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- やちよ: ほんと、みふゆがたまたま 通りがかって助かったわ…
- やちよ: みたまに頼まれた物を買ったら 思ったより多くなっちゃって…
- やちよ: 荷物、持ってくれてありがとう
- みふゆ: ワタシは全然かまいませんけど
- みふゆ: みかづき荘の皆さんは 忙しかったんですか?
- やちよ: いろはもみんな タイミング悪く外出中でね
- やちよ: そんなときに みたまから連絡があったのよ
- みたま: 今、みんな大変な時期だろうから 気晴らしになればと思って
- みたま: 調整屋でクリスマスのイベントを 開こうとしてるんだけど
- みたま: 予算があまりないから やちよさんの節約術に頼りたくて
- やちよ: 買い物の頼み? 別に、私は構わないけど
- みたま: ありがとう! あと他にもお願いがあってぇ…
- やちよ: …まだあるの?
- みたま: クリスマスイベントの テーマは何がいいかな…って
- みたま: イベントの準備は進んでるけど 肝心のテーマがないのよぉ…
- やちよ: その状態で 買い出しをしても大丈夫…?
- みたま: 今は王道のアイテムだけだから テーマがどうなっても大丈夫よぉ
- やちよ: …主催者が言うなら信じるけど 本当に方向性すらないの?
- みたま: 一応、オーソドックスだけど 平凡じゃない感じにしたいのよね
- みたま: ほら、今までわたしっていろんな イベントをしてきたでしょ?
- みたま: だから、原点に立ち返るための テーマが欲しいなって
- みふゆ: 大変な今だからこそイベントを …というのは、いい試みですよね
- やちよ: それはそうなんだけど 悩むのはテーマのことよ
- みふゆ: ええ、ワタシは家庭の都合で クリスマスの経験も少ないですし
- みふゆ: 原点に立ち返るにしても 参考にはならないと思います…
- やちよ: そもそも、オーソドックスだけど 平凡じゃない…なんて難しいわよ
- やちよ: クリスマスの主体と言えば 子どもたちだろうから
- やちよ: 年下の子たちが楽しめるような イベントになればいいんだけど…
- みふゆ: いざ、言葉にするとなると いい案が思いつきませんね…
- やちよ: …って、何かしらこの土埃
- みふゆ: あっちの公園からですね
- やちよ: 何かあったのかもしれないし 見に行ってみましょうか
- やちよ: けほっ…これ、もしかして あなたたちの仕業…?
- 都 ひなの: ああ、やちよさんたちか…! ちょっと実験で失敗してな…
- やちよ: 変な有害物質とか 出ていないでしょうね?
- 都 ひなの: 綺麗な泥団子を作るために 業務用送風機を使っただけだから
- 都 ひなの: そこについては問題ないんだが…
- 桐野 紗枝: 送風機の威力が強すぎて ものすごい土埃が舞ってしまい…
- 由貴 真里愛: ごめんなさい、水をまくのを 手伝ってもらえますか?
- やちよ: なんとか、埃は 落ち着いたようだけど…
- みふゆ: みなさんは、いったい どうして泥団子を作って…?
- 桐野 紗枝: それが…今度の子ども化学教室で 披露できれば、と思って…
- みふゆ: 子ども化学教室ですか?
- 都 ひなの: 実はクリスマスのイベントとして 教室を開くことになったんだが
- 都 ひなの: ショーの形にすることだけ決めて 行き詰まってる状況でな
- 都 ひなの: それで、焦った結果が この情けない事故ってわけだ
- 由貴 真里愛: クリスマスって子どもにとって 特別なイベントだと思うから…
- 由貴 真里愛: 小学生でも楽しめるような ショーにしたいんですけどね…
- やちよ: それならいっそ、子どもたちに 意見を聞いてみたらどう?
- みふゆ: そうですね…
- みふゆ: ワタシたちが子どもだったら 解決できたかもしれませんが…
- みふゆ: あいにく、もう19歳なので…
- 桐野 紗枝: いえいえ、そんな!
- 桐野 紗枝: まぁ…できればサプライズに したかったですけど…
- 桐野 紗枝: 時間に余裕がないのも事実です
- 都 ひなの: だな、とりあえず ちびっこたちに聞いて回るかぁ
- みふゆ: お互い、この時期は大変ですね…
- 都 ひなの: まぁ、年長者の 宿命みたいなものだよな
- 都 ひなの: ん?お互いってみふゆさんたちも 何か困りごとがあるのか?
- やちよ: クリスマスのイベントについてよ 都さんたち、その話は聞いてる?
- 都 ひなの: ああ、みたまのか イベントをやる話は聞いてるぞ
- やちよ: そのイベントのテーマを 考えてほしいって話でね
- みふゆ: オーソドックスかつ平凡じゃない イベントが目標みたいなんです…
- 都 ひなの: それはまた、難しいオーダーだな
- 由貴 真里愛: オーソドックスかつ 平凡ではないイベント…
- 由貴 真里愛: そして、原点に 立ち返るためのテーマ…
- 都 ひなの: 原点…クリスマスの起源とか そういうの調べてみるか?
- 桐野 紗枝: …そういうことなんですか?
- やちよ: やっぱり、難しいわよね 時間取らせちゃってごめんなさい
- やちよ: じゃあ私たちは買い物の途中だし 調整屋に戻るとするわ
- 都 ひなの: ああ、実験の後片づけ 手伝ってくれて助かった!
- 都 ひなの: 何かいい案が思いついたら お互い協力しよう
- やちよ: ええ、よろしく
- みふゆ: あ、やっちゃん ワタシもお手伝いに行きますよ!
- やちよ: それは助かるけど… あなた、受験勉強はいいの?
- みふゆ: うっ…灯花には ナイショにしてください…
- やちよ: ふふ、仕方ないわね
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- やちよ: 戻ったわよ
- みふゆ: ワタシもお手伝いに来ました
- みたま: ありがとう 助かったわぁ
- やちよ: …って、あら 先客がいたのね
- 古町 みくら: どうも、こんにちは
- 吉良 てまり: 私たちは会議をしてるだけなので どうぞお気になさらず
- みふゆ: 会議…ですか?
- みたま: クリスマスの短編映画を 作るために話しあってるらしいわ
- 古町 みくら: 地元の子ども会で オープニングの出し物として
- 古町 みくら: 短い映画を披露することが 決まってるんですけど…
- 三穂野 せいら: いかんせん、いいアイデアが 浮かばないんですよ…
- 古町 みくら: 三穂野は、特撮に特化してるし クリスマスらしい映画と言っても
- 古町 みくら: イメージの下地が少ないことが 主な理由かとは思うけどね…
- 三穂野 せいら: このままじゃ、聖夜に怪獣が 暴れる映画になっちゃいますよ!
- 水樹 塁: …それはそれで… 面白い気はするけど…
- 三穂野 せいら: そうなんだけど、水に濡らしたら ダメなアイツが脳裏に…
- 古町 みくら: まぁ、求められているものとは 少し違うものになっちゃうかな
- 三穂野 せいら: 子どもたちが何を喜ぶのか… なかなか難しい課題です
- みふゆ: 子どもたちが喜ぶこと…ですか
- みふゆ: なんだかみんな、似たような 課題を抱えているみたいです
- やちよ: 確かに都さんたちも子どもたちを 楽しませるために悩んでいたし
- やちよ: 私たちも、調整屋のイベントで 年下の子たちが楽しめるには
- やちよ: どんなテーマがいいかって 頭を悩ませているものね
- みたま: 子どもたちが喜ぶこと… やちよさんたちって
- みたま: 小さい頃は、どんな風に クリスマスを過ごしていたの?
- みふゆ: 子どもの頃…と言えば
- みふゆ: 昔、みかづき荘でクリスマス会を やっていましたよね
- やちよ: ええ、毎年お祝いをする 決まりだったから
- やちよ: おばあちゃんや下宿の お姉さんたちと過ごしてたわ
- 古町 みくら: 家で毎年している行事… なんだか歴史があっていいですね
- みふゆ: そういえばワタシたち そこで劇をやりましたよね
- みふゆ: 確か、スマホに写真が… あ、ほら…これです!
- みふゆ: ―みふゆ― ワタシが火の魔王で やっちゃんが氷の女王!
- やちよ: ―やちよー あー…懐かしいわね
- やちよ: ―やちよー 確か、下宿のお姉さんたちと 一緒に脚本を考えたり、衣装を作ったのよね
- やちよ: …これなら、映画について 役に立てたりしない?
- やちよ: 子どもの私たちがお姉さんたちと 一緒に作った劇なら
- やちよ: 子どもの視点で作ったものだし 何か参考になるんじゃないかしら
- 三穂野 せいら: それは、もし見せて頂けるなら とっても助かります!
- 三穂野 せいら: 写真以外にも 映像って残ってたりしますか?
- みふゆ: 映像はわからないですけど 脚本ならあるかもしれませんっ
- みふゆ: 確か、タイムカプセルに入れて 倉庫に置いていた気がするんです
- やちよ: そういえば そんなのもあったわね
- やちよ: 18歳になったら開ける…とか 言っていたけど忘れてたわ…
- 三穂野 せいら: タイムカプセルの脚本とは これまたロマンあふれる響き!
- 吉良 てまり: ぜひとも 中身を知りたいところですが…
- 古町 みくら: そんな思い入れのあるもの
- 古町 みくら: 他人の私たちが見るのは 少しはばかられるというか…
- みふゆ: ああ、気にしないでください
- みふゆ: おかげでタイムカプセルの存在を 思い出せたようなものですし
- やちよ: 私たちにとっても 参考にもなるかもしれないから
- やちよ: みかづき荘に帰ったら ちょっと探してみるわ
- 三穂野 せいら: いいんですか! ありがとうございます!
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- フェリシア: たっだいまー! って、なんか散らかってる!?
- 鶴乃: うわっ…やちよとみふゆ? いったい、何してるの?
- やちよ: あぁ、おかえりなさい ちょっと探し物があってね…
- やちよ: …あら、いろはとういちゃんは 一緒じゃなかったの?
- フェリシア: 何か用事があるとからしいぞ
- 鶴乃: 夜ご飯までには 帰るって言ってたよー
- やちよ: そう、それならいいけど
- さな: それで何を探してるんですか…? 良ければ手伝いますよ
- みふゆ: それは助かります…!
- みふゆ: ワタシたち タイムカプセルを探してるんです
- みふゆ: これくらいの缶なんですけど その中の脚本が必要で…
- 鶴乃: オッケー! わたしたちも探すね!
- やちよ: ありがとう、助かるわ
- 鶴乃: クリスマスの子ども会で流す 短い映画を作るのかぁ
- やちよ: そう、それの参考に なるかもと思ってね
- みふゆの声: やっちゃーんっ!
- みふゆ: ありましたぁ! これで合ってますよね?
- やちよ: そうそう、これ…おばあちゃんの お菓子の缶を使ったのよ
- やちよ: 案の定だけど だいぶ、古くなってるわね
- みふゆ: これに入れたのも 魔法少女になりたての頃ですから
- みふゆ: …では、さっそく 開けてみましょうか
- やちよ: そうね、子どもの頃の 私たちを見てみましょう
- ギギ…パカッ
- 鶴乃: お? 紙がたくさん入ってる?
- さな: それからマフラーとか… なんだかいろいろ入ってますね
- フェリシア: お、この写真 ちっこいやちよたちじゃん!
- やちよ: なんだか恥ずかしいわ…
- やちよ: えっと… 演劇の脚本は…これかしら
- さな: その演劇の脚本って どんな内容なんですか?
- フェリシア: やちよたちが作ったんだろ? オレたちにも聞かせろよ!
- やちよ: ええ、あらすじを書いた紙が あったから、それを読むわね
- ペラッ
- やちよ: 「むかしむかし、あるところに 火の魔王と氷の女王が治める 小さな国がありました」
- やちよ: 「その国では、クリスマスが近くなると ホワイトクリスマスを迎えるために 毎年行われる祭りがありました」
- やちよ: 「それは、みんなが冬を越せるように 魔王が民たちの“困りごと”を 解決するというもの」
- やちよ: 「ですが、ある年のこと… 民たちはいつもの感謝を伝えるために 魔王の望みを叶えてあげようとしました」
- やちよ: ――っ!?
- みふゆ: …なんですか、この魔力反応
- フェリシア: おい…それ!
- さな: その箱、光ってます…っ!?
- 鶴乃: ちょ、爆発とかしないよね!?
- みふゆ: えぇっ!?
- みふゆ: きゃっ!?
- みふゆ: ―みふゆ― …へっ? この姿って…
- 鶴乃: ―鶴乃― いったい、どうなってるの!?
- やちよ: ―やちよ― その見た目…その角… 物語に出てきた魔王にそっくり…!
- みふゆ: ―みふゆ― っていうことはワタシ… 火の魔王になっちゃったってことですか!?
- さな: じゃあ、読んでいた物語の 登場人物の格好に…?
- フェリシア: なんかすげえな 強そうだし!
- 鶴乃: いや、強そうとか 言ってる場合じゃないような?
- みふゆ: えっと…えっと…
- みふゆ: うぅ…やっちゃぁん… どうしましょぉ…
- みふゆ: ひぐっ…こんなっ、姿じゃ おうちに帰れないですし…っ
- みふゆ: お母様にも、怒られちゃう… うぅ…ぐすっ…
- やちよ: え、みふゆ!?
- やちよ: …落ち着いた?
- みふゆ: ぐす…はい…なんとか…
- やちよ: それにしても 急なアクシデントで
- やちよ: 取り乱して泣くだなんて、まるで 出会った頃に戻ったみたい
- やちよ: 子どもの頃 みふゆは泣き虫だったものね
- みふゆ: 子どもの頃…?
- みふゆ: ワタシ、まだ小学生ですよ…?
- やちよ: え゙ッ…!?
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- やちよ: つまり、精神年齢が 子どもになってしまったの…?
- みふゆ: ワタシにも、よく わかってないんですけど…
- みふゆ: 19歳だって記憶はありますし みなさんのこともわかります…
- みふゆ: それに、自分がこの歳になるまで どんな日々を送ったのかも…
- みふゆ: だから、全部が全部 幼くなったというわけではなくて
- 鶴乃: …感覚だけ子どもっていうこと?
- みふゆ: そう…なのかもしれないです
- みふゆ: ごめんなさい…自分のことなのに よくわかっていなくて…
- フェリシア: 見た目は大人で 中身は子ども…なんだそりゃ
- やちよ: とりあえず… このままじゃ困るし
- やちよ: 元に戻る方法を 考えないといけないわね
- みふゆ: 助けてくれるんですか…?
- やちよ: 何言ってるの? 当たり前じゃない
- みふゆ: えへへ…嬉しいです ありがとう、やっちゃん
- 鶴乃: …可愛いし、このままでも いいような気がしてきたかも
- やちよ: …いいわけないでしょ
- フェリシア: でもよー どうやったら元に戻るんだ?
- やちよ: 物語に出てくるキャラの姿だし 大方その脚本が原因だろうけど…
- みふゆ: 物語って、クリスマス会でやった 火の魔王と氷の女王のですよね
- やちよ: ええ、そうよ
- やちよ: 今思うと みふゆがその姿になったとき
- やちよ: 微かにだけど、私とみふゆの 魔力の反応があった気がするのよ
- やちよ: だから、過去の私たちの魔力が 影響してる可能性はあるんだけど
- やちよ: そもそもタイムカプセルに 魔力を込めた記憶がないのよね…
- 鶴乃: 影響してる魔力が ほんの少しなら
- 鶴乃: 放っておけば 元の姿に戻るかもしれないよ
- やちよ: ただ、わざわざ役に なりきるような姿になってるのは
- やちよ: 何か理由が あるんじゃないかしら
- さな: 例えば、物語に沿って 役を演じるため…でしょうか?
- やちよ: ええ、そういう感じね 物語に沿うのであれば…
- やちよ: 「・魔王がみんなの困りごとを解決する ・みんなが魔王自身の望みを叶える」
- やちよ: このふたつを達成すれば 物語はエンディングを迎えるはず
- 鶴乃: それでみふゆは 元に戻れるってこと?
- やちよ: あくまで可能性だけどね
- さな: …でも、そんな簡単に解決できる 困りごとなんて…
- やちよ: それが、いまちょうど周りで 起きている困りごとって
- やちよ: 子どもの目線を必要としている ものが多いことに気づいたのよね
- やちよ: 三穂野さんたちの映画に 都さんたちの化学教室…
- 鶴乃: あ、それをみふゆに 解決してもらえば…!
- やちよ: ええ、そういうこと
- やちよ: それに、魔王の望みは 確か困りごとを解決する中で
- やちよ: 見つけて、叶えられる…とか そういう話だった気がするのよ
- さな: 物語の結末って、さっきの 脚本に書いてないんですか?
- やちよ: それが、さっき確認したんだけど 中身が真っ白になってるのよね
- やちよ: みふゆの姿が変わる前までは そんなことなかったから
- やちよ: 恐らくタイムカプセルから発した 魔力が影響してるんだと思うけど
- 鶴乃: カンニングはダメってことかー
- やちよ: ええ、だからとにかく困りごとを 解決して、みふゆの望みを探す…
- やちよ: それで戻らなければ 何か他の方法を探す必要があるわ
- みふゆ: …魔王と同じように、みんなの 困りごとを解決するんですか?
- やちよ: ええ、できる?
- みふゆ: はいっ! ワタシ、頑張ります!
- やちよ: じゃあ、さっそくだけど 困りごとを解決するために
- やちよ: 三穂野さんたちに 会いにいきましょうか
- 鶴乃: わたしたちも一緒に行こうか?
- やちよ: いえ、そんなに人数はいらないし いろはたちが帰ってきたときに
- やちよ: 家がもぬけの殻じゃ可哀想だから みふゆとふたりで行ってくるわ
- 鶴乃: ラジャー! 何かあったら連絡してね!
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- 三穂野 せいら: あ、思ったより早かったですね 脚本は見つかりましたか!?
- 三穂野 せいら: 「あれからクリスマスが題材の作品を 片っ端から調べて、子ども向けの番組も観たりと 勉強してみましたが、なかなかピンと来ないので とっても困っていて…!」
- 三穂野 せいら: ついには、先輩たちが買い出しに 逃げて、詰みかけなんですよー!
- みふゆ: えっと…あの…ワタシ… 子どもになっちゃって…だから
- 三穂野 せいら: …ん?子ども?
- やちよ: ごめんなさい、三穂野さん ちょっと事情が変わってね
- 三穂野 せいら: なるほど…精神が子どもに…
- 三穂野 せいら: 事情も知らず、まくしたてて すみません…怖かったですよね
- みふゆ: あ、そんな…! びっくりしちゃっただけで…!
- 三穂野 せいら: 事実は小説より奇なりとは 言いますが、いやはや…
- 水樹 塁: …あれ、姿が変わったって 話だと思ったんですけど…
- みふゆ: はい…どうやら魔法少女になると こうして魔王の姿になるようで
- みふゆ: 変身を解けば 普段通りになれるみたいです
- 水樹 塁: おお…なるほど、カッコいい…
- 三穂野 せいら: でも、こうして会話をしていても 子どもっぽさはあまりないような
- やちよ: 傍から見るとそうでも 中身はちゃんと、お子ちゃまよ
- みふゆ: もうっ、やっちゃん? そんなことないですよーだ!
- みふゆ: 子どもになってるとは言っても 見た目はお姉さんなんですから!
- 水樹 塁: …ほんとだ、そう言われれば お子ちゃまになってるかも…
- やちよ: それで、本題なんだけど…
- やちよ: みふゆを元に戻すには 困りごとを解決しつつ
- やちよ: その中で見つけたみふゆの望みを 叶える必要があるはずなの
- 三穂野 せいら: ああ、なるほど! それで私たちの困りごとを…!
- やちよ: ええ、子どもになったみふゆが そちらの問題を解決できれば
- やちよ: みふゆも元に戻るかもだから 一石二鳥になるはずよ
- みふゆ: お役に立てるかわかりませんが 精一杯、がんばりますっ!
- 三穂野 せいら: じゃあ、さっそくなんですけど
- 三穂野 せいら: 梓さんには映画の題材を 提案して欲しいんです
- みふゆ: 題材…ですか…?
- 三穂野 せいら: はい
- 三穂野 せいら: 子ども会のオープニングで流す ショートムービーなんですが
- 三穂野 せいら: 明るいクリスマスっていう 方向性だけはあるものの
- 三穂野 せいら: いざ、子ども向けって言われると さっぱりイメージができなくて…
- みふゆ: うーん…明るいクリスマス…
- みふゆ: 派手で…キラキラ… 楽しくて、可愛くて、ハッピー
- 三穂野 せいら: 抽象的すぎますよね…
- みふゆ: あ、わかりました! 変身ヒロインです!
- 三穂野 せいら: 変身ヒロインって 休日の朝にやってるような?
- みふゆ: はい、キラキラして かっこよくて可愛くて…!
- みふゆ: 「それで、あの、みんなでステッキを振って がんばれーって応援するやつとか! あまり、ああいう映画を 見せてもらったことはないんですけど… そういうのがあるって聞いて…!」
- 水樹 塁: 確かに、参加型なら盛り上がるし 小さい子も好きなのかも…
- みふゆ: みんなの信じる気持ちを乗せて ヒロインたちを応援するんです!
- みふゆ: ワタシ、ずっとああいう ヒロインに憧れていて…
- やちよ: それはいいけど、クリスマスとは あまり関係がないんじゃない?
- みふゆ: あぅ…
- やちよ: …もしかして、みふゆが やりたいだけなんじゃ…
- みふゆ: そ、そんなこと… そんなことないですもん…
- 三穂野 せいら: まあまあ! 頂いた案を整理すれば
- 三穂野 せいら: 変身ヒロインをベースに クリスマスっぽくできますよ
- 三穂野 せいら: …たとえば、そうです!
- 三穂野 せいら: 「光の変身ヒロインとダークヒーローが 聖夜に世界の崩壊を防ぐために手を取り合う 王道なストーリー!とか!」
- みふゆ: わぁっ! かっこいいです!
- 三穂野 せいら: ただ、ダークヒーロー役なら ぴったりな水樹がいるんですが
- 三穂野 せいら: 肝心のヒロイン役をどうするか 悩むんですよね…
- 水樹 塁: …それなら、みふゆさんが ぴったりなんじゃない?
- みふゆ: え…!
- 三穂野 せいら: うん、案を出してくれた本人だし イメージにもぴったりなんだけど
- 三穂野 せいら: 姿を戻すためには他の困りごとも 解決した方がいい気がするから
- 三穂野 せいら: 私たちにばかり時間を かけてもらうのもちょっと…
- みふゆ: あ…ぅ…でも…ワタシ…ぅう
- やちよ: ………… …それなら、私がやろうかしら?
- みふゆ: え、でも、やっちゃ… あの、演技は苦手だって…
- やちよ: 昔はね? でも今はもう大丈夫よ
- みふゆ: あぅ…ぅぅ
- やちよ: …あー、でも私が出るなら 事務所を挟まないとダメかも…
- みふゆ: な、ならワタシ…やります! ヒロイン、やってみたいです!
- みふゆ: ずっと憧れで、何度も ヒロインになる夢を見て…
- みふゆ: だからワタシ、やっぱり ヒロインをしてみたいです!
- みふゆ: それに、せっかくワタシが役に ぴったりと言ってくれたので!
- 三穂野 せいら: じゃあ、うーん…サンプルだけ 撮らせてもらうのはどうでしょう
- 三穂野 せいら: それなら、あまり時間も かからないはずですし…!
- やちよ: ええ、構わないわ みふゆも、それで納得できる?
- みふゆ: はいっ!少しだけでも ヒロインになれるなら!
- みふゆ: それでは、さっそくですけど… ヒロインのポーズとか必殺技…
- みふゆ: あとあと、それから 決め台詞を決めましょう!
- やちよ: (みふゆ、やっぱりヒロイン役を やってみたかったのね…)
- やちよ: (少し意地悪を言って、あの子の 自発性を促してみて良かったわ)
- やちよ: (きっとみふゆが何かすることに 意味があると思うから…)
- やちよ: (ここから先も、できるだけ あの子に任せてみようかしら)
- やちよ: 私の想定が合っているのなら こうして問題解決をしていく中で あの子の望みが見えてくるはず…
- やちよ: 今のやりとりだけを見るなら みふゆの望みはヒロインになること…? それとも、自分でやりたいことをすることか… …いえ、まだ答えを出すには早いし… もう少し様子見が必要よね
- やちよ: (…ただ、意外だったわ)
- やちよ: (みふゆが、あんな風に 熱くなるだなんて…)
- やちよ: (幼馴染にも、まだ知らない 一面があるってことかしら)
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- 三穂野 せいら: さて、梓さんのおかげで 物語の大筋はできましたし…
- 三穂野 せいら: ざっくりとコンテを 切ってみましたので
- 三穂野 せいら: サンプルの撮影を してみることにしましょう
- みふゆ: はいっ!
- 水樹 塁: こんなに人がいるところで 魔法少女姿で大丈夫かな…
- 三穂野 せいら: 水樹と一緒に行ったカミケだって こういう格好の人は大勢いたし
- 三穂野 せいら: カメラを構えていれば何かの 撮影中だと思ってもらえるよ
- やちよ: 何かあれば、大人として 私もいるから安心していいわ
- 三穂野 せいら: はい、それじゃあ最初は ふたりが出会うシーンから!
- 三穂野 せいら: アクション!
- みふゆ: ミラクルファイヤー シャイニングアターック!
- みふゆ: 悪い子は、この魔法戦士フレイムが 成敗っ!なんです!
- 塁の声: 魔法戦士フレイム… さすがは正義のヒロインだな
- みふゆ: ――っ!? 誰ですか!?
- 水樹 塁: 僕の名は ノワール・ガーディアン…
- 水樹 塁: いずれ、君の敵となる… 覚えておくといい
- みふゆ: ノワール・ガーディアンさん… あなたは、いったい…
- 三穂野 せいら: カーット! いい感じです!
- やちよ: 水樹さんって物静かに見えて 演技が上手なのね…
- みふゆ: 塁さん!どうしたら、あんなに かっこよくできるんですか!?
- みふゆ: 演技のコツとかがあれば ワタシにも教えてください!
- 水樹 塁: ぅえ、あ、いいですけど… そんな、大したことは…
- 三穂野 せいら: じゃあ 水樹のアドバイスが終わったら
- 三穂野 せいら: 次は、ふたりが手を取り合い 共闘するシーンの撮影です!
- みふゆ: このままじゃ…みんなの 幸せなクリスマスが…っ!
- みふゆ: ノワールさんっ、一緒に クリスマスを救いましょう!
- 水樹 塁: …ああ、わかっている 今こそ光と闇が手を取り合うとき
- みふゆ: さぁ、みんなも! ワタシたちに力を貸して!
- 水樹 塁: そして僕たちで 共に、クリスマスを救おう!
- みふゆ: 敵を倒して、楽しい子ども会に してみせるんです!
- みふゆ&塁: ホーリーナイト ミラクルフラーッシュ!
- 三穂野 せいら: カーット! 完璧です!
- 三穂野 せいら: 観客に「力を貸して」と言うのは 梓さんの案でしたけど
- 三穂野 せいら: いやぁ、こういうのって 第四の壁を壊す感じでいいですね
- やちよ: 突然「子ども会」って言われると びっくりしちゃうけど面白いわね
- 水樹 塁: みふゆさんの演技 とっても良かったです…!
- みふゆ: えへへ…そんなことないです 塁さんと、それから
- みふゆ: 素敵なお話を考えてくれた せいらさんのおかげですっ
- みふゆ: いつか夢見ていたヒロインに 本当になれたような気持ちです
- やちよ: …………
- やちよ: (みんなの手助けをする魔王… 物語には沿えているし)
- やちよ: (あの子の望みも 恐らくはヒロインをすることか)
- やちよ: (それに似た何か… と、推測できてきたわね)
- やちよ: (ただ、それが演技だけで満足 するのかは微妙だし…)
- やちよ: (物語の中でも、いくつかの 困りごとを解決してから)
- やちよ: (魔王の望みを叶える話に なっていったと思うから)
- やちよ: (この一件だけでは、まだ 望みはわかりそうにないわね)
- みふゆ: やっちゃぁん! 次はあっちで撮影ですぅ!
- やちよ: ええ、わかったわ
- やちよ: (…あれ? みふゆって、あんなに…)
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- 三穂野 せいら: じゃあ、ここからは脚本を 先輩方と詰めて本撮影ですが…
- 三穂野 せいら: 梓さんは、元に戻るために これから忙しいと思いますし
- 三穂野 せいら: 脚本が出来た頃には 元の姿に戻ってますよね
- 水樹 塁: そっか…サンプルだけって 話だったもんね…寂しいな…
- みふゆ: うぅ…そうでした… フレイムちゃんとお別れですね…
- みふゆ: …あ!でも昔やった演劇の衣装は お姉さんたちと一緒に作ったので
- みふゆ: 似たような衣装なら きっと作れると思いますし…
- みふゆ: 元に戻ったあとでも撮影に参加… できたりしない…です…よね?
- 三穂野 せいら: え、私たちとしては 梓さんがハマり役だったので
- 水樹 塁: うん、出てもらえたら 私も…すごく嬉しい…!
- みふゆ: それなら…やっちゃん 出させてもらっても…
- やちよ: あなたのことなんだから あなたが決めていいわよ
- やちよ: (元のみふゆは、あの演技 恥ずかしがるかもだけどね…)
- みふゆ: えっと、それなら…!
- みふゆ: また、フレイムちゃん やってもいいですか!
- 三穂野 せいら: ええ、よろしくお願いします!
- みふゆ: ふふふ、嬉しいなぁ
- みふゆ: あ、じゃあワタシは次の 困りごとを解決しに行くので…
- みふゆ: せいらさんも ノワールさんも、また!
- 水樹 塁: あ、えっと…フレイムちゃん またね…
- みふゆ: やっちゃん、次は どんな困りごとを解決しましょう
- みふゆ: 町の人の困りごとを解決する 物語をなぞるのなら
- みふゆ: もっと、いろんな方のお役に 立つ必要がありますよね…!
- やちよ: …それなら、おあつらえ向きな 子たちがあそこにいるわよ
- やちよ: たしか、化学教室のことで 悩んでいたはずで…
- みふゆ: わ、なんですかあれ! 色がついたシャボン玉です!
- やちよ: …って、みふゆ!?
- みふゆ: わぁ!すごーい! これ、どうなってるんですか!?
- 都 ひなの: ん?あ? みふゆさん…か?
- 由貴 真里愛: なんだか、いつもより 無邪気なような…?
- やちよ: その…ごめんなさい… これにはいろいろと訳が…
- 都 ひなの: はー、そりゃあまた 大変なことになってんだな
- 由貴 真里愛: じゃあ…今のみふゆさんは 子ども…ってことですか?
- みふゆ: あ、でも19歳の記憶もあるので いつも通り接して頂ければ!
- 桐野 紗枝: とは言え、精神が子どもにしては しっかりしてますね
- 桐野 紗枝: 弟たちにも、その落ち着きを 見習わせたいですよ
- みふゆ: えへへ、そんな…
- みふゆ: あ、それでひなのさんたちの 困りごとって…
- やちよ: そう、都さんたち 子ども化学教室のことで
- やちよ: 子どもの視点が欲しいって 話をしていたでしょう?
- 都 ひなの: ああ、そうなんだよ
- 都 ひなの: クリスマスに開く化学教室で 何をするか決まらないから
- 都 ひなの: やちよさんたちの言う通り 子どもの視点を知るために
- 都 ひなの: 知り合いのちびっこたちに意見を 聞いて回っていたんだが…
- 桐野 紗枝: 理子ちゃんはしっかりしすぎてて あまり参考にならなかったり…
- 由貴 真里愛: ういちゃんやミィちゃんとも 会えなかったりで…
- 由貴 真里愛: 残念だけど、あまりいい収穫が 得られなかったのよね
- 都 ひなの: 他にちびっこの知り合いなんて そういないから困っていてな…
- やちよ: …で、あなたの出番よ
- みふゆ: はい、ワタシの出番です!
- 都 ひなの: ちびっこ…そうか!
- 都 ひなの: 今のみふゆさんなら、子どもの 目線で考えられるってことか…!
- 由貴 真里愛: それじゃあ、みふゆさんの 知恵を借りられるかしら?
- みふゆ: 知恵…というほど立派に できるかわからないですけど…
- みふゆ: ショーみたいにするのは 決まってるんでしたよね?
- 都 ひなの: ああ、ただとりあえずは ショーのことよりも
- 都 ひなの: 具体的にどんな実験をやるかを 先に決めたいんだ
- 都 ひなの: 一応、いくつか案があるから この中から決めてもらえるか?
- みふゆ: わかりました…!
- みふゆ: なるほどなるほど… どの実験も面白そうですね!
- みふゆ: でも、難しい実験は 勉強っぽくてちょっと…
- 由貴 真里愛: うーん…やっぱり 楽しい方がいいわよねぇ
- 桐野 紗枝: 気になった実験って なにかありますか?
- みふゆ: えっと、空気の鉄砲とか カラフルな煙が出るのとか
- みふゆ: あと、動画で見せてもらった もくもく~ってなるやつとか!
- やちよ: それ、象の歯磨き粉 ってやつだったかしら
- 都 ひなの: ああ、過酸化水素水の 分解で起きる化学反応で
- 都 ひなの: 泡がもこもこ出てくる様子が 歯磨き粉みたいだという実験だ
- 都 ひなの: 過酸化水素水の濃度によっては 危険を伴う実験でもあるが…
- 都 ひなの: 確かに、派手だし 定番ではあるんだよな
- 都 ひなの: ただ、普通にどれかをやるんじゃ ありきたりだし…何か工夫が…
- みふゆ: あ、それなら合体させたら どうでしょう!?
- 由貴 真里愛: 合体…?
- みふゆ: ちゃんと見たことは ないんですけど…
- みふゆ: 変身ヒロインの番組を 観ようとしたらやってたテレビで
- みふゆ: ヒーローのかっこいいメカとかが ガチャーンって合体していて!
- みふゆ: ドーンって必殺技がバーンって 爆発して、すごかったんです!
- 都 ひなの: ヒーロー…合体…
- 都 ひなの: それだぁ!
- FILENAME: text_517910-8_ti4cD.txt
- やちよ: …ヒーロー合体を実験に 組み込む…ってどういうこと?
- 都 ひなの: 単純な話だ 実験同士を組み合わせて
- 都 ひなの: それをヒーローショーとして 演出するんだよ
- 都 ひなの: 攻撃で爆発させたりするのを 化学の力を使って魅せる!
- みふゆ: ヒーローショー! 楽しそうです!
- みふゆ: ワタシも、ヒーロー… やってみたいなぁ…
- 由貴 真里愛: それじゃあ、みふゆさんにも 出てもらいますか?
- みふゆ: え、いいんですか!? やりたいです…!
- 都 ひなの: お、それじゃあ 一緒に盛り上げてくれ!
- みふゆ: えへへ、こういうの 憧れていたんです
- やちよ: 憧れ…
- やちよ: (少しずつわかってきたけど やっぱり、みふゆの望みは)
- やちよ: (ヒロインやヒーローのような 憧れの存在になること…)
- やちよ: もしかしたら、こうして みふゆが誰かを助けることで 同時に、ヒーローやヒロインに憧れている みふゆの望みを叶えられている…?
- やちよ: だとすれば、このままみふゆの 憧れを叶えることができたなら 魔王が困りごとを解決することも 魔王の望みを叶えることも…
- やちよ: (どちらも同時に攻略できて 元の姿に戻れるのかも…)
- みふゆ: じゃあ、登場シーンでは カラフルな煙が出るとか…!
- 由貴 真里愛: ふふ、それは可愛いですね
- 都 ひなの: ヒーロー役がみふゆさんなら ヴィラン役は紗枝にするか
- 桐野 紗枝: え、わたし!?
- 都 ひなの: アタシが解説で真里愛が 語り役…そしたら残りは紗枝だろ
- 桐野 紗枝: えぇ…まぁ、いいですけど…
- 都 ひなの: あとなんか、紗枝はそういう役 ハマりそうだろ
- 桐野 紗枝: …ひなのさん? それは、どういうことです?
- 都 ひなの: そういうところだな
- みふゆ: ふふふっ なんだかワクワクしてきました!
- みふゆ: …って、大変です! いまの時間って…
- みふゆ: ああ、もうすぐ門限! お母様に怒られちゃう…!
- みふゆ: ワタシ、今日はもう ここで失礼して…!
- やちよ: 待って、みふゆ
- みふゆ: で、でもやっちゃん…! お母様に、ワタシ…!
- やちよ: …落ち着きなさい あなたは今19歳、門限はないわ
- みふゆ: …………え あ…そっか…19歳…
- みふゆ: …まだ、帰らなくても いいんですか…?
- やちよ: ひとり暮らしだし 好きにしていいのよ
- みふゆ: そっか…そっか…
- みふゆ: あ、やっちゃん!
- みふゆ: それなら、ショーのことを 決め終えたら、したいことが…
- みふゆ: えへへ…みかづき荘でお泊まり したかったんですよね!
- みふゆ: 子どものワタシじゃ難しくても 今のワタシは大人なので…
- みふゆ: 少しくらいは、羽目を外しても 許されるんですっ
- やちよ: …羽目を外されちゃ困るけど まあ、今日くらいはね…
- うい: でも、なんだか不思議な感じ… 大人だけど、子ども…って
- うい: あ、灯花ちゃんたちにはこのこと 言わない方がいいんだっけ
- みふゆ: はい…本来ならワタシ 勉強をするべき時期らしいので…
- いろは: あぁ…確かに今日も灯花ちゃん みふゆさんのお話してたかも…
- みふゆ: あ…怒ってましたか?
- うい: んー…
- うい: あれは心配してるだけだから 大丈夫だと思うよ?
- みふゆ: ほっ…それならよかったです…
- フェリシア: そんなことより 早く飯にしようぜ~
- さな: 今日は、お鍋にしようと思って お野菜たくさん買ってきましたっ
- みふゆ: お鍋…!
- 鶴乃: じゃあ、せっかくだし みふゆも一緒に準備しよっか!
- みふゆ: はいっ!
- FILENAME: text_517910-9_ti4cD.txt
- さな: そしたら、次は 白菜を切ってもらえますか?
- みふゆ: はいっ
- トン、トン、トン
- みふゆ: このくらいの大きさで 大丈夫ですか?
- 鶴乃: お、ばっちりだねー!
- みふゆ: えへへ、なんだかこうして みんなで料理するのは楽しいです
- みふゆ: お母様と一緒だと すぐに叱られちゃうから…
- 鶴乃: ふむ…大人のみふゆが あんまり自炊をしないのって
- 鶴乃: そういうところが原因だったり?
- みふゆ: どうでしょう…ただ単に 面倒なのかもしれないですよ?
- みふゆ: お鍋、できましたぁ!
- さな: わぁ…いい匂いですねっ
- 鶴乃: それじゃーみんなで一緒に!
- みんな: 「いただきまーす!」
- みふゆ: ほ…あったかくて 美味しいです…
- みふゆ: みんなでお鍋をつつく って、なんかいいですね
- フェリシア: お、星型のニンジン!
- いろは: それね、みふゆさんが 型抜きしてくれたんだよ
- フェリシア: やるじゃん!
- みふゆ: えへへ…そんなことないです…
- 鶴乃: ねぇ、ご飯が終わったら みふゆも一緒にゲームしよ!
- やちよ: その前に、みんな 宿題があるんじゃないの?
- うい: あっ、忘れてた…!
- うい: でも、難しいから なかなか終わらなくって…
- みふゆ: それなら、ワタシが 教えましょうか?
- うい: わ、できた! ありがとう、みふゆさん!
- みふゆ: いえいえ お役に立ててよかったです
- うい: みふゆさんって 昔から勉強が得意だったの?
- みふゆ: …んー、どうなんでしょう
- みふゆ: 今のワタシには19歳の知識も あるから、教えられましたけど
- みふゆ: ワタシ、よくやっちゃんに 勉強を教えてもらっていたので
- みふゆ: 得意だったってわけじゃ ないと思いますよ
- みふゆ: ただ、テストでいい点じゃないと お母様に厳しく叱られちゃうので
- みふゆ: よく、テスト前なんかは 泣きながら勉強してますね…
- うい: …すごい、大変なんだね
- みふゆ: …仕方ないんです そういう、お家だから…
- やちよ: ふたりとも、そろそろ お風呂に入っちゃいなさい
- うい: はーい みふゆさんも行く?
- みふゆ: いえ、先にどうぞ ワタシは少ししたら頂きますね
- みふゆ: …さなさん なにかあったんですか?
- さな: …へ?
- みふゆ: その、悲しい顔に見えて… 気のせいならすみません
- さな: …あ、その、たまにあるんです 家族のことを考えて
- さな: 急に気持ちが落ちちゃうこと… だから、気にしないでいいですよ
- みふゆ: …そうですか 自分の話になっちゃうんですけど
- みふゆ: ワタシも、そういうことあるので …ちょっとわかる気がします
- さな: みふゆさんも…?
- みふゆ: どこかにずっと、お母様がいて 行動を見張られているような…
- みふゆ: そうして、また厳しく 叱られるように思っちゃって…
- みふゆ: 怖い…とか、嫌だ…とか…うん そんな気持ちになっちゃうんです
- さな: …みふゆさんは、そういうとき どうするんですか?
- みふゆ: 夢に逃げたり、空想したり…
- みふゆ: でも、一番はやっちゃんや みんなと笑うことです
- みふゆ: …そう思えるまでに、ずいぶん 時間はかかってしまいましたが
- みふゆ: そのときだけワタシは 梓家の娘じゃなく
- みふゆ: ただの みふゆでいられるから
- さな: …ふふ、そう考えると 私も同じかもしれません
- やちよ: (みんなの悩みを解決して 映画のヒロインも演じられて…)
- やちよ: (それに、化学教室でも 舞台に上がって)
- やちよ: (みんなのヒーローに なることができるのなら…)
- やちよ: (物語に沿って彼女の望みを 順調に叶えることができてる…)
- やちよ: (これなら、元の姿に戻れるのも あと少しかもしれないわね)
- FILENAME: text_517910-10_ti4cD.txt
- みふゆ: 遂に化学教室の本番ですね…! 緊張します…!
- やちよ: 家で何度も練習したし きっと大丈夫よ
- やちよ: あとね、三穂野さんから 連絡があったんだけど
- やちよ: 映画の脚本が無事に完成したから 近いうちに本撮影をしたいって
- みふゆ: わぁ…!それじゃあ、ここで 緊張してる場合じゃないですね!
- みふゆ: 化学教室も映画も、どっちも 成功させたいですから!
- やちよ: ええ、なんだか いつの間にか心強くなったわね
- やちよ: (…昔のみふゆって こんな積極的だったかしら…?)
- ???の声: あの、だからわたしは 行かない方がいいんですっ
- みふゆ: また何か困りごとかも…! ワタシ、行かなくちゃ!
- やちよ: …また、いちから 説明しないといけないわね…
- みふゆ: あの、どうかしたんですか? ワタシで良ければ助けに…
- 七瀬 ゆきか: 梓センパイ…っ!
- みふゆ: …あっ! あそこに猫ちゃんが…!
- 柚希 ほとり: え、あ、行っちゃった…!?
- 柚希 りおん: …なんか、動きが忙しなくて 子どもみたいじゃない?
- やちよ: ふぅ…ごめんなさい 私から説明するわね…
- やちよ: みふゆー! 戻ってきなさーい!
- 七瀬 ゆきか: なるほど…大変ですね
- 柚希 りおん: 結構な事態なのに なんでそんな冷静なの!?
- 七瀬 ゆきか: わたしの日常では よくあることなので…
- みふゆ: それで、みなさん…さっきは 何か揉めてそうでしたけど…
- 柚希 ほとり: あの、ボクたち子ども化学教室に 行こうと思ってるんだけど…
- 柚希 りおん: ゆきかが行きたくないって 駄々をこねるのよ!
- 七瀬 ゆきか: 駄々をこねているわけでは… ただ、危険を避けたいんですっ
- みふゆ: 危険…ですか?
- 七瀬 ゆきか: わたしは、常に面倒事に 巻き込まれる体質なので…
- 七瀬 ゆきか: 化学教室中に、なんらかの トラブルが起きたとして
- 七瀬 ゆきか: わたしが巻き込まれることは 別に構わないんですけど
- 七瀬 ゆきか: 周りの子どもたちが万が一にでも 巻き込まれたらと思うと…
- 柚希 りおん: 心配しすぎなのよ、ゆきかは
- 七瀬 ゆきか: でも…ですねぇ…
- みふゆ: あの…ワタシ、そのショーに 出るんですけど
- 七瀬 ゆきか: え、そうなんですか?
- みふゆ: 要は、他の方がトラブルの被害に 遭わなければいいんですよね?
- 七瀬 ゆきか: ええ、それは…はい…
- みふゆ: それなら、ワタシがみなさんを 絶対に守ってみせます!
- みふゆ: ショーには、衣装として 魔法少女姿で出演するので
- みふゆ: 何かあっても すぐに対処できると思うんです!
- 七瀬 ゆきか: えっ!?
- みふゆ: だから、安心して化学教室に 来て頂いて大丈夫です!
- 柚希 ほとり: わ…それなら安心だね ゆきかさんっ
- 柚希 りおん: そうよ、ゆきか それなら大丈夫よ!
- 七瀬 ゆきか: えっと…そう、ですね…
- 七瀬 ゆきか: (少し…いえ、かなり 不安はあるところですが…)
- 七瀬 ゆきか: (こう、純粋な眼で言われると 断りにくいものですね…)
- 七瀬 ゆきか: (なんとかなれと 祈るしかありません…)
- FILENAME: text_517920-1_yNJuw.txt
- みふゆ: 化学教室…もうすぐ始まりますよ やっちゃん!
- やちよ: ええ、そうね
- やちよ: (みふゆ、あれから都さんたちと トラブルのフォローも含めて)
- やちよ: (いろいろと策を 練っていたみたいだけど…)
- やちよ: (やっぱり昔のみふゆはこんなに 積極的じゃなかったような…)
- やちよ: (そこにどうしても 違和感を覚えるのよね…)
- やちよ: (大人としての責任感と 子どもとしての純粋な正義感が)
- やちよ: (混ざった結果…なのかしら)
- 柚希 ほとり: いよいよ始まるね 子ども化学教室のショー…!
- 柚希 りおん: ゆきかも一緒に見るんだから 逃げたらダメよ!
- 七瀬 ゆきか: は、はい…
- 由貴 真里愛: 「それじゃあ、みんなー 子ども化学教室のクリスマスショーを始める前に お姉さんたちとの大事なお約束があります!」
- 由貴 真里愛: 「1、ショーの間は危ないから前には出ないこと 2、みんなで譲りあってショーを見ること 3、いーっぱい楽しむこと!」
- 由貴 真里愛: お姉さんたちとの約束だよ みんな、わかったかなー?
- みんな: 「はーい!」
- 由貴 真里愛: じゃあ、みんな! 化学大好きなヒーローを呼ぶよ!
- 由貴 真里愛: せーの、ケミカルレディ!
- みふゆ: ワタシはケミカルレディ! みんなで化学を勉強しましょう!
- 桐野 紗枝: 化学って難しくて嫌いだわ こんなショーは、いーらない!
- 桐野 紗枝: この空気の鉄砲で ぜんぶ壊してあげるわ!
- ドンッ!ドンッ! ぽひゅん…
- わ、すごーい! 空気がビューンってした!
- でも、ひとつだけ 変な音しなかった?
- 都 ひなの: さ、さて!ここで解説だ! この空気の鉄砲の仕組みは…
- 七瀬 ゆきか: (今のところ、小さめの トラブルで済んでいますが)
- 七瀬 ゆきか: (うぅ…いつ何が起きるか 不安で見ていられないです…っ)
- 桐野 紗枝: ほらほら~ 壊しちゃうぞ~
- みふゆの声: ショーを壊すだなんて そんなことさせませんっ
- ぱんっ!
- わぁ! 煙の中から出てきた
- …けど、なんかこの煙 ちょっと多くない?
- ほんとだ!] けほっ…すごい煙…
- やちよ: (ここは、色つきの煙で 可愛い登場だったはずなのに)
- やちよ: (予定より、かなり多い量の 煙が立ってる…)
- やちよ: (七瀬さんの言う通り、本当に トラブルが増えてきたわね…)
- やちよ: (…恐らく、みふゆの望みを 叶える上で)
- やちよ: (この化学教室の成功は 必要なものになるはず…)
- みふゆ: これでも食らえー!です! 煙玉~!
- ころころころ…ぷひゅ…
- あれ、今度は煙出ねーじゃん
- なんかつまんなーい…
- みふゆ: うぅ…
- やちよ: (このままじゃ教室は 失敗に終わってしまう…)
- やちよ: (もうすぐで、みふゆが 戻れるかもしれないのに…!)
- みふゆ: じゃ、じゃあ最終兵器! 象の歯磨き粉です!
- ぼふっ!
- わ、なんか もくもくのが出てる!?
- すごーい! 色も綺麗!
- やちよ: (良かった…一番大きな 実験は成功ね…これなら…)
- 都 ひなの: これは象の歯磨き粉 と言われる化学反応だ
- 都 ひなの: まぁ、見ての通り綺麗だが 近づくと危険で…
- すげー! かっけー!
- やちよ: なっ!?
- やちよ: (小さい子が前に…!)
- やちよ: (でも、あの実験の規模は かなり小さいはずだから…)
- やちよ: (少し近づいても危険じゃない って言っていたけど…)
- もくっ もくもくもくっ
- やちよ: ――っ!?
- やちよ: (溢れ出る泡が どんどん大きくなって…!?)
- やちよ: (いけない…このままじゃ! 私がフォローしないと…!)
- みふゆの声: 危ないっ!
- FILENAME: text_517920-2_yNJuw.txt
- やちよ: ――っ!?
- やちよ: (溢れ出る泡が どんどん大きくなって…!?)
- やちよ: (いけない…このままじゃ! 私がフォローしないと…!)
- みふゆの声: 危ないっ!
- やちよ: えっ…
- みふゆ: ふぅ… ケガはないですか!?
- う、うん…
- みふゆ: 良かった…でも危ないから 約束はちゃんと守ってくださいね
- うん…ごめんなさい… 約束する!
- みふゆ: はい、いい子です!
- ケミカルレディ…かっこいい! 今、ぴゅーんって!速かった!
- …大きくなったら 私もレディみたいになりたい!
- みふゆ: そ、そんな… ワタシ、照れちゃいます
- 都 ひなの: じゃあ、そんなレディに憧れる ちびっこたち!
- 都 ひなの: これから、さっきの泡の 仕組みを説明しよう!
- やちよ: (…良かった)
- やちよ: (これでなんとか 元に戻れそうかしらね…)
- みふゆ: ふぅ…無事に終わりましたね
- やちよ: 見ていてひやひやしたけど 男の子が無事で良かったわ
- 由貴 真里愛: それに、子どもたちは化学に 興味を持ってくれたみたいだし
- 桐野 紗枝: はい、トラブルはあったけど 大成功ですね
- 都 ひなの: 「薬品の調整をミスったか…? いや、何度も確認したしそんなわけは… 象の歯磨き粉は念のため、教師にも確認して 触れても安全な材料でやったが、それでも…」
- 桐野 紗枝: ひなのさんは、実験のミスに 落ち込んでいるみたいですけど…
- 七瀬 ゆきか: あの、その節につきましては わたしに全責任があるので…っ
- みふゆ: でも結局、誰もケガは しなかったわけですし…
- 七瀬 ゆきか: いえ、それは 梓センパイのおかげですっ…
- 柚希 ほとり: ボクたちも、無理にゆきかさんを 連れてきちゃったから…
- 柚希 りおん: ええ、責任がないとは 言えないわよね…
- 七瀬 ゆきか: なので、お詫びと言っては なんですが…
- 七瀬 ゆきか: このあと、みなさん お時間ありますでしょうか…?
- みふゆ: …? はい…大丈夫ですけど…
- 七瀬 ゆきか: 良ければ、一緒に来て頂きたい ところがございましてっ
- 胡桃 まなか: いらっしゃいませー …って、大所帯ですね
- 七瀬 ゆきか: すみません、人数… 大丈夫そうでしょうか…?
- 胡桃 まなか: 一応、先客はひとりいますけど まぁ気にしなくて大丈夫ですよ
- 若菜 つむぎ: まなかのオムライスは やっぱり世界一だぁ~!
- 七瀬 ゆきか: あら、つむぎちゃんも 来てたんですね…っ
- 胡桃 まなか: とりあえず、お好きな席にどうぞ メニューを持ってきますので
- みふゆ: あ、ありがとうございますっ! 何を食べようかなぁ…
- 胡桃 まなか: ん? なんだか今日の梓先輩…
- みふゆ: あ、えっと…たまには ワタシの口から説明しますね!
- 胡桃 まなか: それは災難でしたね…
- 胡桃 まなか: でも、もうそろそろ 戻りそうなんでしたっけ?
- やちよ: そのはずなんだけどね…
- やちよ: (…おかしいわ、どうして 元のみふゆに戻らないのかしら)
- やちよ: (化学教室の事故は 予想外のことだったけど)
- やちよ: (事故の阻止で、役だけでなく 本当にヒーローになった…)
- やちよ: (それに、何人もの困りごとを 解決したから…)
- やちよ: (物語の魔王の役割を果たし みふゆの望みも叶ったはず…)
- やちよ: (…もしかして まだ望みは叶っていないの…?)
- やちよ: (…あとは、何か他に条件が ある…とか?)
- やちよ: (それとも、そもそも 戻す方法が間違っていたの…?)
- やちよ: (だとしたら、いったい…)
- みふゆ: やっちゃんは 何を食べますか?
- やちよ: へ? あ、あー、注文ね、そうね…
- 都 ひなの: アタシは、やっぱり 王道のオムライスだな
- 柚希 りおん: ほとりんは何にするの?
- 柚希 ほとり: …あ、お子様ランチがあるんだ 花火ついてる…
- みふゆ: わぁ! 本当ですね!
- みふゆ: ハンバーグとオムライスと プリンが入ってます…!
- 胡桃 まなか: そうそう、お子様ランチは 最近、導入したんですよ
- 胡桃 まなか: 小学生以下への サービスってことで
- みふゆ: 小学生以下…
- みふゆ: ワタシ、19歳…なので お子様ランチ食べられませんね…
- 胡桃 まなか: あ、でも…梓先輩 中身は小学生なんですよね?
- 胡桃 まなか: それなら 特別にお出ししますよ!
- みふゆ: いいんですか!? 嬉しいです…!
- 若菜 つむぎ: なら、私もお子様ランチ 食べたいよーっ!
- 胡桃 まなか: いや…あなたは試作段階で 散々、試食をしたでしょうに…
- 若菜 つむぎ: それとこれとは違うんだよぅ!
- みふゆ: でしたら、みんなでシェアとか… 胡桃さん、いかがでしょう?
- 胡桃 まなか: なるほど それなら構わないですよ
- FILENAME: text_517920-3_yNJuw.txt
- 若菜 つむぎ: う~んっ! やっぱり美味しい!
- みふゆ: このソーセージ タコさんになってますねぇ
- 柚希 りおん: わ、かわいい…
- みふゆ: ひとくち食べますか?
- 柚希 りおん: じゃあ、こっちのアイスも 食べる?
- 由貴 真里愛: こうして見てると、本当に 中身は子どもなのね、みふゆさん
- 都 ひなの: なんだか、微笑ましい光景に 見えてくるもんなあ
- 柚希 ほとり: …あの、みふゆさんも ヒーローが好きなんですよね?
- みふゆ: はい、ヒーローよりは ヒロイン寄りですけど…
- みふゆ: 戦う、キラキラした存在に ずっと憧れがあったんです
- みふゆ: ワタシも彼女たちみたいに 誰かを守れる…
- みふゆ: かっこよくて、可愛い… そんな存在になれたら…って
- みふゆ: …とは言っても、テレビは お母様に見せてもらえなくて…
- 柚希 ほとり: そっか…
- 柚希 ほとり: でも、もう大人だから 好きなだけ観られますよ…っ
- みふゆ: …確かに! その通りですね!
- みふゆ: ふふ、ワタシって自分が思うより もうずっと自由なんですね
- みふゆ: あ、観るなら何かおすすめとか あったりしますか?
- 柚希 ほとり: なら、竜騎戦隊ドラレンジャーが ボクのおすすめで…!
- みふゆ: こんなにヒロインの話を できる日が来るだなんて…
- 都 ひなの: みふゆさんが、そういう感じの 憧れを抱いていたとは意外だな
- みふゆ: あ…変…ですか…?
- 都 ひなの: いや、変ってわけじゃないぞ
- 都 ひなの: ただ、アタシらからすれば 大人ってイメージがあるから
- 都 ひなの: 子どもらしいことを言っている 姿が、新鮮なんだろうな
- 由貴 真里愛: そうね…私、もっとみふゆさんの お話が聞きたくなっちゃいました
- 由貴 真里愛: ありきたりですけど 好きな食べ物のお話とか…
- 由貴 真里愛: それから、恋のお話とか ふふふ
- みふゆ: そっ、そんな恋なんてワタシには まだ早いですよ…
- みふゆ: 素敵な人と恋をして…とか そんな夢は見ますけど…
- みふゆ: あ、でも今のワタシには 許嫁がいるんでした
- みふゆ: ちなみに、真里愛さんは どういう恋愛をしてるんですか?
- 由貴 真里愛: ええっ、私!?
- 桐野 紗枝: ふふ、やり返されましたね
- やちよ: (…楽しそうなのはいいけど やっぱり何も変わらない)
- やちよ: (これはもう、直接望みを 聞くしかないわよね…)
- やちよ: (それでダメなら 他の手を考えなきゃ…)
- やちよ: …みふゆ
- みふゆ: はい、なんですか? やっちゃん
- やちよ: …あなた 何か望みはある…?
- みふゆ: 望み…ですか?
- みふゆ: あ、すっかり忘れてましたけど 元に戻るにはワタシの望みも
- みふゆ: 叶える必要があるんでしたっけ?
- やちよ: ええ、そういうことよ
- みふゆ: うーん…今はお腹いっぱいで とっても幸せですし…
- みふゆ: ワタシは、こうして みんなでお喋りして過ごせて…
- みふゆ: 今、とっても嬉しくて幸せで 楽しくて素敵な時間で…
- みふゆ: あー…そっか…
- みふゆ: ワタシ、ずっと… こういうことがしたかったんです
- やちよ: ひゃっ!?
- みふゆ: …あら? やっちゃん、ワタシ…
- FILENAME: text_517920-4_yNJuw.txt
- 都 ひなの: 急に、大人に戻ったのか!?
- みふゆ: はい、多分きっかけは みなさんと過ごす中で
- みふゆ: こうやって、お友だちと楽しく 好きなことをお話しするとか
- みふゆ: そういう、当たり前で普通の 女の子をしてみたかったんだって
- みふゆ: その望みを自覚したこと …なんだと思います
- やちよ: …そういえば、物語の方も そんな話だったわね
- 胡桃 まなか: 話…?
- やちよ: みふゆから、簡単に 説明があったと思うけど
- やちよ: みふゆが姿を変えたのは ある物語のせいでね
- やちよ: 「むかしむかし、あるところに 火の魔王と氷の女王が治める 小さな国がありました」
- やちよ: 「その国では、クリスマスが近くなると ホワイトクリスマスを迎えるために 毎年行われる祭りがありました」
- やちよ: 「それは、みんなが冬を越せるように 魔王が民たちの“困りごと”を 解決するというもの」
- やちよ: 「ですが、ある年のこと… 民たちはいつもの感謝を伝えるために 魔王の望みを叶えてあげようとしました」
- やちよ: その物語に沿って動けば
- やちよ: 元に戻れるかもって 算段だったんだけど
- やちよ: そのお話には もう少し続きがあって…
- やちよ: …ほら、見て
- やちよ: 真っ白だった脚本に 文字が浮かび上がってきたわ
- みふゆ: わ…本当です!
- やちよ: …そう、これが続き
- やちよ: 「ですが、ある年のこと… 民たちはいつもの感謝を伝えるために 魔王の望みを叶えてあげようとしました」
- やちよ: 「けれども魔王の望みは、民たちにも そして魔王自身にもわからなかったのです」
- やちよ: 「だから、みんなは魔王に困りごとを 解決してもらいながら 魔王の望みを探ることにしたのですが なかなか、魔王の望みはわかりませんでした」
- やちよ: 「困り果ててしまった民たちは 国の魔法使いに頼んで 魔王に過去を思い出してもらうことにしました」
- やちよ: 「そうすれば、幼い日にはあったはずの望みを きっと魔王が思い出せると思ったから」
- 胡桃 まなか: それで、魔王の願いって なんだったんですか?
- やちよ: みんなと仲良くすることよ
- やちよ: でも、本当は魔王の望みは 最初から叶っていたの
- 胡桃 まなか: あー、最初っから仲良しだった ってわけですか
- やちよ: ええ、それに気がつけば 解決するだけの話だった
- やちよ: そして、ホワイトクリスマスが 訪れてハッピーエンドという話よ
- 都 ひなの: みふゆさんも物語と同じように 叶っていた望みに気づいたから
- 都 ひなの: 元に戻れたってことか
- やちよ: まあ、憶測に過ぎないんだけどね
- みふゆ: …多分 やっちゃんの言う通りです
- みふゆ: ワタシ、幼少期は家が厳しくて 楽しいクリスマスとは無縁で…
- みふゆ: 友だちと、ああやって遊ぶとか やっちゃん以外は少なかったので
- みふゆ: みなさんとの時間が 本当に楽しくて…
- みふゆ: なんだか、過去から 解放された気持ちになったんです
- 桐野 紗枝: …そうだったんですね
- 由貴 真里愛: 何はともあれ 元に戻って良かったわ
- みふゆ: 本当に、皆さんには ご迷惑をおかけしました…
- 七瀬 ゆきか: え…ということは 今までの記憶はあるんですか?
- みふゆ: 恥ずかしながら、はっきりと…
- みふゆ: うぅ…思い出すとワタシ 結構恥ずかしいことしてますね…
- 都 ひなの: いや、意外とこっちは かなり助かってたぞ
- 桐野 紗枝: ええ、おかげで化学教室も 成功したわけですし
- 若菜 つむぎ: お子様ランチも 食べられましたから!
- みふゆ: ふふっ それなら少し救われます
- みふゆ: 楽しい時間を過ごさせてもらって 本当にありがとうございました
- みふゆ: (子どもの頃のワタシも)
- みふゆ: (きっとこんな時間を 過ごしたかったんでしょうね)
- みふゆ: (そう思うと なんだか切ないですし…)
- みふゆ: (感覚が子どもに戻ってたからか 昔のことを、嫌でも思い出す…)
- みふゆ: …………
- みふゆ: (…いえ、それよりも)
- みふゆ: (何か大事なことを 忘れているような…)
- みふゆ: (…気のせい、でしょうか)
- やちよ: あ、そう…忘れてたわ
- やちよ: クリスマスイベントの テーマについて考えないと
- みふゆ: そうでした…そのことも 忘れてしまっていました
- みふゆ: でも、その件については既に 答えが出てるんじゃないですか?
- やちよ: ふふ、そうね
- みふゆ: じゃあ、せーので 言ってみますか?
- やちよ: いいわよ …せーの
- みふゆ&やちよ: 童心に返ること
- みふゆ: …子どもに戻ってみたら やっぱり見えるものが変わって
- みふゆ: そういうのを、イベントでも 感じられたらいいのかなって
- やちよ: ええ、みふゆは子どもに 戻りすぎて大変だったけど
- みふゆ: すみません…でも、もう 戻ったので安心してください!
- やちよ: まあ、子どもに戻っていた頃も 今とあまり変わらなかったけどね
- みふゆ: ええっ!? そんなことないですよ!
- やちよ: あ、ただ…やたらと 積極的だった気はしたわ
- やちよ: 子どもの頃、あんな感じの子じゃ なかったでしょ?
- やちよ: もっと気弱というか 泣き虫だった気がするんだけど
- みふゆ: それは、感覚でしかないですけど 火の魔王の力…なのかも
- みふゆ: 少しだけ、火の魔王の人格に 寄っていった…というか…
- やちよ: え…何それ …乗っ取られかけてたってこと?
- みふゆ: うーん…どうなんでしょう?
- やちよ: ちょっと、怖いこと言わないでよ …もう、本当にみふゆなのよね?
- みふゆ: やっちゃんったら 怖がりすぎですよ、ふふ
- みふゆ: はい、ワタシは正真正銘 やっちゃんの幼馴染のみふゆです
- やちよ: なら、いいけど…
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- 鶴乃: ありゃ、戻っちゃったんだ
- フェリシア: 子どもみふゆの方が おもしろかったのにな~
- みふゆ: あれ…もしかして大人のワタシ 不評なんですか…?
- 鶴乃: 冗談だよー! 戻って良かったね、みふゆ!
- さな: …それにしても、どうして 姿が変わってしまったんでしょう
- いろは: タイムカプセルを開けたら そうなっちゃったんですよね?
- うい: なんだか、玉手箱みたいっ
- やちよ: 正確に言えば、脚本を 読んでいる途中だったわ
- やちよ: 原因として考えられるのは 私たちの魔力を感じたことだけど
- みふゆ: 魔力を込めた記憶もなければ 昔のことなので、うろ覚えで…
- 鶴乃: あと、わたし…気になることが 他にもあるんだよね
- 鶴乃: みふゆが火の魔王で やちよが氷の女王だったんでしょ
- 鶴乃: それなら、ししょーも氷の女王に 変身しても良さそうだなって
- さな: 確かに…不思議ですね どうしてみふゆさんだけ…
- うい: うーん… クリスマスの奇跡…とか?
- みふゆ: そんな経験ができるのなら 7年前に来てほしかったですね
- ピロン♪
- やちよ: …あ、三穂野さんから 映画のサンプルが送られてきたわ
- 鶴乃: お、どんな感じ? 見たい見たーい!
- みふゆ: え、それって…
- やちよ: ―やちよ― 魔法少女フレイム、必殺技のシーンね …ほら見て、とってもいい感じよ
- みふゆ: ―みふゆ― なっ!?ダメですダメです! 恥ずかしいのでやめてくださいー!
- やちよ: ―やちよ― そうかしら? 私は、結構いいと思ったんだけど…ふふふ
- みふゆ: ―みふゆ― もう、やっちゃん!笑ってるじゃないですか! 意地悪はやめてください!
- フェリシア: …なんかあれだな アイツら全然子どもっぽいな
- いろは: 普段は、大人っぽくて 頼れるんだけどね、ふふ
- 鶴乃: あれが、幼馴染 ってやつなのかもねっ!
- 三穂野 せいら: 梓さん、どうやら 元に戻ったみたいですよ
- 三穂野 せいら: 映画の本撮影も 後日、一緒にできるそうです!
- 三穂野 せいら: まぁ、あのキャラをやることは 恥ずかしがってましたけど…
- 古町 みくら: それはよかった
- 古町 みくら: 三穂野に話を聞いたときは どうなるかと思ったからね
- 三穂野 せいら: はい、一件落着です! 水樹にも教えておいてあげないと
- 吉良 てまり: …………
- 古町 みくら: …で、吉良はずっと黙って どうかした?
- 吉良 てまり: …いま、七海さんに送って頂いた 劇の脚本をざっと読んだんです
- 古町 みくら: ああ、梓さんたちが小さい頃に 演じたってやつね
- 古町 みくら: それが、どうかしたの?
- 吉良 てまり: …なんだか、妙な違和感があって
- フェリシア: 今年のクリスマスは 何をサンタに頼もっかなー
- やちよ: こら、ちゃんと前を向いて 歩きなさい
- 鶴乃: そうだよ!いい子にしないと サンタさんは来ないんだからね!
- フェリシア: ゲッ… ちゃんといい子にして…マスヨ…
- うい: フェリシアさん カチコチになっちゃった…
- いろは: ふふ、右手と右足が 一緒に出ちゃってるよ
- フェリシア: だーっ! わけわかんなくなってきた!
- さな: ふふっ
- やちよ: まったく…
- やちよ: (…何か、ひっかかる)
- やちよ: …っくしゅん
- やちよ: …なんだか、今年の冬は 一段と寒い気がするわ…
- 鶴乃: ししょー、早く行こーっ!
- やちよ: ええ、いま行くわ
- やちよ: …………
- やちよ: …そういえば 今年はまだ雪が降っていないわね
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