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Nagisa (Swimsuit ver.) MSS JP Text

Jul 14th, 2023
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  1. FILENAME: text_327011-1.txt
  2. <ミーンミンミンミンミー…>
  3. なぎさ: 『なぎさ日記』
  4. なぎさ: 世間は夏休みらしいのです
  5. なぎさ: そのことはなぎさには関係ないのですが 夏であることは大いに関係があるのです!
  6. なぎさ: なぎさはやっと自由の身になれた以上 夏というものを楽しみつくして たくさん思い出を作りたいのです!
  7. なぎさ: 毎日マミたちと色んなところへ行って 大いに食べて、遊んで 日記を充実させたいのです!
  8. なぎさ: なのに…
  9. 杏子: エアコンがない生活なんて 絶対無理だ…
  10. さやか: ああ、もうダメ この部屋から一歩も出られない…
  11. なぎさ: …………
  12. マミ: アイスティーはいかが?
  13. まどか: ありがとうございます すみません、お邪魔しちゃって…
  14. まどか: 本当はどこかにお出かけして 遊びたかったんですけど…
  15. ほむら: ここに来るまででも 暑くて倒れそうだったしね…
  16. なぎさ: …………
  17. なぎさ: みんな暑さに参ってしまっているのです なんてこったなのです!
  18. なぎさ: でも、なぎさは諦めないのです 今日は海に行きたいので みんなを説得するのです!
  19. 杏子: あえて今日屋外で遊ぶヤツなんて 滅多にいないだろ
  20. さやか: そんなことはないと思うけど… まぁ子どもが多いかもね
  21. なぎさ: …………!
  22. なぎさ: 困ったのです… 暑い時に外で遊ぶのは子どもだと 思い込んでしまっているのです…
  23. なぎさ: こうなったら大人っぽく 遠回しに誘ってみるのです
  24. なぎさ: あんなことやこんなことを乗り越えて さらに大人になったなぎさなら きっとできるのです!
  25. なぎさ: 夏は暑いものなのです
  26. なぎさ: だからいっそ風情を楽しみながら 涼むのがいいと思うのです
  27. 杏子: なんだ? 藪から棒に…
  28. マミ: エアコンもいいけれど
  29. マミ: 夏らしい場所に行って涼むのは 今しかできないことだものね
  30. なぎさ: さすがマミ! 話がわかるのです!
  31. まどか: 夏らしい場所… 海とか川とかかな?
  32. ほむら: 前に、みんなでプールにも 行ったね
  33. なぎさ: 今日みたいなカラッと暑い日は 海の涼しさが合うと思うのです
  34. さやか: でもなぁ… 行くまでが暑いんだよね
  35. 杏子: 同感…
  36. なぎさ: むむむ…
  37. なぎさ: (途中までいい流れだったのに 困ったのです…)
  38. なぎさ: …あ、マミはどう思うのです!?
  39. マミ: そうね、みんなで海に行くのは 賛成よ
  40. なぎさ: よかったのです!
  41. なぎさ: では、今から海に行くのです!
  42. マミ: えっと…ごめんなさい 今すぐは難しいわね…
  43. なぎさ: ――っ!?
  44. マミ: ちょうどケーキを焼き始めた ところで、手が離せないの
  45. まどか: わたしたちも、水着を 持ってきていないし…
  46. ほむら: 浮き輪とかも用意したいけど 遊ぶ時間なくなっちゃうかな…?
  47. なぎさ: (…大人っぽく遠回しに誘う 作戦はやめなのです)
  48. なぎさ: (いつも通りのなぎさで 気持ちで猛プッシュなのです!)
  49. なぎさ: 理屈はどうでもいいのです!
  50. なぎさ: とにかくなぎさは今すぐ 海へ行きたいのです!
  51. 杏子: …子どもだな
  52. なぎさ: なっ!?
  53. さやか: 別になぎさの年頃なら こんなものだと思うけど?
  54. さやか: あたしも、こういう時期が あったと思うし
  55. なぎさ: むむむむ… 結局子ども扱いなのです…
  56. マミ: ケーキも焼けることだし
  57. マミ: うちでゆっくりしながら、 改めて海に行く計画を練らない?
  58. なぎさ: …もういいのです!
  59. なぎさ: 子ども扱いして、話を聞いても くれないなんてひどいのです
  60. なぎさ: 大人のなぎさはひとりでも 海を楽しんでくるのです
  61. なぎさ: …………
  62.  
  63. FILENAME: text_327011-2.txt
  64. なぎさ: 今日はみんなと海に行って 思い出を作りたかったのですが 誰も乗り気じゃないなら仕方ないのです
  65. なぎさ: 夏の思い出のひとつくらいは ひとりで作ることにするのです
  66. なぎさ: でも、なんだかもやもやして 気が乗らないのです…
  67. なぎさ: 気晴らしにお菓子でも食べてから 海に向かうのです
  68. なぎさ: おばあちゃん! お菓子いっぱいくださいなのです
  69. 景気がいいね それともヤケになったのかい?
  70. なぎさ: え…
  71. 難しい顔で店に来たことなんか なかったからね
  72. なぎさ: …ヤケではないのです
  73. なぎさ: お菓子を食べて、もやもやを 晴らしたかっただけなのです…
  74. そうかい で、いつものチーズ棒かい?
  75. なぎさ: ちょっとくらい事情を聞いて くれてもいいのです…
  76. なぎさ: …今日のなぎさは、お菓子を 大人買いしに来たのです!
  77. なぎさ: この棚の端から端まで全部と アイスもぜーんぶ買うのです!
  78. お金はあるんだろうね?
  79. なぎさ: これなのです!
  80. …まったく足りないね
  81. なぎさ: ――っ!?
  82. まぁ、全種類を1個ずつ買うなら ギリギリ足りそうだがね
  83. なぎさ: …じゃあそうするのです!
  84. はいよ、毎度あり
  85. 夏目 かこ: おばあさん、こんにちは
  86. フェリシア: あっちぃ~ ばーちゃんラムネくれ!
  87. 100万円だよ
  88. フェリシア: にゃっ!?
  89. 三栗 あやめ: あはは! また引っかかってやんの!
  90. 夏目 かこ: あ、なぎさちゃんもいたんだ
  91. 三栗 あやめ: ――っ!?
  92. 三栗 あやめ: ―あやめ― …って、なんでそんなに アイス持ってんの!?
  93. なぎさ: ―なぎさ― この棚のお菓子とアイスを ぜーんぶ買ったからなのです
  94. 正しくは 全種類を1個ずつ買った、だろう
  95. なぎさ: ―なぎさ― 一言余計なのです!
  96. 三栗 あやめ: ―あやめ― それでもすごいよ!大金持ちじゃん!! な、フェリシア!真似したいよね!
  97. フェリシア: ―フェリシア― オレは駄菓子より、デカゴンボールチョコを たくさん買えたほうが嬉しいけどな
  98. 夏目 かこ: あの、お金は足りたの…?
  99. なぎさ: ぜーんぶ使って買ったのです いわゆる大人買いなのです!
  100. 三栗 あやめ: お小遣いをお菓子に全振り…!? あちしもまだやったことない…
  101. 三栗 あやめ: なかなかやるじゃん、なぎさ!
  102. なぎさ: えへへー、なのです
  103. フェリシア: 漫画とか買えなくなるし やらないほうがいいだろ
  104. なぎさ: フェリシアは やちよに怒られるから
  105. なぎさ: 大人買いを真似したくても できないだけなのです!
  106. フェリシア: ぐぬぬ…その通りだぞ…
  107. 三栗 あやめ: あちしもたまにはパーッと 使ってみたいのに
  108. 三栗 あやめ: このはも葉月も口を開くと 『節約!』なんだよね
  109. 夏目 かこ: あやめちゃんが無駄遣いしがち だからじゃないかな…?
  110. なぎさ: その認識が そもそもの間違いなのです
  111. なぎさ: あやめとフェリシアが お金を使う担当なのです
  112. 夏目 かこ: えぇ…初耳だけど…
  113. フェリシア: そういうことだったのか…!
  114. 三栗 あやめ: なぎさ、すげー!
  115. 三栗 あやめ: 誰も気づいてないことに 気づくなんて大人じゃん!
  116. なぎさ: そうなのです
  117. フェリシア: お小遣いは自由に使えるし いつもどこにでも行けてるし
  118. フェリシア: なぎさみたいになりたいぞ
  119. なぎさ: …………!
  120. なぎさ: …それなら、今日だけなぎさに ついて来るのはどうです?
  121. なぎさ: なぎさみたくなれるように 大人の心得を教えてあげるのです
  122. 三栗 あやめ: マジ!?
  123. 夏目 かこ: でも私たち、これから プールに行く予定で…
  124. フェリシア: おもしろそーだし行こーぜ! プールは後回しだ!
  125. やれやれ、騒々しいね…
  126. ちょっとお前たち 子どもらしく元気なのはいいが
  127. 危ない真似はするんじゃないよ
  128. なぎさ: 大人のなぎさがついているので 心配いらないのです
  129.  
  130. FILENAME: text_327011-3.txt
  131. なぎさ: さて…腹ごなしも兼ねて
  132. なぎさ: 今日はこの道を 行ってみるのです
  133. 夏目 かこ: なぎさちゃん、お菓子もアイスも 全部食べちゃったね…
  134. 三栗 あやめ: あんなにあったのに… 胃袋まで大人並みにデカいんだな
  135. フェリシア: なー、この道って どこに繋がってるんだ?
  136. なぎさ: 「わからないから行く」 これが大人の心得その1なのです
  137. 三栗 あやめ: おおー!深いな!
  138. 夏目 かこ: 迷子にならないように 気をつけようね…
  139. なぎさ: 大人のなぎさがいるので 大丈夫なのです!
  140. 三栗 あやめ: 同じところに戻ってきたけど…?
  141. フェリシア: …だな
  142. 夏目 かこ: たぶん、この手前の道を 右に曲がれば大通りに出るから…
  143. なぎさ: そ、そんなのはわかってるのです
  144. なぎさ: 「あえて回り道を楽しむ」 大人の心得その2なのです
  145. なぎさ: …あ
  146. ニャー
  147. なぎさ: 猫なのです!
  148. なぎさ: 大人の心得その3は 「猫は追いかける」なのです!
  149. 三栗 あやめ: よっしゃ! 誰が猫に追いつけるか勝負だ!
  150. フェリシア: 大差で勝ってやるよ!
  151. なぎさ: よーいスタート!なのです!
  152. 夏目 かこ: ちょ、ちょっと! みんな待って!?
  153. なぎさ: はぁ…はぁ… 全然追いつけなかったのです…
  154. フェリシア: 勝負はお預けだな
  155. 三栗 あやめ: いーや!あちしの勝ちだね!
  156. 三栗 あやめ: ちょっとだけど 猫に触れたし!
  157. フェリシア: はぁ?それならオレの勝ちだな 猫を撫でたし
  158. なぎさ: じゃあ…なぎさは猫を抱っこ したので勝ちなのです!
  159. フェリシア&あやめ: ウソつくな!!
  160. 夏目 かこ: …あの~…
  161. なぎさ: どうしたのです?
  162. 夏目 かこ: これって大人の心得なのかな…
  163. 夏目 かこ: いつもフェリシアちゃんたちと やっていることが同じような…?
  164. なぎさ: なっ!?
  165. フェリシア: 言われてみたらそうだぞ
  166. 三栗 あやめ: ってことは、あちしたちって もう大人だったんだ!!
  167. 夏目 かこ: それはどうかな…
  168. フェリシア: なぁ、なぎさ お前って大人じゃないんじゃね?
  169. なぎさ: なぎさは大人なのです!
  170. なぎさ: 実はこの道をずっと行くと 海があるので
  171. なぎさ: そこで夏の思い出を作る予定 だったのですが
  172. なぎさ: 普通に向かうのもつまらないから 寄り道をしていただけなのです!
  173. ぐー…
  174. なぎさ: …とは言え、お腹が空いたのです
  175. なぎさ: 海へ行く前に、どこかでお昼を 食べないといけないのです…
  176. 夏目 かこ: 一度お家に戻って、 お昼を食べてから集まる?
  177. 三栗 あやめ: 遊ぶ時間は減るけど それしかないな!
  178. フェリシア: でもなー… いったん帰っちまったら
  179. フェリシア: 宿題やるまで家から出して もらえない気がするぞ…
  180. なぎさ: …………
  181. なぎさ: (弱ったのです…マミの家を 飛び出してきたので)
  182. なぎさ: (なぎさは戻る場所もなければ お金もないし、ピンチなのです)
  183. 夏目 かこ: なぎさちゃんはどうする?
  184. なぎさ: うぅ… それは…
  185. フェリシア: あーあ、鶴乃なら こういうときわかってくれるのに
  186. なぎさ: 鶴乃…
  187. なぎさ: …ひらめいたのです!!
  188. なぎさ: 鶴乃ならわかってくれるので 万々歳に行くのです!
  189. フェリシア: …あ?
  190.  
  191. FILENAME: text_327011-4.txt
  192. みんな: ごちそーさまでした!!
  193. 鶴乃: お粗末さまでした! 美味しかった?
  194. フェリシア: おう、美味かったぞ!
  195. 三栗 あやめ: 50点だね!
  196. 鶴乃: またその数字…!?
  197. なぎさ: 50点と聞いていたわりには 美味しかったのです
  198. 鶴乃: その感想は喜んでいいのかな…?
  199. 三栗 あやめ: 50点はすごいぞ!
  200. 三栗 あやめ: あちしが逆立ちしたって テストで取れないし!
  201. 夏目 かこ: あやめちゃん、それ 大きな声で言わないほうが…
  202. フェリシア: なぎさが万々歳を思いついて くれてよかったぞ!
  203. フェリシア: やちよに宿題ヤレって 怒られずに済んだしな
  204. なぎさ: ふふん、感謝するのです!
  205. なぎさ: (まぁ、なぎさも鶴乃がごちそう してくれて助かったのです…)
  206. なぎさ: (海に行く前にお腹を空かせて さまようところだったのです…)
  207. 鶴乃: 遊ぶのもいいけど 怒られる前に宿題はやりなよ?
  208. フェリシア: へーい
  209. なぎさ: あの、鶴乃
  210. なぎさ: ごちそうになったお礼に お店を手伝うのです
  211. 鶴乃: え、いいよいいよ! この後もみんなで遊ぶんでしょ?
  212. なぎさ: そういうわけにはいかないのです
  213. なぎさ: 無銭飲食なんて 大人はしないのです
  214. 鶴乃: ほっ? それはそうだけど…
  215. 夏目 かこ: 私もお手伝いさせてください
  216. 三栗 あやめ: あちしも! フェリシアもやるよね?
  217. フェリシア: 仕方ねえな
  218. 鶴乃: じゃあ… お皿洗いを手伝ってくれる?
  219. なぎさ: 任せるのです!
  220. 鶴乃: ありがとう、もういいよ! みんなお疲れさま!
  221. なぎさ: ふぅ… 案外早く終わったのです
  222. フェリシア: そもそも客が来ないからな
  223. 鶴乃: 気にしてることをさらっと…
  224. なぎさ: 予定よりも遅くなったのですが これでようやく海に行けるのです
  225. 夏目 かこ: 私たちも一緒に行くよね?
  226. 夏目 かこ: 元々プールに行くつもりだった から、水着はあるし
  227. 三栗 あやめ: おう!さんせー!
  228. フェリシア: オレは満腹だし 昼寝でもしたいぞ
  229. なぎさ: せっかくの夏を満喫しないなんて もったいないのです!
  230. なぎさ: 大人なら、1日1日を 大事に過ごすものなのです!
  231. フェリシア: そういうもんなのか?
  232. 三栗 あやめ: なあフェリシア、行こうぜ!!
  233. フェリシア: …わかったよ
  234. 鶴乃: 横から悪いけどさ 海にはなぎさたちだけで行くの?
  235. なぎさ: そうなのです
  236. 鶴乃: 小さい子だけで行くのは心配だし わたしも行っていい?
  237. なぎさ: えっ!
  238. なぎさ: なぎさは大人なので 心配には及ばないのです!
  239. 鶴乃: でも…
  240. フェリシア: ってか、万々歳はどーすんだよ? 店番がいねーとさすがに困るだろ
  241. 鶴乃: それはお父さんにこれから聞く!
  242. ~~♪~~♪
  243. 鶴乃: あっと、やちよから電話だ! ちょっと出るね
  244. 鶴乃の声: もしもし?
  245. なぎさ: むぅ…納得いかないのです
  246. フェリシア: なぁ、今のうちに外に出ようぜ
  247. フェリシア: 実はオレ、午後に宿題をやるなら 遊んでいいって言われてたんだ
  248. フェリシア: 海に行くのがやちよにバレたら 連れ戻されそうだぞ…
  249. なぎさ: そういうことなら、 今すぐここから退散するのです
  250. なぎさ: では、鶴乃にお礼を言って 出発なのです
  251. みんな: 「ありがとうございましたー!」
  252. 鶴乃: え… みんなどこに行ったの!?
  253. なぎさ: みんなが認めてくれなくたって なぎさは大人なのです
  254.  
  255. FILENAME: text_327012-1.txt
  256. なぎさ: なぎさを子ども扱いして 取り合ってくれないマミたちなんか忘れて
  257. なぎさ: 夏の思い出を作るために なぎさはフェリシアたちと海にやって来たのです
  258. ガヤガヤガヤ…
  259. なぎさ: 到着なのです!
  260. 夏目 かこ: わ…人が多いね…!
  261. フェリシア: あっちぃ… なんか飲み物欲しいぞ
  262. 三栗 あやめ: そんなのあとあと! まずは着替えるのが先だって!
  263. なぎさ: さんせーなのです!
  264. 夏目 かこ: …私たちだけで来ちゃったけど 本当に良かったのかな…
  265. 夏目 かこ: あした屋のおばあちゃんにも 鶴乃さんにも心配されたのに…
  266. なぎさ: みんなは何も わかっていないのです
  267. なぎさ: 大人のなぎさがいるから 心配なことなんてないのです
  268. 夏目 かこ: でも…
  269. なぎさ: …じゃあ、こうするのです
  270. なぎさ: 危ない場所には行かないように なぎさが配慮するのです
  271. なぎさ: だから、かこも安心して 遊ぶのです
  272. 夏目 かこ: それなら…いい、のかな…?
  273. バシャバシャ!
  274. フェリシア: ふーー! 気持ちいいー!!
  275. 三栗 あやめ: なぎさもかこも 早く一緒に泳ごーよ!
  276. 夏目 かこ: って、もう遊んでる…!?
  277. なぎさ: ふたりはわかっているのです
  278. なぎさ: 大人は1分1秒も 無駄にはできないということを
  279. 夏目 かこ: わかって行動しているようには 思えないけど…
  280. 夏目 かこ: フェリシアちゃん! あやめちゃん!
  281. 夏目 かこ: あんまり深いほうには 行かないでね…!?
  282. なぎさ: かこ!なぎさたちも早く着替えて 混ざるのです!
  283. 夏目 かこ: えぇ…配慮は…!?
  284. なぎさ: 水着に着替えたなぎさたちは 泳いだり、砂浜を走ったり 海ならではの遊びをたくさんしたのです
  285. なぎさ: この砂はどけて 最後にここを掘って…
  286. なぎさ: 砂のお城が完成!なのです!
  287. 夏目 かこ: えっと…
  288. フェリシア: …これが?
  289. 三栗 あやめ: あちし、これ知ってるよ! たてあな式住居ってやつだろ!
  290. なぎさ: 違うのです!お城なのです!
  291. なぎさ: (マミがいたら、きっともっと 上手に作れたのに…)
  292. なぎさ: これはこれで良しとするしか ないのです…
  293. なぎさ: 次はあそこにある バナナボートに乗るのです!
  294. 夏目 かこ: えっと…レンタルするには お金がかかるみたい
  295. フェリシア: オレたち、お小遣いねーぞ
  296. なぎさ: むむ…
  297. なぎさ: じゃあビーチバレーを やるのです!
  298. 夏目 かこ: それも道具レンタルは有料だね… ボールも持ってきてないし…
  299. なぎさ: むむむ…
  300. なぎさ: それならいったん休憩で 冷たいデザートでも食べるのです
  301. 三栗 あやめ: だから!あちしたち、お小遣いが ないってば!
  302. なぎさ: むむむむ…! これじゃ何もできないのです!
  303. フェリシア: 大人のくせに、駄菓子に全部 お小遣い使うからだろ?
  304. なぎさ: (意外と痛い所を 突いてくるのです…)
  305. なぎさ: (こんな時、マミがいたら…)
  306. なぎさ: (…なんてことは! 思わないのです!)
  307. なぎさ: …お小遣いのいらない遊びを すればいいので、平気なのです
  308. なぎさ: あっちの岩場に移動するのです!
  309. なぎさ: ヤドカリハントコンテストを 行うのです!
  310. なぎさ: ヤドカリを一番多く捕まえた人が 優勝なのです!
  311. 三栗 あやめ: よっしゃ!
  312. 三栗 あやめ: わかりやすいルールで 助かるよ!
  313. フェリシア: んじゃ、負けたヤツは 勝ったヤツにジュースおごりで!
  314. 三栗 あやめ: 望むところだ!
  315. なぎさ: では、よーい…
  316. なぎさ: スタート!なのです!
  317. 夏目 かこ: …………
  318. 夏目 かこ: …なぎさちゃんは、大人として 振る舞いたいみたいだけど
  319. 夏目 かこ: 私たちと、子どもみたいに 思いきり遊んでる方が楽しそう…
  320.  
  321. FILENAME: text_327012-2.txt
  322. なぎさ: ヤドカリハントコンテストの 優勝は…
  323. なぎさ: なぎさなのです!
  324. フェリシア: くそー、オレは2位かぁ…
  325. 三栗 あやめ: 次はあちしが勝てるヤツで 勝負するからね!
  326. なぎさ: 負けたあやめは、勝ったなぎさに ジュースをおごる約束なのです
  327. 三栗 あやめ: ま、また今度な! 今はお小遣いないし…
  328. 夏目 かこ: あれ、もうこんな時間…! 結構遅くなっちゃったね
  329. なぎさ: もしかして帰るのですか?
  330. フェリシア: もっと遊びてーけど、やちよが 夕飯作って待ってるからな
  331. なぎさ: …ダメなのです! まだ帰らないのです!
  332. フェリシア: あ? なんでだ?
  333. なぎさ: 大人は時間に関係なく 自由に遊ぶものなのです!
  334. なぎさ: 陽が落ちたって、夕飯が待って いたって遊ぶのです!
  335. 夏目 かこ: でも…暗くなったら危ないよ? お腹だって空いちゃうし…
  336. なぎさ: …それでもいいのですっ
  337. 三栗 あやめ: このはと葉月に心配かけたく ないから、あちしは帰りたいな…
  338. フェリシア: オレも帰らなかったら やちよが鬼になっちまうぞ…
  339. なぎさ: うぅ…
  340. なぎさ: (みんなの事情は 理解しているのですが…)
  341. なぎさ: (マミもいないし、なぎさには 帰れる場所がないのです…)
  342. なぎさ: …わかったのです みんなとはここで解散なのです
  343. 夏目 かこ: なぎさちゃんはどうするの?
  344. なぎさ: なぎさは大人なので ひとりで夜通し遊ぶのです!
  345. 夏目 かこ: なんか…意地になってない…?
  346. 葉月の声: おーい、あやめー!
  347. 三栗 あやめ: あ…葉月!? このはも!
  348. 遊佐 葉月: やっぱりフェリシアちゃんたちも 一緒だったんだ
  349. 静海 このは: 海に子どもだけで来るなんて…
  350. 三栗 あやめ: 別に危ないことなんて なかったよ!
  351. 三栗 あやめ: …ていうか、なんでここだって わかったの!?
  352. 静海 このは: あやめのことなら なんだってわかるわ
  353. 三栗 あやめ: このは、すげー!
  354. やちよ: …まぁ、鶴乃から聞いて 来たんだけどね
  355. フェリシア: やちよ!?
  356. やちよ: 私たちも帰るわよ 宿題、やってもらうからね
  357. フェリシア: あうあう…
  358. 夏目 かこ: あの…すみませんでした 黙って海に来てしまって…
  359. やちよ: 次からは もっと年上の人と一緒にね
  360. なぎさ: …大人のなぎさがいるのに 問題なんて何もないのです
  361. やちよ: …私が言いたいのは
  362. やちよ: 何かがあった時に責任の取れる 大人と一緒にいてほしいってこと
  363. やちよ: 性格が多少大人っぽいだけでは ダメなのよ…
  364. なぎさ: むぅ…………
  365. なぎさ: 大人として振る舞っていたのは あやめたちにすごいって言われたからなのです
  366. なぎさ: そもそも、大人っぽくしなくちゃと思ったのは 杏子たちに子ども扱いされたからで…
  367. なぎさ: …なぎさは、ただいつも通りに 遊びたかったのです…
  368. やちよ: え…?
  369. なぎさ: な、なんでもないのです!
  370. やちよ: …巴さんに連絡するわね
  371. なぎさ: しなくていいのです!
  372. なぎさ: (だって…大人のなぎさを マミが心配するはずないのです)
  373. なぎさ: …………
  374. マミ: ケーキも焼けることだし
  375. マミ: うちでゆっくりしながら、 改めて海に行く計画を練らない?
  376. なぎさ: …もういいのです!
  377. なぎさ: (それに…勝手に飛び出して しまって、気まずいのです…)
  378. やちよ: …………
  379. フェリシア: なー、いつまでここにいるんだ? オレ腹が減ったぞ
  380. やちよ: それはわかってるけれど…
  381. やちよ: …困ったわね…
  382. 三栗 あやめ: あ、そーだ、なぎさ! うちで夕飯食べていけよ!
  383. なぎさ: え…なぜなのです…?
  384. 三栗 あやめ: あちしがジュースをおごるより
  385. 三栗 あやめ: 葉月の料理を食べられるほうが 嬉しいだろ!
  386. 遊佐 葉月: なんか賭けてたの…? まぁいいけど…
  387. 遊佐 葉月: このははどう?
  388. 静海 このは: …何か事情があるようだし 協力してあげましょう
  389. やちよ: 私から言うのも何だけど…
  390. やちよ: ありがとう このはさん、葉月さん
  391. 三栗 あやめ: よし、これでジュースをおごる 約束は果たしたってことで!
  392. 遊佐 葉月: あやめの事情に協力したんじゃ ないんだけどね…
  393. 遊佐 葉月: それで… どうかな、なぎさちゃん?
  394. なぎさ: ええと… お言葉に甘えさせてもらうのです
  395.  
  396. FILENAME: text_327012-3.txt
  397. 遊佐 葉月: あやめー、冷蔵庫から お肉出しておいて
  398. 三栗 あやめ: 任せろ!
  399. 静海 このは: 私の手も余っているわよ
  400. 遊佐 葉月: えーと、じゃあ… サラダを盛りつけてもらおうかな
  401. 静海 このは: わかったわ ドレッシングは作ればいいのね?
  402. 遊佐 葉月: あー、味つけは統一させたいし アタシに任せてもらえる?
  403. 静海 このは: そういうことなら…了解よ
  404. 遊佐 葉月: なぎさちゃんは… 食器棚からお皿を取ってくれる?
  405. なぎさ: 今日は1日外にいて疲れたので もう動けないのです…
  406. 遊佐 葉月: この家では働かざる者 食うべからず、なの
  407. なぎさ: なぎさはお客さんなのです
  408. 静海 このは: 郷に入っては郷に従え
  409. 静海 このは: 客人でも、幼くても この家のルールには従って
  410. なぎさ: むっ…
  411. なぎさ: なぎさは大人なので ルールには従ってもいいのですが
  412. なぎさ: 甘いものを食べて癒されないと 動けないのです
  413. 遊佐 葉月: じゃあ少しお菓子を食べたら お手伝いしてもらえる?
  414. なぎさ: はいなのです!
  415. 三栗 あやめ: なんだ、意外となぎさも 子どもなんだな
  416. なぎさ: そんなことないのです!
  417. なぎさ: お菓子なんていらないのです! 早速お手伝いするのです!
  418. 遊佐 葉月: ふふっ、助かるよ
  419. なぎさ: お皿とお箸は人数分出して テーブルも拭き終わったのです
  420. 遊佐 葉月: ありがとう!
  421. なぎさ: 他にも何か手伝うのです!
  422. 遊佐 葉月: あとは…何だろうなぁ
  423. 静海 このは: ベランダにタオルを干してるから 一緒にたたんでもらえる?
  424. なぎさ: わかったのです
  425. なぎさ: …………よし、全部できたのです
  426. 静海 このは: 上手だわ
  427. なぎさ: えへへ、なのです
  428. 三栗 あやめ: おー!あちしより整ってるぞ!?
  429. 静海 このは: あやめに頼むと 散らかしてしまうからね
  430. 遊佐 葉月: なぎさちゃんに頼んでよかった!
  431. なぎさ: …………
  432. なぎさ: (葉月とこのはは意外と 話せるみたいなのです)
  433. なぎさ: これくらいのお手伝いは 余裕なのです
  434. なぎさ: ただ…小腹が空いたので チーズでもかじりたいのです!
  435. 遊佐 葉月: ご褒美が欲しいってこと?
  436. 遊佐 葉月: それはいいけど… チーズは切らしてるんだ
  437. なぎさ: …………
  438. 遊佐 葉月: 代わりに、デザートでも作ろうか プリンとか好き?
  439. 三栗 あやめ: えー!?そんなの、 うちで出たことないじゃん!!
  440. 遊佐 葉月: そりゃあお客さんが来たら おもてなしくらいしないとね
  441. なぎさ: …いらないのです
  442. 遊佐 葉月: そう…?
  443. 三栗 あやめ: なー葉月、あちしにはプリンを 作ってよ!ね、いいでしょ!?
  444. 遊佐 葉月: はいはい、ちょっと待ってね
  445. なぎさ: …………
  446. みんな: 「ごちそうさまでした」
  447. なぎさ: すごく美味しかったのです!
  448. 三栗 あやめ: うんうん! 葉月の料理は世界一だからな!
  449. なぎさ: 異論なしなのです!
  450. 遊佐 葉月: お褒めにあずかり光栄だね
  451. 静海 このは: …私もうかうかしていられないわ
  452. 静海 このは: 早くまなか先生に次のステップを 教えてもらわないと
  453. 遊佐 葉月: あー… 包丁の持ち方だったっけ
  454. 遊佐 葉月: でも、このははこのはのペースで 成長してくれたらいいから…
  455. なぎさ: …………
  456. なぎさ: (葉月たちも、フェリシアたちも みんないい人なのです)
  457. なぎさ: (でも…)
  458. 静海 このは: 今日はもう遅いし このまま泊まっていきなさい
  459. なぎさ: …ありがとうなのです そうさせてもらうのです
  460. なぎさ: …………
  461. なぎさ: (楽しいのに、どうして何かが 足りない気がするのです…?)
  462.  
  463. FILENAME: text_327012-4.txt
  464. 遊佐 葉月: それじゃあおやすみ なぎさちゃん
  465. なぎさ: おやすみなさいなのです…
  466. …………
  467. ……………………
  468. なぎさ: 眠れないのです…
  469. なぎさ: …………
  470. なぎさ: お菓子をたくさん食べて 海で遊んで、楽しい思い出も作れたのに どうして何かが足りない気がするのです…?
  471. なぎさ: …………
  472. なぎさ: では、今から海に行くのです!
  473. マミ: えっと…ごめんなさい 今すぐは難しいわね…
  474. なぎさ: ――っ!?
  475. なぎさ: 最初にもやもやした理由は 杏子とさやかに子ども扱いされたり マミたちが海へ遊びに行くことを取り合って くれなかったからだったのです
  476. なぎさ: だから、なぎさは大人っぽく振る舞って フェリシアたちと海に行って遊んだのです
  477. なぎさ: とてもとても楽しかったのです
  478. なぎさ: なのに…何かが足りなく感じて…
  479. なぎさ: 小腹が空いたので チーズでもかじりたいのです!
  480. 遊佐 葉月: ご褒美が欲しいってこと?
  481. 遊佐 葉月: それはいいけど… チーズは切らしてるんだ
  482. なぎさ: …………
  483. なぎさ: 葉月からチーズをもらえなかった時にも 何かが足りない気持ちになったのです
  484. なぎさ: チーズをもらえなかったからじゃなくて 寂しいような…悲しいような… そんな気持ちだったのです
  485. なぎさ: …………
  486. なぎさ: …………
  487. なぎさ: わかったのです…
  488. なぎさ: なぎさは、魔女になってしまったなぎさと同じで 結局ずっと欲しがっているのです
  489. なぎさ: なぎさを満たしてくれる、唯一のもの… 持ちきれないほどのおいしいチーズを…
  490. なぎさ: でも、ここのチーズはあやめたちのもので なぎさの欲しいものは手に入らないのです…
  491. なぎさ: …………
  492. 静海 このは: …なぎさちゃん
  493. なぎさ: ――っ!? お、起きていたのですか…!?
  494. 遊佐 葉月: まあ、ね…
  495. 静海 このは: 眠れないの?
  496. なぎさ: その…外が気になって 見ていただけなのです
  497. 遊佐 葉月: そっか
  498. 静海 このは: 夜更かしは体に毒よ
  499. なぎさ: わかってるのです… 良い大人はもう寝るのです
  500. 遊佐 葉月: …慣れない環境で 落ち着かないよね
  501. なぎさ: え?
  502. 遊佐 葉月: 全部には応えられないけどさ
  503. 遊佐 葉月: やってほしいことがあったら 何でも言ってよ
  504. なぎさ: 葉月…
  505. 静海 このは: うちにいたければ もう少し泊まっていってもいいわ
  506. 静海 このは: あやめもそのほうが 嬉しいみたいだし…
  507. 三栗 あやめ: くかー…
  508. なぎさ: …………
  509. なぎさ: ありがたいのですが… 明日は見滝原市に帰るのです
  510. なぎさ: (ここにいても、なぎさの欲しい チーズは手に入らないから)
  511. なぎさ: (見滝原市に戻って、マミと 向き合わないといけないのです)
  512. 静海 このは: そう…
  513. なぎさ: …………
  514. 遊佐 葉月: …大丈夫? 不安そうだけど…
  515. なぎさ: そんなことないのです!
  516. なぎさ: 帰っても、マミと話せないかも なんて不安はないのです!
  517. 遊佐 葉月: まあ、やっぱり不安だよね…
  518. 静海 このは: …明日、見滝原市まで送るわ
  519. 静海 このは: 不安は消してあげられないけれど 付き添うくらいはできるから
  520. なぎさ: …ありがとうなのです
  521. なぎさ: 少しだけ わかったかもしれないのです…
  522.  
  523. FILENAME: text_327013-1.txt
  524. なぎさ: 翌日、なぎさはこのはたちと 見滝原市に戻ってきたのです
  525. なぎさ: …ここまでで大丈夫なのです
  526. なぎさ: 送ってくれて ありがとうなのです
  527. 遊佐 葉月: どういたしまして
  528. なぎさ: それじゃあ…
  529. 静海 このは: …待って もう来ると思うから
  530. なぎさ: …?
  531. ???の声: …なぎさちゃーん!
  532. なぎさ: ――っ!?
  533. なぎさ: マミ… どうしてここに…?
  534. マミ: それは…
  535. 遊佐 葉月: お節介だとは思ったんだけど
  536. 遊佐 葉月: やちよさんに頼んで 連絡を入れてもらったんだ
  537. 静海 このは: 話したいことがあるんでしょう?
  538. 静海 このは: 本心から話せば、きっと伝わるわ
  539. なぎさ: …はいなのです…
  540. 静海 このは: それじゃ、私たちは失礼するわ
  541. マミ: ありがとうございました…!
  542. なぎさ: …あの、マミ…
  543. マミ: ごめんなさい、もう少し早く 着いていたかったんだけど
  544. マミ: 色々とやっていたら 家を出るのが遅くなっちゃった
  545. なぎさ: そうなのですか…
  546. なぎさ: (マミの顔を見るだけで なんだか落ち着くのです…)
  547. なぎさ: (あれ…マミ、なんだか疲れた 顔をしているのです…)
  548. なぎさ: (もしかして…勝手に出て行った なぎさを心配して…)
  549. なぎさ: (…なんて、都合のいい話は ないのです…)
  550. なぎさ: …………
  551. マミ: …………
  552. なぎさ: (いつもマミとどう話していたか 急にわからなくなったのです…)
  553. マミ: …ねえ、なぎさちゃん
  554. なぎさ: は、はいなのですっ
  555. マミ: あのね…今日はなぎさちゃんの やりたいことを一緒にやりたいの
  556. なぎさ: …いいのですか…?
  557. マミ: ええ
  558. なぎさ: (でも…)
  559. マミ: そうね、みんなで海に行くのは 賛成よ
  560. なぎさ: よかったのです!
  561. なぎさ: では、今から海に行くのです!
  562. マミ: えっと…ごめんなさい 今すぐは難しいわね…
  563. なぎさ: (また断られるかも…)
  564. なぎさ: …………
  565. マミ: じゃあ… 私から提案してもいいかしら
  566. なぎさ: …?
  567. マミ: みんなと海に行きましょう?
  568. なぎさ: ――っ!?
  569. マミ: 昨日誘ってくれたのに 行ってあげられなかったから…
  570. マミ: 今日こそは、みんなで海に行って 夏休みの思い出にしましょう?
  571. なぎさ: (なぎさは昨日のうちに 海に行ってしまったのですが…)
  572. なぎさ: (マミたちと行けば、また違った 楽しみ方があるのです)
  573. なぎさ: …そこまで言ってくれるなら 行ってもいいのです…
  574. マミ: よかった…! みんなにも連絡してみるわね
  575. なぎさ: …………
  576. なぎさ: (なぎさが勝手に飛び出したこと 怒ったりしないのです…?)
  577. なぎさ: (それどころか、いつも通り 優しいままのマミなのです…)
  578. なぎさ: (なぎさは…いつも通りに 話してもいいのですか…?)
  579.  
  580. FILENAME: text_327013-2.txt
  581. マミ: 全員揃ったわね
  582. まどか: なぎさちゃん! 何から遊ぶ?
  583. ほむら: 海の家で何か買って食べるのも いいよね
  584. 杏子: しょっぱいのもいいけど 甘いのも捨てがたいな
  585. さやか: あんたじゃなくて、今日は なぎさのやりたいことを聞くの!
  586. 杏子: あー、そうだったな…
  587. なぎさ: なんでも聞いて くれるのですか?
  588. マミ: ええ、本当に何でもいいのよ 気にしないで言ってみて?
  589. なぎさ: …………
  590. なぎさ: (それなら… あえて試させてもらうのです)
  591. なぎさ: 海の家のスイーツを ぜーんぶ食べてみたいのです!
  592. マミ: わかったわ
  593. なぎさ: (即答なのです!?)
  594. なぎさ: う…
  595. マミ: スイーツはまだまだあるから 遠慮しないで食べてね
  596. なぎさ: もうお腹いっぱいなのです…
  597. 杏子: じゃあ残りはあたしが…
  598. マミ: ダメよ ぜんぶなぎさちゃんのなんだから
  599. 杏子: マジかよ…
  600. なぎさ: いいのです! 残りは杏子にあげるのです
  601. 杏子: やりぃ!
  602. マミ: 本当によかったの…?
  603. なぎさ: たくさん食べられて 嬉しかったのです
  604. なぎさ: …それより、次はバナナボートに 乗りたいのです!
  605. マミ: 海の家で貸してるボートよね 借りてくるわ
  606. マミ: あ…でも待ち時間があるって 立札が出てるわね…
  607. なぎさ: 困ったのです 遊ぶ時間が減ってしまうのです…
  608. マミ: 私が並んでくるわ
  609. なぎさ: いいのですか…?
  610. マミ: ええ、なぎさちゃんは みんなと遊んで待っていて
  611. なぎさ: でも…
  612. まどか: あの、わたしとほむらちゃんで 並んできますよ
  613. マミ: それは悪いわよ…
  614. ほむら: 鹿目さんとお喋りして待てば 時間は気にならないですから…
  615. まどか: だよねっ
  616. まどか: マミさんは、なぎさちゃんと いてあげてください
  617. マミ: …わかったわ ふたりとも、ありがとう
  618. なぎさ: まどかたちの厚意に甘えて…
  619. なぎさ: ふたりを待つ間に
  620. なぎさ: とっても立派な砂のお城を 作りたいのです!
  621. マミ: うまくできるかしら…
  622. さやか: これだけ人数がいたら 形にはなりますよ、きっと!
  623. 杏子: まぁ、とりあえずやってみるか
  624. マミ: そうね、どんなお城がいいのか イメージを聞かせてもらえる?
  625. なぎさ: はいなのです!
  626. なぎさ: ここに階段を作りたいのです
  627. マミ: うーん… こういう感じでいいのかしら
  628. なぎさ: バッチリなのです! さすがマミなのです!
  629. マミ: ふふ、そう言ってもらえると 嬉しいわ
  630. なぎさ: …………
  631. なぎさ: (いつのまにか、普段通りに マミと話せているのです…)
  632. なぎさ: (…なぎさはやっぱり、マミと 仲良くいたいのです…)
  633. なぎさ: マミ、砂のお城と一緒に みんなで写真を撮りたいのです
  634. マミ: いいけど、スマホをロッカーから 取ってこないと…
  635. なぎさ: なぎさが行ってくるのです!
  636. なぎさ: (今日はこのまま何も起きずに 穏やかに過ごしたいのです)
  637. なぎさ: (そして、なぎさの大切な 夏の思い出にするのです)
  638. なぎさ: ――っ!?
  639. なぎさ: まったく…こういう時に限って 現れるのです…
  640. なぎさ: (元なぎさの魔女め…)
  641. なぎさ: でも、なぎさはもう これまでのなぎさとは違うのです
  642. なぎさ: なぎさの邪魔をすると言うなら… 望むところなのです!
  643.  
  644. FILENAME: text_327013-3.txt
  645. なぎさ: 現れたのです…!
  646. マミ: なぎさちゃん!
  647. なぎさ: マミ!? 来てくれたのですか?
  648. マミ: もちろんよ ここは私たちが引き受けるわ!
  649. さやか: いっちょやりますか!
  650. 杏子: ハァッ!
  651. 杏子: 手ごたえがないね
  652. マミ: でも、数は多いわ 油断は禁物よ
  653. さやか: …って、あれ? なぎさは?
  654. なぎさ: マミたちが使い魔を倒して くれるなら、なぎさの相手は…
  655. なぎさ: お前なのです、元なぎさの魔女
  656. なぎさ: …!
  657. なぎさ: 新しい力を得たなぎさは もう退いたりなんかしないのです
  658. なぎさ: なぎさらしく、自由に やらせてもらうのです!
  659. さやかの声: …なぎさッ! じっとしてて!
  660. さやか: 大丈夫!? ひとりで無理しないで!
  661. 杏子: これくらい 頼まれなくたって助けてやるから
  662. なぎさ: ふたりとも、ありがとうなのです でも、大丈夫なのです
  663. 杏子: ん?何が…?
  664. マミ: 心配しなくても なぎさちゃんは強いってことよ
  665. なぎさ: そうなのです!
  666. なぎさ: なぎさはもう、前のなぎさでは ないのです
  667. なぎさ: 刮目するのです!! なぎさの新しい力に!!
  668. さやか&杏子: ――っ!?
  669. なぎさ: 驚くのも無理はないのです
  670. なぎさ: なぎさも最初はびっくり仰天! 青天の霹靂だったのです!
  671. 杏子: けど、見た目が違うからって 強くなったとは言えないだろ
  672. なぎさ: ふん、それはお菓子みたいに 甘い考えなのです
  673. なぎさ: パワーアップしたなぎさの力を 見せてあげるのです
  674. さやか: んじゃ、 お手並み拝見といきますか!
  675. なぎさ: 行くのです…
  676. なぎさ: やーーっ!!
  677. なぎさ: まだまだなのです!!
  678. なぎさ: やっとその姿を 現したのです
  679. なぎさ: (なぎさが元なぎさの魔女を 倒せなかったのは過去のこと…)
  680. なぎさ: この力があれば! 秒殺なのです!!
  681. なぎさ: ふぅ… 終わったのです!
  682. マミ: お疲れさま もう手慣れたものね
  683. なぎさ: えへへ…
  684. さやか: いや~驚いた… 本当にすっごく強くなってる!
  685. 杏子: 守られてるだけじゃなくなった ってことか
  686. 杏子: …やるじゃん
  687. なぎさ: …!
  688. なぎさ: …さやかも杏子も、なぎさの すごさに気づくのが遅いのです
  689. なぎさ: もーっと褒めてくれても いいのです!
  690. さやか: まったく調子良いんだから
  691. 杏子: そういうところは まだまだガキだな
  692. なぎさ: なぎさは子どもじゃないのです!
  693. マミ: 純粋で可愛いらしいところが なぎさちゃんらしさだと思うわよ
  694. なぎさ: そういうことなら…いいのです!
  695. まどかの声: みんな~!
  696. まどか: 大丈夫だった!?
  697. ほむら: 海の家のほうにも使い魔が出て 合流するのが遅くなりました…
  698. なぎさ: 平気なのです、魔女はなぎさが キレイさっぱり退治したのです!
  699. まどか&ほむら: …えぇ!?
  700.  
  701. FILENAME: text_327013-4.txt
  702. まどか: ほんとすごいよ、なぎさちゃん
  703. なぎさ: これからは、みんなに代わって なぎさが活躍するのです!
  704. なぎさ: 今から魔女退治に行っても いいのです!
  705. マミ: それじゃ夏の思い出が 中断してしまうわよ?
  706. なぎさ: あ、そうだったのです
  707. ほむら: それで…レンタルの バナナボートなんですけど
  708. ほむら: 並んでる途中で 使い魔を退治しに行ったから
  709. ほむら: また列に並び直さないと いけなくて…
  710. なぎさ: じゃあ今度はなぎさが並ぶのです
  711. なぎさ: なぎさは大人なので、じっと 待つのも平気なのです
  712. マミ: ふふ、頼りになるわね
  713. さやか: なんかマミさん、前よりも なぎさに甘くなってません…?
  714. マミ: そんなことないわよ
  715. 杏子: もともと甘いし心配症なんだよ
  716. 杏子: 昨日もなぎさが飛び出してから えらく心配して探しに行ったり
  717. 杏子: みかづき荘の連中に 連絡を入れたりしてさ
  718. なぎさ: …ということは、なぎさが 飛び出したことって…
  719. マミ: 七海さんには相談していたわ
  720. マミ: 神浜市で見つけたって 連絡をもらって
  721. マミ: すぐにでも会いたかったけれど
  722. マミ: なぎさちゃんの意思も 尊重したかったから…
  723. マミ: このまま見守ってほしいって 七海さんにお願いしたの
  724. なぎさ: (全部知られていたなんて ちょっと恥ずかしいのです…)
  725. マミ: 佐倉さんもね、神浜の子に 連絡を取ってくれたのよ
  726. 杏子: あれはマミに言われて 仕方なくやっただけさ
  727. さやか: ちょっとは気にしてたんでしょ
  728. さやか: 自分のせいで なぎさが出て行ったのかもって
  729. 杏子: ま…強く言い過ぎたかもとは 思ったよ
  730. 杏子: でも話も聞かずに出て行った なぎさにも非はあっただろ
  731. なぎさ: うぅ… 否定はしないのです…
  732. なぎさ: …心配させて ごめんなさいなのです
  733. マミ: 私がなぎさちゃんを蔑ろにした ことが始まりだもの
  734. マミ: 飛び出したくなるのも 理解できるから、謝らないで?
  735. なぎさ: …………
  736. なぎさ: マミは、出会ったときからこうなのです
  737. なぎさ: 周りのことが優先で なぎさのわがままにも付き合ってくれて なぎさの欲しいものを迷わずにくれるのです
  738. なぎさ: マミがそばにいてくれることは 奇跡みたいなことなのに いつの間にか当たり前になってしまって その尊さを忘れていたのです…
  739. マミ: さて、この話はこれで終わり
  740. マミ: 今度は私となぎさちゃんで バナナボートを借りに行く?
  741. なぎさ: それもいいのですが、休憩がてら チーズでもかじりたいのです
  742. まどか: それはさすがに…
  743. マミ: あるわよ
  744. まどか: えっ!?
  745. マミ: 保冷バッグに入れて持ってきたわ
  746. マミ: あ、昨日焼いたチーズケーキも あるわよ
  747. ほむら: 用意がいいんですね…!
  748. なぎさ: どうしてそこまで…
  749. マミ: なぎさちゃんに 喜んでほしいだけよ
  750. マミ: ただ、今朝急いで準備したから 少し形が崩れてるかもしれないわ
  751. なぎさ: (だから遅れてきたのですか…)
  752. なぎさ: …………
  753. なぎさ: (なぎさを満たしてくれる おいしいチーズをくれるのは)
  754. なぎさ: (やっぱり、マミなのです)
  755. なぎさ: 形が崩れていたって
  756. なぎさ: おいしいおいしいチーズに 変わりないのです!
  757. 杏子: 珍しく意見が合うじゃないか
  758. 杏子: あたしはチーズケーキを 食べながら
  759. 杏子: ジュースでも飲んで休むとするよ
  760. マミ: じゃあ少し休憩してから ボートを借りに行きましょうか
  761. さやか: マミさんは杏子にも甘いですね
  762. まどか: みんなに優しいんだよ ね、ほむらちゃん
  763. ほむら: そうだね
  764. なぎさ: マミへのありがとうの気持ちは忘れずに なぎさはこれからも、優しいマミと ずっと仲良くしたいのです
  765. なぎさ: ―なぎさ― やっぱり休憩が終わるまでなんて 待てないのです!
  766. なぎさ: ―なぎさ― なぎさが先に行って ボートを借りてくるのです!!
  767. マミ: ―マミ― ありがとう!
  768. マミ: ―マミ― 少しだけ休憩したら みんなで合流するわね!
  769. なぎさ: ―なぎさ― はーい!なのです!
  770. なぎさ: マミたちといられるこの時間は 本当はとても儚くて 望んでも得られるものではないのです
  771. なぎさ: そのことを忘れずに 一瞬一瞬を大事にして、後悔のないように この夏はみんなとの思い出を たーっくさん作るのです!
  772. なぎさ: おしまい
  773. なぎさ: たまになら 子ども扱いも悪くないのです
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