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- 番外編.ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ロジーナ。1
- (´・ω・`)お盆特別企画(番外編)
- さて、短期講座も終わると急に落ち着いたので。
- 授業の無い日は何時もの写本室で調べ物兼設計を行っている。
- 作る物は多いので資料集めにも最適だ。
- 物を作る為に下調べは重要だ。
- 細かい所で解からないコトが多い。
- あの世界の様な工業製品規格表の様なモノが在ればこんなに苦労し無いのだが。
- 材木の種類と強度に付いての本を探している最中に。
- 目に付いた本が在った。
- 手に取り題名を見る。
- 「そう言えば父上は”図書室に有る。”と言っていたな…。」
- 思わずその本が手元にある。
- 題名は”ロジーナ英雄伝説-建国の3人の男たち-”
- この国成り立ちの話らしい。
- 伝説などと書いてあるが…。
- まあ良い、今日は特に資料集め以外にやることは無い。
- この本でも読んで見るか…。
- +++++++++++++++++(#◎皿◎´)転換+++++++++++++++++++++++
- 「おい、腹が減ったぞ!」
- ハゲた鯰髭の大男が苛立たしげに叫ぶ。
- 「あ?デービス、朝喰っただろ?もう忘れたのか?」
- 大きな盾と胴鎧を装備した赤毛に近い茶色の短髪の男が苛立たしげに答える。
- 「リーダーもう昼だぜ?」
- ソレに答える細身の男。
- 黒の長い髪を後ろで縛り、左右の袖の色が違うチュニックにオレンジの革の鎧。
- 紫と白の大きなチェックのズボンは前と後ろで色違い。
- 革のヘルムに緑の水鳥の尾羽の羽飾り付き、武器は細身の長い剣を腰に背中に背嚢と小弓を装備している。
- 「解かってる。」
- イライラを隠さない大盾の男。
- 「喰ったのは日の出前だ。もう昼の時間だ。メシにしようぜ?」
- デブの耳障りながなり声が聞こえる。
- 「そうだね、デービス。リーダーどうする?任せる。」
- 「ライオネルもう少し進みたい。水場がある場所で休憩したい。」
- 「でも、こんな山道。未だ峠も先だぜ?」
- ライオネルと呼ばれた道化の様な姿の細身の男は肩を竦めながら答えた。
- 「そうだな…。その峠を越えて、先を見てから休憩するか判断する心算だった。」
- 「ロジェ。メシにしようぜ?メシ。ライオネルも腹減ったろ?」
- 舌打ちして苛立つリーダー。
- ロジェと呼ばれた大盾の男は困った表情を隠さない。
- 「解かったよリーダー。デービス、飯ぐらい我慢しろ。先に進んだ方が良い。」
- 「そうだぞ、デービス。この山の向うに村が有れば食料の補給もできる。無ければ現地調達だ。」
- 「マジかよ!この先、町は無いのか?」
- 「おい、湖の魚港で話しただろ?この先、人家は殆ど無い。有ったとしても長い冬を越えたか解からない。」
- 「ああ、聞いてた。だから淫売宿で頑張った、ショボイ村だとやらせてくれる女が居ねえ。」
- 「デービスお前…。」
- 「デービス。村に付いても大人しくしろよ?お前、旦那付きの女房に手を出すなよ?後。娘にも。」
- 「ああ、解かってる。俺は嫌がる女に手を…。出したことは有るが最後は喜んでたから大丈夫だ。」
- 嫌らしく笑うデブのハゲは革鎧にローブ、杖を片手に持ち。
- 背中のバックパックには鍋とフライパン、小弓と矢筒を掛けている。
- 「解かってねえな。」
- 「ああ、ダメだね。懲りてない。」
- 呆れる細身の男と盾の男。
- 「じゃあ、先を急ごうぜ?ロジェ、ライオネル。村を見つけて女を落す。」
- デブが小走りになる。
- 「デービス、食料の補給が先だ。」
- 「後この先の町の情報もね。」
- 走るデブを追いかけない仲間達。
- のんびり歩き、峠で立ち止まり肩で息をするデブに追いつく。
- 「よお、デービスなんか有ったか?」
- 「どうせ息が持たないんだ、走るな。魔物に襲われるぞ?」
- 息を切らせながら指さすデブ。
- 「ありゃ。困ったねリーダー。」
- 「ああ困ったな。何にも無い。」
- 指差す先には広大な草原が広がっていた。
- 街道も無い。
- 「女が…。(ゼイゼイ)ドコにも居ない。」
- 「そうだなデービス。ライオネル休憩にしよう。食料を節約する必要が出来た。日が落ちるまでに山を降りたい。」
- 「無理だね。リーダーこの距離だと明日の日没までに山を下りれるかも解からないよ?」
- 遠くを見る細身の男。
- 「何にもねえ。(ゼイゼイ)見渡す限りの草原だ。」
- 「チッ、村が在るって話だったんだが。」
- 「リーダー珍しい魔物居るのかね?」
- 「さあなあ。凶暴な亜人種ぐらいは居るだろう。」
- 息の整ったデブが盾の男に訪ねる。
- 「ロジェ。エルフ族やドワーフ族の村は?」
- 「北に進めば…。人が居れば情報も有る。」
- 「ひとが居ればねえ…。」
- 両手を頭の後ろに置いて背伸びする道化師ライオネル。
- 「さあ、メシにしようぜ?水場は無いから俺が水をだす。」
- 陽気なデブが背嚢を下ろして中から形の悪い硬いパンを出す。
- 「ああ、そうだな。」
- 「なあ、デービス。魔法の水ってどっから出してんだ?」
- 道化師が訪ねる。
- 「あ?気にするな。」
- 「いや、なんか気に成る。」
- 「ライオネル、気にするな。魔法で出してるんだよな?デービス。」
- 「…。」
- 無言のデブに焦るリーダー。
- 「おい、答えろよ。」
- 「頼むよ。答えろよデービス。」
- メシを食いながらデブの魔法講座が始まったが。
- 男達は余計に謎が深まった表情になった。
- 草原に降り、狼やゴブリン、希にオークと言った魔物に出くわしたが。
- 戦闘は有るが特に問題なく排除して前に進む3人の男達。
- 数日掛けて草原を北に進む。
- 街道は途切れ草原に飲み込まれている場所が増えてきた。
- 森に続く街道。その手前で日が落ちると、焚き火を起こし鍋が掛けられ、干し肉と豆の水煮が作られている。
- 焚き火の揺れめく灯りに写る鍋を回すデブ。
- ソレに少々汚れた道化師。
- 疲れた表情の大盾の男。
- 「パンの在庫が後5日だ。」
- 「女が居ねえ。」
- 「豆と、干し肉は未だ在るぜ?まあ、頑張って10日持てば万々歳だ。」
- 「女が居ねえ。酒もねえ。」
- 「この先、村が有れば良いが…。」
- 「女が…。」
- 「解かってるデービス。女どころか人が居ないんだ。」
- 「ロジェ、俺は伝説の美酒を呑んで、エルフの女とドワーフの女を犯す為にココまで来たんだ。」
- 「そうか、デービス。」
- 「相変わらず最低だね。デービス。でも何度も聞いたよ?」
- 「何で無人の荒野をひもじい思いをして…。」
- 「まあ、先に進めば居るんじゃないエルフ?」
- 「そうだな、先ず先に汎人の住処を探すのが先だな。」
- 「くそう。女も酒も無しか…。」
- 「デービスこういう時は楽しいこと考えようよ?伝説の美酒を見つけたらどうするの?」
- 「いや?死ぬまで呑んだくれる。女を犯しまくる。」
- 「ああ、そうかい頑張って。」
- 「俺は、お前デービスを置いて帰るぞ?家に帰れば親父を説得して商隊を興して交易だ、そうなりゃ俺は商館の旦那様だ。」
- 「ライオネル。お前はどうするんだ?俺と一緒に女とやりまくれる村で死ぬまで腰を振って生活するか?」
- 「未だ決めてないよ。面白い方にする。」
- 「デービスお前は里に帰らないのか?」
- 「あ?ああ。帰らないぜ?どうせ帰っても命を狙われる。町の魔法使い達には嫌われてるからな。」
- 鼻歌を歌いながら鍋を掻き回すデブ。
- 「そうか…。でも謝って許してもらえないの?」
- 「無理だろ。師匠が死んで世話に成った兄弟子の奥さんと娘さんを孕ませて逃げてりゃ…。」
- 替わりに答えるリーダー。
- 「おう、良い女だった。ベッドの上で凄い喜んでたんだぜ?娘の方は暗闇で間違えて最後までしたが。二、三回目で自分から腰振るようになった。まあ、孕む頃にゃ母娘共で同時にヤッてたからな。」
- 満面の笑みのデブ。
- 「そりゃ仕方ない。」
- 「おまえ、国に帰ったら絶対刺されるわ。」
- 呆れる男達。
- 「だから俺は何処かでイイ女と酒のある場所を見つけて死ぬまで腰振って女の上で死にたい。いや、下でも良い。」
- 「なら、明日から頑張れ。何か獲るぞ?良い女に合う前に野垂れ死にそうだ。」
- 土の上に布を敷き横になるリーダー。
- 「おう、任せとけ。さあ、出来たぞ?ご馳走だ。」
- 親指を立てるデブ。
- 「ああ、また。豆と干し肉の煮込みか…。」
- 差し出された皿の中を覗く道化師がタメ息を付く。
- 「そう言うな。このままだと、直に豆の塩茹でになる日も近い。」
- 「おう、楽しみにしてろ。その内コレが懐かしくてたまらなくなるハズだ…。俺は食べられる草には詳しい。雑草を喰うことになるからな。」
- 日が出ると森を進む3人の男。
- 深い森は昼間でも薄暗い影の中で道無き道を進む。
- 「リーダー。完全に道が消えた。」
- 「くそっ、道を間違えたのか?」
- 「いや、ロジェ。間違ってない。ソコに朽ちた切り株が在る。斧で切った物だ。かなり古い。人の手が入っていた証拠だ。」
- 「では、街道の上なのか?」
- 「さあな?切り株は太い木だ、その場で加工していないなら運び出した跡が残っているハズだ。」
- 「周囲を探そう。」
- しばらく捜索すると丘の上に幾つかの切り株と崩れ落ちた櫓の残骸を見つけた。
- ロープのは既に朽ち柱は苔に覆われ何の目的に作られたのかは全く解からない。
- 「何だ?ココは?」
- 「ソコに小屋が立っていた跡がある。竃の跡もな。」
- 「村が有ったの?」
- 「いや、ライオネル、数が少なすぎる。ココは多分、放棄された木の伐り出し跡だ。」
- 「おい、デービス随分と冴えてるが何か有ったのか?」
- 「ロジェ、ココは十数人の|男達《ハイヒールを履いた樵達》で作った樵場だ、たぶん夏の間だけ作業を行ったのだろう。櫓はおそらく木を運び出す為の物だ。」
- 「デービス解かる様に言って。」
- 「つまり、大きな木を丸太のまま運び出す必用が有った。全部切らずに必要な大きなの物だけ運ぶ余裕がある。建築の為だ。」
- 「城か砦の建築か?」
- 笑顔で白い歯を見せるデブ。
- 「どっちに運び出したんだ?」
- 道化師が訪ねる。
- 「恐らくあっちだ。櫓に滑車を付けて引っ張ったのだろう。あっちに町が有る…。女も居る。押し花大好き。」
- 「お前は女が係ると冴えるな。」
- 「おう、俺は冴えてるぜ。もうタマが爆発しそうなんだ。女を見たら土下座して頼みたくなるくらいだ。」
- 呆れる男達を残し丘を下るデブ。
- 足取り軽く進むと新たな櫓の残骸を発見した。
- その先は川だ。
- 水量が多く流れが早い。
- 泳いで渡るコトは出来そうに無い。
- 「おい、行き止まりだぞ?」
- 「泳いで渡るのか?」
- 「くっそ。女に近づいているのに…。」
- 珍しくイラ付くデブ。
- 「仕方ない。この近くに橋を掛けた跡か、川沿いの道を探そう。恐らく町が有るなら下流だ。」
- 「何で下流なんだ?」
- 「ライオネル。ココは樵場だ、川が有るなら切った木で筏を作って運んだのだろう。恐らく人が通った道が有るはずだ。下りは筏で上りは徒歩の筈。」
- 「そう言う物なのか?デービス。」
- 「おう、間違いない。女の香りがしない。上流に女は居ない。」
- 力強く拳を握り締めるデブ。
- 後ろで肩を竦め目を合わせる二人。
- 何言っても無駄な諦めの表情だ。
- 3人は辛うじて道に見える場所を見つけた。
- 川に離れず近づかず。
- 下流に向かっている。
- 二日程度歩くと森を出るコトが出来た。
- 夕日に煌めく広い川幅に草原と湿地だ。
- 「くそっ!」
- 悔しがるデブ。
- 「どうした?デービス。」
- 「道が沈んでる。長い冬の間に川の流れが変わったんだ。」
- 「どうすんの?リーダー。食料ももう無いよ?」
- 「鳥を獲る。」
- 「やめとけロジェ。落としても拾う方法が無い。」
- 「デービス、どうする心算だ?」
- 「魚は取れるぜ?塩が持てばな?」
- 「何だと?」
- 「網も仕掛けも無いぜ?」
- 「明日は森に戻って舟を作ろう。」
- 男たちは木を切り、大木の皮を剥いでボートを作った。
- アウトリガーカヌーだ。
- 「おい、大丈夫かよデービス。」
- 「昔、師匠に聞いた。南の大陸の獣人はこういう舟に乗ってるそうだ。」
- 「見たこと有るのか?」
- 「ない。浮けば儲け物だ。」
- 「大丈夫なのか?」
- 「大丈夫だ、俺は泳げる。」
- 「俺、泳げないぞ!!」
- 「ああ、大丈夫だ、ロジェ。木に掴まってりゃ汎人は浮く安心しろ。」
- 「おい!デービス!」「服が濡れるの嫌なんだぜ!」
- おっかなびっくり舟を漕ぎ出す男三人。
- 「おいロジェ、オール合わせろ。」
- 「ダメだ揺れる。」
- 「安心しろ。ロジェ。」
- 「デービス!振り向くな!身体を捻るな!舟が傾く!!」
- 舟は川面を進む。
- 「あー腹減った…。」
- 「そろそろ魚でも捕るか…。」
- 「どうやって?」
- 「ああ、任せろ!火の神!大地の主よ!我が手に奇跡をファイヤーボール!!」
- デブの手の平に炎の弾が発生して川に突き刺さる。
- 水柱と蒸気が噴出す。
- 揺れる川面。
- 「おい!!ゆらすな!!」
- 青い顔のリーダー。
- 「ほら、魚が浮いてきたぞ?拾え、晩飯だ。」
- 「でも、コレどうやって食べるの?」
- 「…。」
- 「おい、デービス?」
- 「まあ、とりあえず。丘を探そうぜ。」
- 「飯は?」
- 「丘に上がれば魚が焼けるさ。」
- 日が落ちるまでに河を渡った男たちは。
- 丘の上の大木の下で火を起こし魚を焼いて食べ眠った。
- 日が昇り始め、周りが朝靄に包まれると動き出す男達。
- 「おい、デービスのヤツ何処行った?」
- 「あ?リーダーどうしたの?」
- 「デービスのヤツが居ない。」
- 「ああ。そう。糞じゃないの?」
- 「クッソ、アイツ!!」
- 「おう、ロジェ朝から暑いな。」
- 「デービス何処行ってた!」
- 「は?狩りだよ狩り、水鳥が居たからな。三匹獲って来た。毟れよ?」
- 矢追の水鳥を三匹放り投げるデブ。
- 「やった、肉だ!」
- 「おう、昨日の内に撃てそうなポイントに目星を付けておいた。日が出る前で眠っている所を…。」
- 架空の弓を引くデブの大男。
- 「勝手に動くなデービス。」
- 「ロジェ、お前は寝ている所を起こすと怒るだろ?まあ、腹が減ってんだ。早く毟って喰おうぜ。肉だぞ?肉。」
- 「そうだね。」
- 三人の男達が無言で焚き火を囲んで毟る。
- 羽毛が手に張り付いてイラツク道化師。
- 腸を抜いた鳥が三匹、火に掛けられ、羽毛の燃える臭いが周囲に広がる。
- 「なあ、あと。どれ位かな」
- 「さあなあ。」
- 不安毛な男達、先の食料のコトを考えて居るのだろう。
- 「たぶんあの山の向うには何か焚き木しているヤツが居るぜ?」
- 「あ!何だとデービス。」
- 「どういうコト?」
- 「あー、朝は煙が昇りにくい。低く広がる。山の斜面を流れて谷を埋めて火の臭いが遠くまで流れる。」
- 「俺たちの焚き火じゃないのか?」
- 「パンの焼ける臭いだったぜ?」
- 「当りだな。」
- 「デービスの鼻だから間違いない。」
- 「おう。俺の鼻は間違いないぜ?問題は何日歩けば良いかだ。」
- 「食糧が足りないな。」
- 「だな、もう少し、ココで食料を確保したほうが良い…。塩の在庫ももう無くなる。ほら、焼けたぞ?」
- 無言で肉に齧り付く男達。
- 「魚は止めよう。」
- 大盾の男が沈黙を破る。
- 「贅沢言うなよ。ロジェ。」
- 「リーダーあともう少しなんだ。ドロ臭い魚でも我慢しよう。」
- 「悪かった。多分俺は腹が減ってイライラしてたんだ。」
- 「そうだな。とりあえずコイツで腹を膨らまして。がんばろうぜ?」
- 男達は魚と鳥を獲り保存食を作った。
- 三日程掛ったが燻製にした食料は10日分であった。
- 「よし。やっとココからおさらばだ。」
- 「そうだね。」
- 「さあ、先を急ぐぜ?女達が待っている。」
- 「風呂に入りたいな…。」
- 「水浴びしろよ。ライオネル。」
- 「リーダー風呂じゃないと嫌なんだ…。」
- 「ああ。そうだな。俺も故郷の風呂屋でゆっくりしたい。デービス、先に行くな。」
- 「遅いぞ?ロジェ!女は早い者勝ちだ!!」
- 「あーあー、元気だねデービスは。」
- 「ああ、頼もしいヤツなんだ…。女が絡まなければ。」
- 「アレは、多分ああ言う病気なんだよ。」
- 「そうだな…。」
- 六日目に山の頂に登ると…。眼下に村落が見えた。
- 人家だ。畑で仕事するのは汎人に見える。
- 「ロジェ!人だ!!」
- 「おう。そうだな。」
- 「リーダー。麦畑と芋、豆を作ってる。コレはパンが買える。」
- 「そうだな、ライオネル。」
- 「おーんーなーーー!!」
- 「おい!!デービス!!」
- 「走って行っちまったよ。」
- 「うおーーーーーーー!!おんなーーーーー!」
- デブは全速力で駆けて沢を跳び越し、転がるように斜面を駆けた。
- そして村の中、籠を持つ娘の前に五体接地で身を伏せた。
- 「やらせろ下さい!!」
- 『へ?だ。だれ?』
- 「おーい、デービス。」
- 「勝手に動くなデービス。」
- 追いつく男達。
- 『あ。あの。誰ですか?』
- 「もう、そのばいんばいんの胸で俺の。破裂しそうなきんたまの中身を全てうけとめてくれ!!」
- 娘の手を掴むデブ。
- 『い、いやーーー!!』
- 「おいおい、止めろよデービス。嫌がってるぞ?」
- 「騒ぎにするなよ。デービス。」
- 追いついた男が眉間を揉む。
- 騒ぎに村人が集まってきた。
- 『あんたら、見かけんが何処の人かね?』
- 「オイ困った、リーダー、何言っているかわかんない。」
- 「よし、俺は遥か南の町、マルガリタからやって来た、スリアンボスの子孫にしてマヘリの息子ロジェ。旅人だ。南の大湖を越えて遣って来た」
- 首を傾げる村人達。
- 「おい。リーダー通じてないぞ?」
- 「仕方が無いな…」
- 地面に文字を書くが誰もが首を傾げている。
- 「お嬢さん、ぜひ俺と朝までズッコンバッコン。」
- 身の危険が解かるのか村人に隠れる村娘。
- 「さあ、お嬢さん!!ごっふ!」
- 道化師の拳が腹に決るが…。
- 「デービス面倒なコトに成るからしばらく大人しくしろ。」
- 「おい!ライオネル!!こんなお嬢さんが居るんだ!我慢できるわけ無いだろ!!」
- 効いていない様に話すデブ。
- 「ライオネル、デービスを押さえていてくれ。」
- 「解かったよ、リーダー」
- パントマイムを始めるが。相手に伝わらない。
- そうこうすると。集落から、金髪の髪の長い女が出てきた。
- 村人が呼んだらしい。子供に手を引かれて走って来る。
- 肌の白い、翡翠の様な目の女だ。
- 「やらせろ!!」
- 「あら、南の人なのかえ?」
- 「あ。解かる。」
- 「申し訳御座いません。言葉が解かるのなら通訳を。」
- 「おう!イイちちだ!!揉ませろ!!」
- 「おい!ライオネル!デービスを黙らせろ!!」
- 「了解リーダー。」
- デブの首筋に剣の柄がめり込む。
- 動きが止まる。デブ。
- 「ああ、申し訳ない、何分、もう何日も人と会っていないので仲間が失礼なコトをした。謝罪します。」
- 「ほーう。その言葉…。そち等は南の大湖からきたのかえ?」
- 「いえ。大湖の向う。砂の大地の向うです。」
- 「ほえー、そんなに遠くから来た者は初めてじゃ。」
- 「はい、俺は遥か南の町、マルガリタからやって来た、スリアンボスの子孫にしてマヘリの息子ロジェ。コチラが…。」
- 「大湖の向う西の町から来たライオネル・ワイヤードです。」
- 胸に手を充て頭を垂れる道化師。
- 大地に倒れたままのデブ。
- 「ほう、みな遠くからきたんね?」
- 「あ、あの、お嬢さんは?」
- 「ああ、そう。わらわは、オイレー、この村の呪術士じゃ。」
- 「あの…。オイレーさん。貴女は?」
- 「ああ、この耳かえ?妖精族のエルフじゃ。この村に居ついて長いのでな。」
- 「エルフ!!」
- デブが復活する。
- 「お嬢さん!やらせろください!!」
- リーダーが頭の痛そうな顔で謝罪する。
- 「あ、すいません。コイツ頭がおかしいので。許してやって下さい。」
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