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- FILENAME: text_330571-1.txt
- 真井 あかり: …………
- 由良 蛍: すぅ…すぅ…
- 真井 あかり: まったく…
- 真井 あかり: 起きなさい!
- 由良 蛍: ん~…まだ寝たいよぉ~…
- 真井 あかり: もう放課後よ みんな、いないでしょ?
- 由良 蛍: …えぇ~…そんな時間なのぉ~…
- 真井 あかり: 他の人は 部活や委員会があるもの
- 由良 蛍: それもそっかぁ~…
- 真井 あかり: さぁ、私たちも帰りましょう
- 由良 蛍: …あかりぃ~ “ぷちうさ”落としたよぉ~…
- 由良 蛍: ほら、カバンのやつぅ~…
- 真井 あかり: あっ! ありがとう…!
- 真井 あかり: 失くさなくて、よかった
- 由良 蛍: 好きだねぇ~…ぷちうさぁ~…
- 真井 あかり: だって、ぷちうさは
- 真井 あかり: 陽斗(はると)お兄さんが
- 真井 あかり: 私のために 描いてくれたウサギさんだから
- 由良 蛍: あ~…そっかぁ…
- 由良 蛍: あかりの大好きな 陽斗お兄さんが作ったぁ…
- 由良 蛍: キャラだったんだっけぇ~…
- 真井 あかり: か、からかわないで…!
- 由良 蛍: からかってないよぉ~…
- 由良 蛍: あかりが気に入ったからってぇ… 商品展開までしちゃうなんてぇ~
- 由良 蛍: さすが二階堂家の跡取りだなぁ~ …ってぇ~…思っただけぇ~…
- 真井 あかり: からかってるじゃない!
- 真井 あかり: それに、ぷちうさを 描いてくれたのは
- 真井 あかり: 私が幼稚園くらいのときだし…
- 真井 あかり: 商品化するって決めたのは 二階堂のおじ様だし…
- 真井 あかり: ちゃんと人気も出て 売れてるもの!
- 由良 蛍: でもぉ~… 嬉しかったんでしょ~…?
- 真井 あかり: …まぁね
- 真井 あかり: あの頃から、陽斗お兄さんが 好きだったから…
- 由良 蛍: そんな前からなんだぁ~…? 知らなかったぁ~…
- 真井 あかり: あれ? 話してなかったかしら?
- 真井 あかり: じゃあ、魔法少女になった 理由も?
- 由良 蛍: 聞いたことないよぉ~…
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: じゃあ、話してあげる 蛍の願いも聞いちゃったし
- 由良 蛍: あれはぁ~…う~ん… 大したことじゃないけどぉ~…
- 由良 蛍: 話してくれるなら聞くぅ~…
- 真井 あかり: 寝ないでね?
- 由良 蛍: 話を聞いてる間は寝ないよぉ~…
- FILENAME: text_330571-2.txt
- 真井 あかり: 私が生まれたときから 私のことを見てきたせいで
- 真井 あかり: 陽斗お兄さんは、私のことを ずっと“妹扱い”してくるの…
- 由良 蛍: まぁ~…実際妹だよねぇ~…
- 由良 蛍: 遠縁の親戚とはいえ…
- 由良 蛍: 家族ぐるみの 付き合いなんでしょ~…?
- 真井 あかり: それは、そうだけど…
- 真井 あかり: とにかくっ!
- 真井 あかり: 私が魔法少女になったのは
- 真井 あかり: 陽斗お兄さんが 高校生になったすぐ後だったの
- 真井 あかり: おはよう 陽斗お兄さん!
- 二階堂 陽斗: おはよう、あかり 今日も早いね
- 真井 あかり: ちゃんと自分で起きたのよ
- 真井 あかり: それより… はい、これ!
- 二階堂 陽斗: クッキー?
- 真井 あかり: 昨日、ひとりで焼いたの 陽斗お兄さんにあげる
- 二階堂 陽斗: ありがとう
- 二階堂 陽斗: なんでも積極的に取り組んで えらいね、あかり
- 二階堂 陽斗: クラスでも頼りにされてるって 聞いたよ
- 真井 あかり: えへへ~…
- 真井 あかり: 自分にできることを しているだけなんだけどねぇ…
- 二階堂 陽斗: このままだとあっという間に 大人になっちゃいそうだ
- 真井 あかり: (…ということは、いまは 子どもだと思われてるのね)
- 真井 あかり: 『陽斗お兄さんは 私のことをたくさん褒めてくれるけど』
- 真井 あかり: 『それは結局、陽斗お兄さんにとって 私が妹みたいなものだから』
- 真井 あかり: 『“えらいね”も“頑張ったね”も 年の離れた妹の成長を喜んでいるだけ…』
- 真井 あかり: 『あの頃は、いまより焦ってた ひとりの女の子として見てほしい、って 気持ちが強かったのよね…』
- 真井 あかり: ねぇ、陽斗お兄さん 高校はどう?楽しい?
- 二階堂 陽斗: うん、楽しいよ 部活も始めたから…
- 二階堂 陽斗: あっ、そうだった
- 二階堂 陽斗: 明日から、 部活の朝練が始まるんだ
- 二階堂 陽斗: 放課後の活動も本格的に 始まるらしくて
- 真井 あかり: …ん?
- 二階堂 陽斗: ごめんね、 時間が合わないから
- 二階堂 陽斗: 明日からは 送り迎えしてあげられないんだ…
- 真井 あかり: えっ…!?
- 真井 あかり: (送り迎えって…一緒に 登校してるつもりだったのに!)
- 真井 あかり: (…じゃなくて)
- 真井 あかり: 私、早く起きられるし 帰りは待ってるから大丈夫よ
- 二階堂 陽斗: 無理して、お兄さんに 合わせなくていいんだよ
- 真井 あかり: …合わせてるわけじゃないもん
- 二階堂 陽斗: ひとりで登下校するのが不安なら 父さんに頼んで送迎の車を…
- 真井 あかり: もうっ!大丈夫! 学校くらいひとりで行けるわよ!
- 真井 あかり: 『一緒に登下校ができないだけでも 悲しかったのに…』
- 真井 あかり: 『少ししたらある噂が 私のところに届いたの』
- あかりちゃんのお兄ちゃんって 同じ部活のマネージャーさんと
- 付き合ってるの?
- 真井 あかり: …………えっ?
- いい雰囲気だって 言ってる子がいたから
- あかりちゃんなら 知ってるかなぁって
- 真井 あかり: (は、陽斗お兄さんに 恋人…!?)
- 真井 あかり: …………
- 「秘密のヒロイン・ミミカル☆ミミコ! ホントは小学生だけど 変身すると大人のお姉さんになっちゃうの!」
- 「でも、このことは 誰にも言えない秘密なんだ!」
- 真井 あかり: …………… ……………
- あかりの母: あかり? どうしたの?
- あかりの母: 大好きなミミコちゃん 終わっちゃったわよ?
- 真井 あかり: あ、うん…
- 真井 あかり: (私も、 大人になれたらいいのに…)
- 真井 あかり: (…今日はウサギさん当番だから ウサギさんに癒してもらおう)
- 真井 あかり: ふふっ 今日も可愛いね!
- 真井 あかり: モフモフしてて温かくて… 大好き!
- 真井 あかり: (いつも寝てばっかりの ネネうさちゃんが)
- 真井 あかり: (ちゃんとご飯食べるか見てたら 遅くなっちゃった…)
- 真井 あかり: (ウサギさん当番の間は 遅くなるから一緒に帰れるって)
- 真井 あかり: (陽斗お兄さんに 言ってみようかな)
- 真井 あかり: (噂も気になるし…)
- 真井 あかり: は、陽斗お兄さん!?
- 真井 あかり: (一緒に誰かいる…! か、隠れないと!)
- ごめんね、二階堂くん 送ってもらうことになっちゃって
- 二階堂 陽斗: 気にしないで
- 二階堂 陽斗: 暗くなってきて危ないし 帰る方向も同じだから
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: (仲、良さそうだった…)
- 真井 あかり: (やっぱり、お兄さんも 同い年の子がいいんだ…)
- キュゥべえ: はじめまして、 真井あかり
- 真井 あかり: ――っ!?
- FILENAME: text_330571-3.txt
- キュゥべえ: はじめまして、 真井あかり
- 真井 あかり: ――っ!?
- 真井 あかり: な、何!? ぬいぐるみが喋ってる…?
- キュゥべえ: ボクの名前はキュゥべえ
- キュゥべえ: あかり、キミに 魔法少女になってほしいんだ
- 真井 あかり: えっ…?
- キュゥべえ: 魔法少女になってくれるなら
- キュゥべえ: キミの願いごとをなんでもひとつ 叶えてあげるよ
- 真井 あかり: 願いを、叶える…?
- キュゥべえ: その代わり、魔女と 戦ってもらうことになるけどね
- キュゥべえ: 魔法少女になって魔女と戦う 使命を受け入れてくれるなら
- キュゥべえ: どんな願いだって 叶えてあげられるよ
- 真井 あかり: どんな願いでも…
- 真井 あかり: 『このとき… ミミコちゃんのことを思い出したの』
- 真井 あかり: 『ミミコちゃんみたいに 大人のお姉さんに… お兄さんと同じ16歳に変身できたらって』
- キュゥべえ: キミには 叶えたい願いがあるかい?
- 真井 あかり: うん…
- 真井 あかり: 『この後、いろいろ質問したけど キュゥべえは真面目に答えてくれたから うそじゃなさそう、って思っちゃって』
- 真井 あかり: 『本当はもっと考えてから お願いをすればよかったんだけど』
- 真井 あかり: 『このチャンスを逃しちゃいけないって 焦っちゃったのよね…』
- 真井 あかり: 私を…ミミコちゃんみたいに 16歳に変身させて!
- キュゥべえ: 契約は成立だ
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: あっ…!すごい! 本当にお姉さんになった…!
- 真井 あかり: (これで、もう陽斗お兄さんに 子ども扱いされない…!)
- 真井 あかり: ありがとう、キュゥべえ!
- 真井 あかり: さっそくお兄さんのところに 行って来るね!
- 真井 あかり: …あっ!でも、この格好のまま お兄さんに会うのはちょっと…
- 真井 あかり: とりあえず変身を解いて…!
- 真井 あかり: …………えっ?
- 真井 あかり: 小学生に戻ってる…? どうして…?
- キュゥべえ: それは当然だよ
- キュゥべえ: キミの願いはミミコのように
- キュゥべえ: 16歳の魔法少女に変身すること だったじゃないか
- 真井 あかり: …小学生に戻るところも ミミコちゃんと同じなの!?
- キュゥべえ: もちろん同じさ
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: キュゥべえ… その、お願いのやり直しは…
- キュゥべえ: 悪いけど それはできない
- 真井 あかり: 間違えちゃっても…?
- キュゥべえ: ひとつだけだって言ったはずだよ
- 真井 あかり: そ、そんなぁ…!
- 真井 あかり: こういうのを後の祭りって 言うのよね…
- 由良 蛍: そうだねぇ~…
- 由良 蛍: でもぉ…あかりがいきなりぃ… 16歳になっちゃったらぁ…
- 由良 蛍: 大騒ぎにぃ…なっちゃうしぃ~…
- 由良 蛍: 周りのぉ…認識も込みでぇ~…
- 由良 蛍: 私を最初から 16歳だったことにしてほしい
- 由良 蛍: …ってぇ…願うのがぁ… 正解だったかもねぇ~…
- 真井 あかり: うん… 私の考えが足りなかったの
- 真井 あかり: 私は陽斗お兄さんに
- 真井 あかり: 私を…“真井あかり”を 好きになってほしかったのに
- 真井 あかり: いきなり16歳になった私の姿で 会ったって
- 真井 あかり: お兄さんにとっては 知らない女の子に見えるし
- 真井 あかり: 普段は小学生のままだから 結局、妹扱いのままだもの
- 由良 蛍: …………
- 真井 あかり: それにね
- 真井 あかり: 部活のマネージャーさんとの ことも誤解だったの…
- 由良 蛍: ん~…だろうねぇ~…
- 由良 蛍: 二階堂くん… 誰にでも優しそうだしぃ~…
- 真井 あかり: そうなのよね…
- 由良 蛍: ん~…それも良し悪しだねぇ~…
- 真井 あかり: でもね、願いを間違えたからって
- 真井 あかり: 魔法少女の使命から 逃げられないことは
- 真井 あかり: 蛍も知っているわよね?
- 由良 蛍: ん~…骨身にしみてるぅ~…
- 真井 あかり: 当然、魔女退治が ついて回るわけだけど…
- 真井 あかり: …………
- キュゥべえ: ただ見回しても 魔女の痕跡は見つからないよ
- キュゥべえ: 魔力を探らないとね
- 真井 あかり: いまは、魔女じゃなくて 人を警戒してるの…!
- 真井 あかり: 夜、小学生がひとりで歩いてると 補導されちゃうんだから
- キュゥべえ: それなら 変身すればいいじゃないか
- 真井 あかり: ミミコちゃんのコスプレみたいで 逆に目立っちゃうでしょ!
- 真井 あかり: えっと…周囲に人影は…えっ?
- 真井 あかり: 陽斗お兄さん…? なんだか様子が変…?
- キュゥべえ: 大変だ!魔女の口づけを 受けているみたいだ
- キュゥべえ: このままだと彼の命は 危険にさらされることになる
- 真井 あかり: 大変…! 助けないと…!
- 真井 あかり: (さっと行って、保護して… 路地裏に戻れば…!)
- キュゥべえ: 誰にも見られず、 連れてくることができたね
- 真井 あかり: 倒れたはずみに 気を失っちゃったけど…
- キュゥべえ: 彼を助けたいなら 魔女を倒すしかない
- 真井 あかり: でも、魔女の結界は…?
- 真井 あかり: 見つけた!
- FILENAME: text_330571-4.txt
- 真井 あかり: …とどめよ! えいっ!
- 真井 あかり: 陽斗お兄さんは!?
- 真井 あかり: …気絶したままだけど無事ね
- キュゥべえ: お疲れ様、あかり
- キュゥべえ: 初めての戦いとしては 上出来だったよ
- 二階堂 陽斗: …………うっ…
- 真井 あかり: あっ! 気がついた…?
- 二階堂 陽斗: …僕は、一体…?
- 真井 あかり: えっと、体調が悪そうだったから 介抱していたの…
- 真井 あかり: どこか痛いとか苦しいとかない?
- 二階堂 陽斗: …………
- 真井 あかり: …えっ!? ほ、本当に大丈夫…?
- 二階堂 陽斗: …あっ 大丈夫、だと思います
- 二階堂 陽斗: ご迷惑をおかけしてしまって 申し訳ありません…
- 真井 あかり: そんなこと気にしないで
- 真井 あかり: お兄… あなたが無事でよかったわ
- 真井 あかり: (陽斗お兄さん 私だって気づいてないわね…)
- 真井 あかり: (当たり前だけど、 普通に考えれば)
- 真井 あかり: (11歳から16歳になるなんて 思わないだろうし…)
- 真井 あかり: でも、念のため 病院に行った方がいいかも
- 二階堂 陽斗: …あっ、そうですね
- 二階堂 陽斗: 助けてくださっただけではなく ここまで気にかけてくれるなんて
- 二階堂 陽斗: 本当になんて お礼を言えばいいか…
- 真井 あかり: 全然、気にしなくていいのよ 当たり前のことをしただけだもの
- 真井 あかり: (…うぅ、いつもと違うと 調子が狂うわ…)
- 二階堂 陽斗: あの… お名前を伺ってもいいですか?
- 真井 あかり: えっ…?
- 二階堂 陽斗: そ、その後日 ちゃんとお礼をしたくて…
- 真井 あかり: え、えっと…
- 真井 あかり: (ど、どうしよう… 真井あかりとは、言えない…)
- 二階堂 陽斗: すみません…
- 二階堂 陽斗: かえってご迷惑でしたら その…気にしないでください…
- 真井 あかり: 迷惑じゃないわ!
- 真井 あかり: …でも、その…ちょっと事情が…
- 二階堂 陽斗: ご事情が…?
- 真井 あかり: わ、私、女優の卵で …まだデビュー前なんだけど
- 真井 あかり: その、今日も実はドラマの撮影を 近くでしてて…それで…
- 二階堂 陽斗: 撮影…
- 二階堂 陽斗: …あっ、 それでその格好なんですね…
- 真井 あかり: そ、そうね…そんな感じよ
- 二階堂 陽斗: えっと…よかったら上着、どうぞ …寒くなってきましたから
- 真井 あかり: (あっ、えっ? …優しい!)
- 真井 あかり: えへへ~…
- 真井 あかり: (…じゃなかった!)
- 真井 あかり: ありがとう
- 真井 あかり: じゃあ、私はこれで…
- 二階堂 陽斗: はい 本当にありがとうございました
- 真井 あかり: 『この出会いが あとであんなにややこしいことになるなんて このときは思いもしなかったわ』
- 真井 あかり: 違うの…!私は本当の意味で 16歳になりたかったの!
- FILENAME: text_330572-1.txt
- 真井 あかり: 『16歳の姿で陽斗お兄さんに会った翌日 お兄さんのお家に 様子を見に行くことにしたの』
- 真井 あかり: 『もしかしたら 私だって気づいちゃってるかもって…』
- 真井 あかり: 『気づいてほしいような… 気づいてほしくないような気持ちで…』
- 真井 あかり: 陽斗お兄さん こんばんは…
- 二階堂 陽斗: …………
- 真井 あかり: お兄さん…?
- 二階堂 陽斗: …あぁ、 こんばんは、あかり
- 二階堂 陽斗: 宿題でわからないところでも あった?
- 真井 あかり: ううん、そうじゃなくて これ…
- 二階堂 陽斗: 制服の上着…?
- 二階堂 陽斗: あっ、昨日あの人にあげた…
- 二階堂 陽斗: どうして、あかりが?
- 真井 あかり: え、えっと…
- 真井 あかり: 学校の校門で知らない女の人から 預かったの
- 真井 あかり: お兄さんの名前が 書いてあったから…
- 二階堂 陽斗: そうだったんだ わざわざありがとう
- 真井 あかり: 『…まぁ、気づくどころか 疑ってる様子もなかったんだけどね…』
- 二階堂 陽斗: …そっか 昨日の人が…
- 真井 あかり: (お兄さん…? なんか、変…?)
- 真井 あかり: (ちょっと探りを 入れてみようかな…)
- 真井 あかり: …その人と何かあったの?
- 二階堂 陽斗: えっ…?
- 二階堂 陽斗: あはは…助けてもらっただけだよ
- 真井 あかり: 本当に…? なんだかいつもと違うけど…
- 二階堂 陽斗: うん、本当に… 何もないんだけど…
- 二階堂 陽斗: ただ、見ず知らずの人なのに すごく親身になってくれて
- 二階堂 陽斗: 気遣ってくれたんだ…
- 二階堂 陽斗: それがすごく…
- 真井 あかり: すごく?
- 二階堂 陽斗: 素敵だったなって…
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: (ちょっと待って… ウソでしょ…?まさか…)
- 二階堂 陽斗: それに、なんだか 初めて会った気がしなくて…
- 二階堂 陽斗: また、会えたら…いいなぁって…
- 真井 あかり: 好きに、なっちゃったの…?
- 二階堂 陽斗: ――っ!?
- 二階堂 陽斗: いや…その…えっと…
- 真井 あかり: お兄さん…お顔、真っ赤よ…?
- 二階堂 陽斗: あかり… お兄さんをあまりからかわないで
- 二階堂 陽斗: 僕も…えっとね… 結構…いっぱいいっぱいなんだ…
- 二階堂 陽斗: 恋なんて初めてで…
- 真井 あかり: (鈍感で全然私の気持ちに 気づいてくれないお兄さんが…)
- 真井 あかり: (16歳の私に、恋…!?)
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- 真井 あかり: (鈍感で全然私の気持ちに 気づいてくれないお兄さんが…)
- 真井 あかり: (16歳の私に、恋…!?)
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: じゃあ、私帰るね…
- 二階堂 陽斗: 送ってくよ もう暗いから
- 真井 あかり: …………そうだね 暗いものね…
- 真井 あかり: しばらくは ずっとぼんやりしていたわ
- 真井 あかり: 喜べばいいのか 悲しめばいいのかわからなくて…
- 由良 蛍: ん~…んん~… う~ん…複雑だねぇ~…
- 由良 蛍: 私があかりだったとしてもぉ… パニックになりそう~…
- 真井 あかり: 実際なったわね
- 真井 あかり: 結局、お兄さんが好きなのは 私じゃない私なんだもの…
- 由良 蛍: それなのにぃ~…
- 由良 蛍: 嫌いになったりぃ…諦めたりはぁ しなかったんだぁ~…?
- 真井 あかり: …あのね
- 真井 あかり: 恋ってそんな簡単に 諦められるものじゃないの!
- 真井 あかり: 鈍いところは ちょっと気に入らないけど…
- 真井 あかり: でも、好きなところの方が いっぱいあるから
- 真井 あかり: ふとしたときに 思い出しちゃうの…!
- 由良 蛍: ふ~ん…? 好きなところをぉ~…?
- 真井 あかり: ピンときてないわね…
- 真井 あかり: いいわ
- 真井 あかり: 陽斗お兄さんのどんなところが 好きなのか
- 真井 あかり: ちゃんと教えてあげる
- 真井 あかり: …でも、お兄さんのこと 好きにならないでね?
- 由良 蛍: ん~… ならないから大丈夫ぅ~…
- 真井 あかり: …それはそれで複雑だけど
- 真井 あかり: まぁ、いいわ
- 真井 あかり: そうね…
- 真井 あかり: これは、私が蛍を拾う 少し前のことなんだけど…
- FILENAME: text_330572-3.txt
- 真井 あかり: 『陽斗お兄さんが好きになったのが 16歳の私ってことが どうしても納得できなかったから』
- 真井 あかり: 『ウサギさんと遊んで 気を紛らわせようとしたんだけど…』
- 真井 あかり: 『…そのときに ずっと気にかけていた 寝てばっかりのウサギさん…ネネうさちゃんが 死んじゃってるのを見つけたの…』
- 真井 あかり: うぅ…うっ…ぐすっ… ネネうさちゃん…ぐすっ…
- あかりの母: あかり…入るわよ…
- あかりの母: どうしたの、あかり
- 真井 あかり: …………ウサギさんが… 死んじゃったの…
- あかりの母: まぁ… 学校でお世話してた子?
- 真井 あかり: うん…
- 真井 あかり: ごはんをあげても動かないから
- 真井 あかり: 最初は寝てるのかなって… 思ったんだけど…
- 真井 あかり: 息…してなくて…
- 真井 あかり: …………
- あかりの母: 可哀想に…
- 真井 あかり: ん、寝てばっかりの子だったから 寝てるだけだって思ったのに…
- 真井 あかり: 死んじゃってたって すぐ気づかなかったの…ぐす…
- あかりの母: …そっか それは…悲しかったね…
- 真井 あかり: …ぐす…うぅ…
- 真井 あかり: (全然涙がとまらない…)
- 真井 あかり: (小さい子どもみたいに 泣きたくないのに…)
- 真井 あかり: 『そんなときに お兄さんがやってきたの』
- 真井 あかり: 『本当は、新しいぷちうさグッズを 私のために持って来てくれたんだけど』
- 真井 あかり: 『ママと話してるのが聞こえてたみたいで ウサギさんのことで泣いてるってわかったから ぷちうさグッズをさっと隠してね…』
- 二階堂 陽斗: 泣きたいときは いっぱい泣いていいんだよ
- 二階堂 陽斗: 大人だって 泣いてしまうときはあるんだから
- 真井 あかり: …ぐす…お兄さんも…?
- 二階堂 陽斗: うん、お兄さんも 泣いちゃうときはあるね
- 真井 あかり: ウソ…
- 二階堂 陽斗: 本当だよ 部活の試合で負けたときとか
- 真井 あかり: ぐすっ…そう、なんだ…
- 二階堂 陽斗: だから、気が済むまで 泣いていいんだよ
- 真井 あかり: うん…うぇええん…
- 真井 あかり: 陽斗お兄さん… ありがと…
- 真井 あかり: えへへ~…
- 二階堂 陽斗: どういたしまして
- 真井 あかり: …そういえば、 何か用事でもあった…?
- 二階堂 陽斗: ううん、最近部活で忙しくて あかりと遊べなかったから遊びに
- 真井 あかり: …本当? さっき、何か隠してなかった?
- 二階堂 陽斗: えっ…? いや、隠してない…よ?
- 真井 あかり: 『ウソはダメだ』ってお兄さん いつも言ってるじゃない
- 真井 あかり: 何を隠したの?
- 二階堂 陽斗: …あはは、 あかりはよく見ているなぁ…
- 二階堂 陽斗: 本当は、これをあかりに あげようと思って来たんだ
- 真井 あかり: …ぷちうさ! 新しいキーホルダーね!
- 二階堂 陽斗: でも、ウサギさんのことで 泣いてるみたいだったから…
- 二階堂 陽斗: 余計悲しませちゃうんじゃないか と思って隠しちゃったんだ
- 二階堂 陽斗: ウソをついてごめんね
- 真井 あかり: …ううん 私のためだったのね…
- 二階堂 陽斗: あかりを喜ばせるために 持ってきたのに
- 二階堂 陽斗: あかりを悲しませたら ダメだからね
- 真井 あかり: えへへ~… ありがとう、陽斗お兄さん…
- 真井 あかり: はぁ…こういうところが 好きなのよねぇ…
- 由良 蛍: …ん~…? 気を遣ってくれるところぉ~…?
- 真井 あかり: そう…! 寄り添ってくれるところ…!
- 由良 蛍: …なるほどぉ~…?
- 真井 あかり: なんでピンときてないのよ!
- 由良 蛍: ん~…優しいお兄さんだなぁ~… としかぁ…思えなくてぇ~…
- 真井 あかり: …つまり、 蛍にまだ恋は早いってことね
- 由良 蛍: かもねぇ~…
- 真井 あかり: ちなみに、そのすぐ後に 蛍を拾ったのよ
- 由良 蛍: ん~…ウサギ小屋の近くでぇ… 寝てたときだねぇ~…
- 真井 あかり: だから、最初はちょっとだけ…
- 真井 あかり: あの子が人間になって 戻って来たのかと思ったわ…
- 由良 蛍: へぇ~…
- 真井 あかり: ちょっとだけよ!
- 真井 あかり: 別に本気で 思ったわけじゃないからね!?
- 由良 蛍: ふ~ん~…?
- 真井 あかり: …ふんっ
- 真井 あかり: ともかくっ!
- 真井 あかり: 私は、陽斗お兄さんの さりげない気遣いができて
- 真井 あかり: 優しいところが好きなの
- 真井 あかり: わかったかしら?
- 由良 蛍: ん~…つまりぃ… あかりはぁ…二階堂くんにぃ…
- 由良 蛍: いま以上に優しくぅ… 大切にしてもらいたいんだねぇ…
- 真井 あかり: 一番特別な女の子としてね
- 真井 あかり: …でも、全然うまくいかなくて 苦しくて…
- 真井 あかり: 私、嫌な子になっちゃったの…
- FILENAME: text_330572-4.txt
- 真井 あかり: 『陽斗お兄さんが 16歳の私に恋をしていると知ってから ずっともやもやしてたんだけど…』
- 真井 あかり: 『それが爆発しちゃったときがあったの』
- 真井 あかり: (はぁ…思った通りに 願いが叶わなかったのに)
- 真井 あかり: (魔女退治はしないと いけないなんて…)
- 真井 あかり: (嫌だけど それが魔法少女の使命だもんね)
- 真井 あかり: はぁ…
- 二階堂 陽斗: …あかり?
- 二階堂 陽斗: こんなところでどうしたの? そろそろ暗くなるし、危ないよ
- 真井 あかり: えっと、近道しようと思って…
- 真井 あかり: (本当はパトロールだけど…)
- 二階堂 陽斗: 確かに近いけど… 表通りを使った方がいいよ
- 二階堂 陽斗: 送ってあげるから 一緒に帰ろう
- 真井 あかり: …うん
- 真井 あかり: …お兄さんは あそこで何をしていたの?
- 二階堂 陽斗: 僕は…えっと…
- 二階堂 陽斗: もしかしたら、 また会えるかなって…
- 真井 あかり: また会える…?
- 真井 あかり: それって、この前 助けてくれたっていう…?
- 二階堂 陽斗: …そう、この辺りの路地裏で 撮影をしてたみたいだから
- 二階堂 陽斗: …もしかしたら、 って思ってしまって…
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: (むぅ…何よ! デレデレしちゃって…)
- 真井 あかり: (あれは、私なのに… 全然態度が違うじゃない…)
- 真井 あかり: (どうして…)
- 真井 あかり: (私じゃない私がよくて 私だとダメなの?)
- 真井 あかり: …その人、ウソついてるよ
- 二階堂 陽斗: えっ?
- 真井 あかり: 路地裏をうろうろしてたなんて 怪しいわ…
- 真井 あかり: 撮影だって言ってたのも 本当なの?
- 真井 あかり: 確かめてみた?
- 二階堂 陽斗: …確かめてはない、けど
- 二階堂 陽斗: あかり、 どうしてそんなことを言うの?
- 真井 あかり: だって、怪しいじゃない! それにきっとウソつきだわ!
- 真井 あかり: そんな人… 陽斗お兄さんに相応しくない!
- 二階堂 陽斗: …………
- 二階堂 陽斗: 彼女は、親切心で 僕を助けてくれた優しい人だよ
- 二階堂 陽斗: 想像だけで 悪く言うのはよくない
- 真井 あかり: …………えっ?
- 真井 あかり: (お兄さんが、怒ってる…?)
- 真井 あかり: (お兄さんが、 私に怒ってるの…?なんで…?)
- 真井 あかり: 『…実はね、このときまで お兄さんは私に怒ったことはなかったの…』
- 由良 蛍: 「まぁ~…あかりはそもそもぉ… ワガママをほとんどぉ…言わないからねぇ~…」
- 由良 蛍: 「それに二階堂くんがぁ…叱るとしてもぉ… 『ダメだよ』くらいしかぁ~… 言わなさそう~…」
- 真井 あかり: 『…そうね、そんな感じだったから 本当にびっくりした』
- 真井 あかり: (…あっ、そっか)
- 真井 あかり: (お兄さんにとって)
- 真井 あかり: (11歳の私と 16歳の私は別の人で)
- 真井 あかり: (私が他人の悪口を言ったから 怒ってるんだ…)
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: (私…どんなときだって 誰かを悪く言ったりしない)
- 真井 あかり: (陽斗お兄さんのことが 好きなのに…)
- 真井 あかり: (お兄さんが 振り向いてくれないからって)
- 真井 あかり: (16歳の私に嫉妬して 悪く言っちゃった…)
- 真井 あかり: うぅ…
- 真井 あかり: (こんな私じゃ… 陽斗お兄さんに相応しくない)
- 二階堂 陽斗: あかり…!? 待って!
- 真井 あかり: あげくに逃げ出すなんて 本当に子どもだったと思うわ…
- FILENAME: text_330573-1.txt
- 真井 あかり: 『16歳の私に嫉妬して悪口を言うような私は 陽斗お兄さんに相応しくないと思って 逃げ出した後…』
- 真井 あかり: 『私は、さっきの路地裏に 戻ってきてしまったの』
- 真井 あかり: (…暗くなっちゃった)
- 真井 あかり: (…心配してるかな? してないよね…)
- 真井 あかり: (だって、陽斗お兄さんも きっと呆れてるもの…)
- 真井 あかり: うぅ…ぐすっ… 願いなんて…
- 真井 あかり: 叶えなければよかった…
- 真井 あかり: (そうすれば、陽斗お兄さんは 16歳の私と出会わなくて…)
- 真井 あかり: (好きにならなくて…)
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: (…出会わないけど)
- 真井 あかり: (出会わないからって 11歳の私のことを)
- 真井 あかり: (女の子として好きに なってくれるわけじゃない…)
- 真井 あかり: (でも…もう…16歳の姿で お兄さんには会いたくないな…)
- 真井 あかり: (そうすれば、好きな気持ちを 諦めてくれるかも…)
- 真井 あかり: (私じゃない私を好きな 陽斗お兄さんなんて…)
- 真井 あかり: (…嫌だもん)
- 真井 あかり: ぐすっ…
- 真井 あかり: (私… また、悪いこと思ってる…)
- 真井 あかり: (でも、嫌なんだもん…)
- 二階堂 陽斗: あかりー! どこだ…!?あかり…!
- 真井 あかり: …陽斗お兄さん 探しにきてくれたんだ…
- 真井 あかり: (でも、いまは会いたくない… 隠れてやり過ごそう…)
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: (…静かになった)
- 真井 あかり: (陽斗お兄さんも もう諦めて帰ったのかな…)
- 真井 あかり: ――っ!?
- 真井 あかり: …魔女
- 真井 あかり: (戦いたくない)
- 真井 あかり: (でも、戦わないと いけないんだよね…)
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: …行かないと
- 真井 あかり: (でも、やっぱり行きたくない… なんで私ばっかり…)
- 真井 あかり: (この辺り、かな…)
- 真井 あかり: えっ…!? 陽斗お兄さん!?
- 真井 あかり: もしかして、 また魔女の口づけを!?
- 真井 あかり: (飛び降りようとしてる…!)
- 真井 あかり: ダメ! 待って…!
- 真井 あかり: いやっ!間に合わない!? 陽斗お兄さん…!!
- 由良 蛍: 「ん~…二階堂くんってぇ… 魔女にもモテちゃうんだねぇ~…」
- 真井 あかり: 『もうっ! あのときは本当に もうダメだって思ったんだから!」
- 真井 あかり: 『私のせいで 陽斗お兄さんが死んじゃうんだって…』
- 真井 あかり: 『でも…』
- 由良 蛍: ん~…危なかったねぇ~…
- 真井 あかり: …………あっ… 陽斗お兄さん…!
- 真井 あかり: 『蛍が枕で受け止めて 助けてくれたのよね』
- 由良 蛍: 魔女を倒しにぃ~… 行かないといけないんだけどぉ…
- 由良 蛍: 一緒に行くぅ~…?
- 真井 あかり: …う、ん
- 真井 あかり: 私も行くわ
- 真井 あかり: お兄さ…この人を 助けないといけないもの
- FILENAME: text_330573-2.txt
- 真井 あかり: 『…ここからは蛍も知っていると思うけど』
- 由良 蛍: 「ん~…せっかくだからぁ… あかりの視点で最後まで聞かせてよぉ~…」
- 真井 あかり: 『…わかった』
- 真井 あかり: 『あの後… 無事に魔女を倒して 陽斗お兄さんのところへ戻ったわよね』
- 由良 蛍: ふぁ~…終わったぁ~… 疲れたよぉ~…眠ぃ~…
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: (この人、よく見たら)
- 真井 あかり: (ウサギ小屋の近くで寝てた 上級生だわ)
- 真井 あかり: (魔法少女だったなんて…)
- 真井 あかり: (あのときは私が起こして 教室に送ってあげたけど)
- 真井 あかり: (今度は 私が助けてもらっちゃったのね)
- 真井 あかり: あの、ありがとう
- 由良 蛍: ん~…気にしなくていいよぉ~… 前にぃ…助けてもらったしぃ~…
- 真井 あかり: …………えっ?
- 由良 蛍: 同じ学校のぉ… 初等部の子だよねぇ~…?
- 由良 蛍: ウサギ小屋の近くでぇ… 起こしてくれたでしょ~…?
- 真井 あかり: ウソ、でしょ…? いつから、気づいてたの?
- 由良 蛍: ん~…起こしてぇ… もらったときからぁ~…?
- 真井 あかり: …………
- 由良 蛍: 新米魔法少女みたいだからぁ… ちょっとだけぇ~…
- 由良 蛍: 気にかけておこうかなぁ… ってぇ…思ったんだよねぇ~…
- 真井 あかり: …それって 私が子どもだから?
- 由良 蛍: ん~…まぁ…そうだねぇ~… それもぉ…あるかもぉ~…?
- 真井 あかり: (何よ、それ! みんな、子ども子どもって…!)
- 真井 あかり: (でも、助けてもらったのは 本当だし…)
- 真井 あかり: (うぅ…なんだか悔しい…!)
- 由良 蛍: でもぉ…一番の理由はねぇ~…
- 由良 蛍: キミが私にぃ… 親切にしてくれたからぁ…
- 真井 あかり: 親切にしたって…
- 真井 あかり: 寝ていたから、起こして 教室に連れていっただけよ
- 真井 あかり: 当たり前のことを しただけじゃない…
- 由良 蛍: じゃあ…それはぁ… キミのいいところだねぇ~…
- 由良 蛍: 当たり前に人に親切にできる… 生来の美徳って言うのかなぁ…?
- 真井 あかり: …………あっ…
- 真井 あかり: そのときね ちょっと気持ちが軽くなったの
- 二階堂 陽斗: ただ、見ず知らずの人なのに すごく親身になってくれて
- 二階堂 陽斗: 気遣ってくれたんだ…
- 二階堂 陽斗: 彼女は、親切心で 僕を助けてくれた優しい人だよ
- 真井 あかり: だって…
- 真井 あかり: お兄さんが好きになった 16歳の私も私の一部だったから
- 真井 あかり: ―あかり― あのときの私は 焦って背伸びをして…
- 真井 あかり: ―あかり― 空回りしてた
- 真井 あかり: ―あかり― 本当は、一歩ずつ ゆっくりでもちゃんと自分で歩いて
- 真井 あかり: ―あかり― 大人になっていかないといけないのに…
- 真井 あかり: 蛍のおかげで 自分を見つめ直せたの
- 由良 蛍: …そっかぁ
- 真井 あかり: それに、 背中も押してくれたわよね
- 真井 あかり: 私、お兄さんに 酷いこと言っちゃった…
- 真井 あかり: どうしよう まだ怒ってる、かな…
- 由良 蛍: ん~…間違えたならぁ… 謝るところからじゃないかなぁ…
- 由良 蛍: ちゃんとぉ… 謝ってもらえないとねぇ…
- 由良 蛍: その人だってぇ… 許したくても許せないよぉ~…?
- 真井 あかり: …………うん
- FILENAME: text_330573-3.txt
- 由良 蛍: ちゃんとぉ… 謝ってもらえないとねぇ…
- 由良 蛍: その人だってぇ… 許したくても許せないよぉ~…?
- 真井 あかり: …………うん
- 真井 あかり: 謝ってみる…
- 二階堂 陽斗: …………ぅ…
- 由良 蛍: ん~…気がつきそうだからぁ… 私は隠れておくねぇ~…
- 真井 あかり: えっ…!? ちょっと待って!
- 二階堂 陽斗: …うぅ…あれ…? 僕は、また…?
- 真井 あかり: (ど、どうしよう…!? 起きちゃった!)
- 真井 あかり: (とにかく謝らないと…)
- 二階堂 陽斗: …あっ…あなたはこの前の…
- 二階堂 陽斗: また助けて いただいたんでしょうか…?
- 真井 あかり: …えっ…あ、そう、ね…!
- 真井 あかり: (変身したままだった…!)
- 真井 あかり: (どうしよう…謝りたいけど 正体は明かせないわ…)
- 二階堂 陽斗: ありがとうございます… 2回も助けていただいて…
- 真井 あかり: えっと、偶然だから 気にしないで…?
- 二階堂 陽斗: きちんとお礼をしたいんですが すみません…
- 二階堂 陽斗: いまはあかり…
- 二階堂 陽斗: 妹分を探していて… 行かないと…!
- 真井 あかり: (…ど、どうしよう! 私はここにいるのに!)
- 真井 あかり: (えっと…何か…)
- 真井 あかり: その子ってもしかして 栄総合の制服を着た小学生?
- 真井 あかり: その子なら、さっき保護して…
- 真井 あかり: 同じ制服を着た子がいたから 面倒を見てもらっているわ
- 二階堂 陽斗: そう、だったんですか…?
- 真井 あかり: え、ええ…
- 真井 あかり: 路地裏は危ないから 表通りにいてもらおうと思って
- 真井 あかり: 私は頼まれたから代わりに あなたを探しにきたの
- 真井 あかり: (ウソついてごめんなさい…)
- 二階堂 陽斗: …よかった、無事だった…
- 二階堂 陽斗: 何から何まで ありがとうございます…
- 真井 あかり: (…私のこと 心配してくれてたんだ…)
- 二階堂 陽斗: …あの、どんな様子でした? 落ち込んでいたりとか…
- 真井 あかり: えっ…? 元気そう、だったけど…
- 真井 あかり: 何かあったの?
- 二階堂 陽斗: …少し厳しく言い過ぎてしまって
- 二階堂 陽斗: それで飛び出して 行っちゃったんです…
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: でも、あなたが怒ったってことは 理由があったんでしょう?
- 二階堂 陽斗: …はい
- 二階堂 陽斗: あかりには… 誰かを悪く言ったり
- 二階堂 陽斗: 貶したりする子には なってほしくなくて…
- 真井 あかり: (陽斗お兄さん…)
- 真井 あかり: (私が悪かったのよ あとできちんと謝るからね…)
- 真井 あかり: …きっと気持ちは通じているわ
- 真井 あかり: その子も怒られたときは びっくりしただけで
- 真井 あかり: きっと謝りたいって 思ってるはずだもの
- 二階堂 陽斗: …僕があの子を信じて あげないといけませんよね
- 二階堂 陽斗: ありがとうございます 元気が出ました
- 真井 あかり: えへへ~…
- 真井 あかり: お礼なんていいのよ…
- 二階堂 陽斗: …………
- 真井 あかり: えっと…どうしたの…?
- 二階堂 陽斗: いえ、その…笑い方が 妹分と似ていると思って…
- 二階堂 陽斗: それに 顔の感じも似ているんですよ
- 二階堂 陽斗: もう少し大きくなったら きっと、あなたみたいに…
- 真井 あかり: (まさか、気づいて…!?)
- 二階堂 陽斗: …って、何言ってるんだろう 失礼しました
- 真井 あかり: (うぅ…鈍感っ…!)
- 真井 あかり: …じゃあ、私はこれで
- 真井 あかり: 本当は表通りまで ついて行きたいけど
- 真井 あかり: 男の子と一緒にいるところを 見られるとマズいから
- 二階堂 陽斗: 確か、女優の卵でしたね…
- 二階堂 陽斗: それなのに、ご親切に ありがとうございました
- FILENAME: text_330573-4.txt
- 二階堂 陽斗: あかり!
- 真井 あかり: 陽斗お兄さん!
- 二階堂 陽斗: 無事でよかった…!
- 二階堂 陽斗: ごめん… お兄さん、厳しく言い過ぎたね
- 真井 あかり: ううん… 私が悪かったの
- 真井 あかり: 誰かを悪く言ったらダメだって わかってたのに
- 真井 あかり: 酷いこと言っちゃったから
- 真井 あかり: お兄さんが正しかったのに 逃げ出しちゃったし…
- 真井 あかり: …ごめんなさい
- 真井 あかり: 許して、くれる…?
- 二階堂 陽斗: うん、ちゃんと ごめんなさいできてえらいね
- 真井 あかり: …じゃあ、 これからも仲良くしてくれる?
- 二階堂 陽斗: もちろん
- 二階堂 陽斗: お兄さんはずっとあかりの お兄さんだからね
- 真井 あかり: (ずっとお兄さんだと 困るけど…)
- 真井 あかり: (何年か経って 私が本当の16歳になったら)
- 真井 あかり: (お兄さんも 私があのときの女の子だって)
- 真井 あかり: (気づいてくれるかな?)
- 真井 あかり: (…ううん、そんなの関係ない)
- 真井 あかり: (だってその頃には)
- 真井 あかり: (魔法で16歳になった私より ずっと素敵になって)
- 真井 あかり: (陽斗お兄さんの心を つかむんだから!)
- 真井 あかり: (あなたに相応しい私になるまで どうか、待っていてね)
- 真井 あかり: …ということで
- 真井 あかり: 私は素敵な大人になるために 自分磨き中なのよ
- 由良 蛍: なるほどねぇ~…
- 真井 あかり: 蛍のお世話をしているのも そのため!
- 由良 蛍: ん~…そうだったんだぁ~…
- 由良 蛍: いつもぉ…ありがとねぇ~…
- 真井 あかり: まぁ、その…
- 真井 あかり: お兄さんの命の恩人だから っていうのもあるし…
- 真井 あかり: それに、お兄さんに 素直に謝れたのだって
- 真井 あかり: 蛍が 背中を押してくれたからだし
- 真井 あかり: …………
- 真井 あかり: だから…あのね、蛍
- 真井 あかり: ちゃんと言えてなかったけど ありがとう
- 由良 蛍: …すぅ
- 真井 あかり: 寝てる!?
- 真井 あかり: もうっ!
- 真井 あかり: 話が終わったからって すぐ寝ないで!
- 真井 あかり: 私が大人になるまで待っててね 陽斗お兄さん
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