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Mitsuru MSS JP Text

Sep 11th, 2023
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  1. FILENAME: text_330221-1.txt
  2. 伊並 満: 『“普通”に生きたい』
  3. 伊並 満: 寝床についたとき 今日もまた、そう思っていた
  4. 伊並 満: …はぁ…
  5. 伊並 満: (大丈夫かなぁ…)
  6. 伊並 満: (今度の家も、普通に 過ごすことができるかなぁ…)
  7. 伊並 満: 自分の仕事は家事代行
  8. 伊並 満: これまでに様々な家を渡り歩いてきた
  9. 伊並 満: そして、この時期はちょうど端境期で 今まで勤めていた家が地方へ引っ越すため 契約満了となり、新たな仕事先が決まるまで 待機をしている状態だった
  10. 伊並 満: (…いや、でも待って…)
  11. 伊並 満: (そもそも、この待機状態って いつまで続くんだろう…)
  12. 伊並 満: (雇ってくれるところ あるよね…)
  13. 伊並 満: (…あるのかな…)
  14. 伊並 満: …はぁぁぁぁ~…
  15. 伊並 満: (私の人生って…)
  16. 伊並 満: (…というか、生きるって…)
  17. 伊並 満: 自分は今年で31歳になる
  18. 伊並 満: 幼い頃から母親に言われてきたことは…
  19. 満の母: あなたって 何をやらせてもダメ…
  20. 満の母: やめて! 目立つようなことはしないで!
  21. 満の母: せめて人並みに…
  22. 満の母: “普通”に生きてちょうだい…
  23. 伊並 満: …………
  24. 伊並 満: 今は親元を離れて暮らしている
  25. 伊並 満: 連絡は…時々…
  26. 伊並 満: …ふぅ…
  27. 伊並 満: (わかってるよ、お母さん…)
  28. 伊並 満: (だから自分…)
  29. 伊並 満: (魔法少女になって 願いを叶えたんだもん…)
  30. 伊並 満: 自分はまだ幼い頃にキュゥべえと出会い 魔法少女の契約を交わした
  31. 伊並 満: その願いは『すべて普通になりたい』
  32. 伊並 満: (…そう…願いは叶えたんだ…)
  33. 伊並 満: (だから自分は普通… 普通なんだ…)
  34. 伊並 満: (どんな家でも 普通でいられるはず…)
  35. 伊並 満: (きっと大丈夫…うん…)
  36. 伊並 満: (だって、願いは叶ったって キュゥべえが言ってたし…)
  37. 伊並 満: (問題ない…自分は普通だ…)
  38. 伊並 満: (次の家でも きっと普通でいられる…)
  39. 伊並 満: (大丈夫…大丈夫…)
  40. 伊並 満: (自分は普通…自分は普通…)
  41. 伊並 満: (自分は…普通…自分…は…)
  42. 伊並 満: …すぅ…
  43.  
  44. FILENAME: text_330221-2.txt
  45. 伊並 満: …………
  46. 伊並 満: …あれ…?
  47. 伊並 満: (…どうして…?)
  48. 伊並 満: (記憶が飛んでる…?)
  49. 伊並 満: …え…?
  50. 伊並 満: (ここ…?)
  51. 伊並 満: …………
  52. 伊並 満: …え、待って…
  53. 伊並 満: 怖い怖い怖い…
  54. 伊並 満: (…どういうこと…!?)
  55. 伊並 満: …………
  56. 伊並 満: (嫌だ…こんなの…)
  57. 伊並 満: (全然普通じゃない…!)
  58. 伊並 満: (なんで…?どうして こんなところに…)
  59. 伊並 満: …夢遊病…?
  60. 伊並 満: (そうか… それなら理由がつく…!)
  61. 伊並 満: (病気なんだ!病気だったら 仕方がない!)
  62. 伊並 満: (病気になることはおかしくない 誰しも病気になることはある…)
  63. 伊並 満: (よし…だったら普通の範疇だ 決して自分は人と比べて…)
  64. ちょっとあんた
  65. 伊並 満: …え?
  66. どこの人?
  67. 伊並 満: …どこ…
  68. もしかして…新顔?
  69. 伊並 満: …あの…どういうこと なのかな…?
  70. だから、うちらのグループに 入ろうとしている子なの?
  71. 伊並 満: …グループ…?
  72. …警戒してとぼけてる? それともマジ?
  73. 伊並 満: いや、マジというか…
  74. 伊並 満: (困ったな…)
  75. 伊並 満: (グループとか新顔とか… 仲間に思われてるってこと…?)
  76. 伊並 満: (いや、どうしよう…こんな 若い子に勘違いされるなんて…)
  77. 伊並 満: (…でも、それって自分が 若く見えるってこと…?)
  78. 伊並 満: (それはそれで ちょっと嬉しいかも…)
  79. 伊並 満: …ふふ…
  80. …なに笑ってんの? 喧嘩売ってんの?
  81. 伊並 満: あ、い、いや! そんなこと…
  82. 伊並 満: …わっ!
  83.  
  84. FILENAME: text_330221-3.txt
  85. 伊並 満: …嘘…
  86. …なに、この人…?
  87. 伊並 満: …ね、ねぇ!
  88. 伊並 満: 自分、いくつに見える…!?
  89. …はぁ?
  90. 伊並 満: ご、ごめんなさい…!
  91. 伊並 満: …あの…でも…
  92. …同い年くらいだろ? 14?15?
  93. 伊並 満: そう見えるんだ…!
  94. 伊並 満: (さっきコンビニの窓ガラスに 映っていた自分…)
  95. 伊並 満: (昔の…魔法少女になりたての 自分の姿だった…!)
  96. 伊並 満: (でも、肉眼で見る自分の手は 歳相応というか…31歳の手…)
  97. 伊並 満: (ちょっと… これはなんなの…!?)
  98. 伊並 満: (あり得ない… 訳がわからない…!)
  99. 伊並 満: (ヤバいな…普通じゃないことが 起きてるよ…!)
  100. 伊並 満: (なんでだろう… どうしてなんだろう…)
  101. 伊並 満: (考えろ…考えろ…)
  102. 伊並 満: …うーん…
  103. …妙な奴だな…
  104. 伊並 満: …………
  105. 伊並 満: あー、そうか!
  106. うっ…!ビックリしたぁ…
  107. 伊並 満: (わかった!夢だ!)
  108. 伊並 満: (それも…明晰夢!)
  109. 伊並 満: (前からやってみたいと 思っていたんだよね…!)
  110. 伊並 満: (ネットでやり方とか 調べたもんね…結構)
  111. 伊並 満: (そうか…それがなんか こう…無意識でやれちゃって!)
  112. 伊並 満: (そうだよ、これは夢だよ…!)
  113. 伊並 満: (でないと説明がつかない! 普通じゃないんだもん!)
  114. 伊並 満: (あーなんか納得した! よかったよかった!)
  115. 伊並 満: (うん、夢なら何が起きても おかしくない!)
  116. 伊並 満: (それが普通なんだし!)
  117. …ねぇ で、どっちなの?
  118. 新顔なの?そうじゃないの?
  119. 伊並 満: …え?
  120. 伊並 満: …あー…
  121. 伊並 満: (…どうせ夢なんだし… 普段なら絶対にしないけど…)
  122. 伊並 満: (ノリで流れに身を任せて みようかな…!)
  123. 伊並 満: は、はい!新顔です!
  124. やっぱりそうか …んだよ、さっさと言えっての
  125. うちら、別の場所で 集まってるから移動するよ
  126. ついて来て 案内するから
  127. 伊並 満: わ、わかりました…!
  128. 伊並 満: (なんだろう… 何が起きるのかな…!)
  129. 着いたよ
  130. 伊並 満: …ここは…
  131. 伊並 満: (あれ?…この場所… それに、この時間…)
  132. 伊並 満: (なんだか記憶に…)
  133. ほら、あそこにいるのが うちのリーダーだよ
  134. 伊並 満: …リーダー…?
  135. 伊並 満: …あ…
  136.  
  137. FILENAME: text_330221-4.txt
  138. 伊並 満: …あの人…
  139. 紅晴…
  140. 伊並 満: 結菜…さん…
  141. …あー、知ってた? まあ有名だもんな
  142. 伊並 満: (…合ってた…)
  143. 伊並 満: (…っていうか…これって…)
  144. 伊並 満: …あ、あの~…
  145. 伊並 満: 皆さん、その… 魔法少女…的な…
  146. 『的な』ってなんだよ
  147. 魔法少女だよ 当たり前だろ?
  148. …え? あんた、違うの…?
  149. 伊並 満: そ、そんなことないです! 魔法少女です!はい!
  150. …だよな 魔力感じたし、指輪つけてるし
  151. …つーか、あたしはさ 新顔が今日入るって
  152. 仲間から聞いたんで あそこで待ってたんだけど
  153. 本当に…
  154. 伊並 満: と、虎屋町の皆さんの 仲間に入りたいです…!
  155. 伊並 満: …本当です…!
  156. …………
  157. …そう…ならいいけど
  158. うちも戦力は必要だから まあ、歓迎するよ
  159. 伊並 満: ど、どうも…
  160. 伊並 満: (そうだよ…! 虎屋町の…あのグループ…!)
  161. 伊並 満: (思い出した…)
  162. 伊並 満: (きっとこれ…)
  163. 伊並 満: (二木市にいた頃の 自分の記憶だ…!)
  164. 伊並 満: (魔法少女になったのも二木市に 住んでいた時だったし…)
  165. 伊並 満: (…そうだよ…この状況… ああ、ショックだったなぁ…)
  166. 伊並 満: (確かに日常生活では 願いは叶っていたけど…)
  167. 伊並 満: (この魔法少女としての自分は まったく普通じゃなくて…)
  168. 伊並 満: (でも、仕方ないから 無理矢理自分を納得させた…)
  169. 伊並 満: (それであの頃…魔法少女として 生き抜くのに必死で…)
  170. 伊並 満: (いつからか市内にできてきた 派閥を渡り歩いていたっけ…)
  171. 伊並 満: (あーそうだ…そうだった!)
  172. 伊並 満: (あの時も無理やり誘われて…)
  173. 伊並 満: (でも逆らいたくなかったから 大人しく従って…)
  174. 伊並 満: (なるべく目立たないように 隅っこの方でひっそりと…)
  175. 結菜: いい、みんなぁ…
  176. 伊並 満: (ああ、あの人…)
  177. 伊並 満: (めちゃくちゃ強くて頭が良くて おまけに凄味まであって…)
  178. 伊並 満: (すんごい怖かったから 極力近寄らないようにしてた…)
  179. 結菜: 竜ケ崎がこちらのテリトリーを 奪いに来てるのは知ってるわねぇ
  180. 結菜: 昨日、とうとう魔女を狙って 侵入してきたわぁ…
  181. 伊並 満: …あ…
  182. 伊並 満: (この状況… なんだったっけ…!?うーん…)
  183. 伊並 満: (えーっと…えーっと…!)
  184. 結菜: だから、これからぁ…
  185. 伊並 満: はぁ…間違いなく雲行きが怪しい …そ、存在を消さないと!
  186.  
  187. FILENAME: text_330222-1.txt
  188. 伊並 満: (この状況… なんだったっけ…!?うーん…)
  189. 伊並 満: (えーっと…えーっと…!)
  190. 結菜: だから、これからぁ…
  191. 結菜: 竜ケ崎を追い払うからぁ
  192. 伊並 満: …あっ!
  193. よーし!
  194. 結菜: じゃあ、行きましょうかぁ
  195. 伊並 満: (そ、そうだ! そうだったんだぁ~!)
  196. 結菜: …………
  197. 樹里: …………
  198. 樹里: …てめぇら、ノコノコと 雁首揃えてよぉ!
  199. 樹里: マジでうちとやんのか? …へへっ!
  200. 結菜: やるわよぉ、もちろん
  201. 結菜: そして…叩き潰す!
  202. 伊並 満: …ひぃぃ~…
  203. 伊並 満: (思い出したよぉ…)
  204. 伊並 満: (確か、魔女の狩場を巡って 虎屋町と竜ケ崎が揉めて…)
  205. 伊並 満: (こんな感じで全面抗争に なっちゃったんだ…)
  206. 伊並 満: (そんで、あの時自分は…)
  207. 樹里: 叩き潰すだぁ? …はっ…身の程知らずが…
  208. 樹里: てめぇら全員 ウェルダンにしてやんよ!
  209. 結菜: いくわよぉ!
  210. 樹里: いくぞ!
  211. みんな: 「わああああああぁぁぁぁ!」
  212. 伊並 満: ひえ~!
  213. 伊並 満: (あ、あの時、自分は…!)
  214. 伊並 満: やばっ…!
  215. 伊並 満: くうっ…!
  216. 伊並 満: (とにかく逃げて… 逃げて…逃げまくって…!)
  217. 伊並 満: (無我夢中で…!)
  218. 伊並 満: (駆けずり回って…!)
  219. 伊並 満: (それで…!)
  220. ゆ、結菜さん!
  221. こ、こちらが総崩れです!
  222. 結菜: …ちっ!
  223. 樹里: ははっ!
  224. 結菜: …退くわよぉ!
  225. 伊並 満: …い、いつの間にか 終わってたんだ…
  226.  
  227. FILENAME: text_330222-2.txt
  228. 結菜: …………
  229. 結菜: …状況は?
  230. みんな、どうにか逃げたようで 集まりつつあります…
  231. 結菜: …死んだ子は?
  232. 今の所、その報告はありません…
  233. 結菜: 最悪では、ないわねぇ…
  234. 伊並 満: …………
  235. 伊並 満: (虎屋町… ボロ負けしたんだよなぁ…)
  236. 伊並 満: (紅晴さん…当たり前だけど 機嫌悪そう…怖いよぉ…)
  237. 結菜: …竜ケ崎の連中 何かやってたのかしらぁ…?
  238. 結菜: いつもは正面からバカ正直に 押し出してくるだけだったのに…
  239. 結菜: 今日は死角を突いた 激しい攻撃があったわぁ…
  240. …………
  241. 結菜: 今ままでの戦いは私たちが 連中を押していた
  242. 結菜: だから士気も高かった… 勝てるはずだった…!
  243. 結菜: それなのに、この局面で…
  244. 結菜: …まさか、今までが擬態…?
  245. 私たちを油断させていた… ということですか?
  246. 結菜: 緩んでいたところを 奥の手で一気に…
  247. 結菜: …いや、あの樹里に そんな芸当ができるとはねぇ…
  248. ですよね…
  249. 結菜: 連中がやりそうな手口はぁ…
  250. …うちにスパイを 潜り込ませていた、とか…?
  251. 結菜: スパイ…
  252. そうです! そいつが背後からこっそり…
  253. 結菜: だから死角から 攻撃された…ってわけぇ…?
  254. はい! どうでしょうか…?
  255. 結菜: …………
  256. 結菜: …それもあの子らしくない 手だという気もするけどぉ…
  257. あいつが考えなくても 周りの連中が提案したかも…!
  258. 結菜: …周りがねぇ…
  259. 結菜: まあ、その可能性も 確かにあるわぁ…
  260. 結菜: 今、ここに戻って来た子 片っ端から調べるわよぉ
  261. 結菜: 誰かがいなくなっていたら スパイの疑惑は高まるわねぇ
  262. ですね…
  263. 結菜: とにかく、全員調査するからぁ…
  264. 結菜: もちろん、あなたもねぇ…
  265. は、はい…!
  266. 伊並 満: …………
  267. 伊並 満: (き、聞いちゃった…)
  268. 伊並 満: (スパイ探し…!?そんなの…)
  269. 伊並 満: (新顔の自分が真っ先に 疑われちゃう…!)
  270. 伊並 満: (…って思って、この場から 逃げ出したんだっけ…)
  271. 伊並 満: (…あ、でも…これ、夢だよね)
  272. 伊並 満: (だったら、そんな ビクビクする必要も…)
  273. 結菜: …次ぃ…
  274. 伊並 満: (はぁぁぁぁ~! 怖いよぉぉぉ~!)
  275. 伊並 満: (ダ、ダメだ…!無理無理! 耐えられない!)
  276. 伊並 満: (に、逃げよう…!)
  277.  
  278. FILENAME: text_330222-3.txt
  279. 伊並 満: …ふぅ…
  280. 伊並 満: (…ここまで来れば…)
  281. 伊並 満: (…って、本当に昔 逃げたんだよなぁ…)
  282. 伊並 満: (なのに、夢でもまた同じこと してるっていうのが…)
  283. 伊並 満: (自分、本当にクズい…)
  284. 伊並 満: …………
  285. 伊並 満: (…それにしても…)
  286. 伊並 満: (夢っていつまで続くの…?)
  287. 伊並 満: …う~ん…
  288. 伊並 満: (…目、覚めろ!)
  289. 伊並 満: …………
  290. 伊並 満: (…ダメだなぁ…)
  291. 伊並 満: (この状況、まだ体験しないと いけないってわけか…)
  292. 伊並 満: (…だったら…)
  293. 伊並 満: …………
  294. おわっ!
  295. 伊並 満: …ああっ!
  296. てめー肩ぶつけてくるなんざ 上等じゃねーかよ!
  297. 伊並 満: すす、すみません! わざじゃないんです!
  298. んだと? だったらどこ見て歩いて…
  299. …おい…お前 知らねー顔だな…
  300. 伊並 満: あ…その…
  301. 伊並 満: 先日からこちらのグループで お世話になっている者で…
  302. …なんだ、新入りか…
  303. 伊並 満: 文字通り、右も左もわからない ボンクラでして、はい…
  304. …けっ! 今度から気ぃつけろよ!
  305. 樹里: おう、そこ! 何ごちゃごちゃやってんだ!
  306. あ!すんません!
  307. 伊並 満: すんません!
  308. 樹里: 集まれ!話がある!
  309. はいっ!
  310. 伊並 満: …………
  311. 伊並 満: …ふぃ~…
  312. 伊並 満: (夢なんだけど… やってしまった…)
  313. 伊並 満: (調子が上向いている派閥へ こっそりと潜り込む…)
  314. 伊並 満: (名付けて 「カメレオン作戦」…!)
  315. 伊並 満: (たとえ敵対しているチームでも 存在感の薄い自分だからできた)
  316. 伊並 満: (当時はこの方法でどうにか 生き抜いてきたんだよなぁ…)
  317. 伊並 満: (とにかく、今は竜ケ崎で 身を潜めておかないと…)
  318. 伊並 満: …………
  319. 伊並 満: (…あ、そうか…!)
  320. 伊並 満: (確かこの後…)
  321.  
  322. FILENAME: text_330222-4.txt
  323. 樹里: おう!いいか、てめーら!
  324. 伊並 満: (そうだった、この人…)
  325. 伊並 満: (紅晴さんとは 別の意味で怖いんだよなぁ…)
  326. 伊並 満: (口が悪くて乱暴で そして喧嘩っ早い…)
  327. 伊並 満: (だから…)
  328. 樹里: さっき、虎屋町の連中を 気持ちよくボコしたけどよぉ…
  329. 樹里: この機会に、一気に奴らの テリトリーを奪ってやろうぜ!
  330. え!?それって…
  331. 樹里: これから殴り込みだ!
  332. 樹里: ついさっきまでやり合ってた 相手に…
  333. 樹里: まさか今、攻め込まれるとは 思っていねーだろ…
  334. 樹里: その隙を突いて…トドメだ!
  335. おおーっ!
  336. 樹里: …で、奴らの所在を確認する 必要があるから…
  337. 樹里: 誰かあいつらの様子を見てこい いつもたむろしてる所にいんだろ
  338. 樹里: ただし、いいか、見つかるなよ? バレたらこの作戦の意味がねぇ
  339. 樹里: …ということで頼むわ 報告待ってんぞ
  340. わ、わかりました!
  341. 樹里: さっさと戻ってこいよ いいな?
  342. はいっ!
  343. …………
  344. …あー、というわけで 誰か行ってきてくんない?
  345. 伊並 満: (…これこれ…)
  346. 伊並 満: (見つかったら命の保証はない… しかも作戦は失敗になる…)
  347. 伊並 満: (だから本当は 誰もやりたくないので…)
  348. お前がやれって!
  349. 伊並 満: (仕事の押し付け合いになり…)
  350. いいから!
  351. 伊並 満: (結局…)
  352. …よーし!任せたからな!
  353. 伊並 満: …はい…
  354. 伊並 満: (自分に回ってくる…)
  355. 伊並 満: (なにもかもあの頃と同じ…)
  356. 伊並 満: 明けても暮れても抗争、抗争… この町で生きるの、しんどい…
  357.  
  358. FILENAME: text_330223-1.txt
  359. 伊並 満: …よし…
  360. 伊並 満: (昔を思い出そう…)
  361. 伊並 満: (確かあのときは、とにかく 慎重に気づかれないように…)
  362. 伊並 満: …そーっと…しれーっと…
  363. 伊並 満: (もし誰かと会っても 声色を変えて…)
  364. …ん?
  365. 伊並 満: …あ!…コホン…ど、どうも! 大変な夜ですね、ホント…
  366. …うん…そうだね…
  367. …誰だっけ…?
  368. 伊並 満: …ふーっ…
  369. 伊並 満: (よかった… 声を変えたらバレなかった…)
  370. 伊並 満: さて…
  371. 伊並 満: (見る限り、さっき集まっていた 虎屋町の魔法少女は大体いる…)
  372. 伊並 満: (この状況が確認できたら いいんだよね…)
  373. 伊並 満: (…なんか忘れているような 気もするけど…)
  374. 伊並 満: (とにかくここから 退散しなきゃ…!)
  375. 伊並 満: …そーっと…しれーっと…
  376. 結菜: …で、スパイらしき人物は 見つからなかったのねぇ?
  377. はい…
  378. 伊並 満: …!
  379. 伊並 満: (あー、そうだった…!)
  380. 伊並 満: (ここから出ようとしたとき かち合っちゃったんだ…!)
  381. 結菜: …………
  382. 結菜: …他の原因も 検討した方がいいわねぇ…
  383. 伊並 満: (ここでUターンしたら きっと怪しまれる…!)
  384. 伊並 満: (“普通”に振舞って 通り過ぎないと…!)
  385.  
  386. FILENAME: text_330223-2.txt
  387. 結菜: …………
  388. 伊並 満: (普通に…あくまで普通に…)
  389. 結菜: …スパイがいないのだとすれば こういうことも考えられるわぁ…
  390. なんでしょうか…?
  391. 伊並 満: …………
  392. 伊並 満: (可能であれば、情報も耳に 入れておいて…)
  393. 結菜: それはねぇ…
  394. 伊並 満: (それは…?)
  395. 結菜: …………
  396. 結菜: …ちょっと待ってぇ…
  397. …え?
  398. 伊並 満: (…え?)
  399. 結菜: どうも変ねぇ…
  400. 何が…ですか?
  401. 結菜: …いや、なんとなく なんだけどぉ…
  402. 結菜: 違和感があるのよぉ…
  403. 違和感…?
  404. 伊並 満: …………
  405. 結菜: これは…緊張…?
  406. 結菜: その緊張がこの場の空気に 違和感を与えている…?
  407. 結菜: その発信源はぁ…
  408. 伊並 満: (…え?…え?…)
  409. 結菜: …あなたぁ?
  410. 私、ですか…!?
  411. 結菜: …………
  412. 結菜: …違うわよねぇ
  413. 結菜: となると…
  414. 結菜: あなたかしらぁ?
  415. 伊並 満: (ううっ!)
  416. ん?…この子は…?
  417. …誰だ…?
  418. 伊並 満: じ、自分はその…
  419. 結菜: 何を…してたのぉ?
  420. 伊並 満: (だ、大丈夫!あくまで自分は 新参者なだけで、スパイとか…)
  421. 伊並 満: (…って、今、スパイしてた!)
  422. 伊並 満: (…いやいや待って!そのこと だって別に白状しなければ…)
  423. 伊並 満: (自分が竜ケ崎と繋がっている 物証とかもないし…!)
  424. 結菜: ねぇ…教えてくれるぅ?
  425. 伊並 満: は、はい、それは…
  426. 結菜: なぁにぃ?
  427. 伊並 満: あの…あの…あの…
  428. 伊並 満: …ひぃー!
  429. 結菜: 待ちなさい!
  430. 伊並 満: きゃぁぁぁぁ~!
  431. 結菜: …うそぉ!?
  432. 結菜さんが攻撃を…外した!?
  433. 結菜: …くっ!
  434. 伊並 満: (やっぱりダメ!無理!)
  435. 伊並 満: (あのプレッシャー… 耐えられないよぉぉぉぉ~!)
  436. 待て!
  437. …追います!
  438. はいっ!
  439. 結菜: …………
  440. 結菜: (今のは…一体…)
  441.  
  442. FILENAME: text_330223-3.txt
  443. 伊並 満: ひぃ…ひぃ…ひぃ…
  444. …誰だ!
  445. 伊並 満: あ…あの…
  446. てめー…見ねぇ顔だな! どこのモンだ!
  447. 伊並 満: じ、自分は…虎屋町の… 偵察に…!
  448. …偵察?
  449. …あれ? お前が行ってたんだっけ…?
  450. 伊並 満: そ、そうです…!
  451. …お、おう…お疲れさん…
  452. で、どうだった?
  453. 伊並 満: えっと…その…
  454. 結菜: あなたたち、やっぱりまだ こんな所でたむろしてたのねぇ
  455. …なっ!? 紅晴結菜…!
  456. じゅ、樹里さーん!
  457. 樹里: んだよ、ガタガタと騒が…
  458. 樹里: …げっ!? て、てめぇ…どうしてここに!
  459. 結菜: …もう今夜は決着がついた…って 思わせといて、また仕掛ける…
  460. 結菜: 偵察を寄越したあたり そんなところかしらぁ?
  461. 樹里: …ぐっ!バレたのか…!
  462. 樹里: おい!偵察してきた奴はどこだ! ウェルダンにしてやる!
  463. 伊並 満: ひっ!
  464. 結菜: いいわぁ…お望み通り…
  465. 結菜: まだまだ戦ってあげるわよ!
  466. 樹里: …ははっ! だったらいくぞおらぁ!
  467. 結菜: いくわよ…!
  468. わあああああ!
  469. 樹里: 返り討ちだ!
  470. うおおおおお!
  471. 伊並 満: ひ、ひぇ!ひぇぇぇ~!
  472. 伊並 満: (ヤ、ヤバいよぉぉ!)
  473. 伊並 満: (…あ、でも、これ、夢…)
  474. 結菜: はっ!
  475. 樹里: おらぁっ!
  476. 伊並 満: わぁ!あ、当たるぅ~!
  477. 伊並 満: …え!?
  478. ぐあっ!
  479. な、なんだ…? 誰か攻撃してくれたのか…?
  480. 伊並 満: …………
  481. 伊並 満: …あー!
  482. 伊並 満: (すっかり忘れてた… 自分の“魔法”のこと…!)
  483. 伊並 満: (…これが昔の記憶をもとにした 夢だから忘れていたの…?)
  484. 伊並 満: (と、ともかく! そうだ…自分の魔法は…)
  485. 伊並 満: (無意識で仕掛けられた攻撃を 回避できる…ってやつ!)
  486. 伊並 満: (だからなんだよ… 虎屋町がさっき負けたのも…)
  487. 伊並 満: (…自分のせいだったんだ…)
  488. 伊並 満: (いや…悪いことしたなぁ…)
  489. 伊並 満: (で、しかも今…)
  490. な、なんなんだ…!? どこから攻撃が…!?
  491. 結菜: チャンスよぉ!
  492. 樹里: な、なんでだ…!?
  493. 伊並 満: (竜ケ崎が負けそうに…)
  494. 伊並 満: (ていうか、負けたんだよね…)
  495. 樹里さん!マズいですよ!
  496. 樹里: …このぉぉぉぉぉ! どっから仕掛けてきてる!
  497. 伊並 満: (…自分です…すみません…)
  498. 樹里: 樹里サマが…
  499. 樹里: 樹里サマが燃やしてやるぅ~!
  500. 伊並 満: …ひえぇ~!
  501. 伊並 満: (夢だとしても怖すぎる!)
  502. 伊並 満: (…あれ?ていうか、こんなこと 自分、体験したことあった…?)
  503. 伊並 満: (ここら辺って もう自分の記憶と違う…?)
  504. 伊並 満: (そもそも、自分、こんな抗争 巻き込まれてたっけ…?)
  505. 伊並 満: (…ダメだ!なんだかもう 訳がわからなくなってきた…!)
  506. 伊並 満: (もうお願い!夢なんでしょ!? だったら終わりにして!)
  507. 伊並 満: (早く起きて!自分! 起きてよ!)
  508. 伊並 満: (こんなのもう嫌! 起きてってばー!)
  509.  
  510. FILENAME: text_330223-4.txt
  511. 伊並 満: …はっ!
  512. 伊並 満: …じ、自分…!
  513. 伊並 満: …あれ…?
  514. 伊並 満: (…部屋…?)
  515. 伊並 満: …………
  516. 伊並 満: …えっと…
  517. 伊並 満: (…寝てた…?)
  518. 伊並 満: …でも…
  519. 伊並 満: (なんでこんな ドキドキしてるの…?)
  520. 伊並 満: …………
  521. 伊並 満: …夢…見てた…?
  522. 伊並 満: (…あー…そんな感じだわ…)
  523. 伊並 満: (覚えてないけど…夢を 見ていたような…)
  524. 伊並 満: (なんか、すっごく怖い夢…)
  525. 伊並 満: …嫌だなぁ…もう…
  526. 伊並 満: (早く明晰夢を見れるように なりたいなぁ…)
  527. 伊並 満: (そうすればこんなこと…)
  528. 伊並 満: (…あー、でもいい! 気にしない!うん!)
  529. 伊並 満: (自分の願いは叶ってるんだ… この生活は全部“普通”…)
  530. 伊並 満: (変なことは起きない… すべて普通になる…)
  531. 伊並 満: (そうだよ…だから変な夢を 見たとしても忘れるんだ)
  532. 伊並 満: (夢なんかで気持ちが 乱されちゃったりしたら…)
  533. 伊並 満: …普通でいられないもんね…
  534. 伊並 満: その翌日、念願の新たな 仕事の依頼が舞い込んできた…!
  535. 伊並 満: 依頼主の名前は…
  536. 伊並 満: …紅晴…結菜…さんか…
  537. 伊並 満: …うーん…
  538. 伊並 満: (妙に引っ掛かる名前だけど…)
  539. 伊並 満: …………
  540. 伊並 満: (…ダメだ、思い出せないや)
  541. 伊並 満: (ともかく、新しい仕事が 見つかって一安心…)
  542. 伊並 満: (あとはただ平穏に…)
  543. 伊並 満: …普通に生きられれば…
  544. 伊並 満: 面倒事はホント勘弁…自分はただ 普通に生きたいだけなのに…!
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