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- 340351-1
- 奏 遥香: 神浜市へ観光に来た
- 奏 遥香: 私たちホオズキ市の魔法少女たちマツリ、アリサ、チサト
- 奏 遥香: それなのに神浜で待ち受けていたのは強力な魔女そんな絶体絶命の危機に現れたのは…
- 奏 遥香: 神浜の魔法少女たち
- 奏 遥香: 彼女たちの協力もあってなんとか事無きを得た私たちは
- 奏 遥香: ようやく神浜を堪能できる時間がとれた
- 成見 亜里紗: 美味しいたい焼き屋があるのよ!
- 日向 茉莉: あっ!来る時に言ってたやつ!
- 詩音 千里: こうして一緒に戦ったのも縁だし夏希さんたちも、一緒にどう?
- 空穂 夏希: おー!いいね!
- 矢宵 かのこ: 是非、ご一緒に!
- 詩音 千里: あ、でも私とアリサは行きたいライブが…
- 成見 亜里紗: 生さゆさゆが待ってるのよ!
- 奏 遥香: それなら、まずは各自の行きたい場所でどうかしら
- 詩音 千里: そうねたい焼きは夕方で
- 奏 遥香: (さてと…私は…どうしようかな…)
- : ドンッ!
- 奏 遥香: あら?
- : あうぅ…
- 奏 遥香: 大丈夫!?
- : …………あの…
- 奏 遥香: 私がボーっとしてたから…そのせいね…
- 奏 遥香: 本当にごめんなさい痛いところない?
- : ――っ!?
- : …………
- : 放っておいて!
- 奏 遥香: えっ…あっ!ちょっと…!
- 奏 遥香: …行っちゃった…
- 奏 遥香: ん?
- 奏 遥香: これは…チラシ?
- 奏 遥香: あの子が落としていったのかしら
- 奏 遥香: (神浜現代美術館…ああ、美術館のチラシなのね)
- 奏 遥香: (…子供イラストコンテストの受賞作品展…)
- 奏 遥香: 「…よし!出来たわ!」
- 奏 遥香: 「今までで一番よく描けたかも!」
- 奏 遥香: …………
- 日向 茉莉: ハルカ!
- 奏 遥香: え?
- 日向 茉莉: …どうしたの?
- 奏 遥香: う、ううんなんでもないわ
- 日向 茉莉: そっか
- 日向 茉莉: …あ、それでね
- 日向 茉莉: マツリはこれからかのこちゃんのお家に行くことにしたよ!
- 奏 遥香: そう…なら私は…
- 江利 あいみ: あれ?ハルカちゃん、何持ってんの?
- 奏 遥香: え…?ああ、美術館のチラシ…
- 江利 あいみ: 興味あるの?
- 奏 遥香: えーっと…
- 空穂 夏希: 気になるようでしたら案内しますよっ!
- 江利 あいみ: 結構大きいとこだし興味あるなら楽しいと思うよ
- 奏 遥香: そ、そう…?
- 江利 あいみ: …ハッ!
- 江利 あいみ: 休日に美術館デートとか大人っぽくていいかも…
- 江利 あいみ: いつかの予行練習ってことで行っておくのはあり…
- 空穂 夏希: その前に、ハルカさんの意見を聞かないと!
- 江利 あいみ: あっ!ど、どうかな?ハルカちゃん
- 奏 遥香: …………
- 奏 遥香: そうね…案内、お願いしようかしら
- 奏 遥香: やりたいことはバラバラだった私たちせっかくなので別行動しようという話になった
- 奏 遥香: 私は夏希さん、あいみさんと美術館へマツリは招待されたかのこさんのお家へアリサとチサトはアイドルのライブに行くことに
- 奏 遥香: じゃあ夕方ごろに集合して
- 日向 茉莉: 最高のたい焼きを食べよう!!
- 340351-2
- 空穂 夏希: ハルカさんって、絵が好きなんですか?
- 奏 遥香: …小さい頃はよく描いていたわね…
- 江利 あいみ: ああ、それで子どもイラストコンテストが
- 江利 あいみ: 気になるみたいな?
- 奏 遥香: まぁ、そんなところかしら
- 奏 遥香: 私の姉は絵が上手かった絵だけじゃない、なんでもできた
- 奏 遥香: 私なりに上手くできたところでコンクールで金賞を取るような姉の前ではどんなものも霞んでしまう
- 奏 遥香: それが悔しくて私は
- 奏 遥香: 姉に、八つ当たりをした
- 奏 遥香: 自分の努力で両親を振り向かせればいいのに…
- 奏 遥香: …………
- 空穂 夏希: ハルカさん…?どうしました…?
- 空穂 夏希: まさか具合が…
- 奏 遥香: う、ううん平気よ、ごめんなさい
- 奏 遥香: そうだ、水名区は神社も有名よね?
- 奏 遥香: 後でそこにも…
- 奏 遥香: ん…?あれは…
- : ええと…こっちじゃないなら…ああ、でもやっぱり…
- 奏 遥香: どうしたの?
- : え、えっと私、どうすれば…
- 奏 遥香: 落ち着いてほら深呼吸
- : すーーはーー
- 奏 遥香: 話せる?
- : は、はいもう大丈夫です
- 江利 あいみ: 何があったの?
- : あ、あの…妹を捜していたんです…
- : 小さい女の子なんですけど見かけませんでしたか?
- 空穂 夏希: それって迷子!?
- : あ…えっと…迷子ではなくケンカしてしまって…
- 奏 遥香: ケンカ…
- 奏 遥香: …よかったら話を聞かせて?力になれるかも
- : …………
- : 来週末、家族みんなで遊園地に行く予定だったんです…
- : でもそんなタイミングで
- : 私の描いた絵が、コンテストで入賞してしまって…
- : 両親はそれを喜んでくれたんですけど
- : お父さん忙しいから…
- : 展示中に行けるのは、来週末しかないってことになって…
- 奏 遥香: つまり遊園地の予定が先送りになってしまったから…
- : はい…あの子、とても楽しみにしてたので…
- 奏 遥香: そう…
- 340351-3
- 奏 遥香: …………
- 奏 遥香: (姉妹ゲンカか…)
- 奏 遥香: (私はいつも、お姉ちゃんに怒ってばかりだった…)
- 奏 遥香: (でも、お姉ちゃんはそんな私を必ず探してくれて…)
- 奏 遥香: 妹さんのこと、心配よね
- : はい…
- 奏 遥香: 夏希さん、あいみさん…いいかしら?
- 空穂 夏希: もっちろん!放っておけませんよ!
- 江利 あいみ: 私も構わないよ!
- 江利 あいみ: むしろせっかくの観光だったのにハルカちゃんはいいの?
- 奏 遥香: ええ…今はこの子の妹を探すのが優先だわ
- 奏 遥香: それじゃあ…妹さんの特徴教えてくれる…?
- : あ、ありがとうございます!
- : え、えーと、特徴ですね…!
- : 背がこれぐらいで…歳は…あ、写真がスマホに…!
- 江利 あいみ: ふんふん…あれ?
- 奏 遥香: もしかして…さっきの子かしら
- 空穂 夏希: そうっぽいですね
- : え!?会ったんですか!?
- 奏 遥香: ええ…ひとまず、その場所へ案内するわ
- : はい!
- 奏 遥香: こっちよ!
- : はい!
- 江利 あいみ: ねぇねぇ、夏希
- 空穂 夏希: なになに?
- 江利 あいみ: 私、兄弟いないんだけど…兄弟ゲンカってどんな感じなの?
- 空穂 夏希: んー、ウチの場合はお兄ちゃんとも仲良いからなー
- 空穂 夏希: たまにケンカもするけどすぐ仲直りしちゃうし…
- 空穂 夏希: まあ同性の兄弟と異性の兄弟だと事情も違ったりするのかも
- 江利 あいみ: なるほど
- 空穂 夏希: あ、ハルカさんは?兄弟とか姉妹とか
- 奏 遥香: いないわ
- 江利 あいみ: そっかー
- 奏 遥香: この辺りね…
- : ああ…ここに…
- 奏 遥香: 私とぶつかったあと、交差点を抜けていったわ
- : 向かったのはあっちですか…?
- 奏 遥香: ええ…
- : …………
- 空穂 夏希: どう?
- : …はい、思い当たる場所があります
- 340351-4
- : 多分ここに…
- 奏 遥香: あ、あそこのブランコに座ってるの…
- : そうですね…私、行ってきます…
- : …………
- : やっぱりここにいたんだ…
- : お姉ちゃん、なんで…?
- : なんでって心配だからに決まってるでしょ!
- : お父さんもお母さんもみんな、あんたのこと…
- : なんで!ウソだよ!だって!わたしなんて!
- 奏 遥香: そんなことないわ…
- 奏 遥香: この子、本当に貴方のこと心配して…
- 空穂 夏希: うん、キミのお姉さん一生懸命キミのこと探してたよ?
- 江利 あいみ: 私たちが協力するって聞いてとっても喜んでたし
- 江利 あいみ: だから、仲直りしよ?
- : …………!
- : なんで…!
- : みんな…!
- : みんな!お姉ちゃんの味方ばっかり!
- 奏 遥香: え…!
- : こら、そんな口の利き方…!
- : すみません…みなさん…この子が…
- : …………!
- : またそうやって…!
- : お姉ちゃんなんかきらい!だいっきらい!!
- : いなくなっちゃえばいいのに!!
- : あ…
- : どうして…
- : どうして…いつもこうなるの…
- 奏 遥香: …………
- キュゥべえ: 君の望むことひとつだけ叶えてあげるよ
- 奏 遥香: 「何でも…?」
- 奏 遥香: ほんの出来心だった
- 奏 遥香: 願い事を叶える?そんなこと出来るはずがない…そう思っていた
- 奏 遥香: だから私は…ほんの少し、不満をぶつけるつもりで…
- 奏 遥香: 本当に最低だわ…私…最低な人間よ…
- 340352-1
- : お姉ちゃんなんかきらい!だいっきらい!!
- : いなくなっちゃえばいいのに!!
- 江利 あいみ: あ!待って!!
- 江利 あいみ: 私が追いかけるね!
- : …………
- 奏 遥香: …………
- 空穂 夏希: だ、大丈夫だよ!きっとすぐ追いつくし…
- : …はい…
- 空穂 夏希: ちょ、ちょっとキゲンが悪いだけで、すぐに…
- : …………
- 空穂 夏希: そうだ、疲れたよね?ノド渇かない?
- 空穂 夏希: 今、そこのお店でジュース買ってくるから、待っててね!
- : …………
- 空穂 夏希: ハルカさん、行きましょう
- 空穂 夏希: たぶん…ひとりにしてあげた方がよさそうです…
- 奏 遥香: …………
- 空穂 夏希: ハルカさん?
- 奏 遥香: え?あ、ああ…そうね、行きましょう
- 空穂 夏希: …………
- : 「ありがとうございましたー」
- 奏 遥香: …………
- 空穂 夏希: …………
- 空穂 夏希: ハルカさん!
- 奏 遥香: …?
- 空穂 夏希: ゴー!フォー!ウィン!ゴー!フォー!ウィン!
- 空穂 夏希: 頑張りすぎずにGO!GO!GO!
- 奏 遥香: …………応…援…?
- 空穂 夏希: キープ!ユア!スマイル!ジャス!ドゥ!イット!
- 空穂 夏希: って、わあああ!コーラ持ったままだった!
- 空穂 夏希: せ、責任持って私が…いただきます…
- 奏 遥香: …………ふふっ
- 奏 遥香: 変な応援…
- 空穂 夏希: 失敗です…
- 奏 遥香: でも…ありがとう
- 奏 遥香: (私が凹んでる場合じゃないわね)
- 奏 遥香: 行きましょうか
- 空穂 夏希: はいっ!
- : ~~♪~~♪
- 空穂 夏希: あ、すみませんあいみからの電話が…
- 空穂 夏希: もしもし…
- あいみの声: 夏希~!助けてぇ~!!
- 空穂 夏希: ど、どうしたの!?
- 340352-2
- : ハァハァハァハァ…
- 江利 あいみ: やっと、追いついた…
- : う!
- : うぅ…
- 江利 あいみ: に、逃げてもムダだから…大人しく観念して…ね?
- 江利 あいみ: (…って、私は子どもになに言ってるんだろ…)
- 江利 あいみ: (うぅ…普段こんな小さい子と話さないから、扱い方が…)
- 江利 あいみ: さぁ、お姉ちゃんのところに戻ろ?
- : ガシッ!
- : 痛いぃ~!!
- 江利 あいみ: えっ、ウソ!?ご、ごめんね!
- : ウソ
- 江利 あいみ: なっ…!
- 江利 あいみ: (お、落ち着いて…)
- 江利 あいみ: (仮に痛いのがウソだとしても無理矢理はよくないよね…)
- 江利 あいみ: (え、えっと…)
- 江利 あいみ: …い、『いなくなっちゃえ』は言い過ぎじゃ、ないかな…?
- : ――っ!?
- 江利 あいみ: お姉ちゃん、悲しむと思うなぁ…
- 江利 あいみ: だからさ、まずはそのことだけでも、謝ろ?
- 江利 あいみ: ごめんなさい、して…ね?
- : …………
- 江利 あいみ: (あ、あれ…?もしかして…逆効果!?)
- 伊勢崎 隼人: 残念だよ、あいみ…
- 江利 あいみ: は、隼人くん!?どうしてここに!?
- 伊勢崎 隼人: 偶然通りかかったんだけどさ…
- 伊勢崎 隼人: 俺、子どもをあやすのがうまい家庭的な人がタイプだからさ…
- 伊勢崎 隼人: さようなら…
- 江利 あいみ: そんな!待って!隼人くん!
- 江利 あいみ: 隼人くーーーーん!!
- 江利 あいみ: …ってカンジなの…!!
- 空穂 夏希: う、うん!わかった!
- 空穂 夏希: 私たちがお姉さんとそっちに向かうから!
- 空穂 夏希: あいみたちはそこに居て!
- 空穂 夏希: あとその伊勢崎くんは…
- 空穂 夏希: 多分ただのイマジナリー伊勢崎くんだよ!
- 奏 遥香: 妹さん、見つかったのね
- 空穂 夏希: みたいです!
- : …………
- : どうして…
- : どうして、あの子とうまくいかないんだろ…
- : 私なりに、いいお姉ちゃんやってきたんだけどなぁ…
- : 「いなくなっちゃえばいいのに!!」
- : …………
- : もっと、あの子の言葉に耳を傾けないと…
- : そうだよ、お姉ちゃんなんだから当然のことだよね
- : よし、あの子のためにも…
- : あの子の言う通りに
- : いなくなってしまおう
- 340352-3
- 空穂 夏希: ジュース!買ってきたよー!
- 空穂 夏希: …あれ?
- 奏 遥香: いない…わね…
- 空穂 夏希: どこに行っちゃったんだろ?
- 奏 遥香: ――っ!?
- 奏 遥香: 魔女!?
- 空穂 夏希: ど、どういうことでしょう…?
- 奏 遥香: あの子…魔女に連れていかれたのかしら…
- 空穂 夏希: えぇ!?
- 空穂 夏希: い、いやきっとあれですよ!
- 空穂 夏希: 妹さんを追いかけて探しに行っただけですって!
- 奏 遥香: そうかしら…もちろんその可能性もあるけど…
- 奏 遥香: あの礼儀正しさからして
- 奏 遥香: 何も言わずにひとりでどこかへ行くとは思えないわ
- 空穂 夏希: 言われてみれば確かに…
- 奏 遥香: この魔女の気配…
- 奏 遥香: それにあの子ひどく落ち込んでいたから…
- 奏 遥香: それが魔女を呼び寄せて口付けを受けたのかもしれない…
- 奏 遥香: (私がもっと気を配れていたら…)
- 奏 遥香: (私には、それができたはずなのに…)
- 奏 遥香: …………違う…
- 奏 遥香: 反省してる場合じゃない
- 空穂 夏希: …………そうですよ!
- 空穂 夏希: まだ大丈夫!
- 空穂 夏希: 絶対に助けられますよ!
- 空穂 夏希: 私たちは、魔法少女なんですから!
- 奏 遥香: 夏希さん…
- 奏 遥香: そうね!
- 奏 遥香: (絶対に、取り返しのつかないことにしたらダメ…)
- 奏 遥香: (落ち込んでいるヒマはないわ)
- 空穂 夏希: もしもし、あいみ?
- 空穂 夏希: ちょっと事情が変わったんだけど…
- 340352-4
- 奏 遥香: …こっちね!
- 空穂 夏希: はい!
- 奏 遥香: あっちの方角だから…この道を進みましょうか
- 空穂 夏希: そうですね
- 空穂 夏希: あれ?でも、こっちは…
- 奏 遥香: どうか…したの…?
- 空穂 夏希: この方向だと…どんどん河川敷に…
- 空穂 夏希: つまり、あいみが妹さんと一緒にいるところへ…
- 奏 遥香: ――っ!?
- 奏 遥香: もしかして…あの子は…妹さんのところへ…?
- 空穂 夏希: ――っ!?
- 空穂 夏希: 急ぎましょう!
- 江利 あいみ: …………
- : …………
- : ~~♪~~♪
- 江利 あいみ: …ん、電話…夏希からだ!
- 江利 あいみ: 見つかった!?
- 空穂 夏希: 見つかってない!でも、今河川敷に向かってる!
- 江利 あいみ: どういうこと!?さっきと言ってることが!
- 空穂 夏希: お姉さんが、そっちに向かってる!
- 空穂 夏希: 気をつけて!
- 空穂 夏希: たぶん魔女の口付けを受けてて…
- 江利 あいみ: え!?
- 江利 あいみ: うん…うん…
- : (今の内に…)
- : (よし、こっそりこのまま逃げて…)
- : あ、え!?お姉ちゃん…!
- : …………
- : 探したよ…
- : …………!
- : こないで!
- : 消えて!帰ってよ!
- : 何度来ても同じだから!
- : …はぁ…
- : それじゃあ、お望みどおり…
- : 消えてあげる
- : あんたの為に
- : フ…
- : え…?
- 奏 遥香: 何がリーダーよ…何が完璧よ…私は…
- 340353-1
- 空穂 夏希: 魔女の口付けを受けたお姉ちゃん…
- 空穂 夏希: きっともう、そっちに来ちゃってるかも!
- 江利 あいみ: えぇっ!?
- 江利 あいみ: ――っ!?
- 江利 あいみ: (本当だ…魔女の反応…)
- 江利 あいみ: (まずい、妹ちゃん連れてここから離れないと…)
- 江利 あいみ: (こうなったら力づくで…)
- 江利 あいみ: …あれ?
- 江利 あいみ: 妹ちゃんは!?
- 江利 あいみ: …………あ!!
- 空穂 夏希: まずい、急がないと!
- 奏 遥香: ふたりとも!巻き込まれるわ!!
- 江利 あいみ: 間に合え!!
- : それじゃあ、お望みどおり…
- : 消えてあげる
- : あんたの為に
- : フ…
- : え…?
- : え?え?ど、どこ…?
- : お姉ちゃん…どこ?
- : なんで…どうして…おねえちゃーん!
- 空穂 夏希: 落ち着いて!
- 江利 あいみ: 大丈夫だから!
- : お姉ちゃん、いなくなっちゃった
- : お姉ちゃん、消えちゃった
- : わたしが消えてって言ったからだ
- : 消えてなんて言っちゃったからだ!!
- : どうしよう…
- : お姉ちゃん…戻ってきてよ…
- : お姉ちゃん…!
- 奏 遥香: …………
- キュゥべえ: 君の望むことひとつだけ叶えてあげるよ
- 奏 遥香: 「何でも…?」
- 奏 遥香: ほんの出来心だった
- 奏 遥香: 願い事を叶える?そんなこと出来るはずがない…そう思っていた
- 奏 遥香: だから私は…ほんの少し、不満をぶつけるつもりで…
- 奏 遥香: 「…お姉ちゃんを消してほしい!」
- 奏 遥香: …そう言ってしまった
- 奏 遥香: その日の夜、私は酷い後悔の念に襲われた絶対に言ってはいけない言葉だった出来心、という言い訳をしたところで許されるものではなかった
- 奏 遥香: …謝ろう
- 奏 遥香: そしたらお姉ちゃんは「なんのこと?」って笑うかもしれない笑われてもいい
- 奏 遥香: 意味が伝わらなくてもいい謝るんだ今日のこと、昨日のこと、今までのこと…
- 奏 遥香: だって私は、本当はお姉ちゃんのことが…
- 奏 遥香: 「おはよ」
- 遥香の母: あらハルカちゃんおはよう
- 遥香の父: 今日は少し早いんじゃないか?
- 奏 遥香: 「…………」
- 奏 遥香: 「…あれ…?」
- 奏 遥香: 姉は早起きだったでもその朝、姉はリビングにいなくて…
- 奏 遥香: 姉のいつも座っているイスがなくて姉の活けた花もなくてコンクールに出したあの絵画もない
- 遥香の母: ハルカちゃん?どうしたの?そんな顔して
- 遥香の父: わかったまだ寝ぼけてるんだな
- 奏 遥香: 「…お…お姉ちゃんは…?」
- 遥香の母: お姉ちゃん…
- 遥香の父: ははっ…何を言ってるんだ…?
- 遥香の母: まさか、本当に寝ぼけてるの…?
- 奏 遥香: 「ね、寝ぼけてなんか…」
- 遥香の父: でもハルカ…
- 遥香の母: だってアナタには…
- 遥香の父&母: お姉ちゃんなんていないのに
- 奏 遥香: 「――っ!?」
- 奏 遥香: 無我夢中で階段を駆け上がった
- 奏 遥香: 一目散にあの部屋へ
- 奏 遥香: そこに行けばわかる
- 奏 遥香: そこに答えがある
- 奏 遥香: あの部屋に!お姉ちゃんの部屋に!
- 340353-2
- 奏 遥香: 私は理解した…何が起こったのかを
- キュゥべえ: 望みが叶ったのに嬉しくないのかい?
- 奏 遥香: 「あなたが…消したんだね」
- キュゥべえ: 君の望みは叶えられた
- キュゥべえ: さあ、魔法少女としての役目を果たしてもらおうか?
- 奏 遥香: 「本当に…消えちゃうなんて…!」
- キュゥべえ: 僕の力を信じていなかったのかい?
- キュゥべえ: 君の姉の存在はこの世界から抹消された
- キュゥべえ: 残念だけど、元に戻すことは出来ないんだ
- 奏 遥香: 「それなら…どうして…私だけ覚えているの…!?」
- キュゥべえ: 君が願った理由は
- キュゥべえ: 姉がいると自分を認めてもらえないからだろう?
- キュゥべえ: 君まで彼女を忘れてしまったら
- キュゥべえ: 願いが叶ったことさえ分からなくなってしまうじゃないか
- 奏 遥香: 「――っ!?」
- 奏 遥香: 私は理解した…自らの罪の重さを
- 奏 遥香: 「…わかったよ」
- 奏 遥香: そして私はこの胸に刻み込んだ自分がこれから成すべきことを
- 奏 遥香: 「私がお姉ちゃんの代わりにならなきゃ」
- : お姉ちゃん…
- : 戻って…戻ってきてよ…
- 奏 遥香: 貴方のお姉さんは必ず連れ戻すわ
- : え…!?
- 奏 遥香: その代わり、もう軽々しく
- 奏 遥香: 「いなくなっちゃえ!」なんて言ってはダメよ?
- : うん…
- 奏 遥香: 謝ろうとした時は、もう手遅れなんだから
- 奏 遥香: (この子には、同じ後悔をさせない)
- 奏 遥香: 夏希さん…行きましょう
- 空穂 夏希: うん!
- 奏 遥香: あいみさんはこの子をお願い
- 江利 あいみ: こ、子守りは任せて!
- : で、でも…どうやってお姉ちゃんを連れてくるの…?
- : 信じて…いいの?
- 奏 遥香: ええ、信じて必ず魔法で連れ戻すわ
- : 魔法…?
- 奏 遥香: ええ、私は魔法で貴方のお姉さんのところに行けるの
- : 信じられない!やっぱり私が探す!
- 奏 遥香: じゃあ、目をつむって3秒間だけ
- : …………
- : つむった…
- 奏 遥香: ありがとう3…2…1…
- : …………
- 江利 あいみ: 開けていいよ
- : …………え?
- : いない…
- 江利 あいみ: お姉ちゃんが消えたところに助けに行ったんだよ
- : まさか本当に…魔法が…?
- 江利 あいみ: さて、ここは危ないし公園で待ってよっか
- 江利 あいみ: 大丈夫、絶対、連れ戻してくれるから
- : うん…
- 340353-3
- 空穂 夏希: 一体どこに…!
- 奏 遥香: もうそろそろ、見つかってもいいはず…
- 空穂 夏希: あ…!あそこ!
- : …………
- 空穂 夏希: おーい!戻ろう!ね!
- : …………
- 空穂 夏希: ダメだ…届かない
- 奏 遥香: 魔女のせいね…
- 空穂 夏希: あの魔女を…倒すしかなさそうですね…
- 奏 遥香: …ええ元よりそのつもりよ
- 空穂 夏希: そうですね!
- 340353-4
- 奏 遥香: トドメよ!
- : ◇▼▲◇※◎▲…!!
- 空穂 夏希: よし!
- : …………
- : うーん…ハッ!
- 奏 遥香: 気づいたようねもう大丈夫よ
- 空穂 夏希: あいみと妹さんは公園で待ってるそうです
- 奏 遥香: そう、なら公園に帰りましょう
- : …………イヤ!
- 奏 遥香: ど、どうして…?
- : …合わせる、顔がないです…
- : どうしよう…私、酷いこと言いましたよね…
- : あの子を呪うようなこと言って…
- : 私、お姉ちゃんなのに…
- 奏 遥香: …………そうね…
- 奏 遥香: …でも…いいんじゃないかしら
- : え…?
- 奏 遥香: お姉ちゃんだからってガマンせずに…
- 奏 遥香: 思ってることを、言ってみたら?
- 奏 遥香: 辛かったら辛いって言わないと…
- 奏 遥香: 妹ってのはね、わからないの
- : …………
- 奏 遥香: (私が…そうだったから…)
- : うわあああ~~ん!おねええちゃぁぁぁああん!!
- : ごめん…ごめんね…!怖かったよね…ごめんね…!
- : お姉ちゃん…ひっく…言い返してこないから…
- : 私…どんどん酷いこと言って…
- : 私も…大人ぶって…どんどん酷いこと言わせて…
- : 入賞おめでとおおお~!
- : ありがとおおお~~!
- 空穂 夏希: …仲直り…ってことでいいんですかね
- 奏 遥香: ええ
- 江利 あいみ: へぇ…姉妹って不思議…
- 奏 遥香: そうね…
- 奏 遥香: 本当は単純なのにね…
- : 助けてくれてありがとうございました
- 奏 遥香: …どういたしまして
- 空穂 夏希: 行っちゃいましたね
- 奏 遥香: (なんだか…昔の自分たちを思い出しちゃった…)
- 奏 遥香: (私のお姉ちゃんもあの子のように悩んで…)
- 江利 あいみ: あ!もうこんな時間!
- 江利 あいみ: ハルカちゃん、ごめんねせっかくの観光だったのに…
- 空穂 夏希: 今から色々回るのは難しいから…そうだ!
- 空穂 夏希: ハルカさん!
- 空穂 夏希: この近くに、タダで行ける、オススメの名所があるんですよ!
- 江利 あいみ: ああ、あそこ?
- 江利 あいみ: たしかにいいかも!
- 奏 遥香: そう…、それなら案内お願いしようかしら
- 空穂 夏希: はい!
- : ~~♪~~♪
- 奏 遥香: もしもし?マツリ?どうしたの?
- 奏 遥香: 今?今から私たちは…
- 奏 遥香: あら…?
- 340353-5
- 空穂 夏希: いや~すごい偶然
- 江利 あいみ: まさか行こうとした場所にマツリちゃんたちもいるなんて
- 奏 遥香: 考えることは同じなのね
- 奏 遥香: …………
- 奏 遥香: キレイな、夕日…
- 奏 遥香: (あの日…キュゥべえに願った日も…こんな夕日で…)
- 奏 遥香: (私は…あの子たちを救いたかったのだろうか…)
- 奏 遥香: (それとも…救われたかったのだろうか…)
- 奏 遥香: (なにをしても…お姉ちゃんは帰ってこないのに)
- 日向 茉莉: あっ!ハルカ!夏希ちゃんとあいみちゃんも!
- 江利 あいみ: お待たせー!
- 空穂 夏希: マツリちゃんはここで何を?
- 日向 茉莉: たい焼き釣ってたんだ!
- 空穂 夏希: たい焼き…?釣り…?
- 日向 茉莉: アリサとチサトも来てるよ!早く食べよう!
- 日向 茉莉: いただきまーす!
- 日向 茉莉: ん~~♪
- 矢宵 かのこ: おいしいね!
- 奏 遥香: …………
- 日向 茉莉: …どうかしたの?
- 奏 遥香: え?あ、ああ…
- 奏 遥香: 大丈夫よ気にしないで
- 奏 遥香: …うんおいしい!
- 日向 茉莉: そっかそっか!よかった!
- 奏 遥香: (今は…この日常を生きよう…)
- 奏 遥香: (でも忘れない…)
- 奏 遥香: (私が…私だけが、お姉ちゃんを覚えている)
- 奏 遥香: (あの人の優しい笑顔を)
- 奏 遥香: (これが、姉を消した私への罰であり)
- 奏 遥香: (私だけができる贖罪なのだから…)
- 奏 遥香: …………
- 奏 遥香: …甘い…
- 奏 遥香: 悪いのは全部私の方…自分勝手な私が悪いの
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