He was walking along an overgrown mountainside: a young boy, wearing white robes stained red with blood. His movements were unsteady and his eyes were hollow. He had no destination in mind; he was simply wandering aimlessly.

It was a forest all but untouched by human hands. Strolling through it was plenty dangerous in and of itself. But no harm came to him. At his approach, the sharp branches crumbled and pointed grass wilted away. The stinging insects flitting around him fell quietly to the ground, and the stray dogs whose territory was invaded collapsed without having time to growl. Even the troops, with little idea why they were guarding the outskirts, fell without exception.

-Volume 4 page 209

鬱蒼 と し た 山 の 中 を、 それ は 歩い て い た。 　 血染め の 白装束 を 着 た まだ 幼い 少年 だ。 それ は 虚ろ な 目 で、 おぼつかない 足取り で 歩い て いる。 　 それ には どこ に 行く という 当て も ない の だろ う。 　 ただ 歩い て いる。 　 人 の 手 が ろくに 入っ て い ない、 原始 に 近い 森 の 中 だ。 ただ 歩く だけでも 危険 は 多い だろ う。 　 だが、 それ は 何 にも 害さ れる こと は ない。 　 それ が 近づけ ば、 尖っ た 枝 は 崩れ落ち、 鋭い 草葉 は しなび て いく。 飛び回り 人 を 刺す 虫 は 静か に 落ち て いき、 縄張り を 侵さ れ た 野犬 は 唸る 間もなく 倒れ て いっ た。 　 そして それ は、 ろくに 目的 も 知らさ れ ず、 その 周辺 を 警備 し て い た 部隊 の 者 も 同じ だっ た。

-Volume 4 page 327