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- FILENAME: text_327011-1.txt
- <ミーンミンミンミンミー…>
- なぎさ: 『なぎさ日記』
- なぎさ: 世間は夏休みらしいのです
- なぎさ: そのことはなぎさには関係ないのですが 夏であることは大いに関係があるのです!
- なぎさ: なぎさはやっと自由の身になれた以上 夏というものを楽しみつくして たくさん思い出を作りたいのです!
- なぎさ: 毎日マミたちと色んなところへ行って 大いに食べて、遊んで 日記を充実させたいのです!
- なぎさ: なのに…
- 杏子: エアコンがない生活なんて 絶対無理だ…
- さやか: ああ、もうダメ この部屋から一歩も出られない…
- なぎさ: …………
- マミ: アイスティーはいかが?
- まどか: ありがとうございます すみません、お邪魔しちゃって…
- まどか: 本当はどこかにお出かけして 遊びたかったんですけど…
- ほむら: ここに来るまででも 暑くて倒れそうだったしね…
- なぎさ: …………
- なぎさ: みんな暑さに参ってしまっているのです なんてこったなのです!
- なぎさ: でも、なぎさは諦めないのです 今日は海に行きたいので みんなを説得するのです!
- 杏子: あえて今日屋外で遊ぶヤツなんて 滅多にいないだろ
- さやか: そんなことはないと思うけど… まぁ子どもが多いかもね
- なぎさ: …………!
- なぎさ: 困ったのです… 暑い時に外で遊ぶのは子どもだと 思い込んでしまっているのです…
- なぎさ: こうなったら大人っぽく 遠回しに誘ってみるのです
- なぎさ: あんなことやこんなことを乗り越えて さらに大人になったなぎさなら きっとできるのです!
- なぎさ: 夏は暑いものなのです
- なぎさ: だからいっそ風情を楽しみながら 涼むのがいいと思うのです
- 杏子: なんだ? 藪から棒に…
- マミ: エアコンもいいけれど
- マミ: 夏らしい場所に行って涼むのは 今しかできないことだものね
- なぎさ: さすがマミ! 話がわかるのです!
- まどか: 夏らしい場所… 海とか川とかかな?
- ほむら: 前に、みんなでプールにも 行ったね
- なぎさ: 今日みたいなカラッと暑い日は 海の涼しさが合うと思うのです
- さやか: でもなぁ… 行くまでが暑いんだよね
- 杏子: 同感…
- なぎさ: むむむ…
- なぎさ: (途中までいい流れだったのに 困ったのです…)
- なぎさ: …あ、マミはどう思うのです!?
- マミ: そうね、みんなで海に行くのは 賛成よ
- なぎさ: よかったのです!
- なぎさ: では、今から海に行くのです!
- マミ: えっと…ごめんなさい 今すぐは難しいわね…
- なぎさ: ――っ!?
- マミ: ちょうどケーキを焼き始めた ところで、手が離せないの
- まどか: わたしたちも、水着を 持ってきていないし…
- ほむら: 浮き輪とかも用意したいけど 遊ぶ時間なくなっちゃうかな…?
- なぎさ: (…大人っぽく遠回しに誘う 作戦はやめなのです)
- なぎさ: (いつも通りのなぎさで 気持ちで猛プッシュなのです!)
- なぎさ: 理屈はどうでもいいのです!
- なぎさ: とにかくなぎさは今すぐ 海へ行きたいのです!
- 杏子: …子どもだな
- なぎさ: なっ!?
- さやか: 別になぎさの年頃なら こんなものだと思うけど?
- さやか: あたしも、こういう時期が あったと思うし
- なぎさ: むむむむ… 結局子ども扱いなのです…
- マミ: ケーキも焼けることだし
- マミ: うちでゆっくりしながら、 改めて海に行く計画を練らない?
- なぎさ: …もういいのです!
- なぎさ: 子ども扱いして、話を聞いても くれないなんてひどいのです
- なぎさ: 大人のなぎさはひとりでも 海を楽しんでくるのです
- なぎさ: …………
- FILENAME: text_327011-2.txt
- なぎさ: 今日はみんなと海に行って 思い出を作りたかったのですが 誰も乗り気じゃないなら仕方ないのです
- なぎさ: 夏の思い出のひとつくらいは ひとりで作ることにするのです
- なぎさ: でも、なんだかもやもやして 気が乗らないのです…
- なぎさ: 気晴らしにお菓子でも食べてから 海に向かうのです
- なぎさ: おばあちゃん! お菓子いっぱいくださいなのです
- 景気がいいね それともヤケになったのかい?
- なぎさ: え…
- 難しい顔で店に来たことなんか なかったからね
- なぎさ: …ヤケではないのです
- なぎさ: お菓子を食べて、もやもやを 晴らしたかっただけなのです…
- そうかい で、いつものチーズ棒かい?
- なぎさ: ちょっとくらい事情を聞いて くれてもいいのです…
- なぎさ: …今日のなぎさは、お菓子を 大人買いしに来たのです!
- なぎさ: この棚の端から端まで全部と アイスもぜーんぶ買うのです!
- お金はあるんだろうね?
- なぎさ: これなのです!
- …まったく足りないね
- なぎさ: ――っ!?
- まぁ、全種類を1個ずつ買うなら ギリギリ足りそうだがね
- なぎさ: …じゃあそうするのです!
- はいよ、毎度あり
- 夏目 かこ: おばあさん、こんにちは
- フェリシア: あっちぃ~ ばーちゃんラムネくれ!
- 100万円だよ
- フェリシア: にゃっ!?
- 三栗 あやめ: あはは! また引っかかってやんの!
- 夏目 かこ: あ、なぎさちゃんもいたんだ
- 三栗 あやめ: ――っ!?
- 三栗 あやめ: ―あやめ― …って、なんでそんなに アイス持ってんの!?
- なぎさ: ―なぎさ― この棚のお菓子とアイスを ぜーんぶ買ったからなのです
- 正しくは 全種類を1個ずつ買った、だろう
- なぎさ: ―なぎさ― 一言余計なのです!
- 三栗 あやめ: ―あやめ― それでもすごいよ!大金持ちじゃん!! な、フェリシア!真似したいよね!
- フェリシア: ―フェリシア― オレは駄菓子より、デカゴンボールチョコを たくさん買えたほうが嬉しいけどな
- 夏目 かこ: あの、お金は足りたの…?
- なぎさ: ぜーんぶ使って買ったのです いわゆる大人買いなのです!
- 三栗 あやめ: お小遣いをお菓子に全振り…!? あちしもまだやったことない…
- 三栗 あやめ: なかなかやるじゃん、なぎさ!
- なぎさ: えへへー、なのです
- フェリシア: 漫画とか買えなくなるし やらないほうがいいだろ
- なぎさ: フェリシアは やちよに怒られるから
- なぎさ: 大人買いを真似したくても できないだけなのです!
- フェリシア: ぐぬぬ…その通りだぞ…
- 三栗 あやめ: あちしもたまにはパーッと 使ってみたいのに
- 三栗 あやめ: このはも葉月も口を開くと 『節約!』なんだよね
- 夏目 かこ: あやめちゃんが無駄遣いしがち だからじゃないかな…?
- なぎさ: その認識が そもそもの間違いなのです
- なぎさ: あやめとフェリシアが お金を使う担当なのです
- 夏目 かこ: えぇ…初耳だけど…
- フェリシア: そういうことだったのか…!
- 三栗 あやめ: なぎさ、すげー!
- 三栗 あやめ: 誰も気づいてないことに 気づくなんて大人じゃん!
- なぎさ: そうなのです
- フェリシア: お小遣いは自由に使えるし いつもどこにでも行けてるし
- フェリシア: なぎさみたいになりたいぞ
- なぎさ: …………!
- なぎさ: …それなら、今日だけなぎさに ついて来るのはどうです?
- なぎさ: なぎさみたくなれるように 大人の心得を教えてあげるのです
- 三栗 あやめ: マジ!?
- 夏目 かこ: でも私たち、これから プールに行く予定で…
- フェリシア: おもしろそーだし行こーぜ! プールは後回しだ!
- やれやれ、騒々しいね…
- ちょっとお前たち 子どもらしく元気なのはいいが
- 危ない真似はするんじゃないよ
- なぎさ: 大人のなぎさがついているので 心配いらないのです
- FILENAME: text_327011-3.txt
- なぎさ: さて…腹ごなしも兼ねて
- なぎさ: 今日はこの道を 行ってみるのです
- 夏目 かこ: なぎさちゃん、お菓子もアイスも 全部食べちゃったね…
- 三栗 あやめ: あんなにあったのに… 胃袋まで大人並みにデカいんだな
- フェリシア: なー、この道って どこに繋がってるんだ?
- なぎさ: 「わからないから行く」 これが大人の心得その1なのです
- 三栗 あやめ: おおー!深いな!
- 夏目 かこ: 迷子にならないように 気をつけようね…
- なぎさ: 大人のなぎさがいるので 大丈夫なのです!
- 三栗 あやめ: 同じところに戻ってきたけど…?
- フェリシア: …だな
- 夏目 かこ: たぶん、この手前の道を 右に曲がれば大通りに出るから…
- なぎさ: そ、そんなのはわかってるのです
- なぎさ: 「あえて回り道を楽しむ」 大人の心得その2なのです
- なぎさ: …あ
- ニャー
- なぎさ: 猫なのです!
- なぎさ: 大人の心得その3は 「猫は追いかける」なのです!
- 三栗 あやめ: よっしゃ! 誰が猫に追いつけるか勝負だ!
- フェリシア: 大差で勝ってやるよ!
- なぎさ: よーいスタート!なのです!
- 夏目 かこ: ちょ、ちょっと! みんな待って!?
- なぎさ: はぁ…はぁ… 全然追いつけなかったのです…
- フェリシア: 勝負はお預けだな
- 三栗 あやめ: いーや!あちしの勝ちだね!
- 三栗 あやめ: ちょっとだけど 猫に触れたし!
- フェリシア: はぁ?それならオレの勝ちだな 猫を撫でたし
- なぎさ: じゃあ…なぎさは猫を抱っこ したので勝ちなのです!
- フェリシア&あやめ: ウソつくな!!
- 夏目 かこ: …あの~…
- なぎさ: どうしたのです?
- 夏目 かこ: これって大人の心得なのかな…
- 夏目 かこ: いつもフェリシアちゃんたちと やっていることが同じような…?
- なぎさ: なっ!?
- フェリシア: 言われてみたらそうだぞ
- 三栗 あやめ: ってことは、あちしたちって もう大人だったんだ!!
- 夏目 かこ: それはどうかな…
- フェリシア: なぁ、なぎさ お前って大人じゃないんじゃね?
- なぎさ: なぎさは大人なのです!
- なぎさ: 実はこの道をずっと行くと 海があるので
- なぎさ: そこで夏の思い出を作る予定 だったのですが
- なぎさ: 普通に向かうのもつまらないから 寄り道をしていただけなのです!
- ぐー…
- なぎさ: …とは言え、お腹が空いたのです
- なぎさ: 海へ行く前に、どこかでお昼を 食べないといけないのです…
- 夏目 かこ: 一度お家に戻って、 お昼を食べてから集まる?
- 三栗 あやめ: 遊ぶ時間は減るけど それしかないな!
- フェリシア: でもなー… いったん帰っちまったら
- フェリシア: 宿題やるまで家から出して もらえない気がするぞ…
- なぎさ: …………
- なぎさ: (弱ったのです…マミの家を 飛び出してきたので)
- なぎさ: (なぎさは戻る場所もなければ お金もないし、ピンチなのです)
- 夏目 かこ: なぎさちゃんはどうする?
- なぎさ: うぅ… それは…
- フェリシア: あーあ、鶴乃なら こういうときわかってくれるのに
- なぎさ: 鶴乃…
- なぎさ: …ひらめいたのです!!
- なぎさ: 鶴乃ならわかってくれるので 万々歳に行くのです!
- フェリシア: …あ?
- FILENAME: text_327011-4.txt
- みんな: ごちそーさまでした!!
- 鶴乃: お粗末さまでした! 美味しかった?
- フェリシア: おう、美味かったぞ!
- 三栗 あやめ: 50点だね!
- 鶴乃: またその数字…!?
- なぎさ: 50点と聞いていたわりには 美味しかったのです
- 鶴乃: その感想は喜んでいいのかな…?
- 三栗 あやめ: 50点はすごいぞ!
- 三栗 あやめ: あちしが逆立ちしたって テストで取れないし!
- 夏目 かこ: あやめちゃん、それ 大きな声で言わないほうが…
- フェリシア: なぎさが万々歳を思いついて くれてよかったぞ!
- フェリシア: やちよに宿題ヤレって 怒られずに済んだしな
- なぎさ: ふふん、感謝するのです!
- なぎさ: (まぁ、なぎさも鶴乃がごちそう してくれて助かったのです…)
- なぎさ: (海に行く前にお腹を空かせて さまようところだったのです…)
- 鶴乃: 遊ぶのもいいけど 怒られる前に宿題はやりなよ?
- フェリシア: へーい
- なぎさ: あの、鶴乃
- なぎさ: ごちそうになったお礼に お店を手伝うのです
- 鶴乃: え、いいよいいよ! この後もみんなで遊ぶんでしょ?
- なぎさ: そういうわけにはいかないのです
- なぎさ: 無銭飲食なんて 大人はしないのです
- 鶴乃: ほっ? それはそうだけど…
- 夏目 かこ: 私もお手伝いさせてください
- 三栗 あやめ: あちしも! フェリシアもやるよね?
- フェリシア: 仕方ねえな
- 鶴乃: じゃあ… お皿洗いを手伝ってくれる?
- なぎさ: 任せるのです!
- 鶴乃: ありがとう、もういいよ! みんなお疲れさま!
- なぎさ: ふぅ… 案外早く終わったのです
- フェリシア: そもそも客が来ないからな
- 鶴乃: 気にしてることをさらっと…
- なぎさ: 予定よりも遅くなったのですが これでようやく海に行けるのです
- 夏目 かこ: 私たちも一緒に行くよね?
- 夏目 かこ: 元々プールに行くつもりだった から、水着はあるし
- 三栗 あやめ: おう!さんせー!
- フェリシア: オレは満腹だし 昼寝でもしたいぞ
- なぎさ: せっかくの夏を満喫しないなんて もったいないのです!
- なぎさ: 大人なら、1日1日を 大事に過ごすものなのです!
- フェリシア: そういうもんなのか?
- 三栗 あやめ: なあフェリシア、行こうぜ!!
- フェリシア: …わかったよ
- 鶴乃: 横から悪いけどさ 海にはなぎさたちだけで行くの?
- なぎさ: そうなのです
- 鶴乃: 小さい子だけで行くのは心配だし わたしも行っていい?
- なぎさ: えっ!
- なぎさ: なぎさは大人なので 心配には及ばないのです!
- 鶴乃: でも…
- フェリシア: ってか、万々歳はどーすんだよ? 店番がいねーとさすがに困るだろ
- 鶴乃: それはお父さんにこれから聞く!
- ~~♪~~♪
- 鶴乃: あっと、やちよから電話だ! ちょっと出るね
- 鶴乃の声: もしもし?
- なぎさ: むぅ…納得いかないのです
- フェリシア: なぁ、今のうちに外に出ようぜ
- フェリシア: 実はオレ、午後に宿題をやるなら 遊んでいいって言われてたんだ
- フェリシア: 海に行くのがやちよにバレたら 連れ戻されそうだぞ…
- なぎさ: そういうことなら、 今すぐここから退散するのです
- なぎさ: では、鶴乃にお礼を言って 出発なのです
- みんな: 「ありがとうございましたー!」
- 鶴乃: え… みんなどこに行ったの!?
- なぎさ: みんなが認めてくれなくたって なぎさは大人なのです
- FILENAME: text_327012-1.txt
- なぎさ: なぎさを子ども扱いして 取り合ってくれないマミたちなんか忘れて
- なぎさ: 夏の思い出を作るために なぎさはフェリシアたちと海にやって来たのです
- ガヤガヤガヤ…
- なぎさ: 到着なのです!
- 夏目 かこ: わ…人が多いね…!
- フェリシア: あっちぃ… なんか飲み物欲しいぞ
- 三栗 あやめ: そんなのあとあと! まずは着替えるのが先だって!
- なぎさ: さんせーなのです!
- 夏目 かこ: …私たちだけで来ちゃったけど 本当に良かったのかな…
- 夏目 かこ: あした屋のおばあちゃんにも 鶴乃さんにも心配されたのに…
- なぎさ: みんなは何も わかっていないのです
- なぎさ: 大人のなぎさがいるから 心配なことなんてないのです
- 夏目 かこ: でも…
- なぎさ: …じゃあ、こうするのです
- なぎさ: 危ない場所には行かないように なぎさが配慮するのです
- なぎさ: だから、かこも安心して 遊ぶのです
- 夏目 かこ: それなら…いい、のかな…?
- バシャバシャ!
- フェリシア: ふーー! 気持ちいいー!!
- 三栗 あやめ: なぎさもかこも 早く一緒に泳ごーよ!
- 夏目 かこ: って、もう遊んでる…!?
- なぎさ: ふたりはわかっているのです
- なぎさ: 大人は1分1秒も 無駄にはできないということを
- 夏目 かこ: わかって行動しているようには 思えないけど…
- 夏目 かこ: フェリシアちゃん! あやめちゃん!
- 夏目 かこ: あんまり深いほうには 行かないでね…!?
- なぎさ: かこ!なぎさたちも早く着替えて 混ざるのです!
- 夏目 かこ: えぇ…配慮は…!?
- なぎさ: 水着に着替えたなぎさたちは 泳いだり、砂浜を走ったり 海ならではの遊びをたくさんしたのです
- なぎさ: この砂はどけて 最後にここを掘って…
- なぎさ: 砂のお城が完成!なのです!
- 夏目 かこ: えっと…
- フェリシア: …これが?
- 三栗 あやめ: あちし、これ知ってるよ! たてあな式住居ってやつだろ!
- なぎさ: 違うのです!お城なのです!
- なぎさ: (マミがいたら、きっともっと 上手に作れたのに…)
- なぎさ: これはこれで良しとするしか ないのです…
- なぎさ: 次はあそこにある バナナボートに乗るのです!
- 夏目 かこ: えっと…レンタルするには お金がかかるみたい
- フェリシア: オレたち、お小遣いねーぞ
- なぎさ: むむ…
- なぎさ: じゃあビーチバレーを やるのです!
- 夏目 かこ: それも道具レンタルは有料だね… ボールも持ってきてないし…
- なぎさ: むむむ…
- なぎさ: それならいったん休憩で 冷たいデザートでも食べるのです
- 三栗 あやめ: だから!あちしたち、お小遣いが ないってば!
- なぎさ: むむむむ…! これじゃ何もできないのです!
- フェリシア: 大人のくせに、駄菓子に全部 お小遣い使うからだろ?
- なぎさ: (意外と痛い所を 突いてくるのです…)
- なぎさ: (こんな時、マミがいたら…)
- なぎさ: (…なんてことは! 思わないのです!)
- なぎさ: …お小遣いのいらない遊びを すればいいので、平気なのです
- なぎさ: あっちの岩場に移動するのです!
- なぎさ: ヤドカリハントコンテストを 行うのです!
- なぎさ: ヤドカリを一番多く捕まえた人が 優勝なのです!
- 三栗 あやめ: よっしゃ!
- 三栗 あやめ: わかりやすいルールで 助かるよ!
- フェリシア: んじゃ、負けたヤツは 勝ったヤツにジュースおごりで!
- 三栗 あやめ: 望むところだ!
- なぎさ: では、よーい…
- なぎさ: スタート!なのです!
- 夏目 かこ: …………
- 夏目 かこ: …なぎさちゃんは、大人として 振る舞いたいみたいだけど
- 夏目 かこ: 私たちと、子どもみたいに 思いきり遊んでる方が楽しそう…
- FILENAME: text_327012-2.txt
- なぎさ: ヤドカリハントコンテストの 優勝は…
- なぎさ: なぎさなのです!
- フェリシア: くそー、オレは2位かぁ…
- 三栗 あやめ: 次はあちしが勝てるヤツで 勝負するからね!
- なぎさ: 負けたあやめは、勝ったなぎさに ジュースをおごる約束なのです
- 三栗 あやめ: ま、また今度な! 今はお小遣いないし…
- 夏目 かこ: あれ、もうこんな時間…! 結構遅くなっちゃったね
- なぎさ: もしかして帰るのですか?
- フェリシア: もっと遊びてーけど、やちよが 夕飯作って待ってるからな
- なぎさ: …ダメなのです! まだ帰らないのです!
- フェリシア: あ? なんでだ?
- なぎさ: 大人は時間に関係なく 自由に遊ぶものなのです!
- なぎさ: 陽が落ちたって、夕飯が待って いたって遊ぶのです!
- 夏目 かこ: でも…暗くなったら危ないよ? お腹だって空いちゃうし…
- なぎさ: …それでもいいのですっ
- 三栗 あやめ: このはと葉月に心配かけたく ないから、あちしは帰りたいな…
- フェリシア: オレも帰らなかったら やちよが鬼になっちまうぞ…
- なぎさ: うぅ…
- なぎさ: (みんなの事情は 理解しているのですが…)
- なぎさ: (マミもいないし、なぎさには 帰れる場所がないのです…)
- なぎさ: …わかったのです みんなとはここで解散なのです
- 夏目 かこ: なぎさちゃんはどうするの?
- なぎさ: なぎさは大人なので ひとりで夜通し遊ぶのです!
- 夏目 かこ: なんか…意地になってない…?
- 葉月の声: おーい、あやめー!
- 三栗 あやめ: あ…葉月!? このはも!
- 遊佐 葉月: やっぱりフェリシアちゃんたちも 一緒だったんだ
- 静海 このは: 海に子どもだけで来るなんて…
- 三栗 あやめ: 別に危ないことなんて なかったよ!
- 三栗 あやめ: …ていうか、なんでここだって わかったの!?
- 静海 このは: あやめのことなら なんだってわかるわ
- 三栗 あやめ: このは、すげー!
- やちよ: …まぁ、鶴乃から聞いて 来たんだけどね
- フェリシア: やちよ!?
- やちよ: 私たちも帰るわよ 宿題、やってもらうからね
- フェリシア: あうあう…
- 夏目 かこ: あの…すみませんでした 黙って海に来てしまって…
- やちよ: 次からは もっと年上の人と一緒にね
- なぎさ: …大人のなぎさがいるのに 問題なんて何もないのです
- やちよ: …私が言いたいのは
- やちよ: 何かがあった時に責任の取れる 大人と一緒にいてほしいってこと
- やちよ: 性格が多少大人っぽいだけでは ダメなのよ…
- なぎさ: むぅ…………
- なぎさ: 大人として振る舞っていたのは あやめたちにすごいって言われたからなのです
- なぎさ: そもそも、大人っぽくしなくちゃと思ったのは 杏子たちに子ども扱いされたからで…
- なぎさ: …なぎさは、ただいつも通りに 遊びたかったのです…
- やちよ: え…?
- なぎさ: な、なんでもないのです!
- やちよ: …巴さんに連絡するわね
- なぎさ: しなくていいのです!
- なぎさ: (だって…大人のなぎさを マミが心配するはずないのです)
- なぎさ: …………
- マミ: ケーキも焼けることだし
- マミ: うちでゆっくりしながら、 改めて海に行く計画を練らない?
- なぎさ: …もういいのです!
- なぎさ: (それに…勝手に飛び出して しまって、気まずいのです…)
- やちよ: …………
- フェリシア: なー、いつまでここにいるんだ? オレ腹が減ったぞ
- やちよ: それはわかってるけれど…
- やちよ: …困ったわね…
- 三栗 あやめ: あ、そーだ、なぎさ! うちで夕飯食べていけよ!
- なぎさ: え…なぜなのです…?
- 三栗 あやめ: あちしがジュースをおごるより
- 三栗 あやめ: 葉月の料理を食べられるほうが 嬉しいだろ!
- 遊佐 葉月: なんか賭けてたの…? まぁいいけど…
- 遊佐 葉月: このははどう?
- 静海 このは: …何か事情があるようだし 協力してあげましょう
- やちよ: 私から言うのも何だけど…
- やちよ: ありがとう このはさん、葉月さん
- 三栗 あやめ: よし、これでジュースをおごる 約束は果たしたってことで!
- 遊佐 葉月: あやめの事情に協力したんじゃ ないんだけどね…
- 遊佐 葉月: それで… どうかな、なぎさちゃん?
- なぎさ: ええと… お言葉に甘えさせてもらうのです
- FILENAME: text_327012-3.txt
- 遊佐 葉月: あやめー、冷蔵庫から お肉出しておいて
- 三栗 あやめ: 任せろ!
- 静海 このは: 私の手も余っているわよ
- 遊佐 葉月: えーと、じゃあ… サラダを盛りつけてもらおうかな
- 静海 このは: わかったわ ドレッシングは作ればいいのね?
- 遊佐 葉月: あー、味つけは統一させたいし アタシに任せてもらえる?
- 静海 このは: そういうことなら…了解よ
- 遊佐 葉月: なぎさちゃんは… 食器棚からお皿を取ってくれる?
- なぎさ: 今日は1日外にいて疲れたので もう動けないのです…
- 遊佐 葉月: この家では働かざる者 食うべからず、なの
- なぎさ: なぎさはお客さんなのです
- 静海 このは: 郷に入っては郷に従え
- 静海 このは: 客人でも、幼くても この家のルールには従って
- なぎさ: むっ…
- なぎさ: なぎさは大人なので ルールには従ってもいいのですが
- なぎさ: 甘いものを食べて癒されないと 動けないのです
- 遊佐 葉月: じゃあ少しお菓子を食べたら お手伝いしてもらえる?
- なぎさ: はいなのです!
- 三栗 あやめ: なんだ、意外となぎさも 子どもなんだな
- なぎさ: そんなことないのです!
- なぎさ: お菓子なんていらないのです! 早速お手伝いするのです!
- 遊佐 葉月: ふふっ、助かるよ
- なぎさ: お皿とお箸は人数分出して テーブルも拭き終わったのです
- 遊佐 葉月: ありがとう!
- なぎさ: 他にも何か手伝うのです!
- 遊佐 葉月: あとは…何だろうなぁ
- 静海 このは: ベランダにタオルを干してるから 一緒にたたんでもらえる?
- なぎさ: わかったのです
- なぎさ: …………よし、全部できたのです
- 静海 このは: 上手だわ
- なぎさ: えへへ、なのです
- 三栗 あやめ: おー!あちしより整ってるぞ!?
- 静海 このは: あやめに頼むと 散らかしてしまうからね
- 遊佐 葉月: なぎさちゃんに頼んでよかった!
- なぎさ: …………
- なぎさ: (葉月とこのはは意外と 話せるみたいなのです)
- なぎさ: これくらいのお手伝いは 余裕なのです
- なぎさ: ただ…小腹が空いたので チーズでもかじりたいのです!
- 遊佐 葉月: ご褒美が欲しいってこと?
- 遊佐 葉月: それはいいけど… チーズは切らしてるんだ
- なぎさ: …………
- 遊佐 葉月: 代わりに、デザートでも作ろうか プリンとか好き?
- 三栗 あやめ: えー!?そんなの、 うちで出たことないじゃん!!
- 遊佐 葉月: そりゃあお客さんが来たら おもてなしくらいしないとね
- なぎさ: …いらないのです
- 遊佐 葉月: そう…?
- 三栗 あやめ: なー葉月、あちしにはプリンを 作ってよ!ね、いいでしょ!?
- 遊佐 葉月: はいはい、ちょっと待ってね
- なぎさ: …………
- みんな: 「ごちそうさまでした」
- なぎさ: すごく美味しかったのです!
- 三栗 あやめ: うんうん! 葉月の料理は世界一だからな!
- なぎさ: 異論なしなのです!
- 遊佐 葉月: お褒めにあずかり光栄だね
- 静海 このは: …私もうかうかしていられないわ
- 静海 このは: 早くまなか先生に次のステップを 教えてもらわないと
- 遊佐 葉月: あー… 包丁の持ち方だったっけ
- 遊佐 葉月: でも、このははこのはのペースで 成長してくれたらいいから…
- なぎさ: …………
- なぎさ: (葉月たちも、フェリシアたちも みんないい人なのです)
- なぎさ: (でも…)
- 静海 このは: 今日はもう遅いし このまま泊まっていきなさい
- なぎさ: …ありがとうなのです そうさせてもらうのです
- なぎさ: …………
- なぎさ: (楽しいのに、どうして何かが 足りない気がするのです…?)
- FILENAME: text_327012-4.txt
- 遊佐 葉月: それじゃあおやすみ なぎさちゃん
- なぎさ: おやすみなさいなのです…
- …………
- ……………………
- なぎさ: 眠れないのです…
- なぎさ: …………
- なぎさ: お菓子をたくさん食べて 海で遊んで、楽しい思い出も作れたのに どうして何かが足りない気がするのです…?
- なぎさ: …………
- なぎさ: では、今から海に行くのです!
- マミ: えっと…ごめんなさい 今すぐは難しいわね…
- なぎさ: ――っ!?
- なぎさ: 最初にもやもやした理由は 杏子とさやかに子ども扱いされたり マミたちが海へ遊びに行くことを取り合って くれなかったからだったのです
- なぎさ: だから、なぎさは大人っぽく振る舞って フェリシアたちと海に行って遊んだのです
- なぎさ: とてもとても楽しかったのです
- なぎさ: なのに…何かが足りなく感じて…
- なぎさ: 小腹が空いたので チーズでもかじりたいのです!
- 遊佐 葉月: ご褒美が欲しいってこと?
- 遊佐 葉月: それはいいけど… チーズは切らしてるんだ
- なぎさ: …………
- なぎさ: 葉月からチーズをもらえなかった時にも 何かが足りない気持ちになったのです
- なぎさ: チーズをもらえなかったからじゃなくて 寂しいような…悲しいような… そんな気持ちだったのです
- なぎさ: …………
- なぎさ: …………
- なぎさ: わかったのです…
- なぎさ: なぎさは、魔女になってしまったなぎさと同じで 結局ずっと欲しがっているのです
- なぎさ: なぎさを満たしてくれる、唯一のもの… 持ちきれないほどのおいしいチーズを…
- なぎさ: でも、ここのチーズはあやめたちのもので なぎさの欲しいものは手に入らないのです…
- なぎさ: …………
- 静海 このは: …なぎさちゃん
- なぎさ: ――っ!? お、起きていたのですか…!?
- 遊佐 葉月: まあ、ね…
- 静海 このは: 眠れないの?
- なぎさ: その…外が気になって 見ていただけなのです
- 遊佐 葉月: そっか
- 静海 このは: 夜更かしは体に毒よ
- なぎさ: わかってるのです… 良い大人はもう寝るのです
- 遊佐 葉月: …慣れない環境で 落ち着かないよね
- なぎさ: え?
- 遊佐 葉月: 全部には応えられないけどさ
- 遊佐 葉月: やってほしいことがあったら 何でも言ってよ
- なぎさ: 葉月…
- 静海 このは: うちにいたければ もう少し泊まっていってもいいわ
- 静海 このは: あやめもそのほうが 嬉しいみたいだし…
- 三栗 あやめ: くかー…
- なぎさ: …………
- なぎさ: ありがたいのですが… 明日は見滝原市に帰るのです
- なぎさ: (ここにいても、なぎさの欲しい チーズは手に入らないから)
- なぎさ: (見滝原市に戻って、マミと 向き合わないといけないのです)
- 静海 このは: そう…
- なぎさ: …………
- 遊佐 葉月: …大丈夫? 不安そうだけど…
- なぎさ: そんなことないのです!
- なぎさ: 帰っても、マミと話せないかも なんて不安はないのです!
- 遊佐 葉月: まあ、やっぱり不安だよね…
- 静海 このは: …明日、見滝原市まで送るわ
- 静海 このは: 不安は消してあげられないけれど 付き添うくらいはできるから
- なぎさ: …ありがとうなのです
- なぎさ: 少しだけ わかったかもしれないのです…
- FILENAME: text_327013-1.txt
- なぎさ: 翌日、なぎさはこのはたちと 見滝原市に戻ってきたのです
- なぎさ: …ここまでで大丈夫なのです
- なぎさ: 送ってくれて ありがとうなのです
- 遊佐 葉月: どういたしまして
- なぎさ: それじゃあ…
- 静海 このは: …待って もう来ると思うから
- なぎさ: …?
- ???の声: …なぎさちゃーん!
- なぎさ: ――っ!?
- なぎさ: マミ… どうしてここに…?
- マミ: それは…
- 遊佐 葉月: お節介だとは思ったんだけど
- 遊佐 葉月: やちよさんに頼んで 連絡を入れてもらったんだ
- 静海 このは: 話したいことがあるんでしょう?
- 静海 このは: 本心から話せば、きっと伝わるわ
- なぎさ: …はいなのです…
- 静海 このは: それじゃ、私たちは失礼するわ
- マミ: ありがとうございました…!
- なぎさ: …あの、マミ…
- マミ: ごめんなさい、もう少し早く 着いていたかったんだけど
- マミ: 色々とやっていたら 家を出るのが遅くなっちゃった
- なぎさ: そうなのですか…
- なぎさ: (マミの顔を見るだけで なんだか落ち着くのです…)
- なぎさ: (あれ…マミ、なんだか疲れた 顔をしているのです…)
- なぎさ: (もしかして…勝手に出て行った なぎさを心配して…)
- なぎさ: (…なんて、都合のいい話は ないのです…)
- なぎさ: …………
- マミ: …………
- なぎさ: (いつもマミとどう話していたか 急にわからなくなったのです…)
- マミ: …ねえ、なぎさちゃん
- なぎさ: は、はいなのですっ
- マミ: あのね…今日はなぎさちゃんの やりたいことを一緒にやりたいの
- なぎさ: …いいのですか…?
- マミ: ええ
- なぎさ: (でも…)
- マミ: そうね、みんなで海に行くのは 賛成よ
- なぎさ: よかったのです!
- なぎさ: では、今から海に行くのです!
- マミ: えっと…ごめんなさい 今すぐは難しいわね…
- なぎさ: (また断られるかも…)
- なぎさ: …………
- マミ: じゃあ… 私から提案してもいいかしら
- なぎさ: …?
- マミ: みんなと海に行きましょう?
- なぎさ: ――っ!?
- マミ: 昨日誘ってくれたのに 行ってあげられなかったから…
- マミ: 今日こそは、みんなで海に行って 夏休みの思い出にしましょう?
- なぎさ: (なぎさは昨日のうちに 海に行ってしまったのですが…)
- なぎさ: (マミたちと行けば、また違った 楽しみ方があるのです)
- なぎさ: …そこまで言ってくれるなら 行ってもいいのです…
- マミ: よかった…! みんなにも連絡してみるわね
- なぎさ: …………
- なぎさ: (なぎさが勝手に飛び出したこと 怒ったりしないのです…?)
- なぎさ: (それどころか、いつも通り 優しいままのマミなのです…)
- なぎさ: (なぎさは…いつも通りに 話してもいいのですか…?)
- FILENAME: text_327013-2.txt
- マミ: 全員揃ったわね
- まどか: なぎさちゃん! 何から遊ぶ?
- ほむら: 海の家で何か買って食べるのも いいよね
- 杏子: しょっぱいのもいいけど 甘いのも捨てがたいな
- さやか: あんたじゃなくて、今日は なぎさのやりたいことを聞くの!
- 杏子: あー、そうだったな…
- なぎさ: なんでも聞いて くれるのですか?
- マミ: ええ、本当に何でもいいのよ 気にしないで言ってみて?
- なぎさ: …………
- なぎさ: (それなら… あえて試させてもらうのです)
- なぎさ: 海の家のスイーツを ぜーんぶ食べてみたいのです!
- マミ: わかったわ
- なぎさ: (即答なのです!?)
- なぎさ: う…
- マミ: スイーツはまだまだあるから 遠慮しないで食べてね
- なぎさ: もうお腹いっぱいなのです…
- 杏子: じゃあ残りはあたしが…
- マミ: ダメよ ぜんぶなぎさちゃんのなんだから
- 杏子: マジかよ…
- なぎさ: いいのです! 残りは杏子にあげるのです
- 杏子: やりぃ!
- マミ: 本当によかったの…?
- なぎさ: たくさん食べられて 嬉しかったのです
- なぎさ: …それより、次はバナナボートに 乗りたいのです!
- マミ: 海の家で貸してるボートよね 借りてくるわ
- マミ: あ…でも待ち時間があるって 立札が出てるわね…
- なぎさ: 困ったのです 遊ぶ時間が減ってしまうのです…
- マミ: 私が並んでくるわ
- なぎさ: いいのですか…?
- マミ: ええ、なぎさちゃんは みんなと遊んで待っていて
- なぎさ: でも…
- まどか: あの、わたしとほむらちゃんで 並んできますよ
- マミ: それは悪いわよ…
- ほむら: 鹿目さんとお喋りして待てば 時間は気にならないですから…
- まどか: だよねっ
- まどか: マミさんは、なぎさちゃんと いてあげてください
- マミ: …わかったわ ふたりとも、ありがとう
- なぎさ: まどかたちの厚意に甘えて…
- なぎさ: ふたりを待つ間に
- なぎさ: とっても立派な砂のお城を 作りたいのです!
- マミ: うまくできるかしら…
- さやか: これだけ人数がいたら 形にはなりますよ、きっと!
- 杏子: まぁ、とりあえずやってみるか
- マミ: そうね、どんなお城がいいのか イメージを聞かせてもらえる?
- なぎさ: はいなのです!
- なぎさ: ここに階段を作りたいのです
- マミ: うーん… こういう感じでいいのかしら
- なぎさ: バッチリなのです! さすがマミなのです!
- マミ: ふふ、そう言ってもらえると 嬉しいわ
- なぎさ: …………
- なぎさ: (いつのまにか、普段通りに マミと話せているのです…)
- なぎさ: (…なぎさはやっぱり、マミと 仲良くいたいのです…)
- なぎさ: マミ、砂のお城と一緒に みんなで写真を撮りたいのです
- マミ: いいけど、スマホをロッカーから 取ってこないと…
- なぎさ: なぎさが行ってくるのです!
- なぎさ: (今日はこのまま何も起きずに 穏やかに過ごしたいのです)
- なぎさ: (そして、なぎさの大切な 夏の思い出にするのです)
- なぎさ: ――っ!?
- なぎさ: まったく…こういう時に限って 現れるのです…
- なぎさ: (元なぎさの魔女め…)
- なぎさ: でも、なぎさはもう これまでのなぎさとは違うのです
- なぎさ: なぎさの邪魔をすると言うなら… 望むところなのです!
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- なぎさ: 現れたのです…!
- マミ: なぎさちゃん!
- なぎさ: マミ!? 来てくれたのですか?
- マミ: もちろんよ ここは私たちが引き受けるわ!
- さやか: いっちょやりますか!
- 杏子: ハァッ!
- 杏子: 手ごたえがないね
- マミ: でも、数は多いわ 油断は禁物よ
- さやか: …って、あれ? なぎさは?
- なぎさ: マミたちが使い魔を倒して くれるなら、なぎさの相手は…
- なぎさ: お前なのです、元なぎさの魔女
- なぎさ: …!
- なぎさ: 新しい力を得たなぎさは もう退いたりなんかしないのです
- なぎさ: なぎさらしく、自由に やらせてもらうのです!
- さやかの声: …なぎさッ! じっとしてて!
- さやか: 大丈夫!? ひとりで無理しないで!
- 杏子: これくらい 頼まれなくたって助けてやるから
- なぎさ: ふたりとも、ありがとうなのです でも、大丈夫なのです
- 杏子: ん?何が…?
- マミ: 心配しなくても なぎさちゃんは強いってことよ
- なぎさ: そうなのです!
- なぎさ: なぎさはもう、前のなぎさでは ないのです
- なぎさ: 刮目するのです!! なぎさの新しい力に!!
- さやか&杏子: ――っ!?
- なぎさ: 驚くのも無理はないのです
- なぎさ: なぎさも最初はびっくり仰天! 青天の霹靂だったのです!
- 杏子: けど、見た目が違うからって 強くなったとは言えないだろ
- なぎさ: ふん、それはお菓子みたいに 甘い考えなのです
- なぎさ: パワーアップしたなぎさの力を 見せてあげるのです
- さやか: んじゃ、 お手並み拝見といきますか!
- なぎさ: 行くのです…
- なぎさ: やーーっ!!
- なぎさ: まだまだなのです!!
- なぎさ: やっとその姿を 現したのです
- なぎさ: (なぎさが元なぎさの魔女を 倒せなかったのは過去のこと…)
- なぎさ: この力があれば! 秒殺なのです!!
- なぎさ: ふぅ… 終わったのです!
- マミ: お疲れさま もう手慣れたものね
- なぎさ: えへへ…
- さやか: いや~驚いた… 本当にすっごく強くなってる!
- 杏子: 守られてるだけじゃなくなった ってことか
- 杏子: …やるじゃん
- なぎさ: …!
- なぎさ: …さやかも杏子も、なぎさの すごさに気づくのが遅いのです
- なぎさ: もーっと褒めてくれても いいのです!
- さやか: まったく調子良いんだから
- 杏子: そういうところは まだまだガキだな
- なぎさ: なぎさは子どもじゃないのです!
- マミ: 純粋で可愛いらしいところが なぎさちゃんらしさだと思うわよ
- なぎさ: そういうことなら…いいのです!
- まどかの声: みんな~!
- まどか: 大丈夫だった!?
- ほむら: 海の家のほうにも使い魔が出て 合流するのが遅くなりました…
- なぎさ: 平気なのです、魔女はなぎさが キレイさっぱり退治したのです!
- まどか&ほむら: …えぇ!?
- FILENAME: text_327013-4.txt
- まどか: ほんとすごいよ、なぎさちゃん
- なぎさ: これからは、みんなに代わって なぎさが活躍するのです!
- なぎさ: 今から魔女退治に行っても いいのです!
- マミ: それじゃ夏の思い出が 中断してしまうわよ?
- なぎさ: あ、そうだったのです
- ほむら: それで…レンタルの バナナボートなんですけど
- ほむら: 並んでる途中で 使い魔を退治しに行ったから
- ほむら: また列に並び直さないと いけなくて…
- なぎさ: じゃあ今度はなぎさが並ぶのです
- なぎさ: なぎさは大人なので、じっと 待つのも平気なのです
- マミ: ふふ、頼りになるわね
- さやか: なんかマミさん、前よりも なぎさに甘くなってません…?
- マミ: そんなことないわよ
- 杏子: もともと甘いし心配症なんだよ
- 杏子: 昨日もなぎさが飛び出してから えらく心配して探しに行ったり
- 杏子: みかづき荘の連中に 連絡を入れたりしてさ
- なぎさ: …ということは、なぎさが 飛び出したことって…
- マミ: 七海さんには相談していたわ
- マミ: 神浜市で見つけたって 連絡をもらって
- マミ: すぐにでも会いたかったけれど
- マミ: なぎさちゃんの意思も 尊重したかったから…
- マミ: このまま見守ってほしいって 七海さんにお願いしたの
- なぎさ: (全部知られていたなんて ちょっと恥ずかしいのです…)
- マミ: 佐倉さんもね、神浜の子に 連絡を取ってくれたのよ
- 杏子: あれはマミに言われて 仕方なくやっただけさ
- さやか: ちょっとは気にしてたんでしょ
- さやか: 自分のせいで なぎさが出て行ったのかもって
- 杏子: ま…強く言い過ぎたかもとは 思ったよ
- 杏子: でも話も聞かずに出て行った なぎさにも非はあっただろ
- なぎさ: うぅ… 否定はしないのです…
- なぎさ: …心配させて ごめんなさいなのです
- マミ: 私がなぎさちゃんを蔑ろにした ことが始まりだもの
- マミ: 飛び出したくなるのも 理解できるから、謝らないで?
- なぎさ: …………
- なぎさ: マミは、出会ったときからこうなのです
- なぎさ: 周りのことが優先で なぎさのわがままにも付き合ってくれて なぎさの欲しいものを迷わずにくれるのです
- なぎさ: マミがそばにいてくれることは 奇跡みたいなことなのに いつの間にか当たり前になってしまって その尊さを忘れていたのです…
- マミ: さて、この話はこれで終わり
- マミ: 今度は私となぎさちゃんで バナナボートを借りに行く?
- なぎさ: それもいいのですが、休憩がてら チーズでもかじりたいのです
- まどか: それはさすがに…
- マミ: あるわよ
- まどか: えっ!?
- マミ: 保冷バッグに入れて持ってきたわ
- マミ: あ、昨日焼いたチーズケーキも あるわよ
- ほむら: 用意がいいんですね…!
- なぎさ: どうしてそこまで…
- マミ: なぎさちゃんに 喜んでほしいだけよ
- マミ: ただ、今朝急いで準備したから 少し形が崩れてるかもしれないわ
- なぎさ: (だから遅れてきたのですか…)
- なぎさ: …………
- なぎさ: (なぎさを満たしてくれる おいしいチーズをくれるのは)
- なぎさ: (やっぱり、マミなのです)
- なぎさ: 形が崩れていたって
- なぎさ: おいしいおいしいチーズに 変わりないのです!
- 杏子: 珍しく意見が合うじゃないか
- 杏子: あたしはチーズケーキを 食べながら
- 杏子: ジュースでも飲んで休むとするよ
- マミ: じゃあ少し休憩してから ボートを借りに行きましょうか
- さやか: マミさんは杏子にも甘いですね
- まどか: みんなに優しいんだよ ね、ほむらちゃん
- ほむら: そうだね
- なぎさ: マミへのありがとうの気持ちは忘れずに なぎさはこれからも、優しいマミと ずっと仲良くしたいのです
- なぎさ: ―なぎさ― やっぱり休憩が終わるまでなんて 待てないのです!
- なぎさ: ―なぎさ― なぎさが先に行って ボートを借りてくるのです!!
- マミ: ―マミ― ありがとう!
- マミ: ―マミ― 少しだけ休憩したら みんなで合流するわね!
- なぎさ: ―なぎさ― はーい!なのです!
- なぎさ: マミたちといられるこの時間は 本当はとても儚くて 望んでも得られるものではないのです
- なぎさ: そのことを忘れずに 一瞬一瞬を大事にして、後悔のないように この夏はみんなとの思い出を たーっくさん作るのです!
- なぎさ: おしまい
- なぎさ: たまになら 子ども扱いも悪くないのです
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