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- FILENAME: text_207801-1_RY9kG.txt
- 十七夜: いってらっしゃい、ご主人 いつでも帰りを待っているぞ
- カラ~ン カラ~ン
- 店長: はい、残業お疲れ様 今日はもうあがっていいわよ
- 十七夜: おネェさま では、今日はあがるとしよう
- 店長: なぎたんが言うから シフトを増やしたけど
- 店長: やっぱり無理してるんじゃない? 大丈夫?
- 十七夜: 気にするな てんちょ…おネェさま
- 十七夜: プライベートが忙しかった手前 バイトの時間が減っていたからな
- 十七夜: どこかで挽回しないと、 どのみち家計が苦しくなるだけだ
- 店長: だからってこの鬼シフト 学校もあるのに心配よ?
- 十七夜: 生きるためだ、仕方ない
- 十七夜: それに、今月さえしのげば 多少は楽になる
- 十七夜: 来月からは父も働き 和泉家に余裕ができるからな
- 店長: あらそうなの おめでとう
- 店長: とはいえ、あまりお家の事情を 明け透けに話すモノじゃないわ
- 十七夜: おネェさまのことは信頼している 家の事情を知っていても構わない
- 店長: それはいいけど…
- 店長: 壁に耳あり障子に目あり なんて言うでしょ?
- 店長: そんなに大きな声じゃなくても ご主人様の耳にも入っちゃう
- 店長: パンツの前後を間違えたって バズっちゃってたわよ
- 十七夜: そうか、それは自重せねばな はっはっは
- 十七夜: …………
- ももこの声: お疲れ 十七夜さん
- 十七夜: ん…?
- 十七夜: なんだ十咎か
- ももこ: 珍しいね こんな時間までお店にいるなんて
- 十七夜: 魔法少女の活動が忙しいからな とうとう我が家は金欠だ
- 十七夜: そこで短期間に集中して シフトを入れてもらったんだ
- 十七夜: しかしそのおかげもあってか
- 御園 かりん: きゅ、急に来て悪かったの!
- 御園 かりん: みんなが集まってる場所が わからなくて
- 御園 かりん: それで、ここなら 絶対になぎたんが居ると思ったの
- 十七夜: アポなしでやってきた画伯とも 遭遇できた
- 十七夜: そういえば、 画伯は竜真館に来たか?
- 十七夜: 行けば十咎たちに会える かもしれないと伝えたのだが…
- ももこ: うん、来たよ
- ももこ: 実はそのときの話をしに ここまで来たんだ
- 十七夜: 店に直接足を運ぶほど 重要な話か
- ももこ: 果てなしのミラーズが関わってる
- 十七夜: ――っ!?
- ももこ: どうも 鏡の魔女になった魔法少女は
- ももこ: 大東と関わりがあるみたいなんだ
- みたま: 本当に元になった魔法少女は “瀬奈みこと”だって言ったの?
- みかげ: うん!
- やちよ: 以前からみたまは 果てなしのミラーズの正体を
- やちよ: “瀬奈みこと”だと あたりを付けて考えていた
- ももこ: つまり、 調整屋の想定は当たってたのか…
- ももこ: それってこの件を伝えたら 果てなしのミラーズの対策が
- ももこ: 取りやすくなるってことだよな?
- やちよ: 可能性はあるわね
- みかげ: じゃあ、ももたん! ミィが今の話伝えておくよ!
- みかげ: 正解だったら、 姉ちゃも喜んでくれるよね!?
- ももこ: アタシからも一報入れるけど みかげちゃんからも頼むよ
- みかげ: だから、こうやって 姉ちゃに伝えたんだよ!
- みかげ: 姉ちゃの予想 大当たりだったね!
- みたま: ええ、そうね…
- みたま: あ、そろそろ夕飯の時間だけど 帰らなくて大丈夫?
- みかげ: ほんとだ、帰らないと! 姉ちゃは?
- みたま: ごめんね、まだお店を 閉めるわけにはいかなくて…
- みかげ: ふーん、わかった ミィひとりで帰るね
- みかげ: じゃあね、姉ちゃ
- みたま: …………
- みたま: 瀬奈…みことが…
- FILENAME: text_207801-2_RY9kG.txt
- 十七夜: …………
- ~~♪~~♪
- 十七夜: む…
- 十七夜: なんだ、八雲か
- みたま: 今、どこ?
- 十七夜: 家にいるが、どうした
- みたま: 下の公園に来てくれる? そこで待ってるから
- 十七夜: …どうした
- みたま: あのね…
- 十七夜: 十咎から話を聞いて、 自分も驚いた…
- 十七夜: まさかここにきて 彼女の名が出てくるとはな…
- 十七夜: 瀬奈みこと…
- みたま: ええ…さらに アリナが記憶を取り戻して
- みたま: 共に滅びに向けて 動き出したとも言ってた…
- みたま: 恐らく全て、わたしの願いが 影響してるに違いないわ…
- 十七夜: なぜ、そう言い切れる
- みたま: 昔、魔法少女が魔女になる 宿命を知って
- みたま: わたしが失踪した魔法少女たちを 調査してたときがあったでしょ?
- みたま: あのとき、十七夜から話を聞いて 瀬奈みことのことも調べてたのよ
- みたま: そして、わたしは見つけたの 瀬奈みことの日記を…
- みたま: 書かれていたのは 悲惨な環境を呪う悲痛な言葉や
- みたま: 取り返しのつかない状況を 作りあげてしまった
- みたま: 願いを叶えたことへの 後悔だった…
- 十七夜: それが鏡の魔女の…
- 十七夜: 瀬奈みことの 背負っている過去か
- 十七夜: 不幸な生い立ちが生み出した 悲しき怪物…
- 十七夜: 大東に生きる我々にとっては、 よくある話だ
- みたま: それでね、その日記は 途中で終わってるんだけど…
- 十七夜: だろうな 鏡の魔女になったのだから
- みたま: その途切れた日付というのが
- みたま: わたしが願いを叶えた日と 一致するの
- 十七夜: ――っ!?
- みたま: 神浜を滅ぼす存在になりたい
- みたま: その願いが、瀬奈みことを 鏡の魔女にしたのかもしれない
- 十七夜: 飛躍しすぎだ
- 十七夜: 八雲の願いとは関係なく 彼女はその日魔女になったはず…
- 十七夜: 日記にも、願ったことに対する 後悔の言葉があったんだろう
- 十七夜: それに八雲の願いは、 “自身が滅ぼす存在になる”こと
- 十七夜: 八雲が行動をしない限り、 滅ぼす存在にはなり得ない
- みたま: 十七夜が言う通りよ
- 十七夜: じゃあ、なぜそこまで 深刻に考える…
- みたま: わたしが唯一滅びのために 行動したタイミングがあるからよ
- 十七夜: …いつだ
- みたま: 願ったときよ
- みたま: それ自体が 滅ぼすための行動でしょ
- みたま: だから何もしなくても すべては滅びに向けて動き出した
- みたま: わたしが願いを叶えた時点で 願いの内容は成立していたのよ
- 十七夜: じゃあ、みかげの願いはどうなる
- 十七夜: 八雲の願いを知った上で、 お前の妹は願ったんだろう
- 十七夜: 『神浜を守って』と
- みたま: ミィの願いは叶ってるわよ
- みたま: イブとワルプルギスの夜を相手に 奇跡を起こして神浜を守ったもの
- みたま: だからミィの願いは終わって、 わたしの願いだけが続いてるわ
- 十七夜: 相殺されて叶わなくなった そうは考えないのか
- みたま: キュゥべえの願いを叶える力 それだけは絶対よ
- みたま: 叶わないこともあるなんて、 わたしも淡い期待をしてたけど
- みたま: 果てなしのミラーズの話で 心がポッキリ折れちゃったわ…
- みたま: 本人の生死に関わらず いずれ願いは叶ってしまう
- みたま: 調整屋でみんなを覗いていれば わかっていたことなのにね
- FILENAME: text_207801-3_RY9kG.txt
- 十七夜: 八雲は これからどうするつもりだ
- みたま: 最終的にどうあっても 願いが叶うのなら…
- みたま: わたしの願いで、どうあがいても 滅びが訪れるのなら…
- みたま: わたしはもう、抗わない
- みたま: 滅びの潮流に乗って 願い通りの未来にする
- 十七夜: …………!
- 十七夜: …そうか、戻るのだな あのとき以前に…
- みたま: そうね 一度は別の道を模索したけど…
- 十七夜: お前は望むか、この町の滅びを
- みたま: …………
- みたま: 今のわたしを見ても 分からないの?
- 十七夜: 愚問だったな
- みたま: わたしたちは魔法少女である前に 社会の中で生きる人間なのよ
- みたま: これ以上、 我慢する必要なんてないわ
- 十七夜: ただいま帰った
- 十七夜の父: ああ、十七夜か …今、いいか?
- 十七夜の弟: ただいまー
- 十七夜の父: ああ、お前も帰ってきたか ちょうどよかった
- 十七夜の父: ふたりとも、少し時間をくれ 大事な話がある
- 十七夜: 別にいいが…
- 十七夜の弟: どうしたの、改まって
- 十七夜の父: …………
- 十七夜の父: 父さん、来月から参京区の会社で 新しい仕事があると言ったろ…
- 十七夜: ああ、聞いたな
- 十七夜: 足が不自由なのも気にせず 採用してくれたと聞いた
- 十七夜の弟: 父さん、頑張ってパソコンの 資格も取ったみたいだし
- 十七夜の弟: きっと努力が認められたんだよ
- 十七夜の父: その会社から連絡があってな
- 十七夜の父: 採用がなかったことになった…
- 十七夜の弟: ――っ!?
- 十七夜: な…!
- 十七夜の父: すまない…
- 十七夜の父: やっとお前たちに 楽をさせてやれると思ったのに…
- 十七夜の父: ダメな父親でごめんな…
- 十七夜の父: まだしばらく 苦労をかけることになる…
- 十七夜: 父さんはダメな父親ではない それに大丈夫だ
- 十七夜: 最近はメイドの仕事も板について 楽しくなぎたんをやっている
- 十七夜の父: 十七夜…
- 十七夜の弟: …………
- 十七夜の弟: …どうして… どうして内定取り消しなのさ
- 十七夜の父: …………
- 十七夜の父: …すべて、父さんが無能だからだ 変な考えを持つな
- 十七夜の弟: 東だからだろ…!
- 十七夜の父: それが理由なら 最初から内定は出さない
- 十七夜の弟: 違う、この前の選挙だ アレで東の印象が悪くなったんだ
- 十七夜の父: だとしても、 社長さんが悪いわけじゃない
- 十七夜の父: 向こうも小さい会社で、 地元の人たちで運営している…
- 十七夜の父: 様々な考えがある中で、 東を嫌う者も一定数いるんだ…
- 十七夜の父: このまま父さんが入れば 父さんが苦しむ
- 十七夜の父: 社長さんも、あとのことを 気に掛けての決断だったんだ…
- 十七夜の弟: なんだか、急に東に向けて 向かい風が吹いてきたみたいだ
- 十七夜の弟: アイツらだって、 前はしつこくなかったのに…
- 十七夜の父: 何かあったのか…?
- 十七夜の弟: ごめん、西のヤツとケンカした
- 十七夜の弟: 先に向こうが突っかかってきて 本当はダメってわかってたけど
- 十七夜の弟: 反撃してぶん殴った…
- 十七夜の父: 今は我慢の時期だ 悪循環を起こすだけだぞ…
- 十七夜の弟: わかってる…! けど、耐えられなかったんだ!
- 十七夜の父: …………
- 十七夜: (ふたりの言うことはわかる… もう悪循環に入っている…)
- 十七夜: (また我々は危険だという 風評にさらされ続け)
- 十七夜: (次第に社長さんのような 考えを持つ人も消えてゆく…)
- 十七夜: っ…
- 十七夜: (この状況を作り出した 少数の人間も憎たらしいが)
- 十七夜: (利用されるこの神浜市の歴史 そのものが、邪魔をする…)
- FILENAME: text_207801-4_RY9kG.txt
- みたま: 魔法少女の中では 東西なんてものはなく皆が平等
- みたま: 十七夜の言葉も 間違いではなかった
- みたま: だからこそわたしは 救われていた
- みたま: でもね、結局それは 一時的な現実逃避
- みたま: 目を逸らしてるだけ…
- みたま: わたしは魔法少女以前に 人間でもあって…
- みたま: 「人間として」生きる必要に 常に迫られて…
- みたま: この視界には、どうあがいても 人間社会が入り込んでくる
- みたま: だから、わたしは…!
- 燦: 西も東も関係なく 神浜そのものを恨んでいるのね
- ミユリ: それならそれなら! 魔法少女至上主義に従って
- ミユリ: ミユたちに付いてくるべきです
- 燦: そうね、東の境遇からくる 裏切りを期待していたけど
- 燦: 人間に報復して平等を求むなら それも私たちのもとでやれるわ
- みたま: 信じていいのね?
- 燦: 詳しい話が知りたい?
- ミユリ: でもでも…後悔することに なるかもしれませんよ…?
- 燦: 聞いたら最後 こちらに踏み込むことになるわ
- みたま: 構わないわ
- みたま: どっちに転んでも 後悔するぐらいなら…
- ミユリ: …………
- みたま: わたしは自分の感情に任せて 無駄にならない方を選ぶわ
- 燦: そう、わかったわ
- 燦: でも詳しい話は他の子を交えて 後日改めて
- 燦: こんなところで 立ち話する内容じゃないわ
- ミユリ: 追って日時と場所を お伝えします
- 十七夜: そうか、貴様は ネオマギウスに行くのか
- アオ: まだ確定ではないけどね~
- 十七夜: 自分も誘いは受けたものの まだ決めあぐねている
- アオ: 前にわたしの中を覗いたときに 共感するところがあったでしょ
- 十七夜: 平等や搾取のことか…
- アオ: 今の神浜市ってどうなの? 東の人は辛そうに見えるけど
- 十七夜: …うむ、図星だな
- 十七夜: 魔法少女の中では平等でも、 蓋を開けば人間社会にいる
- 十七夜: 共に生きているだけで、 歴然とした格差を感じる上に
- 十七夜: それを埋めようとしても、 連綿と続く歴史が邪魔をする
- 十七夜: 変えようとしても、 変わろうとしても
- 十七夜: 悪い方に再生してゆく姿は、 見るに堪えぬものがあるな
- アオ: それなら聞いてみない? ネオマギウスの話
- アオ: 魔法少女至上主義を広めれば 神浜の人たちも平等にできるし
- アオ: 魔法少女の中でも天辺を取れば 搾取されることもない
- 十七夜: …………
- アオ: わたしと一緒に 平和と平等の管理者になろう!
- アオ: みんなで力を合わせれば イージーゲームだよ!
- 十七夜: そうか…
- アオ: そんでね、ネオマギウスが 今度詳しい話をしてくれるみたい
- アオ: ちょっと遠いけど 十七夜さんも行くよね?
- 十七夜: …………
- 十七夜: (恐らく自分が伝えなくても)
- 十七夜: (八雲はネオマギウスが 生きていることを知るだろう)
- 十七夜: (そしてそのままネオマギウスの 側に付くはずだ…)
- 十七夜: わかった 自分もその会合に参加しよう
- FILENAME: text_207802-1_ZbioY.txt
- ガタンゴトン…
- みたま: …………
- 十七夜: …………
- みたま: ねぇ、 どうして今日、付いて来たの?
- みたま: これから行く場所わかってる? ネオマギウスが待ってるのよ?
- 十七夜: それは承知している …意外だったか?
- みたま: 意外って言うか… まあ、意外ね…
- みたま: ネオマギウスの話を聞けば、 もう断れないと思うわよ
- みたま: それに十七夜はわたしよりも、 神浜市のみんなが好きでしょ?
- 十七夜: …………
- 十七夜: 悪いが、自分が思うより 自分は環君や七海が好きらしい
- みたま: 東のことだけを考えても、 令ちゃんの想いを背負ってるし
- みたま: 家族のこともバイト先のことも 大切な人がたくさんいるわ
- みたま: だから、今さら神浜の滅びを 望むなんて、できないと思ってた
- 十七夜: 八雲ほど割り切れてないだろう
- 十七夜: それに、目的を果たしたとして 申し訳なさもある
- 十七夜: だが、未来を担う若い世代が、 東西の闇に飲まれる姿を見れば
- 十七夜: 長い歴史の中で変わらぬ町に 諦めを覚えても仕方がない…
- みたま: もしかして… ミィが石を投げられたこと…?
- 十七夜: …………
- こうやって!
- ヒュッ
- みかげ: った!
- 十七夜: …見くびるな
- 十七夜: 一側面だけを取り上げて 十把一絡げに評価は下さない
- 十七夜: …今はみかげだけでなく 他の者たちも被害を受けている
- みたま: ずいぶん怒りをはらんだ 言い方をするのね…
- みたま: もしかして、 家族に何かあったの…?
- 十七夜: …これからはもっと酷くなる
- 十七夜: 未来はもはや、 目も当てられないかもしれん…
- 十七夜: ならば、 せめて未来を救うために
- 十七夜: 過去の歴史を焼き尽くすほどの 強行策に出てもいいはずだ
- 十七夜: 最大の懸念事項は… トップを失ったネオマギウスに
- 十七夜: 滅びを与えるほどの力が あるかどうかだ…
- カランカラン
- ミユリの声: あ、こっちこっち こちらです~!
- 十七夜: …………!
- みたま: 時女の…!
- FILENAME: text_207802-2_ZbioY.txt
- 十七夜: これは意外だな
- 静香: 笑うなら笑うがいいわ
- 静香: ただ、私にだって 話を聞きに来た理由がある
- 十七夜: それなら自分たちも同じだ 笑いはしない
- みたま: むしろ、頼もしいくらいよ…
- 燦: ふふ、みんな仲良くなれそうね
- 燦: さ、挨拶はそこまでにして さっそく始めましょうか
- 十七夜: …………
- 十七夜: (相手は本当にふたりか… いささか無防備だな…)
- アオ: ねえ、これで本当に話す気?
- アオ: これでもわたしたちは敵だしさ 少しは警戒した方がいいよ~
- アオ: ここでわたしたちが暴れて、 撃破されるとか考えないの?
- 燦: 考えた上で無防備なのよ
- 燦: ソウルジェムを人質みたいに とることだってできるけど
- 燦: しょせんは、その場しのぎ
- 燦: ネオマギウスが他グループより 戦力で劣ってる以上
- 燦: あなたたちをヘッドハント できなかった時点で詰むのよ
- 十七夜: ふむ、崖っぷちかつ 綱渡りということだな
- 燦: そういうことね
- 燦: だから、これから話を聞いて、 判断して欲しいわ
- 燦: …まず、ネオマギウスの目的は 魔法少女至上主義の流布
- 燦: それによって自分たちが 人々の上に立つということよ
- みたま: それは知ってるけど、 理由を聞かせてもらえるかしら
- 燦: 魔法少女の方が人間と比べて 優れている存在であり
- 燦: 現代に至るまで、人類の歴史を 牽引してきたからよ
- 十七夜: なるほど
- 十七夜: それで、人類の上に立つ過程で 我々の目的も成就されると…
- ミユリ: 当然の当然ですよ!
- ミユリ: 魔法少女至上主義が広まれば、 みんなの想いが叶うんです!
- ミユリ: 「魔法少女は人類を超える神様のような存在 だからこそ 燦様は光塚の火祭りの神様になれる!」
- ミユリ: 「ミユも人より上になれば 人相手に緊張する必要はなくなりますし 結果的に暴走して いたずらに人を傷付ける心配もありません!」
- ミユリ: 「安積だって 人にバカにされないようになりますし」
- ミユリ: 「宮尾だって他人に干渉されることなく 自分がしていることを 認められるようになるんです」
- 燦: つまり、魔法少女至上主義を 刷り込む過程と結果をもってして
- 燦: バラバラである私たちの目的は すべて叶えることができる
- 燦: 私たちが魔法少女の天辺に行けば 可能なことよ
- みんな: …………
- 十七夜: …貴様たちの言う 天辺とはなんだ
- 燦: 天井のさらに上…
- 燦: 高く飛ぶだけじゃ 絶対に届かないところ
- 燦: 人間という領域を超えた私たちは 魔法少女の上にも立つ
- 燦: すべての神となる
- FILENAME: text_207802-3_ZbioY.txt
- 十七夜: 神、か…
- 燦: 不可能だと思ってる?
- 十七夜: …………
- 燦: あまりに飛躍した言葉だから 信じられないのも無理はないわね
- アオ: わたしは… 神とかよくわかんないけど…
- アオ: 少なくとも魔法少女が 人間を超えた存在だ、って
- アオ: みんなが認めざるを得ない世界を 目指すってことだよね?
- 燦: ええ、その通りよ
- アオ: その上で魔法少女の頂点も 目指せるって話なら
- アオ: わたしが目指すことと 向いてる方向は同じだと思う…
- 静香: そうね、私も同じよ
- 静香: 「もしも神になれるのなら…」
- 静香: 「あなたが言う通り 私は巫として人々が悪に染まらないように 導けるのかもしれない」
- アオ: 「わたしも怯える必要がない“力”を得て 搾取のない平等な世界を作れる」
- みたま: 「わたしも神浜市の人々に罰を与えることで 悔い改めてもらえるわね」
- 十七夜: …………
- ミユリ: 十七夜さんは…?
- 十七夜: ん?
- 十七夜: …………
- 十七夜: 欲張りかもしれないが…
- 十七夜: 自分は八雲のように 町の人々を罰したいとも思い
- 十七夜: 三女のように 平等を求め
- 十七夜: 時女のように 人々を導きたいとも考えている
- みたま: …………
- 十七夜: ただし、正義であることに 固執するつもりはない
- 十七夜: 求めるのは 人々がひとつになれるような存在
- 十七夜: たとえば…そうだな
- 十七夜: すべての人々の敵として君臨する 絶対的な恐怖の象徴だ
- 十七夜: そんな存在に 自分はならなければいけないし
- 十七夜: そのために神浜市の歴史を 塗りつぶすことも必要だと思う
- 燦: 欲張り、結構なことよ 天辺に行けば全部が実現できる
- 燦: だって神なんだから
- 十七夜: だがひとつ、心配なことがある
- 燦: なに?
- 十七夜: こうして説明を受けている手前 言いにくいことではあるが
- 燦: らしくないわね なんでも言いなさいよ
- 十七夜: 魔法少女至上主義を広めるという ご大層な理念…
- 十七夜: 今のネオマギウスでは 実現できるとは到底思えない
- 十七夜: 自分はそれが気になっていた
- 十七夜: 神なんて言葉は 普通に聞けば鼻で笑われ…
- ひめな: それは私チャンがいないから?
- 十七夜: ――っ!?
- FILENAME: text_207802-4_ZbioY.txt
- みたま: …藍家…ひめな…
- 静香: そんな…あのときたしかに… 私たちが殺したはず…
- アオ: お化け…なわけないよね…
- ひめな: みんなリアクション完璧!
- ひめな: 正真正銘、 ナマの私チャンだよ★
- 十七夜: どういうことだ…!
- ひめな: あは、きゃぱいってカンジだね
- ひめな: じゃあその辺の説明と ついでに…
- ひめな: 私チャンの計画について 説明したげる
- ひめな: なぎりんは私チャンの実力を 疑ってるみたいだしね★
- 十七夜: …………
- みんな: …………
- 静香: そ、そんな…
- ひめな: どう?
- 十七夜: むぅ…! なんという凶行…!
- 十七夜: だが、確かにそれなら… 人々を追い込み、押さえつけ…
- 十七夜: 話を聞かせ、従わせることも できるかもしれない…!
- ひめな: でしょ!? なぎりん、わかりみが深い!
- アオ: すごい…! いける、いけるよっ…!
- 十七夜: (計画を進める過程で 神浜は滅びるかもしれない…)
- 十七夜: (そして、人々の矛先を 自分に向けることもできる…)
- 十七夜: (だが…)
- ひめな: ん…? どしたの?
- 十七夜: (この女の心の底を 見極めねばならん…!)
- 十七夜: (今、ここで… 確実に…!)
- 十七夜: ――っ!?
- 十七夜: (バカな…!)
- ひめな: ちょっと、店ん中で変身とか マジでイミフなんだけど!
- ひめな: …もしかしてなぎりん 私チャンに何かした…?
- 十七夜: っ…
- 十七夜: …自分の固有魔法で 貴様の心を読もうとした
- ひめな: え、ヤバ! そんなんされたら生きていけない
- アオ: …………
- 十七夜: だが、読めなかった…
- みたま: 十七夜が失敗…?
- 十七夜: 頭の中の何かに阻まれた… おそらく、男だと思うが
- ひめな: え?
- 十七夜: その影に邪魔をされた 一瞬で定かではないがな…
- ひめな: …………
- ひめな: な~~んだ ヒコ君の仕業だった?
- ひめな: うん、うん…
- ひめな: キャハッ★
- ひめな: ヒコ君ってときどき、 カッコイイとこ見せるよね~
- アオ: 中に男の人…? え、どういうこと…?
- 燦: 姫様が魔法少女至上主義で 求めるのは自由な恋愛でね
- ミユリ: その相手が、今は姫様の 頭の中にいるんです
- ミユリ: ふたりでよく 作戦を立ててます
- 静香: 変わった体質っていうことよね
- 十七夜: …そう捉えるしかない
- 十七夜: 一瞬見えたのは幻ではなかった… 故に妄想の類ではないのだろう…
- 十七夜: (前々から、脳内の人間と 話しているとは聞いていたが…)
- 十七夜: (正気だったか…)
- 十七夜: (となると、今までの計画から これからの計画に至るまで)
- 十七夜: (全ては冷静に考えて 組まれたものだということ…)
- 十七夜: …………
- 十七夜: (冷静なる凶行か…)
- みたま: 十七夜…?
- 十七夜: 自分はかなり、ネオマギウスを 侮っていたらしい
- 十七夜: ただの腐った烏合の衆では なかったようだ
- ひめな: だいぶ失礼な気がするけど わかってんじゃん
- ひめな: 私チャンたちは運命を共にする マイメン同士だからね
- 十七夜: (最後に残る懸念は… この「自分」だ…)
- 十七夜: (自分はまだ他の者と比べ… 「潔さ」が足りていない…!)
- 十七夜: (それは恐らく自分が…)
- 十七夜: (まだ自分が、 この者たちに比べ…)
- FILENAME: text_207803-1_69ea8.txt
- アオ: ―アオ― だからこそ人に支配されずに支配する
- 静香: ―静香― 故に人を導くことが道理であり
- 十七夜: ―十七夜― 人を罰することが許される
- みたま: ―みたま― 謝罪がなければ滅びも辞さない
- 4人: 私たちはネオマギウスの一員として この神浜市を掌握する
- みたま: わたしたち やったのよね
- 十七夜: ああ、やりきったな…
- みたま: ふふ、ちょっと清々しい気分
- 十七夜: そうか…
- ひめな: 姫君
- ひめな: ん?
- 十七夜: 次の自分たちの行動はなんだ? 何をすればいい?
- ひめな: ふふ、焦んなくていーよ なぎりん
- ひめな: ここからは「待ち」の時間
- ひめな: 裏でコソコソするのは もうやんなくていいの
- ひめな: これからの計画と準備は 見えるように進めるつもりだから
- 十七夜: それは、他のグループの連中と 正面からぶつかるということか…
- 十七夜: 準備が不十分な状態である以上 見切り発車だと思うが…
- ひめな: ん~…なんていうかね
- ひめな: ヒコ君的には、 今こそ競争するときみたい
- ひめな: 実はこうでしたって あとから言われて負けを知るより
- ひめな: リアルタイムで衝突した方が 負けたことを実感できるし
- ひめな: 心が折れるでしょ?
- ひめな: だから、他のグループの人とは なるべくしっかり戦って
- ひめな: 心の底から敗北感を味わわせて 抵抗する気を削ぎたいんだよね
- 十七夜: …………
- ひめな: 反対意見でもある?
- 十七夜: いや、微塵もない
- 十七夜: あくまで敵に対しても 魔法少女至上主義なのだな
- 燦: そろそろ宝崎市ね
- ひめな: あ、ほんとだ 話しすぎちゃった
- ミユリ: お見送りありがとうございました
- ひめな: それじゃーまたね バイバイ
- みたま: ええ
- 十七夜: 失礼する
- 十七夜: …神浜を滅ぼしたら その後はどうするつもりだ
- みたま: …そうねぇ
- みたま: たぶん身勝手に絶望して 死ぬのかしら
- 十七夜: …まあ、だろうな
- みたま: 止めてくれる?
- 十七夜: どうだろうな
- 十七夜: 今回ばかりは自分も 絶望しないという保証はない…
- みたま: そうよね
- みたま: わたしたちのせいで みんないなくなるんだもの
- 十七夜: …………
- みたま: なに?
- 十七夜: 淡々としているな いつも通りの八雲だ
- みたま: ここまで足を突っ込めば、 もう怖いものなんてないもの
- 十七夜: 吹っ切れて当然かもしれんな
- みたま: じゃあ十七夜 わたしはこの辺りで失礼するわ
- 十七夜: ん、なんだ? 調整屋でも寄るのか?
- みたま: まさか、寄らないわよ ミィが居るかもしれないし
- みたま: …………わたしね、 もう家にも帰ってないの
- 十七夜: …! まあ、そうだろうな
- 十七夜: ではこの辺りに、 仮の住まいがあるということか
- みたま: そういうこと
- みたま: どう? 十七夜も寄ってく?
- 十七夜: 遠慮する
- みたま: …十七夜はまだ吹っ切れないのね
- 十七夜: そうだな、自分はまだ 思い切りが足りていないようだ
- 十七夜: …それこそ、情の問題だろう…
- 十七夜: …家族の待つ 我が家に帰るとする
- みたま: それがいいわ また明日
- みたま: …………ねえ十七夜
- 十七夜: どうした
- みたま: …わたしたちって東西の争いや マギウスの計画とか
- みたま: たくさんの 困難を乗り越えてきたでしょう?
- 十七夜: そうだな
- みたま: そして今は、この町に留まらず 色んな時代や空間に繋がる
- みたま: 果てなしのミラーズを 前にしている
- 十七夜: 何が言いたい
- みたま: …滅びをもたらす力ってね 実はわたしが抗えば抗うほど
- みたま: それを乗り越えようとして 危険性が増すのかもしれない
- みたま: 必ず願いを成就させるために
- みたま: それなら神浜市を滅ぼした方が 未来は幸せかもしれないわ
- 十七夜: それが八雲の言う 『滅びの潮流』に乗った理由か…
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- 十七夜: …………
- ~~♪~~♪
- 十七夜: む…?
- 十七夜: 父さんか どうした
- 十七夜の父: 十七夜! 大変なんだ!
- 十七夜の父: 今どこにいる!!
- 十七夜: な、なんだ…! 今は新西区だが…!
- 十七夜の父: そうか…! ちょ、ちょうどよかった
- 十七夜の父: 急いで病院に行ってくれ!
- 十七夜の弟: ………… …………
- 十七夜: …父さんと母さんは 今急いで向かってるらしい…
- 十七夜の弟: うぅ…
- 十七夜: いったい何があったんだ…!
- 十七夜: 骨折しているらしいが 車にでもハネられたのか…!
- 十七夜の弟: …やっぱり 父さんや姉さんの言う通り…
- 十七夜の弟: どんなことがあっても 手を出しちゃダメだった…
- 十七夜: どういうことだ…
- 十七夜の弟: この間、西のヤツと ケンカしたって言ったろ…
- 十七夜の弟: そいつらに報復されたんだよ
- 十七夜: 人にやられたのか そ、そのケガ…!
- 十七夜の弟: タイマンで負けたわけじゃないぞ か、囲まれて…
- 十七夜: どうでもいいっ!
- 十七夜: 警察…警察は…!
- 十七夜の弟: さっき話したけど変だった
- 十七夜の弟: まともに取り合うつもりが ないみたいで…
- 十七夜: ――っ!?
- 十七夜: なんでだっ!!
- 十七夜の弟: わかんないよ…
- 十七夜の弟: 最初に話した警官は しっかり聞いてくれたんだけど…
- 十七夜の弟: スーツの刑事さんが来たら 急に冷めてあっさりして…!
- 十七夜: っ…!
- 十七夜: …………
- 十七夜の弟: 関係あるかわかんないけど…
- 十七夜の弟: …ケンカしたアイツ… バックになんかいやがった…
- 十七夜: どういうことだ
- 十七夜の弟: 囲ってきた奴らの中にひとり、 見たことのあるヤツがいた
- 十七夜: 誰だ
- 十七夜の弟: …ってグループのヤツで…
- 十七夜: …………!
- 十七夜: 間違いないのか…
- 十七夜の弟: うん、それは間違いない…
- 十七夜: (そのグループの名前は 八雲から聞かされていた…)
- 十七夜: (以前の選挙で、西の候補を 妨害していたグループだ…)
- 十七夜: (この病院の院長に 投石したのもそのグループ…)
- 十七夜: (それも西側の自作自演で…)
- 十七夜: (自分たちも東を貶める エサにされるぐらいなら…)
- 十七夜: …そのグループの拠点を教えろ
- 十七夜の弟: え…?
- 十七夜の弟: ね、姉さんやめろ…! 何をするつもりだ…!
- 十七夜: 次に何かあるようなら、 こちらから食らいにいく
- 十七夜: 言わないなら覗かせてもらうぞ
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- 十七夜: 裏口から失礼する
- 店長: あら、なぎたん 今日は非番よね?
- 十七夜: シフトについて相談しにきた
- 十七夜: 少々、家の事情で 立て込んでいて
- 十七夜: 今日から数日間、 またシフトに入れそうにない…
- 十七夜: 迷惑をかけて申し訳ない…
- 店長: まあ、そんなのメールで 言ってくれればいいのに…
- 十七夜: …………
- 店長: …どうしたの?
- 十七夜: 気のせいかもしれないが 今、おネェさま…
- 十七夜: 少し、ホッとしなかったか?
- 店長: ――っ!?
- 店長: そ、そんなことないわ
- 店長: なぎたんという戦力に 助けてもらえないんだもの
- 十七夜: そうだな…隣のお店も 休業との張り紙があったし…
- 十七夜: うちの店も しばらく忙しくなりそうだ
- 十七夜: にもかかわらず 力添えできないのは申し訳ない
- 店長: 気にしないで
- 十七夜: …………
- まって、なぎたん
- 十七夜: む…?
- …あのね、このお店… 少し前から、脅されてるの…!
- 十七夜: なにっ…!
- 十七夜: どういうことだ 誰の仕業だ
- おネェさまは 隠してたみたいだけど…
- 十七夜: (またその集団の名前か…!)
- 十七夜: (八雲から聞かされ… 昨日弟を襲った…!)
- …………
- 十七夜: だが、どうして うちの店が標的に…
- …………!
- 十七夜: おネェさまも おネェさまだ
- 十七夜: こんな大変な目に遭っているなら 相談すればいいものを…
- …………
- 十七夜: …………ああ、そうか 襲撃された原因は…
- 十七夜の弟: 違う、この前の選挙だ アレで東の印象が悪くなったんだ
- 十七夜の父: その会社から連絡があってな
- 十七夜の父: 採用がなかったことになった…
- 店長: とはいえ、あまりお家の事情を 明け透けに話すモノじゃないわ
- 十七夜: …自分か…!
- 十七夜: 自分が大東区の出身だから…!
- 違う、まだ なぎたんのせいじゃない
- 十七夜: まだ…?
- 選挙の後からちょくちょくね、 そういう人たちが
- 大東区の人を雇うなって 脅してきたのは本当…
- でも、おネェさまは その脅しを拒んでる状態
- まだなぎたんのことは バレてない…
- だけど、別のお店で バレたところもあって…
- 十七夜: まさか、あの休業中の…! アレは襲撃を受けての…!?
- …………
- だからお願い! お店を辞めろとは言わない!
- でも、出身地だけは 絶対に口外しないでっ…!
- 十七夜: …………ああ、当然だな 約束しよう
- …………
- …うっ…うぅ…
- 十七夜: なぜ泣く…
- だってぇ…
- ごんなこどお願いされる なぎたんが可哀想でぇ…
- ごめんねぇ…
- 十七夜: 自分で言っておきながら 謝るとは…
- 十七夜: …いや、言いづらいことを 言わせてしまったようだな…
- 十七夜: ありがとう
- 十七夜: 今のでまたひとつ 吹っ切れたかもしれない
- 十七夜: では…行ってくる
- 十七夜: …………手を、掛けに
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- ドサッ…
- 十七夜: ハァ…ハァ…
- うぅ…
- 苦しい…痛い…
- 殺してくれ…
- 何も見えない…
- 十七夜: ハァ…ハァ…
- 十七夜: …………
- 十七夜: やって…しまったのか… 自分は、人間を相手に…
- 十七夜: …………
- 十七夜: (まだ自分が、 この者たちに比べ…)
- 十七夜: 人を手に掛ける…
- 十七夜: その一線を越えるほどの虚しさを 抱えていないと思っていた…
- 十七夜: …いよいよ、秩序を保つために 人を害するのを是としてしまった
- 十七夜: すまない…
- 十七夜: みんな、すまない 自分はもう…
- ???: 「戻れると思うな」
- 十七夜: 誰だ
- ???: ここまでお前はやったんだ もう進むしかない
- 十七夜: …………
- ???: 戻れると思うな
- ???: あのヌルくも心地のいい 素晴らしき日々に
- ???: お前はもう、戻る資格も可能性も 持ち合わせていない
- ???: もう自分は誰かの優しさを感じ 温もりを得ることはできない
- 十七夜: …………
- ???: だがまあ、よく考えてみろ
- ???: そもそも、 本来のお前はどっちだ?
- ???: 冷静なフリをして、 怒りを蓄えてきたのが自分だろう
- 十七夜: 違う、自分は変わろうとしたんだ
- ???: でも、変われなかった ということだ
- 十七夜: 悔しいな
- ???: だが前向きになれ、自分 お前は解放感を覚えている
- ???: 今、お前を満たしている 感情はなんだ?
- ???: 真っ黒か?
- ???: 違うんだろ? わかるぞ
- 十七夜: …その通りだ
- 十七夜: 期待していたよりずいぶんと 晴れやかな気分だ…
- ???: そうだ お前は今、前に進んでいる
- ???: いや、天辺か
- ???: お前は今日、超えられないと 思っていた一線を超えた
- ???: 人を手に掛けられたんだ だからこそ、こんな言葉を贈ろう
- ???: 平等のためなら 出てくるものを打て
- ???: 人を含めた 全てを平らげろ
- ???: 不毛となった滅びこそ 真の平等だ
- 十七夜: …………ふふっ
- 十七夜: 全てを平らげろ、か…
- 十七夜: ああ、その通りだな
- 十七夜: よくぞ言った 自分の中の自分よ
- 十七夜: 神浜市における 負を生み続ける歴史を壊して
- 十七夜: 些細な対立など 忘れてしまうような大悪党になる
- 十七夜: それが愛する人を 苦しめるとしても…
- ???: ああ、それこそが 真の救いだ
- 十七夜: …ふふっ
- 十七夜: 皮肉なものだな
- 十七夜: かつてマギウスの翼が 成し得なかったことを
- 十七夜: 今、自分が成そうとしている
- 十七夜: 大丈夫、大丈夫だ自分
- 十七夜: 自分の夢は 諦めなければきっと叶う
- 十七夜: 自分は一線を超えられた… 超えられる人間だった
- 十七夜: もう何も恐くない
- 十七夜: 全てを平らにしてみせよう
- ???: ああ、行ってこい
- 十七夜: …………
- 十七夜: 覚悟はできた
- 昨日未明、神浜市に拠点を置く 反社会的勢力の事務所が襲撃を受けました
- 被害者は全て、事務所にいた構成員で その多くが意識不明の重体とのことです
- 唯一意識を取り戻した被害者によると 襲撃をした犯人は たったひとりの少女とのことですが
- 証言に要領を得ないことも多く 警察はあらゆる線を踏まえ 捜査を進めていく方針です
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