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Kagome's Hundred Monsters JP Text

Aug 4th, 2023 (edited)
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  1. [From the opening sequence in 519710-0]
  2. 噂が噂を呼ぶ 怪異譚に触れた時
  3. 異界の扉が開く…!
  4. [Title card] かごめの百怪波瀾~炎夏の宴~
  5.  
  6. FILENAME: text_519710-1_yvWxs.txt
  7. かごめ: 始まりは、あの日…
  8. 那由他: いらっしゃい パパはこっちですの
  9. かごめ: ありがとうございます
  10. 太助: こんにちは、かごめ君
  11. かごめ: ご無沙汰してます、教授
  12. かごめ: 取材した魔法少女の記録をまとめていた私は 最終的な編纂のアドバイスをもらうため ある程度構成が見えてきたところで 里見教授を訪ねた
  13. かごめ: …だけど…
  14. 太助: そうだね まず構成としては…
  15. ~~♪~~♪
  16. 太助: …あ、ごめん、電話だ 誰から…
  17. 太助: …あー…
  18. 太助: ちょっと出ていいかな?
  19. かごめ: お気になさらず…! どうぞ
  20. 太助: じゃあ、失礼して…
  21. 太助: もしもし? どうした?“あの件”か?
  22. かごめ: (“あの件”…?)
  23. 太助: うん…うん…
  24. 太助: …またアップされたのか… やれやれ…
  25. 太助: わかった… ただ、今は来客中でね
  26. 太助: またあとでかけ直すから 話はその時にでも…
  27. 太助: …ふぅ…
  28. かごめ: …………
  29. 太助: …いや、ごめんね で…えーと…
  30. かごめ: 構成…ですか…?
  31. 太助: ああ、構成だ…で、その構成を…
  32. 太助: …ん…そうか…
  33. かごめ: え?
  34. 太助: …こういうのは 広く若者に話を聞いた方が…
  35. かごめ: 話…?なんのでしょうか…?
  36. 太助: いや、唐突に申し訳ない
  37. 太助: 実は、さっきの電話の件 なんだけどね…
  38. 太助: 相手は私の高校の同級生なんだ 茅野っていうんだけど…
  39. 太助: 彼は地元に帰り 実家の旅館を継いだんだが
  40. 太助: 最近、あることで悩んでいて 私に相談を持ち掛けてきたんだ…
  41. 太助: その悩みの種というのが まあ、なかなかでね…
  42. かごめ: なんでしょうか…?
  43. 太助: …カイダン…だよ
  44. かごめ: …上ったり下りたりの…?
  45. 太助: そっちじゃなくて 怖い話の方の「怪談」ね
  46. かごめ: ああ、怪談ですか…
  47. かごめ: …え!?怪談…!?
  48. 太助: うん…
  49. 太助: 元から妖怪やお化けといった 伝説があるとかの土地柄なんだが
  50. 太助: それが最近になって なぜかネットを中心に広まって
  51. 太助: 一気に観光客が増えたんだ
  52. かごめ: …でも、それって宿にとっては プラスになるような…
  53. 太助: 確かにそうなんだが 訪れる客の質がね…
  54. 太助: 動画を撮影する客もいて …いわゆる、迷惑系らしい…
  55. 太助: 面白半分で肝試しをやって夜中に 町中で騒いだりする輩もいたり
  56. 太助: 最近ではそういうのが大半に なってしまったんだ
  57. 太助: それで、茅野も ほとほと困り果ててね…
  58. かごめ: そうですか…
  59. 太助: こういう今時なトラブルだからね
  60. 太助: 若者から何か解決のヒントが 得られるかと思ったんだ
  61. かごめ: それで、私、ですか…
  62. 太助: あとで那由他たちにも 話を聞こうと思うけど…
  63. 太助: まずは、かごめ君の意見から 聞いてもいいかな?
  64. かごめ: あ、はい 私でよければ…
  65. 太助: ありがとう!
  66. かごめ: …と、ひょんなことから とある町に起きた騒動の解決を目指して 私と教授のディスカッションが始まった…
  67. かごめ: だけど、気がつくと私は…
  68. かごめ: …その件…
  69. かごめ: 私に調査させてくれませんか?
  70. 太助: えぇ!?
  71. かごめ: かつて経験したことのない 未知の扉に手をかけていた…
  72.  
  73. FILENAME: text_519710-2_yvWxs.txt
  74. かごめ: …………
  75. 「次は、青火野~、青火野~」
  76. かごめ: (…もうすぐだ…)
  77. かごめ: 里見教授の友人・茅野さんから 持ち込まれた相談事…
  78. かごめ: 私と教授は話をしている内にこれを 「怪談騒ぎ」と呼ぶようになった
  79. 太助: …で、その怪談騒ぎの元と なっている伝来の妖怪譚だけど…
  80. 太助: 確かに茅野の住む「青火野」には そういう話が伝わっているらしい
  81. 太助: …いや、今では『伝わっていた』 というのが正しいようだが…
  82. かごめ: どういうことでしょうか?
  83. 太助: そもそも、文献に残されている ようなものではなかったようで…
  84. 太助: ほぼすべて、口伝によって 話が受け継がれてきたらしい
  85. 太助: しかし、茅野の親世代あたりから 受け継ぐ者が減ってしまい…
  86. 太助: 今ではわずかな古老が 知るのみだということだ
  87. かごめ: うーん…そんな状況なのに なぜ今になって…?
  88. 太助: それが、どうも違った内容で 流布しているようなんだ
  89. 太助: 今の青火野で最も噂されている 怪談というのは…
  90. 太助: 『青火野へ来たよそ者は この世ならざる者にかどわかされ 煙のように存在を消す』
  91. 太助: とかなんとかで…
  92. 太助: 茅野が伝来の怪談に詳しい 古老に聞いたが
  93. 太助: そんな話は知らないと 言っていたそうだ
  94. かごめ: つまり…伝言ゲームみたいな ことが起きたということですか?
  95. 太助: そうだね…
  96. 太助: 誰かが怪談話をどこからか 聞きつけ、ネットに流布した…
  97. 太助: それが回る内にアレンジされ 原型を留めなくなった…
  98. 太助: あくまで推測でしかないが 可能性としてはゼロではない…
  99. 太助: それに、実際に行方不明事件も 青火野では起きているんだ
  100. かごめ: え…?
  101. 太助: その事実が噂に 拍車をかけたみたいだね…
  102. かごめ: (…とはいっても…)
  103. かごめ: (日本では毎年8万人もいる 行方不明者が)
  104. かごめ: (みんな怪異のせいで いなくなったとは思えない)
  105. かごめ: (…でも逆に…)
  106. かごめ: (それがぜんぶ怪異のせいだって 言えなくもないんだよね…)
  107. かごめ: (だって、この世界には “魔女”がいるから…)
  108. かごめ: (だから、私は…)
  109. かごめ: …その件…
  110. かごめ: 私に調査させてくれませんか?
  111. 太助: えぇ!?
  112. 太助: 調査って…私はただ 噂を解消するヒントを…
  113. かごめ: 実際に現地に赴いて噂の真相を 徹底的に調べ上げてきます
  114. かごめ: やっぱり、噂に尾ひれがついて 出回っただけの話だと思いますし
  115. かごめ: そのことをちゃんと発信すれば 怪談騒ぎも収まると思うんです
  116. 太助: …ううむ…
  117. かごめ: こういう取材をすることで 自分の経験にもなります
  118. かごめ: だから、できれば私にやらせて もらいたいなぁと…
  119. 太助: …………
  120. 太助: …何か他に、狙いが あったりしないかい?
  121. かごめ: えっ…!?
  122. 太助: …もしかして…
  123. 太助: 行方不明者の事件に 魔女が絡んでいる…とか?
  124. かごめ: そ、それは…!
  125. 太助: 魔女の存在…つまり そこに魔法少女が関わっている
  126. 太助: だから取材したい…
  127. かごめ: …………
  128. 太助: …図星みたいだね
  129. かごめ: …でも、魔女を知る 私たちにとってその可能性は…!
  130. 太助: …そうだね そのファクターを見落としてたよ
  131. 太助: そうなると 私の出番はない、か…
  132. かごめ: …………
  133. 太助: …しかし、魔女が絡んでいない 可能性もあるからね…
  134. 太助: まずは私が調べるつもりだよ
  135. かごめ: え?教授だけで…!?
  136. 太助: こんな話、君にしてしまったのは 本当にうかつだった…
  137. 太助: そもそも、私に持ち掛けられた 相談事だから、責任は私が…!
  138. かごめ: いえ、危険です…! ここは魔法少女である私が…!
  139. 那由他: ずいぶん賑やかですけど 何の話をしているんですの?
  140. かごめ&太助: あ…
  141. かごめ: (…ということで…)
  142. 那由他: 青火野というのは どういうところですの?
  143. 太助: 海も山もある 自然豊かな土地だよ
  144. ラビ: 遊びではないということで 水着は持ってきていません
  145. 那由他: うーん、仕方ないですの…
  146. かごめ: …………
  147. かごめ: 話を聞いていた那由他さんに 『だったら、みんなで行けばいいんですの!』 と提案された教授は
  148. かごめ: 娘を危険にさらすかもしれないと とても渋っていたけど らちがあかなくて根負け
  149. かごめ: 私も強く反対する理由もないので 那由他さんも一緒に行くことになった
  150. かごめ: そしてさらにもうひとり…
  151. かごめ: …………
  152. ラビ: …?どうかしましたか?
  153. かごめ: い、いえ、なんでも…
  154. かごめ: 那由他さんから話を聞き 一も二もなく同行を決めた氷室さん…
  155. かごめ: (…これってなんだか…)
  156. かごめ: (教授の家の夏休み旅行に 私がついてきたみたい…)
  157. かごめ: (…ま、まあ、とにかく! 肝心なのは調査だから…!)
  158. かごめ: (青火野に魔法少女の 足跡があるなら…)
  159. かごめ: (それを記録するのが 私のやるべきこと…!)
  160. 「間もなく、青火野~、青火野~」
  161.  
  162. FILENAME: text_519710-3_yvWxs.txt
  163. 太助: こんにちは~…
  164. 茅野: おお、里見!
  165. 太助: 茅野!お邪魔するよ
  166. 茅野: いや、こちらこそすまんな… わざわざ来てもらって…
  167. 茅野: こんなこと相談できるの お前しか浮かばなかったから…
  168. 太助: もうそれは言うな 気にするなよ
  169. 茅野: …で、そちらが…
  170. 太助: 娘の那由他だ
  171. 那由他: はじめましてですの
  172. 茅野: 話には聞いていたが… いやぁ、はじめまして!
  173. 太助: それから…
  174. ラビ: 氷室ラビです
  175. 太助: 主に那由他の面倒を 見てもらってる子だよ
  176. 茅野: …お手伝いさん… みたいなことか…?
  177. ラビ: そうお考え下さって 結構です
  178. 太助: それから、調査に協力してくれる 佐鳥かごめ君
  179. かごめ: よろしくお願いします…!
  180. 茅野: ありがとう…本当に! すまないね…
  181. 茅野: とにかく、ここまで来るのに 疲れただろ
  182. 茅野: さあ、部屋はこっちに 用意してるから
  183. かごめ: 部屋に荷物を置いて 私たちは改めて状況を確認
  184. かごめ: そして最初におこなったのは 青火野がどういう所か 自分たちの足で見て回ることだった
  185. 太助: ふむ…
  186. 太助: 茅野の民宿周辺は 多少民家や商店もあったが…
  187. かごめ: こっちはまばらですね
  188. 那由他: 今、どこへ 向かっているんですの?
  189. ラビ: 海の方向です 間もなく海水浴場が…
  190. ???の声: 「んんんんんんんん!!」
  191. 那由他: な、なんですの!? 今の声にならない悲鳴は…!
  192. 太助: 海の方から聞こえたね…!
  193. ラビ: 例の怪談騒ぎの連中でしょうか? それとも…
  194. かごめ: と、とにかく 行ってみましょう!
  195. ???の声: 「ひいいぃ!」
  196. 那由他: これは悲鳴…なんですの?
  197. 太助: …あそこか?
  198. ミユリ: うううう~! 眩しすぎます!
  199. ミユリ: 燦様のおみ足は~!
  200. 燦: だから大きな声を出さないで! 恥ずかしい…!
  201. かごめ: あ、あれ…!?
  202. 燦: …ん?
  203. ミユリ: これはこれは 見覚えある顔が…?
  204. かごめ: 神楽さんに遊狩さん!?
  205. 那由他: まあ!
  206. ラビ: (ネオマギウスの…)
  207. 太助: 驚いたな…!
  208. かごめ: どうしてここに…?
  209. 燦: あなたたちこそ…!
  210. ミユリ: 燦様!動かないでください! お、おみ足がぁ…!
  211. 燦: …あのね、ミユ ここはそんなリアクション…
  212. ミユリ: わ、わざとじゃないんです! どうしても本能的に反応を…!
  213. 燦: だから…!
  214. ミユリ: ふぬぬぬぬ…!
  215. かごめ: 落ち着いて、遊狩さん!
  216. かごめ: このようなやり取りが しばらく続いているうちに…
  217. ラビ: いつまでやってるんでしょうか…
  218. 太助: ある意味、すごいね… 情熱的とも言えるよ…
  219. ミユリ: すみません、燦様…! そろそろ気持ちを落ち着かせて…
  220. 燦: …ホント、いい加減に…
  221. かごめ: あれ…? どうしました、那由他さん?
  222. 那由他: ちょっと、気分が…
  223. 那由他: うーん…
  224. 太助: な、那由他!?
  225. ラビ: いけない…! もしかして、熱中症に…!?
  226. 燦: …どうしたの!?
  227. ミユリ: …ふぇ?
  228. かごめ: た、大変…! 急いで宿に…!
  229.  
  230. FILENAME: text_519710-4_yvWxs.txt
  231. 太助: 那由他…
  232. ラビ: ご気分は?
  233. 那由他: …大丈夫… もう落ち着いたんですの…
  234. 那由他: ごめんなさい… 到着早々に迷惑を…
  235. かごめ: そんなことないですよ!
  236. 燦: そうよ
  237. 燦: そもそもミユが理性を欠いて 話が進まなかったせいなんだから
  238. ミユリ: も、申し訳ないです! 燦様のおみ足が強烈すぎて…
  239. かごめ: もう落ち着いたんですか…?
  240. ミユリ: そ、それはもう! 冷や水をぶっかけられたように!
  241. かごめ: あの、聞きそびれましたが どうしておふたりは青火野に…?
  242. 燦: ああ、そういえば…
  243. 燦: この青火野と、私の地元の光塚は 縁があってね
  244. 燦: 光塚で祀っている神様が こっちにも分祀されているの
  245. 燦: だから、お祭りのルーツも 同じでね
  246. 燦: 例年、お互いの祭事を 手伝っているのよ
  247. かごめ: 光塚のお祭りっていうと あの…
  248. 燦: 「火祭り」ね
  249. 太助: なるほど…
  250. 太助: 『青火野』という地名にも 『火』が入っているしね
  251. かごめ: …では、遊狩さんは…?
  252. ミユリ: 手伝いです
  253. 燦: ちょっと人手が足りなくてね ただし…
  254. 燦: その条件が 「海で一緒に遊ぶ」だったのよ
  255. かごめ: …あ、それって…
  256. ミユリ: い、いやいや!燦様のおみ足を 一目拝もうと思ってとかそんな!
  257. ラビ: 自白してますね
  258. ミユリ: ひぃ!つい本音が!
  259. 燦: …まあそんな魂胆は 見え透いてたけど…
  260. 燦: で、その約束を果たしていた ところにあなたたちが…
  261. 燦: そっちはどういう理由で?
  262. かごめ: …話してもいいですか?
  263. 太助: ああ、構わないよ
  264. かごめ: では…
  265. 燦: 怪談騒ぎの調査ね…
  266. かごめ: そうなんです
  267. 太助: そういう話、聞いたことは?
  268. 燦: ええ、聞いてますよ
  269. ミユリ: 青い炎の…ってやつですね
  270. 燦: まあ、そうだけど… その話はねぇ…
  271. かごめ: え?
  272. ミユリ: 神隠しの話ですよね?
  273. 太助: 『この土地へ来たよそ者は…』の 話かい?
  274. 燦: そうですね
  275. 燦: 私たち、お祭りの運営をしている 青火野の町内会の人に聞いて…
  276. 燦: その、例の神隠しの話を…
  277. ミユリ: しかもその人 目撃したっていうんです!
  278. 太助: ええっ!?神隠しの現場を… ということかい!?
  279. ミユリ: 青い炎がポウッと浮かんで それに導かれてどこかに…
  280. ミユリ: …っていう感じらしいです!
  281. 燦: その人はお化けでも見たと 思って怖くなり逃げたそうですが
  282. 燦: 次の日、旅行者がひとり 行方不明になったそうで…
  283. 太助: 目撃者がいたとは…
  284. 燦: ただ、『青い炎』っていうのが どうにもマズくて…
  285. 燦: 火祭りのイメージダウンに 繋がりかねないという話になって
  286. 燦: 内々の話で抑えていたんです
  287. ミユリ: でもでも、こっちの人は みんなその話は知っていたので
  288. ミユリ: ミユたちにも自然と 伝わって来たんですよね
  289. かごめ: そうだったんですか…
  290. 太助: こうなると、次にやることは おのずと決まったね
  291. かごめ: 聴き取り、ですね
  292. 太助: ああ…
  293. 那由他: で、では、早速…
  294. 那由他: …ああ…
  295. 太助: 那由他! まだ無理をしちゃいけない
  296. ラビ: そうです 今は安静にしていてください
  297. 那由他: …申し訳ないですの…
  298. かごめ: おふたりは那由他さんを 看病していてください
  299. かごめ: まずは私ひとりで 聞いて回りますから
  300. 太助: 気持ちは有り難いけど ひとりで平気かい?
  301. かごめ: 大丈夫です 話を聞いてくるだけです
  302. 太助: …………
  303. 太助: …そうか…すまないね…
  304. かごめ: 氷室さんも、那由他さんの お世話を…
  305. ラビ: 承知しています
  306. 那由他: かごめさん…私…
  307. かごめ: ゆっくり休んでください
  308. 那由他: …ありがとうございます…
  309. かごめ: さて、では…
  310. 燦: 待って
  311. かごめ: …はい?
  312. 燦: 私たちも手伝うわ
  313. かごめ: え!?
  314.  
  315. FILENAME: text_519710-5_yvWxs.txt
  316. 燦: 待って
  317. かごめ: …はい?
  318. 燦: 私たちも手伝うわ
  319. かごめ: え!?
  320. 燦: どう考えても、こんなことに なってしまった原因は私たち…
  321. 燦: …でしょ?ミユ
  322. ミユリ: お、おっしゃる通りで…
  323. 燦: 彼女の体調は治せないから
  324. 燦: せめて、罪滅ぼしとして 調査を手伝わせてちょうだい
  325. ミユリ: お願いします!
  326. かごめ: いや、でも…
  327. ミユリ: どうかひとつ!
  328. かごめ: …え、え~…?
  329. かごめ: …ということで…
  330. 燦: あの辺の人に聞いてみる?
  331. かごめ: あ、はい、そうですね
  332. ミユリ: さ、燦様…
  333. 燦: 挙動不審にならないでね、ミユ
  334. ミユリ: ももももちろん!
  335. かごめ: おふたり…とりわけ神楽さんに協力してもらって 青火野にいる人たちに聴き取りをしてみた
  336. かごめ: でも、大半の人が怪談騒ぎの表面しか知らなくて 有益な情報は得られなかった
  337. かごめ: じゃあ、今まで得た 情報を整理してみましょう
  338. 燦: そうね…まず…
  339. 燦: 『地元の人たちは怪談話で 迷惑している』かしら
  340. かごめ: はい、改めての話ですが とにかくハッキリしてました
  341. ミユリ: その辺の愚痴というか 苦労話がすぐ出てきましたね…
  342. かごめ: ただ、話の出元はやはり…
  343. 燦: うん…どうにも不透明ね…
  344. かごめ: 土台となっているかもしれない 青火野の妖怪話も…
  345. ミユリ: わずかに知っている人でも 中身はおぼろげでしたね…
  346. 燦: 結局、怪談騒ぎを解消するために 有効だと考えられるのは
  347. 燦: “噂話を解消すること”かしら
  348. 燦: 『これこれこういう妖怪伝説が 元ネタでそれが変化して…』
  349. 燦: って、説明するしかなさそうね
  350. かごめ: でも、怪談騒ぎが起きた要因は 他にもあるような気がしますし
  351. かごめ: そこに目をつぶって 選択肢を狭めるのは避けたいです
  352. かごめ: ただ、現時点で集めた 情報では糸口もつかめてません…
  353. ミユリ: まだまだ大変そうですねぇ…
  354. かごめ: 正直、少々行き詰ってます
  355. かごめ: なので…ここは別の視点からも 調査をしていきたいです
  356. 燦: 別の視点…それってまさか…
  357. かごめ: はい…
  358. かごめ: 魔法少女としての視点…
  359. 燦: 魔女の関与があるのでは… という線ね
  360. 燦: そうね…
  361. かごめ: …アルちゃん…
  362. かごめ: どんなに小さなことでもいいから 情報を集めてきて…!
  363. アルちゃん: <わかった、かごめちゃん!>
  364. かごめ: お願いね…!
  365.  
  366. FILENAME: text_519710-6_yvWxs.txt
  367. かごめ: どんなに小さなことでもいいから 情報を集めてきて…!
  368. アルちゃん: <わかった、かごめちゃん!>
  369. かごめ: お願いね…!
  370. かごめ: こうしてアルちゃんたちが 青火野の各地へ飛び散ってから 1時間後のこと…
  371. アルちゃん: <ただいま!>
  372. かごめ: どうだった!?
  373. アルちゃん: <あったよ、魔力の反応!>
  374. かごめ: ホントに!?
  375. 燦: 案内してくれる?
  376. アルちゃん: <ここから近くにある林だよ!>
  377. ミユリ: …やっぱり魔女が…
  378. 燦: その可能性は極めて高そうね…
  379. かごめ: …行ってみましょう!
  380. 燦: ちょっと待って
  381. かごめ: すぐに行かないと せっかくの手がかりが…!
  382. 燦: 旅館で待っている人たちに 報せは入れておいた方がいいわ
  383. かごめ: …あ… そうでした…
  384. 燦: ここは連絡も入れつつ 痕跡を追うべきよ
  385. ミユリ: (さすが燦様…!クール!)
  386. 燦: …ということで、ミユ ちょっと旅館まで行ってくれる?
  387. ミユリ: あ、りょ、了解です!
  388. 燦: それでいい? 佐鳥さん
  389. かごめ: …すみません ありがとうございます
  390. 燦: いいのよ
  391. 燦: そもそも、この青火野に 魔女がいるなんて…
  392. 燦: その影響で火祭りの実施にも 支障をきたすかもしれないし
  393. 燦: …じゃあ、行きましょう
  394. かごめ: はい!
  395. 燦: ミユ、頼んだわよ
  396. ミユリ: お任せを!
  397. かごめ: 私たちは二手に別れ、遊狩さんは旅館へ そして、私と神楽さんは魔力反応があったという 林へと向かった
  398. かごめ: …ここ…
  399. 燦: 確かに…かすかではあるけど 魔力を感じるわね…
  400. かごめ: ですね…
  401. かごめ: もう少し奥でしょうか?
  402. 燦: おそらくは…
  403. かごめ: …あれ?
  404. かごめ: 見てください!
  405. 燦: 青い炎…!? 私が聞いた話と同じ…!
  406. かごめ: 追うしか…
  407. 燦: ないわね… 明らかに誘っているけど…
  408. かごめ: でも、ようやく掴んだ尻尾を 手放すのは…
  409. 燦: …………
  410. 燦: …仕方ないわね
  411. かごめ: 近づくと青い炎は消えて別の場所に現れ その都度、私たちは追跡した
  412. かごめ: そして行き着いたのは…
  413. かごめ: …ここは…泉…?
  414. 燦: 魔力の反応が一段と強い…
  415. かごめ: 炎も泉の上で燃えてます
  416. かごめ: 消えた!?
  417. 燦: ここが終着点みたいね…! 身構えて!
  418. かごめ: はい!
  419. 燦: …くっ!
  420. かごめ: 泉に…引き込まれる…!?
  421. 燦: …結界!
  422.  
  423. FILENAME: text_519710-7_yvWxs.txt
  424. かごめ: …………
  425. かごめ: 「…ん…んん…」
  426. かごめ: 「…あれ?…波の…音…?」
  427. かごめ: …………
  428. かごめ: …ここは…海…?
  429. かごめ: (どうしてこんなところに…?)
  430. かごめ: (確か私、泉の中に 引きずり込まれて…)
  431. かごめ: …神楽さん…
  432. かごめ: …神楽さん! 神楽さん!どこですか!?
  433. かごめ: 神楽…
  434. かごめ: …え…?
  435. かごめ: な、なになになに!?
  436. かごめ: (か、囲まれた…!)
  437. かごめ: (これ…どういうこと…? お、お化け…!?)
  438. かごめ: (…でも、どこか 見覚えのある顔…)
  439. 謎の少女: …………
  440. かごめ: …ひっ!
  441. 謎の少女: …………
  442. かごめ: …あ、あなた…誰!?
  443. かごめ: (何…!?この…感覚は…?)
  444. 謎の少女: …………
  445. かごめ: …え?何か言ってるの?
  446. 謎の少女: …………
  447. かごめ: わ、わからない… 聞こえないの!
  448. 謎の少女: …………
  449. かごめ: (ち、近づいてきた…!)
  450. 謎の少女: …………
  451. かごめ: ご、ごめんなさい! 聞こえなくて!どうしても!
  452. 謎の少女: …………!
  453. かごめ: 本当なの! あなたが何を言ってるのか…!
  454. 謎の少女: …………!
  455. かごめ: 聞こえないんですー!!
  456. かごめ: 「…はっ!」
  457. かごめ: 「…はぁ…はぁ…はぁ…」
  458. かごめ: 「…さっきの女の子は…!?」
  459. かごめ: 「…いない…!?」
  460. かごめ: 「…どういうことなの…?」
  461. かごめ: 「…夢?…幻?」
  462. かごめ: 「だとしたら、どこまでが現実で どこからが…」
  463. かごめ: …ええっ!?
  464. かごめ: この格好…な、何…!?
  465. かごめ: …へ…?
  466. かごめ: も、もしかして…
  467. かごめ: アルちゃん!?
  468. 杖アルちゃん: <…………>
  469.  
  470. FILENAME: text_519710-8_yvWxs.txt
  471. かごめ: はぁ…
  472. かごめ: (いったい全体 何が起きたの…?)
  473. かごめ: (まず私のこの格好…)
  474. かごめ: (それに、杖になっちゃった アルちゃん…)
  475. 杖アルちゃん: <…………>
  476. かごめ: (言葉も話せないみたい…)
  477. かごめ: …………
  478. かごめ: 私、どうなっちゃったんだろう…
  479. かごめ: (神楽さんも見当たらないし…)
  480. かごめ: …うーん…
  481. かごめ: (この状況から 考えられることって…)
  482. かごめ: (例えば、私はまだ結界にいて 幻覚を見せられているとか…)
  483. かごめ: (それが魔女の攻撃…?)
  484. かごめ: (もしくは、結界を出て 青火野の海辺に戻って来た…?
  485. かごめ: (でも、それはそれでどうやって 戻ってきたかわからない…)
  486. かごめ: (そして、この姿でしょ…?)
  487. かごめ: (…ダメ… わからないことだらけ…)
  488. かごめ: …………
  489. かごめ: …ただ、ここに居ても意味はない
  490. かごめ: (何事もまずは取材… そして事実を明らかに…!)
  491. かごめ: …よし…
  492. かごめ: (旅館が…ある…)
  493. かごめ: …あ…!
  494. かごめ: 茅野さん!すみません!
  495. 茅野: …………
  496. かごめ: あ、あの、教授たちは 部屋にいらっしゃいます…よね?
  497. 茅野: …………
  498. かごめ: …あの~…茅野さん…?
  499. 茅野: …………
  500. 茅野: …あああああああああ!
  501. かごめ: えええええっ!?
  502.  
  503. FILENAME: text_519710-9_yvWxs.txt
  504. かごめ: …あの~…茅野さん…?
  505. 茅野: …………
  506. 茅野: …あああああああああ!
  507. かごめ: えええええっ!?
  508. 茅野: ううううううう!
  509. かごめ: ちょ、ちょっと! どうしちゃったんですか!
  510. 茅野: うぐ…うぐぉおおおお!
  511. かごめ: ひいいいいいー!
  512. かごめ: はぁ…はぁ…!
  513. かごめ: (こ、怖かった~!)
  514. かごめ: (どうしたの、茅野さ…)
  515. かごめ: …あ…
  516. かごめ: (慌てて入っちゃったけど ここ、自分の部屋じゃ…)
  517. 太助: …………
  518. かごめ: きょ、教授!
  519. かごめ: よかった、ここで 合ってたんだ…!
  520. かごめ: …あの、教授! 茅野さんの様子が…!
  521. 那由他: …………
  522. かごめ: …ああ、那由他さん! 体調は大丈夫ですか?
  523. ラビ: …………
  524. ミユリ: …………
  525. かごめ: 氷室さんに遊狩さんも…
  526. 燦: …………
  527. かごめ: …神楽さんも 戻ってきていたんですね…
  528. 太助: …………
  529. かごめ: …でも、あれ…? なんだか、皆さん、雰囲気が…
  530. 太助: うわぁぁぁぁぁぁ!
  531. かごめ: こ、こっちも~!
  532. かごめ: 誰か…誰か助けてー!
  533. かごめ: …!?アルちゃん…!?
  534.  
  535. FILENAME: text_519710-10_yvWxs.txt
  536. かごめ: 誰か…誰か助けてー!
  537. かごめ: …!?アルちゃん…!?
  538. かごめ: …あれ…?
  539. アルちゃん?: <…ぬり~…!>
  540. かごめ: これって…
  541. アルちゃん?: <かっぱ!>
  542. 太助: むぅぅぅぅぅぅ!
  543. アルちゃん?: <かさかさ~!>
  544. 那由他: うぐぅぅぅぅぅ!
  545. かごめ: 私のこと… 守ってくれているの…!?
  546. かごめ: (それに…心なしか みんなアルちゃん顔してる…?)
  547. アルちゃん?: <…カゴメ…チャン…>
  548. かごめ: …え!?
  549. アルちゃん?: <カゴメチャン…>
  550. かごめ: あなた、喋れるの!?
  551. アルちゃん?: <ニゲテ…カゴメチャン…>
  552. かごめ: 逃げて…って言ってるの!?
  553. ラビ: ぐるぅぅぅぅぅ!
  554. アルちゃん?: <ハヤク…ハヤク…>
  555. ミユリ: アシィィィィィ!
  556. 燦: マツリェェェェ!
  557. かごめ: わ、わかった!
  558. 太助: ウゴルァァァァ!
  559. かごめ: ふぅ…ふぅ…
  560. かごめ: …に、逃げ切れた…!?
  561. かごめ: …あ!
  562. かごめ: みんなも無事だったんだね!
  563. アルちゃん?: <ぬりぬり~!>
  564. かごめ: さっきはありがとう!
  565. かごめ: 私のこと 守ってくれたんだよね!
  566. アルちゃん?: <かっぱっぱ!>
  567. かごめ: (…何を言ってるか わからないけど…)
  568. かごめ: とにかく 助かってよかった…
  569. アルちゃん?: <カゴメチャン…>
  570. かごめ: あ!喋れるあなた!
  571. かごめ: 今ってどういう状況なの!? お願い、教えて!
  572. アルちゃん?: <…カゴメチャン…>
  573. かごめ: うん!
  574. アルちゃん?: <…アノネ…>
  575. かごめ: うんうん!
  576. アルちゃん?: <…ゴメン… ヨクワカンナイ…>
  577. かごめ: …………
  578. かごめ: …えーっ!?
  579. [Part 1 end]
  580. ---
  581. [Part 2 start]
  582. FILENAME: text_519720-1_2csyG.txt
  583. かごめ: 今ってどういう状況なの!? お願い、教えて!
  584. アルちゃん?: <…カゴメチャン…>
  585. かごめ: うん!
  586. アルちゃん?: <…アノネ…>
  587. かごめ: うんうん!
  588. アルちゃん?: <…ゴメン… ヨクワカンナイ…>
  589. かごめ: …………
  590. かごめ: …えーっ!?
  591. アルちゃん?: <…ショボン…>
  592. かごめ: …あ、大丈夫だよ! そんな落ち込まないで…!
  593. かごめ: 知らないのなら しょうがないもんね…
  594. かごめ: …じゃあ、あなたたちの ことを教えて
  595. かごめ: あなたたちって アルちゃんなの…?
  596. アルちゃん?: <…タブン…>
  597. アルちゃん?: <カオ、オナジダシ…>
  598. かごめ: 自分たちのことも よくわからないの…?
  599. アルちゃん?: <…ショボン…>
  600. かごめ: ああ、ごめんね…!
  601. かごめ: …つまり、何がなんだか よくわからないってことね…
  602. アルちゃん?: <ソウイウコト>
  603. かごめ: うーん…
  604. アルちゃん?: <ヒトツダケワカル>
  605. かごめ: え?何が!?
  606. アルちゃん?: <ココ、アブナイ>
  607. アルちゃん?: <ハヤクニゲナイト>
  608. かごめ: ここ?この海も…!?
  609. アルちゃん?: <チガウヨ、ゼンブ>
  610. かごめ: 全部…? …ここら辺一帯が…ってこと?
  611. アルちゃん?: <ゼンブ…ゼンブ…>
  612. アルちゃん?: <ア…キタ…>
  613. かごめ: …キタ?
  614. 太助: うぐぅぅぅぅ…
  615. かごめ: き、来てるぅぅぅ~!
  616. 太助: ぐおおおおおお!
  617. かごめ: どうすれば…!?
  618. かごめ: …あ!杖のアルちゃんが…
  619. アルちゃん?: <ヒカリ…カンジル…>
  620. かごめ: ヒカリ…光…? …を…感じる?
  621. かごめ: (…アルちゃんの光 どこかを指してる…!?)
  622. かごめ: つまり…この光を感じて…
  623. 太助: ごあぁっ!
  624. かごめ: …行くしかない!
  625. かごめ: ど、どこまで行けばいいの!?
  626. アルちゃん?: <カンジル…モウスグ…>
  627. かごめ: 光は…!
  628. かごめ: …どこまで…!
  629. かごめ: …………
  630. かごめ: …あれ?…ここは…?
  631. 太助: …………
  632. かごめ: …………
  633. かごめ: きゃぁぁぁぁっ!
  634.  
  635. FILENAME: text_519720-2_2csyG.txt
  636. かごめ: …あれ?…ここは…?
  637. 太助: …………
  638. かごめ: …………
  639. かごめ: きゃぁぁぁぁっ!
  640. 太助: うわぁぁっ!
  641. 燦: 大丈夫よ!落ち着いて!
  642. かごめ: …え?え?え?
  643. かごめ: …ちゃんと…喋ってる…?
  644. 那由他: ど…どういうことですの?
  645. ラビ: 何を見てきたのですか?
  646. 燦: とにかく、水でも飲んで 呼吸を整えなさい
  647. ミユリ: ど、どうぞ!
  648. かごめ: ありが…とう…
  649. かごめ: …ふぅ…
  650. 燦: …どう?
  651. かごめ: …皆さん… 普通…ということですよね…?
  652. 太助: 特に変わりはないよ
  653. 太助: 那由他の体調が 戻ったくらいかな
  654. 那由他: そうですの ご心配おかけしたんですの
  655. かごめ: …………
  656. かごめ: …よかった~… 元に戻って…
  657. かごめ: …あああああ! この格好…!
  658. 燦: 戻ってきた時から ずっとそのままよ
  659. かごめ: …戻って…?
  660. ミユリ: それに、皆さんも…
  661. かごめ: …まさか…
  662. アルちゃん: <ヨカッタネ、カゴメチャン>
  663. かごめ: み、みんな…!
  664. かごめ: これってどういう…!?
  665. 太助: それについては これから答え合わせをしよう
  666. 太助: まず一致しているのは
  667. 太助: かごめ君と神楽君が 林に向かったところまでだね
  668. かごめ: …え?あ、は、はい 確かにそれは…
  669. かごめ: …それで、あの時…
  670. かごめ: …あれ?
  671. かごめ: 見てください!
  672. 燦: 青い炎…!? 私が聞いた話と同じ…!
  673. かごめ: …神楽さんと青い炎を 一緒に目撃して…
  674. 燦: 青い炎…!?やっぱり…
  675. 燦: あなた、それを見たのね!?
  676. かごめ: は、はい…ですから一緒に…
  677. 燦: …私は見ていないわ
  678. かごめ: …え…?
  679. 燦: …なるほど… そういうことなのね…
  680. かごめ: …ど、どういうことなんですか?
  681. 燦: …林に着いた時点で…
  682. 燦: あなたの姿が消えていたの
  683. かごめ: …私が…!?
  684.  
  685. FILENAME: text_519720-3_2csyG.txt
  686. 燦: …林に着いた時点で…
  687. 燦: あなたの姿が消えていたの
  688. かごめ: …私が…!?
  689. 燦: そう…
  690. かごめ: …ここ…
  691. 燦: 確かに…かすかではあるけど 魔力を感じるわね…
  692. かごめ: ですね…
  693. かごめ: もう少し奥でしょうか?
  694. 燦: おそらくは…
  695. かごめ: …あれ?
  696. 燦: どうしたの?
  697. 燦: …え…?
  698. 燦: 佐鳥さん…?
  699. 燦: (いない…!?)
  700. 燦: 佐鳥さん…! どこなの?佐鳥さん!
  701. 燦: あなたは私の側から こつぜんと姿を消してしまった…
  702. かごめ: そうだったんですか…
  703. 燦: 青い炎を見て あなたはどうしたの?
  704. かごめ: 神楽さんと一緒に炎に近づくと 消えて…また離れた所で灯って…
  705. 燦: …そうやってあなたは、 もうひとりの私と追いかけたのね
  706. かごめ: はい…それで追いかけた先に 泉があったんです…
  707. 太助: …泉…!
  708. かごめ: そこは魔力反応がひと際強くて 結界の入り口だと思いました…
  709. かごめ: そしたら、何か強い力で 泉に引き込まれて
  710. かごめ: …気づけば海辺で倒れていました
  711. かごめ: …あ、そう…!それから…
  712. 謎の少女: …………
  713. かごめ: …ひっ!
  714. 謎の少女: …………
  715. かごめ: …あ、あなた…誰!?
  716. かごめ: 女の子を見ました…!
  717. 太助: 女の子…!
  718. かごめ: ただ…暗くて 顔もあまり見えなくて…
  719. かごめ: 何か喋っていたんですけど それもよく聞こえずで…
  720. 太助: …そうか…
  721. かごめ: また目が覚めたときには 女の子もいなくなっていて…
  722. かごめ: 夢なのかなんなのか もう全然わからなくなって…
  723. かごめ: ふと自分を見ると… こんな格好に…!
  724. かごめ: 私はそのあとの騒動も一通り 教授たちに伝えた…
  725. 那由他: …それじゃまるで 私たち、ゾンビですの…!
  726. ラビ: 腐ってはないようですが…
  727. 燦: ミユは足に対して ゾンビみたいなものよ
  728. ミユリ: そんなぁ!
  729. 太助: ところで、君の見た 姿を変えた…
  730. かごめ: アルちゃん、です
  731. 太助: そのアルちゃんたちだけど…
  732. 太助: アマビエ…に似てる…かな?
  733. かごめ: アマビエ…?
  734. 太助: 今、携帯で画像を検索するよ えーと…
  735. 太助: これだね
  736. かごめ: …あ、似てますね!
  737. 太助: …では、他のアルちゃんも… これとかこれとか…
  738. かごめ: そ、そうですね…!
  739. 太助: …なるほど…
  740. 太助: …いや、実はこれらの妖怪は…
  741. 太助: 青火野に伝わる妖怪伝説の 妖怪たちなんだ…
  742.  
  743. FILENAME: text_519720-4_2csyG.txt
  744. 太助: …いや、実はこれらの妖怪は…
  745. 太助: 青火野に伝わる妖怪伝説の 妖怪たちなんだ…
  746. かごめ: 青火野の…妖怪伝説…!?
  747. かごめ: それって怪談騒ぎの 元となった…
  748. 太助: そうだね
  749. 太助: …だが、元ネタになったか どうかはあくまで推測にすぎない
  750. 太助: 今回は、その真相も含めた 調査だったからね
  751. かごめ: …そ、そうでした…
  752. 太助: では、次は私たちが説明するよ どうやって君と再会できたのかを
  753. かごめ: …お願いします!
  754. 燦: まず、林であなたを見失った 私は、一度宿に戻った…
  755. 太助: かごめ君が…!?
  756. 燦: はい…
  757. 燦: 申し訳ありません… 私がついていながら…
  758. ミユリ: 燦様…
  759. 太助: ともかく その林に行こう!
  760. 燦: 教授には危険です! 魔力の反応は確かにありました
  761. 那由他: では、私が行きますの!
  762. 太助: しかし、那由他は体調が…
  763. 那由他: もう大丈夫ですの! この通りですの!
  764. ラビ: この通りと言われても パッと見ではわかりませんが…
  765. 那由他: 本当に大丈夫ですの!
  766. 太助: …………
  767. 太助: すまない那由他…
  768. 太助: 今はかごめ君の 安否がかかっている…
  769. 那由他: ええ…四の五の言っては いられないですの!
  770. ラビ: …私が必ずお守りします
  771. 太助: ラビ…
  772. 燦: 教授はここで 待っていてください
  773. 太助: …いや、じっとはしていられない 私は私のできることをしよう
  774. 太助: この怪談騒ぎに魔女や魔法少女が 関与している恐れがあるなら
  775. 太助: 怪談の調査を続けることこそが 新たな事実に繋がるかもしれない
  776. 太助: だから、 私はその線から追っていく
  777. 燦: わかりました では、林の方は私たちが…!
  778. 太助: 頼んだよ!
  779. 太助: …無事でいてくれ…かごめ君…!
  780.  
  781. FILENAME: text_519720-5_2csyG.txt
  782. 太助: こうして、私たちは 君を捜すことになったんだ
  783. かごめ: …すみません、ご迷惑を…
  784. 太助: いや、元を辿れば すべて私の責任なんだ…
  785. 太助: 私が君に青火野の件を 話さなければ…
  786. 燦: 教授…続きを説明しても 構いませんか?
  787. 太助: ああ、お願いするよ…
  788. 燦: まず、林に到着した私たちは 2組に分かれてあなたを捜し
  789. 燦: わずかだけど、あなたの魔力を 確かに感じとったのよ
  790. 燦: だけど、どこを捜しても 見つからなかった…
  791. 太助: 一方で私の方は 茅野の知り合いを通じて
  792. 太助: 妖怪伝説を知っているという 老人を紹介してもらったんだ
  793. かごめ: そういう方が 見つかったんですね…!
  794. 太助: 方々に連絡してどうにかね
  795. 太助: そこで、老人からいくつかの 妖怪伝説を聞いたが…
  796. 太助: そこで出てきた妖怪というのが…
  797. 太助: 河童…
  798. 太助: 提灯お化け、一反木綿…
  799. 太助: ぬっぺふほふ…
  800. 太助: 唐傘お化け…
  801. 太助: ぬりかべ…
  802. 太助: そしてアマビエ…
  803. 太助: 先ほど私が君に見せた妖怪たちだ
  804. かごめ: つ、つまりアルちゃんたちが 青火野の妖怪になった、と…!?
  805. 太助: 私はそう思う…
  806. 太助: というのも、そう思わせる 別の情報も得たからなんだ
  807. かごめ: 別の…?それは…?
  808. 太助: 以前、妖怪伝説を教えてほしいと 訪ねてきた人物がいたそうでね
  809. 太助: 老人いわく少女だったそうだ 名前までは覚えていなかったが…
  810. かごめ: 少女…!
  811. 太助: …その子は“異界”について 並々ならぬ興味があったらしく
  812. 太助: 『違う世界へ行ってみたい』 とも言っていたらしい…
  813. 太助: そのことは印象的で 老人も覚えていたそうだ
  814. 太助: それに、その少女は 火祭りについても調べていた
  815. 太助: 妖怪と火祭りに関係性はあるのか 訊ねられたと言っていたよ
  816. かごめ: 関係があるんですか…?
  817. 燦: 私も初めて知ったんだけど…
  818. 燦: 火祭りには死者や この世のものでない者たちを
  819. 燦: 導き、慰めるという 役割もあったらしいの
  820. 燦: 今ではいつの間にか 豊穣祈念になったそうだけどね
  821. 太助: 私は神楽君たちと合流してから こうした情報を整理して
  822. 太助: かごめ君を捜す上での 一助にしようとしたんだが
  823. 太助: どうにも核心を突くものにならず 君を見つけるには至らなかった…
  824. 太助: とはいえ、今のところ 材料はこれしかない…
  825. 太助: そこで、私は集めた情報を元に 推論を立てることにした
  826. かごめ: 推論…ですか
  827. 太助: 欠けているピースを推論で埋めて 仮説を導き出す
  828. 太助: それから次に確証を得る… 打てる手はそれしかなかった
  829. 太助: そして、その推論だが…
  830.  
  831. FILENAME: text_519720-6_2csyG.txt
  832. 太助: 欠けているピースを推論で埋めて 答えを導き出す
  833. 太助: それから次に確証を得る… 打てる手はそれしかなかった
  834. 太助: そして、その推論だが…
  835. 太助: 老人に話を聞きに来た少女を 魔法少女と設定したんだ
  836. かごめ: 設定…
  837. 太助: そして、取材で得た要素を 足していく…
  838. 太助: 老人いわく青い炎は火祭りの縁起 異界へと誘う現世にはない炎…
  839. 太助: ゆえに『青火野』という地名の 由来にもなっていたそうだ
  840. 燦: だから、結局火祭りと 青い炎は関連があったのよね…
  841. 太助: そして、 少女は火祭りも調べていた
  842. 太助: 怪談騒ぎにも青い炎の 目撃談がある…
  843. 太助: 推論だが、これらの事柄と 魔法少女が関係していたとする…
  844. 太助: …異界に興味があった少女が …魔女となってしまい結界を作り
  845. 太助: この地に縁のある怪談を元にした 怪談騒ぎを生んだなら…
  846. 太助: 魔力反応があり かごめ君が消えたあの林こそ
  847. 太助: 異界に憧れた少女の成れの果て… 魔女の結界が張ってある
  848. 太助: …と、そこまでは来たが しょせん『そこまで』でしかない
  849. 太助: 君を見つける手立てを 考えなければ…と
  850. 太助: …そこで神楽君から提案があった
  851. 燦: そう…林で火祭りの儀式を 執り行うっていうね
  852. かごめ: 火祭りの…儀式?
  853. ミユリ: 篝火の準備、できました!
  854. 那由他: こっちもOKですの!
  855. ラビ: いつでも
  856. 燦: うん…
  857. 燦: じゃあ、始めようか…!
  858. 燦: 青い炎は異界へ導く目印…
  859. 燦: でも、火祭りでの赤い炎は 異界から現世へ導く目印なの
  860. 燦: そうやってこの世のならざる者と 対話するというのが
  861. 燦: 火祭りの本来の役割だったみたい
  862. 太助: 老人から聞いた話で 神楽君が思いついたんだ
  863. 燦: そんなことをしても 何の意味もないのかもしれない…
  864. 燦: でも、何か起きるかもしれない
  865. 燦: 変化があるかもしれない…って
  866. 太助: だが、結果としては、倒れていた 君を発見することができた
  867. かごめ: そうだったんですか!? じゃあ、その儀式で私を…
  868. 燦: いや、儀式で結界を見つけたとか そういうのじゃないのよ
  869. 燦: あなたが結界から飛び出してきて 倒れたって言った方がいいわね
  870. かごめ: 私、確かに逃げてるときに 光を見たような気がします…!
  871. 燦: 怪異譚を模したような魔女だから 炎に反応したのかもしれない
  872. かごめ: それで、出口が示されて… そんなことが…
  873. 那由他: とにかく!
  874. 那由他: ここまでで2日も経っていたから とっても心配していたんですの!
  875. かごめ: え!? 2日も過ぎていたんですか…!?
  876. ラビ: はい、そうです
  877. かごめ: …そうだったんですか…
  878. かごめ: 皆さんに何とお礼を 言ったらいいか…
  879. 太助: お礼はいいよ むしろ感謝するのはこちらだよ
  880. 太助: 君は大事な情報を 持ち帰ってきてくれたからね
  881. かごめ: …それって…
  882. 太助: 『少女』と『アルちゃんたち』だ
  883. かごめ: …え?
  884. 太助: 君が会ったという少女… それに青火野の妖怪の姿をしたアルちゃん…
  885. 太助: 確証…とまではいかないが 私たちの得てきた情報と符合するところがある
  886. 太助: そこから考えれば 少女はそもそも魔法少女であり やがて魔女となって林に結界を作った
  887. 太助: そういう筋が立ってくる だが、わからないことも多い
  888. 太助: 結界内と思しき場所で 君の見た風景は現実のものだった それは魔女が見せた幻覚なのだろうか…?
  889. 太助: そして君の今の姿だが それも結界内で少女と会ったことで 起きた結果の変化なのか…
  890. 太助: 謎は謎のままだ…
  891. 燦: でも、これからやることは シンプルでしょ?
  892. ラビ: 魔女を倒すのは魔法少女の宿業…
  893. 那由他: 怪談騒ぎの原因かもしれないし 放ってはおけないですの…!
  894. かごめ: …ということは…
  895. 燦: うん…
  896. 燦: 決着を…つけないと
  897.  
  898. FILENAME: text_519720-7_2csyG.txt
  899. 燦: …大丈夫…?
  900. かごめ: はい…!
  901. 燦: あの時引き込まれたのは あなただけ…
  902. 燦: もう一度赴けば 連れていかれるかもしれない
  903. 燦: もちろん、あなただけじゃない 可能性もある
  904. 燦: それどころか、5人全員が 囚われる可能性だって…
  905. ミユリ: そうですね…
  906. ラビ: どちらにせよ、結界に入らないと 魔女と戦う機会はありません
  907. ラビ: 相手がどう出ようと その状況で対応するしか…
  908. 燦: …そうね… 覚悟を決めて飛び込むしかない
  909. かごめ: …わかりました…
  910. 那由他: 緊張ですの…
  911. ラビ: 落ち着いて戦いましょう
  912. ミユリ: 燦様…ついていきます!
  913. 燦: よし…
  914. 燦: 行こう…!
  915. かごめ: …………
  916. かごめ: 着きましたね…
  917. かごめ: …あれ!?
  918. かごめ: …また私だけ…!
  919. かごめ: (どうして私だけを狙うの…?)
  920. かごめ: …いや、今はここでそんなことを 考えている場合じゃない…
  921. かごめ: 前へ進まないと…!
  922. かごめ: そして私はまた…
  923. かごめ: …うっ…
  924. かごめ: …ここ…やっぱり同じ…
  925. かごめ: …だったら…
  926. 太助: ううううう~…
  927. かごめ: …だよね…
  928. 那由他: ぐぅぅぅぅ…
  929. ラビ: ごおあああ…
  930. 燦: あぐううう…
  931. ミユリ: アシィィィ…
  932. かごめ: …きっとみんな…偽者!
  933. かごめ: そうに違いない…! だから、戦わないと…!
  934. かごめ: 戦わ…ないと…
  935. 太助: があああああ!
  936. かごめ: …ダメ…!
  937. かごめ: (本当に偽者なの!? その確証はどこにもない…!)
  938. かごめ: (やはりここに囚われて操られた 教授たちなのかもしれない…!)
  939. かごめ: (迂闊に手を出したら 取り返しのつかないことにも!)
  940. かごめ: どうしたら…どうしたら…!
  941.  
  942. FILENAME: text_519720-8_2csyG.txt
  943. かごめ: どうしたら…どうしたら…!
  944. アマビエアルちゃん: <…ヒカリ…>
  945. アマビエアルちゃん: <ヒカリ…カンジル…>
  946. かごめ: え!?また…!?
  947. アマビエアルちゃん: <ヒカリ…>
  948. アマビエアルちゃん: <カゴメチャンノテカラ…>
  949. かごめ: 私の…!?
  950. かごめ: 杖の…アルちゃん…!
  951. アマビエアルちゃん: <ヒカリ…ミチビキ…>
  952. かごめ: 導き…?
  953. かごめ: …あっ!
  954. かごめ: …………
  955. かごめ: …あ、あなたは…!
  956. 謎の少女: …………
  957. かごめ: …聞こえない! また私には何も…!
  958. 謎の少女: …光…
  959. かごめ: …光!? 聞こえた!
  960. 謎の少女: …導きの光を…かざして…
  961. かごめ: 光を…かざす…
  962. 謎の少女: 異界の扉が…開く…
  963. かごめ: 異界の…扉…?
  964. 謎の少女: ……………
  965. かごめ: …はっ…!
  966. 太助: うおおるるるる!
  967. かごめ: 光をかざすと 異界の扉が開く…ということ?
  968. かごめ: 何がどうなるの…!?
  969. かごめ: 私…一体…
  970. アマビエアルちゃん: <カゴメチャン…>
  971. かごめ: アルちゃん…
  972. かごめ: …………
  973. かごめ: …ここは確証のない 謎ばかりの世界…
  974. かごめ: …真実を知るには…
  975. かごめ: 行動するしか…ない!
  976. かごめ: …行くよ、アルちゃん!
  977. かごめ: 導きの光…!
  978. かごめ: さあ、答えを教えて…!
  979.  
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  981. かごめ: 導きの光…!
  982. かごめ: さあ、答えを教えて…!
  983. 太助: …ごあああああ!
  984. かごめ: くっ…!
  985. かごめ: …………
  986. かごめ: …ここは…?
  987. 燦: 佐鳥さん!
  988. かごめ: 神楽さん…!?
  989. 那由他: よかったですの!
  990. ラビ: 一体、何があったのですか?
  991. ミユリ: ともかく無事そうで 良かったです~!
  992. かごめ: 皆さん…!
  993. 燦: あなた、何かをしたの!?
  994. かごめ: いや、あの、杖のアルちゃんが 光り出して…
  995. かごめ: それをこう、ピカーッと…
  996. 燦: …そうか、その光だったのね…!
  997. かごめ: …その光…?
  998. 燦: 林で、またあなただけ いなくなったの
  999. 燦: 腹は括ってたとはいえ その時はまたしくじったって…
  1000. 燦: とにかく、4人で林を 捜しまわっていたら…
  1001. 燦: どこからか光が差し込んできたの
  1002. 燦: そうしたら、いつの間にか この結界の中に入っていて…!
  1003. かごめ: 光…!
  1004. かごめ: 異界の扉を…開いたんだ…
  1005. 那由他: 異界の扉…? なんのことですの?
  1006. かごめ: それは…
  1007. …………
  1008. ラビ: その話は後にした方が よさそうです
  1009. 那由他: 何か出てきたんですの!
  1010. ミユリ: でも、この感じ… かって知ったるってやつです!
  1011. 燦: そうね…!
  1012. 燦: まだやれる?佐鳥さん
  1013. かごめ: はい! アルちゃんたちは…?
  1014. アマビエアルちゃん: <ダイジョウブ!>
  1015. かごめ: ありがとう…! じゃあ、みんな…
  1016. かごめ: …一緒に!
  1017.  
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  1019. 那由他: じゃあ、みんな…
  1020. 那由他: …一緒に!
  1021. 那由他: …って、勇ましかったですの~!
  1022. かごめ: ちょ、ちょっと やめてください、那由他さん!
  1023. ラビ: 確かに勇ましかったですね
  1024. かごめ: 氷室さんまで…!
  1025. 太助: 何はともあれ、全員無事に 帰ってきてよかったよ…
  1026. かごめ: 私たちは魔女との戦いに臨み…
  1027. かごめ: そして勝利した…!
  1028. かごめ: はぁ…はぁ…
  1029. かごめ: …帰って…これた…!
  1030. 燦: よし…!
  1031. ミユリ: 勝ちましたね!
  1032. 那由他: やったですの!
  1033. ラビ: しかし…危険な戦いでした
  1034. かごめ: …そうですね…
  1035. アマビエアルちゃん: <カゴメチャン…>
  1036. かごめ: ん…?どうしたの?
  1037. アマビエアルちゃん: <…サビシイケド…>
  1038. アマビエアルちゃん: <サヨウナラ…>
  1039. かごめ: …え?どういうこと…?
  1040. アマビエアルちゃん: <…………>
  1041. かごめ: …あ…!
  1042. アルちゃん: <かごめちゃん!>
  1043. かごめ: アルちゃん…! …いつもの…
  1044. アルちゃん: <…え?どういうこと?>
  1045. かごめ: …どういうことって どういうこと…?
  1046. かごめ: どうやらアルちゃんは 妖怪アルちゃんのことをまったく 覚えてない…というか、知らないらしい
  1047. かごめ: そのため、私があの状態に 変身した理由もわからずじまいとなった
  1048. ラビ: …ところで、あの始末で よかったのですか?
  1049. 太助: 『青火野には魔女がいました』 なんて言えないからねぇ
  1050. 太助: まず君たちが魔女を倒して 禍根は絶たれた
  1051. 太助: そして、老人から聞いた話は 私がまとめて茅野に渡した
  1052. 太助: 火祭りの縁起も添えてね
  1053. 太助: あとはそれを正しく発信して 広がっている噂を否定し続ける
  1054. 太助: 古くから伝わる話が広がる過程で 誤って認識されているとね
  1055. 太助: そして徐々に本来の妖怪伝説を 怪談騒ぎの噂よりもっと広めて
  1056. 太助: やがて定着させる
  1057. 那由他: 匂いを香水で誤魔化す 感じですの
  1058. 太助: ふふ…そうだね
  1059. ラビ: しかし、地道な 解決策ではあります
  1060. かごめ: 祭りの手伝いで残った 神楽さんたちもできる限り
  1061. かごめ: 協力すると言ってましたし まあ、今はとにかく…
  1062. ラビ: 行動あるのみ、ですか
  1063. かごめ: …だと思います
  1064. 太助: しかし…かごめ君は 残念だったね
  1065. 太助: 魔法少女の話については 結局わからず仕舞いだった
  1066. ラビ: あの魔女が ああなる前のこと…ですか
  1067. かごめ: …………
  1068. かごめ: …ですが 貴重な体験ができました
  1069. かごめ: あの姿になった理由は いまだにわかりませんが…
  1070. 太助: …そうだ! そのことだ!君に伝えないと!
  1071. かごめ: そのこと…?
  1072. 太助: 実は、例の老人から茅野に 言伝があったんだ
  1073. 太助: まだ話してなかった妖怪伝説が あったってね
  1074. かごめ: 他にもあったんですか!?
  1075. 太助: そう…
  1076. 太助: それで話を聞くと どうも君のあの恰好に似てるんだ
  1077. 太助: 妖怪の姿形がね
  1078. かごめ: そ、そうなんですか…?
  1079. 太助: 普段は人間の少女に化けていて 本性を現すと灯をかかげてね
  1080. 太助: 妖怪たちを人里に導くそうだ 名前は…
  1081. 太助: 『青火の娘』
  1082. かごめ: 青火の…娘…
  1083. 太助: でね、実はこの妖怪の名前こそ 青火野の由来かもしれない…
  1084. 太助: そんな説もあるらしい
  1085. かごめ: そうなんですか…
  1086. 太助: だから、異界への興味から 生まれた魔女は
  1087. 太助: 姿を変えるという特別な力を 持った魔法少女を利用して
  1088. 太助: 実物を再現しようとしたのかも しれないね
  1089. かごめ: …え、まさか… でも、どうして私が…?
  1090. 太助: 君は彼女と似ているところが あったんじゃないかな
  1091. かごめ: 魔女になってしまった その魔法少女と…ですか…?
  1092. 太助: うん…取材したい対象がいて そして実際に行動を起こす
  1093. 太助: …ってところがね
  1094. かごめ: …そういえば ひとつ言ってないことがあって…
  1095. 太助: 言ってないこと…?なんだい?
  1096. かごめ: 私…最初、あの結界で…
  1097. 謎の少女: …………
  1098. かごめ: …あ、あなた…誰!?
  1099. かごめ: (何…!?この…感覚は…?)
  1100. かごめ: 今になってわかってきたんです あの時に感じたものの正体が…
  1101. 太助: …それは?
  1102. かごめ: …高揚感です 未知の存在と向き合った時の…
  1103. かごめ: あるいは、好奇心と 言っていいのかも
  1104. 太助: …そんな状況で、急にかい?
  1105. かごめ: はい…おかしいですよね…
  1106. かごめ: ひょっとしたらそれは あの子の気持ちだったのかも…
  1107. かごめ: (…どうかな?)
  1108. 謎の少女: …………
  1109. 謎の少女: …うふふ…
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