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- FILENAME: text_310341-1.txt
- ちはる: 今日は、旭ちゃんが 時女一族に来た記念の親睦会!
- ちはる: みんな集まってくれて ありがとう!
- すなお: みなさん 飲み物は手元にありますか?
- ちはる: それじゃあ、旭ちゃんが 時女一族に合流したことを祝って
- 静香: かんぱーい!
- みんな: 「かんぱーい!」
- 旭: いやはや…
- 旭: 我が遅参したというのに 申し訳ないであります…
- 静香: 気にすることないわよ
- 静香: 一応、時女一族が全員集まった 記念でもあるんだから
- 静香: ここで改めてお互いを知って 親睦を深めていきましょう
- ちはる: そうそう!
- ちはる: これでやっと時女一族の巫たちが 神浜市に集まったんだもん
- すなお: これから慣れない都会で 一緒に頑張っていくわけですし
- すなお: 改めて、一致団結しないと いけませんからね
- 旭: それもそうでありますか
- 静香: そうよ、だから 今日は楽しみましょう!
- すなお: それじゃあ、みなさん
- すなお: ひとりずつ前に出て 自己紹介をお願いします
- 青葉 ちか: …そういうわけで
- 青葉 ちか: その願いは 遠回りな方法で叶ってしまい
- 青葉 ちか: 山深い時女の分家で 暮らすことになったのですが
- 青葉 ちか: この度、時女本家から連絡を頂き 神浜市に戻ってくる運びになり…
- 南津 涼子: ほんっと 聞く度にひでー話だって思うよ
- 南津 涼子: ズビッ… っしゃ!次はちはるの番だ!
- ちはる: はいはーい! わたしの名前は広江ちはる!
- ちはる: 好きなものは…等々力耕一と ゆすりん坊将軍とそれから…
- ちはる: あ、ゆすりん坊将軍 っていうのはね…
- 静香: これで、ひととおり 自己紹介は終わったかしら
- 南津 涼子: ちはるのゆすりん坊将軍講座 の間違いじゃなくてか?
- ちはる: ごめーん… つい楽しくなっちゃって
- 旭: 我は、ちはる殿の説明を聞いて
- 旭: ゆすりん坊将軍が 気になってきたでありますよ
- ちはる: 本当!?
- ちはる: それじゃあこの後、夜通しで 1話から観る会でも…!
- 旭: 何話くらいあるのでありますか?
- ちはる: シリーズ累計で 約1000話くらいだよ!
- ちはる: ちなみに、わたしは サブタイトル全部覚えてるんだ!
- 旭: …それは、すごいでありますが
- 旭: さすがに1000話は 遠慮しておくでありますよ…
- ちはる: だよねぇ…
- すなお: それじゃ、最後に旭さん 自己紹介をお願いできますか?
- 旭: あ、我でありますか? 我はそんな…
- 静香: 今日の主役なんだから むしろ旭が挨拶しないと
- 静香: みんな 旭のことが知りたいんだから
- 旭: …では、僭越ながら
- 旭: 三浦旭、16歳
- 旭: 遅れての参加ではありますが …時女一族の一員として
- 旭: しっかりと 務めを果たす所存であります
- ちはる: うんうんっ!
- …………
- 青葉 ちか: …?
- 旭: …以上であります
- ちはる: えぇ!? それだけぇ!?
- FILENAME: text_310341-2.txt
- ちはる: えぇ!? それだけぇ!?
- 旭: それだけ…とは
- ちはる: いやっ、もうちょっとさ 自己紹介だよ!?
- ちはる: 趣味とか出身とか なんかそういう…
- ちはる: わたし、もっと 旭ちゃんのこと知りたいよぅ!
- 旭: 困りましたなぁ…
- 旭: 我の話など、聞いたところで 大して面白くないでありますよ?
- 旭: …………
- 旭: では、狩猟について お話しするでありますよ
- ちはる: やったぁ!
- 旭: …このように、止め刺しの作業は
- 旭: なるべく苦しませないという点で 非常に重要なことなのであります
- ちはる: …命の重みだぁ
- ちはる: わたし、これからはもっと いただきますに力いれるねぇ…
- 旭: よい心がけであります
- 静香: それじゃあ、いい時間になったし そろそろお開きにしましょう
- ちはる: …ってぇ!
- ちはる: これじゃ狩りの話しか 聞けてないよぅ!
- 旭: ちはる殿のゆすりん坊将軍講座に 我もならったのでありますが…
- 旭: まずかったでありますか?
- ちはる: し、しまった~!
- ちはる: うわーん! 気になるよぅ!
- 静香: ちょっとちゃる いきなりどうしたのよ
- すなお: そうですよ 夜に騒いだら近所迷惑です
- ちはる: ご、ごめん… じゃなくて旭ちゃんの話だよぅ!
- ちはる: 旭ちゃんの自己紹介 狩りの話しかしてないんだよ!?
- 静香: それは、ちゃるの話に あわせてくれたからじゃない
- ちはる: でも、わたしたちが回ってきた 分家の出身じゃないし
- ちはる: 願いも…趣味だってわかんない… なーんもわかんないんだよぅ!
- 静香: あ、願いと言えば 私も話しそびれたわね
- すなお: …まぁ、願いについては 巫にとって繊細な話題ですし…
- すなお: 話したがらないのなら 無理に聞くべきではないかと…
- ちはる: それもそうなんだけど… なんか、気になっちゃって
- 静香: …悪意でも感じるの?
- ちはる: それは全然…
- 静香: えぇ…ちゃるったら どうしちゃったのよ?
- 静香: 旭はこれから仲間になるんだから 無闇に詮索するのは良くないわ
- ちはる: …うん 静香ちゃんの言う通りだね
- ちはる: …でも、旭ちゃんのこと知って もっと仲良くなりたいのに…
- ちはる: なんだかモヤモヤするよぅ…
- 静香: …じゃあ、今日は3人で 一緒に雑魚寝しましょう!
- ちはる: えぇ!?
- 静香: 沢山、話をしたら すっきりするかもしれないし
- すなお: ふふ、なんだかいいですね 修学旅行みたいで
- すなお: こういうの、ガールズトーク …って言うんですよね?
- 静香: …がーるずとーく?
- FILENAME: text_310341-3.txt
- 静香: むにゃ…すぅ…
- すなお: すー…すー…
- ちはる: んんぅ…
- ちはる: (あれ、お喋りしながら 寝落ちしちゃってた…?)
- ちはる: (うぅ…なんだか、おトイレに 行きたくなってきたよぅ…)
- ちはる: (お寺の夜って暗くて 怖いから、イヤなんだけどな…)
- ガサガサ…
- ちはる: (ひ…! こんな時間に外から物音…?)
- ちはる: (泥棒かもしれないし 見に行かなくちゃ…!)
- ちはる: (ここら辺から音が した気がしたんだけど…)
- ちはる: (…あっ)
- ちはる: (旭ちゃんだ… …誰かと話してる?)
- ちはる: ――っ!?
- ちはる: (あの女の人って…!)
- ちはる: (最近、お寺で 葬儀をあげられてた人…!?)
- ちはる: (いやでもそんなまさか…)
- ちはる: (あ、あああ足が透けてる! オ、オバケだ…!)
- ドタバタドタ…ドテッ
- ゴソゴソ
- すなお: ひゃっ!? 布団になにか入って…!?
- ちはる: ひーん… すなおちゃぁん…
- すなお: ちゃる!? どうしたんですか!?
- ちはる: オ、オバケがぁ… オバケが出たんだよぅ…
- すなお: ええっ?
- ちはる: 旭ちゃんは オバケだったのかも…
- すなお: はい…?
- すなお: えっと、それで…
- すなお: 旭さんが、最近亡くなったはずの 女性と話していたから
- すなお: 旭さんに気付かれる前に ちゃるは逃げて来た…と?
- ちはる: うん…
- すなお: そこからどうして 旭さんがオバケになるんです?
- ちはる: だってだって ゆすりん坊将軍で見たんだもん…
- ちはる: オバケと話していた子が 実はもう死んじゃってて…
- ちはる: だからオバケと 話せたんだって…
- すなお: 話が飛躍しましたね…
- ちはる: …お盆休み特別編で ディスク化もされてなかったから
- ちはる: わたしも1回しか見たことなくて うろ覚えなんだけど…
- すなお: うーん…旭さんが霊能力者とか… それに、私たちは巫ですし
- すなお: 固有魔法が関わっている… なんて可能性もありますよね
- ちはる: でも、固有魔法だとしたら いったいどんな願いを…
- すなお: たしかに固有魔法は願いが 関係してることもありますし…
- 静香: もうっ、旭が オバケなわけないでしょ
- すなお: あ、静香も起きたんですね
- 静香: 旭には足も生えてるし 触れるんだから!
- 静香: お、オバケなんて… オバケなんて…!
- すなお: あ、震えてる 静香も怖いんですね…
- 静香: きっと、ちゃるが寝ぼけていて 見間違えたのよ…!
- ちはる: そ、そんなはずないよ!
- ちはる: はっ…!
- ちはる: (そういえば、ゆすりん坊将軍 お盆休み特別編第二弾では…)
- ちはる: 今みたいに、オバケを見つけた将軍は 家臣にそれを話すんだけど信じてもらえなくて
- ちはる: だけど、その晩から一人ずつ消えていって… それは、オバケに操られていたみんなが 自ら黄泉の国へ行こうとしちゃってたから …っていうお話があった!
- ちはる: (もしかしたら静香ちゃんたちも オバケに操られてるんじゃ…!)
- すなお: …ちゃる?
- ちはる: (静香ちゃんたちは わたしが守らないと…!)
- 静香: …じゃあ見間違いってことで そろそろ寝ても良いかしら?
- ちはる: あ、待って!
- ちはる: あの…誰か一緒に おトイレについてきてくれない?
- FILENAME: text_310341-4.txt
- <翌朝>
- 水徳寺の住職: 大事な話があるということ だったが、どうしたんじゃ?
- ちはる: 実は、このお寺には オバケがいるかもしれないんだ!
- 水徳寺の住職: なるほど…
- 水徳寺の住職: もしかしたら、それは オニババの仕業かもしれぬのう
- ちはる: …オニババ?
- 水徳寺の住職: 寺に昔から伝わる 昔話があってな…
- 水徳寺の住職: 「そのオニババは、人を操って 食べてしまうと言われているんじゃが 特に子どもが狙われやすくてな…」
- 水徳寺の住職: 「夜ふかしをしていると姿を現して 子どもを洗脳するような術をかけるんじゃが 術をかけられた子は、皆そろって オニババの存在に気付けなくなる…」
- 水徳寺の住職: そうして気付けないまま ガブっ!…とな
- ちはる: ひいぃぃ…!
- 水徳寺の住職: そうそう、ちょっと待っておれ
- 水徳寺の住職: これじゃ
- ちはる: 古い巻物…?
- 水徳寺の住職: ここに書いてあるこの絵 これがオニババじゃ
- ちはる: 怖い… すごい大きな包丁を持ってるね
- 水徳寺の住職: オニババはな この包丁を夜な夜な砥いでは
- 水徳寺の住職: 獲物を探して 夜の闇を歩くんじゃよ
- ちはる: ――っ!?
- ちはる: (そういえば、前に旭ちゃんの 部屋の前を通ったとき…)
- ちはる: (刃物を砥ぐような音がしたし)
- ちはる: (ちらっと 部屋の中が見えたときなんか)
- ちはる: (怖そうな包丁とか拳銃が 置いてあったのが見えた…)
- ちはる: あ…!
- ちはる: (もしかして、昨日の夜 外にいたのも獲物を探しに!?)
- ちはる: (じゃあ… あのオバケの女の人は)
- ちはる: (既にオニババの餌食になった 被害者だったり…!?)
- ちはる: こうしちゃいられないよぅ…!
- ちはる: 早くみんなの目を 覚まさないと大変なことに!
- ちはる: 水徳寺の平和は わたしが守らなきゃ…!
- 静香: えぇ!? 旭がオニババ!?
- ちはる: しー! 声が大きいよ静香ちゃん…!
- すなお: 朝早くに呼び出すから なにごとかと思ったら…
- すなお: ちゃる… さすがに失礼ですよ…
- 静香: そ、そうよ…旭が そんな悪い妖怪なわけ…!
- ちはる: でも、包丁を砥ぐ音も聞いたし 拳銃だって見たんだよぅ!
- ちはる: 住職さんも言ってたし 間違いないよ…!
- 静香: …でも…うーん… 旭は仲間だし…
- 静香: …………はっ!
- 静香: もしかして、旭自身が オニババに操られてるとか…!
- すなお: 静香…?
- 静香: そう…きっとそうに違いないわ! 旭にオニババが憑いてるのよ!
- ちはる: たしかに…それも ないとは言い切れない…!
- 静香: それなら、旭から オニババを祓わないとね!
- ちはる: うん…!
- ちはる: 旭ちゃん自身がオニババなのか それとも憑りつかれているのか
- ちはる: まずは、そこから調査だね!
- すなお: ちょ、ちょっとふたりとも!?
- すなお: 旭さんに 迷惑をかけないで下さいよ!?
- 旭: 我の話なんて つまらないものでありますよ
- FILENAME: text_310342-1.txt
- 旭: んん…
- 旭: (まだ慣れない環境 ということもあるのか…)
- 旭: (昨晩も、あまり 眠れなかったでありますなぁ…)
- ちはる: あ、旭ちゃん!
- 旭: ちはる殿…
- 旭: 顔色が悪いでありますが どうかしたのでありますか
- ちはる: その、なんか… いつもと違うところとかない?
- 旭: …特にないでありますよ?
- ちはる: そ、そっか…そうだよね! わかった!
- 旭: …?
- 旭: (何だか今朝は空気が おかしいでありますな…)
- 旭: (やけに視線を感じる…)
- 旭: (我が本当に所属している グループがバレた…?)
- 旭: (…いや、そんなボロは 出していないはずであります…)
- 旭: (ただ、絶対にバレないという 保証もないでありますから…)
- 旭: (警戒をするに越したことは なさそうであります)
- 静香: 旭!
- 旭: ――っ!?
- 旭: (さっそく何か…)
- パァン!
- 旭: おわっ!?
- 旭: なぜ、突然背中を 叩いたでありますか!?
- 静香: 憑き物にはこれが 一番と聞いたんだけど…
- 静香: 変わりはないかしら…?
- 旭: いや、はぁ…えぇ?
- 旭: (ツキモノ…?)
- ちはる: むむ、見える…見えるよ…!
- 旭: えぇっと… 見える…でありますか?
- ちはる: 旭ちゃんに悪霊が! お祓いしなくちゃ…!
- 旭: (まぁ正直、憑いていても おかしくはないでありますが…)
- ちはる: じゃあ今から わたしの言う通りにしてね!
- ちはる: まずは、その場でジャンプ!
- 旭: こう…でありますか?
- ちはる: あれれ…全然音がしない やっぱり持ち歩いてないのかな…
- 旭: …カツアゲでありますか?
- ちはる: そうじゃなくて武器とか隠し持… な、なななんでもない!
- ちはる: あ、これあげる!
- 旭: …おふだ?
- 旭: ふぁ…ねむ… …………ぐぅ…
- 静香: 悪霊退散~悪霊退散~
- ちはる: 旭ちゃんはだんだん 本当のことが言いたくなーる…
- 旭: …なんでありますか
- ちはる: うぇえ!? 起きたぁ!?
- 静香: 祓うのに成功したの…!?
- 旭: …耳元で話されたら 誰でも起きるでありますよ
- 旭: (そもそも、最後に 熟睡したのはいつだったやら…)
- 静香: もう、ちゃるが大きな声を 出すからいけないのよ…!
- 静香: そもそも祓わなきゃいけないのに ちゃるは何をしているの?
- ちはる: 催眠術で旭ちゃんの謎を 解こうとしてたんだよ!
- ちはる: 事件を解決に導くには 先入観を捨てるべきだ
- ちはる: って、等々力耕一も言ってたし
- ちはる: 本当に旭ちゃんが “アレ”だったら大変だから
- ちはる: 憑いてる以外の可能性も 考えておかなきゃだよ!
- 静香: じゃあ、ちゃるは 仲間を疑うって言うわけ!?
- ちはる: そうじゃないけど…!
- 旭: あ、あの…?
- ちはる: はっ!
- 静香: ち、違うのよ旭、これは…!
- すなお: ご、ごめんなさい! ご迷惑をおかけしました…!
- 旭: 本当に、なんなのでありますか…
- 旭: (はらう…ツキモノ… あ、憑き物を祓う?)
- 旭: (時女一族には霊能力者か何か いるのでありましょうか…)
- 旭: (霊能力者…というなら我の方が 近い気はするでありますが…)
- 旭: (いや、それより気にすべきは ちはる殿の発言であります…)
- 旭: (我に隠し事がある …と踏んでいるような発言…)
- 旭: (我について何かバレて…?)
- 旭: …はぁ、少し様子を 窺ってみるでありますか
- 旭さんが…? でも…そんなわけは…
- 何しろ…って噂だけど…
- 旭: (大事なところが 聞こえないでありますが)
- 旭: (何やら我について妙な噂が たっているようでありますな)
- 旭: (何となくちはる殿がこの話の 中心にいるようでありますが…)
- 旭: (…というか、何やら 揉めているようでありますな)
- ちはる: 一通り試したけど駄目だったし やっぱり旭ちゃん自身が…
- すなお: だからって それはやりすぎですよ…!
- ちはる: だけどこれは、旭ちゃんの潔白を 証明するためでもあるんだよ
- 静香: …もし本当に旭がそうなら
- 静香: ちゃるの言う通り 本人に聞くわけにはいかないわね
- ちはる: うん…わたしたちで 調べるしかないよ…!
- 静香: 旭の潔白を証明するためなら 仕方ない…わよね
- すなお: 本気ですか…?
- ちはる: うん 旭ちゃんの部屋をあらためよう
- 旭: ――っ!?
- FILENAME: text_310342-2.txt
- 旭: (我の部屋をあらためる…?)
- 旭: (やはり 我の潜入がバレた…!?)
- 旭: (部屋を見られたところで 証拠は出ないはずでありますが)
- 旭: (そもそも、あの部屋には 色々と見られたくないものが…)
- 旭: (それに、潜入先のグループ内で 疑われているようでは)
- 旭: (ここで我がすべきことも できぬかもしれないであります)
- 旭: (何はともあれ、まずは 部屋への侵入を防がねば…!)
- 旭: (これはさながら罠猟… 血がたぎるでありますなぁ)
- 旭: (…っと、その前にあちらが 部屋に侵入する隙を与えねば…)
- 旭: さて、ちはる殿たちには 少ししたら外出すると伝えたゆえ
- 旭: 恐らくは、その時間に 突入してくるはずであります
- 旭: さっそく、ちはる殿たちを 迎え撃つ準備をしないとですな
- 旭: 中まで入られるのは 覚悟しないとでありますし
- 旭: 先日砥いだ 猟で使うサバイバルナイフも
- 旭: 危ないので しまっておかないとでありますな
- 旭: …趣味で集めているモデルガンや 階級章のレプリカ…
- 旭: おじいちゃんに貰ったものも 結構あるでありますな…
- 旭: スチームパンクっぽいと思って 買ったゴーグルと時計も…
- ガチャ、ガサゴソ、シャン
- 旭: う…細々したもので ごちゃついているであります…
- 旭: そして、こう見ると 迷彩柄のものが多い…
- 旭: 趣味のものは、もう少し実家に 置いてくるべきでありましたか…
- 旭: いや、しかし 地元に帰ることも、もう…
- 旭: どうにかして 片付けるほかないでありますな
- 旭: …無可動実銃なんて見られたら あらぬ誤解を受けそうであります
- 旭: ふぅ…途中でコレクションに 気を取られてはいたでありますが
- 旭: なんとか見られたら困るものは しまいきれたでありますな…
- 旭: まぁ… 主に趣味のものでありますが
- 旭: カレンダーから文房具、本棚まで 趣味が滲み出ていたゆえ
- 旭: 片付けたら何もない部屋に なってしまったでありますね
- 旭: 現在入手困難なアンティーク物と おじいちゃんに貰った懐中時計は
- 旭: 何かあったら困るでありますから 机の引き出しにしまい…
- 旭: あとは部屋の周りに トラップを仕掛けて…っと
- 旭: …できたであります!
- 旭: 廊下…縁側…庭… 部屋への導線に沿って罠は設置済
- 旭: ケガはさせられないので
- 旭: 縄を使った簡単な トラップが中心でありますが
- 旭: テリトリーに侵入される前に 食い止めるには十分であります
- 旭: あとは…
- 旭: …狩りの基本 待つのみであります
- 旭: どこまで噂が広がっているか 状況は定かではないでありますが
- 旭: 分家にも伝わっている以上は 何人で攻め入ってくるかも未知数
- 旭: 我の身の上も知られている恐れがあるなら 時女一族を去るという選択も 考えておくべきでありますな…
- ちはる: みんな、準備はいい?
- 静香: えぇ、旭の潔白を 証明するためだもの
- すなお: …ここまで来たら 覚悟はできました…
- すなお: まったく 気乗りはしないですけど…
- ちはる: それじゃあ、庭から まわっていくよ!
- 旭: …………来たでありますな
- FILENAME: text_310342-3.txt
- ちはる: じゃあ、みんな行くよ!
- 一番槍は私が…!
- ちはる: みんな続けて突入!
- 静香: わかったわ!
- 「きゃああっ!?」
- ちはる: な、何事!?
- 「うわぁあ!」
- 静香: 今行くわ…!
- 静香: きゃっ!?
- ちはる: し、静香ちゃんが消えた!? 何が起きてるの!?
- 「うわぁああっ」
- 旭: (順調に罠に かかっているようでありますな)
- 旭: (この調子なら、部屋への侵入は 阻止できそうであります)
- 旭: ――っ!?
- 旭: (まさか…!)
- 旭: 部屋の中まで辿り着いてしまうとは…
- 旭: いや、入られただけでは まだ問題はないであります…
- 旭: 押し入れか机に手をかけ次第…
- ちはる: …あれ、前にあった 強そうな包丁がない?
- ちはる: ギザギザしてて料理で使うのとは 違うやつだった気がするんだけど
- ちはる: 本当に、わたしの 見間違いだったのかな…
- ちはる: ていうか この部屋なんっもない!
- ちはる: …あ、机の引き出しが ちょこっと開いてる…
- ちはる: …………ちょこっと… ちょこっと覗くだけなら…
- 旭: そこまでであります
- ちはる: ――っ!?
- 旭: 何のつもりか 知らないでありますが
- 旭: それ以上の干渉は やめて欲しいであります
- ちはる: た、たた…
- 旭: …た?
- ちはる: た、食べないでぇ~!
- 旭: はっ?
- じゃらじゃら
- 旭: …ちはる殿が持っているのは 数珠でありますか!?
- 静香: あ、あわわわわわ 悪霊退散悪霊退散~~!
- 旭: えぇ…? 静香殿は、いったい何を…?
- すなお: ご、ごめんなさいごめんなさい!
- すなおの声: ふたりを止めきれなかった 私のせいなんです!
- 旭: ちょ、すなお殿!? 土下座はやめるであります!
- 旭: というか、みんな何故 数珠やらお札やらを…!?
- 南津 涼子: おいおい何の騒ぎだこれは 悪霊でも出たってぇのか!
- 青葉 ちか: 不審者ですか!?
- 旭: いやちょっと我にも いったいぜんたい…
- 旭: (我の素性が割れた…などという ことではなさそうな雰囲気…?)
- ちはる: お母さーん! うわーん!
- 静香: 悪霊退散くわばらくわばら…
- すなお: ごめんなさいごめんなさい
- 旭: あーもう!
- 旭: 一旦!一旦みんな 落ち着くでありますよ!
- FILENAME: text_310342-4.txt
- 旭: 我が…オニババ?
- 静香: ちゃるは最初そう言ってたけど…
- 静香: 私は旭がオニババに 取り憑かれてるんだと思って…
- 旭: それで祓うための行動が
- 旭: 突然背中を叩くなどの 珍行動でありましたか…
- 旭: それに数珠やお札も… 納得いったであります…
- 旭: そして、我がオニババだと 思ったきっかけは
- 旭: 我がオバケと喋ってたから …でありますか?
- ちはる: ゆすりん坊将軍で 似たような話があったし
- ちはる: 住職さんにもオニババの巻物を 見せてもらったから…
- ちはる: でも、よく考えたら 旭ちゃんがオニババとか
- ちはる: ありえないよね… ごめんね旭ちゃん
- 旭: いや…わかってもらえたなら 何よりでありますが…
- 旭: (ということは、やはり 我の秘密はバレていない…?)
- 南津 涼子: というか、そのオニババの話 住職に聞いたんだよな?
- ちはる: うん、なんかお寺に伝わる話 って言ってたんだけど
- ちはる: もしかして涼子ちゃんも 聞いたことあった?
- 南津 涼子: いや、あたしは別に 聞いたことねぇなぁ…
- 南津 涼子: 似たような子どもだましの話は 聞いたことあんだけど…
- 青葉 ちか: …それってもしかして…
- 水徳寺の住職の声: 「う、うわぁああああ」
- ちはる: ――っ!?
- ちはる: 住職の声だ
- 旭: もしや庭にある我の罠に かかったのでは…
- ちはる: 見に行ってみよう!
- 水徳寺の住職の声: た、助けてくれぇ…
- 南津 涼子: ありゃ、宙ぶらりんじゃねえか
- 旭: まさか住職がひっかかるとは …申し訳ないであります
- 水徳寺の住職の声: いや、申し訳ないのは ワシの方なんじゃ…
- 旭: とりあえず降ろすでありますから 話はそれから…
- ちはる: …え、つまり嘘ってこと?
- 青葉 ちか: やっぱり…盛ったんですね?
- 南津 涼子: オイオイ住職が 妄語たぁ、どういう了見だ?
- 水徳寺の住職: 返す言葉もないわい…
- 水徳寺の住職: オニババ伝説自体は事実じゃが ちはるちゃんに話したのは
- 水徳寺の住職: 子どもに夜ふかしさせないために 色々改変した作り話なんじゃ
- 水徳寺の住職: ちはるちゃんの反応がいいもんで つい楽しくなってしまったが…
- 水徳寺の住職: まさか、こんな大騒動に なっていたとは知らず
- 水徳寺の住職: ついさっき、状況を知って 駆け付けたところじゃった
- 水徳寺の住職: 旭ちゃんには迷惑をかけて 本当に申し訳ない…
- 旭: 誤解が解けたのなら 我は構わないのでありますよ
- ちはる: わたしもごめんね…
- 旭: いや、我も…罠に少々本気を 出し過ぎたようでありますから
- 旭: 狩人の血が騒いだゆえ 申し訳ないであります…
- 静香: ううん… 先に疑ったのは私たちだもの
- すなお: …本当にごめんなさい
- 申し訳ありません…
- …………
- 南津 涼子: なんっだこの空気は!
- 青葉 ちか: そうですよ 住職さんの嘘は許されませんが
- 水徳寺の住職: ウッ…
- 青葉 ちか: お互い誤解は解けたわけですし
- 南津 涼子: お、そうだ みんなで飯にしようぜ
- 南津 涼子: ちょうど今朝、ちかと 釣りをしてきて大漁だったしな
- 南津 涼子: 同じ釜の飯を食えば なんとやらってやつだ!
- 南津 涼子: まぁ、前にも歓迎会で飯は 食ってるけど、改めてな!
- 青葉 ちか: いい案ですね
- 旭: では、我もお詫びとして ジビエ料理を振舞うでありますよ
- 水徳寺の住職: ワシも何か振舞うから 許してくれぇ…
- 旭: 別に、我はもう 気にしていないのでありますが…
- ちはる: じゃあ…ジュースとお菓子!
- すなお: こら、ちゃる…
- 旭: オニババ…ですと?
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- 静香: それじゃあ、仲直りの印 ということで…
- ちはる: 住職さんに 買ってもらったジュースで
- みんな: 「乾杯!」
- 旭: いやはや、時女一族は 宴会が多いでありますなぁ
- 静香: 確かに、集落でも大人たちが よく宴会を開いていたわね
- ちはる: ねぇねぇ、これ 旭ちゃんが作ったの?
- 旭: そうでありますよ
- 旭: 無骨なものばかりではありますが ジビエ料理は得意なのであります
- ちはる: すっごく美味しいね!
- ちはる: なんか、もっと獣臭かったり するのかなって思ったけど
- ちはる: 全然、そんなことないよ!
- すなお: はい、とっても美味しいです!
- 旭: お口にあったようで 何よりであります
- 旭: 獣臭さをやわらげるため
- 旭: 色々と下処理をしておいた 甲斐があったものであります
- ちはる: …あの、旭ちゃん 今回は、ほんとにごめんね
- 旭: いえいえ、その話は もういいでありますよ
- 旭: 元々は誤解させた 我にも責任がある以上
- 旭: やりすぎたのは お互い様であります
- ちはる: でも…あの、1個だけ すっごい気になってて
- ちはる: 聞いてもいいかな?
- 旭: 内容によるでありますが…
- ちはる: あの、オバケ!
- ちはる: あれだけはさすがに 気になって気になって!
- ちはる: 話したくなければ全然 いいん…だけどぉ…
- 旭: 顔と言葉が 喧嘩してるでありますな
- 旭: …あれは 我の固有魔法でありますよ
- ちはる: 固有魔法?
- すなお: ほら、最初に私が 言ったじゃないですか!
- ちはる: あれれ、そうだったっけ?
- 静香: 旭の固有魔法って オバケと話せるものなの?
- 旭: まぁ、そんなところであります
- 旭: 話していた女性は 以前、保護した迷い猫の飼い主で
- 旭: ひとり暮らしと聞いていたため 猫の引き取り先にあてがあるのか
- 旭: 固有魔法を用いて 確認していたのでありますよ
- ちはる: そうだったんだ…
- 静香: 旭は 人にも動物にも優しいのね
- ちはる: それなのに、わたしは オニババだなんて…うぅ
- 旭: あぁ、ちはる殿が またブルーに…
- 涼子の声: おーい!
- 南津 涼子: 住職のおごりで 菓子を用意してもらったぞ!
- 青葉 ちか: 一緒に温かいお茶も いれてきたんですけど
- 青葉 ちか: お取り込み中でした…?
- 旭: いや、ありがたい ちょうだいするでありますよ
- ズズッ
- 旭: ―旭― あっちち…!
- ちか: ―ちか― え、そんなに熱かったですか? すみません…
- 旭: ―旭― あぁいや、気にせずとも問題ないであります 我は少しばかり猫舌でありまして…
- 旭: ―旭― 普段は気をつけているのでありますが 完全に気を抜いていた我の責任であります
- ちはる: …なんか意外かも
- 南津 涼子: たしかに、新たな一面 ってぇ、感じがあったかもな
- 旭: えぇ…? 猫舌ごときで大げさでありますよ
- 静香: そっか…
- 旭: どうしたでありますか?
- 静香: 誰かのことを知るのに 聞き出す必要なんてないのよ
- 静香: 今、旭が猫舌なのを 初めて知ったみたいに
- 静香: 日々を一緒に過ごす中で お互いのことを詳しくなっていく
- 静香: それが自然なんだなって
- 静香: …だからごめんなさい
- 静香: 私たち、旭と仲良くなりたくて 無理矢理知ろうとしちゃったけど
- 静香: それってよくないことよね
- すなお: …そうですね
- すなお: 焦らず、ゆっくり お互い知っていけたらいいですね
- ちはる: うん!
- 旭: そうして頂けると 我としてもありがたいであります
- FILENAME: text_310343-2.txt
- ラビ: …それで、旭の方はどう?
- ラビ: オニババ…とかなんとかで 揉めていた件については?
- 旭: ちょいちょいその話を 蒸し返してくるでありますなぁ…
- うらら: ラビさんの お気に入りの話題なんよ
- うらら: 真顔でぶっこんでくるから 不意打ちで笑いそうになるんよ
- アレクサンドラ: ラビちゃん自身も、何度か 思い出して肩震わせてたもんね
- 旭: 人の危機をネタ扱いしないで 欲しいでありますよ…
- 旭: そもそも、オニババの疑いは すでに晴れたと何度も…
- 旭: それに…
- ちはる: 旭ちゃん、おはよ~
- 旭: おはようであります
- 旭: (オニババの疑いが 晴れてからというもの…)
- 旭: (穏やかな日が続いている)
- 旭: あんなに我を嗅ぎまわっていた ちはる殿もすっかり鳴りをひそめ 周囲からの嫌な視線も感じなくなった
- 旭: (なんだかここは 息がしやすいであります)
- 旭: ふぁ…
- 旭: (落ち着くと思ったら 寝てしまっていたであります…)
- 旭: (こんな風に眠るのは いつぶりでありましたか…)
- 旭: (…ん、腹にタオル… 誰がかけたのでありましょうか)
- すなお: あ、すみません …起こしちゃいました?
- すなお: お腹を冷やすと悪いと思って タオルをかけたんですが…
- 旭: …いえ、ありがたいであります
- 青葉 ちか: 旭さん起きたんですね 良ければお茶をいかがですか?
- 旭: え、あぁ… ちょうだいするであります
- ズッ
- 旭: …あっ、熱くない
- 青葉 ちか: ふふ、気付かれました? 前回の学びから冷ましてきました
- 旭: ふっ、ちょうどいい あったかさでありますなぁ…
- 旭: 時女一族は、我をあたたかく 受け入れてくれているであります
- ラビ: …それなら良かった
- 旭: 本題は、ここからで…
- 旭: 先日、時女の集落に 行ってきたでありますが…
- 旭: あの境遇において本家たちが まっすぐ純粋でいられるのは
- 旭: 素直にすごいと思う反面で 危うさも感じているであります
- <霧峰村>
- 旭: ここが、その裳着の儀をする 場所でありますか…
- 静香: そうよ
- 静香: わざわざ立派な衣装を纏ってね ここから突き落とされるの
- 静香: すぐ先は滝壺
- 静香: 私の憧れだった人たちはみんな そこで眠っているわ…
- 旭: っ…
- ちはる: わたしも見たよ 一緒に滝壺に落ちたから…
- 静香: 「私たち時女一族は 生まれた時から巫と共にあり 他者のために命を全うする存在!」
- 静香: 「非業によって志半ばにしてこの世を去った 巫たちの想いを背負い 魔女化という理不尽を打ち破り 全力で日の本と人々のために尽くすのよ!」
- 静香: 「巫であることを人生の添え物にして ただ宿命から逃げようとする者たちとは違うわ!」
- 旭: 彼女らを取り囲んでいたのは 欲望に塗れた大人たちの思惑…
- 旭: それでも彼女たちは 汚れず、まっすぐに生きて
- 旭: 時女の集落を訪れ、我は…
- ラビ: 旭…
- 旭: あぁ、いけないであります
- 旭: 早く帰らないと 心配させてしまうでありますよ
- 旭: では、我はここで
- ラビ: ………
- 旭: (少しの間、身を置くだけの 関係であることはわかっている)
- 旭: (それでも、気を抜くと 離れがたくなってしまう…)
- 旭: (いまだ汚れず 純粋さも忘れぬ彼女らは)
- 旭: (諦念を信じた我には いささか眩しすぎるであります)
- 旭: (行きつくところは 皆、同じであるとしても)
- 旭: (我は…)
- ちかの声: あ、旭さん! ここにいたんですね!
- 旭: …ちか殿 いかがしたでありますか?
- 青葉 ちか: あの、今からみんなで 私の掘っ立て小屋で
- 青葉 ちか: 天体観測をしないかって 話をしていたんですけど
- 青葉 ちか: 旭さんも一緒にいかがですか?
- 旭: …ぜひ、ご一緒するでありますよ
- FILENAME: text_310343-3.txt
- すなお: 今日は、流星群が ピークなんだそうですよ
- 旭: そうなのでありますね 知らなかったであります
- 静香: 集落よりも 見える星の数は少ないけど
- 静香: 都会の山でも ちゃんと星は見えるのね…
- ちはる: ねぇねぇ、流れ星と言えば やっぱりお願いだよね!
- 南津 涼子: おうおう、煩悩に まみれてんなぁ、ちはる!
- ちはる: そういう涼子ちゃんだって さっきお願いごとしてたくせに!
- 南津 涼子: まぁ、ちっと世界平和をな!
- ちはる: 規模がおっきい!
- ちはる: わたしはさっきから考えてるけど 全然、願いが決まんないんだよぅ
- 静香: 私たち巫にとっては 願いって大事なものだものね
- 旭: …そうでありますなぁ
- ちはる: 旭ちゃんは お星さまになんてお願いするの?
- 旭: …我でありますか?
- 旭: 我は…
- 旭: …………
- 旭: もし叶うならば 魔法少女になったあの日の自分を
- 旭: どうにかして 叱ってやりたいであります
- 旭: …そんな願いはやめろ、と
- すなお: 後悔するような願い …だったんですか?
- 旭: …そうであります
- 旭: 『我、昔は人と一緒にいるのが大好きで… よく児童館の子どもたちに勉強を教えに行ったり 自ら知人の相談相手になっていたりと 積極的に人と関わっていたのであります』
- 旭: 『ただ、人から干渉される側になるのはイヤで… 当時からやっかいな性格だったのでありますよ』
- 旭: 『そんな中、反抗期ゆえか 祖父が自分に向ける干渉が嫌で嫌で…』
- 旭: 『それで、キュゥべえに願ったのであります 祖父の干渉を止めて欲しい…と』
- 旭: 『しかしその願いは、祖父の父が奉られている 戦争の慰霊碑の取り壊しによって 祖父が落ち込んで体調を崩す…という』
- 旭: 『とても迂遠な経緯で 叶うこととなったのであります…』
- 旭: 我は、日に日に衰弱していく 祖父の姿を見て
- 旭: ひどく後悔したでありますよ…
- 旭: 今なら…祖父が我に干渉してきた 理由も、わかるでありますから
- 旭: 当時だって、愛されていたことに 気付けぬような馬鹿ではなかった
- 旭: それでも、あの頃の我は 祖父が鬱陶しくて仕方なくて
- 旭: …でも、そんな風に願いが 叶うだなんて思いもしなかった
- 旭: …そして、そんな悼む気持ちが 現れた結果があの固有魔法
- 旭: だから、魔法少女になるなら せめて他の願いで…
- 旭: そう 昔の我を叱りたいのであります
- 旭: 叶いっこないのでありますが
- ちはる: うっ…うぅ…
- 旭: ちはる殿!?
- ちはる: そんなの 九兵衛様もあんまりだよぅ…!
- ちはる: ぐすっ…
- すなお: …ちなみに、ですが
- 旭: …?
- すなお: 干渉って、何にされたんです?
- 旭: なっ…
- ちはる: 干渉…恋愛とか!?
- 旭: ~~~~!
- 静香: えっ、れ、れ、恋愛!? 恋愛って…あの!?
- 旭: ち、違う! 違うでありますよ!
- すなお: あ、あぁすみません…
- すなお: あんまり聞いたら まずいところでしたか…
- 旭: …いや、その、進路がどうとか 学校での様子とか、それから…
- ちはる: それから…?
- 旭: っ… 笑わないで、ありますか…
- ちはる: どんな大恋愛だろうと わたしは絶対に笑わないよ!
- 旭: いやだからそういう話じゃ ないでありますよ…
- 旭: …その、趣味に 干渉されたのでありますよ
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- 旭: …その、趣味に 干渉されたのでありますよ
- 旭: …武家の家系ゆえ 祖父から戦争の話を聞いたり
- 旭: 近くの自衛隊基地の人に 影響されたりして…その
- 旭: ミリタリーものが 好きになったり…
- 旭: …そこから発展して スチームパンクとかが好きで…
- ちはる: うん
- 旭: …うん!?
- 旭: その、子どもっぽいとか 笑わないでありますか?
- ちはる: いやだって、魔法少女服とか… 狩りしてることとか知ってるし…
- ちはる: なんかその趣味も 旭ちゃんのイメージ通りだし
- ちはる: っていうか、全然 子どもっぽくないと思うよ?
- ちはる: どっちかっていうと大人の趣味 ってイメージすらあるかも
- 旭: そう…なのでありますか?
- すなお: そうですね…
- すなお: 私も、その… 可愛いものとか好きなので…
- すなお: それを言ったら私の方が 子どもっぽい趣味かも…
- ちはる: あ、もしかして前に旭ちゃんの 部屋にあった武器みたいなのって
- ちはる: その、ミリタリー趣味と 関係してるの?
- 旭: 見られていたでありますか… …まぁ、そんなとこであります
- ちはる: 包丁砥いでるみたいな音も 全部それだったんだね…!
- 旭: それは、狩猟で使う サバイバルナイフでありますが…
- ちはる: あ…!
- ちはる: 趣味のものを見られたくなくって あんなに罠もはってたんだね!
- ちはる: 部屋に何もなかったのも 全部しまってたからなのか!
- 旭: まぁ、そうでありますな…
- ちはる: 色々と気になってたけど 謎は全て解けたっ!
- ちはる: あ、ねえねえ! 今度、他のものも見てみたいな!
- 青葉 ちか: 私もご一緒したいです! 旭さんが嫌でなければですが…
- 旭: 引かないなら 少しはいいでありますよ…
- ちはる: あっ… また、ズケズケとごめん
- ちはる: でも、絶対に引かないよ!
- ちはる: だって旭ちゃんのことが 前より知れるの、嬉しいから!
- 旭: …っ、そうでありますか
- 静香: …ところで、みりたりーとか すちーむぱんく…ってなに?
- 旭: …そこからでありましたか
- 南津 涼子: あたしもよくは知らねえけど 大体同じようなもんじゃねえのか
- 旭: 全然違うでありますよ…!
- 旭: そもそもミリタリーと 一口に言っても…
- 南津 涼子: お! 流れ星…!
- 旭: ちょ、話をそらさないで 欲しいでありますよ…!
- ちはる: あ、でもほんとに流れ星だ!
- すなお: 今の時間が ピークみたいですね
- ちはる: どうしようどうしよう 早くお願いしなきゃ!
- ちはる: えっとえっと…そうだ!
- ちはる: 「おばあちゃんになっても、こうやって みんなで仲良く一緒にいられますよーに!」
- 旭: …………
- ちはる: ほらほら みんなも早く!
- すなお: じゃあ 毎日平和に仲良く、とか…?
- 南津 涼子: …………
- ちはる: 涼子ちゃん 今度は何をお願いしたの?
- 南津 涼子: ん? まぁ、ちょっとな
- 青葉 ちか: 私は、また両親と一緒に 自然の中で暮らせたらいいな…
- 静香: 私は、何を願おう… 時女一族の繁栄…とか?
- すなお: それは本家としての願いですよね 静香自身はどうなんです?
- 静香: …うーん、わからないけど
- 静香: みんなが平等で 幸せな未来がいいわね
- ちはる: 旭ちゃんは?
- 旭: 我…でありますか?
- 旭: …そうでありますね
- 旭: (我らの願いは決して叶わない)
- 旭: (おばあちゃんになることも …未来の平和も、なにもかも)
- 旭: (我らを待つのは滅びだけ…)
- 旭: (でも…それでも、もしも 願いが叶うというのなら…)
- 旭: これからもずっと穏やかに みんなと共に居られれば…
- 旭: そうしたらきっと 楽しいでありますな
- ちはる: うんっ! そうだね旭ちゃん!
- 静香: ふふっ
- すなお: どうしたんですか静香
- 静香: なんだか、みんなと また少し近づけた気がしたのよ
- 静香: 正直、最初は旭のことも 知らないことばかりで
- 静香: それは、今も変わらないんだけど
- 静香: それでも、私たちは少しずつ 仲間になれてるんだなって
- 静香: …そう思ったの
- 静香: …ねぇ、旭
- 静香: これからも、時女一族として 共に歩んでくれるかしら
- 旭: っ… もちろんであります
- 旭: (離れなければならぬ その日が来るまで)
- 旭: (我はここで、できうる限りの ことをするであります)
- 旭: (…本当は、ここまで 肩入れする必要はない)
- 旭: (それでも…)
- 静香: ありがとう、旭!
- 旭: (無邪気に笑う彼女らが 不幸になるのは見たくない)
- 旭: たとえ 行きつくところは同じであるとしても…
- 旭: 少しでも長く生きて欲しいと できるだけ笑っていて欲しいと そう、思ってしまうのであります
- 旭: だから…叶わないとはわかっていても 期待した分だけ、絶望が色濃くなるとしても 少しだけ、希望を見てしまう
- 旭: …祈らずには、いられないのであります
- 旭: いつか来る、そのときまで
- 旭: どうか…
- 旭: 希望などない… それでも、信じたくなる
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