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- FILENAME: text_330221-1.txt
- 伊並 満: 『“普通”に生きたい』
- 伊並 満: 寝床についたとき 今日もまた、そう思っていた
- 伊並 満: …はぁ…
- 伊並 満: (大丈夫かなぁ…)
- 伊並 満: (今度の家も、普通に 過ごすことができるかなぁ…)
- 伊並 満: 自分の仕事は家事代行
- 伊並 満: これまでに様々な家を渡り歩いてきた
- 伊並 満: そして、この時期はちょうど端境期で 今まで勤めていた家が地方へ引っ越すため 契約満了となり、新たな仕事先が決まるまで 待機をしている状態だった
- 伊並 満: (…いや、でも待って…)
- 伊並 満: (そもそも、この待機状態って いつまで続くんだろう…)
- 伊並 満: (雇ってくれるところ あるよね…)
- 伊並 満: (…あるのかな…)
- 伊並 満: …はぁぁぁぁ~…
- 伊並 満: (私の人生って…)
- 伊並 満: (…というか、生きるって…)
- 伊並 満: 自分は今年で31歳になる
- 伊並 満: 幼い頃から母親に言われてきたことは…
- 満の母: あなたって 何をやらせてもダメ…
- 満の母: やめて! 目立つようなことはしないで!
- 満の母: せめて人並みに…
- 満の母: “普通”に生きてちょうだい…
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: 今は親元を離れて暮らしている
- 伊並 満: 連絡は…時々…
- 伊並 満: …ふぅ…
- 伊並 満: (わかってるよ、お母さん…)
- 伊並 満: (だから自分…)
- 伊並 満: (魔法少女になって 願いを叶えたんだもん…)
- 伊並 満: 自分はまだ幼い頃にキュゥべえと出会い 魔法少女の契約を交わした
- 伊並 満: その願いは『すべて普通になりたい』
- 伊並 満: (…そう…願いは叶えたんだ…)
- 伊並 満: (だから自分は普通… 普通なんだ…)
- 伊並 満: (どんな家でも 普通でいられるはず…)
- 伊並 満: (きっと大丈夫…うん…)
- 伊並 満: (だって、願いは叶ったって キュゥべえが言ってたし…)
- 伊並 満: (問題ない…自分は普通だ…)
- 伊並 満: (次の家でも きっと普通でいられる…)
- 伊並 満: (大丈夫…大丈夫…)
- 伊並 満: (自分は普通…自分は普通…)
- 伊並 満: (自分は…普通…自分…は…)
- 伊並 満: …すぅ…
- FILENAME: text_330221-2.txt
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: …あれ…?
- 伊並 満: (…どうして…?)
- 伊並 満: (記憶が飛んでる…?)
- 伊並 満: …え…?
- 伊並 満: (ここ…?)
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: …え、待って…
- 伊並 満: 怖い怖い怖い…
- 伊並 満: (…どういうこと…!?)
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: (嫌だ…こんなの…)
- 伊並 満: (全然普通じゃない…!)
- 伊並 満: (なんで…?どうして こんなところに…)
- 伊並 満: …夢遊病…?
- 伊並 満: (そうか… それなら理由がつく…!)
- 伊並 満: (病気なんだ!病気だったら 仕方がない!)
- 伊並 満: (病気になることはおかしくない 誰しも病気になることはある…)
- 伊並 満: (よし…だったら普通の範疇だ 決して自分は人と比べて…)
- ちょっとあんた
- 伊並 満: …え?
- どこの人?
- 伊並 満: …どこ…
- もしかして…新顔?
- 伊並 満: …あの…どういうこと なのかな…?
- だから、うちらのグループに 入ろうとしている子なの?
- 伊並 満: …グループ…?
- …警戒してとぼけてる? それともマジ?
- 伊並 満: いや、マジというか…
- 伊並 満: (困ったな…)
- 伊並 満: (グループとか新顔とか… 仲間に思われてるってこと…?)
- 伊並 満: (いや、どうしよう…こんな 若い子に勘違いされるなんて…)
- 伊並 満: (…でも、それって自分が 若く見えるってこと…?)
- 伊並 満: (それはそれで ちょっと嬉しいかも…)
- 伊並 満: …ふふ…
- …なに笑ってんの? 喧嘩売ってんの?
- 伊並 満: あ、い、いや! そんなこと…
- 伊並 満: …わっ!
- FILENAME: text_330221-3.txt
- 伊並 満: …嘘…
- …なに、この人…?
- 伊並 満: …ね、ねぇ!
- 伊並 満: 自分、いくつに見える…!?
- …はぁ?
- 伊並 満: ご、ごめんなさい…!
- 伊並 満: …あの…でも…
- …同い年くらいだろ? 14?15?
- 伊並 満: そう見えるんだ…!
- 伊並 満: (さっきコンビニの窓ガラスに 映っていた自分…)
- 伊並 満: (昔の…魔法少女になりたての 自分の姿だった…!)
- 伊並 満: (でも、肉眼で見る自分の手は 歳相応というか…31歳の手…)
- 伊並 満: (ちょっと… これはなんなの…!?)
- 伊並 満: (あり得ない… 訳がわからない…!)
- 伊並 満: (ヤバいな…普通じゃないことが 起きてるよ…!)
- 伊並 満: (なんでだろう… どうしてなんだろう…)
- 伊並 満: (考えろ…考えろ…)
- 伊並 満: …うーん…
- …妙な奴だな…
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: あー、そうか!
- うっ…!ビックリしたぁ…
- 伊並 満: (わかった!夢だ!)
- 伊並 満: (それも…明晰夢!)
- 伊並 満: (前からやってみたいと 思っていたんだよね…!)
- 伊並 満: (ネットでやり方とか 調べたもんね…結構)
- 伊並 満: (そうか…それがなんか こう…無意識でやれちゃって!)
- 伊並 満: (そうだよ、これは夢だよ…!)
- 伊並 満: (でないと説明がつかない! 普通じゃないんだもん!)
- 伊並 満: (あーなんか納得した! よかったよかった!)
- 伊並 満: (うん、夢なら何が起きても おかしくない!)
- 伊並 満: (それが普通なんだし!)
- …ねぇ で、どっちなの?
- 新顔なの?そうじゃないの?
- 伊並 満: …え?
- 伊並 満: …あー…
- 伊並 満: (…どうせ夢なんだし… 普段なら絶対にしないけど…)
- 伊並 満: (ノリで流れに身を任せて みようかな…!)
- 伊並 満: は、はい!新顔です!
- やっぱりそうか …んだよ、さっさと言えっての
- うちら、別の場所で 集まってるから移動するよ
- ついて来て 案内するから
- 伊並 満: わ、わかりました…!
- 伊並 満: (なんだろう… 何が起きるのかな…!)
- 着いたよ
- 伊並 満: …ここは…
- 伊並 満: (あれ?…この場所… それに、この時間…)
- 伊並 満: (なんだか記憶に…)
- ほら、あそこにいるのが うちのリーダーだよ
- 伊並 満: …リーダー…?
- 伊並 満: …あ…
- FILENAME: text_330221-4.txt
- 伊並 満: …あの人…
- 紅晴…
- 伊並 満: 結菜…さん…
- …あー、知ってた? まあ有名だもんな
- 伊並 満: (…合ってた…)
- 伊並 満: (…っていうか…これって…)
- 伊並 満: …あ、あの~…
- 伊並 満: 皆さん、その… 魔法少女…的な…
- 『的な』ってなんだよ
- 魔法少女だよ 当たり前だろ?
- …え? あんた、違うの…?
- 伊並 満: そ、そんなことないです! 魔法少女です!はい!
- …だよな 魔力感じたし、指輪つけてるし
- …つーか、あたしはさ 新顔が今日入るって
- 仲間から聞いたんで あそこで待ってたんだけど
- 本当に…
- 伊並 満: と、虎屋町の皆さんの 仲間に入りたいです…!
- 伊並 満: …本当です…!
- …………
- …そう…ならいいけど
- うちも戦力は必要だから まあ、歓迎するよ
- 伊並 満: ど、どうも…
- 伊並 満: (そうだよ…! 虎屋町の…あのグループ…!)
- 伊並 満: (思い出した…)
- 伊並 満: (きっとこれ…)
- 伊並 満: (二木市にいた頃の 自分の記憶だ…!)
- 伊並 満: (魔法少女になったのも二木市に 住んでいた時だったし…)
- 伊並 満: (…そうだよ…この状況… ああ、ショックだったなぁ…)
- 伊並 満: (確かに日常生活では 願いは叶っていたけど…)
- 伊並 満: (この魔法少女としての自分は まったく普通じゃなくて…)
- 伊並 満: (でも、仕方ないから 無理矢理自分を納得させた…)
- 伊並 満: (それであの頃…魔法少女として 生き抜くのに必死で…)
- 伊並 満: (いつからか市内にできてきた 派閥を渡り歩いていたっけ…)
- 伊並 満: (あーそうだ…そうだった!)
- 伊並 満: (あの時も無理やり誘われて…)
- 伊並 満: (でも逆らいたくなかったから 大人しく従って…)
- 伊並 満: (なるべく目立たないように 隅っこの方でひっそりと…)
- 結菜: いい、みんなぁ…
- 伊並 満: (ああ、あの人…)
- 伊並 満: (めちゃくちゃ強くて頭が良くて おまけに凄味まであって…)
- 伊並 満: (すんごい怖かったから 極力近寄らないようにしてた…)
- 結菜: 竜ケ崎がこちらのテリトリーを 奪いに来てるのは知ってるわねぇ
- 結菜: 昨日、とうとう魔女を狙って 侵入してきたわぁ…
- 伊並 満: …あ…
- 伊並 満: (この状況… なんだったっけ…!?うーん…)
- 伊並 満: (えーっと…えーっと…!)
- 結菜: だから、これからぁ…
- 伊並 満: はぁ…間違いなく雲行きが怪しい …そ、存在を消さないと!
- FILENAME: text_330222-1.txt
- 伊並 満: (この状況… なんだったっけ…!?うーん…)
- 伊並 満: (えーっと…えーっと…!)
- 結菜: だから、これからぁ…
- 結菜: 竜ケ崎を追い払うからぁ
- 伊並 満: …あっ!
- よーし!
- 結菜: じゃあ、行きましょうかぁ
- 伊並 満: (そ、そうだ! そうだったんだぁ~!)
- 結菜: …………
- 樹里: …………
- 樹里: …てめぇら、ノコノコと 雁首揃えてよぉ!
- 樹里: マジでうちとやんのか? …へへっ!
- 結菜: やるわよぉ、もちろん
- 結菜: そして…叩き潰す!
- 伊並 満: …ひぃぃ~…
- 伊並 満: (思い出したよぉ…)
- 伊並 満: (確か、魔女の狩場を巡って 虎屋町と竜ケ崎が揉めて…)
- 伊並 満: (こんな感じで全面抗争に なっちゃったんだ…)
- 伊並 満: (そんで、あの時自分は…)
- 樹里: 叩き潰すだぁ? …はっ…身の程知らずが…
- 樹里: てめぇら全員 ウェルダンにしてやんよ!
- 結菜: いくわよぉ!
- 樹里: いくぞ!
- みんな: 「わああああああぁぁぁぁ!」
- 伊並 満: ひえ~!
- 伊並 満: (あ、あの時、自分は…!)
- 伊並 満: やばっ…!
- 伊並 満: くうっ…!
- 伊並 満: (とにかく逃げて… 逃げて…逃げまくって…!)
- 伊並 満: (無我夢中で…!)
- 伊並 満: (駆けずり回って…!)
- 伊並 満: (それで…!)
- ゆ、結菜さん!
- こ、こちらが総崩れです!
- 結菜: …ちっ!
- 樹里: ははっ!
- 結菜: …退くわよぉ!
- 伊並 満: …い、いつの間にか 終わってたんだ…
- FILENAME: text_330222-2.txt
- 結菜: …………
- 結菜: …状況は?
- みんな、どうにか逃げたようで 集まりつつあります…
- 結菜: …死んだ子は?
- 今の所、その報告はありません…
- 結菜: 最悪では、ないわねぇ…
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: (虎屋町… ボロ負けしたんだよなぁ…)
- 伊並 満: (紅晴さん…当たり前だけど 機嫌悪そう…怖いよぉ…)
- 結菜: …竜ケ崎の連中 何かやってたのかしらぁ…?
- 結菜: いつもは正面からバカ正直に 押し出してくるだけだったのに…
- 結菜: 今日は死角を突いた 激しい攻撃があったわぁ…
- …………
- 結菜: 今ままでの戦いは私たちが 連中を押していた
- 結菜: だから士気も高かった… 勝てるはずだった…!
- 結菜: それなのに、この局面で…
- 結菜: …まさか、今までが擬態…?
- 私たちを油断させていた… ということですか?
- 結菜: 緩んでいたところを 奥の手で一気に…
- 結菜: …いや、あの樹里に そんな芸当ができるとはねぇ…
- ですよね…
- 結菜: 連中がやりそうな手口はぁ…
- …うちにスパイを 潜り込ませていた、とか…?
- 結菜: スパイ…
- そうです! そいつが背後からこっそり…
- 結菜: だから死角から 攻撃された…ってわけぇ…?
- はい! どうでしょうか…?
- 結菜: …………
- 結菜: …それもあの子らしくない 手だという気もするけどぉ…
- あいつが考えなくても 周りの連中が提案したかも…!
- 結菜: …周りがねぇ…
- 結菜: まあ、その可能性も 確かにあるわぁ…
- 結菜: 今、ここに戻って来た子 片っ端から調べるわよぉ
- 結菜: 誰かがいなくなっていたら スパイの疑惑は高まるわねぇ
- ですね…
- 結菜: とにかく、全員調査するからぁ…
- 結菜: もちろん、あなたもねぇ…
- は、はい…!
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: (き、聞いちゃった…)
- 伊並 満: (スパイ探し…!?そんなの…)
- 伊並 満: (新顔の自分が真っ先に 疑われちゃう…!)
- 伊並 満: (…って思って、この場から 逃げ出したんだっけ…)
- 伊並 満: (…あ、でも…これ、夢だよね)
- 伊並 満: (だったら、そんな ビクビクする必要も…)
- 結菜: …次ぃ…
- 伊並 満: (はぁぁぁぁ~! 怖いよぉぉぉ~!)
- 伊並 満: (ダ、ダメだ…!無理無理! 耐えられない!)
- 伊並 満: (に、逃げよう…!)
- FILENAME: text_330222-3.txt
- 伊並 満: …ふぅ…
- 伊並 満: (…ここまで来れば…)
- 伊並 満: (…って、本当に昔 逃げたんだよなぁ…)
- 伊並 満: (なのに、夢でもまた同じこと してるっていうのが…)
- 伊並 満: (自分、本当にクズい…)
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: (…それにしても…)
- 伊並 満: (夢っていつまで続くの…?)
- 伊並 満: …う~ん…
- 伊並 満: (…目、覚めろ!)
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: (…ダメだなぁ…)
- 伊並 満: (この状況、まだ体験しないと いけないってわけか…)
- 伊並 満: (…だったら…)
- 伊並 満: …………
- おわっ!
- 伊並 満: …ああっ!
- てめー肩ぶつけてくるなんざ 上等じゃねーかよ!
- 伊並 満: すす、すみません! わざじゃないんです!
- んだと? だったらどこ見て歩いて…
- …おい…お前 知らねー顔だな…
- 伊並 満: あ…その…
- 伊並 満: 先日からこちらのグループで お世話になっている者で…
- …なんだ、新入りか…
- 伊並 満: 文字通り、右も左もわからない ボンクラでして、はい…
- …けっ! 今度から気ぃつけろよ!
- 樹里: おう、そこ! 何ごちゃごちゃやってんだ!
- あ!すんません!
- 伊並 満: すんません!
- 樹里: 集まれ!話がある!
- はいっ!
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: …ふぃ~…
- 伊並 満: (夢なんだけど… やってしまった…)
- 伊並 満: (調子が上向いている派閥へ こっそりと潜り込む…)
- 伊並 満: (名付けて 「カメレオン作戦」…!)
- 伊並 満: (たとえ敵対しているチームでも 存在感の薄い自分だからできた)
- 伊並 満: (当時はこの方法でどうにか 生き抜いてきたんだよなぁ…)
- 伊並 満: (とにかく、今は竜ケ崎で 身を潜めておかないと…)
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: (…あ、そうか…!)
- 伊並 満: (確かこの後…)
- FILENAME: text_330222-4.txt
- 樹里: おう!いいか、てめーら!
- 伊並 満: (そうだった、この人…)
- 伊並 満: (紅晴さんとは 別の意味で怖いんだよなぁ…)
- 伊並 満: (口が悪くて乱暴で そして喧嘩っ早い…)
- 伊並 満: (だから…)
- 樹里: さっき、虎屋町の連中を 気持ちよくボコしたけどよぉ…
- 樹里: この機会に、一気に奴らの テリトリーを奪ってやろうぜ!
- え!?それって…
- 樹里: これから殴り込みだ!
- 樹里: ついさっきまでやり合ってた 相手に…
- 樹里: まさか今、攻め込まれるとは 思っていねーだろ…
- 樹里: その隙を突いて…トドメだ!
- おおーっ!
- 樹里: …で、奴らの所在を確認する 必要があるから…
- 樹里: 誰かあいつらの様子を見てこい いつもたむろしてる所にいんだろ
- 樹里: ただし、いいか、見つかるなよ? バレたらこの作戦の意味がねぇ
- 樹里: …ということで頼むわ 報告待ってんぞ
- わ、わかりました!
- 樹里: さっさと戻ってこいよ いいな?
- はいっ!
- …………
- …あー、というわけで 誰か行ってきてくんない?
- 伊並 満: (…これこれ…)
- 伊並 満: (見つかったら命の保証はない… しかも作戦は失敗になる…)
- 伊並 満: (だから本当は 誰もやりたくないので…)
- お前がやれって!
- 伊並 満: (仕事の押し付け合いになり…)
- いいから!
- 伊並 満: (結局…)
- …よーし!任せたからな!
- 伊並 満: …はい…
- 伊並 満: (自分に回ってくる…)
- 伊並 満: (なにもかもあの頃と同じ…)
- 伊並 満: 明けても暮れても抗争、抗争… この町で生きるの、しんどい…
- FILENAME: text_330223-1.txt
- 伊並 満: …よし…
- 伊並 満: (昔を思い出そう…)
- 伊並 満: (確かあのときは、とにかく 慎重に気づかれないように…)
- 伊並 満: …そーっと…しれーっと…
- 伊並 満: (もし誰かと会っても 声色を変えて…)
- …ん?
- 伊並 満: …あ!…コホン…ど、どうも! 大変な夜ですね、ホント…
- …うん…そうだね…
- …誰だっけ…?
- 伊並 満: …ふーっ…
- 伊並 満: (よかった… 声を変えたらバレなかった…)
- 伊並 満: さて…
- 伊並 満: (見る限り、さっき集まっていた 虎屋町の魔法少女は大体いる…)
- 伊並 満: (この状況が確認できたら いいんだよね…)
- 伊並 満: (…なんか忘れているような 気もするけど…)
- 伊並 満: (とにかくここから 退散しなきゃ…!)
- 伊並 満: …そーっと…しれーっと…
- 結菜: …で、スパイらしき人物は 見つからなかったのねぇ?
- はい…
- 伊並 満: …!
- 伊並 満: (あー、そうだった…!)
- 伊並 満: (ここから出ようとしたとき かち合っちゃったんだ…!)
- 結菜: …………
- 結菜: …他の原因も 検討した方がいいわねぇ…
- 伊並 満: (ここでUターンしたら きっと怪しまれる…!)
- 伊並 満: (“普通”に振舞って 通り過ぎないと…!)
- FILENAME: text_330223-2.txt
- 結菜: …………
- 伊並 満: (普通に…あくまで普通に…)
- 結菜: …スパイがいないのだとすれば こういうことも考えられるわぁ…
- なんでしょうか…?
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: (可能であれば、情報も耳に 入れておいて…)
- 結菜: それはねぇ…
- 伊並 満: (それは…?)
- 結菜: …………
- 結菜: …ちょっと待ってぇ…
- …え?
- 伊並 満: (…え?)
- 結菜: どうも変ねぇ…
- 何が…ですか?
- 結菜: …いや、なんとなく なんだけどぉ…
- 結菜: 違和感があるのよぉ…
- 違和感…?
- 伊並 満: …………
- 結菜: これは…緊張…?
- 結菜: その緊張がこの場の空気に 違和感を与えている…?
- 結菜: その発信源はぁ…
- 伊並 満: (…え?…え?…)
- 結菜: …あなたぁ?
- 私、ですか…!?
- 結菜: …………
- 結菜: …違うわよねぇ
- 結菜: となると…
- 結菜: あなたかしらぁ?
- 伊並 満: (ううっ!)
- ん?…この子は…?
- …誰だ…?
- 伊並 満: じ、自分はその…
- 結菜: 何を…してたのぉ?
- 伊並 満: (だ、大丈夫!あくまで自分は 新参者なだけで、スパイとか…)
- 伊並 満: (…って、今、スパイしてた!)
- 伊並 満: (…いやいや待って!そのこと だって別に白状しなければ…)
- 伊並 満: (自分が竜ケ崎と繋がっている 物証とかもないし…!)
- 結菜: ねぇ…教えてくれるぅ?
- 伊並 満: は、はい、それは…
- 結菜: なぁにぃ?
- 伊並 満: あの…あの…あの…
- 伊並 満: …ひぃー!
- 結菜: 待ちなさい!
- 伊並 満: きゃぁぁぁぁ~!
- 結菜: …うそぉ!?
- 結菜さんが攻撃を…外した!?
- 結菜: …くっ!
- 伊並 満: (やっぱりダメ!無理!)
- 伊並 満: (あのプレッシャー… 耐えられないよぉぉぉぉ~!)
- 待て!
- …追います!
- はいっ!
- 結菜: …………
- 結菜: (今のは…一体…)
- FILENAME: text_330223-3.txt
- 伊並 満: ひぃ…ひぃ…ひぃ…
- …誰だ!
- 伊並 満: あ…あの…
- てめー…見ねぇ顔だな! どこのモンだ!
- 伊並 満: じ、自分は…虎屋町の… 偵察に…!
- …偵察?
- …あれ? お前が行ってたんだっけ…?
- 伊並 満: そ、そうです…!
- …お、おう…お疲れさん…
- で、どうだった?
- 伊並 満: えっと…その…
- 結菜: あなたたち、やっぱりまだ こんな所でたむろしてたのねぇ
- …なっ!? 紅晴結菜…!
- じゅ、樹里さーん!
- 樹里: んだよ、ガタガタと騒が…
- 樹里: …げっ!? て、てめぇ…どうしてここに!
- 結菜: …もう今夜は決着がついた…って 思わせといて、また仕掛ける…
- 結菜: 偵察を寄越したあたり そんなところかしらぁ?
- 樹里: …ぐっ!バレたのか…!
- 樹里: おい!偵察してきた奴はどこだ! ウェルダンにしてやる!
- 伊並 満: ひっ!
- 結菜: いいわぁ…お望み通り…
- 結菜: まだまだ戦ってあげるわよ!
- 樹里: …ははっ! だったらいくぞおらぁ!
- 結菜: いくわよ…!
- わあああああ!
- 樹里: 返り討ちだ!
- うおおおおお!
- 伊並 満: ひ、ひぇ!ひぇぇぇ~!
- 伊並 満: (ヤ、ヤバいよぉぉ!)
- 伊並 満: (…あ、でも、これ、夢…)
- 結菜: はっ!
- 樹里: おらぁっ!
- 伊並 満: わぁ!あ、当たるぅ~!
- 伊並 満: …え!?
- ぐあっ!
- な、なんだ…? 誰か攻撃してくれたのか…?
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: …あー!
- 伊並 満: (すっかり忘れてた… 自分の“魔法”のこと…!)
- 伊並 満: (…これが昔の記憶をもとにした 夢だから忘れていたの…?)
- 伊並 満: (と、ともかく! そうだ…自分の魔法は…)
- 伊並 満: (無意識で仕掛けられた攻撃を 回避できる…ってやつ!)
- 伊並 満: (だからなんだよ… 虎屋町がさっき負けたのも…)
- 伊並 満: (…自分のせいだったんだ…)
- 伊並 満: (いや…悪いことしたなぁ…)
- 伊並 満: (で、しかも今…)
- な、なんなんだ…!? どこから攻撃が…!?
- 結菜: チャンスよぉ!
- 樹里: な、なんでだ…!?
- 伊並 満: (竜ケ崎が負けそうに…)
- 伊並 満: (ていうか、負けたんだよね…)
- 樹里さん!マズいですよ!
- 樹里: …このぉぉぉぉぉ! どっから仕掛けてきてる!
- 伊並 満: (…自分です…すみません…)
- 樹里: 樹里サマが…
- 樹里: 樹里サマが燃やしてやるぅ~!
- 伊並 満: …ひえぇ~!
- 伊並 満: (夢だとしても怖すぎる!)
- 伊並 満: (…あれ?ていうか、こんなこと 自分、体験したことあった…?)
- 伊並 満: (ここら辺って もう自分の記憶と違う…?)
- 伊並 満: (そもそも、自分、こんな抗争 巻き込まれてたっけ…?)
- 伊並 満: (…ダメだ!なんだかもう 訳がわからなくなってきた…!)
- 伊並 満: (もうお願い!夢なんでしょ!? だったら終わりにして!)
- 伊並 満: (早く起きて!自分! 起きてよ!)
- 伊並 満: (こんなのもう嫌! 起きてってばー!)
- FILENAME: text_330223-4.txt
- 伊並 満: …はっ!
- 伊並 満: …じ、自分…!
- 伊並 満: …あれ…?
- 伊並 満: (…部屋…?)
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: …えっと…
- 伊並 満: (…寝てた…?)
- 伊並 満: …でも…
- 伊並 満: (なんでこんな ドキドキしてるの…?)
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: …夢…見てた…?
- 伊並 満: (…あー…そんな感じだわ…)
- 伊並 満: (覚えてないけど…夢を 見ていたような…)
- 伊並 満: (なんか、すっごく怖い夢…)
- 伊並 満: …嫌だなぁ…もう…
- 伊並 満: (早く明晰夢を見れるように なりたいなぁ…)
- 伊並 満: (そうすればこんなこと…)
- 伊並 満: (…あー、でもいい! 気にしない!うん!)
- 伊並 満: (自分の願いは叶ってるんだ… この生活は全部“普通”…)
- 伊並 満: (変なことは起きない… すべて普通になる…)
- 伊並 満: (そうだよ…だから変な夢を 見たとしても忘れるんだ)
- 伊並 満: (夢なんかで気持ちが 乱されちゃったりしたら…)
- 伊並 満: …普通でいられないもんね…
- 伊並 満: その翌日、念願の新たな 仕事の依頼が舞い込んできた…!
- 伊並 満: 依頼主の名前は…
- 伊並 満: …紅晴…結菜…さんか…
- 伊並 満: …うーん…
- 伊並 満: (妙に引っ掛かる名前だけど…)
- 伊並 満: …………
- 伊並 満: (…ダメだ、思い出せないや)
- 伊並 満: (ともかく、新しい仕事が 見つかって一安心…)
- 伊並 満: (あとはただ平穏に…)
- 伊並 満: …普通に生きられれば…
- 伊並 満: 面倒事はホント勘弁…自分はただ 普通に生きたいだけなのに…!
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