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- FILENAME: text_310211-1.txt
- マジあいつなんなん
- ほんっとマジうぜー
- 結菜: どうしたのかしらぁ?
- あー! 生徒会長、聞いてよ!
- 体育教師のオッサンがさ スカート短いって言ってきて
- あいつスカート見るしか 仕事ないわけ?
- ひかる: スカートの長さは 特に、問題なく見えるっすけど…
- それが、あいつ定規持っててさ 測ったら結局セーフだったの!
- ひかる: 定規っすか!?
- 結菜: …それは少し行き過ぎた 指導にも思えるわねぇ
- でしょ!?
- しかも、そのせいで1限目の 体育に遅刻したっていうのにさ
- 遅刻するなって怒ってくんの!
- アンタが止めたから着替えるのが 遅れたって話でしょ!?
- ひかる: おぉ…理不尽っすね…
- 結菜: この件については生徒会で 話し合わせてもらうわぁ
- ありがとう生徒会長! 助かる!
- 結菜: また何かあったら 教えてちょうだい
- 結菜: …ひかる、行きましょぅ
- ひかる: はいっす!
- 「やっぱ生徒会長かっこいいよね」
- 「私たちの話をちゃんと聞いて 対応してくれるから、すごく頼りになるし…」
- 「彼女が会長になってから 学校の雰囲気も少しずつだけど良くなってる」
- 「まぁ、まだ教師陣はうるせーけどな」
- 「あのいつも一緒にいる子も 何だか人懐こくていい子っぽいよね」
- 「生徒会長を支える秘書っつーか なんかいいコンビだよな」
- 結菜: はぁ…
- ひかる: どうしたんすか…?
- 結菜: いえ、ちょっと…ここのところ 悩みごとが多くてねぇ…
- ひかる: 悩みごと…っすか
- 結菜: えぇ… 私が生徒会長になったとき
- 結菜: 髪型と髪色を自由にするって 公約したでしょう?
- 結菜: で、いざ校則を変えようと 動き出したら
- 結菜: 突然 父母会が抗議してきてねぇ
- 結菜: それで、教師陣とも少し 揉めてしまっているのよぉ…
- ひかる: また父母会っすか…
- ひかる: まったく… 横やり入れないで欲しいっすね
- 結菜: それに大庭樹里についても 考えないといけないから…
- 結菜: 個人的にも色々と 問題が山積みなのよぉ…
- ひかる: 大庭樹里… 例の厄介な魔法少女っすね…
- ひかる: ひかるくらい、魔法少女になって 日の浅い結菜さんに
- ひかる: 先輩が、あの人の対応を 任せたと知ったときは
- ひかる: まさかの大役だったので 驚いたっすけど…
- ひかる: でも大丈夫っす!
- ひかる: ひかるがちゃんと結菜さんを サポートするっすから!
- 結菜: ふふ、頼もしいわぁ
- 結菜: ひかるには 彼女とのことで
- 結菜: 大きな仕事をしてもらおうと 思っているから
- 結菜: よろしく頼むわぁ
- ひかる: 仕事…って、なんなんすか?
- 結菜: それは、この後の 先輩との作戦会議のときにねぇ…
- ひかる: 楽しみっす!
- 結菜: ――っ!?
- ひかる: 魔女っすね
- 結菜: えぇ
- 結菜: 先輩との待ち合わせに 遅れないように
- 結菜: 素早く倒してしまいましょぅ…
- ひかる: はいっす!
- FILENAME: text_310211-2.txt
- 結菜: ふぅ…
- 結菜: “対象変更”の力も、以前より 使えるようになってきたわねぇ
- ひかる: 攻撃したものとは別の対象に 魔力をぶつける魔法なんて
- ひかる: めちゃくちゃ難しそうなのに さすが結菜さんっす!
- 結菜: 先輩に何度も 稽古をしてもらったものぉ…
- 結菜: …そう考えると、これも先輩に 私を紹介してくれた
- 結菜: ひかるのおかげでもあるわねぇ
- ひかる: 結菜さんのお役に立てたのなら 嬉しいっす!
- 結菜: …そういえば、ひかるが 同じ魔法少女だと知ったのも
- 結菜: こんな放課後だったわぁ…
- ひかる: っすねぇ…
- 結菜: やぁっ!
- 結菜: (生徒会の仕事があるから 早く帰りたいのに…)
- 結菜: (…あの案件も 明日までに何とかしないと…)
- ジャギギ☆●△▼◇ー!!!!
- 結菜: しまっ…!
- ひかる: 「行け!!ひかる軍団!!」
- 結菜: ひかる…!?
- ひかる: ひかるの結菜さんに 手を出すなっすー!
- 結菜: ひかる…なの…?
- ひかる: 遅くなって 申し訳ないっす…!
- ひかる: …って、それより びっくりしたっすよ!
- ひかる: 遠くから見て 結菜さんに似てると思ったら
- ひかる: 本人なんすから!
- ひかる: でも無事でよかったっす!
- 結菜: 助けてくれてありがとぅ…
- 結菜: それにしても驚いたわぁ…
- 結菜: まさか、ひかるも 魔法少女だったなんてねぇ…
- ひかる: えっと…その
- ひかる: 決して内緒にしていたとか そういうことではなくてっすね…
- ひかる: ひかるが魔法少女になるときに 叶えた願いに
- ひかる: 結菜さんが 関係しているというのもあって…
- ひかる: 何と言うか… 伝えるタイミングを逃してたんす
- 結菜: 私が、ひかるの願いに…?
- ひかる: その話は長くなるので また今度にするっす…!
- 結菜: そう…
- ひかる: そうだ結菜さん
- ひかる: 結菜さんはソロで 魔法少女やってるんすよね?
- 結菜: …えぇ
- ひかる: 良かったらひかるの入ってる チームに来ないっすか?
- ひかる: ベテランの先輩魔法少女が いるっすから
- ひかる: 色々教えてもらえると思うっす
- ひかる: それに…
- 結菜: …?
- ひかる: 二木市には、力で周りの 魔法少女たちを押さえつけている
- ひかる: 竜ケ崎の大庭樹里っていう 戦闘狂の魔法少女がいて…
- ひかる: 先輩のおかげで前よりは マシになってるらしいんすけど
- ひかる: ソロの魔法少女や弱い人たちは すぐにボコられるっす…
- ひかる: 大庭樹里の報復を恐れて活動が できない魔法少女も多くて…
- ひかる: 結菜さんなら 大丈夫だとは思うっすけど…
- ひかる: 何かとチームに入っていた方が 安全なんすよ
- 結菜: …それなら、そのチームに私を 紹介してもらえないかしらぁ…
- ひかる: もちろんっす!
- 先輩: あら、ひかる 戻ってきたのね
- 先輩: …と、その子は?
- ひかる: 結菜さんっす!
- ひかる: 結菜さん、こちらが ベテランの先輩魔法少女の方っす
- 結菜: はじめまして 紅晴結菜と申します…
- 先輩: あなたが…
- 結菜: え…?
- 先輩: ひかるから 色々とあなたの話は聞いているわ
- ひかる: あっ! それは内緒っすよ!
- 先輩: あら、そうだったのね
- 先輩: …ここに来たってことは チームに入りたいってことかしら
- 結菜: …はい
- 先輩: いいわよ
- 結菜: そんなにあっさり…? 何か、試験とかは…
- 先輩: うーん…ひかるも 拾ってきたようなものだし…
- ひかる: ひかる、犬じゃないっすよ!
- 先輩: ふふふ、ごめんなさい 結菜さん…だったわね
- 先輩: チームに入るにあたって ひとつだけ質問させてもらうわ
- 先輩: チームでの活動ってね
- 先輩: みんなで魔女を倒す以外にも 他のチームにいる
- 先輩: いろんな魔法少女と 話をする必要があるものなの
- 先輩: でね…あなたは
- 先輩: 相手に話を聞いてもらうには いったい何が必要だと思う?
- 結菜: それは…
- 結菜: …………
- 結菜: …真摯な態度で向き合って
- 結菜: 行動をもって誠意を示すこと …でしょうか
- 先輩: …………
- 先輩: いいわね、気に入った!
- 先輩: それじゃ、改めてよろしくね 結菜
- 結菜: …は、はいっ
- FILENAME: text_310211-3.txt
- 結菜: 今日も指導して頂き ありがとうございました!
- 先輩: 固有魔法の対象変更も だいぶ上達してきたみたいね
- 結菜: ありがとうございます…!
- 先輩: …ところで結菜
- 先輩: 樹里については ひかるから聞いてるわよね
- 結菜: …はい
- 結菜: 実は、少し前に 偶然彼女に会っていて…
- 樹里: 「ハッ、テメエが 新しいアイツの腰巾着か」
- 樹里: 「私にとっちゃ、新しいオモチャが 来てくれたもんだな」
- 結菜: 『噂通りの戦闘狂のようねぇ…』
- 結菜: 『あなたの報復を恐れて 活動できない魔法少女もいるわぁ』
- 結菜: 『ただでさえ危険に身を置く以上、 魔法少女は手を取り合うべきよぉ』
- 樹里: 「ぁあ?」
- 樹里: 「むしろ気に入らねえヤツや 強いヤツをぶん殴れる社会だろ」
- 樹里: 「そんな最高の舞台を 自ら放棄するわけないっつーの」
- 結菜: 話に聞いていた通りの 子でした…
- 先輩: そう…
- 先輩: 樹里が他の魔法少女を 力で押さえつけているこの状況を
- 先輩: 結菜はどう思う?
- 結菜: …力で他者を押さえつける方法が 正しいとは到底思えません
- 先輩: …そうよね
- 先輩: 私はこの現状を変えて 二木の魔法少女たちに
- 先輩: 安寧をもたらしたいと 考えているの
- 先輩: そこで、結菜 あなたにこの一件を任せたいのよ
- 結菜: 私に…ですか?
- 先輩: えぇ
- 先輩: 実力も、考え方も… 結菜になら任せられると思って
- 先輩: もちろんフォローはするし ひかるにも手伝ってもらうわ
- 先輩: …引き受けてもらえないかしら
- 結菜: (…行き過ぎた抑圧は いつか反抗へ)
- 結菜: (そのことを私は 痛いほど知っているはず…)
- 結菜: (それなら答えはひとつよ…)
- 結菜: …やります 私にやらせてください
- 先輩: ありがとう、結菜
- 先輩: …ねぇ、出会ったときに 私が質問したことを覚えてる?
- 結菜: はい
- 結菜: 相手に話を聞いてもらうには 何が必要か…ですよね
- 先輩: えぇ、あなたは真摯な態度と 行動と言ったわね
- 先輩: 私も同意だし、その考えは 忘れないで欲しいんだけど
- 先輩: 樹里は 一筋縄ではいかないわ…
- 先輩: あの子は自分より強い者の 話しか聞かないから…
- 結菜: それじゃ…
- 先輩: そう、だから 難しい課題になると思うわ
- 結菜: …………
- 結菜: わかりました
- 結菜: …考えたいので 少し時間をくれませんか
- 先輩: 元よりそのつもりよ
- 先輩: 明後日、ひかるも一緒に 作戦会議をしましょう
- FILENAME: text_310211-4.txt
- 先輩: 帰り道で魔女に遭遇したそうね お疲れ様
- ひかる: っす
- 結菜: …………
- 先輩: さぁ、結菜の答えを 聞かせてもらえるかしら
- 結菜: …………
- 結菜: …私は 大庭樹里と戦います
- ひかる: ――っ!?
- 結菜: 力で押さえつけてはいけない …その気持ちは変わりません
- 先輩: …………
- 結菜: 私は、彼女と話をして 今ある問題を解決に導きたい…
- 結菜: けれど、彼女が素直に私の言葉に 耳を傾けるとも思えない…
- 結菜: だから、彼女と話をするために 力で勝る必要がある…
- ひかる: でも… あまりに危険っす…!
- 結菜: えぇ、正面からぶつかれば タダじゃ済まないでしょうねぇ…
- 結菜: だから、あなたの力が 必要なのよ…ひかる
- ひかる: あ…
- 結菜: ひかる…
- 結菜: あなた、私の忠実な馬に なる気はあるかしらぁ…?
- ひかる: 馬…っすか?
- 結菜: ええ、言い方を変えれば 専属の騎兵隊…というところね
- ひかる: もちろん、結菜さんのためなら ひかるは何にだってなるっすけど
- ひかる: ひかるは、いったい何を したらいいんすか?
- 結菜: あなたは大庭樹里とは対峙せず 姿を隠しておいて欲しいの
- ひかる: …っす?
- 結菜: そしてあなたには 影の軍勢を率いて
- 結菜: 私の助けとなって欲しい…
- ひかる: …っ!
- ひかる: わかったっす! ひかるに任せてくださいっす!
- 結菜: どうでしょうか、先輩
- 先輩: あなたの答えを尊重するわ …結菜
- 結菜: ありがとうございます…
- 先輩: それじゃあ明日の夜 樹里を呼び出すわ
- 結菜: …………
- 樹里: いきなり呼び出して 何の用だよ
- 樹里: 決闘なら応じてやるけど
- 樹里: 変身してねえやつを いたぶるのは趣味じゃねーぞ
- 先輩: 戦う相手は私じゃないわ
- 樹里: …あ?
- 先輩: 来なさい、結菜
- 樹里: …アンタ、前に会った こいつの新しい腰巾着か?
- 結菜: …久しぶりねぇ
- 樹里: なんだ、オモチャがわざわざ いたぶられにきたってか?
- 結菜: いいえ… あなたと話をしに来たのよぉ…
- 樹里: チッ
- 樹里: んなもんするわけねーだろ!
- 結菜: …やっぱり駄目みたいねぇ
- 樹里: あぁ!?
- 樹里: 弱い奴の話なんて 聞き入れる訳ねーだろーがっ
- 結菜: ふっ!
- 樹里: へぇ、私の攻撃を受け止めたか
- 樹里: 腰巾着にしては一応 アンタも動けるみてぇだな
- 樹里: ただなぁ
- 樹里: そんだけじゃ 私には勝てねーんだよ!
- 結菜: ぐっ…
- 結菜: (対象変更…!)
- 結菜: ハァッ!
- 樹里: あ? 何、地面なんか叩いて…
- 樹里: ぐわっ!?
- 樹里: ッチ…
- 樹里: んだこれ… どっから攻撃を…
- 樹里: 小細工使ってんじゃねー!
- 結菜: 小細工だなんて人聞きが悪いわぁ これも戦略のひとつよぉ…
- 樹里: …いいぜ そっちがその気なら
- 樹里: こっちだって 本気出してやるよ!
- 結菜: …頼んだわよぉ
- ひかる: 「了解っす」
- 樹里: もーえーろーーーー!!
- ひかる: (行け!!ひかる軍団!!)
- 樹里: アァアッ!
- 樹里: んだよ…今のっ!
- 結菜: 策略も実力の内よぉ… 負けを認めてちょうだい
- 樹里: …っの腰巾着が…っ
- 樹里: 何が目的だ
- 結菜: 私たちの仲間になりなさい
- 樹里: …チッ 傘下に入れ…ってか
- 結菜: …………
- 樹里: …わーったよ 認めたくねーけど負けは負けだ
- 樹里: 今回はアンタの勝ち ってことにしてやるよ
- 結菜: …………
- 結菜: あの頃 はじめて先輩に出会ったのよぉ
- FILENAME: text_310212-1.txt
- 結菜: はぁ…はぁ…
- 先輩: はい、今日の訓練はここまで!
- 結菜: え…でも…
- 先輩: 心に迷いがあるときは 何をやってもダメよ
- 結菜: …そう、ですね…
- 先輩: ひかるも 浮かない表情じゃない
- ひかる: …っす
- 先輩: …少し話をしましょうか
- 結菜: え?
- 先輩: 話したいこと、あるんでしょう?
- 結菜: …気付いてたんですね
- 先輩: それで、結菜たちは 何を悩んでいるのかしら?
- ひかる: ひかるは、結菜さんが 悩んでいるのを見て…
- ひかる: なんだかひかるも 悲しい気持ちになっただけなんす
- 先輩: そう、ひかるは優しいのね …結菜は?
- 結菜: その…色々あって 私の中でもまだ整理できてなくて
- 先輩: まとまってなくてもいいから 結菜の気持ちを話してみて
- 結菜: …………
- 結菜: 大庭樹里の件で… 本当にあれでよかったのか…と
- 先輩: うん
- 結菜: 平和的な解決のためとは言っても 結局、力で屈服させた
- 結菜: それも 正攻法とは言えないやり方で
- 結菜: …だから きっと彼女は…納得していない
- 先輩: …そうかもね、それで?
- 結菜: 実は… 私が生徒会長になったときも
- 結菜: 反対する相手を 無理やり力で押さえつけたんです
- 先輩: …どういうこと?
- 結菜: キュゥべえに願って…
- 結菜: 反対する大人たちの気持ちを ねじ曲げたんです…
- 結菜: 結局私は、力で…
- ひかる: それは違うっす結菜さん!
- 結菜: でも…
- 先輩: どうして1年生なのに 生徒会長…って
- 先輩: 前から気にはなっていたけど 願いが関わっていたのね
- 先輩: 良ければ、その頃の話を 聞かせてもらえないかしら
- 結菜: …はい
- 結菜: 私の父は市長をしていて 父は、私にも同じように政治の道を 歩んで欲しかったらしく 進学校への入学を勧められていたんです
- 結菜: でも…当時は 父の外面だけ良くしているような態度や 連日、大人たちと食事に行く姿が嫌いで
- 結菜: そんな父に反抗心を抱いた私は わざと自分のレベルより低い 学校に進むことを決めたのですが…
- これから全校集会を 始めます
- ざわざわざわ
- あー、だり 早く終わんねえかな
- 結菜: …………
- おい! 何だその髪色は!
- ――っ!?
- あぁ? 何度も何度もしつけーな
- 結菜: …………
- 結菜: いざ入学した私は、想像していたよりも 遥かに荒れた校風に辟易してしまった…
- 結菜: こんなことなら父親の言う通り 進学校に進んでおけばよかったと 思ったこともあったけれど
- 結菜: そんな私に、ある転機が訪れて…
- 髪を黒くしろと何度言えば…
- だから、地毛だって 言ってるじゃないですか!
- 規則は規則だ! 今週中に黒く染めてこい!
- ヅラ被ってんのはどうなのって 言えば良かったんじゃね?
- そんなの、さらにブチギレられて 終わりだよ…
- 結菜: …大丈夫ぅ?
- あ、紅晴さん…
- 結菜: 失礼なことを聞くけど… 本当にその髪は地毛なのぉ?
- そうだよ もともと髪色が薄くって…
- アレルギーがあるから黒染めも 出来ないのに…
- 結菜: …………
- 結菜: ねぇ、みんなで先生たちに 抗議してみなぃ…?
- 結菜: 何人かで集まって声を上げれば その先生も無視できないはずよぉ
- …アレルギーなら仕方ない 診断書を持ってくれば許可しよう
- …良かった
- 結菜: ありがとうございます
- ていうか、地毛なのに染めろとか そもそもの校則がおかしくね?
- 言っているだろう 規則は規則だと
- 校則はそう簡単に 変えられるものじゃない
- …そうだな、お前らの誰かが 生徒会長にでもなって
- 学校全体を変える力を持てば 話は違うだろうけどな
- マジであいつうっっっざ!
- ねぇ、紅晴さん! あなた生徒会長になるのはどう?
- たしかに! 私らは馬鹿だから無理だけど
- 紅晴なら頭もいいし!
- 結菜: 私がぁ…?
- 結菜: …………
- 結菜: でも 私がなるかどうかは置いといて
- 結菜: 誰かが生徒会長になって 校則を変えるというのは
- 結菜: いい考えかもしれないわぁ
- 結菜: 周りを巻き込んで 教師に掛け合えば
- 結菜: 話が通ることもあるというのは この一件で確認することができた
- 結菜: それは、ひとりのときより 言葉が力を持つからで…
- 結菜: でも、校則を変えるような 大きな変化をもたらすためには…
- あの先生が言うように
- “生徒会長”くらいの 肩書きや権力が必要…でしょ?
- 結菜: ええ
- 結菜: 髪色の問題だけじゃない… この学校には自由がなさすぎる
- 結菜: もっと生徒の自主性を 重んじるべきだとは思わない…?
- うん…校則が厳しすぎるから
- 逆に反発して 非行に走る生徒もいる
- 結菜: だから、1年生であっても
- 結菜: 立ち上がって学校を変えるのは いい案かもしれないわねぇ…
- 結菜: でも、私はみんなを 引っ張るような器じゃないし…
- ううん、私の髪色の件だって 紅晴さんのおかげで解決できたし
- きっとあなたが適任だよ
- それじゃあ、さっそく 賛同する子たちを集めようよ!
- 結菜: え…ちょっと… あなたたちぃ…?
- 紅晴はきっと私らを引っ張る力を 持ってんだよ
- だから、一緒に変えよう この窮屈な学校を!
- 私たち、全力で応援するから!
- 結菜: …………
- 結菜: (そういうことだったのねぇ…)
- 結菜: 普段は荒れた校風の中で 生徒たちも皆、グレているように見えていたけど それはこの学校に良くなる兆しがなかったから
- 結菜: 変化という希望が見えれば その変革を導く者がいれば きっとこの学校は変わるはず…
- FILENAME: text_310212-2.txt
- 結菜: こうして、私の選挙活動が始まった…
- 結菜: “生徒の自主性を重んじてほしい”… 私の訴えに賛同する者は、想像より多かった
- 結菜: はじめは周りに流されて始まってしまったけれど
- 結菜: 学校の変化を望む みんなの声に耳を傾けるうちに 私も本気で生徒会長を目指すようになっていった
- 結菜: ひかると出会ったのもそのときで たくさん手伝ってもらったけれど… そう簡単に事は運んでくれなかった…
- 紅晴の生徒会長への立候補を 認めることはできない
- よって、ただちに選挙活動を 中止しなさい!
- ひかる: そ、そんな…!
- 結菜: …………
- ひかる: いまさら 活動をやめろなんて…
- 紅晴への対応は教員たちの間で 何度も話し合われてきたんだ
- このまま紅晴を立候補させては 選挙の公正さが失われてしまう
- ひかる: 結菜さん…
- 結菜: 大丈夫よぉ、煌里
- 結菜: よろしいですか、先生?
- 結菜: 我が校の校則にこうあります
- 結菜: 『中・高等部の在学生5分の1 以上の署名を集めることで…』
- 結菜: 『校則改正の議案を生徒会に 提出することができる』
- 結菜: 『この議案が、生徒会役員の 半数以上の支持を得た場合…』
- 結菜: 『学校はその是非について 検討しなければならない』
- …まさかお前
- 選挙までの短期間に 署名を集めて
- 自分の立候補が認められるよう 校則を変えようって言うのか?
- そんなの無理に決まってるだろう
- 結菜: …では、もしも私が 短期間にも関わらず署名を集め
- 結菜: 議案が生徒会を通った場合…
- ありえないことだ
- 結菜: では、もしもそのような結果に なった場合は
- 結菜: 学校側は私の立候補を 認めてもらえますか?
- …………
- 万が一そんなことになれば
- 臨時職員会議を 招集せざるを得んだろうが…
- そもそも署名なんて そう簡単に集まりやしない
- ひかる: 間に合うんすかね…?
- 結菜: 思ったより遅かったわねぇ
- 結菜: 学校側がああ言ってくるのを 待っていたのよぉ
- ひかる: ――っ!?
- 結菜: 勝算はあるわ
- 結菜: 私の支持者数が無視できない数に なってる今だからこそ
- 結菜: 大事な議案を短期間で決めさせる ような無茶な交渉ができたのよぉ
- 結菜: 署名は集まったし 生徒会の支持も得られた今 あとは職員会議を残すだけ
- 結菜: 全ては順調に進んでいたはずだったのに…
- 紅晴、ちょっといいか
- 結菜: はい… 会議は終わったんですか…?
- それが…
- 結菜: 父母会から連絡が…!?
- 結菜: しかも私が市長の娘だから 贔屓されているなんて…
- 結菜: 言いがかりにも ほどがあります…!
- もちろん贔屓したつもりはないし そのことは丁寧に説明するが…
- 父母会がここまで強く言ってくる ということもあまりなくてな…
- 親御さんたちから お前らを預かっている以上
- 学校も父母会の要望を突っぱねる わけにもいかない立場なんだ
- 話し合いは長期化するかもしれん
- 結菜: ということは…
- あぁ 今回の選挙には間に合わない
- 結菜: そんな…
- 結菜: どうして… こんな土壇場になって…
- 結菜: もう時間もないし
- 結菜: ここまで煌里たちに… みんなに支えられてきたのに
- 結菜: こんなところで 終わるだなんて、そんなの…
- キュゥべえ: やぁ、紅晴結菜
- 結菜: ――っ!?
- キュゥべえ: 驚かせて悪かったね ボクの名前はキュゥべえ
- キュゥべえ: キミの願いを なんでもひとつ叶えてあげるよ
- 結菜: 願いを…?
- キュゥべえ: その代わり
- キュゥべえ: ボクと契約して 魔法少女になって欲しいんだ
- 結菜: …魔女を倒す
- 結菜: …話を聞いても よくわからないけれど
- 結菜: とにかく、それなりの義務は 果たさないといけないわけねぇ…
- 結菜: その代わり 願いは本当に叶うって言うの?
- キュゥべえ: うん キミの願いは必ず遂げられるよ
- 結菜: …………
- 結菜: (願いが叶う…だなんて そんな甘い話、あるわけない…)
- 結菜: (だけど…)
- ピロン♪
- 結菜: ――っ!?
- あとは、職員会議を通れば 1年生の立候補が認められるね! きっと紅晴さんなら大丈夫 私たちみんな応援してるから!
- ピロン♪
- 紅晴! 生徒会長になっても仲良くしろよ! …って、気が早いか! 頑張れよ!
- ピロン♪
- ひかる: ひかるは 結菜さんのことを信じてるっす
- 結菜: (そう…私には ここで諦められない理由がある)
- 結菜: (私を信じて付いてきてくれた… 共に戦ってきた仲間たち…)
- 結菜: (みんなの想いを 無駄にはしたくない…)
- 結菜: (こんな話に乗るなんて 自分でも馬鹿げてると思うけど)
- 結菜: (それでもすがりたい… 私に期待するみんなのために)
- 結菜: …それなら叶えてちょうだい
- 結菜: 『生徒会の選挙制度の改正が認められるように 反対している人たちの心を変えて』
- FILENAME: text_310212-3.txt
- 先輩: そう…父母会の横やりを 願いで引っ込めたことに
- 先輩: 気を病んでいるということね
- ひかる: あんな無茶な言いがかりを つけられなければ
- ひかる: 結菜さんの力で 決まる寸前だったっす!
- ひかる: ひかるはちゃんと 見てたっすから!
- 結菜: ひかる…
- ひかる: 本当は願いなんて 必要なかったくらいなんすよ!
- 結菜: それでも、結局 力でねじ伏せたのと変わらない
- 結菜: 私は、大庭樹里と 同じことをしたのよぉ…
- 先輩: それは違うわ
- 結菜: え…?
- 先輩: 結菜は、学校のみんなのために 生徒会長になったのよね
- 結菜: …はい
- 先輩: 大庭樹里とのことだって 私が頼んだとはいえ
- 先輩: あなたが動いた理由は 本当にそれだけ?
- 結菜: いえ…
- 結菜: 二木市の魔法少女たちに窮屈な 思いはしてほしくなかったから…
- 先輩: 誰かのために動けることは 簡単じゃない
- 先輩: それはあなたの 素晴らしいところよ
- 先輩: だから結菜は 間違ってなんかない
- 結菜: でも…でも先輩
- 先輩: そうね、結菜の言う通り
- 先輩: 樹里は本当の意味で 敗北には納得していないだろうし
- 先輩: きっと学校の方でも 似た問題があるんじゃない?
- 結菜: はい…
- 先輩: だからね 大事なのはその後なのよ
- 先輩: 平和的な解決のために 力を使ったことは
- 先輩: きっと間違えてない
- 先輩: でも、そうしたからには 最後まで責任を取る必要がある
- 結菜: 責任…
- 結菜: (力でねじ伏せた父母会と 力で屈服させた大庭樹里)
- 結菜: (今あるしこりはいつか)
- 結菜: (取り返しがつかないほど 大きく膨れ上がる…)
- 結菜: 現に、それは起きている
- 結菜: 私の願いは、父母会の人たちの心を捻じ曲げて 選挙制度を変えさせたけれど
- 結菜: 父母会と生徒会の軋轢そのものは 解消されたわけじゃない
- 結菜: だから、ことあるごとに 父母会は生徒会に横やりを入れてくる
- 結菜: (そうして、そのしこりは今後も 学校の後輩たちや…)
- 結菜: (二木市の魔法少女たちへの しわ寄せとなり続ける…)
- 先輩: 結菜
- 先輩: あなたはみんなのために 最後まで責任を取る覚悟はある?
- 結菜: はい
- 先輩: それならひとつ 頼みたいことがあるわ
- FILENAME: text_310212-4.txt
- 樹里: で、今度は何の用だよ
- 先輩: あなたが結菜との戦いの結果に 納得してないんじゃないかと
- 樹里: …勝負は勝負だ こっちの負けは認めてる
- 樹里: 小細工だらけの 戦いだったとしてもな…
- 先輩: ほら、不服そうじゃない
- 樹里: あぁ? 何が言いてぇんだ
- 先輩: これから樹里と結菜には 仲良く力を合わせて欲しいのに
- 先輩: このままだと良くないと思って
- 先輩: …だから、樹里はいつでも 結菜に戦いを挑んでいいわ
- 樹里: え…はぁ!?
- 先輩: 代わりに、他の子は 巻き込まないでね
- 樹里: オイオイ お前はそれでいいのかよ
- 結菜: ええ、構わないわぁ…
- 樹里: 殺すつもりでいくぞ
- 結菜: …殺されないわ、絶対に
- 樹里: …………
- 樹里: 私の炎を、アンタが 受け止めてくれるってのか?
- 樹里: 私の、このビョーキを
- 結菜: …ええ
- 樹里: …………
- 樹里: ニヒッ 気に入ったぜ
- 樹里: 次こそは小細工なしで 戦ってくれんだろうなぁ!?
- 結菜: それはどうかしらぁ…
- 樹里: ハッ、そうかよ
- 樹里: それなら私の炎で小細工ごと ウェルダンにしてやるだけだ
- 樹里: いつか必ず お前をぶっ潰してやるから
- 樹里: 覚悟しておけよ、結菜
- 結菜: 負けないわよ…樹里
- 樹里: それじゃあ、さっそく
- 樹里: 握手の代わりに 拳で語り合うとしようぜ
- 結菜: …望むところよぉ
- FILENAME: text_310212-5.txt
- 結菜: っ…はぁ…
- 樹里: …ふぅ
- 樹里: 久々に楽しかったよ ありがとな
- 結菜: ええ
- 樹里: じゃあ、またな
- 結菜: …………
- 先輩: どう? 少しは光明が見えてきた?
- 結菜: …そうですね
- 結菜: ありがとうございます 先輩…
- ピッ
- 結菜: もしもし、ひかる?
- 結菜: ええ、無事よ
- 結菜: そうね…えぇ 心配かけてごめんなさいねぇ…
- 結菜: …それよりひとつ 聞きたいことがあるのだけど
- 結菜: あなた、成績は 悪くなかったわよねぇ?
- 結菜: 問題はひとつ解決 勉強させてもらったわぁ
- FILENAME: text_310213-1.txt
- 結菜: 本日はお忙しいところ
- 結菜: お集まりいただき ありがとうございます
- 結菜: それでは、さっそく 校則の変更について
- 結菜: 話し合っていきたいと 思います
- 結菜: まずは父母会の方々の 意見をお聞きできればと…
- 「髪色と髪型の校則についてだろ? 規則を変えるだなんて言語道断だ」
- 「学生は勉学が一番なのだから 見た目に気を遣っている場合じゃないでしょう」
- 「私たちのときだってそうだったんだから あなたたちも我慢するべきじゃない?」
- 結菜: …ですが、生徒の個性を 伸ばすことも大事なのでは…?
- 「それはそうなんだけどなぁ」
- 「見た目が派手だと悪い子たちに 絡まれるんじゃないかって心配なのよ」
- 結菜: 生徒を守るため… ということですね
- 結菜: 先生方はどうでしょうか?
- 「父母会の方の意見もわかるんですがね…」
- 「服装の乱れは 風紀の乱れにも繋がるとも言うしな」
- 「いくら中身が真っ当でも、見た目で目立てば 悪い印象を持たれてしまうことがあるから…」
- 「社会に出れば皆と同じであることを 求められる場合だってある… そのための練習という意味もありますからね」
- 結菜: …ありがとうございます
- 結菜: みなさんが私たち学生のことを 沢山考えてくださっていること
- 結菜: とっても伝わりました…
- 結菜: …しかし
- 結菜: 『本当に見た目が原因で 起きた問題はどれほどでしょう?』
- 結菜: 『逆に、見た目への抑圧が原因で 起きた問題はどれくらいあったでしょう?』
- 結菜: 『先生や父母会の方々がおっしゃっているのは あくまで問題を未然に防ぐためのこと』
- 結菜: 『それも大切なことですが 強制することで問題が起きてしまっているのでは 本末転倒なのではないでしょうか…?』
- 結菜: それに、最近の進学校では 服装が自由なところも多いです
- 結菜: 何故か…
- 結菜: それは自主性を重んじる 教育をしているからです
- 結菜: 『自由とは、なんでもしていい ということではありません 自分の頭で考え、責任をもって 行動する必要があるということです』
- 結菜: 『これは少し先の話である生徒も いるかもしれませんが 自分で考えることは就職活動でも 必要なスキルになってきます』
- 結菜: 『学生時代、みんなと一緒であることを 強要され続けた学生は 就職活動で突然“らしさ”を 求められて困惑すると聞きます』
- 結菜: 『それは今まで“規則”という、決められた 道筋だけを歩かせてもらっていたから』
- 結菜: 『自由を与えることは 甘やかすことではないと思うんです』
- 結菜: 『むしろ学生にとっては 自主性を伸ばす大きな機会ともなり得ます』
- 結菜: どうでしょうか…?
- みんな: …………
- FILENAME: text_310213-2.txt
- でも… 進学校が服装自由って
- 真面目な子が多い学校だから 成り立つわけでしょう…?
- 結菜: たしかに、おっしゃる通りです
- 結菜: しかし 自由が与えられたことによって
- 結菜: 成績が伸びたとしたら 話は別ですよね?
- えっ…?
- 結菜: 今日は中等部の子に 来てもらっています
- ひかる: はいっす
- 結菜: あなたの話を してもらえるかしら
- ひかる: …っす
- ひかる: ひかるは元々 ラクロス部だったんすけど
- ひかる: 他にどうしても やりたいこと…
- ひかる: 結菜さんの選挙活動のお手伝いが したくって、部活をやめたっす
- ひかる: 顧問の先生にはそのとき やめる自由を頂いたんす
- 顧問: それから、成績が 伸びていったんだよな
- ひかる: はいっす
- ひかる: 勉強をサボれば選挙で応援してる 結菜さんの評判が落ちるかもって
- ひかる: そう思えば、自然と勉強も 頑張れるようになったっす
- 顧問: 私はラクロス部の 顧問をしているのですが…
- 顧問: 煌里が選挙の手伝いのために 退部すると聞いたときは
- 顧問: 正直、もったいないとも 思いました
- 顧問: しかし、今こうして輝いている 煌里を見ると
- 顧問: 生徒の自主性を重んじるという ことへの重要性を感じますし
- 顧問: 何より目標を持って何かに 取り組むという姿勢は
- 顧問: 学生としても あるべき姿かと、私は思います
- ひかる: 現状、うちの学校は かなり荒れてると思うっす…
- ひかる: 問題が減れば 儲けもの…くらいで
- ひかる: 一度、ひかるたち…
- ひかる: 生徒たちのことを 信じてみてくれないっすか
- ひかる: また問題が増えたら 髪色についての校則だって
- ひかる: 復活でも構わないっすから
- そう言われてしまうとねぇ…
- 校長: 1年間だけ試してみる… なんていうのはどうでしょう
- ひかる: 校長先生…!?
- し、しかし…
- 校長: 制度を変えるには冒険も ある程度必要かと思いましてね
- たしかに、それもそうですね
- ふむ… 職員側は賛成多数のようですが…
- 父母会のみなさまも ここはひとつ、どうでしょうか?
- 一度 生徒たちを信じてみるというのは
- ひかる: お願いするっす!
- 結菜: …お願いします!
- …………
- まぁ、そこまで言うなら 信じてみてもいいかもな
- 生徒会長も、当初は贔屓で 選ばれただなんて疑っていたのが
- 申し訳なるくらいちゃんとした 生徒想いのいい子みたいだし
- えぇ、彼女の言葉に 胸を打たれたのも確かだわ
- …まぁ、1年間の様子見なら やってみる価値はあるかもしれん
- 校長: ありがとうございます
- 校長: それでは、1年間 髪型・髪色についての
- 校長: 校則を変えて 悪い変化があれば戻す
- 校長: これでどうかな、生徒会長
- 結菜: はい 私から異論はございません
- 結菜: 皆さん、ありがとうございます!
- パチパチパチパチ
- ひかる: 緊張したっす…
- 結菜: 助かったわ、ひかる
- ひかる: それにしても、今回は 真っ向勝負だったっすね
- 結菜: そんなことないわよぉ…
- 結菜: 父母会の目につくように 以前から慈善活動を行って
- 結菜: イメージアップを 図っていたし…
- 結菜: 校長や顧問の先生とは 事前に話を通してあって
- 結菜: 他の教師たちとも、ほとんど 話がついていた状態だったから
- 結菜: 会議の流れは 考えていた筋書き通りだったわぁ
- ひかる: いつの間に…
- 結菜: 討論に負けたら お話にならないから
- 結菜: 色々と策は講じたけれど
- 結菜: それでも遺恨を残すようなことは してないつもりよぉ…
- 結菜: あの場で話し合うことで 父母会の方にも本当の意味で
- 結菜: 納得してもらえたと思うからぁ…
- ひかる: 何だか結菜さん 政治家みたいっす
- 結菜: ――っ!?
- ひかる: あ、今のは…えっと すごいっていう意味で
- 結菜: …いえ、気にしないで ありがとう…
- 結菜: (私の父親も こうして戦っていたのねぇ…)
- 結菜: (政治の真似事をしてみて ようやく気付けた)
- 結菜: ふふ…血は争えないって ことなのかしらねぇ…
- FILENAME: text_310213-3.txt
- 結菜: 先輩!
- 先輩: 結菜、聞いたわよ
- 先輩: 生徒会長として 立派だったみたいね
- 結菜: はい、先輩のおかげです
- 先輩: ううん、あなたの実力よ
- 先輩: …今日はね あなたに渡したいものがあるの
- 結菜: 私に…?
- 先輩: ええ、樹里への対応を 成し遂げたことへの労いと
- 先輩: 今さらだけど、私からの
- 先輩: 生徒会長就任祝い …というところかしら
- 先輩: はい、これ
- 結菜: これは…
- 先輩: ―先輩― 実はね、私も少し前まで 別の学校で生徒会長をしていてね
- 結菜: ―結菜― 先輩が…
- 先輩: ―先輩― この万年筆は、そのときに使っていたもので とても思い入れのあるものなの
- 結菜: ―結菜― そんな大切なものを、私に…?
- 先輩: ―先輩― 大切なものだから、結菜に託すのよ
- 先輩: 進学校だったから高校2年生に なってからの生徒会長就任で…
- 先輩: 私も会長になったばかりのときは 結菜と同じように悩んだわ
- 結菜: 先輩も…
- 先輩: 何が正解かなんて 誰にもわからないんだもの
- 先輩: 時には教師たちと 対立してしまったり
- 先輩: 何のために自分が 頑張っているのか…
- 先輩: 見失って自暴自棄に なったことだってあったわ
- 結菜: …………
- 先輩: 驚いた?
- 結菜: …はい そんな風には見えないですから…
- 先輩: ふふ
- 先輩: …………
- 先輩: 結菜は、どこか私に 似ているような気がしてね
- 先輩: …って、こんな話をされた後に 言われちゃ嫌よね…
- 先輩: でも、聞いて…
- 先輩: 誰かを想うあまり
- 先輩: 他の誰かを憎んだり、恨んだり 怒りに呑み込まれるようなことが
- 先輩: 結菜にもいつか あるかもしれない…
- 先輩: そんなときは この言葉を思い出して…
- 先輩: 「憎まず、嫉まず、利己的にならず 何よりも誰かのためであり 世の平和と心の安寧を願い続ける」
- 先輩: それが私が伝えられることよ、 結菜
- 先輩: あなたならきっとできる
- 結菜: …はい、先輩
- 先輩: そうして誰かのために 頑張るあなたになら
- 先輩: きっとみんながついてくるし
- 先輩: 遺恨を残さない解決だって 自ずとできるようになるわ
- 結菜: 何よりも誰かのために…
- 結菜: …………
- 結菜: 私、その言葉を忘れません
- 結菜: この万年筆と一緒に 大切にし続けます…!
- 結菜: (学校のみんなのために 二木市のみんなのために)
- 結菜: この身を賭して みんなを守っていきますから
- FILENAME: text_310213-4.txt
- 生徒会長! 聞いたよ、校則のこと
- これでヘアアレもできるよ~!
- 結菜: ふふ、あまり凝りすぎて 勉強を疎かにしないようにねぇ…
- 結菜: あまり羽目を外しすぎたら 元の校則に戻されてしまうし…
- 結菜: 勉強もそこそこ励んでいた方が 父母会の心象も良くなると思うわ
- はーいっ
- ひかる: 校則が変わって みんな嬉しそうっすね
- 結菜: …えぇ
- 結菜: でも… これはまだ第一歩に過ぎないわぁ
- 結菜: この学校にはまだまだ 改善の余地があるんだものぉ…
- ひかる: そうっすね!
- ひかる: ひかるは、これからもずっと 結菜さんに付いて行くっすよ!
- 結菜: えぇ…よろしくねぇ…
- 結菜: (先輩の言葉を聞いてから)
- 結菜: (私の中に1本の 軸が生まれたような気がする)
- 結菜: (誰かのため…)
- 結菜: (そう思えばこそ できることもあるのね…)
- 結菜: 目的のために力を使った過去は変わらない
- 結菜: だけど…いいえ、だからこそ 私はその責任を果たさなければならない…
- 結菜: 願いで生徒会長になった私には 生徒のために学校を変える責務があり
- 結菜: 力で樹里を屈服させたからには 樹里を含む二木市の魔法少女たちみんなを 守っていかなければならない 幸せにしていかなければならない
- 結菜: (目的が明確に なったからかしら)
- 結菜: (何だか晴れやかな気分ねぇ…)
- 先輩: 結菜?
- 結菜: あっ、はい
- 先輩: なんだかにやにや してないかしら?
- 結菜: あ…えと…
- 先輩: ふふっ …ね、結菜
- 先輩: 今度、みんなでどこかに 遊びに行かない?
- 結菜: えっ
- 先輩: そんなに驚くことないじゃない
- 先輩: 私たちは魔法少女同士の 仲間でもあるけど
- 先輩: 同時に、お友だち同士でも あるんだから
- 結菜: …………
- 先輩: え…あ、違った!? やだ…私だけ舞い上がって…
- 結菜: ―結菜― ふふっ
- 先輩: ―先輩― 何笑って…
- 結菜: ―結菜― だって先輩がそんなに焦るだなんて 何だかおかしくてぇ…
- 結菜: ―結菜― …遊びに行きましょう、先輩 どこがいいですか?
- 結菜: ―結菜― ショッピングか、遊園地か… 動物園なんかもいいかもですねぇ…
- 結菜: ―結菜― いつも魔法少女として頑張っているのだから
- 結菜: ―結菜― たまには楽しい休日を過ごしたって バチはあたらないはずですよね
- 先輩: ―先輩― ふふふっ 結菜もそうやって笑うのね
- 結菜: えっ?
- 先輩: さて、どこがいいかしらね 海に行くとかもいいわよね
- 結菜: ふふ、そうですね
- 結菜: たくさん…色んなところに 行きましょうね、先輩
- 先輩: えぇ、楽しみね
- <二木市・虎屋町>
- ひかる: 久しぶりの魔女だったっすねぇ
- 樹里: だな…
- 結菜: …………
- ひかる: …結菜さん? どうかしたっすか?
- 結菜: 昔、ここで先輩と話をしたのを 思い出していたのよぉ…
- ひかる: どんな話だったんすか?
- 結菜: …自分たちの未来の話よぉ
- ひかる: 未来…っすか…
- 結菜: ふふ…
- 樹里: …何、笑ってんだ きもちわりぃ
- 樹里: 未来のことを言えば鬼が笑う …ってか?
- 結菜: そうねぇ…
- 結菜: 未来のことなんて 語るだけ虚しいだけなのにねぇ…
- 結菜: 私は、許さない…私たちの 未来を奪った、神浜の連中を…
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