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CetaFin

Sentimental Gaze (Shizuku) JP text

Nov 27th, 2020 (edited)
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  1. 616801-1_z4eYS
  2. 保澄 雫: ご注文は何にしますか?
  3. 観鳥 令: うーん観鳥さんはホットコーヒーかな
  4. 牧野 郁美: あら!令ちゃんってば大人~
  5. 牧野 郁美: くみはぁ、紅茶っ!
  6. 保澄 雫: はい、少々お待ちください
  7. カランカラン
  8. あやかの声: いらっしゃーい!
  9. 観鳥 令: ん?
  10. 保澄 雫: …………
  11. 雫の声: …お父さん注文お願い
  12. 雫の父の声: ん、はいよ
  13. 毬子 あやか: ちょっと!
  14. 毬子 あやか: それはさすがにボケ殺しだよ!ひどい!
  15. 毬子 あやか: って、あれ
  16. 毬子 あやか: 雫ちゃんの先輩さんたち!
  17. 観鳥 令: あぁ、久しぶりだね毬子ちゃん
  18. 観鳥 令: でも先輩だったのはもう昔の話だよ
  19. 牧野 郁美: 今はぁ、くみたちお友だちだもん
  20. 毬子 あやか: あ~
  21. 毬子 あやか: 確かにふたりの話をするとき前より雫ちゃんの顔ゆるいかも!
  22. 観鳥 令: へぇ、そうなんだだけど意外だねぇ
  23. 観鳥 令: 外で観鳥さんたちのことを話しているなんて
  24. 毬子 あやか: えー!雫ちゃんよく話してるし
  25. 毬子 あやか: とっても優しい人たちだーってもう何千回も聞いてるよ~
  26. 保澄 雫: ちょ、ちょっとあやか…!
  27. 牧野 郁美: えへへ~嬉しいなあ♪
  28. 観鳥 令: でもまぁ、こっちも毬子ちゃんの話は色々聞いてるよ
  29. 毬子 あやか: え!なになになになに!聞きたい!
  30. 観鳥 令: いつも私に笑顔をくれる素敵な友だちだーってね
  31. 保澄 雫: りょ、令さん…!
  32. 毬子 あやか: わーん!相棒おぉぉ!
  33. 保澄 雫: ちょ、近いってあやか…あと声大きい…
  34. 毬子 あやか: あ、ご、ごめんね…!嬉しくてつい…でへへ
  35. 雫の父: 雫
  36. 保澄 雫: あ、うるさくしてごめんなさい…すぐ仕事に戻るね
  37. 雫の父: ああ、いいんだ
  38. 雫の父: そろそろお客様も減ってきたところだ
  39. 雫の父: 後は任せて少し遊んでおいで
  40. 保澄 雫: えっ…でも…
  41. 雫の父: せっかくお友だちが来てくれたんだろう?
  42. 雫の父: こっちは気にしなくても大丈夫だよ
  43. 保澄 雫: ん……ありがとう、お父さん
  44. 毬子 あやか: わーい!じゃあみんなで遊びに行くぞー!
  45. 保澄 雫: 共通の友だち同士が仲良くなるのってちょっぴりこそばゆい
  46. 保澄 雫: あやか、令さん、郁美さんみんな大事な人たちだからみんなで仲良くなれるのは嬉しい
  47. 保澄 雫: それに…
  48. 保澄 雫: かつての関係を思えばこんな風にみんなで話せる日が来たことがどんなに幸せなことか分かる
  49. 保澄 雫: ゆるゆると、ふわふわとこうやって穏やかな日々がいつまでも続いたらいいのに
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  53. 毬子 あやか: ねぇ令ちゃん、そのカメラっていつも持ち歩いてるの?
  54. 観鳥 令: うん、スクープをものにするのにこいつはかかせないからね
  55. 観鳥 令: 肌身離さず持ってるよ
  56. 毬子 あやか: え!それはもしかして寝るときも一緒なやつ!?
  57. 観鳥 令: さすがにそこまでじゃないよ
  58. 毬子 あやか: って、そこは
  59. 毬子 あやか: サッカーボールちゃうねん!ってつっこんでくれなきゃ!
  60. 観鳥 令: え、えぇ…難しいなぁ
  61. 牧野 郁美: 令ちゃんはねくみの写真も撮ってくれるんだよ
  62. 毬子 あやか: 郁美さんの?
  63. 牧野 郁美: うんっ!
  64. 牧野 郁美: ステージの写真は令ちゃんが一番可愛く撮ってくれるからねぇ
  65. 毬子 あやか: ステージ!?もしかして芸人さんだったり!?
  66. 牧野 郁美: ううん、メイド喫茶でメイドさんをしてるんだぁ
  67. 毬子 あやか: えぇ!郁美さんすごい!
  68. 牧野 郁美: えへへ、ありがと~っ!
  69. 牧野 郁美: でもぉ
  70. 牧野 郁美: みんなにきゅーんきゅんの笑顔を届けるところは
  71. 牧野 郁美: 芸人さんと似ているところもあるかもしれないねぇ
  72. 牧野 郁美: なんて言ったら怒られちゃうかな?
  73. 毬子 あやか: ううん!どっちもすごいよ!
  74. 毬子 あやか: うーん、郁美さんのところでメイド修行をするのもありかも…
  75. 牧野 郁美: くみはいつでも大歓迎だよぉ
  76. 牧野 郁美: あとあと、くみのことはぁ
  77. 牧野 郁美: 気軽にいくみんって呼んで欲しいなぁっ!
  78. 毬子 あやか: いくみん?
  79. 毬子 あやか: 昭和のアイドルみたいでなんかいいね!
  80. 牧野 郁美: うーん、昭和は余計かも~
  81. 保澄 雫: …………
  82. 牧野 郁美: 雫ちゃんちの美味しいコーヒーも
  83. 牧野 郁美: みーんなを笑顔にするよね!
  84. 保澄 雫: あ、えっとメイド喫茶ほどではないけど…
  85. 保澄 雫: 笑顔になってもらえたら嬉しい、かな…
  86. 牧野 郁美: 雫ちゃんちのコーヒーはね飲むとほっとするから
  87. 牧野 郁美: くみは好きだなぁ♪
  88. あやかの声: あ!!見て見て見て!!
  89. 保澄 雫: …?
  90. あやかの声: モカウサギだ!!わー!!
  91. 牧野 郁美: モカウサギ!?え!可愛い!
  92. 保澄 雫: 行っちゃった…
  93. 観鳥 令: 若い子に人気らしいね、あれ
  94. 保澄 雫: そんな他人事みたいに…
  95. あやかの声: 令ちゃーん!写真撮ってー!!
  96. 観鳥 令: ああうん、今行くよ
  97. 観鳥 令: 保澄ちゃんも一緒に行く?
  98. 保澄 雫: いや…私はいい、かなちょっと恥ずかしいし
  99. 観鳥 令: ん、分かったじゃあすぐ戻ってくるよ
  100. 保澄 雫: …………
  101. 保澄 雫: (楽しそうだな…)
  102. 保澄 雫: 不満なんて、なにひとつ無い
  103. 保澄 雫: 郁美さんはなかなか話に入れない私を気遣ってわざわざ話を振ってくれた
  104. 保澄 雫: 令さんも、自分から輪に入れない私を思って一緒に行こうと言ってくれた
  105. 保澄 雫: あやかだって場を盛り上げようとしてくれていた
  106. 保澄 雫: それでも私はふとした拍子にぐらりと足場を失ってしまいそうになる
  107. 保澄 雫: それはほんの少しのみんなとの温度差
  108. 保澄 雫: たとえば私がみんなと一緒に写真を撮りたいと思えるような人間だったら起きなかったそんなささいな違い
  109. 保澄 雫: ふわふわと空に浮かんでいくようなそんな感覚に襲われる
  110. 保澄 雫: 私はみんなの中で安心して居られているのかな自然に笑えているのかな
  111. 保澄 雫: なんの問題だってないはずなのにそんな漠然とした思いは私の胸に浮かんでは消えてを繰り返していく
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  115. カランカラン
  116. 牧野 郁美: モカウサギ、可愛かったねぇ
  117. 牧野 郁美: きゅーんきゅんだったよぉ
  118. 毬子 あやか: うんうん!
  119. 毬子 あやか: でもあれだね、なんていうか…
  120. 毬子 あやか: 可愛いより面白かったな!あはは!
  121. 観鳥 令: 楽しそうで何よりだよ
  122. 保澄 雫: …ふふっ
  123. あら雫ちゃん、こんばんは
  124. 保澄 雫: あ、こんばんはいつもありがとうございます
  125. うふふ、こちらこそ
  126. 保澄 雫: あれ、テーブルに置いてあるその石は…?
  127. ああこれは最近占いにはまっていてね
  128. そうだ、良ければ雫ちゃんたちもどうかしら?
  129. どうせ趣味程度だし当たらないとは思うけど、うふふ
  130. 毬子 あやか: はいはい!あたし占って欲しい!
  131. 観鳥 令: まぁ、別に減るもんじゃないし観鳥さんは構わないよ
  132. 牧野 郁美: くみもくみもぉ!
  133. 保澄 雫: うん、私もお願いします…
  134. うふふ、ありがとうね
  135. とても簡単な占いだからすぐに終わるわ
  136. ゴソゴソ
  137. この袋の中から石をひとつ出して…
  138. 毬子 あやか: なんか…
  139. 毬子 あやか: すっごくそれっぽい!!
  140. 牧野 郁美: うんうん!くみもわくわくしてきちゃった!
  141. ふふ、じゃあ始めましょうね
  142. 順番に結果を発表していくわね
  143. まずはあなたから
  144. うん、素敵な出会いがありそうね
  145. 毬子 あやか: えええええええ!
  146. 毬子 あやか: 令ちゃんといくみんに会ってる!当たってるよ!!
  147. 次はあなたね、うーん
  148. 面白いことに遭遇するかもねぇ
  149. 観鳥 令: それは観鳥さんとしては願ったり叶ったりだね
  150. あなたは…
  151. 今日転ぶわね
  152. 牧野 郁美: へ?
  153. はいこれ絆創膏気を付けてね
  154. 牧野 郁美: ええ~!なんかくみの占い雑ぅ~!
  155. 雫ちゃんはっと…んん…
  156. 大事なものを失くしてしまうかもと出ているね
  157. 当分は気を付けた方がいいかもしれないよ
  158. 保澄 雫: …はい
  159. 毬子 あやか: この、ドキドキとワクワク…!あたし、占い師になろうかな…!
  160. 観鳥 令: 変なギャグを飛ばして真剣に聞けそうにないけどね
  161. 牧野 郁美: ねーていうか、くみ転ぶの?
  162. 毬子 あやか: あたし当たってたし!本当に当たるかも!?
  163. 牧野 郁美: えーんくみこわぁい
  164. 保澄 雫: …………
  165. 観鳥 令: まぁ、そこまで気にすることないんじゃない?
  166. 牧野 郁美: そうする!
  167. 牧野 郁美: くみぃ、占いはいいことしか信じないもんっ
  168. 保澄 雫: …………
  169. 雫の父: 雫、ちょっと皿洗いを手伝ってくれないか
  170. 保澄 雫: うん、わかった
  171. パリン
  172. 保澄 雫: あっ…
  173. 雫の父: 雫!大丈夫か?
  174. 保澄 雫: …ごめんマグカップ、割っちゃって
  175. 雫の父: それよりケガは無いか?
  176. 保澄 雫: うん、大丈夫けど…
  177. あぁ、これ雫のお気に入りだったな
  178. 保澄 雫: そう、所詮ただの占い
  179. 保澄 雫: きっといつもならすぐに忘れてしまうようなそんな出来事
  180. 保澄 雫: だから、全然気にしてなんかいない
  181. 保澄 雫: けれど、お気に入りのマグカップが割れたことは私の心にほんの少し暗い影を残していく
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  183. ===============================================
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  185. 保澄 雫: (なんだか、1日にぎやかだったせいか)
  186. 保澄 雫: (自分の部屋にひとりだとすごく静かだな…)
  187. 保澄 雫: (あ、そういえば令さんから借りてた本…)
  188. 保澄 雫: (そろそろ返さなきゃ)
  189. 保澄 雫: …えあれ?ない…?
  190. 保澄 雫: ここに置いておいたはずなのに
  191. 「大事なものを失くしてしまうかも」
  192. 保澄 雫: (…いや、さすがに気のせいだよね…)
  193. ピロン♪
  194. 保澄 雫: …メッセージ?
  195. 毬子 あやか: 聞いて雫ちゃん!帰り道に令ちゃんがスクープ撮ったの!なんか、ひなのさんが背伸び薬の材料を草むらで取ってたとか
  196. 毬子 あやか: しかもそれだけじゃないんだよ!その後、それ見たいくみんがね何にもないところで派手に転んじゃって!占い、大当たりだよね!
  197. 保澄 雫: え…
  198. 保澄 雫: (別に趣味程度って言ってたのに…)
  199. 保澄 雫: (でもこのまま当たり続けたら…私、他にも…)
  200. 保澄 雫: (…考えすぎだよね)
  201. ~~♪~~♪
  202. 保澄 雫: ――っ!?
  203. 保澄 雫: 今度は令さんから電話…?
  204. 観鳥 令: あぁ、保澄ちゃん今大丈夫?
  205. 保澄 雫: は、はい…
  206. 観鳥 令: ん、良かった
  207. 観鳥 令: 突然なんだけど保澄ちゃん、明日空いてる?
  208. 観鳥 令: なんか牧野チャンが
  209. 観鳥 令: 明日までのペア無料券が2枚あるとかで
  210. 観鳥 令: ケーキバイキングに行こうって話になってさ
  211. 保澄 雫: あ…せっかくなんですけど明日は買い出しがあって…
  212. 観鳥 令: そっか、それならまた別の日に遊ぼっか
  213. 保澄 雫: はい…
  214. 保澄 雫: …………
  215. 観鳥 令: …もしかして占いのこと気にしてる?
  216. 保澄 雫: え…
  217. 保澄 雫: あ、あの…あやかからメールがあって…
  218. 観鳥 令: はぁ、やっぱりか
  219. 観鳥 令: 保澄ちゃんさバーナム効果って知ってる?
  220. 保澄 雫: …?
  221. 観鳥 令: まぁ、あの占いを否定する気はないんだけどさ
  222. 観鳥 令: どの占い結果も大体みんなにあてはまるんだよ
  223. 観鳥 令: それで当たったと思うっていう心理学のなんたらとかで
  224. 観鳥 令: まあマギウスが言ってた受け売りだから
  225. 観鳥 令: そんなに詳しくないんだけどね
  226. 観鳥 令: 血液型占いとかが分かりやすい例かな
  227. 保澄 雫: はぁ…
  228. 観鳥 令: それにシャッターチャンスを逃さないのは
  229. 観鳥 令: 観鳥さんの固有魔法だよ
  230. 保澄 雫: じゃあ、郁美さんは…
  231. 観鳥 令: あぁ、牧野チャンは元々抜けてるとこがあるからさ
  232. 観鳥 令: 毬子ちゃんのに関しては
  233. 観鳥 令: 世の中「素敵な出会い」なんて人に限らずいっぱいあるからね
  234. 観鳥 令: だからそう心配することないよ
  235. 保澄 雫: でも、私さっき大事なもの失くしちゃって
  236. 保澄 雫: …その、令さんから借りてた猫の写真集…
  237. 観鳥 令: ん?
  238. 観鳥 令: ああ、それならもう返してもらってるよ
  239. 保澄 雫: え…じゃあ
  240. 観鳥 令: うん、失くしてないよ大丈夫!
  241. 観鳥 令: どう?
  242. 保澄 雫: え…
  243. 観鳥 令: 少しは安心できそう?
  244. 保澄 雫: あ、は、はい…
  245. 観鳥 令: うん、まぁまた今度みんなで遊ぼう
  246. 観鳥 令: んじゃ、おやすみ保澄ちゃん
  247. 保澄 雫: はい、おやすみなさい令さん
  248. 保澄 雫: (そう、だよねきっと気にしすぎなだけ…)
  249. ===============================================
  250. 616801-5_FNr8f.txt
  251. 保澄 雫: (昨日は結局あんまり眠れなかった…)
  252. 保澄 雫: (得意先までコーヒー豆の買い出しって言われたけど)
  253. 保澄 雫: (結構遠いなあ…)
  254. 保澄 雫: (みんなはケーキバイキング行ってるのかな?)
  255. 保澄 雫: (場所は聞かなかったけど)
  256. 保澄 雫: (ここら辺なら栄えてるしケーキ屋さんも多そう…)
  257. 保澄 雫: ん?
  258. 保澄 雫: …あれ、もしかしてあそこにいるの…
  259. 保澄 雫: (みんな…)
  260. 保澄 雫: (ケーキバイキングってこの辺りだったんだ…)
  261. 保澄 雫: (それなら参加してから買い出しでも良かったかな)
  262. 保澄 雫: …あれ?
  263. 保澄 雫: (あぁ、そういえばペア無料券2枚とか…)
  264. 保澄 雫: (私の代わりにひなのさんが来たんだ…)
  265. 保澄 雫: (券、無駄にならなくて良かった)
  266. 保澄 雫: (お得意先のおばさん…)
  267. 保澄 雫: (おしゃべり好きなの忘れてた…)
  268. 保澄 雫: (思ったより時間かかっちゃったな)
  269. 保澄 雫: (もしかしてあっちも終わったのかな)
  270. 保澄 雫: (買い出しも済ませたし)
  271. 保澄 雫: (途中まで一緒に帰ろうかな…)
  272. 牧野 郁美: ねーねー
  273. 牧野 郁美: みんなで写真撮ろうよぉ♪
  274. 観鳥 令: じゃあ観鳥さんが撮ろうか?
  275. 牧野 郁美: ううん、令ちゃんも一緒に写るんだよぉ
  276. 観鳥 令: え、観鳥さんはいいって
  277. 牧野 郁美: はいはい撮るよぉ♪
  278. パシャッ
  279. 保澄 雫: …………
  280. 保澄 雫: 分かってるあそこに居たのが私でもきっと郁美さんは同じことを言う
  281. 保澄 雫: だから私が仲間外れなわけじゃないのは分かっているはずなのに…
  282. 保澄 雫: それでももやもやするこの気持ちはきっとあの4人があまりにも自然だったから
  283. 保澄 雫: 最初からあの4人は一緒に居てまるでそこに私は存在していなかったみたいに
  284. 保澄 雫: それはパズルのピースがはまったようで…
  285. 保澄 雫: じゃあ、そこにはまれなかった私はどうなるの?
  286. 保澄 雫: 片割れであったかもしれないふーにいはもう居ない
  287. 保澄 雫: ぴったりはまったピースの中に私の居場所なんてないそう、昨日撮った写真のように
  288. あやかの声: 令ちゃーん!写真撮ってー!!
  289. 観鳥 令: ああうん、今行くよ
  290. 観鳥 令: 保澄ちゃんも一緒に行く?
  291. 保澄 雫: いや…私はいい、かなちょっと恥ずかしいし
  292. 観鳥 令: ん、分かったじゃあすぐ戻ってくるよ
  293. 保澄 雫: 令さんが撮ったふたりの写真に私は写っていないだけじゃない
  294. 保澄 雫: きっと写真を撮った令さんのことは覚えていたとしてもその写真に関わってすらいない私のことなんてみんな忘れてしまうんだ
  295. 保澄 雫: それもこれも私のせい誘ってくれたのに行かない意気地なしの自分が引き起こしたこと
  296. 保澄 雫: ふわふわと浮いていた私の体は突然、重力に逆らえなくなったみたいに下へ下へと落ちていく
  297. 保澄 雫: 鉛のように重いなにかが胸のあたりに詰まって、取れない
  298. 保澄 雫: 上手く出来ない私を責めるようにそのなにかは鋭い棘をもって私を内側から突き刺してくる
  299. 保澄 雫: (痛い、なぁ)
  300. 保澄 雫: 苦しいよ…ふーにい
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  302. 616801-6_jOosc.txt
  303. 保澄 雫: …………
  304. ???の声: …む、先客か?
  305. 十七夜: …あぁ、君は保澄君、だったかな
  306. 保澄 雫: あ、はい…えと十七夜さん、ですよね
  307. 十七夜: うむ何度か顔を合わせていたな
  308. 十七夜: ところで…保澄君はこんなところで何を?
  309. 保澄 雫: いえ…なんとなく…ひとりに、なりたくて
  310. 十七夜: …確かにここは雑音も少ないし最適かもしれないな
  311. 十七夜: 風や、虫の声に土のにおい自然だけを感じて考え事ができる
  312. 保澄 雫: …………
  313. 保澄 雫: もしかして、十七夜さんもよくここで考え事を…?
  314. 十七夜: ときどきだな
  315. 十七夜: 自然の営みと流転を感じながら死にゆく者のことを考える
  316. 保澄 雫: …………
  317. 十七夜: 世は絶えず流れていつか命も消えるのが摂理だが
  318. 十七夜: 魔法少女や、魔女に巻き込まれ命を落とす者は
  319. 十七夜: その摂理から外れたところで死んでいるんだと
  320. 十七夜: そう思えばこそ守るべき命を実感するだろう
  321. 十七夜: いずれ失われる命であったとしてもな
  322. 保澄 雫: …っ、そういつかはみんないなくなるんです
  323. 十七夜: む…
  324. 十七夜: 保澄君…!
  325. 保澄 雫: それは、どうにも出来ない…
  326. 保澄 雫: …すみません私、行きます
  327. 十七夜: あのソウルジェム…まずいな…
  328. 十七夜: だからこそ自分は今あるものを守りたい
  329. 十七夜: と、伝えたかったのだが…難しいな…
  330. 十七夜: …心配だ八雲に一報入れておこう
  331. 保澄 雫: (あんな態度…良くなかったな…)
  332. 保澄 雫: (私、逃げてばっかりだ)
  333. ピロン♪
  334. 保澄 雫: (メッセージ…?)
  335. 毬子 あやか: ねーねー今お店にいる?今からみんなで行こうと思うんだけど行ってもいいー?
  336. 保澄 雫: …………
  337. 保澄 雫: (なんだか…返信する気になれないな…)
  338. ピロン♪
  339. 保澄 雫: (…また?)
  340. 毬子 あやか: あとあと、今日ひなのさんに会ってねみんなで写真を撮ったんだ!次はみんなで撮ろうね!
  341. 保澄 雫: …………
  342. 保澄 雫: (友だちに友だちが増えて嬉しいはずなのに…)
  343. 保澄 雫: (…私、嫌なやつだ…)
  344. 保澄 雫: (そろそろ帰らなきゃいけないのに)
  345. 保澄 雫: (足が重くて、帰れない)
  346. ~~♪~~♪
  347. 保澄 雫: え…令さん?なんで…
  348. 保澄 雫: …………
  349. ピロン♪
  350. 保澄 雫: ――っ!?
  351. 観鳥 令: 保澄ちゃん、何度も悪いね
  352. 観鳥 令: さっき八雲さん経由で保澄ちゃんを大東で見たって十七夜さんからの連絡があってね
  353. 観鳥 令: 何か考えこんでるようだったって言ってたから少しだけ心配になったんだ買い出しが終わったあとでも落ち着いてからでもいいけどさ良かったらあとで一報くれると嬉しいよ
  354. プツン
  355. 保澄 雫: …………
  356. 保澄 雫: …何で私、逃げてるんだろうスマホの電源を切ってまで…
  357. 保澄 雫: 心配してくれているのに
  358. 保澄 雫: どうしてわざわざ自分から大切な場所を離れるの…?
  359. 保澄 雫: 私は、いつだってそう
  360. 保澄 雫: いつだって自分から大切な場所を離れていたあやかと喧嘩をして逃げていたときもそう
  361. 保澄 雫: 事情が事情とは言え令さんや郁美さんから離れたのも私から
  362. 保澄 雫: 勝手に疑って、勝手に怒って居場所ができても自ら離れるようなそんな私が「居場所が欲しい」なんて願っていいはずがない
  363. 保澄 雫: それに私は自分が何を求めているかすら分かっていないもうみんなに合わせる顔なんてないどこにも、帰れない
  364. 保澄 雫: どうしたって全ては失われる
  365. 保澄 雫: (こんな私には、二度と居場所なんて見つからない)
  366. ===============================================
  367. 616801-7_t6hMf.txt
  368. 保澄 雫: …あれ、ここは…?
  369. ???: あ、起きた
  370. 保澄 雫: え、あなたは…?
  371. ???: そんなことより、ねえ
  372. ???: あなた探しているんでしょう?
  373. ???: 周りが歪んで自分が浮いてしまわない場所を
  374. 保澄 雫: …………
  375. ???: 無理だよ
  376. 保澄 雫: え
  377. ???: 無理だよそんなもの二度と見つからない
  378. 保澄 雫: なんでなんでそんなこと、言うの
  379. ???: アハハ、わかってるでしょう?私の言いたいこと
  380. 保澄 雫: …………
  381. 保澄 雫: ふーにいに会うために魔法少女になって
  382. 保澄 雫: 失ったものは多かった…
  383. 保澄 雫: それでもみんなに出会えて失うばかりじゃないんだって
  384. 保澄 雫: 失ったり、別れたりしても次に繋がるんだって
  385. 保澄 雫: そう、思ってたんだけどな…
  386. ???: だけど私は次に繋がってもそこから逃げてしまう
  387. 保澄 雫: うん…
  388. ???: 自分から捨てるに決まってる
  389. 保澄 雫: そう、そうなの…だから二度と見つからない…
  390. 十七夜: む…
  391. 十七夜: 保澄君…!
  392. 保澄 雫: それは、どうにも出来ない…
  393. 保澄 雫: …すみません私、行きます
  394. 観鳥 令: 何か考えこんでるようだったって言ってたから少しだけ心配になったんだ買い出しが終わったあとでも落ち着いてからでもいいけどさ良かったらあとで一報くれると嬉しいよ
  395. 保澄 雫: (…心配してくれているんだってちゃんと分かってた)
  396. 保澄 雫: (なのに私は…)
  397. ???: 私はね同じ場所には居続けられない
  398. ???: そういう人間なんだよ
  399. 保澄 雫: …………
  400. ???: 大事な場所なんて作るから失うことが悲しくなるの
  401. ???: 一所に留まろうとしないでさずっと探し続けようよ
  402. 保澄 雫: …………へ?
  403. ???: 理想を追い求めてどこまでも風のように走り続けるの
  404. ???: 案外悪くないと思うよ旅をしてみるのも
  405. 保澄 雫: 旅…?ふーにいみたいに?
  406. ???: そう!
  407. ???: だから今の場所なんてもう要らない
  408. ???: どうせ自分から捨ててしまうんだから
  409. ???: 全部壊してから旅に出よう
  410. 保澄 雫: 壊す…?
  411. ???: そう!だって要らないでしょ?
  412. ???: 私の居場所じゃないんだから
  413. 保澄 雫: …でも
  414. ===============================================
  415. 616801-8_EBqLb.txt
  416. 保澄 雫: …でも
  417. 保澄 雫: 全部捨てて旅に出たとして
  418. 保澄 雫: 旅を続けていたら、いつか居場所を見つけられるのかな…
  419. ???: 言ったでしょ二度と見つからないって
  420. ???: そもそも自分から捨てるだけじゃなく
  421. ???: 自分が何を求めているのかも分からないんだから
  422. ???: そんなんで居場所なんて見つかるわけないでしょう?
  423. 保澄 雫: 私が求めているもの…
  424. 保澄 雫: あやかのような底抜けに明るいそんな存在になりたいわけじゃない
  425. 保澄 雫: 令さんのような余裕ある人になりたいわけでも郁美さんのようにみんなを笑顔に出来る人になりたいわけでもない
  426. 保澄 雫: …………
  427. ???: 何をもって不満かもわからないのに
  428. ???: 今居るところに不満を抱くなんて傲慢以外の何物でもないよね
  429. 保澄 雫: 不満だなんて言ってない!
  430. ???: 同じことだよ
  431. ???: だって
  432. ???: 今に100点をあげられないからここにいるんでしょ
  433. ???: 贅沢な悩みだね
  434. 保澄 雫: …っ
  435. ???: どんな自分で在りたいかどんなものが欲しいのか
  436. ???: そんなことも分からずにただ欲しい欲しいと言い続け
  437. ???: 少しでも気に入らなかったら自ら大切なものから逃げ出す
  438. ???: これをわがままと言わずになんと呼べって?
  439. ???: だから私は探し続けるだけ
  440. ???: ずーっと答えの無いものを死ぬまで探し続けるの
  441. ???: …私の姿、見せてあげる
  442. 保澄 雫: ―雫―これ、が…?
  443. ???: ―???―どう?探しても探しても見つからない
  444. ???: ―???―そんなものをずっと探し続けるの
  445. ???: ―???―これが私だよ!
  446. ???: ね?これで分かったでしょう?
  447. ???: どうせ見つけられないなら早くここじゃないところに行こう
  448. ???: 今すぐ今の場所なんて捨ててさ一緒に旅に出よう!
  449. ???: きっとその方がもっとずっと幸せになれる!
  450. 保澄 雫: …ありがとう
  451. 保澄 雫: 私、やっと分かったよ
  452. ===============================================
  453. 616801-9_tNge9.txt
  454. ???: ふん、わかったならいいの
  455. 保澄 雫: 私、やっぱり一緒には行けないや
  456. ???: は?私の話聞いてた?
  457. ???: あんたは大事なものを見つけても自分から離れるんだから
  458. ???: 大事なものを増やすほど失うことも悲しむことも増える
  459. ???: 何より!あんたは探すべきものすら…!
  460. 保澄 雫: …確かに、あなたの言う通り…
  461. 保澄 雫: 失うのは怖いし自分から離れていくし
  462. 保澄 雫: 自分の求めるものもわからない
  463. 保澄 雫: だけど、それでも…!初めからあきらめたくないの…
  464. 保澄 雫: もしかしたら、一生答えは見つからないのかもしれないけど
  465. 保澄 雫: もう二度と居場所を見つけられないかもしれないけど
  466. 保澄 雫: それなら、尚更…
  467. 保澄 雫: 今あるものを大切にしないといけないと思うから…
  468. 保澄 雫: だから私は自分を蝕むこの不安を受け入れて
  469. 保澄 雫: もう少し探してみる自分自身のことを…
  470. ???: …自分の言ってることわかってんの?
  471. 保澄 雫: うん、わかってるつもり
  472. 保澄 雫: それに全部いつかはなくなるの
  473. 保澄 雫: 命にも、繋がりにも終わりがあるから…
  474. 保澄 雫: それはきっと避けられない私たち魔法少女は特に…
  475. ???: …………
  476. 保澄 雫: …それなら、今手が届くみんなを大事にするべきなんだよ
  477. 保澄 雫: だから今の私にできることは
  478. 保澄 雫: それを大切にすること見失わないこと
  479. 保澄 雫: あなたに言われて気付けたのありがとう
  480. ???: …っ
  481. 保澄 雫: いつかくるお別れを嘆くより今あるものを大切にしようって
  482. 保澄 雫: 守っていこうってそう、思ったから…どうかな?
  483. ???: …あんたにはどうせ無理いつか絶対こっちに来るよ
  484. ???: 絶対に同じ過ちを繰り返す
  485. ???: まぁ、どうせ来るんだろうからもう少し、待ってあげる
  486. 保澄 雫: ふふ、あなた良い人だね
  487. ???: は!何言ってんだか!
  488. ???: 私は熟すのを待つだけあんたのためじゃない
  489. ???: ほら、さっさと行きなよわからずや
  490. 保澄 雫: うん、さようなら
  491. 保澄 雫: ん…んぅ
  492. 毬子 あやか: 雫ちゃん起きた!!
  493. 保澄 雫: え…何…
  494. 毬子 あやか: 何、じゃないでしょうが!
  495. 毬子 あやか: この、この…おばかが~!
  496. 牧野 郁美: ほんとだよ!みんな心配してたんだから!
  497. 保澄 雫: えっと…
  498. 観鳥 令: 保澄ちゃん全然返事ないどころか
  499. 観鳥 令: 途中から電話も繋がらなくなったから
  500. 観鳥 令: さすがの観鳥さんも肝を冷やしたよ…
  501. 保澄 雫: …あ!
  502. 保澄 雫: (そうだ、私…)
  503. みたま: ドッペル化した場所が良かったわね
  504. 保澄 雫: みたまさん…
  505. みたま: 十七夜から連絡があって驚いたわぁ
  506. みたま: それもソウルジェム真っ黒でふらふらしてるって言うから
  507. 保澄 雫: う…心配かけてごめんなさい…
  508. みたま: ほんとよぉ…
  509. みたま: あ、あとね十七夜から伝言があるの
  510. 十七夜: 保澄君には多くの仲間がいる辛いことがあれば頼れきっとそういったことから保澄君の悩みは晴れていくのだと思う
  511. 十七夜: その仲間には自分も勘定にいれてもらって構わない同業者としてこれからもよろしく頼むぞ
  512. 保澄 雫: 同業者…?
  513. 牧野 郁美: 十七夜さんもメイド喫茶で働いてるんだよ
  514. 観鳥 令: 同じ喫茶店でも同業者と言えるのかは
  515. 観鳥 令: 少し怪しいけどね
  516. みたま: 今度カフェに行けば割引してくれるとも言ってたわぁ
  517. 十七夜: うぇっくし…!
  518. 店長: あらやだもー何そのくしゃみ~
  519. 十七夜: うむ…
  520. 十七夜: 誰かが自分の噂をしているようだな
  521. 店長: 1回なら良い噂ってよく言うわよねぇ
  522. 十七夜: む…そうかそれは嬉しいな
  523. 保澄 雫: …え?
  524. みたま: ふふじゃあ今日はもう休んで…
  525. 毬子 あやか: あ!!!!!!雫ちゃん!帰るよ!
  526. 保澄 雫: へ?
  527. みたま: いや、安静にって!
  528. 毬子 あやか: だいじょーぶだいじょーぶ!
  529. 観鳥 令: えーっと、悪いね!
  530. 牧野 郁美: みたまさん!ごめん!
  531. みたま: なんなのよもう…
  532. みたま: …ふふ、気を付けてねえ
  533.  
  534. ===============================================
  535. 616801-10_PQWqj.txt
  536. 保澄 雫: えっと…なんで…
  537. 毬子 あやか: いまからひなのさんもここに来るんだ!
  538. 保澄 雫: え…
  539. 観鳥 令: ひなのさんってば雫ちゃん捜索中に池に落ちて
  540. 観鳥 令: 一旦着替えてくるってさ
  541. 保澄 雫: えぇ…
  542. 観鳥 令: ケーキバイキングで保澄ちゃんの話したら
  543. 観鳥 令: ひなのさん、保澄ちゃんと仲良くなりたいって
  544. 牧野 郁美: そーそーお前らばっかずるい~って
  545. 牧野 郁美: 駄々こねちゃってぇ
  546. 保澄 雫: ふふ
  547. 牧野 郁美: って言ってもあやかちゃんちょっと早かったかな
  548. 毬子 あやか: あ~毬子あやか痛恨のミス!
  549. 毬子 あやか: これは空振り三振ホームラン~
  550. 毬子 あやか: …ってぇ、ここは
  551. 毬子 あやか: なんだそれ知ってる単語全部集めただけやないかい!
  552. 毬子 あやか: って、つっこんでくれなきゃ!
  553. 観鳥 令: うーんやっぱり難しいなぁ
  554. 保澄 雫: あ、じゃあ、ひなのさん来るまで少しお茶でもする?
  555. 保澄 雫: 準備するよ
  556. 毬子 あやか: わ!天才現る!
  557. 毬子 あやか: あ、でもでも雫ちゃん身体は大丈夫なの?
  558. 保澄 雫: 連れ出しといてよく言うよ
  559. 毬子 あやか: うう…
  560. 保澄 雫: なんて冗談もう大丈夫だよ
  561. 保澄 雫: じゃあご注文は何にしますか?
  562. 観鳥 令: ―令―観鳥さんはホットコーヒーで
  563. 毬子 あやか: ―あやか―わ!渋い!大人!いくつ!?
  564. 牧野 郁美: ―郁美―くみは紅茶でぇあ、ちなみに令ちゃんは中3だよ
  565. 毬子 あやか: ―あやか―聞き捨てならない衝撃の事実!!
  566. 牧野 郁美: ―郁美―あやかちゃんは何飲むのぉ?
  567. 毬子 あやか: ―あやか―あ、えっ、えっとねぇ
  568. 保澄 雫: ―雫―…はみだしもののメロンソーダ
  569. 毬子 あやか: ―あやか―え!大当たりだよ!どうして!?雫ちゃんエスパーなの!?
  570. 保澄 雫: ―雫―ふふ、どうでしょう
  571. 保澄 雫: こうして人の輪が広がっていくいつか来るお別れは避けられないけれど私は今、こうしてみんなと一緒にいる
  572. 保澄 雫: この場所でどう在りたいのかどんな居場所を求めているのか今はまだわからないし私はこれからもそれを探し続けることになる
  573. 保澄 雫: …ずっと答えは出ないのかもしれないしあの子が言ったようにもう二度と今のような居場所は見つからないのかもしれない
  574. 保澄 雫: それらの不安を完全に拭い去ることはきっと出来ないのだと思う
  575. 保澄 雫: だけど今はもう少しこのままこうして楽しそうなみんなを見つめて笑っていられるのならそれでいいのかもしれない
  576. 都 ひなの: こんにちはー!来たぞー!
  577. 毬子 あやか: わ!やっほー!
  578. 保澄 雫: あ、こんにちは
  579. 都 ひなの: おお!後輩がいつも世話になってるな
  580. 毬子 あやか: え、ちっちゃいのに先輩なの!?
  581. 都 ひなの: こら!ちっちゃい言うな!
  582. 都 ひなの: アタシは花も恥じらう18歳だぁ~!
  583. 毬子 あやか: ぎゃー!ごめんなさい~!
  584. 牧野 郁美: なんかごめんねぇうるさくって
  585. 毬子 あやか: まぁ、今はお客さんもいないから…
  586. ひなのの声: 郁美!手伝え!ちょっとこいつをこらしめる!
  587. 牧野 郁美: えぇ~くみぃ乱暴は良くないと思うけどぉ
  588. 牧野 郁美: 楽しそうだから参加しよーっと♪
  589. あやかの声: 弱い者いじめ反対!ちょ、雫ちゃんヘルプ!
  590. 保澄 雫: ふふふ
  591. パシャッ
  592. 観鳥 令: (うん、良い笑顔だね保澄ちゃん)
  593. ひなのの声: おい令!お前もちょっとこっち来てくれ!
  594. あやかの声: ひぇ!くすぐった、まっ助けてぇぇ!
  595. 観鳥 令: へいへい今行きますよー
  596. 保澄 雫: え、ちょっ!あやか暴れないでって
  597. 保澄 雫: もう…ふふしょうがないなぁ
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