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Kyoko Sakura (Doppel ver.) MSS JP Text

Feb 10th, 2022
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  1. FILENAME: text_326021-1.txt
  2. 杏子: ある日、神浜市で遭遇した ちょっとした出来事がきっかけで
  3. 杏子: いつもとは違う、こんな姿になった
  4. 杏子: …で、それを聞きつけたキュゥべえが さっそくあたしの前に現れた
  5. 杏子: …詳しい話を聞きたい?
  6. キュゥべえ: 是非ともお願いしたいね
  7. 杏子: そう言われてもね…
  8. 杏子: あの姿に変身したのって その1回きりだし
  9. 杏子: あのあと、何度か変身したけど
  10. 杏子: いつも通りの魔法少女の 衣装だったよ
  11. キュゥべえ: 神浜市の外ではそうだろうね
  12. キュゥべえ: キミの身に起きた現象は 神浜市の内部でのみ発現する
  13. キュゥべえ: ドッペルという現象を 前提としたものだからね
  14. 杏子: …アンタの方が よくわかってるみたいだし
  15. 杏子: あたしに何を聞きたいのさ?
  16. キュゥべえ: 当事者の証言は大事さ
  17. キュゥべえ: キミが引き起こしたのは とても珍しい現象で
  18. キュゥべえ: 神浜市の自動浄化システムとの 関係においても
  19. キュゥべえ: 非常に重要な意味を持ってくる
  20. 杏子: 何を企んでるんだか…?
  21. キュゥべえ: とにかく 次に神浜市に行くことがあれば
  22. キュゥべえ: また同じ姿に変身できたかどうか 結果を聞かせてほしいな
  23. 杏子: …まあ 実際にそうなったら、ね
  24. 杏子: で、実はここまでの話は これからする話とはあまり関係がない
  25. 杏子: どちらかというと、ここからが本題だ
  26. ドタドタ…
  27. なぎさ: …あ、杏子! ここにいたのですか!
  28. 杏子: なんだ? あたしになんか用?
  29. なぎさ: そうなのです! 杏子に相談があるのです
  30. 杏子: あたしに?
  31.  
  32. FILENAME: text_326021-2.txt
  33. ぱくっ
  34. なぎさ: うーん、やっぱり このお店のチーズバーガーは
  35. なぎさ: いつ食べても最高なのです!
  36. 杏子: …タダ飯を食いに 来たわけじゃないだろ?
  37. 杏子: なんだよ、あたしに相談って
  38. なぎさ: 実は… 一緒に嘘をついてほしいのです
  39. 杏子: あたしを悪事に 巻き込もうっていうわけ?
  40. なぎさ: そ、そんなことはないのです これには込み入った事情が…
  41. 杏子: …わかったよ、いちおう聞くよ
  42. なぎさ: ありがとうなのです!
  43. なぎさ: 少し前、マミたちと
  44. なぎさ: 幼稚園児たちを助けたのを 覚えていますか?
  45. 杏子: あー、そんなこともあったな
  46. なぎさ: 子どもたちを 1ヶ所に集めたのです!
  47. ほむら: 結界が解けて 空中に投げ出されても
  48. ほむら: ここなら、巴さんのリボンが クッションになって安全です
  49. さやか: 杏子、いくよ!
  50. 杏子: まかせろ あたしが魔女の動きを縛る!
  51. さやか: ナイス、杏子! これで…とどめだぁーーっ!
  52. 杏子: …あれがどうかしたのか?
  53. なぎさ: 実は昨日、そのとき助けた 幼稚園の子たちと
  54. なぎさ: 近くの公園で会ったのです
  55. 杏子: へえ、偶然だな
  56. なぎさ: 引率の先生も 一緒だったのですが…
  57. なぎさ: 実は子どもたちの話を聞くと
  58. なぎさ: なぎさたちの戦っているところが 見られていて
  59. なぎさ: 何人かはそのことを、うっすらと 覚えているようなのです
  60. 杏子: ん…? まずくないか、それ?
  61. なぎさ: 先生の方は
  62. なぎさ: 夢でも見たんじゃないかと 言ってくれたのですが…
  63. 杏子: 子どもたちの方は 納得しなかったと?
  64. なぎさ: そうなのです
  65. なぎさ: 本物の魔法少女を見たと 思われているようなのです
  66. 杏子: いや、だって本物だし…
  67. なぎさ: 問題はそこなのです!
  68. なぎさ: でも本当のことを 言うわけにもいかないので
  69. なぎさ: 次にその子たちに会ったときに 一緒に嘘をついてほしいのです
  70. 杏子: …なるほど でもなんであたしに?
  71. 杏子: マミにでも頼めばいいんじゃ?
  72. なぎさ: その子たちは毎日、同じ時間に 公園に来るらしいのですが
  73. なぎさ: その時間 マミたちは学校なのです
  74. なぎさ: 杏子は学校にも行ってなくて 一番ヒマそうなので…
  75. 杏子: …あたしを怒らせたいわけ?
  76. なぎさ: そ、そんなことはないのです!
  77. なぎさ: でも、魔法少女を信じて
  78. なぎさ: 危ないところに 近づいたりしないように
  79. なぎさ: 誤解は解いた方が いいと思うのです
  80. 杏子: いや、この場合は 「誤解を解く」の逆のような
  81. 杏子: あたしと口裏合わせて ごまかしたいってことだよね
  82. なぎさ: そうとも言うのです
  83. 杏子: で、どう嘘をつこうと?
  84. なぎさ: それなのですが…
  85. なぎさ: 趣味で映画を撮っていた… というのはどうでしょう?
  86. 杏子: …なるほど
  87. なぎさ: もうすぐ、その子たちが 公園に来る時間なのです
  88. 杏子: そんな感じで、なぎさにつきあって 公園に行くことになった
  89.  
  90. FILENAME: text_326021-3.txt
  91. あっ… なぎさおねーちゃんだ!
  92. ほんとだ!
  93. ほら、ちゃんと ご挨拶しましょうね
  94. はーい、先生!
  95. こんにちはー!
  96. なぎさ: えへへー、なのです
  97. そっちのおねーちゃんは?
  98. なぎさ: 杏子なのです!
  99. 杏子: よろしくな
  100. …あっ、覚えてるよ!
  101. そっちのおねーちゃんも 魔法を使ってたよね!
  102. うん、使ってた!
  103. 杏子: …!
  104. 杏子: あたしも見られてたのか…
  105. なぎさ: そうみたいなのです…
  106. あら…またそのお話?
  107. すみません、たぶん テレビで見た何かと
  108. 混じっちゃってるみたいで…
  109. なぎさ: そのことなのですが…
  110. …あら、なんでしょう?
  111. なぎさ: 子どもたちの夢を壊すようで… たいへん心苦しいのですが…
  112. えっ… 映画を撮っていた?
  113. なぎさ: そうなのです
  114. なぎさ: なぎさたちの趣味で 本格的なものではないのですが…
  115. そうだったんですね じゃあ、この子たちが見たのは
  116. あなたたちのロケだったんですね
  117. ロケってなぁに?
  118. えっとね、テレビや映画の撮影…
  119. と言っても、わからないよね…
  120. おねーちゃんたち テレビに出てるヒロインなの?
  121. すごーい!
  122. 杏子: …うーん、わかってるんだか わかってないんだか
  123. 見学の機会でもあれば 理解できると思うんですけど…
  124. 杏子: 見学…ねぇ
  125. はい…杏子さんたちのロケって
  126. 前にこの子たちと会ったあたりで やってるんでしょうか?
  127. なぎさ: はいなのです! この公園でやることもあるのです
  128. 杏子: 適当なこと言ってんじゃないよ
  129. 杏子: 見学させてくださいとか 言われたらどうする?
  130. なぎさ: でも、趣味で撮ってるって 設定ですし…
  131. なぎさ: ここから離れた場所だと 不自然だと思うのです
  132. 杏子: あたしはもっと離れた 風見野市から来てるんだけど?
  133. なぎさ: とにかく相手の出方を見るのです
  134. あら、それだったら…
  135. よろしければ今度
  136. 撮影、この子たちと一緒に 見学させてもらえませんか?
  137. 杏子&なぎさ: ――っ!?
  138.  
  139. FILENAME: text_326021-4.txt
  140. さやか: …で
  141. さやか: 「魔法少女の映画を 趣味で撮ってる」って設定で
  142. さやか: 幼稚園児たちに
  143. さやか: 撮影現場を見学させてあげないと いけなくなったわけね?
  144. なぎさ: そうなのです…
  145. さやか: その子たちの前で
  146. さやか: 「実は魔法なんて使ってません! 撮影用のトリックでーす!」
  147. さやか: …ってフリをするわけだよね
  148. まどか: ちょっとむずかしそうだね…
  149. ほむら: うん…
  150. さやか: 下手な言い訳をしたせいで 話がややこしくなってない?
  151. 杏子: あたしもそう思うよ…
  152. まどか: ふふっ でもなんだか楽しそう
  153. マミ: そうね、そうなったからには みんなで手伝いましょう?
  154. なぎさ: そうしてもらえると ありがたいのです…
  155. さやか: でも…まだサンタさんがいると 信じてるような小さい子の
  156. さやか: 夢を壊しちゃうことに なっちゃうんじゃ…?
  157. 杏子: いや、魔法少女に夢を持ったまま 育つ方がヤバイだろ?
  158. 杏子: 将来、キュゥべえの口車に 乗るきっかけになりかねないし
  159. マミ: 魔法少女に憧れてもらえるなら うれしいけれど
  160. マミ: できれば架空のお話だと 思っていてほしいわね
  161. ほむら: …で、どうしましょう? ロケっぽく見せたいんですよね
  162. ほむら: 趣味っていう設定なら
  163. ほむら: そんなに本格的じゃなくても いいと思うけど…
  164. さやか: 誰かに撮影機材を借りたりとか?
  165. マミ: 衣装はどうするの?
  166. まどか: 本当に変身するわけには いかないし…
  167. まどか: 本物そっくりの衣装を作って 早着替えするとか?
  168. さやか: 武器も本物を 使っちゃうのはまずいよね?
  169. 杏子: 槍とか剣は 演劇用の小道具にしないとな
  170. ほむら: えっと…私は…
  171. 杏子: ほむらの武器って… ゴルフクラブとか爆弾か
  172. まどか: 爆弾は使っちゃダメだよ!?
  173. さやか: 魔法、関係ないしね…
  174. ほむら: だよね…私は裏方で…
  175. マミ: 魔法少女役は2~3人で充分よ
  176. マミ: 本当に撮影するわけじゃ ないんだから
  177. まどか: それじゃ…撮影用の機材と 衣装や小道具を用意して
  178. まどか: 公園で撮影をしてみれば いいのかな…?
  179. なぎさ: 準備が大変そうなのです
  180. まどか: …神浜の子たちに力を 貸してもらえないか
  181. まどか: いろはちゃんに聞いてみようか?
  182. さやか: それがいいかもね
  183. 杏子: あたしだって…そういうのに 憧れて魔法少女になったんだよね
  184.  
  185. FILENAME: text_326022-1.txt
  186. 杏子: 映画撮影のフリをして 幼稚園児たちの目をあざむく作戦は
  187. 杏子: いつのまにか、本格的になってきて…
  188. アシュリー・テイラー: 早着替え用のコスプレ衣装?
  189. アシュリー・テイラー: Leave it to me!! まかせてくだサーイ!
  190. アシュリー・テイラー: 既製品のアレンジでよければ 特急で作れマース!
  191. 史乃 沙優希: 刀剣の小道具ですかぁ?
  192. 史乃 沙優希: それならいい職人さんを たくさん知ってますぅ~
  193. 史乃 沙優希: そこまで似せなくてもいいなら
  194. 史乃 沙優希: 沙優希のステージで使ったものも お貸しできますので
  195. 史乃 沙優希: お役に立てればうれしいですぅ~
  196. 三穂野 せいら: 撮影機材ならまかせて!
  197. 三穂野 せいら: 我が映画研究部の本格機材を 惜しみなく提供するから!
  198. 吉良 てまり: …歴史研究部です、三穂野
  199. 三穂野 せいら: 使い方も 初心者でもわかるように
  200. 三穂野 せいら: 万全に!…ケアするので!
  201. 三穂野 せいら: …あと、どうせならこの際
  202. 三穂野 せいら: 殺陣とかも 本格的にやっちゃいましょう!
  203. 三穂野 せいら: この三穂野せいら監督が… 責任監修するので!
  204. 吉良 てまり: 演技指導ってことですよね?
  205. 古町 みくら: 三穂野のスイッチが 入っちゃったね…
  206. 三穂野 せいら: 「カット、OKです!」
  207. さやか: はぁ…はぁ…
  208. さやか: やっと終わったか…
  209. 杏子: あのさ… アクションシーンの立ち回りとか
  210. 杏子: ここまで本格的に 練習する必要あるわけ?
  211. 三穂野 せいら: んー、ふたりとも魔法少女だし 身体能力は高いから
  212. 三穂野 せいら: 動き自体はレベル高いんだけど
  213. 三穂野 せいら: カメラの前で魅せるアクションは 少し技術がいるからね
  214. 杏子: 使ってるのも、慣れない 舞台用の小道具だからな…
  215. 史乃 沙優希: それに魔法少女姿と違って 撮影用の衣装はぁ…
  216. 史乃 沙優希: 武器に引っかかるだけで 簡単に破れてしまうのでぇ~
  217. さやか: 役者さんの大変さが よくわかったよ…
  218. 三穂野 せいら: それじゃ、次は カメラの取り回しの復習だね
  219. ほむら: …よ、よろしくお願いします
  220. なぎさ: がんばれなのですー!
  221. 杏子: なぎさも手伝うはずじゃ…?
  222. アシュリー・テイラー: では、そのあいだに 杏子とさやかは来てくだサイ!
  223. アシュリー・テイラー: あちらの部屋で 衣装の採寸をさせてもらいマス!
  224. 杏子: りょーかい
  225. さやか: よろしくー!
  226. 古町 みくら: …あっちもかなり本格的みたい
  227. 吉良 てまり: ここまでされると あとに退けないですよね
  228. 杏子: スケジュールの関係で 早着替え衣装が作れるのは 2着までってことで…
  229. 杏子: あたしとさやかが衣装を作ってもらって メインキャストの魔法少女役をやることになった
  230. 杏子: ほむらがカメラ担当、演出担当はマミ まどかとなぎさがアシスタントって配役
  231. 杏子: 本当に映画を撮るわけじゃないし 園児たちに見せるのはほんの1シーンだから それっぽく見えれば充分なんだけど
  232. アシュリー・テイラー: Okay! ばっちりデース!
  233. アシュリー・テイラー: 早着替えできるように ちょっと細工をして
  234. アシュリー・テイラー: 衣装が完成したら すぐにお届けしマース!
  235. さやか: ありがとね、アシュちゃん!
  236. アシュリー・テイラー: You're welcome! どういたしましてデス!
  237.  
  238. FILENAME: text_326022-2.txt
  239. 杏子: そして見学当日…
  240. マミ: それじゃ、見学のみんな
  241. まどか: 今日はよろしくねっ!
  242. みんな: よろしくおねがいしまーす!
  243. マミ: それじゃ さっそく撮影を始めるわね
  244. マミ: 主演のふたりは位置についた?
  245. 杏子: いつでもいいよ
  246. まどか: 照明もばっちりです!
  247. マミ: 暁美さん、カメラはOK?
  248. ほむら: は、はい…!
  249. マミ: それじゃ…
  250. マミ: 「アクション!」
  251. さやか: いつでもかかってきなさいよ
  252. 杏子: …やるしかないみたいだな
  253. ピカッ
  254. わぁっ…!
  255. すごい、変身したよ!
  256. マミ: あれはね、照明を光らせてる あいだに早着替えしたの
  257. マミ: 最初の服の下に着ていたのよ
  258. なぎさ: ふたりが脱いだ服は なぎさが回収したのです
  259. すごいですね…!
  260. マミ: 本当に変身したように見えたわね
  261. まどか: すごいですね アシュちゃんの衣装
  262. まどか: 時間がなくて既製品を アレンジしたって言ってたのに
  263. まどか: いつもの杏子ちゃんたちと 同じ格好に見えるし…
  264. さやか: やああっ!
  265. 杏子: くっ…!
  266. 杏子: さやかのやつ、どこに消えた?
  267. 杏子: どこから来る…? 右か、左か…?
  268. 杏子: ――っ!?
  269. 杏子: この気配… 上か!!
  270. ザシュッ
  271. さやか: うわっ…!?
  272. いま、槍が光ったよ!
  273. ほんとに魔法みたい…!
  274. さやか: やーらーれーたー!
  275. さやか: …………
  276.  
  277. FILENAME: text_326022-3.txt
  278. マミ: 「カット!…OKよ!」
  279. マミ: うまく撮れたかしら?
  280. ほむら: は、はい…! 撮れてると思います…
  281. なぎさ: 杏子もさやかも おつかれさまなのです!
  282. まどか: すごい! 本当の魔法少女みたいだったよ!
  283. さやか: あはは… まどか、ありがとう
  284. 杏子: ほんとに魔法少女だっての…
  285. さやか: まあ、いいんじゃない?
  286. パチパチパチ…
  287. みんな: わぁっ…!
  288. すごいですね…!
  289. 趣味って聞いてたから
  290. こんなに本格的な撮影だなんて 思ってなかったわ
  291. マミ: 喜んでもらえてよかったです
  292. さやか: いやー、早着替えの練習が 一番大変だったよね
  293. 杏子: コートが引っかかって すぐに脱げなかったりね…
  294. なぎさ: 今日は無事成功して よかったのです
  295. あの、武器が光ったのは どうやったの?
  296. まどか: 武器を振るのに合わせて 色のついた光をあてれば
  297. まどか: 本当に魔法を使ったように 見せられるんだよ!
  298. なぎさ: シャボン玉を飛ばすのも おすすめなのです
  299. ほむら: このあと、撮影した映像に 効果音をつけると
  300. ほむら: もっと魔法らしく 見えると思います
  301. へえぇえー!
  302. おねーちゃんたちを 最初に見たときは
  303. テレビで見た魔法のヒロインが
  304. 本当にいるんだって 思っちゃった!
  305. 何も知らない子どもたちが見たら
  306. そう思ってしまうのも 無理はないですよね
  307. マミ: ふふ…そうですよね
  308. 映画って、ひとつひとつの場面に こんなに手間をかけて
  309. 丁寧に作っていくんですね…!
  310. おねーちゃんたちみたいに わたしも映画作ってみたい!
  311. わたしは出てみたいなー!
  312. ふふっ 将来の夢ができてよかったね
  313. ご無理を言って 見学させていただきましたけど
  314. とってもためになりました
  315. 今日は本当に ありがとうございました…!
  316. みんな: ありがとうございましたー!
  317. なぎさ: どういたしましてなのです!
  318. さあ、明日は遠足だからね
  319. みんな、おうちに帰ったら 早く寝ましょうね
  320. みんな: はーい!
  321.  
  322. FILENAME: text_326022-4.txt
  323. 杏子: …なんとか無事に終わったか
  324. 杏子: ったく、なんでこんな 大げさな話になったんだか…
  325. なぎさ: 元はと言えば なぎさが原因なのです…
  326. さやか: 結局、最後まで 面倒見ちゃうんだから
  327. さやか: 杏子もつきあいがいいよね
  328. マミ: 子どもたちも喜んでくれたし
  329. マミ: 私たちが魔法少女だってことも ばれなくて済んでよかったわ
  330. ほむら: ………… …………
  331. まどか: ほむらちゃん、どうしたの?
  332. ほむら: あ…カメラで撮った映像を 見返していたの
  333. さやか: いつでもかかってきなさいよ
  334. 杏子: …やるしかないみたいだな
  335. ピカッ
  336. まどか: よく撮れてるね! ほんとに変身したみたい
  337. まどか: わたしだったら こんなにうまく撮れなかったかも
  338. ほむら: そんな…鹿目さんが うまく光で隠してくれたし
  339. ほむら: 佐倉さんと美樹さんの 演技もよかったから…
  340. 杏子: めちゃくちゃ練習したしな
  341. なぎさ: なぎさもこの裏で 脱いだ服を拾っているのです!
  342. マミ: みんなで がんばった甲斐があったわね
  343. マミ: この動画だけ見たら
  344. マミ: まるで本物の魔法だと 思っちゃう人もいるかもね
  345. 杏子: ………… …………
  346. さやか: どうしたのさ、杏子 ぽかんとしちゃって
  347. 杏子: …あ、いや なんでもない
  348. まどか: なんだか、もったいないね…
  349. まどか: こんなによく撮れたのに この動画、消しちゃうんだよね?
  350. マミ: そうね、せっかくだから みんなに送って記念にしましょう
  351. ほむら: 今すぐには無理ですね パソコンを使わないと…
  352. 杏子: 明日、神浜市まで カメラと衣装を返しに行くから
  353. 杏子: そのときにせいらに頼んでみるよ
  354. 杏子: ったく、 いつまでバカやってんだか…
  355.  
  356. FILENAME: text_326023-1.txt
  357. 杏子: 次の日…
  358. 杏子: ………… …………
  359. 杏子: 借りた槍と剣を沙優希に返して 次にあたしが向かったのは…
  360. 杏子: …アシュリーとせいらが どっちも工匠学舎で助かったよ
  361. 杏子: おかげで、カメラなんかの機材と 衣装をまとめて返せるけど
  362. 杏子: …まだ、約束の時間まで 2時間以上あるな…
  363. 杏子: 沙優希との用事が 早く片づいたしな…
  364. 杏子: さて、どこでヒマを潰すか…
  365. 杏子: ………… …………
  366. 杏子: (そういや、ここって 神浜市なんだよね)
  367. キュゥべえ: キミが引き起こしたのは とても珍しい現象で
  368. キュゥべえ: 神浜市の自動浄化システムとの 関係においても
  369. キュゥべえ: 非常に重要な意味を持ってくる
  370. 杏子: 何を企んでるんだか…?
  371. キュゥべえ: とにかく 次に神浜市に行くことがあれば
  372. キュゥべえ: また同じ姿に変身できたかどうか 結果を聞かせてほしいな
  373. 杏子: (…今のとこ別に 何も変わったことはないな)
  374. 杏子: (変身したらどうなるかは まだ試してないけど…)
  375. 杏子: …ま、どうでもいいか! それよりどこで遊ぶかな
  376. 杏子: …?
  377. 「冬のアクアリウム展」開催中! 南凪海浜公園
  378. 杏子: 水族館ね…
  379. 杏子: ま、ヒマが潰せるなら どこでもいいか
  380. 杏子: (…冬の水族館って どんなものかと思ったけど)
  381. 杏子: (中はライトアップされてて 案外、面白かったな)
  382. 杏子: (…建物の中は寒くないしね!)
  383. 杏子: (工匠区方面の電車はあっちだな それじゃ、駅に向かうか!)
  384. 杏子: 雪…少し積もってきたか? 珍しいな
  385. 杏子: せっかくカメラもあるんだし ちょっと撮ってみるか
  386. おさかなさん 綺麗だったねー!
  387. うん、たのしかったー!
  388. おほしさまみたいに光ってたよね
  389. 杏子: …ん?
  390. 杏子: (昨日の幼稚園児たちか…)
  391. 杏子: (そういや今日は 遠足だとか言ってたような…?)
  392. 杏子: (同じ神浜市の水族館まで 遠出したってことか)
  393. 杏子: (なんだか縁があるよな…)
  394. 杏子: ――っ!?
  395. 杏子: (魔女…!?)
  396. 杏子: (どこだ…? 結構近いぞ!)
  397. 杏子: …見つけた!
  398. 杏子: あいつらが結界に近づく前に 魔女を片づけねぇと!
  399. 杏子: 荷物が邪魔だな
  400. 杏子: とりあえず そのへんに置いといて…と
  401. 杏子: …?
  402. 杏子: …いつもの姿と変わらないな
  403. 杏子: 神浜市で変身したら
  404. 杏子: 必ずあの格好になるって わけじゃないのか…
  405. 杏子: …………
  406. 杏子: 今はどうでもいい!
  407. 杏子: とにかく… さっさと魔女を狩る!
  408.  
  409. FILENAME: text_326023-2.txt
  410. 杏子: コイツで…
  411. 杏子: 決まりだぁーっ!
  412. 杏子: ―杏子― 食らいやがれ!
  413. 杏子: ………… …………
  414. 杏子: (子どもたちが巻き込まれる前に なんとか倒せたな)
  415. 杏子: (グリーフシードも手に入ったし まあ、御の字ってとこだね)
  416. あ… 杏子おねーちゃん?
  417. もしかして… また撮影?
  418. 杏子: ――っ!?
  419. 杏子: あ、ああ…
  420. 杏子: そう! 撮影だよ撮影!
  421. さっき、槍から 火が出てたように見えましたけど
  422. どうやったんですか?
  423. 杏子: い、いやぁ… 目の錯覚じゃないかな?
  424. そうかなー?
  425. 杏子: (魔女を倒して 結界が消滅した瞬間に)
  426. 杏子: (立ってたところを 見られたのか…?)
  427. 杏子おねーちゃん… ほんとに魔法を使えるんじゃ…
  428. 杏子: な…!
  429. 杏子: そ、そんなこと あるわけないだろ?
  430. そうなのかなぁ… ま、いいや
  431. 雪がひどくなる前に そろそろ帰りましょうか
  432. みんな: はーい!
  433. それじゃ、またねー! 杏子おねーちゃん!
  434. 杏子: そんなこんなでやってきた 工匠学舎
  435. アシュリー・テイラー: Welcome! 時間ぴったりデスネー!
  436. アシュリー・テイラー: せいらは歴史研究部で 待ってマスヨー!
  437. 三穂野 せいら: お、来たね!
  438. 杏子: まず借りたモンを返さないとね
  439. 杏子: あたしとさやかの衣装… それから機材一式
  440. アシュリー・テイラー: 衣装は差し上げた つもりだったのデスガ…
  441. 杏子: 気持ちはありがたいんだけど
  442. 杏子: 変身すれば同じ格好に いつでもなれるしな
  443. アシュリー・テイラー: 確かに、言われてみると…
  444. アシュリー・テイラー: では、次に着る機会まで 私の家で保管しておきマス!
  445. 杏子: そうしてくれよ
  446. 杏子: それで… ひとつ頼みがあるんだけどさ
  447. 杏子: 撮影した動画のファイルが 記念に欲しいんだよね
  448. 三穂野 せいら: お安い御用!
  449. 三穂野 せいら: ついでにちょこっと編集して
  450. 三穂野 せいら: 映画の一場面っぽく してもいいけど?
  451. 杏子: マジか?
  452. 三穂野 せいら: うん、少し時間もらえれば!
  453. アシュリー・テイラー: 私も見学したいデース!
  454.  
  455. FILENAME: text_326023-3.txt
  456. 三穂野 せいら: …できた!
  457. 杏子: おおっ!?
  458. 杏子: すごいな、これ! 音楽もついて
  459. 杏子: あたしとさやかが 宿命の対決でもしてるみたいだ!
  460. アシュリー・テイラー: Wow! 映画の予告編みたいデスネー!
  461. 三穂野 せいら: じゃ、あとでこのファイルを 巴さんたちに共有しておくよ!
  462. 杏子: サンキュー
  463. 三穂野 せいら: じゃ、カメラの方のファイルは 消しちゃうかな
  464. 三穂野 せいら: …あれっ? まだなんか映ってるね
  465. 杏子: あ…
  466. 杏子: さっき、雪が降ってたんで カメラを回したんだよ
  467. 杏子: そしたら魔女の反応があったんで
  468. 杏子: 魔女を倒して 結界から出てきたらさ
  469. 三穂野 せいら: …自分が映っちゃったわけかー
  470. 杏子: ………… …………
  471. 杏子: なあ、さっきやってた その映像編集?…とかいうので
  472. 杏子: あたしが槍から出してる炎を 動画から消したりできないかな?
  473. 三穂野 せいら: どういうこと?
  474. 三穂野 せいら: なるほど!
  475. 三穂野 せいら: この場面を子どもたちに 思いっきり見られたけど
  476. 三穂野 せいら: 実は炎なんて出てなかったと 言い張るために
  477. 三穂野 せいら: 捏造動画を作りたいと!
  478. 杏子: まあそうなんだけどね ハッキリ言うな…
  479. 三穂野 せいら: ごめん、でもそれ 私の技術不足で無理なんだよね
  480. 三穂野 せいら: 無駄に高いソフト使ってるから 上手い人ならできるんだけど…
  481. アシュリー・テイラー: Huh?
  482. アシュリー・テイラー: この動画から 杏子の炎を消せばいいんデスカ?
  483. 杏子: …アンタ、できるわけ?
  484. アシュリー・テイラー: できマスヨー!
  485. アシュリー・テイラー: むかしダディから ちょこっと教わったことが…
  486. 三穂野 せいら: え、何? どんなダディなの、それ?
  487. アシュリー・テイラー: 映画監督をやってマシタ! でも、せっかく教わった技術も
  488. アシュリー・テイラー: 私は動画配信を盛るのに ちょこっと使うぐらいデスガ…
  489. 三穂野 せいら: え…テイラー…監督…? まさかハリウッドの超大物…?
  490. アシュリー・テイラー: Yup! 結構有名人でシタネー!
  491. 三穂野 せいら: …え、なに? この人、神の子?
  492. アシュリー・テイラー: その話はあとにして… とりあえず、炎を消しまショウ!
  493. 杏子: …なんか、すごいな
  494. アシュリー・テイラー: できマシタ!
  495. 杏子: 助かった! 恩に着るよ
  496. 三穂野 せいら: 炎を消した捏造動画も 巴さんに送っておけばいい?
  497. 杏子: ああ、頼むよ
  498. 杏子: 今度、子どもたちに見せて
  499. 杏子: 炎なんて出てなかったって証拠に するからさ
  500. アシュリー・テイラー: 子どもを騙すのは よくないデスネー
  501. 杏子: そう言うなって…
  502.  
  503. FILENAME: text_326023-4.txt
  504. 杏子: というわけで…
  505. 杏子: さやかと一緒に 加工済みの動画を見せに行った
  506. みんな: ほんとだー!
  507. 火、出てないね…
  508. うん、見間違いだったんだね
  509. 杏子: だろ? 魔法なんて使ってないからね
  510. 今にも火を噴きそうな感じで 槍を構えていたから
  511. みんな、そんな風に 見えちゃったのかもしれませんね
  512. さやか: そうそう、目の錯覚! 映画にするときには編集して
  513. さやか: 炎を出しているように 見せたりもできるらしいけどね!
  514. そうなんですね… とても勉強になりました!
  515. さ、みんなもお礼を言って
  516. おねーちゃんたち! ありがとー!
  517. みんな: ありがとう!
  518. 杏子: ………… …………
  519. 杏子: 魔法なんて使えない、か…
  520. キュゥべえ: どうにかごまかせたようだね
  521. さやか: …ん?
  522. 杏子: なんだ、キュゥべえか いつからそこに?
  523. キュゥべえ: キミたちの話が終わるのを 待っていたんだよ
  524. キュゥべえ: 神浜市に行ってきたんだろう?
  525. キュゥべえ: 是非そのときの報告を 聞かせてもらいたくてね
  526. 杏子: ああ…その話か
  527. 杏子: あっちでも一度変身したけど いつもと変わりなかったよ
  528. キュゥべえ: …そうか、なるほど
  529. キュゥべえ: ドッペルが関係している 現象だけに
  530. キュゥべえ: ただ神浜市内で 変身するだけではなく
  531. キュゥべえ: キミ自身の内面も含めて 特殊な状況にならないと
  532. キュゥべえ: あの現象は 再現しないのかもしれないね
  533. 杏子: いやに熱心に知りたがるよね
  534. 杏子: あたしが変身した 一度きりのあの姿のことを
  535. キュゥべえ: それはそうさ
  536. キュゥべえ: もしかするとキミが見せた 新しい姿は
  537. キュゥべえ: 魔法少女そのものの
  538. キュゥべえ: 未知の可能性を 切り拓いたかもしれないからね
  539. 杏子: 未知の可能性ねえ…
  540. さやか: …なんか、そっけない反応だね
  541. さやか: 結構すごいことを言われたような 気がするんだけど?
  542. 杏子: いや…まあ そうなんだろうけどさ
  543. さやか: …けど?
  544. さやか: 魔法少女の可能性なんて どうでもいいって口ぶりだけど…
  545. 杏子: いや…だってさ そういう気分にもなるだろ?
  546. 杏子: 変身なら早着替えでも どうにかなるし…
  547. 杏子: 必死で練習すれば それっぽい動きもできて
  548. 杏子: 子どもに夢を与えることまで できてしまう
  549. 杏子: 逆に、魔法で出した炎なんて
  550. 杏子: 動画編集で簡単に なかったことにされてしまう…
  551. 杏子: 未知の可能性っていうけど… そもそも魔法って…
  552. 杏子: 魔法少女って、必要あるのかな?
  553. さやか: なに言い出すのよ!?
  554. さやか: あたしたちにしか できないことだってあるでしょ?
  555. 杏子: たとえば?
  556. さやか: たとえばほら…
  557. さやか: …………
  558. さやか: …テレパシーとか?
  559. 杏子: スマホをうまく使えば 似たようなことができそうだけど
  560. さやか: …うっ! 変なとこで冴えてるわね
  561. さやか: とにかくやめなさいよ 急にたそがれたりとか!
  562. 杏子: …まあ、そんなに真剣に
  563. 杏子: 落ち込んでるとかじゃ ないんだけどさ
  564. 杏子: でも…
  565. 杏子: 魔法少女にしかできないことって 本当になんなんだろうな?
  566. キュゥべえ: 言うまでもなく魔女退治だね
  567. 杏子: …うん、そういうことだよね
  568. 杏子: 結局、それをがんばるのが あたしらの存在意義ってことだ
  569. さやか: …なんだ
  570. さやか: 自分を見失って、深く悩んでた… とかじゃないのね
  571. 杏子: …お、ひょっとして 心配してくれてたのか?
  572. さやか: ――っ!?
  573. さやか: もしかして杏子 あたしをからかったの!?
  574. 杏子: さあ…どうだろうな!
  575. 杏子: あたしは、 あたしのしたいようにするだけ
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