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Arc 2 Another Story Chapter 9 JP Text

Apr 18th, 2022
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  1. FILENAME: text_207901-1_29AAN.txt
  2. 那由他: …………
  3. 太助: 魔法少女の存在は不自然なほど、 世間に広まらない
  4. 太助: 「そして、過去の歴史を調べていくと 周囲が違和感を持たないことへの疑問は さらに膨れていった」
  5. 太助: 「主人公となる女性の輝かしい出来事のみ語られ 魔法少女という特別な人物が 私たちの周りにいるといった真実は 個人の話として綴られるだけで消えてしまう」
  6. 太助: 「本を閉じて物語を終わらせるようにね」
  7. 那由他: ラビさんたちの行動も 強制的に終了させられたと…?
  8. 那由他: 魔法少女の存在を 知られないようにするために…
  9. 那由他: だとしたら、何に…?
  10. 太助: …宇宙の意思によってだよ
  11. 太助: 「魔法少女から得られるエネルギーがないと 宇宙はいずれ存続できなくなる それは宇宙にとっては病と同じなんだ」
  12. 太助: 「すると宇宙に不利益を与えようとする私たちは 宇宙にとってはがん細胞のようなものだよ 見えない力で駆逐されてもおかしくはない…」
  13. 那由他: (…納得できませんの)
  14. 那由他: (パパに対して、こんなこと 考えたくありませんが…)
  15. 那由他: (不幸な失敗が重なって 弱気になっているんじゃ…?)
  16. 那由他: …はぁ…
  17. 那由他: (少し歩けば、考えもまとまると 思ったのに全然ですの…)
  18. ラビの母: 那由他さん…?
  19. 那由他: あっ… ラビさんのお母様…
  20. ラビの母: 昨日はよく眠れた?
  21. 那由他: はい
  22. 那由他: それに、お料理もおいしくて とても素敵なお宿ですの
  23. ラビの母: よかった…
  24. ラビの母: 里見教授にも那由他さんにも お世話になっているから
  25. ラビの母: 昨日は、料理も 少し凝ったものにしたの
  26. 那由他: お世話だなんて
  27. 那由他: お邪魔しているのは 私たちの方ですの
  28. ラビの母: イジメにあっている ラビを助けるために
  29. ラビの母: 神浜市のお宅に 住まわせてくれているでしょう?
  30. 那由他: イジメ…
  31. 昔のアイツらと同じ目に遭う
  32. 那由他: アイツらってラビさん…!? いったい何をしたんですの!?
  33. 「無視したり圧力をかけたりする 精神的な追い込みから 実際に痛みを与える肉体的な追い込み 前に過激な人たちがいたころは あの手この手で痛みを与えた」
  34. くらら: 「私はあとで加入したから 詳しい話は知らないけど あなたが言っている氷室ラビって人も 陰惨なイジメを受けてたって」
  35. 那由他: (うちにきた理由は、 イジメが原因だったんですの?)
  36. ラビの母: それに、教授がいたから、 私もイジメのことを知れたのよ…
  37. ラビの母: しかも、それだけじゃなくて
  38. ラビの母: イジメの状況を見ながら 最小限の出席日数で
  39. ラビの母: 保健室登校ができるように 助けてくれたのも教授だったわ
  40. 那由他: …パパがそんなことを 全然知りませんでしたの
  41. ラビの母: 那由他さんのことも 紹介してくれたのよ
  42. ラビの母: 一度、湯国市から 距離を置いた方がいいって
  43. 那由他: それで私のところに…
  44. ラビの母: 本当におふたりには 助けられっぱなしだわ
  45. 那由他: いえ…! パパはともかく
  46. 那由他: ラビさんに助けられてるのは 私の方ですの
  47. 那由他: いつもおいしいご飯を 用意していただいて
  48. 那由他: 本当に助かっていますの!
  49. ラビの母: ふふ… 那由他さんといるときのラビが
  50. ラビの母: リラックスしている理由が わかる気がするわ
  51. 那由他: リラックス…?
  52. ラビの母: あの子にとって新しい居場所は 居心地がいいんだと思う
  53. ラビの母: あなたを見る目が とても穏やかだもの
  54. ラビの母: 本当にありがとう、那由他さん
  55. 那由他: そ、そんな…! こちらこそなんですの…!
  56. 那由他: (…でも、ラビさんたちの 事情を考えれば)
  57. 那由他: (私は 何もできてないんですの…)
  58. 那由他: (新しい居場所だなんて…)
  59. 那由他: …………
  60. 那由他: (…“新しい”居場所?)
  61. 那由他: (…もしかして)
  62. 那由他: (他のフォークロアの方たちが 神浜市に来たのは)
  63. 那由他: (グループの 目的のためだけじゃなくて)
  64. 那由他: (この町を離れる意味も あったんですの…?)
  65. 那由他: (故郷での居場所を 奪われてしまったから…?)
  66. 那由他: (そんなのって あんまりですの…)
  67.  
  68. FILENAME: text_207901-2_29AAN.txt
  69. ラビの母: あっ、いけない そろそろ行かないと…
  70. 那由他: どこか行くところでしたの?
  71. ラビの母: 市街地のスーパーまで お醤油を買いに行くところよ
  72. ラビの母: 次に問屋さんが来るまでに なくなりそうで…
  73. 那由他: (…忙しそうですの)
  74. 那由他: (…そうだ!)
  75. 那由他: あの…もしよければ 私が買ってきますの
  76. ラビの母: えっと…気持ちはありがたいけど
  77. ラビの母: 大切なお客様に お願いするわけには…
  78. 那由他: いえ…!
  79. 那由他: 町に出る用事を 思いついたのでぜひ!
  80. 那由他: (お醤油を買いに行くついでに 昨日の方たちに会ったら)
  81. 那由他: (一言、 言ってやりたいですの…!)
  82. ラビの母: …だったら、 ラビにお願いしようかな
  83. ラビの母: そこに那由他さんも ついて行ってもらうってことで
  84. 那由他: はい! 任せてくださいですの!
  85. 那由他: …というわけで 買い出しに行ってきますの!
  86. ラビ: ダメです
  87. 那由他: でも、 もう引き受けてしまいましたの
  88. ラビ: 私が断っておきます
  89. 那由他: 自分の言ったことには 責任を持ちませんと…!
  90. ラビ: ダメなものはダメです
  91. 那由他: 取り付く島もなしですの…!?
  92. アレクサンドラ: ラビちゃんの言うことは もっともだと思いますよ…?
  93. 旭: 湯国市は魔法少女にとって 安全とは言えないでありますよ
  94. うらら: そもそも昨日 誘拐されたばっかりなんよ…
  95. 那由他: それもわかってますの…
  96. 那由他: でも、だからって
  97. 那由他: 私たちがコソコソする理由は ないと思うんですの…
  98. 那由他: あんな陰湿なやり方 許せませんし…
  99. 那由他: 次はうまくやってみせますの! 必ず説き伏せてみせますの!
  100. ラビ: …………
  101. アレクサンドラ: うーん… 止まってくれませんねぇ…
  102. うらら: 困ったんよ…
  103. うらら: こうなったらサーシャさんの ハープで眠らせる、とか…?
  104. ラビ: …あとで拗ねるだろうけど それがいいと思う
  105. アレクサンドラ: …あら…?
  106. アレクサンドラ: いません、ね…?
  107. ラビ: まさか…
  108. ラビ: …いた
  109. 旭: すごい行動力であります…
  110. アレクサンドラ: どうします…?
  111. ラビ: …町中で魔法を 使うわけにはいかない
  112. ラビ: 連れ戻すより 私たちもついていこう
  113. うらら: わかったんよ
  114. ラビ: それに、 湯国市で放置されている魔女も
  115. ラビ: 退治しておきたいから ちょうどいい
  116. アレクサンドラ: …魔法少女がいないから 魔女が増えてるみたいですしね…
  117. 旭: 魔女が引き起こした不幸を
  118. 旭: また我々のせいにされては たまらないであります…
  119. うらら: 次はいつ帰れるわからないし 退治しておくのは賛成なんよ
  120. ラビ: …那由他様
  121. 那由他: ――っ!?
  122. 那由他: バ、バレてしまいましたの…!
  123. 那由他: でも、戻りませんの!
  124. ラビ: だろうと思いました
  125. ラビ: なので、私たちも ついて行きます
  126. ラビ: いいですね?
  127. 那由他: …いいんですの?
  128. ラビ: どうせ連れ戻しても
  129. ラビ: 私たちの目を盗んで また出かけようとするでしょうし
  130. 那由他: …その通りですの…
  131. ラビ: では、行きましょうか
  132.  
  133. FILENAME: text_207901-3_29AAN.txt
  134. 那由他: …………
  135. 那由他: (少しワガママだったかも しれませんの…)
  136. 那由他: (ラビさんたち 怒って…)
  137. 那由他: …………
  138. 那由他: (…いるわけでは なさそうですの)
  139. 那由他: (辺りを警戒している…?)
  140. 那由他: (撲滅派の方たちに 襲われるかもしれないから…?)
  141. 那由他: (でも、それだけではなく もの悲しさを感じますの…)
  142. 那由他: (望んで故郷を 離れたわけではないから)
  143. 那由他: (帰りたいっていう想いが きっとあるんですの…)
  144. ラビ: …なんでしょう、那由他様? 先ほどから視線を感じるのですが
  145. 那由他: あっ…えっと…
  146. 那由他: その…ラビさん以外の皆さんは ご実家へは顔を出しませんの?
  147. 那由他: 昨日はラビさんのところに 泊まってましたよね?
  148. アレクサンドラ: そうですねぇ 実家には連絡してないので…
  149. 旭: タイミングを計らないと 迷惑になるだけであります…
  150. アレクサンドラ: 私たちが帰ったのを 撲滅派の人たちが知れば
  151. アレクサンドラ: お家の周りで騒動を 起こす可能性があるんです…
  152. 那由他: そこまでしますの…!?
  153. うらら: やりかねないんよ…
  154. 那由他: (ますます許せませんの…)
  155. うらら: ウチの場合は 湯国市の青波学園から転校して
  156. うらら: 二木市の近くにある系列校で 寮生活をしてるから
  157. うらら: 急に帰って来ると 家族を驚かせてしまうんよ
  158. 那由他: 確かに、そういう理由が あるのかもしれませんけど…
  159. 那由他: 旭さんは本当にご実家に 帰らなくても大丈夫ですの?
  160. 那由他: 時女一族の拠点に 住まわれていたみたいですが…
  161. 旭: 問題ないであります
  162. アレクサンドラ: いまは、私と ルームシェアしてますから~♪
  163. 那由他: あら、そうなんですの
  164. 旭: 一時的に置いて もらっているだけであります
  165. 旭: 静香殿たちに 正体を明かした以上
  166. 旭: 時女一族には いられないでありますからな
  167. アレクサンドラ: 私は、親戚が経営している ワンルームに住んでいるので
  168. アレクサンドラ: ある程度は自由が利くんです
  169. 那由他: ワンルームでふたりは 狭くありませんの?
  170. アレクサンドラ: 少し狭いけど
  171. アレクサンドラ: ひとりよりふたりの方が 楽しいですから
  172. 旭: 我は住まわせてもらえるだけで ありがたいであります
  173. ラビ: 未成年者が家を出て
  174. ラビ: 別の町でひとり暮らしするのは 簡単ではありませんからね
  175. うらら: イジメのことがあったから 家族の理解を得られたのは…
  176. うらら: 不幸中の幸いかもしれないんよ…
  177. アレクサンドラ: 喜べませんけどね…
  178. 那由他: (やっぱり私は皆さんのこと 全然知らなかったんですの…)
  179.  
  180. FILENAME: text_207901-4_29AAN.txt
  181. 那由他: (やっぱり私は皆さんのこと 全然知らなかったんですの…)
  182. ラビ: …思えば、今日まで いろいろなことがありました
  183. アレクサンドラ: 全ては、魔法少女の存在を 広めようとして
  184. アレクサンドラ: 多数の犠牲が出たことが 始まりでしたね…
  185. 旭: まさか、皆で神浜市に 行くことになるとは
  186. 旭: 思いもしなかったであります
  187. 那由他: ラビさんたちも 他のグループの方と同じように
  188. 那由他: 目的があって神浜市に いるということですの…?
  189. ラビ: そうですね…
  190. ラビ: 昨日も話しましたが…
  191. ラビ: 私たちは、多くの犠牲を出した後 ある仮説に至ったんです…
  192. 旭: 我々が宇宙の意志によって コントロールされているなら
  193. 旭: 何をしても無意味…
  194. アレクサンドラ: 魔法少女には救われる道はなく あがけばあがくほど不幸になる…
  195. アレクサンドラ: 諦めることだけが
  196. アレクサンドラ: 私たちにできる 唯一のことだ、って…
  197. 那由他: パパが言っていた仮説ですの
  198. うらら: そんなときに キュゥべえが現れたんよ…
  199. うらら: 神浜市で魔法少女の存在を 広める動きがあるから
  200. うらら: 教授の仮説を検証したいなら 神浜市に行けばいいって…
  201. 那由他: 魔法少女の存在を 広めようとすると
  202. 那由他: 宇宙に排除される…
  203. 那由他: パパの仮説を検証することが 皆さんの目的ですの?
  204. アレクサンドラ: …………
  205. ラビ: …現状はそうですね
  206. 那由他: (現状は…? 引っかかる言い方ですの…)
  207. ラビ: 傍観者として、 神浜市の動きを注視しています
  208. 旭: そのために各グループに 潜入していたでありますよ
  209. 旭: 我は時女一族の血を 引いていたので時女一族に
  210. うらら: ウチは二木市の近くに 系列校があったから
  211. うらら: 二木市の魔法少女として
  212. うらら: プロミストブラッドに 潜り込んだんよ
  213. アレクサンドラ: ネオマギウスはちょっと特殊で…
  214. アレクサンドラ: 当初はマギウスの翼にいた人の 視点で様子を見たかったんですが
  215. アレクサンドラ: 潜入したときは、まだ 組織として成立していなくて…
  216. アレクサンドラ: それでも、 力になってくれそうな人を探して
  217. アレクサンドラ: チームを大きくしたんです
  218. 那由他: サーシャさんの 力添えがあったんですね…
  219. アレクサンドラ: ただ、あのときは…
  220. アレクサンドラ: ネオマギウスがここまで 過激になるとは思いませんでした
  221. アレクサンドラ: まさか、ひめちゃんが あそこまでやるなんて…
  222. ラビ: サーシャのせいじゃない
  223. 旭: 我は、そうなること自体に 作為的なものを感じるであります
  224. うらら: …ウチも なるべくしてなった気がするんよ
  225. 那由他: (…なんだか 距離を感じますの…)
  226. 那由他: (避けられているわけでもなく 同じ場所にいるのに…)
  227. 那由他: (私だけ 別のところにいるような…)
  228. 那由他: …………
  229. ラビ: …どうかしましたか? 急に元気がないようですが…
  230. 那由他: そんなことは…
  231. 那由他: (あるんですの…)
  232. 那由他: …少し疎外感を覚えてしまって
  233. ラビ: 疎外感…?
  234. 那由他: ラビさんたちの間にある空気は なんというか独特で…
  235. 那由他: 立ち入ってはいけない…
  236. 那由他: いえ、簡単には 立ち入れないものがありますの…
  237. ラビ: …………
  238. ラビ: …私たちには那由他様と違って 希望がないからですよ
  239. 那由他: 希望が…?
  240. 那由他: 希望があると皆さんと もっと近づくことはできない…?
  241. ラビ: …そうですね 私たちは諦念で繋がっている
  242. ラビ: もし、私たちの…
  243. ラビ: 午前0時のフォークロアの 仲間になりたいのなら…
  244. ラビ: 那由他様も “希望”を諦めてください
  245. 那由他: …!
  246. みんな: …………
  247. 那由他: (…私は…………)
  248. 那由他: (…答えられませんの)
  249. アレクサンドラ: …ラビちゃん そろそろ町に入ります
  250. ラビ: …わかってる 全員、気を引き締めて
  251. 那由他: (また空気が重く…)
  252. 那由他: (私も気を引き締めた方が よさそうですの…)
  253.  
  254. FILENAME: text_207902-1_1pjhe.txt
  255. ありがとうございました!
  256. 那由他: …お醤油は無事買えましたの
  257. ラビ: 那由他様、この後ですが…
  258. くらら: まだ湯国市にいたのね…
  259. くらら: やっぱり何か 企んでいるんでしょう?
  260. 那由他: あれは、撲滅派の…!
  261. アレクサンドラ: …できれば 会いたくありませんでしたが…
  262. ラビ: 町での用事は終わった 早くこの場を離れよう
  263. 旭: そうでありますな 言い争っても不毛であります
  264. うらら: 言葉だけで済まなくなったら 困るんよ…
  265. 那由他: (せっかく会えましたし…)
  266. 那由他: (ここは私がびしっと 言ってやりますの)
  267. 那由他: (どんな理由があったとしても)
  268. 那由他: (誰かを傷つけていい理由には ならないんですの…!)
  269. ラビ: 那由他様!?
  270. 那由他: 誤解があるようなので 改めてご説明しますの
  271. 那由他: 魔法少女は決して
  272. 那由他: 人々を傷つける存在では ありませんの
  273. くらら: 誤解もなにも…
  274. くらら: 何十人も死んだのよ 魔法少女のせいで!
  275. 那由他: それはラビさんたちの 意志ではありません…!
  276. 那由他: 湯国市で事故や事件が 増えているというなら
  277. 那由他: それも魔法少女のせいでは ないんですの!
  278. 那由他: 昨日も言ったように
  279. 那由他: 魔女を退治する魔法少女が いなくなったから
  280. 那由他: 天敵がいなくなった魔女が 暴れているんですの!
  281. くらら: それを信じた人たちは死んだわ
  282. くらら: 精神を壊された学生たちのことは どう言い訳するつもり?
  283. くらら: あのとき、私たちは だまし討ちをされたのよ!
  284. 那由他: それは違いますの!
  285. ラビ: …那由他様 もうやめてください
  286. 那由他: でも…
  287. ラビ: 帰りましょう
  288. くらら: そして二度と湯国市に現れないで
  289. くらら: 次に来たときは 大地のゆりかごも無事じゃないわ
  290. 那由他: なっ!
  291. ラビ: 私が罰を受ける分には構わない
  292. ラビ: でも、一線を越えるなら…
  293. くらら: 約束を守ればいいだけのことよ
  294. ラビ: …行きましょう、那由他様
  295. 那由他: …………
  296.  
  297. FILENAME: text_207902-2_1pjhe.txt
  298. 那由他: …………
  299. ラビ: 引いてくれて ありがとうございます
  300. 那由他: …いえ 私は何もできなかったんですの
  301. 那由他: (納得はできませんでしたが…)
  302. 那由他: (あのまま対話を 続けようとしても無駄なことは)
  303. 那由他: (私でもわかりましたの…)
  304. 「無視したり圧力をかけたりする 精神的な追い込みから 実際に痛みを与える肉体的な追い込み 前に過激な人たちがいたころは あの手この手で痛みを与えた」
  305. くらら: 「私はあとで加入したから 詳しい話は知らないけど あなたが言っている氷室ラビって人も 陰惨なイジメを受けてたって」
  306. 那由他: (振るった暴力を 誇らしげに語る人たち…)
  307. 那由他: (ある意味魔女より悪質で 救いようがないんですの…)
  308. 那由他: (なのに…)
  309. 那由他: (ラビさんたちは 暴力を無抵抗で受け入れる)
  310. 那由他: (ラビさんたちが言ったように)
  311. 那由他: (湯国市で起こったことに 責任があるとしても…)
  312. 那由他: (イジメを受け入れるなんて よくありませんの…)
  313. 那由他: …………
  314. 那由他: (もやもやしますの…)
  315. 那由他: (ラビさんたちに そこまでさせる諦念とは何…?)
  316. ラビ: …納得できませんか?
  317. 那由他: …はい
  318. 那由他: ここまでされて 黙っている必要はありませんの…
  319. ラビ: それはきっと…
  320. ラビ: 具体的に湯国市で起こったことを 知らないからでしょう
  321. 那由他: えっ…? そういえば、そうですの…
  322. 那由他: (事故が起きて、魔法少女の 排除に繋がったとしか)
  323. 那由他: (聞いてないんですの…)
  324. ラビ: …では、 帰る前に回ってみますか?
  325. 那由他: もしかして、 事故が起こったところを…?
  326. 那由他: 嫌ではありませんの?
  327. ラビ: それで納得していただけるなら 構いません
  328. アレクサンドラ: 私たちが恨まれる理由も 私たちが希望を捨てた意味も
  329. アレクサンドラ: 理解できるかもしれません…
  330. うらら: うん…ウチも構わないんよ
  331. 旭: 知ってもらうには それが一番でしょうな…
  332. 那由他: …………
  333. 那由他: では、お願いしますの
  334. ラビ: 始まりはここがいいでしょう
  335. ラビ: 魔女を倒せなかったことが原因で 最初の爆発事故は起きました…
  336. アレクサンドラ: そして、たくさんの人が 亡くなり傷ついたんです…
  337. 旭: 我の友人もこの場所で 亡くなったであります…
  338. 黒田: 抱えてたらわかる… 肌で感じるよ…灰谷の状態は…
  339. 旭: っ…
  340. 黒田: なんでだ、どうしてだ… なぁ三浦…なんで殺したんだ…!!
  341. 旭: その友人は 我が魔法少女だと知っていて
  342. 旭: 我はだからこそ友人のことを 守る約束をしていたであります
  343. 旭: 我はウソつきであります…
  344. 那由他: …………
  345. ラビ: …そして、魔法少女が 魔女になることを知られると
  346. ラビ: 魔法少女も人に呪いを 振りまく存在だと思われました
  347. アレクサンドラ: 魔法少女と魔女が混同され
  348. アレクサンドラ: 人々に危害を加える存在だと 信じる人たちは撲滅派を名乗り
  349. アレクサンドラ: 魔法少女の排除に 乗り出したんです…
  350. ラビ: ですが、私たちを信じてくれる 人たちの助けもあって
  351. ラビ: 魔法少女が人々を守る存在だと
  352. ラビ: 認識を改めてもらえるように なりました
  353. アレクサンドラ: ここでは、撲滅派との 和解が行われるはずでした…
  354. ラビ: …無事に魔女を退治し
  355. ラビ: 魔法少女が魔女であるという 誤解も解いて…
  356. ラビ: 魔法少女は人々のために 戦っている存在だと
  357. ラビ: 彼らの認識が 改められようとしたとき
  358. 旭: そう、我々で魔女の被害を受けた 撲滅派のみんなを
  359. 旭: 癒やすのでありますよ
  360. アレクサンドラ: まずは、私の奏でる音色で リラックスしてください
  361. ラビ: 再び事件は起きてしまいました
  362. 旭: 不慮の事故が発生したことが 原因で、我々3人の魔法が影響し
  363. 旭: 手を取るはずだった 撲滅派の人々の精神を
  364. 旭: 破壊してしまったであります…
  365. ラビ: ―ラビ― まだ、まだ増えてる…
  366. アレクサンドラ: ―アレクサンドラ― 旭ちゃんが呼べるのは死んだ人たちだけじゃ
  367. 旭: ―旭― 間違い無くそうであります…!
  368. ラビ: ―ラビ― 早く止めないと…!
  369. ラビ: ―ラビ― 普通の人は、心と体のどちらが壊れても おかしくない!
  370. 旭: ―旭― しかし、どうやって止めれば…!
  371. アレクサンドラ: ―アレクサンドラ― 擁護派の人たちの姿も増えてる…
  372. ラビ: ―ラビ― まさか…これは…!
  373. うらら: ウチはその不慮の事故が 起こった現場にいたんよ…
  374. 「生存者確認!早く下に担架を下ろして!」
  375. 「救急車来たから早く! 第1順位の子から乗せていくから!」
  376. 「何やってんの、それ黒でしょ!」
  377. 太助: 今度こそ宇宙の意思なんてものは 信じずに済むと思っていたのに…
  378. うらら: それがバスの炎上事故…
  379. うらら: まだ魔法少女じゃなかったウチは この事故に巻き込まれて
  380. うらら: 瀕死だったくらら…
  381. うらら: 一緒に大道芸をしていた相方を 願いで助けたんだけど…
  382. うらら: 彼女だけ助けたことで 恨みを買ったんよ…
  383. うらら: …元々、考えなしなウチのこと 嫌ってたのもあるみたいだけど…
  384. 那由他: そんな…助けたのに…
  385. アレクサンドラ: 魔女は退治していたので
  386. アレクサンドラ: なぜこのふたつの出来事が 起こったのかはわかりません…
  387. ラビ: …結果的に私たちは
  388. ラビ: 自分たちの手で人々に 害を与える状況を作ってしまい
  389. ラビ: 不慮の事故で 希望を打ち砕かれたんです
  390. 那由他: そんな…
  391. 旭: それこそ我々には 宇宙の意志に思えたであります…
  392. うらら: だからこそ、希望が持てなくなり 諦念を抱いたんよ…
  393.  
  394. FILENAME: text_207902-3_1pjhe.txt
  395. 那由他: …………
  396. 那由他: (うっ…私が… 泣くところではないんですの…)
  397. 那由他: (でも…あまりにも痛い…)
  398. 那由他: (話を聞いているだけで… 痛くて、苦しい…)
  399. 那由他: (…………ああ、 だからこその諦念、なんですの)
  400. 那由他: (ラビさんたちはこれ以上 どう立ち向かえばいいのか)
  401. 那由他: (わからなかった…)
  402. 那由他: (だから、諦めて 現状を受け入れることしか…)
  403. 那由他: (難しい理屈はわかりませんが 灯花ならきっと…)
  404. 灯花: それは自己防衛の一種だねー
  405. 灯花: ほにゃららっていう心理作用で
  406. 灯花: こういう場合は なんとかかんとかなんだよー
  407. 那由他: …うっ…
  408. 那由他: (ここで笑顔は卑怯ですの…)
  409. 那由他: (灯花も… どうして…)
  410. ラビ: …!
  411. ラビ: …那由他様、申し訳ありません
  412. ラビ: 楽しい話では ありませんでしたね…
  413. 那由他: …あ、いえ… そうではないんですの…
  414. 那由他: …………
  415. 那由他: (灯花は、 『作戦の第1段階は成功』)
  416. 那由他: (みたいな話をしていましたが)
  417. 那由他: (あの出来事も宇宙の意志による 自爆みたいなものだったら…)
  418. 那由他: (あまりにも虚しいんですの…)
  419. 那由他: …………
  420. 那由他: (…これが、ラビさんたちの言う “諦念”…?)
  421. 那由他: (…ああ、そうですの 先ほど…)
  422. 那由他: (避けられているわけでもなく 同じ場所にいるのに…)
  423. 那由他: (私だけ 別のところにいるような…)
  424. 那由他: (そう感じたのは 4人を繋げる諦念を感じたから)
  425. 那由他: (私が持ち合わせていないもので 繋がっているから…)
  426. 那由他: (入り込めないと感じた…)
  427. アレクサンドラ: よければハンカチ、 使ってください
  428. 那由他: …ありがとうございます
  429. 旭: 先ほど買ったお茶があるので よければ飲むであります
  430. うらら: じゃあ、ウチは… えっと…大道芸くらいしか…
  431. 那由他: お気遣いなく…! 皆さんのせいではないんですの…
  432. 那由他: (過去と向き合うことになった 皆さんの方が辛いはずなのに)
  433. 那由他: (こんなときでも 気遣ってくれる…)
  434. 那由他: (優しい人たちですの…)
  435. 那由他: (だからこそ もっと仲良くなりたい…)
  436. 那由他: (仲間になりたい)
  437. 那由他: (でも…)
  438. 那由他: (ラビさんたちみたいに 諦念を受け入れるのは…)
  439. 那由他: (無理ですの…)
  440. 那由他: (むしろ、ラビさんたちから 諦念を消し去りたい…)
  441. 那由他: (そう思ってしまいますの…)
  442.  
  443. FILENAME: text_207902-4_1pjhe.txt
  444. 那由他: ――っ!?
  445. 那由他: 魔女の気配!
  446. アレクサンドラ: 私たちの出番ですね
  447. 旭: 一緒に戦うのは 久しぶりでありますな
  448. うらら: 他のグループに潜入してたから ちょっと変な感じがするんよ
  449. 那由他: …倒しに行くんですの?
  450. ラビ: それが魔法少女の使命ですから
  451. ラビ: …那由他様はここで 待っていても構いませんよ
  452. 那由他: …………
  453. 那由他: (魔女退治は魔法少女の使命)
  454. 那由他: (グリーフシードも必要ですし)
  455. 那由他: (一般の方々を 助けることにもなりますの…)
  456. 那由他: (でも…)
  457. 那由他: (先ほどのことがあった ばかりなのに…)
  458. 那由他: (ラビさんたちは 迷わず戦いに挑むんですの…)
  459. 那由他: (命がけの戦いに…)
  460. 那由他: …………
  461. 那由他: 私も参りますの!
  462. アレクサンドラ: ふぅ…大した魔女じゃなくて よかったです
  463. 旭: 久しぶりの連携もうまくいって 何よりであります
  464. うらら: ウチ、どうだったんよ? 少しは成長したと思うんよ
  465. ラビ: 確かに成長していた
  466. ラビ: 前より余裕ができて 周りが見えるようになってる
  467. 那由他: …………
  468. ラビ: このまま、撲滅派に 見つからないよう町を巡って
  469. ラビ: 魔女を狩ろうと思うのですが 構いませんか?
  470. 那由他: えっ…?
  471. 旭: またしばらく 帰れないでありますからな
  472. アレクサンドラ: 魔女の被害も 増えているみたいなので
  473. アレクサンドラ: 倒しておきたいんです
  474. 那由他: 私は、構いませんの…
  475. うらら: じゃあ、行くんよ!
  476. 那由他: (…またもやもやしますの)
  477. 那由他: (ラビさんたちのことを 知れば知るほど…)
  478. 那由他: (どうすればいいのか わからなくなるんですの…)
  479. 那由他: (希望を捨てることは 本当に正しいんですの…?)
  480.  
  481. FILENAME: text_207903-1_aFqEL.txt
  482. 那由他: ただいま戻りましたの
  483. ラビの母: おかえりなさい
  484. 那由他: こちら、お醤油ですの
  485. ラビの母: ありがとう 重くはなかった?
  486. 那由他: はい、大丈夫ですの!
  487. ラビ: 別の銘柄のお醤油を買おうと していたから訂正しておいた
  488. 那由他: それは…その… パッケージが似ていて…
  489. ラビ: ついでになくなりそうだった 日用品もいくつか買ってきた
  490. ラビの母: そういえば… ありがとう、ラビ
  491. ラビ: うん
  492. 那由他: (ラビさんのお母様は)
  493. 那由他: (私といるとラビさんが リラックスして見える)
  494. 那由他: (…と、仰っていましたが…)
  495. 那由他: (お母様と話しているときも リラックスして見えますの)
  496. 那由他: ごちそうさまでした
  497. アレクサンドラ: ここのお料理は 何度食べてもおいしいですね
  498. 旭: 野菜が格別でありますな
  499. うらら: 旭さんが狩った獲物と このお野菜をあわせたら
  500. うらら: すごいものができそうなんよ!
  501. 旭: ふむ… どちらも新鮮でありますからな
  502. ラビ: 今度やってみよう
  503. 那由他: …………
  504. ラビ: 那由他様 私は片づけがあるので外します
  505. 那由他: でしたら、手伝うんですの!
  506. ラビ: 片づけることが増えそうなので 結構です
  507. 那由他: うぅ…反論できませんの…
  508. アレクサンドラ: その間どうしましょう? カードゲームでもしますか?
  509. 那由他: …いえ、少し歩いてくるんですの
  510. うらら: だったら、ウチらも行くんよ
  511. 那由他: 大丈夫ですの 遠くには行きませんし
  512. 那由他: 考えたいことがあるので…
  513. ラビ: …わかりました 何かあったら呼んでください
  514. 那由他: (遠くに人の声が聞こえるけど 静か、ですの…)
  515. 那由他: (もう少ししたら 灯りも落ちて星がよく見えそう)
  516. 那由他: (…これがラビさんが 生まれ育った町)
  517. 那由他: (そして…)
  518. 旭: 実際に我らは多くを殺し、 多くを廃人にした
  519. 旭: 本来なら生きて故郷の境を 跨いではいけないでありますよ…
  520. 那由他: (本来なら 帰れないという場所…)
  521. 那由他: (それだけの悲劇が起きた場所)
  522. 那由他: (でも、その責任は…)
  523. 那由他: (ラビさんたちが 負うべきものなんですの…?)
  524. 那由他: (何もかもを諦めて 無抵抗でいるべきですの?)
  525. 那由他: (私はそうは思わないんですの)
  526. 那由他: (だって…)
  527. 那由他: (家族や友人といるときは 魔法少女ではない方たちと同じ)
  528. 那由他: (普通の女の子ですの…)
  529. 那由他: (魔法少女というだけで “希望”を見いだせないのは…)
  530. ラビ: 那由他様
  531. 那由他: ラビさん…
  532.  
  533. FILENAME: text_207903-2_aFqEL.txt
  534. ラビ: 那由他様
  535. 那由他: ラビさん…
  536. ラビ: そろそろ戻らないと 風邪をひきますよ
  537. 那由他: …………
  538. ラビ: …そうですね 私たちは諦念で繋がっている
  539. ラビ: もし、私たちの…
  540. ラビ: 午前0時のフォークロアの 仲間になりたいのなら…
  541. ラビ: 那由他様も “希望”を諦めてください
  542. 那由他: ラビさん、 私、諦められませんの
  543. ラビ: …?
  544. 那由他: 私は、 “希望”を諦められませんの
  545. ラビ: …ああ 昼間の話ですね
  546. 那由他: はい…
  547. 那由他: (ラビさんたちは きっと自分を守るため…)
  548. 那由他: (どうにもできない現実を 受け入れるために)
  549. 那由他: (諦念に染まった…)
  550. 那由他: (それしかなかった…)
  551. 那由他: (でも、私は…)
  552. 那由他: 撲滅派の方たちとの関係改善も
  553. 那由他: 魔法少女が救われる道も 諦められませんの
  554. ラビ: …………
  555. 那由他: だって、どうしても
  556. 那由他: ラビさんたちにも救われて欲しい って思ってしまうから…
  557. ラビ: 私たちに…?
  558. 那由他: フォークロアの皆さんは
  559. 那由他: どんなにひどい扱いを受けても やり返さず
  560. 那由他: 人々を守る使命を忘れない… そんな優しい人たちですの
  561. 那由他: それに…
  562. 那由他: だって私やみかげさんと過ごした 日々は全部ウソでしょう?
  563. 那由他: 本当の姉みたいで友だちみたいで 私、嬉しかったのに…
  564. 那由他: 全部、私の思い違いなんですの…
  565. ラビ: 勘違いしないで欲しいのは 私から那由他様への想いについてです
  566. ラビ: 騙していたとはいえ あくまで隠し事をしていた部分だけが 偽りの私です
  567. ラビ: これまで共に生活をして過ごしていた時間 その9割9分9厘は 偽りではなく真実の私ですので
  568. ラビ: 何卒、何もなかった幻の時間だったとは 思わないで頂きたいです
  569. ラビ: また那由他様にラザニアを作れるのを 楽しみにしております
  570. 那由他: ラビさんとみかげさんと 一緒に過ごした時間は…
  571. 那由他: 私にとっても本物でしたの
  572. ラビ: 那由他様…
  573. 那由他: 大切な人の幸せを願わないなんて 私には無理ですの!
  574. ラビ: …………
  575. 那由他: パパがなんと言おうと 歴史が何を物語っていようと
  576. 那由他: これまで不可能だったとしても…
  577. 那由他: そんなもの私が 捻じ曲げてやりますの!
  578. 那由他: それで、皆さんが救われる未来を 手に入れてみせますの!
  579. ラビ: …それが、那由他様の結論ですか
  580. 那由他: はい だから、一緒にはいけませんの
  581. 那由他: …こんな私を 愚かしく思いますか…?
  582. ラビ: …………
  583.  
  584. FILENAME: text_207903-3_aFqEL.txt
  585. 那由他: …こんな私を 愚かしく思いますか…?
  586. ラビ: …………
  587. ラビ: いまはただ…
  588. ラビ: 那由他様が出した結論を 受け止めることしかできません
  589. 那由他: …………
  590. 那由他: …ひとつだけ 私も聞きたいことがありますの
  591. ラビ: なんでしょう?
  592. 那由他: ラビさんは…
  593. 那由他: 本当にひとかけらの希望も 抱いてはいませんの…?
  594. ラビ: …………
  595. ラビ: …部屋に戻りましょう
  596. ラビ: 明日は神浜市へ帰るのですから 早く寝た方がいいですよ
  597. 那由他: あっ…
  598. 那由他: ………… …………
  599. 那由他: お世話になりましたの
  600. ラビの母: またいつでも来てね
  601. 那由他: はい
  602. 那由他: (次、来るときは)
  603. 那由他: (ラビさんたちが堂々と 帰れるように…)
  604. 那由他: …………
  605. 那由他: (見られてますの…)
  606. 那由他: (でも 手を出してくる気配はない…?)
  607. ラビ: 帰るところだと わかっているんでしょう
  608. ラビ: さほど心配する必要はありません
  609. 那由他: …わかりましたの
  610. 那由他: (いつかこの人たちとも 和解を…)
  611. 那由他: …………
  612. 那由他: (私がへこんでいては ダメですの…!)
  613. 那由他: (私には“希望”がある)
  614. 那由他: (この胸に灯った希望は まだ消せないのだから…)
  615. 那由他: (ここからまた頑張るんですの)
  616. 那由他: (魔法少女が 救われる未来が来るように…)
  617. 那由他: 帰りましょう、神浜市へ…!
  618. ラビ: …………
  619.  
  620. FILENAME: text_207903-4_aFqEL.txt
  621. 那由他: すぅ…すぅ…
  622. ラビ: (よく寝ている… さすがに疲れたみたい)
  623. ラビ: …………
  624. ラビ: (結局、那由他は “希望”を捨てられなかった)
  625. ラビ: (諦念を 受け入れてはくれなかった)
  626. ラビ: …私たちと彼女は違う
  627. ラビ: (同じところには立てない)
  628. ラビ: (…それは 歓迎すべきことではない)
  629. ラビ: (そのはずなのに…)
  630. 那由他: んん~…間食は… その…してないですの…
  631. 那由他: お夕飯抜きは嫌ですの~…
  632. ラビ: …………ふっ…
  633. ラビ: (この方には)
  634. ラビ: (このままでいてほしいと 思ってしまう自分がいる)
  635. 那由他: 本当にひとかけらの希望も 抱いてはいませんの…?
  636. ラビ: …………
  637. ラビ: (あの問いには どう答えればよかったのだろう)
  638. ラビ: (私にとって“希望”とは…)
  639. ラビ: …………
  640. ラビ: (わからない もうわからなくなってしまった)
  641. ラビ: (何を希望と呼べばいいのかさえ わからない…)
  642. ラビ: (私たちに残されているのは…)
  643. ラビ: (傍観者として)
  644. ラビ: (魔法少女が救われようとする 行為そのものが)
  645. ラビ: (宇宙という大きな意志によって 潰されてしまうのか)
  646. ラビ: (観測することだけ…)
  647. ラビ: (潜入先のグループのために 動くことを止めなかったのは)
  648. ラビ: (その些細な行為も)
  649. ラビ: (結局、大きな意志の前では 無に帰すと思っているから)
  650. ラビ: (里見灯花と柊ねむだけは)
  651. ラビ: (悲惨な結果をもたらしそうで 警戒はしていたけれど…)
  652. ラビ: …………
  653. ラビ: (藍家ひめなも もっと警戒しておくべきだった)
  654. ラビ: (ここまでの動きをみせるとは 予想外…)
  655. ラビ: (あのふたり同様 止めたかったけど)
  656. ラビ: (4人しかいない 私たちにはそんな力はない…)
  657. ラビ: (できることはやっぱり 見守ることだけ…)
  658. ラビ: (その結果、神浜市で湯国市と 同じことが起こるなら…)
  659. ラビ: (魔法少女たちを 滅ぼさなければならない)
  660. ラビ: (それが唯一の 救いとなるはずだから…)
  661. ラビ: (そのとき、那由他 あなたは…)
  662. ラビ: (きっと私たちを軽蔑する)
  663. ラビ: …………
  664. ラビ: (それは、少し…)
  665. ラビ: (嫌だ)
  666. ラビ: (…なんて 私が感じていいことではない)
  667. 「まもなく新西中央駅 新西中央でございます」
  668. ラビ: (…神浜市)
  669. ラビ: (この騒動の行く末は…)
  670. ラビ: …………
  671. ラビ: 那由他様、起きてください 神浜市に着きますよ
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