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Dec 4th, 2019
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  1. 漂流する日本の医療研究開発
  2. 第2回 「同伴と異例の抜擢人事」
  3. 2019年11月21日
  4.  
  5. 和泉補佐官は、8月9日の山中教授との議論の場で「大坪次長には批判が多いが、大坪次長のことを最も理解しているのは自分である」と述べたとされている。和泉補佐官は様々なところでこの種の発言をしており、そのこと自体は驚きではないし、発言のみならず、具体的な行動にもそれは表れている。
  6.  
  7. 永田町、霞が関でもよく知られる雑誌「選択」であるが、2019年10月号の政治●情報カプセルに「和泉補佐官お気に入りの女性官僚 飲み会「同伴」と異例の抜擢人事」と題した記事が掲載された。
  8.  
  9. --引用ここから--
  10.  
  11. 再度の内閣改造をもってしても留任を果たしたのが、和泉洋人首相補佐官だ。旧建設省の技官出身で、住宅局長を経て民主党政権時代に官邸周辺に食い込んだ後、政権交代があっても政権中枢で生き残った「権力への強い執着」の持ち主。官邸関係者は「安倍首相に重宝されている。国際会議などで首相が目玉として打ち出せる施策を仕込むのがうまい」と語る。そんな和泉氏が最近特にかわいがっているのが、厚生労働省官房審議官となった大坪寛子氏。医療安全推進室などでの勤務経験がある医官の美人官僚として知られる。関係者は「財務省主計局をはじめ、和泉氏が影響力を与えられる各省の幹部を集めて飲み会を開いては、大坪氏を紹介している」と話す。
  12.  大坪氏は内閣官房健康・医療戦略室への出向時に、上司であった和泉補佐官に仕えた。今回、年次を飛び越えて官房審議官に抜擢されたことから「和泉補佐官から要求があったのだろうと噂されていた」(厚労省関係者)という。とはいえ、官邸には頭の上がらない厚労省。和泉補佐官はざわつく省内の様子など気にしない様子で、異例の「同伴」は今後も続きそうだ。
  13.  
  14. --引用ここまで--
  15.  
  16. 和泉補佐官と大坪次長の二人三脚は、iPS細胞ストック事業の予算削減の動きが象徴している。
  17. 大坪次長は、同事業の来年度予算を概算要求段階でゼロにすべきと主張したが、和泉補佐官がさすがにそれはハレーションが大き過ぎる、予算編成段階で調整するように、と指示したとされる。
  18.  
  19. 「予算編成段階」のひとつが、自民党の科学技術・イノベーション戦略調査会(会長:渡海紀三朗議員)に設けられた「医療分野の研究に関する小委員会」(委員長:古川俊治議員)だ。10月10日の古川小委において、山中教授からiPS細胞ストック事業の今後についてヒアリングが行われた。この場で、山中教授はiPS細胞研究所(CiRA)の事業の公益財団法人化について説明した。議論の結果として、事業に対して国が補助する予算を段階的に削減することを容認するような表現が盛り込まれた決議がまとめられた。
  20. このままでは、国が山中教授に対して約束したはずの10年間の支援が、完了する前に削減されることになる。一行政官の無理筋の主張が通り、関係省、政治が屈するのか。
  21.  
  22. 山中教授は、マスメディアに対しても危機意識をぶつけている。11月11日、日本記者クラブにおいて行った会見がその一つだ。「iPS細胞を使った研究がどこまで進んでいるのか、現状と課題を聞く」と銘打った会見で、iPS細胞の備蓄・提供事業の委託先として一般財団法人「京都大学 iPS 細胞研究財団」を9月6日に設立、大学と切り離して細胞を安定的に供給する体制を目指すことを紹介した。また、実用化が近づいている中で、公的支援が打ち切られる「死の谷」が懸念されると述べた他、質疑においては「一部の官僚が水面下で不透明な動きをして予算を一方的にカットしようとしている」とかなり直接的に批判を行った。
  23.  
  24. 日経新聞は同日付で、「iPS研究予算「いきなりゼロは理不尽」 京大・山中氏 支援継続を政府に求める」とする記事を掲載。
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  26. --抜粋ここから--
  27.  
  28. 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は11日、日本記者クラブ(東京・千代田)で記者会見し、再生医療用のiPS細胞作製を支援する政府の大型研究予算が2022年度で終わる予定であることについて「いきなり(政府の支援を)ゼロにするのは相当理不尽だ」と述べ、支援の継続を求めた。
  29.  
  30. 山中氏は「一部の官僚の考え」と断った上で、政府の支援がゼロになる案を耳にしたと指摘。「(政府の専門家会議など)透明性の高い議論での決定なら納得だが、違うところで話が決まってしまうと理由もよくわからない」と不満を述べ、意思決定の過程に透明性を求めた。
  31.  
  32. --抜粋ここまで--
  33.  
  34. 「一部の官僚」とは誰(と誰)のことであるか、メディアも含めて関係者は皆知っている。和泉補佐官と大坪次長である。なぜはっきり書かないのか。書けないのか。
  35.  
  36. 日経新聞は部分的に取り上げたが、会見を主催した日本記者クラブの対応はどうか。
  37. 日本記者クラブは、「注目度や資料価値が高い会見については、文字記録を作成し掲載しています。」として「会見詳録」を載せているが、11月20日現時点で山中教授の会見は掲載されていない。また、日本記者クラブはYoutube チャンネルを持っているが、そこにも山中教授の会見はない。11月12日以降の会見は、質疑応答まで含めて配信されているのにもかかわらず。意図的に配信を避けているとしか考えられない。会見詳録も掲載されないであろう。注目度も資料価値も高くないとでもいうのか。メディアとしてのクラブへの信頼も地に落ちよう。
  38.  
  39. 山中教授が訴える現在進行形の重大問題に対してメディアはこのまま沈黙するのか。
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  41. 後追い記事が出た。
  42.  
  43. 日経新聞 iPS備蓄事業、予算減額案 山中伸弥氏「非常に厳しい」(11月17日付)
  44. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52219680V11C19A1TJM000/
  45.  
  46. 朝日新聞 京大iPS細胞備蓄事業、国支援打ち切りか 年10億円(11月19日付)
  47. https://www.asahi.com/articles/ASMBX4DVRMBXULBJ006.html
  48.  
  49. これらの記事は、山中教授の日本記者クラブでの発言も併せ、注意深く読み解く必要がある。来年度予算編成も大詰めを迎えている中、iPS予算の削減にばかり注目されがちであるが、本当の問題は、「不透明なプロセス」「一部の官僚による密室での意思決定」である。
  50.  
  51. 永田町、霞が関は、紆余曲折をへても最終的には山中教授との約束を果たすのか。
  52. そして、「不透明なプロセス」にメスを入れることができるか。
  53.  
  54. 日本の医療研究開発が歪められている。
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