪とは…
- シィ: 誰かを…苛む…もの…
- シィ: 誰かを…苦しめるのが…悪…
- シィ: …それ…それだわ… 誰かを苦しめるのは悪…!
- 誰か、とは誰か?
- シィ: 誰かとは、誰かでありわたし…
- シィ: だから、わたしを苦しめている あなたは…悪!
- わたしは悪…わたしは悪…
- シィ: 悪よ!悪なのよ! だから…だから…
- ???: 「なくさなきゃね」
- シィ: そうよ!
- シィ: …………!!
- FILENAME: text_339021-3.txt
- シィ: …はっ!
- シィ: …………
- シィ: …夢…ね…
- シィ: (寝覚めが最悪なのは… いつものことだけど…)
- シィ: (今日はやけに おかしな夢だった…)
- シィ: …………
- シィ: …そういえば…
- シィ: 変身!
- シィ: (イメージできないから 服装が変わらなかった…)
- シィ: (…それはそうよね わたし魔法少女じゃないんだし)
- シィ: …暗い部屋…
- シィ: …いつもと変わらない…
- シィ: (やることも変わらない…)
- シィ: (夢を思い出して…)
- シィ: (日記に加害者と被害者の 詳細を記録する…)
- シィ: (…被害者…?)
- 悪を狩るそなたは 一体何者なのだろうか?
- シィ: …………
- シィ: (あの夢には…)
- シィ: (悪党は出てくるのに 被害者がいない?)
- シィ: …いつもと違う…
- シィ: (…これは…どうなの?)
- シィ: (でもあいつらはたぶん 間違いなく悪党だった…)
- シィ: ユゥにリストを…
- シィ: (…やめよう…)
- シィ: リストに名前を記してしまったら
- シィ: どこかで、 あの誰かがいなくなる…
- シィ: (わたしは何もされなかった 書く必要なんてないわ)
- シィ: …………
- シィ: (夢の中でつらい思いを しなかったのは初めてかも…)
- シィ: (それより… なんで魔法少女の夢なんか…)
- シィ: …………
- シィ: わたしが魔法少女?
- シィ: …魔法少女になれば…? 魔法?魔法?
- シィ: 魔法少女になれなれば 変われれるはずよ、きっときっと
- シィ: …でも…わたしは… 魔法少女に…なりたく???
- シィ: …!
- シィ: (今の…もしかして…)
- シィ: (そう…よね…? キュゥべえよね…?)
- シィ: …ど、どこ…! どこに…!
- シィ: (…待って…)
- シィ: (なんでわたしはキュゥべえを 捜しているの…?)
- シィ: (魔法少女の契約は 断ったはず…!)
- シィ: …………
- シィ: (…あんなものに 救いなんてない!)
- シィ: (それでも…もう一度 話がしたい…!)
- FILENAME: text_339021-4.txt
- シィ: はぁ…はぁ…はぁ…!
- シィ: (どこ…?どこにいるの…?)
- シィ: (キュゥべえ… キュゥべえ…!)
- シィ: (キュゥべえと話せば 何かが変わるかも…)
- シィ: (もしかしたら…わたし… 踏み切れるかも…)
- シィ: (魔法少女の契約に…)
- シィ: …………
- シィ: …本当に…?
- シィ: (契約すれば…変わる?)
- シィ: (実体のない苦痛に満ちた 毎日が…変わるの?)
- シィ: (本当に… それでいいの…?)
- シィ: (…で、でも…どこかへ…)
- シィ: (どこかへ行きたいの… わたしは…!)
- シィ: キュゥべえ… キュゥべえ…!
- シィ: …どこ…どこなの…?
- シィ: キュゥべえ!
- ???: 「あれ…?そこにいんのって…」
- ユゥ: シィ?
- シィ: ユゥ…! どうして…ここに…?
- ユゥ: どうしてって… “お仕事”してたんだよ?
- ユゥ: 悪い人、殺してた
- シィ: …ユゥ…
- シィ: わかってるわ…夢はしょせん、 夢だってことくらい…
- FILENAME: text_339022-1.txt
- ユゥ: “お仕事”してたんだよ?
- ユゥ: 悪い人、殺してた
- シィ: …ユゥ…
- ユゥ: シィは、なんでいんの?
- シィ: …え?…あ…そうね…
- シィ: …なんでだろう…
- ユゥ: わかんないの? あ、そ…
- シィ: うん…?
- シィ: (ユゥ…?)
- シィ: (なんだろう… いつもとちょっと…)
- シィ: (いや、かなり違う気が…)
- ユゥ: あのさ
- シィ: な…なに?
- ユゥ: 疲れてんの? 顔色悪いよ
- シィ: …そう? いつも通りじゃない?
- ユゥ: いっつも悪いけど もっと悪い
- シィ: …ふふ…
- ユゥ: また、夢みたの? 悪い夢
- シィ: それが…なんていうか 今日はちょっと違ってて…
- ユゥ: リストは? リスト書きなよ
- シィ: えっと、それがね?
- シィ: 今日の夢は誰も 苦しまなかったの…
- ユゥ: でも悪い人は 出てきたんでしょ?
- シィ: …分からない
- ユゥ: なんで?
- シィ: こんなことは、初めてなの
- ユゥ: シィの夢って、 いつもどんなだっけ?
- シィ: わたしの夢? わたしの夢は…
- FILENAME: text_339022-2.txt
- シィ: わたしの夢は…
- シィ: 他人の悩み、苦しみを 自分のこととして体験してしまう
- シィ: 夢の中で、現実のように…
- ユゥ: そうだよね
- ユゥ: なんでそんなことに なってんだっけ?
- シィ: なんでって… 悪夢の理由?
- シィ: また忘れちゃった?
- ユゥ: そうかも
- シィ: わたしの能力は、魔法少女だった 母の願いで生まれたもの…
- ユゥ: へ~ なんで?
- シィ: わからない…
- シィ: どうせろくな理由じゃないわ…
- シィ: 普通、生まれたばかりの我が子に
- シィ: こんな能力で 苦痛を与えたりする?
- ユゥ: げらげらげら
- シィ: きっとわたしを 育ててくれた施設みたいに
- シィ: 誰かの弱みに 付け込みたかったのよ…
- シィ: 悩みや苦しみに共感してあげれば
- シィ: 簡単に人を 誘導できてしまうから…
- シィ: …………
- シィ: キュゥべえと会った時 わたしも契約しようとした…
- シィ: 願いは…この能力を消すこと
- シィ: だけど…できなかった
- シィ: お母さんと同じ魔法少女に なることに抵抗があったし
- シィ: その後、実際に魔法少女と会って ますます なりたくなくなった
- シィ: 彼女たちの多くは 騙されるように魔法少女となって
- シィ: 後悔の底にいた
- ユゥ: げらげら、なるほどね?
- ユゥ: そうだよね
- ユゥ: だから結局
- ユゥ: シィは夢で見た内容を 日記につけて…
- ユゥ: 意味を見出すことに、成功した
- シィ: …………
- ユゥ: 私が悪夢の中に出る 悪い人を殺すことで
- ユゥ: 悪夢は消滅する
- ユゥ: 悪い人を殺すことが 私の“お仕事”になった
- シィ: あの…ユゥ… ごめんね…わたし…
- ユゥ: なんで謝んの?
- シィ: わたしはユゥに わたしの意味を代行させてる
- ユゥ: げらげら、そんなこと?
- ユゥ: だって、あんたは そうでしか救われないんでしょ?
- ユゥ: シィは正しい…
- シィ: …ユゥ、今日ほんとうに変だよ?
- FILENAME: text_339022-3.txt
- シィ: …ユゥ、今日ほんとうに変だよ?
- ユゥ: シィは正しい…
- ユゥ: 人の罪って、 どうやって計ると思う?
- シィ: …どうしたの?
- ユゥ: 私たちってさ、 嘘を見破る術がない
- ユゥ: だから私たちは慎重になんの
- ユゥ: 推定無罪の原則ってさ 私たちには、時を遡ることも
- ユゥ: 誰かの本心を 知ることすら不可能なの
- ユゥ: けれど、あんたは違う
- ユゥ: シィの夢が体験させる光景は 被害者の感情とその相手
- ユゥ: 魔法を使えないどんな判決より シィの方が正しい…
- シィ: 部分的にはそうかもしれないわ
- シィ: だとしても、正しさの範囲は
- シィ: “その夢をもとに 告発する”までよ
- シィ: 加害者を処分するのは
- シィ: 再びその悪夢を見たくないという わたしの都合
- シィ: 個人的な都合と正しさを 同一視しては駄目…
- ユゥ: それじゃぁ、 シィは正しくもないのに
- ユゥ: リストに名前を書き続けんの?
- シィ: あなたが教えてくれたからよ
- シィ: 正しさは 意味のすべてではないって
- ユゥ: それでも、魔法少女の願いで
- ユゥ: 悪夢を消さないのは なんでだっけ?
- ユゥ: 魔法少女が可哀そうな人 ばっかだったから?
- シィ: それもあるけど…
- シィ: わたしは生まれた時から
- シィ: 相手の悩みや 苦しみは分かったから
- シィ: 相手のことが何も 分からなくなるのが怖いのよ……
- ユゥ: げらげらげら
- ユゥ: 私には悩みも苦しみもないけど 私のことも怖い?
- シィ: あなたは特別よ
- ユゥ: シィは、悪夢を消さないことに 言い訳してるみたい
- シィ: そんなこと…
- ユゥ: きっとシィは 夢の中で誰かを体験するたびに
- ユゥ: その誰かから バトンを貰ってんだよ
- ユゥ: 「シィが拒むことは その誰かが拒むこと」
- シィ: 『拒むことなんて…』
- ユゥ: 「悪夢を終わらせちゃったら 忘れ去られちゃうのは、誰?」
- ユゥ: 「めでたしめでたしで解決したら 置いて行かれちゃうのは、誰?」
- シィ: …………
- シィ: わたしには目を背けていることがある
- シィ: わたしの感情はまだ わたしだけのものなのだろうか?
- シィ: (それを証明できるのは、 ユゥへの愛)
- シィ: わたしは夢の中で何度もユゥに襲われる 夢の中の誰かはユゥに恐怖し憎悪する
- シィ: わたしは繰り返しそれを体験する
- シィ: それでもこの感情は消えなかった
- シィ: (この感情だけが 確かなわたし…)
- ユゥ: シィは正しい
- ユゥ: シィだけが、 シィにしか聞けない声の
- ユゥ: 代弁者になれんの
- ユゥ: 他人が勝手に 装飾したもんじゃない
- ユゥ: ほんとの誰かの代弁者
- ユゥ: ありあわせの常識と一緒に パック詰めされてないままの
- ユゥ: 誰の都合にも嵌ってない そのまんまの代弁者
- シィ: …………
- シィ: わたしだって
- シィ: 他人を都合よく解釈する 人間のうちのひとりなのよ…
- ユゥ: そんなことないよ?
- ユゥ: シィは正しさのために悪人を殺す シィはみんなの味方なんだよ?
- シィ: 違う…悪人を殺すことは 正しさじゃない
- シィ: わたしはわたし以外の人たちと
- シィ: 何ひとつ変わらず、 同じくらい醜い
- ユゥ: なに言ってんの? シィはもう、魔法少女なんだよ?
- ユゥ: 魔法少女はもう、 人間じゃないんだよ?
- ユゥ: 魔法少女には人の形を 道理を越えた力があんでしょ?
- ユゥ: 魔法少女には
- ユゥ: あらゆることを変える 奇跡があんでしょ?
- ユゥ: 魔法少女なら姿なき者たちの 代弁者になれんじゃないの?
- シィ: …?
- シィ: …わたしはまだ魔法少女じゃ
- ユゥ: シィの人生は 転がり出してんだよ
- シィ: ……?
- ユゥ: 目を覚ましなよ?シィ…
- ユゥ: 世界は変わる…
- ユゥ: 変わっちゃう 望んでも望まなくたって
- ユゥ: あとは、気づくだけ…
- シィ: 気づく…?わたしが…?
- ユゥ: そうだよ?
- ユゥ: よく見なよ 自分の姿…
- シィ: わたしの…姿…?
- ユゥ: ほら…
- シィ: …………
- シィ: …あ…
- FILENAME: text_339022-4.txt
- シィ: この姿は…
- ユゥ: シィはもう 魔法少女じゃん
- シィ: わたしが…魔法少女!?
- シィ: そんな…じゃあ、願いは…!? わたしの魔法は…!?
- ユゥ: げらげらげら そのうち思い出すんじゃない?
- ユゥ: 今大事なのは シィが魔法少女だってこと
- シィ: わたしが魔法少女…
- ユゥ: そ
- シィ: わたしが魔法少女…
- ユゥ: だよね?
- シィ: わたしが魔法少女…
- シィ: …そうだ… わたし…
- シィ: …いや…僕は 魔法少女なんだ…!
- シィ: ありがとう、ユゥ! 思い出したよ!
- シィ: 僕は…そう魔法少女なんだ! やっと目が覚めた!
- シィ: でも、どうしたんだろう 一体…今までのことは…
- ユゥ: 知らんけど、シィの 悪い夢だったんじゃない?
- シィ: 僕の…悪い夢…
- ユゥ: シィは、その悪い夢に 囚われていただとか?なんとか?
- シィ: …そうか…そうだったんだ!
- ユゥ: それも終わりだね?
- シィ: うん!
- ユゥ: じゃあ、やんなきゃいけないこと 果たさないと
- シィ: …僕の…?
- シィ: …僕の…やるべきことは…
- シィ: 曖昧だ…なにもかも曖昧だ… ああ、目の前が回っていく…
- FILENAME: text_339023-1.txt
- ユゥ: じゃあ、やんなきゃいけないこと 果たさないと
- シィ: …僕の…?
- シィ: …僕の…やるべきことは…
- シィ: …そうだ…
- シィ: 悪を倒すことだ!
- ユゥ: そうだね
- シィ: …わかってきたぞ…
- シィ: 僕が悪夢に囚われていたのも きっと悪党どもの仕業!
- ユゥ: なるほど
- シィ: そうだ、そうだよ きっとそうだ!
- シィ: おのれ! よくもやってくれたな!
- ユゥ: そいつらにゃ シィは邪魔者だったんだね?
- ユゥ: 知らんけど
- シィ: よし! これからやっつけにいこう!
- シィ: 一緒に来てくれるよね?
- ユゥ: もちろん
- シィ: ありがとう!
- シィ: 悪い奴らを、見つけよう!
- …よし…
- ブツは確認した 金の方は…
- ちょっと待て!
- ど、どうした…!?
- …そこにいるのは誰だ!
- シィ: …………
- …なんだぁ? …ティーンエージャー?
- こんなとこで 何してんだ、あぁ?
- シィ: お前らだな… 僕に悪夢を見せてたのは!
- …は? 何を言ってるんだ…?
- シィ: とぼけても無駄だ!
- シィ: まったく、とんでもなく 悪い奴らだな!
- …んだぁ?訳のわからねぇ…
- …よく見ると 珍妙なカッコしてんなぁ…
- …歌劇でもやってんのか?
- ソシャゲのコスプレじゃね?
- シィ: ごちゃごちゃとうるさい! 覚悟しろ!
- シィ: いくよ、ユゥ!
- ユゥ: 「うん…いこう…」
- FILENAME: text_339023-2.txt
- シィ: 悪党どもめ!
- シィ: ミラクルキリングアーム!
- ぐべりゃぁッッ!
- まさか… 悪党序列3位がこうもあっさり…
- お、おい!野郎ども! 出てこい!
- こいつ、どうにかしろ!
- シィ: ふん…雑魚がどれだけ群れようと 佃煮にしかならない!
- シィ: 背中は預けたよ、ユゥ!
- ユゥ: 「任せなって…」
- シィ: 断罪!
- シィ: 断罪!
- シィ: また断罪ッ!
- シィ: どうだ! 反省程度で許すものか!
- ひ、ひぃ…!
- シィ: あとは、あなただけ…
- う…うぅ…
- …待ってくれ!
- シィ: 往生際が悪い! 覚悟しろ!
- ち、違う! 後ろだ、後ろ!
- シィ: え?
- ユゥ: …………
- シィ: …なんだ、ユゥじゃないか
- 化け物!化け物ーッ!
- ユゥ: は? お前、今、なんつった?
- シィ: そっちは片付いた?
- ユゥ: 終わったよ
- シィ: よし…じゃあ、あとは こいつだけ…
- ユゥ: あ、待って待って
- シィ: ん?
- ユゥ: とりあえず、ここまでだから
- シィ: …何が?
- …ああ、そうですか
- 悪は悪で 大変疲れるわけで、悪だから
- 悪いことをする時の カロリーを計算すると…
- ユゥ: 文句多いなぁ
- …本当にこんなんでいんですか?
- ユゥ: 2話はセリフだけだったし
- ユゥ: 3話は感動アクション巨編の方が やっぱいいかなって?
- 悪夢ってどうすんでしたっけ?
- ユゥ: 言ったじゃん!
- ユゥ: 本当は悪の組織が シィに悪夢を見せてて
- ユゥ: それを倒して解決すんだよ?
- ユゥ: ぶちころがすぞ?
- はぁ…悪夢って毒電波かなんかで 見せてるんスかね?
- ユゥ: 知んないよそんなこと
- う~ん…なんて言うか、その このお話だと対象年齢と言うか…
- 設定のツジマジというか…
- ユゥ: うっさいなぁ…
- ユゥ: お話は家族で 見てもらいたいでしょ?
- ユゥ: 設定なんか誰も見ないよ
- …そんなもんスかねぇ
- ユゥ: あ、そーだ!
- ユゥ: シィの両親も本当は悪の組織が 殺しちゃってたことにしよ!
- …今からスか?
- ユゥ: ついでにお前は
- ユゥ: シィの本当の お父さんだったことにしよう!
- …うそでしょ?
- ユゥ: あいむ、ゆあ、ふぁーざー! りっすん とぅー みー!
- シィ: …………
- シィ: …どう…なってるの…?
- シィ: …え…?
- FILENAME: text_339023-3.txt
- シィ: …はっ!
- シィ: …………
- シィ: …………
- シィ: …………
- シィ: …夢…ね…
- シィ: (これは…悪…夢?)
- シィ: (訳が分からないわ…)
- シィ: …暗い部屋…
- シィ: …いつもと変わらない…
- シィ: (やることも変わらない…)
- シィ: (夢を思い出して… 被害者と加害者を日記に…)
- シィ: (…被害者…?)
- シィ: …………
- シィ: (まただ…この違和感 悪党はいたけど、わたしは…)
- シィ: わたしは“こんなこと”を 続けていたわけじゃない…
- シィ: …………
- シィ: (“こんなこと”で あってくれたなら…)
- シィ: (それなら、 どれほど良かったか)
- シィ: …………
- シィ: …魔法少女になれば…
- シィ: 魔法少女になれば こんな日常が…
- シィ: …あれ…?
- シィ: (わたし…魔法少女… だったよね…)
- シィ: 悪党どもめ!
- シィ: (確かに…魔法少女だった…)
- シィ: (あの姿…どうして…)
- シィ: …あ…?
- シィ: (今の…もしかして…)
- シィ: (そう…よね…? キュゥべえよね…?)
- シィ: …ど、どこ…! どこに…!
- シィ: (…待って…)
- シィ: (なんでわたしはキュゥべえを 捜しているの…?)
- シィ: (魔法少女の契約は…!)
- シィ: …断っている…
- シィ: …だけど…わたし…変身して…
- FILENAME: text_339023-4.txt
- シィ: はぁ…はぁ…はぁ…!
- シィ: (どこ…?どこにいるの…?)
- シィ: (キュゥべえ… キュゥべえ…!)
- シィ: (キュゥべえと話せば 何かわかるかも…)
- シィ: (もしかしたら わたしはもう…)
- シィ: キュゥべえ… キュゥべえ…!
- シィ: キュゥべえ!
- ユゥ: シィ?
- シィ: ユゥ…! どうして…ここに…?
- ユゥ: どうしてって… “お仕事”してたんだよ
- ユゥ: 悪い人、殺してた
- シィ: …ユゥ…
- ユゥ: シィはなんでここに?
- シィ: …え?
- ユゥ: ねえ、なんで?
- シィ: …あ…あれ…?
- シィ: わからなく…なっちゃった…?
- シィ: なんだっけ…? 頭が…ぼーっとして…
- ユゥ: わからないの? ふーん…
- ユゥ: リストは?
- シィ: ないよ…今日の夢は 誰も傷つかなかった…
- ユゥ: でも悪い人はいたんでしょ?
- シィ: …………
- ユゥ: ちゃんと名前書いてくんないと
- ユゥ: 毎晩苦しめられてる夢だって 意味があることになんないよ?
- ユゥ: シィは姿なき者たちの代弁者
- ユゥ: ユゥと共に誰よりも正しく 悪を討ち、罪を滅ぼす
- ユゥ: 多くの人々を救ったシィは 魔法少女の契約で悪夢を消し去り
- ユゥ: 晴れて日常の安寧を取り戻…
- ユゥ: あ、やべ…
- ユゥ: 悪夢は悪の組織が 毒電波でみせてて
- ユゥ: シィは被害者なんだったわ
- ユゥ: それにアレだわ 代弁者のシィが正しいんだったら
- ユゥ: 夢みなくなった シィって正しくない?
- ユゥ: ま、んな細かいこた 誰も気にしねーか?
- ユゥ: げらげらげら
- シィ: …やめろ!
- シィ: 僕はそんなこと望んでない!
- シィ: 僕を勝手に理解しようとするな!
- ユゥ: …………
- ユゥ: あーあ、もしかして 思い出しちゃった?
- ユゥ: それが、あんた
- ユゥ: クソ真面目で面倒で 何処にも行けない、それがシィ
- シィ: …ユゥ?
- ユゥ: なあに?
- シィ: 君は僕の… 現実だよね…?
- ユゥ: 私が、シィの…現実?
- ユゥ: ゲラゲラゲラ
- ユゥ: なにそれ? 合ってるけど、的外れだね?
- シィ: ……君は 誰だ?
- ユゥ: ん~、でもさ…
- ユゥ: 私見て現実を 認識するなんてさ
- ユゥ: おかしくない?
- シィ: え…?
- ユゥ: 私は鏡じゃないよ?
- ユゥ: シィは、シィを見なよ
- ユゥ: あんたは、今、何処にいるの?
- シィ: 僕は僕だ でも君は違う、ユゥじゃない
- ユゥ?: …あのさぁ 吐き気すっから、あんま見んなよ
- シィ: 夢を、みていたんだ 奇妙な夢を
- シィ: その夢はなんていうか 普段の悪夢とは違う醜悪さだった
- ケイ: ……そ
- ケイ: お礼のつもりだったんだけど あんま良くなかった?
- シィ: 君、僕のこと馬鹿にしてるだろ?
- シィ: 君とは初対面だけど 性格が最悪なのは理解したよ
- ケイ: ゲラゲラゲラ
- ケイ: …わたし、あんたにだけは 頼みたくなかったんだけど
- ケイ: 結局、あんたが ユゥを連れ戻してくれた
- シィ: …………
- ケイ: でも、わたしが生きてたら
- ケイ: あんたのこと 2000回は殺してたと思う
- ケイ: わたしが死んでてよかったね?
- シィ: 意外だよ、呪い殺してくれたりは しないんだね
- ケイ: そんな都合良いこと 出来んだったら
- ケイ: 世の中もっと 良くなってんでしょ?
- ケイ: 人を殺すオバケは、 夢遊の亡霊だけ
- ケイ: あんたもなんの?夢遊の亡霊
- シィ: …駄目かい?
- ケイ: 別に?わたしにゃカンケーナイ
- ケイ: あの子の抜け殻も あんたにあげんね?
- ケイ: よかったね? すきにしな
- ケイ: じゃあね バイバイ
- 剥製屋: …変わってたけど 良い子だったのになぁ
- シィ: …………
- 剥製屋: 今まで散々世話んなったんだ この子のはタダでいいぜ
- シィ: …ありがとう
- 剥製屋: 寂しくなるなぁ……
- 剥製屋: お前も呑むか?
- シィ: 僕は未成年だよ?
- 剥製屋: っかぁーッ 今更そんなこと気にすんのかよ?
- シィ: …………
- 剥製屋: この仕事も、そろそろ たたみどきかもしんねぇな…
- シィ: 商品は今まで通り届けるよ
- 剥製屋: …お前がかぁ? やめとけやめとけ
- 剥製屋: お前はまともに会話が通じる そんな奴がやるこっちゃねえよ
- 剥製屋: 金に困ってんなら…
- ドサッ
- シィ: 今日の分なんだけど… 状態が悪くて申し訳ない
- シィ: 使えない分はこちらで処分するよ
- 剥製屋: ……なんだぁ? お前も話通じねぇ口かぁ?
- 剥製屋: ってか、 こんな数どっから出した?
- 剥製屋: イリュージョンってやつか?
- シィ: …………
- 剥製屋: まぁいいけどよ
- 剥製屋: 分かんねぇことを気にしねぇのが 長生きの秘訣ってな♪
- 剥製屋: にしても大漁じゃねぇか 人口減っちまうぜ♪
- 剥製屋: こいつらみんな仲良く 牛裂きの刑にでもされたんか?
- シィ: そんなところだよ
- 剥製屋: …なぁ、お前はちゃんと 行くとこあんのか?
- シィ: 僕は大丈夫だよ、ありがとう
- 剥製屋: そっか…
- 剥製屋: おい、呑まねぇでいいから 少しだけつきあってけよ?
- 剥製屋: この子の話、聞かせてくんねぇか
- 剥製屋: そんな気分なんだ
- シィ: ああ、分かった… なにから、話そう……
- シィ: ユゥ、マギアレコードによって 魔法少女は生き続けられる…
- シィ: これから世界は どうなるんだろうね…
- シィ: 彼女たちは すべてを捧げ願いを叶えた
- シィ: でもその瞬間は 過去から動いたりしない
- シィ: まぶしく輝く信仰は過去にある
- シィ: 多かれ少なかれ魔法少女とは 亡霊なのかもしれない
- シィ: ……ユゥ
- シィ: 僕は夢の誰かのために 夢遊の亡霊になって
- シィ: 夢の仇をなくし続けるよ
- シィ: 百江なぎさからは
- シィ: “そんなことは呪いと 絶望だけあればできる”
- シィ: って言われちゃった…
- シィ: フフフ… その通り過ぎて笑っちゃうね
- シィ: でもね、僕は他人の幸せと希望も
- シィ: 知ることが できるようになったから
- シィ: 僕は夢で襲われる人だけじゃなく
- シィ: 夢で人を襲う側にすら 共感できるようになれたんだ
- シィ: 僕は誰かのために、僕を殺すよ
- シィ: 僕らの幸せは 誰にも定義させたりしない
- シィ: 僕たちは呪いと共に生きるんだ
- シィ: それはきっと、 素敵なことだろう?
- シィ: ユゥ…
- シィ: 君の中身は返してしまったけれど
- シィ: 僕と過ごした君も 空っぽではあったんだし
- シィ: たいして変わりはしないさ…
- シィ: 僕がユゥになればいいんだ…
- シィ: ねぇ…そうだろ?
- オシマイ
- シィ: 僕は知った… 僕の罪と…その罰を
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