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May 26th, 2021 (edited)
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  1. FILENAME: text_501501-1.txt
  2. 第1部
  3. 第1章「夢のフランス」
  4. БЯЯяяЯяЯЯ!!!!
  5. 「ぐ、ぐぁああっ!!」
  6. 「隊長、もう もちません…!」
  7. 1対1では敵わん! 必ず3人で相手するんだ!
  8. ББЯЯЯЯЯЯЯ! БББЯЯЯяяЯ!!!!
  9. 新手だと!?
  10. БЯЯяяЯяЯЯ!!!!
  11. う、うわぁああぁああ!!
  12. おいっ、しっかりしろ! クソッ…これ以上は無理か
  13. 撤退だ! 南の部隊と合流する
  14. ???: なんだぁ… もう行っちまうのかい?
  15. ???: 遊び甲斐のないヤツらだ!
  16. お前は…イングランド軍の魔女 …コルボー!
  17. コルボー: 魔女とはまた、ご挨拶だなァ?
  18. コルボー: 私は…
  19. コルボー: 魔法少女だっての!
  20. ぐっ…ぐがぁあっ!
  21. コルボー: …死ね
  22. いろは: えっ…
  23. いろは: この音、何? …戦場?
  24. いろは: 何が起きているの…!
  25. ББЯЯЯЯЯЯЯ――!!!!
  26. いろは: わ…きゃぁっ!
  27. ???: いろは!
  28. БЯЯяяя――!?????
  29. やちよ: 大丈夫?
  30. いろは: やちよさん… ありがとうございます
  31. いろは: ここ…どこなんでしょうか? 私たち、家にいたはずじゃ…
  32. やちよ: 話は後よ 私にも分からないわ
  33. БББЯЯяяяяЯЯ――!!
  34. やちよ: あの動くヨロイ…使い魔のようね すぐに変身して!
  35. いろは: は、はい!
  36. いろは: それじゃ…!
  37. コルボー: へぇ 面白いのがいるじゃないか
  38. コルボー: こんなとこで、新手の 魔法少女に会えるなんてなぁ!
  39. やちよ: …………?
  40. いろは: だ、誰?
  41. コルボー: お前らも フランスの聖女様のお仲間か?
  42. いろは: へっ…聖女様…?
  43. コルボー: 知らないのか? まぁいい
  44. やちよ: (魔法少女が… 使い魔を召喚した!?)
  45. コルボー: 私は今、壊し足りない気分なんだ
  46. コルボー: だから、ここで…
  47. コルボー: ぶっ壊されてくれよっ!!
  48.  
  49. FILENAME: text_501501-2.txt
  50. いろは: やちよさん…
  51. やちよ: やるしかないようね
  52. やちよ: なんて魔力! 危険な敵よ、油断しないで
  53.  
  54. FILENAME: text_501501-3.txt
  55. コルボー: ハハハハハッ!
  56. いろは: きゃっ!
  57. やちよ: いろは、大丈夫?
  58. いろは: はぁ…はぁ…
  59. やちよ: いろは、しっかり!
  60. コルボー: フフ、まだ立ってたか
  61. コルボー: そうじゃなきゃ 壊し甲斐がないよなぁ?
  62. コルボー: まとめて殺すのはもったいない …ひとりずつ壊すか
  63. コルボー: くくっ…まずはそっちの 白いのからだ…!
  64. やちよ: …………!
  65. いろは: はぁ…はあ
  66. やちよ: まずい! いろは、よけて!
  67. いろは: えっ…!
  68. やちよ: いろは!!
  69. コルボー: 遅い!
  70. ???: …………
  71. コルボー: お前は…!
  72. コルボー: バカなっ… 渾身の魔力を叩き込んだはず
  73. コルボー: すべて、跳ね返した…だと?
  74. ???: 無事ですか?
  75. いろは: …は、はい
  76. ???: よかったぁ!
  77. いろは: あの、あなたは…
  78. タルト: “タルト”って呼んでください!
  79. コルボー: くくくっ…ハハハハハ!
  80. やちよ: あいつ…何?
  81. コルボー: 面白くなってきたじゃないか!
  82. コルボー: まさか、聖女様が 直々に駆けつけるなんてなぁ!
  83. タルト: コルボー…!
  84. タルト: 私が食い止めます 逃げてください!
  85. いろは: で、でも…
  86. やちよ: ここは、任せましょう その傷であいつの相手は無理よ
  87. いろは: はい…
  88. いろは: タルトさん 無茶しないでください!
  89. タルト: はいっ! 頑張ります!
  90. やちよ: ありがとう 行きましょう、いろは
  91. コルボー: 逃がすかよっ!
  92. いろは: えっ…!
  93. いろは: これって、結界ですよね?
  94. やちよ: 魔女まで召喚したっていうの!?
  95. タルト: 魔女なら、私がっ!
  96. やちよ: 大丈夫、ひとりで何とかするわ
  97. やちよ: 私も魔法少女だから…!
  98.  
  99. FILENAME: text_501501-4.txt
  100. いろは: はぁ…はぁ
  101. やちよ: 何とか倒せたけど
  102. やちよ: でも変ね
  103. やちよ: 今の魔女って確か 神浜に現れたやつよ?
  104. やちよ: どうして… こんなところに
  105. いろは: やちよさん! タルトさんが!
  106. コルボー: フッ!
  107. タルト: くっ
  108. コルボー: ハハハハッ! いいね、いいねぇ!
  109. コルボー: 食らいやがれッ!
  110. タルト: わ…わわっ!
  111. やちよ: タルト!
  112. タルト: へっちゃらです! 吹っ飛ばされただけ!
  113. コルボー: なにっ…!
  114. コルボー: これだけ食らわせて無傷だとっ?
  115. いろは: すごい…!
  116. コルボー: くくっ… くくくくく
  117. タルト: …………?
  118. コルボー: 最高だ、聖女様!
  119. コルボー: さぁ、楽しもうじゃないか…
  120. コルボー: 本気の殺し合いってヤツをさぁ!
  121. ???: 悪いけど…
  122. ???: あなたの相手は、私
  123. コルボー: …がっ!?
  124. タルト: リズっ!
  125. やちよ: 影の中から…背後に!?
  126. コルボー: コイツ…影を操るのか!
  127. リズ・ホークウッド: タルトたちは本隊へ戻って! 使い魔が出て苦戦しているわ
  128. リズ・ホークウッド: メリッサ、案内をお願い
  129. メリッサ・ド・ヴィニョル: お任せくださいっ!
  130. メリッサ・ド・ヴィニョル: “メリッサ・ド・ヴィニョル” と申します!
  131. メリッサ・ド・ヴィニョル: おふたりは、こちらへ!
  132. いろは: はい!
  133. コルボー: 行かせるものかッ…
  134. リズ・ホークウッド: 背中を見せる余裕が あるのかしら?
  135. コルボー: ぐぁっ!?
  136. リズ・ホークウッド: タルトを傷めつけた代償は… 高くつくわよ!
  137. コルボー: “乙女(ラ・ピュセル)”の 仲間か、いいだろう
  138. コルボー: ガッカリさせてくれるなよ!
  139. タルト: リズに任せて、行きましょう! えっと…?
  140. いろは: あ、“環いろは”っていいます!
  141. やちよ: “七海やちよ”よ
  142. タルト: よろしくお願いします! いろは様、やちよ様
  143. いろは: “様”はやめてほしいです
  144. やちよ: …私も
  145. タルト: じゃあ… いろはさん、やちよさん、で!
  146. タルト: 急ぎましょう!
  147. いろは: はい!
  148. やちよ: …………
  149. やちよ: (…フランスの聖女様… “乙女(ラ・ピュセル)”…)
  150. やちよ: (それって、確か ジャンヌ・ダルクの愛称よね)
  151. やちよ: (この魔法少女が… ジャンヌ・ダルクってこと?)
  152.  
  153. FILENAME: text_501501-5.txt
  154. “乙女(ラ・ピュセル)”…! 無事でしたか!
  155. タルト: 戦況はどうですか?
  156. かんばしくありません! …というより、最悪です!
  157. ББЯЯяяЯЯЯ! БББЯЯЯяяЯ!
  158. やちよ: さっきの使い魔…!
  159. いろは: すごい数!
  160. タルト: コルボーの手下です!
  161. メリッサ・ド・ヴィニョル: イングランド側に あいつらが現れてから
  162. メリッサ・ド・ヴィニョル: フランス軍は一気に追い込まれて しまったんです
  163. いろは: フランス軍…イングランド? 何がどうなってるんでしょう?
  164. やちよ: …見た目は中世の軍隊よね
  165. いろは: 昔の戦場ってことですか?
  166. やちよ: ええ、話を聞くかぎり タルトたちはフランス軍で
  167. やちよ: 敵側のイングランドが 魔物をけしかけたようね
  168. やちよ: (ジャンヌ・ダルクは確か…)
  169. やちよ: (イングランドの侵攻から フランスを救った聖女…)
  170. やちよ: (このタルトが、そうなの…?)
  171. БЯЯЯЯЯЯяЯЯЯ!!!!
  172. メリッサ・ド・ヴィニョル: 来ます!
  173. タルト: 私が引き受けます! みんなは後退して!
  174. いろは: 無理ですよ、あんな数!
  175. タルト: 私は平気です! フランス軍の仲間を頼みます!
  176. やちよ: (やっぱり“フランス軍”か… 敵側はなぜか魔物ばかりだけど)
  177. やちよ: (とにかく、ここは タルトに従うのが一番ね)
  178. やちよ: いろは、これを使って
  179. いろは: これ…グリーフシード?
  180. やちよ: ええ、それで魔力を回復して
  181. やちよ: フランスの撤退を手伝うわ
  182. やちよ: 邪魔な使い魔を倒して 囲みを解きましょう
  183. いろは: わかりました
  184. いろは: タルトさん、無事でいてね!
  185. タルト: はいっ!
  186. БЯЯяяЯЯяЯЯЯ!!! БЯЯяяЯЯяЯЯЯ!!!
  187.  
  188. FILENAME: text_501501-6.txt
  189. ここまで来れば安全だ! ケガ人の救護を急げ!
  190. メリッサ・ド・ヴィニョル: 護衛、ありがとうございました! やちよ様、いろは様!
  191. やちよ: …“さん”呼びでお願い
  192. メリッサ・ド・ヴィニョル: わかりました、やちよさん!
  193. いろは: あの、それより…
  194. いろは: それよりタルトさんは…無事?
  195. やちよ: ――っ!?
  196. やちよ: 何これ! すごい魔力反応…!
  197. いろは: タルトさんの いたあたりですよね!?
  198. やちよ: 何よ…あれ…
  199. メリッサ・ド・ヴィニョル: ラ・リュミエール… タルトの光の魔法です!
  200. やちよ: あんな巨大な魔法を使ったら
  201. やちよ: どっちも無事でいられるはずが…
  202. いろは: あれ…?
  203. いろは: やちよさん? 何だか、みんなの声が
  204. いろは: よく…聞こえな…
  205. やちよ: いろは…ど…したの?
  206. やちよ: 聞こ…てる? …ねえ…?
  207. やちよ: …………?
  208. やちよ: …………!
  209. いろは: ――っ!?
  210. いろは: ええっ…!
  211. いろは: まさかの…
  212. いろは: 夢オチ…?
  213.  
  214. FILENAME: text_501502-1.txt
  215. 第2章「あやしのキャンドル」
  216. いろは: …ええっ!?
  217. いろは: やちよさんも、同じ夢を…?
  218. やちよ: ええ やけにリアルな夢だったわね
  219. いろは: 今は夢だと思えるけど
  220. いろは: 見てるときは、現実としか 思えなかったです…
  221. やちよ: いろは 夢の中でしたケガはどう…?
  222. いろは: あ…
  223. いろは: 何ともないみたいです!
  224. いろは: やっぱり夢なんですね
  225. やちよ: 私たち以外に 見た人はいないかしら…?
  226. フェリシア: はぁ、戦争の夢? 何だよそれ?
  227. さな: 私が見たのは 寝る前にネットで見た
  228. さな: “もっふもふ☆どうぶつ動画”の 続き…です
  229. いろは: …見たのは、同じ部屋にいた 私たちだけみたいですね
  230. やちよ: …となると
  231. やちよ: 原因はきっと、おまじないか アロマキャンドルね
  232. やちよ: みたまに連絡してみましょう
  233. みたま: …え、ふたりで怖い夢を見た?
  234. みたま: そうだったの…ごめんなさい
  235. みたま: でも、変ねぇ…
  236. みたま: おまじないを試した人は みんな、いい夢を見てるのよね
  237. みたま: だとすると 例のロウソクが原因なのかしら
  238. みたま: 本当にごめんなさいねぇ…
  239. やちよ: 怪しいのは、おまじないより ロウソクの方ってこと以外
  240. やちよ: 何も分からなかったわね
  241. いろは: …ですね
  242. やちよ: ところで…
  243. やちよ: ロウソクを消したのは、いろは?
  244. いろは: いえ 目が覚めたら、消えてました
  245. やちよ: 火が消えたら 夢から戻る仕組みなのかしら
  246. いろは: ロウソク、あまり減ってないから
  247. いろは: また試すことはできますけど…
  248. やちよ: …………
  249. やちよ: 火を灯したら 夢の続きに戻るのか…
  250. やちよ: それとも、別の夢を見るのか
  251. いろは: やってみないと、分かりませんね
  252. やちよ: …………
  253. やちよ: 実は、私ね
  254. やちよ: 少し興味があるのよ
  255. いろは: 興味…ですか?
  256. やちよ: ええ
  257. やちよ: 「タルトが呼ばれてた “乙女(ラ・ピュセル)”という名前は…」
  258. やちよ: 「フランスの救世主 ジャンヌ・ダルクの愛称なの」
  259. いろは: じゃあ、あの夢って… 中世のフランスってことですか?
  260. やちよ: ええ
  261. やちよ: フランスとイングランドが争った “百年戦争”の時代みたい
  262. いろは: …あれ、でも?
  263. いろは: ちゃんと言葉が通じましたけど
  264. やちよ: まぁ…夢だから
  265. いろは: そうですね
  266. やちよ: で…
  267. やちよ: ロウソク…どうする?
  268. いろは: …………
  269. いろは: …つけてみたい気も、します
  270. やちよ: 怖くはない?
  271. いろは: 怖いですけど… まぁ…夢ですし
  272. いろは: やちよさんは?
  273. やちよ: そうね、いろはの言う通り
  274. やちよ: 見てる最中は怖いし 現実としか思えないんだけど
  275. いろは: …起きてみると やっぱり夢って感じなんですよね
  276. やちよ: そう、だから 怖くないと言えば嘘になるけど
  277. やちよ: でも夢だし…ね?
  278. いろは: やちよさん…!
  279. やちよ: 同じ夢の続きみたいね 場所が変わってるけど
  280. いろは: 映画で見た 外国の田舎みたいです
  281. やちよ: まるで本物よね
  282. やちよ: …本物、見たことないけど
  283. いろは: 草の匂いとか、土の感触とかも ちゃんとありますね
  284. いろは: 一度も見たこともない景色を
  285. いろは: こんなリアルに 夢で見られるものでしょうか…?
  286. やちよ: そもそも夢って ふたり同時に見るものじゃないわ
  287. いろは: 確かに… でも夢なんですよね?
  288. やちよ: リアルすぎて 自信がなくなってくるけど
  289. やちよ: 夢のはずよ…ええ
  290. いろは: …とりあえず ジャンヌ・ダルク…というか
  291. いろは: タルトさんを探します?
  292. やちよ: そうしましょう
  293. やちよ: …彼女たちと会うときは 変身したままの方がよさそうね
  294. いろは: 私、制服で来ちゃいましたしね
  295. やちよ: …………
  296. やちよ: それにしても暗いわね
  297. やちよ: この前も、ずっと夜だったし…
  298.  
  299. FILENAME: text_501502-2.txt
  300. いろは: いました、やちよさん!
  301. やちよ: タルトたちと…フランス軍ね
  302. タルト: あっ…いろはさん!
  303. いろは: タルトさん! リズさんとメリッサさんも!
  304. いろは: よかった…
  305. タルト: よかったです
  306. メリッサ・ド・ヴィニョル: みんな無事だったんですね!
  307. リズ・ホークウッド: …………
  308. リズ・ホークウッド: あ…
  309. リズ・ホークウッド: 前、ちゃんと挨拶 できなかったけれど
  310. リズ・ホークウッド: 私は“リズ” よろしくね
  311. いろは: はいっ! こちらこそよろしくお願いします
  312. やちよ: …なるほど
  313. やちよ: 最後に別れたとき 目の前にいたメリッサには
  314. やちよ: いろはと私の姿が、突然薄れて 消えてゆくように見えたわけね
  315. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい みんな心配していたんです!
  316. タルト: 魔女の結界に 巻き込まれたんじゃないかって…
  317. いろは: 私たちの目が覚めてる間も…
  318. いろは: この夢の世界は ずっと続いてたってことですか?
  319. やちよ: そうみたい ほんとに不思議な夢ね
  320. やちよ: …ひとつ 質問させてもらっていいかしら?
  321. タルト: はい、何でしょう?
  322. やちよ: タルトって、もしかして
  323. やちよ: 本当は“ジャンヌ・ダルク”って 名前だったりしない?
  324. タルト: …え?
  325. タルト: すごい、よくご存じですね!
  326. タルト: 普段はジャネットとか、タルトと 呼んでもらっていますけど
  327. タルト: 確かに私はジャンヌという名前で 父方の姓はダルクです!
  328. いろは: やちよさん…!
  329. やちよ: 当たり、みたいね
  330. タルト: やちよさん
  331. タルト: どうして分かったんですか? 私のこと
  332. やちよ: あ、えっと それはね…
  333. メリッサ・ド・ヴィニョル: あっ… タルト、リズ
  334. メリッサ・ド・ヴィニョル: あちらを見てください!
  335. …………
  336. タルト: 小さな子が…ひとりで?
  337. リズ・ホークウッド: ただならぬ様子ね 話を聞いてみましょう
  338. リズ・ホークウッド: いったいどうしたの?
  339. あ…お姉ちゃんたち
  340. お願い、妹を助けて!
  341. リズ・ホークウッド: …………!
  342. タルト: 何があったの!?
  343. 大きな魔物に 捕まっちゃって…
  344. リズ・ホークウッド: 魔女の仕業ね…場所はどこ?
  345. あっちだよ!
  346. いろは: タルトさん 助けにいきましょう!
  347. タルト: はいっ!
  348. やちよ: 迷わず駆け出したけど、いいの?
  349. いろは: …あ!
  350. いろは: 夢だってことを忘れて 反射的に助けなきゃって
  351. やちよ: いろはらしいわね
  352. やちよ: でも、分かる気がする
  353. やちよ: タルトたちと話してると
  354. やちよ: 相手は本物の人間だとしか 思えないんだもの
  355. いろは: 気をつけます…
  356. やちよ: まあ、大丈夫だと思うわ
  357. やちよ: もしケガをしても 起きれば平気みたいだし…ね
  358.  
  359. FILENAME: text_501502-3.txt
  360. いろは: 小さな子が捕まったのは この結界みたいですね
  361. タルト: すぐに助け出しましょう!
  362. リズ・ホークウッド: …もちろんよ
  363.  
  364. FILENAME: text_501502-4.txt
  365. 蜃コ縺ヲ陦後▲縺ヲ繧茨シ!!!
  366. タルト: いました、魔女です!
  367. いろは: やちよさん! これも神浜にいた魔女です
  368. やちよ: 中世のフランスに いるはずのない敵ね
  369. いろは: …夢の中だから、でしょうか?
  370. やちよ: たぶんね
  371. やちよ: もうひとつ不思議なのは
  372. やちよ: さっきの女の子も あの魔女を見ていることね
  373. いろは: あ…
  374. 大きな魔物に 捕まっちゃって…
  375. いろは: そういえば、言ってましたね “大きな魔物”って!
  376. いろは: それも、夢の中だから?
  377. やちよ: かしらね
  378. やちよ: とにかくここでは 魔女が普通の人にも姿を見せる…
  379. やちよ: そう思っておきましょう
  380. …………
  381. タルト: 見つけました! 捕まってるのは、あの子ですね!
  382. タルト: 今、助けてあげますから!
  383. リズ・ホークウッド: 待って 迂闊に手は出せないわ
  384. リズ・ホークウッド: タルトの大技では あの子も巻き込んでしまうし
  385. リズ・ホークウッド: 敵の出方が分からないと…
  386. タルト: でも…このままじゃ
  387. いろは: タルトさん
  388. いろは: 私…あの魔女と 戦ったことがあるから
  389. いろは: 少しは役に立てる…と思います
  390. タルト: ほんとですか!?
  391. タルト: いろはさんの言う通りに 動いてみましょう、リズ!
  392. リズ・ホークウッド: …………
  393. リズ・ホークウッド: …いいわ
  394. リズ・ホークウッド: このまま救えないなんて… あんな思いは、もうごめんだから
  395.  
  396. FILENAME: text_501502-5.txt
  397. お姉ちゃんたち、ありがとう!
  398. リズ・ホークウッド: …何とか家まで 送り届けられたわね
  399. タルト: いろはさんのおかげです!
  400. タルト: 指示がとても的確だったから!
  401. いろは: そんな… でも、助けられてよかった
  402. いろは: えへへ
  403. いろは: 夢の中だとしても 人助けは気持ちいいですね
  404. やちよ: ふふ…そうね
  405. リズ・ホークウッド: 私からもお礼を言うわ 救えなかったらずっと後悔してた
  406. リズ・ホークウッド: あの子たち…昔のタルトと カトリーヌに似てたから
  407. いろは: …………?
  408. やちよ: カトリーヌ…?
  409. タルト: 今はもういない…私の妹です
  410. リズ・ホークウッド: …私たちは その子を守れなかったの
  411. タルト: そうなんです…
  412. <1428年 フランス、ドンレミ村>
  413. タルト: リズさん…
  414. タルト: カトリーヌが… 私を守ろうとして…
  415. タルト: 私…お姉ちゃんなのに…
  416. リズ・ホークウッド: …………
  417. リズ・ホークウッド: 間に合わなくて …ごめんなさい
  418. タルト: ―タルト― 私は、故郷の村を襲われて 最愛の妹を失いました
  419. タルト: ―タルト― こんな悲しみを もう誰にも味わってほしくない…
  420. タルト: だから私は 魔法少女になったんです
  421. タルト: フランスに 光をもたらす力を願って…!
  422. いろは: そうだったんですね…
  423. やちよ: 何十年も戦争が続くって こういうことなのね
  424. いろは: はい…聞いてて辛いです
  425. いろは: 私にも、大切な妹がいるから
  426. いろは: “ただの夢だから”って そんな風に割り切れなくって
  427. タルト: …あのとき私は カトリーヌの墓前に誓ったんです
  428. タルト: 必ずこの国を救うことを!
  429. リズ・ホークウッド: そして私は…そんなタルトを 守り助けることをね
  430. やちよ: ジャンヌ・ダルクは いえ、タルトたちは
  431. やちよ: 最初はたったふたりで 立ち上がったのね
  432. やちよ: フランスを救うために
  433. タルト: はい!
  434. タルト: でも、天使様のお導きに従って 進むうちに
  435. タルト: 一緒に戦ってくれる仲間が こんなに増えたんです!
  436. いろは: メリッサさんや、フランス軍の みんなのこと?
  437. タルト: そうです!
  438. タルト: …でも今の私は、みんなの思いを 裏切り続けています
  439. タルト: 一度は解放しかけた、要衝の オルレアンも
  440. タルト: 失ってしまいましたし
  441. やちよ: えっ…
  442. やちよ: オルレアンが、陥落してる?
  443. いろは: やちよさん どうかしたんですか…?
  444. やちよ: 後で話すわ 今はタルトの話を聞きましょう
  445. やちよ: (変ね、私の知ってる歴史では)
  446. やちよ: (村娘にすぎなかったジャンヌは 負けなしの快進撃を続けて)
  447. やちよ: (陥落寸前のオルレアンを 救うはずなんだけど)
  448. タルト: …あれは オルレアン解放作戦の途中でした
  449. タルト: 突然、コルボーの率いる 使い魔の大軍が現れて…
  450. リズ・ホークウッド: そこから形勢は完全に逆転したわ
  451. リズ・ホークウッド: 私たちフランス軍は、最南端の町 トゥールーズ目指して敗走中
  452. タルト: はい…
  453. タルト: “憤怒(ラ・イル)”と呼ばれる 英雄…メリッサのお父様をはじめ
  454. タルト: 共に戦った仲間たちとも はぐれてしまいました
  455. やちよ: (トゥールーズまで敗走…? やっぱり、実際の歴史と違う)
  456. リズ・ホークウッド: おまけにコルボーの支配する 領域は、この通りよ
  457. いろは: この通りって?
  458. メリッサ・ド・ヴィニョル: 夜がずっと 明けなくなってしまうんです…
  459. いろは: え!?
  460. いろは: それって、このあたりでは 太陽が昇らなくて
  461. いろは: ずっと暗いまんまってこと?
  462. メリッサ・ド・ヴィニョル: そうなんです…
  463. やちよ: まるで夢、ね
  464. リズ・ホークウッド: やちよ、いろは
  465. リズ・ホークウッド: 仮にあなたたちにとって これが夢だとしても
  466. リズ・ホークウッド: 私たちにとっては 紛れもない現実だから
  467. やちよ: …そうよね ごめんなさい
  468. いろは: すみません…私も…
  469. いろは: ――っ!?
  470. タルト: …………? あの、どうかしました?
  471. いろは: やちよさん!
  472. いろは: この感じ…あのときと同じ!
  473. やちよ: ええ… 夢から…覚めかけてるみたいね…
  474. いろは: タイミングは 自分で選べないんでしょうか…
  475.  
  476. FILENAME: text_501503-1.txt
  477. 第3章「夜明けを求めて」
  478. いろは: やちよさん、やっぱり…
  479. やちよ: ええ
  480. やちよ: 夢の原因は、このロウソクね
  481. やちよ: みたまに言ったところで どうにもならないでしょうけど
  482. いろは: …ですね
  483. いろは: あ、そういえば
  484. いろは: タルトさんの話の途中
  485. いろは: やちよさん 何か気にしてましたよね?
  486. やちよ: あ、あの話ね
  487. やちよ: あのね ジャンヌは実際の歴史では…
  488. やちよ: 包囲されたオルレアンを解放して
  489. やちよ: 北半分を占領されていた フランスの窮地を救ったの
  490. いろは: はい
  491. やちよ: でも、あの夢ではね
  492. やちよ: コルボーが現れて その戦いに負けてしまったみたい
  493. いろは: そうなんですか…!
  494. やちよ: タルトに聞いた話を 地図で確かめてみるといいわ
  495. やちよ: 北半分どころか、フランス自体が 消滅寸前…戦況は絶望的よ
  496. いろは: そんなに…!?
  497. いろは: …あんなにリアルな世界なのに
  498. いろは: どこか現実とは 食い違ってるんですね
  499. やちよ: ええ
  500. やちよ: 実際とは大きく違う歴史に
  501. やちよ: 神浜にしか 現れないはずの魔女たち
  502. いろは: それに 夜がずっと明けないって話も
  503. やちよ: そうね
  504. やちよ: 全部“夢だから”で片づけるのは 簡単だけど…
  505. いろは: あれ、このドカドカって足音
  506. やちよ: …フェリシアね
  507. フェリシア: おっ! やっと起きたか!
  508. フェリシア: こんなやべーときに
  509. フェリシア: ふたり揃って なにグースカ寝てんだよ!?
  510. フェリシア: めっちゃ起こしたんだぞ!
  511. やちよ: 起こすって… まだ外は暗いじゃない
  512. フェリシア: だから、それがやべーんだよ! 時計見てみろよ!
  513. いろは: えっと、時計は…
  514. いろは: 1時ちょうどですね
  515. やちよ: やっぱり、まだ深夜じゃない
  516. フェリシア: そーじゃなくて! だから…あー
  517. フェリシア: えっと、昼なんだよ!
  518. フェリシア: 昼の1時なんだよ!
  519. やちよ: えっ…!?
  520. いろは: やちよさん…まさか
  521. やちよ: 昨日から夜が明けてないの?
  522. フェリシア: やっと分かったか!
  523. フェリシア: あと、それだけじゃねーんだよ!
  524. フェリシア: 神浜から魔法少女以外のヤツらが いなくなっちまったんだ!
  525.  
  526. FILENAME: text_501503-2.txt
  527. やちよ: 大変なことが起きてしまったわね
  528. やちよ: 夢で見たフランスと同じように 神浜でも夜明けが来なくなって
  529. いろは: 魔法少女じゃない人たちが みんな消えてしまった…
  530. いろは: やちよさん、これって 私たちのせいなんでしょうか!?
  531. やちよ: 落ち着いて 悪いのは全部みたまだから
  532. いろは: はい
  533. いろは: って、ええ!?
  534. やちよ: は、言いすぎだけど…
  535. やちよ: 誰のせいかなんて話より 今すべきことを考えましょう
  536. いろは: そう、ですね
  537. やちよ: ひとつ言えるのは、これが
  538. やちよ: 夢のフランスで起きた異変と 無関係とは思えないってこと
  539. いろは: どっちの世界も…夜明けが来ない
  540. やちよ: そう、それよ
  541. やちよ: まず、あの世界を“ただの夢”と 考えるのはやめるべきね
  542. いろは: はい…!
  543. やちよ: どんな理屈か分からないけれど あの世界で起きた異変は…
  544. やちよ: 私たちの神浜に 深刻な影響を及ぼしている
  545. いろは: それに… リズさんの言ってた通り
  546. リズ・ホークウッド: 仮にあなたたちにとって これが夢だとしても
  547. リズ・ホークウッド: 私たちにとっては 紛れもない現実だから
  548. いろは: 私、まだ“夢だから”って… どこか軽く考えてた気がします…
  549. やちよ: そう思っても仕方ないわ
  550. やちよ: 目が覚めると ケガが治ってたりしたしね
  551. やちよ: あ…
  552. いろは: やちよさん どうしたんですか?
  553. やちよ: そうよね…迂闊だったわ!
  554. やちよ: いろは、ソウルジェムを確かめて
  555. いろは: え… あ、はい!
  556. やちよ: やっぱり…!
  557. やちよ: 身体は無傷でも 使った魔力は消費されているわ
  558. いろは: ほんとだ…!
  559. やちよ: あの“夢のフランス”の正体が 何なのだとしても…
  560. やちよ: 現実同様に魔力を消耗し 現実にも影響が出る
  561. やちよ: あの世界のことは 現実と同じと考えるべきよ…!
  562. いろは: …やちよさん
  563. いろは: 神浜が、こうなった 原因を探るためにも
  564. いろは: もう一度行くべき…ですよね?
  565. やちよ: ええ
  566. やちよ: 他にないと思うわ
  567. フェリシア: なぁ、さっきから
  568. フェリシア: 何の話してんだよ…
  569. フェリシア: このヤベー状況と
  570. フェリシア: 何かかんけーでもあんのか?
  571. いろは: あ…えっと
  572. やちよ: …悪いわね、フェリシア
  573. やちよ: 正直、込み入り過ぎていて 説明しきれる自信がないわ
  574. やちよ: とりあえず、悪いんだけど…
  575. やちよ: ここで私たちが眠っていても 起こさないでいてくれる?
  576. やちよ: 万が一、助けが必要なときは あなたたちを頼るから
  577. フェリシア: んだよ、それ
  578. フェリシア: わっけ分かんねーぞ オレを邪魔者扱いしてねーか?
  579. やちよ: そうじゃないわ この状況を解決するため…
  580. やちよ: だけど、これ以上 巻き込む人を増やしたくないの
  581. やちよ: そのせいで、何が起きるか 分からないから…
  582. フェリシア: 手伝いも禁止かよ…
  583. フェリシア: うぅぅ…
  584. やちよ: わかったわ、こうしましょう
  585. やちよ: 言うことを聞いてくれたら 今度の夕飯はステーキよ!
  586. フェリシア: なっ、ステーキって肉じゃん! 分厚い肉じゃん!
  587. やちよ: どう!?
  588. フェリシア: おう、頑張ってこいよ!
  589. いろは: そんな、あっさり!?
  590. フェリシア: さなにも邪魔すんなって 言っとくぞ!
  591. フェリシア: なんたって分厚い肉だからな!
  592. フェリシア: にーく♪にーく♪
  593. フェリシア: 分厚いにーく♪
  594. いろは: やちよさん、すごい…
  595. やちよ: 一緒に暮らしてるんだもの
  596. やちよ: …それじゃ、あの夢に戻って
  597. やちよ: こうなった原因を 探れるだけ、探ってみましょう
  598. いろは: はい!
  599. いろは: 次は、ただの夢だなんて思わず 真剣勝負でいきましょう!
  600. やちよ: もちろんよ
  601.  
  602. FILENAME: text_501503-3.txt
  603. いろは: え…
  604. いろは: ここ、魔女の結界!?
  605. いろは: 夢のフランスじゃない…?
  606. やちよ: 困ったわね
  607. やちよ: まずはタルトたちと 合流したかったんだけど…
  608. いろは: やちよさん!!
  609. いろは: 人がいます!
  610. …………!!!
  611. ???: ぐっ…!
  612. ???: この“憤怒(ラ・イル)”… もう一度メリッサの顔を拝むまで
  613. ???: 死ぬ気はねぇんだよ!
  614. いろは: やちよさん ラ・イルさんって確か…
  615. やちよ: タルトが言ってた メリッサのお父さんね
  616. いろは: ということは、やっぱり
  617. やちよ: ええ、結界の外は あの世界だと思う
  618. やちよ: それより、助けるわよ
  619. やちよ: いくら強い人でも 魔女に敵うはずがないもの
  620.  
  621. FILENAME: text_501503-4.txt
  622. いろは: あ、やっぱり…
  623. やちよ: 結界の外は、夢のフランスね
  624. ラ・イル: …助かったぜ!
  625. ラ・イル: あのバケモノを仕留めるなんて
  626. ラ・イル: まるで “乙女(ラ・ピュセル)”だな!
  627. やちよ: ラ・イルさん…ですよね?
  628. やちよ: 私はやちよ こっちの子は、いろは
  629. やちよ: 私たち、この間まで“乙女”や メリッサと一緒にいたの
  630. ラ・イル: メリッサと会ったのか! 娘は無事なんだな!
  631. いろは: はい!
  632. やちよ: また会いにいくつもりよ
  633. ラ・イル: だったら伝えてくれ! 俺たちの隊は健在だと
  634. ラ・イル: 最近は、今みたいなバケモノが うようよ出るようになって
  635. ラ・イル: ますます苦境に陥ってるが
  636. ラ・イル: “乙女”の奇跡を信じて 近くの砦で、抵抗を続けてる
  637. やちよ: 砦に戻るの?
  638. やちよ: 私たちと一緒に タルトを探すというのは…?
  639. ラ・イル: そうはいかない 仲間たちを待たせてるんでな!
  640. ラ・イル: 俺たちは希望を捨てていない…
  641. ラ・イル: “乙女”と合流できる日を 楽しみにしてるぞ!
  642. やちよ: …………
  643. やちよ: フランスは絶望的な状況なのに…
  644. ラ・イル: 「俺たちは希望を捨てていない…」
  645. やちよ: 重い伝言を渡されてしまったわね
  646. いろは: …そうですね
  647. いろは: でも、メリッサさんの お父さんに会うなんて
  648. いろは: すごい偶然!
  649. やちよ: そういえば
  650. やちよ: 最初のときも、この前も すぐにタルトと会えたわよね
  651. やちよ: (これって…
  652. やちよ: ほんとに、偶然なのかしら…?)
  653.  
  654. FILENAME: text_501503-5.txt
  655. いろは: ここがタルトさんたちの 野営地ですね!
  656. いろは: 南のトゥールーズを目指せば フランス軍に追いつけるっていう
  657. いろは: やちよさんの予想通りでした!
  658. やちよ: でしょう?
  659. やちよ: では、タルトたちを探しましょう
  660. メリッサ・ド・ヴィニョル: …よかった! お父様は無事なのですね!
  661. やちよ: ええ 娘にまた会うまでは死ねないって
  662. リズ・ホークウッド: よかったわね、メリッサ
  663. リズ・ホークウッド: 部隊の士気も高まっているみたい
  664. 赤耳の“憤怒(ラ・イル)”様が 健在とは心強い!
  665. あの方が本気の怒りを見せれば…
  666. イングランドの魔物など ものの数ではないぞ!
  667. いろは: 赤耳のラ・イル?
  668. メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様は、激情に駆られると
  669. メリッサ・ド・ヴィニョル: 耳が真っ赤になるのです…
  670. タルト: それにしても 私たちが窮地にあるときに
  671. タルト: このような希望を もたらしていただけるなんて
  672. タルト: もしや、いろは様とやちよ様は 天からの使いなのでは…?
  673. いろは: そ、そんなんじゃないです! あと、“様”もやめてください!
  674. いろは: 私たちが来たのは、その… 夢の外側というか
  675. いろは: タルトさんが伝説になってる 別の世界というか…
  676. リズ・ホークウッド: 夢の…外側…?
  677. タルト: リズ、どうかしたんですか?
  678. リズ・ホークウッド: 何でもないわ 続けて
  679. いろは: はい
  680. いろは: あ…この場合、未来から 来たって言う方がいいのかな?
  681. やちよ: …もう、正直に話しましょう
  682. やちよ: 分かってることも 分からないことも…
  683. メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトがオルレアンを解放して フランスを勝利に導く…?
  684. リズ・ホークウッド: あなたたちは、そんな伝説が 語り継がれる世界から来たの?
  685. いろは: はい
  686. リズ・ホークウッド: それって、何百年も先の 未来から来たということ?
  687. やちよ: 私たちにも、分からないの ただ
  688. やちよ: “乙女”は神の声に導かれて オルレアンを解放し
  689. やちよ: フランスの王を誕生させて 祖国を救った
  690. やちよ: 私たちの時代には そんな歴史が残っているわ
  691. タルト: すごい! 天使様のお告げと同じです!
  692. いろは: 天使様って?
  693. ???: ボクのことのようだね
  694. やちよ: え…
  695. いろは: うそ!?
  696. やちよ&いろは: キュゥべえ!?
  697. キューブ: ボクの名前はキューブ
  698. キューブ: 東の果ての地で、キュゥべえと 呼んでくれる子もいたけれど
  699. キューブ: 今はボクのことより キミたちの話の方が興味深いね
  700. キューブ: できれば、もっと詳しく 聞かせてほしいな?
  701.  
  702. FILENAME: text_501503-6.txt
  703. いろは: 『じゃ、タルトさんを 魔法少女にした“天使様”って…』
  704. キューブ: 「それはボクだね」
  705. いろは: 『キュゥべえなら、私たちが ここに迷い込んだ理由も分かるんじゃ?』
  706. キューブ: 「いや、ボクにとっても キミたちは未知の存在だ」
  707. キューブ: 「ただ、キミたちが事情を話してくれれば」
  708. キューブ: 「何らかの仮説は立てられると思う」
  709. キューブ: …ふむ
  710. キューブ: 結論から言うと
  711. いろは: 結論から言うと…?
  712. キューブ: ここはキミたちにとって “過去の世界”のようだね!
  713. いろは: へっ…?
  714. いろは: それだけ?
  715. やちよ: 百年戦争の時代だもの 過去が舞台の夢だとは思うけど
  716. キューブ: いや、“夢”じゃないよ
  717. キューブ: キミたちにとって 現実の過去だと言ってるのさ!
  718. いろは: 現実の…過去!?
  719. やちよ: つまり… 15世紀のフランスそのもの?
  720. いろは: あ、そっか!
  721. いろは: 眠ってる間だから 夢の世界だと思い込んでたけど
  722. いろは: ここは中世のフランスで
  723. いろは: 私たちの魂は、夢を見てる間 過去へ旅してるってこと?
  724. キューブ: そう
  725. キューブ: それで何もかもつじつまが合う
  726. キューブ: …たとえばボクの知るかぎり ボクはキミたちと初対面だ
  727. いろは: だけど私たちは、キュゥべえに 魔法少女にしてもらったんだよ?
  728. キューブ: 何の不思議もないよ
  729. キューブ: キミたちの言う“キュゥべえ”は 未来のボクか、ボクの仲間だろう
  730. やちよ: でも、このフランスは 私たちの知ってる過去と違うわ
  731. やちよ: …この矛盾をどう説明するの?
  732. キューブ: それこそが 未来に異変が起きた原因だよ
  733. キューブ: キミたち人類に理解可能な 概念かは分からないけど
  734. キューブ: いわゆる タイムパラドクスというやつさ!
  735. いろは: 原因は、何…?
  736. キューブ: おそらく、コルボーだね
  737. キューブ: 「コルボーの出現で フランスの敗色は濃厚となった」
  738. キューブ: 「無尽蔵の使い魔を使役し 異なる時代の魔女をも召喚する彼女は この世界において、明らかに異質な存在だ」
  739. キューブ: 「この戦況が続き、フランスが敗北すれば… やがて世界中がこの暗雲に覆われ 明けない夜が何百年と続くことになる」
  740. いろは: その結果が、今の神浜?
  741. キューブ: そう 歴史は本来のルートを外れ
  742. キューブ: キミたちのいた未来にも 影響が出はじめたワケだ
  743. キューブ: ただ、運命はまだ確定していない
  744. キューブ: だから、その影響も部分的で まだ予兆ってレベルのようだけど
  745. やちよ: このまま、フランスが負けたら?
  746. キューブ: おそらく キミたち自身も消滅するだろうね
  747. いろは: …………
  748. いろは: じゃあ、逆に
  749. いろは: タルトさんに協力して コルボーって人を追い返せば
  750. いろは: 未来は元の姿に戻るってこと?
  751. キューブ: そういうこと!
  752. キューブ: ボクとしても そうしてくれると非常に助かるよ
  753. やちよ: …キューブ あなたを信用していいの?
  754. キューブ: 未来のボクたちが、キミとどんな 関係にあるかは知らないけれど
  755. キューブ: この件について言うならば ボクは完全にキミたちの味方だよ
  756. キューブ: コルボーの勝利は、ボクたちに 深刻な不利益をもたらすものだ
  757. キューブ: 「タルトはそれに対抗しうる この時代で、唯一の存在…」
  758. キューブ: 「過去と未来を結ぶ、巨大な因果を 負って生まれた魔法少女なんだ」
  759. キューブ: ボクたちにとっても タルトは“希望の光”なんだよ
  760.  
  761. FILENAME: text_501503-7.txt
  762. <1429年 フランス、トゥールーズ近郊>
  763. いろは: わぁ、明るい…!
  764. いろは: フランス領では 本当に太陽が昇るんですね!
  765. やちよ: ええ
  766. やちよ: 中世も現代も、青空は同じなのね
  767. やちよ: …いろは
  768. いろは: …はい?
  769. やちよ: 避けられなくなったわね
  770. やちよ: タルトたちを助けて、戦うこと
  771. いろは: そうですね
  772. いろは: 人がいなくなった神浜を そのままにしてはおけませんし
  773. いろは: それに私、入口が夢だからって ここも“夢”だと思い込んで
  774. いろは: タルトさんたちの想いを 真剣に受け止めきれなかったから
  775. タルト: 私が食い止めます 逃げてください!
  776. タルト: 「こんな悲しみを もう誰にも味わってほしくない…」
  777. タルト: 「だから私は 魔法少女になったんです」
  778. タルト: 「フランスに 光をもたらす力を願って…!」
  779. いろは: だから、この時代を一生懸命 生きてるタルトさんたちと
  780. いろは: ちゃんと向き合わなきゃって 反省してるんです
  781. やちよ: リズの言う通りだったわね
  782. リズ・ホークウッド: 仮にあなたたちにとって これが夢だとしても
  783. リズ・ホークウッド: 私たちにとっては 紛れもない現実だから
  784. やちよ: 今や、私たちにとっても これは“紛れもない現実”
  785. やちよ: いろは
  786. いろは: はい
  787. やちよ: もう、分かってると思うけど
  788. やちよ: ソウルジェムの魔力が尽きれば 生きて帰れないわよ?
  789. いろは: …………
  790. いろは: 分かってるつもりです
  791. やちよ: 覚悟はあるのね
  792. やちよ: …………
  793. やちよ: いいわ 一緒に決意を告げにいきましょう
  794.  
  795. FILENAME: text_501503-8.txt
  796. タルト: えっ…?
  797. リズ・ホークウッド: 私たちに協力したい…!?
  798. いろは: はい
  799. いろは: また突然、消えちゃって 迷惑をかけるかもしれませんけど
  800. いろは: 魔女や使い魔との戦いで 力になれると思いますから!
  801. リズ・ホークウッド: 生きて帰れないかもしれないわよ
  802. やちよ: ふたりとも、覚悟の上よ
  803. やちよ: 私たちはずっと この世界を“夢”だと思い込んで
  804. やちよ: どこか浮ついた気持ちだったけど
  805. やちよ: あなたの言葉で、目が覚めたの
  806. やちよ: 私たちにとっても これは紛れもない現実だ、って
  807. リズ・ホークウッド: …………
  808. リズ・ホークウッド: ありがとう 気持ちはありがたく頂戴するわ
  809. リズ・ホークウッド: タルトはどうするつもり?
  810. タルト: 私は…
  811. タルト: …………
  812. タルト: いろはさん、やちよさん
  813. やちよ: …なに?
  814. タルト: ひとつ、聞かせてください
  815. タルト: 私たちは今… “未来”のために戦っています
  816. タルト: 絶望に覆われたこの国で 明日への希望を取り戻すために
  817. やちよ: そうね…
  818. タルト: そして天使様はおっしゃいました
  819. タルト: いろはさんとやちよさんは 未来から来た魔法少女だと
  820. いろは: はい
  821. タルト: あなたたちは、その“未来”を
  822. タルト: 取り戻すに 値するものだと信じていますか?
  823. いろは: …………!
  824. いろは: はいっ…!
  825. いろは: 私たちの時代にも 悲しいことは、たくさんあるし
  826. いろは: 戦争だってなくならないし
  827. いろは: 世界のどこかで 泣いてる人もいます
  828. いろは: そんな人たちを救うために 戦ってる魔法少女もいます
  829. いろは: でも…
  830. いろは: 取り戻したいです 絶対に…!
  831. いろは: 私たちの、未来を
  832. タルト: ふふふっ…!
  833. やちよ: …………?
  834. タルト: よかった…!
  835. いろは: へっ…!?
  836. タルト: いろはさんのいた世界は きっと素敵な時代なんですねっ!
  837. タルト: 確かめたかったんです 未来に希望があるのかどうか
  838. タルト: そして、今の答えで確信しました
  839. タルト: 未来には、確かに 希望があるんだって!
  840. いろは: タルトさん…!
  841. タルト: いろはさん、やちよさん
  842. タルト: ありがたく、協力の お申し出を受けたいと思います
  843. やちよ: …いろは!
  844. いろは: はい!
  845. リズ・ホークウッド: タルト…!
  846. タルト: 一緒に、戦ってください!
  847. タルト: 夜明けを失ったこの国に…
  848. タルト: 光を取り戻すために!
  849.  
  850. FILENAME: text_501504-1.txt
  851. 第4章「反撃の砦」
  852. <フランス最南端 トゥールーズ>
  853. タルト: 今こそ反撃のときです!
  854. タルト: トゥールーズから… 最後に残された、この砦から
  855. タルト: フランスに 夜明けをもたらしましょう!
  856. うぉおおおーっ!
  857. 「我らが聖女よ!」
  858. 「ラ・ピュセル!」
  859. 「ジャンヌ・ラ・ピュセル…!!」
  860. いろは: …すごい歓声ですね!
  861. やちよ: タルトは人気があるのね
  862. メリッサ・ド・ヴィニョル: 近ごろは、苦しい戦いが続いて 暗い表情が多かったけれど…
  863. メリッサ・ド・ヴィニョル: あれが本当のタルトなんです!
  864. メリッサ・ド・ヴィニョル: 快進撃を続けていた頃は いつもこんな感じだったんですよ
  865. いろは: へえ…
  866. メリッサ・ド・ヴィニョル: 思い出します…!
  867. メリッサ・ド・ヴィニョル: 初めてタルトの姿を目にした あの日のことを…
  868. メリッサ・ド・ヴィニョル: 「その日…タルトは フランスの王位後継者、シャルル王太子様に 初めてお目通りを許されました」
  869. メリッサ・ド・ヴィニョル: 「でも…王太子様は タルトが本物の聖女かどうかを試すため わざと、別の方を玉座につかせたのです」
  870. メリッサ・ド・ヴィニョル: 「そして、タルトは…」
  871. タルト: …この方は
  872. タルト: 王太子様ではありません!
  873. いろは: ひと目で偽者を見破った…!?
  874. やちよ: すごいわね…!
  875. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい!
  876. メリッサ・ド・ヴィニョル: その姿をご覧になった 王太子様は…
  877. シャルル王太: 「聞け!皆の者!!」
  878. シャルル王太: 「この者、真の乙女」
  879. シャルル王太: 「真の神の使いなり!」
  880. メリッサ・ド・ヴィニョル: そしてタルトは 神に認められし“乙女”として…
  881. メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様に、フランス軍を率いる ことを許されたんです
  882. いろは: さすがは伝説の聖女様ですね…!
  883. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい…あの日、見た姿は 本当に奇跡のようでした…
  884. メリッサ・ド・ヴィニョル: だから従者として付き従い タルトのお役に立てれば
  885. メリッサ・ド・ヴィニョル: 私はそれで満足なんです…!
  886. やちよ: …すごい心酔ぶりね
  887. いろは: あっ… そういえば!
  888. いろは: さっき聞いたんですけど…
  889. いろは: 次に向かうのは、メリッサさんの お父さんがいる砦らしいですね!
  890. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい、そうなんです!
  891. メリッサ・ド・ヴィニョル: “憤怒(ラ・イル)”なんて 恐い名前で呼ばれていますけど
  892. メリッサ・ド・ヴィニョル: 私をとても大切にしてくれる 優しいお父様なんですよ
  893. リズ・ホークウッド: …もうすぐ会えるわね
  894. メリッサ・ド・ヴィニョル: リズ!
  895. リズ・ホークウッド: メリッサのお父様ははぐれた兵を まとめて、砦に立てこもってるの
  896. リズ・ホークウッド: 砦は今、敵に包囲されていて 苦しい状況が続いているけれど
  897. リズ・ホークウッド: 彼らと合流して 反撃ののろしを上げるって
  898. リズ・ホークウッド: タルトもはりきっているわ!
  899. リズ・ホークウッド: タルトが希望を取り戻せたのは いろはと、やちよのおかげ
  900. リズ・ホークウッド: だから私からも、お礼を言わせて
  901. いろは: そ、そんな!
  902. リズ・ホークウッド: 照れることはないわ
  903. リズ・ホークウッド: じゃあ、私は タルトのところに行ってるから
  904. やちよ: リズはいつも、タルトの 影みたいに寄り添ってるわね
  905. メリッサ・ド・ヴィニョル: リズは、タルトを守るのが 自分の仕事だと言っています
  906. やちよ: そうなのね
  907. いろは: やちよさん、タルトさんが…
  908. いろは: フランス軍の先頭に!
  909. ラ・ピュセル! ラ・ピュセル!
  910. タルト: 共に駆け抜けましょう…!
  911. タルト: 全軍、出撃!
  912.  
  913. FILENAME: text_501504-2.txt
  914. タルト: あと少しです…!
  915. タルト: ラ・イル様の待つ砦が 見えてきました…!
  916. タルト: ――っ!?
  917. ズシャアァア☆●△▼◇ー!!
  918. うぉっ! このバケモノは…!
  919. タルト: 私に任せてください!
  920. タルト: いきますっ!
  921. БББЯяЯяяЯ!!!!
  922. いろは: えっ、別の魔物!?
  923. メリッサ・ド・ヴィニョル: もっとです…あちらにも!
  924. やちよ: あの魔女の手下じゃないわ どうしてこの結界に?
  925. リズ・ホークウッド: 結界の主が 本物の魔女ではないからよ
  926. やちよ: 本物じゃない?
  927. やちよ: たとえば… 精巧な複製だとか?
  928. リズ・ホークウッド: かも…しれないわね
  929. やちよ: …リズ?
  930. やべえな 前にこっぴどくやられたヤツだ
  931. あんなのが何体も出てくるなんて いくら“乙女”でも…
  932. ああ
  933. 聖女様なんて言っても 最近は、負け続きだし…
  934. メリッサ・ド・ヴィニョル: 何ですって!?
  935. いろは: メリッサさん!?
  936. お、おう!?
  937. メリッサ・ド・ヴィニョル: 今、何とおっしゃったかと 聞いているんです!
  938. いろは: え、えぇ…!?
  939. いろは: ちょ、ちょっとメリッサさん どうしたんですか!?
  940. リズ・ホークウッド: タルトの悪口を言われると ああなのよ
  941. いろは: そうなんですか!?
  942. やちよ: …………
  943. やちよ: さすがラ・イルの娘ね 怒ると耳が真っ赤だわ…
  944. ББЯЯЯяяЯЯ!!!!
  945. メリッサ・ド・ヴィニョル: あんな腑抜けた人たちに 前線は任せられません!
  946. メリッサ・ド・ヴィニョル: 怪物は、私がやっつけます!
  947. いろは: 待って! メリッサさんも魔法少女なの!?
  948. リズ・ホークウッド: …普通の女の子よ
  949. リズ・ホークウッド: キューブによると なれる素質はあるみたいだけれど
  950. やちよ: メリッサ
  951. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい?
  952. やちよ: あなたが戦うことはない 私が行くわ
  953. リズ・ホークウッド: …私も
  954. やちよ: ふたりで相手しましょう
  955. 「おい…」
  956. 「あんな子たちに戦わせて 俺たちは見てるだけか…?」
  957. 「威勢よく出陣したばかりなのに 情けねえぞ…」
  958. いろは: 無理はしないで、ふたりを 援護してあげてください!
  959. わ、わかった
  960. 陣形を組め! 訓練通りにやるぞ!
  961. おう! フランス軍の意地を見せてやる!
  962. いろは: 私も、頑張らなきゃ…!
  963.  
  964. FILENAME: text_501504-3.txt
  965. やちよ: とどめは、私が…!
  966. リズ・ホークウッド: 任せたわ
  967. ББЯяяЯяяЯ!!!
  968. やちよ: ――っ!?
  969. やちよ: …まだ、動けたの!?
  970. ラ・イル: ねーちゃん、油断だぜ!
  971. ББЯяяяяЯ…!?
  972. やちよ: …助かったわ
  973. ラ・イル: 礼には及ばないさ!
  974. やちよ: あなた…ラ・イル!
  975. ラ・イル: ねーちゃん、ひさしぶりだな!
  976. リズ・ホークウッド: 結界が解けた…
  977. リズ・ホークウッド: タルトが魔女を倒したのね
  978. メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様!
  979. ラ・イル: おお、メリッサ! 無事だったか!
  980. メリッサ・ド・ヴィニョル: 心配しておりました!
  981. メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様っ…!
  982. やちよ: 感動の再会、ね
  983. おお…我らの英雄 ラ・イルが戻ってきたぞ!
  984. いろは: みんなも喜んでるみたいです!
  985. タルト: ラ・イル様!
  986. タルト: わざわざ砦から駆けつけて いただいたのですねっ!
  987. ラ・イル: おうよ!
  988. タルト: あ、でも
  989. タルト: 指揮官自ら撃って出て 砦は大丈夫なのですか?
  990. リズ・ホークウッド: 砦はジル・ド・レ男爵が 守っているそうよ
  991. メリッサ・ド・ヴィニョル: 男爵様も一緒なんですね…!
  992. やちよ: ラ・イルもジル・ド・レ男爵も 歴史に名を残した英雄よ
  993. いろは: すごい人たちが 戻ってきたんですね!
  994. やちよ: ええ、そうね
  995. やちよ: 見て、タルトがみんなに 号令をかけるわよ
  996. タルト: さあ、向かいましょう!
  997. タルト: 心強い仲間が待つ、砦へと!
  998. おお~っ!
  999.  
  1000. FILENAME: text_501504-4.txt
  1001. タルト: ジル・ド・レ様が守る砦は この先です!
  1002. リズ・ホークウッド: …囲みを突破するわ
  1003.  
  1004. FILENAME: text_501504-5.txt
  1005. リズ・ホークウッド: 見て…!
  1006. いろは: すごい、夜が明けましたね!
  1007. タルト: 砦の奪還に、成功したからです!
  1008. メリッサ・ド・ヴィニョル: まさしく“希望の光”ですね…!
  1009. リズ・ホークウッド: …あ
  1010. リズ・ホークウッド: 司令官のジル・ド・レ男爵よ
  1011. ジル・ド・レ: よくぞ参られました…! “乙女(ラ・ピュセル)”よ
  1012. ジル・ド・レ: さあ、兵士たちの前へ
  1013. タルト: は、はい…!
  1014. ジル・ド・レ: どうぞ、貴方がたも
  1015. いろは: へっ…!?
  1016. やちよ: 私たちも?
  1017. タルト: …ジル・ド・レ様の 演説が始まります!
  1018. ジル・ド・レ: 「皆、聞くがよい!」
  1019. ジル・ド・レ: 「かの日の敗北以来 我らは長きにわたる屈従を強いられてきた」
  1020. ジル・ド・レ: 「だが…」
  1021. ジル・ド・レ: 恐れるな、兵士たちよ!
  1022. ジル・ド・レ: 天の意志は、我らのもとに 再び舞い降りたのだ!
  1023. ジル・ド・レ: 「神に認められし“乙女”と…」
  1024. ジル・ド・レ: 「新たなるふたりの聖女とともに!」
  1025. やちよ: え…!?
  1026. いろは: 待って… ええっ?
  1027. やちよ: 新たなる聖女って…
  1028. いろは: 私たちのこと!?
  1029. 「うおぉぉぉおおっ!」
  1030. 「ラ・ピュセル!ラ・ピュセル!」
  1031. 「我らが聖女たちよ!」
  1032. やちよ: あ…悪夢だわ
  1033. リズ・ホークウッド: まんまと担ぎ上げられたわね
  1034. メリッサ・ド・ヴィニョル: …ふふふっ
  1035.  
  1036. FILENAME: text_501505-1.txt
  1037. 第5章「王太子救出」
  1038. フェリシア: …こっちの様子? ぜんぜん変わってないぞ
  1039. フェリシア: そいや、鶴乃が来たっけ
  1040. やちよ: 鶴乃が?
  1041. フェリシア: こうなった原因を見つけるって 飛び出してったから
  1042. フェリシア: どこにいるのか さっぱり分かんねーけど
  1043. やちよ: そう…
  1044. フェリシア: ま、ふたりとも頑張れよ! なんせ分厚い肉が待ってるからな
  1045. フェリシア: …学校が休みじゃなくなるのは 残念だけど
  1046. やちよ: ちゃんと自習はするのよ
  1047. やちよ: 私たちは しばらく手が離せないから
  1048. さな: あ、あの、やっぱり ふたりだけで行くんですか…?
  1049. さな: 私たちも、手伝った方が…
  1050. いろは: や、やめた方がいいよ! 4人目の聖女様にされちゃうよ!
  1051. さな: …ええっ?
  1052. さな: 聖女様にされる…って…!?
  1053. やちよ: その話は、したくないわ…
  1054. やちよ: …男爵には、まんまと はめられたわね
  1055. いろは: あの後すぐ帰れなかったら
  1056. いろは: あやうく、もみくちゃに なるところでしたね
  1057. やちよ: また、あの場に戻るのかと思うと 気が進まないわ
  1058. いろは: 少しは時間が経ってると思います
  1059. いろは: これまでも、そうだったし!
  1060. やちよ: そうね… じゃあ、行きましょうか
  1061. いろは: はい…!
  1062. いろは: …救出作戦?
  1063. タルト: はい!
  1064. タルト: ブールジュに囚われた フランスの王位継承者…
  1065. タルト: シャルル王太子様を 取り戻します!
  1066. メリッサ・ド・ヴィニョル: この戦乱はもともと、王位継承を めぐる混乱が発端なのですが
  1067. メリッサ・ド・ヴィニョル: 私たちの旗頭である王太子様は今 コルボーに囚われているのです!
  1068. いろは: え…それって…
  1069. いろは: た、大変じゃないですか!?
  1070. やちよ: 私たちの知ってる歴史では 起きていない大事件ね
  1071. タルト: そ、そうなのですか
  1072. タルト: でも、頑張ります!
  1073. タルト: シャルル王太子様を救い出し いつか正式な戴冠式を行うのが
  1074. タルト: 天使様から与えられた 私の使命ですから!
  1075. やちよ: 天使様、ね
  1076. キューブ: …ん?
  1077.  
  1078. FILENAME: text_501505-2.txt
  1079. <出立の前夜…>
  1080. リズ・ホークウッド: ―鎌(ファルチェ)―!
  1081. リズ・ホークウッド: ―鉈(マチェーテ)―!
  1082. やちよ: 明日の戦いに備えて、特訓中?
  1083. リズ・ホークウッド: …やちよ
  1084. リズ・ホークウッド: いえ…この子たちの調子が 最近よくなかったから
  1085. リズ・ホークウッド: バランスを確かめてたの
  1086. やちよ: …この子たちって、その鎌と鉈?
  1087. リズ・ホークウッド: そうよ
  1088. やちよ: 聖なる“乙女”の仲間なのに…
  1089. やちよ: 凶々しい武器を使うのね
  1090. リズ・ホークウッド: タルトが希望の光なら 私はそれに寄り添う影
  1091. リズ・ホークウッド: タルトを守る役に立つなら この子たちの形は何でもいいのよ
  1092. やちよ: ふふっ
  1093. リズ・ホークウッド: 何か?
  1094. やちよ: ごめんなさい
  1095. やちよ: リズって随分、大人っぽいのに “この子”なんて呼ぶんだなって
  1096. リズ・ホークウッド: 私、タルトとひとつ違いだけど
  1097. やちよ: え…?
  1098. リズ・ホークウッド: え…?
  1099. リズ・ホークウッド: 整理すると…
  1100. やちよ: 私とリズが、だいたい同い年?
  1101. リズ・ホークウッド: タルトは私よりひとつ…
  1102. リズ・ホークウッド: メリッサは確か 3つ年下だったかしら
  1103. やちよ: いろはは、さらにその ひとつくらい下ね
  1104. リズ・ホークウッド: カトリーヌが… タルトの妹が生きていたら
  1105. リズ・ホークウッド: いろはと友だちになれたのにね
  1106. やちよ: ええ、きっと
  1107. リズ・ホークウッド: 私はあの子を守れなかったから
  1108. リズ・ホークウッド: タルトだけは、この手で守るわ …どんな犠牲を払っても
  1109. やちよ: …………
  1110. やちよ: リズ、あのね
  1111. リズ・ホークウッド: ん…?
  1112. やちよ: たとえ誰かを守るためでも あなた自身を犠牲にはしないで
  1113. やちよ: あなたがタルトを 大切に思うのと同じくらい
  1114. やちよ: タルトもあなたを大切に思ってる
  1115. リズ・ホークウッド: …………
  1116. やちよ: タルトはこれまでに何度も 大事な仲間を失って
  1117. やちよ: そのひとりひとりから 想いを託されてきたんでしょう?
  1118. やちよ: タルトにこれ以上 辛い思いを、させないであげて
  1119. リズ・ホークウッド: …わかったわ
  1120. リズ・ホークウッド: 少しは自分の身も守るようにする
  1121. リズ・ホークウッド: きっとやちよも 今のタルトと同じように
  1122. リズ・ホークウッド: たくさんの仲間に 希望を託されてきたのね
  1123. やちよ: そうね
  1124. やちよ: 「…いろいろ、あったから」
  1125. リズ・ホークウッド: そう…
  1126. リズ・ホークウッド: 男爵の言う通り、やちよも 本当の聖女様だったのかしら
  1127. やちよ: や、やめて!
  1128. やちよ: それは絶対に違うから!
  1129. <翌日…>
  1130. タルト: さあ、行きましょう! ブールジュへ向けて!
  1131. タルト: フランスの正統なる王位継承者
  1132. タルト: シャルル王太子様を 我らの手に取り戻すために!
  1133. 「おおーーっ!」
  1134. 「ラ・ピュセル!ラ・ピュセル!」
  1135. 「3人の聖女たちよ!」
  1136. やちよ: …………
  1137. いろは: …………
  1138.  
  1139. FILENAME: text_501505-3.txt
  1140. タルト: ブールジュはもうすぐです! ここを突破すれば…!
  1141. ジル・ド・レ: 同胞よ、憶するな! 我らには聖女たちがついている!
  1142. ラ・イル: ったく、ジルの旦那は 盛り上げ上手だな…!
  1143.  
  1144. FILENAME: text_501505-4.txt
  1145. メリッサ・ド・ヴィニョル: ここです!
  1146. メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様が囚われているのは この砦の地下です!
  1147. リズ・ホークウッド: 門を破るのはきついわね
  1148. いろは: え…どうするんですか?
  1149. リズ・ホークウッド: タルトと打ち合わせ済みよ いろははタルトと一緒に!
  1150. いろは: わかりました!
  1151. タルト: 先陣は私が!
  1152. いろは: タルトさん、危ない!
  1153. タルト: ――っ!?
  1154. コルボー: 殺すつもりで食らわせたんだが コイツも跳ね返したか
  1155. リズ・ホークウッド: コルボー…!
  1156. コルボー: だが、そうこなくちゃ 面白くないよなぁ!
  1157. リズ・ホークウッド: くっ
  1158. タルト: リズ!
  1159. リズ・ホークウッド: ここは任せてくれる?
  1160. リズ・ホークウッド: タルトたちは、かまわず砦へ
  1161. いろは&タルト: は、はい!
  1162. リズ・ホークウッド: やちよは、私を援護して
  1163. やちよ: わかったわ
  1164. リズ・ホークウッド: コルボー あなたの目的は何?
  1165. コルボー: くくくっ
  1166. コルボー: 私はただ、殺し合いたいだけさ!
  1167. リズ・ホークウッド: …それだけ?
  1168. コルボー: ああ、そうさ
  1169. コルボー: 私が本気を出すと 派手に味方も巻き込むんでね!
  1170. コルボー: だが、この世界でなら 思う存分暴れられるっていうんで
  1171. コルボー: この話に乗ったのさ!
  1172. コルボー: 多少の制約と引き換えにな!
  1173. やちよ: (“この世界”でなら…?)
  1174. やちよ: (妙な言い方をするのね)
  1175. コルボー: それじゃ、始めようか! 真っ向勝負でな!
  1176. リズ・ホークウッド: …お断りよ
  1177. コルボー: 消えた!?
  1178. コルボー: ぐあっ!?
  1179. コルボー: 左か…!
  1180. リズ・ホークウッド: 残念、右よ
  1181. コルボー: ぐぅ…っ!
  1182. コルボー: くく…ハハハッ!
  1183. リズ・ホークウッド: …………?
  1184. コルボー: 影使いの黒いの やるじゃないか!
  1185. コルボー: 攻撃は最大の防御ってヤツか
  1186. リズ・ホークウッド: 力勝負じゃ押し切られる
  1187. リズ・ホークウッド: でも、間断なく攻め続ければ…!
  1188. やちよ: 加勢するわ
  1189. タルト: リズ、大丈夫ですか!?
  1190. リズ・ホークウッド: こっちで時間を稼ぐから タルトたちは砦へ急いで!
  1191. タルト: わかりました!
  1192. コルボー: そう簡単に…
  1193. コルボー: 行かせるか!
  1194. いろは: わっ!
  1195. タルト: 囲まれた!?
  1196. コルボー: ゆっくりしていきなよ 聖女様!
  1197. コルボー: さて…黒いのに、青いの
  1198. コルボー: なぶり合おうぜぇ、思うさま!
  1199.  
  1200. FILENAME: text_501505-5.txt
  1201. リズ・ホークウッド: ハッ!
  1202. コルボー: クソっ…!
  1203. コルボー: こうも捨て身で来られちゃ 反撃したくとも…
  1204. リズ・ホークウッド: 決める!
  1205. やちよ: 「たとえ誰かを守るためでも あなた自身を犠牲にはしないで」
  1206. リズ・ホークウッド: ――っ!?
  1207. コルボー: ハハハハッ! 間一髪、かわしたな
  1208. コルボー: そのまま決めにきてたら お前、死んでたぜ!
  1209. コルボー: だが…
  1210. コルボー: 今ので、手は尽きたろ!
  1211. コルボー: 守りの心配をしながら 勝てると思うなよ!
  1212. コルボー: ぐはッ!
  1213. やちよ: 大丈夫、リズ?
  1214. コルボー: くっ…青いの!
  1215. リズ・ホークウッド: 助かったわ、やちよ
  1216. リズ・ホークウッド: 「…わかったわ」
  1217. リズ・ホークウッド: 「少しは自分の身も守るようにする」
  1218. やちよ: 私がよけいなことを言ったせいで 何かあったら困るもの
  1219. リズ・ホークウッド: …そうね
  1220. コルボー: お前ら、何をごちゃごちゃと…
  1221. リズ・ホークウッド: タルト、今よ!
  1222. タルト: はいっ!
  1223. タルト: ラ・リュミエール!
  1224. コルボー: なっ…
  1225. コルボー: 砦が…半壊しただと!?
  1226. やちよ: タルトの魔法ね!
  1227. ジル・ド・レ: 今だ、地下牢へ突入!
  1228. メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様を救出してください!
  1229. ラ・イル: おうよ、任せろ!
  1230. コルボー: お前ら… 最初から、これが狙いか
  1231. リズ・ホークウッド: ええ、そんなところ
  1232. コルボー: そうか
  1233. コルボー: くく…クハハハハッ!
  1234. コルボー: まんまとやられたぜ 砦はくれてやる!
  1235. コルボー: 聖女様の魔法を侮った 私のミスだからな…!
  1236. コルボー: 黒いのと青いの、顔は覚えたぞ
  1237. コルボー: 次も本気で殺り合おうぜ! …どっちかが死ぬまでな!
  1238. やちよ: あ…
  1239. やちよ: 見て、空を!
  1240. リズ・ホークウッド: え…?
  1241. やちよ: 太陽の光が…!
  1242. タルト: ジル・ド・レ様、演説を
  1243. ジル・ド・レ: お任せあれ
  1244. ジル・ド・レ: 「聞け!」
  1245. ジル・ド・レ: 「フランスの正統なる王位継承者 シャルル殿下が…」
  1246. ジル・ド・レ: 「“乙女(ラ・ピュセル)”らの手で ついに解放された!」
  1247. おおおーーーっ!
  1248. シャルル王太子: “乙女”よ… よくぞ迎えに来てくれた
  1249. シャルル王太子: 心から礼を言うぞ…!
  1250. タルト: えっ…わわっ
  1251. タルト: お…王太子様っ!?
  1252. メリッサ・ド・ヴィニョル: あ…
  1253. メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様がタルトの 手を取って礼を…!
  1254. いろは: …見てください!
  1255. いろは: 演説が始まるみたいです
  1256. シャルル王太子: 「ブールジュに集いし猛者どもよ! 空に満ちる、この輝きを見よ!」
  1257. シャルル王太子: 「そう…天はフランスを 見捨ててはいなかった!」
  1258. シャルル王太子: 「この者たちが、証明してくれたのだ!」
  1259. シャルル王太子: 「希望があるかぎり、陽はまた昇ると…!」
  1260. シャルル王太子: 神に認められし “乙女”の加護を得た今…
  1261. シャルル王太子: 私は北のシノン城をめざす!
  1262. タルト: 王太子様…!
  1263. いろは: シノン城…?
  1264. タルト: この北にあるフランスの要塞です
  1265. タルト: 途中、砦や町を解放しながらの 行軍になると思います!
  1266. シャルル王太子: …シノン入城を果たした暁には いよいよ始めよう
  1267. シャルル王太子: 「フランスの要衝… オルレアン奪還作戦を!」
  1268. うおおぉおーっ!
  1269. メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様…ついに… 決断されたんですね!
  1270. やちよ: …いよいよなのね
  1271. リズ・ホークウッド: そう、決戦よ
  1272. リズ・ホークウッド: 一度は、苦杯を舐めた場所…
  1273. リズ・ホークウッド: 決戦の地は、オルレアンね
  1274.  
  1275. FILENAME: text_501506-1.txt
  1276. 第6章「オルレアン前夜」
  1277. いろは: …………
  1278. いろは: はっ…!?
  1279. やちよ: …気がついた?
  1280. やちよ: 私も、目が覚めたところ
  1281. フェリシア: おっ、 チョーいいタイミングだな!
  1282. やちよ: フェリシア
  1283. いろは: 何か… 変化があったの…?
  1284. さな: はい、そうなんです…!
  1285. さな: 外はまだ暗いんですけど… 少しずつ人が戻ってました…!
  1286. フェリシア: やったなっ!
  1287. いろは: やちよさん!
  1288. いろは: 正しい歴史が戻りかけてきたって ことですよね?
  1289. やちよ: そうね
  1290. やちよ: といっても… 本当の歴史には、ほど遠いけどね
  1291. やちよ: もともとの歴史では
  1292. やちよ: ジャンヌ・ダルクが王太子と シノン城で謁見したあと
  1293. やちよ: ほどなくして オルレアン解放作戦が始まるの
  1294. いろは: 私たちが会ったタルトさんは 一度それに負けたんですよね?
  1295. やちよ: そう… オルレアンは陥落したから
  1296. やちよ: …リターンマッチってやつ?
  1297. やちよ: だから「解放作戦」じゃなく 「オルレアン奪還作戦」なのよ
  1298. いろは: ようやく、スタートラインに 戻るってことでしょうか?
  1299. やちよ: そういうこと
  1300. さな: あの…お話の途中…すみません…
  1301. いろは: なに、さなちゃん?
  1302. さな: 人が戻ってきたのは… いいこと…なんですけど…
  1303. さな: どうして夜が明けないんだ、って
  1304. さな: 騒ぎが広がってるみたいです
  1305. いろは: それは…
  1306. いろは: まずいかも!?
  1307. やちよ: 急いで解決しましょう
  1308. やちよ: 戻ってタルトを助けるのよ
  1309. さな: 待ってます…!
  1310. フェリシア: ステーキの約束 忘れんなよ!
  1311.  
  1312. FILENAME: text_501506-2.txt
  1313. いろは: …神浜に戻ってる間に
  1314. いろは: タルトさんたちに 置いてかれちゃいましたね
  1315. やちよ: 確か、ブールジュを発って シノン城へ向かうはずだから
  1316. やちよ: 北を目指せば追いつけるわ
  1317. いろは: はい!
  1318. やちよ: ここはもう、太陽が昇ってるのね
  1319. いろは: タルトさんたちが 領地を取り戻したからですね!
  1320. やちよ: ええ
  1321. やちよ: 一時はフランスの南の端まで 追い込まれてたけど…
  1322. やちよ: 反撃を始めて、一気に4割ぐらい 押し戻したことになるわね
  1323. いろは: すごい勢いですね!
  1324. いろは: 砦や町を解放しながら 進んでるはずなのに…
  1325. やちよ: あちらは軍隊と言っても
  1326. やちよ: コルボーが召喚した 魔女と使い魔ばかりだから
  1327. やちよ: 追い払うだけで 領地を取り戻せてしまうのね
  1328. やちよ: …逆に言うと、たったひとりで 一国をここまで追い込むなんて
  1329. やちよ: キューブも言ってたけど コルボーは明らかに異質な存在ね
  1330. いろは: イングランドの軍隊には 他に人がいないんでしょうか?
  1331. やちよ: たぶん、コルボーが
  1332. やちよ: 味方を巻き込まないように 連れてきていないんでしょう
  1333. いろは: あ…言ってましたね
  1334. コルボー: だが、この世界でなら 思う存分暴れられるっていうんで
  1335. コルボー: この話に乗ったのさ!
  1336. やちよ: …………
  1337. やちよ: やっぱり変よね…
  1338. いろは: やちよさん 何か引っかかるんですか?
  1339. やちよ: いえ
  1340. やちよ: 『この世界でなら』って
  1341. やちよ: コルボーはどうして あんな言葉を使ったのかしら?
  1342. いろは: まるで別の世界から 来たような言い方ですね
  1343. やちよ: ええ
  1344. やちよ: コルボーが、タルトたちとは 違う世界から来たのだとすると
  1345. やちよ: この世界は何?…って話よね
  1346. いろは: あれっ?
  1347. いろは: キューブの言ってた通り 中世のフランスだと思ってました
  1348. やちよ: 私も、基本的には キューブの説が正しいと思う
  1349. やちよ: でも、説明のつかない点も たくさんあるわ
  1350. いろは: たとえば、何でしょう?
  1351. やちよ: たとえば…
  1352. やちよ: 私、中世のフランス語なんて 知らないわよ?
  1353. いろは: 確かに… 言葉が通じちゃってますね
  1354. やちよ: そう、それに
  1355. やちよ: ずっと夜が明けない現象も 現実離れしすぎているわ
  1356. いろは: 何だか、私
  1357. いろは: …また混乱してきました
  1358. やちよ: …ふふ
  1359. やちよ: 今のところ、キューブの説が いちばん有力なのは間違いないわ
  1360. やちよ: だからここは“中世のフランス” そう考えていいと思う
  1361. やちよ: 現実離れした、夢みたいなことが 起きている理由も…
  1362. やちよ: いずれ分かるでしょう
  1363. いろは: そうですね…!
  1364. やちよ: ひとつ、はっきりしてるのは…
  1365. やちよ: この世界には この世界の時間が流れていて
  1366. やちよ: タルトたちは私たちと同じように 一生懸命、生きているってこと!
  1367. いろは: はい!
  1368. やちよ: それを忘れなければ この世界の正体が何であれ
  1369. やちよ: タルトたちの想いと 真剣に向き合えるはずよ
  1370. いろは: …そうですよね
  1371. やちよ: さあ…
  1372. やちよ: もうすぐシノン城が見える頃よ
  1373.  
  1374. FILENAME: text_501506-3.txt
  1375. <1429年 フランス、シノン城>
  1376. <オルレアン奪還作戦を敢行すべく シャルル王太子が入城を果たした>
  1377. タルト: いろはさん、やちよさん!
  1378. メリッサ・ド・ヴィニョル: 再会できてよかったです!
  1379. いろは: シノンのお城には もう到着していたんですね
  1380. タルト: はい、みんな一緒です!
  1381. タルト: もちろん、シャルル王太子様も
  1382. やちよ: オルレアン奪還作戦は いつ始まるの?
  1383. メリッサ・ド・ヴィニョル: あさっての朝です!
  1384. いろは: いよいよなんですね…!
  1385. キューブ: オルレアンの北にも 抵抗を続けるフランス勢力がある
  1386. キューブ: オルレアンを奪還して 彼らと合流することができれば…
  1387. メリッサ・ド・ヴィニョル: フランスにまた 光は戻ってきます!
  1388. いろは: そうだね!
  1389. いろは: …って、あれっ?
  1390. いろは: メリッサさんにも キューブが見えるんですか?
  1391. キューブ: 彼女は魔法少女ではないけれど その素質はあるからね
  1392. いろは: それでなんですね…
  1393. やちよ: 決戦が近いのね
  1394. いろは: 緊張してきたかも…
  1395. タルト: あ、そうだ!
  1396. タルト: 出陣を前に これから祝宴が催されるんです
  1397. タルト: よかったら ご一緒しませんか?
  1398. いろは: やちよさん、どうします?
  1399. やちよ: …いいんじゃない?
  1400. タルト: よかったぁ! みんな一緒が楽しいですよね!
  1401. いろは: あ…そういえば
  1402. いろは: リズさんはいないんですか?
  1403. メリッサ・ド・ヴィニョル: リズは、偵察に行ってます
  1404. やちよ: ひとりで?
  1405. タルト: はい、リズは 影の中に隠れる力もありますし
  1406. タルト: ひとりの方が都合がいいって
  1407. メリッサ・ド・ヴィニョル: 最近、単独行動が多いんです 丸一日いないこともありますし
  1408. メリッサ・ド・ヴィニョル: たぶん、コルボーの奇襲を 心配しているんだと思います
  1409. やちよ: …そう
  1410. やちよ: リズは強いから ひとりでも平気かもしれないけど
  1411. やちよ: タルトの側をそんなに空けるのは らしくないわね
  1412. リズ・ホークウッド: …私の名前が聞こえたようだけど
  1413. いろは: わっ…!?
  1414. タルト: リズ、おかえり!
  1415. タルト: 偵察はどうでした…?
  1416. リズ・ホークウッド: ええ…
  1417. リズ・ホークウッド: 特に何事もなく、よ
  1418. やちよ: …………
  1419. やちよ: (まただわ)
  1420. やちよ: (リズの様子… ときどき、変なのよね)
  1421. やちよ: (何か、秘密がある感じ)
  1422. リズ・ホークウッド: タルト そろそろ祝宴が始まるわ
  1423. タルト: はい、行きましょう!
  1424.  
  1425. FILENAME: text_501506-4.txt
  1426. 「乾杯(サンテ)!」
  1427. いろは: …やちよさん 何を飲んでるんですか?
  1428. やちよ: 山羊のミルクよ
  1429. やちよ: いちおう未成年だしね
  1430. やちよ: 中世の法律は知らないけど いろはも、お酒はだめよ
  1431. いろは: はい!
  1432. いろは: あ、メリッサさん
  1433. いろは: メリッサさんが飲んでるのは?
  1434. メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様が、祝杯として ふるまわれたものです
  1435. メリッサ・ド・ヴィニョル: とってもおいしいんですよ!
  1436. いろは: え、それってお酒?
  1437. いろは: お酒はやめておいた方が…
  1438. メリッサ・ド・ヴィニョル: 「コク、コク…」
  1439. いろは: …って、もう飲み干してる!?
  1440. ジル・ド・レ: いやいや、お嬢様がた
  1441. いろは: あ、ジル・ド・レ男爵
  1442. ジル・ド・レ: 彼女ならあちらでも すでに7杯ほど飲んだ後です
  1443. いろは: そんなに!?
  1444. やちよ: すごいわね 顔色ひとつ変わってない
  1445. ラ・イル: ハハハ 楽しくやってるようだな!
  1446. メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様…!
  1447. ラ・イル: メリッサ、どうだ 旨かったろう
  1448. メリッサ・ド・ヴィニョル: はいっ!
  1449. ラ・イル: 熟す前に摘んだぶどうの果汁だ ワインとはまた違った趣があるな
  1450. いろは: あっ… お酒じゃなかったんですね
  1451. ジル・ド・レ: フッ、ご明察
  1452. やちよ: (安心したわ…)
  1453. いろは: リズさんが飲んでるのも メリッサさんと同じものですか?
  1454. リズ・ホークウッド: ええ 私はお酒、飲まないから
  1455. いろは: じゃ、何か食べるもの もらってきましょうか?
  1456. リズ・ホークウッド: そうね、甘いものがあれば…
  1457. そちらの方も ワイン、いかがですか?
  1458. リズ・ホークウッド: ごめんなさい、私は…
  1459. ええっ…!
  1460. そう…なんですか…
  1461. 残念…です…
  1462. リズ・ホークウッド: …………
  1463. リズ・ホークウッド: (可愛い…)
  1464. リズ・ホークウッド: やっぱり、いただこうかしら…?
  1465. いろは: リ、リズさん! やめましょう!
  1466. いろは: さっきお酒、飲まないって…!
  1467. やちよ: ………… …………
  1468. やちよ: (小さい子の頼みを 断れないのかしら…)
  1469. キューブ: 盛況のようだね
  1470. キューブ: オルレアン奪還作戦には キミたちも参加するんだろう?
  1471. いろは: うん、途中でロウソクが消えて 未来に戻されなければね
  1472. キューブ: ロウソクとは、何のことかな?
  1473. いろは: あ、そっか
  1474. いろは: 私たちが夢を通じて ここに来たことは伝えたけど…
  1475. やちよ: その夢を見る方法は 言ってなかったわね
  1476. リズ・ホークウッド: その話、私にも 聞かせてもらえるかしら?
  1477. やちよ: …リズ
  1478. キューブ: なるほど 夢の中に入るロウソクか
  1479. キューブ: 実に興味深いね
  1480. リズ・ホークウッド: ええ
  1481. いろは: いい夢が見られるおまじないって 聞いて、使ってみたんだけど
  1482. いろは: 使ったロウソクが悪くて…
  1483. キューブ: それで、夢の中ではなく 過去の世界に出たわけだね
  1484. リズ・ホークウッド: …………
  1485. メリッサ・ド・ヴィニョル: 何の話をしてるんですか?
  1486. メリッサ・ド・ヴィニョル: いい夢を見られるおまじない… って聞こえましたけど?
  1487. いろは: メリッサさん、おまじないに 興味があるんですか?
  1488. メリッサ・ド・ヴィニョル: はいっ!
  1489. いろは: やちよさん、どうします?
  1490. いろは: 教えてあげても 大丈夫でしょうか…?
  1491. やちよ: 普通のロウソクを使った人は 問題なかったみたいだし
  1492. やちよ: …いいわ 教えてあげましょう
  1493. メリッサ・ド・ヴィニョル: わぁ、ありがとうございます!
  1494. いろは: はっ!
  1495. いろは: そういえば、タルトさんは!?
  1496. タルト: いろはさん、やちよさん…!
  1497. タルト: メリッサにリズおね~ちゃんも!
  1498. タルト: わ~い、そこにいたんだ~♪
  1499. いろは: ちょ、タルトさん!?
  1500. いろは: だ、抱きつかないで~!
  1501. タルト: うぇへ~ぇ…
  1502. リズ・ホークウッド: …完全に酔ってるわね
  1503. やちよ: 誰がお酒飲ませたの?
  1504. キューブ: ひと口も飲んでないよ 酒気に当たったんじゃないかな?
  1505. いろは: それだけで… こんなに!?
  1506. やちよ: 抱きつきグセ、かしら…?
  1507. タルト: いろはさん…むにゃ…
  1508. キューブ: 抱きついたまま眠るとは 実に器用だね
  1509. リズ・ホークウッド: 聖女様が聞いて呆れるわ…
  1510. いろは: いいから、誰か助けて~!
  1511. いろは: フランスの夜明けは近い…
  1512. いろは: …のかな?
  1513. <第2部へつづく…>
  1514.  
  1515. FILENAME: text_501507-1.txt
  1516. 第2部
  1517. 第7章「オルレアン奪還作戦」
  1518. <1429年5月>
  1519. シャルル王太子: 「コルボーの急襲により陥落した 要衝オルレアンを奪還せよ…」
  1520. <王位継承者シャルル王太子の命を受け ジル・ド・レ、“憤怒(ラ・イル)”ら率いる フランス軍がシノン城を進発した>
  1521. <進路に点在する 砦や村落を解放しながらの行軍である>
  1522. <先頭を馳せる白馬の旗手は、天使の声により “タルト”と命名された魔法少女>
  1523. <またの名を“乙女”ジャンヌといった…>
  1524. БЯЯЯЯЯЯяЯЯЯ!!!!
  1525. タルト: はぁっ!
  1526. メリッサ・ド・ヴィニョル: 見てください、リズ!
  1527. リズ・ホークウッド: 魔女の結界!
  1528. 蜃コ縺ヲ陦後▲縺ヲ繧茨シ!!!
  1529. タルト: いろはさん、やちよさん お願いします!
  1530. いろは: はいっ!
  1531. やちよ: …いろは 左右の使い魔を押さえるわ
  1532. いろは: じゃあ、私は右を
  1533. やちよ: わかったわ 私は左ね
  1534. ∀Φщ∂∬β≠!∞!!!
  1535. いろは: はっ!
  1536. ≠!∞∀Φщ∂β∬!!!
  1537. やちよ: やぁっ!
  1538. リズ・ホークウッド: 今よ、タルト!
  1539. タルト: 魔女よ、消え去れ…
  1540. タルト: ラ・リュミエール!
  1541. ラ・イル: しっかし、何度見ても おっかねえ魔法だな…!
  1542. リズ・ホークウッド: 魔女はタルトが退けたわ!
  1543. ジル・ド・レ: よし、今こそフランス軍の 底力を見せるときだ!
  1544. 「おおおおっ!」
  1545. やちよ: いろは、私たちも
  1546. いろは: はい!
  1547.  
  1548. FILENAME: text_501507-2.txt
  1549. リズ・ホークウッド: この先に王太子派の村があるわ
  1550. タルト: 急ぎましょう!
  1551. タルト: 魔物を追い払って 村を取り戻します!
  1552.  
  1553. FILENAME: text_501507-3.txt
  1554. リズ・ホークウッド: …村の周りにいた魔物は すべて追い払ったわね
  1555. やちよ: いろは、いい動きだったわよ
  1556. いろは: えへへ ありがとうございます
  1557. メリッサ・ド・ヴィニョル: あ、ここに いらっしゃったのですね!
  1558. やちよ: 何か用かしら?
  1559. メリッサ・ド・ヴィニョル: 解放した村に タルトが挨拶に向かうので
  1560. メリッサ・ド・ヴィニョル: おふたりも一緒に 来てほしいって…!
  1561. やちよ: まさか…
  1562. いろは: また、聖女様役?
  1563. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい…でも大丈夫です!
  1564. メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトが先頭に立って 旗を振りますから
  1565. メリッサ・ド・ヴィニョル: 横にいて、ニコニコしてるだけで いいそうです!
  1566. やちよ: それが、いやなのよ…
  1567. いろは: 仕方ないですね
  1568. リズ・ホークウッド: “聖女様”たちも大変ね…
  1569. リズ・ホークウッド: 私はただの“影”でよかったわ
  1570. メリッサ・ド・ヴィニョル: ふふふっ
  1571. タルト: …いろはさん、やちよさん!
  1572. タルト: みんな待ってます! さあ、行きましょう!
  1573. 「ラ・ピュセル!ラ・ピュセル!」
  1574. 「聖女たちよ!」
  1575. おかげで助かったわ! これ、差し入れ
  1576. タルト: わあっ…ありがとうございます!
  1577. 聖女いろは様~!
  1578. いろは: あ、あはは…
  1579. やちよ: とうとう、いろはも有名人ね
  1580. いろは: あちこちで 村の解放を手伝ったから…?
  1581. いろは: やちよさん、やちよさん
  1582. いろは: それより…
  1583. いろは: タルトさんの持ってる旗… あれでいいんですか!?
  1584. リズ・ホークウッド: ―リズ― 天使様の軍旗、ねえ…
  1585. リズ・ホークウッド: 確か… タルトが自分で刺繍したのよね?
  1586. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい!
  1587. メリッサ・ド・ヴィニョル: 天使様のお姿を みんなに見てもらえるようにって
  1588. リズ・ホークウッド: うーん
  1589. リズ・ホークウッド: 何度見ても、ひどい柄としか…
  1590. メリッサ・ド・ヴィニョル: ええ…?
  1591. メリッサ・ド・ヴィニョル: 私は素敵だと思いますけど
  1592. キューブ: …………?
  1593. メリッサ・ド・ヴィニョル: あっ、リズ…
  1594. リズ・ホークウッド: なに?
  1595. メリッサ・ド・ヴィニョル: 太陽が…!
  1596. わぁ…おひさまだ!
  1597. おおっ まさに奇跡!
  1598. いろは: 何度見てもすごいですね
  1599. やちよ: …タルトは、まさに希望の光ね
  1600. やちよ: こんな奇跡まで 起こしてしまうなんて
  1601. タルト: いえ、そんな…!
  1602. タルト: 私は、ただの田舎娘にすぎません
  1603. タルト: みんなに助けてもらったのと
  1604. タルト: 天使様のおかげです!
  1605. ラ・イル: …さて、旦那
  1606. ラ・イル: 次はいよいよ砦攻めだな
  1607. ジル・ド・レ: フッ…心配は無用です
  1608. リズ・ホークウッド: そうね
  1609. リズ・ホークウッド: …“光”は 私たちと共にあるのだから
  1610.  
  1611. FILENAME: text_501507-4.txt
  1612. 敵は大軍です!
  1613. ジル・ド・レ: ひるむな!この砦は オルレアン奪還の最初の試練…!
  1614. メリッサ・ド・ヴィニョル: 信じましょう、“乙女”を… 私たちの希望の光を!
  1615.  
  1616. FILENAME: text_501507-5.txt
  1617. ジル・ド・レ: 「よくやった、フランスの兵士たちよ!」
  1618. ジル・ド・レ: 「我らは緒戦に勝利した!」
  1619. ジル・ド・レ: これぞまさに… “乙女”の加護が真たる証拠!
  1620. うぉおおーっ!
  1621. タルト: わ…私はただ 旗を振っていただけなんですが
  1622. タルト: とにかく、勝ててよかったです!
  1623. ねーねー “乙女”のおねーちゃん!
  1624. 一緒に遊んでー!
  1625. タルト: いいよ! 何して遊ぼうか?
  1626. いろは: …あ、行っちゃった!
  1627. やちよ: 気さくで、謙虚で 信心深くて…
  1628. やちよ: タルトがみんなに慕われるのも 不思議はないわね
  1629. いろは: そうですね
  1630. いろは: 出会った頃は 弱気も覗かせたりしたけど…
  1631. いろは: あれが本当の タルトさんなんですね!
  1632. リズ・ホークウッド: …そうね
  1633. いろは: リズさん…
  1634. リズ・ホークウッド: 私たちの見ているこの風景が たとえ本物じゃないとしても
  1635. リズ・ホークウッド: あれは確かに、本物のタルトよ
  1636. やちよ: …………
  1637. やちよ: 『たとえ本物じゃないとしても』 なんて、妙な言い方をするのね
  1638. リズ・ホークウッド: 前にあなたたちが 言っていたことでしょ?
  1639. いろは: そうでしたね
  1640. いろは: 私たち、ロウソクを使って 夢の中に入ったつもりだったから
  1641. やちよ: それで思い込んでいたのよ この世界は私たちの夢だ、って
  1642. リズ・ホークウッド: …ええ
  1643. リズ・ホークウッド: 仮にあなたたちにとって これが夢だとしても
  1644. リズ・ホークウッド: 私たちにとっては 紛れもない現実だから
  1645. リズ・ホークウッド: あのね…
  1646. リズ・ホークウッド: ああは言ったけれど
  1647. リズ・ホークウッド: この世界が誰かの夢というのは 悪くない推測
  1648. いろは: え、そうなんですか!?
  1649. リズ・ホークウッド: ええ
  1650. リズ・ホークウッド: ただ、夢の主は あなたたちではないわ
  1651. やちよ: リズ あなた、何か知ってるのね?
  1652. リズ・ホークウッド: ごめんなさい 今は、何も言えないの
  1653. リズ・ホークウッド: 言えば、すべてが 終わってしまうから…
  1654. やちよ: リズ
  1655. リズ・ホークウッド: なに…?
  1656. やちよ: あなたの言葉があったから
  1657. やちよ: 私たちはタルトの戦いに 協力することにしたのよ
  1658. やちよ: だから、これからは 隠し事はナシにしてちょうだい
  1659. リズ・ホークウッド: …………
  1660. リズ・ホークウッド: …そうね
  1661. リズ・ホークウッド: その前に、ひとつ聞かせて
  1662. リズ・ホークウッド: あなたたちの使っている ロウソクのこと
  1663. いろは: え、ロウソクですか…?
  1664. いろは: 赤と青の、すごく古い骨董品です
  1665. リズ・ホークウッド: そう…
  1666. リズ・ホークウッド: …あなたたちって 本当に未来から来たのね
  1667. いろは: え…? 今ので分かるんですか?
  1668. リズ・ホークウッド: ええ、そうよ
  1669. リズ・ホークウッド: やはり、本物の未来を知る あなたたちだからこそ
  1670. リズ・ホークウッド: タルトを 立ち直らせることができたのね…
  1671. いろは: 取り戻したいです 絶対に…!
  1672. いろは: 私たちの、未来を
  1673. タルト: 今の答えで確信しました
  1674. タルト: 未来には、確かに 希望があるんだって!
  1675. リズ・ホークウッド: …いろは、やちよ
  1676. いろは: はい
  1677. リズ・ホークウッド: 今から言うことをよく聞いて
  1678. リズ・ホークウッド: あなたたちになら 託せると思うから…
  1679. リズ・ホークウッド: もしも、私の身に何かあって 誰かの助けが必要なときは
  1680. リズ・ホークウッド: タルトの妹の“カトリーヌ”…
  1681. リズ・ホークウッド: 彼女にゆかりのある名の教会で 祈りを捧げて
  1682. やちよ: そこに、何かあるのね?
  1683. リズ・ホークウッド: …確実ではないけれど
  1684. リズ・ホークウッド: 助けになってくれる存在と 会えるかもしれないわ
  1685. リズ・ホークウッド: …じゃ、私 そろそろ行くから
  1686. やちよ: また偵察かしら?
  1687. リズ・ホークウッド: …ええ
  1688. いろは: 影の中に消えた…
  1689. やちよ: 彼女の能力ね
  1690. いろは: リズさんの言ってること よく分からなかったけど…
  1691. いろは: 何か秘密があるみたいですね
  1692. やちよ: そうね
  1693. やちよ: 事情があって 詳しくは言えないようだったけど
  1694. いろは: でも、私たちを信頼して 話してくれたみたいでした
  1695. いろは: あ…この感じ!
  1696. いろは: また神浜に戻されるやつです!
  1697. やちよ: …私たちも強制退場みたいね
  1698. いろは: 私もこんなんじゃなくて…
  1699. いろは: 特殊能力でかっこよく 消えたかったです…!
  1700.  
  1701. FILENAME: text_501508-1.txt
  1702. 第8章「暗転」
  1703. いろは: やちよさん
  1704. いろは: いよいよ決戦が近いです!
  1705. やちよ: そうね
  1706. やちよ: 急ぎましょう 出遅れないように
  1707. いろは: はい!
  1708. いろは: …それにしても
  1709. いろは: いつも無事に タルトさんと会えていますけど
  1710. いろは: どんな仕組みでそうなるのか さっぱり分かりませんね
  1711. やちよ: ええ…ただ
  1712. やちよ: まず、眠くなって
  1713. やちよ: それから フランスで目を覚ますまでに
  1714. やちよ: 光を…見たような?
  1715. いろは: …あ!
  1716. いろは: 言われてみると…そんな気が!
  1717. やちよ: いろはも…?
  1718. いろは: はい!
  1719. いろは: と思ったけど… 気のせいかも
  1720. やちよ: …答えは出そうもないし 行きましょうか?
  1721. いろは: そうですね
  1722. いろは: …え?
  1723. やちよ: リズが戻ってこない?
  1724. タルト: そうなんです…もう1日ほど
  1725. メリッサ・ド・ヴィニョル: 何か心当たりは、ありませんか?
  1726. いろは: 最後に会ったの… 私たちかもしれません
  1727. タルト: そうなんですか!?
  1728. やちよ: ええ 偵察に行くと言っていたわ
  1729. タルト: あ…そうだったんですね
  1730. タルト: 少し安心しました…
  1731. やちよ: リズはあれから、帰ってないのね
  1732. いろは: みたいですね…
  1733. いろは: これまでも、偵察が長引くことは よくあったんですか?
  1734. タルト: はい! だから心配ないと思うんですが
  1735. メリッサ・ド・ヴィニョル: ただ、次の作戦には 間に合わないかもしれません
  1736. いろは: 次って、いつ?
  1737. ラ・イル: おーい、メリッサ! そろそろ出発だぞ!
  1738. いろは: …え、今から!?
  1739. メリッサ・ド・ヴィニョル: そうなんです…
  1740. いろは: リズさんの分も 私たちが頑張ります
  1741. タルト: ありがとう!
  1742. やちよ: じゃあ、先に行くわね
  1743. タルト: リズ…
  1744. <オルレアン奪還作戦は山場を迎え… タルトたちはリズを欠いたまま>
  1745. <次なる砦を目指して進軍を開始した>
  1746.  
  1747. FILENAME: text_501508-2.txt
  1748. タルト: 砦が見えてきました!
  1749. ジル・ド・レ: これより攻囲戦に入る!
  1750. いろは: 待って、みんな!
  1751. やちよ: …魔力反応!
  1752. ラ・イル: っと、危ねぇ!
  1753. コルボー: フフフフ お前ら、命拾いしたよ!
  1754. コルボー: そこの白いのに 感謝するんだな!
  1755. タルト: コルボー!
  1756. メリッサ・ド・ヴィニョル: そんな… リズのいないときに
  1757. コルボー: 何だぁ?
  1758. コルボー: いつもの黒いのはいないのか?
  1759. やちよ: 今日はお休み
  1760. やちよ: 代わりに私たちが 相手するわ!
  1761. コルボー: この間の青いのか… お前も悪くはないけど
  1762. コルボー: 私は、あの黒いのと 本気で殺り合いたいんだよね
  1763. タルト: どうして…
  1764. コルボー: ヤツは私の同類だよ 迷い抜きで殺しにくる
  1765. タルト: リズは…あなたとは…
  1766. コルボー: 何が違うんだい!
  1767. タルト: くっ!
  1768. いろは: タルトさん!
  1769. タルト: 平気ですっ!
  1770. コルボー: おやぁ? いいね、その強気の目!
  1771. コルボー: …そういや、あの黒いのは
  1772. コルボー: 聖女様をいたぶると 目の色変えて私を殺しにきてたな
  1773. やちよ: タルト、注意して
  1774. タルト: はい…!
  1775. コルボー: 試しに、黒いのが出てくるまで…
  1776. コルボー: 聖女様をなぶるとしようか!
  1777.  
  1778. FILENAME: text_501508-3.txt
  1779. やちよ: いろは! タルトを援護するわ
  1780. いろは: はい!
  1781. タルト: 負けません…!
  1782.  
  1783. FILENAME: text_501508-4.txt
  1784. コルボー: ハッ!
  1785. いろは: きゃ!
  1786. やちよ: …いろはっ!
  1787. コルボー: 隙ありだ!
  1788. やちよ: うっ…!
  1789. タルト: これ以上は…やらせない!
  1790. やちよ: タルト、いけない
  1791. やちよ: これ以上、魔力を使ったら…
  1792. タルト: これで…決めます!
  1793. タルト: ラ・リュミエール!
  1794. コルボー: ハハハッ!
  1795. いろは: かわされた!?
  1796. コルボー: …残念だったな!
  1797. タルト: そんな…
  1798. コルボー: 威力はデタラメだが 軌道が正直すぎるんだよ!
  1799. コルボー: ソウルジェムも限界だろう? それともまた撃ってみるかい?
  1800. タルト: 負けない…!
  1801. コルボー: くくくっ…いいねえ
  1802. コルボー: その瞳が絶望に染まるまで なぶってやるよ!
  1803. コルボー: いくら待っても、黒いのは 来ないみたいだがな!
  1804. メリッサ・ド・ヴィニョル: …天使様
  1805. キューブ: 何だい、メリッサ
  1806. メリッサ・ド・ヴィニョル: 私が魔法少女になれば タルトを救うことができますか?
  1807. キューブ: それは、キミの力しだいだね
  1808. キューブ: ただ、リズがいない今 もはや選択肢は…
  1809. リズ・ホークウッド: 勝手に いないことにしないでくれる?
  1810. メリッサ・ド・ヴィニョル: …リズ!
  1811. リズ・ホークウッド: 待たせたわね、タルト
  1812. タルト: リズ…よかった!
  1813. いろは: 無事だったんですね!
  1814. リズ・ホークウッド: ごめん 戻るのに手間取ってしまって
  1815. コルボー: ハハハハッ! 待ってたぜ、黒いの!
  1816. コルボー: さっそく始めようか! 殺し合いの続きをさ!
  1817. リズ・ホークウッド: …望むところよ
  1818. リズ・ホークウッド: 今すぐ殺してあげる
  1819. リズ・ホークウッド: 二度とタルトに 手を出せないようにね!
  1820.  
  1821. FILENAME: text_501508-5.txt
  1822. コルボー: がぁあああっ!
  1823. リズ・ホークウッド: 最初の威勢は どこに行ったのかしら?
  1824. コルボー: ククッ… いいねぇ…その殺気!
  1825. コルボー: どっかの聖女様と違って 容赦も隙もない!
  1826. リズ・ホークウッド: 黙りなさい
  1827. コルボー: ぐぁっ!
  1828. リズ・ホークウッド: 勝負あったわね
  1829. リズ・ホークウッド: 私はタルトの“影” 希望の光を守るためなら
  1830. リズ・ホークウッド: この手を血で染めることに 躊躇はないわ
  1831. コルボー: …………
  1832. リズ・ホークウッド: 死になさい
  1833. コルボー: フフッ…!
  1834. リズ・ホークウッド: …………! まだ息が!?
  1835. コルボー: このまま 終わるモンかよッ!!
  1836. やちよ: まずいっ!
  1837. いろは: タルトさんの方に…!
  1838. タルト: ――っ!?
  1839. リズ・ホークウッド: させないっ!
  1840. リズ・ホークウッド: ぐっ…はっ…
  1841. タルト: リズ…そんなっ!
  1842. タルト: 私を…かばって…!!
  1843. リズ・ホークウッド: タルト…
  1844. タルト: リズっ…!
  1845. リズ・ホークウッド: あなたが無事で… よかった…
  1846. タルト: リズ…死んじゃだめです…!
  1847. リズ・ホークウッド: もう…限界ね
  1848. やちよ: 影の中に…消えて…
  1849. いろは: そんな…
  1850. タルト: リズ…
  1851. タルト: リズーーーっ!
  1852. いろは: えっ、空が!
  1853. やちよ: いきなり真っ暗に?
  1854. コルボー: くくくっ…
  1855. やちよ: コルボー!
  1856. いろは: まだ、戦う気?
  1857. コルボー: その気はないさ
  1858. コルボー: できれば真っ向勝負で 最後までやりたかったが…
  1859. コルボー: 身内に頼まれた仕事なんでな
  1860. コルボー: フランスの聖女様は もらっていくぜ!
  1861. いろは: タルトさん、逃げて!
  1862. タルト: …………
  1863. コルボー: いい子だ…!
  1864. いろは: そんな…
  1865. いろは: リズさんが…消えて…
  1866. いろは: タルトさんが…さらわれた?
  1867.  
  1868. FILENAME: text_501508-6.txt
  1869. やちよ: 砦は、何とか奪い返したわね
  1870. やちよ: …コルボーが 戦場を捨てたおかげだけど
  1871. いろは: でも…
  1872. いろは: タルトさんとリズさんが…
  1873. やちよ: …………
  1874. やちよ: ふたりが消えて…
  1875. やちよ: 世界はまた 夜明けを失ってしまったのね
  1876. ジル・ド・レ: おお…何ということだ 我が聖女を敵に奪われるとは!
  1877. ラ・イル: 旦那、落ち着け
  1878. ラ・イル: “乙女”が 戻ってきたときのために
  1879. ラ・イル: 戦線を維持することが 俺たちの務めだ
  1880. メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様 私も頑張ります…!
  1881. ラ・イル: おう、後方は頼んだぞ!
  1882. ジル・ド・レ: ひとつ気がかりなのは…
  1883. ジル・ド・レ: 今度のことで、シャルル様が 弱気になっていることですね
  1884. やちよ: メリッサたちも頑張ってるけど…
  1885. キューブ: 状況は、かなり悪いね
  1886. やちよ: ええ
  1887. やちよ: 特に問題なのは この明けない夜よ
  1888. やちよ: 砦だけでなく、フランス全土が 一気に夜になったらしいわ
  1889. いろは: “世界が闇に覆われる”なんて
  1890. いろは: 現実には ありえないようなことですよね?
  1891. やちよ: リズの言葉を思い出すわね
  1892. キューブ: リズが何か言っていたのかい?
  1893. いろは: うん…
  1894. リズ・ホークウッド: この世界が誰かの夢というのは 悪くない推測
  1895. いろは: え、そうなんですか!?
  1896. リズ・ホークウッド: ええ
  1897. リズ・ホークウッド: ただ、夢の主は あなたたちではないわ
  1898. キューブ: この世界が、誰かの夢だって?
  1899. いろは: うん
  1900. キューブ: ふむ、なるほど
  1901. キューブ: ………… …………
  1902. キューブ: そうか、謎は解けたよ!
  1903. やちよ: 何か気づいたの?
  1904. キューブ: うん、今のキミたちの話は 謎の核心に迫るものだ
  1905. キューブ: 結論から言おう
  1906. キューブ: この世界は タルトの見ている夢だ!
  1907. いろは: ええっ?
  1908. キューブ: 「リズという親友を失ったことで タルトの心を絶望が占めた途端」
  1909. キューブ: 「この世界そのものが、暗雲に覆われた」
  1910. キューブ: 「キミたちは、夢を通じて この世界に来ることができるわけだけど」
  1911. キューブ: 「都合のいいことに 常にタルトの望む場所に現れ」
  1912. キューブ: 「障害となる言語の壁も取り払われている」
  1913. やちよ: つまり…
  1914. やちよ: すべてのできごとが タルトの心とリンクしている?
  1915. キューブ: …そう!
  1916. キューブ: すなわち、この世界は タルトの心を映した夢の世界で
  1917. キューブ: ボクたちは、その夢の中に 取り込まれてしまったんだよ!
  1918.  
  1919. FILENAME: text_501508-7.txt
  1920. キューブ: 結論から言おう
  1921. キューブ: この世界は タルトの見ている夢だ!
  1922. いろは: ええっ?
  1923. やちよ: …キューブ
  1924. キューブ: なんだい?
  1925. やちよ: もし、そうなのだとしたら
  1926. やちよ: タルトの夢で起きた異変が
  1927. やちよ: なぜ、私たちの未来まで 変えてしまうの?
  1928. キューブ: 今、説明してあげるよ
  1929. キューブ: その前に、まず
  1930. キューブ: この世界がキミたちの “現実の過去”だという説は
  1931. キューブ: 撤回しておく必要があるね!
  1932. いろは: ここは“夢”…だもんね
  1933. キューブ: そう
  1934. キューブ: 代わりに、この夢を見ている タルトの“本体”がいる場所
  1935. キューブ: つまり、夢に取り込まれる前に ボクたちのいたフランスが
  1936. キューブ: キミたちにとっての “現実の過去”だと考えられる
  1937. やちよ: あ…
  1938. やちよ: タルト本人は15世紀の フランスで眠っていて
  1939. いろは: 私たちは今、タルトさんが見てる “夢”に入り込んでるわけ…?
  1940. キューブ: そういうこと!
  1941. やちよ: 私たちにとって、ここは… 過去の人が見ている夢ってこと?
  1942. キューブ: 分かってくれたかい?
  1943. キューブ: もしもタルトが普通の少女なら 夢の中で何が起きても
  1944. キューブ: 未来まで 揺らぐこともなかっただろう
  1945. キューブ: 問題は これまでボクが見てきた中でも
  1946. キューブ: タルトは最強の 魔法少女だということなんだ!
  1947. キューブ: 「たとえ夢の中であっても 心が傷つけば、ソウルジェムは濁ってゆく」
  1948. キューブ: 「仮に、タルトの心が絶望に染まり 彼女が魔女になりにでもしたら」
  1949. キューブ: 「現実世界でも、この世を闇で覆いつくすほどの 破局が始まるだろう…」
  1950. キューブ: 世界を覆う闇は、キミたちの時代 つまり、未来になっても続く
  1951. キューブ: タルトが本物の魔女になれば 彼女のもたらす未来は
  1952. キューブ: この夢とよく似た “夜の世界”になるだろうね
  1953. いろは: やちよさん…!
  1954. やちよ: つまり、その前兆として
  1955. やちよ: 未来の神浜でも 夜が明けなくなったということ?
  1956. キューブ: そう、そして
  1957. キューブ: タルトがこの夢に囚われたのも ボクたちが巻き込まれたのも
  1958. キューブ: コルボー一味の仕組んだ罠だろう
  1959. やちよ: やっぱり コルボーなのね?
  1960. キューブ: うん
  1961. キューブ: コルボーがタルトを殺さずに 連れ去ったことを考えても
  1962. キューブ: 敵の狙いは、夢の中で タルトを絶望に追い込んで
  1963. キューブ: フランスに大いなる魔女を 誕生させることだと考えられる!
  1964. やちよ: あの、真っ暗な神浜は
  1965. やちよ: タルトが魔女と化した その先の未来というわけね
  1966. いろは: そんな…
  1967. いろは: 止める方法はないんですか?
  1968. キューブ: ひとつはこの夢の中で タルトを絶望から救うこと
  1969. キューブ: そして現実世界においては タルトを目覚めさせることだ
  1970. キューブ: それが、キミたち自身の未来を 救うことになる
  1971. やちよ: …キューブ
  1972. やちよ: あなたも協力してくれるの?
  1973. キューブ: 前にも言ったけど キミたちとボクの利害は一致する
  1974. キューブ: コルボーの伸張を止めることが すべてに優先するからね!
  1975. いろは: あ…
  1976. やちよ: 目を覚ましたわね
  1977. いろは: やちよさん
  1978. いろは: また、戻されてしまったんですね
  1979. やちよ: ええ
  1980. やちよ: キューブの言ったこと 覚えてるわよね?
  1981. いろは: はい
  1982. いろは: タルトさんを絶望から救わないと
  1983. いろは: 私たちの時代も ずっとこのままって…
  1984. やちよ: ええ
  1985. やちよ: これから、どうするか…
  1986. いろは: …………
  1987. いろは: …やちよさん
  1988. やちよ: なに?
  1989. いろは: 妙に静かじゃないですか?
  1990. やちよ: 確かにそうね
  1991. いろは: フェリシアちゃんと さなちゃんは…?
  1992. やちよ: 自分の部屋かしら?
  1993. やちよ: いないわ、ふたりとも
  1994. いろは: …どこかに出かけた?
  1995. いろは: やちよさん…!
  1996. やちよ: ええ…間違いないわ
  1997. やちよ: 「この世界に残ってるのは」
  1998. やちよ: 「私たち、ふたりだけよ…!」
  1999.  
  2000. FILENAME: text_501509-1.txt
  2001. 第9章「夜明けのない世界」
  2002. いろは: ど…どうしましょうか? やちよさん!
  2003. いろは: すぐに向かいます!? 夢のフランスへ
  2004. いろは: それとも…?
  2005. やちよ: 落ち着いて、いろは
  2006. やちよ: いえ、リーダーさん 冷静なところを見せて
  2007. いろは: あ…ごめんなさい…
  2008. いろは: そうですよね 私がしっかりしないと
  2009. いろは: それじゃあ…
  2010. いろは: まずは今 何ができるかを考えましょう!
  2011. やちよ: 落ち着いたようね
  2012. やちよ: 今できること、か…
  2013. やちよ: せっかく神浜に戻ったんだし
  2014. やちよ: 神浜でしかできないことを やっておきたいわね
  2015. いろは: そうですね
  2016. いろは: 今、神浜にあって タルトさんの世界にないもの…
  2017. いろは: あ…
  2018. いろは: このロウソク?
  2019. やちよ: …確かに
  2020. やちよ: これが何なのか きちんと調べてなかったわね
  2021. やちよ: どうやらキューブたちは 夢に巻き込まれたようだけど
  2022. やちよ: 私たちは自分の意志で タルトの夢に入り込んでる
  2023. やちよ: それは このロウソクのおかげなのよね
  2024. いろは: はい
  2025. いろは: そういえば、リズさんも このロウソクのこと…
  2026. いろは: 何か知ってる様子でしたよね?
  2027. いろは: え、ロウソクですか…?
  2028. いろは: 赤と青の、すごく古い骨董品です
  2029. リズ・ホークウッド: そう…
  2030. リズ・ホークウッド: …あなたたちって 本当に未来から来たのね
  2031. いろは: え…? 今ので分かるんですか?
  2032. いろは: みたまさんは、骨董品のお店で 仕入れたそうですけど
  2033. いろは: タルトさんたちに ゆかりのある品なんでしょうか?
  2034. やちよ: 可能性はあるわね
  2035. やちよ: みたまには申し訳ないけど 事態が事態だわ
  2036. やちよ: 調整屋のお店に上がり込んで 調べてみましょうか?
  2037. いろは: はい!
  2038. いろは: えっ…と…
  2039. いろは: あっ!
  2040. いろは: ありました! 同じロウソクです!
  2041. やちよ: 近くに別の品はない?
  2042. やちよ: みたまが、同じ骨董品店から 仕入れたものがあるかも
  2043. いろは: 探してみます!
  2044. やちよ: ええ
  2045. いろは: …やちよさん!
  2046. やちよ: なに?
  2047. いろは: この本なんですけど…
  2048. いろは: ロウソクと 同じくらい古そうです
  2049. やちよ: すごい年代ものね
  2050. やちよ: ラテン語の本みたいだけど
  2051. やちよ: …………
  2052. やちよ: 怪しい… 怪しすぎるわ
  2053. いろは: いったい、何の本なんでしょう?
  2054. やちよ: これは調べる価値アリね
  2055. やちよ: 辞書を引きながら 読めるといいのだけど…
  2056.  
  2057. FILENAME: text_501509-2.txt
  2058. やちよ: うぅ…もう限界
  2059. いろは: や、やちよさん しっかり!
  2060. やちよ: まさかラテン語の古文書を 読むはめになるなんて
  2061. やちよ: 試験の10倍は頭を使ったわ…
  2062. いろは: 手伝えなくてごめんなさい…
  2063. やちよ: 気にしないで ちゃんと成果はあったから
  2064. いろは: 何の本か分かったんですか?
  2065. やちよ: ええ これは…
  2066. やちよ: 黒魔術の魔導書よ!
  2067. いろは: ええっ!?
  2068. やちよ: しかも、書いてあるのは
  2069. やちよ: 人を“魔女”の結界に閉じ込めて
  2070. やちよ: 覚めない悪夢を ずっと見せ続ける、っていう魔法
  2071. いろは: 魔女って
  2072. いろは: 私たちの知ってる あの魔女ですか?
  2073. やちよ: ええ、その魔女よ
  2074. やちよ: これを書いた人は 魔女や魔法少女の知識があって
  2075. やちよ: 魔女の呪いを利用した魔法を 黒魔術と称していたようね
  2076. やちよ: だから、実際に効力はあるわ
  2077. いろは: えっと…つまり…?
  2078. いろは: コルボーさんは… この魔導書に書いてある魔法で
  2079. いろは: タルトさんを結界に閉じ込めて 悪夢を見せてるんでしょうか?
  2080. やちよ: ええ そういうこと!
  2081. やちよ: それから…
  2082. やちよ: 赤と青のロウソクのことも 書いてあったわ
  2083. やちよ: これは、魔法をかける相手の…
  2084. やちよ: つまりタルトの髪の毛を 混ぜたロウソクだったのよ!
  2085. やちよ: 効果は想像通りよ
  2086. やちよ: このロウソクを使うことで 夢の中に出入りできるようになる
  2087. いろは: そんないわくのある ロウソクだったんですか!?
  2088. やちよ: ええ
  2089. やちよ: みたまは魔導書と一緒に 偶然手に入れたんだろうけど
  2090. やちよ: 元は15世紀に、コルボー自身が 使っていたものだと思うわ
  2091. いろは: え…
  2092. コルボー: だが、この世界でなら 思う存分暴れられるっていうんで
  2093. コルボー: 話に乗ったのさ!
  2094. いろは: あ、そっか!
  2095. いろは: コルボーさんも 私たちと同じように
  2096. いろは: ロウソクを使って 夢の中へ入り込んでたんですね!
  2097. やちよ: そうよ
  2098. やちよ: ただ、コルボーは 歓迎されざる客だから
  2099. やちよ: 私たちほど簡単に、タルトには 近寄れないみたいだけどね
  2100. いろは: そういうことなんですね…
  2101. いろは: …あ、そういえば!
  2102. いろは: みたまさんから聞いた おまじないは関係あったんですか
  2103. やちよ: …何の関係もなかったわ
  2104. やちよ: このロウソクに火をつけるだけ 置き方とかは自由みたい
  2105. いろは: おまじないは無関係で、使った ロウソクが悪かったんですね…
  2106. いろは: でも、これで…
  2107. いろは: だいぶ解読できましたね!
  2108. やちよ: それが… そうでもないの
  2109. やちよ: もっと情報はあるんだけど ちゃんと読める人はいないし…
  2110. いろは: そうですね…
  2111. いろは: …あ、でも
  2112. いろは: 夢のフランスには、いるかも?
  2113. リズ・ホークウッド: もしも、私の身に何かあって 誰かの助けが必要なときは
  2114. リズ・ホークウッド: タルトの妹の“カトリーヌ”…
  2115. リズ・ホークウッド: 彼女にゆかりのある名の教会で 祈りを捧げて
  2116. リズ・ホークウッド: 助けになってくれる存在と 会えるかもしれないわ
  2117. いろは: リズさんが言ってた誰かが 助けてくれるかもしれませんし!
  2118. やちよ: そうね
  2119. やちよ: ただ、確実に会えるとは 言ってなかったし…
  2120. やちよ: まずはキューブに話しましょう
  2121. いろは: そうですね
  2122. やちよ: 夢の中に本を持ち込めるかしら…
  2123. いろは: 着ていた服はそのままでしたから
  2124. いろは: 本を抱えたまま ロウソクに火をつけてみるとか?
  2125. やちよ: やってみましょうか
  2126. やちよ: うまくいくと、いいけど…
  2127.  
  2128. FILENAME: text_501509-3.txt
  2129. いろは: …………
  2130. いろは: あれ…?
  2131. いろは: ここ 夢のフランスじゃ、ない?
  2132. いろは: それに… やちよさんはどこ?
  2133. いろは: どうしよう 真っ暗だし、方向も分からないし
  2134. いろは: こんなところで迷子?
  2135. やちよの声: いろは…聞こえる?
  2136. いろは: やちよさん!
  2137. いろは: やちよさん、どこですか?
  2138. やちよの声: 夢に入る前の空間みたいね
  2139. いろは: 何とか、合流したいですけど…
  2140. やちよの声: そこを動かないで
  2141. やちよの声: テレパシーの声が 近くなる方向に動いてみるから
  2142. やちよの声: それまで、会話を続けましょう
  2143. いろは: はい!
  2144. いろは: やちよさん!
  2145. やちよ: 何とか会えたわね
  2146. いろは: ここ、どうやって出ましょう?
  2147. やちよ: 見当もつかないわね…
  2148. いろは: さっきと同じように
  2149. いろは: 誰かにテレパシーで 呼びかけてみましょうか?
  2150. やちよ: …やってみましょう
  2151. やちよ: 誰か答えてくれるといいけれど
  2152. いろは: 誰か… 聞こえますか!?
  2153. いろは: 聞こえるなら、返事して!
  2154. メリッサの声: あの…誰でしょう?
  2155. いろは: あ、返事が…!
  2156. メリッサの声: この声…いろはさん!?
  2157. いろは: メリッサさん! 声が届いたんですね!
  2158. いろは: 私たち、迷子になってるんです!
  2159. いろは: 心の声を頼りに進むから 私が呼んだら答えてください!
  2160. メリッサの声: …は、はい!?
  2161. メリッサの声: よく分からないけど やってみます!
  2162. やちよ: メリッサには、本当に 魔法少女の素質があるみたいね
  2163. やちよ: 光が見えた “夢のフランス”に近づいてるわ
  2164. いろは: もう少しで着きそう! ありがとう、メリッサさん!
  2165. メリッサの声: どうかご無事で…!
  2166. いろは: ようやく着きましたね!
  2167. やちよ: ええ メリッサ、ありがとう
  2168. メリッサ・ド・ヴィニョル: 無事でよかったです!
  2169. いろは: どうして今回だけ 迷子になったんでしょうか…
  2170. やちよ: 私も、さっぱりよ
  2171. メリッサ・ド・ヴィニョル: いろはさん… その古そうな本は何?
  2172. いろは: あっ、これ…!
  2173. やちよ: 無事に持ち込めていたのね
  2174. いろは: はい!
  2175. いろは: メリッサさん、この本には
  2176. いろは: 敵が使った魔法の罠のことが 書かれているんです
  2177. メリッサ・ド・ヴィニョル: …そうなんですか!?
  2178. いろは: そう、だから
  2179. いろは: キューブに 読んでもらおうと思って…!
  2180. キューブ: …呼んだかい?
  2181.  
  2182. FILENAME: text_501509-4.txt
  2183. キューブ: …なるほど 魔女の結界を利用した魔法か
  2184. キューブ: この本のおかげで やっと把握できたよ!
  2185. キューブ: コルボーが仕掛けた 魔法の罠の仕組みがね!
  2186. キューブ: 概要は、すでにキミたちが 解読した通りだ
  2187. キューブ: 「コルボーは、魔導書に書かれた魔法で 現実世界のタルトを 覚めない眠りに誘った」
  2188. キューブ: 「そのとき、近くにいたメリッサやボクは タルトの夢に巻き込まれてしまった」
  2189. キューブ: 「そしてコルボーは、赤と青のロウソクで 夢に入り込んで、戦いを仕掛けていたんだ」
  2190. キューブ: 「タルトを絶望に追い込むために…」
  2191. いろは: キューブまで いつのまにか夢の中にいて
  2192. いろは: いつ巻き込まれたのかは 気づかなかったの?
  2193. キューブ: うん ここに入り込む直前の記憶は
  2194. キューブ: 夢とつじつまが合うよう 改竄されたようだね
  2195. やちよ: キューブでさえ、そうなのなら…
  2196. キューブ: タルトやメリッサは、これが夢と 思いもしなかっただろうね!
  2197. キューブ: ここでは、魔女が隠れもせず 人々に堂々と姿を見せるけれど
  2198. キューブ: 夢の主が魔女の結界に 囚われているなら、それも納得だ
  2199. キューブ: この夢の中全体が 結界のようなものだからね!
  2200. やちよ: …なるほどね
  2201. やちよ: 他に分かったことはある?
  2202. キューブ: 術者であるコルボーの 使える魔法についてだね
  2203. キューブ: この夢の中で、彼女は 無数の使い魔を使役したり
  2204. キューブ: 他人の記憶の中から 敵を複製したりもできるみたいだ
  2205. いろは: え、それじゃ
  2206. いろは: ここで戦った神浜の魔女たちは 私たちの記憶のコピーなの?
  2207. キューブ: うん、そうだね そういう意味では
  2208. キューブ: 未来が不安定になった原因は キミたち自身だと言えなくもない
  2209. いろは: ええっ!
  2210. やちよ: そうか…そうよね
  2211. やちよ: これは本来、タルトたちの時代に 終わっていた事件なのよ
  2212. やちよ: それが何百年も経って コルボーのロウソクが見つかった
  2213. やちよ: …それを私たちが手にして タルトの夢に入ったことで
  2214. やちよ: 過去が変わって 未来が揺らぎ始めたのね
  2215. キューブ: ひとつの可能性にすぎないけどね
  2216. キューブ: キミたちが来た時点で 戦況はかなり悪かったわけだし
  2217. キューブ: …ただ、魔女たちの出現が ダメ押しになったのかもしれない
  2218. いろは: そんな…
  2219. キューブ: でもマイナス面ばかりじゃないさ
  2220. キューブ: フランス軍に、他の魔法少女が いない現状を考えると
  2221. キューブ: キミたちは、この戦況を覆す 唯一の切札でもあるんだから!
  2222. キューブ: キミたちが来なければ
  2223. キューブ: もっとひどい状況になっていた 可能性が高いし
  2224. キューブ: むしろキミたちこそが
  2225. キューブ: フランスを救う宿命を負った 救世主なのかもしれないよ?
  2226. メリッサ・ド・ヴィニョル: 天使様、それで…
  2227. メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトを救う方法は… あるのでしょうか!?
  2228. キューブ: うん、それも この本に書いてあった
  2229. キューブ: タルトを目覚めさせるには…
  2230. キューブ: “聖別された鐘”を鳴らせば いいみたいだ!
  2231. やちよ: 聖別された…鐘?
  2232. いろは: それって…何のこと?
  2233.  
  2234. FILENAME: text_501510-1
  2235. 第10章「解決の糸口」
  2236. キューブ: タルトを目覚めさせるには…
  2237. キューブ: “聖別された鐘”を鳴らせば いいみたいだ!
  2238. やちよ: 聖別された…鐘?
  2239. いろは: それって…何のこと?
  2240. キューブ: 残念なことに 本の傷みがひどくてね
  2241. キューブ: この記述がある部分は ほとんど読めないんだよ
  2242. いろは: そんな… いちばん大事なところなのに!
  2243. やちよ: 困ったわね…
  2244. メリッサ・ド・ヴィニョル: …あの
  2245. メリッサ・ド・ヴィニョル: 聖別された鐘というのは…
  2246. メリッサ・ド・ヴィニョル: たぶん…教会の鐘のことでは ないでしょうか?
  2247. いろは: え…教会?
  2248. リズ・ホークウッド: もしも、私の身に何かあって 誰かの助けが必要なときは
  2249. リズ・ホークウッド: タルトの妹の“カトリーヌ”…
  2250. リズ・ホークウッド: 彼女にゆかりのある名の教会で 祈りを捧げて
  2251. リズ・ホークウッド: 助けになってくれる存在と 会えるかもしれないわ
  2252. いろは: メリッサさん!
  2253. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい、何でしょう?
  2254. いろは: カトリーヌさんに 関係のある名前の教会が
  2255. いろは: 近くにありませんか?
  2256. メリッサ・ド・ヴィニョル: カトリーヌ…亡くなった タルトの妹さんのお名前ですね
  2257. メリッサ・ド・ヴィニョル: そういえば
  2258. メリッサ・ド・ヴィニョル: 前に、天使様のお導きで赴いた
  2259. メリッサ・ド・ヴィニョル: “聖カトリーヌ教会”が あったかと
  2260. いろは: やちよさん…!
  2261. やちよ: ええ たぶんリズの言ってた教会ね
  2262. いろは: メリッサさん! それって、どんな教会なの?
  2263. メリッサ・ド・ヴィニョル: えっと… フィエルボアという町にあって
  2264. メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトとリズと私は、そこで 不思議な女性と出会ったんです
  2265. キューブ: …その女性は、ペレネルだね
  2266. やちよ: キューブの知り合い…?
  2267. キューブ: ああ、彼女は錬金術や 魔法の知識に秀でた魔法少女で
  2268. キューブ: 他の魔法少女を見守り 助言を与えている
  2269. やちよ: …話がつながってきたわ
  2270. キューブ: どういうことかな?
  2271. いろは: あのね、リズさんが言ってたの
  2272. いろは: 助けが必要なときは、その教会で 祈りを捧げなさいって
  2273. やちよ: そこで、助けになる存在と 会えるかもしれないそうよ
  2274. キューブ: 確かに、ペレネルと コンタクトを取ることができれば
  2275. キューブ: 有益な情報を得ることが できるかもしれないね!
  2276. いろは: タルトさんを目覚めさせる “聖別された鐘”のことを
  2277. いろは: そこで聞けるかもしれませんね
  2278. やちよ: もしかすると、その教会に 問題の鐘があるかもしれないし
  2279. いろは: …メリッサさん、キューブ 案内をお願い!
  2280. メリッサ・ド・ヴィニョル: はいっ!
  2281.  
  2282. FILENAME: text_501510-2
  2283. やちよ: ここね
  2284. やちよ: 聖カトリーヌ教会のある フィエルボアの町は…
  2285. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい! ご案内します
  2286. メリッサ・ド・ヴィニョル: 近くの人に聞いてみたのですが…
  2287. メリッサ・ド・ヴィニョル: 残念ながら、教会の鐘は 戦いで壊れてしまったそうです
  2288. やちよ: そう… 鳴らすべき鐘はなさそうだけど
  2289. やちよ: リズの言っていた通り 教会に向かってみましょうか
  2290. いろは: ここが聖カトリーヌ教会…
  2291. やちよ: いろは、祈りを捧げるわよ
  2292. いろは: はい、やちよさん!
  2293. いろは: …………
  2294. いろは: 誰かいるなら… 答えて!
  2295. ペレネル・フラメル: 「リズの言っていた方たちですね…」
  2296. ペレネル・フラメル: 「よくいらっしゃいました 異邦の魔法少女たちよ」
  2297. やちよ: あっ…
  2298. いろは: この声は…?
  2299. キューブ: やあ、ペレネル ごぶさただね!
  2300. キューブ: でも、姿を現さないのは どうしてなのかな?
  2301. ペレネル・フラメル: 「私は“乙女”の夢の外にいて 中に入ることができませんから…」
  2302. いろは: 夢の外に…いる?
  2303. キューブ: なるほど
  2304. キューブ: どうやら彼女は今 現実世界の側にいて
  2305. キューブ: ボクたちを助けてくれる つもりのようだね!
  2306. やちよ: リズが言っていたのは やっぱり彼女のことだったのね
  2307. ペレネル・フラメル: 「そう 何とか声だけは届けられました」
  2308. ペレネル・フラメル: 「夢の結界に隙間を開けるのは 大きな困難が伴いますので…」
  2309. いろは: ペレネルさん!
  2310. いろは: 私たちはタルトさんの夢を覚ます
  2311. いろは: “聖別された鐘”について 知りたいんです…!
  2312. ペレネル・フラメル: 「かの魔導書の手順に従うならば…」
  2313. ペレネル・フラメル: 「タルトは魔法の眠りに落ちる前に とある教会の鐘の音を聞かされたはず」
  2314. ペレネル・フラメル: 「彼女の目を覚ますには、夢の中で タルト自身が同じ教会の鐘を鳴らせばよいのです」
  2315. いろは: 同じ教会って…どこ?
  2316. ペレネル・フラメル: 「現実のタルトはオルレアン市街に入り 解放作戦を行っている最中に この魔法の眠りにつきました」
  2317. ペレネル・フラメル: 「ですから必要なのは オルレアンにある“聖十字架大聖堂”の 鐘の音でしょう…」
  2318. メリッサ・ド・ヴィニョル: いろはさん、やちよさん…!
  2319. やちよ: ええ、これで分かったわ
  2320. やちよ: タルトを救い出して オルレアンの教会の鐘を鳴らせば
  2321. やちよ: タルトが見ているこの悪夢は 終わるってことね…!
  2322. キューブ: そういうことだね!
  2323. いろは: ううん
  2324. いろは: だめです、それだけじゃ!
  2325. いろは: 夜が明けないのは、タルトさんが 絶望しかけているからで
  2326. いろは: リズさんがいないまま 夢から覚めたって…!
  2327. ペレネル・フラメル: 「リズは生きています」
  2328. いろは: え…?
  2329. ペレネル・フラメル: 「彼女は光を見失って 暗闇の世界から出られなくなっているだけ」
  2330. ペレネル・フラメル: 「そのことについて 今からお話ししましょう…」
  2331.  
  2332. FILENAME: text_501510-3
  2333. ペレネル・フラメル: 「リズは生きています」
  2334. ペレネル・フラメル: 「彼女は光を見失って 暗闇の世界から出られなくなっているだけ」
  2335. ペレネル・フラメル: 「そのことについて 今からお話ししましょう…」
  2336. ペレネル・フラメル: 「コルボーの手で“乙女”が眠りに落ちたとき リズは別の場所にいて “夢”に取り込まれることを免れました」
  2337. ペレネル・フラメル: 「リズは“乙女”を救うため コルボーから1組のロウソクを奪い」
  2338. ペレネル・フラメル: 「“乙女”の夢の中に入ることに成功したのです」
  2339. いろは: え…?
  2340. いろは: リズさんも、私たちみたいに 夢を出入りしていたの!?
  2341. やちよ: それで分かったわ
  2342. やちよ: 私たちと同じように、ときどき いなくなっていたのは
  2343. やちよ: 夢の外に戻っていたからなのね…
  2344. いろは: リズさんはどうして 秘密にしていたんでしょう?
  2345. ペレネル・フラメル: 「ロウソクを使う者は、とある制約を課されます」
  2346. ペレネル・フラメル: 「それは、夢の中で魔導書の秘密を口にしないこと」
  2347. ペレネル・フラメル: 「制約を破れば、自身の肉体が 夢を形成する結界に呑まれてしまうのです」
  2348. いろは: あ…
  2349. いろは: リズさんはそれで 何も話せなかったんですね…!
  2350. リズ・ホークウッド: ごめんなさい 今は、何も言えないの
  2351. リズ・ホークウッド: 言えば、すべてが 終わってしまうから…
  2352. キューブ: ロウソクの制約か ボクも初めて聞く話だ
  2353. キューブ: それも欠落したページに 書かれていた情報のようだね
  2354. やちよ: でも、待って
  2355. やちよ: リズとコルボーは その制約を守ったのでしょうけど
  2356. やちよ: 私たちはロウソクを使った上に 魔導書のことも口にしたわよ!?
  2357. ペレネル・フラメル: 「いえ、おふたりは安全です…」
  2358. ペレネル・フラメル: 「リズから聞きました あなた方の肉体は未来にあると」
  2359. ペレネル・フラメル: 「“乙女”を捕らえた結界は あなたたちの時代には、もう残っていないはず」
  2360. キューブ: なるほど、それでふたりは 制約から自由でいられるんだね
  2361. キューブ: 未来からきたキミたちは 決定的な切札だったわけだ!
  2362. キューブ: これで、話はつながったね!
  2363. キューブ: 最初はリズだけが ここがタルトの夢だと知っていて
  2364. キューブ: ペレネルと協力して タルトを救おうとしていた
  2365. いろは: …だけど そのことを誰にも言えなくて
  2366. いろは: 自分に何かがあったときのために 私たちに後を託したんですね
  2367. メリッサ・ド・ヴィニョル: でも… リズが無事なのであれば
  2368. メリッサ・ド・ヴィニョル: どうしてあれから 姿を見せないのでしょう?
  2369. ペレネル・フラメル: 「リズは深手を負い、影の中に消えましたが… 傷はすでに癒えています」
  2370. ペレネル・フラメル: 「ただ彼女は今、夢と現実の狭間で 迷子になっているのです」
  2371. ペレネル・フラメル: 「“乙女”という導きの光が 消えてしまったから…」
  2372. やちよ: あ…そういうことなのね
  2373. いろは: そういうことって… どういうことですか?
  2374. やちよ: 覚えてるでしょ? 私たちも一度、迷子になったこと
  2375. いろは: 私たち、迷子になってるんです!
  2376. いろは: 心の声を頼りに進むから 私が呼んだら答えてください!
  2377. メリッサの声: …は、はい!?
  2378. メリッサの声: よく分からないけど やってみます!
  2379. やちよ: リズもあのときと同じ状態なのよ
  2380. いろは: あ…そうか!
  2381. いろは: つまり、こういうことですよね?
  2382. いろは: 前はタルトさんという“光”に 従えば、迷うことはなかったけど
  2383. いろは: 夢の主のタルトさんが 希望を失ってしまったから
  2384. いろは: 導きの光が消えて 夢に入れず、迷子になってる…!
  2385. やちよ: そういうことよ
  2386. やちよ: だから、リズを導くには まず、タルトを救い出して
  2387. やちよ: “リズは生きている”って 知らせればいいと思うわ
  2388. やちよ: それで、希望の光は灯るはず
  2389. キューブ: ペレネル! その方法で大丈夫かい?
  2390. ペレネル・フラメル: 「はい…! どうか“乙女”とリズを、救ってください」
  2391. ペレネル・フラメル: 「最後に、私からの贈りものです」
  2392. ペレネル・フラメル: ―ペレネル― タルトに会えたら、これを渡してください
  2393. ペレネル・フラメル: ―ペレネル― この剣を掲げることで、リズを導く希望の光は いっそう強く輝くことでしょう
  2394. いろは: やちよさん!
  2395. やちよ: ええ やることは決まったわ
  2396.  
  2397. FILENAME: text_501511-1.txt
  2398. 第11章「希望の灯」
  2399. やちよ: つまり…
  2400. やちよ: タルトを救い出して リズの健在を知らせれば
  2401. やちよ: 明けない夜も終わるということよ
  2402. ラ・イル: なるほどねえ
  2403. メリッサ・ド・ヴィニョル: ここがタルトの夢の中だなんて 私も驚いてしまいましたけど…
  2404. ジル・ド・レ: 聖女の絶望が常夜をもたらし 聖女の希望が夜明けをもたらす…
  2405. ジル・ド・レ: かの“乙女”ならば かような奇跡も起こせよう!
  2406. いろは: ただ…
  2407. いろは: みんなに本当のことを言っても 大丈夫でしょうか?
  2408. ラ・イル: ハハハ、心配ない!
  2409. ラ・イル: “乙女”を救出する作戦とだけ 伝えておくさ
  2410. メリッサ・ド・ヴィニョル: それだけで、砦にいる全員が 志願するかもしれません!
  2411. やちよ: タルトが囚われている場所は もう分かったの?
  2412. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい、オルレアンの南の要… “トゥーレル砦”ですっ!
  2413. ジル・ド・レ: コルボーに恐れをなした シャルル様が出兵に消極的ですが
  2414. ジル・ド・レ: 何とか押し切って 承認していただきましょう
  2415. いろは: どうか、お願いします…!
  2416. <翌日…>
  2417. ジル・ド・レ: 「今こそ“乙女”を取り戻すぞっ!」
  2418. 「おおおおーーっ!」
  2419. ジル・ド・レ: 「我らに希望をもたらした聖女に 我らが希望をもたらすときだ!」
  2420. 「うぉおおーーっ!」
  2421. 「我らが聖女を救え!」
  2422. メリッサ・ド・ヴィニョル: みなさん
  2423. メリッサ・ド・ヴィニョル: 私、感激しています…! みんなが、タルトのために!
  2424. やちよ: 別の砦から 駆けつけた隊もあるそうよ
  2425. いろは: みんな、タルトさんが 大好きなんですね!
  2426. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい!
  2427. ジル・ド・レ: では…
  2428. ジル・ド・レ: 「いざ、出陣!」
  2429. シャルル王太子: …………
  2430. “乙女”の救出隊が すべて出立いたしました!
  2431. よろしかったのでしょうか?
  2432. コルボーへの備えが 手薄になってしまいますが…
  2433. シャルル王太子: …やむを得ん
  2434. シャルル王太子: …………
  2435. シャルル王太子: 我らに希望をもたらした聖女に 我らが希望をもたらすとき、か
  2436. シャルル王太子: …………
  2437.  
  2438. FILENAME: text_501511-2.txt
  2439. やちよ: いろは! タルトを救うわよ!
  2440. いろは: はいっ、絶対に!
  2441. やちよ: 取り戻しましょう タルトも、私たちの未来も!
  2442.  
  2443. FILENAME: text_501511-3.txt
  2444. やちよ: この囲みを破れば…!
  2445. やちよ: はあっ!
  2446. БЯЯяяЯяЯЯ!??
  2447. いろは: やちよさん、囲みが解けました!
  2448. メリッサ・ド・ヴィニョル: 見えました! トゥーレル砦です!
  2449. メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトは、あの中に…!
  2450. やちよ: 行くわよ、いろは
  2451. いろは: はいっ!
  2452. БЯЯяяЯяЯЯ!!!!
  2453. いろは: …………!
  2454. やちよ: 新手!?
  2455. ラ・イル: 蹴散らすぞ! お嬢ちゃんたちに後れを取るな!
  2456. やちよ: ――っ!?
  2457. ザリザリ…☆…◇…
  2458. やちよ: 魔女の結界…!
  2459. いろは: ラ・イルさん! …魔女は私たちが!
  2460. ラ・イル: 合点! 俺たちは使い魔の足を止める
  2461. やちよ: …任せるわ 無理はしないで
  2462. ジル・ド・レ: 恐れるな、フランス兵たちよ!
  2463. ジル・ド・レ: 今こそ“乙女”を… フランスを取り戻す!
  2464. おおおーっ!
  2465.  
  2466. FILENAME: text_501512-1.txt
  2467. 第12章「決戦」
  2468. <夢の主であるタルトが 希望を取り戻したことで…>
  2469. <“夢のフランス”全土が 一瞬にして夜明けを取り戻した>
  2470. リズ・ホークウッド: …ごめんなさい
  2471. リズ・ホークウッド: 何を口にしても 制約に触れてしまう気がして
  2472. リズ・ホークウッド: 本当に、何も言えなくて
  2473. いろは: 仕方ないですよ
  2474. やちよ: タルトを救うためだものね
  2475. リズ・ホークウッド: …ありがとう いろは、やちよ
  2476. リズ・ホークウッド: あの教会のことを話したのはね…
  2477. リズ・ホークウッド: 外側から“声”だけ届ける方法に めどがついた直後だったの
  2478. リズ・ホークウッド: あのときを逃せば 誰にも後を託せなかったと思う
  2479. リズ・ホークウッド: ふたりとも 本当に、ありがとう
  2480. いろは: いえ、そんな!
  2481. やちよ: 私たちに 幸運も味方しているってことね
  2482. メリッサ・ド・ヴィニョル: …みなさん
  2483. メリッサ・ド・ヴィニョル: 話は変わりますけれど
  2484. メリッサ・ド・ヴィニョル: トゥーレル砦が陥落して オルレアンを守る砦は消えました
  2485. メリッサ・ド・ヴィニョル: あとはロワール川にかかる 橋を渡って
  2486. メリッサ・ド・ヴィニョル: オルレアン市街に 突入するだけです!
  2487. いろは: 市内には、まだ敵がいるんですね
  2488. タルト: はい、それに コルボーの行方が分かりません
  2489. タルト: 必ず、私たちの前に 立ちふさがるはず…!
  2490. やちよ: 目指すはオルレアン市内の 聖十字架大聖堂だったわね?
  2491. やちよ: 本人の前で言うのも変だけど
  2492. やちよ: タルト自身がその鐘を鳴らせば
  2493. やちよ: 現実世界で眠っているタルトは 夢から覚めるわけね…!
  2494. キューブ: そう、この世界…キミたちの言う “夢のフランス”が消滅して
  2495. キューブ: ボクもキミたちも 元の世界で目を覚ますはずだよ
  2496. いろは: 目が覚めると、どうなるの?
  2497. キューブ: 呪いが解けたことで キミたちの記憶は徐々に薄れ…
  2498. キューブ: やがて本当の夢だと 思うようになるみたいだね
  2499. いろは: え… 忘れてしまうの?
  2500. いろは: この世界で起きたこと…
  2501. やちよ: 現実の歴史と、かなり違う展開に なってしまったけれど
  2502. やちよ: ここで起きたすべては ただの“夢”になってしまうのね
  2503. キューブ: …だって、夢だからね
  2504. タルト: お別れなんですね
  2505. タルト: いろはさん、やちよさん…
  2506. メリッサ・ド・ヴィニョル: 寂しいですね
  2507. メリッサ・ド・ヴィニョル: せっかく、おふたりと 仲良くなれたのに…
  2508. リズ・ホークウッド: …でも、前向きなお別れよ
  2509. リズ・ホークウッド: 同じ未来を信じて それぞれの場所に戻るのだから
  2510. やちよ: そうね…
  2511. いろは: 取り戻したいです 絶対に…!
  2512. いろは: 私たちの、未来を
  2513. タルト: 今の答えで確信しました
  2514. タルト: 未来には、確かに 希望があるんだって!
  2515. いろは: そうですよね!
  2516. いろは: だから この夢が終わった後は
  2517. いろは: それぞれの未来のために 頑張りましょう!
  2518. タルト: はいっ!
  2519. リズ・ホークウッド: …そろそろ行きましょうか
  2520. メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様たちが待っています
  2521. タルト: そうですね
  2522. タルト: さぁ行きましょう
  2523. タルト: 未来に光をもたらすために!
  2524.  
  2525. FILENAME: text_501512-2.txt
  2526. リズ・ホークウッド: タルトはオルレアン市街へ! 目指すは“聖十字架大聖堂”よ
  2527. タルト: わかりましたっ!
  2528. やちよ: 走るわよ、いろは! タルトを援護するの!
  2529. いろは: はいっ!
  2530. いろは: きゃっ!
  2531. やちよ: 後ろから!?
  2532. コルボー: ハハハハッ!
  2533. タルト: コルボー!
  2534. コルボー: この世界に戻ってくるのに 随分と手間取っちまった…!
  2535. コルボー: ちょっと見ない間に ひどく攻め込まれたもんだね!
  2536. リズ・ホークウッド: …そのまま帰ってこなくても よかったんだけど?
  2537. コルボー: ハハハ、言うねえ! 生きてたんだな、黒いの!
  2538. リズ・ホークウッド: あなたに殺されるつもりはないわ
  2539. リズ・ホークウッド: これで決着にしましょう
  2540. やちよ: …手伝うわ、リズ
  2541. コルボー: いいねえ! 黒いのと青いのが揃ったか!
  2542. コルボー: …が、お前らはまた囮だろう?
  2543. やちよ: …………!
  2544. コルボー: フン、この隙にとっとと 聖女様がオルレアンに突入して
  2545. コルボー: この偽りの世界を 終わらせるつもりだろうが
  2546. コルボー: 私も、この世界の お膳立てをしてくれた身内に
  2547. コルボー: 義理を果たさなきゃ ならないんでね!
  2548. コルボー: だから、もう少し楽しもうぜ?
  2549. БЯrЯяЯяЯЯ!!!!
  2550. БЯЯяЯЯяЯЯ!!!!
  2551. やちよ: オルレアンへの進路を ふさがれたわ…!
  2552. いろは: それに、空がまた暗く!
  2553. リズ・ホークウッド: 心配ないわ あいつの周りだけよ
  2554. リズ・ホークウッド: コルボー!
  2555. コルボー: …………?
  2556. リズ・ホークウッド: あなたの企みはもう終わりよ!
  2557. リズ・ホークウッド: タルトはもう 絶望したりしないもの…!
  2558. タルト: リズの言う通りですっ!
  2559. リズ・ホークウッド: タルト…!
  2560. タルト: ―タルト― もう、あなただけに 背負わせたりしない!
  2561. タルト: ―タルト― 一緒に戦いましょう、リズ
  2562. リズ・ホークウッド: ―リズ― ええ
  2563. リズ・ホークウッド: ―リズ― ふたりだけで立ち上がった頃と 同じように!
  2564. コルボー: ほう 今度は聖女様も参戦か!
  2565. コルボー: いいねぇ! ふふ、ゾクゾクするよ
  2566. コルボー: 殺すつもりで来な! でなきゃ、死ぬのはそっちだ!
  2567. やちよ: いろは、私たちも
  2568. いろは: はいっ!
  2569. やちよ: 4人で一気に終わらせましょう
  2570. コルボー: フッ…
  2571. コルボー: なぁ、せっかくの舞台だ 急いで降りるのはもったいない
  2572. コルボー: 醜い屍をさらすまで 壊し合おうぜぇ!
  2573.  
  2574. FILENAME: text_501512-3.txt
  2575. やちよ: ハァッ!
  2576. コルボー: クハハハハッ! この痛み…高ぶるねぇ!
  2577. やちよ: 無駄口は聞きあきたわ
  2578. コルボー: があぁあっ!
  2579. やちよ: まだっ!
  2580. コルボー: ちぃっ! さすがに…戦い慣れてやが…
  2581. やちよ: 息が…
  2582. やちよ: 上がってるわよ!
  2583. コルボー: グハッ!
  2584. やちよ: リズ、今よ!
  2585. リズ・ホークウッド: やちよ、ありがとう
  2586. リズ・ホークウッド: 影よ…!
  2587. コルボー: ――っ!? ヤバいな…
  2588. リズ・ホークウッド: 手をゆるめるつもりはないわ
  2589. リズ・ホークウッド: タルトを絶対に… 絶望させたりしない!
  2590. コルボー: ぐぁあああっ!
  2591. やちよ: 隙ができたわ!
  2592. リズ・ホークウッド: タルトはオルレアン市街へ!
  2593. タルト: わかりましたっ!
  2594. やちよ: いろはは、タルトと一緒に
  2595. いろは: はいっ、やちよさん!
  2596. コルボー: このまま…
  2597. コルボー: 抜け駆けさせるつもりは ないんだよっ!
  2598. БЯЯЯЯяЯЯ!!
  2599. БЯЯЯЯяЯЯ!!!
  2600. いろは: また!?
  2601. タルト: 道をふさがれました…!
  2602. いろは: タルトさんの魔法で 一気に倒せない?
  2603. タルト: だめです!
  2604. タルト: オルレアンの人たちに 被害が出てしまいます!
  2605. いろは: 突破するには どうしたら…
  2606. メリッサ・ド・ヴィニョル: タルト!
  2607. ラ・イル: バケモノどもは任せろ!
  2608. タルト: メリッサに、ラ・イル様!
  2609. ジル・ド・レ: 我ら一丸となって 囲みを崩しましょう!
  2610. いろは: みんな…!
  2611. コルボー: チッ、雑魚どもが
  2612. コルボー: そんじゃ、こっちも 出し惜しみはナシだ!
  2613. БЯяяЯЯЯ!!
  2614. БЯяяяяЯЯЯ!!!
  2615. ぐあああっ!
  2616. やちよ: 敵…まだ増えるの!?
  2617. キューブ: 夢を形成する結界から 直接発生しているんだ
  2618. キューブ: コルボー自身は魔力を使わずに いくらでも召喚できてしまう
  2619. いろは: そんな…!
  2620. シャルル王太子: 「諦めるな!」
  2621. いろは: え…?
  2622. シャルル王太子: “乙女”とその仲間らよ! 我らが加勢する!
  2623. タルト: …シャルル王太子様!?
  2624. メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様が、自ら前線に?
  2625. コルボー: ただの人間がぁ、舐めるな!
  2626. シャルル王太子: ぐっ!
  2627. シャルル王太子: 退きはせん!
  2628. シャルル王太子: 私は“乙女”に救われた身…!
  2629. シャルル王太子: ここで恩を返さず いつ返すというのか!
  2630. シャルル王太子: ゆくぞ、血路を開け!
  2631. おぉーっ!
  2632. БяяяяЯ!?
  2633. БЯяяЯ!???
  2634. リズ・ホークウッド: 敵の戦線が…崩れた!?
  2635. コルボー: 使い魔たちが… 突破されてゆくだと?
  2636. ジル・ド・レ: ラ・イルの部隊は 突入進路を確保!
  2637. ラ・イル: 大役、任されたぜ! 側を離れるなよ、メリッサ!
  2638. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい、お父様!
  2639. メリッサ・ド・ヴィニョル: みんな…絶対に勝ってください!
  2640. タルト: メリッサ、ありがとう
  2641. ジル・ド・レ: よし! 残る全軍はラ・イルたちを守れ!
  2642. ジル・ド・レ: シャルル様、兵をお借りします
  2643. シャルル王太子: 指揮は任せる! フランス兵たちよ死力を尽くせ!
  2644. おぉーっ!
  2645. コルボー: 調子に…乗るなよッ!
  2646. コルボー: お前ら雑魚なんぞ 私ひとりでも…!
  2647. タルト: …分かっています あなたを放ってはおきません
  2648. タルト: 私たち魔法少女は… 全員でコルボーを倒しましょう
  2649. タルト: いろはさん、やちよさん、リズ 力を貸してください…!
  2650. リズ・ホークウッド: タルト…!
  2651. いろは: はい!
  2652. やちよ: もちろんよ…!
  2653. タルト: 私はもう絶望に呑まれたりしない だから…
  2654. タルト: 共に戦いましょう 光ある未来のために!
  2655.  
  2656. FILENAME: text_501512-4.txt
  2657. いろは: えぇぃっ!
  2658. やちよ: ハァァッ!
  2659. コルボー: グ…グハァアアッ!
  2660. リズ・ホークウッド: この相手に 手ぬるいやり方は通用しない…
  2661. コルボー: 何だ…この影は!
  2662. コルボー: …身体が、動かないだと!?
  2663. リズ・ホークウッド: 今よ、タルト! みんな離れて!
  2664. タルト: はい… いきますっ!
  2665. タルト: ラ・リュミエール!
  2666. コルボー: ――っ!?
  2667. いろは: やった…!
  2668. メリッサ・ド・ヴィニョル: タルト、いろはさん! こっちへ!
  2669. メリッサ・ド・ヴィニョル: 今ならオルレアン市街に 突入できます!
  2670. タルト: いろはさん…!
  2671. リズ・ホークウッド: いろは、タルトを頼むわ!
  2672. いろは: わかりました!
  2673. メリッサ・ド・ヴィニョル: 私とお父様に ついてきてください…!
  2674. コルボー: …ぜぇ…ぜぇ…
  2675. コルボー: 悪いがまだ…生きてるぜ?
  2676. リズ・ホークウッド: …気づいていたわ 直撃は免れたようだったから
  2677. やちよ: タルトは行ったわ、コルボー “夢”は、これで終わりよ
  2678. やちよ: それでも戦うと 言うんでしょうけど
  2679. コルボー: くく…ハハハハ!
  2680. コルボー: 分かってるじゃないか! 黒いの!
  2681. ラ・イル: ハァッ!
  2682. БЯrrrrяЯ!!?
  2683. メリッサ・ド・ヴィニョル: 邪魔はいなくなりました!
  2684. いろは: タルトさん! 鐘突き堂はあっちです!
  2685. タルト: 行きましょう…!
  2686. キューブ: 鐘が鳴れば、現実世界のタルトが 目を覚ましはじめる
  2687. キューブ: 彼女が完全に目覚めるとき “夢のフランス”は消滅し
  2688. キューブ: この夢に関するボクたちの記憶も 徐々に薄れていくことだろう
  2689. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい…天使様
  2690. メリッサ・ド・ヴィニョル: いろはさん…
  2691. メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトを助けてくれて ありがとう
  2692. いろは: とうとう着きましたね 鐘突き堂に
  2693. タルト: はい…
  2694. タルト: いろはさん、私
  2695. いろは: なに…?
  2696. タルト: この夢の中では 大変な思いもしたけど…
  2697. タルト: いろはさんと出会えて とってもよかったと思ってます!
  2698. いろは: そ、そんな!
  2699. タルト: 未来のために、一生懸命戦う いろはさんを見て
  2700. タルト: 私の想いは間違っていないって 確信できましたから…!
  2701. タルト: 「私は、故郷の村を襲われて 最愛の妹を失いました」
  2702. タルト: 「こんな悲しみを もう誰にも味わってほしくない…」
  2703. タルト: 「だから私は 魔法少女になったんです」
  2704. タルト: 「フランスに 光をもたらす力を願って…!」
  2705. タルト: たとえ夢から覚めても
  2706. タルト: あのときの願いを…誓いを信じて
  2707. タルト: この国に光をもたらすために 戦っていきたいと思います!
  2708. いろは: はい!
  2709. タルト: それから… いろはさんとやちよさんのこと
  2710. タルト: きっと忘れませんからっ!
  2711. いろは: 私もです、タルトさんっ!
  2712. タルト: ありがとう…!
  2713. タルト: では 一緒に鐘を鳴らしましょう
  2714. いろは: 一緒に…? 大丈夫でしょうか?
  2715. タルト: ぜひ、お願いします!
  2716. メリッサ・ド・ヴィニョル: あ、この音…
  2717. キューブ: タルトが鐘を鳴らしてるんだ
  2718. メリッサ・ド・ヴィニョル: …天使様 私…眠く…………
  2719. やちよ: 悪夢は…これで終わり!
  2720. コルボー: ぐっ
  2721. コルボー: まだまだ、終わらせ…
  2722. コルボー: うぐっ!
  2723. リズ・ホークウッド: 敵ながら、大した粘りね
  2724. やちよ: いろは、まだなの?
  2725. やちよ: これ以上は、さすがに…
  2726. やちよ: この音は!
  2727. リズ・ホークウッド: タルトといろはが 突入に成功したのね!
  2728. コルボー: チッ…ここで退場かっ
  2729. コルボー: 決着は、本物のトゥーレル砦で つけようぜ!
  2730. やちよ: …私たちも、お別れね
  2731. リズ・ホークウッド: ええ
  2732. リズ・ホークウッド: 次に覚めたとき この夢は終わっているわ
  2733. やちよ: 夢から覚めても、あなたの戦いは まだ続くでしょうけど
  2734. やちよ: 健闘を、リズ
  2735. リズ・ホークウッド: ありがとう、やちよ
  2736. リズ・ホークウッド: あなたたちに会えて よかったわ
  2737. いろは: あ、この感じ…!
  2738. いろは: もうお別れみたいです!
  2739. タルト: 寂しいけれど 笑ってお別れしましょう
  2740. タルト: おたがいの未来のために…!
  2741. いろは: はいっ!
  2742.  
  2743. FILENAME: text_501513-1.txt
  2744. ―エピローグ―
  2745. いろは: …………?
  2746. いろは: ここは…夢の…フランス?
  2747. いろは: …って…何だっけ…?
  2748. いろは: …はっ!
  2749. やちよ: …目が覚めた?
  2750. いろは: やちよさん!
  2751. いろは: あの…ロウソクは? タルトさんは…
  2752. やちよ: ロウソク…タルト? 何のことかしら?
  2753. いろは: え…! 忘れちゃったんですか?
  2754. やちよ: 冗談よ ちゃんと覚えてるわ
  2755. いろは: よかった…
  2756. フェリシア: おっ、いろは 目が覚めたのか!
  2757. フェリシア: こっちは何もかも元通りだぞ!
  2758. さな: ちゃんと、お日様も出るように なりました…!
  2759. いろは: よかった…
  2760. フェリシア: よし、じゃあ行こうぜ!
  2761. やちよ: 行くってどこに?
  2762. フェリシア: 肉だよ! 分厚い肉買いにいこーぜ!
  2763. やちよ: もう、分かってるわよ 夕方になったら一緒に行きましょ
  2764. フェリシア: やったー! 今夜はオレ、幸せだー!
  2765. いろは: …やちよさん
  2766. やちよ: なに?
  2767. いろは: タルトさんは夢から覚めたあと
  2768. いろは: あの砦の戦いに 勝てたんでしょうか…?
  2769. やちよ: 歴史の本で 調べてみましょうか?
  2770. やちよ: 私たちの記憶が 消えてしまわないうちに…
  2771. いろは: …はい!
  2772. <1429年5月7日 オルレアン近郊、トゥーレル砦>
  2773. <これは“夢のフランス”から目を覚ました ジャンヌ・ダルクが戦った…>
  2774. <“現実世界”のオルレアン解放の記録>
  2775. <すでにジャンヌは、ブルゴーニュ門より オルレアン入りを果たし…>
  2776. <敵対するイングランド軍の足がかりは、事実上 トゥーレル砦を残すのみとなっていた…>
  2777. ジル・ド・レ: 「さあ、ゆけ!」
  2778. ジル・ド・レ: 「聖女の軍旗のもとに 集いし猛者たちよ!」
  2779. ジル・ド・レ: 「このトゥーレル砦の敵を退ければ 悲願のオルレアン解放は、成る!」
  2780. うぉおおーっ!
  2781. ぐはっ!
  2782. ジル・ド・レ: な…あれは!
  2783. リズ・ホークウッド: 現れたわね
  2784. タルト: イングランドの魔法少女…
  2785. コルボー: フフフッ…
  2786. コルボー: 私はコルボー
  2787. コルボー: 分かりやすく言えば…
  2788. コルボー: あんたらの敵だよ!
  2789.  
  2790. FILENAME: text_501513-2.txt
  2791. コルボー: ククク…黒いの
  2792. コルボー: 不甲斐ない聖女様より お前の方が楽しめそうだ
  2793.  
  2794. FILENAME: text_501513-3.txt
  2795. リズ・ホークウッド: ぐっ…!
  2796. タルト: リズッ!
  2797. タルト: うわっ!!
  2798. リズ・ホークウッド: タルト…
  2799. コルボー: そこでおとなしく見てな
  2800. コルボー: まずはお前の目の前で 聖女様を血祭りにあげてやるよ
  2801. リズ・ホークウッド: 貴様っ!
  2802. リズ・ホークウッド: 体が…動かない…
  2803. コルボー: さぁ聖女様 今とどめを刺して…
  2804. ラ・イル: そうはさせるかよっ!!
  2805. コルボー: ただの人間が!
  2806. コルボー: 出る幕じゃないんだよ!!
  2807. ラ・イル: グッ…ハッ!
  2808. メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様! お父様っ!!
  2809. リズ・ホークウッド: いけない! メリッサ!!
  2810. メリッサ・ド・ヴィニョル: え?
  2811. メリッサ・ド・ヴィニョル: ―メリッサ― タ…タルト
  2812. タルト: ―タルト― よかった 無事…なんですね…
  2813. <その瞬間、光は…>
  2814. <“希望”はついえた>
  2815. メリッサ・ド・ヴィニョル: 「タルト!タルトッ!!」
  2816. メリッサ・ド・ヴィニョル: 「このままじゃタルトもお父様もっ!!」
  2817. リズ・ホークウッド: タルトが…
  2818. リズ・ホークウッド: メリッサを…かばって…
  2819. コルボー: 寂しがることはないさ
  2820. コルボー: すぐにあんたも 後を追わせて…
  2821. <そのとき、奇跡は起きた>
  2822. <第3の魔法少女 メリッサの誕生とともに…>
  2823. リズ・ホークウッド: タルト!
  2824. タルト: 傷が…癒えてる?
  2825. リズ・ホークウッド: メリッサの願いが… 癒したの?
  2826. リズ・ホークウッド: 致命傷を受けた タルトたちを…
  2827. リズ・ホークウッド: メリッサ…どうして?
  2828. メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトの進む道は この国のみんなにとって
  2829. メリッサ・ド・ヴィニョル: 希望の光になるんだって… そう思ったから!
  2830. タルト: メリッサ、リズ まだ敵が…!
  2831. リズ・ホークウッド: そうね
  2832. メリッサ・ド・ヴィニョル: はい…!
  2833. メリッサ・ド・ヴィニョル: ―メリッサ― たとえ…この先に どんな運命が待っていようとも
  2834. メリッサ・ド・ヴィニョル: ―メリッサ― 私も魔法少女として 共に戦います!
  2835.  
  2836. FILENAME: text_501513-4.txt
  2837. <1429年5月7日 トゥーレル砦は陥落し>
  2838. <翌日、イングランドはオルレアンを放棄 ここにジャンヌ・ダルクの偉業 オルレアン解放は成った>
  2839. <同時代の詩人 クリスティーヌ・ド・ピザンは 「ジャンヌ・ダルク賛歌」にこう記した>
  2840. <『1429年、太陽は再び輝き始めた…』と>
  2841. いろは: よかった…!
  2842. いろは: タルトさんは願い通りに…
  2843. いろは: フランスに光をもたらすことが できたんですね!
  2844. やちよ: ええ、そうね
  2845. やちよ: キューブの言葉が本当なら 私たち、タルトたちのことを
  2846. やちよ: 徐々に忘れてしまうみたいだけど
  2847. やちよ: …少し、寂しい気がするわね
  2848. いろは: …そうですね
  2849. いろは: あれ…?
  2850. いろは: やちよさん…この 古い本に載ってる“乙女”の絵!
  2851. やちよ: ―やちよ― えっ、これって…!
  2852. やちよ: ―やちよ― ジャンヌ・ダルクの横にいるの …私たち…よね?
  2853. いろは: はい、私たちの 魔法少女姿だと思います…
  2854. やちよ: きっと… あのできごとが原因ね
  2855. ジル・ド・レ: 「恐れるな、兵士たちよ!」
  2856. ジル・ド・レ: 「天の意志は、我らのもとに 再び舞い降りたのだ!」
  2857. ジル・ド・レ: 「神に認められし“乙女”と…」
  2858. ジル・ド・レ: 「新たなるふたりの聖女とともに!」
  2859. やちよ: きっと夢の中のことを タルトが覚えていて
  2860. いろは: 誰かに伝えてくれたんですね
  2861. タルト: いろはさんとやちよさんのこと
  2862. タルト: きっと忘れませんからっ!
  2863. いろは: 私もです、タルトさんっ!
  2864. タルト: ありがとう…!
  2865. やちよ: まあ、私たちだと気づく人は 他にいないと思うけど…
  2866. いろは: ちょっと、恥ずかしいですね
  2867. やちよ: ちょっとどころじゃないわ
  2868. やちよ: …と、まあ
  2869. やちよ: 一時は人類滅亡レベルの 危機だったわけ
  2870. みたま: …ごめんなさいね
  2871. みたま: この本とロウソクは 責任を持って処分しておくから!
  2872. みたま: …わたし、とんでもない おまじないを教えちゃったのねぇ
  2873. いろは: あ、いえ
  2874. いろは: いわくつきだったのは 骨董品のロウソクの方です
  2875. やちよ: おまじない自体は 無害だったみたいよ
  2876. みたま: よかったぁ!
  2877. みたま: ジャンヌ・ダルクの時代に フランスで広まった
  2878. みたま: 古式ゆかしい おまじないだけあるわね!
  2879. やちよ: え…!?
  2880. いろは: ジャンヌ・ダルク?
  2881. みたま: そうよ?
  2882. やちよ: ねえ それって
  2883. やちよ: 私たちが夢の中で教えた おまじないを
  2884. やちよ: メリッサが覚めた後も ぼんやり覚えてて
  2885. やちよ: みんなに広めたんじゃ…?
  2886. いろは: ええっ?
  2887. いろは: でも…あるかも…
  2888. いろは: 私たちの姿が 絵に残ってるくらいですし
  2889. やちよ: 赤と青のロウソクを使うところも いやに具体的なのよね
  2890. いろは: やっぱり、私たちが 流行らせちゃったんでしょうか?
  2891. やちよ: そんな気がするわ…
  2892. いろは: あ、でも…あれ?
  2893. いろは: 待ってください 混乱してきました…!
  2894. やちよ: どうしたの?
  2895. いろは: あの…ですね
  2896. いろは: 私たちが話したおまじないが タルトさんの時代に広まって…
  2897. いろは: それを知ったみたまさんが 私たちにおまじないを教えて…
  2898. いろは: おまじないを教わった私たちが メリッサさんに話して…
  2899. いろは: ふりだしに戻るんですよね?
  2900. やちよ: そうね
  2901. いろは: じゃあ、このおまじない 誰が考えたんですか?
  2902. いろは: 出てくるみんな 伝言ゲームをしただけですよね?
  2903. やちよ: 確かに…あの本にロウソクの 並べ方は書いてなかったし
  2904. やちよ: みんな、聞いた話を伝えただけ…
  2905. やちよ: 誰が考えたわけでもない おまじないが、ぐるぐる回ってる
  2906. やちよ: …………
  2907. やちよ: もしかして…
  2908. やちよ: 歴史が変わっちゃう、大変だって 私たち、走り回ってたけど
  2909. やちよ: 無事に解決することも含めて 最初から決まっていたのかしら?
  2910. いろは: そう言われると、そんな気も…
  2911. やちよ: キューブも言ってたわよね…
  2912. キューブ: むしろキミたちこそが
  2913. キューブ: フランスを救う宿命を負った 救世主なのかもしれないよ?
  2914. いろは: あ、でも…あの本の絵は?
  2915. いろは: 私たちが過去を変えたから
  2916. いろは: 私たちが描かれた、あの絵が 生まれたんじゃないんですか?
  2917. やちよ: …どうかしら?
  2918. やちよ: 私たちが知らなかっただけで
  2919. やちよ: ロウソクをつける前から あった絵なのかもよ…?
  2920. いろは: …………
  2921. やちよ: ………… …………
  2922. やちよ: 分からないことを考えるのは やめましょう…
  2923. みたま: …………?
  2924. La Fin.(おしまい)
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