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- FILENAME: text_501501-1.txt
- 第1部
- 第1章「夢のフランス」
- БЯЯяяЯяЯЯ!!!!
- 「ぐ、ぐぁああっ!!」
- 「隊長、もう もちません…!」
- 1対1では敵わん! 必ず3人で相手するんだ!
- ББЯЯЯЯЯЯЯ! БББЯЯЯяяЯ!!!!
- 新手だと!?
- БЯЯяяЯяЯЯ!!!!
- う、うわぁああぁああ!!
- おいっ、しっかりしろ! クソッ…これ以上は無理か
- 撤退だ! 南の部隊と合流する
- ???: なんだぁ… もう行っちまうのかい?
- ???: 遊び甲斐のないヤツらだ!
- お前は…イングランド軍の魔女 …コルボー!
- コルボー: 魔女とはまた、ご挨拶だなァ?
- コルボー: 私は…
- コルボー: 魔法少女だっての!
- ぐっ…ぐがぁあっ!
- コルボー: …死ね
- いろは: えっ…
- いろは: この音、何? …戦場?
- いろは: 何が起きているの…!
- ББЯЯЯЯЯЯЯ――!!!!
- いろは: わ…きゃぁっ!
- ???: いろは!
- БЯЯяяя――!?????
- やちよ: 大丈夫?
- いろは: やちよさん… ありがとうございます
- いろは: ここ…どこなんでしょうか? 私たち、家にいたはずじゃ…
- やちよ: 話は後よ 私にも分からないわ
- БББЯЯяяяяЯЯ――!!
- やちよ: あの動くヨロイ…使い魔のようね すぐに変身して!
- いろは: は、はい!
- いろは: それじゃ…!
- コルボー: へぇ 面白いのがいるじゃないか
- コルボー: こんなとこで、新手の 魔法少女に会えるなんてなぁ!
- やちよ: …………?
- いろは: だ、誰?
- コルボー: お前らも フランスの聖女様のお仲間か?
- いろは: へっ…聖女様…?
- コルボー: 知らないのか? まぁいい
- やちよ: (魔法少女が… 使い魔を召喚した!?)
- コルボー: 私は今、壊し足りない気分なんだ
- コルボー: だから、ここで…
- コルボー: ぶっ壊されてくれよっ!!
- FILENAME: text_501501-2.txt
- いろは: やちよさん…
- やちよ: やるしかないようね
- やちよ: なんて魔力! 危険な敵よ、油断しないで
- FILENAME: text_501501-3.txt
- コルボー: ハハハハハッ!
- いろは: きゃっ!
- やちよ: いろは、大丈夫?
- いろは: はぁ…はぁ…
- やちよ: いろは、しっかり!
- コルボー: フフ、まだ立ってたか
- コルボー: そうじゃなきゃ 壊し甲斐がないよなぁ?
- コルボー: まとめて殺すのはもったいない …ひとりずつ壊すか
- コルボー: くくっ…まずはそっちの 白いのからだ…!
- やちよ: …………!
- いろは: はぁ…はあ
- やちよ: まずい! いろは、よけて!
- いろは: えっ…!
- やちよ: いろは!!
- コルボー: 遅い!
- ???: …………
- コルボー: お前は…!
- コルボー: バカなっ… 渾身の魔力を叩き込んだはず
- コルボー: すべて、跳ね返した…だと?
- ???: 無事ですか?
- いろは: …は、はい
- ???: よかったぁ!
- いろは: あの、あなたは…
- タルト: “タルト”って呼んでください!
- コルボー: くくくっ…ハハハハハ!
- やちよ: あいつ…何?
- コルボー: 面白くなってきたじゃないか!
- コルボー: まさか、聖女様が 直々に駆けつけるなんてなぁ!
- タルト: コルボー…!
- タルト: 私が食い止めます 逃げてください!
- いろは: で、でも…
- やちよ: ここは、任せましょう その傷であいつの相手は無理よ
- いろは: はい…
- いろは: タルトさん 無茶しないでください!
- タルト: はいっ! 頑張ります!
- やちよ: ありがとう 行きましょう、いろは
- コルボー: 逃がすかよっ!
- いろは: えっ…!
- いろは: これって、結界ですよね?
- やちよ: 魔女まで召喚したっていうの!?
- タルト: 魔女なら、私がっ!
- やちよ: 大丈夫、ひとりで何とかするわ
- やちよ: 私も魔法少女だから…!
- FILENAME: text_501501-4.txt
- いろは: はぁ…はぁ
- やちよ: 何とか倒せたけど
- やちよ: でも変ね
- やちよ: 今の魔女って確か 神浜に現れたやつよ?
- やちよ: どうして… こんなところに
- いろは: やちよさん! タルトさんが!
- コルボー: フッ!
- タルト: くっ
- コルボー: ハハハハッ! いいね、いいねぇ!
- コルボー: 食らいやがれッ!
- タルト: わ…わわっ!
- やちよ: タルト!
- タルト: へっちゃらです! 吹っ飛ばされただけ!
- コルボー: なにっ…!
- コルボー: これだけ食らわせて無傷だとっ?
- いろは: すごい…!
- コルボー: くくっ… くくくくく
- タルト: …………?
- コルボー: 最高だ、聖女様!
- コルボー: さぁ、楽しもうじゃないか…
- コルボー: 本気の殺し合いってヤツをさぁ!
- ???: 悪いけど…
- ???: あなたの相手は、私
- コルボー: …がっ!?
- タルト: リズっ!
- やちよ: 影の中から…背後に!?
- コルボー: コイツ…影を操るのか!
- リズ・ホークウッド: タルトたちは本隊へ戻って! 使い魔が出て苦戦しているわ
- リズ・ホークウッド: メリッサ、案内をお願い
- メリッサ・ド・ヴィニョル: お任せくださいっ!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: “メリッサ・ド・ヴィニョル” と申します!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: おふたりは、こちらへ!
- いろは: はい!
- コルボー: 行かせるものかッ…
- リズ・ホークウッド: 背中を見せる余裕が あるのかしら?
- コルボー: ぐぁっ!?
- リズ・ホークウッド: タルトを傷めつけた代償は… 高くつくわよ!
- コルボー: “乙女(ラ・ピュセル)”の 仲間か、いいだろう
- コルボー: ガッカリさせてくれるなよ!
- タルト: リズに任せて、行きましょう! えっと…?
- いろは: あ、“環いろは”っていいます!
- やちよ: “七海やちよ”よ
- タルト: よろしくお願いします! いろは様、やちよ様
- いろは: “様”はやめてほしいです
- やちよ: …私も
- タルト: じゃあ… いろはさん、やちよさん、で!
- タルト: 急ぎましょう!
- いろは: はい!
- やちよ: …………
- やちよ: (…フランスの聖女様… “乙女(ラ・ピュセル)”…)
- やちよ: (それって、確か ジャンヌ・ダルクの愛称よね)
- やちよ: (この魔法少女が… ジャンヌ・ダルクってこと?)
- FILENAME: text_501501-5.txt
- “乙女(ラ・ピュセル)”…! 無事でしたか!
- タルト: 戦況はどうですか?
- かんばしくありません! …というより、最悪です!
- ББЯЯяяЯЯЯ! БББЯЯЯяяЯ!
- やちよ: さっきの使い魔…!
- いろは: すごい数!
- タルト: コルボーの手下です!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: イングランド側に あいつらが現れてから
- メリッサ・ド・ヴィニョル: フランス軍は一気に追い込まれて しまったんです
- いろは: フランス軍…イングランド? 何がどうなってるんでしょう?
- やちよ: …見た目は中世の軍隊よね
- いろは: 昔の戦場ってことですか?
- やちよ: ええ、話を聞くかぎり タルトたちはフランス軍で
- やちよ: 敵側のイングランドが 魔物をけしかけたようね
- やちよ: (ジャンヌ・ダルクは確か…)
- やちよ: (イングランドの侵攻から フランスを救った聖女…)
- やちよ: (このタルトが、そうなの…?)
- БЯЯЯЯЯЯяЯЯЯ!!!!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 来ます!
- タルト: 私が引き受けます! みんなは後退して!
- いろは: 無理ですよ、あんな数!
- タルト: 私は平気です! フランス軍の仲間を頼みます!
- やちよ: (やっぱり“フランス軍”か… 敵側はなぜか魔物ばかりだけど)
- やちよ: (とにかく、ここは タルトに従うのが一番ね)
- やちよ: いろは、これを使って
- いろは: これ…グリーフシード?
- やちよ: ええ、それで魔力を回復して
- やちよ: フランスの撤退を手伝うわ
- やちよ: 邪魔な使い魔を倒して 囲みを解きましょう
- いろは: わかりました
- いろは: タルトさん、無事でいてね!
- タルト: はいっ!
- БЯЯяяЯЯяЯЯЯ!!! БЯЯяяЯЯяЯЯЯ!!!
- FILENAME: text_501501-6.txt
- ここまで来れば安全だ! ケガ人の救護を急げ!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 護衛、ありがとうございました! やちよ様、いろは様!
- やちよ: …“さん”呼びでお願い
- メリッサ・ド・ヴィニョル: わかりました、やちよさん!
- いろは: あの、それより…
- いろは: それよりタルトさんは…無事?
- やちよ: ――っ!?
- やちよ: 何これ! すごい魔力反応…!
- いろは: タルトさんの いたあたりですよね!?
- やちよ: 何よ…あれ…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: ラ・リュミエール… タルトの光の魔法です!
- やちよ: あんな巨大な魔法を使ったら
- やちよ: どっちも無事でいられるはずが…
- いろは: あれ…?
- いろは: やちよさん? 何だか、みんなの声が
- いろは: よく…聞こえな…
- やちよ: いろは…ど…したの?
- やちよ: 聞こ…てる? …ねえ…?
- やちよ: …………?
- やちよ: …………!
- いろは: ――っ!?
- いろは: ええっ…!
- いろは: まさかの…
- いろは: 夢オチ…?
- FILENAME: text_501502-1.txt
- 第2章「あやしのキャンドル」
- いろは: …ええっ!?
- いろは: やちよさんも、同じ夢を…?
- やちよ: ええ やけにリアルな夢だったわね
- いろは: 今は夢だと思えるけど
- いろは: 見てるときは、現実としか 思えなかったです…
- やちよ: いろは 夢の中でしたケガはどう…?
- いろは: あ…
- いろは: 何ともないみたいです!
- いろは: やっぱり夢なんですね
- やちよ: 私たち以外に 見た人はいないかしら…?
- フェリシア: はぁ、戦争の夢? 何だよそれ?
- さな: 私が見たのは 寝る前にネットで見た
- さな: “もっふもふ☆どうぶつ動画”の 続き…です
- いろは: …見たのは、同じ部屋にいた 私たちだけみたいですね
- やちよ: …となると
- やちよ: 原因はきっと、おまじないか アロマキャンドルね
- やちよ: みたまに連絡してみましょう
- みたま: …え、ふたりで怖い夢を見た?
- みたま: そうだったの…ごめんなさい
- みたま: でも、変ねぇ…
- みたま: おまじないを試した人は みんな、いい夢を見てるのよね
- みたま: だとすると 例のロウソクが原因なのかしら
- みたま: 本当にごめんなさいねぇ…
- やちよ: 怪しいのは、おまじないより ロウソクの方ってこと以外
- やちよ: 何も分からなかったわね
- いろは: …ですね
- やちよ: ところで…
- やちよ: ロウソクを消したのは、いろは?
- いろは: いえ 目が覚めたら、消えてました
- やちよ: 火が消えたら 夢から戻る仕組みなのかしら
- いろは: ロウソク、あまり減ってないから
- いろは: また試すことはできますけど…
- やちよ: …………
- やちよ: 火を灯したら 夢の続きに戻るのか…
- やちよ: それとも、別の夢を見るのか
- いろは: やってみないと、分かりませんね
- やちよ: …………
- やちよ: 実は、私ね
- やちよ: 少し興味があるのよ
- いろは: 興味…ですか?
- やちよ: ええ
- やちよ: 「タルトが呼ばれてた “乙女(ラ・ピュセル)”という名前は…」
- やちよ: 「フランスの救世主 ジャンヌ・ダルクの愛称なの」
- いろは: じゃあ、あの夢って… 中世のフランスってことですか?
- やちよ: ええ
- やちよ: フランスとイングランドが争った “百年戦争”の時代みたい
- いろは: …あれ、でも?
- いろは: ちゃんと言葉が通じましたけど
- やちよ: まぁ…夢だから
- いろは: そうですね
- やちよ: で…
- やちよ: ロウソク…どうする?
- いろは: …………
- いろは: …つけてみたい気も、します
- やちよ: 怖くはない?
- いろは: 怖いですけど… まぁ…夢ですし
- いろは: やちよさんは?
- やちよ: そうね、いろはの言う通り
- やちよ: 見てる最中は怖いし 現実としか思えないんだけど
- いろは: …起きてみると やっぱり夢って感じなんですよね
- やちよ: そう、だから 怖くないと言えば嘘になるけど
- やちよ: でも夢だし…ね?
- いろは: やちよさん…!
- やちよ: 同じ夢の続きみたいね 場所が変わってるけど
- いろは: 映画で見た 外国の田舎みたいです
- やちよ: まるで本物よね
- やちよ: …本物、見たことないけど
- いろは: 草の匂いとか、土の感触とかも ちゃんとありますね
- いろは: 一度も見たこともない景色を
- いろは: こんなリアルに 夢で見られるものでしょうか…?
- やちよ: そもそも夢って ふたり同時に見るものじゃないわ
- いろは: 確かに… でも夢なんですよね?
- やちよ: リアルすぎて 自信がなくなってくるけど
- やちよ: 夢のはずよ…ええ
- いろは: …とりあえず ジャンヌ・ダルク…というか
- いろは: タルトさんを探します?
- やちよ: そうしましょう
- やちよ: …彼女たちと会うときは 変身したままの方がよさそうね
- いろは: 私、制服で来ちゃいましたしね
- やちよ: …………
- やちよ: それにしても暗いわね
- やちよ: この前も、ずっと夜だったし…
- FILENAME: text_501502-2.txt
- いろは: いました、やちよさん!
- やちよ: タルトたちと…フランス軍ね
- タルト: あっ…いろはさん!
- いろは: タルトさん! リズさんとメリッサさんも!
- いろは: よかった…
- タルト: よかったです
- メリッサ・ド・ヴィニョル: みんな無事だったんですね!
- リズ・ホークウッド: …………
- リズ・ホークウッド: あ…
- リズ・ホークウッド: 前、ちゃんと挨拶 できなかったけれど
- リズ・ホークウッド: 私は“リズ” よろしくね
- いろは: はいっ! こちらこそよろしくお願いします
- やちよ: …なるほど
- やちよ: 最後に別れたとき 目の前にいたメリッサには
- やちよ: いろはと私の姿が、突然薄れて 消えてゆくように見えたわけね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい みんな心配していたんです!
- タルト: 魔女の結界に 巻き込まれたんじゃないかって…
- いろは: 私たちの目が覚めてる間も…
- いろは: この夢の世界は ずっと続いてたってことですか?
- やちよ: そうみたい ほんとに不思議な夢ね
- やちよ: …ひとつ 質問させてもらっていいかしら?
- タルト: はい、何でしょう?
- やちよ: タルトって、もしかして
- やちよ: 本当は“ジャンヌ・ダルク”って 名前だったりしない?
- タルト: …え?
- タルト: すごい、よくご存じですね!
- タルト: 普段はジャネットとか、タルトと 呼んでもらっていますけど
- タルト: 確かに私はジャンヌという名前で 父方の姓はダルクです!
- いろは: やちよさん…!
- やちよ: 当たり、みたいね
- タルト: やちよさん
- タルト: どうして分かったんですか? 私のこと
- やちよ: あ、えっと それはね…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あっ… タルト、リズ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あちらを見てください!
- …………
- タルト: 小さな子が…ひとりで?
- リズ・ホークウッド: ただならぬ様子ね 話を聞いてみましょう
- リズ・ホークウッド: いったいどうしたの?
- あ…お姉ちゃんたち
- お願い、妹を助けて!
- リズ・ホークウッド: …………!
- タルト: 何があったの!?
- 大きな魔物に 捕まっちゃって…
- リズ・ホークウッド: 魔女の仕業ね…場所はどこ?
- あっちだよ!
- いろは: タルトさん 助けにいきましょう!
- タルト: はいっ!
- やちよ: 迷わず駆け出したけど、いいの?
- いろは: …あ!
- いろは: 夢だってことを忘れて 反射的に助けなきゃって
- やちよ: いろはらしいわね
- やちよ: でも、分かる気がする
- やちよ: タルトたちと話してると
- やちよ: 相手は本物の人間だとしか 思えないんだもの
- いろは: 気をつけます…
- やちよ: まあ、大丈夫だと思うわ
- やちよ: もしケガをしても 起きれば平気みたいだし…ね
- FILENAME: text_501502-3.txt
- いろは: 小さな子が捕まったのは この結界みたいですね
- タルト: すぐに助け出しましょう!
- リズ・ホークウッド: …もちろんよ
- FILENAME: text_501502-4.txt
- 蜃コ縺ヲ陦後▲縺ヲ繧茨シ!!!
- タルト: いました、魔女です!
- いろは: やちよさん! これも神浜にいた魔女です
- やちよ: 中世のフランスに いるはずのない敵ね
- いろは: …夢の中だから、でしょうか?
- やちよ: たぶんね
- やちよ: もうひとつ不思議なのは
- やちよ: さっきの女の子も あの魔女を見ていることね
- いろは: あ…
- 大きな魔物に 捕まっちゃって…
- いろは: そういえば、言ってましたね “大きな魔物”って!
- いろは: それも、夢の中だから?
- やちよ: かしらね
- やちよ: とにかくここでは 魔女が普通の人にも姿を見せる…
- やちよ: そう思っておきましょう
- …………
- タルト: 見つけました! 捕まってるのは、あの子ですね!
- タルト: 今、助けてあげますから!
- リズ・ホークウッド: 待って 迂闊に手は出せないわ
- リズ・ホークウッド: タルトの大技では あの子も巻き込んでしまうし
- リズ・ホークウッド: 敵の出方が分からないと…
- タルト: でも…このままじゃ
- いろは: タルトさん
- いろは: 私…あの魔女と 戦ったことがあるから
- いろは: 少しは役に立てる…と思います
- タルト: ほんとですか!?
- タルト: いろはさんの言う通りに 動いてみましょう、リズ!
- リズ・ホークウッド: …………
- リズ・ホークウッド: …いいわ
- リズ・ホークウッド: このまま救えないなんて… あんな思いは、もうごめんだから
- FILENAME: text_501502-5.txt
- お姉ちゃんたち、ありがとう!
- リズ・ホークウッド: …何とか家まで 送り届けられたわね
- タルト: いろはさんのおかげです!
- タルト: 指示がとても的確だったから!
- いろは: そんな… でも、助けられてよかった
- いろは: えへへ
- いろは: 夢の中だとしても 人助けは気持ちいいですね
- やちよ: ふふ…そうね
- リズ・ホークウッド: 私からもお礼を言うわ 救えなかったらずっと後悔してた
- リズ・ホークウッド: あの子たち…昔のタルトと カトリーヌに似てたから
- いろは: …………?
- やちよ: カトリーヌ…?
- タルト: 今はもういない…私の妹です
- リズ・ホークウッド: …私たちは その子を守れなかったの
- タルト: そうなんです…
- <1428年 フランス、ドンレミ村>
- タルト: リズさん…
- タルト: カトリーヌが… 私を守ろうとして…
- タルト: 私…お姉ちゃんなのに…
- リズ・ホークウッド: …………
- リズ・ホークウッド: 間に合わなくて …ごめんなさい
- タルト: ―タルト― 私は、故郷の村を襲われて 最愛の妹を失いました
- タルト: ―タルト― こんな悲しみを もう誰にも味わってほしくない…
- タルト: だから私は 魔法少女になったんです
- タルト: フランスに 光をもたらす力を願って…!
- いろは: そうだったんですね…
- やちよ: 何十年も戦争が続くって こういうことなのね
- いろは: はい…聞いてて辛いです
- いろは: 私にも、大切な妹がいるから
- いろは: “ただの夢だから”って そんな風に割り切れなくって
- タルト: …あのとき私は カトリーヌの墓前に誓ったんです
- タルト: 必ずこの国を救うことを!
- リズ・ホークウッド: そして私は…そんなタルトを 守り助けることをね
- やちよ: ジャンヌ・ダルクは いえ、タルトたちは
- やちよ: 最初はたったふたりで 立ち上がったのね
- やちよ: フランスを救うために
- タルト: はい!
- タルト: でも、天使様のお導きに従って 進むうちに
- タルト: 一緒に戦ってくれる仲間が こんなに増えたんです!
- いろは: メリッサさんや、フランス軍の みんなのこと?
- タルト: そうです!
- タルト: …でも今の私は、みんなの思いを 裏切り続けています
- タルト: 一度は解放しかけた、要衝の オルレアンも
- タルト: 失ってしまいましたし
- やちよ: えっ…
- やちよ: オルレアンが、陥落してる?
- いろは: やちよさん どうかしたんですか…?
- やちよ: 後で話すわ 今はタルトの話を聞きましょう
- やちよ: (変ね、私の知ってる歴史では)
- やちよ: (村娘にすぎなかったジャンヌは 負けなしの快進撃を続けて)
- やちよ: (陥落寸前のオルレアンを 救うはずなんだけど)
- タルト: …あれは オルレアン解放作戦の途中でした
- タルト: 突然、コルボーの率いる 使い魔の大軍が現れて…
- リズ・ホークウッド: そこから形勢は完全に逆転したわ
- リズ・ホークウッド: 私たちフランス軍は、最南端の町 トゥールーズ目指して敗走中
- タルト: はい…
- タルト: “憤怒(ラ・イル)”と呼ばれる 英雄…メリッサのお父様をはじめ
- タルト: 共に戦った仲間たちとも はぐれてしまいました
- やちよ: (トゥールーズまで敗走…? やっぱり、実際の歴史と違う)
- リズ・ホークウッド: おまけにコルボーの支配する 領域は、この通りよ
- いろは: この通りって?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 夜がずっと 明けなくなってしまうんです…
- いろは: え!?
- いろは: それって、このあたりでは 太陽が昇らなくて
- いろは: ずっと暗いまんまってこと?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: そうなんです…
- やちよ: まるで夢、ね
- リズ・ホークウッド: やちよ、いろは
- リズ・ホークウッド: 仮にあなたたちにとって これが夢だとしても
- リズ・ホークウッド: 私たちにとっては 紛れもない現実だから
- やちよ: …そうよね ごめんなさい
- いろは: すみません…私も…
- いろは: ――っ!?
- タルト: …………? あの、どうかしました?
- いろは: やちよさん!
- いろは: この感じ…あのときと同じ!
- やちよ: ええ… 夢から…覚めかけてるみたいね…
- いろは: タイミングは 自分で選べないんでしょうか…
- FILENAME: text_501503-1.txt
- 第3章「夜明けを求めて」
- いろは: やちよさん、やっぱり…
- やちよ: ええ
- やちよ: 夢の原因は、このロウソクね
- やちよ: みたまに言ったところで どうにもならないでしょうけど
- いろは: …ですね
- いろは: あ、そういえば
- いろは: タルトさんの話の途中
- いろは: やちよさん 何か気にしてましたよね?
- やちよ: あ、あの話ね
- やちよ: あのね ジャンヌは実際の歴史では…
- やちよ: 包囲されたオルレアンを解放して
- やちよ: 北半分を占領されていた フランスの窮地を救ったの
- いろは: はい
- やちよ: でも、あの夢ではね
- やちよ: コルボーが現れて その戦いに負けてしまったみたい
- いろは: そうなんですか…!
- やちよ: タルトに聞いた話を 地図で確かめてみるといいわ
- やちよ: 北半分どころか、フランス自体が 消滅寸前…戦況は絶望的よ
- いろは: そんなに…!?
- いろは: …あんなにリアルな世界なのに
- いろは: どこか現実とは 食い違ってるんですね
- やちよ: ええ
- やちよ: 実際とは大きく違う歴史に
- やちよ: 神浜にしか 現れないはずの魔女たち
- いろは: それに 夜がずっと明けないって話も
- やちよ: そうね
- やちよ: 全部“夢だから”で片づけるのは 簡単だけど…
- いろは: あれ、このドカドカって足音
- やちよ: …フェリシアね
- フェリシア: おっ! やっと起きたか!
- フェリシア: こんなやべーときに
- フェリシア: ふたり揃って なにグースカ寝てんだよ!?
- フェリシア: めっちゃ起こしたんだぞ!
- やちよ: 起こすって… まだ外は暗いじゃない
- フェリシア: だから、それがやべーんだよ! 時計見てみろよ!
- いろは: えっと、時計は…
- いろは: 1時ちょうどですね
- やちよ: やっぱり、まだ深夜じゃない
- フェリシア: そーじゃなくて! だから…あー
- フェリシア: えっと、昼なんだよ!
- フェリシア: 昼の1時なんだよ!
- やちよ: えっ…!?
- いろは: やちよさん…まさか
- やちよ: 昨日から夜が明けてないの?
- フェリシア: やっと分かったか!
- フェリシア: あと、それだけじゃねーんだよ!
- フェリシア: 神浜から魔法少女以外のヤツらが いなくなっちまったんだ!
- FILENAME: text_501503-2.txt
- やちよ: 大変なことが起きてしまったわね
- やちよ: 夢で見たフランスと同じように 神浜でも夜明けが来なくなって
- いろは: 魔法少女じゃない人たちが みんな消えてしまった…
- いろは: やちよさん、これって 私たちのせいなんでしょうか!?
- やちよ: 落ち着いて 悪いのは全部みたまだから
- いろは: はい
- いろは: って、ええ!?
- やちよ: は、言いすぎだけど…
- やちよ: 誰のせいかなんて話より 今すべきことを考えましょう
- いろは: そう、ですね
- やちよ: ひとつ言えるのは、これが
- やちよ: 夢のフランスで起きた異変と 無関係とは思えないってこと
- いろは: どっちの世界も…夜明けが来ない
- やちよ: そう、それよ
- やちよ: まず、あの世界を“ただの夢”と 考えるのはやめるべきね
- いろは: はい…!
- やちよ: どんな理屈か分からないけれど あの世界で起きた異変は…
- やちよ: 私たちの神浜に 深刻な影響を及ぼしている
- いろは: それに… リズさんの言ってた通り
- リズ・ホークウッド: 仮にあなたたちにとって これが夢だとしても
- リズ・ホークウッド: 私たちにとっては 紛れもない現実だから
- いろは: 私、まだ“夢だから”って… どこか軽く考えてた気がします…
- やちよ: そう思っても仕方ないわ
- やちよ: 目が覚めると ケガが治ってたりしたしね
- やちよ: あ…
- いろは: やちよさん どうしたんですか?
- やちよ: そうよね…迂闊だったわ!
- やちよ: いろは、ソウルジェムを確かめて
- いろは: え… あ、はい!
- やちよ: やっぱり…!
- やちよ: 身体は無傷でも 使った魔力は消費されているわ
- いろは: ほんとだ…!
- やちよ: あの“夢のフランス”の正体が 何なのだとしても…
- やちよ: 現実同様に魔力を消耗し 現実にも影響が出る
- やちよ: あの世界のことは 現実と同じと考えるべきよ…!
- いろは: …やちよさん
- いろは: 神浜が、こうなった 原因を探るためにも
- いろは: もう一度行くべき…ですよね?
- やちよ: ええ
- やちよ: 他にないと思うわ
- フェリシア: なぁ、さっきから
- フェリシア: 何の話してんだよ…
- フェリシア: このヤベー状況と
- フェリシア: 何かかんけーでもあんのか?
- いろは: あ…えっと
- やちよ: …悪いわね、フェリシア
- やちよ: 正直、込み入り過ぎていて 説明しきれる自信がないわ
- やちよ: とりあえず、悪いんだけど…
- やちよ: ここで私たちが眠っていても 起こさないでいてくれる?
- やちよ: 万が一、助けが必要なときは あなたたちを頼るから
- フェリシア: んだよ、それ
- フェリシア: わっけ分かんねーぞ オレを邪魔者扱いしてねーか?
- やちよ: そうじゃないわ この状況を解決するため…
- やちよ: だけど、これ以上 巻き込む人を増やしたくないの
- やちよ: そのせいで、何が起きるか 分からないから…
- フェリシア: 手伝いも禁止かよ…
- フェリシア: うぅぅ…
- やちよ: わかったわ、こうしましょう
- やちよ: 言うことを聞いてくれたら 今度の夕飯はステーキよ!
- フェリシア: なっ、ステーキって肉じゃん! 分厚い肉じゃん!
- やちよ: どう!?
- フェリシア: おう、頑張ってこいよ!
- いろは: そんな、あっさり!?
- フェリシア: さなにも邪魔すんなって 言っとくぞ!
- フェリシア: なんたって分厚い肉だからな!
- フェリシア: にーく♪にーく♪
- フェリシア: 分厚いにーく♪
- いろは: やちよさん、すごい…
- やちよ: 一緒に暮らしてるんだもの
- やちよ: …それじゃ、あの夢に戻って
- やちよ: こうなった原因を 探れるだけ、探ってみましょう
- いろは: はい!
- いろは: 次は、ただの夢だなんて思わず 真剣勝負でいきましょう!
- やちよ: もちろんよ
- FILENAME: text_501503-3.txt
- いろは: え…
- いろは: ここ、魔女の結界!?
- いろは: 夢のフランスじゃない…?
- やちよ: 困ったわね
- やちよ: まずはタルトたちと 合流したかったんだけど…
- いろは: やちよさん!!
- いろは: 人がいます!
- …………!!!
- ???: ぐっ…!
- ???: この“憤怒(ラ・イル)”… もう一度メリッサの顔を拝むまで
- ???: 死ぬ気はねぇんだよ!
- いろは: やちよさん ラ・イルさんって確か…
- やちよ: タルトが言ってた メリッサのお父さんね
- いろは: ということは、やっぱり
- やちよ: ええ、結界の外は あの世界だと思う
- やちよ: それより、助けるわよ
- やちよ: いくら強い人でも 魔女に敵うはずがないもの
- FILENAME: text_501503-4.txt
- いろは: あ、やっぱり…
- やちよ: 結界の外は、夢のフランスね
- ラ・イル: …助かったぜ!
- ラ・イル: あのバケモノを仕留めるなんて
- ラ・イル: まるで “乙女(ラ・ピュセル)”だな!
- やちよ: ラ・イルさん…ですよね?
- やちよ: 私はやちよ こっちの子は、いろは
- やちよ: 私たち、この間まで“乙女”や メリッサと一緒にいたの
- ラ・イル: メリッサと会ったのか! 娘は無事なんだな!
- いろは: はい!
- やちよ: また会いにいくつもりよ
- ラ・イル: だったら伝えてくれ! 俺たちの隊は健在だと
- ラ・イル: 最近は、今みたいなバケモノが うようよ出るようになって
- ラ・イル: ますます苦境に陥ってるが
- ラ・イル: “乙女”の奇跡を信じて 近くの砦で、抵抗を続けてる
- やちよ: 砦に戻るの?
- やちよ: 私たちと一緒に タルトを探すというのは…?
- ラ・イル: そうはいかない 仲間たちを待たせてるんでな!
- ラ・イル: 俺たちは希望を捨てていない…
- ラ・イル: “乙女”と合流できる日を 楽しみにしてるぞ!
- やちよ: …………
- やちよ: フランスは絶望的な状況なのに…
- ラ・イル: 「俺たちは希望を捨てていない…」
- やちよ: 重い伝言を渡されてしまったわね
- いろは: …そうですね
- いろは: でも、メリッサさんの お父さんに会うなんて
- いろは: すごい偶然!
- やちよ: そういえば
- やちよ: 最初のときも、この前も すぐにタルトと会えたわよね
- やちよ: (これって…
- やちよ: ほんとに、偶然なのかしら…?)
- FILENAME: text_501503-5.txt
- いろは: ここがタルトさんたちの 野営地ですね!
- いろは: 南のトゥールーズを目指せば フランス軍に追いつけるっていう
- いろは: やちよさんの予想通りでした!
- やちよ: でしょう?
- やちよ: では、タルトたちを探しましょう
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …よかった! お父様は無事なのですね!
- やちよ: ええ 娘にまた会うまでは死ねないって
- リズ・ホークウッド: よかったわね、メリッサ
- リズ・ホークウッド: 部隊の士気も高まっているみたい
- 赤耳の“憤怒(ラ・イル)”様が 健在とは心強い!
- あの方が本気の怒りを見せれば…
- イングランドの魔物など ものの数ではないぞ!
- いろは: 赤耳のラ・イル?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様は、激情に駆られると
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 耳が真っ赤になるのです…
- タルト: それにしても 私たちが窮地にあるときに
- タルト: このような希望を もたらしていただけるなんて
- タルト: もしや、いろは様とやちよ様は 天からの使いなのでは…?
- いろは: そ、そんなんじゃないです! あと、“様”もやめてください!
- いろは: 私たちが来たのは、その… 夢の外側というか
- いろは: タルトさんが伝説になってる 別の世界というか…
- リズ・ホークウッド: 夢の…外側…?
- タルト: リズ、どうかしたんですか?
- リズ・ホークウッド: 何でもないわ 続けて
- いろは: はい
- いろは: あ…この場合、未来から 来たって言う方がいいのかな?
- やちよ: …もう、正直に話しましょう
- やちよ: 分かってることも 分からないことも…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトがオルレアンを解放して フランスを勝利に導く…?
- リズ・ホークウッド: あなたたちは、そんな伝説が 語り継がれる世界から来たの?
- いろは: はい
- リズ・ホークウッド: それって、何百年も先の 未来から来たということ?
- やちよ: 私たちにも、分からないの ただ
- やちよ: “乙女”は神の声に導かれて オルレアンを解放し
- やちよ: フランスの王を誕生させて 祖国を救った
- やちよ: 私たちの時代には そんな歴史が残っているわ
- タルト: すごい! 天使様のお告げと同じです!
- いろは: 天使様って?
- ???: ボクのことのようだね
- やちよ: え…
- いろは: うそ!?
- やちよ&いろは: キュゥべえ!?
- キューブ: ボクの名前はキューブ
- キューブ: 東の果ての地で、キュゥべえと 呼んでくれる子もいたけれど
- キューブ: 今はボクのことより キミたちの話の方が興味深いね
- キューブ: できれば、もっと詳しく 聞かせてほしいな?
- FILENAME: text_501503-6.txt
- いろは: 『じゃ、タルトさんを 魔法少女にした“天使様”って…』
- キューブ: 「それはボクだね」
- いろは: 『キュゥべえなら、私たちが ここに迷い込んだ理由も分かるんじゃ?』
- キューブ: 「いや、ボクにとっても キミたちは未知の存在だ」
- キューブ: 「ただ、キミたちが事情を話してくれれば」
- キューブ: 「何らかの仮説は立てられると思う」
- キューブ: …ふむ
- キューブ: 結論から言うと
- いろは: 結論から言うと…?
- キューブ: ここはキミたちにとって “過去の世界”のようだね!
- いろは: へっ…?
- いろは: それだけ?
- やちよ: 百年戦争の時代だもの 過去が舞台の夢だとは思うけど
- キューブ: いや、“夢”じゃないよ
- キューブ: キミたちにとって 現実の過去だと言ってるのさ!
- いろは: 現実の…過去!?
- やちよ: つまり… 15世紀のフランスそのもの?
- いろは: あ、そっか!
- いろは: 眠ってる間だから 夢の世界だと思い込んでたけど
- いろは: ここは中世のフランスで
- いろは: 私たちの魂は、夢を見てる間 過去へ旅してるってこと?
- キューブ: そう
- キューブ: それで何もかもつじつまが合う
- キューブ: …たとえばボクの知るかぎり ボクはキミたちと初対面だ
- いろは: だけど私たちは、キュゥべえに 魔法少女にしてもらったんだよ?
- キューブ: 何の不思議もないよ
- キューブ: キミたちの言う“キュゥべえ”は 未来のボクか、ボクの仲間だろう
- やちよ: でも、このフランスは 私たちの知ってる過去と違うわ
- やちよ: …この矛盾をどう説明するの?
- キューブ: それこそが 未来に異変が起きた原因だよ
- キューブ: キミたち人類に理解可能な 概念かは分からないけど
- キューブ: いわゆる タイムパラドクスというやつさ!
- いろは: 原因は、何…?
- キューブ: おそらく、コルボーだね
- キューブ: 「コルボーの出現で フランスの敗色は濃厚となった」
- キューブ: 「無尽蔵の使い魔を使役し 異なる時代の魔女をも召喚する彼女は この世界において、明らかに異質な存在だ」
- キューブ: 「この戦況が続き、フランスが敗北すれば… やがて世界中がこの暗雲に覆われ 明けない夜が何百年と続くことになる」
- いろは: その結果が、今の神浜?
- キューブ: そう 歴史は本来のルートを外れ
- キューブ: キミたちのいた未来にも 影響が出はじめたワケだ
- キューブ: ただ、運命はまだ確定していない
- キューブ: だから、その影響も部分的で まだ予兆ってレベルのようだけど
- やちよ: このまま、フランスが負けたら?
- キューブ: おそらく キミたち自身も消滅するだろうね
- いろは: …………
- いろは: じゃあ、逆に
- いろは: タルトさんに協力して コルボーって人を追い返せば
- いろは: 未来は元の姿に戻るってこと?
- キューブ: そういうこと!
- キューブ: ボクとしても そうしてくれると非常に助かるよ
- やちよ: …キューブ あなたを信用していいの?
- キューブ: 未来のボクたちが、キミとどんな 関係にあるかは知らないけれど
- キューブ: この件について言うならば ボクは完全にキミたちの味方だよ
- キューブ: コルボーの勝利は、ボクたちに 深刻な不利益をもたらすものだ
- キューブ: 「タルトはそれに対抗しうる この時代で、唯一の存在…」
- キューブ: 「過去と未来を結ぶ、巨大な因果を 負って生まれた魔法少女なんだ」
- キューブ: ボクたちにとっても タルトは“希望の光”なんだよ
- FILENAME: text_501503-7.txt
- <1429年 フランス、トゥールーズ近郊>
- いろは: わぁ、明るい…!
- いろは: フランス領では 本当に太陽が昇るんですね!
- やちよ: ええ
- やちよ: 中世も現代も、青空は同じなのね
- やちよ: …いろは
- いろは: …はい?
- やちよ: 避けられなくなったわね
- やちよ: タルトたちを助けて、戦うこと
- いろは: そうですね
- いろは: 人がいなくなった神浜を そのままにしてはおけませんし
- いろは: それに私、入口が夢だからって ここも“夢”だと思い込んで
- いろは: タルトさんたちの想いを 真剣に受け止めきれなかったから
- タルト: 私が食い止めます 逃げてください!
- タルト: 「こんな悲しみを もう誰にも味わってほしくない…」
- タルト: 「だから私は 魔法少女になったんです」
- タルト: 「フランスに 光をもたらす力を願って…!」
- いろは: だから、この時代を一生懸命 生きてるタルトさんたちと
- いろは: ちゃんと向き合わなきゃって 反省してるんです
- やちよ: リズの言う通りだったわね
- リズ・ホークウッド: 仮にあなたたちにとって これが夢だとしても
- リズ・ホークウッド: 私たちにとっては 紛れもない現実だから
- やちよ: 今や、私たちにとっても これは“紛れもない現実”
- やちよ: いろは
- いろは: はい
- やちよ: もう、分かってると思うけど
- やちよ: ソウルジェムの魔力が尽きれば 生きて帰れないわよ?
- いろは: …………
- いろは: 分かってるつもりです
- やちよ: 覚悟はあるのね
- やちよ: …………
- やちよ: いいわ 一緒に決意を告げにいきましょう
- FILENAME: text_501503-8.txt
- タルト: えっ…?
- リズ・ホークウッド: 私たちに協力したい…!?
- いろは: はい
- いろは: また突然、消えちゃって 迷惑をかけるかもしれませんけど
- いろは: 魔女や使い魔との戦いで 力になれると思いますから!
- リズ・ホークウッド: 生きて帰れないかもしれないわよ
- やちよ: ふたりとも、覚悟の上よ
- やちよ: 私たちはずっと この世界を“夢”だと思い込んで
- やちよ: どこか浮ついた気持ちだったけど
- やちよ: あなたの言葉で、目が覚めたの
- やちよ: 私たちにとっても これは紛れもない現実だ、って
- リズ・ホークウッド: …………
- リズ・ホークウッド: ありがとう 気持ちはありがたく頂戴するわ
- リズ・ホークウッド: タルトはどうするつもり?
- タルト: 私は…
- タルト: …………
- タルト: いろはさん、やちよさん
- やちよ: …なに?
- タルト: ひとつ、聞かせてください
- タルト: 私たちは今… “未来”のために戦っています
- タルト: 絶望に覆われたこの国で 明日への希望を取り戻すために
- やちよ: そうね…
- タルト: そして天使様はおっしゃいました
- タルト: いろはさんとやちよさんは 未来から来た魔法少女だと
- いろは: はい
- タルト: あなたたちは、その“未来”を
- タルト: 取り戻すに 値するものだと信じていますか?
- いろは: …………!
- いろは: はいっ…!
- いろは: 私たちの時代にも 悲しいことは、たくさんあるし
- いろは: 戦争だってなくならないし
- いろは: 世界のどこかで 泣いてる人もいます
- いろは: そんな人たちを救うために 戦ってる魔法少女もいます
- いろは: でも…
- いろは: 取り戻したいです 絶対に…!
- いろは: 私たちの、未来を
- タルト: ふふふっ…!
- やちよ: …………?
- タルト: よかった…!
- いろは: へっ…!?
- タルト: いろはさんのいた世界は きっと素敵な時代なんですねっ!
- タルト: 確かめたかったんです 未来に希望があるのかどうか
- タルト: そして、今の答えで確信しました
- タルト: 未来には、確かに 希望があるんだって!
- いろは: タルトさん…!
- タルト: いろはさん、やちよさん
- タルト: ありがたく、協力の お申し出を受けたいと思います
- やちよ: …いろは!
- いろは: はい!
- リズ・ホークウッド: タルト…!
- タルト: 一緒に、戦ってください!
- タルト: 夜明けを失ったこの国に…
- タルト: 光を取り戻すために!
- FILENAME: text_501504-1.txt
- 第4章「反撃の砦」
- <フランス最南端 トゥールーズ>
- タルト: 今こそ反撃のときです!
- タルト: トゥールーズから… 最後に残された、この砦から
- タルト: フランスに 夜明けをもたらしましょう!
- うぉおおおーっ!
- 「我らが聖女よ!」
- 「ラ・ピュセル!」
- 「ジャンヌ・ラ・ピュセル…!!」
- いろは: …すごい歓声ですね!
- やちよ: タルトは人気があるのね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 近ごろは、苦しい戦いが続いて 暗い表情が多かったけれど…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あれが本当のタルトなんです!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 快進撃を続けていた頃は いつもこんな感じだったんですよ
- いろは: へえ…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 思い出します…!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 初めてタルトの姿を目にした あの日のことを…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 「その日…タルトは フランスの王位後継者、シャルル王太子様に 初めてお目通りを許されました」
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 「でも…王太子様は タルトが本物の聖女かどうかを試すため わざと、別の方を玉座につかせたのです」
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 「そして、タルトは…」
- タルト: …この方は
- タルト: 王太子様ではありません!
- いろは: ひと目で偽者を見破った…!?
- やちよ: すごいわね…!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: その姿をご覧になった 王太子様は…
- シャルル王太: 「聞け!皆の者!!」
- シャルル王太: 「この者、真の乙女」
- シャルル王太: 「真の神の使いなり!」
- メリッサ・ド・ヴィニョル: そしてタルトは 神に認められし“乙女”として…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様に、フランス軍を率いる ことを許されたんです
- いろは: さすがは伝説の聖女様ですね…!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい…あの日、見た姿は 本当に奇跡のようでした…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: だから従者として付き従い タルトのお役に立てれば
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 私はそれで満足なんです…!
- やちよ: …すごい心酔ぶりね
- いろは: あっ… そういえば!
- いろは: さっき聞いたんですけど…
- いろは: 次に向かうのは、メリッサさんの お父さんがいる砦らしいですね!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい、そうなんです!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: “憤怒(ラ・イル)”なんて 恐い名前で呼ばれていますけど
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 私をとても大切にしてくれる 優しいお父様なんですよ
- リズ・ホークウッド: …もうすぐ会えるわね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: リズ!
- リズ・ホークウッド: メリッサのお父様ははぐれた兵を まとめて、砦に立てこもってるの
- リズ・ホークウッド: 砦は今、敵に包囲されていて 苦しい状況が続いているけれど
- リズ・ホークウッド: 彼らと合流して 反撃ののろしを上げるって
- リズ・ホークウッド: タルトもはりきっているわ!
- リズ・ホークウッド: タルトが希望を取り戻せたのは いろはと、やちよのおかげ
- リズ・ホークウッド: だから私からも、お礼を言わせて
- いろは: そ、そんな!
- リズ・ホークウッド: 照れることはないわ
- リズ・ホークウッド: じゃあ、私は タルトのところに行ってるから
- やちよ: リズはいつも、タルトの 影みたいに寄り添ってるわね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: リズは、タルトを守るのが 自分の仕事だと言っています
- やちよ: そうなのね
- いろは: やちよさん、タルトさんが…
- いろは: フランス軍の先頭に!
- ラ・ピュセル! ラ・ピュセル!
- タルト: 共に駆け抜けましょう…!
- タルト: 全軍、出撃!
- FILENAME: text_501504-2.txt
- タルト: あと少しです…!
- タルト: ラ・イル様の待つ砦が 見えてきました…!
- タルト: ――っ!?
- ズシャアァア☆●△▼◇ー!!
- うぉっ! このバケモノは…!
- タルト: 私に任せてください!
- タルト: いきますっ!
- БББЯяЯяяЯ!!!!
- いろは: えっ、別の魔物!?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: もっとです…あちらにも!
- やちよ: あの魔女の手下じゃないわ どうしてこの結界に?
- リズ・ホークウッド: 結界の主が 本物の魔女ではないからよ
- やちよ: 本物じゃない?
- やちよ: たとえば… 精巧な複製だとか?
- リズ・ホークウッド: かも…しれないわね
- やちよ: …リズ?
- やべえな 前にこっぴどくやられたヤツだ
- あんなのが何体も出てくるなんて いくら“乙女”でも…
- ああ
- 聖女様なんて言っても 最近は、負け続きだし…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 何ですって!?
- いろは: メリッサさん!?
- お、おう!?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 今、何とおっしゃったかと 聞いているんです!
- いろは: え、えぇ…!?
- いろは: ちょ、ちょっとメリッサさん どうしたんですか!?
- リズ・ホークウッド: タルトの悪口を言われると ああなのよ
- いろは: そうなんですか!?
- やちよ: …………
- やちよ: さすがラ・イルの娘ね 怒ると耳が真っ赤だわ…
- ББЯЯЯяяЯЯ!!!!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あんな腑抜けた人たちに 前線は任せられません!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 怪物は、私がやっつけます!
- いろは: 待って! メリッサさんも魔法少女なの!?
- リズ・ホークウッド: …普通の女の子よ
- リズ・ホークウッド: キューブによると なれる素質はあるみたいだけれど
- やちよ: メリッサ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい?
- やちよ: あなたが戦うことはない 私が行くわ
- リズ・ホークウッド: …私も
- やちよ: ふたりで相手しましょう
- 「おい…」
- 「あんな子たちに戦わせて 俺たちは見てるだけか…?」
- 「威勢よく出陣したばかりなのに 情けねえぞ…」
- いろは: 無理はしないで、ふたりを 援護してあげてください!
- わ、わかった
- 陣形を組め! 訓練通りにやるぞ!
- おう! フランス軍の意地を見せてやる!
- いろは: 私も、頑張らなきゃ…!
- FILENAME: text_501504-3.txt
- やちよ: とどめは、私が…!
- リズ・ホークウッド: 任せたわ
- ББЯяяЯяяЯ!!!
- やちよ: ――っ!?
- やちよ: …まだ、動けたの!?
- ラ・イル: ねーちゃん、油断だぜ!
- ББЯяяяяЯ…!?
- やちよ: …助かったわ
- ラ・イル: 礼には及ばないさ!
- やちよ: あなた…ラ・イル!
- ラ・イル: ねーちゃん、ひさしぶりだな!
- リズ・ホークウッド: 結界が解けた…
- リズ・ホークウッド: タルトが魔女を倒したのね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様!
- ラ・イル: おお、メリッサ! 無事だったか!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 心配しておりました!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様っ…!
- やちよ: 感動の再会、ね
- おお…我らの英雄 ラ・イルが戻ってきたぞ!
- いろは: みんなも喜んでるみたいです!
- タルト: ラ・イル様!
- タルト: わざわざ砦から駆けつけて いただいたのですねっ!
- ラ・イル: おうよ!
- タルト: あ、でも
- タルト: 指揮官自ら撃って出て 砦は大丈夫なのですか?
- リズ・ホークウッド: 砦はジル・ド・レ男爵が 守っているそうよ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 男爵様も一緒なんですね…!
- やちよ: ラ・イルもジル・ド・レ男爵も 歴史に名を残した英雄よ
- いろは: すごい人たちが 戻ってきたんですね!
- やちよ: ええ、そうね
- やちよ: 見て、タルトがみんなに 号令をかけるわよ
- タルト: さあ、向かいましょう!
- タルト: 心強い仲間が待つ、砦へと!
- おお~っ!
- FILENAME: text_501504-4.txt
- タルト: ジル・ド・レ様が守る砦は この先です!
- リズ・ホークウッド: …囲みを突破するわ
- FILENAME: text_501504-5.txt
- リズ・ホークウッド: 見て…!
- いろは: すごい、夜が明けましたね!
- タルト: 砦の奪還に、成功したからです!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: まさしく“希望の光”ですね…!
- リズ・ホークウッド: …あ
- リズ・ホークウッド: 司令官のジル・ド・レ男爵よ
- ジル・ド・レ: よくぞ参られました…! “乙女(ラ・ピュセル)”よ
- ジル・ド・レ: さあ、兵士たちの前へ
- タルト: は、はい…!
- ジル・ド・レ: どうぞ、貴方がたも
- いろは: へっ…!?
- やちよ: 私たちも?
- タルト: …ジル・ド・レ様の 演説が始まります!
- ジル・ド・レ: 「皆、聞くがよい!」
- ジル・ド・レ: 「かの日の敗北以来 我らは長きにわたる屈従を強いられてきた」
- ジル・ド・レ: 「だが…」
- ジル・ド・レ: 恐れるな、兵士たちよ!
- ジル・ド・レ: 天の意志は、我らのもとに 再び舞い降りたのだ!
- ジル・ド・レ: 「神に認められし“乙女”と…」
- ジル・ド・レ: 「新たなるふたりの聖女とともに!」
- やちよ: え…!?
- いろは: 待って… ええっ?
- やちよ: 新たなる聖女って…
- いろは: 私たちのこと!?
- 「うおぉぉぉおおっ!」
- 「ラ・ピュセル!ラ・ピュセル!」
- 「我らが聖女たちよ!」
- やちよ: あ…悪夢だわ
- リズ・ホークウッド: まんまと担ぎ上げられたわね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …ふふふっ
- FILENAME: text_501505-1.txt
- 第5章「王太子救出」
- フェリシア: …こっちの様子? ぜんぜん変わってないぞ
- フェリシア: そいや、鶴乃が来たっけ
- やちよ: 鶴乃が?
- フェリシア: こうなった原因を見つけるって 飛び出してったから
- フェリシア: どこにいるのか さっぱり分かんねーけど
- やちよ: そう…
- フェリシア: ま、ふたりとも頑張れよ! なんせ分厚い肉が待ってるからな
- フェリシア: …学校が休みじゃなくなるのは 残念だけど
- やちよ: ちゃんと自習はするのよ
- やちよ: 私たちは しばらく手が離せないから
- さな: あ、あの、やっぱり ふたりだけで行くんですか…?
- さな: 私たちも、手伝った方が…
- いろは: や、やめた方がいいよ! 4人目の聖女様にされちゃうよ!
- さな: …ええっ?
- さな: 聖女様にされる…って…!?
- やちよ: その話は、したくないわ…
- やちよ: …男爵には、まんまと はめられたわね
- いろは: あの後すぐ帰れなかったら
- いろは: あやうく、もみくちゃに なるところでしたね
- やちよ: また、あの場に戻るのかと思うと 気が進まないわ
- いろは: 少しは時間が経ってると思います
- いろは: これまでも、そうだったし!
- やちよ: そうね… じゃあ、行きましょうか
- いろは: はい…!
- いろは: …救出作戦?
- タルト: はい!
- タルト: ブールジュに囚われた フランスの王位継承者…
- タルト: シャルル王太子様を 取り戻します!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: この戦乱はもともと、王位継承を めぐる混乱が発端なのですが
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 私たちの旗頭である王太子様は今 コルボーに囚われているのです!
- いろは: え…それって…
- いろは: た、大変じゃないですか!?
- やちよ: 私たちの知ってる歴史では 起きていない大事件ね
- タルト: そ、そうなのですか
- タルト: でも、頑張ります!
- タルト: シャルル王太子様を救い出し いつか正式な戴冠式を行うのが
- タルト: 天使様から与えられた 私の使命ですから!
- やちよ: 天使様、ね
- キューブ: …ん?
- FILENAME: text_501505-2.txt
- <出立の前夜…>
- リズ・ホークウッド: ―鎌(ファルチェ)―!
- リズ・ホークウッド: ―鉈(マチェーテ)―!
- やちよ: 明日の戦いに備えて、特訓中?
- リズ・ホークウッド: …やちよ
- リズ・ホークウッド: いえ…この子たちの調子が 最近よくなかったから
- リズ・ホークウッド: バランスを確かめてたの
- やちよ: …この子たちって、その鎌と鉈?
- リズ・ホークウッド: そうよ
- やちよ: 聖なる“乙女”の仲間なのに…
- やちよ: 凶々しい武器を使うのね
- リズ・ホークウッド: タルトが希望の光なら 私はそれに寄り添う影
- リズ・ホークウッド: タルトを守る役に立つなら この子たちの形は何でもいいのよ
- やちよ: ふふっ
- リズ・ホークウッド: 何か?
- やちよ: ごめんなさい
- やちよ: リズって随分、大人っぽいのに “この子”なんて呼ぶんだなって
- リズ・ホークウッド: 私、タルトとひとつ違いだけど
- やちよ: え…?
- リズ・ホークウッド: え…?
- リズ・ホークウッド: 整理すると…
- やちよ: 私とリズが、だいたい同い年?
- リズ・ホークウッド: タルトは私よりひとつ…
- リズ・ホークウッド: メリッサは確か 3つ年下だったかしら
- やちよ: いろはは、さらにその ひとつくらい下ね
- リズ・ホークウッド: カトリーヌが… タルトの妹が生きていたら
- リズ・ホークウッド: いろはと友だちになれたのにね
- やちよ: ええ、きっと
- リズ・ホークウッド: 私はあの子を守れなかったから
- リズ・ホークウッド: タルトだけは、この手で守るわ …どんな犠牲を払っても
- やちよ: …………
- やちよ: リズ、あのね
- リズ・ホークウッド: ん…?
- やちよ: たとえ誰かを守るためでも あなた自身を犠牲にはしないで
- やちよ: あなたがタルトを 大切に思うのと同じくらい
- やちよ: タルトもあなたを大切に思ってる
- リズ・ホークウッド: …………
- やちよ: タルトはこれまでに何度も 大事な仲間を失って
- やちよ: そのひとりひとりから 想いを託されてきたんでしょう?
- やちよ: タルトにこれ以上 辛い思いを、させないであげて
- リズ・ホークウッド: …わかったわ
- リズ・ホークウッド: 少しは自分の身も守るようにする
- リズ・ホークウッド: きっとやちよも 今のタルトと同じように
- リズ・ホークウッド: たくさんの仲間に 希望を託されてきたのね
- やちよ: そうね
- やちよ: 「…いろいろ、あったから」
- リズ・ホークウッド: そう…
- リズ・ホークウッド: 男爵の言う通り、やちよも 本当の聖女様だったのかしら
- やちよ: や、やめて!
- やちよ: それは絶対に違うから!
- <翌日…>
- タルト: さあ、行きましょう! ブールジュへ向けて!
- タルト: フランスの正統なる王位継承者
- タルト: シャルル王太子様を 我らの手に取り戻すために!
- 「おおーーっ!」
- 「ラ・ピュセル!ラ・ピュセル!」
- 「3人の聖女たちよ!」
- やちよ: …………
- いろは: …………
- FILENAME: text_501505-3.txt
- タルト: ブールジュはもうすぐです! ここを突破すれば…!
- ジル・ド・レ: 同胞よ、憶するな! 我らには聖女たちがついている!
- ラ・イル: ったく、ジルの旦那は 盛り上げ上手だな…!
- FILENAME: text_501505-4.txt
- メリッサ・ド・ヴィニョル: ここです!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様が囚われているのは この砦の地下です!
- リズ・ホークウッド: 門を破るのはきついわね
- いろは: え…どうするんですか?
- リズ・ホークウッド: タルトと打ち合わせ済みよ いろははタルトと一緒に!
- いろは: わかりました!
- タルト: 先陣は私が!
- いろは: タルトさん、危ない!
- タルト: ――っ!?
- コルボー: 殺すつもりで食らわせたんだが コイツも跳ね返したか
- リズ・ホークウッド: コルボー…!
- コルボー: だが、そうこなくちゃ 面白くないよなぁ!
- リズ・ホークウッド: くっ
- タルト: リズ!
- リズ・ホークウッド: ここは任せてくれる?
- リズ・ホークウッド: タルトたちは、かまわず砦へ
- いろは&タルト: は、はい!
- リズ・ホークウッド: やちよは、私を援護して
- やちよ: わかったわ
- リズ・ホークウッド: コルボー あなたの目的は何?
- コルボー: くくくっ
- コルボー: 私はただ、殺し合いたいだけさ!
- リズ・ホークウッド: …それだけ?
- コルボー: ああ、そうさ
- コルボー: 私が本気を出すと 派手に味方も巻き込むんでね!
- コルボー: だが、この世界でなら 思う存分暴れられるっていうんで
- コルボー: この話に乗ったのさ!
- コルボー: 多少の制約と引き換えにな!
- やちよ: (“この世界”でなら…?)
- やちよ: (妙な言い方をするのね)
- コルボー: それじゃ、始めようか! 真っ向勝負でな!
- リズ・ホークウッド: …お断りよ
- コルボー: 消えた!?
- コルボー: ぐあっ!?
- コルボー: 左か…!
- リズ・ホークウッド: 残念、右よ
- コルボー: ぐぅ…っ!
- コルボー: くく…ハハハッ!
- リズ・ホークウッド: …………?
- コルボー: 影使いの黒いの やるじゃないか!
- コルボー: 攻撃は最大の防御ってヤツか
- リズ・ホークウッド: 力勝負じゃ押し切られる
- リズ・ホークウッド: でも、間断なく攻め続ければ…!
- やちよ: 加勢するわ
- タルト: リズ、大丈夫ですか!?
- リズ・ホークウッド: こっちで時間を稼ぐから タルトたちは砦へ急いで!
- タルト: わかりました!
- コルボー: そう簡単に…
- コルボー: 行かせるか!
- いろは: わっ!
- タルト: 囲まれた!?
- コルボー: ゆっくりしていきなよ 聖女様!
- コルボー: さて…黒いのに、青いの
- コルボー: なぶり合おうぜぇ、思うさま!
- FILENAME: text_501505-5.txt
- リズ・ホークウッド: ハッ!
- コルボー: クソっ…!
- コルボー: こうも捨て身で来られちゃ 反撃したくとも…
- リズ・ホークウッド: 決める!
- やちよ: 「たとえ誰かを守るためでも あなた自身を犠牲にはしないで」
- リズ・ホークウッド: ――っ!?
- コルボー: ハハハハッ! 間一髪、かわしたな
- コルボー: そのまま決めにきてたら お前、死んでたぜ!
- コルボー: だが…
- コルボー: 今ので、手は尽きたろ!
- コルボー: 守りの心配をしながら 勝てると思うなよ!
- コルボー: ぐはッ!
- やちよ: 大丈夫、リズ?
- コルボー: くっ…青いの!
- リズ・ホークウッド: 助かったわ、やちよ
- リズ・ホークウッド: 「…わかったわ」
- リズ・ホークウッド: 「少しは自分の身も守るようにする」
- やちよ: 私がよけいなことを言ったせいで 何かあったら困るもの
- リズ・ホークウッド: …そうね
- コルボー: お前ら、何をごちゃごちゃと…
- リズ・ホークウッド: タルト、今よ!
- タルト: はいっ!
- タルト: ラ・リュミエール!
- コルボー: なっ…
- コルボー: 砦が…半壊しただと!?
- やちよ: タルトの魔法ね!
- ジル・ド・レ: 今だ、地下牢へ突入!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様を救出してください!
- ラ・イル: おうよ、任せろ!
- コルボー: お前ら… 最初から、これが狙いか
- リズ・ホークウッド: ええ、そんなところ
- コルボー: そうか
- コルボー: くく…クハハハハッ!
- コルボー: まんまとやられたぜ 砦はくれてやる!
- コルボー: 聖女様の魔法を侮った 私のミスだからな…!
- コルボー: 黒いのと青いの、顔は覚えたぞ
- コルボー: 次も本気で殺り合おうぜ! …どっちかが死ぬまでな!
- やちよ: あ…
- やちよ: 見て、空を!
- リズ・ホークウッド: え…?
- やちよ: 太陽の光が…!
- タルト: ジル・ド・レ様、演説を
- ジル・ド・レ: お任せあれ
- ジル・ド・レ: 「聞け!」
- ジル・ド・レ: 「フランスの正統なる王位継承者 シャルル殿下が…」
- ジル・ド・レ: 「“乙女(ラ・ピュセル)”らの手で ついに解放された!」
- おおおーーーっ!
- シャルル王太子: “乙女”よ… よくぞ迎えに来てくれた
- シャルル王太子: 心から礼を言うぞ…!
- タルト: えっ…わわっ
- タルト: お…王太子様っ!?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あ…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様がタルトの 手を取って礼を…!
- いろは: …見てください!
- いろは: 演説が始まるみたいです
- シャルル王太子: 「ブールジュに集いし猛者どもよ! 空に満ちる、この輝きを見よ!」
- シャルル王太子: 「そう…天はフランスを 見捨ててはいなかった!」
- シャルル王太子: 「この者たちが、証明してくれたのだ!」
- シャルル王太子: 「希望があるかぎり、陽はまた昇ると…!」
- シャルル王太子: 神に認められし “乙女”の加護を得た今…
- シャルル王太子: 私は北のシノン城をめざす!
- タルト: 王太子様…!
- いろは: シノン城…?
- タルト: この北にあるフランスの要塞です
- タルト: 途中、砦や町を解放しながらの 行軍になると思います!
- シャルル王太子: …シノン入城を果たした暁には いよいよ始めよう
- シャルル王太子: 「フランスの要衝… オルレアン奪還作戦を!」
- うおおぉおーっ!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様…ついに… 決断されたんですね!
- やちよ: …いよいよなのね
- リズ・ホークウッド: そう、決戦よ
- リズ・ホークウッド: 一度は、苦杯を舐めた場所…
- リズ・ホークウッド: 決戦の地は、オルレアンね
- FILENAME: text_501506-1.txt
- 第6章「オルレアン前夜」
- いろは: …………
- いろは: はっ…!?
- やちよ: …気がついた?
- やちよ: 私も、目が覚めたところ
- フェリシア: おっ、 チョーいいタイミングだな!
- やちよ: フェリシア
- いろは: 何か… 変化があったの…?
- さな: はい、そうなんです…!
- さな: 外はまだ暗いんですけど… 少しずつ人が戻ってました…!
- フェリシア: やったなっ!
- いろは: やちよさん!
- いろは: 正しい歴史が戻りかけてきたって ことですよね?
- やちよ: そうね
- やちよ: といっても… 本当の歴史には、ほど遠いけどね
- やちよ: もともとの歴史では
- やちよ: ジャンヌ・ダルクが王太子と シノン城で謁見したあと
- やちよ: ほどなくして オルレアン解放作戦が始まるの
- いろは: 私たちが会ったタルトさんは 一度それに負けたんですよね?
- やちよ: そう… オルレアンは陥落したから
- やちよ: …リターンマッチってやつ?
- やちよ: だから「解放作戦」じゃなく 「オルレアン奪還作戦」なのよ
- いろは: ようやく、スタートラインに 戻るってことでしょうか?
- やちよ: そういうこと
- さな: あの…お話の途中…すみません…
- いろは: なに、さなちゃん?
- さな: 人が戻ってきたのは… いいこと…なんですけど…
- さな: どうして夜が明けないんだ、って
- さな: 騒ぎが広がってるみたいです
- いろは: それは…
- いろは: まずいかも!?
- やちよ: 急いで解決しましょう
- やちよ: 戻ってタルトを助けるのよ
- さな: 待ってます…!
- フェリシア: ステーキの約束 忘れんなよ!
- FILENAME: text_501506-2.txt
- いろは: …神浜に戻ってる間に
- いろは: タルトさんたちに 置いてかれちゃいましたね
- やちよ: 確か、ブールジュを発って シノン城へ向かうはずだから
- やちよ: 北を目指せば追いつけるわ
- いろは: はい!
- やちよ: ここはもう、太陽が昇ってるのね
- いろは: タルトさんたちが 領地を取り戻したからですね!
- やちよ: ええ
- やちよ: 一時はフランスの南の端まで 追い込まれてたけど…
- やちよ: 反撃を始めて、一気に4割ぐらい 押し戻したことになるわね
- いろは: すごい勢いですね!
- いろは: 砦や町を解放しながら 進んでるはずなのに…
- やちよ: あちらは軍隊と言っても
- やちよ: コルボーが召喚した 魔女と使い魔ばかりだから
- やちよ: 追い払うだけで 領地を取り戻せてしまうのね
- やちよ: …逆に言うと、たったひとりで 一国をここまで追い込むなんて
- やちよ: キューブも言ってたけど コルボーは明らかに異質な存在ね
- いろは: イングランドの軍隊には 他に人がいないんでしょうか?
- やちよ: たぶん、コルボーが
- やちよ: 味方を巻き込まないように 連れてきていないんでしょう
- いろは: あ…言ってましたね
- コルボー: だが、この世界でなら 思う存分暴れられるっていうんで
- コルボー: この話に乗ったのさ!
- やちよ: …………
- やちよ: やっぱり変よね…
- いろは: やちよさん 何か引っかかるんですか?
- やちよ: いえ
- やちよ: 『この世界でなら』って
- やちよ: コルボーはどうして あんな言葉を使ったのかしら?
- いろは: まるで別の世界から 来たような言い方ですね
- やちよ: ええ
- やちよ: コルボーが、タルトたちとは 違う世界から来たのだとすると
- やちよ: この世界は何?…って話よね
- いろは: あれっ?
- いろは: キューブの言ってた通り 中世のフランスだと思ってました
- やちよ: 私も、基本的には キューブの説が正しいと思う
- やちよ: でも、説明のつかない点も たくさんあるわ
- いろは: たとえば、何でしょう?
- やちよ: たとえば…
- やちよ: 私、中世のフランス語なんて 知らないわよ?
- いろは: 確かに… 言葉が通じちゃってますね
- やちよ: そう、それに
- やちよ: ずっと夜が明けない現象も 現実離れしすぎているわ
- いろは: 何だか、私
- いろは: …また混乱してきました
- やちよ: …ふふ
- やちよ: 今のところ、キューブの説が いちばん有力なのは間違いないわ
- やちよ: だからここは“中世のフランス” そう考えていいと思う
- やちよ: 現実離れした、夢みたいなことが 起きている理由も…
- やちよ: いずれ分かるでしょう
- いろは: そうですね…!
- やちよ: ひとつ、はっきりしてるのは…
- やちよ: この世界には この世界の時間が流れていて
- やちよ: タルトたちは私たちと同じように 一生懸命、生きているってこと!
- いろは: はい!
- やちよ: それを忘れなければ この世界の正体が何であれ
- やちよ: タルトたちの想いと 真剣に向き合えるはずよ
- いろは: …そうですよね
- やちよ: さあ…
- やちよ: もうすぐシノン城が見える頃よ
- FILENAME: text_501506-3.txt
- <1429年 フランス、シノン城>
- <オルレアン奪還作戦を敢行すべく シャルル王太子が入城を果たした>
- タルト: いろはさん、やちよさん!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 再会できてよかったです!
- いろは: シノンのお城には もう到着していたんですね
- タルト: はい、みんな一緒です!
- タルト: もちろん、シャルル王太子様も
- やちよ: オルレアン奪還作戦は いつ始まるの?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あさっての朝です!
- いろは: いよいよなんですね…!
- キューブ: オルレアンの北にも 抵抗を続けるフランス勢力がある
- キューブ: オルレアンを奪還して 彼らと合流することができれば…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: フランスにまた 光は戻ってきます!
- いろは: そうだね!
- いろは: …って、あれっ?
- いろは: メリッサさんにも キューブが見えるんですか?
- キューブ: 彼女は魔法少女ではないけれど その素質はあるからね
- いろは: それでなんですね…
- やちよ: 決戦が近いのね
- いろは: 緊張してきたかも…
- タルト: あ、そうだ!
- タルト: 出陣を前に これから祝宴が催されるんです
- タルト: よかったら ご一緒しませんか?
- いろは: やちよさん、どうします?
- やちよ: …いいんじゃない?
- タルト: よかったぁ! みんな一緒が楽しいですよね!
- いろは: あ…そういえば
- いろは: リズさんはいないんですか?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: リズは、偵察に行ってます
- やちよ: ひとりで?
- タルト: はい、リズは 影の中に隠れる力もありますし
- タルト: ひとりの方が都合がいいって
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 最近、単独行動が多いんです 丸一日いないこともありますし
- メリッサ・ド・ヴィニョル: たぶん、コルボーの奇襲を 心配しているんだと思います
- やちよ: …そう
- やちよ: リズは強いから ひとりでも平気かもしれないけど
- やちよ: タルトの側をそんなに空けるのは らしくないわね
- リズ・ホークウッド: …私の名前が聞こえたようだけど
- いろは: わっ…!?
- タルト: リズ、おかえり!
- タルト: 偵察はどうでした…?
- リズ・ホークウッド: ええ…
- リズ・ホークウッド: 特に何事もなく、よ
- やちよ: …………
- やちよ: (まただわ)
- やちよ: (リズの様子… ときどき、変なのよね)
- やちよ: (何か、秘密がある感じ)
- リズ・ホークウッド: タルト そろそろ祝宴が始まるわ
- タルト: はい、行きましょう!
- FILENAME: text_501506-4.txt
- 「乾杯(サンテ)!」
- いろは: …やちよさん 何を飲んでるんですか?
- やちよ: 山羊のミルクよ
- やちよ: いちおう未成年だしね
- やちよ: 中世の法律は知らないけど いろはも、お酒はだめよ
- いろは: はい!
- いろは: あ、メリッサさん
- いろは: メリッサさんが飲んでるのは?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様が、祝杯として ふるまわれたものです
- メリッサ・ド・ヴィニョル: とってもおいしいんですよ!
- いろは: え、それってお酒?
- いろは: お酒はやめておいた方が…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 「コク、コク…」
- いろは: …って、もう飲み干してる!?
- ジル・ド・レ: いやいや、お嬢様がた
- いろは: あ、ジル・ド・レ男爵
- ジル・ド・レ: 彼女ならあちらでも すでに7杯ほど飲んだ後です
- いろは: そんなに!?
- やちよ: すごいわね 顔色ひとつ変わってない
- ラ・イル: ハハハ 楽しくやってるようだな!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様…!
- ラ・イル: メリッサ、どうだ 旨かったろう
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はいっ!
- ラ・イル: 熟す前に摘んだぶどうの果汁だ ワインとはまた違った趣があるな
- いろは: あっ… お酒じゃなかったんですね
- ジル・ド・レ: フッ、ご明察
- やちよ: (安心したわ…)
- いろは: リズさんが飲んでるのも メリッサさんと同じものですか?
- リズ・ホークウッド: ええ 私はお酒、飲まないから
- いろは: じゃ、何か食べるもの もらってきましょうか?
- リズ・ホークウッド: そうね、甘いものがあれば…
- そちらの方も ワイン、いかがですか?
- リズ・ホークウッド: ごめんなさい、私は…
- ええっ…!
- そう…なんですか…
- 残念…です…
- リズ・ホークウッド: …………
- リズ・ホークウッド: (可愛い…)
- リズ・ホークウッド: やっぱり、いただこうかしら…?
- いろは: リ、リズさん! やめましょう!
- いろは: さっきお酒、飲まないって…!
- やちよ: ………… …………
- やちよ: (小さい子の頼みを 断れないのかしら…)
- キューブ: 盛況のようだね
- キューブ: オルレアン奪還作戦には キミたちも参加するんだろう?
- いろは: うん、途中でロウソクが消えて 未来に戻されなければね
- キューブ: ロウソクとは、何のことかな?
- いろは: あ、そっか
- いろは: 私たちが夢を通じて ここに来たことは伝えたけど…
- やちよ: その夢を見る方法は 言ってなかったわね
- リズ・ホークウッド: その話、私にも 聞かせてもらえるかしら?
- やちよ: …リズ
- キューブ: なるほど 夢の中に入るロウソクか
- キューブ: 実に興味深いね
- リズ・ホークウッド: ええ
- いろは: いい夢が見られるおまじないって 聞いて、使ってみたんだけど
- いろは: 使ったロウソクが悪くて…
- キューブ: それで、夢の中ではなく 過去の世界に出たわけだね
- リズ・ホークウッド: …………
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 何の話をしてるんですか?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: いい夢を見られるおまじない… って聞こえましたけど?
- いろは: メリッサさん、おまじないに 興味があるんですか?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はいっ!
- いろは: やちよさん、どうします?
- いろは: 教えてあげても 大丈夫でしょうか…?
- やちよ: 普通のロウソクを使った人は 問題なかったみたいだし
- やちよ: …いいわ 教えてあげましょう
- メリッサ・ド・ヴィニョル: わぁ、ありがとうございます!
- いろは: はっ!
- いろは: そういえば、タルトさんは!?
- タルト: いろはさん、やちよさん…!
- タルト: メリッサにリズおね~ちゃんも!
- タルト: わ~い、そこにいたんだ~♪
- いろは: ちょ、タルトさん!?
- いろは: だ、抱きつかないで~!
- タルト: うぇへ~ぇ…
- リズ・ホークウッド: …完全に酔ってるわね
- やちよ: 誰がお酒飲ませたの?
- キューブ: ひと口も飲んでないよ 酒気に当たったんじゃないかな?
- いろは: それだけで… こんなに!?
- やちよ: 抱きつきグセ、かしら…?
- タルト: いろはさん…むにゃ…
- キューブ: 抱きついたまま眠るとは 実に器用だね
- リズ・ホークウッド: 聖女様が聞いて呆れるわ…
- いろは: いいから、誰か助けて~!
- いろは: フランスの夜明けは近い…
- いろは: …のかな?
- <第2部へつづく…>
- FILENAME: text_501507-1.txt
- 第2部
- 第7章「オルレアン奪還作戦」
- <1429年5月>
- シャルル王太子: 「コルボーの急襲により陥落した 要衝オルレアンを奪還せよ…」
- <王位継承者シャルル王太子の命を受け ジル・ド・レ、“憤怒(ラ・イル)”ら率いる フランス軍がシノン城を進発した>
- <進路に点在する 砦や村落を解放しながらの行軍である>
- <先頭を馳せる白馬の旗手は、天使の声により “タルト”と命名された魔法少女>
- <またの名を“乙女”ジャンヌといった…>
- БЯЯЯЯЯЯяЯЯЯ!!!!
- タルト: はぁっ!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 見てください、リズ!
- リズ・ホークウッド: 魔女の結界!
- 蜃コ縺ヲ陦後▲縺ヲ繧茨シ!!!
- タルト: いろはさん、やちよさん お願いします!
- いろは: はいっ!
- やちよ: …いろは 左右の使い魔を押さえるわ
- いろは: じゃあ、私は右を
- やちよ: わかったわ 私は左ね
- ∀Φщ∂∬β≠!∞!!!
- いろは: はっ!
- ≠!∞∀Φщ∂β∬!!!
- やちよ: やぁっ!
- リズ・ホークウッド: 今よ、タルト!
- タルト: 魔女よ、消え去れ…
- タルト: ラ・リュミエール!
- ラ・イル: しっかし、何度見ても おっかねえ魔法だな…!
- リズ・ホークウッド: 魔女はタルトが退けたわ!
- ジル・ド・レ: よし、今こそフランス軍の 底力を見せるときだ!
- 「おおおおっ!」
- やちよ: いろは、私たちも
- いろは: はい!
- FILENAME: text_501507-2.txt
- リズ・ホークウッド: この先に王太子派の村があるわ
- タルト: 急ぎましょう!
- タルト: 魔物を追い払って 村を取り戻します!
- FILENAME: text_501507-3.txt
- リズ・ホークウッド: …村の周りにいた魔物は すべて追い払ったわね
- やちよ: いろは、いい動きだったわよ
- いろは: えへへ ありがとうございます
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あ、ここに いらっしゃったのですね!
- やちよ: 何か用かしら?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 解放した村に タルトが挨拶に向かうので
- メリッサ・ド・ヴィニョル: おふたりも一緒に 来てほしいって…!
- やちよ: まさか…
- いろは: また、聖女様役?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい…でも大丈夫です!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトが先頭に立って 旗を振りますから
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 横にいて、ニコニコしてるだけで いいそうです!
- やちよ: それが、いやなのよ…
- いろは: 仕方ないですね
- リズ・ホークウッド: “聖女様”たちも大変ね…
- リズ・ホークウッド: 私はただの“影”でよかったわ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: ふふふっ
- タルト: …いろはさん、やちよさん!
- タルト: みんな待ってます! さあ、行きましょう!
- 「ラ・ピュセル!ラ・ピュセル!」
- 「聖女たちよ!」
- おかげで助かったわ! これ、差し入れ
- タルト: わあっ…ありがとうございます!
- 聖女いろは様~!
- いろは: あ、あはは…
- やちよ: とうとう、いろはも有名人ね
- いろは: あちこちで 村の解放を手伝ったから…?
- いろは: やちよさん、やちよさん
- いろは: それより…
- いろは: タルトさんの持ってる旗… あれでいいんですか!?
- リズ・ホークウッド: ―リズ― 天使様の軍旗、ねえ…
- リズ・ホークウッド: 確か… タルトが自分で刺繍したのよね?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 天使様のお姿を みんなに見てもらえるようにって
- リズ・ホークウッド: うーん
- リズ・ホークウッド: 何度見ても、ひどい柄としか…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: ええ…?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 私は素敵だと思いますけど
- キューブ: …………?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あっ、リズ…
- リズ・ホークウッド: なに?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 太陽が…!
- わぁ…おひさまだ!
- おおっ まさに奇跡!
- いろは: 何度見てもすごいですね
- やちよ: …タルトは、まさに希望の光ね
- やちよ: こんな奇跡まで 起こしてしまうなんて
- タルト: いえ、そんな…!
- タルト: 私は、ただの田舎娘にすぎません
- タルト: みんなに助けてもらったのと
- タルト: 天使様のおかげです!
- ラ・イル: …さて、旦那
- ラ・イル: 次はいよいよ砦攻めだな
- ジル・ド・レ: フッ…心配は無用です
- リズ・ホークウッド: そうね
- リズ・ホークウッド: …“光”は 私たちと共にあるのだから
- FILENAME: text_501507-4.txt
- 敵は大軍です!
- ジル・ド・レ: ひるむな!この砦は オルレアン奪還の最初の試練…!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 信じましょう、“乙女”を… 私たちの希望の光を!
- FILENAME: text_501507-5.txt
- ジル・ド・レ: 「よくやった、フランスの兵士たちよ!」
- ジル・ド・レ: 「我らは緒戦に勝利した!」
- ジル・ド・レ: これぞまさに… “乙女”の加護が真たる証拠!
- うぉおおーっ!
- タルト: わ…私はただ 旗を振っていただけなんですが
- タルト: とにかく、勝ててよかったです!
- ねーねー “乙女”のおねーちゃん!
- 一緒に遊んでー!
- タルト: いいよ! 何して遊ぼうか?
- いろは: …あ、行っちゃった!
- やちよ: 気さくで、謙虚で 信心深くて…
- やちよ: タルトがみんなに慕われるのも 不思議はないわね
- いろは: そうですね
- いろは: 出会った頃は 弱気も覗かせたりしたけど…
- いろは: あれが本当の タルトさんなんですね!
- リズ・ホークウッド: …そうね
- いろは: リズさん…
- リズ・ホークウッド: 私たちの見ているこの風景が たとえ本物じゃないとしても
- リズ・ホークウッド: あれは確かに、本物のタルトよ
- やちよ: …………
- やちよ: 『たとえ本物じゃないとしても』 なんて、妙な言い方をするのね
- リズ・ホークウッド: 前にあなたたちが 言っていたことでしょ?
- いろは: そうでしたね
- いろは: 私たち、ロウソクを使って 夢の中に入ったつもりだったから
- やちよ: それで思い込んでいたのよ この世界は私たちの夢だ、って
- リズ・ホークウッド: …ええ
- リズ・ホークウッド: 仮にあなたたちにとって これが夢だとしても
- リズ・ホークウッド: 私たちにとっては 紛れもない現実だから
- リズ・ホークウッド: あのね…
- リズ・ホークウッド: ああは言ったけれど
- リズ・ホークウッド: この世界が誰かの夢というのは 悪くない推測
- いろは: え、そうなんですか!?
- リズ・ホークウッド: ええ
- リズ・ホークウッド: ただ、夢の主は あなたたちではないわ
- やちよ: リズ あなた、何か知ってるのね?
- リズ・ホークウッド: ごめんなさい 今は、何も言えないの
- リズ・ホークウッド: 言えば、すべてが 終わってしまうから…
- やちよ: リズ
- リズ・ホークウッド: なに…?
- やちよ: あなたの言葉があったから
- やちよ: 私たちはタルトの戦いに 協力することにしたのよ
- やちよ: だから、これからは 隠し事はナシにしてちょうだい
- リズ・ホークウッド: …………
- リズ・ホークウッド: …そうね
- リズ・ホークウッド: その前に、ひとつ聞かせて
- リズ・ホークウッド: あなたたちの使っている ロウソクのこと
- いろは: え、ロウソクですか…?
- いろは: 赤と青の、すごく古い骨董品です
- リズ・ホークウッド: そう…
- リズ・ホークウッド: …あなたたちって 本当に未来から来たのね
- いろは: え…? 今ので分かるんですか?
- リズ・ホークウッド: ええ、そうよ
- リズ・ホークウッド: やはり、本物の未来を知る あなたたちだからこそ
- リズ・ホークウッド: タルトを 立ち直らせることができたのね…
- いろは: 取り戻したいです 絶対に…!
- いろは: 私たちの、未来を
- タルト: 今の答えで確信しました
- タルト: 未来には、確かに 希望があるんだって!
- リズ・ホークウッド: …いろは、やちよ
- いろは: はい
- リズ・ホークウッド: 今から言うことをよく聞いて
- リズ・ホークウッド: あなたたちになら 託せると思うから…
- リズ・ホークウッド: もしも、私の身に何かあって 誰かの助けが必要なときは
- リズ・ホークウッド: タルトの妹の“カトリーヌ”…
- リズ・ホークウッド: 彼女にゆかりのある名の教会で 祈りを捧げて
- やちよ: そこに、何かあるのね?
- リズ・ホークウッド: …確実ではないけれど
- リズ・ホークウッド: 助けになってくれる存在と 会えるかもしれないわ
- リズ・ホークウッド: …じゃ、私 そろそろ行くから
- やちよ: また偵察かしら?
- リズ・ホークウッド: …ええ
- いろは: 影の中に消えた…
- やちよ: 彼女の能力ね
- いろは: リズさんの言ってること よく分からなかったけど…
- いろは: 何か秘密があるみたいですね
- やちよ: そうね
- やちよ: 事情があって 詳しくは言えないようだったけど
- いろは: でも、私たちを信頼して 話してくれたみたいでした
- いろは: あ…この感じ!
- いろは: また神浜に戻されるやつです!
- やちよ: …私たちも強制退場みたいね
- いろは: 私もこんなんじゃなくて…
- いろは: 特殊能力でかっこよく 消えたかったです…!
- FILENAME: text_501508-1.txt
- 第8章「暗転」
- いろは: やちよさん
- いろは: いよいよ決戦が近いです!
- やちよ: そうね
- やちよ: 急ぎましょう 出遅れないように
- いろは: はい!
- いろは: …それにしても
- いろは: いつも無事に タルトさんと会えていますけど
- いろは: どんな仕組みでそうなるのか さっぱり分かりませんね
- やちよ: ええ…ただ
- やちよ: まず、眠くなって
- やちよ: それから フランスで目を覚ますまでに
- やちよ: 光を…見たような?
- いろは: …あ!
- いろは: 言われてみると…そんな気が!
- やちよ: いろはも…?
- いろは: はい!
- いろは: と思ったけど… 気のせいかも
- やちよ: …答えは出そうもないし 行きましょうか?
- いろは: そうですね
- いろは: …え?
- やちよ: リズが戻ってこない?
- タルト: そうなんです…もう1日ほど
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 何か心当たりは、ありませんか?
- いろは: 最後に会ったの… 私たちかもしれません
- タルト: そうなんですか!?
- やちよ: ええ 偵察に行くと言っていたわ
- タルト: あ…そうだったんですね
- タルト: 少し安心しました…
- やちよ: リズはあれから、帰ってないのね
- いろは: みたいですね…
- いろは: これまでも、偵察が長引くことは よくあったんですか?
- タルト: はい! だから心配ないと思うんですが
- メリッサ・ド・ヴィニョル: ただ、次の作戦には 間に合わないかもしれません
- いろは: 次って、いつ?
- ラ・イル: おーい、メリッサ! そろそろ出発だぞ!
- いろは: …え、今から!?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: そうなんです…
- いろは: リズさんの分も 私たちが頑張ります
- タルト: ありがとう!
- やちよ: じゃあ、先に行くわね
- タルト: リズ…
- <オルレアン奪還作戦は山場を迎え… タルトたちはリズを欠いたまま>
- <次なる砦を目指して進軍を開始した>
- FILENAME: text_501508-2.txt
- タルト: 砦が見えてきました!
- ジル・ド・レ: これより攻囲戦に入る!
- いろは: 待って、みんな!
- やちよ: …魔力反応!
- ラ・イル: っと、危ねぇ!
- コルボー: フフフフ お前ら、命拾いしたよ!
- コルボー: そこの白いのに 感謝するんだな!
- タルト: コルボー!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: そんな… リズのいないときに
- コルボー: 何だぁ?
- コルボー: いつもの黒いのはいないのか?
- やちよ: 今日はお休み
- やちよ: 代わりに私たちが 相手するわ!
- コルボー: この間の青いのか… お前も悪くはないけど
- コルボー: 私は、あの黒いのと 本気で殺り合いたいんだよね
- タルト: どうして…
- コルボー: ヤツは私の同類だよ 迷い抜きで殺しにくる
- タルト: リズは…あなたとは…
- コルボー: 何が違うんだい!
- タルト: くっ!
- いろは: タルトさん!
- タルト: 平気ですっ!
- コルボー: おやぁ? いいね、その強気の目!
- コルボー: …そういや、あの黒いのは
- コルボー: 聖女様をいたぶると 目の色変えて私を殺しにきてたな
- やちよ: タルト、注意して
- タルト: はい…!
- コルボー: 試しに、黒いのが出てくるまで…
- コルボー: 聖女様をなぶるとしようか!
- FILENAME: text_501508-3.txt
- やちよ: いろは! タルトを援護するわ
- いろは: はい!
- タルト: 負けません…!
- FILENAME: text_501508-4.txt
- コルボー: ハッ!
- いろは: きゃ!
- やちよ: …いろはっ!
- コルボー: 隙ありだ!
- やちよ: うっ…!
- タルト: これ以上は…やらせない!
- やちよ: タルト、いけない
- やちよ: これ以上、魔力を使ったら…
- タルト: これで…決めます!
- タルト: ラ・リュミエール!
- コルボー: ハハハッ!
- いろは: かわされた!?
- コルボー: …残念だったな!
- タルト: そんな…
- コルボー: 威力はデタラメだが 軌道が正直すぎるんだよ!
- コルボー: ソウルジェムも限界だろう? それともまた撃ってみるかい?
- タルト: 負けない…!
- コルボー: くくくっ…いいねえ
- コルボー: その瞳が絶望に染まるまで なぶってやるよ!
- コルボー: いくら待っても、黒いのは 来ないみたいだがな!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …天使様
- キューブ: 何だい、メリッサ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 私が魔法少女になれば タルトを救うことができますか?
- キューブ: それは、キミの力しだいだね
- キューブ: ただ、リズがいない今 もはや選択肢は…
- リズ・ホークウッド: 勝手に いないことにしないでくれる?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …リズ!
- リズ・ホークウッド: 待たせたわね、タルト
- タルト: リズ…よかった!
- いろは: 無事だったんですね!
- リズ・ホークウッド: ごめん 戻るのに手間取ってしまって
- コルボー: ハハハハッ! 待ってたぜ、黒いの!
- コルボー: さっそく始めようか! 殺し合いの続きをさ!
- リズ・ホークウッド: …望むところよ
- リズ・ホークウッド: 今すぐ殺してあげる
- リズ・ホークウッド: 二度とタルトに 手を出せないようにね!
- FILENAME: text_501508-5.txt
- コルボー: がぁあああっ!
- リズ・ホークウッド: 最初の威勢は どこに行ったのかしら?
- コルボー: ククッ… いいねぇ…その殺気!
- コルボー: どっかの聖女様と違って 容赦も隙もない!
- リズ・ホークウッド: 黙りなさい
- コルボー: ぐぁっ!
- リズ・ホークウッド: 勝負あったわね
- リズ・ホークウッド: 私はタルトの“影” 希望の光を守るためなら
- リズ・ホークウッド: この手を血で染めることに 躊躇はないわ
- コルボー: …………
- リズ・ホークウッド: 死になさい
- コルボー: フフッ…!
- リズ・ホークウッド: …………! まだ息が!?
- コルボー: このまま 終わるモンかよッ!!
- やちよ: まずいっ!
- いろは: タルトさんの方に…!
- タルト: ――っ!?
- リズ・ホークウッド: させないっ!
- リズ・ホークウッド: ぐっ…はっ…
- タルト: リズ…そんなっ!
- タルト: 私を…かばって…!!
- リズ・ホークウッド: タルト…
- タルト: リズっ…!
- リズ・ホークウッド: あなたが無事で… よかった…
- タルト: リズ…死んじゃだめです…!
- リズ・ホークウッド: もう…限界ね
- やちよ: 影の中に…消えて…
- いろは: そんな…
- タルト: リズ…
- タルト: リズーーーっ!
- いろは: えっ、空が!
- やちよ: いきなり真っ暗に?
- コルボー: くくくっ…
- やちよ: コルボー!
- いろは: まだ、戦う気?
- コルボー: その気はないさ
- コルボー: できれば真っ向勝負で 最後までやりたかったが…
- コルボー: 身内に頼まれた仕事なんでな
- コルボー: フランスの聖女様は もらっていくぜ!
- いろは: タルトさん、逃げて!
- タルト: …………
- コルボー: いい子だ…!
- いろは: そんな…
- いろは: リズさんが…消えて…
- いろは: タルトさんが…さらわれた?
- FILENAME: text_501508-6.txt
- やちよ: 砦は、何とか奪い返したわね
- やちよ: …コルボーが 戦場を捨てたおかげだけど
- いろは: でも…
- いろは: タルトさんとリズさんが…
- やちよ: …………
- やちよ: ふたりが消えて…
- やちよ: 世界はまた 夜明けを失ってしまったのね
- ジル・ド・レ: おお…何ということだ 我が聖女を敵に奪われるとは!
- ラ・イル: 旦那、落ち着け
- ラ・イル: “乙女”が 戻ってきたときのために
- ラ・イル: 戦線を維持することが 俺たちの務めだ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様 私も頑張ります…!
- ラ・イル: おう、後方は頼んだぞ!
- ジル・ド・レ: ひとつ気がかりなのは…
- ジル・ド・レ: 今度のことで、シャルル様が 弱気になっていることですね
- やちよ: メリッサたちも頑張ってるけど…
- キューブ: 状況は、かなり悪いね
- やちよ: ええ
- やちよ: 特に問題なのは この明けない夜よ
- やちよ: 砦だけでなく、フランス全土が 一気に夜になったらしいわ
- いろは: “世界が闇に覆われる”なんて
- いろは: 現実には ありえないようなことですよね?
- やちよ: リズの言葉を思い出すわね
- キューブ: リズが何か言っていたのかい?
- いろは: うん…
- リズ・ホークウッド: この世界が誰かの夢というのは 悪くない推測
- いろは: え、そうなんですか!?
- リズ・ホークウッド: ええ
- リズ・ホークウッド: ただ、夢の主は あなたたちではないわ
- キューブ: この世界が、誰かの夢だって?
- いろは: うん
- キューブ: ふむ、なるほど
- キューブ: ………… …………
- キューブ: そうか、謎は解けたよ!
- やちよ: 何か気づいたの?
- キューブ: うん、今のキミたちの話は 謎の核心に迫るものだ
- キューブ: 結論から言おう
- キューブ: この世界は タルトの見ている夢だ!
- いろは: ええっ?
- キューブ: 「リズという親友を失ったことで タルトの心を絶望が占めた途端」
- キューブ: 「この世界そのものが、暗雲に覆われた」
- キューブ: 「キミたちは、夢を通じて この世界に来ることができるわけだけど」
- キューブ: 「都合のいいことに 常にタルトの望む場所に現れ」
- キューブ: 「障害となる言語の壁も取り払われている」
- やちよ: つまり…
- やちよ: すべてのできごとが タルトの心とリンクしている?
- キューブ: …そう!
- キューブ: すなわち、この世界は タルトの心を映した夢の世界で
- キューブ: ボクたちは、その夢の中に 取り込まれてしまったんだよ!
- FILENAME: text_501508-7.txt
- キューブ: 結論から言おう
- キューブ: この世界は タルトの見ている夢だ!
- いろは: ええっ?
- やちよ: …キューブ
- キューブ: なんだい?
- やちよ: もし、そうなのだとしたら
- やちよ: タルトの夢で起きた異変が
- やちよ: なぜ、私たちの未来まで 変えてしまうの?
- キューブ: 今、説明してあげるよ
- キューブ: その前に、まず
- キューブ: この世界がキミたちの “現実の過去”だという説は
- キューブ: 撤回しておく必要があるね!
- いろは: ここは“夢”…だもんね
- キューブ: そう
- キューブ: 代わりに、この夢を見ている タルトの“本体”がいる場所
- キューブ: つまり、夢に取り込まれる前に ボクたちのいたフランスが
- キューブ: キミたちにとっての “現実の過去”だと考えられる
- やちよ: あ…
- やちよ: タルト本人は15世紀の フランスで眠っていて
- いろは: 私たちは今、タルトさんが見てる “夢”に入り込んでるわけ…?
- キューブ: そういうこと!
- やちよ: 私たちにとって、ここは… 過去の人が見ている夢ってこと?
- キューブ: 分かってくれたかい?
- キューブ: もしもタルトが普通の少女なら 夢の中で何が起きても
- キューブ: 未来まで 揺らぐこともなかっただろう
- キューブ: 問題は これまでボクが見てきた中でも
- キューブ: タルトは最強の 魔法少女だということなんだ!
- キューブ: 「たとえ夢の中であっても 心が傷つけば、ソウルジェムは濁ってゆく」
- キューブ: 「仮に、タルトの心が絶望に染まり 彼女が魔女になりにでもしたら」
- キューブ: 「現実世界でも、この世を闇で覆いつくすほどの 破局が始まるだろう…」
- キューブ: 世界を覆う闇は、キミたちの時代 つまり、未来になっても続く
- キューブ: タルトが本物の魔女になれば 彼女のもたらす未来は
- キューブ: この夢とよく似た “夜の世界”になるだろうね
- いろは: やちよさん…!
- やちよ: つまり、その前兆として
- やちよ: 未来の神浜でも 夜が明けなくなったということ?
- キューブ: そう、そして
- キューブ: タルトがこの夢に囚われたのも ボクたちが巻き込まれたのも
- キューブ: コルボー一味の仕組んだ罠だろう
- やちよ: やっぱり コルボーなのね?
- キューブ: うん
- キューブ: コルボーがタルトを殺さずに 連れ去ったことを考えても
- キューブ: 敵の狙いは、夢の中で タルトを絶望に追い込んで
- キューブ: フランスに大いなる魔女を 誕生させることだと考えられる!
- やちよ: あの、真っ暗な神浜は
- やちよ: タルトが魔女と化した その先の未来というわけね
- いろは: そんな…
- いろは: 止める方法はないんですか?
- キューブ: ひとつはこの夢の中で タルトを絶望から救うこと
- キューブ: そして現実世界においては タルトを目覚めさせることだ
- キューブ: それが、キミたち自身の未来を 救うことになる
- やちよ: …キューブ
- やちよ: あなたも協力してくれるの?
- キューブ: 前にも言ったけど キミたちとボクの利害は一致する
- キューブ: コルボーの伸張を止めることが すべてに優先するからね!
- いろは: あ…
- やちよ: 目を覚ましたわね
- いろは: やちよさん
- いろは: また、戻されてしまったんですね
- やちよ: ええ
- やちよ: キューブの言ったこと 覚えてるわよね?
- いろは: はい
- いろは: タルトさんを絶望から救わないと
- いろは: 私たちの時代も ずっとこのままって…
- やちよ: ええ
- やちよ: これから、どうするか…
- いろは: …………
- いろは: …やちよさん
- やちよ: なに?
- いろは: 妙に静かじゃないですか?
- やちよ: 確かにそうね
- いろは: フェリシアちゃんと さなちゃんは…?
- やちよ: 自分の部屋かしら?
- やちよ: いないわ、ふたりとも
- いろは: …どこかに出かけた?
- いろは: やちよさん…!
- やちよ: ええ…間違いないわ
- やちよ: 「この世界に残ってるのは」
- やちよ: 「私たち、ふたりだけよ…!」
- FILENAME: text_501509-1.txt
- 第9章「夜明けのない世界」
- いろは: ど…どうしましょうか? やちよさん!
- いろは: すぐに向かいます!? 夢のフランスへ
- いろは: それとも…?
- やちよ: 落ち着いて、いろは
- やちよ: いえ、リーダーさん 冷静なところを見せて
- いろは: あ…ごめんなさい…
- いろは: そうですよね 私がしっかりしないと
- いろは: それじゃあ…
- いろは: まずは今 何ができるかを考えましょう!
- やちよ: 落ち着いたようね
- やちよ: 今できること、か…
- やちよ: せっかく神浜に戻ったんだし
- やちよ: 神浜でしかできないことを やっておきたいわね
- いろは: そうですね
- いろは: 今、神浜にあって タルトさんの世界にないもの…
- いろは: あ…
- いろは: このロウソク?
- やちよ: …確かに
- やちよ: これが何なのか きちんと調べてなかったわね
- やちよ: どうやらキューブたちは 夢に巻き込まれたようだけど
- やちよ: 私たちは自分の意志で タルトの夢に入り込んでる
- やちよ: それは このロウソクのおかげなのよね
- いろは: はい
- いろは: そういえば、リズさんも このロウソクのこと…
- いろは: 何か知ってる様子でしたよね?
- いろは: え、ロウソクですか…?
- いろは: 赤と青の、すごく古い骨董品です
- リズ・ホークウッド: そう…
- リズ・ホークウッド: …あなたたちって 本当に未来から来たのね
- いろは: え…? 今ので分かるんですか?
- いろは: みたまさんは、骨董品のお店で 仕入れたそうですけど
- いろは: タルトさんたちに ゆかりのある品なんでしょうか?
- やちよ: 可能性はあるわね
- やちよ: みたまには申し訳ないけど 事態が事態だわ
- やちよ: 調整屋のお店に上がり込んで 調べてみましょうか?
- いろは: はい!
- いろは: えっ…と…
- いろは: あっ!
- いろは: ありました! 同じロウソクです!
- やちよ: 近くに別の品はない?
- やちよ: みたまが、同じ骨董品店から 仕入れたものがあるかも
- いろは: 探してみます!
- やちよ: ええ
- いろは: …やちよさん!
- やちよ: なに?
- いろは: この本なんですけど…
- いろは: ロウソクと 同じくらい古そうです
- やちよ: すごい年代ものね
- やちよ: ラテン語の本みたいだけど
- やちよ: …………
- やちよ: 怪しい… 怪しすぎるわ
- いろは: いったい、何の本なんでしょう?
- やちよ: これは調べる価値アリね
- やちよ: 辞書を引きながら 読めるといいのだけど…
- FILENAME: text_501509-2.txt
- やちよ: うぅ…もう限界
- いろは: や、やちよさん しっかり!
- やちよ: まさかラテン語の古文書を 読むはめになるなんて
- やちよ: 試験の10倍は頭を使ったわ…
- いろは: 手伝えなくてごめんなさい…
- やちよ: 気にしないで ちゃんと成果はあったから
- いろは: 何の本か分かったんですか?
- やちよ: ええ これは…
- やちよ: 黒魔術の魔導書よ!
- いろは: ええっ!?
- やちよ: しかも、書いてあるのは
- やちよ: 人を“魔女”の結界に閉じ込めて
- やちよ: 覚めない悪夢を ずっと見せ続ける、っていう魔法
- いろは: 魔女って
- いろは: 私たちの知ってる あの魔女ですか?
- やちよ: ええ、その魔女よ
- やちよ: これを書いた人は 魔女や魔法少女の知識があって
- やちよ: 魔女の呪いを利用した魔法を 黒魔術と称していたようね
- やちよ: だから、実際に効力はあるわ
- いろは: えっと…つまり…?
- いろは: コルボーさんは… この魔導書に書いてある魔法で
- いろは: タルトさんを結界に閉じ込めて 悪夢を見せてるんでしょうか?
- やちよ: ええ そういうこと!
- やちよ: それから…
- やちよ: 赤と青のロウソクのことも 書いてあったわ
- やちよ: これは、魔法をかける相手の…
- やちよ: つまりタルトの髪の毛を 混ぜたロウソクだったのよ!
- やちよ: 効果は想像通りよ
- やちよ: このロウソクを使うことで 夢の中に出入りできるようになる
- いろは: そんないわくのある ロウソクだったんですか!?
- やちよ: ええ
- やちよ: みたまは魔導書と一緒に 偶然手に入れたんだろうけど
- やちよ: 元は15世紀に、コルボー自身が 使っていたものだと思うわ
- いろは: え…
- コルボー: だが、この世界でなら 思う存分暴れられるっていうんで
- コルボー: 話に乗ったのさ!
- いろは: あ、そっか!
- いろは: コルボーさんも 私たちと同じように
- いろは: ロウソクを使って 夢の中へ入り込んでたんですね!
- やちよ: そうよ
- やちよ: ただ、コルボーは 歓迎されざる客だから
- やちよ: 私たちほど簡単に、タルトには 近寄れないみたいだけどね
- いろは: そういうことなんですね…
- いろは: …あ、そういえば!
- いろは: みたまさんから聞いた おまじないは関係あったんですか
- やちよ: …何の関係もなかったわ
- やちよ: このロウソクに火をつけるだけ 置き方とかは自由みたい
- いろは: おまじないは無関係で、使った ロウソクが悪かったんですね…
- いろは: でも、これで…
- いろは: だいぶ解読できましたね!
- やちよ: それが… そうでもないの
- やちよ: もっと情報はあるんだけど ちゃんと読める人はいないし…
- いろは: そうですね…
- いろは: …あ、でも
- いろは: 夢のフランスには、いるかも?
- リズ・ホークウッド: もしも、私の身に何かあって 誰かの助けが必要なときは
- リズ・ホークウッド: タルトの妹の“カトリーヌ”…
- リズ・ホークウッド: 彼女にゆかりのある名の教会で 祈りを捧げて
- リズ・ホークウッド: 助けになってくれる存在と 会えるかもしれないわ
- いろは: リズさんが言ってた誰かが 助けてくれるかもしれませんし!
- やちよ: そうね
- やちよ: ただ、確実に会えるとは 言ってなかったし…
- やちよ: まずはキューブに話しましょう
- いろは: そうですね
- やちよ: 夢の中に本を持ち込めるかしら…
- いろは: 着ていた服はそのままでしたから
- いろは: 本を抱えたまま ロウソクに火をつけてみるとか?
- やちよ: やってみましょうか
- やちよ: うまくいくと、いいけど…
- FILENAME: text_501509-3.txt
- いろは: …………
- いろは: あれ…?
- いろは: ここ 夢のフランスじゃ、ない?
- いろは: それに… やちよさんはどこ?
- いろは: どうしよう 真っ暗だし、方向も分からないし
- いろは: こんなところで迷子?
- やちよの声: いろは…聞こえる?
- いろは: やちよさん!
- いろは: やちよさん、どこですか?
- やちよの声: 夢に入る前の空間みたいね
- いろは: 何とか、合流したいですけど…
- やちよの声: そこを動かないで
- やちよの声: テレパシーの声が 近くなる方向に動いてみるから
- やちよの声: それまで、会話を続けましょう
- いろは: はい!
- いろは: やちよさん!
- やちよ: 何とか会えたわね
- いろは: ここ、どうやって出ましょう?
- やちよ: 見当もつかないわね…
- いろは: さっきと同じように
- いろは: 誰かにテレパシーで 呼びかけてみましょうか?
- やちよ: …やってみましょう
- やちよ: 誰か答えてくれるといいけれど
- いろは: 誰か… 聞こえますか!?
- いろは: 聞こえるなら、返事して!
- メリッサの声: あの…誰でしょう?
- いろは: あ、返事が…!
- メリッサの声: この声…いろはさん!?
- いろは: メリッサさん! 声が届いたんですね!
- いろは: 私たち、迷子になってるんです!
- いろは: 心の声を頼りに進むから 私が呼んだら答えてください!
- メリッサの声: …は、はい!?
- メリッサの声: よく分からないけど やってみます!
- やちよ: メリッサには、本当に 魔法少女の素質があるみたいね
- やちよ: 光が見えた “夢のフランス”に近づいてるわ
- いろは: もう少しで着きそう! ありがとう、メリッサさん!
- メリッサの声: どうかご無事で…!
- いろは: ようやく着きましたね!
- やちよ: ええ メリッサ、ありがとう
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 無事でよかったです!
- いろは: どうして今回だけ 迷子になったんでしょうか…
- やちよ: 私も、さっぱりよ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: いろはさん… その古そうな本は何?
- いろは: あっ、これ…!
- やちよ: 無事に持ち込めていたのね
- いろは: はい!
- いろは: メリッサさん、この本には
- いろは: 敵が使った魔法の罠のことが 書かれているんです
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …そうなんですか!?
- いろは: そう、だから
- いろは: キューブに 読んでもらおうと思って…!
- キューブ: …呼んだかい?
- FILENAME: text_501509-4.txt
- キューブ: …なるほど 魔女の結界を利用した魔法か
- キューブ: この本のおかげで やっと把握できたよ!
- キューブ: コルボーが仕掛けた 魔法の罠の仕組みがね!
- キューブ: 概要は、すでにキミたちが 解読した通りだ
- キューブ: 「コルボーは、魔導書に書かれた魔法で 現実世界のタルトを 覚めない眠りに誘った」
- キューブ: 「そのとき、近くにいたメリッサやボクは タルトの夢に巻き込まれてしまった」
- キューブ: 「そしてコルボーは、赤と青のロウソクで 夢に入り込んで、戦いを仕掛けていたんだ」
- キューブ: 「タルトを絶望に追い込むために…」
- いろは: キューブまで いつのまにか夢の中にいて
- いろは: いつ巻き込まれたのかは 気づかなかったの?
- キューブ: うん ここに入り込む直前の記憶は
- キューブ: 夢とつじつまが合うよう 改竄されたようだね
- やちよ: キューブでさえ、そうなのなら…
- キューブ: タルトやメリッサは、これが夢と 思いもしなかっただろうね!
- キューブ: ここでは、魔女が隠れもせず 人々に堂々と姿を見せるけれど
- キューブ: 夢の主が魔女の結界に 囚われているなら、それも納得だ
- キューブ: この夢の中全体が 結界のようなものだからね!
- やちよ: …なるほどね
- やちよ: 他に分かったことはある?
- キューブ: 術者であるコルボーの 使える魔法についてだね
- キューブ: この夢の中で、彼女は 無数の使い魔を使役したり
- キューブ: 他人の記憶の中から 敵を複製したりもできるみたいだ
- いろは: え、それじゃ
- いろは: ここで戦った神浜の魔女たちは 私たちの記憶のコピーなの?
- キューブ: うん、そうだね そういう意味では
- キューブ: 未来が不安定になった原因は キミたち自身だと言えなくもない
- いろは: ええっ!
- やちよ: そうか…そうよね
- やちよ: これは本来、タルトたちの時代に 終わっていた事件なのよ
- やちよ: それが何百年も経って コルボーのロウソクが見つかった
- やちよ: …それを私たちが手にして タルトの夢に入ったことで
- やちよ: 過去が変わって 未来が揺らぎ始めたのね
- キューブ: ひとつの可能性にすぎないけどね
- キューブ: キミたちが来た時点で 戦況はかなり悪かったわけだし
- キューブ: …ただ、魔女たちの出現が ダメ押しになったのかもしれない
- いろは: そんな…
- キューブ: でもマイナス面ばかりじゃないさ
- キューブ: フランス軍に、他の魔法少女が いない現状を考えると
- キューブ: キミたちは、この戦況を覆す 唯一の切札でもあるんだから!
- キューブ: キミたちが来なければ
- キューブ: もっとひどい状況になっていた 可能性が高いし
- キューブ: むしろキミたちこそが
- キューブ: フランスを救う宿命を負った 救世主なのかもしれないよ?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 天使様、それで…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトを救う方法は… あるのでしょうか!?
- キューブ: うん、それも この本に書いてあった
- キューブ: タルトを目覚めさせるには…
- キューブ: “聖別された鐘”を鳴らせば いいみたいだ!
- やちよ: 聖別された…鐘?
- いろは: それって…何のこと?
- FILENAME: text_501510-1
- 第10章「解決の糸口」
- キューブ: タルトを目覚めさせるには…
- キューブ: “聖別された鐘”を鳴らせば いいみたいだ!
- やちよ: 聖別された…鐘?
- いろは: それって…何のこと?
- キューブ: 残念なことに 本の傷みがひどくてね
- キューブ: この記述がある部分は ほとんど読めないんだよ
- いろは: そんな… いちばん大事なところなのに!
- やちよ: 困ったわね…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …あの
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 聖別された鐘というのは…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: たぶん…教会の鐘のことでは ないでしょうか?
- いろは: え…教会?
- リズ・ホークウッド: もしも、私の身に何かあって 誰かの助けが必要なときは
- リズ・ホークウッド: タルトの妹の“カトリーヌ”…
- リズ・ホークウッド: 彼女にゆかりのある名の教会で 祈りを捧げて
- リズ・ホークウッド: 助けになってくれる存在と 会えるかもしれないわ
- いろは: メリッサさん!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい、何でしょう?
- いろは: カトリーヌさんに 関係のある名前の教会が
- いろは: 近くにありませんか?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: カトリーヌ…亡くなった タルトの妹さんのお名前ですね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: そういえば
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 前に、天使様のお導きで赴いた
- メリッサ・ド・ヴィニョル: “聖カトリーヌ教会”が あったかと
- いろは: やちよさん…!
- やちよ: ええ たぶんリズの言ってた教会ね
- いろは: メリッサさん! それって、どんな教会なの?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: えっと… フィエルボアという町にあって
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトとリズと私は、そこで 不思議な女性と出会ったんです
- キューブ: …その女性は、ペレネルだね
- やちよ: キューブの知り合い…?
- キューブ: ああ、彼女は錬金術や 魔法の知識に秀でた魔法少女で
- キューブ: 他の魔法少女を見守り 助言を与えている
- やちよ: …話がつながってきたわ
- キューブ: どういうことかな?
- いろは: あのね、リズさんが言ってたの
- いろは: 助けが必要なときは、その教会で 祈りを捧げなさいって
- やちよ: そこで、助けになる存在と 会えるかもしれないそうよ
- キューブ: 確かに、ペレネルと コンタクトを取ることができれば
- キューブ: 有益な情報を得ることが できるかもしれないね!
- いろは: タルトさんを目覚めさせる “聖別された鐘”のことを
- いろは: そこで聞けるかもしれませんね
- やちよ: もしかすると、その教会に 問題の鐘があるかもしれないし
- いろは: …メリッサさん、キューブ 案内をお願い!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はいっ!
- FILENAME: text_501510-2
- やちよ: ここね
- やちよ: 聖カトリーヌ教会のある フィエルボアの町は…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい! ご案内します
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 近くの人に聞いてみたのですが…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 残念ながら、教会の鐘は 戦いで壊れてしまったそうです
- やちよ: そう… 鳴らすべき鐘はなさそうだけど
- やちよ: リズの言っていた通り 教会に向かってみましょうか
- いろは: ここが聖カトリーヌ教会…
- やちよ: いろは、祈りを捧げるわよ
- いろは: はい、やちよさん!
- いろは: …………
- いろは: 誰かいるなら… 答えて!
- ペレネル・フラメル: 「リズの言っていた方たちですね…」
- ペレネル・フラメル: 「よくいらっしゃいました 異邦の魔法少女たちよ」
- やちよ: あっ…
- いろは: この声は…?
- キューブ: やあ、ペレネル ごぶさただね!
- キューブ: でも、姿を現さないのは どうしてなのかな?
- ペレネル・フラメル: 「私は“乙女”の夢の外にいて 中に入ることができませんから…」
- いろは: 夢の外に…いる?
- キューブ: なるほど
- キューブ: どうやら彼女は今 現実世界の側にいて
- キューブ: ボクたちを助けてくれる つもりのようだね!
- やちよ: リズが言っていたのは やっぱり彼女のことだったのね
- ペレネル・フラメル: 「そう 何とか声だけは届けられました」
- ペレネル・フラメル: 「夢の結界に隙間を開けるのは 大きな困難が伴いますので…」
- いろは: ペレネルさん!
- いろは: 私たちはタルトさんの夢を覚ます
- いろは: “聖別された鐘”について 知りたいんです…!
- ペレネル・フラメル: 「かの魔導書の手順に従うならば…」
- ペレネル・フラメル: 「タルトは魔法の眠りに落ちる前に とある教会の鐘の音を聞かされたはず」
- ペレネル・フラメル: 「彼女の目を覚ますには、夢の中で タルト自身が同じ教会の鐘を鳴らせばよいのです」
- いろは: 同じ教会って…どこ?
- ペレネル・フラメル: 「現実のタルトはオルレアン市街に入り 解放作戦を行っている最中に この魔法の眠りにつきました」
- ペレネル・フラメル: 「ですから必要なのは オルレアンにある“聖十字架大聖堂”の 鐘の音でしょう…」
- メリッサ・ド・ヴィニョル: いろはさん、やちよさん…!
- やちよ: ええ、これで分かったわ
- やちよ: タルトを救い出して オルレアンの教会の鐘を鳴らせば
- やちよ: タルトが見ているこの悪夢は 終わるってことね…!
- キューブ: そういうことだね!
- いろは: ううん
- いろは: だめです、それだけじゃ!
- いろは: 夜が明けないのは、タルトさんが 絶望しかけているからで
- いろは: リズさんがいないまま 夢から覚めたって…!
- ペレネル・フラメル: 「リズは生きています」
- いろは: え…?
- ペレネル・フラメル: 「彼女は光を見失って 暗闇の世界から出られなくなっているだけ」
- ペレネル・フラメル: 「そのことについて 今からお話ししましょう…」
- FILENAME: text_501510-3
- ペレネル・フラメル: 「リズは生きています」
- ペレネル・フラメル: 「彼女は光を見失って 暗闇の世界から出られなくなっているだけ」
- ペレネル・フラメル: 「そのことについて 今からお話ししましょう…」
- ペレネル・フラメル: 「コルボーの手で“乙女”が眠りに落ちたとき リズは別の場所にいて “夢”に取り込まれることを免れました」
- ペレネル・フラメル: 「リズは“乙女”を救うため コルボーから1組のロウソクを奪い」
- ペレネル・フラメル: 「“乙女”の夢の中に入ることに成功したのです」
- いろは: え…?
- いろは: リズさんも、私たちみたいに 夢を出入りしていたの!?
- やちよ: それで分かったわ
- やちよ: 私たちと同じように、ときどき いなくなっていたのは
- やちよ: 夢の外に戻っていたからなのね…
- いろは: リズさんはどうして 秘密にしていたんでしょう?
- ペレネル・フラメル: 「ロウソクを使う者は、とある制約を課されます」
- ペレネル・フラメル: 「それは、夢の中で魔導書の秘密を口にしないこと」
- ペレネル・フラメル: 「制約を破れば、自身の肉体が 夢を形成する結界に呑まれてしまうのです」
- いろは: あ…
- いろは: リズさんはそれで 何も話せなかったんですね…!
- リズ・ホークウッド: ごめんなさい 今は、何も言えないの
- リズ・ホークウッド: 言えば、すべてが 終わってしまうから…
- キューブ: ロウソクの制約か ボクも初めて聞く話だ
- キューブ: それも欠落したページに 書かれていた情報のようだね
- やちよ: でも、待って
- やちよ: リズとコルボーは その制約を守ったのでしょうけど
- やちよ: 私たちはロウソクを使った上に 魔導書のことも口にしたわよ!?
- ペレネル・フラメル: 「いえ、おふたりは安全です…」
- ペレネル・フラメル: 「リズから聞きました あなた方の肉体は未来にあると」
- ペレネル・フラメル: 「“乙女”を捕らえた結界は あなたたちの時代には、もう残っていないはず」
- キューブ: なるほど、それでふたりは 制約から自由でいられるんだね
- キューブ: 未来からきたキミたちは 決定的な切札だったわけだ!
- キューブ: これで、話はつながったね!
- キューブ: 最初はリズだけが ここがタルトの夢だと知っていて
- キューブ: ペレネルと協力して タルトを救おうとしていた
- いろは: …だけど そのことを誰にも言えなくて
- いろは: 自分に何かがあったときのために 私たちに後を託したんですね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: でも… リズが無事なのであれば
- メリッサ・ド・ヴィニョル: どうしてあれから 姿を見せないのでしょう?
- ペレネル・フラメル: 「リズは深手を負い、影の中に消えましたが… 傷はすでに癒えています」
- ペレネル・フラメル: 「ただ彼女は今、夢と現実の狭間で 迷子になっているのです」
- ペレネル・フラメル: 「“乙女”という導きの光が 消えてしまったから…」
- やちよ: あ…そういうことなのね
- いろは: そういうことって… どういうことですか?
- やちよ: 覚えてるでしょ? 私たちも一度、迷子になったこと
- いろは: 私たち、迷子になってるんです!
- いろは: 心の声を頼りに進むから 私が呼んだら答えてください!
- メリッサの声: …は、はい!?
- メリッサの声: よく分からないけど やってみます!
- やちよ: リズもあのときと同じ状態なのよ
- いろは: あ…そうか!
- いろは: つまり、こういうことですよね?
- いろは: 前はタルトさんという“光”に 従えば、迷うことはなかったけど
- いろは: 夢の主のタルトさんが 希望を失ってしまったから
- いろは: 導きの光が消えて 夢に入れず、迷子になってる…!
- やちよ: そういうことよ
- やちよ: だから、リズを導くには まず、タルトを救い出して
- やちよ: “リズは生きている”って 知らせればいいと思うわ
- やちよ: それで、希望の光は灯るはず
- キューブ: ペレネル! その方法で大丈夫かい?
- ペレネル・フラメル: 「はい…! どうか“乙女”とリズを、救ってください」
- ペレネル・フラメル: 「最後に、私からの贈りものです」
- ペレネル・フラメル: ―ペレネル― タルトに会えたら、これを渡してください
- ペレネル・フラメル: ―ペレネル― この剣を掲げることで、リズを導く希望の光は いっそう強く輝くことでしょう
- いろは: やちよさん!
- やちよ: ええ やることは決まったわ
- FILENAME: text_501511-1.txt
- 第11章「希望の灯」
- やちよ: つまり…
- やちよ: タルトを救い出して リズの健在を知らせれば
- やちよ: 明けない夜も終わるということよ
- ラ・イル: なるほどねえ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: ここがタルトの夢の中だなんて 私も驚いてしまいましたけど…
- ジル・ド・レ: 聖女の絶望が常夜をもたらし 聖女の希望が夜明けをもたらす…
- ジル・ド・レ: かの“乙女”ならば かような奇跡も起こせよう!
- いろは: ただ…
- いろは: みんなに本当のことを言っても 大丈夫でしょうか?
- ラ・イル: ハハハ、心配ない!
- ラ・イル: “乙女”を救出する作戦とだけ 伝えておくさ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: それだけで、砦にいる全員が 志願するかもしれません!
- やちよ: タルトが囚われている場所は もう分かったの?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい、オルレアンの南の要… “トゥーレル砦”ですっ!
- ジル・ド・レ: コルボーに恐れをなした シャルル様が出兵に消極的ですが
- ジル・ド・レ: 何とか押し切って 承認していただきましょう
- いろは: どうか、お願いします…!
- <翌日…>
- ジル・ド・レ: 「今こそ“乙女”を取り戻すぞっ!」
- 「おおおおーーっ!」
- ジル・ド・レ: 「我らに希望をもたらした聖女に 我らが希望をもたらすときだ!」
- 「うぉおおーーっ!」
- 「我らが聖女を救え!」
- メリッサ・ド・ヴィニョル: みなさん
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 私、感激しています…! みんなが、タルトのために!
- やちよ: 別の砦から 駆けつけた隊もあるそうよ
- いろは: みんな、タルトさんが 大好きなんですね!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい!
- ジル・ド・レ: では…
- ジル・ド・レ: 「いざ、出陣!」
- シャルル王太子: …………
- “乙女”の救出隊が すべて出立いたしました!
- よろしかったのでしょうか?
- コルボーへの備えが 手薄になってしまいますが…
- シャルル王太子: …やむを得ん
- シャルル王太子: …………
- シャルル王太子: 我らに希望をもたらした聖女に 我らが希望をもたらすとき、か
- シャルル王太子: …………
- FILENAME: text_501511-2.txt
- やちよ: いろは! タルトを救うわよ!
- いろは: はいっ、絶対に!
- やちよ: 取り戻しましょう タルトも、私たちの未来も!
- FILENAME: text_501511-3.txt
- やちよ: この囲みを破れば…!
- やちよ: はあっ!
- БЯЯяяЯяЯЯ!??
- いろは: やちよさん、囲みが解けました!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 見えました! トゥーレル砦です!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトは、あの中に…!
- やちよ: 行くわよ、いろは
- いろは: はいっ!
- БЯЯяяЯяЯЯ!!!!
- いろは: …………!
- やちよ: 新手!?
- ラ・イル: 蹴散らすぞ! お嬢ちゃんたちに後れを取るな!
- やちよ: ――っ!?
- ザリザリ…☆…◇…
- やちよ: 魔女の結界…!
- いろは: ラ・イルさん! …魔女は私たちが!
- ラ・イル: 合点! 俺たちは使い魔の足を止める
- やちよ: …任せるわ 無理はしないで
- ジル・ド・レ: 恐れるな、フランス兵たちよ!
- ジル・ド・レ: 今こそ“乙女”を… フランスを取り戻す!
- おおおーっ!
- FILENAME: text_501512-1.txt
- 第12章「決戦」
- <夢の主であるタルトが 希望を取り戻したことで…>
- <“夢のフランス”全土が 一瞬にして夜明けを取り戻した>
- リズ・ホークウッド: …ごめんなさい
- リズ・ホークウッド: 何を口にしても 制約に触れてしまう気がして
- リズ・ホークウッド: 本当に、何も言えなくて
- いろは: 仕方ないですよ
- やちよ: タルトを救うためだものね
- リズ・ホークウッド: …ありがとう いろは、やちよ
- リズ・ホークウッド: あの教会のことを話したのはね…
- リズ・ホークウッド: 外側から“声”だけ届ける方法に めどがついた直後だったの
- リズ・ホークウッド: あのときを逃せば 誰にも後を託せなかったと思う
- リズ・ホークウッド: ふたりとも 本当に、ありがとう
- いろは: いえ、そんな!
- やちよ: 私たちに 幸運も味方しているってことね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …みなさん
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 話は変わりますけれど
- メリッサ・ド・ヴィニョル: トゥーレル砦が陥落して オルレアンを守る砦は消えました
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あとはロワール川にかかる 橋を渡って
- メリッサ・ド・ヴィニョル: オルレアン市街に 突入するだけです!
- いろは: 市内には、まだ敵がいるんですね
- タルト: はい、それに コルボーの行方が分かりません
- タルト: 必ず、私たちの前に 立ちふさがるはず…!
- やちよ: 目指すはオルレアン市内の 聖十字架大聖堂だったわね?
- やちよ: 本人の前で言うのも変だけど
- やちよ: タルト自身がその鐘を鳴らせば
- やちよ: 現実世界で眠っているタルトは 夢から覚めるわけね…!
- キューブ: そう、この世界…キミたちの言う “夢のフランス”が消滅して
- キューブ: ボクもキミたちも 元の世界で目を覚ますはずだよ
- いろは: 目が覚めると、どうなるの?
- キューブ: 呪いが解けたことで キミたちの記憶は徐々に薄れ…
- キューブ: やがて本当の夢だと 思うようになるみたいだね
- いろは: え… 忘れてしまうの?
- いろは: この世界で起きたこと…
- やちよ: 現実の歴史と、かなり違う展開に なってしまったけれど
- やちよ: ここで起きたすべては ただの“夢”になってしまうのね
- キューブ: …だって、夢だからね
- タルト: お別れなんですね
- タルト: いろはさん、やちよさん…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 寂しいですね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: せっかく、おふたりと 仲良くなれたのに…
- リズ・ホークウッド: …でも、前向きなお別れよ
- リズ・ホークウッド: 同じ未来を信じて それぞれの場所に戻るのだから
- やちよ: そうね…
- いろは: 取り戻したいです 絶対に…!
- いろは: 私たちの、未来を
- タルト: 今の答えで確信しました
- タルト: 未来には、確かに 希望があるんだって!
- いろは: そうですよね!
- いろは: だから この夢が終わった後は
- いろは: それぞれの未来のために 頑張りましょう!
- タルト: はいっ!
- リズ・ホークウッド: …そろそろ行きましょうか
- メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様たちが待っています
- タルト: そうですね
- タルト: さぁ行きましょう
- タルト: 未来に光をもたらすために!
- FILENAME: text_501512-2.txt
- リズ・ホークウッド: タルトはオルレアン市街へ! 目指すは“聖十字架大聖堂”よ
- タルト: わかりましたっ!
- やちよ: 走るわよ、いろは! タルトを援護するの!
- いろは: はいっ!
- いろは: きゃっ!
- やちよ: 後ろから!?
- コルボー: ハハハハッ!
- タルト: コルボー!
- コルボー: この世界に戻ってくるのに 随分と手間取っちまった…!
- コルボー: ちょっと見ない間に ひどく攻め込まれたもんだね!
- リズ・ホークウッド: …そのまま帰ってこなくても よかったんだけど?
- コルボー: ハハハ、言うねえ! 生きてたんだな、黒いの!
- リズ・ホークウッド: あなたに殺されるつもりはないわ
- リズ・ホークウッド: これで決着にしましょう
- やちよ: …手伝うわ、リズ
- コルボー: いいねえ! 黒いのと青いのが揃ったか!
- コルボー: …が、お前らはまた囮だろう?
- やちよ: …………!
- コルボー: フン、この隙にとっとと 聖女様がオルレアンに突入して
- コルボー: この偽りの世界を 終わらせるつもりだろうが
- コルボー: 私も、この世界の お膳立てをしてくれた身内に
- コルボー: 義理を果たさなきゃ ならないんでね!
- コルボー: だから、もう少し楽しもうぜ?
- БЯrЯяЯяЯЯ!!!!
- БЯЯяЯЯяЯЯ!!!!
- やちよ: オルレアンへの進路を ふさがれたわ…!
- いろは: それに、空がまた暗く!
- リズ・ホークウッド: 心配ないわ あいつの周りだけよ
- リズ・ホークウッド: コルボー!
- コルボー: …………?
- リズ・ホークウッド: あなたの企みはもう終わりよ!
- リズ・ホークウッド: タルトはもう 絶望したりしないもの…!
- タルト: リズの言う通りですっ!
- リズ・ホークウッド: タルト…!
- タルト: ―タルト― もう、あなただけに 背負わせたりしない!
- タルト: ―タルト― 一緒に戦いましょう、リズ
- リズ・ホークウッド: ―リズ― ええ
- リズ・ホークウッド: ―リズ― ふたりだけで立ち上がった頃と 同じように!
- コルボー: ほう 今度は聖女様も参戦か!
- コルボー: いいねぇ! ふふ、ゾクゾクするよ
- コルボー: 殺すつもりで来な! でなきゃ、死ぬのはそっちだ!
- やちよ: いろは、私たちも
- いろは: はいっ!
- やちよ: 4人で一気に終わらせましょう
- コルボー: フッ…
- コルボー: なぁ、せっかくの舞台だ 急いで降りるのはもったいない
- コルボー: 醜い屍をさらすまで 壊し合おうぜぇ!
- FILENAME: text_501512-3.txt
- やちよ: ハァッ!
- コルボー: クハハハハッ! この痛み…高ぶるねぇ!
- やちよ: 無駄口は聞きあきたわ
- コルボー: があぁあっ!
- やちよ: まだっ!
- コルボー: ちぃっ! さすがに…戦い慣れてやが…
- やちよ: 息が…
- やちよ: 上がってるわよ!
- コルボー: グハッ!
- やちよ: リズ、今よ!
- リズ・ホークウッド: やちよ、ありがとう
- リズ・ホークウッド: 影よ…!
- コルボー: ――っ!? ヤバいな…
- リズ・ホークウッド: 手をゆるめるつもりはないわ
- リズ・ホークウッド: タルトを絶対に… 絶望させたりしない!
- コルボー: ぐぁあああっ!
- やちよ: 隙ができたわ!
- リズ・ホークウッド: タルトはオルレアン市街へ!
- タルト: わかりましたっ!
- やちよ: いろはは、タルトと一緒に
- いろは: はいっ、やちよさん!
- コルボー: このまま…
- コルボー: 抜け駆けさせるつもりは ないんだよっ!
- БЯЯЯЯяЯЯ!!
- БЯЯЯЯяЯЯ!!!
- いろは: また!?
- タルト: 道をふさがれました…!
- いろは: タルトさんの魔法で 一気に倒せない?
- タルト: だめです!
- タルト: オルレアンの人たちに 被害が出てしまいます!
- いろは: 突破するには どうしたら…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルト!
- ラ・イル: バケモノどもは任せろ!
- タルト: メリッサに、ラ・イル様!
- ジル・ド・レ: 我ら一丸となって 囲みを崩しましょう!
- いろは: みんな…!
- コルボー: チッ、雑魚どもが
- コルボー: そんじゃ、こっちも 出し惜しみはナシだ!
- БЯяяЯЯЯ!!
- БЯяяяяЯЯЯ!!!
- ぐあああっ!
- やちよ: 敵…まだ増えるの!?
- キューブ: 夢を形成する結界から 直接発生しているんだ
- キューブ: コルボー自身は魔力を使わずに いくらでも召喚できてしまう
- いろは: そんな…!
- シャルル王太子: 「諦めるな!」
- いろは: え…?
- シャルル王太子: “乙女”とその仲間らよ! 我らが加勢する!
- タルト: …シャルル王太子様!?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 王太子様が、自ら前線に?
- コルボー: ただの人間がぁ、舐めるな!
- シャルル王太子: ぐっ!
- シャルル王太子: 退きはせん!
- シャルル王太子: 私は“乙女”に救われた身…!
- シャルル王太子: ここで恩を返さず いつ返すというのか!
- シャルル王太子: ゆくぞ、血路を開け!
- おぉーっ!
- БяяяяЯ!?
- БЯяяЯ!???
- リズ・ホークウッド: 敵の戦線が…崩れた!?
- コルボー: 使い魔たちが… 突破されてゆくだと?
- ジル・ド・レ: ラ・イルの部隊は 突入進路を確保!
- ラ・イル: 大役、任されたぜ! 側を離れるなよ、メリッサ!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい、お父様!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: みんな…絶対に勝ってください!
- タルト: メリッサ、ありがとう
- ジル・ド・レ: よし! 残る全軍はラ・イルたちを守れ!
- ジル・ド・レ: シャルル様、兵をお借りします
- シャルル王太子: 指揮は任せる! フランス兵たちよ死力を尽くせ!
- おぉーっ!
- コルボー: 調子に…乗るなよッ!
- コルボー: お前ら雑魚なんぞ 私ひとりでも…!
- タルト: …分かっています あなたを放ってはおきません
- タルト: 私たち魔法少女は… 全員でコルボーを倒しましょう
- タルト: いろはさん、やちよさん、リズ 力を貸してください…!
- リズ・ホークウッド: タルト…!
- いろは: はい!
- やちよ: もちろんよ…!
- タルト: 私はもう絶望に呑まれたりしない だから…
- タルト: 共に戦いましょう 光ある未来のために!
- FILENAME: text_501512-4.txt
- いろは: えぇぃっ!
- やちよ: ハァァッ!
- コルボー: グ…グハァアアッ!
- リズ・ホークウッド: この相手に 手ぬるいやり方は通用しない…
- コルボー: 何だ…この影は!
- コルボー: …身体が、動かないだと!?
- リズ・ホークウッド: 今よ、タルト! みんな離れて!
- タルト: はい… いきますっ!
- タルト: ラ・リュミエール!
- コルボー: ――っ!?
- いろは: やった…!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルト、いろはさん! こっちへ!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 今ならオルレアン市街に 突入できます!
- タルト: いろはさん…!
- リズ・ホークウッド: いろは、タルトを頼むわ!
- いろは: わかりました!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 私とお父様に ついてきてください…!
- コルボー: …ぜぇ…ぜぇ…
- コルボー: 悪いがまだ…生きてるぜ?
- リズ・ホークウッド: …気づいていたわ 直撃は免れたようだったから
- やちよ: タルトは行ったわ、コルボー “夢”は、これで終わりよ
- やちよ: それでも戦うと 言うんでしょうけど
- コルボー: くく…ハハハハ!
- コルボー: 分かってるじゃないか! 黒いの!
- ラ・イル: ハァッ!
- БЯrrrrяЯ!!?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 邪魔はいなくなりました!
- いろは: タルトさん! 鐘突き堂はあっちです!
- タルト: 行きましょう…!
- キューブ: 鐘が鳴れば、現実世界のタルトが 目を覚ましはじめる
- キューブ: 彼女が完全に目覚めるとき “夢のフランス”は消滅し
- キューブ: この夢に関するボクたちの記憶も 徐々に薄れていくことだろう
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい…天使様
- メリッサ・ド・ヴィニョル: いろはさん…
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトを助けてくれて ありがとう
- いろは: とうとう着きましたね 鐘突き堂に
- タルト: はい…
- タルト: いろはさん、私
- いろは: なに…?
- タルト: この夢の中では 大変な思いもしたけど…
- タルト: いろはさんと出会えて とってもよかったと思ってます!
- いろは: そ、そんな!
- タルト: 未来のために、一生懸命戦う いろはさんを見て
- タルト: 私の想いは間違っていないって 確信できましたから…!
- タルト: 「私は、故郷の村を襲われて 最愛の妹を失いました」
- タルト: 「こんな悲しみを もう誰にも味わってほしくない…」
- タルト: 「だから私は 魔法少女になったんです」
- タルト: 「フランスに 光をもたらす力を願って…!」
- タルト: たとえ夢から覚めても
- タルト: あのときの願いを…誓いを信じて
- タルト: この国に光をもたらすために 戦っていきたいと思います!
- いろは: はい!
- タルト: それから… いろはさんとやちよさんのこと
- タルト: きっと忘れませんからっ!
- いろは: 私もです、タルトさんっ!
- タルト: ありがとう…!
- タルト: では 一緒に鐘を鳴らしましょう
- いろは: 一緒に…? 大丈夫でしょうか?
- タルト: ぜひ、お願いします!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: あ、この音…
- キューブ: タルトが鐘を鳴らしてるんだ
- メリッサ・ド・ヴィニョル: …天使様 私…眠く…………
- やちよ: 悪夢は…これで終わり!
- コルボー: ぐっ
- コルボー: まだまだ、終わらせ…
- コルボー: うぐっ!
- リズ・ホークウッド: 敵ながら、大した粘りね
- やちよ: いろは、まだなの?
- やちよ: これ以上は、さすがに…
- やちよ: この音は!
- リズ・ホークウッド: タルトといろはが 突入に成功したのね!
- コルボー: チッ…ここで退場かっ
- コルボー: 決着は、本物のトゥーレル砦で つけようぜ!
- やちよ: …私たちも、お別れね
- リズ・ホークウッド: ええ
- リズ・ホークウッド: 次に覚めたとき この夢は終わっているわ
- やちよ: 夢から覚めても、あなたの戦いは まだ続くでしょうけど
- やちよ: 健闘を、リズ
- リズ・ホークウッド: ありがとう、やちよ
- リズ・ホークウッド: あなたたちに会えて よかったわ
- いろは: あ、この感じ…!
- いろは: もうお別れみたいです!
- タルト: 寂しいけれど 笑ってお別れしましょう
- タルト: おたがいの未来のために…!
- いろは: はいっ!
- FILENAME: text_501513-1.txt
- ―エピローグ―
- いろは: …………?
- いろは: ここは…夢の…フランス?
- いろは: …って…何だっけ…?
- いろは: …はっ!
- やちよ: …目が覚めた?
- いろは: やちよさん!
- いろは: あの…ロウソクは? タルトさんは…
- やちよ: ロウソク…タルト? 何のことかしら?
- いろは: え…! 忘れちゃったんですか?
- やちよ: 冗談よ ちゃんと覚えてるわ
- いろは: よかった…
- フェリシア: おっ、いろは 目が覚めたのか!
- フェリシア: こっちは何もかも元通りだぞ!
- さな: ちゃんと、お日様も出るように なりました…!
- いろは: よかった…
- フェリシア: よし、じゃあ行こうぜ!
- やちよ: 行くってどこに?
- フェリシア: 肉だよ! 分厚い肉買いにいこーぜ!
- やちよ: もう、分かってるわよ 夕方になったら一緒に行きましょ
- フェリシア: やったー! 今夜はオレ、幸せだー!
- いろは: …やちよさん
- やちよ: なに?
- いろは: タルトさんは夢から覚めたあと
- いろは: あの砦の戦いに 勝てたんでしょうか…?
- やちよ: 歴史の本で 調べてみましょうか?
- やちよ: 私たちの記憶が 消えてしまわないうちに…
- いろは: …はい!
- <1429年5月7日 オルレアン近郊、トゥーレル砦>
- <これは“夢のフランス”から目を覚ました ジャンヌ・ダルクが戦った…>
- <“現実世界”のオルレアン解放の記録>
- <すでにジャンヌは、ブルゴーニュ門より オルレアン入りを果たし…>
- <敵対するイングランド軍の足がかりは、事実上 トゥーレル砦を残すのみとなっていた…>
- ジル・ド・レ: 「さあ、ゆけ!」
- ジル・ド・レ: 「聖女の軍旗のもとに 集いし猛者たちよ!」
- ジル・ド・レ: 「このトゥーレル砦の敵を退ければ 悲願のオルレアン解放は、成る!」
- うぉおおーっ!
- ぐはっ!
- ジル・ド・レ: な…あれは!
- リズ・ホークウッド: 現れたわね
- タルト: イングランドの魔法少女…
- コルボー: フフフッ…
- コルボー: 私はコルボー
- コルボー: 分かりやすく言えば…
- コルボー: あんたらの敵だよ!
- FILENAME: text_501513-2.txt
- コルボー: ククク…黒いの
- コルボー: 不甲斐ない聖女様より お前の方が楽しめそうだ
- FILENAME: text_501513-3.txt
- リズ・ホークウッド: ぐっ…!
- タルト: リズッ!
- タルト: うわっ!!
- リズ・ホークウッド: タルト…
- コルボー: そこでおとなしく見てな
- コルボー: まずはお前の目の前で 聖女様を血祭りにあげてやるよ
- リズ・ホークウッド: 貴様っ!
- リズ・ホークウッド: 体が…動かない…
- コルボー: さぁ聖女様 今とどめを刺して…
- ラ・イル: そうはさせるかよっ!!
- コルボー: ただの人間が!
- コルボー: 出る幕じゃないんだよ!!
- ラ・イル: グッ…ハッ!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: お父様! お父様っ!!
- リズ・ホークウッド: いけない! メリッサ!!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: え?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: ―メリッサ― タ…タルト
- タルト: ―タルト― よかった 無事…なんですね…
- <その瞬間、光は…>
- <“希望”はついえた>
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 「タルト!タルトッ!!」
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 「このままじゃタルトもお父様もっ!!」
- リズ・ホークウッド: タルトが…
- リズ・ホークウッド: メリッサを…かばって…
- コルボー: 寂しがることはないさ
- コルボー: すぐにあんたも 後を追わせて…
- <そのとき、奇跡は起きた>
- <第3の魔法少女 メリッサの誕生とともに…>
- リズ・ホークウッド: タルト!
- タルト: 傷が…癒えてる?
- リズ・ホークウッド: メリッサの願いが… 癒したの?
- リズ・ホークウッド: 致命傷を受けた タルトたちを…
- リズ・ホークウッド: メリッサ…どうして?
- メリッサ・ド・ヴィニョル: タルトの進む道は この国のみんなにとって
- メリッサ・ド・ヴィニョル: 希望の光になるんだって… そう思ったから!
- タルト: メリッサ、リズ まだ敵が…!
- リズ・ホークウッド: そうね
- メリッサ・ド・ヴィニョル: はい…!
- メリッサ・ド・ヴィニョル: ―メリッサ― たとえ…この先に どんな運命が待っていようとも
- メリッサ・ド・ヴィニョル: ―メリッサ― 私も魔法少女として 共に戦います!
- FILENAME: text_501513-4.txt
- <1429年5月7日 トゥーレル砦は陥落し>
- <翌日、イングランドはオルレアンを放棄 ここにジャンヌ・ダルクの偉業 オルレアン解放は成った>
- <同時代の詩人 クリスティーヌ・ド・ピザンは 「ジャンヌ・ダルク賛歌」にこう記した>
- <『1429年、太陽は再び輝き始めた…』と>
- いろは: よかった…!
- いろは: タルトさんは願い通りに…
- いろは: フランスに光をもたらすことが できたんですね!
- やちよ: ええ、そうね
- やちよ: キューブの言葉が本当なら 私たち、タルトたちのことを
- やちよ: 徐々に忘れてしまうみたいだけど
- やちよ: …少し、寂しい気がするわね
- いろは: …そうですね
- いろは: あれ…?
- いろは: やちよさん…この 古い本に載ってる“乙女”の絵!
- やちよ: ―やちよ― えっ、これって…!
- やちよ: ―やちよ― ジャンヌ・ダルクの横にいるの …私たち…よね?
- いろは: はい、私たちの 魔法少女姿だと思います…
- やちよ: きっと… あのできごとが原因ね
- ジル・ド・レ: 「恐れるな、兵士たちよ!」
- ジル・ド・レ: 「天の意志は、我らのもとに 再び舞い降りたのだ!」
- ジル・ド・レ: 「神に認められし“乙女”と…」
- ジル・ド・レ: 「新たなるふたりの聖女とともに!」
- やちよ: きっと夢の中のことを タルトが覚えていて
- いろは: 誰かに伝えてくれたんですね
- タルト: いろはさんとやちよさんのこと
- タルト: きっと忘れませんからっ!
- いろは: 私もです、タルトさんっ!
- タルト: ありがとう…!
- やちよ: まあ、私たちだと気づく人は 他にいないと思うけど…
- いろは: ちょっと、恥ずかしいですね
- やちよ: ちょっとどころじゃないわ
- やちよ: …と、まあ
- やちよ: 一時は人類滅亡レベルの 危機だったわけ
- みたま: …ごめんなさいね
- みたま: この本とロウソクは 責任を持って処分しておくから!
- みたま: …わたし、とんでもない おまじないを教えちゃったのねぇ
- いろは: あ、いえ
- いろは: いわくつきだったのは 骨董品のロウソクの方です
- やちよ: おまじない自体は 無害だったみたいよ
- みたま: よかったぁ!
- みたま: ジャンヌ・ダルクの時代に フランスで広まった
- みたま: 古式ゆかしい おまじないだけあるわね!
- やちよ: え…!?
- いろは: ジャンヌ・ダルク?
- みたま: そうよ?
- やちよ: ねえ それって
- やちよ: 私たちが夢の中で教えた おまじないを
- やちよ: メリッサが覚めた後も ぼんやり覚えてて
- やちよ: みんなに広めたんじゃ…?
- いろは: ええっ?
- いろは: でも…あるかも…
- いろは: 私たちの姿が 絵に残ってるくらいですし
- やちよ: 赤と青のロウソクを使うところも いやに具体的なのよね
- いろは: やっぱり、私たちが 流行らせちゃったんでしょうか?
- やちよ: そんな気がするわ…
- いろは: あ、でも…あれ?
- いろは: 待ってください 混乱してきました…!
- やちよ: どうしたの?
- いろは: あの…ですね
- いろは: 私たちが話したおまじないが タルトさんの時代に広まって…
- いろは: それを知ったみたまさんが 私たちにおまじないを教えて…
- いろは: おまじないを教わった私たちが メリッサさんに話して…
- いろは: ふりだしに戻るんですよね?
- やちよ: そうね
- いろは: じゃあ、このおまじない 誰が考えたんですか?
- いろは: 出てくるみんな 伝言ゲームをしただけですよね?
- やちよ: 確かに…あの本にロウソクの 並べ方は書いてなかったし
- やちよ: みんな、聞いた話を伝えただけ…
- やちよ: 誰が考えたわけでもない おまじないが、ぐるぐる回ってる
- やちよ: …………
- やちよ: もしかして…
- やちよ: 歴史が変わっちゃう、大変だって 私たち、走り回ってたけど
- やちよ: 無事に解決することも含めて 最初から決まっていたのかしら?
- いろは: そう言われると、そんな気も…
- やちよ: キューブも言ってたわよね…
- キューブ: むしろキミたちこそが
- キューブ: フランスを救う宿命を負った 救世主なのかもしれないよ?
- いろは: あ、でも…あの本の絵は?
- いろは: 私たちが過去を変えたから
- いろは: 私たちが描かれた、あの絵が 生まれたんじゃないんですか?
- やちよ: …どうかしら?
- やちよ: 私たちが知らなかっただけで
- やちよ: ロウソクをつける前から あった絵なのかもよ…?
- いろは: …………
- やちよ: ………… …………
- やちよ: 分からないことを考えるのは やめましょう…
- みたま: …………?
- La Fin.(おしまい)
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