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- 「猫猫」
- 「なんでしょうか?」
- 壬氏の顔を見上げるとともに、壬氏の顔がおりてきた。
- 軽く触れるように唇が落ちてきて、あまりにさりげない触れ方なので一瞬、何なのかわからなかった。
- 「……」
- 「何、照れているのですか?」
- 軽く接せっ吻ぷんした程度なのに、顔を赤くする壬氏を見て思わず猫猫は言ってしまった。
- 「いや、我慢、我慢するつもりでいたのだ」
- 「我慢って。前にもっとでかいのぶちかましたでしょうに」
- 思わず猫猫は言ってしまった。
- 「ぶちかます……」
- 壬氏はなにかを思い出したようで、どんよりとした空気になった。
- 以前、壬氏に無理やり接吻された時、つい条件反射でやり返してしまった。そのことを思い出したのだろう。
- 「はい、今回は仕返ししませんのでご安心を」
- 「いや、そういうのではなく」
- 「仕返ししたほうがいいのですか?」
- 壬氏は口をぎゅっとして猫猫を見る。
- 「嫌じゃなかったのか?」
- 「……」
- 猫猫はそっと目をそらす。
- (たぶん、嫌ではないんだろうな)
- でなければ、自分からすることはないだろう。でも、口に出すほど、雀の言葉を鵜う呑のみにできない。
- 「なあ」
- 「はいはい」
- 「誤魔化すな!」
- 「あんまり大きな声を出さないでください。変人軍師に見つかったらどうする気です? 吐しゃ物まき散らしながら、ここまで登ってきますよ?」
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