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Yuna Kureha MSS JP Text

Aug 10th, 2021 (edited)
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  1. FILENAME: text_310211-1.txt
  2. マジあいつなんなん
  3. ほんっとマジうぜー
  4. 結菜: どうしたのかしらぁ?
  5. あー! 生徒会長、聞いてよ!
  6. 体育教師のオッサンがさ スカート短いって言ってきて
  7. あいつスカート見るしか 仕事ないわけ?
  8. ひかる: スカートの長さは 特に、問題なく見えるっすけど…
  9. それが、あいつ定規持っててさ 測ったら結局セーフだったの!
  10. ひかる: 定規っすか!?
  11. 結菜: …それは少し行き過ぎた 指導にも思えるわねぇ
  12. でしょ!?
  13. しかも、そのせいで1限目の 体育に遅刻したっていうのにさ
  14. 遅刻するなって怒ってくんの!
  15. アンタが止めたから着替えるのが 遅れたって話でしょ!?
  16. ひかる: おぉ…理不尽っすね…
  17. 結菜: この件については生徒会で 話し合わせてもらうわぁ
  18. ありがとう生徒会長! 助かる!
  19. 結菜: また何かあったら 教えてちょうだい
  20. 結菜: …ひかる、行きましょぅ
  21. ひかる: はいっす!
  22. 「やっぱ生徒会長かっこいいよね」
  23. 「私たちの話をちゃんと聞いて 対応してくれるから、すごく頼りになるし…」
  24. 「彼女が会長になってから 学校の雰囲気も少しずつだけど良くなってる」
  25. 「まぁ、まだ教師陣はうるせーけどな」
  26. 「あのいつも一緒にいる子も 何だか人懐こくていい子っぽいよね」
  27. 「生徒会長を支える秘書っつーか なんかいいコンビだよな」
  28. 結菜: はぁ…
  29. ひかる: どうしたんすか…?
  30. 結菜: いえ、ちょっと…ここのところ 悩みごとが多くてねぇ…
  31. ひかる: 悩みごと…っすか
  32. 結菜: えぇ… 私が生徒会長になったとき
  33. 結菜: 髪型と髪色を自由にするって 公約したでしょう?
  34. 結菜: で、いざ校則を変えようと 動き出したら
  35. 結菜: 突然 父母会が抗議してきてねぇ
  36. 結菜: それで、教師陣とも少し 揉めてしまっているのよぉ…
  37. ひかる: また父母会っすか…
  38. ひかる: まったく… 横やり入れないで欲しいっすね
  39. 結菜: それに大庭樹里についても 考えないといけないから…
  40. 結菜: 個人的にも色々と 問題が山積みなのよぉ…
  41. ひかる: 大庭樹里… 例の厄介な魔法少女っすね…
  42. ひかる: ひかるくらい、魔法少女になって 日の浅い結菜さんに
  43. ひかる: 先輩が、あの人の対応を 任せたと知ったときは
  44. ひかる: まさかの大役だったので 驚いたっすけど…
  45. ひかる: でも大丈夫っす!
  46. ひかる: ひかるがちゃんと結菜さんを サポートするっすから!
  47. 結菜: ふふ、頼もしいわぁ
  48. 結菜: ひかるには 彼女とのことで
  49. 結菜: 大きな仕事をしてもらおうと 思っているから
  50. 結菜: よろしく頼むわぁ
  51. ひかる: 仕事…って、なんなんすか?
  52. 結菜: それは、この後の 先輩との作戦会議のときにねぇ…
  53. ひかる: 楽しみっす!
  54. 結菜: ――っ!?
  55. ひかる: 魔女っすね
  56. 結菜: えぇ
  57. 結菜: 先輩との待ち合わせに 遅れないように
  58. 結菜: 素早く倒してしまいましょぅ…
  59. ひかる: はいっす!
  60.  
  61. FILENAME: text_310211-2.txt
  62. 結菜: ふぅ…
  63. 結菜: “対象変更”の力も、以前より 使えるようになってきたわねぇ
  64. ひかる: 攻撃したものとは別の対象に 魔力をぶつける魔法なんて
  65. ひかる: めちゃくちゃ難しそうなのに さすが結菜さんっす!
  66. 結菜: 先輩に何度も 稽古をしてもらったものぉ…
  67. 結菜: …そう考えると、これも先輩に 私を紹介してくれた
  68. 結菜: ひかるのおかげでもあるわねぇ
  69. ひかる: 結菜さんのお役に立てたのなら 嬉しいっす!
  70. 結菜: …そういえば、ひかるが 同じ魔法少女だと知ったのも
  71. 結菜: こんな放課後だったわぁ…
  72. ひかる: っすねぇ…
  73. 結菜: やぁっ!
  74. 結菜: (生徒会の仕事があるから 早く帰りたいのに…)
  75. 結菜: (…あの案件も 明日までに何とかしないと…)
  76. ジャギギ☆●△▼◇ー!!!!
  77. 結菜: しまっ…!
  78. ひかる: 「行け!!ひかる軍団!!」
  79. 結菜: ひかる…!?
  80. ひかる: ひかるの結菜さんに 手を出すなっすー!
  81. 結菜: ひかる…なの…?
  82. ひかる: 遅くなって 申し訳ないっす…!
  83. ひかる: …って、それより びっくりしたっすよ!
  84. ひかる: 遠くから見て 結菜さんに似てると思ったら
  85. ひかる: 本人なんすから!
  86. ひかる: でも無事でよかったっす!
  87. 結菜: 助けてくれてありがとぅ…
  88. 結菜: それにしても驚いたわぁ…
  89. 結菜: まさか、ひかるも 魔法少女だったなんてねぇ…
  90. ひかる: えっと…その
  91. ひかる: 決して内緒にしていたとか そういうことではなくてっすね…
  92. ひかる: ひかるが魔法少女になるときに 叶えた願いに
  93. ひかる: 結菜さんが 関係しているというのもあって…
  94. ひかる: 何と言うか… 伝えるタイミングを逃してたんす
  95. 結菜: 私が、ひかるの願いに…?
  96. ひかる: その話は長くなるので また今度にするっす…!
  97. 結菜: そう…
  98. ひかる: そうだ結菜さん
  99. ひかる: 結菜さんはソロで 魔法少女やってるんすよね?
  100. 結菜: …えぇ
  101. ひかる: 良かったらひかるの入ってる チームに来ないっすか?
  102. ひかる: ベテランの先輩魔法少女が いるっすから
  103. ひかる: 色々教えてもらえると思うっす
  104. ひかる: それに…
  105. 結菜: …?
  106. ひかる: 二木市には、力で周りの 魔法少女たちを押さえつけている
  107. ひかる: 竜ケ崎の大庭樹里っていう 戦闘狂の魔法少女がいて…
  108. ひかる: 先輩のおかげで前よりは マシになってるらしいんすけど
  109. ひかる: ソロの魔法少女や弱い人たちは すぐにボコられるっす…
  110. ひかる: 大庭樹里の報復を恐れて活動が できない魔法少女も多くて…
  111. ひかる: 結菜さんなら 大丈夫だとは思うっすけど…
  112. ひかる: 何かとチームに入っていた方が 安全なんすよ
  113. 結菜: …それなら、そのチームに私を 紹介してもらえないかしらぁ…
  114. ひかる: もちろんっす!
  115. 先輩: あら、ひかる 戻ってきたのね
  116. 先輩: …と、その子は?
  117. ひかる: 結菜さんっす!
  118. ひかる: 結菜さん、こちらが ベテランの先輩魔法少女の方っす
  119. 結菜: はじめまして 紅晴結菜と申します…
  120. 先輩: あなたが…
  121. 結菜: え…?
  122. 先輩: ひかるから 色々とあなたの話は聞いているわ
  123. ひかる: あっ! それは内緒っすよ!
  124. 先輩: あら、そうだったのね
  125. 先輩: …ここに来たってことは チームに入りたいってことかしら
  126. 結菜: …はい
  127. 先輩: いいわよ
  128. 結菜: そんなにあっさり…? 何か、試験とかは…
  129. 先輩: うーん…ひかるも 拾ってきたようなものだし…
  130. ひかる: ひかる、犬じゃないっすよ!
  131. 先輩: ふふふ、ごめんなさい 結菜さん…だったわね
  132. 先輩: チームに入るにあたって ひとつだけ質問させてもらうわ
  133. 先輩: チームでの活動ってね
  134. 先輩: みんなで魔女を倒す以外にも 他のチームにいる
  135. 先輩: いろんな魔法少女と 話をする必要があるものなの
  136. 先輩: でね…あなたは
  137. 先輩: 相手に話を聞いてもらうには  いったい何が必要だと思う?
  138. 結菜: それは…
  139. 結菜: …………
  140. 結菜: …真摯な態度で向き合って
  141. 結菜: 行動をもって誠意を示すこと …でしょうか
  142. 先輩: …………
  143. 先輩: いいわね、気に入った!
  144. 先輩: それじゃ、改めてよろしくね 結菜
  145. 結菜: …は、はいっ
  146.  
  147. FILENAME: text_310211-3.txt
  148. 結菜: 今日も指導して頂き ありがとうございました!
  149. 先輩: 固有魔法の対象変更も だいぶ上達してきたみたいね
  150. 結菜: ありがとうございます…!
  151. 先輩: …ところで結菜
  152. 先輩: 樹里については ひかるから聞いてるわよね
  153. 結菜: …はい
  154. 結菜: 実は、少し前に 偶然彼女に会っていて…
  155. 樹里: 「ハッ、テメエが 新しいアイツの腰巾着か」
  156. 樹里: 「私にとっちゃ、新しいオモチャが 来てくれたもんだな」
  157. 結菜: 『噂通りの戦闘狂のようねぇ…』
  158. 結菜: 『あなたの報復を恐れて 活動できない魔法少女もいるわぁ』
  159. 結菜: 『ただでさえ危険に身を置く以上、 魔法少女は手を取り合うべきよぉ』
  160. 樹里: 「ぁあ?」
  161. 樹里: 「むしろ気に入らねえヤツや 強いヤツをぶん殴れる社会だろ」
  162. 樹里: 「そんな最高の舞台を 自ら放棄するわけないっつーの」
  163. 結菜: 話に聞いていた通りの 子でした…
  164. 先輩: そう…
  165. 先輩: 樹里が他の魔法少女を 力で押さえつけているこの状況を
  166. 先輩: 結菜はどう思う?
  167. 結菜: …力で他者を押さえつける方法が 正しいとは到底思えません
  168. 先輩: …そうよね
  169. 先輩: 私はこの現状を変えて 二木の魔法少女たちに
  170. 先輩: 安寧をもたらしたいと 考えているの
  171. 先輩: そこで、結菜 あなたにこの一件を任せたいのよ
  172. 結菜: 私に…ですか?
  173. 先輩: えぇ
  174. 先輩: 実力も、考え方も… 結菜になら任せられると思って
  175. 先輩: もちろんフォローはするし ひかるにも手伝ってもらうわ
  176. 先輩: …引き受けてもらえないかしら
  177. 結菜: (…行き過ぎた抑圧は いつか反抗へ)
  178. 結菜: (そのことを私は 痛いほど知っているはず…)
  179. 結菜: (それなら答えはひとつよ…)
  180. 結菜: …やります 私にやらせてください
  181. 先輩: ありがとう、結菜
  182. 先輩: …ねぇ、出会ったときに 私が質問したことを覚えてる?
  183. 結菜: はい
  184. 結菜: 相手に話を聞いてもらうには 何が必要か…ですよね
  185. 先輩: えぇ、あなたは真摯な態度と 行動と言ったわね
  186. 先輩: 私も同意だし、その考えは 忘れないで欲しいんだけど
  187. 先輩: 樹里は 一筋縄ではいかないわ…
  188. 先輩: あの子は自分より強い者の 話しか聞かないから…
  189. 結菜: それじゃ…
  190. 先輩: そう、だから 難しい課題になると思うわ
  191. 結菜: …………
  192. 結菜: わかりました
  193. 結菜: …考えたいので 少し時間をくれませんか
  194. 先輩: 元よりそのつもりよ
  195. 先輩: 明後日、ひかるも一緒に 作戦会議をしましょう
  196.  
  197. FILENAME: text_310211-4.txt
  198. 先輩: 帰り道で魔女に遭遇したそうね お疲れ様
  199. ひかる: っす
  200. 結菜: …………
  201. 先輩: さぁ、結菜の答えを 聞かせてもらえるかしら
  202. 結菜: …………
  203. 結菜: …私は 大庭樹里と戦います
  204. ひかる: ――っ!?
  205. 結菜: 力で押さえつけてはいけない …その気持ちは変わりません
  206. 先輩: …………
  207. 結菜: 私は、彼女と話をして 今ある問題を解決に導きたい…
  208. 結菜: けれど、彼女が素直に私の言葉に 耳を傾けるとも思えない…
  209. 結菜: だから、彼女と話をするために 力で勝る必要がある…
  210. ひかる: でも… あまりに危険っす…!
  211. 結菜: えぇ、正面からぶつかれば タダじゃ済まないでしょうねぇ…
  212. 結菜: だから、あなたの力が 必要なのよ…ひかる
  213. ひかる: あ…
  214. 結菜: ひかる…
  215. 結菜: あなた、私の忠実な馬に なる気はあるかしらぁ…?
  216. ひかる: 馬…っすか?
  217. 結菜: ええ、言い方を変えれば 専属の騎兵隊…というところね
  218. ひかる: もちろん、結菜さんのためなら ひかるは何にだってなるっすけど
  219. ひかる: ひかるは、いったい何を したらいいんすか?
  220. 結菜: あなたは大庭樹里とは対峙せず 姿を隠しておいて欲しいの
  221. ひかる: …っす?
  222. 結菜: そしてあなたには 影の軍勢を率いて
  223. 結菜: 私の助けとなって欲しい…
  224. ひかる: …っ!
  225. ひかる: わかったっす! ひかるに任せてくださいっす!
  226. 結菜: どうでしょうか、先輩
  227. 先輩: あなたの答えを尊重するわ …結菜
  228. 結菜: ありがとうございます…
  229. 先輩: それじゃあ明日の夜 樹里を呼び出すわ
  230. 結菜: …………
  231. 樹里: いきなり呼び出して 何の用だよ
  232. 樹里: 決闘なら応じてやるけど
  233. 樹里: 変身してねえやつを いたぶるのは趣味じゃねーぞ
  234. 先輩: 戦う相手は私じゃないわ
  235. 樹里: …あ?
  236. 先輩: 来なさい、結菜
  237. 樹里: …アンタ、前に会った こいつの新しい腰巾着か?
  238. 結菜: …久しぶりねぇ
  239. 樹里: なんだ、オモチャがわざわざ いたぶられにきたってか?
  240. 結菜: いいえ… あなたと話をしに来たのよぉ…
  241. 樹里: チッ
  242. 樹里: んなもんするわけねーだろ!
  243. 結菜: …やっぱり駄目みたいねぇ
  244. 樹里: あぁ!?
  245. 樹里: 弱い奴の話なんて 聞き入れる訳ねーだろーがっ
  246. 結菜: ふっ!
  247. 樹里: へぇ、私の攻撃を受け止めたか
  248. 樹里: 腰巾着にしては一応 アンタも動けるみてぇだな
  249. 樹里: ただなぁ
  250. 樹里: そんだけじゃ 私には勝てねーんだよ!
  251. 結菜: ぐっ…
  252. 結菜: (対象変更…!)
  253. 結菜: ハァッ!
  254. 樹里: あ? 何、地面なんか叩いて…
  255. 樹里: ぐわっ!?
  256. 樹里: ッチ…
  257. 樹里: んだこれ… どっから攻撃を…
  258. 樹里: 小細工使ってんじゃねー!
  259. 結菜: 小細工だなんて人聞きが悪いわぁ これも戦略のひとつよぉ…
  260. 樹里: …いいぜ そっちがその気なら
  261. 樹里: こっちだって 本気出してやるよ!
  262. 結菜: …頼んだわよぉ
  263. ひかる: 「了解っす」
  264. 樹里: もーえーろーーーー!!
  265. ひかる: (行け!!ひかる軍団!!)
  266. 樹里: アァアッ!
  267. 樹里: んだよ…今のっ!
  268. 結菜: 策略も実力の内よぉ… 負けを認めてちょうだい
  269. 樹里: …っの腰巾着が…っ
  270. 樹里: 何が目的だ
  271. 結菜: 私たちの仲間になりなさい
  272. 樹里: …チッ 傘下に入れ…ってか
  273. 結菜: …………
  274. 樹里: …わーったよ 認めたくねーけど負けは負けだ
  275. 樹里: 今回はアンタの勝ち ってことにしてやるよ
  276. 結菜: …………
  277. 結菜: あの頃 はじめて先輩に出会ったのよぉ
  278.  
  279. FILENAME: text_310212-1.txt
  280. 結菜: はぁ…はぁ…
  281. 先輩: はい、今日の訓練はここまで!
  282. 結菜: え…でも…
  283. 先輩: 心に迷いがあるときは 何をやってもダメよ
  284. 結菜: …そう、ですね…
  285. 先輩: ひかるも 浮かない表情じゃない
  286. ひかる: …っす
  287. 先輩: …少し話をしましょうか
  288. 結菜: え?
  289. 先輩: 話したいこと、あるんでしょう?
  290. 結菜: …気付いてたんですね
  291. 先輩: それで、結菜たちは 何を悩んでいるのかしら?
  292. ひかる: ひかるは、結菜さんが 悩んでいるのを見て…
  293. ひかる: なんだかひかるも 悲しい気持ちになっただけなんす
  294. 先輩: そう、ひかるは優しいのね …結菜は?
  295. 結菜: その…色々あって 私の中でもまだ整理できてなくて
  296. 先輩: まとまってなくてもいいから 結菜の気持ちを話してみて
  297. 結菜: …………
  298. 結菜: 大庭樹里の件で… 本当にあれでよかったのか…と
  299. 先輩: うん
  300. 結菜: 平和的な解決のためとは言っても 結局、力で屈服させた
  301. 結菜: それも 正攻法とは言えないやり方で
  302. 結菜: …だから きっと彼女は…納得していない
  303. 先輩: …そうかもね、それで?
  304. 結菜: 実は… 私が生徒会長になったときも
  305. 結菜: 反対する相手を 無理やり力で押さえつけたんです
  306. 先輩: …どういうこと?
  307. 結菜: キュゥべえに願って…
  308. 結菜: 反対する大人たちの気持ちを ねじ曲げたんです…
  309. 結菜: 結局私は、力で…
  310. ひかる: それは違うっす結菜さん!
  311. 結菜: でも…
  312. 先輩: どうして1年生なのに 生徒会長…って
  313. 先輩: 前から気にはなっていたけど 願いが関わっていたのね
  314. 先輩: 良ければ、その頃の話を 聞かせてもらえないかしら
  315. 結菜: …はい
  316. 結菜: 私の父は市長をしていて 父は、私にも同じように政治の道を 歩んで欲しかったらしく 進学校への入学を勧められていたんです
  317. 結菜: でも…当時は 父の外面だけ良くしているような態度や 連日、大人たちと食事に行く姿が嫌いで
  318. 結菜: そんな父に反抗心を抱いた私は わざと自分のレベルより低い 学校に進むことを決めたのですが…
  319. これから全校集会を 始めます
  320. ざわざわざわ
  321. あー、だり 早く終わんねえかな
  322. 結菜: …………
  323. おい! 何だその髪色は!
  324. ――っ!?
  325. あぁ? 何度も何度もしつけーな
  326. 結菜: …………
  327. 結菜: いざ入学した私は、想像していたよりも 遥かに荒れた校風に辟易してしまった…
  328. 結菜: こんなことなら父親の言う通り 進学校に進んでおけばよかったと 思ったこともあったけれど
  329. 結菜: そんな私に、ある転機が訪れて…
  330. 髪を黒くしろと何度言えば…
  331. だから、地毛だって 言ってるじゃないですか!
  332. 規則は規則だ! 今週中に黒く染めてこい!
  333. ヅラ被ってんのはどうなのって 言えば良かったんじゃね?
  334. そんなの、さらにブチギレられて 終わりだよ…
  335. 結菜: …大丈夫ぅ?
  336. あ、紅晴さん…
  337. 結菜: 失礼なことを聞くけど… 本当にその髪は地毛なのぉ?
  338. そうだよ もともと髪色が薄くって…
  339. アレルギーがあるから黒染めも 出来ないのに…
  340. 結菜: …………
  341. 結菜: ねぇ、みんなで先生たちに 抗議してみなぃ…?
  342. 結菜: 何人かで集まって声を上げれば その先生も無視できないはずよぉ
  343. …アレルギーなら仕方ない 診断書を持ってくれば許可しよう
  344. …良かった
  345. 結菜: ありがとうございます
  346. ていうか、地毛なのに染めろとか そもそもの校則がおかしくね?
  347. 言っているだろう 規則は規則だと
  348. 校則はそう簡単に 変えられるものじゃない
  349. …そうだな、お前らの誰かが 生徒会長にでもなって
  350. 学校全体を変える力を持てば 話は違うだろうけどな
  351. マジであいつうっっっざ!
  352. ねぇ、紅晴さん! あなた生徒会長になるのはどう?
  353. たしかに! 私らは馬鹿だから無理だけど
  354. 紅晴なら頭もいいし!
  355. 結菜: 私がぁ…?
  356. 結菜: …………
  357. 結菜: でも 私がなるかどうかは置いといて
  358. 結菜: 誰かが生徒会長になって 校則を変えるというのは
  359. 結菜: いい考えかもしれないわぁ
  360. 結菜: 周りを巻き込んで 教師に掛け合えば
  361. 結菜: 話が通ることもあるというのは この一件で確認することができた
  362. 結菜: それは、ひとりのときより 言葉が力を持つからで…
  363. 結菜: でも、校則を変えるような 大きな変化をもたらすためには…
  364. あの先生が言うように
  365. “生徒会長”くらいの 肩書きや権力が必要…でしょ?
  366. 結菜: ええ
  367. 結菜: 髪色の問題だけじゃない… この学校には自由がなさすぎる
  368. 結菜: もっと生徒の自主性を 重んじるべきだとは思わない…?
  369. うん…校則が厳しすぎるから
  370. 逆に反発して 非行に走る生徒もいる
  371. 結菜: だから、1年生であっても
  372. 結菜: 立ち上がって学校を変えるのは いい案かもしれないわねぇ…
  373. 結菜: でも、私はみんなを 引っ張るような器じゃないし…
  374. ううん、私の髪色の件だって 紅晴さんのおかげで解決できたし
  375. きっとあなたが適任だよ
  376. それじゃあ、さっそく 賛同する子たちを集めようよ!
  377. 結菜: え…ちょっと… あなたたちぃ…?
  378. 紅晴はきっと私らを引っ張る力を 持ってんだよ
  379. だから、一緒に変えよう この窮屈な学校を!
  380. 私たち、全力で応援するから!
  381. 結菜: …………
  382. 結菜: (そういうことだったのねぇ…)
  383. 結菜: 普段は荒れた校風の中で 生徒たちも皆、グレているように見えていたけど それはこの学校に良くなる兆しがなかったから
  384. 結菜: 変化という希望が見えれば その変革を導く者がいれば きっとこの学校は変わるはず…
  385.  
  386. FILENAME: text_310212-2.txt
  387. 結菜: こうして、私の選挙活動が始まった…
  388. 結菜: “生徒の自主性を重んじてほしい”… 私の訴えに賛同する者は、想像より多かった
  389. 結菜: はじめは周りに流されて始まってしまったけれど
  390. 結菜: 学校の変化を望む みんなの声に耳を傾けるうちに 私も本気で生徒会長を目指すようになっていった
  391. 結菜: ひかると出会ったのもそのときで たくさん手伝ってもらったけれど… そう簡単に事は運んでくれなかった…
  392. 紅晴の生徒会長への立候補を 認めることはできない
  393. よって、ただちに選挙活動を 中止しなさい!
  394. ひかる: そ、そんな…!
  395. 結菜: …………
  396. ひかる: いまさら 活動をやめろなんて…
  397. 紅晴への対応は教員たちの間で 何度も話し合われてきたんだ
  398. このまま紅晴を立候補させては 選挙の公正さが失われてしまう
  399. ひかる: 結菜さん…
  400. 結菜: 大丈夫よぉ、煌里
  401. 結菜: よろしいですか、先生?
  402. 結菜: 我が校の校則にこうあります
  403. 結菜: 『中・高等部の在学生5分の1 以上の署名を集めることで…』
  404. 結菜: 『校則改正の議案を生徒会に 提出することができる』
  405. 結菜: 『この議案が、生徒会役員の 半数以上の支持を得た場合…』
  406. 結菜: 『学校はその是非について 検討しなければならない』
  407. …まさかお前
  408. 選挙までの短期間に 署名を集めて
  409. 自分の立候補が認められるよう 校則を変えようって言うのか?
  410. そんなの無理に決まってるだろう
  411. 結菜: …では、もしも私が 短期間にも関わらず署名を集め
  412. 結菜: 議案が生徒会を通った場合…
  413. ありえないことだ
  414. 結菜: では、もしもそのような結果に なった場合は
  415. 結菜: 学校側は私の立候補を 認めてもらえますか?
  416. …………
  417. 万が一そんなことになれば
  418. 臨時職員会議を 招集せざるを得んだろうが…
  419. そもそも署名なんて そう簡単に集まりやしない
  420. ひかる: 間に合うんすかね…?
  421. 結菜: 思ったより遅かったわねぇ
  422. 結菜: 学校側がああ言ってくるのを 待っていたのよぉ
  423. ひかる: ――っ!?
  424. 結菜: 勝算はあるわ
  425. 結菜: 私の支持者数が無視できない数に なってる今だからこそ
  426. 結菜: 大事な議案を短期間で決めさせる ような無茶な交渉ができたのよぉ
  427. 結菜: 署名は集まったし 生徒会の支持も得られた今 あとは職員会議を残すだけ
  428. 結菜: 全ては順調に進んでいたはずだったのに…
  429. 紅晴、ちょっといいか
  430. 結菜: はい… 会議は終わったんですか…?
  431. それが…
  432. 結菜: 父母会から連絡が…!?
  433. 結菜: しかも私が市長の娘だから 贔屓されているなんて…
  434. 結菜: 言いがかりにも ほどがあります…!
  435. もちろん贔屓したつもりはないし そのことは丁寧に説明するが…
  436. 父母会がここまで強く言ってくる ということもあまりなくてな…
  437. 親御さんたちから お前らを預かっている以上
  438. 学校も父母会の要望を突っぱねる わけにもいかない立場なんだ
  439. 話し合いは長期化するかもしれん
  440. 結菜: ということは…
  441. あぁ 今回の選挙には間に合わない
  442. 結菜: そんな…
  443. 結菜: どうして… こんな土壇場になって…
  444. 結菜: もう時間もないし
  445. 結菜: ここまで煌里たちに… みんなに支えられてきたのに
  446. 結菜: こんなところで 終わるだなんて、そんなの…
  447. キュゥべえ: やぁ、紅晴結菜
  448. 結菜: ――っ!?
  449. キュゥべえ: 驚かせて悪かったね ボクの名前はキュゥべえ
  450. キュゥべえ: キミの願いを なんでもひとつ叶えてあげるよ
  451. 結菜: 願いを…?
  452. キュゥべえ: その代わり
  453. キュゥべえ: ボクと契約して 魔法少女になって欲しいんだ
  454. 結菜: …魔女を倒す
  455. 結菜: …話を聞いても よくわからないけれど
  456. 結菜: とにかく、それなりの義務は 果たさないといけないわけねぇ…
  457. 結菜: その代わり 願いは本当に叶うって言うの?
  458. キュゥべえ: うん キミの願いは必ず遂げられるよ
  459. 結菜: …………
  460. 結菜: (願いが叶う…だなんて そんな甘い話、あるわけない…)
  461. 結菜: (だけど…)
  462. ピロン♪
  463. 結菜: ――っ!?
  464. あとは、職員会議を通れば 1年生の立候補が認められるね! きっと紅晴さんなら大丈夫 私たちみんな応援してるから!
  465. ピロン♪
  466. 紅晴! 生徒会長になっても仲良くしろよ! …って、気が早いか! 頑張れよ!
  467. ピロン♪
  468. ひかる: ひかるは 結菜さんのことを信じてるっす
  469. 結菜: (そう…私には ここで諦められない理由がある)
  470. 結菜: (私を信じて付いてきてくれた… 共に戦ってきた仲間たち…)
  471. 結菜: (みんなの想いを 無駄にはしたくない…)
  472. 結菜: (こんな話に乗るなんて 自分でも馬鹿げてると思うけど)
  473. 結菜: (それでもすがりたい… 私に期待するみんなのために)
  474. 結菜: …それなら叶えてちょうだい
  475. 結菜: 『生徒会の選挙制度の改正が認められるように 反対している人たちの心を変えて』
  476.  
  477. FILENAME: text_310212-3.txt
  478. 先輩: そう…父母会の横やりを 願いで引っ込めたことに
  479. 先輩: 気を病んでいるということね
  480. ひかる: あんな無茶な言いがかりを つけられなければ
  481. ひかる: 結菜さんの力で 決まる寸前だったっす!
  482. ひかる: ひかるはちゃんと 見てたっすから!
  483. 結菜: ひかる…
  484. ひかる: 本当は願いなんて 必要なかったくらいなんすよ!
  485. 結菜: それでも、結局 力でねじ伏せたのと変わらない
  486. 結菜: 私は、大庭樹里と 同じことをしたのよぉ…
  487. 先輩: それは違うわ
  488. 結菜: え…?
  489. 先輩: 結菜は、学校のみんなのために 生徒会長になったのよね
  490. 結菜: …はい
  491. 先輩: 大庭樹里とのことだって 私が頼んだとはいえ
  492. 先輩: あなたが動いた理由は 本当にそれだけ?
  493. 結菜: いえ…
  494. 結菜: 二木市の魔法少女たちに窮屈な 思いはしてほしくなかったから…
  495. 先輩: 誰かのために動けることは 簡単じゃない
  496. 先輩: それはあなたの 素晴らしいところよ
  497. 先輩: だから結菜は 間違ってなんかない
  498. 結菜: でも…でも先輩
  499. 先輩: そうね、結菜の言う通り
  500. 先輩: 樹里は本当の意味で 敗北には納得していないだろうし
  501. 先輩: きっと学校の方でも 似た問題があるんじゃない?
  502. 結菜: はい…
  503. 先輩: だからね 大事なのはその後なのよ
  504. 先輩: 平和的な解決のために 力を使ったことは
  505. 先輩: きっと間違えてない
  506. 先輩: でも、そうしたからには 最後まで責任を取る必要がある
  507. 結菜: 責任…
  508. 結菜: (力でねじ伏せた父母会と 力で屈服させた大庭樹里)
  509. 結菜: (今あるしこりはいつか)
  510. 結菜: (取り返しがつかないほど 大きく膨れ上がる…)
  511. 結菜: 現に、それは起きている
  512. 結菜: 私の願いは、父母会の人たちの心を捻じ曲げて 選挙制度を変えさせたけれど
  513. 結菜: 父母会と生徒会の軋轢そのものは 解消されたわけじゃない
  514. 結菜: だから、ことあるごとに 父母会は生徒会に横やりを入れてくる
  515. 結菜: (そうして、そのしこりは今後も 学校の後輩たちや…)
  516. 結菜: (二木市の魔法少女たちへの しわ寄せとなり続ける…)
  517. 先輩: 結菜
  518. 先輩: あなたはみんなのために 最後まで責任を取る覚悟はある?
  519. 結菜: はい
  520. 先輩: それならひとつ 頼みたいことがあるわ
  521.  
  522. FILENAME: text_310212-4.txt
  523. 樹里: で、今度は何の用だよ
  524. 先輩: あなたが結菜との戦いの結果に 納得してないんじゃないかと
  525. 樹里: …勝負は勝負だ こっちの負けは認めてる
  526. 樹里: 小細工だらけの 戦いだったとしてもな…
  527. 先輩: ほら、不服そうじゃない
  528. 樹里: あぁ? 何が言いてぇんだ
  529. 先輩: これから樹里と結菜には 仲良く力を合わせて欲しいのに
  530. 先輩: このままだと良くないと思って
  531. 先輩: …だから、樹里はいつでも 結菜に戦いを挑んでいいわ
  532. 樹里: え…はぁ!?
  533. 先輩: 代わりに、他の子は 巻き込まないでね
  534. 樹里: オイオイ お前はそれでいいのかよ
  535. 結菜: ええ、構わないわぁ…
  536. 樹里: 殺すつもりでいくぞ
  537. 結菜: …殺されないわ、絶対に
  538. 樹里: …………
  539. 樹里: 私の炎を、アンタが 受け止めてくれるってのか?
  540. 樹里: 私の、このビョーキを
  541. 結菜: …ええ
  542. 樹里: …………
  543. 樹里: ニヒッ 気に入ったぜ
  544. 樹里: 次こそは小細工なしで 戦ってくれんだろうなぁ!?
  545. 結菜: それはどうかしらぁ…
  546. 樹里: ハッ、そうかよ
  547. 樹里: それなら私の炎で小細工ごと ウェルダンにしてやるだけだ
  548. 樹里: いつか必ず お前をぶっ潰してやるから
  549. 樹里: 覚悟しておけよ、結菜
  550. 結菜: 負けないわよ…樹里
  551. 樹里: それじゃあ、さっそく
  552. 樹里: 握手の代わりに 拳で語り合うとしようぜ
  553. 結菜: …望むところよぉ
  554.  
  555. FILENAME: text_310212-5.txt
  556. 結菜: っ…はぁ…
  557. 樹里: …ふぅ
  558. 樹里: 久々に楽しかったよ ありがとな
  559. 結菜: ええ
  560. 樹里: じゃあ、またな
  561. 結菜: …………
  562. 先輩: どう? 少しは光明が見えてきた?
  563. 結菜: …そうですね
  564. 結菜: ありがとうございます 先輩…
  565. ピッ
  566. 結菜: もしもし、ひかる?
  567. 結菜: ええ、無事よ
  568. 結菜: そうね…えぇ 心配かけてごめんなさいねぇ…
  569. 結菜: …それよりひとつ 聞きたいことがあるのだけど
  570. 結菜: あなた、成績は 悪くなかったわよねぇ?
  571. 結菜: 問題はひとつ解決 勉強させてもらったわぁ
  572.  
  573. FILENAME: text_310213-1.txt
  574. 結菜: 本日はお忙しいところ
  575. 結菜: お集まりいただき ありがとうございます
  576. 結菜: それでは、さっそく 校則の変更について
  577. 結菜: 話し合っていきたいと 思います
  578. 結菜: まずは父母会の方々の 意見をお聞きできればと…
  579. 「髪色と髪型の校則についてだろ? 規則を変えるだなんて言語道断だ」
  580. 「学生は勉学が一番なのだから 見た目に気を遣っている場合じゃないでしょう」
  581. 「私たちのときだってそうだったんだから あなたたちも我慢するべきじゃない?」
  582. 結菜: …ですが、生徒の個性を 伸ばすことも大事なのでは…?
  583. 「それはそうなんだけどなぁ」
  584. 「見た目が派手だと悪い子たちに 絡まれるんじゃないかって心配なのよ」
  585. 結菜: 生徒を守るため… ということですね
  586. 結菜: 先生方はどうでしょうか?
  587. 「父母会の方の意見もわかるんですがね…」
  588. 「服装の乱れは 風紀の乱れにも繋がるとも言うしな」
  589. 「いくら中身が真っ当でも、見た目で目立てば 悪い印象を持たれてしまうことがあるから…」
  590. 「社会に出れば皆と同じであることを 求められる場合だってある… そのための練習という意味もありますからね」
  591. 結菜: …ありがとうございます
  592. 結菜: みなさんが私たち学生のことを 沢山考えてくださっていること
  593. 結菜: とっても伝わりました…
  594. 結菜: …しかし
  595. 結菜: 『本当に見た目が原因で 起きた問題はどれほどでしょう?』
  596. 結菜: 『逆に、見た目への抑圧が原因で 起きた問題はどれくらいあったでしょう?』
  597. 結菜: 『先生や父母会の方々がおっしゃっているのは あくまで問題を未然に防ぐためのこと』
  598. 結菜: 『それも大切なことですが 強制することで問題が起きてしまっているのでは 本末転倒なのではないでしょうか…?』
  599. 結菜: それに、最近の進学校では 服装が自由なところも多いです
  600. 結菜: 何故か…
  601. 結菜: それは自主性を重んじる 教育をしているからです
  602. 結菜: 『自由とは、なんでもしていい ということではありません 自分の頭で考え、責任をもって 行動する必要があるということです』
  603. 結菜: 『これは少し先の話である生徒も いるかもしれませんが 自分で考えることは就職活動でも 必要なスキルになってきます』
  604. 結菜: 『学生時代、みんなと一緒であることを 強要され続けた学生は 就職活動で突然“らしさ”を 求められて困惑すると聞きます』
  605. 結菜: 『それは今まで“規則”という、決められた 道筋だけを歩かせてもらっていたから』
  606. 結菜: 『自由を与えることは 甘やかすことではないと思うんです』
  607. 結菜: 『むしろ学生にとっては 自主性を伸ばす大きな機会ともなり得ます』
  608. 結菜: どうでしょうか…?
  609. みんな: …………
  610.  
  611. FILENAME: text_310213-2.txt
  612. でも… 進学校が服装自由って
  613. 真面目な子が多い学校だから 成り立つわけでしょう…?
  614. 結菜: たしかに、おっしゃる通りです
  615. 結菜: しかし 自由が与えられたことによって
  616. 結菜: 成績が伸びたとしたら 話は別ですよね?
  617. えっ…?
  618. 結菜: 今日は中等部の子に 来てもらっています
  619. ひかる: はいっす
  620. 結菜: あなたの話を してもらえるかしら
  621. ひかる: …っす
  622. ひかる: ひかるは元々 ラクロス部だったんすけど
  623. ひかる: 他にどうしても やりたいこと…
  624. ひかる: 結菜さんの選挙活動のお手伝いが したくって、部活をやめたっす
  625. ひかる: 顧問の先生にはそのとき やめる自由を頂いたんす
  626. 顧問: それから、成績が 伸びていったんだよな
  627. ひかる: はいっす
  628. ひかる: 勉強をサボれば選挙で応援してる 結菜さんの評判が落ちるかもって
  629. ひかる: そう思えば、自然と勉強も 頑張れるようになったっす
  630. 顧問: 私はラクロス部の 顧問をしているのですが…
  631. 顧問: 煌里が選挙の手伝いのために 退部すると聞いたときは
  632. 顧問: 正直、もったいないとも 思いました
  633. 顧問: しかし、今こうして輝いている 煌里を見ると
  634. 顧問: 生徒の自主性を重んじるという ことへの重要性を感じますし
  635. 顧問: 何より目標を持って何かに 取り組むという姿勢は
  636. 顧問: 学生としても あるべき姿かと、私は思います
  637. ひかる: 現状、うちの学校は かなり荒れてると思うっす…
  638. ひかる: 問題が減れば 儲けもの…くらいで
  639. ひかる: 一度、ひかるたち…
  640. ひかる: 生徒たちのことを 信じてみてくれないっすか
  641. ひかる: また問題が増えたら 髪色についての校則だって
  642. ひかる: 復活でも構わないっすから
  643. そう言われてしまうとねぇ…
  644. 校長: 1年間だけ試してみる… なんていうのはどうでしょう
  645. ひかる: 校長先生…!?
  646. し、しかし…
  647. 校長: 制度を変えるには冒険も ある程度必要かと思いましてね
  648. たしかに、それもそうですね
  649. ふむ… 職員側は賛成多数のようですが…
  650. 父母会のみなさまも ここはひとつ、どうでしょうか?
  651. 一度 生徒たちを信じてみるというのは
  652. ひかる: お願いするっす!
  653. 結菜: …お願いします!
  654. …………
  655. まぁ、そこまで言うなら 信じてみてもいいかもな
  656. 生徒会長も、当初は贔屓で 選ばれただなんて疑っていたのが
  657. 申し訳なるくらいちゃんとした 生徒想いのいい子みたいだし
  658. えぇ、彼女の言葉に 胸を打たれたのも確かだわ
  659. …まぁ、1年間の様子見なら やってみる価値はあるかもしれん
  660. 校長: ありがとうございます
  661. 校長: それでは、1年間 髪型・髪色についての
  662. 校長: 校則を変えて 悪い変化があれば戻す
  663. 校長: これでどうかな、生徒会長
  664. 結菜: はい 私から異論はございません
  665. 結菜: 皆さん、ありがとうございます!
  666. パチパチパチパチ
  667. ひかる: 緊張したっす…
  668. 結菜: 助かったわ、ひかる
  669. ひかる: それにしても、今回は 真っ向勝負だったっすね
  670. 結菜: そんなことないわよぉ…
  671. 結菜: 父母会の目につくように 以前から慈善活動を行って
  672. 結菜: イメージアップを 図っていたし…
  673. 結菜: 校長や顧問の先生とは 事前に話を通してあって
  674. 結菜: 他の教師たちとも、ほとんど 話がついていた状態だったから
  675. 結菜: 会議の流れは 考えていた筋書き通りだったわぁ
  676. ひかる: いつの間に…
  677. 結菜: 討論に負けたら お話にならないから
  678. 結菜: 色々と策は講じたけれど
  679. 結菜: それでも遺恨を残すようなことは してないつもりよぉ…
  680. 結菜: あの場で話し合うことで 父母会の方にも本当の意味で
  681. 結菜: 納得してもらえたと思うからぁ…
  682. ひかる: 何だか結菜さん 政治家みたいっす
  683. 結菜: ――っ!?
  684. ひかる: あ、今のは…えっと すごいっていう意味で
  685. 結菜: …いえ、気にしないで ありがとう…
  686. 結菜: (私の父親も こうして戦っていたのねぇ…)
  687. 結菜: (政治の真似事をしてみて ようやく気付けた)
  688. 結菜: ふふ…血は争えないって ことなのかしらねぇ…
  689.  
  690. FILENAME: text_310213-3.txt
  691. 結菜: 先輩!
  692. 先輩: 結菜、聞いたわよ
  693. 先輩: 生徒会長として 立派だったみたいね
  694. 結菜: はい、先輩のおかげです
  695. 先輩: ううん、あなたの実力よ
  696. 先輩: …今日はね あなたに渡したいものがあるの
  697. 結菜: 私に…?
  698. 先輩: ええ、樹里への対応を 成し遂げたことへの労いと
  699. 先輩: 今さらだけど、私からの
  700. 先輩: 生徒会長就任祝い …というところかしら
  701. 先輩: はい、これ
  702. 結菜: これは…
  703. 先輩: ―先輩― 実はね、私も少し前まで 別の学校で生徒会長をしていてね
  704. 結菜: ―結菜― 先輩が…
  705. 先輩: ―先輩― この万年筆は、そのときに使っていたもので とても思い入れのあるものなの
  706. 結菜: ―結菜― そんな大切なものを、私に…?
  707. 先輩: ―先輩― 大切なものだから、結菜に託すのよ
  708. 先輩: 進学校だったから高校2年生に なってからの生徒会長就任で…
  709. 先輩: 私も会長になったばかりのときは 結菜と同じように悩んだわ
  710. 結菜: 先輩も…
  711. 先輩: 何が正解かなんて 誰にもわからないんだもの
  712. 先輩: 時には教師たちと 対立してしまったり
  713. 先輩: 何のために自分が 頑張っているのか…
  714. 先輩: 見失って自暴自棄に なったことだってあったわ
  715. 結菜: …………
  716. 先輩: 驚いた?
  717. 結菜: …はい そんな風には見えないですから…
  718. 先輩: ふふ
  719. 先輩: …………
  720. 先輩: 結菜は、どこか私に 似ているような気がしてね
  721. 先輩: …って、こんな話をされた後に 言われちゃ嫌よね…
  722. 先輩: でも、聞いて…
  723. 先輩: 誰かを想うあまり
  724. 先輩: 他の誰かを憎んだり、恨んだり 怒りに呑み込まれるようなことが
  725. 先輩: 結菜にもいつか あるかもしれない…
  726. 先輩: そんなときは この言葉を思い出して…
  727. 先輩: 「憎まず、嫉まず、利己的にならず 何よりも誰かのためであり 世の平和と心の安寧を願い続ける」
  728. 先輩: それが私が伝えられることよ、 結菜
  729. 先輩: あなたならきっとできる
  730. 結菜: …はい、先輩
  731. 先輩: そうして誰かのために 頑張るあなたになら
  732. 先輩: きっとみんながついてくるし
  733. 先輩: 遺恨を残さない解決だって 自ずとできるようになるわ
  734. 結菜: 何よりも誰かのために…
  735. 結菜: …………
  736. 結菜: 私、その言葉を忘れません
  737. 結菜: この万年筆と一緒に 大切にし続けます…!
  738. 結菜: (学校のみんなのために 二木市のみんなのために)
  739. 結菜: この身を賭して みんなを守っていきますから
  740.  
  741. FILENAME: text_310213-4.txt
  742. 生徒会長! 聞いたよ、校則のこと
  743. これでヘアアレもできるよ~!
  744. 結菜: ふふ、あまり凝りすぎて 勉強を疎かにしないようにねぇ…
  745. 結菜: あまり羽目を外しすぎたら 元の校則に戻されてしまうし…
  746. 結菜: 勉強もそこそこ励んでいた方が 父母会の心象も良くなると思うわ
  747. はーいっ
  748. ひかる: 校則が変わって みんな嬉しそうっすね
  749. 結菜: …えぇ
  750. 結菜: でも… これはまだ第一歩に過ぎないわぁ
  751. 結菜: この学校にはまだまだ 改善の余地があるんだものぉ…
  752. ひかる: そうっすね!
  753. ひかる: ひかるは、これからもずっと 結菜さんに付いて行くっすよ!
  754. 結菜: えぇ…よろしくねぇ…
  755. 結菜: (先輩の言葉を聞いてから)
  756. 結菜: (私の中に1本の 軸が生まれたような気がする)
  757. 結菜: (誰かのため…)
  758. 結菜: (そう思えばこそ できることもあるのね…)
  759. 結菜: 目的のために力を使った過去は変わらない
  760. 結菜: だけど…いいえ、だからこそ 私はその責任を果たさなければならない…
  761. 結菜: 願いで生徒会長になった私には 生徒のために学校を変える責務があり
  762. 結菜: 力で樹里を屈服させたからには 樹里を含む二木市の魔法少女たちみんなを 守っていかなければならない 幸せにしていかなければならない
  763. 結菜: (目的が明確に なったからかしら)
  764. 結菜: (何だか晴れやかな気分ねぇ…)
  765. 先輩: 結菜?
  766. 結菜: あっ、はい
  767. 先輩: なんだかにやにや してないかしら?
  768. 結菜: あ…えと…
  769. 先輩: ふふっ …ね、結菜
  770. 先輩: 今度、みんなでどこかに 遊びに行かない?
  771. 結菜: えっ
  772. 先輩: そんなに驚くことないじゃない
  773. 先輩: 私たちは魔法少女同士の 仲間でもあるけど
  774. 先輩: 同時に、お友だち同士でも あるんだから
  775. 結菜: …………
  776. 先輩: え…あ、違った!? やだ…私だけ舞い上がって…
  777. 結菜: ―結菜― ふふっ
  778. 先輩: ―先輩― 何笑って…
  779. 結菜: ―結菜― だって先輩がそんなに焦るだなんて 何だかおかしくてぇ…
  780. 結菜: ―結菜― …遊びに行きましょう、先輩 どこがいいですか?
  781. 結菜: ―結菜― ショッピングか、遊園地か… 動物園なんかもいいかもですねぇ…
  782. 結菜: ―結菜― いつも魔法少女として頑張っているのだから
  783. 結菜: ―結菜― たまには楽しい休日を過ごしたって バチはあたらないはずですよね
  784. 先輩: ―先輩― ふふふっ 結菜もそうやって笑うのね
  785. 結菜: えっ?
  786. 先輩: さて、どこがいいかしらね 海に行くとかもいいわよね
  787. 結菜: ふふ、そうですね
  788. 結菜: たくさん…色んなところに 行きましょうね、先輩
  789. 先輩: えぇ、楽しみね
  790. <二木市・虎屋町>
  791. ひかる: 久しぶりの魔女だったっすねぇ
  792. 樹里: だな…
  793. 結菜: …………
  794. ひかる: …結菜さん? どうかしたっすか?
  795. 結菜: 昔、ここで先輩と話をしたのを 思い出していたのよぉ…
  796. ひかる: どんな話だったんすか?
  797. 結菜: …自分たちの未来の話よぉ
  798. ひかる: 未来…っすか…
  799. 結菜: ふふ…
  800. 樹里: …何、笑ってんだ きもちわりぃ
  801. 樹里: 未来のことを言えば鬼が笑う …ってか?
  802. 結菜: そうねぇ…
  803. 結菜: 未来のことなんて 語るだけ虚しいだけなのにねぇ…
  804. 結菜: 私は、許さない…私たちの 未来を奪った、神浜の連中を…
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