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- From the opening sequeunce in 519310-0
- 幸せって
- なんだろう
- …なんて問題は得意じゃない
- [Title card] あしたの幸せに花束を
- FILENAME: text_519310-1_mJvgp.txt
- みたま: はいっ 調整が終わったわよぉ
- 江利 あいみ: ありがとう、みたまさん!
- みたま: …………
- 江利 あいみ: ん…どうかしました?
- みたま: その…ごめんね、あいみちゃんの 妄想が見えちゃったと言うか…
- みたま: 話題にしない方が いいんだろうけど
- みたま: 好奇心に負けてもいいかしら…
- 江利 あいみ: えっ!? あ、えっと…はい?
- みたま: あいみちゃんって… …結婚式は、チャペル派なのぉ?
- 江利 あいみ: ――っ!?
- 江利 あいみ: 私、今そんな妄想してました!? うぅ~恥ずかしい!
- みたま: ごめんなさいね 見る気は無かったんだけどぉ
- 江利 あいみ: だって、やっぱり ウェディングドレスって憧れだし
- 江利 あいみ: でも、最近は白無垢を着るのも いいかなって思ってたり…
- 江利 あいみ: その場合、結婚式場は神社とか 和風な感じになるのかな…ふふ
- 江利 あいみ: まぁ…その前に告白から… なんですけどね…
- ???の声: こんにちは~…
- 江利 あいみ: あ、ふたりとも遅かったね? …って、なんか元気ない?
- 加賀見 まさら: 来る途中、いろいろあって…
- みたま: あら…! ウェディングフォトのモデル?
- みたま: しかも、海での撮影だなんて ロマンチックねぇ~
- 江利 あいみ: スカウトって ふたりともすごいじゃん!
- 粟根 こころ: うーん…
- 江利 あいみ: …あれ? あんまり嬉しくない感じ?
- 粟根 こころ: そうじゃないけど なんか、複雑で…
- 粟根 こころ: ほら、うちの親は1回別れてるし なんだかな~って
- 江利 あいみ: あ、そっか…
- みたま: なら、スカウトは どうして断らなかったのぉ?
- 加賀見 まさら: …誘ってきたカメラマンさんが どうしてもと頼んできて
- 粟根 こころ: ふたり以外にモデルは ありえないとか言われちゃったら
- 粟根 こころ: さすがに 断りづらいよねぇ…
- みたま: そうだったの…
- みたま: でも、そのくらいふたりが モデルにぴったりってことよぉ!
- 江利 あいみ: うんうん! すごいことだよね!
- 粟根 こころ: そ、そうかなぁ… だったら嬉しいけど…
- みたま: それに、ウェディングフォトを 無料で撮ってもらえるんでしょ?
- みたま: ふたりにとっても、いい思い出に なるんじゃないかしら?
- 加賀見 まさら: …珍しい機会なのは確かだし 一理あるのかも
- 粟根 こころ: うん…うん、そうだね
- 粟根 こころ: よーし、引き受けたからには 本気でやるか!
- 江利 あいみ: それなら、まずは結婚する ふたりの気持ちにならなきゃ!
- 加賀見 まさら: 結婚するふたりの?
- 江利 あいみ: そう…愛し合うふたりが 結ばれる…それが結婚…!
- 江利 あいみ: 結婚式を挙げるなら、チャペルも 和風っぽいのも憧れちゃうけど
- 江利 あいみ: 海辺なんかも素敵だよね…!
- 神父: 病める時も健やかなる時も 愛し合うことを誓いますか?
- 伊勢崎 隼人: はい、誓います
- 江利 あいみ: …わ、私も…! 誓います!
- 神父: それでは、誓いのキスを…
- 江利 あいみ: あいみ…
- 江利 あいみ: 隼人くん…
- 粟根 こころ: あいみー! あーいーみー!
- 江利 あいみ: わっ!?
- 江利 あいみ: あはは、ごめんごめん つい妄想に力が…
- みたま: ふふっ…でも、そうよね
- みたま: 結婚って、なんだか ロマンのある響きよねぇ
- 加賀見 まさら: ロマン…
- みたま: せっかくだし みんなで恋バナでもしたら
- みたま: ウェディングフォトを撮るための 参考になるんじゃないかしら
- 加賀見 まさら: …そういうもの?
- 江利 あいみ: じゃあ、レッツ恋バナ~!
- FILENAME: text_519310-2_mJvgp.txt
- 江利 あいみ: ではでは、さっそく! みたまさんにとって結婚とは!
- みたま: 結婚…それは愛とロマンが 詰まった素敵なもの
- みたま: …とは言え、結婚って 家族になることでもあるでしょ?
- みたま: もちろん、ロマンを 求めたい気持ちはあるけど
- みたま: もし、自分がするなら相手選びは かなり慎重になっちゃうかも
- 江利 あいみ: なるほどなるほど どんな人が好みなんですか?
- みたま: そうねぇ、価値観が合うとか 一緒に居て楽…とかも大事だけど
- みたま: でも、それ以前に 生活にはお金が必要だから…
- みたま: ロマンと現実を併せた上での わたしの理想は、石油王かしら♪
- 加賀見 まさら: 石油王… 出会うのが大変そう
- 粟根 こころ: お金かぁ…まあ実際 暮らしには大事なことだよね
- 江利 あいみ: …確かに、一理ある…
- 江利 あいみ: でもでも!私は、貧しくっても 愛さえあれば幸せだと思う!
- 江利 あいみ: だから、好きな人と 結婚したーい!
- みたま: ふふ、そういう考え方も とっても素敵よねぇ
- 粟根 こころ: って言うか、あいみは 伊勢崎くんと…でしょ?
- 江利 あいみ: ま、まぁそれは そうなんだけども…えへへ
- 江利 あいみ: あと、結婚って言ったら プロポーズにも夢があるよね!
- みたま: あいみちゃんには 理想のプロポーズがあるの?
- 江利 あいみ: んー、好きな人からなら なんでも嬉しいと思うけど
- 江利 あいみ: 理想、と言うか妄想と言うか やっぱり王道なところだと…
- 伊勢崎 隼人: あいみ 今日は大事な話があるんだ
- 江利 あいみ: 話…?
- パカッ
- 江利 あいみ: これ…指輪!?
- 伊勢崎 隼人: 俺と…結婚してくれませんか
- 江利 あいみ: ~~~~っ! はい、喜んでっ!
- 粟根 こころ: わ…王道のやつ! めっちゃいい!
- 江利 あいみ: ただね、そんなシャキッと したやつじゃなくても…
- 江利 あいみ: たとえば、一緒に暮らす ふたりのお部屋とかで…
- 江利 あいみ: 隼人くんと暮らしはじめて もうずいぶん経ったね…
- 伊勢崎 隼人: うん、あいみのおかげで 毎日がとっても楽しいよ
- 伊勢崎 隼人: …ねぇ、あいみ
- 伊勢崎 隼人: これから先も、ずっと 俺の隣に居てくれないかな
- 江利 あいみ: え、それって…
- 江利 あいみ: 結婚しよう、あいみ
- 加賀見 まさら: …あいみ、またやってる
- 江利 あいみ: はっ!ごめんごめん つい楽しくなっちゃって
- 粟根 こころ: でも、話を聞いてると なんだか私までドキドキしちゃう
- 江利 あいみ: ねっ、こころには そういう理想ってないの?
- 粟根 こころ: え、あ…私!?
- 粟根 こころ: んー、ドキドキはするけど 結婚…結婚かぁ…
- 粟根 こころ: 自分のことって言われると 急に難しくなるって言うか…
- みたま: じゃあ、どんな家族になりたい …とかなら考えやすくない?
- 粟根 こころ: 家族…
- こころの母: あ! こころちゃん、見て?
- こころの母: 可愛いお花だねぇ 何て名前だろうね?
- こころの父: ツツジだろう
- こころの母: えぇ? やぁだ、お父さんったら
- こころの母: 知ってる花の名前 適当に言ってるだけなんだから
- こころの父: えぇ? 違うのか?
- こころの父: これ…ツツジだよな? なぁ、こころ?
- 粟根 こころ: やっぱり、家族みんなが仲良しで お休みは遊びに行ったり…
- 粟根 こころ: うん、家族が笑顔で 一緒にいられたらいいなって
- 粟根 こころ: それが私にとっての “家族の幸せ”なのかも
- 加賀見 まさら: …………
- みたま: ふふ、素敵じゃない
- 江利 あいみ: そっか…
- 江利 あいみ: 愛し合って結婚したら 家族になるってことで…
- 江利 あいみ: そしたら、子どもが できることだってあるかもだよね
- 粟根 こころ: あいみだったら いいお母さんになれそうだよね!
- 江利 あいみ: えへへへへ… そ、そうかなぁ…
- みたま: ねぇねぇ、まさらちゃんには 何か理想ってないの?
- 加賀見 まさら: 私…? 私は別に、そういうのは…
- みたま: もぉ~ 恥ずかしがらなくていいのよ?
- 加賀見 まさら: そういうのじゃないですけど…
- 江利 あいみ: 私も、まさらの恋愛観とか 気になるかも!
- 粟根 こころ: 確かに…あんまり 聞いたことない…よね?
- 加賀見 まさら: …………
- みたま: どーぉ?
- 加賀見 まさら: …私は、みんなみたいな 理想はないから…
- みたま: どうしてぇ?
- 加賀見 まさら: だって、結婚って言っても 結局は“契約”でしかないですし
- FILENAME: text_519310-3_mJvgp.txt
- 加賀見 まさら: だって、結婚って言っても 結局は“契約”でしかないですし
- 江利 あいみ: え、け、契約? 結婚が?
- 加賀見 まさら: ええ
- 加賀見 まさら: 「結婚は、財産や相続… 様々な法的拘束力を伴うし ひとつの契約と考えるのが妥当だと思うわ」
- 加賀見 まさら: 「公的補助とか、経済的、社会的な安定… そういったメリットがあるのも事実だろうけれど 同時に、他者と人生を共にするという選択は デメリットを生むことだってあるはず」
- 加賀見 まさら: 「だから、私個人として結婚の是非はともかく そこに対してロマン…とかはあまり抱かないわ」
- 加賀見 まさら: それに、愛によって結婚すると 多くの人は言うけれど
- 加賀見 まさら: 愛なんて定義が曖昧なものを どうやって証明するの?
- 江利 あいみ: しょ、証明!? 気持ちの証明は難しいかも…
- 加賀見 まさら: そんな不確かなもので 正しい判断は下せるのかしら
- 江利 あいみ: え、えっと…うぅん…
- 加賀見 まさら: …あ
- 加賀見 まさら: ごめんなさい、あいみたちの 意見を否定するつもりはないの
- 加賀見 まさら: …こうなるから 言わない方がいいかと思って
- みたま: いいえ、こちらこそ 無理に聞いてごめんなさいね
- 粟根 こころ: うん…ごめん、まさら
- 加賀見 まさら: …こころたちは悪くないわ
- 粟根 こころ: …………
- みたま: …………
- みたま: あ!そうそう!
- みたま: ウェディングフォトの話って 親御さんにはもうしたの?
- みたま: モデルとは言え、娘の晴れ姿だし 見たがるんじゃない?
- 粟根 こころ: えぇ、そんなことないですよ
- 加賀見 まさら: …でも、こころ
- 加賀見 まさら: カメラマンさんが念のために 保護者の同意を貰ってほしいって
- 粟根 こころ: そういえば言ってたね…! 忘れてた~
- 江利 あいみ: なら、そのときにお父さんと お母さんに聞いてみたら?
- 粟根 こころ: ん?何を?
- 江利 あいみ: 両親の馴れ初めとか 結婚について…とか!
- 粟根 こころ: うーん…うちはちょっと 聞きにくいかもだけど…
- 江利 あいみ: あ、ごめん…! 私ってばデリカシー無かったね…
- 粟根 こころ: ううん、無理に 気を遣われるよりずっといいし
- 粟根 こころ: 確かに一度くらい 聞いてみてもいいのかも
- 粟根 こころ: そういう話、私自身が 必要以上に避けちゃってたし
- 粟根 こころ: ちょっと気になるから… 昔のお父さんとお母さんのこと
- 加賀見 まさら: こころがそう言うのなら 私も、帰ったら聞いてみるわ
- 粟根 こころ: うんっ!
- 粟根 こころ: ふたりとも、話を聞いてくれて ありがとう!
- 粟根 こころ: 写真撮影、なんだか やる気が出てきたよ!
- みたま: なら、良かったわぁ
- みたま: …じゃあ、ついでに もうひとついいかしらぁ
- みたま: ふたりに試してみたい 面白い調整があってぇ
- 加賀見 まさら: …みたまさんの“面白い”は 不安になるけど…
- みたま: 大丈夫大丈夫~ 悪いようにはしないからっ
- 粟根 こころ: …まぁ、そんなに言うなら やってもらってみる?
- 加賀見 まさら: …こころが構わないなら 私は気にしないわ
- みたま: じゃあ、いくわよぉ♪
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: …特に変わった感じは ないみたいですけど…
- 加賀見 まさら: 何をしたんですか?
- みたま: ふふっ、調整屋さんから 衣装のプレゼントよぉ
- 江利 あいみ: それって、ウェディングドレスに なったりとか!?
- みたま: さぁ…衣装が変わるかどうかは ふたりの気持ち次第ねぇ
- 粟根 こころ: どうなるか怖いけど ちょっと面白そうかも
- 加賀見 まさら: …そうね
- みたま: あ、撮影当日は わたしたちも見に行くから
- みたま: 魔法少女姿も、良かったら 見せてくれたら嬉しいわぁ
- 江利 あいみ: 楽しみにしてるよ!
- 粟根 こころ: あはは、恥ずかしいなぁ…
- FILENAME: text_519310-4_mJvgp.txt
- 加賀見 まさら: じゃあ、こころ また明日
- 粟根 こころ: うん、またね! まさら!
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: (結婚かぁ…お母さんたちの ことがあったから)
- 粟根 こころ: (どちらかと言うと今まで 悪いイメージがあったけど)
- 粟根 こころ: (今日、みんなの話を聞いて ちょっと印象が変わったかな)
- 粟根 こころ: (まさらは、相変わらず ドライな考え方だったけど…)
- 粟根 こころ: (モデルのこと…ちょっとだけ 楽しみになってきたかも…!)
- 粟根 こころ: ふふっ どんな衣装を着るんだろう
- 粟根 こころ: ただいまー
- ???の声: 「――!――――!」
- 粟根 こころ: (この声…)
- 粟根 こころ: (あぁ…)
- こころの父の声: 「――!―!――――!」
- こころの母の声: 「―!――――!――!」
- 粟根 こころ: (…また、言い争い)
- 粟根 こころ: (そうだよね、我が家は こんな感じだった…)
- 粟根 こころ: (みたまさんや あいみの話を聞いて)
- 粟根 こころ: (一瞬でも夢を見た私が バカだったみたい…)
- 粟根 こころ: (私も結婚したら、こんな風に なっちゃったりするのかな…)
- 粟根 こころ: (ああ、やだなぁ… 期待なんてしなければよかった)
- みたま: 結婚…それは愛とロマンが 詰まった素敵なもの
- 江利 あいみ: でもでも!私は、貧しくっても 愛さえあれば幸せだと思う!
- 江利 あいみ: だから、好きな人と 結婚したーい!
- 粟根 こころ: やっぱり、家族みんなが仲良しで お休みは遊びに行ったり…
- 粟根 こころ: うん、家族が笑顔で 一緒にいられたらいいなって
- 粟根 こころ: (夢…理想… でも、現実はこれ…)
- 粟根 こころ: (バカみたいだなぁ、私…)
- 粟根 こころ: (それに…)
- 江利 あいみ: そっか…
- 江利 あいみ: 愛し合って結婚したら 家族になるってことで…
- 江利 あいみ: そしたら、子どもが できることだってあるかもだよね
- 粟根 こころ: …………
- こころの母: あ…こころちゃん… 帰ってたのね、おかえり
- こころの父: あ、あぁ…おかえり
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: …いいよ、そういうの
- こころの母: え… どうしたの、こころちゃん?
- 粟根 こころ: 私が帰ってきたのに気づいて あからさまにケンカやめるとか
- 粟根 こころ: なんか、なんかさ…
- こころの父: こころ…?
- 粟根 こころ: …ねぇ、子どもってさ ひとつの愛の結晶…って言うよね
- こころの父: ああ、そうだな… こころだってもちろん…
- 粟根 こころ: 私だってもちろん…何? さっきまでケンカしてたよね
- こころの父: …………
- 粟根 こころ: …ねぇ、私って いったいなんなんだろうね
- 粟根 こころ: 私、なんで生まれてきたの?
- 粟根 こころ: …あー、ごめん
- 粟根 こころ: こんなこと 言いたいんじゃないのに…
- 粟根 こころ: もう…もう嫌になっちゃった…
- こころの母: こころちゃん…!
- 粟根 こころ: 子どもは愛の結晶だって言うのなら
- 粟根 こころ: 愛し合っていないふたりの間に生まれた私は いったい、なんだって言うんだろう
- FILENAME: text_519310-5_mJvgp.txt
- 加賀見 まさら: ただいま
- まさらの母の声: おかえり~
- まさらの母の声: ごめん、机の上の新聞 取ってもらっていい?
- 加賀見 まさら: …わかった
- カサッ
- 加賀見 まさら: …お母さん、何か落ちてるけど これ、手紙…?
- まさらの母: あら、ありがとう それね、同窓会へのお誘いなの
- 加賀見 まさら: へぇ…行くの?
- まさらの母: うーん、悩み中ね
- 加賀見 まさら: そう… …この手紙の人、字が綺麗
- まさらの母: 可愛い字をしてるわよね 学級委員をしてた人なのよ
- 加賀見 まさら: …仲が良かったのね
- まさらの母: え?
- 加賀見 まさら: そんな話し方に聞こえたけど 違った…?
- まさらの母: ふふ…ううん、実はその人と 昔、つき合ってたのよ
- 加賀見 まさら: 昔の恋人…
- まさらの母: あらぁ、お母さんにだって うら若き乙女の頃があったのよ?
- まさらの母: ヤキモチ妬いちゃうから この話、お父さんには内緒ね
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: …ねえ、お母さんは その人のことを愛してた?
- まさらの母: ええっ!? 愛…どうかしら…
- 加賀見 まさら: じゃあ、お父さんは?
- まさらの母: それは、もちろん愛してるわよ
- 加賀見 まさら: …でも、昔の恋人は わからないの?
- まさらの母: …んん~ なかなか難しい質問ね
- 加賀見 まさら: やっぱり、愛も ただの気分だから?
- まさらの母: 気分…っていうのも ちょっと違う気がするの
- まさらの母: もう随分と前のことだし お母さんたちも若かったから…
- まさらの母: あれが愛なのか、恋なのか… どちらでもなかったのか…
- まさらの母: 今となっては、わからないけれど 大切な存在だったとは思うわ
- 加賀見 まさら: 今は?
- まさらの母: お父さんと結婚しているんだから 何かあったら大問題よ、ふふ
- まさらの母: 愛でも、恋でも それ以外だとしてもね
- まさらの母: どこかで、元気に幸せで 生きていてほしいとは思うけど
- まさらの母: 今、愛しているのはお父さんと まさら、あなたよ
- まさらの母: でも…あの人との 時間があったからこそ
- まさらの母: お父さんやあなたに出会えて 幸せな今があるとも思うの
- 加賀見 まさら: …どういう意味?
- まさらの母: うーん… 説明が難しいわね…
- まさらの母: すべてが今に 繋がってる…って言うか…
- まさらの母: そうだ! なら、あなたに見せたいものが…
- ピンポーン♪
- まさらの母: あらやだ、お客さんかしら
- 加賀見 まさら: …じゃあ、私は ちょっと買い物に行ってくる
- 加賀見 まさら: 帰ったら、続きを聞かせて
- まさらの母: え、あ、ちょっとまさら…!
- FILENAME: text_519310-6_mJvgp.txt
- 粟根 こころ: はぁ…はぁ…
- 粟根 こころ: 家…飛び出してきちゃった 心配…させちゃうかな…
- 粟根 こころ: でも…
- 粟根 こころ: …結婚って いったいなんなんだろう…
- 粟根 こころ: (ふたりだって 愛し合って、結婚して…)
- 粟根 こころ: (そして、私が生まれたはず…)
- 粟根 こころ: (…でも、お母さんは 私を置いて家を出て行って…)
- 粟根 こころ: (私が、願いで家族を もう一度、繋いで…)
- 粟根 こころ: (それでも、ムリなら いったい…)
- 粟根 こころ: (あー…ダメだダメだ 少し落ち着いて考えよう…)
- 粟根 こころ: (普段、考え事をするときは 山に登ったりするけど…)
- 粟根 こころ: (今日は、なんとなく そんな気分になれないし…)
- 粟根 こころ: (…なら)
- 粟根 こころ: (…波の音って、なんだか少し 落ち着けるような気がする)
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: (…ん? 何か聞こえる…?)
- 「病める時も健やかなる時も…」
- 粟根 こころ: …近くで結婚式をしてたんだ
- 「…愛し、敬い 慈しむことを誓いますか」
- 粟根 こころ: (お父さんとお母さんも 愛を誓った…はずなんだよね)
- 粟根 こころ: (きっと、結婚を決めたときは それが幸せだと思ってたはずで)
- 粟根 こころ: (私が小さい頃だって…)
- 粟根 こころ: (幸せだったのに…)
- 粟根 こころ: (どうして、こんなことに なっちゃったんだろう…)
- 粟根 こころ: (…そういえば、聞きそびれたな ふたりが結婚した理由…)
- 粟根 こころ: (なんか、想像できないよ… ふたりが結婚する前なんて)
- ビュ~ッ
- 粟根 こころ: わ…! すごい風…!
- パサ…
- 粟根 こころ: ん?ハンカチ…? あっちから飛んできたのかな
- 粟根 こころ: (…あの人たち?)
- 粟根 こころ: (…って、渡しに来たはいいけど なんか…険悪な雰囲気…)
- 婚約を破棄したいって いったいどうして…!
- 海外への転勤が決まったの…
- あなたと一緒にいたいけど 仕事も諦めたくなくて…
- 粟根 こころ: (…なんだか今日は この手の話が多いな…)
- なら、別々に住めばいい それでも結婚はできるよ
- でも… それでいいのかな
- 僕は、君と家族になりたい だって今の僕らは結局他人なんだ
- もし、明日お互いが死んでも 連絡はなく、気づかないまま
- 君の手を握ることも 最後の言葉を交わすことも
- そんなこともできずに 永遠に別れるかもしれない
- 愛しているのに そんなの、嫌なんだ…
- …それに僕は、君が安心して 帰ってこられる場所になりたい
- 仕事を頑張る君を 癒やせる家族でありたいんだ
- でも、そんなの私に 都合よすぎないかな…?
- あはは、いいんだよ だって君が大好きなんだから
- もう…そんなの 理屈が通ってないでしょ…ふふ
- 粟根 こころ: (あ…仲直りした…みたい?)
- 粟根 こころ: (でも…)
- 粟根 こころ: (…って、いい感じに なってきちゃったし)
- 粟根 こころ: (早くハンカチを 渡さないと…!)
- 粟根 こころ: あ、あのっ…!
- FILENAME: text_519310-7_mJvgp.txt
- 粟根 こころ: ふぅ… ハンカチは返せたけど…
- 粟根 こころ: なんか…ますます わからなくなってきたかも
- なら、別々に住めばいい それでも結婚はできるよ
- 粟根 こころ: (…一緒にいなくても 愛し合える…幸せだってこと?)
- 粟根 こころ: (でも、家族なら…夫婦なら 一緒にいるべきじゃないの?)
- 僕は、君と家族になりたい だって今の僕らは結局他人なんだ
- 粟根 こころ: (…確かに、結婚するまでは どんなに好きでも他人同士…)
- 粟根 こころ: (そう考えると、結婚は)
- 粟根 こころ: (他人同士が家族になれる 手段ってことになるのかな…)
- …それに僕は、君が安心して 帰ってこられる場所になりたい
- 仕事を頑張る君を 癒やせる家族でありたいんだ
- 粟根 こころ: (帰ってこられる場所…)
- 粟根 こころ: (家族になるって そういうこと…なのかな)
- 粟根 こころ: (…人それぞれ…って言うけど みんなは、どうなんだろう)
- 粟根 こころ: 夕方の海でも 案外、人はいっぱいいる…
- 粟根 こころ: 犬の散歩をしているおじいさん はしゃぐ子どもの面倒を見るお母さん ひとりで海を眺める人 友だち同士でおしゃべりをする人 海辺を歩く、お年寄りの夫婦
- 粟根 こころ: あの人たちはみんな幸せなのかな 幸せってなんだろう…?
- 粟根 こころ: 結婚すれば幸せになれるのかな 子どもがいるのが幸せなのかな ひとりでも幸せになれるのかな 誰かと一緒にいるのが幸せなのかな
- 粟根 こころ: (…わかりそうで わからないような…)
- 粟根 こころ: (多分、その理由は…)
- 粟根 こころ: (私にとっての幸せが ずっと“あの日”だから…)
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: あれは、幸せ…だったんだよね
- 粟根 こころ: …なんだか、それすらも もう、わかんなくなっちゃった
- ピロン♪
- 粟根 こころ: …あ、ニュースの通知
- 【速報】 元交際相手を刺した容疑で20代の女性を逮捕 原因は交際トラブルとみられ…
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- 粟根 こころ: …はぁ、なんだかなぁ
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: 愛…結婚…
- 粟根 こころ: 家族とか、愛とか、結婚とか… 幸せに満ちたものだと思っていたし そうであってほしいと願っていたけど
- 粟根 こころ: もしかしたら 私が世間知らずだっただけで 本当は、そういうのってとても曖昧で くだらない…ものなのかな…
- 粟根 こころ: こんな考え、悲しいはずなのに 今の私には…否定ができない
- 粟根 こころ: ああ、やだなぁ
- 粟根 こころ: …まさらなら、こんなとき どんな答えを出すんだろう
- FILENAME: text_519310-8_mJvgp.txt
- 【速報】 元交際相手を刺した容疑で20代の女性を逮捕 原因は交際トラブルとみられ…
- 【独占スクープ!】 あのおしどり夫婦に不倫疑惑か
- 加賀見 まさら: …物騒な世の中ね
- 加賀見 まさら: やっぱり、愛なんて曖昧なもので 動くべきじゃないわ
- 加賀見 まさら: …ねえ、お母さんは その人のことを愛してた?
- まさらの母: ええっ!? 愛…どうかしら…
- 加賀見 まさら: (…感情は、薄れゆくもの 曖昧で、不確かなもの…)
- 加賀見 まさら: (だけど、多くの人は その“愛”によって動いている)
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: この時間でも、意外と人はいるのね
- 加賀見 まさら: 手を繋いで歩く人 楽しそうな人 穏やかな時間を過ごす人 愛し合う人たち…
- 加賀見 まさら: だけどそれも、一過性のもの こころの両親も、そうだったらしいけれど 愛を誓ったふたりであっても ずっとそのままとは限らない
- 加賀見 まさら: さっきのニュースのように 愛し合って結婚したとしても、簡単に裏切ったり 様々な理由で、別れを選ぶ人が多くいるのは事実 気持ちが薄れゆくだけならまだしも 愛が憎悪に変わることだって珍しくはない
- 加賀見 まさら: 感情なんて、曖昧で証明もできず 信用に値しないものさしで 大きな決断をするなんて合理的じゃない
- 加賀見 まさら: (…結局、感情なんて ただの気分でしかない)
- 加賀見 まさら: (だからきっと…)
- 加賀見 まさら: 私は私がいつ死んだって 構わないと思ってる
- 加賀見 まさら: …私がいなくなったら…………
- 加賀見 まさら: …最初こそ、不足感がある かもしれないけれど…
- 加賀見 まさら: きっと大丈夫
- 加賀見 まさら: 人は強いものだと思うから
- 加賀見 まさら: (もし、私が死んでも やっぱり家族は大丈夫)
- 加賀見 まさら: (願いで得たお金も残せるし 愛や悲しみもいつかは薄れる)
- 加賀見 まさら: …………
- ビュ~ッ
- 加賀見 まさら: …すごい風
- 加賀見 まさら: …?
- 加賀見 まさら: (…あの人、夏でもないのに)
- 加賀見 まさら: (服のまま浅瀬で… 何をしているのかしら…)
- 加賀見 まさら: (しかも、なんだか雰囲気が…)
- 加賀見 まさら: …っ!
- 加賀見 まさら: (波…!)
- うっ…うぅ…けほっ
- 加賀見 まさら: …あなた、大丈夫?
- ひゃぁ!?
- 加賀見 まさら: (魔女の口づけ… では、なさそうね)
- 加賀見 まさら: 驚かせてごめんなさい
- 加賀見 まさら: けれど その格好で海に入るのは危険
- 加賀見 まさら: 今も、波に 飲まれていたみたいだし
- 加賀見 まさら: 泳ぐのなら、近くの店で 道具を売っているはずだから…
- えっ、いや、その…!
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: …掴まって あっちで拭くものを渡すわ
- FILENAME: text_519310-9_mJvgp.txt
- あぁ~…すみません 濡れちゃいましたよね…
- ハンカチまで貸してくれて ほんと、ありがとうございます
- 加賀見 まさら: …いえ、気にしないで
- 加賀見 まさら: それより邪魔…してしまった?
- え…
- 加賀見 まさら: もし、身投げを試みていたのなら 意思を邪魔することになったから
- 加賀見 まさら: …ただ、見てしまった以上 そのままにはできなくて
- 加賀見 まさら: 私のエゴで声を掛けたわ ごめんなさい
- え…あ、違うんです違うんです! 身投げとかじゃなくって!
- あの… お恥ずかしい話なんですけど
- 加賀見 まさら: …海に向かって叫んでいたら 高波に飲まれた…?
- へへ…まぁ、ないですか? 海に不安を吐き出したくなること
- 加賀見 まさら: …ないけど、あなたには 叫びたいことがあったのね
- …えっと、私 高校を卒業したら結婚する予定で
- 加賀見 まさら: …そう それに対して、何か不安が?
- 加賀見 まさら: マリッジブルーは よくある事象…と聞くわ
- 加賀見 まさら: 婚約者に対して 不足や不満があるとか…
- …いえ、彼に対しての 不満とか…そういうのは全然!
- むしろ、私はとても幸せなんです 大好きな彼と結婚できるので!
- 加賀見 まさら: …それなら、なぜ? 幸せなのに不安なの…?
- だって、今は良くても いつか嫌われちゃったり…
- ほら私、こんな感じだから 捨てられちゃうかもとか…
- そう考えたら不安になって 気づいたら海で叫んでました
- 加賀見 まさら: …そういうものなのね
- 加賀見 まさら: (…悲観したところで 将来の行方なんてわからない)
- 加賀見 まさら: (それに悲観的な未来が訪れても 時間が解決して乗り越えられる)
- 加賀見 まさら: (…なんて答え 彼女はきっと望んでいない)
- 加賀見 まさら: …………
- …って、すみません 初対面なのにこんな困りますよね
- 加賀見 まさら: いえ、気にしないで …それより、帰りは…
- …ちゃーんっ!
- …あっ
- はぁ…はぁ…探したよ…! え、ちょ、なんで濡れてるの!?
- あはー…遊んでたら 海に落ちたー
- もう、怪我したらどうすんの 心配したでしょ
- この人が助けてくれたから 大丈夫だよ、ありがと
- 加賀見 まさら: え…あ、はぁ…
- すみません… ありがとうございます
- 加賀見 まさら: いえ…別に…
- …………
- じゃあ、ありがとうございました またいつか~
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: (幸せだから不安になる…?)
- 加賀見 まさら: (あるかもわからない未来で)
- 加賀見 まさら: (人は悲しみを乗り越えるように できているのに…?)
- 加賀見 まさら: (…でも、そういえば こころは…)
- 粟根 こころ: …お金とかっ…事後処理とか… そういう問題じゃないよ…
- 粟根 こころ: あなたが死んだら… あなたがいなくなったら…
- 粟根 こころ: 家族がどんな気持ちになるか… 考えたことある…?
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: (…感情は、難しい)
- 加賀見 まさら: (あの子なら、愛や結婚に どんな答えを出すのかしら)
- ???の声: …あれ、まさら?
- 加賀見 まさら: こころ…
- FILENAME: text_519310-10_mJvgp.txt
- 加賀見 まさら: …そんなことがあったのね
- 粟根 こころ: うん…
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: ねえ、まさらはどう思う? 結婚とか、愛とか…
- 加賀見 まさら: …こころは 何か思うことがあった?
- 粟根 こころ: …私はね、親のことがあるから 元々複雑に感じていたけど
- 粟根 こころ: あいみたちと話していたら 結婚もいいことかもって思ったの
- 粟根 こころ: だから私も、ちょっとだけ 夢を見ちゃったりしたけど
- 粟根 こころ: それは、錯覚だったみたい
- 加賀見 まさら: …そう
- 粟根 こころ: だって、結婚が簡単に 反故にされる約束だってこと
- 粟根 こころ: 私は、とっくに 知っちゃってたんだもん
- 加賀見 まさら: …結局、ただの契約
- 加賀見 まさら: しかも、あなたの言うように 破ろうとすればできる
- 加賀見 まさら: …愛も、所詮は “気分”でしかないのだから
- 粟根 こころ: 気分…かぁ そう考えると納得かも
- 粟根 こころ: …それなら私って 気分…で、生まれたんだ
- 加賀見 まさら: …こころ?
- 粟根 こころ: まさら、出会った頃 私に言ったでしょ?
- 粟根 こころ: 自分が死んでも、家族は いつか乗り越えられるって
- 粟根 こころ: あのときは、まさらに対して 怒ったりしたけど
- 粟根 こころ: 今は、わかっちゃった気がするの
- 粟根 こころ: 確かに、私がいなくなったら 両親は悲しんでくれると思うけど
- 粟根 こころ: 多分、大丈夫だと思う
- 粟根 こころ: というか、愛の無いふたりから 生まれてきたんだもん
- 粟根 こころ: いつ居なくなったって 困らないかもしれないね
- 加賀見 まさら: え…そんなこと…
- 粟根 こころ: あはは、ごめん 気にしないで
- 粟根 こころ: 前は、まさらに怒ったくせに 矛盾してるよね、私
- 粟根 こころ: 家族を失う悲しさは わかってるはずなんだけど…
- 粟根 こころ: うん…ちょっと 頭冷やした方がいいのかも
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: (私、今…)
- 加賀見 まさら: (そんなこと言わないで…って 言おうとした…?)
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: (もし、こころがいなくなったら 私は乗り越えられる?)
- 加賀見 まさら: (…わからない 考えたく、ない…なんて)
- 加賀見 まさら: (私こそ矛盾…している)
- 粟根 こころ: まさら?
- 加賀見 まさら: …なに、こころ
- 粟根 こころ: …ウェディングフォトのこと どうしよっか
- 加賀見 まさら: …親の同意はまだもらってないわ
- 粟根 こころ: あはは、私も…
- 粟根 こころ: それより、私なんかが モデルやっていいのかなって
- 加賀見 まさら: どういうこと?
- 粟根 こころ: 今、私ね…
- 粟根 こころ: 愛なんてくだらないなーって 思っちゃってるの
- 粟根 こころ: そんな人がウェディングフォトの モデルをやっていいわけないよ
- 加賀見 まさら: …………
- 粟根 こころ: カメラマンさんには 申し訳ないけど、断ろうかな
- 加賀見 まさら: こころがそうしたいなら 私は、それで構わないわ
- 粟根 こころ: うん…
- ~~♪~~♪
- 粟根 こころ: あ、電話…?
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: はい、もしもし
- 粟根 こころ: あ、お母さん… その、さっきは…
- 粟根 こころ: え…? 救急車…?
- 粟根 こころ: ちょ、ちょっと お母さん、落ち着いて…!
- 粟根 こころ: …うん、うん…
- 粟根 こころ: …………そんな
- 粟根 こころ: お父さんが、事故に…?
- [Part 1 end]
- ---
- [Part 2 start]
- FILENAME: text_519320-1_cape9.txt
- 粟根 こころ: はぁ…は… お母さん…っ!
- 加賀見 まさら: …私は、ここで待ってるから
- 粟根 こころ: …うんっ
- 粟根 こころ: お母さんっ!
- こころの母: あ、こ、こころちゃん…!
- 粟根 こころ: お父さんは…
- こころの母: わからない… ど、どうしよう…私…
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: 落ち着いて… 何があったか教えて
- 粟根 こころ: …ね、お母さん
- こころの母: …………
- こころの母: …え、ええ…ごめんね お母さん、取り乱しちゃって…
- こころの母: …その、こころちゃんが 家を出たあとにね…
- 粟根 こころ: もう…もう嫌になっちゃった…
- こころの母: こころちゃん…!
- こころの父: こころ…!
- こころの父: …………
- こころの母: …………
- こころの父: 迎えに行ってくる
- こころの母: …わかったわ
- こころの母: 遅い… いったい、何をして…
- こころの母: やっぱり任せず 私が行けばよかったかも…
- ~~♪~~♪
- こころの母: …知らない番号から電話…?
- こころの母: はい、もしもし…
- こころの母: …え
- こころの母: 事故を起こした相手…から 電話があって…
- こころの母: 車との接触…とか… 救急車がどうとか…
- こころの母: 気が動転しちゃって あまり覚えていないけど…
- こころの母: …あの人が 死んじゃったらどうしよう
- こころの母: いってらっしゃいも気をつけても 意地張って、言わなくて…
- 粟根 こころ: …お母さんのせいじゃないよ
- 粟根 こころ: 私が… 私が出ていったせいで…
- 粟根 こころ: …っう
- ???の声: あ…こころ!? こんなところで何を…!
- 粟根 こころ: …へ?
- 粟根 こころ: お父さん!?
- FILENAME: text_519320-2_cape9.txt
- 粟根 こころ: えっと… つまりこういうこと…?
- 粟根 こころ: 「お父さんが事故に遭ったのは事実だけど 本当はちょっとかすっただけで軽いケガ…」
- 粟根 こころ: お母さんの勘違い…?
- こころの母: …よく思い出したら 電話の口調が軽めだったような
- こころの母: でも救急車がどうとか 電話の方が…
- こころの父: いや、転んだだけなんだが 軽く頭を打ったから
- こころの父: 運転手の方が 救急車を呼んでくれてな
- こころの父: 多分、お母さんへの電話も その時にしてたんだろう
- こころの父: ただ、検査をしても 問題はなかったし
- こころの父: 本当に軽いケガで済んだよ
- こころの父: 一応、精密検査のために また来る必要はあるらしいけどな
- こころの父: …心配させて悪い
- こころの父: ずいぶんな大ケガだと 勘違いをさせたみたいだな…
- 粟根 こころ: なんだぁ… 早とちりが過ぎるよ…
- こころの母: …そっか、早とちり…
- こころの母: ぅ…良かった… 良かったぁ…
- こころの父: お、おい… 何も泣かなくても…
- こころの母: うぅ…ごめんなさい
- こころの父: …………
- こころの父: あー…こっちも 心配かけて、ごめんな
- こころの父: 意地張って、連絡しないでいた 俺も悪かった
- こころの母: …私こそ ごめんなさい…
- 粟根 こころ: …私も出て行って 心配かけてごめんね
- こころの父: いや、それについては 元々お父さんたちが悪かったしな
- こころの母: …えぇ
- こころの父: じゃあ、まぁ… とりあえず家に帰るか
- こころの母: そうね
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: …あれ、ふたりとも さっきまでケンカしてなかった?
- 粟根 こころ: そっちは、もういいの?
- 粟根 こころ: …別にケンカを してほしいわけじゃないけど…
- こころの父: …まあ、そうか そう思うよな…
- こころの父: ケンカの内容なんて大体 取るに足らないようなことだし
- こころの父: 納得できないかもしれないけど これでも、家族だから
- こころの母: …ええ
- 粟根 こころ: えっと、ケンカするほど仲が良い …みたいなこと?
- こころの母: それも…ちょっと違う…かしら
- こころの母: 別にお父さんとお母さんは お互いを嫌いなわけじゃないの
- こころの母: 口にするのは気恥ずかしいけど
- こころの母: お互いを愛する上での距離が 今だと近すぎるのよ
- こころの父: 昔は恋人として 近い距離で愛し合ってたんだがな
- こころの父: 今は少し離れていた方が お互いを想う愛を感じられる
- こころの父: お父さんもお母さんも 最近気づいたことだけどな
- 粟根 こころ: てっきり、ふたりにはもう 愛なんてないんだと…
- こころの母: むしろお互いを好きだからこそ 話し合ってたのよ
- こころの母: あなたが家を出たら 夫婦で別々に暮らそうかって
- 粟根 こころ: え…
- FILENAME: text_519320-3_cape9.txt
- 粟根 こころ: え…
- 粟根 こころ: 別々に暮らす…って
- 粟根 こころ: 私が居るせいで ふたりは今まで一緒に…?
- 粟根 こころ: (私の、願いのせいで…?)
- 粟根 こころ: じゃあ…私、早く家を 出た方がいいってこと…
- こころの父: そうじゃない そういう話じゃないんだ
- こころの父: …こころがいるから 一緒にいるのは事実だけど…
- 粟根 こころ: なら…!
- こころの父: お父さんとお母さんは こころのことも愛してるんだよ
- こころの父: だからこころのそばに居たいし 成長を見届けたい
- こころの母: たとえ愛する距離が 間違っていたとしてもね
- こころの母: こころと一緒にいることも 私たちにとっての幸福なのよ
- 粟根 こころ: …じゃあ、なんでお母さんは 私の前からいなくなったの…?
- こころの母: …ごめんなさい
- こころの母: お母さん、あの頃は 本当にどうかしてた…
- こころの母: 私が家を出た方があなたも お父さんも幸せになれると思った
- こころの母: …ううん、それもきっと 自分に対して都合の良い言い訳ね
- こころの母: 矛盾してるのはわかってるけど それでも、どうしようもなくて…
- 粟根 こころ: (…矛盾、かぁ)
- 粟根 こころ: 前は、まさらに怒ったくせに 矛盾してるよね、私
- 粟根 こころ: 家族を失う悲しさは わかってるはずなんだけど…
- 粟根 こころ: (…一緒なんだ お母さんも、私も…)
- こころの母: 謝って済むことではないけれど 本当にごめんなさい…
- こころの父: お父さんも、ごめんな こころにたくさん迷惑をかけた
- 粟根 こころ: …………
- こころの母: たとえ、夫婦の愛情が変わって 最初とは違う形になったとしても
- こころの母: あなたへの愛は変わらない
- こころの母: だって、あなたは お母さんとお父さんの宝物
- こころの母: ふたりにとっての 愛の結晶…なのだから
- こころの父: お父さんたち、伝えるのが下手で 本当にすまない
- こころの父: 手探りのまま親になって こころに辛い思いをさせた
- こころの父: それでも、お父さんたちにとって こころが大切で
- こころの父: 愛しい娘だってことだけは どうか、信じてほしい
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: (昔と同じように愛していても 時間が経てば愛し方も変わる…)
- 粟根 こころ: …そっか
- 粟根 こころ: 私は、ずっと “あの日”の幸福に縛られてたんだ
- 粟根 こころ: …そうだよね 幸せの形って人それぞれなんだ
- 粟根 こころ: 海で出会ったあのふたりも
- 粟根 こころ: いろんな時間を過ごしていた 他の人たちも
- 粟根 こころ: (本人たちが幸せなら それが正解ってことだよね)
- 粟根 こころ: 私、家族は一緒にいるべきって ふたりに押しつけてたのかも
- 粟根 こころ: やっぱり家族は 一緒に居たいって思うけど
- 粟根 こころ: でも、少し離れることが ふたりの幸せなら…
- 粟根 こころ: (今は、そうは思えなくても)
- 粟根 こころ: (いつかそれが幸せだったと わかる日が来るよね)
- こころの母: …ただ、その話ね さっき話したばかりだけど
- こころの母: ちょっと考え直そうと思ってるの
- 粟根 こころ: へ…!?
- FILENAME: text_519320-4_cape9.txt
- 粟根 こころ: 考え直す…って…
- 粟根 こころ: え、今やっと 覚悟を決めたところなのに!?
- こころの母: んーでも、今回みたいに 何かあったとき困るでしょ?
- こころの父: …ああ、それは俺も ちょっと考えてた
- こころの父: 老後のことなんかも 考えないといけないよな
- こころの父: こころにも、これ以上 面倒をかけたくないし…
- こころの父: 別居とは言っても 近くに住んでおきたいよな
- こころの父: お互いに何かあっても 気づけないんじゃ仕方ないし
- こころの母: 同じマンションの 隣の部屋とか…別の階?
- こころの父: それはいい案だな
- こころの母: こころちゃんが帰ってきたときは どっちかの部屋に集合したり…
- 粟根 こころ: ふっ… あははっ、何それ…!
- 粟根 こころ: も~、覚悟して損した 拍子抜けだよ
- こころの母: ふふ、ごめんなさいね
- こころの父: まったくだな、はは
- 粟根 こころ: (幸せはいろいろで… こうして形を変えていくんだ)
- 粟根 こころ: (時には矛盾をはらみながらも その人たちにとっての最善に…)
- 粟根 こころ: (…なら、幸せの形って 本当にたくさんあるのかも)
- 粟根 こころ: (私にとっての幸せも いつか変わっていくのかな…)
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: …ねぇ、ふたりとも
- こころの父: ん?
- 粟根 こころ: 私、今度ウェディングフォトの モデルを頼まれたんだけどね…
- こころの父: ウ、ウェディング!?
- こころの母: そう、まさらちゃんと一緒に
- 粟根 こころ: それで一応 親の同意が必要なんだけど…
- こころの母: 反対する理由なんてないわよ 楽しんで撮ってきてね
- こころの母: …こころちゃんのドレス姿 ふふ、きっと素敵でしょうね
- こころの母: お父さんもそう思うでしょ?
- こころの父: え、あ、あぁ… 本当に結婚するわけじゃないし…
- 粟根 こころ: ありがとう!
- 粟根 こころ: あとね、参考にふたりが 結婚したころの話とか聞きたくて
- 粟根 こころ: ダメ…?
- こころの父: ダメ…じゃないけど …それは、恥ずかしいな
- こころの母: お父さん、出会った頃から 恥ずかしがり屋だったわよね
- こころの母: そのくせ、私に一目惚れして 告白してきたのよ?
- こころの父: …う、あの頃は その…若かったんだよ
- こころの母: プロポーズは海だったの ビシっときめててねぇ
- こころの母: まだ学生だったけど バラの花束を持ってきてくれて
- こころの母: 結婚してください!って
- こころの父: か、からかうなって…
- 粟根 こころ: …………
- こころの母: バラの花束なんて 急にどうしたの…?
- こころの父: ………… け、結婚して…くだ…さい…
- こころの母: ふふ、まっかっかね
- こころの父: か、からかうなって… それで…答えは…
- こころの母: …うん 末永くよろしくね
- 粟根 こころ: (…なんか今 幻が見えた…ような…)
- 粟根 こころ: (あいみの妄想が移った? …なんて)
- 粟根 こころ: (でも、そっか…)
- 粟根 こころ: (お父さんとお母さんも 昔は、若いカップルだったんだ)
- 粟根 こころ: (今は…あんな関係だけど ラブラブだった時もあったのか)
- 粟根 こころ: (自分にとってのふたりは ずっと、親だったから)
- 粟根 こころ: (私が知らない ふたりの時間があって…)
- 粟根 こころ: (それで、今がある…なんて 考えたことなかった)
- こころの母: こころを身籠ったって知った日 お父さん、泣いちゃったわよね
- こころの父: …嬉しかったんだから 仕方ないだろう
- 粟根 こころ: (そうだよね…ふたりだって 最初から親だったわけじゃない)
- 粟根 こころ: (一組のカップルが結婚して 私が生まれて、親になって…)
- 粟根 こころ: (…ふたりは ちゃんと愛し合ってたんだ)
- 粟根 こころ: (時間が経って、関係が変わって それは形を変えてしまったけど)
- 粟根 こころ: (私は、確かに愛されて 望まれて生まれてきたんだ)
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: (ふたりが、今まで私のために 一緒にいてくれたのなら)
- 粟根 こころ: (私が、願いで両親を 縛ってしまったのだとしたら)
- 粟根 こころ: (これから先は、ふたりの 幸せを応援するべきだよね)
- こころの父: あれ、こころ固まってる…? おい、引いちゃったんじゃ…
- こころの母: ええっ!?
- こころの父: よく考えたら気持ち悪いだろ 親の馴れ初め話なんて…
- 粟根 こころ: ううん! 私、もっと聞きたいな
- こころの父: それはそれで勘弁してくれよ…
- 粟根 こころ: (いつか私も家庭を築く日が 来るかもしれない)
- 粟根 こころ: (だけど、そのとき描く幸せは どんなものでもいいんだ)
- 粟根 こころ: (だって、幸せの形は ひとつに決まっていないから)
- こころの母: そうそう、お父さんったら 指輪のサイズを間違えて…
- こころの父: な!それは秘密だって…!
- 粟根 こころ: あはは、お父さんったら おっちょこちょい
- 加賀見 まさら: …………
- FILENAME: text_519320-5_cape9.txt
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: (こころの父親が 無事でよかった)
- 加賀見 まさら: (それより、不思議なものね)
- 加賀見 まさら: (こころの両親は 不仲だと聞いていたから)
- 加賀見 まさら: (てっきり、愛は消えたのかと 思っていたけれど)
- 加賀見 まさら: (相手を想って泣くだなんて 少し、驚いた…)
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: (感情は薄れ、消える… そういうものと思っていた)
- 加賀見 まさら: (消えずに変化するとしても 愛が憎悪になるように)
- 加賀見 まさら: (感情そのものが、まったくの 別物になるのだとばかり)
- 加賀見 まさら: (…でも そうではなく、時間を経て)
- 加賀見 まさら: (愛という感情は残したまま)
- 加賀見 まさら: (在り方だけが 変わることもあるということ?)
- 加賀見 まさら: (それに、こころの母親を見て ひとつ、思い出した)
- 加賀見 まさら: まだ幼かったころ 私は不注意で車にひかれかけ すんでのところで両親に助けられたことがあった
- まさらの父: まさらっ!
- まさらの母: …まさら、ケガはない? ああ、良かった…良かった…
- 加賀見 まさら: 血相を変えて飛んできた両親に 私は叱られると思ったけれど ただ、強く抱きしめられていた
- 加賀見 まさら: 後にも先にも、両親のあんな顔を 私は、見たことがなかった
- 加賀見 まさら: (仮に…それが「愛」と 呼ばれるものなら…)
- 粟根 こころ: …お金とかっ…事後処理とか… そういう問題じゃないよ…
- 粟根 こころ: あなたが死んだら… あなたがいなくなったら…
- 粟根 こころ: 家族がどんな気持ちになるか… 考えたことある…?
- 加賀見 まさら: (両親は、きっと悲しむけど)
- 加賀見 まさら: (人は強いものだから いつかは乗り越えられる…)
- 加賀見 まさら: (だけど…)
- 加賀見 まさら: これ以上… 私が不快な思いをしないため
- 加賀見 まさら: あなたが傷付けられることは… 私にとって不快なことだから
- 粟根 こころ: 確かに、私がいなくなったら 両親は悲しむと思うけど
- 粟根 こころ: 多分、大丈夫だと思う
- 粟根 こころ: というか、愛の無いふたりから 生まれてきたんだもん
- 粟根 こころ: いつ居なくなったって 困らないかもしれないね
- 加賀見 まさら: え…そんなこと…
- 加賀見 まさら: (あの子と出会って 私は、知ってしまった…)
- 加賀見 まさら: (傷ついてほしくない 失いたくない…という気持ちを)
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: (失ったら、私は…)
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: (家族も、これに似た感情を 抱いているのなら)
- 加賀見 まさら: (あの子の言う通り、もっと 自分を大切にすべきなのかも)
- 加賀見 まさら: (それに…)
- だって、今は良くても いつか嫌われちゃったり…
- ほら私、こんな感じだから 捨てられちゃうかもとか…
- そう考えたら不安になって 気づいたら海で叫んでました
- 加賀見 まさら: (彼女の気持ちも 今なら、少しは理解できそう)
- 加賀見 まさら: (感情は、一時的なもの… その認識は変わらないけれど)
- 加賀見 まさら: (その時間は、自分が思うより 長い時間であったり)
- 加賀見 まさら: (想像できないほど 深い悲しみを伴うのかも)
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: …感情は、理屈では 語りきれないもの…?
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- 粟根 こころ: まさら、今日は遅くまで つき合ってくれてありがとう
- 粟根 こころ: こんな時間まで 待ってもらっちゃってごめんね
- 加賀見 まさら: いえ、あなたのお父さんが 無事で何よりよ
- 加賀見 まさら: …それより、ご両親と 一緒に帰らなくて良かったの?
- 粟根 こころ: うん、今日はふたりに しておこうかなーって
- 粟根 こころ: 雰囲気もよさそうだったから
- 粟根 こころ: 離れて暮らすのが幸せなら それでいいとは言ったけど
- 粟根 こころ: 仲良くできるなら それに越したことはないしね!
- 加賀見 まさら: …そう、こころがいいなら いいのだけど
- 粟根 こころ: …あ、ねぇまさら
- 粟根 こころ: さっき、まさらに言う前に 両親に聞いちゃったんだけどさ…
- 粟根 こころ: ウェディングフォトのモデル やってもいいかな…
- 加賀見 まさら: 構わないけど、心境の変化?
- 粟根 こころ: うん…そんな感じ
- 加賀見 まさら: わかった、やりましょう 私も両親に聞いておくわ
- 粟根 こころ: ありがとう、まさら! それじゃあまたね
- 加賀見 まさら: ええ、気をつけて
- ピロン♪
- 加賀見 まさら: (…遅くなったし お母さんからかしら)
- 今日の帰りは何時くらい?
- 加賀見 まさら: …………
- 遅くなってごめんなさい これから帰ります
- ピロン♪
- 了解!気をつけて帰ってきてね! 帰ってきたら見せたいものがあるからよろしく
- 加賀見 まさら: (…そういえば そんなこと言ってたような)
- まさらの母: うーん… 説明が難しいわね…
- まさらの母: すべてが今に 繋がってる…って言うか…
- まさらの母: そうだ! なら、あなたに見せたいものが…
- 加賀見 まさら: (見せたいものって …なんのことかしら)
- 加賀見 まさら: …ただいま
- まさらの母: あ、おかえりなさい!
- まさらの母: お父さんより帰りが早くて 良かったわぁ
- 加賀見 まさら: 見せたいものと 何か関係があるの…?
- まさらの母: お父さんの前だと ちょっと見せにくくてね
- まさらの母: …これ、お母さんの日記
- まさらの母: さっきの話、腑に落ちてない みたいだったから
- まさらの母: 証明…は、難しいけど 過去が今を作っているって
- まさらの母: お母さんが、そう考える理由が ここにあると思うの
- 加賀見 まさら: …見ていいの?
- まさらの母: ええ、そのために 引っぱり出してきたんだもの
- 加賀見 まさら: …ありがとう
- ぺらっ
- 両親に、お見合いについて相談された あまり気は進まないけど 恋愛は、学生時代に経験できたし 結婚するのはお見合いでもいいのかも
- お見合い相手と初めての顔合わせ 無愛想で、無口で、よくわからない人… でも、悪い人ではなさそう
- 将来のために結婚することを決めた 今後の生活や親のことを考えれば早い方がいい
- 明日、結婚するみたい…全然、実感がない 彼は何を考えているかわからないし不安 ちゃんとやっていけるのかな…
- 今日は、体調が悪くてずっと寝ていた 彼が作ってくれたお粥は上手じゃなかったけど なんだか、優しい味がした…変なの
- びっくり…赤ちゃんができたみたい お腹の中に、もうひとりいるって不思議 彼が喜んでいて、初めてあんな顔を見た
- 赤ちゃんがお腹を蹴った! 姿も見えないのに、可愛くて仕方ない 早く会えるといいなぁ…楽しみ!
- 赤ちゃんが生まれた!名前は「まさら」 まさらと一緒に、彼が泣いていた 泣いたり、笑ったり、忙しい人たちだなあ 面白くて、愛しくて、私まで泣いちゃった 今日、やっと家族になれた気がする
- 加賀見 まさら: …………
- まさらの母: 過去に出会った人たちとの 関わりが今に繋がる
- まさらの母: その証明にはならないと思う…
- まさらの母: でも悩んで、選択して… そういう時間が今に繋がってるの
- まさらの母: だから、もし感情が消えても 何かを後に残してるのかな…とか
- まさらの母: 愛は、確かに気分とも言えるけど それだけじゃないって伝えたくて
- まさらの母: んー… やっぱり説明が難しいわ…
- 加賀見 まさら: …………
- まさらの母: …ふふ、わかってたけど なんだか恥ずかしいものね
- 加賀見 まさら: どうして…?
- まさらの母: 若い頃の日記を 娘に見せるのは照れ臭いのよ
- 加賀見 まさら: …そういうものなんだ でも私は、読めて良かったと思う
- まさらの母: そう?
- 加賀見 まさら: …だけど、正直 驚きが勝ってる
- 加賀見 まさら: 結婚の理由とか お父さんのこととか…
- まさらの母: そうね、お見合い結婚で 恋愛結婚じゃないから…
- まさらの母: ガッカリしちゃったかしら?
- 加賀見 まさら: どちらかというと逆
- 加賀見 まさら: 恋愛感情だけで結婚するのが 私には理解し難かったから
- 加賀見 まさら: …お父さんを選んだ理由は 感情的で適当だと思ったけど
- 加賀見 まさら: “結婚”を決めたのは、将来を 見据えてという現実的な選択で
- 加賀見 まさら: 感情だけでなく、合理的な 理由で判断していたことに驚いた
- 加賀見 まさら: それに、お父さんとの関係も 今とは違うものだったから…
- まさらの母: そうね 結婚自体はする利点とか
- まさらの母: そういうことを 考えてのことだったけど
- まさらの母: 今は結婚して良かったって思うし お父さんのことも大好きよ
- まさらの母: 変な人だーって結婚しなかったら 今は無いって考えると
- まさらの母: 感情的な選択も 悪くないと思わない?
- 加賀見 まさら: …そうね
- 加賀見 まさら: …お母さんの考え方 なんだか私に似てるのかも
- まさらの母: ふふ、それは逆ね まさらがお母さんに似たのよ
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: …うん、それもそうね
- 加賀見 まさら: …ねえ、もっと聞かせてほしいの お母さんたちの、昔の話
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- まさらの母: それでお父さんったら 喜んじゃってね
- 加賀見 まさら: …ふふ
- まさらの母: …こんな風に まさらと話すのは初めてかしら
- 加賀見 まさら: そう…?
- まさらの母: 恋バナ…みたいなのって 親子でなかなかしないでしょ?
- 加賀見 まさら: …かもしれない
- まさらの母: こんな話をしていると なんだか、結婚前夜みたいね
- 加賀見 まさら: …結婚
- 加賀見 まさら: …お母さんは、私に 結婚してほしいと思う?
- まさらの母: んー、どうかしらね
- まさらの母: お母さんは、まさらが幸せなら それでいいと思ってるわよ
- まさらの母: 私は結婚して良かったと思うけど 人生、それがすべてじゃないし
- まさらの母: あ、私みたいに親のことなんて 考えなくていいんだからね!
- まさらの母: あなたが元気でいてくれることが 1番の親孝行なんだから
- 加賀見 まさら: …そう
- まさらの母: それに、最近のあなたは 前より楽しそうで、安心してるの
- 加賀見 まさら: え?
- まさらの母: あら、気づいてないの?
- まさらの母: こころちゃんと仲良くなってから 笑顔が増えたでしょ?
- まさらの母: だから、良かったねって お父さんとよく話してるのよ
- 加賀見 まさら: …知らなかった
- 加賀見 まさら: (…この人は、私の幸せを 心から願ってくれている…)
- 加賀見 まさら: (私が居なくなったら きっと…とても悲しむ)
- 加賀見 まさら: (一時の感情とは言え …悲しませるのは…そうね)
- 加賀見 まさら: (なんだか、私の心が痛みそう)
- 加賀見 まさら: (自分が死んだあとのことなら 心を痛める必要はないし)
- 加賀見 まさら: (そもそも、そんな感情もすべて 存在しないはず)
- 加賀見 まさら: (…なのに、想像して 苦しくなってしまうのはなぜ?)
- 加賀見 まさら: 私と一緒にいたところで…
- 加賀見 まさら: あなたには 何のメリットもないと思うけど…
- 粟根 こころ: 私があなたと一緒にいたいの…! …ただ、それだけ
- 加賀見 まさら: (理屈じゃ説明できない感情は たくさんあるのかもしれない…)
- 加賀見 まさら: (こころも私も、みんな…)
- 加賀見 まさら: (人は矛盾した想いを抱えて それでも幸せになろうと)
- 加賀見 まさら: (そうやって 生きているのかもしれない)
- まさらの母: まさら、考え事?
- 加賀見 まさら: …いえ でも話したいことならあった
- まさらの母: 何かしら?
- 加賀見 まさら: …お母さん、私
- 加賀見 まさら: ウェディングフォトのモデルを することになったの
- 加賀見 まさら: …ということなんだけど 保護者として同意をもらえる?
- まさらの母: まぁ! こころちゃんと!?
- まさらの母: …………
- 加賀見 まさら: …お母さん?
- まさらの母: 結婚はしなくても 構わないと言ったけど
- まさらの母: 娘のウェディング姿を見られる となったら、話は別よ!
- まさらの母: 昔、使っていたカメラは どこに片づけたかしら…
- 加賀見 まさら: …………
- まさらの父の声: ただいまー
- まさらの母の声: あ、お父さん! 大変大変!
- まさらの母の声: まさらがウェディングで… あの、カメラはどこかしら…!
- まさらの父の声: はぁ!?ウェディング!? というか、何の話だ…!?
- まさらの母: まさら!
- 加賀見 まさら: は、はい…!
- まさらの母: みんなで見に行くから あとで場所とか教えてね!
- 加賀見 まさら: あ、え、えぇ… 同意はもらえたのね…
- まさらの母: 当り前よ!
- まさらの母の声: ほら、お父さんも一緒に カメラ探してってば!
- まさらの父の声: …いや、だからウェディングって なんの話だよ…!
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: ふ、ふふっ… はしゃぎすぎ…
- 加賀見 まさら: (私、こんなに 愛されていたのね…)
- 加賀見 まさら: (…魔法少女である私たちが あとどれだけ生きられるのか)
- 加賀見 まさら: (それは、わからないけど)
- 加賀見 まさら: (…そう簡単には死ねないわね)
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- 加賀見 まさら: いよいよ、撮影当日ね
- 粟根 こころ: うー、緊張しちゃう!
- 加賀見 まさら: こころなら大丈夫よ …それより、人が多いわね
- 粟根 こころ: 親も来てるし みたまさんたちも…
- 加賀見 まさら: 同じ日に撮影する人や 下見…結婚式当日の人もいるわね
- 粟根 こころ: いろんな人がいるね ひとりの人も…?
- 加賀見 まさら: ソロウェディングって いうのがあるらしいわ
- 粟根 こころ: へー、知らなかった! なんか素敵だね!
- 加賀見 まさら: あら…あそこにいるのって…
- 粟根 こころ: あやめたちだ!
- 粟根 こころ: やっほー、あやめ!
- 三栗 あやめ: こころじゃん! ちょっと助けてよー
- 粟根 こころ: どうしたの?
- 三栗 あやめ: あちしたち家族写真を 撮るから衣装を選んでんだけど
- 遊佐 葉月: あやめには可愛い服の方が 似合ってるんじゃない?
- 静海 このは: 少し値は張るけれど
- 静海 このは: あやめのためなら これくらいは実質無料ね
- 三栗 あやめ: ふたりとも、悩みすぎてさー あちしは、なんでもいいんだけど
- 加賀見 まさら: …まあ、仕方ないわよ
- 三栗 あやめ: そうなのかー?
- 加賀見 まさら: ふたりとも、あなたのことが 可愛くて仕方ないんでしょう
- 三栗 あやめ: そっかー… なら、仕方ないなー!
- 粟根 こころ: …………
- 粟根 こころ: まさらがあんなこと言うなんて 私、ちょっと驚いちゃった
- 加賀見 まさら: そう?
- 粟根 こころ: だって、いつもなら 合理的じゃないって言うでしょ?
- 加賀見 まさら: …理屈を越えた感情もある それを教えたのはこころでしょ
- 粟根 こころ: へ?
- 粟根 こころ: …ん? あれ、あの人たちって…
- 粟根 こころ: 海で会った人…!
- 君が帰ってきたとき 美味しい料理が振舞えるよう
- 料理教室に通うことにしたよ
- なら、私は海外の料理を覚えて あなたに作ってあげなきゃだね
- 加賀見 まさら: …こころ、知り合い?
- 粟根 こころ: 前に、海であの人たちが 落としたハンカチを拾ったの
- 粟根 こころ: そのとき話してたのが たまたま聞こえたんだけど
- 粟根 こころ: 別居婚する~みたいな内容で 勝手に心配してたんだ
- 粟根 こころ: でも…ふふ、良かった ちゃんと幸せそうで
- 粟根 こころ: …やっぱり幸せって いろいろなんだね
- 加賀見 まさら: …ええ、そうね
- 粟根 こころ: そうだ、今なら想像できるかな 結婚するふたりの気持ち!
- 加賀見 まさら: 被写体になるにあたり …ってことよね
- 粟根 こころ: うん!
- 加賀見 まさら: …私は、まだ結婚する人の 気持ちまではわからない
- 加賀見 まさら: ただ、思ったのは
- 加賀見 まさら: 結婚することが すべてではないけれど
- 加賀見 まさら: 幸せになりたいと考えて 結婚する人が多いと思ったわ
- 粟根 こころ: うん、そうだね
- 粟根 こころ: 幸せって人によって違うし 家族に求めるものも人それぞれ
- 粟根 こころ: 結婚したからって必ずしもそれが 正解とは限らないって、正直思う
- 粟根 こころ: でも、幸せになりたい人は… ここにいる人たちは
- 粟根 こころ: みんな、笑顔だよね
- 加賀見 まさら: …ええ、そうね
- 粟根 こころ: じゃあ、あれかな…
- 粟根 こころ: モデルをする上で 心掛けることって…
- 加賀見 まさら: …笑顔、ってことになるわね
- 粟根 こころ: だねっ! 笑う門には福来るって言うし!
- 加賀見 まさら: ふふ、そうね…
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- 粟根 こころ: 笑顔で写真を撮ってもらおう! って、決めたはいいけど
- 粟根 こころ: 笑顔って どうしたらいいんだっけ!?
- 粟根 こころ: まさら、助けて~
- 加賀見 まさら: こころ、焦りすぎ 少し落ち着いて
- 加賀見 まさら: 笑顔が課題なのは、むしろ私
- 加賀見 まさら: …こころは、普段通りに していれば問題ないわ
- 粟根 こころ: そ、そうかなぁ…
- 加賀見 まさら: ええ、大丈夫よ
- 粟根 こころ: …って、あれ?
- 粟根 こころ: まさら、あそこにいるのって カメラマンさんじゃない?
- 加賀見 まさら: そうね、だけどなんだか 慌てているように見えるわ
- 粟根 こころ: 確かに…ちょっと 話を聞きに行ってみようか
- 粟根 こころ: ええっ!? 私たちの衣装が届いてない!?
- 加賀見 まさら: しかも、花嫁がひとり マリッジブルーで脱走…
- カメラマン: はい…いや、どうしたものか… 申し訳ない…
- 粟根 こころ: なら…花嫁の方は 私たちで探してきます!
- 粟根 こころ: 衣装も…ちょっと なんとかしてみます…!
- 加賀見 まさら: …ええ
- カメラマン: そ、そんな悪いですよ…!
- 粟根 こころ: 任せてください!
- 粟根 こころ: あ!脱走した花嫁って もしかして、あの子かな?
- 粟根 こころ: 高校生って言ってたし…
- 加賀見 まさら: …彼女…
- 粟根 こころ: まさらの知り合い?
- 加賀見 まさら: 知り合い…というか 以前、海で会ったときは
- 加賀見 まさら: 結婚に対しての不安を海に叫んで 波に飲まれてしまったらしいけど
- え…あ、違うんです違うんです! 身投げとかじゃなくって!
- 加賀見 まさら: 今回は… あの時と明らかに様子が違う
- 加賀見 まさら: 本当に、身投げをしようとする なんて…これは…
- 加賀見 まさら: …魔女の、口づけ
- 加賀見 まさら: …彼女が抱く不安に 魔女がつけこんだのね
- 粟根 こころ: …許せない
- 加賀見 まさら: こころ?
- 粟根 こころ: 結婚って多分、いろいろで… いいことばっかりじゃないけど
- 粟根 こころ: それでも幸せになりたいとか 大切な人と一緒に居たいとか
- 粟根 こころ: いっぱい考えて、悩んで 未来を選ぶものなんだと思うから
- 粟根 こころ: きっと不安になるのも 当たり前で、仕方ないこと…
- 粟根 こころ: だから…!
- 粟根 こころ: ―こころ― みんなが悩みながら 幸せに向かって必死に足掻いているのに
- 粟根 こころ: ―こころ― その気持ちにつけこむなんて 私、絶対に許せない!
- 加賀見 まさら: ―まさら― …………
- 加賀見 まさら: ―まさら― …そうね 私も同じ気持ちよ
- 加賀見 まさら: ―まさら― …魔女を倒して 彼女を救いましょう
- 粟根 こころ: ―こころ― うんっ!
- 粟根 こころ: …って、この格好は…!?
- 加賀見 まさら: …もしかして…
- みたま: ふふっ、調整屋さんから 衣装のプレゼントよぉ
- 江利 あいみ: それって、ウェディングドレスに なったりとか!?
- みたま: さぁ…衣装が変わるかどうかは ふたりの気持ち次第ねぇ
- 加賀見 まさら: 結婚に対しての想いが 私たちの中で変わったから…?
- 粟根 こころ: それで、ウェディングっぽい 感じになったってこと!?
- 粟根 こころ: …でも、なんで この配役なんだろう?
- 加賀見 まさら: よくわからないけど 魔法少女姿には変わらないわ
- 加賀見 まさら: 行きましょう、こころ
- 粟根 こころ: …う、うん!
- 加賀見 まさら: ふっ!
- 粟根 こころ: やぁっ!
- まさら&こころ: はぁあああっ!
- 加賀見 まさら: ふぅ… こころ、ケガはない?
- 粟根 こころ: うん、大丈夫! まさらも無事そうで良かった
- 粟根 こころ: それより、あの子は…!
- 加賀見 まさら: 魔女の影響は大丈夫だろうけど 多分、彼女自身がまだ…
- 加賀見 まさら: あなた、大丈夫? しっかりして…
- …え、あ…あれ…私… 今…海で…え…?
- 不安…だけど、だからって 死のうなんて…私…!
- 加賀見 まさら: …大丈夫 あなたのせいじゃない
- 加賀見 まさら: …不安は、まだ拭えない?
- …………
- わかってるんだぁ… 今、ちゃんと幸せだって
- でも、幸せだと思うほど 失ったらって怖くなるんです…
- 加賀見 まさら: …………
- 加賀見 まさら: すべてのことには終わりがある それは仕方のないこと
- 加賀見 まさら: …愛だって、永遠に 続くとは限らない
- …………
- 加賀見 まさら: それでも、あなたは 彼を愛しているのよね
- それは、もちろん!大好き!
- 加賀見 まさら: なら、今生きているこの時間を 大切にする方が合理的
- へ…? 合理、的…?
- 加賀見 まさら: 人はいつか死ぬし 気持ちだって移ろうかもしれない
- 加賀見 まさら: だけど、あなたたちは今 生きて愛し合っている
- 加賀見 まさら: なら、今のうちに一緒にいるのが 最も笑顔になれる選択だと思う
- そ、そうですよね… 不安がってる暇なんて…
- 加賀見 まさら: …いえ、矛盾するけど 不安に思う時間も大切だと思うわ
- 加賀見 まさら: その時間が…いつかの未来を作る 過去や、今が、明日に繋がるから
- 加賀見 まさら: だから、あなたの想いを 無理に捨てる必要はない
- 加賀見 まさら: 不安を抱えて生きることは 悪いことではないはずだから
- 加賀見 まさら: …けど、その不安な想いを 彼には伝えたの…?
- ううん、だって彼には 面倒臭いとか思われたくないから
- 加賀見 まさら: そう…だけどそれは 本当に彼のためになるの?
- 加賀見 まさら: 自分は、何も知らないまま ひとりであなたが悩むことを
- 加賀見 まさら: 彼は、望んでいるの?
- 加賀見 まさら: 結婚のことはよくわからないけど
- 加賀見 まさら: 病める時も健やかなる時も… って、誓うんでしょう
- あ…
- 加賀見 まさら: けど、これはあなたの人生だから 私が口出しをすることでは…
- …ちゃーんっ!
- え、なんでまたそんな濡れて…! あ!この前の…!えと…
- …あのね、聞いて
- どうしたの?
- …私、ずっと 不安だったことがあって…!
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- 粟根 こころ: よかったね…ふたりとも
- 粟根 こころ: 泣きながら話していたけど 最後は、ちゃんと笑顔になって
- 加賀見 まさら: …ええ
- 粟根 こころ: それにしても、やっぱり私 まさらの考え方が好きだなぁ
- 加賀見 まさら: …さっきのは配慮に欠けた発言と 反省していたところなんだけど
- 粟根 こころ: んー、変な同情じゃないからこそ ガツンと刺さるものがあるなって
- 加賀見 まさら: …そう、ならよかった
- 粟根 こころ: 私たちも、いつか 結婚したりするのかなぁ
- 加賀見 まさら: どうかしら… …ただ、悪くないものだと思うわ
- 加賀見 まさら: 大切な存在がいるということは 時として人を強くするだろうから
- 粟根 こころ: それが、愛ってやつなのかねー
- 加賀見 まさら: そうね…私も、あなたには 傷ついてほしくないと思うし
- 加賀見 まさら: …いなくなったら、悲しい
- 粟根 こころ: へっ!?
- 加賀見 まさら: 親が私へ向ける心配なんかも それと同じなのかもって…
- 粟根 こころ: あ、あー! そういう愛!
- 加賀見 まさら: …?
- 粟根 こころ: でも、そうだね…結婚とか そういう話だけじゃなくて
- 粟根 こころ: 家族に対しての愛も いっぱい感じられたかも
- 加賀見 まさら: そうね… いい経験だったわ
- 粟根 こころ: …って 終わった雰囲気出してるけど
- 粟根 こころ: 撮影まだじゃんか! 衣装、どうしよう!
- カメラマンの声: モデルさん方~!花嫁さん 見つけて頂き助かりましたーっ
- カメラマンの声: そろそろ撮影いけますか~
- 粟根 こころ: ヤバい、来ちゃう! とりあえず制服に戻って…
- 加賀見 まさら: …待って、こころ このまま行きましょう
- 粟根 こころ: えぇ!?
- 加賀見 まさら: ウェディングフォトには ぴったりの衣装でしょう
- 粟根 こころ: …確かに!? え、いや…でも…
- カメラマン: おや…その衣装は…!? なんと素晴らしい!
- 粟根 こころ: あ、あはは…えーと… なんとかしちゃいました
- カメラマン: なんとか…? それはいったい…
- 加賀見 まさら: …今、それを論じている暇は ないんじゃないかしら
- 加賀見 まさら: 窃盗やそのほか、法律に 反するものではないから安心して
- カメラマン: ふむ…なら問題ない…か?
- 加賀見 まさら: ええ、問題ないわ
- カメラマン: まあ…そう…そうですね! では、さっそく撮影にしましょう
- カメラマン: あっちで、おふたりの家族と ご友人も待ってますからね!
- 粟根 こころ: ぷっ…あはは! まさら、すっごい強引!
- 加賀見 まさら: 自分でも上手くいきすぎて 少し驚いてるわ
- 加賀見 まさら: あ…こころ
- 粟根 こころ: ん?
- 加賀見 まさら: 今のあなた、とてもいい笑顔よ
- 粟根 こころ: えへへ、それを言ったら まさらもだよ!
- 加賀見 まさら: 私、笑ってるの? …気づかなかった
- 加賀見 まさら: …あなたといると楽しいから そのせいね
- 加賀見 まさら: さ、行きましょうか こころ
- 粟根 こころ: ここは、衣装的に 私がエスコートしなきゃじゃ?
- 加賀見 まさら: いいでしょ、どっちでも
- 粟根 こころ: …それもそっか!
- 江利 あいみ: ふたりの衣装… あれって魔法少女姿だったり?
- みたま: ふふ、結婚するふたりの 気持ちがわかったってことね!
- 江利 あいみ: ふーん、それってどんな?
- みたま: 詳しいところまでは わからないけれど…
- みたま: 見る限り、幸せな気持ちや 笑顔になれるような気持ちかしら
- 江利 あいみ: 確かに、ふたりとも いい笑顔だもんね!
- 江利 あいみ: あれ…でも、なんでこころは 花婿っぽいんだろう?
- みたま: うーん…わからないけれど 家族や友だち…
- みたま: みんなの幸せな未来を 守りたいっていう彼女の想いが
- みたま: こころちゃんを あの姿にしたのかもねぇ
- 江利 あいみ: そっか…!
- 江利 あいみ: うん、ふたりとも すっごくいい感じだね!
- カメラマン: じゃあ、結婚するふたりの 幸せな表情を意識して…
- カメラマン: …いや、そのままで 問題ないですね
- カメラマン: いきますよー!
- カメラマン: 3・2・1
- パシャッ
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